ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(雇用均等分科会)> 第174回労働政策審議会雇用均等分科会(2016年9月14日)
2016年9月14日 第174回労働政策審議会雇用均等分科会
雇用均等・児童家庭局職業家庭両立課
○日時
平成28年9月14日(水)17:00~18:13
○場所
TKP新橋カンファレンスセンター ホール5B
○出席者
公益代表委員
田島分科会長、権丈委員、中窪委員、山川委員、武石委員、奥宮委員 |
労働者代表委員
井上委員、山中しのぶ委員、山中恵子委員、斗内委員、松岡委員 |
使用者代表委員
中西委員、布山委員、川崎委員、加藤委員 |
厚生労働省
吉田雇用均等・児童家庭局長、吉本大臣官房審議官、川又総務課長、巽保育課長、阿部雇用均等政策課長、源河職業家庭両立課長、河野短時間・在宅労働課長、六本総務課調査官、佐々木均衡待遇推進室長、高橋均等業務指導室長、白髭育児・介護休業推進室長 |
○議題
1 仕事と育児の両立支援について
2 男女雇用機会均等対策基本方針(第3次)について
3 2015年度の年度評価及び2016年度の目標設定について
4 雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱(諮問)について
5 その他
○配布資料
資料1 | 「未来への投資を実現する経済対策」について |
資料2 | 育児・介護休業法の改正経過<育児に関わる制度> |
資料3 | 保育関係資料 |
資料4 | 男女雇用機会均等対策基本方針について |
資料5 | 男女雇用機会均等対策基本方針に関係する法令の制定・改正経緯(主なもの)(平成24年度以降) |
資料6 | 男女雇用機会均等対策基本方針(平成19年度制定版) |
資料7 | 2015年度評価シート(案) |
資料8 | 雇用均等分科会にて検討すべき2016年度目標一覧(案) |
資料9-1 | 雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱(諮問) |
資料9-2 | 雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案について |
資料9-3 | 介護離職防止支援助成金(仮称) |
参考資料1 | 平成29年度労働政策の重点事項 |
参考資料2 | 平成29年度雇用均等・児童家庭局概算要求の概要 |
○議事
○田島分科会長 ただいまから第174回「労働政策審議会雇用均等分科会」を開催します。
本日は、渡辺委員から御欠席の御連絡をいただいております。
初めに、委員の交代がありましたので報告いたします。
半沢委員にかわり、電機連合中央執行委員の山中しのぶ委員が雇用均等分科会委員となられました。山中しのぶ委員から一言御挨拶をお願いいたします。
○山中しのぶ委員 電機連合の山中しのぶと申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○田島分科会長 頭撮りはここまでとさせていただきますので、カメラをお持ちの方は撮影を終了してください。
(報道関係者退室)
○田島分科会長 それでは議事に入ります。
本日の議題1は「仕事と育児の両立支援について」です。これに関して、本来保育関係は本分科会の所掌範囲ではありませんが、委員の皆様の御関心が非常に高い分野と認識しております。また、今回御議論いただく内容は、これまでにも増して保育と関係があると考えておりますので、委員の皆様から事前に寄せられました御要望も踏まえ、私から事務局へ特にお願いして、本日は保育課にもお越しいただきました。
事務局から資料1の経済対策について、簡単に御説明いただいた後、最近の保育の動きについても御説明をお願いいたします。
○源河職業家庭両立課長 職業家庭両立課長の源河と申します。よろしくお願いします。
最初に庶務的なことで恐縮ですが、本日はマイクのスイッチを入れていただければと思います。それから、マイクの本数が足りないものですから大変恐縮でございますが、回して使っていただければと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。
資料の確認をさせていただければと思います。
資料を今日たくさんお配りしていますが、1つ資料番号が入っておりませんけれども、本日は山中委員の交代もございましたので、分科会委員の名簿を配らせていただいております。
配付資料につきまして順番に申し上げますと、資料1は「「未来への投資を実現する経済対策」について」というちょっと太目の資料をお配りしております。
2番目が一枚紙の資料でございまして「育児・介護休業法の改正経過<育児に関わる制度>」という資料をお配りしております。
3番目がカラーの保育関係の資料を3点お配りしております。3-1、3-2、3-3と番号がついているかと思いますが、1枚A3の資料も入っておりますので御確認いただければと思います。
資料4が「男女雇用機会均等対策基本方針について」という資料をお配りしております。
5番目が「男女雇用機会均等対策基本方針に関係する法令の制定・改正経緯(主なもの)(平成24年度以降)」という資料でございます。
資料6が「男女雇用機会均等対策基本方針(平成19年度制定版)」をお配りしております。
7番目が2枚紙の「2015年度評価シート(案)」と書いております資料でございます。
8番目が裏表の資料になっておりまして「雇用均等分科会にて検討すべき2016年度目標一覧(案)」というものでございます。
その後、9-1、9-2、9-3とございますが、9-1が「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱(諮問)」。9-2、9-3は一枚紙で「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案について」というのと、それから「介護離職防止支援助成金(仮称)」の資料をお配りしております。
最後に参考資料を2点お配りしております。
大変数が多くなっておりますが、もしお手元にないものがございましたらおっしゃっていただければと思います。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、最初に資料1「未来への投資を実現する経済対策」を御覧いただければと思います。
これは、8月2日に閣議決定されたものでございます。本日は全文を資料としてお配りしましたが、今日の分科会に関係する部分だけを御説明させていただきたいと思いますので、3ページをお開きください。
(1)、中ほどから下のほうになりますが「子育て・介護の環境整備」が当分科会の関係箇所でございます。具体的な項目として幾つか掲げておりまして、4ページから御覧いただければと思いますが、最初に1といたしまして「保育・介護の受け皿整備」。2といたしまして「保育士の処遇改善」。
5ページ目に4といたしまして「保育・介護サービスを提供する多様な人材の確保措置の拡充」。5といたしまして「保育・介護の労働負担の軽減、生産性向上」と保育関係の項目が入っております。このあたりにつきましては、後ほど保育課長から説明していただきます。
5ページ目の最後「7育児休業期間の延長等」が今後、当分科会で御議論いただきたいところですので読み上げさせていただきます。
