ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(療養病床の在り方等に関する特別部会)> 第2回社会保障審議会療養病床の在り方等に関する特別部会 議事録(2016年6月22日)




2016年6月22日 第2回社会保障審議会療養病床の在り方等に関する特別部会 議事録

保険局医療介護連携政策課

○日時

平成28年6月22日(水)9時30分~12時00分


○場所

スクワール麹町3階「錦華」


○議題

療養病床の在り方等に関する検討について

○議事

○遠藤部会長 皆様、おはようございます。
 定刻になりましたので、ただいまより第2回「療養病床の在り方等に関する特別部会」を開催したいと思います。
 委員の皆様におかれましては、御多忙の折、早くからの御参集をありがとうございます。
 まず、本日の委員の出欠状況について申し上げます。
 本日は、阿部委員、荒井委員、遠藤秀樹委員、白川委員より御欠席の御連絡をいただいております。
 続きまして、欠席委員のかわりに出席される方についてお諮りをいたします。
 遠藤秀樹委員の代理として山口参考人、白川委員の代理として棟重参考人の出席につき、御承認をいただければと思いますが、よろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 次に、前回の特別部会以降、事務局に人事異動がありましたので、紹介をお願いしたいと思います。
○黒田保険局医療介護連携政策課長 事務局を務めております、保険局医療介護連携政策課長に着任いたしました、黒田と申します。大変お世話になります。よろしくお願いします。
 私から、事務局の異動につきまして御紹介申し上げます。
 老健局長の蒲原でございます。
 保険局長の鈴木でございます。
 大臣官房審議官(医政、精神保健医療、災害対策担当、医薬品等産業振興担当)の椎葉でございます。
 大臣官房審議官(老健、障害保健福祉担当)の坂口でございます。
 大臣官房審議官(医療介護連携担当)の濱谷でございます。
 医政局地域医療計画課長の佐々木でございます。
 老健局老人保健課長の鈴木でございます。
 保険局総務課長の城でございます。
 以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 それでは、議事に移らせていただきたいと思います。
 カメラはここで御退室いただきたいと思います。
(報道関係者退室)
○遠藤部会長 本日は、療養病床の在り方等に関する検討ということで、参考人の皆様から療養病床等の現状について御紹介をいただきたいと思います。
 参考人の皆様につきましては、事務局より御紹介をお願いしたいと思います。
○黒田保険局医療介護連携政策課長 それでは、本日参考人としてお越しいただいた3名の先生方につきまして、簡単に私から御紹介をさせていただきます。資料1に参考人名簿を御用意しておりますので、御参照ください。
 お1人目ですが、有吉通泰先生でございます。
 福岡県宮若市の有吉病院で、医療療養病床、介護療養病床の運営をしておられます。
 次に、猿原孝行先生でございます。
 猿原先生は、静岡県浜松市の湖東病院で、介護療養病床を運営しておられますほか、介護療養型老健施設も運営しておられます。
 最後に、矢野諭先生でございます。
 矢野先生は、東京都調布市の多摩川病院で、地域包括ケア病棟、回復期リハ、医療療養病床を運営しておられます。
 本日は、最前線で御活躍の先生方から療養病床の現状、今後の慢性期の医療介護ニーズへの対応等につきまして、御意見を頂戴できればと存じております。
 以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 本日の運営につきまして、初めの30分程度で参考人のお3方から療養病床等の現状についてプレゼンをしていただきまして、残りの時間で参考人の方への質疑応答及び療養病床の在り方等についての意見交換をさせていただく、このように考えております。
 なお、時間の都合上、プレゼンはお1人10分程度でお願いしたいと思います。
 初めに、有吉参考人から御発表をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○有吉参考人 皆様、おはようございます。
 ただいま御紹介いただきました、福岡県宮若市で医療法人笠松会有吉病院をやっております、院長の有吉と申します。
 きょうは、このような会議に参考人としてお呼びいただきまして本当にありがとうございました。感謝を申し上げます。
 私は、福岡県の宮若市といいまして、ちょうど福岡と北九州の中間の地域でございますが、そこで約34年間病院をやっておりますが、平成14年より介護療養病床90床を全室個室ユニットにいたしまして、そこに書いておりますように「暮らしに近い療養環境の中での取り組み」ということでやっておりますので、そういう観点から御報告させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
(PP)
 施設概要でございますが、診療科目といたしまして、内科、皮膚科、小児科、循環器科、消化器科、リハビリテーション科。耳鼻科と婦人科以外は大概対応できるということです。
 病床数は146床で、そのうち医療療養56床は、個室を36床、残り20床は全室2人部屋でございます。介護療養病床90床は全室個室でありまして、10人ずつ9ユニットで、14~15平米、これは大体4月の平均でございますが、1日当たり外来患者が大体170人前後、入院が大体142、143名。
 4月の時点での平均要介護度は大体4.59という状況であります。
(PP)
 これは待合室の風景でございますが、外来を通して、広く深く地域とかかわり合いを持つようにいたしております。
(PP)
 これは、ちょうど待合室の正面に掲げておりますプレートでございます。「抑制廃止福岡宣言 老人に、自由と誇りと安らぎを」、これは私どもがちょうど平成10年10月に福岡で行いました抑制廃止福岡宣言を、入院患者様に対します基本理念といたしまして対応するために、これを正面に掲示しております。
(PP)
 最近、外来の患者様で、検査代、診察代がどのぐらいかかるのかという問いかけが非常に多くございまして、大体のいろいろな医療行為の目安がわかるように、正面に、抑制廃止福岡宣言の横にこのプレート掲げて、これを見ていただくようにいたしております。
(PP)
 これは看護、介護職員の配置でございます。
 医療療養病棟は、療養病棟入院基本料1を算定いたしております。1つの病棟を56床で運営いたしておりまして、看護職員が大体法定数4対1、14名のところ、実人員が23.34名、実配置は2.4対1、介護職員は4対1、法定数14名のところが17.20人、実配置は3.3対1の配置であります。
 次が、介護療養病棟、これはユニット型療養型介護医療施設サービス(機能強化A)を算定いたしておりまして、これを30床と60床の2つの病棟に分けて運営いたしております。30床は、看護職員6対1、法定数5人のところが、8.15人、3.7対1になります。介護職員4対1、法定数8人のところが、実人員10.30人、括弧内は介護福祉士の数でございます。実配置が2対1。
 もう一つの病棟、60床は、看護職員6対1、法定数10名のところが、11.80人、5.1対1。介護職員4対1、法定数15人のところは、22.62人、括弧内の17人は介護福祉士でございます。実配置が2.7対1、介護福祉士は、6割以上を採用いたしますとサービス提供体制加算の対象になりますので、大体20名いるところが22名ちょっとということで、サービス提供体制加算をとっております。
 この2つの病棟の合計で、看護職員6対1、15名のところが、19.95人、4.6対1。介護職員4対1、23名のところが32.92人、2.8対1。これだけいても現場は非常に大変な状況でございます。
 外来に大体看護職員を6名配置いたしておりまして、医師が9.5人、これは常勤が4名、残り28名、29名の非常勤を換算しますと5.5名になります。大体外来に3名配置、残りの6.5人が病棟で対応するという状況であります。
(PP)
 先生方、皆様も御承知のように、療養病床の在り方等に関する検討会で示されました整理案でございます。第1の医療内包型が案1-1と案1-2に分かれておりまして、第2の医療外付型、この3つの案が今の議論の中心になっていくのかと思っております。
(PP)
 私が今やっておりますユニット型介護療養型(個室)の介護報酬の経緯でございますが、ユニット型介護報酬が介護療養型で初めて介護報酬に載せられましたのが平成18年でございます。この当時、1日が1,325点、1万3,250円、これが多床室の場合で1万3,220円、わずか30円の差しか1日当たりでございません。1カ月間で900円の差しかございませんでした。
 それが、ここに書いておりますように、21年から24年にかけましては大幅に引き下げられました。昨年の改定におきまして、初めて機能強化Aをとった場合のみ1,312点から1,324点へ12点上がったことと、多床室の機能強化Aと比べましても、それまでの1日30円の差が1日170円の差にやや広がったという程度でございます。加算を入れまして毎月42、43万円で、医療、看護の非常に充実したサービス提供ができているということであります。
(PP)
 療養病棟機能強化Aの要件は、重介護、要医療の患者様が対象でございます。
 1の重篤な身体疾患を持つ者及び身体合併症を有する認知症高齢者の占める割合が5割以上。
 2に、喀痰吸引、経管栄養またはインスリン注射が実施された者の占める割合が5割以上。
 3に、次のいずれにも適合する者の占める割合が1割以上。これは、一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがないと診断した者。入院患者またはその家族の同意を得て、入院患者等のターミナルケアに係る計画書が作成されていること。医師、看護師、介護職員等が共同して、本人または家族へ説明、同意を得てターミナルケアが行われていること。
 4が、生活機能を維持改善できるリハビリテーションを行っていること。
 5に、地域貢献活動を行っていること。
 また、人員の要件といたしましては、個室多床室を問わず、療養病床を有する病院の場合、看護職員が6対1、介護職員が4対1以上になっております。
(PP)
 私どもは機能強化Aをとっておりますので、1の重篤な身体疾患を持つ者及び身体合併症を有する認知症高齢者の割合が5割以上必要なところは、大体3カ月平均で決められておりますので、大体8割前後で推移いたしております。
(PP)
 2の、喀痰吸引、経管栄養またはインスリン注射が実施された者の占める割合が5割以上。大体私どもは55%前後。この内訳が、私どもはできるだけ口から食べていただくような努力をやっておりまして、経管栄養が90名中大体20名前後しかいません。2割ちょっとしかいませんので、あとは喀痰吸引、インスリン等でこれをカバーしている状況です。
(PP)
 3の次のいずれにも適合する者の占める割合が1割以上は、ここに書いてありますように、当院の対象者は大体16、17で、これは余裕を持ってクリアいたしております。1月から4月までに全退院患者数が16名でございます。そのうち、最期まで看取りをさせていただきました患者様が12名ございます。これは看取り率が75%、16名中12名になっております。非常に自宅に近い雰囲気の中で、最期まで家族に看取られながら穏やかな死を迎えることができたと大変御家族にも感謝されています。
(PP)
 これは外観でございます。60床の病棟でございます。
(PP)
 当院を設計した方の御意向で、できるだけ病院くささをなくしたいということがございまして、これは看護詰所でございますが、「おたずねどころ」になっておりまして、照明はお年寄りの気持ちが安らぐように間接照明を中心に使用しております。
(PP)
 これは別の角度から見た廊下でございます。
(PP)
 これも別の角度から見た廊下でございます。いろいろなものをこういう廊下に配置いたしております。
(PP)
 これもまた廊下を別の角度から見ております。
(PP)
 これはちょうど10人ずつのユニットの真ん中に、こういう和風空間を設置いたしておりまして、ここは、患者様の御家族、職員等、非常に多目的にいろいろな目的で利用されている状況です。
(PP)
 これは個室の中を写したところでございますが、この中にありますのは全部私物でございまして、この部屋はたまたま畳の部屋でございます。徘徊の激しい方、ベッドからしょっちゅうおりられる方に対しましては、安全を期して畳の部屋をつくって用意いたしております。
(PP)
 これは格子戸のある部屋です。この部屋は入り口が二重になっております。右側は直接部屋に入っていきます。ここに見えておりますたんす、椅子等は全部私物でございまして、患者様、御家族が御自分で持ってきておられます。
(PP)
 この部屋も同じで、ここに見えておりますたんすもろもろも全部私物でございます。
(PP)
 これもまた別の部屋で、同じような状況です。
(PP)
 当院の入浴設備は全部一人風呂でございまして、これは個浴です。
(PP)
 これはヒノキ風呂。
(PP)
 これは機械浴。
(PP)
 これはリフトで患者様を入れているところです。
(PP)
 これは浴槽タブで、そういうお風呂に入れている風景ですが、うちに来られたときに全身が硬直して、車椅子にも乗れないという方も結構あるものですから、そういう方もお風呂に何とかして入れてあげようではないかということで、いろいろなタイプの浴槽を用意して、必ずお風呂に入れてあげるということでやっております。(PP)
 こういう状況でございます。
(PP)
 最近、若い子が結構就職してきておりますので、そういう力仕事に役立ちます。
(PP)
 これはベッドから起こす風景です。ベッドも電動で上げ下げが簡単にできるようにしています。
