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2018年11月26日 
第5回困難な問題を抱える女性への支援のあり方に関する検討会

子ども家庭局家庭福祉課

     ○日時

        平成30年11月26日(月)16:00~18:00
 

 

     ○場所

       中央合同庁舎4号館共用108会議室(1階)


     ○出席者

   構成員

                          
大谷構成員 戒能構成員 近藤構成員 新保構成員    
橘構成員 仁藤構成員 堀構成員 前河構成員    
松本構成員 水野構成員 村木構成員 横田構成員    
和田構成員      


    参考人
  
      廣瀬参考人   


    事務局

  
           藤原内閣官房審議官(子ども家庭局併任)児童虐待防止等総合対策室長
           長田子ども家庭局総務課長
           成松子ども家庭局家庭福祉課長
           度会子ども家庭局家庭福祉課母子家庭等自立支援室長
           菅子ども家庭局家庭福祉課母子家庭等自立支援室長補佐

       

         オブザーバー
           内閣府
           法務省
           警察庁
       
       
        ○議題
           (1)中間的な論点の整理について
           (2)その他
 


        ○議事

 

○ 度会母子家庭等自立支援室長
それでは定刻となりましたので、只今から困難な問題を抱える女性への支援のあり方に関する検討会第5回を開催いたします。構成員の皆様には、ご多用のところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
本日は、加茂構成員、菅田構成員、高橋構成員、野坂構成員から欠席のご連絡をいただいております。なお、欠席された菅田構成員より、全国母子生活支援施設協議会の廣瀬常任協議員を参考人として参加させたいとのご希望があり、参加いただいております。また、事務局ですが、濱谷子ども家庭局長につきましては、公務により欠席させていただきます。
本日の第5回検討会につきましては、前回に引き続きペーパーレス会議で行います。本日の資料はタブレットを操作してご覧いただくこととしておりますので、資料の配布はございません。なお、お手元には、座席表、議事次第、構成員名簿、タブレット、タブレット操作説明書のほか、ファイルのほうには前回までの検討会の資料を用意しております。また、婦人保護事業等における支援実態等に関する調査研究報告書の冊子もご用意しております。配布物に不足等ございましたら、事務局のほうにお申し付けください。
タブレットの操作方法ですが、お手元の資料、タブレット操作説明書をご参照ください。なお、タブレットに保存している内容につきましては、タブレットの左上の「FB」と書いてあるフォルダを開けていただきますと、議事次第と資料1の2点となります。操作方法等でご不明な点がございましたら、適宜事務局がサポートいたしますので、お申し付けください。
それではカメラの撮影はここまでとさせていただきます。傍聴される皆様におかれましては、傍聴時の注意事項の厳守をお願いいたします。それでは、これより先の議事は堀座長にお願いしたいと思います。宜しくお願いいたします。
 
○ 堀座長
それでは、早速議事に入ってまいりたいと思います。本日の議題ですが、「中間的な論点の整理について」でございます。本検討会は7月に設置されて、これまで4回の議論を行ってまいりました。その中で構成員の皆様から様々なご意見をいただき、沢山の貴重な論点を提出いただいたと思います。これまでの検討会の中で得られました様々な視点、あるいは意見を踏まえまして、本日は議論すべき具体的な検討事項。こちらのほうを整理してまいりたいと思います。
また、議論がこれで終わるというわけではなく、本日整理する具体的な検討事項については、今後さらに議論を深めてまいりたいと思っております。事務局において「今後議論する論点(案)」でございますが、これを作成いただいておりますので、まずこちらの資料の説明のほうをお願いいたします。
 
○ 菅母子家庭等自立支援室室長補佐
はい。それでは資料1「論点整理」というファイルをお開きください。表題を「今後議論する論点について(案)」としております。1ページ目が前書きになります。最初の4つの○は、この間の、これまでの経緯でございます。平成24年度に行われた検討会において、一定の検討と論点整理がなされ、その後、運用面における改善の取組が行われてきております。一方で昨年度に行った調査研究においては、様々な課題等が考察をされております。
また、改めてこの調査におきまして、支援の困難さの実態というのが浮き彫りとなっております。さらにAV出演強要やJKビジネス問題、10代の女性への支援といった新たな課題も出てきているところであります。
5つ目の○ですが、これらのことを踏まえ、今後、従来の婦人保護事業の枠組みの見直しはもとより、今日的な社会課題への対応も含め、具体的には以下に掲げる事項について議論を深めるとしております。
最後の○ですが、なお、議論を具体的に進めていく中において、通知等の改正や予算の要求を通じて対応可能な事項があれば、本検討会の議論を踏まえ、厚生労働省において、先んじての対応を行うことを検討すべきであるとしております。
続きまして2ページをご覧ください。本日の資料の全体構成でございますが、前回、第4回の際に主な意見としてまとめをした際の、大きく3つの柱、全体で7つの項目で構成をいたしております。前回までの議論、それから昨年度の調査結果等を踏まえまして、以下、課題と主な検討対象、具体的な検討事項ということで、各項目について囲み枠において整理しております。さらにそれぞれの項目について、前回第4回までの検討会における主な意見を並べて整理をしております。
1点、1の(2)でございますけれども、「困難な問題を抱える女性のニーズに対応した支援について」こちらにつきましては、前回「若年女性や性暴力被害等のニーズ」というふうにしておりましたけれども、ここのみ前回から修正をいたしております。
続きまして3ページでございますが、まず1つ目の柱。「対象となる女性の範囲とニーズに対応した支援について」でございます。(1)対象となる女性の範囲について。まず課題として、婦人保護事業の対象女性については、売春防止法における要保護女子の規定があるが、通知により対象を拡大してきた現状があり、法律の規定が実態に合っていないとの指摘がある。また、近年の社会変化等により、支援の対象とすべき女性の範囲は広がるとともに、より多様化・複雑化しているとの指摘がある。
続きまして主な検討対象でございます。支援の対象とすべき女性の範囲の基本的な考え方を明確化する。併せて対象となる女性の具体的な像について、その定義を含め、実態やあるべき姿に即した見直しを検討するとしております。また、現行通知上、対象女性について「他法他施策優先」と規定していることが、婦人保護事業の支援につながらない要因の一つとなっているとの指摘があり、当該規定のあり方について検討する。具体的な検討事項として3つ並べております。支援の対象とすべき女性の範囲の基本的な考え方。対象となる女性の具体的な像。他法他施策優先の規定のあり方などとしております。
続きまして5ページに進んでいただきます。(2)といたしまして「困難な問題を抱える女性のニーズに対応した支援について」でございます。まず課題として、調査結果においては、婦人保護事業の対象となる女性の年齢は多岐にわたり、複合的な課題を抱えていることが確認されるとともに、若年女性や障害者、高齢者、外国籍等の対象者の属性に即した支援課題が指摘をされている。特に、婦人保護事業につながりにくいとされる若年女性への支援のあり方については、被害の未然防止の観点からも欠かすことのできない検討課題である。
児童を同伴する女性とその同伴児童への支援、性暴力被害を受けた女性に対する支援においては、心理的ケアや法的支援などの専門的支援の重要性、障害者、高齢者など何らかの配慮が必要な者については、婦人相談所、婦人保護施設の環境・設備上の課題などについても指摘がされております。さらに、支援の担い手となる婦人相談員、婦人保護施設職員のソーシャルワーク技術や関連分野に関する知識の向上のための研修、スーパービジョンのあり方についても重要な課題である。このほか、婦人保護事業の実施においては、支援の地域差、ローカル・ルールによる事業の相違について、従来から指摘がされている。以上を課題として整理をしております。
主な検討対象でございます。複合的な課題を抱える多様な女性への支援のあり方の基本的な考え方について明らかにする。その上で、対象者の様々な属性に応じた支援のあり方について具体的に検討する。この中では、若年女性への支援に関して多く指摘されている課題、一時保護における通信機器の使用制限の問題、相談窓口へのつながりにくさ等についても検討する。
また、性暴力被害を受けた女性に対する支援については、平成 29 年度に策定した支援プログラムの活用方策も含め、具体的な支援のあり方を検討する。支援の地域差、ローカル・ルールの存在が指摘されている現状の中で、それぞれの地域における必要な支援体制の確保の進め方などについて、地方分権との関係も踏まえつつ検討する。
具体的な検討事項として、並べてございます。複合的な課題を抱える多様な女性への支援のあり方の基本的な考え方。若年女性に対する支援のあり方。児童を同伴する女性とその同伴児童に対する支援のあり方。性暴力被害を受けた女性に対する支援のあり方。障害者、高齢者、外国籍などの対象属性に即した支援のあり方。ソーシャルワーク技術や知識向上のための研修、スーパービジョン。それぞれの地域における必要な支援体制の確保の進め方等と整理をいたしております。
少し先に進んでいただきまして、12ページでございます。大きく2つ目の柱になりますが、「各実施機関における役割や機能について」でございます。
(1)都道府県と市区町村の役割について。課題でございますが、現在、各種の在宅福祉サービスの多くは市区町村を中心として制度設計されており、市区町村との連携は不可欠であるが、一方で、婦人保護事業は市区町村の業務として位置付けられていないため、連携の困難さ等が指摘されている。また、市区における婦人相談員の設置は任意であり、現在、設置している市区は全体の4割強である。婦人保護施設へのつながりにくさについては、多様な要因が考えられるが、入所依頼に関する制度的課題も指摘されており、具体的には一時保護所を経る仕組み、緊急性がない場合でも一時保護所への入所が必要となる点が挙げられている。また、婦人保護施設は都道府県の任意設置であり、施設が一つもない県が一定存在する。このような状況を踏まえ、婦人保護事業における都道府県・市区町村の位置付けと役割分担について検討を要する。以上を課題としております。
続いて主な検討対象でございます。先の1の(2)で検討した「支援のあり方」や「地域における必要な支援体制の確保の進め方」を踏まえ、婦人保護事業の実施における都道府県と市区町村の位置付けや、婦人相談員の配置のあり方、市区町村が行う業務の範囲等について検討する。都道府県と市区町村の役割分担について、現在婦人相談所が担っている役割を踏まえつつ検討を行う。
具体的な検討事項として、4点並べてございます。都道府県・市区町村の位置付けや役割に関する基本的な考え方。市区町村が行うべき業務の範囲。適切に相談できる体制の確保・配置のあり方。保護・支援のために適切に短期や中期に入所できる体制の確保のあり方等としております。
続きまして15ページにお進みください。(2)支援の実施機関に求められる役割・機能についてでございます。少し文量多いですが、課題として以下整理をしております。
婦人保護事業の中核をなす婦人相談所の果たす役割は非常に大きく、これまでもガイドラインの策定や研修体系の検討等により、婦人相談所の業務の標準化と職員の専門性の確保を進めてきている。しかしながら、様々な困難を複合的に抱えた女性の相談窓口として、心理的ケアを行うための専門職の配置や若年女性、障害者、高齢者等の対象属性に応じた環境整備等の状況が調査結果から明らかとなっており、必要な体制確保が不十分との指摘がある。
また、婦人相談所が行う一時保護委託について、DV被害者についてはDV防止法に一時保護委託の規定が置かれているが、売春防止法にはそのような規定がなく、民間シェルターや民間支援団体との連携に支障が生じているとの指摘がある。婦人相談員の業務については、売春防止法において、要保護女子の「発見に努め、相談に応じ、必要な指導を行い、及びこれらに付随する業務を行うものとする」と規定されるにとどまっている。婦人相談員の業務の明確化、質の向上及び業務の標準化を図るため、これまでも相談・支援指針の策定や研修体系の検討等が行われているが、調査結果においては、若年女性への対応や婦人相談所、法的機関など関係機関との情報共有、連携強化のあり方、婦人相談員の専門性を高めるための研修の充実等が課題として挙げられている。婦人保護施設へのつながりにくさについては多様な要因が考えられるが、入所依頼に関する制度的課題も指摘されている。婦人保護施設の入所率は平均で3割以下であるが、一方で婦人保護施設を必要としている人が利用できない婦人保護施設になっているとの指摘がある。困難な問題を抱える女性の自立支援を担う施設としての機能強化はもとより、入所措置のあり方についても検討が求められている。また、特に同伴児童がある場合に活用されている母子生活支援施設についても、今般の検討に際し、今後の位置付けを整理しておく必要がある。以上を課題として整理をいたしております。
主な検討対象でございますが、婦人相談所、婦人相談員及び婦人保護施設の各実施機関について、それぞれ、法的な位置付けや入所措置のあり方、他機関との連携などの制度面からの検討と、求められる支援内容や人員配置・環境整備等の支援体制、職員のスキルアップ・専門性の確保など、機能面からの検討。この両面からの検討を行う。併せて、今後、母子生活支援施設に求められる役割とその活用についても整理を行う、としております。
具体的な検討事項でございます。婦人相談所の関係につきましては、婦人相談所に求められる役割・機能。一時保護、一時保護委託のあり方。一時保護所における同伴児童に対する支援のあり方。婦人保護施設への入所措置のあり方。婦人相談所に必要な体制。障害者、高齢者等の支援ニーズに対応した施設設備等の環境整備としております。
婦人相談員につきましては、婦人相談員に求められる役割・機能。婦人相談所、婦人保護施設との情報共有や連携のあり方。婦人相談員のスキルアップや専門性確保の方策としております。
婦人保護施設につきましては、婦人保護施設に求められる役割・機能。秘匿性と自立支援の両立。性暴力被害を受けた経験のある入所者に対する支援のあり方。婦人保護施設退所後のアフターフォローのあり方。設置運営主体や設置形態による支援実態の相違。婦人保護施設に必要な体制および施設設備等の環境整備としております。
さらに母子生活支援施設について、求められる役割とその活用等と整理をしております。
続きまして、資料21ページに進んでいただきまして、(3)といたしまして「民間シェルター等の関係団体との連携について」でございます。課題として、婦人相談所と、民間シェルターや主に若年女性の支援を行う民間支援団体との連携が不十分といった指摘がある。また、婦人相談所が行う一時保護委託について、DV被害者についてはDV防止法に一時保護委託の規定が置かれているが、売春防止法にはそのような規定がなく、連携に支障が生じているとの指摘がある。民間シェルターや民間支援団体については、すでに婦人保護事業の実施における重要な連携先としての役割を担っているが、財政基盤や人的体制の脆弱さが指摘をされている。
主な検討対象でございます。民間シェルターや民間支援団体について、婦人保護事業の構成員としての役割と連携のあり方について検討するとともに、こうした役割を担う場合の支援方策等について検討する、としております。
具体的な検討事項でございますが、民間シェルターの役割と連携のあり方。民間支援団体の役割と連携のあり方。民間団体の役割に応じた支援方策等としてございます。
続きまして24ページにお進みください。大きな3つ目の柱になりますが、「他法他施策との関係や根拠法の見直しについて」でございます。(1)「他法他施策との連携の推進について」。
課題でございます。現在、各種の在宅福祉サービスの多くは市区町村を中心として制度設計されており、市区町村との連携は不可欠であるが、一方で、婦人保護事業は市区町村の業務として位置付けられていないため、連携の困難さ等が指摘をされている。
婦人相談所は婦人保護施設への入所措置の権限はあるが、母子生活支援施設の入所措置の権限は福祉事務所にあり、婦人相談所にはない。母子生活支援施設は全都道府県にあるのに対し、婦人保護施設は設置のない県もあり、母子生活支援施設との連携については検討を要する。また、婦人保護事業においては、児童虐待対応における要対協のような関係機関による連携の仕組みがない。
主な検討対象でございます。婦人相談員と関係他職種、婦人相談所と児童相談所、市区町村の関係機関との連携のあり方や、それを円滑に行うための方策について検討を行う。また、婦人保護事業の受け皿としての観点から、母子生活支援施設との連携のあり方について検討を行う、としております。
具体的な検討事項でございますが、婦人相談員と他職種との連携のあり方。婦人相談所と児童相談所、市区町村との連携のあり方。母子生活支援施設との連携のあり方。関係機関が連携を円滑に行うための方策等としてございます。
最後に27ページへお進みください。(2)といたしまして「売春防止法の見直しについて」でございます。課題として、調査結果の考察において、根拠法である売春防止法に関わる課題として以下の点が挙げられている。5点整理がされております。
売春防止法においては、婦人保護事業は「保護更生」という位置付けのため、社会福祉事業としての事業理念は明確ではなく、「自立支援」も明記されていないことが、対象女性に対する各実施機関における自立支援の実施や関係機関との連携などの課題の根本にある。売春防止法における対象者は「要保護女子」であり、実際の支援対象との乖離が生じ、各実施機関における対象者把握の相違や、他法他施策の関連機関の婦人保護事業の分かりにくさがもたらされている。売春防止法には市町村の責務や役割についての規定がない。DV防止法など他法では、国の基本方針、基本方針に即した都道府県及び市町村基本計画の策定について明記されている。売春防止法ではこうした規定がなく、基本方針、基本計画が策定されていない。
他分野の福祉関連の法律にあるような、「連絡調整等の実施者」「連携及び調整」「支援体制の整備」などについて法的規定がなく、連携の困難、業務の困難に関連している。これが昨年度の調査結果で考察されております。
主な検討対象でございますけれども、上記で指摘されている課題及びこれまでの1~3の(1)までの各論点における議論を踏まえつつ、制度全体のあり方について検討するとしております。資料の説明は以上でございます。
 