「7育児休業期間の延長等」、「男女とも仕事と育児の両立に資するよう、保育所の整備を進めつつ、雇用の継続のために特に必要と認められる場合の育児休業期間の延長等を含めた両立支援策について、必要な検討を経て、成案を得、平成29年度(2017年度)において実現する。」と記載されております。
本日、議題1に掲げさせていただきましたものは「仕事と育児の両立支援について」と広く記載しておりますが、事務局といたしましては、今後当分科会でこの経済対策を踏まえた御議論をお願いしたいと思っております。なお、議論の参考として、資料2で「育児・介護休業法の改正経過<育児に関わる制度>」という一枚紙を出させていただいております。これは前通常国会で改正されました来年1月1日施行の内容も含めて、これまでの改正経過を記載したものでございます。
私からは以上で、次は保育課長に移らせていただきます。
○巽保育課長 保育課長の巽でございます。
今日は、最近の保育行政の動向につきまして、特に課題となっています待機児童対策を中心に御説明させていただきます。
お手元の資料で、まず3-1を御覧ください。平成28年度4月時点の「待機児童及び待機児童解消加速化プランの状況について」でございます。こちらは先日、9月2日に公表させていただいた資料でございます。厚生労働省としては、平成25年4月に待機児童解消加速化プランを策定いたしまして、平成29年度末までの5年間で待機児童解消を図ることとしているところでございます。この5年間の保育の受け皿は昨年9月に公表しました45.6万人分から2.7万人分上回り、約48.3万人となっております。
一方、平成28年度4月時点の待機児童数は2万3,553人で386人微増しましたが、193の市区町村では待機児童が昨年度に比べ減少しまして、全国の1,741市区町村のうち約8割の1,355市区町村におきましては待機児童がゼロとなりました。これらの市区町村が積極的な受け皿拡大を行った結果でございます。一方で大規模なマンション開発に伴う人口増など、都市部を中心に昨年度より申し込み者数が増加したことなどによりまして、保育需要に整備量が追いつかなかった232の市区町村では待機児童数が増加いたしました。その結果、全国的には保育の受け皿が申し込み者数を上回っておりますが、都市部では保育の申し込み者数が増加しており、待機児童の74.3%は都市部で占められ、特に東京都は全国の待機児童の3分の1以上を占めている状況でございます。
5ページ目を見てください。保育利用率は就学前児童数分の利用児童数ですけれども、年々上昇しておりまして、特に1・2歳児の利用率は上昇傾向にございます。平成28年度4月1日の利用率は41.1%となっています。待機児童も1・2歳児に多く、全体の71.1%を占めておりまして、今後も1・2歳児の受け皿拡大を中心に取り組みを進めていく必要がございます。
保育の提供に責任を持つ基礎自治体であります市区町村では、それぞれ工夫をしながら待機児童解消に取り組んでいますが、このような状況を踏まえ、平成29年度末までに待機児童を解消することを目指し、今まで以上に各自治体に保育の受け皿拡大を急ぐよう促す必要がございます。
資料3-2を御覧ください。「切れ目のない保育のための対策(概要)」というタイトルのA3資料でございます。後ろに参考として、主な施策の概要をつけております。これは3-3でございます。厚生労働省としては、市区町村の待機児童解消に向けた取り組みをさらに支援するため、3月の緊急対策に来年度の予算要求を含めた新たな対策を追加しまして、 「 切れ目のない保育のための対策 」 として取りまとめました。具体的には、施設整備や保育人材確保をさらに進めるとともに 、 「入園予約制」の導入 や 3歳児以上の子供の受け入れを重点的に行い、小規模保育事業所等に積極的に接続を行う「サテライト型小規模保育事業所」 の創設、 保育園等に土地を貸す際に固定資産税の減免が可能な旨の明確化 、 処遇改善に係る加算につきましては、基本給による賃金改善を推進する方策を講じるとともに指導監督においては賃金台帳を確認する 、 「保育コンシェルジュ」につきましては、4月1日までの保育園等の利用調整だけでなく、4月以降も継続した丁寧な相談対応等を行うことにより、保護者のニーズに即した多様なサービスにつなげる 、 地域住民等の合意形成等につきまして「地域連携コーディネーター」の配置を支援する 。こうした施策 が主な柱でございます。これらにより、市区町村を切れ目なく支援してまいります。また、近日中に待機児童が多い市区町村長を集めた対策会議を開催し、厚生労働大臣と意見交換を行うことも検討しているところでございます。
以上でございます。
○田島分科会長 どうもありがとうございました。
ただいまの事務局の御説明につきまして、御質問、御意見がありましたらお願いいたします。
井上委員。
○井上委員 ありがとうございます。
今回の分科会が始まりましたけれども、そもそも論のところから少しお話をさせていただきたいと思います。
昨年9月から「育児・介護休業法」の改正について議論をし、3月に法案が通ったわけですけれども、労働側としては、まだまだ十分な内容とは言えないまでも、介護離職ゼロも目指しておりましたから、現状と課題を踏まえて公労使の議論の結果として受けとめております。
しかしながら、この改正法がまだ施行もされていない段階で、政府がこのような形で新たな改正の方針を示すことに関しましては、この間の公労使の議論をないがしろにしているのではないかという疑念を持たざるを得ません。また、前回の議論では、労側としては就業継続の観点から育児の短時間勤務制度の見直しなどを求めてまいりましたけれども、育児休業期間の延長を含め、論点にすら上っていなかったというのは記憶に新しいことだと思います。また、各職場においては、8月の省令、指針の告示から来年1月1日の施行までという大変短い期間で、まさに今労使で協議を行っているところでございます。そういう非常に重要な期間であるにもかかわらず、このような新たな改正の議論が出てくるというのは各職場においても大変戸惑いを覚えるところでございます。
待機児童問題の解消が遅々として進まない中で、その解決策としてあらゆる方策、方法を議論する必要性につきましては理解はいたしますけれども、まずは国の責務として、安心して子供が預けられる環境を整備することが重要ではないかと思います。そのためには、企業における制度の整備だけではなく、復帰したいタイミングで安心して子供が預けられる保育所の整備が重要ではないかと考えております。
この経済対策には「7育児休業期間の延長等」とありますけれども、現在育児休業の取得が女性に大きく偏る中で就業継続のさまざまな選択肢があるにもかかわらず、単に育児休業期間を延長するということは、職場、家庭内における性別役割分担意識を助長し、復帰したい女性を職場から遠ざけ、女性活躍促進に逆行することにつながるのではないかと我々は危惧をしております。また「雇用の継続のために」とありますけれども、職場における復帰時のサポート体制、あるいはキャリア形成の考え方いかんによっては、果たして本当に就業継続につながるのだろうかという疑問も持っております。保育所に入れず、職場に復帰できなかったときのための緊急的なセーフティネットの一つとして、両立支援制度の側面から対応策を検討するということであれば、結果として、女性活躍促進を妨げることがないよう、長期的な視点で就業継続に資するよう、性別役割分担意識の解消に留意をしていただき、男性の育児休業取得促進等も含めた対応策を考えるべきであると思っておりますので、議論が始まるに当たり、冒頭申し述べておきたいと思います。
