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2016年8月2日 第18回社会保障審議会福祉部会 議事録

社会・援護局総務課

○日時

平成28年8月2日(火)10時~12時


○場所

KKRホテル東京
東京都千代田区大手町1-4-1


○出席者

田中 滋 (部会長)
宮本 みち子 (部会長代理)
阿比留 志郎 (委員)
石橋 真二 (委員)
鎌倉 克英 (委員)
小林 光俊 (委員)
関川 芳孝 (委員)
高橋 英治 (委員)
高橋 福太郎 (委員)
武居 敏 (委員)
橘 文也 (委員)
対馬 徳昭 (委員)
平川 則男 (委員)
藤井 賢一郎 (委員)
(代理:武藤素明参考人)
堀田 聰子 (委員)
松原 由美 (委員)
松山 幸弘 (委員)
三好 昇 (委員)
柳川 純一 (委員)

○議題

改正社会福祉法の施行に向けた検討事項について

○議事

 

○田中部会長 おはようございます。定刻になりましたので、ただいまより第18回「社会保障審議会福祉部会」を開催いたします。委員の皆様におかれましては、御多忙の折お集まりいただきまして、どうもありがとうございました。

 初めに、社会・援護局長より御挨拶を頂戴します。

 その後、事務局より委員の出席状況について説明をお願いします。

 よろしく。

○定塚社会・援護局長 このたび社会・援護局長を拝命いたしました定塚でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 私は、ちょうど4年前まで福祉基盤課長で社会・援護局のほうにおりまして、4年ぶりにこの局に帰ってまいりました。その間、皆様方の御議論を経て、社会福祉法の一部を改正する法律が成立したということで、新しい改革に向けて御議論をいただいているところと伺っております。

 いよいよ施行まで残り半年余りとなってきておりまして、限られた時間の中で新制度の詳細について皆様方から御議論をいただくということ。また、社会福祉法人の方々、地方公共団体の方々、関係する皆様方に限られた時間の中で御準備を進めていただかなくてはいけないということがございます。皆様方とともに私どもも力を合わせてこの改革をよりよい社会福祉への道となるように進めていきたい、このように考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 最後になりましたけれども、先般、相模原の大変痛ましい事件がございました。この事件につきましては、現在、私ども社会・援護局、特に障害保健福祉部が中心となりまして、一体どのようなことでこの事件が起こったのか、また、今後の再発防止策としてどのようなことが考えられるのか、実情の解明、対策の構築ということを早急に考えてまいりたいと思っております。また関係する皆様方から御意見も頂戴しながらと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 以上でございます。

○田中部会長 ありがとうございました。

 事務局より委員の出欠状況についてお願いします。

○藤原社会・援護局総務課長 それでは、本日の委員の出欠状況につきまして申し上げます。本日は、猪熊委員、川井委員、黒岩委員、藤野委員より御欠席の御連絡をいただいております。

 また、藤野委員の代理といたしまして全国児童養護施設協議会副会長の武藤素明参考人にお越しいただいております。

 なお、三好委員から30分程度おくれて出席するとの連絡をいただいております。

 それから、堀田先生が少しおくれていらっしゃるようでございます。

 以上でございます。

○田中部会長 ありがとうございました。

 ただいま御紹介がありました欠席委員の代理として出席されている参考人について、皆様の承認をいただきたいと存じます。いかがでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○田中部会長 ありがとうございました。

 次に、前回の福祉部会以降事務局に人事異動がありました。事務局から紹介をお願いします。

○藤原社会・援護局総務課長 6月21日、7月1日付で事務局側に異動がございました。ただいま御挨拶申し上げました社会・援護局長の定塚でございます。

○定塚社会・援護局長 よろしくお願いします。

○藤原社会・援護局総務課長 それから、私、総務課長、藤原でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 もう一人、福祉基盤課長として石垣が着任しておりますけれども、恐縮ですが、公務でおくれて出席をさせていただきたいと思います。

 以上でございます。

○田中部会長 ありがとうございました。

 カメラはここまでとさせていただきます。

 続いて、議事に入ります前に資料の確認を行います。事務局から説明をお願いします。

○藤原社会・援護局総務課長 それでは、お手元の資料につきまして確認をさせていただきます。

 本日の配付資料といたしまして、

 資料1 社会福祉法人改革の施行スケジュールについて

 資料2 「社会福祉充実残額」の有効活用について

 資料3 「社会福祉充実計画」の策定と地域協議会の運営について

 資料4 社会福祉法人会計監査円滑実施協議会について

 参考資料1 社会福祉法人制度改革の施行に向けた全国担当者説明会資料

 参考資料2-1 社会福祉法人の財務規律の向上に係る検討会(第4回)資料

 参考資料2-2 社会福祉法人の財務規律の向上に係る検討会(第3回、第4回)における控除対象財産に関する主な意見

 参考資料3 社会福祉法人会計監査円滑実施協議会(第2回)資料

これらを配付させていただいておりますので、委員の皆様、御確認のほどお願いいたします。漏れ等ございませんでしょうか。

 以上でございます。

○田中部会長 ありがとうございました。

 ここから議事に入りますが、その前に、橘委員より申し出がありましたので、発言をお願いいたします。

○橘委員 ありがとうございます。

 今ほど局長からお話がありましたけれども、先般、神奈川県で発生した事件、当該施設は本会会員の施設でして、28日に私も現地に行ってまいりました。とても残虐な犯行で、あの容疑者は、障害者はいなくなってしまえばいいであるとか、重度の障害者は生きていても仕方がない、障害者のためにお金をかけることは国の損失であるなど、とんでもない、聞き捨てならない供述をしていると報道がされております。

 共生社会の実現に向けて歩みを進めている中、このような事件が起きて本当に残念でございますが、事件は社会や時代を映す鏡と言われております。我々はこれにどう向き合っていけばいいのか。差別や偏見が増幅することのないよう、また、こういうことに誘発される者があらわれないことを願ってやみません。私ども協会としては声明文を26日当日に会員向けに発出するとともに、私が現地に行った後、29日に広く国民の皆様向けに声明文を発出しております。改めてこの場をおかりしまして亡くなられた方と御遺族、関係者の方々に謹んでお悔やみ申し上げます。

 負傷された方の一刻も早い回復と、その場に居合わせた方々が一日も早く以前の暮らしに戻り、心の傷を癒やせるよう願っております。社会福祉のあり方とまた違いましょうが、でも、とても大事なことですので、私、協会を代表して改めてこの場で声明に合わせて発言させていただきました。よろしくお願いいたします。

 以上です。○田中部会長 ありがとうございました。

 橘委員並びに局長がおっしゃったこと、我々も心より共有している状態だと信じます。

 次に、資料1について、事務局より説明をお願いします。

○田中社会福祉法人制度改革推進室長 それでは、お手元の横紙の資料1「社会福祉法人改革の施行スケジュールについて」をご覧いただければと存じます。

 冒頭局長の挨拶にもありましたとおり、施行まで時間がない中で、こういった形で皆様方に議論をお願いしていただいているところですが、今の進捗状況と今後の進め方につきましてまとめさせていただいた資料でございます。

 一番左上の「関係法令改正等」というところです。6月まででございますが、「定款例(案)等事務連絡発出【済】」ということで、評議員の関係につきましては、法人の皆様方に人選をしていただいて、評議員の選定委員会を設置していただいて選定をしていただくという手続を実施していただかなければならないということもございまして、正式にはきちっとした通知という形で10月以降発出いたしますので、正式な手続という意味では秋以降ということでございますが、それに先立って、あらかじめ評議員並びに選定委員会の人選を進めていただくべく6月に事務連絡のほうを発出させていただきました。

 皆様のお手元、参考資料1という形で分厚い資料をお配りさせていただきましたが、これは7月8日にその事務連絡に基づいて全国の自治体の担当者に説明会をした資料でございます。これは後ほど参考までにご覧になっていただければと考えておりますが、とりあえず一番急ぎます評議員会につきまして事務連絡を発出させていただいて、準備を進めているということでございます。

 また、会計監査人の関係につきましては、後ほど資料4、時間があれば御説明申し上げますが、会計監査制度についての理解を深めていただくということで、関係団体と公認会計士協会の皆様に円滑実施協議会という形で参加をいただいているということでございます。

 一番下から2段目、社会福祉充実計画は、本日御議論いただく控除対象財産及び社会福祉充実計画ということでございます。参考資料2にございますとおり、検討会で議論いただいているところでございまして、これに基づきまして本日資料2、資料3ということで関係資料を御用意させていただいて、後ほど私のほうから御説明させていただいて、御議論いただければと考えております。

 内容については、6月に評議員、事務連絡を発出いたしましたが、この社会福祉充実計画の関係につきましても、8月、9月に議論を進めていただいて、10月には一番上にございます関係法令改正等ということで、関係政令、関係省令、関係通知につきまして正式に制定あるいは発出をさせていただいて、本日御説明は省略させていただきますが、記載のある赤い矢印のような準備を法人の皆様に進めていただくということで考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 とりあえず私からは以上でございます。

○田中部会長 ありがとうございました。

 ただいま説明のあった資料1について御質問があれば、どうぞ。武居委員、お願いします。

○武居委員 全体のスケジュールの話を今、御説明いただきましたので、スケジュールについて御質問させていただきたいと思います。

 私ども全国社会福祉法人経営者協議会としては、会員の皆さんがそれぞれにこの問題についてスムーズに進めてもらうということを考えておりまして、昨年度全県で説明会をし、今年度は2回全県で説明会をしようとやっておるところでございます。

 現在もちょうど7月から8月にかけて、全県での説明会をしておるところであります。現在のところ27県で開催して参りまして、5,800人余の参加をいただいております。主な対象は会員ですが、会員でない方も随分参加されています。

 全体的な感触としまして、昨年度行った説明会では、全体像をつかみたい、知りたいということで、理事長とか役員の方の参加が結構多かったんですが、今の段階になりますと、全体的に事務作業の問題に対して知りたいということで、施設長とか事務長さんレベルの方の参加が随分多いように思います。さまざまな質問もいただいておりまして、現時点のところで持っている資料をもとに御説明をしているところでございます。

 その中でも、特に今の資料に基づきますと、定款の問題でありますとか、評議員会、理事会の問題は、ほぼ今までの経験値の中の範囲内ですので、そう大きな問題はないと思われるのですが、会計監査人の選任の問題と社会福祉充実計画のところの問題は、これから細かいところが決まってきて、なおかつ今年度内ないしは決算の段階までに方向性を出さなければいけない。対象もまだはっきり決まっていないというところがありまして、会員の中からはそのあたりを不安視する意見が結構出ております。

