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2016年10月6日 第6回国際保健に関する懇談会 議事録

大臣官房国際課

○日時

平成28年10月6日(木)10:00~12:00


○場所

中央合同庁舎5号館 専用第21会議室(17階)


○出席者

構成員(大西健丞、尾身茂、近藤克則、渋谷健司、田瀬和夫、中谷比呂樹、林玲子、柳沢香枝(五十音順・敬称略))、国立国際医療研究センター、事務局(厚生労働省)、オブザーバー(内閣官房、外務省、財務省)

○議題

(1)最近の国際保健の動向について
(2)国際保健政策人材について
(3)今後の国際保健の進め方について

○議事

○大鶴国際課長 定刻がまいりましたので、第6回「国際保健に関する懇談会」を開催させていただきたいと思います。

 皆様方には、御多忙の中、当懇談会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。今回は構成員メンバー全員が御出席の予定となっております。

 事務局側に人事異動や組織再編がございましたので、御案内申し上げます。

 大臣官房技術・国際保健総括審議官の福田でございます。

○大臣官房技術・国際保健総括審議官 福田と申します。よろしくお願いいたします。

○大鶴国際課長 大臣官房国際課国際保健・協力室長の山谷でございます。

○山谷国際保健・協力室長 山谷でございます。よろしくお願いいたします。

○大鶴国際課長 大臣官房国際課国際保健企画官の江副でございます。

○江副国際保健企画官 江副でございます。よろしくお願いします。

○大鶴国際課長 オブザーバーとして御協力いただいています内閣官房川野参事官でございます。

○内閣官房川野参事官 川野でございます。よろしくお願いいたします。

○大鶴国際課長 NCGMの鎌田国際医療協力局長でございます。

○国立国際医療研究センター鎌田国際医療協力局長 おはようございます。よろしくお願いします。

○大鶴国際課長 それでは、これから先、尾身座長に進行をお願いしますが、久しぶりでございますので、一言御挨拶いただきまして、議事進行をお願いできればと思います。

○尾身座長 おはようございます。私も皆さんと同様、国際保健というものに長く関わってきたのですが、これは私の本当に個人的な率直な感想ですけれども、この30年来、厚生労働省も関与して日本が国際保健にいろいろな貢献をされてきましたが、私は特にこの1~2年、日本の国際分野における活躍が顕著だったと思います。

 今回もこの懇談会では、渋谷先生などを中心にG7サミットへの提言を十分していただいて、これがG7サミットの中でもアジェンダとして取り上げられ、これは国際社会も十分認識していると思います。

 もう一方は、これからますます国際的に活躍できる人材が日本にとっても必要ですし、世界にとっても必要で、この分野でも中谷先生などが中心になって国際保健人材をいかにこれからしっかりやっていくかということで、この1~2年この懇談会もかなり十分な役割を果たしたと思うのですけれども、かなりしっかりした一歩が踏み出せたのではないかと思います。

 今日はこれまでの報告を皆さんにシェアして、またさらにより良くなるための意見交換ということだと思いますので、これまでも皆さん一生懸命頑張っていただきましたけれども、これからもまた一緒に頑張れればと思います。

 それでは、議事に入りますが、会議の公開等の取り扱いについては、今までは具体的な提言について集中的に議論を行うということで非公開としましたけれども、今回は、今、私が申し上げたように、いろいろ提言をした報告が中心でございますので、今回は公開ということにさせていただきます。

 カメラ撮りは議事に入るまでで、その後は退席とさせていただきたいと思います。

 それでは、事務局から本日の資料の確認をお願いします。

○大鶴国際課長 それでは、お手元の資料について御確認をお願いいたします。

 下の角に通しでページ番号を振っておりますので、そちらで確認をお願いします。

 1ページが座席表、3ページが議事次第、5ページがメンバー一覧、9ページが資料一覧。

11ページが資料1-1「G7伊勢志摩サミット報告」の資料になっております。

19ページが資料1-2「第69WHO総会報告」の資料。

21ページが資料1-3「TICAD VI 保健関係報告」の資料。

25ページが資料1-4「G7神戸保健大臣会合報告」の資料。

31ページは資料1-5「国連総会保健関係報告」の資料。

39ページが資料1-6「グローバル・ファンド第5次増資会合報告」の資料。

41ページが資料2「国際保健政策人材養成報告」の資料。

47ページが資料3-1「国際保健に関する今後の主要会合日程」。

49ページが資料3-2「国際保健に関する今後の主な論点」。

 参考資料としまして、51ページが参考資料1「G7伊勢志摩首脳宣言(保健部分抜粋)」。

55ページが参考資料2「国際保健のためのG7伊勢志摩ビジョン」。

63ページが参考資料3「TICAD VI ナイロビ宣言(保健部分抜粋)」。

65ページが参考資料4「神戸コミュニケ(仮訳)」。

73ページが参考資料5「国連総会AMRハイレベル宣言(仮訳)」。

77ページが参考資料6「平成29年度国際関係予算概算要求資料」。

79ページが参考資料7「国連グローバル健康危機タスクフォース及びWHO独立監査諮問委員会」の資料。

89ページが参考資料8「IHP for UHC 2030」の資料。

91ページが参考資料9「国際保健に関する懇談会開催要綱等」。

93ページが参考資料10「第5回国際保健に関する懇談会議事要旨」になっております。

 資料の確認はこれで以上です。資料に不足や落丁がございましたら、事務局までお願いいたします。

 カメラの頭撮りはここまでにさせていただきます。マスコミ関係者の方におかれましては、御協力をお願いします。

○大鶴国際課長 それでは、座長、進行をよろしくお願いいたします。

○尾身座長 それでは、議事に入らせていただきます。

 今日の議題は3つで、1番目は「最近の国際保健の動向について」、2番目は「国際保健政策人材について」、3番目は「今後の国際保健の進め方について」、それぞれ資料をもとに議論していただきたいと思います。

 それでは、議事1番目の「最近の国際保健の動向について」、事務局より説明をお願いします。

○江副国際保健企画官 それでは、資料1-1をご覧ください。こちらは渋谷参与に取りまとめいただきました、グローバルヘルスの体制強化に関するワーキンググループの提言の一枚紙となっております。こちらは5月に御提出いただきまして、これに基づきましてこれまで伊勢志摩サミット、神戸保健大臣会合等の議論を進めてまいりました。

 こちらは行動計画の提言が4点ございまして、「(1)健康危機準備・対応に関する国・地域・グローバルレベルでのアーキテクチャーの構築」「(2)強靭かつ持続可能な保健システムの強化支援」「(3)UHCモニタリングとアカウンタビリティーに関する枠組みの確立」「(4)市場メカニズムが十分に働かない疾患(顧みられない熱帯病(NTDs)や薬剤耐性(AMR)等)に対する診断、治療薬、ワクチンなどの開発の促進」ということで、こちらを踏まえましてこれまでG7等の議論を進めてまいりました。

13ページの「G7伊勢志摩サミットで検討される保健課題」ですが、こちらはG7伊勢志摩サミットに先立ちまして用意された資料なのですけれども、先ほどの提言も踏まえまして、基本的には3本柱でやっていこうということで「1 公衆衛生危機への対応」「2 ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)推進」「3 薬剤耐性菌(AMR)対策」を大きな柱立てとしまして伊勢志摩サミットでの議論が進められました。

 めくっていただきまして、これに先立ちまして金銭的なコミットメントが安倍総理から示されまして、左下ですけれども、国際保健機関に対して新規表明約11億ドル、グローバルファンドを当面8億ドル、WHOの公衆衛生危機への対応強化への支援で0.5億ドルといったことで、金銭的なコミットメントが伊勢志摩サミットに向けて示されたところであります。

 各機関の概要等についてもございますので、適宜御参照ください。

17ページの一枚紙、ブルーの横紙ですけれども、こちらが実際の伊勢志摩サミットでの保健アジェンダの概要となります。

 こちらも3本柱を踏襲しておりまして「〔1〕公衆衛生危機対応のためのグローバルヘルス・アーキテクチャー(国際保健の枠組み)の強化」「〔2〕危機への予防・備えにも資するUHCの推進」「〔3〕薬剤耐性(AMR)への対応強化」ということで、1本目につきましては、世界保健機関の改革の支持、資金メカニズムの構築、これはWHOCFE及び世銀のPEFについても、設立されました。それから、WHOの能力を超えた場合の大規模公衆衛生危機のアレンジメントについての方向性も提示しております。

UHCにつきましては、途上国におけるUHCの推進、危機への備えの強化、生涯を通じた保健サービスの確保ということで、母子保健等に加えまして、今回、アクティブ・エイジングも日本のアジェンダということで加えております。

AMRについても、柱の1つとして議論されました。

 これらの全てに共通する課題としまして、R&D、研究開発を進めるということで全体の議論を進めてまいりました。

 資料1-2に移りますと、伊勢志摩サミットとちょうど同じ週に並行しまして世界保健機関(WHO)の総会がございました。こちらも日本が参加いたしまして、伊勢志摩サミットの議論と連動しまして、こちらの3本柱につきまして、特にトピックでありましたWHO改革や健康危機管理につきまして、安倍総理のコミットメントを紹介するような形で日本がかなりのリーダーシップ、プレゼンスを示しました。

 裏返していただきますと、特に日本のリーダーシップに関する点をまとめていまして、【健康危機対応体制改革】につきましては、金銭的なコミットメントだけでなく、内容面に関しましてもかなり日本が主導しまして、アジア地域を取りまとめて発言をしたり、プレッジの紹介をしました。

 高齢化につきましては、我が国は4年ぶりで決議案を提出しておりまして、23カ国の最終的な共同スポンサーを得まして、全会一致で高齢化について全世界的に進めていくことを決めております。