○田島分科会長 ありがとうございました。ほかに御意見などはございませんか。
山中しのぶ委員。
○山中しのぶ委員 ありがとうございます。
私からは1点の確認と、2点の要望をさせていただきたいと思っております。
まず、待機児童問題が深刻化している都市部においては、先ほど全体で74.3%を占めるというお話がありましたが、確実に子供を保育園に入れたいというところでありますと、全ての定員が新規募集になるゼロ歳児クラスに申し込みが殺到するということは当然の現象です。なぜなら、1歳児クラス、2歳児クラスはそれぞれ下の年齢のクラスからの持ち上がりがあるため、実質の新規枠は少ないといった現状があるからです。育児休業をたとえ2年に延長したとしましても、結局は育児休業を切り上げて、ゼロ歳児クラスの4月入園申し込みに殺到する現状というのは変わらないのではないかと考えておりますが、いかがでしょうか。
また、保活の緩和に向けて「入園予約制」の導入を検討されているという御説明が先ほどありましたが、確実に入園予約ができるというものでないならば、同じように年度途中で復帰した場合に予約をした、しないでファミリー・サポート等の利用料の支援に不公平感が出ないように配慮をお願いしたいと思っております。
最後になりますが、職員の配置基準や資格、設備等の規制緩和の話も出ていると思いますけれども、働きたい親はどこでもいいから子供を預けたいというわけではないと思っております。保育の質が確保された保育園に預けたいと思っております。安心して働き続けるためにも、質が確保された保育サービスと両立支援制度は車の両輪として重要であると思っています。また、保育士の処遇改善とキャリアアップの仕組みにつきましては保育人材の確保のみならず、保育の質の向上にもつながる重要な課題であると思っております。子供を持つ労働者が安心して働き続けるためにも、子供が安全・安心に過ごせる保育園の整備をお願いしたいと思います。
以上です。
○田島分科会長 ただいまの御質問の点につきまして、事務局、いかがでしょうか。
○巽保育課長 資料3-2にも書いてありますけれども「0~2歳児の受け皿整備」につきましては重要だということで認識しております。例えば小規模保育あるいは家庭的保育等につきましては、0~ 2歳児 を原則として入所対象としているところでございますが、各自治体において整備を 現在 進めているところでございます。ほかにも幼稚園の小規模保育事業の設置あるいは認可こども園の移行支援ということにつきましても、各自治体で取り組んでいただいているところでございます。
先ほども 申し上げ ましたように、 現在 、待機児童のうち7~8割を0~2歳児が占めているところでございますので、そこについては重点的に各自治体で対応しているところでございますが、「3歳の壁」という問題もございます。これにつきましては、連携施設 の 確保 を求めている ところなのですが、 資料 にも 記載して ありますけれども 、 「サテライト型小規模保育事業所」というものを推進すること や 幼稚園型の一時預かり等によりまして「3歳の壁」をできるだけなくしていくということで、各自治体が保育ニーズに合った整備をしていただくということ を 我々は支援しているところでございます。
「入園予約制」につきましては、資料3-3を御覧ください。「0歳児期の育児休業終了後の「入園予約制」の導入支援」という タイトルの資料がございますが 、これは、 仮に 11 月に出生した場合 、 育休は次の1年間の11月まで原則 取得できる のですが、 多くの保育園の入園時期が 4月 であることから 、本来は育休を11月まで 取得したいと思っていた方が 4月で育休を 切り上げてしまうということがございますので 、 そうしたことがないよう 支援していく制度でございます。 具体的な取り組み は市町村のほうでされるわけなのですけれども、 さきほど申し上げたような 場合につきましては 、 11 月まで 育休 を 取得して いただいて、平成30年4月までは一時預かり 、ファミリー・サポート・センター事業や 家庭的保育でつなげていただいて、 予約制を活用して平成30年4月に保育園に 入園していただくということ を 考えております。 その際 、平成28年11月の出生 時に保育の必要性がある方 を基本的に対象として考えておりますので、11月の時点で 保育の必要性が なく、 入園 できない人につきましては、予約制 を利用して 予約 を行ったと してもそもそも 入園できない ことになります。
○田島分科会長 ほかに御質問等はございますか。
中西委員。
○中西委員 どうもありがとうございます。
私は、資料1の5ページの「7育児休業期間の延長等」につきまして、意見を述べさせていただきたいと思います。
「未来への投資を実現する経済対策」において、例示されている育児休業期間の延長は仕事と育児の両立支援策の一つの考え方であると思います。しかし、現行以上の長期の育児休業制度を一律に企業へ義務づけることにつきましては適切ではないと考えております。その理由につきまして、4つほど述べさせていただきたいと思います。
まず、第1の理由といたしましては、育児休業期間の延長という施策が本当に日本社会において求められているのかという点に疑問がございます。根本的な問題は育児休業期間終了後に保育所へ入れないという点にあると思います。育児休業期間の延長によって、ゼロ歳児の入園希望者を減らすよりも1歳になったときに入園できる環境や仕組みの実現をさらに検討、推進すべきではないかと考えております。
第2番目の理由といたしましては、育児休業期間の延長という措置はこれまでの子育て支援や女性活躍推進に関する議論の方向に逆行するものではないかという懸念でございます。「次世代育成支援対策推進法」や「女性活躍推進法」は社会全体で子供たちの育成と女性の活躍推進に取り組むという考え方に基づき、制定された法律であると理解しております。しかしながら、育児休業期間の延長という措置は育児休業取得者のみに育児を負担させる期間の長期化にもつながり、社会全体で子供たちを育てるという考え方に反するのではないかとの懸念がございます。
3番目の理由といたしましては、育児休業期間の延長は企業の雇用管理を非常に難しくすることが懸念されます。具体的には、育児休業期間が長期にわたる場合には既存の社員が仕事を分担し、助け合うことだけでは対処することが難しくなってまいります。代替人員を確保する場合、その雇用契約は育児休業取得者が復職するまでの期間に限定した有期雇用契約とせざるを得ません。しかし、現在中小企業は深刻な人手不足問題に直面しておりまして、そのような有期雇用契約で適切な人員を確保することは非常に困難な状況にございます。中小企業における人手不足の実情も考慮していただく必要があると考えます。
