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2016年7月22日 第5回政策評価に関する有識者会議労働WG 議事録
○日時
平成28年7月22日(金)10:00~11:44
○場所
専用第20会議室(17階)
○出席者
阿部座長、渥美委員、遠藤委員、野川委員、安永委員 |
○議事
(以下、議事録)
○阿部座長
定刻になりましたので、ただいまから第5回政策評価に関する有識者会議労働・子育てWGを開催いたします。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中をお集まりいただき誠にありがとうございます。野川委員と渥美委員が今遅れておりますが、後ほどいらっしゃるだろうと思います。今回日本経済団体連合会の高橋委員が御退任されまして、新たに遠藤委員が就任されました。よろしくお願いいたします。
本日は議事次第にありますように、4つのテーマの実績評価書(案)について委員の皆様に御議論いただきます。その後、厚生労働省が所管する指定等法人並びに特別民間法人及び特別法人の行う事務・事業に関わる定期的検証についての質疑も行いたいと思います。それでは配布資料及び「平成28年度に実施する政策評価について」の進め方について、事務局より説明をお願いいたします。
○政策評価官室長補佐
6月21日付けで政策評価の担当になりました肥沼です。どうぞよろしくお願いいたします。議事に入る前に、事務局のある政策統括官組織の見直しがありまして、人事異動もありましたので御紹介いたします。
総合政策・政策評価審議官の酒光が着任しておりますが、本日、所用のため途中からの参加となります。申し訳ありません。政策評価官の玉川です。
まず、資料の確認をさせていただきます。配布資料は上から議事次第、座席表、有識者会議WGの参集者名簿です。続きまして、資料1~4は、本WGで御議論いただく実績評価書(案)及び添付資料です。資料5が「厚生労働省が所管する指定等法人並びに特別民間法人及び特別法人の行う事務・事業に係る定期的検証」についての資料となります。
参考資料1は、政策評価実施予定表、参考資料2は、有識者会議開催要項、参考資料3は、厚生労働省の第3期基本計画、参考資料4は、昨年3月の有識者会議における御意見を踏まえ作成した、資料1~5の事前分析表となっております。資料に不足がありましたら事務局までお知らせください。
引き続き議事の進め方について御説明いたします。議事次第を御覧ください。本日はこの2の(1)まる1からまる4の順番で、テーマごとに担当課の入替えを行って御議論いただきます。1テーマごとの時間については約20分程度とし、まず、担当課より約5分程度で説明を行い、その後約15分程度で御議論を頂くということで進めさせていただければと思います。事務局からは以上です。
○阿部座長
それでは早速ですが、議事(1)について始めていきたいと思います。議事(1)の1つ目のテーマは、施策番号3-3-2「被災労働者等の社会復帰促進・援護等を図ること」についてです。担当課から5分程度で説明をお願いします。よろしくお願いします。
○労働基準局労災管理課長
労働基準局労災管理課長の志村です。本日はよろしくお願いいたします。施策目標は、被災労働者の社会復帰促進・援護を図ることということです。施策の概要の所ですが、労働者災害補償保険法に基づく社会復帰促進等事業として、まる1まる2まる3ということで、被災労働者の円滑な社会復帰を促進するための義肢・車いす等の支給とか、あるいは被災労働者家族のための労災就学等援護費の支給、あるいは労働者の安全衛生に対する過重労働・メンタルヘルス対策という事業を行うものです。
労災保険の事業規模、集めているお金が大体1兆円ぐらいということです。保険給付というのは療養給付、病院にかかったときの費用、あるいは遺族の方に対する費用というのが大半ですが、そこに1,500億円程度のお金ということで、必ずしも被災労働者に対する失われた所得の補償や労働能力の補償ということだけではなくて、前半の予防的な施策とか、あるいは昔、保健施設と言っていましたが、そういったような事業です。
1,500億円ぐらいが施策の予算額・執行額に書いてありますが、これは業務取扱費が入っております。本日、目標設定している事業が88事業ありますが、それは資料1-2の最後の所で、社会復帰促進等事業費の推移というグラフがありますが、現在のところ700億円弱ぐらいで88事業をやっております。数年前までは1,000億円ぐらい超えていたのですが、非常に節約というか、努力をしてこの水準でやっております。
測定指標を見ていただくと、いわゆるA評価について年度ごとの目標値をだんだん上げて、平成27年度は85%以上というところでしたが、残念ながら81.4%というところです。ABCにつきましては、別資料の資料1-2の社会復帰促進等事業の評価の考え方というグラフみたいなものがあります。これはいわゆるアウトプットと事業執行率という、どちらかというと、定量的な目標と、政策効果という、どちらかというと定性的な目標の2つの軸を用いて、施策継続とかあるいは廃止、見直しというものを判断してやっているということです。全体では新たに始める事業というのも常にありますので、Aがみんな、100%というのはなかなか難しく、85%以上を目標設定しているということです。
実績評価書の一番下の総合判定はAということで考えてはいるのですが、これは徐々に目標が上昇傾向、実際にAを取る値が増えてきているということもありますし、あと有識者からなる社会復帰事業に関する検討会を定期的に開いておりまして、そういったものの目を入れて、しっかりやっているということでA評価と考えております。
裏を見ていただきますと、評価結果と今後の方向性ということで、施策の分析の有効性の評価については、外部有識者を入れた精査・見直しを定期的に行っている。あるいは効率性の評価についても、先ほどの1,000億円ぐらい超えていたところを680億ぐらいということで、1事業当たりの平均費用も、大体それが5年ぐらいで7割ぐらいまで減少しているということです。
次期目標等への反映の方向性については、これまでのところは70%台から上げてきて、目標設定としては前年度を上回ることということで、右肩上がり的な目標にしていたのですが、例えば義肢等の支給というのは多分30年も40年もあって、これからも続いていくというものですが、中には労働安全衛生措置で例えば介護労働者の腰痛対策とか、やはり時の流れに沿って、新たに設定していく事業もあります。ですので、水準的に大体85%ということで、A評価の事業で組成を維持していくということで、適切に政策評価も伴いながら、進めてまいりたいと考えております。事務局からの説明については以上です。
○阿部座長
それでは、ただいまの説明について委員の皆様から御意見、御質問があればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○遠藤委員
私、交代して初回ということなので、もし質問の視点がずれていたらお詫びいたします。拝見したところ、御説明がありました88事業というものを束ねて実績評価をするということで、その実績指標をどう置くのかということについては、大変御苦労があったということは十分推察できるところです。
そういった中で、個別のPDCAサイクルの個々の評価を束ねて、全体としてA評価が85%以上という形で評価していこうと帰結したことの背景といいますか、こういうことを今後指標として置いていこうということが、議論を重ねた結果であると思いますので、その背景をもう少し教えていただけますか。
○労災管理課長
実際に社会復帰促進等事業ということで、評価の考え方を参照しながらお考えいただきたいのですが、確かに測定指標ということではAが85ぐらいしかないのではないかというところもあるのですが、個別の事業についてそれぞれアウトプット指標、アウトカム指標を置いていて、やはり有識者の検討会でもその置き方も含めて、適正組成を厳しく精査していただいているところがあります。全体として、いわゆる施策目的に達したものとか、あるいはこういう事業設定自体がおかしいのではないかというものについては、やはりC評価で維持できなくなってくるということです。やはり、そういったことが適切に行われている水準というものは、これは毎年変えてきましたが、大体85%程度の水準で、それでチェックしていくのが適切ではないのかということで内部で考え、また、有識者等の検討会においてもそのように説明しているということです。
○遠藤委員
まず、正直なところ、この評価書を見たときに、正に御説明いただいたとおり、原局で有識者の方の評価をしておりますので、その評価について御理解くださいというための資料であれば、私はこれでいいと思っています。しかし今回、評価の仕組みとして局をまたがる形で横断的にやっていこうという意図を考えたときに、私は、この指標の取り方が果たしてこれでいいのかという疑問を持ったものですから、お尋ねをしたということです。
では、88も事業があって、どういうふうに指標を出せばいいのかということになるわけです。本日は5回目の開催ですが、過去4回開催されている実績評価書がホームページ上で紹介されておりましたので見てみました。例えば、厚生労働省26(3-3-1)、労災保険給付の場面の評価書を見たところ、保険給付は御説明するまでもなく幾つもあるわけです。そういった中で、労災認定を行うための調査等に時間を要する複雑困難な事案として、脳・心臓疾患の事案と精神障害の事案の2つを取り上げ、それぞれ請求から決定までの所要日数をどのぐらいとしていくのか。短くしていくところを目標値として掲げていて、これは有り様として適切であると思っています。