 各種サイドイベントでも発言をしております。

 続きまして、資料1-3でTICADについて概略を御説明しますと、TICADは、これまで5年に一度外務省の取りまとめにて行われておりましたけれども、今回は保健分野が3本柱の1つということで厚生労働大臣も出席しております。また、初めてのアフリカ開催ということで、ケニアのナイロビで行われております。

 上の「ナイロビ宣言及び実施計画」の「実施計画」のところで、4本柱ということで「保健システムの強化」「公衆衛生上の危機への対応」「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)」「栄養」と、若干異なる面もありますけれども、伊勢志摩サミットでの3本柱を踏まえまして、それをアフリカにおいても確認したという意義があろうかと思います。

23ページですが、その中でも特筆すべき動きとしまして「UHC in Africa」というフレームワークが世銀、WHO、日本政府(財務省、外務省、厚労省)、JICAも含めまして、全体として「UHC in Africa」をエンドースしておりまして、UHCを達成するためのロードマップをアフリカ各国が描いていくための全体の枠組みを提供するということで、これにあわせて世銀、グローバルファンド等もコミットメントを行ったということで、一つのマイルストーンかと思われます。

 続きまして、資料1-4ですが「G7神戸保健大臣会合での主な議論と成果」ということで、3本柱につきましては首脳会合で決められましたが、より詳細なことについては保健大臣会合で議論せよと伊勢志摩サミットの宣言にも書いておりましたので、それを踏まえまして、G7の保健大臣が集まって9月に議論しております。それぞれより具体的な成果が出されておりまして「神戸コミュニケ」という形でまとまっております。

 例えば標準作業手順ですが、これは「SOP」と呼ばれるものでして、自治体でいいますと防災計画のような形で、世界でまたエボラ危機のような感染症危機が起こったときに、どういう機関がどういう役割分担で、どういう指揮命令系統で具体的な対応をするかということの事前の取り決めをしておこうということで、その素案がここで示されまして、それについても議論をしております。

UHCにつきましては、具体的なプラットフォームということで「IHP for UHC2030」がジュネーブに本部を置きまして、立ち上がっておりますので、それをさらに進め、直近のTICADの特に「UHC in Africa」をさらに後押ししていきます。

AMRについても、具体的な規制調和のためのガイドラインですとか、高額医薬品の問題について、保健システムの持続性とどう折り合いをつけていくかといったようなことが議論されております。

 一番直近の国連総会について簡単に御説明します。資料1-5ですが、国連総会にはもちろん総理、外務大臣も出席されているのですけれども、厚生労働大臣が初めて国連総会に出席しております。

 その趣旨としましては、保健分野につきましては、AMRの国連総会ハイレベル会合というものがHIV/AIDSNCDsに次いで3回目ということで行われましたので、そこへの参加ということが主な趣旨となっております。それに関連して数多くのサイドイベントが開催されており、それらに厚労大臣が出席されまして各種ステートメント等を行っております。AMR国連総会ハイレベル会合では宣言文が採択されております。

 各種バイ会談等を実施して、健康危機につきましても、ハイレベルイベント、サイドイベントが行われまして、そこで一連のG7伊勢志摩サミット、TICAD、神戸保健大臣会合といった一連の流れで日本がさらに健康危機に関してグローバルな対応を深化させてきたということについて、厚労大臣から安倍総理のステートメントの代読という形で発言を行っております。

 裏返していただきまして、これは国連総会にあわせて行われた別の会合なのですけれども、日米韓保健大臣会合という新たな枠組みでの会合が行われておりまして、バイデン副大統領が主導しておりますがん対策の「がんムーンショット・イニシアチブ」につきまして日米韓でさらに連携してやっていこうということで、バイデン副大統領も参加のもとで3カ国の保健大臣以下が集まって議論をしております。これにつきましても今後のフォローアップが課題となっておりますので、後ほど御議論いただければと思います。

 議題1の最後の資料となりますが、資料1-6、9月にグローバルファンドの第5次増資会合がカナダで行われておりますが、これにつきましては外務省から御説明いただければと思います。

○外務省国際協力局日下室長 外務省国際保健政策室長の日下です。

 9月1617日に開催されました世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバルファンド)第5次増資会合の概要についてご説明させていただきます。

 第5次増資会合は、20172019年までの3カ年の間に集めるべき予定の資金を集めるための会合でございます。昨年12月に東京でこのための準備会合が行われました。

 増資準備会合の結果、130億ドルがその集めるべき目標となり、9月1617日、カナダをホスト国としてモントリオールでこの増資会合が開催されました。結果、増資会合では総額129億ドルの拠出表明がなされたということで、ほぼ目標が達成されたという結果となりました。

 我が国からは薗浦外務副大臣が出席をし、伊勢志摩サミットの直前にSDGs推進本部で安倍総理から表明のあった8億ドルを改めて表明を致しました。

 この拠出表明につきましては、前回の増資期間の拠出表明とほぼ同額なのですが、当時かなりの円高だったという状況もございまして、円ベースで前回比46%増ということで、ドルベースではほぼ同額ではあるにもかかわらず、国際社会から非常に高い評価をいただいております。

 実は増資会合前に拠出を表明していなかった国も何カ国かあったのですが、この増資会合において初めて表明した国もございまして、総計で129億ドルの拠出表明があったということでございます。

 以上です。

○尾身座長 どうもありがとうございました。

 それでは、今のお2人の説明、報告について、コメントはございますか。

 渋谷さん、何かありますか。

○渋谷参与 初めに、この懇談会を初め厚労省、外務省、財務省、内閣官房にもすごく御尽力いただいて、グローバルヘルスがこの1年盛り上がったことを本当にうれしく思いますし、皆さんの御尽力に感謝を申し上げたいと思います。

 多分すごくほっとしているところだろうと思いますが、恐らく今日議論すべきことは、アジェンダはセットしたし、お金はついたけれども、G7というお祭りが終わった後、この先、このモメンタムをどうやっていくかというのがいつも課題だと思うのですが、特に人材を含めてということだと思います。

 もう一つは、懇談会の提言書の中には、国際的に日本ができることと、この機会を利用した日本国内の体制整備ということもかなり入れ込んだと思うのですが、例えば医療センターでは国際医療政策研究センターというのもできますし、そうしたところでかなりシンクタンクということもできます。

 「UHC in Africa」というところで1つ欠けているのは、フレームワークの中ではやはりモニタリングの部分が非常に欠けていると思いますし、懇談会の4つの柱の中に国別のモニタリングをきちんとやっていこうということは出したはずなので、JICAのネットワークとか、医療センターのキャパとか、そういういろいろな既存のものを使いながらやっていければということがあると思います。

 グローバルヘルスの中では、グローバルファンドとGHITGAVIPEF、コンティンジェンシーファンドというものがあるのですが、ポリオについて『Lancet』の中で安倍総理がコメントされていたと思うのですが、今のところ、ポリオに関してはまだオフィシャルではないと思うのですが、それに関して、今どういう状況なのかということを伺いたいということです。

 もう一つ、要望としては、この懇談会というのは、非常にパワフルな国際的な大臣のもとで引っ張られたと思うのですが、保健に関しては、厚労省というサブスタンスがある省がこうした懇談会を今後とも内在化して、きちんと組織化して継続していただくことによって、継続的に各省庁と連携をとりながら、非常にサブスタンスという部分、既存のネットワークというのを活用できると思うので、ぜひこれは一過性で終わらないで継続していただきたいなと思っております。

○尾身座長 渋谷先生、ありがとうございました。

 その他ございますか。

 渋谷先生、今、ポリオの話がちょっと聞こえなかったのだけれども、質問なのですか。

○渋谷参与 そうです。ポリオに関して、安倍総理の最初の12月の『Lancet』のコメントにポリオと書いてあったのですけれども、この紙を見ると、ポリオに関しては完全にないので、今のところどんな感じなのかということです。

○尾身座長 わかりました。

 では、事務局からコメントがありますか。ほかの参与の方からはございますか。

○田瀬参与 せっかく呼んでいただいて、何もしゃべらないと何か化けて出そうな感じがしますから申し上げます。

 いろいろと本当にお疲れさまでした。ありがとうございました。伊勢志摩サミットからTICADという動きがあって、非常にいろいろなことが動いたと思います。

 この中では私が唯一民間からの参加なので、現在、特に日本の民間セクターにおいて、どういう動向というか、傾向があるか、今の発表していただいたことに結びつけまして少しだけ御紹介します。

 今、日本の民間企業の中では、SDGsをどうやってビジネスの中に取り入れるかということが大きな一つの課題というか、話題になっています。ただ、定式化されたやり方はなくて、皆さん各社いろいろな方法で模索されて、中期計画、長期計画の中にどうやってそれを組み込もうかという動きがあります。

 皆さんは「ESG投資」という言葉を御存じかどうか。Environment, Society and Governance investmentですね。企業が財務情報以外に環境、社会、ガバナンスに関してどういう配慮を行っているかということを数値化して、それによってその企業に対する投資行動を変えていこうということが、今、極めて大きく激しく動いております。SDGsにどうやって取り組むかということと、自分のところに投資がどのぐらい来るかということが結びつけて考えられております。

 その意味で、特にTICADのときにいろいろ顕著な動きがあったのですが、これまでCSRと考えられてきたような動きをコアビジネスの中に位置づけていく。例えば南アフリカで非感染症薬剤を本当に市場として見ていくための調査に乗り出すとか、これまで国連と一緒にやっている栄養に関する取り組みを本格的なビジネスとして行うとか、それを企業価値の向上ということと直接に結びつけて行うということが、ここ半年ぐらい、特に昨年9月28日に安倍総理が総会に行かれたときに、同時にプレスリリースがあった年金基金の責任投資原則への署名発表が9月28日でしたが、これも1年たつのです。

 今、大きくESG市場というのが動き出そうとしていて、その中でヘルスケアとか薬品に対するアクセス、あるいはそうしたことに対する企業の貢献ということが、直接に投資家の投資をするときの判断基準のトリガーになりつつあるというおもしろい現象があります。ここはこれまでほとんど入っていなかった観点かもしれませんが、グローバルヘルスという意味では非常におもしろいのではないか。