○ 堀座長
ありがとうございました。これまでの4回の議論で出された意見と論点として、事務局で整理していただきました。大きな項目として3つの視点で整理され、さらにその項目の課題ごとに主な検討対象と具体的検討事項という形で整理されています。課題で申し上げると、全部で7つの課題に分けて整理されています。この内容について、これから議論のほうをしていきたいと思いますが、大きな3つの項目ごとに分けて、1項目30分程度として進めさせていただきたいと思います。
それではまず1ページ目の前書き部分と1つ目の項目、「1.対象となる女性の範囲とニーズに対応した支援について」11ページまでのところになりますが、そちらについて構成員の皆様から、どなたでも結構ですので、ご意見ご発言のほうをお願いしたいと思います。
戒能構成員お願いします。
 
○ 戒能構成員
一瞬早かった戒能でございます。事務局には大変な作業だったと思いますけども、整理をしていただきましてありがとうございました。まず最初に、1の項目までということだったんですが、全体的な感想といいましょうか、要望といいましょうか、それについて申し上げたいと思います。
それで、前文って勝手に呼んでるんですけども、1ページですね。今後議論する論点について案をお出しいただきまして、この検討会が前提とすべき実態と、それからそれに対応するためにはどうするかっていう課題についておまとめいただきました。概ね的確に述べていらっしゃるとは思うんですが、やはりですね、複合的な被害・実態への支援の対応の現状があるわけですね。それから、これ何度も申し上げておりますが、やはり支援につながらないというところを重視すべきだと考えておりまして、そういう課題などですね、2017年度に実施した、初めての婦人保護事業の支援実態調査ですね。その結果の知見を、より深めて、今後の検討に活用すべきであるということを再度申し上げたいと思っております。それが1点目です。
それから大きな2点目で、検討事項の構成、組み立てということです。この検討会の冒頭にお示しいただいたものに従って整理をしていただいているんですけども、それについて4点あります。1ページの「今後議論する論点」いわゆる前文なんですけども、その最後の○のところですね。これは、段階的対応ということで、この前文の中では「通知等の改正や予算の要求を通じて対応可能な事項があれば、厚労省において先んじての対応を行うことを検討すべきである」という非常に重要なことが書かれております。それに沿った検討を意識的に進めていくべきだと考えております。
さらにですね、この検討会の表題ですね。もう一度確認したいと思うんですが、「困難な問題を抱える女性への支援のあり方に関する検討会」ということで、会議の最初のほうに、前局長だったか、仰ったと思うんですけども、婦人保護事業の枠に囚われない。あるいは婦人保護事業の枠を超えるというような発想から、この検討会が出発せざるを得ないという実態ということだと思うんですね。その実態に対応するためには、もう60何年前の婦人保護事業の枠に囚われていたのでは、もう限界なんだっていうのが支援の現場の率直な声だと思っております。
さらに今回は、現代社会のニーズにも対応する必要があるっていうことを、強調して、構成員のメンバーもそれを考慮して選んでいらっしゃるし、議論もそういうことを重視して展開してると思うんですけども、そうしますと、やはりそこで、私のこれは大いなる期待なんですけども、将来展望ですね。もう今ここが問題でここが駄目だというようなところに留まることは、もうできないのではないかと。やっぱりどういう支援をしたいのか、こういう支援が必要だっていう思いが支援の現場の方には非常に強いと思っております。
それは、利用する女性や子どもの方々にも言えることだと思います。ですからそういう将来展望を見据えた議論。いつ改正なのか新法なのかということは横に置いておくとしても、そういう将来展望を見据えた議論を行いたいと、個人的には願っております。やはり明るい未来が見えるような議論でなければ、いけないんではないかなと強く思っています。
それから、その大きな括りの2の(2)の各実施機関における役割や機能のところですね。現状を前提にして整理してらっしゃるので、仕方ない面もあるとは思うんですが、やっぱりこのへんあたりをみますと、現行の婦人保護事業の枠を、どうやって取っ払っていくのかっていう発想が弱いかなと思っております。
1の(2)の支援のあり方のところでは、すでに支援システムについて、いくつか重要な問題提起がもう出されているわけですから、このような問題提起を具体的な検討課題、検討事項に落とし込んでいくというふうに再整理をする必要があるのではないかと考えます。それが2点目。
それから2の検討事項の構成組み立ての3番目なんですが、先ほど言及しました前文の最後に「通知等の改正」というのが書いてあるんですけども、これはすでに前回の検討会で座長もご指摘なさったと思いますが、婦人保護事業実施要領という最も重要な通知があります。その第1の「婦人保護事業の目的」のところですよね。相変わらず、これは60年経っても社会環境の浄化と配偶者からの暴力防止と書かれているわけです。それはもう迅速に改定すべき点であろうと思っております。とりわけ人権尊重を謳う日本国憲法の下にこの検討会は行われているわけですから、誰も、そういう改定に異議はないのではないかというふうに感じております。
さらに「要保護女子」という言葉は、この今日の論点の中でも使われていますが、、これは思想的にも、それから支援の実態からいっても、人権保障の理念からかけ離れたものであるということと、こういう考え方が、支援が必要な女性たちを、支援から遠ざけてはいないだろうかという点も考える必要があるということです。
それで先の、平成24年度の検討会があったわけですが、もうそこでこういう差別的な文言が、真っ先に取り外しましょうということで合意されていると思っております。だから例えばですね、収容とか指導とか保護更生とか、そういう文言を、まず除くということはすぐにでもできることではないかと感じております。
それから最後ですが、具体的な論点。これは支援のあり方とか、基本的な考え方とか、そういう表現があるんですが、複合的な問題を抱えた女性や若年女性への支援という個別の問題に留まらず、支援の基本理念とか基本原則とか、婦人保護事業あるいはそれを超えた困難な問題を抱えた女性支援の在り方自体の基本的な理念とか基本原則だとか、これは毎回毎回確認する必要はあると思うんですけども、こういう論点整理ではきちんと明確に最初に打ち出しておくべきではないかと思っております。以上でございます。
 
