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2016年9月26日 平成28年度発達障害・重症心身障害児者の地域生活支援モデル事業検討委員会 第1回重症心身障害児者支援体制整備モデル事業分科会

社会・援護局 障害保健福祉部 障害福祉課 障害児・発達障害者支援室

○日時

平成28年9月26日(月)13:30~15:10


○場所

厚生労働省 共用第6会議室(3階)


○出席者

【検討委員】

大塚委員
田村委員
奈良間委員
福岡委員
米山委員

【実施自治体】

大阪府
三重県

○議題

・平成28年度重症心身障害児者支援体制整備モデル事業実施団体ヒアリング 等

○議事

【第1回重症心身障害児者支援体制整備モデル事業分科会議事録】

○大西障害児・発達障害者支援室長補佐 定刻となりましたので、ただ今より、平成 28 年度発達障害・重症心身障害児者の地域生活支援モデル事業検討委員会第 1 回重症心身障害児者支援体制整備モデル事業分科会を開催いたします。委員会の皆様方、実施団体の皆様におかれましては御多忙のところ御出席いただき誠にありがとうございます。

 この分科会は、重症心身障害児者支援体制整備モデル事業の適切な実施を図るために、本事業の前身である重症心身障害児者の地域生活モデル事業が実施されて以降、関係分野に携わる委員の皆様から実施団体に対して御指導、御助言を頂くとともに、モデル事業の成果を踏まえて、事業の全国展開等に向けた検討を行うことを目的として設置しております。

 本日は第 1 回目ということで、本事業の実施団体として決定された大阪府、三重県に対する事業計画等のヒアリング等を予定しております。事業内容がモデル事業の目的等に沿った効果的なものとなりますよう、委員の皆様方から御指導、御助言のほどよろしくお願いいたします。

 それでは、会議に先立ち厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課障害児・発達障害者支援室室長の高鹿より御挨拶させていただきます。

○高鹿障害児・発達障害者支援室長 厚生労働省障害児・発達障害者支援室室長の高鹿です。本日は御多忙の中お集まりいただき、誠にありがとうございます。平成 28 年度の第 1 回重症心身障害児者支援体制整備モデル事業分科会の開催に当たり、一言、御挨拶申し上げます。

 平成 24 年度より、在宅の重症心身障害児者に対する地域生活支援の向上を図ることを目的として、このモデル事業を実施してきました。今年度も昨年度と同様、都道府県を主体として全国展開できるような先進的な取組を実施していただくことにより、更なる地域生活支援の拡大を目指しております。本分科会は今年度採択された大阪府と三重県に対して、事業計画等に対する御指導や御助言、事業の評価及び全国展開に向けた検討を目的として設置しております。

 本日は第 1 回目の分科会となりますが、大阪府と三重県からヒアリングを実施して、委員の皆様に本事業が有益となるよう御指導、御助言を頂くという形になっております。以上、簡単ではありますが、本分科会の開催に当たり私からの御挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。

○大西障害児・発達障害者支援室長補佐 次に本日の流れについて簡単に説明いたします。お手元の議事次第を御覧いただきたいと思います。本日は第 1 回ということで、まず、この分科会の座長の選任を最初に行っていただきたいと思います。その後、座長の進行により議事 2 の議事の公開について御確認いただき、その後、議事 3 の実施団体からのヒアリングを予定しております。最後に議事 4 として、報告書の様式について御確認をお願いできればと考えております。なお、終了予定時間は 15 10 分を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、座長の選任の前に、本日お集まりいただいた委員の紹介をいたします。時間の関係上、御所属及びお名前を事務局からお伝えいたします。席の順番で紹介いたします。上智大学総合人間科学部社会福祉学科教授大塚委員、名古屋大学大学院医学系研究科教授奈良間委員、心身障害児総合医療療育センター外来療育部長米山委員、埼玉医科大学総合医療センター小児科教授田村委員、社会福祉法人高水福祉会参与福岡委員。本日は委員の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。

 次に座長の選任をお願いしたいと思います。本分科会の座長については、開催要綱に基づき、座長は委員による互選となっております。どなたか御推薦いただける方がおられましたら挙手をお願いいたします。

○米山委員 米山でございます。大塚委員は御専門でモデル事業に長く携わっていらっしゃいますので、是非、大塚委員に座長をお願いしたいと思います。

○大西障害児・発達障害者支援室長補佐 ただいま米山委員より座長として大塚委員の御推薦を頂きました。委員の皆様、御賛同いただけますか。

                                   ( 異議なし )

○大西障害児・発達障害者支援室長補佐 ありがとうございました。それでは、この検討委員会の座長を大塚委員にお願いしたいと思います。座長席への御移動をお願いいたします。それでは、座長より一言御挨拶を頂き、その後の進行は座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○大塚座長 座長となりました大塚です。よろしくお願いいたします。平成 28 年度の第 1 回重症心身障害児者支援体制整備モデル事業ですが、この事業は 5 年目です。様々な形で重症心身障害児者の地域生活の支援体制や、全国でそれぞれ実践をしていただいてモデルを作ってきたものと思っております。それから、全国的な人材養成のことも含めて、この分野において様々な形で、この事業によって支援体制や人材養成が拡大したと思っております。平成 28 年度についても、全国モデルとなるような支援について、様々な形で皆様から御助言を頂いてモデルを作っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 早速ですが、議事に入ります。皆様のお手元の議事次第に沿ってということです。まず、本日の資料について事務局から説明をお願いします。

○大西障害児・発達障害者支援室長補佐 本日、用意した資料は、資料 1 「平成 28 年度発達障害・重症心身障害児者の地域生活モデル事業検討委員会開催要綱」、資料 2 「公開・非公開の取扱いについて」、資料 3 「平成 28 年度重症心身障害児者支援体制整備モデル事業の取組について」、資料 4 「重症心身障害児者支援体制整備モデル事業報告書の作成について」、資料 5 「平成 28 年度重症心身障害児者支援体制整備モデル事業実施概要」、大阪府から追加で配布があった資料「在宅重症心身障がい児者に対応可能な訪問看護師育成研修」が追加で配布されております。資料の不足等がありましたら、事務局までお願いいたします。

○大塚座長 大丈夫ですか。それでは、議事次第 2 にある本分科会の議事公開の取扱いについて事務局から説明をお願いします。

○大西障害児・発達障害者支援室長補佐 資料 2 を御覧ください。本分科会の議事の公開については、国の設置する一般的な会議の慣例に則って、原則公開したいと考えております。このため本分科会は公開とし、資料及び議事録については会議終了後、厚生労働省のホームページ上に公開させていただきたいと考えております。

○大塚座長 事務局の説明のとおり本検討委員会の議事については公開ということで、資料と議事録については会議終了後、厚生労働省のホームページ上に公開することでよろしいでしょうか。

                                   ( 異議なし )

○大塚座長 はい、承ったものとして公開させていただきます。それでは、議事次第 3 の実施団体から提出された事業計画に関するヒアリングを行いたいと思います。大阪府、三重県の両団体の当事者におかれましては、お忙しいところ第 1 回重症心身障害児者支援体制整備モデル事業分科会に御参加していただき、どうもありがとうございます。大阪府さんは昨年に続きですよね。よろしくお願いします。

 この分科会は実施団体から事業計画等の内容を直接お聞きし、ここにお集まりの様々な分野で普段から重症心身障害者の地域生活に携われている委員と意見交換を行って、本モデル事業が一層効果的なものとなるよう、また、全国の自治体の参考となるようアドバイスさせていただくことを目的としておりますので、御理解、御協力のほどよろしくお願いいたします。

 それでは、ヒアリングの方法について事務局から説明をお願いします。

○大西障害児・発達障害者支援室長補佐 本日は大阪府福祉部障がい福祉室地域生活支援課と三重県健康福祉部障がい福祉課の 2 団体からヒアリングを行います。ヒアリングの方法ですが、まず、事業計画等について 20 分間で御説明いただき、その後、各委員から説明内容に関して疑問点等があれば 10 分程度の時間で御質問と実施団体からの回答をお願いしたいと思います。

 なお、事業計画等の説明時間の残り時間 1 分前及び質疑時間の終了間際にベルで合図をいたしますので、円滑な議事の進行に御協力いただきますよう、よろしくお願いいたします。ヒアリングが終了したら、大阪府、三重県の事業計画等に対して各委員からコメントを頂ければと思いますので、よろしくお願いいたします。

○大塚座長 それでは、初めに大阪府さんから説明をお願いいたします。

○大阪府 大阪府福祉部障がい福祉室地域生活支援課の山田と申します。本日はヒアリングの機会を頂戴しましてありがとうございます。座って説明させていただきます。今年度のモデル事業として採択いただいた大阪府の医療的ケアが必要な重症心身障害児者に対する取組について説明いたします。