(PP)
 これは看護師が吸引をしている風景でございます。
(PP)
 これは酸素をしているところです。酸素は、今、病棟に酸素の設備はいたしておりませんので、必要なときは、左に見えておりますように在宅酸素の機械をリースで借りてきて対応するということで、これは5リッターぐらいまでできますので、それでいたしております。
(PP)
 これは経管栄養をしているところであります。
(PP)
 これは、医師が病室で腹部エコーをしているところでございますが、簡単に病室でいろいろな医療行為が24時間いつでもできる状況であります。
(PP)
 これは食堂の食事風景ですが、できるだけ食堂で食事をしていただいています。
(PP)
 御家族もこういう場でございましたらしょっちゅう来られまして、付き添いで一緒に食べさせてあげることができる。
(PP)
 食形態をいろいろと工夫し、ソフト食とか、嚥下困難食、飲み込みがしやすいようにいろいろな工夫をやっております。
(PP)
 できるだけ、とにかくお風呂と食事を生きていく楽しみとして味わっていただきたいということでやっております。
 以上でございます。
 どうも御清聴をありがとうございました。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
 続きまして、猿原参考人から御発表をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
○猿原参考人 静岡県の浜松から来ました猿原です。
 本日は、貴重な時間をいただき、参考人として意見を述べる機会をいただきましたことに深く感謝を申し上げます。
 それでは、パワーポイントにした資料に基づいて御説明申し上げます。
(PP)
 医療法人社団和恵会は、全体としては、777床の介護療養型、老健を運営しております。理念についてはお手元に配付したとおりですけれども、品質方針の中で2番目の利用者様の「誇り」の尊重というところは、あくまでも拘束は絶対にゼロでいきましょうということと、それ以上にプライドを傷つけるような言動は慎みましょうということをうたっています。それから、安全、安心の提供ですが、この理念と品質方針については、毎日の朝礼の中で全職員が必ず唱和をしている内容です。
(PP)
 当法人は、人口80万の浜松に点在して配置しています。こういう法人をつくっていくときに、将来的にそれぞれの地域で一生を全うする時代になるという思いもあって、こういう浜松周辺を取り囲むような形で施設を配置してきました。
(PP)
 平成23年3月の不幸な大きな事故に対してです。
(PP)
 頭の中からは、どうしても安全、安心の提供を毎日うたっていることについて、非常に重い責任があるということを考え続けました。そこで、ちょっとここのところは飛躍しますけれども、将来的に人手不足が起きるだろうし、天災が発生した場合に、特に浜松、私どもの施設は、割合と海岸線に近いところにあることも影響して、どう安全、安心を提供していくのかということを考えるに至ったときに、ちょっと飛躍しますけれども、補助金を申請し、転換策に乗ることにしたということでございます。
(PP)
 転換策について補助金の額が年々少しずつ改善されてきて、私が申請したときは平成23年ごろですけれども、ここに書かれているような金額が提示されましたので、それを速やかに使って転換にしていくことにしたわけです。
(PP)
 転換に向かうに当たって、777床と冒頭に言いましたけれども、湖東病院309床を単独の介護療養型医療施設という形で運営していましたので、それをまず解体をして、24年4月1日には療養型介護老人保健施設として80床を別の場所に移してつくりました。
 その後、移した部分であいたところを解体しまして、新たに60床の療養強化型介護老人保健施設として増設をして、湖東病院と渡り廊下でつなぐようにして運営しています。
 このことによって、古いところは昭和56年につくったところですので、それを解体して新たにして、万が一震災が起きたときにも大丈夫なように、屋上に防災の備品類を集めてそこで対応できるように、付近住民が来た場合に、完全とは言えませんけれども、それに対応できるような備えをして建てかえをしました。
(PP)
 これは非常に簡単な計算なのですけれども、こうお金がかかったということを書いていますので、後々見ていただければと思います。
(PP)
 その次、229床のうちの60床を転換するときにも、こうお金がかかりました。
(PP)
 結果、病床を転換していったときに、売り上げが1億3,400万ぐらいと試算が出ていますけれども、これくらいの減収になる。その減収に対して耐え得るかどうかということが、踏み切るかどうかのきっかけになったと思うのですけれども、減収になってもやっていこうということでやりました。
(PP)
 ここでミスプリントが1つあります。下にありますけれども、療養型介護老人保健施設の看護師の「4:1」は「6:1」です。介護療養型医療施設、和恵会記念病院というのは認知症疾患療養病棟として精神のカテゴリーの中でやっていましたけれども、認知症疾患療養病棟を介護療養型に転換するということで、精神の病院であったときには、昔の計算式ですけれども、看護師の配置基準が4対1で25名の看護師がいました。それが6対1になって17名になることによって、そこの人件費が少し浮くことと、医師が3名必要でしたが、1名でいいので、そこの人件費が少し浮くという計算をして、先ほどの1億3,400万の減収から5,700万を引いた分の減収で済むだろうということで動き出しました。
(PP)
 介護療養型医療施設、認知症疾患療養病棟、この2つ、409床をそういう考えで解体していったわけですけれども、介護療養強化型Aという概念が右側のところに書かれています。これは先ほど有吉先生の御説明でもあったと思いますが、これを目指してやっていこうと。
(PP)
 入所者の平均年齢とかというのは、今までいろいろなところで報告されているデータとほぼ同じだと思います。
(PP)
 入所者の性別についても、7割が女性というデータだと思います。
(PP)
 入所者の要介護度については、若干従来型老健よりも介護療養型医療施設療養強化型Aについては、要介護5あるいは要介護4において差異が見られる。療養強化型老健あるいは転換型Aにおいては、要介護度の高い人が対象になっているところです。
(PP)
 入所者の障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)においても、転換型老健も介護療養型Aも重い方々を見ているという我が家の分析です。
(PP)
 認知症高齢者の日常生活自立度についても、認知症の状態の4からMの状態については、やはり転換型が見ている。和恵会ケアセンターはもともとは認知症疾患療養病棟という精神でしたので、そこではMの状態という方をより多く見ているという調査結果です。
(PP)
 入所経路については、一般病床、病院から御紹介をいただいている方がかなり多くて、そのほか、療養強化型介護老人保健施設においては、ほかの老健からの紹介をいただいているケースも多いということです。
(PP)
 退所経路については、従来型老健では結構一般病床に行く。従来型老健の白脇ケアセンターは100床ですけれども、一般病床へ行くケースが結構多いのですけれども、介護療養型、療養強化型Aにおいては、死亡退院が圧倒的に多い結果になりました。
(PP)
 これは、救急搬送された人たち、救急車を呼んだ回数を単純にカウントしていまして、骨折、それ以外という分類になりますけれども、完結型の療養強化A型においては余り救急車を呼んでいないし、療養強化型介護老人保健施設の湖東ケアセンターは、湖東病院と渡り廊下でつながっていることもあって少ない。これは去年1年間の当法人の記録をそのまま書きました。こういう特徴があると思うのです。
(PP)
 我々は、いわゆる加齢現象の中の一番最後のところをつかさどっているという認識で日々働いています。
(PP)
 医療法人社団和恵会は、職員などの教育にも使うのですけれども、前半のところではQOLを高める動き、そういう仕事をし、最後ではQODを高めるという仕事をするということを、粟田先生のエイジングに関する指標をお借りして、そこに我々の事業を当てはめて職員の理解を得る資料としてつくりました。一番最後の時期を担っているという自負を持っています。
(PP)
 地域包括ケアはこれからどんどん進んでいくのでしょうけれども、縦軸と横軸となっていて、縦軸では高度急性期、急性期医療、回復期医療があって、在宅、最後のほうに慢性期医療、介護施設、介護サービスと書かれて縦軸になっていますけれども、これを私が属している日慢協の会長の武久先生が口を酸っぱくしておっしゃっていますが、慢性期医療がしっかりしないと上の諸々が壊れてしまうという意識でこの図を出しました。
(PP)
 最後になりましたが、まとめとして、地域包括ケアシステムの中での役割の明確化。
 看取り機能をしっかりしておかないと、これから不審な死がふえるのではないか。そのことによって、日本人のアイデンティティーが傷つくのではないかというおそれ。したがって、この看取り機能をしっかり担保できる介護療養型という考え方は非常に貴重なものだと考えます。
 重症の認知症対応能力を高めるということで、認知症に対しては、ともかく第1、第2もケア、キュアではなくてケアから入るべきだという考えを持っていますので、そういうところでも介護療養は役割を果たしている。
 相談機能の向上は、地域包括ケアシステムの中においての横軸の役割の中に我々も存在理由があると思っています。
 地域連携の強化。
 災害時対応は、老健としても介護療養としても、それぞれの地域において地域住民が災害に遭ったとき、被災したときに、少しは助けになる行動がとれると思います。
 要望としては、介護職員の増員、適正な評価、転換に係る費用への補助強化、介護報酬での評価をいただきたいと考えています。
(PP)
 御清聴をどうもありがとうございました。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
 最後に、矢野参考人からの御報告をお願いしたいと思います。
○矢野参考人 東京都調布市にあります多摩川病院の矢野でございます。
 本日は、「当院における医療療養病床の現状と今後の方向性」というテーマでお話をさせていただきます。
(PP)
 多摩川病院は、回復期リハ病棟58、地域包括ケア49、医療療養病棟の入院基本料1が60床、全て入院料、入院基本料は1でございまして、167床でございます。
(PP)
 多摩川病院は平成22年10月に平成医療福祉グループの傘下になりまして、法人名を現在の医療法人社団大和会に変更いたしました。当時は167床全てが介護療養病棟でありました。約1年かけまして段階的に病棟転換を行いまして、平成23年10月に全て3病棟を医療療養病棟に転換したのであります。
 次の段階として、平成25年8月に47床を回復期リハ病棟に転換、翌9月に残りの120床の医療療養を全て20対1に転換しました。
(PP)
 平成25年10月に私が理事長に就任いたしまして、翌26年4月に在宅復帰機能強化加算の算定を開始いたしました。
 7月に医療療養病床の一部、23床を地域包括ケア病床に転換いたしまして再編成をいたしました。
 その後、平成27年1月に回復期リハの入院料1、27年4月に地域包括ケアの入院管理料1を取得、11月に病棟のリニューアルをいたしまして、現在の60、49、58に再編成して、全て基本料は1を算定しております。
(PP)
 60名の医療区分とADL区分ですが、医療区分2、3患者の割合が88.3%、区分3が27名、2が26名でほぼ同数でございます。
(PP)
 状態像を示しましたが、医療区分3相当では、中心静脈栄養が40%、区分2相当で一番多いのは喀痰吸引(8回以上)で、ほかの状態像はスライドのようになっております。
(PP)
 医療区分1該当患者の中にも、認知症4、JCS30、低アルブミン血症などの一定の重症患者が含まれております。
(PP)
 治療中の疾患、病態では、急性疾患発症後の廃用症候群にも積極的にリハビリを実施しまして、多彩な病態に対する慢性期の治療機能も十分に発揮しております。
(PP)
 経口摂取不能例が非常に多いのですが、STの実施率がPT、OTに比べると低くなっております。嚥下機能の改善が期待できない症例がどうしても多いわけであります。
(PP)
 重症度、医療看護必要度A項目の割合ですが、創傷処置、褥瘡処置が15%、次いで呼吸ケアが10%となっております。
(PP)
 医療提供、看護提供の頻度では、約40%が医師による週2~3回以上の指示管理が必要な患者。看護の場合は、定時の観察だけではなくて1日に頻回の観察管理が必要な患者が約半数になっております。
(PP)
 入院元の内訳では、高度急性期、一般急性期からのいわゆるポストアキュートが71.5%、自宅、特養のサブアキュートケースが23.9%となっております。
(PP)
 退院、転院先は、全病棟の合計人数ですが、自宅退院が59.1%で、死亡退院は13.6%となっております。
(PP)
 職員種別ですが、常勤医師が7名、ほかの病棟とか外来をサポートする非常勤医師、当直医も含めて34名で構成しております。
 リハビリスタッフは合計61名で、全常勤職員に占める割合は29.6%、回復期リハがあることでほかの病棟にもよい影響を及ぼしていると考えます。
(PP)
 医療療養の病棟指標でございますが、在宅復帰率、病床回転率ともに基準を楽々とクリアはしていますが、平均在院日数はさらに短縮を目指していかなければならないと考えております。
(PP)
 病棟転換のインセンティブが必要でありまして、病院とは長期療養する場所ではなく、治療をする場所であるという考えに立ちまして、介護療養から医療療養病棟への転換を実現してきたわけでありますが、入院患者が非常に多様化、重症化して、紹介患者がふえて、診療の質が上がって、地域の信頼獲得、経営の安定化と非常に良いサイクルを生み出したと思います。
