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2016年2月24日 第70回労働政策審議会障害者雇用分科会 議事録

職業安定局雇用開発部障害者雇用対策課

○日時

平成28年2月24日(水)18:00~


○場所

厚生労働省専用第23会議室


○出席者

【公益代表】菊池委員、中川委員、松爲委員、山川委員
【労働者代表】板垣委員、桑原委員、高松委員、松井委員
【使用者代表】栗原委員、平岡委員、遠藤代理
【障害者代表】竹下委員、本條委員、森代理
【事務局】生田職業安定局長、広畑雇用開発部長、尾崎障害者雇用対策課長、畑地域就労支援室長、古館調査官、川村主任障害者雇用専門官、中園障害者雇用対策課長補佐

○議題

(1)国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案要綱(障害者の雇用の促進等に関する法律の特例関係)について(諮問)
(2)その他

○議事

○山川分科会長 定刻前ではございますが、もう皆様方おそろいですので、ただいまから第70回労働政策審議会障害者雇用分科会を開催いたします。委員の皆様方、お忙しいところ御参集をいただきまして、まことにありがとうございます。

 本日は阿部正浩委員、武石委員、駒井委員、石田委員、塩野委員、高橋委員、阿部一彦委員、小出委員が御欠席です。

 高橋委員の代理としまして、日本経済団体連合会の遠藤様に御出席いただいております。

 阿部一彦委員の代理といたしまして、日本身体障害者団体連合会の森様に御出席いただいております。

 夕方の会議となりまして、大変恐縮でございます。19時をめどとしておりますので、よろしくお願いいたします。

 いつもどおりですけれども、発言をされるときには手を挙げて、お名前を言っていただいて、それから発言をお願いいたします。

 それでは、議事に入ります。本日の議事は議事次第にありますように「(1)国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案要綱(障害者の雇用の促進等に関する法律の特例関係)について(諮問)」と「(2)その他」となっております。

 それでは、議題(1)の議事に入ります。事務局から説明をお願いいたします。

○中園障害者雇用対策課課長補佐 事務局の障害者雇用対策課課長補佐の中園でございます。私のほうから議題(1)の関連資料といたしまして、資料1-1、1-2を中心にいたしまして御説明申し上げます。

 まず、今回の議題(1)の諮問をお願いするに至りました背景といたしまして、御説明申し上げます。

 国家戦略特区制度におきましては、その所管をしております内閣府におきまして、全国の地方自治体からその特例の改善要望の提案などを受け付けまして、その提案要望を奇貨といたしまして、関係省庁との調整ということを制度として行ってございます。

 今回、特定の地方自治体より、中小企業における障害者雇用に係る雇用率算定の特例の拡充に関しまして、国家戦略特区制度において特例を設けてはどうかとの御提案があったところでございます。

 今回、この提案を契機といたしまして、昨年末から、1月に入ってからその調整などが加速いたしましたけれども、この2月にかけまして、国家戦略特区制度を所管する内閣府と当省との調整、あるいは提案自治体の要望内容などを確認いたしました結果、今回内閣府がこの通常国会の提出を目指しております国家戦略特別区域法の一部改正法案におきまして、中小企業の雇用を進める観点から、中小企業者の障害者雇用率の算定特例を設けることについて要請をいただいていると、そういった経過となっているところでございます。

 本日は国家戦略特別区域法の改正法案における障害者雇用促進法関係の特例部分に関しまして、関連部分の要綱案を当分科会に諮問させていただきまして、御審議をお願いするものでございます。

 資料1-1は本日当分科会にお諮りいたしまして、御審議いただきたいと考えております「国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案要綱(障害者の雇用の促進等に関する法律の特例関係)」の部分となりますが、資料1-1の説明に先立ちまして、国家戦略特区制度の基本的な枠組みについて御説明申し上げたいと考えております。

 少し資料が飛びまして、参考資料3を御覧いただければと思います。国家戦略特別区域におきましては、各法律の特例などを活用する場合には、特区ごとに設置されます国家戦略特別区域会議で活用したい特例を記載した区域計画というものをあらかじめ作成することとなってございます。

