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2016年9月9日 第7回 食品衛生管理の国際標準化に関する検討会
医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部監視安全課
○日時
平成28年9月9日(金)9:30~11:45
○場所
航空会館7階 701~703会議室
東京都港区新橋一丁目18番1号
○議事
○五十君座長 若干早いですが、皆さんおそろいのようですので、早速第7回「食品衛生管理の国際標準化に関する検討会」を開会いたします。
本日は、参考人といたしまして全国飲食業生活衛生同業組合連合会様と公益社団法人日本食品衛生協会様に出席をいただいています。
なお、本日もオブザーバーとして農林水産省食料産業局食品製造課食品企業行動室の横田室長に御出席いただいております。
それでは、議事に入る前に事務局から配付資料の確認をお願いします。
○福島補佐 ありがとうございます。
それでは、冒頭の写真撮影等はここまでにさせていただきたいと思いますので、御協力のほう、よろしくお願いいたします。
それでは、配付資料の確認をいたします。
きょうは、資料1として「第7回食品衛生管理の国際標準化に関する検討会」という資料をおつけしております。
それから、本日ヒアリングのほうをお願いしております全国飲食業生活衛生同業組合連合会様、公益社団法人日本食品衛生協会様から御提出いただいた資料をそれぞれ資料2、資料3としておつけしております。
委員の先生方には机上配付といたしまして、いつものように前回検討会での主な検討事項メモといったものをおつけしております。
また、前回検討会からきょうまでの間に委員の先生方に総菜製造施設、清涼飲料水製造施設のほうを御視察いただいておりますので、その際の現地視察レポートというものをおつけしております。
さらに、各業界団体の従業員数ですとか施設数といった規模感に関する資料を参考資料として先生方にお配りしております。
もう一つ、「食品等事業者が実施すべき管理運営基準に関する指針(ガイドライン)」、これまでも検討会のほうで何度か話題に上っておりますけれども、そちらの全文のほうをおつけしております。
資料の不足、乱丁等ございましたら、事務局のほうまでお申しつけください。
○五十君座長 資料、よろしいでしょうか。
それでは、早速議事に入りたいと思います。
いつものように最初に事務局より資料の説明をいただいた後、事業者団体からのヒアリングを行い、最初の資料につきまして最後に議論をさせていただくという形で進めさせていただきたいと思います。
まず、資料1につきまして事務局より御説明をお願いしたいと思います。
○道野課長 それでは、資料1に基づいて御説明を申し上げます。
まず、資料の説明に入る前に、前回輸出入の関係について現状を御説明したわけでありますけれども、その際の内容として、日本が輸出しようとする場合、HACCPを義務化している国と輸出する場合には、要は、同等となるような追加措置をとるということを申し上げたわけですが、今度この制度を日本でも導入するということになれば、それに基づいて輸出先国と改めて協議をする。輸入食品の場合についても輸出国と同等性に関する協議を改めて行う。そういうことを念押しをしていなかったと思いますので、その点について追加的に申し上げておきます。
それでは、資料1に基づいて説明を申し上げます。
前回来から提出させていただいている資料のアップデートしたものと、もう一つは今回新たに作成したもの、2種類ございます。
3ページの「HACCPの制度化の考え方案」につきましては、前回と同様のものでございます。
4ページ「基準A・基準Bの対象となる業種、事業者の規模の検討」となっております。これは新しい資料でございます。
この資料につきましては、書いていますとおりに、基準A、基準Bそれぞれの対象になり得る業種というのは、現行の「食品等事業者が実施すべき管理運営基準に関するガイドライン」、要は、今のソフトの基準でございますけれども、これの対象となっているものというのは、下にある食品の製造・加工業から始まって添加物製造業までという内容になっています。これが机上配付資料で、先ほどお配りをしている「食品等事業者が実施すべき管理運営基準に関する指針」ということであります。
ただ、内容的にはかなり軽重がございまして、販売とか運搬という部分については、机上配付資料で、傍聴席には配っていないのですが、8ページにあるような程度の記載ということになっています。
多くが食品の製造・加工、それから飲食、調理、そういった関係の営業を対象というふうに想定して作成されているものという構成になっております。
ただ、このソフトの基準をそのまま新たな基準に、対象を変えずにということになると、今回の基準A、基準Bについては、いずれかが全体に係るという交通整理になってくるわけですので、そういった方向性でいいのかどうか。また、今の時点でなかなか判断できない部分もあるのかということについて御検討いただければと思います。
新たな部分としては、Bの基準について、どういう事業者が対象になるかということにつきまして、この資料の緑の字の1行目の後ろ、アンダーラインを引いていますが、「従業員数が一定数以下の事業者、若しくは、提供する食品の種類が多くかつ変更頻度が高い業種や一般衛生管理による対応が可能」、そういう一定の業種についてはB基準というような表現で整理をさせていただいております。
その際に参考になりますのが、これも基準配付資料で恐縮なのですが、この部分です。あくまで数字をフィックスするつもりで出しているわけではありませんけれども、平成26年の経済産業省の工業統計調査を参考に作成をさせていただいた、各業界ごとの従業員数で切った場合の総売上高、基準Aによるものがどれぐらいのパーセンテージになるのか、基準Bによって管理されるものがどれぐらいのパーセンテージになるのかというのをあらわしたものでございます。
公表されている資料で事業所の規模と出荷量をあらわしたものは、なかなかまとまったものがございませんので、唯一私どものほうで見つけられたのがこの工業統計。工業統計の場合、従業員数ということで整理することが可能でしたので、要は、統一的にいろいろな業種全て、統一的に全体で見られるというものに関しては従業員数だったということがあって、こういった資料にさせていただいております。
5ページ以下ですが、食肉処理の分野に関しては、処理頭数だとか、食鳥の場合には処理羽数というのが、公的検査がございますので、確実にわかるということがありまして、頭数別のデータをお示ししております。
例えば5ページの「牛/と畜頭数別施設数」ということでいいますと、100頭未満とか、100~10,000頭、こういった刻みで整理をしますと、こういった分布になります。例えば右から申しますと、1万頭以上について義務づければ、42%プラス24%のものが基準Aに該当するということになるわけでございます。
次のページが豚でございます。いずれも頭数の規模の大きいところのシェアが大きいということが、これを見ていただければ御理解いただけると思います。
7ページが食鳥でございまして、食鳥については、もう既に年間処理羽数が30万羽以下のものについては、公的検査にかわる自主検査という仕組みになっております。そういった意味で言うと、30万羽というのは一つの分岐点と言えるのではないかということで、食鳥についてはこういった形で30万羽のところで線を引いております。
なお、牛、豚、要するに、食肉のほうにつきましては、国際的に見ても輸出国にも要求をするということが通常になっていますので、私どもとしては、できれば全体に基準Aを義務づけたいというような意図もございまして、食肉に関しては特段の線引きというのは想定をせずに、この分布表を示させていただいております。
資料1に戻りまして、5ページにつきましては特段の変更はございません。
6ページ以降に関しては、基準Bの空欄になっているところは、基本的にA案と同じということで、入念に記載を追加しているということでございます。
9ページでございます。この検討会の一つの論点としまして、現行の総合衛生管理製造過程の承認制度を今後どうするかということを一つ挙げさせていただいたわけでございます。これについての検討の資料となります。御承知のとおり、総合衛生管理製造過程については、1995年と平成7年の食品衛生法改正の際に任意の承認制度として9ページの下にあるような業種。これは必ずしも一遍に入ってきたわけではなくて、順次品目数がふえてきたわけでございますが、厚生労働大臣の任意の承認制度として、HACCPプラス一般衛生管理、全体の管理ができているところについて、申請に基づいて承認をするという制度になっております。
対応案として大きくまとめて案1、案2という形で示させていただいております。端的に違いを言えば、案1は継続、案2は廃止となっております。
ただ、案1の中で承認制度を継続するとしても、どういう継続の仕方があるのかということがあるわけですが、「考え方」のところにありますように、引き続きHACCP普及のためのツールとして活用するというふうに考えた場合、どういう活用の仕方があるかというと、基準Aの導入促進のため。基準Bの対象の施設、事業所であっても基準Aの管理をしているというところについて、任意の申請に基づいて承認をしていくという活用の仕方があるのではないかということであります。
ただ、基準Bの適用事業所が基準Aの管理をするということを認めてあげるという手続については、これ以外にも後で選択肢としては出てきますので、そのときに改めて御紹介をしたいと思います。これは総合衛生管理製造過程の承認制度を使った場合というふうに御理解いただければいいと思います。
案2でありますけれども、これは全般についても廃止をするということなのですが、ただ、現行、食品衛生法の製造・加工基準が設定されているわけですけれども、それによらないで、それの例外の承認という機能もこの仕組みは持っておるものですから、その部分だけは残すというような運用の仕方ということであります。
11ページ、義務化以降の監視指導のあり方につきまして、前回の御議論を踏まえてアップデートしてございます。
一つは、許可の申請時に何らかのチェックをするということがあるわけでございますけれども、今回変更した部分は、かなり審査が大変ではないかという議論もありましたので、製品説明書から始まってプランまで提出ということが想定されるわけですが、それ以外にこういったものの概要を記載してもらうということでの確認でも可能ではないかということであります。申請の段階では、下にありますように、HACCPに基づく衛生管理計画を策定・保持していることを要件とするということで、内容に重大な問題・誤りがある場合に改善指導するというのがあっても、基本的には形式的にまずはこういったものが備えられていればいいのではないかという考え方であります。
通常の監視指導のところに関して、食品衛生監視員による指導ということになるわけですが、下の記載でございますけれども、先ほどの基準Bが適用される事業所について、基準Aと認めてあげるということ、これはもう一つの手続ということになるわけでございまして、基準Aを免除されているカテゴリーの事業者であっても、自治体による立入検査の際に基準Aを満たしていることが確認できた場合、立入検査をした場合には監視票というもの、成績票みたいなものを交付するわけでございますが、そこにその旨を記載するというやり方で事業者の衛生管理向上への意欲を高めていく。そういう考え方もあるということでございます。
それから、前回御議論があったということもあって、取り扱う食品の特性に加え、第三者認証による取得の有無等により監視指導頻度を勘案すること。
モニタリング記録や改善措置の記録等の書類の様式については柔軟に対応していくということ。
