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2016年8月25日 第46回先進医療技術審査部会

(了)


第46回先進医療技術審査部会

(1) 日時:平成28年8月25日(木)16:00~17:40

(2) 場所:航空会館 701+702会議室(7階)

(3)出席者:
猿田座長、山口座長代理、石川構成員、一色構成員、
伊藤構成員、上村構成員、柴田構成員、関原構成員、
大門構成員、田島構成員、手良向構成員、藤原構成員、
松山構成員、山中構成員、山本構成員、斎藤技術専門委員

  (事務局)
医政局研究開発振興課 課長
医政局研究開発振興課 再生医療等研究推進室長補佐
医政局研究開発振興課 先進医療専門官
医政局研究開発振興課 先進医療係長
保険局医療課 企画官
保険局医療課 課長補佐
保険局医療課 課長補佐
保険局医療課 専門官
医薬・生活衛生局審査管理課 課長補佐

議 題
1.継続審議の評価を受けた技術の再評価結果について
2.新規申請技術の評価結果について
3.試験実施計画の変更について
4.協力医療機関の追加について
5.先進医療の取下げについて
6.その他

議事録
○猿田座長 それでは、時間がまいりましたので、第46回の先進医療技術審査部会を始めさせていただきます。構成員の先生方におかれましては大変御多忙なところ、また本日は非常に暑い中をお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。
 本日の構成員の出欠状況ですけども、佐藤構成員、田代構成員、直江構成員からは御欠席という連絡を承っております。本日は、18名の構成員のうち15名の方に御出席いただいて田島構成員がちょっと遅れているようですが、会のほうは成立していることを申し上げます。
 なお、今回は腎臓のほうの問題がありまして、技術専門委員として賛育会病院の泌尿器科部長の斎藤先生、それから岩手医科大学の泌尿器科の小原先生に技術委員として参加していただいております。小原先生は今日来れないということで、斎藤先生にはおいでいただいております。どうもありがとうございました。
 それでは、配布資料の確認に関しまして、事務局のほうからよろしくお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 事務局です。配布資料につきまして確認をさせていただきます。議事次第から始まりまして、座席表、開催要綱及び運営細則、構成員及び技術専門委員名簿と続きます。次に「先進医療合同会議にて継続審議の評価を受けた技術の再評価結果」として、資料1-1から1-5まであります。「新規申請技術の評価結果」として、資料2-1から2-5まであります。「先進医療Bの試験実施計画の変更について」として、資料3-1と3-2があります。「先進医療Bの協力医療機関の追加について」として、資料4-1、4-2があります。「先進医療Bの協力医療機関の取り下げについて」として、資料5があります。最後に参考資料となります。会議資料の最終ページは116ページとなります。本資料につきましては、会議終了後、厚生労働省ホームページにて閲覧可能となりますので、念のため申し添えます。
 本日の資料は以上でございます。乱丁、落丁等ございましたら、事務局までお知らせいただきますようお願いいたします。
 続きまして、利益相反の御確認です。申請医療機関との関係や対象となる医薬品・医療機器及び再生医療等製品の企業等について、資料1-1、15ページに記載しております申請医療機関、医薬品・医療機器・再生医療等製品情報を御覧ください。申請医療機関との関係、対象となる企業又は競合企業に関して、事前に確認をさせていただいております。今回、整理番号68の技術につきまして、一色構成員、山中構成員、斎藤委員、小原医師より御報告がありました。評価対象技術に含まれます医薬品又は医療機器等の製造販売業者等からの受領額は、一色構成員におかれては500万円以下でしたので、先進医療会議運営細則第4条の規定に基づき、当該医療技術に関する検討に加わることはできますが、議事の取りまとめ及び事前評価には加わらないこととなります。一方、山中構成員、斎藤委員、小原先生におかれては50万以下でしたので、当該技術の議事の取りまとめ及び事前評価に加わることができます。
 次に、整理番号69の技術につきまして、一色構成員、手良向構成員より御報告がありました。評価対象技術に含まれます医薬品又は医療機器等の製造販売業者等からの受領額は、一色構成員におかれては500万円以下でしたので、当該医療技術に関する検討に加わることはできますが、議事の取りまとめ及び事前評価には加わらないこととなります。一方、手良向構成員におかれては50万円以下でしたので、当該技術の議事の取りまとめ及び事前評価に加わることができます。
 事前の届出以外に、もし何らかの利益相反がございましたら、この場で御報告をお願いいたします。該当なしということでよろしいですね。
 また、今回もタブレットを使用していたただきたく、届出書類等についてはタブレットから閲覧をしていただきます。会議資料とタブレットの内容は異なっておりますので、発言者は会議資料の何ページ、又はタブレットの何ページとあらかじめ御発言をいただけますと、議事の進行上、助かりますので、よろしくお願いいたします。
 続いて、整理番号69の技術につきまして、猿田座長におかれましては本技術申請者と同じ施設に御所属されておられますことから、本技術の審議に際し一時御退席をいただくこととします。誠に恐縮ながら、御協力のほどよろしくお願い申し上げます。なお、本技術の審議につきましては、山口座長代理に進行をお願いいたします。以上です。
(猿田座長一時退席)
○山口座長代理 では、議事に入りたいと思います。まず、「先進医療合同会議にて継続審議の評価を受けた技術の再評価結果」について、事務局のほうから説明お願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 御説明させていただきます。なお、傍聴の方の撮映はここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
 では、資料1-1、15ページを御覧ください。今回、先進医療Bとして先の先進医療合同会議で継続審議の御評価を頂き、今回再度御評価を頂く技術が1件あります。整理番号69「既存抗リウマチ薬抵抗性の関節リウマチに対するヒドロキシクロロキン併用療法」です。適応症は関節リウマチとなっております。申請医療機関は、慶應義塾大学病院です。審査担当構成員は、主担当が藤原構成員、副担当は佐藤構成員、柴田構成員です。
 資料1-5、27ページを御覧ください。審議に先立ち、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件について事務局より御説明いたします。
 「実施責任医師の要件」といたしまして、診療科はリウマチ内科又はそれに相当する診療科、整形外科となっております。資格としまして、日本リウマチ学会専門医。当該診療科の経験年数としまして、5年以上。当該技術の経験年数に要件はありません。当該技術の経験症例数も特にありません。
 「医療機関の要件」といたしまして、診療科としましてリウマチ内科又はそれに相当する診療科、整形外科。実施診療科の医師数に関しましては、常勤医それぞれ1名以上。他診療科の医師数、その他の医療従事者の配置、病床数、看護配置、当直体制、緊急手術の実施体制、院内検査24時間実施体制等については、要件はございません。他の医療機関との連携体制につきましては、入院病床や24時間院内検査体制がない施設は、有害事象に対して24時間対応可能な病院との連携が確立されていること。眼科医が不在の施設は、速やかな眼科的診察が可能な病院・医院との連携が確立されていることとなっております。医療機器の保守管理体制は、必要とします。倫理審査委員会による審査体制としましては、年3回以上。医療安全管理委員会の設置を要件といたします。医療機関としての当該技術の実施症例数に要件はありません。その他、特に要件はありません。以上です。
○山口座長代理 ありがとうございました。これについては前回検討されましたし、特に問題ないですね。特にはないようですので、では整理番号59の評価結果につきまして、主担当の藤原構成員のほうから、概要の説明と実施体制の評価について説明をお願いします。
○藤原構成員 お手元の資料1-2を御覧ください。これは、8月4日に先進医療会議と先進医療技術審査部会合同会議に掛かりまして、主に臨床試験のデザインについて注文が付いたところから、その日の承認は見送りになって、今日また審議に掛かってるという品目であります。
 技術の内容はお手元の資料1-4のところですかね。25ページを御覧ください。対象となる疾患は慢性関節リウマチで、しかも慢性関節リウマチの中で非常に活動性が高いとか、様々な治療薬に抵抗性になったという少し難しい状態になった患者さんたちに、ヒドロキシクロロキンという、日本ではサノフィさんが売っている製剤ですけども、それを使う試験であります。背景には、クロロキン網膜症という1970年代にこの類薬の内服によって網膜症が多数発生して、その薬が発売中止になった歴史があります。その後、ヒドロキシ基を入れて安全性を向上させて、いろいろな疾患に使おうとして開発が進んだと私は理解しております。
 厚労省の未承認薬・適応外薬検討会議でこの関節リウマチ、様々な治療抵抗性関節リウマチと、それから全身性エリテマトーデス、SLEですね。この2つに対してこの薬がいいんじゃないかという話が上がってきていて、SLEについては、2010年に未承認薬・適応外薬検討会議のほうで医療上の必要性が高いと判定されて、その後サノフィさんがランダム化第2相、プラセボ対照のランダム化第2相試験というのを企業治験としてやって、SLEのほうは既に承認されてるんですけれども、関節リウマチのほうはその後試験等は行われず、医療上の必要性も高いとも判断はされず現在に至ってるところに、慶應大学のリウマチ科のグループが注目されて、この申請を出してきたものです。
