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2016年7月27日 第12回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会議事録
健康局結核感染症課
○日時
平成28年7月27日(水)16:00~
○場所
中央合同庁舎4号館(1階108会議室)
○議事
○事務局 定刻になりましたので、ただいまより、「第12回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会」を開催いたします。
本日は、御多忙のところ御出席をいただき、まことにありがとうございます。
本日の議事は公開でございますけれども、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては御協力をお願いいたします。
また、傍聴の方は傍聴の際の留意事項の遵守をお願いいたします。
初めに、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。
本日は、委員10名のうち、伊藤委員、加藤委員、釜萢委員、坂元委員、西島委員、細矢委員の6名に御出席をいただいております。また、山口委員、福島委員からはおくれて御出席をされる旨、野口委員、森委員からは御欠席の旨の連絡をいただいております。
現時点で、厚生科学審議会の規定により定足数を満たしておりますので、本日の会議が成立したことを御報告いたします。
ここで、新しく就任された委員の先生方を御紹介いたします。
国立感染症研究所品質保証・管理部部長の加藤篤委員でございます。
公益社団法人日本医師会感染症危機管理対策担当常任理事の釜萢敏委員でございます。
また、本日は1名の参考人をお呼びしてございますので、御紹介をいたします。
国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター長の小田切孝人参考人でございます。
冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
(プレス関係者退室)
○事務局 それでは、議事に先立ちまして配付資料の確認をさせていただきます。
議事次第、配付資料一覧、委員名簿、資料1から資料3、参考資料につきましては1と2、また、机上配付資料についても御用意してございますので、不足しております資料がございましたら、事務局までおっしゃっていただければと思います。
次に、審議参加に関する御報告をいたします。
本日の議事内容におきまして、個別に調査審議される品目はございませんので、本日の議事への不参加委員はございません。
次に、部会長の選任と部会長代理の指名についてでございます。
部会長の選任は、厚生科学審議会令第6条第3項におきまして、部会長は当該部会に属する厚生科学審議会委員の互選により選出することとなっております。本部会におきましては、伊藤委員と西島委員が厚生科学審議会の委員でございますので、この点について、西島委員より御報告をいただきたいと思います。
○西島部会長代理 それでは、御報告させていただきます。伊藤委員と2人で御相談させていただきまして、部会長は伊藤先生に行っていただくことになりました。また、伊藤部会長より、私が部会長代理に指名されましたので、あわせて御報告いたします。
以上です。
○事務局 ありがとうございました。
それでは、ここからは伊藤部会長に議事進行をお願いいたしたいと思います。
○伊藤部会長 独立行政法人国立病院機構本部総合研究センターにおります伊藤でございます。西島先生よりも若輩者なのでございますが、しっかり務めさせていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、早速議事に入りたいと思います。本日は4件の報告事項がございます。議事の議題(1)といたしまして「研究開発部会におけるこれまでの取り組みと今後の進め方について」、まず事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、事務局より御説明をさせていただきます。資料1をごらんいただければと思います。
本研究開発部会は、平成25年5月に設置をされてございますけれども、その後、本部会で議論を重ね、同年10月31日に「開発優先度の高いワクチン」を整理いたしました。その後、この「開発優先度の高いワクチン」の6種類につきましては、予防接種法第3条第1項の規定に基づく予防接種に関する基本的な計画、以下、基本計画と略させていただきますけれども、基本計画におきまして、告示として位置づけられてございます。
本部会におきましては、基本計画において「開発優先度の高いワクチン」が位置づけられて以降、関連製剤を中心に関係各社等に対しまして、計5回にわたってヒアリングを行ってきてございます。ことし2月に開催された前回までに、主要な関連製剤についてのヒアリングが一巡したものと考えてございます。
資料1の別添1をごらんいただければと思います。基本計画が告示されたのは、平成26年3月28日でございまして、同じく平成26年の4月1日から適用がなされましたけれども、その後に開催された第7回より、各種ワクチンやアジュバントの開発状況等につきまして、業者の皆様や研究者の皆様に5回にわたってヒアリングをしてまいりました。
各ヒアリングにおきましての資料は、本日、机上配付資料として先生方のお手元に置かせていただいております。なお、これらの資料につきましては、厚生労働省のホームページでも既に公開されているものでございます。
資料1の別添2の表でございますけれども、こちらはヒアリングにおいて提示をいただきました資料から「開発優先度の高いワクチン」に関連するものを種類ごとに抜き出したものでございます。それぞれ扱ったヒアリングの回を右端に記載してございますけれども、情報は、それぞれのヒアリング時点のものであるということに御留意いただければと思います。
その2枚目のページには、ヒアリング資料中に言及のございました「開発優先度の高いワクチン」以外のワクチンでありますとかアジュバント等、その他について記載をしてございます。
資料1に戻っていただきまして、(2)をごらんいただければと思います。基本計画では、予防接種施策の実施状況並びにその効果、意義及び成果につきましては、工程表を策定した上で分科会等の場で1年ごとにPDCAサイクルによる定期的な検証を行い、当該検証の結果を踏まえ必要があると認めるときは、5年を待つことなく本計画を見直すよう努めることとするとされてございます。
本年5月11日に開催されました第15回基本方針部会におきまして、基本計画の策定から2年が経過し、基本計画に基づくPDCAサイクルによる定期的な検証の今後の進め方について整理することが必要とされました。基本方針部会では、予防接種・ワクチン分科会におけるこれまでの取り組みを踏まえつつも、まずは基本計画に基づくこれまでの取り組み状況を整理した上で、基本計画に基づくPDCAサイクルによる定期的な検証の今後の進め方について議論することとされております。
このような状況のもとで、同じ基本計画で定められました開発優先度の高いワクチンにつきましても、このあたりで一旦振り返る機会を整えまして、これまでのヒアリングの結果も踏まえ、どこまで開発が進んできたか、現状の課題は何か、また、今後どのように検討を進めていくべきかにつきまして、今後、検討していくこととしてはどうかと考えてございます。
ただし、研究開発の具体的な品目に関する部分につきましては、特に企業秘密が多く含まれるものでございますので、その進捗確認の方法には注意が必要と考えられます。
本日は、特に「開発優先度の高いワクチン」に関する今後の進め方について、今、申し上げたような方針でよいかどうかということを先生方に広く御意見を賜りまして、今後の施策の参考にさせていただければと考えているところでございます。
御説明は以上でございますけれども、御議論のほどよろしくお願い申し上げます。
○伊藤部会長 ありがとうございました。
ここにあります予防接種に関する基本的な計画の中で、この部会の意見を反映して「開発優先度の高いワクチン」というのを策定させていただいていて、その実現に向けて各企業が開発をしていただけているものだと思っております。
