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2016年7月29日 第1回新たな社会的養育の在り方に関する検討会

雇用均等・児童家庭局家庭福祉課

○日時

平成28年7月29日(金)9:00~11:00


○場所

中央合同庁舎5号館厚生労働省省議室(9階)


○出席者

構成員

奥山座長 松本座長代理 相澤構成員 井上構成員
加賀美構成員 上鹿渡構成員 塩田構成員 伊達構成員
西澤構成員 林構成員 藤林構成員

事務局

塩崎厚生労働大臣 吉田雇用均等・児童家庭局長 山本内閣官房内閣審議官
川又総務課長 川鍋家庭福祉課長 竹内虐待防止対策推進室長

○議題

(1)検討会の開催について
(2)改正法施行に向けたロードマップと進捗の確認
(3)「社会的養育」についての議論のポイントと進め方
(4)その他

○議事

○ 事務局(田野家庭福祉課課長補佐)

  それでは定刻になりましたので、ただ今から第1回「新たな社会的養育の在り方に関する検討会」を開催いたします。構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして誠にありがとうございます。

まず初めに今回は検討会の初回でございますので、本来であればお一人ずつご紹介させていただくべきところでございますが、時間の関係もございますので、資料の別紙1によりご確認いただくことでご紹介にかえさせていただきたいと存じます。なお、本日、山縣構成員からは、ご欠席のご連絡をいただいております。また、今回の検討会につきましては、事前に各構成員にご連絡させていただいておりますとおり、奥山眞紀子構成員に座長を、松本伊智朗構成員に座長代理をお願いしております。

それでは、これより先の議事は奥山座長にお願いしたいと思います。

 

  奥山座長

ご紹介ありがとうございました。この検討会の座長を務めさせていただきます奥山でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

まず、開会のご挨拶を塩崎恭久厚生労働大臣よりお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

  塩崎厚生労働大臣

皆様おはようございます。第1回目の「新たな社会的養育の在り方に関する検討会」ということでお忙しい中お集まりいただきまして誠にありがとうございます。昨今子どもを、あるいは家庭を取り巻く環境というものは大変厳しいものであって、様々な問題解決に向けて皆様方には普段から大変努力をいただいていることを改めて感謝を申し上げたいというふうに思います。

後程説明をいたしますけれども、今回の「新たな社会的養育の在り方に関する検討会」というこの検討会につきましては、私自身が言ってみれば担当としてやっていきたいというふうに考えておりまして、これにつきましては7月、今月から、順次あと三つ検討会等を立ち上げて、もうすでに司法関与と特別養子縁組につきましてはスタートいたしておりますが、他の三つの検討会等を鳥瞰しつつ、この新たな子ども家庭福祉とは何なのかということを考えていただくというお役割を、お願いを申し上げて、全体を目配りしていただく。そういう全体を俯瞰したような検討会ということで、他の検討会は、雇用均等・児童家庭局長が担当することになっておりますけれども、この検討会は、私大臣自身が担当してご一緒に考えさせていただくとこういうふうに考えているところでございます。

児童虐待そのものも皆様方深く関わってこられている問題で、言ってみれば社会の病そのものが凝縮された形で氷山の一角として子どもにあらわれているということですから、ひとえに子どもの問題だけを考えるのが問題解決の方策にはならないわけでありますけれども、やはり、一義的には子どもをどう健全に育成、育むということを実現していくところが大事なんだろうというふうに思います。今回の法改正で、子どもの権利ということを初めて日本の法律の中で触れておりましたが、命と権利を守るそして子ども達の未来を作り上げるということを私達は社会全体として考えていかなければいけないというふうに思いまして、こういうような問題意識から、今回の法律改正は全会一致で国会で成立をいたしました。国の総意と言ってもいいと思いますが、昭和 22 年の児童福祉法制定以来の抜本的な改正が実現して、それを実現に至るまでの皆様方のご協力とご理解にも感謝をしつつ、今回は初めて子どもを権利の主体として法律に位置づけるということとし、それから家庭における養育環境、これが何よりも大事であって愛着形成の場、一番大事なときはとりわけこの家庭における養育環境を整備するということが大事だと思いますけれども、それがままならないという実現できないときには同様の良い環境において養育されていくことが大事で、そういう意味で特に就学前の子ども達については、できる限り施設ではない家庭環境のもとで、あるいは家庭環境と同様の良い環境で育っていくことが大事だということでございまして、そういう意味では今回初めて特別養子縁組を明確に位置づけそしてサポート、管理、こういったことを優先していただくことを法律に明記をいたしました。更にどちらかというと児童相談所ということで都道府県ないし政令指定都市、都市に集中しておりましたけれども、今後は国、都道府県、市区町村のそれぞれが役割と責任を担うということでそこを明確にしました。そして何よりもやはり社会の非常に複雑な問題から起因するこの問題については、専門性がなければいけないということでございます。そういう意味で専門職、弁護士を含めて専門職の児童相談所への配置を義務付ける強化、あるいは中核市、特別区、人口割りでやはり責任を持ってやっていただく体制を広げると、実質上、私は中核市、特別区への児童相談所の必置と考えていますが法文上はそこはやっていませんけれども、ここにきて是非やっていきたいと思っております。そういうことで、今回の改正は子どもの権利を守るための法的な改正でありますけれども、積み残しが沢山ありまして、あるいは具体化を待っている案件が沢山ありまして、それでも検討会を作っていますが、一つ目の検討会は先ほど申し上げた「児童虐待対応における司法関与及び特別養子縁組制度の利用促進の在り方に関する検討会」という新しいものでありますが、要は司法関与と特別養子縁組制度というものについて検討をしていただくということですでにスタートしています。それからあと「子ども家庭福祉人材の専門性確保ワーキンググループ」については、今日午後第1回目が行われます。

そしてもう一つは「市区町村の支援業務のあり方に関する検討ワーキンググループ」ということで市区町村の支援の役割というのを、例えば今回新たに導入をする在宅措置の場合の市区町村の積極参加、関与というものをどういうふうにするべきなのか、そのための必要な要件と資質は何なのかということは、本当に市区町村とよく話し合いながら注意しなくてはいけないものだと思っております。こういったことを踏まえながら、新たな子ども家庭福祉の実現に向けた制度改革全体を皆様方には是非俯瞰をしながら議論をしていただきたいと思っています。

特に象徴的にこれまでの児童養護をまとめてきたのは平成 23 年の社会的養護の課題と将来像の中にいろいろ書かれておりましたが、これに関しては全面 的な見直しを行っていただきたいというふうに思います。新たな子ども家庭福祉とはなんぞやというところから議論していただいて、そして厚生労働省をはじめとする国は何をすべきなのか、それから都道府県は何をすべきなのか、市町村は何をすべきなのか、あるいは施設は何をすべきなのか、そういったこととか、あるいは地域との連携をどうするのか市民社会、 NGO 等といったところとの連携というのはどういうふうにやっていったらいいのか、それから教育機関、学校等との連携というものも当然あるかと思いますけれどもそういった幅広い問題について皆様方に根源的な議論を是非お願いをしたいというふうに思っています。

課題と将来像の中で象徴的なこれまでの考え方は、本体施設入所児童が三分の一、グループホーム入所児童が三分の一、里親あるいはファミリーホーム委託児童が三分の一という、三分の一、三分の一、三分の一のこれをですね、都道府県にそれぞれ計画を作っていただいているわけでありますけれども、この中には特別養子縁組は入っていないんですけれども、今回は児童相談所の業務として明確に位置付けられ、私がさっき申し上げた通り、この就学前は家庭環境のもとで子どもが育つということが大事だという時でありますので、当然そういったことについても議論を深めてこの課題と将来像を見直していただければありがたいと思っております。

このビジョンの見直し、そして都道府県単位での計画の見直しというのは、かなり全国的に大きな影響がありますのでこれはやはりきちっとそういった計画を作っていただいてきた自治体にも配慮しながら、しかし新しい子ども家庭福祉のですね、理念のもとでお考え直しをいただくというためにお願いをすることを丁寧にひとつご議論いただければありがたいなというふうに思っております。

大変多岐にわたる問題についてご議論をいただく検討会でございますけれども、今後ご議論を重ねていただいて社会的養育の考え方や、それから地域分散化も含めた施設機能のあるべき姿とか里親養子縁組の推進、そして在宅養育支援の在り方、これらをふまえた社会的養育体系、体系全体の再編ということ、更にはこの 18 歳以上の方々、この問題については随分国会でも今回議論がありました。基本的に 18 歳以上でも難しい環境の子ども達、まあ 22 歳くらいまでは施設にそのままいるケースも有り得るという議論も国会でなされてきたわけでありますけれども、この 18 歳以上の方に対する支援の在り方、これについても方向性を整えていただきたいというように思います。

まあ、いずれにしてもこの大変新しい子ども家庭福祉を考えるその制度全体に目配りをしていただくお役割を皆様方にお願いをして子どもの命と権利を、そして未来を作り上げていくということを念頭に入れながら是非ご議論を深めていただきたいというふうに思いました。

長くなりましたけれども今回の法改正にあたっての考え方をどう理念化し、それを具現化するチャンネルを作っていくかということが皆様方のお役割というふうにお願いを申し上げるわけでございますので、是非奥深いご議論をお願い申し上げてご挨拶とさせていただきます。

 

  奥山座長

どうもありがとうございました。今の大臣のお言葉を心に留めまして子ども達のために改正法の理念の実践に向けて構成員の皆様方と共に努力させていただきたいと想いを新たにさせていただきました。ありがとうございました。

撮影はここまでということでございますのでよろしくお願いいたします。大臣が次のご都合がおありということですのでここでご退席なさいます。ありがとうございました。

 

  塩崎厚生労働大臣

ではよろしくお願いいたします。

 

  奥山座長

ありがとうございました。では事務局から資料の確認をお願いいたします。

 

  事務局(田野家庭福祉課課長補佐)

それでは資料の確認をさせていただきます。配布資料といたしましては右上に番号をつけさせていただいておりますけれども、まずは資料の1から5。参考資料につきましては1から6となってございます。資料の欠落等ございましたら事務局までお申し出ください。なお、当検討会は公開で開催いたしまして資料、議事録も公開するということを原則とさせていただきます。資料の確認は以上でございます。

