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2016年8月31日 第39回労働政策審議会 議事録

政策統括官付労働政策担当参事官室

○日時

平成28年8月31日(水) 10:00~12:00


○場所

厚生労働省省議室(9階)


○出席者

【公益代表委員】

樋口会長、阿部委員、岩村委員、鎌田委員、田島委員、土橋委員、宮本(み)委員、山川委員

【労働者代表委員】

相原委員、逢見委員、岸本委員、野田委員、畠山委員、浜田委員、松谷委員、宮本(礼)委員、山中委員、山本委員

【使用者代表委員】

市瀬委員、鵜浦委員、浦野委員、岡田委員、岡本委員、工藤委員、栗原委員、中野委員、椋田委員、渡邊委員

○議題

(1)平成29年度労働政策の重点事項(案)について
(2)分科会及び部会等における審議状況について
(3)法案の国会審議結果について
(4)その他

○議事

○樋口会長 定刻前ですが、皆さんおそろいですので、ただいまから第39回労働政策審議会を開催いたします。
 議事に入る前に、本年8月19日付けで委員の交代がございましたので、御紹介させていただきます。お手元に資料1として委員名簿が配付されておりますので、御参照ください。
 労働者代表ですが、全国電力関連産業労働組合総連合会長の岸本委員でございます。
○岸本委員 岸本です。どうぞよろしくお願いいたします。
○樋口会長 続きまして、電機連合中央執行委員の山中委員でございます。
○山中委員 山中と申します。よろしくお願いいたします。
○樋口会長 よろしくお願いいたします。
 続きまして、事務局にも異動がございましたので御報告をお願いいたします。
○小林労働政策担当参事官 本年6月21日付けで事務局に異動がございましたので、御報告いたします。総括審議官の宮川です。
○宮川総括審議官 よろしくお願いします。
○小林労働政策担当参事官 職業能力開発局長の宮野です。
○宮野職業能力開発局長 よろしくお願いいたします。
○小林労働政策担当参事官 その隣の雇用均等・児童家庭局長の吉田でございますけれども、所用のため少々遅れております。政策統括官の福本です。
○福本政策統括官 よろしくお願いします。
○小林労働政策担当参事官 総合政策・政策評価審議官の酒光です。
○酒光総合政策・政策評価審議官 酒光です。
○小林労働政策担当参事官 私は労働政策担当参事官の小林です。よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○樋口会長 それでは、議事に入ります。本日、4つほど議事が用意されております。
 第1に「平成29年度労働政策の重点事項(案)について」、第2に「分科会及び部会等における審議状況について」、第3に「法案の国会審議結果について」、最後に「その他」となっております。
 はじめに、議題1「平成29年度労働政策の重点事項(案)について」及び参考資料1から4、議題2「分科会及び部会等における審議状況について」、議題3「法案の国会審議結果について」につきまして、事務局から一括して説明をお願いいたします。
○小林労働政策担当参事官 それでは、資料2「平成29年度労働政策の重点事項(案)」をご覧いただきたいと思います。4段落目でございますけれども、本年6月に「ニッポン一億総活躍プラン」や「日本再興戦略2016」等が閣議決定されております。労働分野では、長期的な点に立った総合的な少子化対策を進めつつ「一億総活躍社会」を念頭に、働き方改革が最大のチャレンジと位置付けられておりまして、多様な働き方が可能となるような社会の発想、制度を大きく転換していかなければならないとされております。
 この観点から、具体策として大きく7本柱で進めていくということでございまして、1.「一億総活躍社会」を支える多様な働き手の参画、2.「一億総活躍社会」の実現に向けた働き方改革の推進、3.「GDP600兆円経済の実現」に向けた労働生産性の向上、4.地方創生の推進、5.労働者が安全で健康に働くことができる職場づくり、6.重層的なセーフティネットの構築、7.東日本大震災からの復興等のための雇用・労働対策でございます。
 2ページ以下、主なものを御説明申し上げたいと思います。
 まず「1 一億総活躍社会を支える多様な働き手の参画」でございます。(1)女性の活躍推進でございます。1つ目のポツの2つ目の-でございますけれども、女性活躍推進法に基づく行動計画の策定等が努力義務となっている300人以下の中小企業について、行動計画策定に向けた相談支援、助成金の支給等により、女性活躍に向けた取組を促進していくということを盛り込んでおります。
 2つ目のポツは、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント等職場におけるハラスメント対策の総合的推進でございますが、育児・介護休業法や男女雇用機会均等法の改正法案が今年の3月に成立しておりまして、来年1月に施行されることとなっております。その中で、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントの防止に向けた事業主の措置の義務付けを盛り込んでおります。そのようなことを内容とする改正法について周知・徹底を図るとともに、職場におけるハラスメント対策を総合的に推進することとしております。
 3つ目のポツの仕事と家庭の両立支援でございますが、先ほど申し上げました改正育児・介護休業法の内容といたしまして、例えば介護休業の分割取得等がございますけれども、この改正法につきまして、改正内容の周知等、着実な施行を図っていくということでございます。2つ目の-は、今年の8月2日に閣議決定された経済対策の中で初めて盛り込まれたものでございますが、男女とも仕事と育児の両立に資するよう、保育所整備を進めつつ、雇用の継続のために特に必要と認められる場合の育児休業の延長等を含めた両立支援策について、必要な検討を経て、成案を得、平成29年度において実現するということでございます。
 その下でございますけれども、男性の育児休業の取得促進、介護離職への対応等のため、事業主の支援ということでございます。介護離職防止のための助成金等の支給につきましては、経済対策の方にも盛り込まれております。
 次に(2)若者の活躍促進でございますけれども、就職氷河期世代を含めたフリーター等に対する就職支援の強化ということで、いわゆる「団塊ジュニア世代」を含む就職氷河期に就職時期を迎えた方、不安定就労等の方に対して、正社員就職に向けた集中的な支援を実施するということで、短期集中的セミナー、企業に対する雇入れ支援を新たに実施することにより、集中的な支援を実施するということでございます。
 3ページの(3)高齢者の活躍促進でございます。企業における高齢者の定年延長・継続雇用の促進等ということで、65歳以降の定年延長・継続雇用制度の導入を行う企業に対する支援を実施するとともに、民間団体を活用して高齢者の就業の場を提供する取組を推進する「就労支援団体育成モデル事業(仮称)」を実施するということでございます。
 一つ飛びまして3つ目のポツですけれども、地域における就業機会の確保に向けた取組の強化で、これは改正高年齢者雇用安定法に基づきまして、地域に設置される協議会の促進、協議会からの提案に基づき実施する「生涯現役促進地域連携事業」を拡充していくということを盛り込んでおります。
 (4)障害者の活躍促進でございますけれども、1つ目の-は、平成30年4月から法定雇用率の算定基礎に精神障害者が追加されることに伴う法定雇用率の見直しに向けて、障害者、企業への職場定着支援を強化していくということで、障害者就業・生活支援センターの地域就労支援力を強化するということでございます。あわせて、障害特性を踏まえた雇用管理・雇用形態の見直し、多様な働き方の工夫、職場定着等のための取組を行う事業主への支援を充実するということでございます。
 次の4ページは、(5)ひとり親に対する就業対策の強化、(6)がん等の疾病による長期療養が必要な労働者や生活困窮者に対する就労支援の強化等、(7)性的指向・性自認の多様性に関する理解増進などを盛り込んでおります。また、(8)外国人材の活用促進・国際協力は2つ目のポツでございますが、外国人技能実習制度の見直し等、制度の適正かつ円滑な推進を図ることを盛り込んでおります。
 5ページは「2 「一億総活躍社会」の実現に向けた働き方改革の推進」でございます。(1)非正規雇用労働者の正社員転換・待遇改善等でございます。1つ目のポツでございますけれども、同一労働同一賃金の実現に向けた取組ということで、平成28年末に策定予定のガイドラインの普及啓発を行うとともに、必要な法改正について検討を進めるということでございます。
 2つ目のポツは、非正規雇用労働者の待遇改善支援でございます。同一労働同一賃金の実現に向けて、各都道府県に「非正規雇用労働者待遇改善支援センター(仮称)」を設置いたしまして、コンサルタントによる個別相談援助を実施していくということでございます。
 少し飛びますけれども、6つ目のポツは労働契約法の無期転換ルールの周知でございます。労働契約法に基づく有期雇用契約の無期転換が平成30年度から本格的に行われることを踏まえまして、無期転換ルールが本格的に機能する直前の時期に集中的な周知を行うということでございます。
 その下のポツはパートタイム労働者でございますけれども、職務分析・職務評価の導入支援、表彰等を行っていくということでございます。
 6ページの(2)長時間労働の是正でございます。1つ目のポツは、現在国会に提出している「労働基準法等改正法(案)」が成立した場合には、法内容の周知や届出の受理等を行うための体制整備を図っていくということでございます。さらに、労働基準法につきましては、労使で合意すれば上限の時間外労働が認められる、いわゆる36(サブロク)協定における時間外労働規制の在り方について、再検討を行うことにしております。
 2つ目のポツは、法規制の執行強化で、いわゆる36(サブロク)協定において、健康確保に望ましくない長い労働時間、時間外労働が月80時間を超えている、それを設定した事業場に対して指導を強化するということでございます。
 3つ目のポツは、取引の在り方や業界慣行に踏み込んだ取組をIT業界・トラック業界においてやっていくということでございます。
 4つ目の企業の自主的な取組への支援でございますけれども、専門的な知識、ノウハウを活用した助言指導を行うためのコンサルタントの配置などの体制整備や助成金の拡充等を図るということです。助成金の拡充等につきましては、経済対策にも盛り込まれているところでございます。
 7ページの(3)最低賃金の引上げと生産性の向上です。最低賃金の引上げにつきましては、名目GDPを2020年頃に向けて600兆円に増加させていく中で、年率3%程度を目途として、名目GDPの成長率にも配慮しつつ引き上げていくということで、全国加重平均が1,000円となることを目指すということでございます。
 2つ目のポツは、最低賃金引上げの環境整備として、経営力強化・生産性向上に向けて、中小企業・小規模事業所への支援措置を推進・拡充するということでございまして、この点につきまして、経済対策の方にも盛り込まれております。
 (4)労働条件の確保・改善等は、3つ目のポツのパワーハラスメント対策の推進でございますが、マニュアルやセミナーの引き続きの実施とともに、平成28年度にパワハラに係る実態調査を行っていますので、その結果を踏まえて予防・解決を進めるための必要な取組を検討するということでございます。
 また、その下のポツは、早期の紛争解決に向けた体制整備等ということで「日本再興戦略2016」に基づき「透明かつ公正な労働紛争解決システム等の在り方に関する検討会」において、予見可能性が高い紛争解決システムの在り方の検討を速やかに進め、可能な限り早期に結論を得るということでございます。
 (5)ワーク・ライフ・バランスの実現でございますけれども、長時間労働の是正は再掲でございますが、その下のテレワーク・在宅就業等の推進でございます。3つ目の-で、在宅就業、在宅勤務だけではなくて、サテライトオフィスの設置によるテレワークの導入支援も図っていうことでございます。その下でございますけれども、平成28年度までに実施したモデル実証事業がございますので、これを通じて明らかになったテレワーク導入における課題について検討を行っていくということでございます。