 回復期リハを開設したことによって、回復させて自宅、在宅系に帰すという充実感といいますか、喜びを共有できたことで、病院本来の機能を再認識させました。
 ただ、医療療養は120床あって、かなり重症化の一方で、病院本来の機能、治して地域に帰すという意識がちょっと希薄化していた部分がありましたので、ややハードルは高かったのですが、地域包括への転換を目指すことにいたしました。それでまた意識、診療の質を向上させまして、収益も増加という良好なアウトカムを得たと考えております。
(PP)
 平成医療福祉グループは、診療の質の向上に向けまして、グループ内共通電子カルテとか、統一独自マニュアルの作成、整備、診療適正化のための症例監査制度のIT化を行っておりまして、診療の質の担保は一番重要であって、これは慢性期、急性期を問わないと考えております。
(PP)
 地域包括ケア病棟への転換を意識して、かなりハードルが高かったのですが、諸々の活動をしたことで、結果的に全病棟における診療の質が向上いたしまして、正の効果がたくさん得られたと考えております。
(PP)
 急性期から患者の受け入れのポストアキュート機能が当院は中心でございますので、当然在宅復帰機能強化加算は必要でありますが、在宅系患者の急性増悪のサブアキュートの機能ももう少し強化していかなければならないと考えております。
 ただ、地域包括ケア病棟の転換は、療養からは一般的にハードルが高いので、医療療養は地域においてどんな存在意義を持っているかということを考えますと、重度長期慢性期患者、ターミナル患者、日常身体合併症に対するかなり質の高い医学的管理の需要が依然としてあると考えております。
(PP)
 当院は今後も重症患者を積極的に受け入れまして、3病棟の特色をフルに活用します。
 地域包括は、ポストアキュートとサブアキュート、在院日数60日以内のケース。
 回復期リハは、ポストアキュートのみですけれども、在院日数算定期間内のケース。
 医療療養は、やはり多彩な病態のポストアキュート、サブアキュートに対応して、特に在院日数が長いケースで、重度長期慢性期機能、上の2つの病棟の受け皿機能も必要です。それから、在宅復帰が不可能な例のターミナルケア。ただ、終末期の定義を明確化して、しっかりとした医療をやっていくことを特に強調したいと思います。
 患者、診療の質、採算性、この3つをしっかり確保することが病床運営の基本です。診療の標準化、リハビリ機能の充実が必須でございます。重症度、医療看護必要度、DPCデータも常にチェックしていかなければなりません。
(PP)
 慢性期の医療、介護ニーズに対応するための体制ですが、医療区分1該当患者でもかなり不安定な方がたくさん存在しますので、医療の外づけ、オンコール体制はハイリスクである。最低限、同一施設内にすぐ駆けつけることができる当直医師の存在は必須ということで考えますと、医療機能を内包した施設系サービス(案1-1、1-2)が理想的であると、個人的には考えております。
 医療機能がある程度整理されて、介護ニーズのウエートが医療療養より高い施設系サービス、Skilled Nursing Residence、SNRと命名しておりますが、これは院内施設の責任者は医師以外で、例えば、特定行為研修を修了した看護師などを想定しております。
(PP)
 いずれにしても、急性期、慢性期を問わず、全ての病院病床は「病気を治療して退院させる」機能を整備しなければならない。
 病院はより病院らしく、施設はやはり施設の特色をということが大事だと思いますので、特に地域包括ケアネットワークの中で、特に医療療養と地域包括ケア病棟は慢性期治療機能をさらに強化していくことが大事だと思います。
 大事な要素は、診療の質の向上です。
 今後の体制では、案1-1と案1-2の新設が理想的でありまして、これは高い介護ニーズへの対応を基盤として、容体急変のリスクがある患者への対応、看取り、ターミナルケア機能の強化などを特色としたほうが良いのではないかと考えます。
 以上でございます。
 ありがとうございました。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの発表に関連しての質疑応答あるいはより幅広い療養病床の在り方についての御意見等も含めて、御自由に発言をいただきたいと思います。挙手をお願いしたいと思います。
 吉岡委員が最初に手を挙げられておりますので、まず、吉岡委員にお願いいたします。
○吉岡委員 部会長、お願いなのですが、実は私は委員の特権で介護療養病床の在り方の1つをきょうは持ってまいったのですけれども、この説明を先にしていただいてよろしいでしょうか。
○遠藤部会長 これは私も拝見いたしまして、ここで配付することに承諾をいたしましたので、手短であれば結構でございます。
○吉岡委員 9分くらい。
○遠藤部会長 できるだけ手短にお願いしたいと思います。
○吉岡委員 早口で話します。
 医療区分1は社会的入院ではない。
 今、療養病床の患者の状態について、医療区分を用いて話がなされる。介護療養型医療施設には医療区分1が多い。そういう軽い患者、社会的入院が多いのだから介護療養型医療施設は介護施設でよい。介護施設でよいのだから、医者も看護師も減らしてよい。そういう短絡的な話になっていないか。しかし、医療区分というものだけでは正確に患者さんの重さ、医療の必要性は表現できない。この表は、平成18年、介護療養型医療施設の廃止政策が実施され、時を同じくして医療保険の療養病床に医療区分が導入された際、厚生労働省が作成した資料である。
 御存じのように、医療区分は1から3になるに従って重いとされる。ADL区分とは、日常の生活動作がどれくらいできるかの評価である。ここで、ベッド上でどれぐらい動けるか、ベッドから椅子や車椅子にどのように移動することができるか、食事やトイレをどうしているかなどの4つの項目で評価している。重い障害がありできることがなければ3、軽い障害があれば1である。
 この表の赤い文字の部分をごらんください。医療区分は3であってもADL区分が1である患者、医療区分が2であってもADL区分が2あるいは1の患者よりも、医療区分が1でありADL区分が3である患者のほうが医療処置を必要とする時間が長いのである。左上の26.4というところです。
 介護療養型医療施設は、入院患者の平均要介護度が4.4.である。最重度の5である患者が半分以上を占めている。ADL区分で言えば3に相当する。あるいは、仮に2であってもより3に近い評価の患者が大勢入院している。つまり、介護療養型医療施設に入院している患者は、たとえ医療区分が1であっても、重介護であり、病状的には不安定で、医療区分2や3でADLが軽い人よりも医療的管理を多く必要とする人が多数存在するということである。これは私たちの現場の実感と一致する。
 私たちが現場で何をしているか。5つの基本的ケアの徹底化。
 私たちは、まず、この方たちに人間らしい生活をしてもらうためのケアをする。自分で起きたり歩いたりすることのできない患者さんには、起きてもらい、移動を介助で行う。できるだけ人の気配のある、ほかの患者やスタッフとの交流が持てるデイルームなどで過ごしてもらう。認知症の重い患者さんは自分で水を飲むこともできない。水分補給も気にかけて定期的に行う。食事も安易に管からの栄養補給に頼らず、できるだけ口から食べていただく。時間をかけてもそのほうが味を感じ満足感を得やすいし、体全体を活性し、人間にとっては自然である。
 尿意、便意がなくても、その排泄パターンを把握して、おむつになるべく頼らずトイレに誘導しトイレで排泄してもらう。清潔にも配慮する。下着が汚れれば取りかえ、おむつがぬれればできる限り早く取りかえる。そのまま長い時間放置することはかぶれや感染症を起こす原因となる。それだけではなく、人としての尊厳も失わせる。少しの発熱があっても医師と相談してお風呂に入ってもらってさっぱりしてもらう。口腔のケアも肺炎予防には欠かせない。特殊な吸引機能のついた歯ブラシで唾液や痰を吸引し、これらを誤嚥することを防ぎながら口の中を清潔にする。
 レクリエーションやアクティビティープログラムも提供して参加してもらう。あるいはその方だけの好みに合わせた特別のプログラムを用意する。どのようなものでも楽しい、集中できる時間を持つことは、無為の時間による問題行動の発生を減らし、また、生きる力を回復させる。
 さらに、私たちは患者の改善を図り、あるいは病状の悪化を防ぐために、必要なことをして、24時間患者を見守っている。
 例えば、経管栄養で入院された方に、もし食べられる可能性があればチャレンジをする。嚥下機能を評価し、覚醒を促し、食事に適した姿勢をとり、食事の形態を考え、スプーンを入れる角度を考え、嚥下の反応を見て、食事がちゃんと食道に入っているかどうかを確認する。誤嚥も窒息も、朝、昼、晩、いつでも起こり得る。食事のときだけではない。非常に筋力が衰えた状態、認知症も末期となり脳内にいろいろな変化が生じた段階では、自分の唾液を誤嚥してしまうこともある。何度も肺炎を繰り返すのだが、肺炎のサインをいかに早く察知して重症化することを防ぐかが生死の大きな分かれ目である。
 老衰が極限に来た方には、栄養も行き渡らず、痩せ衰え、褥瘡ができやすい。一度できたらなかなか治らない。小さな発赤も見逃さずすぐに処置をする。どのような苦痛の少ない看取りができるのか。家族を含め、皆で話し合いながらとれる手だてをとっていく。
 ちょっとこの写真を見ていただきたいのですが、身体拘束の問題です。皆さん、これらの写真を見てどう思われますか。
 介護保険法では原則身体拘束は禁止されている。しかし、現実には入院している患者さんのうち12%が身体拘束を受けている。
 身体拘束をしないためには、暴力や介護拒否があっても、患者さんを混乱させないように丁寧に接していかなければならない。徘徊のある人に付き添うことが必要なときもある。経管栄養や点滴をするときには、抜かれても事故にならないように近くで見守る。ふいに立ち上がったり、ほかの患者さんに迷惑をかけたりしている方についても同じである。向精神薬を使い過ぎればお年寄りはふらついて足をとられ、転倒骨折をしたり、あるいは誤嚥の原因となる。ひどいときには悪性症候群で亡くなることもある。向精神薬の過剰な使用、科学的抑制に陥らないためには、少量の向精神薬にとどめ、その効果と副作用を医師と看護師でモニタリングしなければならない。当然だが、身体拘束をしないこと、患者さんの人権、尊厳を守るためには人手はかかるのである。
 次に、転換型老人保健施設との比較。
 かつて厚生労働省は介護療養型医療施設を廃止し、このタイプの老人保健施設に転換させようとした。上記の表は、介護サービス情報公表システムを使って検索できた転換型老人保健施設59施設の資料を独自にまとめ、介護療養型医療施設と比較したものである。この59施設以外にも転換型老健はあるのだろうと思うが、検出できなかったのでお許しください。
 転換型老人保健施設では介護療養型医療施設に比べて医師と看護師の数が大幅に減っている。介護療養型医療施設の医師数は外来などを担当している人数も含まれると思うので、差はもう少し小さいはずだが、それにしても大幅に減っている。この人数で日勤の医師を週7日間置くことで精いっぱいで、夜間はほとんど配置できないはず。それらの結果と言えると思うが、退所先として医療機関に行く人が15%、施設内で看取る人の数が14%減っている。また、利用者の要介護度も軽くなっている。
 頑張っている転換型老人保健施設はこうではないのかもしれない。今までと同じような状態の人を引き受け、病状の悪化にも何とか施設内で対応し、施設内でできるだけ看取ろうとしている転換型老人保健施設も幾つか存在するのかもしれない。しかし、全体としてこのような施設の仕組みとか人員配置をいじれば、同じような患者を診て、同じような対応をすることはできなくなるものである。
 最後に、私は介護療養型医療施設の理事長でもあり、現場のスタッフの様子を見ている。スタッフは、患者さんにきめ細かく看護とケアをすることを目標にして、日夜、労をいとわず働き続けている。時には暴力や介護拒否のある患者さんにたたかれながらも、身体拘束を廃止し、事故防止に神経を使い続けている。このスタッフたちのマンパワーを減らして、これ以上の負担を強いることはできない。
 療養病床の在り方の議論は、現場でケアを受けている患者、現場で働くスタッフの思いや視点なくして進めてはならないと思う。
 私は安易な人員削減や、介護施設化には断固として反対する。
 御清聴をありがとうございました。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 それでは、先ほどの自由討論に戻りたいと思いますけれども、せっかく3参考人からそれぞれ特徴のあるケースの御紹介がありましたので、それを中心とした質疑あるいは議論が非常に効果的かと思います。もちろん議論の範囲を強制はいたしませんけれども、主にそういう議論がきょうはできればいいと期待しております。
 それでは、どなたか。
 鈴木邦彦委員、どうぞ。
○鈴木(邦)委員 お3方とも先進的な医療介護に取り組んでいらっしゃることがよくわかりました。
 お3方にそれぞれ少し質問があるのですが、まずは最初に発表された有吉先生でございます。
 有吉先生のところは、全個室ユニットケアの介護療養型医療施設として昔から非常に有名なところでございます。改めて介護の質も高いと感じました。
 質問が幾つかございます。
 1つは、今回の特別部会は前の検討会を引き継いでおり、介護療養病床、介護療養型医療施設の廃止をどうするかということになっているわけですが、これについてどのように思っていらっしゃるのか。先生のお考えを聞かせていただきたいと思います。
 廃止か存続かという場合、介護療養型医療施設の先生方は、よく病院として残りたいとおっしゃるのですが、なぜ病院である必要があるのかも教えていただきたいと思います。それが2つ目です。
