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2018年9月4日 
第3回困難な問題を抱える女性への支援のあり方に関する検討会

子ども家庭局家庭福祉課

○日時

  平成30年9月4日(火)9:00~12:00
 

 

○場所

中央合同庁舎4号館共用第1208特別会議室(12階)


○出席者

構成員

大谷構成員 戒能構成員 加茂構成員 近藤構成員  
新保構成員 菅田構成員 高橋構成員 橘構成員  
野坂構成員 堀構成員 松本構成員 水野構成員  
村木構成員 横田構成員 和田構成員
 


   

事務局

               濵谷子ども家庭局長
       藤原内閣官房審議官(子ども家庭局併任)児童虐待防止等総合対策室長
       長田子ども家庭局総務課長
       成松子ども家庭局家庭福祉課長
       度会子ども家庭局家庭福祉課母子家庭等自立支援室長
       菅子ども家庭局家庭福祉課母子家庭等自立支援室長補佐

       

    オブザーバー
       内閣府
       法務省
       警察庁
       
       
○議題
  困難な問題を抱える女性への支援のあり方について
  (構成員からのプレゼンテーション等)


○議事

 

○ 度会母子家庭等自立支援室長
只今から、困難な問題を抱える女性への支援のあり方に関する検討会第3回を開催いたします。
構成員の皆様には、ご多用のところお集まりいただき誠にありがとうございます。本日は、仁藤構成員、前河構成員から欠席のご連絡をいただいております。本日、加茂構成員、菅田構成員、野坂構成員につきましては、今回が初めての出席となりますので改めてご紹介いたします。
まず、若松町こころとひふのクリニックPCIT研修センター長の加茂構成員です。
 
○ 加茂構成員
加茂です。宜しくお願いします。
 
○ 度会母子家庭等自立支援室長
続きまして、全国母子生活支援施設協議会会長の菅田構成員です。
 
○ 菅田構成員
仙台から参りました。宜しくお願いいたします。
 
○ 度会母子家庭等自立支援室長
続きまして、昭和女子大学人間社会学部助教の野坂構成員ですが、本日は遅れて出席となっております。どうぞ宜しくお願いいたします。
それでは、第3回検討会につきましては、第2回に引き続き、ペーパーレス会議で行います。本日の資料は、タブレットを操作してご覧いただくこととしておりますので、資料の配布はございませんが、構成員の皆様のお手元には、座席表、議事次第、構成員名簿、それから、タブレット、タブレット操作説明書の1枚紙、ファイルのほうには前回までの資料、それと婦人保護事業等における支援実態等に関する調査研究報告書の冊子を配布しております。配布物に不足等ございましたら、事務局にお申し付けください。
それでは、タブレットの操作方法についてですが、お手元の資料、タブレット操作説明書をご参照していただければと思います。前回に引き続いての操作になりますので簡単な説明をさせていただきます。
まず、皆様のタブレットのほうには、本日の議事次第が表示されていると思います。こちらの表示の一番左上「マイプライベートファイル」。こちらをタップしていただきますと、本日の資料という形で収納させていただいております。議事次第、資料1から資料の5の6点があることを確認していただければと思います。
それでは、議事次第のほうに戻っていただきまして、操作については、表示の拡大縮小、それから、スクロールにつきましては、操作説明書の1ページにあります。それから、操作説明書の裏側のところ「任意のページを指定して表示する」という説明がありますので、こちらを参照していただければと思います。操作方法でわからない点がございましたら、事務局のほうへお申し付けください。
それでは、カメラの撮影はここまでとさせていただきます。傍聴される皆様におかれましては、傍聴時の注意事項の厳守をお願いいたします。特に検討会中にはお静かにお願いいたします。
それから、本日、マイクの使用方法についてですが、マイクにつきましては、真ん中のトークボタンを押してご発言をお願いいたします。また、声が少し、若干届きにくいことがありますので、なるべく近づけて発言をしていただければと思います。
それでは、これより先の議事は、堀座長にお願いしたいと思います。宜しくお願いいたします。
 
○ 堀座長
皆さんおはようございます。早速ですが、議事のほうに入ってまいりたいと思います。本日の議事ですが、配布した議事次第のほうに記載されているとおりに、構成員の方々からのプレゼンテーションのほうを行っていただくことにしております。
近藤構成員、菅田構成員、高橋構成員、橘構成員、村木構成員の順に20分程度でお願いしたいと思います。一通り説明いただいた後に、プレゼンテーションの内容ですとか、第1回、第2回、こちらのご議論も含めて意見交換のほうをさせていただきたいと思います。
それでは、早速ですが、近藤構成員のほうからお願いいたします。
 
○ 近藤構成員
全国女性シェルターネットの近藤でございます。どうぞ宜しくお願いいたします。
最初に、私たちの法人の説明を少しさせていただきます。1998年に設立をいたしまして、2005年にNPO法人、法人化をいたしました。現在68団体が、ネットワークに参加しております。
内閣府の調査ですと、民間支援団体、シェルターというふうに確定できる団体は、今100か所から110か所の間というふうにいわれておりますけれども、私共の団体は、この68団体のほかにも具体的なケースを繋ぐ様々な支援団体と連携を取りながら仕事をしております。
DVや性暴力被害を受けた女性や子どもの回復支援に関わる民間サポートシェルター等の全国ネットワークというふうに自己紹介をしておりますけれども、様々な支援団体が私共のお仲間になっています。具体的には、日常的にシェルターを維持運営しながら、一時緊急保護から中長期の回復支援まで、直接・間接の支援を行うとともに、必要とされる調査研究活動ですとか、教育啓発活動、それから、政策提言活動などを行って、毎年、全国シェルターシンポジウムを開催しております。この全国シェルターシンポジウムは、当事者、支援者、それから関係機関で働く様々な専門職員の皆さんとご一緒に、今最も課題になっている検討事項を全国的なレベルで情報共有し、論議・協議し合う唯一の機会というふうに考えております。この全国シェルターシンポジウムの中から、様々な取り組みが動いてまいりました。DV防止法の制定。それから三次にわたる法改正に、このシェルターシンポジウムの大会宣言等が、大きな役割を果たしております。それから、このシェルターシンポジウムに関わる様々な関係職員の皆さんや、国会議員も含めた様々な方々のお力で、この日本のDV支援、それから、様々な制度運用が図られてきたのではないかと考えています。
また、2011年の東日本大震災発災以後は、内閣府が初めて開設いたしましたパープルダイヤルを皮切りに、24時間365日のDV・性暴力被害者のためのサポートダイヤルを担当しております。
民間シェルターの支援理念ということで、3ページを見ていただきたいんですけれども、私たちのシェルターの支援理念というのは、これはもう当事者主義とエンパワーメントに尽きる、というふうに考えています。私共は1990年代から、フェミニズムの中で、様々な暴力被害に遭う女性たちの支援ということを取っ掛かりに仕事を始めてまいりましたけれども、こういったDVや性暴力被害っていうのはジェンダー犯罪であり、「DVは犯罪です、DVは犯罪です」と声を上げることから私たちの仕事は始まりました。性差別の構造から不断に生み出される暴力犯罪であり、性的搾取であるというふうに考えて、被害を受ける当事者の方々と、その痛みを共にするお仲間として仕事を進めてまいりました。暴力の発見から回復支援まで必要な法制度を作り出し、運用の改善をはかり、社会資源を発掘してきたのは、私は、声を上げ始めて一歩を踏み出し始めたお一人お一人の当事者だったというふうに確信をしています。また、その当事者と痛みを共有する女性たちが、この社会を少しずつ動かしてきたのだと確信をしています。
北京世界女性会議以降の四半世紀、女性に対する暴力根絶の課題が、国内外を通じて女性運動の中心軸となって、そこからまた民間シェ ルターの活動が全国に拡がってきた、というふうに考えています。民間シェルターの女性たちの運動というのは、最初から売春防止法の枠外にありました。私も仕事を始めたときのことを思い返しますと、大変な暴力を受けてきた方を、当時、北海道の女性相談所、婦人相談所に繋ぎましたけれども、その頃は、まだ廊下の窓に鉄格子が嵌まっておりまして、朝6時起床でラジオ体操をして云々かんぬんという、本当になんかもう女子刑務所のような仕組みで、当事者が支援されているのではなくて、確かに措置収容されている状況でした。こういうところでは、女性の回復は覚束ないというふうに思って、それぞれの女性たちが、日本各地で民間シェルターを立ち上げたというのが経緯でございます。
民間シェルターは、女性支援のワンストップサポートセンターでもあるというふうに私たちは考えています。具体的にシェルターとか、それから、中間的な支援ハウス、支援施設、ステップハウスを持ち、また、お仲間の中には、特別な子どもシェルターを維持しているところもありますし、最近若い女性のためのシェルターを密かに運営しているところもございます。そういうシェルターを使った緊急サポートを中軸にして、相談から回復支援までの継続的なサポート、つまり時間軸としてはかなり長い。人によっては5年10年15年というふうにお付き合いするような継続サポートをしているということが、多分民間シェルターの特徴ではないかというふうに思います。この継続的サポートの中身としては、医療支援、司法支援、サポートカウンセリング、行政手続き支援、生活再建支援、就労支援、自助グループ、メンタルサポート等、当事者が必要とするありとあらゆる領域にわたるサポートを、女性たちが手を繋ぎ合って支えているというのが現状です。したがって、当事者を繋ぐ多領域に渡るその連携のネットワークというものを形成せざるを得ませんでしたし、必然的に、様々な地域の、様々な領域の方々と手を繋ぎ合って当事者の回復に努めてまいりました。
必要とされる社会資源は、なかなか見つからないということが多いです。例えば、今は性暴力被害者のためのワンストップセンターが、ほとんど全県に配置されたということになっていますけれども、その当時は、性暴力被害者のために特化した産婦人科医やお医者様や、子どもの精神科医がいるわけではありませんでしたし、そのためのサポートというのも行政の中に皆無でしたから、人と資源を開発しながら、つまり私たちと、当事者のために仕事をしてくれる人を探し出しながらサポートを続けてまいりました。そういう意味ではいろんな形で、新たな人的資源・社会資源を発掘することも出来てきたのではないかなというふうに思います。
このワンストップサポートセンターを支えてきたのはやはり、当事者を繋ぎ目とする暖かくて強いネットワーク、女性たちのネットワークですね。それと、課題解決に向かう柔軟なフットワークがあったからではないかというふうに思います。シェルター事業というのは、とにかく広い範囲のネットワークがどうしても必要で、札幌で被害に遭った人が札幌で自立するのはなかなか難しい。加害者の追跡を防ぎながら、例えば鹿児島でお世話になるとか、神奈川に移すとか、同じ支援理念を持ったネットワークのお仲間が迎え入れてくれる。そういう基盤があったからこそ当事者は無事に生き延びられてきたのだと思います。
また、当事者お一人お一人は、抱えている問題が全て違うんですね。一人ひとりの支援プログラムを作り上げていくのは、当事者が自ら選択し決定して選んでいく自分の将来的なビジョン、こうありたい自分、こうなりたい自分のプログラムを当事者が作り、当事者が指し示し、そして支援者が一緒に作っていくっていう経過でした。支援者、サポーターというのは、つまりお仲間として当事者に選ばれる。当事者に育てられる。当事者に導かれる。そういう存在であったんじゃないかというふうに思います。その当事者と一緒に、私たちはDVや性暴力、性虐待、性的搾取の被害から人々がどのように回復していくのか、その多領域にわたる支援実績を積み上げてきました。それは、当事者と支援者が一緒に作り上げてきたスキルだというふうに思います。
また、そのことは、地域の支援力を豊富化してくるということにも繋がってまいりました。例えば、私が仕事を始めました札幌市では、DVの被害者支援のための様々な計画や具体的なマニュアルがありますけれども、札幌市のスローガンは「地域住民全てがサポーター」という言葉に尽きるというふうに思うんですね。地域に住んでいる方々の、例えば3世帯に1世帯は、暴力被害に苦しむ家がある。北海道では札幌が支援を求めて、あるいは新しい生活を求めて、人々が動いてくる場所ですけれども、だから外からやってくる人たちの3世帯に1世帯は、そういう方々かもしれない。そうだとすると、地域でその方々をどのように迎え入れて、どのようなサポートが出来るのかということを地域全体で考えていくということが必要になりますし、そういうスキルというのも地域に蓄積されてくるというふうに思います。
次の3ページは、支援の流れ。発見、相談、シェルター対応。それから、シェルター利用中の支援。シェルター後の、退所後の自立支援ということで図示したものです。これは、どこの支援施設でも、こういう経過を辿って、それぞれの当事者の支援をしているというふうに思いますが、特に民間シェルターに特徴的なのは、シェルターを退所した後のお付き合いが長いっていうことですね。当事者の困難は、シェルターを退所後に大きくなる。シェルターを出てからが本格的な勝負。どこに住むか、どういう仕事が出来るのか、子どもたちがまたPTSDで苦しまないか。自分自身がまた新しい職場で被害に遭わないか。様々な問題に向き合いながら、当事者は一歩一歩新しい生活を固めていくわけですけれども、その本格的な自立回復支援を担っているのは、多くは民間シェルターの仲間たちです。私たちは、DV防止法が出来ましてから、DV防止法に基づいた一時緊急保護の委託事業というのを請けるようになりましたけれども、そういう委託契約事業は、ほとんど今数字が上がっておりません。その代わりにというのはおかしいですけれども、まるでお金の付かない回復支援事業について県のセンターから出てきた人を引き受けるとか、あるいは何度も何度も公的な機関で相談を受けた人が、最終的に民間シェルターのステップハウスを使って、そこから長い自立の道を歩み出すとか、あるいは大変な困難を抱えた、特に重いPTSD症状を抱えた方ですとか、それから、障害をお持ちの方、外国人女性の方、最近は特に若い女性や子どもたちが、民間シェルターに雪崩れ込むようにやって来るわけです。さらに、そういう方々が公的なシェルターや相談機関を経ることなく、直接民間シェルターに入ってくるケースが増加しております。
ちょっと北海道のお話をさせていただきます。北海道には8か所に民間シェルターがございまして、北海道シェルターネットワークを形成しております。各自治体や各民間シェルター同士が機密な連携を繋いでケースの解決にあたっていますけれども、次を見ていただきたいのは、相談件数の多さなんですね。平成24年度から27年度まで数字を出してありますけれども、北海道警察が受ける相談よりも、婦人保護事業を実施している各12市が受ける相談件数よりも、法務局のそれよりも、それから、北海道女性相談援助センター等の婦人相談所よりも民間シェルターの相談件数が多いんですね。また、DV被害者の緊急一時保護件数についても民間が今ほぼ6割ですね。DV防止法制定直後は、ほぼ7割8割を民間シェルターが委託を受けていました。それから、だんだん数字は落ち着いてまいりまして今は6割。それから、28年度29年度は50%台になっています。これはかなり特別な数字でして、平成28年度の全国の委託割合について厚生労働省の数字をみますと、33.3%。母子支援施設とかいろんなところを合わせて民間支援団体に委託している割合は3割です。しかし、北海道は7割から6割という経緯を辿ってきました。なぜこういう数字になっているかと言いますと、緊急保護の一時保護委託手続きが、北海道モデルということで各民間シェルターに飛び込んだ方、それから、各自治体で受けたDV被害者のうち緊急度の高い方を、すぐ近くの民間シェルターに繋いで、そこからの即、道立相談援助センターに連絡をして、「委託お願いします」と即決をしてもらうんですね。具体的なケースはその後報告をしますし、もしそのケース検討で、ここではないところがいいってことになれば、もちろん場所は移しますけれども、それより今ここで必要としている人を最も適切な場所で引き受ける。そのことで道からも委託を出すということで6割7割という高い数字になってきました。これは、当事者の選択と決定による利用を実現したということであって、当事者が「ここのシェルターで回復を果たしたい」というときに、そこへ飛び込めば支援を受けられる。公的な支援と同じ内容の財政措置があるっていうことですし、それから、民間シェルターの緊急保護ケースを北海道がそのまま委託するということで、当事者の負担が軽減する。普通は町の区役所の相談員にお話をして、そこから自治体の、都道府県のですね、相談所に連絡をして、措置会議、判定会議というものを受けて、長ければ半日以上待たされたりして、でも結局ここでは引き受けるのは適切でないってことになれば、そこからまた次の居場所を確保しなくちゃいけないっていうことになる。当事者にも負担がかかるし、それから、安全の面でも危険度が高い。そのまま委託していただくというのは、すごく当事者の負担が軽減され、加害者の追跡その他の安全確保も図られる。また、北海道の民間シェルターでは、例えば保護命令を出しますとか、すぐに生活保護を付けなくてはいけませんとか、医療保護を付けなくちゃいけないっていうときには、事務所に警察官に来てもらったり、福祉事務所の担当者に来てもらったり、関係機関の方に来てもらったりして、当事者を動かさずに、そこで様々なサポートあるいは手続きを開始することが出来るようになっています。
さらに、北海道ではふた月に一度ずつ北海道シェルターネットワークと、道の援助センターとの合同会議をやりまして、緊急のケースについては常時ケースカンファレンスができる関係になっています。
一番大きな問題は、しかしその中長期の自立支援について、財源や人員確保が大変だっていうことなんですね。これはどこの民間シェルターでも同じ問題でして、次に民間支援団体の現状と課題という、13ページのところを見ていただきますが、様々に広がる支援格差、つまり官民の支援格差と、自治体間支援格差。また、専門機関同士の専門機関の間での支援格差もかなり大きく広がっています。あっちに飛び込めば助かるけどこっちに飛び込めば命が危ないなんてことも実際にあるわけなんで、そういった意味での支援格差の広がりをどこでどういうふうに解消していくかというのは、この検討会でも大きな問題だと思っています。その格差の中で、特に民間支援団体は、財政的な支援が薄弱です。この一時委託のケースについても出来高払いですから、当事者が何日間お世話になったらこれだけお支払いしますよっていうことなので、日常的なシェルターの運営や事務所の運営や、人員の確保や様々な活動費については、一切どこからもお金が出てこないんですね。緊急一時保護から回復支援までの長いスパンをカバーする事業委託を請けることが出来れば、支援の専門領域に応じた様々な財政措置を受けることが出来るのではないかっていうふうに思っています。特に民間支援団体にお金がない、お金が回らないっていうことで、以前の検討会でもいろんなお話をさせていただきましたけれども、中長期の回復自立支援事業のモデル事業を厚生労働省で実施していただきました。しかし、これはまだ制度化には至っておりません。実際には今の法の下での運用改善も、出来るのではないかなと思っています。例えば回復自立支援についてお金を出すということであれば、現在、婦人保護施設等で使われている退所者の支援の予算化ですとか、アパートを確保する費用の補助とか、要するにステップハウス事業についての国の予算が、もう少し委託先だとかDV防止法の利用者にも拡大させるというふうなことは、法改正しなくても今でも何らかの工夫ができるんじゃないかと思います。
これは平成19年に、小川真理子さんという研究者の方とご一緒に調べた数字なんですけれども、民間シェルターの課題は何をさて置いてもお金の問題。財政上の問題です。お金がないので優秀なスタッフを抱え込むことができない。次世代の育成に問題がある。DV防止法世代と呼ばれている第一次民間シェルターの活動主体は、今はもう60代から70代が主力になっておりまして、若い方々の人材確保というのも財政上の問題からすごく大きな課題になっています。人としての普通の生活が出来る給料を払うことが出来なければ、特に専門職としての支援員を養成するっていうことは、私たちにはなかなか難しいところにきています。そのことで歴史のあるシェルターが、ひとつふたつと今、店を畳んでいるっていうのは、当事者支援にとって大変大きなダメージだと私は思っています。内閣府なんかが音頭を取って、民間シェルターにお金を出せっていうふうに自治体に発破をかけてくだすっているんですけれども、実は財政支援を行っているっていうところが6.9%で行ってないっていうのが91.9%。これもすごく寂しい数字です。都道府県は約半数ぐらいが補助をしていますけれども、ほとんどの市区町村が、民間シェルター等にですね、お金を出すことはしていない。少ないその支援の、助成金の中身はどういうものかというと、多くが家賃と水光熱費です。人件費にも出しているところはありますけれども、その額が、例えば一人のスタッフに月々5万円払いますよとか、そういうふうな内容ですので、とても自治体の助成に頼っても、民間シェルターを健全に維持運営することは出来ません。私たちは24時間365日の支援活動のほかに、お金を稼ぐということをしなくちゃいけないわけで、それが大変大きな負担になっています。そういう意味では、売防法の根拠なしに仕事をしてきた民間シェルターではありますけれども、DV防止法ができて、一時委託契約を結ぶことになってから、やはり私たちも売防法の縛りを受けるというふうになってまいりました。私たちは、様々な困難を抱えた女性たちと一緒に戦い抜いてまいりました。当事者を要に置いた、つまり被害を受ける女性や子どもたちが、回復支援のサービスを受ける権利主体としてきちんと位置づけられる、そういう法制度がどうしても必要だというふうに思います。つまり、損害された人権を確立するための支援法が、今、最も求められているというふうに思いますし、措置だとか収容だとか指導だとかいうふうに散りばめられた売春防止法の下では、本来の意味での女性支援は成立しないというのは、明らかな事実だというふうに思うんですね。その課題と限界は、明らかになっているわけですから、私たちは女性の人権の確立を目指す、売春防止法に代わる新たな女性支援の根拠法を、急いで作る必要があると思います。この根拠法は、当事者を主体にするということはもちろんですけれども、暴力を根絶するためのジェンダー平等法としての機能をきちんと果たすものであることを、私は心から願っています。どうぞ宜しくお願いたします。
 