 (6)働き方改革の総合的な推進で「働き方の未来2035:一人ひとりが輝くために」懇談会の報告書が8月2日に取りまとめられておりますので、この議論を踏まえて働き方改革の取組を推進していくということでございます。内容はまた後で御説明させていただきますが、この報告書に基づきまして、2035年の環境変化を見据えて、多様な選択肢のある働き方が可能になる社会の実現に向けて、すぐに取り組むべきものと、中長期的に取り組むべきものに整理した上で、すぐに取り組むべきものについては着実に取組を進めるということでございます。
 「3 「GDP600兆円経済の実現」に向けた労働生産性の向上」の(1)全産業の労働生産性の向上の「生産性向上に資する人材育成の強化」は、1つ目がIT人材の強化でございます。これは専門実践教育訓練給付制度による労働者のIT資格の取得を目指す労働者の自発的な能力開発の支援を行っていくとともに、雇用型訓練を通じた企業内におけるIT人材の育成推進も併せて図っていくということでございます。
 9ページの「適職を得るための労働市場の整備」でございますけれども、ハローワーク等におけるマッチング機能の強化ということで、ハローワークの求人情報・求職情報をオンラインで民間職業紹介事業者や地方自治体に提供するということ。その下のポツですけれども、第6次地方分権一括法の円滑な施行ということで、希望する自治体において国が行う無料職業紹介と、自治体が行う業務をワンストップで一体的に実施する取組の拡充を図るということでございます。
 少し飛びまして、5つ目のポツの雇用仲介事業等の在り方の見直しでございます。雇用仲介事業等の今後の在り方について、学識経験者からなる検討会の検討結果が本年6月に出ております。この検討結果と労働政策審議会における議論を踏まえて、必要な措置を講じていくということでございます。
 その下の労働者派遣制度の見直しは、平成24年と平成27年の改正労働者派遣法、附帯決議に基づきまして、労働者派遣事業の在り方について検討するということでございます。
 その下のポツでございますが、企業の職場情報開示に向けた取組の推進で、職場情報の「見える化」を一層進めるため、若者雇用促進法や女性活躍推進法で企業情報の情報開示について盛り込んでおりますが、それに関連しまして若者にも女性活躍の方にもサイトがございます。これは一覧化等をして、より利便性の高い情報開示の仕組みを構築していくというものでございます。
 10ページの「企業における労働生産性向上の取組支援」で、1つ目は労働行政と地域金融機関等との効果的・積極的な連携を推進することで、地域の生産性向上に取り組んでいくということでございます。2つ目のポツは、労働生産性の向上のための助成金の見直しでございまして、生産性向上に資する制度となるよう要件の見直しを行うとともに、わかりやすく使いやすいものとなるよう整理等を行うということでございます。
 その下は(2)人材不足分野等における人材確保対策等の総合的な推進で、保育分野における助成金の拡充とともに、介護、建設分野での人材不足分野の事業主を対象として支援等を実施していくということでございます。
 「4 地方創生の推進」でございます。(1)地域における良質な雇用の創出等で、2つ目のポツですけれども、地方自治体と連携して地域特性を活かした雇用創出や人材育成に取り組むとともに、地方創生に向けた地方自治体による雇用創出や地域の人材管理、地元人材の育成・定着等に対し、労働局が支援を行っていくということを盛り込んでおります。
 11ページの「5 労働者が安全で健康に働くことができる職場づくり」でございますが、(1)第12次労働災害防止計画重点業種等の労働災害防止対策の推進を盛り込んでおります。また、(2)職場における健康確保対策の推進等、(3)化学物質対策、石綿ばく露防止対策の徹底等を盛り込んでいます。
 12ページの「6 重層的なセーフティネットの構築」でございますが、雇用保険制度における個別延長給付の暫定措置が平成28年度末で終了することを踏まえて、給付と負担の在り方について検討し、雇用保険制度等の見直しを行うということでございます。
 これに関連しまして、参考資料1の8月2日に決定された経済対策でございますけれども、5ページに「雇用保険制度の見直し」ということで、アベノミクスの成果等により雇用情勢が安定的に推移していること等を踏まえ、雇用保険料、国庫負担の時限的な引下げ等について、必要な検討を経て成案を得て、平成29年度から実現するということで、併せて行っていくということでございます。
 資料2に戻っていただきまして、12ページの「7 東日本大震災からの復興等のための雇用・労働対策」についても、盛り込んでいるところでございます。
 私からの説明は以上でございます。
○山越労働基準局長 引き続きまして、資料3に基づきまして、分科会及び部会等における審議状況について、順次御説明させていただきたいと思います。労働基準局長でございます。まず、労働基準局関係部分について、私から御説明させていただきます。
 資料3の3ページをご覧ください。労働基準局所管の分科会等の審議状況でございますけれども、1つ目の○でございますが、労働条件分科会関係でございます。
 労働条件分科会は4月18日に開かれておりますけれども、この中で、1の一億総活躍国民会議における議論の概要、2にございますが、配偶者手当の在り方に関する検討会の報告書がまとまっておりますので、この件について御報告させていただいております。
 2つ目の○以降が、労災保険部会関係でございます。労災保険部会は7月29日に開かれておりますけれども、いずれも報告事項といたしまして、石綿による健康被害の救済に関する法律の施行状況、3つ目の○でございますが、航空法が改正されておりまして、これに伴い農業関係の特別加入についての告示の改正を行っておりますので、これらを御報告させていただいております。
 また、4つ目の○が平成28年度の労災診療費の改定とその内容、一番下の○でございますけれども、社会復帰促進等事業の平成28年度の成果目標等について、いずれも報告をさせていただいております。
 4ページにまいりまして、2015年度の目標に関する評価についてでございますけれども、これは資料の22~23ページに具体の数値状況、評価の動向が記されておりますので、こちらを御参照いただきたいと思います。
 労働基準局関係は以上でございます。
○生田職業安定局長 職業安定局長でございます。安定局所管の分科会等における審議状況について、御説明いたします。
 27ページの一番上にございますけれども、1点目は雇用保険法等の見直しに関する検討でございます。雇用保険法等の一部を改正する法律の成立を受けまして、2つの省令案要綱の御審議をいただいております。
 1つ目は「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」でございまして、シルバー人材センターにおける業務拡大に関する基準を定めたものでございます。
 2つ目が「雇用保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備等に関する省令案要綱」でございまして、詳細は31ページ、32ページにございますが、求職活動支援費の新設等を内容とするものでございます。
 以上につきまして、それぞれ「妥当」とお示しいただきまして、前者は既に4月から施行されております。後者は来年1月1日施行を予定しております。
 続きまして、2つ目の○は、雇用対策における国と地方の連携強化に関する検討についてでございます。第6次分権一括法でございますけれども、「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」の成立を受けまして、無料の職業紹介事業を行う地方公共団体の厚生労働大臣への通知事項や、地方公共団体から国への要請手続などを内容とする「職業安定法施行規則等の一部を改正する省令案要綱」を御審議いただき、「妥当」と答申をいただきました。この省令は、8月20日に施行されてございます。
 その下の○は労働移動支援助成金の見直しに関する検討です。職業安定分科会におきまして3回にわたる御審議をいただき、支給要件及び助成内容の見直しを内容とする省令改正を行いました。また、通達によって定める細則につきましても、分科会で御審議をいただきました。見直し内容のうち予算措置を伴わないものにつきましては、8月1日から実施しております。
 続きまして、28ページの1つ目の○の平成28年熊本地震に係る検討でございます。まず、ハローワーク等における被災者への対応など、緊急の雇用・労働対策につきまして、5月13日の職業安定分科会におきまして、御報告させていただきました。
 また、雇用調整助成金につきまして、助成率の引上げや支給日数の引上げ等を内容とする省令案要綱を5月13日、7月22日の分科会で御審議いただきまして、それぞれ「妥当」との答申をいただきました。それぞれ既に施行しております。
 次に、2つ目の○の国家戦略特区法の一部を改正する法律の施行に向けた検討でございます。障害者の雇用の促進等に関する法律の特例の認定を受けることができる有限責任事業組合、いわゆるLLPの要件等を定めた省令案要綱につきまして、御審議をいただきまして「妥当」との答申をいただきました。この省令は「国家戦略特別区域法の一部を改正する法律」の施行日である9月1日の施行予定でございます。
 28ページの一番下の○ですが、2015年度の年度目標に係る評価及び2016年度の目標設定についてでございます。職業安定分科会及び障害者雇用分科会におきまして、それぞれ御審議をいただき、今後、パブリックコメントを経て内容を確定し次第、公表する予定でございます。
 最後に29ページのその他でございますけれども、各種助成金の見直しを内容といたします「雇用保険法施行規則及び建設労働者の雇用の改善等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」につきまして、御審議をいただきまして「おおむね妥当」との答申をいただいております。これにつきましては、4月1日から施行されております。
 3月25日以降の安定局所管分科会等における審議状況につきましては、以上でございます。
○宮野職業能力開発局長 続きまして、職業能力開発局の関係でございます。資料3-3、51ページをお開きいただきたいと思います。
 最初の項目の第10次職業能力開発基本計画でございます。この計画は平成28年度から平成32年度までの5年間にわたる職業能力開発施策の基本方針を示すものでございますけれども、これにつきまして御議論をいただき、第10次計画として策定をいたしております。
 2番目が、求職者支援制度の今後の在り方についてでございます。これにつきましては、昨年11月の職業能力開発分科会で報告書の取りまとめをいただきまして、この報告書に基づきまして、就職率の実績に関する基準の見直し等々を内容とする省令案要綱の諮問・答申を行っております。
 3番目は、熊本地震への対応に係る政省令の改正でございます。これは、熊本地震への対応として、職業能力開発施設等の施設整備等に関する国庫負担率を引き上げることを内容といたします政令案及び省令案要綱につきまして、諮問・答申がなされております。
 4番目は、2015年度の実績評価、2016年度の年度評価につきまして、御議論をいただきまして、それぞれ目標設定を行っております。
 最後に52ページでございますけれども、その他関係する助成金等々につきましての見直しにつきまして、諮問・答申がなされております。
 職業能力開発局関係は以上でございます。
○吉田雇用均等・児童家庭局長 引き続きまして、お手元の資料の67ページの雇用均等・児童家庭局所管のうち、雇用均等分科会について御報告申し上げます。
 先ほど冒頭の御挨拶のときに、私は遅参をいたしました。このたび雇用均等・児童家庭局長に就任した吉田でございます。よろしくお願いいたします。
 お手元の資料で、雇用均等分科会の関係は3点掲げさせていただいております。1つ目は、3月31日に雇用保険法等の一部改正の中で行われました、育児・介護休業法及び男女雇用機会均等法の改正の施行に係る省令及び告示事項について、諮問・答申をいただいたという点でございます。