 1つだけ例を申し上げると、今、パンデミックの対応でWFPがバーチャル・サプライチェーンというのをつくろうとしています。これは例えばPEFなどが資金をどうやって確保するかというところに焦点を当てているのに対して、資金がある場合に、ロジ的に調達等をどう回すかというのがWFPの考えているバーチャル・サプライチェーンです。

 ここのシステム構築に日本の企業が入ろうとしているのですけれども、これはただ単にビジネスチャンスを見つけていったというよりは、SDGsから来ているのです。直接SDGsから何らか世界に貢献できるような仕事ができないかと考えた日本の企業がそういうところに入り込もうとしているわけです。

 そういう意味では、国際保健といっても日本の民間企業にとって裾野は広くて、IT企業ですとか、いろいろなところが関わってくるのではないかなと思っていますので、ここ数カ月考えていることを共有させていただきました。

○尾身座長 田瀬さん、どうもありがとうございます。

 その他、ほかの委員の方はございますか。

○林部長 もしかしたら最後の項目で話すことかもしれませんけれども、本当にこれまでお疲れさまでした。

 非常にコアとなる政策の部分がきちんとまとまったということになると思いますけれども、先ほどのポリオのように、それに関わることで、例えば「アジア健康構想」だとか、その他いろいろな活動が繰り広げられている。

 あとは、日本も関わるのですけれども、人口移動で移民が増えたとか、例えば、今、日本で結核の新規感染者数が新宿区で多くなっているという話をこの間聞きました。人が国境を越えて、特に観光客も長期滞在の人もぐんぐん増えていますので、そのあたりのことをどのようにこれから取り組んでいくのかとか、今後の発展の仕方としていろいろ検討する課題があると思います。

 もう一つ、都市の環境衛生、都市の保健といった分野でも水道関係の国際協力で厚生労働省はJICAと一緒にやっていると思いますし、2週間後には10年に1回の国連人間居住会議が開催されます。メインのところにつながるようなことがいろいろあって、それについても、この懇談会なり、いろいろなところで既に取り組んでいらっしゃるし、それは重要だなと思います。

○尾身座長 どうもありがとうございます。

○中谷参与 印象みたいなことからで申し訳ないのですが、お話を聞いていて、私、国際保健を国と一緒にやってきましたけれども、ここ1年の進歩というのは10年分ぐらいを1年でやったみたいな感じで、本当に事務局の方は大変で、走りながら考え、あるいは走りながら苦労してと、本当に御苦労だったということが1点。

 第2点ですが、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジのことを論議して、渋谷先生がやられた「保健医療2035」みたいな、国際保健と日本の保健アジェンダがかなり一致してきたという気がしまして、例えば近藤先生がやっている「Social determinants of health」とか、これだって、この前のNHKではありませんけれども、非常に影響があるので、林先生の先ほどのまとめみたいな感じで、今後これをどうするかという国内行政との連接性みたいなことを考えたら、非常にユニークな活動ができるのではないかなというのが2点目。

 3番目が、林先生から「アジア健康構想」の御紹介がありましたけれども、私が近ごろ見たレポートで非常にインプレッシブだったのは、国連事務局長のヘルス・ワークフォースのハイレベル・パネルのレポートが出まして、それを見ると、まさにアフリカの人材構想にすぐ役立つようなことがたくさん書いてあるので、引き続きそういう国連全体のモメンタムなどを活用しながらやればいいのかなというのが3番目。

 4番目は、尾身先生の最初のプレゼンスが高まっているというお話なのですが、これは次のところでどこかで出てきますけれども、健康危機管理の日本のプレゼンスというのはすごく大きいのですよね。今、WHOの緊急ヘルスプログラムのファンディングを見ると、ちょっと差し障りのある言い方ですけれども、ほかの国は口先だけ、日本だけは言ったことはちゃんとやるので、お財布の中身を見たら日本からの拠出がとても大きいのです。

 今、コンゴで黄熱病が非常に猛威を振るっていますけれども、そこの現場ではJICAの方が努力をされ、日本のお金が行き、この前電話会議をしたときは、日本の貢献に皆さんが非常に感謝をしているのです。こういうことをもっと国民にも知らせるようなことができないかという感想を持ちました。

 ワンラウンドなので、感想ということで失礼しました。

○尾身座長 ありがとうございます。

 その他ございますか。

 事務局から何かレスポンスはありますか。

○江副国際保健企画官 渋谷先生からポリオについての御質問がありましたので、それについて簡単に御説明します。

 全体通しページで58ページをご覧いただきますと、これは「国際保健のためのG7伊勢志摩ビジョン」なのですけれども、4)の(iii)というところでポリオについての言及もございまして「世界的な撲滅が近いポリオ撲滅に向け達成されたこれまでの多大な進捗を認識し,ポリオ根絶・最終戦略計画で示されたポリオ撲滅のための目標達成への我々の継続したコミットメントを再確認する。また,ポリオ関係の資産,資源及びインフラが保健システム強化及びUHC前進にもたらす重大な貢献を認識する」とあります。

 要するに、最後のプッシュをさらにやっていく必要があるということと、仮にその撲滅を達成した場合には、人的な資産も含めてその資産をどう活用していくかというようなことについての言及が伊勢志摩サミットの段階ではございました。

69ページの「神戸コミュニケ」の仮訳の一番上の段落にもポリオの言及がございまして、もう少し踏み込んだことが書かれております。先ほどの説明ではちょっと抜け落ちておりましたし、概要の中からは確かに「ポリオ」という文言が抜けていたのですけれども、ポリオも気を抜かずに最後までちゃんとやるべきだと、最後の一押しをしっかりすべきだということと、その資産をどう活用するかという観点について議論も行われましたし、コミュニケに載っておりますので、これをちゃんと実際に進めていくということが、渋谷先生の御指摘のとおり、重要かと思います。

 もし外務省から何かありましたら、よろしくお願いします。

○外務省国際協力局日下室長 先ほど江副企画官からもお話がありましたように、ポリオについては、首脳コミュニケの中でもG7としてコミットしていくとともにということが記載をされておりますし、総理が寄稿された『Lancet』の中にもポリオ撲滅を進めていくとありますので、政府全体としてこれは重要なことだと捉えています。

 先ほど渋谷先生から御指摘がありましたが、今回のG7サミットにおいて日本から拠出表明がなかったということにつきましては、今回の拠出表明が新規かつ国際保健機関に対する拠出を表明したものです。ポリオ根絶については、従来から継続実施しているものであり、総理の拠出表明にないからといって拠出しないわけではございません。

 実際にどうやって進めてゆくのかにつきましては、現時点では2次補正予算が審議されていますが、その対象は緊急経済対策であり、この中には入っていないのですが、今後しかるべく検討していきたいと思っています。

○渋谷参与 本当に大変なところを御尽力いただいて、ありがとうございます。よくわかりました。

 もう一つ追加で、中谷先生がおっしゃったように、今まさに日本がこれから国内の「医療改革2035」を含め、あるいは地域包括ケアを含めてやっていく案件が、実は世界全体を見ているという印象が非常にあります。

 この前、欧州の製薬企業のEFPIAのフォーラムに出たのですけれども、そこでのテーマは高額医薬品の問題という細かい話ではなくて、医療全体のシステムをどうしていくか、UHCをどう担保していくかという話が多かったので、まさに国際課の案件だけではなくて、厚労省全体の案件ですし、そこには財務の話も絡みます。

 ですから、この懇談会を起点として、国際課の方は今回ぼろぼろになりながら本当に頑張ったと思うのですけれども、そうした知見というのは厚労省の中のいろいろな局・課にあると思いますので、今回の懇談会を契機に、あるいはG7その他を契機に、そうしたグローバルという視点を浸透していただきたい。

 「保健医療2035」にも書いたのですが、日本がグローバルヘルスをリードするためには、国際課がリードするだけではなくて、厚労省全体でリードするという形で、グローバルヘルスの企画官に江副さんがなったということも象徴的だと思うのですけれども、責任感とリーダーシップを持って今後ともぜひ頑張ってもらいたいなとエールを送らせていただきたいと思います。

○尾身座長 では、いろいろなすばらしいコメントがありましたけれども、私からも一言追い打ちを2つだけ。

 林先生と中谷先生の話と関係ありますけれども、この懇談会がせっかくここまで来たので、日本全体あるいは世界全体にもう少し広くこれを活用できないかという話です。日本のサッカーが強くなったのは、草の根で子供からサッカーに親しんでいるということがありますよね。

 お忙しいので、少し時間ができてからでもいいので考えたらいいのではないかというのは、実は国際保健のこれから次の議題の人材という話は、ここで議論して、あるいは省内、各省庁間の国際保健人材をみんなが共有して全体で相乗効果をやってもいいのだけれども、今、日本には内向きな若い人がいるというので、こういう分野がどんなにおもしろくて、どんな経験を日本人がしてきて、どんなおもしろみがあって、どんな貢献をしたかというのを、厚生労働省だけがやるのではなくて、民間の人と協賛みたいなことをやって、若い人たちにこういう世界があるのだというのを、シンポジウムみたいなものを開いて知ってもらえれば良いのではないでしょうか。林先生と中谷先生の話を聞いての私の感想です。ちょっと頭の隅に入れておいてください。

 もう一個、ポリオの話ですが、ポリオの話になると実際に私が関与したので思いが強くなりますが、このポリオが1989年のころに始まって、今、3つの国に集約されているわけですが、ものすごい資金、テクニカル、ヒューマンのリソースをこれだけ投資した国はアメリカ、日本ぐらいでしょうね。

 そろそろエンドゲームに近づきつつあるのだけれども、実はこのエンドゲームが最も難しいのは皆さんも御承知のとおりです。これはなぜかというと、ジオポリティカルの問題でもうヘルスの領域の話ではなくなってきて、国連でいえば安全保障理事会みたいなものにも関わる話になってきているのです。