 3つ目は、今回、前回の検討会を引き継いで、新類型が2つ提案されておりますけれども、これについての評価を教えていただきたいと思います。
 4つ目として、先生のところは、医療療養は20対1ですけれども、25対1の医療療養の廃止も検討されているわけですが、これについてはどのように思っていらっしゃるのかということです。
 5つ目、最後ですけれども、療養病床以外からの転換を進めてはどうかという意見もあるのですが、これについてどう思っていらっしゃるのか。
 以上5点、お聞きしたいと思います。
 質問を先にお話しさせていただきますが、次に、和恵会の猿原先生に質問がございます。
 先生のところはたくさんの病床をお持ちでいらっしゃることがわかりました。1つは、先生のお話の中で、療養型老健と療養強化型老健と2通りおっしゃったのですが、これは両方とも介護療養型老健のことなのか、確認をさせていただきたいという質問が最初にございます。
 その次は、同じように、先生も病床としては介護療養病床ですので、介護療養病床廃止についてどう思われるかです。
 それと、介護療養型老健を国が推進しようとしたにも拘わらず、転換が進んでいない、実際におやりになっていて、何が問題点なのか、先ほども少しお話しされましたが、改めて聞かせていただければと思います。
 介護療養病床の廃止についてどう思うかということですが、先生の御意見として存続を希望される場合に、なぜ病院である必要があるのかを教えていただきたいと思います。
 4つ目としては、新類型が2つ提案されております。この評価をお聞かせいただきたいということです。
 同じように、5つ目に25対1の療養病床の廃止をどう思うかということがあります。
 6つ目も同じですが、療養病床以外からの転換をどう思うかについて、ご意見をいただきたいと思います。
 最後に、矢野先生でございます。先生のお話を聞いていると、武久先生の話を聞いているのと全く同じ感じがいたしますが、それぐらいグループの考え方が統一されているのはすごいと改めて思いました。
 先生の場合は今回の対象となっているところのような方向ではなくて、地域包括ケア病棟や、回復期リハビリ病棟など、むしろ病床としては機能を強化していく方向ですので、今回の話とは少し方向性が違うのではないかという気もします。先生は、医療療養を内包した新類型の提案、案1-1と案1-2が理想的だというお話をされましたが、前のお2人の先生方の話を聞いても、介護療養病床は介護の手が必要で、かつ、医療のニーズがある方が入っていらっしゃるということですので、新しい類型において、介護療養病床よりも医療面、介護面で機能を落としていいのかどうか。これについて先生のお考えを聞かせていただきたいと思います。
 また、転換となりますと、既存の病床の場合、6.4平米の多床室が多いと思うのですが、その転換をどのように考えていらっしゃるのか、住まいという話ももう一方ではあるわけですけれども、それをどう考えたらいいのか。これは検討会でも議論になったところでございます。
 もう一つ、4つ目としては、療養病床以外からの転換をどう思われるかです。これは同じ質問でございますが、御意見を聞かせていただければと思います。
 以上、よろしくお願いします。
○遠藤部会長 非常にたくさんございましたけれども、参考人の方々、今の御質問で、今は頭が整理されていないので意見が言えないというものであれば、そのように率直に言っていただいて結構でございます。答えられる範囲で結構でございます。
 まずは、有吉参考人からお願いします。
○有吉参考人 ただいまの御質問で、私が考えておりますことの範囲で私からお話しさせていただきたいと思います。
 最初の御質問でございますが、私どもがいわゆる医療機関として24時間医療看護を提供することがどれほど大変なことなのか。これを提供するためには、例えば、医者でも最低4人以上はどうしても要るわけです。そういったことで、24時間医療看護を提供することの必要性をよく御理解できていないのではなかろうかと。
 例えば、特に看護にいたしましても、24時間訪問看護ステーションが十分に機能いたしませんね。あれにしましても、看護師さんをきちんと24時間いつでも夜勤を含めまして配置するというのは、実際の法定数だけでは足りません。だから、どうしてもいわゆる加配という形になるわけですけれども、それだけの数がいないと、みんな休暇をきちんととりますので、1人の看護師さんでも実働は月に20日から22日ぐらいしか働いていない状況なのです。それは介護士でも同じです。そういう状況で、ここのところをよく理解していただきたい。
 医療が24時間必要ないから医者は少なくていいのだということにはならない。なぜかというと、私どもが、今、提供しておりまして、患者さんが非常に安心されるのは、本当に医療が必要になったとき、これは重介護の方はいつ医療が必要になるかわかりません。なったときにいつでも自分の身近に医療があって、いつでも迅速に対応していただけるという安心感、これが日々の生活、そこで暮らしていく上で大変大きな気持ちの安らぎを与えていると私は思っております。
 そのために、私はこの24時間医療看護を提供することの大変さをぜひ御理解していただきたいと思っておるところで、これは1と2とほぼ共通してございます。
 この前に提供されました案1と案2でございますが、私は案1が現実に私どもが提供いたしております機能強化Aに近い考え方ではないかと個人的には思っておりまして、これは実際にこの案が出ましたときに、私どもは、今の現状をある程度評価していただいているのかなと思いました。
 その次の医療療養2の25対1の問題でございますが、私は個人的にはいわゆる社会的入院は介護療養型にはないと。介護療養は、先ほど私どもでも御説明いたしましたように、重介護、要介護4、5しかいません。
 まず、入ってくる段階で選別されているわけでございます。ところが、医療療養の場合は医療区分1の問題と、皆様方も御承知のように、急性期の問題。
 急性期が、医療看護必要度は今度は15%から25%以上になりましたけれども、これも武久先生がよく言われているように、75%なり85%は元気な方でもいいではないかと、そういうところに逆に言えば社会的入院と言われるものが、私は個人的にはあるのではないかと。私どもは、医療療養1をやっておりますが、今は1でも非常に回転が速い。56床で多いときは月に30人の入退院があります。30人がありますと、平均在院日数は56日になってしまいます。
 この医療療養1がかなりのことをカバーいたしておりまして、私どもとしては、医療療養のところは36床、個室ユニットにしておりますので、療養環境からいけば、緩和ケアとかがん患者さんがたくさんお亡くなりになっているのです。急性期からがん患者さんのターミナルを診てほしいということで来られる方も多くおられます。そうしますと、70万円程度の医療費でホスピス的なケアをきちんとやって、対応できている。御承知のように、ホスピスの場合、最後の1カ月間は医療費としては150万円ぐらいかかります。
 だから、私は医療療養1がかなりの機能を果たしているのではないかと。急性期にまた送れば回復できて、もう一度うちに帰ってくる可能性がある患者様以外は、急性期には送りません。今は医療療養1が亜急性期機能に近いものを有していると思います。一般病床からも医療療養1に入ってきても本当はいいのではないかとは個人的には思っております。
 そういうことで、先生、よろしいでしょうか。
○遠藤部会長 あと一つ、現在の療養病床以外のところが転換するという。
○鈴木(邦)委員 療養病床以外というのは、新類型への転換についてですけれども、どうお考えでしょうか。
○有吉参考人 私のところの場合でございますか。
○鈴木(邦)委員 一般的にです。
○有吉参考人 私は、個人的に新類型の案1、2を中心として考えていただけたら一番いいのかなと。転換老健につきましては、先ほどの猿原先生のお話も聞きましても大変な御苦労をなさっておりますし、我々が最初にこういうことに反対したのは、1カ月に10万円を減らされたわけです。転換老健にしますと、1カ月の診療報酬が10万減るような診療報酬でございましたので、こういうことで経営が成り立つわけはないということで、やはり猿原先生もそういう現実的な運営の実績を見せていただきましても、そのようなことに通じているのではないと私は思っておりますので、できますれば、案1、2あたりを中心とした議論をしていただければ。
 それ以外の類型はいろいろと議論された上でのことだと思いますし、さらに新しい類型を何か出してくるのは大変難しい状況だと思いますので、私は個人的にはそのように思っております。
○遠藤部会長 申しわけございません。ちょっと質問の意図が。
 要するに、新類型をつくった場合に、その新類型に移るのが、現在、療養病床をやっているところだけに限定するか、そうでないところも含めるかという御質問でございます。
○有吉参考人 わかりました。
 それは、私は一般病床から含めて、もし可能であれば移れるようにしていただいたほうがよろしいのではないかとは思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 鈴木委員、どうぞ。
○鈴木(邦)委員 先生の場合、転換したいところは新類型に転換していって、介護療養病床は病院としてそのまま残すべきだというお話ですね。
○有吉参考人 先ほど言いましたように、24時間医療看護をきちんと保証する形におきまして、私は病院として残していただいたら一番いいと思っております。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 それでは、質問が2番目にありました猿原参考人、いかがでございましょうか。
○猿原参考人 私はずっと介護保険に立脚して法人運営をしていますので、医療の療養病床については疎いので、余りお答えすることはできないかと思いますが、25対1については、仲間の25対1の病院の先生方に聞くと、みんな20対1にするという話は聞きますので、そういう方向で動くのかなという感じだけです。
 先生に対するお答えにはなっていないかもしれませんが、そういうところが介護の療養、いわゆる転換型の老健とか、新類型のところに来るという話については、仲間のところから聞いていると、50床病院クラスの規模のところだと、19床診療所にして、運営を新類型の形の在宅にしていくという、私から見ると夢物語のような話は漏れ聞きます。それ以上の知識は私にはありません。
 先ほど先生から療養型老健だとか、療養強化型老健だとか、療養機能強化型Aだとか、既存老健だとか、いっぱい言葉が出たというお話をいただきましたけれども、それについては、スライドの11番目に若干その説明をしていますので、そこを見ていただければと思います。
 それから、病院になぜこだわるのかということなのですけれども、私も不確かですが、48対1、100名につき3名、最低限の病院と名がつくところがそういう病院であると定義されていると思いますので、そこに立脚して法人を運営している。
 ただ、病院にこだわる一番の大きな理由は、夜間に医者がいることなのです。夜間に医者がいることはなぜ大事なのかというと、私は当法人で死亡診断書を1年間全部分析していって、そこに死亡時刻と記載されている時間帯を分析したことが何回かありますけれども、やはり深夜、早朝という時間はどういうわけか死亡退院が多いのです。そこのところに医者がいないと、医療従事者、一番は看護師が困ってしまう。
 看護師が老健からやめていく理由として、深夜に死亡したときに、それを誰が死んでいると判断するのかというところで、看護師に負担が来るとそれはかなり重荷になってやめたという形でやめていってしまう。
 そこのところの医師の確保は病院の最低の基準のところで確保できるので、そのときに医師がいて、死を看取って、しっかりした公文書の死亡診断書を書いて、その死に対してエビデンスを持たせることができる最低の基準が介護療養型医療施設です。これは非常に安価にできていて、そのことによって日本人のアイデンティティーが保てれば、これ以上のものはないという考えで、私は、介護療養型は今のところ169床が残っていますけれども、手放す気はない。
 移転をして、全部で330床の老健をつくりましたけれども、そこには330床もあるので、死亡退院も多いので、しかも死亡する人はどういうわけか深夜、早朝帯が多いので、そこのところには、義務ではありませんけれども、当直医を置いています。必ず当直医を置いて、渡り廊下で330床と移動ができますので、その渡り廊下を使って、そこで死に対しては必ず医師が立ち会うようにしています。
 100床、100床の単独型の老健がありますけれども、そこは当直医がいません。いませんので、結構搬送するケースが多いと思います。そういう意味で、先生に対するお答えになっているかどうかわかりませんが、介護療養型医療施設にこだわる理由は、第一義がそこです。
 しかし、そうはいっても、時代の流れとともにどういくか、この特別部会の議論がどういう形に進んで、11月にどういう結論が出るのか。その結論を見てまた私の考えを変えたいとは考えています。
 なぜ全て介護療養型にしたのかというのは、私は当部会の委員の吉岡先生が立ち上げた老人の専門医療を考える会に40年ほど前に入ったときに、ともかく高齢者の医療に対してのやり過ぎは控えましょうという、そこの反省から出来高の医療に反対してきたので、その考えが根底にあります。介護保険の一番いい制度は、介護度は認定審査会で全く別のところで決められてくる。要介護4とか5とか、そこに来られた方に対してどういう医療、どういうことをしなければいけないかというのは医師が判断して、それは法人側が全ての治療を持ち出しで提供できる。ここには出来高の思想は入らない。それが介護保険のすばらしいところだと思って、私は当法人が運営するものは全部介護保険に立脚してやっています。