さらに、これもHACCPの当たり前の話ですけれども、問題があった場合には改善指導して、PDCAを回していこうということで、さらに衛生管理の向上を目指すということであります。
営業許可の更新申請時は、最初の申請時届、新規の許可時と同じ考え方であります。
13ページは基準B向けの手引書の検討の仕組みということで、実際にガイダンスを作成するとした場合、こういった構成になりますよということで、これは前回の検討会でもお出ししたのですが、私どもとしては、基準Aについては既存の手引書というものを厚生労働省で13業種について出しておりまして、そういった意味で、基準Aについてというよりは、むしろ基準Bについてこういった内容にしていくということを念のため下に※印で記載させていただいております。
14ページは新しい資料でございます。基準Bの適合のためのガイダンスの作成の前提となる、業界団体向けの分野横断的なガイダンスの構成というものについて想定されるものということで、資料を追加させていただいております。
こういった分野横断的なガイダンスを参考にしていただいて、各業界団体のほうでそれぞれ事業者向けの手引書を我々のほうと相談しながら作成していただく。そういうことを想定しているわけでございます。
内容的にはできるだけ落ちがないようにということでいうと、こういった形で、目的だとか業種だとかということは当然でありますけれども、一般衛生管理の関係、特にBの場合には一般衛生管理が中心になってくると思いますので、その辺とHACCPの相互作用ということについても記載をする。
さらに、対象食品の分類の考え方。これは単品の製造業種である場合と、それから飲食店とか、そういう多品目で、なおかつ変更頻度が高い、そういった業種ということも想定されますので、それぞれについての考え方を示していく。それにあわせて、危害分析以降、HACCPのプロセスに従って作業の進め方についてのガイダンスを整理していくという内容になっております。
15ページ、16ページにつきましては、前回と同様のものでございますけれども、きょうは飲食関係の団体のヒアリングということもありますので、参考資料として添付させていただいております。
20ページ以降についても、前回のヒアリング等を踏まえてアップデートさせていただいた資料であります。
以上です。
○五十君座長 ありがとうございました。
資料1の内容につきましては、事業者団体の皆様からのヒアリングの後、別途詳しく討議の時間を設ける予定でございます。
今、確認しておきたい事項等、何かございますか。
以前の資料に加えて幾つか新しく追加していただいている部分に関して、何か確認しておきたいようなことはございますでしょうか。
特にないようでしたら、先に進ませていただきたいと思います。
それでは、前回に引き続きまして各食品の事業者団体から、業界の一般的な状況、食品安全上で管理の優先度の高い課題、あるいはHACCPの取り組み状況などを説明していただきたいと思います。
まず初めに、全国飲食業生活衛生同業組合連合会、小池事務局次長より御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○小池事務局次長 座って説明させていただきます。
全国飲食業生活衛生同業組合連合会の小池と申します。よろしくお願いします。
本日は、私らの上部団体の一般社団法人全国生活衛生同業組合中央会の伊東局長にも同席いただいております。よろしくお願いいたします。
まず、手元の資料2におきまして私のほうから説明させていただきます。
全国飲食業生活衛生同業組合連合会とはということでございますが、私どもは、「生活衛生営業の運営の適正化及び振興に関する法律」により昭和36年12月に設立されました。
会長は、静岡県組合の理事長でもある森川進という者が務めております。
また、会員数は全国都道府県のうち40都道府県に40組合があり、組合員数は8万5,000名が登録されております。
当連合会は、都道府県単位で設立された飲食業生活衛生同業組合の連合会組織であり、中には未組織の都道府県もありますが、都道府県には40組合があり、さらに保健所単位に支部がある場合があります。地域によってないところもあるのですが、一応その下に支部は整っております。
また、我々の上部団体である一般社団法人全国生活衛生同業組合中央会に加盟していて、その中に16の業種連合会があり、食品部門、サービス部門に分かれております。食品関連連合会の中でも、8万5,000店舗加盟しておりまして、加盟者人数が多いということでありますが、ただ、この飲食業界は新規開業、廃業といった入れかわりが激しい業種になっておりまして、会員を除く全体の正確な店舗の把握はちょっと難しいなというところがあります。
また、組合員の構成ですが、8万5,000いると申しましたが、約6割強が個人経営店であり、残りは中小規模の法人であります。中には大きな団体もありますが、ほとんど大きな団体は、チェーン店の入っている日本フードサービス協会というところに加盟しているところが多いのが現状でございます。
2ページ目は一般的な資料でございますが、外食産業の市場規模推計値ということで、31兆7,900億円。平成27年度調べでございます。
また、中小・零細の事業者が多く、多種多様な業種・業態が混在する産業構造となっております。
店舗数は67万3,200店、従業員480万人ということになっておりますが、一説によりますと、もっと多いのではないかということも言われているところがあります。
これはいろんな業態がありますので、数のほうははかり知れないところがありますが、いろんな業種で、この表に示したようになってございます。
続きまして、3ページは、手前どもの一般飲食店における食品衛生上の管理で優先度が高い課題ということでございます。食中毒防止におきましては、消費者様には安心・安全を提供する立場でありまして、最大の課題であります。施設の衛生管理、従業者の健康管理に日常努めておりますが、特に感染症でもあり、感染源発生の防止が難しい、人と人が感染するノロウイルスに関しましては、注意喚起等、特に厳重な警戒を行っております。
また、2に書かせていただきました牛肉、米トレーサービリティー対策として、飲食店ではこれらに由来する商品を取り扱う場合に関しまして、問題が発生した場合、この流通ルートを速やかに特定するために、牛肉をおいては個体識別番号の表示、米においては産地の伝達表示を消費者に対して行い、取引等の伝票の記録を作成・保存し、産地情報をわかりやすく消費者に提供しております。
4ページに行きます。「一般飲食店におけるHACCPの取組状況」。連合会におきましては、中小規模店舗の多い飲食店で、限られたスペース、人数で経営しております。厨房で原材料を仕入れ、調理もそこで行って、多くのことをそこで並行して、多様なメニューに対応せざるを得ない状況であります。零細業者におきましては、それを1人でこなしている場合も多々ある状況でございます。
この状況から、HACCPを導入することは極めて困難であり、特に中小規模事業者には対応力がないのが実情であります。
続きまして、(4)衛生管理の普及・啓発。外食業としてHACCPそのものの普及は特に行っていないのが現状であります。
連合会では、食中毒防止に向け、店舗段階で活用できる食中毒のセミナーや地域ブロックの会議、啓蒙活動、通知においては、行政を初め、多くの情報や、また地域からの情報を求め、その情報提供に努めております。
その一環としまして、平成25年度に「衛生経営管理マニュアル」を作成しまして、ここに食中毒、その他の細菌、特徴、症状、原因等が記載されています。このマニュアルを会員の方に配布して、衛生思想の普及向上を図っているところでございます。
これに全般的なことが載っていまして、部数はないのですけれども、もしあれでしたら回覧して見ていただければと思います。
(「衛生経営管理マニュアル」を回覧)
○小池事務局次長 部数がないので、済みませんけれども、回して見ていただきたいと思います。そこに食中毒全般、細菌全般のことが載っておりますので、御回覧いただければと思います。
では、先に進めさせていただきます。
次のページへ行きまして、(5)会員企業の輸出割合については、先ほども言いましたように、規模が小さいものでございまして、この規模においては該当者なしということでございます。
(6)にHACCPの制度に対する意見・要望ということで書かせていただいております。
外食業の構造的配慮ということでございますが、外食業は、工場内で特定の一定商品、一定集中生産する加工食品とは異なり、多様なお客様のニーズに対応し、提供している作業は、全て限られたスペース、人数で行わざるを得ないという状況であります。これは規模の大小にかかわらず、店舗のレベルでは本当に変わらないと思います。我々外食事業者にとって、加工食品同様にHACCPを導入することは極めて難しく、できたら法的な義務ではなく、柔軟な考え方が重要だと考えております。
次に行きまして、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理については、現時点では、我々の会員というのは本当に中小企業でございまして、HACCP制度そのものの認識が極めて近いと思っております。普及を必要とは考えていますが、その辺がちょっとどうかなと思わざるを得ない状況でございまして、できたらその地域、小規模に取り組めるような統一的な、簡略的な導入手引があれば効果的であると思われます。
最後にサポート体制ということを書いてございますが、導入に当たっては人件費、人材育成、設備等、多様な費用も必要であると考えられて、優遇措置ということをここでは書かせていただきました。
また、「地域における統一的な専門講師の派遣によるセミナー等の開催を要望する」とは書いてございます。ただ、前段で述べさせていただいたように、その認識度が極めて低いものでございまして、認識させた上でどのように対応するのかなというのは、今後どうかなという感じでございますが、中小・零細にとってはハードルが高いのかなと思っております。できたら地方からの普及活動の支援もいただければ、またいろいろとその認知度、知名度が上がっていくのかなという考えでおります。
以上で、私からの説明は終わらせていただきます。
中央会の局長からちょっとお話しいただきたいと思います。
○伊東局長 続きまして、補足的な説明をさせていただきたいと思います。
今、説明がありました中に「生活衛生」という単語と「同業組合」という単語が出てきているかと思いますが、生活衛生と言えば、厚生労働省の局の名前にもなっておりますけれども、実は生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律という法律がございまして、この法律に基づいて同業組合というのが置かれることになっております。
16の業種がございまして。理容、美容、クリーニングとかあるわけでございますが、食品の関係といたしましては、今、御説明がありました一般飲食店を中心とする飲食の組合、さらには寿司、中華、麺類、料理。「料理」というのは、料亭であるとかそういう業態でございます。それから喫茶、社交飲食業。「社交」というのは、バーであるとかクラブです。そのようなものが食品という関係では入っております。
実を言うと、食肉、食鳥肉についても同業組合というのがございます。
それらの16の同業組合の全国一つの連合会というもので今、連合会の方が説明をしたわけですが、その16の調整なりお世話をしているのが中央会というつくりになっております。
「HACCP」という言葉でございますが、「ハセップ」とかいろいろ言われておりますが、恐らく一般の飲食店であるとか、喫茶店も含めてですが、「HACCP」という言葉を御存じの方というのは、こちらの資料の中にも出ておりましたけれども、なかなか「HACCP」という言葉は行き渡っていないかなと思っております。小規模の営業をされている方が多いですので、なかなかそこまで手が回らないというのは、先ほど御説明があったとおりかなと思っております。