 

  奥山座長

ありがとうございました。資料が膨大なのでちょっと確認に手間取っておられるかもしれませんがよろしいでしょうか。多分事前に配信がされていると思います。よろしくお願いいたします。

では早速議題に入りたいと思います。まず議題1の、今、大臣の方からもございましたけれども、他の検討会と合わせてこの検討会の背景、主旨といったことにつきまして事務局の方からご説明をいただきたいと思います。また、今回ご議論いただくうえで改正された児童福祉法等について施行に向けた準備状況がどうなっているのかということに関しても私達が共通認識を持つことが重要だと思いましたので、事務局にお願いいたしまして資料3を作成していただきました。議論の原点となると思いますのでこちらの方も合わせてご説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

 

  川鍋家庭福祉課長

それでは資料1をご覧いただきたいと思います。本検討会の開催についてでございますが、今大臣がまさにそのお話しをされましたので、それを踏まえてこの資料1に紙として書きますとこういう内容になるということだと思います。特にその2番の検討事項でございますが、先ほど大臣も申し上げましたけれども、平成 23 年7月の「社会的養護の課題と将来像」を全面的に見直すことにより新たな社会的養育の在り方を示していくんだと。特に本検討会は、制度改革全体を鳥瞰するという位置づけになりますということが(1)にございます。(2)以降それぞれ大臣が今日お話しになっていますので省略しますけれども、全体で6つくらいの事項になるのではないかと考えています。構成員の方々については、次の二枚目にございます。資料1はこのような形でまとめさせていただきました。資料2でございますが、先ほど3つの検討会・ワーキンググループと大臣おっしゃいました。表紙をめくっていただくと、今週の 25 日月曜日にすでに「児童虐待対応における司法関与と特別養子縁組制度の利用促進の在り方に関する検討会」の第1回目を開催しております。二枚目が構成員の方々のメンバーになりますが。それからあと2つワーキンググループがあります。3ページになりますけれども「子ども家庭福祉人材の専門性確保ワーキンググループ」というものが本日の午後3時から第1回目を開催するという予定になっております。検討事項につきましては2番に書いてありますように、まずは4月1日の改正法施行に向けて優先的に検討する重要な事項を議論していただく。それから将来的な専門職の在り方や人材育成、専門性の向上について検討が必要な事項として(2)として1から3のような事項がある。それからもう一つのワーキンググループですけれども、5ページになりますが「市区町村の支援業務のあり方に関する検討ワーキンググループ」これは8月8日月曜日 10 時から第1回目を開催予定にしております。検討事項としまして2番をご覧いただくと(1)から(4)までの事項を掲げております。市区町村が自分たちが必要な支援を行うための拠点機能のあり方や、推進の方策、それから市区町村の虐待対応の支援業務を行うために必要な支援方策またはガイドラインや専門人材の養成、確保。それから3つ目として要対協(要保護児童対策地域協議会)でございますけれども更なる活用等による関係機関の連携強化。4つ目ですが市区町村における総合的な支援体制の強化の在り方。こういう内容で今後ワーキンググループで議論をしていく。こういったこの議論についての進捗も含めてこの検討会にお伝えしながら、構成員の皆様方に議論をしていただくとこういうふうに考えております。それから資料3でございますが、先ほど施行状況の準備状況がどうなっているか共通認識とおっしゃいました情報が資料3表形式でまとめさせていただきましたが、この左側の項目ですけれどもこれについては本年3月に取りまとめていただいた新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会の報告・提言をベースに、 10 項目として事務局で整理をしたものです。今回の進捗状況の右側が空白となっておりますけれども、これは次回以降埋めさせていただいて、それぞれ構成員の方々も含めて把握をしていただきたいと思っております。それから資料4、資料5は奥山座長、松本構成員からの提出資料として後程お願いしたいと思います。

参考資料でございますが、参考資料1は児童福祉法等の一部を改正する法律の概要ということで改正の概要を大きく4つの柱、それから下に検討規定、これから検討しなければいけないものについて書かれている資料でございます。2枚目以降はそれぞれの内容の詳細になりますのでご説明は省略します。参考資料2につきましては、本年3月先ほど申し上げた新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会の報告・提言を用意してございます。参考資料3は、これはちょっと古くなりますが、平成 23 年7月の社会的養護の課題と将来像、社会的養護専門委員会でとりまとめたものを用意してございます。参考資料4と参考資料5は、それぞれ社会的養育の在り方に関する検討に資するであろうと考えまして、この関係資料としまして統計数値、直近のものに更新したものを含めて用意をさせていただいております。それから参考資料6については、先ほど申し上げた司法関与、それから特別養子縁組制度の利用促進の検討会の資料の中から特別養子縁組部分を抜粋したものを参考資料として用意をさせていただきました。以上でございます。

 

  奥山座長

はい、ありがとうございました。よろしいでしょうか、資料等含めて何かご質問等ございますでしょうか。一つ私のほうからですね、資料3でございますけれども法改正後の進捗状況についてという題名ですが、これに関しましては私のほうで「施行に向けた」ということを申し上げましたが、第1段階としては施行に向けてでございますけれども、ただ今大臣のほうからもお話しがございましたように、積み残しの部分がかなり入っておりますので、施行で終わりになる進捗状況という意味ではなくて、附則等含めた課題が左の方に項目としてあげております。それ等全てに関しての進捗状況をご報告いただくということになっております。

何かとくにこの進捗状況の項目にこれも入れて欲しいなどを含めて、皆さんのほうから何かご質問ございますでしょうか。

簡単にざっと議題の項目だけ挙げさせいただきますと、まず理念というところ非常に先ほど大臣もおっしゃいましたように、子どもの権利ということを入れ込んだ重要な理念、そして家庭養護の原則に関しての理念、そういうことが今回の法改正には入っておりますので、そのあたりがどのように社会に行きわたるのかということが重要であるということ。

それから今回体罰禁止ということが専門委員会ではかなり重要だという意見が多かったのですけれども、法律の中では懲戒権の濫用を避けるというような形での法律になりました。参議院の附帯決議でも体罰を伴わないしつけの在り方を広めなさいというようなことが入っていたと思います。そちらのほうも非常に大きな課題ということでここに挙がっています。

それから2番目は子どもの権利擁護に関する仕組みで、法改正の部分だけ読んでいるとわかりにくいのですけれども、報告書を読んでいただけますと子どもの権利擁護のために児童福祉審議会に審査をお願いするような仕組みとなっております。その仕組みをどのように作っていくかというのも大きな課題と思いますし、それから国、都道府県、市区町村の責任、これは非常に今回報告書でも大きなテーマになったところでございます。

それから要保護要支援児童の対象年齢ですね。これは対象年齢が引き上がらないかということが専門委員会でもかなり大きな議論になりましたけれども、その児童福祉法全体の対象年齢を上げることはなかなか難しいだろうということでいろいろな工夫がなされました。そういう意味で1,2,3がその工夫の結果ということでまずこれを実現していくということが大切だろうということでここに挙がっております。

それから、新たな子ども家庭支援体制の整備ですけれども、別のワーキンググループでの議論になるとは思いますけれども、基礎自治体における拠点の整備というのをどういう形で行っていけるのか、それから通所措置、在宅措置、これは言葉では法律の中には組み込まれていないんですけれども、理念、考え方としてはこういう考え方でございますので、それをどのように実現していくのか。

それから、特定妊婦に関する母子保健法の予防の部分、そして発見に向けての支援の部分、産前産後の母子ホームが必要であろうという意見も専門委員会で多くでましたので、それをモデル事業等でどのように実現していくのかが含まれています。

それから児童相談所の設置基準に関して今回の児童福祉法の附則で5年以内に中核市や特別区が児童相談所を持てるようにということですので、それをどのように実現していくのか。そして実現するにあたってはどのような内容、資質が伴わないといけないのかということも議論が必要かというふうに思っています。それから児童相談所の機能分化も積み残し部分です。通告窓口の一元化、それから介入・支援機能分化に関してです。また、一時保護のところも今回非常に中心的な議題となったところでございます。一時保護委託の拡大でありますとか、一時保護の環境整備ということに加えまして、一時保護の機能が、法律の中に明確に位置づけられたということもありまして、一時保護所の基準を見直したりそれを踏まえた児童相談所の在り方ということも重要になってくると思います。

それから司法関与の整備、これは先ほど大臣からもお話しがありましたし、事務局からもお話しがありましたようなワーキンググループで進めていっていただくわけですけれども、それ以前の部分で 28 条措置の部分とか、保護者指導の勧告の在り方みたいなものとか実際はどうなっているのかということについてもこちらのほうとしても見ていく必要があると思います。

それから評価制度の構築ですけれども、現在行われている第三者評価が実際本当に実質上うまくいっているのかどうかというものも検討していかなければならないと思います。

それから職員の専門性の向上、これも別のワーキングが組まれているのでそちらのほうで中心的に議論をしていただくということになると思いますけれども、それに加えまして任用要件の問題や配置基準の問題などもどういう形になっていくかということに関しても議論をしていくことになるだろうという風に思います。

それから社会的養護の充実強化ということに関してです。里親制度の充実に関しては、今回、都道府県が里親支援に関して里親の開発から支援すべてに関して一括して責任を持つと、それをしかも委託できるというような形になっておりますので、その在り方、内容についての議論が必要と思いますし、それから就学前の家庭養護の原則、これは今大臣もおっしゃいましたようにそのあたりをどのように位置づけていくのか。それから特別養子縁組制度に関しましては、先ほどの司法関与と特別養子縁組の検討会で行われていくというふうに思いますけれども、今回の法改正では、養子縁組そのものを児童相談所が支援するという形になっておりますので、そこの在り方もこちらでも考える必要があると思います。

それから施設ケアの充実といっても、より家庭に近づいた施設ケアも必要でしょうし、あるいは非常に専門的な施設ケアも必要です。こちらの方の議論も必要かと思います。また、非常に大きな問題として自立支援の問題、これがあげられると思います。この自立支援の問題は先ほどの年齢の問題とも絡んでくる問題ですけれども、どういう対策がとれるのかということを議論していかなければならない。この7番のところは特にこの検討会で重点的に考えなければいけない部分の問題であろうと思います。

