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2016年8月4日 第44回 先進医療会議・先進医療合同会議(第44回先進医療会議、第45回先進医療技術審査部会 議事録

○日時

平成28年8月4日(木)15:30~15:49


○場所

全国都市会館 第1会議室(3階)


○出席者

【構成員等】
猿田座長 五十嵐座長代理 石川構成員 坂本構成員 柴田構成員
福井構成員 福田構成員 藤原構成員 宮坂構成員 山口構成員
【事務局】
医療課長 医療課企画官 医療技術評価推進室長 医療技術評価推進室長補佐 医療課長補佐
歯科医療管理官 医政局研究開発振興課長 医政局先進医療専門官 他

○議題

1 新規技術(6月受理分)の先進医療A又は先進医療Bへの振り分けについて(報告)
  (先-1)
  (別紙1)(別紙2)

2 新規技術(7月受理分)の先進医療A又は先進医療Bへの振り分け(案)について
  (先-2)
  (別紙3)(別紙4) 

3 先進医療Bに係る新規技術の科学的評価等について
  (先-3)
  (別紙5)

○議事

議事録(公開審議)先進医療会議

15:30開会

○猿田座長

 それでは、時間がまいりましたので、第44回「先進医療会議」を始めさせていただきます。

 本日はこの第44回「先進医療会議」のほかに、その後、第44回「先進医療会議」と第45回「先進医療技術審査部会」の合同会議をさせていただきます。それからもう一つは、その後、これは非公開ですが、特区における特別な機関の審査もするということで、3つのことが重なったものですから、本来ならば4時からスタートするところを3時半からスタートさせていただいたということで、構成員の先生方には大変お忙しいところを、きょう、また、物すごく暑い中をお集まりいただきまして、どうもありがとうございました。

 それでは、まず、第44回「先進医療会議」を始めさせていただきます。

 本日の構成員の出欠状況でございますが、座長代理の五十嵐先生が約30分おくれて来られるということでございます。それから山本構成員は、本日は御欠席ということを承っておりまして、先生からは全ての議事そのほかに関しまして、私に一任するということでございます。

 なお、今回、事務局の異動がございましたので、御紹介のほどよろしくお願いいたします。

○先進・再生医療迅速評価専門官

 事務局でございます。

 6月21日及び7月1日付の事務局の異動がございましたので、御紹介させていただきます。

 迫井正深医療課長でございます。

 森光敬子研究開発振興課長でございます。

 中谷佑貴子医療技術評価推進室長でございます。

 平山龍一先進医療専門官でございます。

 このほか、所用でおくれておりますが、濱谷浩樹審議官、矢田貝泰之保険医療企画調整室長、また、中山智紀薬剤管理官が異動してきております。

 どうぞよろしくお願いいたします。

○猿田座長

 ありがとうございました。

 それでは、資料の確認を事務局のほうからよろしくお願いいたします。

○先進・再生医療迅速評価専門官

 事務局でございます。

 頭撮りについては、ここまでにさせていただきます。

 それでは、資料の確認をさせていただきます。

 まず、議事次第をおめくりいただきまして、先-1「先進医療の新規届出技術について(届出状況/6月受理分)」としている横紙の資料がございます。こちらに別紙1-1、1-2、2-1、2-2がそれぞれついてございます。

 続きまして先-2「先進医療の新規届出技術について(届出状況/7月受理分)」としている横紙の資料がございます。こちらには別紙3-1、3-2、4-1、4-2がそれぞれついてございます。

 次に先-3「先進医療技術審査部会において承認された新規技術に対する事前評価結果等について」としている横紙の資料がございます。こちらには、左上ホチキスどめの資料として別紙5がついてございます。

 資料の確認は以上でございます。資料について不足、誤り等がございましたら、事務局まで御連絡くださいませ。また、今回もタブレットを使用していただきたいと思います。届出書類等についてはタブレットから閲覧していただきます。会議資料とタブレットの内容は異なっておりますので、発言される方は会議資料のページ、またはタブレットのページをあらかじめ御発言いただけますと議事の進行上助かりますので、よろしくお願いいたします。以上でございます。

○猿田座長

 どうもありがとうございました。

 資料のほうはよろしいでしょうか。

 それでは次に、今回の検討対象となる技術に関しまして、利益相反の調査をしていただきます。これも事務局のほうから御報告をよろしくお願いいたします。

○先進・再生医療迅速評価専門官

 事務局でございます。

 それでは、今回の検討対象となる技術等に関しての利益相反について御報告いたします。

 藤原構成員、山口構成員より、新規技術7月受理分の先進医療Aまたは先進医療Bへの振り分け案の受理番号70について報告がありました。

 山口構成員におきましては、評価対象技術に含まれる医薬品または医療機器等の製造販売業者等からの受領額が500万円以下でありましたので、先進医療会議運営細則第4条の規定に基づき、当該技術に関する検討に加わることは可能ですが、議事の取りまとめ及び事前評価に加わることはできません。

 また、藤原構成員におきましては、評価対象技術に含まれる医薬品または医療機器等の製造販売業者等からの受領額が50万円以下でありましたので、先進医療会議運営細則第4条の規定に基づき、当該技術の議事の取りまとめ及び事前評価に加わることは可能であります。

 次に、藤原構成員、山口構成員より、新規技術7月受理分の先進医療Aまたは先進医療Bへの振り分け案の受理番号71について報告がありました。

 藤原構成員、山口構成員におきましては、評価対象技術に含まれる医薬品または医療機器等の製造販売業者等からの受領額が50万円以下でありましたので、先進医療会議運営細則第4条の規定に基づき、当該技術の議事の取りまとめ及び事前評価に加わることは可能となっております。

 次に、猿田座長、福井構成員、藤原構成員より、先進医療Bとして評価を行う整理番号96の技術について報告がありました。

 猿田座長におきましては、評価対象技術に含まれる医薬品または医療機器等の製造販売業者等からの受領額が500万円以下でありましたので、先進医療会議運営細則第4条の規定に基づき、当該技術に関する検討に加わることは可能ですが、議事の取りまとめ及び事前評価に加わることはできません。

 福井構成員におきましては、評価対象技術に含まれる医薬品または医療機器等の製造販売業者等からの受領額が500万円以上でありましたので、先進医療会議運営細則第4条の規定に基づき、当該技術の議事の取りまとめを含む検討及び事前評価に加わらないことになります。

 藤原構成員におきましては、評価対象技術に含まれる医薬品または医療機器等の製造販売業者等からの受領額が50万円以下でありましたので、先進医療会議運営細則第4条の規定に基づき、当該技術の議事の取りまとめ及び事前評価に加わることは可能でございます。

