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2016年4月28日 第10回医師臨床研修制度の到達目標・評価の在り方に関するワーキンググループ 議事録

○議事

 

 

 

 

 

 

 

   第10回医師臨床研修制度の到達目標・評価の在り方に関するワーキンググループ

 

 

 

                                        日時   平成28年4月28日 ( )

                                              14:00~

                                        場所   経済産業省別館1111会議室


 

○吉本医師臨床研修専門官 それでは、定刻になりましたので、「第 10 回医師臨床研修制度の到達目標・評価の在り方に関するワーキンググループ」を開催いたします。本日は先生方には御多忙のところ、御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。ここでカメラは退室をお願い申し上げます。

 続きまして、本日の御出席について御連絡いたします。本日は片岡構成員から御欠席との連絡を頂いております。前野構成員は遅れて御出席の予定です。また、文部科学省医学教育課からは佐々木企画官にお越しいただいております。以降の議事運営につきましては座長にお願いいたします。福井先生、よろしくお願いいたします。

○福井座長 本日は足下の悪いところを御参集いただきまして、ありがとうございます。議事に入る前に、事務局から資料の確認をお願いします。

○吉本医師臨床研修専門官 それでは、資料の確認をいたします。座席図、議事次第に続きまして、資料 1 はワードの資料、そして、資料 2 はモデル・コア・カリキュラム関係の資料、資料 3 は今後の検討スケジュール ( ) 、参考資料 1 はワーキンググループの開催要綱、参考資料 2 は前回のワーキンググループの到達目標の骨格案、参考資料 3 はこれまでの主な御意見等、参考資料 4 は横のパワーポイントの表ですが、臨床研修の到達目標等について、参考資料 5 AMR 対策アクションプランの概要、参考資料 6 は平成 27 3 月に行いました臨床研修修了者・プログラム責任者・指導医アンケート調査結果の概要です。乱丁、落丁等がありましたら御連絡をお願いします。それでは、よろしくお願いいたします。

○福井座長 本ワーキンググループでは、昨年度の 2 月、本年 2 月まで、臨床研修制度の到達目標評価についてヒアリングを行い、また、研究班による目標案について御議論いただきました。本日はこれまでの議論を踏まえまして、今後、到達目標などをより具体化する作業に入る際の方向性やスケジュールについて御議論いただきたいと思います。内容によっては、本日は 2 時間もかからないのではないかと思います。

 これまでの議論の中では、卒前教育や専門医の研修、生涯教育と臨床研修との連続性に関する御意見も多く頂きました。本日は文部科学省において、ついこの前の 3 月から始まっている、モデル・コア・カリキュラムの改訂に係る検討についての御紹介もお願いしております。今後の方向性、モデル・コア・カリキュラムの検討状況につきましては、資料の説明をまとめてしていただいた後、御議論をお願いしたいと思います。まず、事務局から資料 1 の説明をお願いします。

○吉本医師臨床研修専門官 それでは、資料 1-1 と書いてあるワードの資料と、資料 1-2 「新たな臨床研修の到達目標と方略、評価の構成について ( ) 」を並べて御覧ください。

 まず、資料 1-1 ですが、これまでに何回も検討していただいたことを踏まえまして、今後の作業の方向性として御議論いただきたい事項をまとめています。まず 1 は検討の範囲について記載しておりますが、 1 ポツ目は、これまでに 9 回の議論を頂いてきたこと、そして、 2 ポツ目に記載しているのが、御承知のとおり、臨床研修の到達目標は行動目標と経験目標から構成されていますが、経験目標の一部については、診療能力の評価を更に重視すべきであるという部会の報告書や構成員の先生方の御指摘を踏まえ、目標を達成するための方略に含めて整理すべきではないかとの御意見がありました。これらを受けまして、こちらのワーキンググループではもともと到達目標や評価の在り方を検討することとしていますが、到達目標の見直しを行うことは方略についても密接に関わってくるので、今後、特定の医療現場や症状・病態・疾患等を含めた方略の一部についても、目標と評価の在り方と併せて検討する範囲として、改めてしてはどうかということです。

2 の「臨床研修の到達目標について」では、まず初めに、臨床研修部会の報告書についてまとめていますが、1は人口動態や疾病構造の変化、そして、医師養成全体の動向に配慮すべきという指摘がありました。また、2は医療提供体制の変化等について踏まえるべきであると。3は先ほど申し上げましたが、診療能力の評価の重視、4は簡素化ということで、主に 4 点、内容としては 5 点の指摘がありました。

 この指摘を踏まえて、新たな到達目標としては、まず、診療能力の評価の部分を踏まえますと、厚生労働科学研究班において検討していただいており、また、ワーキンググループでも、 2 回にわたり議論していただいている目標案に基づいて、医師として到達すべき資質や能力、また、それらの基盤となる、医師としての基本的な価値観を位置付ける方向で作業に入ってはどうかということです。

 その際に1で指摘があるとおり、医師養成全体の動向に配慮することが必要で、各養成課程との連続性を考慮することがありますので、臨床研修の到達目標としては、臨床研修修了後にどの専門領域に進んでも必要となる医師としての能力といったものを位置付けてはどうかということです。さらに、 2 ポツ目ですが、卒前教育のモデル・コア・カリキュラムなどとの連続性を考慮した臨床研修の修了時に求められる修得の程度を示すことを今後検討してはどうかということです。

 次は、各項目の内容です。項目の設定に当たっては、人口動態や疾病構造の変化や医療提供体制の変化に関連しては、これまでは、医療の社会性に係る項目や地域医療に係る項目、また、予防医療や外来診療に係る項目などについて充実すべきという意見を頂いてまいりました。さらに、近年の政策の動きや最新の知見、例えば、参考資料 5 に付けておりますように、最近取りまとめられた薬剤耐性菌アクションプラン、今検討がなされているゲノム医療などについても、それらの事項が包含された項目を到達目標へ組み込むなど、その扱いを検討していただいてはどうかと考えております。

 最後に、現行到達目標で、経験目標の一部に入っている診察法や検査・手技については、4の何らかの簡素化が必要であるという指摘を踏まえて、必要な項目を検討していただき、臨床研修医が到達すべき診療能力を目標側として位置付けを行うか、若しくは、診療能力を評価する際の評価の枠組みに組み込んではどうかということを記載しております。遂行可能業務の概念の御議論もしていただいていますので、どちらに入るかという御議論がまだあるかと思いますが、いずれにしても、目標若しくは評価の枠組みに組み込んではどうかということです。

3 番の「方略について」です。まず、現行の到達目標を見て、経験目標の一部となっている症状・病態・疾患については簡素化すべきとの指摘を踏まえて、必要な項目を検討して、臨床研修医が到達すべき能力を修得する方略側に位置付けてはどうか。そして、これまでも御指摘が多くありました臨床推論の能力の修得や症候からの診断的アプローチに重点を置くことが研修にとっては重要であるといった御意見や、疾患と証拠は結び付けて整理してはどうかという御指摘を踏まえまして、経験を求める疾患は、基本的には、主な病状や病態の鑑別疾患から、頻度や緊急を要するかどうかなどを考慮しながら整理していってはどうかということを記載しております。

 資料 1-2 の裏面には、例えばということで、症状・病態が並んでおります。例えば、 1 つの症状・病態の鑑別疾患から、緊急医療等若しくは頻度等を考慮して整理していってはどうかということです。その際には、前回に御紹介いただいた医師会生涯教育カリキュラム等を参照していってはどうかということです。

 また資料 1-2 に戻ります。2の医療提供体制の変化や、あとは繰り返しになりますが、研修医にとって臨床推論の能力の修得が重要であることを踏まえると、現在、経験すべき疾患は A 疾患と B 疾患に分かれていまして、 A 疾患については、入院患者を受け持って症例レポートを提出する、 B 疾患については、外来診療又は受け持ち入院患者で経験することになっていますが、この A 疾患、 B 疾患の扱いについても、今後、併せて検討してはどうかということです。同じくレポートに関してですが、今までレポートについては、質の担保がなされていないのではないかといった御指摘もありましたので、今後、例えば鑑別疾患の十分な考慮など、レポートとして必要な事項をガイドラインなどはある程度示していってはどうかということです。

