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2016年7月26日 独立行政法人評価に関する有識者会議労働WG(第9回)議事録

○日時

平成28年7月26日(火)16:00~17:58


○場所

中央労働委員会労働委員会会館612会議室(6階)


○出席者

今村主査、酒井構成員、園田構成員、高田構成員、田宮構成員、戸田構成員、中村構成員、宮崎構成員

○議事

○今村主査

 それでは、まだ1名お見えになっていませんが、定刻になりましたので、ただいまから第9回独立法人評価に関する有識者会議労働ワーキンググループを開催いたします。構成員の皆様におかれましては、お忙しい中、連日、明日もまだありますけども、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。本日は、小西構成員、柴田構成員、志藤構成員、関口構成員、松尾構成員が御欠席です。

 

○政策評価官室長補佐

 それでは、本日の議事について御説明いたします。本日の議事は、お手元に配布させていただいております議事次第のとおり、労働安全衛生総合研究所の平成27年度業務実績評価に係る意見聴取です。説明項目ごとに、法人側から業務実績及び自己評価について御説明いただき、有識者の皆様方から御意見、御質問を頂きたいと存じます。なお、独立行政法人の評価スケジュール全体につきましては、参考資料1の別添6(10ページ)の図のとおりでして、本日の意見聴取などを踏まえて主務大臣による評価を実施することとなります。

 なお、昨年度の評価の結果につきましては、参考資料6にあるような指摘を受けております。従いまして、本日御意見を頂く業務実績評価に関しましても、改めて、総務大臣が定める「独立行政法人の評価に関する指針」を踏まえ、「B」評定が標準であること、「A」評定以上を付す場合には、定量的指標において120%以上の達成度が求められていることなどに御留意いただきますよう、よろしくお願いいたします。事務局からは以上です。

 

○今村主査

 はい、ありがとうございます。定量的指標120%以上ということでございますけれども、参考資料67ページにありますように、「評価手法や評定の根拠、理由等のより一層の明確化の必要がある事例」ということで、定性的な評価について、120%だけではなくて、その根拠もしっかりと明示するということなどが書かれておりますので、優先順位を付けながら本日は、「A」の評価を付けたもの、あるいは重要度が高いと評価されたもの、あるいは業務運営上の課題とか、その他の平成27年度に重点的に取り組んだ事項と、優先順位を付けて議論をさせていただければと思います。

 それでは、労働安全衛生総合研究所の平成27年度業務実績評価について議論していきたいと思います。はじめに、「国民に対して提供するサービスその他の業務の質の公序に関する措置」のうち、1-1「労働現場ニーズの把握と業務への積極的な反映」について、法人からポイントを絞ってごく簡潔な御説明をお願いします。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 労働者健康安全機構の理事の森戸です。私の方から、独立行政法人労働安全衛生総合研究所の平成27年度業務実績について説明をさせていただきます。資料1-1の平成27年度業務実績説明資料と、1-2の平成27年度業務実績評価書を使用いたしますけれども、1-1の説明資料を中心に説明をさせていただきたいと思います。1-1の説明の前に、まず法人の概要について簡単に御説明をさせていただきます。

 まず、資料1-11ページを御覧ください。労働安全衛生総合研究所ですが、産業安全研究所と産業医学総合研究所が10年前に統合されてできた研究所です。そこに記載してありますように、平成27年度末で役職員106名、予算規模としては22億円となっています。

2ページを見ていただきたいと思います。こちらは組織図です。研究に関係するところでは、3つのセンターと3つの領域、それから9つの研究グループから構成されているというような組織です。

3ページです。ここにミッションを載せています。中ほどに書いてありますが、労働災害防止等に係る調査研究と災害調査の実施がミッションになります。下段にありますように、調査研究により災害調査に必要な知見や技術を集積し、災害調査を実施することにより、災害防止上の課題等を得て調査研究を行っております。そして、調査研究や災害調査の結果につきましては、国の安全衛生関係法令等に活かすということになっておるところです。

4ページでは、今申し上げましたことを図化したものでして、研究所の調査研究活動等が関係機関とどのように関わり合っているかというものです。行政、事業所等からのニーズに基づき、研究を行い、その成果を還元するということです。

5ページからが評価項目になります。私からは、1-1から1-6-3までの12項目について説明をさせていただきます。1-1ですが、実績評価書では4ページからになりますので、そちらも併せて見ていただければと思います。

5ページです。最初の評価項目1-1の「労働現場ニーズの把握と業務への積極的な反映」です。調査研究は、先ほど申し上げました災害調査との関係から左下に書いてありますが、労働災害の発生を端緒としたり、あるいは研究の性格から労働現場に入り込んで行うということが特徴です。

6ページです。これは印刷会社で発生した胆管がんを端緒として、がんの発生機序を解明するために行った研究です。結果について最下段に記載しておりますが、化学物質の代謝の過程で強い遺伝毒性を示す化学物質が発生しており、取り扱う化学物質そのものの有害性を評価することはもとより、代謝過程も評価しなければならないということを研究として成果を出したところです。

7ページを御覧ください。これは、現場における調査を行う研究例ということですが、実際に建設現場や技能実習生に対する教育現場に研究者が赴き、ヒアリングや実証実験を行いながら研究を行っているところです。下に小売業の転倒災害防止について載せておりますが、これも実際に鮮魚加工場に赴き、滑りやすさというものを測定し、この数値を踏まえて耐滑性基準の検証、右側に載っておりますが、これを行っているところです。滑りやすい所では滑にくい作業靴を履いてくださいということになるのですが、数値化することによって「見える化」を図りまして、中小の事業場でも納得して取り組めるように工夫しておるところです。

 評価書の方の4ページに載っていますが、本年度プロジェクト研究が新規課題としてはゼロとなっておりますけども、平成27年度につきましては、ちょうど10年ということで、第2期の中期計画の最終年ということで、まとめの年という性格が強かったということで、新規のプロジェクト研究はスタートしておりませんが、労働現場のニーズの把握は中期計画どおりに行ったということで、評価としては最初の5ページに戻りますが、「B」とさせていただいているところです。以上です。

 

○今村主査

 それでは、ただいま御説明がありました事項について、御意見、御質問等がありましたら、お願いいたします。いかがでしょうか。優先順位として「A」の付いた項目と先ほど申し上げましたが、もし特になければ。

 

○酒井構成員

 大変興味深く伺ったのですが、パワーポイントの7ページの所にタブレット型のものを使って、こういうようにやって非常に現場に溶け込んでいる。それから、サブテーマの2も同じですが、そのことの成果というか。昨日も出ていたのですが、こうやりましたというのはとても必要なことだと思いますが、それによって、アウトカムというか、そういうことを法人としてどのように考えて進められているかということを、全体にも関わるのですけれども、この例を通じて御紹介いただければと思います。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 アウトカムをどう捉えるのかというのは、非常に難しいと思います。私どもは、最終的には後から出てきますが、行政通達に使われたり、あるいは安全基準に使われる、それが行政を通じて事業場で実施されることにより、災害防止につながっていくということかと思います。そういう意味で、行政のほうで使いやすくなるように、先ほど申し上げましたが、いろいろ「見える化」をしたりして、実際の中小規模事業場でも取り上げてもらえるというか、対策として検討してもらえるような中身、そういうものにできるだけなるようにアウトプットを出して、そして、行政の方に提供することを心掛けているというようなことです。

 

○酒井構成員

 そうですか。

 

○今村主査

 分かりました。研究所ならではの科学的な調査、研究が間接的にその条令とか、いろいろな規制、規約に反映されているということでアウトカムが設定されている。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 はい。

 

○今村主査

 分かりました。ほかには何かありますでしょうか。

 

○園田構成員

1-6とも関係しますが、実績評価書の4ページで、国外学会への参加人数が基準値を下回った41人になっていますが、これはどのようにお考えになっているのでしょうか。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 基準値というよりは、平均的にということかと思いますが、この辺はいわゆる派遣するための旅費とか、いろいろかかりますので、そのときの学会のテーマ、実際に自分の発表するものがあるときに行ったりしますので、そういう意味では、年ごとに多少、研究論文によって変動があるというようなことかと思っております。

 

○園田構成員

 この基準値というのは、目標値ではないのですか。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長

 それは前5年間の、前中期目標期間の平均値です。

 

○園田構成員

 数値目標としては、何も立てられていないのですか。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長

 これは立てていません。ただ、論文数、学会発表数というのは後のほうで目標は立てております。

 

○今村主査

 分かりました。

 

○戸田構成員

 今の話にも関連しますが、ここの指標に関しては、数値目標は1つも立てられていないというところで、とはいえ、こうした幾つか数値結果を出されているところもありますので、次年度の計画の中では、やはりこうしたところも数値目標として入れていただくと、よりこの項目に関して評価ができるのかということで。今すぐにお答えを求めるわけではありませんが、そういうことも念頭に入れていただければと思いました。

 

○今村主査

 いかがですか。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 予算等の考え方もあって、行政とも相談しながらやっていきたいと思います。

 

○田宮構成員

 確認ですが、御説明いただいたかもしれませんけれども、実績評価書の4ページ、先ほど、新たなプロジェクトについて平成27年度がゼロというのは、その見直しの年ということで、何か計画されて今年はゼロにしているということですか。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 中期目標は5年間ですので、5年間にこういう研究を開始するというか、やりますというような目標になっていまして、その最終年度ですので、そういう意味ではその5年間にやるというものの計画になったものは、もうそれまでにスタートしているということで、最終年にスタートした研究がなかったと理解していただければと思います。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長

 補足いたしますと、平成27年度から始まったのはゼロ件ですが、実際に継続しているものは8件あります。つまり、平成27年度は8件のプロジェクト研究を実施しています。

 

○田宮構成員

 分かりましたけれども、次に続くという意味で考えると、ここで次にプロジェクトが出るスピードが遅くなるとかという懸念はどうなのかと、ちょっと思ったものですから。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長

