ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会・援護局(社会)が実施する検討会等> 生活保護受給者の健康管理支援等に関する検討会> 第1回生活保護受給者の健康管理支援等に関する検討会議事録(2016年7月26日)




2016年7月26日 第1回生活保護受給者の健康管理支援等に関する検討会議事録

社会・援護局

○日時

平成28年7月26日(火)10:00~12:00


○場所

航空会館B101会議室


○出席者

尾形 裕也 (座長)
岡山 明 (委員)
小田 真智子 (委員)
津下 一代 (委員)
藤内 修二 (委員)
中板 育美 (委員)
松本 純一 (委員)
(小枝 恵美子(委員)は欠席)

○議題

・「生活保護受給者の健康管理の在り方に関する研究会」の報告書に基づいた実施状況の報告等
・その他

○議事

 (委員紹介等)
(挨拶)
○定塚社会・援護局長 本日は、御多忙の中、検討会にお集まりいただきまして、本当にありがとうございます。

 生活保護受給者の健康管理支援ということで、これから御検討いただくということでございますけれども、平成2612月に「生活保護受給者の健康管理の在り方に関する研究会」というところで一旦とりまとめを行っております。この際は、生活習慣病の重症化予防を中心とした健康管理支援が効果的という御意見をちょうだいいたしまして、これを踏まえて平成27年度から生活保護受給者の生活習慣病の重症化予防などの事業を私ども実施させていただいているところでございます。

 一方、予防や健康管理の推進という点につきましては、医療保険において保険者がデータに基づき加入者の健康増進に取り組むデータヘルスの実践が強力に進められているところでございます。

 他方で、生活保護受給者については、検査の機能に相当する役割、福祉事務所が担うことが望ましいと考えておりますけれども、現状としてはこのような機能が十分に果たせていないという状況にございます。生活保護受給者の健康管理をこれから考えていくに当たりましては、重症化予防だけではなくて、広く生活習慣病の予防や健康増進を進めるということが大変重要だと考えておりまして、健康診査のデータなどを活用した健康管理の支援の仕組みを、ぜひとも御検討いただきたいと考えております。

 具体的に申し上げますと、福祉事務所においてデータヘルスに準じた取り組みを進めることができるよう、生活保護制度における健康管理支援の対象や効果的な実施方法、また、データに基づく生活保護受給者の健康管理支援を実施するための情報インフラのあり方などについて、本検討会で御議論いただければと考えている次第でございます。

 本日は、各専門分野の委員の皆様にお集まりいただきました。ぜひ、忌憚のない御意見、それぞれ専門の御知見を十分に御議論いただきまして、私どものほうに知恵を授けていただけますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

○生沼保護課長補佐 続きまして、議事に入る前に一言お詫びを申し上げます。
 まず、松本委員におかれては、所用で約1時間程度で御退席の予定とお伺いしております。また、私どもの社会・援護局長も、公務で30分程度で退席させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 続きまして、本検討会の取り扱いについて御説明いたします。

 また、会議の内容につきましては、議事録としてとりまとめをさせていただきまして、後日、厚生労働省のホームページに掲載することとしておりますので、ご承知おき願います。
 また、本検討会の円滑な進行のために座長を置きたいと思います。座長につきましては、尾形委員にお願いをし、ご了承をいただいておりますので、尾形委員に座長をお願いしたいと思います。
 また、尾形座長と相談いたしまして、津下委員に座長代理をお願いしたいと思います。
 それでは、尾形座長、以下の議事進行をお願いいたします。

○尾形座長 それでは、御指名でございますので、座長役を務めさせていただきます、尾形でございます。よろしくお願いいたします。
 私自身は、生活保護あるいは医療扶助といった分野はほとんど素人でございますが、現在、大学で健康経営を専門にしておりまして、先ほど局長の御挨拶にもありましたように、保険者サイド、いわゆるデータヘルス計画とも密接に絡む分野でございます。そういうことで今回の検討会もお声がかかったのかなと思っております。専門家の皆様の御支援と御協力を得まして、いろいろ検討してまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、早速議事に入りたいと思います。まず、お手元の資料につきまして、事務局から御説明をお願いします。


 (議事)
○生沼保護課長補佐 それでは、資料の御説明をさせていただきます。

 配付しております資料のうち、1枚目は議事次第でございます。

 めくっていただきますと2枚目が座席表ということで、3枚目に資料1として、本検討会の開催要綱をお配りしております。開催要綱には、本検討会の趣旨や主な検討事項などを定めておりまして、構成員は裏面に検討会メンバーということで記載させていただいております。

 検討スケジュールといたしましては、本日が第1回で開催させていただきまして、平成28年度中を目途に一遍のとりまとめをお願いしたいと考えております。

 続きまして、資料2が本日の検討会の主な資料でございます。

 3ページに「生活保護受給者の健康管理にかかる現状と課題」ということで、私ども事務局で整理させていただきました。

 まず、現状といたしましては、生活保護のうちの医療扶助は大体生活保護費の約半分の1.7兆円を占めておりまして、なおかつ生活保護受給者には糖尿病など健康管理を適切に行わないと重症化するリスクのある傷病を抱えている方が相当数いらっしゃるというのが現状でございまして、そのためにも医療扶助の適正化ということで、生活習慣病の発症予防や重症化予防のための健康管理支援に取り組むことが重要だというのが現状でございます。

 これまでの生活保護制度における健康管理の取り組みといたしましては、まず、平成25年に生活保護法を改正いたしまして、本人の努力義務ということで生活保護受給者本人が自らの健康の保持・増進の努力をするということにしております。また、同じく平成25年の改正によりまして、福祉事務所の調査権限を強化いたしましたので、現状におきましては福祉事務所が健康診査の結果を入手することができるという状態になっております。

 また、福祉事務所における取り組みといたしましては、通院患者に対する服薬指導や適正受診指導を実施するということでございます。

 生活保護受給者と医療保険の被保険者の違いを簡単に整理させていただいております。医療保険の被保険者の場合には、保険者による特定健診と、その結果に基づきまして生活習慣病の有病者や予備軍の抽出、生活習慣病予備軍の方々への保健指導というのが行われております。一方、生活保護受給者においては、健康増進法に基づいて市町村が実施する健康診査を受けることができるという状態にとどまっております。

 続いて、重症化予防に対する取り組みでございますが、医療保険におきましては、保険者において未受診者に対する受診勧奨や通院患者のうち重症化リスクの高い者に対する主治医と連携した保健指導という取り組みが行われておりますが、生活保護制度におきましては、福祉事務所において既に通院している者に対する服薬指導や受診継続支援というものは行われておりますけれども、未受診者に対する取り組みが行われていないというのが現状でございます。

