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2016年4月7日 薬事・食品衛生審議会 指定薬物部会 議事録

○日時

平成28年4月7日(火)16:00~


○場所

厚生労働省専用第14会議室


○出席者

出席委員(9名)五十音順

 石郷岡   純、 遠 藤 容 子、 桐 井 義 則、◎鈴 木   勉、
 関 野 祐 子、 曽 良 一 郎、 花 尻 瑠 理、 宮 田 直 樹、
○和 田   清
 (注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(2名)五十音順

 妹 尾 栄 一、 成 瀬 暢 也

行政機関出席者

 森   和 彦 (大臣官房審議官)
 須 田 俊 孝 (監視指導・麻薬対策課長)
 他

○議事

○監視指導・麻薬対策課長 それでは定刻となりましたので、ただ今から「薬事・食品衛生審議会平成28年度第1回指定薬物部会」を開催いたします。本日は大変お忙しい中、委員の方々には御出席いただき、誠にありがとうございます。本日は妹尾委員、成瀬委員から欠席の御連絡を頂いております。当部会の委員数、11名のうち9名の御出席をいただいております。定足数に達しておりますことを御報告いたします。

 本部会の公開、非公開の取扱いについて御説明いたします。総会における議論の結果、会議を公開することにより、委員の自由な発言が制限され、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼす恐れがあると判断されたことから、非公開とされております。また、会議の議事録の公開については、発言者氏名を公にすることで、発言者等に対して、外部からの圧力や干渉、危害が及ぶ恐れが生じることから、発言者氏名を除いた議事録を公開することとされております。あらかじめ御了承いただきたいと存じます。

 それでは、以後の議事進行は、鈴木部会長にお願いします。よろしくお願いいたします。

○鈴木部会長 それでは、最初に事務局から資料の確認をお願いします。

○事務局 資料の確認をいたします。本日は、資料1から資料3、参考文献1から参考文献8、参考資料1から参考資料3です。以上です。

○鈴木部会長 資料がお手元に無い場合は、お知らせ願います。よろしいでしょうか。

 本日の議題は、指定薬物の指定についてです。審議物質について、事務局から説明をお願いします。

○事務局 今回御審議いただきたい物質については、国内外で流通実態が認められた物質になります。資料1は、各物質の名称、通称名、構造式が1~3まで、それぞれ記載しております。これらの物質について、指定薬物として指定をし、規制対象とする必要があるか否かについて御審議いただきたいと思います。資料2は、御審議いただく物質のほか、構造が類似する指定薬物や麻薬などについて、一覧表にまとめたものです。資料3は、国内外の基礎研究や動物実験の結果等について、中枢神経系への影響を中心に取りまとめたものです。

 資料2を説明いたします。詳細は資料3を用いて御説明いたしますが、資料2に、審議物質及び構造が類似する物質についてのデータを取りまとめておりますので説明いたします。資料2-1に、審議物質. APINACA -(-chloropentyl)誘導体、構造が類似する指定薬物や、麻薬について自発運動量への影響、カンナビノイド受容体に対するデータを示しております。審議物質は、カンナビノイド受容体活性を有しており、表に示しております過去に指定した指定薬物や麻薬と同種の作用を有することを確認しております。

 資料2-2に、審議物質. の2-DPMP、構造が類似する指定薬物や向精神薬について自発運動量への影響、モノアミントランスポーター阻害作用のデータを示しております。審議物質は、ドパミントランスポーター、ノルアドレナリントランスポーターの阻害作用を有しており、過去に指定した指定薬物や向精神薬と同種の作用を有することを確認しております。

 資料2-3に、審議物質. の1P-LSD、構造が類似するLSD、作用機序が類似する麻薬である2C-Iについて、Head twitch responseのデータを示しております。なお、選択的セロトニン2A受容体拮抗薬の前処置により、1P-LSDが誘発されるHead twitch responseは減少することが分かっております。1P-LSDについては、セロトニン受容体に対するKi値や、EC50の値は、知見が得られておりませんが、LSD、2C-Iについては、参考に示させていただいております。審議物質は、セロトニン受容体を介した幻覚の作用を有する物質であると考えております。

 資料3-1を説明いたします。通称、APINACA -(-chloropentyl)誘導体ですが、指定薬物であるAPINACA -(-fluoropentyl)誘導体や、APICA -(-fluoropentyl)誘導体と構造が類似する化合物です。

 運動活性に対する影響については、マウスにAPINACA -(-chloropentyl)誘導体を5mg/kg腹腔内投与し、投与後、24時間の1時間毎の自発運動量を測定した結果をページ2のFig.1に示しております。対照群と比較して、1時間毎の自発運動量は、投与後5時間まで減少傾向が認められ、特に投与後1時間では有意な差が確認されております。