 次の○です。現行の到達目標にて経験目標の一部となっている特定の医療現場の経験がありますが、これは、臨床研修を行う分野との整理を行った上で、必要な事項を方略として位置付けてはどうかと。例えば、医療提供体制の変化の指摘や、又は診断の付いていない症例に対して、臨床推論を的確に行う能力の重要性、また、外来での研修を充実すべきという御意見が今までありましたので、例えばですが、全国の大学病院や臨床研修病院において、実施可能かどうかに配慮しながら、外来における研修の位置付けを検討してはどうかということです。なお、方略については、臨床研修の目標が達成できるように、各病院が実情に合わせて構築すべきであるという御指摘もありましたので、必要最小限の部分について定める方向ではどうかということです。

 最後に、評価ですが、臨床研修部会が平成 25 年にまとめた報告書では、何らかの標準化が必要であるといった指摘がありました。また、厚生労働科学研究班の御研究からは、明確な評価基準がないため、「十分できる」などの評価であっても、実際には程度に大きなばらつきがあるといった指摘がされています。そして、適切な評価方法としては、目標によって様々な評価方法の御紹介でもありましたし、又はポートフォリオの取組も御紹介いただきました。そして、評価方法の標準化については、評価のコアとなる重要な部分を全国的にそろえることによって、研修の質の保証やデータの収集に役立つのではないかといった御指摘も頂きました。一方で、大学病院や臨床研修病院の規模や特色など、個々の実情を考慮して、全国で実施可能な評価方法となるように配慮すべきであるといった御指摘もありました。これらの御意見、御指摘を踏まえまして、臨床研修の到達目標の項目ごとに、臨床研修に求められる修得の程度を示すとともに、目標に見合った適切な評価方法を検討して提示して、各病院の実情に合わせて方法を選択して、評価を行えるようにするといった方向ではどうかということです。また、今回の標準化する部分としても、求められる修得の提示が案としてありますが、それのほかに、全国で標準化すべき部分があるかどうかについても引き続き御議論いただいてはどうかということを記載しております。

 最後に、総括的評価としての修了判定については、現在、臨床研修の目標達成度の評価、期間、臨床医としての適性の 3 点で行うこととしておりますが、目標の見直しを行うことは、こちらの修了判定についても自動的に関わってきますので、今後は修了基準についても検討を加えてはどうかと記載をしております。

 以上で資料 1 と資料 2 の説明を終わりますが、関連して、参考資料 3 としまして、これまで頂いてきた御意見のうち、資料 1-1 をまとめるに当たり、参考にさせていただいた御意見等をまとめております。また、参考資料 4 としては、今、申し上げてきました、例えば修了基準とかいった、基礎的な資料をまとめておりますので、もし議論の際に必要であれば御参考いただければと思います。以上です。

○福井座長 ありがとうございます。続けて文部科学省佐々木企画官より、医学教育モデル・コア・カリキュラム改訂の検討状況について御紹介をお願いいたします。

○佐々木企画官 佐々木です。座ったままで恐縮ですが、説明させていただきます。資料 2 をお手元に御用意ください。まず、資料 2 1 枚目は、先ほど福井先生からも御紹介いただきましたとおり、年度で言うと、昨年度になりますが、先月の 3 30 日に合同会議という形でモデル・コア・カリキュラムの 6 年ぶりの見直しに向けたキックオフがありました。当日は、配布資料の中にありますとおり、渡辺医事課長からも、正にここでの御議論を紹介いただいたところです。

 次ページです。右肩に四角囲みで資料 1 となっているものがあります。これがどのような組織かと申しますと、これは高等教育局長の、役所的な言い方をすると私的諮問機関という形です。法律上の位置付けのものではなく、あくまでも高等教育局長の、本当は私的諮問機関という言い方も変でして、一番下の「その他」にあるとおり、これは庶務を担当しているという位置付けです。これを丁寧に説明させていただきたいのですが、卒後臨床研修は御案内のとおり、法律に基づきますし、これを修了しないと医療機関の管理者になれないという、正に法的制度的な位置付けがベースになっています。

 一方で、医学教育は、憲法 23 条に「学問の自由はこれを保障する」とあるとおり、これは、基本的には大学において教えることです。ですので、それを大学で教えることを「モデル・コア・カリキュラム」という形で、後ろの資料に出てきますが、 3 分の 2 はおおよそ共通して教えようと。だけれども、その教え方は各大学にお任せしますし、残りの 3 分の 1 も各大学の、正に学問の自由、この中にある「教授の自由」が含まれますから、その中で対応してもらおうという考え方の整理というものを、ここではっきりとさせていただきたいと思います。

 その上で、先ほど申したとおり、 2 3 ページは、その共通する 3 分の 2 の部分の内容を、実際に教育に携わっていらっしゃる先生方で、医学・歯学共通して最終的に、自分たちはこれで教えようというのを合意いただくメンバーが、 2 ページです。 3 ページには、それを実際の中身の部分の、これでいこうということを決定いただく医学教育・歯学教育のそれぞれのメンバーという構成になっております。

 次ページ、カラーコピーの資料 2 があります。今、合同会議という位置付けと申し上げたのは、真ん中の右側にあります。先ほど 2 ページの所で申し上げた医学・歯学、共通して最終的にこれでいこうという意思決定を頂くのは、黄色の所の「連絡調整委員会」という形になります。そして、先ほど医学・歯学、それぞれで実質的にこれでいこうというのを決めていただく委員会というのを申し上げました。これが水色部分です。この両者を合同で開催し、それで合同会議という言い方をしました。これらについては、文部科学省が庶務を行うという位置付けになっております。

 当日、まずこの体制で、その下のグリーンの所で囲んでいる「調査研究チーム」というのは、形式論で申し上げると、文部科学省が委託事業で中身を検討していただくという性格になっております。 3 30 日に、了承いただいたうちの 1 つは、まず、この体制で、 3 層構造という言い方になりましょうか、これで検討を進めるということの了解を頂いております。

 もう 1 つは、その下の (3) 検討スケジュールにあるとおり、 1 年かけて来年の 3 月までに「改訂版モデル・コア・カリキュラム」、これは最初が平成 13 年に策定いただいたものを、平成 19 年、平成 23 年に改訂しておりますので、 3 回目の改訂という形になります。 3 回目の改訂作業を来年の 3 月までに決定をしようということです。その上で、 1 年間、それぞれの大学で先ほど申し上げた共通部分については教え方を工夫していただき、残りの 3 分の 1 は、各大学独自のカリキュラム、プログラムを考えていただくその期間を置いて、平成 30 4 月から各大学において、 3 回目の改訂のモデル・コア・カリキュラムに基づく教育を開始していただこうと、こういうスケジュールの合意というか、了承を頂きました。

 資料 3 については、これまでの改訂の経緯です。委員の先生方については、先刻承知のことだと思います。この部分は省略いたします。これが 4 ページまで続き、その後ろにカラーの資料がありまして、医学教育・歯学教育、それぞれの現在のモデル・コア・カリキュラムがどういう相対的な構成になっているかという資料です。

 次ページ、資料 4 です。先ほど、言わば 3 層構造と言ったグリーンの部分ですが、ここで医学教育のモデル・コア・カリキュラムの 3 回目の改訂に向けた検討の相当部分、実質的な検討をお願いするというものになっております。当日、 3 30 日は、ここでの方向性についても御議論いただき、医学については、おおむね御了承を頂きました。資料 4 と書いてあるページの下に、実際に御議論、御検討いただく先生方のお名前を載せております。

 次ページです。コアカリ改訂における基本方針 ( 医学 ) というのがあります。この基本方針にあるとおり、 1 7 に沿って論点提示をして、当日は、おおむね御了承を頂いたところです。

 まず、その下にある、 1. コアカリ、グローバルスタンダード、国家試験出題基準等の整合性です。まず、コアカリと、つまり我が国のコアカリと、グローバル・スタンダードとの関連性を明確化する。まず整合性を取るということ。

 その下の2ですが、先ほどの資料 1-1 2 ページ目のポツの一番上にあったとおり、卒前教育のモデル・コア・カリキュラムと、初期研修を中心とした卒後との連続性を、これを一貫性のあるものにすべきではないかと。

 具体的には、モデル・コア・カリキュラムもありますし、医師国家試験の出題基準もありますし、正に、ここで御議論いただいております臨床研修の到達目標との関係もありますし、形はどうあれ、専門医というのは既に動いていますし、今後のこともありますので、専門医、さらには日本医師会の生涯教育といったところとの一貫性を見据えた検討が必要ではないかと。ここは大きな今回のモデル・コア・カリキュラムの改訂のテーマになっているということでプレゼンし、実際、その一貫性を見据えた内容にすべきではないかということで、御了承を頂いております。では、一貫性を個々の医師がどういうことできちんと担保できるのか。それがきちんとレポートされるのかということも委員から御指摘いただいたところです。