 そのため課題といたしましては、福祉事務所が生活保護受給者について被保護者の健康特性や課題をきちんと把握する必要があるということ。また、医療保険におけるデータヘルスの考え方も参考にして、受給者の集団としての健康課題を把握し、課題に応じた働きかけや、どんな方を対象として、どんな介入をしたらいいのかということについて検討すべきではないかと考えております。

 そのため、本検討会の主な検討事項といたしましては、健康管理支援の狙いや生活保護受給者の特性を踏まえた介入の方法、また、介入の結果としての効果の評価、健康診査の対象・内容、データに基づく健康管理支援の実施基盤などについて検討していただきたいと考えております。

 4ページでございますが、経済・財政計画の改革工程表の抜粋でございます。この中で、生活保護受給者に対する健康管理支援のあり方を2017年度までに検討するというスケジュールになっております。

 その結果を踏まえて、下の四角にありますけれども、2017年度の次期生活扶助基準の検証とあわせまして必要な措置を講じるということで、制度改正や法改正につなげていきたいと考えております。

 次に、生活保護受給者の疾病の状況などについてまとめさせていただいております。

 6ページは、生活保護受給者の入院と入院外に分けまして、どんな特徴があるかを整理させていただいております。まず、入院の場合は圧倒的に精神・行動の障害の方が多い、医療保険と比べて非常に割合が高くて35.5%が精神・行動の障害ということでございます。一方、入院外においては、精神・行動の障害の比率が5%ということで、医療保険とあまり差がないようになっておりますが、これにつきましては、精神・行動の障害の方の入院外においては、自立支援医療や他の制度で給付が行われるということで、生活保護の医療扶助が出ていないという方が相当いらっしゃるので、レセプトの件数で言いますとそれほど比率が大きくないということでございます。

 7ページが、今申し上げた他の制度で給付されるものの御説明でございます。生活保護は、基本的には他の制度が優先するというのが原則でございますので、障害者総合支援法等の公費負担医療が適用される方、もしくは被用者保険の被保険者もしくは被扶養者になっている方につきましては、他の制度で医療の提供が行われますので、その行われる範囲では生活保護の医療扶助は出ないということでございます。

 8ページは、生活保護受給者の年齢階層別に見た傷病・障害の状況でございます。全体といたしましては、被保護者のうち43%は何らかの障害や傷病のある方ということになっておりまして、特に年齢区分で突出して比率が高いという状況はございませんで、押しなべて大体4割ぐらいの方は何らかの傷病や障害があるという状況でございます。

 9ページでございますが、被保護人員の入院・入所の状況でございます。被保護人員は総数としては212万人ぐらいおりますけれども、そのうち入院している者が8万5,000人、入所している者が6万7,000人でございますので、差し引き197万人が居宅ということになっております。

 一方、就労している方は約26万人おりますので、居宅にいる方から就労している方を除いた人数は、約171万人いるという状況でございます。

10ページが、健康増進法に基づく健康診査を生活保護受給者も受けることができると先ほど御説明いたしましたが、平成26年度において健康増進法の健康診査を受けた方の結果をとりまとめたものでございます。健診対象者が約146万人いる中で、受診している人は約10万人程度でございます。

 結果を見ていただくと、まず、内臓脂肪症候群の予備軍や内臓脂肪症候群の該当者を見ていただくと、黒いほうの該当者の数字が、生活保護受給者においては男性、女性とも非常に高い状況になっております。

11ページでございますが、糖尿病、高血圧、高脂血症、それぞれにつきまして分析をいたしました。まず、糖尿病につきましては、黒い棒はHbA1C6.1以上でございます。白い点々で書いてあるところは5.66.1でございます。これを見ていただくと、特定健診の方々の結果に比べまして、生活保護受給者の割合が非常に高いという状況でございます。

 次の高血圧も同様でございまして、黒い棒は血圧が140以上、白いところは130140でございますが、高血圧を見ていただくと、黒いほうの比率が非常に高いというのが一つの特徴ではないかと思われます。

 続きまして、脂質異常も黒い棒は中性脂肪が300以上でございますが、300以上の方の比率が生活保護の場合は非常に高いという状況でございます。

12ページは、生活保護受給者の健診のデータと特定健診のデータの比較を、平成2610月に行われた研究会で津下委員に御報告いただいたものでございます。これを見ていただくと、年齢階層別に集計していただきまして、例えばBMIでいいますと、4060歳の生活保護の女性は非常にBMIが高い、生活保護の男性は一般と差がないのですけれども、生活保護受給者の女性は若い層でBMIが高いという状況でございます。

 一方、収縮期血圧につきましては、それほど差がないという状況でございます。

13ページでございますが、公衆衛生部局から健診の結果をもらっているかどうかということで調査いたしたものでございます。まず、健診を実施している自治体はどれくらいあるのかというと、大体6割ぐらいの自治体で健診が行われていると。ただ、健診の結果を自治体が入手している比率というのは大体16.8%でございますので、それほど入手していないという状況でございます。

14ページでございますが、生活保護受給者が生活保護を受ける前にどんな医療保険に入っていたのかを調べたものでございます。生活保護受給者の53%くらいは生活保護に来る前に国民健康保険に入っていることがわかります。

15ページでございますが、生活保護受給者本人に健康意識を持っているかを調査した結果でございます。これによりますと、生活保護受給者は一般世帯と比べると健康意識があまりよくないですとか、よくないと思っている方が多いということでございます。

 また、生活保護受給者のうち仕事をしていない人と仕事をしている人で分けて集計いたしますと、仕事をしていない人は健康状態がよくないと思っている方が多くて、健康状態が就労状況に影響を及ぼしていると考えられます。

 また、生活保護受給者の食事、運動、社会活動の状況もあわせて調査をいたしましたところ、生活保護受給者は一般世帯と比べて適切な運動習慣や食事の習慣ができていないということがわかります。また、生活保護受給者は社会活動についても疎遠ぎみだということがわかります。

 以下は「生活保護受給者の健康管理支援について」ということで、17ページは、平成2612月にとりまとめをしていただいた研究会のとりまとめの概要でございます。この概要におきましては、健康管理支援の対象者としては、糖尿病の重症化予防を必要とする人につきまして対策を講じていったらいいのではないかという御提案を当時いただいております。

 それを踏まえまして18ページでございますが、生活習慣病の重症化予防ということで、まず、1番でレセプトから生活習慣病の治療を行っている人の抽出を行いまして、2番で抽出した結果を踏まえて主治医の方と相談したり、本人の家庭訪問をして最終的にどういう人を支援対象者にしましょうという選定をするというのが2段階目。3段階目として、具体的な支援の実施という流れで取り組んでいったらいいのではないかということで、今取り組んでおります。

