ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医政局が実施する検討会等> 先進医療技術審査部会> 第48回先進医療技術審査部会(2016年9月15日)




2016年9月15日 第48回先進医療技術審査部会

(了)


第48回先進医療技術審査部会

(1) 日時:平成28年9月15日(木)16:00~17:45

(2) 場所:航空会館 701+702会議室(7階)

(3)出席者:
猿田座長、山口座長代理、石川構成員、一色構成員、
伊藤構成員、上村構成員、柴田構成員、関原構成員、
大門構成員、手良向構成員、直江構成員、山中構成員、
山本構成員、斎藤技術専門委員

  (事務局)
医政局研究開発振興課 課長
医政局研究開発振興課 先進医療専門官
医政局研究開発振興課 先進医療係長
保険局医療課 企画官
保険局医療課 医療技術評価推進室長
保険局医療課 専門官
医薬・生活衛生局審査管理課 課長補佐

議 題
1.継続審議の評価を受けた技術の再評価結果について
2.新規申請技術の評価結果について
3.総括報告書の評価について
4.試験実施計画の変更について
5.協力医療機関の追加について
6.先進医療の取下げについて
7.先進医療Bにかかる総括報告書及びその提出の時期について
8.先進医療会議の審査結果等について
9.その他

議事録
○猿田座長 それでは時間がまいりましたので、第48回「先進医療技術審査部会」を始めさせていただきます。本日は委員の先生方、大変お忙しいところ、また天候の悪いところお集まりいただきまして、どうもありがとうございました。本日の構成員の出欠状況ですが、田島構成員、田代構成員、藤原構成員、松山構成員の4名から御欠席の連絡を頂いております。本日は、17名中13名の構成員にお集まりいただいておりますので、本会議が成立していることを申し添えます。それから今回は、技術専門委員として、杏林大学の山口先生に継続審議の案件の御審査をお願いしています。山口先生は御都合が悪くて今日は御欠席ということです。それから、賛育会病院の斎藤先生には新規の審議案件の審査ということでお願いしまして、本日御出席いただいております。斎藤先生、どうもありがとうございます。
 それでは、資料の確認を事務局からよろしくお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 配布資料について確認します。議事次第、座席表、開催要綱及び運営細則、構成員及び技術専門委員名簿です。次に、継続審議の評価を受けた技術の再評価結果について資料1-1から1-5、新規申請技術の評価結果について資料2-1から2-5、総括報告書の評価について資料3-1及び3-2、先進医療Bの試験実施計画書の変更について資料4-1及び4-2、先進医療Bの協力医療機関の追加について資料5-1と5-2、先進医療Bの取り下げについて、資料6-1、6-2、先進医療にかかる総括報告書及びその提出時期について資料7、先進医療会議の審査結果等について資料8、会議資料の最終ページは84ページとなります。本資料については、会議終了後、厚生労働省ホームページにて閲覧可能となりますので、念のため申し添えます。本日の資料は以上です。乱丁、落丁等がありましたら事務局までお知らせいただきますようお願いします。
 続いて、利益相反の御確認です。申請医療機関との関係や、対象となる医薬品・医療機器及び再生医療等製品の企業等について、資料1-1の15ページ及び2-1の35ページに記載しています申請医療機関、医薬品、医療機器・再生医療等製品情報を御覧ください。申請医療機関との関係、対象となる企業、又は競合企業に関して事前に確認をしていますが、今回利益相反はありませんでした。事前の届出以外に、もし何らかの利益相反がありましたらこの場で御報告をお願いします。
○猿田座長 どなたかございますか。ないようですね?
○医政局研究開発振興課専門官 はい、該当なしということでよろしいですね。また、今回もタブレットを使用していただきたく、届出書類等についてはタブレットから閲覧していただきます。会議資料とタブレットの内容は異なっていますので、発言者は、会議資料の何ページ又はタブレットの何ページとあらかじめ御発言いただけますと、議事の進行上助かりますので、よろしくお願いします。
  続いて、整理番号66の技術について。猿田座長におかれましては、本技術申請者と同じ御施設に御所属されておられますことから、本技術の審議に際し、一時御退席いただくこととします。誠に恐縮ながら御協力のほどよろしくお願いします。なお、本技術の審議については、山口座長代理に進行をお願いします。以上です。
(猿田座長一時退席)
○山口座長代理 それでは議事に入ります。継続審議の評価を受けた技術の再評価結果について、まず事務局から説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 御説明します。なお、傍聴の方の御撮影はここまでとさせていただきますので、御協力のほどよろしくお願いします。
 資料1-1の13ページを御覧ください。今回、先進医療Bとして、先の先進医療技術審査部会で継続審議の御評価を頂き、今回、再度御評価いただく技術が1件あります。整理番号66、院外心停止後患者に対する水素ガス吸入療法です。適応症は、院外心停止後症候群となっています。申請医療機関は慶應義塾大学病院です。審査担当構成員は、主担当が伊藤構成員、副担当は田島構成員、大門構成員、技術専門委員は山口委員です。
 資料1-5の31ページを御覧ください。審議に先立ち、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件について御説明します。実施責任医師の要件として、診療科は、救急科、救命救急センター、集中治療科又はそれに準ずる診療部門であること。資格として、日本救急医学会救急科専門医であること。当該診療科の経験年数は15年以上。当該技術の経験年数及び当該技術の症例経験数は特にありません。その他、酸素は中央配管から供給され、試験ガスは充填されたボンベから行われる。配管とボンベ残量の点検について説明を受け、自立して実施できることとなっています。
 医療機関の要件として、診療科は救急科、救命救急センター、集中治療科、又はそれに準ずる診療部門となっています。実施診療科の医師数として、日本救急医学会救急科専門医、あるいは日本専門医機構救急科専門医または日本集中治療医学会集中治療専門医が計2名以上常勤していることとなっています。他の診療科の医師数は特にありません。その他、医療従事者の配置として、臨床工学技士を要件とします。病床数としては300床以上。看護配置は7対1看護以上。当直体制は、日本救急医学会専門医指定施設又は日本集中治療医学会専門医研修施設であって、救急集中治療が24時間体制で行えることとなっています。緊急手術の実施体制は必要とします。院内検査は24時間実施体制を必要とします。他の医療機関との連携体制は特にありません。医療機器の保守管理体制を要件とします。倫理審査委員会による審査体制については、原則月1回開催されていること。医療安全管理委員会の設置を要件とします。医療機関として当該技術の実施症例数は特にありません。その他、体温管理療法を実施している医療機関であること。
 その他要件は特にありません。以上です。
○山口座長代理 ありがとうございました。では、整理番号59の評価結果について、主担当の伊藤構成員から、概要の説明と実施体制の評価について説明をお願いします。
○伊藤構成員 7月に継続審議となって、ビーコンで出てきた案件です。31ページのスライドのポンチ絵を参考にされると分かりやすいと思います。本試験は、成人の院外心停止患者の、自己心拍再開後も昏睡状態が持続する患者さんを対象として、集中治療室で、18時間、2%水素を添加した酸素を人工呼吸器で吸入するという試験です。ガイドラインに従って体温管理療法を行った上で、ランダム化し、患者さんに対して酸素だけを投与する群と、水素を添加した群との比較試験です。主要評価項目は、90日後の神経転帰良好の割合になっています。その他、生存率とか生存時間、バイオマーカーなども評価するということで、試験期間が3年間、予定症例数が360例という試験です。実施体制は、とりわけ慶應大学はこういった研究も含めて十分やってきているので問題はないと思っていますし、名前を連ねている所の多くも救急として実績のある施設だと思っています。今回、指摘事項が修正された資料が提出されたと思っています。
 ただ、この試験そのものは、重篤な患者さんが対象で、日本で10年前に行われた調査で、実際に院外停止で神経学的に良好な人というのは数パーセントから十何パーセントという、SOS-KANTO試験というのは多分一番大きな試験だろうと思いますが、そういった人たちをいかに良くするかという形で考えられたものだと思います。動物実験では明らかに差が出ているところですが、人を対象にした世界でも結果のない段階での大変意欲的な試験と認識しています。
 この度新しく提出された試験を御覧いただくと、体制の中にどこかで見たようなお名前が独立データモニタリング委員会の中に入っていますが、これに関しては、事務局に利益相反等の問題がないことを確認させていただいた上で、実施体制の評価としては「適」とさせていただいています。専門の先生、それからたくさんやり取りをしていただいた大門先生からのコメントを頂いた上で、最後の評価をさせていただければと思っています。以上です。
○山口座長代理 ありがとうございました。続いて、本日は御欠席ですが、山口技術専門委員による実施体制の評価について、事務局より説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料1-2の17ページを御覧ください。実施体制の評価はいずれも「適」との御評価を頂いています。コメントとして、先般からの指摘、紹介事項に対応されたため、上記のとおりと評価しました。以上です。