 したがって、そのあたりのところを、例えば何らかの段階を経てその問題に対応するということにより、混乱を来さないような対応をぜひお願いしたいと思います。

 要望です。以上です。

○田中部会長 現在の状況の説明、ありがとうございました。御要望も承りました。

 ほかによろしゅうございますか。

 では、次に改正社会福祉法の施行に向けた検討状況について、事務局より資料2の説明をお願いします。

○田中社会福祉法人制度改革推進室長 それでは、引き続き資料2「『社会福祉充実残額』の有効活用について(素案)」という資料について御説明をさせていただきます。本日は資料2でいわゆる控除対象財産、資料3で社会福祉充実計画ということを御説明させていただきますが、まずは資料2の社会福祉充実残額につきまして御説明をさせていただきたいと思います。

 本日、資料2という形で資料を御用意させていただきましたが、これにつきましては、前回、5月の福祉部会で御紹介させていただきましたが、検討会を設けて検討を進めているところでございまして、本日参考資料2-1と2-2という形で、検討会の資料と概要をお配りさせていただきました。福祉部会の松原委員にも御参加いただいて、公認会計士等の専門家の方を委員として、前半は会計監査人関係で、後半、6月、7月で控除対象財産について御議論いただきました。

 今回、資料を御説明申し上げますが、きょうの資料はそれをまとめた、いわば結論めいた資料ということでございますが、検討会の議論の中では、各法人のデータ等を利用させていただいて議論したということで、非公開で議論させていただきました。

 議事概要につきましては参考資料2-2につけさせていただきましたので、また後ほどご覧になっていただければと考えております。本日の資料につきましては、そういった形で検討会の議論を経て一定のまとめをした素案ということで御紹介させていただく次第でございます。

 ページを1枚おめくりいただきまして、1ページ「社会福祉充実残額の有効活用について」ということで、これは先ほど申し上げた社会福祉充実計画を含めた全体像をポンチ絵、1枚で簡単に示した資料でございます。一番上にございますが、「社会福祉法人が保有する財産については、事業継続に必要な財産を控除した上で、再投下可能な財産(社会福祉充実残額)を明確化する。社会福祉充実残額が生じる場合には、法人が策定する社会福祉充実計画に基づき、既存事業の充実や新たな取り組みに有効活用する仕組みを構築する」ということでございます。

 これにつきましては、私が繰り返し申し上げるまでもないのですが、数年前に社会福祉法人の内部留保が過剰に蓄積されているのではないかという議論に端を発しまして、では、その内部留保というものは一体どういうものなのか、どういうものが必要な内部留保であって、どういうものがそうでない内部留保なのか。仮に必要でない内部留保を社会福祉法人が持っている場合には、それをどうしていくべきなのかということをこの福祉部会で御議論いただいて、27年2月に報告書でおまとめいただいたものでございます。

 それに基づいて今回法律を提出して、仕組み自体は構築されたわけですが、では、具体的に必要な財産、控除すべき財産は何かということにつきましては、省令、通知で定めることになっておりまして、その内容について事務局としておまとめさせていただきましたので、それについて議論いただきたいということでございます。

 図の一番左「活用可能な財産」ということで、これは資産から負債や基本金を控除して、現に活用可能な資産を算出ということで、法人全体で必要な資産を含めて剰余金がどの程度あるかということをまず算出いただいた上で、真ん中の黄色の部分「事業継続に必要な財産」ということですが、1.事業用不動産であるとか、2.将来の建替費用、あるいは3.運転資金、それぞれ必要な費用、必要と計算される費用を控除して、イコールのところでございますが、再投下対象財産を出す。その上で、オレンジ色で書いてありますが、社会福祉充実残額が生じた場合のみ社会福祉充実計画をつくっていただく。一番下にございますが、法律で社会福祉事業に充てる、あるいは地域公益事業に充てる、公益事業に充てるということで、優先順位を含めて定められているということでございます。

 2ページ目「『控除対象財産』及び『社会福祉充実計画』について」ということでございます。なかなか言葉もわかりづらいところがあって、控除対象財産あるいは社会福祉充実計画について一部誤解もあるようなことを聞いておりますので、改めてどういったものかということをおまとめさせていただいた資料でございます。

 まず、1つ目の○「控除対象財産とは、再投下対象財産の算定に当たり、『事業継続に必要な財産』として、定量的に算定可能な枠を設定するもの」ということでございまして、必要な財産を算定するということに当たりまして、一定のルールをつくって、その法人あるいはその施設についてはどの程度の財産を保有していることが適当なのかということの枠を設定するということでございます。

 矢印のところでございますが、「社会福祉法人の事業形態・財政状況は多様であり、このルールにより算定された額と実際に法人が保有している財産額は異なる」ということでございます。

 2つ目「会計上のルールとは別の仕組み」ということで、今、会計基準がございますが、それとは全く別の仕組みでございまして、社会福祉法人制度として事業継続に必要な財産を算定するルールを定めるということで、例えば法人が将来の備えのために計上した積立資産(積立金)であることをもって自動的に控除対象財産とはならないということで、法人の皆さんは各種積み立てをされて、それは必要な経費だということで、控除対象財産になるのかどうかということですが、それをもって一義的になるということではござません。ただ、別に会計基準を変えるわけではございませんので、今、積み立てている積立金はこれまでどおり計上可能ということで、会計上のルールとは別の仕組みだということでございます。

 2つ目の社会福祉充実計画でございます。これにつきましては、「控除対象財産を超えて社会福祉充実残額が生じた法人が、将来の事業計画を明らかにするために作成するもの」でございまして、繰り返しになりますが、充実残額がない法人は計画の作成は不要でございます。また、充実残額の使途は、収益を除いて、社会福祉法人が行うことができる全ての事業に活用可能ということでございます。

 2つ目のポツ「法人の自主性を踏まえた計画作成、状況に応じ柔軟な計画変更が可能」ということで、所轄庁は、法令に規定される要件に適合する場合には、計画を承認するということですので、当然状況の変化によって柔軟に計画の変更が可能ということで、一度計画をつくったから、それにずっと拘束されるということではないということでございます。

 一番下でございます。これも繰り返しになりますが、今回の仕組みは、法人の財産の状況あるいは将来の計画を見える化することによって、社会福祉法人の皆さんの説明責任というものを果たしていただくものということで、法人の皆様の御判断で充実計画に基づく事業の充実拡大が可能であって、法人の自主性は当然尊重されるということでございます。

 また繰り返しになりますが、会計や税務上のルールとは別の基準として設定されるものということでございます。

 こうしたことを前提に、3ページ目以降、具体的な案につきまして御説明をさせていただきたいと思います。

 3ページ「『控除対象財産』の算定イメージ」という資料でございます。これにつきまして、4月の第16回の福祉部会に御提出させていただいた資料と全く変更はないものでございますし、また1ページの資料と重複するものでございます。赤い部分でございますが、「社会福祉法人のⒶすべての財産を対象に、Ⓑ事業継続に必要な財産と余裕財産を区分し、余裕財産をⒸ再投下対象財産として位置づける」ということでございます。基本的に資産から負債を引く。純資産の部分。社会福祉法人の皆さんですと、基本金と国庫補助等特別積立金がございますが、基本的には純資産の部分がⒶ。そこから1.社会福祉法に基づく事業に活用している不動産、あるいは2.再生産に必要な財産ということで、建替、大規模修繕、設備・車両の更新、あるいは3.必要な運転資金ということで、事業未収金等を差し引いていただいて、Ⓒ再投下対象財産を算定いただくということでございます。

 ここまではこれまでも御説明申し上げてきたところですが、具体的に1.2.3.をどのように考えていくかということを4ページ目以降に記載させていただいております。

 まず、1.社会福祉法に基づく事業に活用している不動産ということでございます。これにつきましては、次のような考え方に基づき、整理するということで、「控除対象となる財産」でございます。これは、「法人が実施する社会福祉事業等に直接又は間接的に供与されている財産であって、当該財産がなければ事業の実施に直ちに影響を及ぼしうるもの」と一応定義をさせていただきました。これに当てはまらないようなものは控除対象財産とはならないということでございます。

 具体的な例を下に示してございますが、申し上げるまでもないのですが、現に事業に活用されている土地・建物・設備ということで、障害者の就労支援事業に活用されているものも当然含まれるということでございます。また、職員の福利厚生のための土地・建物等。あるいはサービス提供に必要な送迎車両、介護機器、生活機器、事務用品。災害時のための食料・物品の備蓄。積立金は、会計ルールで特に明確な定めがなく、各法人は積み立てができることになっておりますので、これを控除対象財産と認めてしまうと、また内部留保がいたずらに蓄積しているのではないかという御指摘、御批判を受けるということもあって、基本的に積立金というのは控除対象とはならないと考えておりますが、ただ、障害者総合支援法の就労支援事業における工賃変動積立金ということで、工賃が変動しないようにあらかじめ積立金をしていくというものは、私どもの通知に基づくルールに基づいて積み立をしているものでございまして、一定の条件もありますし、使途も明確になっているものですから、こうしたものは控除対象としていいのではないかと考えております。

 また、使途が限定されている寄附金、こういったことに使ってくれということで寄附をいただいた場合、非常に高額な寄附金の場合、それを控除対象財産としないと、それに基づいて計画をつくらなければならなくなるということですから、そういう使途が限定されている寄附金ですとか、国・自治体の補助により造成され、使途が限定されている基金、こうしたことは、あらかじめ控除した上で算定する必要があるだろうということでございます。

 一方で、右側の欄「控除対象とはならない財産」ということの例として、現預金、有価証券、人件費積立金、修繕積立金等の積立資産。先ほど申し上げました工賃変動積立金は除いております。あるいは遊休不動産とか美術品といったもの。あくまでも例ということで、これ以外にもあろうかと思いますが、こうしたものについては控除対象とはならない財産ということでまず区分をするということで考えております。

 ただ、一番下の注書きでございます。ただし、現預金や有価証券等について、「再生産に必要な財産」や「必要な運転資金」として控除対象となる場合があり得るということで、これから御説明申し上げます2.再生産に必要な財産としてカウントされる場合には、その枠の中で現預金、有価証券をお持ちになられているとか、必要な運転資金としてそれをお持ちになられている場合は控除されるということですが、ただ単に現在現預金、有価証券を持っていることが、社会福祉法に基づく事業に活用している不動産等ということには該当しないという意味で、この区分においては控除対象とはならないということで整理をさせていただいたということでございます。