18ページの右下にありますけれども、予算補助で生活習慣病の重症化予防にかかる経費については、国が4分の3を出して、例えば保健師の配置の際の人件費などについて補助しているという状況でございます。

 平成27年度の補助事業の結果につきまして、19ページでとりまとめをしております。実施した自治体は95あるのですけれども、アンケート調査ということで現時点で回答率83%、79自治体からお返事をいただいております。それによりますと、まず、支援対象者をどうやって選んだかということについては大きく分けると3つありまして、1つが、健診のデータから支援対象者を選んでいるところが8自治体ほどございました。一方、私どもが通知などで示しているレセプトを使って抽出しているというのは、28%の22自治体という状況でございます。それ以外としてはどんなやり方をしているかというと、データに基づかずに、例えばケースワーカーが選定しているとか、自治体の独自の選定基準を使って対象者を選んでいるというところが18%の14自治体ほどございました。

 続きまして、具体的に支援にかかわっている人はどういう人がいらっしゃるのかにつきまして調べましたところ、保健師、看護師、栄養士などの方が支援に携わっていることがわかりました。具体的な指導の実施方法や事業の評価につきましては、現在調査中でございますので、第2回の検討会に御報告させていただけるものと考えております。

 次のページからは参考資料ということで簡単に御説明させていただきます。

 まず、22ページでございますが、生活保護制度の概要でございます。生活保護制度の目的は、最低生活の保障と自立の助長となっておりまして、最低生活の保障としましては、資産、能力等あらゆるものを使っていただくことが保護の前提になっています。また、扶養義務者の扶養は保護に優先されることになっておりまして、支給される保護費の額としては、国が定めた最低生活費と本人の収入を比べて、足りない部分が保護費として支給されるということになっております。

 また、自立の助長につきましても、ケースワーカーや就労支援員などが被保護者の支援を行っております。

23ページでございますが、実施体制について簡単に御説明いたしますと、生活保護は都道府県と市が福祉事務所を設置する義務を負っています。あと、町村でも福祉事務所を設置することができることになっていますので、設置している町村も生活保護の実施をするということになります。

 都道府県と市は、福祉事務所を設置しますと、現業員いわゆるケースワーカーを配置いたしまして、それぞれのケースワーカーが被保護世帯を担当するという仕組みになっております。全国で福祉事務所は今912自治体ほどが設置しておりまして、複数設置する自治体もあるものですから福祉事務所の数としては1,247カ所になります。

 福祉事務所の職員定数は、各自治体が条例で決めることになっておりますが、厚生労働省といたしましては標準数を示しておりまして、市の場合は被保護世帯が240の場合には標準数3ということで、最低3人は置いてくださいということになっております。それ以降は80増すごとに1人ふやしてくださいということをお願いしております。

 一方、都道府県の場合には、被保護世帯が390人以下の場合には6人、以降は65世帯増すごとに1人ということで配置してくださいということで標準数を示しています。

 現状の全国のケースワーカーの数は1万7,681人でございまして、一方、被保護世帯は162万世帯でございますので、単純に割ると大体ケースワーカー1人当たりの担当世帯は91.7世帯になります。なので、標準数は80対1や65対1ということでお示ししておりますが、実態としては90世帯以上を担当しているという状況でございます。

 また、生活保護費用の負担でございますが、国が費用の4分の3を負担することになっていまして、残りの4分の1は福祉事務所を設置している自治体が負担するという仕組みになっております。

24ページは、生活保護の動向でございます。直近で言いますと、平成7年以降はずっと保護率、被保護人員、保護世帯も伸びてきておりましたけれども、最近はほぼ横ばいか、ちょっとマイナスに転じたという状況でございます。

25ページが、生活保護世帯の世帯類型別でございます。世帯類型で言いますと私どもとしては、高齢者世帯、母子世帯、傷病・障害者世帯、その他の4種類に分類しておりまして、高齢者世帯が全体の半分ぐらいを占めております。高齢者世帯はどんどんふえる一方で、減るということはほとんどございません。一方、母子世帯や傷病・障害者世帯、その他世帯につきましては、最近の傾向としては減ってきております。構成比を見ていただくと、平成27年4月で見ますと母子世帯は6%、傷病・障害者世帯は26%、その他世帯は16%ということで少し減ってきておりまして、高齢者世帯はずっとふえ続けているという状況でございます。

26ページは、参考として日本の健診制度の概要を簡単にまとめております。これを見ていただくとわかるのですが、医療保険に入っている方々はそれぞれの保険者が健診をやるという義務を負っておりまして、生活保護受給者は大体2.4%ぐらいが健康保険に入っているのですが、それ以外は国民健康保険には入れないので、ほとんどの人は結果として健康増進法の健診を受けるというのが現状でございます。

 健診の結果につきましては、27ページにあるような指標に基づいて、例えば、男性が腹囲が85以上、プラス追加リスクがあるなしということで、積極的支援や動機づけ支援の対象になるという仕組みになっております。

28ページ、29ページで、動機づけ支援、積極的支援の内容について簡単に書かせていただいております。

 最後に、データヘルスとは何ぞやという資料を30ページ以降につけておりまして、基本的には、レセプトの情報と特定健診の結果を踏まえて対策を実施するというのが、データヘルスと言われる取り組みでございます。

 あとは参考資料なので説明は省略させていただきます。

 以上でございます。


○尾形座長 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの御説明につきまして御意見・御質問等がございましたら、お願いいたします。松本委員どうぞ。


○松本委員 順番からいくと10ページのようですが、確かに受診者が対象者に比べると、ほかの特定健診に比べて随分少ないというのは見てとれるのですけれども、表にあります数字の単位は何ですか。


○市川保護課医療専門官 このグラフの左の軸はパーセントです。


○松本委員 これは、例えば一番左ですと、受診された男性の中でいわゆる内臓脂肪症候群該当者が32.7%いるということでよろしいわけですね。

国保の場合ですと市町村国保ですので、実施主体は変わらないので、生活保護受給者と特定健診の受診者とを分けて考えるというのはおかしいわけで、同等に扱わなければいけないと考えますが、受診勧奨をするにあたって、例えば、医療機関に受診している生活保護受給者というのはレセプトから確認が可能かと思います。医療機関への受診している患者さんを除けば、検診の該当者であるにもかかわらず医療機関にも受診していない患者さんは確認できるはずです。そういった方に受診勧奨するというのは比較的簡単にできるように思えるのですが、福祉事務所の方に聞いたことはないのですが、その辺はどうなのでしょうか。