○山口座長代理 ありがとうございました。続いて、本日御欠席の田島構成員による倫理的観点からの評価について、事務局から説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料1-2の18ページを御覧ください。倫理的観点からの評価は、いずれも「適」との御評価を頂いています。コメントとして、説明文書については、3回にわたる問題点の指摘により最終的には適切に修正がなされ、問題点は全て解消したので「適」とした。補償については、補償保険に加入の上、適切に補償がなされるため「適」とした。患者相談の体制についても整備されている。以上です。
○山口座長代理 ありがとうございました。それでは続いて、大門構成員より、試験実施計画書等の御評価をお願いします。
○大門構成員 大門でございます。お手元の資料の23ページを御覧ください。主たるところを申し上げます。先般より、いわゆる実施計画書の不備が目立っています。これらについては、前回お伝えしたとおりでして数十ページにわたる照会・指摘事項を提示させていただき、修正していただいたところでございます。その修正されたものを再度確認したところ、やはり依然として不備が多々ありました。例えば、中間解析の部分で明らかによくない記載がありました。これでは、実施計画書全体をきちんと練っていただいているかがさすがに怪しく思いましたので、チームでその記載、評価方法等を再度しっかり確認・検討いただきたいということを強くお伝えした次第です。結果として、適切に対応されていて、評価表にありますように「適」として評価しています。以上です。
○山口座長代理 ありがとうございました。ただいまの御説明について、何か御質問などありますか。前回差戻しになったのは、やはり生物統計家が本当にきちんと見ているかどうかというところが大きかったかと思うのですが、それは一応参加してやっていただけたということでよろしいでしょうか。ほかに何かコメントありませんか。それでは、伊藤構成員より、まとめと総合評価をお願いします。
○伊藤構成員 こういった重篤で緊急な疾患に対してブラインドの試験をすることは、大変実施が困難であろう、その評価についても、適切にやることは困難だろうと思っていますが、それを十分こなしていただくに足るだけのプロトコールに大門先生が仕上げていただけたと思っていますので、チームとしては「適」という形で評価をさせていただきました。以上です。
○山口座長代理 ありがとうございました。伊藤先生がおっしゃったように、非常にチャレンジングで、先進医療にふさわしい内容であると思います。ただ、先ほど申し上げたように、ちょっと前回の検討では、生物統計家の方の手が入っているかどうかという疑問もありましたが今回一応改正されたようですので、「適」という御判断を頂いたわけですが、よろしいでしょうか。何か。特になければ、整理番号66については「適」ということにいたします。ありがとうございました。では、猿田座長に再びお戻りいただくことにします。以降の審議については、猿田座長に進行をお願いします。
(猿田座長着席)
○猿田座長 それでは続きまして、新規の申請技術の評価結果に移りたいと思います。事務局から御説明をよろしくお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 では、資料2-1の35ページを御覧ください。本日、先進医療Bとして新規に御評価いただく案件は1件あります。整理番号70、局所限局性前立腺癌高リスク症例に対する重粒子線治療です。適応症は、局所限局性高リスク前立腺癌となっています。申請医療機関は放射線医学総合研究所病院です。審査担当構成員は、主担当が山口座長代理、副担当は田島構成員、山中構成員、技術専門委員として斎藤委員、以上となっています。
 資料2-5の51ページを御覧ください。審議に先立ち、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件について、事務局より御説明します。まず、実施責任医師の要件として、診療科は、放射線科あるいはその相当診療科であること。資格として、日本医学放射線学会放射線治療専門医であること。当該診療科の経験年数は10年以上であること。当該技術の経験年数は2年以上であること。当該技術の経験症例数として、要件は、本技術に関しては不要としていますが、ただし、重粒子線治療を主として実施する医師又は補助を行う医師として10例以上の症例を実施しており、そのうち、重粒子線治療を主として実施する医師として5例以上の症例を実施していることとなっています。
 医療機関の要件として、診療科は、放射線科あるいはその相当診療科であること。実施診療科の医師数として、放射線治療専従の常勤医師が2人以上配置されていること。うち1人は放射線治療専門医であること。他診療科の医師数は特にありません。その他、医療従事者の配置として、1.病院内に日本放射線治療専門放射線技師認定機構の定める放射線治療専門放射線技師を含む専従の診療放射線技師が3人以上配置されていること。重粒子線治療室1室当たり2人以上の診療放射線技師が配置されていること。2.放射線治療に専従する常勤の医学物理認定機構認定医学物理士が1人以上配置されていること。これら1.と2.を満たすこととなっています。病床数は特にありません。看護配置に関しては、放射線治療に専従する看護師が配置されていること。がん放射線治療法認定看護師又はがん看護専門看護師であることが望ましい。当直体制及び緊急手術の実施体制については特にありません。院内検査は24時間実施体制を必要とします。他の医療機関との連携体制については、放射線科のみの重粒子線治療施設では、近隣の大学病院、並びに総合病院との連携協定を締結していること。医療機器の保守管理体制を必要とします。倫理審査委員会による審査体制として、2か月に1回以上に加え、要時開催されること。医療安全管理委員会の設置を要件とします。医療機関としての当該技術の実施症例数については、重粒子線治療について10症例以上となっています。その他、日本放射線腫瘍学会の指定に準拠した複数の診療科で構成されるキャンサーボードを設置すること。注意点として、キャンサーボードの目的、方針、業務、構成メンバー、開催日程、記録の作成、保管法などを、指針若しくは規定として文書化していること。実施施設でキャンサーボードの設置が困難な場合は、がん診療連携拠点病院等との連携にて、その機能を果たすことができるように対応すること。また、病院間の連携が可能であることを文書にて示せること。なお、本試験の対象患者の選定においては、専らがんを診療とする外科、内科及び放射線科の医師を含むキャンサーボードにおいて検討を行う体制が必要。以上となっています。
 その他、要件はありません。以上です。
○猿田座長 どうもありがとうございました。今、御説明いただきましたが、申請機関の要件ですが、これは重粒子線ということでちょっと特殊でして、放射線科と相当診療科が中心になります。あとポイントになることは、どうしてもこういう施設から出てきますから、近隣の大学病院並びに総合病院と連携、締結ということが大切だということ。もう1つ重要なことは、やはりこういった試験をやるときには、これはいつも問題になっていますが、キャンサーボードにおいて検討を行う体制が必要であることがポイントかと思います。それでは、どなたか御意見がありますでしょうか。大体、今まで出てきたようなところもこういう形でやっていたと思いますが。特になければ、では、こういう形で申請機関の要件をお認めいただくということでよろしいでしょうか。
(了承)
○猿田座長 ありがとうございました。それでは早速ですが、概要の進め方、これまた山口先生、申し訳ありませんがお願いします。
○山口座長代理 37ページを御覧ください。前立腺がんは、皆さん御存じのように、基本的には非常に予後のいい病気で、手術療法、あるいはホルモン療法、放射線治療、これもかなりいい成績が出ているわけです。ただしリスク別に分けますと、低リスクとか中リスクは大変よろしいのですが、やはり高リスクのものに限ってはまだ満足すべき成果が得られていないという認識から、こういう重粒子線が有効ではないかという考え方で試験が計画されたという具合に理解しています。主要評価項目は、5年生化学的非再発率ということで、7年間に160例を集積しようということです。私は実施体制の評価をしましたが、責任医師の体制は「適」、実績からの体制も「適」、医療技術の有用性は可能性があるということで「適」としました。ただ、先ほど座長から御説明がありましたように、キャンサーボードとかそういう体制は特にこういう疾患は非常に重要で、問題は、この施設の中にやはり重粒子線しかやっていない施設があって、そういう所でそういう体制が取れるかという疑問があります。したがってこの51ページに書いてあるとおり、是非、拠点病院などと連携を取ってきちんとした形で監視していくという体制が必須かと思います。
 それからもう1つは、後ほどまた山中先生からも御指摘があるかもしれませんが、対照が、ヒストリカルコントロールなのですが、IMRTを対照として取っているわけですが、IMRT自身がまだ未熟と言うか未成熟の技術でして、その正当な評価というのはまだ確立していません。ですから、それをコントロールするのはなかなか難しい作業かと思います。日本でもIMRTをやっている所とやっていない所がありますが、やっていない所が圧倒的に実は多いのです。しかも、IMRTのやり方もかなり進歩していて、最近は更に精度が上がっています。現時点でやられる一番良い成績をコントロールにはされたようですが、この6年後にその分野が更に進んでいるとすると、それをコントロールとして評価することはかなり難しいのではないかということを付記して私は「適」としました。
○猿田座長 どうもありがとうございました。それでは、本日、技術委員としてお出でいただいている斎藤先生からの御意見をよろしくお願いします。
