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2016年8月23日 第1回食品用器具及び容器包装の規制に関する検討会 議事録

医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部基準審査課

○日時

平成28年8月23日(火)10:00~12:00


○場所

航空会館 5階 501+502会議室
〒105-0004 東京都港区新橋1-18-1


○議題

1.座長の選出
2.検討会の開催趣旨について
3.食品用器具及び容器包装の現行制度及び現状について
4.検討に当たっての主な論点(案)について
5.今後の検討の進め方、スケジュール(案)について

○議事

○海老補佐(事務局) 定刻よりも少し早いですが、皆様おそろいいただいているようですので、始めさせていただきます。それでは、第 1 回食品用器具及び容器包装の規制に関する検討会を始めます。私は、検討会の進行役を務めさせていただきます基準審査課の海老と申します。よろしくお願いいたします。構成員の皆様におかれましては、本日は御多忙のところ本検討会に御出席いただき、誠にありがとうございます。まず、開催に当たり、生活衛生・食品安全部長の北島より御挨拶を申し上げます。

○北島部長 皆様おはようございます。生活衛生・食品安全部長の北島でございます。どうぞよろしくお願いいたします。本日は御多忙の中そして、朝早くからお集りを頂きまして誠にありがとうございます。開催に当たりまして一言御挨拶申し上げます。食品の安全を守ることは国民の健康の保護の観点から、大変重要なミッションでございまして、お集まりの構成員の先生方にも日頃から食品安全に取り組んでいただいていることに改めて御礼を申し上げます。

 我が国では、食品、そしてそれらを包むための器具、容器包装を含めまして、食品衛生法で必要な規制が行われているところでございます。このうち、食品用の器具及び容器包装の規制は使用を制限する必要がある物質についてのみ規制をするという、いわゆるネガティブリスト制度を採用しております。一方欧米等では、使用が認められた物質以外は使えないという、いわゆるポジティブリスト制度を採用しており、このポジティブリスト制度は近年、中国などのアジア諸国でも導入されつつございます。

 本検討会は学識経験者、消費者、地方自治体、業界関係者等の幅広い構成員の皆様に御参画を頂きまして、規制のあり方と目指すべき方向性、また制度を導入するとした場合の課題と対応等について御検討いただき、今年度末を目途に、御意見を取りまとめていただきたいと考えているところでございます。構成員の先生方におかれましては、それぞれ専門のお立場から忌憚のない御意見を賜りますようお願いを申し上げまして、挨拶とさせていただきます。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。

○海老補佐(事務局) ありがとうございました。それでは、冒頭のカメラ撮影はここまでとさせていただきます。カメラの方におかれては、退室をお願いいたします。

 続きまして本検討会の構成員の御紹介をさせていただきます。議事次第の裏側の構成員名簿を御覧ください。五十音順に御紹介させていただきます。日本フランチャイズチェーン協会専務理事伊藤廣幸構成員、慶應義塾大学医学部教授大前和幸構成員、全国消費者団体連絡会政策スタッフ小倉寿子構成員、日本生活協同組合連合会品質保証本部安全政策推進部長鬼武一夫構成員、日本乳容器・機器協会技術統括委員長小野和也構成員、ポリオレフィン等衛生協議会専務理事重倉光彦構成員、全国清涼飲料工業会技術部長中嶋伊和夫構成員、埼玉県保健医療部食品安全課長西川裕二構成員、日本食品衛生協会食品衛生研究所化学試験部化学試験課長野田晴美構成員、日本ポリプロ(株) 品質保証部長古橋裕之構成員、大妻女子大学家政学部食物学科教授堀江正一構成員、東洋製罐(株) テクニカル本部基盤技術部製品アセスメントグループ主査松井秀俊構成員、国立医薬品食品衛生研究所食品添加物部第三室長六鹿元雄構成員、FOOD COMMUNICATION COMPASS 代表森田満樹構成員、千葉大学法政経学部准教授横田明美構成員です。

 また本日、参考人として、前日本プラスチック食品容器工業会専務理事及び前日本プラスチック工業連盟広報委員長の金澤様、国立医薬品食品衛生研究所安全性予測評価部長の広瀬様にも御出席を頂いております。

 引き続き事務局を紹介いたします。まず、大臣官房健康、生活衛生担当審議官の橋本、生活衛生・食品安全部企画情報課長の長田、監視安全課長の道野、基準審査課長の山本、基準審査課残留農薬等基準審査室長の黒羽です。その他は座席表のとおりです。

 次に、本検討会における座長の選出を行います。今回、御検討いただく内容は食品自体ではなく器具及び容器包装です。このため、食品衛生の観点から特に留意すべきことは、器具及び容器包装が食品と接触することで、微量の構成成分が食品へ移行し、人が摂取することによる健康への悪影響を防止するという点であり、公衆衛生、化学物質のばく露評価、安全性評価といった要素を含むことから、事務局としては、専門家である慶應義塾大学医学部教授の大前構成員を御推薦したいと考えておりますが、いかがでしょうか。

                                   ( 異議なし )

○海老補佐(事務局) 特段の御意見がなければ、大前構成員に座長をお願いしたいと思いますが、大前構成員、よろしいでしょうか。

○大前座長 承知いたしました。よろしくお願いいたします。

○海老補佐(事務局) ありがとうございます。それでは、大前構成員に座長をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○大前座長 それでは、これから審議を開始したいと思います。皆様の御協力を、どうぞよろしくお願いいたします。私は所用で時々出られない可能性もありますので、座長代理を決めたいと思いますが、恐縮ですが、可能であれば以前の検討会からの経験があります堀江構成員にお願いしたいと思います。よろしゅうございますか。それではよろしくお願いいたします。

 それでは、早速本日の審議に入りますが、まずその前に、資料の確認を事務局のほうからよろしくお願いいたします。

○海老補佐(事務局) 本日配布しました資料は、議事次第、配付資料一覧に続いて、資料 1 5 、参考資料 1 2 を議事次第に記載のとおり配布させていただいております。不足等ありましたら、事務局までお申し出ください。

○大前座長 いかがでしょうか。よろしゅうございますか。なければ、また後ほど事務局のほうにお申し付けください。それでは、本日の議事次第に従いまして、まず検討会の開催趣旨から説明をよろしくお願いいたします。

○黒羽室長(事務局) それでは、資料 1 「食品用器具及び容器包装の規則に関する検討会開催要領」です。

1 .趣旨」ですが、部長の挨拶の中でも触れられておりましたが、我が国の食品用器具及び容器包装は食品衛生法に基づき規格基準が定められておりますが、その規制の仕組みはポジティブリスト制度を採用している欧米と異なり、国際的な整合性が取れていません。このため、有識者からなる検討会を設置し、国内外の知見や進歩に関する調査等を行い、昨年 6 月に中間取りまとめを作成しております。中間とりまとめについては、参考資料 2 にありますので、御参照いただければと思います。この中間取りまとめを踏まえて、具体的な仕組みを検討することを目的として本検討会を開催するものです。

 「 2 .検討事項」ですが、御議論いただきたい事項については、 (1) 規制のあり方と目指すべき方向性。 (2) ポジティブリスト制度を導入する方向であればですが、ポジティブリスト制度の具体的な仕組み、これには適用する範囲や具体的な手法などを含みます。 (3) ポジティブリスト制度を円滑に運用するために必要となる仕組みです。これは例えば事業者間等の情報伝達を確保する仕組みを含みます。この (2) (3) については、中間取りまとめでも課題として取り上げられている事項です。説明は以上です。

○大前座長 今、御説明がありましたような目的でこの検討会を開催するということですが、今の点で御意見あるいは御質問がありましたらお願いいたします。

 それでは、続きまして、器具・容器包装の現行制度あるいは現状について、事務局より説明をよろしくお願いします。

○黒羽室長(事務局) それでは、資料 2 を御覧ください。各スライドの右下に番号が記載されておりますので、その 2 ページを御覧ください。食品用器具及び容器包装は接触した食品の安全性を確保する観点から食品衛生法により規制がされています。このスライドは食品衛生法に基づく食品の規制の概要を示したものです。食品衛生法の関連条文の抜粋については参考資料 1 にありますので、適宜御参照ください。

 食品衛生法の目的は、公衆衛生の見地から必要な措置を講ずることにより、飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、国民の健康の保護を図るということです。この目的を遂行するために、食品等の販売等の禁止及び規格基準の策定が規定されています。販売等の禁止の具体的な事項については、例えば食品衛生法第 6 条に、食中毒などを起こす可能性の高い腐敗・変敗、有害な食品等の販売の禁止等の規定があります。

 また右側の規格基準の策定については、法第 11 条に、食品ごとに公衆衛生上必要な規格や製造・加工・保存等の基準を定めることができ、この規格基準に適合しないものについては販売等が禁止されるという規定があります。

 一番下の欄ですが、このような販売禁止食品や規格基準に適合しない食品の取締りや、食品等の衛生的な取扱いが行われるよう、自治体における監視指導や検疫所における輸入食品の監視が行われています。右下に、これらの監視指導が適切に行われるよう、検査命令や営業の取消し、刑事罰などの規定があります。