 以上でございます。よろしくお願いいたします。

○猿田座長

 どうもありがとうございました。

 そのほか、構成員の方で今何か報告することがあれば言っていただければと思いますが、特にございませんね。

 ありがとうございました。

 それでは、ほかにはないということにさせていただきます。

 それでは早速、議事のほうに入りたいと思います。

 まず、新規技術6月受理分の先進医療Aまたは先進医療Bへの振り分けについての報告でございます。事務局より、よろしくお願いいたします。

○先進・再生医療迅速評価専門官

 事務局でございます。

 新規技術6月受理分の先進医療Aまたは先進医療Bへの振り分けについて、資料、先-1に従って御説明申し上げます。

 6月に受理した技術は受理番号68「既存抗リウマチ薬抵抗性の関節リウマチに対するヒドロキシクロロキン併用療法」、受理番号69「院外心停止後患者に対する水素ガス吸入療法」の2件でございます。

 それぞれの適応症は、受理番号68は関節リウマチ、受理番号69は心停止後症候群となっており、かかる費用は資料のとおりでございます。

 まず、受理番号68の「既存抗リウマチ薬抵抗性の関節リウマチに対するヒドロキシクロロキン併用療法」について、別紙1-2をごらんいただきますと、使用する医薬品が適応外使用となりますので、こちらは先進医療Bとして振り分け案を作成いたしました。

 また、受理番号69の「院外心停止後患者に対する水素ガス吸入療法」も、別紙2-2をごらんいただきますと、使用する医療機器、医薬品が未承認、適応外のものであり、こちらも先進医療Bとして振り分け案を作成いたしました。

 7月の先進医療会議を持ち回りにて開催し、いずれも先進医療Bとして振り分けられましたので、御報告いたします。

 御説明は以上でございます。

○猿田座長

 どうもありがとうございました。

 今、御説明いただきましたように、この2つの技術とも未承認薬を使用されているということで、2つともBの振り分けでいいのではないかということで、先生方に書類上で審査していただきました。今ここでBに振り分けることに関して、どなたか御意見はございますか。よろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○猿田座長

 それでは、これはお認めいただいたことにさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

 それでは続きまして、7月受理分の先進医療Aまたは先進医療Bへの振り分け案につきまして、これも事務局のほうから御説明願います。

○先進・再生医療迅速評価専門官

 事務局でございます。

 新規技術7月受理分の先進医療Aまたは先進医療Bへの振り分けについて、資料、先-2に従って御説明申し上げます。

 7月に受理をした技術は受理番号70「腎摘出術による病気腎(小径腎腫瘍)を用いた修復腎移植術」、受理番号71「腹膜播種を伴う膵がんに対するゲムシタビン/ナブ-パクリタキセル点滴静注+パクリタキセル腹腔内投与併用療法」の2件でございます。

 それぞれの適応症ですが、受理番号70は修復腎移植によるレシピエントの腎機能回復、受理番号71は腹膜播種を伴う膵がんとなっており、かかる費用は資料のとおりとなっております。

 受理番号70の病気腎(小径腎腫瘍)を用いた修復腎移植術については別紙3-2をごらんください。こちらをごらんいただきますと、使用する医療機器の一部に適応外使用のものがあり、また、移植術ということもありますので、こちらは先進医療Bとして振り分け案をつくってございます。

 また、受理番号71の腹膜播種を伴う膵がんに対する抗がん剤による治療も別紙4-2をごらんいただきますと、使用する医薬品に適応外使用のものがあり、こちらも先進医療Bとして振り分け案をつくってございます。

 御説明は以上でございます。

○猿田座長

 どうもありがとうございました。

 今、御説明いただきましたように、70番、71番ともに、やはり適応外使用薬、医療機器等が使われているということで、これも両方とも先進医療Bへの振り分けでいいのではないかということですけれども、どなたか御意見はございますか。特によろしいですね。

(「はい」と声あり)

○猿田座長

 それでは、ともに先進医療Bへの振り分けということで、お認めいただいたことにさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

 続きまして、先進医療技術審査部会において承認された新規技術に対する事前評価結果等につきまして、まずは事務局より、利益相反も含めて御説明いただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○先進・再生医療迅速評価専門官

 事務局でございます。

 先ほど御説明いたしましたとおり、整理番号96の技術につきましては、福井構成員は当該技術に関する検討及び事前評価には加わらないことになりますので、大変申しわけありませんが、よろしくお願いいたします。

 また、猿田座長に関しましては、当該技術に関する検討に加わることは可能ですが、議事の取りまとめに加わることはできませんので、よろしくお願い申し上げます。

(福井構成員退席)

○先進・再生医療迅速評価専門官

 では、資料先-3に従って御説明申し上げます。

 今回、御審議いただきます技術は「微小肺病変に対する切除支援気管支鏡下肺マーキング法」でございます。こちらの適応症については微小肺病変、かかる費用については資料にお示ししたとおりでございます。

 事前評価は藤原構成員にお願いしてございまして、総評として「適」をいただいております。

 御説明は以上でございます。

○猿田座長

 どうもありがとうございました。

 よろしいでしょうか。それでは、まず、藤原構成員から御説明をお願いいたします。

○藤原構成員

 お手元の資料の40ページをごらんください。ポンチ絵とともに技術の概要が書いてありますので、こちらが一番わかりやすいと思います。

 この技術は肺の中に出てくる、大体は1センチ以下とか5ミリ程度の、CTの上では淡い影、すりガラス様の影を呈するような腫瘤で、胸腔鏡下の手術も開胸もですけれども、手術になると肺表面に近いと目視下でわかりやすいのですが、少し奥に入ると、小さいと認識しにくいということがあって、オペに困難を来すことから、この方法は術前に気管支鏡で腫瘤に近いところまで行って、そこでインジゴカルミンという色素を噴霧して、肺の表面のカラー写真がありますけれども、このようにインジゴカルミンが青く見える、この真ん中あたりにもともとの腫瘤があるということで、そこを切除していくという技術であります。

 成功するかどうかというのは、この手術でとった組織のマージンがちゃんととれているかどうか、十分離れたところまで、大体2センチぐらいの腫瘤であれば2センチ以上マージンがとれていることで手術の成功と見たりするのですけれども、それで手術が成功しているかどうかを判断していくという流れになっています。

 もともとこの申請は、4月に技術審査部会にかかったのですけれども、このインジゴカルミンで染めるというものと、それから気管支鏡下にコイルを置いてきて、そのコイルを後からオペ時に視認して場所を特定するという、2つの技術が申請されていたのですけれども、コイルのほうはほかの領域の効能・効果もない、初めての技術で、インジゴカルミンのほうはセンチネル生検等で使っている、適応外の成分だったので、将来的な薬事承認に向けたことを考えたときには、マイクロコイルではなくてインジゴカルミンのほうの申請をまず最初にしたほうがスムーズに開発が進むのではないかという意見がありまして、それを受けて申請者がマイクロコイルでのマーキングの中身は取り下げて、インジゴカルミンだけですっきりとしたデザインにつくり変えてきてくれて、最終的に6月の技術審査部会で承認になったという品目であります。