○鈴木保護課長 おっしゃるとおりなのですが、そもそも健康増進法による健診を市町村のヘルスの部局がやったものを、今度は福祉事務所がもらって分析する環境と体制がないという問題がありまして、先ほど紹介がありましたけれども、一部の積極的な自治体ではやられているところもありますが、多くの自治体では健診データをヘルスの部局からもらって突き合わせるということまではできていないというのが現状だと思っております。


○松本委員 ということは、健康増進法による健診と特定健診では保険者である市町村の義務が違うと。健康増進法による健診に関しては、強制力のある縛りがないという理解でよろしいわけですね。


○鈴木保護課長 健康増進法のほうは実施が努力義務になっています。そこに保険者の義務と努力義務の違いはあると。なおかつ、それは地域の住民としてのヘルスサイドのかかわりなので、そういう意味では、ここはまだ保護の実施機関とは違う役回りになっておりますので、生活保護の担当部局がそれをもらって活用するということは次の段階にあるという理解です。


○松本委員 データヘルス計画のことも先ほどから話題に出ておりましたが、保険者である市町村の保健師さんも地域包括ケアシステムに組み入れられていまして非常に忙しい思いをしていて、検診受診者に異常が出た場合の受診勧奨は現実にはなかなかできていない状況です。ですから、福祉事務所だけの問題ではなくて、市町村としては保健師も含めて人員が圧倒的に少ないというのがあって、例えば、法律で健康増進法も努力義務から義務化にしたとしても、現実的には人員等の整備をしないと難しいのではないかと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。


○鈴木保護課長 おっしゃるとおりで、どういう形で健診データを使って勧奨していくかということは当然体制とともにしていますので、福祉事務所が仮に保険者と相当する役割をもっと果たすということであれば、そこの体制をどう考えるか、あるいは保険のヘルスの部局とどう役割分担をしたり協力し合っていくかということも御意見いただければと思っております。


○尾形座長 先ほどの松本委員の御質問にも関連するのですが、10ページに健診対象者1467,248名と書いてありますが、これは治療を受けている人を除いていると考えていいのですか、これはどういうデータでしょうか。


○市川保護課医療専門官 一応、健康局に問い合わせたところ、生活保護受給者等保険に入っていない対象者ということで自治体に聞いているそうで、入院している、していないまでは考慮に入れられていないと思います。


○尾形座長 そういう意味では、かなり大きな定数ですね。

 津下委員どうぞ。


○津下委員 1011ページのグラフは前回の研究会のときには出されなかったグラフで、非常に貴重だなと思いました。今回の健診対象者については、特定健診と合わせて4074歳に限定したデータなのかどうなのか、それで人数が減っているのかなと。二百何万人のうち147万人になっている理由は、年齢をあわせて見ていらっしゃるのかどうかというのが質問の1点目です。


○市川保護課医療専門官 年齢は、40歳以上74歳以下という健診対象者になっております。その中の保険に入っていない者が、恐らく生活保護受給者が大半であろうというものです。


○津下委員 一方で、これは肥満が多いということなのですけれども、以前調べましたところ実は生活保護の方には痩せも多くて、適正体重の割合が少ないと。両極端になっている傾向があるので、そのあたりについても見ていく必要があるのかなと思いました。

 それから、先ほど松本委員がおっしゃったことですけれども、現場の負担も考えると、どうやって効率的に実施できるのかということをしっかり考えなければいけないと思います。ワーカーさんもかなり手いっぱいでやっておられる中で、ケースワークの間にどうするかとか、現在の仕事の中にどう含めていくのかとか、保健師さんがかかわるタイミングはどう整理していくのかということがすごく大事と思います。また目についた人だけやるという感じではなくて、データヘルスの考え方で優先順位の高い人を抽出して、そういう対象者に対してはアプローチするということも重要かと思います。現場でこの人どうしようみたいな、もちろんそういうことも大事なのですけれども、それで悩まないようにするということが大事かなと思います。

 もう一点ですけれども、高齢者世帯がふえているということで、働き盛り世帯と高齢者世帯では、生活保護受給の理由が異なるということもありますし、保健事業の方向性も異なると思います。高齢者世帯と、被用者保険に相当する年齢、そこのデータヘルスとしての分析や対応というのは、少し分けて対応策を検討したほうが現実的かなと思いました。


○尾形座長 御意見として承っておきます。

 ほかにいかがでしょうか。中板委員どうぞ。


○中板委員 18ページ、19ページ、20ページは、前研究会の成果をうけて予算補助がなされていますが、予算補助を受けた自治体に調査された報告と理解しています。まず、調査でここに書かれていること以外で、わかっていることがあるのかお伺いしたいと思います。95自治体分の79自治体の回答ですが、79自治体中保健師等が生保部門に配属されているのか、何人くらいなのか、健診のデータを利用する以前の健診の周知はどのような工夫をしているのか、これまでに加えて努力されて健診の受診勧奨をされているのかなど、実際成果は、どのような形で出てきていますか。

20ページですが、選定方法がケースワーカーからの依頼と、医療要否意見書の部分は生活保護受給者の中で、かかりつけ主治医がいるところで、意見書がついている方に限って対象者を選定しているという理解でよろしいですか。


○尾形座長 事務局よろしいですか。


○市川保護課医療専門官 保健師さんの配属や、どこの部署におられるかというのは、昨年度やった事業報告書でどういった職種を雇っているか、何名といったものはいただいているので、それは集計させていただいて報告させていただきます。

 次の御質問にあった健診の周知をどうしているかといった点に関しては、これからもう一度、自治体にアンケートを詳細にとっていく予定ですので、その中の回答でお答えできるのかなと考えております。

 最後のケースワーカーさんが実際にどのように医療要否意見書などを利用されているかというのは、アンケートの中では簡単にしかわからなかったのですが、川崎市の取り組みなどをお聞きしていると、病状調査といったときに詳しくこういう人たちをどうすべきかといった検討がされていると聞いております。


○尾形座長 松本委員どうぞ。


○松本委員 もう一点、尾形座長もおっしゃられたのですが、医療機関に通院している方の数がなかなか把握できていない中で、今現実に受診勧奨はしていないのですが、そうなったときに医療機関に通院されている方をちゃんと外すというか、医療機関と相談しながらやっていただきたい。というのは、データヘルス計画の中で、自治体が企業に丸投げをして受診勧奨あるいは電話等で指導することで、結果、主治医とのダブルスタンダードのような事例が少しずつ出てきています。生活保護受給者に関しては、そういう轍は踏まないでいただきたいと、その辺をはっきりさせて進めていただきたい。かかりつけあるいは通院されている医療機関と連携をとることを必ず一言入れていただきたいと思います。


