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2016年6月15日 第4回 医療情報データベースの運営等に関する検討会 議事録

○日時

平成28年6月15日(水)
18:00~


○場所

厚生労働省12階専用第14会議室


○議事

○安全対策課専門官 定刻になりましたので、第4回医療情報データベースの運営等に関する検討会を開催いたします。本検討会の構成員については、現時点で 16 名中 13 名の御出席を頂いております。松田構成員は御都合が付かないため、本日は御欠席です。また、石川構成員と大江構成員は途中から御出席されるとの御連絡を頂いております。また、前回に引き続き、本日は参考人として、和光大学大学院 教授 井出健二郎先生に御参加いただいております。

 本日の検討会は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入る前までとさせていただいておりますので、御理解と御協力のほどお願いいたします。また、傍聴の方々におかれましては、静粛を旨とし、喧噪にわたる行為はしないこと、座長及び座長の命を受けた事務局職員の指示に従うことなど、申込時の留意事項の遵守をお願いします。以降の進行については永井座長にお願いいたします。

○永井座長 最初に、お手元の資料の確認をお願いいたします。

○安全使用推進室専門官 資料の御確認をお願いいたします。まずはじめに議事次第、続いて配布資料一覧、開催要綱、構成員の名簿になります。

 続きまして、資料1「第3回検討会における意見まとめ」、資料2「第3回検討会における宿題事項」、資料3「今後の検討課題及びスケジュール(案)」、資料4-1「中間報告書(案)の概要」、資料4-2「中間報告書(案)」本体になります。最後に参考資料1として、日本再興戦略と世界最先端 IT 国家創造宣言の中で MID-NET に関する記載を抜粋したものを準備しております。

 また、当日資料として、机上配布のみとさせていただいておりますが、前回の検討会の議事録案を準備しております。また、前回の第3回検討会までの資料についてファイリングをしたものを机上に御準備しておりますので、適宜御参照ください。配布資料の不足、乱丁等がありましたら事務局までお知らせください。

○永井座長 それでは議事に入ります。最初に前回の主な議論内容について、資料1に基づいて事務局から説明をお願いいたします。

○安全使用推進室専門官 資料1を御覧ください。第3回検討会において頂きました御意見をこちらにまとめました。本日は時間が限られているため、頂きました御意見のうち、更に検討が必要なものとして、資料2で整理したものを中心に御説明をさせていただきます。また、資料1に記載した内容も含め、これまでの検討会で頂きました御意見については、資料4-2の中間報告書案にも記載をしましたので、後ほど御説明させていただきます。

 資料1に戻りますが、検討事項1「利活用の目的の範囲」については、1点目の「公益性の高い調査・研究」の範囲に関しては今後の具体的な段取りを検討して、判断基準の作成を進めていくべきとの御意見があり、「公益性の判断基準」の作成の際には、2点目の後半のとおり、利活用ができそうな事例を募集することや、3点目のとおり、各協力医療機関における試行的利活用の中で出てくるニーズなどを参考にしてみてはどうかとの御意見がありました。これらを踏まえ、公益性の判断基準の検討について、資料2で整理をしましたので後ほど御説明させていただきます。

 次に、検討事項3「データの取扱いの範囲」については、連結不可能匿名化処理をした後も具体的な病名等は残るので、個票の取扱いは慎重にするべき。利活用中に多く生成される中間生成物の取扱いについても整理をしてほしいとの御意見がありました。

 次に、検討事項4「データの移動」については、2点目として、移動した情報の適切な管理について具体化することが重要である。3点目として、 NDB と比べて MID-NET には詳細なデータが含まれているので、中間生成物としてどのようなものが生成されるのかを考慮した上で、個人情報保護に留意しながら審査をしてほしいとの御意見がありました。

 次に、2ページ目の検討事項6「データの保管・削除」については、中間生成物は本格運用開始時点では、システム管理側で慎重に保管をするべきとの御意見がありました。これらを踏まえ、中間生成物も含めたデータの取扱いと保管について資料2で整理をしましたので、後ほど御説明させていただきます。

 次に、検討事項7「利用料の額の設定」については、企業が行う製造販売後調査について、データ量や解析の種類などが多いことが理由で利用料が高くなることは受け入れられると思うが、調査目的が明確化できれば、解析の種類などは現状ほど多くはならないと思うとの御意見がありました。これらを踏まえて、製造販売後調査への MID-NET の利活用について、資料2で整理をしましたので、後ほど御説明させていただきます。資料1については以上です。

○永井座長 ありがとうございます。ただいまの御説明に御質問、御意見はありますでしょうか。よろしいでしょうか。また追って御意見を頂きたいと思います。それでは先にまいります。前回の検討会における宿題事項を資料2にまとめていただいておりますので、事務局から整理した対応案について御説明をお願いします。

○安全使用推進室専門官 それでは資料2を御覧ください。前回の検討会における宿題事項を事務局で整理しました。スライド1には、4つの宿題事項を挙げていますが、それぞれについて御議論いただきますようお願いいたします。スライド2を御覧ください。「公益性の判断基準」の作成の予定についてです。前回の検討会では、利活用の事例を収集した上で、基準を検討してみてはどうかとの御意見を頂きました。それを踏まえて、事務局としては、利活用事例がある程度蓄積されると推定される利活用開始後1年をめどにして、製薬企業やアカデミア、協力医療機関などから、公的研究費による研究以外で公益性の高いと思われる研究の事例についてヒアリングを行うとともに、試行期間中と本格運用開始後の利活用事例、そのほか各種公表されている公益性の基準に対する考え方などを踏まえ、有識者会議(仮称)において基準を作成してみてはどうかと考えております。

 また、判断基準とまではいかなくとも、ある種の研究については認めるといった段階的な広げ方となる可能性もあると考えております。一連の流れとしては、下の矢印の図に示したとおり、公益性の判断基準を作成して、パブコメや通知などを行い、目的の範囲を拡大していくことをイメージしております。

 続いてスライド3を御覧ください。有識者会議(仮称)における審議事項についてです。本格運用後の利活用に当たっては、あらかじめその内容等について有識者会議(仮称)で事前審査を受けることとされましたが、ここではその事前審査以外に審議をする事項について整理をしました。前回までの議論を踏まえると、有識者会議(仮称)では、利活用の事前審査のほかに、利活用状況のモニタリング、また必要に応じて公表内容の確認、利活用中に生じた問題などの対応の検討、運営に係る各種ルールの改定や作成の検討などを審議することになると考えております。

 次にスライド4と5を併せて御覧ください。こちらでは中間生成物も含めたデータの取扱いと保管について整理をしました。 MID-NET で取り扱うデータについては、利活用期間中では全てのデータが保管されますが、これらのデータについては慎重に管理すべきとの御意見を踏まえ、利活用の終了後におけるデータの保管は必要最小限とし、データの種類によっては利活用者側ではなく、システムの管理側で保管すべきであると考えております。

 スライド4では、利活用中に生成し得るデータの種類について、左端の列のとおりデータが生成される順に1~8のように整理をし、それらについて利活用終了後におけるデータの保管や安全管理の必要性、保管場所、削除の必要性について整理しました。またスライド5は、スライド4で整理した内容を図示したものになりますが、図の中にはスライド4に対応したデータの種類の番号をそれぞれ付けていますので、適宜御覧ください。

 スライド4の左から2列目に○を付けましたとおり、保管の必要性については、1の研究・解析計画書、3の各医療機関から抽出・送信されたデータ、4の抽出・送信がされたデータの解析に用いたスクリプト、最後の8の公表資料、これらについては解析経過の再現性の観点から、保管が必要と考えております。また、6の複数施設統合データ処理センターのシステムの外部へ移動したデータについては、データの移動行為の検証の観点から、利活用の終了後も保管が必要と考えております。さらに、これらの保管が必要なデータのうち、スライド4、5で黄色に示した3と6のデータについては、患者のデータが含まれているため、安全管理も必要となり、利活用者側ではなく、システムの管理側での保管が必要と考えております。また、5と7の中間生成物については、解析経過の再現性の観点からの保管は不要であり、利活用終了後は削除が必要と考えております。

 スライド5を御覧ください。スライド4でまとめた内容の図になります。図中の番号はスライド4の番号にそれぞれ対応しております。利活用期間中は、これらの全てのデータが保管されていますが、利活用の終了後は黄色の枠内のデータのみがシステム管理側で保管をされ、緑の点線枠内のデータは削除されることになります。6のデータについては利活用者の意向によって、データ量や保管期間が異なると考えられますので、それらに応じた保管料の設定についても検討すべきと考えております。一方で、緑の点線枠内のデータについては、スライド4で説明した内容のとおり、左側の5と7のデータについては、再現性の観点からは保管は不要であり、右側の6と7の複数施設統合データ処理センターの外部へ移動したデータについては、目的外使用や転売などが危惧されるため、利活用終了後には全て削除するという整理をしております。なお、ここに示したものについては一般的なルールであり、個別のケースについては有識者会議(仮称)の審査結果を踏まえ、取扱いを変更する場合も考えられます。