 
○ 堀座長
ありがとうございました。次にちょっと進む前に、マイクの扱いなんですけれども、会場は広いのでなるべくマイクに近づけて、あるいはマイクを動かしていただいても結構だそうですので近づけてお話しいただければと思います。
それでは菅田委員、お願いいたします。
 
○ 菅田構成員
全国母子生活支援施設協議会の会長をしております菅田と申します。宜しくお願いいたします。
私の資料は20ページあるんですけれども、その次にある、全国母子生活支援施設協議会、略して全母協のパンフレットをまずご覧いただきたいと思います。
今全国で221か所の母子生活支援施設がございまして、その支援施設が組織している協議会が全母協です。とはいっても数も少ないですし、それぞれの施設も経営が厳しい状況にあります。そのためプロのモデルや写真を潤沢に使うことなくすべてイラストと文字で、イラストも関係者にに任せてました。パンフレットの表紙の下から3行目に母子生活支援施設が何をしているところかを端的に表した文章があります。「母子生活支援施設はDV被害や児童虐待、その他の理由により生活に困難を抱える母親と子どもが安心・安全な環境の中で、かけがえのない自分を取り戻すこと、また、子どもたちは、その場所で大切にされる体験を積み重ね、大人への信頼感や自己肯定感を取り戻すことを支援しています。」今の母子生活支援施設の仕事を簡単に表すと以上になります。あと次のページを開いていただくと、「母子生活支援施設ってどんなところ?」とか、母子生活支援施設の主な支援の紹介とかですね、それから、最後のところでは、「母子生活支援施設には、母子家庭を支える職員がいます」と紹介しています。このパンフレットは、一部の方々には知られていますけれども、あまりにも母子生活支援施設が知られていないので作成しました。行政の方も人事異動で福祉事務所に異動になると母子生活支援施設がどういうところか知らない。研究者も、そして何よりも当事者の母子家庭のお母さん方に知られていないことで利用が促進されないこともあり、行政の関係機関の担当者や母子生活支援施設を利用したいお母さんたちへのパンフレットとしてそして、なんとか母子生活支援施設を知っていただこうとして作りました。なぜ我々がそんな状況にあるかというところは、これから発表したいと思います。PowerPointの原稿に戻ってください。2ページ目は目次でございます。最初は「子どものこと、親のこと」ということで、支援対象はどういう方々なのかをご説明しています。2番目は「私たちの実践」ということで、事例を紹介しています。時間の関係で事例の紹介は割愛したいと思います。それから、3番目は、母子生活支援施設の抱えている課題です。この3つに絞ってお話しします。
まず、3ページは利用世帯の入所理由です。入所理由は母と子それぞれ双方にあります。お母さんの育ちも、それから、子どもの育ちも支援しています。あくまでも子どもは、同伴児童ではなく利用する主体の一人だということで、子どもに対しても支援をします。生活を整える必要がある全ての女性、母と、それから、子どもに対する支援をしているということです。その下のグラフは、全母協が2年に1回全施設を対象に行う全国調査の結果です。一番下が平成18年で、一番上が平成28年、この10年間の入所理由の移り変わりです。一番左はどんどん増えています。これはDV被害を受けたという方の数の推移になっておりまして、26年度の調査で初めて入所理由の過半数を超えました。全国の平均値ですので、これが例えば東京であるとか、横浜であるとか、私のいる仙台などの都市部ではもっと比率が高くて、大体7割から8割ぐらいがDV被害の方の入所ということになっております。そのほかに、右から2番目と3番目の一番上のグラフに18.3、12.5という数字があります。これは住宅事情と経済事情が入所理由であることの割合なのですが、実は住宅事情も経済的理由なんですね。両方合わせるとこれが2番目に多くて、30.8%が経済的な理由で入所に至っているということは、やはり女性の貧困ということと非常に関連している理由なのだろうと思われます。
次に4ページは入所されている方の障害の割合です。児童養護施設にしても児童自立支援施設にしても、社会的養護施設では障害のある子どもの入所率が、だんだん増えてきています。そして母子生活支援施設では、お母さんと子どものいずれにも変わりなく言えることです。まず、お母さんのほうの割合ですが、施設数では81%。入所総数での割合は30.4%。およそ3人にひとりは障害があるお母さんが入所されているということになります。これも10年間の推移ですけれども、10年前16.4%が、28年の調査では30.4%で、調査する年を追うごとに増加しているということが言えます。5ページは「どんな障害があるのか」の調査です。結果は、精神障害者保健福祉手帳を所持している、若しくは所持の可能性があるという方が642人。お母さんは圧倒的に、精神的な障害を抱えていらっしゃる方が多いとということが伺えます。次は6ページ、今度は子どもです。お子さんに障害がある割合は施設数では78.3%、入所総数での割合は16.1%ということで、10年前は8.4%ですからおよそこの10年で倍増しているという状況にあります。子どもの障害の内訳は7ページにあります。子どもについてはちょっとお母さんとは違います。身体障害とか精神障害は非常に少ないです。圧倒的に多いのは、療育手帳の交付を受けている子どもです。知的にハンディのある子どもたちが圧倒的に多くて474人となっています。。
続いて8ページに移るります。今度は年齢の分布です。30代のお母さんが最多。続いて40代、そして20代です。数は少ないんですけれども60歳以上という方もいます。この場合多くは、母子家庭に準ずるという規定に該当する、おばあちゃんと孫での入所になりますね。若年層、10代のお母さんも結構な割合でいます。ちなみに私の施設には3年前、17歳のお母さんが3人いました。10代のお母さんもある程度の数があるということです。
続いて9ページ。これは事例になりますので、後でご覧下さい。例としては、知的障害のある子とDVを受けたお母さんへの支援。それから、次の10ページでは、地域生活を見据えて誰かと繋がる自立へということで知的なハンディのあるお母さんに対する支援をご紹介しました。
次の11ページ「私たちの実践」では、特定妊婦支援の事例を紹介しています。今はまだ特定妊婦に関しては、国の制度としては母子生活支援施設の利用が出来ないので、それぞれの自治体で、独自に取り組まれています。特定妊婦を母子生活支援施設に緊急一時保護して、出産してから通常の入所手続きをとる方法で支援しています。なるべく早く、特定妊婦の母子生活支援施設などの入所が、普通の入所の措置として、制度として作られていくといいと私は思っています。続いて12ページになります。私たちの実践ということで、様々な支援をご紹介しました。今、近藤さんのお話を聞いていたら、「支援してる内容は同じだな」と思いました。本当に生活全般に関わる支援をしなければならないし、とりわけ入所してから約半年、短い人で3ヶ月、長い人で6ヶ月ぐらいは、濃厚な支援が必要です。DVで入所される方のほとんどは離婚が成立していません。それから、子どもの親権もまだ決まっていません。調停優先の原則があるので、調停しないと裁判出来ないんですね。私の施設も顧問弁護士がいますので、その顧問弁護士を頼ってなるべく早く調停、そして裁判につなげ、離婚と子どもの親権、慰謝料です、それから子どもの養育費、この4点セットを絶対勝ち取りましょうと定めて支援します。例えば入所してからの6ヶ月の間に、調停それから裁判とすすめなければならないし、様々な生活支援もそこで必要になってくるということです。
12ページには、ここにもありますが、ひとり親家庭、子育て家庭のかかりつけと書きました。産前産後から子育て期、子どもの自立期までを視野に、養育相談や虐待防止。残念ながら入所されているお母さんにも、虐待するリスクの高い方っていらっしゃるんですね。そういうこともケアしないと、子どもへの虐待に繋がっていくので、非常に重要です。
緊急一時保護は、残念ながら全施設が行っているわけではございませんが、主に民立・民営の施設は、ほとんどがこの緊急一時保護事業をしております。
それから、入所している間のインケア。さらに、退所してからのアフターケア。このアフターケアも非常に重要な支援です。というのは、今、全母協の調査結果では平均入所期間が2年から長くて3年なんです。この2年から3年だけで本当に支援が終わるのかといえば、まず終わりません。例えば2歳の子どもを連れたお母さんは3年経ってまだ子どもが5歳です。まだまだいろいろな支援が必要な状態で退所されるということでは、アフターケアは重要な支援事項になってきます。
支援の内容については、先ほど近藤さんが言われたのと同じような心理的なケアであるとか、子どもの学習支援であるとか、それから、手続きの同行があります。もちろん裁判にも同行しますし、精神科の診療についても、本人の同意を得ることができれば診察室まで入ります。そういう支援も必要なのです。
入所しているお母さんたちは今乳幼児を連れている方が多いです。ご存知のとおり、年度途中で入所されると保育園に入りにくい。それなので、各施設では、次の13ページにお見せしたいわゆる補完保育で、保育所に代わって保育をしています。とりわけお母さんが働き出すためには、このような保育の支援をしないと、なかなか収入に繋がっていかない。補助保育は、施設の中で保育をしたり、お母さん残業のときに代わって保育所にお迎えに行って、帰ってくるまで保育をしたりということです。休日保育、それから病児・病後児保育もやります。夜間の保育もしますし、早朝の保育もやっています。これら全て、過年度の調査結果の棒グラフなのですが、年を追うごとにどんどんサービスの量は増えていることがここから伺えると思います。
ちなみにリフレッシュ保育を当施設では行っています。リフレッシュ保育は、働いているお母さんに月に1回、休日に理由を聞かずに保育をします。好きなことをやってください、少しそれでレスパイトしてください。ということで、映画を観に行ってもいいし、美容院に行ってもいい、彼氏とデートしてもいいし、何してもいいんです。一切理由は聞かずお子さんをお預かりしてます。
それから、先ほどちょっとお話ししましたが、14ページにアフターケアのことをデータで出しております。これだけのアフターケアをやっていまして、職員による訪問相談・支援、とりわけ電話相談が、一番多く94.0%の施設が行っています。職員による訪問支援は、およそ56.8%。実際に退所した家庭に出向いて、相談に乗ったり支援したりしております。
そのほか、施設の学習室での子どもの学習指導。これは子どもの無料学習塾ですね。
それから、施設の設備を使用しての学童保育は、いわゆる子ども食堂です。退所してもこれらなどの支援に繋げていっています。
15ページにいきます。アフターケアがほとんどアウトリーチになるわけですけれども、学習支援や食の支援、居場所づくりなどをしております。
最後、課題に移ります。6ページ、婦人相談所と母子生活支援施設の関係は委託を請けることは可能なんですが、それほど繋がりが良くない。婦人相談所だけではなく児童相談所ともあまり繋がらない。なぜなら、母子生活支援施設は、市町村事業であり、婦人相談所や児童相談所は都道府県事業だからなんです。ここが繋がらない理由のひとつで、なんとかこれを繋げていきたいと思っております。それが17ページに書いてございます。行政機関同士の連携、それから、相互認識の不足・欠如ということでは、我々も自らPRをしていきつつ、関係機関との連携も図っていきたいと思っております。ご清聴ありがとうございました。
 