○斎藤技術専門委員 斎藤でございます。実施体制の評価について評価させていただきました。実施責任医師等の体制「適」、実施医療機関の体制「適」、医療技術の有用性等「適」としましたが、コメント欄に書いたように、選択基準について、実はこちらの施設では、一応、泌尿器科の医師はいないということが山口委員の御指摘のとおりです。施設内のキャンサーボードでは治療選択肢が非常に多い。要するに、ハイリスクのものと、あと今、HRPCと言いまして、局所限局性前立腺がんになったときの治療方法が非常にオプションが増えていまして、内服の内分泌療法剤の新しいのも出ていますし、また、こういうハイリスクに対しては化学療法、ファーストラインでもやると。そういうのはもうヨーロッパでもかなり進んでいます。日本では保険適用ではないので、まだ表立ってはできていませんが、やはりそういう非常にオプションの多い前立腺がんに対して、泌尿器科がいない所で、患者さんを中心とした選択肢を選べるかどうかです。本来は、もっと他の治療方法を選択すべきではないかということを危惧しましたので、限局性の前立腺がんに対する重粒子線治療の的確なポジショニングな判断を下せるのかという表現で書かせていただきました。
 もう1つ、紹介患者であることが書いてありまして、泌尿器科専門医からの紹介患者であることは必須と書いてあります。これは、泌尿器科専門医と言いますと、例えば、30年前に6年間泌尿器科をやっていた専門医がずっと改定している方がありますし、当然開業されている先生もいるのです。ということは、その先生が、現在の前立腺がんを勉強しておいてくれないと、本当に重粒子線を一番選ぶべきかどうかという評価ができないのです。それを専門医だけという表現でいいのかということで、もう少し何らかの縛りですね、やはり当該疾患に関してかなり深い経験のある方の紹介ならそのまま受け付けるけれども、残念ながら、もうここのところ2年で大分ドラスティックに変わってきていますので、そこら辺のところをきちんと押えた先生かということをなかなか文言にするのは難しいかもしれませんが、この要件だけで十分かということです。幾つかの疑問点がありますが、実施体制の全体の評価としては「可」としました。以上です。
○猿田座長 ありがとうございました。後ほどまた議論させていただきます。1つだけ、先生のお考えでは、キャンサーボードを作ってやればまあまあということになるのですか。
○斎藤技術専門委員 その中に、前立腺がんの最新の治療に習熟したドクターが1人でも入っていれば、的確な判断をしてくださると思います。
○猿田座長 ありがとうございました。後ほどそこの点はまた議論させていただきます。それでは続いて、倫理的な観点から、本日、田島先生は御欠席ですので、事務局からよろしくお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料2-2の38ページを御覧ください。倫理的観点からの評価について、評価はいずれも「適」との御評価を頂いています。コメントとして、事前の指摘に対して一応の対応はなされ、同意に係る手続と、同意文書の内容及び補償内容について問題点が解消したと思料されますので、最終判断は「適」とした。また、患者相談の対応は整備されています。以上です。
○猿田座長 どうもありがとうございました。対応して直していただいたということでいいのではないかということです。それでは後、試験の実施計画書等についての評価を山中先生、よろしくお願いします。
○山中構成員 実施計画書は私のほうで審査をしました。何点か指摘はしたのですが、まず、この臨床試験のサンプルサイズ、症例数を計算するに当たって、プライマリーエンドポイントが、5年時の生化学的な再発率となっています。要は、前立腺がんですので、PSAが一定の基準値以上になったことがイベントで、それが5年の時点でどれくらいに達しているのかということのパーセンテージ、割合を評価しようとしています。それで、その割合がどのくらいかという予想に基づいて症例数を計算しているのですが、計算の仕方が打切り症例を考慮していません。打切りというのは、途中で転院とか何らかの理由で、いわゆるロスト・トゥ・フォローアップになってしまう症例のことです。経験上、5年も追跡すればそれなりの数でロスト・トゥ・フォローアップが起こるということは容易に想像されます。こういった症例のことを考慮しないで症例数計算を行っていましたので、その点は改善していただきました。
 それから、この研究をやる上での一番の論点は、先ほど山口先生から御指摘いただいた、対照群の設定についてです。この試験は、シングルアーム、単群研究として行います。ですので、単群研究とする理由について問い合わせたところ、申請者のほうからは、対照群としてはX線治療となるのだけれども、重粒子線とX線治療の間で患者の費用負担に余りに大きな隔たりがありすぎる。したがって、同意説明を行ってRCTをするのは困難であるという回答を頂きました。したがって、シングルアームの研究等をすることになっているのですが、そうは言っても、シングルアームの研究で得られるのは重粒子線治療の成績だけです。その重粒子線治療の成績が得られても、何と比べていいか?の「何」の部分、X線治療の成績ということなのですが、それがはっきりしない限り、きちんと重粒子線治療の成績は評価できません。対照治療としているX線治療の成績がきちんとしたものであることが必要になります。
 ただ、先ほど山口先生から御指摘を頂きましたように、IMRTを対照治療と考えていて、そのIMRTの成績が少しあやふやである。であれば、例えば、この試験の外で観察研究という枠組みでIMRTを受けた、試行された患者集団を前向きに追って行って、その成績をデータとして得る。RCTではありませんが、同時に前向きに観察研究を設定して、IMRTを試行された患者さんを登録しその成績を出す。その成績と重粒子線治療の成績を比較するというのは、次善の策としてはあり得ると思ったのですが、ただ、参加施設が4施設で、そのうちの2施設は全て重粒子線を行うので、そもそもIMRTの患者さんがいないという御回答でした。ですので、この試験の今回の先進医療の外でIMRTの治療に関する成績を得るのはちょっと困難であるという御回答です。
 そのIMRTの成績が、ヒストリカルに得られている成績があるわけなのですが、それが固いものか、きちんと定まっているものかどうかということが問題になります。ヒストリカルコントロールである以上は、きちんとある程度データが固いものでないと、それと比べて、今回重粒子線治療の成績を比較するわけですから、ヒストリカルコントロールの部分がちょっと成績があやふやだとこの研究の結果の解釈自体があやふやになってしまいます。その点について紹介したところ、やはり山口先生からコメントを頂いたとおり、IMRT自体の成績が固まってないし、今後、何年かすると今の成績自体も変わってき得るという問題があるということが分かりました。申請者から教えていただいた文献を読んでみたのですが、やはりIMRT自体の成績に関してはちょっとまだ固まっていないかという事情はうかがえます。そういった事情を総合的に考慮してどうするかということは、この会議の場で議論をしたいと思います。私からは以上です。
○猿田座長 どうもありがとうございました。ここで1回皆さん方の御意見を伺っておいて、それから最終的に山口先生にまとめていただくということで。それでは、構成員の先生方、どなたか御意見はありませんか。なかなか難しいところかと思うのですが。柴田先生、何か御意見とかはありますか。
○柴田構成員 山中先生が御指摘いただいた所は、本当に重要な論点であって、何とかそれに対応できるようにする方策はないのかとは思うのですが、一方で難しい部分があるのも理解はできるところではあります。私は、ここで良いソリューションが今すぐ思い浮かばないのが現状です。
 ただ、山口先生の御指摘にあったように、比較対照のデータが固まっていないところで、やむを得ずやる試験であるということは、やはり認識していただく必要がありますし、そこの部分が最終的なこのものの評価をする際に曖昧な部分になるのは、間違いない点です。このものを評価する、この試験のみならず総合的に新しくこの医療行為を評価する上で、対照・コントロールとなるようなほかの治療法の成績を集約しておくことは、何からの形で、それを文献的な検討であるのかを含めて、並行して検討していただく必要はあると思います。
○猿田座長 ありがとうございました。ほかにどなたか御意見はありませんか。なかなか難しいところですね。前に放射線学会から来ていただいたときも、なかなかその辺りのところは難しいところですがね。ほかに御意見がなければ、山口先生、もう1回まとめていただくほうがいいかもしれません。
○山口座長代理 質問よろしいですか。
○猿田座長 はい。
○山口座長代理 斎藤先生、体制の所に問題があることはよく理解できたのですが、私も、これは前から問題で、こういう治療しかやっていない施設は連携拠点病院と必ず一緒にキャンサーボードを持つか、そこから専門医に参加してもらうことを明確に記載しておいたほうが、先生の御懸念がなくなるのではないかと思うのですが、いかがですか。
○斎藤技術専門委員 正に山口委員のおっしゃるとおりでして、公平性と評価の上でも必ず入れていただきたいと思っております。関連医療機関としては、何か事故があったときも、千葉大の……なども書いていますので、逆にキャンサーボードのときも、既にそのときに参加していただいて、実施する症例の検討をしていただいたほうがよろしいかと思います。
○山口座長代理 意見を申し述べます。皆さんのお話されたとおりですが、体制については、今、斎藤先生から回答いただきましたように、きちっと答えていただくということが1つです。
 もう1つは、簡単に考えたら、これはコントロールがしっかりしていないものを比較してどうするのだということで、駄目ではないかという結論になるかと思うのです。しかし、1つの問題は、こういう新しい機器を導入した施設に、これで6年間は何もできないとか、そのままいって何が一体分かるのかとか、ここで突っ返したとすると、多額の投資をしたあげく全く検討されないままいくことは、この会議としては余り望むべき状態ではないと思います。先ほど山中先生から御示唆を頂きましたが、今後しっかりしたエビデンスがIMRTについては出てくる可能性もあると思うのです。手元の資料の367ページには、IMRTの製品は出ていますが、御覧いただいたら、70~90%までばらばらなのです。IMRTを一生懸命やっている中には、全然劣らないことを断言する人もいますし、今、試験も進んでいるようです。ですから、この試験が終わる頃には恐らく比較できるデータも出てると思いますので、私としては「条件付き適」ということにいたします。以上です。