最後に第4番目の理由といたしましては、育児休業期間の延長を法制度によって一律に定めることは、各企業における工夫や柔軟な検討を妨げることを懸念いたしております。もちろん企業ごとに労使の十分な話し合いにより、育児休業期間の延長に合意し、制度を導入する場合もあると思いますし、それについて異を唱えるものではございません。ただし、各企業にはさまざまな事情がありますこと、特に中小企業は資金面におきましても、また、人員確保の面におきましても、困難な状況に直面いたしておりますことを考慮した場合、法制度によりまして現行以上の育児休業期間の延長について、一律に定めることは適切ではないと考えております。
以上でございます。
○田島分科会長 ありがとうございました。
川崎委員。
○川崎委員 ありがとうございます。
もう幾つか出ている御意見と類似した意見になりますけれども、今回、待機児童の問題が非常にクローズアップされてきたということがあって、育児休業の期間をというのが議論の俎上に上ってきたと認識しておりますが、今日御説明いただいたように待機児童の状況を見てみますと、主に首都圏、都市圏で非常に問題が深刻化している。一方、待機児童がゼロでいない、つまり、育児休業から復帰したい、保育園に入りたいと思ったときに保育園に入れる自治体が日本全国の中では8割もあるということを踏まえますと、安易に法律で育児の休職期間を長くするという判断は適切ではないと考えられるのではないかと思います。
とはいえ、待機児童がいるところの問題もあることを踏まえると、どういう解決策がいいのかというのは今後の議論になるかと思いますが、単純な期間の延長と法律の整備ではない工夫の議論を皆さんと一緒に深められたらと思いますので、よろしくお願いいたします。
○田島分科会長 ありがとうございました。
布山委員。
○布山委員 ありがとうございます。
今、労使双方で同じような御意見を申し上げていると思いますが、今回、俎上に上っているのは先ほど事務局からも御説明があった、政府が出した経済対策の中に盛り込まれている内容ということを踏まえると、私どもとしては、育児休業を単純に延長するという議論ではないと思っております。現行法でも保育所等に入れなかった場合に特例で半年延ばせるようになっていますが、そこの部分をどうしていくかについて検討する議論だとまずは思っております。
一方、これも皆さんから御意見がありましたけれども、育児休業が長引けば長引くほどキャリアの中断にもつながりまして、特に政府が力を入れている女性の活躍推進という観点からは、正直に言って阻害要因の一つになるのではないかと思っております。また、保育所に入れなければ休業していればいいのではないかというようなメッセージを発信していると誤解されないようにという観点からの議論も必要ではないかと思っております。そもそも保育所に入れれば、本当はこの議論は必要ないと思っておりますので、ここで延長問題について議論するとしても、保育施策はその議論があるからということで緩めることなく、きちんと対応していただきたいと思っておりますのでよろしくお願いいたします。
○田島分科会長 ありがとうございます。ほかに御意見はございませんか。
松岡委員。
○松岡委員 ありがとうございます。
私も既に出ている発言と重複するところがありますけれども、育児休業期間の延長を議論するということであれば、先ほど井上委員からの指摘で性別役割分担意識を助長することになりかねないという指摘があったとおり、男性の育児休業取得促進の観点からも非常に留意する必要があると感じています。
後の議題で出てきますけれども、2020年までに13%ということで、残り4年しかないにもかかわらず過去最高とはいえ、まだ取得率が2.65%という低水準にとどまっている現状です。社会的機運の醸成や制度の周知も重要ですけれども、それだけでは限界があるのではないかと思いますので、男性の育児休業取得促進に向けて、男性も含めたハラスメント防止措置の徹底とともに、今回の改正の議論の中で、実効性のある施策というのも並行して考えていく必要があるのではないかと感じています。例えばということで、スウェーデンとかノルウェーでやっているようなパパ・クオータ制のように父親と母親それぞれの割り当てがある育児休業制度など、男性の育児休業取得が進んでいるような各国の制度を参考にしながら、男女ともに育児休業を取得できる方法を検討する観点もしっかり入れた上で、この議論を進めていく必要があるのではないかなと感じています。
以上です。
○田島分科会長 ありがとうございます。ほかに御意見はございませんか。
武石委員。
○武石委員 労使の皆さんの対立が見事になくて、皆さんまとまっているので私は別に言わなくてもいいかなとは思ったのですけれども、やはり女性のキャリアを研究している立場から一言言わせていただければと思います。
今、女性の活躍推進というのはこれだけ政策が進んできて、女性が本当にいろいろな場で活躍を始めるときに育児休業の延長というので、主として女性がこの制度を利用していくわけなので、そこのブレーキとアクセルを両方同時に踏んでしまうような施策になっていくことに対しては、慎重な議論が必要ではないかなということをまず感じております。
皆さんがおっしゃるように、そもそも保育所が足りないという都市部の問題なので、まずやるべきことはやはり保育所の充実であって、そこがどうしても今足りなくて、1歳6カ月になった時点で仕事をやめざるを得ない人等がいることもわかっております。そうであれば、その方たちに何かが必要というのはわかるのですが、やはりまず必要なのは保育所の整備ということを前提にして、そこでもし足りないものがあるとすると、何ができるのかという議論が重要かなということを申し上げたいと思います。
あと、これも皆さんがおっしゃっているのですが、結果として、女性がこういう制度を利用していって、女性のキャリアに影響が出るということは本当に問題なので、男女共同参画という視点からこの制度の利用促進という点も考える必要があるのではないかと思っております。
以上です。
○田島分科会長 ありがとうございます。ほかに御意見などはございませんか。
どうぞ、局長。
○吉田局長 事務局を務めております雇用均等・児童家庭局長でございます。
まさに今日からこの形で、私どものほうからお願いして御議論をいただいております。雇用均等分科会において、今、いろいろな御意見をいただきましたことは議論されるものと私ども事務局は思っておりますので、事務局として精いっぱいいろいろな御指摘を踏まえたところで、事務局としてやるべきことについてサポートさせていただくとともに、この議論を私どもで受けとめて、次につなげさせていただきたいというのが基本でございます。
その上で、雇用均等分科会として、育児休業あるいは両立支援の問題について今後の御議論を深めていただくに当たっても、御発言いただいた委員の方からきちんと保育も、要するに、待機児童という形で保育の受け皿確保をすべし、それは大前提だという御指摘をいただいたと受けとめております。今日、保育の担当課長からも御報告を申し上げましたように、私どもで保育の受け皿確保ということと両立支援として選択肢を増やすという両方の視点の中で、当然大前提としていろいろなあの手、この手で地域の自治体の方々のお話を伺いながら、基礎的な自治体であり、保育の実施主体である市町村の方々の応援を一生懸命することが大前提ということは、この議論を今後深めていただくための最初の話として、私ども事務局としてきちんと申し上げた上で、今日いろいろ御議論いただきましたことを含めて、御議論を深めていただければなと思います。