あとは国の役割として、「調査研究」と法律の中では書いてあるのですけれども、もともとは統計ということが非常に重視された部分でございます。統計、どんな統計をとっていくべきなのか、この今回の法改正あるいは私達がこれから議論していくことのアウトカムをどう図っていくのかが非常に重要な問題というふうに思いますので、これをどのように達成していけるのかということも大きな課題というふうに思いますし、地域で通告窓口の一本化であるとか迅速な対応とかというときに、最近非常に転居後のいろんな問題も多く起きておりますので、地域のデータベースの構築というのがどのような形にすることができるのかということもあると思います。

3つ目は専門委員会の方でも議論がされましたチャイルドデスレビューに関してのモデル事業がどのような形でなされていくのかということがあります。

この1から8までに入らない問題として、今回関係機関が児童相談所に情報提供をする努力義務というのが入ったわけですけれども、関係機関だけではなく、民間の企業とかそういうところにも情報提供をお願いしなければならない。その時のやり方ということに関しても議論がなされておりましたので、そのあたりをどういうふうに解決できていくのかというところがあります。

あと児童養護施設等に配置されております家庭支援専門相談員などがどのような形で活動するのが一番効果があるのかいうようなことも含めて議論、これは7番に入れてもいいのかもしれないですけれども。という形で整理をしていただきましたので、ご報告させていただくとともにご意見があったら伺いたいのですけれどもいかがでしょうか。

はい、林先生お願いいたします。

 

  林構成員

4ページの7の(3)の1)の児童相談所の養子縁組相談・支援の状況の把握というところの部分です。参考資料の6の9ページに特別養子縁組の成立件数の昨年度の速報値を含めて棒グラフで表現されています。この内訳ですね、すなわち実際民間機関とあるいは私的な養子縁組を含めた内訳を含めた伸び率を明確にしていただけたらより現状を把握できるかなと思います。ここに児童相談所と書いてあるんですが、民間機関のあっせん機関の現状の把握ですね。だから児童相談所及び民間のあっせん機関の養子縁組相談支援の状況というふうに修正いただけたらと思います。

 

  奥山座長

すみません、何ページですか。

 

  林構成員

進捗状況に関しては4ページ、こちらは9ページです。

 

  奥山座長

この9ページの成立件数は児童相談所関係だけですかね。

 

  林構成員

これは公民と私的な養子縁組を集めた合計値です。

 

  奥山座長

合計値ですよね。

 

  林構成員

この伸び率というのはかなり民間機関によっている部分が大きくてですね、児童相談所以上に民間機関でのあっせんの在り方というのはどうしていくかというのは大きな課題なんですけれども、その現状を把握することによって養子縁組の実態というのを把握できないかなという。

 

  奥山座長

はい、その通りだと思います。事務局に質問なのですけれども、もう一つの司法関与の特別養子縁組の検討をしているワーキングでそのへんのところは何か資料として議論になっておりますでしょうか。

 

○ 川鍋家庭福祉課長

今、参考資料6の9ページの資料は、司法関与と特別養子縁組の検討会でも出している資料なんですが、その中でも特に林構成員ご自身もおっしゃっておられましたけれども、民間養子縁組あっせんの数の方が多いのではないかということも含めてデータの調査関係の資料についてはいろいろご意見が出ていますのでそこも含めてちょっと事務局のほうで整理をさせていただきたいと思います。

 

  奥山座長

ありがとうございます。よろしいでしょうか。他にご意見は、はい。

 

  藤林構成員

関連しまして、特別養子縁組の利用促進の在り方の検討会とここの特別養子縁組に関する検討会のすみわけのところで確認しておきたいのですけれども、私の理解では利用促進の在り方については年齢の問題であるとか、児童相談所の申し立ての可否であるとか、またはその要件といったよりハードな枠組みのことであって、こっちの検討会は例えば養子縁組里親の欠格要件であるとか縁組後の支援の在り方であるとか、例えばその今話題にありました民間機関との関連であるとか、そういったソフト部分が議論するべきことと思っているんです。当然お互いの進捗状況は相互に情報共有したいと思っているんですけれども。そのような理解で自分は考えております。

 

  奥山座長

座長としてはその通りと思います。事務局もよろしいですかね。おそらくもうひとつのワーキングの方は法的な枠組みというゴールがありますので、そこの議論が非常に強いと思いますので、こちらは支援の在り方それからどういうふうに開発していくのかとそういうことも含めてだろうというふうに思います。よろしいでしょうか。そのような考え方で。はい、では他にご意見ご質問ございますでしょうか。

 

  松本座長代理

松本です。1点まず確認なんですけれども、この項目というのはこれ専門委員会報告から整理されたということですよね。法改正に盛り込めなかったけれども専門委員会報告では方向が示されているというようなことで、そういう理解でよろしいですかね。

 

  奥山座長

遠いものは入っていません。

 

  松本座長代理

遠いものは入っていない。

 

  奥山座長

近々やりますというような感じで書いてあるものだけ出ています。

 

  松本座長代理

はい、わかりました。遠いか近いかというご判断は、遠いとは理念的にというか具体的なところということで1点、この社会的、7番の(5)のこの自立支援のところなんですけれども、これ一番に里親委託や施設措置されたとかうんぬんの事業というふうにありますけれども、これは後なのか前なのかわかりませんけれども、専門委員会の方では自立支援計画の終了について公的に関与すると、もうひとつは専門委員会の報告の文言で言うと市区町村や児童相談所の担当部署にワーカーの配置を検討すべきであるというふうにして、予算事業としてやられるということだけではなくて、専門委員会の中では児童相談所のあるいは自治体が退所後の支援というようなことにも責任を持つような仕組みを作って部署を設置するということが確かずっと去年の議論のひとつの方向だったんです。そこが抜けていますので、やはり事業の仕組みは、これは、それはそれで大事な動きなんだと思うんですけれども、公的主体なりの方向で関与するということが今後必要なんではないかと。これは具体的な形で議論してかなり具体的な形で専門委員会の報告にも入っていることだというふうな理解をしています。

 

  奥山座長

ありがとうございました。では自立のところに、責任の所在に関して付け加えていただいて入れ込むということでよろしいでしょうか。

 

  松本座長代理

専門委員会の報告書を読みますと 27 ページの2つ目のパラグラフと3つ目のパラグラフというふうに思います。継続的な自立支援が必要。もうちょっというとその 26 ページの最後の2行からの、「このため、」からの3つ 27 ページの前段のところのパラグラフだということになるかと思うんですけれど、答えになるかな。

 

  奥山座長

わかりました。おそらく(5)の自立支援の1)に関しては、このためというところからの最初のパラグラフの部分だけですよね。その次のパラグラフに書いてあるような継続した自立支援計画の策定と実行とかその要するに中身の問題ですよね。

 

  松本座長代理

そのための担当部署があれば。

 

  奥山座長

わかりました。それを1)と2)の間に入れ込んでいくと。わかりました。ありがとうございました。

はい、加賀美先生。

 

  加賀美構成員

はい、加賀美でございます。今松本構成員の話と更に外れる話になるかもしれないんですが、法改正マターになっていないというところなんでしょうが、社会的養育という観点から専門委員会で私は強調をしたところでもあるんですが、いわゆる0から6歳の子ども達の保育教育の質の向上という部分があったのですが、ここについては社会的養育という枠の中で今後どう考えるかというときに重要なテーマになっていたはずなんですが、この法改正ということと少し外れているのは予算措置するのか、どういう扱いをするのかっていうところでありましょうが、この社会的養育の中ではとても重要な部分であると私は思っておりますので、それを奥山座長のご提案のなかに保育園等の補完的養育というようなところが挙げられているのでそこでの議論ということになるのであればそれはそれでいいと思うのですが、ちょっとそこだけが気になっています。よろしくどうぞ。

 

  奥山座長

ありがとうございます。もう一つ付け加えますとこの「進捗状況について」というのは明らかなゴールがあるものを挙げてございますので、大体決められて法律になったりあるいは附則になったりあるいは予算でやりましょうというような、こういうゴールというものが見えているところに対してどのくらい進捗したかなということを確認するものです。ここの議論はそのゴールが決まっているもの以外の今おっしゃったような、保育園の充実とか、前に専門委員会で確かにソーシャルワーカーの配置であるとかということもこの検討会の中で議論していくということでいかがでしょうか。

 

  加賀美構成員

よろしくお願いします。

 

  奥山座長

他にご意見は。藤林先生。

 

  藤林構成員

資料3と4を比べながら考えていたんですけれども、この(4)「特定妊婦への支援」のなかの産前産後ホームに関する表記と、その制度設計に関してなんですが、これは母子保健の中で考えているのか、あるいは児童福祉のオプションで使おうとしているのかよくわからないのですけれども、可能性としては社会的養育のサービスとして考えることが可能と思っていまして、そう考えればこの検討会の中での1つの考えるべき議論・ポイントであると思いますけれどもいかがでしょうか。

 

  奥山座長

その通りだと思います。私の記憶では専門委員会の中での議論は産前産後の母子ホームと当時は呼んでいたんだと思うのですけど、産前産後ホームに関しては、例えば母子生活支援施設なんかも参入できるような形で、やはり特定妊婦さんを頭に置いた産前産後のホームですので、社会的養護の一環という考え方だったと思います。子育て世代包括支援センターのほうの産後のケア事業、産後ケアセンターなんていうところもありますけれども、そういうところはどちらかというとポピュレーションアプローチですので、例えば実家に頼れない方々だとか、あるいはより疲れている方々が産後にどういうふうにケアされるかというようなことですので、かなり質は違う問題というふうに思っております。はい、井上先生。

 

  井上構成員

井上です。今そこの話題になりましたので提言したいと思いますけれども。今回の新たな子どものケアをこの順にのっとってとなりますと奥山先生が今言われましたように財政も重要になってきますので、順序からいいますとやはり3番目4番目に特定妊婦への支援とあるんですがこれを上にもっていきましてそれから外れてきた子どもさん達へのケアとして何が必要なのかというようなことを考えたほうがいいんじゃないかなと思いました。そして先ほど加賀美先生が言われましたが、保育所のところですが、在宅支援の場合、ほとんどですね保育所のケアをなくしてできないんですね。ですからその保育所のなかにその専門性を持った方たちを作るということなくして在宅支援はありえないと私達は思っておりますので、そのへんのところの考えも含めていただきたいかなと思います。以上です。

