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2016年10月14日 第4回 児童虐待対応における司法関与及び特別養子縁組制度の利用促進の在り方に関する検討会

雇用均等・児童家庭局

○日時

平成28年10月14日(金)17:00~19:00


○場所

中央合同庁舎第5号館 厚生労働省省議室(9階)


○出席者

吉田(恒)座長 岩崎構成員 金子構成員 上鹿渡構成員 久保野構成員
杉山構成員 床谷構成員 林構成員 藤林構成員 峯本構成員
森口構成員 山田構成員 横田構成員 吉田(彩)構成員

○議題

(1)意見交換
(2)その他

○議事

 

 

○木村補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第4回「児童虐待対応における司法関与及び特別養子縁組制度の利用促進の在り方に関する検討会」を開催いたします。

 構成員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 本日は、久保構成員、山本構成員から御欠席の御連絡をいただいております。

 また、山田構成員につきましては、20分から30分ほど遅れての参加になる旨の御連絡をいただいております。

 まず、資料の確認をさせていただきます。配付資料は、右上に番号を付しておりますが、資料1-1、資料1-2、資料2-1、資料2-2、資料2-3、資料3に加えまして、参考資料として、第3回新たな社会的養育の在り方に関する検討会において、大阪市から提出がありました大阪市こども相談センターにおける特別養子縁組の取り組みに関する資料を配付しておりますので、ご覧いただければと思います。

 資料の欠落等がございましたら、事務局までお申しつけください。

 なお、本検討会は公開で開催し、資料及び議事録も公開することを原則とさせていただきます。

 それでは、これより先の議事は吉田座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○吉田(恒)座長 皆さん、こんにちは。

 早速議事に入りたいと思います。カメラの撮影に関しましてはここまでにしていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

(カメラ退室)

○吉田(恒)座長 まず、本日の議事についてでありますが、配付いたしました議事次第にありますように、本日も構成員の先生方からの御意見をいただき、意見交換をしたいと思っております。

 本日は、特別養子縁組に関する調査票(案)について、皆様から御意見をいただいた上で、今後調査を実施する必要があることから、先に特別養子縁組に関する意見交換を行いたいと思います。

 目安としては、前半の40分程度を特別養子縁組に、残りの1時間20分程度を司法関与の時間としたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、まず、特別養子縁組の利用促進のあり方に関して、先生方から前回検討会終了後に御提出いただいた御意見を踏まえ、事務局で調査票(案)を作成していただいておりますので、資料1-2の調査票(案)について、事務局からまず御説明いたただき、その後、意見交換を行いたいと思います。

 それでは、事務局から資料の説明をお願いいたします。

林補佐 家庭福祉課の林でございます。

 お手元の資料1-2「特別養子縁組に関する調査票(案)について」、御説明させていただきます。

 第3回の検討会におきまして、実態把握に当たって、子どもの年齢、審判の申し立て権、成立要件、出自を知る権利、養親、養子への支援の各課題について、原則平成25年度、26年度、27年度の3年間で全国の児童相談所及び民間あっせん団体を対象として調査する考えをお示ししました。その後、構成員の皆様から頂戴した御意見などを踏まえまして、現時点で事務局が考える調査票(案)をお手元にお配りしております。

 調査対象期間についてですが、構成員の御意見も踏まえまして、作業期間がタイトになる中で、3年間とした場合、特別養子縁組の成立件数が多い児童相談所、民間あっせん団体にとってはその分負担が大きくなることから、平成26年度、27年度の2年間とさせていただいた次第です。

 また、調査にかかる負担を少しでも軽減するという観点から、自由記述欄を極力廃止しまして、選択肢を多く設定しております。

 また、児童相談所や民間あっせん団体では、事案ごとの資料をまとめていることから、事案ごとに調査項目を設けております。各調査項目に沿って御説明いたします。

 1ページから3ページ目の「1.特別養子縁組が成立した事案について」です。

 成立した特別養子縁組について、児童の性別、年齢、養親の年齢、養親が監護をする前と後の状況、実親の同意、児童の養親候補者への打診、縁組成立前の試験養育期間、申し立ての各段階における問題、この問題への対処、縁組の成立を家庭裁判所が決定した該当要件などを把握することとしています。

 3ページ目と4ページ目の「2.普通養子縁組が成立した事案について」です。

 社会的養護措置を解除して成立した普通養子縁組について、児童の性別、年齢、養親の年齢、養親と養子の関係、養親が監護を開始したときの児童の年齢、監護開始前に養子となる者を監護していた者などを把握することとしています。

 5ページ目から8ページ目の「3.特別養子縁組を検討したものの、特別養子縁組の成立には至らなかった事案について」です。

 特別養子縁組を検討した事案について、児童の性別、年齢とともに、事案ごとに成立に至らなかった原因を把握することとしています。

 具体的には、5ページのマル4ですが、特別養子縁組の成立に向けて手続を進める中で、どの段階で断念することになったのかを把握します。

 次に、5ページから7ページ目のマル5で、各段階で断念せざるを得なかった理由を把握します。また、その他の理由や支援内容、現在の措置状況なども把握することとしています。

 8ページ目と9ページ目の「4.選択肢として特別養子縁組を検討すべきと考えられる事案について」です。

 養護相談を受け付けた児童であって、本年10月1日現在で施設入所中、里親委託中の児童などについて、特別養子縁組に関する年齢要件、実親の同意要件、養親候補者の不存在、養親の個人情報の開示などの障壁がなければ特別養子縁組を検討すべきと考えられる事案を把握します。

 具体的には、児童の年齢、性別、現在の措置状況、実親の養育継続に関する意思、児童本人の親子関係解消の意思、養親候補者の有無、障壁の内容、特別養子縁組を検討すべきと考える理由などを把握することとしています。

 9ページから11ページ目の「5.特別養子縁組又は普通養子縁組の成立後に、養親による養育困難の訴えや虐待等の問題が生じた事案について」です。

 特別養子縁組又は普通養子縁組の成立後に問題が生じ、指導や支援等の対応をした事案について、児童の性別、児童の年齢、養親の年齢、養親と養子の関係、養親が監護を開始したときの児童の年齢、監護開始前に養子となる者を監護していた者、問題となる内容、対応した内容とその結果などを把握することとしています。

11ページ目から13ページ目の「6.子どもの出自に関する情報管理等について」です。

 6-1として、養子縁組に関する資料の保管方法等や、養子となった者から出自について尋ねられたことの有無、情報を伝えた場合は、その内容と伝達時に留意した点、一切伝えなかった場合はその理由、養親が養子に対して行った真実告知の状況などを把握することとしています。

 6-2として、実親から養子となった者の状況等について尋ねられたことの有無、情報を伝えた場合はその内容、一切伝えなかった場合はその理由などを把握することとしています。

13ページ目「7.特別養子縁組又は普通養子縁組成立後の養親・養子・実親に対する継続的な支援について」です。

 特別養子縁組、普通養子縁組、それぞれに求められている支援、実際に行っている支援などを把握することとしています。なお、本文や記載欄には普通養子縁組は明記されていませんが、両方把握することとしています。

14ページ目「8.特別養子縁組の利用促進のための養親の確保等について」です。

 里親、養子にかかわる業務にのみ従事する係等の有無、特別養子縁組の養親候補者の確保方法、確保に必要なことを把握することとしています。

 駆け足で恐縮ですが、特別養子縁組に関する調査票(案)の説明は以上となります。よろしくお願いいたします。

○吉田(恒)座長 ありがとうございました。

 ただいま事務局から説明がありましたが、調査票(案)について意見交換をお願いできればと思います。

 なお、お手元の資料3にありますように、構成員の先生方から資料の提出をいただいておりますので、提出されている先生におかれましては、関係する点について御発言されるときに、適宜資料についても触れていただければと思います。

 それでは、意見交換に移りたいと思います。よろしくお願いします。

 では、林先生、お願いします。

○林構成員 ありがとうございます。

 見直す中で、5点ほど簡潔に申し上げさせていただきます。

 1点目、1ページの「1.特別養子縁組が成立した事案について」のマル5の選択肢、ローマ数字1から10のうちの、まずローマ数字8です。「児童養護施設(乳児院を含む。)に入所」というところを、サブクエスチョンをつけていただいて、「措置による入所」と「私的契約に基づく入所」としていただければ、より民間機関の実態がわかるのではないか。

 2点目、ローマ数字10の「民間のあっせん団体のもとで監護」というところです。これにサブクエスチョンをつけて、選択肢として、例えばマル1として「団体の所有する保護施設」、マル2として「認可外保育所あるいはベビーホテル等」、マル3として「ベビーシッター」、マル4として「団体職員の関係する者の自宅」、マル5として「その他」を入れてはどうか。民間機関の実態をより把握する上でということです。

 3ページのマル15、連携というあたりを妊娠相談まで含めて考えてはどうかということと、もう一つは、子どもの養育ということの連携のあり方を知る上で、マル15の一番最初に、「妊娠相談、相談の受付、子どもの養育」、あとは「養親候補者の選定」云々というところは変わりません。

 括弧書きのところで「他の組織(貴組織以外のi児童相談所又はii民間のあっせん団体、iii妊娠相談機関)」というものを入れてはどうかという御提案です。

 3ページの「2.普通養子縁組が成立した事案について」というところです。全体的に非常にボリュームがあるので、3ページと4ページのところなのですけれども、児童相談所における普通養子縁組というのは、私の当日資料でお出しした資料の2ページを見ていただきますと、児相を通して普通養子縁組というものはどういう経緯を経てなされているのかが出ております。民間あっせん機関で普通養子というのは皆無に近いので、ここは削除してもいいのかとも思いました。

 5点目が、5ページのマル5-1です。ローマ数字の選択肢の「i)管内に」というところを「i)管内または当該児相設置市・都道府県内にそもそも」と書いたほうがいいのではないかということ。

 あと、縁組後の支援を含めて、私の資料の4ページから児相でどういう縁組後の支援がなされているか、実施している割合からずっとありますので、民間機関の実態も報告書の中にかなりあるので、この辺も負担感を考えて割愛すべきところは割愛していいのかと思いました。

 以上です。

○吉田(恒)座長 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。

 金子先生、お願いします。

○金子構成員 門外漢なもので単純な確認をしたいのですが、1ページのマル6などに「社会的養護措置」という言葉があって、他方で8ページの4のところの2行目ですけれども、「乳児院又は児童養護施設入所中、里親委託中の児童等」という言葉がありますが、この2つは一緒なのですか。それとも違うのですか。そこをお願いできればと思います。

○林補佐 ややこしくて申し訳ございません。御質問のありました1ページのマル6の「社会的養護措置」の部分と、8ページ目の2行目「乳児院又は児童養護施設入所中、里親委託中の児童等」というところの措置について、同じでございます。

