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2016年5月20日 第17回社会保障審議会福祉部会 議事録

社会・援護局総務課

○日時

平成28年5月20日(金)10時~12時


○場所

東海大学校友会館 「阿蘇の間」
東京都千代田区霞が関3-2-5霞が関ビル35階


○出席者

田中 滋 (部会長)
宮本 みち子 (部会長代理)
阿比留 志郎 (委員)
石橋 真二 (委員)
鎌倉 克英 (委員)
(代理:小島誉寿参考人)
小林 光俊 (委員)
関川 芳孝 (委員)
高橋 英治 (委員)
武居 敏 (委員)
橘 文也 (委員)
対馬 徳昭 (委員)
平川 則男 (委員)
藤井 賢一郎 (委員)
藤野 興一 (委員)
松原 由美 (委員)
松山 幸弘 (委員)
三好 昇 (委員)
柳川 純一 (委員)

○議題

改正社会福祉法の施行に向けた検討事項について

○議事

 

○田中部会長 皆さん、おはようございます。定刻になりましたので、ただいまより第17回「社会保障審議会福祉部会」を開催いたします。委員の皆様におかれましては、御多忙の折、お集まりいただきどうもありがとうございます。

 初めに委員の出席状況について、事務局から説明してください。

○山本社会・援護局総務課長 それでは、本日の委員の出欠状況について申し上げます。

 本日は猪熊委員、川井委員、黒岩委員、高橋福太郎委員、堀田委員より御欠席の御連絡をいただいております。また、黒岩委員の代理として神奈川県保健福祉局福祉部長、小島誉寿参考人、あわせて本日の議題に関連し、日本公認会計士協会常務理事、柴毅参考人にお越しいただいております。

○田中部会長 ありがとうございました。

 ただいま御紹介がありました小島誉寿参考人と柴毅参考人について、皆様に御承認を頂戴したいと存じます。いかがでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○田中部会長 異議なしというお声をいただきました。ありがとうございます。

 カメラはここまでとしてください。

 続いて議事に入る前に資料の確認を行います。事務局から説明をお願いします。

○山本社会・援護局総務課長 それでは、お手元の資料について確認をさせていただきます。

 本日の配付資料は以下のとおりです。

 資料1 都道府県別公認会計士数・社会福祉法人数(規模別・推計値)

 資料2 検討の方向性

 参考資料1-1 社会福祉法人の財務規律の向上に係る検討会(第1回、第2回)における議論を踏まえた方向性

 参考資料1-2 社会福祉法人の財務規律の向上に係る検討会(第1回、第2回)における議論を踏まえた方向性(参考資料)

 参考資料2 第16回福祉部会における主な意見(概要)

 参考資料3 阿比留委員提出資料

 参考資料4 高橋英治委員提出資料

 参考資料5 武居委員提出資料

 参考資料6 橘委員提出資料

 参考資料7 藤野委員提出資料

 御確認をよろしくお願いいたします。

○田中部会長 ありがとうございました。

 ここから議事に入ります。まず、改正社会福祉法の施行に向けた検討事項について、事務局から資料1の説明をお願いします。

○田中社会福祉法人制度改革推進室長 お手元の資料1につきまして、御説明申し上げます。

 都道府県別公認会計士数・社会福祉法人数という表を御覧ください。これにつきまして、前回のこの福祉部会で藤井委員から全国の公認会計士の分布状況について資料として提出してほしいとの御要望があったことを踏まえ、御用意させていただいたものでございます。

 表の見方としましては、一番左は都道府県でございます。その次の欄に公認会計士の数を、全国ベースと都道府県ベースで記載しております。全国では2万8,293人ということでございます。その右の社会福祉法人数でございますが、これは収益・負債ごとに各都道府県別に整理してございます。これは前回提出させていただいた資料を再構成させていただいたものになっておりますが、それぞれ社会福祉法人の数を記載してございまして、右下に総計がございます。収益で言いますと10億円以上が1,63620億円以上が46330億円以上が220となっております。

 公認会計士の数につきましては、御覧のとおり、東京が1万5,987と一番多く、極めて大きい数字となっておりまして、2番目が大阪の3,174。以下、愛知が1,383、神奈川が1,349ということと、600程度ということで埼玉、千葉、兵庫、福岡といったところがございますが、あとはそれぞれ100ないしそれ以下という数字になっております。全国で2万8,293人のうち東京に1万5,987人。あるいは大阪に3,174ということで、都市部に偏在しているという傾向がうかがわれるのではないかと考えられます。

 私からの説明は以上でございます。

○田中部会長 ありがとうございました。

 この点については公認会計士の供給体制にかかわる話ですので、本日御出席の柴参考人の御意見を頂戴したいと存じます。

 柴参考人、お願いいたします。

○柴参考人 ありがとうございます。

 この表は4月30日現在の会員の分布状況を示しております。社会福祉法人の数と比べると、御覧のように過不足なく分布し得る状態にはあるのかなと考えているところでございます。以上でございます。

○田中社会福祉法人制度改革推進室長 補足させていただきます。1点、御説明を失念しまして失礼いたしました。

 この法人数につきましては一番下にございますとおり、あくまでも集計ができた1万3,318法人をベースに換算した、要は推計でございます。提出されていないところもあるということですから、ここの表で0とあるからといって必ずしも0ではないということだけ補足をさせていただきます。以上でございます。

○田中部会長 何か資料1について御質問はありますか。

 武居委員、どうぞ。

○武居委員 資料1について、柴参考人に御質問をさせていただきたいと思います。

 我々は日ごろ、公認会計士さんとのおつき合いはそんなに多くないところですので、参考にお聞かせいただきたいと思うのですが、例えばこの表の中の和歌山県であるとか長崎県であるとか、そういったところについては、公認会計士さんの数が30に対して、前回の審議会で検討された内容の、10億円以上の社会福祉法人が24法人あるというようになっています。もちろん他府県の公認会計士さんということもないわけではないと思いますが、規模の小さい社会福祉法人においては地元の公認会計士さんにお願いをするというようなケースが多いと思います。新たにこのような数が加わるということに対して、スムーズに対応が進むものかどうかということについてお話を伺いたいと思います。

○田中部会長 柴参考人、お願いします。

○柴参考人 確かに少ない県がございまして、そういったところに多数の社会福祉法人の数が必要となるとしたら、これについては放置しておける状況ではないと思っています。ただ、少ない県につきましても、幾つか電話等で会員に問い合わせをしたところ、こういう制度ができれば、ぜひ監査の対応をしたいというような会員の方も半数以上おられるという状況でございます。

 また、一般の事業会社も各都道府県に支店なり工場なりを持っているわけでして、そういったところの監査についても、近畿圏であれば大阪などに大手監査法人の事業所がございますので、そういったところでの対応も可能なのかなと考えております。

○田中部会長 松山委員、どうぞ。

○松山委員 先ほど厚労省のほうから、この統計の意味について御説明いただいたのですけれども、一番下に書いてあるように、収益及び負債額の集計ができた法人が1万3,000。実際は2万あるわけですから、収益及び負債の額という基本的な数字が集計できなかった法人というのは、どういう法人なのですか。

○岩井福祉基盤課長 この数値は厚生労働省が都道府県の各所轄庁の御協力をいただいて集めました財務諸表をもとに整理しております。社会福祉法人の会計基準が平成27年度からは現行の社会福祉法人会計基準に統一されているのですが、それ以前は各種別等によってそれぞればらばらでございました。その中で、私どもが集計するに当たりまして、これは確実に間違いないだろうというものを抽出しております。したがいまして、基本的には出していただいているのですが、私どもがデータとして活用する上で、信頼性が高いものを集計したと御理解いただければと思います。

○松山委員 今の御説明で私も一応理解できました。自分で社福の財務諸表を集計作業した経験で言うと、確かに施設種類別に所轄庁に財務諸表を出している社福があり、その施設種類別データを単純集計すると社福全体の財務内容を表すのか不明なものもあります。しかし、国民から見ると、そういう法人の数が多いなという印象を受けるのではないかという懸念があります。今の御説明で私も一応理解できましたけれども、作業した経験で言うと、確かに施設種類別に所轄庁に財務諸表を出していて、それを単純集計するとそれで全体が合うか合わないかというのは、ちょっと不明なものもあるので、そういうことになると思うのですけれども、国民から見ると、そういう法人の数が多いなという印象を受けるのではないかという懸念があります。

○田中部会長 そのための法改正であり監査ですが、現状はそうなのでしょうね。

 藤井委員、どうぞ。

○藤井委員 松山委員が今おっしゃったことはまさにそうだと思います。この改革を契機に、そういったことを国民の皆さんに理解してもらえるようにするのだということで、現時点ではしようがないことだろうと思います。

 この表をお願いした意図というのが一つございまして、例えば社会福祉法人の第三者評価でも、東京の法人が地方部に行って第三者評価をしているような例もございます。会計監査人についても、日本国内は交通機関が発達しているので、特に東京からであればいろいろなところへ行きやすいとと思っていたのですが、私の経験から言うと、一部行きにくい地域があります。これは和歌山と長崎の離島のほうでございまして、この表を見て改めて和歌山と長崎は実施が難しいのかなと思いました。

 先ほど武居委員がおっしゃったように、現在公認会計士の方々とつき合っている社会福法人が少数ということで、これを始めたときに、どこでどのように頼んだらいいのか。頼み方はあるし、適切な方がいるにもかかわらず、なかなか探しにくいというようなことをどう解消していくかという話で、マッチングの機能のようなものをどこかに持っていただいたほうがいいのかなと。これは公認会計士協会にお持ちいただくのか、経営協のようなところにお持ちいただくのかですけれども、その辺のことができ上がれば、多少、特定の県の多寡というのは何とかなるのかなと。

 それから、これを見ても対象とする法人は非常に多数ということではなく、ごく一部にちょっと大変な法人が出るというように想定されますので、そのごく一部のところにどう支援するかということはありますが、多くの法人にとって公認会計士の方にお願いするのはそう御不自由はないだろうと想定されます。ごく一部の方にどうするか。全体のマッチングと、それから一部の非常にどうしようもないというところがあったらどうするのか。これを分けて、公認会計士協会や経営協などで話していただければ、この点については余り心配ないのかなとは直感的に思います。以上です。

