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2019年5月28日 
第7回困難な問題を抱える女性への支援のあり方に関する検討会

子ども家庭局家庭福祉課

     ○日時

        令和元年5月28日(月)10:00~12:00
 

 

     ○場所

       労働委員会会館講堂(7階)


     ○出席者

   構成員

                          
大谷構成員 戒能構成員 加茂構成員 近藤構成員    
新保構成員 橘構成員 仁藤構成員 堀構成員    
田中構成員 松本構成員 村木構成員 横田構成員    
三木構成員      


    参考人
  
      村上参考人   


    事務局

             藤原内閣官房内閣審議官(子ども家庭局併任)
           長田子ども家庭局総務課長
           成松子ども家庭局家庭福祉課長
           度会子ども家庭局家庭福祉課母子家庭等自立支援室長
           笹田子ども家庭局家庭福祉課母子家庭等自立支援室長補佐

       

         オブザーバー
           内閣府
           法務省
           警察庁
       
       
        ○議題
           困難な問題を抱える女 性への支援のあり方について
           (運用面における見直しについて)           
 


        ○議事

 

○ 度会母子家庭等自立支援室長
 それでは、只今から困難な問題を抱える女性への支援のあり方に関する検討会第7回を開催いたします。構成員の皆様には、ご多用のところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 はじめに、構成員の方に異動がありましたので、ご紹介をさせていただきます。まず、はじめに大阪府福祉部子ども室家庭支援課長の田中構成員です。
 
○ 田中構成員
 田中でございます。宜しくお願いいたします。
 
○ 度会母子家庭等自立支援室長
 続きまして、婦人相談所長全国連絡会議会長の三木構成員です。
 
○ 三木構成員
 三木と申します。宜しくお願いいたします。
 
○ 度会母子家庭等自立支援室長
 続きまして本日欠席となりますが、名古屋市子ども青少年局子育て支援部子ども福祉課主幹の松岡構成員が、今回新しく異動という形で入っております。
 また、本日ですが、菅田構成員、高橋構成員、野坂構成員から欠席のご連絡をいただいております。なお、欠席された菅田構成員より、全国母子生活支援施設協議会の村上副会長を参考人として参加させたいとのご希望があり、参加いただいております。
 
○ 村上参考人
 村上と申します。宜しくお願いします。
 
○ 度会母子家庭等自立支援室長
 本検討会ですが、ペーパーレス会議で行います。本日の資料は、皆様の机の上にありますタブレットを操作してご覧いただくこととしておりますので、資料の配布はございませんが、お手元には座席表、議事次第、構成員名簿、タブレット操作説明書のほか、パイプファイルのほうには前回までの資料、それから、婦人保護事業等における支援実態等に関する調査研究報告書を配布しております。配布物に不足などございましたら、事務局にお申し付けください。タブレットのほうには、見ていただきますと、議事次第の他に、資料として、婦人保護事業の運用面における見直し方針について、そのほか、参考資料の1から6という形になっております。
 それでは、カメラの撮影はここまでとさせていただきます。傍聴される皆様におかれましては、傍聴時の注意事項の厳守をお願いいたします。
 それでは、これより先の議事は、堀座長にお願いしたいと思います。宜しくお願いいたします。
 
○ 堀座長
 それでは、早速議事に入ってまいりたいと思います。本日は資料として、厚生労働省より、婦人保護事業における運用面での見直し方針についての案が提出されております。この運用面での見直しについては、中間的な論点の整理において、制度の見直しを含めた議論ということを具体的に進めていく中において、通知や予算の要求などを通じて、厚生労働省において先んじて対応の行うべきことということを検討すべきであるとしておりました。前回の第6回の検討会において、運用面などにおける改善事項ということについて、皆様からいただいたご意見や参考資料の4、与党「性犯罪・性暴力被害者の支援体制充実に関するPT」のほうから、厚生労働大臣への申し入れなどがありました。婦人保護事業の運用面における見直しについてなどを踏まえ、厚生労働省において運用面での見直し方針案というものをまとめたと伺っております。
 本日はこの内容についてご議論をいただきます。それでは、事務局のほうから説明のほうをお願いいたします。
 