 平成28年度にスタートするプロジェクト研究については、6課題です。

 

○田宮構成員

 もう、あるのですか。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長

 その6課題については昨年度に評価を受けていまして、今年度からもうスタートしています。

 

○田宮構成員

 分かりました。結構です。

 

○今村主査

 次に1-2、これ、1-1とも関連するかと思います。1-2をお願いします。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 それでは、1-2「労働現場のニーズ及び厚生労働省の政策課題を踏まえた重点的な研究の実施」ということで、説明資料の8ページからになります。

8ページ、過労死等防止対策推進法の施行に伴い、過労死等調査研究センターを設置し、平成27年度から過労死等の実態解明と、防止対策に関する研究を本格的に開始しました。研究所では、左下にありますが、研究の統括と(1)の過労死等事案の解析を中心に実施しています。事案解析では、全国の労働局及び労働基準監督署から収集した労災認定事案の調査復命書3,564件について、データの電子化を行い、データベースを構築するとともに、性別、年齢、疾患名、職種、健康診断の実施状況等を集計して、脳・心臓疾患の全体像の把握を行ったところです。

 また、右下の研究スタッフの所に記載しているように、研究体制は、センター長、センター長代理のほか、特定有期研究員等14名、そして、他の研究グループ所属の研究員も併任させ、過去、最大の体制として、今、研究を開始しています。

9ページ、研究についてです。研究の方向性及び明確な到達目標を定めて、重点的に研究資金及び要員を投入するプロジェクト研究と、将来生じ得る課題にも迅速かつ的確に対応できるよう、基盤的な研究能力を継続的に充実、向上させるための基盤的研究に分けられます。労働現場ですぐに役立つということで、プロジェクト研究を重点的に実施すべきというようにされているところですが、右側のグラフにあるように、毎年、研究費、研究員を重点的に投入しています。

 先ほど所長から話がありましたが、平成27年度については8課題を実施しました。そこに課題例があります。下の4つの課題については、平成27年度に終了した課題です。建設業における職業コホートの設定と労働者の健康障害に関する追跡調査研究、建設機械の転倒及び接触災害の防止に関する研究、墜落防止対策が困難な箇所における安全対策に関する研究、ナノマテリアル等の高機能化工業材料を使用する作業環境空気中粒子状物質の捕集、分析方法の研究をやっています。

 これらの研究では、例えば建設機械関係では、簡易な現場地耐力試験の提案を行いまして、これは後から出てきますが、それが地盤工学会の基準書に掲載されたりとか、あるいは墜落災害の関係では、足場関係の労働安全衛生規則の改正につながっております。また、ナノマテリアルについては、行政が今、行っているナノマテリアルのリスク評価にも採用されているところです。

10ページ。これはプロジェクト研究のうち、一番最初の例の一番上にありましたけれども、産業安全研究所と産業医学総合研究所の統合効果を生かしている研究の例です。介護現場における総合的な労働安全衛生研究ということで、これは平成28年度が最終年度となる研究です。

 介護の労働現場は、介護者の腰痛率が6割以上ということです。従来、労働衛生問題として取り扱われてきました。介護用リフトの使用により腰痛問題の解決が期待される一方で、リフトの取扱者がリフトと浴槽の間に挟まれて骨折するというような、安全面の問題が生じています。そのため、これらを同時に解決すべく、介助機器の安全性や利便性等を機械安全の観点から検証し、機器の技術指針原案の提示を目標に研究を進めています。

11ページ、基盤的研究の例です。平成27年度については49課題をやっておりまして、基盤的研究であっても内容をしっかりチェックし、内部評価会議におきまして、現場ニーズの対応性があるかとか、研究計画は妥当なのか、あるいは研究成果の論文化等が可能かどうかについて評価を行っております。右側にその例ですが、粉体空気輸送を行う化学工業の事業場からの相談を契機として、静電気による粉じん爆発を防止するための技術開発を行っています。実用化のためにプロジェクト研究に発展した、そういうようなものの例です。

12ページ、研究中期目標に従って計画的に実施することを基本としていますが、行政からの要請があった場合には、迅速に対応するということにしています。平成27年度については、11件の課題について研究を行い、そのうち3件について報告書の提出をしました。

 足場の組立・解体時における設備的墜落防止対策に関する調査研究は、行政要請研究の例でありまして、先ほど説明しました墜落防止のプロジェクト研究の一部として実施しました。労働安全衛生規則の改正につながったものです。

 本項目の自己評価ですが、かつてない体制で過労死関係の研究を開始したこと、研究成果が労働関係法令や通達の改正につながったり、学会の基準に採用されたりしていることから、労働現場のニーズ及び厚生労働省の政策課題を踏まえた重点的な研究の実施が、所期の目標に対して十二分になされていると考えまして、8ページの所に戻っていただくと、自己評定を「A」とさせていただいております。実績評価書は8ページからになります。

 

○今村主査

 いかがでしょうか。ということは、「A」の根拠というのは、8ページにある過労死等調査研究センターというのは中期計画になかったけれども、全く新たに設立したということでよろしいでしょうか。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 そうです。最初の中期計画にはありませんでしたが、過労死等防止対策推進法の施行を受けて設置を行い、そして平成27年度から本格的に研究を開始したということです。

 

○今村主査

 それが20%に該当するという理解でよろしいですか。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 もともとこの根拠については重点項目とされていますので、そういう意味では、行政に対して的確に対応しているということで、そこも加味して「A」とさせていただきました。

 

○今村主査

 分かりました。ありがとうございます。

 

○酒井構成員

 伺っていて、プロジェクト研究もですが、例えば建設関係はいろいろありますが、機械、電気とか、サービス業辺りがもう少しあってもいいかと思うものの、過労死センターのことも含めて、大変、今の産業界というか、課題を的確に上げて研究していただいていると思います。

 特に質問は過労死センターのことです。確かに過労死センターが本機構の中に立ち上がったということは、とてもすごいことだし、すばらしいことだと思います。平成27年度の評価としてですが、もう研究は取り組まれていて、先ほどの御説明ですと、データベース化されたということですが、私は国民の期待がこのセンターには大きいということから考えて、もう既に1年間やった結果として、ここまでは何か言えるとか、こういう結果があるというものはあるのでしょうか。評価としては、先ほど説明があったように、こういうセンターが設置されたということを評価しろという意味なのか。私としては、もう少し内容まで聞かせていただきたいと思いました。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長代理

 所長代理の甲田と申します。過労死センターに関する御質問だと思います。先ほどから出ているように、簡単に言ってしまうと3,500名の業務上の疾病を集めてそれをデータベース化するということに、逆に言うと尽きるのかもしれません。ただ、この作業が実は膨大だったということが、これは言い訳ではないのですけれども、あります。これは当然だと思いますが、業務上の疾病の復命の調査書というのは非常に重要なもので、過重労働自身、過労死自身がいろいろな要素が絡んでくるわけですから、単純に労働時間だけで、いわゆる合計していって、どこかで線を引くというわけにいかないという事情があります。それだと、脳・心血管疾患だけではなくて、精神疾患もありますので、そういうものがどういう、いわゆるバックグラウンドで発生していくのかということを分析する、そのデータベース化をする、これが、実は手間暇がかかることです。そこはかなり丁寧に分析してきたつもりです。

 その結果に関して言うと、先ほど理事から説明がありましたが、性別、業種とかそういうところでの研究の報告書を本省に提出しています。ただし、公表等に関しては、例えば調整しなければいけないことが多分出てくると思っていますので、我々の中のほうでは、こういうことをもっと発表してアピールしたいということもあります。それは厚生労働省の調整待ちということになりますし、この結果自身は過労死の協議会に報告するなり、国会に報告するなりというようなことがあります。我々で、先んじてホームページで内容を発表するということは、なかなかしにくいというのが実はあります。

 それと併せて2番目の、例えばコホート研究とか、これは疫学の研究ですが、これもやはり数万の規模の労働者コホートを集めて、これから見ていくといった場合に、こちらのほうは一長一短で、12年で、なかなかデータが出てこないわけです。これは疫学研究というのは、やはり10年単位で見ましょうということなので、そういう意味では3つ目の実験研究と併せて、どのタイミングでどういう形で報告していくのかというのは、今、検討している最中です。ただし、先ほど理事が報告したような形で、成果のほうは出せる準備というか、そういう状況にあるということです。

 

○酒井構成員

 ありがとうございます。

 

○今村主査

 分かりました。1年、限られた時間でやるので、アウトカムとしてきちんと出ていないけれども、それだけの準備がポテンシャルとして十分高まっているというお答えでよろしいですね。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長代理

 はい。

 

○今村主査

 はい、分かりました。

 

○田宮構成員

 私もここがとても大事なところだと思い、もう少し詳しく伺いたいと思っていました。計画ですが、1番、2番、3番は別個に歩を進むということでよろしいのですか。1の結果によって、23ということではないのですね。まず、そのようにも読めて、ちょっとそういう話もあったような気が、去年、違いますか。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長代理

 いいえ、基本的には、やっている人間も1で、要するに業務上の疾病の分析をしているグループと、疫学グループと、それから実験のグループというのは別々に今、機能しています。ただ、別々に機能しているとはいえ、業務上疾病で出てくる情報を疫学の情報に役立てる、又は実験のデータを疫学に役立てるとかという形で、センターは1つですので、そこで研究情報の交流というか、情報の交換とか、研究成果の共有とかをして、お互いの研究がより精度の高いものにするというようなことを今、行っております。

 

○田宮構成員

 分かりました。この図はちょっとだけ誤解を受けてしまう感じがしますが、是非、そこをお願いします。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長代理

 書き方が悪いのかもしれません。失礼いたしました。

 

○田宮構成員

 同時に進んでいるということであれば。あと、ほかの研究との連携というのも、これ、すばらしいと思いますが、この辺はいかがですか。自殺予防対策センター、国際医療研究センター。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長代理

