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2016年8月12日 独立行政法人評価に関する有識者会議 労働WG(第13回)議事録

○日時

平成28年8月12日(金)9:26~12:01


○場所

厚生労働省共用第6会議室(3階)


○出席者

今村主査、酒井構成員、志藤構成員、関口構成員、戸田構成員、中村構成員、宮崎構成員

○議事

○今村主査

 少し早いですが、皆さんお揃いになりましたので始めさせていただきます。ただいまから、第13回独立行政法人評価に関する有識者会議労働ワーキンググループを開催いたします。構成員の皆様におかれましてはお忙しい中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。本日は小西構成員、柴田構成員、園田構成員、高田構成員、田宮構成員、松尾構成員が御欠席です。それでは、本日の議事について事務局から御説明をお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 本日の議事について御説明いたします。本日の議事は、お手元の議事次第のとおり、2つございます。まず、1つ目として、平成28年度が中期目標期間の最終年度に該当する労働政策研究・研修機構の中期目標期間見込評価に係る意見聴取です。

 参考資料11ページを御覧ください。中期目標期間見込評価についてですが、こちらは中期目標期間の最終年度に実施される中期目標期間終了時に見込まれる業務の実績の評価であり、中期目標期間における、中期目標の達成状況等を考慮し、年度評価と同様に行うこととされております。これらは独法通則法第35条の規定に基づき実施する中期目標期間終了時の法人の業務の継続又は組織の存続の必要性、その他その業務及び組織の全般にわたる検討、いわゆる業務・組織全般の見直しや通則法第29条の規定に基づき実施する、「次期中期目標の策定」に活用することを目的として実施するものでございます。

 続いて2つ目としましては、本日は中期目標期間見込評価に加えて、先ほど御説明いたしました「業務・組織全般の見直し」に関する内容につきましても、本ワーキングの御意見を賜ることとしております。この「業務・組織全般の見直し」についてですが、通則法第35条の規定を根拠とし、主務大臣が中期目標期間終了時までに、法人の業務の継続又は組織の存続の必要性、その他その業務及び組織の全般にわたる検討を行い、その結果に基づき業務の廃止若しくは移管又は組織の廃止、その他の所要の措置を講ずるものでありまして、次期中期目標の内容に反映することを目的として実施するものでございます。

 なお、本ワーキングにおける業務・組織全般の見直しに関する事項の取扱いにつきましては、参考資料1の別添1の独立行政法人評価に関する有識者会議開催要綱の3.「意見聴取の対象」の中には明示的には含めておりませんが、法人所管課の意向などを踏まえまして、3.「意見聴取の対象」における第4(その他評価に関し重要な事項)に該当するものとして整理した上で、本ワーキングの御意見を賜ることとしております。本日御議論いただく中期目標期間見込評価及び業務及び組織全般の見直しについては、次期中期目標の内容に反映させていくことになるものでございますので、よろしくお願いいたします。事務局からは以上です。

 

○今村主査

 それでは、労働政策研究・研修機構の中期目標期間見込評価について議論をしていきたいと思います。初めに国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項に係る項目別評定のうち、労働政策研究の実施体制、厚労省との連携等について、労働政策研究・研修機構からポイントを絞って、ごく簡単な説明をお願いいたします。

 

○労働政策研究・研修機構総務部長

 それでは説明させていただきます。資料1-1のパワーポイントからのものでございます。まず、2ページからです。評価項目シート1-1、「労働政策研究の実施体制」につきまして、定量的指標につきましては厚生労働省職員向け勉強会等の開催回数というものでございまして、これにつきましては、各年度において目標を大きく上回る達成をしたところです。また評価の視点として幾つか評価シートにございますけれども、政策ニーズへの反映等、定性的指標についてはこれらの視点を踏まえて的確に対応したと考えております。こうした政策貢献度の高いテーマの研究を実施した結果、審議会・研究会等における成果の引用実績は第2期に比べて約2倍の、185件と大幅に増加をしておりますし、また国会審議の引用実績についても大きく増加をしたところです。具体的に3ページ目からですが、労働政策研究の種類については、前回もお示ししましたので重ねて申し上げませんが、厚生労働省や労使団体等との積極的な交流というものを行っておりまして、厚生労働省の幹部との各種会合を踏まえて、政策ニーズ、問題認識の把握を行うとともに、労使関係者等からの意見聴取を通じて、労働現場における労使の意見、考え方というものを把握したところです。

 こうした意見聴取を踏まえて、ニーズを的確に反映したプロジェクト研究大きく6本のテーマ、それに付随する19のサブテーマとして、今5年目の最終年度ですけれども、プロジェクト研究を実施しているところです。また厚生労働省の緊急の政策ニーズの把握ということで、おおむね年に1回課題研究、1年程度を要する課題研究を実施しているとともに、四半期に1度ニーズ、要望を受けまして、緊急調査を実施しているところです。特に、緊急調査につきましては第3期から始めたところです。

4ページは実施体制の具体的な取組を書いておりますが、研究と政策のブリッジ機能ということで、厚生労働省幹部との意見交換を頻繁に行っております。研究テーマの設定に当たり、こうした厚生労働省の政策幹部との意見交換というのは、私ども政策研究機関である当機構特有のものであって、他の民間企業等では実施できないのではないかと考えております。また厚生労働省職員向け勉強会等は、新たに労働政策懇談会への講師派遣を実施するなど、幅広く意見交換を行っているところです。

 右側ですが、研究と政策のブリッジ機能の強化として、更に審議会・研究会等への参画ということで、厚生労働省の労働政策審議会や社会保障審議会のみならず、法務省、文部科学省の審議会にも当機構の研究員が参画をいたしております。総計267件という膨大な数になっております。

 効率的な実施体制ですが、基本的に先ほど申し上げたプロジェクト研究6本で、これに応じた部門別の構成をしているところですが、研究テーマに応じて研究部門の専門領域を越えてそれぞれが連携を図って相乗効果の発揮に努めているところです。特に26年度から実施しております、「雇用システムと法プロジェクト」というものについて、各部門が横串にする形で各研究部門の研究員が参加をしたところでございまして、本格的な横断的取組というのは第2期には見られなかった3期における効果的な手法であると考えております。

 その他、外部研究者との連携という形で、大学等の研究者等が延べ252人参加していただき、外部の知見の活用に努めているところです。

5ページ目で、審議会・研究会での引用件数の推移ですが、前回も御覧いただきましたが、27年度272件ということで、全体平均で185件ということで、第2期の約2倍となっております。2ページ目にありましたが、厚労省関係の引用は約3倍、当然に厚労省関係の活用件数が大きく増えているところです。

6ページ目は、他の研究機関でなし得ない研究の具体例としまして、私どもであるからこそ早急に対応できた研究調査の例として何本か書いています。1つ目の「働き方改革・女性活躍推進に向けた企業調査」というものについては、2610月の国会の付帯決議において、女性労働者の妊娠等による雇い止めの実態調査を行うべきであるという指摘や、派遣労働者を含めた有期契約労働者の不利益取扱いの実態を調査する必要があるということから、緊急的に要請を受け、おおむね45か月の期間で調査設計及び調査の実施ということで、厚生労働省に調査結果報告をしたところです。「仕事と介護の両立に関する調査」についても、こちら研究会に研究員が参画をしたもので、当初民間の調査機関に計画を委託したところですが、不十分な結果にとどまったということで、これを新たに緊急的にJILPTのほうで調査設計をしまして、調査を実施したというものです。これについても迅速に取り組んだところでございます。そのほか下の2本につきましては、文献調査ですけれども、おおむね3か月程度で成果を提供したところです。

7ページは全体をまとめておりますけれども、このような労働政策研究の実施に当たり、政策課題、労働現場の問題意識を的確に反映するということで、貢献度の高い研究が実施できたというように考えております。その他繰り返しになりますので申し上げませんが、ここに書いてありますような非常に高い成果を得たということで、自己評価はAとさせていただいたところです。以上でございます。

 

○今村主査

 ただいま御説明がありました事項について、御意見、御質問等がありましたら、どうぞ、お願いいたします。この機構は、随分前の労働部会から労働ワーキンググループに至るまで、非常に高い評価をずっと継続していらっしゃる機構です。この表を見る限りは、第2期に比べて明らかに高い数値を達成しておられたように見受けられるのですが、前から心配しているのは、その御努力がどのぐらいの体制によってサポートされているかと。つまり、大丈夫かという心配をするわけです。例えば、具体的に政策研究、研究課題に対応するときは、人員等の費用などは、具体的にどのように対応していらっしゃるのかを教えていただければと思います。つまり、既成の予算の中でやられるのか。例えば、研究所のエフォート率が決まっていますよね。それが若干増えるわけですが、そのようなものをどのように臨機応変に対応しておられるのでしょうか。人員コストや調査コストなどを教えていただければと思います。

 

○労働政策研究・研修機構理事

 人員コストに関しては、44ページを御覧ください。また詳しく説明することになると思いますが、基本的には職員の数が発足当時は140名いたのが、107名ということで、人員はどんどん減ってきている状況です。また、財政支出も平成16年度は36億円だったのが、平成27年度には26億円という形で、やはり金額も10億円減ってきている状況です。そういう意味で言いますと、決して余裕をもってやっているわけではありません。何とか、中で実施体制を工夫しながら、いい成果を出していくことに努めてきています。

 やはり内容を高めるために、先ほど説明しましたように、厚労省との連携を密にして、ある意味で政策貢献度の高い研究テーマに絞ってきたということで、一応このような少ない体制の中である程度の結果を出してきていると考えております。

 

○今村主査

 具体的な話では、緊急依頼の調査というのは、新たにお金が追加して出るということではないのですか。

 

○労働政策研究・研修機構理事

 それは、ないです。あくまでも、業務経費の中でやっています。

 

○今村主査

 分かりました。

 

○戸田構成員

 御説明ありがとうございました。この項目は、研究の実施体制について見る項目かと思います。定量的な指標を見させていただいても、数倍に及ぶ実績を上げているということで、非常に高い評価を付けてもいいのではないかと思っております。

 もう1つは、定量的なものだけでなく、やはり定性的なものについても重要な評価項目だと思っております。例えば、4ページに効率的な実施体制とあります。これは、中期計画の途中からだと思うのですが、プロジェクト体制をつくって、研究部門を横串にするといった取組もされているという意味でも、やはり定性的にも優れていると判断していいのではないかと思っております。

 ここについて1つ質問なのですが、この横串にしたプロジェクトを進めている中で、今中期計画中、平成28年度中に何らかの成果が上がっているのでしょうか。あとは、逆にこうした新たな取組をすることで課題と感じていらっしゃることについて、教えていただければと思います。

 

○労働政策研究・研修機構理事

 平成26年度から行っております「雇用システムと法プロジェクト」ですが、これは労働問題の根底にあります日本的雇用システムの問題について、突っ込んで検討していくプロジェクトになっております。その意味で言いますと、様々な労働問題の一番の基礎に当たる部分の研究ではないかと思っております。一応、今年度中にある程度の成果を出していきたいと思っております。

 これまで、日本的雇用システムの一定の歴史的な経過については、今年度中にまとめられるのではないかと思います。それと、法制度との関係も、ある程度の鳥瞰図は今年度中にお示しできるのではないかと思います。

 それから、実施に当たってのいろいろな問題点となると、やはりそれぞれ横串ということですので、各部門ごとに研究員がそれぞれの研究テーマを持っている中で、ある意味で並行してやっていきますので、時間的な問題などが今後の課題だと感じております。

 

○酒井構成員

 全体の評価については、他の構成員と同じように大変立派な成果だと見ております。少し違う視点でお伺いしたいのですが、先の御説明では、JILPTが国内で唯一で、JILPTしかできない業績だということを大変強調されていると思っています。それは、研究機関としては大変重要なことだと思う反面、やはりJILPTは日本全体を牽引する研究機関ではないかと、私は思っています。そうすると、先ほどの御説明で、例えば民間のコンサルに出た仕事が不十分なために、皆さんの所へ来て、皆さんたちは短期の間に大変立派な成績を。これは、大変いいことだと思う反面、今後の日本全体のこういった研究や政策を取りまとめるボトムアップをしていく面からすると、国とのやり取りはこれからも必要ですし、重要ですが、もう少し民間の皆さんを取りまとめて、日本全体のレベルアップをしていくような視点を私自身は期待するのですが、そのようなお考えはないのでしょうか。参考までにお聞きいたします。

 

