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2016年8月1日 第16回社会保障審議会人口部会 議事録
○日時
平成28年8月1日(月)16:00~18:00
○場所
厚生労働省共用第6会議室(3階)
○出席者
津谷部会長、稲葉部会長代理、大石委員、大林委員 |
小野委員、鬼頭委員、駒村委員、西郷委員、早乙女委員 |
榊原委員、白波瀬委員、鈴木委員、高橋委員 |
○議題
(1)部会長の選出及び部会長代理の指名
(2)人口部会の今後の進め方について
(3)報告聴取
・平成27年人口動態統計月報年計(概数)の概況
・平成27年国勢調査抽出速報と今後の公表予定
(4)将来推計人口とは-その役割と仕組み-
○議事
○野崎政策企画官
定刻になりましたので、ただいまより第16回社会保障審議会人口部会を開会いたします。委員の皆様におかれましては、御多忙の折、お集まりいただきまして、ありがとうございます。部会長を選出いただくまでの間、私、政策企画官の野崎が議事進行を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
初めに、政策統括官の福本より皆様に御挨拶を申し上げます。
○福本政策統括官
委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、本審議会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
社会保障審議会人口部会ですが、従来から総務省が行います「国勢調査」の結果を受けまして、国立社会保障・人口問題研究所が行う「将来推計人口」について議論するために、5年ごとに開催されてまいりました。この度、平成27年に行われました国勢調査がまとまりつつあります。次期将来推計人口の公表に向けまして、本日から議論させていただくものでございます。
前回の人口推計から5年になります。この間、平成27年の国勢調査の速報結果ですが、国勢調査としては、今回のものが初めて我が国の人口が減少に転ずるという結果になっています。一方、政府全体の動きとしても、このような人口減少問題ということに直面しまして、「ニッポン一億総活躍プラン」というものを昨年に策定し、今年また、そのリバイスをしたものを政府全体として決めております。この中では、「希望出生率1.8を実現する」ということを3本の柱の1つとして位置付けまして、それを目標として、政府全体として取り組むことにしております。
このような状況の中で、この人口部会で将来推計人口を検討いただくということになりますが、この将来推計人口は、社会保障制度だけではなくて、我が国の政策全般に大きな影響力を持つ重要な基礎資料となるというように考えております。お集まりの委員の皆様方、一人一人の御意見が大変貴重なものとなると考えております。多角的、あるいは専門的な観点から御議論を頂くことを心からお願い申し上げまして、御挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○野崎政策企画官
続きまして、委員の皆様の御紹介を50音順に御紹介させていただきます。稲葉寿、東京大学大学院数理科学研究科教授です。大石亜希子、千葉大学法経学部教授です。大林千一、帝京大学経済学部教授です。小野正昭、みずほ年金研究所研究理事です。鬼頭宏、静岡県立大学学長です。駒村康平、慶応義塾大学経済学部教授です。西郷浩、早稲田大学政経学部政治経済学術院教授におかれましては、後ほど遅れて来られるとのことです。早乙女智子、京都大学客員研究員です。榊原智子、読売新聞東京本社調査研究本部主任研究員です。白波瀬佐和子、東京大学大学院人文社会系研究科教授です。鈴木隆雄、桜美林大学教授です。高橋重郷、明治大学兼任講師です。津谷典子、慶応義塾大学経済学部教授です。
なお、本日は御欠席されていますが、山田篤裕、慶応義塾大学経済学部教授にも、本部会の委員をお願いしております。また、幹事として、関係省庁の方々にも御出席いただいております。
次に、事務局の紹介をいたします。総合政策・政策評価審議官の酒光は、後ほど参ります。社会保障担当参事官の度山です。人口動態・保健社会統計担当参事官の廣瀬です。国立社会保障・人口問題研究所副所長の金子です。同じく、国立社会保障・人口問題研究所人口動向研究部長の石井です。また、本日は、国勢調査抽出速報の説明のため、総務省統計局統計調査部の国勢統計課の栗田課長にも御出席いただいております。
続いて、お手元の資料を御確認いただきたいと思います。本日の資料は、議事次第、座席図のほか、資料1-1として、社会保障審議会人口部会委員名簿。資料1-2として、社会保障審議会関係法令・規則。資料2として、次期将来推計人口にむけた議論の進め方について。資料3-1として、平成27年人口動態統計月報年計(概数)の概況。資料3-2として、平成27年国勢調査抽出速報と今後の公表予定。資料4として、将来推計人口とは-その役割と仕組み-。また、参考資料1として、これまでの各種政策会議における人口構造に関する記述について。参考資料2として、平成27年簡易生命表の概況となっております。皆様、お手元にそろっておりますでしょうか。
それでは、議事に移ります。はじめに、本部会の部会長の選出を行います。資料1-2の3ページ目に、「社会保障審議会令」があります。第6条第3項にありますように、部会長は部会に属する社会保障審議会の委員の互選により選出することとされております。本部会には、駒村委員、西郷委員、白波瀬委員、津谷委員の4名の社会保障審議会委員がいらっしゃいます。あらかじめ各委員に御相談を申し上げた結果を踏まえ、津谷委員に部会長をお願いしたいと思いますが、皆様いかがでしょうか。
(異議なし)
○野崎政策企画官
ありがとうございます。それでは、津谷委員におかれましては、部会長席へ御移動をお願いいたします。それでは、以降の議事運営については、津谷部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○津谷部会長
部会長に御選任いただきました津谷でございます。委員の皆様の御協力を頂きながら、円滑かつ充実した議事運営に努めてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