 そういうことで、老人保健施設は、東会長がいて申しわけないのですけれども、夜間の限界があるし、そういうところを払拭してくれるのが介護療養型医療施設で、これは残していただければ、国としては助かる話ではないかという気がしますけれども、それがどういう方向で転がるか、その転がり方を見ながら今後のことは考えたい。
 ほかのところが参入してくるのは、一向に構わないのではないですかという感じです。
 6.4平米を8平米にするのはかなり苦労しました。苦労して、6.4平米の4人部屋を3人部屋にしましたけれども、とってつけたようなそういう病室は使い勝手が非常に悪いです。しかし、そうしなければ許可にならないので、既存の6.4平米のまま一時期残していただければ、それは法人を経営する側にとっては非常にありがたいことです。
 よろしいでしょうか。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 鈴木委員、手短にお願いします。
○鈴木(邦)委員 確認をさせていただきたいことがあります。
 1つは、介護療養型老健の問題点です。それをもう一回確認させていただきたいことと、25対1の医療療養についてのお考えももう一回確認させていただきたいと思います。
○猿原参考人 25対1は、私は運営したこともないし、やったことがない。仲間内から聞くと、20対1にするという話は聞くので、そういう方向で行くのかなと。それが我々のところに来ることを拒むかというと、私は老健に入ってくるのは別に拒まないというところですかね。
○鈴木(邦)委員 介護療養型老健の問題点はどうでしょうか。
○猿原参考人 介護療養型老健の問題点は、先生、医療系スタッフが少しは欠けてくるので、転換した老健では入所者の基準が厳しいですね。看取りをやれとか、11ページに書いてあるように、かなり基準が厳しいので、そういう厳しい人を対応しているときに、今、看護師の数は6対1ですけれども、これはやはりちょっと少ない気がします。
○鈴木(邦)委員 転換型老健の話ですが。
○猿原参考人 転換型老健も少ないと。
○鈴木(邦)委員 それで、うまくいかなかったということですね。
○猿原参考人 そうです。うまくいかなかったというか。
○鈴木(邦)委員 転換が進んでいないということですね。
○猿原参考人 それが、結果、転換が進んでいないと。
○鈴木(邦)委員 先生のようにたくさんお持ちのところはほかにもいろいろとできるかもしれませんね。
○猿原参考人 だから、100床単位で転換型を進めるときに、夜間に医師の当直はなくなりますので、そこのところでどうやって看取りをやっていくのかというところがあやふやになるから移れないという話は聞きます。
○鈴木(邦)委員 わかりました。
○遠藤部会長 大分時間が押しておりまして、いろいろな人の御意見も聞きたいと思いますので、最後、矢野参考人、御発言いただければと思います。
○矢野参考人 先ほどの鈴木先生の御指摘の新類型を機能面で落としてよいのかということですが、結論から言うと、落としてはいけないと思います。どう考えればいいかというと、まず、今、介護療養でやられている方はできる限り医療療養に移っていただく。強化型AとかBはかなり医療機能も高いですので、医療療養に移っていただければと。
 ただ、25対1はできるだけ20対1になっていただいて、その新類型の案1-1、案1-2の併設医療機関は最低でも医療療養20対1以上というものを守れば、ある程度、転換できなかったと言うとちょっと言い方が悪いですが、介護が主体のほうを院内施設にすれば、そんなに機能面では落ちないのではないかと考えております。
 療養病床以外からの転換に関しては、ほとんど問題はありませんので、あまり医療機能が高くなければ、一般でも急性期でも移ることは可能だと思います。あくまでも名前とかどこから移るとかということではなくて、今の医療機能、医療と介護のバランス、そういうものをそれぞれが考えて機能別に転換していけば、おのずと分かれてくるのではないかと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 鈴木委員、どうぞ。
○鈴木(邦)委員 ほかからの転換を認めることになると、地域で肝心の療養病床の転換が進まなくなりませんか。例えば、新類型に、医療保険でも介護保険でも、枠ができたとしたときに、順番として療養病床からの転換を最優先にしないと、それが進まないうちに、ほかからどんどん転換が進むということが起きないかと懸念しているのですが、いかがでしょうか。
○矢野参考人 かなり地域によって療養病床の数も違いますし、療養病床が担う機能もかなり違うので、そこら辺のところは、療養病床がある程度今の急性期機能を担えるところは、どうしても一般と療養、地域包括はある程度競争になりますので、そこは各地域で解決していくしかないのではないかと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 ほかにございますか。
 武久委員、どうぞ。
○武久委員 私は日本慢性期医療協会の会長をしておりますので、当事者の一員でもございますけれども、一番最初に問題になるのは、病院病床というものはどういうものかという定義です。もう一つ、ターミナルとはどういう状態をターミナルというのか。それが決まらないと何も進まないのです。これはどちらかというと厚生労働省から示していただかないといけないのですけれども、我々現場では、2、3年前、ターミナルという人に胃ろうをしたら3年も4年も生きておってけしからぬということを聞いたことがありますが、胃ろうをして3年も4年も生きているということはターミナルではないということですね。少なくとも心臓や肺は ターミナルではないし、消化管もターミナルになっておれば流動食を入れても吐き出してしまうか下痢してしまいますからね。
 ターミナルを見るというのは、じっと見ているのか。苦しかったら酸素をしてあげるのか。痰がごろごろ言っていたら痰を取ってあげるのか。血圧が下がったら、血圧が下がらないようにしてあげるのか。それとも何にもしないでじっと見ているのか。これによってターミナルというものの定義は違います。そこをはっきりさせていただく。
 それから、病院病床です。
 病院とは、病院の病床とはどういうものか。私は、病気の人が入院して、できるだけ早く適切に治療をして治すところと理解しております。だけれども、治らない人もいます。それは障害者病棟とか、重度長期慢性期病床、これは小児もともにです。重度心身障害児もいますから、そういう患者さんは病院で見ないといけない。だけれども、それ以外は高齢者であろうと、できるだけ早く治療してよくするところが病床だと思っておりますので、有吉先生がおっしゃるように、介護療養型でも院内でA、B型であれば、病院内に当直医が1人いますから、先ほど言った猿原先生の問題も解決するわけですけれども、老健と病院内施設とはちょっと違いますので、確かに猿原先生がおっしゃるように、特養とか老健で医者がいない。在宅でもいないのに、次の日とかその次の日に診て、死亡していたから死亡診断書というのは、今の法制上、非常に厳しいことがあります。
 もう一つ、吉岡先生がおっしゃったことですけれども、医療区分は平成18年にありました。ところが、医療区分1は、2、3以外という漠然とした概念で、実を言うと、意識が全くないとか昏睡状態も、これは全部医療区分1です。がんの末期も全部医療区分1です。要するに、医療区分1はみんな軽い人だという認識を一般的には持ちますが、全く違います。医療区分1の中にも、日本慢性期医療協会では1-1から1-5まで程度をつくっておりますけれども、軽い人も重度の医療区分1も結構いらっしゃいます。
 先ほど申しましたように、有吉先生がおっしゃったように、看護必要度が25%に上がりましたけれども、逆に言うと25%以外の75%はその必要がないことになりますと、軽い人がたくさん入っている。現実問題として、昨年10月14日に中医協で出された7対1の資料を見たら、医師の指示が1週間に1回またはそれ以下でかかったらいいという人が半分以上いる病棟が4割近くあるというデータも出されておりますし、一般病床には実は社会的入院がいる。20対1は医療区分で8割ということですからまずほとんどないのに、25対1は医療区分の縛りがない。ということは、どんな軽い人でも入ってもいいということになって、この問題は既に入院医療の療養病床の在り方検討会で今年の1月に既に答申が出ております。そこで25対1は20対1よりずっと軽いからということもありまして、この4月から区分の厳密化ができておりますし、いわゆる病院内の施設という提案もなされておりまして、それが了承もされております。そういうことから考えますと、明らかに違う。
 皆さん、御存じかどうか知りませんが、7対1の一番レベルの高い病棟の死亡率は2%です。ところが、介護療養型は40%で、医療療養型はそれ以上という状態であります。
 人間が亡くなるときには、確かに医師も看護師も非常に大変な作業があります。何もしないでじっとただ見ているという人はいません。ということは、どれだけ繁忙かということを考えていただきたいと思います。
 猿原先生にちょっとお聞きしたいのですけれども、転換型老健になってすぐと、5年後の調査を実は日本慢性期医療協会でしました。そうすると、象徴的です。胃ろうの患者さんが転換前の介護療養型では40%近く入所していたものが5年後には5%になっているのです。現実問題、老健と変わらなくなってくるのです。先生のところはそういうことはないかどうか。
 というのは、これは明らかにスタッフ数の減少によって、40%の経管栄養を見られなくなって、結果的にほかの従来型の老健と同じ5%になってしまったのではないかと私は思っているのですけれども、そういうこともあって、転換型老健、療養型老健についての御意見をちょっとお聞きしたいということと、医療区分自体は10年たって制度疲労している。医療区分というのは、何か酸素をやればそれで点数が上がるというおかしなところがあるので、これはやはり急性期からの慢性期DPCに合わせていったらどうかという案はありますが、ここでの話ではないと思うのですけれども、最初に言いましたように定義を決めていただくことと、こういうものがターミナルだと、我々はそれぞれの病院でそれぞれの施設でターミナルという定義を勝手に解釈して、これがうちの病院のターミナルだと申しています。
○遠藤部会長 武久委員、よくわかりました。ただ、三十数名おりますので、できるだけ多くの人の話をお聞きしたいと思います。
 御質問が出ております。もしお答えが出るようでしたら、お願いします。
○猿原参考人 PEGについては、1回全日病で厚生労働省から補助金事業として実態調査をして、日本では欧米に比べて非常に数が多いということが出ました。それから、それ以後に老年医学界から終末期の医療についての制限みたいなもの、認知症高齢者と私は読み取ったのですけれども、医療の撤退という話もあって、それからPEGについて差し控える医療機関がふえたのではないかという気がします。
 我々のところで、当法人がみずからPEGをつくることはありませんけれども、総合病院で設置されてきた人を受けて、その後、ケアに携わっていることはあります。その数が、先生がおっしゃったように、昔は40%もあったのに今は5%ぐらいになったという話がありますけれども、我々は拒否していることはありません。だから、つくる数が減ってきたのかなという気がしているのです。一般病床でつくる数が減っているのかなという気がします。
 終末期、ターミナルというお話を先生からいただきましたけれども、私はもともとは精神科出身ですので、認知症の高齢者のターミナルの定義については、いわゆる失外套症候群、そういうものがあって、あるところで日本を代表する学者のお話を聞いたときに、末期になって脳の剖検をしたときに、この人は前頭側頭葉型の認知症だったのか、アルツハイマーだったのか、レビー小体型の認知症だったのか、それが判別できなくなる状態になる。それが失外套症候群で一番最後の末期の状態だろう。
 だから、我々は現場の職員に対して、その状態までケアを中心にして生きていただいたことは、その人の人生の完成で、死は完成であるという教育をしています。そういう意味で、私の立場は認知症高齢者というところに特化していますので、先生の全般的に言う高齢者の終末期という考えとは少しずれがあるかもしれませんが、そういう考えで日々接していることをお伝えしておきます。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 それでは、吉岡委員。
○吉岡委員 1つ、有吉先生にお聞きしたいのですけれども、新類型は、介護療養型医療施設の現状の医者であるとか、看護師であるとか、ケアワーカーの人員配置は、ちゃんと現在どおりのものであるとお考えなのですか。担保されていると。
○有吉参考人 私は、個人的には新類型の案1は機能強化Aとほぼ似たような感じではないかと思っているのです。私は、要するに、現状を減らしていただかなければ、現状のいわゆる医師、看護師、介護を含めて、大きく減らすようなことは絶対にしてほしくない。それさえすれば、我々は対応していけると思っております。
○吉岡委員 ありがとうございます。
 私はちょっと疑い深いものなので。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 土居委員、お伺いいたします。
○土居委員 3先生とも、御発表をありがとうございました。私も大変勉強になりました。
 3先生、それぞれの施設での状況で1点だけお伺いしたいと思います。
 患者ないしは利用者の方の所得はどうなっておられるかということであります。この部会ないしはその前の懇談会でも、低所得者に対する配慮をどうするかということが議論になっておりましたので、現状で結構ですので、詳細におわかりでなければアバウトでも結構ですので、どのような状況かということをお伺いしたいと思います。
○遠藤部会長 患者さんの所得の状況は、アバウトで結構なのですけれども、どんな状況なのか。御家族も含めてということだと思いますけれども、いかがでしょうか。