○尾形座長 岡山委員どうぞ。


○岡山委員 7ページですが、医療費の把握という面で、生活保護で支給される医療費というのが、ほかの医療費が出る場合は支給されないということですが、こういったデータというのは一元的に管理できるようになっているのでしょうか。例えば、人工透析で高額医療になるというのが今いろいろなところで話題になっているのですけれども、生活保護の仕組みの中ではそういったものは別会計になると聞いたのですが、そうすると、医療費の全体像がなかなか把握できないという問題があると思うのですが、これは解決する方法があるのかどうかということなのですが。


○鈴木保護課長 現状として、障害者の自立支援医療、透析であるとか精神の通院公費負担医療の部分は、指定都市などにも下りていると思いますけれども、原則、都道府県がレセプトを持っているという状況で、請求そのものが全部そちらに行きますので、現状としては更生医療ないし精神通院は10割公費負担医療で払われますので、こちらにはレセプトは来ないということでございまして、それをちゃんと突き合わせができるような仕組みと、電子化された情報処理の仕組みが必要ということになりますが、現状ではそれはないということなので、全体像としては把握できておりません。


○尾形座長 藤内委員どうぞ。


○藤内委員 先ほど13ページで、福祉事務所がヘルス部門から健診結果を入手しているのが6分の1の自治体。そして、18ページで紹介された生活習慣病の重症化予防も取り組んでいる自治体が非常に少ないという説明がありました。何とか生活保護受給者の健康管理を強化しようという取り組みをされているわけですが、肝心の福祉事務所のモチベーションといいますか、せっかくそういう仕組みをつくっても利用している自治体が少ない、その辺は何がボトルネックになっているのか、それがもしわかれば,ご教示いただきたい。


○鈴木保護課長 確たる証拠はないのですが、私どもの理解は、恐らく十分活用できるだけの体制が福祉事務所側にないので、ケースワーカーさんは健康管理まで十分できるものではありませんので、健康管理ができる体制があるところは、そちらからもらって活用するという取り組みができますが、その取り組みができないがゆえに逆にもらっていないということではないかと、証拠はないのですけれども推察しているところでございます。


○藤内委員 こうした生活保護担当部局のケースワーカーと保健部局の保健師さんの連携が自治体の中でどれくらいできているかという部分もあるでしょうが、松本委員もおっしゃられたように、保健師さんも特定健診・保健指導や地域包括ケアなど,たくさんの業務を抱える中で、ケースワーカーからそういう要請を受けてもすぐに動ける状況にないのかなと思うのですが、そのあたりももう少しわかるといいなと思うのですが。


○尾形座長 これも御意見として承っておきます。

 ほかにいかがでしょうか。津下委員どうぞ。


○津下委員 市町村国保における特定健診の受診率は今40%とか、高いところは60%にいっています。これは個人を特定して健診を受けてくださいという通知があり、受けない人には再通知をするみたいな保険者の努力でそうなっています。健康増進法では一般的には受診の機会がありますよという、例えば広報には載るけれども個別通知までしているのか、していないのか。特に生活保護の人に対して、健診受診に対してどのようなアナウンスがされているのかということは、もし今後調べられるようでしたら、ぜひ御確認いただければと思います。

 2点目は、岡山委員が言われましたように、見えない医療費についてどう可視化するか、という問題です。透析とか非常に大きな医療費がかかるところが全て見えないとデータヘルスとしては手落ちになってしまいます。前回の研究会のときには自立支援医療等の額もわからない中での検討でした。今回はこういう額が少なくとも総額どのくらいになっているのかとか見える化をしていただきたいというのが2点目です。それが可能なように調整をお願いできればデータヘルスになるのですが、非常に大きなところが消えてしまったデータだと、適切な判断ができないのではないかと思います。

 3点目は、これから調査されるときへのコメントですが、保健師等の関与について、人数だけではなくて、どういう経験を積んだ方かわかるとよいのですが。たとえば、これまでに衛生部門、国保の経験がある保健師がかかわった場合には、他と比較して問題把握ができたりするのですが、パートで雇用されたりすると、個別の病態に対する保健指導はできても、全体像、つまり健康課題の把握や、国保から生活保護への移行などの連続性を持った見方がなかなかできないのではないかということを聞いております。人数だけではなく、どういう立場や経験者が当たられているのか、また、当たることが適切なのかというあたりについて、何か情報があれば教えていただきたいし、なければ今後の調査をお願いしたいと思います。


○尾形座長 いかがでしょうか。


○鈴木保護課長 今いただいたものは今すぐにはわかりませんので、健康局さんにも相談しながら、どこまでわかるか考えてみたいと思います。


○尾形座長 岡山委員どうぞ。


○岡山委員 今、津下委員がおっしゃったように、健康増進法で行っている健診で受診率が低いという部分で、生活保護の方に関してどういう意識で健康増進法に基づく健診をしているかというところが、実態をある程度明らかにしていかないと課題もなかなか出にくいのかなという印象を受けました。小田委員どうでしょう、自治体によってその辺のところは、例えば、あえて生活保護の方に呼びかけたりという仕組みはあるのでしょうか。


○小田委員 川崎市の場合は、健康増進法による生活保護受給者の健診は個別通知になっています。毎年、一定の時期に対象者に一斉に発送して、それが受診券になっていますので、それを使って協力医療機関に受けに行っていただくという形になっています。


○岡山委員 そうすると、特定健診に準じた形になっているのですね。


○小田委員 そうですね、内容も準じています。


○岡山委員 福祉事務所には、あらかじめそういう受診勧奨をいつやっているかということを把握する仕組みはあるのでしょうか。


○小田委員 私がいるところは本庁部門になるのですけれども、健康増進部門と健診については時期になるとやりとりをして、いつごろ発送しますよということを福祉事務所に周知しています。発送した時期に、受診券を持って質問にこられる方もいらっしゃいます。また機会ごとに勧奨してくださいというお知らせをしています。


○岡山委員 そのかかわりがケースワーカーの方にある程度伝われば、受診率とかそういったことも上げようと思ったら結構上がりそうな感じはありますか。


○小田委員 ここ3年間受診率の向上ということで今お話ししたようなことをやっていき、あとは保護の現場に保健師が配属されていましたので、個別の面接等々のときにも勧奨するということをやっていましたが、受診率の経過を見てきたのですけれども、年0.1%の上昇でした。

 松本委員がおっしゃっていましたけれども、医療機関にかかっていますからという意識が、生活保護受給者の方にもありますし、ケースワーカーさんにもあります。確かに受診していて、健診に準じた検査を定期的にお受けいただける場合は必要ないかなということはありますけれども、そうでない場合もありますので、医療機関受診者が必ず健診の対象者から外れていいというわけではないですよというあたりの普及啓発といいますか、周知も含め啓発してきたのですけれども、実際のところは思ったほど上昇はなかったというところです。