 ページをめくっていただいて「薬事承認申請までのロードマップ」を見ていただきたいんですけれども、今日ここで掛かってる先進医療Bでの試験結果を踏まえて、将来的には医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議へ、再度、学会要望等を出して公知申請にもっていく、あるいはSLEのときと同じように、企業さんにプラセボ対照の比較試験を1本やってもらって、その後、薬事承認をねらっていく。いずれかのスタイルに導出していきたいという将来像であります。
 8月4日にデザイン等は既に1回議論しておりますので、8月4日の時点で問題になったIC文書のところと、それから議論についてはそのときにも担当していただきました柴田先生と佐藤先生にも今回コメントを頂いていますので、それぞれの先生方の御意見を少しお伺いしていただければと思います。
○山口座長代理 ありがとうございました。整理番号59の評価結果につきまして、今日、御欠席の佐藤構成員の倫理的観点からの御評価、これは事務局のほうから御説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料1-2、18ページを御覧ください。「倫理的観点からの評価」、いずれも「適」との御評価を頂いております。コメントとしまして、説明同意文書については、合同会議で指摘をし、適切に修正された。観察群・介入群ともに説明内容は適切と考える。補償内容は、補償保険の内容が確定されていないが、研究に起因する死亡又は重度障害について、医薬品副作用被害救済制度の認定基準に従って後遺障害補償保険金を支払いしますとされており、この条件を満たす補償保険に加入できるのであれば適切である。患者相談等の対応についても、病院の患者相談窓口が追加され、適切に説明されている。以上です。
○山口座長代理 ありがとうございました。続いて柴田構成員より、試験実施計画書等の御評価をお願いします。
○柴田構成員 資料1-3を御覧ください。ページ数で21ページになりますが、21~24ページまでの間に、前回の合同会議の際に指摘いたしましたことに対する回答を頂いております。いずれにつきましても適切に御検討いただいておりまして、回答書としてはシンプルになっておりますが、具体的な臨床実施計画書の改定内容等も踏まえまして、こちらの内容はアクセプトしてよいと考えております。したがいまして、評価表、お手元の資料1-2の18ページですが、以前「不適」しておりましたところにつきましては、いずれも「適」と判断してよいものと考えました。以上です。
○山口座長代理 ありがとうございました。ただいまの説明について何か御質問ございますでしょうか。適切な回答が得られているというような御評価ですけども。あと、全体の流れとしては、今回この試験で直ちにそのまま保険収載されるということではなくて、先ほど藤原先生がお示しになりましたけども、公知申請にもっていくか、あるいはちゃんとした比較試験をやるかという、その2つの方向にいくという具合に理解してよろしいですか。
○藤原構成員 お手元の資料の26ですかね、資料の1-4の裏のほうですね。「薬事承認申請までのロードマップ」を見ていただければ分かるんですけども、この品目ヒドロキシクロロキンは既に欧米では承認されて、広く関節リウマチに使われてるお薬なんですね。日本でだけ今のところクロロキン網膜症の背景もあって、まだ承認されていないという現状で、各国のガイドラインにも既に掲載されてるもので。医療費の観点からすると、関節リウマチは最近モノクローナル抗体とか結構高い製剤も多く、その高い製剤にいく前にこの製剤でワンクッションおいてから移行したほうが医療経済的、あるいは患者さんの御負担も少なくなるんじゃないかというメリットはあるという状況なんですけれども、なにせ国内の使用経験がないと、前回の合同会議のときも慶應の先生に文章的にお伺いしたんですけども、国内での使用経験はないという状況で、なかなかいきなり公知申請とか、すぐ承認、保険導入というのは難しいというところから、この計画がなされたようです。
 ただ問題なのは、今回やる試験の用量は海外の承認用量の半分ぐらいなんですね。したがって、この試験が終わった後に、そのまま医療上の必要性が高いと考えて公知承認にもっていくというのは、なかなか少しハードが高いかなという印象はもっています。
 更に、SLEの際には、医療上の必要性が高いという判定を厚生労働省の委員会でした後に、企業が新たにヒドロキシクロロキンとプラセボ対照の3対1のランダム化比較試験というの行ってるんですね。ですから、医療上の必要性が高いとなって、治験をまたランダム比較試験でやるというのは、なかなかハードルは高いでしょう。しかし、いずれにしても1つアクションを起こしていないと保険適用に向けての道は進まないので、今回の先進医療Bとしての臨床試験の実施は非常に大事かなと見ております。出口にすぐ行くというのは、山口座長代理がおっしゃったように、すぐは難しいのかなと思っております。
○山口座長代理 ありがとうございました。やはり状勢がいろいろ変わってくる可能性があって、例えばコストの問題なんか非常に今の医療費の状況から考えると、今まで以上に重要な観点になってくるかも知れないということもあるかと思いますので、またそれはその時点で検討されるべきものかと思いますけど。何か皆さんのほうから御意見、御質問ございませんか。それでは、藤原構成員からまとめと総合評価をお願いいたします。
○藤原構成員 お手元の資料1-2のところを御覧ください。実施体制については、慶應のリウマチ科は非常に歴史のある科でありますので、全然問題はございません。医療技術についても、海国でかなり使われてますので問題ないと考えます。倫理的観点からも、先ほど佐藤先生のコメントにありましたように問題はないと。デザインについても、8月4日以降非常に適切に修正していただいてますので問題はないと判定して、19ページの総合評価では「適」というふうに判定いたしました。
○山口座長代理 ありがとうございました。よろしいでしょうか。「適」ということで。特に御異論がなければ、整理番号69につきましては「適」ということにいたします。
 では、猿田座長に再びお戻りいただくことにいたします。以降の審議につききまして、猿田座長に進行をお願いしたいと思います。ありがとうございました。
(猿田座長着席)
○猿田座長 それでは、次に移らせていただきます。次は「新規申請技術の評価結果」です。まず、事務局から御説明をよろしくお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料2-1、29ページを御覧ください。本日、先進医療Bとして新規に御評価いただく案件が1件あります。整理番号68「腎摘出術による病気腎(小径腎腫瘍)を用いた修復腎移植術」です。適応症は、申請書類によりますと「修復腎移植によるレシピエントの腎機能回復」となっております。申請医療機関は宇和島徳洲会病院です。審査担当構成員は、主担当が藤原構成員、副担当が田島構成員、柴田構成員、技術専門委員として斎藤委員、有識者として小原医師となっております。
 資料2-5、97ページを御覧ください。審議に先立ち、先進医療実施可能とする保険医療機関の要件について、事務局より御説明いたします。「先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件として考えられるもの」ですが、「実施責任医師の要件」として、診療科は、移植実施機関として泌尿器科又は移植外科、腎摘実施機関として泌尿器科又は外科となっております。資格に要件はありません。当該診療科の経験年数ですが、移植実施機関及び腎摘実施機関のどちらとも、10年以上となっております。当該技術の経験年数に関しては、移植実施機関として腎移植術の経験5年以上、腎摘実施機関として腎摘出術の経験5年以上となっております。当該技術の経験症例数に関しては、移植実施機関として術者は腎移植経験10例以上、腎摘実施機関として術者は腎摘出術経験5例以上となっております。その他、移植実施機関については、日本臨床腎移植学会認定医及び日本移植学会の認定医に相当するもの、腎摘実施機関としては日本泌尿器学会認定医に相当するものとなっております。
 「医療機関の要件」として、診療科は、移植実施機関として泌尿器科又は移植外科、腎摘実施機関として泌尿器科又は外科となっております。実施診療科の医師数に関しては、移植実施機関として術者1名、助手1名。腎摘実施機関として術者1名、助手1名となっております。他診療科の医師数に関しては、移植実施機関及び腎摘実施機関どちらとも内科、外科、麻酔科など3名以上で、非常勤も可となっております。その他医療従事者の配置として、移植実施機関及び腎摘実施機関のどちらとも、臨床工学技士及び臨床検査技師を要するとなっております。病床数に関しても、移植実施機関及び腎摘実施機関のどちらとも100床以上を要件とします。看護配置に関しても、移植実施機関及び腎摘実施機関ともに、10対1看護以上を要件とします。当直体制については、移植実施機関は外科系医師又は内科系医師1名以上、腎摘実施機関は当直医師1名以上が要件となっております。
 緊急手術の実施体制についても、移植実施機関及び腎摘実施機関ともに、緊急手術が可能であることを要件とします。院内検査については、移植実施機関及び腎摘実施機関のどちらも、常時可能を要件とします。他の医療機関との連携体制に関しての要件はありません。医療機器の保守管理体制については、移植実施機関及び腎摘実施機関のどちらも要件といたします。倫理審査委員会による審査体制についても、移植実施機関及び腎摘実施機関のどちらともに、医学研究に関する指針に基づく月1回程度の開催を要件といたします。医療安全管理委員会の設置については、どちらも要件といたします。医療機関としての当該技術の実施症例については、移植実施機関としては腎移植20症例以上、腎摘実施機関としては外科系手術が年間80症例以上となっております。その他、移植実施機関及び腎摘実施機関ともに、手術が可能な体制であることとなっております。その他は特にありません。以上です。