○労働政策研究・研修機構理事

 私どもは政策研究機関ということで、厚労省との関係、政策への貢献が第1ではあるのですが、今御指摘いただきましたように、労働政策研究機関としても、ある意味で我が国で唯一のトータルな研究機関だという自負は持っております。その意味で、労働研究自体のボトムアップについても、私どもは一定の責任を持っているのではないかと思っております。

 その中で、例えば4ページの右下に、外部研究者との連携とあります。私どもは、大体年間4050本ぐらいの個々の研究を走らせております。それらの研究をするに当たっては、必ず研究会を設けており、JILPTの研究員が12名中心となって、その研究を行います。それ以外に、複数の外部の研究者の方に参集いただき、その方々からのいろいろな御意見も伺う形で、外部の研究者との連携にも力を入れてやっております。その中では、若手の研究員の方などにももちろん参加していただいておりますので、私どもの研究を進める中で、そうした若手研究者の方の育成などにも、結果として効果が出てきているのではないかと思っております。

 

○今村主査

 今のことに関連ですが、外部との関係でいいますと、これは恐らく検討されていると思うのですが、政府との関係にしても、機構から出て行ってやっていらっしゃるのですが、向こうから受け入れるというのは、どうなのですか。例えば、政策担当者を半年間受け入れて一緒に研究をしてもらう。あるいは、民間のシンクタンクの人に来てもらう。先ほど、人員が大丈夫ですかと心配をした背景には、少しそういう狙いがあります。外部から、もっとフレキシブルに人を入れれば、もう少し仕事がやりやすくなるのではないかという感じがするのですが、そういうことは御検討なさっているのでしょうか。

 

○労働政策研究・研修機構理事

 やはり、政策との連携を考えますと、まだ実際にはやっておりませんが、例えば半年ぐらい政策担当者の方に来てもらって一緒に研究するといったようなことも、1つの方法かとは思いますので、今後検討もしていきたいとは思います。いずれにしても、個々の研究ごとの研究会の中に、そのような政策担当者の方、あるいは外部の方にも入っていただいております。そういう意味で、その方々から様々な研究の協力を頂きながら、現在は行っているところです。

 

○中村構成員

 コメントなのですが、件数は今までの実績を踏まえて、高く評価できると思います。また、件数は自分たちが努力したものですが、それ以上に厚労省を含めて外部の者がどのように評価しているかも大事だと思うのです。その点でも、外部評価や有識者アンケートで高い数字を頂いているというのは、非常に評価できるのではないかと思っております。私は、法人の皆さんの本年度の自己評価は妥当な数字だと思っております。

 

○今村主査

 それでは、1-1の自己評価、見込評価については、妥当であるという御意見がほとんどでした。次に、1-2をお願いいたします。

 

○労働政策研究・研修機構総務部長

8ページの1-2、「成果の取りまとめ及び評価」です。こちらについては、中期目標は4点掲げられております。これらの指標について、各年度で全て目標を大きく上回り、達成度は120%以上となっております。私どもは、これまで厳格な外部評価制度の下で、各年度質の高い研究成果を確保できているものと考えております。

 具体的には、9ページからです。成果の取りまとめ本数は、aeまで各種ありますが、この4年間で現在191本の研究成果を取りまとめたところです。これらの研究については、ロに研究評価の仕組みが書いてありますが、業績評価システムに基づき、個別研究成果について具体的な評価基準を設定した上で、内部評価、外部評価を厳正に行っているところです。特に第2期までは、事後評価、研究成果の結果のみを評価しておりましたが、今期からはテーマの事前評価及び中間的な進捗の評価を追加して実施しております。こうした取組によって、更にそれぞれの外部の労使関係者及び有識者の御意見を反映することが可能になっているものと考えております。具体的な仕組みは、ここに評価の流れが書いてありますが、割愛いたします。

 ハは、厚生労働省における評価です。次ページで具体的に説明申し上げますが、業績評価は極めて高く、その結果非常に多くのものが活用されているところです。10ページは、個別の評価指標について取り上げております。(1)は、具体的に貢献をしたか否か、活用した若しくは活用する予定であるものが全体で84.1%ということで、達成率は168%です。(2)は、政策的インプリケーションに富むという評価が98.4%ということで、ほぼ100%の評価を頂いております。(3)は、外部評価、リサーチ・アドバイザー部会という、私どもで各労働関係の先生方に委嘱をしてお願いしている評価機関です。こちらの評価によって、36件の成果のうち、A評価以上が35件ということで、多くが優秀であるという評価を得たところです。

 最後に、有識者からの評価については、それぞれ年度末辺りで学識経験者、地方行政官、労働組合、使用者の方々にアンケート調査をお願いしております。全体の平均値は96.9%で、達成率は145%と高い評価を頂いたところです。具体的な研究テーマの成果については、11ページから掲げております。前回も説明いたしましたが、簡単に紹介いたします。

11ページの壮年非正規労働者の就業実態に関しては、壮年非正規の約半数が20歳代前半で正規雇用の経験があるという事実を踏まえれば、非正規の正規雇用への転換支援とともに、正社員の働き方を改善して、離職を抑制することが重要であるということが、インプリケーションとして言えるのではないかと思っております。

12ページは、同じように労働力需給推計について記載しております。こうした2030年、2035年の労働力需給推計を行うことで、1億総活躍の重要性を定量的に提示するとともに、地方創生に向けた基礎データの提供ができたと考えております。

13ページの、「経済・社会の変化に応じた」の部分です。特に、介護人材に関しては、団塊の世代が75歳を迎える2035年に、介護人材の需要が最大になる事態が見込まれる中で、介護人材確保の諸課題への政策対応についての様々な視点を提供できているものと考えております。

14ページは、キャリア形成支援です。特に、ハローワークを中心とした職業相談現場におけるキャリアコンサルティングの技術の改善を目指し、職業相談の勘とコツを「見える化」して、それを広くお伝えする研修プログラムを開発してきています。

15ページの(15)は、女性の活躍促進に関して、子育て世帯全国調査を201120122014年度の3回にわたり、継続して実施をしており、子育て世帯の生活状況について継続的に把握し、課題を抽出したところです。

16ページは、労使関係です。特に、ドイツ、フランス、スウェーデンにおける労働協約システムの現状を明らかにし、3か国の共通点、相違点を分析いたしました。これにより、EU諸国と日本の雇用慣行を比較する上で、同一労働同一賃金の議論に貢献しているところです。

17ページは、課題研究・緊急調査の幾つかの例です。最初の2つは、継続的に複数回行っているもので、雇用保険業務統計について、雇用保険指標が経済変動とどういう関係にあるのかといった視点や、雇用保険の積立金の役割や、将来的なシミュレーションを計算したもので、雇用保険法の改正に当たっての議論の一助になったと考えております。また、改正労契法及びその特例法への企業の対応状況に関しては、平成254月の無期転換ルールの施行に対して、企業がどう対応できているのかを、平成25年と27年と継続して調査をしたものです。現状としては、なかなか対応できていない企業が多く、どのようにして知らしめていくのかということの視点を考える上での材料になっているものです。

 その他、例えば一番最後の仕事と介護の両立に関する調査については、先ほども若干申し上げましたが、介護休業93日を分割して取得したほうが就業継続につながるという調査結果をもって、先般の育介法の改正につなげたものです。

18ページは、まとめです。冒頭に申し上げましたように、毎年度全ての数値目標を大きく上回って達成をしたところで、厳格な外部評価制度の下で質の高い研究成果を確保できていると考えております。以上を踏まえ、自己評価はAとさせていただいております。以上です。

 

○今村主査

 ただいまの件について、御意見、御質問等がありましたら、どうぞ、お願いいたします。

 

○関口構成員

 御報告ありがとうございました。8ページから少し質問いたします。過去4年間、特に厚生労働省からの評価で、政策貢献した成果数を2分の1以上というのは、成り立ちや関係から見ると、数値目標としては若干低いのではないかという感想を、今回改めてもちました。特に、数値として多分入っていると思うのですが、10ページの(2)の厚労省からの行政評価で、課題研究・緊急調査も入っているのかなと思います。課題研究・緊急調査に関しては、満足度が高くないということはあり得ないというか、厚労省からの依頼に基づいてやっているものなので、これは当然高い評価を受けていなければいけない成果物であるべきだと思うわけです。その辺りについては、どうお考えなのでしょうか。そうなってきますと、厚労省からの評価の対象としては、プロジェクト研究に関してが中心になったほうが、もしかしたらいいのではないかという感想をもちました。

 もう1点は、10ページの(3)外部評価です。評価を受けた36件の成果のうち、A以上の評価が35件と。個人的な関心なのですが、ではA評価以上の評価を受けていない1件は、なぜその評価を受けられなかったのかをもしお分かりでしたら、簡単で結構ですので御紹介いただければと思います。以上、2点です。

 

○労働政策研究・研修機構総務部長

 評価指標の設定については、第3期において活用、貢献した、活用した、又は活用する予定であるの2分の1以上については、第3期に新たな目標として設定をしたものです。その設定当時の平成23年度末時点で、第2期実績を調査したところ、平成19年度から22年度までの活用件数が48%で、これを踏まえて2分の1という設定をいたしました。第3期は非常に高い評価を頂いており、今後どのような目標設定がいいのかについては、設定の中身や水準について、今一度考えてみたいと思っております。

 

○労働政策研究・研修機構研究所長

2つ目の御質問の、36件のうち、私どもとしては残念ながら1件だけB評価を頂いた研究がありました。これについては、たくさんの外部研究者の方に参画いただいた報告書でした。個々の論文については、中身としては非常に高い評価を頂いたのですが、全体を通して、もう少し強力に政策提言や方向性を、JILPTとしては打ち出したほうがいいのではないかという御指摘を頂き、最後の一押しが足りないという御評価を頂いたところです。

 

○志藤構成員

 このところ何回か評価委員会がありました。全体を通じて、多分構成員の皆様も主査も、割と強くおっしゃっておられるのが、インプットしたものに対してアウトプットが出るのは当たり前であって、それがアウトカムとしてどういう働き、役割を果たしているかをきちんと見ないといけないというところが、全体の共通の認識かと思うのです。そういう視点で、プロジェクトの6つのテーマを挙げていただいたもので、主な事実発見は多分アウトプットになると思うので、それが政策的にどういうインプリケーションを果たしたかをアウトカムと位置付けておられると理解してよろしいでしょうか。

 

○労働政策研究・研修機構理事

 確かに、アウトカムとして、政策的インプリケーションが非常に大事ではないかと考えております。そこは、やはり1つのアウトカムの指標として、私どもも考えております。

 

○志藤構成員

 そういう位置付けでお考えになっているということは、政策へのインプリケーションに関しては、貢献という言葉と示唆と指摘と使い分けておられると思うのです。提供をした、示唆を与えた、貢献をしたという言葉の使い分けで、もしかしたら程度を表しておられるのかもしれないと読み解いているわけです。正直申しまして、提供しただけというのでは、それは余りアウトカムとしてのレベルが高くないのかなと。貢献をしたということであると、それは明らかに何か目覚ましく意識変革をせまるものであったりと。非常に言葉の定義のようなことで申し訳ないのですが、その辺りをもう少し御説明いただけると有り難いと思います。

 

○労働政策研究・研修機構理事

 今御指摘の点は、11ページ以下の政策的インプリケーションの所で、示唆や提供と書かれている点ではないかと思います。実は、ここの書きぶりについては、そういった意味で、余り厳密に言葉の使い分けはしておりません。あくまでも、提供して、それが政策に結びついたものもあります。例えば、12ページの労働力需給推計の結果などについては、地方創生などの政策課題の中で、明らかに政策貢献をしております。

 また、13ページの介護の所も、一応提供したとは書いてはありますが、ここもやはり政策貢献の点では、いろいろな政策的な取組に貢献していますので、提供と言ったからといって、決して貢献度が低いということではありません。トータルでいいますと、10ページで私どもは政策貢献に関する指標として、第1に政策に活用、あるいは活用予定があります。これは、活用したか、あるいは活用予定であるかの指標です。それから、(2)がインプリケーションがあるかどうかの指標になっております。そういう点で、インプリケーションがあるほうがむしろ80%という目標にしております。政策の貢献予定となりますと、例えば研究によっては中長期的な研究などは、ある程度活用予定までタイムラグがありますので、そういう意味で当初は目標値として50%と設定したわけです。ただ、御指摘のように課題研究や緊急調査等は、ある程度活用予定が見えているものですので、そこを踏まえるとこの数値でいいのかどうか、次期に向けて数値目標については、厚労省とも相談しながら検討していきたいと思っております。

 