 この特別区域会議におきましては、国家戦略特区の担当大臣であったり、その特例を活用したいという地域の地方公共団体の長などが構成員となって、最終的に区域計画を策定するということになってございます。

 ここで策定された計画につきましては、国に設置されました国家戦略特別諮問会議で審議をいたしまして、厚生労働省関係であれば厚生労働大臣などの関係大臣の同意を得た上で、内閣総理大臣が認定をいたしまして、最終的にその認定を得ることで特例の効力が発生するというのが、この国家戦略特別区域制度の基本的な枠組みでございます。

 それでは、資料1-1にお戻りいただければと思います。今回の特例の内容におきましての簡単な御説明をいたしたいと考えております。

 今回の特例におきましては、特別区域内の中小企業者が障害者の雇用の機会の創出を図る事業として区域計画に定めていただき、内閣総理大臣の認定を受けたときには、一定の要件を満たした有限責任事業組合と位置づけまして、障害者雇用促進法に規定する事業協同組合等算定特例の対象にするという内容でございます。

 こちらの改正案につきましては、法律案が成立した後、交付されてから3月以内に政令で定める日に施行されることとなっております。

 今回の特例の概要を説明した資料として、資料1-2を御用意しております。資料1-2を御覧いただければと思います。

 現行の障害者雇用率の算定の特例制度といたしましては、従前より一定の認定要件のもと、意思決定機関の支配や役員派遣などの会社制度における親子関係の結びつきにも着目いたしまして、全体で雇用者数を合算して雇用率を計算いたします特例子会社制度が、御案内のとおり従前からあるところでございます。

 これに加えまして、平成20年改正の障害者雇用促進法に盛り込まれまして、平成21年4月から施行されてございますけれども、中小企業の障害者雇用を進める観点から、複数の中小企業の事業主が組合員となりまして、事業協同組合などを設立し、その中で共同事業を実施していただく。

 一方で、各組合員からも仕事の発注、あるいは組合に対する職員派遣などの一定の関与を前提といたしまして、この組合で雇用する障害者数と、各構成の組合員の事業主で雇用する障害者数、これを全体で合算をする事業協同組合等算定特例制度といったものが現状あるところでございます。

 今回の国家戦略特区法案におきまして設ける特例は、この事業協同組合等の算定特例の対象組合の範囲を拡大するという構成となってございます。

 現在、事業協同組合等算定特例の対象となる組合は4つございます。事業協同組合、水産加工業協同組合、商工組合、商店街振興組合の4つでございます。

 約7年前に盛り込まれました現状の制度でございますが、現在この事業協同組合方式による特例の認定を受けているものにつきましては、今日この時点におきまして3件にとどまっているところでございます。

 その3件の実例にいたしましても、全て事業協同組合を活用した同業種の組合の認定にとどまっているというのが現状でございます。

 今般、国家戦略特別区域法を改正することによりまして、国家戦略特別区域内においては、その特別区域内にある中小企業者からなる有限責任事業組合に対象を広げるという特例措置になってございます。

 この有限責任事業組合におきましては、共同事業の組み立てが比較的自由である点、あるいは構成する組合員が行っている業種に縛られないという点、一定程度異業種の事業主の参画が期待できるものだと私どもは捉えてございます。

 また、簡便に設立できるという点で、今回のこの組合方式による中小企業の雇用の算定特例といったものが、より活用できるきっかけとなるのではないかと期待をしているところでございます。

 特例措置の内容といたしましては以上でございます。

 なお、この議題1の参考資料といたしまして、まず参考資料1におきましては、この有限責任事業組合、通称LLPと申し上げておりますけれども、その概要を参考資料1として御用意をしております。

 簡単に御説明いたしますが、有限責任事業組合におきましては、組合員が出資額までしか責任を負わない有限責任制、取締役会などの設置が強制されない内部自治原則、課税が組合ではなく組合員に課される構成員課税の3つを特徴としている組合でございます。