そういうことで、評価できる形の指標の置き方もあるのではないかということで改めて考えてみたところ、88事業の中では予算額もばらばらだと思います。例えば、予算額の上位の事業の中で、経年で比較できるものを出していくのもあると思います。あるいは利用件数でもいいと思います。あるいは評価の指標の中で、各年度重点目標事業を指定しているのですから、そういう事業を並べてどう経年で変わっていくのか、あるいは経年で変わっていく中でどう取組をしていくのか。そういったようなことを御紹介しつつ、全体を評価していくといった有り様もあるのではないかと思っております。今回から変えてくださいという趣旨ではありませんが、そういったような指標も今後置くことができるのかどうかということも御検討を賜れれば有り難く思います。
○安永委員
今のやり取りに関連してです。測定指標である85%を下回っているが、総合判定はAという事業について中身の御説明があったわけです。その中身については理解できるものもあるのですが、指標1つだけで判定するのではなく、指標で評価する意義全体を考えた場合に、もう少し適切な指標、それに基づく目標、それに対する評価といったようなことで、知恵を絞っていただいて、指標などについても検討されるほうがいいのではないかと思います。
○労災管理課長
お二方の意見に対する回答としては、確かに80事業というものを1つのものとして85というふうに置いているということで、オプショナルなものがもしあるとすれば、例えば、施策の概要まる1まる2まる3というのは、法律の号分けでこういうふうになっているわけです。例えばそこにカテゴライズして、義肢等の支給みたいにほとんど動かない事業もありますし、多分まる3の事業というのは結構激しく変わっていく、テレワークというのも入れてます。そこはもしかしたら85ではなく、ABC評価の割合で定めているのではないかと言うのですが、そういったものもいわゆる指標が変化していると評価いただけるのであれば、例えば分類してまる1まる2まる3についてそれぞれ違う、85ではなくて、80とか90を置いていくことを検討していくことは十分考えられる。
ただ、Aに達しないA未満である、未達であるということは、事業はやるべきか、やらないべきかという厳しさの反映でもありますので、それ以外の要素が混じってきてしまうと、また本来の節約、節制趣旨にも合わないということはあるのです。しかし、先ほど私が申し上げましたがまる1まる2まる3でそれぞれの特性を踏まえてAのパーセンテージを変えていくことは、多分そんなに反しないことではないかと考えております。ただこの別次元で、個別のAに至るまでの間に、それぞれの事業で例えば毎年アウトプット指標は変えていっていますので、そこで事業の適正性は見ていただければいいのかなとは思っております。
○阿部座長
私、評価官室にお伺いしたいのですが、このように複数の事業を個々評価して、Aの割合をどれぐらいにしているかというのを測定指標にしているようなものというのは、私はここをずっとやってきて、初めて聞いたケースですが、ほかにもあるのですか。
○政策評価官
こうした形でやっているものは、ほかに余り見たことがないです。
○阿部座長
多分、個々の事業を評価すること自体はすごく望ましいことだと思います。ただ、90近い事業があるので、かえって見づらくなっているところが委員の皆さんの疑問でもあり、御指摘されたいところなのかと思うのです。
ですから、今、お話になったようにまる1まる2まる3と分けて指標のくくりを少し考えていただくとか、そういう対処の仕方はあるのかと思います。もう1つ、多分、今だとウエイト、事業の重み、重要性は関係なく、そのまま100として85以上ということになっていますよね。
○政策評価官
そうですね。評価に当たって加重しているとは言い難いと思います。
○阿部座長
そうだとすると、比較的やさしい事業はAを取れる。難しい所はCですが、Cのほうは実は重要だったりという点もあるので、もう少し上手な指標を作れないかとお聞きしながら見ていました。
従来ですと、まる1まる2まる3の施策の概要か、あるいは大目標に対して、アウトカム指標を作って、それがどこまで達成できたかという評価をしていたと思いますので、今までこういう指標は見たことはないので、それはそれで新鮮味があって私は非常に研究してみたいとは思ったのですが。その一方で、少し手直しするところはあるのかなという気はしました。
○野川委員
ほとんどほかの委員が言われたことで尽きているとは思いますが、私も今おっしゃったように、これは間接的な評価ですよね。つまり、政策それ自体に対するダイレクトな評価ではなくて、与えられた施策に対応している事業自体の評価ではなくて、その事業がそれにどれぐらいの成果を上げているかという事業の割合ということですので、結局、最も元にある施策自体がどれぐらい進んでいるかということを、そこからどうやって読み取るかということについての何らかのコメントは必要であると思います。
今おっしゃったように、基本的に私もなぜそういう測定指標を取るのかということについては、この中自体に一定の根拠が必要だと思うのです。つまり、ダイレクトな施策の評価ではなくて、こういう形を取ることによって、こういう意義があるということと、そういうことを取らざるを得ないということ、このいわば積極、消極両方の根拠がどこかに記載されている必要があると思います。これではなぜそうなっているのか、つまり、なぜほかの評価のやり方とは違って、こういう評価の仕方を取るのかということ自体の説明が、なかなか読み取れないという気がします。つまり、これを全体的に組み換えるということではないのですが、今申し上げたような点を検討していただければと思います。
○労災管理課長
この場でこうすると申し上げるのはなかなか難しいかとは思いますが、今、各委員がおっしゃったことを私も考えてみますと、社会復帰促進等事業費が10年ぐらい前は1,200億ぐらいあったところ、600億まで努力してきたということで、財政的なビューポイントみたいなものも指標に組み込んで2つ、3つぐらい追加して立てていく。そして総合でAなのか、Bなのかという仕立てにすることは考えられてくるかなという感じはします。
私は全体の労災保険事業の運営を考えてみたときに、やはり、財政的な側面も組み込んでやっていくことなのかなと。結構、この事業の趣旨としては保険給付だけでは足りない。労災保険制度の健全運営というのは、もともとの、労働基準法の災害補償は労災に加入していれば刑事罰も免れるというところから始まっています。そして、労災保険は一時金を求めて、基準法はそれしか求めていないのですが、だんだんと給付を充実させてきて、その中の1つとして社会復帰促進等事業が要素として入ってきています。そういうような大きな流れも踏まえて適正な目標設定をする、単に個別の事業のAの数が85に収まっているというだけではなくて、少し財源論というか、そういったところも含めて、毎年ちゃんと適正に抑制的にチェックできているかということも含めて全体を評価していって、実績評価書を少し変えていくことは考えられるかなとは思っているのですが。
○阿部座長
分かりました。
○遠藤委員
今後御検討されるということですので、同じような仕組みとして、今後出てくる雇用保険2事業の場合も踏まえて、是非、関係セクション間で御相談を賜れればと思っております。
○労災管理課長
分かりました。
○阿部座長
担当課におかれては、本日の議論を踏まえて、実績評価書への反映をお願いしたいと思います。それでは次のテーマに移りたいと思います。ありがとうございました。
(メインテーブル交替)
○阿部座長
続いて施策番号3-7-1「個別労働紛争の解決の促進を図ること」についてです。担当課から5分程度で説明をお願いします。
○労働基準局労働関係法課労働紛争処理業務室長
労働基準局労働紛争処理業務室長の田村です。よろしくお願いします。それでは、説明させていただきます。この施策の政策体系上の位置付けですが、基本目標3ということで、「労働者が安心して快適に働くことができる環境を整備すること」、その中の施策目標「個別労働紛争の解決の促進を図る」ということに位置付けられています。
この施策の目的と、そのためにどういう手段をとっているかということを簡単に御説明しますと、個々の労働者と事業主の間の個別労働紛争が増加している中で、紛争を実情に即して、迅速・適正に解決することというのを目的と考えていまして、そのために総合的な個別労働紛争解決システムを整備・運営していくこととしているところです。
この目的の部分の背景的なことを若干補足させていただきますと、解雇や労働条件の引下げなどの民事の紛争の解決については、最終的な紛争処理手段としては御承知のとおり司法があるわけですが、特に労働者にとっては、いきなり司法というのもハードルが高いということから、国ですとか都道府県、民間機関など、様々な紛争処理機関の中から、労働者が実情に応じて利用できるような、複線的な紛争解決システムが有効だと、従来からされてきているところです。
その中で取り分け私ども、国の行政機関である当省が紛争解決に求められていることを考えますと、労働関係の専門知識を有する職員を有しています、それから、法に基づく行政権限を有しているので、法違反と民事の複合事案に迅速に対応できる。それから、労働問題の窓口である監督署を全国各地に有している。こういった特徴を生かして、これらの紛争に、いかに簡易・迅速に対応できるかということが、主要な目的と考えているところです。
このための手段としては、資料2-2に概要・枠組みをお付けしていますが、まずは全国各地に設置した総合労働相談コーナーによる、あらゆる相談へのワンストップの窓口対応。それから、具体的な民事の紛争に関して、労働局長による助言・指導。それから、紛争調整委員会によるあっせんという、これらの手段によって、紛争相談に簡易・迅速に対応するという仕組みを整備しているところです。