 次に、スライド6を御覧ください。今後、利用料の検討などを進めていく際の参考として、 MID-NET が製造販売後調査にどのように利活用できるのかについて、そのイメージを整理しました。まず、 MID-NET の本格運用後には、1. MID-NET を使用した調査のみを実施するケース、2. MID-NET を使用した調査を基本とし、その補完として他の調査を実施するケース、3.ほかのデータベースや従来の方法を用いて調査を実施するケース、これらのケースが考えられます。これらのうち、 MID-NET に適した調査の例としては、上の赤の吹出しに示したとおり、新薬処方後の肝・腎機能などの検査値異常の発現リスクの定期的なモニタリングや、同種同効薬の有害事象の発現リスクの比較、 DPC データ・レセプト・電子カルテ情報を組み合わせた医薬品の処方実態や有害事象のリスクファクターに関する詳細な調査などが考えられます。なお、 MID-NET で抽出可能なリスクと抽出条件の設定の仕方については、検討段階のものではありますが、スライド7に参考としてお示しをしていますので、適宜御参照ください。

 一方で、全例調査など、曝露集団が捉えられない場合などについては、 MID-NET の使用が難しいことが想定されますが、それ以外の MID-NET で調査可能なもの、すなわちここでは赤で示したような調査を中心として、積極的に利活用ができるものと考えております。資料2については以上です。

○永井座長 ありがとうございます。いかがでしょうか。少し時間がとってありますので、いろいろな御意見を頂ければと思います。順番に進めていきたいと思います。最初の公益性の判断基準についてはいかがでしょうか。

○山口構成員 確か、前回の検討会ではまだ期間が設定されていなかったと思いますが、具体的に何をどの期間で行うのかということを明確にした上で、利活用開始後1年を目途にするという設定をされたということについては賛成です。

○永井座長 他にいかがでしょうか。企業の立場で青木構成員、いかがでしょうか。

○青木構成員 特に異論があるわけではないのですが、やはり気になるのは広く認めるという方向性になるだろうと想定していますので、できれば、このようなものは該当しないというような事例として、該当しない事例などを出していただくと、企業側としてリーズナブルに判断ができるような印象を受けました。

○永井座長 いかがでしょうか。

○安全対策課専門官 ありがとうございます。ここに「ある種の研究については認める」と記載していますが、検討の段階で、逆にこのようなものは認められないというような基準の考え方も出てくると思いますので、そのような考え方も取り入れて検討していくものと考えております。

○永井座長 アカデミアの立場で、林構成員、あるいは柴田構成員、いかがでしょうか。

○林構成員 今お話のあったように、公益性の判断基準を具体化していくところはなかなか難しいと思うので、少しずつ事例を見ながらということになるとは思いますが、粗く考えてみますと、例えば薬剤疫学研究の場合は基本的にはおそらく全て公益性があると思うので、やはり具体的なものを見ながら基準を作っていかざるを得ないのかなと思います。

○永井座長 柴田構成員、どうぞ。

○柴田構成員 私も林先生と同じ意見なのですが、前回の検討会における議論を拝見しますと、例えばアカデミア等から類型の御提案を頂くなどというお話があったと思いますが、そういうものも踏まえながら基準を作っていく、あるいは可能なものと不可能なものの線引きの事例として挙げていただくと、話がまとまりやすいのかなと思います。そのような検討は必要なのではないかと考えます。

○永井座長 ほかに御意見はありますか。また適宜御発言いただければと思います。続いて、スライド3の有識者会議(仮称)における審議事項について御意見を頂ければと思います。山本先生、いかがでしょうか。

○山本座長代理 現実的な問題として、利活用を申し出て許可された人の利活用状況のモニタリングというのは結構難しくて、複数施設統合データ処理センター内の場合モニタリングは可能だと思いますが、そこから離れた所だと実際には簡単ではないと思います。もちろん複数施設統合データ処理センターから離れた所についてもモニタリングは必要ですが、現実的な問題として、事前審査や計画の段階で、どの時点で中間報告していただくかなど決めなければならないと思うのです。大事なことは公表内容を確認することで、本当に安全なのか、あるいは公益性が十分に上回っているのかを点検していくべきです。また、研究では公表直前に公表前の確認依頼がされることが多くて、例えば NDB の場合でも、明日公表するので確認してくださいといった申出が時々あったので、少し余裕を見て公表前の確認依頼を出すなどを事前審査や計画の段階で条件にしておくほうがよいと思います。

○永井座長 いかがでしょうか。

○木村構成員 このままでよいと思います。

○永井座長 それでは、続いてスライド4と5の中間生成物も含めたデータの取扱い・保管についてはいかがでしょうか。アカデミアや企業の方から御覧になってみていかがでしょうか。

○青木構成員 特に問題はないと思いますが、現代の IT 技術からすると、データのコピーが非常に容易であることから、果たしてこれでデータを守りきれるかどうかに関しては、代案がすぐに思いつく訳ではありませんが、単純に不安というか、心配があります。万が一、企業を通じてデータが外部に漏れるようなことがないようになればいいなと、祈りでしかないのですが、そんな印象を持ちます。

○永井座長 林先生、いかがでしょうか。

○林構成員 例えば総務省などもこのようなデータをなるべく利活用するようにということでされていると思いますが、その場合は非常に厳しい、例えばカメラでコピーを撮っていないかとか、カメラ自体を持ってきているかどうかが分かるようにしておくとか、いろいろな厳しいルールを満たしている施設だけで実際に使えるようにしていると思います。 MID-NET ではそこまで必要かどうかは分かりませんが、今おっしゃったように、データが外に出ることとか、コピーが生成されるということがもし懸念されるのであれば、少し何らかの条件を付けることも考えられるのかなと思いました。

○木村構成員 まず、スライド4では、データの保管の必要性、安全管理の必要性、削除の必要性をまとめているのだと思いますが、「○」と「×」で表しているところの意味を確認したいと思います。一番右の列の「○」は削除しなければならないということで、5の集計表は削除しなければならないということでしょうか。

○安全対策課専門官 図が分かりにくくて失礼しました。いちばん右の列の削除の必要性のところで「○」と記載があるものについては、削除の必要性があるということで記載させていただいています。例えば、いちばん右の列に「○」が付いている5番と7番のデータの種類については、スライド5の図では緑の部分に該当します。これらは利活用期間中には利活用者が閲覧したり解析したりすることはできますが、終了後には削除していただく形で整理をしています。

○木村構成員 ただ、研究というものは、スタートしてこれで終わりというようにはなかなかならなくて、このような結果が出たので、次はさらに追加で新たなことを研究したいということがあるため、これはなかなか難しい運用だという気がしました。

○安全対策課専門官 御意見ありがとうございます。この部分はなかなか難しくて、研究という観点からはデータの保管が推奨されているという一方で、このようなデータベース研究を行うことでいろいろ出来てくる中間生成物をどこまで保管をしておけばよいのかを考えるにあたっては、保管に関する費用がかかることも考えなければなりません。さらにデータの中身自体が個人情報とまではいかないものの、データの管理は必要であると考えています。そのような観点から、利活用の期間については、例えば企業が再審査の申請資料に使う場合は、再審査をしている間、論文であれば公表されるまでの間は、このようなデータも必要になってくるのではないかと考えて、再審査結果が出るまで、公表されるまでを利活用期間と想定し、利活用期間中は全てのデータが保管されるように整理をしています。

 ただし、その利活用期間の終了後においては、データの保管は必要最小限とし、協力医療機関から出されたデータと、利活用者の手元にある解析計画書やスクリプトの内容を組み合わせて保管いただくことで、万が一それを再度見たり使いたいということになれば、再現できるような形で最小限のデータを保管するという形で整理しています。

 また、前回の検討会で先生方に御議論いただいたとおり、利活用終了後においては、医療情報が元となっているこのようなデータについては、目的外の使用やデータの転売には注意しなければならないため、まずは慎重に考えて、 NDB などの他のデータベースの利活用事例も踏まえて、利活用終了後にはデータは削除するという方針のもと、このような取扱いで始めさせていただきたいと考えております。

○木村構成員 私は科研費で医学研究の証拠性を上げるという研究を行っていますが、黄色の部分は利活用終了後も保管するということで「○」ということで、もしも論文に何かがあったときにたどる場合は、ここに示したデータを最低限保管すればたどれるだろうとお考えなのですね。

○安全対策課専門官 6番のデータを残していますので、そのように考えています。

○木村構成員 3番と6番のデータを保管するということですか。

○安全対策課専門官 3番のデータは残すことを考えています。6番のデータを残していますが、6番のデータに何が含まれるのかというのは、利活用者が決めることになりますが、それに関してはデータ量や保管期間に応じて、利用料というか保管料が発生するという整理にしております。