 平成18年より有限責任事業組合契約に関する法律という個別法に基づいて設けられている組合類型でございまして、平成26年末時点で約5,300の組合数が設立をされているところでございます。

 海外の事例を参考にしつつ、企業同士の共同研究、共同開発などの連携事業の促進あるいは振興を目的に創設されたものでございますが、現在そうした事業の立ち上げ以外にも、実際の事例などを見てみますと、地域の中小企業が集まりまして、町づくり、町おこしのためのイベント、広報等の共同事業、コミュニティー事業などを行う際にも、このLLPを活用しているという事例なども確認されているところでございます。

 参考資料2は、現行の特例子会社制度あるいは事業協同組合等算定特例制度を簡単にまとめた資料でございます。

 説明については割愛をさせていただきます。

 参考資料2の3ページ目と4ページ目でございますが、現行の障害者の雇用者数の現況でございます。

 最後の4ページ目の資料につきましては、現状の障害者雇用の状況を企業規模別にまとめたものでございます。

 左側にあります企業規模別の実雇用率のグラフでは、企業規模が小さくなるほど企業の実雇用率が低くなっているなどの傾向がございまして、現在の障害者雇用の状況におきましては、中小企業でより一層の障害者雇用の促進が課題となっているところでございます。

 この議題1の関連の資料につきまして、事務局からの説明は以上でございます。なにとぞ御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。

○山川分科会長 ありがとうございました。

 ただいまの説明にありましたとおり、本日付けで厚生労働大臣から労働政策審議会に国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案についての諮問がなされたところです。本分科会として、本件について議論を行って、検討の結果を労働政策審議会に報告させていただきたいと思います。

 この件について、御質問等ございますでしょうか。

 それでは、竹下委員。

○竹下委員 竹下です。

 まず、2つ教えていただきたいのですが、1つは、これは基本的には賛成したいと思うし、これによって地方における中小企業の人たちによる障害者雇用が大きく前進することが期待できると思うので、賛成したいと思うわけです。

 ただ、その観点から気になるのは、この有限責任協同組合を設立することに参加できる中小企業の要件が少し厳しいのかという思いがあります。すなわち、その中小企業の規模において、例えば50人台とか100人以下の企業が参加できないというのは、少し地方の実態から見れば厳しくないかという思いが1点あります。この点はどうなるのかについての質問が1点です。

 もう一点は、今回のこの提案とは直接結びつくものではないのですけれども、どうしても障害者の雇用を見ておりますと、いわゆる正社員より契約社員か嘱託社員の場合が非常に多いように思っております。

 それを考えた場合に、この特例子会社または、今回のような有限協同組合の特例によって障害者の雇用が進む場合に、その雇用形態において、正規雇用といいますか、そうした雇用形態における安定性というものがどうなってくるのかということについては若干気になりますので、この点について従来の特例子会社も含めて、実態がわかれば教えていただきたいと思います。

 以上です。

○山川分科会長 ありがとうございます。

 2点御質問でしたが、いかがでしょうか。事務局からお願いします。

○古館調査官 障害者雇用対策課調査官の古館でございます。

 まず、1つ目の企業の規模に関してでございますが、基本的には今回は中小企業の雇用を促進していくという趣旨で、中小企業に限定する予定でございます。

 今、事業協同組合につきましては、根拠法において中小企業が限られておりますけれども、LLP自体につきましては規模要件がございません。そういう意味で今回、LLPの中で中小企業を対象にするものを特例の対象にしたいと考えております。

 一方、下限につきましては、大きな会社は100人以上ということになっておりますが、雇用義務が課せられているのが50人以上ということになっておりますので、雇用義務が課せられている50人以上の企業を対象にすることを考えております。この点につきましては、これまでの事業協同組合と同じような仕組みになります。

 もう一つの障害者の雇用形態につきましてですが、今回特例の対象になるのは、雇用率の換算について、基本的にはそれぞれの会社さんが雇うところ、組合を作って雇用すれば通算をするというのが特例の中身になります。

