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2016年6月21日 薬事・食品衛生審議会 指定薬物部会 議事録

○日時

平成28年6月21日(火)16:00~


○場所

厚生労働省共用第6会議室


○出席者

出席委員(10名)五十音順

石郷岡   純、 遠 藤 容 子、 桐 井 義 則、◎鈴 木   勉、 
関 野 祐 子、 曽 良 一 郎、 成 瀬 暢 也、 花 尻 瑠 理、
宮 田 直 樹、○和 田   清
(注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(1名)五十音順

妹 尾 栄 一

行政機関出席者

森   和 彦 (大臣官房審議官)
須 田 俊 孝 (監視指導・麻薬対策課長)

○議事

○監視指導・麻薬対策課長 定刻前ですが、先生方おそろいですので、ただいまから「薬事・食品衛生審議会指定薬物部会」を開催いたします。本日は大変忙しい中、委員の先生方には御出席を頂き、誠にありがとうございます。本日は妹尾委員から欠席の御連絡を頂いております。現在のところ、当部会の委員数11名のうち10名の御出席を頂いておりますので、定足数に達していることを御報告いたします。本日付けで事務局に異動があり、医薬・生活衛生局長に新たに武田が着任しております。本日は業務の都合のため欠席しておりますが、後日に御挨拶を申し上げたいと思います。

 本部会の公開、非公開の取扱いについて御説明いたします。総会における議論の結果、会議を公開することにより、委員の自由な発言が制限され、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがあると判断されたことから、非公開とされております。また、会議の議事録の公開については、発言者氏名を公にすることで、発言者等に対して、外部からの圧力や干渉、危害が及ぶおそれが生じることから、発言者氏名を除いた議事録を公開することとされております。あらかじめ御了承いただきたいと思います。

 それでは、以後の議事進行は、鈴木部会長にお願いします。よろしくお願いいたします。

○鈴木部会長 それでは、最初に事務局より資料の確認をお願いします。

○事務局 本日の資料ですが、資料が1~3、参考文献は1~21、参考資料が1~3になります。以上です。

○鈴木部会長 資料がお手元にない場合には、お知らせ願います。よろしいでしょうか。本日の議題は「指定薬物の指定について」です。審議物質について事務局より説明をお願いいたします。

○事務局 今回、御審議いただきたい6物質については、国内外で流通実態が認められた物質になります。資料1には、各物質の名称、通称名、構造式が1~6まで、それぞれ記載しております。これらの物質について、指定薬物として指定をし、規制対象とする必要があるか否を御審議いただきたいと思います。資料2は、御審議いただく物質のほか、構造が類似する指定薬物や麻薬等について、一覧表にまとめたものです。資料3は、国内外の基礎研究や動物実験の結果等について、中枢神経系への影響を中心に取りまとめたものです。

 資料2を説明いたします。詳細は資料3を用いて御説明いたします。資料2-1には、審議物質1.のMDMB-FUBICA、審議物質2.のTHJ、審議物質3.の5F-AEBや、それぞれに構造が類似する指定薬物や麻薬について、自発運動への影響、カンナビノイド受容体に対するデータを取りまとめております。審議物質は、どれもカンナビノイド受容体への活性を有しており、表に示している、過去に指定した指定薬物や麻薬と同種の作用を有することを確認しております。

 資料2-2には、審議物質4.の3,-Dimethoxymethcathinoneに構造が類似する指定薬物や麻薬について、モノアミントランスポーター阻害作用、マイクロダイアリシス試験の結果をまとめております。審議物質はセロトニントランスポーター阻害を有しており、マイクロダイアリシス試験においてもセロトニン量を増加させる作用を有しており、過去に指定した指定薬物や麻薬と同種の作用を有していることを確認しております。

 資料2-3には審議物質5.の4-Methylmethylphenidate、6.Ethylnaphthidate、それらに構造が類似する指定薬物、向精神薬の自発運動量への影響、モノアミントランスポーター阻害作用のデータを取りまとめております。審議物質はドパミントランスポーター阻害作用を有しており、過去に指定した指定薬物や向精神薬と同種の作用を有することを確認しております。

 それでは資料3-1のMDMB-FUBICAを説明します。通称MDMB-FUBICAですが、指定薬物であるMDMB-FUBINACAやMDMB-CHMINACAと構造が類似する化合物です。行動及び中枢・自律神経症状に対する影響については、マウスにMDMB-FUBICA(15mg)を添加したマーシュマローリーフを、煙草両切りさや紙に充填したものを燃焼させ、マウスを薬物にばく露させたところ、MDMB-FUBICAをばく露したマウスは、マーシュマローリーフをばく露したマウスと比較して、立ち上がり動作、自発運動量及び筋緊張度の抑制、異常歩行、異常姿勢、瞳孔の散大が確認されたと報告を受けております。表1にはMDMB-FUBICAの吸入ばく露時の行動及び中枢・自律神経症状観察時の評価値を載せております。