○永井座長 他にいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、次に4点目の利用料の検討についてですが、これから議論を進めていく上で、製造販売後調査への MID-NET の利活用事例のイメージについて、事務局に整理していただいております。これについては青木構成員、いかがでしょうか。

○青木構成員 前回の検討会でも御議論いただいたと思いますが、今の使用成績調査の在り方そのものについても少し検討が必要だと考えています。製薬産業としては、特段気にしているのが、既存の厚労科研の研究でもありましたが、例えば 300 製品があったら、 300 製品の全てが製造販売後調査を実施するように御指導いただいており、実際に実施していますが、これに上乗せされて MID-NET が利活用されるとなると、運用上の財務的な負担が大きいということを特に気にしています。そのような状況にあって、是正すべき製造販売後の観察研究の在り方というのは、それぞれの安全性検討事項に対して、それぞれに適切なリサーチクエスチョンを組んだデザインに基づいて調査・研究を行うべきであると考えています。例えば、 10 個の安全性検討事項があれば、 10 個の答えを出さなければならない。そのうち、一部は観察研究をする必要もなく、報告制度で観察するようなやり方もあると思いますし、その中で MID-NET を利活用していくというイメージをしています。その上では、今回出していただいた事務局案の事例のようなものに対して MID-NET を使っていくことに関しては、大筋で賛成できるものだと考えています。

○永井座長 ただし、今回事務局で整理いただいた内容から利用料をどのように計算すればよいのでしょうか。

○安全使用推進室長 利用料については、前からお話しておりますワーキンググループで、これから検討を進めたいと思っております。まずは、本格運用後の運営にどれだけの金額がかかるのかを、一つ一つできる範囲で精査していくことになると考えております。それに対して、今、御審議いただいている、どれだけの調査に MID-NET が使えるのかということについては、具体的な事例をこれから少しずつ検討して、何件くらいの利活用が考えられるのかを想定しながら考えていきたいと思っております。また、利用料の額については、前回の検討会でもお話させていただいておりますが、幾つかカテゴリー分けをすることも考えており、その中でデータ量や解析の種類などに応じて設定していきたいと思っております。今、どのぐらいの調査に MID-NET が使えそうなのかについて詳細な整理をして、利活用が出来そうな件数も出していきたいと考えています。

○永井座長 大江先生、いらっしゃったばかりで申し訳ありませんが、資料2のスライド6に、製造販売後調査への MID-NET 利活用のイメージ図がありますが、東大病院では既に存在しているデータベースを使って、製造販売後調査をされた御経験はありますでしょうか。

○大江構成員 製造販売後調査として依頼を受けたことはありませんが、同様の調査をしたことはあります。ただし、それほど件数は多くないです。

○永井座長 かなり使えるといった感じでしょうか。

○大江構成員 それは課題によって違うところがありますので、一概には言えないと思います。

○中島構成員 そもそも、 MID-NET は複数のデータベースを合わせてやっと十分な症例数のデータを抽出できるようなもの、すなわち1つの拠点だけでは処方数が少なかったり、あるいは曝露が明確な症例を十分に確保できなかったりするものに対して使われるものだと思います。そうすると、 MID-NET の利用料が決まったとしても、1つのデータベース、例えば九州大学病院だけで同じような解析ができるものに関して、価格の連携についてはどのように考えているのでしょうか。つまり、 MID-NET を使うと、一定のこれだけの価格を支払わなければならないけれども、それぞれの大学が自由に、データの提供に関する承認は必要だとしても、1つの病院のデータベースで受け入れた場合、同じような価格にしなければならないのか、あるいは大学が自由に決めていいのか、その辺りはいかがでしょうか。

○安全使用推進室長 今、先生がおっしゃった「1つの大学」という意味は、複数施設統合データ処理センターを介さずにデータを収集されるような研究ということでしょうか。

○中島構成員 そうです。つまり、ある製薬会社が、ある医薬品の副作用を調べようとするときに、1つの施設でも十分な投与例があるので、複合施設のデータを使わずに、1つの施設に対して調査を依頼しようと考えたときに、その場合の価格と連携するようなことは考えられているのでしょうか。それとも、そのような場合は各大学が自由に価格を決めてよいというように考えているのでしょうか。

○安全使用推進室長 試行期間中の利活用要綱の中で、複数施設統合データ処理センターを使わずに単独の施設のデータを使った場合については、今、各医療機関のほうで、別途規程を定めていただいていると思います。それに則った形で、利用料をどのように設定するのかについては、今後、御相談させていただきたいと思っております。

○中島構成員 製薬会社が利活用をする場合なので、もちろんこの話は本格運用後の話になるとは思いますが。

○安全対策課長 御質問は複数施設統合データ処理センターを使わずに、各医療機関単独で研究を行うということだと思いますが、その単独の研究については、 MID-NET の規定には当たりません。例えば、そのような自主研究を、実際にはある各企業が A 病院に単独に依頼し、 B 病院にも単独に依頼していくということで、 MID-NET の抜け穴みたいな形になるのはまずいことです。従って、その点についてどのような取扱いにするのかは、できるだけそのようなことにならないような形で、複数の施設で行う場合はきちんと MID-NET の中で行っていただくということでできるような形で考えたいと思います。

○木村構成員 今の話は少し言い過ぎなのではないでしょうか。基本的には試行期間中の話は別のワーキンググループで議論していますが、複数施設のデータを用いる場合は全部複数施設統合データ処理センターを介して利活用をしてもらわなければならないという話は聞いていません。

○安全対策課長 先ほど申し上げた点は、明らかに複数の施設で行うことを前提に動いた場合です。ケースによってはある先生がやられて、他の先生が同じような研究をやられるというのはあるかと思いますが、明らかに複数の医療機関のデータを使うことを最初から意図してやられるというのは、 MID-NET の統合的な解析をするということですから、それは MID-NET のシステムを使っていただきたいと。木村先生がおっしゃっているのは、同じような研究をやられる場合があるということだと思います。そういうものが出たときは、 MID-NET でやらなければならないのかというと、それは同じような研究をたまたまやられる場合もあるだろうから、そこについては意図していたのではないかということで、 MID-NET を使えということにはならない。そこは意図しているか、していないかということで、判断せざるを得ないだろうと思います。

○木村構成員 今の話は、結構、学問の自由にも関わるような話をしていませんか。それは違うと思います。「明らかに」という部分が、少しよく理解できなかったです。もう最初から研究計画としてあるかないかについては研究主体が決めることであって、外形的なことで言われる話ではないと思います。

○安全対策課長 やはり研究計画というところになると思います。

○木村構成員 おっしゃった内容で納得いかないのは、試行期間中の話はここですることではなく、ここでは本格運用後の話をしていますが、複数機関のデータを使うのであれば複数施設統合データ処理センターを使えと言われる覚えはないということ。これだけははっきりさせておきたいです。

○山本座長代理 木村先生がおっしゃることはよく分かりますが、これはあくまでも製造販売後調査の話で、制度に基づく話なのだと思います。

○木村構成員 それはいいです。

○山本座長代理 制度面から複数施設統合データ処理センターを使う方法が「 MID-NET 」というものに該当し、製造販売後調査では MID-NET としての利活用に限って可能とするような通知を出すことになれば、製造販売後調査の場合はそのような扱いになるのではないでしょうか。

○木村構成員 それはいいです。

○山本座長代理 それ以外の研究の話は、ここではしていないと思います。

○木村構成員 分かりました。

○永井座長 他にいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは次にまいります。事務局で整理いただいた今後の進め方についてですが、資料3について御説明をお願いします。

○安全使用推進室専門官 資料3を御覧ください。今後の検討課題とスケジュールの案について、事務局で整理をしました。スライド2で、今後の検討課題について、本課題において検討すべき課題と別途検討が必要な課題に分けてそれぞれ整理をしました。まず、本検討会における検討課題としては、利活用の詳細ルールの作成の検討が挙げられますが、これについては本検討会の下にワーキンググループを新たに設置して、検討を進めていくこととしてはどうかと、事務局では考えております。また、運営に必要な経費の整理と費用負担については、これまでも説明してきましたとおり、本検討会の下にワーキンググループを設置して検討を進めていくとともに、平成 30 年度の本格運用までに施行が予定されている3点目の改正個人情報保護法などへの対応についても、本検討会で今後検討を進めていくことを考えております。

 また、別途検討が必要な課題としては、 PMDA や協力医療機関といったシステム管理者用の運用手順の作成を検討する必要がありますが、これについては行政と各協力医療機関がメンバーとなっている協力医療機関ワーキンググループにおいて、検討を進めていくこととしてはどうかと考えております。さらに、人材育成に関する検討についても、本検討会とは別途進めていくことを考えております。