○金子構成員 ありがとうございます。

○吉田(恒)座長 よろしいですか。

 ほかにいかがでしょうか。

 藤林先生、お願いします。

○藤林構成員 細かい用語の統一はまた適宜事務局でまとめていただけると思うのですけれども、よく「乳児院又は児童養護施設入所」という言葉が出てくるのですが、少ないかもしれませんが、障害児入所施設もあったりもしますので、細かいことですけれども、施設入所の場合には「等」を入れていただくと漏れがないかなと。

 ここに来るまでにずっと悩んでいた部分なのですが、8ページの「4.特別養子縁組で検討すべきと考えられる事案について」というところで、ここは今、議論しているような障壁がもしなくなれば、どれぐらいの子どもが特別養子縁組にできるのかというところで、非常に重要な設問と私は思います。そう考えると、本来は現在、社会的養護の施設、里親に委託されている3万人以上の全児童を対象にしたいと思うのですけれども、2週間で各児童相談所が措置している全ての児童に対して検討するということは事実上不可能かと。やる気のあるところはやるかもしれませんけれども、できないところも多いかなと考えると難しいと思いますが、本来は全措置児童でやりたいとは思います。2カ月ぐらい調査期間があればできるのではないかと思っています。

 では、2週間という期間で母集団としてどこを対象にするのか、これも非常にどうしたらいいのか、私も答えが出ないのですけれども、少なくともここに書かれている26年度から27年度までに養護相談を受け付けた児童であって、2810月に入所中となると、児童相談所の現場の統計の手続からいくと、なかなか出しにくい。養護相談を受けて実際に措置するのが27年度になったりすることもありますから、より正確に把握するのであれば、26年度から27年度のこの2年度間に、施設、里親に措置なり措置変更した児童としたほうが、より正確な数字が各児童相談所等も出しやすい。福祉行政報告例でそれは毎年上げていますから、出しやすいのではないかと思います。

 ただ、この直近の2年度間という数でいいのかというのは、先ほど言いましたように疑問があります。要するに、措置は短期間ですから、特別養子縁組が必要かどうかという判断に至らないケースも多くあるわけですので、本当はもっと長く、21年度などから長く入所措置をしているケースを念頭に置いたほうがいいのかとは思うのですけれども、そこの言葉の使い方の妙案が浮かばないまま今に至っているというところです。そういうことで、ここの母集団の考え方をどうするのかというところで、意見を述べさせていただきました。

○吉田(恒)座長 ありがとうございます。

 それでは、ほかにございますか。

 床谷先生、お願いします。

○床谷構成員 何点か確認させていただきたいと思います。一つは縁組の同意の問題です。いろいろな形で設問の中に出てくるので、形がどうなっているのか私も理解がしにくいのですが、縁組の同意をとっているけれども不安定とか、とっていないからどうなるのかとか、そういういろいろな形で設問がされています。この最初のところのイメージ図で示されている流れの中のどの段階で縁組の父母の同意をとっているのかということがケースによって違うのだと思うのですが、どの段階で同意をとるという行動に出ておられるのか、試験養育期間の始まりと養親の選び方とか、手続の全体のプロセスが始まるというような言葉とか、幾つかの言葉が出ていますので、その関係がどうなっているのかそれぞれのケースについて知りたいという気がこれを見ていたしました。

 6ページのところにあります3の項目のマル5-3ですけれども、マル4でiiiに該当する場合という形で幾つか項目が挙がっていて、断念した理由が挙がっているのですが、その中で、養親候補者の健康上の理由のためとか、生活上の理由のため断念というものがあるのですが、この健康上の理由というのは、どういうことになれば断念するのか、私ども実務を知らない者からしますと、ここで言っている意味がどういうものなのか。あるいは、一方が死亡したような場合はこの健康上の理由という、これは法律要件から外れていきますけれども、そういうことまでは入っているのか。そういった形でうまく進めなかった例があるのかどうかもわかれば知りたいというところがありました。生活上の理由というのは、具体的には経済的なことをおっしゃっているのか、理解しにくかったので、どういうものなのかと思いました。

 4ページの上のところにあります「養親と養子の関係」で、さまざまなパターンがあって、「その他」がありますのでこれで漏れていないと思うのですが、民法の立場から言いますと、養親と養子の関係に例えば未成年後見関係があったのかどうかとか、そういうことも知りたいということが少しあります。

 9ページ、先ほど説明もあったのですが、特別養子縁組と普通養子縁組の成立後の問題が生じた事案ということで、普通養子縁組についても調査をしますということがこれ以降に出自のところも含めて出てくるのですけれども、特別養子縁組と普通養子縁組で違う形でとっているところがあまりなくて、特に出自のところになりますと、記録の仕方などで、普通養子縁組と特別養子縁組で違う記録の保管方法とか対応の仕方をとっているのかどうかということは気にはなるのです。書かれている内容は、特別養子縁組の形での13ページあたりまでの説明はそうなっておりますので、これは普通養子縁組についてはあまり聞かないということでよかったのでしょうか。

 出自の問題は非常に気になるところなので確認なのですけれども、12ページに「実親が養子となった者に対して情報を提供することを拒絶していた等」ということで、それで提供しなかったということとか、逆の形で「養親や養子となった者が実親に情報を提供することを拒絶していた等」となっているのですが、これは最初の時点で、例えば実親が情報は出さないようにと言っていたということかとは思うのですが、実際に出自を知りたいという要望が出たときに、その時点の確認というものをしているのかどうかというところがちょっとどちらなのかわからなかったので、はっきりしたほうがよいのではないかと思いました。

 以上です。

○吉田(恒)座長 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。

 山田先生、お願いします。

○山田構成員 そもそも論で申しわけないのですけれども、厚生労働省がこういう調査をするときは、何のための調査かということは書かずにいきなり設問が始まるものなのでしょうか。私の資料が資料3の38ページにあるのですけれども、親子の再統合を無理に行って子どもが死亡するとか、社会的養育に措置したらそのまま措置しっ放しで子どもが18歳、措置延長された場合なら20歳になるまで児童養護施設で生活するなどといったことが問題になっていて、そういう背景があって特別養子縁組の必要性が問われているわけです。児童相談所は厚生労働省から言われれば回答してくれるのかとは思うのですけれども、民間あっせん団体に向けてこの調査をするのに当たって、この調査をする目的などが書かれていなくて、いきなりこの調査票が送られてきて、一生懸命書いてもらえるものなのでしょうか。

○吉田(恒)座長 事務局、いかがでしょうか。

○林補佐 今、おっしゃった点につきましては、調査をお願いする際にはお願いする趣旨など、最初にペーパーをつけさせていただきたいと考えております。

○山田構成員 そうであれば、本来はそれも検討会にかけていただいて、我々が知ろうとしている趣旨とかがみ文が合っているのかということはチェックすべき項目ではないかとは思うのですが、いかがでしょうか。

○吉田(恒)座長 いかがでしょう。調査に要する時間もありますけれども、次の回にということになるとかなり苦しいですね。ですから、ひな形をつくっていただいて、ご覧いただいた上で意見を受けるということでいかがでしょうか。

 山田先生、それでよろしいですか。ここの場でということになりますと。

○山田構成員 それはもう無理だと思いますので、通常の調査はどうなのかなということと、民間団体を対象にするので、その辺の配慮があったほうがいいかと思いました。

○吉田(恒)座長 では、局長、お願いします。

○吉田雇用均等・児童家庭局長 事務局の雇用均等・児童家庭局長でございます。

 座長からもお話がありましたように、いただいた御意見を含めて調査票を精査して、御確認をいただいて、最終的にボタンを押す前にかがみという部分についても構成員の皆様方にはきちんと御確認をいただきたいと思います。

 ただ、山田構成員から一般的に行政はどうしているのかというお話もいただきましたので、今回の調査に限らず申し上げれば、民間の方に御協力をいただく際にも、先ほど家庭福祉課の担当から申し上げましたように、例えば、「この調査はこの検討会がこういう議論をしている過程でこういうファクトについて知りたいということなので御協力をお願いしたい」と申し上げるのが普通かと思います。

 もちろん思いなどはあるのですけれども、あくまでもファクトをきちんと書いていただくことが目的なので、調査をする人間として、この調査会の趣旨、ミッション、あるいはこの調査が検討の過程で出てきた経緯は淡々と御説明をしていく必要があろうと思います。こういうことを狙っている、ああいうことを狙っているということは、通常の調査の場合は書かずに、逆に淡々と受けとめていただいて、調査対象の方々のファクトを教えていただきたい、というように行うのかと。検討会がどういう趣旨のものかということはもちろんそこからわかるかと思いますが、そういうものが普通かと思っております。そういうことも踏まえて、私どものかがみを御確認いただいて、発注させていただきたいと思っております。

○吉田(恒)座長 よろしいでしょうか。

 林先生、どうぞ。

○林構成員 民間機関に対する回答率は非常に不安な要素だと思います。我々も調査票を使った調査はできなかったわけです。それはいろいろな事情があって結果的にインタビュー調査になったのですけれども、民間機関の回答率を上げるには、一つは団体協議会を通して何らかの根回しをして、この趣旨を十分に理解いただく。国主体の調査であっても、そのまま送ってしまうと本当に回答率が低いかと思います。手渡しとか、回収に行くとか、そこまで難しければ、今は3つぐらい民間機関関係の協議会があるとかと思いますので、そこの根回しが必要かと思います。

○吉田(恒)座長 ありがとうございます。

 では、岩崎先生、お願いします。

○岩崎構成員 民間なのですけれども、どういう選択をなさるのでしょうか。逆に言えば、第2種社会福祉事業の届け出をしているところは全て、例えば昨今の千葉の活動停止もありますし、大阪の例のよくわからない団体もありますけれども、届け出ていればそれを調査対象とするということでしょうか。

○林補佐 届け出ている団体全てにお願いする予定でございます。

○岩崎構成員 今、林先生がおっしゃった団体協議会に属さない団体はかなりありますので、今回はそれも含めてやるということなのですね。

○林補佐 さようでございます。

○吉田(恒)座長 では、久保野先生、お願いします。

○久保野構成員 先ほど藤林構成員がおっしゃったことについて、確認と再度の意見なのですけれども、8ページのところが大事だということは同感でございまして、これだと26年、27年で養護相談で始まったものについてだけ聞いていることになるという先ほどの御指摘だったのですね。そうしますと、以前にお出しいただいた資料で、ここにも最後の行に長年にわたって親との面会交流がない児童の問題が指摘されていますけれども、そのような状況があって特別養子縁組を検討するのかどうかが問題になっている児童がいるかいないかが、あまり出てこない可能性があるという御指摘かと思います。そうだとすると、今回特にそういう問題が重要なのではないかというお話なので、もう少し長いスパンで見られるものにしたほうがよいという先ほどの御意見に賛成いたします。その点、再度ですが、よろしくお願いします。