それから、先ほど申し上げた法律なり、そのシステムの中に標準営業約款という制度を持っております。この標準営業約款、登録をいたしますと、Sマークというマークをもらうことになりまして、これを御存じの方がいるかもしれません。床屋さんなどにSマークを張ってあるところがあります。現在Sマークの標準営業約款制度を実際にやっているのは理容、美容、クリーニング、麺類、そして今の一般飲食店が使っておりまして、飲食の関係でいきますと、その標準営業約款の審査も受けて、いろいろチェックを受けた上で、標準営業約款の適用される店舗ですよという了解をもらった上で、そのSマークをもらい、このSマークは、厚生労働大臣認可標準営業約款の店舗ですよという形の制度を持っております。
飲食店などのチェックについて言えば、衛生管理状況の自己点検表というものもつくるようになっておりまして、その自己点検表の中には、調理場周辺が清潔に保たれているかどうかとか、いろいろありますが、石けん・殺菌液はとか、それから冷蔵庫・冷凍庫内は清潔に保たれているか、収納棚は清潔かとか、生ごみ、汚物、害虫等の話、トイレとか、食品の保管というジャンルもありますが、冷蔵庫は10度以下になっているか、冷凍庫は15度以下になっているかとか、それから従業員について言えば、清潔な作業衣であるかとか、爪を短く切っているか、マニュキアをしていないかとか、それから衛生教育を定期的に行っているかということをちゃんと自己点検で点検した日を記入しなさいということであるとか、それ以外にもいろいろとございます。
自分たちの作業衣なども平均耐用年数、何年で交換をしなければいけませんとか、そういうものを全部チェックします。都道府県にあります生活衛生営業指導センターに私のところも標準営業約款を受けたいのですがと言って申請をしてくる。そうしますと、都道府県のほうで外部の先生方も入れてチェックをする。実際に店舗にも行ってそれをちゃんと見てくる。それを中央のほうに報告をしてきて、中央のほうで了解をして、最終的に標準営業約款登録と。そして先ほどのマークをいただいてお店に張りつけることができるというシステムを持っています。
ただ、今、申し上げました食品関係の衛生管理のチェックポイントであるとか審査の部分について、まさに今回議論されておりますHACCPを適用する衛生管理の新たな考え方を導入されるということであれば、私どものこの衛生面について、先ほどのパンフレットもそうかもしれませんが、そういうところにこのHACCPの考え方を導入して、そして私どものほうでも各店舗に周知徹底をしていくということになっていくのかなと思っております。
また、同業組合側も自分たちの組合員を集めていろいろと説明会とか勉強会をしておりますし、先ほど申し上げた各都道府県にある生活衛生営業の指導センター、それから中央に全国の指導センターがございますが、これは同業組合以外の人も入ってもらっていますが、各地でセミナーをしたり、いろいろ説明をしておりまして、そういうところでも、例えばHACCPのような衛生管理が導入されて、これからこうなっていきますよということを周知していくとか、そういうことも私どもの同業組合でもできますし、生活衛生営業全般について指導する立場にあるセンターのそういうネットワークを使っても周知していけるのかなと思っております。
ポイントは、先ほど組合のほうからもお話があったように、非常に小規模の、皆様の御家庭の近くにも例えば単身の若者が帰りに食事をして帰る、おじいちゃん、おばあちゃんが2人で営業しているような飲食店さん、そこでこのHACCPを準用するようなものをしっかり取り組んでいけるのかどうか、お店も先ほど申し上げた中にはたくさんありますので、そういうこともぜひともお考え合わせの上、この検討を進めていただければありがたいと思っております。
ありがとうございました。
○五十君座長 どうもありがとうございました。
本日は2団体ということですので、先に御報告をしていただきまして、その後、質問の時間をとらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
続きまして、資料3を準備していただけますでしょうか。
それでは、公益社団法人日本食品衛生協会として桑崎委員より御説明をいただきたいと思います。
○桑崎委員 それでは、資料3をおあけください。2ページ目になります。
まず、日本食品衛生協会ということでございますが、昭和22年に食品衛生法が制定されました。その翌年23年に設立されたということでございまして、食中毒の発生防止、さらには食品衛生の自主管理の推進、食品衛生知識の普及ということを目的に設立された団体でございます。したがいまして、これまでの検討会に出席された団体というのは、業種別のいわゆる縦割りの組織になっているのだと思いますが、日本食品衛生協会は、食品衛生という横抜きのつながりでできている団体であると御理解をいただければいいのではないかと思います。
理事長は鵜飼良平です。
会員数は、都道府県市の食品衛生協会が正会員になっておりまして、59団体でございます。
都道府県市の食品衛生協会に所属する構成員、約120万と言われておりますが、そのうち飲食店営業の割合は約60%というふうに推測しております。
下のほうに主な事業が記載されております。一番最初に「食品衛生指導員活動事業」と書いてございます。日本食品衛生協会は、食品衛生指導員活動というものを食協活動の中核事業と考えておりまして、全国で約4万8千人いらっしゃる食品衛生指導員が保健所と連携をしながら食品等事業者に対して巡回指導、さらには食品衛生情報の提供を行っております。
食品衛生月間事業については、たしか前回少しコメントがありましたので、省略をします。
ノロウイルス食中毒予防強化期間事業については後ほど出てまいります。
「食の安心・安全・五つ星」事業についても後ほど説明いたします。
「手洗いマイスター制度」と記載がございます。特にノロウイルスにつきましては、人の手を介した二次汚染が原因と考えられる事例が非常に多いということで、ノロウイルス対策には適切な手洗いが重要ということで、所定のカリキュラムを修了した食品衛生指導員を「手洗いマイスター」ということで認定をして、地域における手洗い指導の中核となって活躍していただこうという制度でございまして、現在まで約2千7百万人が認定をされているところでございます。
その他、各種講習会の開催、消費者への情報提供、食品等の試験・検査業務、食品衛生図書等の出版事業、さらには万が一事故が発生した場合の食品営業賠償共済制度の実施ということについても事業として行っているところでございます。
次ページは「食品安全上の管理の中で、優先度が高い課題」ということで、食品衛生協会の設立の目的でございます食中毒の発生防止対策ということが最も優先度が高い課題ということでございます。先ほど全飲連からもノロウイルスの話がございました。やはりノロウイルスでございます。
ここで27年の食中毒の統計を見てみますと、全国で1,202件の事件が起きており、患者数は22,718人という報告になっています。これを病因物質別に見ると、事件数ではノロウイルスが全体の約40%、患者数では約66%ということで、第1位を占めているということでございます。
原因施設別でございますと、事件数では、飲食店は約62%ということで、多いということになっています。
ノロウイルス対策でございますが、これもよくいわれておりますが、調理する人の健康管理、作業前の手洗い、調理器具の消毒、場合によれば適切な加熱ということが重要とされておりまして、これらの徹底を含めて、ノロウイルス対策、食中毒の発生防止対策というものが大きな課題になっているということでございます。
日食協では食中毒予防のため、食品衛生指導員による飲食店に対する巡回指導を実施し、自主的な衛生管理の推進を図っているところでございます。
さらに、平成25年からはノロウイルス食中毒予防強化期間(11月~1月)を定め、全国の食品衛生協会で養成した手洗いマイスターによる手洗い教室、食中毒予防のための講習会の実施など、ノロウイルス食中毒の予防のための対策の普及に努めているところでございます。
なお、昨シーズン、昨年の11月からことしの1月まででは全国356会場で講習会を開催して、約4万4千人の方々に御参加をいただいているというふうに報告を受けております。
「2.HACCP普及のための人材育成と指導助言の実施」ということでございます。HACCPを適切に幅広く普及するためには、HACCPに関し十分な知識を有し、指導、助言できる人材の確保ということが課題です。
日本食品衛生協会では、適切な指導助言ができる人材を育成する事業、次ページにも出てまいりますが、HACCP指導者養成研修事業ということを農水省の補助金を活用して実施しておりまして、今年度からは日食協の独自の事業ということで、育成された人材を活用して食品工場等に派遣し、そこで実際の導入を指導するという事業も今年度考えているところでございます。
4ページ目に「実施しているHACCP普及の取組」ということを1から5まで書いております。
「1.HACCPに関する講習会の開催」ということでございまして、私どもは平成15年以降、HACCPに関する人材の育成ということに取り組んでまいりました。平成27年度からはHACCP指導者養成研修、先ほど農水省の補助事業と申し上げましたが、HACCPの導入希望がある施設に出向いて、そこで実際にHACCPの導入、助言ができる、そういう人材を育成することを目的としてこの研修会を開催しています。
また、27年度は座学でございましたけれども、28年度からは実際の現場での研修ということも新たに加わりました。
2番目に「行政機関から委託」ということでございます。1番目は厚労省事業でございますが、以前御説明がありました地域連携HACCP実証事業ということについても協力をさせていただいておりますし、農水省事業でございますHACCP導入施設へのフォローアップ事業、これはHACCPによる衛生管理を導入して間もない事業者に対して専門家がお伺いして、HACCPが適切に行われているかどうかを確認し、指導する。こういう事業についても参加をさせていただいているところでございます。
3番目に「食の安心・安全・五つ星」事業ということでございます。英国のSFBBと内容が類似しています食品衛生記録の実施を含めた「食の安心・安全・五つ星」事業を全国的に推進しておりまして、現在までのところ参加店舗は1万店舗程度ということでございます。
5つの衛生管理項目、今、出ましたけれども、食品衛生記録の実施、さらには従事者の健康管理、衛生害虫等の駆除、そういう5つの項目について実施しているお店について、プレートに五つ星を表示して、衛生管理の見える化を図って、それで消費者に情報提供しているという事業を推進しているということでございます。
4番目は「HACCP普及指導員」事業。1のHACCPに関する講習会を修了した者の中から任意で私ども日食協に登録いただいて、登録いただいた方をHACCP普及指導員として、HACCP導入を希望する施設に派遣して事業を進めていくという事業でございまして、今のところHACCP普及指導員、約30名の方に登録いただいています。まだまだ十分ではないと考えます。引き続き人材の確保ということについて進めていきたいと思います。
HACCPに関する書籍ということについて、これなども作成をしているところでございます。
5ページ目「HACCPの制度化に対する意見・要望」ということでございます。
全体で申し上げますと、1に書いていますけれども、HACCPが食品の安全性を確保する上で、すぐれた手法であり、さらには国際標準として各国で制度化されていることを考え合わせれば、我が国でのHACCPの制度化というのは避けて通れない課題ではないかと考えます。
