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2016年9月12日 あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師学校養成施設カリキュラム等改善検討会(第5回) 議事録

医政局医事課

○日時

平成28年9月12日(月)14:00~16:00


○場所

厚生労働省共用第6会議室(3階)


○出席者

釜萢 敏 (公益社団法人日本医師会 常任理事)
北村 聖 (東京大学大学院医学系研究科附属医学教育国際研究センター 教授)
栗原 勝美 (東京都立文京盲学校 教諭)
後藤 修司 (公益財団法人東洋療法研修試験財団 常務理事)
坂本 歩 (公益社団法人東洋療法学校協会長)
田城 孝雄 (放送大学 教授)
筒井 宏史 (日本鍼灸理療専門学校 専任教員)
仲野 彌和 (公益社団法人日本鍼灸師会長)
藤井 亮輔 (筑波技術大学 教授)
矢野 忠 (明治国際医療大学 特任教授)

○議題

・報告書(案)について
・その他

○議事

○医事課佐生医事専門官 それでは、ただ今より「第 5 回あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師学校養成施設カリキュラム等改善検討会」を開催します。

本日はお忙しい中、構成員の皆様におかれましては、本検討会に御出席を賜り誠にありがとうございます。

事務局の異動がありましたので紹介します。椎葉審議官です。

また、本日、神田医政局長は公務により欠席させていただいております。

 それから、本日の資料ですが、次第にありますように、資料 1 と資料 2 、それから参考資料を御用意しております。また、ブルーのファイルは前回までの資料です。資料の不足等がありましたら、お申し出いただければと思います。

 それでは田城座長に議事の進行をお願いしたいと存じます。田城座長、よろしくお願いいたします。

○田城座長 それでは、回を重ねて第 5 回になりました、あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師学校養成施設カリキュラム等改善検討会第 5 回の議事を始めたいと思います。では資料 1 について、事務局から説明してください。

○医事課佐生医事専門官 資料 1 は前回までの御議論を踏まえ、報告書 ( ) として整理させていただいたものになります。事前に御覧いただいて、その御意見等を踏まえ文言の修正等を若干行っておりますが、内容は変更しておりませんので、ポイントに絞って説明させていただきます。

1 ページ、「はじめに」で検討会の経緯等を記載しております。 1 段落目ですが、あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師の学校養成施設については、認定規則という厚生労働省、文科省の省令において、入学又は入所の資格、修業年限、教育内容等が規定されております。この認定規則については平成 12 年に教育科目から教育内容への変更、単位制の導入などの見直しを行って以降、大きな変更は行っておりません。

その後、はり師・きゅう師の学校養成施設は大幅に増加しており、平成 28 年度においては、全国 93 施設の定員数で約 5,700 人となっております。平成 10 年度に比べると、定員数で約 6 倍の増加となっております。

 また昨今、診療報酬等の不正請求に対して、あはき師についても開業権を有していることから、養成段階での教育の充実について指摘されております。これらあはき師を取り巻く環境も変化していることから、学校養成施設における臨床実習の充実等を通じた、より質の高いあはき師の養成が求められているところです。

 このため、本検討会では、国民の信頼と期待に応える質の高いあはき師を養成するため、カリキュラム等の改善、臨床実習の在り方、専任教員の要件など、認定規則の改正を含めた見直しについて幅広く検討するため、これまで 5 回にわたり検討を重ねて、今般その結果を報告書として取りまとめたということです。

 次の第 2 が「総単位数の引上げ、最低履修時間数の設定について」ですが、この改正の内容は 2 ページの中段から記載しております。単位数については以下のカリキュラムを加え、総単位数を以下のとおりとするということで、その下に記載してありますが、あん摩マッサージ指圧師ですと 77 単位以上から 85 単位以上、一番下のあはき師ですと 93 単位以上から 100 単位以上に見直す。教育内容、単位数については別添 1 、教育目標については別添 2 として添付しております。

 最低履修時間数の設定については、次の 3 ページ目にその時間数が記載してあります。あん摩マッサージ指圧師ですと 2,385 時間以上、一番下のあはき師ですと 2,835 時間以上としております。その下にまた書きで記載しておりますが、各養成施設が特色のある教育を行うべきとの意見があったことから、総単位数、最低履修時間数ということだけではなく、各養成施設における独自のカリキュラムを追加することが望ましいとする努力規定を設けることとしております。その下に、追加等カリキュラムとしてマル1からマル 10 までが今回新しく追加するカリキュラムとなっております。

 続いて 4 ページからが、「臨床実習の在り方について」になります。 2 番目の改正内容にありますが、臨床実習施設については学校養成施設附属の臨床実習施設、あはきを行う施術所を基本として、医療機関、スポーツ施設及び介護老人保健施設等については、 1 単位を超えない範囲において見学実習を可能とするとしております。 (2) は、あはきを行う施術所の要件です。

 次の 5 ページですが、 (3) あはき師の臨床実習指導者講習会については、別添 3 として添付しております。 (4) 臨床実習において実習生が行うことができる行為について、記載しております。

 その下、「専任教員等について」です。この見直しの内容は 6 ページにあります。 (1) 専任教員数等の見直しとして、総単位数の引上げ等に対応するため、専任教員数を 5 名から 6 名以上とする。また、学校養成施設附属以外の臨床実習施設で実習を行う場合には、専任教員のうち、専任の実習調整者を 1 名以上配置することとしております。

(2) が専任教員の要件の見直し、定義の明確化等です。一番最初に書いてあるものが、前回の第 4 回で少し御議論があったものですが、専任教員の質を向上するため、厚生労働大臣の指定する教育養成機関、今は 2 年間の課程ですが、この指定基準を見直し、臨床専攻課程 (1 年間 ) のものと教員養成課程という 1 年間のものに分類して、卒業時に第三者による臨床能力試験を実施するように見直す。併せて単位制に見直した上で、臨床実習の充実を図ることとしたいと考えております。

 また、その専任教員の定義を以下のとおり明確化するとともに、カリキュラム等の見直し及び臨床実習の拡充に伴い、専任教員についても臨床能力の向上が求められることから、専任教員も臨床実習施設において臨床能力を高めるよう努める旨の規定をしたいと考えております。

 次は、第 5 「その他について」です。この改正の内容を 7 ページから記載しております。まず 1 つ目が「著しい視覚障害」の程度になります。これについては文科省と厚労省の規定が少し違っているということで、文科省の学校教育法施行令第 22 3 に規定する視覚障害者の程度に倣って見直しをしたいと考えております。

2 番目、通信教育の活用について。これは基礎分野の 14 単位のうち 7 単位を超えない範囲として、認定の規定を追加したいというものです。 3 番目は養成施設において備えるべき備品等の見直しとして、実習室を追加するとか面積を生徒 1 人当たり 2.1 平米以上とする。備えるべき備品については別添 4 として添付しております。第 6 「適用の時期について」ですが、学校養成施設における体制整備、学生募集などを考慮して、平成 30 4 月の入学生から適用することが適当と考えるとしております。また、専任教員数の見直しについては、教員確保の準備期間等を考慮して、新カリキュラムの適用から 2 年程度の経過措置を設けることが適当としております。

 続いて第 7 ですが、「今後の課題」として、今までに御意見を頂いたものを記載しております。まず 1 つ目ですが、今回の改正については、質の高いあはき師を養成するため大幅な改正をするものであり、新カリキュラムの適用がされた以降、当該改正によるあはき師の質の向上について検証することが必要であると考えるとしております。また、冒頭でも述べましたが、平成 12 年の前回改正から約 16 年経過しており、その間にあはき師を取り巻く環境も大きく変化しています。今後も高齢化の進展等に伴い、あはき師に求められる役割も変化していくことが考えられることから、上記の検証も踏まえ、定期的に改正の必要性について検討を行うことが望まれるとしております。

 さらに今回の改正において、臨床実習施設の拡大を図ることとしましたが、あはきを行う一般の施術所への拡大に伴い、臨床実習生が施術所での労働力となってしまうという懸念も指摘されたことから、適切な臨床実習が行われるよう都道府県等における指導をお願いしたい。臨床実習前の学生の評価については、全国統一の基準による評価とすべきとの意見があったところであり、将来的には評価の実施方法の統一が望まれる。また、養成施設の卒業の判定に当たっては、柔道整復師における公益財団法人柔道整復研修試験財団が実施する認定実技審査制度と同様に、あはき師においても全国統一基準で実施すべきとの意見があったところであり、将来的には卒業の判定に当たって、実技能力の審査制度の導入が望まれるとしております。

 最低履修時間数の設定に当たっては、あはき師は開業権を有していることから最低履修時間数を更に引き上げるべきとの意見もあったところであるが、夜間部においても実施可能な範囲での設定としての検討を行った。今後の検討に当たっては、夜間部の在り方も含めた検討が必要と考える。臨床実習については、臨床能力の向上のため更に単位数を増やすべきとの意見もあったところであり、学校養成施設の卒業後においても、関係団体等で実施されている卒後臨床実習などを活用し、更なる臨床能力向上に努めることが望ましいとしております。