 育児・介護休業法につきましては、この施行の中で、育児休業の取得要件の種々の明確化でありますとか、看護休暇・介護休暇について、半日単位での取得が困難と認められる事例の例示など、あるいはハラスメントの具体的な内容、相談体制の整備などについて指針としていただきましたが、これにつきましては、8月2日に告示させていただいております。
 均等法の関係につきましても、いわゆるハラスメントの具体的な内容や相談体制の整備に関する指針並びに雇用管理上の講ずべき措置に関する指針について御検討いただき、同日8月2日に審議を踏まえ、告示させていただいております。
 大きな2つ目の柱につきましては、いわゆる両立支援等助成金の見直し関係でございます。具体的には、出生時両立支援助成金あるいは介護支援取組助成金という形の、平成28年度に創設した助成金、中小企業両立支援助成金についての見直しの関係です。これにつきましては、例えば期間雇用者継続就業支援コースにつきましては、これを廃止いたしまして、事業所内保育施設設置・運営等支援助成金については、内閣府で別途行っております企業主導型保育事業が開始することに伴いまして、新規の認定を停止する。4つ目の助成金としましては、女性活躍加速化助成金につきまして、支給要件の見直し、「えるぼし」認定を受けているなどの要件の追加を行ったところでございます。
 いずれにつきましても、諮問・答申をいただいた後、4月1日に施行しております。
 3つ目の項目につきましては、雇用均等分科会の平成27年度目標の中間目標について御審議をいただいております。
 分科会といたしましては、3つの項目について目標設定をしていただいておりますが、そのうち次世代育成支援対策推進法に基づく認定、いわゆる「くるみんマーク」取得の企業数を目標としている項目についての評価をいただきまして、具体的には後ろの資料の79ページに掲げてございますが、目標2,300社に対し、2,398社という形で進行しているということを御報告申し上げております。
 ただ、これにつきましても、2015年4月の改正次世代育成支援対策法に基づいて推進しますし、同じく2015年3月20日に閣議決定されました少子化社会対策大綱によりまして、更に目標数を2020年において3,000社とすることの設定が行われておりますので、引き続きこの推進に努めることを御報告申し上げたところでございます。
 残りの2項目の中間評価につきましては、近々開かれる分科会において御議論いただくことを予定しております。
 以上でございます。
○小林労働政策担当参事官 続きまして、資料4「第190回通常国会における法案審議結果」をご覧いただきたいと思います。1つ目の外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律案については、継続審議となっております。
 2つ目の労働基準法等の一部を改正する法律案についても、継続審議となっております。
 3つ目の雇用保険法等の一部を改正する法律案は、内容といたしましては、労働保険徴収法、高年齢者雇用安定法、育児・介護休業法、男女雇用機会均等法等の改正も含んだものでございますけれども、この法律案につきましては成立しております。平成28年4月1日一部施行ということでございます。
 以上です。
○樋口会長 どうもありがとうございました。資料4まで一括して説明いただきましたが、御意見、御質問がございましたら、御発言をお願いいたします。
○浜田委員 順番というか、最初の方からではなくて大丈夫ですか。
○樋口会長 どうぞ。
○浜田委員 私からは、資料2の5ページの「2 「一億総活躍社会」の実現に向けた働き方改革の推進」について、特に(1)非正規雇用労働者の正社員転換・待遇改善等について、発言させていただきます。
 均等待遇原則の法制化、いわゆるこちらでいう同一労働同一賃金の非正規労働者の処遇改善を前進させるためにも、この法制化は重要な政策の一つでありますので、一刻も早く労政審での議論をスタートしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 今、現場では、雇用労働者の約4割を占めるのがパートタイム社員であるとか、契約社員の非正規労働者といわれる方々です。労働組合では同じ職場で働く労働者として、以前から非正規雇用労働者の実態把握であるとか、労働組合の加入、賃金や休暇などの労働条件の改善など、非正規雇用に関する取組を積極的に進めてまいりました。
 非正規雇用労働者の待遇改善を実現するには、何よりも現場の声を反映することが重要だと考えております。これは当然ながら、労働組合がない職場でも同様でありまして、非正規雇用労働者の声を踏まえた交渉なり協議なりの実質的な話合いが不可欠であると思います。また、この労働政策の中でも、当然、現場の声を反映させることが重要ではないかと考えています。
 なお、最初に申し上げました均等待遇原則の実現については、単に労働条件が正規雇用社員と一緒になればよいということではなくて、正規雇用への促進やキャリアアップ支援に加えて、本来社会保障制度の改革であるとか、住宅、教育政策の充実なども併せて検討を進めるべきではないかと考えております。
 以上のことから、均等待遇原則の法制化、こちらでいう同一労働同一賃金の実現については、非正規労働者の処遇改善を前進させるために、一刻も早く労政審での議論をスタートしていただきたいということと、労働側としても、真に実効性のある法制化、法規制が実現されるように、今後、労政審で前向きに議論したいと考えております。
 以上です。
○樋口会長 一億総活躍関連の話でほかには。岡本委員、どうぞ。
○岡本委員 同一労働同一賃金の実現に向けた取組につきまして、意見を申し上げます。
 労働力人口が減少する中、企業は女性や高齢者など、多様な従業員が働きやすい環境の整備に取り組んでおります。非正規従業員の待遇改善も重要な取組課題の一つと考えており、経済界としては、政府が進める同一労働同一賃金の実現に賛同いたしております。
 経団連は先月19日、同一労働同一賃金の実現に向けた提言を公表いたしました。提言では、我が国の多様な賃金制度や長期雇用に根差した新卒一括採用、社内における人材育成システム等のよい雇用慣行を活かすためには、職務内容や人材活用の仕方など、様々な要素を総合的に勘案し、自社にとって同一労働と評価される場合に同じ賃金を支払うことを基本とする日本型同一労働同一賃金の実現を図っていく必要があることを提案しております。
 現在、政府の同一労働同一賃金の実現に向けた検討会では、欧州の制度を参考に議論が行われていると伺っております。欧州では、職務を基軸とする賃金制度や雇用慣行が経済社会基盤としてあり、同一労働同一賃金の仕組みが機能しておりますが、我が国ではそうした基盤はなく、欧州型の仕組みを導入することは困難だと考えます。
 今後、日本型同一労働同一賃金を実現していくためには、労働契約法第20条など、不合理な労働条件を禁止する現行法の実効性を一層高めていく必要がございます。具体的には、企業、労使が明確に不合理と認識できる取り扱いや、改善が求められる取り扱いを例示するガイドラインを策定し、企業が非正規従業員の労働条件を自主点検することを促していくことが重要と考えます。
 あわせて、官民が一体となって、非正規従業員の正規化や教育訓練の充実などを推進することで、総合的な待遇改善を図っていくことも重要であります。
 政府には、学校教育段階での雇用のミスマッチ対策の拡充や、働き方に中立的な税・社会保障制度の実現等を推進していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 私からは、以上です。
○樋口会長 渡邊委員、お願いします。
○渡邊委員 渡邊でございます。
 さきほど、これからの労働政策に関する様々な課題について説明がありましたけれども、私からは今後の議論に在り方について、一言申し上げたいと思います。
 まず、今後の課題の検討に当たりまして、中小企業の生産性向上や競争力強化を意識して議論することが重要ではないかと思っております。
 労働政策の改正は、中小企業経営に与える影響がとても大きいため、それぞれの改正が日本における企業と雇用の大宗を占める中小企業の活力強化につながらなければならないと思っています。そのためにも、中小企業の特性や、業種、業態による違いなどを踏まえたきめ細かな検討がなされるように、改めてお願いをしたいと思います。
 最後に、それぞれの検討課題について、いつまでにどのように議論されるのか、政策決定に至るまでの道筋やスケジュールをわかりやすく示していただきたいと思います。
 以上です。
○樋口会長 中野委員。
○中野委員 資料2の2ページにございます(1)女性の活躍推進と、7~8ページの(5)ワーク・ライフ・バランスの実現、仕事と家庭の両立支援の推進に関して、意見を申し上げたいと思います。
 改正育児・介護休業法、改正男女雇用機会均等法等の法の省令指針が8月2日に公布されましたが、指針では、企業に対しまして、妊娠や出産に関するマタニティー・ハラスメントだけではなく、介護に関するハラスメントも含めまして、その防止措置を講じることが義務付けられております。
 来年1月1日の法施行まで5か月弱です。準備期間が非常に短い中、育児・介護に対する取組は各社で異なっておりますので、ハラスメントに該当するか否かという判断に苦慮するケースも、これから出てくると思います。8月2日に経団連で改正法セミナーを開催し、厚生労働省の御担当者様から解説いただきましたが、育児・介護に臨む従業員に対し、企業が適切な対応がとれるよう、早急に改正法の趣旨や内容の周知・徹底をお願いしたいと思います。
 また、育児・介護休業法の施行前にもかかわらず、育児休業の延長などを含む両立支援策の検討が再度求められております。先ほども申し上げましたが、準備期間が残り少ない今、また改正について議論することは、労働力の確保が非常に厳しい中、企業戦略の柱である人員配置の問題など企業の現場に混乱を生じさせます。今回の見直し議論に当たりましては、経済対策に盛り込まれている育児休業期間の延長のみに絞っていただきたいと思います。
 さらに、女性の活躍推進、特に管理職の育成に当たりましては、長期間の育児休業や育児勤務でモチベーションの維持が難しくなりますことから、女性のキャリア形成に影響を及ぼすことは周知の事実です。
 経団連でも、企業主導型の育児事業等に関する説明会を開催するなど、育児の受け皿の整備に積極的に取り組んでおります。企業におきましても同様で、弊社でも今から30年前、1986年に男女雇用機会均等法の施行を皮切りにしまして、女性の活躍を推進すべく人事制度を整えてまいりました。
 同じ1986年に育児休業・休職制度、女子再雇用制度、1991年には育児勤務制度を設けてまいりました。その後、従業員のニーズに合わせて育児勤務期間を延長し、さらにきめ細かい勤務パターンを導入しました。今は、早期復職に向けた道筋として8つのパターンを設けてやっています。今では生まれ月がいつであっても4月からの保育所確保に臨めるような体制もできております。それでも、保育所の確保は苦労しているのが現実でありまして、2020年30%管理職という政府目標がございますが、非常に難しいというのが現実でございます。
 政府におかれましても、男性の育児参画の更なる推進はもちろんのことですが、育児休業から復職を希望する時期に保育所に預けることができるよう、一層の環境整備をお願いしたいと思います。
 私からは以上でございます。
○樋口会長 育児・介護関連でどうぞ。山中委員。
○山中委員 女性の活躍について、3点意見を申し述べさせていただきたいと思います。
 1点目は、女性活躍推進法についてです。先ほど女性活躍推進企業のデータベースについては、今後、統合も含め、利便性の向上が図られるということですが、現在のサイトは使いづらいという声も多く、利用者が何を求めているかという視点での改善をお願いしたいと思います。
 また、女性活躍推進法につきましては、女子学生や女性の求職者の認知率が低いという各種調査結果もございます。「えるぼし」も含めた女性活躍推進の取組が企業選択の際に求職者から重視され、中小企業も含めた企業の取組が一層促進されるように、若者も含めた求職者に対する周知活動も重点的に行っていただきたいと思います。
 2点目は、育児休業期間の延長についてでございます。女性の活躍推進に関しましては、待機児童問題の解消はもちろんのこと、職場復帰したいタイミングで子供を預けられる保育所の整備が重要であると考えます。