今、事務局から説明がありましたとおり、数多くのワクチンについていろいろな形で説明をいただいていて、一番最初の2013年から考えますと、もう3年の時間が過ぎていると思っております。中間年になっておりますし、とりわけ基本方針部会でPDCAサイクル、今の進み方をチェックして、その上で今後どうしていくのか、作戦の練り直しが必要なのかどうかも検討することが、親元の基本方針部会でも言われているところでもありますので、そういったことも踏まえてどうするのか考えるのが今日だと理解しております。
先生方からまず御意見いただければと思うのですが、いかがでございましょうか。
全体の方針としては、事務局のほうから説明がありましたけれども、いろいろな企業からの生の情報をいただくに当たって、公開の場ではやりにくい面というのも多少あるのだろうと思っておりますが、委員の先生方には公開でできない話も含めてしていただかないと、今後の方針づけはなかなか難しいのだろうと思っておりますけれども、そこの切り分け。非公開でさせていただいても、企業も自分のところの持っている情報を全部出すわけにいかないとか、いろいろな思いがあるのだろうと思います。また逆に、先生方に国民の、いろいろな方々の御意見を集約していただいた結果をこの場で取り扱って、その後、行政とか、基本方針部会に上げていくというような整理はやはりしていくべきかと思っているのですけれども、何か御意見はございましょうか。インターネットを通じて情報は集まってくるから、会を開く必要はないというお考えもあるかもしれませんし、現場の声を色濃く反映させるためには、やはりきちんとしたディスカッションをすべきという考えとか、いろいろあると思うのですが、いかがでしょうか。
○坂元委員 これは以前この会議でメーカーからヒアリングを受けている際に、メーカーからの意見だったと思うのですけれども、やはり今後の定期接種化の方針に関心があるとのことでした。定期接種化というのは予防接種法の法律事項なので、見通しというのは難しいのかもしれないですけれども、やはり開発する側としては、任意接種でしか認められないか、定期接種化するというのは、多分マーケット規模の問題から、そこら辺のディスカッションをある程度ちゃんとしてくれないと、なかなか開発のインセンティブが働かないという意見が出たと思うのです。今後どういうワクチンを定期接種化していくかという議論は、やはりこの研究開発には避けられないものかと思います。
もちろん、定期化しないと開発はしないよというのは、ちょっとメーカーの姿勢としてもいかがなものかという意見もあるかとは思うのですけれども、そこはかなり重要な論点なので、ちゃんとした議論とか、見直しとか、つまり定期接種化の方向性というのはある程度議論していったほうがいいのかなという気がします。
以上です。
○伊藤部会長 ほかにいかがでございましょうか。
○細矢委員 坂元委員と同じ意見なのですけれども、例えば一度、IPVの追加接種のような話題も出たのですが、今後のDPT-IPVの開発、あるいはDPT単独の追加接種といったものを考えた場合、メーカーにどういったことを要望するのかというのも、やはりある程度この部会の中で検討していく必要があるのではないか。例えば本当にIPVは要らない、今の接種だけでいい、追加は要らないというのであれば、DPTをちゃんとつくるようにメーカーに要望しなくてはいけないと思いますし、あるいはムンプスのワクチンについても、かつては神経病原性が少ないワクチンが導入されたらば定期接種化を考える、それが前提であるという意見があったと思いますので、それが今どのくらい進捗しているのかといったところを研究開発のほうでもお聞きしたいという気持ちがあります。
あるいは百日ぜきについても今ちょっと問題になっておりますので、このDTのところをDPTにするのかどうかとか、定期接種化にするのかどうかとか、あるいはその先の成人の予防をどうするかとか、さらに言うと、乳児を守るためにマターナルワクチンのようなものの導入が必要なのではないかということになれば、メーカーに対してそういったことを要望していくことが必要なのではないかと思いますので、それぞれの項目について、この中で検討して、こういうものが将来的に必要だといったことを出していくのが本来の姿ではないかと思います。
○伊藤部会長 加藤先生、ワクチンに詳しいので、いかがでございましょうか。
○加藤委員 加藤でございます。
ごめんなさい、私は、今回が初めてですので、この研究部会のスタンスについて確認させてください。この6種類の「開発優先度の高いワクチン」をこの部会で決めるといった場合に、これは企業に対して単なる要望、いわゆるお願いベースなのか、あるいは何らかの予算的な措置が企業に対して行われるのかということが一つ目。
二つ目は、このPDCAサイクルというのは当然必要なことなのですけれども、この見直しは誰のためのPDCAサイクルなのかということです。例えば企業には努力義務がなくて、単なるお願いベースだとすると、見直ししなければいけないのは私たちの国策そのものであって、企業のほうではないことになります。だから、このPDCAの本質がどちらの軸足なのかというのは決めておかないといけないのかなと。決まっているのであれば、教えていただければと思います。
○伊藤部会長 事務局から説明をしていただいたほうがいいのだろうと思いますが、定期接種にするかしないかとか、採用するかしないかというのはどちらかというと基本方針部会のほうの案件であって、基本的にはこの部会の案件ではないのだろうと思っています。そういう意味で、基本方針部会の下にあって技術的な部分とか、研究開発の状況とかの情報をある程度まとめて上に上げて、最終的に定期接種化に向けての議論の下地をつくっていくことだろうと思っています。
多分その解釈で間違いないのだろうと思いますが、事務局で補足をしていただければと思います。私どもの役割として、現場の意見とか開発者の意見を集約した上で、それをきれいにまとめることで、その上で、基本方針部会で定期接種化とか、今後の開発の方針づくりとかということを最終的に決めていただくのがいいのかなと思っています。基本方針部会で決めるに当たって、情報を整理して、現状はこんな状況でと整理するのはここかなと思っています。研究開発は日夜進歩しているところがあるので、2年前とか3年前の情報で事足れりということでは多分ないのだろうとは思っています。一方で、進捗の最先端部分というのは企業としての公開ができないというところもあって、どういう形にするのかなとは思っておりますけれども、事務局のお考えをよろしいですか。お願いします。
○江浪予防接種室長 予防接種室長を務めております江浪と申します。
何点かお答えをしていきたいと思っております。1つは、今、御質問のございました「開発優先度の高いワクチン」の関係に関しまして、どういう支援を行っているかということでございますけれども、この「開発優先度の高いワクチン」に関しては、メーカーのほうに開発の要請を行うということをしてございまして、ワクチンの種類によりましては、厚生労働科学研究補助金なども活用してやっていただいているところもありますが、一体「開発優先度の高いワクチン」についてどこまで進んでいるか、あるいは進んでいないとした場合にどういった取り組みが今後必要かということにつきまして、いろいろとまた御意見をいただきながら、我々としても考えていきたいなと考えております。
PDCAサイクルの関係でございますけれども、このPDCAサイクルに関しましては、資料のほうに少し簡単に書かせていただいておりますが、予防接種施策の実施状況、その効果、意義、成果ということについて、しっかり整理をしてやっていくということでございますので、メーカーのほうでどのように進捗しているかということだけではなくて、研究開発で優先度高いものを示しているわけですけれども、それについてどこまで進んできたか。それについて行政として、予防接種施策としてこれから先、何をやっていけばいいかというようなことを整理していくのかなと考えております。
この基本計画に基づくPDCAサイクルに関しましては、実はまだ基本方針部会のほうでようやく議論をスタートしますということを打ち出した段階でございまして、その後、実際、各部会でどのように作業を分担して進めていくかということは、まだ基本方針部会のほうで議論ができていないのですけれども、今回、研究開発部会を開催させていただく機会がございましたので、またヒアリングのちょうど一巡が終わるというタイミングでもございましたので、この2つを少し先取りのような形ですけれども、テーブルのほうに置かせていただきまして、少し議論いただければと考えていたところであります。