○ 堀座長
はい、よろしいですか。では近藤構成員お願いします。
 
○ 近藤構成員
本当に事務局の整理については心から感謝申し上げます。私も今戒能構成員が主張されたように、この整理されたその論点、今後議論を積み重ねていくべき課題をどちらの方向にどのように積み上げていくかということが、この検討会の核心になるのではないかというふうに思っています。
これまで積み上げられてきた、厚生労働省内部での婦人保護事業に関する検討会の議論もそうでしたし、今回出されています、与党PTの党の提言の中にも、婦人保護事業を法的な措置を含め抜本的に見直すということが提言されています。それから第三次、第四次の男女共同参画社会基本計画の中にも、売春防止法にかかわる法的な見直しということが書き込まれておりました。
これまで4回、ここで様々な委員の皆さんが現状の課題をお示しいただきましたけれども、それらはすべて、総じて、売春防止法を根拠法として作り上げられてきた日本の女性支援の現状が、如何に課題に満ちていて、限界に達しているかということの、それぞれの報告だったというふうに私は思います。おそらくここにおいでになる委員の皆さんが、売春防止法を根拠法としてではなく、新たな女性支援の根拠法をここから作り出そうということについての異論があるというふうに私は思いません。
実は11月3日、4日に、全国女性シェルターネットが21回のシェルターシンポジウムを開催いたしました。そこで毎年大会アピールを採択するんですけれども、今回もですね、売春防止法を根拠として動いてきたこれまでの女性支援事業には限界がある、ジェンダーの構造による暴力被害から女性や子どもたちの尊厳を十分に回復することができないままであるという状勢分析の下に、女性支援の根拠法とされてきた売春防止法を見直し、あらゆる女性のニーズに対応できる総合的支援の枠組みと、国際基準に沿った法的根拠の整備を求めるという大会アピールを採択いたしました。売春防止法を部分的に手直しするということでは、問題の解決は図られないということはもう明らかだというふうに私は思います。そういう意味ではこれまで出されてきたこの論点を、売春防止法の手直しということではなく、新たな法整備に向けて作り込んでいくという議論を、是非ここで続けていただきたいというふうに思います。議論する論点が3つ、そして内容7つということで整理はされていますけれども、これはこれまでの婦人保護事業、売春防止法の支援の枠組みの中で明らかになった課題を検討するということになっています。私たちはここを超えていくということがどうしても必要だと思いますし、今当事者・支援者が必要としている新たな支援の枠組みをどのように作っていくかということこそが、この検討会に課された課題ではないかというふうに思います。新たな女性支援の根拠法を作る。その根拠法の支援理念をどうするか。法の対象をどこに置くか。法の目的はこういうことだ。そして自治体や国の責務はここにあるというふうにですね、新たに私たちが根拠とすべき法律をここで作り上げるという目的に沿って、是非この論点整理を作り込んでいただきたいというふうに思います。
この検討会議論が日本の女性支援を作り変える糸口になってほしいというふうに思いますし、毎年毎年シンポジウムでいろんな施策提言をしてきた全国女性シェルターネットとしても、当事者や支援者がこの四半世紀、法的な根拠もなく、時には売春防止法の壁に遮られながら、それでも女性や子どもたちの命を守り続けてきた私たちの悲願なんです。何としても当事者の立場から法律を作り変えたい。女性や子どもたちが一人として暴力によって命を奪われるようなことがない社会を作り上げるために、この検討会が新たな法的な枠組みを誕生させる場になっていただきたいというふうに思います。是非そのように議論を作っていただけますようにお願いします。
 
○ 堀座長
はい、ありがとうございました。3番のほうに少し係っている議論ではありましたが、全体のこととしてそちらのほうも視野に入れて検討のほうをしていただけると思います。
では和田構成員お願いします。
 
○ 和田構成員
論点整理ありがとうございました。表紙のところの、本当に一番最後のところに、先んじて対応を行うことを検討していただけるということなので、是非次に何らか論点整理、次の時にはすぐできることと時間のかかるものとの分類っていうのを、お願いをしたいなと思います。
そういう意味では、しつこいんですけども、ちょっと先に2のほうに行ってしまいますが、2の(2)、一時保護と一時保護委託について。この一時保護委託の制限については、私毎回お伝えしていますので、これはすぐにでも通知で出していただけるものではないかと考えていますので、是非ご検討いただきたいと思っています。
それと、今回厚生労働省の方の元々の論点でまとめていただいたことからによると思うんですけども、それぞれの論点の中で検討課題になっていることが非常に重複をしてますよね。
例えば1番の(1)、他法他施策の規定のあり方ということについても、例えばですね、1の(2)の障害者。具体的な検討事項のところの裏面になりますが、障害者・高齢者・外国籍などの対象属性に即した支援のあり方。これも他法他施策との関連ですし、それから2の(2)のところにも、障害者、高齢者等の支援ニーズに対応した施設設備等の環境整備というふうに載っていて、非常に同じような課題がいろんなところに散りばめられているってところがお見受けしますので、そのへんのところをどうやって今後ひとつの、それぞれのことについて是非まとめていただきたいと思ってます。
それで、特に1の(2)のところですけども、まずひとつの具体的な検討事項のところで、若年女性に対する支援のあり方。通信機器の使用制限の問題や相談窓口へのつながりにくさ等の課題を含む。これは本当に非常に重要な課題だと思いますが、それもですね、2の(2)に婦人相談所の、保護所のあり方、役割・機能というところがあります。そことの関連が非常に大きいのと、今回DVのことについてはあまり触れられてないんですね。それは本当に、前回私がお伝えしたようにある程度の法的整備がされてることからだと思うんですけども、実際にお伝えしてきたとおり、婦人相談所は一方で配偶者暴力相談支援センターの役割も持っていますので、そのDVの方への支援、そしてこの若年女性に対する支援の両方を併せ持って支援させていただいてるので、是非ですね、そのへんの観点も含めた上での通信機器の使用制限というのを考えていただきたいと思います。
それから、児童を同伴する女性とその同伴児童に対する支援のあり方についてですけども、実はこれもですね、2の(2)に書かれていたりとか、ちょっといろいろなところにあるんですけども、ここでですね、先般からお伝えしてますとおり、同伴児童に対するあり方の中に、是非児童福祉法との、児童福祉法で書かれている支援内容について、婦人保護施設、婦人相談所の一時保護所に入所している子どもたちにも同等に支援をお願いしたいと思ってます。
例えばですね、私のほうも以前プレゼンでお伝えしましたし、この調査研究の45ページに、同伴児童、一時保護時の同伴児童の支援についてのことが書かれていますけども、これをご覧になっていただいてもですね、もう一時保護所に入所してくる子どもたちは、すべて面前DVなり、いろんなお母さんの事情でいろんなところを転々とさせられていたり、すべての子どもが被虐待児童だと私共は受け止めています。けれどもご覧いただいたとおり、被虐待児のケアは33%に留まっていますし、学習支援も83.3%です。83.3%で「あ、大体いいじゃないの」ってことじゃないんです。あとの17%の子どもたちは学習支援を受けられてないんです。ここは100パーにするべきところですし、もし一時保護所に、児童相談所の一時保護所に入所していれば、これは100パーのはずなんです。そこのところのやっぱり違いっていうのは、きちんとご覧いただいて、婦人相談所の一時保護所。また婦人保護施設にも、同伴児童が入所していることもあります。そういった子どもたちについても、このところがすべて100パーになるような、そのような支援。ということになると、今ある福祉、児童福祉法の支援が、このまま、児童福祉法の施設ではないですけども、売春防止法ですけども、子どもたちがいるということで、同等の支援をお願いできるような、そういうふうな仕組みということで、是非児童福祉法の観点から、ここの同伴児童の支援というところは書き加えていただきたいなというふうに思ってます。
そういう意味ではですね、ちょっと飛んじゃうんですけど母子生活支援施設のことは載ってるんです。で、この母子生活支援施設が、ここの論点の視点が、都道府県ではなくて市区町村の支援だから、その市区町、それと各都道府県に必ずあるというふうな観点で書かれているんですけども、この母子生活支援施設は児童福祉法の施設なんですね。で、ここで児童福祉法の施設のことが出てきて、どうして同伴児童のことについて、児童福祉法のところの観点で書いていただけないのかなっていうのが非常に疑問ですので、そこのところはやはり母子生活支援施設、児童福祉法の施設ということであれば、やはり児童福祉法の全体の子どもに関するところを全部、全体像をみていただいて、婦人相談所、婦人保護施設に関わる子どもたちの支援について、母子生活支援施設も含めてですね、検討していただけたらなというふうに思います。
それからですね、ソーシャルワーク技術や知識向上のための研修・スーパービジョンというところがあります。これが検討対象のところで、平成29年度に策定した支援プログラムということで、この調査研究と一緒に、婦人保護施設における性的な被害の女性への支援プログラムのことを書かれていると思うんですけども、その前の年に婦人保護事業の研修体系についての調査研究というのを行ったんですね。行って、経験の少ない方、それから中堅、施設長も含めてですね、こういうようなことを身につけるべきだということは出されてるんです。だけども具体的にプログラムがないっていうのが現状です。まだ出来てない。ですので、そこのことについては、具体的に、もう体系としては出来てますし、得るべきスキルっていうのもわかってますから、あとは本当に具体的なプログラムを考えていただくだけなので、そこは是非そのことも盛り込んでいただきたいと思いますし、そのことは先ほど、最初に戻りますけども、先んじて対応を行うことの内容にも入れていただくべき中身ではないかなというふうに思っているところです。
あとですね、この(2)のところの最後のところに、それぞれの地域における必要な支援体制の確保の進め方っていうのもあります。これがまさに、継続的な、この間加茂先生も仰っていただきましたし、近藤構成員のほうも仰ってくださったことですけども、これもこのあとに、2の(1)で婦人保護施設の退所後のアフターフォローについてとか、あと民間シェルターのことについて載っているのですね。ですから、このへんも総合的に考えて、今後お示しいただけたらなというふうに思うところです。一旦以上です。
 
○ 堀座長
はい、ありがとうございました。1のほうに少し焦点を当てて、もう少しご意見ある方。仁藤構成員お願いします。
 
○ 仁藤構成員
4ページのところにあるように、私はこの定義は、対象は困難な問題を抱えるすべての女性とし、そこから零れ落ちる人がいないようなものになっていくといいなと思っています。
4ページの○の5つ目にですね、包括的な言い方では事態が見えなくなるのではという意見もあり、具体的に対象となる具体的な女性の像というのも、検討事項に入ってますけど、具体的にはこういう女性ですということがわかるような形で示せればいいのかなと。その定義自体はどんな女性たちも、例えばJKビジネスの問題とか、新たに今出ている問題というのはどんどんその時代によって変わっていくと思いますので、とにかくどんな事情であっても困っていたら支えるよという、包括的な支援のあり方が必要なのではと思っています。
具体的な検討事項のところで、その対象となる女性の具体的な像と、他法他施策優先の規定のあり方というのが出ていますけど、これまでこういう女性に対して支援が必要なんだということを散々お話しさせていただいたと思いますので、例えば次回以降の会議で、こんな像が、女性像が今まで出ましたっていうのを、出来ればまとめていただいて、その上でもっとこういう人もいるかもしれないとか、こういうことが抜けているということを言っていけたほうがいいかなと思いました。
また、そういう女性像に対して、今こういう他法が使えるかもしれないというのがありますけど、その関係性とか、どっちを優先するのか。そういうことも含めて今まで出た話からもうちょっと具体的に整理をしていただけると、話が進めやすいかなと思いました。
 