今後、保育についても、また、もちろん雇用均等分科会の場を離れていろいろな御主張があるかと思いますけれども、それはそれできちんと受けとめて、私どもで進めさせていただきますので御理解のほどよろしくお願い申し上げたいと思います。
○田島分科会長 特にほかに御発言がないようでしたら、保育課長は所用によりここで御退席されます。どうもありがとうございました。
(巽保育課長退室)
○田島分科会長 次に議題2「男女雇用機会均等対策基本方針(第3次)について」、事務局から御説明をお願いします。
○阿部雇用均等政策課長 雇用均等政策課長でございます。
資料4、資料5をもとに説明させていただきたいと思います。資料6は、資料確認のときに申し上げましたように前回策定した平成19年度版の「男女雇用機会均等対策基本方針」でございます。
資料4「男女雇用機会均等対策基本方針について」でございますが、これにつきましては資料4の下に(参照条文)として示させていただいております。「男女雇用機会均等法」第4条に基づきまして、男性労働者、女性労働者を取り巻く環境の変化や、関連する施策の進捗状況を踏まえて、男性労働者、女性労働者の職業生活の動向に関する事項を明らかにするとともに、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等について講じようとする施策の基本となるべき事項を示すということで「男女雇用機会均等法」制定時から名称は変わっておりますけれども、基本方針を定めるということで取り組みが進められてきたものでございます。
資料4の2のところに「これまでの策定経過」ということで記載させていただいております。「男女雇用機会均等法」制定後、昭和62年に「第1次女子労働者福祉対策基本方針」ということで策定されて、5年間の計画を進めてきたところでございます。その後、平成4年に第2次ということで引き続き5年間の計画を策定し、それに基づいて対策を進めてきたところでございます。
その後でございますが、平成9年に大きな改正がございました。また5年間の基本方針をつくるかどうかという議論があったときに、やはり「男女雇用機会均等法」の大きな見直しをしっかりやって、それを踏まえて、基本方針をつくり直そうという話が当時あったようでございます。それを踏まえまして「男女雇用機会均等法」改正が終わった後、平成12年に「男女雇用機会均等法」が男女両方からの取り扱いに変わりましたので、基本方針の名前も「男女雇用機会均等対策基本方針」と変わりまして、平成12年度にその後の3回目の基本方針を策定し、平成16年度までの5年間の基本方針を策定しております。
その後、また5年後の見直しがあった関係で「男女雇用機会均等法」の見直し検討が審議会の場で行われたということでございます。それを踏まえまして、前回のものが平成19年に策定をされ、5年間の「男女雇用機会均等対策基本方針」の運用をしてきたところでございます。その際もまた5年後の「男女雇用機会均等法」の見直しが実はございまして、それを踏まえて、基本方針をもう一度つくり直そうという話もあったところでございます。ただその後「女性活躍推進法」が昨年できたりもしておりますし、いろいろな法律関係、審議会の場での議論、個別法は「育児・介護休業法」や「パートタイム労働法」の審議もしてきていただいたところでございます。
そういった中で「男女雇用機会均等対策基本方針」の議論はちょっと置いた状態になってきたところでございまして、今回、経済対策が出る前に事務的にはいろいろ考えておったところでございますが、審議会でいわゆる個別法をいろいろ議論してきた中で「男女雇用機会均等対策基本方針」が今は切れている状態でもありますのでいわゆる均等行政を俯瞰できるものとして、皆様方にももう一度議論していただいた上で、均等行政全体を見る形での「男女雇用機会均等対策基本方針」をもう一度つくらせていただければということで、御議論をこの秋に始めさせていただこうと思った次第でございます。そういうことで今回は時間の関係もありますので、こういった議論をこの秋にスタートさせていただきたいということを御提示したいということでございます。
本日、お配りさせていただいています資料5でございます。平成23年度までで一応前回の「男女雇用機会均等対策基本方針」が終わっておりますが、その後、どういったことで流れがとまっていたかというか、こういった議論がとまっていたかという観点で、少しこの間の制度改正につながるものについて整理させていただきましたので、本日はこの点を御説明させていただければと思います。
まず、1つ目が資料5の上にありますが「男女雇用機会均等法」の関係でございます。平成26年に見直しの関係で、結局、法律改正まではせずに省令、指針の改正で対処させていただいたところでございます。間接差別となり得る措置の範囲の見直し、性別による差別事例の追加、セクシュアルハラスメントの予防・事後対応の徹底、コース等別雇用管理についての指針の制定などを行ってきたところでございます。
平成27年の指針の改正ですが、女性管理職の中途採用の推進についてということでの指針の改正をしていただいております。それから、直近で「雇用保険法」の改正と一緒にやりましたこの春のものでございますが、妊娠・出産等に関するハラスメントの防止措置を事業主に義務づけるなどの改正を行ってきたところでございます。
その下にございますが「女性活躍推進法」につきましては、平成26年に諮問答申をしていただいたところでございまして「一般事業主行動計画」の策定や「えるぼし」の設定などについて、この4月から全面施行という形になったものでございます。
めくっていただきまして「育児・介護休業法」の関係でございます。「育児・介護休業法」につきましては直近改正でございますけれども、介護休業の分割取得、介護休暇の取得単位の柔軟化、介護のための所定労働時間の短縮、育児休業等に関するハラスメント防止措置を事業主に義務づけるなどの改正を行ったところでございます。
また「次世代育成支援対策推進法」につきましては、平成26年度の改正で「プラチナくるみん」の制定、法律の有効期限の10年間の延長などの取り組みについて御議論いただき、今、施行されているところでございます。
2ページ目の下のところですが「パートタイム労働法」につきましては、正社員との差別的取り扱いが禁止されるパートタイム労働者の対象範囲の拡大、短時間労働者の待遇の原則の新設などにつきまして改正をいただいたところでございます。また、それを踏まえて「短時間労働者対策基本方針」については、平成26年度に改正をしていただいているといった状況でございます。
一応、今日お配りした資料6で前回の「男女雇用機会均等対策基本方針」もお配りさせていただいております。「男女雇用機会均等対策基本方針」は「男女雇用機会均等法」4条で「男性労働者及び女性労働者のそれぞれの職業生活の動向に関する事項」と「施策の基本となるべき事項」という2本立てで策定することが法律上決められておりますので、次回以降データなども示しまして、職業生活の動向に関する事項の議論で少し御意見をいただき、また、今後の骨子、案文などの提示をさせていただく中で、いろいろな形で皆様から御議論をいただければと思っておりますのでよろしくお願いいたします。
○田島分科会長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの事務局の御説明につきまして、御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。