○ 笹田母子家庭等自立支援室長補佐
 それでは、資料の内容について説明をさせていただきます。タブレットを操作いただきまして、「婦人保護事業の運用面における見直し方針について(案)」というファイル名の資料をお開きいただければと思います。
 まず1番、「他法他施策優先の取扱いの見直し」の項目になります。この項目につきましては、本検討会でご議論いただいた中でご指摘をいただいておりました点と、参考資料4として添付をしております、与党PTから厚生労働大臣宛に申し入れがなされました提言の1つ目の項目におきましてもご指摘をいただいていることを踏まえまして、盛り込んだ内容になります。具体的な内容といたしましては、平成14年のDV法施行の際に発出をいたしました、参考資料1の「婦人保護事業関係通知等」の1ページに掲載をしております局長通知におきまして、婦人保護事業の対象者を規定しております。アからエの4つのグループに分けて記載しておりますが、こちらのエについて、「その問題を解決すべき機関が他にないために」という文言が付された上で規定されているため家出による居所なしの方でありますとか、配偶者以外からの暴力の被害を受けられている方など、婦人保護施設において支援を受けるべき女性が、他法他施策の事業に回されて、婦人相談所の一時保護等の支援に結びつかないといった実態があるとのご指摘をいただいているところです。この局長通知の改正を行いまして、関係機関との十分な連携・調整の上で、婦人保護事業による支援が必要と判断される場合には、適切に支援につながるようにする内容としております。
 2点目になります。「一時保護委託の対象拡大と積極的活用」の項目になります。この項目につきましても、本検討会でご指摘をいただいた内容と、あと与党PTからの提言の2番の項目の双方を踏まえたものです。
 まず、①の「一時保護委託の対象拡大等」については、婦人相談所が行う一時保護において、保護が必要な若年被害女性などへの支援を進めるために、民間支援団体に対する一時保護委託の積極的な活用について、改めて周知徹底を図っていくという内容としております。
 また、後段に記載の内容につきましては、参考資料1の2ページに掲載をしております、平成23年に発出の局長通知におきまして、DV被害者の方でありますとか、個別に通知で規定をしておりますケースに該当しない場合は、一時保護所の定員に空きがあれば一時保護委託ができないという取り扱いとなっている点について見直すことといたしまして、支援対象者ご本人のご意向等も踏まえて、一時保護委託が可能となるよう、対象者の範囲の拡大を図るという内容にしております。
 続いて資料の2ページをご覧ください。②の「一時保護委託契約施設における一時保護開始手続きの再周知」の項目になります。一時保護委託契約施設における一時保護の実際の運用におきまして、被害者の方が一時保護委託契約施設に直接一時保護を求めた場合に、婦人相談所への来所を求めている実態があるというご指摘をいただいているところです。この場合の運用につきましては、参考資料1の、2ページの下段に掲載をしている局長通知の規定におきまして、「訪問を受けた一時保護委託契約施設は速やかに被害者の安全を確保した上で、婦人相談所に連絡し、婦人相談所は一時保護の要否の判断等を行うこと」としており、婦人相談所への来所は必須とはしていないところですので、このことについて改めて周知をしてまいりたいという内容としております。
続いて3番の「携帯電話等の通信機器の使用制限の見直し」になります。この項目についても、本検討会でご指摘をいただいた内容と、与党PTからの提言の3番の双方を踏まえたものとなっております。
 参考資料の2として、前回の検討会でもお示しをしております内容になりますが、一時保護または婦人保護施設への入所について、同意が得られなかったケースの理由についての調査結果をお配りしています。いずれも上位には、携帯電話やスマホが使えないということが理由になっており、これが必要な支援につながらない要因というご指摘をいただいています。一方で、携帯電話等の通信機器につきましては、被害女性の方の自立に向けた求職活動でありますとか、学校・職場への復帰に際しての連絡等におきまして必要となる面もあり、こうした点を踏まえて、通信機器の取り扱いに関する調査研究を実施した上で、安全性も考慮した新たな運用方法について検討をいたしまして、一律に制限される取り扱いを見直すという内容としております。
続いて4番、「広域的な連携・民間支援団体との連携強化」になります。こちらの項目につきましても、本検討会でご指摘をいただいておりました内容と、与党PTからの提言の4番の双方を踏まえたものとしております。
 参考資料1の3ページから4ページにかけて掲載をしております平成19年発出の課長通知にあります「DV被害者の一時保護に際しての都道府県間の広域連携」につきましては、全国知事会の下、婦人相談所の連携や情報共有等について申し合わせがなされており、各都道府県には通知を発出しているところです。この内容について、改めて周知をしていくという内容としております。
また、併せまして婦人相談所等と民間支援団体との間での広域連携につきましては、民間支援団体が、仮に団体の所在地と異なる県などに居住する若年女性の方から相談等を受けた場合には、この若年女性の居住する地域に所在する婦人相談所や婦人相談員の方に、その後の支援を円滑につなぐことができるようにすることが非常に重要になってまいりますので、婦人相談所等と民間支援団体との情報の共有等による広域的な連携や必要な支援について、昨年度より実施しております「若年被害女性等支援モデル事業」の実施状況等も踏まえて検討するという内容としております。若年被害女性等支援モデル事業の概要につきましては、参考資料3の5ページに掲載をしております。
 続いて5番の「SNSを活用した相談体制の充実」になります。この項目につきましては、与党PTからの提言の5番を踏まえたものとなっております。若年層の間でのコミュニケーション手段としては、SNSが中心となっているという現状を踏まえまして、婦人保護事業における相談体制におきましても、SNSを導入していくことで、若年層をはじめとした困難を抱えた女性の方々に必要な支援が円滑につながるようにしていこうというもので、相談窓口の安全な開設方法や運用方法等について調査研究を実施した上で、充実を図っていくという内容としております。
 続いて、資料の3ページ、項目の6番の「一時保護解除後のフォローアップ体制等の拡充」になります。この項目につきましては、与党PTからの提言を踏まえたものになります。
 1つ目の「○」の内容につきましては、一時保護退所後の支援の状況としましては、これまでの調査研究の結果等では、主なものとして、基礎自治体あるいはその退所後に入所した婦人保護施設との情報交換といったものが挙げられておりますが、必ずしも十分とはいえないというご指摘をいただいております。
 また、保護命令解除後の支援の実態については、十分に把握ができていないという状況にもあります。今後、まずはこれらの実態の把握を行った上で、必要な対応について検討してまいりたいという内容としております。
2つ目の「○」になります。婦人保護施設等退所後のアフターケアや入所中の自立に向けた支援の充実になります。現在、厚生労働省におきましては、「婦人保護施設退所者自立生活援助事業」といたしまして、退所後の日常生活への援助や、地域及び職場での対人関係に関する指導でありますとか、「DV被害者等自立生活援助モデル事業」といたしまして、DVシェルター等の一次的な居住場所に滞在する被害女性の生活相談でありますとか、就職支援等を実施しております。さらには、「地域生活移行支援事業」、いわゆるステップハウスといたしまして、婦人保護施設入所者が退所前の一定期間、施設から離れて地域生活等を体験するための支援をしております。これらの事業のさらなる充実に加えまして、民間支援団体に事業の実施を委託した上での事業展開等について検討するということを内容としております。今ご紹介をいたしました事業内容につきましては、参考資料3の3ページ以降に掲載をしております。
 続いて7番「児童相談所との連携強化等」になります。この項目につきましては、与党PTからの提言の7番を踏まえたものとなります。①といたしまして「DV対応と児童虐待対応との連携強化、体制強化」になります。参考資料6に、今国会に提出をいました児童福祉法等改正法案の概要を付けております。こちらの法案には、DV対策と児童虐待防止対策との連携強化観点で、「婦人相談所や婦人相談員が、児童虐待の早期発見に努めることとする」規定が盛り込まれており、これを踏まえまして、婦人相談員等について、要保護児童対策地域協議会に積極的に加えていただくことについて、地方自治体に協力を求めていくという内容としております。
 また、本年3月の児童虐待防止対策に関する関係閣僚会議で決定されました、参考資料5として資料を付けております、「児童虐待防止対策の抜本的強化について」におきまして、婦人相談所の人員配置について、DV被害者に同伴する子どもの支援の充実を図るために、児童相談所等の関係機関と連携するためのコーディネーターの配置や、同伴児童も含めた適切な環境での保護のための心理的ケア、あるいは個別対応を含めた体制整備を進めることを盛り込んでおります。こうした必要な人員の配置を進めるのと合わせまして、専門職の配置基準でありますとか基準単価への反映についても検討することを内容としております。
 ②の「婦人相談員の処遇について」になります。平成29年度以降、2年続けて国庫補助事業におきまして、婦人相談員の手当の拡充をしております。こちらの事業内容につきましては、参考資料3の最後のページに概要を添付しております。
 国の対応としてはこうした拡充を図っておりますが、これに自治体がどこまで対応しているかといった点や、婦人相談員の方々の勤務形態あるいは専門性についての実態を把握するための調査を実施した上で、必要な対応について検討するという内容としております。
 続いて8番「婦人保護事業実施要領の見直し」になります。この項目は、本検討会でいただいておりましたご指摘を踏まえたものとなります。本実施要領については、改正すべき点が多々あるということでご指摘をいただいているところであり、当面の対応といたしまして、売春防止法の規定に基づく用語を除き、支援の実態にそぐわない用語の適正化のための整理を行うことを内容としております。大幅な改正につきましては、今後、本検討会でご議論いただく「婦人保護事業の見直しに向けた基本的な考え方」を踏まえて、対応させていただくことを念頭に置いた内容としております。
 続いて、資料の4ページの9番「婦人保護施設の周知・理解」になります。この項目につきましては、本検討会でいただきましたご指摘を踏まえて盛り込んだものとなっております。婦人保護施設の利用率が、全国的に見て年々低下傾向にあるということと、特に若年層においては、婦人保護施設による支援内容についての理解が進んでいないというご指摘をいただいており、こうした点が婦人保護施設を利用することのハードルを上げているという状況を踏まえまして、厚生労働省のホームページでありますとかソーシャルメディアにおきまして、婦人保護施設の機能や取り組み等に関する情報提供を行っていくのと合わせまして、婦人保護施設の利用に当たっての、分かりやすい内容でのパンフレットの作成等も通じまして、婦人保護施設への理解を広めてまいりたいという内容としております。
 最後10番「母子生活支援施設の活用促進」になります。こちらの項目は、本検討会でいただきましたご指摘を踏まえて盛り込んだものになります。婦人相談所と母子生活支援施設の間の関係につきましては、婦人保護事業は都道府県が主体であること、また母子生活支援施設への入所措置は福祉事務所が行うものであること等が背景となりまして、連携が十分に進んでいないとのご指摘をいただいております。
 参考資料1の最後のページに、関係規定を掲載しておりますが、現在すでに売春防止法におきましては、「配偶者のない女子及びその者の看護すべき児童について、母子生活支援施設による支援が適当な場合は、婦人相談所長は母子保護の実施に係る都道府県または市町村の長に報告または通知をしなければならない」と規定をされているところです。
また、関係課長通知におきましては、妊婦の方については婦人相談所から母子生活支援施設への一時保護委託が可能で、出産後は通常の入所に切り替えることで、妊娠段階から出産後まで一貫した母子の支援を行うことができるということを通知しているところです。こうした内容を地方自治体に改めて周知することで、母子生活支援施設の活用の促進を図ってまいりたいという内容としております。本日ご議論いただく資料の説明については以上です。
 
○ 堀座長
 ありがとうございました。それでは、只今事務局からの説明を踏まえて、意見交換をしていきたいと思っております。意見のある方は挙手のほうをお願いいたします。
 近藤構成員お願いします。
 
○ 近藤構成員
 運用面の改善ということで、おまとめをいただきありがとうございました。私のほうから2点、感想と意見を申し述べさせていただきます。
 ひとつはですね、2の「一時保護委託の対象拡大と積極的活用」というところがございますけれども、ここの書きぶりが、おそらく婦人相談所を主体に書かれているということであろうと思いますけれども、この検討会でも再三申し上げてきたとおり、私たちは女性支援のこの大きな枠組みは、被害を受けてそこから回復しようとする当事者、女性や子どもたちの立場から作り直されるべきものだというふうに思っています。一時保護委託の対象の拡大についても、それから、委託施設における一時保護開始手続きの再周知とういうことについても、これまで何度も厚生労働省のほうから、いろいろな通知とか要請を繰り返してきた内容でございます。けれども、依然として婦人相談所・婦人保護施設の一時保護の数は減り続けておりますし、それから直接民間支援団体に飛び込んだ当事者の救済措置っていうのはなかなか難しい状況にあります。ひとつ伺いたいことは、この再周知ということで、実際の実効性といいましょうか、具体的に緊急一時保護、あるいは民間支援団体につながる方々の、緊急保護と、その後の回復が、本当に確実なのかどうかということが、私は大変心配をしております。つまりこれまでも再三、念入、通知っていうことを繰り返しお願いしてきたにもかかわらず、現場の支援実態というのは、状況が悪くなり続けてきているということが、現場で大変苦慮してきたところなんですね。
 本来、権利侵害された女性や子どもたちが、自分の命を守る、自分の人生を守るために、どのような社会資源を使って回復しようとするのかということは、当事者の選択と決断によるものだということなんですね。ですから、「この人は大変だから対象として入れてあげよう」とか、「いや、ちょっとこちらでお願いしよう」というふうなことではなくて、当事者が使いたいっていう施設が使える。当事者が使いたいっていう制度をそのまま使えるような仕組みに、やはりする必要があるだろうというふうに思います。
 当事者、女性たちが権利行使の主体として、生き生きと立ち上がれるような制度改善を是非お願いしたいというふうに思います。これはおそらく、運用の改善にとどまらず、今後の女性支援の理念の再構築につながる問題だと思いますし、これから議論される具体的な法改正につながっていく問題だと思いますが、ここは是非きちんと論議をしていただき、当事者の主体的決断、当事者の選択、当事者の行為が前面に出てくるような、書きぶりを是非お願いしたいと思います。
 