 そもそも雇用率の対象になりますのが、基本的には常用雇用の方が対象になりますし、時間につきましても20時間以上の方が0.5カウント、30時間以上で1人分ということを、全体的なルールとして設けておりますので、今回特例につきましても、そういった雇用がふえていくということを、私どもとしては期待をしているところでございます。

○山川分科会長 ありがとうございます。

 竹下委員、いかがでしょうか。

○竹下委員 どうもありがとうございます。

 2点目で質問した点は、調査官の説明はよくわかりました。できれば常用雇用がより安定するためにも、30時間以上、40時間以上の勤務であっても、常用雇用といいますか正規雇用であることを期待したいと思うわけですが、そちらはそれでわかりましたけれども、1点目の方なのです。

 確かに現在の民間事業者につきましては、2%の法定雇用率ですから50人以上というのはわかるのですけれども、障害者の雇用促進という観点からいえば、別に40人の中小企業についても、雇用の意欲がある場合に、または条件がある場合に、こうした協同組合参加というものが期待でき、それは矛盾と考える必要はないのではないかというのが1点なのです。

 平成30年だったと思うのですけれども、精神障害者の雇用に関連して、法定雇用率の算定については特例を設けているわけではありますけれども、そう遠くないうちにといいますか、精神障害者をカウントすることによって、法定雇用率が算定上、今の2.02.1なのか2.3なのかわかりませんが、上がっていくはずなのです。そういう意味で、それは近い将来なのです。

そうであれば、せっかく作った今回の特区に基づく法人が、結局はまた中小企業で参加できる企業が、今度は50人が40人になるからと、またそこでもう一遍改正をしなければいけないというのは、若干機動性に欠けるのかという思いがあるのですけれども、いかがでしょうか。

○山川分科会長 事務局、何かありますか。

○古館調査官 調査官の古館でございます。御指摘ありがとうございます。

 障害者の方の就職先として、50人未満のところについても当然考えねばなりませんし、私どもは就職についてはかわりなく応援をしてまいるつもりです。

 一つは、今回の特例の趣旨が50人以上にかけられた雇用義務をどう果たしていくかという措置についての特例であるということが一つございますのと、たしか過去、中小企業の特例を作りましたときに、今、50人以上に限っている点につきまして、例えば50人未満の解釈を含めたときに、たまさか規模が小さいけれども、障害者を雇っている会社があったときに、それを仲間に入れることで、組合全体としての義務が軽くなるというようなこともあるのではないかと、そういった議論があったと記憶しております。

 そういう意味で、今回義務の対象となる50人以上ということで、まずやらせていただけないかと考えております。

○山川分科会長 尾崎課長、お願いします。

○尾崎障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長でございます。

 竹下委員の御指摘でございます。今、調査官からお話のとおり、雇用率に関する特例ということでございまして、雇用率の義務がかかっているのが50人以上ということでございますので、その特例ということで、今回事業協同組合というものと同じ仕組みで、まずはやらせていだきたいということで今、調査官から話があったと思います。

 ただ、さまざまな雇用率の問題を含めて、さまざまな関係団体を含めて、委員の方々のいろいろな御意見、御指摘があるかと思います。これまでもいろいろ議論があったということでございまして、本日竹下委員からの御指摘については、こうした御指摘があったということを重く受け止めさせていただきまして、今後雇用率の議論をしていくに当たっても、さまざまな議論が出てくるかと思いますので、今後の検討課題という形でさせていただければと思います。

○山川分科会長 それでは、中園課長補佐、お願いします。

○中園障害者雇用対策課課長補佐 障害者雇用対策課課長補佐の中園でございます。

 今の課長の答弁に1点だけ補足をさせていただければと考えております。

 竹下委員から御指摘がありましたように、今後仮に法定雇用率が上がっていく場合における障害者の雇用義務の規模要件でございますが、これまでも法定雇用率が上がりますれば、それに応じて対象規模のラインも下がっているという形で連動してございます。