 ここから先は、スピードアップして説明いたします。そのほか、総量を絞り込んではどうか。また、今、参考資料の位置付けになっているものを整理してはどうか。

 次ページです。英訳を含めた我が国の医学の世界への発信をしてはどうか。また、医学・医療の進歩や、疾病構造の変化をしていく中で、また、世の中では地域包括ケアシステムが求められていく中で、基本的事項などを再整理すべきではないかということで、この辺りも方向としては御了承いただいたところです。

 最後ですが、キャッチフレーズという書き方をしておりますけれども、キャッチフレーズというよりは、検討に向けた方向性、哲学、フィロソフィーと言ったほうがよいのかもしれませんが、多様な医療ニーズ、裏返せば多様なキャリアパスがあるわけですので、それに対応できる医師又は歯科医師の養成ということを御提案し、これも基本的には、異論はなかったという状況です。

 繰り返しになりますが、モデル・コア・カリキュラムの 3 回目の改訂に当たっては、ここで御議論いただいております臨床研修との一貫性を重視した検討を行いたいと思っておりますので、御指導いただきたいと思っております。また、様々な委員会、調査研究チームに御参画いただいている委員の先生もいらっしゃいますし、また、御参画いただいていなくても、今後 1 年間の間に何らかの形で御相談を申し上げることになると思いますので、そのことの御協力、御指導をお願い申し上げて、私からのプレゼンを終わります。以上です。

○福井座長 ありがとうございます。御議論いただく前に、今後のスケジュール ( ) について説明をお願いしたいと思います。

○吉本医師臨床研修専門官 資料 3 として今後の検討スケジュール ( ) を記載しております。本日 4 月で 10 回のワーキンググループですが、モデル・コア・カリキュラムの検討の状況とも整合性を取っていくことが必要ですので、最終的には 3 月に臨床研修部会で報告の後に、取りまとめをしてはどうかということがあります。それから遡りますと、一度、 7 月若しくは 8 月にワーキンググループを開催し、一度臨床研修部会に報告をした後に、 10 月から 11 月に、今一度、ワーキンググループを開催しまして、このときに、到達目標の素案とか、関連する方略、若しくは評価方法の素案の提示を行ってはどうかと考えております。その後、臨床研修部会での議論も挟みまして、年明け 1 月から 2 月にはワーキンググループを今一度開催しまして、ここで臨床研修部会の意見等も踏まえた到達目標 ( ) の提示をして、 3 月に臨床研修部会のほうで取りまとめをしてはどうかと思います。ですから、それまでの作業を、このような開催回数で実施をしていってはどうかという案です。

○福井座長 つまり、来年 3 月に最終的なワーキンググループの報告書を、臨床研修部会に上げる前に、 3 回ぐらいの会議で詰めていこうということで、よろしいですか。

○吉本医師臨床研修専門官 はい、その様になります。 7 8 月から、 10 11 月、 1 2 月で、 3 回程度の会議で案を御議論いただいてはどうかと思います。

○福井座長 それでは、議論に入ります。ただいまの説明について、何か質問がありましたら伺いたいと思います。

○神野構成員 質問プラス意見です。あとの議論とつながってしまうと思いますけれども、私はよく分かりませんが、新しいモデル・コア・カリキュラムは、先ほど平成 30 年からとお話がありました。平成 30 年に入学する 1 年生から新しいカリキュラムが始まるという理解でよろしいのでしょうか。そうすると、その学生たちが、まっすぐ行って、卒業するのが平成 36 年で、卒業生がモデル・コア・カリキュラムの医師であるという理解でよろしいでしょうか。

○佐々木企画官 御質問ありがとうございます。結構、これ、 FA 級の部分でして、対外的によく説明しているのは、基本的にはそれまでの入学者に対する教え方、 6 年を見据えての教え方があるので、その意味では、平成 30 年の入学者からということになります。もともと教えるという行為はそれぞれの大学での工夫の部分ですので、当然ながら、この新しいモデル・コア・カリキュラムの内容を踏まえて今まで教えようとしてきたことを、改編と申しますか、取り込んだ形で既に入学した学生に対しても、この内容を踏まえた教育というものを妨げるものではありません。という整理にしております。ややこしいですが、一応そういう整理になっております。

○神野構成員 とすると、ちょっと先走って恐縮ですが、今後、臨床研修部会等で、今の臨床研修制度の見直し、次の見直しが平成 32 年ですか。

○吉本医師臨床研修専門官 はい、前回、平成 27 年度でして。

○神野構成員 ですよね。平成 32 年ですね。

○吉本医師臨床研修専門官 はい。

○神野構成員 そうすると、モデル・コア・カリキュラムとの関係が、今後、見直し議論の中にたくさん出てくると思いますが、でも、今の筋からいくと、平成 32 年の見直しのときにはモデル・コア・カリキュラムの学生たちは、まだ出ていないという理解でよろしいでしょうか。

○佐々木企画官 まず、何をもって、このモデルコアカリを踏まえた学生とみなすかどうかというところの取り方にもよると思いますが、その意味では、全てモデル・コア・カリキュラムを踏まえた授業を受けた学生が育つのは、平成 36 年という言い方が正しいかと思います。

○神野構成員 正式にモデル・コア・カリキュラムで、どういった学生が出てくるかというのは、そこまでいかないと分からないという理解をしました。以上です。

○福井座長 よろしいですか。

○田中構成員 実際に教育している立場から申し上げますと、細かな項目については、佐々木企画官がおっしゃるとおりですし、先生がおっしゃるとおりになるのですが、例えば、この間から議論している医師になる資質、医師に求められる資質というのは、なるべくそろえていこうという議論があったと思います。そういう大きいものは、結構早い段階から明示されれば、それを意識したカリキュラムの修正とか、教育の修正は行われると思います。現場では、そういうようになると思います。

○福井座長 カリキュラムの内容が完全に変わって、学年進行で学年に行きわたらないと、新しいカリキュラムで教わったと言えないというのとはちょっと違う。かなりフレキシビリティがあるもののようなイメージを持っています。何と言っていいか分かりませんが。

○中島構成員 お尋ねしますが、要するに、これは絶対教えなさいというようなことと、それから、できれば教えたらいいですよと、これが少し移動したり、あるいは新しいものが少し入るというように考えていいのでしょうか。

○佐々木企画官 はい。

○中島構成員 だから、余り大して変わるわけではないですね。医者になるための教育が。職業教育で、そんなに人が変わるわけがない。

○佐々木企画官 福井座長の先ほどの表現をざっくりと中島構成員がおっしゃったような言い方になるかと思います。

○福井座長 よろしいですか。

○伊野構成員 先ほどおっしゃったキャッチフレーズの中に、地域包括ケアが入っております。かなり今でも地域医療のほうに段々シフトしているのですが、そういった傾向が、より強くなるというように考えてよろしいでしょうか。

○佐々木企画官 お手元の資料の目次のページから 5 枚目に、左側に 2 ページが見えると思います。資料 2 の中の資料 3 2 ページという意味です。平成 23 2 月、「ポイント」とありますが、つまり、現在のモデル・コア・カリキュラムにおいての、言わばポイントというところの中でも今も、既に地域の医療を担う意欲・使命感の向上といったものを基本的に明示しております。

 同じページの一番下の※の「医師として求められる基本的な資質」の中にも、地域医療というものがあります。まず、今の段階でも、既に織り込まれているということと、今の御指摘の点の、今後どうなるかというのは、これは御検討いただくことなので、先ほど言いましたが、役所が先に言うような性格のものではありませんが、当然ながら、社会から求められている方向としては、今、御指摘のような方向性というものを踏まえた検討をしていただけるものと思っております。

○福井座長 よろしいでしょうか。今後の方向性について、先ほど資料 1-1 の最初の「検討の範囲について」の所から、もしよろしければ御議論いただきたいのですが。 3 項目書かれています。これらの点について、いかがでしょうか。この方向で良いということで、委員の先生方の特別御了承いただければ有り難いのですが。この方向でよろしいでしょうか。方略のほうに経験目標の一部などは入れたほうが理解しやすいのではないかと思います。

 今までも何回か意見は出てきていると思います。つまり、目標と評価だけではなくて、方略についても、ここで検討していただいて、臨床研修部会の意見として上げたらどうかということです。一応、ワーキンググループの名前自体が「到達目標・評価の在り方に関するワーキンググループ」になっておりますが、方略についても、ここで意見として臨床研修部会に上げたらという意味です。その際に、今まで経験目標として挙がっていたものとか、症状・病態・疾患等も部分的には、方略の一部として扱う方向で検討したらどうかということの御了承を頂きたいということです。