 育児休業期間の延長について記載がございましたが、抜本的な待機児童対策と男性の育児休業取得促進等の両立支援制度の整備拡充を行うことで、女性の活躍を推進していくべきと考えます。
 3点目は、男性の育児休業取得促進に関してでございます。改正育児・介護休業法により義務化されました育児休業等に関するハラスメントの防止措置も、男性の育児休業取得促進に有効な施策であると考えます。
 ハラスメント対策の総合的推進の際は、男性の仕事と家庭の両立に関する職場の理解促進に向けて、性別役割分担意識の解消に留意した上で、男性も含めた措置を講じることが極めて重要であることも周知・徹底していくべきと思います。
 以上です。
○樋口会長 岡田委員。
○岡田委員 資料2の3ページの(4)障害者の活躍促進に関連して、意見を申し述べたいと思います。障害者雇用促進法の平成25年改正によって、平成30年4月から法定雇用率の算定基礎に精神障害者が加えられて、民間企業の場合は、現行2.0%の雇用率が見直されることになります。ただし、改正法の附則第4条に基づき、対象障害者の雇用の状況、その他の事情を勘案して政令で定めるということですので、平成30年度から平成34年度までの5年間については、経過措置が講じられます。
 障害者の雇用状況ですが、障害者の就労意欲の高まりに企業努力が加わりまして、雇用者数は12年連続で過去最高を更新するなど、堅調な進展がみられています。しかし一方で企業の法定雇用率の達成企業割合は47.2%と、過半数にも届いておりません。この傾向は、平成11年以降変わっていません。また、企業の現場では、職場定着の問題や高齢化の対応など、課題が山積しております。
 平成30年度からの経過措置のあり方については、障害者雇用分科会で議論されることになると思いますけれども、その際、激変緩和の視点に加えて、障害者雇用へのインセンティブを高める観点から、例えば1人当たりの納付金額を不足している障害雇用者数に応じて変動させるなど、企業の取組を支援する方向での検討をお願いしたいと思っております。
 現在は、売り手市場であり、採用から職場定着、新しい業務の創出まで、様々な工夫や取組をしております。このあたりを御理解いただいた上で、検討いただきたいと思っております。
 もう一点は、障害者雇用納付金制度の見直しです。法定雇用率の未達成企業は納付金を支払い、達成企業は調整金等を受け取る助成金の仕組みですが、財政事情は大変厳しいと聞いております。
 とりわけ中小企業では、本年4月の改正法施行により、合理的配慮の提供に伴う就業環境の整備に向けて、納付金制度の活用が期待されておりますが、現状のままでは適切な支援は難しい状況にあると言わざるを得ません。納付金制度の抜本的な見直し議論を早期に開始するようにお願いしたいと思っております。
 私からは以上です。
○栗原委員 栗原でございます。
 ただいまの件につきまして、私からも一言、意見を述べさせていただきたいと思います。
 障害者の活躍促進ということで、ただいまお話がありましたように、平成30年から法定雇用率が一部変わり、精神障害者が雇用率の算定基礎に含まれます。
 現在会長を務める公益社団法人全国重度障害者雇用事業所協会において先月、精神障害者数に関するアンケートをとり、1,237名が現在会員企業で雇用されているという結果が出ました。
 そのうち短時間労働者が94名で、その多くが特例子会社で雇用されています。サポートが行き届いている特例子会社でも退職者が出ており、精神障害者の定着は非常に難しいことが分かりました。中小企業においてはさらに定着が悪いため、定着支援について充実・強化を図っていただくようお願いしたい。
 以上です。
○樋口会長 これまでのところ、主に御要望だと受けとめておりますが、それに関しまして、何か事務局からございましたらどうぞ。
○生田職業安定局長 職業安定局長でございます。
 まず、浜田委員と岡本委員から、同一労働同一賃金の関係でお話がございました。この問題につきましては、総理から指示がございまして、今年の3月に同一労働同一賃金の実現に向けた検討会を設けまして、EU諸国の実態把握などを進めてまいりましたし、労使からも御意見を伺ってまいりました。
 「ニッポン一億総活躍プラン」では、どのような待遇差が合理的か、あるいは不合理であるかにつきまして、事例等で示すガイドラインを策定して、その後、躊躇なく法改正の準備を進めるとされてございます。今後、年内を目途にガイドラインを策定することになりますし、その後、関連法律改正につきまして、検討を行う予定でございます。
 いずれにつきましても、本日様々な御意見をいただきましたので、それを踏まえて検討を進めていきたいと考えております。また、非正規対策全体につきましても、いろいろなお話がございましたので、そういった点につきましても、我々として強力に取り組んでいきたいと思っております。
 岡田委員と栗原委員から、障害者雇用の関係でお話がございました。これにつきましては、お話にございましたように、平成30年4月から精神障害者が障害者雇用率の算定基礎になるということでございます。これから雇用率の見直しの内容について審議会で御議論をお願いすることになります。その際には、積極的かつ丁寧な議論を行っていただくように、私どもとしてもいろいろな配慮をしていきたいと考えております。
 雇用率制度あるいは納付金制度に関する様々な御指摘をいただきましたけれども、これにつきましては非常に大事な問題で、今後、必要な議論は進めていくべきだと考えております。提案の中には法改正が必要なものもございますし、一方で、平成25年の改正法で、平成30年4月から、先ほど申しましたように精神障害者の雇用率につきまして、対応していかないといけないということがございますので、まずは、平成30年4月の改正法施行に向けて検討して、その後はその後考えるという順番かなと思っております。
 障害者就業・生活支援センターにつきましては、精神障害者の支援は非常に大事な分野でございますので、平成29年度概算要求に充実した内容を盛り込んでおりますけれども、センターへの支援の充実強化も含めまして、精神障害者に対する支援策につきましては、いろいろな工夫をしていきたいと考えております。
○吉田雇用均等・児童家庭局長 雇用均等・児童家庭局でございます。
 中野委員及び山中委員から、女性活躍あるいは両立支援について、いくつか御指摘をいただきました。ありがとうございました。ダブる部分もあるので、整理をしながら現在の考え方について御説明をさせていただきたいと思います。
 まず、中野委員から御指摘いただきました、改正育児・介護休業法についてですが、来年1月の施行に向けて、今回ハラスメントの話など、先ほど御報告いたしましたように、雇用均等分科会の御議論も踏まえて整理をさせていただいております。その判断については、現場においていろいろなケースが出てくるということは、私どもは十分承知しておりますし、政府として申し上げにくいところではありますが、従来に比べて準備期間が限られておりますので、そういう面でも、先ほど御指摘をいただきましたような円滑な施行に向けて、私どもとしても努力をさせていただきたいと思いますし、労使の皆様方の御協力もいただきたいと思っております。
 判断に悩むようなケースなど、私どもとしては、先ほど御紹介いただきました、出張セミナーをはじめ「全国マタハラ未然防止対策キャラバン」というものを銘打ちまして、説明会を開催させていただいたり、個別の御照会にきちんと対応することを重ねてまいりたいと思いますが、更にわかりやすいパンフレットとかリーフレットなども工夫しながら、これから円滑な施行に向けて取り組ませていただきたいと思います。
 先ほど資料2で御報告いたしました、今後の両立支援の関係で、まだ1月1日の施行を前にしてではございますが、私ども政府としては閣議決定をしておりますので、今後、雇用均等分科会においても議論をお願いしたいと思っております。昨年の法改正までの間に、この分野について労使におけるいろいろな御議論があって、その一つの到達点が前回の法改正だと私どもは受け止めておりますので、その経緯については十分踏まえさせていただきながらとまずは思っております。
 その上で政府といたしましては、保育と両立を両方進めながら、女性が活躍でき、仕事と子育てが両立でき、かつ、一億総活躍を狙っておりますので、経済対策において盛り込まれましたような分野をまずは議論をいただくという意味で言えば、ここの部分を中心に御議論いただくという、ある意味で考え方にとって、均等分科会の議論をお願いしたいと思っております。
 山中委員から、女性のデータベースのお話がございました。このデータベースにつきましては、今、私どもとして把握している限りでいうと、8月30日現在で女性活躍推進企業のデータベースにおいては、6,174社が情報公表をいただいております。これからも御協力をいただきながら、例えば登録勧奨をもっとしていただけないかとお願いをしたり、先ほどお話も出ましたように、若者あるいは利用者の視点から、検索機能などをもう少し利便性が上げられないかという問題意識についても、十分お話を伺いながら、できるところから順次データベースの充実を図ってまいりたいと思っております。
 中野委員、山中委員、両方に共通する話として、今後の両立支援、育休の議論に当たっては、その前にというか、それと併せて男性の育休取得あるいはキャリアアップの問題、何よりも保育所の整備も行うべきではないかという御指摘をいただいたと思います。
 我々もこのあたりは、一つ一つの単品ではなくて、総合的に進めなければいけないという問題意識は十分持たせていただいております。保育所の整備につきましても、今、安倍内閣は、これまでの40万人という平成29年度末の整備目標を50万人と目標を上積みしながら市区町村の方々に進捗をお願いしておりますし、それに基づいて必要となります国としての予算、例えば整備費でありますとか運営費についてはきちんと確保して、市区町村の取組を支援するということで、保育所の整備についても全力を尽くしてまいります。
 特に、今後、保育士さんの人材確保もございますので、これにつきましては、来年度の予算に向けて、政府内で、その処遇改善をどのようにするかについては、議論をしてまいりたいと思っております。
 このように、保育についてきちんと取り組みながら、その保育制度とどのようにつなげながら、なるべくお母さん方、お父さん方の希望に添った形で仕事と家庭が両立できるかという観点から、育休問題についても、先ほど申し上げた今回の経済対策に盛り込まれた項目について御議論をお願いしたいと思っておりますので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。
○酒光総合政策・政策評価審議官 渡邊委員から、いろいろな議論をする上で生産性の向上を念頭に置いてほしいというお話と、議論の過程、スケジュール等について十分情報共有してほしいという意見がございました。
 2点ともおっしゃるとおりだと思います。特に生産性のお話については、究極的には従業員の雇用とか労働条件にも寄与するものだと考えておりますので、いろいろな議論において十分意識するとともに、資料2の10ページにも書かれておりますが、労働行政の観点からも、生産性の向上に資するような施策に取り組んでいきたいと思っております。
 スケジュール等の情報共有については、後ほど説明いたしますように、労働政策の決定プロセスの議論もやっておりますけれども、それはともかくといたしましても、いろいろな情報共有については引き続きやっていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○樋口会長 そのほかの御質問、そうしましたら岸本委員から順番に、時間の関係もありますので手短にお願いします。
○岸本委員 私からは、重点事項の長時間労働の是正につきまして、簡潔に1点意見を申し上げます。
 高度プロフェッショナル制度の創設、裁量労働制の対象業務の拡大などを織り込みました労基法の改正法案が、事務局から説明がありましたように、国会で現在継続審議中でございます。8月2日に閣議決定されました未来への投資を実現する経済対策におきましては、一億総活躍プラン同様に、長時間労働是正に向けまして、36(サブロク)協定における時間外労働の在り方につきまして再検討を行うと表記されておりますし、今後、設置をされます働き方改革実現会議でも、同様に議論が行われていくと認識しています。