補足になりますけれども、先ほど定期接種化の見通しを示すことが大事ではないかという御意見をいただいております。現状を申し上げますと、新しく開発されましたワクチンを予防接種法上どのように位置づけるかということについては、手続が大分明確化されてきて、かつ、例えば新しいワクチンの製造許可がおりた場合に、そのファクトシートを感染症研究所につくっていただくことになっておりますけれども、例えばそれは6カ月以内をめどとして作成するというようなスケジュールも明らかになってきておりまして、少しずつ手順なりが明確になってきているのかなと思っております。
そういった中で、なかなか開発されたワクチンによって、実際にどういう効果があるのか、どういう副反応があるのかということを現実には見ながら定期接種上の位置づけを最終的には決定していくことになるのだろうなと思っておりますので、なかなかあらかじめ開発される前に約束をするというのは難しいと思いますけれども、そういった現状の中で一体どういうものがさらに何か明確にできるものがあるのかどうかということにつきましては、いろいろと御意見をいただければなと思っているところでございます。
以上でございます。
○伊藤部会長 今、事務局から御説明いただきましたが、ほかに。
○坂元委員 定期接種化というのは、確かに見通しは難しいと思うのですけれども、既に定期接種化されているもので、もう一つの問題がワクチンの多価化かと思います。そこは実際に予防接種の接種主体の自治体としても、予防接種の数がだんだんふえてきて、医療現場で複雑になって、現場でやられている先生からの問い合わせ等に関しても、数が多くなかなかスケジュール調整が難しいとの声があります。お子さんが風邪を引いてしまったりすると、なかなかスケジュールのやりくりが難しくなるということで、予防接種を多価化するという一つの方針みたいなものに対してメーカーに積極的に働きかけていくことも必要ではないかと思いますが、その辺はいかがなのでしょうか。
○伊藤部会長 事務局から説明されますか。
○正林健康課長 かつて6つの「開発優先度の高いワクチン」を決めるときに、あのときは国内、国外の感染の状況だとか、あの時点でのそれぞれのメーカーの開発状況とか、そういうことを全部総合してこういうものがプライオリティーが高いだろうというので選びましたけれども、結果としてあの6つとして選ばれたのは、混合ワクチンが割と多くて、それは議論の中でも、一つの製剤だけれどもよりたくさんのものが入っているほうが、まさにスケジュールだとかそういうことを考えたときにベターであろうと。そんなことも当時の先生方の頭の中にはあって、混合ワクチンの数が結構多かったですから、そのように我々は理解をしています。
○伊藤部会長 東京都の医師会でも、ワクチンの誤接種の問題というのは注目をして取り上げていて、誤接種が起きるのは種類がたくさんあって、ワクチンごとにキャップの色を変えたり、いろいろ対策されていますけれども、複数のお子さんが一緒に来ると、人のとり違いだとか、ワクチンのとり違いだとか、どうしても起きてしまうので、それを少なくするためには混合ワクチンは大切だろうと思っています。
開発優先度の高いワクチンを決める時にもそういった議論が随分あったと思うのですけれども、それがどんな形で進捗しているのかが見えにくいというのは、多分、坂元先生も、小児科の細矢先生などもお考えになっていることだろうと思います。ヨーロッパでは6種を1回で接種するような、特に今度定期接種化されるB型肝炎さえも一緒になったワクチンがあるような状況なので、そのようになればいいのになと思っています。ただ、それをどこの企業の方にお願いして、そちらの方向に向けていくのかというのは、道筋としては見えにくいのかと思っております。
ほかに何かございますでしょうか。
あともう一つは、この部会が生産だけではなくて流通の問題の解決についても宿題があるのだろうと思っているのですけれども、それについて何か御意見とかございますでしょうか。
○細矢委員 かつてということになるのかもしれませんけれども、風疹とかMRワクチンとかDPTが少し品薄になってしまうということがあったときに、国から通知のようなものが出されて、各都道府県で地域ごとに状況を把握しなさい、在庫の状況あるいはワクチンが不足していた場合の調整方法等を検討しろとか、ある特定の機関から過剰な発注を認めた場合に情報共有をしなさいというような通知が出されたと思うのですけれども、あれは流通面からすると非常にいいことではないかと思っていたのですが、実際にそれが本当にうまく機能したか。PDCAですけれども、本当にそのように機能して、うまく流通のほうでコントロールできたのかどうか。あるいは厚労省のほうに問題があったということが持ち上がってくるような事実があったのかどうか、一度検証していただきたい。
前回のこの部会でもちょっとお話ししたのですけれども、やはり生産・流通の部会ですので、今後も起こり得ることだと思いますので、これが本当にうまくいったら地域ごとでうまく解決するかもしれませんし、あるいは広域での配分もうまくいくように思いますので、ぜひお願いしたいと思います。
○伊藤部会長 ほかにございませんか。
日本医師会として、釜萢先生、いかがでございましょうか。
○釜萢委員 今お話をいただきました点には、私も全く同感でございます。まずは定期接種。難しい問題は承知しておりますけれども、やはり定期に持っていく方向を踏まえて、しっかりそれに生産を振り向けてもらうという形でないと、なかなか現実には動かないだろうと思います。
それから、私は小児科医ですが、やはりいろいろなものがまざっている混合ワクチンで接種の回数が減ってくるということは、患者さんというか子供たちにとっても利点が大きいので、その方向はぜひ今後進めていくべきだろうと思います。
今、優先して開発するという6種類のワクチンが提示されて、決められていますが、ヒアリングの資料も拝見しましたけれども、開発の進みぐあいはさまざまだろうと思いますので、特にぜひこの委員会として、さらにその中で頑張っていただきたいものを示すという方向も、場合によっては必要になってくるかと思います。
それから、細矢先生から御指摘がありました流通の問題について、実際にどのくらいうまくいったのかという検証は、地元の医師会におりました立場でも、なかなか検証は難しいのかなと思っておりますが、引き続き、これまでの事例についてよく洗い出してみて、まずはそれぞれの都道府県内での調整がうまくできたのかどうか。そして、それが足りなかった場合に地域をまたいで、都道府県をまたいで改善ができたのかどうか。そのあたりはしっかり把握しておくべきだろうと思います。
以上でございます。
○伊藤部会長 ありがとうございます。
流通の問題は、多分、坂元先生が何かお言葉がありそうです。
○坂元委員 特に新しい接種が始まるときに、ワクチンの不足ではなくて地域偏在が起こるというのは、恐らく我々の経験ですと、その地区地区の問屋さんの力みたいなものがあって、比較的多く手に入れることができる問屋さんと、そうではない問屋さんがいて、地域偏在がどうしても初期のころは起こりやすいということはあるとは思います。そういう意味においては、我々の経験として、厚生労働省はその辺の地域偏在に関してはかなりしっかりと自治体からの相談に対応してくれているなという印象は持っています。
だから、やはり新しいワクチンを開始するときに地域偏在が起きないような仕組みが必要だろうということと、これは別に都道府県を批判するわけではないのですけれども、都道府県というのはどうしても予防接種の接種主体ではないので、余り予防接種のそういうことに対して熱心ではないと言うと誤解があるかもしれないですけれども予防接種業務をあまりよく知らないので場合によるとうまく調整がいっていない場合があるということを聞きます。もうちょっと都道府県が積極的に予防接種業務に絡ませる仕組みみたいなものとか、そういうものは必要かなという感じは受けます。
○伊藤部会長 西島先生、いかがですか。
○西島部会長代理 いつも坂元先生から言われていることで、特に地方自治体で1つ値段の問題がありましたね。地域によって違うということ。自分でも接種して、どうしてそういう事態になるかというところがよく理解できないのですけれども、その辺、もうちょっと流通の中で価格についてもきちんとできないかということを日ごろ考えたことがありますが、その辺はどうなのでしょうか。厚労省として余り口が出せないところなのでしょうか。