 最後に、視覚障害者であるあはき師の養成を行う学校等については、あはき法第 18 条の 2 の規定により視覚障害者に対する受験資格の特例措置が設けられていることから、特別支援学校高等部学修指導要領等の改正があった場合には、必要に応じて認定規則等を見直すなどの検討が望まれるとしております。

 「おわりに」として、今回の内容については、あはき師の教育に大幅な見直しを求めるものであるが、いずれも早急に実施されることが必要である。行政は報告書の趣旨を踏まえ、その内容が実現されるよう早急に認定規則等の改正に着手されることを期待する、という内容としております。以上です。

○田城座長 資料 1 はこちらの報告書 ( ) になっておりますので、これから皆様の御意見を踏まえてこの報告書を修正し提出することになると思います。それでは、この議論を順番に、ステップ・バイ・ステップといいますか、まず 1 ページの上 3 分の 2 になりますが、この「はじめに」の文言等についての御意見、御質問を、細かな「てにをは」など、最終的に報告書になりますから日本語的にどうだという御意見も含めて、何かありましたら御指摘をお願いします。よろしいですか。最後にまとめて総括で議論いたしますので、今この場で思い付かなくても、あのとき言い忘れたのだが、ということがありましたら、後ほど御指摘いただいても構いません。

 では次に、今回の肝の 1 つであります、第 2 、「総単位数の引上げ、最低履修時間数の設定について」。これは内容に関しては、皆様は何回も何回も同意していただいておりますので問題はないと思いますけれども、この 1 ページから 4 ページの真ん中、それから離れて別添 1 2 になっていて見にくいのですが、それも含めてここの表現はどうだということが、もしありましたら御指摘いただければと思います。いかがでしょうか。ちょっとペースが早いですかね。

 坂本先生から御説明を頂く部分が後でありますので、ちょっとそこで時間が取れればと思います。特に、これは絶対ここでということがなければ進めたいと思います。よろしいでしょうか。ちょっと早いですかね。

 次は第 3 、「臨床実習の在り方について」。これも皆さんと第 2 回から第 3 回、第 4 回と議論を重ねていただきましたし、いろいろな調整も行われていたところですので、内容的に問題はないと思っております。

○後藤構成員 ちょっと前に戻るのですが、追加等のカリキュラムの中に、マル6臨床生理学というものがあるのですが、これは御提案の矢野先生の資料の中でも「病態生理」と括弧して書いてあるので、そのほうが分かりやすいと思うし、臨床生理学だと臨床検査技師が勉強するような内容を勉強すると、それはちょっと過多ではないかと思います。要するに、検査結果について理解ができて、あはきの施術に応用できるのであれば、これは病態生理のほうが名前としていいのではないかと思います。

 それと 5 番目の、あはきの適応ですが、これは鑑別と考えてよろしいのですか。治療していいのかという鑑別診断というか、あはき鑑別というのか、何かそのような名前のほうが分かりやすいのかなという気がちょっとしています。以上です。

○田城座長 ありがとうございます。では、数字の若い順番で、マル5あはきの適応、これはあはき師の施術の対象となる疾患かどうかを判断するという趣旨で、このタイトルとなっているということですが、矢野先生いかがでしょうか。

○矢野構成員 我々、あはき師は一般的に臨床では、鍼灸あるいはマッサージの適、不適、あるいは禁忌について、しっかりと診察を通して把握する。その上で必要に応じて医療先行を行い、適応と判断した場合、三療 ( 鍼灸、あん摩マッサージ指圧 ) をどのように行うか、と進めていきます。まずは、教育ではそのように指導しています。その内容が適切に表現されるとすれば、後藤先生がおっしゃったように鑑別です。ただ、鑑別という言葉に敏感な人たちもいて、もしこれが許されるとすれば鑑別という言葉で見直していただいたら、より分かりやすいと思います。

○田城座長 釜萢先生、北村先生、何か御意見ありますか。

○釜萢構成員 鑑別というのはどうも鑑別診断ということにつながって、診断を連想させるということがあります。この適応を適切に、「対象となる疾患が業務範囲にあるかどうかを適切に判断する」という、この表現は私は非常に納得できる内容で、この鑑別というのはちょっと病態というよりは、どの疾患に当てはまるのかということになりますので、ちょっと違和感を覚えますがいかがでしょうか。

○田城座長 北村先生はいかがですか。

○北村構成員 全く同じ感じです。鑑別というよりも、あはきをすべきか、しないほうがいいのかというような適応ですので。ただ、適応という日本語が英語でいうインディケーションとアダプテーションと 2 つあって、人によっては分かりにくいかとも思いますが、代わりのいい言葉が思い付かないので、適応でいかがでしょうか。

○仲野構成員 後藤委員から言われたのは、臨床に当たっている大事なところは、実は鍼灸の領域と、自分たちが治療に当たる領域と、そうではない領域の区別だけではなくて、むしろ内科疾患なのか、あるいはこれが外科疾患に当たるものなのか。そういうかなりの所まで実際はやっているわけで、そういう意味では鑑別診断という言葉のほうが、説明するときにはむしろ非常に分かりやすいと思うのです。そうでないと、何か自分の所だけこんなことをしているようで、一般的な医療の中における鑑別診断という分野を大雑把に学んでいないと紹介もまともにできないだろうと思うのです。

 ですから、紹介して先生方に送り出すときの一番大事なことは、その人にとって一番必要な、私どもが鑑別したところの分野で、先生に適切に御紹介申し上げることが大事なところで、私は広い意味では大事なことだと思っているのです。

○田城座長 ほかによろしいでしょうか。趣旨としてはここの 2 行半の説明が非常に適切で、あはき師が業務を行うに当たり対象となる疾患が自分の業務範囲なのかどうか。法律でも決められていることですが、法律の文言だけではなく、それが今、現実に目の前にいる対象の方に合っているかどうかを適切に判断して、適切に実施できる能力ということ。まあ、ここに書いてあることが一番で、これをそのままカリキュラム名にするわけにはいかないので、どのように短くするかということが議論になっていると思います。

 確かに鑑別というと鑑別診断となってきて、診断も誰がどこまでやるかというところがあって、医者としては、診断を下したあと施術をお願いするという順番をどうしても考えがちになってしまいます。鑑別診断となってしまうと、当然範囲内で自律的になさっていただくのは構わないのですが、診断を下してというところまでなされると、医師会等々から、もしかすると、「ちょっと、これはどうなんだ」という疑問の声があるのではないかということが、多分釜萢先生、北村先生の御趣旨ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

○釜萢構成員 業務の範囲が法律で決められておりまして、 1 つは医師法があり、それから保助看法などずっとあるわけですが、診療の補助という形で行われるものとあはきの業務は別であり、あはきはあはきの業務というものが決められているわけです。この中に診断という文言は入らないという整理になっているので、そこが曖昧な形になるのは、なかなか幅広い合意形成が難しいのではないかなと思って発言しております。

○矢野構成員 今先生がおっしゃった、鑑別診断に繋がるという御心配だと思いますが、ただ、あはき療法における鑑別は、適・不適・禁忌を見分けることに限定されてくる。あくまでも田城先生もおっしゃったように、適、不適を適切に判断し、患者さんのリスクを最小限にする、そのための一連の診察行為の中でのプロセスということからいって、見分けるという、そのことを言葉にすると適応だけではなくて鑑別ということで御理解していただければと思っております。

○田城座長 今ちょうど国家試験の問題も作っており、試験でもそれぞれの職種で自分のやるべきことと、それを逸脱しているか、していないかといった辺りも試験問題で繰り返し出る所です。

 これは適応と鑑別の間ぐらいの漢字 2 文字を考えてみたいと思います。確かに鑑別というと、鑑別だけで切ってしまえばいいのですが、鑑別だといろいろ、鑑別診断とか、それ以外に法務省関係で鑑別何とかなど付いてしまい、若干強い言葉なので、適応はまだ柔らかい。でも、適応と鑑別の間ぐらいのニュアンスを、ちょっと考えてみたいとは思います。それでいかがでしょうか。

○坂本構成員 別に私は鑑別にこだわるわけではありませんが、恐らく、あはき師のやっている業務上、例えば緊急性があるかどうかという判断をしなければならないケースというのは当然あって、そういった意味では病態の把握といいますか、ある程度の状況の把握をする能力を養うべきだという考え方だと思うのです。あはき師のやるべき内容なのかどうかというと、適応というとちょっとどうなのかなと。それよりもむしろ緊急性があったり、医療機関にすぐに紹介していったほうがいいということが分かるかどうか。その辺りを教育するべきだということなのだと思うのですが。

○釜萢構成員 御説明を伺って理解できる所もありますが、要は、このあはきの適、不適の判断をしていただくことなので、そこがむしろ適応という表現が、皆様の実情にそぐわないという思いであれば、あはきの適、不適の判断が、私はよろしいように思いますが、いかがでしょうか。