 スライド3には、今後のスケジュール(案)をお示ししています。上のスケジュール表において、左側に「 MID-NET 検討会」と記載したものは本検討会、その下のワーキンググループは、本検討会の下に設置予定のワーキンググループを示しております。今後の予定としては、平成 28 年7月頃には本検討会の中間報告書の公表を行い、平成 28 年8月から費用負担と利活用ルールの作成について、それぞれワーキンググループにおいて検討を進めていきたいと考えております。また、平成 29 年1月頃から本検討会を再開して最終報告書に向けた検討を進め、平成 29 11 月には本検討会の最終報告書の確定、公表を行いたいと考えております。その後、本格運用に向けた各種ガイドラインなどを発出して、平成 30 年度には本格運用を開始したいと考えております。事務局としては以上のスケジュール(案)を考えておりますが、この点について御意見を頂ければと思います。資料3については以上です。

○永井座長 ただいまの御説明に御意見をお願いいたします。改正個人情報保護法等への対応、特に個人情報保護法の下で、国内でどのような対応をとるのかという話と、この間、伊勢志摩サミットでも関連した問題が取り上げられたと思いますが、外国の基準との整合性についてはどのようにお考えなのでしょうか。

○安全対策課専門官 正直なところ、外国の法律との整合性についてはまだ検討をしていない段階です。国内の個人情報保護法の改正に基づく様々な整理が今まさに行われていますが、その際に MID-NET で取り扱う情報についてどのような整理ができるのかはその動向を見ながら、また、試行的利活用が始まっておりますので、そのような現状と余り齟齬がない形で運用ができるように調整をしていきたいと考えています。今日いただいた御意見を踏まえて、外国の情報についても確認をして、次回以降の最終報告の検討会の際には整理できるように検討したいと思います。

○石川構成員 今後のスケジュール案が示されましたが、以前少し言いましたように、 MID-NET の有効な使い方といいますか、国の財産としてどのように使われるのかということについては、なかなか予測が立たない点もあると思います。それから、 MID-NET を利用する機関や、研究の目的についても、例えば、今規定されている薬の副作用などといったことやベネフィットのほうも含めて検討していくことになると、網羅的に調べなければならないということも出てくると思います。例えば、薬の副作用というのは、肝臓で代謝されるから肝機能障害があるのだろうといったような簡単なことではなくて、結構長期間に見て、いろいろなところで変化が出てくるのを見落とさないようにしないといけないということもありますので、この利活用ルールを作成することは簡単なことではないと思います。しかも、一旦利活用ルールを作ってしまえば長期的にそれが適用できるという訳ではなくて、走りながらルールを作っていくようなことをしなければ、きちんとした利活用ルールの作成は難しいと思います。

 そういう点で、この間の検討会で少し提案した模擬利用や、幾つか提案を出していただけるような研究者から、私はこのような目的で使いたいということで、幾つか応募をしていただいて、実際に使っていただくということも大事なのではないかと思います。利活用ルールを作成する際にはそのようなことをやらないと駄目なのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○安全対策課専門官 おっしゃるとおりだと思いますので、模擬利用や模擬審査といったことも検討させていただきたいと思います。

○安全対策課長 御指摘ありがとうございます。正に利活用ルールを決めたら、もうそれで終わりという訳ではなくて、その利活用の状況を、まず試行的に始めますが、その情報を盛り込んで利活用ルールを作りますし、本格運用になってからもいろいろなケースが出てきますから、それに従って見直していくということだと思います。

 今回の資料3の今後のスケジュール(案)の所で、利活用ルール作成ワーキンググループということで、スケジュールを組んでありますが、当然、利活用というのはずっと続いていきますので、このワーキンググループの作業が終わったとしても、例えば有識者会議(仮称)でいろいろな利活用を見ながら、利活用ルールをその都度、必要があれば見直していくという形で、引き続き検討していくということで考えたいと思います。どうもありがとうございました。

○中島構成員 今後のスケジュール(案)の中で、利用料ワーキンググループが8月から始まって 12 月までとの話がありましたが、まだ公益性の判断基準も作成されておらず、本格運用後における利活用ルールの作成に関するワーキンググループもまだ全然結論が出ていない時点で終わるというよりは、もう少し後にならないといろいろな判断をするのが難しいのではないでしょうか。

○石川構成員 私も、最初の段階で利用料を決めるのは難しいと思います。実際に使ってみて、利活用ルールも含めて、あるいはどのような研究の参加があるのかということも含めて、その辺から考えなければならないので、最初は利用料は無しでもよいのではないかと思います。

○田尻構成員 今おっしゃられたように、恐らくは価格の設定はしたものの、割高なので誰も使わない。それではとても困った状況になろうかと思います。そういう意味では、いわゆるコストパフォーマンスの部分も含めて、違うデータベースでできるものについてもこちらを使うとか、そういう選択肢も当然あるわけでしょうから、その辺は多少ハンドリングをもたせて、ある程度市場の要求も見ていかないと、小売業界の私からすれば、その辺も勝手に価格を決めてもどうなのかなと思います。走りながら、その辺を探りながら、正当な価格を考える必要があるのかなと少し思います。

○永井座長 これは是非、井出参考人の御意見を伺いたいのですが、そのようなことは許されるのかどうかを含めて、経営的な観点からはいかがでしょうか。

○井出参考人 今お話を聞いていて、おっしゃるとおりだなと思うのは、資料3に示された利用料ワーキンググループのこの期間だけでは、利用料はとても決められるものではないので、先に走るか、並行するか、後にするかというのはまた議論があると思いますが、恐らくこのスケジュールだと利用料を設定すること自体、無理だと思います。

 ただ、中間報告書の案にもありますが、と言いながら、コストがここまでかかってきているので、事務局からも何回も御説明いただいていますが、どのようなことにお金がかかってきたのかということについては、ある程度調べておく必要があると思います。利用料については、どれだけ利用していただけるのかというシミュレーションや、試行的に利活用をした結果、いわゆるボリューム感が分からないと利用料は出てこないと思うので、そこは先走りして検討するかどうかは別として、ある程度は利活用ルールの作成に関するワーキンググループや、他の状況を見ながら、利用料に関するワーキンググループももし始めるとすれば、同時並行か、少し検討した後でもよいのかなと思います。ほかの方の御意見と基本的には一緒です。

○安全対策課長 具体的な御意見など、ありがとうございます。やはり先に利用料を決めていくというのはなかなか難しいという御指摘を頂きましたので、これについては利活用ルールの策定と並行して検討することにしたいと思います。一方で、平成 30 年度からスタートということで、費用についてもある程度周知期間を置かないと利活用は進まないというのも事実ですので、やはり利活用ワーキンググループと利用料ワーキンググループは並行させて、平成 30 年度からスタートするための準備期間、周知期間も踏まえたところで、一定の結論を出して、利活用が進められるような形で考えさせていただければと思います。

○永井座長 確かに、どのくらいのスピードで、どのくらいの量の情報が得られるのかによって利用料は決まってくるわけですね。それは動かなければならないわけです。利用料がなくても要らないという人もいるのだろうと思いますし、やはり、まずは利活用の実績を積みつつ検討を進めていくというところはあるのだろうと思います。恐らく、この試行期間中には、様々なバグの問題に対する対処なども含めて、いろいろな利活用は可能なのだと思います。

○安全使用推進室長 7テーマについては、この夏から実際に MID-NET を動かして、どのようなデータが出てくるのかという解析も含めて行う予定です。その結果についても、早めに先生方に御報告できればと思います。テーマとしては、第1回の検討会でも御説明しましたが、昨年度に試行的な利活用テーマとして 14 テーマを選んでいます。その中から実現可能性の高いテーマとして、7テーマを選んだところであり、これから正に解析を行おうとしているところです。

○永井座長 よろしいでしょうか。それでは、資料3の今後のスケジュール(案)を御確認いただき、利活用の詳細なルールの作成については、検討会の下にワーキンググループを新たに設置すること。また、利活用に関するワーキンググループと利用料に関するワーキンググループは同時並行で進めていきたいと思いますが、その点はよろしいでしょうか。何か御意見があれば御発言いただければと思いますが、よろしいでしょうか。

○青木構成員 先生方の御議論は全くごもっともで、プライシングの理論が正当な金額を出すというのはなかなか難解であるということは存じ上げておりますが、これまで企業も安全対策拠出金として、 19 億円くらいを拠出させていただいているということから申し上げますと、資金がもつならば、それには賛成であるというところもありまして、どのような形でこのプロジェクトをきちんと社会的なインフラにするかという中にあっては、足りなくなったから、製薬産業からまた出してほしいということに関しては、必ずしも了解しましたということにはなりにくい部分があるということは、少し申し添えておきたいと思います。

○永井座長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。続きまして、中間報告書の案についてです。事務局から説明いただき、これまで議論されてきた個別の課題ごとに小分けをして御議論いただきたいと思います。最初に資料4-1、資料4-2に基づいて、中間報告書(案)の全体構成について、事務局から御説明をお願いいたします。