飲食店について考えると、先ほどノロウイルスのところでもお話をしましたが、飲食店での食中毒の発生を防止するためには、適切な加熱の実施など、HACCPの考え方に基づく管理とともに、従事者の健康管理、さらには手洗いの励行という一般的衛生管理の確実な実施が重要だと考えます。
また、英国のSFBBについても以前御紹介がありましたが、その内容を見ると、一般的衛生管理の部分が多くを占めているという状況でございます。このため、飲食店に対するHACCPの考え方に基づく衛生管理の導入に当たっては、英国のSFBB等を参考に、飲食店の実情を踏まえた一般的衛生管理を中心とした実現性のある衛生管理計画とする必要があるのではないかと考えます。
また、記録でございます。特に毎日の記録ということについては、厚労省資料にもございますけれども、FAO/WHOの中小規模向けのガイダンスの中でも日誌の活用ということが記載されておりますし、SFBBにおいても日々の記録の所要時間は1分ということで、相当の簡素化を図っているといわれております。このため、毎日の記録については、日誌の活用ということ、さらにはチェック欄を設けて簡単に記載できるようにする、そういう合理化、簡素化をして記録が継続できるようにする必要がある。こういうことが必須ではないかと考えます。
また、こういう状況を踏まえれば、先ほど御説明がありましたけれども、食品等事業者の実態、現状を踏まえた衛生管理計画作成のための手引書を関係業界が作成するということについては大事なことではないかと考えます。
3番目です。また、HACCPの考え方に基づく衛生管理を適切に導入・普及させるためには、さまざまな機会を利用して食品等事業者や食品衛生責任者等に対する情報の提供、技術的支援、教育・訓練の実施と、そのための十分な時間が必要になるのではないかと考えます。
このため、HACCPの円滑な導入に向けて、食品衛生責任者講習会の内容の充実と十分な頻度での実施を初めとする十分な知識が得られる講習会の開催について、国や自治体の積極的な取り組みをお願いする次第でございます。
以上でございます。
○五十君座長 御発表ありがとうございました。
ただいまの2業界のうち、一方は全国飲食業生活衛生同業組合で、零細が多く、毎日の生活に直結している団体で、かつHACCPの導入に関しては非常に多くの問題を抱えているというような内容の御発表があったかと思います。もう一方は、むしろ横のつながりで、食品衛生の活動としてHACCPの普及に努めている協会から全体を通した問題点を含めて御提案があったと思います。
委員の先生から確認したい御質問、御意見等ございますか。
どの団体でどういうことを確認したいと聞いていただけますとわかりやすいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
それでは、どうぞ。
○河野委員 御報告ありがとうございました。
全国飲食業生活衛生同業組合様と中央会様、どちらにもお聞きしたいのですけれども、まず1つ目の質問は、平成25年度に「衛生経営管理マニュアル」をつくられて、先ほど拝見しましたが、内容は私たち素人が見ても非常に立派なといいましょうか、特に食中毒に関しては情報もしっかりと載っていると拝見しましたが、このマニュアルをつくった後、8万5,000人いらっしゃる会員の皆様にはどんな形でこの中身の周知ですとか、ここに盛り込まれている目的、ミッションですとか、そういったことに関して共有化されたのかというのを伺いたいと思います。
もう一点は、連合会様だと思いますが、標準営業約款というのをつくられていて、幾つかの業態でそういったものに登録されていて、飲食業もその登録があるというふうにお話を理解しました。ちなみに、先ほど標準営業約款、Sマークをつけていらっしゃる事業者さんの数、全体から言うとどのぐらいのボリュームの方がこれに対して意欲的に取り組んでいらっしゃるかというのを教えてください。
○五十君座長 それでは、先の質問は小池さんから。
○小池事務局次長 では、私のほうから先に。
「経営管理マニュアル」についてですけれども、これは各都道府県に40組合ございまして、そこを通じて各組合には配付させていただいております。それに基づいて組合ごとにいろいろ講習会を開いたりしたところもあったようでございまして、そういった形で通達はさせていただいております。
約款の件は局長のほうから。
○五十君座長 後のSマーク、約款の件ですね。
○伊東局長 標準営業約款は、先ほど申し上げたように、理容、美容、クリーニングというのは昭和58年とか59年からやっておりますので、実は3万店とか、そのぐらいまで行っているのです。クリーニングは最近、お店の数がどんどん減っていますので、二千数百ということなのですが、麺類と飲食の関係は平成16年11月からなので、実際には平成17年ぐらいから動き始めているのです。約10年たっていますが、これがなかなか進んでおりませんで、麺も一般飲食もまだ300前後なのです。
なぜかというと、これを登録するために少し手数料をいただいているというのもあるのだと思いますが、あれが必要、これが必要というのもあるものですから、話を聞くと、あ、ちょっとという感じにどうもなる感じがあるかなと思うのです。
では、このSマークを登録してもらったことが営業上何かプラスになるのかという面も恐らくあると思うのです。ですので、これをいかにしてもっと普及するかというのは、私どもの組合全体としても課題として今、取り組んでおりますが、ほかの業種にも本当はもっと広げたいのですが、なかなかその先へ進んでいないというのが実態でございます。
○五十君座長 よろしいでしょうか。
私からも確認したかったのは、このSマークについては、飲食系はそれほど今、普及していないということでしたが、それは、メリットがないという、そういうイメージで考えられているのですか。それとも、余り見なれていないので、Sマークがどんなものかという認識がないために余り普及していないのかどうかをもう一度確認したいと思いますので、よろしくお願いします。
○伊東局長 この申請なりがなかなか上がってこないということの本当の原因が何かというのは、ちょっとつかみ切れていない面はあると思うのですが、これをいただくことによってどういうメリットがあるかというところがいまいち納得いっていないのかなと思いますのと、それから、どうやって周知しているかということで言えば、全国のセンターであるとかいろんな店舗の方が集まるようなところでも、こういう制度がありますというのはお知らせをしているので、「標準営業約款」という言葉なり、そういうものがあるのだなというのはある程度知られているのだろうなと思いますが、なかなか面倒ですよということも伝わっているかもしれませんし、さらに登録料も必要ですよというのも伝わっているのかもしれません。
本当であれば、ミシュランの星とは言いませんけれども、Sマークを見たら、このお店は安全だというふうに。理容とか美容はそういうふうに使っている面はあるのです。床屋さんだと、お店にこのSマークが張ってあるところは結構あります。それはうちは安全なお店ですというのを売りにしている。飲食のほうはまだそこまで行っていないという感じだと思います。
○五十君座長 ありがとうございました。
ほかに御質問等ございますでしょうか。山口委員、どうぞ。
○山口委員 御説明ありがとうございます。それぞれに1点ずつ質問させていただきます。
まず、全国飲食業生活衛生同業組合連合会様にですが、資料の3ページで優先度の高い課題ということで2点指摘されていて、1点目のほうは食中毒の防止ということで、「施設の衛生管理、従事者の健康管理に日常点検に努めている」ということなのですが、点検をされて、それを記録にとるということをマニュアル等で推奨されているとか、点検したことを記録するようなことが現状で行われているかということをお伺いできればと思います。
○五十君座長 まず、そちらからお願いできますでしょうか。
○小池事務局次長 管理表というのは組合を通じて渡してはいるのですね。やっているところはそういうのを積極的にやっているでしょうし、何せ1人でやっているところはそこまで行っていない部分もあるのかなと。正直な話だと、今はそういう現状であると思います。
○山口委員 ありがとうございます。
もう一点は桑崎委員に質問させていただきます。資料の5ページですが、やはり記録に関してお伺いしたいのですが、制度化に関する御意見・御要望ということの2点目で、「記録については、日誌の活用など合理化・簡素化が必須と考える」ということで、HACCPを考えたときに文書化と記録というのが特徴的でもあり、ただ、そこが少々手間がかかりそうと一番思われると思うのですけれども、実際の現場をご覧になって、手順をできるだけ簡素にすることで継続的にとか、日誌であれば毎日ですとか、定期的に記録をとっていくということは、簡単にすれば何とかなりそうか、記録をとること自体が難しいという状況があるのかという感触をお伺いできればと思います。
○桑崎委員 先ほど「食の安心・安全・五つ星」事業の説明をしました。あの中に毎日の記録、毎月の記録が入っているのです。あれをチャレンジしようとするとき、最大の課題は記録なのです。どうしても記録がハードルになっているということで、一つはそういう記録の習慣づけがない。それをやっていただこうと思うと、少し辛抱強くお願いしなければだめだと。なおかつそれを煩雑にすると、大抵難しいと思うのです。そこをかなり簡素化して、実際に毎日継続できるような記録の仕方を工夫しないと、実効性がなかなか難しいかなと考えます。
○五十君座長 よろしいですか。
それでは、関根委員、どうぞ。
○関根委員 御説明ありがとうございました。
今の山口先生の御質問に関連してなのですけれども、全国飲食業生活衛生同業組合連合会様と、もしくは中央会様のほうで大体の御感想というか、感じていらっしゃるところを教えていただければと思います。先ほどの御説明の中でも、場合によったら1人で飲食店をやっておられるかもしれません。2人ぐらいでやっておられるかもしれません。年配の方がやっておられるかもしれません。
一方では、料亭のようなところですと、私、存じ上げていないのですが、親方のような方がいらっしゃって、かなり厳しい世界もあるようですが、そういった中でも1分ぐらいの食品衛生に関するような記録であれば、実態としてつけられそうなのか、つけることがかなり難しそうな飲食店なり料亭さんなりが多いのか。その辺のところについて御見識、教えていただければと思うのですが。よろしくお願いいたします。
○小池事務局次長 先ほども申しましたように、1人でやっているところ、零細の方もいらっしゃるので、慣習化すればできなくはないかもしれないですけれども、現状では1人でやっていてどたばたしていたら、それも忘れてしまう可能性がありますので、それがずっと続いてしまうと、なかなか意識の上で薄れていってしまうのかなというのが私の今の感じなのですけれども。特にうちは零細が多いので、そこまでできればいいかなという感じしか今、お答えはできないです。済みません、お答えになっているかどうかわかりませんけれども。
○伊東局長 実はこういうヒアリングがあるということで、HACCPを多少知っているという方何人かと話をしましたが、HACCPという制度は非常に難しい、厳しい。それを取るためにはかなり費用もかかるらしいぞと。先入観念なのかもしれませんけれども、多少知っている人はそれがあります。
先ほどおっしゃられたように、1人、2人、御家族でやっているという定食屋さんみたいな方にHACCPと聞いても、恐らくわからないと思うのです。だけれども、記録をつける、つけないというのは完全に個人差があって、定食屋さんでもしっかりしたおかみさんは、いや、これはちゃんとつけなさいと言われているのだから、つけなければだめよ、あなたと言うお店もあるかもしれませんし、いいのだよ、こんなの、ほうっておけばというところもあるのだと思います。恐らく個人店舗さん、小さなところはそういう感じだと思います。