○田城座長 私もそれを思っていて、この 2 行半の所で、肝は業務範囲にあるかどうかを適切に判断し、適切に実施する能力を身に付けるということで、判断という言葉が使われていて、これは医学でも臨床判断とか、ちょうど北村先生に作っていただいている科目がそうなのですが、判断という言葉は診断学等でも使われていますので、例えばあはきの適応判断か、適用判断か、「応」か「用」かは少し検討しますが、仮にですが、適応判断と、若しくは判断学を付けてもいいと思いますが、若干長くなりますけれども、「鑑別できる」よりは「判断学」のほうがきれいなものという気がいたしますが、いかがでしょうか。

○仲野構成員 よく分かります。今、座長が言われたとおりだと思います。それでいいのかもしれませんけれども、ちょっと踏み込んで言うならば、腰が痛いという患者が来たときに、では、この腰の痛みは自分たちが診た検査、それなりに鑑別診断するわけですが、それがもしかしたら、内臓から起こっているような腰の痛みなのか、あるいは単なる運動系の痛みで処置できるものなのか。検査に回すときに幾つもの失敗があるわけです。腰だから整形外科に回したのに、駄目なことは幾らでもあるのです。どちらかというと産科医であったり、泌尿器科医であったりすることが結構多いわけです。

 ですから、もう少し突っ込んだ形で鑑別診断をしっかりやらせておかないと、その患者がずっと遅れてしまうことが幾らでもあるわけです。御専門の先生の所に送ったつもりなのですが、御専門の所に行っていないと、当然そのままずっと駄目な状態が続いていくわけです。ですから、その辺はもう少し突っ込んだ鑑別診断という形のものを鍼灸師にも教えておかないと、あるいはある程度、土俵を教えておかないと、非常にいけないと思うのです。そういう意味で私は大事だと思うのです。

○釜萢構成員 仲野先生の今のお話ですが、医行為を担当する医師も、腰が痛いと言って、すぐに本当の原因にたどり着けないで不適切な回り道をしてしまうことはしばしばあって、これは非常に難しいことです。難しいというのは、全ての患者さんに最短のコースを提示して差し上げられない場合はあることなので、ここはむしろ、医師の業務の範囲だろうと思いますから、受診された方の訴えに対して、この様子はあはきの扱う内容ではないということを見極めていただくことが一番大事であり、それをどこに紹介するかというのは、それが間違っていても、医師につなげていただければ全く問題はないのではないかと思います。最短のルートで最も適切な医療機関に紹介する能力を、あはきの方に求めているわけではないと思いますが、いかがでしょうか。

○仲野構成員 どうでしょうか。こういう言い方がいいでしょうか。特に私どもの所で、例えば、多くの所がそうだと思うのですが、訪ねてくる患者はいろいろな疾患等を持っていて、多岐にわたっていることが幾らでもあるわけです。ですから、そこそこの所、今も言った産科医と整形外科医の区別だとか、あるいは他の呼吸器と頸部や背部の痛みだとか、結構鑑別をしっかりとしなければいけない部分は間違いなくあるのです。そこまでできていないと、結局は先生方にとってはある意味好都合になるのかもしれませんけれども、患者にとっては好都合ではない。私どもが逸早く少しでも適切な形で、患者が治癒に向かう方向での御案内をしたいと思うわけですから、それはやはり勉強させることに越したことはないと思うのです。

○釜萢構成員 それは限られた時間の中で大いに勉強していただくことは大変国民にとっては有り難いことだと思いますが、私はこの検討会に出てまいりますのに、あはきの皆様のお立場も十分踏まえて、そこを十分に理解している上で出てきております。現在いろいろな関係職種の業務範囲ということが、大変厳しい目で見られております。特に医行為なのか医行為ではないのかというところの線引きがなかなか難しくなってきていて、そして、そこに対するいろいろな非常に神経質な動きがあります。ですから、なるべくあはきの皆様が従来からきちんとやっていらした業務範囲の縮小にならないようにということが、個人的な認識としては私の大きな役割だろうと思っております。その意味で、非常に神経質にならざるを得ない部分については、より慎重に対応をお願いすることが必要なのではないかと感じております。以上です。

○後藤構成員 一番最初に問題提起をさせていただいた立場で、座長がおっしゃったあはきの適応判断学というようなことのほうが内容的によく分かると思うので、その案に賛成です。あはきの適応だけだとよく分からないので。

○田城座長 ありがとうございます。別添 1 を見ますと、これは専門分野での追加ですよね。臨床あん摩マッサージ指圧学、臨床はり学、臨床きゅう学の全ての職種を取る場合、養成校では 15 単位の中に、「はり及びきゅうの適応」という書き方ですが、これは、あはきの臨床判断学ではいかがでしょうか。全部臨床、臨床で入っていますので。

○藤井構成員 基本的に私は、ここの所は科目を指定しているということよりも、教えるべき内容で必要な所を追加しようという所だろうと思います。そもそも、あはきの鑑別というのは文章的に意味がよく分からないので、要は、あはきの業務範囲の中に入る疾患か症状かというのを見分ける能力を身に付けようということですから、ここは、あはき学の所で東洋医学臨床論とか、あるいは専門基礎の所の臨床医学総論や各論などの科目で、こういう内容を更に強化しようという趣旨なのだろうと思います。基本的に私は、そういうことから、先ほど出ていたあはきの適、不適の判断能力というか、そういう言葉で私はいいと思います。「学」を付けるとなると体系化されていませんから、学は付けないほうがいいのではないかと私は思う。

○田城座長 それは頑張って、一応、教育カリキュラムですので、これは毎年作っていますから。

○藤井構成員 内容の所で頑張ろうということで、よろしいのではないですか。

○田城座長 いやいや、それは先生、学校の先生方、教える側とすればカリキュラムですので、体系的に第 1 回目、第 2 回目という意味での体系化はあると思います。あえて今、マイク入れていませんけど。

○矢野構成員 今、藤井先生が言われたように、ここは授業科目名を検討する場ではないのですが、そのお気持ちは重々理解した上で言えば、 1 単位追加するということですから、「あはき臨床判断学」ということで、一応、学としての体系をはかるという努力目標という意味も含めていいのではないかと思います。この教育内容については、すでに適、不適、禁忌ということの指導が教育されているわけですので、それを学問的に整理することによって、臨床判断学は学としてある程度構成できるのではないかと思います。そういった意味から 1 単位、授業科目名を起こすとすれば、そういった名称のほうが適切ではないかと思います。私は、その方向で決定していただければやりやすいのかなと思います。

○田城座長 事務局に改めて、脇でこそこそっとやろうかと思ったのですが、ちょっと遠いので。備考に書いてある「を含む」というのは、この固有名詞の科目名を立てろという意味なのか。こういうことをきちんと教えてくださいという備考なのか。

○医事課佐生医事専門官 基本的には、この表自体が教育内容で記載していますので、こういうことを教えてくださいという教育内容で整理しています。

○田城座長 ということですね。ということなので、それぞれの養成施設等でカリキュラムを作るときには、それぞれで適切に判断していただいて、養成校等で実際に教科書を作る委員会等が別途できますね。教科書を作るときに、そちらのほうで御判断いただくということになりますね。多分、この書き方だと、この名前の講座名を立てろというふうに見えてしまうので、ここで縛ってしまうときちきちとしたものになってしまうのですが、この備考は、あくまでもこういう内容で教えてくださいといった付則というものでいいのですね。釜萢先生、北村先生、いかがでしょうか。

○釜萢構成員 座長の提案は、あはきの。

○田城座長 これは専門科目。別添 1 ですと左側に。

○釜萢構成員 別添 1

○田城座長 別添 1 A4 、横長です。専門分野の臨床あん摩マッサージ指圧学、臨床はり学、臨床きゅう学の中を 15 単位、要するに 4 単位増やすときに、増やすものの中に備考で書かれているような内容ですね。必ずこの項目名でやれというところまでは縛っていないという趣旨で、事務局としてはいいですね。適切な表題とすれば、臨床判断学といったことが考えられますというのが座長からの提案ということで、いかがでしょうか。よろしいですか。

○栗原構成員 よろしいですか。 5 番の所は臨床判断学という例示をするということですか。結局、これまでも臨床あはき学の所では、適応と禁忌、適応と不適ということについてはやってきているけれども、それを更に充実させるために、この適応と不適という所を 1 単位増やすということなので。

○田城座長 そういう意味です。

○栗原構成員 何か、これまでの適応と禁忌、適応と不適とは、ちょっと違う内容を含んでいるのだと。あるいは、もっと充実した内容を含んでいるのだということが分かるように、今、議論の中で挙がっている臨床判断学であるとか、そういう言葉をどこかに残していただいたほうが分かりやすいと思います。

○田城座長 今までも教えていなかったわけではないのですが、十分な時間数を取っていたかということで、適応に関する内容で 1 単位取り分けてくださいということですね。取りあえず、そこまでは多分、双方で了解を得られていると思いますので、まずそれでよろしいかと。よろしいですね。適応と鑑別の間ぐらいということで「判断学」と。「学」を付けるか付けないかはあれですけれども、判断というのは医学用語でも十分ありますし問題なかろうと。取りあえず、一旦、この議論はここで切りまして、マル6の臨床生理学です。先生、この病態の「態」の字は態度の「態」でいいのですね。能力の能に心。