 ページをおめくりいただきまして、5ページ「固定資産の再取得に必要な財産」ということをどういうふうに考えるかということでございます。5ページの資料につきましては、4月の福祉部会で多少細かい注釈は変更しておりますが、基本的な部分はお示しさせていただきまして、算出方法のイメージとしましては「再取得に必要な財産=(減価償却累計額×建設単価等上昇率)×一般的な自己資金比率+α(修繕等)」ということで、まず「減価償却で法人内に自己資金が蓄積され、建替時期には、現在の建物と同等の建て替えを行うための資金が法人内部に留保される」ということで、例えば10億円の施設でございましたら、40年たったら10億円たまって、またその施設を建てるということを前提としておりますが、40年間で建設単価等の費用が上昇していることも当然考えられますので、一定の建設単価等上昇率、ここでは1.1と仮定しておりますが、それを掛ける。その中には、規格の向上、例えばユニット化するとか、人員基準、1人当たりの平米の規制が拡大しているとか、そういったこともございますので、そういったことを全てもろもろ正確に反映できるということではございませんが、なるべくそういったこともこの建設単価等上昇率の中に含めて一定程度の上昇率を掛けるということで、仮に10億の施設であれば、1.1倍と仮定すると、11億というものが当該法人、当該施設の建てかえに必要な費用ということでございます。

 ただ、この費用全額をその法人が建てかえに必要な費用と算定するというと、当然補助金とか借入金もあって施設を建設されるわけでして、その残った部分が自己資金ということでございますので、では、自己資金の割合をどう見るかということでございます。

 右側の点線に「一般的な自己資金比率を乗じた額となる」ということで書いてございますが、では、一般的な自己資金比率というのは一体どれくらいなのか。当然各法人、各施設で借入金もまちまちでしょうし、補助金もまちまちでしょうから、自己資金割合と言いましても千差万別ということになっているのは申し上げるまでもないのですが、一定の定量的な算定式をつくるに当たって、一般的な自己資金比率というものを算出しなければいけないということでござまして、次の6ページをご覧になっていただきますと、これは「建替に必要な自己資金比率のイメージ」ということでございます。

 若干わかりにくい資料でございますが、御説明申し上げますと、福祉医療機構(WAM)のデータがございますので、その資料でデータが入手できる施設について、一体どの程度の自己資金が必要だったのかということを施設ごと、施設類型ごとに算出いたしました。ここに記載がございますように、大体おおむね平均ということでございます。イメージということでございます。

 平均は、結論から申し上げると、15%ということで、一番左「一般的自己資金比率(WAMデータ等)」とございますが、皆さん、建物を建てられるときに、15%程度の自己資金を使っているということがございます。印象としては若干低い印象も受けると思いますが、これはデータが若干偏っているというか、WAMデータから算出しておりますので、当然WAMから借り入れをしているという前提の施設でございますので、中には全く福祉医療機構の借入金を活用しないとか、あるいは自己資金だけで建てているという施設もあろうかと思いますので、そうしたことも踏まえるともう少し高いのかなということもあろうかと思いますが、私どもで入手できるデータという意味ではWAMデータということで、15%ということでございます。

 一般的な自己資金比率は15%ということで、それでは、あまねく15%にするのかというと、その場合に20%、25%と自己資金割合を出したところは、もう一回施設を建てかえるときに、では、あなたの施設は平均の15%だけ見ましょうというと、それもなかなか厳しいのではないかということで、15%を超える部分は比例的に見ていくということでどうかということでございます。

 一方、下の15%以下のところ、一般的自己資金比率より低い施設につきましては、例えば当時5%の自己資金比率で建てた場合に、当時の自己資金比率の5%しか控除対象財産と認めませんというと、若干その平均より低いということですから、今の事情を鑑みると、当然もう少し高目になる。平均ぐらいは自己資金を使うということも考えられますから、15%以下のところは15%まで引き上げて自己資金割合を見てはどうかということでございます。

 一方、上のほうでございますが、当然100%まで自己資金を出している法人もいらっしゃるわけですが、ここの例で申し上げますと、「一般的自己資金比率の90%点の上限」と書いてあります。一番下に注がございまして、「90%点とは、母集団のうち上位10%を除く、上限値」ということで、9割方の施設が大体35%以内でやっていると。裏返すと、残りの10%、1割の施設は自己資金比率が35%を超えているということですので、ここの割合を何%と見るかというのはありましょうが、際限なく自己資金を使っているところを言い値のまま認めると、客観性とか、今回こうした仕組みを設けるに当たって、上限がないというのは適当ではないのではないかという御意見も考えられますので、ここでは仮にということでございますが、一般的自己資金比率の90%の35%で、上のほうにキャップを設けたということでございます。

 まとめますと、15%が平均値なのですが、15%以上35%までは比例的に自己資金割合を認める。一方、15%より低いところは一般的な自己資金比率まで引き上げを行う、35%より高いところは35%のキャップをはめるということで、なるべく客観的にしつつ、各法人の実態に即した形で自己資金割合を算定できるのではないかということでございます。

 実はこれは全部の平均というイメージでございますが、検討会の議論の中で、施設ごと、例えば特養、保育とかいろいろな施設がございますので、それぞれのデータというものも算出して議論させていただきました。多少上振れ、下振れ、それぞれの施設で平均よりするわけですが、そういった割合の違いというものをどこまで反映するかということでして、例えば15%、35%を用いるのであれば、どの法人も一律にこの数字で自己資金割合を算出するということでございますが、例えば施設種類別、特別養護老人ホームは何%、保育所は何%、障害の施設は何%と。ある意味その実態に即して出していくと、逆に言うと現場の皆さんは、その施設ごとに割合をそれぞれ掛けていただいて自己資金割合を出していただくということになりますので、実態を反映しているという意味では、そういった細分化というものが必要ではないか。一方、全国2万の法人がこの計算をしなければならないということを考えると、やはり簡便性という観点から、とりあえず初年度はこの一つの割合で行ってはどうかと。

 いろんな御意見がありましたが、検討会のおおむねの意見を松原委員から後ほど御意見でいただければと思いますが、私の印象ではなるべく簡単にすべきではないかという御意見が多かったと受けとめております。

 7ページ「3.『必要な運転資金』について」でございます。必要な運転資金、一定程度控除対象となる資産というものを計上していく必要があるわけですが、これについてどう考えるかということです。結論から申し上げますと、現時点では「年間事業活動支出の1月分」+「事業未収金」ということで考えてはどうかということでございます。

 「年間事業活動支出1月分」ということでございますが、私どもでサンプル調査を行いました。幾つかの法人の入金とかそういった状況を教えていただいて、どの程度資金がショートする月があるのかということですが、平均して大体多くの法人が6月に10%程度マイナスになるということで、1年で勘案すると大体1カ月程度ということで、ボーナス月ということですが、それ以外は基本的にはその枠内におさまっておりますので、1月程度の運転資金を保有していれば、年間を通じ運営に大きな支障は生じないということで、「『年間事業活動支出の1月分』を必要な運転資金として控除する」ということをまず基本的な考え方として、事業未収金ということで、必要な事業経費を入金前に賄う必要があるということから、介護報酬は精算払いということでございまして、事業未収金が2カ月発生するということがございますので、実質的に先ほどの1月分に2カ月分を加えた3カ月分を控除対象とするということで、「介護報酬等」というのは、当然障害も含まれてということですが、その報酬体系の施設というのは精算払いということで、タイムラグもございますので、そういった事業未収金も計上すると。

 一方、措置施設とか保育所運営費につきまして、原則として事業未収金が計上されていないということで、おおむね月の途中でその当月分の経費が概算払いで支払いされるということが一般的だと聞いておりますので、こういった事業未収金は計上せず、実質1月分を控除対象としてはどうかということで、これについてもいろいろ御意見はあろうかと思いますが、とりあえず現時点で事務局及び検討会でいただいた意見でこうしたまとめをさせていただいたということでございます。

 8ページは、今、申し上げましたものを計算式としてまとめさせていただいたものでございます。これについては、こういった計算方法で数字を入れていくということですので、説明は省略させていただきますが、8ページの下の注「各法人の事務処理を円滑にする観点から、今年度中に構築する予定の『財務諸表開示システム』において、これらの計算を簡易に行うための入力シートを組み込む予定」ということで、情報開示システムということで、各法人さんのデータを集約して公表するということが法律で義務づけられておりまして、今、そのデータベースを構築しているところでございます。それにつきまして、運用を開始するに当たって、この控除対象財産についても簡単に計算できるシートを組み込む予定でございまして、なるべく法人の皆さんの御負担も軽減させていただくということを考えております。

 2つ目の※「各種係数については、現時点では仮置きであり、別途行うこととしている調査研究事業の結果などを踏まえ、最終的に決定」ということでございます。

 幾つか決めなければならない指標、主には先ほど申し上げました自己資金割合を幾つにするか、あるいは先ほどの建設単価等上昇率を幾らにするか、あるいは御説明は省略させていただきましたが、修繕額も一定程度計上するということで割合を出さなければいけないのですが、私どもの事務局で各法人さんにヒアリングをして、ある程度の目安は立てたわけですし、自己資金割合はWAMのデータを用いていますから、ある程度客観的なデータかなと思いつつも、サンプル数が非常に少ない。特に修繕については20施設程度をお調べしたところ、20%程度の修繕費が必要という数字が出ているわけですが、率直に申し上げまして、サンプル数が非常に少ないので、客観的かどうかと言われると、心もとないということもございますので、10ページ「社会福祉法人における事業継続に必要な建設費と大規模修繕費に関する調査研究」ということで、一般社団法人日本医療福祉建築協会に補助を行って、今年度建物のライフサイクルコストのうち、建設費と大規模修繕費のデータの収集・分析を行うこととしております。

10ページの真ん中「事業内容 建設コスト等に関する実態調査の実施」ということで、6,500程度の社会福祉法人を対象に事業種別、建設種別、用途地域、建設費等に関する調査を行って、施設の新規建設コスト及び大規模修繕コストに関して実態調査を行うということで、2万法人のうち6,500法人ということで、ここに出席されている団体の皆様の法人にも調査票がこれから届くかと思いますが、こうした調査をして少しきちっとした数字を集めて数字を確定させていきたいと考えております。

 今ほど申し上げました数字とそれほど大きく異ならないのではないかということも考えつつ、なるべく早目にそういった数字を出していきたいと考えております。

 9ページに戻っていただきまして、「『控除対象財産』の算定のポイント」ということで、繰り返しになる部分がございますが、どういったところが論点になるのかということをまとめさせていただきました。「控除対象財産」の算定に当たっては、できるだけ合理的かつ簡便なルールを定める一方、各法人の経営環境は様々であることを踏まえ、以下のような点を考慮することとしている」ということです。

 この仕組み、各社会福祉法人の皆さんが内部に蓄積されている剰余金を機械的に算出するという仕組みでございまして、機械的に、定量的に算出するためにある程度客観的な基準がなければいけないということがございます。ですから、一定の基準を設けていく中で、当然皆さんの施設種別とか経営実態に合わせたルールにしなければならないのですが、一方で、繰り返しになりますが、2万法人の皆さんに計算していただいて、来年4月、5月、6月に間に合わせなければいけないということで、一方では、なるべく簡便なルールにする必要があるということでございます。