○正林健康課長 今は予防接種法に基づく行政というのは市町村が実施主体になっていまして、全て市町村がアレンジしないといけないのです。実際に例えば価格だとかというのも地元の医師会と調整しながらやっていて、仮に国が何かそれを統制しようとすると、公正取引委員会から、それは独禁法違反だということになりますので、一応ワクチンの世界というのは自由市場で、自由に価格を競争してもらうということになっています。なかなか国がコントロールするというのは、今の段階では難しいです。
○西島部会長代理 私は川崎なのですけれども、東京都と随分違うのです。
○坂元委員 私は、政令指定都市間のことしか知らないのです。なぜかというと、政令指定都市間では予防接種等の情報共有する会議を年に2回ほど開いて、お互いにワクチン等に関して情報交換をしています。そうすると政令指定都市ごとにどのように購入しているかというのは本当にさまざまで、例えば川崎市の場合は市で薬剤師会に委託し一括購入という形をしていますので、少し価格が下げられるのかなという印象を持っています。しかしそんな劇的に下げられるわけではないと思います。最初は市で一括購入をしていましたが、そうすると入札になるので、ワクチンメーカーが絞られてしまうということがあり、実際に使われる先生方から、希望メーカーのニーズに応えられないので、現在では薬剤師会に委託して、薬剤師会のほうで一括納入という形で、いろいろなメーカーのワクチンを選べる形で、一括納入しておりますので価格がちょっと安く購入できているという状態です。ただし、どのようにワクチンを購入しているかは、本当に都市によってさまざまかなという印象を持っています。
○伊藤部会長 山口先生が、遅れていらっしゃいました。今、議論させていただいているのは、今後のこの部会の取り組みをどうするのかという話だと理解をしておりまして、話が出てきているのは、今後のワクチンの定期接種化はどうするのかという話と、やはり今ニーズがありそうなのは混合ワクチンなのではないかと。その混合ワクチンを開発していくのに向けてのドライブを、どこがどうやって出していくのかという話が出ていたり、それから、細矢先生からは、ムンプスワクチンがまだ任意接種のままで、今後新しいものが出てきたときに広げていったりするという話も昔はあったような気がするのだけれども、開発の状況がどうなっているのかとか、また、この部会が生産・流通部会ですので、流通について、特にワクチンが足りなくなりそうなときとか、定期接種が始まったときに供給量の偏在とか地域の偏在があるのは厚生労働省から通知が出て、うまくいっているようにも見えるけれども、本当にうまくいっているのか、問題がないのかということについて検証作業をしたほうがいいのではないかという話が出ていました。
山口先生、何か御意見があれば、いかがでございましょうか。
○山口委員 急に振られて、おくれて来て申しわけございません。
今、私が一番気になっているのはB肝の定期接種の問題で、これはぜひ取り組んでいただきたいと思っております。諸般の事情も多分あると思うのですけれども。
○西島部会長代理 1ついいですか。ムンプスが出たのですけれども、私がもう20年ぐらい前に感染研の部長になったときにパスツール・メリューに実態調査に行ったことがあるのですが、あれからもう二十何年もたっているのに、まだまだ日本ではこんな状況だというので、日ごろ、ムンプスを早く何とかしてほしいなと非常に強く思っておりますので、その辺は細矢先生などはどう思われていますか。ムンプスはやはり難しいところがあるのでしょうか。
○細矢委員 既に部会のほうからもムンプスワクチンの導入は必要だろうということは考えていると思うのですけれども、その議論の中で、ムンプスワクチンによる髄膜炎の問題というのがどうしても起こってくるので、そういった神経病原性の少ないワクチンの開発、それが導入された時点で、それを前提としてムンプスワクチンを定期接種化しようという話に今はなっているのだと思います。
ただ、現状ではまだそういったワクチンが開発されていないというか、国内での開発というのはなかなか難しいので、海外からの導入ということになっているのだと思うのですけれども、その時点について、承認されたワクチンがまだないと理解しています。
○伊藤部会長 10月から新しいワクチンが導入、特にB肝が導入されて、供給については既に手を打たれていると思っていますが、それがうまくいったか、いかなかったかというのは今後の問題だろうと思いますが、こうした問題について、例えば調査をするとか、どなたかに聞くということを考えたときに、手法としてどういうものが一番いいと皆さんお考えになりますか。何かアイデアがあれば。簡単には、卸の人を呼んで聞いてみるとか、いろいろな方法があるのかもしれないと思うのですけれども、それ以外に何か方法とかがあるようでしたら教えていただければ。
○江浪予防接種室長 予防接種室長の江浪でございます。
需給の調整の関係を都道府県を初め関係者にお願いしながら取り組むということは、これまでも何回もしておりまして、本日も1つ後の議題になりますけれども、提案をさせていただく予定にしてございます。
その効果の測定ということになりますと、各ワクチンの具体的な在庫でありますとか供給量に関しましては企業秘密という観点もございまして、なかなかこの数字に基づいた検証ということは難しい側面があるのかなとは考えております。ただ、この通知が実際にどういう効果があったのか、どういう取り組みが行われたかということにつきまして、今、部会長からお話しございましたような、関係者から御意見をお伺いしながら、よりよいあり方があるのかどうかというようなことを模索していくという対応ができるのかなと考えてございます。
○伊藤部会長 どうぞ。
○加藤委員 今ちょうどムンプスワクチンとB型肝炎ワクチンの話が出ていたので、感染研の状況をお話ししたいと思います。
B型肝炎ワクチンの力価試験というのは、動物を使う試験なのです。企業から提出された試験体を動物に打って、そしてその抗体価をはかる試験を行っているので、それにかかる時間というのは数カ月かかるような実験です。国家検定はロット単位ごとに試験をしなければいけないので、定期接種になって、たとえメーカーがたくさんつくったとしても、恐らく感染研が行っている国家検定の試験の段階がボトルネックになっている可能性はあると思います。
そのためには、例えば1つ目はメーカーさんのほうでロットサイズを大きくすれば、1つのロット当たりたくさんのワクチンができますから、少ない検定でより多くのワクチンを市場に出すことできます。そういうことは可能かどうか。
あるいはもういっそのこと、感染研で行っている力価試験の方法をもう少し時間のかからないELISAというような含量試験に置きかえることをしないと、この部分はいつまでたっても解消されなくて、ボトルネックが残るというのが現状になっています。
ムンプスワクチンのことなのですけれども、私は実は、今の部長職につく前はムンプス室の室長でした。生ワクチンの開発というのは非常に時間がかかるのです。3年や5年ですぐ実用化して出てくるかというと、必ずしもそうではなくて、やはり細矢先生もおっしゃったように、弱毒確認というところは大変時間がかかりますから、安全性の研究を考えると、ニーズはわかるのですけれども、やはりもう少し時間に余裕を持った形でやるのが、よりよいワクチンをつくるきっかけになるのではないかと思います。
○伊藤部会長 開発サイドの生の声が聞けて大変貴重な機会だったと思ったりもする反面、ムンプスワクチンがマーケットに出てくるのは時間がかかりそうだという、ちょっとがっかりしたようなところもございます。
○西島部会長代理 1つだけいいですか。B型肝炎ワクチンなのですけれども、私は大学におりまして、学生が病院実習、薬局実習に出るときにはみんなやることになっておりますが、その中で、やはりどうしても抗体のできない学生がおります。その辺、大学としては、なかなか抗体の出ない学生が出てくると困ってしまうのですけれども、それは別として、B型肝炎ワクチンの抗体ができない人への対策というのは必要だと思うのですが、その辺の開発の方向性は何かされているのでしょうか。
加藤先生。
○加藤委員 私は、B型肝炎の免疫原性に関する専門家ではないので、はっきりとしたことは言えないですけれども、たとえ抗体が上がっていなくても、メモリーB細胞はできている。ですから、例えば実際に体内にB型肝炎ウイルスの侵入を受けたときに、直ちに抗体を誘導されて、そして危惧するような状態にならないのではないかということをWHOの報告等で聞いたような記憶がございます。
○伊藤部会長 山口先生、何か補足の御説明がいただければ。