 実は、自殺予防対策センターでやられていた人は、当初、我々、自殺を扱っている研究者はいなかったものでして、そこでやはり、お願いしていた事情があります。ただ、2年目ぐらいに入ってくると、やはり研究者間の交流がありますので、そこにいた方が実は、特定有期でうちに来られたりとかがあります。

 もう1つは、国際医療センターは、そこはかなり職域のコホートを持っています。もともと持っています。そことはまた違った、そこは大企業ですが、そことの情報交換をすることによって、我々のコホートの精度が上がってきたりとかということで、基本的にはいろいろな研究機関とやっていることが、非常にプラスにはなっています。

 

○田宮構成員

 分かりました。せっかくですので、プロセスをもう少し書いていただいていると、本当に、1年、準備に向かってということが可能な範囲で。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長代理

 ありがとうございます。その辺は、もうちょっと丁寧に書くようにいたします。

 

○田宮構成員

 お願いします。

 

○今村主査

 ほかはよろしいですか。

 

○戸田構成員

 この項目に関しても、先ほど委員からお話が出ていますように、自己評価「A」と付けることについては、私は妥当だと感じております。やはり先ほど来おっしゃっているように、過労死等調査研究センターという所を立ち上げていると、それもその、過労死等防止法が中期目標の途中で出されたときに、迅速に対応されているというところは大きく評価できるところかと思います。

8ページの資料を拝見すると、過労死等の研究が平成27年度から平成29年度までに設定されているので、まだ中間的な段階かと思いますが、現状の進捗として、どこまで進んでいるかという点と、先ほどのお話を伺っていると、データベースを作るのがいろいろと困難な点があったというお話だったかと思います。その辺、平成29年度末までに向けての現在の進捗状況と、まだちょっと、もし遅れているような部分があれば、どういうところが遅れているのかという点も教えていただければと思います。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長代理

 ありがとうございます。平成27年度から平成29年度までというのは、労災疾病臨床研究の研究期間でして、そこで一旦、立ち上がったときに、いろいろと研究を当然スタートするわけです。

 先ほどの事例の収集の話で言うと、最初、立ち上がったときは業務上の疾病の分析をしなさい。要するに、業務上、過労死に認定された事例を分析しなさいということで立ち上がって、その時点で、おおよそ3,500例ぐらいあったので、それを頂いて分析をスタートしています。

 ただし、その後、いろいろと協議会とか厚生労働省の、いわゆる御指導等もありまして、では、業務外もやらないの、という話になりまして、その時点でプラス5,600例が入ってきたということがあります。ですから、進捗状況をどのように立てればいいかということは非常に難しい話ですが、そのようなことを考えても、一応、1年終わった段階で言うと、数値的に言うと語弊があるかもしれませんが、例えば3割ぐらいはできているのかもしれないというように思っております。ただし、進捗状況は、ようやく軌道に乗ってきたという状況です。

 

○今村主査

 よろしいでしょうか。プレゼンの仕方について、工夫を是非お願いしたいということです。これについては、特に「A」に関する大きな疑義は出されなかったという解釈だと思います。よろしいでしょうか。次は、1-3をお願いします。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

1-3「研究評価の実施及び評価結果の公表」です。説明資料13ページ、実績評価書では13ページです。これについては、中期計画等に従って評価を行い、外部評価についてホームページで公表しているということから「B」評価としております。内部評価の結果は、例えば27年度は81課題行い、17課題について研究計画の変更を行っております。また、人事管理や表彰にも反映しております。以上です。

 

○今村主査

 ありがとうございます。御質問、御意見等をお願いいたします。特にないでしょうか。特になければ「B」評価ということで次に進みます。1-4をお願いいたします。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

1-4「成果の積極的な普及・活用」の中の1-4-1「労働安全衛生に関する法令、国内外の基準制定・改定への科学技術的貢献」です。説明資料の14ページです。実績評価書では17ページからです。これについては数値目標が設定されており、27年度は年間10件に対して20件で達成率が120%を超えておりますので、評価としては「A」としております。

17ページにこれまで5年間の推移を載せてあります。27年度は中期目標期間の最終年度だったということで、これまでの5年間の研究成果が行政で活用されることが多かったのではないかと考えております。

14ページの左下の所に反映された例を示しております。また、右側にあるようにISOJISの制定、改定にも貢献をしております。国際規格等の制改定等への貢献の所の最初に、共存ロボットがあります。これは政府の規制改革会議の答申を受けて行いました。これまで人と機械を分離して災害を防ぐということだったのですが、そうではなくて、人と産業ロボットが協働作業を行うための安全基準の検討を行い、国際的な規格にもなろうとしており、貢献しています。

 

○今村主査

 御質問等ございますか。これは「A」評価なので、少し慎重にということになると思います。

 

○酒井構成員

 やはり、これだけの件数が取り上げられているということは、すばらしいことだと思います。特に安衛法関係の通達への反映はよく分かるのですが、ISOJISという問題に対して、年々かなり増えてきています。これは、貴法人に対してこういう委員を派遣するようにという外からのニーズなのか、それとも皆さんたちが先読みをして、そういう所へ積極的に参画する仕掛けみたいなものを、少し言い方が悪いのですが、実施した結果なのでしょうか。つまり、皆さんたちの努力はどこにあるのかということを知りたいと思いました。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長

 その辺は多分、両方あるのだと思います。私どもの研究所は機械分野、建設分野、化学分野など、それぞれの分野で専門的な深掘りの研究をしております。その分野で注目を浴びてJISISOの委員会に呼ばれる。そこで成果を上げていくと、そこの中心的な役割を担っていってこういうことが起こっている。

 

○酒井構成員

 世の中に安全研究をやっている大学等もいろいろあると思うのですが、やはりそれだけ安衛研の、例えば安全や衛生のスタッフの厚みが非常にあるということなのでしょうか。今の豊澤所長の。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長

 人数的にそれほど多くないのですが、おこがましいのですが、それぞれの研究員の能力によって成果が得られていると私は思います。

 

○今村主査

 この数値の評価の仕方ですが、特別呼ばれて断るということはなくて、呼ばれれば行っているわけですよね。ということは、自動的にデマンドが増えているという解釈でよろしいのですか。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長

 そうですね。全ての所に行くわけではなくて、安全衛生行政や労働災害、ミッションに役立つような分野について参画しております。

 

○今村主査

 特に選択のほうにしては書いていないが増えてしまっているということは、ニーズが高まっている、評価が高まっているという解釈でよろしいでしょうか。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長

 そうです。

 

○中村構成員

 ここに書いてある役職員数、平成2716人。これはどういう数ですか、延べですか、それとも実員ですか。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 実16名が84の。

 

○中村構成員

 参画している。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 はい。

 

○中村構成員

 そうすると、かなりの人的リソースを割いているということですね。国際規格との関わり方ですが、規格の制定そのものに携わると、かなり海外に出掛けなければならないとよく聞くわけです。この16名の関わり方は人によって違うと思うのですが、規格制定にずっと専念している方はいらっしゃるのですか。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長代理

 労働者関係ですと、例えば温熱や有害光線の研究員はそういう形でかなり頻繁に海外に行って、自分がチェアで組織しなければいけない立場という人間も複数名います。

 

○中村構成員

 ありがとうございます。

 

○今村主査

 ただ、座って何か発言するというわけではなくて、10件増えるということはものすごく大変だということです。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長代理

 実際に自分のほうが委員長としてチェアで組織しますので、かなりの労力だと聞いています。

 

○今村主査

 そのほかいかがでしょうか。特になければこれはよしということで。

 

○中村構成員

 あと1件補足質問させてください。そういう形で規格制定のチェアをやると、かなり個人の負荷が増えると思うのですが、それに対する研究所としての理解や支援は何か考えていますか。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長代理

 理解はあるほうだと思うのですが、会えそうだとか、出張するとなると、向こうが全部、いわゆるお膳立てしてくれます。ただ、それに至る研究の、例えば材料や成果の提供は、彼が実際にやっている基盤の研究やプロジェクト研究で出たものを持っていって反映させるということですから、研究所としては基本的にこの分野における結果の提供は、全面的にバックアップしてきております。

 

○中村構成員

 ありがとうございます。

 

○今村主査

 それに関しては、エフォートの管理の中に入っているのですか。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長代理

 入ります。

 

○今村主査

 全体としてエフォートの中で管理していらっしゃる。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長代理

 はい。

 

○今村主査

 ありがとうございます。よろしいでしょうか。特に問題なければ次の1-4-2へいきます。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

1-4-2「学会発表等の促進」です。説明資料15ページ、実績評価書では20ページからです。これについても数値目標が設定されております。論文発表等で研究員1人当たり年間2報、講演・口頭発表で研究員1人当たり年間4回とされております。論文発表について、27年度は3.8報で190%、講演・口頭発表については4.1回で102.5%となっております。ただ、講演・口頭発表については、その機会を設けることに限りがあり、目標を大きく上回ることはできませんが、論文発表等では目標値を大きく上回っておりますので、自己評価としては「A」としております。なお、右側に受賞等と書いてありますが、各学会等から優秀論文賞等を13件受賞しており、質も担保されていると考えております。以上です。

 

○今村主査

 では、御意見をどうぞ。

 

○園田構成員

 おっしゃることは分かるのですが、やはり数値目標との関連性から言うと、講演・口頭発表の回数が108%ということで「A」には満ちていないのではないかということ。それから論文の発表が207%ということなのですが、目標値は1人当たり2ですよね。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 はい、2です。

 

○園田構成員

 実績評価書の20ページを見ると、確かに中期目標が1人年2報になっているのですが、その下の発表の数を見ると平均が341報で27年度よりも多いのです。そうすると2という数字が合わないような気がします。いかがでしょうか。論文発表の数が中期目標では341と言っていて、1人当たりの平均値が2報だという計算でよろしいのですか。27年度を見ると319報でトータルの数は減っているのに3.8報になっているのは、人数が半分になったということですか。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