 ただ、そうは言いながらも、一定程度の指数を反映させる必要があると考えておりまして、先ほどの例で申し上げますと、10億円の施設だったら10億円でいいではないかという御意見もあるかもしれませんが、いろんな単価の上昇率等をそこに勘案させなければいけないということで、9ページに幾つか書いてありますが、「建設時からの環境変化への対応」ということで、「建設単価の変動や施設の規格の向上」ということで、建設資材や工事費の変動、あるいは個室・ユニット化等の仕様の変動に対応するため、建設工事デフレーターや建設時における1m 2 当たり単価と直近の福祉医療機構の融資実績との増減率などの指標を活用することを検討ということで、先ほどの例では1.1ということで仮置きでお示しをさせていただきましたが、その数字を少し精緻化していく必要があるということが1点でございます。

 2点目「補助金の支給水準の変動」ということで、直近の福祉医療機構の融資実績や、今ほど御説明申し上げました調査研究事業の成果を活用して、現在の補助制度の実情を踏まえた一般的な自己資金比率を設定するということで、補助金の割合が減っておりますので、自己資金比率は当然上昇していくということが推察されますので、直近のデータを活用してそういった実態に合わせていくということを考えております。

 2つ目「大規模修繕費用への対応」ということで、これは今ほどの調査研究を踏まえて割合を設定させていただきたいということでございます。

 3つ目「建設時の自己資金比率が高い施設への対応」ということで、建設時の自己資金比率が一般的な自己資金比率を上回る場合については、建設時の自己資金比率に応じて、これを一定の範囲内で評価ということで、先ほどの例で申し上げますと、建設時の自己資金比率は15%ということで、平均の15%で見込んでもいいという御意見もあろうかと思いますが、一方で、実際御自分で支出した自己資金の割合については、上限は設けたほうがいいのではないかと考えておりますが、一定程度まではこれを評価する仕組みということで考えているところでございます。

 すみません、説明が大変長くなって恐縮でございますが、控除対象財産についての説明は以上でございます。

○田中部会長 ありがとうございました。

 ただいま説明のあった資料について、御質問、御意見があればお願いいたします。高橋委員、お願いします。

○高橋英治委員 日本保育協会の高橋でございます。

 7ページ、控除対象財産のところでございますけれども、「年間事業活動支出の1月分」と「事業未収金」とあります。考え方として、措置及び保育所運営費により運営される施設については、原則として事業未収金が計上されないので、1カ月分と書かれておりますが、実態として毎月の経費については、保育の場合でしたら、1日付の子供たちの数によって、前払いということではないのですけれども、そういった格好で支出はされておりますが、本体事業に付随する例えば補助金に係るようなものにつきましては、年間収入の1割近くを占めるケースもあります。補助金については12月に当該年度の9カ月分を支払う、残りを3月、下手すると年度末の5月中に最終的に精算。地域によっては3月に初めて補助金がぼんと支給されるというケースもあります。そういったものについては事業未収金として捉えるのかどうなのか、よくわからないということがありますので、そこだけ確認をさせていただければと思っております。

○田中社会福祉法人制度改革推進室長 今、高橋委員から本体の保育所運営費ではない補助金についての取り扱いについてどう考えるかという御質問がございました。今回の控除対象財産という仕組みは、枠を設定するということで、各法人、各施設が一般的に年間でどれくらいのお金が必要なのかということを定量的に算出するということでございまして、その前提で各法人の皆さんがどの程度必要な運転資金を保有していることが一般的な水準なのかということで、こういった式を御提示させていただきました。

 各種補助金というものが当然その施設のほうに支払われて、それを執行するということになろうかと思いますが、運営費のようなものは、年をまたいである意味内部留保を起こす可能性がある一方、補助金というのは、12月にお支払いいただくということになっても、単年度で精算がされるということですから、基本的に使い切りということになって、内部留保を生じないということが前提になっているのではないかと思います。

 そういった前提で考えますと、この算式にそこの補助金の分は特に見込まなくても過小評価にはならないと私どもでは考えておるところでございます。

○田中部会長 平川委員、お願いします。

○平川委員 ありがとうございます。

 質問がございます。4ページの「控除対象とはならない財産」の中に「人件費積立金」というのがございます。これだけ読むと、退職手当の積立金まで「控除対象とはならない財産」になってしまうのではないかという感じで、ちょっと誤解を招く懸念もありますので、人件費積立金の意味合いと退職金の積立金についてはどう整理されているかについて説明をお願いしたいと思います。

 

○田中社会福祉法人制度改革推進室長 各法人の皆さんで一定程度退職金のために資金は当然お持ちになられていると思いますが、私どもの社会福祉法人会計基準でも、退職金については退職給付引当金ということで、いわゆる負債のほうで計上させていただいておりますので、そういった意味では、3ページの資料で言いますと、Ⓐ資産引く負債が純資産ということでございますので、負債のところで既に退職給付引当金でございますので、引かれておりますので、控除対象となるということでございます。

 一方、「人件費積立金」と書いてある意味でございますが、積立金というのは、社会福祉法人会計上、特にルールはございませんで、各法人任意で積立金を計上できるということで、会計基準に基づく退職給付引当金とは別にさまざまな積立金を計上されている例が見受けられるということで、これは人件費に限らず、修繕積立金、あるいは法人によって事業安定化基金積立金とか、何に使うか正直明確でないものの積立金も計上されておりまして、こういった積立金を控除対象財産としてしまいますと、また無定量に積立金を全て必要な経費ということで認めてしまうことになりますので、そうしたことは控除対象財産とはならないという整理をさせていただいたものであって、退職金については、適正な額を引当金で積んでいただいている分につきましては当然控除対象となるということでございます。

○田中部会長 藤井委員、お願いします。

○藤井委員 2点単純な質問で、1点はやや答えにくいかもしれない御質問をさせていただきまして、それからもう一つ意見を言わせていただきたいと思います。

 1点目、2点目は、4ページの下にあります「ただし」以下のブルーですが、これはちょっと混乱しやすいなと思いまして、「ただし」以下に書いておられるのは、2.3.として控除の対象となり得るということだと思うのですけれども、ここで控除になるかのように読めてしまいまして、ダブルで引くのかなと一瞬思いますので、「2.3.として」という文言を入れたいただいたほうが混乱はないかと。それでよいかという確認も含めてです。1点目です。

 2番目です。6ページで出てきております15%から35%というのがWAMのデータからよるものということなのですが、これは法人平均なのか、それとも重みづけといいますか、施設の建築に合わせた重みづけを行っているのか。なぜそういうふうに言うかといいますと、大概高齢者の施設のほうが資金がかかる、高齢者の施設のほうが自己資金でやっている可能性が高いということになりますと、下振れしている可能性があるのではないかなと思います。その質問が第2点目です。

 では、今の2点お聞かせいただいた上で、質問を続けさせていただきたいと思います。

 

○田中社会福祉法人制度改革推進室長 1点目でございます。4ページの一番下の注「『再生産に必要な財産』や『必要な運転資金』」とだけ書いてあると思います。誤解を生じるのではないかという御意見、そのとおりでございますので、「2.3.」ということで記載をさせていただきたいと思います。

 6ページの「建替に必要な自己資金比率のイメージ」ということで、いろんな計算方法があって、これはあくまでも全体の平均の概算でございます。ですから、全部の施設を丸ごと平均すると大体これぐらいと。ですから、上振れ、下振れという意味は、全てを込み込みにしておりますので、おっしゃるとおり、若干特養とかは自己資金が多いので下振れするかもしれませんが、上の施設、補助率が高いところも含めてのところですので、どちらかというのを精査していませんが、そんなに大きく遠くはないというふうに考えています。

○藤井委員 わかりました。1つ質問なのですけれども、3ページ目で先ほど来あります事業未収金を引くという考え方ですが、事業未収金、または措置のような施設ですと1カ月分というお話だったと思いますが、Aのところで既に負債を引いておりますので、ここで事業未払金が引かれると思うのです。事業未払金を引いて、さらに事業未収金を引くという考え方は、事業開始時点から考えますと、キャッシュ的に言うと、ちょっと余裕を生み過ぎな発想になるのではないかなという気もいたしますが、その点、どうお考えかということを教えていただきたいということが1点です。

 もう一点、ちょっと内容面、意見にも入るところなのですが、全般に社会福祉法人の経営が安定的にいくということを重視して、実態のデータからもって社会福祉充実残高を考えるべきか、あるいは原則的な会計の考え方によってつくるかというのでは大きな考え方があると思います。私、この部会では後者の意見で、社会福祉法人に対しては厳し目のことを言ってきたつもりでございますが、これは世の中が受け入れてくれるのであれば、やはり社会福祉法人がきちんと継続的に経営できるということは重要なことでございますので、まずは実態に即してそういう考え方に基づいているのだということに関して、私はいまだに積極的に賛成するつもりはないのですが、そういう前提で言いますと、今回の考え方は基本的にいろいろ整理されていて、これで国民の理解が得られるのであれば、これはこれでありなのではないかと思うのです。

 1つ懸念いたしますのは、こういったものが出たときに、法人側の経営へのインセンティブというものがどういうふうに与えられるだろうかということでございまして、まず社会福祉充実残高というものがどのような形で使われたり、出ていったりするものか。

 先ほどの高橋委員の御質問に対する室長の御意見ですと、年度末に表示すればいいではないかというものになるわけでございますけれども、これが各月末ごとに表示されますと、一時的にマイナスになっているということもかなりあるということになろうかと思います。

 今の社会福祉法人の理事会等々の話を聞きますと、必ずしも全てではないですが、社会福祉法人経営もかなり利益とか安定性を重視しなければいけないということで、利益を上げていこうという考え方の理事さんも多い中で、充実残高というものがマイナスに出るということについて、これはマイナスではまずいのではないかというインセンティブが起きるようになると、今回の改定というのは少しどうなのだろうか。

 例えば6ページにありますものを適用いたしますと、Aのゾーンにいる法人というのは、黒字を出さない限り充実残高が必ずマイナスになると思うのです。Bはいいとして、Cは逆に言うと、赤字を出さない限り充実残高がプラスに出てしまうということになるのだと思うのですけれども、社会福祉法人というものは、今回の場合、継続性を前提として、さまざまな面、実情に合わせるという観点からこれはこれでいいと思うのですが、ただし、社会福祉充実残高というのが経営のメルクマールになったときに、これは資金調達の方法によって利益の出し方が違ってもいいではないかというふうに受け取れなくはないわけでございます。そういう意味では、社会福祉充実残高というのは、経営の指標として受け取ってほしくないと思うわけでございますけれども、このあたりはしっかり役所のほうで言っていただくことも重要ではないかと思います。マイナスで当然いいわけでございます。

