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2016年8月3日 第一回在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ
医政局
○日時
平成28年8月3日(水)10:00~12:00
○場所
三田共用会議所大会議室(3階)
東京都港区三田二丁目1番8号
○議事
○桑木室長補佐 定刻より少し早いですが、構成員の皆様おそろいですので、始めさせていただきます。ただいまから、第1回「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ」を開催させていただきます。
構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
議事に入ります前に、本来であれば構成員の皆様方の御紹介と事務局の紹介をさせていただくところですが、時間の関係上、座席表及び構成員名簿の配付をもって紹介にかえさせていただきます。
また、本日は、新田國夫構成員から欠席との御連絡をいただいております。
初めに、お手元の資料の確認をさせていただきます。お手元に、議事次第、座席表、構成員名簿のほか資料1~3、参考資料までをお配りしております。不足がございましたら、事務局の方までお知らせください。
続きまして、本ワーキンググループの座長についてでございます。親会であります「医療計画の見直し等に関する検討会」の開催要綱にありますとおり、そのほか必要な事項は、座長が定めることとしております。検討会の遠藤座長より、本ワーキンググループの座長について、田中滋構成員にお願いしたいとのことです。よろしくお願いいたします。
報道の方で、冒頭カメラ撮りをされている方がございましたら、ここまででお願いします。
(冒頭カメラ撮り終了)
○田中座長 座長を務めさせていただく田中でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
医療・介護連携は、まさに昔から重要でしたが、今後ますます重要になります。介護側も疾患管理がわかるようにならないといけない時代ですし、医療側も生活がわからないといけない時代です。つまり、医療と介護は別々のものではなく、一体として提供されることが大切です。そういう時代の中で、このワーキングは回数は少ないですが、とても重要なテーマを担っています。御専門の立場からの積極的な発言をお願いいたします。
では、早速ですが、議事に入ります。
本日は、まず事務局の資料に基づいて議論を行ってまいります。事務局から資料の説明をお願いします。
○伯野医師確保等地域医療対策室長
まず、資料1「在宅医療と介護の整合性について」という資料を御覧いただければと思います。
1ページで「(1)在宅医療を受ける患者数の今後の動向」についてでございます。
2ページを御覧いただきまして、地域医療構想では、こちらにございますとおり、療養病床の患者さんなど、慢性期機能の医療需要と医療機関以外において提供される在宅医療等の患者さんの数を一体的に推計しているところでございます。
次の3ページを御覧いただければと思います。療養病床の中で医療区分1の患者さんの70%や地域差解消、一般病床の中でC3未満の医療が行われている方々については、右下にございますとおり、約30万人分でございますが、在宅医療等で対応ということになっておりますが、当然、在宅医療だけではなく、介護施設や外来等を含んでの対応ということになります。ただ、一定程度、在宅医療の需要も今後増加することが想定されているところでございます。
また、次の4ページを御覧いただきまして、先ほど申し上げました約30万人の内数以外にも、この右上の方にございますが、マル4の「現時点で訪問診療を受けている患者数」も、今後の高齢化によって訪問診療が必要な患者さんの数は増加していきますので、そうした需要に応じて在宅医療の提供体制の整備をしていく必要がございます。
次の5ページ以降が「(2)在宅医療と介護保険サービス等との関係」でございます。
6ページを御覧いただきまして、こちらは介護保険施設・高齢者向けの集合住宅と診療報酬との関係で、訪問診療料の対象はこちらのオレンジのところの施設となっておりまして、逆に介護保険施設3施設については対象となっていないということがございます。
在宅医療を受けている人が特養に入ることもございますし、また逆に老健にいた方が自宅に帰って在宅医療を受けることもございます。こうした介護施設の提供体制と在宅医療というものは一連の流れの中で相互を補完する関係にございます。
次の7ページを御覧いただければと思います。介護保険事業計画についてでございます。こちらは御承知のとおり、市町村は3年間を1期として、この期間に必要な介護サービス量を見込んで保険料を設定しております。例えば地域密着型の特養など、施設整備についても、この計画に基づいて進めているところでございます。
8ページを御覧いただければと思います。介護保険施設、高齢者向けの施設の定員数の経年的な変化でございますが、先ほど申し上げた特養については経年的に増加しております。
次の9ページを御覧いただきまして、第3の矢で介護離職ゼロをうたっておりまして、これまでの計画に加えて、約12万人分の在宅施設サービス等の前倒し、上乗せ整備を予定しているところでございますので、在宅医療の提供体制というものはこうした介護施設の整備と整合性を持って進めていく必要がございます。
10ページを御覧いただければと思います。在宅医療の提供体制と密接な関係があると考えられる、介護保険施設等の病床定員数を都道府県別に65歳以上の人口で割ったものでございます。これは既に検討会の方で出させていただいている資料でございますが、最大の鹿児島県と最小の東京都では全体で約2倍の差があるという状況ですので、地域別に考えていく必要がございます。
次の11ページで「(3)医療計画における在宅医療の目標」についてでございます。
12ページを御覧いただければと思います。現行の医療計画における指標でございますが、都道府県によって指標の設定というものはさまざまで、特に在宅療養支援診療所など、ストラクチャーに関する指標が多いという実態がございます。
右の方を見ていただきますと、目標の設定についてで、これについては単に「増加」とか、あるいは下から2番目にございますが、圏域ごとに最低1カ所は整備しましょうといった目標設定が、ニーズを把握した上で設定しているものではなく、少し根拠が薄いものが多いという指摘がございます。
次の13ページを御覧いただければと思います。論点整理でございます。
<現状と課題>で、2つ目の○にございますが、先ほど申し上げましたとおり、在宅医療と介護保険施設、特に特養というものは相互を補完する関係にございますので、在宅医療サービスが必要な患者の需要は、介護保険施設等の定員数の動向等に応じて変化するという実態がございます。
また、3つ目にございますとおり、目標設定については、ニーズを把握した上ではなかなかできていないということもありまして、少し根拠も薄いという実態がございます。
<論点>で、医療計画を策定する都道府県と、介護保険事業計画を策定する市町村とが、お互いの整備方針を共有していくことが重要である。そのためには、介護サービスの整備目標と整合的な形で在宅医療の目標を設定する必要がありますし、また、そうしたニーズに対してどのような提供体制で対応するのか、都道府県の医療計画に考え方の記載を求めることとしてはどうか。
ただし、先ほど申し上げましたとおり、介護保険施設等の整備状況には地域差がございますので、そういったことを鑑みまして、一律の考え方を当てはめるのではなくて、都道府県と市町村が協議する場を設置して、それぞれの地域の実情に応じて検討していくこととしてはどうかとさせていただいております。
次に、14ページからが参考資料でございます。
15ページを御覧いただきまして、第2回の「医療計画の見直し等に関する検討会」におきまして、老人福祉圏域と二次医療圏が違う都道府県が5つあるということで、これらについてはワーキングで検討するということでしたので、これらの5県の状況がどういう状況か、調べさせていただきました。
16ページ、17ページでございます。例えば宮城県ですと、赤い囲みでございますが、2つの老人福祉圏域が1つの二次医療圏になっているという状況ですし、また、神奈川県を見ていただきますと、横浜のところについては3つの二次医療圏が1つの老人福祉圏域になっている。こういった状況でございますので、これらの圏域が全く不一致になっているということではなくて、お互い分割されているだけということですので、医療と介護の需要をお互い整合性を持って考えることについてはできるのではないかと考えております。
資料1の説明は以上でございます。
○田中座長 ありがとうございました。
まずは、今、資料1の説明がありました議題1「在宅医療と介護の整合性について」の議論を行います。説明のありました資料1をめぐって御質問や御意見があればお願いします。
鈴木構成員、よろしくお願いします。
○鈴木構成員 論点の13ページに沿って、幾つか質問も含めてお話をさせていただきたいと思います。
私は、医師会では介護保険が担当ですけれども、地元の県の地域医療構想調整会議に、県のものと地域のものと両方出させていただいています。その地域の方の調整会議では、医療機関の機能分化と連携の協議が進むにつれて、施設や在宅の高齢者の軽症から中等症の急性期に対応したり、あるいは在宅支援を行ったりする中小病院や有床診療所の位置づけが課題となっております。それらは日常生活圏域を中心とする地域包括ケアシステムの中で在宅医療や在宅介護、介護施設などのサービスと一体的に話し合う必要があると考えられます。
そこで質問ですが、この高齢者医療と介護、あるいは入院や施設と在宅が一体となった話し合いの結果、これは医療計画だけでもなく、介護保険事業計画だけでもないということになるのですが、これは何を根拠にして、その具体化をすればよいのでしょうか。
一方では、医療・介護総合確保促進会議があり、総合確保方針を年内に取りまとめるとのことですけれども、それが該当するのでしょうか。医療計画だけでもなく、介護保険事業計画だけでもない、地域包括ケアはその両者が一体となったものですが、事務局のお考えを伺いたいと思います。それが質問の1つ目です。
その際、療養病床に入院する医療区分1の患者の70%を在宅医療等で対応することになっているわけですが、現在までの地域医療構想の都道府県の状況を日医で集めましたところ、例えば宮城県では独自に調査をした結果、それが70%ではなくて約半数であるというように、都道府県によって差があり、かつ、都道府県内の地域によっても差があることが次第に明らかになってきています。
質問の2つ目ですが、在宅医療はそうした地域の実態・実情に応じて対応すべきと考えるのですが、70%ありきということなのかどうか、お考えを伺いたいと思います。
次に、現在全国的にサービス付き高齢者向け住宅が大幅に増加しています。このサ高住の実態は厚労省が十分把握し切れていないのではないかとも考えられるのですが、実際には多くの在宅医療や在宅介護サービスが提供されています。サ高住の整備目標は2025年までに60万戸ですが、現在までに20万戸以上が整備されており、さらに有料老人ホームと合わせますと100万戸にも達するということになり、それらの急速な整備により老健や特養に空床が生じている地域も出てきています。