 
○ 堀座長
はい、ありがとうございました。では松本構成員。
 
○ 松本構成員
論点を整理していただいて、現場で働く者として具体的に意見が言えるようになった感じがします。それで先ほどから言われているように、今、具体的に早く検討して実現していきたいことと、将来的なことをきちんと、新しく法律を作っていくというふうなことも含めて検討していただけたらと思います。まず最初の、今の対象の範囲ですが、やはり実行可能なことから検討していくと、私共全婦相は、ここには書かれていませんが、売防法の改正あるまで第2章の5条違反について法の執行を凍結する。そうすると処罰の対象とならない、なる女性とならない女性を分断しないことになるので、この実行可能なこととして凍結するということを検討していただければと思います。
それから、若年女性等複合的な課題を抱える女性たちへの支援についての具体的な支援方法というのがもっと検討できればいいと思います。例えば若年については、私も中学生の妊娠・出産、性被害についてなど対応してきましたが、そのときはすごく関係機関との連携が重要だったんです。ですがこの間、婦人相談員の研修で、若年女性の問題に限って研修、グループワークしましたところ、全グループから、居場所づくり、若年の女性たちの居場所づくりが必要じゃないか。一時保護所とは違う形の居場所があるような支援策が必要だとの意見が出ました。受け皿がないということが全相談員から出ました。ですから、具体的な支援方法をここで取り上げていただけたらいいのではないかなと思います。
それと、先ほど和田構成員が言われたように、研修体系は出来ましたけれども、それをプログラムとして打ち出されていないということから、私も全婦相では認定制度を設けてほしいとお願いしています。婦人相談員は専門性の高い仕事だと思うのですが、専門職として位置付けるためには、婦人相談員としてのこの研修をきちっと受ける、それを認定制度として、初級・中級・上級というふうに段階を設けて制度を作っていけば、専門職として位置付けられるのではないかなというふうに思っています。あと婦人相談員についてはちょっとお話ししたいことがありますが、今はここまででお願いします。
 
○ 堀座長
はい、ありがとうございました。では村木構成員お願いします。
 
○ 村木構成員
ありがとうございます。資料ありがとうございます。3つほど評価したい点と、それから、質問をひとつと、それから意見を申し上げたいと思います。
まず「あ、いいな」と思って評価したのは、1ページ目と2ページ目のところで、制度全体のあり方と。売春防止法の見直しということまで明示的にきちんと書き込まれている。これはやるんだということだなということで評価をしております。
それから2つ目は、これは先ほど来、松本さんや、それから和田さんも仰ってましたけれども、その前にやるべきことがあるでしょうということで、先んじての対応と、これもきちんと明示的に書いておられる。これは今の状況の中で出来ることという意味で、予算要求も含めてきちんと進めていきたいということで、評価をしております。
それから3点目は、私共若草プロジェクトが主な対象として進めています、若年女性の課題について、これもまた明示的に、特に大事だなと思うのは、被害の未然防止ということを含めて対象とするというふうに書いておられますので、この点は評価をしていきたいと思います。
それから質問ですけれども、これまでの議論の中でも他法他施策優先というのが問題視をされてきて、この論点の中にもそれが挙げられているんですけれども、これはおそらくただ通知の問題ではなくて、全般的なまさに理念・思想と関わる問題なのかなというふうに直感的に思えます。この点について、通知を変えればいいものなのか、それともそう簡単に変えられないものなのか。何が障害になっているのか、何を変えればいいのかと。そういったことを、まあ、教えていただければというふうに思います。
それから、意見として一番大きなポイントは、その全体の構成というか、これからの議論の進め方の中で、これは戒能さんや和田さんも仰ってたのとかなり似ているんですけれども、どうもこの2ページ目の1、2、3が、重複感があるんですよね。同じような内容のことが、角度を変えて何回も出てくる。どうしてなのかなっていうふうに思ったときに、和田さんが仰ったことが正しいと思うんです。今の現行の仕組みの中でできること。これ主に2番のところですよね。それじゃできなくて、基本的な理念なり、原則っていうふうに戒能さん仰いましたけれども、それをこう考え直す必要があるっていうのがおそらく1番と3番のところ。そこをきちんと整理をして、まずやるべきこと。で、多少時間がかかってもきちんとやるべきことと。きちんとやるためにはどういう支援が必要なのかということを、整理をするというふうにしていくと、これから我々が何を議論すべきか、あるいはこれから何をしていくべきかということが、少し明らかになってくるのではないかなという気がいたします。
それから、2番のところについてはまた後ほど、あ、もうひとつ。若干言葉の問題ですけれども、盛んに出てくる言葉。例えば1の(2)のところでも「性暴力」という、「性暴力被害」という言葉を盛んに使っておられるんですけれども、その性暴力被害というと、頭に思い浮かぶのはやっぱり刑法犯で。そうするとちょっとそこは狭すぎるんじゃないんだろうかと。もう少し、私は前にプレゼンをしたときには、性被害ということで、暴力とか虐待とか搾取とかいろんなものがありますよねっていうふうなご説明をいたしましたけれども、もう少しここは広い概念で考えていただいたほうがいいのではないかというふうに思っております。1番については以上です。
 
○ 堀座長
質問のほうがありましたので、そちらについて事務局のほうでお願いします。
 
 
○ 成松家庭福祉課長
はい、ありがとうございます。家庭福祉課長でございます。
ひとつ村木先生から、構成員からご質問がありました、他法他施策の関係でございますが、今、通知のほうで対象者という形でですね、示させていただいております。詳しくご覧になりたい方は、ドッチファイルのほうのですね、黄色いほうのです。前のほうの、婦人保護事業関係通知の中の2ページ目でございます。そもそも新しい女性の支援の中でどう位置付けていくかっていうのは、これからの議論に拠ると思うんですけれども、ただ一方でですね、この2ページの、婦人保護事業関係通知ですね。前のほうに付けております。この2ページの真ん中のほうにあるエの部分ですね。婦人保護事業の対象となる女性の範囲は以下の通りであることっていうこと書いてまして、その中でア、イ、ウ、エという形で示させて、ございますでしょうか。そこでですね、エの部分で、大丈夫ですか。前のほうにですね。
 
○ 成松家庭福祉課長
ちょっとわからない方、すみません。ちょっとわかりづらくて恐縮ですけれども。すいません。エの部分ですね。家庭関係の破綻・生活の困窮等、正常な生活を営む上で困難な問題を有しており、かつその問題が解決する、すべき他の機関が他にないために、現に保護・援助を必要とする状態にあると認められるものと。これがいわゆる他法他施策の通知上の規定でございます。で、この規定自体がですね、これからの、今後のあり得るべき姿を議論する一方で、この検討会でやっていただきたいんですけど、これ、この規定があるがゆえに、なかなか目の前の方を支援できないというような状態になっているというお話も伺っております。少なくともそういう状態については、この規定を何らか見直すことによって、一歩でも前進できるのではないか。そもそもの将来的な姿をどうするか、ちょっと議論、並行して議論をするんですけれども、このエの規定自体が、必要な支援の妨げになってるのではないかというご意見も多々伺っておりますので、この規定の書きぶりとかを、変えることによって、何か今ある制約が少しでも、緩和され、少しでも前に行くようなことができるのではないかということで、ここのほうに他法他施策の規定のあり方というのを書かせていただいているというふうにご理解いただければと思います。
 
○ 堀座長
このエの部分については早急に変えることが可能だということでよろしいでしょうか。
 
○ 成松家庭福祉課長
はい。ここの解釈とかですね、あるいは書きぶりとかで、何かこう現場で躊躇しているような支援が、本当必要だけれど躊躇してるような支援が出来るようになれば、それはそれでできることだと思いますので、そういうふうに考えているところです。
 
○ 堀座長
はい、ありがとうございます。では橘構成員お願いします。
 
○ 橘構成員
はい。若年女性の18歳19歳の未成年そして大学生とかまだ親の保護が必要なのに居場所がなく、小さな頃から虐待を受けていたのに周りから見過ごされてしまって、18歳19歳になってようやく声を上げられて相談行こうと思った時に、相談しても保護してもらえないような現状もあるんですけれども、こういった子たちの適切な支援のあり方っていうのを考えてほしいなって思います。
居場所づくりなんですけれども、現状、婦人相談員さんを経由して、支援できる、できないと振り分けられる状況になっています。支援できない子だけではなく、相談先に辿り着けない子たちがいて、私たち民間が保護もしています。
保護して一緒に過ごす中で、本当に大変な状況の子なんだなっていうのを私たちは感じています。ただ同行して相談に行くと、「保険証が親に払われている」とかの理由で「虐待とかじゃない」というような思われ方をされたりしてしまうこともありました。そういう子も「助けて」とか「もう今ギブアップだ」「生活できない」とか声をあげている子です。居場所を得るために援助交際とかパパ活とか、裏の風俗やるしかないような女の子たちもいます。でも、そういうのをもうしたくないって言ってるような子は、法的に保護できるようにする必要があると思います。きちんと保護して、そして生活の自立を目指せるような環境づくり、居場所づくりが必要だと思ってます。
 
○ 堀座長
はい、ありがとうございます。ちょっと今のに付け加えさせていただくと、1の(2)のほうのところ、若年女性に対する支援というところとつながると思うんですが、今までの集団施設的なところとは別の、例えば中間施設だとか、あるいは若年の居場所づくりというような、そういったことも含めての検討というふうに捉えさせていただければと思います。
では大谷構成員どうぞ。
 
○ 大谷構成員
今1やってるんですよね。1の(1)と(2)ということですよね。私これに関しては、前回か前々回か意見述べさせていただいたと思うんですが、とにかく多様なニーズになってるということは、もう皆さん一致してると思うのです。で、多様なニーズに対応できる多様な支援、多様な居場所が用意されなければいけない、というのが私の基本的な考え方です。ですから、何か1本に集約して、その支援を、窓口一本化するということではないと思っています。一方もちろんワンストップ型の支援が必要だというのは、多様性に応じた支援と居場所というのを、どんなふうに、どんな建て付けで作っていくのかということは、箱物の多様性と、それから支援の多様性が必要になってくる。支援というのは、率直に申し上げて、婦人相談員の専門性の高さではなくて、婦人相談員の幅の広さをどういうふうに確保していくのかという問題だと思っています。ですから、例えばDV被害とか、人身取引の性被害に遭ってるとか、ある意味では被害がかっちり見えるときの専門性の高さというのはあるかもしれませんけれども、一方、BONDさんやColaboさんもそうだろうと思いますが、もっと、被害未満の人たちを掬い上げるというかね、幅広い形で居場所を作っていくというときには、そういう意味での、広さっていう意味での専門性かもしれませんけれども、何かここで提案されているような、婦人相談員の専門性の向上のための何かというのとはちょっと違った視点でのものが必要だろうと思うのです。やはり専門性の高さというか、専門性を高めるために婦人相談員をどうするのかっていうことだけではない、その視点も含めて検討してもらいたいなというふうに思います。
 