 Fig.2は、陽性対照物質、JWH-018の結果を示しております。

 Fig.3は、投与後、0~3時間における累積自発運動量を示したもので、点線で囲んだものがAPINACA -(-chloropentyl)誘導体の結果です。溶媒のみ投与した対照群の100%と比較したところ、有意な差は確認されませんでしたが、減少傾向が認められております。また、投与後のマウスを観察したところ、投与後約10分後から無動状態が観察されております。

 続いて、ヒトカンナビノイド、CB1、CB2受容体に対するアゴニスト活性EC50を測定した結果を示しております。APINACA -(-chloropentyl)誘導体のCB1受容体に対する値が、233nM。CB2受容体の値が14.9nM となっており、カンナビノイド受容体活性を有することが確認されております。

 ページ3には、構造が類似する化合物のAPICA APICA -(-fluoropentyl)誘導体、JWH-018のCB1及びCB2受容体に対するアゴニスト活性などを示しております。いずれの物質も、CB1受容体に活性を有することが確認されております。

 その他、海外における流通状況については、2015年にスウェーデンにおいて流通が確認されております。

 これらの結果から、APINACA -(- chloropentyl)誘導体は、カンナビノイド受容体に対するアゴニスト活性を有しており、過去に指定した指定薬物や麻薬と同種の作用を有する物質であると考えております。

 資料3-2を説明いたします。通称、2-DPMPですが、指定薬物であるD2PMや、Ethylphenidateと構造が類似する化合物です。運動活性に対する影響については、マウスに2-DPMP(mg/kg)を腹腔内投与し、投与後24時間の自発運動量を測定した結果を、ページ5のFig.4に示しております。対照群と比較して、1時間毎の自発運動量は、投与後2時間まで有意に増加することが確認されました。

 Fig.5は、陽性対照物質のd-methamphetamineの結果となっております。

 Fig.6は、投与後0~3時間における累積の自発運動量を示したもので、点線で囲んだものが、2-DPMPの結果です。溶媒のみを投与した対照群の100%と比較したところ、有意に増加することが確認されております。また、投与後のマウスを観察したところ、約30分後から過活動が観察されております。

 続いて、モノアミントランスポーター阻害作用について検討した結果を、ページ6に示しております。2-DPMPのドパミントランスポーターに対するKi値が7nM、IC50値が70nM、ノルアドレナリントランスポーターに対するKi値が38,000nM、IC50値が140nM、セロトニントランスポーターに対するKi値が3nMを上回る結果。IC50値が1万nMを上回る結果となっております。構造が類似するD2MPやMethylphenidateについても、ドパミントランスポーターやノルアドレナリントランスポーターの阻害作用が確認されております。

 その他、海外における流通状況については、2014年にスロベニアやフランスなど、多数の国において流通が確認されております。これらの結果から、2-DPMPはドパミントランスポーターやノルアドレナリントランスポーターの阻害作用を有し、過去に指定した指定薬物や向精神薬と同種の作用を有する物質であると考えております。

 資料3-3を説明いたします。通称、1P-LSDですが、麻薬であるLSDと構造が類似する化合物です。Head Twitch反応については、マウスでのHead Twitchの発現用量と、ヒトでの幻覚作用発現用量の正の相関があることが知られております。1P-LSDによるHead Twitch反応についての知見がありますので、御説明いたします。

 マウスに、1P-LSD、(2550100200400800μg/kg)を腹腔内投与し、投与後、30分のHead Twitch反応を観察した結果を、ページ8のFig.7及びFig.8に示しております。1P-LSD投与により、用量依存的にHead Twitch Countsが上昇し、対照群と比較して、200400800μg/kg投与群では、有意に増加することが確認されております。1P-LSDにより誘発されるHead Twitch反応のED50は、158.9μg/kgであり、LSDにより誘発されるHead Twitch反応のED50は、52.9μg/kgであることから、作用強度は、LSDの3分の1程度となっております。

 続いて、1P-LSDにより誘発されるHead Twitch反応について、選択的セロトニン2A受容体拮抗薬である、M100907を前投与した際の影響を検討した結果を、Fig.9に示しております。左から対照群、1P-LSD400μg/kg投与群、M1009070.1mg/kg前投与した1P-LSD400μg/kgの投与群の結果の順で示しております。1P-LSDにより誘発されるHead Twitch Countsは、M100907の前投与により、有意に減少することが確認されております。

 その他、海外における流通状況については、2015年にイギリスにおいて流通が確認されております。これらの結果から、1P-LSDは、セロトニン2A受容体を介した幻覚の作用を有する物質であると考えております。