○猿田座長 ありがとうございました。
○手良向構成員 コントロールの問題ですが、4施設のうち2施設でコントロールがとれないということですが、残りの2施設のデータは取れるのではないでしょうか。それを取ればいいと思いますが、いかがでしょうか。別に全部の施設のコントロールのデータがなくてもよいと思います。
○猿田座長 どうですか。
○山口座長代理 恐らく回答の中で少しありましたが、余りに両群間のコストの差が大き過ぎるので、実施が難しいということかと思います。
○手良向構成員 いや、RCTではなくて、観察研究として、という意味です。
○医政局研究開発振興課専門官 事務局より申請者のほうにその辺りを確認させていただくようにいたします。
○山本構成員 コントロールを取ることは大事だと思うのです。そこについては別にいいと思うのですが、その取り方について、今おっしゃっているように、IMRTの結果を出そうと思ったら、それなりの人数と、そこにある程度の情熱を掛けて観察研究をすべきだと思うのです。それを一方で先進医療として介入試験をやりながら、一方で観察研究にそこまで情熱を掛けて、コストとエネルギーを掛けて、そちらでも質の高いデータが取れるのかというのが少し疑問です。私は医療機器の試験に割と関わることが多いので、これも一種の医療機器の試験だと思いますが、どうしても比較検討する。比較対照がなくて、単群でやらざるを得ないのですが、割とそのときに、では試験の外でコントロール分のデータを作ったらいいのではないかと言われるのです。実際に試験をやっている側からすると、そのエネルギーと人的コストは多分出ないと思うのです。ですので、そこを無条件にやったらいいのではないか。やりなさい、それを条件にしますというふうにすると、事実上は介入試験をする、コストを半分割いて観察研究をしなさいと言っていることになると思いますので、そこは非常に慎重に言うべきことではないかと私は思います。
○猿田座長 ありがとうございます。ほかにどなたか御意見はありますか。ですから、もし「条件付き適」とした場合の、先ほど手良向先生が言った形で施設のほうに戻していただいて、その辺りを詰めていただくということですね。結局それしかないですね。手良向先生、そういう形でいいですか。1つの解決策はそういうことかと思うのですが、ほかにどなたか御意見はありますか。
○関原構成員 今のようないろいろ問題があることは、患者の説明とか同意書の文書からうかがえません。確か去年の8月に学会の報告書が出ていますし、そこには相当たくさんの症例の評価が出ているわけです。だから、普通の患者から見て、この研究を10年以上やっていて、まだ評価が固まらないこと自体が、なかなか分かりにくい。治療結果はここではIMRTが7、8割に対して、重粒子は9割近いパーセントでどうも少し良さそうだと。それなら300万円の費用を払って治療を受ける価値が、患者にはとても分からないですね。だから、先進医療の保険に入っている人は、無条件に使わないと損だという話です。実際に保険を使わないで自分で300万円を出して、これを受けようという人の立場に立って考えたときに、これはなかなか厄介な問題だと思います。
○猿田座長 ありがとうございます。貴重な御意見を頂きました。ほかにどなたかありますか。
○柴田構成員 臨床試験を実際に計画したり、研究に参画したりしている立場から言いますと、山本先生がおっしゃるように、観察研究のデータを取るのは相当コストが掛かって、大変であって、しんどいという思いがあります。一方で、今、御指摘があった話も含めると、例えばこの医療を受ける患者から見たときに、いろいろな選択肢がある中で、この医療行為を受けることが適切かどうかの判断が曖昧であるところがあり、統計家の観点から言うと、コントロールがちゃんと取れているのかという話と対応する話だと、私は個人的に思っています。
 現状ではこういうデザインでしかできないにしても、それはこれから積み重ねていく評価のステップの第一ステップにしか過ぎないということです。それと、先ほどキャンサーボードの話もありましたが、現時点でほかにこういう選択肢があるという話をしっかり御説明いただくこと。そういうものを併せて1つ1つのパーツを取り上げてみていくと、総合的に少し不十分な点はあるかと思いますが、少なくとも皆さん発言されている方は、基本的に同じことをいろいろな角度から指摘していることになると思います。ですので、これが唯一の選択肢であるかのような説明であるとか、確立した医療行為であるかのような説明がなされないようにすることが必要なことかと思います。その上でステップ・バイ・ステップで評価を積み重ねていく1つ目の段階であるということであれば、このような研究のやり方も選択肢としてはあり得るかと思いました。
○猿田座長 基本的には参加してくださる患者さんへの説明文書をしっかりとして、しっかり説明することですよね。そこは1つと。
 もう1つは、先ほど手良向先生からあった施設に対してのコントロールことをきちんとしていただいて、ともかくだらだら延ばしてもしようがありませんから、その形でもって行くことですかね。どうですか。
○山口座長代理 この研究のトーンとしては、重粒子線は明らかに理論的に素晴らしいのだというのが大前提ですね。それから、今まで先進医療をAでやってきたものの成績はすごく良いのだと、こういう前提なのだけれども、よく見たら、先進医療全例を見たわけではなくて、良い成績2か所のものを集めて良いと言っているだけです。先進医療Aのデータがうまく科学的に使われていないというところに大きな欠陥があるので、関原さんに申し訳ないけれども、曖昧な結論になってしまっているのではないかと思います。これは今後の先進医療Aを考える上では、これを機会に先進医療Aもやはり先進医療なのだということで、今後、厳密に評価されるべきではないか、そういう反省もあると思います。
○猿田座長 ありがとうございました。ほかにどなたか御意見はありますか。
○山本構成員 比較対照の問題ですが、これから受注を取るといっても、大した数は取れないと思いますので、今まで出ているものの中で比較的対照が似ていて、それで最善の成績が出ているものを例えば比較対照にする、あるいは、今走っていて、この試験の終了までに結果が出そうな研究を示していただいて、それの成績とも比べるとか、ある程度そういうこと。今ここで書いてあるのは、いろいろな結果があって、どれと比べているかよく分かりませんみたいなことが書いてあるので、一番良い成績のものと闘っていただくのが普通だろうと思います。そういう比較の対照についてある程度方針をきちっと定めていただき、自分たちでやるよりも、それよりも良い結果というか、しっかりした数が集まって、ある程度長期間見ている観察研究を現在発しているのであれば、それをお示しいただくのも1つの解決方法かと思います。
○猿田座長 ありがとうございました。そういう方向ですね。
○山中構成員 症例数が160例ぐらいというのは、多分これが上限になるのだろうと思います。施設数も限られていますし、その施設、4施設が最大限可能な160例という症例があって、それを何と比較するかの何の部分に関しては、観察研究をやるということはあり得るのですが、IMRTの成績もどんどん変わっていくものだと思うので、先ほど山本先生がおっしゃった研究者の能力までを考えると、ペイするかなという気はしています。ですので、一応、今の形で臨床試験をスタートさせて、きちんと公的な監視の下で、臨床試験をやってもらって、結果が出る7年後に160例の成績をそのときの最善のIMRTの成績と比較するということで解釈せざるを得ないかと思います。もちろん、プロトコールで決めた成績から多少の乖離とかが出るかもしれないのですが、いろいろな不確実性の中で、きちんと公的な試験をやろうという研究者の気概を評価したいと思いますので、そういった形で今の計画で認めていいかと私は感じております。
○猿田座長 ありがとうございました。そうしますと、大体意見が分かりましたので、先ほど関原構成員がおっしゃったとおり、患者さんに対して説明のところをしっかりやっていただく。あと、今の手良向先生からの意見も入れて、そして条件付きで、早く一応返事をもらう形で進めるということでどうでしょうか。だらだら延ばしてもしょうがないでしょう。一応、今日のところは「条件付き適」という形にして、そこの所を早急に直していただいて出していただくということで決めたいと思います。それでいいですか。
○医政局研究開発振興課専門官 事務局から確認ですが、今回、斎藤先生から御指摘いただきましたキャンサーボード中に前立腺癌の通じている専門医の方を配置していただくことと、これを前提として患者説明の中に治療の選択肢について公平な説明がなされていること、これらを「条件付き適」の要件とする内容で照会事項として申請者に返すようにいたします。
○猿田座長 それで、山中先生がおっしゃったように、重粒子線の良さということもちゃんと分かっていただくようにしていただくと。よろしいですか。
○直江構成員 それでいいと思いますが、例えばAMED研究で新しい治療法がいろいろ開発されますが、違ったモダリティのものを比較するのは、意外と難しいのですよね。どちらも利益相反があります。個人的に聞くと、IMRTは、いやいや、重粒子線と変わらないよ、というふうにして皆さんおっしゃるのです。しかし、これはペーパーを見ると、皆、海外のペーパーですよね、以前のペーパーと。
