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2016年9月16日 第2回新たな社会的養育の在り方に関する検討会

雇用均等・児童家庭局家庭福祉課

○日時

平成28年9月16日(金)10:00~12:00


○場所

TKP新橋内幸町ビジネスセンター ホール614


○出席者

構成員

奥山座長 松本座長代理 相澤構成員 井上構成員
加賀美構成員 上鹿渡構成員 塩田構成員 伊達構成員
林構成員 藤林構成員 山縣構成員

事務局

吉田雇用均等・児童家庭局長 山本内閣官房内閣審議官 川又総務課長
川鍋家庭福祉課長 竹内虐待防止対策推進室長

○議題

(1)各検討会・ワーキンググループの開催状況の報告及び
 法改正後の進捗状況の確認
(2)関係団体等からのヒアリングの進め方
(3)関係団体からのヒアリング
  ・全国児童養護施設協議会
  ・全国乳児福祉協議会
  ・全国母子生活支援施設協議会
  ・全国情緒障害児短期治療施設協議会
  ・全国児童自立支援施設協議会
(4)その他

○議事

 

○事務局(田野家庭福祉課課長補佐) 

それでは、定刻になりましたので、ただ今から第2回「新たな社会的養育の在り方に関する検討会」を開催いたします。

 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 本日は、西澤構成員から御欠席の御連絡をいただいております。

 また、林構成員からは、11時過ぎ頃に御退席されると伺っております。

 伊達構成員につきましては、少し遅れていらっしゃるようです。

 まず、資料の確認をさせていただきます。

 配付資料といたしまして、右上に番号を付させていただいておりますけれども、議事次第の後に資料1として横長の開催状況についての資料。

 資料2として「法改正後の進捗状況について」の横長の表。

 資料3として縦長の議論のポイント。

 資料4としてヒアリングにお越しいただく団体のお名前を書いたもの。

 資料5として「ヒアリング事項(案)について」の縦長の資料。

 資料6として本日お越しいただいた団体から御提出いただいた資料が縦長のものです。

 その後に参考資料1と参考資料2ということで資料をおつけしております。

 その後に机上配付でございますけれども、本日ヒアリングに御出席いただいた団体の方のお名前を書いたものと、あと全国乳児福祉協議会から御提出いただいた資料が封筒に一式入っております。

 資料の欠落等ございましたら、事務局までお申しつけください。

 それでは、これより先の議事は奥山座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○奥山座長 

ありがとうございました。

 今日は雨の中お集まりいただきまして、ありがとうございます。早速に議事に入っていきたいと思います。今日は本当にお忙しい中にヒアリングに団体の方にいらしていただいておりますので、そちらのお時間をきちんととりたいと思っております。その前に、この会議が全体を鳥瞰する役割ということを課せられているものですから、現在行われている各検討会・ワーキンググループの開催状況と、この間、我々のほうで少しまとめてつくらせていただいた進捗状況の表にあわせて現在の進捗状況につきまして、事務局のほうから御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○事務局(田野家庭福祉課課長補佐)

 事務局でございます。

 それでは、資料1をごらんください。「各検討会・ワーキンググループの開催状況等について」という資料でございます。

 一番左の欄につきましては、この会の進捗状況です。

 左から2番目が、児童虐待対応における司法関与及び特別養子縁組制度の利用促進の在り方に関する検討会でございます。こちらにつきましては、7月と8月に1回ずつ開催しておりまして、直近の8月の第2回ですが、1つは司法関与に関するデータを収集するということで、児童相談所に対するアンケート調査を行うということで、調査事項について御意見をいただいております。また、第2回では、児童相談所等の現場の実態についてヒアリングを行うということで、全国児童相談所長会、子どもの虹情報研修センターの川崎所長からヒアリングを行ったところでございます。第3回につきましては、9月26日に開催予定になっておりまして、今後は論点ごとに各構成員の先生方によります議論を行っていただくという予定にしております。

 その隣が子ども家庭福祉人材の専門性確保WGでございます。こちらにつきましても、7月と9月に1回ずつ開催をしております。直近の第2回につきましては、ここにありますように児童福祉司スーパーバイザーの研修、児童福祉司任用後の研修及び児童福祉司任用前の講習会など、今回の法改正で受講が義務化された研修のうち、児童相談所の職員の研修等の到達目標等につきまして御議論をいただいたという状況でございます。具体的な研修の中身を詰めるということで、ここにありますWGとは別に非公開の会合を実施して内容を詰めていただくということにしております。第3回につきましては、9月の下旬で日程調整をしております。第3回では児童福祉司スーパーバイザーの研修、児童福祉司任用後の研修及び児童福祉司任用前の講習会の骨子案をお示しする予定にしております。

 その隣が市区町村の支援業務のあり方に関する検討WGでございます。こちらにつきましては8月に1回と、あと本日午後に開催をするということにしております。本日午後の第2回につきましては、市区町村における児童等に対する必要な支援を行うための拠点の運営に関する検討事項案をお示ししまして議論をいただく予定にしております。前回の議論の整理ですとか今後の進め方につきましても、本日午後のWGの中で御議論いただく予定にしております。

 進捗状況については以上でございます。

 続きまして、資料2でございます。

 こちらにつきましては、前回、第1回の検討会におきまして、この表の左側の部分でございますけれども、項目の部分のみをお出ししまして、今後、どういったことについて進捗状況を確認するかということで御議論をいただいておりました。この資料の中で、左側の項目で赤字になっているものが2ページ、3ページ、5ページなどにございますのは、第1回に御議論いただいて、こういったものを含めるべきだということで御意見いただいた部分について内容を反映した部分を赤字で書き足しております。

 本日、9月1日現在の進捗状況について、右側の進捗状況という欄に記載をさせていただいております。基本的に1ページの一番上の欄の進捗状況のところを見ていただきますと、通知で発出したものは「周知」などの書き方をしておりまして、その下の上から3つ目の欄を見ていただきますと、具体的に通知等で規定することを検討しているもの。例えばここでいきますと里親委託ガイドラインなど検討して具体的に何の通知を改正するかとか、記載できるものについては記載をするようにしております。

 同じ1ページの下の2つの欄を見ていただきますと、末尾に「要求中」と書いていますのは、平成29年度概算要求しているもの。例えば下から2番目ですと自立援助ホームの拡大という部分でございますが、今回、法改正で対象児童を拡大した部分につきましては概算要求でそれにかかる経費を要求していますということで、簡潔ですけれども、書かせていただいております。

 それ以外のもので少しお話ししますと、2ページ目の上から2番目でございますけれども、これも拠点についての記述でございますが、先ほど進捗状況を御報告いたしましたWGにおきまして御検討いただくものについては、WGで検討というような形で記載をさせていただいております。

 そのほかでいきますと、下から5番目でございますけれども、調査研究の中で検討していきますというものについては調査研究というような書き方で全体をまとめさせていただいております。見ていただきますとまだまだ検討中ということで書いているものが多いですが、着実に進めていけるように努力していきたいと思っております。

 あと事前に御質問をいくつかいただいていた内容につきましては、少し整理をさせていただきまして、次回の検討会の際には御説明するようにしたいと思います。

 事務局の説明は以上でございます。

 

○奥山座長 

ありがとうございました。

 ざっとという形で今、御説明をいただいたのですけれども、まず最初に、検討会・ワーキンググループの開催状況についてというところで何か御質問ございますでしょうか。

 私のほうから1つ。多分こういうことを議論するという大まかな論点整理が今できているのだと思うのです。市町村のWGはまだ1回しかやっていないので本日の午後、恐らく論点整理に入るということになると思うのですけれども、次回は多分全部出そろっているはずと思いますので、次回から進歩状況についての予定表のほかに、それを添付していただけるとありがたいなと思います。特に、司法関与、特別養子縁組のところは非常に急いでいるWGでございますので、既にもう論点ごとの議論ということは論点整理ができているものと思われますので、そこのところを今、御説明いただけますでしょうか。

 

○竹内虐待防止対策推進室長 

今、座長のほうから司法関与、特別養子縁組制度の利用促進の在り方に関する検討会の論点についてのお尋ねがございました。基本的には3月に取りまとめられました専門委員会、この報告、提言をもとに論点のほうを整理させていただこうと思っておりまして、先ほどスケジュールのほうでも申し上げましたけれども、次回9月26日に会議を予定してございます。この場で論点のほうはお示しをさせていただこうと思っております。

 若干例示的に申し上げますと、例えば司法関与について言えば、一時保護について裁判所の関与を導入できないかということが掲げられておりますので、こうした論点。さらには、接近禁止命令や面会通信制限、これについても裁判所の関与が考えられないかといったこと。さらには、接近禁止命令については対象の拡大といったようなことも論点になってこようかと思います。さらには、大臣もたびたび会見のほうでもおっしゃっておられますけれども、裁判所命令といったようなものも当然一番大きな論点ということになってこようかと思っております。

 また、特別養子縁組制度についても、これも専門委員会の報告、提言に書いてございますけれども、例えば年齢要件について、今、6歳未満ということですけれども、これについてどう考えるかといったようなこと。さらには申立権についても児童相談所長による申し立てを認めていくのかどうか。特に特別養子縁組制度の申し立ての手続について、今、養親さんからの申し立てということでございますが、手続を2つに分離をして、実親さんとの関係を絶つといったような手続については、児童相談所長の申し立てを認めてはどうかというような御指摘もあるところでございますので、こうした点が論点になってこようかと思っております。

 

○奥山座長 

ありがとうございました。

 何しろこの検討会は秋をめどに結論を出せというすごいスピードでやらなければならない検討会なものですから、気にはしております。今の論点を多分構成員の方々皆さんでの議論をもとに整理されたことと思いますけれども、次回までにそこをぜひこちらのほうにも御提示いただければと思います。よろしくお願いいたします。

 ほかに御意見ありますでしょうか。よろしいでしょうか。

 では、どれぐらい進んでいるのかという確認をしていきたいと思いますので、次回、またおまとめいただければと思います。よろしくお願いいたします。

 続きまして、法改正後の進捗状況について、今、ざっと御説明いただいたのですけれども、先ほど御説明いただきましたように概算要求ができたということもありまして、そこの部分が主として入れられていると思います。ですので、それ以外のところでこういうことを知りたいとか、ああいうのはどうなっているのかという御質問もあるかと思いますので、どうでしょう。私を含めて数人、今、事務局のほうに御質問というのを提出させていただいていて、構成員の方々にはこんな質問が出ているよということは回っているのですけれども、それ以外でここは聞いておきたい、あるいはもちろん意見を出した構成員の方々でも、これを聞くのを忘れていたのでここを聞きたいというのがありましたら、少しお時間がありますので御質問いただければと思いますが、いかがでしょうか。

 紙は出したけれども、そこの意見をもう一度きちっと補強して質問をしておきたいという方でも結構だと思いますけれども、いかがですか。非常に多くあるので、どうですか。皆さん、大丈夫ですか。いかがでしょうか。

 では、私のほうから事務局に御質問なのですけれども、ここに書いていただいた進捗状況というのは、できたよということを書いているということですね。これからこういうことをしますということはあまり入っていないという理解でよろしいでしょうか。