○今村主査

 今のアウトプットがアウトカムに至る過程のことですが、以前朝霞の研修所で新任官僚を研修したときに、経済学を教えたのですが、彼らが経済学を勉強するのはこれが最初で最後でという話を聞きました。ということは、政策貢献するかどうかというときに、政策を立案する側の理解力みたいなものが重要だと思うのです。定量的で詳細で、政策には非常に役に立つとは思うのですが、そういうものを理解して実際に縦書きの条文にしていく官僚の皆さんの理解力が十分あるのかということについては、いかがでしょうか。御努力や苦労していらっしゃることなどはありませんか。

 

○労働政策研究・研修機構理事

 基本的に、ある意味では緊密に研究を始める段階、それから途中段階の中で、各研究ごとに政策の担当者と研究者で意見交換をしながらやっております。私どもも、政策について理解を深めていくことが必要ですし、政策担当者もいろいろな研究成果の見方について理解を深めていくということで、これからもしっかりと相乗効果を上げていくようにしていきたいと思います。

 

○中村構成員

 研究評価の実施の中で、外部評価について、第2期までは事後評価をお願いしていたけれども、第3期より事前評価及び中間評価を実施したとあります。これは、良いことだと思うのですが、具体的にその結果を研究内容に反映することが可能になったはずです。例えば、事前評価をやったお陰で、このようなことについて、よりこうする必要があるというような方向性がつけられたような事例があれば、お伺いしたいのですがいかがでしょうか。事前評価段階と中間評価段階を、外部評価にお願いすることによる効果はありましたか。

 

○労働政策研究・研修機構理事

 事前段階の評価は、主にテーマの設定が適切かどうかの評価になります。テーマ設定については、ある程度厚労省とも連携しながらやっております。評価の中で、もしどうしてもずれているようであれば、訂正するような形になります。

 それから、中間段階では、進捗状況やテーマの進捗を見ながら、本当にこのテーマで最後まで続けていいのかという辺りの評価をやります。それで、もしこの研究は意義がないということになれば、そこで中止をしたり、あるいは研究テーマを変えるといったようなことをするために、中間段階を設けております。

 

○労働政策研究・研修機構研究所長

 中間評価は、毎年リサーチ・アドバイザー部会という外部評価で説明をしており、進捗状況についても5年間を見た中で今ここに研究がありますという説明をしています。その中で、ここはもう少し頑張るべきではないかというような御示唆を頂きながら、参考にさせていただいているところです。

 

○酒井構成員

 簡単なことをお聞きします。プロジェクト研究と課題研究とは、何が違うのですか。その中で、プロジェクトにしても課題にしても、現在若しくは極近い将来の政策的なものを取り上げているのではないかと予想いたします。もう少し長期的にわたって、先を見通したような研究はあるのでしょうか。例えば、定点観測をもう少し積極的に取り入れるなど。

 もう1つお伺いしたいのは、研究の方法論なのです。私は、どちらかというと自然科学の分野におります。例えば、疫学的な手法である介入をして、前向きにすることによって、その政策、対策の効果を判定していくやり方が一般的な手段なのですが、そのようなものをこういった社会科学や経済学を含めた新しい方法論としてのチャレンジをされているのかを、是非そういうことも考えていただきたいなと思い、伺いました。

 

○労働政策研究・研修機構研究所長

 プロジェクト研究と課題研究・緊急調査のパターンを説明いたしました。プロジェクト研究というのは、基本的に5年間の中期計画を見て、その中で最終的に今年度が最終年度ですので、今は各プロジェクトとも取りまとめを急いでいるところです。そこを最終目標にして、中間的に各年度の成果や中間報告をするのが、プロジェクト研究です。

 課題研究は、毎年度厚生労働省に次年度調査・研究すべきテーマについて、全局に照会しております。その中で、こういうことをやってほしいという課題を各局から頂き、できる範囲で対応させていただいております。

 緊急のほうは、さらに四半期ごとに行政に調査・研究のテーマを尋ねており、特に法改正などを急がれるテーマについては、年度の途中であっても、四半期ごとにテーマを頂き、できるだけ早くお返しするというのが、研究の区分けです。

 それから、定点観測的なものですが、私どもも例えば若者の調査など、5年間だけでは済むものではない、もっと前から比べていきたいような調査・研究もあり、それについては期を跨いで前回の調査と比較できるような形で調査をしております。

 それから、方法論ですが、社会科学では私どもが何か介入やアクションをするのはなかなか難しいです。例えば、法改正の効果のようなことを厚生労働省からも宿題を頂き、企業がどういう対応をしているかをフォローアップさせていただいたり、あるいは先生がおっしゃっていることよりはミクロになるかもしれませんが、例えば研修と研究の連携においては、私どもがプログラムを提案して、それを実践していただき、その後効果を検証していくような研究もしているところです。

 

○労働政策研究・研修機構理事

 若干補足いたします。中長期的な観点からの研究になりますと、そういう意味ではプロジェクト研究のかなりの部分が中長期的な視点の研究になっております。例えば、非正規問題などについては、第2期からここ10年ぐらい力を入れてやってきております。また、仕事と育児との両立や女性の活躍に関する問題なども、第2期、あるいは第1期ぐらいからずっと継続してやってきており、ある意味でそれを継続して調査・研究をやっていくことによって、私どももより有意義な政策貢献もできていくのではないかと思っております。

 

○今村主査

 大学でも、中期目標、中期計画をやっています。経済学部の中で議論になっているのは、例えば行動経済学のように、これまでの経済学の前提が成立しないようなことがどんどん起こっています。そういう意味で、社会科学といえども、是非たゆまぬ御努力をされて、最先端の領域を常につかまえておられるようにお願いいたします。

 それから、先ほど志藤構成員から御発言がありましたが、この委員会は今期から若干方針が変わってきつつあります。アウトカムと合わせて、目標設定のストレッチ度。この場合は、2期の目標に対して3期の目標がどの程度ストレッチ度があるか、テンションがきちんと効いているかに関しては、少なくとも今の説明を聞く限りは前期の48%に対して、今期は50%ですから、そんなに極端にテンションが緩いことはないと思いますので、それは大丈夫かと思います。

 もう1つは、数値目標は確かに高い達成なのですが、なおアウトカムも含めた定性的な部分は、是非これから蓄積をされて、接得力のある評価資料をお作りになられたらと思います。少なくとも今回に関しては、見込評価の御提案に対しては、特に異存はないということで、よろしいかと思います。

 それでは、1-3をお願いいたします。

 

○労働政策研究・研修機構総務部長

 それでは19ページ目、1-3、「国内労働事情、各種統計データの収集・整理」です。こちらに関して定量的指標については、国内労働関係情報の収集・提供、年100件以上というものです。こちらは各年度、対目標120%以上という実績になっております。それとともに、ホームページの統計情報のアクセス件数は、前期と比べてほぼ倍増しており、また、「ユースフル労働統計」や「データブック国際労働比較」の有益度というものが、98.5%と前期を上回って高い水準の評価を頂いております。

 具体的に20ページ目から、それぞれの実績ですが、労働現場の実態把握については、国内労働事情というのは、労働政策研究の基礎となる労働現場の実態把握という位置付けをもって、情報収集を行っているところです。労使関係者との間で長年にわたり構築されてきたネットワークを活用した取材や、右側にあるようにモニター制度や、定点観測調査等々、様々な手法を活用して、情報を収集してきているところです。

21ページ目で、統計データの関係ですが、各種データの継続的な収集・整理を行って、ホームページで公表しております。特に右側に具体的活用ですが、「ユースフル労働統計」については、均衡失業率と需要不足失業率、こちらは指標が発表された時点で推計試算をし直して、ホームページで公表しております。既に需要不足失業率はマイナス近辺に来ているということで、非常に注目を浴びております。「データブック国際労働比較」についても、例えば女性の年齢別就業率や、最近ジワジワと上がっているパートタイム労働者の賃金水準といったものが、フルタイム労働者と比べてどうなのかといったものを数値で示しており、非常に高い評価を頂いております。下にあるように、有益度は98.5%ですが、ホームページ数も増えているということです。

22ページ目で、図書資料等の収集・整理ですけれども、私どもは調査研究や研修を実施する上で、その効果的推進に資することを目的として、図書資料を収集しているところです。JILPTの図書館は労働分野の専門図書館として、ほぼ日本で最大規模のものであろうと考えております。これら収集した資料を閲覧、貸出し、複写といったような形で行政関係者、研究者、実務家等に提供して、利用していただいているところです。右側に第3期実績と書いてありますが、積極的な活用をいただいているところです。

 なお、左下にあるように、図書館業務については、民間企業が有するサービス向上、効率化促進等のノウハウを導入することを基本として、この4月から外部委託を実施しているところです。平成27年度以前については、そのための準備を精力的に行ったところです。

23ページ目で全体的なまとめですが、労働現場の実態把握の情報収集というものを精力的に行ったこと、また、統計データについては分かりやすく加工して、ホームページで提供したこと等々を踏まえて、これも自己評価はAとしております。以上です。

 

○今村主査

 ただいまの点について、御意見、御質問をお願いいたします。

 

○戸田構成員

 最初に1点確認ですが、この項目では定量的指標として、情報の収集・提供が年100件以上というものがありますが、こちらの目標の根拠と、前期目標、第2期の目標時点での最終の年度の実績について教えてください。

 

○労働政策研究・研修機構総務部長

 第2期の実績につきましては、平均で156件ということです。第3期平均が134件ですから、第2期のほうが、やや高いというところです。目標の設定については、特に第1期については、新聞、雑誌等への引用件数というものを目標としていたところですが、第2期の目標設定時の第1期終了時の勧告の方向性を踏まえて、提供件数を延べ500件以上確保するという設定にしたところで、これを今期については、各年ごとに5で割って、各年ごとの目標としたということです。

 ただ、はっきり申し上げて、過去の実績を明確に踏まえてというよりは、過去の目標を踏まえて設定したというところにとどまっているものです。

 

○今村主査

 この情報の内容というのは、機構独自に足で稼いだというか、自分たちのチャンネルで独自の情報を蓄積したという意味では100件ということですよね。

 

○労働政策研究・研修機構総務部長

 基本的には、調査員が独自に集めた情報が多くなっておりますが、ものによりましては春闘の結果や、各機関が公表したものを取りまとめて発表するというような場合もあります。

 

○今村主査

 加工は機構独自でやられるということですね。分かりました。よろしいですか、特に。

 では、図書館の外部委託について、ちょっとお伺いしたいのですが、これはいつも問題になっているのですが、ロケーションが非常に不便な所にあるということで、それに対してどのようにカバーしていくのかという話は出てくると思うのですが、外部委託して、JETROや大学図書館等と連携していく効果は、そういった機構の図書館の立地には、どれぐらいプラスに貢献してくれるのかということは大変興味があるのですが、いかがでしょうか。

 

○労働政策研究・研修機構総務部長

 外部委託自体は立地のカバーというところで、直接的な影響は特にないかなと思っております。私どもは、やはり立地の不便さをカバーするものとして、ちょうど22ページの右端のほうに書いておりますが、国立情報学研究所の複写相殺制度や、あるいは図書館間の相互貸借制度といったものを利用して、ほかの図書館からも私どもの書籍にアプローチできるという仕組みを導入しておりますので、これがある意味で立地の不便さをカバーする一番の対策かなと思っております。そういう意味では、直接、外部委託で、この辺も向上したというところまでは、ちょっと言えないかと思っております。

 

○今村主査

 その外部委託業者は、ノウハウを共通に持っているということですよね。

 

○労働政策研究・研修機構総務部長

 引き続き、これはやっておりますので。

 

○今村主査

 ありがとうございます。

 

○労働政策研究・研修機構総務部長

 外部委託をしたことで、まだ今回、目に見える効果はありませんが、私どもが委託している業者が、ほかに確か20数箇所の図書館の運営業務の受託をしておりますので、そこでJILPTの図書館というものをPRしていただくと。チラシを置いていただくなどの形で周知していただくことを、今年度、委託してから始めておりますので、その成果が表れることを期待しているところです。

 

○今村主査

 ありがとうございました。時間も大分、限られておりますので、特に御異議がなければ、このまま見込評価を受け取めさせていただき、次にいきたいと思います。シート1-4です。

 

○労働政策研究・研修機構総務部長

24ページ、「海外情報の収集・整理、海外とのネットワーク」です。国内と同様、海外労働関係情報の収集・提供100件以上というのが目標であり、これについても各年度120%以上の成果を達成しております。特に平成26年度以降は、量よりも質を上げると、量から質への転換ということで、内容の質の向上に努めてまいったところです。提供した多くの情報が幅広く活用されたところであり、海外労働情報の引用件数は、前期の約3倍の149件など、取材要請や問合せへの対応が114件ということです。