○猿田座長 ただいま御説明いただいた保険医療機関の条件に関して、どなたか御意見はありますか。
○一色構成員 97ページの「その他(上記以外の要件)」の所で、「機関」の文字が間違っているので、御訂正をお願いしたいと思います。
 この部分ですけれども、ここだけ泌尿器学会認定医に相当するものとなっていますね。ほかの腎摘実施機関の要件の中には、全部外科が入っているのですが、ここだけが入っていないのです。現実に外科の先生で泌尿器科認定医に相当することというと、実際的にはかなり少なくなってしまうことを危惧します。もし他の項目と整合性を取るのであれば、外科は専門医しかないですから「専門医が」という言葉が入ってもいいのではないかという印象を持ちました。
○猿田座長 この点について斎藤先生、何か御意見はありますか。
○斎藤技術専門委員 いかがでしょう。逆に山口先生に伺いたいぐらいです。腎茎部を長く取れれば十分いいということと、スパイスムスを起こさないように取るというのは、やはりある程度の経験が必要なのです。取った腎臓を使うということですから、やはり腎摘する側には、それなりの血管収縮が起こらないような形で、次の手術に使いやすいように長く取らなくてはいけないという意味で、恐らく泌尿器科に限ったのではないかと思います。外科の先生でもそういうことに慣れていらっしゃれば問題はないと考えます。
○一色構成員 全摘には経験年数が10年以上という条件が付いていますので、経験が豊富ということであれば、先生が御指摘のところはクリアできるように思います。もし、そこに懸念があるのでしたら、逆に全体から外科は省くべきという判断になりそうだと思ったのです。
○斎藤技術専門委員 もう一回確認します。それは移植に関しての外科ということですか。
○一色構成員 いえいえ、腎摘に関してです。
○斎藤技術専門委員 なるほど。資格的にやるのはかなり。消化器外科とか内分泌外科とか、いろいろな外科がありますから、外科というのは非常に広いと私は認識しています。要するに、外科の専門医でひとくくりするのは、ちょっと厳しいかなと。その中で腎摘の経験のある先生だったら構わないと思います。
○山口座長代理 逆さまに言えば、整合性から言えば外科を入れても構わないと思います。あえて削る必要はないのではないでしょうか。消化器外科でもよく取りますし。
○猿田座長 事務局から何か意見はありますか。山口先生は入れてもいいということです。
○医政局研究開発振興課専門官 その辺りの整合性について、申請者に調整を依頼いたします。
○猿田座長 ほかにどなたか御意見はありませんか。あとの点はよろしいですか。では、今のところは宿題にさせていただいて、この施設要件は一応こういう形で認めることにさせていただきます。ありがとうございました。
 これから審議に入る前にもう1つ。実はこの案件に関しては2012年8月に1回、委員会に掛かっております。結局、そのときはまだ安全性の確保がされてないということもあって、そこでは承認されなかったのです。そして2016年の初め頃からまた申請が出され、結局、今度出てきたということです。今度出された申請書類を見ていただきますと、実際に申請されてきた所は宇和島徳洲会病院で、それとともに調整医療機関ということで医療法人徳洲会東京西徳洲会病院の先生のほうから、いろいろなコメントを頂いているという形で出てきています。
 もう1つ、全体的にこれだけの資料を拝見して一番気になったことは、2012年における申請施設の症例と今度出てきたものを比べても、そんなに新しいことがないということです。ここに載っている症例というのは、今から5、6年前のものです。そういった症例がかなり多いので、どこが新しくなったのかという点では気になりました。ただ、新しいこととしては、この4年間で確かに腎臓の手術はかなり進歩いたしました。例えば、腹腔鏡下ではもうda Vinciを使った手術も出ていて技術が新しくなったということと、その後にいろいろな報告が出て、たくさんの文献が付けられていることは間違いありません。そういった点で新しい面もありますけれども気になりました。
 このやり取りを拝見して、構成員の先生方も随分苦労してやっていただいていたということで、その点では私のほうからも本当に御礼申し上げます。そういったことで、まずは藤原先生から全体像についてお話を頂いて、各先生の御意見を頂き、また御議論を頂くという形でお願いできますか。
○藤原構成員 では、資料2-2を御覧ください。これは、いわゆる病気腎の移植として有名なケースの臨床研究を行うバージョンの申請です。実際に病気腎移植が宇和島徳洲会病院で問題になったのは、平成18年11月当時ぐらいから明らかになっています。その後、翌年の平成19年3月に厚労省の第25回臓器移植委員会で、宇和島徳洲会病院の病気腎移植をめぐる調査報告書も出て、いろいろな評価がなされました。その後、5年ぐらいたった2012年8月23日に、今の先進医療会議の前進である第67回先進医療専門家会議に掛かってペンディングになった研究です。今日来ていただいております斎藤先生も、この先進医療専門家会議のときの評価委員をされておりますので、その辺の経緯等は後から御紹介していただけると思います。
 技術の概要については、95ページの2-4のポンチ絵を御覧いただければと思います。私は泌尿科が専門ではないので、技術の概要をザクッと言うとすると、腫瘍径が4cm以下、T1だと思いますけれども、そういう小さな単発性の腎腫瘍を持った患者さんが対象です。これは悪性腫瘍の場合もありますし、別の腫瘍もあると思いますけれども、こういう小さな腫瘍を持った腎臓を、患者の了解の下に、部分切除するのが通常かと思うのですけれども、それを腎臓全体を摘出して、その腎臓を透析患者に移植させていただくという、同種の移植をしていこうというのが、非常に大雑把に表現した場合のこの技術の概要です。今日、いろいろな先生方から多角的なコメントを頂けると思いますが、それを聞いた上で、また皆さん方と議論を進めていきたいと思います。
○猿田座長 それでは、まず技術委員としておいでいただいた斎藤先生から、コメントをよろしくお願いいたします。
○斎藤技術専門委員 前回は「不適」ということで1回降りた技術ですが、再提出ということです。先ほど座長からも御指摘がありましたように、内容的には症例もそれほど追加されていません。ただ技術的な問題として、この間に何が起きたかというと、da Vinciが保険適用になり、腹腔鏡だけでなく、da Vinciで取れる大きさが4cmと言わず、今は7cmぐらいまで取れるような状態になってきました。ですから私の考えでは、その時期より症例がより少なくなるのではないかと思います。要するに、取らなくてはいけない症例が限りなく減ってきているところでこれが出てきたということで、ちょっと疑問に思っております。
 あと、藤原委員からもいろいろありましたように、後で見ていただければ分かるのですが、体制その他に対して質問が出ていることに対して回答しているのが、全て東京西徳洲会病院の小川先生で、メインの万波先生の御意見がほとんどないのです。また、どこが訂正されてきたのかもよく分からない。そういう意味では今のところ、総合的には審査できないという意見です。
○猿田座長 あと、今日はおいでになっていませんけれども、同じように技術専門委員の小原先生の御意見を、事務局から御紹介いただけますか。
○医政局研究開発振興課専門官 資料2-2、32ページを御覧ください。実施体制の評価について、実施責任医師等の体制は「適」、実施医療機関の体制は「不適」、医療技術の有用性等は「適」との御評価を頂いております。
 コメントとして、最新の論文を含むエビデンスに基づくヨーロッパ泌尿器科学会のガイドライン及びNCCNガイドラインにおいて、4cm以下の小径腎腫瘍に対する標準術式として、部分切除術が推奨されており、技術的に困難な場合に腎摘除術が考慮されている。同様に本邦のガイドラインにおいても、腎機能保持の点から推奨されている。さらに、本邦では本年度よりロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術が保険適用となり、小径腎腫瘍の多くが本術式の適応となるとともに、これまで技術的に困難とされていた腫瘍に対する部分切除も可能になることが予想される。小径腎腫瘍の外科的治療法に関して、研究計画書及びドナーに対する同意説明文書に十分な記載がなく、ドナーの術式が腎摘へと誘導されかねない。また、回答には「別添の手術療法に関する資料を補助資料として使用する」とあるが、別添がなく評価できない。また、小径腎腫瘍に対する治療提示が大前提であるため、患者説明資料としては最重要であり、補助資料であってはならないと思われる。
 コメント2点目です。修復腎移植検討委員会の構成メンバーが不明瞭である。本委員会はドナーの術式について公平性を担保するためにも、申請医療機関以外に委ねるべきと思われる。また、同委員会においてドナーの腎摘の適応に関しては、腎計測スコアを参考に検討するとあるが、部分切除術ではなく、腎摘が適応となる症例の医学的要件を具体的に明らかにする必要がある。また、回答には「委員名簿を添付」とあるが、別添されていない。ドナー術式(腎部分切除術あるいは腎摘など)の公平性を担保するために、本委員会での決定は申請医療機関以外の第三者機関の専門医にその妥当性を委ねるべきだと思われる。(上記に関して申請者からの回答では一切触れていない)。以上です。
○猿田座長 今コメントを読んでいただいたように、やはり不十分なところがあるということで、斎藤先生がおっしゃったとおりでなお問題がございます。特に腎臓の部分切除か全摘かということが非常に重要な問題ですが、どうもそこのところがはっきりしてないのです。先に進ませていただいて、その後に総合的に討論していただきます。倫理的な面で田島先生からよろしくお願いいたします。