 ただし、これは言ってみれば、これまでBゾーンの上の平らなところがなければ、要は、充実残高が残るようであれば、どんどん積極的に投資すれば充実残高が残らなくて済むという経営行動が可能だったわけですが、天井をつくったことによって、積極的に自己資金で投資をすると、必ずそれが充実残高にはね返ってきて、きちんとそういった対応をしなければいけないという意味では、これは実態に即して社会福祉法人をやっていただくかわりに、必ず社会福祉法人としての責務をやっていただくよという意味では非常にバランスがとれていると思います。

 バランスがとれていると思いますので、天井があるというのは理にかなっていると思うのですけれども、充実残高ということの数字が経営指標と捉えられた場合、経営のインセンティブというものが例えばAゾーンにあるときに、黒字を出さなくてはならないという考え方をされたり、あるいは期中にマイナスになるのはまずいから、もっとお金をためようといった話になっても困りますので、そういうおつもりがない指標だということは重々理解した上で、ただ、これはすごく注目される数字だと思いますので、ぜひその点を強調していただくということを意見として言わせていただきます。

 1点、未払金の点について、質問にお答えいただければと思います。

 

○田中社会福祉法人制度改革推進室長 まず、御質問についてですが、未収金ということの対比という意味で未払金というのがあるということでございます。基本的に会計ルール上、そういった未払金というのがあって、そこは資産、負債というところで計上されて、それぞれ会計処理上は算定されると考えておりますが、一方で、表現の問題かもしれませんが、今回必要な運転資金のところの事業未収金というのは、あくまでも介護事業あるいは保育事業に伴って、まだ実際に支払いを受けていないという意味での事業未収金の一部でございますので、それを控除対象財産のルールとして算定するか、しないかということでございますので、会計上のおっしゃられた負債、二重引きといったことには当たらないと考えております。

○藤井委員 確かに2カ月、3カ月おくれの介護報酬、障害の費用の部分は、スパンがちょっと遅くなると思うのですけれども、大体の社会福祉法人の事業未払金の場合、これも払わないで手元にキャッシュを置いておけるという話でございますし、二月、三月先ということは余りないと思うのですが、一月先ぐらいのお金を持っているわけでございますから、一月分のキャッシュを勘案する云々で言いますと、細かい複雑なことになるのは好きではないのですけれども、事業未払金というものは、わかりやすく言うとキャッシュを払わない形で自分のところへ温存できるという仕組みでございますから、ここの整理をきちんとしていただかないと、外に出したとき、耐えられないのではないかなと思います。意見として。

○田中部会長 松山委員、お願いします。

○松山委員 今の藤井委員の御指摘の中で、社会福祉充実残額がプラス、マイナスの評価の問題なのですが、そもそも内部留保の問題から見ると、いい社福というか、すぐれた経営者というのは、国民から見ると、借金もしながら福祉ニーズにどんどん応えている結果、内部留保はありません。つまり、社会福祉充実残額はマイナスです、しかし、ちゃんと黒字も出していますというような経営者ではないかと思うのです。実際私、5,500を見て、福祉ニーズに応えるために多額の借金をして、でも、黒字経営、経常収支黒字率で言うと5%前後を常にキープしている方が経営者の中におられるのです。そういう人は相当能力が高いなと思っています。

 最後、国民がどういう評価をするかということがあるとは思うのですけれども、トータルで当該社会福祉法人のあり方を見る一つの材料だと。ただし、私が見た限りでは、社会福祉充実残額なるものを計算したときに、例えば年間売上、事業収入よりも大きな額がキャッシュでたまっているというところが結構あるのです。そこはちょっと問題になるのではないかと思っております。

 いずれにせよ、今回の改正の最大の目玉は、2万法人の財務データのデータベースができるということだと思うのです。それができると、ほとんどのことが明らかになると思います。

○田中部会長 ありがとうございます。

 阿比留委員、お願いします。

○阿比留委員 全国老施協でございます。

 9ページのところに書いていただいておりますように、今後検討する課題等もあるというのは重々承知しておりますが、今回出ている資料に基づきまして、まず4ページのところなのですが、「控除対象となる財産」ということで、考え方的には「法人が実施する社会福祉事業等に直接又は間接的に供与されている財産であって」という形で書かれております。この中で「職員の福利厚生のための土地・建物・設備等」ということで入れていただいているのはありがたいのですが、これ以外に法人本部の建物につきましても、実際会計をそこでしたり、また職員の研修関係で使われているという実態もございますので、それをちょっと配慮いただきたいということでございます。

 また、5ページ以上のところになりますが、まず建てかえに際しまして、別の土地にどうしても移転せざるを得ない場合、例えば多床室からユニット型個室への変更等によりまして、現地での建てかえが困難になるケース等が考えられます。こういったときなどの土地取得資金及び既に取得している土地についても御配慮いただきたい。

 また、補助率の変更に伴いまして、補助金の減額相当分の金額を上限とする積立資金、資産につきましても検討いただきたい。

 また、施設の減価償却期間中に発生する大規模修繕並びに設備の更新への対応としまして、資本的支出に要する資金の部分につきましても検討いただきたい。

 また、建てかえ時の拠出形態の変更。現在、多床室をユニット型個室等に変更しないといけない、これの有無であったり、施設整備基準への適合、耐震構造等の変化等に伴ってかなり変わってきている。こういったものを考慮していただきまして計算した将来発生するであろう建設費用概算見込み額と、現在の建物を再取得した場合の費用、減価償却累計額掛ける建物単価上昇率、この部分の差額に相当する資金、この部分についてもぜひ御配慮いただきたい。

 最後になりますが、都道府県等によりまして独自の耐震基準であったり、資産要件等、ローカルルールに相当するようなものがあった場合には、それに対応するための資金も上乗せしていただくことを要望したいと思っております。これは意見として。よろしくお願いします。

○田中部会長 御要望ですね。

 武藤参考人、お願いします。

○武藤参考人 今の意見と重なるところがあるのですけれども、私ども児童養護施設は3歳から18歳ぐらいまでの子供たちがいて、何年かするとその構成が変わるのです。幼児さんというか、小さい子供たちが多くなるときと、それから非常に高齢児が多くなるとき。そうすると、建物をいろいろいじらなければいけない。だから、老朽化だけでなくて、子供たちに建物を合わせるという状況。建物に子供たちの養育を合わせるというのはなかなか難しいということになりますので、老朽化だけでなくて、常に建物をいじらなければいけないということが生じます。

 そういうことを含めて、ここに大規模修繕のことは触れていますけれども、何が求められているかということに対して、常に対応しようというところであると、結構建物に関する、修繕に関する費用がかさんでくるということになるので、ここに20%だとか含めて入れておりますけれども、そこのところは少し現状を見てやりとりということができるといいかなと思います。

 最終的には控除対象財産とか社会福祉充実残額の対応だとか計画だとか、そういうものは所管と監査のところでやりとりをするということになると思いますが、重要なのは、何でこのお金をここにためているのかということがきちっと明確になるということが大事だと思います。

 だから、これは原則であって、何を大切にするかを間違えてしまうと、自主性とかそういうことが大切と言われながらも、そういうところが現実的には大切にされないといけないのではないか。意見になってしまいますけれども、検討の際、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 以上です。

○田中部会長 御懸念に基づく意見でした。

 武居委員、お願いします。

○武居委員 これは質問ですが、10ページのところに「大規模修繕に関する調査研究」の部分がございます。一番下にスケジュールの問題が書いてございます。「12月にこれらの調査結果を取りまとめ」と書いてありますが、さまざまな変数が今のところ決まっていない。その変数がある程度確定する時期というのは大体どの時期を考えていらっしゃるのか、そのあたりをお聞きしたいと思います。

○田中社会福祉法人制度改革推進室長 この調査研究自体のスケジュールという意味で「12月に調査結果を取りまとめ」ということで、全体6,500をその時点で取りまとめいただくということですから、そういう意味では、翌月の1月ぐらいに数値が高まるということもあろうかと思いますが、途中でサンプル的に少しピックアップしてある程度の傾向を皆様にお伝えして、なるべく先立って作業ができるようにはしたいと考えております。

○田中部会長 ほかになければ、時間の都合上、1つ先の資料に移ります。

 できるだけ委員の意見を伺いたいので、先ほど20分の予定のところ35分かかっていましたが、説明会ではなくて、審議会ゆえ、説明は20分以内におさまるようにお願いします。

○田中社会福祉法人制度改革推進室長 大変失礼いたしました。それでは、資料3の説明で少し帳尻を合わせさせていただきたいと思います。

 次に、社会福祉充実計画ということでございます。ページをおめくりいただきまして、1ページから「社会福祉充実計画について」ということで記載させていただきますが、繰り返しになりますが、残額があるところについてつくっていただく計画ということでございます。1ページの下「社会福祉充実計画に位置付ける事業の種類」ということでございます。これは既に法律で第1順位、第2順位、第3順位が決められておりますので、それを改めて記載したということでございます。

 2ページ「2.社会福祉充実計画の作成手続」ということですが、充実計画作成に当たっては、地域協議会への意見。地域公益事業を行う場合には意見を聞く。あるいは公認会計士、税理士へ意見を聞く。その上で、理事会・評議会の承認を受けて、所轄庁の承認を受けるという手続で、これも法律上規定されています。

 「3.計画の記載内容」でございますが、法律上、左下の1.から5.までは「既存事業の充実又は新規事業の規模及び内容」といったことで法律事項になっていますが、その他厚生労働省令で定める事項ということがまだ決まっておりません。これにつきましては、2ページの右下「省令事項のイメージ」ということで、法人名等の基本情報ですとか、残額の使途に関する検討結果、資金計画等々を記載いただくというイメージで考えておりまして、これにつきましては、5ページ、6ページにフォーマット(案)ということでつけさせていただきましたが、こういった形でフォーマットをつくるということを考えております。これにつきましても、2万法人全法人がつくるということではございませんが、2万法人全法人がつくり得るということを考えて、必要最小限、なるべく簡潔にしたほうがよいのではないかということで、こうしたフォーマットを考えております。

 ページを戻っていただきまして、3ページでございます。法律で決められていないことの一つといたしまして「計画の実施期間」というものがございますが、これにつきましては、通常の行政計画等と同様、原則5年ぐらいの範囲でどうかということで考えておりますが、一方、一定規模以上残額がある場合、5年でなかなかその計画を終了することもできないということもございましょうから、そういったことにつきましては、理由を付記いただいて、最長10年ということも可能としてはどうかということで考えております。

 5番目「計画の変更手続」ですが、軽微な変更については届け出、それを除いては所轄庁の承認ということですが、軽微な変更については、現時点では法人の名称、住所等の基本情報の変更ということで考えているということでございます。