 技術は既に臨床研究としてもかなりの実績もありますし、内容的には倫理的にも問題ないですし、そこに書いていますように先行する研究もありますので、罹患率、有病率を勘案しても、ある程度普及しているのではないかと思います。また、場所を特定するということが非常に効率的になる可能性はあります。試験が終わってみないと、大幅に効率的とは言えませんので、現時点ではやや効率的かなと考えます。さらには、きちんとした結果が出れば、将来の保険収載の可能性もあると判断いたしますので、総合判定として「適」といたしました。

 以上です。

○猿田座長

 どうもありがとうございました。

 この先進医療技術会議におきましては、主担当が伊藤構成員、副担当が佐藤構成員と柴田構成員ということで、構成員の先生方のお手元には資料があるかと思いますが、柴田先生から何か報告があればお願いいたします。

○柴田構成員

 当初出てきた計画案では評価が困難である部分がございまして、先ほど藤原先生からも御指摘があったように、薬事上の扱いと、あとは試験計画の面で、御提案のままではちょっと厳しいかなと考えたのですが、その後、方針を変更していただきまして、プロトコルも適切に改訂されましたので、この内容であれば、このインジゴカルミンの評価に関しては問題ないだろうと判断いたしました。

○猿田座長

 技術会議のほうでは山口先生に見ていただきましたので、一言お願いいたします。

○山口構成員

 藤原先生の言われたとおり、もともと2つの技術が組み合わされていて、しかも1つはかなり臨床試験が行われていて非常に有望な技術です。それに加えて新しい、比較的根拠の少ないものをあわせて、その両方がよければいいのですけれども、万が一、新しいほうの技術が余りよくないということになると、共倒れというか、せっかくの有望な技術も一緒にだめになる可能性があるので、別々にしてはどうでしょうかというお話をして、受け入れていただいたということかと思います。

○猿田座長

 この形であればよろしいということですね。

 今のような状況ですが、私は取りまとめができません。また、座長代理の五十嵐先生もまだお見えになっていませんので、宮坂先生のほうでまとめていただけますか。

○宮坂構成員

 それでは、かわりに取りまとめをさせていただきます。

 「微小肺病変に対する切除支援気管支鏡下肺マーキング法」ということで、事前評価も「適」ということですけれども、お認めいただくということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○宮坂構成員

 どうもありがとうございました。

○猿田座長

 お認めいただいたということですが、判定もお願いいたします。

○宮坂構成員

 よろしいですね。

(「はい」と声あり)

○宮坂構成員

 それでは、「適」とさせていただきます。

○猿田座長

 「適」という判定をいただきました。先生方、どうもありがとうございました。

 五十嵐先生がまだお見えにならないようですが、次に入ってよろしいでしょうか。

○先進・再生医療迅速評価専門官

 事務局でございます。

 五十嵐先生が来られるまで、申しわけございませんが少しだけ休憩ということでよろしいでしょうか。

○医療技術評価推進室長補佐

 五十嵐先生が間もなく到着になりますので、しばらく休憩とさせていただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

議事録(公開審議)先進医療合同会議

○日時

平成28年8月4日(木)16:0116:43

○場所
全国都市会館 第1会議室(3階) 

○出席者
【構成員等】

猿田座長 五十嵐座長代理 石川構成員 坂本構成員 柴田構成員

福井構成員 福田構成員 藤原構成員 宮坂構成員 山口構成員 佐藤構成員

【事務局】

医療課長 医療課企画官 医療技術評価推進室長 医療技術評価推進室長補佐 医療課長補佐

歯科医療管理官 医政局研究開発振興課長 医政局先進医療専門官 他
 
 ○議題
 1 先進医療Bに係る新規技術の科学的評価等について
(先-1)
(別紙1)

○猿田座長

 それでは、「先進医療合同会議」を始めさせていただきます。第44回の「先進医療会議」と第45回の「先進医療技術審査部会」の合同会議ということでございます。

 五十嵐先生がいらっしゃいましたので、事務局より、利益相反のところからもう一度お願いできますか。

○医療課企画官

 合同会議として、まずは構成員の先生方の出欠状況から御確認いただければと思います。

○猿田座長

 それでは合同会議として、これから始めさせていただきたいと思います。最初に申し上げましたが、この会議も山本構成員は御欠席ということで、全てを座長に一任するということでございます。

 次に、先進医療技術審査部会のほうからは、佐藤構成員に出席していただいております。

 佐藤先生、どうも御苦労さまでございます。

 それでは、事務局より、資料の確認をお願いいたします。

○先進・再生医療迅速評価専門官

 事務局でございます。

 資料の確認をさせていただきます。議事次第をおめくりいただきまして、先-1「先進医療Bの新規届出技術に対する事前評価結果等について」としている横紙の資料がございます。こちらには左上ホチキスどめの別紙1がついてございます。

 資料の確認は以上でございます。資料について不足、誤り等がございましたら、事務局まで御連絡くださいませ。また、先ほどと同様、タブレットを使用していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。以上でございます。

○猿田座長

 ありがとうございました。

 よろしいでしょうか。

 それでは、今回の検討対象になる技術の利益相反につきまして、これも事務局のほうからよろしくお願いいたします。

○先進・再生医療迅速評価専門官

 事務局でございます。

 それでは、今回の検討対象となる技術等に関しての利益相反について御報告いたします。

 猿田座長より、今回、評価を行う整理番号97の技術について報告がありました。利益相反についてはありませんが、猿田座長御自身が所属する保健医療機関からの届出にかかる医療技術であることから、先進医療会議運営細則第4条の規定に基づき、当該技術に関する検討及び事前評価には加わらないことになります。

 次に、藤原構成員より報告がありました。評価対象技術に含まれる医薬品または医療機器等の製造販売業者等からの受領額が50万円以下でありましたので、先進医療会議運営細則第4条の規定に基づき、当該技術の議事の取りまとめ、及び事前評価は可能となっております。

 以上でございます。よろしくお願いいたします。

○猿田座長

 ありがとうございました。

 そのほか、構成員の先生方から御意見はありませんでしょうか。

(「はい」と声あり)

○猿田座長

 それでは、お認めいただいたことにさせていただきます。

97番の事案に関しまして、ここからは五十嵐先生にお願いしたいと思います。

(猿田座長退席)

○五十嵐座長代理

 前の会議が長引いたため遅参いたしまして、大変失礼いたしました。

 整理番号97について審議をさせていただきたいと思います。

 初めに、この先進医療技術審査部会における事前評価について、主担当を藤原構成員、副担当を佐藤構成員と柴田構成員にお願いしております。

 そういうことですので、これから藤原構成員より概要の説明と実施体制の評価をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○藤原構成員