 そうすると、技術水準の問題があるので、これから観察研究をやるのは相当大変ではないかという山中構成員の話があったのですが、例えば、AMEDなどで日本のIMRT派が技術水準を合わせてきちっと観察研究をやろうということであれば、予算を付けるべきだと思うのです。こういうことは関係ない話ですがね。そうやらないと、では、5年後、6年後に出てきたデータを見ると、それで何が分かるのか。山口先生やほかの先生もおっしゃるように、結局、一人一人自費で使われた研究仕立てのデータが、何もメッセージとしては伝わらない可能性があると。それはそれでやるとすれば、これはIMRTの人たちに頑張ってもらうしかないと思うのです。要するに、並列でやるしかないのではないかと、そういう話です。
○猿田座長 それはよく分かりました。では、一応、今、事務局がまとめていただいた形で1回戻していただいて、できるだけ早く御返事を頂くということでよろしいでしょうか。
 それでは、そういう形で進めさせていただきます。どうもありがとうございました。もし、よろしければ、今のは「条件付き適」でということにさせていただきます。
 次に、今日は総括報告書の評価がありまして、これに移ります。事務局から御説明をお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料3-1、53ページを御覧ください。本日、総括報告書に関する御評価を頂くのは、1件です。平成21年12月に開始された告示番号1、胃癌腹膜播種に対するパクリタキセル腹腔内投与です。申請医療機関は、東京大学医学部附属病院です。審査担当構成員は、主担当が直江構成員、副担当が大門構成員です。試験の概要は、胃癌腹服播種に対し、全身科学療法として、経口抗悪性腫瘍剤であるS-1の内服及びパクリタキセル経静脈投与を併用した上で、腹腔ポートからパクリタキセルの腹腔内直接投与について、有効性・安全性を検討した非盲検ランダム化試験となっております。以上です。
○猿田座長 どうもありがとうございました。それでは、直江先生から御説明いただけますか。
○直江構成員 はい。53ページを御覧ください。これは2006年に腹膜播種、腹膜播種は胃癌の予後を非常に悪くする要因ですが、治療に難渋いたします。これを対照としまして、S-1+パクリタキセル経静脈腹腔内投与の併用の臨床試験が行われて、推奨される投与量はフェーズ1で決定し、その後フェーズ2が行われて、そこにありますように1年全生存率78%、奏効率56%という成績が得られたということです。
 これはずっと一連の先進医療として行われてきたわけですが、それを受けまして、今回はこれまでの標準とされますS-1+シスプラチン併用療法、対照群としてまして、今回の併用療法をランダム化比較するという第3相試験が行われたわけです。症例登録は、2011~2013年まで2年半ぐらいをかけて行われたということで、この一連の試験の中で有効性を評価するには、最も重要な試験になると思います。
 添付資料のタブレットの735ページを御覧ください。2群に分けて、その後の成績をどのように追ったかというものが出てまいります。一次登録が239例あって、不適格を除いて2次登録が183例と。A群、これは腹腔内投与併用群ですが、B群はコントロールアーム、これまでの標準……。ということで2対1の割り付けを行って経過を見たということです。投与前に中止された症例を除いて、安全性解析の対照群、それから不適格な症例を除いて有効性解析の対照にしたものは、それぞれA群が114例、B群が50例ということです。
 56ページに書かせていただきました。この結果を申し上げてよろしいですか。コメントとしまして、今、お示ししました735ページにございますが、投与前中止がB群で8例、不適格が3例ということで、61例のうち11例が有効性の解析に至らなかったということです。中身を見ますと、投与前に中止されたのは、B群に割り付けられて、いやいや、私は腹腔内投与を受けたという8例中6例が、実はB群ですが、A群の治療を受けたとうことがありました。ということで、このランダム化研究自身の研究の質は必ずしも高くないということが言えると思います。
 本試験の主要評価項目は、全生存期間です。ランダム化された183例のうち投与前に中止された14例を除く169例を対照としたITT。つまり、これは投与されても、されなくても、取りあえず割付けどおりに解析するということでして、これが陽性であれば非常にインパクトの強い研究になるということです。さらに、不適格例5例を除いた164例を対照としたFAS解析、更に、後治療に関する違反のあった6例を除いた158例を対照としたPPS解析が行われています。
 要するに、皆さんは最初から割り付けどおりにやられるわけではないですが、バイアスを除くとすれば、ITTの解析で陽性になるのが一番望ましいのですが、残念ながらそうはならなかったということで、ITTとFASの解析ではいずれも有意差が得られなかったが、最後のプロトコールどおり行われた患者に関してのみ解析をすると、HRは0.637、Pが0.023ということで、確かに腹腔内投与併用群のほうが良かったという結果が得られたということです。
 なぜ、このようになったかということですが、742ページを御覧いただけると分かるのですが、実は後解析で分かったのですが、腹水がない群はほとんど有意差がないのですが、腹水が中等量たまってきた群に関しますと、腹腔内投与をした群がいいようです。
 ということで、これはランダム化しているときの割付け調整因子に腹水量がもしも入っていれば、うまくプラスになった可能性もあると。これは可能性ですが、後から言っては何ですが、そうも思います。腹水の偏りとか、違反(クロスオーバー)があったので、このようになったのではないかという可能性が出てきたということです。ということで、期待はされるということですが、有効であると結論はできないけれども、可能性の示唆は得られているのではないかと思いました。
 安全性に関しましては、A群のほうが血液毒性がより強く認められております。もちろん、治療強度が強いからそのようになるわけですが、それでもこれは許容の範囲であろうと。これはリスクとベネティットのバランスで考えられるべきものであろうと。とても容認できないものは、なかったということです。
 技術的成熟度に関しましては「A」ということで、経験を積んだ医師又は医師の指導であれば十分実施できるものであろうと考えました。以上です。
○猿田座長 どうもありがとうございました。今細かくお話いただいたとおりだと思うのですが、大門先生からお願いできますか。
○大門構成員 直江先生に非常に丁寧に説明していただいたので、付け加えることはほとんどないのですが、いくつかお伝えします。有効性に関しては、有効であるということは示されてないと考えております。もちろん原因の追究はしっかりされておりました。ご説明していただいたとおり、PPSであれば統計的に有意な差がありまして、そこを酌み取るとすれば、有効性は示唆されているのだろうとは思われます。安全性についても、経験を積んだ医師であれば諸々の有害事象もコントロールできるものと考えられます。技術的成熟度についても、20施設でこの試験が遂行された事実を踏まえますと、十分できるのではないかと考えております。したがいまして、評価結果自体は直江先生と全く同じものになっています。
○猿田座長 どうもありがとうございました。それでは、委員の先生方、どなたか御意見はありますか。直江先生、大門先生は同じ御意見で、有効とまでは言えなかったけれども、今のような御意見。
○山口座長代理 55ページの上のほうに、3年以上の生存例はA群13例、B群0例というのは、このようなものを見たらとてもよく効いているように思えてしまうのです。こういうのを、例えば患者を見たら、こちらの群に入りたいと思ってしまって、最初のほうの試験を知っている方がたくさんいるので、きっかけとなった前の試験のことを知っていてそうなってしまったと思うのです。今後もこういうときにそれをブロックするわけにはなかなかできないのではないかと思うのですが、どうでしょうか。
○直江構成員 これは確かにもう1回きちっと評価する、例えば適応を選べば、有効ではないかという感触は確かしますね。かなり予後が悪いので、もう少し早く結論がつくというふうに思われていたと思うのですが、観察期間がもっと長くなりますと、今おっしゃるように開いてくる可能性もあると思うのです。だから、そこのデザインとか、対照とかというものについて、多分、相当経験を積まれているので、これで得たものは大きいのではないかという感じはします。私はどちらかと言えば、前向きにもう一度何か試験をされれば今度は出るのではないかという気はします。
○山中構成員 この試験の結果は、今年の米国臨床腫瘍学会で発表された結果です。治療選択肢の限られた患者層に対して、以前から有効なのではないかと言われていた治療法で、第2相試験で結果を出し、今回、第3相試験で統計学的には有意ではありませんが、結果は再現性という部分では臨床的に確認できたのはないかという気はしています。
 先ほど山口先生がおっしゃられた点に関しては、こういう試験に関して、一定数そういった治療群のスイッチは仕方がないと思うのです。ただ、統計解析上、当然、ITTで解析をしなければいけないところも、それは原理・原則からしてやむを得ないと思います。あと、米国臨床腫瘍学会で言われていたのは、腹水のアンバランシングという所が、P値が5%を上回ってしまった理由として、ディスカッションをされていました。結果は、統計学的には有意ではありませんでしたが、臨床的には再現性は確認されたということは、多くの胃癌の先生たちが感じられているということを、コメントとしておきたいと思います。
○猿田座長 どうもありがとうございました。
○山本構成員 山中先生がおっしゃったように、デザイン的にどうしても二重盲検ができない、しかも侵襲性を有する手技を含む場合、コントロール群に当たった方の一定数がスイッチしてしまうのは、これは止めようがない。これは当たり前のことだと思います。ですから、外科系の手術の臨床試験の比較試験の多くが失敗する理由の1つがそれなので、これはどうしようもないのです。失敗するというか、つまり患者が集まらなくなる、あるいは、集めてみたけれども、母集団から明らかに偏った集団にしかならないとかです。ですので、これはある意味限界だと思います。