在宅医療のニーズを把握するためには、それらの高齢者向け住宅の整備状況の把握も必須と考えますが、これについて、どのように対応するつもりなのか、事務局のお考えを伺いたいと思います。これが質問の3つ目です。
そして、在宅医療を担う医療機関として、在支診や在支病だけでなく、かかりつけ機能を持つ一般の診療所や中小病院も対象とすることはよいと思いますが、一人ひとりのかかりつけ医の負担を減らすためにも、在支診や在支病との連携が重要になります。
それから、協議の場とありますけれども、これには医療や介護を担う多くの関係者が参加する必要があると考えられます。実質的にその協議の場が機能するためには、どのレベルに設置をすることをお考えなのかを伺いたいと思います。これが4つ目です。
最後に、在宅医療・介護連携推進事業の8つの中に(オ)があり、その在宅医療・介護連携に関する相談支援を行うという機能とダブらないようにする必要があると思うのですが、それをどのようにお考えになっているのでしょうか。例えば二次医療圏も、大きさが100倍違いますので、小さな二次医療圏の中にはほとんど日常生活圏域と同じようなところもあると思いますが、その辺を含めてどのように理解したらよいのか、事務局のお考えを伺いたいと思います。
以上5点について、御回答をお願いいたします。
以上です。
○田中座長 では、事務局、5つの質問、いずれもなかなか難問ですが、お答えください。
○黒田医療介護連携政策課長 医療介護連携政策課長でございます。御質問のうち、第1点目についてお答え申し上げます。
先生のお話はまことにごもっともだと思います。このお話は現在、医療計画、それから、介護保険事業計画のひな形になる基本指針の検討がそれぞれ社会保障審議会の関係部会で進められております。その中でも特に連携の確保ということに関しましては、先生お話しいただきました総合確保会議、医療・介護総合確保法に基づきます会議において、年内にその連携の肝になる部分については方針を取りまとめて、それを医療計画及び介護保険事業計画のひな形である指針の中に反映させていただくことを予定しておりまして、現在、総合確保会議において議論中でございます。
そのような形で、エッセンスの部分はお示しをし、最終的にはそれぞれの法体系、医療法、介護保険法に基づく法体系に基づく計画の中にそのエッセンスが反映されるように検討を進めてまいりたいと思います。
以上でございます。
○田中座長 室長、お願いします。
○伯野医師確保等地域医療対策室長 多くの御質問をいただきました。
まず、2点目の医療区分1の70%の関係でございますが、地域医療構想の推計上、70%ということを使うことになっておりますので、その数字については各都道府県で、この数字を用いて使っていただくことになっています。
一方で、在宅医療の需要ということに関しては、先ほど申し上げましたとおり、地域によってかなり相互補完的な役割を果たす介護保険施設の整備状況というところもありますので、やはり各都道府県で考えていただく必要があると考えております。
ただ、国として何らかの大まかな考え方みたいなものは示した方がいいかもしれませんが、一方で、それを一律に当てはめて割り当てていくということよりは、各都道府県で検討していただくということが重要なのではないかと思っております。
3つ目で、サ高住等々、空床が多い状況になっているということでございます。在宅医療の提供体制を考えていく上では、そういった高齢者の集合住宅のようなものもしっかり把握して進めていくべきではないかということでございます。
資料2において、介護サービスの提供状況も把握しながらやっていった方がいいのではないかということを提案させていただいているところでございます。
4点目で、協議の場ということで、非常に多くの関係者がかかわるところであるので、どういった場を考えているのか。恐らくエリアのお話かと思います。
これについては、御意見をいただきたいと思っていますが、現在、市町村が地域支援事業で在宅医療・介護連携推進事業を進めることになっておりますので、それと同じ単位で行うと、役割が重複してしまいますので、例えば二次医療圏など少し広域で課題を把握して取り組むという視点が必要なのではないかと思っております。
あと、5点目の資料3の在宅医療・介護連携推進事業の(オ)の関係ですが、今は各市町村で取り組むという形でございます。実際、在宅医療連携拠点事業でやっていたときも人口7万人から10万人ぐらいの単位に1カ所という形ですので、おおむね市町村に1カ所ずつのような想定で進めていたものであると思っております。
一方で、今回の協議の場というものはもう少し広域的なところがよろしいのではないかと思っておりますが、そこも含めて御意見をいただければと思っております。
○田中座長 鈴木構成員、どうぞ。
○伯野医師確保等地域医療対策室長 田中座長、資料2、資料3もかなり相互に関係しますので、事務局の方から資料2、資料3も含めて最初に説明させていただいた方がよろしいでしょうか。
○田中座長 そうですね。
済みません。では、ちょっとお待ちいただいて、資料2、資料3を続けて説明してください。
○伯野医師確保等地域医療対策室長
それでは、資料2を御覧いただきまして、まず1ページを御覧いただければと思います。これは先ほどお示しさせていただきましたとおり、今後、在宅医療における患者さんの数は高齢化に伴って増加していくことが想定されております。
2ページですが、現在、医療計画には在宅医療の機能としまして4つの機能を掲げております。具体的には、こちらにございますが、マル1が退院支援、マル2が日常の療養支援、マル3が急変時の対応、マル4が看取りでございます。
3ページ、4ページで、現在、医療計画に記載することが求められている指標で、34の指標を提示しております。◎が必須指標でございますが、大半が先ほど示しました4つの機能全てに関連するものとして設定されておりまして、機能ごとの体制を評価する指標が少ないのが実態となっております。
また、先ほど申し上げました介護との整合性をとる必要がございますが、鈴木先生の方からもございましたが、介護サービスや在宅医療・介護連携に関する指標が少ないという課題があると思っております。
次に、5ページを御覧いただければと思います。各都道府県が実際にどのような目標設定をしているのかということでございますが、在宅療養支援診療所を増加させるという目標設定をしているところが47都道府県中24となっておりまして、一方で訪問診療、往診、看取りなど、個別の機能に着目した目標設定をしている都道府県もございますが、少ない状況でございます。
6ページを御覧いただければと思います。こちらが在宅医療サービスの機能ごとに、在支診か、それ以外かで診療所数を出しております。訪問診療を行っている診療所の中で在支診以外が約半数を占めておりますし、また、往診であれば約60%が在支診以外、看取りも約30%が在支診以外となっております。
また、一番下にございますとおり、在支診の届出数というものが約1万4,000ございまして、在支診であっても、それぞれ個別の機能を全て果たしているわけではないという実態がございます。
7ページを御覧いただければと思います。個別のサービス量で見たものでございますが、やはり在支診の役割が大変大きいというのがわかりますが、サービス量でも、例えば往診については約4割、看取りについても約2割が、在支診以外が提供しているという現状がございます。
次の8ページで、歯科診療所についてでございます。現在、指標としては左下にございますが、在宅療養支援歯科診療所の届出数が指標として設定されておりますが、同施設の届出数が約6,000でございますが、一方で右の方に、実際に歯科訪問診療を行っている歯科診療所は約1万施設ございます。
次に、9ページを御覧いただければと思います。薬局についてでございます。現在指標となっているのが左下にございます在宅患者訪問薬剤管理指導料の届出施設数で、これが約4万6,000ございます。一方で、実際にこの指導料を算定している薬局で、医療保険上での算定件数は3,598、介護保険上でのこの指導料は別の名称で、居宅療養管理指導費となりますが、この算定件数は1万1,020となっておりまして、届け出をしている施設数の方が圧倒的に多いという現状がございますので、そうではなく、実際に算定している薬局数を指標とすべきではないかというふうに思っております。
10ページを御覧いただければと思います。こちらは、先ほどの指導料について算定回数の経年的な変化でございます。特に介護保険による算定件数が伸びております。
11ページを御覧いただければと思います。論点を整理したものでございます。
<現状と課題>で、2つ目の○にございますとおり、在宅医療体制の現状把握の指標で、在宅療養支援診療所等のストラクチャー指標が多く、関係機関の医療機能に着目した指標が少ないという実態がございます。
次の○で、また、医療サービスに関する指標が中心で、介護サービスや、在宅医療と介護の連携の状況を把握する指標が少ないという実態がございます。
<論点>の方を御覧いただきまして、より実効的なものとするために、各医療機関等が実際に提供しているサービスの実績に着目した指標を充実させることが必要ではないか。
2点目でございますが、また、在宅医療と介護の連携に資するよう、介護サービスの整備状況や連携体制の状況を把握する指標を充実させることが必要ではないかとさせていただいています。
12ページ以降でございますが、参考資料として最近の在宅医療関係の診療報酬改定項目を幾つかピックアップさせていただきましたので、必要に応じて参考にしていただければと思います。
続いて、資料3を御覧いただければと思います。
めくっていただきまして、2ページを御覧いただければと思います。在宅医療・介護連携推進事業で、こちらにございますとおり、平成30年4月には全ての市町村で、こちらの(ア)~(ク)の全ての事業を実施する必要がございます。
3ページ以降が、それぞれの事業の概要でございます。
幾つかピックアップをさせていただきますと、まず5ページを御覧いただければと思います。「(ウ)切れ目のない在宅医療と在宅介護の提供体制の構築推進」でございます。下の方に「取組例」という形で具体的な取り組み例が書かれておりますが、例えば主治医・副主治医制の導入とか、向かって右側の方にございますが、急変時の診療医療機関の確保など、まさに在宅医療を進めていくための施策を実施することとなっております。
次に、7ページで「(オ)在宅医療・介護連携に関する相談支援」の関係でございます。こちらは地域の医療・介護関係者などからの相談に応じて、必要に応じて関係者の連携の調整等を行うもので、かなり専門的・技術的な内容となっているものでございます。
また、10ページを御覧ください。「(ク)在宅医療・介護連携に関する関係市区町村の連携」ということでございますが、同一の二次医療圏内にある市区町村が連携して、広域的な連携が必要な事項について協議するもので「留意事項」にございますとおり、市区町村の境界を超えて取り組みを実施することもありますので、都道府県や医師会等との協力が不可欠とされております。