 今、2つ大きな問題があると思います。ジオポリティカルなイシューと、もう一つは、皆さん御承知のように、今、WHOを中心に現地にものすごい数のスタッフをリクルートしているのです。これはもうかなりの数です。100200の単位ではない。これを日本から来たお金、ビル・ゲイツから来たお金、いろいろな財源を使ってかなりの人数をフィールドに派遣しているのです。

言葉をちょっと丁寧に使いますが、国際的にリクルートされる人たちの気分としては、ポリオの根絶は大事なのだけれども、彼らも生活人ですから、ポリオが完全に終わってしまったら次の仕事はどうなるのかというのがあります。今、ポリオのために生活が成り立っている人たちがごまんといるのです。この人たちには、ポリオのエラディケーションが終わってしまうと次の仕事の保障がないという気分があることはどうも事実のようなのです。

 そういう中で、今、日本がUHCというヘルスシステムとか、IHRのレスポンス、コアキャパシティーというようなものに少しずつシフトすることをリードすると、ポリオを終えても次の仕事があると。これは理想論ではなくて現実論ですから、こういうこともそろそろ考えなければいけない。

 日本がこれだけやってきたものを、最後にやった人がいわゆるクレジットをとるというのが国際社会です。これは下手するとビル・ゲイツが全部やったみたいになる。ビル・ゲイツが出してくれたのは直近のほんの数年です。それまでに日本の政府、JICAも含めて、どれだけ日本がこのことをやってきたか。

 ポリオのエラディケーションが根絶されれば、どれだけのコスト、ベネフィットが浮くか。今はまだポリオは3つぐらいの国であるので、中国も含めて全世界ではまだポリオの予防接種をやっているのです。いずれポリオの根絶が終われば、天然痘のようにこの費用が全部浮くわけです。

 今、いろいろなイシューがある。ポリオもあり、エボラもあるということになって、早くこれを終えると、もう少し他のいわゆるSDGsなどに浮いたお金をという意味もあるのです。

 渋谷先生がおっしゃったように、今、日本では議連もできたと聞いていますが、今回はサミットということで、AMRなどを中心に、どこかの時点でポリオのことをもう一度、日本だけでリーダーシップをとる必要はないですけれども、アメリカなどとうまく協働して、最後のフィニッシュは日本が十分関与したということを伝える戦略を少しずつ練っていったらいいのではないか思います。これは厚労省だけではなかなか難しいと思うので、外務省やら、官邸なども含めてこれから少しずつ準備をしていけばいいのではないかと思います。

○中谷参与 考えてみたら、確かに天然痘の最後の撲滅部長は蟻田功先生でしたよね。蟻田先生は天然痘を撲滅して、自分の部も撲滅して、撲滅してというのは、全部きれいにたたんで次の世代に行ったわけですよね。

 考えてみたら、先生、天然痘の対策チームだって、最初はマラリアをやっていたチームが、マラリアの世界撲滅というのはなかなか現実的ではないので、そういう方々を活用してといいますか、お願いしていたので、うまくシフトをしながらやっていくとプログラムもうまく集約できるし、疾病も制圧できるしという感じになるといいですね。

○尾身座長 おっしゃるとおりですね。

○田瀬参与 私は2013年までパキスタンに駐在しておりましたので、本件については一言あります。

 今、ホットゾーンになっているのは「ファタ」という部族地域で、基本的にパシュトゥーンです。ポリオワーカーの人たちというのはWHOが雇うわけですけれども、パシュトー語がしゃべれないと入っていけないということがあるのと、毎年15人とか20人とか、ワクチンを投与して家から出てきたところを全員射殺みたいなことで殺されています。今年も6月に4人か6人か、同じようなことになっています。

 御存じだと思いますけれども、アメリカがビン・ラディンをつかまえたときに偽のポリオキャンペーンをやったということがあって、アメリカに対するパシュトゥーン人の不信感というのはものすごく強い。要するに、物理的に入っていけないという状況があるわけです。

 その中で、日本の貢献というのはパキスタンでは極めてよく知られています。誰でも知っています。なので、ここから先、特にコミュニケーションということを含めて、ポリオが撲滅できるものであること、そうすることによって、地域の人たちにとってそれが人間の安全保障上の大きな土台になるということを伝えていくという戦略が重要なのではないかなと思っていて、これは国連と日本政府がもっとやるべきだと思います。私は広報センター長だったのですけれども、もっとできると思いました。そこは2国間というか、国連と日本ということでやってもおかしくないぐらいです。

○尾身座長 長くなってすみません。今の田瀬さんのお話に関連して、たしか生活習慣病とエイズは国連で議論されましたよね。だから、ポリオも国連総会で議論になってもおかしくない話だと思うので、ちょっと頭に入れていただければと思います。

 では、議題の1は大体よろしいですか。

 続きまして、議事(2)の「国際保健人材について」、これも事務局より説明をお願いします。

○江副国際保健企画官 それでは、資料2をご覧ください。

 国際保健政策人材関係ということで、こちらにつきましても、中谷参与のワーキンググループから5月に御提言をいただいておりました。

 最初の2枚がその提言のおさらいですが、最初のページは全体イメージで、今後のイメージとしまして循環型のキャリアをつくることで、いわゆる「リボルビング・ドア」を確立していこうということで3つのキーメッセージがございます。

2020年までに国際保健政策人材を50%増加させましょうということを目標としまして、3つのメッセージがあり、1点目が「国内における人材育成強化」です。これは厚労省も含めまして、大学改革も含めて人材を国内でちゃんと強化していこうということです。

 2点目は「国際的組織への働きかけ」ということで、WHOも含めた国際機関等々、民間も入ってくると思いますけれども、国際的な組織への働きかけをしっかりやって、さらに押し出していこうということです。

 3点目は「司令塔の設置」ということで、人材育成の司令塔としまして、グローバルヘルス人材戦略センターのような司令塔機能をつくってはどうかといったことが提言をされておりました。

 めくっていただきますと模式図のようになっておりまして、1点目が内部の改革、2点目が国際的組織への送り出し、3点目がそれらを束ねる人材戦略センター(司令塔)です。

 これらの御提言を踏まえまして、最近のその後の進捗の御報告ですけれども、さらにめくっていただきますと、43ページ「グローバルヘルス人材戦略センター(仮称)の設置」ということで、今、厚生労働省から予算要求をさせていただいているところでありまして、その概要がこちらになります。まさにいただいた提言の趣旨を生かして内部でも議論しまして、今、この要求をさせていただいております。

 さらに、もう一つ縦紙の資料をつけておりまして、これは中谷参与から御提出いただいた資料ですけれども、実際に戦略センターができるまでにもできることを前倒しでやっていこうということで、中谷先生に音頭を取っていただいて「Go UN/WHO」を開催し、WHOの人事担当者を日本に呼びまして、かなり実践的なキャリアセミナーを8月に行っていただいております。これにつきましては、後ほど中谷参与からも補足をいただければと思います。

 資料の説明は以上です。

○尾身座長 ありがとうございます。

 それでは、中谷先生から何かありますか。

○中谷参与 若干補足説明です。この縦紙の資料はこの懇談会の皆様にもお見せしていたと思いますけれども、東京会場、大阪会場を作りまして行いました。

 東京会場はどんな人が来たか、ちょっとイメージが湧くと思うのですが、73名の参加がありまして、大学院生と学部学生の方が36名、社会人が残りというような構成です。

 それで、またここがおもしろかったのですが、外国人留学生の方が13名おりまして、外国人で特に日本の大学に留学している方は日本の大学から次のステップを考えているので、こういう需要もあるのだなというのが嬉しい驚きという感じで、ただ、これは非常にいいことだなと思いました。

 何を行ったかといいますと、WHOの現実にリクルートしているような人からまず話をしてもらって、例えばCVの書き方とか、あるいはエッセーの書き方をエクササイズして、希望者には「公文式」と言ったのですが、送ってもらって赤マークで添削して返してやるということもやりました。

 非常におもしろいところが「Competency Base Interview」というのですが、過去どんな経験をしましたか、それを生かしてチャレンジに直面したときどう解決しますかというのが基本的なインタビューの仕方なのですが、日本の方はあまり慣れていないので、モデルインタビューを見せて、スモールグループに分かれて演習をするというようなことをやりまして、皆さん非常に満足をして帰っていったということでございます。これが東京です。

 大阪も基本的に同じことをやりまして、60数名の方が来ておりますが、「60数名」と人数が固まらないのは、これは今風というのでしょうか、保護者つきで来た方がいるものですから、そこをどう処理するのかみたいなことでちょっと悩んでおりますけれども、60人ぐらいの参加がありまして、基本的に同じような構成でやりました。

 人材センターができたら、このようなことを少し体系的に行い、これをうまくモジュールにしてほかの大学などでもできるような形にしていきたいなというのが私の個人的な希望です。

 以上です。

○尾身座長 どうもありがとうございました。

 どなたかコメント等ありますか。

○大西参与 人材のところだけちょっと。

 座長がおっしゃったように、サッカーとまさしく一緒で、裾野が広くなければその産業分野はいずれ廃れるということになると思いますが、現状でジュニアオフィサー的な人たちが経験を積める場所として、今、最もグローバルに伸びているのは市民社会の分野で、マーケットとしてはやはりNGOとか、そういったところに、最初のまだスキルがそんなにないけれども、意志は高いという若い人たちが現場を踏める場所というのが拡張していっているように思うのですけれども、残念ながら日本では逆の現象が起こっておりまして、日本のNGO全体としては、国際協力の分野では、匍匐前進ではありますけれども、成長しています。