○ 堀座長
 ありがとうございました。戒能構成員お願いします。
 
○ 戒能構成員
 おまとめいただきまして本当にありがとうございました。今近藤メンバーからもお話があったんですが、全体として非常に慎重な姿勢で書かれているわけですが、周知とか、理解を深めるとか、そういうことがもちろん前提なんですが、周知されていてもなお実施されてこなかった、実現されてこなかったからこそ、運用改善のテーマとして上っているわけですね。ですから、ひとつはその問題点を明確にするということはずっと議論してきたわけで、もう明確にかなりなっていると思います。それを受けて、例えば、問題によって違うかもしれませんが、仕組みですね。どこでやろうが誰がやろうが、これは周知するのはもう当たり前の話であって、その上できちんとそのことが実現できるような、実行できるような仕組みが作れるところは、仕組みの検討まで早急に、やるべきだと思っております。それが第1点です。
 順番関係なく申し上げても宜しいでしょうか。それではですね、5番に「SNSの活用」が出てまいりまして、それで資料を拝見しますと、与党PTの提言にもSNSの活用ということが出ております。これは是非内閣府と連携をしていただきたいと思っております。すでに、昨年度になりますか、特に若年層の相談については、SNSを活用せざるを得ない状況であると。そうすると支援する側としては、どういうことが必要なのかという議論を、内閣府の委員会でもうすでに行っておりまして、報告書も出しております。相談との関係で申しますと、今日の運用改善の提言では、若年層が相談しやすいという観点からたぶんお書きになっているんだと思うんですが、実はそれにとどまらず、相談を受ける側、相談員側のスキルの問題があります。SNSにまだ、私も含めてなんですが、慣れていないというところがあります。ですから、いきなりそのSNSを活用というところには、なかなかいかないのが現状ではないかと思いますので、そのへんは丁寧に、例えば婦人相談所とか婦人相談員の方々の意見を十分聞いていただきたいということと、それから、必ずしもSNSだけで相談ができるわけではないと。いろんな相談媒体を組み合わせて、あるいは相談員も、相談ということについて非常に熟練している相談員と、それから若年の方々のニーズとか考え方とか、そういうものに、非常に関心が深く、そして理解が十分である、若手の相談員などとの組み合わせてやっているなど、さまざまな工夫をしているので、他の省庁、特に内閣府の既存の調査研究がもうすでにあるわけですから、そういうものを活用して、女性支援としてはどういうことが必要なのかを、検討していただければと思います。
 それから、相談への活用と同時に、特に若年の方が多いかもしれませんけれども、SNSによって性風俗などに取り込まれている現状を理解しないと、これは単に活用ということでは済まない問題ではないか思っております。
それから次に、1ページの6のフォローアップのところです。そこでも同じく、これも内閣府が、男女共同参画担当大臣の主催で、民間シェルターに関する検討会議を設置しまして、もうすぐたぶん報告書も公表される認識しておりますけども、そこでも出てきた同様の問題がございまして、フォローアップ体制が極めて重要だということですね。そこでも、すでに民間団体は非常に優れた実践例をお持ちでありますので、そういうものと、それから同時に先進的な自治体も、例えば長崎県とか神奈川県とかですね、取り組んでいらっしゃるわけですから、そういうものを生かしていく。従来の自立生活援助事業というのは、要件が大変厳しく使いづらかったわけですね。ですから、そういうものを、次の法改正の課題にもつながって、どんな絵を描いていくかっていうことにもつながっていくわけなんですが、このあたり、現行制度の中でできる課題は何か明確にしながら、そしてそういう経験や先行事例を生かしながら早急に実施検討をしていただきたい。
 4番目なんですが、7の②の「婦人相談員の処遇」ということで申し上げたいと思います。これは全婦相の会長から後ほどまたご意見があると思いますけども、やはりこの処遇については抜本的な改革が必要だと認識しております。非常に大事なお仕事であります。しかしながら社会的な評価が低い、あるいは婦人保護事業の中での位置付けも不明確であるということがいえます。
全体的に、DV法以来、新しい法律ができますと、生活困窮者自立支援法などですね、新しい法律ができますと、必ずといっていいほど自治体に相談員を設置し、相談業務にあたるということが規定されるように、どうもなっているようです。そのときに、行政職で公務にあたるんですが、全体的な感想としてはケア的な性格を持った公務が非正規化しているということが指摘されております。それで、そういう仕事が社会的に評価があまり高くないということを反映し、周辺化し、そして、これはどっちが卵でどっちが鶏かわかりませんけれども、女性化し、そして周辺化するというような現象が出ていると聞いております。
 それから、行政の中では専門職というのが非正規化する傾向があるということも、どうもいわれているようであります。ですから、この、手当額の拡充を進めていただいていることは、大変前向きで積極的な、意義があると思いますが、今後の法改正あるいは新しい仕組みをどうするかという議論とつながっていくわけですが、婦人相談員の処遇については、この適切な対応について検討するというところに含まれるかもしれませんけれども、かなり重視して検討をすべきだと考えております。
最後ですが、8番「婦人保護事業実施要領の見直し」で、まずは用語の適正化を行うと。それからその他の点は、検討会議の議論を踏まえて検討するという方針が、先ほどお示しいただいたわけです。簡単に申し上げますと、売防法が改正されないと、変えられないという文言もあるというのが1点です。
 それから2点目は、これは大谷メンバーからご指摘いただいて、「ふむふむ、そうだそうだ」というふうに思ったんですが、売防法を踏み越えてというか、売防法で言ってないことも、踏み込んでもう言っちゃっているというところですよね。そういう文言も実はあるということですね。
 それから3点目が、これは文言の改正にとどまらない内容的な検討を、是非、今後ということで結構なんですが、進めていただきたいと思います。ひとつは、もうすでに実際の支援現場で行っている業務内容や、支援のスタンスなどとあまりにもかけ離れている。これ昭和38年、1963年の制定です。もうかなり経っていて、売防法制定時の状況を反映したままになっている。そうすると、被服の供給とか、それから一時保護所の支援内容として、給食と性感染症の防止みたいなことしか書いてないわけです。こういうものを拠り所にして、支援するのは変だろうなあというふうに思います。それで、あまりにも時代遅れでありますので、そういうことも改定すべきでありますし、これは法改正が必要かどうかというのもありますが、婦人相談員の任用要件ですね。これについても、古い考え方が残っています。婦人保護事業実施要領は、2002年、DV制定時に改定されただけで、婦人保護事業のほうは放置されたままであります。ですから、そういう状況、一刻も早く、簡単に直せる文言だけでなくて、内容的にも、もう変えたほうがいいという点は、即刻、皆様との議論を踏まえた上でということなんですが、改定をしたほうがいいと思っています。つまり、DV法と婦人保護事業とが差別化がされている。DV法の対象者には、人権保障ということが出てくるけども、婦人保護事業の対象者には、そういう文言は、最後に「一般的配慮」があるのですが、出ていない。これは婦人保護事業を実施する際の拠り所となる大事な文章でありますので、今変えられるところは、用語だけではなく、是非議論をして、改定をしていただきたいと思います。
ちょっと長くなりました。以上でございます。
 
○ 堀座長
 はい、ありがとうございました。では大谷構成員。
 
○ 大谷構成員
 これを初めて読ませて、それから今解説を伺ってこういう形で進むことは非常に期待したいし、運用面からだけでも直すという意味においては、全く異論はないんですけれども、ちょっと気になるのは、7番。「児童相談所との連携強化」ということでご提案いただいて、これは運用で改善していく方向性として出されること自体には全く異論はないんですけど、ただし、この流れがですね、児虐法のほうから提案されているという経緯なんですね。児童虐待の早期発見に努めることにするなどということで連携強化の規定を盛り込むということなんですけれども、昨今の事案は実は児童虐待に関しては、かなり早期発見は進んでるんですね。地域での通報例は、多い。そのあと保護にまで至らない。保護しても、具体的な支援まで至らない児童がいて、率直に申し上げて、この間死に至るケースがもう2件続いていると私にはみえます。具体的には品川の事件と千葉の事件。あれは、気付かれながら防げなかったという典型例なんですね。それを、児童虐待の観点から早期発見にするということではなくて、あれは児童虐待が発見されながら、母親のDVを見抜けなかったことによる、最悪の結果を招いてしまったものだと私は理解をしています。ですから、児童虐待の中に潜むDV。これに対して、我々のほう側からどのようにそこに関与するのかということを、より問題意識を持った形で児童虐待のほうが動いてくるから、婦人相談はそれに追随してというよりは、児童虐待が逆に発見された中で、婦人保護の視点を欠いたがゆえに、積極的な支援にまで至れなかったケースを、今目の前にケースとしてみるならば、じゃあ何が必要だったのかというようなことをもうちょっと踏み込んだものにしていただきたいと、痛切に感じております。具体的に言うと、児童虐待からみえるDV。児童虐待というのは、比較的支援しやすいんですよ。同伴児童の問題が、こういったケースになっているっていうことは、DVの母親を保護したときには、子どもは連れて行くということで、同伴児童の問題として、比較的皆さんの問題意識としてあったし、それも非常に必要だとは思うんですけれども、児虐が発見されたときに、母親支援をどうするのということに関しては、母親も加害者側になってることも多いので、教育的な指導はしてるのかもしれませんけど、「ああ、この人も被害者だったかもしれない」という婦人保護の観点で、DV被害者として母親の支援を、父親である夫からの切り離しも含めて、どういうふうにしたらできるのかという観点を盛り込まないと、児虐が早期発見されたとしても、結果発生を防げないということを繰り返してしまうんじゃないかなと思います。ですから、もう、もう少し、そこをよりはっきりすると、早期発見に努めることとか、DV対策と児童虐待防止との連携強化とか、そんな生温いことじゃなくて、児童虐待が発見されたら、必ず、DV被害を想定して、積極的に婦人相談員なり、女性相談の担当者が介入するというぐらいまでいかないと、結局は結果発生を防げなかったということを、より、踏み込んでもらいたいなと思います。
 それから、婦人保護事業実施要綱の見直し、第8に関しては、せめて用語の適正化ということで、運用面ですぐにでも直せるんじゃないのっていうことで私は先々回から言わせていただいているので、これはもう早急に直していただきたいと思います。ただし、なぜその用語が不適切なんだということに関して、きちんと理由を明記して、それを周知するということで、次の売防法改正につなげるということをしないと、ただ単にですね、言い換えによる適正化ということは避けていただきたいです。言い換えだけじゃなくて、この用語が、非常に女性に対して侮辱的な用語であるということとか、これは法の規定の範囲を超えているということも含めて、理由を明記した上で、次の改正につなぐ見直しを、是非していただきたい。これはもう、戒能委員から詳細に言われたところで、同じことは言いませんけれども、是非この点を意識してやっていただきたいと思います。
ということで、2点私のほうから意見を申し述べさせていただきました。
 