 

○事務局(田野家庭福祉課課長補佐) 

基本的にそうです。検討とか検討中と書いているものはこれから検討するものです。そういったものもありますけれども、おっしゃるような今後こうしていくということはあまり書けていないと思います。

 

○奥山座長 

一番上にあるので、どうしても一番上に目が行くのですけれども、例えば理念の啓発というのを通知だけでいいのかしらというのは多分皆さん思われるのではないかと思うので、通知は出しましたということはなさっていただいたということで、今後こんなことを計画していますとか、もしそういうことがありましたら少し入れていただければありがたいかなと思います。

 他にいかがでしょうか。

 どうぞ。

 

○松本座長代理 

松本です。

 6ページ目の7の社会的養護の(5)自立支援」の4)、赤で入っているところです。ここは全国に広がるとまた社会的養護の自立支援のあり方がかなり変わるというように思って期待をしているのですけれども、どの程度の規模でどういう枠組みでこれの配置をお考えになって要求されているかということを詳しくもう少し補足の説明をいただければと思っています。

 

○事務局(田野家庭福祉課課長補佐)

事務局でございます。

 概算要求の内容でございますけれども、現在考えておりますのは、都道府県、指定都市、児童相談所設置市も含めまして69カ所ということで概算要求はさせていただいております。

○奥山座長 

実はほかにも御質問のペーパーを出してくださっている先生もおられまして、今日は質問をとるというところまでで、次回お答えをいただくということにしたいと思いますので、質問のある方はどんどん出しておいていただければと思います。

 どうぞ。

 

○藤林構成員 

他の構成員からの質問と重複しているかもしれませんけれども、5ページの里親制度の充実強化の1)と2)なのですが、要するに一貫した里親支援というか、里親事業を今から検討していくということで、その下に里親支援専門相談員を効果的に活用で、各施設ではなく上記に組み込むという組み込み方というのはどうなっていくのか。要するに、従来のようにパーツごとの支援ではなくて一貫した里親支援事業の中に里親支援専門相談員が組み込まれていくということなのかどうなのかというところをまた提示いただきたいということと、一貫した里親、英語で言えばfostering agencyみたいなものなのですけれども、それがどういうものになっていくのかというところをまた教えていただければと思います。

 

○奥山座長 

ありがとうございます。

 補足だけしておきますと、1)は今回の法律で県が責任を持ちなさいと言われているfostering agency全体の包括的な里親支援事業ということですので、そこの部分は確認をしておきたいと思います。あとお答えのほうはまた次回、よろしくお願いいたします。

 他にいかがでしょうか。

 どうぞ。

 

○藤林構成員 

3ページの(6)の「1)中核市・特別区への設置に向けた支援の状況」ということなのですけれども、中核市に児童相談所を設置していくというのはなかなか大変な、金沢、横須賀という例があるわけですけれども、私のイメージとしては従来の児童相談所ではなくて、より新たな現在議論されているようなものが設置されていくのではないかと思っているのですけれども、この中核市児童相談所のあり方ということについて、何か研究事業とかそういうものをされているのかどうか。もしされているのであれば、その中身を教えていただきたいと思います。

 

○奥山座長 

すぐ答えられますか。次回でいいですか。

 他にいかがでしょうか。

 そうしましたらば、皆さん、もう一度じっくり読んでいただきまして、まだやはり質問があるという方がいたら、次回までに、きっと事務局のほうから何日までにというのは言っていただけると思いますので、その日にちまでに質問を出していただいて、事務局のほうで御整理いただいて御回答いただきたいと思います。今回は2時間なのですけれども、次回は少し時間が長いので、議論をする時間がございますので、そのときに御回答いただきながら議論を進めていきたいと思います。

 続きまして、2つ目の議題ですけれども、ヒアリングに関して少し事務局のほうから御説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○事務局(田野家庭福祉課課長補佐) 

事務局でございます。

 資料でいきますと資料4と資料5がヒアリングに関します資料でございます。

 資料4をごらんいただきますと、これは検討会で御議論いただくに当たりまして、お子さんの社会的養育に実際に携わっている方ですとか、あるいは当事者の方、里親家庭を経験された方などの御意見も伺いながら検討を進めるということでヒアリングの機会を設けさせていただいております。

 ヒアリング団体につきましては、構成員の先生方の御意見も伺いまして、資料4のように整理をさせていただいております。一番上の第2回は本日お越しいただいている5団体、真ん中の第3回、第4回の検討会でお越しいただく団体につきましては、御出席いただくことにつきましては御了解をいただいておりますが、この第3回と第4回のどちらに来ていただくかというところが、今、整理中でございます。一番下の2つの団体については、11月に別途機会を設けましてお話しいただくということにしております。

 資料5につきましては、ヒアリング事項(案)ということで整理をさせていただいております。ヒアリングの進め方といたしまして、各団体から順番に10分程度でお話をいただきます。先ほど説明が漏れてしまったのですけれども、資料3については、前回、第1回のときに奧山座長と松本座長代理からお出しいただきました議論の進め方のポイントのペーパーを1つにまとめさせていただきました。赤字で記載しているものが前回構成員の皆様に御意見いただいた部分について追記をさせていただきました。その資料3の議論のポイントに書かれておりますことにつきまして御発言をお願いするということで各団体にお願いしております。

 一通りヒアリング団体に御発言いただいた後に、全体で構成員と団体の方とで質疑応答、意見交換をしていただくというやり方を考えております。第3回、第4回につきましては、ヒアリング団体の数が多くなっていますので、前半、後半などに分けて実施させていただくということも考えております。

 資料5にありますヒアリング事項につきましては、第3回、第4回で見ていただきますと、四角に囲んで書いている部分が共通で伺う内容になっておりまして、2ページ目でございますけれども、こちらにつきましては特に個別の団体につきまして御説明をお願いしたい事項ということで整理をさせていただいております。こういった内容を中心に御発言をお願いしようと考えております。

 私からの説明は以上でございます。

 

○奥山座長 

ありがとうございました。

 前回から今回までの間にいろいろメールを事務局から送っていただきまして、皆さんの御意見を伺ってヒアリング団体を決めてきたわけなのですけれども、基本的には個別に説明をお願いしたい事項というのは、推薦した先生方に何を聞いたらいいのかというのをお願いしてつくったものでございますので、今、皆さんのほうから、ここにはこういうことも聞きたいというのがあったら入れていただいても結構でございます。例えばこういう資料を出してほしいとかというのがあったら入れていただいてもよいかと思います。当事者が必要ということで、当事者の団体というのを一生懸命探して入れたのですが、当事者をとおっしゃっていただいた上鹿渡先生、当事者団体にこういうことを聞いてお願いをしたいというのをまとめいただけますでしょうか。

 

○上鹿渡構成員 

全部の団体に対してという感じですか。

 

○奥山座長 

全部でもいいですし、一つ一つでも構わないと思います。

 実を言いますと、里子経験者のお話を聞きたいということもあり、IFCAのほうにはできるだけ里子経験者にお願いをしますということにしてありますので、それも御了解いただいた上でそれぞれの団体にいただけるとありがたいと思います。

 

○上鹿渡構成員 

はい。私もこの資料を見ていて気づいたのですけれども、ヒアリング対象に養子縁組の当事者が入っていませんが、新たな社会的養育についてこれから考える際には養子縁組当事者のお話も聞くことができればと思います。

 

○奥山座長 

ありがとうございます。

 事務局のほう、いかがですか。どこかに入れ込めそうですか。30日ですか。

 

○事務局(田野家庭福祉課課長補佐)

 はい。もし入れるとすると1130日です。来ていただけそうな団体を御紹介いただき、調整をさせていただけたらと思います。

 

○上鹿渡構成員 

では、後ほど事務局と話して、可能であれば養子縁組当事者へのヒアリング予定も入れていただき、それぞれに対する質問事項、こういうことを聞いたらいいかなということをまとめるということですね。

 

○奥山座長 

よろしくお願いいたします。

 

○上鹿渡構成員 

わかりました。

 

○奥山座長 

前回の議論から、この会の非常に大きな論点になるだろうというのが継続性、永続性のところでございますので、養子縁組は非常に重要なポイントになってくると思いますので、ぜひお願いしたいと思います。

 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。比較的どちらかというと御意見を伺うという形になっていて、多分こういう御意見をお願いするとその資料というのは出てくるのだろうと思いますけれども、こちらから何か資料があればということでお願いをするのでしたら、それも入れていただければと思います。これに関しましては、できるだけ早く団体のほうにお伝えしなければなりませんので、先ほどの進捗状況の御質問とは異なりまして、少し早目に確定していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 加賀美先生、どうぞ。

 

○加賀美構成員 

保育所協議会は出ているのですが、保育所保護者の関係者でもいいし、保育所を取り巻く保育経験をしたお母さん方というような団体もあるだろうし、そのあたりの意見も少し伺う機会があればと思います。

 

○奥山座長 

すみません、どなたか保育所保護者の団体は御存じですか。

 

○山縣構成員 

国の委員をよくやられる団体さんがあります。

 

○奥山座長 

そうですか。

 

○山縣構成員 

東京拠点。保育所等の利用者の会は、厚生労働省の委員も時々しておられる。保育園を考える親の会だったかな。普光院さんという代表の方が東京で活動しておられるので、そのグループとかは協力をしてくださるのではないかというように思います。

 

○奥山座長 

ありがとうございます。では、連絡をとっていただいて。

 

○事務局(田野家庭福祉課課長補佐) 

調整をさせていただきたいと思います。また、どんなことを伺いたいかということもあわせて教えていただけたらと思っております。

 

○奥山座長 

ありがとうございます。

 他にいかがでしょうか。

 では、団体に関しては、その2つの団体を追加するということ。そして、その質問にこのようなことでお聞かせいただきたいということに関しての内容に関しましては、当事者のほうは上鹿渡先生のほう、そして、保育園保護者団体に関しては加賀美先生のほうにお願いしたいと思います。是非よろしくお願いいたします。よろしいでしょうか。

 それでは、少し早目ではございますけれども、もし最後に時間がありましたらば全体の議論もできるかと思いますので、非常にお忙しい中、今日、私たちのこの会議にヒアリングに来てくださいました団体の方々にヒアリングを行っていきたいと思います。前のほうにどうぞお座りいただきたいと思います。よろしくお願いします。

 本日の関係団体ヒアリングといたしましては、全国児童養護施設協議会、全国乳児福祉協議会、全国母子生活支援施設協議会、全国情緒障害児短期治療施設協議会、全国児童自立支援施設協議会です。この5つの団体の代表の方に来ていただいております。非常に短くて申しわけないのですけれども、1団体10分程度で御説明をお願いしたいと思います。

 では、まずトップバッターとして、全国児童養護施設協議会の武藤副会長、どうぞよろしくお願いいたします。

 

○全国児童養護施設協議会(武藤副会長) 