 お手元の資料、別紙1をごらんください。

 「既存抗リウマチ薬抵抗性の関節リウマチに対するヒドロキシクロロキン併用療法」です。これは既にSLE、全身性エリテマトーデスに対してプラケニルというサノフィのお薬で日本に存在しているものですけれども、それの適応外使用に関する臨床研究の申請であります。

 関節リウマチにはさまざまな薬がございますけれども、海外ではこのヒドロキシクロロキンとほかの2製剤を3剤併用で使うのが結構難治性といいますかコントロールの難しい関節リウマチにも、診療ガイドラインにも載っていますし、プラセボとのランダム化比較試験でも有効性がわかってくるような、非常に標準的に近い治療として使われているのですけれども、残念ながら日本では使われていない現状があるということで、慶應大学のグループの先生方が、これを先進医療Bでやりたいということで、この研究を組んでこられました。

 私は実施体制の評価をさせていただきましたけれども、実施体制は慶應のリウマチ科の竹内先生自身もその前の埼玉医大のころから、この領域ではトップの先生でいらっしゃるので、体制自体には全く問題はありませんし、医療技術の有用性自体も、日本人での使用経験は申請者からの回答がありますが、パブリケーション、あるいは発表等ではないと書いてありますので、日本人での経験はないけれども、世界的にはガイドラインにも載っていて、きちんとしたお薬であることは間違いないという結果をいただいています。

 ただし、後から出てまいります倫理担当の佐藤先生、プロトコルデザイン等を見ていただいた柴田先生から、幾つか重い指摘等をいただいておりますので、それを受けた上で総合評価をしたいと思います。

○五十嵐座長代理

 ありがとうございました。

 続きまして佐藤構成員から、倫理的観点からの評価をいただきましたので、これについてお願いいたします。

○佐藤構成員

 佐藤でございます。

 倫理面からの担当をいたしました。評価については2ページ目。先方への指摘については5ページ目からに書いてあります。タブレットのほうの163ページからが同意説明文書ですが、これは恐らくオリジナルのバージョンで、指摘に対して御対応いただいたものは、この中には入っていないように思います。

 大きな点といたしましては、これは被験者側を最初から分けていて、盲検ではありませんので、介入群と観察群では別々の説明文書をつくってくださいということをお願いいたしました。それには御対応いただきました。

 それから補償の内容については、これは紙資料の6ページのところですが、プロトコルが固まった段階で保険加入を予定するというので、まだ具体的にどういう保険に入れるかわからないらしいのですが、説明文書には、こうこうこうだということを書いていただいていますので、このとおりの保険加入をしていただけるのであれば、倫理的には問題ないだろうと考えました。

 あと幾つか細かいことはありますけれども、全て御対応いただけたと判断しましたので、倫理面からは4と5について「適」という評価をいたしました。

 以上です。

○五十嵐座長代理

 どうもありがとうございました。

 続きまして柴田構成員から、実施体制の評価の結果についてお願いいたします。

○柴田構成員

 試験実施計画書等の評価を担当いたしました、柴田です。お手元の資料、別紙1の2ページをごらんください。いろいろな項目がございますが、この中の、被験者の適格基準及び選定方法と、有効性及び安全性の評価方法と、被験者等に対して重大な事態が生じた場合の対処方法のところについて「不適」という印をつけさせていただきました。

 今回、本剤の開発をしようという方向やその内容自体に異論はございませんし、妥当なことであろうと思います。また、評価をするときにランダム化比較試験ではなくヒストリカルコントロールとの比較をするということに対しても異存はございません。

 一方で、このようなコンテクストでヒストリカルコントロールとの比較をするというのは方法論上結構難しいところがございます。そこの部分が現在提示されている試験実施計画書の内容では記載が不十分であるとか設定が不十分であるということで、このまま結果を出していただいたとしても結果の解釈が困難になる、あるいは実施されようとしている先生方が意図されている結果が得られない可能性が高い状況です。ですから、不適というのはこの試験をやるべきではないという意味ではなく、試験を実施していただくという前提で適切に直していただくべきであろうという意味での「不適」です。

 3ページをごらんください。主な問題点としましては、今回、ヒドロキシクロロキンを使われる方に対して既存の診療科のデータベースからコントロール・対照群をつくるための患者さんをマッチングで選んでくるとおっしゃっていますが、そのときに、診療科のデータベースに入っているリウマチの患者さん全てがヒドロキシクロロキンの投与対象になるわけではないはずですので、一定の条件を満たした方を、コントロールをとる対象にするべきです。その条件として一定の記述はあるのですが、そのような記述でこれから前向きにランダム化比較試験をするのであればこのぐらいの記述でも対象は規定できるのですが、過去のデータベースから患者さんを抽出しようとなると、このような規定では不十分で、実際に解析をしようとするときに解析ができなくなってしまいます。そこのところはご施設に生物統計の専門家の先生方がいらっしゃると思いますので、そういう方の御協力をいただきながら、事前に詰めていただく必要があるかと思います。

 一つの論点としましては、例えば使用薬剤の条件をある程度絞らないと議論が難しくなるのではないかと思います。例えばメトトレキサートを使わない場合の薬剤選択に関しては、明確な優先順位はつけられておらず、効果に大きな差がないと御説明いただいていて、確かにそのとおりかもしれませんが、一方でメトトレキサートを使っても不十分であるために薬を上乗せされるような患者さんがいらっしゃるので、メトトレキサートを使っているだけなのか併用療法をされているのかに関して言うと、一定の患者さんの状態の違いがあるためにお医者さんがそのような治療法を選択されているはずです。

 どちらでもいいけれども併用療法なり単剤療法なりをしているのではなく、理由があって併用療法をされているはずですので、そこのところをきちんと詰めておかないと、対象を選んだときに重症度による選び方、重症度でマッチングするだけでは不十分というか不適切なコントロールを持ってきてしまう可能性があります。重症度のマッチングがこのようなコンテクストで難しいのは、治療経過に伴って患者さんの状態をあらわすスコアが変わってくるわけで、治療が不十分であるために悪化したスコアがついている患者さんと、十分強い治療をされたのでそこそこのスコア・著しく悪化せずにそこそこで維持できている患者さんとがいるので、スコアでマッチングするというのは実は結構難しいところがあります。統計学的に考え出すと非常に厄介な問題があるので、この場で詳細な話を申し上げることはできないのですが、少なくともそういう観点について考慮した上でコントロールをとってこないと、通常のランダム化比較試験のかわりとして、このようなpropensity scoreを使う解析をしようというのは、ちょっと無理があります。そこのところを、生物統計の専門家の方と御相談いただきながら、準備をした上で始めていただきたいという趣旨です。