 最近、PMDAはその限界を超えるために、シャム手術などを要求してくることが結構あるのですが、確かに規制当局としてはそこまで求めることもあるとは思います。FDAも求めていますので、それはそれで求めざるを得ない規制当局としての態度だと思いますが、実際、普通に先進医療をするときに、そこまでできないと思います。臨床家が行う臨床試験の中では、このぐらいのところが常識的に考えてできる範囲だと思います。
 私は、それをまた更にもう一度臨床試験をしないといけないのかという気がしております。紙の資料の60ページに、ロードマップを示しておられるのですが、最後に「胃癌治療ガイドライン収載」した上で「公知申請」をする。「公知に至らなければ新しいデザインの高度医療制度下試験を検討」する。これは出されたときのロードマップだと思います。胃癌治療ガイドラインに収載して、その次に薬事承認を取るのではなくて、保険償還を取りにいく。それは55年通知で学会としてきちっとガイドラインに掲載した上で、保険償還を求めるという道も、現実的な解決としては今残されていると思います。そこは学会の先生方が十分に考えて対応を決めていかれたらいいのではないかと。とにかく、ただ薬事承認だけを求めるというスタンスではなくて、結果的に実臨床でよいと思われるものは使えるようになるという解決策を、この試験の結果をもって模索していただければいいかと思いました。
○猿田座長 ありがとうございました。それは貴重な御意見だと思います。
○山口座長代理 逸脱した、違反の6名、これはどこかの施設で特に多いとか、そういうことはないのですか。つまり、最初の説明がきちっとしていない施設があって、割とそのときはいいですよということを言ってしまってやっているのか。
○医政局研究開発振興課専門官 そういった情報をもし申請者がお持ちでしたら、改めて情報提供をさせていただくようにいたしますので、事務局で確認させていただきます。
○猿田座長 もしよければ、この結果を今度まとめていただいて、もう一度先進医療のほうへ掛けますので、そこでもう1回、多分同じ議論になると思うのですが、一応そういう形に持っていくということで、事務局はよろしいでしょうか。そうしたら、今日のところはかなりいい成績であるけれども、少し問題の所はあるということで、これは先進医療にきれいにまとめていただいて、持っていって、最終的に、多分、先進医療のほうの結論で出すのは同じ意見になると思うのですが、そういうことでお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。それでは、そういう形にさせていただきます。どうもありがとうございました。
 続きまして、試験の実施計画の変更ですが、これも事務局からお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 先進医療Bの試験実施計画の変更について、2件の申請がありました。資料4-1、61ページを御覧ください。1件目は、榊原記念病院からの申請で、告示番号47、自己心膜及び弁形成リングを用いた僧帽弁置換術についてです。適応症は、僧帽弁閉鎖不全症となっております。本試験は、僧帽弁疾患に対する手術適応があり、従来の僧帽弁形成困難、あるいは不適の僧帽弁疾患患者を対象として、自己心膜製ステントレス僧帽弁置換術を行い、その安全性と有効性を評価する単群試験となっております。予定試験期間は、2016年1月から2016年12月の1年間で、総研究期間として2021年12月までの6年間となっております。予定症例数は25例です。今回の申請時点で、登録は1例となっております。
 今回の主な変更内容としては、4点あります。まず、登録基準についてです。1.対象年齢上限を70歳未満から80歳未満へと変更する。2.高度僧帽弁逆流の定義について、今回、心エコー所見を適応基準内に明記いただきました。この中で、1)から3)まであり、これらのいずれかを満たす場合を、高度僧帽弁逆流の定義として定義し直したということです。1)心エコーで、逆流量が1拍当たり60mL以上、又は逆流率が50%以上、又は逆流弁口面積が0.4cm2以上を満たす。2)左室造影で3度以上の逆流を認める。3)が、新たに拡大する基準になりますが、臨床的な心不全があり、心エコーで中等度の僧帽弁逆流、逆流量が1拍当たり30mLから59mL、又は逆流量が30から49%、又は逆流弁口面積が0.2から0.392cm2が存在するとなっております。これら3点の記載のうち、1)2)については、従来の基準に沿った記載であり、3)について、今回追加したい適応基準となっております。
 次に、試験期間についてです。3.登録期間を1年間から3年間へと、そしてこれに合わせて総研究期間を6年間から8年間へと変更したいということです。
 続いて、協力医療機関の要件についてです。4.当初当直体制として記載しておりました循環器内科2名、心臓血管外科2名、心臓血管科手術に対応できる臨床工学技士2名を、それぞれ1名ずつに変更したいとのことです。以上、4点です。
 今回、変更申請の理由ですが、対象年齢上限の変更については、当該手術及びその基礎となりました自己心膜を用いた類似技術である拡大僧帽弁形成術について、2011年から2012年にかけて行われた15例において、手術後、急性期の経過が良好であり、また重篤な有害事象の発生もなく、現在も生存されております。この経験から、当該手術の手術侵襲は、既存の僧帽弁形成術と同等であり、本研究の適応基準として、上限年齢を80歳に引き上げることは妥当ではないかと考えております。また、この改定前後でデータの取扱いが変更になる患者はありません。
 高度MRの定義の変更について、本試験の計画で参考にいたしました高度MRの心エコー判定基準(ACC/AHAガイドライン)については、欧米人を対象とした研究であることから、これを欧米人より体格の小さな日本人に用いる場合には、本来体表面積によって補正された判定基準を用いるのが妥当と考えております。しかしながら、現状では日本人用のガイドラインは存在せず、僧帽弁形成術などで実際に心不全症状があり、高度MRと診断されて手術が行われた症例の多くは、ACC/AHAガイドラインの高度基準を満たしていないことが、最近明らかになってきております。そのため「心不全症状がありACC/AHAガイドライン上の中等度基準を満たすグループ」を高度MRの定義に加えることは妥当ではないかと考えております。また、この改定前後でデータの取扱いが変更になる患者は存在いたしません。
 3番目は、登録期間、総研究期間の延長については、現在までの登録状況、協力施設の先進医療申請状況を鑑み、1年間としていた登録期間を3年間に延長することが必要と判断いたしました。
 4番目は、第9号様式当直体制の変更について、当初手術当日に発生し得る重篤な有害事象として、「自己心膜の大きな破損による高度の逆流の発生」が考えられました。これによって生じる極めて緊急性の高い心不全に対処するため、当直医2名が必要と考えておりましたが、非臨床試験において過去300回近い拍動型循環シミュレータ実験において、「自己心膜の大きな破損」は発生しておらず、また直近5年間に行われた本先進医療期間に行われた1例を含む15例の本ノルモ弁を用いた手術においても、同様の「自己心膜の破損」という事例は1例も発生しておりません。また、周術期を含め、入院中の状態は極めて安定しておりました。このため、循環器内科及び心臓血管外科の当直医、臨床工学技士をそれぞれ2名という極めて厳しい当直要件から、高度の医療を行う大学病院レベルの当直体制に準じた形で、それぞれ1名に変更することは妥当ではないかと考えております。以上となります。御審議のほど、お願いいたします。
○猿田座長 詳細に、4つの変更をお願いしてきたことに対して、説明もしっかりしていただきました。どなたか御意見はありますか。
○一色構成員 まだ1年間たっていない状況で、1年間で25例を入れる予定が1例しか入っていなかったということで、最初のプロトコールの設定にかなり無理があったのかなと率直に思います。この4項目を拝見しますと、年齢は最近は高齢者の手術も安定しているので全く妥当だと思いますし、期間は延長せざるを得ないのも分かります。それから、当直体制も2名ずつというのは、今、日本の病院でこれだけできる所はあり得ないので、1名ずつで、あとは緊急手術でオンコール体制がきちんとできていれば、これも妥当かと思います。で問題は、この高度MRの定義の変更です。この高度MRという定義を中等度に無理矢理変えることの妥当性については、慎重に検討する必要があると思います。
 926ページのACC/AHAのガイドラインを見ていただきますと、軽度、中等度、高度とあります。申請者が言っているのは、中等度のMRの基準に心不全という臨床的な症状が加われば、この手術の適用として臨床的に高度と判断していいという、若干無理筋の解釈です。その根拠として「ACC/AHAのガイドラインの高度な基準を満たしていないことが最近分かってきた」ということを挙げていますが、この一文だけで定義の変更を求めるのは、あまりに説得性に乏しいと思います。少なくとも証拠となるデータを明示する必要があります。
 もう一点、ACC/AHAのガイドラインに記載されている中等度の定義をよく見ていただくと、「又は」と記載されています。ということは、この3項目のうち1項目だけが基準を超えているほとんど軽度という症例も中等度として認められることになっているのです。従って、100歩譲ってもこの中等度基準を全て満たすなどの条件が必要ではないかと思います。軽度なMRを無理くり高度と言いくるめることになってしまうと危惧します。
 したがって、以上まとめますと、今回は1.2.4.についてはお認めして、3.については1回ペンディングにするのが妥当ではないかというのが、私の提案です。
○猿田座長 どなたか御意見はありますか。