それでは、全養協からの意見ということで、私、副会長、武藤が意見を述べさせていただきたいと思います。

 文章をご用意しましたので、目を通していただきたいと思います。

 まず、今回の児童福祉法改正で、何といっても理念、総則に子どもの権利、子どもの最善の利益が位置づけられたということが、私たち現場にとっても何よりも大きいことだと評価をしているところであります。

 御存じのとおり、児童養護施設等には、人として生きていく権利や正当に育つ権利さえ奪われた子どもたちが今非常に多く入所してきています。また、施設に入所してくる児童はまだよいほうで、地域には貧困状態であったり虐待が疑われるなど、その育ちが十分に保障されていない子どもたちも多く存在しているという状況であります。そうしたなかで、全ての子どもの最善の利益が保障されるよう、今後も児童養護施設は、地域の子育て支援の拠点として、地域の子どもたち、家族も含めて、その支援ができるような役割を十分に果たしていきたいと思っています。

 2ページ目以降は四角で囲っております。これに関しては、今、全養協として重点的に取り組んでいる課題と、課題を解決していくための具体的な提案ということでまとめております。

 まず「社会的養護の課題と将来像」。これは実現のために、この5年間さまざまな提案を全養協としてもさせていただいて、昨年度から3期、15年かけて施設の養育単位の小規模化や地域化、高度化を進めてきているところであります。この課題と将来像が示す方向性は、今後も現場としては必要ではないかと考えております。

 ただ、今回の改正児童福祉法の説明の中では、できる限り良好な家庭的環境ということで、地域小規模児童養護施設と分園型の小規模グループケアが位置づけられているのですが、現在、私たちが進めている施設内でのユニットケア、小規模グループケアには触れておりません。施設内でも家庭的環境の整備はできると考えております。課題と将来像の議論のときも感じましたけれども、施設における家庭的養護というのは一体何なのかという点について、まだ議論が足りていないのではないかと思っております。この検討会においても、家庭的養護とは何なのかという点について、現場の意見も反映していただきながら、議論していただきたいと考えております。

 施設での養育単位の小規模化、家庭的養護、地域分散化をもっと進めるということであれば、更なる職員配置の検討や職員の専門性の構築など、きめ細かな施策充実が必要ではないかと考えております。

 本検討会で施設類型の見直しを含む社会的養護の体系のあり方を検討するということですが、施設現場の意見を抜きに進めないでいただきたいと強く考えております。それぞれの施設の機能強化を現在図っている真っ最中でありますので、現場との意思疎通を十分に図っていただきたいと思っております。よろしくお願いします。

 次に、一時保護機能の充実と活用に関してです。

 一時保護については、以前、この検討会の前身の専門委員会でも話をさせていただきました。児童養護施設には虐待を受けた児童が入所してきますが、ひどく虐待を受けて心身ともにぼろぼろになって入所してくるという児童が多く見られます。もっと早く何とかならないのか、という問題意識から、一時保護のハードルをもう少し下げて、もっと早期の段階で一時保護すべきであると思います。そういう意味で、今後児童養護施設がもっと一時保護機能を持っていく必要があるのではないかと思っています。

今月、一時保護の受け入れ体制の整備に関する局長通知が出されました。全養協でも今、全施設の調査を行っていますが、一時保護委託を多くの施設が行っているのです。課題としては、施設整備や職員配置の改善があがっていますので、その体制整備を推進していくためにも、是非検討をお願いします。 

3つ目に、進学支援の自立支援策の充実に関してです。

 5~6年前からすると、非常にさまざまな充実策がとれるようになってきました。今回は実現のために必要な4点を提案させていただいておりますので、是非検討をお願いします。

 それから、今私たち現場で最も重要な課題となっておりますのが、4点目にあげた、社会的養護の人材確保、育成、定着の問題です。職員配置が昨年度から学童について4対1に改善されましたけれども、家庭養護を進めれば進めるほど、施設にはより支援の困難な児童の入所が見込まれます。また、施設も家庭養護を推進する、支援するということであれば、その機能を十分に果たすための職員配置が必要になってくると思いますので、あわせて御検討をお願いします。

 職員の育成についても、別のワーキンググループで児童相談所職員の専門性等を中心に検討されるとのことですが、施設現場の職員の専門性についてもぜひ検討していただけないかと思っています。

 5番目は児童家庭支援センターについてです。

 現在、112カ所行っていますけれども、国は3年後の2019年度までに340カ所開設することを目標にしています。課題と将来像では、15年後に全ての施設で標準装備をするべきだという方向性を出しています。地域の子ども家庭支援の拠点として、児童家庭支援センターの果たす役割はとても重要だと思いますので、今後とも体制整備など設置の促進を是非お願いしたいと思います。

 最後に、里親支援策の拡充についてであります。

 私たち児童養護施設としても、里親制度の拡充はとても必要だと考えていますが、里親と施設が地域でもっと協同していく必要があり、そのための推進策がまだまだ不十分だと考えています。私たちもそのための様々な取り組みを進めていきたいと考えていますが、国を挙げての取り組みを是非お願いしたいと思います。

 さきの専門委員会でも議論されましたけれども、措置権は児童相談所が持ちつつ、里親開拓や支援、援助、育成など、ここは施設を始めとした民間に任せて行うことがとても重要ではないかと思っております。施設としても家庭支援専門相談員や里親支援専門相談員が配置をされていますので、専門職を活用し、その役割を十分果たしながら、今後も積極的に里親支援の施策充実に取り組んでいきたいと考えていますので、よろしくお願いします。

 終わりに、このような発言の機会をもっと増やしていただき、現場からの提案をこの検討会の議論に生かしていただきたいと思っております。現場では非常に有効かつ様々な実践が行われております。その実践を是非この場の議論に生かしていただきたいと考えておりますので、今後ともよろしくお願いします。

 藤野会長より補足発言をさせていただきます。

 

○全国児童養護施設協議会(藤野会長)

全養協会長の藤野です。

 今、武藤副会長から話してもらいましたが、1つ課題として考えているのは家庭と同様の養育環境という概念についてです。ファミリーホーム、里親、特別養子縁組を含めた養子縁組は家庭と同様の養育環境というように整理されています。この言葉が何を意味するかにもよりますが、養子縁組はよいとしても、ファミリーホームや里親は家庭と同様の養育環境とはいえないのではないでしょうか。措置・委託児童の多くには保護者がいます。当然のことながら子どもは保護者を一義的には求めるわけで、里親やファミリーホームにも保護者と委託児の両方への支援が求められます。例えば保護者に障害があったとしても、それをもって養育ができないというわけではないわけで、それを踏まえた支援が求められます。親のいない児童であれば別ですが、こうした点から考えると、里親やファミリーホームも、施設のグループホームや小規模ケアも同様だと思うのです。

 一方、施設のグループホームや小規模ケアもできるだけ可能な限り家庭環境に近づけることは可能だと思います。今まで12名以下を小舎と言っていましたが、例えば5~6名といった人数への小規模化を考え、それに向けて考え方を整理しようということで話をしております。家庭と同様の養育環境、良好な家庭的環境或いは家庭的養護などの概念の整理が必要です。

 

○奥山座長 

ありがとうございました。

 質疑に関しましては、今回は施設の方々にお集まりいただいておりますので、重なる部分もあるかと思いますので、全協議会のヒアリングが終わった後で皆さんとの質疑応答をしていきたいと思います。

 では、続きまして、全国乳児福祉協議会の横川制度対策研究委員長、よろしくお願いいたします。

 

○全国乳児福祉協議会(横川委員長) 

全乳協の制度対策の横川です。よろしくお願いします。

 皆さんのお手元の11ページから全乳協としての意見「新たな社会的養育の在り方に関する意見」ということで取りまとめておりますので、それを見てください。

 まず1として、改正児童福祉法にうたう「児童の権利の保障」のために、子ども家庭福祉の現状と問題点を検証され、実現可能な「新たな子ども家庭福祉制度」の確立を早期に実現することが必要不可欠です。

 特に、第1条では「全ての児童は、児童の権利に関する条約の精神にのっとり、適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され、保護されること、その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他福祉を等しく保障される権利を有する」との理念がうたわれました。とても真に尊重すべきことだと思っています。

 そのために、国の責任のもとに、子ども家庭福祉の現状と問題点を十分に分析・検証を図り、実現可能な新たな子ども家庭福祉の制度を早期に確立されることが重要です。「子どもを主体とした適切な養育環境」を確保できるよう、抜本的な見直しを図ることが最も重要な課題と考えております。

 2番目として、家庭での養育を原則としつつも、その原則のもとに親の養育を受けられず、社会的養護を必要とする乳幼児を保護し養育する乳児院については、次のような措置入所等の条件等を必然とすべきですということで、マル1~マル7まで書かれております。

 まず1番目として、緊急性を要する要保護の状態にある乳幼児のまず命を守るのだというところ。

 2点目として、病気や障害、被虐待等、重篤な課題があって、医療・看護、リハビリ・心理療法等の専門職によるケアを必要とする。特に発達過程においてまだ障害というものが認定できるまで、それまでの子どもたちの発達状況の把握をしながら、発達課題における課題に応じた適切な専門ケアを提供できるということが必要だと。

 3点目、その中で、やはり個別の養育を実践できる、できるだけ小規模な生活の営みによる養育、乳児院の養育環境の改善ということで、原則24時間1対1、加えて重複、担当職員の配置というものは必要だろう。

 マル4として、兄弟の分離防止をするためである。

 マル5として、妊娠、産前産後の母子の支援機能を乳児院においても持っていかなければいけないだろうということ。

 マル6として、何と言っても子どもと親・家族の関係性を支援というところが乳児院の今、取り組んでいることですので、それに加えて、退所後の家庭支援、継続的に家庭支援を図るためのソーシャルワーク、心理職等の専門職を有して取り組みたいと思っています。

 大きな3番目としては、早期に家庭養育あるいは同様の養育環境を確保できるようにということで、里親開拓、里親委託、里親支援の役割というものも果たしている状況ですが、そこをもう少し、もうこれ以上力を入れていかなければいけないなと思っています。

 4点目として、2歳未満の乳幼児の一時保護。後でデータも見ていただきたいと思いますが、専ら乳児院が担っているという状況の中で、一時保護される乳幼児の体質や体調が把握しづらいというリスクがあります。やはり一時保護を受けてから3日、4日で急変するということはどこの乳児院も体験していまして、これは本当に怖いことだと思っております。情報の共有化の重要性ということを本当に感じているという状況です。

 5点目ですが、特にアセスメントのところで、この新たな社会的養育の在り方に関する検討会のベースになっている部分だと思われますが、平成19年5月の「今後目指すべき児童の社会的養護体制に関する構想検討会中間まとめ」で提起されたアセスメントの部分について、とても全乳協としても刺激をいただきまして、それからの取り組みというものがかなり多くなってきたというように思っております。

 アセスメントセンター機能を図るための「子ども家庭支援専門センター(仮称)」というものも必要だと思われますし、それを乳児院等の社会的養護児童福祉施設が受託できるようということも提言したいと思っています。

 6点目、先ほど里親支援のことの話をしましたけれども、里親研修に加えてレスパイトケアだとか相談支援を担っておりますが、児童相談所、市町村等の連携・協働ということで、里親家庭の養育の質の標準化とか権利擁護の意識を高めていくための先ほども言った専門センターという役割が必要だと思っております。