11ページを御覧いただければと思います。それぞれの(ア)~(ク)の事業の市町村の取り組み状況でございます。例えば(ウ)とか(オ)など、医療との関係が特に深いところ、あるいはかなり専門的・技術的な対応が求められるようなところについては実施率が低い実態がございます。
12ページを御覧いただければと思います。こちらは地域医療構想ガイドラインの抜粋で、8の2つ目のポツにございますが、在宅医療・介護の連携を推進する事業については、都道府県の保険・医療担当部局及び介護・福祉担当部局による技術的支援などのさまざまな支援が必要と記載がございます。
次に、13ページを御覧いただければと思います。論点整理でございます。
<現状と課題>のところを御覧いただきまして、在宅医療・介護連携推進事業は、介護保険法の地域支援事業に位置づけられまして、平成30年度までに全ての市町村が実施することとなっております。
しかし、2番目の○にございますとおり、医療に関する取り組みについては、これまでは主に都道府県が担ってきましたので、地域の関係団体あるいは医療機関との連携が難しい場合もございます。
また、入退院時の連携など、複数の市区町村にまたがる広域連携の取り組みというものは、単独の市町村による取り組みは困難な場合もあるという実態もございます。
<論点>として、医療計画において、在宅医療・介護連携推進事業を「施策」の一つとして位置づけるとともに、都道府県による市区町村への支援を充実させていく必要があるのではないかとさせていただいております。
14ページからが効果的な施策の立案でございます。
15ページを御覧ください。在宅医療の充実に向けては、こちらにございますとおり、さまざまな取り組みが行われております。研修を行ったり、あるいは医師のグループ化を進めたり、住民に対する普及啓発を行ったりということで、さまざまな取り組みが各地域で行われているところでございます。
16ページを御覧いただければと思います。医療計画においてはPDCAをしっかり回すような記載がございます。具体的には、向かって左側から2番目にございますが、1番として現状の把握をして、2番で圏域の設定をして、例えば4番で課題を抽出して、原因を分析して、数値目標を立てて、課題・原因に応じた施策を実施して、評価をしていくということが記載されているところでございます。
次の17ページを御覧いただければと思います。圏域設定についてでございますが、圏域に関する記載がある都道府県というものが、こちらにございますとおり、20と限定的で、なかなかこうしたPDCAをしっかり回すような取り組みが行われていないのではないかと思われます。
次に、18ページを御覧いただければと思います。こちらは富山県の事例でございます。少し古いのですが、平成24年度に県内の全ての医療機関に調査を行いまして、向かって左側にございますが、在宅医療を実施していない医療機関に、なぜ実施しないのですかという理由を聞いたところ、スタッフがいない、不足している。時間的余裕がないとか、身体的な負担などが挙げられております。
また、向かって右側は全ての医療機関に、在宅医療を実施する上で現状不足しているものは何かと聞いておりますが、その結果としては、医師や急変時の受け入れ、訪問看護ステーションが不足しているということが挙げられておりまして、概ねまとめますと、右下にございますが、人材不足や業務負担が新規参入の最大の阻害因子であり、かつ事業を継続していく上での課題であることを確認したというものでございます。
次の19ページを御覧いただければと思います。そういった原因分析に基づいて、施策ということでこちらの取り組みを行っております。
まず、1番のマル1にございますが、負担軽減という観点から、郡市医師会全てに在宅医療支援センターというものを設置しまして、主治医・副主治医制などのグループ化を進めたということが1点目でございます。
マル2にございますが、後方支援体制の充実ということで後方支援病床の確保を行ったり、また、マル3にございますが、訪問看護ステーションの機能強化として財政支援を行ったりしております。
こうした取り組みにより、まずは新規参入の阻害因子を軽減した上で、2番にございますが、研修等を実施して、さらなる参入促進を行って、訪問診療を行っている診療所がふえている。右下に「施策の効果」というものがございますが、こういったアウトカムを出しているというものでございます。
次の20ページを御覧いただければと思います。在宅医療が進まない原因というのは、こちらの下の方にございますが、人材不足や負担。これは富山県の事例がそうであったと思いますが、そういったこと。あるいは右の方にございます、採算が合わないとか、左の方にございますが、経験がないので参入が心配とか、あるいは下にございますが、需要が減少している。これは人口減少で減少している場合もございます。それぞれ、要因によって取り組むべき対策というものは異なってくると思いますので、こうした要因分析をしていくことが必要であると考えております。
最後でございますが、21ページを御覧いただければと思います。
<論点>で、効果的な施策を立案するためには、地域の医療・介護資源の実情に応じた在宅医療の体制構築に係る圏域設定や、全国共通の指標の評価にとどまらない地域ごとの原因分析が重要であり、好事例の横展開などにより、積極的な取り組みを都道府県等に促すことが必要ではないかということで論点とさせていただいております。
資料の説明は以上になります。
○田中座長 説明ありがとうございました。相互に関連するので、一緒に説明していただきました。
議論も相互に関連するとは思うのですが、一応3つに分けて、現在、資料1について途中でしたが、鈴木構成員、どうぞ。
○鈴木構成員 先ほど御回答いただいたのですが、医療・介護総合確保促進会議から総合確保方針が出るというのですけれども、それが単なる基金の配分や医療計画と介護保険事業計画の積み上げで終わってしまうと実効性がないものになりますから、そこをどうするかをしっかり考えていただきたいと思います。
質問ですが、サ高住の整備計画はあるのですか。伯野室長に伺いたいのですけれども、お答えいただけますか。
○田中座長 介護保険計画課長、どうぞ。
○竹林介護保険計画課長 介護保険計画課長でございます。
いわゆるサ高住でも、介護サービスを必要としない方だけの入所の対象のものもありますので、完全には一致しませんけれども、少なくとも介護サービス、要介護者を入れていただくサ高住については介護保険法上も特定施設という取り扱いをしておりますので、そういうものにつきましては各自治体の、まさに各市町村の介護保険事業計画でも見込み量も設定し、それから、総量規制も働く仕組みになっておりまして、この資料1の8ページに書いてありますような統計の方でもサ高住あるいは有料老人ホームが書かれているところです。
確かに鈴木構成員がおっしゃるとおり、近年、ほかの介護保険の3施設に比べて、このサ高住とか有料老人ホーム、特にこれは要介護者の入っているものが非常にふえているところで、いろいろな要介護者の住まいの需要を考える際にも、従来の3施設だけではなくて、このあたりのサ高住や有料老人ホームの動向もちゃんと総合的に需要と供給のバランスをとっていかなければいけないというのは、問題意識としては持っております。
一応、仕組みとしては、今でもいわゆる総量規制、計画の必要数を超えたら指定をしないことができるという規定が働くようにはなっているのですけれども、やはり少し都道府県の方も、本当に今の真の需要を把握しているかどうかの自信が多分ないところもあると思います。最後の手段である、指定しないことができるという規定を働かせることにちゅうちょしているようなところもあると思います。
ですので、今、御案内のとおり、地域包括ケア見える化システムというものを順次整備していて、より地域の真の需要というものを、ほかの自治体との比較なども通じて、我が町にはどれぐらい、どういうサービスが必要なのかということの分析を用意する仕組みも整備しておりますので、そういったことも踏まえて、第7期以降の計画の中で、しっかりその辺についても考えていただくようにしていきたいと思っております。
以上です。
○鈴木構成員 お話はわかったのですけれども、全部が特定施設なのかどうかです。気がついてみたらもうできていたという場合も多く、在宅医療のニーズが結構ありますので、そこにかなりの在宅医療の資源が行ってしまって、本来の在宅医療が回り切れないという状況も起きているようです。それがはっきりしないと在宅医療のニーズが把握できないことになりますので、そこをしっかり見える化して、計画が立てられるようにしていただきたいと思います。
以上です。
○田中座長 ありがとうございます。
資料1の13ページに<現状と課題>と<論点>があります。これについての御意見、それから、資料1全体に関する質問で結構ですので、どうぞ。
越田構成員、お願いします。
○越田構成員 今、サービス付き高齢者住宅の話が出てまいりました。私は、市町村事業としての介護保険事業計画に携わったりもしているのですけれども、今回この会議に参加するにあたって「現在、金沢市のサ高住がどんな状況なのか。」ということを担当部局に聞いて回りました。ところが実態を把握しているのは、福祉部門ではなくて、都市整備部局の住宅政策課でした。すなわち、サ高住に関しては、施設開設を希望する際には、国交省の補助をいただくことになりますので、どちらかといいますと、福祉をスルーして、いきなり住宅政策課に相談に行き、担当課経由で、国から直に補助を受けるという仕組みになっています。ですので「気付いてみたらサ高住ができ上がっていた。」というのが実感であり、将に鈴木構成員がおっしゃるとおりの現状です。
そして、開設後の施設の監査とか定期報告などはどうしているのかと各課に尋ねて参りますと、福祉部局では「定期的にフォローするわけではない。何か事故があれば、同行調査に入る。」とのことでした。実は先日もあるサ高住のトイレの中で事故があったそうですが、そのような際には、介護保険課と住宅政策課の職員が合同で現地を見て、指導を行ったとのことでした。こういう体制では非常に危ういかなと思うのです。確かにカテゴリー上は“住居”であり、需要を見込んで、事業者が供給しているわけですが、住んでいらっしゃる方の安全を守るという意味でも、福祉部局が、もうちょっと踏み込まなくてはいけないのではないかなと改めて思いました。
実際には、金沢市にはサ高住が25か所ありまして、既に1,000室近く供給されている状況です。高齢者の住まいのスタイルとして、無視できないウエイトを占めており、まさに在宅医療の一端を担っているということです。入居の費用もそんなに高くはない。多分、厚生年金を受給されている方でしたら、お一人の年金で何とか賄えるぐらいの入居費用のところもありますので、要支援なり要介護1ぐらいでそこに入居され、介護度が上がっていっても、外付けの介護サービスを受けることで、介護保健施設とそんなに変わらないとなれば、住み慣れたサ高住にそのまま住み続けるということもあるようです。最近はサ高住で、看取りをするというところも出てきています。
決してこの様な現状全てが悪いと言っているわけではなくて、今後はこれを無視して、高齢者の方々の在宅医療の議論できないのではないかなと改めて思った次第です。
○田中座長 ありがとうございます。
