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2016年9月2日 第9回腎臓移植の基準等に関する作業班 議事録

健康局難病対策課移植医療対策推進室

○日時

平成28年9月2日(金) 13:00~


○場所

航空会館901会議室


○議題

(1)小児腎臓移植希望者(レシピエント)選択基準の一部改正について
(2)その他

○議事

○伊藤補佐 定刻になりましたので、ただいまより第9回腎臓移植の基準等に関する作業班を開催いたします。班員の先生方におかれましては、お忙しいところお集まりいただき、誠にありがとうございます。

 本日は、松尾班長より欠席の御連絡を頂いております。そのため、両角班長代理に議事進行をお願いいたしたいと思います。開会に先立ち、事務局に異動がありましたので報告いたします。移植医療対策推進室長の井内です。室長補佐の林です。それでは、以後の議事進行を両角班長代理にお願いしたいと思います。

○両角班長代理 今日は松尾班長が御欠席ですので、代理で進めさせていただきます。大変お暑い中、御参集いただきありがとうございます。3月に開催された第8回の腎臓移植の基準等に関する作業班で作業が終了して、臓器移植委員会で審議いただければこの作業班は終了したと思っておりましたら、Age-matchに関して、特に小児から小児に関して方向性は御承認いただいたのですが、年齢区分を明確にするように作業班で再検討しなさいということで作業が戻ってきて、第9回に御参集いただくことになりました。今回は、この部分だけを検討することで課題は絞り込まれておりますので、今日はその部分に関して班員の皆様方の御意見を賜ることになります。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、会議を始めたいと思います。まず、事務局より資料の確認をお願いします。

○伊藤補佐 それでは、お手元の議事次第に沿って、資料と参考資料の記載がありますので御確認ください。資料の不足や落丁等がありましたら、事務局までお知らせください。

 配布資料ですが、資料1「腎臓移植のレシピエント選択基準等に関する検討事項の経緯」、資料2「臓器移植委員会での審議をうけての検討事項」、資料3「腎臓移植のレシピエント選択基準等に関する報告事項」。参考資料1「第44回臓器移植委員会提出資料」、相川班員より提出していただいた参考資料2-1「諸外国における腎移植の配分について」、参考資料2-2「資料2の補足データ」、参考資料3(一社)日本移植学会、日本臨床腎移植学会宛事務連絡」、相川班員より提出していただいた参考資料4「透析期間と献腎移植の成績」、参考資料5「腎臓移植希望者(レシピエント)選択基準の改正経緯等」、参考資料6「腎臓移植希望者(レシピエント)選択基準」、参考資料7「腎臓臓器提供者(ドナー)適応基準」です。

 参考資料67に関しては特段説明いたしませんが、適宜、御参照ください。また、卓上に「脳死下での臓器提供に係る参考資料」としてファイルを置いております。以上です。

○両角班長代理 今、説明がありました資料に落丁や欠落がありましたら、お声掛けください。よろしいでしょうか。それでは、始めに事務局より「腎臓移植のレシピエント選択基準等に関する検討事項の経緯」について、資料に基づいて説明をお願いします。

○伊藤補佐 資料1です。また、参考資料1、参考資料5も御参照ください。まず、平成2839日に開催された第8回腎臓移植の基準等に関する作業班において、腎臓移植希望者(レシピエント)選択基準に関し、以下の検討事項について議論を行い、検討結果をまとめました。1「待機日数とHLAの適合度の点数の取扱いについて」、2Age-match制度の導入の是非について」、32腎同時移植についての是非について」、4C型肝炎抗体陽性ドナーの取扱いについて」、5「移植腎機能無発現であったレシピエントの対応」についてです。

 以上5項目に関して、平成28629日に開催された第44回厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会において、各検討項目に関する腎臓作業班の検討結果(参考資料1)について審議を行った結果、「Age-match制度の導入の是非について」は、小児ドナーから小児レシピエントへ優先することを了承いただきましたが、小児年齢の区分について新たに作業班で検討することが必要となりました。

 本日、平成2892日、第9回腎臓移植の基準等に関する作業班を開催して、臓器移植委員会での審議を受けての検討事項として、「Age-match制度の導入の是非について(小児ドナーから小児レシピエントへ)」の議論を行いたいと考えております。その他、前の項目の1345番に関しては、後ほど審議結果を報告いたします。資料1に関しては以上です。

○両角班長代理 何か御質問はございますか。よろしいでしょうか。臓器移植委員会での審議を受けての検討事項です。特に2番目の「Age-match制度の導入の是非について」という所に関して、実際的なお話をしてまいりたいと思います。それでは、「Age-match制度の導入の是非について」の説明を事務局からお願いします。

○伊藤補佐 資料2、適宜、参考資料2-12-2に基づいて説明いたします。

 資料2です。「現状と課題」です。脳死下での小児ドナーから心臓、肺及び肝臓が提供される場合は、若年層のレシピエントへ移植されることが多いが、脳死下での小児ドナーから腎臓が提供される場合は、その提供事例の全の24事例で3060歳代の成人レシビエントへ移植されております。