○田中部会長 ありがとうございました。

 ほかはよろしいですか。

 では、続いて資料2について事務局から説明してください。

○田中社会福祉法人制度改革推進室長 それでは引き続き、お手元の資料2、検討の方向性を御覧ください。 まず1ページ目、評議員の員数に係る経過措置ということでございます。1つ目の丸から順に読み上げさせていただきます。

○ 社会福祉法等の一部を改正する法律においては、社会福祉法人の経営組織のガバナンスの強化を図る観点から、評議員会についてこれまでの任意の諮問機関から、必置の議決機関としたところである。

○ この際、小規模法人に配慮する観点から、一定の事業規模を超えない法人については、評議員の員数について、本来、理事の員数(6人以上)を超える数とするところ、施行から3年間、4人以上とすることとしている。

○ この一定の事業規模については、社会福祉施設を1カ所経営する社会福祉法人とするとの考え方もあったが、保育所などの小規模の施設を2カ所経営している法人と、特養などの一定規模の施設を1カ所経営している法人を比較した場合に、後者を小規模とすることは必ずしも適当ではないのではないかという意見があった。

○ このため、法人が経営する施設の数にかかわらず、事業活動計算書におけるサービス活動収益を基準として検討してはどうか。

 ということでございます。

 参考までに、前回お示しした規模別の法人数割合を掲載させていただいております。

 繰り返しになりますが、前回、この評議員の員数に係る経過措置についてデータをお示しさせていただいたところ、皆様から3つ目の丸にあるような御意見がございましたことを踏まえて、私どもとしましては、法人が経営する施設の数にかかわらず、事業活動計算書のサービス活動収益を基準として検討してはどうかということでお示しさせていただいているものでございます。

 引き続き裏面に行きまして、会計監査人の設置義務法人の範囲についてでございます。

○ 改正法においては、社会福祉法人の経営組織のガバナンスの強化、財務規律の確立の観点から、一定の事業規模を超える法人に対して、会計監査人による監査を義務づけることとしたところである。

○ この一定の事業規模については、社会保障審議会福祉部会報告書において、収益(事業活動計算書におけるサービス活動収益)が10億円以上の法人または負債(貸借対照表における負債)が20億円以上の法人とすることが適当とされたところである。

○ 会計監査人の選任に当たっては、予備調査を含め、一定の期間が必要であることから、監査を受ける社会福祉法人における態勢整備が必要であるとともに、監査を実施する公認会計士等においても、一定の準備が必要である。

○ 会計監査人の導入は、今回の改革の柱の一つであり、しっかりとした監査体制が構築され、社会福祉法人に対する信頼を向上させていく必要があることから、十分な準備期間が必要であるが、改正法案の提出から成立まで1年が経過し、施行までの準備期間が1年足らずという状況となっている。

○ このような状況を踏まえると、今般導入することとした、会計監査人制度を社会福祉法人に安定的に根づかせ、将来的に、より多くの社会福祉法人に対して適用していくためには、導入時に円滑に施行することが重要である。

○ このため、会計監査人制度については、段階的に導入することとしてはどうか。

 ということでございます。

 これも前回、いろいろな御意見がございまして、それを踏まえてこうした検討の方向性でいかがかということでお示しをさせていただいたものでございます。

 私からは以上でございます。

○田中部会長 ありがとうございました。

 それでは、2つの議題を分けて議論いたします。

 初めに1ページ目の評議員の員数に係る経過措置について、御質問、御意見がございましたらお願いいたします。

 三好委員、どうぞ。

○三好委員 前回も評議員の数と質のことについてお話をさせていただきました。私も一度戻りまして、地元での法人の状況を調べてみましたら、やはり福祉の精通者がいないということで、理事会、評議員会等は設置されておりますけれども、評議員会の委員と理事会の委員はほとんどが同じメンバーでございます。ショックだったのは、監査も同じ人が入っているということでございまして、やはり監査をする上では、社会福祉事業に精通した人でなければいけない。会計と事業内容に精通した人でなければ監査できないということで、どうしてもそういう形で兼務してしまうという状況がございます。

 前回、松山委員から共同方式という話がありましたけれども、地方ではそういう人材をストックするような仕組みというものを避けて通れないのではないかと思っております。できれば登録制度で、ほかの施設、ほかの法人と兼務するかもしれませんが、より精度の高い、また社会福祉事業において国民の目から見ても正しい事業をされているということを評価するには、何かそういう形で期間を決めて養成するということも一つではないでしょうか。当分の間はそういう形での共同方式なり何らかの方式をとる期間があってもいいのではないかと思っております。

 以上でございます。

○田中部会長 ありがとうございます。

 地方の人員不足のところについて貴重な御提案をいただきました。

 どうぞ高橋英治委員、お願いします。

○高橋英治委員 日本保育協会の高橋でございます。

 ただいま員数のことではなくて評議員の構成のこともありましたので一言。

 保育所においては小さい規模が点在しているという話も以前からしているわけですが、以前の福祉部会の資料の中にも、なかなか適格者がいらっしゃらない場合は、社協かどこかわかりませんけれども、こういう方がいらっしゃるということを紹介というかあっせんというか、そういったことも仕組んでいきたいという話もあったように思います。そういったこともあわせて、ぜひ、何か支援がいただけるような体制もとっていただけるとありがたいと思っております。

 また、員数のことでは特にないのですけれども、評議員の構成メンバーについては、法人が責任をもって選任をしていくような格好にはなると思いますけれども、こういう方でなければならないというような制約は設けないほうがいいのではないか。以前、評議員としてふさわしい人の参考例というのがありましたけれども、余りそこを、こういう人でなければならないということでありますと、選任する幅が狭くなってくると思いますので、それぞれの地域である程度理解をしていただいている方については、法人の責任でもってきちんとしていただきますということで了解していただけるようなあり方も、ぜひ検討していただければと思っています。

 以上です。

○田中部会長 まことにごもっともですね。

 お二人から、地域での人材のプールについて御提案がございましたし、かつ、資格についても限定列記のような形になっては、この話は進まなくなってしまうという御指摘もございました。

 ほかに員数並びに資格等について、御質問、御意見はございますか。

 武居委員、どうぞ。

○武居委員 現在、評議員が未設置という法人があるわけでありまして、特に保育所単独でというようなところが大変多く、保育所の中で約7割程度が評議員会未設置であると認識しております。したがいまして、数の問題といいますか、サービス活動収入の基準を設けるということでやるとすると、この資料で保育所を見ますと、2億円以下が大体8割程度と、評議員未設置法人とほぼ同じような状況になるのではないかと思います。この辺から見ると、2億円以下というところを小規模の法人と見てはどうか。前回も少しそのようなお話をさせていただきましたが、意見でございます。

○田中部会長 ありがとうございました。

 規模が小さいところが今も評議員会未設置だし、これからもしばしの間に限り未設置でもやむを得ないとのご指摘ですね。むしろ先ほど三好委員が言われた、評議員と理事と監事を兼ねているあり方はガバナンス上マイナスですが、しばし未設置のほうがまだいいですね。

○高橋英治委員 評議員の関係の話ですので、直接的には関係のないことかもしれませんが、要望として。時間は刻々と過ぎており、来年の3月31日という一つの期日がありますので、この評議員の選任に至ることも含めると、1日でも早く定款準則の早期の発出をお願いしたいと思っております。

○田中部会長 真剣な声をいただきましたが、それは大丈夫ですね。

○田中社会福祉法人制度改革推進室長 施行につきましてはおっしゃるとおり、来年4月1日に実施するためには、それまでに法人の皆様方において評議員の選任、あるいは対象法人におかれましては会計監査人の選任など、さまざまな手続をしていただかなければならない。そのためには当然、定款も変更しなければならない。それをそれぞれ逆算して考えますと、相当時間がないということは認識しておりますので、皆様方にお示しする通知、事務連絡を含め、対処方針が決まりましたら速やかに御連絡をさせていただきたいと考えております。

○田中部会長 藤井委員、どうぞ。

○藤井委員 これは社会福祉法人に限らないことで、公益財団、公益社団でもそうですが、どういう方に評議員になってもらい、どういう方に理事になってもらうか、これは会社もそうですけれども、さまざまな考え方と工夫はあると思います。ただし、経営とガバナンスというのは共通して2階層にしていこうと。理事、取締役に当たるものと、それから株主、あるいは社員、あるいは評議員に当たるものということでチェックする仕組みでございまして、これは何度も繰り返しここで申し上げているのですが、やはり社会福祉法人の多くは今までの評議員、つまり議決機関ではないけれども審議する内容は理事会と一緒であるということに、なれ切っているというか、不思議な仕組みだったわけで、ガバナンスがききにくい仕組みだったわけですが、実際に私が評議員を務めているある法人では、理事会と評議員会を同じときに一緒にやっている。理事会・評議員会というのが少なからずあるように聞いておりますけれども、今後はそうではないと。高橋委員が心配されているとおり、いろいろなやり方があるのに評議員のことについては余り限定すべきではないと私も思います。今、法律上で、理事についてはこういう人ということが書かれております。法律に書かれている以上のことは、もう、正直言って書いていただきたくない。さまざまなやり方があるということでいいのではないかと思います。

 評議員会が何をするかというと、理事の選任や解任をする、それから役員報酬を決めるということが非常に重要な事項でございまして、これは余りにも重要な事項に思えるので、非常に重いもののように考えがちです。実際、重いのですが、例えば公益法人の社員総会や株式会社の株主総会を考えていただくとわかりやすいと思います。何も社会福祉法人の社会福祉事業について細かく理解しておられるというよりは、社会福祉法人がその地域でどういうミッションでどのようにやっておられるかということを理解されていて、基本はその社会福祉法人の応援団であると。

 ただ、どうもこれはおかしいのではないかとか、極論をすると、ごく一部に理事等が不正なことをやっているというのは、近所のうわさでおかしいというのはわかりますから、あれはおかしいのではないかということで決議をして、理事を解任することもないことはない。それは重要なことではあるのですけれども、しょっちゅう解任するなど、お家騒動のようになってはたまりませんので、基本的にはやはり理事と評議員の間には信頼関係があって、評議員会は地域の応援団の方という、そういう考え方はあると思います。もちろん評議員会の中に、社会福祉事業について精通された方や経営について精通された方が入っていてもいいと思うのですけれども、むしろユーザー側であるとか、地域の方々であるとか、そういった方々に、社会福祉法人がやっていることを、理事が評議員会に説明しなくてはならないということが法律にも書いてございますから、評議員会の場を通じて、社会福祉法人では今こういうことをやっておりますということを伝え、理解していただいて、それでいいねと言ってもらえる場になる。そのかわり、ごくまれに、とんでもないことが起こった場合には、そういった問題はチェックするのだというように、大きく評議員がドラスティックに変わる。