○田島構成員 倫理的観点から評価させていただきました。専門的知識を持たない者からしますと、そもそもレシピエントに移植可能で機能を果たすことが期待され得る腎臓を、ドナー本人から摘出せざるを得ない場合があるかが疑わしい上に、最も信頼できる検査によっても、15~20%は良性腫瘍を悪性腫瘍と誤認するにもかかわらず、悪性腫瘍と判断して全摘手術を始めたところ、その後に良性腫瘍であることが判明した場合でも、そのまま全摘してレシピエントに移植することが許されるとは考えられず、本臨床試験の実施には大いに疑問があると思っております。それでも臨床試験が実施されることが許される場合があるとすれば、ドナーに正確な情報を提供した上で、判断を求めることが必要不可欠です。しかし、その点でも本件は適切な説明がなされていないと判断しましたので、同意に係る手続、同意文書については「不適」の評価をいたしました。
 ドナー用説明文書については、申請者は「小径腎腫瘍の手術療法に関する説明補助資料」と称する冊子を先に読ませて、腎臓の全摘術を希望した患者に本臨床研究の説明をすることにしておりますけれども、これは間違いです。ドナーとなり得る患者に対して治療方法を決定される際に、標準治療と臨床研究の内容を説明した上で全摘術を選択し、ドナーとなるという選択をしていただくべきだと考えます。また、補助資料として別冊にするのではなく、説明内容は説明文書の本文中に、直径4cm以下の小径腎腫瘍の標準治療とその他の選択肢のある治療の説明を記載する必要があります。この場合に、説明補助資料とされている冊子をそのまま説明文書の本文中に組み込まれますと、この部分のほうが大部になって不適切です。そもそも補助資料に記載されている内容は小径腎腫瘍に限らず、全ての腎がんの症状や治療法が細かく記載され、本件に不要と思われる説明が多いために焦点がぼけて、小径腎腫瘍の理解がかえって妨げられるような構成になっている上、部分切除術と自家腎移植術のデメリットが不当に強調され、全摘術を選択させる方向に意図的に誘導している疑いがあります。したがって、この資料の内容をドナーの説明に使用するのは不適切です。
 それから、研究実施の資金源が何であるかの説明がなされていないことや、患者相談の体制として担当者がセンター長1名で、病院の代表番号のみ記載されているという点も問題があります。この点については評価後に説明文書で対応された部分はありますけれども、それでもなお適切に修正がなされていたとは判断できない状況です。
 次に、レシピエント用の説明文書についてです。ドナーの腫瘍が「がんのこともあるし、良性のこともある」、あるいは「腫瘍なので、がんの可能性もある」という記載があって、更に「がんの発生の危険性がなく、安全と考えられる症例を選んで移植します」という説明になっておりますけれども、仮に良性腫瘍の場合もドナーとなし得るとしても、その確率が約10%未満に過ぎないという説明であるにもかかわらず、あたかも良性の可能性が大きいかのごとく誤解を与える記載ぶりで、不適切であると考えます。
 他の治療方法について挙げられているものの1つに腎移植がありますが、本臨床試験も腎移植であるので紛らわしい記述ですし、血液透析についての説明が否定的すぎる嫌いがあります。患者負担となる治療費の具体的金額の記載もなく、研究実施の資金源について、単に資金援助を受けていないという説明だけになっておりますけれども、それでは足りません。何を資金とするのかの説明が必要です。患者相談の体制も、ドナー用と同じように不十分な説明内容です。これらの点についても評価後に一応訂正されてはおりますが、なお十分とは考えられない状況です。
 次に補償内容です。最初の申請書では補償について、先進医療実施届出書には「なし」と記載されておりましたが、研究計画書には健康被害に対する補償の有無及びその内容において「該当」にチェックがなされ、「研究対象者に本研究に起因して有害事象、健康被害が生じた場合、当該研究機関は規制要件に従って実費を勘案し、合理的であると認められる範囲内において、適切にその額を補償する」と記載され、説明文書においても「この研究に関連した副作用などの健康被害の場合は治療に要する費用、その他の損失には補償が受けられる」という記載があり、記載の内容に齟齬がありましたので「不適」の評価をしておりました。
 ところがその後、指摘に対して、補償はするので、先進医療実施届出書の記載のほうを「なし」ではなく「あり」に訂正するという回答がありました。その時点では訂正後の文書は提出されておりませんでしたけれども、その申出を前提として補償ありとして、補償が適切になされていると判断したのです。今回訂正されたという文書の内容を確認しますと、確かに保険加入の有無が「なし」から「あり」に変更にはなっていますが、その記載内容が「ドナーは通常の保険診療に準じた健康被害の補償内容とする。レシピエントの術後合併症について、通常の保険使用に準じた健康被害への補償内容とする」ということに変わりなく、結局、それぞれまちまちな説明ぶりになっております。ですから患者説明文書に書かれているような補償内容が、事実行われるかどうかが怪しいと思いますので、最終的にもやはり現状は「不適」の評価に変更したいと思います。
○猿田座長 倫理的にいろいろな点で齟齬があるということで、どうしてもこのままでは受け入れることができないというのが、田島先生の御意見かと思います。もう1つ先まで行かせていただいて、試験実施計画書等についてです。これは柴田先生に見ていただきましたので、柴田先生からよろしくお願いいたします。
○柴田構成員 資料2-2の34ページをお開きください。試験実施計画書等の評価をいたしましたが、6~16番のうちのかなりの部分で、「不適」とすべきであろうと判断しております。提出された現行の試験実施計画書の規定には不適切な部分があり、試験実施計画書の大幅改訂が必要です。対象の選択基準が不明瞭であることが最大の問題点ですが、それに伴って、どのようにデータを集めるのか、どのようなエンドポイントで評価するのかという部分に曖昧なところがあります。規定されているデータの取り方では、予定されている統計解析が実施できないなどといった不備もあり、現在の内容のまま科学的な質を担保した臨床試験を実施することは、不可能であると考えております。
 なお、この評価表を作成する段階で提出されていた照会事項の回答書と、現在お手元に資料2-3としてつづられているものには、一部内容の変更があります。この評価表を作成した時点では、まだ提示されていなかった試験実施計画書の改訂内容の具体的な文言は、この評価表を作成した後に提出されましたので、その中で一部改善点はありますけれども、最終的に提出された資料をもってしても、この段階で試験を実施することは困難であろうとの判断は変わりません。
 35ページで問題点を幾つか指摘したいと思います。まず先進医療の実施計画(様式第3号)の33ページ等に、本申請医療技術については「廃棄される腎を有効利用するもの」との説明がされています。これは一見魅力的な説明ではあるのですが、丁寧に考えていきますと、少しミスリーディングな部分があるのではないかと考えます。と申しますのも、本申請医療技術の臨床試験は、医学的には腎摘が不要である患者、具体的には腎部分切除等の腎摘以外の治療を行え得る患者が、ドナーの対象として含まれる設定となっています。このような患者においては、医学的には腎摘が不要である状況で、患者の意思に基づいて腎摘が行われることになります。つまり、この場合は「医学的な理由から廃棄される腎」ではなく、「医学的に腎摘は不要であって、本来、廃棄される腎というのは存在しないけれども、患者の意思により腎摘が選択された結果として廃棄される腎」が生じ、その腎を移植に使おうというものですので、文字どおり廃棄される腎というように読んだときの印象と、実際にこの臨床試験で行おうとされていることとの間にはギャップがあるのが問題です。
 もう斎藤先生や田島先生からも御指摘があったところを、私なりの言葉で言い換えますと、以上のようなことになります。これを曖昧にしていると倫理的にも問題が生じるところに加え、臨床試験において、どのエンドポイントで、どういう事項を評価するかということが変わってきます。そのために、ここを曖昧にしたまま臨床試験を実施することは不適切であると考えております。
 もう既に先生方から御指摘がありますが、まずは部分切除が妥当ではなく、腎摘が妥当となるような医学的な条件をもっと明確にする必要があると思います。もちろん日常診療においては、曖昧な部分が出てくることもあります。一般的にはっきりと線引きができる部分と、そうでない曖昧な部分があるとは思います。それであっても、この方は腎摘が必要であろうという基準は、はっきりさせるべきであろうと考えております。
 申請者の資料を拝見しますと、例えば先進医療の実施計画書の14ページに、ドナーの適格基準として以下のように書いてあります。「手術法としては、腎部分切除、腎摘後自家腎移植、腎摘などがあり、それぞれの特徴(合併症などを含む)を理解した上で、腎摘の妥当性が客観的に説明されている」ことをドナーの適格基準の一条件として挙げておられます。腎摘が妥当となる医学的条件を明確にできないのであれば、ドナーに対してこのドナーの適格性を判定するための、腎摘の妥当性が客観的に説明されているとの条件を満たすことができなくなりますので、少なくともこの点が解決しない限り、申請者の先生が提示されている計画書の中で不整合が起きていることになります。
 実際に腎摘以外の方、腎部分切除で十分な方に対して、腎摘をしてドナーとなっていただくことが妥当であるか否かというのは、医学的あるいは倫理的な検討が必要だと思いますので、それを踏まえて判断したいと思います。いずれにせよ、このような方を含めるのであれば、試験計画は大幅に変更する必要があります。