 まず、本事業の対象者ですが、大阪府では重症心身障害児者を重度の身体障害者手帳 1 級又は 2 級をお持ちの方と重度の知的障害の療育手帳の A 判定が重複している方と定義しております。この定義に当てはまる方は、表の赤い所ですが、昨年 7 1 日現在で大阪府内に 8,284 名おられます。年齢分布については表の下の吹出しの所ですが、 18 歳未満が 3 割、 18 歳以上 40 歳未満が 4 割、 40 歳以上が 3 割です。また、推計ですが、この全体のうち 8 割が在宅で生活されており、全体の半数が人工呼吸器等何らかの医療的ケアが必要という推計が出ております。

 次に事業の範囲です。資料の右側に大阪府の地図を記載しております。医療基盤整備の基本となる 2 次医療圏が大阪府内には政令市 2 市を含めて全 8 圏域あります。御承知のとおり本事業では医療と福祉の連携が大変重要となってまいりますので、広域自治体である府の役割に鑑みて、この 2 次医療圏域ごとに事業を展開することとしております。

 医療的ケアの必要な重症心身障害児者と、その介護者を支える仕組みについて大阪府が目指している重層的なケアシステムをイメージ図で示しております。内側の一番小さい四角のステージ 1 が、障害児者を取り巻く個別ケアシステムと位置付けております。支援の基本となるもので、一人一人の状態像やニーズに応じた支援を医療、福祉、教育等の各サービス実施者が連携して行うというイメージです。

 続いて、真ん中の四角がステージ 2 で、市町村域のケアシステムです。援護の実施者である市町村の責任の下、基幹相談支援センター等が個別ケアシステムにおける医療や福祉のサービスをコーディネートし、当事者が適切なサービスを選択できるよう支援するものです。

 そして、外側の紫の四角がステージ 3 で、 2 次医療圏域地域ケアシステムです。医療的ケアが必要な方への支援は、その専門性の高さから市町村域にとどまらない場合が多い、また、医療的ケアの必要な重症心身障害児者は障害者全体の中でも少数であり、市町村単位では支援のノウハウが蓄積しにくいという課題があります。そこで 2 次医療圏域を 1 つのまとまりとして、大阪府の福祉、保健部門、児童相談所、基幹病院、地域病院等が専門的なアドバイスや支援を行い、市町村のケアシステムを補完するというイメージです。医療的ケアの必要な重症心身障害児者が在宅で安心して生活するためには、このように支援機関が重層的に支える仕組みが重要ではないかと考えており、大阪府では 2 次医療圏域地域ケアシステムの構築のための様々な取組を行っております。

 今年度の事業を実施するに至った、これまでの経過を簡単にお示ししております。重症心身障害児者への支援については、障害者施策の中でも、いわゆる隙間となっており、なかなか具体的な施策が実施できていない状況でした。一方で、 NICU 退院児の増加など在宅で暮らす重症心身障害児は増えており、その支援が課題となっておりました。そこで、まず重症心身障害児者を支援する拠点となる施設の設置をするとともに、大阪府の障がい者計画の中に重症心身障害児者への地域の生活支援を最重点施策として位置付けました。

 次に平成 24 年度の欄を御覧ください。施策の大きな起点となったのが、平成 24 年度に立ち上げた大阪府自立支援協議会の地域ケアシステム検討部会です。この報告書の中で、当事者を中心とした個別ケアシステムを核とし、それを市町村域、あるいは 2 次医療圏域のケアシステムで重層的に支えていく仕組みが提案されました。同時に当時の市町村においては、市町村自立支援協議会や基幹相談支援センターを核とした重症心身障害児者への支援を実施できる基盤が、いまだ十分に整っていないこと、また、特に医療機関との連携については、各市町村とも模索している段階であること等の課題も示されました。

 そこで、これらを解決する取組として、平成 26 年度以降、段階的に 2 次医療圏域ケア連絡会議の開催、当事者向け福祉サービス体験会、事業者向け医療的ケア実施相談会、医療型短期入所整備促進事業等の具体的な事業実施してまいりました。このうち、平成 27 年度については、国のモデル事業に採択いただき進めてきたものです。

 続いて、今年度の取組について進捗状況も含めて説明いたします。過去 2 年間の事業を通じて明らかになった課題に対応するため、今年度は 3 つの取組を行っております。 1 つ目は、協議の場としての 2 次医療圏域ケア連絡会議の継続、 2 つ目は、医療的ケアに対応できる人材の育成、 3 つ目は、在宅生活を支える短期入所受入れ体制整備、ショートステイの継続です。

 このうち、まず、 2 次医療圏域ケア連絡会議について説明いたします。右上の表にありますが、今年度は府内 5 圏域で開催して更なる支援のネットワーク作りを進めることとしております。目的は重症心身障害児者を支援する支援機関同士の協議の場として、相互の活動内容や社会資源を理解して共有し、重症心身障害児者やその家族に必要な情報を届けることとしております。構成員は、昨年度と同じく市町村医師会等、医療機関、保健所、市町村や児童相談所等の福祉機関、教育機関である支援学校の各支援機関となっております。

 昨年度、 2 次医療圏域ケア連絡会議を実施した効果として、医療的ケアの必要な重症心身障害児者に対象を特化することで、当事者のニーズに沿った、より内容の濃いネットワークを構築することができました。例として、昨年度は重症心身障害児者のみを対象としたアンケートを実施しましたが、個別回答の中でも、「重症心身障害児者のことだけを聞いてくれるアンケートは初めてなので、とてもうれしいです」という当事者の声も頂いていたところです。

 一方で個々の当事者に対する支援を検討するというところまでは去年至りませんでしたので、市町村の支援に直結する具体的な議論にはなりにくいという課題がありました。また、市町村域ごとの対象者としては数が少ないため、今後この会議を継続していくことに当たり、市町村が会議を維持、発展させていくことについて費用対効果をどのように説明していくのかという課題が市町村の中から明らかになりました。

 そこで、今年度は運営形態の工夫として、会議を府と市町村の共同運営としました。これによって、市町村の負担を軽減するとともに、最終的な目標である市町村の自立支援協議会で、重症心身障がい児者ケア部会を設置していただくことに至るためのノウハウを蓄積していただくことを目的としております。また、協議内容についても、府と市町村で運営会議を開催して検討することにより、 2 次医療圏域ごとの問題意識に応じた議題を設定できるようにいたしました。昨年度は全圏域で同一の協議議題を話し合っているのですが、今年度は圏域の市町村から昨年度実施したアンケート結果の詳細分析をしたい、熊本地震を受けて災害時の重症心身障害児者への支援の在り方について各市町村の状況を意見交換したい、それから、今年度については個別ケースの検討をしたいという議題が提案されております。

 次に協議内容、出席者の工夫です。より具体的な支援に結び付くように個別ケースの検討を議題に盛り込み、スーパーバイザーによる助言・指導を実施することで会議をより個別ケアシステムに資する形にしたいということで、発展を目指しております。個別ケース検討をするということですので、出席者についても議題に応じて実務者レベルとする等、柔軟に対応することとしております。

 進捗状況です。既に 2 圏域では 1 回目の会議を開催済みです。残りの圏域でも府と市の運営会議を開催して協議内容を決定しているところです。今年度の会議の取組を通して、将来的には既存の会議を活用する等、持続可能な方法で「協議の場」を継続できるように大阪府の中で検討していきたいと考えております。

 続いて、 2 つ目の取組、在宅重症心身障がい児者支援者育成研修事業です。地域の中で調整役を担えるコーディネーターとして、まず、相談支援専門員又はそれを支える基幹相談支援センターということになろうかと思います。大阪府としても、これらの量と質の向上には尽力しており、既に重症心身障害児者への対応も含めた研修の実施等を継続しているところです。一方、医療的ケアに関して申し上げると、喀痰吸引等の特定行為が行える介護職員が民間の登録研修機関において養成され、徐々に増加しております。

 こういう状況を踏まえ、今年度は府独自の取組として訪問看護師を対象とした研修を実施することとしました。あえて訪問看護師に着目した理由としては、昨年度まで 2 次医療圏域ケア連絡会議や事業者向けの医療的ケア実施相談会を実施する中で、特に医療的ケアが必要という特性から、支援者が福祉側からアプローチするよりも医療を基本としたアプローチをするほうが、スムーズな支援につながりやすいのではないかという気づきがあったためです。訪問看護師は医療の基本知識をお持ちの専門職であり、かつ、重症心身障害児者や介護者の日々の生活に密接に関わって状態像を理解するとともに、信頼関係を築くことができる支援機関ですから、ネットワーク支援の中で“つなぎ役”を担っていただける存在ではないかと考えました。