 ですから、今、評議員会があるところでも、多くの公益法人が公益法人改革のときに評議員を入れかえているところがあったのではないかと思います。私自身もそれを機に評議員になったところもあります。無理をして入れかえる必要はありませんけれども、それぐらい社会福祉法人が大きく変わる。私はある社会福祉法人の評議員をやっていると申し上げましたが、私のような人間は余り評議員をやるべきではなくて、むしろ、地域のその法人についてよくわかっている、その法人を身近で見ているというようなタイプの人が評議員をやってくれるぐらいのほうがいいわけです。

 評議員自体の役割が変わるからこそ、現実に今、評議員会を持っておられるところもメンバーを入れかえてもいいかもしれませんし、今お持ちでないところが、非常に経営に精通しておられる、社会福祉法人に精通しておられるということは、特に重要視される必要はないのではないかと。これは法人ごとの考え方だと思います。考え方であるにせよ、うちの地域では評議員になられる方がいらっしゃらないという話を聞くたびに、このあたりはちょっと誤解があるのではないかと。いろいろな考え方があるのですけれども、法律に書いてある評議員会の機能を満たしてくれる方ということ、公益法人における評議員会と同等のものということを勘案すると、おのずと、どんな地域でもある程度、評議員会を構成するに当たって人がいないということはないだろうと。全く人がいないところで社会福祉法人が活動しているわけはありませんので、必ずユーザーがいらっしゃって、住民、市民がいらっしゃるわけですから、ちょっとそのあたり、私には腑に落ちないところがございます。この点、やはりこちらにお集まりいただいている方々は全国組織を代表して来られていますので、ぜひ、誤解がないようにといいますか、いろいろな考え方があるのだと。1つの答えがあるわけではない。

 それと高橋委員がおっしゃったように、厚労省のほうに、そういうことですので余り政省令や告示等で、こんな人でなければいけないというような縛り方をしないでいただきたいと思います。以上です。

○田中部会長 松山委員、どうぞ。

○松山委員 規模が小さいところに対して配慮するというのは、私もやむを得ないと思います。しかしながら、ここで改正法の精神をちょっと確認させてください。社会福祉法人のガバナンスのあり方を改善、強化しないといけないということですから、法の精神は全ての社会福祉法人のガバナンスの強化ということが基本なのですよね。ただし現実的には、具体的に仕組みをつくるとすれば、スタート時点では規模の大きなところから模範的なものをつくっていくというのはやむを得ない。そういう考え方で議論しているという理解でよろしいですか。

 というのは、講演会等で業界の方々と意見交換した際、いまだに、自分たちは小さいところなので法改正は余り関係ない、と言われることがあります。いや、そうではないですよという説明を私はしているのですけれども、そこの確認をこの場でしていただければ、多分、今後のプレゼンテーションできちんと伝えられると思うのです。

○田中部会長 評議員を置く、置かないと、会計監査人とは違いまして、評議員はいずれ必置です。ただし人数は緩くてよいと言っているだけです。

 課長、補足していただけますか。

○岩井福祉基盤課長 今回の改正の趣旨は、本日御参集の先生方は皆様もう十分御承知と思いますけれども、社会福祉法人の公益性、非営利性を徹底するということでございまして、その大きな柱としてガバナンスを強化するということです。

 これにつきましては、全ての法人に適用されるものと考えております。ただ、その中で、小規模な法人について、その準備の期間もございますので、経過的にこの員数の特例を設けたということであって、ガバナンスの強化は全ての法人にというお話かと思います。

○田中部会長 4人か6人の違いであって、必ず置かなくてはならないと、講演でおっしゃってください。

 関川委員、お願いします。

○関川委員 未設置小規模法人のガバナンスの確保のために、評議員の確保について、誰がどのような形で応援するか。評議員数の経過措置もございますけれども、それ以外の方法でどういうスキームがあるのか、もしお考えがあれば、事務局から御説明いただきたいというのが1点でございます。

 あわせて、今回の検討の方向性で、事業活動計算書におけるサービス活動収益を基準として検討してはどうかということで表があり、武居委員は2億というラインを前回そして今回示しておられます。事務局とすれば、この資料でどこをラインとしてお考えなのか、お聞かせいただければと思います。

 以上2点について、教えていただけないでしょうか。

○田中部会長 2点、お答えください。

○岩井福祉基盤課長 まず、評議員の確保に関する支援でございますが、これは当部会においても過去、何度か議論が出ました。まず、先ほどもちょっとお話がございましたけれども、地域においてある程度評議員になれる方について、例えば社会福祉協議会などから紹介や相談を受けて対応するということは、今、実は全国社会福祉協議会とはもう既に話を進めておりまして、今後それぞれ各地域において取り組みをしていただくような方向で考えております。また自治体にも、自治体所轄庁という立場がございますので、一定の制限はあるかと思いますが、御協力いただく方向で考えております。

 それと関連しますが、先ほどいただきました御意見の中に、評議員についてなるべく限定しないようにということでございました。実はこの制度改革を行いましたとき、あるいは法案提出の過程におきましては、逆にわかりやすい例を示してほしいという声もありましたので、これは各団体あるいは地域の御要望などももう少しよく聞きながら、そういうことも私どもとしては工夫していきたいと思っておりますが、基本的には法律に書いている以上の制限はしないということは明確に示したいと考えております。

 先ほど藤井委員からもお話がありましたように、地域の声を聞くということが重要だというお考えもありましょうし、また、社会福祉法人の経営という観点から、精通した方が欲しいという法人の方もいらっしゃるだろうと思います。その点は、やはりそれぞれ法人の地域の状況などを見て判断いただくものでございますので、所轄庁に対しましてもここは限定されるものではないということは明確に示していきたい。それによって確保が容易に進むのではないかと考えております。

 それからその基準につきましては、本日の御意見なども踏まえまして、さらに事務局においても整理しまして、次回にまたお示しして議論いただければと思っておりますので、きょうの御議論なども受けて検討したいと考えております。

○田中部会長 藤野委員、どうぞ。

○藤野委員 児童の分野では保育所など、それぞれ1法人1施設というのが非常に多いです。そういう中で、例えば先ほど武居委員から2億円ぐらいでという話がありましたけれども、私もそういう線でいいのではないかと。2億円以下は法人全体で50%、児童福祉事業のみで78%、保育所のみで83%、児童養護施設のみで66%ということで、実態から言いますと、ほとんど評議員会をつくってこなかったところが多いです。つくったところでも何か監査で、やはり2つの事業をやっていたらつくらなければだめですよと言われてやっとつくったというのが現状ですので、そういう意味では一応、3年間、4人ぐらいからスタートしていいですよということになれば、それはありがたいのではないかと思います。

○田中部会長 ほかに質問はございませんか。

 小島参考人、どうぞ。

○小島参考人 技術的なことを確認したいのですが、この経過措置の適用の基準日というものをどう考えていらっしゃるのか。毎回の決算によって収益が、例えば2億ということで決められた場合に、ボーダーラインの上下にあるところは、毎回毎回、該当するのか該当しないのかというようなことで、もし該当した場合には急遽、評議員を求めていかなければいけない。それはちょっと大変なので、できれば平成28年3月31日、決算期以前とか、そういう過去の時点のもので外形的にわかるような形にしていただいたほうがありがたいのではないかと思っておりますので、その技術的なところを教えていただきたいと思います。

○田中部会長 事務局、お願いします。

○田中社会福祉法人制度改革推進室長 施行時点では平成28年度決算が出ていないこともございますので、そこは2年前の平成27年度決算ということで考えております。また、そういった形で多分、2年前ぐらいの決算が出ているところを基準にするということで検討中ということでございます。

○田中部会長 藤井委員、どうぞ。

○藤井委員 今の技術的な点が気になったものですから。措置とか保育であればそんなに上下しないと思うのですけれども、介護とか障害ですと、売り上げが変動して微妙な線にいて、超えたり超えなかったりするというのは、例えばそういう場合は超えることで考えるというような、そういう技術的なものは早目にどんどん出していただくという想定ですよね。

○田中社会福祉法人制度改革推進室長 一応、前々年度を基準にしようということで考えています。

○藤井委員 そうすると、スタートラインの設定だけでいいということですね。

○田中社会福祉法人制度改革推進室長 確定値が出ているということで考えております。

○藤井委員 わかりました。これは会計監査人の話とはちょっと違う話だと思うのですが、評議員会に関しては制度開始年で考えるということですね。制度開始を起点として前々年度で考えるということですね。わかりました。後でまた会計監査人のところで聞きます。

○田中部会長 よろしければ2ページ目、会計監査人の設置義務対象法人の範囲について御質問、御意見がございましたら御発言ください。

 最初に柴参考人より補足して説明することなどがございましたらお願いいたします。

○柴参考人 会計士協会としては、今まで社会福祉法人は法定の監査対象ではなかったため、会計士の中に社会福祉法人に精通している者というのはそう多くはございません。ただ、任意で監査を受けている法人や、あるいは会計基準の改正がございましたので、それの相談を受けているなど、専門的に対応している会計士もおりまして、そういった者が集まって、会計士協会の中に社会福祉法人分科会というものをつくっております。

 加えまして昨年4月に法案が出ましたので、会計士協会としては社会保障部会というものを別途つくりまして、そこに社会福祉法人の監査に興味のある会計士に登録をしてもらっております。その会員に対して研修を施したり、さまざまな情報を提供するということを実施しておりまして、現在、立ち上げたのは昨年の11月ぐらいから募集を始めたと思うのですけれども、登録者数が1,100を超えております。近々その名簿を協会のホームページに記載します。記載内容としては会計士の氏名と住所。今後さらに充実させていく予定ではあるのですが、今のところ公認会計士の氏名と住所ということで、それは一般の方も見られる状況になっております。問い合わせ等につきましては日本公認会計士協会の地域会が全国に16ございますので、そちらのほうに問い合わせていただければ、先ほど来出ていたマッチングの話にもつながると思うのですが、そういった対応をしている状況でございます。