 これはコメントですが、今般の指摘の主な点は既に御説明がありましたとおり、2012年の先進医療専門家会議で既に指摘されている事項です。当時の指摘に対する対応がなされないままに、従前の内容が踏襲された申請内容となっていること、それに対して反論をお持ちであって、そうでなくこうしているのである、というのなら、それを説明していただければいいと思います。しかし、そのような説明が提示されていないということは、本医療技術の評価に要する時間を延長させてしまうという問題を生じさせます。本医療技術の早期の臨床導入を望んでおられるであろう申請者の先生方が、そのような態度を取っておられることは理解に苦しむところです。
 その他1、2、3として問題点を挙げております。これは主な問題点で、資料2-3の37~68ページにわたって照会事項を出しておりますが、この辺を詰めていただくことが最低限必要であろうと考えております。
○猿田座長 それぞれの先生方から御意見を頂きました。それでは構成員の先生方から、御意見を頂ければと思います。どうでしょうか。前のときから余り直っていない部分が多いということと、どうしても筋が通ってないところがあるということですね。どなたか御意見を頂けませんか。
○山本構成員 専門領域ではありませんけれども、一般的に考えて、腎摘出が必要であるということがきっちりと文章で、選択基準に明文化できるのであれば明文化していただく、明文化できなくて個別に検討が必要であれば独立のものを。よくがんの領域の先生がおっしゃるキャンサーボードなり、あるいは臨床試験に特化した第三者を交えた症例の適格性を検討する委員会というのを立ち上げて、そちらで適格性を検討すると。公正な臨床試験を行うのであれば、そのどちらかの対応を取っていただくというのが、通常のやり方ではないかと思います。
 もし緊急性等でどちらもできないのであれば、その時点でできる最良のことを提示していただくことになると思うのですけれども。状況的に特に緊急性というのは、迅速性は必要だとは思いますが、1日2日で決めないといけないという状況のものではないと思いますので、できるだけ通常の手立てを取っていただいて、少なくともドナーに不要なリスクが掛かるところは、できるだけ避けていただくというのが臨床試験をする上での常識的なやり方だと思います。
○山口座長代理 最初に斎藤先生から御指摘があったように、2012年であれば恐らく腎の部分切除というのはかなり特殊な治療でした。今のように保険収載はされていませんので、一般的なことでないのであっさり全摘するというのは、私自身の常識だったのです。それに対して今となると全摘する場合に、それではもったいないから残そうという気持ちは大変よく分かるのです。その当時であれば私も、もろ手を挙げて賛成したかもしれませんけれども、今の状況を見ると結構残したほうがいいのではないかということで、どんどん行われているわけです。例えば、私がドナーになってこれを読むと、残したほうがいいのではないかと普通は思いますよね。ところが、それに対する説明は、全摘のほうがいいという説明なのです。
 田島先生もおっしゃっていたように、この患者の説明書を読むと、いかにも部分切除で残してもしようがない、むしろ高血圧などの後遺症があってよくないし、生命的な予後も全摘のほうが悪いという文献を引っ張り出してきています。正にそちらのほうに誘導するようなことで、ボランティアとしての移植ではなく、治療としてそちらのほうが全く正しいという書き方が実際にされているのです。ですから、これを誤解するのも無理はない。そういう点からも、これは大いに問題があります。
 もう1つは、余り整理されていなくて、やたらといろいろなものが出てきています。文献もやたらと引用されているのですけれども、そのクオリティーがよく分からないままに、あちらこちらに分散されている。恐らくこれを聞いた患者は、理解するのがなかなか難しいのではないかと思うのです。ですから、一度全面的にやり直してもらって、これだけ時間がたったのですから、もう一度そういう現況を見直して、やはり正しい形でリセットしたほうがいいのではないかというのが私の感想です。
○猿田座長 私は腎臓が専門なものですから、今度は腎臓の医師の立場で言わせていただきます。やはり一番大切なことは、今の透析患者に多いのは糖尿病腎症です。それから、もちろん腎炎もありますけれども、両側性のものが多いのです。片方の腎臓だけを取って残すと、もう片方の腎臓もかなり悪いわけですから、そういった面で腎臓の機能の回復は悪いのです。ですから少しでも残して、もう片方の腎臓も残しておいたほうが、腎臓の機能の改善ということでは非常に大切なのです。そこが一番重要なポイントです。
 もう1つ、今の腎臓移植ということに関しては、日本中で待っている人が本当にたくさんいるのです。いることは分かるのですけれども、そのときに本当にフェアな形で、誘導するような形ではなく、どうしてもというときに腎臓の全摘をしなければいけないというのは、それはいいと思うのです。その理由がきちんとはっきりしなければいけないのです。それが誘導の形では全くよくないということです。それも私が腎臓の医師として非常に気になったところです。これは私1人の医者としてのコメントです。あと、ほかにどなたか御意見はありませんか。
○山口座長代理 質問していいですか。斎藤先生に教えていただきたいのです。今、部分切除がどんどん進んでいるのに、この研究者たちの主張というのは、やはり全摘のほうがいいと言っているわけですよ。その点について、本当はどうなのかということです。
 もう1つは、これを提供しても不適切な場合は使えないという話があるわけです。これがドナーにとってはショックです。せっかく提供する意思があるのに、それが術前に分からないのかということです。つまり、術中でないと分からないのかと。それはどのように客観的に評価されて、それがどのぐらいの割合で正しいのかが、やはり知りたいと思うのです。私は全然経験がないので、その辺りはどうなのでしょうか。
○斎藤技術専門委員 本当に御指摘のとおりです。取られるほうのきちんとしたICがなければいけないし、今の学会では取ることによって。片方の腎機能を全部取られて高齢になっていったときに、その患者が透析になってしまうと。そうならないために、少しでも悪い所だけを取って残してあげる。昔はがんの再発というのが非常に怖かったので、そこら辺のことはありましたけれども、現在はそれに対応することができる。また、今まで腎がんの薬がなかったのが、部切で残してあげた患者の再発が意外と少ないということも分かってきたので、最初に述べましたように、全摘をする症例というのは限りなく少なくなってきているのではないかという印象があります。
 やはりそこら辺が一番の問題で、この申請書にも書いてあるように、移植実施機関を、日本臨床移植学会認定医及び日本移植学会認定医と書いてあるからには、一般的には時間的にも余裕があるわけですから、腎がんの患者がドナーとして適応なのか、部切がいいのかというのは、その学会の公的なコミッティーみたいな所で、きちんと評価した上でOKですよと言うのが本来の姿です。この流れから見て、医療機関の関連組織の中だけでそれを決定すること自体、ロジック的にもおかしいという印象を私は持っております。
○猿田座長 ほかにどなたか御意見はありませんか。なければ藤原先生からもう一回、総括的にお願いいたします。
○藤原構成員 資料2-2の評価表の31ページから、「実施体制の評価」です。責任医師、医療機関の体制については、今回は非常に精力的に御回答いただきました。東京西徳洲会病院の小川先生に実施責任医師になっていただいて、西徳洲会が責任施設になるのが筋だと思いますので、ここは「不適」としてあります。
 医療技術の有用性については「適」としておりますけれども、これは臨床研究の中で検証すべきものと考えるので適としています。32ページは斎藤先生の御評価と小原先生の御評価、33ページは田島先生の御評価、34ページは柴田先生の御評価を頂きました。
 回答は非常にたくさん頂いていますけれども、最終的に本日の会議の直前に私のほうから2点小川先生に確認させていただきました。それは90ページを御覧ください。ここは、総括的にもう一度申請者の方々の考え方をこの会議の前にちゃんと聞いておきたいと思って、2点ほど質問させていただいたものです。
 1点目は、複数の委員から指摘されているように、各種ガイドラインでは4cm以下の小径腎腫瘍に対する標準術式として部分切除が推奨されていて、技術的に困難な場合等に腎摘出が考慮されると記載されているにもかかわらず、「小径腎腫瘍の治療法、手術療法について」という、今年の1月15日付の患者向けの説明文書、これは同意説明文書とは別の、手術療法についての説明書きなのですけれども、その中に部分切除が第一選択である旨の記載を私は見付けられませんでした。これを変更されるお考えというのは、申請者にはないのでしょうかということをお聞きしました。本日の会議の中で何度も出てきましたけれども、2012年当時に様々な指摘をされています。研究実施計画書のドナーの適格条件・除外条件の記載も、こういうやり取りを踏まえて変更される意思はありませんかというのも確認しました。
 それに対する回答は92ページです。ここの中では、小径腎腫瘍に対する手術療法として、腎摘と部分切除というのは両方とも別に優劣があるわけではないということを書かれています。研究計画書に「全腎摘と腎部分切除ともに標準治療であり、泌尿器科専門医の技量と判断に委ねている」とし、患者の状態と希望及び泌尿器科医の技量など全てを考慮して、個々の症例で第一選択肢となる治療法を決定すべきと考えますとされています。平行線です。ガイドラインにしたがって、腎部分切除のほうが第一で、その後にいろいろな説明をして、腎摘に移るというのが私は筋かなと思ったのですけれども、そこは違いますという回答を頂きました。