○ 堀座長
 ありがとうございました。では仁藤構成員。
 
○ 仁藤構成員
 仁藤です。現場から、思うところをお話しします。厳しいことを言いますと、この見直しの方針を見てですね、これでは婦人保護事業や婦人保護施設が活用されるようにはならないだろうと思ってしまいました。なぜかと言うと、一時保護を他の民間団体に委託する前に、やはり婦人保護施設が一時保護から中長期の支援に柔軟に対応して受け皿になっていけるようにするべきではないかと、思っています。婦人保護施設にどうやって入りやすくするかということが書かれてなくて、出たあとのこととか、9には周知や理解ということを書いてありますが、それだけでは婦人保護施設には入れないと思っています。そのため、3つ検討していただきたいです。
1つ目が、入所のハードルについてですが、生活面、心理・医療などを、手厚くみなければいけない人は、支援が手薄な民間団体では適切ではないことが多いので、婦人保護施設に入れるようになるといいなといつも思っています。ただ、婦人保護施設に入るときにやっぱり難しいのが、東京都では、女性相談センターの一時保護所に、2週間必ず入らなければいけなくて、その間すごく窮屈な生活になるということと、また婦人保護施設の見学ができないっていうところがやっぱりすごく、私たちが若年女性支援する上でハードルになってきます。見学がもしできないなら、お試し的に一時保護で婦人保護施設が使えるようになるというのはいいのかもしれませんが、結局そのあと本入所になるときに、また女性相談センターの一時保護所に2週間入らなくてはならないということになると、つながらないんですよね。なので、女性相談センターの一時保護所を通さなくても、一時保護委託先から、直接婦人保護施設に入れるようにすることを求めたいと思います。婦人保護事業で、一時保護委託をどこかにしたとしても、その先どう支援するのかが全然これを見る感じでは見えてこなくってですね、結局入所のハードルが高くて利用率が低いという婦人保護施設の現状を変える気があるのかなあということを思いました。女性相談センターの一時保護所を通さないと婦人保護施設に入所できないというのは、制度的法的な問題ではなくて運用の問題だと思うんです。以前も申し上げたかもしれませんが、東京は10年ほど前には、所長の判断で、一時保護委託からセンターに入所せずに、婦人保護に直接措置するという内部運用をしていたことがあると、婦人保護施設の関係者の方から聞いています。見学についても運用の問題だと思うので、措置が決まってから見学ができるということだと、その措置が決まるところまでいかないことがあるので、是非ここを検討していただきたいと思っています。そういう意味では、5番にあるSNS相談も、単なる入口にすぎなくて、私たちもSNSを使った相談をしていますが、それは、そこで問題が解決することは有り得ないので、直接面談して具体的な支援につなげられるかが鍵で、SNSは出会うための、アウトリーチのため、入口、単なる入口でしかないんですね。なので、5番でSNSの相談を広げるとありますが、入口を広げたところで現状では出会っても受け皿が機能しない。やっとの思いでSOSを上げて、出会っている人に対して支援ができてない現状があることは、これまでの調査でも明らかだと思います。なので、必要なのは、SNSでの相談体制の充実以前に、施設への入所のハードルの高さによって、その受け皿が機能しないということを改善しないと、窓口だけ広げても、助けを求めた人を裏切る結果になるのではないかなと思っています。
 そのために、2つ目ですが、ケース会議の開催を、是非運用面で、できるようにしてほしいということを思っています。私たち若年被害女性等支援モデル事業の委託先のひとつとして、2019年度はまだ委託の契約ができていないのですが、2018年度に活動してる中でもですね、モデル事業でケース会議を一度も開催してもらえませんでした。前回のこの会議でも、逆に女性相談センターにつないで、私たちとの関係とか支援を切られてしまったケースがあるという報告をしました。そのケースについて、あの会議のあとも東京都にも、ケース会議を開いてほしいということを申し入れてきましたし、そのケースで関わっている自治体の女性相談の方も、都に対してケース会議を開きたいということを、ゴールデンウィーク明けにもですね、申し入れたんですけど、まだ開催してもらえない。情報共有といいながらも、欲しい情報だけ切り取りをされて支援に活かされなくて、女性相談センターにつないだ結果も教えられないということになったら、連携強化っていっても、本人にとっては不安で、結局女性相談センターの一時保護所に入ってもすぐ出たくなってしまうということがあります。そのときに、東京都から言われているのは、ケース会議というのは前例がなくて法的な根拠もないということです。だけど、児童相談所に子どもを保護してもらうときや、児童相談所と連携してColaboで一時保護委託を受けるときなどは、要対協などの法的に位置付けられたものでなくても、日頃から入所の段階だったり、そのあと1ヵ月後2ヶ月後という形で、そのケースについて関わる支援者だったり弁護士が集まって、ケース会議をやっているんですよね。なので、前例がないっていうのは結構驚いたことだったんですけど、それができるようにしてほしいと思います。6番に「フォローアップ体制の充実」とありますが、そこにも関わることだと思ってるので、是非ケース会議はやりましょう、積極的にやりましょうとかですね、そういう一言だけでも言ってもらえると、東京都も動きやすくなるのではないかと思いました。
 最後にですね、児童相談所との連携強化というところですが、ここでは女性が同伴する児童のことだけいわれていますが、私たちが関わる例えば16歳17歳とか、そういう子どもを親権者から守る、守らなきゃいけない、そういう状態の子どもたちについても、ここで書いてほしいなと思いました。現状だと、そういう子どもが親権者から追われていても、民間団体がすべてリスクを負わなきゃいけない感じになってしまっていて、これはモデル事業を進める上でも結構課題になってています。国のモデル事業の要綱で、「利用者が未成年者の場合は親権者などへ連絡した上で保護を行う」というような一文が入っていまして、これは現状では絶対に有り得ないので、Colaboもできませんし、おそらく他の委託先の方々も、そんなことできるケースはないんです。もし親権者に連絡する場合も、Colaboから連絡はするということは有り得なくて、Colaboで保護しているということも私たちの場合は親権者には隠すので、弁護士を通して親権者に連絡する、または児童相談所や警察に連絡しています。本来であれば、児童相談所等の公的機関から親権者への連絡というのは行ってもらうべきだと思いますので、基本的には未成年の場合は児童相談所に連絡して、児童相談所が、Colaboとは言わずに、どこにいるとも言わずに、親には「一時保護をしています」というような連絡をしてもらっています。なので、そういう連携ができるようにしていただかないといけないのに、そのモデル事業の国の要綱では、私たち民間団体が親権者に連絡した上で支援を行うかのような書き方をされていまして、実態に即していないので、そういうときこそこの公的機関が出てきていただいてですね、守っていただけるといいなあということを思っています。はい、以上です。
 