斗内委員。
○斗内委員 ありがとうございます。
今ほど御説明いただいたことを踏まえまして、前回の「男女雇用機会均等対策基本方針」の策定からある程度期間があいているということでございましたが、経緯については先ほどの資料4等々で御説明をいただき、この間のさまざまな法改正が資料5に示されているとおりでございますので、やはりそれらとの整合性を図りながら速やかに策定をしていくということが必要なのではなかろうかと考えております。その意味でとりわけ「女性活躍推進法」につきましては「男女雇用機会均等法第14条」において、事業主への支援措置とされていたいわゆるポジティブ・アクションの取り組みが行動計画の策定などの形で義務化されたものとして「男女雇用機会均等法」とも非常に結びつきが強いと私どもは考えております。そういう意味では、資料5で御説明いただきましたように「男女雇用機会均等対策基本方針」が今後5年程度のとるべき「雇用における男女の均等な機会及び待遇の確保等について講じようとする施策の基本的な考え方」だということであれば、3年後に見直しを検討する予定の「女性活躍推進法」と均等法の関係性についても考えていく必要があるのではないかなと思っております。
いずれにしましても、先ほどの議題1でもさまざまな御意見が出ている中で「育児・介護休業法」の改正についても、今後見直しを検討していくということでございますので、その辺の進みぐあい等々も重々踏まえながら、そのトータルとしてぜひ関連性が深い、整合性のとれたものの策定をお願いしたいということで発言させていただきました。ぜひよろしくお願いいたします。
○田島分科会長 ありがとうございます。ほかに御発言はございませんか。
それでは「男女雇用機会均等対策基本方針」につきましては、次回以降、策定に向けた議論を行うことといたします。
議題3「2015年度の年度評価及び2016年度の目標設定について」事務局から御説明をお願いいたします。
○六本調査官 総務課調査官の六本でございます。座って失礼いたします。
資料7と資料8を御覧いただきたいと存じます。労働政策審議会の各分科会では、労働分野の各施策の目標設定及び評価を毎年度実施していただいております。本日は2015年度の年度評価と2016年度の目標について御説明いたします。
本日、2015年度の年度評価についていただいた御意見につきましては、資料7の最終ページに「分科会委員の意見」という欄がございますのでそこに記載いたします。また、昨年の取り扱いに倣いまして、本日から1週間後の9月21日ぐらいまでに御意見を頂戴できれば、それも反映したいと思いますので事務局にお寄せいただければと思います。
まず、資料7の年度目標の評価シート(案)です。1ページ目を御覧ください。目標項目は3つございます。1つ目は「女性の活躍推進に向けたデータベースの掲載企業数」です。これは、それ以前の年度の目標でありましたポジティブ・アクション取組企業割合にかえて2015年度に取り上げた目標です。昨年「女性活躍推進法」の国会審議でも、企業の女性活躍の状況や取組に関する情報の公表への注目が高まっておりました。目標数値としては2,000社を設定し、2015年度末時点での実績は2,192社と目標を達成いたしました。
2つ目の目標は「くるみんマーク」の取得企業数です。こちらは目標の2,300社を達成いたしております。
3つ目は「男性の育児休業取得率」です。先ほど御議論の中でもございましたけれども、2015年度の実績は 2. 65% で目標数値の4%には達しておりません。
資料8の裏面にグラフをつけているので御参照いただきたいと存じますけれども、下のグラフでございますが「男性の育児休業取得率」は少しずつ上昇傾向にはあり、昨年度は過去最高ではございましたが、依然低水準にとどまっております。
資料8としまして、2016年度の年度目標の一覧(案)でございます。2016年度も3つの目標を考えております。1つ目の目標ですが、目標項目を変更したいと考えております。先ほど御報告したとおり2015年度目標の「女性の活躍推進に向けたデータベースの掲載企業数」は目標を達成しておりまして、また、現在は6,000社を超える企業が掲載されております。
今回、2016年度の目標としては、労働者数が300人以下の事業主の「女性活躍推進法」に基づく行動計画の 届出 件数という項目を立てさせていただいております。これは4月に「女性活躍推進法」が全面施行されたことを踏まえたものです。この法律に基づく「一般事業主行動計画」の策定について、義務となっている301人以上の企業につきましては7月末時点で98%の企業が届け出ておりますが「一般事業主行動計画」が努力義務である300人以下の企業についても、女性活躍に向けた取組を促進してまいりたいという趣旨の目標でございます。目標数値としては、4月からの 届出 件数などを踏まえまして2,000社としております。助成金の支給や中小企業への支援事業等も含め、年度後半にかけてさらに 届出 の促進を図り、目標達成を目指したいと考えております。
2番目の目標は「くるみんマーク」の取得企業数で、2015年度と同じ項目でございます。こちらにつきましては「少子化社会対策大綱」で2020年までに3,000社という目標を掲げておりますので、それに向けて上昇していくという意味で2,700社という目標値を掲げております。
3つ目の「男性の育児休業取得率」につきましては、2015年度の目標と同様4%としておりまして、引き続き行政等の取組としては、育児休業制度や男性の育児参加に関する周知を行うことにより環境整備を図ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
○田島分科会長 ありがとうございました。
ただいまの事務局の御説明につきまして、御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。
松岡委員。
○松岡委員 ありがとうございます。
1点目の「女性活躍推進法」についてですけれども、前回労働側から発言をさせていただきましたが、その意見も考慮していただいた上で、努力義務である中小企業についても届け出件数を目標値に掲げていただいたということで、感謝を申し上げたいと思います。今後についてはしっかりやっていきますという御説明がありましたが、中小企業も含めた企業の取り組みが一層促進されるように「えるぼし」も含めて「女性活躍推進法」の周知の活動をしっかりと進めていただきたいと思います。
3点目の「男性の育児休業取得率」ですけれども、先ほども触れましたが、まだまだ目標には至っていないということですが、抜本的な対策も考慮しつつ、引き続き4%というのは、目標値としては設定していく必要があると考えています。
以上です。
○田島分科会長 ありがとうございました。
川崎委員。
○川崎委員 御説明ありがとうございます。
3点目の「男性の育児休業取得率」のところで、今後の検討ということで1点お願いなのですけれども「男性の育児休業取得率」は4%を目標に、年々遅々ではありますが上昇しているという傾向かと思います。「男性の育児休業取得率」を目標に挙げている背景として、やはり男性の育児、家事への参画ということが1つの大きい目標としてあるのだと思っているのですけれども、実際の職場を見ておりますと、育児休業しなくても出産時期に合わせて休暇をとる。会社のいろいろな休暇の制度を使って休暇をとって、出産期に合わせて育児に協力している。あるいは下のお子さんが生まれるのに合わせて、上のお子さんの面倒を見るということが最近大分ふえてきているのだろうなというのは感覚的に思っています。