○ 堀座長
はい、ありがとうございました。いろんなご意見いただきました。そろそろ2のほうにいきたいところなんですが、横田さん。どうぞ。
 
○ 横田構成員
全婦連の横田といいます。売春防止法に基づいて62年間、24時間365日支援をしてきた婦人保護施設としては今回のこの話し合いがあくまでも売春防止法の中の、枠組みの中で行われているということを確認したいと思います。先ほど村木さんが一番最初に、「最後に売春防止法の見直しについてということが書かれているので、このことは入ってるんですね」と仰ってくださいましたけれども、私としてはこの売春防止法の中に、刑事処分と補導処分があるということ自体、この現行法のまま支援を続けていくということに対しては、当事者の視点、それから、当事者主体の支援体制の中ではとても考えられないことなんですね。ですから、あくまでも私の中では、法律の改正あって今回の議論ありと思っております。
そして、先ほどの遣り取りの中でも、複合した課題、複雑な課題、そして多様性のある課題と言う言葉が出ておりますが、じゃあ何が多様性で何が複雑で、何が複合なのか。もう少し具体的な形で提示していただきたい。目に見える形で提示していただけたら有難いと思います。私たちの考えている複合・複雑・多様という言葉と、国が捉えていらっしゃるものと、多少違いがあるかもしれません。
それから、私は対象となる女性の範囲についてということですが、私たちは今、公的な立場で、この範囲を語ろうとしているところですけれども、民間にこの範囲はあるのでしょうか。民間は多分どの人も、来た人を受け入れているんですね。そうすると、私たちが今語ろうとしていることは、対象となる女性の範囲はあくまでも公的な範囲と言うことになると思います。私は、民間の方たちが規定なしにして、どのような女性たちを受け入れているのか。そしてどのような、そこで見えてくる課題があるのか、そのへんのことも、やはり具体性のあるところで議論していきたいなと思います多分私たちの場合ですと、いろんなところで規定があります。民間のシェルターの、函館の方に伺ったことがありますが、そこで驚きました。シェルターを出た後、20年近く退所した方を支援し続けているというのですね。私たちの中にも確かに退所者自立生活援助事業というものがあります。ただ、この事業はいろんなものが課せられています。1ヶ月に一度訪問するとか対象者が何人いないとこの事業が執れないとかですね。種々規定があります。でも民間の方たちの中に、そういう規定をなくして何故20年、退所者自立生活援助事業ができるのか。その名称では言ってないかもしれませんけれども、少し公の部分と民の部分の対比し現実の問題を少し明らかにしていただけると有難いかなと思いました。売春防止法による対象の範囲の「要保護女子」という言葉はですね、売春防止法だけにしかない言葉なのです。非常に差別的な言葉だと思っています。入所している女性たちは、「あなたたちは要保護女子ですよ」と聞いたら、すごくびっくりするかと思います。そんな中、改めて新しい法律の改正あってこそ、今議論しているんだという事を現場からお伝えしたいと思います。ありがとうございました。
 
○ 堀座長
はい、ありがとうございます。今、横田構成員のほうがお話しになっていた、多様性・複合性、やはりそういったことの現場からのご意見というのは、1について、ここをじっくり議論をする機会があると思いますので、そのときにまた詳細にいろ現場からのご意見ですとか、女性たちの姿というのを是非お話しいただければと思います。
こうした売防法の枠組みから離れたところで、今後対象となる女性をどういうふうに考えていくのかというのは、また支援の理念を検討することにもつながっていくと思いますので、こちらについては丁寧な議論を行うとしながら、それがまた3番の検討のところにもつながっていくと思いますので、行ったり来たりをしながら検討のほうを今後させていただければと思います。
私のほうから、1の2のところに関しましても、先ほど橘構成員のところで少し付け加えさせていただきましたが、いろ施設の形。中間施設ですとか、女性の居場所づくりというような、若い女性の居場所づくりというような、そういった今までではない支援の課題、検討ということと共に、前回の加茂構成員のこともありましたが、医療的なケアの充実。特に精神科ですとか、そういったところもつながるような、医療的なケアの充実についても付け加えさせていただければというふうに感じたところです。
それでは、時間もそろそろ押してきておりますので、2番の「各実施機関における役割と機能について」ということにつきまして、ご意見をお願いします。では仁藤構成員お願いします。
 
○ 仁藤構成員
ごめんなさい、ちょっと先に、1の2の部分で私も付け加えたいなということがあったんですけど、支援のあり方というところでですね、私も先ほど横田さんも、相談者の人、利用者が主体だというお話ありましたけど、選べる支援。使いやすくして、相談者に利用されたいなって思えるような支援を用意するというのは支援者側の役割で、どんな支援をしたいかということもそうなんですけど、主体は利用者で、安心して選んで利用できる環境を作っていくっていうことが課題なのかなって、大谷さんからの多様性の話にもつながると思うんですけど、そう思いました。選べるようにしてほしい。今の支援のあり方だと、どこに措置されるかわからなくて相談者が怯えているっていうことがあるので、そうじゃなくて支援を恩恵として受けることのように捉えるのではなくて、自分が主体として、自分に権利があるからそれを利用するんだっていうような気持ちで、相談、困っている女性たちが支援を利用、安心して利用できるように、そういう支援のあり方、考え方っていうのが必要だと思いました。
2について、先ほど和田さんからもありましたが、児童福祉法の範囲で、18歳未満と未成年の支援を多くしている団体として、和田さんから先ほど児童福祉法全体を見てというお話もあったんですけど、親権が関係するということで、女性福祉が使えない、相談に行ったときに嫌がられてしまう、そういうことがよくあるんですね。なので児童相談所の所長さんや、措置した施設の所長、里親さんなどは、親権者も妨げてはいけないといわれている監護措置があり、また、親権の制限とか代行に関する権限が児童相談所長にはあるけれど、女性相談・婦人相談所所長にはないということで、市区町村でも何の権限もない非常員の相談員の方々が、未成年に対応しなければならないということになると、責任を持てないというのはよくわかるんですね。ただ、私たちが、十代、特に未成年の子たちに関わっている団体で、例えば高校を辞めたら17歳とかでも児童相談所ではもう対応できないと言われてしまったり、18歳過ぎると児童相談所、児童福祉法ではカバーできないということを言われて、じゃあどこに相談したらいいのかとなるんですね。実際には、婦人相談員も17歳の妊婦の方とかを、婦人相談所とか婦人保護施設につないだりというようなことをやっていて、地方でも16歳17歳を婦人相談所とか婦人保護施設に入れたりしている県もありますが、多くが女相と児相が併設していて、女相長と児相長を兼務されていて、だから児相長もされているから親権に関する権限もあったりとか、そういうことがあるからやりやすいのかなという。東京はそうではないので、すごくやりづらさがあると思うんです。私たちは性搾取とか性売買の、特に関わった女の子たちが児相の一時保護所では看れないとか保護できないと言われて困る経験もしている中で、やっぱり女相でも親権の問題に対応できる仕組みがあるといいと思っています。
今私たちは厚労省の若年被害女性等支援モデル事業の委託先のひとつになっていますが、そこでも未成年を居場所に保護する場合は、親権者に連絡した上で実施することを原則とされてるんですね。でも、そんなことをしたら本人ばかりか支援者の安全も担保されないということになりますから、そういう場合は、私たちはボランティアの弁護士が子供の代理人となって間に入ってくれるので、その安全の確保をして成り立ってるんです。でも、弁護士っていうのは本来すごくお金がかかるもので、そこをこれまで何年もですね、無償でボランティアでしていただいているということもありまして、本当はもっと沢山の弁護士さんに協力してもらわないと回らないような状況なのに、そこにお金も付いていないということで、この本来これだけ経費がかかることなんだっていうのも示すべきだということを私たちも考えてはいるんですが、私たち民間支援団体は婦人相談員以上に守られないところで支援していると思うんですけれど、だからこそ婦人相談員の方々が困るっていうのもよくわかるんですね。なので、具体的には婦人相談所所長さんに、児相長と同じような権限を持たせて、例えば女相に弁護士さんを置いて、児童相談所も最近はそういうふうになってますけど、市区町村の相談員が、そういう後ろ盾。子どもを保護して、未成年の子を保護したときに親権者に何か言われても、守れるように、子どもも相談員さんも守れるようにっていう、そういう弁護士の活用も考えていかなきゃいけないと思ってます。また、それが、私たち民間団体もそれが使えるような形になると、大変有難いなと思ってます。
もうひとつ、この今回いただいた論点整理の資料を見て気になったのが、公的シェルターに馴染まない若年女性が、一時保護委託をもっと民間を活用してということ、私たちもこの検討会でも訴えてきたんですけど、それ、その必要性をわかっていただいたのは良かったなと思いつつ、それを安易に考えられても困るなというところもありまして、やっぱり一人ひとりに合わせた保護の形というのがあって、今の公的シェルターでは携帯が使えないとか制約が多いとか、若年で居場所がない女性に対応できてない現状は共有できたと思うんですが、じゃあ、民間委託で柔軟な支援をっていうときに、私たちは様々な人に対応したいんですけど、やっぱり財源がないので困ってます。また公的シェルターも、今のままではいいっていうことじゃなくて、民間の活用と併せて今の公的シェルターのあり方も変わっていって、追求の厳しい人とそうじゃない人を、フロアを分けたり場所を分けるとか、そういうグラデーションをもっと民間だけではなくて、公的機関も作る努力をしてほしいと思っています。
なので、センター、女性相談センターとかでの保護のあり方も変わらないで、委託ばっかり増えても困るし、その委託した委託費っていうのもすごい安いので、なんかその、結局1日委託されて「じゃあ5,000円です」とかもし言われたとしても、児童相談所からの委託費とかも2,000円から6,000円だったりとかするので、そんなので24時間看ろとか言われても、そういう体制はとても作れないんですね。だから,、その委託した人数に合わせてお金を出すとかそういう仕組みじゃなくて、委託を民間にするということであれば、ちゃんとそこの部分も考えていただけたらいいなあというふうに思っています。なので、手厚い支援体制がないところに押し付けるのではなくて、そこも一緒に充実させていくようにどうかお願いしたいなと思います。
 
○ 橘構成員
ちなみに児相からの委託費は1,500円ぐらいです。はい。
 
○ 堀座長
では戒能構成員どうぞ。
 
○ 戒能構成員
発言してよろしいですか。2の(1)なんですが、ここにひとつ重要な役割を担うべき行政体が入ってないんですけど。それは国です。国の責務ということです。非常に地域でバラバラであると、ずっと言われてきました。
それは一時保護基準に典型的だと思いますけども、国の基準が何もないという状況は、これはすぐさま改善できることではないかと。あるいは、すべきことだと考えております。
それでDV法はいろいろ問題がありまして、改正してほしい点もいっぱいあるんですけども、優れている点は、きちんと国の責務を謳っているということです。それに基づいて、DV法上は、法改正があったときに限られていますけども、やはり国として基本方針をきちんと策定することになっています。関係省庁が、協力・連携をしながら、きちんと基本方針を、こんな厚いものになりますけれども打ち出している。それに基づいて都道府県や、場合によっては市などが基本計画をきちんと出していると。そういうところまで、きちんとしないと女性支援は進まないと。今の状況は、本当バラバラですし、自治体に任されている。任されているということはチェックする機能もないし、ここも重要な論点です。チェック機能がないっていうことも重要な論点です。それは、ここに全く書かれていないことのひとつなんですけども、利用者・当事者の権利擁護の視点がないっていうことです。権利擁護の視点が今までもなかったし、今後もどういう方向を向くかというときの、ひとつの中心になるべき、権利擁護の仕組み、あるいは権利擁護をきちんと打ち出すとか、そういう視点がないということなんですよね。そういうことは国がきちんと考えるべきことだと思っております。以上です。
 