○安全使用推進室専門官 今回取りまとめた中間報告書(案)について御説明いたします。資料4-1として、現時点での中間報告書(案)概要の1枚紙を準備しておりますので、適宜御参照ください。また、資料4-2として中間報告書(案)の本体を準備しております。以降は資料4-2を御覧ください。

 初めに全体構成です。1枚お捲りいただくと中間報告書(案)の目次になります。内容は初めから順に、本事業の経緯、 MID-NET のシステムの概要、本検討会で御議論いただいた利活用範囲、利活用方法やルール、運営に係る費用負担の枠組み、人材育成のそれぞれについて記載をして、最後に先ほどの資料3で御説明をした「今後、引き続き検討が必要な事項」について記載をしております。

 このうち、3の(1)の利活用範囲については、利活用可能な者の範囲と利活用の目的の範囲の順に記載し、3の(2)の利活用の方法及びルールについては、第3回検討会の資料3-2で御説明した内容を基に、基本的には利活用に関する事前審査から結果の公表に至るまでの一連の過程の順に記載をしました。ただし、2番目の利活用の形態については、オンサイトセンターの設置の必要性について記載をしております。

 また、3の(3)の運営に係る費用負担の枠組みについては、費用負担の枠組みと利用料の額の設定のそれぞれについて記載をしております。

 最後に、4の「今後、引き続き検討が必要な事項」については、本検討会で検討する事項として、利活用のルール、運営に必要な経費の整理と費用負担、改正個人情報保護法等への対応の3点を記載し、その他に別途検討が必要な事項について記載をしております。目次については以上です。

 次のページを御覧ください。ここには本検討会の構成員と参考人の皆様のお名前と御所属を記載しております。次のページでは、本検討会におけるこれまでの検討結果を記載しております。以降、中間報告書(案)のページ数は一番下に記載をし、行数については左側に記載をしておりますので、適宜御参照ください。

 本事業の経緯については、3ページから、第1回検討会の資料1を用いて御説明した内容を中心に記載しております。本検討会については5ページの 93 行目から記載していますが、 98 行目以降には、「本中間報告書に取りまとめた内容を遂行するために必要な経費については、別途概算要求を行うことが必要であると考える」との記載をしております。

MID-NET の概要については、6ページの図1のとおりで、 MID-NET の範囲を含めたシステム全体の概要や、7ページの図2に示した情報の取扱いなどについて記載をしております。本検討会にて御議論いただいたそれぞれの検討事項については、8ページの 157 行目から記載していますが、詳細については後ほど小分けをして御説明させていただきます。全体構成については以上です。

○永井座長 ただいまの御説明に、何か御質問はありますか。あるいはこの構成について御意見等がありましたら、御発言いただきたいと思いますが、何か追加したほうがよい項目があれば御発言いただきたいと思います。よろしいでしょうか。もしよろしければ、この構成で進めたいと思います。

 次に、項目ごとに御説明と御意見を頂きたいと思います。最初に、利活用の範囲について、説明をお願いいたします。

○安全使用推進室専門官 資料4-2の中間報告書(案)について、引き続き8ページの 157 行目から御覧ください。利活用の範囲に関する記載内容について御説明いたします。

 初めに1)として、利活用可能な者の範囲について記載をしております。 163 行目の後半から、本格運用後には製薬企業やアカデミアなど様々な利活用者が想定されることから、利活用者の観点からの制限はしないものの、十分な責任を持てる主体による利活用を前提とすべきであり、事前審査等により利活用申出者及びその主体の適格性については確認する必要があると記載をしています。

 また、利活用の目的の範囲については、9ページの 170 行目から記載をしています。本事業の目的を踏まえると、利活用の目的の主軸は医薬品等の市販後安全対策であると記載していますが、それに加えて MID-NET は様々な有益な活用方法が考えられること、また、データベースの利活用による最終受益者は国民との考え方に基づいて、公益性の高い調査・研究における利活用も一定の範囲で可能とすべきであるとの記載をしています。また、この公益性の高い調査・研究の範囲については、 178 行目からの記載のとおり、当面の間は、いわゆる未承認薬検討会議において開発要請がされた品目の使用実態調査、国の行政機関や自治体及び研究開発独立行政法人からの公的研究費による研究といった、これらの2つの範囲に限定することとしております。

 また、本日の資料2で検討課題の1つとして挙げさせていただいた内容として、 183 行目以降に、民間財団からの助成や公的研究費の獲得が難しい若手研究者による研究の中にも、公益性が高いと判断できる調査・研究は存在し得るため、公益性の判断基準を作成し、本事業の運営状況も踏まえて、利活用の範囲の拡大が可能となるようにすべきであること、公益性の高い調査・研究については、安全対策の目的に含まれるものも多く存在し得るため、安全対策の目的の中で幅広く解釈して運用すべきであるとの記載をし、基準の作成に関する具体的なスケジュールや方法は、資料2の内容に基づいて暫定的に記載しております。利活用の範囲の記載内容については以上です。

○永井座長 ただいまの御説明についてはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 「利活用の目的の範囲」について、「目的の範囲」という言葉はあるのでしょうか。「目的」とは違うのでしょうか。これは単に「利活用の目的」ではないのでしょうか。

○安全対策課専門官 「ここまで」という感じで「範囲」という文言を入れましたが、「目的」でよろしければ「目的」に修正させていただきます。

○永井座長 他にいかがでしょうか。

○大江構成員 本文はこれでよいと思います。特に 183 行目から、私が前回、前々回の検討会でも少し意見を言わせていただいた、いわゆる公的研究費による研究以外で目的に沿う公益的な研究もできる限り、幅広く実施できるようにすべきであるということが上手く書かれていると思います。

 ただ、資料4-1の概要では、その部分が少し見えなくなっているので、今後公表した場合には概要だけが引用されることが多いと思うので、概要の2)の1つ目の「・」の末尾に、「安全対策を軸とし、その範囲については幅広く解釈して運用する」というようなことを入れるように工夫していただけたらと思います。

○安全対策課専門官 修正させていただきます。

○永井座長 他にいかがでしょうか。

○丸山構成員 言葉尻を捕えるようなのですが、8ページの下から3行目の 164 行目に、「利活用者の観点からの制限はしないことが妥当である」と書かれていますが、その後で「主体の適格性については確認する」というので、個別には限定を加えるということになっていると思います。なので、「利活用者の観点からの制限」というのはカテゴリカルな制限は加えないけれどもというような意味なのかなと思います。そのような言葉のほうが、後ろの文とうまくつながると思いました。

○永井座長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。それでは、そのように修正させていただきたいと思います。

 続いて、利活用の方法とルールについてです。まず、事務局から御説明をお願いします。

○安全使用推進室専門官 引き続き、資料4-2の中間報告書(案)について御説明いたします。利活用の方法及びルールについては、9ページの 194 行目から記載をしています。まず初めに、事前審査については、 10 ページの 199 行目の後半から、 MID-NET で利活用される情報については、極めて稀な疾病に罹患している場合など、特定の個人を識別できる可能性が完全に否定できないため、情報の取扱いには十分に留意する必要があること。本事業は国費も投入して整備をしてきたものであり、不適切な利活用がされないようにするため、利活用ごとに有識者会議(仮称)で事前審査を行うことを記載しています。

 また、 206 行目以降に利益相反の件について記載をしていますが、利益相反については、利活用者の所属機関における利益相反の管理状況を届出することにより把握することが必要であること。その次に、 209 行目以降から事前審査の主な内容について記載をしています。

 一方で 219 行目以降には、行政が医薬品等の安全対策目的で利活用する場合には、事前審査を省略できるような方策を検討すべきとの記載をしています。また、 222 行目以降には、承認された利活用の内容については公表すべきではあるものの、詳細な公表内容は今後検討するといったことを記載しています。

 また、 225 行目以降には、事前審査の実施について頂いた御意見として、公的研究費の獲得の際に受ける審査の内容を踏まえて、 MID-NET の利活用に関する事前審査の簡略化や、 11 ページの 229 行目以降では、公的研究費の申請中であっても利活用の申出を可能とするといった配慮が必要との記載をしています。

 次に、利活用の形態については 239 行目以降に、利益相反や利活用者の利便性、責任の所在などを考えると、 PMDA に解析を依頼するのではなく、利活用者自らが解析を実施できるようにすべきであり、 250 行目以降では、利活用者自らによって、十分なセキュリティ環境を確保した環境を整備することは難しいことが想定されるため、「行政がオンサイトセンターを整備し、利活用の促進を図る必要がある」との記載をしています。

 次に、データの取扱いについては 12 ページに、 MID-NET におけるデータの流れをお示ししています。また、 267 行目以降で、取り扱うデータについては安全管理要件を定める必要があること、 13 ページの 274 行目以降では、一次統計処理結果については、集団が小さいなど特定の場合を除いて、特定の個人識別性はないと考えられるため、柔軟な管理要件を定めることが適切であるとの記載をしています。