 しかし、大阪府の現状を見てみると医療的ケアが必要な重症心身障害児者に対応していただける訪問看護師は依然として不足しており、このことから、当然ながら重症心身障害児者に対応可能な訪問看護事業所は、まだまだ少ないことが現状です。こちらには数字を挙げておりませんが。データとして、特に小児に対応できる事業所は少ないという実情があります。昨年度の一般社団法人大阪府訪問看護ステーション協会さんの登録ステーションのうち、小児の受入れ可能事業所は、全体の 3 割にとどまっているというデータもあります。その原因として、重症心身障害児者の状態像への理解、経験の不足、福祉サービスとの連携不足やケアサービスについての知識不足があるのではないかと考えております。

 こちらは、昨年度大阪府が実施したアンケート結果から抜粋したものです。少し字が小さくて申し訳ありません。質問としては、本人の介護を行う中で様々な悩み事をどこに相談していますかというものです。上段の数字は回答者数、下段の数字は割合を示しております。囲んである訪問看護師の欄を見ていただくと、健康や体調変化が気になるときの相談相手としては比較的上位に挙げられておりますが、その他の項目については、現状、余り相談先として活用されていないということが分かりました。

 しかし、一方で見ていただくと、いずれの項目でも相談先の上位に挙がっているのは、右から 4 つ目の「家族や親戚」、それから「その他の相談相手」です。その他は主に友人で、残念ながら相談支援専門員についても、その割合は決して高くないという結果が出ました。重症心身障害児者に特化したアンケートですので、これは医療的ケアが必要という専門性の高さも、その原因の 1 つではないかと会議の中では分析しております。

 その結果、悩みの相談先から具体の支援につながっている状況とはいえないということで、ここが大きな課題であると明らかになりました。ケア連絡会議の場でもスーパーバイザーである医師から、重症心身障害児者の支援において訪問看護師はもっと活躍できるという御意見を頂いていることから、今年度は特に訪問看護師のコーディネーター役としての潜在能力を伸ばしていただく目的で、研修を実施することといたしました。

 お手元に追加でお配りしている研修チラシを御覧ください。 1 枚目が訪問看護師向けの研修のチラシです。開くと中に研修のプログラムを記載しております。 1 の基本研修欄を御覧ください。研修では国で作成された「在宅重症心身障害児者支援者育成研修テキスト」を活用して行います。訪問看護師の方に、障害福祉サービスはもとより重症心身障害児者の状態像や、支援の基本的な枠組みを理解していただける内容等を工夫しております。また、右のページの 2. 実地研修を御覧ください。

 併せて、その下にお配りしている 4 枚目のチラシが、当事者介護者向けの福祉サービス等体験会のチラシですので、そちらも併せて御参照いただければと思います。福祉サービス等体験会は、 8 の医療圏域を 4 圏域に分けて、 1 圏域が 2 圏域分をカバーするという形で今年度 4 圏域で実施することとなっております。これまでは、重症心身障害児者と介護者に入所施設での福祉サービスを体験していただくという目的で実施してまいりました。今年度は、その目的に加えて訪問看護師に重症心身障害児者やその介護者と触れ合っていただく機会という位置付けも行い、訪問看護師研修の実習の一部として組み込む形で開催するという工夫をしております。

 そのほか、こちらのチラシに戻りますが、実地研修の中では施設の見学実習、一部ケアの体験実習を含む内容としております。委託先である重症心身障害児者入所施設の御尽力により、ケアの体験等の実習も含んだ充実した内容の研修を実施する予定です。

 資料にお戻りいただき、 7 ページです。 3 つ目の取組は医療型短期入所整備促進事業です。こちらは平成 26 年度からの継続事業です。昨年度のアンケートでも在宅の重心児者に対して利用したいが利用できないサービスという質問をしたところ、短期入所が全体の 13.3 %となり、他のサービスに比べてもっとも多い回答となりました。ちなみに 2 位は、移動支援で 6.5 %でした。このように大阪府においてもショートステイのニーズは継続して高く、特に医療的ケアが必要なお子さんを受け入れることができない施設が多いため、充足率が低い状況です。

 そのため大阪府では、医療機関に医療型短期入所事業所として、ショートの受入れを実施していただく事業を展開しております。具体的には、医療機関が当該ベットを医療提供に利用された場合の診療報酬と指定障害福祉サービス報酬の差額相当を、 1 日当たり 1 300 円と設定しておりますが、大阪府から助成する制度となっております。

 下の表を御覧いただくと、現時点で本制度に基づく短期入所の受入れ医療機関は、府内の 5 圏域で 6 か所となっております。また、※の所ですが、障害福祉サービス事業所の指定は既に受けていただいて、受入れに向けて調整中の医療機関が 4 医療機関となっております。こちらについては、今年度から大阪市、堺市の政令市も対象として拡大しております。

 利用実績については、事業開始当初の平成 26 年度は延べ 4 12 日という実績であったものが、昨年度は延べ 110 445 日ということで大幅に延びております。また、実施医療機関についても、今年度新たに事業所の指定見込みの医療機関も出てきており、今後もケア連絡会議におけるネットワーク等も活用しながら、実施医療機関の拡大を図っていきたいと考えております。

 以上のように広域自治体である大阪府の役割は、市町村の個別ケアシステムと市町村域ケアシステムをバックアップするということで、 2 次医療圏域ごとのケアシステムを構築することによって重層的な支援機関のネットワークを作り上げていこうと考えております。具体的には下の丸になりますが、システムの中核となる専門人材の育成、広域的な利用が想定される医療型短期入所事業所の拡大、スーパーバイザーの確保ということに取り組んでいきたいと考えております。

 最後にスーパーバイザーについて大阪府の現状を報告いたします。大阪府でスーパーバイザーをお願いしているのは、医師、児童福祉司、心理職等で各支援機関の長の職にある方です。担っていただいている役割は、 1 つは 2 次医療圏域ケア連絡会議におけるスーパーバイズ、府の事業自体への協力、例えば、今年度の訪問看護師研修の講師などです。具体的なスーパーバイズの一例は、資料に記載のとおりです。

 課題の所に様々な観点からスーパーバイザーが必要だということを書いているのですが、実際には、これらを全て満たしていただく人材を確保するということは相当困難で、現状では行政機関の長である専門職にスーパーバイザーをお願いしております。行政以外の外部人材の確保、そのための財源の確保が今後の課題であると考えております。

 最後に全体としての課題です。市町村が独自でコーディネーターを養成してネットワーク構築できるまでに力を付けていただくということが最終目標です。そのためには、もう少し大阪府で本事業に取り組んでいく必要があるのではないかと考えております。実際、この事業をしている中で、ほかの自治体からも数多く問合せを頂いており、都道府県のレベルでこういう取組をしていこうという声が高いと考えております。大阪府としても継続して、このような取組を進めていきたいと考えております。私からの説明は以上です。ありがとうございました。

○大塚座長 どうもありがとうございました。それでは、ただいまの説明について、御質問等がありましたら、お願いいたします。時間の関係上、回答と合わせて 10 分間ぐらいでお願いします。

○田村委員 すばらしい取組で感服いたします。ただ、幾つか質問とコメントをさせていただきます。まず順番に沿って、この重層的な取組に関して、私は本当にすばらしい取組だと思いますので、特に質問はないのですが、 2 番の人材育成の所で、今年は訪問看護師さんを中心に人材育成することにフォーカスが定まって非常にいいと思います。基本的には看護師さんは、ある意味、医療と福祉をつなぐ所に比較的近い立場にいる医療職ではないかと思うので、そこに目を付けられたのは、非常にいいことだと思うのです。

 ただ、この訪問看護師さんは全体で 3 割ぐらいしか小児を扱っておられないということですが、我々埼玉県の経験でも、やはり当初は 1 5 分か 2 割ぐらいしか扱っておられなくて、我々が毎年 5 日間コースで、定期的な講習会事業を 4 年ぐらい続けて、やっとそれが 3 割ぐらいになってきたところです。

 その訪問看護師さんが子供を近付けにくいという一番の理由は、やはり子供に慣れていない。特に重症の呼吸管理をするような、 NICU 上がりとか、 PICU 上がりのお子さんに慣れていないというところで、我々はそこを中心に何とか見てもらおうということで、今までやってきて、やっと 3 割ぐらいの訪問看護ステーションさんが子供を見てくれるようになったのです。