○ 堀座長
はい、ありがとうございました。それでは高橋委員お願いいたします。
 
○ 高橋構成員
おはようございます。アフターケア相談所ゆずりはの高橋と申します。宜しくお願いします。本当にこのような貴重な場所で、支援団体として参加できること、そして困難な状況にある
方の声を代弁させていただけること、本当にこの機会を有難く思っています。
私のほうは、まずですね、ゆずりはの事業の活動について少し触れさせていただいたあと、この女性支援、私たちの活動から見える女性支援のあり方などいろんな思いを伝えさせていただけたらと思います。
はじめにですね、私も資料のほうの後ろのほうに、ゆずりはのパンフレットをPDFにしたものを付けているので、それなど見ながら聞いてください。
アフターケア相談所ゆずりはは、児童養護施設や自立援助ホーム、里親家庭など、いわゆる社会的養護の下を巣立った人たちを対象とした相談支援事業をしております。運営母体は社会福祉法人子どもの家で、うちの法人では児童養護施設と自立援助ホームとを運営していて、3つ目の事業所として、今から7年前にこのゆずりはを設立してもらいました。活動を始めて8年目になります。うちのようなアフターケアを、社会的養護の下、巣立った方のアフターケア事業を担う団体というのは、今全国に40か所ぐらい出来ていて、この社会的養護の、巣立った人のその後の支援ということが必要だということも近年注目されて、議論もされるようになってきているので、このアフターケアの事業所もどんどん増えているような状況ではあります。ただ、どの事業所も、運営状況はまだ脆弱な状況で、どのアフターケア事業所もいろんな課題を抱えながら、なんとか支援をしているような状況です。
私たち事業所として一番メインの支援としているのは、施設を巣立った人たちが、例えば仕事が、働けなくなって家賃が払えなくなったとか、病院に行きたいんだけれどお金がないだとか、予期せぬ妊娠をしてしまったとか、借金してしまったとか、ともかく一人で解決するのがとても難しい問題を抱えた方のその問題を一緒に寄り添って解決していく、アウトリーチ型の伴走型支援というのを機軸にしてやっています。そのほかに、その問題を解決した後に気軽に集えるサロンだとか、中卒・高校中退の方を対象にした無料の高卒認定の学習会とか、あと、一般就労が難しい方への就労支援。あと、虐待しているお母さんへの支援プログラムなど諸々やっています。ともかく今この問題を解決しなければならないといった方の問題解決というのを最優先でやっています。
資料に戻りまして、3ページ目ですね。退所した方、どんな困難な状況に陥るかというのを、今伝えたことを書いてあります。一般家庭で生活している若者、人たちよりも、このような困難な状況に陥る状況というのがとても多いです。社会的保護の下、巣立った人たち。その理由として4ページ目に、困難な状況に陥る背景としていくつか書いています。ひとつに虐待のトラウマがあります。子ども期に受けた被害。そのトラウマが、施設に入所したら、あるいはまた二十歳になったら、カウンセリング受けたらもうそのトラウマが綺麗さっぱりなくなるよということではなくて、大人になってもその被害を受けた心の傷を抱えながら生きていかなければならない。だけど、施設を出た後親や家族を一切頼ることができない。即ちそれは、失敗することも立ち止まることも出来ないまま、自分がともかく働き続けないとたちまち生活が破綻してしまう状況にある。さらに一般家庭の方と比べると低学歴とか、資格などがないというようなハンディもあります。あと、これは私たちの課題でもあるんですが、養護施設、里親家庭など、社会的養護の下巣立ったあとの支援が、まだまだ十分ではないということがあります。このような状況に、なんていうかな、見た目は五体満足の元気な若者に見えても、こんな、こう目に見えないハンディを抱えて社会生活を営んでいかなければならない。そういった中で、先ほどお伝えしたような、働けなくなってしまうであったりとか、収入が少なくなったときにたちまち生活が破綻してしまうような状況にあります。その状況にあるのは、必ずしも社会的養護の下ある人たちではなくて、社会的養護の下保護されたことがないけれど、やはり親や家族を頼ることができない。ただ保護されなかっただけでずっと家庭で苦しい思いをしてきた。そういった方たちの声も私たちの元にたくさん届いています。そして、のちほど触れさせていただくんですが、この虐待のトラウマという中で、私は性虐待・性被害を受けたことで抱える心の傷っていうその深さ、重さを支援の中で目の当たりにしています。
そして、7ページ目。ゆずりはの相談件数だとか少し書いています。大体今、年間に相談者数は400人程度です。うちの特徴としては、約半分ぐらいが困難な状況にある当事者の方ではなくて、支援関係者の方ですね。養護施設の職員であったりとか、女性シェルターの方であったりとか、学校の先生、あるいは弁護士など、その困難な状況にある人たちに関わっている人たちからこの問題を解決するためにどうしたらいいかっていうことで連絡をもらったりしています。その他は、施設の退所者であったり、先ほどお伝えしたように施設に一度も在籍したことはないけれど誰も頼る人がいないということで相談いただいています。
相談件数は、今、年間に3万件を超えているような状況です。これ、延べ件数なので、1日に一人で、1日に一人の方が100回ぐらいメールしてきてとか電話してきてとか、もう死にたいとか、もう電話に出なかったら殺すとか、様々なものがあるんですけど、ともかく誰にも相談できない、どこにも繋がらない、藁をも縋る思いの人達が私たちのような本当にスタッフの数も5人程度しかいないんですが、この小さな相談所、事業所に、これだけの相談件数があるといったことも、まだまだその声を上げられないとか、どこに声を上げていいかわからないといった人たちの姿っていうのがすごく見えてくるかなと思います。今回女性の支援というところではあるんですが、私たちのところには、男性からも女性からも相談があって、開所し始めた頃は圧倒的に8割ぐらい女性からの相談が多かったんですが、今は男の子、男性からの相談も増えていて、割合としては大体7割程度が女性からの相談です。年齢は10代から、中学生ぐらいの年齢の10代から、上は60代までの方までいます。女性の方、女性の相談者も10代から60代までいて、アフターケアというと施設を出て、結構若い年齢の方からの相談が中心と思われてしまうんですが、相談者の層として一番多いのは、20代後半から30代の女性の方の相談が一番多いです。なので、困難な状況とか、すごく深い心の傷っていうのが、若い年齢のときにパッと出るものではなくて、生活を積み重ねてきて頑張ってきたところでプツンと糸が切れてしまうとか、困難な状況に陥る年齢っていうのは、限定できないと支援の中で感じています。先ほど近藤構成員の話の中でも、当事者の方の声を大事にするってこと、何度も仰っていたのが、すごく私もそうだなと思ったんですけど、支援する側が、とかく結構困っているのはこういう年齢層だろうとか、こういう状況だろうとか、決め付けちゃうことが結構あるなと感じます。一人一人の相談者は違うということを大切にしつつ何を求めていて、また、どうして相談に出来ないか、一番その答えをくれるのは困っている人たちから、その当事者の方からの声だなというのもいつも感じて支援をしています。
8ページ目、ゆずりはの女性からの相談、たくさん来ます。毎日来ます。始めのアプローチは電話かメールです。うちの事業所、国分寺にあるんですが、そこにいきなりガラガラって女性が訪れて相談に来るといったケースはほとんどこの8年やってきてありません。どんなふうに、どんな相談が始めくるかっていうと、大概ここに書いたような当たり障りのないような相談が多いです。仕事辞めたいんだとか、体調が悪いとか、家賃払えなくなっちゃったとか、保証人いない、お金貸してほしいとか、そういう内容から。あと、結構あるのが「私じゃなくて友達が」みたいなところで相談がくるんですけど、本当に困ってることが、ただ単純に体調が悪いか、家賃払えなくなってるだけかっていうと、ごめんなさい、9ページ目飛ばして、10ページ目、相談の背景にある真の相談というところで、その家賃が払えないとか働けないとか、死にたいとか病院に行きたいっていう背景の中には、ほぼ必ず、その人が受けてきた性虐待や性被害の被害によっての生きている苦しさとか、人とコミュニケーション上手に取れないとか、体調が悪くなるとかあります。性虐待・性被害、あと暴力ですね。DVやデートDV、あとパートナーや仕事先でのセクハラとかパワハラとかモラハラとか、あと、性風俗で働くかどうか、どうしようかとか、辞めたいけど辞められないみたいな相談も結構多いのでここに書いたんですが、ここに書きました。あと予期せぬ妊娠や出産、中絶というので、いわゆる女性性であるがゆえの被害があります。相談主訴として言ってくるのは生活困難ですが、その背景には根深くある、受けてきた被害があるっていうことをその相談を受ける私たちが、これがもう絶対にあるんだっていう基で話を聞いていかないと本当にこう問題を、解決をしていくっていうのは、すごく難しいかなって。そこに思いを馳せられないというか寄り添えない。ここでまた、なんていうかな。そこの抱えている深いものに気づけなかったりとか、そこに想像しながらどんな言葉とかどんなことが必要かっていうことが出来ないと、たちまちもうこの相談に来てくれた人は、「もうここはいいや」と離れていきます。いくと思うので、そこのあたりも丁寧にやっていくってことを大事にしています。
あと5分ぐらいですかね。一番はじめに戻ります。今日一番伝えたかったことが、私は本当にもう現場で女性からいっぱい相談もらって、一緒に役所に行ったり、病院に行ったりっていうその手続きを一緒にすることや、今まで生きてきた、なんとか生きてきたいろんな思いだとか聞く中で伝えられることしかないんですけど、この場所で是非伝えたいのが、これはもう、近藤さんも横田さんも仰ってることなんですけど、この困難な問題を抱える女性への支援ということを考えるときに、売春防止法を根拠法令とするっていうことは、もうこれは全くそぐわないというか、私もう売春防止法って言葉を自分が発することだけでもなんかちょっとゾゾッとしてくるっていうか、なんか、売春をやめさせるとか取り締まるとか、あたかも女性になんか非があるような視点を感じさせる法令を基にして、女性の支援だっていうことは、ここをそもそものところで変えるというか止めるっていうことがないと、後付でいろんな内容をチョコチョコ書いていくっていうことが、本当にこの困難な女性に寄り添っていくとか、そもそもは被害者なんだとか、本当にあなたのためにこの法律があるよとか、この支援があるよっていうのが、苦しい思いの人に届くのかなっていうのもすごく思っていて、あるので、この法令を変えるっていうのは、なんかすごい難しいのかもしれないけれど、私はまずそもそももうここのところが、いつもすごくここでいつも引っかかっちゃうっていうのがあります。はい。
二つ目に、支援していっていつも思うのが、婦人保護施設を利用することが、必要としている人がもう出来ない、利用出来ない婦人保護施設の存在に正直なっています。1回目意見言わせてもらった時もお伝えしたんですが、私たちも、あと相談に来る人も、婦人保護施設を利用出来たらっていう思いがあるのに、利用する側に全く寄り添えてない仕組みなので、その、言葉がごめんなさい。面倒臭さとか、あまりにも寄り添えていない仕組みだとか、そこでもう、なんか一々時間を使ってとか、またそこで何度も何度も被害体験をいろんな場所で言わされるとか、たらい回しにされるとか、一旦いろんなことを我慢させられるシェルターに入るだとか、そうあると、もう婦人保護施設を利用したいけど、それを諦めて結局今は生活保護を受けて、一人単身でアパート暮らしをするといった、支援に、婦人保護施設に入りたいって言っている人をそちらの支援に繋げている現状があります。
3つ目に、性虐待や性被害を取り扱う専門スキルが、女性支援の独自のところ、そこに関わる人たちの中にも確実に必要だと思いますこの被害のトラウマ。治療するのは精神科医であったりとか、専門の心理士だったりあるかもしれませんが、それと同等の、知識というか、その被害に寄り添える思いを馳せる人が窓口にいないと、また取りこぼされてく。せっかくそこの窓口に繋がった人が、また二次被害を受けたりするということも現実にあります。やっぱりその性虐待に対しての意識とか認識とか、取り組みとか支援が、あまりにも日本では遅れているということも日々感じています。
次に、同伴児童の権利と支援というところと、児童福祉法と売春防止法の狭間にいる子供たちというところで、私もこの同伴児童の存在というのは、この間、前回の会議に出た時に恥ずかしながら始めて知りました。961人だったっけ。961人の子どもたちが、置き去りにされている状況にある存在があるっていうことを初めて知った。自分がそれも反省っていうか恥ずかしかったんですけど、そういったどこの支援からも取り零されている子どもたちの存在や、あと前回も議論された児童期。17歳という年齢だけどこれは児童福祉法の前に女性の支援。女性の支援の中でも守られなければならないみたいなお話もあったんですが、私ちょっとまた逆の視点もあって、うちに相談に来る方で、16歳17歳で母親になったっていう方が結構いるんですね。その方は、私たちから見るとまだ子どもっていうところで、母子生活支援施設でも一緒に暮らしていくみたいな方はいいんだけど、その子がまだ、そこまで子どもを育てるところまで決意できないとか迷いがある中で、女性支援の人が、「もうお母さんになったんだから」っていうことをすごく押し付けてくるというか、母親としてどう生きてくかみたいなところが先にきちゃって、そうするともう働くとか女性のシェルターに入って自立していくみたいなことをすごい頑張らさせられて、苦しくなっちゃってる、16歳17歳でお母さんになった子っていうのを見てきて、それはまた子どもに選択できればいいと思うんだけれど、私たちはそもそもまだ子供だよねっていうところで、子ども期の保障をするっていうところは、今度はまた児童福祉法がしっかりこの子を子どもとして守っていくっていうところも大事かなっていうのがあって。これは、女性の支援のところ、法律の下で守られるっていう視点も大事だし、でも子どもっていうところも大事だし、そこはもっとこう深く議論されていかなければならないことかなというふうに思います。
あとですね、困っていることを言います。中絶の支援にいつも困っています。中絶をしたいと言ってくる人で相手の男性がもう誰かわからないだとか、わかっていても相手から中絶費用の支弁はしてもらえない、自分もお金がない、費用がないから中絶出来ないといった人をどうするかっていうことがあって、それは、私たちはなるべく公的役所に行って生活保護、母体保護法の下でお金を出してもらって、なんとか中絶出来るようにっていう交渉をするんですけど、非常にこれが難しいんです。結局、妊娠しているのでその交渉の間にどんどんお腹の中の赤ちゃんも大きくなっていく中で、自治体によっては「そんなお金一切出せない」みたいなところもあります。そうすると、本人は全く望んでない、産むことを望んでないのにお金がないから結局産むみたいになる。もう完全に中絶出来ない周期になってからやっと相談できた人は望まない出産をして、その子どもはすぐ乳児院で特別養子縁組っといったケースもあって、命の大切さってありますが、私はある意味命を大事にするからこそ、中絶する権利だったりとか、中絶できるということの選択肢が困難な状況にある人たちにもうちょっと何か支援が展開してほしい。すごく難しい問題だと思いますが。話が戻るとその中絶費用がないっていう相談があって、結局行政で協力が得られない場合は、うちで出す選択肢しかありません。そのあたりのところも一人で勝手に妊娠はしないので、そこの産む産まないとか、非常に難しい問題だとは思うんだけれど、目を背けてはいけない問題だと思います。これで誰にも相談出来ずに結局産むことになったとか、望んでない出産した若年の女性がたくさんいると思います。あとですね、中絶費用は出してくれるってなっても、病院を探したりだとか、生活保護のお金で中絶をOKしてくれるところの病院を探して通院同行するっていうのは、ほぼ行政ではやってもらえないです。それを私たち全部やってるんですね。これ、うちに繋がっている人たちなんて本当数十人、そのケースだって年間20人あるかないかの話で、そうじゃない人たちはどうしてるのかなっていうのもいつも思っています。お金は出してくれるってなっても生保対応で中絶OKの病院探しを一からやるのは一人ではほぼ無理です。あと、私たちの団体は、女性だけの支援ではないんですが、でもやっぱりこれだけの相談があって、これだけやっぱりやっていくと、行政には上げられない声とか求められない支援っていうのを、結局じゃあ中絶費用出してもらえないから、うちも出せないから、諦めてくださいって言うわけにはいかないです。そうすると自分たちが稼いできたお金でなんとか中絶費用を支弁するだとか、シェルターどこも繋がらないとか、婦人保護施入れない。生活保護でアパート決まるまでのお金もないってなったときに、私たちはゆずりはの近くの綺麗なホテルを確保して、公的支援につながるまでの数日間をサポートすることもやっていて、結構支援にかかる費用がかなりあって、そういったところでもお金がないと支援できない。ただ寄り添う、ただ話を聞くでなく、問題解決をするためには、やっぱりかかる費用があって、それを補助金とか行政のお金で出してもらえない場合は、全部自分たちでなんとかするっていうのをやっていて、そのお金稼ぎにも本当にもう日々奔走しているような状況です。
ちょっと話がまとまらなかったんですが、いろんな思いの下で支援しています。まず、本当に法律名のところから変えていくということを皆さんとまた議論出来たらなというふうに思います。時間過ぎてしまいました、ご清聴ありがとうございました。
 