○中島構成員 漠然とは分かるのですが、具体的に一体、何のことを言っているのかが、今一つ分かりにくいのです。また、方略という言葉はふだん使わない。私は使うから分かっていますが、分かりにくい言葉を使わずに。これ、どういう意味ですか、「方略」とは。

○吉本医師臨床研修専門官 資料 1-2 を御覧いただくと、今後、作成して内容を御議論いただきたい「目標」と「方略」でまとめますと、カリキュラム若しくはプログラムといったような言葉のほうが分かりやすいのかもしれませんが、「目次」といったようなイメージで作っております。

 目標としては、価値観とか資質・能力を今後、内容を研究班の案も基にしながら御議論いただくと。これを達成するための手段として、方略といったものを位置付ける。今まで方略として位置付けられていたのは、例えば診療科目として、内科を最低 6 か月を行うとか、診療科目といったようなカテゴリーはありましたが、今後、方略、目標を達成するための手段として、特定の医療現場とか、症状・病態・疾患などのこれまでは目標側として整理されていたものも、目標を達成する手段として、再整理を行ってはどうかといった意味合いです。

○中島構成員 目標と手段をきちんと分けられるのですか。その辺がよく分からない。いや、正しいのだけれども。

○田中構成員 今まで議論してきたときに何か資質があって、それに対応するのは何とかという、そういう絵があったかと思うのですが、ちょっとその絵が今回ないので、今までやってきたこととつながらないような気がするのですね。それ、どこかに、分厚いこの資料の中にありますか。

○福井座長 参考資料 2 が今まで。

○吉本医師臨床研修専門官 参考資料 2 が前回のワーキンググループで研究班の案ということで御提示いただいたものです。

○田中構成員 何か絵みたいなものがありましたよね。

○吉本医師臨床研修専門官 失礼いたしました。第 8 回ワーキンググループ、第 9 回ワーキンググループで事務局から提出しておりました絵ですけれども、本日の資料には入れておりませんが、絵に記載していたのは、これまでの到達目標と研究班の案を並べたような形にしていまして、その研究班の到達目標の案として基本的な価値観・資質・能力があり、そして、方略があるといったようなものを横並びにしたような提示をしておりました。提示した内容の項目については、資料 1-2 にある項目とほぼ同様のものです。

○福井座長 先ほど中島先生がおっしゃったのは、方略という言葉の問題でしょうか。

○中島構成員 それはありますけれども、それは横に置いておいて、何となくぼんやりしていて、よく分かったようでよく分からないと。今回の切り分けの仕方が、方略のほうを入れてもいいのではないかということですが、果たして、何となく分かるけれども、具体的に何を言っているのかが分からないということです。それ、言わないままきているでしょ、ずっと。

○福井座長 言わないまま。

○中島構成員 何かそのような気がするのです。

○福井座長 確かに、具体的にこの部分は方略のここに当たるとか。

○中島構成員 そうです。

○福井座長 そういうのをまだ提示していませんので。

○中島構成員 それはないので。

○福井座長 現在のところ非常に総論的なディスカッションになっています。ですから、この方向で検討して、また案を出して、御意見を伺うということになると思います。

○中島構成員 そうですね、また具体的な案が出れば議論までいけるということです。

○福井座長 古谷先生、どうぞ。

○古谷構成員 現時点のシステムというか、研修でも問題となっていることの 1 つとしては、例えば、精神科が選択科になっているために、鬱病であるとか、統合失調症とかの経験が、できない研修医がいるにもかかわらず、必修項目に入っているとかということが、実際の研修の中でずれができてしまっていたりするので、こういう方略というか、プログラムの在り方をきちんと検討していただきたい。やはり目標と経験すること、どの研修科を回るかということは非常に重要なポイントだと思いますので、ここで検討していくということは意味があると考えております。

○福井座長 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。

○高橋構成員 私がもしかしたら誤解しているかもしれないので、一応、確認のためにお伺いしますが、目標というか、ゴールがあって、そのゴールを達成するためにいろいろな、従来の経験目標とされていた何々病とか、何々症状とか、そういったものが方略の中に入る。つまり、目標を経験するために、方略のこういったものは必須ですと、若しくは、経験が推奨されますというような構成でいいということですね。

○福井座長 はい。

○高橋構成員 ありがとうございます。

○福井座長 そのような作りを考えています。その中で、診療科についてのローテーションも、最低限こういうところが求められるというようになるかもしれませんし。ほかにはいかがでしょうか。

○小森構成員 経験目標というのは、ずっと目次のように、そして、時代の変化とともに次々と加える量、その項目が多いところも、とはいえ、削ることができなくて、ひたすら増えていくということに対する問題意識というのは、みんなずっと様々なレベルであったと思います。そういう意味では、非常にいい整理かと思います。

 一方で、モデル・コア・カリキュラムの構成と、国家試験の出題基準との整合性をうまく取っていく考え方というのはあると思いますし、また、国際的な医学教育の観点から、いろいろな御専門の先生がいらっしゃるので、それは今どういう状況で、そういう考え方との齟齬はないのかということを、是非、伴先生、福井先生もそうだと思いますし、それぞれ御専門の方がいらっしゃるので、教えていただければと思います。

○福井座長 伴先生、どうぞ。

○伴構成員 一般的には、ある程度結果の大枠を決めて、それを学んでいくかということで、これがアウトカムベースの考え方です。そうすると、そこに到達する道はいろいろあって、特にこのやり方をしないと駄目だということにはしないというのが考え方です。ですから、例えば卒前教育ですとこれは講義でやるとか、これは小グループディスカッションでやるとか、これは何々のやり方でやるというのがあって、理想的にはそれぞれの医学生に応じてやり方を自由に選んでくださいというのが理想です。しかし、そうはいきませんので、それをそれぞれの医学部単位で特徴のある選択科目と必修科目を組み合わせながら学ぶことになるでしょう。臨床研修ではそれぞれの研修病院が特徴を出して、最終的にはある程度臨床推論ができるとか、コミュニケーションができるとか、倫理を守るというような出来上がりを目指しています。多分、今までの議論の流れから判断すると、余り細かく個別のことを指定すると、すごく臨床研修が形骸化して、実質的な臨床能力の養成にならないということかなと思います。

○福井座長 先に、大滝先生に、モデル・コア・カリキュラムとの連携というか、どの程度までお話してもらっていいのか分かりませんが、共同してこれから作ることができるかもしれないという話をしていただけますか。

○大滝構成員 先ほど、佐々木企画官から御説明がありました資料 2 に書かれているのは、卒前の医学教育モデル・コア・カリキュラムの中の、目標の具体的な部分、それから方略の部分の見直しをする作業の班です。当然卒前教育にも一番上の目標を定める必要があるので、その目標をどうするかについて、こちらと同じように、最近の医学教育の考え方で言うところのアウトカム型の目標を検討しています。その目指すアウトカムつまり成果は、医師としての能力であり、卒前から卒後そして生涯教育までずっとつながっているという考え方であり、それが卒前教育の検討の中でも議論されています。それから、ご存知のように、卒後研修にマッチング制度が導入されたことによって、いろいろな大学を卒業した人がいろいろな病院や大学で研修をするようになりましたので、各研修場所では入職者の能力に結構ばらつきがあることも問題になっていて、国立大学医学部長会議でも取り上げられたとそうです。そこで、これはモデル・コア・カリキュラムを検討する会議とは別の組織ですが、最終的には全国医学部長病院長会議にまで話が広がって、一番上の目標であるモデル・コア・コンピテンシーをある程度そろえられないかという検討が行われています。各大学の教育の目標を完全にそろえるわけではありません。現行のモデル・コア・カリキュラムと同様に、「モデル」であり全く同じにするという意味ではなく参考にするというような位置づけで、議論を始めています。私がそちらの作業部会にも入っている関係で、こちらで公開された資料を参考にさせていただきました。そちら側では、卒後とできるだけそろえたいと考えており、その作業を具体的に進めていくところです。

 もちろん、卒前と卒後で細かいところまで全てそろえるのは、いろいろと無理がありそうですが、一番上の、今日の資料でいいますと、呼び方はともかく、基本的な価値観であるとか、資質・能力の辺りは、なるべく同じにしたほうが分かりやすいし、教育内容も連続させやすいのではないかという話になっております。

 