○山口委員 私は昔、都の臨床研におりまして、B型肝炎を開発していたところです。実際に、余りいいことではないのですけれども、先生もしていましたので、我々ではないですけれども、B型肝炎グループで肝炎にかかる方がいらっしゃるのですけれども、ワクチンを打っていても上がらない人がかかると上がるのですね。要するに感染すると抗体価が上がるという、多分それは結構よく知られた事実だと思います。ですから、抗体価が上がるということ自体が本当にメルクマールになるのかという、逆に言うとその心配をしております。
○伊藤部会長 時間が少し限られているものですから、議論はここぐらいにさせていただきまして、次の議題(2)に移らせていただきたいと思います。
議題(2)は「2016/17シーズンのインフルエンザ株の選定理由について」ということでございますが、これについて、小田切参考人から御説明をいただければと思います。小田切参考人、どうぞよろしくお願いいたします。
○小田切参考人 ありがとうございます。
それでは、お手元にお配りしています資料2に沿って御報告させていただきます。
2016/17シーズンのインフルエンザワクチン株の選定に当たりましては、今シーズンのインフルエンザの流行した状況、それからワクチンと実際の流行したウイルスとの抗原性の乖離があったかどうかと、そういうものを全部総合的に評価しまして、必要であれば次のシーズン用にインフルエンザワクチンの株を変更していく。そういうプロセスを経まして、最終的に結論に至るわけです。したがいまして、まず今シーズンはどういう流行株がはやって、ワクチン株との抗原性がどれぐらい乖離していたかとか、そういう評価について最初にお話ししていきたいと思います。
資料をめくっていただきまして、スライドの番号は右下にそれぞれありますので、ごらんください。まず、スライド3になりますけれども、今シーズンのインフルエンザの流行した状況、海外、グローバルな視点で見ますと、これはWHOの成績でありますけれども、今シーズンの特徴はH1N1パンデミックウイルス、これが大体どの国も流行の主流を占めておりまして、それに続いてB型と。特徴は、H3N2香港型と言われるウイルスが大体少なかったというのが傾向でありました。
その下にスライド4、これが日本の実際のウイルスの流行状況でありますけれども、円グラフを見ていただきますように、やはり日本におきましてもH1パンデミックウイルスが流行ウイルスの大体50%を占めていて、残り42%がB型で、H3N2香港型は8%、そういう比率であったということで、海外と日本の状況は非常に類似していたわけであります。
それから、B型というのは2つの系統、ビクトリア系統、山形系統というのがありまして、これは遺伝的にも抗原的にも全く違う交差性のないB型ウイルスでありますけれども、ここのところの特徴は、このビクトリア系統、山形系統が混合流行しているという傾向が続いていまして、今シーズンも、やはり国内ではビクトリア系統、山形系統が非常に拮抗した比率で流行していたということで、今シーズンからB型2株、A型2株という4価のワクチンが導入されたわけですけれども、そういう意味では、こういう拮抗した比率でB型が混合流行していますので、4価の導入は非常に有効性があったと思っています。
続きまして、それぞれの亜型ごとに詳細について見ていきたいと思います。
まず、A型のH1N1パンデミックウイルスについてであります。めくっていただきまして、スライド6になりますけれども、これは世界中でとれましたH1ウイルスの遺伝的なHA遺伝子のグループ分けをしまして、今、どのグループに属するウイルスが世界的に主流になってきているかという、ある程度遺伝的視点から見た傾向を解析する方法なのですけれども、それぞれ色分けしているのは、とれているウイルスの地域別、例えばアジアでとれたもの、アメリカでとれたもの、ヨーロッパでとれたものというふうに色分けをしていますけれども、この右端のグラフに示しましたように、大体世界中でとれているウイルスは、6B.1というグループに入るウイルスが非常に多いということであります。
それから、下のところに6B.2というグループも形成されていますけれども、これは中国でとれるウイルスがここに入るということであります。
めくっていただきまして、上のパネル、スライド7になりますけれども、それをもう少し詳細に見たものでありまして、今、申し上げましたように、流行の主流は6B.1というグループに入るのですけれども、その中で特徴的な共通したアミノ酸の配列で、162番目のアミノ酸の変位のところに、このアミノ酸を持ちますと糖鎖がくっつくという特徴がありまして、ウイルスの抗原性が変わったりするのは糖鎖が外れたり、もしくは新たに追加されたりという変化があると、ウイルスの抗原性が変わったりするということなので、もしかすると、この6B.1に入る今、流行の主流になってきているウイルスは、抗原変異をしている可能性が遺伝的な視点から示唆されるというのが、この図であります。
下の円グラフは、それぞれの6B.1がどれぐらい地域別に流行の主流を占めているかというのを見たわけです。オレンジで示したのは6B.1、グリーンで示したのが6B.2なのですけれども、大体6B.1が主流ということでありますが、これは色が違いますね。ヨーロッパ、北アメリカ、オセアニアは色が逆転していますので、そこを訂正して見ていただければと思います。
今度はスライド9になりますけれども、実際、今シーズン使っていますH1のワクチンはカリフォルニア/7というワクチン株でありますけれども、これと流行しているウイルスの抗原性がずれてきているかどうかということですが、各WHOのインフルエンザコラボレーティングセンターがそれぞれの担当する地域から集めたウイルスについて抗原性を解析しまして、ワクチンに比べてLowと示します。これはH1試験で抗原性が8倍以上ずれているものを変異株というグループ分けをした場合にそれぞれの比率を見ますと、今、流行の主流になっています6B.1にしろ、6B.2にしろ、基本的には抗原性は、ワクチンに採用されているカリフォルニア/7/2009というウイルスとほぼ類似している。トータルすると99%類似しているということで、右側にドットで示していますけれども、これは2次元でワクチン株からどれぐらい抗原性がずれたものが世界中でとれているかというのを示しています。真ん中に赤い大きな丸で示したのはワクチン株でありますけれども、その周辺に大体世界中でとれる小さなドットで示しましたウイルスが集まっているということは、これはワクチン株と抗原性が類似しているということを示しているわけであります。これがH1パンデミックウイルスの特徴でありました。
次は、H3N2香港型と言われるウイルスでありまして、スライド11になります。最近のH3N2ウイルスは非常に性状がドラスチックに変化してきておりまして、抗原性を解析するにしても、ワクチン株を選ぶにしても、非常に困難が伴ってきているというのがこのH3N2ウイルスの特徴であります。特に箇条書きにしました3番、4番、5番が抱えている問題がクリティカルに問題でありまして、特に3番、最近のH3N2ウイルスは細胞で分離すると、本来はHA遺伝子がHA活性、いわゆるレセプターにくっつくという性質を持っているのですけれども、それがむしろ弱くなっていって、もう一つのスパイクであるノエラミニダーゼというレセプターを壊すほうのたんぱく、これが逆に今度はHA活性、レセプターにくっつく性質を持ち始めたということが問題になりまして、基本的に抗原解析をするのはHAたんぱくのたんぱく質の変化をやるのですけれども、それをNAたんぱく自体が同じような性質を持ち始めたので、解析するときに立体障害を起こして邪魔をしてしまうということで、正確な抗原解析ができない状況になってきているというのが3番にまとめた問題であります。
したがいまして、4番にまとめましたように、正確な抗原性を解析するためには、このNAたんぱくが持つHA活性を抑えてしまう。そのためには、タミフルを解析系に入れてやって、それで見る必要があります。
5番目のところですけれども、特に流行の主流であります3C.2a.というのはHA活性自体がほとんどない。いわゆるレセプターにくっつく力は非常に弱いので、それを補填するためにNAがHA活性を持ち始めたというのが今のウイルスなのですけれども、解析すべきHAたんぱくのHA活性がないということなので、中和試験でやらざるを得ない。そういう状況になってきているということです。そうすると、中和試験というのはHA試験に比べて非常に煩雑で時間がかかるということで、なかなか解析するウイルス数も多くできないというのが非常にボトルネックになっているというのが、今、抱えている問題であります。