 我々労働側といたしましても、働き過ぎによる心身への影響、仕事と生活の調和の観点からも、長時間労働をなくすための実効性のある施策がぜひ必要であると考えているところでございまして、その上で、一つには、現状における36(サブロク)協定については、締結主体、いわゆる過半数代表者の選出方法の在り方についての課題が存在しているということ、2つには、青天井となっております現行の36(サブロク)協定における特別延長時間の上限規制の取扱いの整備について、3つには、勤務間インターバル規制につきましては、休息期間の確保、さらに、労働時間の意識付けのための有効な施策でありますので、導入に向けて前向きに検討を進めていくべきであるという意見を申し上げておきたいと思います。
 私からは以上です。
○樋口会長 野田委員、よろしいですか。
○野田委員 私の方から、雇用保険の見直しについて申し上げておきたいと思います。
 資料2の12ページになるのですけれども、説明の中では、参考資料も説明をいただいたところでございまして、12ページには具体的内容はないのですが、8月2日に閣議決定されております経済対策の中で、時限的という前提条件はあるのですが、保険料、更には国庫負担の引下げなどの項目が明文化されておりますので、申し上げておきたいと思います。
 労使が拠出しております雇用保険料でございますし、政府が一方的に方針を打ち出すことについては問題ありと思っております。雇用保険については言うまでもなく労働者にとっての大事なセーフティネットでございますし、この間2000年、更には2003年に引下げを行ってきておりますので、それが現状、続いているということだとすると、給付の改善を行う時期に来ているのではないかと思っております。
 資料2の中にもございますように、重層的なセーフティネットの構築を掲げているわけでございまして、その一方で、既に暫定措置として引下げがされております国庫負担を更に引き下げるということについては、矛盾することだと思いますし、問題だと思っております。
 この間の、昨年12月の雇用保険部会の報告を見ましても、できるだけ速やかに安定した財源を確保した上で、国庫負担に関する暫定措置を廃止するという方向感が示されているわけでございまして、加えて今年3月の雇用保険の法律改正の国会審議もございました。政府の責任として、雇用保険の国庫負担に関する暫定措置を早期に廃止する、本則に戻すという附則も付けられているところでございます。
 こうした労働政策審議会、さらには、部会報告、国会の附帯決議とある中にあって、これを無視するかのような方針提起については問題ありでございますので、申し上げておきたいと思います。
 以上です。
○樋口会長 畠山委員。
○畠山委員 私からは、資料の4ページの(7)性的指向・性自認の多様性に関する理解増進について、意見を申し述べたいと思います。連合では、LGBTに関する職場の意識調査を主に非当事者向けに実施いたしました。
 結果からうかがえることを御報告いたしますと、LGBTに対して女性よりも男性、若い世代よりも上の世代、一般社員よりも管理職に抵抗感がある傾向にある。普通の職場にはいない人と思っている人の割合が、世代が上がるにつれて高くなる傾向にあります。
 LGBTの当事者の約8割は、LGBTであることを打ち明けることはしていない。しかし、当事者が身近にいる場合は、半数以上が差別や偏見によるハラスメントを受けていたり、見聞きをしている結果があります。つまり、職場の中では実態が見えにくい。また、抵抗感から来る差別、偏見を受けやすい。その対処法がとりにくい環境にあると受け取れます。
 LGBT当事者は、少数であるがゆえになかなか理解されず、差別やハラスメントを受けても、相談窓口に取り扱ってもらえないという実態もあります。LGBTという言葉の認知度、理解の増進のみではなく、性的マイノリティーであるかどうかにかかわりなく、誰でも公平に働ける職場環境づくりと差別や偏見をなくしていく取組をお願いしたいと思います。
 以上です。
○樋口会長 労働者側はよろしいですか。では、松谷委員。
○松谷委員 資料2の2ページの(2)若者の活躍促進で、意見を述べたいと思います。
 ここに記載されているとおり、就職支援の強化については、急務でございます。御案内のように、総務省の労働力調査では、若者の完全失業率は5%台と非常に高い水準でとどまっているということでございます。
 また、若年無業者は56万人いるということで、10年連続横ばい状態が続いているということでございます。さらに言えば、25歳から35歳未満、不本意な非正規の割合も4人に1人存在するということでございます。
 若者の活躍促進、就職氷河期等々で正社員になれなかった方々が、研修あるいは職業能力の開発といった機会が非常に少ない状況におかれている実態もあり、若者の正規雇用化は、現実問題としては大変厳しいと言わざるを得ないということでございます。
 厚生労働省が今年の1月に公表しました「正社員転換・待遇改善実現プラン」では、2020年までに不本意非正規労働者の割合を全体の10%以下にすることを目指しております。
 資料2の6ページにも記載されている内容は、これまでの個別対策を列挙するのみにとどまっているように思われてなりません。抜本的な対策を講じない限りは、この目標達成は容易ではないと感じているところでございます。
 本年が初年度となるということでございますので、過去の政策の分析あるいは検証、これらを踏まえて、過去の延長線上にとどまらないような新しい対策を求めていきたいと思います。
 以上です。
○山本委員 山本でございます。
 私からは、7ページに記載があります紛争解決に向けた体制整備について、意見を申し上げたいと思います。既に厚生労働省内の検討会にて議論がされております解雇の金銭解決制度についてでございます。
 日本では、現状、民事訴訟と比較して、短期間で労働事件を解決することができる労働審判制度をはじめとする多様な労働紛争の解決システムが確立していると考えております。
 これらの解決手段がより有効かつ有機的に連携して活用されていくための方策や、労働審判制度をブラッシュアップしていくための労働審判員の交流、研修の仕組みなどを整備することこそ検討されるべき課題ではないかと考えております。
 ですので、このような検討項目について、まずは結論を出していただきたい。その議論を抜きにして、労働者の救済手段の多様性を図ることなどを名目に、解雇の金銭解決制度を導入することには反対したいという意見を申し上げたいと思います。
 以上です。
○樋口会長 それでは使用者側から、市瀬委員。
○市瀬委員 7ページの最低賃金について、意見を申し上げます。
 今年も地方最低賃金審議会の答申が出そろいました。例年にも増して、大幅に引き上げられた中央最低賃金審議会の目安額について、全国から引上げの根拠を求める声が多く寄せられましたが、明確な回答をすることができずに、対応に大変苦慮いたしました。
 申し上げるまでもなく、最低賃金は経営状況にかかわらず全ての企業に一律に適用され、特に規模の小さな企業に与える影響は大きいものであるため、今回の大幅な引上げが全国中小、小規模企業に与える影響を懸念しております。
 来年の中央最低賃金審議会の審議に当たっては、企業の実態を踏まえた根拠の明確な目安額が示されますことを強く希望いたします。
 以上でございます。
○樋口会長 鵜浦委員。
○鵜浦委員 私からは、長時間労働の是正に関して、経済界の取組状況や関連した意見を申し上げます。
 今年7月27日、経団連、日本商工会議所、全国中小企業団体中央会、経済同友会の経済4団体で、働き方・休み方改革に積極的に取り組む企業の好事例を紹介するセミナーを昨年に引き続き開催し、経営者や人事、労務担当の管理職を中心に約450名の方にお集まりをいただいたところであります。
 当日、来賓としてお越しいただいた塩崎大臣から、企業の一層の取組に期待するとの激励の言葉とともに、労基法の早期成立に向けた意気込みを御紹介いただきました。
 セミナーの最後には、経済4団体及び賛同した業界団体の連名で経営トップによる働き方改革宣言を採択し、長時間労働の是正に向けて、経営トップがリーダーシップを発揮していくことを宣言しております。
 さらに、経団連では、今年を「働き方・休み方改革集中取組年」に位置付けており、例えば年休取得促進に向けて、業界団体に対し自主的な取組計画の策定の呼びかけや、企業に対して年3日程度の年休の追加取得などを呼びかける、トップが主導「年休3!4!5!」と称する活動を行っているところであります。
 次に、労働基準法の改正案について申し上げます。法案には、働き過ぎ防止のための内容と、多様で柔軟な労働時間制度の充実がともに盛り込まれております。これは企業の働き方、休み方改革を後押しするものであり、厚生労働省におかれましては、臨時国会における成立にぜひ御尽力いただきたいと存じます。
 最後に、長時間労働の是正を目的に、36(サブロク)協定における時間外労働規制の在り方について、再検討を開始すると閣議決定がなされたことについては、経済界として重く受け止めております。ただし、企業規模や業種、業態によっては、生産性の向上、人手不足の解消、お客様、ユーザーの協力などを同時に実現しなければ、この是正は困難だと考えております。
 議論に当たっては、長時間労働のそうした実態を十分に留意しながら、慎重な議論が必要だと考えているところであります。
 以上です。
○樋口会長 浦野委員。
○浦野委員 私からは、資料2の9ページの「雇用仲介事業等の在り方の見直し」と「労働者派遣制度の見直し」について意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず、学識経験者等による「雇用仲介事業等の在り方に関する検討会」の報告書では、多様な求職や求人ニーズに対応したサービスの提供が進むよう、雇用仲介事業者間の業務提携、事業運営の効率化に関する論点などが整理されております。
 報告書を受けまして、今後、職業安定法の改正の議論が始まると思いますが、現行の規定につきましては、事業者間で連携する際の役割や責任の範囲がわかりづらいことや、IT化の進展を含めた内容になっていない面があることなど、利用者ニーズに合っていないという指摘があります。
 そこで、実態を正確に把握することと併せまして、事業者による自主的な取組を参考にしながら、ルールの在り方を検討し、求職者保護、利用者の利便性の両方につながる制度へと着実に見直すことをぜひお願いしたいと考えております。
 また、検討に当たりましては、求人、求職の全件受理義務の在り方についても、民間事業者とハローワークに期待される役割が違うかと存じますので、この点を整理して議論を進めていただきたいと考えております。
 続いて、労働者派遣法でございます。2012年の改正に際しましては、法の附則で施行後3年を目途に改正した諸規定の施行状況等を検証するとされています。2015年の改正のベースとなりました労働政策審議会の建議でも、施行状況についての情報の蓄積を図りつつ、見直しについて引き続き当審議会において検討を行うことが適当とされております。
 これらを踏まえまして、企業の現場に影響を及ぼしている、労働契約みなし申込み制度、グループ企業内派遣の8割規制、離職後1年以内の派遣労働者としての受入れ禁止、日雇派遣の原則禁止の4点を中心に、施行状況に関する検証作業を早期に実施していただきまして、必要な見直しを図るべきと考えております。
 私からは、以上でございます。
○樋口会長 工藤委員。
○工藤委員 先ほどの野田委員の御発言と若干重複するのですけれども、雇用保険制度でございます。
 現状では、弾力条項がきいて、0.8%という非常に低いレベルでございます。そうでありながら、雇用情勢は随分改善していまして、積立金の残高が6兆円という大きな金額になっておりますので、雇用保険料の引下げはある程度考えるべきではないかと思っています。ただ、先ほど、野田委員がおっしゃったとおり、国庫負担は話が違うと考えています。
 これまでも繰り返し述べてまいりましたけれども、国が行う雇用政策の責任を明確化することがございますので、多額の積立金があるからという理由だけで、国庫負担の停止や引下げを正当化してはいけないと考えております。
 この失業問題の解決に向けては、事業主、労働者、国の三者で賄うという現行の枠組みは非常に大事だと思いますので、これはぜひ維持すべきだと思います。具体的な検討は、職業安定分科会で行われることになるかと思うのですけれども、国庫負担の意義を十分踏まえまして、万が一ですけれども、国庫負担を減らすにしても、あくまで時限的かつ必要最小限の対応に限るということをぜひお願いしたいと思います。