○福井座長 まだ、オフィシャルにどういう連携をというのは、私はよく分かりませんが、前野先生にしても大滝先生にしても、いろいろな所で関わっていて、横の連携が今取れる体制になってきているものですから、是非一番上の目標については同じものを使っていただいて、到達の深さ・高さについてのみ卒前と卒後研修と生涯教育で異なるものにできればと、今のところ考えています。田中先生も、最初からそのことを提言されていますし、大学の卒前教育ではその可能性が十分あるのではないかと思っています。田中先生、何かありますか。

○田中構成員 是非、生涯教育も含めてやっていくのがいいと思いますが。

○小森構成員 私自身は、今までややもすると均てん化が前面に出すぎて、経験症例という、このたった 1 つのある疾患を経験している、していないということで、臨床研修の全てのシステムの是非を論ずる場面がしばしばあったことに、何かすごく違和感を感じていました。そういう意味では、そういうことを解消する大きなパラダイムシフトになり得る話だと思い、ある意味非常に賛同の気持ちを持ちつつ興味深く聞いている状態で、まだ賛成です、反対ですと明確に言えないのですが、方向性としてはいいのではないかという感じがしました。

○田中構成員 私は、臨床研修が発足したときに、福井先生に加えていただいて、いろいろと議論に加わったのですが、あのときにたくさんの領域を経験するという話が出てきたのは、クオリティーコントロールという意味があったと思うのですね。要するに、臨床研修の捉え方が全国の施設によってまちまちなので、せめて細かく規定することによってクオリティーコントロールしようと。ただ、もちろん逆の弊害があったわけですね。今回、その結果として、とにかく経験しさえすればいいのだ、ちょっとでも診れば経験したことになるのだというような話が出てきていたので、その反省を踏まえて疾患を絞るとかそういう話になるのはいいと思い、私も賛成です。

 ただ、今度はクオリティーコントロールをどうやってやるのかという問題が出てくると思うのですね。それは、やはり評価の標準化で、今度は評価のところでクオリティーコントロールをかけたほうがいいと思うのです。ですから、前々から申し上げていますが、それぞれの研修施設で特色を出す部分とコアの部分を決めて、コアの部分についてはやはり私としては Web ベースが一番いいと思います。なぜかというと、どこででもできますし、集計もできますし、評価もしやすいということなので、 Web ベースで共通の評価システムを作って、あとはそれぞれの施設の独自性をいかしてそれを補完するようなシステムを作ったらいいのではないかと思います。

○前野構成員 私も、基本的には田中先生の考えに賛成です。クオリティーコントロールというのが、いわゆるチェックが働かない中で非常に難しいなと思いながら、お話を聞いていました。要するに、これまでだと経験したかしないかというのは、ほかに言い逃れができないわけですが、高い能力を身に付けたとか、十分に経験したというのは、ある意味本人も、それから指導医も、プログラム責任者も言い逃れができるような状況になると思います。それが、ある意味柔軟性を生むという部分でプラスも多いと思うのですが、 1 歩間違えるとなし崩しを生んでしまうという部分があると思いますので、そこを簡素化しつつ、クオリティーコントロールするならば、やはり外部のチェックを入れないと、実質上は、なし崩しのほうが大きいのではないかなという実感は持っております。ですから、クオリティーを保つのであれば、煩雑な分そこは減るけれども、そちらが煩雑になるのかなと。ですので、明確な答えがあるわけではないのですが、それは非常に大きな問題だなと思いながら、聞いていました。

○田中構成員 外部評価をするのは理論上は正論なのですが、それがいかに難しいかは、前野先生が一番御存じだと思います。恐らく、例えば Web でお互いに見ることができるというようにすることが、一番現実的な対応ではないかと思います。例えば、今は病院によって手術成績などを公開するようになってきています。それは、 Web で見ることができることで、ある程度病院のクオリティーコントロールはできるようになってきている面があると思うのですね。ですから、研修内容も、例えば個人は特定できないような形にするにしても、大体ここの病院のこの研修医はこれぐらいはできているということをお互いの Web で見れるようにすれば、余りいい加減なことはできなくなるのではないかと思います。

○福井座長 議論を完全に区切ることはできませんが、この資料 1-1 の到達目標の部分については、いかがでしょうか。この方針で進めていくということについて、何か御意見がありましたらお願いしたいのですが。今、お話されたような事柄と深く関わることではあります。卒前と、できたら生涯教育とも連続性を考慮した大きな到達目標を作って、修得の程度・深さがそれぞれのステージで違うというようなものを作ってはどうかというのが、 2 ページ目の一番上の文章に相当すると思います。いろいろ、ほかのグループとの調整がありますので、今すぐに、いつまでにどういうことができるかというのはなかなか難しいとは思いますが、この方向でいろいろ調整をさせていただければと思います。

○伊野構成員 私も賛成です。やはり、先ほどもありましたように卒前から卒後、生涯教育まで一貫性と言うときには、やはりそこは外せないのではないかと思います。

○中島構成員 話を蒸し返すようで申し訳ないですが、モデル・コア・カリキュラムの検討の中で、医学部を職業学校と位置付けないで、つまり大学の医学部であるということで検討しているのであれば、昔は私たちは教養課程というものがあったのですが、今はほとんどないに等しいですよね。大学ごとに少しずつ違うわけですが、その辺りについての検討はもちろんされないでしょう。しかし、近代史はきちんと学びましょうとか、こういうことがないと、単なる職業学校ですよ。これは、大学の医学部というのはやめたほうがいいですよ。医学職業学校カリキュラムとか言ったらいいのではないかと思ってしまうぐらいです。大学としての、大学を卒業するということの意味が飛んでいるのではないかという気がするのですが。

○佐々木企画官 大学の先生がいらっしゃる前で私が申し上げるのも何ですが、真ん中より少し後ろに全体の体系図があると思うのですが。先生が御指摘のとおり 2 つありまして、 1 つは臨床医以外の道を選ぶ医学部卒業生もいらっしゃるわけですので、それを視野に入れた形での教育であることが、まず 1 点目です。

2 点目が、正に今御指摘いただいたように教養教育の中でも、人文もあれば社会科学もあれば、またその中でも特に医学部としての準備教育というような学問体系もありますので、先生御指摘のとおり、やはりそれは高等教育を受けるということですから、当然この中にもきちんと教養教育との相対関係を明らかにして、その上で昔のような座布団型ではない、 1 2 年は教養、 3 4 年は基礎、 5 6 年は臨床という時代ではない中で、それがいかに垂直型という言い方がよいのかは別として、将来職業人たる医師としてのベースの部分ということと、深さと、高等教育を受ける広さとの双方を視野に入れたような内容でということは考えております。

○伊野構成員 今のことに付け加えさせていただくと、大学からの意見としては、コンピテンシーとしてプロフェッショナリズムが入ってまいりましたので、それを考えるときに、自然科学だけでは難しい、やはり人としての心の教育をしていかなければならないというところで、今は人文系の選択科目や哲学といったものが、大学によるかもしれませんが、増えてきているような気がします。

○佐々木企画官 本当に、コミュニケーションスキルの授業があったりしているのですよね。

○神野構成員 中島先生の御意見に賛成ですし、やはりモデル・コア・カリキュラムもそうですが、臨床研修もこれは変わらないのだと思うのですが、理念のところで、「医師が医師としての人格を涵養し」があるのですよね。ですから、もちろん効力もいいのですが、人格を涵養するところをきちんと前に出さなければいけないのではないかなと思います。

○福井座長 そういうところを、例えば基本的価値観というところに書き込んでいるのも、かなりの部分がそこにいくのではないかと思いますが。文部科学省として、医学部における教養教育の現状や評価などについて何かされておりますか。

○佐々木企画官 結論を申し上げますと、現状の把握なり、更にその評価は、少なくとも私の知る範囲で把握はしておりません。

○小森構成員 専門医の仕組みについて、今、別のことで大議論になっていますので、それは置いておいて、在り方に関する検討会の委員を務めさせていただいて、そこの報告書に、専門医の認定・更新については、医の倫理等を生涯リフレッシュし続けるということが条件になったというのが、我が国の専門医の在り方にとっては、ある意味画期的なことだと思っています。それこそ、 2 年間の教養があり、基礎医学という知識があり、そして経験があるという形から、今のような形に変化するときには、当然生涯を通したリベラルアーツという言葉がいいのかどうかは別として、つまりそういうもので貫いていくということがあったものですからそういう言葉が入って、新しい専門医の仕組みについても、それは整備指針に共通項として取り込められたと。全然別の所で大混乱していますが、それはもう置いておいて、そのことそのものまで全部ひっくり返るという話ではないと思いますので、専門医の仕組みについてはずっと関わってまいりましたので、そういう意味では一貫しているという方向でいいのではないかと思いました。