 これに関して参考資料2-23ページを御参照ください。こちらは、現在行われた18歳未満の小児脳死下臓器提供事例において15例あります。全て18歳未満の小児提供ですが、腎臓の欄を見ていただければ分かりますとおり、現在3060歳代の方まで行われております。それ以外の臓器として、心臓は現在、小児から小児ということになっておりますので全て10代。肺、肝臓の場合は一部成人の方がいらっしゃいますが、若年者に行きわたっていることが多いです。

4ページです。現在の選択基準に基づいて未成年レシピエントは加点、20歳未満が12点、16歳未満が14点なされるものの、待機日数の長さに応じた加点が優位となっております。参考資料2-24ページの待機日数、HLAポイント、搬送時間、未成年者ポイントが合計点数になるわけですが、待機日数が一番優位になっているという現状です。

 そこで、「前回の腎臓作業班での検討結果」において、小児ドナーからの腎臓提供は小児レシピエントを優先するべきであるという結果になりましたが、参考人からは「作業班のデータだけではなくて、医学的な知見やほかの知見も必要ではないか」という御意見が出されたため、腎臓作業班の班員より、臓器移植委員会前に、小児ドナーから腎臓提供の場合、小児レシピエントが望ましいという医学的な知見となるデータも提出されました。

 その後、「臓器移植委員会での審議結果」として、腎臓作業班の班員から提出された医学的な知見を基に、小児ドナーからの腎臓提供は小児レシピエントを優先するべきであるという結果になりました。しかし、その場合の小児の年齢区分を何歳までにするのかということに関して、これまで検討されておりませんでしたので、改めて腎臓作業班にて検討する必要があるという審議結果です。

 そこで、「小児ドナーから小児レシピエントへの選択基準のレシピエント選択のイメージ」として、臓器移植委員会での審議結果を基に我々が考えました。レシピエント選択基準のイメージとして、1として、●歳未満の小児ドナーから●歳未満の小児レシピエントへの腎臓提供です。2として、その●歳未満の小児レシピエントがいない場合、●歳以上の全レシピエントから選択されるけれども、現行制度の未成年加算は、16歳未満が14ポイント、20歳未満12ポイントは維持したままで選択するという順番で、レシピエント選択を行うことになると考えられます。

2ページです。「今回作業班で検討する論点」として、小児の年齢区分を決めるに当たって、諸外国での小児レシピエントの取扱いや社会状況を踏まえつつ、医学的な知見を考慮し、現行基準の未成年加点の状況に矛盾しないものにする必要があると考えられております。また、以下の視点があると考えられ挙げております。

 まず、「小児年齢の区分からの視点」です。平成22年に臓器移植法の改正が行われて、15歳未満の小児ドナーから臓器提供が可能になったことから、対象年齢を15歳未満とするか。平成23年に腎臓移植レシピエントの選択ガイドラインの変更を行い、未成年加算、16歳未満が14ポイント、20歳未満が12ポイントという加点を行っており、対象年齢を16歳未満、20歳未満とするか。あるいは民法上、児童という年齢区分が18歳未満となっており、対象年齢を18歳未満にするのかということも参考にできるかと考えております。

 また、「諸外国における小児の取扱いからの視点」について、参考資料2-1を御参照ください。こちらは、相川班員から提出いただいたものです。まず、12ページはアメリカからの移植の現在の選択基準です。要約すると、小児からの腎臓提供、移植後の長期成績の指標、ドナーの病歴を考慮しより質の高い腎臓が18歳未満の小児レシピエントヘ優先的にあっせんされるとアメリカではなっております。

3ページです。イギリス、UK Transplapと書かれているものですが、イギリスでの献腎移植のallocation、分配・配分として、要約すると、小児と移行期間を含め30歳未満のレシピエントが優先的にあっせんされるとなっています。また、ドナーとレシピエントの年齢をなるべく合わせるような仕組みとなっております。

6ページです。「Euro Transplapallocation」と書かれているものです。EU圏では、16歳未満のドナーはなるべく小児レシピエントヘあっせんされ、65歳以上の献腎は65歳以上にあっせんされるという諸外国でのシステムになっております。

 「医学的な知見からの視点」です。参考資料2-25ページです。「小児の透析患者の成長障害について」です。小児の成長障害として、図1にある19歳未満の小児の透析患者は、移植前は非常に成長障害が著しく、透析をすることが成長障害の大きな要因となっているということが分かります。このことを考えると、移植から6年後の身長の改善は、5歳以下の患者では有意に改善するけれども、それ以上の年齢でも身長の改善は認められるが、同年代の平均より小さいままである。体重は小児全年齢層で同年代と同等の改善が見られております。

 また、6ページですが、こちらは1987年に19歳未満で腎移植を受け、その後、長期的なコホート研究で後追い追跡をしているものです。長期的に観察すれば全体で改善傾向にあるということが分かりますが、それでも平均よりも身長が低いということが分かります。