しかしながら、料亭さんとか大きなお店は、うちはHACCPをちゃんとやっています、さらには営業約款、Sマークも持っていますよ、うちはミシュランの星を2つもらっていますよというようなところはしっかりやるのだと思います。
生活衛生業は規模も中小・零細とよく言いますが、中から本当の小さな店舗まで幅広いので、どこに焦点を合わせた基準なり周知の仕方をするのかと。そこにかかっているのだと思うのです。でも、我々としてみれば、一番弱い人たち、どうしたらいいのですかということを忘れないでほしいなということはお願いしたいと思うのです。
○五十君座長 よろしいですか。
○関根委員 はい。
○五十君座長 ほかに何か。中村委員。
○中村委員 生衛組合さんにお伺いしたいのですけれども、いただきました資料の5ページのサポート体制のところに「導入にあたっては、多額な費用も必要である」と記載がございますが、今、お話があったように、この「多額な費用」というのはどこにかかるのか。例えば施設・設備の改善であれば、基本的には皆様方、食品衛生法に基づいて既に許可を得ていらっしゃって、必要な設備等は整っているという前提かと思うのですけれども、それにプラスアルファ、HACCPで多額な費用というのはどこにかかるのか、ちょっと御説明いただければと思います。
○伊東局長 まず、先ほど申し上げたように、HACCPを取るためにはかなり費用がかかるというのは、例えば東北のお魚をEUとかアメリカに輸出するとかいうところだと、まさにそういうお魚を処理するところも設備だとか全部変えないといけないので、とてもできませんよという話も聞いていますが、町なかの飲食店について言えば、どういう基準になるかわかりませんが、設備も変えなければいけないというふうになると、小さなお店は本当に大変だと思うのです。日本政策金融公庫の融資とか、今、低利で融資は確かにいいのですが、それは返さなければいけませんから、日銭を稼いでいるような小さなお店で設備もちゃんとしなければいけないということになると、それは負担になります。
それから、HACCPなり、HACCPの考え方に基づく新しい衛生基準を広く知らしめるということになると、講習会とか説明会などを開くときには、会場費もかかりますし、それからお呼びする先生の旅費とか謝金とか、そういうものはかかっていきますので、それを例えば全国でやるとなると結構な費用になる。それを私ども中央のほうで何とかしますよということになれば、中央のほうもその費用をどこから工面するか、そういうことにはどうしてもなるのです。
既にルーチンとして毎年度何カ所かでいろいろ説明していますから、そういうところにHACCPの新しい衛生基準の話を盛り込んで説明するというのはやれることだと思っていますけれども、新たにこれを急激に普及しなければいけないということでHACCPのために説明会をするということになると、これはどうしても費用が必要だということは言わざるを得ないと思うのです。
○五十君座長 よろしいでしょうか。
○中村委員 はい。
○五十君座長 ほかに御質問等ありますでしょうか。
私から食品衛生協会さんに御質問をさせていただきたいと思います。HACCPの普及活動を含めて、食中毒全般の制御とか、いろいろな情報提供を常にやられている立場から見て、きょう先ほどご報告のありました飲食店関係というのは、やはり食中毒事例が非常に多い業種なわけなのですが、こういった業種につきまして、今回挙がっていましたイギリスの試みでありますSFBBのスタイルの方式は日本でもなじむようなシステムになり得るかどうか。コメントがもしありましたら、いただきたいと思います。。
○桑崎委員 私の理解では、SFBBの内容というのは、システムというよりは内容が一般的衛生管理です。それが非常に多いのだと思うのです。
普通の飲食店は、今、法に基づいて一般的衛生管理を基本的にきちんとやらなくてはいけないということになっていますから、もちろん、内容によりますけれども、「HACCPに基づく衛生管理」というタイトルではありますけれども、それは先ほど申し上げましたように、一般的衛生管理が中心の衛生管理にしていくのだということになると、私自身の考えとしては、今ある現状の延長線上にこのシステムがあるのではないかと思います。
○五十君座長 ありがとうございました。
一般衛生管理の徹底というところが重要であるということかと思います。
ほかの委員の先生で業界に対する御質問等はございますか。では、中嶋委員。
○中嶋委員 ありがとうございました。
同業組合様にちょっとお伺いしたいのですが、一般のお店には食品衛生責任者の方がいらっしゃると思うのですけれども、その方たちは衛生管理に対してのいろんな知識があると思うのですが、HACCPのレベルまでの知識はないというふうに理解したらよろしいのですか。
先ほどの御説明だと御存じない方もいらっしゃるとおっしゃっていたのですが。
○小池事務局次長 HACCPに対しての認識がまだそこまで行っていないのか。普通の食品衛生管理の講習はある程度受けているのですが、HACCP自体の講習というのがまだまだだと思うのです。浸透化していないので、認識がされていないと思うのです。HACCP自体がどういうものか、どういうふうに動いていくのかというのもまだ具体的でないので、その辺もあると思うので、なかなかそこまでは認識されていないのかなという印象があります。
○五十君座長 よろしいですか。
○伊東局長 恐らく一般の小さなお店は、開業するときに保健所さんが来て見ていって、はい、営業許可、いいですよと。その後はいつ保健所さんが見に来るかなという状況はあるのだと思いますけれども、あとは一般的な衛生面の知識を持って、それで食品衛生協会さんとか、衛生のいろんな説明があるときにそこに行って話を聞いてきたりとか、それから私どももいろんな形で衛生面のいろんな情報を流していますから、そういうものを見ながらというぐらいの知識だと思うのです。
もちろん、店舗によってはインターネットだとかいろんなところから情報をとって、非常によくわかっている人たちもいると思いますけれども、先ほど申し上げたような一番大変だと思われる方たちのところまで少なくとも「HACCP」という言葉は届いていないかなと思いますね。
○五十君座長 それでは、土谷委員。
○土谷委員 日本食品衛生協会様にお伺いしたいのですが、先ほど話に出ていた何がメリットかが見えないというSマークの話もあったのですが、今されている業務そのものの中で、メリットを感じて会員さんの方が取り組んでいらっしゃる事例とか、今後こうしたほうがさらにHACCPに対してメリットを感じていただけるのではないかと思うようなところがあったら、ちょっと教えていただきたいです。
○桑崎委員 ちょっとずれるかもしれませんが、先ほどHACCP指導者養成研修会の話をしました。そこで研修をした人間を導入希望する施設に派遣すると。この研修会の目的、ゴールというのは、HACCPのメリットがきちっと説明できるということになっているのです。したがって、こういう方々をたくさん育成して、きちっとしたHACCPに関する知識を普及していくというのが一つあろうかなと思います。
○五十君座長 よろしいですか。
○土谷委員 はい。
○五十君座長 ほかにありますでしょうか。
そろそろ時間も参りましたので、これで終わらせていただきたいと思います。
それでは、当初解説のありました資料1をお手元に準備してください。
なお、本日の各団体からの御意見や御説明については、事務局とともに整理させていただきたいと思いますので、後でまた報告させていただきます。
それでは、資料1に参ります。ここで本日の冒頭に事務局より御説明をいただきました議論を進めさせていただきます。大分新しい部分もございますので、区切りごとで議論を進めさせていただきます。
最初は「HACCPの制度化の考え方案」という項目になると思います。資料1の2ページから7ページにつきまして、何かコメント、御意見等がございましたら、御意見をいただきたいと思います。関根委員。
○関根委員 4ページのお話でございますけれども、ここでは「従業員数が一定数以下の」というところで、ある程度の区切りということのお話がございました。また、一定の業種というお話もございました。こういう制度を考えるときに、道野課長のほうからも当初からございましたが、外国と同等性をどうするかということも考えなければいけないと思いますし、私たち日本の実情も考慮しなければいけないと思うのですけれども、一定数ということで区切りをつけなければいけないということを考えたときに、今回手元の資料としていただきましたところで、キーワードとして100人、50人というところをいただいているのですが、諸外国等の御説明、今回の検討会の中でもいただているところがございますけれども、多いところとしてはこの辺に落ちつくのかなとか、今回日本がどうするかではなくて、外国として比較的多いのはこの辺だとか、今回飲食店のお話がございましたが、飲食店について、外国についてはどの程度なのだということを御紹介いただければと思うのですが。よろしくお願いいたします。
○五十君座長 どうぞ。
○道野課長 まず、私どもは全て整理しているわけではありませんけれども、承知している範囲で従業員の人数で明確に切って整理しているというケースは多分ないのだと思います。
こういったものを提示させていただいたのは、もちろん、売り上げということの規模で整理するという方法もあるのですが、日本の場合、実情を申し上げると、保健所が実際に制度を運用する場合に、各事業所ごとの売り上げを把握するというのは現実にちょっと無理なのです。そういったこともございまして、把握できるとすれば、むしろ従業員人数なのかなということと、それから現に統計があるということで、そういったものを活用させていただいてデータを整理してみたということなのです。
もちろん、例えば売り上げ関係について、もしくは利益はどれぐらいあるかとか、そういったことについて知ることは、手を尽くせばできるのではないかという議論はあるのかもしれないですが、現実問題として例えばいろんな個人情報だとか守秘だとか、ほかの制度との兼ね合いで全てについてそれを保健所が把握するというのは、現実問題として難しいのかなというのがあって、国内で制度として運用できるとすれば、従業員数かなということと、議論するために既存のデータ、統計が活用できるのはこの従業員数ということで出させていただいたという趣旨であります。
○五十君座長 よろしいですか。
○関根委員 あと、飲食店について、諸外国のこういった食品衛生に関する取り組み、運用について何か情報がございましたら、教えていただければと思うのですけれども。
○道野課長 EUにつきましては、再々御説明しているような形、要するに、「HACCP」という看板はもうつけていないです。一般衛生管理、日本で言えば「大量調理施設衛生管理マニュアル」的なもので浸透させていくということで、EUの場合には、明確に免除せずに、そういったもので管理してくださいということで、むしろ行政側から情報を出して実行していただくという仕組みにしています。
米国については、新たな法律とは全く別に、以前よりそういう飲食店レベルへのHACCPの考え方に基づく衛生管理ということで、ガイダンスが別に出ていて、FSMAとは全く別の世界でやっている。
ただし、これよりもいいシステムでやるならどうぞということなので、それは言ってみればこれでやってくださいということでの指導ということになっていまして、SFBBと基本的な流れは同じだと思いますけれども、もちろん国が違うので詳細なところは違うとは思いますが。
そういった意味で、アメリカのFDAのガイダンス自体も基本的なつくりというのは、日本の大量調理施設のものと共通点があるのではないかなと考えています。
○関根委員 ありがとうございました。