○ 堀座長
 はい、ありがとうございます。松本構成員。
 
○ 松本構成員
 全婦相の松本です。私たち婦人相談員のことについては、7の2番の「婦人相談員の処遇について」というところに記載されています。ここに「平成29年度および平成30年度に実施した手当額の拡充をはじめとし」というふうに書いてくださってます。けれども、このように国の補助金を上げていただいたんですが、実際に、その上がったということはあまり聞かないんですね。下がったっていうことのほうが、私たちは聞いています。私個人でいえば、ずっと10万6千円だったんですが、国庫補助が上がって14万8千円になって、今19万1千800円として、このとおりに議会にかけていただいて上がってきているんですが、実態を相談員たちに聞きますと、「いや、そんなことは全くない」と、そして「むしろ下がっています」というふうなことを聞いたり、「ボーナスがあったのになくなった」とか、いろんな実態があります。ですから、是非ともその実態調査をしていただきたい。ここの運用の見直しについては、今のところいろんな箇所で実態調査をして、検討するとありますので、手当てが増額されたあとにどのような実態になっているのかということを、是非とも調査していただいて、その処遇改善につなげていただきたいと思いす。
 それと、私たちは婦人相談員は専門職として認めていただきたいと思っているんですけれども、2020年度の会計年度の任用制で、すでにパート職とするという事を出した地方自治体もあります。で、基礎自治体において、私たちがどのような処遇になっていくのか、非常勤が80%という中で、パート職、一般職として1年更新で、この相談業務を行っていくということになると、本当になり手がない。この大変な業務であるにもかかわらず、そういうふうな待遇しかないということで、昨年全国のある市で、「こんな大変な仕事を、このような待遇ではできない」と1週間で辞めて、1年間誰も応募しなかったとか、そういうふうな実態もあります。是非ともそのへんを考慮していただいて、実際はどうなっているのかということを調査していただいて、改善につなげていただければと思います。
 それから、この児童虐待との連携強化。先ほど大谷構成員が仰られたことなんですけれども、現場で働く婦人相談員は、今面前DVということで児童相談所との連携が多いです。面前DVがあると必ず警察から児童相談所に、児童虐待で通告されます。そのあと児相が、DVのあった福祉事務所に連絡して、児童相談所、子どもの相談員と一緒に家庭訪問する。その後婦人相談員につながってくるんですね。で実際はその家族の状況について、ケース会議にも入るし、面接相談もするし、家庭訪問もするというふうな、婦人相談員もそこに組み込まれている、今そういう段階です。ここでちょっと婦人相談員として困ってるなと思うのが、加害者に接することです。今までも婦人相談員として裁判所に同行したら加害者に会って脅かされたりとか、家に行くぞとか脅かされたりとか、ロビーに呼び出されたりとか、保護命令が出た途端、婦人相談員の所に来るとか、そういうふうな加害者もおられましたので、やはり対応については、婦人相談員の身分の安全についても、きちっと検討した上で、そこに組み込んでいただくということをしていただきたいなというふうに思います。
 それから、最初の「他法優先の取り扱いの見直しについて」なんですが、これまでの検討会でもずっと婦人相談員は他法他施策優先の削除ということを、規定を言ってきています。私たちは他法他施策を活用して連携を図り支援していくというふうに考えています。ここでは「十分な連携調整の上で、婦人保護による支援が必要な場合には適切につながるようにする」と書いてありますが、もうちょっと具体的な言葉が欲しいと思います。ここには婦人相談員としては全く文言として出てこないので、私たちは相談窓口であり、ここで分ける、限定せずに、窓口に来れば対応するということが本来の姿だと思っていますので、そのへんをもう少しこの文言に加えていただきたいなというふうに思っています。以上です。
 
○ 堀座長
 はい、橘構成員。
 
○ 橘構成員
 うちは全国から困っている女の子から相談が来ます。なので、いろんな地域に行って、その子と一緒に同行支援というのをしているんですけれども、困難な問題を抱えていて、相談窓口に行って、適切な支援が必要なのにもかかわらず、なんていうんでしょう、まずその窓口の人がどこにつないでいいかわかっていないので、いろいろと説明しなきゃいけない。なんかこっちが教えなきゃいけないみたいなときもあって、そこからさらに、婦人相談員さんにつながればいいなあと思ってても、そういう発想がない方が対応されてしまうと、問題や背景をよく分かっていない支援員さんとかにつながります。その女の子が、今自分の状況とか生活とか、住まいのこととかの相談をすると、まるで怖い所のように「最悪、シェルターには入れますけど」みたいな言い方をされちゃうんですね。最悪って言葉で、シェルターのことを説明してたり、「失礼ですがDVとかは受けてませんか」とか、怖がらせるような言い方をしながら、その女の子の話を聞こうとしている方とかもいて、そういうよく分かっていない方に自分の悩みとか現状とかって話し辛いなって思うんです。そういうときに私たちが状況を説明したり、して欲しい支援などを提案するんですけど、そうするとなぜかすごく嫌な顔されて、ご自身の理想論みたいな話をする方もいます。なぜ地域間で支援員の質に格差があったりしてしまうんでしょうか。相談を乗る立場なのに、その方の経験とか自分の理想論などを押し付けるような発言を聞くと、残念に思うし、連れてこなきゃ良かったと思ってしまうことだってあります。支援員の方に対して「当たり、外れ」があるとは思いたくはないのですが、正直、担当してくれた方によって支援の提供内容は変わってきます。若年女性特有の問題や背景を理解している支援員ではないと、相談員窓口に行っても、相談者にいやな思いをさせてしまいます。やはり先ほどから皆さんが言っているように、当事者が選択したことを、選択したいと思うような、そういった支援とか制度っていうのを活用できるような提供を惜しみなくしてほしいなと思います。「何のために相談行ったんだろう、情報提供だけだったら私たちだけでもできるのに」って思うことがあるので、相談窓口に行ったら、きちんとした、その子に合った支援、制度の活用ができるようにしていただきたいなと、再度お願いしたいなと思いました。
 
○ 堀座長
 はい、ありがとうございます。加茂構成員。
 
○ 加茂構成員
 ありがとうございます。先ほど大谷メンバーが言ったことは本当にそうで、児童虐待防止法のほうからの問題も、虐待の発見自体がすごくもう早まってると思うんですね。しかし、DVの方は早期発見が全く出来てないというのが、私も非常に実感しているところで、あの事件が、柏の事件と品川の事件があったあと、私のところには、DVで子ども連れて逃げてきた人がたくさん受診していらっしゃるんですけど、「あれは私のことだ」って言った人が何人もいたんです。児相のほうでもそういうこと言ってる人がいるかもしれないんですけど、むしろ婦人相談のほうからのほうがそういった問題っていうのは発見されやすいし、アプローチしやすいってことは是非とももう少し認識していただきたいなと思うことがあります。
 あともう一点ですね、その一時保護解除後のフォローアップ体制等の拡充についてなんですが、私いつも、やっぱりこれも売防法の影響だと思うんですけど、例えば婦人保護施設退所者自立生活援助事業」ってありますよね。で、その次も「自立」っていう言葉が入るんですけど、これが不適切だと思うんです。自立って言葉自体が。被害者の人たちの回復事業なので、自立から回復に変えたほうがいいと思います。ここでいきなり他動詞から自動詞になる。こう被害者という他動詞的な立場からですね、自分が立つという自動詞的な立場になって、すごく戸惑われる方も多いと思うんですね。だから是非ともここは「自立」から「回復」事業に変更していただきたいと思っています。以上です。
 