○ 堀座長
大谷構成員お願いします。
 
○ 大谷構成員
権利擁護を言おうと思ったいたら言っていただいてありがとうございます。この2ですね、これできっといいんだろうと思うのですが、先ほど1のところでも言ったように、ここで挙げられている支援の実施機関に求められる役割・機能がすべて、婦人相談員と婦人保護施設、母子生活支援施設とあって、それが今、行き詰ってますということで、私はこの場にいるだろうと思ってるんです。だったら、新しいものが何か必要なのか。で、今までの詰まり感があるのは、施設が駄目なのか、率直に申し上げて、人が駄目だったのか、運用が駄目だったのか、制度そのものが建て付け悪いのか。若しくはそこの運営そのものが不味かったのか、若しくは、本当に皆さん頑張ってるのはよくわかるんですけれども、その担ってる人の個性が駄目だったのか、いろいろあるんだろうと思うんです。それらがすべて重なってきてるのだろうと思うのです。私は、弁護士会の刑事拘禁施設の委員会もやってるもんですから、刑務所と比較することが比較的しやすいんですが、今やもう刑務所においても、その刑務所処遇における受刑者の人権を擁護する取組みがされてるときに、この保護施設における彼らの日々の生活の中に、そういう観点での見直しがされたことがあるのかが見えないのです。支援の方からみていて、支援の実態調査はされたことがある。例えば金銭管理は支援としてしてるかどうか、服薬管理は支援としてるかどうか。じゃあ、日々の被収容者とはいわないのかな、利用者さんが、日々そこでどういう生活をしてるのか。いわゆる刑務所でいうと日課というんですけれども、日課はどんなふうになってて、外出ができて自由に何ができて、どういうようなものとしてそこから出て行くのかっていうことが見えてこない。そういった意味では、この婦人保護施設っていうのは、率直にいうと入管施設と同じぐらい、ブラックホールになっている。施設をブラックホールにしてはいけないのです。だから、そこでの保護が必要だったとしても、第三者がそれをチェックできるチェック機関が必要で、そこでどのような生活が営まれているかをチェックすることはとっても重要です。そういった観点で、そこでの日々の生活を権利擁護・人権感覚に基づいて担われているかどうかっていう意味で点検が必要です。次の新しい施設を作るときに、是非、権利擁護の観点でのチェック機関の必要性も論点に挙げていただきたいと思います。
 
○ 堀座長
はい、ありがとうございます。どちらが先でしたか。では、松本構成員。
 
○ 松本構成員
婦人相談員についてですが、仁藤構成員の弁護士の活用について、本当に婦人相談員も安全面からいうと有難いことだなあと思います。相談所には無料弁護士相談というのはあるのですが、相談ごとにそういうふうに、即使えるような無料の弁護士はなかなか置いていないと思うのですね。児相にはおられるのは私も知っています。うらやましいです。
で、大谷構成員のほうから、婦人相談員の専門性というか幅の、幅というふうに言われましたけれども、実は婦人相談員は本当に雇用条件というか、労働に見合った状況で働いていない方のほうが多いんですね。非常勤が約80%ぐらい。ですから生活できない給与とか、将来の人生設計ができない状況にあるのです。1年雇用。1年更新なんですね。ですから、毎年「来年もできるのかな」というふうなことがあるんです。そういう中で、今度2020年の4月会計年度の非正規公務員の位置づけられるといわれています。フルタイムかパートに振り分けられます。非常勤の場合はパートとなれば、今もパートなのでボーナスとかはないのですが、それを前提に給料が下がったという婦人相談員ももう今すでにおります。そういうふうな状況なので、若い層、若年の方が歳を取った高齢の婦人相談員のところに来ないのじゃないか、相談しにくいのではないかというのがここに書かれてありますけれども、若い層の方が婦人相談員になろうとしないんですね。雇用条件が悪いので、もっと正規にきちっと働けるところに行かれる方が多くって。ですから、そういうふうに婦人相談員の仕事を選択しないという若い方のほうが多いし、定着もしない。現状がそういう状況にあるので、やはり専門職として位置付けて、もっと安心して働ける、そういうふうになると、自分の立場にヒヤヒヤしながら支援するのではなく、働きやすい、支援しやすいような状況があれば、支援の質も、幅も上がるんじゃないかなというふうに考えています。
 
○ 堀座長
では、村木構成員お願いします。
 
○ 村木構成員
2については、大きな点2つと、それから文言を1点ですけれども、ひとつは2の(3)のこの民間シェルターとの関係団体の連携のところが、ちょっとよく思想がわからないんです。この民間シェルターとか民間支援団体が、婦人保護事業においてメインプレイヤーなのか、それとも補助プレイヤーなのか、どう捉えておられるのかと。この連携ということだと外にいるんで、これ補助プレイヤーとしての発想だろうと思うんですけれども、少なくとも困難な問題を抱える女性への支援ということを考えた場合には、民間団体っていうのは、これはメインプレイヤーのひとつとしてきちんと位置付ける。そうしないとその先からは話にあった多様性への対応というのも難しいんではないのか。
一方で、婦人保護事業の構成員としての役割というような書き方もしてるんで、そこらへんがちょっと不明確なところだなというふうに思ってます。
繰り返しになりますけど、少なくとも新しい支援のあり方を考える際には、民間団体・民間シェルターを、やっぱりメインプレイヤーとしてきちんと位置付けていただくことが必要だろうというのがひとつ。
それから、2つ目の点は、先ほど来権利擁護のお話しが出ました。それから仁藤さんから、処置じゃなくて契約・自主性を大事にしてほしいというのがあって、これ前和田さんも仰っておられたんですけれども、これもまさに藤原審議官はよくご存知のところの、福祉の最近の流れですよね。障害者福祉だって高齢者福祉だって権利擁護が大事。それから、処置から契約へっていう、このふたつの流れっていうのは、もうかなり進んでいる。遅れているのはここだけなんですよね。そういう意味で、この女性への支援ということについても、その福祉の流れということは十分大事にしていただきたいというふうに思います。
それから、3点目、文言なんですけれども、2の(1)と、それから、3の(1)の両方で「在宅福祉サービス」という文言が出てきていて、なんで在宅に限定して言ってるのかなというのがよくわからなくて。これはもう福祉サービスでもいいんじゃないかなというふうに思ってます。以上です。
 
○ 堀座長
はい、ありがとうございました。今手を挙げられた、横田構成員お願いします。
 
○ 横田構成員。
はい。大谷構成員から婦人保護施設のことがよくわからないというお話がありましたので、補足させていただきます。35年前になりますけれども、私が施設に勤務し始めたときです門限は6時半でした。ですから、お日様がまだピカピカと輝いているときに、もう一歩も外に出られないという中で生活がありました。私は婦人保護施設の日課は、刑務所から取ったものであろうと推察しています。これをどこかで調べることはできないかと思って随分探してみたりしたのですけれども、未だにわかっていません。多分「日課」は刑務所から取ったものではないかと推察しています。その日課に基づいて生活をすることが、実際ハンドブックの中でも決められておりますし、実施要領の中でも決められております。施設生活はそういうルールに則った中での生活なのですね。それと、すべて物がお金で支払われることはほとんどありませんでした。すべてが物品支給といって、石鹸でもシャンプーでもすべてが「物品支給」でした。しかも伝票を自分が書いて、判子を押さないと物が貰えなかったのです。さらに石鹸もすべて同じもの。シャンプーもすべて同じものでした。いわゆる自己選択なんていう余地は全くなかったのです。被服の支給もそうでした。ですから、まるで刑務所同然と言えました。大きな疑問の中体制を変えてゆきました。東京は幸いにして5つ婦人保護施設がありましたので、そういう面をどんどんどんどん改定していきました。しかし、これがナショナルスタンダードではないので、全国的にはかなり差異があったことも拭えません。ある県では、まだ入所に対して本人に渡す書類が「入所の心得」でした。私たちは同じものを「入所のしおり」といっておりますけれども、心得という言葉が使われていたのですね。支援の現場で当たり前のような状態に錯覚してしまう、これは売春防止法による弊害だと思っています。
それから法律では、婦人保護施設は任意設置なんですね、ですから、施設がない県があります。未設置県7県と休止県1県です。今、1県に2つ施設がある県は愛知県と兵庫県です。あとは、各県に1施設です。そういう中で互いに切磋琢磨するとか、施設同士の交流の機会を増やしながら、意識変革を図るとか遅れてしまいがちな部分もあるかと思います。私たちは第三者評価を導入するように進めながら意識改革に向けては促すようにいたしておりますけれども、まだまだ、売春防止法による「刑事罰」を拭いきれていないものを感じずにはいられません。
 
○ 大谷構成員
恐れていたとおりだなという感じですね。
 
○ 横田構成員
はい。ありがとうございます。
 
○ 堀座長
はい、ありがとうございました。では廣瀬参考人お願いします。
 
○ 廣瀬参考人
全国母子生活支援施設協議会の廣瀬でございます。婦人保護施設も母子生活支援施設も、女性、母子であることをもって入所できる施設です。入所が減少している状況があるので、この検討会では、共に議論してほしいと思っております。
その中で、先ほどから、若年の女性の話が何回も出ています。未成年の場合は、保護者の同意がなければ自立に向けた支援が非常に困難であるとのお話も聞かせてもらったんですけども、母子生活支援施設では、若年の女子、17歳18歳で母親になって入所されている方がおられます。ですので、母親は、家庭で性虐待があったり、家族関係の不調があったりして大変傷ついておられ、私たちは、母の育ち、子どもの育ちを支えている二重の意味での児童福祉施設であると常日頃思っています。その母親が、居場所が実家になかった。家を飛び出す。ネットカフェに行く。夜徘徊し、様々なことが起こっている。その入口のところで何らかの支援が必要です。ここが大事な部分で、多分民間シェルターの方が担っている部分だろうと思います。それも、連鎖を止める意味では、大変重要な部分だと思っております。
 
○ 堀座長
はい、ありがとうございました。では、和田構成員お願いします。
 
○ 和田構成員
この2の(2)のところは、先ほどから重複しているところはもう申し上げないので、一時保護委託の、先ほど仁藤構成員からもありましたが、通知のことと、あと同伴児童については先ほど申し上げたとおりなので、是非お願いしたいと思います。
一時保護委託のあり方について、仰ったとおり、なんでもかんでもいいのかというような話があったんですけども、あと財政措置等ということでしたけども、それはまさに、(3)の民間シェルターのところと兼ね合いがあるのかなと。このことにつきましては本当に最初から、近藤構成員のほうから財政措置の問題とかの話がありましたので、ここと関連させて、民間団体の方々が支援されている、そういう居場所についても、一緒に財政的なものも含めて、セットにしちゃいけないかもしれないですけど、やっぱり内容を考えたら共同できるのじゃないかなと思うところなので、そこは一緒に、ある程度一緒に考えていくっていう視点もいいのではないかなというふうに思っています。
で、近藤構成員が最初に仰ったとおり、一時保護委託の仕組みっていうのは、DV防止法のときに、DV防止法ができる前から先駆けて、本当に女性の居場所がないといけないっていうところから設置していただいて、本当に手弁当で本当に最初から設置されていたもんだから、私たちも当たり前のように、あるものに対して1日1日の利用料っていうことにもうなってしまってるんですけれども、本当にそれでいいのかっていうのは、民間シェルター、今既存の民間シェルターについても同じことがいえると思うので、財政基盤のところについてはこの(3)も、で、民間団体の居場所のことについても、両方この視点を持って考えていただけたらなと思います。
もう1点ですね、その一時保護委託との関連もあるんですけども、この(2)のところに「障害者・高齢者等支援ニーズに対応した施設整備等の環境整備」というのが挙げられています。これが出てきたのがですね、多分主な意見のところの、婦人相談所の○の、そうですね、17ページのところの下から2番目なんですけども、私が多分言ったんだと思うんですけども、一時保護的に緊急保護と。障害や高齢の方を受けるのは設備的に難しいのでと言ったものだから、多分施設整備が必要なんだろうというふうに書かれたんだと思うんです。ただ、この障害者・高齢者の支援ニーズに対応した施設、整備っていうのは、施設だけの問題ではないので、障害を持った方、高齢者の方の支援ニーズとなると、本当に人的な問題が非常に関わってきますので、そこは、即した支援のあり方っていうのが、(2)のところにもありますが、本当に総合的にですね、どういうふうに今の婦人相談所なり婦人、まあ、保護事業、そういった関連の中で、障害者や高齢者の方々を受け入れていくのかってことは、総合的なところで考えていただきたくて。で、他法他施策との関連からすると、一方できちんと女性の課題について、障害があろうと高齢者だろうと対応しなきゃいけないと思う一方で、私多分、プレゼンでもお伝えしたんだと思うんですけど、中身によってはやっぱり障害者施策でやっていただいたほうがいい。高齢者施策でやっていただいたほうがいい。そっちもあると思うんです。そこでさっき他法他施策についての整理っていうお話がありましたけども、そこは上手く自分の中で整理ができてないので上手に言えないんですけども、すべてが女性相談のほうなのか、女性の課題を持ってたら全部なのか、でもそうじゃなくても女性相談の中でも、いろんな課題の重さ軽さがあって、それであれば、障害者施策でも高齢者施策でもやっていただけないのか、逆にそちらのほうにも女性問題についての理解をもっと促していただいていいんじゃないかと。やっぱり障害を持った方、高齢を持った方のDVの方も非常に多いです。で、なかなか支援できてないっていうのは、それはやっぱりそういう分野の方にもですね、やっぱりご理解いただくことが必要で、そのことも含めてですね、他法他施策の問題と、こういう高齢者の方、高齢者の方への対応については、ちょっとまた改めて深めていただけたらなと思います。
 