下の立体構造のところに示しましたように、なぜ流行の主流になっている3C.2aというウイルスのHA活性が弱くなってきているかというと、赤の星印で示しました158番目のアミノ酸、126番目のアミノ酸のところに糖鎖が新たについたということで、このついた糖鎖が邪魔をして、レセプターに強くくっつけない。そのためにHA活性が出ないという性質に変わってきているのが問題だということであります。
次のページのスライド13、同じく世界中でとれているH3N2ウイルスの遺伝的なグループ分けをしますと、今、申し上げましたように3C.2aというのがほとんどを占めているということで、それを示したのが、下の円グラフのオレンジで示したように、大体どの地域でもこの3C.2aというウイルスであるということです。
スライド15ですけれども、同じようにワクチン株に比べまして、ことしの流行株は抗原性がどれぐらい離れているかどうかというのを評価したのが、このまとめた表であります。非常に情報が多くて煩雑になっていますけれども、右端のカートグラフィーというドットでまとめたもので見ていただければと思いますが、ことし使いましたワクチン株はスイス株というもので、グループとしては3C.3aに入るのですけれども、ことしの流行株は赤い小さなポチが主流でありまして、むしろこのスイス株というワクチン株から抗原性が離れてきている傾向があって、その流行の主流の代表選手であります香港/4801、これに近いものが多いということで、流行のパターンがやはり少し変わってきているということが現状であります。
下の円グラフ、6つありますけれども、これは感染研がそれぞれ抗原性解析をまとめたものでありまして、実際、流行のパターンを判断するのはそれぞれ細胞で分離されたものを基準にして見るということであります。そうしますと、ことし使いました3C.3aのスイス株というワクチン株と、流行したウイルスの抗原性を見ますと、水色と濃いブルーで示した、これが一応類似株の範疇に入りますので、こう見ていただいて、赤とオレンジ色の比率が増すと、抗原性がずれていて、いわゆるワクチン株がフィットしなかったという解釈をしていただければと思います。スイス株にしろ、今の流行の代表である3C.2a、真ん中にあります円グラフですけれども、まだ抗原性が類似している。それから、同じく3C.2aの埼玉という日本で分離されるウイルスも、大体55%が類似株ということであります。
ところが、ワクチン株というのは卵で分離したものを使ったということなので、これが毎回申し上げますように、卵に今度は純化して抗原性が変わってしまうという問題がH3N2ではクリティカルに起こっています。それが下の3つの円グラフでありますけれども、卵分離のスイス株に比べて流行株はどうかというと、今度は赤もしくはオレンジ色の比率がぐっとふえまして、スイス株、それから同じように香港/4801という次のワクチン株をベースにしますと、実際の流行株から抗原性はかなり乖離してしまう。そういう問題がクリティカルに起こっているというのは、この円グラフで示されています。
それから、日本の埼玉というものは、これは卵で分離したウイルスでありますけれども、比較的実際に流行しているウイルスに抗原性が、まだ卵で分離しても反映されるというおもしろいウイルスが日本ではとれているということをまとめています。これがH3N2の状況でありました。
次のページをめくっていただきまして、今度はB型ウイルスであります。B型ウイルスは、まず山形系統を見ていただきますと、下のスライド18に示しましたように、世界中でとれるウイルスは日本も含めてY3というグループに入るものがほとんどであって、去年からほとんどB型というのは流行のパターンは変わっていません。
スライド19、これはワクチンに採用しましたプーケットというものに対して、実際ことしの流行ウイルスはどうかというのを表とカートグラフィーでまとめていますけれども、ほぼ100%、ワクチンに採用されたプーケットと抗原性が類似していたということで、抗原性はマッチしていたということが両方の解析の成績からわかると思います。
次に、今度はビクトリア系統、同じくこれも去年と傾向は変わっていませんで、流行しているウイルスはほとんどが1Aというグループに入って、スライド21をごらんいただければ、抗原性はWHOが推奨していますワクチン株ブリスベン/60、それから日本で採用していますテキサス/2/2013というものに比べて抗原性がほぼマッチしているということが、これでわかると思います。
ただ、ビクトリア系統も香港型のH3N2と同じように卵に純化しますと、卵純化の抗原変異をするというのは特徴でありまして、やはりこのカートグラフィーのドットのグラフで見ていただくとおわかりになりますけれども、例えばブリスベン/60という細胞で分離したものと、ワクチンとしてつくります卵で分離したブリスベン/60で見ますと、赤のドットからグリーンのドットまで距離が離れるということは抗原性が変わっているということです。これは糖鎖が外れるために起こる現象であって、日本が採用しましたワクチン株のテキサス/2/2013におきましても、やはり少し離れるということで、これも卵純化の変化は起こりますけれども、ブリスベン/60に比べて卵純化の抗原変異の程度は軽微であるということがわかると思います。したがいまして、日本は、このテキサス/2/2013をワクチンに採用したという背景があります。
今、お話ししましたことをまとめたのがスライド22、23にありますけれども、まず22枚目、H1N1ウイルスについてであります。流行株の主流は、ワクチン株のカリフォルニア/7/2009にほとんど類似している。世界的には、遺伝的には6B.1というのが主流でありました。この6B.1というのはカリフォルニア/7と類似していますけれども、ワクチン接種後のヒトの血清は、ある程度この6B.1に入るウイルスをカリフォルニア/7から少し抗原性が違うのではないかと見分けている傾向がありますので、もしかすると、その矢印の後半のところに示しましたけれども、今の流行の主流株、6B.1というグループのウイルスは、ワクチン株カリフォルニア/7から抗原性が徐々に変化し始めている可能性があるということが示唆されると思います。
次は、H2N3でありますけれども、流行の主流は3C.2aでありまして、ワクチン株に採用された3C.3aから抗原性が変わってきている。さらに、この3C.2aの次のワクチンに選ばれました香港/4801というウイルスも、やはり卵でふやしますと卵純化の抗原変異があって、流行株から抗原性が大きくずれる傾向があるということがわかっています。
めくっていただきまして、スライド23、今度はB型であります。B型は、先ほどお話ししましたように、山形系統にしろ、ビクトリア系統にしろ、去年と全く傾向は同じであったということでありました。
最後のスライド24が、今度の冬向けに採用されましたワクチン株の内訳でありまして、2016/17シーズン向けのワクチン株は、去年から変更はH3N2香港型のワクチンだけが変更になりまして、A/香港/4801/2014(X-263)というものが変更になりました。そのほかH1、B型は変更がなかったというのがワクチン株の選定に至った経緯であります。
以上です。
○伊藤部会長 大変詳細に御説明いただきまして、ありがとうございました。
H1N1に関しては、少しのずれがあるけれども、ほとんど変わらず、H3N2に関しては、抗原解析が難しいというだけではなくて、どうもずれがあるみたいなので、次のシーズンは変えていくという決定をされた。B型に関しては比較的当たっていたので、このままということの御説明だったと思うのですが、御質問ございましょうか。
○坂元委員 H1N1のスライド8で、アジアは6Cが圧倒的に多くて、それでジャパンだけは6Bが68%となっているのですけれども、アジアの中で日本だけが特異という解釈なのでしょうか。
○小田切参考人 先ほど訂正しましたように、これは打ち出すと色が変わってしまっていて、あとでこれは訂正する必要があるかと思いますけれども、今、御指摘のありましたアジアというのは、先ほど言いましたように上の系統樹の解析を見ていただきますように、アジアは中国が6B.2が主流なのです。日本は6B.1が主流で、これはヨーロッパ、アメリカとほぼ同じであります。したがいまして、中国というのは人口が多くて、とれるウイルスの数も多いので、それをアジア地区としてまとめると、6B.2も多いという集計結果になってしまうので、ちょっとほかの地域とは変わった毛色になるということであります。