○山田構成員 それに関して、4だけ対象年度を変えることはできないのですか。

○吉田(恒)座長 いかがでしょうか。

 藤林先生、どうぞ。

○藤林構成員 私は対象年齢は変えないほうがいいと思うのです。ただ、母集団を多くすると回収率が下がるというここの兼ね合いをどの辺にするかなのです。

○久保野構成員 私もこだわるものではありませんといいますか、かねて問題として提示されているものとの関係で言うとすくえないのかという懸念をいだきましたので、対象年度の話はあれなのですけれども、28年度の10月に入所している児童でとやると大き過ぎるというのが先ほどの御指摘だったのですね。そこはこれ以上こうすべきだとこだわるものではありませんけれども、その点に問題がないかという意見にとどめます。

○吉田(恒)座長 ほかによろしいですか。

 ほかになければ、私は1点だけよくわからないところがありますので、可能であれば林先生にも教えていただきたいのです。

13ページの継続的な支援についてというところで、マル2で行っている支援の有無ということで「有・無」とありますけれども、私はこの「無」のところが気になるのです。要は、特別養子縁組をされた後、児童相談所等からの支援を拒否するケースはないのだろうか。例えば里親の話を聞くと、児童相談所の児童福祉司に来てくれるなとか、そうした介入に消極的だという話も聞いている。特別養子縁組の場合には、さらにその可能性が高くなってくる。今回の専門委員会の提案でも、ここの部分はとても大事だということであれば、支援が本当に入っているのかどうか。入っていないとすれば、どういう理由か。そこを明らかにした上でどうやって支援していくのかが出てこようかと思うのです。

 もし仮にこの点について既に調査が行われているのであれば、拒否の事例があればよろしいのですけれども、なければ、今後施策を考えていく上で大事なところかと思います。あまり質問項目をふやすのはどうかと思うのですけれども、できればお願いしたいということです。

 岩崎構成員、どうぞ。

○岩崎構成員 支援の有無というのは、我々がその子がどうしているのかを知りたいか知りたくないかということよりは、支援してほしいのかどうかという当事者の問題なのです。例えば施設に措置している子どもであれば1年に1回措置状況調査などのようなことをやろうと思えばできるのですけれども、養子縁組をして里親登録を抹消して、全く独自の親子としての生活が始まっていて支援を求められなければ、我々のところでさえ追いかけてまではやりません。

 ただ、協会の場合には協会の存在というものが明確にあります。例えば引きとってしばらく乳幼児のときには全然問題が出ません。ただ、思春期になりいろいろ問題が出てくれば、皆さんおずおずと相談にいらっしゃいます。それは我々のところがあるということを当人たちが承知していて、日ごろは御無沙汰していても問題が出てくればそこにしか相談に行けないという実績の中で皆さんいらっしゃる。また、それがきっかけで子どもとの関わりだとか、その後、告知やルーツを探るなどと続いていくこともありますが、一切御相談のない方もいらっしゃいます。それを追いかけていって、どうしていらっしゃいますかというのは、例えばよそから虐待らしきことがあるような情報が流れているということでもあれば行くかもしれませんけれども、そういうことでなければ、ある意味では支援はしません。

 特に児相になると担当者がころころ変わりますし、児相の場所さえ変わるところがありますし、新しくできた児相もたくさんあるわけです。まだ可能性があるとすれば、社会的養護の子どもの場合には 措置されていた 施設に尋ねていかれて、そこから児相にこういう相談があったよということ はあります。 場合によっては施設の職員から、例えばルーツを探るということであれば、我々のところにある情報よりは児相に行ったほうが情報があると思うよという示唆があって児相へ戻ってくるということはあり得ます。児童相談所が支援のためにどうしているのかを調べることは、ほとんど皆無だと思います。そのようなことは私たちでもできないです。私たちは10年目 などの節目 に調査をするなど しますが 、それでも拒否されることはかなりあるのです。あるいは調査票の郵送したものが返ってくるケースがあって、それをどこに転居したかなどは調べようがありませんから、調べません。

○吉田(恒)座長 その中身までということではなくて、ないならないということで、今、御指摘いただいたように、住所が不明であるとか、関わりの必要があってもと、そのあたりまでわかればとは思うのですけれども、そこもあまり意味ないですか。

○岩崎構成員 藤林先生、わかりますか。

○藤林構成員 座長が言われる趣旨を考えると、支援ができない、または支援困難な理由は何ですかと単刀直入に聞く。それぞれ児童相談所、多分御本人が希望されないとか、転居していかれる方もたくさんいらっしゃるので、ほとんど受け身になっている現状なのです。

○岩崎構成員 受け身ですよね。そういう理由がわかるということになりますか。

○藤林構成員 ですから、支援の必要性をどう感じているのか。でも、支援が困難な理由は何ですかと聞かれると、いろいろな自由回答があるのではないかと思います。

○吉田(恒)座長 ありがとうございます。

 可能であれば、そうした質問項目を工夫していただければと思います。よろしくお願いします。

 ほかにいかがですか。よろしいですか。

 それでは、特別養子縁組の調査に関しましては、皆様方からいただいた御意見を踏まえて。

 事務局、よろしいですか。

○川又総務課長 事務局からです。

 細かい点はまたいろいろやりとりさせていただきます。冒頭、林先生から3ページの2番のところを削除してはという御意見があったので、そこだけ御確認をお願いできればと思います。

○林構成員 私の資料の2ページ目に、全児相から集まった養子縁組約270件のうち、6歳以上で縁組されたのは5分の1ぐらいなのです。50ケースです。そのうち、普通養子縁組を全部挙げたのが、この2ページです。ここで何を知りたいのかということにもよると思うのですけれども、民間機関を通して普通養子縁組は皆無だと思いますので、あえてここで聞く必要もないのかと思ったのです。

○吉田(恒)座長 藤林先生、お願いします。

○藤林構成員 福祉行政報告例や厚生労働省の統計を見ても多分年間十数件ぐらい、児童養護施設から解除した養子縁組というのは非常に少ないので、その数字があるからいいのではないかという気もするのです。でも、ここは普通養子縁組という形での形態が少ないという事実を把握するという意味では重要なのかと。普通養子縁組に移行する場合に、それが施設から移行しているのか、現の里親が普通養子縁組となっているのかというのは、多分なかなかデータがないので、簡単に答えられやすいように工夫してもらえば私はあってもいいのかなと思います。

○林構成員 その理由が、私のレジュメの2ページ目で普通養子縁組なされた、これは明らかに施設入所の長期化からくるものだと思うのです。だから、ここでそれは少ないということもわかるし、現実、普通養子縁組はどういうプロセスを歩んでいるのかというのも。

○吉田(恒)座長 事務局、お願いします。

○林補佐 2の普通養子縁組のところで設問を設けさせていただいた趣旨を申し上げます。特別養子縁組の年齢要件は6歳未満となっていて、6歳以上で特別養子縁組が成立するという法制度に原則なっていない中で、この年齢要件を引き上げることを検討する際の資料を念頭に置いております。特別養子縁組と普通養子縁組で違いがあるのはもちろん承知はしていますが、普通養子縁組が6歳以上で成立した事案について、年齢が6歳以上であることを起因として生じた問題があるのかどうか等、もしくは問題がないのかどうか、そういった実態がわかれば年齢要件について、ある種類推に近いかもしれませんが、検討に資すると考え、設問を設定させていただいたところです。おっしゃったとおり、実際に件数がそこまで多くないこともありまして、そこまで負担感は大きくないのかなという一方の思いもございます。

○吉田(恒)座長 よろしいですか。

 それでは、大分お時間をいただきましたけれども、特別養子縁組の調査に関する意見交換はここまでとしたいと思います。

 続きまして、司法関与のあり方につきまして、意見交換をしたいと思います。

 本日は、児童相談所に対する調査についてその結果が提出されておりますので、まず事務局からその説明をお願いしたいと思います。

 その後、この調査結果を踏まえつつ意見交換を行いたいと思います。

 では、事務局、お願いいたします。

○木村補佐 虐待防止対策推進室の木村でございます。

 司法関与の関係の資料といたしまして、お手元の資料2-1、2-2、2-3をもとに御説明させていただきます。

 まず、資料2-1でございますけれども、前回、第3回の検討会での御議論を踏まえまして、主な御発言を追記しております。

 冒頭1ページ目の部分で、前回検討会で御議論があった制度全体の建付けという御意見につきましては、「制度全体の在り方に関するご意見」という項目で御意見を記載させていただいております。

 続きまして、調査結果の資料2-2をご覧いただければと思います。

 第2回の検討会の際に調査項目(案)につきまして御意見をいただきました児童相談所への調査について、現時点での調査結果をまとめたものになります。

 1ページ目の冒頭に記載しておりますとおり、10月7日現在の集計結果となっておりまして、181児童相談所の回答を取りまとめたものでございます。※の部分にも記載しておりますけれども、残る28の児童相談所の回答につきましては、まだ集計が終了しておりませんので、次回の検討会の際にはこれらの回答も反映させた結果をお示ししたいと考えております。また、集計が終了していない自治体の中には大都市も含まれておりますので、こうした自治体についてはかなり件数も大きくなってくるかと思いますので、本日の調査結果については、その点についても御留意いただいてご覧いただければと思います。

 時間の制約もございますので、駆け足となりますが、説明させていただきます。

 1ページ目、マル1、一時保護の期間別の件数につきまして、総数とその理由ごとの件数の結果を示したものでございます。

 2ページ目、ただいまの数字につきまして、グラフにしたものでございます。

 3ページ目、こちらは一時保護開始後の各時点における件数と親権者の同意の有無に関する調査結果になります。

 例えば総数のところをご覧いただければと思いますけれども、「開始時」の件数としましては、総数で8,039件。このうち開始時の同意、不同意というものの内訳がその下の件数に書いてあるというようにして、ご覧いただければと思います。例えば「3日経過時」のところであれば、3日以上の一時保護が総数として6,495件となっていて、その時点での同意、不同意がその下の件数というような形になっています。

 4ページ目、これもただ今御説明した総数について、同意あり、同意なしと、時系列でグラフにしたものでございます。

 5ページ目、ただ今の表のうち、総数の部分の件数を全国、年間の件数に換算した場合の件数として参考としてつけさせていただいております。今回の調査、一時保護につきましては4月から7月末までの4カ月間を対象としておりますので、「年間」に換算するということですと3倍にし、また、今のところ181の児相からの結果ですので、181分の209を掛ける形で「全国」の件数の推計という形で、議論の参考にしていただければと思って記載しているものでございます。

 6ページ目、警察からの身柄つき通告を受けて行った一時保護の件数については、先ほどの総数のうち、1,962件となっております。

 その下の一時保護に対する保護者の同意の変遷というところでございますけれども、8,102件のうち6,548件が最初から一貫して同意であったもの、終始不同意であったものが682件、同意していたが不同意になったものが15件、当初は不同意で職権保護であったけれども、その後同意になったものが848件となっております。

 7ページ目、1のところでございますけれども、一時保護に対する司法審査の手続の強化につきまして、児童相談所ごとの見解を問うものでございまして、その結果、60の児相が「必要である」、72の児相が「必要でない」、「その他」が49という結果となっております。