中林構成員、お願いします。
○中林構成員 この13ページの論点の3つ目の件に関しまして、私、日本介護支援専門員協会の中林で、ケアマネジャーの立場で今、かかわらせていただいておりますのが、資料1の7ページの介護保険事業計画の中で、社会保障審議会の中で議論されているわけです。
これを見ますと、この<論点>に書かれていますように、これまで在宅医療に関する情報というものはこれまで、この介護保険事業計画の中にはなかなか情報として入ってこなかったわけですが、今後、この地域包括ケアシステムを構築していく上で、また、この論点、この3つの今回の議論に関しまして、相互事業であったり、また、市町村における主体的な事業展開をしていく上においては、ここに書かれております、より地域の実情に応じた計画。そして、医療と介護。座長の冒頭の御挨拶にもございましたように、医療の理解、そして、暮らしというベースをどのように、ここを強化しながら計画を立てていくか。
そういうことに関しましては、非常にこれを国レベルではなく、この7ページに書かれております介護保険事業計画の、市町村の主体的な、保険者としての計画の中に医療というものを連携、そして、後で出てきます在宅医療・介護連携推進事業にもありますように、そういったところでしっかりとこのような場を保険者レベルで設定していくことは非常に大事であると思います。
以上です。
○田中座長 ありがとうございました。
池端構成員、お願いします。
○池端構成員 日本慢性期医療協会の池端です。
私は施設系の立場から少しお話をさせていただきたいと思いますけれども、6ページの資料があります。ここで今回、1番は在宅医療と介護の整合性ということですが、当然、この認知症グループホームを始めとしてサ高住や各種老人ホーム等、図の右側の方が在宅患者訪問診療の対象になっていて、施設系は対象になっていないところです。しかし一方で、(地域包括ケア研究会座長の)田中先生がいらっしゃるのにおこがましいですけれども、地域包括ケアの中でも特別養護老人ホーム(特養)までは住まいのジャンルに入れていくのが一般的な考え方かと思います。
そうなりますと、今後、この図の左側の3つの施設系ですが、まず特別養護老人ホーム(特養)は住まいとなり、介護療養型医療施設については、御承知のとおり、今、あり方検討会等で議論されているところです。そこで医療療養病床も含めて医療区分1の7割というところのかなりの部分がひょっとしたら、新類型がもしでき上がれば、そこに移行する可能性が高い。そうなりますと、ここで大きく需要が変わってくるのではないか。その辺をどう捉えていくのか、あるいは今後、需要の推計の中に考えていくかどうかということを1点お聞きしたい。
もう一点は、看取りの問題も含めて、この介護施設3施設の中で、(現時点では廃止が決定している)介護療養型は置いておいて、老健、特養ですけれども、特に特養が住まいとなれば当然、そこで最後で看取るということも今後増やしていきたいという考え方が出てくるかと思いますが、現状では、一番下の※にありますように、末期のがん患者等に関しては一部、訪問看護、訪問診療が入れる形ですけれども、それ以外はいわゆる「みだり事項」といいますか、まだみだりに訪問診療などで他の医療機関の医師が診療してはいけないということになっているわけで、基本的に嘱託医が診なければいけない。ただ、この「看取り」までを全てずっと一人の嘱託医がやろうと思うと、非常に嘱託医への負担がかかり過ぎて、それが理由でなかなか特養での看取りの数が増えないということも、医師会等の会合で嘱託医の先生方からも出ています。
やはり特養を「住まい」と位置付けるのであれば、今まで自宅にいたときには、ずっと外来や訪問診療で診ていたかかりつけ医の先生が、特養に入所しても、そのまま定期的に診ていって、看取りまでやっていくという形ができる体制が今後必要なのではないかと個人的には考えています。その辺についてのお考えと、老人福祉法の中での嘱託医というものの位置づけ等の問題もあり、非常に難しい面もあるかと思いますけれども、お考えをお聞かせいただければと思います。
例えば、今、通所リハビリテーションなどでは、通所リハビリテーションの中で医師がかかわらなければいけない。この医師は、通所リハビリテーション中の利用者が、何か医療的な問題があったときにかかわる。ただ、主治医は別にほかにいるわけで、もし利用者の医療上の問題等何かあれば、その主治医に返すという形になっています。そんな形で、嘱託医と今まで在宅で診ていたかかりつけ医の先生が一緒になって特養の患者様を診ていくという形もあってもいいのかなと、今後のことを思い考えました。
以上2点、御質問させていただきたいと思います。お願いします。
○田中座長 新類型に関する御質問と、特養での看取りにおける外部からの医療の話でした。お答えください。
○伯野医師確保等地域医療対策室長 まず1点目の、在宅医療の需要を見込む上では、恐らく療養の新類型をどうするかというところと密接に関連するのではないかということでございます。おっしゃられるとおりであると思っております。こういった、ある程度、需要というものがどうなるかを把握する上では、新類型がどうなっていくのかということもあわせて考えていく必要があると思っております。
○竹林介護保険計画課長 老健局でも担当課がきょうは来ておりませんけれども、先生がおっしゃるとおり、特養に入っていらっしゃる方の医療的なニーズというものは高まりを見せておりますし、今後ますます亡くなる方がふえるということを考えていきますと、特養で看取りをされる方もふえていく。それに対応できる体制をとっていかなければいけないということはおっしゃるとおりであると思っています。
その上で、いろいろやはり原因もあって、施設は施設でサービスを完結するのが基本であるという考え方で、今は嘱託医の体制ということでさせていただいているわけですが、それで十分機能しているのかという御指摘であると思います。
そのあたりは、まず今、介護給付費分科会の方で、これは介護報酬を議論する分科会ですけれども、その研究事業といいますか、そういう幾つか介護報酬の効果であるとか、今後の課題について整理をするような研究事業をやっておりますが、その中の一つとして、そういう特別養護老人ホーム等の医療ケアのあり方、まずは実態をよく調べて、そこから次の議論をさせていただきたいと思っています。田中座長が分科会の方もしていただいておりますけれども、そのような、まず実態をしっかり調べてから議論をさせていただきたいと思っております。
以上です。
○田中座長 それでは、2に移りましょう。また思いついたら1つ目に戻っていただいても問題ありませんが、議題の2つ目の「在宅医療にかかる医療連携体制について」の議論を行います。資料2についての御質問、また、ここで提示された論点に関して御意見があればお願いいたします。
佐藤構成員、それから、鈴木構成員の順でお願いします。
○佐藤構成員 ありがとうございます。
在宅医療における医療連携体制に関する論点として2つ、実効的なものとするためのサービスの実績に関する指標という点と、在宅医療と介護の連携に資するための状況を把握する指標という2点の論点について、少し述べさせていただきたいと思います。
まず、歯科におきましては、在宅療養支援歯科診療所以外にも歯科診療所が実際に歯科訪問診療を行っているということは資料で示していただきました。やはり実績あるところのデータが重要視されるべきであると考えておりますので、これは実際に訪問診療を実施している歯科診療所の実績を含めて対象とすべきであると考えています。
また、2つ目の論点として、地域包括ケアのシステムの構築が進められている中で、やはり医科・歯科・調剤が相互に連携を図ることが重要であるとしながらも、資料説明の中ではやはり在宅医療と在宅歯科医療、それから、薬局調剤の実績が単独で議論されることには少し違和感を覚えています。この点について、やはり相互の連携を意識しながら、それぞれのニーズをどう把握するかという観点を持っていただければと考えています。
また、これまでの調査でも、歯科に関して言いますと、在宅医療を必要とする多くの方々は歯科医療が必要であるにもかかわらず、実際に歯科医療を受診した方は少なく、需要・供給に差があるということを幾つか報告しておりますが、今後、これらの観点から言いましても、歯科とかさまざまなサービスが必要とされる方々が各地域でどのように把握できるかという視点で、そういう考え方を整理していただければと思います。これは特に医療計画が今後の都道府県の保健医療計画にどう反映するかという視点でも、やはり地域でのデータというものは重要ではないかと思っております。
それから、歯科の部分で、8ページに幾つかお示しいただきました。ありがとうございます。この8ページ目のデータに関しては、プロセス評価の中に歯科訪問診療を受けた患者数が、△となっており私はよく理解できないのですが、これこそがまさに必要なデータでございますので、推奨指標にしていただければと思っています。
同じく8ページの中で、看取りに関する必要性についてはそれぞれ在宅療養支援歯科診療所が◎で記載されていますが、これは最期の場面まで口腔衛生管理とか口腔機能の維持が重要であると考えておりますので、実際、私もその現場で医科診療所と連携した取り組みを経験しておりますので、この点は重要ではないかと考えております。
最後になりますが、歯科は従来、ほとんどは外来の歯科診療所で提供されてきており、病院歯科の数が少ないということもお話しさせていただいております。一方で病院において、例えば周術期の口腔機能管理、あとは入院患者さんにおけますNST連携の歯科の役割というものが評価されているところでございます。こうした取り組みがさらに進みますように、病院歯科の役割を明確にすることも必要ではないかと考えております。
以上です。
○田中座長 御意見ありがとうございました。
お待たせしました。鈴木構成員、お願いします。
○鈴木構成員 11ページの<論点>についてです。2つあるわけですが、上の方については、在支診、在支病の実績も重要ですけれども、従来から在支診、在支病以外のかかりつけ機能を持つ一般の診療所や中小病院も、緊急往診や看取りの3割前後を担っているので、診療報酬上でも評価をしていただいております。そうした実績の指標の充実は必要であると思います。
2つ目については、介護サービスの整備状況ということですが、これは先ほども言いましたように、サ高住についてはやはり十分に把握できていないのが実情であり、金沢市の越田構成員がおっしゃったのが現場の実情であると思います。竹林さんは、一部しか把握していないのに、全部把握していると思っているのではないですか。現場では、サ高住ができてしまって、在宅サービスのニーズが急に増えてしまい、大変な思いをしているのです。
サ高住などの高齢者向け住宅の整備状況の把握もぜひ必要です。整備計画が事実上ないのであれば、幾ら実情を把握しても、いつできるかわからないことに変わりはなく、在宅医療の需要を確定できないことになりますので、その問題を改善する必要があるのではないかと考えております。
以上です。
○田中座長 角野構成員、お願いします。