 また、通常のランダム化比較試験であれば、併用薬の種類を規定しなかったとしても、ランダム化されますので、2つの群、プラセボアドオン群と今回のヒドロキシクロロキン群で、背景で使われる薬というのはだいたい均質になりますが、今回はそういう形ではないので、事前に規定をする必要があるということです。

 めくっていただきまして、4ページ目のマル2のところですが、これは先ほどお話ししたことも該当するのですが、propensity scoreを算出してマッチングをするとおっしゃっているのですが、そのpropensity scoreをどういう患者さんのデータに基づいて算出するのかという規定が不十分です。繰り返しになりますが、明らかにヒドロキシクロロキンを投与することが不適切な患者さんというのも診療データベースの中にはあるはずで、そういう患者さんを除いた集団に基づいてpropensity scoreを計算する必要があります。しかし、そこのところで具体的に誰のデータを使ってスコアを算出するのかが明らかにされていない。誰というのはお名前を提示してくださいという意味ではなくて、どういう条件の患者さんを対象にしてスコアを計算するのかということを規定しなければ、実際の解析ができないということです。そういう問題を改めて詰めていただく必要があろうかと思います。

 マル3に書きましたところは記載の不備ですので、これは直していただけば済むことです。

 私のほうで気がついた点は以上です。

○五十嵐座長代理

 ありがとうございました。

 ただいまの御説明につきまして、何か御質問等はございますか。

 コントロールの選び方に少し問題があって、それを書面等でディスカッションするだけでは、どうも合意にならないというか、双方の理解が得られないという御意見と承ってよろしいですか。

○柴田構成員

 これはもともとプラセボ対照のランダム化比較試験をするのに比べて、方法論上非常に難しい研究デザインなのです。実施可能性は高いのですが、きちんとしたものをやろうとすると非常に難しいものですので、そこのところはやはり、数日間の書面のやりとりで解決が得られるようなシンプルな話ではなく、リウマチの診療体系に関してきちんと理解した生物統計家にディスカッションに加わっていただかないと、適切なデザインにはならないと思います。その意味で、一旦、ここの段階では苦渋の選択ではございますが、「不適」とさせていただきまして、整理をつけていただいた上で出していただく。それで適切なデザインになるのであれば問題ないのかなと考えております。

○宮坂構成員

 柴田先生に質問ですが、御存じのようにリウマチの治療というのはメトトレキサートが基本薬で、メトトレキサートが効かなければ生物学的製剤というのが標準的治療です。問題は、このヒドロキシクロロキンというのは位置づけが全く違っていて、後でちょっと説明しようかと思っていたのですが、日本ではクロロキン訴訟のために全く日本人のデータがないのです。ただ、欧米ではその昔からリウマチ治療の基本薬、ベースになる薬として使われてきた。なおかつ、それなりの有効性と安全性がある。生物学的製剤は高くて使えない人が日本にはたくさんいるわけで、ヨーロッパなどですと国が生物学的製剤の治療費を払ってくれるからいいのですが、日本の場合は3割払わなければいけませんから、年間50万円ぐらいかかってしまう。それを払えない人たちに使う薬剤がなかなかなくて、欧米ではそういう人たちに対して実はこのヒドロキシクロロキンを使っているという状況もあるのです。ですから、うんとパワーのある薬ではないのですが、グローバルな観点から治療をするという点からすると、必要な薬であることは間違いない。

 先ほどメトトレキサート以外の使用薬剤が違うではないかと言われたのですが、確かに使用する薬剤は幾つかあるのですが、実はどれも似たり寄ったりで、ほとんどパワーがないのです。ですから、どれを使おうともそんなに患者さんの状況は多分変わらないだろうというのが一点あります。

 それから、この試験そのものは、ヒストリカルコントロールは慶應大学のリウマチ内科から持ってきますので、かなり同じようなプリンシプルでやっていて、患者さんの治療のプリンシプルというのもかなりホモジニアスだろうと。多施設から、いろいろなところから集めてきたものであれば非常にヘテロジニアスになるのですけれども、こちらのほうはそうではなくて、かなりそこの点はホモジニアスになるだろうと思います。

 あともう一つは、既存治療をやっている中にオンとオフの群をつくれば一番いいのですけれども、そうすると今度はオフの群に対して倫理的に問題になってしまう。ですから、そういう意味ではヒストリカルコントロールを置くというのは苦渋の選択で、なかなか、先生がおっしゃったような難しい点はあるのですけれども、倫理的な観点を考えると、何か、私もちょっと落としどころがよくわかりませんけれども、ヒストリカルコントロールを置いてやること自体は仕方がないのかなと。だから問題は、先生がおっしゃったような点をきれいに解決できることがあるかどうかということだと思うのです。

 余り言ってはいけないかもしれませんが、まず日本の場合には、全く使われたことがない薬剤ですので、安全に使えることをまず示さなければいけない。なおかつ有効性、あるいは非劣性が示せればそれでいいのかなという、その程度の臨床試験で、それをやったとしても、これだけで申請に行き着くということはないわけです。当然これは、その昔で言う未承認薬、適応外薬の有識者会議に乗って、そこで治験にするか公知申請にするかを決めるという、その前段階ですので、そういう意味では余り厳しさを求めると、これはなかなか先へ進めなくなってしまうのかなという気がしています。とりとめのない話で申しわけないのですが、何かその辺のことについてコメントをいただけますか。

○柴田構成員

 先生から御指摘いただきました点は、この研究を進める価値がある研究であると判断する上で重要なポイントだと思っておりまして、私は、これはやっていただくことが妥当な研究であると思っております。先ほどおっしゃったように、今、この段階で外国のエビデンスがある状況で、日本で前向きのプラセボ対照試験をするのは不可能であろうということは私も思いますし、なおかつ、今回、慶應大学の診療データベースがあるという状況で、ヒストリカルコントロールを使ってデータをするというのは、非常にポジティブに評価すべき点であると思っております。先生がおっしゃったように、まず、診療方針が統一されているというのは非常に大事なところで、いろいろな診療方針がまざっていると、結局、何を見ているかわからなくなりますが、そうではないという意味で、今回の状況は、このようなデザインの研究をする上では、かなりよい状況であると認識しています。ですから、これはこのままやっていただくほうがよかろうと考えております。

 一方で、先ほど先生がおっしゃったような薬の間の差ということであれば問題ないのですが、例えばメトトレキサート単剤では不十分な方、生物製剤に関しては規定を設けてあるので今回は入らない。