また、保育園の送り迎えのうち、送りはしているというイクメンパパも大分ふえてきているのかなと感覚的に思うのですけれども、一方「男性の育児休業取得率」はなかなか育児休業をとりにくいところもあるのかもしれませんが、数字が上がっていかない。ただ一方、感覚的にふえているなというのがありますので、少しそういった数字も把握できるようなことを御検討いただけないのかなと思います。「男性の育児休業取得率」がずっと低いままの数字を見ていますと、なかなか男性は育児をしていないなというメッセージにもなりかねないと思っていまして、少し実態として、男性の育児の参画がふえてきているのだというところの数字の捉え方も来年度になるかもしれませんけれども、少し御検討いただければというところでお願いしたいと思います。
○田島分科会長 事務局、その点について何かありますか。
○源河職業家庭両立課長 川崎委員から御指摘をいただきました。ありがとうございました。
どのようなデータが継続的に毎回とれるかということも含めて検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。
○田島分科会長 ほかに御発言はございませんか。
山中恵子委員。
○山中恵子委員 会長、ありがとうございます。
質問です。今も川崎委員からあった資料8の「男性の育児休業取得率」のグラフを見ますと、2011年から一気に2.6に上がって、2012年に1.89と落ち込んでいて、その後に上がってきた。下がった理由というか、その辺を事務局はどのように分析されていて、取得率だけではないという御意見もあると思うのですけれども、そこに何か改善のヒントがあるようなことがあるのかどうか、どのような分析をされているかを教えてください。
○田島分科会長 事務局、お願いいたします。
○源河職業家庭両立課長 御質問いただき、ありがとうございます。
このときは若干記憶の範囲なので、もし間違っていたら次回訂正したいと思いますが、「雇用均等基本調査」は時々小規模の事業所のところで、サンプルの関係でぶれるところがございまして、このときも若干ぶれがあったのではないかと認識しております。ただ「男性の育児休業取得率」はとにかく数が少ないものですから、一気にはね上がるところがありますので2011年は割とイレギュラーで、2011年を除いていただくと結構きれいに上がっておりますので、今後はこのイレギュラーを余り意識することなく、ほかのトレンドを見ながらちゃんと上げていく方向をしっかり考えていきたいと思いますが、ちょっと確認しまして、もし間違っていたら次回訂正させていただきます。
○田島分科会長 加藤委員。
○加藤委員 データベースの関係と「くるみん」の関係については、まさにこれから中小企業へいかに普及をしていっていただくかというのが大きな課題になります。我々としてもそういった認識を持っており、中小企業の関係団体と連携しながら普及していくことを続けておりますが、厚生労働省として、これから具体的にどのような方法を考えているのか、例えば私どもにどのような要請があるのか等、お聞かせいただければありがたいなと思います。
○田島分科会長 事務局、お願いします。
○阿部雇用均等政策課長 300人以下の事業主に対して「女性活躍推進法」の「一般事業主行動計画」を策定していただくということにつきましては、まず大企業については「次世代育成支援対策推進法」で一応なれていただいた部分もあるかと思いますが、既に98%とほとんどのところで「一般事業主行動計画」をつくっていただいております。労働局の雇用環境・均等部室で各事業主団体を含め、各現場で周知をし、また、いろいろ御相談があれば、それに対して取り組みをしていくということを行政としてやってきていることとあわせまして、中小企業団体を含めた取り組みを支援する形での委託事業で説明会をしたり、個別相談を受けたりといったこともやっております。今年度の委託事業でしたので、年度当初は動きが悪かったのですが、最近は説明会も全国各地で進めさせていただいておりますし、相談も少しずつふえてきているということで聞いております。
そういった事業を活用していただくということとあわせて、また、助成金制度もつくっておりますので、そういったものも活用していただいて、ぜひとも300人以下の事業主の方々についても「女性活躍推進法」の「一般事業主行動計画」をつくっていただくようにお願いしていきたいと思っております。また、これは多分法律の施行の段階で御議論をいただいたのだと思っておりますが「次世代育成支援対策推進法」の「一般事業主行動計画」と「女性活躍推進法」の「一般事業主行動計画」を1本で届け出をすることができるような取り組みもしておりますので、そういった意味では、企業の方々の負担軽減を図る形での仕組みにもしておりますので、ぜひそういった観点も御理解いただいて進めていただくように我々も周知徹底をしっかりやっていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○源河職業家庭両立課長 雇用均等政策課長の御発言に加えまして、私ども、先ほど井上委員から御指摘をいただきました、1月1日の「育児・介護休業法」の施行に向けて、今たくさん説明会を開催させていただいているところです。「育児・介護休業法」の関係は本当に御関心が高くて、いろいろな企業からたくさん御質問をいただいておりまして、すごく取り組んでいただいていることを感じておりますが「育児・介護休業法」
は、企業の大小を問わないものですから説明会に参りますと中小企業の方も来ていただけますので、そのような機会も捉えまして「くるみんマーク」の取得についても宣伝していきたいと思っておりますので、引き続き御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
○田島分科会長 ほかに御発言はございませんでしょうか。
それでは、議題4「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱(諮問)について」です。これにつきましては、本日厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛てに諮問が行われました。これを受けて、当分科会において審議を行うことにしたいと思います。
まず、事務局から御説明をお願いします。
○源河職業家庭両立課長 事務局から説明させていただきます。
資料9-1、9-2、9-3と3つの資料を御覧いただければと思いますが、これに基づき御説明させていただきます。
ただいま分科会長からお話がございましたように、本日付で厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛てに諮問が行われております。それが資料9-1でございます。