 なお、第2期平均9件となっておりますが、今年はカウントの仕方が変わっており、第2期は取材件数のみをカウントしたところです。そのため9件と、やや低い数字になっており、取材件数のみを今期平均すると、38件平均ということで、前期と同様の調べ方であっても4倍ということですので、広く活用されたものと考えております。

 ホームページ数についても、ほぼ倍増となっております。具体的に25ページ以下ですが、左上の数値目標は御説明したとおりです。左下、国別労働情報の収集・整理については、以前から欧米諸国というのは重要なポイントですので、欧米諸国の労働情報の収集は力を入れておりますが、さらに高い経済成長下にあるアジア諸国を対象として、収集・整理に今期は努めたつもりです。収集・整理に当たっては、研究部門における「東アジア労働社会プロジェクト」というものと一体となって、情報収集・整理を行ってきているところです。

 右側で引用件数問合せや取材への対応件数というものを書いておりますが、非常に高い水準になっております。量から質への転換と申し上げましたが、具体的な内容については、ここに(1)(3)まで掲げているところです。

26ページ目で、海外ネットワークの構築です。まず、研究者の招へいについては、プロジェクト研究との関連が強い研究分野を研究されている研究者を中心に、4年間で7人の海外研究者を受け入れております。また、国際会議や国際学会に研究員を、4年間で延べ18人派遣しました。

 右側で海外とのネットワークの構築の、もう1点ですが、日中韓や日韓、また「国際比較労働法セミナー」「国際比較労働問題セミナー」といったものを実施して、海外研究者、機関とネットワークの構築に努めたところです。さらに右下で、日本の労働政策課題等についての情報を求める外国人研究者等の来訪は、4年間で87件、333人に上ったところです。また、左下で英文情報の提供ということで、幾つかの冊子を英文にして、これをホームページ等を通じて公表しているところです。

 最後、27ページのまとめですが、こうした海外労働情報について、ネットワークを活用して、国際比較の観点を踏まえて、最新の情報を収集・整理をしたところです。各(1)~(6)のような成果を上げたところです。以上を踏まえて、こちらの自己評価はAとさせていただきました。以上です。

 

○今村主査

 御意見、御質問ありましたら、どうぞ。1つだけ簡単にコメントなのですが、私どもは来年4月から、100人のうち30人が外国人留学生という学科をスタートするのですが、そこで驚いたのは、つまり、これは割とレベルの高い外国とのネットワークなのですが、アジアの新興国から日本の経済成長の成功の秘訣など、労使関係、労働問題をどうやって克服したかみたいな知識のニーズが非常に高いと思うのです。

 ですから、もしかしたら潜在的に非常にあると思いますので、是非幅広く、アジア、アフリカ、中南米といった諸国に情報提供できるようなものを機構は持っていらっしゃると思うので、是非、御検討いただければ、定性的な評価の材料になってくると思いますので、よろしくお願いいたします。

 

○酒井構成員

1つだけ、26ページに国際会議や国際学会への派遣数があるのですが、これはJILPTのこれまで伺った活動からして、また、国外から来ている、4年間で87件、333人という数字に比べて、ものすごく少ないような感じがするのですが、これは何か特別な要件があるのでしょうか。例えば、時間がないとか、お金がないとか、そのほか何か特別なことがあるのでしょうか。もっと積極的にPRしていただきたいと思いますが。

 

○労働政策研究・研修機構理事

 実は26ページの左端の上の数字なのですが、私どもの派遣というのが、確かに4年間で18人ということで、少なく出ているのですが、これは国際学会・会議の派遣に限っており、その派遣についてはこのぐらいの人数なのですが、これ以外で、研究機関との会議に出席したり、東アジア諸国の労働関係情報の収集といった国際研究交流活動や国際比較研究に伴う海外現地調査は、これ以外にも数多くやっております。そういう意味では、この数字がやや限定した数字になっております。

 

○酒井構成員

 そうですか。

 

○戸田構成員

 今の点に関連してですが、やはりここは重要なポイントだと思っていて、長期の派遣というのはもちろん重要ですが、それ以外に例えば国際会議や学会で、どれだけ発表件数があったかとか、実際に参加されているだけなのかみたいなところも、やはり重要な指標だと思いますので、そういうところも積極的に開示していただいて、機構が研究でも海外でもプレゼンスがあるということを示していただければと思います。

 

○今村主査

 どうぞよろしくお願いいたします。よろしいでしょうか。では、次は1-5です。労働政策研究の成果の普及です。

 

○労働政策研究・研修機構総務部長

28ページからです。こちらの数値目標については、メールマガジンの有益度、読者数、また、ニュースレターの有益度といったもので、これも各年度において全て目標を上回っております。また、ホームページについては、平成26年度に全面リニューアルをして、その結果もあって、アクセス件数は前期に比べて、ほぼ倍増するという状況になっております。

 具体的な報告については29ページ以下ですが、右側に書いているように、メールマガジンとニュースレターのアンケートは非常に高い水準です。さらに、ニュースレター(ビジネス・レーバー・トレンド)についても、縦組みを横組みに変えたり、平成27年度下期から誌面を全面リニューアルして、読みやすい形に変えているところです。

 さらに、私どもの研究成果等の記者発表については、厚生労働省の記者クラブをお借りして、積極的に情報発信を行ったところです。この結果、マスメディアの記事の引用件数は963件ということで、前期をやや上回る結果となっております。

30ページ目で、ホームページの改善のことを書いておりますが、ホームページを改善した結果、平成27年度にはアクセス件数が約15%アップしております。そのほか、左下で研究専門雑誌ということで、レフリー制の「日本労働研究雑誌」というものを、私ども従来から発行しておりますが、これを月1回、確実に発行しているところです。有識者アンケートにおいても95.7%から有益であるとの回答を得ております。

 さらに、労働教育講座、これは自前事業ですが、東京都等との共催で実施しており、東京労働大学講座は総合講座と、専門性の高い専門講座と2つあり、両者ともに有益度は93.4%と高い評価を受けております。さらに平成27年度新設ということで、特別講座は非常に人気の高い講座を労働法、人事管理・労働経済、それぞれについて試行的に実施し、高い評価を頂いております。

 こうしたことのまとめとして、31ページ目に書いているように、メールマガジン、ニュースレターともに高い評価を頂いていること等々を踏まえ、自己評価はBとしております。

 

○今村主査

 いかがでしょうか。御意見、御質問等ありましたらお願いします。

 技術的なことですが、10ページには有益の中でも「大変有益」というものと分けて書いてあるのですが、ここでは「有益」1つだけなのですが、機構のガバナンスに反映していくなどを考えていくと、「大変有益」と「有益である」という比率みたいなものは非常に重要だと思うのです。

 これはこういうデータを取っていらっしゃるのか。あるいは今後、活用する形で、つまりアウトカムの中でも、比較的どこでも入手できるけれども、非常に重要な指標ではありますので、そういう質的な向上ということについてはいかがでしょうか。

 

○労働政策研究・研修機構理事

 非常に大事な観点だと思っておりますので、こちらの指標についても、もちろん内部では「大変有益」はどの程度か把握しております。今後ともやはり質的に、単なる有益というのではなくて、質的な部分もよく考えていきたいと思います。

 

○今村主査

 非常に活用されていただけたと思います。よろしいですか。では、これはBということで承りました。次は1-6ですね。

 

○労働政策研究・研修機構総務部長

32ページ目からです。1-6、「政策論議の場の提供及び政策提言」になります。こちらについては労働政策フォーラムに関するものが指標とされており、定量的指標は目標を上回って達成しております。また、政府与党、国会議員からの問合せへの対応件数も前期と比べて増加しており、累計246件ということで、ニーズに的確に対応する知見を提供できていると考えております。

33ページ目から具体的な内容ですけれども、労働政策フォーラムは、おおむね年度計画どおり年6回開催しており、平均265人の参加を見たところです。有益であったという評価は92.7%ということで、120%にほぼ近い評価を頂いております。また、フォーラムの開催に当たっては、喫緊の政策課題など時宜に応じたテーマ設定を行うことに注力するとともに、東京以外での地域における開催も心掛けました。また、以前の独法評価委員会からの御指摘を踏まえて、他学会等との共催フォーラムというものも開催してきており、様々な工夫を凝らしてきたところです。

34ページ目で、国民各層の関心・理解を求める取組、政策論議への貢献ということで、政府、与野党、学会・研究者、労使、学校等、幅広い層を対象に取組を実施しております。政府・与党については一億総活躍大臣へのレクをはじめとして、246件の情報提供、さらに労使、研究者、国民各層への働き掛けとして、労使団体主催講演会への講師派遣に加えて、最新の政策課題を分かりやすく整理、提示する「リサーチアイ」というものを平成26年度からホームページ上に掲載を始めたところです。

 それに加えて、広く社会に向けて政策課題に関する知見を表明し、政策論議の活性化に資するために、「日本労働研究雑誌」に「労働政策の展望」を平成2610月号から、毎号掲載しているところです。加えて、「政策論点レポート」ということで、前年度の調査研究成果から、重要な政策的インプリケーションを抽出して、コンパクトにまとめる形で、広く分かりやすい情報を発信しております。ニで書いているように、厚生労働省幹部との意見交換について積極的に実施したところです。

35ページ目が全体のまとめです。重ねて申し上げませんが、こうした幅広い政策論議の場の提供を行ったということで、私どもとしてA評価としているところです。以上です。

 

○今村主査

 御意見、御質問等お願いいたします。

 

○戸田構成員

 この項目の定量的な指標については、達成率が120%に達していないという中で、あえてAという評価をされておりますので、やはりそういう意味では、定量的なものだけではなく、定性的なものを鑑みて、このように評価を付けられていると理解しております。今回お話を拝見していて、やはり1つ重要なのは、政府、与党、国会議員からの問合せの対応を迅速にやられているというところが、重要なポイントなのかと考えております。

 件数自体はそれほど大きく、平均を取ってしまうと、第2期平均とそれほど遜色ない数字になっておりますが、やはり平成25年度から大きく増えているという中で、迅速に御対応されているのかなと認識しております。そのほかに定性的な点で、やはりAだと言える根拠とお考えである点について、教えていただければと思います。

 

○労働政策研究・研修機構理事

34ページの左の大きな四角の所を御覧いただくと、私どもが今期新たに取り組んだものとして、「リサーチアイ」というものと、それから労働研究雑誌に「労働政策の展望」を毎号掲げるといったような取組をやっております。この「リサーチアイ」については、各研究員なり職員が、適宜、政策提起というか、論点提起をしていくというコラムを精力的に書いていくといったような取組です。

 また、労働研究雑誌の「労働政策の展望」は、毎月研究雑誌が出されますが、そこに必ずこの政策の展望というものを載せると。しかも有識者の方々に執筆をお願いして、それぞれ重要な政策提言なりをしていく取組を、新たに行ったところを評価させていただいております。

 

○今村主査

 従来から議論しているのですが、パーセンテージに関しては、確かに120%は難しいとしても、今、おっしゃったように、なお、定性的な、しっかりとした根拠がないと、Aという評価は難しい。既にこれまでずっとやっておりますが、それにしても今の御説明だと、従来の労働研究雑誌というカバレッジの上に、新しいものを載せたという意味では、それを更に積極的に覆すような、定性的な努力と受け止めにくいところが若干あるかと思うのです。

 その辺はもう少し、だからこそ、先ほど事前にお伺いしたのですが、例えば80%という目標を高いレベルで達成している。けれども、その中で非常に有益というものがトレンド的に上がっているということであれば、これは素晴らしいという話になるかと思います。若干そういうことで、これは材料不足ではないかという印象がするのですが、いかがでしょうか。

 

○労働政策研究・研修機構理事

 フォーラムの有益度を見ると、一応、116%ということで、ある意味ではかなり高い水準ではないかなと考えておりますが、確かにその中での、特に有益だというパーセンテージが前期と比較してどの程度増えたか、この辺りまでは今の段階で出しておりません。

 

○今村主査

 是非、そういう定性的なものを、もう少ししっかり加えていただければと思います。

 

○戸田構成員

 追加なのですが、「リサーチアイ」や「労働政策の展望」という、新たな取組をされているのは分かるのですが、それは実際にそういうことをやられたことによって、例えば読者からどのような、いい反響があったのかといったことも併せて御説明いただくと、より定性的にも説得力のある評価付けができるのかなと思っております。その点も併せてお願いできればと思います。