 「その他」の場合の具体的な意見の主なものを下に記載しておりますけれども、その回答の内容を見ますと、一定の条件で必要であるとするようなもの、緊急性を欠くことへの懸念を示すもの、どちらとも言えないという回答など、「その他」の中にはいろいろな意見が入っているところでございます。

 8ページ目、今の続きでございまして、司法審査を強化する場合に、どのような場合を対象とするのかという質問につきましては、マル1のところでは、165の児童相談所が親権者の同意について「同意のない場合に限って対象とすべき」を選択しております。

 マル2の一時保護の開始時については、事前事後を含めて「導入すべき」という数と「不要」という数が大体半々程度となっております。

 マル3、今度は更新時の司法審査の強化につきましては、マル2と比べますと「不要」という意見が若干多くなっております。

 また、「導入すべき」という回答につきましては、適切と考える更新の期間も聞いておりまして、右下でございますけれども、回答の中では「2カ月(程度)」という回答が多くなっているところでございます。

 9ページ目、これも引き続きでございまして、児童相談所の体制整備が必要かという質問につきましては、9割の児童相談所が「必要である」と回答しておりまして、その具体的な内容の主なもの、「その他」の内容の主な意見を下に記載しております。

 4でございますけれども、子どもの意向を司法審査の手続の強化に当たってどう考えるのかという質問については、一番多いのは「子どもの意向に関わらず、司法審査の強化の必要性は親権者の同意の有無により判断すべき」というものが97という結果になっております。

10ページ目、現行2カ月を超える親権者等の意に反する一時保護については児童福祉審議会への意見聴取ということになっておりますけれども、児童福祉審議会への意見聴取については、調査期間中137件の意見聴取が行われまして、延長を認めなかったものはなく、意見を付して延長を認めたものが23件という結果になっております。

11ページ目、今の続きでございますけれども、児童福祉審議会への意見聴取について、有効な手段であると思うかという質問については、7割の児童相談所が「有効である」と回答しております。

 その下のところで、「有効である」の理由、「有効でない」の理由、「その他」の意見ということで、主なものを記載させていただいております。

12ページ目、ここからは面会通信制限の関係でございます。面会通信制限を行ったケースの内訳ということで、一時保護中、施設入所等の内訳を調査したものでございます。

13ページ目、面会通信制限の利用件数が必ずしも多くない理由という質問につきましては、「必要となる事例がそもそも多くない」という回答が約6割となっております。

 2つ目のポツで、同じく接近禁止命令の数が必ずしも多くない理由につきましては、8割の児童相談所から「必要が生じる事例がそもそも多くない」という回答になっております。

14ページ目、28条審判に基づく社会的養護措置以外で接近禁止命令が必要と考えられる場合があるのかという質問でございますけれども、約半数の児相から「ある」という回答でございまして、具体的な事例といたしましては、質問票にもともと記載例ということで例示を挙げさせていただいておりましたけれども、その例示にある一時保護ですとか、措置解除後のケースが挙げられているほか、同意入所のケース、在宅指導のケースが挙げられております。

15ページ目、これは裁判所の勧告の関係でございます。まず、28条審判の認容件数が調査期間中に197件ございまして、裁判所による勧告を求める上申書を提出したものが11件、そのうち11件について実際に勧告がなされている結果になっております。また、勧告書の保護者への写しの送付につきまして、これも3件上申書を提出し、3件について実際に送付がなされている結果になっております。

 その下に、上申書を提出しなかったケースの理由として、主な回答を記載しております。

 また、その下でございますけれども、裁判所による都道府県への勧告件数14件について、その結果、保護者が指導に従ったかどうかという調査の結果も記載しているところでございます。

16ページ目、平成25年に裁判所による勧告がなされたケースについて、2年後の状況について調査した結果を記載しております。全体総数53件ございまして、そのうち、それぞれ回答ごとにその状態、結果について件数を記載しているところでございます。

 2つ目のポツ、裁判所による勧告書の写しを保護者に送付することについて、有効かどうかという質問については、約7割の児相が有効である、「そう思う」という回答となっております。

17ページ目、今度は虐待防止法11条に基づく都道府県知事による保護者への勧告につきまして、これはそもそも福祉行政報告例によりますと勧告の件数は多くはないのですけれども、その勧告されている場合についてのその後の状況を調査した結果でございます。

18ページ目、都道府県知事による勧告が必ずしも多くない理由については、8割超の児相が「必要となる事例がそもそも多くない」という回答をしているところでございます。

 また、その下に「その他」の場合の理由ですとか、具体的な対応手段の回答を記載しております。

 その下、2つ目のポツ、都道府県知事による勧告が、保護者に指導を受けさせるに当たって有効であるのかどうかという質問への回答でございます。これはかなり回答が分かれております。

 3つ目のポツ、これは第2回の際に検討会の場でもお話があったかと思うのですが、勧告権限が委譲されているか、また、その場合に勧告者名についてはどうなっているのかということで、勧告の権限が都道府県知事から児相長に「委譲されている」児相が7割、そのうち、8割超のところでは実際に勧告者名も「児童相談所長」となっているという結果になっております。

19ページ目、保護者に対する指導の関係で、児童福祉司指導が行われている件数と、その場合の内訳の数字を記載しております。

 また、2つ目のポツ、保護者指導プログラムの実施状況についての調査結果を示しております。

 最後に資料2-3をご覧いただければと思います。

 今の資料2-2の中の自由記載の項目については、回答のうち主なものを記載させていただいておりますけれども、なかなかそれだけでは回答の全体像がつかめないこともあろうかと思います。かなり分量が多くなってはいるのですけれども、こちらの資料では自由記載欄で提出のあった回答を一覧として全て載せておりますので、必要に応じて御参照いただきたいということでお出ししている位置づけになります。

 駆け足の説明となりまして恐縮ですけれども、私からの説明は以上になります。

○吉田(恒)座長 ありがとうございました。

 では、局長、お願いします。

○吉田雇用均等・児童家庭局長 雇用均等・児童家庭局長でございます。

 この調査に基づいてこれから御議論を深めていただくのですが、2点、事務局として申し上げたいと思います。

 冒頭説明させていただきましたように、今回今日に向けていろいろと児相の方にも御協力をいただいたのではありますが、最終的な調査に至っては、見ていただくとおわかりのように、結構ボリューム感のあるところが今後追加されるということでございますので、数字そのものについて、評価はいろいろと留保すべきところがあるのかなと事務局として考えておりますのが1点です。

 前回この会議でも御発言があったかと思いますが、今回の調査は構成員の皆様方に御確認をいただいて行った調査であります。ざっくり言うと3つぐらいの要素があって、ファクトがどうなっているのかをお尋ねしている部分、そのファクトの背景なり理由なり、それぞれ行政運用にあたっておられる方がどのようなことを考えてこのファクトを導かれているかの部分と、それに向けての評価あるいは、場合によってはこの検討会で御議論いただいておりますいろいろな今後の課題、方向についてどのようにお考えかという意見をおっしゃっておられる部分と3つあります。我々としては、ファクトの部分あるいは背景の部分と意見の部分というのが一つの調査にはなっておりますが、一緒になったものであるということを前提に、これをどう次の検討会の議論につなげていただくか、あるいはこの調査をどう受けとめるのか、その解釈の部分についてはこの検討会で構成員の方々に御議論いただくべきものと事務局としてはニュートラルに思っておりますので、その旨付言して、御議論いただければと思います。

○吉田(恒)座長 ありがとうございます。

 今のお話でありますと、数がまだそろっていない。今後数字が変わる可能性もあるということですね。ありがとうございます。

 それでは、調査結果を踏まえた議論に入っていきたいと思います。

 前回の検討会の際に、論点ごとに意見交換をする前に、制度全体の建付けについて議論すべきではないかという御意見をいただいております。

 この点につきまして、事務局と相談いたしまして、そうした制度全体の建付けの議論は大変重要だということでありますけれども、この検討会はいかんせん時間が限られている。秋までに一定の取りまとめを目指すことになっておりますので、個別の議論と並行しながらそうした建付けの議論もしていく必要があるのではないかと思います。この司法関与に関しまして、本日の意見交換としては、まず制度全体の建付けについて意見交換した上で、その後、各論点について意見交換を行いたいと思います。

 その際、意見交換の際には、先ほどの調査結果について、御不明な点などあれば、あわせて御質問いただければと思います。

 それでは、まずは制度全体の建付けについて意見交換をお願いしたいと思います。

 お手元の資料3にありますように、先生方から資料の提出をいただいておりますので、資料を提出されている先生におかれましては、関係する論点に関しまして、御発言の際に適宜資料についても触れていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 最初は建付けの点について議論したいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 藤林先生、お願いします。

○藤林構成員 私の提出資料の30ページをご覧いただきたいと思います。

 今日久保構成員がどうしても欠席になってしまうものですから、私と久保構成員、また、山田構成員とで議論しながらまとめてみました。

 1点目としまして、制度全体のあり方についてということで、一時保護にしても、面会通信制限にしましても、長期分離にしましても、本来福祉行政だけで判断すべきではないということは前提としてあるのではないかと思います。そこは司法機関が適正性を判断すべきということが基本的な考え方としてあるのかなと思います。

 2点目としまして、これらの処分がそれぞればらばらに、その時点時点で手続が行われていくのではなくて、一連の虐待対応の流れの中で行われていくことが本来あるべきであり、そのポイントポイントで条件がそろい、保護者に児童相談所からの指導を受け入れていただければ家庭に帰していくわけです。それがなかなかうまくいかない場合には長期分離になり、また、その先には親権喪失、特別養子縁組へと移っていくという一連の流れが重要でないか。これは以前から私が言っておりますように、子どもの家庭養育の権利を保障していく、パーマネンシーを保障していくことにつながっていくのではないかと思います。ですから、30ページの一番最後に書いてありますように、裁判所が関与することになっている手続も含めて一連の手続として制度を構築していく必要があるのではないかというところが、総論として私どもの考え方です。

○吉田(恒)座長 ありがとうございます。

○藤林構成員 その考え方が多分、山田構成員の資料の38ページと共通するのではないかと思います。

○吉田(恒)座長 この図ですね。

 山田先生、お願いします。

○山田構成員 補足で、そのとおりです。今、藤林構成員が御説明くださったレジュメをイメージしてポンチ図にあらわしたのが38ページということで、先ほども触れましたけれども、親子の再統合をするといっても、きちんとしたケアがなされないままに再統合がなされて、また子どもが危険に陥る、命を落とすという事件が起こっていること。それから、社会的養育、社会的養護に措置をした後、その後の取り組みがない。子どもに家庭的な環境を提供することがなされないままに施設養護が続いてしまう問題の解決策として、特別養子縁組という枠組み、その場合は、実の親子関係を切って新たな親子関係をつくっていくわけですから、家庭裁判所の関与はどうしても必要で、家庭裁判所が時系列で経時的にかかわっていく、継続的にかかわっていくシステムを構築していただきたいということです。