 もう一点は、個別延長給付など、今年度末で取扱いが終わるものがございます。いずれの暫定措置も、その政策効果自体を否定するものではございませんが、導入されたのがリーマン・ショック後の状況を踏まえてのことでした。今の雇用情勢等を考えますと、本来の役割は終わったかなと考えますので、暫定措置の終了に向けた検討はぜひ必要ではないかと思います。
 以上です。
○樋口会長 椋田委員。
○椋田委員 資料から離れるのですけれども、労働安全衛生政策について1点お願いを申し上げたいと思います。今、検討が行われております定期健康診断の項目の見直しについてでございます。
 当然、事業者といたしましては、定期健康診断は大変重要であると思っています。ただ、1972年に定期健康診断制度が開始されて以来、コレステロール検査とか肝機能検査、メタボといった健診項目が追加されることはあっても、削減されるということは全くございません。実は、諸外国を見ましても、日本のような形で多岐にわたる項目の定期検診を事業者に課しているケースはないと伺っております。
 現在のような定期健康診断を漫然と続けることは、当然、コストになりますので、企業の国際競争力の低下にもつながりかねないと懸念しております。
 今後は、様々な環境の変化などを迅速に捉えて、労働安全衛生の観点から、健診項目として本当に何が必要なのかを常に考えて、見直しをしていく必要があると思っております。今、特定健診制度の見直しに合わせて、数年置きに見直しの議論を行っておりますけれども、保険者が行う特定健診とは目的が異なりますので、常日頃から検討を行っておく必要があると思っております。ぜひ前向きに御検討いただければと思います。
 私からは、以上です。
○樋口会長 たくさんの御意見をいただきましたが、時間が押していますので、事務局から手短にお願いします。
○山越労働基準局長 労働基準局長でございます。
 労働時間に関しまして、労使双方の委員から御意見をいただきました。
 まず、企業の働き方改革、労働時間の見直しの取組についてお話をいただきました。こうした企業の働き方改革を進めていただくためには、企業のトップの皆様方のリーダーシップは大変重要だと私どもは思っております。
 今回、働き方改革宣言を経済4団体と賛同された業界団体の連名で出されているなど、非常に積極的にお取組をいただいていると考えておりまして、大変ありがたく思っております。
 その上で、制度論についてでございますけれども、現在、国会に労働基準法改正法案を提出しておりますので、この改正法案については、引き続き早期成立を目指してまいりたいと思います。
 これに加えまして、36(サブロク)協定についての御指摘がございました。御指摘もありましたように、36(サブロク)協定につきましては「ニッポン一億総活躍プラン」の中で、36(サブロク)協定における時間外労働規制の在り方につきまして、再検討を開始することとされておりますので「ニッポン一億総活躍プラン」を踏まえまして、9月上旬に私どもといたしましても検討会を立ち上げまして、実態把握等について御議論をしていただく考えでございます。
 これに加えまして、今後、働き方改革実現会議も開かれるということでございますので、ここで長時間労働について議論されると思います。そうした結果を踏まえまして、適切に対処してまいりたいと考えております。
 解雇の金銭救済の問題は、透明かつ公正な労働紛争解決システム等の在り方に関する検討会におきまして、現在まで7回議論しておりますので、こうした検討会の議論をお進めいただいて、対応していく考えでございます。
 最低賃金についての御指摘もございました。お話にもございましたように、地方の最低賃金審議会の答申も出そろったところでございますけれども、目安の審議に当たりましては、審議会で委員の皆様に御議論をいただいた上で、目安についての公益委員の見解が示されているわけでございますが、その際に、目安小委員会の委員長から、小委員会報告についての補足説明が出されているところでございます。
 こうしたことに加えまして、中小企業に対する生産性向上の支援策、補正予算にも盛り込んでいるところでございまして、業務改善助成金についても、制度の見直しを実施したところでございます。ぜひこうした支援策も御活用いただきたいと考えているところでございます。
 もう一つは、労働安全衛生法の健康診断の関係でございますけれども、この問題について、適時適切に検討していくことも必要だと考えております。他方で今、お話もございましたように、検討会を設けて検討中の事項でありますので、これにつきましては、その結果を踏まえて対応していきたいと思います。
 以上でございます。
○生田職業安定局長 職業安定局長でございます。
 まず、雇用保険の国庫負担の関係で、野田委員と工藤委員から御指摘をいただきました。これにつきましては、雇用保険の国庫負担、失業が政府の経済政策や雇用政策と非常に関係が深くて、政府もその責任の一端を担うべきであるという考え方につきましては、十分認識いたしております。
 来年の3月末に失業給付に係る暫定措置が切れることもありますので、その議論がもともと必要でございました。それから、雇用情勢も踏まえまして、給付面も含めた制度の見直しの検討はすることになります。その中では、給付と負担ということで、負担の面あるいは財政面についても議論いただくことになるかと考えております。
 若者の対策につきまして、松谷委員から御指摘をいただきました。これにつきましては、非常に大事な課題だと考えてございます。平成29年度では、例えば既卒3年の若者を雇い入れるときの助成措置について拡充するとか、あるいは若者ハローワークの支援策を拡充するとか、キャリアアップ助成金を拡充して、正社員転換とか待遇改善の支援をするといったことにつきまして、強化していくということでございます。これからも、この分野の対策の強化につきまして、十分考えていきたいと考えております。
 浦野委員から雇用仲介事業の在り方につきましての御指摘がございました。職業安定法や、あるいは労働者派遣法の見直しにつきましては、実態把握や検証の必要性などがございますので、それも踏まえまして、今後の労働政策審議会の議論が適切なものになるよう、厚生労働省としても努めていきたいと考えてございます。
 以上です。
○酒光総合政策・政策評価審議官 畠山委員からLGBTのお話があったかと思いますが、御指摘の趣旨は非常にもっともでございます。
 私どもとしましても、例えば具体的に企業は今、どういう取組をやっているか等の情報収集をしつつあるところでございまして、その中から好事例を普及するなどによりまして、差別の解消、あるいは適切な雇用管理が進むような取組を進めてまいりたいと思っております。
 以上です。
○樋口会長 それでは、最後に「その他」の議題がございます。これにつきまして、事務局から報告事項が3点あるかと思いますが、説明をお願いいたします。
○小林労働政策担当参事官 それでは、資料5をご覧いただきたいと思います。
 「働き方の未来2035:一人ひとりが輝くために」懇談会の報告書でございまして、今年8月2日に取りまとめられたものでございます。全体の構成でございますけれども、少子高齢社会や技術革新の進展を踏まえて2035年の社会の未来像を予測するということで、その際に、働き方、企業の在り方がどう変わるか、どう変わるべきかという観点から、発生すると考えられる課題を検討して、それを踏まえて労働政策、その他の仕組みはどうあるべきかを検討して、提言をまとめているものでございます。
 まず、4ページから「2.2035年の社会」と書かれてございますけれども、技術革新の進展、特にAIの進展によって、働き方がどう変わるかにフォーカスが当てられておりまして、具体的には6ページでございます。6ページの2.3の柱で、AIが進展していくだろうということなのですが、AIと人との役割はどのように変わっていくだろうかということが問題意識として掲げられています。
 その下の(1)の3段落目なのですが、AIに代替される可能性が高い仕事は、専門的な知識を必要とするけれども定型的な業務である仕事だということでございます。ただ、一方、人が得意な仕事も残るだろうということで、人の得意とする仕事は7ページでございます。一つは「ヒューマンタッチ」の仕事は残っていくということ。もう一つは、その下の段落ですけれども、起業家であるということで、企業の経営や企画に係るような仕事を人間がやる必要性が高まるであろうということで、予測を立てております。
 8ページの「3.一人ひとりが輝く2035年における働き方」でございますけれども、これは「3.1 時間や空間にしばられない働き方に」ということで、技術革新は進んでいくと。その中で、非常に働き方に大きな影響を与えることになり、その一つとして、働く場所に関する物理的な制約がなくなるということで、多くの仕事がいつでも、どこでもできるようになるというのが大きな働き方の変化ではないかと予想しております。
 働き方が今申し上げたように変わることで、企業の在り方も変わっていくのではないかというのが9ページでございます。9ページの「3.3 自由な働き方の増加が企業組織も変える」ということで、最初の段落ですけれども、自立した自由な働き方が増えることで、そうした働き方を緩やかに包摂する柔軟な組織体になることが求められるということで、3段落目なのですが、2035年の企業は、極端に言えばミッションや目的が明確なプロジェクトの固まりとなって、多くの人はプロジェクトの期間内、その企業に所属するけれども終了すると別の企業に所属するという形です。柔軟に企業の内外を移動する形になっていくのではないだろうかという予想を立てております。
 ちょっと飛びますけれども、10ページの2段落目、3段落目で、複数の会社の複数のプロジェクトに同時に従事するケースも多く出てくるので、個人事業主と従業員との境がますます曖昧になっていくのではないかということを予想しております。
 こういう社会ですけれども、例えば12ページの3.8の柱にありますが、介護や子育てが制約にならない社会になっていくのではないかと考えられておりますし、13ページの柱にありますように、性別、人種、国籍、年齢、LGBT、障害、全ての壁を超えられるような社会なのではないかと見通しを立てております。
 14ページの「4.一人ひとりが輝く2035年における制度のあり方」ということで、基本的な視点の中で、基本的な視点を4つ立てております。(1)適切な情報が流れるための枠組み、15ページの(2)保障・保険的な機能の提供、(3)優越的地位に対する対処、(4)能力開発、教育訓練の機会。それに基づきまして、16ページの「4.2 具体的な制度のあり方」でございます。
 (1)働く人が適切に選択できるための情報開示でございます。自立した個人が多様な働き方を享受するためには、契約を結ぶとはどういうことかという、契約の基本概念の理解がまずは必要ということで、2段落目ですけれども、企業ごとあるいは職種ごとに労働条件の開示のみならず、働き方に関する基本姿勢を明示することが求められていく。「キャリアパス」に対してどう考え、実際にどんなキャリアパスを選んでいるか、その点についての正確な情報開示が求められるようになっていくだろうということが、考え方として盛り込まれています。
 17ページの(2)大きな環境変化に対処するための制度でございます。ここの2行目ぐらいからですけれども、労働市場の変化により、転職の自由も格段に増していることが予想され、そうだとすると、自営的就業者も含めて、情報開示、マッチングを促進するための仕組み、契約の変更や再締結をスムーズに行うための仕組み、契約締結時の合意に基づき維持することが難しくなった契約を解消していく仕組みなど、適切なルールの下での環境変化に柔軟に対応する仕組みが整えられることが期待されるということが書かれております。
 18ページの(3)幅広いセーフティネットのあり方でございますけれども、ここでは、個人が自立して働く社会では、これまで以上に失業等の事態が生じた場合に対する適切なセーフティネットの構築が重要になっていくということでございます。より適切な形で、社会で活躍できるようなセーフティネットの構築が十分になされていくべきであるということで、キャリアアップ、キャリアチェンジのための充実した職業教育、そのための財政的支援を考えていくべきということでございます。