 

  奥山座長

ありがとうございました。では、順番を変えますしょう。新たな子ども家庭支援体制の整備というところの1番がポピュレーションアプローチで、母子保健法と特定妊婦を入れて、そこに、ゴールははっきりしていないのですけれども、どんなふうに議論が進んでいるかということも含めて、就学前の保育教育の質の向上という、加賀美先生がおっしゃったところを入れて、そしてそこまでがある種ポピュレーションアプローチで、そこから、・・・。ごめんなさい特定妊婦はそうじゃないですね。

 

  井上構成員

ちょっと発言よろしいですか、井上です。今その特定妊婦さんについての議論に入るのですが、継続的なケアが必要な方と在宅でずっと見ていける方で分かれていって5ページのままで終わる方と、それからこのスペシャルケアに入っていかなきゃいけない方達と分かれてくると思うんですね。その順序に沿ってイメージをしていくということがやはり今後市町村の中でそれを訴えていくときにとても大事になるということがあります。もう1点は行政が関わるとしてもですね、ポピュレーションアプローチになって以降、現時点ではほとんどですね、母子保健の中の保健師さんたちがすでに関わった情報をもとにしてケアに入っていきますので問題がでてきたときにそこから最初から取り直しじゃなくてほとんど母子保健の中の保健師さんたちが今まで培ったものを使って次に進めていく恰好になっているという現状がありますので、その過程をイメージできるような形にしていただけたらなと思うんですが。いかがでしょうか。

 

  奥山座長

あのそのへんの具体的なところは多分本検討会の論点になると思います。この進捗状況という点ではそれにつきましては特定妊婦への支援の2)の子育て世代包括支援センターは母子保健への位置づけの(3)のほうに挙げたほうがいいかもしれませんね。母子保健として全体で括ってしまうという形にして、さっき言ったように母子保健の話が入って、それから就学前の保育養育の質の向上が入って、そして特定妊婦さんへの支援、通所在宅措置という形にもって順番を変えていくということでよろしいでしょうか。ありがとうございました。

で、やっぱりここがこういうふうにして欲しい、とかこの文言がということがありましたら事務局の方にできるだけ早めにお知らせをいただければと思います。よろしくお願い致します。

では次の議題に入っていきたいと思います。その部分にもうすでに入ってしまっている部分もあるのですけれども、資料4を見ていただけますでしょうか。一応何もない中で検討会を始めるというのも不安だと思い、私の方で議論の進め方とポイントということで少しまとめをさせていただきました。これはあくまでもたたき台ですのでここに絞ってやりましょうという意味ではございません。このたたき台を皆様と協議をさせていただいて方向性を決めていただければというふうに思います。

ひとつは今お話しが出ました進捗状況の確認があります。同時にそのそういうロードマップ、つまり進捗状況の確認ということは先程議論いたしました。それに加えて先ほど大臣もおっしゃっておりましたように積み残された課題、附則に書かれていることとか、あとは報告書に書いてあるけれども今回はなかなか実現が難しかったことといったことに関して。あるいは全体をもっと奥深くということで、大臣もおっしゃっていましたけれども。そういうことを含めて全体を見ていくというのもこの検討会の機能と思います。ということで全体を見る機能と同時にやはり重要なここに与えられた使命のもう一つとして、新たな社会的養育の在り方を明確化してその実現を図るということで、私なりに少しまとめさせていただきました。

まず一つは社会的養育、社会的養育とはということも明確にしなきゃいけないのかもしれないですけれども、社会的養育の基準というものが、例えばどういうことがあったら支援が必要なのだろうか、あるいはどういうことがあったら、社会的な養護が必要なのだろうかということもありますし、それから社会的養護の基準としてこんな養育が必要だというのが必要だと思います。今までの社会的養護の最低基準を見ていますと比較的物理的な基準が多く、何平米、せいぜい何人、ていうところの基準だけで養育の質みたいなところの基準はないと言ってもいいだろうと思うんです。そのへんも含めて少し社会的養育というものはどういうふうにあるべきなのかというようなことが基本的なラインとしては必要なのではないかと思います。

2つ目、ここからがもっと具体的なことなのですけれども、社会的養育の構造として今回児童福祉法が改正されて3条の2で「国及び地方公共団体は、児童が家庭において心身ともに健やかに養育されるよう、児童の保護者を支援しなければならない」とされました。これは前回の専門委員会では家庭を支援しなければならないということでした。法律上家庭というのは難しいということで保護者というふうになっておりますけれども、考え方としては家庭支援ということだと思います。その家庭を支援するという意味での社会的養育ということではこんなこともあるかなと思って書いています。先ほど基準というお話しをしましたけれども、家庭への養育支援の在り方として要支援家庭をアセスメントするのはどうしたらいいのだろうか。あるいは支援の在り方はどうしたらいいのか。先ほどから出ています在宅措置の在り方、それから社会的養護の連続性の問題です。支援をしたけれども家庭ではなかなか養育が難しい、で社会的養護で養育がされる、そしてまた家庭復帰があって家庭に戻っていくそういう連続性をどう担保するのか。そして、児童家庭支援センターや民間支援機関がそこを支援していくような形になっておりますけれども、その在り方をどのようにしていくのか。

それから先ほど加賀美先生からもご意見がありました保育園という補完的養育。補完的養育とは、家庭で養育しているのだけれどもその一部を担うというような仕組み。そういうと3番もそういう仕組みのひとつなのですけれども、ショートステイとか保育園という養育補完の機能の問題。というあたりのところが今までのその社会的養護といわれる狭義の社会的養護ではない、社会的養育全体の中を考えたときに新たにこの辺のところは議論していかなければならない問題かなという思いがあってここに挙げさせていただきました。

社会的養護、狭義の社会的養護に関しましては、改正児童福祉法の3条の2に、「児童が家庭において養育することが困難でありまたは適当でない場合にあっては児童が家庭における養育環境と同様の養育環境、これは養子縁組、里親、里親ファミリーホームということがあるわけですけれども、で養育されなければならない」とされていますが、その制度そのものをもう少し見ていかなければならないだろうと思います。そして児童を家庭及び当該養育環境において養育することが適当でない場合、つまり養育環境と同様の養育環境つまり家庭養育がなかなかうまくいかない場合には、できる限り良好な家庭環境において養育されるよう必要な措置を講じなければならないということになっていますので、例えば里親さんにいるけれどもなかなか養育が難しくて、例えば児童自立支援施設に入りまた戻りということがあるかもしれません。そういうこう継続的なそのときの継続性をどう担保していくのかという問題があります。

それから包括的な里親養育支援要するにフォスタリングエージェンシーみたいなかたちを今回イメージがされたわけですけれどもその在り方。それから社会的養護としての位置づけによる「里親」の名称変更、これは前回の専門委員会でもかなり議論されたんですけれども結局たどり着かなかったということですね。

それから家庭で、つまり当該養育環境で養育することが適当でない場合というのはどんな場合なのかということを明確にしていかなきゃならない。要するに家庭養育じゃない、家庭養育ができない場合とはどんな場合なのか、ということです。それからできる限り良好な家庭環境というのはどんな条件なのか、あるいはできる限り良好な家庭環境においての養育、こちらの方は継続的にというのは入っていない。すみません一部飛ばしてしまいました。2のところのその場合の「継続的に」の担保の在り方っていうのは法律の中に、これ読んでいただくとわかると思うんですけれども、家庭における養育環境と同様の養育環境に関しては「継続的に」養育されるようというパーマネンシ—が入っている。それに対してそこがダメな場合にはできる限り良好な家庭環境において、こちらは「継続的に」というのは入っておりません。これはパーマネンシ—ということではなくて専門性が必要な場合、どうしても難しい場合に一時的にということも含まれるということです。そういう意味で言うと家庭環境に「継続的に」というパーマネンシーの担保をどうするのかということ。それから継続的にではない家庭養育がなされたときにまた家庭養育に戻っていくときの、その時の継続性あるいは時間的な制限をどう考えるかということがあるだろうと思います。で、それらの原則を守れるような社会的養護の体系というのを考えていかなければならないということがあります。施設養護の専門性を深めていかないと、結局同じことしかできないところだったら、施設に入るという意味がなくなってしまいますので、やはり里親さん等で難しいお子さんが施設に入るのだとするとそこの専門性というのが担保されなければならない。それから施設連携がどういう形になっていくのか施設養護の人員の配置がそれを踏まえるとどういう形が必要なのか。それから専門性による体系の再編成はどうしたらいいのか、ということになるかと思います。

それから、社会的養護が提供されているときの家庭支援がどういうふうになっているのか、その他の必要な事項について、ということを挙げさせていただきました。

それから(3)の一時保護ですけれども、法改正によって明確になった機能そしてその機能を担保するための基準、在り方、そして第三者評価の在り方ということがあげられるかなと思います。

そして次ですけれどもこの自立保障に関しては、後程、松本先生が詳しく課題をあげてくださっているんですけれども、大きく分けるとこの三つと考えます。継続的支援を保障すると、自律の為の養育の在り方、それから世代間連鎖を断ち切る支援というようなことがあげられると思いました。ご意見をいただきたいと思います。

そしてこれを総合的に考えると先ほど大臣が全面的な見直しということをおっしゃいましたけれども「社会的養護の課題と将来像」から「新たな社会的養育の構築」ということに向けての見直しということが必要なんだろうと考えました。ということでたたき台を作らせていただいたのでどんどんたたいてください。よろしくお願いいたします。その前に松本先生の方からの資料を。

 

  松本座長代理

松本です。奥山座長のメモの一番最後のところ自立保障というところで三点あげられていましたので、ここをもう少し細かく具体的な検討事項、つまり論点ということを考えるとどうなるんだろうなというふうにして羅列をしたものでありますので、これは何かあった方が議論がしやすいだろうという程度の論点というふうにお考えください。ただそれぞれ前の専門委員会のところのワーキングでかなり議論をしたようなことが含まれていますので、そこを少し思い出しながら整理をしていくつか自分のために整理をしてみたものというふうな意味合いがあります。