7ページです。「移植後の腎機能、腎臓の大きさについて」のペーパーからの引用です。腎臓移植を行えば成長障害の改善は可能であるが、標準レベル以上に発達するためには、腎移植機能が良好な状態で、しかも長期間保たれなければならないということが述べられております。

 そこで図3です。18歳以下の移植腎は長期間にわたり腎機能を保つことができるというものですが、図の向かって左側のAの下、Cadaveric donorsと書いてあるもので、これは移植後4年間の追跡ですが、18歳以下の小児ではGFRは長期間、長期的に悪化はないと見られます。ただ、18歳を超した生体腎移植ドナーを示す真ん中の右の図を見ると○のGFRは、長期的に腎機能が悪くなるということを示しております。また、図4です。16歳以下の移植腎は移植後大きく成長していることが分かります。これは成長段階にある小児について、小児の腎臓が必要であるということを示唆しているのではないかというグラフです。

8ページです。図5です。34歳までのドナー腎臓の移植成績は良好であり、10歳代、20歳代と有意差はなく、ただ、その一方で、50歳以上のドナーからの移植後腎の成績は非常に悪いということが分かります。また、図6ですが、腎臓の大きさと体表面積を合わせて見ております。体格が大きく腎臓が小さいサイズミスマッチという状態の波線のグラフですが、移植後生着率が悪くなるということが示されております。

9ページです。腎移植登録者待機状況です。こちらは腎移植を受けた方の待機平均日数になっております。全体で約11.7年待機しなければ腎移植は回ってこないということになっております。16歳未満では2.44年で20歳未満でも2.47年と、16歳未満、20歳未満では特に変わりはありませんが、全体では1112年という待機日数が必要だということが分かります。

10ページです。こちらは本年の814日現在において、小児(017)の腎臓移植待機者の待機人数です。見ていただくと分かるように15歳が一番多くて17名ですが、そのほかは大体567名というところで待機していることが分かります。

11ページです。こちらは現在、日本臓器移植ネットワークへ献腎移植登録、待機している小児レシピエントの18歳未満の登録待機年数の平均を書いております。016歳の平均待機年数は、現在、これは移植する前の患者さんたちですが、平均2.43年。16歳以上17歳未満で平均2.38年待っていらっしゃるという図です。特に016歳、16歳~17歳の所で大きな待機年数に有意差はありません。

12ページです。こちらは参考で付けております。小児の腎移植登録待機している患者さんでは、どれだけの年数透析治療をしているのかということを示しております。保存期で登録している患者さんが一番多いのですが、待機年数よりも透析年数のほうが、やや長くなっているように見受けられるグラフです。016歳で、6年以上13年未満と長期間の透析療養中の小児もみられます。透析をこれだけ長期間しているにもかかわらず、腎移植希望登録後はそこまで長く経過していない患者さんがいるということが分かると思います。以上、参考資料2の説明です。

○両角班長代理 いろいろな資料のお話が出てきました。小児の年齢区分として4つの候補があるのではないか。諸外国の状況から勘案した場合の参考となるべきデータ、主に本邦のデータを中心とした、あるいは論文検索に基づくところの医学的な見知からの視点を今説明いただきました。

 今回の資料21ページの一番下の所をもう一回御覧ください。今回、小児ドナーから小児レシピエントへの選択基準のレシピエント選択のイメージとして、2つの案がここに出ております。1つは●歳未満の小児ドナーから●歳未満の小児レシピエントへ腎臓の提供ということなのですが、この概念に関しての確認です。例えば、何歳未満のドナーから何歳未満のレシピエントと言った場合に、それは5歳未満から5歳未満あるいは15歳未満から15歳未満というように、ドナー年齢と同等かそれ以下を想定しているのか、そうではなくてもっと大きな小児のくくりで考えているのかということに関してです。

○伊藤補佐 ありがとうございます。我々として前回、前々回の作業班のときから、現在の基本構造は崩さないことを決定して進めておりますので、小児から小児という1つの大きなくくりを作っていただければと考えております。例えば、小児のドナーの年齢を5歳として、レシピエントを±5にするということではなくて、大きな全体のくくりとしての基本構造と考えております。

○両角班長代理 分かりました。そういう方向で議論を進めていただこうと思います。欧米等の小児・若年者でのドナー・レシピエントへの配慮を見ているといろいろな仕組みがあります。日本では、レシピエントは、16歳、20歳未満と二つの区分で加算ポイントを持っております。今回の検討課題であるドナーに関しても、どの枠組みのドナーはどのように扱うのかというところで、大きく考えてもらう議論を進めていただければ有り難いと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 今、説明いただいた内容に関して、御質問、あるいは、こういうデータからはこう考えるべきということに関して忌憚のない御意見を順に賜れば幸いです。いかがでしょうか。