○ 堀座長
 はい、ありがとうございます。横田構成員。
 
○ 横田構成員
 はい、全婦連の横田といいます。与党PTの方たちのお力をお借りして、そしてここまで運用改善がなされてきたということは、本当に厚生労働省にも感謝申し上げたいところでございます。ただ、私がちょっと確認しておきたいのは、ここの運用改善の前にあるのは、あくまでも売春防止法の改正です。改正ありきの入口なんだと私は思いたいと思っております。また後ほどお話しいたしますけれども、この64年変わらない法律の中で、現状女性たちが支援されているというこの実態こそが大きな問題だと思っております。
 なおですね、今回の運用改善の中で、とても気になりましたことは、いくつかございます。ひとつは、予算措置に関わることがひとつも入っていないということなんですね。全婦連としては、以前要望書を出させていただきました。局長宛の要望書の中にですね、新たな法制度の構築を求める要望書ということで、この中に何項目かあるんですけれども、「婦人保護事業を抜本的に見直し、公的責任において女性の人権を明確に保障し、女性の自立支援を図るための法制度の整備を早急に行うこと」。ひとつ。次ですけども、「複合的困難による多様なニーズに対応するための人員配置を整えること」ということでですね、これは人員配置の配置基準を見直してほしいということと、基準単価の引き上げの事です。ずーっと前から言い続けていることですけれども、これが盛り込まれていなかったということですね。
 それから、「心理職や保育士や学習支援、精神科医の、いわゆる専門職のスタッフが配置を、人として必要だということも合わせて言っております。それから同時に、専門性を高めていくための体系ですね。いわゆる研修を国レベルできちっと整えていただきたいということと、それからもうひとつだけ言わせていただきますけど、性暴力被害女性に対する保健医療機関等の総合的な支援体制による中長期的支援を進められるよう法制度を検討してほしいということです。今回のこの運用基準の中には、性被害・性暴力という言葉がほとんど出てこないのです。私たち婦人保護施設が重要な機能としてやっていることがここに書かれていないっていうことはどういうことなのか不安に思ったりしております。具体的には、この要綱の運用改善のひとつの中の4番ですけども、この中に「広域的な連携と民間支援団体との連携強化」とございまして、「若年被害女性等支援モデル事業」の事です。これはBONDやColabo、それからライトハウスが関わってることだと思いますけど、このモデル事業、そしてモデル事業の中にある連携会議。この連携会議をもって、非常に若い女性たちが入口に辿り着き、そこから私たちの施設にスムーズに移行してくると思っておりました。ところが支援している方たちに伺うと、全然それができてないということです。これは一体何故なのでしょう。実践につながってこそこの事業が生きてくるんではないかと思っています。まだまだこれから回を重ねているところではございますが、動きの中にはそのようなものがあります。
 それから、6番の今の一時保護解除後のフォローアップ体制ですけども、今加茂構成員から「回復に変えたらいいじゃないか」という意見が出されました。「あ、すごいな」と私も一瞬思ったんですけど、実はこのアフターケア、これDVの方です。一時保護を経過したあと、何の支援もないまま地域に出て行くのですが、システムが作られていないのです。地域に出られた後、さらにまたフラッシュバックを起こしたり、子どもが問題を抱えて、非常に生きづらさにつながっていくという実態を私たちも掴んでおります。
 それから、婦人保護施設を利用するその女性たちのための退所者自立生活援助事業ですが、これも少し改善がありました。10名が5名にということで変えられましたけれども、使い勝手としてはまだまだ使いづらく、実践に即してはいないと思っていますし、この地域生活移行につながった方たちがどのように生きてるか。DVの方もそうですけど、この実態についての把握がほとんど為されていないと思います。きちっと実態調査をしていただき、予算も果たしてその予算で適切なのかというようなことも含めて、見直していただきたいです。さらに加茂構成員が仰ったように、自立してから、いわゆる社会生活に入り、単身生活になってから、孤独になってゆきます。そして、もっと苦しい思い、あるいは性暴力被害、暴力被害のフラッシュバックを起こします。自立後、私たちの施設のメンタルケアにつながっている利用者が何人もいます。回復が100%あって、この自立生活につながったわけではないんですね。アフターケアは重要なポストだ思っていますので、このことについてはきちっとした実態調査を行っていただきたいと思います。
それから、何回も出てくる婦人保護事業の実施要領の見直しですけれども、これは、さっき戒能構成員も仰いましたけれども、用語をひとつずつ変えたところで何も変わらないと私は思っています。この売春防止法を改正をしていくことに伴っていかなければ意味がありません。実施要領を見ていただくとですね、売春防止法ありきの中で作られてきたことがよく分かります。現場としては非常に使い辛いですね。
 それから、利用者サイドから見てもですね、差別的な時代遅れのものです。ですから、この実施要領自体を検討するということを、是非していただきたいと思います。そのことが、いかに売防法が不適切な法律かということに、つながっていくかと思われます。
それから、9番の「婦人保護施設の周知・理解」ですけれども、私たちは、施設独自で理解を求め、そして周知する活動をしています。パンフレットも作っています。ソーシャルアクションも起こしています。メディアにも投げかけています。メディアからお声がかかって、お応えもしています。ただ、いつも苦しむのは、住所も言えない。場所も言えないことです。身分を明かさず、他の者が話しているような形で施設を話してるんですね。なぜか。これは、DV法による、緊急一時保護をしているということにつながってくかと思います。また、もちろん売防法で入っていらっしゃる方たちも、さまざまな事情、暴力の問題も抱えているので、公にできない部分はたくさんありますけれども、でも私は、この婦人保護施設を利用している女性たちの実態が社会化され可視化されないのはものすごくおかしいと思ってます。私は、何かにつけて外でお話しする機会をいただいています。決して東京にある婦人保護施設だけではなくて、全国もパンフレットも作っていますし、地域との連携もしたいと思っていますし、そういう意味では周知・理解をするような努力をしています。ただ、その努力に限界があるということなんです。そのことを、国のほうも理解していただき、どうやったらもっと、そこに住む女性たち、暮らす女性たちが、社会化され可視化されていく状況に置かれるのかということを考えていただきたいと思います。
 それから、最後になります。「母子生活支援施設の活用促進」の中の、特に②のですね、妊婦についてのことなんですけれども、ここの中には、母子生活支援施設が出てきますけど、婦人保護施設が全く出てこないんですね。婦人保護施設、今、慈愛寮という施設で、周産期から出産まで、そのあとのことも抱えてやってらっしゃいますけれども、この女性が妊娠し出産する性であるということをきちんと捉えていただきたい。妊娠している女性たちが本当に安全な場所で、安全な状態で、どの人もケアされているんだろうか。それから、妊娠を繰り返している。背景にあるのは性暴力なんですね。その性暴力の特徴として女性が妊娠するということが、結果的には繰り返し繰り返し行われていくわけです。もちろん婦人保護施設だけではなくて、母子生活支援施設がそういうご協力の中にあるということは、大変感謝のことです。この妊娠のプロセスをしっかりとご理解いただきながら、この妊娠出産を通して、女性たちがどういう状況に置かれるのか、そして私たちが、そここそ婦人保護事業がしっかりと守っていかなければならないと周知していきたいところですね。今東京はどんどん妊産婦を受けて、慈愛寮だけではなくて、他施設も妊産婦を受けています。改めて、この望まない妊娠で出産する女性たち、それからさらにその子らがですね、暴力被害に遭っていく事実。そういうことを考えると、この妊娠を通して、生き方、出産をするということはさらにその子どもを通して、私たちは大きな人生の生き方にですね、関わっているんだということを、もう一度ですね、このご理解を深めていただきたいというふうに思います。
 最後になりますけれども、婦人保護施設を利用する女性たちですね。貧困のベースにありながら、生育歴の中で非常に生きづらさを抱えてくる。そして、その回復のために、なくてはならないというふうに、私は婦人保護施設を思っております。その施設が、今、非常にガラガラ空いているというようなこの実態が、やはりきっちりと機能を変えてですね、機能を見直し、新たな機能を持って、一人ひとりの利用者がですね、しっかり人権保障の下に守られていくべきだというふうに思っておりますので、是非宜しくお願いしたいと思います。以上です。
 
○ 堀座長
 はい、ありがとうございました。今のところで予算措置について出てきてないというご指摘がありましたが、この資料1のほうの最初のところ「2020年度予算に向け具体化を図る」ということで、予算措置はこのあと具体的に挙げられてくるという理解で宜しいでしょうか。これは厚生労働省のほうですね。説明していただければと思います。
 
○ 度会母子家庭等自立支援室長
 はい。予算措置につきましては、具体的にはまだこれからという形になりますが、先ほど横田構成員からお話がありました、配置基準等についてですね。ここはですね、7の「児童相談所との連携強化」の中の、①の2つ目の○の終わりのほうに「専門職の配置基準や基準単価の見直し等について検討する」というふうに書かせていただいておりまして、今後予算等の関係も含めて検討していくという方向でおります。
 
○ 堀座長
 はい、ありがとうございました。それでは三木構成員お願いします。
 
○ 三木構成員
 はい。婦人相談所長全国連絡会議の三木と申します。いつもお世話になっております。全国連絡会議といたしましては、これまでも厚生労働省の皆様に、さまざまな婦人保護事業に関する要望を提案させていただいております。その中で、例えば一時保護対象の拡大や、それからいわゆる他法他施策の規定の運用の見直しなどについて、今回このような形で取り入れていただけましたことについて、大変感謝申し上げたいと思います。批判等も多い一時保護のですね、対応が少しでも改善できるよう、婦人相談所としても対応していきたいと本当に思っております。その中で、3点意見と、それから要望をお伝えしたいと思います。
 1点目です。やはり先ほどから、DV被害者と、それから、生活支援が必要な方が1ヶ所に、どうしても保護せざるを得ないというですね、問題から、どうしても通信機器の使用制限ということが、今までも言われてきたところです。今回の、3番に「携帯電話等の通信機器の使用制限の見直し」ということで、今回大きく取り上げていただいたことについて大変有難く思っております。その中で是非その「一律に制限される取り扱いの見直し」の中で、やはり昨今の携帯電話というのが単なる通信機器だけではない、例えばInstagramであったりFacebookのような、個人が情報を発信する機能。例えば画像を添付したり意見を言ったり、さまざまな情報発信機能というのが、むしろ重要視されているのではないかと。一時保護中に、やはりどうしても、そういった方、扱いに慣れている方や、また発信したい方も、やはりいらっしゃると思いますので、単なる、例えば就職のための、あるいは通学のための連絡手段ではない、このような多様なSNSの機能については、そこに含まれるリスクも含めて、慎重に検討する必要もあるのではないかというふうに思っているところです。現に、添付された画像によって、その画像の内蔵されている位置情報から、その方がいらっしゃることがわかってしまう、位置が外にわかってしまうというような、非常にリスクのある例も現実にございました。通信機器については、本当に日進月歩で進んでいきますので、是非そういった専門家の意見も取り入れると共に、現場の支援にあたっている婦人相談員が実際感じている危機感。そういったものも是非反映していただきたいというふうに思います。
 2点目です。児童虐待の防止と、それからDV対応の連携ということについては、本当に痛ましい事件を受けて、今回このような形で強化されることについては大変有難く思っております。要保護児童、要対協ですね。このような根拠規定が不十分なまま、我々も本当に児童相談所や、あるいは地域の子ども家庭支援センターなどとも情報交換をしながら、対応しているところでございますけれども、是非このような根拠規定をですね、作っていただき、配暴センターであったり婦人相談所と児童相談所が綿密にこう情報交換できるようにしていきたいと思います。その中で1点、是非今後、これは運用面の改善ではなく、法的な規定の見直しまで含まれるのかもしれませんが、この「同伴児童である」という位置づけ。母が、例えばDV被害等を受けて、あるいは何らかの暴力被害を受けて、児童を同伴して保護されるという実態の中に、今回例えば心理的ケアの職員の配置基準ですとか単価の見直しなども含まれて、大変前進することを期待するわけですが、あくまでも同伴児童であるということ。ここはやはり、児童相談所に一時保護されるような児童であっても、それから母に同伴されてDVなどから逃れて、シェルターに一時保護される方も、同じように児童が権利の主体として、必要な支援が受けられるよう、婦人保護事業と、児童福祉法の整合性を是非検討していただきたいというふうに思うところです。
 3番目です。今回運用面の見直しということで、全くこの中には触れられなかったことなのではないかというものが1点ございます。これは全国所長連絡会議の中でも繰り返し厚生労働省にお願いしている重要な問題点です。それは、婦人保護事業における、国・都道府県それから市町村のそれぞれの役割について明確に規定をしてほしいということです。売春防止法ができた当時は、やはり基礎的自治体の力というのもそれほどなかったと思いますが、地方分権改革が進み、それから、地域のさまざまな福祉サービスが、区市町村が実施機関であってということを踏まえますと、やはり国と都道府県と、それから市町村がきっちりと連携をし合って、保護の必要な女性に対する支援ができるようにしていく必要があるのではないかと思っております。具体的なその検討はまだまだこれからだと思いますけれども、例えば今、他法他施策の見直しということが挙げられましたが、それでも必要な、例えば高齢者のための福祉サービスであったり、医療の面の生活保護の給付の問題であったり、具体的な各種の地域福祉サービスのネットワークと、それから婦人保護事業っていうのが、綿密につながっていかなくてはいけないのではないかと思います。この部分の区市町村の地域福祉ネットワークのサービスから、婦人保護事業そのものが浮き上がってしまったり、あるいは沈んでしまって目に見えないような形になってしまってはいけない。支援の必要な女性の入口から、一時保護を経て婦人保護施設入所。その先には地域生活が待っているわけです。実際に地域生活を送るための、各種のいろんなサービスの利用。そういったことについては、やはり市町村の役割というのが大きいと思います。そのようなネットワークの中にきっちりと、婦人保護事業というものも位置付けてほしい。それから、婦人相談員の処遇についても、やはり市町村の役割ということを明確にすることによって、初めて婦人相談員の権限であったり、処遇というものも、改善の具体的な動きになるのではないか。そのように思うところでございます。
最後になりますけれども、全国所長会議の代表というよりは、私、東京都の職員の身分を有している者ですので一言、若年被害女性モデル支援事業については、本当に関係団体、特に委託を受けてくださった3団体の皆様には大変感謝をしているところです。ケース会議のですね、開催等のご要望もいただいております。初めての取り組みということで、お互い試行錯誤していったところもあるかと思いますが、是非支援の実績を積み上げる中で見えてきた課題については、国にも報告をさせていただき、このモデル事業の成果が具体的に全国に広まって、支援の課題が明らかになり、また、事業拡大・充実していくように、取り組んでいきたいと思っておりますので、今後ともどうぞ宜しくお願いいたします。以上です。
 