13ページ目を開いていただきまして、7点目として、改正児童福祉法では「市町村は支援を行う拠点づくりに努める」ということを言われております。その拠点づくりというところにも私たち乳児院も受託できるような形で努力していくべきだと思っています。

 要望事項としましては、(1)~(8)まで書いております。

 (1)としては「乳児院」の名称を「乳幼児総合支援センター(仮称)」としてください。

 (2)保育士・看護師等の処遇改善をお願いしたいということ。それに加えて、社会的養護関係児童福祉施設の総合的な研修、人材育成を確立してください。

 (3)改正障害者総合支援法、平成28年5月に改正、平成30年4月から施行と思われますが、その実現の中で、乳児院等の障害児支援対策を強化してください。

 あと法人・乳児院が主体として「小規模グループケア」や「ファミリーホーム」を実施する場合の労働基準法等が遵守できる体制整備としてください。もしくは労働基準法等の適用除外の取り扱いをしてください。

 5番目としましては、小規模グループケアの定員4~6人ということを今、言われておりますが、職員配置増はなく小規模化を進める環境を悪化させていると思われます。定員修正か職員配置の再検討ということをお願いしたいです。

 6点目、これも強く感じています。暫定定員制度の見直しというものがとても重要だと思います。市町村からのショートステイだとか先ほど言った専門センターの受託みたいな形を考えると、多様な子育て支援の受け入れが安定的に可能なシステムに変更してください。

 7点目として、「家庭的養護」等、新たな言葉が使用されておりますが、混乱があります。整理するか法等から削除していただきたいと思います。

 8点目として、「里親」の名称を変更する。例えば「社会的養育者」というものを提案したいと思っております。

14ページから先がデータも含めた現状です。

14ページについては、一時保護のことが書いてあります。平成26年度の一時保護委託を見ると2,372件。これは全体の一時保護の受託の18%を乳児院が担っているという状況です。夜間帯は23.5%の緊急対応という形。全国の乳児院の総定員が3,650程度ですので、入所も一時保護も合わせますと4,000人近い子どもたちのアセスメントを実施しているという状況です。

 次、15ページ目をお開きください。15ページ目のところで、新規の入所理由、平成26年度のデータがあります。この中で虐待の率が高いということもそうですが、やはり親の精神疾患というものが16.8%という形です。そこは大きいなと思っていますし、あと虐待の中のネグレクト、怠惰、養育拒否というものがありますので、先ほどもお話がありました養子縁組制度の考え方というものは非常に重要になってくると思います。あと乳児院には専門職が配置されているということが強みの部分ですので、その点についても御理解いただきたいと思っています。

 飛びまして17ページ目ですが、実際に親とどんなことをやっているかという状況ですけれども、家庭復帰率ということを考えれば、やはり45.4%、一時保護の場合は49.2%という状況で家庭に戻っています。ただしというところから、ここはちょっと気をつけなければいけないのですけれども、リスクアセスメントには課題があると思っています。一時保護を受けている間に面会交流がストップしているというケースがあります。そうなるとどうしてもそれがリスクとして残ってしまいますので、その点については強調したいと思っています。

18ページ目、面会はどのぐらい受けているか。一施設当たり大体月に43回程度の面会を受けています。平均の暫定定員が27.2人ぐらいだと思いますので、その中で親と寄り添い、親自身の悩みを受けながらという状況が乳児院の特質の一つだなと思っています。そこも御理解いただけるとありがたいです。

 4点目、里親支援の取り組みについてですが、皆さんのほうにも冊子を入れておりますけれども、よりよい家庭養護の実現を目指してということで提言をしています。また参考にしていただきたいなと思います。面会対応のところは、親だけではなくて里親さん、里親候補の方も受けていますので、そこも御理解いただきたいと思っています。

19ページ目ですが、先ほど言いました病児、障害児とのかかわりについてですけれども、19ページ目の下の表を見てください。健常児の割合ですけれども、昭和57年、88.9%だったものが、平成26年には43%に激減しています。減少しているという状況です。その代わりに虐待のパーセンテージが急増して病虚弱児のパーセンテージが急増しているという状況です。

20ページ目ですが、その関係もあって、入院が非常に多いという状況です。一施設当たり平均98.64日の入院。通院だと年間に719.5回という形になっています。ただ、そういったことも含めて、乳児院はOTPTSTなどの療育の機会などを大事にすることによって、そういった方との連携がとれるということも1つの強みになってきているなと思っています。

 6点目、養育の質を高めるための取り組みということを重視して実施しているという状況です。

21ページ目ですが、地域のさまざまな機関との連携重視ということについては、先ほど言ったOTPTのこともそうですし、予防接種が非常に多くなったということもあって、地域の保健師さんとの連携も多いなと思っています。

 8番目としましては、人材育成ということについて、今、取り組んでいることを書かせていただきました。何と言っても、乳幼児期、重要なのは愛着形成をもとにした自己肯定感が持てるような養育だというように思っています。構成員の方々にお願いですけれども、できれば今、乳児院で子どもたちや親に、里親さんに向き合っている職員が自己肯定感を持てるような制度の改正をお願いしたいなと思っています。やはり自分の仕事に対するやりがいというものはとても大きなことだと思いますので、その点についてはよろしくお願いしたいなと思います。

 少し長くなりました。以上です。

 

○奥山座長 

横川様、ありがとうございました。

 続きまして、全国母子生活支援施設協議会、芹澤副会長、よろしくお願いいたします。

 

○全国母子生活支援施設協議会(芹澤副会長) 

よろしくお願いいたします。

 全国母子生活支援施設協議会のほうから、まず初めに、児童福祉法の改正におきまして、児童が家庭において心身ともに健やかに育成されるよう、児童の保護者を支援しなければならないと保護者支援が条文に明記されたことは、新たな子どもの家庭福祉の実現に向けて大変評価するところでございます。

 また、児童福祉法の第33条の中で、一部の児童に対しては一時保護の年齢制限が二十までに改正されたこと。また、売春防止法の第36条におきましても、婦人相談所長が必要と認めた場合には母子生活支援施設における母子保護を実施する都道府県、市町村の長へ報告、通知を行うことが義務づけられたこと。これは母子保護の実施において大変有効であると考えております。

 これまで、母子生活支援施設は、社会的養護を担う施設と位置づけをされてきたものの、どのように活用するのか、具体的に明らかにされていません。家庭養護、家庭的養護を推進する中で母子生活支援施設は、家庭養護の最後のとりでとして有効な機能を有している施設であると是非明記いただき、活用促進を切望しております。

 課題と将来像をさらに発展させるものとするため、本検討会の議論が前向きな見直しになることを期待しております。

 また、母子生活支援施設では、平成27年5月に、私たちの目指す母子生活支援施設のビジョン、報告書を作成させていただきました。その中では、まずインケアを包含した総合的包括的支援の拠点を目指す。それから、地域の中の母子生活支援施設へ切れ目のない支援の提供を目指す。また、支援の専門性の向上を目指す。家族関係再構築支援を目指す。自立の支援も目指す。こういうものを総括しまして、最終目標としまして、ひとり親家庭支援センター構想、こういうものを持ちまして、ひとり親家庭の支援の拠点を目指すインケアの充実とともにアウトリーチの充実にも取り組んでいきたいという方向を示させていただきました。

 それでは、各分野にわたる現状と課題、必要と思われる事項につきまして意見を述べさせていただきます。

 まず、特定妊婦の受け入れにつきまして、現在、18歳以下の監護すべき児童がいないと母子生活支援施設を利用することはできません。監護すべき児童がいない単身の妊婦についても受け入れができるようにしていく必要があるのではないかということです。現在は、婦人相談所の一時保護委託におきまして一時利用できるようになっているのですが、それがうまく促進されていないという現状がございます。これにつきましては、また後ほど少しだけ触れさせていただきます。

 そのような中で、母子生活支援施設の利用。例えば一時保護あるいは措置入所を含んで図って、妊娠期から出産、出産後の生活まで、そのお母さんの本人の生活ベースの中で切れ目のない継続的な支援の提供ができる施設として、ぜひ特定妊婦等の利用の促進を図っていただきたいと思っております。

 先ほど申しましたように、現在、DV防止法や売春防止法に基づく一時保護は婦人相談所で行われておりまして、母子生活支援施設はその委託ができるという形になっておりますが、基本的にはDVあるいは売春防止法に基づくということの緊急一時保護が中心になりますので、ルールが非常に厳しく、例えば携帯電話の所持ができない、あるいは外部との連絡とか外出の制限というようなものがどうしても起こります。そうすると、若年母子であるとか特定妊婦、ハイリスクな妊婦さんの利用とうまくつながらないというミスマッチングが起こっている。ここで一時保護委託がストップしてしまってつながっていないという現状がございます。

 今回、児童福祉法の改正の中で婦人相談所長における通告というのを明記していただいたのは非常にありがたいことだと思います。ただ、通告だけではなかなか福祉事務所との連携がうまくいかないというのが現状ですので、ぜひその先に母子生活支援施設での保護を行わなければいけないという流れをつくっていただけるといいかなと思っております。

 利用対象の拡大ということで、どのように特定妊婦を受け入れていくかという中で、児童のいない妊婦はまず児童福祉法上で受け入れを可能とするということが必要ではないかなと思っています。児童虐待事例については児童相談所が現在対応します。DVについては婦人相談所が対応します。母子生活支援施設は福祉事務所ということで、そこの流れがどうしてもそこで切れてしまうというような現状がございます。虐待については児童相談所が入所できるように、DVについては一時保護した場合には婦人相談所が入所できるように、それぞれが対応できるようにすることで、スムーズでワンストップ化した支援が可能になるのではないかというように考えております。

 続きまして、一時保護についてです。今回、児童福祉法の第33条が一部要件を拡大されました。これについては、また後ほど触れさせていただきたいと思うのですが、地域という中では福祉事務所が一時保護を実施できるような制度を創設していく必要があるのではないかということ。婦人相談所以外の配偶者暴力相談支援センター、最近は市町村でもかなり多くの配偶者暴力相談支援センターが設置されております。でも、ここでは一時保護はできないという形になっておりますので、母子生活支援施設等に委託をした一時保護、市町村等の配偶者暴力相談支援センターでも実施可能にすると、地域においてよりスムーズな保護、支援というものが実施可能になるのではないかと思っております。

 母子生活支援施設もそうは言いましてもさまざまな課題を抱えていて、社会的ニーズに十分に応えられているとは思っておりません。その中で、こういうような方向を示していく中で、まず支援力の強化です。特に保育士の必置であるとか、あるいは母子生活支援施設だけでは特定妊婦の対応は不十分です。保健センター、保健師さん、病院とかの連携、また障害を持った方などにつきましては、ヘルパーさんとの連携体制、こういうものをつくっていく中で、母子生活支援施設がさらなる機能強化をはかっていけるというように目指していきたいと思っております。