こういったことを前提に、施策の測定指標に関して御説明をしたいと思います。施策の実施状況ですが、実績評価書の参考の指標4にありますように、ワンストップでアクセスしやすい相談窓口として設置しています、総合労働相談コーナーにおける相談件数、これは8年連続100万件を超えるという高止まりの状況になっています。これらの相談に適切に対応していくとともに、具体的な紛争の解決の仕組みとして、先ほど申し上げた助言・指導、あっせんという手段がありますが、これらの手段について先ほど申し上げたとおり、いかに迅速な処理が行われているかどうかということが、我々の制度に求められている重要なポイントであると考えていますので、測定指標の1として、助言・指導は1か月以内、測定指標の2として、あっせんは2か月以内という処理期間を定めて、その達成割合を測定指標としているところです。
それから、紛争解決のために有効に機能しているのかという観点ですが、そもそもあっせんの制度は任意の制度ですので、紛争当事者の参加を勧奨して、いかにテーブルに着いてもらうことで合意に向けた話合いを促進していくかということも重要になってまいります。このためあっせんへの不参加に関する指標を指標3として設定しています。これについて、従来は不参加率ということで数値を取りまとめていたため、不参加の割合が一定以下であるということを指標として設定しているものです。
この評価結果と合わせて今後の方向ですが、指標の1と2については、いずれも目標は達成しており、施策の重要な目的である「迅速な解決」というのが図れているものと評価をしているところです。若干、今後の方向に関わるものですが、近年、いじめ・嫌がらせといった複雑困難な事案が増加している中で、引き続き困難な事案でも迅速な処理が確保できるように、これらの測定指標を維持することが妥当と考えています。ただし、測定の1については、かなり実績も目標値を上回る状況ですので、今年度の平成28年度からは目標値を上げて、1か月以内の処理割合を90%から95%と見直すことを考えています。
測定指標の2については、指標の3とも関連するのですが、あっせんの参加勧奨をより積極的に実施するということに取り組んでいる結果、あっせんを開くに当たっての調整に時間を要するようになったことから、2か月以内の処理割合が90.1%と目標ぎりぎりになっているところではありますが、引き続き迅速処理の重要な指標として、90%以内という目標を達成するように取り組んでまいりたいと考えています。
3点目のあっせんへの参加率についても、参加率を高めることで合意に至る、解決に至る事案を増加させたいと考えているので、引き続きこうした指標の下に評価をしていくこととしたいと考えていますが、不参加率という若干分かりにくい指標から、今は参加率という形で変更をして、設定をしたいと考えているところです。
いじめ・嫌がらせといった困難事案が増加している中で、引き続き国の行政機関による紛争処理制度の特徴として、簡易・迅速な解決を追求していくとともに、内容の充実、質の確保を図っていきたいと考えています。説明は以上です。
○阿部座長
ありがとうございました。それでは、ただいまの説明について御意見、御質問等がありましたらお願いします。
○野川委員
紛争の解決というのは、定量的な評価が非常に難しいジャンルでして、例えば技術的なタスクについて達成を評価するというのであれば、かなり定量的な……が求められる。これは社会関係ないし人間関係において、解決という概念、それ自体が非常に難しい内容を明らかにするものなので、私は特にこれを評価の対象として、測定指標を立てること自体が大変難しいものであると思っています。
そこで考えますと、指標の2と3については、その意味では致し方がないというか、確かに定量的にはっきり分かって、かつ何かしら解決に向けて一歩進んでいることは確かですので、参加者があっせんの場にちゃんと来ているということは。問題は指標の1だと思うのです。実際には労働相談に来る者のうち、あっせんに移るのは、全体の中ではほんの僅かですよね。今でも確か100万件を超える相談が来ていますよね。その中であっせんに行くのは、1%には達していないでしょう。となると、この指標1の対象となるのが、実はこの個別労働紛争の、展開しているステージのほとんどなのです。
ここの指標が処理期間1か月以内とあるのですが、やはりそこで処理したと言えるのはどういう場合かということが明確でないので、ここは非常に難しいと思うのです。例えば本人が「分かりました、ありがとうございました」と言ったのであれば、それで結構ですということになりますが、来なくなってしまっても、そこで尻切れトンボに終わってしまったとか、打ち切らざるを得なかったということもあるわけです。そういうことを考えますと、この処理期間というのが、もちろん短ければいいのですが、処理という概念について、やはり一定の定性的なもの、指標の参考になるような要素を掲げる必要があるのではないか。処理したというのはどういうことなのかと。
もちろんうがった見方をすれば、なるべく早く終わらせることが優先されるのだな、ということになって、十分に話を聞いてもらえないのではないか、そういった懸念をもたらすことも当然あり得るので、そういった点が検討されればと思います。
○安永委員
関連してよろしいですか。迅速に処理することに存在意義があるということを強調されていまして、それについては私もそう思っていますが、今言われたように解決に至るまでのプロセスですとか、解決の結果に対する当事者の納得性とか、それを聞いた結果がどうだったのかというようなことを、難しいとは思うのですが、そういったものについての目標設定みたいなものを考えることが必要ではないかと思います。
○労働紛争処理業務室長
ありがとうございます。野川委員の御指摘の点ですが、先ほど資料2-2で御覧いただいたとおり、相談に来る件数は100万件を超す。これは必ずしも紛争だけではなくて、制度の紹介等も含めてということになっているので、実際に民事上の個別労働相談というのは、左側の下の白い四角の中にあるように、24万件ほどあります。
この24万件のうち、下の助言・指導、あっせんに実際に行っているのは、9,000件弱、5,000件弱ということになってくるのですが、例えば労働者が相談者の場合には、いろいろと不満なりを持っているのだけれども、まだ事業主さんのほうに伝えていないというような、厳密には両者の意見が食い違うという意味での紛争状態になっていないものも多くありますし、この時点ではまだ使用者側には伝えないでほしいという相談もあることから、その全てが助言・指導、あっせんに至っているわけではないということです。
助言・指導というのは、あっせんとは違って一定の問題点を指摘して、解決の方向性を提示するという仕組みのものですが、その前の段階、相談の段階でいろいろと話を丁寧に聞きまして、そこから具体的に労働局長による助言・指導に進みたい、あるいはあっせんに進みたいと当事者の方が希望された場合に、こちらの仕組みに乗ってくるというスキームになっているので、処理期間を定めているからといって、そこで十分に相談がなされないということではない、ということだけ御説明したいと思っています。御指摘のとおり処理を終えるというのがどういうことかということですが、助言・指導については一定程度、本人の納得を得られた場合ですね。助言・指導した結果、一定程度、何らかの措置が事業所の中で行われたりとか、あるいは本人が申出を行ったことによって、一定程度、納得した場合というのも、一定の解決の定義として設定をしています。
○野川委員
何か判子を押したり、要するに処理したという確認、例えば何月何日にこれで終わったという、そういう形はとっているのですね。
○労働紛争処理業務室長
そうですね。この1か月というのは、一応助言をしましたというところでお尻は切っているのですが、実際その後に、その結果どうなったかということはフォローしています。事業所の中でどういう対応がなされたとかですね。それが確認できない場合も、もちろんあるわけですが。
○野川委員
この処理1か月というのに該当するのかは、ここで処理をしましたという日時が分からないと、これは測定できないでしょう。だから、それはどういう形をしているのですか。書類ですか。
○労働紛争処理業務室長
処理は、まず始まりは申出で、助言・指導の仕組みを使いますという申出があった時点が開始です。終わりについては、担当職員が助言というのを口頭なり文書なりでするのですが、その助言をした日をもって終了ということになります。
ただ、その後に例えば、職場の中でもう少し職場環境を整えたほうがいいのではないかということで助言をしたときに、その事業所の中で措置がなされるまでには、もう少し時間が掛かるということは当然あると思いますので、そこまでは必ずしも入れていない。行政として助言をするというところまでで、設定をしています。逆にあっせんのほうは、そこで合意をするというところまでで終了となっています。
○阿部座長
よくこういうのは利用者に対してアンケートをして、満足度調査みたいなのをやりますよね。そういうのはやられていないのですか。
○労働紛争処理業務室長
先ほどの安永委員の御指摘にも関連すると思うのですが、一部の労働局でアンケートをやっている所はあります。ただ、迅速処理との兼ね合いというのもあるのですが、やはり長く処理に時間を掛けることで、解決まで至るということが満足度の向上につながる場合もある。一方で長くやっても結局解決しなかった場合には、では、またそこから裁判に行くのか、二度手間ではないかということもあるので、ADRなりいろいろな紛争処理機関がある中で、私どもとしてはできるだけ早めに解決の道筋をつけて、そこで解決できれば一番いいのではないかということでやっているところです。
○渥美委員
あっせんへの不参加率を参加率に変えた部分ですが、40%以下だったのを参加率50%以上というのはなぜですか。不参加率40%以下だったら参加率60%以上だと思うのですが、何で50%以上に。
○労働紛争処理業務室長