 ページを飛んでいただきまして、7ページ「社会福祉充実計画の策定に当たっての関係者への意見聴取内容について」ということでございます。先ほど御説明申し上げましたとおり、それぞれ公認会計士、税理士、あるいは地域協議会に意見を聞くということになっておるわけですが、どういった意見をお伺いするかということでございます。

 公認会計士、税理士の方に関しては、事業費及び社会福祉充実残額について意見を聞くということでございまして、社会福祉充実残額についてでございますが、不動産の額、財産目録の照合、再生産に必要な財産の再計算等々ということで、8ページに細かな確認書のイメージということで記載させていただいておりますが、今ほど申し上げましたそれぞれについて突合し、確認をしたということを確認書でお示しさせていただいているものでございます。

 一応、公認会計士協会さん、税理士協会さん等には検討会の場を含めて事前に御意見をいただいておりますが、こうしたことを聞いてはどうかと考えております。

 次に、7ページの下に「地域協議会への意見聴取内容」ということがございまして、地域公益事業を行う場合に地域協議会の意見を聞かなければいけないということですが、これについてどういったことを聞いて、どういった手続でやっていくのかということ。

 詳細について9ページ以降に記載させていただきました。地域協議会につきましてでございます。正確に御説明申し上げますと、2つ目の○にございますとおり、「地域公益事業を行う計画の策定に当たっては、『地域公益事業の内容及び事業区域における需要』について、『住民その他の関係者』の意見を聴かなければならない」ということで、法律上は規定をさせていただいております。

 一方で、12ページに参考でつけさせていただきましたが、この福祉部会の場において、社会福祉法人が「地域における公益的な取組」を実施するに当たって、「地域協議会」を開催することが適当ということで、機能ですとか役割、そういったものを御提言いただいているということでございまして、これに基づきまして、地域協議会を設置する場合にどのような形で設置するのが望ましいのかということをおまとめさせていただいた資料でございます。

 9ページの1.地域協議会の実施責任」ということでございます。「地域協議会の実施責任は、原則として所轄庁が有するものとし、その運営主体は、所轄庁が地域の事情に応じて決定する」ということで、基本的には所轄庁が設置をするということでございます。

10ページの一番上「◆なお、地域協議会は、効率的に開催する観点から、可能な限り既存の会議体を活用する」ということで、これは既に福祉部会の27年2月の報告書でいただいておりますが、例えば社協における地域福祉活動支援計画策定委員会あるいは地域ケア会議、自立支援協議会など既存の会議を活用するということでございます。

10ページの真ん中「2.地域協議会の実施エリアについて」ということでございます。これは原則として所轄庁単位ということでございますが、これより広いところでやってはどうか、あるいは所轄庁、市の内部でも地区協議会みたいなものがあって、それを活用できないかといった御意見もございますので、それは所轄庁の実情に応じて実施して差し支えないということでございます。

10ページの一番下「地域協議会の構成員について」は、4月に福祉部会で御説明させていただいたものと変更ございません。

11ページ、「地域協議会の役割」ということでございます。地域協議会はどういった意見を聞くかということでございますが、考えられることとしましては、地域の福祉課題に関すること、あるいは地域に求められる福祉サービスの内容に関すること、社会福祉法人が取り組もうとしている地域公益事業に関する意見、関係機関との連携に関することなどが考えられるのではないかということでございます。

 2つ目の◆は、こうした地域公益事業を行う社会福祉法人による意見聴取の場の役割のみならず、幅広く地域公益事業の実施状況の確認、助言などをすることも考えられるのではないかということで、そういった機関をつくったら積極的に活用していくということも考えられるということでございます。

 ただ、3つ目の◆にございますが、「地域協議会における討議の内容は、社会福祉法人が自ら地域公益事業を行う上で、斟酌すべき参考意見ではあるが、他方、法人の経営の自主性は最大限尊重されるべきであることに留意が必要」ということで、いろんな御意見をいただいて、それを全て反映させるということでなくて、当然その法人の実情に応じて反映できるところをしていくということでございます。

 「5.公益的に事業を行う場合の意見聴取の取り扱い」ということでございますが、非常に広域に活動されている社会福祉法人の方が広域的に地域公益活動を行う場合に、全ての実施場所で意見を聴取するということになると、非常に煩雑な手続、手間がかかるということもあって、まず当面はということですが、主たる事業の実施地域を特定して、そこの地域協議会の御意見を聞いていただいた上で、それ以外については、社会福祉法人のホームページ等で意見募集、アンケート調査などの簡易な方法で意見聴取を行ってはどうかということで、来年度、時間も特にございませんので、こうした形で始めて、またよりよい方法に改善をしていくということが考えられるのではないかということでございます。

 私からの説明は以上でございます。

○田中部会長 今度は委員の意見を伺う時間をつくっていただいて、ありがとうございました。

 では、ただいまの説明に関して、御質問、御意見があればお願いいたします。松山委員、どうぞ。

○松山委員 1点教えていただきたいのですけれども、社会福祉充実計画に含まれるものの解釈なのですが、先ほど社会福祉充実残額の計算の中で、追加で考慮していただきたいということを挙げていただいたのですけれども、仮にそれが控除対象にならずに、社会福祉充実残額がプラスに出たとしても、もし社会福祉充実計画の中でそれを実施していいのであれば、別に経営上問題はないのではないかという気がしまして、それで、ルールとしては、きょう厚労省さんが出されたものをとりあえず実施してみて、後で調整はできるのではないかという印象を持ったのですが、追加で要望があったものは計画の中に入れることは可能だという理解でよろしいでしょうか。

○田中社会福祉法人制度改革推進室長 社会福祉充実計画と控除対象財産の関係ということも含めての御質問だと思いますが、控除対象財産は、繰り返し申し上げたとおり、枠を設定するための計算式ということでございます。ですから、それを超えて計画をつくっていただくのは全く差し支えございません。それは少なくとも控除対象財産として算定された分は充実計画をつくってくださいと。これはやっていただかなければならない義務ですが、それを超えて計画をつくるということは、当然法人の自主性、任意でございますので、それは全く妨げるものではございませんし、追加というものはそういう御趣旨だというふうに受けとめていますが、そういったことは差し支えないと考えております。

○田中部会長 藤井委員、どうぞ。

○藤井委員 私も今の御意見、全く同じことを思っておりまして、御意見が出た、こういうものも載せてほしい、あれもあるというのは非常によくわかるにせよ、これをやり始めるとシンプルでなくなるということ。

 もう一点心配しますのは、いろいろ載った結果として、経営者の皆さん方がよりいいものをより安くつくろうという努力がそがれるようなことになっては、これは国民の期待を裏切ることになりますので、これはできる限りシンプルに。もう単価の上昇まで載っけているわけですから、この程度におさめていただいて、さまざまな充実というものは、こちらのほうにむしろ載っけてもらえばいいのだという考え方になるのではないかと理解しておりますが、再度確認して、それでよろしいかどうかということでございます。

 そうなりますと、2点目なのですけれども、今やっているものを第五十五条の二で言うと、充実の部分と既存事業以外のものではおのずと地域協議会との関係が変わってこないかなと。充実の部分については、今やっていらっしゃる事業をこのようにしたいというふうにやっておられることですので、意見の聞き方にしろ、そういったものが違ってくるのではないか、その点はどうお考えか。政省令等で書き方を変えてもいいのではないかという意味で申し上げております。

 3番目でございます。松山委員がおっしゃったことがそのとおりであるのであれば、今度一体的に新しい施設を整備するときに充実残額に載らないものも合わせてやりますということですから、充実残額で既に読まれているものと読まれていないものの仕分けという話が出てくると思うのです。充実残額で読まれているものをどこまで目いっぱい読むか、読まないかというややこしい線が出てくるのではないかと思うのですが、単純に言うと、単価の上昇率までやっているものはいっぱいいっぱい使ってくださいと。残った分でさらにもう少しよくしたいものに関して言うと、充実計画の中で読み込んで、地域の皆さん方にも了解してもらってくださいということでいいとは思うのですが、そのあたりの留意はきちんと示さないと混乱が生じるのではないか。3番目は意見でございます。

 以上です。

 

○田中社会福祉法人制度改革推進室長 1つ目は、繰り返しになりますが、控除対象財産というものは、藤井委員おっしゃったように、あくまでも枠をつくるということでございますので、その意味でシンプルというか、計算式でお示ししたとおりなのですが、そこに載らない分については当然充実計画で記載していただく。おっしゃるような仕組みになっております。

 2点目は地域協議会の意見の聞き方ということでございまして、充実の場合と拡充の場合ということでおっしゃられておりましたが、本日御説明は特にしなかったのですが、地域協議会に意見を聞くタイミングというのも実はあって、きちっと計画をつくってから掛けるのか、あるいはある程度素案、たたき台の段階で掛けるのか。それは拡充とか新規ということにいろいろかかわってくるかと思いますので、そこは多分通知レベルになると思うのですが、タイミングとかも含めて、そこは法人の皆さんと所轄庁で御相談いただくということになろうかと考えています。

○田中部会長 高橋委員、どうぞ。

○高橋英治委員 質問ですが、大分前に話があったのかもわかりませんが、充実計画をつくった際に、残額について、公認会計士もしくは税理士による確認をしてということでありますが、意見聴取であるとか確認は、監事になっている税理士さんとか公認会計士さんではだめで、また別な税理士さんもしくは公認会計士さんでないとだめなのか、その辺の議論がどうだったか、少し整理がつかなくなりましたので、いま一度確認させていただきたいと思います。

○田中社会福祉法人制度改革推進室長 法律では、充実計画の作成に当たって、事業費及び残額について、公認会計士、税理士その他の専門家の意見を聞くということで規定をされております。

 今回の趣旨に鑑みますと、そういう専門的な目からチェックをいただくということですから、監事さんというのは役員ではあるわけですが、別に外部のチェックを受けろという趣旨でなくて、専門家のチェックを受けるという意味でございますので、監事になられている方が公認会計士あるいは税理士であれば、その方のチェックをいただくということで差し支えないと考えております。

○田中部会長 三好委員、お願いします。

○三好委員 今回の社会福祉充実残額を再投資していただけるということは、市町村にとりましては本当にうれしいことでございます。

 しかしながら、よくよく調べてみますと、充実残額を出せる法人というのは、全国的には数あるかもしれませんが、小さな市町村ではほんのわずかしかないだろうと思います。所轄庁の市の中にそういう法人があれば、それはそれで市町村、所轄庁にとってみまして、再投資していただけるのはうれしいのでございますけれども、エリアから見まして、そういう法人がないところはその恩恵を受けられない。しかしながら、その法人のエリアは数市町村にまたがるような、そういう事業をやっているところも随分ございます。そのときには、ほかの関連での意見を聞くような形という御意見が出ていますが、充実残額を所轄庁だけで議論されてしまうと、その法人のエリア内にあるにもかかわらず、そういう恩恵を受けられないという形になる。