○宮坂構成員

 それは入らないだけですよね。

○柴田構成員

 入らないのでいいのですが、それ以外の方を、メトトレキサート単剤で治療されるか、あるいは併用で治療されるかというところの違いについては、メトトレキサート以外の薬の中で差がないというのはよくわかるのですが、そこの部分についてはまだ詰められていないのです。そこはプロトコルにおいて詰める必要があると考えています。もしこれが、通常の、先ほど先生がおっしゃったような、今の治療に対してプラセボを乗せるかこれを乗せるかというランダム化比較試験であれば、メトトレキサート以外の併用薬に関してもランダム化されるので、無視してもいい話なのです。ただし、これは対照をとってくるときに、どのタイミングのDAS28のスコアを使うかという話や、どのタイミングの血清反応を使うかという話も絡んで、治療の結果ある状態にある患者さんなのか、まだ治療を開始した直後であるからその状態にあるのかということの区別をつけておかないと、患者さんの選択ができない。

○宮坂構成員

 そこは当然ついていて、3カ月以上治療をして無効なものを対象にしているはずなのです。1カ月使っただけでだめだというわけではない。それと、メトトレキサートがだめな人は何をやっても大体だめで、生物学的製剤に行かなければだめなのですけれども、先ほどお話ししたような事情で行けないわけです。ですから、もう、残りの薬というのは実際には2~3種類しかないわけですが、どれを使ってもそれほど差がないので、私はその点は余り大きくは。明記するのであればしたほうがいいとは思いますけれども、それほど大きな問題ではないのかなと私自身は考えています。

○柴田構成員

 それであっても、上乗せをされるということは治療効果が期待される、あるいは治療効果が出る方がいる、悪化する度合いが低下するということはあるわけですよね。今回の場合、どのタイミングの患者さんの状態のデータでマッチングするかというのは特定されていないのです。

○宮坂構成員

 だから、例えばその上乗せした薬、メトトレキサートに上乗せした薬が例えばブシラミンであろうがサラゾスルファピリジンであろうが、3カ月やって無効であると。その人にヒドロキシクロロキンを乗せる、あるいは乗せない、乗せない群のヒストリカルコントロールを持ってくるということであればよろしいですか。例えば3カ月という文言を入れるとすれば。

○柴田構成員

 もし前向きに患者さんを特定するのであれば、それで比較ができますので、今御指摘いただいた内容で十分です。今回は診療録の中にいろいろな時間経過をたどっている患者さんがいるので、それを抽出するためのテクニカルな工夫が必要であるということです。プリンシプルとしては先生のおっしゃったところで十分であって、それをテクニカルに解消できるように規定をする必要があるという指摘です。

○宮坂構成員

 それをもう少しきちんと明記した定義をしたほうがいいということですか。

○柴田構成員

 はい。そうしないと実際にデータの抽出ができないので、そこのところです。テクニカルな問題であって、臨床的には先生がおっしゃっていることで納得いたしました。

○宮坂構成員

 わかりました。

○五十嵐座長代理

 よろしいでしょうか。ほかはいかがですか。

○福田構成員

 柴田先生の御指摘はいちいちごもっともだと思うのです。せっかくやるのだから、きちんとした統計解析をやって成果を出せる形がいいと思います。

 先生が途中でコメントされていたのが、生物統計家がいらっしゃるということですが、そういうことは実施計画等に明記されていたりするのですか。

○柴田構成員

 実施計画の当初案には記載がございませんでした。回答された中にはお名前が入っていて、非常に優秀な方のお名前が入っていますので、安心してお任せできると思います。

○福田構成員

 わかりました。見つからなかったのでお尋ねしましたが納得しました。

○五十嵐座長代理

 ほかは、よろしいですか。

○山口構成員

 いつも柴田先生の説明は物すごくよくわかるのですが、きょうはなかなかフォローできないぐらい難しい話で、とんちんかんな質問かもしれませんが、別紙1の7ページでしょうか、ここにわざわざ先進医療Bでやらなくても、外国のガイドラインでこれまでにきちんと持っているようなものは公知申請のような形でやったほうが、時間もかからないし、こんな難しいことをやらなくてもいいのではないかと思うのですが、そのあたりはどうなのでしょうか。

○柴田構成員

 それは一つの考え方としてあると思うのですが、それはこのままエビデンスなしにやったとしても、一つ評価をする余地はあるのかもしれませんが、宮坂先生も御指摘のように日本人のデータが全くないということであると、外国の論文だけで公知申請の議論をするのはちょっとしにくいところがありますし、歴史的な経緯も踏まえると、実際のデータは必要であろうと思います。

 今回は前向きにそのデータがとられますので、安全性のデータが押さえられるという意味で、今回のデータは、安全性のデータという意味でも重要な位置づけになると思いますので、先進医療Bでやることに私は異存はありません。

○山口構成員

 逆に言えば、安全性さえ確認できる試験であればいいのではないかと思うのですが。

○柴田構成員

 その毒性とのバランスに関して、あるいは投与対象の選択に関して、全く異論のない薬であれば、シングルアームで前向きの、安全性を特定するデータを集めて、外国のエビデンスと組み合わせて申請をするという手はあると思います。

 一方で、そういう形では出してこられなかったということは、一定の有効性に関する根拠はとっておきたい。その根拠として、どの程度のものをとるかということに関しては、ランダム化比較試験をするべきだというほどではないと私は思っております。

 この形で有効性のデータをとる必要があると考えておられるのであれば、この形で申請者の先生方がとりたいと思っているデータがとれる形の研究をするべきだと考えているということです。

○宮坂構成員

 私自身はこれを見たときに、これで有効性を言うのはとても難しいだろうなと。しかも60例のヒストリカルコントロールと60例の実薬群ではほとんど不可能。そこまでパワーのある薬剤ではないのです。もう一つ、どうして公知申請をしなければいけないかというと、1950年代に日本でネフローゼ症候群にクロロキンを使って網膜症になってクロロキン訴訟が起きたということがあって、これはもう公知申請で出してもその話を持ち出される限り、絶対に公知申請では通らないのです。ようやくSLEのほうで、これはループス腎炎でもクロロキンというのは欧米では基本薬、基礎薬になっていて、それを結局、ループス腎炎のほうは未承認薬の会議のほうから企業に行って、最終的には治験をやって、それも小さな治験をして、安全性を確認できるということで承認をとっているのです。ですから、今回の場合も先ほど山口先生が言われたように、むしろ安全性を証明できれば、有効性の点はもう既に全世界で標準薬になっていますから、そこはそれほど言わないで、安全性が確認できればいいのかなと。だから、もしかするとその観点からもう一度こちらのプロトコルをつくり直すというのも、もしそれでよければ可能かなという気はします。

○柴田構成員

 そこは、どのくらいの承認のハードルを要求すべきかという話は、私自身で決められるものではないので、迷うところはございますが、もし申請をされる先生方も含めて、安全性のデータが十分であればよいとお考えなのであれば、シングルアームの安全性を調べる臨床試験として組まれればよいと思います。