 最後に、母子生活支援施設が特定妊婦を受け入れていくという考え方です。現在、どこも、例えば保健センターでそういう特定妊婦の相談があっても、それが母子生活支援施設を利用できるというようなところとか、活用するという視点が持てていない。それは今までのルールとかと方針の法的な形がないからなのです。ですので、必要な特定妊婦の受け入れが母子生活支援施設で可能であるということをきちっと周知していただいて、その流れを整備していただくということが必要であるというように思っております。

 もう一つ、最後の○のところでは下の最後のほうに書いておりますが、特定妊婦の受け入れについては、母子生活支援施設、福祉事務所だけではなくて虐待リスクということで、児童相談所等がきちっと関与できるというネットワークを構築することも必要であるというように思っております。

 次に、親子関係再構築支援について意見を述べさせていただきたいと思います。

 母子生活支援施設は、親子がともに生活しながら、24時間365日の見守りと母親と子どもに対して必要な支援が提供できる人たちとして大変有効な機能を有しているというように思っております。既に児童相談所との連携あるいは保健センターとの連携によって、虐待事例や特定妊婦の受け入れを行っている施設もたくさんあります。今後、家庭養護の推進を図る上で母子生活支援施設の役割や機能を「社会的養護の課題と将来像」においてきちっと位置づけをしていただくということでその活用を図っていただくことが有効ではないかというように考えております。

 その中で、いくつかのパートに分けて考えていきたいと思います。まず一時保護なのですが、今回、一時保護の要件が一部緩和されたわけですが、児童福祉法の33条では、子どもの一時保護しかできません。実際に父親からは虐待があるが母親は虐待がないというような事例というのがあります。具体的に言うと、例えばわかりやすいのは性虐などがあった場合にこういうパターンというのは非常に多い。ところが、現在の児童福祉法の33条では、児童の一時保護しかできない。これは場合によったら、児童の権利条約で子どもがその父母の意に反してその父母から分離されないことを保障するというところに抵触する可能性もあります。ぜひ必要な場合には母子での保護ができるような形を考えていくということが児童の最善の利益の保障につながると考えております。

 例えば被虐待児の処遇決定において、現在は在宅あるいは里親さん、施設というような選択が行われるわけですが、家庭養護という選択肢を増やす上で、是非その中で母子生活支援施設の活用というものを考えていただいたらどうか。里親さんと同じに家庭養護という位置づけの中に母子生活支援施設を入れていただくと、今、目標としています里親委託率3分の1という将来像の実現がより早い時点での到達が可能になってくるのではないかと思いますので、ぜひ「社会的養護の課題の将来像」の中で里親等という形で母子生活支援施設の活用というのを明記していただけたらと思っております。

 

○奥山座長 

少しお急ぎいただいていいですか。

 

○全国母子生活支援施設協議会(芹澤副会長) 

わかりました。すみません。

 それから、家族再統合支援です。これも今まで言われておりますが、児童養護施設や乳児院から家族再統合する場合に母子生活支援施設を活用した関係構築、親子関係の再構築を目指していただくというのも大きな方向ではないかというように思っております。母子生活支援施設は一時保護、分離か不分離かという段階、家族再統合、この3点できちっと母子生活支援施設の活用というのを目指していただけるとありがたいなと思っております。

 先ほども申しましたので、大きな3番のところは簡単に報告させていただきます。

 「社会的養護の課題の将来像」において、母子生活支援施設はインケアからアウトリーチ、また地域支援と総合的包括的な支援を目指していきたいと思っております。

 最後に、小規模分園型のサテライト型の母子生活支援施設となります。児童養護施設とか乳児院のほうが小規模化は進んでいるのですが、母子生活支援施設は小規模化が進んでおりません。サテライト型の母子生活支援施設のおおむね1年以内の退所を目指すという枠がありまして、これが大きなネックになってしまっているという現状があります。小規模であれば例えば個別ニーズに対応しやすい、また、運用を工夫すれば集団生活が困難な母子の受け入れ、または父子家庭の受け入れも可能になってくるというようなニーズがあると思います。是非このあたりも含めて御検討いただけたらと思っております。

 ありがとうございました。

 

○奥山座長 

どうもありがとうございました。

 続きまして、全国情緒障害児短期治療施設協議会、高田副会長、よろしくお願いいたします。

 

○全国情緒障害児短期治療施設協議会(高田副会長) 

ありがとうございます。よろしくお願いします。

 今度の児童福祉法改正で名称が児童心理治療施設というように目的がはっきりわかるような名称になって本当にありがとうございます。今は、情緒障害児短期治療施設ということでお話しさせていただきます。

現在、児童養護施設、里親のもとに暮らしている子どもたちの中にも専門的な心理治療が必要な子どもたちはかなりいると思います。まだ集計中ですけれども、神奈川県の児童養護施設でCBCLをとったところ、半数を超える子どもたちが専門的な支援が必要というようなデータが出てきていますので、決して減っていないし、ますます増えているのではないかと思います。実際、情緒障害児短期治療施設はどんどん増えている状態で、2000年自体は17施設だったのですが、今45施設、数年後には50施設を超えるというような予定になっております。そういう予定からもわかるように、各地域で情緒障害児短期治療施設の必要性が認識されているというように思います。

 その中で、私たち情緒障害児短期治療施設は社会的養護の中、もしくは社会的養育における心理治療センターとなることが大事だというように認識しています。もともと情緒障害児短期治療施設は年少非行、不登校、昔でいう学校恐怖症、その時代から学校恐怖症、不登校を治療し、その後は家庭内暴力、虐待、発達障害というように、その時代時代に新たに注目され始めた問題をいち早く治療してきたという実績があります。今後もそのような先駆的な治療施設としての機能をきちっと担保して、かつ、発展させていくというのが課題だと認識しています。

 今後の課題としていくつか挙げさせていただきました。1つは、厚生労働省が目標としている各都道府県の最低でも1個という目標がまだ達成されておりません。未設置の都県がまだありますので、少なくとも各都道府県に1つないと公平性に欠けるところもあると思いますので、その推進を目指していきたい。学校教育の導入とか医師の確保ということがかなり問題にはなってきているのですけれども、協議会としてもいろいろな情報提供、運営ハンドブック等々で支援をしていきたいというように考えています。

 2番目は医療的ケアの充実が喫緊の課題でして、現在、情緒障害児短期治療施設に入所している子どもの45%、昨年度のデータで45%が精神科のお薬を服薬しています。この数字は年々伸びてきておりますので、今年になると半数に近づくと思いますということで、医療とのつながりというのは欠かせないということなのですけれども、医師の確保というのは難しい状況になっております。

 常勤医師というような限られた形ではなく、いろいろな形でお医者さんが働きたくなるような環境づくりということを考えていく必要があると思います。社会福祉法人立の診療所を開設して外来を開くということかかなり大きな意味がありまして、地域とのつながり、地域から通所に、通所から入所に、入所からアフターケアにという流れは外来機能を持つことで果すことができます。退所した後も医療ケアが必要なくなるということではございませんので、医療が絡むような施設になっていきたいと思っております。

 これはどこの協議会の方々も同じだと思うのですけれども、やはり専門性の確保向上というのは大切なことでありまして、特に専門性の高い施設ですので、そのあたりの技量を上げる工夫を協議会としてもやっていきたいと思っています。今、研修体系を考えたりしていますが、調査研究なども含めていろいろなことを進めていく必要があると思います。今、新設施設がかなり増えていますが、情緒障害児短期治療施設の経験者を入れ込んで施設を新設するということは難しくなっているので、協議会として長期研修、長期実習、座学だけでは無理ですので、施設に実際長い間研修に行くとか実習に行くとかというような形を推進していきたいと思っています。現行でもかなりの施設が受け入れて相互に研修をしているのですけれども、これをもっと形あるものにしていきたい。今後施設がある程度の数になって標準化した運営というものがだんだん固まってきた場合は、職員の養成、研修所のような施設ができてもいいのかなという思いもあります。

 戻りますが、通所機能の充実ということで、先ほどお話ししたように、治療というのは入所したからもう終わりということではないわけで、地域から入って入所してまた地域に戻っていく。その間、ずっと治療というのは引き続き行われていくというイメージです。そのためには、入所機能だけではなくて通所機能、外来というものをきちっと整えていくということが必要になります。ただ、交通の便の悪いところにある施設は結構ありますので、そういう意味ではサテライトの診療所を持つとか通所機能だけサテライトにするとかというような工夫も必要になってくるかと思います。また、今、通所が一律の負担金なので、そこのあたりの改正もお願いしたいと思います。

 入所期間が年々延びてきております。虐待を受けた子どもたちの入所が増えてきたあたりからだんだん延びてきています。ただ、入所期間が延びるということは、多くの子どもたちが利用できなくなってくるということになってしまいますので、3年ぐらいをめどにうまく出していきたい。ただ、残念ながら高齢児、高校年齢の子どもたちはなかなか措置変更ができない。もちろん家にもなかなか帰れないということで在所期間が延びてしまうのですけれども、通所機能をうまく利用しながら児童養護施設にお願いするとか他のところにお願いするという形で、なるべく地域に戻るステップを踏めるようにしていきたいと思っています。

 最後に、この情緒障害児短期治療施設は、小中学校が中に併設されるということがとても大きな意味があります。もともと学校で相当に適応の悪いお子さんたちを集めている施設ですので、児童養護施設のように地域の学校に通うということは難しいわけです。施設の子どものための学校教育を各自治体と協力しながら用意しているというのが現状です。法的には何の位置づけもありませんので、教育委員会との協議のもとに入ってきてもらっているというのが現状です。これがかなり新設のときのネックになっている部分でして、協議会としても文部科学省にも要望を出しているのですけれども、自治体の中での学校教育とのやりとりが難しい状況ですので、そのあたりのことがうまくいくような支援をお願いしたいと思います。

 学校の先生自体も治療的教育の担い手です。一般の教育委員会の先生ですので、そういう専門的な知識をお持ちでない先生が赴任されてくるのですけれども、大事な治療者の一人ですので、そういう先生方への研修とかを通して、教育界への貢献もできるのではないかなと思いますので、とにもかくにも教育委員会との連携がうまく図れるような形を進めていきたいと思っています。

 書き込んでありませんが、先ほどお話ししたように、治療期間を短期化すると子どもの入れかわりが激しくなる。子どもの入れかわりは多くは年度末に行われるので、どうしても3月に退所して4月の在所児童数が非常に減っている状態から年度が始まりますので、暫定定員になる可能性が非常に高いのです。そのあたりはずっとお願いしているのですけれども、是非こういうことだということを御理解いただいてお考えいただければと思います。

 以上です。

 

○奥山座長 

ありがとうございました。

 では、最後になりますが、全国児童自立支援施設協議会、林会長、お願いいたします。

 

○全国児童自立支援施設協議会(林会長) 

全国児童自立支援施設協議会の林でございます。よろしくお願いいたします。

 時間もないようですので、課題考察についてお話しさせていただきます。

 まず、子どもの権利について、それを主体に考えるという法改正の趣旨になっておりまして、すごくいい時代になったのだなと思っております。こうやって子ども本位について考えることができて、しかも、それに従ってシステムが整っていく。ただ、いつも思いますのが、それに伴って人の問題、それを手当てする職員側の問題というのはいつも懐疑的な状況にある。どんどんその制度が拡充していくにつれて、逆に支援者の問題というのが一層取り沙汰されていっているのではないかなとすごく危機感を実は持っております。