 そうなってきますと、10ページのところに「都道府県は」というのが出てきます。空白が生じるという形で書いてございますけれども、地域を全体計画の中で所轄庁だけで決められるような形の計画ではなくて、エリアが広く、所管庁外の市町村にも法人活動が及ぶ、または影響するものであれば、都道府県全体を調整するような仕組みというのが必要ではないかなと思います。例えば、人口が20万、30万の圏域で法人が複数の市町村をカバーしているところが数多くあると思いますので、そういう圏域の取り組みをどこかで明示できるような形にしていただければと思っています。 以上でございます。

○田中部会長 御要望ですね。

○三好委員 はい。

○田中部会長 自治体の主張として当然の御要望だと思いますが。

 平川委員、どうぞ。

○平川委員 充実計画の関係でございます。1ページに充実計画の期間について、「短期の計画(3年程度)」「中期の計画(5年程度)」と書いてあります。一方で、3ページのところに「原則5年間」と書いてあります。基本的に望ましい期間というのはどういう期間なのかというのを少し整理していただいたほうがいいのかなと思います。

 介護保険事業計画だけではなく、自治体では子ども・子育ての計画があったり、さまざまな計画もありますので、事業内容に応じて、例えば介護の計画もしくは子供の計画を含めて、整合性をとるということも場合によっては必要なのかなと思いますので、普通で考えれば「原則5年間」という考え方は順当な考え方だとは思うのですが、自治体の各計画との整合性においても、充実計画の望ましい期間をどう考えていくのかという課題も必要だと思いました。

 質問です。10ページの地域協議会の構成員ですけれども、「5.福祉行政職員(町村職員を含む。)」とありますが、なぜこれは「町村職員」になっていたのでしょうか。多分いろんな議論を経てこうなったと思いますけれど、簡単な質問で申しわけありませんが、お答えをお願いしたいと思います。

 以上です。

○田中社会福祉法人制度改革推進室長 まず、第1点でございます。説明を省略してしまって恐縮ですが、1ページ目は、所轄庁がどういった観点から審査を行うかということで、各種計画との整合性等ということを記載させていただいて、期間については、3ページのとおり原則5年ぐらいということで書かせていただいておりますが、実際に具体的に法人の皆さんに計画を策定いただく場合に何年とするかというのは、残額がどれぐらい出たかということによって少し期間というのも変わってくるかとは思うのですが、今、平川委員おっしゃられたようなことも少し含めて、期間、どういうふうにするか工夫していきたいと考えております。

10ページの町村職員です。すみません、これはどういった経過、つぶさには失念してしまいましたが、所轄庁というのは、社会福祉法人で言うと都道府県または市ということで、町村部分というのは、所轄庁が都道府県になっておりますので、そういった意味で、地域協議会をやるときに、「福祉行政職員」というのは、所轄庁の職員という前提で書いているわけですが、そうでなくて、所轄庁ではない町村の職員でも結構ですよと。そういう趣旨でございます。

○田中部会長 小林委員、お願いします。

○小林委員 私のほうは、資料の1ページに「社会福祉充実計画に位置付ける事業の種類」と出ておりますが、その中に括弧で例示に「事業内容については、職員の処遇改善を含む人材への投資、サービスの質の向上につながる建物・設備の充実」と書いていただいておりますけれども、「職員の処遇改善を含む人材への投資」ということも非常に重要で、書いていただいているということはありがたいのですが、例示の中に職員の教育投資、教育資金というもの、特に人材の育成、向上ということをはっきりうたっていただくとか、あるいはサービスの質の向上ということで言えば、とにかく人材の育成というのは大変大切だというふうに思うわけですね。こういうことをきちっと書き込んでいただくということが重要ではないか。そしてまた福祉のサービスの向上につながるというふうに思うのですが、そこのところはどうお考えか、お聞きしたいのですが。

○田中社会福祉法人制度改革推進室長 小林委員おっしゃるとおり、さまざまな人材育成とか、そういったことにもぜひお使いいただきたいということですが、一方で、法人の自主的な取り組みということもございますので、施設の整備に使うのか、人材の投資に使うのかということは。

○小林委員 それをぜひ例示としても書いていただいたほうがありがたいなと思っています。

○田中社会福祉法人制度改革推進室長 いろんな使い道がある中で、順番としては一応一番上に書いたということもございますし、スペースの関係上、そういったことまで記載できなかったということではございますが、もう少し詳しい説明資料をつくるときにはそういった点も含めて御説明したいと考えております。

○小林委員 よろしくお願いします。

○田中部会長 関川委員、お願いします。

○関川委員 2点教えていただきたいことがございます。

 資料の4ページの作成手続フローでございます。「社会福祉充実残額の算定結果の届出」というものがございますが、これは2万の全ての法人に届け出ていただくということでよろしいでしょうか。

 あわせて、所轄庁は残額の算定結果に誤り等がある場合は、監督権限で指導を行うとありますが、残額はないけれども、再計算のプロセスで控除できないものを控除しているという誤りがある場合は、この指導の対象になるのでしょうか。所轄庁が算定結果の確認でするべきことは、お示しいただいた公認会計士等が意見聴取する場合のチェック項目とほぼニアリーと考えてよろしいでしょうか。これが1点でございます。

 2点目は、資料の4ページの左端にある残額の修正に関する計画の変更で「届出又は変更申請」ということが挙がっておりますが、届け出てよい内容につきましては、御説明いただきましたとおり、3ページでございますけれども、軽微な変更については届け出で足りるとあります。

 ただ、法人の名称、住所等の基本情報は、軽微な変更というふうには考えられませんので、届け出てよい項目だとは思いますが、表現としていかがだろうかと思っております。

 届け出てよい項目、その他項目とすれば、資金計画で充実残額あるなしを計算する場合、その年度年度で金額が変わってくるはずなのですけれども、5ページの資金計画で財源構成等々、事業費が毎年毎年計算して数字が変わってくる際に、果たして届け出、申請が必要なのか、事業の基本的な内容とスキームというもの、あるいは地域協議会の意見聴取を改めてする必要のないものについては届け出で足りるのではないかと考えますが、この2点、いかがでしょうか。

○田中社会福祉法人制度改革推進室長 幾つか御質問いただきました。

 まず、4ページの社会福祉充実残額の算定結果の届出は、全ての法人にしていただきます。

 所轄庁の確認ということですが、基本的には先ほどおっしゃるとおり、会計、精算で御確認いただくということを現時点では考えております。

 あと、計画の変更手続で、軽微な変更ということで、法律上、軽微な変更の場合、届け出ていいということでしたが、確かに名称、住所、基本情報ということは、要は、承認にかからしめるような本質的な内容ではないという趣旨でして、形式的に届け出をすれば足りること。定款変更とかしておりますのは、名称、住所を申請、認可しますので、そういった意味では、そちらのほうで認可をいただいて、こちらのほうは届け出でいいのではないか。そういう構成だと考えております。

 基本情報の内容、軽微な変更についてですが、これは御指摘のとおりでして、本日お示しした5ページ、6ページのどこをどの程度変更した場合に届け出事項なのか、承認事項なのか、それはこれから団体の皆さんの意見も踏まえて整理をしなければいけないと考えております。

○田中部会長 柳川委員、お願いします。

○柳川委員 すみません、細かい点なのですけれども、11ページの一番最後、『広域の意見聴取』のところで、ホームページ等における意見募集というのは、地域協議会とは別の外部コミュニケーションのツールとしては大変いいと思います。一方で、運用のリスクについてもガイドライン等を示す際に付記したほうがいいと考えています。相模原の障害者施設における痛ましい事件もありましたが、自傷他害の予告とか、明らかに目的と異なる通報が匿名で入る可能性もあると思います。その際に、法人としてどのように対応すべきか行動指針などが無いと、通報を見た担当者が初動対応を誤ってしまう場合があります。外部コミュニケーションのツールとしてのホームページ活用等は大変有効だと思いますが、その仕組みが瓦解しないように、リスク管理のところは、説明を詳しくしていただければと思います。

 それから、ホームページ等を運用する実際の担当者の方々には、心理的な負担等々が発生する可能性もあります。寄せられた意見に対するフィードバックを、組織の上層部に上げていくのはなかなか大変なところもあるかと思います。せっかく社会福祉法人の経営改革を行っている機会ですので、ITを使ったチャンスとリスクみたいなものも経営層の方々にも知識として提供するような説明があるとよろしいのではないかなという意見でございます。

 以上です。

○田中部会長 意見、ありがとうございました。

 三好委員、お願いします。

○三好委員 もう一度確認の意味でお伺いをしたいのですけれども、4ページの作成手続フォロー(案)の中段以降になりますが、法人のほうの計画が、所轄庁に申請いたしまして、審査を経て、計画の承認があって計画の実施という形になります。基本的には法人の意見と所轄庁、地域協議会の意見がまとまらなければ事業は執行されないということなのかどうかということが一つ。

 もう一つは、11ページの「4.地域協議会の役割について」の一番下のところになりますが、法人の経営の自主性は最大限尊重されるべきであると。さまざまな事業が計画されても尊重されるべきであるということでございますけれども、現実に地域協議会で意見がまとまらないような議論が出てきているところは、最終的にはどこがその計画を決定するのだろうかという疑問でございます。

○田中社会福祉法人制度改革推進室長 地域協議会というのは、冒頭申し上げましたとおり、この部会でそういった総称でいただいているので、そういったことで呼ばせていただいておりますが、法律で言いますと、14ページに参考資料でつけましたが、第五十五条の二の第6項「社会福祉法人は、地域公益事業を行う社会福祉充実計画の作成に当たっては、当該地域公益事業の内容及び事業区域における需要について、当該事業区域の住民その他の関係者の意見を聴かなければならない」ということで、住民の意見を聞く、聞かなければいけないという義務が課せられているわけですが、一方で、その意見を聞いて法人としてどうしなければいけないということは、特段に法律で規定されているわけではございません。

 法律で規定されていないからといってその意見をないがしろにするということは、決していいことではないわけですが、一方で、そういった御意見について全てが全てを反映しなければいけないかということではなくて、法人としてのお考えがあって、地域協議会の皆さんにも一定の御理解をいただいた上で計画をつくっていただきたいということでございますが、場合によってはそういったこともあるかと思いますが、最終的には各社会福祉法人さんの御判断で計画を策定いただいて、所轄庁さんに御承認いただくということだと考えております。