 大阪での取組を見ていますと、講義の内容がどちらかというと福祉をしっかり覚えてもらう。これは恐らく看護師さんにコーディネーターの役割をしていただこうということから出たことだと思うのですが、私の埼玉県の経験からいくと、いきなりここまでいける方は、それこそ今まで子供の在宅医療を相当やっておられた看護師さんであって、そういう方にこういう教育内容でコーディネーターをしていただこうという所まで高めることは可能かとは思うのです。しかし、現在の時点で、そこまで比較的子供を扱うことそのものには抵抗感のない看護師さんがそれだけ大阪では多いということなのでしょうか。

○大阪府 ありがとうございます。今回の研修には 160 名の募集ということで、かなり幅広くなっております。全てが田村委員のおっしゃるような経験のある方かどうかはちょっと分かりません。しかし、こちらのほうで事業企画をする中で、大阪府の訪問看護ステーション協会と話をさせていただき、協会の中で小児の在宅支援をする部会というのを既に作っていただいております。それが小児科医会のドクターと協力して研究会を定期的にしているのです。その中で小児の取扱いについては、医学的な方は研究や検討など研修をしていただいているというお話を伺いましたので、私どもは福祉サイドからのアプローチということで、医療の方にあまり踏み込む内容ではなく、障害福祉サービスとのつなぎを担っていただきたいということで、委員御指摘のように基本研修については、福祉に偏った内容になっております。

 ただ、バランスを取らせていただく意味で、実地研修については、施設での体験実習ということですので、こちらは人工呼吸器管理を含め、ケアの体験をしていただいたり、サービス体験会も今年度はお子さんを対象としておりますので、体験会の中でお子さんと触れ合っていただく中で状態像を把握していただいたりと、そういったことも少し盛り込めたらとは考えております。

○大塚座長 ほかの先生はいかがですか。

○福岡委員 福祉と医療のつなぎ役として訪問看護ステーションにラブコールというのは非常に目の付けどころが現実的でいいなと思います。訪問看護協会といろいろ折衝などしていると思いますが、訪問看護の皆様がコーディネーター役を引き受けるに当たって、担当のほうから、課題となるのは何だろうと、想定されているものはありますでしょうか。

 それから、訪問看護協会のほうから、このような所が課題なのだとか、あるいは、この辺の資質ということは、やはり乗り越えなければいけないのだみたいなことで、今、見えていることがあればお願いしたいのですが。

○大阪府 まだ、なかなか課題を皆さんで共有するところまではいっていないのですが、まずは訪問看護ステーション協会さん、それからこの事業に協力していただいている訪問看護事業所さんの共通の認識としては、昨年度のアンケートで訪問看護の利用率が意外と低くて、しかも利用していない理由が知らないからとか、利用できる事業所がないからというかなり厳しい内容の回答になっております。

 事業所さんとしても、まずそこの周知ですとか、必要な方に使っていただく取組をしていかないといけない。そのために御自身がつなぎ役も買って出て、御自身の事業所も含めて、必要なサービスにいろいろとつないでいくようなことをしていかないといけない。それはおっしゃっておられるところです。

 それから、特に小児ということになると、やはり最初の取っ掛かりが医療機関又は保健所になろうかと思いますので、保健所との連絡会議みたいなものを圏域ごとに持っておられて、保健所と訪問看護事業所でつながって、お子さんの状況などを連絡し合っていただいて、どういうサービスが必要かということを話し合っていただく。そういった取組も進めていく必要があるのかといったところは協議の中で話題になっておりました。

○福岡委員 現状は分かりました。

○大塚座長 ほかにありますか。

○米山委員  2 点お伺いしたいと思います。大阪は、本当にいろいろとシステム的に取組をされていて見習う所があって、東京も少し空床利用の医療といいますか、ショートステイか何かを始めるようなのですが、 1 つは、先ほど田村委員からもありましたが、コーディネーターという中で、やはりナースを育てていく、そして思うにやはり私たち医者もそうですし、看護師も、医療の目から見るという視点が多いものですから、そういう意味では、いわゆる ICF 的な参加活動というところは、やはりほかの医療外の方の見る目という、そういった豊かにそこの地域で生きる方の視点というものは是非持っていただきたい。どうしても命というところは大切なのですが、その生活というところを是非研修内容に含めていただければいいと思います。

 それで、短期入所の件ですが、 1 つお伺いしたいのは、この施設は年齢制限はないのですか。大阪以外の医療機関ですが、幾つかの医療機関だと小児までという制限を加えていると聞いたことがあります。

 それから、いろいろなつなぎの場合に、よくいわれるサポートファイル的なデータベースというものがどのように活用されているのか。ショートステイのときに本当に活用できればいいと思うのですが。何かそういう義務付けではないですが、うまい具合に活用されているかということ。

 それからちょっと細かい話ですが、福祉体験会のお知らせの所に、母子通園の療育体験とあったのですが、最近だと「母子」としていると、「親子」にしてくださいと言われます。男女平等ということで、私たちの入所も「親子」入所と書いております。もしかしたら、これも「親子通園」と書かれたほうがいいかと思いました。以上です。

○大阪府 ありがとうございます。チラシについてそれから、研修の内容に療育の視点を含めることは検討させていただきたいと思います。

 ショートについての御質問ですが、年齢制限は各病院でそれぞれ設定していただいております。実際には、やはり 18 歳以上の大人を対象としている病院か、 18 歳未満の子供を対象としている病院に分かれております。中には 15 歳以上でしたらいいという所もあります。それはもう、それぞれの医療機関の御事情で決めていただくという形で制限を設けております。

 サポートファイル作成と利用者さんの情報の共有というところまでは、まだなかなか至っておりません。各医療機関の中でつないでいただいているという状況になるのですが、圏域のケア会議の中でも、将来的にはこういった医療機関の中でのコーディネートみたいなものをどこかが担えるといいねと。この医療機関に申し込んだけれど今は空きがないとか、この医療機関に申し込んだけれど子供の状態像として、ここでは受けられないとなったときに、親御さんがまた自力でよそを探すのではなくて、どこかが一括でコーディネートしてくれて、「あなたはこっちは無理だけど、こっちだったら入れるよ」とか、「今、ここなら空いているよ」というようなことをコーディネートできるといいねという御意見は頂いております。なかなか難しいのですが、それは今後の課題かなと考えております。

○米山委員 障害児の支援利用計画書が一応できているはずなので、それをもっと活用できるようなものになるといいなというコメントを入れさせていただきました。ありがとうございました。

○奈良間委員 昨年度に引き続き、非常に前向きで積極的な取組をしていただいていると拝見しました。 2 点ありますが、まず 1 点目は、訪問看護師に橋渡し的な役割を期待されているということは、本当に看護職がその期待に応えられるようにしていかないといけないと強く思いました。そして研修内容も見せていただくと、在宅においては特にそうだと思うのですが、御家族との関わりが非常に難しいという声をよく伺います。研修内容の中には家族の思いという辺りも多少は入っているのですけれども、この辺りをより充実していただけると、訪問看護師さんとしては、また対応がしやすくなるのではないかと思いました。これについて 1 点お伺いしたいと思います。

○大阪府 ありがとうございます。介護者さんとの関わりが難しいというのは、訪問看護師さんもそうですが、ショートステイの実施医療機関から、本当によく私どもは聞くのですが、例えば、痰吸引も御自宅にいらっしゃるのと同じ回数をしていただかないといけないというようなやり取りを、ショートの受入れ医療機関とはされているというお話もお聞きしております。正に奈良間委員がおっしゃっているところが大きな課題かなと思います。

 実際に今、研修内容の中に、家族の思いとともに育つ支援など、支援の基本的な枠組みの中では、少し介護者の立場にも触れていくという点、それから実地研修のサービス体験会の中で、介護者さんの交流会を予定しております。そこで連れて来られた介護者さんの日頃の御苦労や思いをお聞きする場を設けております。ここに訪問看護師さんにも入っていただいて、聞いていただくようなことは予定しております。

 今日頂いた御助言を基に、委託機関のほうとも少し詰めて、それらがもう少し充実するように組んでいきたいと思います。ありがとうございます。

○奈良間委員 ありがとうございます。もう 1 点よろしいですか。

○大塚座長 すみませんが、コメントのところでよろしいですか。コメントのところで質問等も含めてありましたら、よろしくお願いします。

 それでは続いて、一応時間どおりということで、三重県さんから御説明をお願いいたします。

○三重県 私は、三重県の障がい福祉課の田中と申します。今日はヒアリングの機会を作っていただき、ありがとうございます。座って説明させていただきます。

 それでは、まず三重県のこれまでの取組について御説明いたします。三重県では、小児在宅医療の課題への取組として、平成 23 年度から地域医療再生基金を活用して、三重大学医学部附属病院小児在宅医療支援部において、多職種からなる研究会の開催、現地学習など、医療機関から在宅への移行時や、その後の在宅医療に関わる人材の育成、普及、啓発等を行ってまいりました。