 また、 279 行目以降では、オンサイトセンターと同等の安全管理要件を満たせば、利活用者の利便性も踏まえて、利活用者自らの施設から MID-NET にアクセスすることも可能とすること。その場合には 283 行目以降のとおり、安全管理要件を満たしているかについて事前審査や実地調査を行う必要があるとの記載をしています。

 次に、データの移動については 301 行目以降から 14 ページにかけて、個人単位のデータである個票の移動は不可としますが、個人単位のデータを統計処理した集計表の移動は可能とすることが適切であること。ただし、 14 ページの 305 行目から、移動するデータは必要最小限とし、移動したデータについては移動する前と同じ安全管理要件を定めることが適切であると考えましたので、 MID-NET にアクセスする専用端末を介してデータの閲覧・解析を行う際に適用される一次統計処理結果の安全管理要件と同様の要件の下で管理することが必要との記載をしています。

 次に、データの保管・削除については、先ほど資料2で御説明した内容などを暫定的に記載しています。利活用期間中には各種のデータはシステムの管理側で保管されますが、 312 行目からのとおり、利活用終了後も研究不正行為の防止や検証などの観点からデータの保管が推奨されているが、その一方で、生成されるデータの量は膨大で、かつ一定の安全管理要件の下での保管には多額の費用がかかるといったことなどを考慮し、再現性の観点から必要最小限のデータの保管について検討する必要があるといったことを記載しています。

 次に、 344 行目からですが、データの保管と削除については、利活用者におけるデータの取扱い状況や集積された利活用事例を踏まえ、利便性の向上なども視野に入れて再検討が必要との記載をしています。

 最後に、結果の公表については 350 行目から記載をしています。目的の公益性の観点から、原則公表とすること。公表内容や方法は事前審査が必要であること。また、 15 ページから 16 ページにかけて、公表の際は個人や医療機関などが特定されないように、あらかじめ公表のルールを作成することが必要だが、その際には MID-NET の利活用の目的やデータの母集団の規模を考慮すること。また、 358 行目からは、医薬品の安全対策上、公表が必要と判断された場合はその理由も併せて公表すべきであること。 362 行目からは、公表予定の成果物の内容については公表の前に事務局に報告することや、必要に応じて有識者会議(仮称)の意見を聞くことを記載しています。利活用の方法及びルールの記載内容については以上です。

○永井座長 ただいまの御説明に、御質問、御意見がありましたらお願いいたします。

○杉山構成員 オンサイトリサーチセンターについてですが、 252 行目に「行政がオンサイトセンターを整備し」と書いてありまして、その後 278 279 行目に、「行政側が整備するオンサイトセンターのほか、オンサイトセンターと同等の安全管理条件が満たされ」という記載がありますが、オンサイトセンターのセキュリティというのは本当に高度なものであると思います。今は NDB ではオンサイトセンターは2か所あって、非常に高度なセキュリティが確保されていますが、このような状況や環境を実際に MID-NET を使う利活用者が本当に確保できるのかどうか、経済的な問題もありますし、マンパワーを考えても、なかなかこれは難しいのかなという観点で、今行政が、オンサイトセンターについては何箇所くらい、あるいはどのような設置を考えているのかということをお尋ねしたいと思います。よろしくお願いします。

○安全対策課専門官 オンサイトセンターにつきましては予算も限られている中での設置になりますので、現状では1か所の設置を検討しております。

 そのようなこともあって、今回1か所でどのくらいの利活用が見込まれるのかを考えた場合に、オンサイトセンターでの利活用のみに限定すると、利便性という点で難しい部分があり、利活用者自らの施設で安全管理要件を満たすことは非常に難しいことが想定されますが、そのような要件を満たした環境を整備できるのであれば、利活用者自らで整備をするといった道も残しておく必要があるのではないかということで、今回このような整理をさせていただきました。

○杉山構成員  NDB の利活用についてもオンサイトセンターを作るということになるのですが、基本的には所管が違うという話になればそうなのですが、今後、例えば国の成長戦略の中にもきちんとそのようなことは明記されているので、このようなことをきちんと国が管理する中で、もちろん利活用者が増えてくると大変なことになってしまうと思いますが、そのようなことを考慮した上で、省庁が横断的にきちんとしたオンサイトセンターを作るということも、構想の中には本当は必要なのではないかと思います。それぞれ条件は違うと思いますが、それは管理していけば可能なことだろうと思いますので、意見としてよろしくお願いいたします。

○安全対策課専門官 ありがとうございます。

○永井座長 他にいかがでしょうか。

○中島構成員  220 行目に、厚労省や PMDA が利活用する場合は、一定の範囲で個別の事前審査を省略できるとあります。もちろんそのとおりだと思うのですが、ここは必ずしも個別の事前審査を省略することだけを記載するのではなく、やはり事後には報告していただきたいし、そうしないと有識者会議(仮称)では把握されないまま、どんどんいろいろな検討がされていくということも起こりかねないので、そのような表現に変えていただいたほうがよいのではと思います。

 もう1つは、事前審査というのは必ずしも抑制的に働くだけではなくて、計画内容などが非常に効率的な方向に修正されることもあるので、もちろんここにはそのようなことが含まれているのかもしれませんが、もしそれほど急いでいないのであれば、事前審査を行うことも考えていいような気がします。

○安全対策課専門官 分かりました。これは緊急性が必要となる場合を想定して書かせていただいた事項なので、先生がおっしゃるとおり時間に余裕がある調査という場合には事前審査を行うことも考えられますし、緊急の場合でも御意見を伺うなどといったやり方もあると思いますので、今後検討していく際には考慮しながら、報告書の該当部分も修正させていただきます。

○大江構成員  13 ページの「データの移動」の所の 293 行目から 294 行目にかけて、「これらのデータは」とありますが、「これらのデータ」というのは、4、5行前にある分析用データセット、一次統計処理結果並びに中間生成物のことを指していることになると思います。そうすると、これらのデータは基本的には移動することはできないと書かれています。これは、試行期間中の現在はそうであるけれども、本格運用後ではどうするのかということについては、その後ろの記載で読み取るということでしょうか。

○安全対策課専門官 システムとしては、必ずデータを移動させるときにはシステム管理者の確認を伴うということで、ここに記載しています。

○大江構成員 操作を実施すれば移動できるという仕組みなので、という文脈で読むということでしょうか。

○安全対策課専門官 はい。

○大江構成員 そうしますと、次の 14 ページの 305 行目に、「外部への移動を可能とすることが適切である」とありますが、個票以外については外部に移動することが適切であるということですので、これを併せて解釈すると、個票以外については外部に移動できるけれども、移動に当たっては毎回、システム管理者に一定の操作をお願いして、操作していただいて初めて移動できるというように読み取るということでしょうか。

○安全対策課専門官 はい、そのように書いています。

○大江構成員 これは、その是非を議論する前に、現在 NDB のオンサイトセンターでも、中間生成物をサイトに置いたままでは、適切な解析ソフト、 MID-NET で言うところの複数施設統合データ処理センターに用意されている解析ソフトだけでは、効率的に解析ができないために、自らが用意した計算機に入れた解析ソフトウェアで解析したいというケースがあると思います。ただ、その度に、個人を識別する情報はもちろん含まれていなくて、単なる集計結果の中間生成物であっても、個々の小さなデータセットについて毎回移動させたいという申請の手続をして、システムの管理者が了承をして初めて移動できるといった、非常に能率の悪いプロセスになっています。このような仕組みが本格運用後も同じような形で適用されると、実際に解析を行う手順が非常に時間のかかるものになるのではないかと思いますので、中間報告書では、今後この点についてはこのままでよいのかについて議論をするということを記載していただきたいと思います。

○安全対策課専門官 分かりました。その点については今後議論させていただくことにしたいと思いますが、集計表の取扱いについては、これまでの検討会でも議論があったように、集計結果の数が「1」となるような場合など、個人の特定の可能性が高い場合は、この場合その数を隠していないので、公表用の資料とは別なものとして管理をする必要があると考えています。そのような点を踏まえて自由に移動できる方法はないか、また、システムの仕組み上、利活用者は個人単位の情報である分析用データセットも閲覧できるので、そのような状況との区別など、難しい点が出てくる可能性があるとは思いますが、今後はどこまでのことが可能なのかというところも含めて、議論をしたいと思います。

○山本座長代理  NDB での取扱いですが、特別抽出と集計表の提供依頼については両方とも制限があります。特別抽出の場合、探索的研究はできないことになっています。また、集計表の場合は、非常に簡単な操作で作成できる集計表以外は受け付けないことになっています。