そこの所は補足して説明しないといけないなと思っていたところですが、あっせんに参加する、参加しないのほかに、あっせんを開始する前に合意に至るケースというのも実はありまして、その部分と、あと、申請した方が自主的に取下げをされる場合がありますので、それが10%弱ぐらいあるということで、必ずしも表裏になっていないということです。
○渥美委員
分かりました。
○阿部座長
それを除いて参加率を計算することはできないのですか。
○労働紛争処理業務室長補佐
室長補佐の井上です。それを除いて、不参加率と先ほど申しました、事前の自主的合意、それから取下げを除いたものが参加率ですので、平成26年と平成27年については、手持ちとして我々は資料を持っていまして、平成25年までは公表していなかったものですから、ずっと不参加率で載せているわけです。来年度以降は参加率ということで、この表が出来るようになっています。ちなみに平成27年の参加率は57%です。その前の平成26年は54%です。上がっています。
○阿部座長
分かりました。
○安永委員
今の指標3の所ですが、指標2との関係が深くて、どちらかを上げればどちらかが下がるところがあると思います。今年2月に使用者の参加を促す通達を出されたとお聞きしていますが、その効果が把握できていれば教えてください。
○労働紛争処理業務室長補佐
あっせんについてはとにかく労働者からの申請が多いもので、相手方は事業者になるのですが、参加していただかない限りは合意に至ることも少ないので、参加勧奨ということ自体は、委員がおっしゃる2月よりも前からずっと、全国的には指示をしていたところです。各労働局独自にいろいろな手法でもって参加勧奨を、強くやっている所、普通にやっている所、余りやっていない所があったものですから、全国的にやりなさいという通達を出したわけで、それで先ほど申しましたように、平成26年に比べて平成27年は57%と3%ほど上がったのですが、本年度、平成28年度の統計を取れば、もう少し上がっていけばいいなと思っているところです。
○遠藤委員
実際に事業主からお声を聞くような機会もありました。その中では、1つは先ほど野川委員がおっしゃったように、感情のもつれというようなものもありまして、話合いの趣旨からすると、なかなか相容れない状況になっているというのは、現実問題としてあると思います。
一方で、そもそもの仕組みを、まだまだ御理解されていない方々もいらっしゃるようですので、参加率を高めるという前提の中には、制度の周知・理解促進といったものを含め、引き続き行政サイドで行っていただくことをお願いできればと思っています。
○野川委員
今の遠藤委員の御意見とも関わりますが、紛争解決システムが公的に提供されていて、1人で悶々と悩むことはないのだという、その認知度や利用度、それ自体が解決促進のための第一歩につながることになるので、これ自体が施策評価の実施の項目の中に。やはり解決の促進という観点からすれば、こういう形にならざるを得ないのですが、公的な個別紛争解決の仕組みがあるのだということの認知度、利用度、そういうことについてであれば、施策評価という観点からすると、むしろ定量的な指標も立てやすいですし、解決の方向に向けて、それが一歩になるという意味でも、効果も一応オーソライズされやすいので、そういう点も少し考えていただければと思います。
○阿部座長
施策の概要の所に、多分重要だと思われるような、「当事者双方の自主的解決を支援する」ということが挙げられているので、やはり今、野川委員や遠藤委員がおっしゃったこと、それから冒頭に野川委員がおっしゃったことは、施策評価を行う上で大事なポイントではないかと思いますので、できれば少しお考えいただいて、指標の改善をしていただきたいと思います。
それでは、ほかに御意見がなければ、これで終わりにさせていただいて、担当課においては本日の御意見を踏まえて、実績評価書への反映をお願いします。
(メインテーブル交替)
○阿部座長
続いては施策番号4-5-1「求職者支援訓練の実施や職業訓練受講給付金の支給等を通じ、雇用保険を受給できない求職者の就職を支援すること」についてです。担当課から5分程度で説明をお願いします。
○職業安定局訓練受講者支援室長
職業安定局訓練受講者支援室の松原と申します。
○職業能力開発局能力開発課訓練企画室長
職業能力開発局の稲原です、よろしくお願いします。
○訓練受講者支援室長
それでは、説明に入らせていただきます。まず政策体系の中で、どこの位置付けになるかということを御説明しますと、基本目標の4になります。「意欲のある全ての人が働くことができるよう、労働市場において労働者の職業の安定を図ること」と。その基本目標の下の施策大目標ということになっています。
それで、こちらは求職者支援制度になります。施策の概要の所に、目標を3つほど掲げさせていただいております。まず対象者としては、雇用保険を受給できない求職者ということで、適用対象ではない方、具体的に言いますと非正規の方であるとか、長く就業に就いていらっしゃらない方、あるいは育児等のブランクなど、長期のブランクのある方、そういった方が具体的な対象者になってまいります。そういった方たちに、職業訓練の実施による能力開発の機会の確保をする、それが目標の1。2つ目は、その受講期間中に給付金の支給をさせていただいて、訓練の受講を容易にする。3つ目は、修了後もハローワークのほうできめ細かい就職支援をすることによって、安定した就職に早期に結びつけていく。そういう手厚い就職支援をするという制度になっています。
それについて、測定指標としては下を御覧いただきますと、指標1としてまずは求職者支援訓練における訓練修了3か月後の就職率、これを1つ目の指標としています。先ほど申し上げました目標達成の最終的なゴールというのが就職ですので、まずは主要な指標として、この就職率を挙げさせていただいています。かつ、この指標は平成26年度以降は、より安定した就職にもっていくというゴールを明確にするために、雇用保険の適用就職率を採用しています。今は基本的な分野横断的なことを学んでいただく基礎コースで55%以上。それから、多少応用的な職業スキルを身に付けていただく実践コースで、60%以上という目標を設定しているところです。
それで、現状としては平成27年度、これが訓練修了後3か月後の就職率ということです。その就職率が雇用保険が適用されているものかどうかというのを、システム的に裏を取ったり、あるいは本来は適用就職なのに、まだ適用されていない場合の、事業主さんへの御指導もさせていただきますので、それも含めるとまだ最終の数値にはなっていません。※4の所にありますが、平成27年4月から9月末までに終了したコースの方たちの実績ということですので、最終実績についてはもう少し時間が掛かることになります。ただ、今の時点ですと、基礎コースが55%の目標に対して、若干下回って54.8%。実践のほうは60%の目標に対して60.4%ということになっていて、目標をクリアしています。達成の所は△とさせていただいております。
主な指標としては雇用保険適用就職率ということですが、もう1つ、補完的な指標として、指標2を準備しています。こちらは受講いただいた方々へのアンケート調査結果で、満足度を把握することにしています。アンケートの中身としては、実際に訓練を選ぶときに、それなりの選択肢があったか。あるいは受講中に訓練の質、講師、内容はどうだったか。それから、ハローワークが終わった後にする就職支援がどうだったか。そのようなところを確認させていただきまして、平成27年度に実際やってみて、こちらは94.1%の満足度ということになっています。当初は85%以上ということで目標を設定させていただいておりますが、これはクリアすることができました。
次のページに総合評価を付けています。今申し上げた結果に基づきまして、総合判定としては、メインの指標である雇用保険適用就職が、今の時点ですが若干下回って△になっていますので、補完的な指標のアンケートのほうはクリアしていますが、今のところはBとさせていただいております。ただ、今後の目標達成の見込みは、就職率のほうもありますので、目標達成に向けて取り組んでいきたいと思っています。
次期の目標に向けての反映の方向性ということですが、ある程度、目標達成も視野に入っていますし、それなりに実績が上がってきているので、引き続き指標1及び指標2を使った形で、この政策について進めてまいりたいと思っています。なお、満足度のアンケート調査のほうは、当初設定した85%をはるかに超える実績でしたので、平成28年度の目標値については、90%の数値を設定したいと考えているところです。以上です。
○阿部座長
ありがとうございました。ただいまの説明について、御意見、御質問等があればお願いします。
○野川委員
2点、お願いします。1つは指標1の訓練修了3か月後の就職率の、就職の概念です。つまり何をもって就職したと言えるのかということです。そのまま正社員として、安定的な就職をした場合だけでは、もちろんないでしょう。いろいろな就職した、つまり職に就いたということの内容があると思うのですが、どういう基準をもって就職したとしているのか。例えば1か月のアルバイトでも、それなりに職は見つけたということになると思いますが、なかなか訓練を修了して職に就いたというイメージからは、それは必ずしも近くないというものがあるので、この就職ということの概念、それをお聞きしたいというのが1つです。
2点目は指標2の満足度について、先ほどのお話ですと、必ずしも大雑把に満足していますかではなくて、いろいろと細かい要素を挙げて、どうでしたかと聞いておられるわけですよね。そうすると、最終的にこの人は満足だというのは、どこか最終的に「全体として満足でしたか」というような聞き方をして、判断しているのかどうなのかということが1点。