○水口班員 私はこの前欠席していたのですが、小児ドナーはどのように定義されているのですか。

○両角班長代理 今日はそれを決めるための会議です。

○水口班員 まだ定義されていないのですよね。

○両角班長代理 定義されていません。レシピエントは20歳未満までを小児と取り扱って、加算ポイントを16歳未満と20未満とで分けました。現在の取り決めではレシピエントは20歳未満が小児扱いになっております。したがって、法的な小児年齢である18歳ではありません。すでにご説明がありましたようにいろいろな年齢で小児と定義できる可能性があります。小児ドナーと小児レシピエントの区分に関する整合性をこの作業班として今日皆様方にお決めいただきたいということです。

○服部班員 東京女子医大腎臓小児科の服部です。何歳をもって小児とするのかということに関しては、先ほど伊藤補佐よりお示ししていただいた資料からもわかるように、それぞれの国によって異なります。大事な点は、日本の現行制度を鑑みて、現場が混乱しないようにするという配慮が必要だと思います。そうなると、自ずと日本の場合には、年齢は16歳か20歳かというところの議論に集約されると思います。

 その上で、現行の制度では、20歳未満を未成年としてポイントを加算していただいておりますこと、それから参考資料2-210ページに示されている日本臓器移植ネットワークからの「小児の腎臓移植待機者」に関するデータを見ますと、15歳が17人、16歳が10人と、これら15歳、16歳の待機患者数が非常に多くなっておりますので、もし16歳未満としてしまうと、これら15歳、16歳の待機患者さんの献腎移植のチャンスはなくなってしまいます。以上により、当方の見解として「20歳未満の小児ドナーから20歳未満の小児レシピエントに腎臓を提供」とするのが一番シンプルで、かつ現場での混乱も少なく済むのではないかと考えます。

○相川班員 東邦大学の相川です。私も服部先生の御意見に賛成です。法律では18歳以上が成人として選挙権が与えられましたが、実質的には成人式も二十歳になってないとやらないですし、一般に小児というと、やはり20歳未満という定義が普通です。優先ポイントが20歳で区切られているというところもあります。これは、あっせんの間違いをしないことを考えても、はっきり20歳未満という形で規定したほうが支障がないと私は考えます。20歳未満のドナーの場合には、20歳未満のレシピエントに献腎が配分されると考えていただければいいのではないかと思います。

○両角班長代理 全員の先生方から御意見を頂きます。

○西班員 西です。同じく20歳というところがよろしいのかと思います。できるたけ小児の方が小児のレシピエントにドネーションできるということで、幅広く取って20歳ということを押したいと思います。

○水口班員 私も同じ意見で異論はありません。できるだけ若い方に移植という意味からいうと、その年齢を上げたほうがいいと思います。

○湯沢班員 水戸医療センターの湯沢です。私も腎臓移植をしている立場として、こういう、ある程度、優先権を付けるとした場合に、余り細かくして一部の人にだけメリットがあるというよりは、小児としてある程度広い範囲でメリットを享受できるような形がいいのではないかと思います。そういう意味では、20歳というくくりは非常に妥当なものなのではないかと私は考えます。

○脇田班員 感染研の脇田です。私は直接、腎移植には関わっていないのですが、皆さんの意見に異論はありません。

○両角班長代理 ありがとうございます。私が意見を言っていいのかどうか分かりませんが、班員の1人として私も意見させていただきます。やはり制度設計上、小児レシピエントを20歳に決めた段階で小児ドナーが18歳になるということは、大変違和感があります。医学的に20歳を設定した根拠が崩れてしまう可能性もありますので、やはり、腎臓移植に関するドナー、レシピエントの小児は同年齢でなければいけないと思います。

 臓器移植を期待していらっしゃる皆様のために、それはとても応えることになりますし、小児の取扱いの年齢として、ドナー側もレシピエント側も20歳であるとすると、社会的にも非常に受け入れやすいのではないと考えます。したがって、参加の班員全員が20歳をドナー年齢として小児扱いとすることで合意が得られましたので、そのようにしたいと思います。

 これに関して、ほかに何か御意見はありますか。前回までこの作業班の中で議論された中で強調されたことは、脳死下の臓器提供が増え比率は増えたけれども臓器提供の実数は増えていかない。腎臓だけがなぜ、小児ドナーからの腎臓が御高齢の方に提供されることに違和感がありました。上部委員会の臓器移植委員会からは、感情論や感性ではなく医学的立場から、小児ドナーとレシピエントのあり方を回答をしてくださいということでした。

 事務局から説明いただいた資料を勘案すると、医学的に考えても、あるいは社会的視野を含めたトータルのバランスを考えても、20歳未満を小児ドナーとするという作業班の合意が得られました。ありがとうございます。

 これに関して、ほかに何か御説明、御意見等ございますか。後ほど前回こちらが提案した内容に関して臓器移植委員会での討議結果に関する報告は、事務局から頂きます。まだ幾つか課題は残っておりますが、よろしいでしょうか。