○山本構成員 一色先生の御意見に賛成です。2番については、少し広すぎるなと。特に、臨床的心不全がありというだけですと、どんな症状でも心不全になってしまいます。それを言うのであれば、どのぐらいの段階のものということを付けるか、あるいはACC/AHAガイドラインの中の、少なくとも中等度を全部満たすぐらいのことを付けていただくか、一応手術をする適用を決めるという所ですし、更に最初に高度とうたっていらっしゃるのですから、そこはもう少ししっかり準備をして、変更するならしていただきたいと思います。1.3.4.を変えるだけでも、かなり間口は広がると思いますので、それで頑張っていただくのも1つかと思います。
○猿田座長 特に年齢が広がることも随分あると思います。
○山本構成員 そうですね。
○猿田座長 ですから、今、一色先生がまとめていただいたとおり、特に中等度は全部満たしてくれないと困るという形で、あとは認めるという形で戻すということで、いかがでしょうか。一色先生、よろしいですか。
○一色構成員 それで結構です。○医政局研究開発振興課専門官 事務局からまとめさせていただきます。1.の年齢に関しては、認めていただく。2.のMRの定義については、お認めいただかない。3.の試験期間については、お認めいただく。4.の当直体制については、各1名ずつとしてもいいが、オンコール体制をしっかり保つという形で、申請者にお返しするようにいたします。
○猿田座長 よろしくお願いいたします。よろしいでしょうか。ほかに御意見がなければ、今の案件はそのような形で申請機関に戻したいと思います。
 それでは、次に移ります。2件目の試験実施計画の変更です。事務局から説明をお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料4-2、65ページを御覧ください。告示番号50、ハイパードライヒト乾燥羊膜を用いた外科的再建術です。適応症は、再発翼状片、増殖組織が角膜輪部を超えるものに限るとなっております。申請医療機関は、富山大学附属病院です。本試験は、再発翼状片を切除した部位に、ハイパードライヒト乾燥羊膜を添付し、翼状片の再発抑制についてヒストリカルコントロールと比較する試験となっております。予定登録期間は、平成28年1月から平成29年12月までです。予定症例数は40例で、今回の申請時点で1例が登録されております。
 主な変更点についてです。協力医療機関の要件について、倫理審査委員会の審査開催の条件、要件を、各月ごとの開催から3か月に1回へと変更すること。試験期間について、2018年11月までの11か月間の延長とする、以上の2点です。
 変更申請の理由ですが、1)倫理審査委員会による審査体制の変更について、翼状片の原因は決まっていないが、地域による格差がないとは言えないので、要件を緩和することで、他の地域の病院が参加できるようになり、より多面的に解析ができると思われる。また、試験実施計画書では有害事象について、倫理委員会、施設長以外に、独立モニタリング委員会、地方厚生局長、厚生労働大臣にも報告がなされる体制である。特に重篤な場合には、独立モニタリング委員会が中止、継続、変更等の対応について決定するなどの方策が取られているため、他の倫理委員会の開催間隔が各月から3か月に1回となっても、安全性に影響は少ないと考えられる。実施期間の延長については、当初の登録よりも予定が少ないこと。予定協力機関である東邦大学大森病院が術式が初めてとのことで即時に参加できないため、試験期間の延長を行うとなっております。以上です。御審議をお願いいたします。
○猿田座長 ただいまの説明の中で、まだ申請時点で1例しか登録されていないということですから、これはどうしても延長が必要と思います。もう一つ問題なのは、倫理審査委員会による審査体制の変更です。どなたか御意見はありますか。
○山本構成員 ほかに、倫理審査委員会の間隔が3か月に1回の要件で通したものがありますか。
○医政局研究開発振興課専門官 現時点では、こちらの要件に関して緩和したケースは、今のところありません。
○山本構成員 1つぐらいなかったですか。当初から3か月という要件のものは。
○医政局研究開発振興課専門官 そうですね。申請時から、3か月に1回という条件でお認め頂いたケースはありますが、変更して緩和したことはありません。
○山本構成員 過去に、3か月に1回で通しているものがあるのですね。ですので、3か月に1回が絶対駄目と言える状況ではないとは思います。ただ、要時開催ができるような状況がないと、本当に3か月に1回しか開かれないというのは、よろしくないのではないかとは思います。重大な問題があったときには、緊急開催ができるという、最低限そのぐらいは付けていただきたいなとは思います。
○猿田座長 ほかに、どなたかありますか。
○上村構成員 これは、結局松江赤十字に合わせたということなのですか。
○医政局研究開発振興課専門官 未確認ですが、そういう申請者のご意向があるかもしれません。
○上村構成員 ところが、松江は、もともとこれをやっていらしたのですか。
○医政局研究開発振興課専門官 詳細につきましては申請者に確認させていただきます。
○上村構成員 ただ、富山がビールディングサイトでやっているわけで、これは今回富山のほうも3か月に1回でもいいということではないですよね。当然、富山は1月に1回の開催をやっておられるということだと思うのですが。
○医政局研究開発振興課専門官 確認できることとしては、2か月に1回以上は開催されているということです。
○上村構成員 2か月に1回ですね。1症例しか入っていないというのは、最初の予定では、2年で40症例ぐらい入れるという話だったと思うのですが、9か月近くたって1例しか入っていないということで。松江が入ることで、この40例というのは達成するのですか。
○医政局研究開発振興課専門官 申請者からお示しいただいた資料からは、症例数見込みの根拠については、はっきりとは記載はされてはいません。
○上村構成員 これは、どんどんサイトを増やしていかれる分には、安全性がきちんと担保できるのであればいいのだと思うのです。これは、私もレビューしたので覚えていますが、確か富山大学で物を作って、持って行って使うということですよね。そうすると、松江がほかの施設に送るようなことを今後されるのであれば、品質の保証や品質の管理の問題をかなりきちんとやらないと、難しいのかなと思います。もちろん、それは実施は可能だと思います。その上で、富山大学の体制が、大学病院ですので、安全性に関する情報の収集を富山のIRBがきちんとそれなりのリーダーシップを取ってやられることが前提にないと、全て3か月に1回でいいというわけには多分いかないのではないかと思います。
○猿田座長 やはり、この期間の延長は短いですよね。どうなのでしょうか。
○上村構成員 今まで9か月で1例です。40症例入れないと、これは再発率での評価だったと思いますので、評価できないということになります。サイトを増やすということに関しては、現実面でいくと非常に妥当性のある判断だと思いますが、体制を整えるという意味で品質に関する配慮と、安全性に対しては富山大学のIRBをきちんと対応していただくなどの体制を少し考えていただくことで、施設を増やして40症例を何とかやっていただくのがいいのではないかと思います。
○医政局研究開発振興課専門官 今回御審議いただいているのは、本技術に関する臨床研究を行う保険医療機関の質に関する要件であります。医療機関がどの程度の頻度で倫理審査委員会を開催していれば、と対象技術についての臨床試験を実施が可能である施設と見なせるのかという視点がこの要件の根幹にあると思います。もし協力医療機関が倫理審査委員会を持っておらず、申請医療機関の審査だけでオーケーとなると、この倫理審査委員会の要件自体が無意味になると思います。やはり実施医療機関としてこれぐらいの質を保っていただきたいという意味を込めて、本要件を定めていただければと思います。
○猿田座長 少し問題なのですよね。
○伊藤構成員 やはり、倫理審査をきちんとやるぐらい、逆にこの試験に参加していただくためには、病院として倫理審査を2か月に1回やっていただくぐらいの形に、時代の流れはそちらかなという気はします。症例数を増やすために、どこでも病院を広げるためにではなくて、やはり先進医療に参加していただくためには、病院としてもそういう体制を取っていただきたいというメッセージを出すほうが正しいのではないかという気はいたしますが。
○猿田座長 伊藤先生のおっしゃるとおりだと思うのですね。ですから、今、伊藤先生がおっしゃったことが、一番妥当なところではないでしょうか。それで、もう一回期間のことも検討していただくべきだと思いますが、いかがですか。
○山口座長代理 伊藤先生のおっしゃるとおりだと思います。
○山本構成員 割と近い過去に、3か月に1回で1つ通していたと思うのですね。確か、少し長いなと思いながら、特にほかにコメントがなかったので私も流したのですが、確かあったと思うのです。やはり、ここで改めて3か月に1回は間隔が長すぎるというのであれば、以後はせめて隔月プラス要時開催ということを先進医療をやる施設としての最低限の要件ということで申し合わせておいてもいいのかなと。そこは、今まで余り言われたことがなかったと思います。
○猿田座長 そこを、もう一回事務局で確認していただいて、今、山本先生がおっしゃったことで、基本的には2か月という形でいくと。
○医政局研究開発振興課専門官 分かりました。事務局から確認ですが、保険医療機関の要件に関して、今回は認めないという形で、試験期間の延長に関してはお認めいただくという形でお伝えさせていただきます。ありがとうございます。
○猿田座長 それでよろしいでしょうか。もしよろしければ、このような形で決めさせていただきます。
 それでは、残りの協力機関の追加について、よろしくお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料5-1、67ページを御覧ください。これまで、大臣告示されている8つの技術について、協力医療機関の追加申請がありました。資料5-1に、各々の先進医療名、適応症、申請医療機関、追加協力医療機関について記載しております。