 18ページの(4)新しい働き方に合わせた新しい社会保障制度ですけれども、税や社会保障制度もあわせて見直しが必要だということで、家族を単位とする税制、社会保障制度を、家族が働くことが不利にならない個人単位に置き換えていくようなこととか、その次のページでございますが、労働時間に一定のラインを設けて、社会保険の加入の要否を定めるようなことも、ITの増加によってはその意味は薄れているだろうということが書かれております。
 20ページからは「5.一人ひとりが輝く2035年における生涯教育のあり方」ということで、自立するための教育や、その次の21ページの5.3で、多様な人材に合わせた教育や、生涯やり直しができるための教育が大事であろうということが、柱で書いてございます。
 最後に、23ページは「6.2035年に向けての提言」でございます。提言が7つ出されておりますけれども「1 技術革新は、大きなチャンスをもたらす」「2 チャンスを生かすには、新しい労働政策の構築が不可欠」ということでございまして、2の中の段落でいうと2段落目の下にございますけれども、企業は先ほど申し上げましたように、様々なプロジェクトの固まりになっていく。そのような企業自体の変化に合わせた新しい労働政策の構築が不可欠であり、働くという活動に対して、民事ルールの基本的枠組みによる対処だけでは、何が不十分でどのような手当てが必要かという根本に立ち返った検討も必要であるということでございます。
 「3 働き方の変化に伴うこれからのコミュニティのあり方」はコミュニティのあり方として、企業で働いているという帰属意識よりも、同じ職種、専門領域で働いている共通意識の方が強くなり、疑似コミュニティもつくっていくことになるだろうということ。
 「4 人材が動く社会と再挑戦可能な日本型セーフティネット」は、3段落目でございますが、自営的就業者も含め、一度職を失った人が単に生活できるというセーフティネットだけではなくて、よりよい働き方ができるためのセーフティネットを充実させていくことが必要で、職業教育、職業訓練を受けることに対して、財政的な支援を充実させていくべきだということが書かれております。
 25ページでございますけれども「5 働く人が適切な働き場所を選択できるための情報開示の仕組み」でございます。これは前の方で御説明しましたとおり、基本、労働条件の開示のみならず「基本姿勢」「キャリアパス」の情報も必要ですし、その情報を一覧できる情報プラットフォームの整備が必要だということが盛り込まれています。
 「6 これからの働き方と税と社会保障の一体改革」は、前の方でも出てきましたように、家族を単位とするものから、個人単位に置き換えるということが書かれております。その後、26ページに税制や社会保障制度は、働く場所や時間からも中立的な形で整備されるべきということでございます。
 「7 早急かつ着実な実行を」ということで、報告書を踏まえた早急かつ着実に新しい労働政策の在り方を検討していく必要があるということでございます。これを受けまして、8月2日に厚生労働省の中に「働き方の未来2035推進本部」を立ち上げております。
 この報告書の提言を受けまして、先ほど資料2でも御説明しましたように、課題を短期的なものと中長期的なもので整理した上で政策を検討し、進捗管理を推進本部の中でやっていくということでございます。
 資料5は以上のとおりで、続けて資料6「働き方に関する政策決定プロセス有識者会議について」でございます。
 労働政策の決定につきまして、様々なところで御指摘をいただいております。資料6-3は有識者会議の1回目で既に出している資料でございますが、10・11ページで、各方面から提言をいただいております。
 10ページは規制改革会議でございますけれども、これは多様な働き手のニーズに対応していくための様々な立場の声を吸収し、政策に反映していくための検討を行っていくということで、それに対応して、労働政策審議会等の在り方について検討を行うということが、今後の予定として盛り込まれているところでございます。
 11ページは、自民党の勉強会の提言でございまして、例えば5割を地方人材にすべきということが2つ目のポツにありますのと、テレビ会議化をすべきとか「政」の役割を強化すべきとか、労働構造・産業構造と比してバランスを欠くことがないよう見直す。サービス業、非正規雇用者を雇用する業界の代表などを入れて、我が国の労使の代表たるにふさわしい委員を選任すべきという御意見が出されております。
 これらも踏まえまして、資料6-1は開催要綱ですけれども、働き方に関する政策決定プロセス有識者会議を7月26日に立ち上げております。開催趣旨は2段落目の終わりに書いておりますが、これまで以上に様々な分野、立場の人の声を広く吸収し、機動的な政策決定を行う、この視点から見直しを行うということでございます。
 2.主な検討項目でございますけれども、労働政策に関する企画・立案などの在り方、労働政策審議会の機能、構成、運営、事後評価などの在り方、国民の意見聴取などの在り方について検討することとなっております。
 この有識者会議でございますけれども、取りまとめにつきましては、年内を目途に考えております。これは、次期労働政策審議会委員の改選が来年の4月に予定されておりますので、この有識者会議の取りまとめ結果なども反映して改選を行ってまいりたいということでございます。
 資料6-2は、1回目の会議の主な御意見でございます。簡単に御紹介させていただきますと、「政策決定に当たっての議論について」ということで、労使の利害調整の枠を越えて、経済全体の中の労働政策の大きな方向性、議論をする場がないのではないかということで、3つ目のところで、労政審で戦略的・横断的議論ができるように、本審で政策の方向性を議論して、方向付けして大枠に従って分科会で個別政策を議論すべきという御意見がございましたのと、労政審を通さないと法律制定・改正ができないのかは議論していくべきということがございました。あと、エビデンスに基づく議論は必要だということもございました。
 「三者構成について」は、雇用労働政策は実態を熟知した労使が議論することが不可欠で、三者構成の原則は崩すべきではないという御意見とともに、労使同数ではないとだめなのか議論していくべきではないかという御意見もございました。それに対して、労使同数は必要だという御意見がございました。ただ、労使同数、三者構成原則の維持は、特に労側で内部の意見対立がある中で、いかにこれを集約し、そこを意見表明できるかが第一ではないかという意見がございました。
 「代表性について」は、労働者代表は非正規動労者を代表できているのかという御意見、正規、非正規というだけではなくて、世代、地域の違いという視点から議論できる委員を入れるべきとか、多様性とスピード感は両立しないので、大局的な観点から意見を言える人が必要だということ。あとは労使対立というよりも、今は労働者間の対立、使用者間の対立があるので、それらの対立も理解した上で、統合して意見が言える人がいいのではないかという御意見。それから、多様性は使用者側も必要ではないかということ。公益委員の数を増やして、様々な分野の専門家を公益委員として追加すればどうかという御意見がございました。
 「政策決定のスピードについて」は、スピード感は大事だという御意見が多かったように考えております。
 私からは以上でございます。
○勝田総括審議官 それでは、資料7に基づきまして、第105回ILO総会について、御報告申し上げます。
 第105回ILO総会は今年の5月30日から6月10日まで、スイスのジュネーブで行われました。本会議全体では、ILO事務局長が2019年のILO創設100周年に向けたイニシアチブのうち「貧困の終焉」をテーマにして、様々な提言を行っております。
 このあたりは特に、昨年、国連サミットにおいて採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」、いわゆるSDGsといわれるものですが、これの実現に向けて加盟国の協力を求めるといったことが提案されております。
 日本政府からは、塩崎厚生労働大臣が約20年ぶりに大臣として出席いたしました。我が国が様々な問題を克服してきた経験をもとに、世界のディーセント・ワーク実現に向けて、協力・貢献していきたいといった演説を行っております。
 1つ飛ばしまして、技術関係の議題が3つございましたが、そのうち一番関心が大きかったのが「3.グローバル・サプライチェーンにおけるディーセント・ワークに関する委員会」でございます。この問題は、バングラデシュで起きました建物の崩壊あるいは火事により多数の繊維労働者がお亡くなりになったことを受けて、単に例えば自動車や電気のように、継続的に下請についての関係だけではなく、1回購入するといった関係も含めたサプライチェーンにおける労働問題をどうしていこうかということで取り上げられたものでございまして、実は、昨年のG7のエルマウ・サミットから議論が開始されております。
 この中で、様々な意見がございましたけれども、総会の委員会の議論の中では、グローバル・サプライチェーンはディーセント・ワーク実現に向けて、プラスの面とマイナスの面と両方をあわせ持つ。この中で、どのような貢献をILOあるいは各国が行っていくべきか議論をいたしました。
 多様性については、特にこれまでの多国籍企業の議論のように、先進国の多国籍企業が発展途上国で活動するというだけではなく、南対南あるいは逆に途上国の企業が今や先進国で活動するという実態も出ておりますので、そういったことを踏まえた議論が多く出ておりました。
 今後、専門家の会合を開いて、更に議論をしていくという結論になっておりますが、あわせて来年のG20でこの問題を議論していくことが、既にドイツから表明されておりますので、この議論はいろいろと進んでいくと思います。
 資料7裏面でございますけれども、「4.平和、安全及び災害からの回復のためのディーセント・ワーク:第71号勧告の改正に関する委員会」についてですが、実は71号勧告とは、戦争災害からの雇用の回復をテーマにした勧告でございまして、これを戦争だけではない、それ以外の紛争や一般自然災害まで含めようではないかということで議論をいたしました。特に紛争に関しては、南西アジア、アフリカからヨーロッパへの難民の問題が大きな問題として議論されました。
 一方で、アジア諸国を中心にして、自然災害からの雇用の問題は、非常に大きな問題として提起し、日本からは、自然災害においての我々の経験を伝えるということで、様々な発言をしております。特に自然災害の定義につきましては、日本で開催された2015年3月の第3回国連防災世界会議において採択されました「仙台宣言」が引用されておりまして、日本の影響力が非常に大きかったのではないかと思っております。
 もう一つ「5.社会正義宣言の影響評価に関する委員会」でございますが、2008年の「社会正義宣言」により示された4つの戦略目標である、雇用、労働基準監督等の労働保護と社会保障を合わせました社会的保護、労使対話をはじめとする社会対話、それから、労働における基本的原則と権利をどう進めていくかについて議論をいたしました。これについては、その効果的な実施方法、必要があるということと、さらに、その細部にわたっての議論につきましては、今後、理事会の議論に委ねられることとなりました。
 そのほか、海事関係議題での条約の一部改正等がございました。
 簡単でございますが、以上です。
○樋口会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御意見、御質問はございますか。まずは働き方の未来2035について。相原委員。
○相原委員 資料5ですが、先ほど御説明がありましたとおり、将来の社会構造の変化や働き手の意識の変化などを踏まえて、大変多岐にわたって包括的に御提言をまとめられておりますので、一つの問題提起として、その取りまとめにはまず敬意を表したいと思います。
 御説明にもありましたが、より充実感が持てる働き方をいかに創出していくのかということは、将来に向けて大変重要な点です。加えて、中にも記載がありますが、労使間、労働者と使用者の中における情報の非対称性。これは古くて新しいテーマですが、その非対称性を軽減させていくことの必要性、さらには、軽減させるための仕組みの重要性についても提起されておりまして、これは公正な働き方、安定した働き方を求める上で、また社会全体の生産性を高める上でも大変重要な点だと評価したいと思います。