○尾形座長 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。津下委員どうぞ。


○津下委員 気になるのは、健診がやりっ放しではいけなくて、その後の生活指導や支援につながっていくような体系というか、そういう意識でしていけるかどうかということです。治療中の人においては、医療データを活用しても構わないと思いますけれども、例えば、肥満があって高血圧あるいは糖尿病がある人に減量のためのアドバイスをするなり、食事のバランスが偏っているという場合に何か食事に対するアプローチをかけるということが必要と思われますが、現実、医療の中で栄養指導や支援というところまでなかなかいっていない現実があります。特定健診のデータ分析から見ると、高血圧等の服薬者の肥満率というのは結構高くて、お薬を飲んでいる人の6割が肥満であると。本当は減量していくことで次の病気、たとえば糖尿病や重症化を防ぐことができるということがあると思いますけれども、ここで止まらず進んでしまう人が多い。先ほどのデータでメタボ該当者の割合が高いというような結果も出ているので、健診の対象者・項目をどうするのか、データの入り口はわざわざ健診をするのか、また、医療の治療中のデータをいただくのか。またそうして発見された人たちにどういう健康支援をしていくのかということを考えていく必要があるのかなと思います。


○尾形座長 中板委員どうぞ。


○中板委員 もう一回戻らせてください。予算補助事業を活用した自治体は、このときは重症化予防が主たる論点だったので、医療にかかっている方たちを選定してということもあったのかもしれません。これからインフラを整備して、対象像に分けて重症化予防のみならず、予防にも力を入れるための保健指導の仕組みをつくっていくと考えたときに、実際に保健指導を担うのか、マネジメントだけを担い、保健指導は例えば事業者を活用するのかによって、配置の考え方は違うのではと推察します。保健指導する際に、生活保護の受給に至る背景に、心理・社会的な要因も多く、疾患だけに注目をしてもその指導成果はでにくい。あるいは指導がなかなか入らないといった特徴のある方も多いと経験上感じています。かなり工夫がいるので、その先行事例が抽出できるような調査票をぜひつくっていただきたいなと思いました。

 日本看護協会でもパイロットスタディとして、データヘルスの計画策定支援をしています。その一部がつくったデータヘルスの中で、国民健康保険と後期高齢者の広域連合と生活保護で、それぞれ分けて重複とか頻回受診、重複服薬のデータも見ていますが、生活保護のグループになると重複受診も頻回受診も重複服薬もほかのグループと比べて高いという結果も出ています。そのような背景も踏まえ、これまでの保健指導をそのまま当てはめればうまくいくのか、ひと工夫をどのように加えれば効果がでるのかを探っていく必要があると思います。その意味でこの95自治体への調査項目を少し詳細にしていただけると大変ありがたいなと思っております。


○尾形座長 確認ですけれども、95自治体は現在調査中と書いてありますけれども、今、中板委員からお話があったように追加的に聞くことは可能なのですか。


○市川保護課医療専門官 最初のほうは事業者単位で聞いているのですが、2回目は個票単位である程度介入を行った人に対していただこうかと思っているところなのですが、先ほどいろいろな先生からいただいた質問事項に関しては大変重要だと思いますので、追加という形で入れていけたらなと思っております。


○尾形座長 そういうことでしたら、何か追加したいことがあれば今出していただけたらと思います。

 藤内委員どうぞ。


○藤内委員 実際やっている95自治体への調査と、実際にその中でもよくやっているという事例、本当に幾つかの自治体でいいかと思いますが、実際に担当者の方からお話を伺えたりするといいと思います。実際に、今、中板委員もおっしゃられたように、通常の特定保健指導とは異なり、特殊な社会背景をうまく対応しながら工夫されておられると思うので、そのあたりをしっかり我々も抽出できるといいなと思います。


○尾形座長 岡山委員どうぞ。


○岡山委員 それに関連するのですが、ケースワーカーと指導担当者とのかかわりとか、チームでやっているとか、どんな役割分担でやっているかというところが一番大きいかなと思います。ケースワーカーの方は長年その方を担当していらっしゃるので、その人の背景とかいろいろなことを御存じですけれども専門知識がない。片一方は、専門知識はあるけれどもその辺が十分ないとなると、理想的にはいかにうまくチームを組むかということなのですけれども、もし、そういうことで成功事例があれば非常に参考になるのではないかと思いました。


○尾形座長 小田委員どうぞ。


○小田委員 川崎市は健診データをもらって活用するということは、まだ始めていないのですけれども、それを始めるときの具体的な参考が欲しいなと思っていて、現状16自治体で既に活用しているというところが、データをもらった後どういった基準で健康管理支援対象者を選定しているのかとか、その基準を決めていくのはどこの職員が協力してやっているのかとか、あとは実際にやってみて効果をどうしているのかというのがわかると非常に参考になるなと思います。


○尾形座長 ほかにいかがでしょうか。まだ時間はございますので。

 岡山委員どうぞ。


○岡山委員 まず、今回お話をお聞きしていて、インフラの部分で健診の仕組みとか医療費を集める仕組みはどうあるべきかということと、実際に対象者を抽出するためには健診を受けていただかないといけない。そうすると、健診受診の体制として、例えば今6割しか生活保護の対象として健診をやっていない現状はなぜそうなのかといった、健診の受診率を高めることに対する阻害要因の実態調査というのがまず必要な部分と、もう一つが、今これからやろうとしている生活習慣病の改善支援のあり方という3つぐらいに分かれるのかなと思うのですが、その中でインフラの部分も非常に大事なのですけれども、健康増進法と特定健診と生活保護の方々への対策という中で、今まで忘れがちだった健診を受けていただくという仕組みの阻害要因みたいなところをもう少し掘り下げていかないと、制度はつくっても現実的には受診率も伸びない、対象者も把握できないとなるような気もしますし、支援の仕方と両輪なのではないかという印象を受けました。


○尾形座長 その辺はどういたしましょうか、もちろんアンケートで聞ける部分は聞いていくとしても、例えば、先進的な事例とかヒアリングをするというお話もありましたけれども、その辺は事務局どうですか。


○鈴木保護課長 いろいろな御指摘をいただきまして、特に現場の実態がどうなっているかというのは、恐らく感覚的なものでしか出てこないので、どういう形で実情が出るかも含めて考えさせていただきたいと思います。全然答えになっていなくて済みません。