○湯沢班員 2の場合については、これから検討すべき。

○両角班長代理 2の場合は、20歳未満の小児レシピエントがいない場合の対応のことです。今回、小児から小児のルールを決めてくださいという内容に関する作業班の討議です。先生がおっしゃるより若い人に優先提供できる方策の議論を想定してみえると思います。しかし、今回の作業班として上部委員会から「討議してください」との作業に入っておりません。先生がおっしゃられている内容は理解するのですが、今回は小児ドナー・小児レシピエントに関する作業班ですので、申し訳ありませんけれども方向性を定めるような議論を進めることは難しいと思います。ただ、先生、御意見は言ってください。

○湯沢班員 ……させていただきますと、加算するのが16歳未満が14ポイント、20歳未満が12ポイントというのは、この作業班でも決めたことです。例えば、現実的に2015年の献腎移植の症例数を見ると、これは新しいデータなのですが、2015年で09歳が4例、1019歳が11例、急に点数がなくなってしまう2029歳は1例なのです。ですから、実際に待っていた方が20歳を越えた瞬間に加算がゼロになると、実際、全然提供を受けられないということが現実だということを問題提起させていただきたい思います。

○両角班長代理 前回も御提案いただいたとおり、正にそのとおりです。成人になったときのポイントのキャリーオーバーに関して、何歳までキャリーオーバーするとか、どのような漸減するのかということに関する議論がされておりませんので、申し訳ありませんが、今回の作業班の作業としてはそこまで手を付けられません。ただ、最後の総括のところで、今後ドナーを適正にレシピエントに配分するためのルールのあり様に関するところのお願いをしたいということで、文言を残す形にしたらどうかと考えております。よろしいでしょうか。

○__ 非常に重要なことだと思いますね、患者さんを見ていますと。

○__ そう思います。

○両角班長代理 ほかによろしいですか。

○相川班員 キャリーオーバーの件は、服部先生が以前から御検討願いたいというお話をされております。今回、諸外国を調べてもUKなどは30歳までキャリーオーバーしているのです。なので、これはどこかで考えなくてはいけない内容だと思います。

○服部班員 実際、相川先生からご提示頂いた資料を見るとイギリスでは移行期も含めて30歳未満まで優先されていますので、湯沢先生からご指摘頂いた事項については、近い将来、是非、検討していただければと思います。

○両角班長代理 この作業班に参加されている皆様方は、移植の現場にいらっしゃって、状況をよく分かっていて、何が課題かも十二分に認識していらっしゃいます。今回は討議できませんがご意見をいただいた課題への対応が今後反映されるような、また次の作業班がいずれ行われるでしょうから、そのときにお願いしたいと考えております。

○西班員 1つ質問があります。前回、2腎同時移植が認められるということになったわけです。特に参考資料12枚目ですが、ドナーが6歳未満の場合は2腎同時移植を可能とすると。実際に2腎同時移植、ドナーの方が小児で成人の方という症例も検討して、みんなうまく生着しておりました。今度、小児から小児という幅が20歳未満となった場合、これは、例えば、ドナーの方が6歳未満で腎臓が小さい。その小児の中でallocationするという場合、2腎同時移植というのは、やはり小児の中でも同じように20歳未満で行われるのですか、それとも体の小さい小児同士だと2腎同時移植は減ってしまう可能性があるのでしょうか。その辺の見通しはいかがですか。

○相川班員 2腎を体の小さい小児に移植できるのかという問題ですが、2腎を提供しなくてはいけない方は、もともと体重が小さい方で、腎臓が非常に小さいですから、小さい小児であっても可能です。なので、同じようにルールを適用すれば特に問題はないと思います。

 服部先生のデータですと、施設によって成績の差がかなりあるのです。なので、熟達した施設であれば、場合によっては1腎ずつ小さい子供にそれぞれ提供するということも許容の範囲内には確か許されていることだと思います。そういう対応をしていけばいいのではないかと考えます。

○西班員 分かりました。

○両角班長代理 医学的に最もいい成績が期待される方法として2腎同時提供が小児であっても可能ですから、2腎同時提供のルールに関する齟齬はないと思います。ほかは御質問よろしいですか。ありがとうございます。

 それでは、次の、前回作業班で検討したほかの事項に関して、臓器移植委員会で審議された結果について、報告をお願いします。

○伊藤班員 それでは、資料3に基づきまして御説明させていただきます。その他で先ほど挙げました5つのうちの残りの4つの部分ですが、前回、629日に行われました臓器移植委員会での審議結果を御報告させていただきます。

 まず、1番目です。「待機日数とHLAの適合度の点数の取扱い」に関しては、現時点では、待機日数の長さよりも0ミスマッチを優先することについて、明確な医学的根拠が示されていないことから、引き続き作業班での医学的根拠の収集をすることということになっております。

2つ目として、「2腎同時移植について」です。選択基準を改正し、2腎同時移植が可能である旨を明記するとなっています。具体的な改正内容は、以下のとおりです。ドナーが6歳未満の場合は、2腎同時移植を可能とする。ドナーが6歳以上、成人を含みますが、ドナーの腎機能が一定程度以下であり、1腎ではその機能が不十分と判断されるときは、日本臓器移植ネットワークが、選択基準に基づき選ばれたレシピエントの担当医、移植医ですけれども、担当医及びメディカルコンサルタントと相談し、2腎同時移植を行うことを可能とするとさせていただきました。