奥山先生のところの、継続的支援の保障、一点目のところに対応して継続的支援の保障ということでありますけれども、これはあの児童福祉法上の対象年齢以上のものを含むというふうに考えるということかと思います。一点目からちょっとあれですけれど、先ほども申し上げましたけれど、措置をした自治体の責任の明確化と制度的枠組みの構築ということが一番大きなことかなというふうに思います。それがあってこそ例えば里親さんあるいは施設の方でのアフターケアということが位置づくのかなというふうに思っておりますので、そういう部署が設置をされること、あるいは措置解除後の支援の在り方を含んで支援計画が確定されてそれが終了するときに、措置が終了するときに、あるいは施設を出ていくときに、それが確認されるような仕組みとそれがあっての役割分担ということかというふうに思います。この担当部署というのは一定年齢までと書きましたけれども、何かがあってから対応するというよりも、定期的な面談ができて相談に乗れるような、何かあったときにすぐ相談にのれるような関係作りというものがあると思いますし、それはあの例えば児童養護施設の先生だけに任せるんじゃなくて、自治体なり児童相談所のほうの担当部門とも連携とコミットするというような仕組みを作るというような中で施設でのアフターケア機能の強化ということがあるかとそれが7番。

もう一つは8番の自立援助ホームの成人後の利用の条件の再検討であります。これも専門委員会報告のところではたしかここは議論をしたと思いますけれど、法改正のところでは大学等就学後というふうに一定の限定がつきましたけれども、それは一歩前進というふうに考えますが専門委員会の報告のところからするとまだ宿題が残ったかなというふうに考えておりますのでそういう関係を入れました。もう一つはそういう中での当事者、社会的保護下にあった子ども達の参画ということもきっと考えていかないとまずかろうというのが羅列をした内容であると。

2点目、自律のための養育の在り方ということは、これに進路保障というようなことも付け加わるのかなというふうに考えました。勿論これはあのきちんとしたアタッチメントがついて信頼関係ができるということが基本でありましょうし、そういう時に自分の生活を自律的に管理できると、あるいは支援が必要なときにきちんと支援について SOS を出せるというような力をどういうふうにこう形成していくのかということも大事だろうと思いますし、また特に無事に保護された子どもさんについて原家族との関係をどのようにして整理をして自分の人生を展望していくのかということもとても大事なことだと思うんですね。あるいは現役の子どもさん達を若い人を見るとやはり暴力の被害がかなりというような形で巻き込まれていることが多いですのでそういうことがトラブルのもとになるということがよく見聞しますのでそこに対してきちっとこう、一般的な性教育とか人権教育というよりも、もう少し具体的にこういうことの被害・加害に巻き込まれない退避の仕方をどう考えるのか。 DV も含めてですけども、これも大事かなと思います。

それと合わせてやはり進学の際の就学機会の保障と経済的支援で仕事に就くという場合の就労機会の確保ということと、もうちょっと出た後の特に年金であるとか医療保険であるとかそういう一般的な市民的権利をきちんと確保していくという観点からのソーシャルワーク、あるいは教育ということが必要でしょうし、具体的にはステップハウスみたいのものをどういうふうに使っていくのかというようなことも実践的な課題かと思います。自律のための養育というところに、出た後の、林先生がリービング・ケアのところで随分ご研究されてきたことかと思いますけれども、その関係を入れていくということ。暴力の問題についてはあまり前の専門委員会での議論聞きませんでしたけれども、やはり具体的に何ができるかという時の大変大きなことかと思うんです。

もう一つは世代間連鎖を断ち切る支援というふうに奥山先生が整理されたものですけれども、それをもう少し出た後具体的に地域生活をどういうふうに支えるのかというふうなことというふうに別の言葉で言い換えているということであります。おそらく奥山先生がお書きになった内容と意味は同じなんだろうと、やはりこれは措置解除後きちっと支援につながるということがまず基本だということと、市民的権利が活用できるというなかで初期費用はですね最初出た後すぐにお金が困ると最初からローンを返済しないといけないような形で生活が始まるようになっている、ということ。それと金銭管理の問題も含めてどういうふうに支援していくのかというようなことですね。やはり暴力被害の問題、性被害も含むんですけれども、こういう時の公的機関の対応の在り方というそれを含んで法的支援が必要になった場合の弁護士さんの支援なり費用の問題をどう考えるのかという。で、職場定着の問題がもうひとつある。もう一つあのやはりその子どもさん、若い人たちが家族を形成してあるいは子どもをもって親になっていくというプロセスをどう支えるのかというふうな観点からの少し気の長い支援が必要かというふうに思いますし、ここは母子保健というもので構成されているものとつながっていくのだろうというふうに思っております。もうちょっとこう当事者団体の形成と促進の活動の支援ということに当事者団体あるいは当事者がどういうふうにこう考えて参画をしていくのかということも重要な観点かというふうに考えております。他に抜けていることが沢山あるかとは思いますけれども、最初の議論のとっかかりとして挙げてみました。以上であります。

 

  奥山座長

ありがとうございました。では皆様の方に議論をオープンにしたいと思いますけれども。この二つの意見をもとにたたき台ですからどうぞたたいてください。

 

  加賀美構成員

この自律って立つ方でいいんでしょ、これ単なる保障ですからね。律のほうにあえてしたんですか。

 

  奥山座長

立つほうには律も入るということで立つでいいです。

 

  松本座長代理

どちらにしても奥山先生の用語に従っていますので。

 

  奥山座長

すみません私が間違ったんです。あの自立の中には律する方の律も、律する方の律ができていないと立つほうの立に行かないと考えれば立つ方の立が最終目標と考えています。

 

  松本座長代理

律するのほうが含まれるというのは大変大事な観点かと思いますので。

 

  奥山座長

いかがですか。はい。

 

  藤林構成員

「継続的に」という法文の中の言葉のイメージと、奥山先生の説明のところでお聞きしたいんですけれども。法文にある継続的にというのはコンティニュアスということであって、ここには多分パーマネントという概念は含まれていないんではないかと思うんですけれども。要するに家庭環境の中で継続的に養育されるといっても、「家庭養育」というのはやっぱりトランジェントです。養子縁組の場合は、そこにはパーマネント、「恒久的に」「永続的に」養育されるという概念なので、この法文の中の「継続的に」は「パーマネント」の概念は部分的にしか入っていないんじゃないかと思っているんですね、ということを確認したい。

で、議論すべき事項2のこの『「継続的に」の担保の在り方』の意味というのは、里親等の永続的でない関係性の場合、措置が終了したのちの継続的な関係をどのように担保していくのか、という意味なのかなと思ったんですけれども。それと7の「継続的に」ではないというところは確かにそうなんですけれども、施設ケアと家庭養育との切れ目のない継続性というところが重要なのかなと思うんですけれども、その辺がちょっと引っかかっているんですけれどもまた皆さんのご意見を。

 

  奥山座長

はい、私も本当は永続的にでもいいのだと思うんですが、ここが法律上「継続的に」になってしまったので、まあ仕方ないかなと思っていたのですが。

 

  藤林構成員

そういうのもまた今後この検討会で議論していただいて。

 

  奥山座長

はい、相澤先生。

 

  相澤構成員

一点は社会的養護の方で移行期のケアをどうするべきかというのは、検討した方がいいと思います。やはり措置変更なり施設入所なり、その時どのように違う場所から施設入所していくのか。子どもに非常にダメージを与えますので。移行期のケアを項目として入れていただきたいと思います。

それから今厚生労働省の方で「新しい時代に対応した福祉の提供ビジョン」という考え方があって、要するに高齢者も障害者も子どもも包括的なケアをしていこうという考え方がありますけれども、例えば児童虐待防止法ができたのは平成 12 年でございますけれども、その後に高齢者虐待防止法が 17 年、障害者虐待防止法が 23 年と。家庭の中で高齢者虐待とか障害者虐待があるわけで、子どもへの影響は多大なわけでございまして、そういう意味で家庭に関与した包括的なケアというようなことも社会的養護のことを考えると、今の厚労省の新しい福祉の提供ビジョンについても検討してもいいのではないかと個人的には思います。以上です。

 

  奥山座長

ありがとうございました。先ほど継続的にか永続的にかといった問題が議論になっていたのですが、今の移行期ケアというのも継続的ケアということを考えたら当然非常に必要になってくるんだろうと思います。はい、西澤先生。

 

  西澤構成員

はい、西澤です。その話は一つですが、その前にその「自立」って文字を奥山先生間違えたっておっしゃいましたけど、両方とも入れておいた方が良い気がするんですよ。セルフコントロールとインデペンデンス、両方入れておかないと自立のための養育って言ってみんな例えば小学生に皿洗いさせたりとかやっているわけなので、そういうのを排除していくっていう意味でも自立の中心はそのセルフコントロール、自分をコントロールする力の養成だという観点からすればどっちとも入れたほうが私は良いような気がします。誤植ではないだろう、と。無意識の誤植だと。もうひとつパーマネンシ—に関してなんですけど、確かにこの前の委員会での議論で永続的っていう言葉を使って、でも永続的ってそれは意味合い重たいですよね。そうした経過で、「継続的」っていう言葉がでてきたと思います。だからこっちこの委員会で意味するところは、永続性というパーマネンシ—だと思うんですよ。これは林先生は専門でいらっしゃると思うので、専門外の人間が言うべきじゃないのかもしれませんけど、パーマネンシ—プランニングっていうのが欧米というかアメリカで強調されるようになった背景っていうのが場当たり的な措置変更を防ごうと、だからその子が社会的養育からリーブするまでのそのプランを最初から立てましょうと。いわゆるだから必ずしもひとつの施設でやるというわけではないわけですよね。例えばそれこそ治療型の施設に子どもが三年間くらいはそこで問題行動の解決を目指して、でその後は里親養育に移行してみたいなのを予めその立てるというのをパーマネンシ—プランと呼んだんで、永続的ではないんですね。計画的プランなんですよむしろ。というのは私の理解ですので、そういう意味でパーマネンシ—を永続性と訳すなんてやはりちょっと間違っているとは思うんです。ただイギリスとアメリカが違うといわれれば、私が知っているのはアメリカだけですが。

 