○ 堀座長
はい、ありがとうございます。では水野構成員。
 
○ 水野構成員
すみません、名古屋市の水野です。2点だけ触れさせていただきます。私は市ということで、この本日の資料ですと、12ページのところに検討事項として都道府県と市区町村の役割が挙がっています。まあこのへんはしっかり考えていく必要があるのかなと思います。
先ほど戒能先生のほうも仰られましたが、14ページのほう、やはり下から2つ目にありますけど、ナショナルスタンダードがないと。このへんについては、まず明文化することで均てん化が進んでいくんじゃないかと思いますので、そこは本当にすぐできるということであれば、やっていければなというふうに思ってます。
で、2点目ですが、これまでも市町村の位置づけ、法的な位置づけを欲しいというふうにお話をしているところなんですが、ちょっと少し将来の話になってしまうかもしれないんですが、役割として市町村を位置付けるということになりますと、当然財源もという話になるんですが、まあ財源を手ぶらで付けていただけるという話にはならないと思いますので、まあよくあるパターン、市町村も計画を策定するというようなことが求められてくるというようなことになるかなと思います。
そこで困難な問題を抱える方への支援の計画となりますと、非常に包括的な話になりますので、いま各自治体が策定していますDVの防止計画も含んだような範囲になるのかなということが考えられます。一方で現状のDV防止計画については、男女共同参画計画の一部というふうな形で策定をされているという自治体もありますので、そのあたりの整理が必要だと思います。以前ちょっと村木委員のほうから、省庁が跨っていることでの不便というのがないかと尋ねられて上手くお答えができなかった部分もあるんですけれど、市の現場としては、DVがメインになっているような現状もありますので、そのへんは先ほどの1の論点である「すべての受け皿」というような部分と重なる部分も出てくるかもしれないんですが、そういった折り合いというのもちょっと考えていければなと思います。
 
○ 堀座長
では、近藤構成員お願いします。
 
○ 近藤構成員
(3)の「民間シェルター等の関係団体との連携について」というところで、意見を言わせていただこうと思います。
先ほど村木委員のほうからも、メインプレイヤーとして位置付けるべきと、大変励ましのご意見をいただきました。
かつての婦人保護事業に関する課題の検討会の中でも、民間シェルター等支援団体を対等な女性支援のプレイヤーとして位置付けるということがかなり論議に挙がっていたというふうに思います。具体的には中長期の回復支援等に助成金なり補助金なり、何らかの財政支援ができないかということで、モデル事業に取り組んでいただいたりもいたしました。
民間シェルターは、そういう意味では女性支援のあり様を、いわば公に先駆けて、中長期にわたる、本来の意味での当事者主義、エンパワーメントの理念に貫かれた回復支援の様々な領域にわたる支援を作り上げてきたわけなんです。この見直しの検討会で、私たちが特にお願いしたいことはですね、対等なプレイヤーとして位置付けるというのはどういうことかというと、そこを利用する方々、暴力の被害から、性暴力被害から逃れて、人としての回復を求める当事者の方々が、選択可能な制度設計をやっていただきたいということです。近くの民間シェルターで一緒に回復していきたい。あるいは公的なシェルターに飛び込んで、なんとかこの急場を凌ぎたい。いろんな方々の選択の意思がおありになるわけですから、どこでどのような支援を受けたいかというのは、それは当事者が選択する権利であって、権利主体として、当事者がそれぞれの制度を活用して回復していくという仕組みを、何としても作る必要があると思うんです。「あんたは大変だから保護してやる」「あんたは大変じゃないからここへ行け」っていうことでは、絶対にこの社会の女性支援は成り立たないというふうに思うんですね。
で、今すぐできることということでいえば、私たちはそのような当事者の支援を担ってきた民間支援団体に、特にここにいらっしゃる、若い女性の支援をしてらっしゃる方々もそうですけれども、今すぐ公的な財政支援を付けていただきたいというふうに思います。例えばホームレスのシェルターだとか、それから若年の、子どもたちの自立支援ホームだとか、精神障害を抱えた方々の自立支援施設などには、全部法的な根拠があって、きちんと財政支援があるわけですね。ないのは女性支援の現場だけなんですよ。だからここに、例えば第一種保護事業でも第二種保護事業でも何でもいいですけれども、何らかの仕組みを作っていただいて、1日1日の保護の出来高払いではなく、運営費・人件費・研修費、様々な運営に関わる基礎的な財源を投入していただけるように、それはすぐにでも、来年度の予算措置にでも、是非反映させていただきたいというふうに思います。
それから私たちが連携ということを考えていくときには、機関同士の連携だけではなくてですね、当事者の権利行使、当事者の選択権の保障として、どういう資源をどのように使っていくか。そのときに支援団体、支援機関がどのような連携を果たすのかというふうに、考え方を立てていかなければならないというふうに思います。
で、この(3)の「民間シェルター等の関係団体の連携について」というところでは、基本的な考え方を是非作り変えていただきたいというふうに思います。
 
○ 堀座長
はい、ありがとうございます。そろそろ次のほうに行きたいので、仁藤構成員あとでまた3番のほうとか、あるいは時間があったらということでお願いします。
私のほうから1点付け加えさせていただいて。今までの議論の中でもあったかと思います。やはり人員配置。婦人相談所、一時保護所、婦人保護施設。この人員配置の問題と、そのバックグラウンドになる資格要件ですとか、あるいは新しい仕組みとしての資格、職種の検討。それから、今の段階でいえば、例えば婦人相談員が母子・父子自立支援員との兼務をしているというような兼務のあり方。こういったことも含めて、人員配置、必要な体制というところで検討していただくということと、もうひとつ申し上げると、今までの話に出てきているような、例えば選択可能性ですとか、そういったときにアセスメントですとか個別支援計画とか、ケアマネジメント、他領域のほうでは行われているような、そういった仕組みを導入していくということが、当事者も含んだケアマネジメントですね。一緒に考えていけるような、そういったことがまた、より良い選択の可能性に繋がるのではないかというふうに思ったりもしています。
それでは3に進みたいんですが、そろそろ時間になってしまいますが、6時半を限度にしたいと思いますので、申し訳ないですがち延長で議論のほうをさせていただければと思います。
では、仁藤構成員お願いします。
 
○ 仁藤構成員
ちょっと今いただいた話に私も付け加えたいなと思ったのが、今回、厚労省がはじめた若年被害女性支援モデル事業の東京都の委託先となって、行政と連携するような形で初めて国からのお金が入って、連携を始めたんですけれど、対等なプレイヤーとして関わるってすごく難しいことだなっていうのを実感しています。というのもモデル事業が最初始まってバスでアウトリーチをするというのがあったときに、最初それに対して「これは何だ」と言いに来た男性がですね、新宿区と東京都にクレームの電話を入れたんですね。で、現場で「これは何だ」って覗きに来たから「これは若い女性のためのもので」と丁重に弁護士さんからご説明してお帰りいただいたんですけど、「区民なのに中を見せてもらえなかった」というクレームが来たと。そうしたら今度東京都と新宿区が勝手に私たちには言わずに遣り取りをして、話し合った結果、「次回のバスからバスの外に東京都若年被害女性支援モデル事業って大きく貼り出してくれ」というような連絡があったんですね。いやいやそんなことしたらこのアウトリーチの意味本末転倒ですよ、なくなりますよということを、私たちはそれを受け入れないということでお話ししたところ、「行政の委託をColaboさん受けているということは、もはやあなたたちは民間ではなく行政なのです。行政の委託を受けるということはそういうことなのです」というメールを貰ったんですね。こういうことでは対等な関係性というのはとても作れないですし、私たちは、これ、私たちも村木さんが言っていただいたように、メインプレイヤーとしてやってるんだということを認めて位置付けていただきたいとは思いますけれど、メインプレイヤーになったからといって、やっぱり民間は民間としてできることを役割分担できる、そういう民間としての良さを生かせるようなあり方を是非是非お願いしたいということを思いました。
人員配置についても先ほど掘さんが仰ってましたけど、民間シェルターについても、同じような体制が本当は必要なはずなんですよ。で、お金がないんですね。なので、結局お金を、まあ、私たちも全然十分に集められてないんですけど、そういう集められる団体というのは限られてきてしまいますから、ちゃんと民間に対しても、それと同等の予算を付けてもらいたいというふうに思っています。
そして売防、3番の問題についてなんですけど、売防法の見直しについてのところでですね、根拠法である売防法に係る課題として以下の点が挙げられているということ27ページに書いてありましたけど、私はやっぱりここでは明記できないということなのかなと思ったのですが、この法律の一番の問題というのは、運用、現実と合ってないということはあるのはもちろんですが、女性差別的な法律になっているということがやっぱり問題で、そこを変えていくっていうことを、ちゃんとやっていかなきゃいけないと思っています。だから、なんかそういうことが書かれていなくて、運用に、使いづらいからということになってますけど、そもそもその理念の部分で問題がもう時代遅れなんだっていうことをちゃんと書いたらどうかなあっていうふうに思いました。
 
○ 堀座長
はい、ありがとうございました。では 廣瀬参考人お願いします。
 
○ 廣瀬参考人
資料1の12ページ、2各実施機関における役割や機能について、1点だけ述べます。13ページに「婦人保護施設の利用に当たって、母子生活支援施設と同様に福祉事務所からもストレートに入所依頼ができれば上手くつながっていくのではないか。」というご意見がありまして、母子生活支援施設も本当に同様です。母子生活支援施設は福祉事務所から入所措置となりますが、児童相談所や婦人相談所からも直接、入所の依頼を受けることで、より幅広くその役割を担えるのではないかと強く感じておるところです。
それに関連して、(1)に、都道府県と市町村の役割についての具体的な検討事項で保護・支援のために適切に短期や中期に入所できる体制の確保のあり方と書かれています。そこに施設の役割分担の明確化というご意見がありますが、明確化にすることで、たらい回しにならないようにということと、実効性のあるものを考えてほしいと思っております。たらい回しが起きるのなら、役割の相互乗り入れが可能な仕組みのほうがベターではないかと考えます。そのためには、情報共有が大切です。前回も言いましたように、情報共有のシステムを構築していただくことが有益ではないかと思っています。
○ 堀座長
はい、ありがとうございました。3に関しまして、では、戒能構成員お願いします。
 