○角野構成員 私も、滋賀県では医療計画だけではなくて、別途、在宅医療推進のための基本方針というものを従来からつくって、その中でさまざまな目標設定をしているわけなのですけれども、そのときから、まさにきょうの、先ほどから御説明がありましたように、いわゆる、このストラクチャーに関することだけでは評価できない。特に、この在宅療養支援診療所については実態と全然違うというのが従来からあって、そこで機能的に、実際、訪問診療をされている方はどれぐらいあるかということを医師会を通じて全会員さんに調査させていただくことをずっとしているわけなのです。
そういった中で、きょうも、この6ページにありますように、これは大体半分ずつぐらいという結果が出ているわけですが、これはどちらもやっておられる方はほとんど一緒なのですよ。何も違うことをしているわけでないにもかかわらず、一方では在支診という名称があり、一方ではない。それは一体、何でなのかというところなのです。
それで我々は、開業の先生に聞きますと、在支診の方はいろいろな縛りがありまして、それがうっとうしい。だから、あえてこんな届け出をしない。しかしながら、ちゃんとやっているのですというものがあるのですよ。しかし、そういうふうに2つの指標があるというのは、非常に我々としても評価しにくい。だから、今回のようにわざわざ機能的なものを調べなければいけないということになってくる。
本来ですと、全てがこのブルー、在支診をちゃんと届けられてやればいいと思うのですけれども、では、届けないのは何でかという、何か在宅療養支援診療所というものが非常に医師会の先生にしてみれば余り魅力がないといいますか、かえってうっとうしいというのがある。そういったところをもうちょっと考えていく必要があるのではないかなと思います。これはほかの訪問歯科診療の場合でも同じようなことが言えるのではないか。これも思います。
あと、この目標設定で、在宅医療はまさに大事なので、行政としてもしっかりやっていきたいと思うのです。しかしながら、目標設定したからには、それをちゃんと実行するのが行政の責任ではあるのですけれども、正直言いまして、お金がないのですよ。要は今、ありがたい基金ができたわけですが、当初は1、2、3の大きな分類の中で、2と3の在宅医療を進めるとか人材養成というところに使うことができたわけですけれども、2年目から1番、いわゆる病床機能を変えるために、これに多くを割きなさいということになってきて、半分ぐらい、それに使わないとあげませんということもあるわけですよ。
実際、半分以下でも何とか滋賀県はいただきましたが、しかしながら、実際は在宅の部分をしっかりとやっていかないと、何ぼ急性期から回復期を充実させても次に行けないということが起こってくるわけでしょう。これは全国衛生部長会でいつも議論になるところで、皆さんが感じているところで、もちろん、厚生労働省の方もそれについては同感ということをよく言われるわけですけれども、しかし実際には1番にばかり使って、在宅療養を進めるお金が回ってこない。
これでは本当に結局、目標をまた立てても、我々、行政としては責任をなかなか果たすのに四苦八苦するばかりで、計画を立てて5年後を見たときに、だめでしたね。では、何でですか。お金が足りなかったなどとみっともないことは言えませんので、そのあたりをやはり、これから計画をちゃんと立てていく上で、それから、実行できるような担保をしていただかないと、これは絵に描いた餅になるのではないかなと思います。
以上です。
○田中座長 市町村や県の声はとても大切ですね。ありがとうございました。
では、有澤構成員、どうぞ。
○有澤構成員 日本薬剤師会の有澤でございます。
資料の9ページになりますか。在宅医療を担う薬局という形でそれぞれの指標が出ております。特に「在宅患者訪問薬剤管理指導料に係る施設基準届出施設数」という形で、平成26年度で4万6,000強の薬局が出ております。実際に全国の薬局が約5万7,000件というところからすると、これは単なる届け出でありますので、実績を伴った数ではないと考えておりますので、こういった指標を実際に在宅患者の調剤加算を算定できる薬局といった施設基準の届け出。
あるいは4月以降、こちらのページにもありますが、20ページのところに基準調剤加算で、これは4月以降のものですが、こういったものが今、先ほど言いました在宅患者、調剤加算に関してと、今の4月以降の基準調剤加算については、実際の在宅の実績を伴ったものができるということでありますので、こういった指標を使っていただいた方がよりわかりやすいのではないかと考えております。
また、在宅患者訪問薬剤管理指導料については、それほど数値が伸びておりませんが、これについては、やはり若年の方、あるいは小児の方の在宅の算定が多いと聞いております。居宅の方に関して、当然、どちらかというと高齢者が今、まさに数がふえているという現状であることを御報告させていただきます。
以上です。
○田中座長 中林構成員、それから、齋藤構成員の順でお願いします。
○中林構成員 ありがとうございます。
まず<論点>にも記載されています、医療連携体制をより実効的なものとするということにおいて、まず資料2の2ページを見ていただきますと、在宅医療に必要な機能は4つの機能がここに記載されているわけですが、ケアマネジャーの立場からしますと、この4つの機能に全てケアマネジャーもかかわっております。
また、今回のこの在宅医療を受ける患者が増加していくということにおいては、この整備目標だけではなく、実際に在宅医療を受けられる体制を強化して、受け皿をしっかりと整えていくことが非常に大事であり、また、そこをマネジメントを行っていくのがケアマネジャーの役割でもありますので、このストラクチャーや目標には出てこないかもわからないですが、このケアマネジャーの活用、もしくはそこを強化することによって、ここに書かれている論点の指標を充実させていく、また、それが効果的な在宅医療を提供できる環境につながるのではないかと思います。
以上です。
○田中座長 齋藤構成員、お願いします。
○齋藤構成員 在宅医療の推進においては、やはり訪問看護の提供体制をどうするのかというのは大変重要な話なのですが、残念ながら本日の資料には出ていなくて、いつも実績に基づいた体制整備というものをやっていかなければいけないのですが、特に訪問看護ステーションにおいてはICTの活用等々が大変おくれていて、レセプトなどもまだまだ紙ベースという状況がありますので、今後、ぜひきちんとしたデータが把握できる体制をつくっていただきたいというのが1点お願いでございます。
指標につきましては、事務局の御説明のとおり、サービスの実績というものになかなか数が増加した程度のことしかないのが現状なので、論点に示されているように、サービスの実績に注目した指標を充実させる方向性は賛成でございます。特に在宅医療は各種連携が非常に重要になりますので、今般、診療報酬でつきました退院支援に関する評価につきましては、退院支援加算が地域のケアマネジャーとの連携とか、あるいは介護施設との定例的な会議等々が要件に入っておりますので、こういった退院支援加算を在宅医療の中の指標に入れていくのも一つ検討してもよいのではないかと思います。
訪問看護ステーションにつきましては、今般、小児の在宅医療なども大変増えておりますので、24時間体制をとっているだけではなく、例えば土日の営業をしているかどうかとか、あるいは救急隊との定期的な会合などをしているステーションもあります。そのあたりも大事な視点ではないかと思います。
機能強化型の訪問看護ステーションにつきましては、住民への相談体制や、人材育成の機能も持ち合わせておりますので、これも在宅医療の推進には大変よい指標なのではないかと思います。
それから、ストラクチャーに関することの中身で、例えばこれは資料2の3ページに「訪問看護ステーションの従業者数」となりますと、看護職のみならずリハビリの方や事務スタッフなども全部入ってくることになるので、ここは少し明確に分けた方がよろしいのではと考えます。
最後に1点質問ですが、今、在宅医療に関してさまざまな研究が進められていて、非常に有効な指標も幾つかあると思うのですが、そういった細かな指標、こういうものがいいとか、ああいうものがいいということは、随時、事務局に情報提供させていただくという形でもよろしいのでしょうか。
○田中座長 室長、お願いします。
○伯野医師確保等地域医療対策室長 今回の医療計画の中で、都道府県に対してどういった指標を示すのかという観点で、今、御議論いただいていますので、ぜひこういった指標がいいという御意見をいただければと思います。
○田中座長 御協力をお願いします。
確かに、御指摘になったように、訪問回数が一番多い訪問看護についてのデータは今回なかったようです。それから、とても大切なことですが、在宅医療というと高齢者のことだけと思いがちでしたけれども、実は小児あるいは難病の方も大切であると言っていただきまして、ありがとうございます。
鈴木構成員、お願いします。
○鈴木構成員 先ほど滋賀県の角野構成員から、在支診と一般の診療所でやっていることは同じではないかとの話があったのですが、医師会の立場から御説明させていただきますと、実際にやっていることは同じかもしれませんけれども、在支診になるためには24時間対応などの要件がありますので、それがなかなか難しい場合には、やっていることは同じでも在支診をとらないでやるということがあるわけです。ただし、診療報酬は実際に医療行為をしませんと発生しません。届け出をしただけで診療報酬が発生するというものではないことを御理解いただきたいと思います。
日本医師会としては、かかりつけ医の外来の延長としての在宅を中心に考えるべきと従来から主張しております。本年4月から日医かかりつけ機能研修制度がスタートしましたが、かかりつけ医の6つの機能の中に在宅医療も入れて、できるだけ多くの先生方に実践を働きかけています。ただし、今日はご欠席の新田先生のように、在宅医療を中心に診療をしている先生は実際には非常に少ないので、そうした先生方や、今日は玉城先生もいらしていますが、有床診療所や中小病院の入院機能も活用しながら、地域の中で連携して支えていくことが必要です。一人ひとりのかかりつけ医の負担をできるだけ減らすことを考えていかないと在宅医療に取り組む先生が増えていかない、増えても続かないと思いますので、かかりつけ医と在支診や在支病が連携した取り組みをこれからも推進していきたいと考えております。
以上です。
○田中座長 玉城構成員、お願いします。
○玉城構成員 全国有床診療所連絡協議会の専務理事をやっております玉城と申します。
私は神奈川県の横浜市の戸塚区というところで有床診療所と老健施設をやっているのですけれども、横浜市がこの医療連携体制が非常に充実しておりまして、それの情報提供と、この後、要望を1つ言いたいと思います。横浜市は18区の医師会全部に医師会立の訪問看護ステーションと、去年、在宅医療連携相談室というものができました。それで、在宅医療連携相談室には区の中にどれだけの在宅医療をする先生がいるかを全部集めて、それから、後方支援をする医療機関・病院がどれだけあるか。私ども有床診療所も入っていますが、市民からは在宅医でどなたか先生はいませんかと言うと、紹介してあげる。在宅医に関しては急変のときの後方支援の病院を紹介してあげる。それで、始まったばかりで、それほど範囲は広くないのですけれども、ハードができてしまったので、これは後で充実させていけばいいのかなと思っています。