○古谷構成員 この会でも何度か話題にも出したりお話したりしているのですが、全体の縦のストリームを統一することはすごく意味があるのですが、「教育者としての医師」という側面での統一感はまったくありません。そのような視点が育っていかないと、文化になっていかないと思います。新たにそういったことも加えて検討していただけると有り難いと思っています。

○福井座長 ほかにはありますか。まとめて、方略と評価についても全体的に御意見を伺えればと思いますが。

○大滝構成員 コメントが 1 つと質問が 1 つあります。まずコメントですが、方略にどの程度経験を盛り込むかについてです。先ほど海外がどうなっているかとか、新しい教育というお話もありましたが、私の知っている教育カリキュラムの考え方の区分でいうと、これは確か工学的アプローチという考え方に近い作り方です。カリキュラムの作り方について、工学的アプローチと羅生門的アプローチという、二者に区分して考えることがあります。これらのうち羅生門的アプローチという名称には、日本語の羅生門、黒沢明監督の映画の名前が付いています。工学的アプローチというのは、要するにやることの全てについてあらかじめ項目を立てて、それを網羅的に学んでいくやり方です。一方の羅生門的アプローチは、事前に学習の場は設定するものの、何を学ぶかについては、その学習の場で起きていることに対して学習するその人なりの感性といいますか、とらえ方や出会いがあって、それぞれが異なるものを学んでいくとい考え方です。これら両者を両極端において、どういう考えでカリキュラムを組むかとか、学びの過程を作っていくかという視点であると理解しています。教育を組み立てる際には、これら二者の間で揺れ動く面があって、例えば教養教育であれば、誰が何を学ばなければいけないということを網羅的に計画することはナンセンスだろうという考え方があると思います。医学教育でも、臨床の現場で学生や研修医がすべて同じ症例を診られるわけがないといった事情がありますので、やはりある程度はその現場次第の面はあります。その中にどの程度の縛りを入れるかという、落としどころを考えなければいけないのでしょう。現行の研修目標は、どちらかというと工学的アプローチの色が強くなっていて、そのためか経験目標が形骸化しているので、もう少し羅生門的アプローチも取り入れて、全体として何を学ぶかを見ていくようにしよう、その一方で、全員が学ぶべき必要な項目は残さないといけない、という状況なのだろうと考えています。

 質問は、ちょっと細かいことなのですが、資料 1-1 2 ページ目の上に●があって、その下の○の所に、別にお配りいただいた薬剤耐性菌対策アクションプランの話が結構なスペースで入っています。私は、ときどき欠席していたのでよく把握していないのですが、これは今回入ったのですか。 4 5 日に閣僚会議があった、となっているのですが、前からこれを入れることだったのか、そこのところを確認したいのですが。

 

○吉本医師臨床研修専門官 薬剤耐性菌対策アクションプランは、先日閣僚会議で決定されたものです。ワーキンググループに資料として提出するのは初めてですが、このアクションプランの参考資料 5 裏面を御覧いただきますと、関連分野の専門職等に対する教育や研修の推進があり、臨床研修制度へも盛り込みの検討をするべきではないかということもありますので、改めてこちらのワーキンググループにも御紹介させていただき、今後これらの項目を包含するような項目や、その扱いを検討いただいてはどうかということで、今回お伺いしたものです。

○大滝構成員 内容的には、私は賛成です。しかし、この AMR AMS というのがよく分からないので、せめてフルスペルを入れていただきたいです。略称しか載っていないので。

○吉本医師臨床研修専門官 失礼いたしました。フルスペリングも併せた資料を今後御用意いたしたいと思います。

○福井座長 その文章の所のゲノム医療も、事務局としてはいろいろな会議で、ゲノムに関する知識の必要性がものすごい勢いで高まってきていて、社会にいろいろな影響が出てきている中で、医療者の教育が結構バラバラになっているため、そこをどこでどのように、特に医師のトレーニングに組み込んでいくのかということも話題になるものですから、入れていただいているのだろうと思います。

○清水構成員 先ほどの目標と方略の関係に戻るのですが、今回新しくしようとする目標が結構概念的といいますか、人格涵養の部分に相当することが多いと思うのです。今まで目標であった経験の場とか、症候や疾病という技術が今度方略のほうになるとすると、非常に概念的な目標を達成するために具体的な経験の現場で、何を学んでいただくかということの細かな定義付けみたいなものが必要になるのか、その部分は臨床現場に任せようとしているのか、目標が最終的に達成されるべき姿なのであれば、経験の場をどのように方略に落とし込むのかは結構難しそうな気がするのですが、その辺りは何かもうアイディアがあるのでしょうか。

○福井座長 今までの議論では卒後研修では、病気そのものよりも症候をもっと前面に出していこうという御意見が多かったと思いますし、そのようにしたいと思っています。次回具体的な案を出して、そこでまたディスカッションしていただいたほうがいいのではないかと思います。項目自体は、案を出すときにかなり少なくしたいと思っていますし、病気・疾病自体も本当に限られたものにできないかなと思っています。ただ、症候についてはそれなりの数を、特に日本医師会の生涯教育のものと併せる形で、一貫性をもたせて、病気についてはあるレベルでというように、かなり絞ったほうがいいのではないかというイメージはもっていますが。

○高橋構成員 差し障りない範囲内で教えていただきたいのですが、方略に落とし込む症候やある程度の疾患の選択というのは、今の厚労科研の先生の班で検討されていると。

○福井座長 検討した上で出したいと思います。

○高橋構成員 その際に、評価もそちらの委員会で検討されているでしょうか。

○福井座長 評価案も、主として前野先生が担当されているのですが、案として。

○高橋構成員 それをお出しいただけるということですか。

○福井座長 出したいと思っています。

○高橋構成員 ありがとうございます。

○伊野構成員 清水先生がお話になったように、ある程度の概念的な目標を達成する臨床現場ということであれば、理想的には臨床研修病院そのものに対するクオリティーコントロールも必要になるのではないかと思いました。

○古谷構成員 実際の評価では例えばレポート提出の義務のある症候の評価をしていると、咳という症候に対するレポートとして、心不全で咳をしている患者の症例提示をして、心不全のレポートを書いてきます。結局、テーマを幾ら症候にしても、指導医がしっかりと症候として評価しなければ、最終的には症候に対しての深い考察や経験をしたことにならないという現状があります。やはりこれをレポート提出だけではなく、指導医が評価していくことをきちんと義務付ける、きちんと証拠を残していくような形での評価をしていかないと、お題目だけを変えても結局はやっていることは変わらないことになります。この辺りも一緒に検討していただけると有り難いと思います。

○清水構成員 方向性は、先ほど福井先生がおっしゃったことで私もいいと思っていますので、是非そのように作れたらいいと思います。先ほど、臨床研修ではマッチングが行われて、各大学がシャッフルされるので、その大学のアウトカムが違っていることが前面に出てきたとおっしゃいましたが、今度は臨床研修もクオリティーコントロールをきちんとして、大学で新しく作るコアカリのようなものにしておかないと、また研修医が研修病院ごとに違うことになります。、したがって第三者評価は難しいかもしれないけれども、結局研修医のアウトカムが全国的な基準で評価できるようなものにしておかなければならないと、今の議論を伺っていて思いました。

○田中構成員 先ほど高橋先生がおっしゃったことなのですが、具体的な議論をするために、例えば先ほどの古谷先生の咳だったら咳でいいのですが、咳についてこのような評価方法もするしという、何か 1 つの証拠だけでいいので、一応下まで全部、評価方法まで全部含めたモデルを出していただければ有り難いと思います。