 また、次の()ではカタレプシー試験の実施結果を記載しております。MDMB-FUBICAばく露後、15分、30分、1時間後のすべてで陰性であったと報告を受けております。続いて()には、ヒトカンナビノイド受容体に対するアゴニスト活性EC50を測定した結果を載せております。MDMB-FUBICAについては、S体とR体それぞれでアゴニスト活性を確認しており、S体についてはCB1受容体の値が9.72×10-9mol/Lで、CB2受容体は1.07×10-9mol/Lであり、R体についてはCB1受容体の値が1×10-4mol/L以上で、CB2受容体は3.10×10-9mol/Lでした。また、参考として、麻薬であるJWH-018の受容体親和性に関する報告値、構造類似化合物のMDMB-FUBINACAのカンナビノイド受容体に対するアゴニスト活性に関する報告値を載せております。S体については過去に指定した指定薬物と同等以上の作用を有していると考えております。また、R体についてはCB1受容体の活性はin vitro試験では、無いことが確認されております。

 次のページにCB2受容体についての報告を載せております。CB2受容体は脾臓等に存在することが確認されていましたが、RT-PCR法、ウエスタンブロット、間接蛍光抗体法等により脳幹のニューロンにCB2受容体のメッセンジャーRNAたん白質が発現することを確認したことで、CB2受容体が中枢神経にも存在することが報告されております。CB2受容体に特異的に作用するアゴニストJWH-133を投与することによりCB1受容体欠損マウスでは用量依存的にコカインによる自発運動量の増加及び側座核の細胞外ドパミン増加の抑制作用があることが示唆されているとの報告がありました。また、CB2受容体は腹側被蓋野のドパミン神経に発現しており、受容体を介した腹側被蓋野のドパミン神経の興奮抑制がドパミン関連行動の抑制に関与する可能性が示唆されているとの報告もあります。以上から中枢神経に存在するCB2受容体に作用することにより、行動変化等を起こす蓋然性があり、MDMB-FUBICAのR体はCB1受容体に作用がなくとも、CB2受容体には十分な作用があることから、人体に投与された場合、精神作用を示す蓋然性は高いと考えております。以上から、MDMB-FUBICAは中枢神経を抑制する作用を有していると考えております。そして最後に海外での流通状況ですが、2015年にスウェーデンとハンガリーにおいて流通があったと報告がありました。

 続いて5ページ、資料3-2のTHJについて御説明いたします。通称THJですが、指定薬物であるNNE1 indazole analogに構造が類似している化合物です。行動及び中枢・自律神経症状に対する影響については、MDMB-FUBICA同様、マーシュマローリーフを煙草両切りさや紙に充填したものを燃焼させ、マウスを薬物にばく露させたところ、THJをばく露したマウスはマーシュマローリーフをばく露したマウスと比較して、触反応、立ち上がり動作及び懸垂力の抑制が確認され、また、異常歩行、異常姿勢、瞳孔の散大及び呼吸数の低下が確認されたと報告されております。また、表2には、THJの吸入ばく露時の行動及び中枢・自律神経症状観察時の評価値を載せております。また、7ページの()にカタレプシー試験を実施した結果が記載しており、ばく露後15分、30分、1時間後においてすべてで陰性であったて報告を受けております。

 続いて、()にヒトカンナビノイド受容体に対するアゴニスト活性EC50を測定した結果を載せております。THJについては、アゴニスト活性を確認しており、CB1受容体の値が2.92×10-7mol/Lで、CB2受容体は5.65×10-8mol/Lでした。参考として麻薬であるJWH-018の受容体親和性に関する報告値、構造類似化合物のNNE1 indazole analogのカンナビノイド受容体の親和性に関する報告値を載せております。以上の報告からTHJは中枢神経を抑制する作用を有しており、過去に指定した指定薬物と同等の作用を有していると考えております。最後に海外において、2012年にフィンランド、2013年にトルコ、2014年にロシアにおいて流通が確認されております。