○五十君座長 ほかに質問は、川崎委員。
○川崎委員 食産センター、川崎です。
今の関根委員の質問にもつながるかと思うのですが、今回はっきり示していただいたと思うのですけれども、前回までも基準Aが基本で、それが難しい事業者を対象に基準Bを検討という方向だったと認識しています。
今回それをどこで線を引くかということで、3つ切り口が出されたと理解しています。
まず、1点目は従業員数ということで、HACCPの仕組みを考えてみるときに、HACCPを導入しにくいという原因の一つに人数があると思いますので、これを基準に考えていくということは適当と思うのですけれども、今、課長もおっしゃったように、人数だけで切れないと思うのです。売り上げ規模とか、それからきょうも含めて事業者団体の皆さんからいろいろ御提起があったHACCPの導入のしにくさ、とりわけ零細企業での導入しにくさということを考えれば、必ずしも人数だけの問題でなく、いろんな要因もあると思うので、ここは業種とか業態ごとに状況が違うので、業種・業態ごとに人数だけでなく、どのように線を引くかということは今後とも検討していく必要があるかなと思います。
2点目の提供する食品の種類とか変更頻度なのですが、これもちょっと細かい話になるかもしれないのですけれども、業種あるいは業態としてまとまってそういう性格を持っているところもあれば、具体的過ぎるかもしれませんけれども、割と大きな工場でも、よく見てみると性質の違う食品を少人数で生産しているようなところもあると思うので、そういうところは基準A、基準Bの考え方をどうするかという議論もあるのだろうと思います。
3点目の、一般衛生管理で対応が可能な業種ということでは、次の5ページ目の基準Aの「重要管理点の決定」の中でEUの弾力的運用の例が示されていて、前回私から基準Aの取り組み方として、EUの例に倣って一般的衛生管理で管理できる食品とか、そういうところがあれば、個別の企業、事業者で危害要因を分析して、一般衛生管理で管理できると判断することがベースになるのでしょうけれども、一般的に一般衛生管理で管理できると認められる食品であれば、それを一般化して示すべきではないか、そういう論議が必要なのではないかと申し上げました。
私の理解ですが、今回4ページで提案されたものについては、基準Bとしてそれを位置づけるということですので、前回の議論と意味合いが違うので、その辺は混乱がないように今後整理して論議していく必要があるかなと思います。
いずれにしても、この3つの切り口の検討を進めていく上においても、業種・業態とか食品によって状況がかなり違っているので、今後検討を進めていく上においては、業種・業態ごとの実態をベースに論議を進めていく必要があるかなと思います。
○五十君座長 質問というよりもディスカッションということだと思いますので、ほかの委員の先生にもご意見をいただきたいと思います。4ページが今回新しく示された部分になります。今までの業界のヒアリングの間に進んできた議論といたしましては、原則基準Aで、もう一つ基準B、対応の難しいところをどうするかということから2つのカテゴリーにするという方向性の議論はされてきたものの、実際の内容が示された形になります。
この提案といたしましては、基準Aによる衛生管理を原則とするけれども、例えばどこで線を引くかということ、今、川崎先生から御意見がありましたように、従業員数で切るか、これだけではとても難しいだろうという場合は業種を考慮して検討するべきなのか、このあたりについて、委員の先生から意見をいただけたらと思います。
川崎先生は、やはり両方加味せざるを得ないだろうという御意見だと思いますが、そのあたりにつきまして、いかがでしょうか。中村委員、どうぞ。
○中村委員 従業員の一定数で切っていくという考え方につきましては、食品表示法のほうで栄養成分表示の義務化に向けて、一定従業員数以下のものについては義務を免除されるという形、考え方がもう既に示されていますので、そういう意味では、保健所としては既に考え方としては持っていると思うのです。ですので、他法との整合をとっていただければ、指導についても一貫性といいますか、保健所のほうでも余り混乱がないのかなと思いますので、考慮をお願いしたいと思います。
○五十君座長 では、河野委員、どうぞ。
○河野委員 私も今、中村委員がおっしゃったことと同じこと、どこで線引きをするかというところで考えていました。このところヒアリング等をさせていただいて、各業態の実情を踏まえ、実現性のある制度の導入というところはすごく重要なところでして、これでどういうふうに分けるか、対象を決めていくかということは、今後の進みぐあいというところにもかなり影響すると思っています。
確かに食品表示法のところで栄養成分表示の義務化ですと、消費税の第9条に規定する小規模事業者、課税期間に係る基準期間における課税売上高1,000万円以下の事業者、または中小企業基本法第2条第5項に規定する小規模企業者というルールが決まっているので、そのあたりというのは、義務化をするか、しないかというところの線引きではある程度コンセンサスが得られた一つの指標かなと思ったところです。
一つお願いしたいのは、HACCPというのは、食品安全を科学的に見える化する取り組みだと思うのです。これまでも各事業者団体さんは、きょうのお話でもわかったとおり、皆さんそれぞれ安全な食品をしっかりした製造工程のもとに製造して届けようというところはやられているのだと思うのです。でも、それが国として統一感がないといいましょうか、ぱっと見たときに、それぞれはやっているのだけれども、例えば私たち国民から見たときに、それが一つに見えてこないというところが今回の大きな課題かなというふうに感じたところです。
では、それぞれがやっているところをどこをとって、どういうふうに統一すれば国の中からも、外からも、特に今回は輸出等のことで大きな課題になっていますから、日本は一つのちゃんとした、国際的にも評価できる、国民も安心できる食品衛生管理の手法をやっているのだというところ、今やっていることを上手に皆さんでいいところをすくい取って、無理なく、本当に実情を踏まえた実現性のあるやり方を探していくのかなと思っています。うまく言えませんけれども、そこのところで知恵を働かせていただければと感じているところです。
ちなみに、2020年オリ・パラ組織委員会でも今、食品の調達基準コードの設定の検討が行われています。何を基準に置くのかという視点で、この検討を機会に日本が一歩でも前向きに進むために、今までやってきたことを第三者に説明するときには、自分はちゃんとやっていますよという言葉以外に、こういうルールでやっていますよと言ういいチャンスだと思うのです。本当にうまくルールづけをしていただきたいなと思います。
○五十君座長 ありがとうございます。
規模の分け方として、資本金1,000万という切り方も良いのではないという御提案があったか思います。
ほかに。土谷委員、どうぞ。
○土谷委員 先ほどから分け方のお話が出ていますが、業界、業態に応じて実現可能性というのは重要になってくると思います。例えばスーパーマーケットにおける総菜とか、スーパーマーケットの規模が大きいからといって、その作業場というのはやはり数人でやっているというところを踏まえますと、何をもって人数と言うのか、何をもって規模と言うのかというところは業界によって異なってくると思いますので、ぜひそこのところ、踏まえているところはお願いをしたいと思います。
○五十君座長 ありがとうございました。
先ほど川崎委員からも、例えば1つのところで多品目をつくっている場合はどうするかとか、実際に稼働している人員とか規模とか、その辺のところを考慮して、この規模で切る場合は業種によって違うこともあるだろうということと思います。
御意見ありがとうございます。
ほかにありますでしょうか。中嶋委員、どうぞ。
○中嶋委員 基準A、Bの区分の前に、今、土谷委員がおっしゃったことの確認をしたいのですが、今回販売業も対象になるということで出されているのですけれども、例えばこれは青果物とか米は対象にはならないと理解すればよろしいのですか。
そして、スーパーなどはそれを全部扱っているわけですが、そのときに、事業者として全ての管理、つまり、米や青果物も含めた全ての管理の記録をとらなければいけなくなるのか、それとも魚を扱っている部門、肉を扱っている部門だけが記録をとればいいのか、そこら辺も基準を考える上では大事なのかなと思いまして、ちょっと確認したいと思います。
○五十君座長 各論の話がいろいろ出てきますと、いろいろ難しい議論をしなくてはいけないと思いますが、次回9月20日にヒアリングなしでもう一度いろんな議論をするので、事務局で今の御意見を考慮した資料をつくっていただくのは可能でしょうか。いきなり議論してもなかなか話が進まないと思うのですが。
○道野課長 事務局でまとめるに当たって、むしろ先生方にも方向性について少しディスカッションしていただいてありがたいなと思っているのは、現行の「食品等事業者が実施すべき管理運営基準に関する指針(ガイドライン)」、このもの自体は、制度としては先ほど御説明したとおり、販売業、保管業、添加物製造業という部分にも係っていて、これは米穀の取扱業者も青果の取扱業者も全て係っているということなのです。今回の制度、一部そこは外してということになると、自動的に現行の制度が残ってしまうということになるわけです。
そういった意味で、今、出している指針(ガイドライン)をそのまま今、議論している基準A、基準Bに取りかえるのがいいのか、基準A、基準Bには適用しないという部分のこういった業態というものを置いておくのかということ。端的に言えばそういうことになるわけでございまして、もちろん扱っている食品の種類とか、中嶋先生がおっしゃったようなリスクの蓋然性から言っても、今と変わらないでいいではないか、ただ、そういう管理計画をつくるか、つくらぬかというだけの違いになるわけですけれども、そういった制度として見た場合に先生方から見てどうかということで、私どものほうも次回までに整理したいと思いますが、先生方の基本的な御見解等があれば、いただければありがたいなということでございます。
○五十君座長 ありがとうございました。
今のコメントにつきまして、御意見いかがでしょうか。業種によっては、必ずしもA、Bを分けないようなこともあり得るというような考え方をしてもいいと思いますし、一定の業種については、一般衛生管理の徹底をもって、B案と考えるのか、Aの弾力的運用と考えるか。そのあたりは次回以降、皆さんの御意見をいただかなくてはいけないところと考えているのですが、それについて御意見はいかがでしょうか。
きょう厳しいようでしたら、次回までに皆さん、考えておいていただいて、整理いたしましょうか。
事務局、どうぞ。
○道野課長 考え方としては、基準Bというもの自体がかなり幅広のものなので、まず全体を入れて考えてみるというのが一つの方法としてありますし、もしくは除外の考え方だけ一応整理しておくというやり方もあると思いますので、考え方、我々としてつくるとすれば、そんな方向で考えるのかなと思います。
ここで今、急にと言ってもなかなか無理だろうという感じもあると思いますので、適宜来週でもメールなり何なりで少しヒントをいただけると、非常にありがたいなと思いますので、よろしくお願いいたします。
○五十君座長 わかりました。
まさに今のコメントどおりだと思います。ほかの意見、どうですか。土谷委員。
○土谷委員 今のを考えてきたいと思うのですが、今のお話でいくと、B案の中に包含するという考え方が一つあります。もう一つは、英国のSFBBではないですけれども、それを分けるということなのか、B案の中の一つとしてそれを入れるか。そういう考え方も一つあるということですか。
○五十君座長 どうぞ。
○道野課長 もう少し正確に申し上げると、要は、今後のソフトの基準自体は、基準A、基準Bに限定するということにして、言ってみれば、ここに書いている魚介類とか食肉以外の販売業も含めて、基準Bを対象に考えるというやり方が一つ。