資料9-1をおめくりいただきまして、要綱を御覧いただきますと資料の中で(略)となっている箇所がございますが、この部分は職業安定局、職業能力開発局の分の助成金でございます。それぞれ該当する分科会にお諮りすることになっております。当雇用均等分科会の関係は「五」でございます。今回の「雇用保険法施行規則」は平成28年度補正予算案に盛り込んだもの、8月末に閣議決定したものを一まとめにしてございます。あくまでも補正予算が成立した場合に見直したり、新設したりされる内容でございます。公布施行日といたしまして補正予算成立後を予定しております。
中身につきましては、資料9-3を御覧いただければと思います。この4月から介護支援取組助成金というものを行っておりますが、それにつきましては資料9-3の左側「1職場環境整備」というところを主に行うことにより支給されるものでございます。介護支援取組助成金が大変御好評でございまして、予定より支給申し込み件数を多くいただきましたので、中小企業も含めた介護のための職場環境整備に貢献したと考えております。
今回、新設する「介護離職防止支援助成金(仮称)」と書いておりますのは、今まであった助成金を一歩進めまして、1だけではなく2以降、すなわち実際に労働者の方が介護休業や介護のための両立支援制度を利用していただいて、継続就業し続けていただいている場合に事業主の方に支給するものでございます。既に今までの介護支援取組助成金を受領した事業主の方も一歩進めて取り組んでいただきました場合に、要件を満たせば申請可能となるものでございます。
また、ちょっとわかりにくいのですが、真ん中のほうに記載しておりますけれども、支給要件として「(1)(2)それぞれ1事業主2回まで」という表現があるかと思いますが、期間の定めのない無期雇用者の方、期間の定めのある期間雇用者の方、それから表の中で「(1)介護休業」と、下のほうの「(2)介護のための両立支援制度」とあるかと思いますが、それぞれ掛け合わせて一番多くて4回同じ事業主の方が申請できるという内容でございます。
以上でございます。
○田島分科会長 ありがとうございました。
ただいまの事務局の御説明につきまして、御意見、御質問がございましたらお願いいたします。
山中恵子委員。
○山中恵子委員 ありがとうございます。
今、事務局から御説明がございました助成金でございますけれども、職場環境の整備をした上で、実際に両立支援制度がきちんと利用されているのかということを確認していくということでは、非常に継続雇用につながっていくという改善であると思いますので、実態をきちんと見ていく方向性については賛同したいと考えております。
ただ「(2)介護のための両立支援制度」の下の枠に書いております「次のいずれかの制度を3カ月以上利用」と時差出勤等が3点挙がっております。今回「育児・介護休業法」が改正されて、介護休業93日と切り離した所定労働時間の短縮措置等の中では時差出勤だけが対象になっていますが、短時間勤務の制度が対象になっていないのは少し違和感があります。日常的な介護のニーズとして使いにくいとか、とり控えがあったため、介護休業93日とこの選択的措置を切り離して、今回改正されて、もっと使っていただくようにということだったと思います。フレキシブルな両立支援制度ということで就業継続を支援するのであれば、少なくとも短時間勤務制度も対象に入れたほうがいいのではないかと考えております。特に中小企業にとっては、助成金のあるなしというのは選択の方向性で非常に重要な問題となりますので、それに影響しないかどうかということが大事なのではないかと思います。
また、今回の改正に当たって、パブリックコメントは付されているのでしょうか、質問したいと思います。
○田島分科会長 事務局、どうぞ。
○源河職業家庭両立課長 御質問いただき、ありがとうございます。
パブリックコメントは昨日から開始しております。
それから、御質問いただきました「(2)介護のための両立支援制度」で3点挙げている理由でございますが、これはいろいろ検討したのですが、今挙げさせていただいているのは所定労働時間をしっかり勤務した上で、継続就業するためにどういうことができるかという点を考えて、今回は3つ挙げさせていただいております。つまり、時間が短いからどうこうと言われずに時差出勤しながら所定労働時間はきっちり働き、所定外労働時間の免除や深夜業が制限されたりしているかもしれないけれども、所定労働時間はしっかり働きながら継続就業できた場合に助成するという観点で考えております。
この助成金は、平成28年度補正予算が成立したら行いたいと考えておりますが、来年度も継続したいと考えておりますので、実際にやってみて、もし改善が必要でしたらその点はまた御意見を踏まえて考えさせていただきたいと思います。
○山中恵子委員 ありがとうございます。
ぜひ来年度については、短時間も対象に入れていくようにお願いしたいと思います。男性を中心とする働き方が非常に長時間労働になっている中でこれだけ高齢化が加速しているわけです。長時間労働を前提とした論議というのはいかがなものかと思いますので、ぜひ前向きに御検討いただきたいと思います。
それから、きのうからパブリックコメントに付されているということなのですけれども、意見募集の締め切りは、締め切りより先に労政審で答申が行われるというタイミングなので、広く国民から意見を募集するというパブコメの趣旨を考えれば、今後はタイミングも御考慮いただいて、しっかり意見を国民に聞いていくことを担保していただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
○田島分科会長 ありがとうございました。ほかに御発言はございませんか。
それでは、特に御発言がないようですので当分科会としましては「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱(案)」について、おおむね妥当と認め、その旨を私から労働政策審議会会長宛てに報告することにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○田島分科会長 ありがとうございます。
皆様の御異議がないようですので、この旨の報告を取りまとめることとします。
これについて、事務局から案文が用意されていますので配付してください。
(答申案文配付)
○田島分科会長 答申文につきまして、ただいまお手元にお配りした案文のとおりでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○田島分科会長 ありがとうございます。
それでは、御異議なしということで、この案文で私から労働政策審議会会長に報告いたします。
ほかに全体を通じまして、御質問、御意見等がありましたらお願いいたします。
特に御発言がないようでございますので、本日の分科会はこれで終了とします。
本日は、遅い時間の会議設定になり、また、お待たせして御迷惑をおかけして申しわけございませんでした。皆様の御協力に感謝いたします。
それでは、最後に本日の議事録の署名委員ですが、労働者代表は山中恵子委員、使用者代表は中西委員にお願いいたします。
皆様、お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございました。
<照会先>
厚生労働省雇用均等・児童家庭局職業家庭両立課
〒100-8916 東京都千代田区霞が関1-2-2
ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(雇用均等分科会)> 第174回労働政策審議会雇用均等分科会(2016年9月14日)