○田中部会長 ありがとうございました。

 では、2ページについて御質問、御意見をお願いいたします。

 橘委員、どうぞ。

○橘委員 前回も発言させていただきましたが、年間の収益が一定規模以上の法人については会計監査人の配置義務が生じることになりますが、算定対象から就労支援事業収入を何とか除外していただきたいとのお願いをいたしましたけれども、それについてのお答えをいただいていなかったのではないでしょうか。もしその就労支援事業収入も収益の中にカウントするということであれば、私としては対象規模の年間収益を単純に10億円で線引きしないで、全体収益額に占める生産活動の収益の割合が極めて高いところにおいてはもう少し収益額を引き上げていただけないかと考えています。

 例えば給付費の収益が1~2億円の事業所で、何とか生産活動の収益を高めようと頑張っている事業所があり、8億円位の生産活動の収益があるとすると、それで10億円になります。そうすると監査人を置かなければいけないということになるので、少ない給付費の中から監査法人に対して何百万という報酬を支給しなければなりません。これはあってはいけないことですけれども、このような場合、気持ち的に生産活動に対して消極的にならないか、私としては危惧するのです。

 全体の収益の中で生産活動の収益が極めて高くて10億円になるという法人が全国的にどれだけあるのかについては把握しておりませんけれども、もしそういう法人があれば、何か考えていただきたいと感じているところです。

○田中部会長 御意見ですか、御質問ですか。

○橘委員 あくまで就労支援事業収入を足し算するというのであれば、頑張って生産活動をしている法人に対しては、比率的にこの程度頑張っているのだったら、この程度の比率アップの上乗せがあってもいいというような柔軟な対応をしていただけないかというお願いでございます。

○田中部会長 お願いですね。

○橘委員 はい。

○田中部会長 課長、どうぞ。

○岩井福祉基盤課長 今、橘委員からいただきました就労支援の収入についてですけれども、前回の部会におきましても橘委員からたしか2回ぐらい御意見をいただき、私どもも別途関係団体の方とお話ししている状況でございます。

 基本的な考え方といたしましては、今回の会計監査人の設置義務化の基準を収益にとったということですが、この収益は、あくまで社会福祉法人の事業規模、すなわちその背景には事務体制などを想定しておりますが、事業規模を見る尺度として考えております。

 そういう意味で申し上げますと、それがいわゆる就労支援事業の収益であるか、あるいは他の、例えば介護、保育などの収益であるかということの区別をする理由というのが、なかなか難しいのではないかと思っている状況でございます。

 また一方、橘委員から今お話しいただきました、就労支援事業の収益が及ぼす影響についてですが、私どもが把握する限りのデータで申し上げると、就労支援事業を専ら実施している法人で、10億円規模というところは極めて限定されるという状況です。普通はやはりその他の事業と一緒にされているという状況でございますので、御懸念は確かによくわかるのですが、それが影響を及ぼすというところがどこまで理由があるかということについては、私どもが今まで検討する範囲では極めて限定的かなと思っております。

 いずれにしましても、今回の趣旨として事業規模、法人の体制などを見るという意味で何が問題なのかというのは、関係の皆様からもう少しよくお話を聞きたいと思っておりますが、理論的に申し上げると、そこで区別する理由というのはなかなか難しいということを申し上げておきたいと思います。

○田中部会長 松山委員、どうぞ。

○松山委員 今の課長の御説明のとおりだと思います。私も5,500の社福の財務諸表を見た中で、就労支援事業の割合がほかの業務よりも大きいところというのはちょっと記憶がないのです。だからそのような社福の数は少ないと思うのですけれども、逆に私は、就労支援事業をやっておられる社会福祉法人の財務諸表を見ていて、現在アベノミクスで進めている一億総活躍プランの中で、社会福祉法人が雇用を生み出している意義というのは非常に大きいと考えています。そういう意味で、逆に就労支援事業を主力に頑張っておられる社福があれば、そこに別途公費を投入するような仕組みを考えるべきではないか。この議論はこの福祉部会とは別の場で行うべきテーマと思いますが、私は就労支援事業を社会福祉法人がやっておられることの意義をもっとPRして、それを拡大するべきではないかという考えを持っています。

○田中部会長 藤野委員、どうぞ。

○藤野委員 会計監査人をつけるのを10億円か20億円かいう話ですが、例えば今、熊本の復旧が行われております。そういう点では、例えば施設整備とかそういうことは一時的なものなのです。そうなるとすぐ、10億円というのは出てしまうと思います。しかし、それは一時的なことである。

 その辺のこととか、それから、例えば資料1の表を見ますと鳥取県は公認会計士が12名しかいなくて、10億円以上の社会福祉法人数は0となっています。しかし、鳥取県で10億円以上が0ということはあり得ないと思っています。どうして0になっているのかなと思っておりますが、やはりここはいろいろ考えていただいていて、段階的に導入するというのはぜひ、そのようにやっていただきたいと思います。そういう点では、お互いがスムーズにこういうことをやるためにも、お互い、やはり公認会計士の方も社会福祉法人について、ぜひわかってほしいし、それから我々のほうも、そういう点では準備が必要だと思います。その辺をどの段階から、どのくらいのペースで段階的に持っていくのか。最終的には10億という線でやるとしても、私は勝手に50億ぐらいから出発してくださいと言ったのですけれども、そうなると非常に少なくなるので、どうかなと思いますけれども、ぜひ、そういう段階的なことを考えていただきたいということと、それから瞬間風速のようなものについては、やはり配慮ができないかということです。

○田中部会長 事務局、御説明いただけますか。それから鳥取についての御質問もございました。

○岩井福祉基盤課長 ただいま藤野委員からいただきました御意見ですが、基本的に今までお伺いした御意見、あるいは供給体制も含めて段階的な適用ということを御提案させていただいている次第でございます。

 個別の御質問の中で、整備などで一時的にということですが、基準額は収益でありまして費用ではないので、施設整備費については考慮されない。収益で見ることになります。

 もう一つ、鳥取の状況ですけれども、先ほど冒頭で申し上げましたように、これは1万3,000法人をベースに集計したものでございますので、その中から外れている法人がございます。そういうことで鳥取が0になっているという状況でございます。

(堀江大臣官房審議官入室)

○藤野委員 出費ではなくて収益だということですが、補助金というのは収益にならないのですか。

○田中部会長 課長、どうぞ。

○岩井福祉基盤課長 補助金にもいろいろあるのですけれども、いわゆる整備費が大きいと思います。ただし整備費の場合は、まず、貸借対照表に資産として評価して、それを毎年、取り崩しますので、減価償却に合わせて取り崩すと思います。

○藤野委員 わかりました。

○田中部会長 武居委員、どうぞ。

○武居委員 会計監査人の設置法人について、今までの議論はどちらかというと社会福祉法人側が、体制が十分できていないので、新しい会計監査人の設置ということに対してなかなかなれていない。だから、ある種のレベルを考えたほうがいいのではないかという議論を今までしてきたと思うのですけれども、きょう、参考人のお話を伺ってみますと、一方、公認会計士さんの側の準備の段階も、今お話を聞いた範囲では十分とは言えないという感じがいたします。

 先ほどの社会福祉法人に関する分科会の登録が1,100というようなお話、今後もちろんふえていくだろうと思うのですけれども、最初に出されました資料1の表と比較してみますと、総公認会計士数の5~10%程度という話になってきます。そうしますと、今までの10億円以上という議論はちょっと、今の段階では無理ではないかと思われますので、20億なのか30億なのか40億なのかという問題はありますけれども、やはり当初はある程度無理のないところで始めて、今、御説明があった資料2の一番最後に書いてあるように段階的に導入するということに関してはすべきだろうと思いますので、そのような考えで進めていただきたいと思います。

○田中部会長 ありがとうございました。

 対馬委員、お願いします。

○対馬委員 当法人は2年前から監査法人を導入してございます。対応については大変苦慮しているところであります。当法人の法人本部長は、銀行で長らく損益計算書あるいは貸借対照表を分析した人間ですが、なかなか監査法人とうまくかみ合わなかったわけであります。その後、上場会社の経理部長を経験した人間を配置することによって、やっと監査法人とうまく対応ができるようになったということであります。要は何を言いたいかというと、監査人を導入する場合に、やはり監査法人に対応できる経理の専門職が必要だと考えます。そういう意味では全国の社会福祉法人を見て、果たしてどれくらいの数、そういう経理のプロがいるのかなという疑問を持っているところであります。

 したがって、監査人を導入するというのはいいのですが、そのコスト増、それから経理の専門職を置くコスト増ということがありますので、かなり膨大な費用がかかると予測されます。したがって、大規模法人から段階的に導入する。極端に言えば、まずは50億円以上からやって、そして、その間に経理の専門職を各法人で配置して、対応する準備をするということが大事かなと思います。

○田中部会長 阿比留委員、どうぞ。

○阿比留委員 私どもも意見として今回出させていただいているのですが、部会の報告書のほうで10億、20億というのが前に出されておりまして、ただ今回の柱でもありますこの導入につきましては、やはりしっかりとした準備期間を設けていただきたいということもありまして、意見書に付しておりますように、まず病院関係が医療法人においては事業収益70億円以上、または負債50億円以上が一つの設置有無の基準となっているのを踏まえて、仮に10億円の建物を用いた病院、これが8.5億円程度の収益を上げているということで、一方、特別養護老人ホーム等については同等程度の建物であっても3億円程度の収益を見込む。そういった回転率のところから考えましても、初めは20億円程度以上の規模のところから対象に行い、それから水準を下げていくというような取り組みはどうかということを、今回、意見として出させていただいておりますので、よろしくお願いいたします。

○田中部会長 松山委員、どうぞ。

○松山委員 国民に対する説明ということを念頭に置かないといけないと思うのです。そういう意味では、結論から言うと、事務局が出された収益10億円以上ということでスタートすべきではないかと思います。

 それから、先ほど鳥取県は10億円以上が0になっているということでしたけれども、境港にある超有名な社会福祉法人、それから倉吉市にも大きな社会福祉法人がありまして、確かに0ではない。ちなみにその2つの鳥取県の法人は、情報開示ではリーダーになっているところですので、体制もつくれるところだと思います。