 補足ですけれども、その前のページに横長の資料がございまして、これも前回簡単に御説明したものを表にしただけですが、一時保護については、前回も申し上げたとおり、イギリスは基本的に緊急保護命令を裁判所が出してから保護をする。緊急に警察が保護することはありますけれども、原則司法が命令を出して保護をする形なのです。ドイツは行政による職権保護があって、同意が得られない場合に司法審査にかける形で、日本の現状に即しているのはドイツのタイプではないかということです。

 親権制限に対して裁判所がどう関与していくのかということについては、そこにフランスとイギリスとアメリカのパターンを挙げましたけれども、いろいろな国でいろいろな言葉が使われているので混乱するといけないのですが、直接、加害親に対して治療を受けなさいという命令を出すわけではないのだけれども、地方当局が親に対して指導やケアをしていることに対して、親が対応しない場合には親権制限を強めていくというやり方のフランスの体制が参考になるのではないかということが今の藤林構成員に対する補足説明です。

○吉田(恒)座長 ありがとうございます。

 建付けに関しては、先ほど説明のありました30ページにこの点についての御意見が述べられているということでよろしいですね。人権侵害を伴う強制処分に関して、司法関与を必要とする、かつ一連の虐待対応という中で行われていく必要があること。そして、一連というのは、裁判所が一貫して事案の入り口から出口まで関与するのが相当ということを建付けとおっしゃっているわけですね。

 この点に関しまして、いかがでしょうか。

 久保野先生、お願いします。

○久保野構成員 1点、山田構成員に質問させていただきたいのですけれども、今の37ページの一覧表で細かいところの御質問なのですが、質問の内容自体は、参考になるとおっしゃったフランスの育成扶助という制度のところに、括弧で「日本の児童福祉法第28条措置に相応」とお書きになっているところが、実は前回私がまとめさせていただいたときに、これはどちらかというと親権停止のほうという感じで書いたのです。質問させていただきたい趣旨は、どちらに近いかを議論させていただきたいのではなくて、日本の将来の制度を考えたときに裁判所が継続的に関わることを想像したときに、親権停止ですと未成年後見に乗りますので、後見制度だと裁判所が継続的にかかわる仕組みになっているので、直ちに利用できるという話ではないですが、そちらのほうが親和性は高いようにも思います。ここで28条を選んで書かれたのだとしますと、どういう点が重要とお考えでこちらを書かれたのかということを建付けとの関係で教えていただければと思います。

○山田構成員 ありがとうございます。

 建付けの関係では、久保野構成員のおっしゃるとおり、フランスは親権制限という考え方でなされていて、日本の児童福祉法の28条に相応するというのは、あくまで実態的な対応が似ているというだけであって、民法上の扱いと児童福祉法の扱いでは全然違うので、混乱を招いたかもしれません。

 そこは補足をさせていただいた上で、この趣旨としましては、フランスの場合、親権制限の中にまず親権の一部を残しておいて、親権者の監護権と居所指定権などを制限して、子どもに安全な生活の場所を与える措置としてこの育成扶助というものがあって、その次の手段として一時的に親権を全面的に停止するという段階があって、その後全面的な親権の取り上げという3段階になっているので、そういう意味でいうと、子どもに安全な生活環境を与えるこの育成扶助は、日本で言うと28条と実態的に似ているのではないかという意味です。法的な建付けが違うことはそのとおりだと思います。

○吉田(恒)座長 よろしいですか。

 この点に関しまして、ほかにいかがでしょうか。

 峯本先生、お願いします。

○峯本構成員 建付けとしましては、藤林先生がおっしゃっていたように司法が基本的に関与する。私は前回の第3回のときに資料で出させていただいているのですけれども、イギリスの制度のところ、39ページです。

 基本的には親子分離、子どもを分離する。それ自体は大きな権利制限、人権制限を伴うので、司法的チェックを入れていく建付けになっています。最初、ポリスプロテクションといいまして、3日間だけ警察がそういう意味では職権で分離ができます。その間に裁判所に緊急保護命令の申立てをしてという形で手続としては流れていって、割と期間も限定されて、イギリスの制度で言うと緊急保護命令の期間は8日間で、1回だけ7日間延長できるのです。その後はすぐに、日本で言う28条に近いのですけれども、分離命令、ケアオーダーと言うのですが、ケアオーダーの本裁判前の仮の処分ということで、藤林先生にインテリムケアオーダーと紹介いただいておりましたが、形になって、その後分離命令になっていく。一時保護の緊急の保護の期間は限定されていて、そこで分離の命令の仮処分、それから本裁判という形で流れていくことになっています。

 もう一つ、イギリスの最大の特徴は、分離するときには、その後のケアプランです。藤林先生の言われているどう再統合していくのかということとか、当初からある程度難しいと思われるようなケースについては、養子縁組も含めてパーマネンシーのプランもある程度想定して、その中にいろいろなプランを書く。裁判所がそれに対して、分離をしていくときにはそのケアプランがなかったらいかぬということになってくるので、ある種、それに裁判所がお墨つきを与える形で事実上の強制力を持っている。藤林先生が言われたように、段階的に本来やらなければいかぬこと、親がその指導に乗っからないとか、必要な対応ができないとか、子どもに会うことを拒否するなどということがあったら、より厳しい親権の制限というとおかしいのですけれども、そこにつながっていくという事実上の強制力を持つ枠組みなのです。私も本来はそれは必要かなと思っているのです。建付けという意味ではそう考えているのです。

 私は第3回の資料の27ページから、一時保護に関して意見を述べさせていただいて、関連して、実際の現状の中に、その建付けでやっていくときにはかなり体制の整備が重要で、全然ワーカーの数から体制などが違うというところがあるので、そういう意味では、そこが整わない中でスタートを切っていくリスクは非常に高いと思っているのです。今の福祉行政に権限を強化する方向の形のものであれば、あまり大きな影響はないかもしれない。実際には司法が入ることによって、より強い権限を持ちながら福祉行政がそれなりにしっかり自信を持って対応していくことができます。後見的な裁判所の権威をもって福祉行政もやっていけるということで、そこはプラスのものとしていいと思うのです。

 特に一時保護に関して言うと、逆に言えば、福祉行政だけ児童相談所長の判断でやれるという非常に強烈な権限で、世界的にも珍しい権限なのです。それの中でも逆に使いにくさもあるのですが、日本の今の福祉行政で言うと、もうちょっと一時保護の件数は本来増えていく時代かと思うところなので、一時保護に関して言うと、司法的チェックが入るということは、それをどうしても抑制する方向に働く可能性が、少なくとも一時的には非常に高いので、そこは慎重にやらなければいかぬということが私の強い思いとしてあります。

 特に一時保護は、本当に命にかかわるリスクの高いケースについて行われているものなので、そこが抑制的に働くような状態の中でやってはいかぬと思っているということをかなり大々的に書いています。先ほど御報告がありましたように、調査のところで一体どれぐらいの負担になるのかとか萎縮効果があるのかということは、この調査結果を見て最終的に分析することになると思うのですけれども、私は地元が大阪なので、大変な状況を本当に身近なところで認識しているので、大阪を含めた大都市圏の数字が出てきた中でまたそこについてと思っています。

○吉田(恒)座長 ありがとうございます。

 建付けについて、予定の時間は超えているのですが、とても大事なところですので、最初に藤林先生からいただいた御意見、また、今、峯本先生からイギリス法と比較して我が国の現状や方向性の御意見をいただきました。

 建付け全体に関して、ほかにいかがでしょうか。

 吉田先生、お願いします。

○吉田(彩)構成員 制度全体の建付けとして、いろいろな手続を分断的にではなくて整合性を持って理解をしなければいけないという問題意識は理解できるのですけれども、今回の児童相談所の調査結果を拝見しますと、藤林先生や久保先生、山田先生からお出しいただいているペーパーにあるように、裁判所が入り口から出口まで一貫して関与することを相当とするような立法事実があるのか疑問に思います。児童虐待の現場において裁判所が今よりも積極的に、しかも児童虐待が問題となる場面について全般的に関与するというニーズが実際にあるのかについては、この検討会でも意見が分かれているところかと思いますので、この調査結果をきちんと正確に受けとめる必要があるのではないかと思います。

 また、司法が関与することによって福祉機関が力を持って対応することができるという認識なのですけれども、例えば、児童福祉法の28条事件の審理手続では、児童相談所と保護者とは強い対立関係に立つことになります。保護者との関係で一度そうした対立関係に立った福祉機関が力を持って対応できると本当に言えるのかについては、慎重に検証する必要があるように思います。

○吉田(恒)座長 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。

 藤林先生、お願いします。

○藤林構成員 林構成員が出されている特別養子縁組のほうの資料3追加分の9ページのところに子ども人口1万人当たりの社会的養護に措置された子どもの割合という数字が出ていまして、これは各国の法制度が違うので単純には比較できないのですけれども、日本の社会的養護に措置される子どもの割合が1万人当たり17人というのは少ない。社会的養護の検討会でも施設の関係者から言われるのですけれども、まだまだ保護されるべき子どもが保護されていない現状があるのではないかと思います。それは司法関与を導入することで、この辺は峯本先生の専門だと思うのですが、在宅指導、保護者指導の段階から裁判所が関与することによって、より速やかな社会的養護に移行していけるところも大きな効果ではないかと私は思っています。

 その辺、峯本先生にスーパービジョンオーダーというか、在宅支援が単なる支援だけなくて、その後のケアオーダーに移行していくところについて説明していただければわかりやすいと思うのです。

○峯本構成員 完全に詳しい実態がわかっているわけではないのですが、私の前回の第3回の資料の50ページでスーパービジョンオーダーのことを説明しております。

 これの上の2段がイギリスのスーパービジョン命令の効果ということで、スーパービジョン命令は子どもを地方当局、具体的にはソーシャルワーカーまたは保護観察官のスーパービジョンのもとに置く命令で、スーパーバイザーの役割は子どもと接触し、子どもに助言し、援助を与えて子どもの友となる、命令に示された指示を守らせること等ということで、この指示を守らなかったり、協力しなかった場合には、スーパービジョン命令が取り消されて、より厳しい他の命令、多くの場合ケア命令が発せられることになるということで、命令の指示の内容は、子どもに対する指示と親に対する指示は、具体的には親の同意のもとで親に対する指示は作成されていくのです。

 いずれにしても、それに応じなかった、もしくは次、右側に「命令の強制力」と書いてありますけれども、スーパーバイザーが子どもを訪問するという指示が親によって妨げられた場合には、スーパーバイザーは裁判所に申し立てして、係る権限を行使するため、必要な警察の援助、令状の発行を求めて、その他の具体的な指示についても、直接的な強制手段はないけれども、命令に示された条件が守られなかった場合にはスーパービジョン命令が取り消されて、ケアオーダーの申し立てをして、基本的にはそれが認められていく可能性が高くなるという意味での事実上の強制力で、割とイギリスのシステムは福祉に裁判所がいて、ソーシャルワークに裁判所がいてお墨つきを与えて、そこに乗っからなかったら、今度は事実上の強制力という次のより高いオーダーが来るという形での強制力の持たせ方になっているのかと思います。