 一方で、先ほどもありましたが、早期かつ着実な実践を提言のところでも取りまとめ、省内にもプロジェクトを立ち上げられたという御説明がありました。ややもすると、雇用を流動化させるのか否か、自立的な働き方を求めるのか否かという二項対立的な討議が支配的な面も散見されますが、将来を見据えてはそういう論議を超越していく必要があると思っておりまして、技術革新を受け身として捉えるのではなく、新しい働き方を労使がいかに求めていくのかということが大変求められているという点では、一つの課題提起として重要な示唆を与えるものだと思っております。
 したがって、そういう大きなテーマであればこそ、こうした労政審で将来に向けた議論をいかにしていくのかについて、労政審の意義を高らしめる意味でも、高い次元から様々な知見を寄せ合うことが必要ではないかと考える次第です。
 もう一つが、それにも関係しますが、労働法による保護が現在でも及んでいない働き方があります。多様な働き方を求める中で、様々な職種で在宅ワークが広がっています。既に120万人を超える皆さんがそうした働き方に従事しておりまして、技術革新、更には「クラウド・ソーシング」などを統合すると、更にこういう数が増えていくのではないかと思っております。
 したがって、ガイドラインはありますが、そうした形ばかりではなくて、家内労働法の改正や新しい法律の制定などをもって、働き方、労働者にきちんと法的な保護を保障した上で、新たな働き方にチャレンジする土壌をつくっていくことが大変重要だと、このように思います。
 以上です。
○樋口会長 働き方の未来2035につきまして、ほかに御意見は。よろしいですか。事務局から何かありますでしょうか。
○吉田雇用均等・児童家庭局長 雇用均等・児童家庭局でございます。
 今の相原委員の御発言の最後に、在宅ワークについてのコメントをいただきました。ここでは自営型といわれる在宅ワークを念頭に少しコメントさせていただければと思うのですけれども、先ほど御紹介がありましたように、これについてはいろいろな議論がございます。
 これまでも検討会を設置して、いろいろな検討を積み重ねてきて、私が承知する限りでは、平成26年の段階で一旦法制化の議論もございましたけれども、立法化というよりもまずはガイドラインという形で当面見直しを図っていこうということで、平成27年、平成28年とガイドラインの論点整理なり見直し作業を進めているところでございます。
 とりわけ、いわゆる在宅ワーカーの方々の中でも、特に健康確保という視点からの取組が必要ではないかということで、政府としても6月の閣議決定、規制改革実施計画ではございますが、行っておりまして、その面については、来年度以降、実態の把握などに取り組んでまいりたいと思って、着実にこれまでの経緯を踏まえた取組を進めさせていただいております。
 さらなる御議論につきましては、このような取組を進めさせていただきながら、今回の働き方2035の議論も、どういう形で反映させるのか、今後、それを議論していく中での課題の一つかと思いますが、当面はこれまでの積み重ねの中で、我々としてはそのように取り組ませていただきたいと思っておりますので、今後ともいろいろと御指導あるいは御意見をいただければと思います。
○樋口会長 ありがとうございました。
 それでは、2番目の労政審の在り方の見直しを含めた働き方に関する政策決定プロセス有識者会議について、御意見はございますでしょうか。逢見委員。
○逢見委員 働き方に関する政策決定プロセス有識者会議の中で、労政審の在り方が論点に上っております。改めて申すまでもなく、雇用労働政策は、職場実態を熟知した労使が知恵を絞って議論、立案していくプロセスが必要不可欠であると思います。労使を抜きにした議論は、ともすれば空中戦の議論になり、実体を伴わない形、地に足がつかない形で政策が策定されますと、上滑りを起こすという懸念がございます。
 したがって、労使関与の政策決定プロセスの考え方は、ILOの三者構成原則でもうたわれておりますので、また、我が国における労使関与による政策決定プロセスを具現化しての労政審であると思いますので、まずこの原則は、崩すべきではないと思います。
 現在の労政審は、経済財政諮問会議や産業競争力会議といった、政府の会議体が決定した雇用労働政策の大枠に沿って、個別政策の落とし込みが行われている。したがって、いわば言葉は荒いかもしれませんが、下請機関化しているということが言えるのではないか。
 そういった意味で、戦略的議論が労政審の中で行われていないということは、問題として認識しておく必要があると思います。
 具体的な制度設計は分科会、部会で議論しているわけですが、分科会、部会等の横通しが不十分ということもあります。労政審自体が戦略的かつ横断的な議論をするためには、本審において、あるべき雇用労働政策の方向性の議論を行って、そこで決めた大枠に沿って、分科会や部会で個別制度の在り方を議論する。このような運営の変革が必要ではないかと思います。あわせて分科会、部会の機能についても、この際、見直す必要があるのではないかと思います。
 ちょうど厚労省の中の組織の見直しも一部行われております。例えば、労働基準局の中の所掌事務の変更にあわせて、会社分割に伴う労働契約承継法等については、労働条件分科会で扱うとかいうことを考えてもいいのではないか。職業安定分科会については、各部会で具体的な議論が行われており、職業安定分科会では実質議論が行われていない実態があります。ただ、部会で議論するにはちょっと重たい問題もありますので、こうした分科会と部会の機能の整理も見直しを検討すべきではないかと思っております。
 以上です。
○宮本(礼)委員 資料6について、意見を申し上げたいと思います。7月26日の第1回目の有識者会議で出された意見、自民党の勉強会も紹介されておりますけれども、ここで感じたことを少しコメントさせていただきます。
 いろいろ出された意見の中に、現在の労側の審議会委員が必ずしも中小企業労働者ですとか、非正規労働者を代表していないのではないかという趣旨の意見、あるいはその多様性が欠けているのではないかという意見もみられると思います。
 しかし、現在の連合の構成人員686万人のうちの100万人弱は非正規雇用で働く組合員であり、年々増えています。
 また、連合に加盟している全労働組合のうち、約3割が中小企業で働く人たちで組織された労働組合であります。現在、従業員規模100人未満の企業では、組合組織率が1%程度であることを考えると、連合に加盟する労働組合の約3割が中小企業の組合であることは、必ずしも低いとは言えないと思っています。
 ちなみに私自身も石川県、北陸地方に所在する企業規模100人程度の下請企業の出身です。したがって、これまでの労政審の議事録を読んでいただければわかると思いますけれども、労側委員は大企業の正社員の声ばかりを代弁しているといった意見は適切ではないと思っています。
 全ての雇用労働者に適用される労働基準法をはじめとする労働法制、あるいは最低賃金の改正など、連合が取り組む多くの課題は、いわゆる非正規、中小企業で働く人たちにかかわる事項が非常に多くあるわけでありまして、我々労側委員は、全ての働く者の代表という立場でこの場に参加をしていると考えています。単なるイメージでの議論ではなくて、エビデンスに基づく議論をぜひ行ってもらいたいと思っています。
 また、働き方が多様化していることから、有識者会議では、多様な意見を取り入れることが重要という意見も出されております。政策を決定する上で、多様な視点で議論することの重要性は、我々もしっかりと認識をしているつもりです。
 そこで、多様な働き手の意見を取り入れる方法として、例えば審議会の中で非正規の人たちですとか、あるいは中小企業で働く人たちからヒアリングを行う等の手法も含めて、検討してみたらどうかと思います。
 さらに、労政審はスピードが遅いという意見もありますけれども、最近の審議状況を振り返ると、著しく長い期間に及んでいることはあまりないのではないかと思います。
 雇用や労働にかかわる政策は、労使間で徹底的に議論を行って、労使双方が納得する形で結論を出すことが労働生産性の向上に寄与すると思いますし、企業価値の向上にもつながり、我々にとって働きがいのある職場環境にもつながっていくと思いますので、しっかりと労政審で議論することが必要と考えます。
 以上です。
○樋口会長 使用者側、椋田委員。
○椋田委員 ILOの三者構成原則に基づく労働政策審議会の今のプロセスは、企業労使の実態あるいは経済社会情勢を踏まえてバランスのとれた政策内容としていくという意味で、非常に重要な役割を果たしておりますし、今後とも、こういった三者構成の枠組みを維持していくべきだろうと考えております。
 他方で、これまで以上に地方の中小・零細企業が置かれた状況あるいは労働者の就労ニーズの多様化や変化といったものを踏まえて、迅速な審議運営を図るべきだという社会的な要請がございます。
 こうしたことの改善に向けまして、既にいろいろ御意見でも出ているところでございますけれども、分科会、部会を含めて地方に在住する有識者等を委員に加えること、あるいはテレビ会議を活用して審議に参画しやすいようにしていくこと、テーマに応じて外部の関係者からヒアリングを実施するといったことも有効ではないかと思っております。
 使用者側といたしましても、今後の建設的な審議にいろいろな形で参加してまいりたいと考えておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。
 私からは、以上です。
○樋口会長 ほかにどうでしょうか。公益はいいですか。阿部委員。
○阿部委員 労政審等の在り方について、ただいま議論されている最中なので、労働政策審議会の委員の一人としてどうこうと言うことはあまりよろしくないかなと思っておりますが、個人的に意見がありますので、それについてお話しさせていただきたいと思います。
 労働政策審議会は三者構成で、公・労・使の中で労働政策を決定していくということで、これは労側も使側もお話しになったとおり、こうした三者構成で慎重に労働政策を決定していくこと自体は、非常に大事なことだろうと思います。特に労働は生活の最大の基盤であって、労使それぞれがいろいろ思っていることを政策に反映していくことは非常に大事なことだろうと思います。
 その一方で、有識者会議の1回目の議事録を拝見しますと、若干いろいろと、我々で見えていない課題もあるのかな、あるいは我々が参考にすべき意見もあるのではないかと思いますので、それは見直すべきことは見直していったらいいのではないかと思います。特に、最近は私も職業安定分科会等で議論させていただくところでは、制度改正等の目先の議論が非常に多くて、どうしても短期的な話に目が向きがちで、議論もそのような形でなされていました。
 先ほど働き方の未来2035について話がありましたが、そういった長期的な労働政策をどうしていくのかという議論は、ここ数年、本審あるいは分科会でもなされたことはあまりないのではないかと思っております。
 労政審の中で、こういった目先だけではなくて中長期的な労働政策をどうしていくかという議論を、どういった形でしていくかは考えていく必要はあるかと思いますが、中長期的な労働政策を議論する場があってもよいのではないかと個人的には思っております。
 以上です。
○樋口会長 ほかにどうでしょうか。よろしいですか。
 3番目のILO報告についての御質問はございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、ちょうど予定した時刻になりましたので、何か最後に御意見等がございましたら、お聞かせいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 なければ、本日はこのあたりで閉会させていただきたいと思います。
 本日の会議の議事録につきましては、本審議会の運営規程によりまして、会長のほか2人の委員に署名をいただくこととなっております。
 つきましては、労働者代表の宮本(礼)委員、使用者代表の市瀬委員に署名人となっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 本日の会議は、以上で終了させていただきます。
 どうもありがとうございました。


(了)

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