○田中部会長 藤井委員、どうぞ。

○藤井委員 私は期間を置いて段階的にということは賛成です。賛成ですが、これは松山委員と実は同じ趣旨で賛成というと変な言い方ですが、松山委員から今回の法改正の精神であるとか、課長のほうからも趣旨という話がございました。会計監査人というのは恐らく、今回の法改正が社会福祉法人という、国民の信頼とともにあるべき法人のうちごく一部に、非常に不誠実な法人があるということと、それから社会福祉法人全体として福祉の推進や地域への貢献が不十分ではないかという、この両方の話があったかと思います。

 まず、ごく一部の極めて不誠実な法人というものは、これはブレーキをかける。それから国民の信任に応えるという意味ではアクセルを踏むという、両方だと思うのですけれども、監査人の導入というのは恐らくどちらに有効かというと、ブレーキをしっかりかける。とんでもなくひどい法人を洗い出してもらう。過去の株式会社で見ても、大きな不正というのはやはり監査あるいは会計関係で浮かび上がっていますので、とんでもないひどい法人というのは会計監査によって浮かび上がりやすいのではないかと思います。

 したがって、私自身は、本来は10億円と言わず、非課税の社会福祉法人には全部にやってもいいぐらいではないかとは思っておりますけれども、ただし、そういう仕組みだからこそ、先ほど来あるように、公認会計士の側もこれから勉強していく部分があるとおっしゃっていますし、社会福祉法人のほうもこれからだということですから、誤解が生じたり、不適切なことにならないためにも時間をかけて、こういう意味があるのだということを示していく必要があるのではないか。そしてこれに関しては、ここは松山委員と意見を異にするかもしれませんが、それぐらいは国民は待ってくれるのではないかと。無理をして変なものといいますか、間に合わせのものにならないようにという意味でも、段階は必要ではないかと思います。

 これに関して公認会計士協会のほうで、先ほどお話があったように社会保障部会でしょうか、そこの会員が1,000名ということで、かなりの数字がいるなと思ったのですが、ただ、先ほどの資料1で言うと、2,800いるうちの1,000ですから、さらにここが減るということですから、マッチングの問題がまた大きくなるだろうと思いました。

 それから、私自身もちょっと勉強させていただいて、公認会計士協会の中の公会計協議会というものの中に、地方公共団体会計・監査部会というものがあって、実際にもう既に継続研修等、そういう研修を始めておられる。継続研修についてホームページにあったので見させていただくと、80時間ぐらいでしょうか、3868科目ですか、地方自治法から始まって行政法、財政学、地方財政論から入るような、非常に多岐にわたる科目の研修を公認会計士さんがしていただいて、公会計の地方公共団体会計の監査をできるように養成しておられるということです。

 地方公共団体というのはどこも非常に大きい、基本的に大きいところが相手だと思いますけれども、今回、社会福祉法人はそれまでの規模にはならないにせよ、ぜひ、こういった研修制度をつくっていただきたい。この場で参考人に御質問するのは変かもしれませんが、こういったものはつくり得るのだろうかとか、この意見についてどう思うかという点を後ほどお聞かせいただきたい。

 また、この研修を受けたというものについて、今はあくまで部会に入っておられる方ということですから、興味があるということはわかるのですが、果たして本当に社会福祉法人の監査人の技術をお持ちかどうかというのは失礼ながらわからないわけですから、何かこういう公認会計士の団体のほうで学んでいただきたい。これは実は、この部会で私が申し上げ続けていることなのです。

 先ほど対馬委員のほうからありましたが、公認会計士のほうも企業会計の監査だと思って来るので、社会福祉法人側にそういう人がいなければいけないという話が大きいと私は思っておりまして、公認会計士さんの場合に社会福祉法人会計ということがわかった上で、社会福祉法人のミッションがわかった上で来られると大分違うのではないかと思いますので、このあたりで専門職として社会福祉法人を盛り上げていただけるということになると、この制度としては非常に発展的なものができるのではないかと思います。

 それから金額について、10億、20億、いろいろあって根拠もあるのだろうと思いますが、私はやはり1番目に申し上げたような、確実にやっていただける順番はどういう順番なのだろうかということを考えた上で、10なのか20なのか30なのかという、バナナのたたき売りのようになってもしようがありませんので、確実にやっていただくスケジュール感はどうなのだろうかという観点になろうかと思います。

 それから、「10億以上なら、うちは入らなくてよかったね」といった、松山委員が先ほどおっしゃったような話を一部に聞くのが大変残念でございまして、やはり基本は全部に行ってもいいと。

 ちょっと資料を先走るのですが、参考資料の中に、非常に注目されるものがございます。ちょっと見ていただきたいのですが、参考資料1-2の、これは松原委員を中心にやっていただいているものかと思いますが、8ページのところに会計監査人非設置法人に対する専門家の活用方法というのがございます。これが今、私が申し上げた上では非常に重要なことかと思います。会計監査人を置くからやる、置かないからやらないということではなくて、どちらの法人も会計を外部からチェックしてもらって一部の不行き届きな法人をあぶり出す。それ以外の目的もありますが、多分、今回の趣旨からいくとそこが大きいと思います。

 したがって、ある一定規模はやはり公認会計士さんという資源を活用した専門的な会計監査であり、そこまでに至らない部分に関してはこういった仕組みがある。さらに、こういった仕組みでなれていただくというか、こういったものが重要だなという御理解が広がれば、あるいは公認会計士さんのほうでもこういった専門職が育っていけば、全法人が対象になってもいいではないかという考え方が醸成されれば、私はこれが一番ふさわしいことだと思います。

 しかし現状としては、一定額のところに線を引くというのが、他法人の並びでも妥当であろうということと、そこには段階を置くべきであろうと。そして、線を引いた以下の部分、そうした規模の方のところにも、どういう体制を組むかということを、これは、会計監査というのはやはり会計監査をする側と経営をする側の自主性によって成り立っているものですから、余りここで、例によって所轄庁が箸の上げおろしを言うことにならないように、所轄庁が今まで会計監査がきちんとできていれば、このようなことにもならなかった。済みません、自治体の方がいらっしゃって申しわけないのですけれども、そのように私は思っておりますので、そこに専門職が入っていただくということでございますから、やはり会計監査をやられる専門職と、経営をやられる経営者という専門職が真面目に取り組むのだということができ上がるためにも、時期を置く、時間を置くということはお願いしたいと思います。

 ということで、途中で申し上げました会計監査という観点から、そういった社会福祉法人向けの研修のようなものをお考えいただくということは想定し得るのかどうか、これについてお教えいたえだけますか。

○田中部会長 柴参考人、よろしく。

○柴参考人 ありがとうございます。

 公会計協議会ということまでお調べいただきまして、ありがとうございます。

 紛らわしいので公会計協議会というのは使わなかったのですけれども、先ほど説明いたしました社会保障部会というのはこの公会計協議会の下にぶら下がっている組織です。今、藤井委員から説明がありました、地方公共団体会計・監査部会も、同じく公会計協議会の下に、2つ並列でぶら下がっているという状況でございます。

 地方公共団体のほうが立ち上げが早くて、今、研修制度等がほぼパッケージとして完了しつつある状況でございまして、社会保障部会のほうもそれに向けて、今、着々と研修の内容を充実させている状況でございまして、でき上がりの姿としては、ほぼ同様の効果が期待できる状況になると考えております。

○藤井委員 この研修を終えた公認会計士の方の名簿を同じようにホームページで開示していただくとか、そういったことは可能ですか。

○柴参考人 当初は研修単位を名簿の脇に載せようということで進めていたのですけれども、まだ研修自体が100%整っている状況ではございませんので、時期を見て、名簿の脇に社会保障関係の研修の履修単位を載せるという方針で進めています。

○田中部会長 松山委員、どうぞ。

○松山委員 一点、追加の論点ですけれども、会計監査人を置ける法人というのはステータスになるということが重要だと思うのです。これからセーフティーネットの強化が必要である。つまり介護士や保育士などの給与の財源もそうですけれども、セーフティーネット強化のために公費の追加投入を考えねばならない。その際、私が財務当局の人間であれば、どの法人にお金を出せばしっかりやってくれるかということを考えたときに、多分、最初に会計監査人が設置されている社会福祉法人ということになると思います。そういう意味で、私はむしろ当初の原案のとおり収益で10億円以上ということを掲げるべきだと思います。それが完全に実施されるのには少し時間がかかるかもしれませんけれども、原則、そのような運営をした上で、ガバナンス強化の実績を国民に示せば、追加投入のお金の流れもより効率的になるのではないかという考えです。

○田中部会長 大切な論点をありがとうございました。

 関川委員、お願いします。

○関川委員 会計監査人の設置義務法人の範囲について段階的に導入するという提案がございました。不祥事法人は論外ですけれども、財務諸表をみると適正な決算処理がされていないように見受けられる法人が少なからずあります。情報開示を義務づけたことから、社会福祉法人の会計について不信感をもたれてしまうのも困ります。会計監査人制度の趣旨もそうだと思いますが、社会福祉法人の会計が国民から広く信頼される仕組みをつくるというのは待ったなしだと思います。

 そういう観点から考えますと、実務上の制度運営からみれば、会計規模の大きな法人から段階的にスタートするというのは、スムーズな制度運営が可能となるでしょうが、国民から見たら「状況認識が随分と甘い」との印象を与えることにならないか、心配でございます。

会計監査人の設置という制度運用が今回の改正の重要なポイントであるということは重々承知しております。既に議論いただいておりますように、公認会計士の数が少ない県が幾つかあります。現在の会計規模10億以上の社会福祉法人の数の状況から考えますと、たとえば、会計規模50億の法人などから段階的に拡大していくとしても、会計規模10億以上の法人においては、外部監査の活用であったり、あるいは行政監査との組み合わせによって、国民から信頼される会計となるような制度設計が必要なのではないかと思っています。

 会計規模10億以上の法人においては、当面法人審査基準で努力義務としている外部監査を義務づけるなどの検討が必要なのではないかと思います。外部監査の制度の見直しもあわせて必要だと思いますが、外部監査であれば税理士などの活用も可能となるのではないかと考えております。

 行政監査の組み合わせにつきましては、今回の会計監査人の監査の重要項目の中に、内部統制の仕組みのチェックというものがございますけれども、これについても行政監査の中で対応可能と考えます。少なくとも当初のライン、会計規模10億以上の法人については、国民からみて信頼される会計が確保されていると実感できるような手当てはぜひとも検討いただきたいと考えております。