  奥山座長

ありがとうございました。林先生いかがでしょうか。

 

  林構成員

ひとつ、ちょっと今の議論とは別に、じゃあその養子縁組と長期里親を含めてどう区別をしていくかといったときに、そのリーガルパーマネンシ—という考え方を措置の優先順位の中に入れていくのかいかないのか、今までの議論だとどうしてもその家庭養護でいいじゃないかというところ、じゃあそこを長期里親と養子縁組をどう差別化していって、特にその幼児以降の養子縁組、あるいは長期里親、あいまいな部分も含めて我々はどう考えていくのか、リーガルパーマネンシ—まで含めてパーマネンシ—ということを考えるのか、考えないのか、ということがやはり重要かなと。子どもの永続性と言うのは、子どもの立場から考えたときにその原則的な成長の発達を保障するそのために一貫した養育者がある程度必要だという。まあその子どもの立場から考えることが重要かなとは思うんですけれど。

 

  奥山座長

ありがとうございました。藤林先生。

 

  藤林構成員

林先生の見解を聞きたいのですけれども、私の考えているパーマネンシ—はやはりリーガルパーマネンシ—です。措置解除後も続く、親子関係というか、どちらかというとイギリス的かもしれませんし、イギリスかアメリカかは良く分かりませんが、国連ガイドラインで使われている「パーマネンシ—」はそちらの意味と思っています。それとロングタームフォスターケアというものもあるわけなので、それと特別養子縁組との違いというものはどうなのかということが今後の議論なのかなというふうに思います。

 

  西澤構成員

ちょっといいですか、それに関連する、今後だからそれを議論して詰めていきたいなと思うんですが、なぜその国連がですね、最初は里親を推進してそのうちに養子縁組に転換したかっていうところをしっかりみつめておかないと、あれはやはりタクティクスなので。子ども福祉のための里親っていうものを確立したうえで養子縁組に移行しない。養子縁組にいきなり行っちゃうと親のニーズ子どもを育てたい、子どもがいない、補完したい、そういうニーズになんていうのかな、子ども福祉のためではない養子が先行しちゃうっていうのが、私は国連の議論だったと思いますので、その辺もしっかりちょっと話しをしとかないとまずいかもしれません。

 

  藤林構成員

ですから、今回のこの特別養子縁組は、児童福祉の中に位置付ける、当然それは前提として。

 

  奥山座長

今のお話しを少し座長なりにまとめさせていただくと、林先生がおっしゃったように、子ども側のニーズに立った継続性というのをどう考えるかという中で、例えば最終的にはリーガルパーマネンシーとおっしゃいましたけれども、例えば養子縁組、特別養子縁組とかというのは一番こっち側に置いといたらば、その対極に一時保護があり、その間にいろいろあるわけですよね、それをどういう形でそれぞれのところを頭に入れながら継続性を考えたソーシャルワークができているか、ということが非常に重要なのではないかと思います。場当たり的に里親さんに1~2年よろしくお願いしますみたいな形で預けて子どもには何も言ってなくて子どもはすぐどっかに行かされるんじゃないかと思いつつ里親のところにいるみたいなことは結構起きているので、やはりこの継続性ということを考えることの重要性ということは明確に打ち出していく必要があると思います。先ほど西澤先生がおっしゃったように、こういうアセスメントをしてこの期間はここで生活して、こういうふうになったらこっちへ行くんだよとみたいなことを子ども達に告げられていないということがほとんどなので、やはりそういうことも含めて継続性ということを議論することが必要なのではないかというふうに思います。いかがでしょうか。はい、伊達先生。

 

  伊達構成員

旭児童ホームの伊達です。今の議論ですけれども、構成員になるに先立って専門委員会の議事録を読ませていただきましたが、いわゆる昔我々が考えた社会的養護というふうな時代からですねやはり 1990 年あるいは 2000 年に変わるあたりから児童虐待対応というふうなことが一番大きな課題になってそれをベースにして今動いているだろうと思うんですね。そうすると松本先生のおっしゃっていたように介入後の一連のその流れみたいなものに対してうまく対応できていないというのが一番大きな問題であって、その対応する過程をどういうふうにうまくそれこそパーマネンシーを考えて作り出していくかというふうなことの議論が一番今大事なんだろうと思います。その中に児童養護施設も勿論入りますし、里親さんも入りますし児童相談所も入ると。ただ、現実的にはその量が圧倒的に多いものですから、とにかくよくわからなくて保護をしなくちゃいけないということでまずその保護から始まってしまっている。そして慌ててどこか空いているところの施設に入れると。そういうことの繰り返し繰り返しがずっと続いているわけですね。で、決して今はいい状態にはなっていないわけですけれども、その問題がどういうふうに解決少しでもできるのかなということがこの検討委員会の大きなテーマになっていくんじゃないかということで私の方は基本姿勢としてそういうところから発言をさせてもらえればというふうに考えています。

 

  奥山座長

ありがとうございました。他にいかがでしょうか。はい上鹿渡先生。

 

  上鹿渡構成員

長野大学の上鹿渡と申します。今回からこの検討会に参加させていただくことになりました。今議論になったところなのですが、奥山先生が出してくださった2ページの社会的養護に関して議論すべき事項というところをざっと見ますと、改正児童福祉法の内容に全て関わることなんですね。児童福祉施設のことが書いてあるわけですけれども、家庭養護、児童福祉施設も含めて変わっていく必要があるということが明確に書かれているのかなと思います。里親が変わっていかなければならないこともありますし、養子縁組もまた変わっていかなければならないところもあって、その中の1つが今議論になった長期里親と養子縁組の違いというところです。これまで現場レベルでも混乱のあったようなところだと思うのですが、そういったところをどういったものが養子縁組でどういったものが里親かといったことを明確にしていく必要があると思います。もう一つ施設養護が変わっていくというところも非常に重要な点だと思います。この施設養護が特にこの8ですね。私は現在施設養護の現場ともかかわりを持ち、さらに里親やファミリーホームの方々とも関わりがある中で、今回の児童福祉法の改正を受けて、それぞれがどのように変わっていけるかということをいつも考えています。特に現在社会的養護の中で主たるケア提供者となっている施設がどう変われるか、8に書いてあるわけですけれども、これについてこれからしっかりこの会の中でも提示していきたいと思っています。

もうひとつ、林先生が出してくださった自立に関するところにも関連する部分なんですけれども、今回大臣からも提示がされましたが、社会的養護の課題と将来像の全面的な見直し、しかもこの根源的な議論をしてくださいという中で、当事者の方から是非話を聞ける場をこの検討会で設けることができたらなということを思います。児童精神科医ということで日ごろ子どもの問題行動や精神症状を、大人としてどう理解するのかということ、子どもの声の代弁を自分の役割と考えているわけですけれども、それにしてもやはり当事者が語るものにはかなわないところがあります。昨日も子どもの家庭養育推進官民協議会の研修会で沢山の長年実践している方々からのお話があった中で、当事者の方も語ってくださったのですが、その内容に非常に感銘を受けて、私自身今まで理解していたことが少しちょっと違っていたということを経験もしましたので、この会でも特に自立に関連するところについては当事者の方から早い段階がいいのか後がいいのか、両方がいいのかもしれないのですが意見を聞く機会を持てたらいいなと思っております。以上です。

 

  奥山座長

ありがとうございました。他には。はい、林先生。

 

  林構成員

新たな子ども家庭福祉の家庭というその言葉の意味するところ、あるいはその政治的というか政策的に家庭が強調されるような風潮、そういうことを含めて社会的養護の専門委員会で意見を言わせていただいたんですけれども、やはりその奥山先生の作っていただいたものもあるいは児童福祉法の条文自体もその児童の保護者を支援しなければならないという家庭を支援するという視点ですね。(1)が家庭支援で始まっているわけですね、で奥山先生のレジュメのその(1)の1の下から二つ目に社会的養護との連続性っていうことを挙げられています。やはり欧米オセアニア諸国に比べて相対的にやはりその子ども人口比に占める社会的養護措置率は極めて低いわけですね、で多くの子ども達は在宅での生活を強いられている。でもその保護者自体が養育に対してもインボランタリーであり、あるいはその援助に対してもインボランタリーであるっていうそういう家庭への関わり、グレーゾーンであり、じゃあ引き離して施設措置か里親措置かというとそうでもないその間での対応ということを考えたときに、やはりその子ども及び保護者双方を支援しなければならないであるべきだし、そういう子どもの視点と立場からそのサービスを組み替えていく、必要があるかと思います。子育て支援を子どもの立場から考えていくという視点で考えると、家庭があてにならないその在宅ケアと社会的養護は管轄行政が異なる中でそこにやはり溝ができるわけですね。そしてその溝への対応というのが大きなテーマで家庭があてにならない子どもへのケアという考え方で再構成していただけないかなというふうに感じました。

 

  奥山座長

ありがとうございます。非常に重要な視点で子ども中心に考えるということが大前提。この検討会の大前提だと思いますのでそこは貫いていきたいと思います。ひとつだけ、今おっしゃったそこの真ん中に書いてある在宅措置というのは前の専門委員会の方で考えられた枠でして、それが何かというとさっきお話しが出てきたその支援にのらない家庭に対して児童相談所が司指導という形で枠組みをはめる。だけれど支援そのものは地域で市町村が支援ができるような枠組みを作って、そのなかなか支援にのらない家庭にも支援をする方法として考えられました。それは、最終的には家庭がブロックしていても、子どものために支援が必要という考え方であったということを付け加えさせていただければと思います。いかがでしょうか。はい、塩田先生。

 

  塩田構成員

救世軍世光寮の塩田です。私も家庭養育であろうと家庭的養育であろうと、子ども達が生きる力を持つまで育て上げられることがやはり大事だと思っていますし、そのために奥山先生がまとめられたこの議論されている社会的養護の8については本当にきちんと作り上げていかなくてはいけないなと思っております。

また、この新たな社会的養護の課題と将来像の計画によって随分施設が小規模化してきてはいるのですけれども、児童養護施設は小規模化できてもまだ個別化はできていないという問題もありますし、よりよい支援が施設で提供できているかというと、その専門性を持ってこういうケアを提供しますまでは到底行きついていないという状況もありますので、専門性を整備していかなくてはいけないなということと、先ほど相澤先生がおっしゃっていた私達もその既存の施設の在り方の枠で考えるのではなく、私は北欧の特にノルウェーの施設がやっているようなファミリーホームと施設の間くらいの施設のあり方も考えながらそういうところのアイデアを取り入れて作っていけたらなと考えております。以上です。