○吉田(恒)座長 ありがとうございました。

 よろしいでしょうか。

 私からこの建付けに関して一言、裁判所が虐待の問題にどうかかわるのか、インフラの問題が行政も司法もあるということは、かねてより言われているところかと思います。今日示されたような立法事実の問題、もう一つは、裁判所の役割をどう捉えるのかは国によって違うのではないかと思うのです。

 家族法の先生は御承知の「家族<社会と法>」の一番新しい雑誌で、早稲田大学の岩志先生が書いておられるドイツでの実態調査があって、私も一緒に行ったのですけれども、その一文として、裁判所という機関の権威をもって、親に対し公的援助の請求及び少年局との協力を働きかけ、強力な介入的措置に至ることなく、子の福祉の危険を回避しようというところ、関係者を呼んで裁判所で行う、こうした協議の内容だというのです。

 果たして今の日本の裁判所でこういう役割を果たし得るのかどうか。かねてより議論になっているように、公平中立な裁判所、判断機関としての裁判所という原則をここに出してきたときに、ここまでの役割を今の司法に期待できるのか、また、それだけの制度なり理念があるのかという非常に大きな問題が実は入っているのです。ですから、ここだけで建付けの問題として裁判所と行政の問題を処理するわけにはいかないのではないかということで、これはまた別のところでやる必要があろうかと思うのです。

 この検討会の本来の目的としては、児童福祉法の範囲内でどうした制度を設けることがより効果的なのかということで、決してこの問題の重要性を否定するものではありませんけれども、余計なことかもしれませんが、こうした個々の議論と並行しながら、大きな問題を我々は議論しているのだという意識を私は持ちたいと思っております。

 それでは、個々の論点に入っていきたいと思います。

 大分時間が押して申し訳ございません。次に一時保護についての意見交換です。

 先ほどの調査結果も踏まえまして、一時保護に対する司法関与のあり方について御意見をいただきたいと思います。

 それでは、横田先生、お願いします。

○横田構成員 先ほどいろいろ議論があったことにも関わるのですけれども、この司法関与の制度を導入したときにどのぐらい負担が増えるのかが重要な関心事だと思うのです。従来からの議論の前提として、この負担を軽減するための一つの方策として、同意がある場合と同意がない場合で手続関与の仕組みを区別することが考えられている。同意がある場合については司法関与を不要とすれば、手続の負担が軽くなるという前提でおそらく議論が進んでいるのではないかと思うのですけれども、私はそれはそうなのか疑問を持っているというお話をしたいと思います。

 まず、今回の資料で久保構成員と藤林構成員と山田構成員が提案された案につきましては、実は私がこれから述べることはダイレクトに当てはまらないので、これは後でコメントをしたいと思います。

 その前に、一時保護の司法関与、これを児童相談所、行政の側が申し立てて、司法関与の手続をするという制度設計をとった場合にどういうことが起きるのかという話をします。その後にお三方が提案された、そうではなくて親権者の側が不服申立てをするのだという司法関与の手続について最後に述べたいと思います。

 まず、同意の場合を外せば負担が軽くなるだろうというのは、少なくとも見込んでいるとおりにはならないと思います。例えば7日後に司法関与の手続をとるということにした場合に、7日目ぐらいにはかなりの同意がとれているということは藤林構成員からの資料にもありましたけれども、しかし、7日目になって同意がとれないから、さあ、これから司法関与の手続の準備をするということではなくて、同意がとれるのかどうかわからないながら同意を求めるプロセスをやっていて、7日目に結果がわかるわけです。手続を導入したら、その前に同意が最終的にとれるのかどうかわからないものは全て何らかの準備をしないと、手続は動きません。

 次に、最初に同意がとれた場合は問題ないのかというと、それもそうではなくて、同意の撤回の話がありますから、そのことを考えないといけない。例えば28条審判のことを念頭に置いて、28条審判の場合は、例えば措置に同意していて入所措置がとられていたけれども、もう返してくれといった場合に、そこから28条審判の手続をとりましょうということになるのです。今、議論している司法関与の手続の場合には期限を区切りますから、例えば7日間という期限を区切って、そのときに同意しておいて、でも、7日間過ぎた後にやっぱり返せといったときに、もちろん前に同意したではないかと言えますけれども、しかし、そのときに争う側は、最初から同意などはしていなかったと争うと思います。

 そうすると、争ったときに、最後は行政訴訟で同意の有無が争点になります。行政訴訟は同意を翻す例が少ないという資料の数字もありましたけれども、司法関与の手続を導入したら、たとえ自分が虐待していたとしても、司法関与の手続がちゃんととられていないということだけを違法事由として勝訴する可能性がありますから、虐待したとしても子どもが返ってくる可能性がある。そうしたら、行政訴訟の可能性が今と同じとは言えないですね。

 そして、行政訴訟が起きたときに、裁判所は同意の有無が争点になったときにどう同意の有無を事実認定するのですかという話が出てくる。さらに言うと、事実認定するのは裁判所の話ですけれども、当事者のどちらが同意の有無について立証責任を負うのかという話が出てくるわけです。

 結論で言うと、これは行政の側に立証責任があるということでないとおかしい。親権者で同意などはしていないということを証明するのは不可能ですし、これは行政のチェックのための手続ですから、同意がないのに行政が関与しないで一時保護して、それが適切でないということを反対側が立証するというのは手続の意味がないので、結局行政側が立証責任を負う。そうすると、どういうことになるのかというと、行政側はどう同意があったのかということを立証するか。これは想像ですけれども、どの場合が行政訴訟となるのかわかりませんから、一時保護の際に後の裁判のときの証拠のために同意書などをとっておこうかと。でも、そのような同意書をとるという手続を入れたら、同意しているから同意書がとれるという現場の実務ではないですね。そうすると、この手続を入れることによって従来同意がとれていたものまでとれなくなってしまうかもしれないので、同意があるかないか、そして、その分だけ早くやれるからということはそもそも難しいと思います。

 逆にそうではなくて、2カ月経った後に司法関与で同意の有無で区別という制度、これはもっと無理があると思っているのです。この場合は、2カ月後の司法関与前に同意の撤回があったときにどうするのかという話が出てくるわけです。この話は、その2カ月後の司法関与の手続で、裁判所が何を審査するのかという話とも絡むわけです。2カ月後の司法審査だと、子どもを引き離すこと自体を審査するという話ではなくて、長過ぎるよという審査になるわけです。さらに、2カ月を超えていいのですかという話になります。

 そのときに、さっきの話に戻すと、一旦同意したものを撤回してやっぱり返してくれという親権者の場合に、これは一旦同意したからということで同意があった場合と位置づけられるのかというと、できないと思います。長過ぎるから問題だという司法関与の手続なのに長過ぎるからもう返してくれという親権者の意思は無視できない。つまり、一時保護してから3日目に同意したではないかと言っても、だって、あのときにはそんなに長く一時保護するなんて思っていなかったらからと言われたら、それは無視できないですね。

 そうすると、同意撤回の場合も同意がないものとして司法関与の手続を考えないといけないのです。そうしたら、それを導入したらどうなるのかというと、今は同意を撤回するインセンティブがないから、なかなか同意を撤回する数は増えていないという結果が出ていますけれども、その手続を導入したら、とりあえず一時保護は納得いかないけれども、同意して、でも、1カ月半がたっていつまで一時保護するのだろうと。2カ月経って、同意を撤回したら司法関与の手続が入るぞと思ったら、では、撤回しようかとなりますね。そうすると、この調査の4ページの棒グラフの赤の棒と青の棒で、青だったらかなり減るねという話になるかもしれませんけれども、青のままということを前提にできない。下手をすると、最悪の場合には赤の上限まで行くかもしれないということになると、これは同意の有無、そして、その同意の撤回がなかったことをどうやって2カ月過ぎて訴訟したときに行政が立証するのですかということになると、また同じ問題が起きます。ですから、基本的に私は、この同意があるかないかによって手続関与の仕組みを構築すること自体に疑問を持っています。いずれにしても、同意をした場合を司法関与の手続から外したら負担が軽くなるだろうという前提は、そのままの形ではそのとおりにはならないだろうと思っています。

 最後に、今までの話は久保構成員、藤林構成員、山田構成員の提案された一時保護の司法関与の仕組み、つまり、親権者の側が不服申立てをするという仕組みについては、これは当てはまりません。つまり、1週間以内に不服申立てをしなかったら同意したとみなすわけですね。ただ、これは手続のあり方としてあまりに乱暴ではないか。親として、それまで裁判所のことなど考えたこともない人たちがいきなり一時保護ということになって、あれやこれややっているうちに1週間などすぐ経ちますね。その間に裁判所に申し立てるなどは想像するのが難しいし、さらに言うと、たとえその制度を知っていたとしても、このような制度は使わないと思います。文句のある親権者はもうちょっとじっくり考えて、取消訴訟を提起して、執行停止の申し立てをします。だから、この制度は使われないと思います。さらに言うと、行政訴訟を排除する趣旨だとすると、それは裁判を受ける権利の侵害なので憲法違反になるということなのでこの制度は難しい。

 そして、最後ですけれども、どのような場合に行政訴訟が起きるのかわからないのだから、行政側として全ての場合に対応しないといけないのですけれども、できますかという問題があると思います。

 以上です。

○吉田(恒)座長 ありがとうございます。

 行政訴訟の観点からの分析ということになりますね。今までの前提をもう少し細かく精査していく必要がありそうだという御指摘かと思います。

 一時保護に関して、いかがでしょうか。

 藤林先生、どうぞ。

○藤林構成員 今の横田構成員の意見のある部分は賛成で、2カ月を超えた場合のみの導入は、我々が主張している行政判断だけの親権制限を行うことを2カ月もするというのは、本来の目的ではないので、それはあまり意味がないのではないのかなというところはそのとおりだと思います。

 児童相談所の実務の感覚でいきますと、当然虐待ケースは保護に対して、職権保護したその日や翌日になぜ保護したのかといった説明を行い、私が提出した資料のように、その当日や翌日や3日目で過半数以上の保護者が同意されます。同意書も書かれます。場合によれば1週間で家に帰す場合もあったりいたしまして、撤回ケースはそんなに多くない。今回の全国調査でも15件ですから、これは非常に少ないと考えていいのかと。

 この人が撤回するのかどうかというのは、大体最初の段階で我々はわかりますので、後で撤回されることも踏まえて、どのような説明を行ったのかまたは保護した事実として何があるのかはしっかりと記録にも書き、保護者にも説明していくということを考えると、一時保護の司法審査が入ることによって、そんなに全ケース大変になるとは実務的には思わないです。