 

○今村主査

 そうですね、よろしくお願いいたします。では、次にいきたいと思います。1-7ですね。

 

○労働政策研究・研修機構総務部長

1-736ページからです。研修については、研修生及び所属長の有益度が指標とされています。また、年度計画においてイブニングセッションの開催件数も数値目標としています。いずれの指標でも目標は達成しています。

 ただ、研修生、所属長の有意義度については、数値目標は85%以上ですので、120%を達成するのは物理的に不可能というものでして、限りなく限界水準を達成できたものと考えております。

 さらに限りある予算、人員の中で研修コース、また研修生の大幅な増加に対応しています。後ほど申し上げますが、カリキュラムの見直し等、研修内容の充実に努めています。

37ページから具体的に記載がありますが、新たな行政ニーズに対応してコース・科目を設定するというのが(1)の所で、印刷業者の胆管がんの問題への対応といったようなもの。さらに、実務に即した演習等の実施ということで、こちらにはありませんが、実際の現場における職業相談に活用できるような実践的な研修プログラムの開発、活用といったようなことを行っています。こうした研修内容の充実を図ったところです。

 これを受けて、研修生評価は、第3期は97.5%、所属長、自己評価は96.7%と、物理的に達成できるぎりぎりの極めて高い水準の評価を得たものと考えております。

 受講者数については、第2期平均と比べて、平成27年度は125.5%増ということで、ほぼぎりぎりのところの研修生を受け入れて、研修を実施しています。

38ページ、研修と研究の連携です。イブニングセッションというのは、研修に加えて、夕方の時間に、研究員が研究成果を活用した説明、また、研修生との討議といったものを行っているものです。4年間で121回、達成度は202%です。

 また、キャリアガイダンスツール講習会というのは、職業紹介の現場で実際に活用するツールの活用方法についての指導、研修です。こちらも4年間で24回、年度平均6回ということで、前期を上回る開催件数となっています。

 こうした政策研究機能と研修機能の連携を通じて、研修効果と研究の質の引き上げといった両面を共に高めていくという仕組みが構築できているものと考えております。

 以上の状況を39ページで、全体を踏まえて書いています。こうした定性的な努力というものも踏まえて、自己評価はAとさせていただいております。以上です。

 

○今村主査

 御意見、御質問等はありますでしょうか。よろしいですか。

 

○酒井構成員

 大変すばらしい成果だというように見せていただきました。ただ、有意義度、研修生にしても、所属長にしても、大変高い数字で、これはこれで結構なことですが、一般的に研修というのは時間を使って、一生懸命、受ける方もやる方もやっているわけですから、ある意味でいけば、終わったときに、やった、という感触で非常に高くなるのは一般的で、これが3年たち、5年たち、本当に研修した目的に則して、職員の方たちが成長しているかというフォローアップをしていくことが実は、一番大事なのではないかと思っています。その辺を将来、研修の評価としての考え方として取り入れていただけるといいと思いました。意見です。

 

○今村主査

 確かにパーセンテージは非常に高いものを達成しているのですが、そのフォローアップの効果測定のようなものが必要だという御意見ですね。

 

○労働政策研究・研修機構労働大学校長

 所属長の評価については6か月後の評価を見ていまして、6か月経過して実際に役に立っているかということを評価していまして、その面でフォローはしていますが、ただ、御指摘のようなことも、今後、検討していきたいと思います。

 

○戸田構成員

 こちらも定量的な数字では、一部、論理的に120%を超えられないというところもあるかと思いますが、中身を拝見していて、やはり研修実績の参加者数が第3期計画中では増えているというところで、その中で、こうした成果を達成されているということは、もっと強調してもいいのではないかと思っております。

 ただ、1点、御質問は、この研修実績が増えている背景としてどういうことがあるのかということについて、もし把握されていることがあれば教えていただければと思います。

 

○労働政策研究・研修機構労働大学校長

 研修生が増えている背景ですが、1つは、採用数が増えています。この期は採用数が増えているということはあります。

それよりも大きな要素として、例えば、ハローワークの職員の能力開発の面でキャリアコンサルティングの考え方を取り入れたということがあります。その面の研修をかなり拡充しています。

 また、労働基準監督官についても、業務内容が今までは監督業務に限られていたものが、厚生労働省の人事制度が変わりまして、監督業務に加えて、労災業務とか、安全衛生業務をするように転換しまして、そういう意味での養成も必要になっています。そういったことで、現在は、ほとんど限界値に近いような研修実績に到達しているということです。

 

○今村主査

 よろしいでしょうか。ということで承りました。次は、1-8をお願いします。

 

○労働政策研究・研修機構総務部長

40ページ、1-8の業務評価システム等です。こちらについては、中期目標、定量的指標は、事業活動全般で有益であるという評価です。これについても、目標を大きく上回る120%以上を達成しました。さらに、厳正な外部評価に基づく業績評価システムの適切な運用によってPDCAを的確に回し、業務運営の改善等を実施してきたところです。

41ページ、具体的には、有識者アンケートの評価は96.1%、大変有益であるというのが若干増えているというのを掲げさせていただいております。

 右上に、業績評価システムによる評価ということで、PDCAサイクルを確保するために、適正で質の高い業務運営の確保を図るという観点から、様々な取組を第3期から実施してきております。先ほど来申し上げている政策論議の場の拡充、政策論点レポートの発行、また、アジア諸国の情報収集強化、労働政策フォーラムの地方開催等々といったことを新たに試みているところです。

 そのほか、(3)は、業務運営改善ということで(1)として、内部組織の合理化として、3課の縮減をこの4月から実施するといったことを平成27年度中に決定しましたし、また、図書館業務についても、同様に平成284月の外部委託の実施に向けた検討。さらに個別に職員アンケートを実施することによって、業務の細かなことですが、業務の簡素化に向けた検討を行いました。

42ページは、以上のまとめです。目標を大きく上回って適切な業務改善等の見直しを行ったということから、自己評価はAとさせていただいております。

 

○今村主査

 御意見、御質問等をお願いいたします。これ、過去はBABA、と割と、B、半々ぐらいなのですが、それを見込評価Aとしたのは、なぜかということと、それから、必ず出ると思いますが、3分の2以上が有益ということは、3分の1が有益でないという、それでいいかとかという、そういう指標の立て方についての質問もありますが、いかがでしょうか。それで、あえてそこで。

 

○志藤構成員

 私が見えてないのかもしれませんが、評価項目一覧によると、平成27年度の所は自己評価がBで、中期目標期間の見込評価もBになっていますが、御説明いただいたパワーポイントの資料でAになっているのは、どちらが正しいのかちょっとよく分かりません。それも併せてお願いいたします。

 

○今村主査

 そうですね。違ってますね、これ。

 

○総合政策・政策評価審議官

 今の資料は、参考資料7、こちらの資料ですね。

 

○志藤構成員

 はい。

 

○今村主査

 違うのは、平成27年度の自己評価が報告書の中ではAになっていますが、こちらの参考資料7ではBになっています。それから見込評価もBになっています。

 

○労働政策研究・研修機構理事

 一応、私どもとしては、1-8の平成27年度の自己評価はAとさせていただいております。参考資料のほうが違っているのかと思っております。

 

○志藤構成員

 そうすると、今の今村先生の御質問で、BできているのがなぜAになったのでしょうということとつながると思います。

 

○労働政策研究・研修機構理事

1つは、今回、平成27年度をAということにしたのは、やはり数値目標的に非常に達成率が高いということが1つあります。あとは、この間、ここのシートの中で、もう1つポイントとして、業務運営の改善ということがあります。これは41ページの左下の所に書いてありますが、業務評価システムを回していく中で、業務運営の改善をしていくということで、具体的にどのような業務運営の改善をしたかということですが、1つは、組織体制の見直しをしたということで、3課の縮減を平成284月から実施することを決定したことや、あとは、先ほど御説明しました図書館の外注化なども行ったということで、こうした業務運営の改善といったようなことを踏まえて今年度はAと考えたところです。

 

○今村主査

3分の1が有益でないということもあり得るということに対して、いかがでしょうか。

 

○労働政策研究・研修機構理事

 この辺りは第3期の目標として、これまでの第2期の目標等を踏まえて、有益度を3分の2と設定したところですが、確かに今期の達成率を見ると、非常に高い水準になっていますので、また、次期に向けて検討してまいりたいと考えております。

 

○今村主査

 若干説得力に乏しいという要素はあるかと思いますが、この委員の印象としては。時間がありませんので、これで一旦、1-8までを打ち切らせていただきまして、次にいきます。時間が遅れて申し訳ありません。業務運営の効率化に関する事項、財務内容の改善に関する事項について、法人からポイントを絞って簡潔に御説明いただき、その後、質疑応答ということにさせていただきます。よろしくお願いします。

 

○労働政策研究・研修機構総務部長

 シート2-143ページからです。こちらの項目については、アウトソーシングの活用等による職員数の削減とか、一般管理費、業務費、人件費等の経費の節減、契約の適正化等々に取り組んで、効率的かつ効果的な業務運営体制の整備を図ったというところで、目標を達成しているものです。

44ページ、先ほど理事から御説明を申し上げましたとおり、各法人発足時の数字をまとめております。職員数で33名の減、理事数として1名の減、更に財政支出については10億円減、組織の見直しについても、ここに掲げているような取組みを行ったところです。

45ページに、具体的な項目がありますが、内部統制の強化については、内部統制推進室の設置にはじまり、基本方針の策定、経営会議、コンプライアンス委員会、リスク管理委員会等々の取組を行って強化に努めてきています。更に効率的な業務運営体制ということで、先ほど来申し上げた図書館業務の外部委託、内部組織の効率化ということを行っております。

 契約の適正化については、調達等合理化計画に基づき着実に実施しております。ガバナンスの徹底ということで、契約監視委員会等による点検を的確に実施をしております。

46ページ、経費の節減です。一般管理費は15%減、業務経費は5.4%減、人件費の各年度1%減、目標を達成しています。その他、施設整備については、計画的な改修、更新を行いました。

 自己収入については、目標は平成22年度比10%程度の拡大ですが、平成27年度1.7%増ということで、少し達成がまだ厳しいところですけれども、昨年度、自己収入の増加計画、増大計画を策定し、それに基づいて達成に向けて努力をしています。

 最後に、情報セキュリティ対策です。他独法のインシデントを踏まえ、JILPTとして新たな取組を行いまして、役職員の情報セキュリティに対する意識の向上、未然防止の徹底に努めています。

47ページは全体のまとめです。割愛させていただきますが、以上、申し上げたところから、B評価とさせていただいております。以上です。

 

○今村主査

 目標を淡々と達成しておられるということですが、御意見、御質問はいかがでしょうか。よろしいですか。それでは、次に移ります。最後の3-1です。

 

○労働政策研究・研修機構総務部長

3-1、財務内容の改善に関して、4849ページです。運営費交付金の事業については、中期計画に基づく予算の範囲内で執行しております。また、不要資産については、平成26年度末で廃止した職員宿舎の敷金について、国庫納付を行っています。

49ページ、中期計画に基づく予算執行については、各年度、平成24年度から平成27年度までの4年間で、予算額に比して、決算額は18,600万余の節約となりました。このように適切に予算執行ができているということで、自己評価はBとさせていただいております。以上です。

 

○今村主査

 御意見、御質問等はよろしいでしょうか。それでは、続いて法人の監事及び理事長から、中期目標期間内における中期目標の達成状況等を踏まえて、今後の法人の業務運営等についてコメントを頂ければと存じます。まずは法人の監事から、続いて、法人の理事長、その後、質疑応答ということで、よろしくお願いいたします。

 

○労働政策研究・研修機構監事

 監事の東ケ崎でございます。当機構の中期目標期間における中期目標の達成状況を踏まえ、今後の当法人の業務運営等について所見を申し上げます。

 私は、平成2510月から当機構の監事に就任いたしております。この間、監事の目的である業務の適正かつ健全な運営を確保するとともに、会計経理の適正を期するために、第三者の自主的立場において監査を行ってまいりました。

 第3期中期目標期間は、既に平成24年から開始していますので、前任監事からの引き継ぎに当たっての意見聴取、過去の関係書類の検閲、役職員へのヒアリングを通じて把握していることから、客観的に判断すると、平成24年度から平成27年度までの業務実績については成果の質の向上に努めつつ、毎年度とも中期目標策定当初に掲げた目標を地道に達成させており、高く評価できるものと考えております。