それから、細かい2点目としてこの満足度ですが、求職者支援制度はいろいろな要素から成り立っていますよね。給付金をあげる。それから訓練機関があって、そこで訓練を提供する。次にハローワークがもちろん協力して、職を紹介する。そして、実際に就職までいく。いろいろな要素の、それぞれの満足度というのが、だいぶ違うと思うのです。これはやはり、それぞれの機関が有機的に協力をして機能しなければいけない制度ですので、最終的に全体として満足したかということからは、なかなか今後の施策の在り方についての有効な指標は出てこないのではないかと思うので、その辺をどのように考えておられるのかという、大きく2点、小さく3点です。
○訓練受講者支援室長
お答えさせていただきます。まず1つ目、就職率の定義の部分ですが、こちらは確かに制度創設当初は、就職というのがいろいろな、1週間のものであってもOKになるという、何でもあり就職ということでしたので、それをやはりきちんと見ていこうということで、平成26年度からは雇用保険適用就職ということにしています。これは基本的には御本人に就職状況報告という報告をしていただきますが、雇用保険の適用がきちんとできているかどうかということで、システム上、裏を取ります。さらに御本人の申告上は、これは適用就職と当然思われるのに、事業主さんのほうが適用の手続をしていないことがシステム上分かることもあるので、ハローワーク内の部門間の連携で、適用指導もやった上で、きちんとした日付を入れていただいて、適用就職にした上でカウントするということで、非常に厳格に雇用保険適用就職率というのを見ています。
ですので、今は未適の指導のところも含めてやった形での定義になっています。1件の就職というのは、確実に雇用保険適用就職者として、適用の手続が終えられている方ということになります。適用基準としては、既に皆さん御承知かもしれませんが、1週間に20時間以上で31日間の雇用期間以上の契約ということになっているので、その定義に当てはまる就職にもっていくという、そういうところにしています。
それから、2つ目のアンケートの取り方の部分ですが、94.1%がどう出てきているかといいますと、幾つかの項目、先ほど野川先生から御指摘いただいたような、例えば訓練の中身の部分、それからハローワークの就職支援の部分ということで、1項ごとの項目について満足度というのが出てまいります。それを、今の集計の仕方としては、それを足し合わせて94.1%を出しているというのは確かですが、今回の結果に関して申し上げますと、一応全ての満足度を把握する、枝の項目の全てが90%は超えていました。90%を超えた上での多少の差というのは確かにありましたが、一応そんな状況ではありました。以上ですが、よろしいでしょうか。
○阿部座長
はい。
○安永委員
この求職者支援制度は、私どもの積年の願いが実現した制度でして、非常に必要性・重要性については認識しているところです。指標2の満足度の所ですが、指標1のような景気に左右される指標と違って、満足度の2のほうは、景気動向などには左右されにくいものだと思っております。目標を上げられるということですが、より高い水準を目指していただきたいと思います。これについては、回答はいりません。
その中で私どもがずっと主張しているのは、この求職者支援訓練がハローワークに来た人に対して受講を呼び掛けることになっていて、ハローワークに来られない方には、なかなかその情報が届いていないという認識をしているところです。景気の回復で受講者数が減少しているということですが、失業期間が1年以上の長期失業者は82万人いらっしゃるということですし、ハローワークと接点がないような層にも、的確な情報提供、そして誘導していくことが必要ではないかと思っています。以上です。
○訓練受講者支援室長
どうもありがとうございました。2点目の御指摘を頂いた、ハローワークに来られる方は私どものほうで適切な誘導ができますが、それ以外のハローワークにまだ来られていない方たちへの周知というのは、今、非常に受講者が減っている中で、我々は大きな課題と認識しています。できる限り、それも費用対効果を考えてですが、労働局のほうにハローワークに来ていただけるような形での周知・広報。それから、割とフリーターの方であるとか子育て女性が来やすい、マザーズハローワークであるとか若者ハローワークに、今、訓練の拠点なり人材体制を配置しましたので、そういった所で取組をしていきたいと思っているところです。ありがとうございました。
○遠藤委員
求職者支援制度については、大変堅実なお働きぶりだと思っています。リーマンショック以降は、よく雇用調整助成金が最大の効果を伴う政策だったということで、MVPの評価を与えられていると思います。優秀選手としては、この求職支援制度が該当すると思っています。そして、経年で制度の見直しが行われてきています。
先ほど野川委員がおっしゃったことを私なりに理解した上で、改めて発言したいと思いますが、たまたま雇用保険部会委員が3人並んでしまったものですから、指標を変えるときの議論が、やはり今一度、頭の中で蘇ってきます。リーマンショック後というのは、正に雇用の危機でした。どういう働き口であったとしても、雇用を創出していこう、雇用を維持していこう、雇用があればそこにアクセスしようということで取り組んでいたわけです。落ち着いてきたので、一定の指標見直しをしようというのは、流れとしてはありなのかもしれません。けれども、週20時間働ける者ばかりではないので、サブ指標として週20時間に満たない働きぶりについても、就職しているという形でデータを取っていく必要もあるのではないだろうかという趣旨を、記憶違いでなければ野川委員が御発言しました。私も発言させていただきました。
今の状況下を考えると、20時間に満たない形で働いている方々についても、十分指標として取る必要があると思っています。その理由は何かと申しますと、資料3-2の中に、受講しやすい形でのプログラム変更について、2ページ目の、2という所があります。短時間訓練を可能にするということです。4か月という平均期間ですが、その4か月を通して受講するのも、なかなかままならない方々がいるということも聞いています。今後、柔軟な形でのプログラムが出てくることを想定しますと、週20時間に満たない形で働き口を見つけた方々についても、そろそろ指標として持っている。公表するかしないかは別ですが、そういった方々も一定程度確保していく。その方々が週20時間以上の働き方にシフトしていくにはどうしたらいいかというのが、政策の次のターゲットになるという形で展開していくのであれば、十分意味のあるものではないかと思っています。
それから、訓練受講者が減ってきている状況下で、「この訓練は本当に効果があるのか」というのが、正直なところ、現場から聞こえてきます。そうなってくると、効果の測定として1つ考えられ得るのは、定着の問題かと思います。全員を対象にした形での追跡調査というのは、お金もかかってしまいますので、ピンポイントで、訓練を最後まで修了された方々の、その後の状況ですね、どの程度定着しているのか。訓練を受けていない者との比較を見たときに、どの程度の差異、有意な差が出ているのかといったところも、そろそろ見ていくタイミングに来ていると思っています。
○訓練受講者支援室長
御指摘、ありがとうございました。雇用保険適用就職ではない就職をされた方ということで、従来と同じベースでの就職率も、私どものほうでは集計をしていまして、御参考までに申し上げますと、基礎コースのほうで1週間ぐらいのものであったり、適用にはならないけれど就職された方ということで言うと81.9%、それから実践ですと85%ということですので、御本人の御希望の雇用形態も含めまして、就職には8割以上が到達しているということにはなっています。また、そういったものを公表する指標とするかどうかというのは、今後、少し検討をさせていただくことになるかと思います。
それから、もう1つの新たに定着の部分、それは以前からいろいろな場面でも御指摘を頂いていたかなと思っているところです。実際に我々も訓練を受けられた方が、どのぐらい定着されるかということは、非常に関心は持っているところです。一方で非常に難しいなと思うのが、訓練を受講された方を受け入れられる事業所自体が非常に千差万別で、その方たちが離職をされるとか、そういったことの理由が、必ずしも訓練を受講されたということだけで説明しきれない、そういう指標だなとも思っています。ですので、たまたま入った先が処遇のいい所であればいいですし、そうではないパターン、そういったいろいろな要素が絡む部分であるので、検討していくに当たっても、非常に慎重に考えていかなければいけないなと認識をしているところです。
○阿部座長
この施策評価というのは行政がPDCAサイクルを回すために行っているわけだと私は理解していて、実績評価書というのはその中でのチェックの部分。次のアクションにつなげるためにどうしていくかという、チェックをしているということだろうと思うのです。
今回、指標1で惜しくも0.2ぐらい足りなかったということで、達成を△とされていて、目標達成度合いの測定結果は、判定はBとされています。そういう判定を御自身たちで行ったということは、それはそれでいいと思うのですが、では、そのBをAにするためにはどうしていくかというのが、今のままを続けていきますとか、今のが有効になっていますという、そういう理解でいいのかどうかというのは、議論していただいたほうがいいかもしれない。やはりBをつけたということは、何か問題があるという認識をされているのではないかと。0.2だったからBですという、そういう理解もあるのですが、ただ、その0.2というのがなぜ駄目だったのかというのは、やはり少しは次のアクションにつなげるための行動計画というのに折り込んでいただいて、施策の分析なり次期目標への反映の方向性、施策の見直しについてといったところは少し書いておくほうが。我々は理解しますが、国民の方がこれを読んだときに、何でBなのにこのままでいいのかという疑問を持たれるのではないかと思うのです。それ以上に皆さんの中で、BをAにするためにどうしていくのかという議論があれば、それはやはりここで書いておいてもいいのかなという気はします。
○訓練受講者支援室長
ありがとうございます。
○阿部座長