○ 堀座長
ありがとうございました。それでは、橘構成員お願いします。
 
○ 橘構成員
はい、すみません。10代20代の生きづらさを抱えている女の子たちの支援を2009年から活動しています、BONDプロジェクトの橘ジュンです。宜しくお願いします。
皆さんが今まで女性支援を一所懸命やってきてくださって、これからも当然やっていただくんですが、次の世代を担う若手のスタッフも連れてきたので一緒にいろいろと考えさせていただけたらなと思います。
私たちは、聴く・伝える・繋げるという活動をしています。元々、私たち、私は支援者になりたいと思って始めたわけではなくて、ライターとしての取材活動で、気になった子に話を聞くってことを2006年からやっていました。歌舞伎町だったり、渋谷のセンター街だったり、夜、終電終わった時間に行くといろんな子どもたちっていうか、女の子がいて、中には家に帰れないような状況で街にいる。「どうしてここにいるの?」って聞くと、「家に帰りたくないから」っていう事情のある女の子たちだったんですよね。見た目も若干派手だったりとか、態度が悪かったりとかっていうことで、自分がしたいから家出をしていると思われるかもしれないんですけど、話を聞かせてもらうとそうじゃなくて、家に帰れない事情があった子たちだったんですよね。暴力があるとかそういう話を聞いて伝えるっていうだけではどうしようも出来なくなってしまう子もいました。妊娠しちゃったけど病院行ってないとか、お腹が大きくて産まれる寸前だけど街に立って援助交際してるとか、そういった子たちを見て、もう放っとけなくなっちゃったんです。帰る場所がないなら、じゃあ良かったらうちおいでよとか、声をかけるようになって、家に連れてって、一泊させる。ただそれだけじゃどうにもならないので、じゃあ誰か、ちゃんと話聞いてくれる人探そうよって言って、行政の窓口に繋ぐってことをするんですけれども、彼女たちその場は「行く」って言うんだけれど、実際は行けない。彼女たちが行ける日とか話を聞いてもらえる日に彼女たちが行くかっていうと行かないんですよね。どうなるかっていうと、結局その妊娠しちゃった子は駆け込み出産したりとか、あと便器で赤ちゃん産んじゃったとかそういう状況になっちゃったりとかして、困ってるのに相談行けないっていう子たちがいるってことを街の中で知ったっていうのが活動のきっかけでした。
いろいろと、病院行ったりとか行政の窓口とか警察とか行ったりとかして、じゃあ、あなたとその子の関係何なのって聞かれると、「街で出会って話聞いて話聞かせてもらったりしている彼女の応援団です」みたいなこと言うと、不審がられて、「そんな関係の人にこの彼女の話は一緒に考えさせられないわ」とかってなっちゃって、でも本人は、自分ひとりじゃ考えられないから一緒に話を聞いて考えてほしいってその人たちに訴えてるのに、「いや、でも身内じゃない人は無理なのよ」ってなって、結局彼女たちっていうのは、もう話し合いさえも出来なくなっちゃって自暴自棄になって、また街に戻るっていう悪循環に陥ってしまう。そういう状況の子たちだったんですよね。それじゃあ、どうすることも出来ないし、じゃあ、ちゃんと私たちが支援する立場っていうことを出来るようにして応援しようと思って2009年から、女の子と支援者を繋ぐ、くっつけるっていう思いで2009年からNPOを作りました。
基本的な思いっていうのは当時と変わってません。ありのままを聞いて、彼女たちの表現出来る場を作りたいなと思ってます。今、聞くって活動では、LINE相談だったりメール相談、電話相談、面談、出張相談、荒川の相談室、ネットパトロール、街頭パトロール、アンケート、カフェ型移動相談っていうことで、とにかく彼女たちが声を上げやすいような、そういった場所を作って、聞くってことをやってます。伝える。やっぱり、いろいろな情報とかっていうのは、プライバシーもあるので出しちゃいけないこととかもあるんですけど、でも中には女の子も伝えてほしいとか、一緒に考えてもらいたいと思っています。それは自分も、誰かの、困ってる子の役に立ちたいっていう思いが相談してくれた女の子の中にあるので、伝えていいという声を一緒に伝えるってことは続けてます。それがVOICES MAGAZINEだったり、こういった場所だったり、あとは10代20代の女の子たちを対象にしたイベントだったり、毎週渋谷のラジオで、「渋谷の漂流少女たち」っていう番組をやっています。繋げる。これは、彼女たちいろんな環境も状況も、なりたい自分も違うので、できるだけ一人ひとりに見合った支援っていうのを出来たらいいなと思ってやっています。
未成年の場合は、弁護士さんと連携して他の機関につなぐとか、同行支援。行政に繋ぐまでの間の一時保護もしています。相談機関に繋いだけれどもそこで上手くいかなくて、生活出来なくて戻ってきてしまうとか、そういった子たちの中長期保護など自立生活支援というのも自主的に行ってやってます。
彼女たちはどうやってBONDのことを知るかなんですが「どうやってうちのこと知ったの?」って聞くと、TwitterとかYouTubeとか、SNSで検索して知ったとか、テレビとか新聞で読んだとか見たってうちに相談をくれます。逆に、私たちいろんな困難な状況を抱えてる子が相談に行けないっていうことを出会った女の子たちから聞かせてもらって知ってるので、そういった子たちと出会いたいと思ってネットパトロールだったり、街頭パトロールだったりをしています。役割としては、私たちは「動く相談窓口」と思ってます。
話を聞いて、この子は帰れないな、帰せないなって思うと帰すことが怖いので、居場所を作らなきゃならないって思っていました。行政の機関に繋げられるような子でも上手くいくとは限らないので、なので戻ってきても大丈夫なように本当にワンルームの事務所の中にマットを敷いて、そこで女の子たちを寝かせたりとか、そんなような形でずっと、女の子の居場所っていうのを作ってました。そんな場所なんですけれども、外より、家より、あとは彼女たちが苦しいと思う場所よりは安全で、安心出来る場所だったかなと思います。そういった彼女たちと一緒に話をしながら次のことを考えて、いろいろと気持ちの整理っていうのをしています。
家にも帰れないで、公的機関にも繋がれない子が増えて来てしまい、2017年の7月から、婦人保護施設の横田さんたちとは今一緒にやっている「ボンドのイエ」っていうのがありまして、そこで女の子たちの中長期保護っていうのをしています。危険がない場合っていうのは、説得して、家に帰すとか、「じゃあ今日は一緒に過ごそうか」って言って、「朝まで過ごしていいよ」って言って、朝まで休ませるっていうこともします。
2018年度の相談件数っていうのは、保護は延べ件数で179件ありました。2017年は692件ありました。
問題の背景なんですけれども、心の状態が不安定な子が多いです。寂しかったりしんどかったり、居場所がなかったり、自分を責めてたりっていう子たちです。その状態として眠れなかったりとか、フラッシュバックがあったり摂食障害があったりとか、実際は病院とかにかかっていなくて、本来は専門家にかかってなければいけないような子たちが、誰にも相談出来ず、ひとりで抱えながら苦しんでるっていうような状況を伝えてくれます。その背景には性被害があったりとか、虐待があったりとかがあります。
支援を受けてほしい子ほど、なぜ繋がらないのかっていうことを、女の子たちにいつも聞くんですけど、「どうして相談しなかったの。こんな大変なのに」って聞くと、情報を知らない、危害を加えたり利用する大人じゃない大人との繋がりがなかった。人間不信だし大人不信。否定されちゃうし、理解してもらえないし、あと、保護されたくない。家は嫌だけれど学校には行きたいとか、友達とは会いたいから被害のことをばれたくないとか、そういうことで相談出来なかったっていう子がいます。あと、多くの子が、普通でいたい。誰にも知られたくない。この大変な状況を知って、みんなに周りに引かれたくないと思ってる子もいます。自分だけがそうだと思ってたので、とてもじゃないけど人には言えなかったとか。あとは、逆に、みんな同じだと思ってた。みんな同じことをされてると思ってたから当たり前だから言う必要がないと思ってた。
ある女の子は、性的虐待を受けてたんですけれども、その父親からずっと、ちっちゃいときから、「、お前のことが可愛いからこういうことするんだ。お父さんと娘ってのはこういう関係なんだ」ってことを言われてて、父と娘はそうするものだと思って、誰かに聞くとか、嫌な思いを抱えてても相談するってことが出来ずにいたっていう子もいます。共通しているのはそんな親だけれどもやっぱり好き。迷惑かけたくない。悲しませたくない。私のせいで家族をバラバラにしたくないと思ってるから相談出来ないっていう子も多いです。
あと、地方に行くと思うんですけれども、役所とか相談先に知り合いとか親族がいて家族の相談がしづらい。実際に同行支援して行ってみると、閉塞感をすごく感じます。こういった行き場のない女の子たちっていうのは、家でも虐待を受けて安心も出来なくて、食べるものもなかったりするんですけど、彼女たちってやっぱりそういうことは我慢しちゃうんですよね。そういった家のこと話せないし、学校でもいじめとか、教師とかとも上手く関係を築けなくて、学校に行けてないっていうような子っていうのは、じゃあ誰なら私を見つけてくれるんだろうとか、誰なら私を必要としてくれるんだろうっていう思いで、逃げようっていうか、居場所を探しに行こうみたいな気持ちで家出しか方法が思いつかないのかなって思うときもあります。だけれども、そうやって家出っていう行動が、非行として捉えられちゃって、運良く警察に補導されればいいんですけれども、なかなか補導されないことが多いんですよね。されたとしても家に帰される。だから彼女たちは必死になって、警察に捕まらないようにしちゃうんですけれども、私たちとしては変な人たちに捕まるより、絶対警察のほうがいいから、どうか警察の方見つけてくれと思うんだけれども、まあ、そういかない。行くあてもなくさまよって、18歳未満とかだと、ネットカフェとかカラオケなども深夜いられない。身分証がないと行けないことで、結局安心出来ていられる場所がない。身分証を持ってないような子とか、お金がないような子とか、働けるところがないような子とかはどうするかっていうと、街で声をかけられる人について行っちゃったりとか、SNSを利用して居場所を求めちゃったり。で、今日困ってるって子が、そうやって公的な機関ではなく、「いつまでもいていいよ」って言ってくれる人を頼ってしまう。その彼女たちの弱ってること、困ってることにつけこんでくる。弱さを利用されてしまうんです。そうするとどうなるかっていうと、危険にさらされて受けなくてよかった性被害だったりとか、犯罪に巻き込まれてしまう。私たちはそういった子をなくしたくて、10年前から街頭へ出て気になった子へ声掛けて、帰れない子は保護するってことをしてきたんです。今はSNSの時代になって、街も、浄化作戦っていうんですかね、女の子が街に立つってことをしずらくさせている。いなかったことにさせるっていう感じで。女の子たちが座りづらいようなそういう状況にしちゃったりとかして、困っている彼女たちはどうなっていくかっていうと、相談機関へ行かず、SNSで居場所を見つけている。
今SNS、LINE相談でも困ってる女の子たちがハッシュタグ付けて「家出」とか「泊めて」とか、「助けて」とか、そういう言葉で自分をなんとかしくれる、なんとかしてるかもしれないっていう人を見つけようとしています。困ってそうな子をネットでパトロールしながら見つけて、実際に相談に繋ぐっていうことを3月から行ってます。これはハイリスク者の早期発見とか早期介入にも出来るし、LINE相談は、リアルタイムのやり取りなので、彼女たちの状況を知りやすい。その後、もちろん詳しく聞かなきゃいけないのですが、相談なんですけれども女の子たちが気軽に話してくれるので繋がりやすいです。
実際にこの「ボンドのイエ」っていうのも、そうやって困ってる子と話したり、SNSとかメールとか電話で聞いて、居場所がないっていうことがわかったら保護しているんですけれども、制度から零れ落ちていくような女の子たちがBONDにいるっていうような状況です。
2017年の7月から始めて、中長期入居者、人数っていうのは5人で、短期保護も14人ですね。
BONDが抱える課題とか提言っていうのは、困難を抱える若い女性のケアの充実っていうのもそうですし、あと各行政機関、各警察署などにおける女性、若年女性に特化した問題に詳しい担当者の配置っていうのも必要かなと思います。
私たち、今後どんなことをやっていかなきゃいけないかなって考えたときに、BOND支部の設置を考えています。今全国から声が寄せられるので、その大変な状況の子たちっていうのは、私たちが出向いて面談して、その地域の相談機関に同行支援っていうこともしているんですけれども、ちょっと限界も感じていたりとか、頻繁にやりとり出来ないっていうこともあるので、早急に問題解決に向けて動き出すことが出来て、継続的な支援を出来たらいいなと思っているので、今、荒川区の日暮里に、「bond@あらかわ」っていう相談室があるんですけれども、宮城とか大阪などに支部を作れたらいいかななんて思ってます。
結局、売春防止法の枠の外にいる女の人たちの支援っていうのが必要になっていくと思います。そういう子たち、相談窓口があっても辿り着けない子たちです。じゃあ、どういった場所が必要かなって私たちが考えた時に、気軽に立ち寄れる居場所づくりが出来たらいいかなと思ってます。
以前、うちが運営してたのが、「カフェメルト」っていって、ネットカフェやってたんですね。その2009年。1年間だったんですけれども、そこは、夜になると女の子だけしか泊まれないように運営していました。そのネットカフェの中に食事が出来る場所があって、相談に来るっていうよりは、ご飯食べに来るとか、お茶しに来るっていう感じでお話を聞くってことが出来て、その「カフェメルト」のスタッフが、今のBONDの手伝ってくれてるスタッフなので、お客さんなんだけれども、話を聞くってことも出来た。ハードルもなく、気軽に立ち寄れるラクナ関わりっていうんでしょうか。相談者と支援員っていう、そういう関係ではなく、何かあれば話したい時に話ができるっていうような、そういう場所が出来たらいいかなと思っています。まずそういう売春防止法の改正が望ましいかなと思って、そのあと私たちは、そういう女の子たちに必要な居場所づくりってのが出来ればいいかなと思ってます。ありがとうございました。
 