 医療、福祉、保健云々というところで見ると、ほとんどが小さいまま終わっているか、多少成功したところも、もはや機能停止をして皮を残すのみという状態になっていまして、記者さんがいらっしゃるので固有名詞は避けますけれども、唯一伸びているのは渋谷さんがリーダーシップをとられているところぐらいで、全体としては、我々は今、NGOをスーパーバイズする立場にも立たせていただいているのですが、日本の中では医療系の事業が絶滅危惧種に指定されそうになっています。

 なぜかということですが、全ての日本のNGOがもうだめだというのだったらわかるのですけれども、医療系、福祉系、特に医療系のNGOだけがだめで、何らかの特別な制約がこの国の中にある可能性があります。

 それは何かということを探っているのと、それを取り除いた上で、政策誘導的にジュニアオフィサーたちが経験を積めるような場所としてのフィールドを広げるために、多少医療系NGOを強化しなければならないという気がしております。

 これも外務省さんとの協調も必要なのですが、まだ私どももう少し知見が足りないので、皆さんのお力を借りながら、そこに既にある予算で何十億円かという予算を割り当てるということは、多分ジャパン・プラットホームとしても、他の組織としても可能だと思うので、その強化対策をどうするのかということです。

WHOとか、そういう国連機関もいいと思うのですが、いきなりハイレベルで入れるわけではなくて、やはり欧米人にはNGOの経験が多い人はたくさんいますので、20代後半でどこどこのフィールドで経験を積んで鍛えられたとか、30代前半まで頑張っていたとか、そういう話がないと国際的には通用しないので、医療系NGOをどうするのかというところに少し焦点を当ててこれから一緒に考えていただければと思います。

○尾身座長 大西さん、どうもありがとうございます。

 少し時間があるので、今のことについていかがですか。

○中谷参与 今のはとても大切だと思うので、何が制約なのかとか、もう少しお聞かせいただけないでしょうか。

 今、私たち人材ワーキンググループで考えていたのは、キャリアとしては、例えばJPOを最初に使って、各国連機関の年齢構成を見るとユニセフなどは割と若いオフィサーのポジションが多いので、JPOからユニセフへ行って、WHOは割とシニアのポジションが多いのでWHOへ行く。このようなキャリアを考えていて、日本のNGOをどう組み込むのかというのは私たち自身もチャレンジと思っているのです。もう少し教えていただけたらと思います。

○大西参与 今、日本のNGOの総額の予算というのは、ちょっと手元にないのでいい加減なことは言えないのですが、多分何百億円という単位でしかないと思うのですが、それでもそれぞれの分野で人を雇いつつPhDに戻したり、他の機関に行ったりするような、いわゆるスモール・リボルビングドア状態になりつつあって、政治家になる人もいますけれども、少しずつ役割を果たしつつあるのですが、医療系NGOだけは残念ながら鳴かず飛ばずばかりで、多分制約の要因は、NGOに特に若いときに行くと、キャリアが切れるというようなカルチャーがあるのではないかなと思うのです。

 要は、回り道になってそのまま外れ道になるという恐怖感が、それは当然、私はあまり感じておりませんが、皆さん、例えば渋谷さんの方が多分感じているかもしれないのですけれども、そこですかね。

20代だと、そんなに金銭的なことばかりは言わない時期なので、まともな人は金銭よりも経験をとると思うのです。ですから、おもしろいことができていればNGOでもありなのですけれども、なぜか医療系NGOが成り立たない。

 渋谷さんのところは例外的に伸びているので、医療系NGOをやられている渋谷さんに、聞いてみたほうがいいと思うので、どうぞ。

○渋谷参与 私の個人的考えを言うと、昔は東大法学部のトップは省庁へ入って、その次にどこへ行ったかというと、投資銀行へ行って、今、一番優秀な人は何をやるかというと、自分で会社を興すという、10年、20年かけてアメリカの方向に来て、またちょっと方向が変わっているかもしれないのですけれども、自分で起業して、自分でビジネスをして、自分で何かをやるという比較的若くて優秀な人、金儲けだけではなくて社会的課題を解決するいわゆるソーシャルビジネスをやりたいという人は、結構NPOに行くこともあります。

 これは田瀬さんに結構関わるところだと思うのですけれども、NPOというのは、昔は政府に陳情して補助金をもらって、その中でやっていた人たちが自分たちでビジネスモデルをつくって、儲けをしながら社会的課題を解決するというような形をしている人たちが増えてきた。

 恐らく大西さんたちがやっているようないわゆるNPOというのは、昔のNPOではなくて、ある意味では商社的なNPOで、自分でリスクをとって投資をしながら、その投資で新しいものをつくっていく。ある意味でビジネスですよね。そうした形の分野というのは比較的できている。医療がまたちょっとそこで馴染まないのは、1つは、やはり公的保険の中でやっているということだと思います。

 あとは、最近始まった働き方検討会に関わるのですが、やはり医師のキャリアトラックというのは、がちがちに決まっているところがあるのですが、私の個人的印象としては、若い世代の医者たちというのは、むしろ地域でいろいろ研修したいし、外に行きたいと希望しているのですが、結局、医局とか大学を離れることへの恐怖とか、先ほど大西さんがおっしゃったように、やはりキャリアが抜けるというところがあるのではないか。

 比較的若い人でも、例えば東京大学でいうと、30代半ばの世代というのは、100人中20人は医者をやっていない人たちも出てくる時代になってきています。その人は何をやっているかというと、まさにNPOをやったり、福島へ行ったり、政治家になったり、投資銀行へ行ったり、コンサルタントになったり、そういう能力の中で医療というものを変えていっている人たちが増えてきたのです。

 私自身は、コホート・エフェクトというか、世代的にあと5年ぐらいすれば、医療系のNGOを含めて、必ずしもNGOという形ではなくてビジネスという形でもいいので、プライベートセクターでそういう若い世代が新しい形で医療というものを変えていく。その中でグローバルというものが出てきてもいいのかなという気がします。

 グローバルヘルスの中でももちろん貢献は大事なのですけれども、やはりSDGsの時代というのは、国連だけではなくて、市民社会とかプライベートセクターの力というのは非常に大事ですし、むしろ市場というものを無視して動かないですし、そうした感性というか、そうしたスキルを持つ人材というのは本当に必要だと思います。

 今回、人材がいないと言いますけれども、例えば皆さんのお手元にある資料の7ページの懇談会のワーキンググループの若手メンバーがもう25人いるのです。この25人は既にいろいろなセクターから来ていて、本当に優秀な人たちなのですよね。こういう人たちは、中谷先生のセンターでそうした人材の要請があれば、すぐにCVを出せというようなことを言えば、結構人材は集まるのかなという気がします。もう既に25人の候補がいますので、これは非常に優秀な人たちですから。

 意外と若手でいろいろな分野で頑張っている人たちが出てきたということで、5年したらこの分野は、今回の盛り上がりを含めて、特に私が一番うれしかったのは、このワーキンググループの懇談会の若手のメンバーがこの提言書を書いたのです。私はただ単にモラルサポートをしているだけで、実際にアイデアは全部彼ら、彼女らから出てきたので、そうした人が育ったというのが何よりもアセットかなと思っています。

○近藤参与 私はこの会議に呼ばれるまで自分が国際保健をやっているという自覚が余りなかったのですけれども、健康の社会的決定要因のことを研究していたせいか、私のところはに国際保健に関心のある院生や研究者などが集まってきているという現象があります。

 この間、千葉大が,WHOに行っていろいろ勉強する大学院のコースをつくって、グローバルヘルスに触れる機会が増えました。やはり行くと顔つきが何か変わって帰ってくるというのを感じていまして、昨日も1人、WHOに行くことも考えたいということを言い出したり、中谷先生が苦労されてやられていることを積み重ねれば、じわじわと効いていくなという手応えを間近で見る機会がありました。

 資料2のところでぜひ具体化していただきたいなと思うのは「止まり木」の1つとしての大学のことです。つい先日、大学に報告する評価基準みたいなものが来たのですけれども、「国際的な活動の評価」というとインパクトファクターが入っているのですが、国際機関で働いたみたいなものが全然入っていません。そのために、そういう意欲を持った人たちが、キャリアが切れてしまうとか、帰ってこられなくなるのではないかとか、そういう恐怖感を持ちがちなのです。

 今回、この場には文科省の方はいらっしゃらないようですけれども、文科省が大学を評価する基準の中にそういうものを入れていただくだけで随分雰囲気が変わるのではないかなという気がいたします。これは予算が要らない話ですので、ぜひ早急に実現していただきたいなと感じます。

 

○柳沢参与 先ほどの大西さんのお話を聞いてちょっと驚いたところがあるのですけれども、ああそうなのかと思ったのですが、若い人たちの国際保健への関心というのは、国連など国際機関で働いてみたいなという人も多いと思うのですけれども、まず現場に行ってみたいと思う人が結構います。

 私どもがやっている青年海外協力隊事業というのがあるのですが、最近は非常に若い人もしっかりしていて、例えば、隊員で行って保健の現場に関わって、もっと自分は勉強したいと思って大学院に行くとか、そのときには、既に自分が行った職種ではなくて、もうそれは捨てて、もっと広く国際保健を勉強したいとなっていく人もいるし、逆に大学で国際保健学科で大学院まで行って、それを現場で試してみたいということで応募してくる人も結構いるのです。

 そういう現場の本当の保健の実態を知っている人たちがもう少し大きくグローバルで活躍してみたいというキャリアも当然あり得ると思いますので、この構想の中に国際保健の現場というところを入れていただくと、若い人たちがキャリアを考える上でも大変参考になるのではないかなと思います。

○尾身座長 ありがとうございました。

 中谷先生、現場の話は何かありますか。

○中谷参与 非常に重要だと思うのですが、なかなかアレンジするのが難しいのです。ですから、例えば、JICAのプログラムと何か合わないかとか、それは大いに考えたらと思います。