○後藤構成員 これは矢野先生が提案されたのです。

○田城座長 病態生理というのはありますし、臨床生理学、病態生理学、病態生理のほうが、より病理学に近い形になっていくのですかね。ここも、なかなか病理と生理の人の。

○北村構成員 多分、臨床生理学と言うと、恐らく正常の生理のほうに近いのだと思います。病態生理学と言うと疾患の成り立ちというか疾患の生理学になるので、病態のほうがいいかなという気はします。

○田城座長 そうですね。いかがでしょうか。釜萢先生、よろしいですか。

○釜萢構成員 これについては病態。

○藤井構成員 これ、正に病態生理となると病気の成り立ちの所を扱う学問分野だと思います。そうすると専門基礎の所に疾病の成り立ちと予防というのがありますね。今、提案されている病態生理は、あくまでも専門の臨床あはき学の所に追加しようという内容ですので、疾病の成り立ちと予防という内容が専門基礎にあるだけに、ちょっと何か違和感があるのですが、いかがでしょう。

○坂本構成員 よろしいですか。やはり病態生理だと思うのです。臨床の中で症候とか疾病のメカニズムについてよく知るべきだということを、ここではうたっているのだと思います。ですから、そういう意味では病態生理だと思います。

○田城座長 座長があまり強く意見を言ってはいけないのですが、生理学というのは、一応、生理的な範囲内でとか、正常分娩は病気ではなくて生理で、だから健康保険の対象外だというような使い分けをするので、異常か異常でないかと言うと、生理と言うときには異常でない側を指すので、それで臨床が付くと言うと訳が分からない。臨床の生理とは何なんだと、普通の生理学と臨床の場における生理とは何を言わんとするのかという疑問が湧いてくるので、後藤先生がおっしゃるように、これは病気の過程でどういうメカニズムで症状が出てくるのか。病理とはまた違うけれども、こういう症状を呈しているのはなぜだろうとか、そういうようなことを含む病態生理だと、後藤先生、坂本先生、北村先生、釜萢先生はそのように理解していると思いますが、いかがでしょうか。多分、それでいいと思いますが、どうでしょう。 1 時間で終わりたいと思っていましたので、すみません。いい議論で、こういうのは心行くまで議論したほうがいいと思います。続きまして、臨床実習のあり方の所です。

○坂本構成員 すみません。もう 1 つだけ、今の追加カリキュラムの所のマル8、 4 ページです。臨床実習前施術実技試験等という所に、「臨床実習前における学生の技術等に関する評価」というのが入っています。前にも申し上げたのですが、臨床実習前とは限らないのです。

○田城座長 医学部の OSCE のように、これができないとということではない。もうちょっと幅広い。このタイミングでという意味ではなくですね。

○坂本構成員 形成的な評価が必要だという意味で、ここのカリキュラムを追加したという認識があります。ですから、臨床実習前の「前」を取っていただくといいと思います。どのタイミングでも評価はできますので。

○田城座長 「前における」という所を強調し過ぎると、 OSCE のようなニュアンスということになる。ただ、患者さんに接する前には、一応、見極めていただきたいというのが事務局等の希望ではあるのですが、臨床実習に当たって、学生の技術等の評価を行えばいいということですよね。「に当たって」という所でタイミングがないわけではないですが、特にタイミングを強調するのはちょっとという。

○坂本構成員 恐らく形成的な評価をすると思うのです。何度か評価してくると思います。始まる前と中間と終わりぐらいの形で。ですので、前だけではないということです。

○栗原構成員 各科目の試験は通常どおり、どの科目でもやると思いますけれども、臨床実習に入る前に必ず評価をして、実習に出していいかどうかという判断をしてくださいというのが、これまでの議論だったと私は認識しているのですが、そういうわけではないのでしょうか。

○坂本構成員 臨床実習というのが、どういうタイミングでやるかということです。ある程度座学や実技が進んだ上で、もちろん臨床実習をやるわけですが、その前にアーリー・エクスポージャーみたいな形での臨床実習もあるわけです。ですので、必ずしもその段階で実技試験はやらないだろうということを前にも申し上げたと思います。

○栗原構成員 今、坂本先生がおっしゃっているのは見学実習のことですか。要するに早めにやるというのは、患者さんに触るというよりは見学であるとか、そういうものを指していらっしゃいますか。

○坂本構成員 見学が主体になるかもしれませんが、実際に患者さんとのやり取りや臨床上の態度を勉強する場というのは、早い段階からやると思うのです。

○田城座長 必ずしも見学ということではなく、 4 単位あるうちの 1 単位は、今は例えば介護の現場等々の多職種とか地域包括ケアの場など、そういう所にも活躍する場所が広がっているので、施術所における対人的な 1 1 の施術をするという実習のほかに、 1 単位分はそういう施設における実習を含むということになっています。それは 1 年生の 1 学期に入る可能性があるわけですから、それも実習なのだからというわけにはいかないということだと思いますし、それは妥当だろうと。

○栗原構成員 それはよく分かるのですけれども、指導者の下で実際に患者さんに触れて施術の実習をしていく前にする評価というのを、この臨床前評価と言っているという理解をずっとしてきましたが、それは要らないということですか。というか、曖昧にすることで臨床実習の、ここでも患者さんの同意を得てどういう実習をするか。患者さんの同意を得てうんぬんという書き方もされていますね。そういう中で何となく曖昧にして、どこかでやっているんだなという感覚で、このカリキュラム認定規則にはその雰囲気だけが残っているというのでは、臨床前評価うんぬんということを議論した形にならないと思います。

○後藤構成員  5 ページの臨床実習において実習生が行うことができる行為の所に、いわゆる患者さんを前にする臨床実習は試験をやってから、施術実技試験等による評価を行い、患者さんに対して施術を行うに足りる総合的知識うんぬんと書いてありますから、先生がおっしゃっているようなことは杞憂だと思います。ここには、むしろ施術の実技試験というのはいろいろな方法があるけれども、具体的に例えば前からずっと話が確か出ていましたけれども、 OSCE です。 OSCE を導入するなどの方法論によって技術評価を行うということで、ここは「実習前」は取って、臨床実習前というのは何か変です。こことここがこんがらがっているのではないか。臨床実習に、患者さんを相手にする前は必ず評価試験をやるわけです。それは OSCE か何かでやると。ここで言うのは臨床実習前、つまりそのことを指しているのだったら、これは「前」がなくてはおかしいですからね。坂本先生が言っているのは、しょっちゅう、ちゃんと試験をやれという話だから。

○栗原構成員 でも、それは当たり前の話です。

○後藤構成員 ですよね。

○矢野構成員 マル8の所の「臨床実習前に」という所は、「施術所における」と一言入れれば、今、後藤先生が言われたことと文脈的には全部一致するので、「前」を取らなくても、その説明の所で「施術所における」を入れておけば、見学のための前という意味合いは払拭されてしまいますから、いいのではないかと思います。

○田城座長 北村先生、いかがですか。

○北村構成員 医学では OSCE とか、そういう試験をやらないと臨床実習に出れないという規定は、例外的に、教育のためではなくて患者の安全のためです。患者の安全のためには、いい加減な人が出てきて思い付きでやられたのでは、患者はたまったものではないということで規定を入れています。そういうことを考えると、試験する分は、教育上は当然、形成的ですからいいのですが、むしろこれは総括的な試験で、臨床実習に出しても安全な人かどうかというのを総括的にやってほしいという試験です。栗原先生がおっしゃる試験ですから「前」が付いて、そして厳格に是非、全国統一くらいでやっていただいたほうが患者のほうから言うと有り難いと思います。

○栗原構成員 「施術所における」というのを付けていただいたらいいと思います。

○田城座長 医学部も OSCE をやるのに、結構、何年もかかっていますね。それは後半部分のどこでしたか、ただし書と言うと変ですけれども、今後の課題等において書き込まれていますので、その気持ちは伝わると思います。来年、再来年からこれをやらないとというのは、ちょっと早過ぎるのかなと。気持ちは皆さん分かっていますし、そのために、この後の臨床実習の在り方についてで、また議論しますから進めたいと思いますが、ここできちんとやるわけで、臨床実習にどのような学生さんを勧めるかということは、養成校御自身がリスクを負っているところもあります。当然、臨床実習で施術の実技試験をする。できれば、このタイミングは患者さんの前に出る前にすることが望ましいのは間違いないと思いますが、坂本先生は、これは常にやっているんだよということでもありますし、あまりぎちぎちとではなく、それは 7 の所でまた触れたいと思います。

○坂本構成員 よろしいですか。別に皆さんが「前」を取らないほうがいいということでしたら、私、前言を撤回しますが、 1 単位、 30 時間増やす前提として、このカリキュラムを入れるという話であれば既にやっているわけです。そうではなくて、より臨床実習が多くなり、全体に臨床実習で勉強したことをちゃんと評価しなさいという意味合いのほうが、私は強いのだという認識でいましたので、あえてそう言わせていただいたということです。

○田城座長 よく分かりました。臨床実習も期間があるわけですから、臨床実習をやりながら実技の確認を並行してできることのほうが、どう言ったらいいか、患者さんに行く前に、 1 つずつステップ・バイ・ステップで実技を確認していくけれども、これは並行でもいいのではないかという趣旨でしょうか。