ただ、神奈川県は今、横浜市でそれが始まったのですけれども、郡市に在宅医療連携相談室をつくりましょうと言いますと、神奈川県行政は医療と介護を縦で区切ってしまっていて、去年までは医療連携室の中に介護連携というものが入ると、総合確保基金から予算をあげないという状態だったのです。ところが、今年から変わって、医療・介護連携地域相談事業ということで、医療・介護総合確保基金で在宅医療連携相談室を郡市医師会につくってもいいということになり、予算を出しますと言ったのですけれども、肝心の市町村の持ち出し分が3分の1あって、それを出せない市町村があって、つくってもいいと言ってもつくれないところなのです。
それで厚労省への要望なのですけれども、医療・介護総合確保基金で、市町村に在宅医療連携相談室をつくるということであれば、場合によっては財源の乏しい市町村に関しては持ち出し分なしでもつくってもいいのであれば、この地域医療連携の実効的な確保をしていく取っかかりになります。法律があるのでしょうけれども、都道府県で柔軟に対応してよろしいと言ってくれれば実効的なものができて、将来の指標の積み重ねもできるのではないかなと思っています。いかがでしょうか。
○田中座長 御要望ですか。御質問ですか。
○玉城構成員 要望です。
○田中座長 連携室長がいらっしゃいますから、要望をおっしゃったわけですね。
角野構成員、お願いします。
○角野構成員 まず1点、先ほどの同じと言ったのは、確かに違いは私も知っていまして、在支診をとっていない先生も、お話を聞きますと、実際には24時間、電話があったらいつでも行く。ただ、それをわざわざ届け出ることによって縛られるような心理的な、それが嫌でやっていないだけで、実際にはそういう診療はちゃんとやっていただいている意味で、先ほど私は同じというふうに言いましたので、そこは御理解いただきたいと思います。
この在宅医療における医療連携体制なのですけれども、そういうことで、私どもは例えば退院調整カンファレンスの参加診療所がどれぐらいあるかとか、そういうものも一つ調査するとともに目標設定をしていたわけなのですが、やはり、この在宅ということを考えたときには、医療・介護連携体制というものもしっかりと見ていく必要があるのではないかなと思います。
ちょうど一昨年でしたか、都道府県の医療・介護連携調整実証事業というものが滋賀県を一つ、そのモデルとしてもらいまして、大津市でやったわけなのですけれども、そのときにやったことは、ケアマネジャーが退院前に連絡がありまして、ちゃんと調整に入っているかとか、また逆に、病院がちゃんとケアマネジャーに連絡してくれているのかというところからスタートしたわけです。そうしますと、その事業の中で一定の、統一の様式をつくっていった結果、画期的に退院前に病院からケアマネジャーに連絡が来るということがふえてきました。
その結果、医療だけではなくて、要は帰った日からちゃんと療養ができる、在宅生活ができるという状況がつくられるようになってきた。まさにそれが在宅医療で、いわゆる生活を支える医療でないかなと思うわけです。ですから、今回もそういった医療・介護連携を何か示すような指標を一つ入れていただけるとありがたいなと思います。
○田中座長 有澤構成員、どうぞ。
○有澤構成員 今、まさに医療と介護の連携の指標ということですが、11ページの<論点>の下の○のところになります。具体的な連携体制の状況を把握する指標ということで、私どもとして一つ提案させていただきたいのは、まず1つは高齢者におけるポリファーマシーという、多剤投与とか、そういうものがあります。特に入院時、あるいはその後の退院も含めて、特に診療報酬の方ではそういったものにも評価も加えられている中で、決して薬剤師が1人で完結するものではなくて、特に在宅において、ポリファーマシー対策は訪問看護の方々、あるいは介護の方々も含めて、主治医も含めて、みんなで取り組んでいって一つのものができる。そういった意味では、連携の指標を示すのにはいい指標ではないかと考えております。
そのほかに、実際に私も在宅の現場には行くのですが、その中で、やはり介護支援専門員の方々がまず、患者さんの在宅療養へ行っている方の最もキーマンになっているというふうに感じておりますので、特に介護支援専門員の方々がその患者について、どれぐらいの職種の方が連携しているかというのは多分、原則として報告が行われており、掌握されていると思います。この様にどれだけ連携先があるのかというのを、まとめているのは介護支援専門員であるので、この部分から一つの指標を検討してみるのもいいのではないかと思います。
○田中座長 池端構成員、どうぞ。
○池端構成員 まず、最初に角野構成員がおっしゃった基金のことですけれども、私も全く同じ思いをしていまして、私も県の医師会の副会長の立場で基金にかかわっていましたが、結局、結果的に申請が認められたのは、病床の機能分化に対する基金のみが通って、しかも官民格差の是正の観点もあり、ここで民間病院の回復期病棟転換資金に、どんと億単位でおりて、あとの在宅とか訪問看護、人材確保とか、そういうことが一切カットされてしまった。これでどうやって在宅医療等を進めればいいのだろうということで、県の担当者と県医師会の担当者が嘆いていたのは事実なので、この辺はぜひ改善いただきたいと、私も同じ思いでお話しさせていただきます。
それから、今、在支診等が非常に大変であるということで、私も実は機能強化型の在支病で、昨日も実は(在宅総合管理加算の患者の)緊急往診も行っているのですが、何が大変かといいますと、本当に書類もすごく大変なのです。(こまかい設置基準も含めた)契約書も全て書かなければいけませんし、しかも家族に聞くと、(在宅医療だけでなく介護サービスもあり)一体、何回判子を押せばいいのかとなる。訪問診療、訪問看護、薬剤指導、全てそれぞれ契約書を出さなければいけない。しかも緊急があれば、それでまた訪問看護指示書、緊急特別指示書、点滴指示書云々といって、とてもではないけれども、こんなものはやっていられないというのが開業医の先生方の思いであると思うのです。
この辺を少しでも整理できて、例えば医療・介護連携というものは書類もケア担当者会議できちんとやったら、そこで包括的な書類で認めるとか、そういう形で少しやっていかないと、なかなか進まないのではないか。在支診がとれないという方、実際は行っているけれども、在支診をとらないという方の先生も私もよく聞くので、そういうところも少し御検討いただければと思います。
最後に1点、私、この<論点>のところで実績を注目したということですけれども、実績というのは一体何か。この4ページで在宅医療関係の「ストラクチャー」「プロセス」「アウトカム」と出ていますが、実質的にといいますか、最終的にはアウトカム評価になりますけれども、このアウトカムが、在宅死亡者数のみがアウトカムになっている。これが私には、違和感を感じます。在宅で死亡した人が○で、それ以外は×なのか。
在宅医療というものは決してそうではなくて、例えばターミナルに近い状態になって、その罹病期間の中にどれくらい在宅にいて、最後の1週間、2週間がたまたま緊急で入院して、そのまま亡くなった。これも実際、立派な在宅医療をやったことになるのではないか。その辺の実績も少し見た上での実績、アウトカムを出さないと、これもまた一般の診療所の先生方は、最後まで看なければいけないとなると、これに対して手を引いてしまう。最後、これはどうしようか。家族も不安なので、では、しばらく病院をお願いしようかといって、病院にお願いして、たまたまそこで亡くなった。でも、それは実績として認めてもらえない。これでは余りにも差があり過ぎるのではないかと思います。
それで、7ページのサービス提供量を考えても、実際の提供量としても、訪問診療は1割3分で、往診は4割、看取りが2割。実は、この往診とか訪問診療とか在宅の、在支診以外のこのパワーというものはすごく大きいので、ここをもう少し増やすということをしないと、在支診ばかり脚光を浴びるような形になると、本当に鈴木先生もおっしゃったように、午後から往診の先生方がなかなか入りにくい。この辺をもう少し、実績として見て頂きたい。決して、お金が欲しいというのではないです。自分達がやっている(最後の看取り以外の在宅医療の)ことも実績として認めてほしい。在宅死亡患者はゼロだから、何もやっていないと言われてしまうのは困る。この辺の感覚をぜひ理解していただきたいと思います。
以上です。
○田中座長 越田構成員、お願いします。
○越田構成員 私も、本日ここに参加するにあたって、訪問診療についていろいろな方にお聞きしたり、調べたりして参りました。前回、石川県が医療計画をつくるにあたって行ったアンケート調査によりますと、実際には月50件以上訪問していらっしゃる医師は5%で、月1件から49件になりますと12%、その他の80数%の先生方は訪問診療を殆どおやりになっていらっしゃらない。多分、これが実態に一番近いのではないかということでした。
それから、歯科診療に関しましては、訪問診療を行っていらっしゃる歯科医師の先生は概ね5%前後ではないかとのことでした。歯科の在宅診療になりますと結構ハイリスクの方が多く、しかも歯科衛生士も同行せねばならないので、なかなか一歩が踏み出せないとおっしゃっていました。歯科の先生にとっては、そういった意味のハイリスクの方のお宅に行くということの責任の重たさというものがあるのだと思いました
一方、薬剤師の方々は最近よく地域に出ていらっしゃる模様でした。金沢市の介護保険課で調べて参りましたところ、殆どの薬局は、居宅療養管理指導のみなし指定を受けていらっしゃいます。そして、薬剤師の方々は小まめに地域に出向かれ、在宅医療を支えている。ある薬剤師の方は、お薬箱を抱えて、患者さんのご自宅に行って、お薬カレンダーに内服薬を入れたり、残薬を管理したりということを定期的にやっているのですとおっしゃっていました。薬局の先生はよく頑張っていらっしゃるなと思いました。数字だけでは表されない訪問医療の背景と実態があると感じた次第でした。
もう一点お話させていてよろしいでしょうか。
次の3番目の論点になるのかもしれませんけれども、これまで医療の計画は全て都道府県が主体になって策定されておりましたが、今般、医療介護総合確保法により、市町村も医療に対する計画を作るという時代になって参りました。しかしそうなりますと、基礎自治体にはいわゆる医療職がほとんどいない。特に医師がいないところが多い。
実は私は、たまたま医師であり、今の立場でこれらの仕事に関わっており、医師会との話も概ね誤解なく進むのですが、医師がいない市町村では、行政サイドと医療者サイド双方で、多少なりとも遠慮や行き違いがあったりして在宅医療や医療計画の策定等々を進めるにあたってご苦心されているとお聞きすることがあります。また、これまでは医師会と市町村の関わりは、予防接種とか住民健診等々の委託、介護保険や国民健康保険の協議会などが中心でした。それが今、市町村単位での医療計画を作りましょうということになりますと、なかなか難しいハードルがあるのではないかと思います。従って、独自で医療計画を策定することが困難な市町村に対しては、都道府県の強力なバックアップや技術的支援が必要ではないかと思います。