 若い方なのですが、この前の神戸の保健大臣会合で、保健大臣会合自体も立派な大会議だったのですけれども、私、非常に印象に残ったのは、前の日にプレイベントをやりました。そのときの予想外のハイライトは、盛り上げるために地元で高校生が手づくりで国際保健の会議をやったのです。各学校から代表者が集まって自分たちで企画して会議をやって、その報告書をマーガレット・チャンさんに提出するというので来まして、話し始めたのです。そうしたら、マーガレット・チャン事務局長がとても興味を持ってしまって、会議が中断してしまって、そこで報告を全部聞くみたいな話になってとてもいい感じだったのです。

 その学生さんたちも、事務局長さんに直接聞いてもらえたというので非常に感心したし、もっと私が驚いたのは、若い人は物怖じしないでちゃんと英語で、拙いと言ったら失礼ですが、一生懸命しゃべったのです。それが非常に良かったです。こんなことがもっと全国津々浦々でできたらいいなと強く思いました。

○渋谷参与 「止まり木」機能というのがあるのですけれども、できる人は別にとまっていなくてどんどん流動していると思うのです。「止まり木」機能という言葉が、単に雇用を確保するという補助金的なにおいがするので、例えば、大西さんのところへ行って鍛えてもらうとか、NPOを含めもっといろいろなネットワークを入れていただいた方が、センターに半年ぐらいいて楽して何もしないというのは良くないと思うので、そういう人はもう少しアクティブにいろいろなところでこき使ったほうがいいのではないか。

 むしろそういう方が伸びる人も多いと思いますし、あるいは大学というのもいいのですけれども、「止まり木」機能というのは基本的に余りお金が要らないですよね。だから、大西さんのところに派遣すれば、そこで給料を出してもらって、こき使っていろいろな経験をするとか、むしろそのようなネットワークをどんどんつくっていくことが、従来の国連だけではなくて、いろいろなところのハブになるようなイメージになってくれていいかなという気がします。

○田瀬参与 私、今のはすごく賛成で「止まり木」ということと市民社会強化というところが今まで結びついていなかったのではないかなという気がします。

 私、別に1つコメントがあるのですけれども、大西さん、先にどうぞ。

○大西参与 すみません。では、近藤参与の意見を継ぐ形で。

 先ほど文科省なり、大学・大学院なりが認証するとか、保証するとか、そういう制度をはっきり明示すると変わるのではないかとおっしゃっていたと思うのですが、これは医療の分野ではございませんが、最近、信用保証協会がNPO枠をつくってNPOに融資してよろしいという枠を金融庁通達でつくったのです。途端に銀行はNPOにお金を貸すようになりました。

 ちょっと前までは、いくら億円単位の預金を持っていても、定期預金に1億円入れてくれたら1億円貸すとか、ふざけた話ばかりだったのですが、だったら、その定期預金を使いますよという話だったのです。では、次につながるのですかと言ったら、わかりません、多分ないと思いますという話だったのです。

 ただ、信用保証協会の枠ができた途端に、億円単位で借りてくださいと、返さなくてもいいですからというふざけたことをまた今度は言い出していて、365日借りてくれて、最後の日に返して次の日にまた借りてくれたらいいみたいな、そんなふざけた話が出てくるのです。

 それはどうかと思うけれども、そういう枠ができたら、誰かがそういうエンドースをしていると、そういう時代になったのだとみんなそちらを向いてしまう権威主義的な日本の社会なので、それを逆に使うというのはありかもなという気がするのです。そういう社会だというようなシグナルを出すということです。

○田瀬参与 別の観点なのですが、この人材養成戦略の策定過程の中で、民間からの人材というのは、比較的早い段階ではそれほど大きなプライオリティーではなかったので、私も強くそこでは言わなかったし、これでいいと思うのですけれども、例えば、うちの会社から今年1人JPOに受かっています。毎年5人とか6人受けている人がいて、WHOに行きたいという人もいます。コンサルティング会社なのですが、ライフサイエンスという物すごく大きなユニットがあって、ものすごくよく知っている人たちです。特にライフサイエンスの業界に行くと、もっとこういう人たちがたくさんいるのだと思うのです。

 そういう意味では、民間から国際機関へのパスというのも十分にあり得て、例が出ているので、将来的にこの中に民間からのパスということも要素として含めて考えていくべきではないかなと思います。

○尾身座長 ありがとうございます。

 もう少しで時間ですけれども、これは事務局に聞くべきか、中谷先生に聞くべきか。42ページで「止まり木」と書いてあるのは、もう最終化して一言一句変えられないのですか。この図の文字は多少は修正できますか。

○江副国際保健企画官 1枚目と2枚目自体は、もう既にいただいた提言の表現ですので、これ自体は変えられないのですけれども、今後これをどう生かしていくかという部分で工夫の余地はあると思います。

○尾身座長 今のお話全体を聞いていると、〔1〕〔2〕〔3〕とありますね。〔1〕は「厚労省・大学等」とあります。〔3〕の「人材戦略センター」というのは、どこかに本部を置くわけでしょうから、これはもう決まって、〔1〕に「大学等」と書いてあるから、柳沢さんのJICAの青年海外協力隊の事務所に行ったっていいし、大西さんはNPOというようなことで、今、そう理解してよろしいですか。中谷先生、この「等」というのはそれでいいですか。

○中谷参与 そもそもコンセプトが、全てのセクターをということでオールジャパンを強く意識しているので、「等」というのはまさにエブリバディという意味で書いてあると思います。

○尾身座長 官・民も含めてね。

○中谷参与 そうです。

○尾身座長 このままだと何となく官がというのはあるので、では、運用上のそういう趣旨のことを、NPOだとか青年海外協力隊とかがせっかくあるのだから、そこをうまく活用して、そういう部分も包括したらいいのではないかということで、よろしくお願いします。

 それと、近藤さんのお話で、先ほどの大学の基準みたいなものというのは、確かにこれは次回、文科省の人にも来ていただくことは可能ですか。それとも文科省は教育は自分たちのものだからという感じですか。

○江副国際保健企画官 大学に関して少し補足いたします。

 資料2の最初のページに「大学改革」と入っておりまして、これにつきましては、塩崎大臣も非常に強いこだわりがあって、御指示がございまして、文部科学省さんとちゃんと連携させていただきまして、この「大学改革」のコンセプトとしましては「国外経験を職歴として評価し、業績として認める環境整備」ですとか、具体的な人材育成関連事業の評価において、海外経験等を導入することを検討するといったことをかなり前向きに検討いただいておりますので、近藤先生はもうお帰りになりましたけれども、そういった議論は既に文部科学省さんとさせていただいております。

○尾身座長 では、近藤さんの懸念は既にそういうことで受け取られているということですね。

○渋谷参与 2点ほど。

 先ほどの大西さんの続きなのですが、認証ではないですけれども、結構日本は権威づけが好きなので、難しいかもしれないですが、グローバルヘルス研修制度合致施設とか、何かそういうものをつけてあげたらいいのかなと思います。でも、そういう認定があるとやりやすいと思います。

 あと、これは多分、財務省といろいろやって予算をとろうとしているのですけれども、大西さんのジャパン・プラットホームとか、あるいは田瀬さんだって結構お金を持っているのです。

 いやいや、ごめんなさい。違うのです。彼らのお金をうまくてこにして、そういう研修に送っている彼らに払ってもらうというのも一つの手なので、むしろそういうところを起点にしたらどうでしょうか。若手の研修はいいのですけれども、それがいずれ幹部も含めてリボルビング・ドアみたいになっていくような形のイメージで、官のお金だけ使う必要はないので、あるところのお金を使ってそうしたキャパシティを伸ばしていって、彼らにいろいろな経験をさせるといいのかなと思います。

 あと、これから鎌田局長のところの医療センターで、こうした人材センターとか、政策センターがあるので、政策人材というのは、ロジカルなこともできたり、プラクティショナーというのも必要ですし、センターも必要なので、アジェンダセットが必要なので、中谷先生が考えたような人材が包括できるような形が少しずつできてきているのかなというので、今後、実行するときに、官だけではなくて民間、市民社会のリソースを使うという方向性をぜひ有効に使ってほしいなと思います。

○尾身座長 そうですね。おっしゃるとおりです。

○林部長 もうしっかりイメージができて来年度から概算要求1億円とついているので、もう早々に発足するという理解でよろしいのかということと、2020年までに50%と決まっているので、継続してやっていくということでよろしいのか、もしその見通しとかがあればということ。

 あと「等」という言葉についてですが、「厚労省・大学等」と書いてあって、次の43ページのところに「登録希望者(医学部学生等)」となっていて、ここもかなりもちろん看護の方とか、理学療法士だとか、そういった方もあるだろうし、多くの職種の方がこの国際保健というところには関わっているということも一つ重要かなと思います。

 今、大学改革ということをおっしゃられて、中谷先生からも高校生という話が出てきましたが、職歴として見るということと、最近、大学生が就職する前に、夏の間2週間、3週間のトレーニーシップをすることが次の就職のステップにつながっていくということが日本の中でもかなり行われていると聞きましたので、そうしたものが就職につながるということも、NPOでもそういう枠組みをつくるとか、それがこういう公的なフレームにきちんと書かれているというのも有効で、しかもお金がかからないと皆さんおっしゃいましたけれども、それも考えていただいたらいいのかなと思いました。

○尾身座長 では、事務局、今の人材の全体で何かありますか。

○江副国際保健企画官 先ほど御説明したとおり、43ページの図はあくまで要求中という整理ですので、その意味ではまだこれからという段階でございますので、何か決まったものということではございません。また頑張ります。

○尾身座長 検討の余地があるということですね。

 それでは、そろそろ時間ですけれども、私も1つだけ。

 先ほどの大西さんの話は、中谷先生も大変おもしろいと言っていましたが、ほかの分野は国際的にNGOとかが結構行っているのだけれども、医療の分野はどうも少ない。それについて、渋谷さんが1つの答えとして言っていましたが、日本の医療は基本的には公的医療になっているわけですね。そういうこともあるし、医局の問題というのがある。