3番目、「C型肝炎抗体陽性ドナーの取扱い」です。血中にHCVC型肝炎ウイルスが存在しない場合でも、腎臓にHCVウイルスが潜んでいる可能性がありますので、現在の選択基準は改正する必要はないと。HCVgenotypeにより、HCV抗体陽性ドナー及びレシピエントの取扱いということを変更するためには、各臓器ごとで定める「レシピエントの適応基準」の改正を考えるほうがいいのではないかということです。

 この3番と4番に関しては、参考資料3として、日本移植学会、日本臨床腎移植学会のほうに事務連絡として、平成28715日に発出させていただいております。

4番目として、「移植腎機能無発現であったレシピエントへの対応」として、腎機能がドナー側の原因で無発現であった場合、移植をしなかったこととし、移植前の待機期間をそのまま維持する。ただし、移植腎機能無発現であったレシピエントの担当医が、無発現の原因がドナー側の理由によるものである医学的根拠を示す必要があるのではないかということで、現在、移植腎機能無発現の原因が、ドナーあるいはレシピエントのどちら側にあるのかを判断するために基準がないことから、まずは診断基準を関係学会で定める必要があるのではないかということで、参考資料3の事務連絡を発出させていただいています。以上です。

○両角班長代理 ありがとうございます。こちらから幾つかのこのような変更が望ましいのではないかという御提案をしましたが、Age-matchに関しては、今日御審議いただいたとおり、ドナー年齢、レシピエント年齢がこれで決まりましたので、これで確定すると思います。

 それから、2腎同時移植に関しても、班員の皆様方の御意見が反映されまして、これも可能となりました。

 現在のポイント制度の構成因子は、HLA適合度、待機日数、地域(搬送時間)、小児加算です。地域(搬送時間)に関しては、ポイントの見直しの必要はないという意見が前回ありました。腎移植希望で登録された方が、少なくとも5年、10年間は小児を除いては腎提供の機会がないと等しい現状から、登録をすれば移植の可能性があるために、HLAのポイント、特に0ミスマッチを高くしたらどうでしょうかという提案がありました。それに関しては、もう少し医学的な根拠を収集してほしいという回答が臓器移植委員会からきています。これは2つの意味合いがあるのだと理解しています。

1つは、免疫抑制薬が大変良くなり、確かに0ミスマッチと1ミスマッチ以上との間に差がありますけれども、その移植成績の差が大変小さくなってきたというのが一つです。もう一点は、現在、移植前に行っているHLA検査に関しては、全てを網羅しているわけではなくて、クラス12つと、クラス2DRだけです。ところが、クラス2には、DRDPDQとありますが、DQに関しては、実際に抗ドナー抗体として移植腎に対して抗体関連型拒絶反応を惹起するデータが出ています。抗HLA抗体検査としてDPDQの行われていない段階で、完全なHLAゼロミスマッチと言えないというところが課題として残っていると思います。この二つの視点からもう少し医学的検証をしてくださいという課題が付いてきたと理解しております。これに関して、先生方の御意見はいかがでしょうか。

○相川班員 東邦大学の相川です。参考資料4を御参照ください。プリエンプティブ移植以外は、透析期間と待機日数は同等というように考えていいと思います。「透析期間と献腎移植の成績」について論文があります。これは日本のデータです。3枚目に、透析期間の生存率と生着率の欄があります。これを見ると、実は生着率には有意差はないのですが、生存率に関しては、透析5年未満と15年以上では有意差が出ています。透析5年未満の場合には5年の生存率が94.3%、ところが15年以上だと86.9%。生着率は同じで、79.3%と、76.8%と差がないということになっていますが、生存率に関してはこれほど有意差が出ているということです。

 次ページ、「透析期間と献腎移植成績」です。いわゆるハザード比で見ていますが、これは年齢別に10歳当たりという年齢でも差が出てきます。ただし、そこに透析5年から10年と、透析5年未満及び透析10年から15年と、5年未満と幾つか分けていますが、差があるのは、御覧になって分かるように、透析15年以上と透析5年未満とで有意差があります。もう少しで有意差が出てくるのは、透析5年から10年と、透析5年未満、P値が0.056となっています。つまり、透析期間が長いと、やはりそれだけ生存率が悪くなると。一方で、生着率に関しては、それほど差が出ていないという報告でした。

 もう1つ、別枠で、今日、HLAABDRミスマッチのヨーロッパのデータ、CTSCollaborative Transplant Study、これはアメリカのデータも一部入っていますが、非常に大きなデータの収集で、生着率、それから、ハーフライフを見ています。0ミスマッチに関しては、非常に良いと。それから、ミスマッチが変わる度に成績が落ちていく。0ミスマッチと6ミスマッチでは、10年の生着率を見ても、15%近い差が出ている。これが一番多く収集したデータだと思います。このように大きなデータではHLAmismatch数により順番に献腎移植の生着率が悪化していきますが、日本では献腎移植が極端に少ないため、同じ結果にならなかったと考えられます。