○ 堀座長
はい、ありがとうございました。それでは村木委員、お願いいたします。
 
○ 村木構成員
はい、ありがとうございます。私からは、私の所属しております若草プロジェクトの活動について、ごく簡単に紹介をしたあとで、この活動を通じて得ました気づきと、それから言わば包括的な対策の提言についてお話をしたいと思います。時間が限られてるので、ちょっと早口になりますけれども。
まず、1ページ目を、ご覧をください。若草プロジェクトであります。設立2016年。一昨年に出来た非常に新しい団体です。我々が今の少女とか若い女性たちが危ういなというふうに感じておりましたところ、この検討会の構成員でもあります、大谷さんが我々夫婦と瀬戸内寂聴さんを繋げてくれて、なんとかしたいっていう思いが一致して団体を設立いたしました。代表理事を大谷さん、私が理事をやっていて、寂聴さんと村木厚子を言わば広告塔にしてこの問題を世に問うていっております。思いに共感した方を呼びかけ人にお願いをしております。ご覧をいただくとおわかりになりますように、元大臣とか知事、検事総長経験者、日弁連会長。一方で映画監督とかミュージシャンとか学者とか、とても幅広い層の方々が、この問題について問題意識を持っているということがわかろうかと思います。
次にいきます。活動の内容は、コンセプトは「つなぐ・ひろめる・まなぶ」の3つです。これ、改めてみると、BONDのコンセプトと似ていてですね、ごめんなさい、使用料取らないようにしてくださいね。その次のページから少し具体的なことがあります。「つなぐ」という意味では、LINE相談をBONDに委託してやっているのと、若草ハウスというのを、この10月からスタートして、シェルター・ステップハウス・シェアハウスをやっていく予定です。
それから、支援の現場と企業をつなげるというのが、もうひとつの「つなぐ」の中身になっていて、ファーストリテイリング、ユニクロの親会社ですけれども、ここと協定を結びまして、若草×服のチカラプロジェクトというのをやってます。もうひとつは、医療的な支援が大事だということで、若草メディカルサポート基金というのを企業の支援を受けて始めようと、今スタートさせたところであります。
次にいって、「ひろめる」というのはシンポジウムをやっておりまして、今年は作家の桐野夏生さんを目玉にして10月に実施します。それから「まなぶ」ということで、連続講演会を、テーマを変えて連続講座を7回実施しました。これは非常に勉強になりました。こういった様々な活動、特にこの連続講座等の活動を通じていろんな気づきがありました。それを、整理をいたしましたので、ご紹介をいたしたいと思います。
5ページ目になりますけれども、まず背景と実状という意味では、やっぱり生育環境が随分劣悪です。家庭の貧困であったり、DVであったり、あるいは学校のいじめであったり、地域の大人の甘い誘いであったり、そういう生育環境の中で、しかもそれが繋がってきているというのが背景にあります。それから、これまでも皆さんのお話で明らかなんですけれども、性被害ですね。性虐待、性暴力、あるいは性的搾取。こういったものが、多くの場合に根幹にあって、しかも最も深刻な問題としてあります。
それから、3点目としては、若年層が大きな課題を持っていると感じました。若い女性あるいは10代の少女たち、それから、さらに問題なのは、一層の低年齢化と書きましたけれども、10代前半、即ち中学生。甚だしきは小学生にこの被害が及び始めているというふうに感じております。
4つ目。人によって状況は大変多様でありますけれども、それ以上に問題なのは、ひとりの人が抱えている困難が非常に複合的になっています。貧困とDVと性虐待が重なっていたり、障害のある子がいじめを受けていたり、それから、この性被害の苦しさから逃れた先にあるのが実は薬物依存だったり、そういう複合的な問題というのが非常に大きなことだと思っております。
5つ目。新しいタイプの課題が、最近すごく出てきております。特に、TwitterとかFacebook等のSNSを通じた被害というのが、このところ急増してます。座間事件、起訴されたというのが出てましたけれども、これはもう皆さんの記憶に新しいところであります。JKビジネスとかAV被害とか、いろんなことが起きてるんですけども、この新しいものの特徴というのは、いずれも最初のハードルが低い。すごく軽い気持ちで関わっていて、泥沼に嵌まって、甚だしきは一生棒に振るというところが、大きな問題点だろうと思っております。
6つ目。彼女たちの特徴ですけれども、ひとつは、社会との繋がりが非常に希薄です。それから、「どうせ私なんか」という、この自己肯定感の低さというのが、共通してあるなと感じました。それから、自殺念慮を持つ子も多いというのが、彼女たちの特徴。また、置かれた状況がひどく不安定ですね。貧困だったり、住居がなかったり、なんていうか心理的な意味での居場所のなさというのもあります。
8つ目。これは多くの方が指摘をされておられますけれども、妊娠・出産・子育て。これが常に大きな課題になっております。
次のページにいって、9つ目。被害の影響、性被害の影響によります精神疾患というのが、非常に深刻な問題になっています。さっきもちょっとお話ししましたけれども、辛さから逃れるための依存症というのは、多くの場合に抜け出せない深刻な問題になってる。先日、女性の薬物依存症の会議の話があったんですけれども、女性の依存症の場合に、多くの場合その薬物そのものが問題なんじゃなくて、背後に非常に大きな困難を抱えている。それから逃れるための薬物依存だというのは、これはもう今、国際的な常識だという話が、学者の方からありました。
それから、私は解離性同一性障害という言葉すら知らなかったんです。この解離とか、あるいはいわゆる多重人格というのは、小説の話だと思っていたんですけれども、実はこれがすごく多いんだというのを聞いてびっくりいたしました。そこまでいかなくても、主に性虐待を背景にして精神的なトラウマを持っていたり、あるいはメンタル不調を抱えているというのは、もうほとんどの被害女性にあるんだなということがわかってきました。
最後、10番目。私は障害者の問題にいろいろと関係しておるんですけれども、この、若い女性とか少女たちの問題の背後に知的障害とか発達障害があるんだなということも、これも驚きを持って実感をいたしました。先ほど、母子生活支援のご説明中でも、障害を持つお母さん、あるいは子どもの多さというのにびっくりをしたんですけれども、特に軽度の知的な障害のある人。それから、発達障害系の、自分には自覚がないんだけれども実は障害を持っている。そういう人たちが、この被害に遭っているという例が非常に多いというふうに感じております。
以上、10の実状の整理であります。それから、もうひとつは、対策が不十分であるという意味での整理であります。
ひとつは、これも、これまで何回も話が出てきてますけれども、立ち直りとか、自立支援のための仕組みがどうしても乏しい。その背景にはやはり、保護更生という売春防止法から対策が展開をされているということがあると思います。
2つ目。これも重なってきますけれども、相談が若年女性のニーズに合っていない。それから、橘さんのお話にもありましたけれども、繋がっていない少女たちがたくさんいるという、対策の不十分さ。
それから、3つ目は、これは主に公的な機関についてですけれども、公的な機関が若年女性の課題をカバーしきれていない。これは主にやっぱり実態と制度が違う。それは根拠法の想定と実態が違うというところがあるわけで、ある意味もうカバーしきれないのは必然的な問題であります。それから、時間的、平日の9時~5時しかやっていない。あるいは場所的、困ったことが起こっているところにはいない。アウトリーチがないという限界もよく指摘されているところであります。
一方で、民間側にとっては、大変基盤が脆弱であると。財政基盤の話が、先ほどから何度も出てきましたけれども、それだけではなくて、管理運営面のスキル不足、あるいは人材育成。こういった基盤がきちんと出来ていないというところがあります。しかも、この公的機関と民間の間の連携が不足している。それから、もうひとつ連携という意味では、大変関連の深い医療とか福祉とか、こういったところと連携が不足しているところが大きくあります。
それから最後に、社会の認知度、理解度の低さが、やはり大きな課題になってます。最近、JKビジネスやAVの被害の報道で少しずつ認知されてきたかなという気がいたします。じゃあ、どうしたらいいのかというのが、その次の、気づきから得た対策の必要性の提言になります。
今回の検討会の、主な検討事項の第一にありますように、まず対象をきちんと整理すべきだと。これは前回、戒能さんのご意見にもありましたのでこれに大賛成であります。そう考えますと、どうも一番根幹的で深刻な問題というのは、虐待とか暴力とか搾取とか、そういった性被害の問題なんじゃないだろうか。この性被害を受けた人たちの保護と、それから立ち直り、生活の再建、自立支援。こういったことを進めていく包括的な対策が必要だろう。そうすると売春防止法の第4章の保護更生では、そこにありますように、売春を行うおそれのある女子の保護更生ですから、これはさすがに趣旨目的が違いすぎる。悪いことをするおそれがあるのを更生させるということでは、性被害からの立ち直りとか自立の支援っていうのは出来ないんじゃないのか。ここは、こういう趣旨に合った、新しい法律が、売春防止法とは別に必要なんじゃないのかというのが、一番基本的な提言であります。
2つ目以降、その内容であります。まず、自立支援。ここが売春防止法では決定的に欠けているというのは、これまでも様々な方のお話がありました。立ち直り、それから生活の再建、そして自立していくというプロセスを一貫して息長く寄り添って支援をしていくということが大事だろう。その際に、前回和田さんや戒能さん、それから今回も近藤さんがおっしゃってましたように、上から目線じゃなくて本人の自立の意思を大切にする、福祉でいう、措置から契約への転換ということが重要と思います。
それからもうひとつは、緊急保護も当然に必要であります。今のDV法だけでは、性被害からの保護をカバーしきれません。ただし、この場合の「保護」っていうのは、売春防止法にいう「保護更生」の保護ではなくて、DV法にいう「被害者の保護」というイメージになろうかと思います。それから、保護と自立支援では、求められる機能がだいぶ違います。例えばスマホの取り扱いに象徴される問題、こうした問題を避けるためには、そこを整理をして区分をする必要があるというふうに思います。
もうひとつ大事なのは、性被害を受けてからの保護では遅い。そのおそれがある段階で事前の保護をきちんとするということが、重要だと思います。その意味で、前回、今回発表のありました、BONDプロジェクトとか、Colaboの活動というのはとても大事で、これを制度上きちんと位置づける必要があると思います。この場合、性搾取のおそれというと、取りようによっては売春防止法にいう、「売春のおそれ」と実は表裏重なるところが出てくるという可能性があります。ただ、少なくとも、少女たちにとっては、売春のおそれというよりは、性搾取等の、性被害のおそれとして対応するほうが適切ではないかというふうに思います。
次の内容として、医療および心理的ケアであります。これは、近藤さん、高橋さんからもお話がありましたけれども、性被害を受けて心と体が傷ついた人にとっては、本質的に必要であります。したがって、連携ではなくて内在的な機能としてこれが必要だろうというふうに思っております。今でも婦人相談所に判定ということで、医療関係者が必要となってますけれども、判定だけじゃなくて、むしろケアということで医療及び心理的ケアが必要だろうと思います。
次のページにいきます。福祉等の仕組みとの密接な連携。さっきも言いましたように、少女たちは、複合的な困難に直面しています。例えば、障害を持っている児童が性被害に遭うとか、それから、親子が虐待と貧困に喘いでいる。この場合にこの支援だけではなくていろんな支援を組み合わせていくということが、必要不可欠だろうと思います。第1回でも発言いたしましたけれども、本人を中心に置いて、どういう困難があるのか、どういう支援が必要とするかということを様々な支援を組み合わせていく、パーソンセンタードなサポートが重要であると思います。特に子連れの人たちの問題。それから、障害を持つ人たちの問題というのは大変大事で、母子生活支援、障害者支援、それから児童支援。こうしたことと自立支援を、本人を中心に置いて、重ねて組み合わせていくということが大事だろうと思います。また、児童福祉との狭間問題というのもあります。
こういうふうに、自立支援を中心に据えますと、更生保護というのは、これは基本的に公の仕事ですけれども、自立支援ということになると、やはり民間のほうが適していることがたくさんあります。そういう意味で、まず第一に、相談から支援の流れも含めて、支援の流れ全体について公民の対等なパートナーシップにより進めていく。つまり、民が公の下請けにならないということが必要だろう。それから第二に、民間の得意な分野については、委託とか補助の形で民間に任せていく。民間のノウハウを活用するということが大事だろうと思います。ただ、現実は、民間の基盤が大変弱くて数も足りません。そこで、財政面のみならず、組織運営とか人材育成とか、こういった面で民間の団体を育てていくということが必要だろうというふうに思っています。
最後に、調査研究及び啓発であります。この問題、闇に隠れている部分が多くて、かつ、SNSなどにみられるように変化が激しくて新しいことがどんどん起きている。実態の調査研究が必要だろう。それからもうひとつは、社会への認知度を上げることが必要なんですけれど、それと同時にもっと大事なことは、少女たち、若い女性たちに対して、あなたたちを捕まえるんじゃないんだ、あなたたちを守るんだと、だから、安心して相談してほしいというメッセージをきちんと届けることが大事だと思っております。
私はシルバー人材センターで高齢者の支援に携わり、それから障害者についてもいろんなことで携わっておりますけれども、状況とか課題っていうのはすごくよく似ています。例えば本人たちの自信のなさといったところは、すごくよく似ている。ただ、支援の部分、例えば高齢者とか障害者に比べると随分遅れてるなあという印象を持ってまして、これはやっぱりなんとかすべきだなということでこういう提言をさせていただきました。以上です。
 