3 ページは、食品衛生に関する行政機構について図示したものです。先ほど説明しましたが、厚生労働省では食品衛生法に基づき、食品衛生に関する規格基準の策定等を行っております。また、国内の監視業務は厚生労働省と相互連携を図りながら、都道府県、保健所設置市、特別区で実施しております。厚生労働省の機関である地方厚生局では HACCP 施設の承認・検査等を、検疫所では輸入食品の検査等を実施しています。また、左上の部分で三角形になっている部分ですが、食品等の規格基準の策定については、事前に食品安全委員会にリスク評価を依頼するなど、関係行政機関とも綿密な連携を図っているところです。

4 ページは、先ほども説明しましたが、食品衛生法に基づく規格基準について示したスライドです。規格基準とは食品等が満たしていなければならない標準です。例えば残留農薬については、それぞれの農薬ごとに米などの農産物や牛肉などの畜産物に基準値が定められており、それを超えた食品等の販売は禁止されています。食品では残留農薬のほか、重金属や放射性物質などの汚染物質、微生物、カビ毒等の規格基準が定められています。また、食品添加物については、法第 10 条により、厚生労働大臣の指定する添加物以外の使用は禁止されておりまして、今年の 4 月現在では 449 品目が指定されています。このほか、本検討会で御議論いただく器具・容器包装や乳幼児用のおもちゃ、洗浄剤についても規格基準が設定されています。

5 ページは器具・容器包装の食品衛生法における関係条文を記載してあります。先ほど 2 ページで食品衛生法における食品の規定を説明しましたが、器具・容器包装についても食品と類似した規定がなされています。第 15 条では営業上使用する器具及び容器包装は清潔で衛生的でなければならないという規定が、第 16 条では有害有毒な物質が含まれ、人の健康を損なうおそれがある器具・容器包装の販売等の禁止が、第 17 条では特定の国や地域で製造される器具・容器包装が、人の健康を損なうおそれのある場合については、包括的な輸入の禁止ができる規定が、また第 18 条では器具・容器包装の規格基準の策定ができる規定があります。

 輸入品に関しては第 26 条で、規格基準違反の蓋然性の高い製品について、検査を行うことを命じる検査命令の規定が、第 27 条には輸入時には検疫所に届出を義務付ける輸入の届出の規定が、第 28 条には食品衛生上の監視指導のための臨検検査、収去の規定があります。

 また、第 55 条の許可の取消し等では、食品衛生法に違反する業者に対する営業の禁止規定、第 58 条には食中毒の発生時には食中毒の届出の規定が、第 72 条、第 73 条には違反した場合の罰則が規定されています。

6 ページは食品衛生法における器具・容器包装の定義を記載しています。器具はこのイラストにあるようなコップ、皿、フォークなどの飲食器、鍋や調理器具のような割ぽう具、その他、食品等に直接接触する機械や器具、ここではコーヒーなどを紙コップで提供する自動販売機を示していますが、この販売機の中の水を入れるタンク、ホースなど食品に直接接触する部分が該当します。また、容器包装とは食品や添加物を入れ、又は包んでいるもので、そのまま引き渡すものをいい、このイラストのように清涼飲料水や牛乳などのボトルや紙容器、弁当の容器、加工食品の容器包装、缶詰の缶などが該当します。

7 ページを御覧ください。食品衛生法の規格基準は「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」と「食品、添加物等の規格基準」の 2 種類があります。前者は牛乳や発酵乳などの乳製品の規格を定めたもので、それに用いる器具や容器包装についても規定がされています。一方、乳や乳製品以外に使用される器具・容器包装については右側の食品、添加物等の規格基準によって、一般規格とガラス、陶磁器、ホウロウ引き、合成樹脂、ゴム、金属缶ごとの規格基準と、用途別規格及び製造基準が定められています。

8 ページは器具・容器包装の原材料の一般規格について記載してあります。金属製のものについては鉛などの重金属についての限度値が、化学的合成品の着色剤については食品衛生法施行規則別表第 1 、これは指定添加物の表となりますが、これ以外のものを使用してはならない旨が規定されています。油脂又は油脂性食品を含有する食品に接触するものについては、フタル酸ビス (2- エチルヘキシル ) を原材料として使用したポリ塩化ビニルを主成分とする合成樹脂の使用禁止、紙製の容器については、紙中の水分や油分が増加する用途や、長時間の加熱を行う用途には、古紙を原材料としたものを使用してはいけない旨等の規定がされています。

9 ページは食品、添加物等の規格基準における材質別規格を取りまとめたものです。ガラス製、陶磁器製、ホウロウ引きについては溶出試験としてカドミウム、鉛について基準が定められています。また合成樹脂については一般規格において材質試験でカドミウム、鉛が、溶出試験で重金属、過マンガン酸カリウム消費量が定められています。また、 14 種類の樹脂別にモノマーや蒸発残留物等の個別規格が定められています。

10 ページは 14 種類の合成樹脂についての個別規格を示したものです。これらの汎用されている合成樹脂については、それぞれの特性に応じて材質試験及び溶出試験が定められています。例えば、一番上のフェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂では、原材料として使用しているフェノールやホルムアルデヒドの溶出試験が規定されています。また容器包装から溶出する物質を包括して規制するために、蒸発残留物について規定されています。蒸発残留物については、食品疑似溶媒に溶出させ、溶媒を蒸発させた後に残留した不揮発性物質、主に無機化合物の添加剤を総量として規制しています。

11 ページは食品、添加物等の規格基準に定められている器具・容器包装の用途別の規格を示したものです。加圧殺菌やコップ式の自動販売機の器具・容器包装など、特別な注意が必要なものについて、用途別の規格を定めています。

12 ページは乳等省令に定められている乳や乳製品の器具・容器包装について示しています。乳や乳製品については、乳幼児や子供が多く摂取することや食中毒が発生しやすいことから、食品衛生上、特に注意すべきものとして、その他の食品とは別に「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」で規格基準が定められています。乳等に使用する器具・容器包装についても、この乳等省令で規定されています。

13 ページです。ここまでは食品衛生法に基づく器具・容器包装の規制内容を説明してまいりましたが、これに加えて我が国では業界独自の取り組みとして、ポリオレフィン等衛生協議会、塩ビ食品衛生協議会及び塩化ビニリデン衛生協議会において自主的な取り組みがなされているところです。この 3 つの衛生協議会は、通称三衛協と呼ばれておりますが、それぞれ担当する熱可塑性樹脂について、使用される原材料の評価を行い、それぞれの団体で使用を認められた物質のリストを定めております。このリストには材質ごとに含有量又は溶出量の規制が定められており、会員会社はこのポジティブリストに従った製品を製造しています。また、食品衛生法に基づく樹脂別の基準に加えて、上乗せした基準と試験法を定めております。このように我が国では食品衛生法に基づく安全規制と、業界の自主基準により一層の安全性を確保しています。

14 ページです。三衛協では自主基準の設定のほか、確認証明制度という制度を持っております。左下のイラストを御覧いただきたいのですが、合成樹脂は樹脂の本体となるモノマーからポリマーを作る企業と、それ以降の添加剤を加えて、フィルムやシートを製造する企業、器具・容器包装を製造する企業がそれぞれ異なることが多いことから、購入する原材料が、三衛協のポジティブリストに適合するか否かを自社で確認することが困難な場合があります。このため、三衛協では原材料又は半製品について申請をしてもらい、申請者の製品が自主基準に適合しているという証明書を発行する確認証明制度を運用しています。この制度によって他社から製品を購入する場合や、それに添加剤等を加えて製品にした場合についても、配合量などの秘密事項を開示することなく、自主基準に適合することについての情報を伝達することが可能となっています。

15 ページです。上の表は、平成 26 年度の、自治体が実施している国内流通品の監視指導の実績を示したものです。器具・容器包装については、 1,261 件について収去検査が行われており、そのうち 2 件が不良検体で、率にして 0.16 %となっています。下の表は輸入時の検査状況で、検疫所で行われているものです。器具・容器包装は 16,513 件について検査が行われており、 64 件の違反が認められ、違反率は 0.39 %です。

16 ページです。これまで我が国の器具・容器包装の規制の仕組みについて説明してまいりましたが、今度は諸外国の制度について御説明いたします。ここでは、諸外国において、いわゆるポジティブリスト制度による規制をしているか、いわゆるネガティブリスト制度による規制をしているかを示しています。いわゆるポジティブリスト制度とは、使用を原則禁止した上で使用が認められている物質をリスト化して示す制度で、米国、 EU を初めとして、中国、インドネシア、ヴェトナムなど、多くの国でポジティブリスト制度となっております。

 それに対して、使用を原則認めた上で使用を制限する物質をリスト化しているのがネガティブリスト制度と言われるものです。我が国の食品衛生法による規制やカナダ、ロシアなどが該当しています。また、韓国、タイなどネガティブリスト制度を現在採っている国でも、ポジティブリスト制度の導入を検討している国もあります。