 オンサイトセンターでは、ある程度の探索的な利用を認め、出来上がった中間生成物は再申請していただくことで、外部から取り寄せるようになっています。この制限を外してしまって、外部に自由に持っていって利用できるとなると、オンサイトセンターだからこそ探索的な利用を許しているという制限が全部外れてしまいます。オンサイトセンターで最後まで研究を完成させることは想定されていなくて、安全な集計表を作っていただき、それを再申請して承諾された場合は外部に自由にお持ちいただくことを想定しています。集計表の場合はセキュリティ基準が非常に緩くなっているので、普通の研究室でも十分に使えます。そのような利用の想定でオンサイトセンターは設計していますので、研究計画の中でそれを十分に考慮していただくことが重要と思います。

MID-NET の場合も恐らく、オンサイトセンターを使わなければならないことだけをオンサイトセンターで行うとしないと、オンサイトセンターの中の利用条件を緩めてしまえば、オンサイトセンターを整備する意味がなくなります。要するに、 PC は持ち込み可、ソフトウェアも勝手にインストール可とすれば、セキュリティ面からは全く信用できなくなります。そのように条件を緩めるのではなくて、むしろ運用をどれだけ簡単にできるかを考慮すべきだと思います。そのためデータ移動の申請は必要と思います。 NDB のオンサイトセンターの場合は有識者会議で判断するので、そこでの承諾が必要になります。外部に移動しても問題がないデータセットと判断されれば、御自身が作ったデータセットを外部に移動できとなりますが、これに関する整理はなかなか難しい問題になる気がします。

○大江構成員  NDB については今のままでやむを得ないのかと思っていますが、 MID-NET の場合には、かなり探索的な解析をすることは当然必要だと思っています。その場合に、それの基となるリソースは分析用データセットや、それがある程度統計処理を経た後のデータセットになると思います。例えば、データセットが金曜の夜にようやく出来上がったとします。土・日曜で、いろいろ探索的な解析をして、月・火曜までにある程度の結果を出したいなどということは幾らでも想定されると思います。そのようなときに、月曜日に申請をして、もしかしたら1週間くらい待たされるかもしれない。ようやく忘れた頃に続きの解析を行うというようなことを、3回、4回繰り返さなければならないような解析環境というのは、解析したい研究者にとっては、非常に使いにくい環境だと思います。

 仮に許可制にするとしても、データセットを安全な管理ができる所に移動できるようにする許可の仕組みを、何らかの非常に柔軟な形にしないと、連続的な解析作業が事実上できなくなることになり、そのようなことはほぼ確実に起こると思います。

○永井座長 どのような仕組みが具体的に考えられますか。

○大江構成員 もちろんルールで決めるしかないとは思いますが、例えば、中間報告書案の 306 行目からのとおり、当該データは一次統計処理結果と同様の要件の下で管理することが必要だと思います。ここまで要求するのであれば、そのように管理されたところへの移動は非常に柔軟な移動のルールにするということになると思います。

○永井座長 いかがでしょうか。多少倫理的な問題もありますので、丸山先生、我妻先生から御意見がありますでしょうか。あるいは、事務局はいかがでしょうか。

○安全対策課専門官 大江先生に頂いた御意見を踏まえて、利便性という観点と、データを安全に管理するという観点から今後検討していきたいと思います。検討結果は本検討会でも再度御議論いただきたいと思います。

○永井座長 「今後検討する」という一文を入れるということでしょうか。

○安全対策課専門官 そのような一文を入れさせていただきます。

○永井座長 そのようなことでよろしいでしょうか。

○安全対策課長 先ほど中島先生から、安全対策で MID-NET を利活用した場合の公表に関する話を頂きました。その結果については公表するということで、この中間報告書の中にも盛り込みたいと思います。一方で安全対策というのはかなり急がなければならない場合もありますので、事前の相談、審査についてどこまでやるかというのはなかなか難しいところがあります。それについては、今後の利活用の取扱いでの御相談ということになります。例えば、我々の安全対策についてある程度のカテゴリー化をするということも可能かと思いますので、そういう点である程度簡略化するというようなことについても御相談させていただければと思います。結果の公表については、ここの所に盛り込んでいきたいと思います。

○中島構成員 先ほどのことは、「必ずしも事前に審査しなくてもよい」というように書き換えていただくことに加えて、事後にはきちんと検証や報告をしていただいて、そういうことをしたということを情報共有する。まだ始まったばかりで蓄積していませんので、「少なくとも蓄積していかなければいけない」というようなことを入れていただけたらと思います。

○安全対策課長 ありがとうございます、はっきりしました。そのような形で書き足させていただきます。

○石川構成員 今回の中間報告書は中間取りまとめなので、データの移動などについては余り断定的に書かずに、「このような可能性もある」というような書き方で書いていただいたほうがよいと思います。後で、ルールの検討を進めるところで変わるようなこともあると思います。中間取りまとめなので、そのように柔軟に記載しておいたほうがよいと思います。

○永井座長 書きぶりは工夫するようにお願いいたします。続いて、費用負担の枠組み、人材育成、今後の検討事項について、事務局から説明をお願いします。

○安全使用推進室専門官  MID-NET の資料4-2の 16 ページの 368 行目以降です。費用負担の枠組み、人材育成、今後の検討事項の記載内容の3点について続けて御説明いたします。費用負担の枠組みについては、 373 行目に、現状は国費と企業からの安全対策拠出金により賄われていることを記載しています。 380 行目以降には、本格運用後に想定される必要経費を列挙しています。

17 ページの 391 行目以降では、費用負担の選択肢として、利用料、国費、安全対策拠出金が考えられますが、受益者負担の考え方から、利活用者による利用料の負担を基本とすべきであり、行政が安全対策に利活用する場合は、国と企業も利用料として一定の負担を行うべきであると記載しています。

396 行目からは、利用料としての負担を基本としつつ、 MID-NET の安定稼働を実現するために、国及び PMDA 以外の利活用が、一定程度に達するまでの本格運用開始後、一定の期間は、国費と安全対策拠出金により、安定的な財源を確保する必要があるとの記載をしています。今回、この安定的な財源として、安全対策拠出金を新たに追加した形の記載にしています。

 ただし、これらの財源による負担については、 399 行目からのとおり、 MID-NET の運営に必要な経費等については十分に精査をし、有用な利活用事例を広く示して、利活用の促進を図る。このようなことで、利用料による自律的な運営に向けた取組を積極的に行うことによって、国費や安全対策拠出金の負担は必要最小限とすべきであるとの記載をしています。

 次に、利用料の額の設定については 405 行目からのとおり、受益者負担の考えから、システム運営に係る費用をできるだけ正確に算出すること。利用料の額は、利活用者の区分ではなく、利活用するデータの量、解析内容、利用期間を考慮した上で設定をすることが妥当と考えること。利用料の額は個別に設定すると煩雑になるため、利活用の形態をカテゴリー化して検討をすることが現実的ではないかとの記載をしています。

18 ページの 413 行目からは、そのカテゴリーの一例を記載しています。また、図4に示したとおり、企業は再審査期間中に利活用する場合には、データ量や解析の種類等が多くなることが予想され、他の場合よりも利用料が高額になることが想定されるということを記載しています。

422 行目からは、本検討会で頂いた御意見として、十分な研究費の獲得が難しいと思われる、若手研究者への利活用への配慮や、企業が研究者を介して利活用することが想定されるため、極端なアカデミック・ディスカウントは避けるべき。利用料は、 MID-NET の利活用による費用対効果も考慮して設定すべき。協力医療機関に対する協力費の設定の考え方については別に議論が必要。これらの内容を記載しています。

 人材育成については 435 行目から記載しています。 MID-NET の利活用に当たっては、一定の知識と技術の習得が必須であり、薬剤疫学研究の促進の観点からも、人材育成は重要であるということを記載しています。

19 ページの 441 行目以降では、利活用者向けの協力資材の整備や研修会などの実施が必要であり、利活用者は研修を事前に受けることを必須とすること。これらの準備は本格運用の開始前には必要であること。これらの内容を記載しております。

450 行目には、データの維持や管理の人材育成のために、研修の実施も必要との記載をしております。

 最後に、今後引き続き検討が必要な事項については、資料3で説明した内容を踏まえて、 453 行目から、暫定的な記載をしています。現時点での記載では、 461 行目以降のとおり、今後本検討会で検討する事項として、新たにワーキンググループを開催し、利活用のルールの詳細を検討し、利活用のガイドラインを作成すること。 20 ページの 472 行目以降のとおり、運営に必要な経費の整理と、費用負担についてもワーキンググループを開催し、利用料の額と協力医療機関に対する協力費の確保を検討すること。改正個人情報保護法等への対応として、 MID-NET における医療情報の取扱いを改めて整理することについて記載しています。また別途検討が必要な事項として、管理者用の運用手順の作成については、協力医療機関ワーキンググループで検討することが望ましいこと。人材育成については、本検討会とは独立して対応することが現実的であることについて記載しています。