 次に、資料5-2、69~76ページを御覧ください。事務局において、協力医療機関として提出のありました先進医療実施届出書等を確認し、いずれも先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件、様式第9号を満たしていることを確認いたしました。協力医療機関の追加として御了承いただきたく存じます。
○猿田座長 ここに掲げてある各機関に関しては、御確認いただいたということで、これはよろしいですね。
○医政局研究開発振興課専門官 では、手続を進めさせていただきます。
○猿田座長 それでは、先進医療の取下げが1件ありますので、よろしくお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料6-1、77ページを御覧ください。これまでに、大臣告示されている1つの技術について、先進医療Bの取下げ申請がありました。資料6-1に、取り下げる先進医療名、適応症、申請医療機関、協力医療機関について記載しております。取下げ理由としては、中間解析の結果、独立効果安全性委員会より無効中止の勧告があり、研究代表者により試験無効中止が決定し、試験を終了するためとなっております。
 次に、大臣告示されている1つの技術について、協力医療機関の取下げの申請がありました。資料6-2、79ページに、先進医療名、適応症、申請医療機関、取下げる協力医療機関について記載しております。取下げ理由としては、実施責任医師の退職に伴い、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件を満たすことができなくなったためとなっております。特に御意見がなければ、手続を進めさせていただきます。
○山本構成員 告示番号9のほうは、もう試験全体を取り下げるということでよろしいのですか。それから、もう一つの告示番号35のほうは、医師だけが降りるということで、試験は継続ですよね。こちらの告示番号9は、総括報告書は出されるのでしょうか。
○医政局研究開発振興課専門官 はい、出していただきます。
○山本構成員 ありがとうございます。
○猿田座長 ほかに御意見はありますか。それでは、これもお認めいただいたということで、よろしいですか。ありがとうございました。
 次は、先進医療Bにかかる総括報告書及び、その提出の時期について、事務局からお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料7、81ページを御覧ください。先進医療実施後の総括報告書については、平成28年3月4日付「厚生労働大臣の定める先進医療及び施設基準の制定等に伴う手続き等の取扱いについて」、枠内のごとく示されているところですが、具体的な運用について、下記1から5のとおりとしてはどうかということの御提案です。
 1.主要評価項目とその治療法の臨床的評価に必要な主な副次評価項目の解析時点を「主たる解析」とし、付加的に行う予後の調査等を含めた全データ(主たる解析にかかる更新結果も含む)解析を「最終解析」とする。
 2.「主たる解析」に含む具体的な項目については、その解析に先立ち、あらかじめ試験計画に記載あるいは明示しておくこととし、事前に【通知】第2「1新規技術にかかる手続」、あるいは同「4既評価技術に係る届出事項の変更に係る手続」に定められた適切な手続を経るものとする。
 3.主たる解析が終了した時点で、申請医療機関は、厚生労働省医政局へ「(主たる解析時点での)総括報告書」を提出してよい。ただし、学会発表や論文公表等を行うのであれば、速やかに「(主たる解析時点での)総括報告書」を厚生労働省医政局へ提出しなければならない。
 4.申請医療機関は、「(主たる解析時点での)総括報告書」の提出の有無に関わらず、試験終了あるいは中止までの全データにかかる最終解析が終了した時点で、厚生労働省医政局へ全データを含めた総括報告書を提出しなければならない。
 5.先進医療技術審査部会では、「(主たる解析時点での)総括報告書」の提出を受け、総括報告書の審議を行い、その結果を先進医療会議に報告する。ただし、審議の結果、「(全データを含めた)総括報告書」について更に検討する必要があると判断された場合は、その限りでなく、改めて「(全データを含めた)総括報告書」につき、先進医療技術審査部会で審議を行い、その結果を先進医療会議に報告する。以上となっております。皆様、御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○猿田座長 今日も総括報告書がありましたが、少しこういう形で変えてはどうかということです。何かありますか。
○一色構成員 3.の速やかにというのは、学会発表や論文発表の前にというニュアンスですか。それとも、できるだけ早く、単純に発表にかかわらずという理解でよろしいですか。
○医政局研究開発振興課専門官 できる限り早くという意味で、ご理解いただければと思います。
○山中構成員 現実的には、先ほどの中間解析で無効中止になって止まった試験などが一例ですが、論文公表の前に、記者発表やプレスリリースしたりといったことが必要になるケースはあると思うのです。ですので、総括報告書は作成をするのに一定の時間がかかりますから、そこが多少前後するのはやむを得ないと思うのですが、「できる限り早く提出」としていただけると、現実的かなと思います。
○猿田座長 いかがですか。事務局、問題ありますか。
○医政局研究開発振興課長 そのとおりです。これは、事前にというのであれば、こちらに事前にと書かせていただきますので、こちらもできるだけ速やかにということでお許しいただければと思います。よろしくお願いします。
○猿田座長 一色先生、よろしいですか。
○一色構成員 そうすると、このただし書きは要らないのではないですか。どのような事情があっても、終わった場合は速やかに出していただきたいと書いておいてよろしいのではないかと思ってお聞きしただけです。
○医政局研究開発振興課長 ここの文章については、いろいろな思いはあると思いますが、私ども事務局としては、外で発表されて、その事実を受けて、もう一回この総括報告書を提出してくださいというような形を取るのは、正直申し上げて順番が逆でしょうと思いますので、なおさらそういう発表があるのであれば、速やかに提出していただきたいという気持ちが入っております。
○猿田座長 速やかに出してくれということですね。ほかになければ、こういう形でお認めいただいたということで、よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 次は、先進医療会議の審査結果等について、事務局から報告をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料8、83ページを御覧ください。先日9月8日に開催されました第45回先進医療会議で示された粒子線治療の今後の取扱いについて、御報告です。先の第41回先進医療会議において、先進医療Bにかかる以下の指摘を受けております。優先的に、先進医療Bで行う適応症は、どのようなものを考えているのか。先進医療Bで実施する症例について、先進医療Aでも実施可能である場合、先進医療Bに症例が集積しない可能性があるのではないか。これらの指摘を受け、日本放射線腫瘍学会から、以下の方針が示されました。
 1.比較対象を厳格に設定するなど、重点的な評価が必要な適応症(前立腺癌、肝臓癌、肺癌、膵臓癌など)については、先進Bとして実施する予定である。
 2.同じ病態では、先進医療Bを優先させ、適格基準を満たした場合には、先進医療Bの実施施設に紹介する。3.先進医療Bの対象とならない症例に限り、先進医療Aで実施する。4.先進医療Bの対象となる症例が、先進医療Aに含まれていないかについて、中央モニタリング、及び施設訪問で調査する。以上、御報告申し上げます。
○猿田座長 どなたか御意見はありますか。特によろしいですね。ありがとうございました。それでは、これもお認めいただいたことにいたします。本日の議題は以上です。次回の日程について、事務局からお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 次回10月の開催は、10月20日(木)16時から18時までとさせていただきます。場所については、別途御連絡させていただきます。また、本日の議事録については、作成次第、先生方に御確認をお願いし、その後公開させていただきますので、併せてよろしくお願いいたします。
○猿田座長 よろしいでしょうか。先生方から、どなたか最終的に御意見はありますか。もしないようでしたら、以上で第48回先進医療技術審査部会を終了いたします。
 2期にわたって4年間の座長を務めさせていただきましたが、本日をもって終わりです。一言だけ御礼申し上げます。先生方におかれましては、本当にこの4年間、高度先進から始まり、先進医療会議になり、高度医療評価会議になり、いろいろと変遷してきました。この技術委員会と、先進医療会議の2つになったことで、私としてはこの4年間でこんなに勉強したことはないのです。先生方がものすごい勢いで、新しいことをどんどん提供してくださいました。それから、いろいろな会議に出ていますが、これだけ充実してやっていただいた会議はないということで、ものすごくこの技術会議からのいろいろな案件が進んだということで、先進医療会議にも出すことができ、本当に先生方には厚く御礼申し上げます。私は、どれだけ勉強したか分かりません。本当にありがとうございました。
 これから先、一番大切なことは、やはり新しい技術がどんどん出てきますから、それをいかに早く進めていくかですので、どうかこれからも頑張っていただきたいと思います。本当に、どうもありがとうございました。

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医政局が実施する検討会等> 先進医療技術審査部会> 第48回先進医療技術審査部会(2016年9月15日)

ページの先頭へ戻る