 全員への御質問ですね。
○土居委員 はい。それぞれの。
○遠藤部会長 では、順番で、有吉参考人からお願いします。
○有吉参考人 私の個室ユニットのほうは、減免措置が今度かなり大幅に改定されまして、今まで世帯分離が認められておりましたが配偶者に一定以上のお金があれば合算されるということになりました。特に個室ユニットは、御承知のように、いわゆる入居費等につきましては、これは受益者負担でございますので、一番負担する方は約5万9,000円ぐらい月に負担、全額負担になっておりまして、私どもで一番ふえた方が月に20万円ぐらいになりました。そういう方が3名ぐらいいらっしゃるのですが、現実に、今までに7万ぐらいだった人が14万か15万になった方が3人か4人おられまして、そのうちお2人は実際に離婚されました。残り2人のうちの1人は、よその施設に出て行かれました。私はちょっともう一人は詳しくは知りませんけれども、とにかく大変な影響が出てきておりまして、いろいろあります。今回のいわゆる補足給付が資産にも加えられたということで、資産が参考になったということで、相当大きな、私どもでは、特に個室ユニットにつきましては大きな影響を受けております。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 猿原参考人、いかがでしょうか。
○猿原参考人 きょうは正確な資料を持ってこなかったので大ざっぱな話ですけれども、食事のメニューのところ、毎月の報告を見ていると、100名につき3、4名かなという報告を受けている気がします。もし詳しいものが必要でしたら、当方からお送りいたします。
○遠藤部会長 では、もし必要であれば御要望いただければと思います。
 矢野参考人、お願いいたします。
○矢野参考人 3つの病棟全部、退院促進をしなければなりませんので、どこかに移っていただかなければならないのですけれども、どうしても自宅に帰れない場合に施設を探すのですが、経済的な問題で入れない方が数名おられます。細かいことはわかりませんが、実際に経済的な問題で退院が促進できない方がいると聞いております。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 土居委員、よろしゅうございますか。
○土居委員 はい。
○遠藤部会長 それでは、こちらで手を挙げておられました井上由起子委員、お願いします。
○井上由起子委員 3人の先生方、ありがとうございました。
 それぞれに質問させて頂きたいことがありますので、回答をお願いできればと思います。
 まず、有吉先生、「暮らしの場」というお言葉を使いましたけれども、これは正しく言えば、「医療のある暮らしの場」と理解していいのかということが1点目です。2点目が、医療療養をお持ちですが、こちらは矢野先生のお話と同様に、「治療の場」と捉えていいのかをお聞かせください。
 猿原先生、ありがとうございました。7、8年前に訪問させて頂いた時と全く様相が違っているので、改めて訪問させて頂きたいと思いました。1点、教えてください。転換型老健がございましたが、そちらは部会での方針や報酬がどうなるかによりますけれども、その内容によっては、案1-1や案の1-2などに改めて移行できることを御希望されているのかを教えてください。
 矢野先生にも1つ伺いたいことがあります。先ほど案1-1、案1-2についてお話しいただきましたけれども、これは事業種別の中で医療や看護の体制を整えるということのほかに、拠点区分とか法人の中で体制を整える方法があるのではないかと解釈していいのかをお聞かせください。
 お願いいたします。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 それでは、有吉先生からお願いいたします。
○有吉参考人 私どもの介護療養は、いわゆる重介護・要医療の患者様が、医療看護に24時間見守りをされながら、必要なときにそれを受けることができる状態で毎日を過ごしていける。そういう場として提供できているのではないかと思っています。
 医療療養につきましては、例えば、肺炎とかでお年寄りは非常によく入院してこられるのですが、そういう方も、個室を提供いたしますと、自分が家でいたときと同じような環境の中で必要な医療を受けることができる。受け終わると即退院する。田舎ですから、皆さん、ほとんど自分の部屋を持っておられますので、そういう意味では、個室をつくったことによってうまく医療療養も機能しているのではないかと思っております。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 猿原委員、お願いします。
○猿原参考人 今、案1、案2に移行するのかどうかというお話ですけれども、これは固まっていないので、細則もよくわからないし、今のところは何とも言えないというのが正直な御返事です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 矢野参考人、お願いします。
○矢野参考人 新類型への移行の中で、法人内でいろいろと対応したほうがかなり自由度も高くなりますので、施設基準の最低限を満たせば、あとは同じ法人内であれば、医療と介護のウエートをどう変えるかだとか、病室をどうするかとかということもかなり自由にできるので、そこら辺のところはかなり自由に選択できるようにしていただければと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 よろしゅうございますか。
 ほかにございますか。
 東委員、どうぞ。
○東委員 ありがとうございます。先ほどから老健施設のことについても幾つか御意見が出ておりますので、発言させて頂きます。私ども全老健の会員の老健施設では、この10年間、かなり看取りのケースが増えております。
 先ほど、武久委員がいわゆるターミナルの定義をきちんとすべきだとおっしゃいましたが、私もそれに賛成です。賛成ですが、先ほどから他の委員の発言を聞いておりますと、高齢者のターミナル、看取りには、医療がすごく濃厚でなければいけないという前提にたった発言に感じられます。そこで、例えば私の老健施設では、年間約30例のお看取りをしておりますが、そのうちの約7割から8割が死亡診断書の病名が老衰でございます。いわゆる嚥下ができなくなったり、認知症の末期など、そういう状態になったときに、経管栄養や中心静脈栄養による延命処置を望まれるかどうかは、まず、御本人に聞きます。御本人が意思表示できない場合は、御家族に聞きます。手順を踏んだ上で、延命を希望されない場合にはターミナルケアとなります。それでお看取りをしております。
 お看取りに際して、私の老健施設では、15年前までは医師が必ず当直してオンタイムに対応しておりましたけれども、現在は医師がオンタイムでいない場合もございます。私の老健施設は入所者の平均の年齢が89歳でございます。90歳を超えて老衰という形で亡くなられる場合に、医師がオンタイムにいてほしいという御家族はほとんどおられません。高齢者のターミナル、看取りに関して、病気で亡くなられる方もおられるでしょうが、いわゆる老衰という形で亡くなられる場合の医療の必要度、医師がオンタイムで要るのか、そういうことも含めて今後議論をしていただきたいと思います。その議論がなく、ターミナルの定義がはっきりしない限り、療養病床の転換も難しいのではないかと思われます。
 以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 重要な御指摘を挙げられたと思いますけれども、ただいまの御発言に関連するものであっても結構ですし、そうでないものであっても結構です。いかがでございましょうか。
 瀬戸委員、お願いいたします。
○瀬戸委員 猿原先生にお伺いしたいのですけれども、409床を転換されましたけれども、その転換をされたときに、その病院を出なければいけない、転院とか退院をせざるを得なかった患者さんがいたのかどうかということをお伺いしたいのです。
○猿原参考人 それはいなかったです。
○瀬戸委員 ありがとうございます。
 何でそういう質問をするかというと、今回の転換をするときに、病状とか病態とか状態像が全く変わらないのに、病院の都合でというか、転換することによって退院あるいは転院を余儀なくされるというのは、患者さんとか利用者さんにとってはすごく不都合なことがあると思うのです。今回の転換を考えるときに、状態像に合わせた形でスムーズな転換ができるような新類型を考えるべきだと思っていましたので、そういう質問をさせていただきました。ありがとうございました。
○遠藤部会長 どうもありがとうございます。
 ほかにいかがでございますでしょうか。
 武久委員、どうぞ。
○武久委員 ほかにいなければ私のほうから。
 認知症は、医療区分の中に項目がないのです。当初、18年から20年までの間に、2年間だけCPSといって、認知症があった場合には5点という点数追加があったのですけれども、認知症があろうがなかろうが、医療区分では配慮されない現状であることを知っていただきたい。
 20対1は、先ほど有吉先生もおっしゃっていましたけれども、実は20対1で看護師さんが患者4人に1人という体制では現実に見られません。実は、20対1が15対1ぐらいに加配しているところが圧倒的に多いので、現状としては、全国で療養病床の20対1の療養病床入院基本料1は非常に重症者がふえておりまして、苦慮している。たくさん加配をしておりますので、人件費も要って、なかなか利益率が悪い状況であります。
 また、看護必要度ですけれども、実は20対1には看護必要度は一般の1.5倍から2倍ぐらい重い。看護必要度で算定しても重い患者さんが入っていることをお伝えしたいと思います。
 以上です。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
 ほかにいかがでございますでしょうか。
 加納委員、お願いいたします。
○加納委員 有吉先生にお聞きしたいのですが、先ほどの議論で、もし新類型になるとしますと、案1は機能強化型のAに近いという形だと思いますが、先生の7番のスライド等では、いわゆる前回の診療報酬でこう評価されたいという形があるのだと思います。今後、もし新類型というものが出てくると、やはりコストという問題、つまり、どういう報酬になるかということが一番大事かと思うのですが、先生がおっしゃったように、介護の療養で非常に頑張っておられて、たくさんの人数でカバーされている中で、まず、結果としては、もしかしたらターミナル、最後の3日間は多分一番安い報酬でなさっている。これは変な形になっていると思いますが、QODを求めながら、一方でコストは最期の看取りの3日間は一番安い報酬ではないかと思うのですけれども、これ以上下げて、果たして成り立つものであろうかということと、その体制を考えた上で、今度、もし新類型になったら、別に介護の療養を潰さなくてもいいという話になるのではないか、と私も思うのですけれども、先生はどう思われますでしょうか。
○有吉参考人 ただいまの御質問に答えさせていただきます。
 私は、今の類型で、機能強化Aの条件を満たしていただきさえすれば、何とか自分たちの自助努力で、もちろん少しでも上げていただければそれが一番いいわけなのですけれども、なかなか今は全体的に大変厳しい情勢でございますので、私は個人的には新類型の案1のところを今の機能強化A以下には絶対にしないでほしい。それさえ何とかしていただければ、まだ自分たちでいろいろと努力する余地があるということで思っております。
 これは、先ほどちょっと東先生からもございましたように、我々がいわゆる医療機能を有しているということは、私どもは診断能力が極めて高いわけです。例えば、老衰という診断をつけるにしましても、その前にきちんと検査をしているわけです。CTから必要な場合は胃カメラ、大腸、腹部エコー、血液、全部やります。その中で、今、現実に介護療養で請求できるのはCT以外は請求できない。できないけれども、全部一応検査をいたしまして、御家族にきちんとそういう現状を自分のところで説明できる。この医療機能を確保するためには、医者を減らしてもらったら困るわけです。そういう意味で、とにかく私は本当にぎりぎりのところでやっておりますので、上げてくれとは言いませんが、下げないでほしいというのが私の正直な気持ちであります。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 加納委員、どうぞ。
○加納委員 おっしゃるとおりではないかと思います。これは事務局にお願いしたいのですが、きょうは介護の療養の方が主体でお越しになっているわけなのです。しかし、25対1で頑張っていらっしゃる方も多分おられて、そこの継続をという方もいらっしゃると思うのですが、そういう方を参考人としてお呼びいただけないでしょうかということが1つです。先ほど武久先生が、7対1の看護必要度25%、看取りを2%とおっしゃったのですが、病院で亡くなる方が2%、介護療養型は40%という話はちょっとおかしな話です。7対1をはじめとする急性期病棟の看取りのパーセントは余り意味がないのではないかということと、25%が100%にもしなれば、多分7対1どころか1対1以上の看護がまた必要になってくるわけなので、あの7対1という中で25%と言うのは、そういういろいろな治療段階の方、最後の退院直前の方もいらっしゃるという中での範疇で、25%と私は認識しておるのですけれども、そういうことも含めて、先生はいかがでしょうか。
○遠藤部会長 武久委員、どうぞ。