 そのような中、平成 25 年度、 26 年度において、在宅医療を必要とする小児が必要な医療、福祉サービス等の支援を受け、地域で安心して療養できることを目的とした、小児在宅医療連携拠点事業を医政局さんのほうで実施されることになりました。三重県が採択を頂き、小児在宅医療を所管する医療対策局地域医療推進課が、同名の事業を実施いたしました。

 この事業では、県内の 2 つの地区をモデル地区として選定し、主に対象となる小児の把握、体制づくり、家族支援、教育、福祉との連携に取り組みました。対象となる小児の把握では、人工呼吸器、気管切開、経管栄養の医療的ケアを必要とする小児について、丁寧に調査を行った結果、 1 つの地区においては 32 人と具体的な数字を把握することができました。しかしながら、いまだ全県的な把握はできておらず、今年度は県全体の概数の把握について取り組くんでいるところです。

 体制づくりについては、 NICU 等からの退院の際、保健所や市町との連携体制は取られているのですが、地域の医療、福祉、教育などの関係機関へうまくつながっていかないことであるとか、医療的ケアを必要とする障害児者とその家族の支援を総合的にコーディネートできる人材が少ないことが課題でした。

 そこで、有志の多職種の支援者が集い、事例検討会や学習会を行う、地域ネットワークを運営している事例が県内にありましたので、そこを参考に講演会の開催や、市町の障福祉担当課長会議等を通じ、多職種の支援者のネットワークの立上げを行い、平成 27 年度には 4 回の事例検討会を行っております。

 家族支援については、受けられる支援について周知し、少しでも支援を受けやすくするため、小児在宅ケア、支援ガイドブックの作成や、県内の小児在宅医療に関わる地域支援情報を、県ホームページにおいて公開いたしました。

 教育福祉の連携では、障害児通所支援事業所、及び日中一時支援事業にアンケートを送付し、各事業所における医療的ケアを必要とする障害児の支援人数や、支援ができない場合の理由についての調査を行い、医療的ケアを必要とする障害児の支援の現状とその課題を把握しました。この調査については、継続調査を行うことができていなかったところでしたが、今年度に実施される障害児通所支援事業所の利用状況等の調査の際に、同時に改めて調査を行う予定です。

 また、レスパイトの課題として、医療的ケアを必要とする障害児が利用できる施設が少なく、重症児は更に利用できる施設が限られてしまうことや、時期によっては利用が集中し、予約ができないといったことなども提起されました。また、教育分野においては、小学校、中学校における看護師配置等、学校現場における医療的ケアの実施に当たっての課題の抽出が行われました。

 当該事業を踏まえ、昨年度平成 27 年度ですが、障がい福祉課において三重県障者自立支援協議会に医療的ケア課題検討部会を立ち上げ、県内の医療的ケアに係る課題に対する具体的な方策について議論を行う場を設置しました。その中では途切れのない支援体制を構築するための医療と福祉の連携、医療的ケアを実施する支援者やコーディネーターを増やすことや、質の向上といった人材育成、それから、支援を行う事業所が少なく、必要な在宅支援を受けることができないという課題を解決するための短期入所等の通所支援サービスや、相談支援といった在宅支援サービスの充実について議論を頂きました。

 その結果、県が取り組むべきこととして、多職種の支援者のネットワークの構築を推進し、多職種が連携して支援を行うことができる体制を整備していくことが最も優先順位が高いという御意見を頂きました。また、人材育成につきましては、医療的ケアの理解促進を進めながら、喀痰吸引研修等の受講促進を図るための財政的支援の実施や、相談支援専門員が医療的ケアを必要とする障害児者を支援するための研修会を実施していく必要があるという御提案を頂きました。

 在宅支援サービスの充実については、看護師の人材不足の中、事業所に看護師を配置していくことは難しいと考えられるため、医師の往診や訪問看護師が事業所に出向くことができる仕組みの構築により、医療との連携体制を確保していく方法有効ではないかという御意見を頂きました。

 このような経緯があり、現在、医療的ケアを必要とする障害児者の支援を行う施設を地域における拠点としながら、地域の支援体制の構築や受入れ体制の強化を図っていくことが適切ではないかということで、次に御説明する医療的ケアを必要とする障がい児・者の支援拠点構築事業を行うこととなり、本事業に応募させていただいた次第です。

 次のページを御覧ください。医療的ケアを必要とする障がい児・者の支援拠点構築事業の概要について説明します。本事業は医療的ケアを必要とする障害児者の支援実績のある障害福祉サービス事業所を運営する法人に委託して実施することとしており、その事業所を地域の医療的ケアを必要とする障害児者の支援を行う中核的な拠点施設として位置付けた上で、大きく 2 つのことに取り組みます。

1 つ目が地域の医療的ケアが必要な障害児者の支援体制の構築。 2 つ目が地域の医療的ケアが必要な障害児者の受入れ体制の強化です。支援体制の構築では、原則、障害保健福祉圏域を単位として、支援対象地域を設定し、地域の自立支援協議会と連携の上、当該地域において医療的ケアが必要な障害児者の支援に携わる医療、福祉、教育、行政等の多職種の支援者がサービス等利用計画や、個別支援計画の作成及び退院時カンファレンス等の機会に連携して、医療的ケアが必要な障害者の支援を行うことができるネットワークを構築することで、地域で生活する医療的ケアが必要な障害者の途切れのない支援体制の整備を行います。

 また、支援対象地域における医療的ケアが必要な障害者の人数や、その支援を行う地域資源等について把握するほか、こういったネットワーク全県的に推進していくため、水平展開という意味を込めて、支援対象地域以外の地域にも医療的ケアが必要な障害児者の支援体制の構築や、支援方法等について、必要に応じて助言・指導を行うこととしております。

 受入れ体制の強化では、まず医療的ケアが必要な障害者の地域生活を総合的に支援する相談支援専門員やソーシャルワーカー等を対象に、資質向上を目的とした研修会を開催いたします。研修会の内容については、医療的ケアが必要な障害児者の支援に関する基礎知識等の講義を行うとともに、地域の医療的ケアが必要な障害児者の支援体制の構築を推進する内容を盛り込むこととしており、研修を受けていただいた相談支援専門員等が、実際に力を発揮していただく場につながっていくようにしていきたいと考えております。また、平成 27 年度厚生労働科学研究において開発・作成された、重症心身障害児者等コーディネーター育成研修及び重症心身障害児者等支援者育成研修のテキストも活用することとしております。

 次のページをお願いします。また、地域で医療的ケアを必要とする障害児者の受入れを行う事業所が非常に少ないことから、その受入れ人数を増加させていくため、事業実施者が実施する障害福祉サービス事業所等に、医療的ケアの技術を持った訪問看護師に来ていただき、障害福祉サービス等に従事する看護師等があらゆる医療的ケアに対応できるようになるなどの、更なるスキルアップを図るとともに、訪問看護師に来ていただくことで、マンパワーを増加させ、事業所が行う障害福祉サービス等において、実施期間中、現状より平均 1 1 名以上の医療的ケアが必要な障害者の利用の拡大を図り、受入れ体制を強化することとしております。なお、その際には、送迎を積極的に実施していただくこととしております。

 さらに、こちら水平展開の意味を込めて、拠点だけではなく、その他の地域の障害福祉サービス等事業所においても、医療的ケアが必要な障害児者の受入れを行っていく必要があるため、その看護師や特定行為の資格を持つ介護士への医療的ケアの技術等の指導なども必要に応じて行うこととしております。

 三重県内では拠点となり得る施設が複数あることや、この事業の要であるネットワークの構築に当たっては、地域によって医療的ケアが必要な障害児者を取り巻く環境が大きく異なること、それから、地域支援体制の構築に当たっての手法も様々であるため、支援の拠点となる施設を中心として、より地域に根ざした事業展開を行うことで、効果が高まると考えられることから、委託事業者の決定については、企画提案コンペにより実施することとしました。

7 月から 8 月にかけて企画提案コンペにより募集を行ったところ、 3 法人から応募を頂き、選定の結果、独立行政法人国立病院機構三重病院に委託を行うこととなりました。 9 月上旬から事業を実施しております。なお、受入れ体制の強化に係る事業の一部については、財源を地域医療介護総合確保基金としており、今年度の内内示を頂いたのが 7 月になってからのことでしたので、少し事業開始時期が予定よりも遅れております。

 次のページからは、具体的な事業の取組内容、実施状況について、御説明いたします。まず、協議の場の設置についてです。モデル事業実施要綱において、有識者等により本事業を実施するに当たっての助言等を行う場を設置することとされていることから、先ほど説明した三重県障者自立支援協議会医療的ケア課題検討部会と同じメンバーで、医療的ケアを必要とする障がい児・者の支援拠点構築事業委員会を立ち上げました。