ほかに御意見はありますか。では、担当課におかれましては本日の御議論を踏まえて、実績評価書への反映をお願いします。ありがとうございました。
○訓練受講者支援室長
ありがとうございました。
(メインテーブル交替)
○阿部座長
続いて、施策番号6-5-1「ひとり親家庭の自立のための総合的な支援を図ること」について、担当課から5分程度で説明をお願いいたします。
○雇用均等・児童家庭局家庭福祉課長
ポイントを説明します。ひとり親家庭の支援、ひとり親家庭というのは、母子家庭・父子家庭になりますが、特に大半を占めるのは、母子家庭で、シングルマザーの問題があります。資料4-2の2ページの右上にも少し書いてありますが、何が課題かという話ですが、実は母子家庭は増えています。かつては戦争による死別、でも今は、ほぼ随分前からですが、離婚による生別母子となっています。
問題は、2つ目の○にも書いてありますが、就業率はそれほど低くなくて、8割方就業していますが、ただ、半数近くが非正規であるということと、やはり所得が低い、経済的に苦しいということで、課題として挙げられています。
この政策については、実は過去に遡り5ページに書いてありますが、かつて平成15年に母子家庭のお母さんに対しては、就業支援に関する特別措置法という議員立法の措置がとられて、それを受けてこれだけの事業が立ち上がっています。今回、実績評価に記載されている事業は、このうちの3、4、5が書いてあるということになります。これまでやってきました。
ところが、昨年、政府全体として、やはりシングルマザー、母子家庭の抱える問題は、経済的な問題はもちろんそうですが、それ以外にも、例えば養育費で悩んでいるとか、子どもの健康の問題、進学の問題、就職の問題、交友関係、いろいろな複雑な複数の問題があることを受けて、実は資料4-2にありますが、1ページを御覧になっていただくと、政策パッケージが作られました。それなので、これは役所としては非常に苦手なやり方ですが、縦割りではなくて、横の連携、つながりでやりましょうということで、各省全体、関係する所が全て入って、このプロジェクトが昨年12月に子どもの貧困対策会議で決定されています。
1枚めくっていただくと、それぞれいろいろな課題、生活面、学びの面、仕事の面、住まいの面、ここをきちっと横でつなぎましょうというパッケージを作りました。特に大事なのが、まる1の「支援につながる」ということでワンストップ化。要するに、いろいろ問題を抱えているのは分かるのだけれども、自分の担当以外のものもあるのだったら、そこをちゃんとつないであげましょうというのが、この趣旨です。
それで、一応、実績評価書に5つの事業を書かせていただきましたが、実はこれはお断りをしなくてはいけないことがあります。指標1の高等職業と指標3のプログラムの策定については、このパッケージ、政策パッケージの中でKPIが設定されています。例えば高等職業で申し上げれば、KPIとしては就業者、この資格を取って、その資格で就業した割合を毎年度90%以上にする。プログラムについて言えば、平成31年度までに策定件数を1万件にするのだと。こういうKPIが策定されているのですが、実はその前にこの評価書を作っていますので、それが反映されておりませんので、そこも含めて少し私どもは検討が必要かという意識ではおります。
ですので、昨年、このパッケージができたので、このパッケージに沿った形でこの5つの事業をそれぞれ進めていくことになりますので、それを踏まえながら評価といいますか、効果測定と申し上げますか、そこを見ていかなくてはいけないと思っております。簡単ですが、以上です。
○阿部座長
よろしいですか。ただいまの御説明について、御質問、御意見があればお願いします。
○渥美委員
施策の中で企業を増やすという施策が入っていると思います。例えば、働く母子家庭・父子家庭の応援企業表彰となさっていると思うのですが、企業表彰の数が、年に1つとか、年によっては該当なしとか、少な過ぎると、ほかの企業も積極採用になかなか結び付かないのではないかと。私もずっとワークバランスを研究している人間なのですが、実際にひとり親家庭を採用している企業は、経営戦略として採用している、そういう企業は結構ありますよね。御存じかと思います。要は、ひとり親は背水の陣ですごく一生懸命働く。だから、すごく有り難いのだとか、あるいは、私のクライアント企業ですが、加賀屋さんという石川県の和倉温泉にありますが、客室係の3割がシングルマザー、全社員300人の1割がシングルマザーです。それも苦労している人がこれのお返しになってきめ細やかな接客ができると、そういう考えで積極採用しています。
だから、実際、そういう企業が取り組んでいる事例を、御省でもちゃんと把握はなさっているのですが、もう少し広く周知したほうが。採用しない企業は短絡的に、お子さんは小さくて、お母さんは1人だと大変だろうから、しょっちゅう休むだろうし、ちょっと雇用できないなと、そういうところの意識を変える。むしろひとり親の社員のほうがいいのではないかというふうに、意識が変わるきっかけになると私は思っています。
例えば、首都圏で喜久屋さんというチェーンがあるのですが、御存じかと思います。チェーンの1つでトップセールスは、シングルマザーの方なのです。だから、むしろこういう人たちが我が社のすごい稼ぎ頭だとか、頑張ってくださっているという声を、もう少し周知していただきたい。だから、もう事業としてあるので、そこを周知するところにもう少し力を入れるといいのではないかと。そういう企業のシヨウがあったほうがいいのではないかと私は思うのですが、いかがでしょうか。
○家庭福祉課長
おっしゃるとおりだと思います。実は今喜久屋さんのお話が出たので申し上げると、この政策パッケージは、去年の夏の段階で施策の方向性という形で出されたのです。実はそれが8月28日なのです。次の日の8月29日の土曜日に国際シンポジウムが総理、関係大臣を含めて品川プリンスホテルでされているのです。そのときに、困難な女性の抱える問題という形でのセクションの中に、喜久屋さんの社長が来られているのです。それで御説明されているのです。
喜久屋さんはクリーニング業ですね。従業員募集に当たって「シングルマザー歓迎」としているとの事です。シングルマザーがそこで働ける環境をきちっと2つ整備していて、1つは保育整備、学童保育などを作っている。もう1つはいつでも休めること。勤務体制を幾つか二重か三重にしているのです。そういうお話をお聞きしまして、大変素晴らしいと思っています。
私どもも去年からいろいろな事例を集めていまして、それを踏まえて、できる限り前に進むような、おっしゃったような表彰みたいな形も含めて、それはそう考えたいと思います。
○渥美委員
どうもありがとうございます。
○安永委員
私から3点ほど発言したいと思います。1つ目は指標1です。高等職業訓練促進給付金の支給件数ですが、ピークのときより3割減っていて、施策の分析について書かれた裏面の所を見ると、その要因について「周知不足」と書かれています。支給件数が3割減っているとなると、その原因の把握が重要だと思うのですが、周知不足以外に何か要因があるのではないかと思っていまして、そこをどう考えておられるか聞きたいのと、支給件数増加に向けて自治体のワンストップ化を推進しておられますが、国としても支給件数増加に向けての対策は必要ではないかと思っています。
2つ目は指標4です。母子・父子自立支援員の配置数について、支援体制の質の向上と人材の確保は極めて重要だと思いますが、この業務に携わっている皆さんの処遇は、必ずしも高くないと私どもは思っています。人が働くことを支援する人たちの処遇が低いというのは、おかしいことだと思っていますので、人材の確保の観点からもその対策を強化する必要があると思います。
最後に3つ目。子どもの貧困対策ということで、「子供の未来応援国民運動」が実施されていて、私どもも参加させていただいておりますが、寄附だけに頼るのではなくて、国が責任を持って経済的支援、就労支援を強化すべきだと思っています。3点目に対するお答えは要りませんので、よろしくお願いします。
○家庭福祉課長
1点目ですが、高等職業については、書き方が非常に十分でなくて申し訳なかったのですが、実はこれはいろいろ紆余曲折がありまして、平成28年度から支給期間を2年から3年に延ばしました。それまで2年間でしたが、2年間だと、看護師の資格を取ろうとする場合は3年かかるため、諦めている方たちもいたと思います。そういう面もあって、少し下がっていると思っています。昨年度においては、平成27年度の補正予算で新たに給付金以外に貸付金も作りました。これは結果的に資格を取って5年間勤めたら返還免除になるという条件も付けているので、それによってまた伸び方が変わる可能性があるので、そこは少し見てみたいと思っております。
2つ目の母子・父子自立支援員については、おっしゃるように処遇面を何とかしたい、適切な処遇をするというのは必要だと思っていますので、自治体にも呼びかけたいと思います。また、実はこれは法律改正で今年の5月に児童福祉法を改正したのですが、それと併せて、母子・父子自立支援についても、「原則非常勤」と書いてあったものを、非常勤でなくてもいいという法律改正をした。そこを糧として1つでも少し前に進めるようにしたいと思っています。
3つ目は、内閣府において、国民運動以外に自治体支援の観点から交付金を去年作っていまして、それで自治体としてもきちっと対処できるようにという形でやっております。
○阿部座長
ありがとうございます。
○遠藤委員
本当に勉強不足なので、このようなお尋ねすることをお許しいただきたいのですが、自治体でそれぞれ運用、その他含めて対応することだと思います。周知は、具体的にどういうものが周知という形で活動の中心に据えているのですか。というのは、シングルの方々は本当に働き詰めの傾向があると思います。そういった中で、今までの一方的な形での「媒体を通じての周知をしています」ということだけでは、これは通じないと思います。だから、そこをどう展開されているのかをお聞きしたいと思います。