 94ページです。いろいろな2012年からのやり取りも踏まえて、あんなに指摘されたので、さすがにプロトコールの適格条件をちょっとは変えていただけないかと思ってこういう指摘をしました。結局、今回の申請に添付されている研究計画書のドナーの選択条件、ドナー除外条件というのは、前回申請時の実施計画書、これは2012年5月2日付けのものですけれども、そのドナー適格基準と、ドナー除外基準を比較した場合に、1か所だけ変更してあって、それ以外は大きな変更はありませんでした。その1か所の変更というのは、画像診断による小径腎腫瘍の診断の所に「放射線の専門医が入ります」という記載が入っただけでした。これも適格条件・除外条件を変更するという意思を頂けませんでした。
 資料2-2の36ページの総合評価に戻ります。もう少しちゃんとやり取りをして詰めるべきだということを考え、「継続審議」という判定にいたしました。
○猿田座長 細かく説明を頂きましたけれども、最終的には藤原先生としては継続審議ということでどうだろうかということです。山口先生のお考えでは、もう一回全体的に考え直すことも必要ではないだろうかということです。先生方の最終的な判断で継続審議とするか、それとも不適とするかです。
○山口座長代理 私は不適だと思います。本日議論されたようなことをもう一度迅速に、明確に、簡便に答えていただければ、継続でもいいかという意見が出たという条件付きでやらないと、皆さんの負荷も大変だと思うのです。同じことを何回も読まされて、時間の無駄ですし、よろしくないと思います。もう少し真剣にやっていただきたいと思います。
○猿田座長 どうでしょうか、これは非常に重要な問題で、この案件自体も非常に大切な案件ですので、私どもとしては慎重に対応していこうということです。特に関係してくださった先生方には、非常に細かいことまで議論していただいてやっていただいたことを、私からも本当に感謝申し上げます。どなたか、最終的に御意見を頂けませんか。柴田先生はどうでしょうか。
○柴田構成員 私は、山口先生に御指摘いただいたようなところで、既に2012年に指摘されたことに対する対応の議論を今しているわけです。それが長期にわたるようであれば、一旦閉めていただくほうが、出直していただくほうが妥当ではないかと個人的には思うところがあります。
 補足ですが、先ほど山本先生からも御指摘いただきましたように、適格基準の話については、この医療技術に対してだけ厳しいことを申し上げているのではなく、これまでの医療技術においても同様のことは、皆さんいろいろな先生方が一生懸命検討されてきたところです。例えば手術可能、手術不能の線引きをどのようにするかなどという話は、この場でも慎重に議論されてきた医療技術はたくさんあります。ですから1つだけはっきりさせておきたいのは、この医療技術に対してだけ特別厳しいことを申し上げているのではなくて、普通のことを申し上げているだけだということを御理解いただきたいと思います。
○山本構成員 私も柴田先生と同じことを言ったほうがいいのかなと思っていました。例えば、仮にこれがドナーとレシピエントの治療機関が違うのであれば、つまりドナーから摘出する医療機関が別で、そこからドナーが出たという連絡があって、そちらでは独立にそのドナーについての判定がされていて、レシピエントはレシピエントで実際の腎移植はこちらの医療機関で行われるというようなことであれば、そこにはある程度の独立性というのはあると思うのです。これは恐らく同じ医療機関、若しくはそのグループの医療機関でされると思うのです。
 治療であればそれでよろしいかと思いますけれども、臨床試験の場合は、これが絶対に効果があるかどうかということを示すために臨床試験をするわけですから、現時点ではこの治療が効果があるかどうかというところは不明であるという前提があって、臨床試験をするというのが臨床試験を行ってよい前提です。治療の信念に基づいて行われるべきではなくて、可能な限り第三者が見たときに公正に判断されているというセッティングを行っていただくということが、実際の臨床試験をする前提としてなければ、それが倫理性を保つというところに必要だと思います。
 そこに今回は委員の先生方、私も含めてですけれども、公正性を十分保てているかというところに若干疑念が湧くかもしれないという状況があるということなので、そこを修正していただくというのが、まず基本的には必要だと。これは臨床試験を行う、全ての臨床試験に求められていることですし、柴田先生がおっしゃったように、今まで全ての臨床試験にここの会議で求めていますので、別にこれについて特別に厳しく言っているわけではないと思っております。
○猿田座長 貴重な御意見を頂きました。他にどなたかありますか。
○山中構成員 柴田先生たちが言っていることと本質的には同じなのですけれども、臨床試験というのは結果の再現性が必要です。徳洲会病院以外の他の病院でやった場合も同じ結果が出ることが重要で、そのためにはきちんと客観的な定義をしておかなければいけない。だから部分切除なのか、全摘なのかというところは、泌尿器科の技量と判断に委ねられるというわけではなくて、きちんと明確にしなければいけない。そういう観点から斎藤先生がきちんと外部のボードを作って、その判定に関して透明化するようにと言っているのだろうと思います。そういう透明化の過程があれば、徳洲会以外の病院がやる場合もそういう経過を見て、きちんと部分切除なのか全切除なのかということの判断に資する。同じような定義をもって、そういう臨床試験を行うことができると思います。
 あとは、柴田先生が言っていたことで、もう1つ重要なのは、部分切除なのか全摘なのかという倫理的な問題だけではなくて、がんの残存状態も加味して、部分切除なのか全摘なのかを決めるわけです。それを移植した場合の移植先でのがんの再発率にも、大きく絡んでくる話だと思います。その有効性の判断に関しても、そこで部分切除なのか全摘なのかというのはきちんと基準を決めて、それを移植して、その条件の下で初めてがんの再発率というのは評価できるわけです。そういうところが十分に、評価委員と病院とのやり取りの中で理解されていないのではないかということは思いました。
○猿田座長 田島先生は何かありますか。
○田島構成員 私も継続審議ではなく、不適の評価にすべきではないかと思います。倫理的観点からしても、結局この申請内容を見ると、レシピエントのほうしか見ていないというように思われます。ドナーの利益が全く無視されて、全摘に誘導されるような形でレシピエントに腎臓を提供させたいというようにしか見えませんので、このままの形では無理だと思います。
○猿田座長 藤原先生、もう一回最終的にお願いします。
○藤原構成員 皆様方の御意見をお伺いして、すっぱり不適にして出直していただくということになるように思います。
○猿田座長 よろしいでしょうかね。
○藤原構成員 余りダラダラと継続というよりも、一度ちゃんと全面的に書き直したというので再申請というのが確かに筋かと思います。皆様方の御意見を聞いて、少し厳しく。
○山口座長代理 私も不適でいいと思うのです。今までインターバルが長すぎたので、こういう議論をちゃんと伝えれば、3か月でも4か月でもいいですけれども、もっと短い期間で1度チャンスを与えたほうがいいのではないかと思うのです。バサッとやるよりも、そういう具合いに感じました。
○医政局研究開発振興課長 そこについては申請者のほうと、今までの先生方のやり取りをした上で、今回は正直言って全部直しきれていないというところは申請者も分かっています。ただ、先生方の御意見をしっかりと一遍聞かせていただきたいと。要するに前回不適だったところはあるのですけれども、正にいろいろ言っていただいたものについて修正をしたいという意思が非常にあります。その上で、今回はまだ回答がきちんと出そろっていない状況は申請者側も理解しております。その上で、いろいろ細やかな意味の先生方の議論を聞いた上で、更に修正をしたいという意欲があるというのはお伝えさせていただきます。
○猿田座長 その意見を申請側に、今、課長がおっしゃってくれたことを戻すということですか。
○医政局研究開発振興課長 はい。先生方の御意見をしっかり戻して、修正のほうを頑張っていただきたいと私どもとしては思っております。実際、今の段階で、この内容がこの審査に通るというのは、申請側のほうも難しいだろうというのは分かっているのですけれども、今まで修正を重ねてきて、中の議論も事務局ともやり取りをしてきております。実際、今回の会議の審議を聞かせていただいて、更にできるだけ早く修正をしていきたいという意欲はもともと持った上での申請となっておりますので、そこの点については御理解いただきたいと思います。
○猿田座長 そういう意見が事務局から出ましたけれども、藤原先生どうでしょうか。
○藤原構成員 そう思って、私は最後の指摘をさせていただいたのです。あの回答の中に、「もう少し検討したい」と書いていただければよかったのですけれども、「しません」と言われてしまったら、ここの会議の議事録には残るのですけれども回答の中に入っていないので、回答を変えていただいて、「もう少し精査して内容を変えたい」というように書いていただければ素直に継続審議と書けるのですけれども、「やりません」と言われたら、「ああ、そうですか」になってしまいます。
○医政局研究開発振興課長 その点についてはしっかり説明をした上でしたいと思います。
○猿田座長 本日、藤原先生にそこまで確認していただいたと。それで「ノーだ」と言われたということで、今、先生は言っているわけです。どうしたらいいのですか。
○藤原構成員 将来的に掛かるとしても、昔の先進医療専門家会議とか臓器移植委員会の議事録を見たら読むのが大変だったので、シンプルに評価表とか回答表の中に、継続審議になるような回答を頂いた上で、課長がここで言ったから変わったのではなくて、申請者の回答のほうにそういう継続審議というか、「ちゃんと書き直してきます」ということを文章で残していただくと、次の審査をする人たちがまた苦労しないで済むと思うので、そこはやっていただければと思います。