○金丸構成員 ちょっと議論を戻す感じで大変申し訳ないのですが、福井先生がおっしゃったように、どこかで一貫してという部分で、大学学内の医学教育と臨床研修と専門医生涯教育、そして頭の部分を涵養をするということです。その部分が深さで違えていきたいと、全くそのとおりで同感なのですが、それに関して、先ほど古谷先生の、教育者の教育というか、立ち位置とか、今どうなっているか分からないのです。つまり今の現場の先生方は以前の教育、あるいはもちろん幅があって、教育に当たる先生のバリエーションも多くて、そのバリエーションの中で、今度は方略とか目標に向かうことは是非やらなければいけないのですが、その途中の教育がどう絡んだらいいかは、具体的な戦術でいうと難しいところがあるのかなというのが正直な感想です。そこを議論して、それを前野先生が分かりやすく評価をしてというところに多分入って、それが研修病院の差がないとか、あるいは大学の卒業生がそれぞれ違ったところは、違った研修をしたのか、そこにどう絡んでいるのかが素朴に分からないのです。ただ、一番大事なことは、参考資料 2 にある、今までのワーキンググループで議論をしていた医師としての基本的な価値観の部分で、これが先ほど佐々木先生がおっしゃったコア・カリキュラムの中でも、国民から求められる倫理観とかいうのが頭にあり、これは一貫しているなと、非常に有り難いと思いました。それを踏まえて深さという意味では、研修医の段階では価値観の、参考資料 2 29 ページの社会的使命を議論をしてまとめていただいて非常に分かりやすくなり、とてもいい姿になったのかなと。ここの柱を踏まえつつ、 30 ページの資質・能力がいかされていく展開をこの段階で整理できて、これも並行して、教育する人もパラレルで学び、ということですよね。そしてやっていく戦略をこれから具体化するということですね。

○福井座長 全ての医師に求められるということだろうと思います。

○金丸構成員 そこを今から並行してやられると理解してよろしいでしょうか。

 それで最後に 1 点、 3 番目の人間性の尊重というのは、記憶が曖昧で、 29 ページの基本的価値観の 3 番目、社会的使命から公衆衛生の向上への寄与、人間に対する尊重と、枝の図がちょっと見えなくなっているので思い出せないですけれども、とてもいい表現が入って、正に責務とかそういうところを補完するような裏返しの表現で、人間性の一番の頭としての姿ができたかなと思ったところです。すごくいいまとめをしていただいたと思いました。

○福井座長 ほかにはいかがでしょうか。

○中島構成員 具体的な話にはなるのですが、 1 つは日本医師会の生涯教育はとてもよくできているとは思いますけれども、項目として、幻覚・妄想あるいはせん妄という割と精神科に特有な症候が抜けているのです。あれを作るに当たって、まともな精神科医は入っておられたのでしょうか。

○小森構成員 あれは 2009 というバージョンで、次年度に早速、そのことについてはリバイズすると思っております。先生が今日お話になられたのは、七者懇談会からも、私宛てに要望書も頂いておりますし。

日本医師会の代議員会においてもそのように御要望を頂いているところです。今回の見直しは、基本的医療課題に力を重点的に注いだということで、リバイズの第一段階、その次に症候論についてはリバイズすると、こういう順序で、その狭間にあったということで、決して先生の御指摘のところが排除するとかそういう理由ではなくて、今認知症の問題は社会的課題ですので、当然重要な症候として入るものと認識をしております。

○中島構成員 もう 1 点ですが、ステップがあって、学生の期間から卒後臨床研修、そして専門医の教育、それから更に生涯研修と、ずうっとなめらかに進んでいきましょうと。それぞれ深さを定義付けていったほうがいいのではないかと、ここまではいいのですが、それにはもう何度か、何人の先生もおっしゃいましたけれども、評価がそれに伴っていなければ素通りしてしまうということです。特に学生時代の 6 年間の評価については、やはり知識のほうへ寄っているでしょう。人格とかそんなところを評価されていますか、していないですよね。この卒後臨床研修ではやはり人格とかいうところも評価しましたと、ここをやはりきちんと言うか言わないかは大違いです。そこを通ったら次は専門医の教育に進めるという、そのためにはこの 2 年間の臨床をきちんとできると。終わりのほうに、参考資料で付いていますけれども、指導した臨床研修医。

○福井座長 何ページでしょうか。

○中島構成員  64 ページだと思いますが、なくなったのですか。

○吉本医師臨床研修専門官 恐らく参考資料 6 の一番最後ですか。

○中島構成員 一番最後です。これを見ていただくと多いのが、「患者の問題に対して自ら把握し自己学習しようとしない」とか「患者や家族の意思疎通に欠け不安感を与えるなど患者・家族と良好な人間関係を築けない」「独断でリスクを伴う医療行為を行ったり、患者への治療を適切に行わない、注意力に欠けるなど安全な医療を提供できない」、それから最後の 8 は、「無断欠勤や人間関係、アルコールなどでトラブルを起こし、社会人として問題がある」、こういう人はちゃんと駄目出しされているのですか、それを知りたいです。されずにもしそのまま通っている人が結構いるとしたら大変な問題で、自分もそうだから余り言いたくないですけれども、若干問題があるのではないかと思います。

○福井座長 厚生労働省は把握されているように思います。それをオープンにできるかどうかは分かりませんが。

○中島構成員 できないでしょ。

○吉本医師臨床研修専門官 こちらの今回のアンケート調査で指導医にお伺いした項目は、修了時というよりも研修中にということですので、こうした問題があれば臨床研修の通知に基づき、まずは指導医が指導を行うということとなっています。それでも、例えば患者に安全な医療が提供できない場合等は、中断や未習という判断もやむを得ないこととされております。

○中島構成員 この修了中断とかの判定になった人は非常に低いのですね。 1 %ぐらいです。多分その中にこういうことを感じさせた人がいらっしゃったのだと思うのですが。 5 年間で 1 回でも感じたというのが 40 %~ 30 %ぐらいいらっしゃるのですね。

○吉本医師臨床研修専門官  5 年間で 1 人でもいれば、この赤以降のバーのほうに入ります。

○中島構成員 この人に診てもらいたいですか。

○福井座長 こういう研修医がいて、フィードバックをかければ、かなりの人が良くなるのですね。

○中島構成員 そんなのは見せかけです。

○金丸構成員 平成 18 年度から 21 年度の未修了者の実績が示してあります。参考資料 4 「臨床研修の統括目標等について」の 8 ページです。この未修了者の状況を厚生局で示している数字で、合計 1 %とありますが、この人たちはどうなっていくのですか、どうなっているのでしょうか。

○吉本医師臨床研修専門官 こちらの未修了になった方は、 2 年間の修了時の際の判断ですので、基本的には臨床研修を続けられるか、どこかで中断ということにはなりますが、この方々が続けたかどうかについてのデータでまとまったものはございません。扱いとしては継続されるか、どこかの時点で中断となります。

○金丸構成員 その後について、その後どうなっていったのかはなかなか把握は難しいですか。平成 21 年度はちょっと古いですけれども、中島先生が今言われたことの関連だと思うのですが。

○吉本医師臨床研修専門官 こちらの調査については現在のところ、集計したものはありません。こちらは修了時の判断ですが、中断をした方のその後の状況についてまとめている項目もあります。お手元の分厚い机上配布資料の中の、全体の 61 ページから中断の状況となります。その理由が 62 ページ。 63 ページ目は調査時点で中断をした方のうち、再開をした方の割合があります。全体としては 6 割強の方が再開をしているということになります。研修終了時に未修了となった方も、この調査では、先ほどの未修了の方が最終的に中断になったというわけではありませんけれども、未修了の方も最終的には継続をされるか、中断をされることになります。

○神野構成員 今のは病気療養とか妊娠出産とか、やむない中断ばかりですね。さっきから話にあるような無断欠勤とか、人格がおかしくての中断というのは余り把握されていないですね。マスコミさんもいるのであれですけれども、医学部を卒業させるときは、勉強できるから、うるさいから出してしまうとか、それから臨床研修病院でも、これは自治体のある所で聞いた話ですけれども、無断欠勤も多いけれども、このまま留年させてしまうとまた面倒だから出してしまって、うちの県に残らなくてよかったねと、よその地域に行くんだってということで、みんなで拍手しているような話も聞きますので、ここのところはもう勇気をもって落第させることができるような仕組みがやはり必要な気がします。議論が随分ぼけてしまって申し訳ないです。

○福井座長 最近、臨床医としての適性について判断している大学が出てきているように聞いていますが、いかがですか。

○古谷構成員 卒前教育では実際、適性についてはかなり厳しい評価をしていることが多いです。特に今回、クリニカルクラークシップが始まるに当たって、実際に医師のタスクを一部やっていくことになりますので、そういった意味では、そこで厳しいハードルを設けている大学は多くなってきていることも確かです。その一方、そういうのをすり抜けていく人もいますし、研修に入ってしまうと、今度は研修中断者、すなわち「修了させませんよ」という研修医を出していくと、そこの病院自体の人気が落ちてしまいます。そのため、なかなかハードルを設けにくく、罰則規定もないので、そこがちょっと難しい側面かなと思います。ただ、卒前評価はしていくものの、一度留年をさせてもまたそれで上がってきてしまうと、最後には卒業していってしまうということが卒前教育ではありますので、なかなか難しいところです。最初の 1 2 年目の段階で適性評価をちゃんとして、早いうちに別の道を進ませるということができればいいですけれども、まだ現時点ではそこまでのことができていないのが現状で、ちょっと残念なところではあります。