○武久委員 別に7対1は死亡率が高いことを想定していません。ただ単に2%だったという事実を言っているだけでありまして、一般病床イコール急性期というのは既に崩れておりまして、昨年10月の病床機能報告制度でも一般病床からうちは慢性期だというものが8万9,000ぐらいありますので、そういうところが当然移行しないといけないと思いますけれども、何よりここにお集まりの皆さんは、どうしてこの26年から30年ぐらいまでの間に大きな改革をしようしているか。どうしてみんなが集まって頭を絞っているかというと、少子高齢化であって日本の将来が大変だということの認識で、お金が幾らかかってもだめだということで、ここを効率化していこうという大きな日本のテーマがあるわけです。その中で、うちはもっともっと上げてくれ、うちはこういうことをしているからというよりは、みんなで効率化を少し考えてみませんかということだろうと思うのです。
 私は、官僚の方も政治家の方も一生懸命日本の国のために頑張ってくれているのに、我々現場の者が全然あさってのほうを向いて自分の利害得失ばかり考えていたら、物事は進まないのだろうと思っておりますので、そういう観点から私は考えているわけでありまして、病院内の転換をして医療内包型のようになりますと、6.4平米等、そのままでいきますと、はっきり言って、ハードがそのまま使えますから、患者の負担金が一番安くなる。
 今、ユニット型の特養でも、10万以上なんてとてもではないけれども入れないという人がたくさんいらっしゃいますので、これは病院内の一般病床でも、9万ぐらいが慢性期だとおっしゃっているわけですから、そういうところから、病院内の施設なり住居なりに転換することによって、医療費が減って、その負担金が減るということで、低所得者対策にもなるということで、私はそういう大きな意味を持って現場の者も協力していかないといけないと感じながら、意見を述べさせていただいております。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 岡崎委員、どうぞ。
○岡崎委員 私は、質問ではないのですけれども、意見として言わせていただきたいのですが、介護型療養、医療型の療養の場合も、2点、大事なところがあると思います。
 1つは、今、それぞれの先生方で議論になっていますように、いわゆる経営ができるかどうか、これは一番大事で、持続的な経営ができるかどうかという点があります。今、その議論が大分出ましたのでそこは触れませんけれども、もう一つの大事なポイントは、患者さんを含めて、利用者を含めて、また家族を含めて、その経費の負担ができているかどうかという問題があります。
 先ほどちょっとお話が出まして、我々も非常に気になっておりますので、私は高知市長として、市民の方々の生活を預かっていますので、これまで、大体世帯分離で過重な負担がないようにということで運営されてきましたので、この問題は余り大きくクローズアップされていませんでしたけれども、今回、補足給付を含めて合算するということで、具体の事例が少しお話に出たように、合算になりますと、それまで7万円ぐらいのものが10万を超える負担のところが大分出てきていると聞いています。
 厚生労働省もそういうことは望んでいないと思いますけれども、やむなく離婚したとか、そういう話も耳に入ってきていますので、どこかで補足給付の中の特に合算制度の運用の中で、今、どういう問題が起こって、今後それをどう対応していくかということはどこかで整理をしないといけない。具体的な事例は、深く静かに出てきていると思いますので、どこかでそういうことを整理する必要があるということを意見として述べさせていただきたい。
 というのは、利用者が経費の負担ができないとなると、今、ここで出ている経営レベルのところにはつながらないので、そこの視点が一つは要るのではないかということを意見として申し上げておきたいと思います。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
 西澤委員、どうぞ。
○西澤委員 有吉先生と矢野先生に質問ですが、お2方も今度の新しい類型では案1ということですが、有吉先生の意見では、案1がいいけれども、先生の病院は、入っている人の状態を考えると、このまま介護療養型で続けられるならそのほうがいいという意見に聞こえたのですが、そうかどうかの確認だけです。
 矢野先生ですが、20ページで「案1-1、案1-2」がいいということですが、上の方に、医療区分1該当患者の中にも不安定な重症患者が存在するので、このような病院が併設のオンコール体制が望ましいと書いています。これはいいと思うのですが、このような患者こそ施設よりも病院のほう、療養病床が望ましいのではないかと思うのですが、そのあたりはどうお考えかお聞かせ願えればと思います。
 以上です。
○遠藤部会長 それでは、お2人、よろしくお願いいたします。
○有吉参考人 私のほうからお答えさせていただきます。
 私は、一番いいのは現状の介護療養型の機能強化Aの状態で存続させていただければ、それが一番よろしいと思います。一切いろいろなこと、医者の数、看護師の数等を扱わずにさせていただければ一番望ましいですが、示された新類型からいきますと私は案1に近いということで、できましたら、そういう形で設計していただければ、一番ありがたいと思っております。
○遠藤部会長 矢野参考人、お願いいたします。
○矢野参考人 現行の医療区分だと、どうしても1の方の重症がふえると、医療療養で見られなくなるわけです。ですから、医療療養で見られない方、介護療養として入っている方が病院内施設になるわけですから、医療区分2になっていれば病院でいいのです。ただ、1のままで重症だと医療療養に入れないので、20対1をクリアすることになるとどうしてもこういう書き方になります。医療区分自体に、先ほど御指摘がありましたように、現行の医療区分だとかなり不都合があるところも含めてこのような表現をしたのです。
○遠藤部会長 西澤委員、どうぞ。
○西澤委員 今の矢野先生の意見に、私も全く同じです。実はこれは先ほどの吉岡先生の今回の意見と重なると思いますが、いわゆる今の医療区分、ADL区分は非常に問題があるということだと思います。これをそのままにして今回療養病床のあり方を変えてしまうことはおかしいので、平成18年にこれをつくったのですが、あのときのデータは慶應大学の池上先生がつくったのですが、その時のつくった意図と、厚労省がそれを利用したというか、点数に変えたときにかなり違いがあったという記憶があるので、ぜひそのときの資料を一回出していただいて、今回の議論をするときに、もう一度この医療区分、ADL区分をどう考えるかということをまず検討してからやったらどうかと思います。
 提案です。
○遠藤部会長 それにつきましては、診療報酬の内容、方向性について、当部会で議論するかどうかということも含めてちょっと検討させていただきたいと思います。
 田中委員、どうぞ。
○田中委員 先ほど武久先生が、経済学者が言わなければいけないことを言ってくださったので、私も、再分配の仕組みである医療保険制度、介護保険制度を守る立場から発言します。
 守らなければいけないけれども、日本の人口構成やマクロ経済の情勢から、残念ながら効率化は必要です。それをしないといけません。
 今、行われているそれぞれの先生方の医療を含めて、医療の内容がおかしいとか悪いとかと言っている人は誰もいないわけです。それをいかにマクロで社会的にどういう効率的な配分制度の中に変えるかという視点からの提案がこの部会に課せられているのだと思います。
 そのときに、低所得者対策という別の視点が入ってきます。低所得者がいるから制度改正ができないとしてしまうと、何もできなくなります。低所得者対策はマクロ全体の再分配政策の中の大切な一つの要素ですが、そこは工夫は可能なので、低所得者が新しい制度になるとついてこられないから新しい制度はいけないとの論理は立てない方がいいと考えます。
 以上です。
○遠藤部会長 どうもありがとうございます。
 低所得者対策は非常に重要な課題でありますので、そういうことについてこのような整理をしていただきました。どうもありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。せっかく3人の参考人の方がいらっしゃっておりますので、ぜひこの機会でお聞きになると。
 井上由美子委員、お願いします。
○井上由美子委員 かなり専門的なお話を伺って、私などは理解するのに苦労している状況なのですけれども、有吉先生、地域包括ケア活動を行っていると8ページのスライドにあったと思います。具体的にどんなことを行おうとなさっているのか、現実にどういうことを行われているのかということをお聞きしたいです。
 猿原先生、介護職員の増員と介護職員に対する適正な評価ということがまとめのところで書かれてありましたので、何で増員をしなければいけないのか、その適正な評価ということについて、わかりやすくお答え願えればありがたいです。
○遠藤部会長 質問の御趣旨はよろしゅうございますか。
 参考人の先生、よろしくお願いします。
○有吉参考人 地域貢献活動でございますが、これは地域に対しまして、例えば、多目的ルームみたいなものも院内に設けておりまして、そういったところを通じまして、地域の老人会とか婦人会とかと、いわゆる交流を行っている。そういったことは、一つは個室ユニットの場合のある意味条件になっておるところもございまして、そういう活動も10年ぐらい前からやっております。
○井上由美子委員 ありがとうございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 猿原参考人、お願いします。
○猿原参考人 介護職員の増員をお願いしたいと要望で書きましたけれども、私もいろいろな機会があって、欧州あたりの高齢者の現場を見る機会がありますけれども、そういうところに比べて、日本で法的に配置されている数が圧倒的に少ないことと、今、介護福祉士の資格を有している方で、実際に現場で働いていらっしゃる数がたしか半分ぐらいで、半分は別のところで働いていらっしゃるという話も聞いたこともあるので、介護福祉士を現場で60%とか65%以上採用すると加算がつきますけれども、そういう人たちを再度呼び込むような形、施設に対しては2対1に配置しなさいとか、そこのところで制度的に加算をつける形にしていただいて、介護職のモチベーションを上げていただければ、今、有資格で違うところで働いている方たちも、また我々のところに戻ってきていただけるのではないかと。
 ケアはマンツーマンでできれば一番いいのですけれども、なるべくそういう理想型の形に向かって、欧米に負けないような体制づくりができればいいという考えです。それで、介護職員を増員し、適正な評価をしていただきたいと掲げたわけです。
 よろしいでしょうか。
○井上由美子委員 心強いお言葉、ありがとうございます。
○遠藤部会長 鈴木委員、どうぞ。
○鈴木(邦)委員 お話をずっと聞かせていただいたうえで、確認させていただきたいことがあります。今日いらした3人の先生方のところは療養病床の病院として有名なところばかりですので、必ずしも全体を代表しているとは言えない部分もあると思うのです。介護療養の話ですが、お2人の話を聞いていますと、最終的には、いわゆる前回の介護報酬改定で療養機能強化型Aができましたが、その機能が確保されれば、必ずしも介護療養型医療施設が病院として残らなくてもいいと思っていらっしゃるように思えてきたのですけれども、それでいいのかどうかです。
 多くの先生方の中には、病院でないと医師、看護師が集まらないから、病院でないと困るという御意見の方もいらっしゃるのですけれども、どうも先生方は最終的には機能が確保されれば病院でなくなってもいいとお考えのように思えてきたのですが、それを確認させてください。お2人、有吉先生、猿原先生ですが、お願いします。
○遠藤部会長 では、有吉先生、よろしくお願いします。
○有吉参考人 私の場合は、いわゆる外来と療養病棟、医療療養病棟がございますので、その分の機能である程度代行できるというか、そういったことを考えますと、いわゆる医療療養病棟から24時間医療を提供できる体制、そういうことも、同じ法人の中、同じ医療機関の中でそれを認めていただければ私は一番ありがたいのですが、そうなりますと、全体としては、私は病院の中の一部の施設として残していただいたほうがありがたいとは思っております。
 それでよろしいでしょうか。
○鈴木(邦)委員 要するに、病院内の施設として残れればいいということですか。
○有吉参考人 そう言われますと非常に難しいのですが、何らかの形で、要するに、24時間の医療、看護、介護、特に医療、看護を保証していただきたいというのが私の基本的な考え方でございますので、そういう意味では、病院機能を残していただかないと困る。ただ、その介護療養90床単独では、病院機能は持つことはできない。現実に、今、私どもで、介護療養病床90床だけ切り離して医師数など算定する、配置するという取り扱いをされるとすれば、いわゆる医療機関として存続できるとは思っておりません。今まで通り全体の法人の中で、全体の病棟の中の一部の施設として、病棟として、それは算定してほしいと思います。
 ただ、そこで今の介護療養病床の機能強化Aをより低く評価されると、これは対応できない。これは維持できないということであります。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 猿原参考人、お願いいたします。
○猿原参考人 私は全て介護保険で運営しているわけですけれども、仲間内の意見としては、仲間内というのは、静岡県にも慢性期医療協会がありまして、そこで出される意見は、やはり病院でなければいけないという意見が圧倒的に多いです。名称を手放すことに抵抗があるという経営者が圧倒的に多いことと、病院はあくまでも、これからどうなるのか、高度急性期だとか、急性期、回復期、慢性期になって、慢性期の中にも病院としてもランクづけができるのかもしれません。在宅復帰を非常にやっているあるいは最低限の医師の配置基準で24時間365日看取りをしている病院、そこには3名の医師が最低限いますから、それが最低基準になるかもしれませんけれども、そういうところで病院という機能を持たせていただければ、我々は活躍しやすいと思います。