○ 堀座長
はい、ありがとうございました。それでは、これまでのプレゼンテーションの内容などについての意見交換を、このあとさせていただきたいと思います。ご意見のある方は、挙手のほうをお願いいたします。
戒能委員お願いいたします。
 
○ 戒能構成員
ありがとうございます。いずれも大変充実したご報告をいただいて、最後に村木報告でまとめをしていただけたという感じも強くありますけれども。若干個別にご質問をしたいと思います。戒能です。
まず、最初の近藤さんの民間シェルターのご報告なんですけれども、これはほかの民間団体も同様ですが、売春防止法上もそうですが、あとから出てきて支援の仕組みを規定しているDV防止法ですね。法制度的な支援システムの中からは外れているわけですよね。外れていることによって独自性を発揮出来るというプラスの面があると同時に、やりにくさというのもあるかもしれないと。そうすると今後新たな支援のシステムを売春防止法という考え方から少し脱却して、女性たちのニーズに対応するという新しいシステムを考えたときに、民間団体の立ち位置というものを、その法制度の中でどういうふうにお考えになっているのかということを一つお伺いしたいというのがあります。
それから、近藤さんにはもう一点、北海道方式というのは大変ユニークであると思います。地図を見せていただいて、8か所のあのような位置にあると大変広いわけですから、合理的なシステムかなと思ったんですが、しかし、他の地域には、同じようなことをやる自治体や地域というふうに言ってもいいと思います。ブロックというように広がっていかないわけなんですが、それは、ひとつはそのメリットって言いましょうかね、特に行政側のメリットとして、例えば北海道ではどういう認識で、もちろん当事者中心のシステムと考えられていることが一番大事なことだと、選択できるというのもお話がありましたけれども、しかし、その行政の側にもメリットがないと、なかなかシステムとしては広がっていかないんじゃないかなと思うんですね。そのあたりは北海道ではどういう議論があったのか、課題についても教えていただきたいというのが二点目です。
それと、三点目が関係してきますけれども、一時保護の委託という制度になっておりますが、北海道は北海道方式によって一時保護委託が非常に多いわけなんですけれども、全国的に見れば三分の一という。しかも、近年はとくにその一時保護委託が減っていてそれが民間シェルターの財政難の要因ともなっているというときに、一時保護委託制度のどういうところに問題があるのかというところについて少し全国的な視野から、どういう状況なのかということも含めてお話いただければなと思います。
それから、次に菅田さんの母子生活支援施設のご報告なんですが、スライドを見せていただきまして大変勉強になりましたが、やはり、減少傾向というのがあるということですよね。婦人保護施設のご報告でも減少が著しいということがありましたが、何か減少の傾向に共通の問題が潜んでいるのかということです。それが一点ですね。
それからもう一つは、児童福祉法を法的な根拠にした施設であるけれども、婦人保護事業、あるいは民間団体とほぼ一緒の支援の内容であると。しかしながら児童福祉法を根拠にしているので、中心は法的には子ども支援ということになると思うんですが、実際は女性支援を重ねてと言いましょうか、そこを抜きにしては母子生活支援施設の意義が語れないとは思うんですけれども、その中で児相とあまり連携が必ずしもスムーズではないというお話を伺って、これは驚いた点でもあるんですが、やっぱり児童福祉と女性支援との関係というんでしょうか、そのあたりは高橋さんのご報告の中で、子供はやっぱり子供として、適切に子ども期を保証していくっていう観点から言って必要なんだと。だけども、そこで私がお話を伺っていて、児童福祉と女性支援のクロスするところで、しかも必ずしも18以上18未満ということでなかなかこうスパッと切れないようなことが実はあって、そしてその中で争点になっていくのが、これは村木さんが最後のほうにご指摘になられましたけれども、リプロの問題、中絶とか妊娠とか出産の問題があります。そこに児童福祉が想定していない女性性の問題が出てきていて、だけども、逆に今度は婦人保護事業の場合は、これも印象的でありましたけれども、母親役割なんですね。押し付けられるけれども、16とか17とか母親になっても子どもであると。子ども期をきちっと保証されないまま、出産が強制されてしまって、そうするとそこに母親役割が登場して、それが16,17の方々への本当に適切な支援にはなっていないという状況が炙り出されたお話だったかと思うんです。暴力の問題とそのリプロの問題というのは実は不可分の問題だと思うんですね。必ずしも今までそういう視点からきちんと論じられてこなかった。だけども現実には当事者の側でも子どもと思っていても、15とか16以上になると、性関係の問題とか、それから、性関係があれば妊娠とか出産の問題が不可避的に出てくる場合が多いというところをきちんと把握して、どういう支援が必要なのかということを考えていかないといけないというような意味で、大変象徴的な問題ではないかなという風に感じました。そのへん、菅田さん、それから高橋さん、橘さん含めてお話をしていただくととてもいいじゃないかと思っています。
それから、最後村木さんなんですが、大変示唆的なご報告をいただいたんですが、性被害を受けるおそれのあるものという概念をお出しいただいたんですけれども、それが売春のおそれとこうなんて言うんでしょうか、気を付けないとそのまま行ってしまうというようなところで、そのあたりもう少し咀嚼して話をいただければと思っています。以上です。
 
○ 堀座長
はい。それでは最初に、近藤委員のほうにあります質問が3点あったかと思いますので、そちらのほうの補足を、近藤委員のほうにお願いしたいかと思います。
 
○ 近藤構成員
はい。3つお題をいただきました。1つ目は、民間団体の立ち位置というふうなことで、DV防止法上の支援システムの問題はないのかというふうなご質問でした。これは本当に大きな問題だと私は考えています。DV防止法を作った経緯もございますけれども、これは本当に当事者の声を中心に、民間の支援団体の女性たち、それから超党派の国会議員、女性議員、それから様々な関係者が、力をひとつにして2001年にDV防止法を作りました。
私たちは、これを性暴力禁止法、暴力根絶法という意味で売春防止法に代わる新たな防止法を作ろうということで運動を進めましたけれども、出来上がったものは婦人相談所の上にもうひとつ看板を掛けるというものでしたので、DV防止法が本来のDV防止法の役割を果たしてない、未成熟なものとして生まれ落ちたという経過があったというふうに思います。したがってそこには、民間支援団体の位置付は最初からありませんで、民間支援団体に対する連携協力とか、それから、自治体がその財政支援をしなさいとか、そういったことは書き込まれましたけれども、正式な支援のプレイヤーとしてですね、きちんと位置付けられたということにはなっておりませんでした。やはり、婦人相談所、婦人相談員、婦人保護施設という、売春防止法の三本柱がそのままDV防止法の看板の掛かったセンターを影響付けたというか、支配をしてきたというとちょっとおかしいですけれども、そういうふうなことになっておりまして、そこを改めて、新たなその支援の枠組みを作るときに、様々な民間支援団体を、重要な社会資源として対等な機能と役割を持った存在として位置付けるということがすごく重要だと思います。これから多分、高齢者のために特化されたシェルターだとか、子どものための支援団体だとか、若い女性たちのためのサポートシェルターだとか、あるいは妊娠をして出産をする、若い子供たちのハイティーンの子どもたちのシェルターだとか、アジアの外国人のためのシェルターだとかというふうに、シェルター機能はたぶん、特化され、専門化されていくというふうになるだろうと思います。そのときに、公的なDVセンターが、相談から自立支援まで何もかもやるってこと、これはもう端から無理なことで、むしろその支援に特色を持ったスキルや経験のある支援団体にきちんと役割を渡すということが重要なことではないかと思います。
そして、この前つくられたガイドラインの支援理念に沿ってですね、困難を抱える女性たちの最終的な、それも専門的、中心的な専門機関としての役割を新たに作られる女性支援センターというようなものが、包括的なコーディネート機能を果たす責任ある機関として新たに誕生するっていうことが必要ではないかというふうに思っています。
2番目の、北海道方式で自治体はどんなメリットがあったんだろうかというご質問ですけれども、たぶん広域の北海道で、札幌市にたったひとつ援助センターがあって、何もかもそこで引き受けるってことは基本的に大きな限界があるだろうと思います。もちろん岩手県のように、北海道の次に大きな自治体もございますし、それから縦長の自治体だとか、なかなか1か所で全てを引き受けることできないような自治体が、それはどこでもそうだと思うんですけれども、そもそも都道府県にたった1か所しか相談センターがないっていうことを、それも公的なシェルターがたった1か所しかないというのは、本当に不十分なことではなかろうかと思います。それが次々と、8か所の民間シェルターができて、シェルターという受け皿を持った支援団体が活動するということは、北海道にとっては、女性支援、それから子どもの支援にとって、願ってもない大きなメリットだったんじゃないかと思います。しかしそれは、片方からいうと、北海道の財源を果てしなく持ち出すっていうことになるわけですね。例えば前回でご報告いただいた名古屋市なんかでも、民間シェルターとの連携が大変進んでいる自治体ですけど、それでも民間支援団体への委託は年間に7件だとか8件とか、そういうふうなことですし、民間支援団体が一時保護委託に関わる支援費でもって活動を支えるってことは、基本的に無理です。北海道でもかなりなケースを受け持っていますけれども、例えば函館なんかは、年間に市委託の支援費だけで500万から600万、ときには一千万近い額になることがあります。でもそれで、ステップハウスやシェルターや子どもの支援が出来るかといったら、とてもとてもやっていけない。他の公的なシェルターが、億を超える年間の運営費で動かしていることを考えると、民間のサポートシェルターは、例えば配暴センターを受託したり、たくさんのケースを扱ったりして、いろんな助成金を集めて1千万2千万の経費を獲得したとしても、まだまだまだ足りません。少なくとも数千万のお金がないと最低限の運営費は確保できないし、充実した支援は出来ません。北海道は民間シェルターがたくさんあって、丁寧な支援が出来ることはすごく有難いと自治体は考えていると思いますが、委託費としてどんどんお金が出ていくことについては、赤字転落自治体になりかねない北海道は、いつも戦々恐々としておりまして、一所懸命頑張ってくれてるんですね。年間に1ケースから2ケース、とにかく形だけ委託をするような自治体はあちこちあるんですけれども、経費の削減のためにお金の問題で委託をしないっていうことが、随分あります。ただ、そうではない逆のケースもあって、とにかく民間にお願いしたいので、遠くの県が、民間支援団体等、それぞれの自治体に委託をしてですね、九州の自治体が東北の民間シェルターに委託をするとか、関東の自治体が北海道の支援団体委託をして人を送るとか、そういうことも実際にあるんですね。だから、この一時保護委託制度っていうのをもっと抜本的に見直す必要があると思います。出来高払いで何日人を入れたからこれだけ払う。とんでもない話で、基本的にそのシェルターを維持運営して、事務所を動かして、何人かのスタッフが継続的な、相談をするために必要な経費っていうのは、公的な施設が使うだけのものを民間も必要としていることは当たり前で、全国各地の当事者が、必要に応じて必要な支援先を選ぶときに、こっちはお金がかかるしこっちはこうだっていうことは、それは法の平等からしてあってはならないことだっていうふうに思うんですね。ですから、支援に関わる民間支援団体についての財源の確保。公的な補助っていうことについては、きちんと整理をしていただいて、一時保護の委託制度を抜本的に見直す必要があると私は思っています。以上です。
 
○ 堀座長
3点目に、もう一緒に、ごめんなさい、いただきましたね。ありがとうございます。それでは、菅田構成員のほうへの質問がありましたんでこちらのほうもお願いします。
 