 私がここで指摘しているのは、私も60例ぐらいで、このようなところで明確な差がつくとは思えません。しかしながら、明確な差がつくとは思えないけれども、ここで有効性のデータをとりに行くとおっしゃっているからには、この試験をやった結果、ネガティブであったら、この薬を日常診療に導入することの逆風になってしまうのです。ですから、少なくともこの程度のものであっても有効であるということをデータをもって示したいという意図をお持ちなのであれば、このデザインでやるとその意図に反して逆にこのデータが承認の足かせになってしまうということで、このような御指摘をした次第です。

○宮坂構成員

 よくわかりました。

○五十嵐座長代理

 皆さん、よろしいでしょうか。

 御理解いただけましたでしょうか。

(「はい」と声あり)

○五十嵐座長代理

 それでは、藤原構成員にこの先進医療技術審査部会としてのまとめをお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

○藤原構成員

 技術審査部会のメンバーとしては、もう一回次に出してもらえば通るのではないかというのがありまして、先ほど柴田構成員もおっしゃったように、当初のやりとりのときに生物統計家の姿がはっきり出てこないというところが一番懸念されていて、彼が指摘したところからそういうやりとりが始まったので、多分もう一回、今、柴田構成員が言ったように、慶應にはすばらしい生物統計家の人がいるので、その方がリウマチ科の先生とちゃんと話していただければ、多分すぐ整理がつく話だろうと思います。

 皆さんのお手元の別紙1の後ろのほう、宮坂先生の評価の後、19ページにロードマップがあります。先ほど、いかに早く承認してあげられるか、それがスケジュールとしてあるかなという中で、プラケニルが日本で正式に承認されたのが2015年9月、去年の秋なので、この半年ぐらいの間に誰かが使っておいてくれたらいいのかなと思ったのですが、残念ながらそれがなかったので、そうするとこの試験をどうしてもやらないといけない。しかも用量が、海外のガイドラインに比べて日本の今回使う用量は少ないのです。そうすると、PMDAに出したときに、それでちゃんと用量を言えるのかという指摘が必ず出てくるので、それに対する防御もあって、こういう試験を1本組んで、安全性は多分、はっきり言えると思いますが、有効性がそこそこ出ていれば、この半分の用量でもいけますよということになれば、多分、公知申請につながるだろうという、このポンチ絵のロードマップの上の学会要望の後の未承認薬・適応外薬検討会議を経ての公知申請検討というところにつながるだろうと思うので、1回先送りで、きちんと生物統計家の先生と議論した上でプロトコルをまとめていただきたいという意味で継続審議という結論にいたしました。

○五十嵐座長代理

 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの藤原先生のおまとめについて、何か御意見はございますか。

 よろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○五十嵐座長代理

 では、これにつきましては継続審議ということにさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

 続きまして、先進医療会議における事前評価については、先ほど御説明いただきました宮坂構成員にお願いしておりますけれども、この技術の内容と評価結果について御説明をお願いいたします。

○宮坂構成員

 先ほどと説明が重複するかもしれませんが、18ページのポンチ絵をごらんください。これはもともと既存抗リウマチ薬抵抗性の関節リウマチに対するヒドロキシクロロキン併用療法ということで、ですからこの対象患者は18ページのところに書いてありますように、マル1というのがメトトレキサート内服中で予後不良因子、要するにリウマトイド因子を持っている、あるいは抗CCP抗体を持っている、骨びらんがある、高疾患活動性、これらは通常の治療をしても予後不良になりやすいことがわかっている。ですから本当は治療方針を変更するか生物学的製剤に行くか、そういう患者さんなのです。それから2番の、抗リウマチ薬について2剤以上内服歴があって、なおかつDAS282.6ですから、疾患活動性がコントロールされていない。そういう患者さんを対象としようということで、それ自体はメークセンスかなと思います。

 プライマリーエンドポイントが24週のACR20、要するにアメリカリウマチ学会が規定した20%改善の達成率をもってする。これもほとんどの治験はこういう形をとっていますので問題ないだろうと。実際はこういう患者さんにヒドロキシクロロキンを200ないし400mg/日を追加併用する群が60例、先ほど問題になってヒストリカルコントロールが60例ということです。

 その次の19ページをごらんいただくと、欧米ではどうなっているかというと、先ほどからも話が出ていますけれども、もう、ごく標準薬として使われている。ガイドラインでも、単剤でも併用でもいいし妊娠中にも安心であると。しかもこれは合成薬剤ですから、非常に安い。生物学的製剤の5分の1ぐらいの値段ということです。ですから、今さらこれについて臨床試験をやる国はどこにもない。日本だけが、先ほどお話ししたクロロキン訴訟事件で取り残されてしまって未承認になっているということです。ですから、今回、これを先進医療として被験者60例、コントロールをどういう形で置くかは別として、60例をやって、その結果をもって、この学会というのは日本リウマチ学会になりますけれども、日本リウマチ学会が推薦をして、未承認薬・適応外薬検討会議に上がって、そこが公知申請にするか治験をするかを決める。しかし、これはもう、多分、安全性さえ証明されれば公知申請に行かないと、もう、倫理的に問題があって、ここから治験をやるというのは非常に非倫理的になりますので、そういうことから考えれば、この先進医療も有効性と安全性が証明されればいいのですけれども、安全性が一番問題になるのかなと考えております。

 選択基準はこの下に書いてありますように、リウマチの分類基準を満たし、既存治療で非寛解。要するに、疾患活動性がまだ残っている症例。除外基準はほとんどなくて、主治医が不適当と判断した症例ですけれども、この薬は肝機能が悪くても腎機能が悪くても肺の呼吸機能が悪くてもかなり使いやすい薬です。ただし網膜症がある人には、この薬は網膜症を起こすのでやってはいけない。この網膜症に関しては、その昔、日本でクロロキンで訴訟になったときには、クロロキンというのは網膜毒性の高い薬なのですが、ここで使われるヒドロキシクロロキンはそれよりもはるかに網膜毒性が低いことがわかっていて、なおかつ日本で使うときには欧米よりも量を減らして使う。しかも、これはドーズ・ディペンデント、タイム・ディペンデントにトキシシティーが出る。しかもそれは、眼科的な検査をすることで早期発見できるということですので、そこは十分、安全性に配慮してやっているので、私としては、社会的妥当性としては倫理的な問題はないと評価いたしました。

 現時点での普及性は、罹患率、有病率から勘案して普及はしていないということになります。

 効率性は、先ほど申し上げたように、これは基礎的な薬ですから、ドラマチックな有効性は期待できないけれども、生物学的製剤が使えない人には安価でそれなりの効果があり得る薬になる可能性が高い。