○前野構成員 話を少し戻して、それで今のお話にもつなげたいと思います。今までの仕組みの良くなかったところを直して、あるべき姿に戻してというのがありますけれども、やはり能力とかクオリティーコントロールとか、動かしていく場合の現実的な問題もあるかと思うのです。今までの議論を拝聴していますと、評価は分かりやすい形で手をかけずに、それで本格的な評価ができて、かつ全ての病院のクオリティーを守り、ほぼ全員が臨床研修を修了できる仕組みを皆さん求められているように感じるのですが、できるのでしょうか。それができないとなると、結局どこか少しずつ折り合っていくしかないと思うのです。なので、例えばしっかり手をかけて面倒くさいけれどちゃんとした評価を得るのか。ついて来られない病院は研修を取り消してでもいい所を残すのか。あるいは厳しい仕組みをつくる代わりに、例えば 1 割ぐらいは未修了のまま終わる形でもいいのか。先ほど未修了は 1 %と出ましたけれども、大学の進級ということを考えれば、 2 年間で 1 %しか落第しないわけです。ものすごい確率で終わっているわけです。現在はその 99 %が修了しているということを前提に今の医師の需給は成り立っているわけですから、今後は、いい医者を 99 %出すために、ものすごい手間をかけなければいけないのか、それとも、今のかけられる労力でいいので、いい医者だけを出すのは 9 割でいいのか。非常に矛盾していることを言っているようですけれども、現実、現場を預かる者としては、そこは決めてほしいのです。

 それと、初期研修をやっている間に、やはり伸びる子はいます。ですから、臨床研修を終われないと医学部に入ってからのキャリアがほとんど無駄になってしまう現状において、その人格を理由に駄目出しをする、なかなかそういう大きな判断はできない。そうするとクオリティーコントロールの話に戻りますけれども、君は人格が駄目だから修了できないとは言えない、でも今は A 項目、それから内科 6 か月とか、ごまかせない、本質的ではないかもしれないけれども、ごまかせない期間があるので、それをクリアしていないから、未修了という判断になる、それは本人も納得します。現状では、それによって最低限のクオリティーが担保されている部分があるのです。ですから、それが煩雑だ、本質的ではない,という議論になって、では、資質・能力だけで測ろうということになるとどうなるか。その上は伸びるかもしれないし、本質的な評価ができていい部分もあるかもしれませんけれども、皆さんが今話題にしている下のほうはもっと悪くなります。そういったことも運用の中で考えていく仕組みを、簡単に実現可能な範囲でクオリティーを保ちながら考えていかないといけないと思います。別に解決策があるわけではないですけれども、断面だけを取り出せば先生方がおっしゃるとおりですが、非常に難しい問題だなと思います。

○大滝構成員 以前にこのワーキンググループの下の研究班で、いろいろな指導医や研修修了者からのヒアリングを行いました。その中で出てきたものでは、研修医の態度とか資質に対して、一番評価がきっちりしているのは、同僚のナースだということでした。ですから私は、そういう仕組みはある程度一般化できるのではないかと考えています。例えば頻繁に遅刻するなど、チームとして動くのに問題がある人に対して、同僚からアラームを出すような評価が何回も積み上がった場合には、少なくともストレートでは研修を修了できない、その部分のトレーニングをしないと終われない、という評価の枠組みはある程度は作れるのではないかなと考えます。そのときのデータを思い出してコメントをしました。

 

○福井座長 研修医の問題行動というのは、実は一緒に働いている上司の先生方の行動の問題でもあって、改善のためのフィードバックをかけることをしていないから、上の先生と同じ行動が身についていくという場面が非常に多いように思っています。

○前野構成員 それは実際にやるかやらないかは別にして、いざとなったら未修了にするという厳しさをもたないと、研修医がなかなか向き合わないのですね。なので、最終的には必ず終わらせてくれるという、いわゆるぬるま湯の中では厳しいことを言っても響かないまま、ローテーションなので 3 か月面倒を見たら後は知らないみたいなのがずうっと 2 年間続くというような感じになってしまいがちです。そうすると、そうしたプロフェッショナリズムとか人格・行動で未修了となると、初期研修を終われなかったら後期も入れないですから、場合によっては裁判になることも我々としては想定しておかなければいけない。となると、客観的証拠が要るのです。その拠り所は何かというと、やはり数的基準となります。余り数的基準にこだわると本質から離れていく、これは非常によく分かるのですが、最低限の歯止めとしては、例えば 90 日ルール等ありますけれども、あれが 2 年間にほぼ匹敵する日数をやっていればいいとなったら、どんどんなし崩しになってしまうわけです。あるいは 90 日というルールがあるから、ある程度そこで判断がされているわけなので、そういうものは少ないに越したことはないですけれども、やはりあったほうがいいかなと思います。

○福井座長 適性については数だけではなくて、行動そのものについての記録とフィードバックをして、それでも改善されないとか、そういう記録をちゃんと残しておくということでしか対応できませんので、オールオアナッシングの話ではないとは思います。

 話が拡散してきていて、今日の議論は何なのだろうというようになりますけれども、修了基準についても何かしらこのワーキングとして提言できることがあればそうしたほうがよいのではないかというお話だと思います。ほかには何かありますでしょうか。到達目標、方略、評価について、こういう方針で検討して、次回のワーキングに案を出せと言っていただければ、それを考慮して研究班としてまとめていきたいと思います。

○伴構成員 先ほどからの議論で評価が一番の要であるということで、そのとおりです。しかし一発で評価できるというような方法がないというのもそのとおりで、繰り返し繰り返し評価するしかない。そして、繰り返し駄目だということになると、主観的評価も数が多くなれば客観性が高くなりますので、評価の 1 つのやり方になるかと思います。

 それでもう 1 つは前にも申し上げて、私は余り知らないのですが、今のイギリスのファウンデーションプログラムで、ある程度クリオティーも評価しているということなので、そこも是非教えていただきたいと思います。

○大滝構成員 ファウンデーションプログラムについて、宣伝のようになりますが、情報提供です。医学教育振興財団が毎年行っている医学教育指導者フォーラムというイベントがあります。文科省のワークショップと 2 日連続で行っている企画です。そのフォーラムで今年は、英国の研修システムとそのクオリティーコントロール的なものを扱う予定で、前野先生が司会をされます。

○前野構成員 大滝先生が発表されます。

○大滝構成員 私はこのワーキンググループの議論で公開されている部分について説明、報告をします。

○福井座長 ほかにはいかがでしょうか。うまくまとめられなくて恐縮ですけれども、もし意見がほかにないようでしたら、本日の議論はここまでとしたいと思いますが、いかがでしょうか。

○金丸構成員 確認してよろしいですか。参考資料の 2 の「資質・能力」の「コミュニケーション」から入る 3 番目の「医学知識と問題対応能力」の所ですが、第 9 回ワーキンググループでの議論の整理ということで整理していますが、この前、 2 番目の EBM は外すとか、外さないとか、また復活したのですか。

○福井座長 これについては、かなり議論を重ねていまして、恐縮ですけれども、かなり違った形のものが次回出てくることになります。

○金丸構成員 入れないといけないという議論になったのですか。

○福井座長  EBM ですか。

○金丸構成員 はい。

○福井座長 ちょっと覚えていないのですが。

○金丸構成員 この前のやり取りでは、入れるなら NBM も入れないと分かりにくいという議論をして、先生のほうから、ではもう外しましょうかという提案を頂いたような気がするのですが。

○福井座長 ちょっと覚えていないです、すみません、また次回出てきたときに御意見をおっしゃっていただければと思います。

○金丸構成員 はい、了解です。

○福井座長 本日の資料の 1-1 の方向性については、おおむね合意を頂いたと考えまして、その方向でより具体的な案を出していきたいと思います。

 事務局から今後の予定等について何か更に連絡がありますでしょうか。

○吉本医師臨床研修専門官 本日はどうもありがとうございました。資料 3 で提示しましたとおり、 7 月若しくは 8 月頃の次回の開催を目途として日程調整の御連絡をさせていただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○福井座長 本日は活発な御意見、ありがとうございました。これで本日の会議は終了とさせていただきます。ありがとうございました。


(了)

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