 本当に我々の社会的養護と言われる仕事に対して、なり手がいないのです。若い方が、その仕事に就きたいとか就こうとか思っているという方が本当に少ないです。特に女性の方であれば保育士さんとかそういう形で、もともと母性があるのですごくいらっしゃると思うのですけれども、特に男性になり手がいない状況に今なっております。これは世の中的にそういう流れではないかなと思っているのですけれども、だから、各協議会の先生方がおっしゃっている専門性をその人にどんどん与えていくという以前に、人材確保が本当に困難になってきているという状況があります。これは例えば今、児童福祉法改正の中で里親さんがすごく注目されてというところがあると思うのですけれども、その里親さんのなり手も本当にいるのかなとすごく懐疑的な気持ちがございます。 

次に児童自立支援施設として、今後の取り組みであるとか環境整備等の点で述べさせていただきます。児童自立支援施設としましては、今回の法改正の主流ではない施設だという認識は持っております。ただ、今後も児童福祉において問題が行動化してしまった子どもに対しての児童福祉法上、最後のとりでというような言葉をよく言われてきたのですけれども、そういう子どもに対する処遇について、その存在意義は変わらないのではないかとは思っておるのですが、過去から言われてきた「withの精神」というのがありまして、職員と子どもが一緒になって物事に取り組んでやってきたという前提がございます。その中で濃密な生活を子どもと一緒に過ごすことで愛着形成を育んで、それによって、不信感の塊であった子どもの人間信頼が回復していくというプロセス、そういうことを行ってきた。このことについては、実は子どもの問題の種類にかかわらず、どの子どもにとっても一定の効果をもたらしてきたと自認しているところでございます。

 このような取り組みは今後も変わらないというところで思っているわけなのですけれども、現実的に犯罪少年、触法少年は減少しております。5年前の2分の1以下になっております。しかも、児童自立支援施設と児童相談所との信頼関係も構築できていなくて子どもの入所に困窮しているという施設もございます。そういうことも含めまして、全児協としましては、もう一度、各施設に社会的な児童自立支援施設の役割というのも啓発していきたいと思っているところなのですけれども、現時点での児童相談所のニードはどういうものがあるかといいますと、男の子の性問題が増えているという現実があります。これは恐らく世の中的にすごく児童相談所が困っている大きな事案になっていると思います。社会的養護の中においても男の子の性問題、男の子だけではなくて女の子もそうかもしれないのですけれども、性の問題というのがすごく大きな事案になっております。

 それと、児童自立支援施設としましては、社会的養護で不適応だった子どもを引き受ける施設、それと各協議会の先生方もおっしゃっていますように年長の子どもの対応というのが困難であると思うのですけれども、このような社会的ニードに我々は今後も現実的に応えていく役割があると思っているところでございます。

 平成23年7月にまとめられた「社会的養護の課題と将来像」で書かれている児童自立支援施設としての課題、いくつかございます。その「社会的養護の課題と将来像」で言われてきた動き、それが各自治体、全然充実されていない。特に人員配置と設備面の強化については、児童自立支援施設は全然されてこなかったのです。もう5年も経過しているにもかかわらずです。我々は公的な施設がすごく多いですので、まず法改正がなされないと各自治体が動かないというところですごく困っているという現状がございます。その中の課題で、先ほども言いました年長児童への対応が指摘されております。これについては、各施設努力しているところでございます。ただ、実際は各施設、子どもの入所に困っていまして、結果的にすぐ卒業させずに中学卒業の子どもをまだ残して処遇するという形を現実的に取らざるを得ないという施設もございます。本来は年長児処遇についても住居の整備であるとか、あるいはそれに伴うそれに対応する職員の確保。その年長児の子どもに対するカリキュラムとかというのが本来必要であるというように思っているところでございます。

 また、相談業務・通所もその将来像に書かれております。ただ、相談業務というのは、時々保護者の方で非行相談があるのですけれどもとメールが来たりします。そういうことは当然対応できるのですけれども、実際、児童相談所もございますので、なかなか相談業務が本来業務にはならないというところもございます。それと通所については、例えば児童福祉法28条で親子の切り離しで児童自立支援施設に来ている子どももございます。その中で通所の子どもがそういう子どもらと接点を持ってしまうと、例えばせっかく親と切り離して施設で生活している子どもたちがいて、通所の子どもがその情報をキャッチして、地域で「あの子がおったよ」みたいなことで情報を流してしまうとかということが起きる可能性がある。だから、通所というのは本来入所型の施設ですので、我々の中では困難な業務ではないかなと思っているところでございます。だから、なかなか通所というのは広がらない。

 親子関係再構築機能、アフターケア業務、これについては、人員配置で改善できる事案であると思っております。特にアフターケアというのはすごく重要なことだと思っているのですけれども、ただ、各自治体で、児童自立支援施設は都道府県で1つしかないというところが前提になっていますので、このアフターケアはすごく広大なところをカバーしなければいけないとかという自治体もあろうかと思います。なかなかこれについても簡単な業務ではない。特に措置が切れている子どもに対してアフターケアという立ち位置がどの程度、機能できるのかというのは我々の中でも1つ課題となっているところでございます。全児協の下部組織で企画推進委員会というのがあるのですけれども、その中でこのアフターケアは議論しながら各施設活性化していきたいというように考えているところでございます。

 先ほど言いました現在のニードですごく大きな流れとなっています性問題の子どもなのですけれども、本当に各自治体の児童相談所は、困っている状況があると思います。ただ、実際、各施設まちまちなのですけれども、性加害の子どもに対して心理士がプログラムを行って対応しているという現状がございます。この辺のところも、例えば心理士の配置については、厚労省の配置基準、児童自立支援施設は例えば10対1も可能だという指針も出していただいているところなのですけれども、現実的にはほとんどそういうことがなされていないという現状があります。ほとんど各施設1人か多くても2人というところで全然動きがないというところになっていますので、またそのような配置の推進とか検討とかも必要ではないかなと思っているところでございます。

 以上、児童自立支援施設からでした。

 

○奥山座長 

ありがとうございました。

 それでは、少し時間が押しておりますので、質問にすぐに移りたいと思いますが、いかがでしょうか。どなたかここは聞きたいというのがあったら。

 最初、きっと皆さんからが出ないので私から。いくつかぽんぽんとお答えいただけるような質問をしている間に皆さんに考えていただきたいと思うのですけれども、まず、全養のほうにお聞きしたいのは、一時保護委託について力を入れていっていただけるというのは、一時保護所が今ひどい部分もあるので本当に期待するところです。一時保護所自体が抱えている問題、混合処遇がどうだとか、そういうことに対して全国養護施設協議会として、ある施設さんはどちらかというと小さい子を入れようとか、ある施設さんは非行も入れようとか、そういう形で混合処遇をなくすとか、そういうような取り組みはなさっておられるのでしょうか。

 

○全国児童養護施設協議会(藤野会長) 

地域特性等はありますが、各施設の特徴や長所を活かした対応は可能だと思います。ただ、その箇所数が少な過ぎるのです。一時保護のための専用の空間をつくって、人もちゃんと配置していく必要があります。そうした体制がつくられている施設は数カ所しかありません。それが全施設にできれば、あるいは乳児院にもそれができれば、非常にスムーズにいくと思います。

 

○奥山座長 

ありがとうございました。

 乳児協のほうなのですけれども、産前からかかわっていく、そして専門的な施設になるというようなお話だったと思うのですけれども、いわゆるポピュレーションアプローチから特定妊婦までいるわけですが、その中でどちらかというと社会的養護なので難しいほうを対象にしたいとお考えなのか、もう少しポピュレーションアプローチのほうにも移行していきたいというようにお考えなのか、そこが理解しづらかったところなのでお話を伺えれば。具体的に言うと、今、子育て世代包括支援事業があって、産後ケア事業あるいは産後ケアセンターみたいなものが立っていくわけですけれども、そういうところとの連携とか、あるいはそこにも一緒にやっていくような形を描いていらっしゃるのかどうかということです。

 

○全国乳児福祉協議会(横川委員長)

 そうですね。おっしゃるようにそことこの連携というものが重要だと思っております。まだまだ子育て世代包括支援センター、イメージも十分できていないというか、箇所数も少ないですので、ただ、とても大事なところだなと。特に市町村の要対協の状況などを見ていると本当にその辺は強く感じています。

 

○奥山座長

 ありがとうございます。

 もう一つだけ、アセスメントが4,000件を超えると書かれておられるのですけれども、具体的にアセスメントのマニュアル的なものというのをおつくりいただいているのですか。

 

○全国乳児福祉協議会(平田会長)

 今日お手元にアセスメントガイドが多分冊子で行っていると思います。

 

○奥山座長

 了解しました。ありがとうございます。後で見させていただきます。

 そろそろ皆さんのほうからあるのではないかなと思っているのです。

 上鹿渡先生、どうぞ。

 

○上鹿渡構成員 

御報告ありがとうございました。

 資料の通しページの11ページで、全国乳児福祉協議会の報告の1の中の最後の段落、特に社会的養護の課題と将来像における基盤分割(3分の1構想)によることなく、子どもを主体とした適切な養育環境を確保できるような抜本的な見直しを図ることが最も重要な課題であるということをおっしゃってくださっているのですけれども、この検討会自体が改正児童福祉法の後でもう一度新たに社会的養育全体を俯瞰しながら考えるという意味では、この問題が今後この検討会の中でも非常に重要な課題になると思います。乳児院の側からもこの点についてご提言頂いたわけですが、このあたりのことをもう少し詳しく、どんな思いを持っていらっしゃるかというところをお聞きしたいと思います。

 

○全国乳児福祉協議会(横川委員長) 

そもそも課題と将来像のときに、3分の1というのはどこから出てきたのかということはずっと言っていて、やはり私たちは実際に現場でやってみて、まだまだ社会的養護で施設に入っている子どもさんたちというのは氷山の一角だろうと思っていて、その部分から考えると、3分の1というところは目標ですねと。そこに向かって進めば整備されますという考え方は違う部分はあるのだろう。ただ、15年計画もありましたので、さあやらなければとやられた感はありますけれども、もっときっと広い、多いだろうなと思っていて、それをどういう形で全体に社会的養護、社会的養育という言葉で表現されておられますけれども、そういうことを考えていくかということにちゃんと焦点を見ていかないと見失ってしまうなと思って議論をしていました。

 

○奥山座長 

ありがとうございます。

 つまり、今の社会的養護は非常にチャンピオンケースであって、本来社会的養護が必要とするのはもっと多いのではないかということを含めたお考えということでしょうか。

 

○全国乳児福祉協議会(横川委員長) 

はい。

 

○奥山座長 

ありがとうございました。

 他にいかがでしょうか。

 藤林先生、どうぞ。

 