○坂本構成員 並行と言いますか、評価を増やすべきだという考え方をしているだけでありまして、別にこだわりません。

○田城座長 分かりました。これは取りあえず。

○後藤構成員 よろしいですか。それで結構だと思いますが、 OSCE という言葉を具体的に入れていただいたほうがいいのではないですか。ずっと入っていたような気がしますけれども。

○坂本構成員 私の案として、 OSCE という言葉は最初に入れさせていただいたのですが、いつの間にかなくなって、この言葉になったのです。臨床実習前施術実技試験にいつしか変わったのです。

○田城座長 分かりました。ちょっとこれ、あとで調整します。では、ちょうど臨床実習に踏み込んでいますので、引き続きになりますが、「臨床実習の在り方について」、御意見はございますか。

○藤井構成員 文言の話になりますが、臨床実習施設についてという文章の 2 行目の所に、「スポーツ施設及び介護老人保健施設」とありますが、介護老人保健施設は、あまりあはき師の実習施設になっていないだろうと思います。恐らく介護老人福祉施設、つまり特別養護老人ホームという所ではないかと思います。介護老人保健施設を入れておくことには何ら異議はありませんけれども、実態と比べたときには介護老人福祉施設も含めたほうがいいのではないかと思います。

○田城座長 これ確か、同じような議論が前回あって、介護施設だと全部入ってしまいますが、介護施設などに広げたような記憶があります。いかがですか。介護老人保健施設とまで絞り込む必然性があったのでしたか。

○医事課佐生医事専門官 前回、介護老人保健施設などということで、「など」を入れればいいのではないかということで「など」を追加しています。

○藤井構成員 いいのですが。

○田城座長 「など」が入っている。介護施設にすると、例えばデイケア、デイサービスも入るし、介護施設はデイもありますよね。

○藤井構成員 実態として介護老人保健施設とかデイケアは、どちらかと言うと医療提供施設になりますから。

○田城座長 デイサービスがあるから。

○藤井構成員 デイサービスとか介護老人福祉施設、ここがあはき師、特にあん摩マッサージ指圧師の機能訓練指導員の実習施設になっている。実態はそうだと思います。

○田城座長 はい。厚労省の表現として介護施設は正しい使い方ですよね。介護保健施設でなくて介護施設。「など」は広げ過ぎですけれども。

○藤井構成員 「介護保険施設」でいいのではないですか。

○田城座長 必ずしも介護保健サービスだけとは限らない。これは「老人保健」の 4 文字を取って、「介護施設など」ではいかがですか。「など」はなくてもいいですか。

○坂本構成員 「など」はあったほうがいいと思います。

○田城座長 「老人保健」の 4 文字は削って、「介護施設など」でよろしいと思います。ほかにありませんか。いいですか。では先を急ぎたいと思います。大変失礼いたしました。第 4 の「専任教員等について」ですが、この専任教員の養成施設等について、坂本先生から資料 2 で御説明がありますので、坂本先生、よろしくお願いいたします。

○坂本構成員 お手元の資料 2 を御覧ください。前回の検討会の際に、教員の要件の中で現在の教員養成課程の在り方について、少々御議論がありましたので、それを少し整理させていただきました。現在の厚生労働大臣指定の教員養成機関は、 2 年間のほぼフルタイムのような形でかなりの患者の経験も踏みながら勉強している課程ですが、それを改めて、まず前期課程として臨床専攻課程を 1 年経た後に、後期課程として教員養成課程 1 年を経て、更に臨床能力の客観的な評価をした上で教員資格を付与すると、こういう仕組みにしてはいかがかという提案です。

 資料 2 1 ページがその図柄でして、次の裏側の「新たな教員養成課程マル2」に、臨床能力の担保のために経験症例数 100 例、症例報告 1 編、これは論文形式で、症例報告として提出するわけです。卒業時に第三者評価機構を設置して、そこから選出された評価者による臨床能力試験の合格を、最終的な教員の資格を付与するときの必須要件とすることにしてはいかがかということです。

3 ページは置きまして、最後の 4 ページですが、現在の教員養成課程は、総時間数 2,100 時間を 2 年間で行っておりまして、これを単位換算しますと、大体 62 単位ぐらいになります。今、 1 年ずつに分けていろいろ積み上げていったときに、 66 単位ぐらいをまず増やしていると。その中で特に臨床実習については、現行 16 単位から 18 単位まで増加していくと。前回も申し上げましたが、この臨床実習は資格を持っている人間ですので、卒後の臨床研修と同じ意味合いで、相当数の患者を経験しながら、十分に臨床能力を高めていくことを前提とし、カリキュラムの骨子としているということです。こういったことで現行の教員養成課程を充実させながら、教員の要件そのものを新しいカリキュラムにふさわしいものにしていきたいという提案です。以上です。

○田城座長 ありがとうございます。今の坂本先生からの御説明を含めまして、第 4 の「専任教員等について」の報告書 ( ) の文言等についての御意見はありますか。よろしいですか。坂本先生、どうもありがとうございました。

 第 5 「その他について」です。これは、例えば 1. 基本的考え方、 (1) 「著しい視覚障害」の程度について、以前、これは栗原先生から御指摘があったかと思いますが、これでよろしいでしょうか。

○栗原構成員 はい。

○田城座長 あと (2)(3) 、改正の内容の (1)(2)(3) 、備品の件がありますが、いかがですか。備品等について、御意見は大丈夫でしょうか。

○栗原構成員 これは前回もお尋ねしたのですが、認定規則にはなかなか書き込めないということ、他のパラメディカルの規則等の関係もあって、あはきだけ書き込むのは難しいというお話を頂いていますが、これは文科省から改めて通知を出していただいて、周知していただくということでよろしいのですよね。

○文部科学省特別支援教育課青木調査官 その周知の方法等について、具体的に検討してまいりたいと考えております。

○栗原構成員 ありがとうございます。

○田城座長 よろしいですか。厚生労働省の所管と文部科学省の所管で、浸透度に違いがないように、御配慮というか検討いただくということでよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。次に、第 6 「適用の時期について」、それから先ほど議論にもなりました「今後の課題」ですね。これも今回見直して、また次にオリンピックならいざ知らず、干支が回るぐらい、 12 年先になるようなことがないようにという議論はあったと思いますので、具体的な数字は書き込まれてはいませんが、定期的にオリンピック程度なのかは分かりませんが、見直しを行うということは書き込まれております。最後に「おわりに」というのは、取りあえず第 6 の適用の時期についてはこの間、議論されました。ここに書いてあるように平成 30 年度の入学生から。専任教員の数に関しては、人事採用等ですので、人の動きは急にはということがあるので、 2 年程度の猶予は認めましょう、経過措置を認めましょうということです。

 一番大きな残された課題としては、第 7 の「今後の課題」になります。今後の課題、 7 ページの下 5 行から 8 ページになります。ここに定期的な改正の必要性、臨床実習の前の学生の評価について、これは先ほどの議論とほぼ同じ内容です。全国統一の基準にする評価は望ましい。柔道整復師でも同じようなことは議論されているけれども、これは今日、明日というわけにはいかないだろうということ。ただ、将来的には望ましいということはきちんと書き込ませていただくということで、坂本先生いかがですか。

 ですから、臨床実習の評価と臨床実習が互い違いになることは、実際に養成校等で教える中では、そういうふうにコマ数で同時期に開講で交互にということは、カリキュラムを作る上で考えられることではありますので、評価はきちんとしていただくと。先ほど北村先生がおっしゃったように、一番問題なのは実習の対象になる患者、施術を受ける方になりますから、医療安全上皆さんも自覚されていると思いますので、これで何かあると致命的なことになるのはこちらの業界ですので。

○北村構成員 読んでいて気が付いたのですが、こういう学校の評価をするシステムは、あはきの学校にはあるのでしょうか。いい教育、あるいはここで決めた教育をきちんとやっているかを評価するシステムです。今、先生がおっしゃったのは、学生を評価するのはしっかりやるということです。学校を評価するシステムは、いずれ作ったほうがいいかという気はします。

○坂本構成員 学校に関する評価は、現在の専門学校という形では義務付けられたものはなく、いわゆる自己点検、自己評価だけしか義務付けられていないのですが、現在、職業実践専門課程という文科省の専門課程に移行している養成施設は、少なくとも関係者評価を受ける形になっています。また、カリキュラムの編成会にも外部の人間を入れることになっています。今後は、更に分野別の第三者評価まで、今、トライアルが進んでいるところですので、いずれ大学並みとは言いませんが、それに近い形になっていくことは予想されています。