 これはちょっと情報ですが、実は1時からその会議があるので私もそちらに出ますけれども、今、日本のお医者さんの専門医機構というのがあって、どうもお医者さんは基本的には臨床をやるという前提で議論が今まで進んでいたのです。医学部を出た人たちは、脳外科だとか、どこかの臨床科をやるということになっていましたが、実はそうでない人たちもいっぱいいるのです。

 患者さんを診ないで基礎研究する人、あるいは公衆衛生をやる人というのがいるので、今、公衆衛生の関係の学会が集まって連絡協議会をやって、その人たちが内科とかと同じように1つの専門分野だと。

 先ほど渋谷さんでしたか、日本の場合にはまだ権威みたいなものに弱いので、何とか専門医をつけると、若者は自分がこの分野を選んだときのキャリアディベロップメントはどうなのか、やはりそういうことにかなり興味があるので、医療界の中でも国際分野をやるのも専門ですというようなことが少しずつ出てくる可能性があるので、そのような視点でやったらいいのではないかということで、いい議論があったと思います。

○中谷参与 今の論議の中で感じますのは、やはり医療の分野は日本だと保健でがちがちなので、逆に言うと国際保健の分野はちょっと違ったお財布があるわけですよね。ですから、そこは非常に目のつけどころがいいのではないかというのが印象です。

 今年の日本公衆衛生学会では公衆衛生人材の国際化というのがテーマです。特別講演はスウィットさんにお願いしまして、こんな話をスウィットさんにしてもらおうというようなことでやると聞いています。

 やはり全体的に専門医志向というのがものすごく強いので、皆さん、本当に社会医学系はどうなるのだとか、そのほかの例えば法医学の人はどうなるのだとか、こういうノンクリニカル分野の位置づけというのはよく考えていただかないと、とても困ってしまって地域医療も大変だと思います。

○尾身座長 

 それでは、今、議事(2)が終わって、今度は議事(3)の「今後の国際保健の進め方について」、事務局より説明をお願いします。

○江副国際保健企画官 それでは、47ページの資料3-1、49ページの資料3-2を御説明します。

 まず、資料3-1「国際保健に関する今後の主要会合日程」ということで主なものを並べてみているのですけれども、今月につきましては、WHOの地域委員会がマニラでございまして、同じ週にオランダでGHSAGlobal Health Security Agendaの閣僚級会合がございます。WHOの財政対話というのが10月の下旬にございまして、それにあわせてWHOの事務局長選挙の候補者の演説会というのもあります。

1112月にかけまして、通例でありますと国連総会で「外交政策と国際保健」の決議というものが行われるのですけれども、今回については、これまでのG7の議論をどう盛り込むかといったことも論点になってこようかと思います。

12月には日中韓の保健大臣会合と、「UHC2030」というG7伊勢志摩での提言を踏まえて新たに衣がえしたUHCのプラットホームの関連会合があります。

 来年になりますとWHOの執行理事会が1月にありまして、OECDの保健大臣会合が5年ぶりに行われるということで、医療費の非効率と無駄、新技術等が議題になると聞いております。

GHSIGlobal Health Security InitiativeというG7プラスメキシコの枠組みですけれども、これの閣僚級会合がございまして、来年、G20で初めての保健大臣会合がドイツを議長としまして行われると聞いておりまして、今のところ5月を予定されているということで、少なくとも公衆衛生危機を議題にすると聞いております。

WHO総会が5月にございまして、事務局長選挙、予算審議等がございます。

UHCの国際会議、これはTICADのフォローアップの位置づけでありまして、未定ですけれども、世界銀行、WHO共催で日本で行ってはどうかという議論がございます。

G7のイタリア保健大臣会合、これはG7、神戸保健大臣会合の際に、イタリアから、まだ政府内で検討中ではあるもののという前提のもとで、来年の後半にイタリアで保健大臣会合をさらにやりたいという申し出がございましたので、ここに掲げております。

 引き続きまして、資料3-2を御説明します。

 今後の日程はほかにももちろんあろうかと思います。世銀の春の総会ですとかはもちろんありますけれども、こうした主な主要会合日程を踏まえまして、今後の進め方の主な論点を事務局の案として整理したものがこちらになります。

 やはり3本柱という整理の中で考えてはどうかということで、1~3は伊勢志摩の3本柱を踏襲しておりまして、4番目が人材養成、派遣をどうするか、5番目がその他という構成にしております。

 「1.公衆衛生危機に対するグローバル・ヘルス・アーキテクチャー」の〔1〕につきましては、国連の事務総長のもとで健康危機タスクフォースというのが今年の夏に発足しまして、尾身先生に入っていただいていますけれども、1年間でハイレベル・パネルでの提言をどう実現していくかを議論すると聞いておりますので、そういったことのフォローと、WHOの独立監査諮問委員会が今年の春に発足しておりまして、こちらには中谷参与が日本からは参画しておりますので、こうした全体をオーバーサイトするような枠組みをどう活用するかといったことも一つの論点かなと思います。

 〔2〕が、WHOと国連人道問題調整事務所(OCHA)、田瀬参与がいらっしゃったところですけれども、その2つの機関が協働しまして、SOPStandard Operating Procedureの策定を今進めておりまして、これを確実に策定するということと、それを国連総会でどう位置づけるかといったことが論点としてございます。

 〔3〕が、WHOの新健康危機プログラム、これはもう10月1日で具体的に稼働を始めておりますけれども、こちらをどう確実に軌道に乗せるか。それから、もう既にございますCFEが引き続き資金不足でありますので、こうしたことをどう確立していくか。

 〔4〕が、IHRのコアキャパシティーに関して、合同外部評価、JEEJoint External Evaluationという枠組みが発足しておりますので、これはWHOGHSAに関連して行われるものですけれども、これにどう関わっていくか。日本自身がこれを受けるという話もございますし、日本からどう貢献するかという話もございます。

 〔5〕が、GHSAということで、Global Health Security Agendaという、もともとは米主導で始まったアジェンダですけれども、これらを通じてIHRの実際のコアキャパシティーをどう達成・支援していくかという問題がございます。

 2点目の「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)」ですけれども、〔1〕は、新たに日本の伊勢志摩でのイニシアチブもありまして、衣がえしました。それまでは「International Health Partnership Plus」と呼ばれていた、もともとイギリスから始まった枠組みですけれども、これがUHCに特化して衣がえしましたので、これに日本としてどう協力していくか。

 〔2〕が、2017年めどで先ほど申し上げたUHCTICADのフォローアップをする国際会議、これはアフリカだけではなくて、それ以外も含めてやってはどうかといった声もございますので、どのような中身にしていくかといったことが論点としてございます。

 〔3〕が、WHOGlobal Healthy Ageing Initiativeということで、これも神戸で特に取り上げたものですけれども、WHOにおけるHealthy Ageing Initiativeにつきまして、高齢化が進んでおります日本として、内容的にも、それ以外でもどのように支援していけるか。

 〔4〕が、アクティブ・エイジングに関する国際協力の実施ということで、これはアジアを中心に高齢化が進んでいる国々にどのように国際協力ができるかという点です。

 3点目が「薬剤耐性(AMR)」ということで、〔1〕が、国連総会のこの9月にございましたハイレベル会合のフォローアップです。

 〔2〕が、この4月に東京でAMRに関してのアジア・太平洋の閣僚級会合を行っておりますけれども、それを引き続きどうフォローアップしていくか。

 4点目が、今日議論いただきました「国際保健政策人材養成および派遣」ということで、〔1〕が、今、要求中のセンターの検討です。

 〔2〕が、国際感染症対応人材につきましても、内閣官房を中心にしまして政府全体として育成していくということになってございますので、これをどう進めていくかということも関連するかと思います。

 「その他」としまして、これまで必ずしも明確には範疇に入っていなかった、強いて言えば、NCDの文脈、あるいは高齢化の文脈で読めるとは思いますが、明示的に浮上してきているアジェンダとしまして、今般、アメリカで日米韓保健大臣会合がありましたように、ゲノム医療、がん研究というのを国際的にどう進めていくかといった点などが入ってきております。

 これはあくまで事務局としての素案ですので、これにとらわれず、今後どのように進めていければいいかという点について御議論いただければと思います。

 以上です。

○尾身座長 どうもありがとうございます。

 これからの国際保健の進め方について、何かありますか。

○林部長 今後の論点を挙げていただいて、ありがとうございました。

 先ほどひとしきりポリオの話が話題になったときに、私も一言言いたいことがあったので、この点とも関連いたしますので申し上げます。

 私がちょうどセネガルにおりましたときに、10何年ぶりにセネガルでポリオの患者が出ました。それはどういうことだったかというと、先ほど皆さんがおっしゃられたことと全て関連していて、ナイジェリアの北部の例のボコ・ハラムとかがいるところで、イスラムの主導者がポリオの注射を受けるなと、あれはアメリカの陰謀だからというようなことを言い出して、そこでポリオの患者が多数発生した。それはパキスタンと時期は同じ頃です。

 その人たちがサヘル地方を動くので、ナイジェリアの北部からだんだんセネガルにやってきた。最初に出た患者である子供さんは、親がギニアからいろいろ動いていた漁民の子供さんで登録をしていなかった。それで、セネガル保健省の予防接種のリストに入っていなくて、予防接種をしていなくて、そうしたことでかかってしまった。

 もうまさにこれは現在のアフリカの縮図であり、イスラーム原理主義、登録されていない人がいるし、人が動いているということで、尾身先生がおっしゃられたようにエンドゲームが本当に難しい。

 これはほかの分野もあわせてということですが、今、UHCのアフリカ、TICADの後継でやるということの中にも、そういういろいろな社会事情があるということも多分含まれると思いますけれども、そういうことを含めていただいて、先ほども出たように、この論点の中にはポリオの撲滅ということも盛り込まれたらいいのかなと思いました。