 8ページの資料3-3、5F-AEBについて説明します。通称5F-AEBですが、指定薬物である5F-AMBや5F-ADBと構造が類似する化合物です。なお、指定薬物である5F-AMBは池袋の交通事故を起こした人間が所持していた危険ドラッグに含まれていた成分の一つになります。行動及び中枢・自律神経症状に対する影響については、マウスに5F-AEBを添加したマーシュマローリーフを煙草両切りさや紙に充填したものを燃焼させ、マウスを薬物にばく露させたところ、5F-AEBをばく露したマウスは、マーシュマローリーフをばく露したマウスと比較して、洗顔運動、立ち上がり動作、自発運動及び懸垂力の抑制、異常歩行、異常姿勢が確認され、また、ばく露後15分では痙攣が確認されたと報告を受けております。表3には5F-AEBの吸入ばく露時の行動及び中枢・自律神経症状観察時の評価値を載せております。また、()には5F-AEBばく露時のカタレプシー試験に関する報告を載せております。カタレプシー試験の結果、ばく露後15分では5匹中4匹で陽性、30分では5匹中1匹が陽性、ばく露後1時間では全てが陰性であったと報告されております。続いて()にヒトカンナビノイド受容体に対するアゴニスト活性EC50を測定した結果を載せております。5F-AEBについても光学異性体を区別して評価しており、S体についてはCB1受容体の値は4.96×10-9mol/Lで、CB2受容体は6.91×10-9mol/L、R体においてはCB1受容体の値は3.59×10-8mol/L、CB2受容体は1.68×10-9mol/Lでした。参考として麻薬であるJWH-018の受容体親和性に関する報告値、構造類似化合物の5F-AMBのカンナビノイド受容体に対するアルゴニスト活性に関する報告値を載せております。以上の報告から5F-AEBは中枢神経を抑制する作用を有しており、過去に指定した指定薬物と同等の作用を有していると考えております。海外では2015年にスウェーデンにおいて流通が確認されたと報告されております。

 まずは以上の3物質について指定薬物として差し支えないと考えますが、御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○鈴木部会長 ただいま事務局より説明のありました3物質について、まず国内の流通実態について、□□委員のほうから御報告をお願いします。

□□委員 それでは、□□□□で行っております分析調査の結果を御報告いたします。まず、最初のMDMB-FUBICAとTHJについては、□□□□□では検出しておりません。また、3番目の5F-AEBに関しては、指定薬物である5F-AMBを含有する乾燥植物砕片の製品から5F-AMBとともに、非常に検出限界ぎりぎりのマイナス成分として43製品から検出されております。以上です。

○鈴木部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。

 いずれもカンナビノイド受容体に作用する物質ですけれども、御意見ありませんでしょうか。よろしいでしょうか。明確なバインディングの結果も出ておりますし、行動的にも中枢作用は明確と思われます。よろしいでしょうか。それでは、ただいま御審議いただきました3物質については、いずれも医薬品・医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律、第2条第15項に規定する指定薬物として、指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。

                                   ( 異議なし)

○鈴木部会長 ありがとうございます。それでは引き続き、事務局より説明をお願いいたします。

○事務局 続いて物質4~6について説明いたします。11ページの資料3-4の3,-Dimethoxymethcathinoneについて説明します。通称3,-Dimethoxymethcathinoneですが、指定薬物である4-methoxymethcathinoneや3,-Dimethylmethcathinoneと構造が類似した化合物です。まずは行動中枢神経症状観察に対する影響について、マウスに3,-Dimethoxymethcathinoneを2mg/kg20mg/kg100mg/kgを経口投与し、投与後30分、60分、120分の神経症状を観察しました。低用量では対照群と比較して目立った変化は認められないと報告を受けております。中用量では攻撃性の強化、洗顔運動の抑制、自発運動量、耳介反射、角膜反射及び払いのけ動作の亢進が報告されております。高用量では洗顔運動、立ち上がり動作、自発運動の抑制のほか、異常姿勢、腹ばい姿勢で背を丸め、スニフィングやライジング動作が多く見られていることが報告されております。12ページの表4に3,-Dimethoxymethcathinoneに関する行動及び中枢・自律神経症状観察における評価値を載せております。続いて()では、3,-Dimethoxymethcathinone、モノアミントランスポーターに対する機能影響評価についての報告を記載しております。ドパミントランスポーターとセロトニントランスポーターに対するIC50を算出したところ、ドパミントランスポーターについては阻害作用が認められませんでしたが、セロトニントランスポーターについては4.6×10-5mol/Lと阻害作用があることが確認されております。()にマイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化についての報告を記載しております。Fig.1のとおり、セロトニンについては有意に増加することが確認されております。以上から、3,-Dimethoxymethcathinoneは中枢神経に作用し、過去指定した指定薬物と同等の作用を有していると判断しております。海外での流通状況については、公的機関の報告等は確認できておりませんが、オーストラリアにおいては既に規制されていることを確認しております。