○尾形座長 ほかにいかがでしょうか。津下委員どうぞ。


○津下委員 具体的な中身は個別性が出てくるのだろうとは思うのですけれども、1つはデータヘルス的に何ができるのか、情報インフラのあり方ということが1つ課題になっているわけですから、生活保護の方の健康状態を把握するのに必要なデータの所在を明らかにすることが重要と思います。健診と医療費と、介護保険はもちろん入っていないわけですけれども、要介護状態というのは結局どうなっているのかとか。全体像を把握するために必要なデータや、福祉事務所で把握できるデータと、現在は把握できていないけれどもどこかにありそうなデータなど、データの種別がどうなっているのかということを可能なところまで整理することがまず一歩かなと。そしてデータ分析の目的としては、健康管理に資することですから、改善の可能性があるところはどこか。改善が見込めないことについては、どちらかというとサポートしていくことが中心で、改善できるほうについては、どう改善できるかということを指導・支援したり、機会をつくったりということが重要になると思います。そういう出口別に考えていくということが必要かなというのが1つ。

 もう一つ、高齢者になってから生活保護に入った方は、それまでは言うなれば普通の生活をしていて、たまたま資産を失ってとかいろいろな事情があるにしろ、社会生活を過去に営んでいて生活保護に入った方と、生活の能力的なもの等でずっと長く生活保護にいた人とは対応が違ってくる可能性があります。その辺の対応策について現場としてはどういうふうに対象者を把握することが適切なのかということについて検討していただければと思います。

 もう一点は、国保と生活保護と出入りするとか、被用者保険と割と出入りする層と、ずっと長くいる層という見方もできるのかなと思ったりします。

 それから、高齢者の場合は今、市町村で総合事業とか通いの場、そういう地域でつくっている出かけることによって運動をふやすとか交流ができることを推進しています。仕事をしている人が健康だから仕事をしているのか、仕事をしているから健康なのかという関係があって、出ていく場所があって、やりがいがあって、地域とコミュニケーションがとれているという状態は非常に重要なことだと思います。高齢者を取り巻くさまざまな社会的なサロンとかそういうことについても、うまくそこにつなげられるといいのかなと思うので、そういう情報を福祉事務所さんがどれだけ把握されているのかという観点もお伺いしたいなと思います。


○鈴木保護課長 あまり多くないのですが、把握できるデータは整理させていただこうと思います。どんな支援の仕組みにするにしろ、今おっしゃったような対象者の状態像や支援の必要性というよりは中身、どういった支援をすることがいいか、その人の生活の管理の力も含めて、そういう方の状態像に応じてこういう取り組みをするという出口を考えて整理して、次回以降提案させていただきたいと思っておりますので、そういう中で、どういう人にどういうアプローチをするかということからある意味逆算して、例えば治療中の方とか、そうでない就労中の方とか、そういう方についてどんなデータをどういう形でいただいていくかというふうにさかのぼって考えていくのがいいかなと思っていますので、今日いただいたいろいろな意見も含めて、その人たちへの支援のかかわり方の必要度や内容に応じて一度整理して、次回以降に提案させていただきたいと思います。

 さらに、最後の通所の場についても私どもも大変大事だと思っておりますので、そういうことも含めて支援のかかわりの場として、また考えていく必要があると思っております。


○尾形座長 岡山委員どうぞ。


○岡山委員 この辺は私は全くわからないのですが、福祉事務所と市町村が複数ある場合、どうやってうまく連絡をとり合っているかというのも、健康情報に関してうまくいっているところと、うまくいっていないところは結構あるような感じがします。保健福祉事務所が単独で保健事業をやるだけの規模があるのかないのかとか、福祉事務所がある程度クラスターになってやったほうがよいぐらいの規模になるのか、また、複数の市町村と関係ができたときにどうなるのかというところについてイメージが全然湧かないものですから、その辺について参考になる資料などがもしあれば、議論が進みやすいのではないかという気がしました。


○尾形座長 検討していただきたいと思います。


○鈴木保護課長 わかりました。


○尾形座長 藤内委員どうぞ。


○藤内委員 今、鈴木課長から把握できるデータについては少し整理をされるということで1つお願いなのですが、6ページの資料でレセプト件数の構成割合をお示ししいただいています。通常の医療保険と対比させる形で生活保護受給者にどういう疾患での入院や、入院以外の受診が多いかがこれで見えるようになるのですが、通常の医療保険と年齢、性別ごとに疾患の内訳を比較しています。例えば悪性新生物の入院内訳を見ると、医療保険が14.2に対して、生活保護受給者は8.3と非常に少ないのですが、これは全体に占める割合なので、実際に40代、50代、60代の年齢階級でどのくらいの人がこれで入院しているかというのを出すと、通常の医療保険と同じかもしれません。同様に内分泌と代謝疾患、循環器疾患が実は医療保険よりも非常に受療率が高いという数字が出るかもしれないので、そこを見せていただきたいと思います。今、特定健診・保健指導の関連を重点的に議論されていますが、ほかの疾病でも通常の医療保険より,多くの生活保護受給者が入院しているあるいは通院しているといった疾患が見えてくるのではないかと思いますので、それが可能であればお願いしたいと思います。


○尾形座長 これは可能でしょうか。


○鈴木保護課長 私どものほうで医療扶助実態調査という形で6月審査分という、診療月は4月も5月もあるのですが、6月審査分のレセプトは全国分をもらっております。その集計という形ではできますので、それは年齢階層もできますので、ちょっとやってみたいと思います。ただ、分類が主傷病分類になっていますので、厳密にその疾患の医療のレセプトとは限らない、いろいろなものが1枚のレセに入っていますので、そういう限界がありながらもできるだけやってみたいと思います。


○尾形座長 津下委員どうぞ。


○津下委員 以前調査したときに、喫煙率と過量飲酒の割合が高いというデータがあったと思いますけれども、そういうデータの把握といいますか、介入できるところとして、特に生活習慣病の悪化に非常に関係するライフスタイルについて把握できますでしょうか。指導したからやめられるというわけではかもしれないですけれども、例えば依存症の治療など、医療の目線からいったら何かアプローチがある可能性があるのではないかと思われます。そのあたりの情報をつかんでいるかどうかいかがでしょうか。


○市川保護課医療専門官 今回行った健康増進法による健康診査の結果の1つに、習慣的な飲酒があるかどうかという項目がありました。受診率が7%弱なので全体を表してはいないと思うのですが、男女合わせて前年の平均で大体43%の喫煙で、男性の40代、50代が大体50%の喫煙という形で高いものでした。

 過量飲酒に関しては、その項目はなかったのですけれども、アルコール性肝疾患の疑いが、記憶がちょっと曖昧なのですが、女性は1%ぐらいという結果になっていましたが、アルコール性という状態をどう把握されたかというのはわからないです。