 事業委員会では、本事業に関することのみを御議論いただき、課題検討部会では事業の実施状況、成果も踏まえた上で全県下で医療的ケアに係る課題を解決するための方策について引き続き御議論いただきます。構成メンバーは、特別支援学校に通う児童の保護者である当事者家族、基幹病院の医療ソーシャルワーカー、小児在宅医療連携拠点事業に携わった三重大学医学部附属病院の小児科医、看護協会推薦の訪問看護師、小児等在宅医療連携拠点事業実施地区である市の保健師、医療的ケアを必要とする障害者の支援を行う障害福祉サービス等事業所運営法人からの代表者、県内で医療的ケアを必要とする児童生徒が最も多い特別支援学校で進路指導を担当している教員ということで、 9 名の方に委員をお願いしているところです。

 開催状況としては、第 1 回を先日、 9 13 日に行いました。本事業の進捗、実施内容等の御説明を行った上で、事業を進めていく上でのアドバイスを頂きました。また、新事業の全県展開について、本事業の実施を踏まえた相談支援の充実や通所支援サービスの充実について、今年度、 3 号研修の受講者数が大幅に減少してしまった中、これからどのように支援者の人材育成と医療的ケアの支援の普及、理解促進を行っていくべきか等について御議論いただきました。

 次回は 12 月に行う予定としております。議題については本事業の中間報告と、第 1 回と同様、本事業の実施を踏まえた相談支援の充実や、通所支援サービスの充実について、また、短期入所の充実と移動支援の充実の 2 つについては、改めて議論していきたいと、委員からの提案議題となっております。

 次のページを御覧ください。ネットワークの構築についてです。まずスーパーバイザーとして、三重病院には現在、医療ソーシャルワーカーの業務を行っている方を 1 名配置しております。相談支援専門員に同行して利用者宅の訪問やサービス調整会議に参加したり、 NICU 等から医療的ケアを必要とする障害児者が退院する際に関わる医療ソーシャルワーカーや、初めて医療的ケアを必要とする障害者を支援する事業所と協力して、医療と福祉の連携を深めるとともに、医療的ケアを必要とする障害者の在宅生活を支援いたします。

 ネットワークの構築については、三重病院では県内の中勢地域にある津圏域、隣合う 2 つの圏域においてもネットワークの構築を目指しております。その 1 段階目として、相談支援専門員をはじめ、訪問看護ステーションや機関病院、市町など多職種の支援者に声を掛け、 10 月には事例検討会を開催いたします。こういった顔の見える会議で意見交換を繰り返すことで、支援者の連携を密にしていきたいと考えております。

 次のページをお願いします。地域資源等の調査ですが、 2 つの項目について調査を行いたいと考えております。まず、医療的ケアを必要とする障害者が現在利用している地域資源のリストを作成するための調査を行います。調査項目の詳細については、これから事業実施者と詰めていきますが、支援を行っている医療的ケアが必要な障害者の人数や、支援を行っている場合は、送迎の実施の有無、逆に支援を行っていない場合はその理由を調査していきたいと考えております。

 また、医療的ケアを必要とする障害児者の方が、地域生活を送られるに当たって、様々な問題にぶつかることもあるかと思いますが、その際にインフォーマルサービスの利用等も含めて、どのように解決されてきたかを相談支援専門員からの聞き取り等により、できるだけ多くの事例をまとめていきたいと考えております。

 このような調査を行い、どこの事業所が実際に医療的ケアを必要とする障害児者の支援を行っているかを把握することで、地域ネットワークの構築や、その運用に役立てることができるほか、不足している地域資源の把握にもつながると考えております。また、行政としては、医療的ケアを必要とする障害児者を支援するに当たっての事業所における課題、行政的な支援のニーズを確認し、整理したいと考えております。

 次のページを御覧ください。コーディネーターの育成です。 12 月に 2 日間かけて、主に相談支援専門員や基幹病院の医療ソーシャルワーカー、市町の保健師、訪問看護師を対象に研修会を実施する予定です。内容としては、医療的ケアを必要とする障害児者の支援の基本的な知識に関する講義を行い、医療的ケアや医療的ケアを必要とする障害児者に関する福祉制度、多職種連携等の重要性についての知識を習得していただくことを目的としております。また、在宅支援施設の見学を行い、実際の支援がどのようなものかを把握していただくほか、演習や事例検討を行うことで、様々な職種との専門的な意見交換を行っていただき、医療的ケアを必要とする障害児者のサービス等利用計画作成時の手法についても学んでいただくことを目的としております。

 次のページです。最後に本事業を進めていくに当たっての課題ですが、 3 点挙げました。まずは、やはり医療的ケアを必要とする障害児者の人数の把握が非常に難しいことです。医療的ケア捉え方によって様々ですし、行政の持つデータだけでは正確な人数の把握は困難と思われます。また、人数が分からないため、支援のニーズやその量、不足している地域資源の量なども把握しづらい現状です。

2 つ目がスーパーバイザーとなる人材の配置です。今回、本事業ではスーパーバイザーとして医療分野の認定社会福祉の資格を持ち、長年病院に勤務しながら福祉に携わってきた人材がスーパーバイザーとして配置されていることから、先ほど御説明したとおり、地域の相談支援専門員が医療的ケアを必要とする障害児者の支援を行う際の手助けを行うことができます。このような医療にも福祉にも精通した人材は非常に貴重ですので、多職種のネットワークを構築して、きちんと必要な支援を受けられるようにつなげていくことを目指していますが、そのような中でもやはり、相談支援専門員を支援する立場として、医療にも福祉にも精通した人材が数名必要であると感じております。

 最後に、支援を行う障害福祉サービス事業所等の確保です。現在、三重県では、支援を行っている障害福祉サービス事業所等は不足しております。医療的ケアを必要とする障害者の方に必要な支援が行き届いている状態ではありません。そういった事業所を増加させていくには、医療的ケアを必要とする障害者の支援の普及・啓発を継続して行っていく必要があるほか、やはり医療的ケアを必要とする障害者にサービスを提供した際に、それを評価する仕組み等が必要ではないのかと考えております。また、医療的ケアを必要とする障害児者の中には、重症心身障害には当たらない方もお見えになりますが、そういった方の支援は現状では、存在しないということも課題ではないかと考えております。私からの説明は以上です。ありがとうございました。

○大塚座長 どうもありがとうございます。ただいまの説明について、御質問等がありましたらお願いいたします。 10 分ということですけれども。

○田村委員 埼玉医大の田村でございます。三重のほうでは、小児等在宅医療連携拠点事業のときから、行政と病院と非常に密接に連絡しながら事業をやっておられて、我々も非常に勉強になりました。今回、コーディネーターの育成というところに力を入れていると。これは、今の喫緊の課題だと思います。この講義内容と講師については、ここに書かれていますが、大体、どのぐらいの人を対象に、どのぐらいの日数でされるということなのでしょうか。

○三重県 ありがとうございます。人数のほうは、まだ決まっておりませんけれども、 2 日間のスケジュールでやらせていただくことを考えております。

○田村委員 我々も実はコーディネーターの方の講習会を開いていますけれども、我々の実感は、相談支援専門員の方は、いろいろな福祉の制度とかそういったことについては強いのですが、医療の現場、医療の内容については、やはり子供の場合、大人とは全然違いますので、それについて、実際に患者さんを見てもらうとか、それから、 NICU 、ここで NICU の見学と入っていますが、 NICU だけではなくて、医療型受診実施施設の見学とか、そういったものも是非入れられたらいいのではないかと思いました。

 あと、医療的ケアが必要な障害児者の人数把握ということで、これは我々も実は、今やろうとしているところです。埼玉県で我々が病院に対して行った調査では、在宅人工呼吸指導管理料から在宅寝たきり患者処置指導管理料まで、 9 つの保険の項目がありまして、それのどれかを、この 3 か月以内にとっている方ということでやると、割と集まりやすい。

 ただ、恐らく三重の場合もそうだと思いますが、埼玉の場合は、東京に医療依存が非常にいっているものですから、県内の病院だけを対象としたのでは把握しきれないので、もう 1 つは、保健所で、難病指定の書類を県外から来ている所というのをピックアップして、その施設、病院に、県外の病院にもこういったことをやっている、埼玉県のこれこれの患者さんについて居たら教えてくださいということを送って、それで把握ができているのです。恐らく三重の場合も、名古屋とかそういった所にたくさん患者さんが依存しているのではないかと思います。行政と病院の両側の調査が必要なのかと思いました。以上です。