341報というのは、前中期目標期間の平均値ということで、最初の中期目標として示されたのは年2報という形で示されました。ただ、前中期計画においても非常に上回って論文は出していたということです。

 

○園田構成員

 そうすると、なぜ目標を2報にしたのかということがよく分からないのです。

 

○今村主査

 つまり、本来4というポテンシャルが既に実績が示されているのに、敢えて2にしたというのは設定の仕方が少し問題ではないかという御指摘です。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 その辺りは各研究所の並びとかいろいろあるのでしょうか。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長

 この設定をするときにほかの研究所の数字を調べて、その数字が大体このぐらいだった。栄養研や基盤研とか、関連する同じような研究所が同じぐらいの値だったということで2としているわけです。考えてみると原著論文を書くのはなかなか難しいことで、1人年間2報書くというのは結構大変なことなので、2報ぐらいが妥当なのかということでこのときは多分2報になったのだと思います。

 

○園田構成員

 ただ、論文等の内容を見ると解説という項目があります。

 

○田宮構成員

 ちょうどお話が出たので、原著論文とか15ページに出ているものの推移の資料はありますか。パワーポイントの15ページの論文の内訳。

 

○今村主査

 平成27年度の320件のうちの。

 

○田宮構成員

 平成27年だけ出ていますが、これが今までどのように推移したのかという資料はありますか。

 

○今村主査

 原著論文の推移はないですよ。

 

○田宮構成員

 もし論文の種類ごとの推移があれば、中身はかなり大きいと思いますので、今日話して。

 

○今村主査

 今の御指摘は、論文発表の中に一番多いのは解説ではないかという御指摘と、原著論文66というのは増えているのか減っているのかという2点です。

 

○田宮構成員

 そうです。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 手持ちが。

 

○田宮構成員

 原著論文を出すのはすごく大変なので2報の目標は分かるのですが、そうなると中身を確認させていただきたいと思います。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 すみません。来月16日の全体の評価のときの資料では用意したのですが、今日の手持ちの中にはありません。

 

○今村主査

 よろしいですか、ありますか数字。ということで、この点は少し再考が必要ではないかということになるかと思います。一旦この件は、こういう疑問が提出されたということで、ほかに何かありますか。

 

○戸田構成員

 私も「A」を付けるのは甘過ぎなのかと思っております。理由は先ほど委員より出た件で、講演・口頭発表のパーセンテージが120%満たないというところがあると思います。

1点確認なのですが、受賞等ということで13件延べ21名というところを御紹介いただいております。これは過去から比べて増えているので、特筆すべきだということで書かれているという認識でよろしいのでしょうか。推移をざっと教えていただければと思います。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 実績評価書の20ページの一番下に受賞件数を載せております。平成23年度から9件、7件、6件、16件、13件という推移です。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長

 過去の5年間、前中期計画の数字は2件、3件、9件、2件、1件ですので、それに比べると今中期計画の数はかなり増加を見ているということです。

 

○今村主査

 具体的な内容について、受賞件数と学会発表等における受賞件数とは違うのですか。20ページの左側の項目です。平成27年度の13件というのは受賞件数で、21は何名という数ですね。共同研究が含まれているということですね。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 はい、共同研究で出したものということです。

 

○高田構成員

 研究としては、数だけではなくて質的な評価をすることはとても大切だと思います。質的な評価をどういう指標で見るのかということは、なかなか難しいことがあると思います。受賞は質的な指標の1つであると言えるのではないかと思うので、今期の計画の中でも後のほうに多くなってきたということは、それだけ実績が上がってきたと見ることができるのではないかと思います。そういう意味では、「A」という評価もむべなるかなという感じがいたします。

 

○今村主査

 受賞件数がトレンドとして上がってきているという御指摘です。

 

○中村構成員

 私も同感です。講演・口頭発表は年度で大体このくらいということが決まっていて、それに従って多分出されているということが多いと思います。原著論文とか表彰されるものは恣意的にできるものではないし、日頃の研究成果が認められたと考えると、この数字は「A」に値するのではないかと思います。

 

○今村主査

 件数全体としては発表の数は限られているのですが、その中で受賞件数が増えているということは質が向上しているということ。

 

○中村構成員

 余り講演・口頭発表に対して件数に重きを置くよりは、私は原著論文とか論文のほうにむしろ重きを置くべきではないかと思います。

 

○今村主査

 量より質だということですね。

 

○中村構成員

 特に表彰されているというのは、質的なものの裏付けであると思うのです。それならば「A」で十分なのではないでしょうか。

 

○今村主査

 いずれにしても数値の目標設定については、少し中身も含めて御指摘がありましたように問題があると思いますので、そこは再考していただきたいと思います。両論で、「A」に値しないのではないかということと、むしろ質的に向上していて「A」と見る要素もあるのではないかという御指摘と両方出てきました。

 ほかに何かありますか。改善するべきところは、是非、改善をお願いいたします。解説は論文ということになるのでしょうか。我々もジャーナルとかいろいろ雑誌等に依頼されて書くのですが、それを論文として評価するのかどうか疑問なのですが、それも是非、御検討ください。よろしいでしょうか。時間が限られておりますので、特になければ1-4-3に行きます。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

1-4-3です。「インターネット等による調査及び研究成果情報の発信」です。説明資料では16ページ、実績評価書では22ページです。これについては、ホームページのアクセス件数について前中期計画期間中の実績から、年間に65万件という数値目標が設定されておりました。本中期計画期間については、22ページにありますように初年度から96万件とだんだん増えており、最近の27年度は減っておりますが数字としては138万件ということで、65万件という数値目標に対しては2倍以上の達成率になっております。

 ここ2年アクセス件数が減少しておりますが、平成25年度は震災関連で労働災害が非常に増加して、その分析結果等を公表した年で、労働災害防止への関心が非常に高まっていたのかと。それに対して27年度は、死亡者数が統計開始後初めて1,000人を切ったということで、多発傾向から若干落ち着いてきたということから、少し関心が以前に戻ったと言うとおかしいのですが、戻ってきたと感じております。

 ただ、16ページにメールマガジンがあります。これは、希望者に対して発出しているものです。平成23年度が1,097件であったものが毎年増加してきており、平成27年度は2,123件となっております。そういうことから評価としては「A」としております。

 

○今村主査

 ありがとうございます。いかがでしょうか。

 

○園田構成員

 インターネットによる発信が、「A」という特段に高い活動に該当するのかどうか非常に疑問です。確かに数値的にはアクセス件数は伸びているのですが、中期目標が平均値ですよね。22年度は幾つぐらいのアクセス数だったのですか。それから、25年度からアクセス数が全体的に下がってきています。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 そうですね。

 

○園田構成員

 それと、メールマガジンの発行頻度を数値目標にされていますが、月1回ということで変わらないですよね。つまり100%です。メールマガジンは月に2回発行してもいいわけですよね。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 はい、そうです。おっしゃるとおりです。

 

○園田構成員

 そういう意味で、そこが100%ということと、そもそもこの項目自体「A」がふさわしい項目なのかということです。

 

○今村主査

 分かりました。トレンド的に下がっているのに、212%で「A」というのはおかしいのではないかという御指摘です。何かアクセス数を向上させるという努力や、ホームページの改革、そういう質的な構造変化はこの間に起こっているのでしょうか。特にホームページそのもののデザイン等については、変更の努力はしていないということですか。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長

 平成26年度にアクセスの履歴等を見て分かりやすいように大幅な変更をしております。平成27年度は特にいじっていません。体系的なものはいじっていないのですが、内容的に成果の公表等にあるように特別研究報告SRRとか技術資料、技術指針、これは例えば技術指針のTR-No.46については、700ページぐらいのものですが、それを全部ここに載せるとか、そういう情報の発信には努めております。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長代理

 あともう1つは災害調査の報告書、これは厚生労働省のオーケーが出た分ということですが、公開版という形で載せるようにしております。例えば胆管がんや膀胱がん、それから岡山のトンネル崩壊だとか、非常に社会的関心が高いものは研究所の社会的責任として公表する。この辺は、アクセスの件数としては多くなっているのではないかと思っております。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 総件数として減少しているのは事実です。

 

○今村主査

 努力にもかかわらず、総件数だけが減少している。だけれども、コアな部分について、専門家の部分については上昇しているというデータをお持ちなわけですね。それは分からないのですよね。もしそういうことも含めてお示しいただければ、もう少し下降傾向に対するエクスキューズというか説明が成り立つかと思います。

 ということで、私も同感でホームページのアクセス件数だけで評価をうんぬんするというのは少し問題がある。内容に立ち入ってしっかりと説明いただければと思いますが、いかがでしょうか。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 今後、充実を図っていきたいと考えております。

 

○今村主査

 メールマガジンそのものは増えているということは、確かにトレンドで評価するということです。これに関しては若干、数値目標の設定に対する疑義ということで、やはり65万件という設定に対する疑問点と御理解いただければと思います。よろしいでしょうか。

 

○酒井構成員

 昔になってしまうと思うのですが、78年か10年ぐらい前の評価委員会では、災害調査をなぜ公開してもらえないのかということを大分言った経験があります。先ほどの御説明のように、もう既に載り始めていますし、そのことだけで私はとても評価できることだと思っております。余り、余りという言い方は少し語弊があって申し訳ありません、取り消します。件数だけで評価を「A」や「B」という議論をするべきでないと思います。

 

○今村主査

 プレゼンの仕方として212%だから「A」ということではなくて、そこは、また控え目にして、むしろ中身が充実しているという形で「A」というプレゼンは必要かと思います。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 はい、分かりました。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長