○北村構成員 トライアルまで行けるのだったら、将来の所に約束で書き込んだらどうかと。

○田城座長 例えば学校評価、今、私は私立大学に関わっておりますが、学校の評価が経営の健全化とか、黒字か赤字かとか、経営効率とかということまで含めるのか、カリキュラムの中身なのか。医学部だと、国試の合格率とか、留年率も数値で出てきますし、更に数値化しやすいのは合格率になり、ドロップアウトしている率になります。カリキュラムの中身のクオリティー評価となると、これはまた少し難しい。医学部でも、クオリティーの評価というと、どうなのでしょうか。でも、最近はアメリカの。最近は、医学部は病院の国際評価もありますが、医学部の教育の国際評価がありますので、そういうのも参考にしながら、東洋医学系で国際評価がどうかというのは議論はあると思いますが、評価の手法は、最近、いろいろな経営学のところでも指標がありますので、そういうことがあることを意識して、評価の手法をこれから学校協会等で検討していただくということでいかがでしょうか。

○坂本構成員 せっかくですから、学校協会と業団側と学会と集まりまして、そういう懇談会を作っていく予定です。今、北村先生、田城先生が言われましたが、外形的な評価だけではないのです。教育の中身に関する評価項目をいかにするべきかという議論をし出そうとしているところです。

○田城座長 教育の評価、国際評価だけが全てではないにしても、医学部は学問の中身としてグローバルな評価がありますので、そういう大きな評価基準に従ってというのは、あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師の学校だけにとどまらなくて、すべからく文部科学省の学校等でもそうですし、病院でもそうなので、そういうことは意識していただいて、評価の手法等を考えてということで、そこでそれ以上でもなく、それ以下でもないということで、いかがでしょうか。それは 7 に書き込むかどうか。

○矢野構成員 見直しをすることの文言も入れていただいていて非常に有り難いのですが、これを定期的に改正するという意味合いから言うと、 8 ページの 2 行目、「上記の検証も踏まえ、検討を行うことが望まれる」ということではなくて、ここは明確に意思表示をしてはどうかと思います。同じように、「夜間部の在り方も含めた検討が必要と考える」のではなくて、これも検討すると。併せて、今度、新しく教員養成課程も改定されますが、こういったことも併せて定期的な改正をするということで、これからも明確に資質向上に向けて段階的に前進していくのだということを示す意思として、そこの所の文言をもう少し明確にしてはどうかと思っているのですが。いかがでしょうか。

○田城座長 「定期的に改正の必要性についての検討を行うことが望まれる」で、我々と事務局として精一杯頑張った文言ではあるのですが。前にも触れましたが、介護保険法は、成立時に 5 年ごとに見直しをすることが確か書き込まれていたと思います。その前例に倣えば、そういう書き方になるとは思いますが、介護保険法と改善検討会の報告書と同列のものではありませんが、年限を切ってやるか、それでなければ、これでも十分。

○仲野構成員 悩ましい問題だと思いますが、非常に大事だと思うのです。 16 年も置いておかれたということはどうしようもない事実ですから。タイムスケジュールといいますか調査することは大事なことですから、是非、書き込めるものなら書き込んでほしいと思います。何かいじめるようで申し訳ないのですが、何かあったほうがいいと思います。将来の私どもの仲間のためにもいいものしていきたいと思うのです。教育は大事なことですから、是非お願いしたいと思います。私も矢野先生と同じ意見です。

○田城座長 何年というのは別としても、年限を切ってというのが望まれる方は何人ぐらいいらっしゃいますか、挙手というと変ですが。分かりました。それでは、介護保険法の前例に、介護保険法を前例というのはおこがましいのかもしれません。あれだけ 3 省にまたがる大きな法律ですから介護保険のほうが迷惑するかもしれませんが、一応 5 年というのが介護保険でありますので、ちょっと幅があるので、程度は入れさせていただいて、「 5 年程度で見直す」というのはいかがでしょう。 4 年だと卒業生が 3 年で留年者が出ますので、 3 4 年はちょっと短すぎますよね。本当は 2 学年、 3 学年でほしいので、実は 6 年ぐらいかとは思うので、ざっくり言って、ざっくりと言うと怒られるのかな。ざっくり言って 5 年程度、 6 年だと余りに細かすぎる気がしますが、 5 6 年が 1 つの節目かと思うのですが、どうですか。御意見はありますか。

○釜萢構成員 数字が書かれるのと書かれないのとでは大分違いますので、 5 年程度とか、それは座長にお任せしますが、数字を入れたほうがいいと思います。

○藤井構成員  5 年をめどにとか、是非、具体的に数字を入れていただきたいと思います。見直す場は、厚労省が事務局を担当するこういう場なのだろうと思いますが、今回の文面を見ておりますと、検証をやって、その検証を踏まえて検討すると、こういう 2 段構えになっているわけです。この検討の結果が、 5 年をめどにということなのだろうと思います。そうすると、検証をどこが、誰がやるのかというところは、何か具体的なイメージはあるのですか。

○田城座長 検討の手法はいろいろあると思いますが。

○藤井構成員 検証ですね。

○田城座長 いろいろな事業とか施設、例えば、看護師の特定行為も、まず研究班を立ち上げてとか、いろいろな手法があると思いますので、それは縛る必要はないと思います。厚生労働省のお役人は非常に頭が良くて知恵のある方々ですので、いろいろな手法を考えますし、過去にもいろいろな実例は多々ありますから、そのどれか、例えば研究班で調査するとかはあると思います。もちろん、諸団体の皆様で自主的に検証されることも選択肢としてはあるわけですので、自己規制というと変ですが、自主的にしていただいても構わないと思います。

○後藤構成員 具体的には、各都道府県が養成施設の定期的な監査というか、今でも行っている県もあるし、やっていない県もありますが、この点を厚生労働省から徹底していただきたいのと、今回決められたことでも、解釈によってこちらとこちら、どちらでも取れるみたいな解釈が実はあるのです。別に抗議をするわけではありませんが、地方厚生局に本省から移管されたときも、 8 通りの解釈があったと。今、 47 都道府県に全部移管されましたから、 47 通りの解釈がある部分で出てきたりするのです。これについては、そういう疑義が生じたときは、是非、本省で方向性を示していただくことが必要ではないかと思っています。学校協会でそういうところの情報を集めているし、それほど違うのということが実際にあるのです。是非、 47 都道府県に対して微に入り細に入り、ひとつ御指導いただきたいということをお願いとして。

○坂本構成員 私からもお願いがありまして、今回、こういう報告書 ( ) が、今、正に決まろうとしておりますが、私ども委員として出ている人間は、この中身を熟知しておりますし、どの部分が認定規則であって、どの部分が指導要領、ガイドラインの改正のポイントかは分かりますが、この報告書が公表されて他の方が御覧になったときに、具体的にどのような改正になっているかは明確ではないような気がしますので、できればその改正のイメージみたいなものを、この報告書とともに参考資料として添付していただければと、是非、事務局で整理いただければと思うのですが。

○田城座長 分かりました。坂本先生のお話は、報告書は報告書として、報告書がめでたくまとまって、医道審議会の分科会に報告して、認められて、いざ実施、公布する際には、これだけではなくて、分かりやすいイメージ図とか解説書、前後比較表のような、見える化と言うと変ですが、それには逆に先生方のお知恵も借りて。こういう書き方では分からないと、こちらは分かるつもりで書いているのですが、これでは分からないということになるといけませんので、これが全部通った後、皆様に周知徹底する際に、どのようなイメージ図なら業界の皆様に分かっていただけるのかは、また委員の皆様のお知恵を、逆にお借りして、こういう書き方でないと分からないというのは教えていただけますかね。後藤先生、坂本先生、皆さんに。それはこの委員会とは別に、どのように公表し、公布・普及するかというときに考えさせていただければと思います。

 後藤先生がおっしゃったのは、担当者の解釈ひとつで難渋するのは、これに限らず診療報酬の解釈にしても多々あることですので、せっかく本省でこういう議論をしたのに、伝言ゲームのように、どんどん伝言していく間に正しく伝わらないとか、独自の解釈をされるとか、本省から担当課長がわざわざ電話をしているのに、「いや」と言って譲らないというのはあることですので、これは本省の指導力でということは考えたい。考えたいというのも変ですが、そういうことは。でも、この報告書の中に書き込む文言としては難しいかもしれませんが。

○後藤構成員 報告書に載らなくてもいいと思います。

○田城座長 周知徹底ということですよね、今のことにも通じますが、ざっと。

○藤井構成員 今との関連ですが、我々でさえこの報告書の書かれている内容の意味がよく分からないとか、あるいは、読む人によっていろいろ解釈の余地があるというところについては、是非、今、坂本先生が言われたような形での何かマニュアル的なものを出していただきたいと思うのです。

 特に、 4 ページの真ん中辺りに※があります。ここは恐らく減ずる。そこまでは追加するカリキュラムをずっと書いておられたので、人体の構造と機能が 13 から 11 になった所を表現されているのだろうと思いますが、この辺りなどはもう少し分かるような形で追加的な説明をお願いできればと思います。

 もう 1 つは、「おわりに」の前の所で、これは私の記憶違いかもしれませんが、「視覚障害者であるあはき師の養成を行う」うんぬんという所の文言ですが、「学習指導要領が新たに出されたときは、認定規則の検討等を行うことが望ましい」という。ここは議論した記憶がないのです。また、どういう意味かがよく分からないのです。そこを御説明いただいて、もう少し分かるような何か文章が必要なのだろうと思います。