 もう1つは、参考資料2-1ですが、アメリカのallocationというのは、去年12月に変わりましたが、非常に複雑なのです。これを読んでも、なかなかよく分からないのですけれども、簡単に申しますと、条件の良い腎臓は着きやすい人に。条件のいいレシピエントに植えなければいけないというのが根本なのです。だから、透析期間の長い方には、このカテゴリーには入らないことになります。透析期間の短い人ほどこのカテゴリーに入るということで、規則ができています。

3ページを御覧いただくと、UK Transplant、イギリスでの腎臓の配分です。ここではまずTier A 000ミスマッチ、そして、子供の移植患者、これがまず最初に優先になっています。2つの因子が優先されている。その上で、highly sensitised、つまり、PRAが高い方、非常に抗体をたくさん持っている方、これが優先されることになっています。

 その次、Tier Bというのも、やはり000ミスマッチと、子供の移植と。子供の待機患者。その後に、000ミスマッチと大人の患者、成人ということで、ある意味では、000ミスマッチが非常に優先的になっているというのが現状です。

Euro Transplantは、次の次のページですが、日本と同じように点数になっていますが、点数の差が結構大きいのです。000ミスマッチでは400点ですが、子どもで000 mismatchでは800点と点数が倍になる仕組みです。つまり、諸外国では、HLA000ミスマッチと、年齢、子供に関しては、まず優先的に考えているというのが現状です。だから、日本では、この000ミスマッチというのを、今、委員長が説明した理由により、どちらかというと、なかなかデータとして出ていないということですが、実際海外では、運用上は000ミスマッチがかなり優先されていると。しかも、子供の患者と掛け合わせた上で考えられているという現状があります。だから今すぐにということではありませんが、今、子供に関しては皆さん同意を得られて、20歳未満のドナーは20歳未満のレシピエントということが決まりましたが、将来的に、000ミスマッチもこれにプラスした因子として考えるべきだと私は思います。現状の待機期間だけが大きな因子で、その長さによってレシピエントが決まってしまうのは問題があり、その意味でも諸外国と同様に000 mismatchを優先させるべきだと考えます。

○両角班長代理 ありがとうございます。ほかに何か御意見はありますでしょうか。

○湯沢班員 数年前、臓器移植ネットワークが出したデータで、これはペーパーになっていないのですが、何年間の待機年数で生存率が一番差が出るかというところを出したデータがあります。これは13年なのです。13年で切ると、13年未満と13年以上で明らかに差が出るというデータがあります。そうすると、現実的には今、平均待機年数は14年と言っていますが、実際に成人だけで見ると17年にもなっています。ですから、現実的には、成人の場合にはあえて結果的に成績の悪い、生存率の悪い人に移植をしているというのが現状です。これは前回も言ったことですが、そういう悪い状態で移植しているのが現状で、実際問題として、成人では17年待たなければ移植されないと言った場合に、あえて悪い人に移植しているということについて、ドナー側の家族からは、なかなか了解を得られないのではないかと思います。どうせ移植していただくならば、より成績の良い状態で移植されるべきだと思いますし、それが提供者の意思を生かすことにもなることには違いない訳です。

 それから、前にも私お話させていただいたものとして、もう一回同じことを言わせていただくと、移植の現場で登録に来る患者さんに、「あなた、成人ですと、17年待たないと移植できないのです」という、移植医療に未来をなかなか感じられないというか、患者さんに17年待たなければ駄目なのですということを、なかなか言えないですね。もし成績、0ミスマッチで待機年数に優位差が与えられてという可能性があるのだったらば、それは宝くじのようなことになってしまうかもしれませんけれども、希望が持てる移植医療になるのではないかというのを、現場ではつくづく感じます。やはり17年待つ医療に、その間に本当に成績が悪くなった状態まで待って初めて移植されるというのは、あまりまともな医療だとは思えないというのが、現場での私の声、考えです。

○両角班長代理 ありがとうございます。皆さん、いろいろな思いがあると思いますが、それらのご指摘はずっとこの作業班の中で一貫して語られてきたことです。

○水口班員 同じことですけれども、私はどちらかというと透析患者さんを診ている立場ですが、やはり何と言っても若い方に移植ができるようなシステムというのは作っていただきたい。非常に重要な社会資源ですから、それはやはり有効に使わないといけないと私は思っています。

 今の透析医療というのは、非常に成績が良くなりましたけれども、20年超える頃から非常に合併症が多くてADLが落ちてきます。QOLADLが落ちてきますから、20年でいい方は透析でいいと思いますが、若い方は30年、35年とそういうような長いことになると、やはり移植しないと本当に患者さんは大変なことになっています。そういうことも考えていただきたいと思います。