 続いて14ページ、資料3-5の4-Methylmethylphenidateについて、御説明します。通称4-Methylmethylphenidateですが、指定薬物である4-Methylnaphthidateや向精神薬であるMethylphenidateと構造が類似した化合物です。4-Methylmethylphenidateのモノアミン再取り込み阻害作用を検討したところ、IC50値はドパミンは4.98×10-7mol/Lで、ノルアドレナリンは1.59×10-8mol/L、セロトニンは1×10-5mol/L以上であったとの報告を受けております。次に参考として過去指定した類似化合物の薬物再取り込み阻害作用の値を載せております。また、同物質については、ジアステレオマーが存在するため、ジアステレオマーについて区別した化合物を合成し、モノアミントランスポーターへの親和性を検討した文献を確認しております。その文献を確認した結果、主に阻害作用がある物質は、スレオ体であることは確認しておりますが、エリスロ体も弱いながらも阻害作用があることを確認しております。運動活性に対する影響については、マウスに4-Methylmethylphenidateを5mg/kg50mg/kgをそれぞれ腹腔内投与し、投与後は24時間の1時間ごとの自発運動量を測定した結果を16ページのFig.2、3に示しております。対照群と比較して、5mg/kgでは投与後1時間後まで有意に増加が認められ、50mg/kgでは、投与1時間後から2時間後までの間において、有意に増加することが認められております。また、投与後6時間までの自発運動量についても有意に増加していることが認められております。以上から4-Methylmethylphenidateは中枢神経に興奮する作用を有しており、過去指定した指定薬物と同等と判断しております。

 最後に17ページ、資料3-6のEthylnaphthidateについて説明します。通称Ethylnaphthidateですが、指定薬物であるEthylphenidateMethylnaphthidateと構造が類似した化合物です。まず、Ethylnaphthidateのモノアミン再取り込み阻害作用を検討したところ、IC50値はドパミンは5.11×10-7mol/Lで、ノルアドレナリンは8.29×10-9mol/L、セロトニンは1.52×10-7mol/Lであった等の報告を受けております。次のページには参考として、先ほどと同様、既に指定している物質のモノアミン再取り込み阻害作用を記載しております。また、Ethylnaphthidateのジアステレオマーを区別して、検討している論文は、本物質では確認できておりませんが、類似物質のMethylnaphthidateについて、スレオ体とエリスロ体も区別してモノアミントランスポーター親和性を検討している報告を確認しております。両方とも活性があることを確認しておりますので、Ethylnaphthidateも同様に両方とも活性があると考えております。運動活性に対する影響について、マウスにEthylnaphthidateを5mg/kg50mg/kgを腹腔内投与し、投与後24時間の1時間ごとの自発運動量を測定した結果、19ページのFig.6、Fig.7に示しております。対照群と比較して、5mg/kgでは有意な変化は認められませんでした。高用量の50mg/kgでは、2時間後までの間において、有意に増加することが確認されております。また、投与後6時間までの自発運動量についてもFig.8で示したとおり、有意に増加していることが認められております。以上からEthylnaphthidateも先ほどの物質と同様、中枢神経に興奮する作用を有している物質であり、過去指定した指定薬物と同等の作用を有していると判断しております。最後に海外での流通状況ですが、2015年にスペインでの流通を確認しております。以上3物質について、いずれも指定薬物として差し支えないと考えておりますが、よろしく御審議のほどお願いいたします。

  ○鈴木部会長 それでは同様に、□□委員のほうから国内の流通実態について御報告をお願いします。

□□委員 それでは□□□□の分析調査について御報告いたします。最初の3,-Dimethoxymethcathinoneですが、こちらのほうの化合物は□□□の調査では検出しておりません。また、次の4-Methylmethylphenidate、そして次のEthylnaphthidateについては、白色粉末の形で国内の流通を認めております。以上です。

○鈴木部会長 ありがとうございます。それでは委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、明確なデータが出ているということで、ただいま御審議いただきました3物質についても、いずれも医薬品・医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として、指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。

                                   ( 異議なし)