 一時保護の数の感じからいきますと、5ページの7日経過している時点で「同意なし」が2,106件というのは、これを単純に割り算していきますと、1カ月に人口100万人の都市で1.数件なのです。福岡市でも大体1件ぐらいなので、ここに大阪市、大阪府というものすごく一時保護している児相が入ってくるとどうなっていくのかわからないですけれども、人口100万人の都市で1カ月に1件や2件というのは、そんなに大きな事務負担にはならない。ただ、横田構成員が言われるような、後々のことを考えた場合に詰めた事実認定とか記録を行っていくという、今まで慣れていない業務に対する心理的な負担はあると思いますけれども、そこは今回の法改正にあるように弁護士を十分配置していくことで可能になっていくのではないかと思います。

 それから、先ほどの吉田構成員の意見で、司法審査を入れることでかえって対立するのではないかという懸念を言われましたけれども、そうではなくて、そういう形でこの保護の適法性について司法で判断していただきましょうということで、我々児童相談所と保護者との間の対立は反対におさまっていくということが我々実務の感覚です。

 以上です。

○吉田(恒)座長 ありがとうございます。

 それでは、杉山先生、お願いします。

○杉山構成員 簡単に2点ほどです。

 1点目は、先ほど出ました立法事実の問題について私も同じような疑問を抱いておりまして、全国の児童相談所に対して司法関与の必要性について調査した結果、イエスとノーが半々に分かれている中で、もし司法関与をこの検討会で入れるという結論を出すのであれば、児童相談所の回答の中では反映されていない、別の利益を保護する必要性があるとか、何か積極的な理由が必要になってくるのではないかということです。

 2点目は、質問にもなるのですが、資料2-2の8ページ目の、マル2とマル3でそれぞれ開始時と更新時に司法審査が必要かという点について回答があるのですが、両者の関係がわかるのかです。資料2-1の8ページ目の<目指す方向性(案)>というところでは、マル3のところだけで司法関与を入れるべきであるかに加えて、マル2についても入れるのかどうか検討すべきだということが書かれていますが、どちらか一方で足りるのか、あるいは双方必要だと考えているのか、後者の回答はそれほどないと思いますが、もし双方の関係がわかれば、今すぐでなくても教えていただけましたらありがたいと思います。

 以上です。

○吉田(恒)座長 では、金子先生、お願いします。

○金子構成員 今の横田構成員のおっしゃったことを藤林構成員が必ずしも十分理解されていなかったのではないかという印象を私は持ちました。横田構成員がおっしゃっていることを私なりに理解すると、例えば今、親がいて、子どもがいて、親としては子どもにこうしてほしいと思うところがあるわけですね。で、親がこうしなさいと子どもに言うと、子どもとしては、内心不満があっても一応へいへいと聞くわけです。でも、その親に対してさらに命令できるところが出てきたら、そうへいへいということを聞くのかというと、必ずしもそうはならないのではないかと思います。だから、今、同意がされているといっても、先ほどお話がありましたが、児童相談所にすごく強い権限があって、だから、あまり盾突いてもしようがないから同意するということもあると思うのです。もし司法関与を入れるということになると、私は同意しないというケースは相当増えると思います。

 もう一つ、もし同意したら一定期間については撤回不能にするという制度はあり得るとは思いますけれども、その場合、相当丁寧な同意のとり方をしなければいけないと思います。それだけの手間がかけられるのでしょうか。私は今のリソースからして、非常に疑問に思っております。

 以上です。

○吉田(恒)座長 ありがとうございます。

 それでは、上鹿渡先生、お願いします。

○上鹿渡構成員 この検討会ではなくて、新たな社会的養育の在り方に関する検討会で、当事者の方が一時保護について、前回、自身の経験を語ってくださったのです。その中で、15歳の時に虐待ということで初めて一時保護された後、そのまましばらく一時保護が続き、どうして自分だけ施設に措置してもらえないのだろうと不安で、そのまま家にもう一度戻されるのではないかと非常に怖かったという経験を話してくれました。児相の人に聞いたら、親が同意しないからそこは無理なのだということでしばらく一時保護の状態に置かれたということで、本人としては非常に不安な日々を送ったということでした。

 いろいろ方法はあったのかもしれないのですが、実際にこのような子どもたちがたくさんいて、それを福祉可能な範囲で精一杯取り組んでいます。藤林構成員が提示してくださった福岡市の取り組みは、本当に今使えるいろいろな方法を使った上で、それでも解けない問題をいろいろと具体的に示してくださっていると思うのです。その中で、司法の関与によってもしかしたらここを突破できるかもしれない、救える子どもたちがいるかもしれないという思いの中で、今回もかなり具体的な意見をいくつか出してくださっていると思います。

 今日提示された児童相談所へのアンケート結果では、一時保護の関与について児相に聞くと半々位に分かれているということが数字としては確かに出ているのですが、次にある、もし強化するとしたら児童相談所における体制整備が必要かという質問に9割が必要だと答えたということと併せて考えなければならないと思います。先ほど峯本構成員がおっしゃっていたとおり、その準備をしっかりした上でないと危ないと思っているということで、このような結果が出ているのではないかと思うのです。

 そうだとしたら、もしその必要と思われる準備をしようと思ったら、例えば全ての児童相談所に弁護士必置とか、アンケート内の個別の意見には弁護士を置いてほしいという意見も多く見られたのですが、そのような対応をしたり、人を増やしたりといったことが必要となります。これには相当な予算を必要とし、また、大きなところを変えなければならないので難しいかもしれないのですが、だからといって、これを準備できない前提で司法関与を使えないという判断が下されるのは、私はおかしいと思うのです。もしそのように司法関与を不要とするのであれば、それでは、司法関与以外の方法で今いるなかなか救えない子どもたちにどう対応していくのかということを考えなければならないと思います。児童相談所の体制を整えることで他の国がこの問題の解決に使っている司法関与という方法を日本でも同様に導入できるのであれば、その方向で、時間もお金もかかるかもしれないけれども、しっかり準備した上で次に進むという方向を提示していくべきではないかと思います。

○吉田(恒)座長 ありがとうございます。

 先ほどもお話にありましたように、この点についての今度は福祉行政上のインフラをどう充実するのかということもあわせて考えなければいけないということですね。ありがとうございます。

 時間が迫ってまいりましたけれども、ほかの論点に移ってよろしいでしょうか。

 それでは、面会通信制限、接近禁止命令について御議論いただきたいと思います。

 この点につきましても調査結果が出ていますので、これらを参考にしながら意見交換ができればと思いますが、いかがでしょうか。

 専門委員会の報告書では、この点では、28条審判に基づく社会的養護措置以外の場合にも拡大すべきではないかということで、調査の中では児童相談所からそれが必要なケースが幾つか具体的に挙がっております。

 峯本先生、お願いします。

○峯本構成員 これも同じような議論で申し訳ないのですけれども、私も特に面会通信制限とか接近禁止命令に関しては、さらに言うと権限を付与する方向でその選択肢を増やす方向なので、積極的に考えていいかと思っているのです。

 もう片方で、現実的に考えると、今の面会通信の制限にしろ、接近禁止命令というものが、実際使われている件数は少なくても、調査結果から見るとそれなりと。私自身の経験から言っても、適当にその権限を使いながら裁量でかなり柔軟に、正式の接近禁止命令を出さなくても、実際にはそれができる可能性を持ちながらあまり使わないでいい対応でやられているところもあって、児童相談所として柔軟に使っておられる側面があるのも確かかと思っているのです。

 だから、この選択肢が増えるという意味合いでいうと、裁判所の命令が入る。しかも、これも当然のことながらイギリスの制度などだったら逆に親責任といいますか、日本の親権に該当するようなものが児童相談所、地方当局に移りますので、制限しようと思ったらできるのだけれども、そのときも面会交流の権利をちゃんと保護者に保障せねばならぬという形の規定の仕方になっていくのです。面会交流は非常に重要なものだと考えられているので、その観点で言うと、それを制限するときには司法の判断が要るというのは筋だと書いてあったと思うのですが、これも先ほどの権限として選択肢がプラスされるのであればいいかなと思うのですが、もしこの命令制度を導入したときに、今の行政が独自判断でやれている権限をどう考えるのかは課題として残るのかと思います。

○吉田(恒)座長 藤林先生、お願いします。

○藤林構成員 実際、児童相談所の権限で面会通信制限を行っている場面はあるわけなのですけれども、これは本来、この前の議論にもありましたように、子どもの権利でもあるわけなので、児童相談所の判断で指導でいいのかということを考えると、そこは筋として司法判断が必要かと思うのです。

 ただ、先ほど金子構成員も言われましたし、峯本構成員も言われた、この児童相談所が裁判所に申し立てていくことは、ある意味、今の児童相談所の体制で本当に適切にできるのだろうかということは私も疑問に思っています。座長の言われるように、インフラの整備、単に弁護士を配置するというだけではなくて、弁護士が配置されて法的な権限を駆使していく、または裁判所に申し立てていくためには、個々の職員が子どもの権利や親権に対する適切なセンスであるとか、または申し立てていくための事実の収拾力であるとか、書面の準備といったものを身につけていくことが必要であって、そうすると、インフラの整備プラス準備期間というものも一定期間あるのかと。でも、それができていないからこの方向性を目指さないということではなくて、一定の方向性を目指した上で準備期間またはインフラを整備していくのが本来ではないかと思います。

○吉田(恒)座長 それらの整備を踏まえた上で、28条審判以外の場合にも広げていいのではないかということですね。

○藤林構成員 そこについて一言言いますと、28条ケースというのは、施設とか里親の所在地を教えていないので、実際に接近禁止命令を使うことはないのですけれども、一時保護ケースであるとか、児相の自由回答にいっぱい書いてありましたが、実際に在宅ケースなども含めまして、必要なケースは28条以外に多くあるかと思います。

○吉田(恒)座長 わかりました。

 予定された時間はあと5分しかないのですけれども、できるところまでやりたいと思います。

 次が、親権停止制度の活用です。

 専門委員会の報告で、ここに関しましては親権停止制度を活用するということで、施設入所後の親権者との混乱を避ける。この制限を明確にしておくとしてはどうかという意見であります。28条審判と親権停止制度の関係ですね。

 こちらは前回床谷先生から御質問がありましたので、まず、その点について事務局から御説明をお願いします。

○竹内虐待防止対策推進室長 床谷構成員のほうには直接既にお答えを申し上げておりますけれども、前回の検討会におきまして、床谷構成員から親権停止により未成年後見人が選任された場合において、その後、児童福祉法の28条による施設入所等の措置がとられたケースがあるのかどうかといった御質問がございました。

 これにつきまして、幾つかの自治体、児童相談所に確認をいたしましたところ、親権停止により未成年後見人を選任する場合、通常でありますと弁護士を未成年後見人として選任しておるようでございますけれども、御指摘いただいたような28条による施設入所等の措置が講じられた事例は聞いたことがないということでございました。