 今後の事業運営に関しては、独立行政法人として、国民の生活に資する質の高い研究並びに研修が求められていることは言うまでもなく、また、他方で、全体コストを抑えた運営を期待されています。

 そうした中、前回の年度評価の場においても、所見にて申し上げましたが、職員の士気と専門性を向上しつつ、健康管理にも十分留意した業務運営が必要であると考えております。

 前回の年度評価の場において、御指摘のありました目標の設定については、易きに流れることのないよう、また、過度に高いものとならないようバランスの取れたハードルを設定し、PDCAサイクルが回るようなマネジメントが重要と考えております。監事からのコメントは以上でございます。

 

○今村主査

 ありがとうございました。それでは続いて、法人の理事長より、お願いいたします。

 

○労働政策研究・研修機構理事長

 理事長の菅野です。本日は委員の皆様方から多くの貴重な御意見、御指摘を頂きましてありがとうございます。また、東ケ崎監事からは、ただいま次期に向けてはPDCAサイクルがうまく回るような目標設定が大事だという御意見を頂きました。

 今期の私どもの調査・研究としては、若者の雇用、高齢者雇用、キャリア形成支援、派遣労働等の非正規の格差問題、育児・介護と就業の両立などのテーマに取り組みまして、その研究成果は、厚生労働省をはじめとする政府の関係審議会等で、多数活用いただいておりまして、相応の貢献を果たすことができたのではないかと自負しております。

 次期については、調査・研究活動等、研修事業を、一層発展させるとともに、更なる業務の質の向上と成果の普及を図るべく、引き続き役職員が目標に向かって一丸となることができるように、より客観的かつ適切な目標を掲げてまいりたいと考えております。

 また、働き方改革、「ニッポン一億総活躍プラン」などの喫緊の政策課題に対応する課題研究や、緊急調査に取り組むとともに、引き続き労働政策の企画立案の基礎となる研究を体系的、継続的に推進してまいりたいと考えております。

 さらに近年、重要性が高まっている国際比較の観点からの研究に、迅速、的確に対応できるように、国際ネットワークの強化にも取り組んでまいりたいと考えております。

 最後に繰り返しになりますが、業務を効率的、効果的に推進するために組織のガバナンス強化、PDCAによる目標管理、内部統制の整備、情報セキュリティの確保等についても、引き続いて遺漏がないように整備してまいる所存であります。簡単ではありますが、私のコメントとさせていただきます。

 

○今村主査

 ありがとうございました。ただいまの御発言内容について、御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。今日はこれで終わりではありません。

 続いて、労働政策研究・研修機構の業務・組織全般の見直しについて議論していきたいと思います。初めに、見直し内容について、法人所管課からポイントを絞って簡潔に御説明いただきまして、その後、質疑応答という流れで進めていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○労働政策担当参事官

 労働政策担当参事官の小林でございます。よろしくお願いいたします。それでは、資料1-3を御覧ください。まず、最初の文の所で、趣旨について書いてあります。人口減少社会の進展、多様な働き方の拡大、AI等の技術革新に伴ういろいろな変化ということで、労働市場を取り巻く環境が大きく変化している中で、安倍政権下における大きな課題として、同一労働同一賃金、それから、長時間労働是正などの働き方改革などもあります。

 これらの新たな重要課題にチャレンジしていく必要があると考えております。厚生労働省がこれらの課題に的確に対応した施策を適切に企画立案、推進していくためには、その前提となる質の高い労働政策研究、それから、労働行政職員の研修が確実に実施されること。この2つが不可欠だと考えております。

 このことも踏まえて、独立行政法人労働政策研究・研修機構の主要な事務・事業については、労働政策の企画立案と、その効果的かつ効率的な推進に寄与するというようなことを目的として見直しを図ってまいりたいということです。

 まず、第1の1ですが、事務及び事業の見直しの所です。労働政策に関する研究ですが、まず1番の所は、労働政策の企画立案に貢献する研究の重点化ということです。引き続き真に労働政策の企画立案に貢献するものに重点化して行うという視点で進めていきたいと思っています。

 また、中長期的な課題も含め労働政策の動向に適切に対応するとともに、今後は、現在では想定していない、様々な政策課題が生じた際にも適切に対応できるよう、引き続き基礎となる研究を体系的、継続的に推進する必要があるということです。

 先ほど委員の皆様方からもプロジェクト研究については、いろいろ御意見も頂戴いたしましたけれども、プロジェクト研究というのは、基本的には中長期のテーマでやっていくものだと考えております。

 今回の措置の内容のところでは、プロジェクト研究の視点として、以下の4つを設定したいと考えております。

1つは、理事長の話の中でも出てまいりましたが、一億総活躍社会を実現する視点ということです。この一億総活躍社会の中で働き方改革というものも入ってくると考えています。

2つ目は、20年先の働き方を見据え、新しい労働政策を構築するという視点です。これは厚生労働省でも先般、82日に「働き方の未来2035」という懇談会で報告書を出させていただきました。これも2035年で、今後、20年間のいろいろな環境変化に伴って、労働政策をどういう視点でやっていかなければいけないかということを書かれています。20年後の働き方、環境変化を踏まえた働き方を見据えた、新しい労働政策を構築する視点も入れてまいりたいと考えております。

3つ目ですが、これは基礎研究です。基礎となる研究を体系的、継続的に推進していく視点を取り入れてまいりたいということ。それから、4つ目は、これは新しい視点だというように考えていますが、施策の効果の検証です。先ほど一部フォローアップもやっているという話もJILPTからもありましたが、視点として4本目の柱として取り入れたいと思っております。実施された施策の効果を検証し、より効果的かつ効率的な労働政策のための知識を得る視点ということです。

 併せて課題研究、緊急調査ですが、これも引き続き、政策的重要度は高く、なおかつ政策の企画立案に活用される可能性が高いもの、これを厳選して実施するということを盛り込んでいます。

2番です。これはプロジェクト研究に関してです。プロジェクト研究の所の政策担当者との意見交換という御意見も頂いたかと思いますので、3番の所でPDCAの回し方、厚生労働省との連携の話を書いていますが、プロジェクト研究は中長期テーマですので、進捗管理が非常に大事だと考えております。あらかじめ具体的な目標を設定して、それに向かって、いつまでにどのような成果を得るかについての具体的なロードマップを作成するということと、研究テーマごとにプロジェクトリーダーを選任して進捗管理を実施するということです。具体的にロードマップの進捗状況とか、政策への貢献度を組織的、定期的に転換して、必要に応じて研究テーマや手法の見直しを行っていくということを盛り込みたいと思っています。

3番目、厚生労働省との連携です。1つ重要なことは、課題研究、緊急調査、正に厚生労働省の問題意識を反映したものとなっています。私ども政策担当者というとどうしても最近、足下の問題意識に対応するものになりがちです。なかなか中長期の視点というのは持ちにくいところもあります。逆にプロジェクト研究で政策的なインプリケーションを得たいというような問題意識を持っています。プロジェクト研究の成果が厚生労働省の政策担当部門に対して、政策的なインプリケーションを与えてくれるような、そういうような研究が必要だと考えております。

 それに対する厚生労働省の政策担当部門からフィードバックしていくという、そういうものを回していきたいと思っています。それで、中長期的な視点からの政策的インプリケーションをもらい、政策担当者からフィードバックして、次の研究の質が更に高まると、そういう好循環、これを生み出すことが重要であると考えております。そういう仕組みにしたいと思っております。毎年度実施している研究報告会等の枠組み、それから、プロジェクトリーダーと政策担当部門との意見交換。ロードマップの検証。また、政策への貢献度等の検証もやっていますが、今までやっているものも含めてそれらを通じて、より適切なPDCAの取組を推進していくということを盛り込んでいきたいと思っております。

 それから、4番目が研究の実施体制です。委員から外部研究員の活用のようなお話も出たかと思いますが、今後、強化、充実すべき分野、例えば、人事労務管理、労使コミュニケーション、それから、労働移動の話などのより強化又は充実すべき分野等について、内部研究員の育成はもちろんですが、必要に応じて外部研究員を活用することにより、研究の実施体制の強化を図ってまいりたいと考えております。

5番目、これも委員からいろいろ御指摘を頂いて検討したいと思いますが、労働政策の研究に関する適切な目標の設定をしたいと思います。これは研究機関にふさわしい、客観的で、適切な目標を設定して、引き続きその達成度を厳格に評価をするということです。

 大きな2ですが、これは情報の収集・整理です。国内と海外情報の両方があると思っています。1番、労働政策の企画立案に貢献する調査・情報収集及び情報発信の推進ということですが、国内外における労働事情と統計データの調査・情報収集については引き続き実施するということです。それとともに、研究部門と調査部門の連携を密にすること。労働政策研究の推進に資するような調査・情報収集を進めているということです。

 特に海外の調査・情報収集については、労働事情、統計データ等の国際比較の重要性が増していることから、国際比較が可能なデータを中心に調査・情報収集を実施するということを盛り込んでいます。

 例えば、先ほどお話の中にも出てきたかと思いますが、同一労働同一賃金なども私ども政策担当のほうで判例の研究や、同一労働同一賃金の法制度を整理をしていますけれども、法制度や判例だけではなかなか分かりませんので、例えば、労働条件決定システムなどの研究もJILPTでしましたが、そういう決定システムなどを含めた労働慣行のようなものを、そういうものとセットで見ていかないと正確な比較はできないと考えております。単なる数字や法制度だけではない、労働事情も含めた国際比較の重要度が非常に増していると思っています。これは別に、同一労働同一賃金に限らず、政策立案をするときは必ず海外の制度を参考にしています。そういうことはより大事になっていると思っています。国際比較は可能なデータを中心に、そういう調査・情報収集をJILPTで実施していくということです。

 もう1つは、アジア諸国、アフリカもというお話がありましたが、アジア諸国関係の調査・情報収集もあるかと思います。これは特に、国内企業がアジア諸国への進出等をしていますので、そういうことも見据えて、海外の経営、人事管理、労使関係の調査・情報収集を強化するということを盛り込んでおります。

2番は、活用しやすい情報の整理、機動的かつ効率的な情報の作成・提供です。これは引き続き労使関係者をはじめ、誰もが活用しやすいような形で整理していくとともに、情報を機動的かつ効果的に作成して、提供していくような取組を実施することを盛り込んでいます。

3番ですが、これは情報の収集・整理の所においても、適切な目標の設定をしていき、客観的かつ適切な目標を設定し、達成度を厳格に評価するということです。

 大きな3は、研究者の海外からの招へい、海外派遣等です。海外の質の高い情報を的確に入手するために、一定期間にわたる個別の研究者、有識者の招へい、それから、派遣。それについて引き続き実施して、そのことで海外の研究者や研究機関等とのネットワークを形成していくことを盛り込んでいます。

 それから、各国共通の労働分野の課題に関するものを中心に研究成果の普及や、お互いの労働政策研究の質の向上が図られるように、海外の研究者等を短期間で招へいして、国際セミナーを開催するということです。

 これらの取組を通じて、アジアにおける労働政策研究の拠点としての地位をJILPTは確立することを目指したいと考えております。

 大きな4は、これは研究成果等の普及促進等です。JILPT事業及び調査・研究について、労使関係者に対しての普及促進は当然ですが、プラス一般の国民の方に認知度を高めてもらう。理解度を高めてもらう。労働政策や労働に関する事情についての認知度と理解度を高めてもらうということを目指していきたいと思っております。国民の労働政策に関する政策議論を活性化させるということを目的として、少しビジュアル化等を含めてどうやって発信していくか、見せていくか、広報機能を強化していきたいと思っております。

 また、利用者の有意義度というお話がありましたが、利用者の方の有益度調査の結果等、これも分析して、発信における質の向上に資する取組もやってまいりたいと考えております。

2番は、研究成果の普及促進のところでも、適切な目標の設定等を行っていくということです。

 大きな5ですが、労働政策担当職員の研修です。これはまず1番は、研修ニーズへの対応と研修の重点化ということで、引き続き新たな行政ニーズに迅速、的確に対応した研修コース・科目の設定や運営、これを図っていくということです。

 また、研修内容ですが、座学というよりは、事例研究や演習や経験交流、現場力の強化、ここに重点を置くと。真に必要な研修を重点化して、実施することを盛り込んでいます。

2番目は、研究と研修の連携によるシナジー効果の発揮ということです。このシナジーのところですが、研究員の講義への積極的な参画や、イブニングセッションの実施等、これに引き続き取り組んでいくことと、あとは、特に職業安定系のハローワークの職員で、職業相談技法や、就職支援ツール、これが職業能力の向上に役立ちますけれども、これはJILPTの研究のほうで研究開発をしています。その内容の充実を図って、それを研修に生かしていくという形でシナジー効果を発揮して、引き続き円滑な労働行政の推進に貢献していくことを盛り込んでいます。