○ 戒能構成員
3について。(1)の他法他施策の課題の書き方ということですね。そこで何を課題として書くかっていうことが、これでいいのかっていうのを、ちょっと意見を申し上げたいと。もちろん他機関や市区町との連携の話が、具体的にはそういう話になるのかもしれませんが、他法他施策の政策運用ですね。運用がずっと行われてきたっていうことが、婦人保護事業ってここでは言いますが、婦人保護事業の支援のあり方を規制してきたっていうことをきちんと書くべきだと。これはいろんな意見あるかもしれませんが、他法他施策がですね、例えば先ほども出てましたが、高齢者とかですね、それから障害のある方とかですね、それから意外とですね、同伴児童の同伴っていう言葉を、概念をもうやめてほしいというふうに思ってますけども、そういうお子さんを連れて逃げて来られたお母さんの支援に影響を与えていると。有り体にいえばですね、婦人保護事業の役割ではないんだっていうような。まあちょっと母子同、子どもさんを連れた方はちょっと除くとして、障害の方とかですね、それから外国人もそうですよね。そっちへもう持ってっちゃうっていう。そういう支援を実はいろんなとこがやってるっていうのが、17年の実態調査ではっきりと出てきてるわけですよ。ですから、そういう課題、女性支援の課題として書くならば、まずそういうことを書くべきであって、そのためにどんなふうに連携していくかとかですね、そこの中での女性支援の役割は何かとかですね、そういう考え方をしたほうがいいのではないかなっていうふうに思っております。
それから2点目はですね、具体的な検討事項。この中に連携のあり方っていうふうに書かれておりますので、あるいは円滑に行うための方策っていうふうにまとめてありますので、そこに含まれるかもしれないんですが、その女性支援っていった場合に、関連する法律ですね。法律群っていうのが非常に多岐にわたるし、女性支援が必要になる根底には、社会の女性を巡るジェンダー問題っていうのがあるわけで、それはいわば総合問題ですよね。そうすると福祉に限らずですね、様々な、子どもの学校の問題もあるし、司法的な問題もあるしっていうふうに、様々な問題に、いっぺんに当事者の方は立ち向かわなきゃいけないし、支援の方もそれに大変なわけですね。そういうときに、法的な整理をまず資料として提出、ご提供いただければというふうにね、全部っていうことじゃなくても、とりわけ関連の深い法を、法ですね、法律。あるいは法律に類したもの。通知とかそういうのあるかもしれません、重要な。そういうものをまず整理して、議論の参考として是非ご提供いただければ、議論もしやすいのではないかなっていうふうに思っております。以上です。
 
○ 堀座長
はい、ありがとうございました。他にご意見、前河構成員お願いします。
 
○ 前河構成員
今回資料の作成等、事務局の方にはお礼を申し上げます。私の意見としましては、今回、女性保護のあり方としては、一番に法整備をやはりきちんと打ち出すべきではないかという思いがありまして、前回、資料29ページの最後のとおり意見を述べさせていただきましたが、法律の改正手法ですとか、新しい法律を考えていく場合、現在どのようなことを考えておられるのかについて、事務局の方にお聞きしたいということと、現時点で時間が超過しているので、今回、中間的なこうした論点の整理をされて、今後どのように検討が進められていくのかについても、お示しをいただきたいと思っております。
 
○ 堀座長
ありがとうございます。事務局のほうに質問がありましたのでお願いします。
 
○ 成松家庭福祉課長
はい、ありがとうございます。資料を作らせていただいた、事務局として作らせていただいたときにですね、ちょっと考え方として最初のほうに申し上げるべきだったかもしれませんが、まず、困難な問題を抱える女性のニーズだとか、その支援のあり方の基本の考え方を、まず最初のほうに置かせていただいて、それを前提として、具体的な支援のあり方、あるいはそのための体制のあり方という形、それを、さらにそれを支えるための制度のあり方と、そういう順番で頭の整理で作らせていただいております。
まず、ニーズというか、そういうところを起点として、どういうふうに制度を作っていくかと。というところまで至っておりまして、論点っていうか、物の見方によっては、制度が、ご意見あったように制度がなかなか古い、古くて時代錯誤だから、なかなか支援が行き届かないっていう面もあるっていうのは、それはそのとおりでございますので、両方からのご意見ですね。おそらくこう、議論としては行ったり来たりしながら進めていく面もあるいうところは、実は私共も考えております。そういった意味で、最終的にはどういう制度を作っていくかというところを視野に入れながら、議論を進めていただくという意味では、先日も申し上げたように、制度の見直しも含めてですね、この場でも議論していただく。ただ一方で、早くできることは早くやるというようなスタンスで臨んでいきたいというふうに思ってございます。
で、今後の進め方については、先ほど座長からも仰っていただいたように、この論点、まだまだ、引き続き整理をする必要があると思いますが、この論点の項目に沿ってですね、行ったり来たりもするかもしれませんけれども、それぞれの論点について議論を深めていくということを、事務局としては想定してございます。
 
○ 堀座長
はい、ありがとうございます。大谷構成員お願いします。
 
 
○ 大谷構成員
大谷ですけど、毎回売防のことしつこく言ってるのでどうしても言いたくなってしまうんですけれども、最初にできることをまずやると。で、制度設計もするということで、きっと出口においては、きっとそこはいつか示してくださるんだろうということなんですけれど、ある種ロードマップみたいな工程表があって、それがきっとこの論点整理の過程で出てきてくれれば、とりあえず今はこの、この時期のこの問題をやってるんだなっていうことがわかるんですが、こういう形で、一番最後にチャラっと付けられちゃうと、まあ、なんか最後に、最後にやるんだろうなあぐらいの期待だけで、ああやっぱり時間切れで終わりましたみたいな感じになりかねないので、なんか工程表がほしいなと、思います。
そうして最初にご意見いただいたようにですね、確かにこの委員会では、やはり基本的な考え方、売防は絶対もう見直していただきたいと思います。ひとつ直すと全体が崩れてしまうということもあるかもしれません。その売防自体の建て付けが、4章を直そうとすると、法の目的や結局は全体を触ることになりかねないようなことになるのではないかとも思えるので、そこも含めて、厚労だけではなくて、法務省も一緒にやっていただきたいと思います。
それで、次回そういう工程表が出てくるのを期待したいと思います。そこで、この3(1)。この「他法他施策との連携の推進」という、まず言葉に、私なんか全く頭にストンと入らないんですね。その他法他施策との連携の推進というのは、やはり行政がそうしようと思ってる、行政主体ですよね。で、当事者はいろんな選択肢があって、そこを選択できるんだよっていうことが保証されるということであれば、女の子や女性の立場からすれば、障害者施策でいくのか、保護施策でいくのか、施策なんていう言葉は使わないと思いますけれども、そういう形でいろんな行き場所があるけど、私はこっちでいこうかな、今さら障害者手帳なんか要らない、頑張ろうかなって思う人も含めた、その選択の幅を保証するという形で表現していただけると、もう少しわかりやすいと思うのです。
で、私はいずみ寮を見に行って、本当に久々に保護施設を見せていただいて、3分の1から、いや、半分近くが障害のある方じゃないかなと思うぐらい多くのパーセンテージをやっぱり占めてますよね。この子たちがここにいるということは、それは女性保護としてここにいるというのもそれはそれであり。だけど、長い人生を考えると、手帳取って福祉の中で生きるという選択もあり。その選択を彼女たちは選択しながらここにいるのだろうかと疑問をもってしまいます。どっちが優先するんじゃなくて、あくまでも当事者が今後生きやすい方法として、選択可能なシステムとしていただきたい。だからそれが連携の推進だということですよと言われれば、行政というのはそういう言い方をするんだと納得するしかないかもしれませんが、利用者の女性の立場からの、幅広い選択の提起とか提案とかいう表現の仕方も検討してもらいたいと思います。
 
○ 堀座長
はい、ありがとうございました。時間も僅かになってまいりました。さらにご発言があるようですので横田構成員、少し短めにお願いいたします。
 
○ 横田構成員
努力します。私は民間のシェルターネットも、それからColaboもBONDも、最初から婦人保護事業で為すべきことだというのをずっと思っていました。大事なのは国の意識です。国が女性支援に対してどう方向性を示されているのであろうか明らかにならないものを感じています。そして女性支援を考える時、女性への一貫した支援体制としてとらえてゆけるのか、そうではなくやはり公と民と分けて、対等な位置付けにできないものして進められてゆくものなのか、わたしの中では明らかになっていません。
ずっと古い話で恐縮ですけれども予算の事です。あまりにも女性支援の予算が少ないので伺ったときに、統合予算なのだと言われました。統合予算で、やはり子どもが優先されることを伺いました。児童に関してへの予算措置は当然の事ではありますが、最後に女性支援と伺ったときに、女性支援に対してそれだけ国の意識が薄いんだというふうに思ってガッカリしたことがありました。女性の暴力の被害実態、社会状況の中に置かれている女性の生きづらさの実態がこれだけ明らかになってるわけですから、どういう形でしっかりと法整備を進めていただけるのかも期待したいところです。
それから、売春防止法ですけれども、私もしつこいですけど、やはり「処罰」を受けて入ってくる利用者と私たちは対していますと、どうしても納得がゆきません。それは、売春防止法の第5条違反です。この前ももうしあげましたけれども、何故彼女たちが処罰を受けなければならないんだろうと思われてなりません。しかもおとり捜査です。刑事によるおとり捜査です。そんなことが行われていいのでしょうか。私はこの法律がある限り、これは法令遵守とされるのです。女性たちは行き場のない、居場所のない社会的な貧困による犠牲者でもあるのです。どう考えても福祉的というよりも、人道的にもおかしいなと思っています。
また、売春防止法の施設というだけで、まだ地域の中で非常に差別的に見られています。それは暮らした者でなければわかりません。そして、今大谷構成員からのご質問もありましたので、ご報告させていただきます。入所者のほとんど暴力による被害を受けた方たちです。その結果、乖離障害とか情動不安定とか、適応障害とか起こしてる方たちがかなりおります。知的障害の方たちも多いです。この状況は売春防止法が制定されて施設利用した女性たちとほとんど変わっていません。ということは、すごく生きづらいものを抱えている女性たちにとって、時代は流れても、支援の施策は何ら変化がないということです。そういう意味ではですね、本当に弱い者が弱い者のまま、放置されていることなのです。しかも、売春防止法という差別的な法律、売春という言葉だけで、「あそこの施設には売春婦がいるんだよ」特定された見方が社会の中にはまだまだあります。私たちは今その差別を取り除こうとして、地域と連携を強化し理解を求めて活動しておりますけども、そういう実態があることをわかっていただきたいと思います。
是非ですね、この根拠法が売春防止法であることをあらためて周知いただき、しっかりと見直していただいて、大谷構成員が言ってくださったロードマップのようなものに、示されるといいと思います。ありがとうございました。
 
○ 堀座長
はい、ありがとうございました。まだまだご意見尽きないところかと思いますが、時間になりますので、本日いただいたご意見、こういったものをまた踏まえ、幅広いご意見のほうをいただきました。こちらのご意見を踏まえ、まず事務局のほうで、今後修正のほうをいただいて、その後は座長である私に一任いただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
次回以降の検討会では、先ほどもありましたが、各検討事項ごとに議論を深めて生きたいと思いますので、またどうぞご意見宜しくお願いいたします。
それでは、最後に事務局のほうから、次回日程や今後のスケジュール、工程表というご意見もありましたが、ちょっとこれも含めて連絡事項のほうお願いいたします。
 
○ 度会母子家庭等自立支援室長
皆様ありがとうございました。本日ご議論いただいた内容につきましては、座長と調整の上に修正したものを皆様にお知らせさせていただきます。尚、本検討会につきましては、座長からお話がございましたとおり、今後各検討項目に沿って議論を深めていくこととしています。
次回の日程についてですが、本日沢山のご意見をいただきましたので、その整理と、また宿題事項も出ておりますので、それにつきましてお時間をいただきたいと思いますが、改めて皆様と日程を調整させていただきたいと思います。今後も引き続き皆様のご協力をお願いいたします。事務局からは以上です。
 
○ 堀座長
それでは本日の検討会は、これにて閉会といたします。ご出席の皆様、どうもありがとうございました。
 

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