○ 堀座長
 はい、ありがとうございました。村木構成員。
 
○ 村木構成員
 はい、ありがとうございます。今まで多くの皆さんがお話しいただいたことに、非常に同感をするところ、それから、なるほどと思うところが多かったんですけれども、その上で特に私が思っていることを、若干重複がありますけれども、申し上げたいと思います。
 まずひとつは、全体的な内容、感想めいたものですけれども、今回こうした形で運用面における見直し方針ということで、広範に私たちの議論を取り入れる形で見直しを進めていただいているということについて、まず感謝と敬意を表したいと思います。その中で、総論的な問題点というか感想として、ひとつはですね、これも前、委員の方からお話ありましたけれども、改めて周知するとかそういった文言が非常に多い気がするんです。これは悪くいえば、「厚労省はちゃんとやってるんだけども、自治体が反応してくれないんだ」という文言ですよね。そうではなくて、ここの議論あるいは厚労省のその思い、仕組みの、制度の本来の趣旨、そういったものをどうやってきちんと自治体に理解していただいて、且つ実行していただくかというところに、もうちょっと注力をしていただきたい。それは単純に再周知をすると、改めて通知をするということではないだろうというふうに思っております。
 それから2つ目は、今回だと広域連携のところで、あるいは前から議論のあるところでは権利擁護のところでご意見もありましたけれども、DV対策でやってること・できることと、婦人保護事業としてやってること・できることの間にいくつか乖離がみられるんですね。DVのほうは少し進んでいるのに、婦人保護事業は追いついていないところが見受けられるんで、そこの点については、きちんと検討をお願いをしたい。
 それから、3点目は、そうした自治体との関係あるいはDV対策との関係も含めて、やっぱり現行制度の限界点というのが見えてきてるなというふうに思っております。ですから、運営について見直しをしていただくと共に、現行制度、売春防止法に基づく仕組みを抜本的に見直していくことは引き続き検討会できちんと議論をしていきたいというふうに思っております。その中で何点か、具体的なところについて、ご意見を申し上げます。
 1つ目。他法他施策優先の取り扱いの見直し。これを1番としてきちんと取り上げていただいたということは、大変いいことだと思っております。ただまあ、削除じゃなくて見直しであるとか、役人的にいうと「婦人保護事業による支援が必要な場合には適切につながるように」ということで、ずいぶん保険をかけてるなあという印象がありますので、ここはもう少し具体的な文言をご提示をいただければと思います。その中で、先ほど三木さんとか仁藤さんも仰ってたんですが、連携のところは「婦人保護事業による支援が必要な場合にはつながる」ということで、なんとなくそこだけ独立して抱え込んでいるような印象があるんですけれども、そうではなくて、さまざまな福祉とのネットワーク・連携。具体的には一人ひとりの個人についてのケース会議。その中で何がその人にとって一番良い支援なのかということを、みんなで考えていって実行していくと。そういう思想をきちんと位置付けていただきたいと思います。
 それから、2番目の一時保護委託のところ。一時保護全般、2番目と3番目を見たら両方とも関わってくるわけですけれども、ここは一時保護あるいは一時保護委託ということで、かなり本来の趣旨から広げたところまでやっちゃってるんで、混乱が生じてきてるような気がいたします。携帯電話の使用制限をきちんとして、まさに三木さんが仰るように、これ情報発信機能ですから、そこをきちんと保護の観点から進めることが必要な人たちと、そうではない、もう少し、まさに自立に向けてさまざまな活動をするための最初のステップとして、まず独立、親からも含めて独立をするというのと、両方の性格があるのをひとつの一時保護という仕組みの中でやっているのはちょっと無理なんじゃないか。ここはおそらく、むしろ法改正にもつながる問題だろうと思いますけれども、そこを念頭に置いた上で、「携帯電話の一律に制限される取り扱いを見直す」というところについて考えていただければと思います。
 それから、広域的な連携。4番の「広域的な連携」のところです。これは先ほど申し上げましたけれども、ものすごく大事なことなんですが、よくよく読むと、DV関係のことしか書いてないんですね。婦人保護事業としてやらなくてはならないケースについての広域連携の強化をどうするのかというところについて、もう少し突っ込む必要があるのかなと思いました。
 それから、5番目の「SNSを活用した相談体制」のところ。ここもいろんなご意見が出てきて「もっともだなあ」というふうに思いました。私共もSNS相談をやってますけれども、これで完結するということはまず有り得ません。これが入口。一番敷居の低い入口で、ここから支援が必要な人については、さらに電話だったりメールだったり、それで実際に会って、さらに同行支援をしてっていうふうにつながっていく、その入口なんだと。したがって、相談体制全体、SNSを活用するだけではなくて、それから相談体制全体がどうなるのかということを念頭に置いて進めていただく必要があるというのが1つ目。
 それからもうひとつは、LINEなんかの相談も、ちょっと他の電話相談なんかと違うので、やっぱり研修、ノウハウをきちんと取得するということが必要です。特に感じてますのは、LINE相談なんかは、相談員も若い人のほうが親和性があるんですよね。おばちゃんが長々と、おじちゃんもそうですけれども、長々と書いたって、相手は読んでくれないんです。こうポンポンポンポン遣り取りする中で信頼を獲得していって、そして、何が相談したいのかというところに、だんだん結びついていくということが必要だと。そうだとすると、そういう技術と、それから若い人たち。あんまり相談のノウハウとか経験がない人たちが、入口のところでちゃんと相談ができる。もっといえば、地雷を踏まないようにする。そういうような研修と、それから、後ろにいるスーパーバイザーと。その両方の仕組み。それでSNSからさらに相談体制につなげていくという、そういう仕組みが必要だろうと思っております。
 それから、児童相談所のところ。これも何回も出てきておりますけども、「児童虐待のところだけだなあ」というふうには私も感じました。ひとつはDVのところ。特に女性がDVの被害者であり、且つ虐待の加害者になり得るというところについて、DV被害者のほうからの見方、支援ということが、これはもう絶対欠かせないだろうというふうに思います。
 それから、もうひとつは、児相っていうのは、本来18歳まで対象なんですね。今確かに緊急でどうしても大事なことっていうのは、乳幼児の虐待の問題ですけれども、もうひとつ実は私共との関係でいうと、10代の後半の、十分、例えばセックスもできるし、あるいは妊娠もできてしまうような、そういう子たちが児相の対象としている。その10代の、今は後半というよりむしろ半ばからですけれども、その子たちへの対応を、児相のほうでどう考えていくのか。それから、18を過ぎていきなりプツンと支援が切れることにならないような、児相と婦人相談所とのリファーをどういうふうにしていくのか。そこも大事な問題意識として、入れていただければと思います。
 最後に、ちょっと個人的な感想になりますけれども、この会議に出るたびに思うのは、私は男ですけれども、例えば性被害性暴力の問題でありますとか、それから妊娠出産、リプロダクティブ・ヘルス/ライツの問題でありますとか、そういう女性に特有な、女性であるがゆえの困難性みたいなものってやっぱりあるんだというのを実感をしております。そこを尊重をしていく、大事にしていく政策っていうのがやっぱり婦人保護施策なんだろうと思っておりますので、そこを感想として申し述べて私の意見にしたいと思います。どうもありがとうございます。
 