○家庭福祉課長
1つのキーワードとして申し上げると、シングルマザーが最後まで手離さないものは何かと言ったら、今はスマホです。そのため、PR、ある事業なり制度なりをPRするときに、メール配信でいく形で取り組んでいる自治体も結構出てきています。紙でポスターを作りました、パンフレットを作りましたという従来のやり方もありますが、今はそういう時代なので、そういうやり方でメルマガ配信みたいな形も含めて取り組んでいる自治体もありますので、そこの点も含めて、なるべく本当に利用したい人、支援が必要な人に届く仕掛けをきちっとしていきたいと思います。
○遠藤委員
私自身、母子寡婦福祉資金を借りて卒業した者です。何ら知識がないもので、実際に自分の手元にあるお金でどうやり繰りしようかと思ったときに、区役所へ相談しに行って、それでこのような説明がありました。実際、これが返済になると、まとまって4年間分なので、結構な額だったという思い出しか今は残っていないです。手に届く形での情報の出し方として、確かにスマホは活用できるのですが、かなりデータが大量に発信されて、受信していますので、重要な情報も含めて見過ごされているとも言われております。知恵があるわけではないのですが、そういう手に届く形での情報の出し方が求められています。母子や父子を個別にサポートしているNPOは、自治体の周りにもいらっしゃるし、すでに連携を取られている話も聞いています。そういった方々のお知恵も頂いて、是非、好事例を横展開する形でお取り組みいただければ、有り難く思います。
○家庭福祉課長
分かりました。
○野川委員
施策目標は、ひとり親家庭の自立のための総合的な支援で、そのひとり親家庭の親がターゲットとなるということは、論理的・必然的には出てこなくて、子どもが必ずいるからひとり親と言うわけですね。資料4-2の2ページの現状・課題、対応、特に対応の中には、学びを支援するとか、子どもの居場所づくりというように、ダイレクトに子どものほうに向けたいろいろな施策も想定されていると思うのですが、この測定指標の中にある指標の5つの中には、必ずしも子どもをダイレクトにした指標がないのです。親が資格を得るとか、就職できるとか、あと養育費は確かにお金ですからあれですが、親が頑張って働いても、子どものほうがきちっといろいろなサポートを受けて、すくすく育っているということは、この施策目標の中には含まれると思うのですが、それが必ずしもこの測定指標の中、あるいはその他の中に入ってこない。そのことについて、お考えをお聞きしたいと思うのですが。
○家庭福祉課長
すみません、政策パッケージを最初に示したのは去年の8月なので、これはその前から作ってしまっていまして、その意味で反映ができていません。委員のおっしゃることはもっともだと思います。家庭なので、必ず子どもがいます。実は我々の中では、平成28年度になって事業にきっちり組み立て直しをして、子どもに対してきちっと届く形で事業の組み立て直しもしながら、予算も含めてやっていますので、御指摘の点は、これはどうしていいか、また検討させていただきたいと思います。
○阿部座長
今のところは悩ましいですね。計画年度が平成28年度までで、最後のほぼ1年程度のところで大きく変わってしまったと。これをどう変えていくかは難しいですね。
○家庭福祉課長
ちょっと変化してしまったので。
○阿部座長
1つは、指標1~5までの施策は、今でも継続しておやりになられているのですか。
○家庭福祉課長
そうです。
○阿部座長
そうだったら、これはそのまま置いておいて、別途、PDCAサイクルを回すための指標を作って、多分、平成29年度以降、新しくまた施策、中期目標を立てますよね。
○政策評価官
はい、第4期基本計画は平成29年度から始まります。
○阿部座長
そうすると、そこに反映させる形でやるのも、1つの手かとは思います。
○家庭福祉課長
パッケージが31年度まで続くので、そこには今回のおっしゃる点を踏まえて考えたいと思います。
○阿部座長
だから、ここを大きく変えるよりも、これはこのままいったほうが混乱しないのです。
○家庭福祉課長
そうですね。直前で変えるのは難しいので。
○阿部座長
あと1年度ですよね。それは政策評価官室と調整していただいて。
○政策評価官
ある程度書いていただいておりますが、「次期目標等への反映の方向性」で、そうしたインプリケーションも踏まえ、こちらの実績評価書を作ることになっております。本日の議論も踏まえて、そうしたところでの具体的な芽出しも含めて再整理していただければと思います。
○阿部座長
そうですね。いろいろと大変だと思いますが、よろしくお願いいたします。ほかにはいかがですか。もしなければ、これで終わりにさせていただきます。では、本日の議論を踏まえて実績評価書への反映をお願いします。ありがとうございました。
○家庭福祉課長
ありがとうございました。
○阿部座長
以上で本年度の当WGで議論を行うべき実績評価書については、終了いたしました。
(メインテーブル交替)
○阿部座長
次の議題にまいります。議題(2)は、「厚生労働省が所管する指定等法人並びに特別民間法人及び特別法人の行う事務・事業に係る定期的検証について」です。大臣官房総務課から説明がありますので、お願いいたします。
○大臣官房総務課企画官
大臣官房総務課で企画官をしております水谷と申します。どうもよろしくお願いたします。資料5-1~5-3までありますが、資料5-1に沿って御説明を差し上げたいと存じます。「厚生労働省が所管する指定等法人並びに特別民間法人及び特別法人の行う事務・事業に係る定期的検証」でして、これまで御審議いただいておりました個別事業の政策評価と若干毛色が違うものになります。
1ページの1つ目の○です。平成18年の閣議決定等におきまして、こういった法人については、事務・事業の必要性等について、定期的な検証を行うことが決まっています。これらに基づいて厚生労働省として定期的な検証を行ってきたものですが、今般、また新しく検証を行いましたので、その結果を有識者会議WGに御報告して、御意見を伺った上で厚生労働省ホームページにおいて公表したいと、そういったプロセスになります。
2ページ以降で、具体的に御説明をさせていただきたいと存じます。2ページですが、1つ目の塊、指定等法人です。指定等法人とは何ぞやということですが、1つ目の○の下の※に書いてあります。法令等に基づき国の指定、認定、登録等を受けて、法令等で定められた特定の事務・事業を実施する法人ということで、独立行政法人等を除くものです。こういった法人について、様々な御指摘があったものですから、平成18年に閣議決定が行われて、こういったこと、少なくとも3~5年ごとに定期的な検証を行うことが決まっています。
そういったものに基づきまして2つ目の○ですが、言わばこの閣議決定を行った後、数年の間、集中的にこういったことに取り組んでまいりまして、こういう指定等法人に対する補助金の削減とか、再就職する公務員OBの削減を進めてきました。また、指定等法人に事務・事業を行っていただきますので、インターネットでの情報の公開を行って透明性を高めるとか、そもそもの指定等基準を法令で明確化するとか、自主的に補助金を削減するとか、そういった取組を進めてまいったところです。
平成20年度と平成23年度に検証を実施していますので、今般、改めて事業の定期的な検証を行ったのが3ページです。3ページですが、対象となる事務を改めてピックアップいたしますと、99の事務・事業がありますが、このうち地方分権の取組が更に進んでいますので、24の事務・事業については、地方に移管をしています。また、1事務については未施行ということでして、そういったことで74の事務・事業について、改めて検証を行ったものです。
個別の検証は、資料5-2、縦置きの資料に事務が一覧で書いてありますが、主だった所で申し上げますと、資料5-1の3ページ、2つ目の○ですが、例えば「補助金等の削減・廃止、経費の節減」ということで、ここに書いてあります福利厚生センター事業、こどもの国協会、あるいは理美容師の試験事務については、事務所の統廃合などで経費の節減を行っています。指定基準の見直し、あるいは事務・事業実施の重点化ということでは、歯科医師臨床研修施設の指定取消要件の見直しを行ったり、あるいは介護労働センターによる介護労働者雇用改善援助等事業については、事業の対象をより重点化することを行っております。
その他、細かい話になりますが、ここに記載してありますようなことについても行っているということでして、3ページの3に総括として書いてありますが、改めて74の事務・事業について、必要性、執行体制の妥当性、総括という観点から評価を行いました。私どもとしては、引き続きこういった事業を指定等法人により実施する必要があると考えていますが、この閣議決定に沿って定期的に検証を行って、必要な見直しを行ってまいりたいと考えております。
4ページからが、もう1つの大きな塊です。特別民間法人及び特別法人です。こちらについても、平成18年等に同種の閣議決定がありまして、これに基づいて3~5年ごとに定期的な検証を行うことになっています。特別民間法人・特別法人等については、総務省の行政評価・監視におきまして、個別の法人ごとに基準を満たさない事項等についての指摘を受けていますので、これに沿って対応することをまず第一義的に行ってまいりました。
5ページにお進みいただきますと、個別の法人の見直し等の状況として書いてありますが、1つ目の○です。総務省から指摘を受けた事項については、法人ごとに対応を図っております。今般、それ以外に改めて検証ということで整理し直してみますと、労働災害防止団体、これは中央労働災害防止協会以外に、業態ごとに幾つかありますが、こういったものは関連するものですので、労働政策審議会に専門の委員会を設置いたしまして、こういった指摘事項も踏まえまして、理事数の削減とか、経費の節減等に取り組んでいます。