17 ページです。ここでは米国と EU と我が国の規制の状況について比較しています。米国のポジティブリスト制度では、合成樹脂、紙、ゴムについてポジティブリストを作り、規制しています。合成樹脂については、ポリマーの樹脂ごとに、使用可能なモノマー、添加剤、その含有量の上限について規定しています。また、 2000 年以降、承認の迅速化を図るために、個別製品ごとに申請者が申請を行い、使用を認める制度である FCN 制度が新設されています。また、原材料事業者も含めた企業による適正製造規範 (GMP) を要求しています。なお、事業者間の情報伝達に関する規定はありません。

EU においては、合成樹脂について 2010 年からポジティブリスト制度となっており、モノマー、添加剤ごとに溶出量や使用条件が規定されています。また、製品及びその原材料を構成する成分の総溶出量についても規定されています。米国と同様に、原材料事業者も含めて、適正製造規範に従った製造を義務付けるとともに、米国にはない、業者間の情報伝達のための適合宣言書と呼ばれる、ポジティブリストに適合しているという情報を製品に付けること等を義務付けています。

 我が国では、食品衛生法においてはポジティブリスト制度とはなっておりません。一方で 13 14 ページで説明しましたが、熱可塑性樹脂については、三衛協の自主基準によりポジティブリスト制度が整備されており、企業間の情報伝達として確認証明制度が運用されています。

18 ページは、欧米のポジティブリストの記載のイメージを示したものです。米国では器具・容器包装に使用される添加物については、 FAP( 食品添加物申請制度 ) に基づいて、間接食品添加物として規定されているものについては、誰でも使用可能となっています。もう 1 つの制度は FCN 制度 ( 食品接触物質上市前届出制度 ) で、食品添加物申請制度では評価に時間が掛かることから、申請した企業に限り使用を認める制度です。

EU の制度では物質名や CAS 番号のほか、 SML という食品への移行量の限度値や、使用できる樹脂の制限が記載されているものもあります。

19 ページです。このような欧米等の国際的な流れを受けて、ポジティブリスト制度に向けての課題と検討の方向性を整理するために、平成 24 7 月から基準審査課長の検討会として、ここに名前が記載されている構成員の検討会を開催しております。国立医薬品食品衛生研究所の広瀬構成員を座長として、本検討会の構成員でもある堀江構成員、六鹿構成員も含めた有識者によって食品用器具・容器包装の規制のあり方に係る検討会を設置して、昨年 6 月に中間取りまとめを作成しております。

 中間とりまとめの概要についてご説明します。 20 ページを御覧ください。経緯・背景としては、ここまで説明してきたとおり、欧米等ではポジティブリスト制度を導入している一方、我が国では導入されていないことから、欧米の制度の実態や我が国の業界団体が実施する自主管理の内容を調査して、使用されている化学物質の管理のあり方を検討したものです。

21 ページです。ポジティブリスト制度の制度化への課題として、次の 3 つに整理されています。

1 つ目はリスク管理する化学物質についてです。ポジティブリスト制度では、個々の原材料について、毒性等の情報により、その溶出量や含有量の限度値を決める必要があります。そのため、使用されている化学物質の種類、毒性等の情報を網羅的に把握する必要があります。

2 つ目は企業間における情報伝達についてです。これまでも説明してまいりましたが、合成樹脂においてはポリマーを製造する、いわゆる川上企業と、添加剤を加え最終製品を製造する川下企業があることから、原材料の情報が適切に伝達される必要があります。

3 つ目は事業者による適切な製造管理と、実効的な履行確保についてです。米国や EU では適正製造規範 (GMP) が原材料の企業を含め、義務付けられています。また、行政等によって、実効的な履行確保が必要です。

22 ページは、これらの課題について対応と方向性をまとめたものです。

1 つ目のリスク管理すべき化学物質については、三衛協の自主基準を含めて、使用されている化学物質の情報を幅広く収集し、整理すること、科学的な評価に必要なデータの範囲を検討することなどです。

2 つ目の企業間における情報提供ですが、企業情報を守りながら、製品に使用されている化学物質の情報が適切に伝達されるように、米国のような情報の提供を含めた契約を結ぶこと、また、業界の実施している確認証明制度を利用することが提案されています。

3 つ目の製造管理と実効的履行確保ですが、行政側はガイドラインを提示すること、分析法の開発により効果的な検査を行うこと、輸入品にも実効的な履行が可能となるような仕組みを検討することが挙げられています。

 その他として、各国の輸入品の取扱いや、食品用器具・容器包装の実態を把握すること、企業秘密への配慮などが記載されています。

23 ページです。中間取りまとめにおける当面の施策について記載されています。将来のポジティブリスト制度の導入を見据えて、製造管理や情報伝達の自主管理ガイドラインの検討を行い、これに業界のポジティブリストを参考として付けて公表すること。リスク管理すべき化学物質の情報や各国の制度、事業の実態を把握し、整理すること。評価方法として、化学物質の食品への移行量の把握手法の開発や科学的データ等について検討すること。汎用性の高い添加物など、一斉分析法を開発することとされています。

この方針に基づき、本検討会の構成員でもある六鹿構成員に昨年度、厚生労働科学研究により自主管理ガイドラインについて検討を頂くなど、対応を進めているところです。

 続きまして、食品用器具・容器包装の現状について御説明します。 24 ページを御覧ください。これは食品包装用途材料及び製品の出荷量について示したものです。このデータでは推定出荷量の多くは国産品となっていまして、一番多い液体紙容器では 30 万トン、次に多い OPP フィルムでは 17 万トンとされています。

25 ページです。食品や器具・容器包装等の食品関連の輸入状況を示したものです。平成 26 年度においては、輸入重量は 3,200 万トンで、その約 7 割は農産食品、農産加工食品です。器具は 75.5 万トン、容器包装は 10 万トンとなっておりまして、全食品関連の輸入量からの割合は 2 %程度となっています。なお容器包装には輸入時に食品を入れているものは含まれていません。

26 ページです。器具・容器包装の輸入状況で、平成 17 年度から平成 26 年度の届出件数と輸入重量をグラフにしたものです。届出件数は平成 17 年度の約 20 万件から年々増加しておりまして、平成 26 年度では 51 万件と約 2.5 倍になっています。輸入重量についても、平成 20 年度から平成 22 年度に一時的に減少しておりますが、それ以外ではおおむね増加傾向にあって、平成 26 年度では 86 万トンになっています。

27 ページは器具・容器包装の輸入状況を円グラフにしたものです。国別では中国からが 6 割を占めており、タイ、スリランカ、韓国、 EU の順となっています。材料別では合成樹脂製が 23 %、ガラス製、陶磁器製、ホウロウ引き製が 19 %等となっています。

28 ページは材質別の輸入国をグラフにしたものです。合成樹脂では中国からの輸入が 54 %、続いてタイ、韓国、台湾の順になっています。真ん中のガラス製、陶磁器製、ホウロウ引き製については、中国からの輸入が 44 %、スリランカが 40 %等となっています。右のゴム製ではマレーシアが 47 %、中国、タイの順となっています。

29 ページは我が国の容器包装の事業者数について示しています。従業員数が 4 名以上の事業者数の統計ですので、全ての数とは言えませんが、陶磁器製和飲食器事業者が 585 件、洋飲食器が 134 件などとなっています。

30 ページは我が国の食品関連の営業施設数を示したものです。「営業許可の要否」の欄で「要」となっているのは、自治体が営業許可を必要としている業種で、飲食店営業、乳類販売業、食肉販売業等についてそれぞれの件数を示しています。その下の「不要」については、自治体の営業許可が必要ない業種で、器具・容器包装、おもちゃ等の製造業又は販売業については、下から 2 つ目に記載されておりますが 87,582 施設となっています。

31 ページです。先ほどの営業者数では、おもちゃが含まれており、また、販売者も含まれていましたので、器具・容器包装製造者の実数を推計するために、本年 3 月に全自治体にアンケート調査を実施しております。その結果、自治体独自に営業届出制度を導入しているのは 19 自治体あって、そのほか 36 自治体で製造者数を把握していました。それを合計した製造者数は 523 社でした。なお、それぞれの自治体における製造者数はこのグラフに示しているとおり、 1 10 社については 26 自治体と、多くの自治体では製造者数は少数であることが分かりました。ただし、 101 件以上の自治体もありました。

 また、販売等を含めた取扱事業者数については、営業届出制度を導入している自治体が 15 自治体ありました。そのほかに事業者数を把握している自治体は 38 自治体で、合計 17,065 社でした。説明は以上です。

○大前座長 資料 2 について説明をしていただきました。今の説明にもありましたように、今後ポジティブリスト制度等の規制のあり方を検討するに当たりまして、器具・容器包装の中でも合成樹脂が 1 つのテーマであると思われます。しかしながら、合成樹脂製と言いましても多種多様であるために、本日、参考人としてお越しいただいている金澤様より、食品用の合成樹脂の容器包装について、実際にどのような種類があるのか、皆様の目の前にいっぱい容器がありますが、これらの説明をしていただきたいと思っております。

 それから、資料 2 も含めて、御質問は金澤様、広瀬様のお話を伺った後にしていただきたいと思います。よろしくお願いします。それでは、金澤様よろしくお願いいたします。