○ 菅田構成員
はい。まず1点目は母子生活支援施設が減少傾向にあるのではというご指摘でした。戒能先生の仰るとおりで本当に減少傾向にあります。私の資料の最後、20ページを見ていただけますか。公設施設の廃止、休止数が顕著であるということで、この20年で公設公営施設は100か所以上も減少しました。この公設公営施設の減少が、母子生活支援施設の減少の実態です。しかし公設民営は横ばい、逆に民設民営は増えております。それなのになぜ、公設公営が廃止になっているのか。やはり一番ネックになっているのは、職員の配置であるとかサービスの内容であるとか、支援の質を上げるための手立てが、なかなか公設公営施設はできないからだと思います。例えば、我々のほうは24時間365日職員がいないなんてことはありえないと考えているのですが、公設公営で宿直をしているという施設は皆無ですから、DV被害に遭った方は公設公営に入ってもらうことができないですよね。そういうこともあって、どんどん減少傾向になっているという実状でございます。
それから2点目に、婦人保護施設と同じ支援をしているのではないかということにお答えします。前に、この会の委員でもある横田さんの婦人保護施設に前会長の大塩と一緒に訪れて、話し合いをしたことがあります。やはりそれぞれ役割はあるだろうということを話しました。母子生活支援施設は児童福祉施設ですから、子どもの生活支援を中心に行っています。ただ、入所されるお母さんが抱える課題は半端なものではない。その課題を解決することで子どもの生活を整えようと、職員は動きます。母親の課題を解決しなければ、親子の関係が安定しない。ですからお母さんへの支援もします。例えば先ほど、性被害・性虐待の話で出たのですが、これがかなり難しい。父親に幼い頃から性虐待を受けたお母さんが、その性虐から逃げるために早くに結婚したら。結婚したら今度は夫がDV男だった。それで今度はDVから逃げて、母子生活支援施設に入所する。ある程度生活が安定してきたな、良かったなと思ったら、ある日、「お父さんに会いたい」って泣くのです。そのお母さんの心には「何言ってんの」という対応では駄目ですよね。お母さんの心にあるいろいろな葛藤に寄り添っていかないといけない。ですから母子生活支援施設は、お母さんへの支援も丁寧にやっていかざるを得ないということになります。
児童福祉法は対象はもちろん子ども、児童なのですが、妊娠して出産してその子どもが1歳になるまでの間の周産期は、その女性も、児童福祉法の対象なのです。ところが、今、戒能先生が仰ったようにリプロダクトヘルツライツの考え方は、児童福祉法ではカバーしてません。そこは先生の仰るとおりだと思います。以上です。
 
○ 堀座長
はい。今、最後にちょっと出ましたが、児童福祉と女性支援のクロスする部分のリプロと母役割、それから暴力とリプロの背景にある暴力とリプロの部分について、高橋委員と、それから橘委員のほうにも質問がありましたのでどうぞ。じゃあ高橋委員から、はい、お願いします。
 
○ 高橋構成員
児童福祉法、児童福祉の下で守るか、または女性支援のところでっていうのがすごくあるんですけど、まず、その出産した16歳17歳、児童期の女の子が目の前に来たときに、それは女性支援員であろうが私たちの児童福祉に関わる支援者であろうが、きちんとまず情報とか知識を持ってるかなっていうところで、結構、特に児童福祉の、児童福祉側が、なんかその中絶に関してもとか、出産した、まだ児童、年齢は児童だけど出産している子供がいるっていうところの、取り扱いというか、どういうふうに関わるかっていうところの知識とか経験とか、それが結構なさすぎるかなっていうのがあって。そうするとこの女の子にどう関わっていくんだ、何が今一番今適切かっていうのを、十分な情報とか知識を関わる人が持ってないと、すごく乱暴に「あなたはもうお母さんだ」っていうので、婦人保護施設だとか女性のシェルターだとか、または、もう子どもと一緒に母子生活支援施設だっていうほうにどんどん行っちゃってるっていうのがあるので、まず、支援者がきちんと、そんな選択肢もないんだけれど、きちんと知識を持つっていうことと、子どもが自分で意思決定できるようなその情報提供と、その前に子どもの気持ちを、まあそれで100%子どもの気持ちを汲み取る聞き取るって出来ないし、その子だってずっとすごい葛藤の中にあると思うんだけれど、それでもそこの気持ちを十分にその時点で聞いていく。あと、その都度気持ちって変わっていくので、今は子供と住みたくない、一緒にいたくないって言っても、やっぱり自分の母親としての意識が目覚めた時に、なんていうかな。特別養子縁組に乱暴にしちゃうっていうようなケースも私は見てきて、それで、やっぱり子どもと暮らしたいんだって。17歳の時は子どもを手放して、もう養子縁組だってなった2年後3年後に、「やっぱり子どもと一緒に生きたいです」って言っても、もうそれは元には戻らないっていうこともあったりして、そういった時に、じゃあ、その17歳のときに十分な説明とか特別養子縁組ってどういうことだっていうことを、誰かが本当に細やかに説明してくれたかなっていうと、そうじゃなかったっていうのがあるので、まずその、そこに寄り添う人たちが、いろんな策がない中でも十分な知識と寄り添いするっていうのが大事かなって思うのと、あと、ちょっとずれちゃうかもしれないんですけど、中絶するっていうことを、すごい自己責任というか。妊娠って、男女の、その、勝手に子どもを授かるってことじゃないのに、妊娠した結果は女性しか受けないから、なんかすごく女性の問題ってされちゃうところがあって、これをいかに相手がいての妊娠なんだっていうところだとか、望まない妊娠をする、予期せぬ望まない妊娠をすることもとっても辛いこと悲しいことだし、でも私は、望まない出産になったことってもっと正直私は辛いっていうのがあって、そうした時に、それを少しでも回避するっていうのは、やっぱり性教育、ちゃんと命の教育とか、こうやったら妊娠するよっていうことを、あまりにも教育の中でなさすぎるっていうのがあって、女性の支援っていうのを考えた時に、やっぱり子どもの時からの性の教育とか、男女の平等とか、男性にもしっかりこの意識とか知識とか持ってもらうとか、なんかそこがごっそり抜けているから、それが支援者もごっそり抜けてるっていうので、すごく女性が、あなたの問題だってされちゃうような声掛けみたいになってるので、ちょっと教育ってなるとずれちゃうかもしれないけれど、子ども期から、やっぱり私たちが性に対してのっていう、それは女性のみに限らず、男の子も女の子も命に関わっていくことだっていうところで性教育っていうのをもっと当たり前に、なんかこう、やっていかなきゃならないと、根本的なまた解決っていうところにも繋がらないのかなというふうにも思います。すみません、答えになっているか。ありがとうございます。
 
○ 堀座長
じゃあ、橘委員。
 
○ 橘構成員
なんか、何を、ちょっと答えていいのかわからないんですけど、うち、同行支援とかで病院とか行くこと多くて、やっぱりそれ産婦人科に行くってこと多いんですね。妊娠しちゃった、中絶しちゃったっていうのも、やっぱり親に言えなかったりとか、相手がわからなかったりするような妊娠なので、そういった相談があった場合、私たちそういう時公的機関に相談行くってことが、もうそういう発想もなかったので、なんかもう受けちゃった、自分たちで彼女のことを支えなきゃいけないとかって思いながら一緒に病院連れて行ったり、お金も貸したりとか、そういう状況になることもあるんですけれども、そのあとのケアっていうのがもっと大事で、本当にどんな状況の妊娠でも、中絶したあと彼女たちっていうのは本当に自分のことを責めて、傷ついて、弱ってしまってっていうことで、もう本当ここはケアしてあげなきゃいけないなと思うんですけれども、ただそのあとそうやって医療機関に繋げられるかっていうと、そういう余裕がなかったりとかっていうのもあって出来なかったりして、自分ひとりで抱え込んで、死にたい気持ちとかも強くなっちゃってみたいな感じの子も多いんですけれども、高橋さんとかが言うように、一人じゃ妊娠しないわけだから、ただその、あまりにもその相手。妊娠をさせたっていうんですかね、その相手と、なんていうんでしょうか、連絡が取れなくなっちゃうとか、そういうことでもう本当に女の子が、自分だけで背負わなきゃいけないような状況なんですけれども。だから、もうこれは、彼女たちのその生きづらさの中の悲しいことですけれども大きなひとつだと思って、やっぱりこう、いろいろな彼女たちのことを理解しようと思っている大人たちで応援してあげるしかないんじゃないかなって思うのと、なんか、その後のケアも本当大事だから、メンタルのケアとかそういうのも同時に出来るようなそういった制度、それは制度なのかな、仕組みなのかな。なんかそういうのがあるといいなとは思います。すみません、はい。
 
 
○ 堀座長
はい、ありがとうございます。それではもうひとつ村木構成員の。まあ、今の話の中でも今日のお話の中で、非常に性被害ということがクローズアップされたかと思いますが、その性被害の受けるおそれのある者ということについてもう少し説明のほうお願いします。
 
○ 村木構成員
ちゃんと論理的に詰めてないところをピンポイントで戒能さんに指摘をされておたおたしておるんですけれども、若干非論理的な話をしますと、例えば渋谷とか新宿でうろうろしてる女の子たち。これは援助交際のおそれというのは十分あるわけですよね。その意味では売春のおそれがある。一方で、風俗に取り込まれたり暴力に遭ったり、いろんな意味での性被害のおそれも当然ある。そうした場合に、違法行為の主体としての責任を問う意味でのおそれなのか、あるいはその被害から保護するという意味でのおそれなのかと。そこが重なっている時に、少なくとも10代にとっては、少女たちにとっては、被害から保護する。だから、そのおそれをなくすということを優先すべきではないのかなと詰めていない甘い整理で考えております。
 
○ 堀座長
はい、ありがとうございます。戒能委員、それで大丈夫でしょうか。それではその他の方で、ご質問。あ、どうぞ。
 
○ 加茂構成員
若松町こころとひふのクリニックの加茂と申します。精神科医です。お伺いしていて、私たち精神科医とか心理をする者はどういった、ここで、役割を果たせるのかと思いながらずっと聞いておりましたけども、村木さんで医療及び心理的ケアっていうところで、さらっと2行で、精神、性被害によりもたらす様々な精神疾患や妊娠等に対する医療及びカウンセリングなどの心理的ケアが不可欠というのがあります。確かにここ10年ほどですね、こういった分野はかなり発展的に進んできておりまして、昔は本当にこう治し難かったものがですね、かなり改善できるような状態にはなってきてると思うんですが、まだまだ出来る人が非常に少ないという現状がありまして、私が是非聞いてみたいのは、皆さん日々こういった問題でお困りだと思うんですね。おそらく婦人保護施設でも、母子生活支援施設でもですね、日々起きてくる問題っていうのは、メンタルヘルスの安定が保てないことによることがすごく大きいんだと思うんです。ただ、こういった人たちを、精神科医、それから、心理の人間が効率的にサポートしていくシステムというのも、是非この中で少し議論していただきたいなと思います。
皆さんに是非お伺いしたいのは、皆さんが現状でですね、どんなふうに当事者たちを、精神医療とかですね、心理カウンセリングに繋げておられるのかって。そこでどういった問題が生じているのか、あるいは何か後天的な側面があるのか。というところを是非お伺いしておきたいと思っております。
 
○ 堀座長
はい、ありがとうございます。そうすると、当事者と繋げて現場で実践なさっていると。横田委員が私を見ているので、横田委員お願いします。
 
○ 横田構成員
はい、加茂構成員。本当にありがとうございます。私、今回の検討会で、やっと性被害のことがこんなに赤裸々に出てきたかと先ほどから感動しています。特に高橋構成員や橘構成員、そして村木構成員のお話には胸が、胸に詰まるものがあります。支援をしている実態の中に今いらっしゃるっていうことを強く感じました。婦人保護事業がすべきことを、これやってないんだよなと思ってですね、本当に胸が痛くなりました。
私たち、売春防止法に基づいて支援しておりますけれども、売防法が出来た当時の記録を読み返してみると壮絶な性被害なんですね。当時は「性被害」と言う視点はちっとも問われてこなかったです。当時の記録を泣きながら読みました。本来であれば、そのことを一番最初に女性支援に特化しているその売防法の三本柱こそが取り上げてこなければいけなかったことだと思います。DV防止法が平成13年(2001年)に出来ましたけれどもそのときにも暴力、暴力の被害の中に、身体的暴力、精神的な暴力、経済的な暴力。そして性的な暴力がありましたけど、「性的な暴力」「性的な被害」、一番言いにくいところなんですね。この4つの被害ということを言われながら、私は一番性的な被害のところをとても気にしていました。DVで私たちのところに入ってくる女性たちもどれほど性的な暴力、そして子どもたちへの性虐待に苦しんで入所に至っているのか、この実態を明らかにして私たちが女性支援として取り上げるべきところは、性被害・性搾取の問題だろう本当に深く思っています。
ただ、今、加茂構成員が仰ってくださったように、私たち、長期・中長期に支援すると施設で、一番困難な問題を抱えているのは、性被害からの回復です。これは本当に大変です。リストカット、もちろん当たり前です。それから解離、しょっちゅう倒れる。錯乱状態になるとかですね。生きていることに無為な状態になっているこの目の前にいる女性たちを、私たちがどんなに温かい心を持って、熱意を持って支援してもできないのです。やはり、そこに専門的なアプローチが絶対欠かせないことなんですね。それで私たちは、今心理職配置により、心理職を2名ほど入れておりますけども、今その支援への関わりを見ていると、まさにもう治療の段階なんですね。私は、被害を受けた者が治療を受ける権利があると思っています。加茂構成員が仰ったように、本当にそういう専門的なケアができる人たちは、日本に少ないんですね。ですから、私は、それはすごい権利侵害であり、あるいは放置されてる状態だと思うんですね。これが、今日すごく嬉しいのは、民間の方たちからも、まさに今困っているその被害の問題、実態を聞いてですね、これを本当に早急に取り組まなきゃいけないと思いました。被害の実態は、年々、10年の先程ののグラフみても上がっているわけですから、ここに焦点を当ててですね、しっかり取り組んでいくことがすごく必要と思います。
それから、とにかく専門職というか、専門的なアプローチがですね、絶対に欠かせないということなんです。この被害者支援こそが、この女性支援にすごく繋がっていることなんですね。それは子どもたちも含みます。是非ですね、今日すごく私はワクワクしながら、かつ胸を痛みながらもワクワクしながらおります。何故か。この検討会で性被害・性搾取・性虐待ということが、これだけあからさまに出てきたということにです。そして、必ずこれがですね、「専門的ケアを受ける権利」があるんだというところに繋がっていってほしいと願っています。加茂構成員からのお話をいただいて感動しているところでございます。ありがとうございました。
 
○ 堀座長
ありがとうございました。今日のプレゼンテーションでも、民間のほうでしていただきましたけれども、実際にそうした専門的なケアに繋げたケースなどあれば。
じゃ、高橋さんお願いします。
 