○ 堀座長
 ありがとうございました。村上参考人お願いします。
 
○ 村上参考人
 全国母子生活支援施設協議会の村上と申します。
 まず、最初に、10番目に「母子生活支援施設の活用促進」と位置付けていただきましてありがとうございました。しかし、現実問題なかなか母子生活支援施設の活用促進は進んでいないと思います。母子生活支援施設の利用契約は市区町村と行うのですが、実際困っているお母さん方は、DVの場合だったら婦人相談所、虐待であったら児童相談所に相談に行くことになります。ところがそのどちらでも利用契約はできません。実際に母子生活支援施設を利用されたいお母さんや子どもたちが一番最初に相談に行くのが必ずしも福祉事務所とは限らないのです。その一方で、一時保護は婦人相談所に位置付けられ、逆に福祉事務所では、母子生活支援施設には一時保護できない状態になってます。実際に利用されるお母さんや子どもは、「どこが一時保護をしてくれる」「どこが利用契約をしてくれる」というのは関係なく、相談に行ったところがいちはやく対応してくださって利用できるような形を作ってもらうことが、お母さんや子どもたちの一番の願いになっていると思います。言い方が悪いですが、たらい回しになるような形ではなくて、ワンストップで必要とされている方を受け入れられる施策を作っていただきたいと思いますので、宜しくお願いします。
 
○ 堀座長
 はい、ありがとうございました。
 
○ 横田構成員
 ちょっと宜しいですか。
 
○ 堀座長
 はい、横田構成員。
 
○ 横田構成員
 すみません、追加というかですね、ちょっと伺いたいんですけれども、実は先ほどもお話しさせていただきました婦人保護施設に辿り着く女性たちには、貧困をベースにして障害がある方たちがたくさんいらっしゃいます。もちろん私たちの施設から社会に復帰していくために就労するんですけれども、一般就労、そして障害者雇用枠の就労、多々ありますけれども、ひとつ私たちが今困難を抱えているのは、一般就労はもちろんできない、障害者雇用枠の就労もできない方がいます。婦人保護施設は、授産施設ではありませんから、他施設の作業所にみんな働きに行きたいんです。そして、いずみ寮、私の施設ですけれども、その施設の中だけの給料だけではなく、「外勤」っていう言葉を使うんですね。「みんなと同じように外勤に私は行っている」って言います。ところが、この作業所を使うことについて、二重措置というのか、福祉サービスの二重とされ、ストップがかかっています。「婦人保護施設は自立支援をしてるところなんだから、作業所に行ってそこで働いて支援を受けるのは駄目」ということなのです。今これが全国的に問題になってですね、ここをなんとかクリアできないのでしょうか。女性が自分らしく生きることを支援してるわけですから、彼女たちにとっては就労先が一般雇用なのか障害者雇用なのかとかいうよりも、自分が外勤というステータスのもとにお仕事に行ってることに誇りを持っています。それを奪うというわけにはいきません。それから今そのハードルを越えるために、何人もの利用者が施設で待っているという実態があります。ここをなんとか越えていけないものかということを、教えていただきたいなと思いましたので、お時間がちょっと逸れちゃったかもしれませんけど、彼女たちの権利を認めるっていうことにもなりますのでよろしくお願いします。厚生労働省に聞くべきことでよろしいでしょうか。
 
○ 堀座長
 厚生労働省のほうからお願いします。
 
○ 度会母子家庭等自立支援室長
 今のお話についてなんですけども、ちょっとこちらのほうでちょっと整理させてお答えしたいと思いますので、次回までにはお答えできるようにしておきます。宜しくお願いいたします。
 
○ 堀座長
はい。では松本構成員。
 
○ 松本構成員
 全婦相の松本です。ひとつちょっと発言したいことがありました。民間支援団体との連携についてです。私たちは民間支援団体との連携強化は不可欠だと思っています。橘構成員のほうから、婦人相談員に繋がったらよかった、いいんだけれどとの発言もありましたが、婦人相談員が相談を受ける中で、婦人相談所の一時保護ではなくて、民間支援団体でシェルターのほうにお願いするということも、多々あります。東京の、ある区の相談員によると、年間七十数件の一時保護依頼をしているけれども、一時保護所には1割ぐらいで、あとは他の機関とか民間支援団体に一時保護をお願いしているというお話も聞きました。
 また、全国では、民間団体がなかなか少なくて、お願いしたいと思ってもすでに活動が休止になっているというところもあります。財政的に困難な状況にあるのかなというふうに思います。ですからそのへんの、調査も是非していただいて、こう連携が上手くいくような実態調査もお願いしたいと思います。6番の「一時保護解除後のフォローアップ体制等の拡充」というふうな、先ほど回復っていうふうなことも、文言に変えたらという話もありましたけれども、ここについては一時保護所退所だけでなくって、民間支援団体に入所していて、その後とか、他の関係機関、例えば、救護施設等、とにかく一時保護していただいたあとに、どのような実態があるのか是非とも民間のほうの一時保護退所後も実態調査をお願いしたいと思います。私たち婦人相談員のところには、シェルターの情報ってわりと少なく、知らない相談員もけっこういるんですね。私のほうに、「ここらへんの県にはどんな民間のシェルターがあるでしょうか。 そっちにお願いしたいんですけど」って言われても、その情報がなかったり、いろいろします。ですから、そのへんの情報共有も、できたらお願いしたいと思います。
 
○ 堀座長
 すみません、時間もそろそろなくなってまいりましたので、まだご発言をなさっていない方でどうしても、では田中構成員。
 
○ 田中構成員
 すみません。大阪府の田中でございます。ひとつひとつ、もっともだなと思いながら聞かせていただきました。私は設置主体、その施設の設置主体が行政機関なわけですけれども、もともとは児童相談所とか福祉事務所でケースワーカーをしてきましたので、どちらかといいますとそちらの視点でひとつ感じたこと、ひとつだけ述べさせていただきます。
 橘先生も仰ってたんですけども、なかなか現場のつなぐべき人間が、やっぱりなかなかその制度自体がわかっていないっていうのは確かにあると思います。これはもう自戒を含めてでもあるんですけれども、我々が長年やってきた、ケースワーカーやってきた中でも、知らない者もおりますし、大阪府の場合は福祉専門職が福祉現場を担いますので、その大阪府では女性相談所なんですが、女性相談所にも異動もありますし、その児童相談所から行くとか、福祉事務所を経験してっていうこともあるんですけど、それでさえやはりなかなかみんな知らないといった実態があります。もっと特に言いますと、市町村の方々も、本来その相談を一番身近で受けてらっしゃる行政機関の市町村の担当の方がやっぱり、先ほどのお話にあったようになかなか知らないということもあるかなと思いますので、大阪府でも支援者向けの研修っていうのをやってるんですが、その窓口となり得る、本来つなぐべき立場であるところへの周知というか、行き届く工夫がやっぱりいるのかなと思っています。制度そのものの見直しもそうなんですけども、まずやっぱり知らないので動けていないということが多いのではないかなということを、印象で思います。今日の印象として思いました。その中で市町村の役割、国、都道府県、市町村の役割を明確にしていくっていう先生のご意見にも賛同させていただきます。市町村の役割、一番身近なところで、どのようにつないでいくべきなのか、やっぱり知らないとなかなかつながらないという、その本当に実感を込めて思っていました。他にもいろいろあったと思うんですが、ちょっと時間の関係で今日は。
 
○ 堀座長
 はい、ありがとうございました。皆様ありがとうございます。すべての項目についてご意見をいただけたかと思います。先ほど村木構成員のほうからありました「女性に特有な困難性を尊重していく施策」、非常によいまとめだと思っているんですけれども、そうした施策であるための法改正ですとか制度、理念の見直しの必要性。こういったことについても皆さんのほうからご指摘をいただきました。
 本日の見直し方針につきましては、やはり実効性を持つような方向の検討あるいは修正ということがご意見として出ておりましたので、本日いただいた意見のほう踏まえて、まずは事務局にて修正のほうをしていただき、各構成員の方々にも事前に確認のほうをいただいたあとに、その後座長である私のほうに一任していただきたいと思いますけれども、宜しいでしょうか。はい、ありがとうございます。
 それでは、次回の検討会のほうでは、婦人保護事業の見直しの基本的な考え方について議論を行ってまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 最後に事務局のほうから、次回の日程や今後のスケジュールなどについて、連絡事項のほうをお願いいたします。
 
○ 度会母子家庭等自立支援室長
 構成員の皆様、ありがとうございました。本日いただきましたご意見につきまして、事務局のほうでまず修正案を作成した上で、構成員の皆様にお示しした上でまとめていきたいと思います。
 なお、この運用面における見直し方針ですが、今後通知改正や2020年度予算に向けて取り組んで、その具体化として、本日のご意見を踏まえながら対応させていただきたいと思いますので、宜しくお願いいたします。
 次回以降の検討会におきましては、ただいま堀座長よりお話がありましたとおり、婦人保護事業の見直しに向けた基本的な考え方についてご議論をいただく予定としております。前回の検討会の終わりに堀座長よりご指名がありました構成員の方々に、現在そのたたき台を検討していただいておりますので、6月以降、2,3回程度本検討会を開催させていただき、8月には報告書として取りまとめたいと考えております。次回の日程につきましては調整の上、後日ご連絡いたします。事務局からは以上です。
 
○ 堀座長
 はい。それでは、本日の検討会はこれにて閉会といたします。ご出席の皆様どうもありがとうございました。
 

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