 少し補足いたします。前回は、ホームページ全体へのアクセスの数を数えていたのです。今回は、研究の中身だけについてアクセスしたものを数えています。要するにコアの部分についてどれだけアクセスしたのかというものを数えているので、前回のデータより格段に少なくなってはいるのですが、コアの部分のアクセスが多かったということをお示ししたかったということです。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

25年度が最大で、その後、減っているのは事実です。

 

○今村主査

 分かりました。ということで、質的には向上が見られるという御主張です。よろしいでしょうか。次は1-4-4です。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

1-4-4は「講演会等の開催」です。説明資料は17ページ、実績評価書は26ページからです。これについては、3回以上という数値目標に対して3回実施、満足度も目標値どおりということで、中期計画に従って実施しているということで評価は「B」です。ただ、そこの17ページの講演会の参加者数の表を見ていただきたいのですが、平成25年度からは「霞が関こども見学デー」にも協力を始めており、これはだんだん参加する方が増えております。多くのお子さんに安全帯の着用体験等をしていただいており、そういう活動もしております。以上です。

 

○今村主査

 ありがとうございます。いかがでしょうか。特になければ次に1-4-5をお願いいたします。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

1-4-5は「知的財産の活用促進」です。説明資料は18ページ、実績評価書は29ページです。特許の出願は新規出願が1件、過去の出願案件で平成27年度に認められたものが2件です。この項目については、数値目標は設定されておりません。特許実施料は僅かですが、墜落防護に関するもので得ております。平成27年度は459,000円です。これについては、全体として中期目標に従って実施しているということで評価は「B」です。

 

○今村主査

 ありがとうございます。特許料に関して、数値的には増えているということですね。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 僅かですが、金額的にです。

 

○今村主査

 分かりました。ありがとうございました。何か御質問ありますか。では、次に1-5をお願いします。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

1-5「労働災害の原因の調査等の実施」です。これは研究所のミッションの大きな1つです。説明資料19ページ、実績評価書の31ページからです。実績評価書は31ページに各年の推移があります。毎年、厚生労働省からの要請に基づき災害調査を実施しております。平成27年度は12件実施して、8件の調査結果を厚生労働省に報告いたしました。

19ページの左下にその例を記載しております。千葉県の化学工場で発生した爆発災害や、福井県の芳香族アミン取扱事業場で発生した膀胱がん事案等について、災害調査を行っております。20ページに千葉の事例を記載しております。再現実験等を行って原因を特定しております。また、福井の膀胱がん事案については報告書が平成28年度になりましたが、これも原因を特定したところで、マスコミにも大きく取り上げられました。

 このように原因を特定して、その後の対策に結び付けているということで評価は「A」です。なお、数値目標としては31ページにありますように、件数の80%以上について再発防止対策に結び付けるようにしておりますが、全ての調査について再発防止に結び付いているということで、125%の達成率ですので「A」としております。

 

○今村主査

 達成率が125%で20%超えということで、やはり中身についても十分貢献しているという。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 はい、そうです。

 

○今村主査

 いかがでしょうか。御質問をお願いいたします。

 

○戸田構成員

 確認です。報告書を災害の再発防止の指導や捜査・公判のための資料として活用したとする割合は、例えば実際に誰に聞いて、具体的にどのような形で。恐らくアンケート調査をしているニュアンスに受け取れるのですが、どなたに対して聞いて、何名中の回答であったのかというところについて教えていただければと思います。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 再発防止に役立ったという考え方ですが、災害調査報告書を基に、行政が関係団体に対して、災害がこういう原因で起きている。したがって、こういう対策をしなさいということを行政通達なり、そういう形で関係する事業場に対して出しているという行政のアクションに結び付いているということで、再発防止が図られていると評価しております。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長

 具体的には一緒に災害調査を行った監督署と、それを統括している労働局の担当者にアンケート調査用紙を送り、その回答を集計しているところです。

 

○戸田構成員

 アンケートは何名ぐらいに送っていらっしゃるのですか。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長

 全件数です。

 

○戸田構成員

 全件数へ送って。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長

 今年は平成27年度に行った労働災害について、全件数について送っています。

 

○今村主査

 そちらから提供するのは、かなり科学的なデータを提供されるということですね。それらが十分活用されたという、活用に値する科学的データは提供できたと。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長

 そういうことになると思います。原因究明と再発防止、公判の維持と送検に役立ったということですので、それなりの根拠のあるものを提供できたということと理解しております。

 

○今村主査

 いかがでしょうか。よろしいですか。では、次に1-6-1をお願いします。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

1-6「国内外の労働安全衛生機関等との協力の促進」の中の1-6-1の「労働安全衛生分野の研究の振興」です。説明資料は21ページ、実績評価書は34ページです。これについては、「Industrial Health」という学術誌を発行しており、この学術誌について数値目標としてインパクトファクターが0.8以上とされております。そこの表にありますように、平成27年度の数値は1.057で、達成率としては132%ですので評価は「A」です。

 

○今村主査

 ありがとうございます。一番シンプルに、問題は数値目標が0.8というインパクトファクターが妥当かどうかということですが、いかがでしょうか。

 

○園田構成員

 インパクトファクターの現中期の基準値を0.8以上と言われていますが、前中期の平均値が0.8以上ということは、平成22年度、平成21年度が結構高いということが予想されます。私が聞いた限りですと、平成21年度が1.2222年度が0.95ということなのですが、その数字でよろしいですか。まず、それを確認してからです。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 おっしゃるとおり、数値は間違いないです。

 

○園田構成員

 数値は間違いないですか。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長

 平成18年が0.91で平成19年が0.79、平成20年が0.75、平成21年が上がって1.22、その次が0.95という推移をしております。

 

○園田構成員

 初年度でもう0.8を超えていますから、それを目標値とされた理由は何かあるのでしょうか。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長代理

 かなり難しい話だと思うのですが、インパクトファクターの場合は維持するのが非常に難しいと言われております。先ほど見ていただいて分かるように0.7幾つに落ちたり、あるときは1.幾つまで上がったり、それでまた0.9まで下がったりという形で、そういう意味では、雑誌を、例えば質のいい論文を非常に集めたり編集したり、そして情報発信していくということは、どこの雑誌も多分そうなのだと思うのですが、維持が非常に難しいと思っております。ということで、目標としては0.8を維持しようということで、中期計画がスタートしたときにはこの数値を選んだということです。

 

○園田構成員

0.8にされた理由というのは何かあるのですか。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長代理

 平均を取ったわけではなくて、最初の2年間は0.70.8を切っておりました。ですから、0.8を切らないようにという形で設定したと思います。

 

○園田構成員

 ただ、直近2年間で達成された数字から、例えば1.22だったら0.4下げていますし、そういう意味では、これで132%だからというのも少しいかがかという気がします。

 

○今村主査

 他者比較というか、0.8というのは雑誌のこの手のものでは高いか低いかという判断は、いかがですか。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長代理

 もちろん、サイエンスとかいろいろな雑誌があり、10幾つとかいうものもあります。自然科学系でいうと10を超える雑誌があるのは事実です。ただし、いわゆる労働安全衛生の雑誌からいうと、0.8という目標自身はそんなに高いものでもないし、低いものではないと思っております。

 例えば同じような形で言うと、産業衛生学会の雑誌、英文誌がありますが1.2とか1.3ぐらいです。ですから、国内でいうと英語の雑誌を編集している労働安全衛生分野でいうと、0.8自身は目標としては非常に低いわけではありませんし、そして、それに関して今回のように3年連続して1を超えていくというのは、やはり健闘しているのではないかと思います。

 

○今村主査

0.8はレピュテーションとしては高いほう、中の上ぐらいというわけですね。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長代理

 何と比較してということが、非常に難しいことだと思います。例えば、労働安全衛生の中で言うとインパクトファクターが付いていない英語の雑誌もありますので、そういう意味では中の上を超えていると思っております。

 

○園田構成員

 普通、目標値というと、将来的な努力の水準を反映している数字を付けるのではないかと思いますので、それをあえてある程度下げるということがよく分からないと思った次第です。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 多分、インパクトファクターを上げようとすると、投稿論文の査読を厳しくして厳選するという話になってくると思います。その場合、労働安全衛生分野のことを書く人はそんなに数がありませんので、そういう意味では、確かに数値目標を設けるのが、もともとどの程度がいいのかというのは非常に難しいと思っております。

 発表の場を維持しつつ、なおかつ、学術誌としての位置付けは低くならないようにしたいというところで0.8があるのではないかと思っております。確かに結果論のところもインパクトファクターはあるので、そういう意味では、これが本当に数値目標の120%の中で議論するのがいいのかどうかということはあるのかもしれません。

 

○今村主査

 よろしいですか。数値目標が132という設定の仕方について疑問が出されたということは、余裕を持って維持しているということをどのように評価するのか。

 それは安定的に「B」なのではないかという考え方があるわけですから。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長代理

 そう読まれるのであれば、それは我々も甘んじて受けます。34ページに1つあるように、この数年間で言うと投稿の論文数がかなり増えてきております。これは冗談みたいな話なのですが、Industrial India Healthと略語で訳しますが、インドのヘルスではないかと言われていた時代があって、アジアからの投稿がかなり多かった時代がありました。ただし、ここ数年見ていただくと分かりますように、欧米からの論文の投稿もかなり増えてきております。インパクトファクターでいうと一番高いのが、JOMとかイギリスの雑誌ということになってきます。欧米から投稿を頂いたりすることが増えているということは雑誌の質として非常に上がっているのではないかと自負しております。

 

○今村主査

 そういう情報も、これからはプレゼンに必要だと思います。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長代理

 数値設定の問題でいうと。

 

○今村主査

 外国からの。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長代理

 確かに増えていますね。数値目標のところで先ほど言われたように我々が工夫しなければいけないところだと思っております。

 

○今村主査

 ありがとうございます。

 