 余分な話になりますけれども、私のパワーポイントの21ページの一番最後に書きましたが、「終末期医療」という言葉を私自身は使うのをやめて「看取り」としていますが、その看取りのところでも医師の関与はしっかりしておかないといけない。そのためには最低基準の病院機能が必要だと。今の法律を変えればまた話は違いますけれども、そういうことで、医師の最後の仕事として、死亡診断書に書く、そこの責任だけを我々にかぶせられてしまって、死亡診断書は坊主が書いてもいいのだと法律を変えてしまえば我々の役割はそこで終わるわけですからね。
 だから、24時間365日、誰かその日本国民1人の死の質にしっかりエビデンスをつけるということであれば、やはり病院という制度の中で動かざるを得ない。でなければ、我々がそこから撤退すれば、これからますます不審な死はふえると思います。それを最後のセーフティーネットだと考えて、病院という名称は残していただきたいというのが私の考えです。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 鈴木邦彦委員、よろしいですか。
○鈴木(邦)委員 お2人で意見が分かれたということはわかりました。ありがとうございます。
○遠藤部会長 齋藤委員、どうぞ。
○齋藤委員 プレゼンテーションをありがとうございました。
 有吉先生と猿原先生にお伺いしたいのですけれども、介護療養型医療施設療養強化型に転換をされているのですが、大体お1人の方の平均在院日数がどのくらいなのかということと、有吉先生のところは看取り率が75%で、猿原先生のところはスライド18を見ますと、御自宅と、その他病床なのか老健への退所なのかどうかがわからないのですが、有吉先生のところでしたら残り25%、猿原先生のところでございましたら、この死亡退所以外の方々で、御自宅に戻っている方もいらっしゃるというのが私は大変驚いたわけなのですけれども、今、在宅医療は非常に重要課題で、なるべく御自宅にという流れがあるわけなのですが、こういった介護療養型医療施設療養強化型から御自宅に戻れるあるいは状態がよくなって老健に戻れるというケースは、どんな条件であればいけるのかどうか、何かお考えがありましたら教えてください。
○遠藤部会長 それでは、有吉参考人、現在コメントできるレベルで結構でございますけれども、よろしくお願いいたします。
○有吉参考人 私のところの介護療養型医療施設の在院日数は約700日でございます。それから、看取り率が75%で、残り4名の方は、2名の方が生活保護を申請されまして、よそに行かれました。費用が負担できないということです。1名が、うちの医療療養に一回入った人がおられます。もう一名は記憶にございません。
 私どもの場合は、ほとんど最期までそこで生活していただいて、そこで最期を看取るのが中心でございますので、いわゆる自宅へ戻られる方は全くと言っていいほどないという現状です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 猿原参考人、いかがでしょうか。
○猿原参考人 当法人が運営します介護療養型の療養強化Aでは、18ページの一番下に書いてありますけれども、許可病床数が169で、昨年1年間で170名の方が退院されています。平均在院日数は、ちょっと正確な数字は失念しましたけれども、たしか400と40、50日かと思います。
 死亡退所が圧倒的に多いのですけれども、御自宅へお帰りいただいている方も数名ぐらいいらっしゃいます。これは近くの総合病院から、介護保険を申請して、要介護3とか4とかという状態で入ってこられた方が、当方のリハビリあるいは内分泌のドクターもいらっしゃいますので糖尿病の管理などがうまくいって、自宅へ戻られるというケースが十数パーセントあります。
 それから、老健へというのではなくて、これはその他病床へ移る方で、介護療養型の湖東病院のケースは、浜松市内から離れていますので、御家族の都合で街中にある病院へ移るケースがあります。
 そういうところですが、よろしいでしょうか。
○遠藤部会長 齋藤委員、よろしゅうございますね。
○齋藤委員 はい。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 亀井委員、お待たせしました。
○亀井委員 きょうお越しいただいた3施設の代表の方につきましては、かなり頑張っておられる事例としてお越しいただいたのだと思わせていただいておりまして、我々は大いに参考とさせていただいたところでございますけれども、ちょっと感想を述べさせていただきますが、その他の項でございますけれども、私も複数の部会へ出させていただいていますが、そのときに思うのですけれども、保健医療福祉のプランナーは誰なのだろうか。いるのかなと思うときがあるわけです。それは大もとの会議に出させていただいていないこともあるからかと思うのですが、議論が細切れ、断片的、スポット的でございまして、我々にとりましては非常にわかりづらいと思っています。
 ただ、それぞれの最終最後は我々基礎自治体がその責めを負わなければならないと思っているわけです。我々自治体にとっては、制度はこれで決めましたのでこれで終わりですということでは済まされないわけです。そういうことは御理解をいただきたいと思うのですけれども、財務当局ときっちり議論をしていただける、そういう方ができていくのかなということが、我々にとっては非常に心配をしている部分であるわけです。最終は政治決着となるわけでございますけれども、今の担当大臣は非常に発言権の大きいお方でもございますから、かなりの部分で食いとめていただいているわけなのですが、大きな流れの中で、今、どういう議論をしているのかということの説明がきっちりできていただくようなことであってほしいと思っています。
 この療養病床の関係も、かねて医療保険と介護保険の重複給付のことが会見で指摘されたりもしているのですが、一昨年は地域医療介護総合確保推進法がスタートして、一体的に取り組んでいかなければならないということの中で、今後は医療の40兆と介護の10兆、この50兆の中でこれが議論されていくのだろうと、こんなふうにも思っているのですが、そんな中で、先ほどから武久委員と東委員からの発言の中で、ターミナルケアのお話がございました。このターミナルケアとQOLとの関係を議論する場がこれからできていかなければならぬのではないかと、こんなふうに思っているのです。
 それで、御本人は望んでいない。家族は判断できない。ドクターが判断したら、罪に問われる。こういうことがあってはならないと思っていまして、リビングウィルの有効性を高める議論がどこかでなされていかないといかぬのではないかと、私はそんなふうに思っているのです。これは感想です。
○遠藤部会長 それでは、御意見として承りました。ありがとうございました。
 あと、お手をお挙げになった松本委員、どうぞ。
○松本委員 今、新類型が提案されている中で、有吉先生と猿原先生にお伺いしたいのです。病床か施設かというところになってくるのですけれども、どちらにも介護の部分も医療の部分もございます。それで医療病床と介護施設をどこで分けていくかというところでいいますと、医療や介護の内容割合、施設基準やいろいろなもので決まってくるかとは思いますけれども、どの辺で分けていったらいいと考えておられるでしょうか。内容から見てどの辺で分けていくと適切なのか、お考え、あるいは御感想でも結構ですので、お伺いしたいと思います。
○遠藤部会長 3先生にですか。
○松本委員 猿原先生と有吉先生にお伺いをしたいと思います。
○遠藤部会長 とても難しい御質問かもしれませんけれども、コメントできる範囲で結構でございますので、有吉先生からお願いいたします。
○有吉参考人 お答えさせていただきます。
 私は、介護療養の今の機能強化Aの中でも思っておりますが、具体的に医療の内容を、これはここで必要だとか、そういうことを言うのは大変難しいとは思います。私どもは実際に生活する場、そこでいわゆる暮らしに近い生活の場の中で、何らかの医療的な処置が必要になったときに、きちんとそれを診断して、適切な治療がそこでできるといったことを通常は中心にきちんとやっている。だから、具体的な疾患がどうだこうだというのは、私は申し上げにくいと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 猿原参考人、どうぞ。
○猿原参考人 私は、基本的には認定審査会で介護度が決められて、その要介護4とか5という状態で入ってこられた方に対して、どういう医療が必要なのかということを医療側が判断して、あるいは、その方が紹介状を大体持ってきますので、その紹介状に従ってその医療を継続していく今のスタイルで、医療と介護、確かに区分するのは非常に難しいかと思いますけれども、現状のスタイルを続ければ、医療がやり過ぎることもないし、紹介されてくる場合には、それに従って投薬をしていくわけですけれども、あるいは、年に何回か検査をしていくわけですけれども、そのことによって医療の過疎も起きていない。今の介護療養型はそういう意味ではすばらしい制度だと考えていますけれども、時たま、外泊で御家族が御本人を連れて外泊をされて、非常に高額な医療を受けてくる場合があります。そういう場合、請求書が我々の医療機関に来ます。そういうことが介護保険の中で蔓延していくと、我々もなかなか運営が難しくなる。
 この前も1例ありましたけれども、緑内障の治療薬として注射を1本して、16万円の請求書が我々のところに来ました。そういうことがたび重なると、我々もこの介護保険全体の運営も支障を来すのではないかと考えて、そこらあたりをどう補填していただけるのかということが、今後の介護保険をうまく成長させることになるかと思います。
 お答えになっているかどうかわかりませんが、私の考えを述べさせていただきました。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 松本委員、よろしゅうございますか。
○松本委員 ありがとうございます。
○遠藤部会長 それでは、そろそろ終了時間になっておりますので、手短にお願いしたいと思います。
 市原委員、どうぞ。
○市原委員 大変明快なプレゼンテーションをありがとうございました。
 有吉先生にお伺いいたします。プレゼンから、大変住み心地がよさそうな環境だと拝見いたしました。私は高齢者住まい事業者団体連合会の代表なのですけれども、かつて有料老人ホームは住まいとサービスを一体で提供するというコンセプトでした。また、サ高住が5年前にできまして、住まいは住まい、サービスはサービスと分けて、サービスについては介護保険を外部サービスで使うと位置づけられております。
 いずれも、費用に関しては、住まいのところは自己負担、サービスのところは介護保険サービスを使ってとなっています。有吉先生のところのように、大変居心地のよい、住みやすいところでは、どうしても住まいのところにコストがかかってまいります。その方向として、住まいのところは自己負担ですよ、あるいは、自己負担が重たくなりますよという方向にいかざるを得なくなると思うのですが、それはどうお考えになっていらっしゃるでしょうか。
 猿原先生には、すべての事業所で介護保険を使っていらっしゃるということなのですが、特定施設の場合は人員配置3対1が義務づけられておるのですが、それ以上の手厚い配置、2.5対1以上ですと、上乗せ介護費用を利用者から徴収することが認められております。それについてはどうお考えなのか、お伺いさせていただきたいと思います。
○遠藤部会長 有吉参考人からお願いいたします。
○有吉参考人 私は、住まい機能につきましては、いわゆる応益負担になっておりますので、これはそれを負担できる能力がある方が払う。これは基本的な考え方として今から必要なことではないかと思っております。
 そのことにつきましては、私も14年間、この介護療養の個室ユニットをやらせていただきましたが、これにつきまして今まではいわゆる大きな問題は何もございませんでした。
 ただ、先ほど申しましたように、私どもで今度はいわゆる資産のところと世帯分離がなくなりまして、2人、現実に離婚されたということで、ここらあたりで世帯分離あたりをもう一度考え直して、もう一度世帯分離も認めてくれれば、私はもっといいのではないかと思っております。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 猿原先生、お願いします。
○猿原参考人 お答えになるかどうかわかりませんが、うちでは3対1を堅持していて、それ以上、2.5の制度は使っていません。というのも、一番大きな理由は、御家族の負担が少しずつふえてきていて、未納問題がふえてきているのです。毎月毎月の経営会議では、そのことが話題になって、どうやっていくかということで、余り負担増につながるようなことはしていません。むしろ負担がどうやったら減るのかということを法人の運営の中で行っています。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 予定の時間を過ぎておりますので、基本的には本日の議論はこのあたりにしたいと思います。3参考人の皆様から、非常に有意義なケースの御紹介をいただきまして、議論が大変深まったと思います。部会として御礼申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。
 事務局におかれましては、ただいまいろいろな御意見も出ましたので、その整理をしていただきまして、今後の議論に反映できるような準備をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
 次回の開催日につきましては、追って事務局より連絡するようにお願いします。
 以上をもちまして、第2回療養病床の在り方等に関する特別部会を修了したいと思います。
 どうも長時間ありがとうございました。


(了)

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