 

  奥山座長

ありがとうございました。他にどなたかおられますでしょうか。はい、相澤先生。

 

  相澤構成員

移行期のケアについても継続性の担保もその通りなんですけれども、施設の中で養育者と養育者が変わるみたいなことが頻繁に行われるこれも子どもにとってはダメージがあるので、私はそういう意味も含めてお話しをさせていただきたいと思っているのが1点です。

それから継続性ということを考えますと、どのように自立支援するのかいかに家庭復帰をするかですね。スモールステップシステムでそういう継続性のある支援が担保できるのか、そういうシステムをきちんと構築していくということが必要ではないかというふうに思います。

 

  奥山座長

ありがとうございました。はい、伊達先生。

 

  伊達構成員

あの課題と将来像を作った時にですね、問題点をいくつかあるだろうなというふうなことで議論をしていた時期がありましたけれども、要するに課題と将来像で三分の一、三分の一、三分の一にこう分ければ済んでしまうということではなくてですね、あの要するになぜ見直さなくちゃいけないかっていうことを考えたときに子ども達の養育環境の話だけではなくて、同時にその虐待の問題対応から始まるその対応過程の中で我々が一番今必要としているというのはそれをどういうふうに進行させていくかという、あの私これよくわからないので教えていただきたいんですけど、イギリスとか他の国の語句の中によく出てくる言葉としてゲートキーパーというふうな言い方をしますよね、要するにどういうふうにうまい具合にそれがパーマネンシーになるようにチェックをしてかかるかとかそういう役割をとる部署というか、あるいは個人というか、専門家というか、なんかそういうものをこうひとつ想定をして進めていかないとこの議論というのはどういう形にしたら問題が収まるかというところにどうしても還元されてしまいますので、おそらくどこかひとつの場所に還元できない問題だと思いますから、そのゲートキーパーみたいな役割をこうどこがとっていってどういうふうにそれを作り上げたらいいかというようなことも議論の中に入れていただければというふうに思いますが。

 

  奥山座長

ありがとうございました。アメリカにお詳しい西澤先生とイギリスにお詳しい林先生。

 

  西澤構成員

ゲートキーパーの議論はイギリスです。アメリカにはあまりない。

 

  奥山座長

はい、イギリスですか、いかがでしょうか。イギリスにお詳しいのは上鹿渡先生も詳しいですね。基本的にゲートキーパーって伊達先生がおっしゃっているのはそういう子どもがバラバラにあちこちが関わるのじゃなくて、きちんとそれを見据えたケアができるような人が必要でしょということでよろしいですかね。

 

  伊達構成員

あの日本で言えばどういう言い方できるかわかりませんけど、日本で言えば児童福祉司さんがもうちょっとこう少人数の子ども達を相手にするという、ケースとして少なくですね、例えば 20 ケースです。そのかわり、その永続的に継続的にずっとその子ども達に関わっていくというイメージでとらえているところがあるんですね。そうするとその役割をふってくるのがゲートキーパーの役割に近いのかなというふうにひとつは思いました。

 

  奥山座長

ありがとうございます。児童相談所ではそういうイメージはありますでしょうか。藤林先生。

 

  藤林構成員

それは当然ケースワーカーがずっと継続的に関わっていくわけなんですけれども、多分日本でもイギリスでも担当者は数年で変わってしまう問題はあるかとは思うんです。多くの児童相談所において在宅の子どものケースワークも、入所措置している子どものケースワークも、同じ担当児童福祉司がするので、どうしても在宅の方に手をとられて施設の方があまり関われていないというのは現状かなと思うんです。けれども、そこの児童相談所のソーシャルワークの専門性とかもあります。イギリスなんかは、措置後のソーシャルワークの専門性を持っているんですけれども、そういうことが必要かどうかということも今後議論する必要があるとは思うんです。

 

  奥山座長

ありがとうございます。そういう意味でも子どもの側から全体を見据えた形でシステムを考えなければいけない。おそらく、「課題と将来像」のときには社会的養護ということに限ったということもあるんだと思いますけれども、施設それぞれの課題と将来像というところが非常に大きかったというふうに思いますし、施設側から見ている、あるいはサービス提供側から見ている部分が多いと思いますので、ぜひここでは子どもの側からという形でまとめていけるといいと思います。はい、加賀美先生。

 

  加賀美構成員

そもそも論のような話になって恐縮なんですが、今回の法改正では何が狙いだったのだろうというようなことを振り返って考えると、まあ先ほどからも何回もお話しが出ていた子ども虐待問題から、社会的養育という話になったわけですけれども、子ども虐待の顕在増加が我々の想像以上に拡大していくだろうという想定はもう前からしてきているわけですけれども、そういう状況の中で日本の子どもの未来を社会構造の問題としてどうとらえていくのかということの中で結局マクロ施策的な転換をせまられてきたというふうに思っているわけです。そこで戦後から続いてきた保護を中心とした施策を転換しなきゃいけないだろう。そういう意味で改めて全ての子ども家庭を視野に入れた社会的養育という観点でそのマクロ施策を考えていく必要があると私は思っています。そういう意味で社会的養育というその広い意味で日本の子どもをどう将来の日本社会を担う人として育てていくのかという意味で考え、結局ポピュレーションアプローチの観点でもう一度見ながら、その中で社会的養護も含めて見直していくというそういう俯瞰をやっていくことがこの検討会の目的というか目標であるというふうに思っています。ということを、まあそもそも論みたいな話をして申し訳ないです。

 

  奥山座長

ありがとうございます。西澤先生。

 

  西澤構成員

さっきのゲートキーパーはアメリカにはないんですけれども、ソーシャルワーカーがその役割を果たしている。ただ日本がややこしいのは、ソーシャルワーカーの公務員性が高すぎるということです。アメリカの場合はソーシャルワーカーの専門職アイデンティティが強いので、一律の配置転換がないわけで、そこが日本と大きく異なる。いかに児童相談所のソーシャルワーカーの専門職アイデンティティを高める仕組みにするとか、配置転換の問題をどう扱うかということをうまく考えないとゲートキープは上手くいかないんじゃないかと思います。ごめんなさい、もうひとつだけいいですか。

 

  奥山座長

どうぞ。

 

  西澤構成員

あの多分施設養護の専門性に引っかかることだと思うんですけれども、ケースの話で申し訳ないんですけれども最近私が心理鑑定で関わっている 24 歳の女性を殺害した事件なんですが、この子は社会的養護の出身なんですね。2歳の時に施設に入って8歳まで施設で育って8歳から里親が育てています。それでいろいろ問題行動が多くて 16 歳で高校を退学して就職自立をします。その8年後に殺人事件を起こします。この子と鑑定面接をやっているのですが、この子の記憶が8歳以前全然ないんですよ。施設時代、おそらく、全く個として扱われていないから記憶ができなかったんだと思います。勿論1事例ですから、一般化はできませんが、その子の記憶が、里親家庭に移った8歳以降、徐々にはっきりしてくるんです。興味深いことだと私は思っています。自己って記憶の塊じゃないですか。それを個としての記憶が全く欠けてしまうような施設養育って一体何なんだと思います。公判前なので詳細なことは言えませんが、この子の殺人という行為は、明らかに社会的養護が生み出したものだと思います。というようなことを考えると、やはりここの専門性というのは本当に大変重要なことだし、それこそ個別化をどれだけ徹底していくかっていうことがとても重要だと思います。

 

  奥山座長

ありがとうございました。先ほど塩田先生の方からも小規模化はできても個別化ができていないというお話しがあったように、やはり枠組みのことばかりが議論されてきて、中身があまり議論されてこなかったっていうのがこれまでの中であったのかもしれない。あるいは議論はされていたけど充実してこなかったのかもしれないですけれども。そういう意味ではそういう個別化をどう図っていくかというのは非常に重要なポイントだろうというふうに思います。相澤先生。

 

  相澤構成員

そういう意味ではきちっとした記録ですよね。子どもが生まれてからずっとどういうふうに養育されたのか。子どもの知る権利を保障するためにも子どもについて回るきちっとした記録をどういうふうに確保していくかということはすごく重要だというふうに思いますので、それも継続性の確保の中に入ることだと思います。

 

  奥山座長

ありがとうございます。まあ記録をすると同時にその子にとっての関わりということが個別性を作っていくのかなと思いますので、関わりは特に重要なのではないかなというふうに思いますが。他にいかがでしょうか。はい。

 

  上鹿渡構成員

5分のなかで話そうと思っていたことを先ほどうまく説明できませんでしたので、もう一度お願いします。先ほどの8番のところです。施設の今後の在り方に関連して、家庭養護と施設養護の両方に関わっていると、見えてくるというか今後必要だと思いますのは、家庭養護における里親支援のための機関をどうやってこれから増やしていくのかということです。そこで役割を果たせる人材をどう確保していくのかという問題が一つあります。また、改正児童福祉法の最初にある実の家庭で生活し続けられるようにするための支援、たとえば虐待予防に関わる対応をどう展開し、増やしていくのかという課題もあると思います。一方で、施設養護においては改正児童福祉法の示すところに従えば、今後入所対象となる児童の数は絞られてくるのだと思います。施設ケアを提供するにあたっては、専門性を要する様々な問題を抱えた子どもにこれまで以上に対応できるよう、施設としてのケア水準を高めることも重要な課題だと思いますが、同時に先ほども説明したこれから増えてくる家庭養護の支援という役割を施設が本格的に担っていくことも必要なのだと思います。特に乳児院の中にはすでに里親支援を実践しているところも結構あるようですが、さらに本腰を入れて、本格的にこれに取り組む必要があると思います。施設で一人だけの里親支援員では家庭養護が本当に必要としているチームで取り組むような支援は不可能ではないかと思います。里親支援に関わる施設職員の方々に会ってお話を伺うと、実際どうしたらよいかわからないというような声を聴くことが多くありました。それは手法としてもわからないし、ひとりでどう取り組んだらよいのかもわからないということがあるかと思うのですが、そのあたりをしっかり対応できるように、もう少しシステムとして動かせるようなものを、これは施設が率先してそういったものを取り込んでこれからの新しい社会的養育システムの中でもこれまで施設の方々が担ってこられた本当に重要な役割を果たし続けられるような変化が今求められているのだと思います。施設でのケアという方法は変わるのですが、子どもに対しての成果としては、これまで以上に特に幼少の子どもについては家庭で育つことで利益を得られる、最善の利益を保障できるような取り組みが、施設の方自身が変わってくださることで可能になるのではないかと思います。以上です。