○藤林構成員 

では、まず全養協さんにいくつか質問したいことがあるのですけれども、2ページのところに、今後、地域分散化を一層推進するためにきめ細かな施策の充実も欠かせないというようなくだりがあるわけなのですが、その場合に、例えば現在の地域小規模の職員配置数のままでいいと思っていらっしゃるのか、本来はもっと必要ということなのか、その辺の配置数のことが書いていませんので、そこの考え方と、多分私のイメージでは、地域分散化というのは職員の専門性がかなり今以上に必要ではないかなと思っているのですけれども、その点についてもお教えいただきたいと思います。

 もう一点、日本の社会的養護の特徴は、施設ケアに偏重しているというように言われますけれども、もう一つ特徴として私が思うのは、施設入所期間が非常に長いというのも大きな特徴と思っていまして、例えば4年以上児童養護施設に入所している子どもが半分であるとか、8年以上がたしか20%か30%とか、他にも乳児院から児童養護施設に措置変更されて施設だけでしか過ごさないまま措置解除になる子どもさんが多いわけなのですけれども、その施設入所の長期化ということについて全養協さんとしてどう捉えていらっしゃるのか、それはどうあるべきなのか。または全養協さんとして、では、どうすべきなのかということについてお教えください。 

全乳さんにもいくつかあるのですけれども、1つは、2ページの里親に対する取り組みということなのです。ここも全乳さんとして里親開拓委託支援の役割を果たしていくというくだりというのは、この27年5月にまとめられたチームワークによる家庭養護の里親養育事業のことを指していらっしゃるのかどうかというところを確認したいと思います。

 3ページのショートステイのことなのです。これは私も本当にそう思いますけれども、暫定定員との関係でショートステイができないというのが常にあるわけなのですけれども、この改善策として考えていらっしゃるのは、例えば暫定定員の90%を下げるということなのか、またはショートステイ枠みたいなものを考えていらっしゃるのかということについてお聞かせください。

 児童養護施設と同じで、乳児院の場合でも例えば入所期間が1年、2年と長くなっていく場合、それから、調べますと毎年600人、700人、多くの子どもが児童養護施設に措置変更になっていて、里親委託になる子どもの方がそれよりも少ないという現状があるわけですけれども、こういう乳児院に長期入所したり、またはそのまま児童養護施設に措置変更されるという現状についてどうお考えなのか、またはどうあるべきなのか、どうしたらいいのかということについてお教えください。

 もう一点。乳児院ならではのケアということで、医療、看護、リハビリ、心理療法等の専門職によるケアを必要とする。11ページに書かれてありますけれども、確かに医療的ケアの必要な子ども、例えば、気管切開の必要な子どもさんとか、なかなかどこにも一時保護できなかったり措置できないという現状があるわけなのですけれども、ここを強調されるということは、例えば看護師の24時間配置みたいなことも考えていらっしゃるのかどうかということをまたお教えいただければと思います。

 私ばかり質問していいですか。もうこれぐらいにしておいたほうがいいですか。

 

○奥山座長 

すみません、事務局、時間は延ばせるのか、延ばせないのか。5分ぐらい延ばしてもいいのか。5分、10分。

 

○事務局(田野家庭福祉課課長補佐) 

はい。

 

○奥山座長 

では、とりあえず全部言ってしまってください。

 

○藤林構成員 

全部言わせてください。全情短さんに御質問なのですけれども、私の調べた範囲では、情短はあまり小規模化ということは言われていなくて、厚労省の情短の定員の考え方もたしか25人か20人以下は全然措置費が書いていないのですけれども、それでいいのか。やはり情短も今後小規模化、個別化を図っていくということを考えると、もう少しきめ細かな定員の考え方もあるのかなと思っています。また、ユニットケアを推進していくとか、小規模化についての考え方をお教えいただきたい。今の情短の職員配置数について全然書かれていないのですけれども、それで本当にいいということなのか。欧米の情短のように、もっと十分な職員配置数が必要なのかどうかということについてもお教えいただきたいと思います。

 同じことは児童自立支援施設さんにもあるのですけれども、ここもやんわりとしか書いていないのですけれども、職員配置数、現状でさまざまな性的問題行動を持っていらっしゃる子どもさんに例えば夜間、1人、2人という職員で本当に対応できるのかという、本当のところの職員配置数の考え方についてお教えください。

 母子生活支援施設さんについては、サテライトのような小規模ということを言われておりましたけれども、現状、何カ所ぐらいあって、定員何人ぐらいでされているのか、その辺をお教えください。

 たくさんすみません。

 

○奥山座長 

ありがとうございました。

 では、全養のほうからお願いします。

 

○全国児童養護施設協議会(武藤副会長)

 まず、職員配置数のことなのですけれども、平成27年度予算で、学童について4対1という改善がされましたが、より一層、小規模化を進めるということであれば、この配置基準だけでは足りない。全養協で何回かプロジェクトチームを持って、実際にどのくらい必要なのかということを試算したことがあるのです。その中では、6~8人ぐらいの子どもたちの集団を見るということであれば、それから、基本的には乳児のほうからも出されましたけれども、労働基準法を遵守しながら進めるということであれば、1ホームに最低4.8人必要だろう。そういうことが前に出ました。

 東京でも試算したら、子どもたちが帰ってきて寝るころまでは、6~8人を1人で対応するというのは結構大変なのです。そうすると、そこのところの時間帯に複数で対応できると非常に子どもたちも落ちついたり、職員も安定的に子どもたちに支援ができるというようなことがあります。職員が1ホームに対して5人ぐらいいないと、複数勤務が組めないということになります。すると当然4対1という配置では可能ではないと思いますので、今後、小規模化や家庭的養護を進めれば進めるほど、それに本当に対応できるような職員配置をシミュレーションし、配置基準を検討していかなければいけないと思います。一気に配置基準を改定ということはなかなか難しいかもしれませんけれども、検討していただきたいと思っています。

 

○全国児童養護施設協議会(藤野会長)

 施設入所の長期化ということですが、4~6人の小規模ケアがさらに進展すれば、また個別ケアが進めば進むほど、家庭復帰したりあるいは家庭復帰が困難な子どもの場合の里親委託や養子縁組が進み、結果として入所期間が短くなるというように私は思っております。それがなかなかまだ進んでいないのが現状で、今、5年ぐらいになっています。

 一方、大学進学まで含めて22歳まで支援するのが私たちの責務ということであり、在園のまま大学に行っている子どもも現にいるということです。そういうのを含めて平均5年ぐらいが今の状況なのだと思っております。先ほど誰かが言われましたけれども、施設に来ている子どもはつながりができておりますが、結果として地域に放置された状態となっている子どもたちへの支援が、今まさに求められています。虐待予防も含めた地域展開を進めていくことが、入所期間の問題も含め重要だと思っております。

 

○奥山座長 

乳児協さん、お願いします。

 

○全国乳児福祉協議会(横川委員長)

 里親のほうについては、ここに書いてあるとおり、ここを目指しているという状況で御理解ください。

 ショートステイについては、ショートステイ枠という形で東京都にもあるのですけれども、ショートステイ専門職員が雇えて、そこのスペースがあって、本当にごく一部であとはないので、普通に入所スペースにショートステイとして受けざるを得ないという状況。ただ、こちらとして考えているのは、これから市町村へいろいろな機能を求めていくわけですので、やはり暫定の計算のショートステイの部分を入れ込んで9割という考え方をとるのか、それとも今の時点でも年間4,000人ぐらいの子どもたちが新規で入ってきているので、そこの部分についてもう少し外出しのショートステイ枠というものの制度化を図るかということを考えているという状況です。

 入所期間のことについては、長期間という状況ですけれども、お手元にある平成26年度の実態調査の中の26ページを開いていただけますと、里親委託、児童養護施設への移管により退所した児童の入所理由というところで、かなり高い割合で児童養護施設に行っている部分は、やはり36.9%という虐待というものと親の精神疾患137人、20.3%と書いてありますけれども、面会は何とかできているけれども、帰すにはかなりリスクがあるという部分があって高い数字になっているという状況です。ただ、長期間の利用と短期利用というのが両極に分かれています。

 医療ケア、看護、リハビリについては、看護師の24時間体制というのはぜひそういう形でやっていきたいというように思いますが、バックアップしてくれる小児科医とか病院というものがなかなか十分ではないといういろいろな課題はありますけれども、これだけ病虚弱児が多いですから、何とかそういった部分を肉厚にしなければいけないなと感じています。

 

○奥山座長

ありがとうございました。

全母協さんはいかがですか。

 

○全国母子生活支援施設協議会(芹澤副会長)

 サテライトの設置状況ですが、平成26年度の調査になるのですが、全施設233施設中7施設に設置をしております。これが先ほど申した自立退所に向けた準備施設としておおむね1年以内に退所が見込まれる世帯が入所できるということになっていまして、1年間利用して、本体施設からサテライトに行って1年以内にまた引っ越ししなければいけないとなると、利用者が非常にニーズとしてなくなってしまうという現状になっているというところです。

 

○奥山座長

 ありがとうございます。

 全情短のほう、どうぞ。

 

○全国情緒障害児短期治療施設協議会(高田副会長)

 施設定員のことに関しては、実際30名を切っている施設がありまして、今、厚労省に基準に関しては要望しているところです。今後も定員数の小さい施設が作られると思います。あとは養育単位の小規模化に関しては、治療的にどうなのかということは今もずっと考えているところで、小さければ必ず早く治るというようにはどうも思えない。やはり人間関係が非常に不得手な人たちだけを集めているので、その辺のところを考えますと密な関係だけでいいというわけにはいかないというのはあります。

 人員配置のことに関しては、川崎のようにユニットでやると今の最低基準では全く足りません。児童養護施設でもそうですけれども、1人配置などということは絶対に考えられない。治療施設においては確実に複数配置しなければいけないと考えれば、1対1は少なくとも必要というぐらいになるかとは思います。

 

○奥山座長

 ありがとうございました。

 全児協さん、どうぞ。

 

○全国児童自立支援施設協議会(林会長)

 職員配置のことで質問があったと認識しているのですけれども、先ほど言いましたように23年の課題と将来像の中で職員配置が4.5対職員1から子ども3対職員1に変えてもいいという提言をいただいて、27年に実際そういう通達も来ているわけなのですけれども、先ほども言いましたようになかなか自治体が動いておりません。だから、職員配置ではすごく課題がある状態でずっと推移している。本来的には公的な施設ですので、先に例えば法改正があって、完全に3対1にしなさいという法改正がなされた後、各自治体が動くというところになっていますので、先ほど言われたように職員配置の問題というのはずっとつきまとっている問題でございます。児童自立支援施設のシステムも夫婦小舎制というシステムがあって、一方で交代制というシステムもあってということで、各自治体によってすごく運営もばらつきがあるという状況になっております。そういうところで今、推移しているというところでございます。

 以上です。

 

○奥山座長

 ありがとうございました。

 ほかに御質問をどうぞ。

 