○金澤参考人 御紹介いただきました金澤でございます。よろしくお願いいたします。私は、約 50 年間といいますか、 1967 年にプラスチックの材料メーカーに就職しまして、正確には 49 年経つわけですが、その間、食品用の包装容器について、いろいろなものを開発、製造、販売してまいりました。最初に御紹介いただきましたときに、日本プラスチック食品容器工業会前専務理事という御紹介がありましたが、実はプラスチックの食品包装用の容器製造までの仕事をしていた会社を定年退職しまして、その後、今、申し上げましたような工業会に 4 8 年勤めまして、この 5 月で退任しましたものですから、現在は全く仕事をしていない状況です。

 私に 20 分ぐらいで食品用の容器包装の説明をするようにというお話がありまして、実際に事務局にこういうサンプルをたくさん集めていただいたり、机上配布資料で食品容器の御紹介資料も作っていただいたり、小冊子の「食品用プラスチック容器包装の利点」を準備していただきましたので、その内容について、日頃、毎日のように見慣れているものだとは思うのですが、こういう内容なのかということもイメージとしてつかんでいただければと思います。

 今の資料 2 の御説明のときに少し気になったのは、我々のプラスチックの食品用の包装は、どのぐらい使われているものだろうかということに際して、スライドナンバー 24 で「主な食品包装用途材料及び製品の出荷量」と、これが大体消費者の方がお使いになっている市場規模というおつもりで出されたかと思うのです。フィルムは正にこういうものを袋にしたりして市場に出回っているのですが、今、こういうサンプルとか、いろいろなボトルとか、そういうものの数字は、ここで言えば PSP シートという部分しか入っていないのです。実際には、このサンプルで配布されています、これが PSP シートです。ですから、これの容器の市場規模は、大体 10 万トンレベル、 10 数万トンあります。ですから、それはここの中に入っておりますが、シートという一括りの中に当然いろいろな種類のシートもありますし、ペットボトルもありますので、そういう意味の市場規模からすると、この数字よりもはるかに多いわけです。

 その辺、皆さんの認識として、プラスチックの食品用の容器包装というイメージがなかなか難しいかと思いますので、こちらに準備していただいたものを順番に御説明しながら、プラスチックの食品用の容器包装というものは、どういうものが使われていて、どのような意味があるのかと、安全衛生の管理については、どういうことをやっているのかと、そういうことについて、順番に御説明していこうと思いますので、よろしくお願いいたします。

 机上配布資料をお配りいただいていますが、その中の生鮮食品トレーが最初に出ております。これが生鮮食品トレーです。 PSP シートがこれです。素材構成の中に「 PSP シート ( 発泡ポリスチレンシート ) 」と書かれています。ポリスチレンという原料は非常に硬くて、また、発泡というのですが、溶融状態で液体ガスを注入しまして、膨らましてこういうものを作るのには、非常に加工しやすい、これがポリスチレンという樹脂です。

 先ほど言いましたように、私がこれで 50 年前にポリスチレンの原料の技術開発をやっていた段階で、既にこういう PSP の容器は市場に出ておりました。したがって、いつ頃から始まったのだろうかという話がよくあるのですが、従来、魚屋とか、肉屋が対面販売でやっていた時代は、経木でくるんだり、自分で器を持っていって豆腐を買いに行ったりしていた。そういう時代から、今度、プレパックといいますか、既に包装されたものを店に並べて、それを自由にセルフでレジへ持って行って買うという、現在の小売業のパターンになった、そのときに、おそらく 55 年ぐらい昔に、こういうものが登場しました。

 この PSP という言い方でありますが、海外へ行くと全く通用しない言葉です。これは PS というポリスチレンという樹脂をペーパーという紙にという、当時、プラスチックで紙を作ろうという合成紙の研究が、日本国中でといいますか、かなり加熱した時代でして、そのときに合成紙として PS に少し気泡を入れて、字が書けるではないかとか、そのようなことから、 PSP 、ポリスチレンペーパーというものが 50 年ぐらい前に登場しました。ですから、容器にする考えもなくできた素材ですが、熱をかけて型に吸引して転写すると、このようなものができると。

 このときは紙皿とか、経木とか、そういう木製のものですから、どちらかというと扱いの問題とか、耐水性の問題とかがあって、これは非常に扱いやすいということで出てきたのです。性能とすれば、持ってこうしたときに、ふにゃふにゃしてしまうといけないので、丈夫さといいますか、この辺が一番大事な要求性能ですが、発泡させて、気泡が入っていることによって、厚くても軽いのです。こういうものの丈夫さは剛性というのですが、これは厚みの 3 乗に比例して強度が強くなりますので、そういう面で気泡があって 10 倍ぐらいに発泡させたこういうもので成形したものは、非常に軽くて、しかも扱いがしっかりしていて、丈夫でいいと、そういうことから、はやってきたものです。

 今、 NHK の朝ドラで「とと姉ちゃん」というのがありますが、あれの「暮しの手帳」の花森安治という編集長が、昭和 40 年代ですが、「これは裏から見えない。特に肉は悪いものを隠して売っている」ということを言って、市場全体にかなり影響することが話題になりまして、それで透明なものでなくてはいけないだろうという話になりました。先ほど言いましたように、丈夫で扱いやすいもので、透明なものでやると、どうしても重たくなってしまって、扱いにくくなるのです。

 次の写真で総菜パックが載っていますが、これは素材構成で OPS シートとなっています。これは 2 つ折りになっているものですが、これの底の部分は、透明トレーということで、「見えない、不透明だ」というものに対して、売場では、特に肉は全部、透明のトレーに載せようと。これはここに凸凹した、材料力学的にいろいろな構造上のリブを加えて、薄くて弱々しい材料だけれども強度を保つように、構造的なデザインが工夫されて、売場でこういうものに入っていて見えないということから、見えるトレーに替わってきました。

 そういう流れの中で、納豆容器もありますが、納豆は、こういう今の PSP 2 つ折りのもの、このような形で出来ていまして、よく見ていただきますと、蓋に針穴が、この場合には 9 個空いています。これは消費者の方にいつも展示会で見せて、こういう機能があるのかと驚かれるのですが、大豆を 60 ℃ぐらいでこの中に入れて、後、発酵させるわけですが、発酵させるときのさせ方が、各納豆メーカーでみんなノウハウがあって、うちはこのぐらいの通気性で空気を取り込まないとうまく良い納豆ができないのだということで、蓋の部分に針穴を空ける。これは個々の納豆メーカーの要望に応じて、どういう針穴を空けるかということで、成形した後にこういう針穴を空けたりします。

 次の弁当容器、総菜容器という黒い容器がありますが、これは材料がポリプロピレンです。弁当容器の裏側に「 PP-T 」という記号が「プラ」という記号の後ろに付いていますが、これは容器包装リサイクル法では、材質が PP-T ということです。 PP という樹脂だけれども、 T( タルク ) という無機物が入っているという丁寧な説明の記号になっているのですが、容器包装リサイクル法では、ここまでは法律上の義務ではないのです。ただ、全てのワンウェイで使う食品容器の場合には、プラという記号が付いていないと、容器包装リサイクル法の違反になってしまうのです。それは消費者の方が家から資源ごみで出すときに、プラの記号が付いていることによって、食品用の使い捨て容器で、これは容器包装リサイクル法の資源回収なのだという見分けをつけるための記号なのです。

PP-T 、ポリプロピレンにタルクというものが入っていますということで、資料の中の素材構成でポリプロピレンとタルク、 PPF シートと書いています。 PPF というのは、フィラーのことです。ポリプロピレンというのは、耐熱性はあるのですが、ポリスチレンに比べると軟らかいものですから、フィラー、充填剤を中に入れまして、耐熱性と剛性を少し上げるということをする。現在の電子レンジをそのまま使っても、耐熱性で大丈夫ですというものは、ほとんどがこの資料にありますような PPF シートの成形品ということで、 PP フィラーという言い方をしていますが、単なるポリプロピレンでなしに、そういうフィラーを充填することによって扱いやすくなっているというものです。

 もう 1 つその後ろに刺身容器がありますが、これは後ろを見ていただくと、先ほどの PSP のトレーと同じなので、 PSP だと分かると思うのですが、フィルムに印刷したものをここに貼り合わせております。これは市場で消費者の方が買って帰って家で食べるときに、いろいろな陶器調とか木目調とか柄が入っていたほうが、主婦が手抜きをしたと思われないからということもありまして、印刷の PS のフィルムを PSP という発泡の PS の素材に熱ロールで圧着して、ただ成形するという形で、爆発的にいろいろな印刷ものが出てきました。

 ですから、容器といっても、今までのサンプルで御説明しましたように、こういうシートを炉の中で温める、大体表面温度で PSP だと 120 ℃ぐらい、ほかの PP フィラーなどだと 140 ℃ぐらい、表面温度がそのぐらいになると、軟らかくなって、掃除機で吸い込むようにして、型に細かい穴があって、そこへ吸い込むわけです。そうすると、こういう形が成形できると。国際的にもシートサーモフォーミングという言い方をしますが、シートサーモフォーミング、熱成形をしたものが、大体、今ここにサンプルであるものの製法です。