○田城座長 まず、直近の「おわりに」の前、第 7 の最後の 4 行、これは確か議論になってから書かれているのだと思うのです。事務局から振ってもらえますか。

○医事課佐生医事専門官 この部分ですが、前回栗原先生から御指摘がありました。ここに書いてあります、あはき法第 18 条の 2 、いわゆる中卒課程の学校については、現在は特別支援学校の高等部の学習指導要領で、減ずる規定等があるというところです。これは、今後平成 34 年ぐらいに見直しが予定されています。次回の見直しのときに、その減ずる規定等がなくなった場合には、この中卒課程では、増枠した単位数を全部やるのは結構厳しくなるので、そのときにはもう一度検討をしてほしいという意見が前回あって、ここにこのように書かせていただいております。

○田城座長 藤井先生よろしいですか。まず栗原先生に説明していただく前に、今の説明でよろしいですか。

○藤井構成員 そういう問題点というのは当然分かります。ただ、そこのところはいろいろな議論があるところです。どこかでそういう場面が出てきたときに、検討しましょうということだけを言っているのですね。

○田城座長 最後に栗原先生に御説明いただきますが、私の理解では、あはきの養成で単位数が増えますと。ただ、一方中卒で入るのは、高等学校のカリキュラムもあるわけですから、そちらのほうが増えてくると。両方増えると、学校の時間割の中でこなしきれない懸念があるというので、その場合にはいろいろ御考慮いただきたいという趣旨と理解しておりますけれども、栗原先生いかがでしょうか。

○栗原構成員 今、田城先生がおっしゃられたような形で前回発言させていただきました。現在進められている学習指導要領の検討については、平成 34 年適用に向けて検討が進められています。特に問題になっているのが、現在 3 単位、 4 単位の科目については、 2 単位まで減じることができるという規定になっています。現在、国語については 4 単位必履修になっているわけです。これが現在検討されている中身で言うと、その 4 単位の中身が 2 単位、 2 単位に分けられてしまうので、結局国語も減じることができなくなってしまうということです。結局は減ずる規定を適用しても、今よりも最低 2 単位以上増える可能性が高くなっています。

 そういうことを含めて、今回、あはき師の資質の向上ということで、専門学校でいけば夜間部の問題、盲学校で言えば本科保健理療科の問題、それぞれギリギリのところで資質の向上を担保しつつ、合意形成を図ったと認識しています。そういう中で、学習指導要領等の変更もあり、本科保健理療科の状況を含めて、そういう変更があった場合には、検討していただかないといけないかなと私としては考えています。

○田城座長 高校のカリキュラムも増え、こちらも増えということでは、生徒は中学を出て 10 代の中頃です。彼らの体力等もありますので、そういう意味では生徒の健康を守るという意味でも過重な、 1 8 時間が連日になる。 8 時間でもこなせるのでしょうか。

○栗原構成員 現状で言うと、 7 時間目ができるという状況です。 2 単位増えれば、それが毎日 8 時間ということはないと思いますけれども、 7 時間目は確実にできてくるという状況になると思います。

○田城座長 高校 1 年生、 10 代半ば。

○栗原構成員 中途の視覚障害ということなので、どちらかと言えば 40 代、 50 代ぐらいの中卒の人たちということになります。今の若い人たちは、基本的には高校に行って、高等学校を卒業した上で進学してくることになります。

○田城座長 分かりました。

○藤井構成員 おっしゃることはよく分かります。恐らくイメージとしては、ここに書いてある認定規則等ということになると、今は中卒課程に対する特例が、認定規則別表 1 の備考にあります。総合領域の 10 単位は、一般教科に回すことができる。ですから、現状あん摩の 36 単位の専門の単位数が、実質、今中卒の課程は 26 単位、その 10 単位分は高校卒業認定に必要な普通科目に振り替えることができる。こういう特例が今の認定規則にあるわけです。今のお話だと、更にそこのところの 10 プラス 2 ぐらいを減ずる規定がなくなった分は、またこの特例を増やす方向で検討してほしいと受け止めました。

 今、私はそこの議論をする気持ちは全くないわけですけれども、 1 つ申し上げておきたいのは、確かに生徒の負担、健康の問題を考えたときには、一見これは大変やさしい配慮に見えるかもしれません。しかし、国家試験のハードルという観点から見たときには、今でも 10 単位分が足りない、更にそこにまた特例を増やすということになると、不合格者を更に増やすことになりはしないか。そういう問題を含んでいますから、極めてこれは大きい問題です。ここに書いてあるように、こういう場面が出てきたときには、そういうところも含めて大いに議論していただければと思います。

○田城座長 栗原先生いかがですか。

○栗原構成員 今、藤井先生がおっしゃられたように、不合格者の累積の問題であるとか、本科保健理療科の是非論であるとか、そういうことについてはここでは議論できないので、本当にそれをやるのであれば、当事者を集めたそういう会議が必要になってくるだろうと思います。いずれにしても、現状では本科保健理療科が存在することは確かなので、学習指導要領などを合わせたときに検討していただかなければならないということは変わりないというように私は認識しています。

○仲野構成員 そのことによって栗原先生、実は鍼灸師の給与の問題になるのですよ、カリキュラムではなくてね。全般的にこれは余り話したくないのだけれども、中卒の 3 年がいつまでも付いていることによって、鍼灸師の賃金給与の体制がそこだけでガクッと全部落ちているのです。だから、思いきって特別なことを何か考えてみてください。高卒の 3 年だということで徹底されているわけですから、その枠でいけば、本当は社会的にはかなりの評価を受けるわけです。ある意味では評価が一方的に勝手に削られているというのが実情なのです。その辺はもう少し何とかできないものなのかと思うのです。議論はしたくないのですけれども、それが私の望みです。

○栗原構成員 仲野先生の御意見はいつも伺っていますので、大体承知しています。ただ、鍼灸師の評価、給与の面であるとか、それは高卒課程ですので、短大扱いなりというような形でされているものと認識しています。盲学校の卒業生は、基本的にそういう扱いをされています。

 言っておきたいのは、本科保健理療科は確かに不合格者は累積しているけれども、一方で合格した人たちはちゃんと働いていますから、そのこともちゃんと御承知おきいただきたいと思います。決して本科保健理療科を卒業した人たちが、この業を貶めているとは私は考えておりません。

○仲野構成員 私も考えておりませんよ。

○田城座長 よろしいでしょうか。第 7 の一番最後の 4 行の表現はちょっと検討する余地はあるかもしれません。文言として、日本語としてあるかもしれませんけれども、ここは残すということでよろしいかと思います。他に御指摘はありますか。 1 つお伺いしたいのですが、 4 ページの第 2 のマル8ですね、 OSCE 、坂本先生も後藤先生も「 OSCE 」という文言を入れたと。いつの間にか消えているということなのですが、藤井先生、矢野先生、何か御存じですか。

○藤井構成員 私も入っているものだと思っていました。

○田城座長 「 OSCE 」というのを日本語に直すと。

○北村構成員 「 OSCE 」を直訳すると「客観的構造化技能試験」なのですが、「構造化」というのがよく分からないので、今医学部では、「客観的臨床能力試験」と訳しています。 OSCE でも教育熱心な人は分かるのですけれども、 OSCE にするか客観的臨床能力試験とするか、あるいはこの表現にするか、一番実現可能な表現にしていただきたいと思います。

○田城座長 医学系保健医療職のカリキュラムをなるべく横並びにするという意味では、 OSCE という文言があってもいいのでしょうか。

○坂本構成員 実技試験というと、あくまでも技能だけになってしまいます。 OSCE というと、やはり臨床能力ということになると、その態度みたいなものも含めての評価ということになりますので、そちらのほうが適切なのかと思うのです。

○田城座長 まず日本語で、漢字で書いて、括弧して「 OSCE 」にしておいたほうが分かりやすいかなと。いきなり OSCE だけ出ると、また説明をするのが大変ということになるといけないので。今、北村先生に教えていただいた、「客観的臨床能力試験」にして、括弧して「 OSCE 」にする。そうすると、マル8の所を完全にその言葉で置き換えてもいいですか。そうすると、同じことの蒸し返しになりますね。でも、そうしましょう。

 皆様の御意見としては、 8 ページの上の所で見直し、定期的にではなく、大雑把でもいいので数字が欲しいということ。数字は、介護保険法の例を挙げましたけれども、そういう例があるので 5 年程度というので、構成員の皆様のコンセンサスを得られたかと思います。

 それから、 4 ページの改正の内容の (1) 臨床実習施設については、「スポーツ施設及び介護施設等」ということで幅広にしておく。デイサービス等もあるということで。ただ、これも介護施設と言っても幅広なので、藤井先生がおっしゃるように、介護保険法で規定されている給付サービス外であっても、介護保険法で規定されているのが基本的には望ましいということです。それは解釈というか、各学校で良心的に判断していただくということでよろしいでしょうか。

 それから細かい文言として、言い回しで「あったところであり」がかなり多く目に付くので、これは「あるが」でも日本語になると思います。これは法令係とか文書課の言い回しもあるとは思いますけれども、できるだけ美しい日本語を検討してみたいと思います。そのことも含めて、座長、事務局に御一任いただけると幸いですが、いかがでしょうか。