3番は、研修の所も適切な目標の設定ということで、客観点かつ的確な目標を設定し、引き続き達成度を厳格に評価するということを盛り込んでいます。

 第2が、組織の見直しです。重要な労働政策研究に対応した、より質の高い研究成果を生み出すために、引き続き優秀な人材の確保、育成を図り、効率的かつ効果的な組織運営を実施するということ。あと、研究ニーズの多様化等の変化に対応できるよう、柔軟な組織運営を図っていくことを盛り込んでいます。

 第3は、業務全般に関する見直しです。1に内部統制の強化ということで、中期計画・年度計画の進捗状況については、引き続き四半期ごとに自己評価を行い、理事長のリーダーシップに基づくPDCAを適切に実施するということです。

 2が、情報セキュリティの強化です。これまでの取組としては、情報セキュリティ対策は、各種規程の整備をし、研修・教育を実施することで規程の遵守の徹底を図ってきたところですが、引き続き、情報セキュリティ対策について、ハードとソフトの両面の見直しと、役職員の高い意識を保持するための研修を継続することを書いています。

 3の業務運営の効率化ですが、自己収入の拡大について盛り込んでいきたいと思っています。これは第2期に比べて、現時点では自己収入は、平成22年度、これに比して、直近の数字で1.7%増ということです。もう少し自己収入の拡大を図っていくような方策を考えていきたいと思います。また、調達等の合理化によるコスト削減を実施して、引き続き業務運営の効率化を一層進めるということを盛り込んでいきたいと考えております。私からの説明は以上でございます。

 

○今村主査

 御自由に御議論をお願いいたします。

 

○宮崎構成員

 私は民間で仕事をしている立場の者として、特に労働政策の専門家でも何でもないのですが、伺った印象として、労働政策の企画立案、厚労省の仕事を研究の面からサポートされるということの重点が、当然行政との連携は重要だと思うのですが、そこに重点を置かれているところが特に強く見受けられて、国民に対しては一体何を達成して、成果を届けるのかというところがメッセージとして弱く感じるところがあります。

 この1-3のペーパーで見ますと、「労働者の福祉の増進と経済の発展に資すること」という所なのだろうなと思って伺っていたところなのですが、そうしますと、好むと好まざるとに関わらず、労働者側の立場、企業の立場といろいろなものはあるのだと思うのですが、重要なことは国際的な競争に常にさらされているわけですので、我が国の労働システムというのは国際的な競争力を高めて、労働生産性を高めるとか、より働く人はより働き甲斐があって、きちんとした評価を受けて、しっかりとした給与をもらえる仕組みにしていくということ、あるいはよく企業内スキルと言われて、人材の流動性が乏しいとか、仕事のスキルというのがよく見えないから、ほかの所にうまく転職できないというような問題、課題があったりということであったり、要は国際的な競争力を高めていく、ないしは労働生産性を高めていくという仕組みに関して、もう少し研究の視点ないしは政策課題があってもいいのかなという、民間で仕事をしている立場の人間からすると、その辺りがありまして、発想の前提として、労働者を保護する対象、企業を規制する対象というような発想でやっていくと、我が国だけでやっていく分にはそれでいいのですが、それだけでやっていくと国際的には最終的な競争に勝てないという視点もあって、労働システムそのものをどうやって他国よりよい仕組みにしていくかという着眼点も持って、何かしら研究の課題なり政策目標というものを検討いただくと、よりいいのかなと思います。

 それが結果として、国民にとって満足であったり、福祉の増進、ないしは経済の発展につながるのではないかと思っていますので、当然厚生労働省の企画立案に資するということが目的なのかもしれませんが、それの更に先にあるものに関しても、少し検討いただくとよろしいのかなという印象を受けております。

 

○今村主査

 今の宮崎構成員の御指摘は大変重要でありまして、労働者・国民目線はどこへいったのだ、企業・官僚目線すぎるのではないかという御指摘と、我が国の雇用システムの国際的な視点からの把握、比較、改良点の2点だったと思います。これに関連して、御質問のある方はどうぞ。

 

○関口構成員

 今のことと若干関連してくるかなということで、追加で質問させていただきます。

3ページの一番下の「アジアにおける労働政策研究の拠点としての地位を確立」という所で、これが具体的にイメージとして浮かびませんで、どういうことになった場合に拠点としての地位が確立されるのかというところをもう少し詳しく御説明いただければと思います。

 あと、御説明の中で、労働事情を含めた労働関係等を背景とした国際比較は本当に大事だと思います。毎年ゼミ生を連れてASEAN地域に行くのですが、やはり各国の事情等があり、その辺の背景を説明しないと、学生にとっては「やはり日本が一番いい」となってしまったりするので、それに対してもいろいろな提示を頂けると大変有り難いと思います。

 それから、先週末からミャンマーとタイに行ってまいりました。そこで、ある財団法人がやっている、若者を現地に連れて行って交流するというプログラムに一部同行したのですが、非常に大歓迎していただきました。

 そこでは何かというと、JICAの相互交流プログラムで日本に来られた方々が現地へ戻られて、ASEAN各国にいらっしゃって、そこがもう50代ぐらいで、各国で非常にコアな行政のトップに近い所であるとか、教育機関といった所で大活躍されていて、自分たちが受けた恩恵を今度は日本の若者と一緒に何かやっていきたいということで、大きな歓迎を受けていました。そういうことが事情としてはあるので、もう1つはJICAであるとか、HIDA等もあると思うのですが、そういったところでいろいろつながりをしていくと、かなり労働事情であったり、国際比較をする上で非常に有益なのではないかと個人的な感想を持ちましたので、その辺りも踏まえて幅広くやっていただくと、非常にいいのではないか、有益な活用という意味ではとてもいいのではないかと思います。

 もう1点です。よく分からないのですが、国会図書館でも専門の調査をされている部署、部局があると思うのですが、そこはJILPTとの住み分けというか、連携というか、その辺りはどうなっているのでしょうか。

 

○今村主査

 多岐にわたっておりますが、私の意図としては宮崎構成員の発言に関連してと思ったのですが、整理させていただきますと、資料の1ページにある多様な働き方の拡大、AIIoTを中心とした技術革新、同一労働同一賃金と、大変に個人の生活、国民の生活に重要な課題を提案しておられます。なおかつプロジェクト研究では、一億総活躍を実現する視点、20年先の働き方、正にこれは個人の働き方です。それから、体系的、継続的に推進していくとか、(4)も書いてあります。

 重要なことは、これはみんなマクロの発想から文書がまとめられているのではないか。つまり宮崎構成員の意見を受けますと、個人のスキルはどうしたらいいのかとか、機構が持っている職業研究とか心理研究というような重要な実績があって、そういうミクロ的な貢献が一切ここに言及されていないのが、私は少し不安な感じがいたします。つまり、スキルをどうしたらいいかとか、どう経験を蓄積したらいいかという話が、もう少し個人の具体的な国民、労働者に対するより有益な、正にこれがアウトカムだと思うのですが、こういう発想がこの文書の中に残念ながらうかがえません。マクロ的に書いておられるのですが、それが具体的なアウトカムとして達成できるのかというところが、若干不安を受けるということです。これをまとめてお答えいただければと思います。

 

○労働政策担当参事官

 プロジェクト研究の御指摘をいろいろと頂きましたので、頂いた御指摘も踏まえて検討していきたいと思います。先生から最後に「個人のミクロの話が入っていないのではないか」という話がありましたが、これは視点なので、どういう視点から研究テーマを考えていくのかということだと思うのです。その研究テーマを個別に考えているときに、個人の能力開発が出てくるのだろうと思っています。

 例えば一億総活躍社会の実現の中でも、例えば若者、高齢者、女性ということで、属性ごとに分けるやり方もあると思います。手法として、例えば能力開発を行っていくことや、継続雇用をもっと進めていくなど、切り口によっていろいろあろうかと思いますので、そこは研究テーマとして当然入ってくるべきものなのだと思っているのですが、視点としてはマクロのものを書かせていただいているということですので、もちろん今日頂いた御意見を踏まえて、措置の内容も検討させていただきたいと思っています。これが1点です。

 それから、関口構成員から御指摘を頂きました。御意見についてはまた考えていきたいと思いますが、2つ御質問があったかと思います。

 まず、国会図書館とJILPTの関係です。国会図書館も研究はしておりますが、JILPTは、正に労働政策に特化した専門的なものだという認識ですので、そこの部分に特化した専門的なものはJILPTがかなりやれるところなのではないかと思っております。

 国際的プレゼンスを高めるということについては、海外からの招へいや海外派遣等で、今回の第3期中期目標期間の海外のネットワーク構築の所で御説明したような中身を大きく変えるということではありませんで、こういう地道なことを積み重ねていくことで、各国との信頼関係を構築してネットワーク化を図り、それによってアジアにおける労働政策研究といえばJILPTと言われるようになっていきたいと。そこは意気込みのところです。

 

○今村主査

 あえて議論をするつもりもないのですが、少しだけリアクションさせてもらいますと、「労働政策の視点」とおっしゃいましたが、視点とは何ぞやと。つまり、対話とか説得とか理解ということに対する、今、正にOccupy Wall Streetとか、フランスではNuit Deboutという低賃金、いろいろな不安定な労働者からの、若者を中心としていろいろな運動が起こっているわけで、日本でも起こらないとは限らないです。そうすると、それは緊急に政策課題となる可能性があるわけです。そういうときに、きちんと説得できるようなことを労働政策研究・研修機構として、これだけの材料を持っていながら準備しているように伺えないというのはどういうことかという伺い方です。

 つまり、労働政策というものに対する視点は、もっとミクロに、個々のトランプであるとか、ブレグジットなども同じような問題で、格差とか貧困などの問題との対応だと思いますので、そういった資料を是非有効に活用するということを視点の中に入れていただきたいということでした。これはあくまでも個人的な意見ですので、御参考にしていただければと思います。

 

○戸田構成員

 先ほど海外のプレゼンスを高めるという話がありましたが、少し気になるのは、厚生労働省の中にも海外情勢報告というものが毎年発行され、いろいろと情報収集されている所がありますので、そういった所との連携も可能性としてはあるのではないか。この文面を見ていると、情報収集だけではなくて、もちろん研究者同士のネットワーク構築と2つあると思っています。

 その情報収集の観点から言うと、海外情勢報告のように、毎年分厚い報告をまとめていただいて、あれ自身はかなり参考になっておりますので、そういうところも視野に入れるというのは1つあるのかなということで、これも意見で御検討いただければと思います。

 

○今村主査

 何かございますでしょうか。

 

○戸田構成員

 全体的にお伺いしていて、新しい視点としては中長期というところを入れたということです。例えば1ページの中長期的なテーマの中にも、「20年先の働き方を見据える」という話がありまして、これこそ特に厚生労働行政の中でも、先ほど短期的な足元の課題に取り組むという話がありましたが、それだけではなくて、10年、20年先を見据えて、労働政策として何を目指していけばいいのかという方向性まで提示していただけるようなことを恐らく念頭に置いて、こういった文章を書かれているのかなという意味では、非常に重要なポイントを御指摘されているのかなと思います。

 ただ、これに関連して、最初にもお話があり、監事からもお話がありましたように、かなり限られた人員の中で、うまくこういったより業務量の増える内容を書かれているとなると、個々の職員の労働時間の問題、業務量の負荷の問題が重要で、これまでも課題になっていたと思うのですが、更にそういった課題が増してくるのかなと思っていますので、そういう意味でも組織の見直しの中に、個々の職員の業務量が過大にならないようにうまく調整するとか、マネジメントをしっかりするといったところも、この文書に書くかどうかは別として、そういった視点で検討されることが必要なのではないかと思いました。

 

○労働政策担当参事官

 御指摘ありがとうございました。JILPTのワーク・ライフ・バランスにも御配慮いただきまして、大変ありがとうございます。

 頂いた先生方の御意見は検討させていただきまして、JILPTでも議論をして、できる限り取り入れさせていただきたいと思っています。

 