また、先ほどから話題になっております「在宅医療・介護連携支援センター」を金沢市でもこれから立ち上げようと思っているのですけれども、これも同様で、介護とか福祉は比較的市町村は得意なのですが、医療となりますと、市町村はこれまであまり関わってこなかった。従って、調整等はなかなか難しいのではないかと思っています。必要であれば、やはり都道府県のご協力が必要ではないかと思います。
○田中座長 鈴木構成員、どうぞ。
○鈴木構成員 かかりつけ医の先生方は、在宅医療をどのぐらいされているのかといいますと、訪問診療は確かにまだ少ないかもしれませんけれども、往診まで含めますと、内科・外科系のかかりつけ医機能を発揮されている先生方は半分以上の方が行っているというデータがあります。
それと、先ほどの協議の場ですけれども、地域医療構想がまとまると、あとは地域包括ケアシステムをどうするかという話になるので、そこでは医療と介護が一緒に話ができないと意味がありません。今回は医療計画の延長なので医療の話だけをするのではなくて、ぜひ介護の話もできるようにしていただきたいと思います。そうでないと、屋上屋を重ねる感じになります。今日は医療と介護の連携を議論しているわけですが、協議の場は市町村よりもっと大きな圏域でやるということですけれども、市町村だけに全部投げるのは無理があると考えております。
以上です。
○田中座長 重要な御指摘ですね。ありがとうございます。
2番目はここまでにしますが、皆さん、ストラクチャー指標、とりわけ届け出の数など余り意味がない。やはり現実にどのくらい訪問が行われているか等のプロセス指標の方が重要であると、ほとんどの方が言っていただいたと思います。
一方で、池端構成員が御指摘になったように、アウトカム指標はとても難しいです。特に在支診を指標にしてしまうと、そもそも在支診の定義から始めなくてはいけないので、私はこういうアウトカム指標については、先ほど齋藤構成員が言われましたように、研究事業等をきちんと踏まえないと答えが出せない。プロセスは先生方がおっしゃったような統計がとれますので、それを幾つか拾っていけるようにするといいのではないかと考えました。
どうぞ。
○玉城構成員 2番目の議題でよろしいでしょうか。
○田中座長 いいですよ。
○玉城構成員 在宅医療と介護サービスの連携ということに関して、ちょっとフリートーキングさせていただきます。
なかなか、在宅医療と介護サービスはそんなに密接なつながりはないのですよ。介護サービスを在宅医療から連携するとすると、認知症のお年寄りを何とか介護施設で診てもらえないか。あるいは老老介護で、片方がどうしても診られなくなったものを、疾病とは関係ないのですけれども、介護施設で預かってもらえないかということで、そういう状況のとき、医師会に相談しても無力なので、地域包括支援センターの主任ケアマネジャーとかに連絡を入れ、あと、行政の方の担当に連絡を入れて、何とかしてほしいと対応してもらうわけです。その辺の何気に連絡できるつながりをもう少し密に持っていけるような形を地域でつくってもらいたいなと思うのです。
地域包括支援センターの中に地域包括ケア会議というものが今、義務づけられているのですけれども、なかなか医師がそこに参加しないという現状があるので、ぜひ在宅医療、在宅医療連携相談室と地域包括支援センターとのつながりといいますか、定期の会議みたいなものをつくっていくと連携もしやすくなっていくのではないかなと思います。
○田中座長 地域包括支援センター並びに地域ケア会議と医療とのかかわりなどもよい指標になるかもしれません。ありがとうございます。
では、またさかのぼっても結構ですが、一応、ここから資料3をめぐる議論に移ります。
齋藤構成員、お願いします。
○齋藤構成員 13ページの<論点>で、介護保険法の地域支援事業につきまして、これは介護保険部会などでも取り上げられていますが、都道府県においての支援あるいはバックアップとは、私は非常に大事でありますし、ぜひやっていただきたいと思っております。
それで、地域支援事業の実施状況をいろいろ見ていますと、この(ア)から(ク)までの事業の中で一番優先的にやらなければいけないのは、やはり(イ)の事業であると思うのです。連携上、何が課題になるのかということをわからないまま研修や情報共有をしても、なかなかそれが本当に連携の課題の解決になっていくかはまた違う話だと思います。
これは介護保険部会の方でも発言させていただきましたけれども(イ)をまず優先でやってくれということを何か手順とか、そういったことをきちんと情報提供して、地域のそれぞれの状況を、関係者がきちんと課題を認識した上でほかの事業に取り組んでいくことが優先されるべきではないかなと思います。ぜひ施策に上げて、都道府県のバックアップをお願いしたいと思います。
○田中座長 鈴木構成員、どうぞ。
○鈴木構成員 まず、13ページの<論点>ですけれども、在宅医療・介護連携推進事業は介護分野でさんざん議論をした話でもありますが、8事業の全てを郡市医師会等に委託することが可能となっております。日本医師会としましても、郡市医師会に対して積極的に参加するように働きかけておりますし、また、都道府県医師会にも郡市医師会を積極的に支援するように働きかけをしております。
小さな市町村では、介護の分野の地域支援事業や総合事業への対応で手いっぱいなところもあり、すべて直轄でやれといっても難しい場合もあります。行政の支援だけではなくて、郡市医師会などの活用は不可欠であると考えますので、その視点をぜひ入れていただきたいと思います。
それから、21ページの<論点>でございます。圏域の設定についてですが、地元の地域医療構想調整会議に出ておりますと、議論が進んで、在宅医療を考える段階になると、どの辺が1つの圏域として考えられるか、だんだん浮かんで来ます。それは地域ごとに違ってくると思うのですが、ぜひ地域ごとに協議の上、地域性に応じた形で柔軟に設定すべきであると考えます。その上で一定の圏域を設定しても、これは二次医療圏も同じですけれども、患者さんは必要に応じて圏外へ出ていかれるわけですが、地域密着型以外のサービスを利用される患者さんや利用者については、その動きを尊重すべきであると思います。
最後に、地域包括ケアシステムは在宅医療だけでも、また、医療計画だけでも構築できるものではありませんし、また、介護保険事業計画だけでも構築できません。医療には医療計画のベースとなる地域医療構想があるわけですけれども、介護分野にはそういうものはありませんので、その辺がなかなか整合性を取ることが難しい理由かと思います。
行政は、ぜひ現場における高齢者医療と介護の一体的な提供に役立つ、縦割りではない支援を実行していただきたいと思います。
以上です。
○田中座長 御意見ありがとうございました。
稼農構成員、お願いします。
○稼農構成員 13ページですが、今、お話を伺っていますと、やはり計画のそれぞれの策定過程での都道府県・市町村、あるいは介護・医療との連携というものをつくり上げていきながら計画に反映させていくのが非常に重要なことであると改めて認識いたしました。
そこで、この13ページの<論点>のところですが、3行で書いてあるのですが、これまでの医療計画に加えて、この「施策」の一つとして、これを位置づけるということが書いてありますが、連携の重要性、それぞれの計画に書いてあることを相互にクロスして連携させていくという趣旨かと思いますが、改めて、ここの論点のところの狙いと、これをやることによって、これまでの計画との違いをどう狙っているかというところを御説明いただけるとありがたいです。
○田中座長 室長、お願いします。
○伯野医師確保等地域医療対策室長 ありがとうございます。
もともと、前回のこの医療計画をつくったタイミングでは、この事業がそもそもなかったので、この事業自体は医療計画の中に全く記載がないのは当然のことだと思うのですが、先ほど説明させていただきましたとおり、市町村が平成30年4月までにやらないといけないことになっております。
その中には、在宅医療をどうやって進めていくかとか、あるいは、先ほど鈴木先生の方からもございましたけれども、かなり技術的、専門的な内容があったりとか、広域的な視点というものが必要であったりということで、当然、これは平成30年度までにそれぞれの市町村にやっていただくのが重要だと思うのですが、それを進めていく上で、あるいはこれに限らず、在宅医療を進めていく上で、都道府県にどう市町村を支援してもらうか。どういったことをどういうふうに支援してあげるのかというのを医療計画の中に盛り込むことによってうまく回せないかという趣旨でございます。
○田中座長 越田構成員、どうぞ。
○越田構成員 これは決して高齢者だけではないですね。市町村では、地域の実情に応じて定めている「日常生活圏域」に、それぞれ地域包括支援センターを設置しております。これは65歳以上の方を対象とする介護保険制度上の支援拠点であり、65歳に満たない方で在宅生活に困難を抱える方々は対象外となっており、65歳未満の3障害(知的・身体・精神)をお持ちの方への支援は、ちょっと宙に浮いてしまっているのが現状です。
中でも、地域を見ておりますと、とりわけ苦心しているのは、精神に障害のある方のへの対応かと思われます。市町村にとっては、認知症も大きな課題ではありますが、認知症は地域包括支援センターや福祉を巻き込んで何らかの支援ネットワークができ上がりつつありますが、精神に障害のある方をどうケアするかということは非常に困難なことでありながら、未だ地域の受け皿が整っていません。特に当事者が65歳未満であれば、地域包括支援センターに関わっていただくこともできませんし、たとえできたとしても専門的な関わりが必要であり、困難ではないかと思います。
それから、先ほども話題にあがりましたが、在宅で療養なさっているお子さん。こういったことも今後大きな課題になると思っております。精神に障害のある方や、心身・知的な障害のある子供から65歳までの方々、高齢者の方々全てが、「地域包括ケア」の範疇であるという認識を持って、私ども市町村は対応していかなくてはならないと考えております。そのような視点からの政策的な取り組みを進めていただきたいと思っております。
○田中座長 そのとおりです。ありがとうございます。
池端構成員、手を挙げていらっしゃいましたね。どうぞ。
○池端構成員 1点御紹介をしたいと思います。
13ページの今の課題で、施策ということで、都道府県がどう、市町単位にアプローチしていくかということで、1点、福井県は、たまたまですけれども、在宅医療・介護連携推進事業が厚労省の中間報告で、着手率が日本一高いということで発表されて、何でそうなのか実態は余りわからなかったのですが、いろいろ県の施策を調べた中で、1つお勧めできるのは、今、県と県医師会が組んで、全県一括につくりました退院支援ルールというものがありますので、簡単に紹介しておきます。
これは全ての市町も含めて、全県下の各病院とケアマネジャーさんに協会を通じて取り組みを、最初、会議でたたき台をつくって、そのルールをつくって、原則1週間以内程度で入院した患者は全て病院から、ケアマネジャーさんがいる場合はケアマネジャーさんから情報をもらう。逆に、ケアマネジャーさんも必ず1週間程度以内には病院に報告を上げるということ。それぞれに指示を出して、これを福井県のルールにしますから皆さん守ってくださいということでやっています。まだ半年もたっていないのでアンケート調査はとっていないのですけれども、既にお聞きすると、かなりそれで早い段階でケアマネジャーさんと大きな病院の主治医とが連携できるようになったようです。