○鈴木部会長 ありがとうございます。

□□委員 審議結果についてはそれでいいと思っているのですが、ちょっとコメントさせてください。資料1を御覧ください。化合物1でMDMB-FUBICAですが、これはカンナビノイド系の化合物で、エステルですが、この化学名字訳がメチル=○○○○といって最後に、ブタノアートという形で命名しています。事務局から情報を頂きましたが、従来からこの指定薬物部会ではカンナビノイド系のエステルはこのような形で日本語化学名を命名してきているという経緯に従って、今回もそういう形で名前を付けるということを了解しました。次に化合物5のフェニデートですが、これもカルボン酸のエステルです。この化学名字訳を見ると、○○○○酢酸メチルエステルという名前が付いています。これは、このフェニデート系の化合物は、このような日本語化学名を付けてきたという、過去の経緯に準じて今回もこのような名前を付けるということで、了解いたしました。ただ、たまたま今回、この二つの化合物が一緒に審議に上がりましたので、比較していただけると思うのですが、1番のカンナビノイド系とフェニデート系で日本語化学名の命名の仕方が違います。これは日本だけの問題なのですが、化学名を日本語訳するときに幾つかの方法があって、最初の1番の化合物、カンナビノイドのほうは、日本語化するときに英語をそのまま字訳するという方法に従って命名しています。それに対して、二番目の方法があります。今回は例がないのですが、たとえば、5番目の化合物ですが、○○○○酢酸メチルと日本語化学名を命名する方法があります。今回決まった5番目の化合物の化学名字訳の○○○○酢酸メチルエステルからエステルを削除した形です。これは、英語化学名を日本語化して、それを日本語化学名とするという方法で、○○○○酸○○○○イルという形で命名されます。非常にポピュラーな化合物の、例えば酢酸エチルが、この例です。今回、5番目の化合物フェニデートは、二番目の方法で命名し、更にその先に「エステル」が付いています。これも決して間違いではなくて、非常に複雑な化合物のときに、エステルであるということを分かりやすくするために、最後にエステルを付けるという第三の方法もあると認められています。認められてはいるのですが、特別な例です。第三の方法は、英語の感覚でいくと、化学名が書かれているのではなくて、構造を文章で表現している、○○○○酢酸のエステルですよという言い方で化学名を書いているので、非常に特別な例だろうと思います。そういうわけで、同じ指定薬物部会の中で、エステル類の日本語化学名を付けるときに、物によってルールが違うというのを、今まではそうやってきているようです。それで支障はなかったのだと思いますが、何か機会があれば、ほかから質問されたときに、この化合物はこういうルールで命名しています、この化合物はこういう別のルールで命名していますという説明をするよりは、指定薬物部会では、こういうルールで統一して命名していますよとしたほうがいいのではないかと、私は個人的には思っています。参考までに日本の医薬品JANとかJPで使われている日本語化学名は、二番目の方法、すなわち、○○○○酢酸メチルで日本語化学名が命名されており、添付文書のエステル類は基本的にすべてそれで名前が付いています。医薬品の日本語名にも、実は例外もありますが、例外にはきちんと理由がありまして、例えばステロイド類のエステルはこのルールに従っていないのですが、それにはその理由を付けていますので、何か機会があれば、それらも検討していただけたらいいと思います。以上です。

○鈴木部会長 ありがとうございます。では、事務局からお願いします。

○事務局 御指摘ありがとうございます。おっしゃることはもっともで、同じエステル類で命名法がという話かと思いますが、カンナビ系列とフェニデート系列で、それぞれ付け方が、こういった系統立ってしまっているということがあるかと思いますが、機会を捉えて、どういった整理ができるのか少し考えてみたいと思います。ほかの制度というか、同じような化学物質指定系列の制度も見ながら、どういったものがベストなのか、考えてみたいと思います。

□□委員 まあ、そんな急ぐことはないと思います。

○鈴木部会長 よろしいでしょうか。ほかに御意見等ありましたら、お願いいたします。よろしいですか。それでは、事務局より説明をお願いいたします。

○事務局 今後のスケジュール等について御説明します。本件の結果について次回開催の薬事分科会で報告する予定です。本日の結果を受け、指定薬物を指定するための省令改正の手続を進める予定です。また、いわゆる正規用途については、今のところ確認はしておりません。いずれにしても可能な限り適正使用に支障を来さないように対応していく所存です。以上です。

○鈴木部会長 ありがとうございました。本日の議題は以上です。それでは、事務局からその他の連絡事項があれば、お願いいたします。

○事務局 次回の部会日程については、7月中を予定しております。正式に決まり次第、御連絡いたします。また、本部会の資料は回収しますので、そのまま机の上に置いていただければと思います。以上です。

○鈴木部会長 委員の先生方、本日は御審議ありがとうございました。以上をもちまして、「平成28年度第2回指定薬物部会」を閉会いたします。ありがとうございました。


(了)

備  考
 本部会は、公開することにより、委員の自由な発言が制限され公正かつ中立な審議に著しい支障をおよぼすおそれがあるため、非公開で開催された

連絡先:医薬・生活衛生局 監視指導・麻薬対策課 課長補佐 佐々木(2779)

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