○尾形座長 では、次回にそのデータは整理していただきたいと思います。

 小田委員どうぞ。


○小田委員 今回活用するのは受けた方のデータになりますが、これに載ってこない未受診者についても並行してやっていただければと思っています。健康上問題がなくて受診していないわけではなく、理由があって治療を中断されている方が結構いらして、かかわって原因を一緒に解決していくと定期受診につながって、当然データも劇的に改善していくという方が中にはいらっしゃいますので、そういった方をどう拾って対象者にしていけるかというところも一緒に検討いただければと思います。


○尾形座長 なかなか大変かと思いますけれども。

 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。


○津下委員 出口を考えたときに、保健師さんがどれだけかかわるのが適正かというのは今後の検討によるとは思いますが、ワーカーさんが日常管理の中でどの範囲まで実施してもらえるのか。教育とか研修はあるかもしれませんけれども、例えば、特定保健指導の例で考えると、初回に健康状態のアセスメントをして改善目標を本人と一緒に立てるということについては、ある程度専門職種のかかわりがあるのでしょうけれども、日常にそのことができているかどうかを見守ってくれる人がいると、非常に実施率は上がるのかなと。例えば、特定保健指導でも動機づけ支援だけよりは、継続的な支援でメールや電話でサポートするだけでも効果が2倍ぐらいあるわけなんですね。生活保護の方はそれよりも有利な条件として、ワーカーさんの目が例えば定期的に入っていく。その条件の中で、目標を立てたことが本当に実現可能な目標を立てているのか、面談のときにはいい格好をして高い目標を立ててしまったけれども、結局はこういう行動が実現しやすかったとか、そういう継続的なかかわりができるということがフィードバックとして機能することにより、逆にプラスの面として考えられるのではないかと思います。そういう継続的な見守りや行動目標の実施状況ということを把握して、また目標設定のところに反映させていくとか、どういうことが可能なのかということを知ることにより、指導能力をブラッシュアップしていくことができるのではないかという期待感があります。

 実は、特定保健指導が始まって継続的支援をしなければいけなくなってから、難しいことを言うよりも、簡単なことで行動変容につながることのほうが大事なのだというフィードバックがかかったんです。そこで保健指導をより簡単にわかりやすくするか一生懸命研究して、どのくらいの減量だったら効果があるかとか、どういう教材がいいかということが急速に進んだわけです。しかし、特定保健指導でも実際にその人の生活を見てチェックしているわけではないので、ある意味本人の自主的なことになるわけです。今回は指導のPDCAサイクルが回ることによってどういう健康支援が本当に本人にプラスになり、ワーカーさんにとってもいい支援をしてくれたよねと思うような面談なるのかのフィードバックがあること、行動計画づくりというのは何なのだろうかということをしっかり見ていけるとすると、こんなすごいことはないのではないかというか、今までできなかったことができるかもしれません。病院でもそうですけれども、おうちでどう取り組んでいますかみたいなことはなかなかフォローできないわけです。フォローの目が入ることで、どんな健康支援がより有効性が高いのかということを知る大きな機会にもなるように思いまして、ワーカーさんの力をどう活用できるかという視点も重要ではないかと思いました。


○尾形座長 ありがとうございました。

 ほかにいかがでしょうか。それでは、私からも一委員として発言させていただきます。

1011ページの先ほど来出ているデータは非常に貴重なデータだと思います。ただ、これを見るときに気をつけなければいけないのは、既に出ている議論ですが、そもそも146万人という分母の問題もありますが、受診率が7%ぐらいですので、サンプルの代表制の問題というのはあるのかなと思います。

 それから、12ページの津下委員のデータを見ると、やはり年齢階層でかなり違いが出てきているということなので、本来は1011ページについても年齢階層別を見たときにどうか、本当にそれで違いがあるのか、ないのかというあたりが一つ課題だろうと思います。

14ページですが、御説明にあったように、確かに国保から53%が加入してきているということですが、この表で見るとその他もかなりの人数になっていますよね。その他というのは下に書いてあるように、加入資格はあるけれども医療保険に加入していないという、これはかなり問題がありそうな層なのかなと気がします。もし、こういうところを切り分けた分析ができるのであれば、それはそれで一ついろいろな知見につながるのかなと思います。

 最後に、19ページからのアンケート等についてですが、先ほど来いろいろな御意見が出たので、ぜひ追加できるのであれば検討の充実を図っていただきたいと思います。特に20ページの下に書いてあるように、今まで出てきているのはストラクチャー、プロセス、アウトカムのアウトカムはほとんどやっていないので、事業の評価が最終的には一番重要だと思うので、そこはしっかり押さえる必要があると思います。

 それから、全体の話ですけれども、アンケートで回答率83%というのは高いようにも見えますが、予算でやっている事業だとしたら、これは本来報告書をきちんと求めるべきものだろうと。後からアンケートで聞くというのもいいのですけれども、来年度以降の話になるかもしれませんが、こういう事業をやるときにきちんとした予算執行も含めた報告書を求めるべきだと思います。これは意見として申し上げておきます。

 私からは以上ですが、ほかにまだ時間はございますけれども、いかがでしょうか。


○生沼保護課長補佐 今、御指摘のあった点の14ページの医療保険の加入状況のその他でございますが、調査上は未加入という整理で報告が来ているものを一応、今回その他で表記させていただきました。本来は国民皆保険なので未加入はあり得ないので、多分長期に保険料を滞納して、保険給付が受けられなくなった人というのがその他であろうと思われます。


○鈴木保護課長 その他ホームレスなども、ここに入ってくるのではないかと思います。


○尾形座長 そういう意味では、保険でカバーされていなかったということ自体がいろいろ問題のある層かもしれないという意味で申し上げました。

 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。

 それでは、議題1はそのぐらいといたしまして、議題2でその他とありますけれども、その他について。


○生沼保護課長補佐 資料3を見ていただきたいのですが、第2回以降の検討スケジュールの案として私ども事務局が考えているスケジュールを御説明いたします。

 一応、本日いろいろ御意見をいただいたデータ収集などをさせていただいて、次回はできれば9月中に第2回を開催したいと考えていまして、それ以降は1月までに大体3~4回ぐらい議論をしていただきたいと思っています。一応、本日は自由な御発言をいただきましたが、次回以降はこちらでデータを集計して、ある程度論点もこちらから提示させていただくような形で議論をしていただきたいと思っております。

 最終的には来年2~3月に論点整理、とりまとめを行う予定にしておりますので、よろしくお願いいたします。

 資料3の説明は以上でございます。


○尾形座長 スケジュールについては以上ですが、何か御質問・御意見ございますか。なかなか大変なスケジュールですけれども、委員の皆様の御協力を得て、いいものにしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、ほかに特にないようでしたら、少し早いですけれども、本日の第1回目の会合はこの辺で閉会にいたしたいと思います。

 長時間にわたりまして、熱心な御議論をどうもありがとうございました。


(了)

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