○ 高橋構成員
性虐待や性被害じゃなくても、精神的医療に、精神科や心療内科への医療を必要としている人は、もう支援している人ほぼ全員って感じなんですけど、しつこいですけど、性被害・性虐待を受けてきた人が、私はもう別格だと思ってて、より専門的な精神的な治療のケアが必要だけれど、もう、それを取り扱える専門の先生が何人いるかっていうと、もう片手あるかないかぐらいの感じで、じゃあ精神科医だったら誰でもいいかっていうと決してそうではないので、その片手の先生もそこにもう本当に殺到しているような状況なので、そこにもちろんお願いしている方たちもいるんですが、そうじゃない人たちは、それでも、性虐待の被害の専門的な治療でなくてもそこにアプローチ出来るとか、あと相性とかもあるので、そういう医者を、病院を、またそういう、紹介してもらいながら探すっていうところから始めるので。そうですね、探すところから始めて、一緒に通院してっていうのとか、あとはじめの通院し始めのところは、特にそういう性被害・性虐待の人は、やっぱりすごく緊張状態にあったりとか、通院が続かなくなったりってあるので、そこの通院するための同行とか寄り添いというのが必ず必要になってきています。
あと、自立支援医療なので1割負担で済む。生活保護の人は無料なのでいいんだけれど、その自立支援医療のことの知識も結構みんななかったりして、あと病院からも情報提供されていないと普通に3割負担で払っていたりとか、お金のこと心配してもう精神科には通院しないっていうので、経済的な理由で諦めているっていう人たちも本当にたくさんいるので、そういった経済的な面もそうだし、その人に合う少しでも合う医療に繋げるっていうのは、私たちも本当になんか空を掴むような感じで、それでもやっぱり医療が必要だし、あと医療だけでも駄目で、その人の生活の中での回復ってなると、私たちは一緒に生活できる施設でもないので、定期的に面会したりとか、近くに住んでもらってっていうのあるんだけれど、やっぱり一緒に暮らす中で生活を支えながら医療に繋げられる。特にそういった深刻な性虐待・性被害を受けてきた人たちは、生活のところからの治療っていうのもセットで必要だなって思うから、自分たちが生活のところに十分なアプローチが出来ていないっていうところは、いつもこうモヤモヤしながらなんとかやっているような状況です。
 
○ 堀座長
はい。じゃあ大谷委員から手が挙がりましたのでどうぞ。
 
○ 大谷構成員
質問させていただきたいんですけど、別のことでいいですか?橘さんのところで出たですね、居場所がない、家庭に居場所がない子たちは、街からも排除されてるんですよ。立ちんぼは出来なくなるようにしてる。やはり取締りの対象になってるからということもあって、街娼をなくしてあざとく立ってる女性は目立つから、帰りなさいって、それから、18歳未満の子供たちは深夜にいれないよって、とにかく街からいなくなればなんとかなるって少女たちは街にも居場所がなくなって、目に見えないところに追いやられている気がします。その結果ね、バーチャルなSNSとか、そういうところで繋がる男たちと「今晩ひと晩泊めてくれる?」っていうところで本当に泊まっちゃう。この層が一定もういるのす。この層の人たちは、皆さんたちのすごくシビアな現場で、性被害に遭って、婦人保護相談所に入ってる人たちと、若干、被害者未満という意味では違う。だけれども、性搾取に遭うおそれが非常に高いし、これから性被害に多分に陥ってしまうだろうし、座間の事件などみれば、命まで取られてる。という非常に危うい層の人たち。この人たちを、今、婦人保護施設の延長線上に、収容という言葉は使わなくても、保護や支援のために、ここに居場所があるよとそういったものとして、それぞれの施設の中でやることは可能なのかどうかということが、ちょっと私結論が出ないのです。
で、橘さんに聞きたいんですが民間で頑張って「ボンドのイエ」それから私たちの「若草ハウス」というのも作りながら、とにかくそういうとこに行かないように、今の居場所をつくろうよということを止む無く始めてる。必要に迫られて始めてるんだけれども、今後これが、今私たちがこれを作ろうとしている、新しい形でのあらゆる困った女性たちの自立支援を支えるという施設が、開所をしたときに、この人たちをもちゃんと位置付けることを、想定できますか、どうしたら出来るかイメージありますか。
 
○ 橘構成員
今困ってる子、その子のタイミングで、その子が今なら動けるっていうときに、私たちが受け入れる体制作りのために私たちが動かなきゃいけないと思うんです。そういう柔軟な仕組みは今の制度にはないですよね。なので、一緒にやっていくっていうのは、お互いいろいろと、いいところ駄目なところっていうのを整理しながら変えていかなきゃいけないかなと思うんですけれども、婦人保護施設に入るには、シェルターに入らなきゃいけなくて、でもシェルターに行った子が、そこでちょっと合わなかったり嫌な思いしちゃうと、婦人保護施設も一緒だと思うからそこに入れないんですよね。中長期保護の支援っていうのは、婦人保護施設だったり、母子生活支援ができる場所になると思うんですけれども、なかなかそこへも辿り着けない。その手前で、彼女たちは、だったらまだ街の方がましだってなっちゃうんですよ。そんなところで、こんな暮らしをするなら、街に戻ったほうがいいやって言って戻っちゃう。でも、やっぱり1回でも私たちと出会って、一緒に過ごしてちょっと安心出来たっていうような時間を過ごすと、とりあえずBONDに戻ってみようかなと思って来てくれて、考えてくれる。でも、どうせここにいても、また相談窓口に連れて行かれて、結局そこに送り込まれちゃうと思うと怖い場所になっちゃったりもするから、あなたのしたい生活の、あなたの合った回復でやっていこうよっていうような考え方も絶対大事なので、現場主義っていうんでしょうか。近藤構成員も仰ってましたけれども、当事者を要に置いたそういった回復支援っていうのをやっていくっていう必要があると思います。大谷構成員のやりたい、今の若年女性への支援の方法っていうのを、なんかきちんと出来るといいのかなと思うんですよね。大谷構成員もですね、困ってる女の子いると放っとけないので、私たちはすごく安心して「大谷先生お願いします」って言って、はいって、気持ちよくお願いしてたりするんですけど。「わかったわよ、もうしょうがないわね、危ないもんねこの子どっかやっちゃったら。外に行かせちゃったら」とか「家に帰せないもんね」ってわかってくれる。心意気だけでは中長期の保護が出来ないので、支援は出来ないので、そのあたりを皆さんと一緒にやっていけたらいいな、考えていけたらいいなと思います。
 
○ 堀座長
はい、じゃあ、和田委員どうぞ。
 
○ 和田構成員
ちょっと外れた、ごめんなさい。ひとつ今、橘構成員も、若年に特化してお話をされているんですけれども、一応婦人相談所としては、非常に広い年齢層の本当あらゆる課題を持った方の一時保護してるところなんですけれども、そこで先ほど近藤構成員が言ってくださったことが、とても私は有難いというか、連携するのにすごくいいことだなと思って。
ひとつが、本当に婦人相談所の一時保護所は本当に緊急保護。そのところで、次にどこに持っていくか。そこのところで、仰ったとおり例えば若年に特化した、若年に専門性のある民間のシェルターとか、あと前回私もお伝えしましたけれども、実は障害を持っている方とか。あと、高齢の方とか。なかなか緊急保護という様々な方々をお受けするっていう中では、なかなか設備的に難しい。認知症を持った方への支援にしても、それから、身体的な障害を持った方の支援にしても難しい。そのところを、まず緊急的には婦人相談所が受けるけども、そのあと、本当に様々な専門性の持ったシェルターのほうで、一時保護委託が出来たらなというふうには、ちょっと個人的には思います。
その中のひとつに、橘さんなんかお話があって、なんとかね、ちょっとだけでも、どっかで私共の緊急っていうのが使えるような連携っていうのが出来ないのかなっていうのと、もうひとつは、どうしても私共行政は、「今すぐに」よりも「調査とアセスメント」っていうのが前提ですよね。ここをじゃあどういうふうに、行政としてそこを抜かせられるのか、そこはやっぱり正直いえば財政的な背景がありますから抜かせられないのか。そこはひとつ、厳しいところがあるなって。時間がかかるとか、今が難しいっていうのは。そこは本当に今、仕組みの問題なので、ちょっとご理解いただきたいなっていうふうに思っています。
それと絡めると、前回お話ししたんですけれども、一時保護委託の限界です。それは、北海道の方、かなり大きくされてるかなと思うんですけれども、一時保護委託の規定が、前回お伝えしたように厚労省のほうから決まっていて、DV被害者とストーカー被害者等で、ホームレスの方とか売春防止法の関連の方は、一時保護委託が出来ないんですね。だから、そこはやはり、前回もお伝えしましたけども、背景に関係なく、今おっしゃったとおり、必要な方がどこにでも行けるというような仕組みは是非つくっていただきたいなというふうに思います。
もう1点ですね。私も実は児童相談所も長かったんですけども、性虐待を受けたお子さんは、リアルタイムでは言ってもらえない。本当に被害確認面接とか、様々な技術を、開発をしてきたり、司法面接とかやってますけども、客観的事実として、小学生とかが、受けてるはずだと思っても、子どもは言わないっていうふうな経験をすごくしてきました。その中で婦人保護事業のほうに移ってきた中で、「今ここで言うんだ」と。ここで言えるんだっていうのが、すごく実感です。やっぱりそこまで言えない期間があって、それはね、もう本当に実は、もうちょっと、自分に言えないですけど、児童相談所なり、子ども支援のほうでもうちょっと充実させたいと思うけども、でもやっぱり人間の心としてどこで出してくるか。それはもうご本人の問題だから。で、今まさに本当に、婦人保護事業の、婦人保護事業というか、私たちも関わる年代になって、やっと出てくるところは、本当に私たちがどのような知識を持って、どのような専門性を持って対応していかなきゃいけないかなっていうのは思うんです。そこでですね、女性相談、婦人相談所には調査権がないっていうことです。性虐を受けたはず。だけどその客観的な事実を児相から貰えないんですね。調査権がないんです、私たち。そこで、やはりさっきちょっと村木構成員が仰ったとおりのことで、様々な機関がそれぞれの連携をどうやってやっていけるか。それぞれが、一貫した女性の人生の中で、年代的にも関わるし、課題によっても関わるし。関わる切り口というか、場面場面が、それぞれの福祉法によって散りばめられ分解されている。そこをどうやって繋げてって、どうやって情報共有して、そして一貫したその女性の支援が出来てくかっていうのは、すごく大切だと思って。もちろん主体は女性ですので、「そんなこと聞いてほしくない」とか、「そんなこと調べてほしくない」って方はいらっしゃると思います。でも私たちがどれだけ支援してくかっていうのは、やはりそこは、また、ね、女性とのいろんな関係性を持つなり信頼関係を持って、「私たちはあなたの支援のために、いろんな機関が関わりたい。いろんな情報をお互いに共有したい」っていうあたりを丁寧にさせていただいて、如何に、本当に、村木構成員が最後に仰った密接な連携だと思いますね。そこを是非していきたいと。する必要があるということと共に、じゃあ、本当にこれだけの様々な今福祉法がたくさん乱立していて、様々な危機感があって、それぞれのファクターで専門性がある機関なり仕組みがあって、そこをコーディネートするのはどこなのかと。そこがやっぱり肝になってくるかなって思いました。前回ね、女性支援については、婦人相談所が広域的にコーディネート、自治体のコーディネートすべきだと、ちょっとお伝えしたし、その思いはないのではないんですけども、これだけたくさんの本当に必要な、様々な支援の福祉法。すべてコーディネートするとしたら、じゃあ誰がどうやってしていくのかなって。でも絶対これは必要なのでそれを是非みなさんと考えていきたいなと。もし村木構成員のほうで案があれば、教えていただきたいです。以上です。
 
○ 堀座長
はい。そういう意味では婦人相談所の権限のあり方と、それから個々の福祉の仕組みの密接な連携と、それをコーディネートする。婦人相談所の役割という分、非常に大きい、今のご指摘だったかなと思うんですが、少し、ちょっと、これは私のほうから是非、この間から言いたくて、なかなか言えなかったんですが、やっぱりこう、皆さんのプレゼンテーションのほうから出てきた専門性。職員の方々の専門性をどう担保するのかというのが非常にベースにあるのかなというふうに思っておりまして、そのときに、もちろん運用上の研修ですとかスーパービジョン。こういったものも非常に重要ですけれども、専門性を担保するような新たな仕組み。例えば地域包括支援センターには社会福祉士が必置でいなければならないとか、児童相談所には児童福祉司がいるとか、児童養護施設には児童指導員がいるというような、任用資格的なそういった仕組みが、それがいいというふうに今言っているわけではないんですが、そうした仕組み。専門性を担保する新たな仕組みというのをもうひとつ考えていく。そこで繋げていくとか、知識をいろいろ民間とも共有していくということにも繋がっていくのかなと思っているので、是非、あんまりもう今日は時間がないんですが、このあたりについてもいずれ検討していただければと思っております。
すいません、私のほうが喋ってしまいましたが、どうしてもという方、もうそろそろ時間なんですが、おられますでしょうか。
 
○ 横田構成員
ちょっといいですか。私あの、和田構成員が今ね、大人になって初めて性被害のこと、ここで出るんだって。婦人保護事業の中で出るんだって仰ったんですけど、私は婦人保護事業に長く施設で働かせていただいて、「ここで出てくる。遅い」と思っているんですね。先ほど村木構成員からもお話がありました。被害がものすごく低年齢化してるんですね。実際DVで入ってくる子どもたちを、私たち心理、面接いたしますけれども、語ります。性の被害を語ります。それから、お父さんの暴力の恐怖も語ります。どんなにちいちゃくても、拙い言葉で語るんですね。
私は、この時点でもっときちっとサポートするシステムが、なぜ日本にはないんだろうと。この子どもが今語っていることを、ここから離れたらもう明日からないことになっちゃうんですよね。そうじゃなくて、今私たちがそこに直面していたら、これを次に「お願いしますよ」って、大谷構成員じゃないですけども、「お願いしますよ」って橘構成員が渡せるようにね、私たちが安心して、その被害を受けた子どもたちを手渡せるような、今システムが全くないんです。私が一番辛いのは、大人になってから出会う女性たちの苦しみです。やはり被害は早いうちになので、ちょっとそこが、今お話聞いてて、違うかなというふうに思ったところです。
 
○ 堀座長
まだまだ議論は尽きないところだと思うんですが、時間になりますので、本日、幅広いご意見いただいておりますので、また、これに加えて、いろいろご意見がありましたら、後ほど事務局のほうにお寄せいただければと思います。
最後に、事務局のほうから、次回日程などの連絡事項のほうをお願いいたします。
 
○ 度会母子家庭等自立支援室長
ありがとうございました。次回の日程につきましては、調整の上後日ご連絡いたします。
また、次回は論点整理に向けた議論をすることとしています。宜しくお願いいたします。
 
○ 堀座長
それでは、本日の検討会は、これにて閉会といたします。ご出席の皆様、ありがとうございました。

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