 

  奥山座長

ありがとうございます。包括的には里親支援あるいは里親養育ということに関しては非常に重要なテーマだと思いますので施設だけでできるものなのかどうか、ということも含めて検討していかなければならないというふうに思いますが。はい、林先生。

 

  林構成員

今の発言と関連でですね、奥山先生はフォスタリングエージェンシーに言及されています。これは以前の委員会でも出ていたと思います。先ほど児童相談所の職員がソーシャルワーカーとしてのアイデンティティを持っていない。やはり行政職員としてのアイデンティティは持っていてもソーシャルワーカーとしてのアイデンティティは持っていない。それがやっぱりその職に関する継続性とかあるいはその民間の強みを生かし切れていない日本の現状があるかなと思います。措置権を持つ行政がいかにその措置業務を含めて民間移譲できる体制を作っていくかっていうことと、里親委託の促進と非常にリンクしていると。それは欧米オセアニアを見ると明らかだと。私は里親支援機関事業と里親支援専門相談員の費用対効果を十分に検討して、里親支援機関事業からフォスタリングエージェンシーにどう転換していくかというその過渡期に今あるんじゃないかなという認識は持っています。だからそのあたりを含めてご検討いただけたらと。要するに分散化しているそのサービスをある程度集約化し、それから行政がきちっと措置業務も含めてそしてまたその民間の基盤を作るために財政的な措置をいかに効率的に行っていくかっていうことなしに、今後は里親委託っていうものは進まないんじゃないかなと思います。

 

  奥山座長

ありがとうございます。

 

  西澤構成員

今のに関連して、私の認識では里親支援専門相談員の配置は、いつものやり方で、施設のワーカーを増やすための名目として作られた職だと思います。ただ、委員会はその点を問題視し、ケアワーカーとの兼任を認めないことにした。その結果、いつものようにケアワーカーが兼任することができなくなった。一方で、里親支援としてどんな役割を果たせば良いのかが全く理解できていない「専門相談員」という人たちが生まれることになった。そういうふうな経緯で作られた職種なので、基本的には廃止するべきだと思います。そして、新たにフォスタリングエージェンシー、里親養育機関を立ち上げるべきだと思います。

 

  奥山座長

ありがとうございました。上鹿渡先生。

 

  上鹿渡構成員

イギリスでも 1970 年代それまで施設養護を主として提供してきたバーナードスやコーラムといった非常に大きな子どものケアを提供する非営利団体があったのですが、家庭養護推進の流れが強まる中で、様々な研究結果から物理的にはかなりよい状況に整えられたとしても、その子どもと養育者との関係性、個別のケアというところはなかなか実現できなかった場合、子どもの発達に影響が出ることがわかりました。施設養護提供者自身が研究者と連携し、自身のケアの子どもへの影響や成果を確認し、その上でそれを子どもにとっての最善を求めて変えていくという取り組みがなされました。結局今も英国では(小規模)施設でのケアは残っています。それは施設でのケアを必要とする子どももいるので、それはそれで対応できる形をきちんと残しているわけです。しかしその多くは、家庭養護、里親養育、養子縁組、そして実の家庭への支援、つまり予防的な支援も含めて提供するような組織に変わっていったという歴史があります。、私はこのことを知ったときに、今まさに日本がそのような状況に差し掛かっているように思いました。これまで施設養護のなかで大切にされてきた人材、子どもに真剣に本気で関われる方が施設にはたくさんいらっしゃると改めて思います。その方々がイギリスで起きたような変化、つまり施設でのケアを限られたものとして、または特別な困難に対応する特殊なケアを提供するものとして役割を変えていくのだと思います。また一方で、それまでの施設でのケアにだけ頼るのではなく、里親の下での子どもの養育をコーディネートするようになっていくことも考えられます。その際にエージェンシーになったり、別の支援の仕方で展開していくような形で、施設が変わっていくことが重要だと思います。おそらく施設の中だけでは変われないし、地域の中でもいくつかの施設や里親さん、自治体も含めての話し合いを持ち、今後もしっかりと見通しが持てないとなかなかその方向に向かうことができないと思います。このような変化を期待できる時期に今差し掛かっていると思います。すでに施設のかたがたにこのような話をしました。また、里親の集まりでも同様の話をしました。変わらなければならないのは施設だけではありません。昨日は子どもの家庭養育推進官民協議会でもこのような話をしました。この検討会でも、さらに具体的に前向きに議論、検討させていただけたらと思っております。またこの辺りの議論になった際にもう少し詳しくお話しできたらと思います。

 

  奥山座長

ありがとうございました。私がその5分間というのをみなさんに伝わっていたというのを見落としていまして、5分間の意見を用意してきたので言いたいという方おられますか。よろしいでしょうか。では、みなさんの5分間の気持ちはそれなりに少し吐き出せたと考えて今日の議論はここまでにしたいと思います。議論の中で方向性がかなり見えてきたと思います。子どもを中心にして継続を考えてその上でどういうシステムが必要なのか。それもポピュレーションアプローチから社会的養護までのシステムであり、子どもにとってはそれが行ったり来たりのその継続性ということも含めてですね。で、そういうところ全体を考えることを軸にしながら次回からは少しずつ議論を組み立てていければと思っています。

それぞれが、例えばイギリスのことを私は知っているとか、こういうシステムなんだよ、とかっていろいろな話が出てきたので、できればですね、そういうあたりを資料としてお作りいただけるとみんながもう少し共有できるのではないかと思うので、その辺も是非お願いをしたいと思います。

 

  松本座長代理

一点こうゲートキーパーの話から継続性とか永続性のこともそうですけど、やはりソーシャルワークの観点をきちっと入れていくといいますか、ソーシャルワークの機能を強化していくということがなしにそれはできないんだろうと思うんですね。伊達先生がおっしゃったようにつまりその一連の流れをどうするのかという風な観点からもうちょっとサービスを組み替えていくということは、基本的にはソーシャルワーカーがきちっと機能するということが必要でしょうし、もうひとつはそれはもうちょっと子どもの権利の観点からそれを組み替えていくというような。これまでの考え方を変えた形で子ども中心のソーシャルワークというふうに展開していくのか。それができるには制度的な基盤をどう作っていくのかということだと思います。それでその議論のポイントの所にどう入れたらいいのかですけれども、継続性の担保、仕組みというふうなところは、仕組みの構築という中にソーシャルワーク機能の強化、これが議論だと思いますけれども、そういう点は意識をするように文言としてもどこかに入れていただくというようなことがあると少し議論の構築ができるかなというふうに思います。

 

  奥山座長

ありがとうございました。 

 

  加賀美構成員

今のお話しであれば、3番の新たな社会的養育の構築というところの1を新たな子ども家庭ソーシャルワークシステムを形成していくっていうようなイメージを明確にしたほうがいいんじゃないですか。

 

  松本座長代理

そのことと現場での子どもとのケアは連動するんだというようなことがとても大事なことだと思います。すみません。

 

  奥山座長

ありがとうございました。皆さんにたたいていただきましたので、たたいていただいたものをもう少しまとめて次回までにメール等で次回この部分をやるというようなことを提示をさせていただければと思います。

一つ課題が残っております。先ほど当事者のヒアリングをしたいというお話しがでてまいりましたけれども、当事者に限らずこの分野に実際に関わっている方、団体等のヒアリングをしていきたいと考えております。事務局の方に、そのヒアリングの計画をおつくりいただきたいと思いますし、皆様の方から先ほどのように当事者であるとか、特にこういう方のお話しはどうだろうかというのがあったら事務局の方までご連絡をいただけますでしょうか。それによってヒアリングを組み立てていきたいと思います。よろしいでしょうか。はい。

 

  藤林構成員

ちょっと質問になってしまうかもしれませんけど、この検討会のスピード感というか大体いつまでにどれくらいの回数で開催されていくのかというところはいかがでしょうか。

 

  奥山座長

事務局の方いかがでしょうか。

 

  山本内閣官房審議官

大体見通しとしては月一回程度を考えてございます。後程奥山座長からお話しあるかと思いますけれども、8月は会議自体はお休みさせていただきます。皆様からお寄せいただきましたヒアリングの要望、ヒアリングの観点を整理いたしましてヒアリング日程はなるべく早い段階で入れさせていただいてもよろしいかと思います。それは調整しながらまたお知らせをさせていただきます。それでこの検討会は全体の議論を鳥瞰してみていくということでありまして、他の検討会の進捗も見ながら議論していただく必要もございますのでそういう意味では年度内いっぱいはお集まりいただき、ご議論をいただく必要があるのではないかと考えております。また積み残しがございましたらそれ以降も開催する必要があるかというふうに考えてございます。

 

  奥山座長

今日非常に大きな構想の議論を頂きましたが、どういうふうに議論していくかということを考えなければなりません。現実問題として法律が改正され施行に向けて作っていかなければならないものもあります。それをワーキングでやりつつ、まとめつつ、進めるという課題がありますので、非常に難しいんですけれど、大きな像を考えつつここを施行後すぐにやることをまとめるようなことも出てくるのではないかなと思います。そういう形で今日のお話しでかなり大きな方向性というものは見えてきたように思いますので、それをベースにして、そこを常に頭に置きながら、例えば法改正から施行に向けての通知としてどんなものが出ていく必要があるかという細かいところまで見ていかなければいけないと思います。よろしいでしょうか。事務局の方もよろしいでしょうか。

はい、では今日はお忙しいなかお集まりいただいてありがとうございました。次回等に関しては事務局の方から9月を予定しているとお話しがありました。では次回以降も活発なご討議お願いしたいと思います。どうもありがとうございました。


(了)

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