 ですから、 2 段階です。一旦シートを作ると。それを今度温めて、型に転写すると。型に転写した後は、周りの要らない部分は打ち抜いて戻していくと。こういうシート成形が、ここにあるサンプルのほとんど全てのやり方です。シート成形、シートサーモフォーミングというやり方です。ですから、シートの出荷量が発泡ポリスチレンシートの PSP シートは公表してありますが、容器がなかなか出ていません。ただ、食品容器工業会とすれば、会員だけで容器として、今言ったもので大体年間 46 万トンぐらい出荷しております。この辺が食品容器として出てきたプラスチックの食品用の包装容器の歴史的な流れです。

 もう 1 つ資料で液体調味料ボトルがありますが、この歴史は今の PSP よりももっと古くて、木製の折り箱か何かが出てきた弁当の時代から、しょう油のたれ入れとしてこういうのがありました。これは成形法が中空成形ということで、その次もそうだと思うのですが、要するに、プラスチックをチューブ状に垂らしてきて、パチッと挟んで空気が逃げないようにしておいて、中に空気を注入して膨らませて、こういった形にするというもの、そのはしりとして、このようなものもあります。こういう中空成形の場合には、一旦シートにするわけではなくて、円筒状のものを垂らしながら、パチッと挟んで膨らます。

 蓋が、射出成形ということがありますが、射出成形でできたものは、実はこれのペットボトルの底の部分を見ると、樹脂が注入された点が見えると思います。ペットボトルは、一番底面にある穴から樹脂を注入して、試験管みたいなものを作って、それを膨らませて、こういうものになるわけです。一方でこれのいろいろな多層のチューブ成形のボトルがありますが、これは多分、これと同じようにチューブ状に出てきたものをパチッと挟んで、空気を入れて膨らますというやり方、ペットボトルとは少し違うのですが。そういうものが説明資料にずっと出ております。

 こういうもののサンプルの御説明と、もう 1 つ「食品用プラスチック容器包装の利点」という小冊子は、日本プラスチック工業連盟、プラスチックの加工関係のいろいろな団体が加盟しているところですが、ここで、食品用プラスチック容器包装の利点、こういう点が容器包装として特徴があるのですということを社会にアピールするために作った小冊子です。実際には容器包装リサイクル法でごみになるからと、排出抑制、排出抑制ということで徹底的に減らされていく中で、それは余り減らしてしまうと、こういう食品を保護する機能にまで影響が出て、食品ロスにつながってしまうのではないですかというぐらいのアピールをもって、こういう利点がありますということでこの小冊子を作ったわけです。

 食品用の容器包装で、大きく 2 つに分けて考えてみると、 1 つは、ここにあるサンプルのものは、中身として何が入るか分からないのです。これはこの容器を販売して、小売業がこの容器を買って、中へ肉とか魚とかいろいろ詰めて包装して、大体、デイリー食品とか、日配ものと言うのですが、 4 日ぐらいで使い切ってしまうと。

 それに対して、「食品用プラスチック容器包装の利点」に書かれている事例集は、食品メーカーが御自身の食品をどのぐらいの期間保ちますというシェルフライフの問題から、それを保たせるためには、こういう機能のプラスチックを多層化して間に入れることによって、中身の例えばマヨネーズがこれだけ保つと。エマルジョンが問題になるような、発酵するようなことはないですとか、いろいろ食品ごとに一品料理で作るものです。

 我々プラスチックの食品用の容器包装では、汎用という考え方と、個別のカスタマーグレードといいますか、食品メーカーの御指定のものを容器として出すと、商売の流れとしては大きく 2 つありまして、こちらの「食品用プラスチック容器包装の利点」の事例は、圧倒的に食品メーカー主導で、安全衛生からも含めて、全てそういうことの考えに基づいた容器包装を御提供するというスタイルです。

 一応、小冊子の説明ですが、小冊子の 1 2 3 は、こういう機能がありますということで、食品を流通させていく場合に、いろいろな食品がありますので、その形態に応じてどのような工夫が要るかとか、中身の品質を十分保つためにどうすればいいかということで、 4 ページ目の上に引用・参考文献:「包装・・・知っとく知識」とあり、 2012 10 月に日本包装技術協会が発行されたものです。

 最初に言いましたように、日本包装技術協会の中で、食品メーカーも入った委員会の中で出来たデータを簡単に提示しているのが、 4 ページ以降の実例、事例集です。社会的にこういう考え方でこのようなものが包装容器としてあるのですという意味で示されています。例えば 6 ページのレトルトパウチの場合、「守るための保護機能」ということで、食品、中身のカレーの品質を守るために、しかも常温で 1 年間保つために、中身が乾燥しないようにどうする、微生物の侵入を遮断して新鮮さを保つ、油の酸化防止をどうすると、こういう宿題に対して、包装の機能とすれば、防湿性、酸素バリア性等があって、そのためにフィルムが 1 枚のものでなくて、言ってみればサンプルのように多層のもの。 12 μ m 15 μ m とか、非常に薄いものですが、そういう状態で多層化する。

 ただ、最初に食品衛生法で御説明されましたように、食品接触面が、大体、シール性とか、熱シール材とかと資料にあります。袋の場合でも必ず熱シールしなくてはいけないのです。容器の場合でも、ヒートシールで蓋をしなくてはならない。そういうことで食品に接触する面の材料が何かというのは、レトルトパウチであれば PP60 μ m とか、次の魚肉ソーセージであれば PP とか、そういうふうに食品接触面は、層構成の表の中から、どういう材料かというのが分かるようになっております。

 一番大事な、この層構成でやって、こういう要求がされる機能に対して、どのぐらい保つかという賞味期限は、食品メーカーで、一応この食べ物はこういう層構成で作ったものであれば、このぐらい保ちますということで、かなり個々の食品別に、品質を守るためにどのような層構成でやって、どのぐらい常温で賞味期限が保ちますと。こういうものです。

 そういう包装の御説明をいろいろさせていただきましたが、我々が、では容器メーカーとして衛生上大丈夫なのと聞かれたときに、どう答えているかと言えば、この資料の前部にありますが、「告示 370 号適合」と。これは第三者機関の民間の検査機関にこういう容器を提出して、 1 件で数万円の費用を掛けて、告示 370 号の材質試験、溶出試験で合格ですという試験成績票を取って、これを添えてポリ衛協に申請をして、審査をしていただいて、確認証明書を頂くと。そういう仕組みで、全て材料の安全性はどうなのだと聞かれたときには、そういう考え方で自信を持って容器を提供しているということです。

 あとは、その容器をどういう作業現場で、どのような作業でやっているかというところは、また、食品メーカーの仕事であれば、全部、クリーン度、衛生性をチェックされた上で容器を製造するわけです。汎用品の場合には、個別の容器メーカーが、工室内の衛生性については、十分、自社基準を作って衛生上問題ない範囲で製造しているということです。

○大前座長 どうもありがとうございました。それでは、続きましてあり方に係る検討会で大体 3 年くらい検討された結果が、中間まとめで去年の 6 月に合意されているので、先ほど事務局からも少し説明がありましたが、広瀬参考人からそれに加えて何か重要な点、特にこの会に関わるような重要な点をよろしくお願いします。

○広瀬参考人 私は事務局から説明がありましたとおり、あり方に係る検討会の座長をさせていただいたところです。資料 2 で言いますと、 20 ページからの内容になります。多少繰り返しになりますが、そもそもこの検討会を始めたきっかけというのは、国際協調ということが強調されていますが、もともと日本では自主基準である程度安全性を保っている中で、その自主基準に対応されていない企業、あるいは輸入された物質について、容器包装についての安全性を確保していくにはどうしたらいいかということに対しての、具体的な課題について対応してきたところです。

 例えば事務局からの説明で 16 ページにありますように、我が国はネガティブリストで、他の国はポジティブリストということで、一見、日本のほうが遅れていると思われるかもしれませんが、日本のほうでは自主基準を。この自主基準も、私が聞いたところの範囲ですが、その昔、厚生省の行政指導でお願いしたという、要するにポジティブリストを先駆けて、実は日本では始めていたのです。ただ、それは法的制度ではなくて、日本の企業における自主基準として、そこでは化学物質に対して、国がネガティブリストとして管理している物質以外の物質についての安全性保証をやってきた。ただ、もう何十年も前から時代の流れで、輸入ものがたくさんになってきて、日本の会社だけでは多分カバーできない範囲のところをということで、多分、国際的には法制度で始まってきているので、そこで今、齟齬というか、日本と特に欧米との乖離があるのを埋めるためにはどうしたらいいかということで、それが、おそらく最も重要な任務だったかと思います。

 ただ、我々のメンバーを見ていただけると分かりますが、割と物を触った技術屋さんという立場で見ていますので、どうしても制度を運用するというよりは、物質をどう安全にするかということに偏った内容になっているかもしれませんが、そういう意味でこういったポジティブリストを、もっと自主基準だけではなくて日本全体、あるいは輸入品も含めたものに拡大していこうということに、どう対応したらいいかという課題を挙げさせていただいたところです。