 今回のこの特例制度として、中小企業要件をかけておりますけれども、障害者の雇用義務自体は障対法と連動していくという形になってございますので、もし仮に今後50人という法定雇用の義務のラインが下がるケースがあった場合、この特例措置においても連動して、そこの規模を合わせて下がっていくということになってございますので、この特例制度をその際、もう一回手直しをしなければならないという形には、法の構成上はなってございません。

 その点だけ補足をさせていただければと思います。

○山川分科会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。

 それでは、松井委員の手が挙がっていたので、お願いします。

○松井委員 資料1-1の法律案要綱でございますけれども、今も若干触れられていたとは思うのですが、「有限責任事業組合(厚生労働省令で定める要件を満たすものに限る。)」という記載になっておりますが、この要件について、少し説明をいただければと思います。

 あわせて、LLPに余りなじみがないものですから、今回、LLPは認めるという場合に、どういう点をポイントにして認めることになったということも、多分この要件に絡んでくることかと思いますので、御説明をいただければと思います。

○山川分科会長 それでは、古館調査官からでよろしいですか。

 お願いします。

○古館調査官 調査官の古館でございます。

LLPにつきまして、要領の中で「厚生労働省令で定める要件を満たすもの」ということになってございます。

 今、検討しておりますのは、先ほど来議論になりましたが、一つは企業規模でございます。中小企業で雇用義務がかかる範囲でということが一つです。

 それから、特区での措置という関係で、所在地が特区内であると。そういった外形的な要件が一つございます。

 また、LLP法にも関係しますけれども、組合員の出入りが自由になりますと、組合員が知らないうちに組合員が入れ替わって、成績の悪い事業者が入ってきていたとか、そういったことを考えますと、出入りについてお互いチェックできるような仕組みなども必要になってくるかと思います。

LLPにつきましては、原則は全員一致でやってくださいということになっているのですが、内部自治を重視する観点で、そういったところも自由にやってもいいですというようなルールになっております。

 その自由にやってもいいですというところを、少し制度的には制限をする必要があるのではないかと考えています。

LLPを選んだ理由につきましては、冒頭中園のほうから申し上げましたとおり、事業についての自由度も一定あり、異業種の参画も期待できるということに加えて、設立のプロセスも容易であるということを評価しております。

○山川分科会長 尾崎課長、どうぞ。

○尾崎障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長でございます。

 補足いたしまして、省令の関係は今後、作成する段階におきまして、今回の分科会におきましてしっかりと皆様方に整理をして、お示しをさせていただいて、諮問答申という形でやらせていただきたいと思います。

 今、古館のほうから幾つかございましたけれども、私どもは今後、仮に法律が成立すれば、しっかり御説明させていただきたいと思います。

 特にということで言いますと、きちんと、しっかりと安定的にこのLLPが、経営が続いていって、障害者の雇用が続いていくということがしっかりとできるような体制になっているかどうか、そういう事業内容になっているかどうかといったようなことも、しっかりと見させていただきたいと思っております。

○山川分科会長 私から補足するのもなんですが、参考資料3で、国家戦略特区の区域計画の認定があって、それは内閣総理大臣が認定して、そこに関係大臣として、本件でいえば厚生労働大臣が同意をするという形でかかわる。

 かつ、区域会議の方では関係地方公共団体の長が加わる。

 さらにこの計画で特区として認められた場合には、雇用促進事業について省令レベルかと思いますが、それは別途、厚生労働大臣の認定が、事業協同組合の場合と同様にかかってくるというスキームという理解でよろしいでしょうか。

 要件に関してはそういう手続的な同意ないし認定はいろいろかかってくるということかと思います。

○松井委員 今、御答弁いただいたように、しっかりと雇用責任が果たせる制度にしていただければと思っております。

○山川分科会長 よろしいでしょうか。

 それでは、お待たせしました。本條委員、お願いします。

○本條委員 このLLPを加えるという法改正については賛成であり、何も意見を言うことはないのですけれども、将来的に考えて2点、質問というか意見を言わせていただきたいと思っております。