それから、基準A、基準Bが今後のソフトの考え方なのだけれども、そこから一定の除外ルールみたいなものをつくるということ、要するに、リスクが低いようなものについて、例外的なものをつくるような考え方を整理するというのも一つのやり方かなと思います。
いずれにしても、リスクが低いといっても、何らかのルールというのは、お配りしているように、指針の中には幾つかそういう要件がありますので、それについては引き続き係るようにしていかなければいけないわけですが、そういった整理のやり方はあると思います。
○土谷委員 わかりました。ありがとうございます。
○五十君座長 ほかの委員の方で何か御意見ありますでしょうか。よろしいですか。
それでは、ひとまず7ページまでにつきまして、そのほか御意見等ございますか。よろしいですか。
それでは、次の項目「総合衛生管理製造過程承認の取扱いについて」。資料では8ページから9ページの部分につきまして、何かコメント、御意見あるいは御質問等ございますか。
マル総の問題をどう扱っていくかという非常に重要なポイントになってくるということで、今回は、案1といたしまして、承認制度自体は継続すると。案2につきましては承認制度を廃止すると。ただ、加工基準によらないものとしての機能を持っている部分についてのみ残していくという御提案になっているかと思いますが、御意見をいただけますでしょうか。土谷委員、どうぞ。
○土谷委員 慎重に考えるべき非常に重要な問題だと思うのですが、案2に書かれているHACCPの義務化が施行されるまでは普及啓発策として活用するとか、ここのところを順調に移行するという形であれば、私としては一つの制度になってわかりやすいのではないかなと思いました。
○五十君座長 ありがとうございます。
ほかの委員の先生、何かコメント等ございますか。御意見でも構いません。中嶋委員。
○中嶋委員 検討の上での一つの要件として質問させていただきたいのですが、これをもし残した場合に、HACCPマークをそのまま維持するのかどうかということがあると思います。つまり、基準Aでも基準Bでも皆さん、HACCPをやっているということになったときに、マル総は特別になってしまうのかどうかですね。
さらに言えば、基準A、基準Bに差があるので、そこにマークをつけるのか。これはマル総の外というか、全体の話ですけれども、それをつけるのか、つけないのか。飲食業の場合のSマークみたいな形のものを設定するのかどうか。ここの議論の本質からずれるかもしれませんが、要件として考えたほうがいいのではないかなと思いました。
○五十君座長 恐らくHACCP導入を要件としてマル総が成り立っていますので、HACCPということに関しては完了しているということになるので、その上乗せの部分の話をどう扱うかということになるかと思います。どうぞ。
○道野課長 総合衛生管理製造過程の承認に伴って、例えば今、いろんな製品にくっついているマークですが、製品にそのマークをつけるということをセットで承認しているわけではなくて、マーク自体は業界が任意で行っていらっしゃることで、恐らく景表法とか食品衛生法以外の世界も含めて、問題がなければやれるということなのだと思います。
したがいまして、食品衛生法でいわゆる何とかマークというのは今のところございませんので、そこはあくまで事業者の判断。
どういうところでわかるのかということで言いますと、例えば基準A、基準B適用で、例えば基準Bを適用されている事業所が基準Aの管理をしていますというところについて、どうあらわすかという話で、一つは案1のような形式で残すようなやり方、そういうことによって、もちろん事業者の方がどういう形で対外的に示すかというのはあるのですけれども、それのベースとなる仕組みとしてこういうものが案1。
もう一つは、先ほど申し上げたような食品衛生監視員が立入検査を行うときに、そういった管理がされているということについて交付する監視票の中に記載するというやり方もあるかなということで、いずれの場合でも実現性はあるかということで案として示させていただいております。
○五十君座長 よろしいですか。
○中嶋委員 はい。
○五十君座長 どうぞ。
○川崎委員
質問です。両案あって、廃止のほうだと、廃止に当たって、規制緩和という部分はほかの仕組みで担保しなければならないだろうと思うのですが、そうすると、11条と13条が関係してくると思うのですが、当然かもしれませんが、この辺の条文の改定ということも伴ってということですね。だから、案2を選択する場合は、そこをどうするかもセットで論議し、確認をしていくということになるという理解でよろしいでしょうか。
もう一点。案1の継続のほうについてですけれども、この検討会の前身の普及検討会の中で、HACCPを普及させていくという点から見たときのこれまでのマル総の役割については、必ずしも普及に役立ったというだけでなく、HACCPに対する誤解にもつながったという評価もあり、その辺をどう評価するかも論議しないと、継続という選択は難しいのではないかと思いますが、その辺はどうお考えかという質問です。
○道野課長 13条の条文は、恐らく川崎委員御存じだと思うのですが、規格基準遵守型のほうの承認については、条文上は明らかではなくて、運用上、2つの種類の承認があって、一つがもともとの制度の趣旨である11条の規格基準の例外扱い。それから11条の基準を守って、中でのHACCPの導入。この2種類。法律のレベルではそこは2つ明らかに分けて書いていませんので、例外を残すのであれば、13条はいじる必要はなくて、例外もやめてしまうのだったら、13条をなくすということになるわけです。
もう一つは、仮に残す場合に、御指摘のあった弊害、課題というか、そういったものがございますので、もちろん、そこについてはよく見直した上で継続ということで考えなければいけないと思っています。
○五十君座長 よろしいでしょうか。
○川崎委員 はい。
○五十君座長 では、関根委員、どうぞ。
○関根委員 まず、質問をさせていただきたいのですが、案2のほうになったときに、ここでは「製造・加工基準によらない」となっています。今、実際とっていただいている施設件数ということで、合計711と書かれておりますけれども、本当にこの基準によらない施設としてとっていただいている施設の数を教えていただきたいのですが。
○道野課長 2施設です。2件だけです。
それ以外は規格基準遵守型のHACCPです。
○関根委員 そうすると、事実上案2のほうはほとんど施設が残らないということですね。
○道野課長 はい。
○関根委員 今度継続のほうを考えてみたときに、たしかラインごとに承認を得るということになっていましたね。ですから、今、お取り組みいただいている工場が全ラインとっているのか、何種類かの製品をつくっているのですけれども、この製品だけでとっているということもあるかもしれないので、そうすると、今、既にとっている企業様におかれましても、工場様におかれましても、新しくA案が採用されるような工場にとっては、この制度での承認を持っていても、それだけでは足りなくて、それ以外のラインについても同じようにHACCPのシステムを持たなければいけないので、余り継続してもメリットがないのかなというような印象は受けるのです。
ということから考えると、ここに「インセンティブ」と書いてありますけれども、どういうインセンティブがあるのかなということもありますので、そういう意味からしたら余り継続の意義は出てこないかなという感じもするのです。
では、今とっていただいている方が、これを残すことによってどういうメリットがあるのだという話も多少伺ってみたいなという感じは受けております。
以上です。
○五十君座長 ありがとうございます。
今、インセンティブの話が出ましたけれども、案1では、国または都道府県等がこれを承認とした場合に、例えば基準Aの導入促進のインセンティブになるかどうかは、東京都の中村委員にコメントをいただいたほうがいいと思います。
○中村委員 インセンティブの場合に、その前に「ツールとして活用する」とあって、まずツールとして使えるかどうかという切り口なのですけれども、下にありますように、この制度の対象になっていますが、乳、乳製品ですとか食肉製品ですとか、種類が決まっているわけです。私たち自治体が最も多く抱えている業態というのは飲食店であったり、あるいはお総菜をつくっているところであったり、あるいは伝統的なお菓子をつくっているところなのです。そう考えますと、この制度を自治体がツールとして活用していくというのは難しいのかなと思います。
2つ目として、いわゆる例外承認がこの制度の中へ入っていますので、場合によっては食品安全委員会のほうでの評価というのも必要になる場合があると思うのです。そういったときに自治体がそれを受け持つということは妥当なのかどうかという考え方もあると思います。
それから、現在とっていらっしゃる事業者さんにとっては、マル総といわゆる国際規格、ISOとかFSSCとの整合性というところを考えていくのが一番インセンティブになるのかなと思いますので、こういった面からも自治体で担当するというのはなかなか難しいのかなと思っております。
○五十君座長 コメントありがとうございました。
そのほかありますでしょうか。9ページまでにつきまして大体よろしいですか。
それでは、先に進ませていただきます。「監視指導のあり方について」というセクション、10ページ、11ページということになります。こちらにつきまして御質問あるいはコメント等ありますしょうか。山口委員、どうぞ。
○山口委員 2点質問させていただきます。
1点目は一番左端の囲みの下の1つ目のポツですが、「保健所による導入指導を重点的に実施」ということで、前回も議論になったところかと思うのですけれども、これまで視察などもさせていただいて、お話を伺ったときに、ガイダンスのような手引があって、文書化の作成支援ツールといったようなものを充実させていくという話もこれまであったのですが、それとあわせて、実際にその計画自体がこれでいいかということを外から確認してもらう、助言を受けたり、指摘をしてもらったりすることも必要で、文書だけでは難しいというお話も伺いました。
関係団体ですとか、場合によってはコンサルタントに依頼をしたりということもあると思うのですけれども、国際的な認証、第三者認証を取るときには、ある程度お金をかけてコンサルタントに依頼するようなこともできるかと思うのですが、やはり費用、負担感があるのかなという印象で、義務化をされたときに、できれば身近に聞けて、相談できるような体制というのが、要件の緩和というところとあわせて、実施の部分、実効性の部分では大事になってくるかと思っています。それが監視指導の枠内での取り組みということなのか、それ以外にも活用できる枠組みがあるのか、監視指導体制は地域によっても違う、それぞれ事情に応じてということになると思うので、各地域でその取り組みの体制を組んでいくときに、監視指導の計画の枠内以外にも活用できるものがあるとさらによいのかと思います。そのあたりが組めるかどうかという感触があればお伺いしたいと思います。
もう一点はHACCPの変更に関してなのですけれども、営業許可の更新の申請のときとHACCP自体を変更したときということで、今、提出資料に挙げられているのですが、例えばEUの規則ですと、文書化されたものを常に最新のものにしておくとか、あとはこの9月から予防管理計画が順次義務化されていく米国の法律の中では、変更時以外に3年に1回の見直しということが規定をされています。ヒアリングの中でも必要に応じた見直しを団体として行っているというお話も伺ったのですけれども、この場合は営業許可の更新申請時に提出する資料として挙げられているのですが、変更以外に定期的な見直しの期間設定みたいなものを法的に規定するようなことがあるのかどうかということと、それからB基準の場合というのは、ガイダンス自体は業界団体で考えるという方向性が示されているので、自分の製造工程でHACCPプランを変更するということとあわせて、業界団体の設定するガイダンスを変更、見直しを適時かけていくということも、長期的に見た場合に今後必要になってくることがあるかもしれません。そのあたりについて法的に規定することがあるのかどうか、お考えをお伺いできればと思います。