 また、親権停止により未成年後見人として親族を選任することも考えられるわけでございますが、こうしたケースにつきましても28条措置による入所については聞いたことがないというお答えでございましたので、御報告をさせていただきます。

○吉田(恒)座長 この親権停止制度の活用について、いかがでしょうか。

 立法というよりは運用のところで、例えば手引きのところで28条、停止の関係、これをより明確にする。現在でも言及はされているのですけれども、念押しのための表現を加えることも可能かと思うのです。それとも、今の扱いを変えて基本として親権停止という方向に持っていくべきなのかどうかという議論かと思うのですが、いかがでしょうか。ございませんでしょうか。

 山田構成員、どうぞ。

○山田構成員 前回も発言させていただいたのですけれども、親権停止制度を活用しましょうといっても、戸籍に親権停止が記載されてしまうということが解決されないと、ちゅうちょするケースはないですか。現場がないと言っているのならばいいのですが。

○吉田(恒)座長 わかりました。現場はともかくとして、それも一つの懸念事項として挙げられる点ではありますね。専門委員会の報告からすると、謙抑性の原則からすると、28条審判の手続を先に検討すべきではないかという意見もあったということですけれども、いかがでしょうか。

 久保野先生、お願いします。

○久保野構成員 議論の進め方との関係という発言になってしまうのですけれども、秋まで時間が限られている状況の中で個別の論点について具体的に結論を出すということと、先ほど来何度も出ているように、長期的に見たときに何が望ましい方向性なのかということと、両方が重なり合う形で議論が進んでいます。私は今までも断片的に発言させていただいているように、親権にかかわるところが曖昧なまま、複数のものが分立しているところが問題だなどという問題意識を持っています。個別の論点といったときに、そのような長期的な課題の検討をいつやるのかということが問題になり、長期的なことにあまり立ち入ってしまうと、差し当たりの目標に到達しないということがあり得ると思っています。

 長くなり過ぎですが、言いたいことは、長い目で見たときにこうあるべきということであれば、そういう長い目で見たときの方向性を落としつつ、短期的な結論を出すということにならないように、長期的方向性と短期的な論点ごとの検討の2つの兼ね合いについて御留意いただきたいと思います。よろしくお願いします。

 要領を得なくてすみません。

○吉田(恒)座長 ありがとうございます。

 この点に関しましては、まだ今日のところは煮詰まっていないという理解でよろしいでしょうか。

 続きまして、今度は28条措置です。

 この点に関しましては、前回の検討会で事務局が提示された方向性の案でよろしいのではないかという御意見でしたので、今日はそれを受けてその次の論点に移っていきたいと思います。

 続きまして、裁判所命令に関しまして、先ほど峯本先生からイギリスの制度なども御紹介いただきましたけれども、こちらの構成員の御意見についてというところでは14ページに記載されているところかと思います。

 この裁判所命令は、先ほどから何度か話に出ていますけれども、要は、親に対して家庭裁判所の命令によって指導に応じるようにという制度が提案されているのかと思うのですが、この点、外国の制度などを含めながら、いかがでしょうか。

 山田先生、お願いします。

○山田構成員 その補足ですけれども、資料3の37ページの下の段になりますが、フランスとイギリスは、行政が指導のプランを立てて、それに従っているのかどうかということで、次の、よりステップアップした親権制限に進むかどうかを裁判所が判断する。

 一方でアメリカ、これはコネチカット州ですけれども、多分オレゴン州も同じだったのですが、直接裁判所がこういう指導を受けなさい、こういうプログラムを受けなさいという命令を出している。大きく分けるとこの2つなのかというところです。

 その場合、日本がどうしたらいいのかということは皆さんで御議論いただきたいです。

○吉田(恒)座長 そういう類型があるということですね。

 久保野先生、お願いします。

○久保野構成員 一つ既になされた議論の中で、イギリスの例で、スーパービジョン命令で在宅の指導をして、それが功を奏さなかったらケア命令ということで、適切な社会的養護が確保されているのではないかというやりとりが先ほどあったのですけれども、スーパービジョン命令の条件について、先ほど御紹介いただいたところの条件というのは、親権者の同意がないとたしかつけられないものだということが前提にあったので。

○峯本構成員 保護者の指導に対してはね。

○久保野構成員 保護者の指導という意味では、そういう流れではいかないということがあり得るのではないかということが気になったので、一つ確認でした。

 いずれにしても、日本の問題を考えるということなので、イギリスがどうなっているのかということ、それが正しいか、理解がどうかということではないと思うのですが、イギリスとの関係では、先ほど峯本構成員が最初に御発言なさったときに、一時保護の権限が日本の場合強大であって、それをしていけば本当はもう少し増えるはず、もっと適切に使用することがあり得るとおっしゃったことと、司法関与があることで実現していくということとの関係が気になったところでした。また何かの機会に教えていただければと思います。

 日本でどういう場面を念頭に置いてどういうことをするために司法関与が必要かというところが、まだ必ずしもわかっていないところがありまして、先ほど出たような、まさにその先の28条や親子分離に行かないように予防的にやろうということなのか、あるいは解除した後に、戻した後に実効的な介入ができないとまた何か起こると困るのでしようということか、あるいは親子分離とは違う形での支援を裁判所を通じてやるようにしたいということなのか。どういう場面で何が目的でというところがもう少し議論が必要なのではないかと思います。それによって想定すべき手続ですとか、参照すべき外国の手続も変わってくるのかなという気がいたします。

○吉田(恒)座長 ありがとうございます。

 峯本先生、お願いします。

○峯本構成員 今、御質問のあった点も含めてですけれども、先ほど日本の一時保護権限が強大だということを申し上げました。これは行政の判断だけでできるという意味合いで強大なのですが、裏表あって、恐らくこれは地方ごとに一時保護件数にかなり差があることに影響しているのではないかと思うのですが、強大なのですけれども、行政だけの判断であるので、親からのそれに対するその後の抗議であるとか、場合によっては激しい攻撃性にさらされるようなことがあるので、実際に消極的になってしまうケースが出てくる。その辺も重大ケース、死亡事例などが続いてかなり一時保護に対しても積極的にやらざるを得ない状態になってきているようなときには、逆に裁判所の司法的チェックを得なければならぬということになったらそこはかなり負担感があるので、そのときに裁判所の判断、これも裁判官によって違いが多少ありますけれども、マイナスの判断が出る可能性があるかもしれないということを考えてくると、なかなか実際にちゅうちょする方向に働くだろうと。日本国内で見ても、表面的な権限としては強力なのですけれども、裁判所のお墨つき、判断を得ていないための使いにくさも片一方ではあるというのが現状ではないかと思います。

 全体として言うと、司法の判断が入るというのは、先ほどのその前の手続で同意を得る手続もしっかりしておかなければいけませんし、その後の手続も全部説明しておかなければいけませんしというようなことで、それによってちゃんと保護者の権利を行使するというようなところも出てくるでしょうし、一定、そういうことを覚悟の上でやらないといけないと思うのです。それでも、特に親子分離のような手続のことで言うとこれだけの重大な権利制限を伴うから、しっかりとした適法性についてのチェックが必要だと。そのためにはいろいろな手続も伴って負担も大きくなる。だけれども、結論から言うと、それができる体制を準備していくことが非常に重要になってくると思います。

 もう一つだけ、全体的に言うと、この虐待防止の取り組みというのは支援的な取り組みであるのですけれども、そこに強制権限が必要であったり、対立的な構図が当然生まれる基本的な取り組みなので、それぞれの場面で第三者である裁判所の判断を必要としていくということは、それが結局としては行政を進めていく上では非常に後見的な役割にもつながっていく側面があるので、そこのニーズの中で多少手続的にしんどい場面がある、ケースによっては今までだったら自由にできたものができなくなるものがあるということもありますけれども、そこも踏まえて司法関与の必要性をしっかり押さえて、そのための準備をしていくことが重要かと思います。

○吉田(恒)座長 ありがとうございます。

 この点に関しましても、先ほど私が申し上げた、本当に日本の裁判所の果たすべき役割ということにもつながってくるし、また、命令してそれに従わない場合の措置をどうするのかということも考えなければいけない。そして、単なるお墨つきなり権威でねじ伏せるということでは決してないわけで、その後につなげるという段階で裁判所にどうかかわってもらうのかという議論、それが有効な場面もあるのではないかという議論ですね。

 予定された時間を10分過ぎてしまいましたけれども、よろしいでしょうか。

 吉田先生、どうぞ。

○吉田(彩)構成員 裁判所命令の関係では、今回の調査結果のうち、マル4「裁判所の勧告」のところを見ますと、現行法でもかなりいろいろ対応できている部分があるのではないかという印象を持っています。今、座長がおっしゃったところなのですけれども、在宅指導の段階にとどまっている一般私人に対して行政に従いなさいという命令をいきなり出すことが日本の裁判所の果たすべき役割といえるかについては、かなり違和感があるところであり、そこはしっかりと議論していただきたいと思っております。

○吉田(恒)座長 ありがとうございます。

 では、そちらから、短目にお願いします。

○横田構成員 今の点で一言だけです。ほかの制度を見ると、例えば生活保護法27条の指導というものがありますね。これに従わないと保護の停廃止というものがあります。その場合に、裁判所の関与がないということも頭に入れておいてほしいということです。

 以上です。

○吉田(恒)座長 ありがとうございます。

○藤林構成員 先ほどの勧告の成果、効果という点なのですけれども、16ページを見ていただきますと、平成25年に勧告がなされたケース53件のうち、確かに同意になったケースが半分であるとかということはあるのですが、結局措置を解除して家庭復帰したケースは6件しかない。この事実も押さえた上で議論していただければと思います。

 以上です。

○吉田(恒)座長 わかりました。

 なかなか難しい論点で、そう簡単に結論が出るものとは思いませんけれども、いろいろ先生方から貴重な御意見をいただいたかと思います。また事務局でおまとめいただいて、次の検討会の資料ということでお願いしたいと思います。

 それでは、最後に事務局から、次回のことなどを含めて御案内いただければと思います。

○木村補佐 本日も御議論いただきまして、ありがとうございました。

 次回日程につきましては、1031日月曜日の17時から19時を予定しております。

 次回の検討会では、司法関与につきましては、先ほども御説明させていただきましたけれども、本日の調査結果についてまだ集計に至っていない分の回答を反映させるとともに、件数についても地域的な分布などの資料もお示ししつつ、引き続き議論を深めていきたいと考えております。

 また、特別養子縁組につきましては、本日御意見をいただきました実態把握の調査結果を次々回の検討会でお示ししたいと考えており、その結果も踏まえてまた御議論を深めていきたいと考えております。

○吉田(恒)座長 どうもありがとうございました。

 皆さん、長時間御協力いただきまして、ありがとうございました。これにて散会にいたします。

 

 


(了)

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