○北村構成員 細かいことですが、別添 2 の教育の目標で縷々書かれていますが、ほとんどの動詞は「養う」とか「学ぶ」とか「修得する」といっていて、「学修者」「学生が」という主語が隠れていると思うのです。下から 4 行目だけ「教授する」と。「学校が教授する」になって、主語が変わっているので、ここを変えたほうがいいかと思います。

 それから、頭から 3 行目も、「理解できるようにする」というのは、「教育者」が主語だと思うのです。主語を全て「学修者は」というようにしたほうが、目標になるやに思います。

○田城座長 はい、分かりました。御指摘をありがとうございます。今御指摘を頂いたことも含めて、事務局と協議をして、改めるべき所は改めたいと思います。

○栗原構成員 今後のスケジュールと言いますか、学校現場に下りてくる時期みたいなものが何か示されないでしょうか。適用は平成 30 年入学生からというのは分かっているのですけれども、実際にカリキュラムの検討をしていくには、今年一杯ぐらいには何とか周知できる方向にならないと、カリキュラムの検討そのものが難しいかと思ってしまうのです。今後のスケジュールみたいなものが分かれば。

○田城座長 私の理解は、ここでめでたく皆様から座長、事務局に一任を頂けましたら、できるだけ速やかに 1 2 週間以内に文言をきちんと改めて、医道審議会の分科会に、多分柔整と一緒になるのでしょうか、提出して、そこで御裁可いただく。そうした後は事務局になると思いますけれども、可及的速やかにそういう手続を取って、関係学校、学校団体に周知するということになると思うのです。そこの具体的なスケジュールが、分かる範囲で結構ですけれども事務局から説明していただけますか。

○医事課佐生医事専門官 これから報告書の修正を行い、座長からもありましたが、続いて医道審議会のあはき及び柔整の分科会に報告をさせていただきます。それが多分 10 月から 11 月ぐらいになると思います。その後に省令改正等の手続をさせていただきます。省令改正についてはパブリックコメントをして、意見を聞いて、それから認定規則の改正の通知等を準備していくことになります。年度内を目安に、通知ができればと考えております。

○田城座長 今までは柔整の検討会のほうが、時期的に少し先行していたのですが、今回第 5 回で逆転して、我々あはきのほうが先にこの会を閉じることができ、報告書づくりに先に入ることになりました。この中の 5 人ぐらいの先生が委員として重なっています。柔整とこちらと同じ時期に報告書を出して、あとは事務局から説明があったとおりになると思います。

○仲野構成員 釜萢先生とか北村先生はよく御存じだろうと思うのだけれども、私どもの考え方というのは、いわゆる医療界の端くれにあるのです。先ほども線引きの所で出てきたけれども、医療であって医療でないという表現がたくさん使われます。今の現代医学のものの考え方のパラダイムと違って、私どもには伝統的なパラダイムがあるわけです。ある意味では、これから極めて大切な根幹を成すものになる可能性があるかもしれない。だから、教育に一生懸命熱心に協力していただいて、上げることに対しても賛成していただいていることを有り難いと思っています。そういう中で、そういうパラダイムを作れる可能性というのはいかがなものですか。私は持論として、私どもは作り上げなければいけないのだと考えています。それは別に保険料金でなくてもいいのです、健康保険の中に入っていなくても構わない。そういうパラダイムを作れる可能性はあるでしょうか。医師会も含めて、今の日本の医療界にそういう度量があるのでしょうか。

○釜萢構成員 私がそれにお答えする資格があるかどうかですけれども、個人的な意見を述べさせていただきます。それは仲野先生のおっしゃるような形で、我が国に非常に長い歴史を持って培われてきたものを、今後にしっかり残すべきだし、そういう枠組みが今後更に拡充されるべきだろうと思います。ただ、現在の医行為という法律に基づくものの中からすると、なかなか整理が難しい部分があって、それについてはいろいろな意見があるので、それらをうまく調整しながら、今後にどういう方向を目指すべきかということについては、引き続き御相談をしながらしっかりやっていく必要があるし、その努力をしないと、先生がおっしゃるようなところにはつながらないと思っています。

○仲野構成員 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。

○北村構成員 医学教育の中にコアカリキュラムというカリキュラムがあって、それができたときに、「和漢薬を説明できる」という 1 行が入ったために、漢方が東洋医学と西洋医学の融合の時代になったと言って、売上げが伸びたかどうかは知りませんが、 1 つの立ち位置をもらったと喜んでいた時期がありました。

 それと同じように、鍼灸なども、西洋医学と一緒にやればより効果があるとか、いわゆるそういうエビデンスが積み重なっていけば、当然そういう位置付けがはっきりしてくると思うのです。右と左に分かれているのではなくて、一緒に共同研究しませんかとか、一緒に解明しようとか、そういう動きにつながればいいと思います。

○後藤構成員 質問です。この報告書の案ですけれども、あはき関係のメディアから取材を申し込まれています。これは、そのまま案として出してもいいですか。多分まだ議事録が出る前ですよね。これを出すのではなくて、話としてです。

○田城座長 これは、どこまで、構成員のみですか。

○医事課佐生医事専門官 資料は公開されています。

○田城座長 今の議論も皆さんに聞いていただいています。もちろん正式な報告書が出れば、それはその段階でですけれども、これはあくまでも案だと。案でこういう議論が行われたという事実に関しては公表されていますのでよろしいかと思います。

 私は、在宅医療を推進する立場の人間で、在宅医療の現場でも、あん摩マッサージ師の方々の御活躍もありますし、地域包括ケアシステムとなり、昨今の社会保障に関するいろいろな国民負担ということを考えると、その職種を関係なくと言うと変ですけれども、全ての職種が一丸となって、いわゆる多職種連携ということになるということです。そういう意味では、あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師の皆様に、私個人的には大いに期待しております。確かに医者の、具体的な名前を挙げるのもちょっとあれかもしれませんが、 M3 とかいろいろ書き込むサイトがあると、いろいろ辛辣な意見もあって心を痛めたりしております。そういう意味では相互理解、皆様方の力を正当に評価し、活用し、お互いに助け合うと言うと変ですけれども、皆様にやっていただくべきところはやっていただくということと考えております。

 医療というのは、社会保障の中の 1 個、 1 部品にすぎないので、そういう意味では、仲野先生は診療報酬、介護報酬の報酬の外でいいからと言うのですが、もう自由診療になってしまいますので、社会保障の一環としては、診療報酬、介護報酬の中で共に頑張っていきたいというのが個人的な要望です。皆様方から、座長に御一任を頂きましたので、そのように進めさせていただきます。それでは、ここで椎葉審議官から御挨拶を頂きます。

○椎葉審議官 医政局審議官の椎葉です。去る 6 21 日付けで就任いたしました。今後ともよろしくお願いいたします。構成員の皆様方におかれましては、今年の 1 18 日の第 1 回以来 5 回にわたり、本検討会での議論に精力的に御参加いただきました。本当に改めて御礼申し上げます。この検討会において、あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師の質の向上、特に臨床能力の向上という観点から、養成に必要な教育内容、そして臨床実習の在り方、また専門・専任教員の要件といったことなどについて、幅広く詳細な御議論を頂きました。この検討会で御議論いただきましたことが、国民の信頼と期待に応えるあん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師の養成につながるものと思っています。

 厚生労働省といたしましては、報告書がまとまりましたら、医道審議会の分科会に御報告させていただきます。その上で文部科学省とも連携しながら、認定規則の改正等の作業を可及的、速く進めたいと考えています。座長からもありましたし、議論の中にもありました公布の際、それから様々な普及の際には、是非先生方にいろいろそのやり方なども聞きながら御相談させていただきたいと考えております。今後とも医療行政の推進、特にあん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師の養成等に更なるお力添えを賜りますようよろしくお願い申し上げまして挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。

○田城座長 ありがとうございます。 1 時間で終える予定でしたけれども、ちょうど時間どおりです。それでも早かったのだと思います。光栄なことに皆様から一任していただけましたので、事務局と検討し、報告書を完成させたいと思います。その後は、椎葉審議官からの御挨拶にもありましたように、医道審議会分科会、そのときには皆様方何人かの先生方が親委員会として、逆に委員の側にお座りなのですけれども、そこで御報告させていただきます。今年の 1 月から 5 回にわたって、第 6 回がなくてよかったと思いますが、 5 回この検討会を開催し、皆様の御協力、それから水面下でのすり合わせ等々もありました。本当に感謝しております。報告書 ( ) を認めていただきまして、多分 1 2 週間のうちに報告書がまとまることになると思います。座長として厚く御礼申し上げます。

 椎葉審議官からも御挨拶がありましたし、御指摘がありましたように、皆様方に、その業界の方等々に公布する際、普及する際には先生方の御意見やアドバイス、お知恵をお借りしたいと思いますので、その際にはよろしくお願いいたします。それでは、これであん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師学校養成施設カリキュラム等改善検討会を終わります。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省医政局医事課医事係
(代表) 03(5253)1111(内線2568)
(直通) 03(3595)2196

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