 以上、3物質について、指定薬物として差し支えないと考えますが、よろしく御審議のほどお願いいたします。

○鈴木部会長 事務局から説明があった物質について、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。最初に流通実態を、□□委員からお願いしたいと思います。

□□委員 □□□□で分析調査をした結果、この3化合物のうちの最初の2化合物については、粉末の形で検出しております。

 また、最後の1P-LSDについては、紙片にこの薬物を染み込ませた形での製品として検出しております。以上です。

○鈴木部会長 ありがとうございます。それでは、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。特にありませんか。データとしては、全体的にクリアなデータが出ていると思いますが、よろしいでしょうか。

□□委員 コメントでも何でもないのですが、情報共有ということで発言します。資料2-3の1P-LSDですが、構造式と化学名をどう表記すればいいのかということです。これに関して、事務局あるいは□□委員とも相談して、結果として、こういう形がいいのではないかというのを、私から提案させていただきました。付け加えると、皆様の方がよく御存知だと思いますが、これは天然のリゼルグ酸の誘導体なので、天然由来の部分は光学活性体であると思います。しかし、ここが私は分かりませんが、なぜか従来から使われているLSDの化学構造式が、不斉表記をしない形で構造が規定されています。ですから、今回の1P-LSDも、それを踏襲していいのではないかということで承諾いたしました。これについて、どなたか分かる方がいらっしゃればいいのですが。

 これ、合成品と言っていますが、不斉炭素が2か所ありますから、4種類のミクスチャーの可能性があります。そういう化学合成品が、出回っている可能性は、実は本来はないのではないかと思うのですが、どうなのでしょうか。どなたか御存知ですか。

□□委員 製品として出回っている形態が、紙片に薬物を数百μg染み込ませた形ですので、そこから単離して、最終的な立体構造を全部決めるというのは困難です。ただ、この二つの不斉炭素が関与するエリトロ及びトレオ体に関しては、恐らく液クロでピークが分かれると思いますが、□□が分析した製品においては、通常使っている液クロの条件では、二つのピークは認められませんでした。1ピークのみ認められていました。

□□委員 ということです。

○鈴木部会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

□□委員 今回の指定に関しては、全く問題はないのですが、最初の資料3-2のFig.3ですが、これ、有意差はないということで、有意差は確認されなかったが、減少傾向は認められたということなのですが、エラーバーの表記はどうするべきかというところを、エラーバーがグラフの中に記載されていないので、この記載との整合性を取るのが、ちょっと難しいかと。ほかのところはKi値でマークが付いているから、ある程度気にならないのですが、ここは特に有意差が観察されなくて、減少傾向というように結論をしているので、やはりこの表記、エラーバーは要るかと思うのですけれども、いかがでしょうか。

○鈴木部会長 事務局からお願いします。

□□委員 この資料では問題ないのかと思っています。

○事務局 今回の資料、おっしゃるとおり、エラーバーの方は表示されておりません。今後、資料を掲載する際には、そういったところも気を付けて資料作成に努めてまいりたいと思います。

□□委員 ありがとうございます。

○鈴木部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、発言が出尽くしたと思いますので、審議をまとめます。

 ただ今御審議いただきました3物質は、いずれも医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律、第2条第15項に規定する指定薬物として、指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。ありがとうございます。

 それでは引き続き、事務局より説明をお願いします。

○事務局 今後のスケジュール等について、御説明させていただきます。

 本件の結果については、次回開催の薬事分科会で報告させていただく予定です。

 本日の結果を受け、指定薬物を指定するための省令改正の手続を進める予定です。また、いわゆる正規用途については、審議物質2の2-(ジフェニルメチル)ピペリジンに化学合成用途での有用性があるとの情報を確認しております。いずれにしても、可能な限り、適正使用に支障を来さないように対応する所存です。以上です。

○鈴木部会長 本日の議題は以上です。それでは、事務局から、その他の連絡事項があればお願いします。

○事務局 次回の部会日程については、5月中を予定しております。正式に決まり次第、御連絡させていただきます。また、本部会の資料は回収させていただきます。机上に置いたままにしてください。以上です。

○鈴木部会長 先生方、本日は御審議、誠にありがとうございました。以上をもちまして、平成28年度第1回指定薬物部会を閉会いたします。ありがとうございました。

 


(了)

備  考
本部会は、公開することにより、委員の自由な発言が制限され公正かつ中立な審議に著しい支障をおよぼすおそれがあるため、非公開で開催された

連絡先:医薬・生活衛生局 監視指導・麻薬対策課 課長補佐 佐々木(2779)

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