 その中で挙げてきた課題として、事務局からも説明があった 3 つの課題がありまして、まずは化学物質のリスト。この化学物質のリストは、ポジティブリストで余り物質数が出てきていませんが、多分、数百物質の物質リストがあるということで、それを管理・対応はしますが、それを全部検査するというのはとても不可能ですので、そのための管理基準をどうするかということで、 1 つはガイドライン、あるいはポジティブリストを作っていこうということを提案させていただいています。

 ただ、ポジティブリストを作るといいましても、ヨーロッパのほうでも 2010 年からポジティブリストが始まっていると書いてありますが、実はこれは 1990 年代ぐらいから 20 年かけてポジティブリストを作成している、膨大な作業を行ってきています。ただ、ヨーロッパはポジティブリストをやるという方針を昔に決めて、正式にやっと成功できたのが 2010 年になってしまったということがあります。ですので、そういう意味で日本は、安全性の考え方は世界共通ですねと、それをとり入れていけば割と早くリストが出来るのかなということはあります。もちろん評価手法の課題は別にありますが、そういったポジティブリストを作っていくという物質側の対応です。ただ、化学物質の安全性の情報は、全ての物質にあるとは限りませんので、流通、ばく露の多いものから順番にやっていこうということは、提言させていただいているところかもしれません。

 もう 1 つの論点は資料 2 でいうと 14 ページですが、化学物質、特にプラスチック関係ではたくさんの企業が関与している中で、実際に規制というか評価されるのは、食品に触る最後の成形とか、出荷する直前の工程を行う会社になりますが、実際には、プラスチックに入っている化学物質は一番最初の原料段階で加えられ、それは評価される会社とは全く違う会社になるので、その中に入っている物質というのは末端の直接販売・梱包する所の会社では、情報がなかなか得られない。それは企業秘密の問題で、こういう物質を入れたら物性ががらりと変わったりするので開示されない。そうすると、安全性を保証する末端の会社が困るということで、それを仲介するために出来たのが確認証明制度ということになっていると考えます。その制度を今は自主基準で、業界団体に加盟している企業だけで行っていますが、そういったのを全体的に自主的なガイドラインとして普及させるために、ガイドラインの普及を提案させていただいたというのが 1 つの論点です。簡単ですが、以上が大体の補足事項です。

○大前座長 ありがとうございました。事務局からの資料 2 による説明と、参考人おふたりからのお話を伺いました。これについて皆様から御質問、あるいは御意見があればお願いしたいのですが、このメンバーの中でおそらく私が一番、容器包装に関しては経験がないと思うので、よく分からないところがあるので、まず私から質問したいと思います。先ほどの三衛協の件ですが、ずいぶん前から自主的にポジティブリストを作っていらっしゃるとおっしゃっていまして、決して日本は遅れていなかったのだと、それは法制度になるかどうかの問題だというお話だと思いますが、三衛協の会員会社というのは、資料 2 14 ページの製造工程、製造の流れでいきますと、モノマーの製造と、ポリマーの製造と、一次加工までが会員会社になるのですか。この会員会社の範囲というのは、どこまでになりますか。

○重倉構成員 ポリオレフィン等衛生協議会の重倉です。今の座長の御質問ですが、三衛生協議会で若干ずれがあります。私どもポリオレフィン等衛生協議会では、いわゆる石油化学会社がモノマー、ポリマーを製造しています。加工会社、フィルムやシートを作る所も会員です。更にそこから、こうした容器の形の商品を作る所も会員です。また、私どもの協会の場合は、更にこういう容器を利用する食品会社も 10 社ほど参加してくださっていまして、そういう方々とこの制度を運営しているところです。

 三衛生協議会のうち、塩化ビニリデン、塩ビについては、食品会社さんは入っておられないと思います。また、塩化ビニリデンは製品の性質上、いわゆるラップという形で出荷されることが多くありますが、その形が樹脂を作るところからフィルムを作るところまで一体で製造されることが多いので、メンバーさんはここで言うところのポリマーと加工とか、同じ会社で、それ以外に添加剤の会社などが入っての組織となっていると考えています。

○大前座長 ありがとうございました。それから、その次は 17 ページの、我が国と欧米における制度の比較の所で、日本の三衛協さんの自主基準が書いてあるのですが、熱可塑性の合成樹脂のみをやっていらして、熱硬化性を含めていないというのは、何か理由があるのですか。

○黒羽室長(事務局) 熱硬化性樹脂については、業界団体があることはあるのですが、まだポジティブリストを作る前段階というか、情報を収集する段階だと聞いておりますので、全くないわけではないのですが、まだ業界の制度化はされていないと聞いています。

○大前座長 それから、同じページで GMP という、適正製造規範というのがあるのですが、これは日本ではもう既に決まっているものなのですか。

○黒羽室長(事務局)  GMP につきましては、アメリカと EU については義務化されています。日本では昨年 6 月の中間取りまとめの中で、業者が自主的に行うためのガイドラインを作りましょうという提案がされていまして、その自主管理ガイドラインについての原案を、六鹿構成員をはじめとする厚生科学研究で昨年度に作成していただきました。それを基に厚生労働省から通知をするということを今後したいと考えています。

○大前座長 なるほど、分かりました。ありがとうございました。そのほか、構成員方から何か御意見、あるいは御質問はいかがでしょうか。ちなみに三衛協さんのポジティブリストは、何物質くらいあるのですか。先ほど数百というように、広瀬参考人がおっしゃったと思うのですが。

○黒羽室長(事務局) 全て合わせると 1,500 物質くらいになるのではないかと聞いていますが、三衛協のそれぞれの衛生協議会によって、数はそれぞれ異なり、資料 2 13 ページ、下の「 *2 」の所に記載されているとおりです。

○大前座長 この数でおおむね、少なくとも日本で流通している国内製品に関しては網羅しているということでよろしいのですね。分かりました、ありがとうございます。

○鬼武構成員 資料 2 の所で、事前に送られてきた資料で気づいた点がありますので、もし正確を期すならということで、資料の 18 枚目のスライド、欧米のポジティブリストの収載例という記載の中で、これは細かい点なので、後で事務局のほうで少し御検討していただければと思いますが、 6 つほどあります。

1 つは個々に書いてある FCN 制度の欄の所に「発行日」と書いてありますが、これは効力を有する日ということで、効果のエフェクトデーだと思いますので、漢字が間違っていると思っています。

 あと、同じ欄の物質名、 (CASNo. ) のメタクリル酸 -2-( アセトキシ ) ですが、これも正確なことを言うと、「アセトアセチルオキシ」というのが正しいと思います。括弧の中だけはアセトアセチルオキシが正しいと思います。

 あと、同じく FCN にここは申請者となっていますが、これはやはり届け、「 notify 」となっていますので、届出者か届出人だと思います。それから、欄の外ですが、 * 3 番の所で、「移行試験の結果が脂肪消費削減係数」と書いてあるのですが、これは原文を見てみましたら、「 fat consumption detection factor 」となっていて、人は 1 日で 200g の脂肪を消費し得ないということなので、脂肪消費換算係数の削減という、換算係数のほうが適切かと思っています。あと 2 つぐらい気づいた点があるのですが、それは事務局のほうにお渡しします。

○大前座長 ありがとうございました。事務局のほう、修正等をよろしくお願いします。そのほか、御意見あるいは御質問はいかがでしょうか。

○森田構成員 質問させていただきたいのは、資料の中にある輸入の違反の所ですが、輸入の違反は現状で器具及び容器包装に関して 64 件、国内流通でも不良検体数が 2 件とあります。これは容器包装の規格基準が定められている 18 条の違反ということになるのでしょうか。

 それから、もう 1 点は規格基準がない、例えば海外からの粗悪品だったりとか、国内で流通しているアウトサイダーで規格基準のないもの、三衛協のリストにないようなものが流通しているような場合に関しては、今は全然規制はできないかと思うのですが、そういうものがポジティブリスト化になったときに、やはり無登録みたいな形で、そういうものがかなり出てくるのかどうかという、この全体のところを教えていただきたいのですが。

○黒羽室長(事務局) 先ほど資料 2 15 ページの輸入品の違反の 64 件についてということですが、合成樹脂などでは蒸発残留物の規格基準違反、着色料の違反、過マンガン酸カリウム消費量の違反ということが多くなっています。これは規格基準違反になります。

 それから、輸入品のアウトサイダー等というお話でしたが、今でも規格基準が設定されておりますが、それに違反すれば当然、食品衛生法の違反になります。今後、もしポジティブリスト制度が出来たらの話ですが、そういった場合も当然、輸入品についても輸入者の方にポジティブリストにないようなものが入っていないかどうかを確認していただく。輸入の届出の制度がありますので、その中で違反しているものを使っていないかというのをチェックすることが、多分、第一義的な話になるのではないかと思いますので、それは国産品であっても輸入品であっても同じ取扱いになるということになります。その方法については、またこの検討会の中でも御議論いただきたいものの 1 つになるかと思います。