○戸田構成員

 先ほど投稿数が増えているというお話がありました。やはりここは注目する点だと考えており、いい雑誌として見るということは、もちろん質的評価としてインパクトファクターもあるかと思うのですが、投稿数が増えているというところはもっと評価していいのではないかと。やはりそういうところを踏まえて、自己評定を「A」とするのは妥当なのではないかと思っております。少し工夫して書かれるといいのかと思います。

 

○園田構成員

 投稿数に関係して1つだけ聞きたいのですが、掲載数が減っている理由は何なのですか。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長代理

 これは1つの論文自身の長さやいろいろなものがあります。

 

○園田構成員

 それは、投稿数が増えていても質的には落ちているということではないのですか。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長代理

 いいえ。かなり長く審査をしております。

 

○今村主査

 インパクトファクターそのものは若干下がっています。でも一応は維持しているということです。

 

○田宮構成員

 私も平成24年に随分増えてきているのが気になりました。気になるというか、いいことだと思うのですが、23年と24年の間は何かありましたか。すごく海外からの投稿数も増えています。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長代理

 この頃は国際センターが雑誌をかなり重点的にやっており、そういう意味ではかなり意識的に論文自身を欧米の各労働安全衛生研究所等に送って宣伝したという事情もあり、そういう努力の甲斐もあって、向こうの研究所の認識が、また一段と新たになったということではないかと思っております。

 

○田宮構成員

 いいことですね。ここで急に36になってあと40とか、随分評価できると思います。インパクトファクター維持は簡単ではないので難しいです。

 

○今村主査

 インパクトファクターを余裕を持って維持するということは、決して「B」ではなくて「A」に匹敵するという御指摘かと思います。

 

○田宮構成員

 と思って聞いておりました。

 

○今村主査

 ありがとうございます。いずれにしても、指標そのものの立て方については問題があるということかと思います。では、1-6-2をお願いいたします。時間も大分限られております。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

1-6-2の「労働安全衛生分野における国内外の若手研究者等の育成への貢献」です。説明資料は22ページ、実績評価書は38ページからになります。22ページに書いてありますように、連携大学院協定を締結している8大学について、14名の研究員が客員教授等として任命されて、大学院での研究・教育の支援を行っているほか、右側に書いていますが、非常勤講師として22の大学院等に対して、延べ35名の研究員を派遣しているということです。若手研究員等の受入れの所に書いてありますように、連携大学院協定等に基づく大学院生2名を始め、46名の若手研究員の受入れも行っているということです。数値目標は設定されておりませんが、中期計画に従って実施しているということで、評価は「B」としております。

 

○今村主査

 よろしいですか。特段「B」で問題がないということであれば、次に行きたいと思いますが、次は1-6-3ですね。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 私の説明では最後の評価項目です。「研究協力の促進」です。説明資料23ページ、実績評価書では41ページからになります。右側の表を見ていただきたいのですが、外国の研究機関と協定を結んでいるところであり、平成27年度につきましては、新たにオークランド大学地震工学研究所、それから中国安全生産科学研究院、マレーシア労働安全衛生研究所と協定を結んだということになります。これは平成20年度以来の新たな協定になるということです。

 それから、国内外との大学、企業等との共同研究比率、研究員の派遣、受入れに数値目標が設定されております。左側の真ん中ですが、それぞれ目標を大きく上回って達成しているということから、自己評定としては「A」としております。

 

○今村主査

 かなり異常に高い達成率でありますが、いかがでしょうか。

 

○園田構成員

 これに関しても、平成22年度の共同研究の占める割合と、研究員の派遣・受入人数の平成22年度の実績値を教えていただきたいのですが。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長

 共同研究については46%です。

 

○園田構成員

46%ですか。受入者は。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長

 研究員の受入者は75名です。

 

○園田構成員

 ということは、目標値と大分乖離があるような気がするのですが、なぜこんなに低い目標値にされたのでしょうか。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長

 共同研究についてですが、私どもは昔の国研時代は民間との共同研究は余りしない状況だったのです。それから独法になって、共同研究を推進していこうという意味で15%と設定して、民間なり大学と共同研究を進めてきたという経緯があります.

 共同研究を進めるということが、率が高ければ高いほどいいというわけでは多分ないと思います。100%になればそれがいいというわけではなくて、それぞれの研究課題によって、どういう方と一緒にやるのがベストなのかということで、共同研究が自然的に発生していくものであって、数値目標に余りなじまないのかなという気はするのですが、ただ、国研時代から変わっていく過程では、数値目標というのは大事だったと思うのです。そういう意味で、今回の中期目標の中には、こういう共同研究の目標数値というものはなくなっているのです。

 

○園田構成員

 ただ、これに関して言うと、目標値になっています。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 むしろ、最初になお書きで少し数値目標を説明しましたが、今回、成果としては、平成27年度に新たに3つの海外の研究機関と協定を結んだというところで、これが平成20年度以来ということですので、そこを見ていただいて「A」としていただきたいということです。

 

○園田構成員

 協定を結ぶことが。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 研究交流協定を結んでいくということは、決して悪いことではないと思っておりますが。

 

○園田構成員

 いや、悪いことではないけれども、「B」は悪くないのですよ。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 まあ、そうかもしれませんが。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長

 オークランド大学では、実際にオークランド大学の助教授の人がこちらに来て、一緒に地震関係の研究をやっています。それから、中国安科院ですけれども、中国を代表する安全研究所ですけれども、そちらとは今年度にワークショップを開くことを去年から計画を立てておりますし、マレーシアについても今年度に協力して行うことを平成27年度に計画しておりますので、そういう意味では実質的な研究が推進されているということです。

 

○園田構成員

 そうすると、それがないと「B」だということですか。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長

 ないと「B」というわけではありません。

 

○園田構成員

 今のがあるから「A」だということは、それがないと「B」。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 平成27年度にトピックとできるようなものが何もなければ、「通常」ということで「B」というようなことだと思うのですが。

 

○今村主査

 どうもこの数字補強については、非常に高い「B」がなされたということで、これは余り説得力を持たないということになりますね。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 参考値ということかと思います。

 

○今村主査

 問題は、この3つの新しい定義をどう評価するかということですけれども。確かに逆に、過去にほとんどやってこなかったのは、なぜなのかというのはありますね。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 研究協定を結んでいる所の関係は今もあるわけですが、それをずっと維持しつつ、また新たにというのは、この規模の研究所としては、非常に大変なことではないかと思っておりますけれども。

 

○今村主査

 ありがとうございます。それをどう評価するかということは。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 それはおっしゃるとおりです。

 

○田宮構成員

 協定を結ぶのは大変重要なことだと思うのですが、その後の評価というのはされていますでしょうか。昔、NIOSHとか、まあNIOSHではいろいろとやっていらっしゃると思いますけれども。過去に協定を結んだ所との実績というのも、同時に見ていく必要があるかなと思っています。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長

 それは毎年チェックしております。

 

○田宮構成員

 そこも書かれてもよろしいのではないですか。新しい所だけではなくて、昔にどんなことがあるかということも。多分いろいろとやっていらっしゃるかと思うので。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 若干ここにも。

 

○田宮構成員

 別の所ですか。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 協定の延長を行った所については少し、研究協力協定の締結状況の2ポツ目、新たな所、もう1つ、研究協力の協定の延長ということで、研究協力は途切れているわけではない。

 

○田宮構成員

 実質もっとどんなアクティビティがあるかとかも、いろいろとやっていらっしゃるようなので書いていただけると、もっといいかなと思います。

 

○今村主査

 是非とも御主張の過去の研究、これは協力の促進ですので、過去はちゃんとやっている上にという、もう少し裏付けになるデータをしっかりお示しになった上で、更にこの上で新たに3つ加わり、研究協力のボリュームが格段に増大したというような説得力のある資料がないと、これはそのまま素直に「A」評価であると受け取るには、まだ不十分ではないかという感じはします。ただ、御努力は認めることになるとは思いますが、そんなところでよろしいでしょうか。

 いずれにしても指標については、再考の余地があるということでお願いします。あっ、これはもう次回からは消えるのですよね。分かりました。

 

○中村構成員

 ちょっと確認させてほしいのですが、この数字というのは、きちんと中期計画の中で議論をしていったはずだと思うのですけれども、いかがでしょうか。もらった資料の例でも、中期計画の中でそれぐらいにしましょうということで、このような議論の舞台の中で妥当だとされた数字だと思うので。違いましたかね。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 はい、おっしゃるとおりです。

 

○中村構成員

 とすると、そこを遡って議論するのではなくて、その段階で決まったものに対して、どうだというのが、今回なすべきことかなという気がするのですけれどもいかがでしょう。

 

○戸田構成員

 我々の立場として、中期目標に対してどうかというところを評価する場でありますので、目標自体はどうかという議論は目標の策定の場で言うべきであって、コメントすることはいいと思うのですけれども、ここでは余り議論するべきではないと思います。

 

○園田構成員

 総務省から、目標の妥当性についても検討すべきとの意見があったと思いますが。

 

○今村主査

 恐らく、私も記憶にないですが、こういう極端に過去のトレンドから乖離して、低めの目標設定というのは、きちんと提案されれば受け止めているはずがないので、そこも遡って我々も、もう1回検討しなければいけないと思います。おっしゃるとおりの部分もあります。ですから、目標そのものの内容については、我々は1回了承して、その上で評価と。ただ、設定の仕方については疑議が残るということですので、その形でこれについては今回は余り重視しないということでよろしいかと思いますが。ただ、達成していることは認めるということですね。

 では、これで1-6-3まで終わりました。ちょっと時間が押していますが、次は2-1以降にいきたいと思います。業務運営の効率化に関する事項、財務内容の改善に関する事項及びその他業務運営に関する重要事項に係る項目別評定について、議論したいと思います。

 では、法人から、本当に限定して、ごく簡潔な説明でお願いいたします。その後に質疑応答ということです。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所管理部長