○両角班長代理 ほかはいかがでしょうか。

○相川班員 もう1つ意見です。透析期間に関しては、外国で普通は大体、平均、少なくとも5年以内に移植を受けてしまうので、長期の透析患者さんのデータがないのです。それがどういう移植に影響するかというのがないものですから、やはり日本のデータで考えていかなければいけない。

 もう1つは、日本の移植医療の質は非常に私は高いと思っています。今の日本の透析患者さん、待機患者さんで14年、16年を待って移植した割には、非常に成績が良いのですね。だから、余り生着率には差が実際には出てきていないのだと思います。それは移植施設の皆さん方、また、内科の先生も含めて、相当な患者さんへの観察力、臨床力があるからだと。

 アメリカ、ヨーロッパのように、年間100例も、200例もやらなければいけないという所では、なかなかそこまで質が追い付かないと私は思います。だから、これは日本の非常に高い医療の質によって支えられているので、これが普通の成績で取れるとは実は思ってほしくはないのです。ある意味では、生存率が成績に非常に反映していると考えていいと思います。確かに生着率では差はないのですけれども、それは皆さんの汗と血の本当の努力の力によって、この成績を押し上げていると考えていただければいいと思います。以上です。

○両角班長代理 ほかはいかがでしょうか。

○西班員 西です。確かに生着率には差はないのですが、そこに掛かる医療費、例えば合併症治療費は、やはり待機年数の長い方のほうが多く掛かっているということもあります。比較するアウトカムとして、単に生存率、生着率だけではなくて、合併症発症率などほかの要素も考えて、若い方にやはりできるだけ移植がいくような基準を見直す材料にしていただいたらよろしいかと思っています。

○両角班長代理 ほかはよろしいでしょうか。

○湯沢班員 水戸医療センターの湯沢です。前回の作業班から考えたことに、例えば、腎臓移植のレシピエントの基準として年齢の制限がないのです。ほかの臓器では大体制限がありますが、腎臓に関してはないというところで、例えば施設によっては、西日本のほうでは自主的に何歳で切っている施設があるようですけれども、東日本だけ実質的にないとしたときに、本当に何歳の人まで登録して新たな登録患者として。例えば60歳の人が来たとして、10何年待たなければいけないとしたときに、その人に現実的に移植できるのかというのも。可能性はゼロではないのでということで、することもありますけれども、やはり基準が決められていないというところは。生体腎移植ですと、実際高齢の方までされているのが現実なのですが、基準として、少なくとも献腎移植についてはある程度考えてもいいのではないかと。相当な年齢の方に移植をすること自体が無駄だとは言いませんが、限られた医療資源の中で基準を作ってもいいのではないかという思いは感じています。

○両角班長代理 よろしいでしょうか。皆さんがおっしゃっていることは、本当に納得できることばかりです。日本の臓器移植が伸びていく中で、成績は良くなったのですが、提供件数が少ないために、歪み構造が解消しないという事実が背景にあると思います。

 例えば、腎臓移植レシピエントの選択基準に関しては、臓器移植ネットワークが立ち上がる段階で、基準を作りましょうという際に、公正で公平な基準という中で、HLAであるとか、待機期間であるとか、その他の因子も含めポイント制度を導入しましょうという形で出来上がったわけです。ところが、そのときの前提として、日本の移植医療が欧米のように定着をして移植件数が増えていくことを期待したもので、今の非常にいびつな、超長期の待機患者さんはいらっしゃらないということを想定して動き出したものだと思います。ところが、この長い年月を振り返ってみると、提供数が増えていかない中で、長い待機患者さんが多数出てきてしまった。その中で、腎移植成績をよりよくするために、移植医療の恩恵を最も期待できる人に提供したいとの思いが強くなってきた、現在のシステムでは、どうしてこうした人たちを移植医療で救えないのかという疑問を、現場で大変に強く感ずるということが起きてきたと思います。

 したがって、今回の第9回の作業班に関しては、与えられた課題が小児のドナーの年齢とレシピエントとの組合せだったものですから、これ以上、触れることはできません。しかし、この臓器移植に関わる作業班というのは今後も継続されると思いますし、本来であると、3年ごとに基準は見直すというのがルールだったはずですので、その中で今日お話に出てまいりましたHLAのポイントというのはどうあるべきかが検討されていくと期待します。

 それから、現行制度では、登録後10年までは毎年1点ずつ待機期間は伸びていき、10年を超した段階からスロープは緩くなります。けれども、30年、40年たちますと、16点ぐらいに到達してしまうため待機ポイントに依存する選択が行われている問題があります。HLAに加え、待機ポイントの見直しなどの根本的見直しが要るだろうと思いますが、今回の作業班はそれは対象ではありません。日本でのより良い移植医療が継続されて、臓器移植に期待する皆さんにとって幸せな社会につながることを願って、今日の作業班を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。事務局から何かありますか。

○伊藤班員 本日は活発な御議論を、ありがとうございました。また、本日頂いた御意見を踏まえて、レシピエントの選択基準の改正に向けた審議会への報告を準備させていただきたいと思います。本日は、ありがとうございました。


(了)
<照会先>

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