○森田構成員 ということは、届出の仕組みが輸入なども変わるということなのでしょうか。

○黒羽室長(事務局) 届出の仕組み自体は、今でも制度はあるのですが、その確認していただく事項が違ってくる。また、確認の方法についてもどうしたらいいかというのは、この検討会の中でも御議論いただきたいと思っています。

○森田構成員 分かりました。あと、もう 1 点あります。 25 ページの容器包装の所で、 0.3 %の輸入状況があるということでしたが、これは御説明では、中に食品が入っているものは含まれないという御説明でした。今、食品が入っているもの、たくさんの容器包装に入ったものが輸入されていると思うのですが、例えば容器包装で規格を満たしていないとか、材質がちゃんとしていないというものが入るようなときには、何か違反ということになることがあるのでしょうか。

○黒羽室長(事務局)  25 ページ目の重量の所ですが、食品が入っているものは、器具や容器包装の重量に入っていないと説明しましたが、食品が入っている器具・容器包装の重量は、例えば水産食品が中に入っていれば、器具・容器包装も含めた重量になっているということです。

 もう 1 つ、食品が中に入っている器具・容器包装の取扱いですが、それについても、器具・容器包装の規格基準に適合していないものを使ってはいけないということになっています。また、将来的にポジティブリストが出来れば、食品が入っているものの器具・容器包装も、それに適合していなければいけないという取扱いになります。

○森田構成員 ありがとうございました。

○横田構成員 今のお話を伺っていて、確認をしておきたいのですが、今回、制度が導入された場合に、三衛協に入っていない企業数の割合であるとか、輸入の際の輸入食品等の割合というのは、ある意味、全体からマイナスする形で割り出すことになると思うのですが、そちらの割合というのはどれくらいのものなのでしょうか。規模感が分からないので教えていただきたいのですが。要するに国内企業で三衛協に加入していない企業の割合であるとか、輸入等の関係で三衛協と余り関係がない事業者は、どれくらいの割合でいるのか、データはありますか。

○山本課長(事務局) 今、 2 点をお尋ねいただきまして、輸入品でどのぐらい三衛協さんの仕組みでカバーされていないか、その率、それは私どものほうでは正確なところは掴んでいません。後ほど重倉構成員のほうで何か加えていただけることがあればとは思います。

 もう 1 つ、今、実際にどのぐらい非会員の方がいらっしゃるかということです。先ほど製造やサプライチェーンの御説明をさせていただきましたが、業界の皆様から頂いている情報によれば、素材提供側、いわゆる石油化学関連会社さんが中心になりますが、素材提供側の皆様は三衛協さんに全社加盟をされているということです。一方でその下流、容器包装のメーカーさん自体、あるいは食品のメーカー、製造事業者さん自体は、全数加盟とかそういう状況ではなくて、非会員の方々がそれなりにかなりいらっしゃるのではないかと、私としては思っていますが、何か追加していただくことがあれば頂ければと思います。

○重倉構成員 今、課長からお話がありましたので、おおむね感覚的には妥当かなと思っています。私ども、流通量等まではカウントしていませんので、そういう情報を持っていなくて申し訳ないのですが。 1 点、念のためというか御理解を頂きたいのは、石油化学関係のうち樹脂に関しては国内全社に参加いただいているというのは、私どもの組織の出自から自然にそのような形になっていますが、今日、こうした業界の協議会は、決して国境にとらわれずに行動し始めているところですので、海外会員も既に何社も入っているということです。海外の原材料が国内で使われて流通するというものについても、確認証明書など、自主基準を守って取っておられる所もあります。そうした流通実態があるということも、お忘れなく御理解いただければと思っています。

○大前座長 ありがとうございました。そのほか、何か御意見、あるいは御質問はいかがですか。

○小倉構成員 全国消団連の小倉と申します。今回が初めてで、一番何も分からずに参加していると思うので、教えていただきたいと思います。これまで大きな健康被害が起きていないということで、安心して私たちは使ってきているのですが、容器包装ということでじわじわと溶け出したものが、身体の中に入っていっているのではないかという不安もあると思うのですが、健康被害が起きていないというところ、事故が起きていないというところは、信じてもよいのかどうかということ。それから、アメリカのほうでは 1958 年からずっとポジティブリスト化の取り組みが行われているということで、先ほど伺っていますと、 1990 年くらいからヨーロッパのほうでもやっていきたいというお話があったと。そのときに、日本でもやってみようかなという話になっていればよかったのではないかという気もするのですが、そこら辺で話があったのかどうかというのを教えていただきたいと思います。

○黒羽室長(事務局) 容器包装による健康被害等が、これまでどうなのかというお話がありました。今まで容器包装についてもポジティブリスト制度にはなっておりませんが、問題のあるようなものが確認された段階で規格基準等を設定するということをやっています。例えば塩化ビニル樹脂中のビニルモノマーというのが昭和 50 年代に問題になっています。これは塩化ビニルを重合させるときに、重合しなかったモノマーに発がん性があるのではないかということが問題になったことがありまして、こういうものについてはネガティブリスト制度の中で基準を作って、対応するということもしています。また、フタル酸エステルとかビスフェノール A 、そういうものについても規格基準を立てるなり、業界の自主的な取り組みを促すという形で、これまでも対応しています。

 このように、今までも規格基準等をネガティブリスト制度の中でも対応してきましたが、ポジティブリスト制度の検討というのも厚生労働省でやっていまして、先ほど中間取りまとめについて説明しましたが、それは平成 24 年から検討を開始していました。それ以前にも別の検討会みたいなものを作って、検討しておりました。近年になって EU 、中国などでもポジティブリストが導入されたため、制度化について公式にこういう場で検討を進めていると御理解いただければと思います。

○大前座長 ありがとうございました。

○伊藤構成員 フランチャイズチェーン協会の伊藤です。 15 ページに、サンプリングでの検体に不良検体数の割合が 0.57 、輸入食品についても 0.45 ということでしたが、本来であればゼロでないといけないと思うのですが、そういった点から見れば 0.57 0.45 でも非常に多いのではないかと危惧をしています。

 更に、 14 ページにあった確認証明ですが、これは今、会員企業の皆さんは全て確認証明を受けてやっているのか。あるいは自主的にきちんとコントロールした上でやっているので、不良品がそんなに出てきていないということなのか。その辺を把握されているのだったら、教えていただきたいと思います。また、現在流通している容器の中で、確認証明が出ている割合は何パーセントくらいなのか、分かれば教えていただきたいと思います。

 それから、もう 1 点。言葉遊びをするつもりはないのですが、容器包装の規制のあり方に係る検討会ということですが、昨今、規制の緩和ということが政府の中でも議論になっていく中で、規制をしていくという言葉自体が、何か非常に違和感があるのです。先ほどからポジティブリストという話の中で、制度化という言葉がありましたが、規制というよりも容器包装の制度化を検討していくというのが、一番近いのではないかなという気がしていて、その辺の考え方も教えてもらえればと思います。よろしくお願いします。

○黒羽室長(事務局)  15 ページの不良検体数の割合のお話ですが、先ほど構成員が言われたのは、食品の所の割合が 0.57 %ということだと思います。容器包装については、国内品は 0.16 %となっています。これが多いか少ないかというのは、いろいろ御意見はあるかと思うのですが、一般にこういう収去検査というのは、何か問題がありそうなところに対して行うことが多いと考えられます。このため、実際の流通しているものがおしなべてその割合で違反があると考える必要は無いのかなと思います。

 もう 1 つ、確認証明制度の割合について御質問がありましたが、事務局では割合については把握しておりません。容器包装会社が、新しく取り引きをする食品会社に確認証明制度や規格基準に適合しているという証明書を示すという方法で使われているというようにも聞いておりますので、そういう新しい取り引きのときに使われるものと思っています。補足することがあれば、重倉構成員からもお願いします。

○重倉構成員 私どもも確認証明書を交付している、その外側のところは、よく承知していないところですので、むしろ容器製造会社の松井構成員からお願いしたほうがいいのかなという気もしますが、私どもの理解では、確認証明書の交付を私どもに依頼してきていない製品を扱っていらっしゃる会員様もおられると思います。幾つかの理由はあって、 1 つには非常に銘柄数が容器というのは多くなってしまうものですから、いちいち全部には対応しきれないという、そういう視点で、ほとんど同じものなのでという合理的な思考があるのかなと思います。

 それから、もう 1 つはその商品を出しているということについて、私どもを含めて、外部に対し発表したくないという、営業秘密を守りたいのでという事情も、きっとあるのだろうなと予想していますが、できましたらそこは松井構成員からお願いできればと思います。

○松井構成員 現状を申しますと、我々の会社における話ですが、全ての容器に対して確認証明書を取っているわけではありません。ただし、容器の原料になる樹脂、添加剤といったものは、やはりポリ衛協さんの確認証明書が取れたもので構成されているということで、一応、容器としては取らないのですが、原料としては確認証明書が取れているものを使っているというのが現状です。