○三重県 ありがとうございます。

○大塚座長 ほかにありますでしょうか。

○米山委員 三重県というのは、医療的ケアではなくて、最初、「医療的手立て」という呼び方をしていることが昔、歴史的にあって、懐かしいなと思っています。もう 10 年ぐらい前に、私はケアの勉強会に三重県に参加して、「なでしこ」とかに参加させていただいたこともあって、いろいろマンパワー的には、あの人とあの人、という先生が大体上がってくる。今の国療から施設の 4 つか、 5 つか、施設を中心にというケアだなと思っていて、結構前向きにやっていらしたようなイメージを持っていました。

 それで、質問ですが、 1 つは喀痰吸引等の 3 号研修の受講者が減ったという理由が分かっていらっしゃるかということが 1 つです。国の制度もいろいろかなと思いますが、有料になったのかなと思いますけれども。

 それと、もう 1 つ、この調査の中で、重心の障害児の通所のケースの調査ということで書いてありましたが、そのときに福祉の制度上、いわゆる学校の「放課後等デイ」の重心の施設が足りないというのは、その通所施設のまとめなどの報告書でもありますが、そこも含めてやっているのかどうか。

 あと、先ほど、最後のほうに一言おっしゃった、重心ではないけれども、医ケアが必要なお子さんのことを言われていましたが、実際にはどのぐらいいらっしゃるのか、田村先生もお話されたように、学校で調査をすると、特別支援学校等の調査は全部出ていますので、そういう意味では、割合と大まかにはつかみやすいだろうと思います。何かそこの教育のほうからも含めて人数とか把握されているかどうか。お願いします。

○三重県 ありがとうございます。 3 点ほど御質問いただきましたけれども、まず、 3 号研修の受講者が減っているということですが、実は私ども今年度から、 1 2 号研修については、 研修の受講料の補助も始めさせていただいていますが、少し減っているような状況です。その辺りについては、やはり医療的ケアに対する障害福祉サービス事業所の受けていただきたいという重要性の認識がまだちょっとということで、その辺りは私どもの力不足ではないかと考えております。

2 つ目の重心の調査の関係ですが、放課後デイのほうも含めて調査対象にしています。

 それから、重心ではないけれども、医療的ケアが必要なということで、そこも調査の対象にするということで考えさせていただきたいと思います。

○大塚座長 福岡委員、どうぞ。

○福岡委員 これはあくまでも一般的ですが、今回、委託先は三重病院さんですが、割と重症心身障害者の委託病床的な所というのは、割合アウトリーチというよりは、中というか、という傾向があるなあと私は思いますが、今回、三重病院にしたその決定打というのを知りたいのです。

○三重県 委員の御指摘のとおりですね、やはり病院ということで、どうしても施設でのケアという部分は今までほとんどやってこられなかったというところはありますが、今回のこの事業を受けまして、そちらにも少し進出してやっていきたいという考えをお持ちですので、その辺りを期待してという部分です。

○福岡委員 この事業をテコにということもあるのですか。

○三重県 あります。その辺りを少し期待してというところもあります。

○奈良間委員 三重大学では、小児在宅ケア関係で既に行われている事業というか、取り組みなどもあるかと聞いております。例えば、小児トータルケアセンター、そのような所との連携等を何か取組んでいらっしゃいますか。

○三重県 ありがとうございます。もう連携は取り組ませていただいております。実は昨年度、その前から一緒に研修等を協力してやっていただきました。それから、今回の委員について、そちらのドクターに入っていただいている形になっています。

○大塚座長 それでは、これで大阪府と三重県からのヒアリング、事業計画等についての説明と質疑は終わらせていただきます。

 あと、 20 分ぐらいで、それぞれの県の方に対するコメントというか、アドバイスというか、御意見を先生方からいただきたいと思います。どうぞ御自由にということで。

○福岡委員 お二方の府と県について、三重さんは今回初めてですが、もう既に 4 年の実績があるし、同じようなモデルをやってこられた所だと思います。大阪府さんはもちろん、この道何年という所なので、私はこの委員に何年か関わらせていただきましたが、ようやく本当に必要なことにくさびを打てて、明確な取組のモデル事業だなと思っています。ここまできたのかと思って、感想を持っていました。大阪府さんの取組にお願いしたいこととして、去年、ステージ 1 、ここが最重要なので、何とかそこに手が届くようにということを申し上げてきたつもりです。個別ケース検討とか、事例検討をされているので、できればステージ 1 、ステージ 2 、ステージ 3 、そこがどのような役割とか、蓄積があって、この事例がうまくいったかというような、いわゆる 2 次医療圏と市町村の圏域と、あと、個別と、何か連携のような事例を示してほしいと思います。どういう事例か分かりませんけれども。例えば、 NICU から移行されていくときに、それぞれのステージがどのようにバトンタッチしたり、キーパーソンが入れ替わったり、一貫させながらこの事例になったかということを何か示していただければと思います。

 まとめて、もう 1 つお願いです。三重県のほうですが、 5 つの市に頑張ってもらうわけです。今日、大阪府、三重県、県の担当者の方が、どうしてこれだけモチベーションを持って頑張ってくださっているのかということもあるのですが、行政の方のモチベーション高めて振り向かせるために、例えば三重県だと、 5 つの市がどのような条件整備ができて、どのような資質があるから、と言ったら生意気ですけれども、この取組に、馳せ参じてくれるのか。その辺の市町村を振り向かせる手立てというか、県側からの、何かヒントのようなものを出していただけたら有り難いと思います。

○大塚座長 今、要望と、アドバイスですけれども、何かありますか、御意見、どうぞ。このようなことを考えているとか、このようにして市町村を振り向かせるのだとか、モチベーションを持っていただくとか。これからですかね。何かありましたら、お願いいたします。

三重県 確かに、関係の市のモチベーションを上げることは県だけで何やかんや言っていても始まらないということですので、市、町会議等も当然、開催させていただきますし、今回の事業を進めていく上でも、市、町を必ず巻き込んでいくという形にさせていただくということ。それから、市、町に対しては、今はその県と市という関係でやってくださいというよりも、お願いベースにはなるのですが、是非、協力をお願いしたいということは伝えていきたいと考えております。

○大塚座長 何かありますか。

○田村委員 大阪は大都市圏、それから、小都市圏と言ったら失礼ですが、三重県は比較的に人口が少ない所でのそれぞれのモデルを構築ということで、今、順調に進んでいると思いました。

 大阪の方に、先ほど時間があったら質問しようと思ったのですが、ショートステイを今年は、基本的には病院にということですよね。やはりそれぞれ一長一短があって、我々、実は「カルガモの家」という重心施設があって、そこをショートステイのベースにしている場合と、それと、我々の病院そのものを短期入所で入れる場合と、比較して見ると、いろいろ急変しやすいようなお子さんのショートステイとしては、病院に入れるほうがより安全なのでいいですし、それはお母さんや、お父さんにとってはレスパイトになるかもしれません。けれども、必ずしも入っていた 1 週間とか、 10 日間が、そのお子さんにとって、積極的にプラスになったかというと、もちろん検査入院とかということで検査したりすることはしますが、やはり居た間、単なるリハビリテーションだけではなくて、いろいろな催しとか、子供の成長を促進するような働きかけとか、そういったものはやはり障害児施設とか、重心施設で、保育士もたくさんいてという所にはやはりかなわない点があります。ですから、それぞれの良い点と、悪い点を認識しながら使い分ける。それから、利用者の方も、そのことを認識して使い分けるというようにされるのがいいのではないかと思いました。

 あと、両方の施設とも、コーディネーターを育成するということで、大阪府のほうは、訪問看護師をキーパーソンとして考えておられて、三重県のほうは、相談支援専門員の方をキーパーソンとして考えておられて、どちらがうまくいくのか、それぞれの人口の違いによるものなのか、それとも、どちらかのほうが絶対いいのだということになるのか、非常に期待しながら待ちたいと思います。

 ちょっとそこで気になったのが、コーディネーターの方を育成したりするときのスーパーバイザーの方の位置付けが、先ほど課題として大阪府のほうも挙げておられましたが、保健所の所長とか、いずれにしても行政の方で責任者、そういう方は一応、行政のいろいろな指示などには応えなければいけないという立場にあるでしょうから、そういう方が医療と福祉と両方をつなぐために、どのようなことが必要になるのかということをいろいろ勉強していただくのかもしれませんけれども、スーパーバイザーを育成するための研修体制のようなものも考えないと、そういうことをポッと任されても、保健所の所長が本当に、医療と福祉の両方に精通しているかというと、特に子供の場合、子供の人工呼吸とか、医療的ケアまで精通している保健所の所長は希有な存在ですので、それをやはり考えていかないと、本当のスーパーバイザーにはなれないのではないかと思いました。それは三重県のほうにも言えることで、三重病院に配置されたというスーパーバイザーの方に対しても、継続的な研修というか、そういう機会を作っていかないと、本当のスーパーバイザーにはなれないのではないかということを考えました。以上です。