○酒井構成員

 非常にスタンスの大きなことを定義していただいているので、なかなか意見が言いにくい面があるのですが、例えば労働ということを考えていったときに、今、厚労省全体の労働ワーキングの分け方のようなものがあって、それぞれの機構の得意分野のところでやっていっているのですが、JILPTにお願いしたいのは横串の視点のようなもので、例えば働くということを考えたときに、自分の専門からいったら働いている人の健康の問題は大変な高齢社会の中で問題になっていて、それはほかの機構でやっているということなのかもしれないのですが、働く上で最も大事な基盤で、過労死のようなことは非常に問題になっておりまして、それはそれで取り組んでいる機構があるわけですが、労働社会面の影響というのは単に過労死を起こさせないということの医学的な分析だけではなくて、労働社会面との関連というのはとても大事なことになっていますし、それを横串で捉えていただけるということが1つです。

 もう1つは、それと関連して、連携のようなことをもっと進めていただきたいと思っています。1つは民間との連携です。これはJILPTは国の機関なのだから、非常に志を高く揚げてということは重要だとしても、やはり民間との連携です。そういう意味でいくと、国際の話が出ていますが、もっとJILPTは国際の場面で活躍してほしいと思っています。これを見ていても、例えば国際機関であったり、今日はアジアの話がたくさん出ておりますが、アジアでは草の根で、非常にいい活動をしているグループがたくさんあると思っています。そういうものを是非取り込んで、日本のナショナル・フラッグを持っているJILPTの活動をより具体的に、それぞれのマクロ的な課題については十分に挙げていただいているので、そういうところに内容をより付けていっていただけると有り難いなと思いました。

 

○労働政策担当参事官

 御意見ありがとうございました。民間との連携というのは、例えば研究部門とか、どういった面の。

 

○酒井構成員

 そういうのもそうですし、ニーズをきちんと把握するという意味では、いろいろな民間企業の。

 

○労働政策担当参事官

 労働政策のニーズということでしょうか。

 

○今村主査

 付け加えさせていただきますと、民間という中にはサードセクターの市民組織も入っています。そういう所が現場の、例えばブラック企業などについても情報をたくさん持っているわけです。そういうのも含めて、つまり単なる営利企業だけではなくて、サードセクター、NPO、非営利組織との連携ということでお答えいただければと思います。

 

○酒井構成員

 本当に日本の労働力が枯渇してくることがはっきり見えていく中で、今、盛んにAIだとかIoTということが単に技術革新の問題だけではなく、こういう労働政策の切り札になるのではないかと言っている識者もいるぐらいですから、そういうところの情報提供。

 それと、今村先生が言われたサードパーティについては、そのとおりだと思っています。

 

○労働政策担当参事官

 趣旨が分かりました。御意見ありがとうございます。

 労働政策のニーズを踏まえたときの研究をするときに、従来の労使関係者だけではなくて、市民セクター、企業だけではなくて幅広いニーズの拾い方が大事だという御意見だと承りました。ありがとうございます。

 

○中村構成員

 3の海外からの招へい、海外派遣等についてコメントです。全体的にはよくまとめていると思うのですが、一定期間にわたる個別の研究者、有識者の招へい、派遣の目的が、「海外の質の高い情報を的確に入手するために」と限定されているというのが残念です。一番最後に「アジアにおける労働政策研究の拠点としての地位を確立する」とありますように、拠点とするためには、それを担うような人材育成は当然必要でしょう。海外との連携というのは「ネットワークを形成する」とあります。しかし、単に向こうがどうなっているかという情報収集のためのネットワークではなくて、アジアとしてそれぞれが労働行政をどのようにやっていくのかを担うような人材育成という視点を入れてほしいと思います。情報を入手するためにとなると、少し矮小化されてしまいます。「入手するとともに」とか、「労働政策を担うような人材育成を視野に入れて、海外とのネットワーク形成をする」というようなことを考えていただければ有り難いと思います。いかがでしょうか。

 

○労働政策研究・研修機構理事長

 貴重な御意見、非常に基本的な御意見をありがとうございます。JILPTは労働政策研究機関であるとともに、日本における労働研究の最大の機関だと思っておりまして、そういう意味で政策に貢献するということばかりではなくて、労働研究についても基本的なことを研究して、社会に還元しなくてはいけないと思っております。

 そういう意味で、例えば宮崎構成員が言われましたが、現在、経済政策の中に労働政策が位置付けられているように、従来の労働システムの修正とか、基本的な見直しというのが問われているような時代ですので、そういう観点からも、基礎的研究の中で長期的あるいは歴史、現状、将来を見据えた研究をしていかなければならないと思っております。

 そういう時代になりますと、海外との比較が大変重要ですので、国際的なネットワークを構築することが非常に重要ですし、私などが関係している労働関係の国際的な学会、学会といっても政策担当者あるいは実務家が多く入っているような学会、世界的な学会の主要なものにおいて参加していきますと、日本に対してヨーロッパ、アメリカ地域、その他アフリカもありますが、アジアが非常に重要な時代になってきている。アジアにおける労働研究のメッカになってほしいということを言われるわけであり、その中には人材育成の観点が入っております。JILPTにおいてアジアの若手研究者なども集めて、世界的なリーディングな労働研究者を集めた会議を毎年やっていきながら、アジア及び世界における労働問題の共通性あるいはバラエティなのかもしれませんが、そういうものを比較していくことを行いつつ、人材形成やネットワークの構築にも貢献していきたいと思っております。

 

○今村主査

 今の御意見に手前味噌な話をしますと、どうも縦割で組織を前提として、その中でガバナンスを維持しつつ交流しようというのは、少し時代遅れだと思うのです。

 我々の用語でいくと、Knowledge Angelsと言うのですが、天使のように、あるいは蝶のように、ミツバチのように、組織をいろいろと移動しながら、まず対話をする。だから、官庁から来ていただいて、機構の中で6か月ぐらいすると、対話が当然あるわけです。アジアから来れば、アジアの人たちとの対話があるわけで、そういう中で予期しない、シナリオにはないような新たなイノベーションがどんどん起こっていくということになります。

2025年の労働を書いたリンダ・グラットンも、知識資本も大事だけれども、社会関係資本とか情緒資本が大事だと。人とコミュニケーションしながら、どういう物語を作っていくか。

 恐らくIoTとかAIが進んでいく中で、人間性の一番重要な部分というのが非常に重要になると思います。機構の中で、せっかく心理学とか職業研究など、ずっとやってきたものがあるわけですから、そういうものを新たに結び付けて、正にイノベーションです。今まであるものを新たに別に組み合わせて新しいもの、これは官庁の文書の中でそういうことを書くのは大変かもしれませんが、是非そういうことも期待しているということですので、機構の潜在力はまだまだで、人材的には大変かもしれませんが、創造性という点では潜在力がたくさんあるのではないかという期待を込めてのお願いです。

 もう1つですが、少し気になるのは、安衛研と比較して、客観的、科学的に安衛研はいろいろとコメントをしていくわけですが、JILPTの場合には政府から依頼があって、それに対して応えていくという独立性の問題なのですが、つまり政府に対して異を唱えるだけの根拠、政策が思わしくないときに異を唱えるぐらいのしっかりとしたバックグラウンドを機構として蓄積できるか。安衛研の場合は自然科学ですから、実験データでしっかりと示すことができるわけですが、そういう意味では機構の独立性というか、ビジョンをしっかりと持って、先ほど理事長がおっしゃったように、働き方の改革とか、そういうことに対して、一億総活躍、それではワーク・ライフ・バランスを無視して働けばよいのかとか、そういう政策的な流れに、どこまできちんと客観的に機構として発言できるかということについて、独立性の問題はどうなっているのかということが気になるところでありますが。

 

○志藤構成員

 やはり国の政策といっても、行政の方々ができる範囲というのは、ある意味で限られているところがあって、政治の体制が大きく変わったりしたときに、私などは高齢者の問題とか社会福祉のほうに関係しておりますから、政権が代わった段階で、ものすごくいろいろなハレーションが起きてきたわけで、そういうときに研究団体というのが物申すという立場も取っていかないと、単に政策を下支えするための研究というのは、どこかで何か間違ってしまうことがあるのではないかという思いがすごく強くありますので、そこのところは大変僭越な言い方になりますけれども、物申すという姿勢も持っていないといけないのではないかと思っております。

 

○戸田構成員

 独立性の観点から申し上げると、なかなか独立性があるかないかという判断をするというのは難しい問題で、組織構造というところもありますし、JILPTの与えられている課題からしても、なかなか独立性があると見せることも難しいでしょうし、逆に言ってそれがかなり進んでしまうと問題だとも思っています。

 そういう意味でも、この文章の中で中長期的な課題で、例えば20年後を見据えて労働政策はこうなっているべきだとか、こういう方向性で進んでいくべきだというのを、あらかじめJILPTから先に示されるということが重要なポイントだと思っています。そういうことをしておくからこそ、厚生労働省の行政官がこういうような法律を立てたい、こういうような政策をしたいということに対しても意見が言える、逆に、中長期的な視点から見ると、厚生労働省はもう少し別の方向を取ったほうがいいのではないかというような御意見も言えるのかなと思います。そういう意味でも、中長期的な視点というものをより大切にしていただくことが、独立性というところもそうですし、厚生労働省に対して、延いては国民に対してどういう便益を享受できるかというところにもつながってくるのかなと思います。

 

○今村主査

 あとはオリジナルのデータの蓄積ですね。機構独自が持っているほかにない経験、ノウハウの蓄積というのは、是非継続していただきたいと思います。

 ありがとうございました。大体予定時刻ですが、以上で労働政策研究・研修機構の業務・組織全般の見直しについての議論を終了いたします。法人所管課におかれましては、構成員の皆様から本日頂きました御意見等を踏まえ、見直しの内容の修正等について御検討いただき、内容の最終的な確定をよろしくお願いいたします。

 最後に、法人及び法人所管課より一言頂ければと思います。

 

○労働政策研究・研修機構理事長

 本日は長時間にわたりまして、当機構の第3期中期目標期間の見込評価、次期に向けた業務及び組織全般の見直しについて、大変に貴重な御意見を頂きまして、誠にありがとうございます。

 独立行政法人を取り巻く環境は厳しいものがあると認識しておりますが、その中でも私どもの任務は重要になっていると認識しております。本日頂きました貴重な御意見を踏まえながら、労働分野の中核的な唯一の政策研究・研修機関として使命を果たすべく、役職員が一丸となって、今後とも業務運営に当たっていきたいと思います。今後とも当機構の業務運営について御指導いただければ有り難いと思います。ありがとうございました。

 

○労働政策担当参事官

 本日は貴重な御意見を頂戴いたしまして、ありがとうございました。私ども、政策を企画立案するときにエビデンスは非常に大事だと思っておりますので、そういう観点からもJILPTの活動は非常に重要だと考えてございます。今日頂いた御意見は、またJILPTとも検討させていただいて、できる限り反映させていただきたいと思いますので、今後とも御指導よろしくお願いいたします。

 

○今村主査

 事務局から、今後の流れについて連絡をお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 今後の流れについて御連絡いたします。本日御議論いただいた労働政策研究・研修機構の中期目標期間見込評価につきましては、この後、本ワーキングにおける御意見や法人の監事及び理事長のコメントなどを踏まえ、厚生労働大臣による評価として決定し、法人及び独立行政法人評価制度委員会に通知するとともに、公表いたします。

 また、業務・組織全般の見直し内容についても同様に、本ワーキングにおける御意見などを踏まえ、厚生労働大臣が決定し、独立行政法人評価制度委員会に通知するとともに公表いたします。

 決定したそれぞれの内容については、後日構成員の皆様方にもお送りいたしますので、よろしくお願いいたします。

 なお、中期目標期間見込評価及び業務・組織全般の見直し内容については、参考資料1の別添7の流れのとおり、独立行政法人評価制度委員会へ通知後、同委員会において点検が行われ、その点検結果に基づき出される意見を踏まえ、厚生労働省において次期中期目標案を作成することとなります。そして、その次期中期目標案については、来年1月以降、再度独立行政法人評価制度委員会の審議に付されることが予定されております。つきましては、次期中期目標案等についても、来年1月頃に本ワーキングでの意見聴取を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。

 なお、次回の本ワーキングの開催については、816()の午後2時からを予定しております。場所は厚生労働省低層棟2階の講堂です。議題は、労働安全衛生総合研究所の中期目標期間評価について御意見を賜ることとしております。

 最後になりましたが、本日配布した資料の送付を御希望される場合には、前回までと同様に、机の上にそのままにして御退席いただきますよう、お願いいたします。事務局からは以上です。本日はありがとうございました。

 

○今村主査

 本日は以上とさせていただきます。長時間にわたり御熱心な議論、ありがとうございました。


(了)

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