 以上です。

○田中部会長 ありがとうございました。

 松原委員、お願いします。

○松原委員 対象法人をどこのレベルにするかということですけれども、今ここに収益や負債が書かれてグルーピングされていることからもわかりますように、これを監査するのには費用負担がかかるので、それに耐えられるかということも考慮しての、こういうグルーピングかと思います。そういう意味でも、どの辺から導入できるのかと考える際には、大体でいいのでどれくらいコストがかかるのかというのがわからないと、実はこれを決めるのは難しいと思います。

 そもそも社会福祉法人が初めて会計監査を公的に導入する以上、社会福祉法人を見る際には、どういうことを重点的に見ていけばいいのか、営利法人とは何が違うのかということをさんざん検討し、また、一方で行政監査もあるわけですから、そことの連携をどう図るか。こういったことをいろいろ検討して、いかにこの監査を効率化できるのかということを明らかにした上で、広めていくべきものだと思います。

 そもそも対象は、多いほど良いと思っていますけれども、まずはコストがかかりますし、まだそういった実例が余りに少ないので、ここは暫定的に、極端な話、最初は着実なものをするためにも10法人とか20法人とか、そのレベルでもいいと思っています。そこで何度も議論を繰り返して、より効率的にできる体制ができて、大体の目安としてこれぐらいはかかるのだなとか、これぐらいの体制をしないと莫大にかかるからこれだけの体制をするために、先ほどの税理士との勉強会ももっとしなければとか、そういういろいろな今の課題がわかると思いますので、その課題への取り組みも含めまして、暫定的に最初は非常に絞り込んでやることが現実的ではないかと思います。

 財務規律の検討会でも申し上げたのですけれども、やはり監査のコストがわからないとどれくらいの事業規模レベルでいいのかがわからない。ただ、監査のコストについては自由価格ですし、内部統制のレベルによっても大きく差が出るということで、現実的に出せないだろうという話なので、なおさら暫定的に、最初は試しながら、よりいいものに、これを最終的にはもっともっと対象を拡大するために、そういう暫定的な取り組み、絞り込んだ取り組みを当初はすべきだと考えます。

○田中部会長 ありがとうございました。

 対馬委員、どうぞ。

○対馬委員 参考人に質問をさせていただいていいですか。

○田中部会長 構いません。

○対馬委員 税理士と会計監査人の違いは何ですか。それからもう一つは、内部統制について税理士の先生が見ることはできるのか。この2点についてお願いします。

○田中部会長 柴参考人、よろしくどうぞ。

○柴参考人 会計監査人には公認会計士または監査法人しかなれません。税理士さんは監査をすることはできないということです。それと内部統制については、基本的に企業の経営の支援という意味では税理士さんもそういった観点で今は見つつあるのかなということでは理解しておりますが、我々はそういったところが見られないと監査報告書も書けないということで、専門的にそういったところを重点的にやっているということが若干違うのかなとは感じております。

○田中部会長 小林委員、どうぞ。

○小林委員 この議論でありますけれども、皆さんがおっしゃっているように社会福祉法人は公益法人ということでガバナンス強化ということでの方向性は決まって法制化されているということでもありますし、国民の目線も厳しいということで、皆さんの意見のとおりということであります。

 そういうことを踏まえて、私もやはり、一挙に導入ということではなくて段階的に導入ということには賛成であります。段階的導入の場合に2つの見方があって、1つは規模別の段階的導入。もう1つは期限、すなわちスケジュールをどうしていくかという段階的導入があります。この両方をしっかり示していく必要があるのではないかと思っております。そうしないと、社会福祉法人の人たちについても大変不安に思ったりしているところもありますので、ここはやはり明確に示して、そして研修会や、あるいは社協等を含めた説明会等をこまめにやっていただくというようなことは、ぜひ考えていただきたいと思います。

 それから先ほどおっしゃったコスト計算。こういった会計監査人を置く場合のコスト計算、そして規模別コスト計算というようなものも、例えば公認会計士協会などである程度のモデルが示せるのではないか。この程度の規模のものだとこれくらいかかるとか、そういうコスト計算のモデル的なものをきちんとお示しいただくというようなことがあってもいいのではないかと思っています。それはいかがでしょうか。

○田中部会長 柴参考人、どうぞ。

○柴参考人 1つは、毎年、上場企業など法定の監査を受けているところ、学校法人や信用金庫など、いろいろな法人形態がありますけれども、それについては規模別に監査報酬や監査時間がこのくらい出ていますよという資料は協会内で持っております。

○小林委員 公開しているのですか。

○柴委員 それについては公開している状況でございます。計算は簡単でして、時間×単価だけなのですけれども、昔、平成14年ごろまでは標準報酬単価というものを協会のほうで、経団連や関係省庁と調整の上出していたのですが、これはいわゆる不正競争防止法に該当する懸念があるということで、それ以来、そういったものは出せずにいます。出したいという気持ちを持っている人は多いと思うのですけれども、出せずに来ております。こういう説明でよろしいでしょうか。

○小林委員 ありがとうございます。

 こうしたコスト計算のモデル、公認会計士協会としてせっかくプロジェクトチームをつくっていらっしゃるということですから、そういうことも議論いただいて、そして厚労省及び今回国が求めるこのガバナンス管理に向けての基準等を含めて、どの程度のところまでだったらどの程度かかるのかというようなことを、ある程度の概算でもいいから示していただくと、いろいろな意味で大変参考になるのではないかと思います。ぜひ、そういうことも検討いただけたらと思います。以上です。

○田中部会長 松原委員、どうぞ。

○松原委員 ぜひ暫定的にと申し上げましたが、そのかわりにと言っては何ですが、余りにも会計管理ができていない法人が多いのは事実ですので、一方で、ぜひ、団体なりでもっと積極的に、今後監査を受けるに当たって内部統制をとれる体制を構築できるように、会計士や税理士などを招いた勉強会をもっともっと充実させていく必要があると思います。そのためのバックアップを、ぜひ、公的にもしていただきたいと考えております。

○田中部会長 松山委員、どうぞ。

○松山委員 今、監査人を置くことによるコスト負担の御指摘がありましたけれども、2014年度の約5,500の社会福祉法人の平均利益率は4.4%です。ということは、収益が10億円あると利益は4,400万円です。つまり負担能力はあるはずです。これは平均値ですけれども、コスト負担ができないというのはちょっとおかしいのではないかと思います。

○田中部会長 藤野委員、どうぞ。

○藤野委員 児童の分野は非常におくれている。なぜかというと、例えば保育園などは事務がずっとついていないのです。事務員がいない。それと、措置の社会的養護の分野ですと、措置施設ですから、措置は使い道が厳格に決まっていて、それ以外は使ってはだめということになっていますし、余ったら返しなさいというスタンスです。そういう中で事務は大体1人です。そういう中で、会計監査人であるとか第三者評価であるとか、いろいろなことをやっていますけれども、費用の、特に社会福祉法人の措置施設だけを運営しているところでは、社会福祉法人の本部の事務に事務員はいない。施設の事務がやっているという状況ですので、なかなか、実際にはいろいろなことをやりたいのですけれども、やはりそれを整えるためには時間がかかると思います。

 そういう状況の施設がほとんどで、例えばうちあたりでも10億は多分超すと思います。しかし、会計監査人を入れてそのためにいろいろな事務作業をどういう形でやるかというのは非常にしんどいです。その費用をどこから出すのかということもしんどい状況だと思います。しかし、それは別にやらないというのではなくて、しっかりやるようにしたいのですけれども、それをやるための準備が必要だと思います。そういう点では、例えば事務をふやすとか、そういうことが必要ではないかと思っています。

○田中部会長 柳川委員、どうぞ。

○柳川委員 

 今回の議論は松山委員などもおっしゃっていたとおり、やはり改正の精神を考えた場合、一度議論して収れんしている、「収益10億円以上、負債20億円以上」という基準できちんとやるということと、それから公費投入の対象ですので、いずれは全ての法人で対応すべきだろうと考えます。

 それから、内部統制については、経理や事務職は人材プールや人材バンクを活用して確保したり、専門家による支援等も活用しながら法人の運営状況をきちんと説明することによって、国民からの不信感を取り除けるのだと思います。それから、会計管理のノウハウを組織の中に蓄積するということは、次の知恵、工夫にもつながりますので、単純に支援が欲しいというのは、やはり説得力がない議論なのかなと考えます。

 それから最後に、段階的に監査を導入するということですので、やはり工程をどうするか、それから、どこのレベルからスタートするのか。また、実際に公認会計士協会の方が出してくださった資料ですと、民間企業と違ってやはり監査対象はそう多くはないと見受けられますので、実際にスタートした事案を見て、会計監査の対象として何が適切なのか、質的なチェックも、ぜひ、並行して行っていただきたいと考えています。

 以上です。

○田中部会長 松原委員、どうぞ。

○松原委員 社福の負担もあるのですけれども、もう一つの問題として、公認会計士側にそれだけのノウハウがきちんと蓄積されているか。これはまだまだだと考えております。なぜかというと、今までそういうところは少なかったので、急に制度化されて来年度からやってと言われても、やはりそれだけの、社福の非営利性や社福の公益性など、そういったことを理解してやらないといけない。単に営利法人と同じ視点でスライドして見るようなやり方ではない方法を、しっかり見ていける人たちを、時間をかけて。長期ではなく短期でいいのですけれども、しっかりと育成していただくためにも、やはり暫定的にならざるを得ないだろうと。別に暫定的といっても逃げているのではなくて、今後対象を拡大していくための方法として、しっかり導入していくためにも、一度暫定的にやってみる。そして問題点を明らかにした上で対応していく体制が必要だろうと思います。今急に入れても、内部統制がとれていないところが多いと思いますので、最初は物すごく費用がかかると思います。一般的なタイプよりも最初はすごくかかると思います。それから下がっていくかと思いますけれども、そういうことも踏まえますと、やはり暫定的にならざるを得ないのではないかと。それは最初は絞り込んだほうが無用な混乱もなく円滑に対象が拡大する方向に行くのではないかと考えております。

○田中部会長 三好委員、どうぞ。

○三好委員 行政の立場から一言言わせていただきます。基本的にはこういう形で議論されるのは、行政の監査の問題と御指摘いただきましたけれども、そのとおりだと私も思っておりますし、その能力を高めていかなければならないと思っております。