 費用負担の枠組み、人材育成、今後の検討事項の記載内容については以上ですが、先ほど御議論いただいた内容等も踏まえ、必要に応じて文言の修正等を行っていく予定です。資料4-2の説明は以上になります。

○永井座長 ただいまの説明について、御質問、御意見はありますでしょうか。

○石川構成員  17 ページの 400 行目で、「利用料による自律的な運営に向けた取組を積極的に行うこと等により、負担は必要最小限とすべきである」、その下の 405 行目に「受益者負担の考えから」と記載されていますが、負担は研究者のほうで払いなさいみたいなことになっています。一方で、利活用の目的の範囲の 9 ページ辺りでは、非常に公益的なものの研究だとうたっていながら、ここでこのようなことを余り強調するのもいかがなものかと思います。余りにも強調すると、利用者が抑制的になってしまうのではないかと思います。受益者負担の「受益者」というのは研究者のことだと思いますが、受益者である研究者にとっては利益があるのだから負担しなさいというふうに取れてしまいます。このような書き方はやめたほうがよいのではと思います。

○永井座長 研究の真の受益者は誰なのかという話になると思いますが、いかがでしょうか。

○我妻構成員 言葉尻を捉えて恐縮なのですが、9ページの 173 行目に、「最終受益者は国民である」とまで書いてあって、ここの部分は公益性を重視・強調されているのに対し、費用になると研究者のことを非常に強調しています。概念というか、総論部分としてはもちろん反対ではないのですが、余り強調して、国と安全対策拠出金という記載もあることから、やはり最終受益者は国民であって、安全対策等の目的という観点からしても、それが一番の目的であって、実際に研究する人も費用の一部を負担してくださいというのであれば分かりますが、石川先生がおっしゃられたとおり、余りここで強調するのもいかがなものかと思います。

○安全対策課専門官 表現については再検討させていただきます。ありがとうございました。

○永井座長 他にはいかがでしょうか。

○井出参考人 1点確認させていただきます。先ほど石川先生が、中間取りまとめなので比較的柔軟に記載すべきではないかということをおっしゃっていたので、今回は細かい言葉を捉えないようにしますが、資料2や中間報告書の 15 ページの 340 行目から 341 行目辺りに、いわゆるコストというか負担感に関連して、ここで「保管料」という言葉が出てきます。この「保管料」という言葉については言葉が何回か出てきますが、その考え方としては、 17 ページ辺りで記載された利用料の額を設定する中に含めて、大きな意味で利用料の中で考えていくという感覚でよろしいでしょうか。

○安全対策課専門官 「保管料」と書かせていただいた部分については、特にデータの保管の部分で、本日先生方に御議論いただきましたが、移動するデータの保管については、利活用者の意向で保管するデータの量を決められることになります。この部分につきましては保管しておく必要はないので要りませんという方もいれば、たくさん移動や保管をしておきたいのでお願しますという方も出てくると思います。その結果として、保管するデータの量が増える場合には、利用料という枠組みではなくて、保管する際にかかる費用ということで「保管料」として区別して記載していますが、再度見直したいと思います。

○井出参考人 分かりました。1つお願いしたいのですが、その保管料というのは、もしかすると個別のユーザーについては負担感が出てくると思います。どこかに記載していただければよいのですが、その議論をするかどうかは別として、(3)の「運営に関わる費用負担の枠組み」のところで、保管料についても検討するかどうか、この検討会の中で検討できるかどうかは分かりませんが、やはり負担感が出てきてしまうと思いますので、うまくどこかに埋め込んでおいて補っていただきたいと思います。

○安全対策課専門官 検討させていただきます。

○永井座長 他にはいかがでしょうか。

○石川構成員 先ほど大江先生に教わりましたが、利活用のテーマについては第1回の検討会で 14 テーマあるということでしたが、その 14 テーマというのは第1回検討会の資料1のスライド9に参考として記載された「医薬品の安全性の評価を目的とした試行的な利活用テーマ」のことでしょうか。

○安全対策課専門官 はい、そうです。

○石川構成員 私はもう審査委員ではありませんが、5つくらいのテーマについては、 MID-NET ではなくて NDB のほうで行うことが適当だと思われます。これらは誰がやるように考えているのでしょうか。もし試行的にやるとしたら、 PMDA で行うのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構医療情報活用推進室長 これらは先生方と協力して PMDA が実施させていただきます。

○石川構成員 この 14 テーマについてですか。

○医薬品医療機器総合機構医療情報活用推進室長 はい。

○石川構成員 もし有識者会議で議論されたら、半分くらいは少し違うもので行ったほうがよいということになると思います。細かいことを言って申し訳ありませんが、「高齢者における高血圧治療薬の開始用量」というのは、 MID-NET の協力医療機関にはそのような患者は余り来ないと思われますし、そこで治療を開始するなどということはあり得ないと思います。

○医薬品医療機器総合機構医療情報活用推進室長 これらのテーマについては、先生方や製薬企業の御意見を頂きながら決定した経緯があります。それで、この中でも実際にどのようなイベントを捉えるかというのは、 MID-NET の特徴を活かした形にしようということで、できるだけ検査値を使うという工夫はしながら検討してきております。本日の御意見を踏まえて、また検討させていただきます。

 今年は、去年実施したけれども、やはり患者さんが十分いなかったとか、定義を決めたけれども、それについては適切な抽出ができなかった。そのような結果が出てまいりましたので、それを踏まえて、今年はもう少し意味があるもの、 MID-NET の特徴をいかしたものの7テーマに絞らせていただいている経緯があります。その結果については、適宜、最終検討に向けた検討会の中で御紹介していきたいと考えております。

○木村構成員 これについては、 14 テーマのうち我々が意見を言って、先生がおっしゃった内容などを検討した上で半分くらいにしました。なので、詳細な検討を行うのは 14 テーマ全部についてではないです。私もそう思いました。

○永井座長 他にはいかがでしょうか。中間報告書全体を通して何か御発言はありますでしょうか。もう少しこの論点を加えたほうがよろしいとか、何か御発言がありましたらお願いいたします。

○丸山構成員 大江先生がおっしゃった研究を行うモチベーションに関してですが、審査をはさむことによって利便性が落ちてしまう、あるいは現実に研究を行いにくくなるというところについては、有識者会議(仮称)の在り方、開催あるいは事前審査の在り方にも関わってくると思います。今回の中間報告書(案)では、有識者会議(仮称)の内容については余り書かれていません。あるいは、研究に関する倫理審査の際に、最近は比較的多用されるようになってきた、迅速審査とか書面審査というようなことも、最初からは無理だとは思いますが、利活用を進めるに従って、それから今の試行的な利活用の中である程度経験が得られるかもしれません。その辺りを書くかどうかはともかくとして、考慮していただければと思います。

○安全対策課専門官 ありがとうございます。有識者会議(仮称)の詳細については、今後の利活用ルールを定めるワーキンググループで検討していきたいと思います。その際に、先生から頂いた御意見も踏まえて検討していきたいと思います。

○永井座長 今日は、この中間報告書について議論するために、本検討会を更に追加で開催するかどうかということについても決めていきたいと思います。本日頂いた御意見をまず事務局で整理し、中間報告書(案)を更に取りまとめて私のほうで確認した上で、構成員の皆様にもう1回見ていただいて、そして最終的に座長にお任せいただくことにしたいと思いますが、いかがでしょうか。もしよろしければ、今回の中間報告書を修正するという形で、その先、特に予算要求を行うことになりますので、修正した内容を、必要な経費確保のために予算要求を行いたいと思いますが、そのような段取りでよろしいでしょうか。

(異議なし)

ありがとうございます。それでは、また最終的な御確認については、事務局から連絡が行きますのでよろしくお願いいたします。事務局から追加の連絡事項等をお願いいたします。

○安全対策課専門官 補足ですが、本日は参考資料として、日本再興戦略の抜粋と、世界最先端 IT 国家創造宣言の工程表の抜粋を付けさせていただきました。これらについて御議論いただくという訳ではありませんが、医療ビッグデータの活用を推進するという国の政策の中で、 MID-NET が取り上げられています。現在、次世代医療 ICT 基盤協議会においても、 MID-NET を含めて様々な議論がなされている中で鋭意検討を進めていくことになりますといった御報告ということで参考資料として付けさせていただきましたので御覧ください。

 本日は活発な御議論を頂きましてありがとうございました。中間報告書については、先ほど座長からお話がありましたとおり、事務局及び座長の修正が済み次第、事務局から構成員の皆様に御連絡をさせていただきます。中間報告書については、今後の調整ができましたら、最終的には今回の検討会の議事録や資料と同様に、厚生労働省のホームページ上に掲載し、公表する予定としておりますので、よろしくお願いいたします。また、後日、本日の検討会の議事録案をお送りいたしますので、御確認のほどよろしくお願いいたします。御出席の皆様の了解を得た上で公表させていただきますので、よろしくお願いいたします。以上です。

○永井座長 本日はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)

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