○伊藤部会長 スライド8に関しては、どうも色の違いがあるみたいですので、正しい色に差しかえて公開をしていただいて。
山口先生。
○山口委員 まとめのところで、途中もそうなのですけれども、細胞培養でやったほうが抗原変異しにくいということで、前回のときも講演していただいたのですが、将来的には細胞培養のほうに変えていく可能性は、こういうことを見せていただくと非常に必要性を感じるのです。その辺の将来的な見込みの話と、あともう一つ、細胞培養でインフルエンザワクチンを承認されているという海外の例はございますでしょうか。
○小田切参考人 まず細胞培養ワクチンの開発状況でありますけれども、これは今、先生がおっしゃったように、卵に純化して抗原変異をしてしまうという問題を解決するには、やはり細胞培養ワクチンしかないということで、これは各メーカーと協力していただきまして、感染研、メーカー、厚労省の3機関が一体になりまして開発を進めている状況であります。できるだけ早目に承認のところまで持っていけるようにという方向でやっていますけれども、数年後を目指しているというのが現状であります。
それから、海外で細胞培養ワクチンを採用しているのは、現在では1社であります。もともとこの細胞培養ワクチンに卵ワクチンから切りかえるというのは10年ぐらい前にそういうプロジェクトがスタートしたときには10社ぐらい手を挙げていたのですけれども、やはり卵から細胞に変えるといろいろコスト高になるということもあったり、新たにいろいろな約束事があったりして時間もかかるということで、海外のメーカーの大部分は撤退してしまって、卵にとどまるという戦略をとったメーカーもありまして、結果的には現時点では1社だけが細胞培養ワクチンの承認をとって市販しているという状況が海外であります。
○山口委員 ありがとうございます。
○伊藤部会長 ほかに御質問とかございますでしょうか。
では、小田切先生、どうもありがとうございました。
引き続きまして、ワクチン供給に係る施策について、事務局から御説明をいただけますでしょうか。
○事務局 それでは、事務局より御説明をさせていただきます。資料3をごらんいただければと思います。
季節性インフルエンザワクチンの供給に関しましては、例年7月から8月ごろに、その年の冬シーズン用ワクチンの製造予定量等をお示しする通知を発出しているところでございます。今冬のインフルエンザシーズンにおけるワクチンにつきましては、現時点では、製造予定量は昨シーズンの使用量を上回っておりまして、全体として必要量を確保できる見込みとなっております。一方で、ワクチンを効率的に活用する観点から、平成23年度以前に実施をしていた安定供給対策も参考の上で、関係者に対し、次に申し上げるような各事項について周知をし、協力を要請するとともに、必要な準備を依頼することとしてはどうかと考えてございます。
その下に項目ごとに列挙してございますけれども、(1)としては、各都道府県における体制等についてということでございまして、管内の卸売販売業者及び医療機関等の在庫状況等を短期間に把握することが可能な体制。それから、ワクチンの偏在等があった場合の卸売販売業者の在庫に係る融通方法。そして、接種可能な医療機関等が限定される場合の住民への周知方法。こういったものにつきまして、各都道府県において体制等を取り決めておくことを依頼することを考えてございます。
(2)でございますが、定期の予防接種対象者につきまして、接種の機会の確保に配慮するように求めてございます。
(3)では、ワクチンの製造販売業者等に対しまして、関係者に対する正確な情報提供を行うよう努めることを求めてございます。
(4)では、ワクチンの予約・注文につきまして、前年の納入時期や使用実績を踏まえて適切に実施をすること。また、卸売販売業者が医療機関等から追加注文を受ける際には、ワクチンの偏在が起こらないように配慮すること。それから、卸売販売業者が医療機関等からの予約・注文を受ける場合に、ワクチンに関する在庫量等の正確な情報提供を行うことに努めること等につきまして、依頼をしてございます。
裏面に行って(5)でございますけれども、卸売販売業者からのワクチンの分割納入につきまして、お願いをしているものでございます。
(6)では、返品を前提としたワクチンの注文を行わないこと等について依頼をしてございます。
(7)では、ワクチンの供給に偏在等が生じた場合の措置等につきまして、都道府県管内におけるワクチン供給に偏在等が生じた場合には、まずは当該都道府県内の在庫調査及び地域間の融通を行っていただいて、さらに問題が明らかになった場合には、厚生労働省に対して状況報告すること等について求めてございます。
最後に(8)では、今後、状況が変化した場合について触れているところでございます。
これらの依頼事項でございますけれども、過去のインフルエンザワクチンに係る供給対策として依頼をしてきた内容を参考としたものでございます。そういう意味で、全く完全に新しい内容が含まれているわけではないという理解でございますけれども、今冬シーズンにつきましては、このような内容を周知したいと考えてございます。
本件に関する御説明は以上でございます。
○伊藤部会長 ありがとうございました。
ただいまの事務局からの御説明に関して御質問等はございますか。
○坂元委員 供給量との関係ではないと思うのですけれども、1点だけ確認させていただきたいのですが、メーカーのホームページ等で、ことしのインフルエンザワクチンはチメロサールがないものは供給しませんみたいな案内が出ており、産婦人科や小児科の先生等から、本当かとの問い合わせが来ております。それに対して、どのように回答していっていいのかとか、それから、ほかの自治体からもここで確認していただけないかという問い合わせがありましたので、その辺をお聞きしたいと思います。
○伊藤部会長 事務局、お願いいたします。
○江浪予防接種室長 予防接種室長の江浪でございます。
今冬シーズンにおきましては、インフルエンザワクチンの総供給量の確保が優先された結果、チメロサールを含有しないインフルエンザワクチンに関しましては供給されない予定になっているということでございます。今冬シーズンのワクチンの製造量に関しましては、1ミリリットル換算で現在のところ2,752万本を予定しているということでございますけれども、これは昨シーズンの使用量を上回った供給量ということでございますが、チメロサールを含有しない製剤を製造すると、製造効率の関係上、仮に製造した場合には130万本程度以上減少する可能性があったとも聞いているところでございます。
このチメロサールについてでございますけれども、定期の予防接種に関しましては、対象者は65歳以上の高齢者あるいは基礎疾患のある方ということでございまして、これらの方々に関しましては、それほどのニーズが見込まれない一方で、特に妊婦さんに関しまして一定の懸念があるのかなと考えてございます。
妊婦さんの接種につきましては、任意の予防接種ということでございますけれども、まずチメロサール含有のワクチンに関する安全性の評価という点に関しましては、これまでのエビデンスに基づきまして、WHOは2006年にチメロサール含有ワクチンに暴露された乳幼児、小児、成人における毒性のエビデンスはないと結論づけておりまして、また、2012年にはこれ以上の安全性に関する試験は不要であるという結論も出していると聞いてございます。また、米国のCDCにおきましても、チメロサール含有ワクチンを避けたいと望む妊婦さんにはチメロサールフリー製剤を供給しつつも、妊婦さんに対するワクチン中の少量のチメロサールは有害ではないという結論もしているということでございます。
我が国におきましては、2014年時点の産婦人科診療ガイドラインにおきまして、胎児への影響はないとされ、懸念されていた自閉症との関連も否定された。チメロサール含有ワクチンを妊婦に投与しても差し支えないという表記もあるわけでございますけれども、今後の対応に関しましては、また産婦人科学会の見解などもお伺いしながら取り組んでいきたいと考えてございます。
○伊藤部会長 よろしゅうございますか。
○福島委員 確認なのですけれども、前年度まで同じような安定供給対策についてという文書は出しておられたけれども、今年度は少し重点的な項目を追加されて、文書で通知されるということでよろしいでしょうか。その場合、どのような点をつけ加えられたのかを教えていただければと思います。
○江浪予防接種室長 ちょっと御説明が不足しておりました。インフルエンザに関しまして、従来、昔は、今回お示ししたような内容にもう少しいろいろな取り組みが加えられたようなものをやっていたという実績が過去にはあるのですけれども、ここ最近はこのインフルエンザワクチンに関しまして、こういった取り組みは実施していないところであります。