○尾身座長 ありがとうございます。その他ございますか。

○中谷参与 論点整理をしていただいて、ありがとうございました。

 この懇談会の今後の身の振り方みたいな感じの論議とすると、座長、ちょっと基本的な性格の論議をされたほうがいいと思うのです。例えば、今、合意したようなアジェンダのオーバーサイトというか、進捗を見てアドバイスをするのか、あるいは今日論議したようなちょっと違った側面も入れた新しいアジェンダを論議するのか、それはちょっと論議をされたらいいのではないかなと思います。これが1つ。

 2番目は、これを見ておりますと新しいアジェンダも出てきまして、例えば国際人材のところを見てみますと、人材センターの検討と国際感染症対策人材の育成とありますけれども、ヘッディングの下にまとめていただいたように、これはすごくリンクしていて、国際感染症対策人材を養成した後、それが国際人材として生かせるか。

 一方でちょっと心配なのは、国際感染症対策人材を養成するのは、チャリティーでWHOの派遣・研修をするのではなくて、やはり日本の感染症対策の主体にもなっていただきたいわけなので、そこの国内と国際のバランスみたいなこともどこかで考えなければいけなくて、養成したのはいいのだけれども、みんな外に行きましたというのでは、ちょっと国民としては困るのではないかなという意識も持ちながら考えなければいけないかなと思いました。

 以上です。

○尾身座長 そうですね。もう少し時間があるので、あり方も含めて、この懇談会の運命はどうなるかということですけれども、余命幾ばくもないのかというのと、予算のこともあるでしょうけれども、この辺は事務局は何かざくっとした感じは今のところあるのですか。それともこれからですか。

○大鶴国際課長 正直、ざくっとしたイメージのみですけれども、今日見ていただいたとおり、今後の国際保健に関する会議日程というのがある程度見えてきていて、そこの会議にどのような戦略を持って臨んでいくのかというようなことを考えていかなければいけないだろうと思っています。

 こうした会議日程の中で、我々がこれまでG7でリードしてきたテーマをどのように反映させていくか、新しい動きにどのように日本として入っていくのか、そうしたことをぜひこの場で議論していただきたいと思っていまして、開催自体は、こうした今後の会合日程の中での節目、節目で御意見を伺いながら我々のスタンスを固めていくというようなことができればと思っております。

○尾身座長 そうすると、はっきりしているのは、今回、ちょうどG7サミットに向けてこの懇談会が役割を果たしたのと同じように、これからも国際会議はあるわけですから、適宜それにインプットするということはどうも確定と。

 それに加えて、中谷先生の問題意識は、例えば、人材というのは継続ですよね。別に国際会議とは関係ない話なので、報告だけではなくて、そういう部分も何か戦略を立てたり、ポリオの話をどう仕組んでいくかとか、議員連盟があるのだったら、そこにどう働きかけるかとか、あるいは官邸にどう働きかけるかとか、2つは少し次元の違う話かと思うので、後半のほうは、私の感覚だと別にそれはそれで参与の方たち、あるいは事務局が議論しようと言えば、それを妨げるものではないと私は理解しているのだけれども、どうですか。

○大鶴国際課長 これも今、概算要求しております。今日もいろいろ御意見をいただきましたけれども、人材センターの今後の動きですとか、政府全体で国際保健人材をどうやってつくっていくのかというようなことも課題になっていますので、そうしたものをこうした会議の中で適宜議論していただくということになっていくのではないかと思います。

○尾身座長 今日議論されたようなことは、もう既に事務局はちゃんと頭に入っているから、できないこともあるでしょうけれども、できることはやっていただくという感じですね。

 それでは、その他、今の事務局のこれからのあり方について何かありますか。

○大西参与 事務局のあり方というよりは戦略・戦術の立て方なのですが、こういった国際保健に携わる人材を受け入れるフィールドを充実させていくのに既に1億円の要請をしておられますけれども、それプラスで考えていただいていいのですが、この会議でも厚労省でもいいのですが、誰かにエンドースをしていただければ多分ファンドレイジングできると思うのです。この話だったら多分1億円、2億円は1年で集められると思います。そういった場所をつくっていく努力をする大本としてこの会議があるというのは、戦術としてありかなと思います。

 私みたいな者がいきなり行っても、あなたはどこの誰と言われるだけなのですけれども、エンドースしていただいていれば、こういう構想とこういう計画のもとにこういう人材を増やしていく仕組みをつくりますと。それにこれぐらい要りますという話でいろいろなところを回らせていただければ、政府のお金をレバレッジとして使わせていただければ、予算をレバレッジとして使うという発想も絶対必要だと思うのですが、さらにその倍ぐらい集められる。財務省もハッピーだと思うのですけれども、どうでしょう。

○尾身座長 答えづらいですか。

○大鶴国際課長 現時点でどういう形で外部資金を取り入れていくことができるかというのは具体的にはありませんけれども、そうした考え方があるということ念頭においてこれから考えていきたいと思います。

○尾身座長 今のレバレッジという話は、言ってみれば、今、こういう中で国の予算もタイトになっているし、しかし、イシューについては非常にいいので、多少シードマネーみたいなものが国からあれば、2倍、3倍、5倍の民間の資金が入ってくるのではないかというお話ですよね。

 それはすぐには御返事できないでしょうけれども、おもしろい考えだし、ファンドレイジングするときには、おもしろいと心の琴線に訴えなければいけないから、ファンドレイジングのプロセス自体が、先ほど私がしたシンポジウムでもやってみるといいとかという話とも絡んでくる気がしますよね。ちょっとおもしろい斬新な、いわゆる普通の厚労省の決まり切った懇談会ではなかなか出てこないようなシナリオ外ですけれども、いいことだと私は思うので、検討していただいて、また次の会議でどんな感じがあったか教えていただければいいのかなと思います。

 その他ございますか。

○渋谷参与 中谷先生の今後の論点の幾つかに賛同するのですが、報告会というのは他でもあるので、この厚労省の懇談会にしかできない内容、今日話したような議論というのは非常に役に立つと思うので、おそらくこういう案件がありますと。

 厚労省の事務方は本当に日々調整したりとか、走りながら、考えながらやっていると思うのですが、G7のときはG7というお祭りがあったのですが、それをてこにいろいろな若い人を動員して、きちんとした戦略を立てるという本来の懇談会のあり方ができたので、今後もこの一個一個イシューというようなプロセスの話もあるし、「UHC 2030」ができた。では、どうするか。それは単にプロセスだけではなくて、今後何をするかということも考えなければいけないでしょう。

 例えば、WHO神戸センターがありますけれども、そういうものをどのように活用するかとか、いろいろな案件があると思うのです。ですから、ちょっとセマンティックになりますけれども、やはり幾つかイシューというか、プライオリティーエリアを決めて、「ワーキンググループ的」という言い方は変ですけれども、また1~2年先を見越して打っていくというのも一つの手かなという気もします。

 今後、国際保健分野というのをシステムとして考えた場合に、もちろん外務省、財務省、文科省、内閣官房を含めて必要ですが、それプラス民間と市民社会とどうやってレバレッジをきかせるかというのも非常に大きなテーマですし、それはSDGsの発想そのものだと思いますので、そうした方向性もぜひ懇談会の中で取り上げていただければありがたいなと思います。

○尾身座長 ありがとうございます。

 その他ございますか。

○柳沢参与 今、渋谷先生がおっしゃったことに賛成で、個別のイシューについては、それぞれの持ち場でおやりになることだと思いますので、もう少しクロスカッティングなところで大きなテーマについて議論するというのがよろしいのではないかと思うのです。

 国際的な場ですと、ここに「UHC 2030」というのができて、それが包括的な枠組みですよと言いつつも、同時並行でいろいろな機関が自分がリードをとりたいと出してくるので、日本としてどこにつき合っていくのかとか、どこに価値を見出していくのかというのをある程度決めないと、非常に拡散してしまうという気がしておりますので、そこにプライオリティーをつけるというのが重要かなと思います。

 ずっと安倍総理が国際的な場で言ってこられた中で、例えば、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジを今の開発途上国が達成するのは、日本よりもさらにチャレンジングな部分があると思っておりまして、ここにUHCとエイジングの問題が書かれていますが、日本のように段階的に来るわけではなく、感染症と非感染症とエイジングの問題が同時並行で起こっているという非常に難しい状況にどのように対応していくかというようなことについて掘り下げてみるというのも、一つおもしろいかなと私は個人的には思っているのですけれども、何かやはり大きなところで日本の価値を世界に発信できるような部分で議論がなされるとうれしいなと思います。

○尾身座長 今のは重要なクロスカッティングという話でしたけれども、イシューを少し掘り下げて議論したらいいのではないかという御提案ですよね。

○田瀬参与 フラグだけですが、マイグレーションということが国連の中ですごく大きな1つのトピックになっていて、昨日、グテレス氏が事務総長になることが決まりましたけれども、彼も難民高等弁護官から事務総長となりました。グローバル・コンパクトという企業の集まりで国連をサポートしようというものがあるのですが、グローバル・コンパクト・フォー・マイグレーションというのをつくろうという動きがあるそうです。

 そういう意味では、実はマイグラント・ヘルスという分野があって、先ほど林先生の話もありましたけれども、人の移動と健康という点を最近ちょくちょく聞くような気がするので、テーマとしてフラグだけ上げておきます。

○尾身座長 ありがとうございます。

 その他ございますか。

 3つの議題がありましたけれども、全体としてこれだけは言っておきたいとか、あるいは質問したいというようなことはございますか。

 それでは、今日はお忙しい中、どうもありがとうございます。

 最後に、事務局から次回の日程等についてお願いします。

○大鶴国際課長 次回の日程ですけれども、また後日改めて日程調整させていただきますので、よろしくお願いします。

○尾身座長 それでは、どうも今日はお忙しい中、ありがとうございます。


(了)

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