 今回、会計監査の制度を導入するという形になりますと、行政の調査、監査も実施しておりますが、そことの連携の問題もあるだろうと思います。そのためには、行政機関としてどういう対応をすべきなのか、どういう準備をすべきなのか。これまでも、社会福祉法人のさまざまな仕組みが変わっております。今年から情報公開制度が拡充されたり、または外部監査の問題等もございまして、それと行政の監査との兼ね合いもございます。

 そういう意味からいきますと、行政サイドの準備といいますか行政サイドの体制も、今回の導入については、ぜひ考慮をしていただきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。

○田中部会長 藤井委員、どうぞ。

○藤井委員 先ほど来、社会福祉法人で会計監査人を活用した会計監査が行われていない、そのための準備期間が必要だということで、私もそう思いますし、そう申し上げました。十分わからないで言っているのですけれども、他の法人といいますか、例えば学校法人であるとか、特に幼稚園を持っている学校法人、あるいは医療法人であるとか、そういったところはもう既にある程度、十分な実績もありますし、会計の専門職の側にも蓄積があると思います。ただ、行政のほうにしても社会福祉法人側にしても、タコつぼ的なところがありまして、そこが十分伝わってきておりませんし、私自身も実は余り知らないで申し上げているのですが、参考になるものは結構あるのではないかと思います。

 ここで申し上げるような話でないかもしれませんが、ぜひ、時間をじっくりかけてくださいというよりは、可及的速やかにやっていただくにしてもある程度時間は必要でしょうという意味で申し上げております。可及的速やかにやるためには、やはり知恵も工夫も必要だと思います。単に時間をかければいいということではありませんので、ぜひ、このあたりはやはり公認会計士協会さんあたりにかなり知恵と汗を使っていただくというようなことをしていけば、例となるものはある程度あるのではないかと思っています。

 以上です。

○田中部会長 対馬委員、どうぞ。

○対馬委員 もともとこの社会福祉法人改革は、社会福祉法人の内部統制がしっかりしていないために社会から大きな批判を受けたことに起因していると考えます。今回、会計監査人を導入するということは、内部統制が守られているか否かを前提にして会計監査をするということです。私は内部統制についてしっかり監査をしなければならないと思います。現在の社会福祉法人の事務体制で会計監査に対応できるのかなという心配をしています。それに対応できる人材は右から左に配置することはできません。まずは対応できる人材を探す。あわせて、監査に対応できる人材の教育を行う。そして社会福祉法人で10億以上の法人全てに会計監査人を導入する、という方向に持っていくべきだと思います。

 一定期間で段階的にスケジュールを明確にするということによって、国民のコンセンサスを得ることができると考えます。これを10年かけて実行する話ではだめだと思います。一定のスパンを決めた上で、人材育成をするために公認会計士協会の指導を受けてから、実際に導入するという方法がベストではないかと思います。

○田中部会長 高橋英治委員、どうぞ。

○高橋英治委員 現在、認定こども園については、外部監査加算ということで、外部監査に対する加算という措置がなされているわけですけれども、今後のことを考えますと、委託費である保育所や措置施設など、ほかの制度について、そういった加算制度のようなものを将来的には設けていくという方向性の考え方というのはおありなのでしょうか。

○田中部会長 課長、どうぞ。

岩井福祉基盤課長 会計監査人制度について申し上げますと、株式会社あるいは公益法人などで先行的に導入されておりますが、これに対する公的支出というのはありません。基本的には、これは社会の構成員である法人におけるガバナンス、あるいは責任を果たすという趣旨で設けられておりますので、これについて例えば監査費用を公的に出すということは、通常はちょっと考えられないのかなと考えております。国民の理解もなかなか得られないのではないかと考えております。

○田中部会長 武居委員、どうぞ。

○武居委員 先ほど松山委員からありましたように、社会福祉法人の譲与の話がございました。そして今の岩井課長の御説明もございましたが、基本的に法人全体でお金が使えるかどうかとか、残っているかどうかという問題ももちろんあるのですけれども、その法人全体のために使えるお金の使途については厳に制限があるわけでありますので、まずはそこの制限を解消するというところが前提にないと、今の議論は無理ではないかと思います。以上です。

○田中部会長 柳川委員、どうぞ。

○柳川委員 今のお話で、制限もあるので難しいというのは非常にわかるのですが、やらないうちからできないというのもまた、国民にとっては、やはり納得がいかないだろうと思います。どうしたら国民の負託にお応えできるのか、説明責任を果たしていけるのかという観点は常に持っていないと、公費が入っているにも関わらず説明責任を果たしていないではないかというような議論が、また出てきてしまう可能性があると思います。

 松山委員もおっしゃったとおり、会計監査を受けていることは、“認証マーク”といいますか、しっかりやっていることをアピールするベネフィットもあり得ますので、各論はわかるのですが、一定の方向性が出ていますので、これはきちんとスケジュールを組んでやるべきではないかと考えています。

○田中部会長 武居委員、どうぞ。

○武居委員 私の言葉が少し足りなかったようであります。

 会計監査人の導入に対して先送りするというようなことではなくて、その費用をどう捻出するかといったときに、例えば少なくとも措置施設や保育所については、施設から法人本部に回すお金についての使途の制限がある。これはもう、今の段階ではっきりしているわけであります。今回の改正について、社会福祉法人のガバナンスを確保するという意味では、当然幾つかの多くの費用が発生するだろうと思います。そして、それらについては当然、社会福祉法人としてやるべきものであるという認識が一方であるにもかかわらず、そこに対しての費用は施設から回せないという話だとすると、これは大変矛盾した話ではないかと思いますので、そのような意見を申し上げました。追加です。

○田中部会長 松山委員、どうぞ。

○松山委員 今の御指摘のところですけれども、私が見た財務諸表の中で、各施設の黒字を本部会計にほぼ全額移してグループ経営をしているところもあるのです。そうすると、今お話しのように、制限があるということであれば、次回で結構ですけれども、事務局のほうで、具体的なルールが現在どうなっているかというのを正確に教えていただきたいと思います。

 というのは、しばしば業界の方が厳しい規制があるとおっしゃるのですけれども、社会福祉法人の中には本部会計を使ってグループ全体の効率化を図っているところもあるので、規制の正しい理解について知りたいのです。

○田中部会長 課長、どうぞ。

○岩井福祉基盤課長 措置制度はなかなか複雑な制度ですので、簡単には申し上げられないのですけれども、今、御議論があった点について申し上げますと、簡単に言うと、1年の収益の3割を限度として法人本部会計に回すことができる。そのほかにもいろいろと、それぞれの事業の使途制限などはあるのですが、一定のそういう本部経費は見られる形にはなっている。

 先ほどから藤野委員、あるいは武居委員がおっしゃっているのは、それでは十分ではないのではないかという御議論ではないかと私は受けとめておりますが、そういうことも含めてこの会計監査人の設置義務の対象の規模を考える必要もあるということで議論が進んできたわけです。

 また、これに限らず、いわゆる措置費等の使途の問題などについては議論すべきという御意見は、この部会でもありましたので、これは並行して議論していきたいと考えております。

○田中部会長 松山委員、どうぞ。

○松山委員 追加のコメントですけれども、私は規制改革会議の健康・医療ワーキンググループの専門委員なので、規制があるからできないというお話があると、すごくうれしいのです。要は、規制を取り払えばちゃんとやってくれるのですねという世界になるからです。ただ、業界の方にそれだけの覚悟があるのかという点がちょっと心配です。

○田中部会長 関川委員、どうぞ。

○関川委員 話を少し戻させていただきたいと思うのですが、事務局に少しお考えを伺いたいことがございます。

 社会福祉法改正法の施行後、例えば外部監査の位置づけは変わるのでしょうか。見直しが必要な点があるのであれば教えていただきたい。これが1点目でございます。

 それから、参考資料の説明があるのかなと思ってずっと待っていたのですが、時間の関係で恐らく、見ておいてくださいという位置づけだろうと思います。参考資料の中で先ほども触れさせていただいた7ページに、会計監査人の会計監査実施内容、重点監査項目で今回、内部統制の確認というものがございます。

企業であれば株主の利益を代表して会計監査人がきちんとこの部分をチェックするというのは、当然必要になるわけですが、社会福祉法人の会計を考えた場合には、行政監査との二重構造になっております。こうした事業における内部統制の確認など、資金管理のプロセス、購買プロセス、固定資産管理のプロセス、人件費プロセスなどのチェックは、既存の行政監査において十分対応できると考えております。行政監査ではできないものなのでしょうか。これについてお考えを伺いたい。

この外部監査の活用と行政監査による内部統制のチェックを速やかに取りかかっていくことによって、段階的に、会計規模の大きな法人から始めるとしても、近い将来会計規模10億の法人にまで拡大するわけですから、内部統制の項目などは、外部監査や行政監査にまかせるなどの整理が可能ではないでしょうか。

 この2点についてお聞かせいただければと思います。

○田中部会長 お答えいただけますか。

○岩井福祉基盤課長 今までの御議論も含めて、今の先生の御質問にお答えいたします。この会計監査人の導入の背景は、社会福祉法人改革の背景とほぼ一致するわけでして、福祉がいわゆる措置から契約に移行する。あるいは措置でもある程度自由化がされるという中で、経営ということが非常に重要になってきた。そういう中で、その一つの経営を見る上での重要な財務会計の分野についてのチェックというものが非常に重要になってきているということがあります。

 今回、この会計監査人制度を導入すると同時に、社会福祉法人会計基準も統一し、かつ、今回、省令化しております。そういう点についての適正性を担保するということが非常に重要になってきているということが前提にございます。

 そういう中で、従来からも所轄庁におきましては、法人の適正な運営を担保していただくという意味での監査はしていただいているのですが、今後、指導監査基準なども見直してまいりますが、この財務諸表の適正性を中心とした会計の適正性の担保というものがクローズアップされるだろうと。指導監査自体を合理化、見直をしてまいりますが、この点については重要になってまいります。

 そういう中で、所轄庁による監査と、こうした専門的な、例えば公認会計士、監査法人による監査というものの中でも役割分担、連携などをしていただくという方向は、この部会でも御議論いただいたとおりでございます。

 したがいまして、一つの考え方でございますけれども、会計監査人による監査、監査証明をいただいているところについての監査の重点化、あるいは所轄庁による監査の省略・重点化ということも、今、検討している状況でございます。