○山縣構成員

 時間がなさそうなので、いくつかあるのですが、1つだけに絞らせてください。乳児院さん、全乳協のほうにお聞きしたいのですけれども、今、制度上、乳児の一時保護機能が一時保護所にないから乳児院が受けている。それに対してアセスメントセンターをベースにした子ども家庭支援専門センターの創設を提案しておられますけれども、考え方としては、これは一時保護所が全て独立したものになって、今、児童相談所が持っている一時保護所に乳児も対応する機能がくっつくということをイメージしておられると理解していいですか。

 それを前提に、そうすると、今ある児童相談所という部分の一時保護はもう全てセンターでそれを公がやってもいいし、民がやってもいいし、全部独立させるとすると乳幼児、乳児期以降のお子さんもいらっしゃいますので、児童養護施設がやってもいいし、物によっては制度上、児童相談所がどこまでいけるかわからないけれども、母子生活支援施設等も可能、母子生活支援施設のほうも一時保護云々というのを書いておられたので、そういうようなお考えのもとのセンターと考えていいのでしょうか。

 

○全国乳児福祉協議会(平田会長)

 ありがとうございます。

 そもそもこのところに至ったのは、今、本当に子どものアセスメント、保護者のアセスメント、関係性アセスメントというのがきちんと保たれた中で支援先が決まるというのがどのぐらい丁寧に行われていくかというのが非常に乳児の中ではいつも課題にありまして、そういう意味を持って、そこに重きがある、それが児童相談所と組むという形になるのか、今度、市町村に行ったときにその包括支援センターの中にそういう一部が入るのかというのはあるかと思いますけれども、提案のもともとの発想は、そこが丁寧にできるという部署をきちんと置いてほしい、つくっていきたいという意図が大きくあります。

 

○山縣構成員

 ありがとうございました。

 

○奥山座長

 それは場所も分ける、一時保護のお子さんたちを分けるということですか。

 

○全国乳児福祉協議会(平田会長)

 そういうことではないです。

 

○奥山座長

 いつも気になっているのは、予防接種情報もない子どもたちがぽんと乳児院に預けられて大丈夫なのかと思うことが結構あるのです。

 

○全国乳児福祉協議会(平田会長)

 全然個別で見ています。集団の中に入ることはないです。

 

○奥山座長

 わかりました。了解です。

 加賀美先生、どうぞ。

 

○加賀美構成員

 すみません、余り時間がなくなってしまっているところで、短く。

 児童養護施設、これは乳児院も関係するところなので両方に。まず、家庭的養護、家庭というような言葉も含めて、課題と将来像以降、家庭的養護というようなことを推進するという言葉遣いで使われていることについて、両方の施設群がその実態として、その解釈に混乱をしているということを御発言があったので、そのことについて明確な解釈あるいは定義をしてもらいたいというような発言があったと思うので、あるいは乳児院は最初から家庭的養護を外せというかなり強い意見もあったと思いますが、そういう意見と解釈してよろしゅうございますでしょうか。

 

○全国児童養護施設協議会(武藤副会長)

 家庭的の「的」をどれだけ広くとるのか、或いは狭くとるのかという点で、現場では混乱があるというのは事実だと思うのです。家庭的養護とは何なのかという件についても、検討の素材にしていただきたいと思っているところです。

 

○加賀美構成員

 わかりました。では、もう一点、母子生活支援施設ですが、母子生活支援施設は今後、虐待問題がどんどん増えているという状況の中で、母子の治療型施設として明確な位置づけを考えておられますか。

 

○全国母子生活支援施設協議会(芹澤副会長)

 専門性というところはどこまでできるのかというのはなかなか私たちも今はっきりここができますというところが明確でないところがあるとは思うのですが、まずは母子一体で生活していて子どもの最善の利益、ニーズだと思うのです。それに24時間の中で必要な見守り支援を行えるという形態ですね。これも母子生活支援施設しかない。ただ、多分構成員御指摘の、母子生活支援施設はどこまでできているのだということではないかなと思うのですが、すごく積極的に24時間体制、例えば精神疾患の乳児を抱えた人であれば24時間体制での授乳とか沐浴支援をしないと、もう投薬を受けていると深夜起きない。そういう支援をしている施設もあります。ニーズが本当にDVからそういう精神疾患を抱えた人、あるいは障害を抱えた人、また子どももそういう子もいる中で、母子生活支援施設の専門性というのはものすごく幅広いのです。子どもも0歳から18歳以上、20歳までおりますし、お母さんは16歳から50歳以上の人までいる。3障害の人がいるというところで、母子生活支援施設がどこまでできるのかというのは非常に難しい。そこの専門性というのはすごく特化したものではなしに、家族世帯に対してどのような支援、援助が必要かということきちっとアセスメントして、それを関係機関との連携の中できちっと組み立てていくというのが母子生活支援施設に求められる一番必要な専門性ではないかなと思っております。

 

○奥山座長

 加賀美先生、よろしいですか。

 

○加賀美構成員

 いいです。まだいっぱい出てきてしまうから。情短は小規模化に対してどのようなお考えをお持ちでしょうか。課題と将来像はどちらかというと乳児院、児童養護施設、児童養護施設が中心の制度変革だったと思っているのですが、情短についてはその点、どのようにお考えですか。

 

○全国情緒障害児短期治療施設協議会(高田副会長)

 多分養育単位の小規模化のことですね。

 

○加賀美構成員

 いや、ケアレベルの小規模化のことについてお考えがありますか。

 

○全国情緒障害児短期治療施設協議会(高田副会長)

 子どもによって小規模化が向かない子がいると思っています。ですので、バリエーションが必要だということで、一律小規模化をしていくということについては、現時点では反対です。ただ、それを検討していくということはこれからしていかなければいけないのですけれども、今のところ、その検討は行われていないので、これからの調査研究によるかなとは思っております。

 

○奥山座長

 ありがとうございました。

 塩田先生、どうぞ。

 

○塩田構成員

 全養への質問なのですけれども、私も家庭的養護という言葉の曖昧さというのはどう捉えたらいいのかと悩むこともあります。今、先生も家庭的養護とは何かと曖昧だとおっしゃっていられた中、小規模化を全養としてはどこを目指して推進されているのかというところと、そのお答えの中身如何によってかもしれないのですが、最近、私、いろいろな研修等で大舎から小規模化しましたとかユニット化しましたという施設のことを耳にします。でも、朝御飯は全員でお食事していますとか、ユニットの担当を決めないでいろいろな職員が回って歩くのだとか、全体行事を大切にしています、またはユニットのお風呂はつけないで大舎のままのお風呂を楽しんでいますというお話を聞くたびに、何のために小規模化したりユニット化しているのかなという疑問を抱くのです。

 全養としては、そういうような理念のばらつきとか目指している方向性、私は一律とは思えないのですけれども、その辺に対しての対応をどのようにお考えなのか教えていただきたいなと思って質問いたしました。

 

○奥山座長

 お願いします。

 

○全国児童養護施設協議会(藤野会長)

 課題と将来像は、例えば小規模化では、6~8人というように小規模ケアに幅をもたせてスタートしました。それは、当時の全国の状況や東京都での取り組みなどを踏まえ、段階的に体制をつくろうということで始めたものです。私たちが目指すのは4~6人です。例えば今私の施設でやっているのは6人のホームですけれども、6人のホームは幼児さんが1人ぐらいです。それから小学生が1人、中学生1人、高校生が1人、あるいは大学生が1人などとし、それで1つのホームを構成しています。そうすると、本当に個別ケアが可能になるわけです。そういうものを目指して、課題と将来像を5年単位で進めていこうというようになっており、実際に進めたいと思っております。

 

○奥山座長

 ばらつきをなくしていきたいというお考えとお伺いしてよろしいでしょうか。

 

○全国児童養護施設協議会(藤野会長)

 はい。

 

○奥山座長

 では、伊達先生、相澤先生、どうぞ。

 

○伊達構成員

 全養と全乳にお聞きしたいのですけれども、今、出ている問題の中で一番議論が必要で大変きつい状況に対する認識というのは、児童虐待という問題が出てきて、これに対して介入して、その後に一件の流れをどうつくれるかというところに、本当に子どもたちに対して、細切れではなくしていくような体制がどうとれるのかということで家庭的養護の話も出てきていると思うのですけれども、その家庭的養護に対するアプローチの仕方の中で、労働問題は避けて通れないと思うのです。これは全乳のほうで適用除外まで踏み込まれたのは大変おもしろい1つの提起だというように個人的には思います。全養さんのほうでは、そこら辺も含めて出していく中で、問題の方向性を見出していくというような考えがおありなのかどうか、そのことをお聞きしたい。

 

○奥山座長

 なるべく手短にお願いいたします。

 

○全国児童養護施設協議会(藤野会長)

 もちろん、法律面を含め、職員の働き方、労働問題をどうクリアするかというのは、重要な課題だと認識しています。

 

○奥山座長 

そういう方向性を考えているということでよろしいでしょうか。

 

○全国児童養護施設協議会(藤野会長)

 はい。私たちとしても解決策を検討していきたいと考えています。

 

○奥山座長

 では、相澤先生、お願いします。

 

○相澤構成員

 時間がないので高田先生にお聞きしたいのですけれども、高田先生のところ、低年齢の子を扱っていますね。年齢の高い子と低年齢の子を扱ったときの効果の違いを簡単にお願いします。

 

○全国情緒障害児短期治療施設協議会(高田副会長)

 心理治療だけで言えば、年齢が低いほど治療的な働きかけに対する反応がいいというように思っています。ですので、幼児段階で治療的なかかわりをしていくというのはかなり大事なことで、まだ始めていないので何とも言えないのですけれども、そうだと思います。

 高齢児に関しては、本来であれば児童養護施設にお願いしたいというところがあるのですけれども、状況によって必要ということがいっぱいありますので、できる限りのことはしようというようなことでやっています。ただ、小中学生と高校生を一緒のところでやっていくというのはかなり難しいなと思っています。施設内に高校があるわけではないので、生活がまるで変わってしまいますので、そのあたり、これからの工夫かなと思います。

 

○相澤構成員

 ありがとうございます。

 

○奥山座長

 ありがとうございました。

 ほかにも御質問がいっぱいあると思うのですけれども、もしありましたら出していただいて、事務局に間をつないでいただいて御回答いただくこととしたいと思います。また、これは私から団体の方々へのお願いなのですけれども、恐らくこれから議論をしていく中でいろいろな資料とか、また、いろいろな施設協議会さんに御質問やお伺いしなければならないことが出てくると思いますので、ぜひ御協力をいただけますようお願いして、今日のヒアリングは終わりにしたいと思います。どうもお忙しい中、ありがとうございました。

 では、事務局の方にお返ししたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○事務局(田野家庭福祉課課長補佐)

 事務局でございます。

 次回につきましては、10月7日、1316時を予定してございます。次回の検討会は本日と同様に、各検討会・WGの開催状況ですとか先ほどの法改正後の進捗状況につきまして説明と意見交換をさせていただくのと、あと本日お示ししました関係団体のうち、10月7日に日程の調整ができた団体からヒアリングを行う予定です。

 以上でございます。

 

○奥山座長

 ありがとうございました。

 では、これで第2回の検討会を終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。

 


(了)

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