今回、今冬のインフルエンザシーズンに関しましては、現時点で製造予定量が昨シーズンの使用量を上回っているということで、全体として必要量を確保できる見込みではございますけれども、このワクチンを効率的に活用する観点で、平成23年度まで実施していた対策を参考にして、ただ、関係者の御意見もお伺いしながら、昔の対策には医療機関間の融通とか、現在は実施がなかなかできないような内容もありましたので、そういった内容を削除した上で、今回少し偏在対策のようなものをやってはどうかということでございます。
○伊藤部会長 ここに書かれていることは、常識的に、みんなが平等にきちんと使えるようにしましょうと書いてあるぐらいだと思ったりもするのですが、この部会としては、特に問題がないということでよろしゅうございますでしょうか。
(「はい」と声あり)
○伊藤部会長 ありがとうございました。
引き続いて、次の「その他」の議題について、ワクチンと血液製剤の供給について、多分、今回のインフルエンザもこのことが関係していると思いますが、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、御説明をさせていただきます。参考資料1をごらんいただければと思います。
本年4月に発生した熊本地震に伴いまして、熊本を本拠とするワクチンの製造販売業者であります一般財団法人化学及血清療法研究所、通称化血研において影響が発生したところでございます。この影響につきまして、本年6月7日に化血研様のほうからプレスリリースが出されまして、厚生労働省といたしましても、その影響を検討した結果として、同日にプレスリリースを発出したものでございます。少し前の話になりますけれども、簡単に御報告をさせていただきます。
厚生労働省のプレスリリースにおきましては、B型肝炎ワクチン、インフルエンザHAワクチン、その他のワクチン・血液製剤等についてということで、分けて記載をしてございます。
B型肝炎ワクチンにつきましては、国内において化血研を含め2社から供給をされており、当該時点では、平成28年10月に定期接種化された場合であっても、他社の増産等により、必要なワクチンの供給が確保できる見込みとしてございます。
それから、インフルエンザHAワクチン、いわゆる季節性インフルエンザワクチンでございますけれども、こちらにつきましては、先ほど議題(2)でもお話をさせていただきましたが、国内において化血研を含め4社から供給がなされており、現時点では昨シーズンの使用量を上回る供給量を今シーズンに確保できる見込みとしてございます。
その他のワクチン等につきましては、当該時点において、不足はしない見込みということでございます。
ワクチン等の需給状況につきましては、これからも引き続きモニタリングをしていく予定ということでございます。
御説明は以上でございます。
○伊藤部会長 ありがとうございました。
もう一つの報告を事務局からいただいて、それから御質問をいただければと思います。医薬品医療機器法違反業者に対する行政処分についてです。
○事務局 それでは、引き続き御説明をさせていただきます。参考資料2をごらんいただければと思います。
こちらも少し前の話となりますけれども、本年4月26日付で日本ビーシージー製造株式会社に対する行政処分が出された旨、医薬・生活衛生局よりプレスリリースが出されたところでございます。
違反事実といたしましては、届け出エリア外での製造、製造工程及び品質検査に係る承認書との相違等が認定されまして、業務改善命令に至るようになった問題等の原因となった経営陣の責任の明確化等について、業務改善命令が出されたものでございます。
このような改善命令が出されましたけれども、ビーシージー社が製造する製品の品質に関しては、これらの問題を受けて重大な問題が発生したわけではないということで、出荷あるいは供給への影響はございませんでした。
御説明は以上でございます。
○伊藤部会長 ありがとうございました。
ただいまの御説明に関して御質問等はございますでしょうか。
○細矢委員 1つ前のことなのですけれども、チメロサールの話がちょっと出たのですが、このチメロサールが含有というのは今年度だけと考えてよろしいのですね。次年度以降はチメロフリーというのが入ってくると考えてよろしいですか。
○江浪予防接種室長 予防接種室長の江浪でございます。
今冬のインフルエンザワクチンの供給に関しましては、今回御報告いたしました化血研の災害の関係がございましたし、その前にも化血研におけます問題もあったということで、非常に特殊な状況下におきまして、今回こういう対応になっていると聞いております。
次年度シーズンに関しましては、現時点でチメロサールフリー製剤の製造の予定については各社まだ決定していないと聞いておりますけれども、一方でチメロサールフリー製剤に対するニーズもあるということも承知しておりますので、その部分に関しましては、今後も行政のほうでも確認をしていきたいと考えてございます。
○細矢委員 一般的な認識としては特に問題ないとは思うのですが、やはり世界的に見てもチメロフリーのほうに向かっておりますので、妊婦さん、乳幼児に対するワクチンについては、そういう方向で検討していただきたい。今年度は供給量の問題でいたし方ないと思うのですけれども、次年度以降については、確実にこれはチメロフリーを生産するということで指導いただきたいと思います。
○伊藤部会長 ほかにございますでしょうか。
山口先生。
○山口委員 参考資料2のほうなのですけれども、多くの点がそれほど実害はないだろうなと思ったのですけれども、マル1とマル2の1ポツまで、これは多分GMP違反と考えてよろしい事例のように思えるのですが、そういう理解でしょうか。
○事務局 具体的に正確なところは、他局の話なので、余り詳細にお答えすることは難しいのですが、2ページ目の別紙にいろいろな違反条項が書いてございます。その中に医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令の何条何項に関するところもございますので、その辺は全く関係ないということではないのかなと考えますが、詳細については、済みません。
○山口委員 わかりました。
○伊藤部会長 ほかにございますでしょうか。
では、本日の議事は以上でございますが、次回の日程については未定ですかね。その他、事務局から何かございますでしょうか。
○事務局 今、日程について言及をいただきましたけれども、本部会、次回の日程は未定となってございますので、また決まり次第、改めて御連絡を申し上げたいと思います。
○伊藤部会長 はい。
○西島部会長代理 ちょっと戻ってしまうのですけれども、小田切先生に伺いたいのですが、今、細胞培養でのワクチンが1社だけだということでした。ここの検討会で「開発優先度の高いワクチン」ということで、インフルエンザのワクチンについて細胞培養でのワクチン開発が幾つもあるのですけれども、先生のお話を聞くと、細胞培養のワクチンはなかなか難しくて実現性がかなり厳しいのではないかという印象を受けてしまったのですが、やはり開発は進めるべきだということでよろしいのですか。
○小田切参考人 はい。難しいというよりも、問題はありますけれども、それは研究開発のところで多分クリアできるだろうという見通しを持っています。なので、そこは問題なく承認のところまで持っていけるだろうという見通しで今、進めています。
1社というのは海外の状況ですけれども、国内では4社が協力しながら、感染研、それから厚労省とやっているという状況なので。
○西島部会長代理 そのとき、やはりどうしてもミューテーションが培養中に起きてしまうということが問題なわけですけれども、その辺もクリアできるということですか。
○小田切参考人 幾つかウイルスを選べば、ミューテーションの起こらないものも選べますので、そこはクリアできると思っています。
○西島部会長代理 わかりました。
○伊藤部会長 きょういただいた御意見とか、また事務局で整理していただいて、今後のあり方とか、もう少し具体的な手順とかは次のときにでも提案をいただけるのだろうと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
きょうはどうもありがとうございました。
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