 一つは事業協同組合と同じ扱いになると思うので、先ほどもお話がありましたように、特例事業主は50人以上になるわけですが、特例子会社と事業協同組合が同じ位置づけになるということは、事業協同組合そのものが雇用している人数は制限がないわけです。そういうことから言いますと、組合ということは、組合員も組合そのものでありますから、例えば30人の会社と30人の会社があれば、そこのところに1名を雇用していただくという意味において、そういうものも加えるというような方法を考えられたら、雇用がさらに進むのではないか。

といいますのは、割とこの障害者雇用をしていただくところは、中小企業の中でも50人以下のところも積極的に雇用していただいておりますので、そういう点を雇用率に入れていただくことによって、組合としてメリットが生じるのではないか。こういうように思うのが1点です。

 もう一点は、今回は戦略特区のみに限定した法改正でありますけれども、やはりLLPも非常に障害者雇用とか、そういう意味から考えると、非常に有効な法人組織ではないかと思いますので、戦略特区に限らず、もちろん何らかの規制とかそういうものは必要でありますけれども、事業協同組合だけではなくて、LLPとかそういうものも組み入れて全体的にやっていただく。もちろん、どれでもこれでもいいというのではなくて、当然算定特例をとるにふさわしいLLPでないといけないとは思いますけれども、そういう方向も考えていただいたらいいのではないかと思います。

○山川分科会長 ありがとうございました。

 何か事務局からございますか。よろしいでしょうか。

 雇用率制度そのものに係る問題と、あとは今回、特区制度のことですので、恐らくは手を挙げた特区について、希望したところについて、とりあえずそうするということかと思います。将来的なことを踏まえた御意見として受け止めさせていただければと思います。

 ほかは御意見はございますか。

 松爲委員、お願いします。

○松爲委員 松爲でございます。1つだけ確認させて頂きます。組合本部の事務局の人たちもこの枠の中に加わるのですか。

○山川分科会長 それでは、古館調査官、お願いします。

○古館調査官 先ほど御指摘いただいた点と重なりますが、特例子会社と同じように、組合そのものの労働者数、それから組合で雇っている障害者の方が合算されて、分母分子に加わってくるということになります。

 組合そのものにつきましては、必ずしも50人以上ではなくても算定の対象になるという仕組みでございます。

○山川分科会長 よろしいでしょうか。

 それでは、高松委員、お願いします。

○高松委員 ありがとうございます。高松です。

 やはり中小企業の関係の話なのですが、参考資料を拝見しますと、ここ10年ぐらいは中小企業の雇用率が大企業と比べて離されている、低いということですから、私は基本的には50人以上のところは例外なく雇用率を守っていくということを、取り組みとして進めるべきだということを、まず申し上げておきたいと思います。

 ただ、今回の特区に関してはLLPの特例を加える形で、障害者雇用が多少でも進むものになるということであれば、もろ手を挙げてではございませんが、一つの形として賛成をしていくものかと思っています。

 そこで御質問なのですが、法律案要綱にございます国家戦略特区障害者雇用支援事業があるわけですが、この事業自体が中小企業に限定した事業と考えてよろしいのか、それとも、この括弧書きの中に「中小企業者が」というふうに書いてあるわけですから、あくまで今回は中小企業者であるが、将来的には中小企業が外れる場合もあるのか。その辺について、御質問させてください。

 以上です。

○山川分科会長 それでは、中園課長補佐、お願いします。

○中園障害者雇用対策課課長補佐 障害者雇用対策課課長補佐の中園でございます。

 今回この特区法に定める特例措置を活用した事業の名称といたしまして、国家戦略特別区域障害者雇用創出事業というふうに銘打っておりますが、まさにこの事業の定義といたしまして、区域内における中小企業者が雇用の機会の創出を図るということを定義として規定をしておりますので、この創出事業はまさに、その区域内にある中小企業者に限定をされるという事業でございます。