 管理部長の藤本でございます。どうぞよろしくお願いします。パワポのほうの資料は24ページで、評価書のほうは44ページからになります。効率的な業務運営については、私どもは理事長のリーダーシップの下で幹部会と役員会議、それから部長会議等々の会議を構成しております。その中で特に幹部会については毎週必ず1回開催し、役員会議についても四半期に1回単位でおおむね開催しております。それから、部長会議については、これは研究グループの部長ですが、これも毎週1回会議を開き、コミュニケーションの確立と併せてお互いの問題点の共有化について行っております。

 研究については、管理の一元化ということが非常に大事ですので、これも従前、研究企画調整部というものがあり、私どもは2つの地区から構成されておりますので、両地区ごとに構成し、管理させていただいております。

 さらに資質の高い人材の登用ということで、これらについては新規の募集等も行っております。具体的に平成27年度は任期付研究員として3名を採用しております。これは評価書のほうの61ページに全体の構成表が載っており、この中で平成26年度に99名、研究員は85名の構成なのですが、これに対して平成27年度は101名、研究員87名の構成に変えさせていただきました。さらに先ほど御説明がありましたように、過労死防止法に基づいて、過労死センターも設置しております。

 次に、業務・システムの効率化についても、各々サイボウズ、プロセルフ等々を利用しながら、あるいは電子決裁システムを導入して、効率化を図っているところです。

 次に内部進行管理の充実ということで、私ども効率的な研究業務の推進に当たり、各グループの下からの声を上に上げていくというシステム、それは先ほど申し上げた各会議の構成にもつながってくるわけですが、これをやると同時にテクニカルミーティングということで月に1回、研究者の疑問点等について議論する場なども設けながら行っております。

 これらを踏まえて、研究員の業績評価についても、秋と春と臨時ということで大体、年3回ありますが、内部評価会議を実施しております。さらに、この内部評価会議を経て、外部評価ということで、外部の先生方に御苦労いただき、毎年、大体暮れぐらいに外部評価を実施して、これに基づいて研究員の基本的な研究業績について客観的な評価をしております。

 これらを踏まえ、研究員について、論文あるいは対外貢献、所内貢献を含めて、優秀であるという研究員については、総合業績優秀研究員ということで、直近で3名の方を表彰しています。さらに若手の研究員で、論文等について非常に顕著な努力が認められる者について2名、さらに研究員の中から特に論文に着目して、論文が非常に優秀であるという者について3名の方を表彰しております。

 次に25ページです。これらを踏まえて、効率化に伴う具体的な指標です。まず、経費の節減の数値目標の中で一般管理費・業務経費につきましては、これは従前から各年で一般管理費については3%ずつ、5年間で15%の削減。それから業務経費については各年1%で5年間で5%の減というような予算措置をしており、この措置に基づいて実施しました。

 さらに常勤役職員の人件費です。これについても毎年度1%以上節約するという目標を立てており、下に書いてあるように、人件費についても各年1%ずつ、5年で5%を実施しております。決算分についても具体的な数字を入れております。

 続いて26ページです。これは経費節減の中でも一般競争入札等による調達の経費の節減等々、あるいは省エネルギー対策と書いてあります。まず、一般競争入札については、御指摘を頂いたのが実は平成20年が非常に大きなタイミングなのですが、これは非常に随契が多いということで、この数の縮減を図ったところです。平成27年度実績については、随契が4件、金額にして1,700万円まで落としました。

 この随意契約についても、2件についてはいわゆる水道料金ということで、競争をなかなか促すことはできないものでした。それと、残りの2件については物品での調達ですが、これはいわゆる研究員が使っている物品で、これは日本国内でライセンス契約で1社しかやっていないものですので、競争性がほぼないということで、下限まで落としたというものです。

 それから、省エネルギー対策の実施についても毎年やっておりますが、残念なことに昨年はちょっと使用料が増えております。これは電気料については遮熱等の実験で、電気料が非常に掛かってしまったということと、ガスについては、施設の老朽化でガスの効率が悪くなったという辺りが原因かと考えております。

 これらを踏まえ、戻っていただいて24ページですが、評価「B」としております。次に27ページです。これは評価書のほうでは56ページからになります。

 

○今村主査

 項目ずつですので。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所管理部長

 失礼しました。

 

○今村主査

 これについて、業務運営の効率化についてはいかがでしょうか。

 

○宮崎構成員

1点ですが、随契が4件でこれ以上減らすのは多分難しいのだと思うのですが、金額が同じ4件ですが、4,000万円から1,700万円に大きく減っているところは、取組の工夫とか何かあるのですか。ちょっと教えていただければと思います。

 

○労働者健康安全機構理事(前田)

 中身が昨年とは違っていて、2件の物品調達は小額のライセンス契約のものであり、昨年4件あったうちの2件については随契ではなくなったので、金額的には減っています。

 

○宮崎構成員

 分かりました。

 

○今村主査

 それでは、次は「財務内容の改善に関する事項」です。27ページからよろしくお願いします。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所管理部長

27ページを説明します。「運営費交付金以外の収入の拡大」ということで、これは評価書のほうは56ページからになります。私どもは平成22年の段階で、競争的資金等々含めて外部資金については、研究費全体についての3分の1を外部資金の獲得をして充てるということで、目標を設定しております。平成27年度については、実績上書いているように23.0ということで、これは前年度の14.4%から向上しておりますが、残念なことに3分の1までは達していないのは事実です。この目標設定等については、そもそも平成22年度の段階でNEDOから25,000万円近くの受託研究を1年間受け、これを根拠にして当時の研究予算が大体10億円程度だったものですから、これを元に3分の1程度確保するということでやっていた経緯があります。

 続いて、28ページです。これは経費の節減を見込んだ予算によるもので、平成27年度については、先ほども御説明したように、各年における予算セット上の削減努力はしているところですが、平成26年末の段階で64,000万円の交付金債務が発生したということで、平成27年度については、その中から緊急を要する26,000万円程度の支出をして、これを施設の拡充と業務経費に充てたというものです。4,000万円弱の自己収入がありましたので、これと合わせて最終的には4億円程度、国に返しているというものです。

 ちなみに、使った交付金の中身ですが、業務経費の中で走査型電子顕微鏡、あるいは情報セキュリティという基準が求められておりましたので、そういったもの。あるいは爆破施設のシャッター等、いわゆる緊急性を伴うようなものを中心に支出したということで、これらを総合的に評価して「B」としております。

 

○園田構成員

 目標は3分の1の収入ということで、すごく難しい目標をよく立てられたとは思うのですが、やはり未達は未達なので、そこはちゃんと評定に関しては、きちんとされたほうがいいと思います。なぜ未達なのに「B」なのだろうと思われると思いますけれども。

 

○今村主査

 これは3-1ですね。3-2については達成しているということですね。

 

○園田構成員

 そうですね、3-1の、はい。

 

○今村主査

 これは先ほど来の議論と全く対称性の議論でありまして、目標設定が低過ぎてそれを基に「A」にするというのはなぜかということと、目標設定が高過ぎてということですから、これは双対性の問題もありますので、我々がここで低過ぎて高いの何だと言った以上は、高過ぎて低くなったことについてはそのとおりだと思いますが、同じことの論理をもって、ここは「B」でもいいのではないか、仕方がないかなとは思いますが、問題はあると思います。

 ですから、我々の課題としては、次回の中期目標の設定のときに、過去のトレンドに基づいて目標を設定するときの吟味を、しっかりしなければいけないということになるのだと思います。それを持ち出すと、あれは全部「A」にしなければいけないと。

 

○園田構成員

 ちょっと私の考えが違っていて、目標が甘過ぎるものはやはり甘いと言ったほうがいいと思うのですが、辛めの目標の設定というのは、本来機構側が努力目標として立てられたわけなので、それはちゃんと見るべきだと思います。

 

○今村主査

 という意見が付いたということです。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所管理部長

 よく分かりました。続きまして29ページです。これは4-1の「人事に関する事項」です。新規の研究員の採用については先ほども御説明申し上げましたが、私どもは新たに3名の任期付きの研究員を採用しております。これらの採用に当たり、研究者の人材データベースであるJREC-INとか、あるいは学会情報誌等について幅広に載せて公募しているところです。

 表の中で若干平成25年と平成26年の間で、任期付研究員が減っており、かつこの傾向が平成27年も見て採れますが、これは分野を幅広に採っていたということですので、幅広に採った結果、いろいろ採用に当たって焦点がぼやけたものですから、ここを改めて直して焦点を絞った形で募集したということです。

 それから、その研究員の海外派遣についてですが、これには2名現在派遣しております。1名はカナダで摩擦等の研究をさせております。もう1名はアメリカのミネソタでエアロゾル粒子の研究をさせております。これについては各々1名、1年の予定で研究員に出しております。

 次に研究員の人事評価については、先ほど御説明したところですが、内部評価、外部評価を経て、研究業績と対外貢献、所内貢献の3つの観点から客観的に評価しております。続いて、人員の指標です。これは平成27年度末の常勤職員数は101名であり、当年度の見込みであった104名を3名下回っております。続いて、人件費の総額見込みです。いわゆる平成27年における人件費の総額は91,618万円であり、当初見込である93,542万円と比して、2,000万円弱の節減をしたところです。

 続いて30ページです。これは「施設及び設備に関する事項」です。これは施設整備計画を立てており、中期の施設整備計画の中で特に平成27年度で4つ改修しております。これは予定どおりの改修を全て行ったということです。

 続いて31ページです。これは「公正で適切な業務運営に向けた取組」ということで、情報の管理というものがあります。この情報の管理については、特に昨年度の年金機構からの情報漏洩を踏まえ、所内のシステムの見直しをした上で、所内システムを物理的に2つに分けることで、ネットでつながっているものと、所内にあるものと、2つに分けて物理的につながらない仕組みにしたということです。