○五十君座長 質問というか、コメントも含まれているかと思うのですが、保健所の活用を導入時だけでなく、いろいろ活用できるかどうかということとか、定期的な見直しについてどのようなことがあるかというようなことと思います。事務局、何かコメントありますか。どうぞ。
○道野課長 御指摘のとおり、定期的見直しというのは一つの考え方でありまして、最新の状態にしておくということだけではなかなか維持管理が難しいという考え方に立っているのだと思います。
制度についての評価はいろいろあると思うのですけれども、総合衛生管理製造過程の場合に一応更新制ということで、これは食中毒事件があったことをきっかけにそういう制度にしたという経緯もございます。そういった意味ではいいのですが、ただ、営業許可との関連から言うと、役所が確実にチェックする機会と申し上げたほうがいいのかもしれないですけれども、5年をくだらない期間で許可を出すということが法律上決まっているので、確実に来るのは更新時、5年に1回ということで、そういう場合に3年と5年というずれというのもあるので、そこはよく考えなければいけない部分かなと。
ただ、もちろん都道府県の保健所自体は、そういった製造施設に関しては、自治体によって差がありますけれども、立入検査というものに関しては、5年間行かないということはまずないわけでして、そういった意味で、3年見直しでも、特に製造・加工業であればある程度対応できるではないかということは、現在の制度を前提としてもあるのだと思います。
一方で、基準Aに関しては、そういった運用というのは、国際的なあれを見ても実行していかなければいけない部分だと思います。
ただ、基準Bについて考えた場合に、確かに業界のガイダンスは一定期間ごとに見直しが必要になってくると思うのですが、業界のガイダンスを見直せば、自動的にここが変わったよという情報が一応現場にも流れるわけですので、それを機会に現場は見直していただくのだろうということになるので、やり方のきっかけというのが、基準A対象のところとそうでないところでちょっと違う部分も実行上は出てくるのかなと考えます。
○五十君座長 よろしいでしょうか。
○山口委員 はい。
○五十君座長 ほかにありますか。関根委員、どうぞ。
○関根委員 資料の提出等のことについてお話をさせていただきたいと思うのですけれども、例えば今ですと、HACCPプランの変更時に変更に関連した情報を提出してくださいというようなイメージのことで御説明いただいているのですが、実際HACCPシステムを運用していただいている工場でこういう書類に変更があるということは年に何回も起こると思います。
そういう施設が多かったときに、その都度都度書類が提出されてきますというふうになったときに、多分提出された側も処理が追いつかなくて、事実上その書類を出すこと自体の意味というか、意義がどこにあるのかなということになりかねないので、多少その辺はお考えいただいたほうがいいのかなと思います。
そういうことからすると、例えば営業許可と連動してこの制度を考えたときに、申請時とか更新時というタイミングがございますけれども、そのときにはある程度の書類を提出していただくとして、監視のタイミングのときがございますので、そのときに適切に現状に合わせた変更が行われているのかというところを見ていただく、そのような運用でいいのかなと思います。
特にA案について適用される施設数、事業者様の数がどのぐらいになるのかわかりませんけれども、それでも製品説明書、製造工程図、危害要因分析表、HACCPプランというところを一通り全て出してくださいといったときに、物すごい書類量になると思います。各自治体でいただいた書類を全部管理できるのかというところもあるので、「上記の概要」というところにいかに弾力を持たせるかというところが、実現可能な制度にするところのポイントだと思います。
特に監視のところで前回からの変更として入れていただいた第三者認証の取得の有無というところもございました。ISO22000ですかFSSCですとか、また、食品安全マネジメント協会のほうでつくった制度とか、第三者認証制度としてある程度認めていただけるような制度での認証を持っているところは、何らかのそういう証明を持って書類を簡便化するという形を考えたほうが実効のある運営になるのではないかなと思います。
○五十君座長 では、御意見ということでよろしいですか。
どうぞ。
○道野課長 関根先生に差しつかえない範囲で教えていただきたいのですけれども、今のそういう民間認証の場合に、もちろん認証を受けて、その後、そういう審査機関がどういうタイミングで内容をチェックされているのかということについて、可能な範囲で教えていただければありがたいのですが。
○関根委員 通常は認証をとっていただいている組織様には、少なくとも1年に1回必ず訪問させていただいております。これはどんな第三者認証制度でも同じだと思います。最低限1年に1回です。それは一緒だと思います。
1年ごとに訪問させていただいているときには必ず書類の変化点、実際の仕事がどう変わったかということに対して、適宜タイムリーに書類等が変わっていっているのかということを拝見させていただきながら、かつ日々の活動がきちんと記録として残されているのか、そんなところを確認させていただいているということでございます。
ですから、変更があった時点で必ず書類一式を提出していただいて、その時点時点での書類の確認をするということではなくて、あくまでも訪問審査させていただいている時点で、それまでの運用状況として書類を変更するべきタイミングがあったのであれば、それがきちんと変更されているのかということを訪問させていただいた時点で確認させていただくということです。わかりますか。
○道野課長 ありがとうございます。
○五十君座長 第三者認証の取得の有る場合、ある程度勘案するというところ、文章が入っておりますので、その点、非常に進んでいるかなと思いますが、ほかの委員の方でこれに関してコメントありますでしょうか。よろしいですか。川崎委員、どうぞ。
○川崎委員 今の話とは変わるのですけれども、前回も申し上げたのですが、HACCPの制度化、義務化がきちんと目的どおり進むかどうかはこの監視指導のあり方が決め手になると思うのですけれども、各事業者の方が異口同音におっしゃっている、段階的導入この監視指導の中で行うことが必要ではないかなと思うのです。
基準Bについて、その対象をどこで切るかとか、中身をどうするかという具体的論議は今後継続されるとは思うのですけれども、どうしても基準Bでも難しいという事業者が少なからず出てくるということは当然予想しておかなければいけないと思いますし、また、基準Aの対象となった事業者においても、余裕を持ってで基準Aに対応できるかというと、例えば人数で切った場合を想定すると、ボーダーラインにあるようなところからすると、かなり基準Aは難しいと思われるので、繰り返しなのですけれども、この監視指導のあり方の中で段階的運用がされるのだという、そういうことが事業者から見て実感できるやり方が何なのかということは考えていかなければいけないと思うのです。
例えば基準Aの対象でも一定の準備期間というのが設定されるのであれば、そことの整合をどうするかという問題は残るでしょうけれども、例えば基準Bに一旦対応して、それから基準Aにステップアップしていくとか、基準Aの対象の事業者でもそういう段階論というのがあってもしかるべきではないかと思いますし、基準Bは、さらにその中でどうするかということがあると思いますので、これは今後の継続課題としてぜひ意識をしていただければなと思います。
以上です。
○五十君座長 ありがとうございます。
運営の仕方、監視体制について段階的にということだったと思います。
よろしくお願いします。
○土谷委員 先回工場の視察に行ったときに、HACCPを頑張ったのだけれども書類が保管できなくて困っている、置き場所がなくて屋根の上に全部置いている、消防署との関係も大変だという話をちょっと言われたものですから、電子上の保管というのがこれから入ってくるのかどうかというのもちょっと検討の必要があるかなと思います。
以上です。
○五十君座長 ありがとうございました。
ちょっと時間が押して参りましたので、次回もこの件については議論させていただきますので、次に進ませていただきます。
それでは、12ページから18ページ「基準B向けの衛生管理計画策定のための手引書の検討」ということなのですが、こちらはかなり細かいところを見ていくといろいろ御意見があるかと思います。次回議論するのに重要なポイントとなるような御意見等をいただけたらと思いますが、よろしくお願いします。いかがでしょうか。川崎委員、どうぞ。
○川崎委員
検証については、7ページなのですけれども、基準A案と基準B案は同じと考え方が整理されていますが、基準Aは従来出されている13冊の手引書、基準B案はこれからつくる手引書ということで、基準Aのベースになるこれまでの13冊の手引の中には、私の記憶間違いでなければ、検証については日々の見直しと定期的な見直しと2つあったような気がします。
それから、今回お示しいただいた基準B向けのガイダンスの構成の中には「食品事業者による検証(日常の点検)」ということになっていますので、基準Aと基準Bは、7ページで検証については同じとされていますが、そこが微妙に違ってきていると思うのです。
一旦制度を導入した後、それを充実させていくために検証行為というのは非常に重要だと思いますので、そこは基準A、基準Bで検証というのは何を目的に、どういうことをやるのかということははっきりさせておく必要があるかなと思います。
次回以降また論議をさせていただければと思います。
○五十君座長 ありがとうございます。
ほかに要望あるいはコメントで構いませんが、次回に通じるような御意見等ございましたら、お願いしたいと思います。よろしいでしょうか。
私の進行の不手際でちょっと時間が超過してしまいました。これできょうの議論は終わらせていただきたいと思います。事務局、ありますでしょうか。
○道野課長 それでは、予定をしていました業界団体様からのヒアリングは一応きょうで一区切りと考えておりまして、次回につきましては、今までこういったパワーポイントの資料で議論していただいてきたわけでありますけれども、報告書の取りまとめに向けてもう少し細かなところも整理していきたいと考えていますので、報告書の骨子のたたき台、案のようなものを文章化したものでごらんいただきながら整理をしていただければありがたいなと思っています。そういう趣旨で資料を用意させていただきたいと思っています。
○五十君座長 ありがとうございます。
9月20日はすぐですので、資料をなるべく早くいただいて、皆さん、目を通したいかと思います。事務局はお仕事が大変だと思いますが、よろしくお願いしたいと思います。
本日の議題は以上です。
事務局から概略について今、お知らせがあったかと思います。そのほかに何か連絡事項ありますでしょか。
○福島補佐 もう何度も出ましたように、次回検討会は9月20日でございますので、時間は余りございませんが、次回もよろしくお願いいたします。
○五十君座長 それでは、本日、長時間にわたりまして
熱心な御議論をいただきまして、ありがとうございました。これで終了いたします。
どうもありがとうございました。
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