 将来の保険収載の必要性としては、今後の試験で日本人患者における網膜症発症リスクに関する安全性データが十分そろうことが前提ですけれども、これさえそろえば問題ないだろうということで、総評としては、既に欧米では関節リウマチ診療ガイドラインに基本的な治療薬の1つとして取り上げられております。しかし、我が国ではクロロキンによる網膜症が行ったことから、より慎重な対応が必要である。ただし、クロロキンに比較して、ヒドロキシクロロキンのほうが網膜症頻度ははるかに少なく、一般には容量依存的であることから、慎重な眼科的なモニタリングを行うことで安全性の確保は十分に可能と思われる。

 ということで、私自身は総合判定を「適」といたしました。

 ただ、先ほど柴田構成員がおっしゃったことはよく理解いたしましたので、これは次回までに申請施設のほうで内容を検討していただいて、再申請をしていただければいいと思います。

 以上です。

○五十嵐座長代理

 どうもありがとうございました。

 ただいまの御意見につきまして、御質問等はございますか。

○福井構成員

 視点の違う質問ですが、欧米でも日本と同じようにこの薬の副作用は認識されていながら、現在の使用状況にどうしてこんなに大きな差がついてしまったのでしょうか。

○宮坂構成員

 欧米はクロロキンでスタートしてヒドロキシクロロキンになって、なおかつ眼科的な合併症が起こることをみんな知っているわけです。それはどうしてかというと、欧米の専門医制度において、リウマチ医というのは1階部分が内科医になっていて、2階建てのところでリウマチ医をとっているのです。ですから、リウマチ診療をしている人はみんな内科のバックグラウンドがあって、臨床薬理的なことであるとか合併症のことであるとかトキシシティーへの対応、リスクマネジメントについて、みんな知っているのです。ところが日本の場合はそこが必ずしもうまくいっていなくて、内科から行く整形外科医も自称リウマチ医もいますし、整形外科医から行く人もいるし、非常にバックグラウンドが多彩で、眼科的な合併症のことを十分理解していなかったので、眼科の検査をしないで、実際はネフローゼが最初の対象疾患だったのですが、気がついたときには患者さんがクロロキンでもう失明に近い状態になっていた。そういうことがあったために、ネガティブイメージが広がって、日本では一切、治験そのものができないというバックグラウンドになってしまった。それが今に至っているということです。

 しかし、これだけ網膜症のことがわかって、しかもループス腎炎で既に昨年から使われ始めていますから、日本でも眼科的な検査を義務づけることで安全に使えるだろうと思います。

○五十嵐座長代理

 ほかにいかがでしょうか。

 それでは皆さん、御意見が出尽くしたようです。今までの御判断では、技術審査部会でもう一度練っていただいて、そしてもう一度出していただきたいということでよろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○五十嵐座長代理

 それでは、これにつきましては継続審議ということにしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 どうもありがとうございました。

○医療課企画官

 事務局でございます。

 座長にお戻りいただきますので、少々お待ちください。

(猿田座長着席)

○猿田座長

 以上をもちまして、先進医療合同会議については終了ということでございます。

 事務局より、次の開催の予定をお願いいたします。

○先進・再生医療迅速評価専門官

 事務局でございます。

 次回の開催につきましては、平成28年9月8日(木)を予定しております。時間、場所に関しては追って御連絡をさせていただきます。以上でございます。

○医療課企画官

 それに加えまして、冒頭、おくれると御報告申し上げました事務局の異動につきまして、2人到着しておりますので、おくればせながらではございますが、御紹介をさせていただければと思います。

 夏の異動で着任しております、審議官の濱谷浩樹でございます。

 そしてまた、保険局医療課の保険医療企画調整室長の矢田貝泰之でございます。

 事務局からは以上になります。

○猿田座長

 ありがとうございました。

 構成員の先生方、合同会議の終わりに当たりまして、ほかに何か御意見はありますか。きょうはいろいろなことで不手際がありまして申しわけございませんでした。

 もしなければ、これで合同会議を終わりたいと思いますけれども、佐藤先生にはわざわざおいでいただき、ありがとうございました。

 それでは、これで合同会議を終了させていただきます。ありがとうございました。

○先進・再生医療迅速評価専門官

 ありがとうございます。

 事務局でございます。

 公開審議案件については以上となりますので、構成員及び関係者以外の皆様方におかれましては退室していただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

○医療課企画官

 準備が整いますまで、暫時休憩とさせていただきます。

議事概要(非公開審議)

○日時

平成28年8月4日(木)16:5017:47

 

○場所

全国都市会館 第1会議室(3階)

 

○出席者
【構成員等】

猿田座長 五十嵐座長代理 石川構成員 坂本構成員 柴田構成員

福井構成員 福田構成員 藤原構成員 宮坂構成員 山口構成員

【事務局】

医療課長 医療課企画官 医療技術評価推進室長 医療技術評価推進室長補佐 医療課長補佐

歯科医療管理官 医政局研究開発振興課長 医政局先進医療専門官 内閣府地方
創生推進室企画調整官 他

【その他】

東京都 

○議題

1 国家戦略特区における保険外併用療養の特例の対象医療機関の選定について

 

○議事概要

 

16:50開会

○ 「国家戦略特区における保険外併用療養の特例」の対象医療機関の選定について、

東京都より 東京都立小児総合医療センターにかかる申請があり、申請書を基に、構成員

による事前評価を実施した上で、平成2711月5日及び平成28年8月4日に先進医療会議において審議を行った。

 

○ 平成2711月5日の審議においては、東京都及び東京都立小児総合医療センターに対して、人員体制や安全管理体制等にかかる照会を行う必要があると判断したため、「保留」と判定した。

 

○ この度、照会事項に対する回答を得たため、H28年8月4日の先進医療会議において改めて検討を行い、当該医療機関について、総合的に「適」と判断した。

 

東京都立小児総合医療センター  評点: 20

(人員体制:6.8点、治験の実績:6.8点、その他:6.4 点)

 

   ※原則として21点以上の場合を適と判断しているが、人員・安全管理体制等の一定の強化の方向が示されたこと、小児を対象としていること等の事情を総合的に踏まえ、「適」と判断した。

 

○ なお、構成員から以下のような指摘があり、これらの内容を、東京都及び東京都立小児総合医療センターに伝達することとしている。

 

・東京都は、特区自治体として、今回の東京都立小児総合医療センターをはじめとした

対象医療機関が保険外併用療法を実施するにあたり、支援体制の強化に向けた戦略を

明確化されたい。

東京都立小児総合医療センターにおいて、 国立成育医療研究センター等の関係機関と

連携しつつ、治験等をさらに主導的に実施されたい。

東京都立小児総合医療センターで 28 年3月にノロウイルス感染症が発生しているが、

感染症をはじめとした安全管理体制の徹底に十分努められたい。

 

以上

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以上


 

 

 


(了)

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