○大塚座長 米山先生、どうぞ。

○米山委員 大阪府のほうはどんどんシステムが出来上がってきていて、これは三重県にも多分参考になると思いますが、昨年までの事業でも、今回も先ほど報告でありましたが、医師会との関係というか、コーディネートというか、連携という中で、やはり医師会との関係について。高齢者の包括もそうですけれども、障害で、あと、在宅で在宅ケアをしていただくドクター。診療所はまだ、結局、使用が報告で 10 %しかなかったということで広げていくということでしたが、やはり医師会の活動の中で、在宅で高齢の方、高齢障害の方も、普通に医ケアを見ていらっしゃるドクターは今、どんどん増えています。多分、医療費のいろいろな診療報酬の関係もあって、どんどん増えているのです。そういう意味では、今後、成人、小児の名医で、もちろん三重で小児科の先生方、どんどん活躍されているのですが、成人までを考えたときに、トランジションというか、 18 歳以降の学校卒業以降の方々のケアを考えると、やはり成人。そうすると、その地域での生活の医療の担い手は、やはり医師会のメンバーの先生方なので、是非、そこの医師会のメンバーと少し積極的につながりを持って。この辺は、国立病院など大きい病院だと、なかなかその辺の地域とのつながりは薄いことが多いように思います。津の町、市はどうか分かりませんが、その辺は積極的に医師会の方々をメンバーに入れていくと。在宅、成人のほうのシステムは出来上がっていますから、是非その方々を入れていただくといいと思います。

 それと、学校が結構、積極的にやっているように私はお聞きしているので、そこのところを特別支援学校を中心に医ケアのコーディネーターというか、中心にメンバーがいらっしゃるはずですので、そことのつながりを是非、持っていただいたネットワーク作りをしていただけるといいのではないかと思いました。以上です。

○大塚座長 ありがとうございます。奈良間委員、どうぞ。

○奈良間委員 お疲れさまです。まず、大阪府の御報告を伺って思ったのは、重層的なケアシステムは、どの地域でも活用できる考え方ではないかと思いました。全国展開の 1 つのモデルにつながると思いました。各ステージの総合性というか、どのような関係性で、より良いシステムを作っていくのかということを、更に明確にしていただけるとよろしいかと思いました。

 もう一点は、相談相手のところで、多くが家族や親戚というのが、これ、正に現状を示していると思います。全国的な特徴だと思います。家族内ということに限られるのか、同じ状況にある家族のサポートなのか、両方含まれるのではないかと思います。それを前提に考えると、家族間のネットワークをどうサポートに活用させていただけるかということも、これからの課題かと思いました。ピアサポートに当たるかと思いました。

 あと、大阪府と三重県の共通するところだと思いますが、個別ケースの検討とか、相談支援専門員の方への聞き取り調査という、具体的な情報から、まだまだ制度化に至らないところの対策を考えるに当たっては、そこから吸い上げてシステムを築いていったり、教育モデルを作っていったりというようなアプローチも必要ではないかと思いました。以上です。

○大塚座長 ありがとうございます。田村先生、どうぞ。

○田村委員  1 点だけ追加です。大阪の方の参考資料 1 の一番最後の所に、熊本のことが書いてありましたが、それに関係してです。昨日も実は日本小児学会の災害対策委員会がありまして、熊本から来ていただいた方々に御報告いただきました。小児は災害弱者と言われていますが、その中でも特に在宅で医療ケアを受けているお子さんと家族というのは、最災害弱者だということを痛感しました。行政の方が主導して、この事業をやっておられるということで、災害のときに在宅医療をやっているお子さん、それと、その家族をどこに受け入れるのかということについても、是非、検討することをお願いしたいと思います。

 熊本においては、結局、福祉避難所は全くそういうお子さんを受け入れてくれることはなくて、役に立たなかったという話も聞いておりますので、日頃から、そういうお子さんがどこに行けばいいのかということをきちんと指導する、教えておくという、そういうことについても体制整備をお願いしたいと思います。以上です。

○大塚座長 ありがとうございます。もう少し時間があります。

○米山委員 法律のことであれですが、東京都にも刺激しているのですが、 6 3 日に、平成 30 年の福祉の改定の前に、医ケア児の支援に対する保健、医療、福祉、教育等の連携の一層の推進というところで、主に人工呼吸器を付けたという中での連携推進という法律が、 6 3 日付けでそれだけ前倒しで公布されたのです。そういう意味ではそれを使っていく。法律でこうなっているというところが、ある意味、動かないところを動かしていくものになるのだろうと思いますし、障害児の通所と、あるいは放課後等々を見ていますと、スタッフが足りないというのが現状で、どこもナースが足りないだけではなくて、介護、あるいは保育士、指導員等が足りなくなってきているというのは深刻なのです。そういった中でいうと、上手にネットワーク、それから、研修を含めて人材育成をより強化していただきたいと思います。いい形のネットワークと何かうまく運用できるといいのではないかと思います。以上です。

○大塚座長 ほかにいかがでしょうか。昨日、厚労科研の研究があって、福岡さんとも一緒でしたが、今、重症心身障害者の支援体制のモデル事業ということで、大きな話、マスの部分です。にもかかわらず、やはりその領域ですよね、一番小さな部分から医療圏などを使いながら、全体としてどうやっていくかということだと思います。この支援体制事業と、なじむようななじまないような、ちょっと分かりませんけれども、今は匿名の全体の支援体制整備事業をどうやっていくかということでずっときたのですが、もうちょっとリアリティを持たせるのだったら、匿名ではなくて、誰かと誰かということを出してやってもいいのではないかと。

 先ほど、個別支援計画作りに関わる人たちの連携とか、会議が必要だというところを匿名ではなくて、 A さんのこととして、専門的なコーディネーターが関わりながら、地域の支援の連携が呼応したと。その中で、見えてきたのは、例えば、在宅サービスの不足とか、いろいろな訪問看護が不足ということの課題があったとき、それをもう少し広い範囲において、どのように解決するか。そこは多分スーパーバイザーのような人が呼応したら、地域のことで、こう、できるよという、ちょっとそういう名前を考えながらやってもいいのかと。それをやれということではなくて、そうしたほうがリアリティを持った地域支援体制構築、プロセスの中で呼応していったかということが出てくるのではないかという話があったのですよね。福岡さんのイメージでもうちょっと。

○福岡委員 この後まだ議題があると思ったので、話すと長くなるので結構です。

○大塚座長 そうですか。そのようなこともあるかなという、地域支援体制をどう作っていくかというそのプロセスを今やっていただけたのですが、それを、より補強したりリアリティを持って語るのだったら、そういうのも出していただくと。全部やれというのではなくて、より分かりやすくなるのかというイメージでした。あとは、いかがでしょうか。大丈夫ですか。

 それでは、皆さんからコメントを頂いたということで、次は、報告書の作成についての方法とか、考え方について事務局から説明をお願いします。

○大西障害児・発達障害者支援室長補佐 事務局でございます。報告書の作成について御説明いたします。お手元の資料の後ろから 2 枚目の資料 4 を御覧ください。重症心身障害児者支援体制整備モデル事業報告書の作成についてです。本モデル事業の報告書が単なる補助事業の実績報告書ではなく、重症心身障害者のための地域生活支援を実施するために、全国の都道府県で幅広く活用されるようホームページでも公開いたしますし、これまでの体制作りや取組の具体的なノウハウをまとめていただくという観点から、共通の報告書様式を示すものです。大阪府、三重県におかれましては、この様式に沿って報告書を作成いただきますよう、よろしくお願いいたします。

○大塚座長 それでは、本日の会議は時間となりました。委員の皆様、そして、大阪府、三重県の皆様におかれましては、長時間にわたって、ありがとうございました。特に大阪府、三重県、このモデル事業について、今までの先生方のアドバイス等を御参考にしていただいて、皆様の事業が目的に沿った効果的なものになるよう、よろしくお願いいたします。

 次回の検討委員会では、モデル事業の最終報告会ということで、平成 29 3 月頃を予定しております。これについても、よろしくお願いいたします。

 それでは、以上をもちまして、平成 28 年度発達障害・重症心身障害者の地域支援モデル事業検討委員会第 1 回重症心身障害児者支援体制整備モデル事業分科会を終わらせていただきます。本日は、どうもありがとうございました。御協力、ありがとうございました。


(了)
<照会先>

社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課
障害児・発達障害者支援室 障害児支援係
〒100-8916
東京都千代田区霞が関1-2-2
電話: 03-5253-1111(内線3037)
FAX: 03-3591-8914

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