 あわせまして、一方で会計監査人というのは、先ほどから費用の御議論はありますけれども、対馬先生からもありましたように、法人のほうの事務体制というのも大変重要になってまいります。全ての法人に対して導入するというのは、基本的には現実として難しいだろうという認識がありました。したがいまして、この参考資料にございますけれども、別途検討会で御議論いただいている資料にもありますが、例えば8ページにありますけれども、会計監査人非設置法人に対し、いわゆる外部監査的な、従来の外部監査的なものをリバイスしまして、それをやっていただく方向で議論をしております。

 従来の外部監査は、公認会計士または税理士または経理に詳しい方、あるいは識見を有する方という形で、どちらかというと外部評価的な意味合いがございます。こうした機能は今後とも必要と考えておりますが、先ほどから申し上げていますように、財務会計に対するチェックが必要という中で、今後、考えていますのは、公認会計士または税理士といった会計の専門家の活用ということを基本的に進めていきたいと考えております。

 そうした専門家を活用してチェック等を行っている法人に対しては、行政による指導監査もまた重点化していくというような考えでございまして、基本的には財務会計に特化したそういう専門家の活用を図っていきたいという考え方でおります。そうしたことを、この検討会でも御議論いただいている状況でございます。

 そういう意味で、段階的な施行、行政における体制、社会福祉法人における体制整備、そして監査法人においても準備いただくということが必要であろうと考えておりまして、段階的な施行を提案させていただいているということでございます。

○田中部会長 ありがとうございます。

 今も説明がありましたけれども、サービスのクオリティーに関するような外部監査とは全く別に、財務会計についてきちんとしなければ社会は納得しないし、さらに先ほど松山委員が言われたように、これから保育分野、介護分野で働く人たちの処遇改善は社会としての大きな急務です。そこにお金をつぎ込む以上、一方ではこのような財務会計に関する内部統制がきちんとしていなくては国民が納得できないので、ということですね。

 藤井委員、どうぞ。

○藤井委員 今ほど関川委員のほうで参考資料について言及いただいたので、私もちょっと。説明がなさそうなので、ちょっと気になった点ですが、同じく今見ていただいている参考資料1-2の5ページあるいは6ページ、7ページということで、会計監査の実施範囲あるいは実施内容ということが書かれています。実施範囲と実施内容については書き方が変わっておりまして、実施内容については「○○が考えられる」というような文章で終わっておりますので、例えばこれは、基本は先ほど申し上げましたように、経営側と監査側が議論の上、どのようにやるかを考えるけれども、行政側の意思、厚労省側の意思としては、こういったものを重点化してはどうかということで、こういう形でお示しいただくというのは、今後を考える上では、スタート点としては非常にいいのではないかと思います。

 一方で5ページ、6ページというのは、これはどういう議論があったのかがよくわからないのですけれども、5ページの下に「必要に応じて、拠点区分別の計算書類及びそれらの附属明細書についても確認の対象となる」と書いてございます。基本はこのとおりだと思うのですが、ただ、社会福祉法人の財務会計というのは特徴の一つとして、拠点区分別の会計も財務会計の対象になっているということで、非常に不思議といいますか、これはお金の出し方の都合上そうなっているわけです。

 ということは、例えば拠点ごとに措置がある、保育がある、高齢があるということを積み上げたものを見ても、積み上げた結果だけではわからないことが結構あると思います。ですから、ここの下に書いてあるように、まさに「必要に応じて」ということなのですが、必要に応じてというのはなかなか、やらないケースもありますので、むしろこれは、例えば計画的に、各拠点について監査側と法人側で計画をつくった上で、ことしはこの拠点をやるといったようなものも考えられますし、何を申し上げているかというと、7ページのところでは行政側の希望という形でお書きいただいていると思うのです。「考えられる」ということで、考え方を書いておられると思うのですが、5ページの下の書き方をむしろ「必要に応じて」というよりは、拠点が多様なサービスをやっている場合は特に計画的に拠点の会計も見ていただくという視点が必要ではないかということが1点です。

 ただ、拠点ごとにやるとコストが非常にかかるということがあります。コストをかけないように計画的にということで、毎年1つずつ見るといった考え方はあると思うのですが、仮に例えば法人全体が変だということになったときに、拠点も見なければいけませんということは、監査側としてはおっしゃると思うのです。拠点を見ましょうということになると膨大な費用がかかりますというような話を、どのようにされるのかというのは結構重要な話だろうと思います。

 というのは、やはり一般の法人ですと拠点ごとに会計のやり方が違うとか、そこに基づいている措置と保育と障害や高齢とでは考え方が違うとか、あるいはこれが現時点では所轄庁によってどの程度お金を動かしていいか悪いかというのが指導のレベルといいますか口頭のレベルで話が違うということをよく聞きますので、ちょっとこのあたりの、拠点区分が管理会計の対象になっているということを十分重視した上で、ぜひ、検討会のほうでおやりいただいている議論を、行政側の希望という形で「こんなことが考えられる」というような例示をしていただいたほうが、今後、監査側と経営側が考えやすくなるのではないかと思います。とにかく拠点ごとに会計のあり方が違うというのは大きな問題だと思います。

 以上です。

○田中部会長 検討会はまだ結論を出しておらず、これは現時点での中間の議論ですので、ただいまの意見を参考に、さらに検討会で議論してください。

 きょうは時間の都合もありますので、検討会については開催していますという報告でいいですね。

○田中社会福祉法人制度改革推進室長 もしお時間をいただけるようでしたら、議論の紹介だけさせていただけますでしょうか。

○田中部会長 時間がありませんので、ごく簡単にお願いします。

○田中社会福祉法人制度改革推進室長 ほとんどお時間がない中で大変恐縮ですが、参考資料1-1と1-2について。前回この場で御報告させていただきました検討会での今の議論の状況について御報告をさせていただければと思います。

 参考資料1-1が検討会で議論されている基本的な方向性ということで、会計監査人候補者の選び方、会計監査の実施範囲、会計監査の実施内容、会計監査人非設置法人に対する専門家の活用方法。以上4点についておおむねの方向性をまとめていただいたというものでございます。

 参考資料1-2の1ページ、会計監査人候補者の選び方についてでございます。基本的には提案書、見積書を入手いただいて、会計監査人の候補者を選んでいただく。この際、資料1-2の2ページ、3ページにあるような基準、これは独立行政法人の基準を参考にうちのほうで再構成したものですが、こうした基準も参考に候補者を選んでいただくということが1点。

 また、1ページ戻りますが、上の3に「予備調査及び改善期間」とありますように、予備調査というものを実施いただきます。詳細は4ページにございますが、会計監査人候補者が社会福祉法人の監査に協力する体制にあるかどうか、そういったことを確認するための予備調査を行う。こうしたことを経て実施をしていただくということが1点でございます。

 次に参考資料1-2の5ページ目以降は会計監査の実施範囲ということで、今、社会福祉法人の皆さんには、非常に多くの書類、いわゆる財務諸表、計算書類及び附属明細書をつくっていただいているわけですが、この監査の対象範囲をどうするかということで、これは一つ公認会計士さんの監査証明という意味では第1様式及びそれに関する附属明細書ということでございます。

 ただ、今ほど藤井委員からもお話がありましたとおり、そこを監査の証明範囲の対象とはいたしますが、参考資料1-2の5ページの一番下にあるように「証明範囲としては上記とするが、法人単位の計算書類及びその附属明細書は拠点区分別の積み上げであるため、必要に応じて、拠点区分別の計算書類及びそれらの附属明細書についても確認の対象となる」ということで、当然、そういったことも確認した上で、第1様式の監査証明を出すということでございまして、決して拠点を見ないということではございません。

 それをどのように見ていくかというのは、これはもう会計監査人の御判断で、施設ごとの類型によっても変わってきます。それをどのようにやっていくのがいいのかということで、類型化できるかどうかといったことはまた検討していきたいと思っております。

 7ページは会計監査の実施内容ということで、基本的に会計監査を実施するに当たっては、当然、会計監査人の独立性がありますので、会計監査人の御判断だということもありますが、一方で我々は今回こういう形で会計監査を義務づけたということですから、では重点的にどこを見ていただきたいかということはお示しする必要があるのではないかと。大きく内部統制といっても、その事業にかわる内部統制と法人全般にかかる内部統制がある。事業にかかる内部統制にも収益プロセス、購買プロセス等々があるわけですが、やはり社会福祉法人におかれましては、購買プロセス、資金管理プロセス、固定資産管理プロセス、人件費プロセスというところに、過去、課題があったのではないかと。したがって、こういったところを重点的に見ていただく必要があるのではないかということを、我々としてお示ししたものでございます。

 ただ、繰り返しになりますが、7ページの右下にも注がございます。「(注)会計監査を受ける法人の状況や公認会計士が行う監査手法等により内部統制の確認方法はさまざまである」ということですが、これはあくまで行政側として、こういうことでやっていただいてはどうかということでお示ししたものでございますので、今後、会計監査人がどう見ていくか、あるいは実施していく中でどこに重点を置くべきか、これは当然、変わり得るものと考えています。

 最後に8ページでございます。会計監査人非設置法人に対する専門家の活用方法ということで、この部会でいただきましたとおり、会計監査人を置かない法人に対しても、きちんと会計監査でその体制整備状況を点検していくべきではないかという御意見をいただいたことを踏まえて、どういうことができるのかということを、公認会計士あるいは税理士をどう活用していくか。特に前回は税理士協会の瀬上理事から、税理士協会としてどういう取り組みができるのかということの具体的な取り組みを御紹介いただきまして、例えばチェックリストの作成とか、そういった支援ができるということを税理士協会の方から御案内いただきました。そのようなことも参考に、どのような手法で社会福祉法人の支援ができるかということを引き続き検討してまいりたいと考えております。

 大変雑駁な説明で恐縮ですが、以上でございます。

○田中部会長 検討会についてはまた進展状況、あるいは最終報告を適宜この部会に報告してください。

 また委員であります松原委員、柴参考人、よろしく議論をお続けください。

 ちょうど予定の時刻となりました。本日の審議についてはここで終了とさせていただきます。

 次回の開催については追って事務局より連絡するようお願いいたします。

 本日は御多忙の折お集まりいただき、かつ活発に議論をいただいたことに感謝いたします。どうもありがとうございました。

 


(了)

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