○山本構成員 最後の回答を見たときに、一応そのプロスペクティブのRCTで、腎摘のほうが予後が良かったというのを出されています。それをもって腎摘を進めても、恐らく医学的に問題はないという回答でした。私は専門領域ではありませんが、先ほどからお話をお聞きしていますと、例えば同じ領域の斎藤先生は、いわゆる最新の技術で見ると、既にこの2012年に出されているプロスペクティブRCTをやったときよりも、更に技術が進んでしまっているということだと思います。そこは臨床研究を立てるほうも大変だと思いますけれども、常にその時点の最新の医療技術で、その最新の知見を基に臨床試験というのは組まざるを得ないので、そこはアップデートしていただく必要があると思います。
 恐らくエビデンスはある程度あるのでということをおっしゃりたいという回答で、それはそれで私もその気持ちもよく分かりますが、残念ながら今は非常に手術の技術がどんどん良くなっている領域で、しかもそういう時代にこれを組んでおられるということで、我々も最新の状況に合わせた研究計画を求めざるを得ないという時代の要請というものを御勘案いただければと思います。
○斎藤技術専門委員 課長に一言質問します。これは回答が全部小川先生なのです。それで万波先生が代表になっています。実際に厚生労働省と検討している医療側の先生というのは万波先生なのですか、小川先生なのですか。
○医政局研究開発振興課専門官 小川先生に御対応いただいております。
○斎藤技術専門委員 藤原先生が御指摘されたように、山口先生も御指摘されたように、根本的に改訂して出すのでしたら、やはり小川先生が主責任医師として出てきていただかないと議論にならないと思うのです。その辺から含めて体制を立て直して、継続審議ならまだ分かりますけれども、今のままではかなり厳しいのではないかと思います。
○猿田座長 どうですか。
○医政局研究開発振興課長 その実施体制については、また御相談させていただきたいと思います。ただ、実際、我々にいろいろ出てくる資料の中で、窓口になる方が若干違うときもあります。今回の回答は小川先生の名前で出てきていますので、私どもも実施体制というのはどういうものなのかを確認させていただきたいと思います。
○松山構成員 拝聴していて、本当に1対1対応でやっているので、トータルの中でどこに本質的な問題があるのかというのが議論として見えてこないのです。その部分を是非とも事務局のほうで取りまとめていただく。そうしないと、先方も混乱して、ここを直したらこっちに齟齬が出ると言って、お互いに不幸なのです。その部分の時間は是非とも先方にも与えてあげていいのではないか。それをもって議論していただく形にしていただけないか。私もいろいろな質問が出て、それに対していろいろな質問が返ってきているのですけれども、全体像がちょっとつかみにくいところがあるので、事務局には負担になりますが、そういう形にしていただければ非常に有り難いと思います。
○猿田座長 藤原先生のお考えを。
○藤原構成員 先ほどの山本先生の御指摘の、ランダム化比較試験なのですけれども、これはヨーロピアン・ウロロジーに2011年に出たものです。EORTC-30904試験と言います。これもエビデンスレベル1Bと申請者は言っているのですけれども、実際はすごいサンプルサイズで1,300ぐらいですけれども、大きなサンプルサイズでスタートしました。非常に症例のアクルーアルが悪くて、結局早めに締めてしまいました。その後は統計解析したら、ITTではOSだけは差が出るのですけれども、サブセットですると様々な結果になって、腎摘と部分切除と生存の予後の差がなくなったり、統計学的に精緻に見ていくと、余り頑健性の高くないランダム化比較試験の結果だと思うのです。
 それを受けて2014年、今回のやり取りの中でこの論文を出してくるかなと思ったのが出てこなかったのですが。2014年にEORTCがこの30904試験の長期フォローの結果を発表していて、その中では腎全摘に比べて、腎の部分切除のほうが腎機能長期予後が非常に良いのです。ただ、生存の成績については何とも言えないのです。エディトリアルがそれに付いているのですけれども、エディトリアルの中では、腎機能については腎部分切除のほうが絶対に良いのだけれども、生存はどっちのほうが良いかというのは相変わらず分かりませんという評価で締めくくられています。まだ、非常に混沌とした状況であるのは間違いない。これは山本先生の御指摘に対するコメントです。
 松山先生の御指摘ですが、論点は結構絞られていて、ドナーにオプションをきちんと示した上で、選択する機会を与えるというところ。つまり柴田先生がおっしゃっているように、部分切除が本来の適応なのだけれども、全摘でもいいですよと納得される方が本当に出てくるのかというのが、多分ドナーサイドとしては問題になると思うのです。そこをちゃんと明らかにしていただく。それを適格基準あるいは同意文書の中で明らかにしていただく。レシピエント側からすると、その手術の術式が変わってきますので、それに関して長期予後がどうなるかというのは多分懸念としては残ります。これは最初の2012年の先進医療専門家会議のときに、事務局サイドが論点メモを既にまとめています。もしすっきりさせるのだったら、事務局がそのときにまとめた論点メモそれぞれについて、この4年ぐらいの進歩の中で申請者が、現状の科学の中からその論点に関してはこのように考えますというのをまとめていただいて、次に今回の申請で回答をやっていただければ、皆がすっきりするかと思います。
○猿田座長 ありがとうございました。私の代わりに全部藤原先生にまとめていただきました。そういう形で課長のほうからしっかり今のところをまとめていただいて、申請施設のほうへ出していただきたいと思います。
○山口座長代理 私は個人的にこの技術はあってもいいと思うのです。決して全面的に否定するわけではないのです。あらゆる移植がそうですけれども、ドナーはリスクをかぶります。絶対に移植をしたら元気になるということはあり得ないのです。ただ、そのリスクの大きさがどのぐらいかということに関して、今回のこの研究の提出の形を見ると、残したほうがいいのではないかと言えば、それは残さないほうがいいのだということにさっとしてしまう。その辺りを明確に本当のリスク、例えば斎藤委員がおっしゃったように、年を取ってきたら、腎不全のリスクが増しますよと。それでも誰かを救うためであればいいのだという気持ちになるように説明をしないと、そこのところが非常に曖昧なのがこの研究の問題点なのです。そこをきっちり直してくださいと。表面的なことではなくて、抜本的なことなのです。今皆さんがいろいろ指摘したことを真剣に受け止めていただかないと、次は駄目ですよということにしていただければいいと思います。
○猿田座長 そういう形で一応戻すということで、委員の先生方には御了承いただいたということでよろしいでしょうか。ありがとうございました、それではそういう形でこの問題は。
○医政局研究開発振興課専門官 確認です。先ほどの御議論は「継続審議」ということでよろしかったでしょうか。
○猿田座長 よろしいですかね。そういう形ですけれども、早急に対応していただかないと、3年半もたってはかなわないです。それはしっかりしてくれないと、非常に大切な問題ですから、その点はしっかり動いてもらわないと困るということです。この問題は今言った形で、一応継続審議ということにしますけれども、非常に大切な問題ですから、ちゃんと対応してもらいたいということです。それでは、一応この問題は継続審議という形で決めたということにさせていただきます。よろしいですか。
○医政局研究開発振興課専門官 はい。
○猿田座長 次に移ります。
○医政局研究開発振興課専門官 事務局になります。続きまして「試験実施計画の変更」に関して、事務局より御説明させていただきます。今回、先進医療Bの試験実施計画の変更につきまして、2件の申請がありました。資料3-1、99ページを御覧ください。1件目は北海道大学病院からの申請で、告示番号37「炭素11標識メチオニンを用いたポジトロン断層撮影による再発の診断」についてです。適応症等は頭頚部腫瘍であり、かつ、再発が疑われるものに限るとなっております。
 本試験は、メチオニン合成装置を用い製造した炭素11標識メチオニンを用いたPET検査を、腫瘍再発の検出感度についてフッ素18標識FDGを用いたPET検査と比較する単郡試験となっております。予定試験期間は、平成26年12月から平成28年10月まで。予定症例数は、検査例が99例、うち病理陽性症例が33例となっております。今回の申請時点で検査例が29例、うち病理陽性例が18例となっております。今回、主な変更内容として、1.症例登録期間を平成29年10月まで1年間の延長とし、試験期間を平成30年3月までとするということになります。その他記載整備があります。以上2点です。
 変更申請の理由ですが、試験期間の延長について、試験開始から1年8か月経過し、目標症例数99症例数のところ、実施症例数は29例になっております。当初終了予定の平成28年10月までに目標症例数到達は困難と判断されます。しかし、本試験は病理陽性症例数が33例となった時点で終了する計画でもあります。現在、病理陽性症例数は18例を数えており、予定より若干進捗が遅れているものの、着実に病理陽性症例数が蓄積されております。今後もほぼ同等の症例獲得が見込めますことから、症例登録期間を平成29年10月までの1年間の延長としております。延長後の実施期間内には、確実に目標症例数に到達できるものと考えております。また、試験計画の中に登録後に経過観察期間が生じるケースがあるため、登録終了時期と試験終了時期を区別し記載しております。以上です。御審議をお願いいたします。
○猿田座長 ありがとうございました。今御説明いたただきましたように、1年間の延長をすれば症例が可能であろうということですが、どなたか御意見はありますでしょうか。よろしいでしょうか。もしなければ、それではお認めいただくことにさせていただきます。どうもありがとうございました。