 以上でございます。

○山川分科会長 高松委員、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

○高松委員 はい。

○山川分科会長 それでは、桑原委員、お願いします。

○桑原委員 組合側の桑原です。

 私からは、今回の特区法案というよりは、特例制度自体全体について1点だけ御意見をさせていただきたいと思います。

 障害者雇用促進のために、この算定の特例制度があるというふうに思っているのですが、今回の説明で、現在の事業協同組合等のほうの実績は3件ですというお話がありましたので、厚生労働省にはLLPも含めて、現行制度も含めて、この特例制度の活用の周知を行っていただいて、これも含めた形で雇用率が未達成の、おくれている企業に指導をよろしくお願いしたいと思います。

 以上であります。

○山川分科会長 それでは、御要望ということで受け止めていただければと思います。

 ほかに御意見、御質問は。

 栗原委員、お願いします。

○栗原委員 栗原です。

今回の特例ということで、雇用をふやすという意味では、まずやってみようということで、非常にいい取り組みだと思います。これは今までなかったことで、非常に画期的なことではないかと思うのですが、ただ、この中に協同組合で雇用しますと、その人を事業主の方に、言い方が適当かどうかはわからないですが、これは派遣するような形になるわけですか。

 ここで雇用した人は何の仕事をどういうふうにやるのかということを伺いたい。

○山川分科会長 よろしいでしょうか。

 多分、雇用促進事業の御説明が必要になるかと思いますが、それでは、尾崎課長。

○尾崎障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長でございます。

 具体的に今回、一部の自治体から提案が、このLLPという形ではございましたけれども、具体的なLLPを活用した事業はどうしていくかというと、恐らく法律ができた後、このさまざまな検討がなされていくと思いますので、具体的に提案があった自治体についてはこうだというのは、今ここで御説明することは難しいのですが、今の事業協同組合の3つの事例を見ますと、地方自治体などとも連携しながらだと思いますけれども、事業を協同で組合がきちんと受けて、それを組合の方々に割り振りながら、さまざまな事業を展開しているというようなことでございますので、そういう形で障害者雇用も進んでいるということでございます。

 ですので、今後LLPを特例に取り入れたときに、どういう形になっていくか。いろいろなやり方はあるということになっております。地方自治体と連携しながら事業を発注して、それを組合の中で、さまざまな事業を割り振ってやっていくというやり方もございますし、もともと事業主の方々の出資したところが、もともとの事業を切り出して、そしてそれを集めて事業をしていくやり方など、いろいろあるかと思います。

 そこは事業がきちんと円滑に、そして安定してなされていくように、実施計画というものをつくって、我々はしっかり見ていきますので、そこは始めるとき、それから実際にやっていった後もしっかりとチェックをして、安定的に障害者雇用が進んでいくように、しっかりと見ていきたいと思います。

○栗原委員 ありがとうございます。

 それならば問題ないと思いますが、もしその辺で法律にふれるようなことが起こるのではあれば問題かと危惧したので、お話をさせていただきました。その辺でしっかりと見ていただけるのであれば、これは問題ないと私は感じます。

○尾崎障害者雇用対策課長 もう一度、障害者雇用対策課長でございます。

 しっかりとそこは見させていただいて、障害者雇用が進むようにということで、全力で対応したいと思っております。

○山川分科会長 よろしいでしょうか。

 ほかに、事務局からはよろしいでしょうか。

 ほかに御質問、御意見はございますか。

 それでは、特にないようでしたら、これまで種々御質問、御意見をいただきましたので、本分科会としての取り扱いについてお諮りしたいと思います。

 御意見等を伺いまして、全体的に見まして、厚生労働省案については妥当というふうにしてよろしいかと思います。つまり、本分科会としては厚生労働省案を妥当と認めて、労働政策審議会長に報告を申し上げたいということではいかがかと思いますが、いかがでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○山川分科会長 ありがとうございます。

 それでは、事務局から報告文案の配付をお願いします。

(報告文(案)配付)

○山川分科会長 それでは、事務局から読み上げをお願いします。

○中園障害者雇用対策課課長補佐 事務局の障害者雇用対策課課長補佐の中園でございます。

 それでは、案文を読み上げます。

 「平成28年2月24付け厚生労働省発職雇0224第1号をもって労働政策審議会に諮問のあった標記については、本分科会は、下記のとおり報告する。厚生労働省案は妥当と認める。」