 続いて、研究倫理ですが、外部有識者を含む研究倫理審査会を開催しており、45件の研究計画について厳選な審査を行っております。次に動物実験審査委員会についても、4件の新規の動物実験に関する審査を行っております。さらに科学研究費補助金取扱規程に基づき、科研費等の内部監査も実施しております。さらに利益相反審査、あるいは管理委員会規程に基づいて、民間企業からの受託研究及び共同研究についての内部審査も行っております。

 最後に遵守状況の把握については、モニタリング等々を実施しております。さらに情報セキュリティ等については、職員の研修を活用した上で、周知徹底を図っているということで、総合的に「B」としております。以上です。

 

○今村主査

 この件について御意見、御質問はありますでしょうか。

 

○戸田構成員

 年度末の常勤職員数の目標について確認ですが、104名より下回って101名ということですけれども、人数の目標は見方によって上回ったほうがいいのか、下回ったほうがいいのかというのは結構議論が分かれるところで、こちらとしては104名ということより、以上なのか以下なのかということを明確にされていないので、その辺についてどう見ていらっしゃるのかと。私は下回るという議論も有りだと思っていて、やはり効率的な業務を運営する中では、より少ない人員で事業を推進するという考え方もあるかと思いますので、その点について御意見いただければと思います。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 目標としては上限という形で出されているものですから、超えてはいけないということです。

 

○戸田構成員

 分かりました。

 

○今村主査

 ということで「B」評価ですね。よろしいでしょうか。

 それでは、ここで全部の評価項目についての意見聴取は終わりましたので、法人出席者が2名変わります。皆様しばらくお待ちください。再開後、次の事項に移りたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

(法人出席者入替)

 

○今村主査

 それでは、お待たせいたしました。次に、まず法人の監事より、業務の監査結果等を取りまとめた監査報告について御説明いただくとともに、監査等を踏まえた現在の法人の業務運営の状況や、今後の課題、改善方針等についてコメントをお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○労働者健康安全機構監事(藤川)

 労働者健康安全機構非常勤監事の藤川です。まずは資料1-4を御覧ください。こちらは監査報告です。この監査報告については、平成274月に総務省行政管理局から事務連絡として通知された記載例を参照しつつ作成し、平成28627日付けで、労働者健康安全機構の理事長宛てに提出いたしました。

 監査報告、1-42枚目を御覧ください。7行目の1で、監査の具体的な方法と内容について記載しております。中ほどのちょっと下ですが2においては、監査の結果について記載しており、監事の監査意見の中核をなす部分です。法人の業務執行の適法性、有効性、効率性をはじめとして、15までの意見を個別に述べております。いずれも監査報告において指摘すべき事項は見受けられなかったという結論です。

 次のページ、3では、閣議決定において監事の監査が必要とされている事項に係る意見を記載していますが、これについても特に指摘すべき事項は見受けられなかったという結論です。4ですが、総務省の記載例にはないものですが、この監査報告の利用者に誤解や混乱が生じないようにするために、特別に記載したものです。具体的に説明すると、監査報告の2ページ目にまた戻りますが、冒頭から2行目に独立行政法人労働安全衛生総合研究所の業務報告書といった記載があるにもかかわらず、また次のページに移りますが、最後の辺りで独立行政法人労働者健康安全機構の監事がサインをしていると。法人の名前が変わってしまって、当然統合がありましたので、この報告書のみを見た方からすると、どういうことになっているのか、よく分からないという状況になりますので、その2つの組織の関係が分かるように、注意喚起の観点から記載したものです。以上が監査報告に関する説明です。

 次に、監事の監査を踏まえてのコメントに移ります。私ども監事は、先ほども多少触れたように、現在、新法人たる労働者健康安全機構の監事です。黒須監事は今年の41日に新法人の常勤監事に就任され、他方、私は、平成264月より、安衛研と労福機構、両方の非常勤監事を勤めておりました。4月以降は新法人の監事に就任したという次第です。

 平成27年度の安衛研においては、翌年度41日で労福機構との統合が予定されておりましたし、旧役員も平成27年度末の331日で退任という状況にありましたので、安衛研の前常勤監事の海野監事とともに、私は3月末までの段階で役員ヒアリングを含めて可能な限り前倒しで監査を行ってきました。また、41日以降は黒須監事に対しての引き継ぎを含め、十分な情報提供を行いつつ、我々新法人の監事2人で安衛研の経理担当や、会計監査人との意見交換を行い、また、自己評価についても適切に行われているのかということに関して、研究企画調整部や総務部等との間で活発に意見交換をしてきたつもりです。

 安衛研の平成27年度の監事監査を完結させるに当たっては、このような手続を踏みました。その結果として、この監査報告を作成いたしました。安衛研は非常にコンパクトでフットワークが軽く、組織内の議論も極めて自由闊達、時にして自由過ぎるようなところもありますが、風通しが良いという組織風土があります。理事長を中心として、法令等を遵守しながら、研究所のミッションを効率的かつ効果的に果たしている、業務執行は適切に行われてきたという心証を、監事としては持っております。

 労福機構との統合後は、大組織の一部門と位置付けられましたが、安衛研の長所は維持しつつ、統合のシナジー効果が具現化されるべく、更なる研究の質の向上と成果の普及に努めていただきたいと期待しております。以上です。

 

○今村主査

 どうもありがとうございました。それでは続いて、法人の理事長より、日々のマネジメントを踏まえ、現在の法人の業務運営の状況や、今後の課題、改善方針等についてコメントをいただければと思います。

 

○労働者健康安全機構理事長

 この4月に、労働者健康安全機構の理事長を拝命しました有賀と申します。本日のこの会議と、理事長としての立場についての関係性については、今、藤川監事が前半で申し上げましたところの資料1-4と全く同様です。基本的にそのような局面にはありますが、今、主査から誘いがありましたように、この機構に就任して以来の労働安全衛生総合研究所の仕事ぶりについての観察をさせていただく限り、今、藤川監事が言われたように、一人一人の研究者、もちろん研究者ではない事務系の職員もいますが、研究所のいわゆる士気は極めて高いものがあると感じております。

 研究のミッションであるところの職業に関連したような総合的な調査や研究や、それから災害が起こったときの調査等についても、大変真摯に取り組んでいると、私自身は思っております。それらを支える基本的な精神的な部分と、それから最後に事務系の職員が言及したところの運営の全体像については、非常にコンパクトという議論がありましたが、やはり研究者が100人近く寄っている所で、コンパクトに仕事ぶりを展開するというのは極めて難しいものがあると私は思っていましたが、それらを全体として調和された形で展開しているということについて、評価しております。

 これから先の課題というものは、恐らく皆さんが既にお思いになっていると思いますが、この労働者健康福祉機構と安全衛生総合研究所が合体した労働者健康安全機構として、今後、仕事をしていかなくてはなりません。今お話のありました労働安全衛生総合研究所の大事な仕事ぶりを、臨床系の病院である労災病院等の仕事と十分に、いわばシンクロさせていかなくてもいけない。私自身は臨床系でずっと育ってきましたので、よく分かるのですが、臨床系の諸君が臨床の現場で様々な問題点を見い出すに当たって、いわゆる基礎系の研究者の方たちと近いところで議論ができるというのは、非常に有り難い話であります。

 既に労働安全衛生研究所のスタッフと、労災病院のスタッフとによる、共同のプラットホームを作って、そこで議論しながら、今後の仕事をしていこうという気運があります。具体的な仕事が少しずつ展開しておりますので、今後については皆さんが心配されている2つの組織の合体、企業でいえばM&Aなのでしょうか。そのようなことが起こったときには、多くの場合、本当に密着するまで数年間かかるとよく言われますけれども、目的がそもそも国民の労働と健康という形になりますので、それに向かってばく進していくという心意気でやっていけば、恐らく1年、2年のうちに相当程度に良い仕事ぶりを見ていただくことができるようになるだろうと、強く期待しているところであります。

 課題はそのまま今後の夢という感じで頑張っていきますので、よろしくお願いします。本日は大変貴重な意見をたくさん賜りましたので、これからの労働者健康安全機構の将来のために、先生方の御意見を十二分に噛み締めながら、先に進んでいきたいと思います。以上、発言終わります。

 

○今村主査

 ありがとうございました。ただいまの御発言について、御意見、御質問等がありましたら、お願いいたします。我々、そういったシナジー効果をきちんと身をもって正確に評価できるように、我々自身も精進をしなくてはいけないと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、安全衛生総合研究所の平成27年度業務実績評価に係る、今後の取扱いについて御説明お願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 本日、法人から説明のありました業務実績及び自己評価に対して、構成員の皆様から寄せられた御意見や、法人の監事及び理事長のコメントなども踏まえ、厚生労働大臣による評価として決定し、その評価結果について法人に通知するとともに、公表いたします。決定した内容については、後日、構成員の皆様方にもお送りさせていただきます。

 なお、労働安全衛生総合研究所については、平成27年度が中期目標期間の最終年度に該当するため、816日火曜日開催予定の第14回労働ワーキングにおいて、中期目標期間終了時に実施される「中期目標期間全体の業務の実績の評価」、いわゆる中期目標期間実績評価について、御意見を賜ることとしておりますので、その際にもよろしくお願いいたします。

 次回の本ワーキングの開催については、連日となり恐縮ですが、明日727日水曜日、10時からを予定しております。場所については中央労働委員会、この建物の7階講堂です。議題としては、勤労者退職金共済機構の平成27年度業務実績評価について、御意見を賜ることとしております。

 最後に、本日配付した資料の送付を御希望される場合には、事務局より送付いたしますので、机の上にそのままにして御退席いただくよう、よろしくお願いいたします。事務局からは以上です。

 

○今村主査

 それでは、本日は以上とさせていただきます。連日、蒸し暑い気候が続く中、長時間にわたり熱心な御議論いただきまして、どうもありがとうございました。どうもお疲れさまでした。


(了)

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