○田中部会長 藤井委員、お願いします。

○藤井委員 今の三好委員の御質問に関してなのですけれども、今回の法律では、ここの部分の地域のニーズと経営の自主性というものをどういうふうに社会福祉法人が捉えてやっていけるかということで、国民や地域の信頼を強化する、あるいはさらに認めてもらえるかというところにかかってくるのだと思います。充実計画そのものは、三好委員おっしゃったように、せいぜい2割とか。全ての社会福祉法人がつくるわけでないにせよ、3割はないだろうという話をよく聞きます。

 ただ、片方で、例えば社会福祉法人が理事会で中長期計画を策定している例というのは、実はそう多くないように思います。理事会は、多くの場合は予算、補正予算、補助・委託事業関係、あるいは定款といったものをやっていると時間がないということで、未来に向けての中長期計画というものをきちっとつくっていらっしゃる社会福祉法人は実は少数であるというのが、社会福祉法人経営の問題の一つだと思っております。

 そういうところが計画をつくっていかなければいけないということですから、今後政省令をつくられたり、指導、監査をされる都道府県とか、そういったところにそういった注意が必要なのではないかと思うわけですけれども、もうちょっと個別で言いますと、社福の指導監督というのは法定受託事務ですから、政省令はもちろん、通知に関しても所轄庁は一定程度の強制力が働くということかと思うのですが、例えばここの充実計画に関することで言えば、五十五条の二の第8項の所轄庁といったところは、恐らく自治事務になるだろうということですから、政省令はもちろん所轄庁が聞くにしても、通知で書かれていることは、あくまでも技術的助言であるということですから、悪い言い方をすると、地域の実情に応じたローカルルールがあってもいいということになろうかと思うのですが、実際に社会福祉法人の経営者の方々が迷われているのはここでございまして、全国統一のルールで、今回法定受託事務の部分は国も頑張ってもう一回やっていってほしいと。過去は、法定受託事務のはずが、どうも所轄庁のローカルルールが結構あったのではないかという疑いを我々は持っておりますけれども、そういうことをなくしていくということが一方にあったかと思います。

 ただ、もう一方で、やはり地域の実情に応じたものは自治事務の中で認めていっていいということでございますから、このあたりが社会福祉法人の経営者あるいは所轄庁にもきちんと届くように、この部分は地域の実情でいいのですよ、この部分は法定受託事務ですからちゃんと言うことを聞いてくださいよということをしていただく。

 ルールがわからないところで行政や地域と社会福祉法人の経営者がつき合うというのは、結構悩ましいところだと思いますので、ルールの明示をまずしていただいて、その上で地域のニーズであるとか、行政のニーズに向き合うということをしていただけるように、社会福祉充実計画に関して。本当のことを言うと、法律には漠としたものしか書いていませんし、私は部会で地域協議会などというのをぜひつくってほしいと申し上げた人間ですから、これの使い方は、法律上も政省令上、少なくとも通知レベルでは曖昧といいますか、いろんなやり方ができるということにならざるを得ない分だけ、その部分は地域住民と行政の方々、あるいは社会福祉法人の経営者がきちんと議論を積み重ねていくのだというメッセージが届くようなものをぜひつくっていっていただきたいなと思います。

 以上です。

○田中部会長 ありがとうございます。

 もう一つ質問がありますか。阿比留委員。

○阿比留委員 ちょっとかぶる項目もあるのですが、まず資料3の8ページに確認書(案)を出していただいております。これは恐らく五十五条の二の第5項の「社会福祉充実計画の作成に当たっては、事業費及び社会福祉充実残額について、公認会計士、税理士その他財務に関する専門的な知見を有する者として厚生労働省令で定める者の意見を聴かなければならない」、この部分をもとに案を示していただいていると理解しておりますが、この中の「その他財務に関する専門的な知見を有する者」という部分なのですが、法人の監事も相当な資格を有すると考えているのですが、法人の監事については当該者として含めることができないか、これについて確認をいただきたいという部分です。

 あと、地域協議会の部分についてなのですが、先ほど来話もありますが、まず社会福祉法の第六十一条第2項の中に「国及び地方公共団体は、他の社会福祉事業を経営する者に対し、その自主性を重んじ、不当な関与を行わないこと」と記載があります。これは所轄庁に対して、法人に対する自主性の尊重と不当な関与を制限している趣旨であるというふうに理解しております。

 一方、今回改正されました社会福祉法第七節の社会福祉充実計画の中には、第五十五条の第6項において「社会福祉法人は、地域公益事業を行う社会福祉充実計画の作成に当たっては、当該地域公益事業の内容及び事業区域における需要について、当該事業区域の住民その他の関係者の意見を聴かなければならない」と記されております。

 以上から、地域公益事業の充実計画策定に関しては、社会福祉法人の恣意的な運用による計画とならないよう、十分担保できるものであれば、法人独自で意見集約をすることに何ら制限を設けるものではないということでよいのか。要は、地域ニーズを適切に反映させた計画であれば要件を満たすというふうに理解していいのか。

 これと関連しまして、9ページの「地域協議会の実施責任」。これは「原則として所轄庁が有する」とありますが、これは法第五十五条の二第8項の「所轄庁は、社会福祉法人に対し、社会福祉充実計画の作成及び円滑かつ確実な実施に関し必要な助言その他の支援を行うものとする」と記載されているとおり、住民などからの意見聴取を行う環境を整備できない社会福祉法人への支援策として自治体に地域協議会の設置を求めるものであり、法人が独自に地域住民などから意見を聴取できる環境を整備できる法人にあっては、必ずしも自治体が設置した地域協議会の意見を聴取するものではないということでよいのか。

 あと一点。所轄庁は、社会福祉充実計画の承認、申請があった場合においては、社会福祉法第五十五条の二、社会福祉充実計画の承認、この要件を満たせば、基本的には承認がなされるものであるというふうに捉えていいのか。

 以上、3点確認したいと思います。よろしくお願いします。

○田中社会福祉法人制度改革推進室長 時間もございませんので、簡潔にお答えしますと、まず、公認会計士、税理士その他の関係者というのは、公認会計士法人等を予定しておりまして、監事だからといってここに該当するということは考えておりません。先ほど御説明申し上げましたとおり、監事さんが公認会計士あるいは税理士さんであれば、それはオーケーですということですが、監事であればオーケーということではないということでございます。

 2点目ですが、法人独自で意見集約を制限することではないとか、法人が必ずしも地域協議会の意見を聴取する必要はないということで御意見をいただきましたが、法律上は確かにそういう読み方もできるわけですが、私どもとしまして、この福祉部会で御議論いただいたとおり、社会福祉法人の皆さんが地域の意見を聞いて地域において活動していく、そういう趣旨に鑑みれば、所轄庁のほうで設置いただいた地域協議会の御意見をまず聞いていただくということが、社会福祉法人と地域のかかわりを深めていくという意味では大事なことだと考えています。運用上はどういう工夫をしていくかということがございますが、一義的には地域協議会の意見を聞いていただきたいということでございます。

 最後についてはそのとおりで、形式的要件が整えば承認するということが原則だと考えております。

 以上です。

○田中部会長 ほかによろしゅうございますか。

 では、資料4の説明をお願いします。

○田中社会福祉法人制度改革推進室長 すみません。もう時間が押していますので、簡単に御説明させていただきます。

 会計監査人の設置に関してでございます。基準については、まだ少しいろいろ検討している最中でございまして、その一環として資料4にございます会計監査円滑事業協議会というものをここにいらっしゃいます各団体の皆さん、あるいは日本会計士協会の皆さんから御参画いただいて設置しています。会計監査について、これは我々の反省ではあるのですが、内容について、そのメリット、意義ということをいま一つその団体の皆さんを含めて関係者に周知していなかったということもあるのではないかということで、公認会計士協会の皆さんにもお越しいただいて、6月16日に第1回目、7月15日に第2回目ということで、資料4の裏にありますような、会計監査のメリットとか受入準備、周知方法、そういったことを公認会計士協会の皆さんから団体の代表者の皆さんに御説明いただいて、来年4月に向けて基準がどうなるかという御議論もあるわけですが、いずれにせよ、会計監査人というものの内容について、よく団体の皆さんに御理解いただいた上で、円滑に施行してまいりたいという趣旨で、こうした協議会を設置して議論をしているということの御紹介ということでございます。

 以上でございます。

○田中部会長 ありがとうございました。

 資料4について、質問はおありでしょうか。松原委員、どうぞ。

○松原委員 全体のことでよろしいですか。

○田中部会長 はい。

○松原委員 資料4に限らないのですが。3点要望です。

 財務規律の向上に係る検討会のほうで、概念の整理など、いろいろ検討させていただいているのですけれども、実数を使った検証を厚労省さんのほうでしていると思いますが、今のところ検証部会のほうでは実数まで入っていませんので、ぜひ精緻化、見落としがないかの検証をさらに充実させていただきたいのが1点目。

 2点目は、この計算方法について1年後見直すことになっております。実際1年経ったときに、こういう式となったのだから、そのままとかではなくて、見落としがなかったのか、ぜひ見直しと、必要と解かれば修正は確実にしていただきたいと思っております。

 3点目が、社会福祉充実計画をつくって使った場合に、どのようにそれを会計に反映させるか。今のところ地域貢献を使った場合には収益がなくて費用だけ発生しますので、大赤字になる可能性があります。そうなると、例えば介護経営実態調査とかも急に赤字のところがふえたとかとなってしまいますので、経営の実態を把握できるように、例えば社会保障充実の部とかを会計の最後のほうにつけ足すなどして、会計、継続的に経営がどうなっているのかをしっかり把握できるように。これを使ったことによっていきなりマイナスになって、経営の実態がわからないことにならないような会計上の工夫をぜひしていただきたい。

 その3点です。以上です。

○田中部会長 御要望です。ありがとうございました。

 ほかにないようでしたら、ちょうど時間になりました。

 どうぞ。いいですよ。

○橘委員 申しわけありません。冒頭にスケジュールの説明がありましたけれども、そのことについてのお願いで、社会福祉法人制度の改革に関する省令等を早急に発出していただきたいということです。理由としましては、先般、社会福祉法人制度改革の施行に向けた留意事項やFAQ、定款例等が示され、各法人においては早急に定款の変更を行い、所轄庁に提出し、その認可を受けた上で、新評議員を選出する手順となっていますが、いまだ正式な文書が示されておりません。また、会計監査人の選定については、既に法人において進めておくこととなっていますが、正式な通知等が示されていない中では進めることが厳しい状況です。ついては、関係する省令及び各種通知文書を早急にお示しいただきますよう、よろしくお願いいたします。

○田中部会長 なるべく早くという御要望がありました。

 では、活発な御議論ありがとうございました。本日の議論については終了いたします。

 次回の開催については、追って事務局より連絡するようにお願いします。

 本日は御多忙の折お集まりいただきまして、どうもありがとうございました。

 


(了)

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