 以上でございます。

○山川分科会長 この案でよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○山川分科会長 ありがとうございます。それでは、この案のように報告をさせていただきます。

 今後、この内容を労働政策審議会の会長宛てに報告しまして、労働政策審議会会長から厚生労働大臣に答申することになります。

 それでは、次の議題「(2)その他」に移ります。

参考資料4になりますが「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針の一部を改正する告示案要綱」及び「派遣先が講ずべき措置に関する指針の一部を改正する告示案要綱」につきまして、事務局から報告をお願いします。

○中園障害者雇用対策課課長補佐 事務局の障害者雇用対策課長補佐の中園でございます。

 それでは、議題「(2)その他」の議題に関連いたしまして、事務局のほうから参考資料4の資料について簡単に、委員の皆様方に御報告をさせていただきたいと考えております。

 本年4月から障害者差別解消法及び、この障害者雇用分科会においても議論されました改正障害者雇用促進法におきまして、障害者差別の禁止及び合理的配慮の提供義務が施行されることとなっているところでございます。

 これらの大きな動きに関連いたしまして、派遣分野におきまして、障害者差別の禁止、合理的配慮の提供が円滑に履行されるよう、派遣元事業主及び派遣先事業主に関する指針が改正される運びとなってございます。

 昨日開催されました職業安定分科会におきまして、2つの指針の改正案要綱が諮問され、おおむね妥当とされたところでございます。

 本日の当分科会におきましては、これら2つの指針の改正案要綱につきまして、委員の皆様方に共有させていただければということでお配りをしているものでございます。

 参考資料4が、その2つの指針の改正案要綱となります。

 最初の1ページ目から2ページ目におきましては、派遣元事業主が講ずべき事項をまとめた指針の改正案でございます。

 3ページ目以降が、派遣先事業主が講ずべき事項をまとめた指針の改正案となってございます。

 派遣元におきましては、改正障害者雇用促進法に則りまして、差別の禁止、合理的配慮の提供を進めていくということとなってございますが、さらに今回、派遣分野における派遣元と派遣先との関係も踏まえまして、派遣先指針についても規定の追加を予定しているところでございます。

 派遣先指針3ページ目の改正案要綱の二にございますように、現行、派遣先におきましては派遣労働者から苦情の申し出を受けた際には、労働者派遣法第40条第1項に基づきまして、派遣元と密接な連携のもと、適切かつ迅速な処理を図るということにされておりますけれども、この苦情の対象に、合理的配慮に関するものも対象になることを明確にしている。そういった改正を行っているものでございます。

 さらに、これに加えまして合理的配慮の措置を講ずるために、派遣元事業主からの求めに応じまして、派遣先におきましては派遣元との協議を行っていただきまして、可能な限り協力するよう努めなければならないといった改正内容が盛り込まれているところでございます。

 派遣元と派遣先との円滑な連携、対応が図られる観点から、それぞれの指針の規定が整理されているというものでございます。

 両指針につきましては、本年4月1日からの施行を予定しております。

 改正告示が交付されましたら、また事務局より、委員の皆様方に御提供させていただければと考えております。

 事務局からの説明は以上でございます。

○山川分科会長 ありがとうございました。

 別の分科会、部会での検討結果の御報告ということですけれども、質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、御報告ということで、この議題「(2)その他」は終了させていただきたいと思います。

 以上をもって、本日予定されておりました議題、議事は終了いたしました。ほかに特段ございませんようでしたら、次回の日程等について、事務局から説明をお願いいたします。

○中園障害者雇用対策課課長補佐 障害者雇用対策課課長補佐の中園でございます。

 次回の日程につきましては、現在未定となっております。

 以上でございます。

○山川分科会長 それでは、本日の分科会はこれで終了いたします。

 議事録の署名ですけれども、労働者代表は桑原委員、使用者代表は平岡委員、障害者代表は竹下委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、本日はお忙しい中、大変ありがとうございました。散会いたします。


(了)

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