そういうことで、スタートが早くなればなるほど退院も早くなるということで、連携室も非常に喜んでいて、これで連携室の会もつくろうということで、福井県全体の基幹病院の連携室の協議会もつくって、そこでさらに進めていこうということをやったので、こういう取り組みも一つのこういう施策になるのかなと思うので、御紹介させていただきました。
もう一点ですが、これは今、在宅推進のための施策ということですが、全て提供者側の施策ですね。実はもっと大事なのは受け手側の、本当に在宅医療がいいのだということを市民・住民が理解して、そして要望してほしいと言っていただく。これが一番大事ではないかと思っています。そうすれば、そこのかかりつけの先生は、あなたが言うのなら、では、私は行く。でも、土日は見られない。では、土日は病院が支援しますから大丈夫です。そういった話ができればどんどん進んでいくと思うので、後先になるかもしれませんけれども、やはり遠回りなようで大事なのは、住民に対する在宅医療の啓発活動であると思っています。
さらに住民に対する啓発活動の他にもう一つ大事なのは、基幹病院等の急性期中心の病院の先生方に在宅がどこまでできるのかを知ってもらう事があります。私も退院調整カンファレンス等の会議に行くと、基幹病院の先生方が「それは無理だ」と在宅を実質止めていることがしばしばあります。でも、無理なことは絶対ないのです。例えば小児の難病などの在宅などというものは、私も数名、呼吸器をつけたりしている小児の在宅医療を経験していますけれども、ありとあらゆるいろいろな機械についていても可能なわけで、重度の小児在宅医療でもできることを考えれば、高齢者の在宅でできないものはないのです。
あとは、その覚悟があるかどうかの差であって、そこを基幹病院の先生方にも理解していただく。家族が望めば、では、頑張ってみようかということを思い切って背中を押してあげる。そして、住民側にも啓蒙していく。そして在宅をやりたいと手を挙げてもらえば、地域の先生もそこに対して、取り組んでみようというかかりつけの先生は非常に多くなると思うので、そこを一方でやっていくべきではないかと思っています。
以上です。
○田中座長 在宅医療を直接するわけではないけれども、急性期医療の先生方がわかっていただくことの重要さですね。
○池端構成員 そうです。
○田中座長 賛同いたします。御説明いただいた福井県の貴重な取り組み、報告書の完成を楽しみにいたします。ありがとうございます。
齋藤構成員、どうぞ。
○齋藤構成員 先ほど越田構成員が、在宅医療を受ける方々というのは高齢者には限らないという御意見がありました。介護保険制度だけで地域包括ケアシステムというものは回らないというのは全くそのとおりでございます。今、訪問看護ステーションでも小児や、精神科の疾患を持つ方々への訪問もかなり増えてまいりました。ですので、やはり地域包括ケアセンターだけが相談窓口になると、制度のはざまで落ちていく方々がいらっしゃるのです。
今、訪問看護ステーションの中でも機能強化型につきましては、先ほど申し上げましたように、住民への相談窓口にもなっております。今、いろいろな訪問看護ステーションが町の中で暮らしの保健室というものをつくり上げて、いろいろな住民の方々が自由に出入りしています。その中には、本当に深刻な問題を抱えた方が何もサービスを使っていないということも出ておりまして、それをきちんとケアマネジャーにつなげたり、あるいは地域包括支援センターにつなげたり、もっとひどいときには医師の介入が必要であるという判断もしますので、やはりそういったことから考えますと、先ほどの指標に戻りますが、機能強化型の訪問看護ステーションがどういうふうな数があり、どんなことをやっているのかも大きな指標になるのではないかなと思います。
1つ御紹介させていただきました。
○田中座長 ありがとうございます。
有澤構成員、どうぞ。
○有澤構成員 本年の4月から薬機法という法律が改正になり、健康サポート薬局という制度ができております。これは薬機法上に一定の要件をクリアした薬局が届け出を行って、都道府県の薬局機能情報公表制度に乗っかるというものですが、そういった中でも今、齋藤構成員がお話しになったように、薬局もそれぞれの職種にきちんと地域で相談対応をしてつなげていく。そういった仕組みを今、創りつつあります。10月以降の届け出が開始されますが、そういった点でも薬局は、その地域の中でしっかり他職種と連携を行った上で、こういった地域包括ケアの中できちんと自分たちの業務をやっていきたいと考えております。
もう一つは、21ページのところにありますが、日本全国を見てみますと、本当にいろいろな、さまざまな地域の実情が異なります。したがいまして、こういった圏域設定については、かなりきちんと細かく、その地域の実情を十分に考慮してやっていっていただきたいと思います。
ちなみに、私は北海道なのですが、179の市町村があり、一番少ない町村では3,000人程度の村民あるいは市民しかいない地域もあります。その中で仕組みを構築しようとすると、当然、1単体では完結できません。周りの市区町村との連携の中でこういったものを考えていかなければいけないと考えておりますので、恐らくほかの都道府県内でもそういった事例、あるいはもっと逆に、東京都のように人口が密集している中でいろいろな課題があると思いますので、この辺のところを十分に検討していただくような形で盛り込んでいただきたいと思います。
あと、さまざまな連携、いろいろな実績を積み重ねていったときに、単に数だけを出せばということになりかねないので、今後、こういった数をとるにしても、やはり将来的には質的な担保も必要になるということも念頭に置いて、何か組み立てをしていっていただければと思います。
○田中座長 玉城構成員、お願いします。
○玉城構成員 今後の在宅医療の施策に関するアイデアといいますか、たわいのないアイデアかもしれません。今後どういう施策をしていこうかということですが、19ページにある富山県の項を見ていただきたい。悩んで、こういうものをつくり上げると在宅医療はよくなるのではないかと結論が出ています。市町村に医師会立在宅医療支援センターというものをつくって、在宅と後方支援をする。郡市医師会立在宅医療支援センターができやすい環境をつくっていただきたい。場合によっては在宅医療連携加算といって、相談室に相談したら加算がとれるような、認知症疾患センターに相談すると連携加算がとれるようになっているように、相談すればするほど点数がとれるという流れをつくってみてもいいのではないかなと思います。
また、訪問看護ステーションに機能強化で連携相談室みたいな機能を持たせると点数が上がるという構想もあるようなのですが、逆にそういう支援センターと訪問看護ステーションが相談業務で連携すると、訪問看護ステーションに連携加算みたいなものが付くということをすれば、もっとやりやすくなり、ハードルが低くなっていくのではないかなと思います。実現しないようなアイデアかもしれないのですけれどもね。
○田中座長 ありがとうございました。
角野構成員、どうぞ。
○角野構成員 13ページにありますように、この<現状と課題>で、確かに市町村によっては、病院自体がない市があったりとか、町であればまさにそういう状況が非常に多いわけで、そういった中で、やはり在宅医療の体制をつくっていくことになったときにはかなり無理があるのかなと思います。
そういったところから、この<論点>にありますように、やはり一定、都道府県がそういったことに対して支援をしていくこと。これは必須ではないか。そうでないと、まずできないかなと思いますので、そういったときに、都道府県といっても、では誰がということになったときには、二次医療圏内のことであれば、やはり私は保健所というものが一つ大きな力になるのかなと。
ただ、自分自身が以前、全国の保健所長会の会長というものをやっていましたけれども、非常にちゃんとできているところは3割ぐらいで、3割ぐらいは余り何もできない。それで、残りは普通という、しかし、これはどこの団体でも同じかと思います。県内の郡市医師会も、会長さんによっては、時代によってはだめなときもありますし、非常にいいときもありまして、残念ながら、これは認めざるを得ないという実態で、それを踏まえた中でも、やはり一定、この保健所には期待する必要はあるかと思います。
ただ、それができないときには、当然のことながら、県庁という組織があるわけですから、何らかの形でバックアップはできると思いますし、それと同時に、ただ、保健所だけで何でもできる話ではなくて、当然、そのときには、医療のことですから、これは地域の医療を一番よく知っておられるのは郡市医師会の先生方です。
実際、私が去年、地域医療構想策定に関する都道府県の取り組みというもので調査研究をしたときに、全てではないですけれども、この構想区域ごとの会議の構成員の中で議長は誰かということで聞きますと、やはり郡市医師会代表というものが結構あるわけなのですよ。半分以上はそうなっていますし、しかし、その一方では保健所長というものもかなりのところではあります。
ですから、それはその地域で、どちらがいいかという議論はあるのかなという気もするのですけれども、そういったことで、しっかりと都道府県による関与といいますか、支援の充実は記載していただきたいことかと思います。
○田中座長 中林構成員、どうぞ。
○中林構成員 まず、資料3の11ページで「市区町村における在宅医療・介護連携推進事業の各取組」で、これは昨年の8月1日現在の状況ですので、直近のデータの収集と、実施していない市町村におけるところの原因。ここはしっかりと原因を、課題を抽出していくということが大事であると思います。
それと、21ページの<論点>の圏域の設定において、当然、今後、高齢化というものは都市を中心に高齢化していく。一方では、過疎といいますか、高齢化が達成しているという、地域によって非常にばらばらな今後の状況の中で、やはり人口に応じた、例えば都市型の比較という全国的な、そういった比較をできるような資料等も作成していただくと、例えば富山県の好事例を見ていただいても、県と人口が違うところは当てはまらないとか、そういったことも聞かれますので、できれば同じ人口の都市に応じた比較ができるような、参考にできるような資料も作成していただければと思います。
○田中座長 一応、予定していた時間に近づきましたが、全体を通してよろしゅうございますか。
第1回から、早速大変前向きな、活発な議論をいただきまして、ありがとうございます。事務局はとてもよい構成員を選出したのではないかと感じました。
事務局は、本日のこのワーキンググループの皆様の発言を踏まえ、意見を整理し、さらに検討していくようにお願いいたします。
本日の議論はこれまでといたしますが、最後に事務局から何か連絡はございますか。
○桑木室長補佐 次回の日程の詳細は、決まり次第、御連絡いたします。よろしくお願いします。
○田中座長 では、本日はこれにて終了いたします。
本当に活発な御議論、どうもありがとうございました。
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