そのほか中央職業能力開発協会、これは補助金について、一部廃止等により大幅に削減をしています。また、企業年金連合会では、共済制度である支払保証事業について、廃止をするとか、あるいは社会保険診療報酬支払基金については、法人というよりももう少し広い視点から、データヘルス時代の質の高い医療の実現ということで、今、事務・事業の検討を行っているところです。
3に総括として書いてありますが、こういった必要性、執行体制の妥当性、総括という観点から評価を行い、また引き続きこの閣議決定に沿って随時の見直し、定期的に必要な検証を行っていきたいと考えています。
全体として個別の政策、事業の政策評価と若干毛色が違うと申しますか、当然、個別の政策は個別の政策でPDCAサイクルを回していくのが政策評価の趣旨と考えていますが、ここの部分は、法人という切り口から定期的に自己点検をすることで、こういった不信を招くことのないようにやっていくという取組ですので、私どもはこういった定期的な検証を引き続き続けて、透明性の高い行政を行っていきたいと考えています。私の説明は以上です。よろしくお願いします。
○阿部座長
ありがとうございました。御質問等があればお願いいたします。これは初めてこの場に出てきたものですよね。
○大臣官房総務課企画官
前回、平成23年度にやったときも、こういった形で御報告をさせていただいています。
○阿部座長
WGでおやりになったのでしたか。そうですか。すみません、記憶を。
○大臣官房総務課企画官
私もどうしても非常に幅広い概括的な御説明を申し上げざるを得ないところがありまして、個別の政策評価、事業の政策評価と違って、個別に御指摘いただくことがなかなか難しい案件であるというのは承知しております。私ども、そういったものとしてお願いしているのは、大変恐縮ですが、厚生労働省としてこういった法人の切り口から定期的に検証しているという取組を御了知いただくとともに、個別の評価も然ることながら、もしこういった取組について御示唆なりをまた頂ければ、そういったことも踏まえてこの取組を続けてまいりたいと考えています。
○野川委員
資料5-1の3ページ、平成24年度以降の事務・事業の見直しの状況の最初の○で、第四次地方分権一括法により指定等の権限を都道府県に移譲することにより、指定を廃止した事業が24ほどあったと。ずっと続いている行政改革といいますか流れの中で、こういったチェックをして、評価をしていくことと、例えばそれを自治体に分散していく傾向とは、リンクしているのでしょうか。つまり、これはこういうチェックをした結果、例えばこれは自治体に分散するのが合理的であるとかとして、ある意味では評価的意味で、最終的には、こういう法人をできるだけ少なくしていくほうがいいのだということに乗った作業なのか、そういうこととは全く関係のないものかをお聞きしたいのですが。
○大臣官房総務課企画官
24の事務がありますので、私もつぶさに全てを承知しているわけではありませんが、基本的な考え方として、指定等法人のようなものをなるべく縮小していくために地方に移管するという文脈、それだけの観点というよりは、正に地方でやっていただくほうがふさわしい事務については、地方に移すということの検討の結果として、こういった指定等法人がやっているものも地方に移管されたと。捉え方としてはそういった捉え方ではないかと考えております。
○野川委員
しかし、そうすると、この評価の在り方は、結果としてその仕分けみたいなものにつながり得る内容ではあるということですね。
○大臣官房総務課企画官
そういうことだと思います。常に指定等法人がやっているから、そこが動かない。つまり、外にさらされないブラックボックスのようになっている状況を改善しようということで、指定基準を明確化したり、法人にどういう事業を行っているかをオープンにしてもらったり。あるいは、そこに国庫補助が入っているのを、もっと節減できないか、やめられないのかを常に検証しているわけですから、そういった中で事業の在り方として、これはそもそも国がやる必要があるのだろうかということも、文脈として出てくる。つまり、素地を形成しているという意味では、おっしゃるとおりそういった効果もあろうかと存じます。
○阿部座長
これまで行政事業レビューとか、あるいは、省内事業仕分けとかで、こういった特別法人を監視したり、いろいろやってきたと思うのです。今後もそういうことは行われるのでしょうか。
○大臣官房総務課企画官
つまり、横断的な意味でこれを大々的にぶち上げてやるかと言うと、私はあえて、十分だと申し上げているつもりはないのですが、ある意味、集中的に改革が行われたタイミングが平成18年の閣議決定ですので、ある程度それ以降の数年間で、私どもとしてもそういった意味での透明化とか、情報の公開とか、絞れるところを絞るということは大分やってきていると思っています。そういったある程度の水準に達している中で、また引き続きチェックをしていく、それを法人という観点、切り口からチェックをしていくことが重要だと思っておりますので、こういった形の取組を地道に続けていくことが、まずは基本かと考えています。
○遠藤委員
質問になっているかどうかありますが、例えば、今、労働市場で言われているのが、人手不足の状況が大変顕著になってきたことです。その中で、今までと比べたら就職の困難度の高い者が出てきて、やはり手を掛けていかなくてはいけないということであり、効率性や、合理性からは、なかなか計り知れない形での行政サービスが求められてきている状況があります。そうなったときに、閣議決定した時代から動いており、その時点では方向性としては正しかったけれども、振り返ってみると、簡素化あるいは合理化したことによって、漏れてしまったサービスが出てきているのではないかという振り返りといいますか、合理化する一方で、合理化してみてその後どうだったのかということも、同時並行でみていく仕組みは、現実問題としてあるのでしょうか。
○大臣官房総務課企画官
ありがとうございます。非常に大きな視点からの御指摘だと思います。私どもとして法人という切り口で申し上げているのは、これを指定等法人だったり、あるいは、特別の法律に基づいて設置される民間法人がやらなくてはいけないことかと。それをやらなくてはいけない必要性。それで、やらなくてはいけないとして、それはちゃんと的確な体制でやっているか、そういうことをチェックするということです。
ただ、私どもは、もともとそういったものが必要だと。特別民間法人や特別法人であれば、絶対にこういう団体がなくてはいけないと。だから、特別に法律に基づいて設立されるものが最低1個は必要だと、それが特別民間法人ですし、みんなが集まってつくりたいのだったらつくってもいいですというのが特別法人です。そういったもので事業として必要だということは、私どもとして認知した上で、それを的確にできる体制、あるいは、ここがやらなくてはいけないという部分のアカウンタビリティーをもう少し高めていこうという取組だと思っています。
そういった意味で、私どもがここの事務・事業の必要性を今回また振り返っているときには、当然、それは必要であるということ、また、それがきちんと必要であるというのは、目的に沿った効果を上げていることと裏腹の関係にありますので、ある意味こういったことをやることで、逆に言うと、結果的に必要な法人が確保できないで、それで政策目的に支障を来しているのであれば、当然、そういった評価になりますので、そういった観点も含めて検討していく。もちろん、実際にはきちんと確保できておりますので、そういった意味で、できていないから問題だというものがいっぱいあるという状況では当然ありませんが、逆のベクトルの観点も含めて検証できる体制になっていると考えています。
○阿部座長
ほかにいかがですか。特になければ、これらの法人の事務・事業については、今後ともチェックをなさっていくということですので、その上で見直しも図られると思いますので、我々WGとしては特に意見なしということでいきたいと思いますが、よろしいですか。
ありがとうございました。本日、予定しておりました議事は、全て終了いたしました。本日は、誠に熱心かつ有意義な御審議をいただきまして、ありがとうございました。では、事務局より本日の議論の取扱いについて、御説明をお願いいたします。
○政策評価官室長補佐
本日の御意見等については、今後、担当課におきまして実績評価書等に反映するとともに、「学識経験を有する者の知見の活用」の欄に記入したものを、政策評価官室で取りまとめの上、総務省へ通知及び公表手続を進めさせていただきます。また、併せまして、皆様にも最終版を送付させていただきたいと思います。説明は以上ですが、本WGの閉会に当たりまして、政策評価官の玉川よりお礼の御挨拶をさせていただきます。お願いします。
○政策評価官
本日は、長時間にわたりまして当WGの議論に御参加いただきまして、どうもありがとうございました。それぞれの御専門の見地から、非常に的確な御意見を賜ったものと受け止めております。
御案内のとおり、厚生労働省は国民の生活に直接関わります行政分野を担っております。このため、厚生労働行政につきましては、自らが実施した施策の効果を適切に検証して、これを次の施策へ反映させていくことが強く求められているところでございます。こうした観点も踏まえ、政策評価官室といたしましては、引き続き行政事業レビューとの連携も図りながら、より実効性あるPDCAサイクルの確立に向けて政策評価を実施してまいりたいと考えております。
併せまして、平成24年度にスタートいたしました第3期基本計画は、本年度で終了となります。したがいまして、改めて本年度末になるかと思いますが、有識者会議の皆様には、第4期基本計画案についても御意見を賜りたいと存じておりますので、その点も含めどうかよろしくお願い申し上げます。本日は、ありがとうございました。
○阿部座長
本日の会議は、これで終了させていただきます。ありがとうございました。