○大前座長 もう 1 つの質問はいかがでしょうか。

○山本課長(事務局) 伊藤構成員から御指摘のありました、規制というのではなくて、制度を整えるという観点ではないかということは、私どもとしてもそのとおり捉えておりまして、食の安全・安心を確保するために、この容器包装というのが 1 つ大事なパーツだと思います。そこをどういう制度で担保していくのがいいかということについて、御議論を頂ければと考えています。

○大前座長 ありがとうございました。少し時間が詰まってきたので、次の課題に行きたいと思います。議題 4 、検討に当たっての主な論点の案、これを事務局から説明をお願いします。

○黒羽室長(事務局) 資料 4 を御覧ください。中間取りまとめの論点等を踏まえまして、事務局で検討に当たっての主な論点 ( ) を作成させていただいております。まず、 1. 規制のあり方と目指すべき方向性ですが、これまで説明してきましたとおり、欧米を初めとする諸外国では、容器包装はポジティブリスト制度になっておりますが、わが国の制度のあり方と目指すべき方向性についてどう考えるかという論点です。

 次に、 2. ポジティブリスト制度を導入する場合の課題と対応ですが、 (1) として適用される材質や物質の種類、リスク管理の手法等をどう考えるか。 (2) としまして、事業者間の情報伝達の仕組みをどうするか。 (3) といたしまして、適正な製造管理の具体的な仕組みをどうするか。 (4) といたしまして、自治体の監視指導をどうするか。 (5) といたしまして、その他となっております。説明は以上でございます。

○大前座長 はい、ありがとうございました。検討に当たっての今後の論点の案ですけれども、御質問あるいは追加等が構成員の先生方、ありますでしょうか。 1 番は、ポジティブリスト制度の方向に進むかどうかということで、進まないという決になりますと、 2 番以降はなくなるわけですが、最初に、ポジティブ制度に進むという方向を、まず今日じゃなくて次回でしょうが、確認をしてそれから 2 番以降の話になりますけども。仮に進めるとした場合に 2 番以降のところで、この 4 つの課題以外に何か追加すべき課題等があれば御発言いただきたいのですけれども、いかがでしょうか。

○鬼武構成員 この資料の 4 で、中間報告等でもこの間、最初の御説明でも全部がそうなんですけども、全体としていわゆるポジティブリスト制ということで、以前の農薬等のポジティブリスト制のときもそうですけれども、海外では余りポジティブリスト制というのが法律用語として出てきてないというのが私の認識でありまして、個々に書かれてあるいろいろな今までの説明でも、リスク管理のあるべき姿とかそういうことからなっておりますから、どちらかというと私はポジティブリスト制という言葉は余り表に出てこない言葉かなと理解しております。そういう観点からしますと、「安全性の向上及び国際整合の観点から、ポジティブリスト制度の導入」としてありますけれども、やっぱり肝心なことは、 2003 年から日本でも施行されていましたリスクアナリシス(リスク分析)の考え方、原則に基づいて、食品と直接的もしくは間接的に接触する物質の管理なり安全性の評価のあり方について検討するというのが、私は大前提ではないかというような気がしまして、そういうことも常に念頭に置きながらこの検討会で主要な議論をしていければなと思っているのが 1 点目です。

 そういう観点からしますと、既に欧米のほうでは、アメリカでは Threshold of Regulation Exemptions プロセスを源とする TTC のアプローチ、毒性データが不十分であった場合のヒトへのばく露量が低い場合にどういうアプローチが必要かとか、もしくはこういう点についてはヨーロッパの EFSA のほうでもアプローチが既に含まれておりますので、どちらかというとポジティブリスト制のことについてと併せて、そういう評価のあり方みたいなといいますか、日本でいえば食品安全委員会の関係も最終的には出てくると思いますので、そこも少し観点としては事務局の方に念頭に置いていただければと。私は今回の制度が、前のポジティブリスト制のときもやはりリスク評価機関と管理機関のところでかなりやり取りした記憶がありますので、そういうところの整理も併せて事務局のほうから適宜出していただければと思っている次第です。以上です。

○大前座長 ありがとうございます。何か今のことで事務局のほうからございますか。

○山本課長(事務局) 御指摘いただきましたように、私どもリスク管理機関と、そしてもう 1 つリスク評価機関としての食品安全委員会という組織があります。食の安全の関係でどういう仕組みを取っていくかということ、そしてそれを実行するに当たってはリスク評価機関との連携が大前提と考えておりますし、また今回物質数も、仕組みがどうなるかはさておき、非常に数も多くごさいますので、合理的なリスク評価、その上に立脚したリスク管理ということで、両府省で連携していかなければいけないと考えております。

○大前座長 そのほかいかがですか。よろしゅうございますか。

○小野構成員 乳容器・機器協会の小野でございます。説明資料の 2 7 ページで器具・容器包装の規格基準ということで、食品、添加物等の規格基準告示 370 号と、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令があり、これは乳容器とそれ以外を別々にコントロールしてるような形になっているのですけど、実際は乳容器に関しては、 370 号の上乗せみたいな形になっております。以前も厚労省さんの薬事・食品衛生審議会の分科会のほうで乳等省令の一部の容器に関しては乳等省令から外して 370 号のほうで管理できないかとか、そういう議論も以前させていただいておりますので、今回のポジティブリスト制度をどうするかとか、そういう検討に当たりましては、乳等省令とそれ以外も含めた形で議論していただきたいと思います。コメントです。

○大前座長 ありがとうございました。それでは、今日お伺いした意見を整理していただきまして、次回以降に議論を進めたいということで、よろしくお願いします。それでは、 5 番目のテーマですけれども、今後の進め方につきまして事務局のほうから御説明よろしくお願いいたします。

○黒羽室長(事務局) 資料 5 を御覧ください。本検討会の今後の進め方 ( ) です。第 2 回目につきましては、 9 月の下旬、こちら 9 30 日を予定しておりますが、関係者からのヒアリング、議論を行いたいと思っております。また、第 3 回以降につきましては、月 1 回程度を目処に開催させていただきまして、関係者からのヒアリング、議論を行いまして、平成 28 年度末を目処に取りまとめを目指したいと考えております。

○大前座長 というような進め方の案ですが、よろしゅうございますか。何か御質問あるいは御意見があればと思いますけれども。

○伊藤構成員 仮にポジティブリストを制度化していく方向性になったとき、この位置付けですけれども、法的な拘束力をもつのかどうか、あるいは自主的に活用していくのか、この辺はいかがでしょうか。

○山本課長(事務局) 私ども食品衛生法を所管しておりますので、制度化という場合にまずは、食品衛生法での拘束力をもつ形にすることを念頭に置きながらおります。ただ、そこをそれでも段階的にステップ・バイ・ステップでやっていくべきだというような、いろいろなアプローチの仕方があり得ると思っておりますので、またその辺りも考慮すべき点があれば御意見を頂ければと思っております。ただし、食衛法での制度化をすべきかどうかという視点があるというのが、私どもの立ち位置でございます。

○大前座長 よろしゅうございますか。

○重倉構成員 すみません、今の法制化、食品衛生法での義務付けというお話がありましたので、この検討会の位置付けのところに戻ってしまい、申し訳ないのですけれども、今後法制化が進んでいくということであれば、やはりこれは食品衛生審議会での審議など様々なプロセスが出てくる話と思うのですが、そことこの検討会との関係について、 1 点確認をさせていただければ有り難いのですけれども。私どもポリオレフィン等衛生協議会が今回ここに呼ばれたというのは大変光栄に思っておるところでございますが、他の業界団体との関係などもあり、どういうように情報を伝え、意見を集めてこなければいけないかという部分にも関わるので、恐れ入りますが、パブリックコメントの行われ方とか、審議会が行われるのかとか、その辺のところを確認させていただければと思います。

○山本課長(事務局) 審議会と検討会は別でして、まず今回この食品用器具及び容器包装の制度について御議論をここで頂こうと思っております。それが終了した後にどうやって、どういうステップが必要になるかというのは、おまとめいただいた内容にも関わってくるかなとは思っておりますが、審議会には御報告なり審議会での御議論は頂こうと考えております。また、パブリックコメントにつきましては、この検討会でどうやっていくか、あるいはこの検討会の後に行うか、その辺りはこの検討会としては、座長と御相談をしながら、やったほうがいいということであれば、この検討会の取りまとめの過程で入れていくというのも考えたいと思っております。

○大前座長 ということでございますので、この議論の中でどうするかということについて皆さんの御意見を伺いながらということになろうかと思います。そのほかよろしゅうございますか。それでは、どうもありがとうございました。最後に、事務局のほうから何か連絡事項等ございますでしょうか。

○黒羽室長(事務局) 次回の第 2 回の検討会につきましては、 9 30 日金曜日午前中に、関係業界団体からの取り組み等のヒアリングを行う予定です。

○大前座長 それでは、皆様 9 30 日午前中、御予定よろしくお願いいたします。場所等はまだ決まってないのですよね。

○黒羽室長(事務局) まだ決まっておりませんので、決まり次第お知らせしたいと思います。

○大前座長 それでは、大体 12 時くらいに収まりましたので。本日の検討会を終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)

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