 それでは、2件目の試験実施計画の変更につきまして、これも事務局のほうから御説明をよろしくお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 事務局です。資料3-2、101ページを御覧ください。告示番号55「内視鏡下手術用ロボットを用いた腹腔鏡下広汎子宮全摘術」です。適応症は子宮頸がんとなっております。申請医療機関は、東京医科大学病院です。本試験は、ロボット支援広汎子宮全摘術を施行し、術中出血量について従来の開復手術と比較する単群試験です。予定登録期間は、平成28年4月から平成34年9月まで。予定症例数は100例で、今回の申請時点で3例が登録されております。
 主な変更内容について、2点あります。1点目は、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件として考えられるもののうち、医療機関の要件についての変更。1つ目は、看護配置10対1看護以上としているところを、7対1看護以上に変更する。2点目は、当直体制、産科・婦人科及び麻酔科であるものを、産科・婦人科あるいは婦人科及び麻酔科の在院または在宅待機へ変更するという内容です。その他記載整備となっております。
 変更申請の理由ですが、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件の1つである当直体制について、当初、ロボット支援手術が新規医療技術であり、未知の有害事象の発生を考慮し、産科・婦人科及び麻酔科の当直体制を必要と考えました。しかし、現在まで申請機関の産科・婦人科において、これまで当該技術を用いた手術60件を含めまして301件のロボット支援手術の実施経験がありますが、これら全ての症例について、当直時間帯における産科・婦人科あるいは麻酔科の緊急対応を要する事案の発生は1件もありませんでした。これら客観的事実を踏まえて、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件として、在院若しくは随時来院が可能なオンコール体制も可とするよう当直体制の要件について見直を行いました。また、協力医療機関を増加することで、本研究の早期終了も可能となります。
 今回、当直体制についての要件見直しに伴い、安全性の確保に配慮し、高度急性期医療を提供可能な施設に絞る観点から、看護配置については7対1看護以上に変更としております。以上です。御審議をお願いいたします。
○猿田座長 どうもありがとうございました。今のような説明でちょっと問題なのは、当直体制であり、非常に重要な技術ですので、当直体制オンコールというのはちょっと問題ではないかと思うのですが、どなたか御意見ございませんでしょうか。
○山口座長代理 まだ、3例しかやっていなくて、安全体制を緊急に変える理由がよく分からないということ。それから、それを下げることは心配なので、それを7対1でカバーするという、これもちょっとよく理解できない発想ですね。安全管理上の問題を少しハードルを下げて、要するに参加施設を、3例しかやっていないということで増やそうというのは、やっぱりちょっとよろしくないと私は思いますので、これは認めるべきではないと思います。
○猿田座長 ほかに、どなたか御意見ございますでしょうか。今お話がありましたように、まだ3例しかやられていないということで、オンコール体制にするのは問題だろうということですが、どうでしょうか。
○医政局研究開発振興課専門官 事務局です。一応、申請者としては当該申請技術と同様の子宮広汎全摘術に関しては、60例の経験はあるということを主張されております。こちらを申し添えておきます。
○猿田座長 現時点では3例ではなくて。
○医政局研究開発振興課専門官 先進医療科で行われているものは3例ということになっております。
○山口座長代理 この施設ではいいのかもしれないんだけれど、ほかの施設に広げようとしているときに、自分の経験をそれだけやったって比較にならないではないですか、そもそも。300件と言っているけれどほとんどが簡単な手術で、60件がわずかにちょっとまともな手術ということですから、全然、それは安全性の担保にはならないと私は思いますけど。
○山本構成員 すみません、事務局にちょっとお伺いしますけれども、問題は麻酔科の当直を確保することが難しいということなのでしょうか。
○医政局研究開発振興課専門官 こちらは、産科・婦人科及び麻酔科の当直をすべて要件としているため、これらをオンコール体制としたいという申請者の意見をいただいているだけで、麻酔科の確保の困難さ等については未確認です。
○山本構成員 7対1看護の病院に絞ったときに、普通、麻酔科の当直はあるのではないんですかね。産科・婦人科というのが、ちょっと毎日ずうっといる当直体制を敷いているというところが少ないということですかね。私は、その3症例しか入っていないところというのが、結局、施設数が少な過ぎて進まないのであれば、それで予定症例数が100ですから、施設数を増すときにやっぱり。例えばもちろん安全確保は大事なんですけれども、ものすごくその安全確保のハードルを高くするがために、結局のところその試験が全く進まないで、例えば100例と言っているのに10例で終わってしまうということも、医療技術の有効性・安全性の結果が出ないということになってしまいますので、バランスは取らないといけないと思うのです。ですので、妥当なところでバランスを取ることは考えるべきではないかなとは思うのです。
○猿田座長 ですから、医療機関の要件の変更は認めないと。しかしながら、その他の記載整備のところを認める形でいいのですか。
○山本構成員 今出ている他の記載整備をしたとしても、それは全く症例の増加にはつながりませんよね。結局のところ、医療機関を追加しなければ症例数が増えないという局面にいってしまっているということですか。なぜ、この3症例しか今は入っていないかというところですよね。 
○医政局研究開発振興課専門官 実際、本年4月から試験開始となり、実質4ヶ月で3例ということです。まだ開始から日が浅いというところもあります。
○山本構成員 であれば、もうちょっと症例を積み上げてから変えていただくほうがいいと思いますけれども。
○猿田座長 そういうことですね。
○山口座長代理 山本先生がおっしゃることはもっともなんですけれども、もともとこの計画を立てたときに、こういう施設が参加できて100例できるという具合に読んでやったはずですよね。まだ始まったばかりなんです。何でこんなことが起きてきたかというと、いろいろな病院からうちもda Vinciを持っているからやらせてほしいということがあるのかもしれないということですね。ですから、本当に苦しいのかどうかということは分からないのです。意地悪するわけではなくて、最初の計画どおりにきちっと奨励して、参加予定施設に早くやってもらうのをまずやるべきだと思います。
○猿田座長 よろしいですね。それでは、そういう形で機関の要件の変更については認めないということです。それでは続きまして、「協力医療機関の追加」についてお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料4-1、105ページを御覧ください。これまでに大臣告示されている5つの技術につきまして、協力医療機関の追加申請がありました。資料4-1に各々先進医療名、適応症、申請医療機関、追加医療機関について記載してあります。
 次に4-2、107ページから111ページを御覧ください。事務局におきまして、協力医療機関として提出のあった先進医療実施届出書等を確認し、いずれも先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件、様式第9号を満たしていることを確認しました。協力医療機関の追加として御了承いただきたく存じます。特に御意見がなければ手続を進めさせていただきます。
○猿田座長 ありがとうございました。見ていただくと分かりますように、いずれもちゃんとした機関であると思いますので、よろしいですね、これを認めて。では、お認めいただいたということにさせていただきます。最後に「協力医療機関の取り下げ」です。
○医政局研究開発振興課専門官 資料5、113ページを御覧ください。これまでに大臣告示されている1つの技術について、協力医療機関の取下げ申請がありました。資料5に、先進医療名、適応症、申請医療機関、取り下げる医療機関について記載してあります。今回、取下げの理由としましては、実施責任医師の退職と、登録期間内の症例登録実積がなかったためとなっております。特に御意見がなければ手続を進めさせていただきます。
○猿田座長 ありがとうございました。医師が辞められるということですので、これはしょうがないかと思います。よろしいですね。それでは、これもお認めいただいたということにさせていただきます。
 そうしますと、大分時間を取ってしまいましたが、本日議論していただくことは以上ですけれども、委員の先生方、どなたか何か最後に御意見ございますでしょうか。もし、ないようでしたら、事務局のほうから先の予定をお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 次回9月の開催は、15日の木曜日、時間は16時から18時までとさせていただきます。場所については別途御連絡させていただきます。また、本日の議事録については、作成次第、先生方に御確認をお願いし、その後、公開させていただきますので、併せてよろしくお願いいたします。
○猿田座長 ありがとうございます。それでは今日の病的腎臓に関しましては、連絡をよく施設と取っていただきたいと思います。大切な問題がありますので、早急にやっていただきたいと思います。
 どうも、先生方、御協力をありがとうございました。長くなってしまい申し訳ありませんでした。

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