社会保障審議会令の第6条第5項によると、部会長のほかに、部会長が部会長代理を指名することとされております。そこで、部会長代理には稲葉寿委員にお願いしたいと思います。稲葉委員、どうぞよろしくお願いいたします。
○稲葉部会長代理
よろしくお願いいたします。
○津谷部会長
冒頭のカメラ撮りはこれで終了させていただきますので、御退室をお願いいたします。
それでは、本日は新しい委員の皆様によります第1回目の会合となります。まず、人口部会の趣旨及び今後の進め方等について、事務局から説明をお願いします。
○度山参事官
社会保障担当の参事官、度山と申します。それでは、資料2「次期将来推計人口にむけた議論の進め方について」、御説明いたします。
今の社会保障審議会の人口部会という形になってから既に3回、2002年、2006年、2012年に人口推計が行われています。従来からやってきたやり方を、基本的には踏襲するということで考えております。
資料2にあるように、昨年行われた国勢調査結果について、これから徐々に様々な統計が出来上がってまいります。また、人口問題研究所で行われている出生動向基本調査等、人口推計を行う際に基礎となる調査結果が、これから秋にかけて徐々にオープンになるというか、発表になります。
2ページ、真ん中以下の所にありますが、これらを何回かに分けてレビューしながら、前回の推計以降の変化あるいはそのものの変化の評価というものを、人口部会の御議論で確認していくということで、次の人口推計に当たっての合理的な仮定の設定につなげていく議論を、先生方の御協力を得てしていきたいと考えている次第です。
通常、国勢調査実施年の翌々年の年初、大体、1月ということですが、年初に推計結果の公表をしております。今回もそのようなスケジュールを念頭に、今年から来年にかけて4回ないし5回程度の開催を予定しています。よろしくお願いいたします。
議論の進め方に関する説明は以上ですが、もう1つは、参考資料1ということで、「これまでの各種政策会議における人口構造に関する記述について」という資料をまとめておりますので、御参考までに簡単に触れておきたいと思います。
出生率とか人口の構造というものをめぐっては、参考資料1にまとめたように、各種の政策提言、あるいは政府の何々プランとか、意思決定における目標設定等々が行われてきています。ただ、不確実な未来をどのように見通すかということについては、これは何も人口の分野に限らず、これまでの経験というものを統計処理をし、おおよそ、ここからここまでの範囲が起こり得ることということで考えて、世の中に示すと、そういう手法がいろいろな分野で一般的に採用されているという理解をいたします。
また、ある対策を講じたということが、例えば、どの程度出生に影響を及ぼすかということに関しては、様々な議論や研究があるわけですが、OECDなどのレポートでも明らかにされているように、まだ、人類はそこまではっきりしたことを語るだけの知見を持ち合わせていないというような評価なのではないかと思います。
これらのことを考慮すると、後ほど社人研の方からも説明があると思いますが、地方創生、ニッポン一億総活躍プラン等々、様々な政策の考え方や目標が示されていますが、それはそれとして、人口推計については、現在の出生や死亡、人口移動をめぐる状況を分析し、それに基づいて推計を実施して、基本的にはこれらの政策を検討・議論をする際の基礎資料を提供するというスタンスで実施する考え方が、進めていくべき問題ではなかろうかと考えております。そのような形で議論が進められればと考えていることを補足説明して、私の説明を終わります。
○津谷部会長
ただいま御説明の今後の議論の進め方及びスケジュール等について、御意見はありますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、今後の進め方、議論の進め方及びスケジュールについては、御説明のとおりとしたいと思います。
では、議事の3番目の報告聴取に移ります。人口に関する調査データとして、「平成27年人口動態統計月報年計(概数)の概況」について、人口動態・保健社会統計担当の廣瀬参事官より御説明をお願いします。
○廣瀬参事官
廣瀬でございます。それでは、資料3-1です。「平成27年人口動態統計月報年計(概数)の概況」の御説明をいたします。
皆様もう御承知のとおりかと思いますが、人口動態統計というのは、通常、5事象について取りまとめているものです。「出生」「死亡」「死産」「婚姻」「離婚」、この5つの事象について取りまとめているものです。それぞれ、出生、死亡等々が起こったときに、国民の皆様が市町村役場に届けていただいています。その届出を基にして、人口動態調査の調査票が起票されまして、それを集計しているものです。したがって、人口動態調査、人口動態統計というのは、悉皆調査です。
また、今回、御説明申し上げる年計というものは、人口動態で上がってきた調査を毎月、月報という形でまとめており、事象が起こったものを5か月後に公表しているわけですが、その1年分が取りまとまったところで、その1年分を合計したものを「年計」という形で出しています。実際この後、数箇月、大体9月頃ですが、データの精査を行いまして、確定数ということで実数を改めまして、もう一回公表しているところです。今回は、月報として出ている、これは概数ですが、その1年分としてのものです。
2ページ、「結果の概要」と認識している所です。今、申し上げましたように、この見開きですが、5つの事象について、その実数、一番皆様が御関心があるというところを取りまとめているものです。
まず、出生です。平成27年100万5,656人となっています。前年は100万3,539人でしたので、2,117人の増加です。前年の平成26年は、過去、最小の数値を記録していました。平成27年は、それよりも少し多い数という実績です。
次に、死亡数です。死亡数129万428人、これが平成27年の実績です。前年、平成26年が127万3,004人でしたので、17万424人の増加です。
5つの事象の中でも計算されているものとして、「自然増減数」というものがあります。出生から死亡を引いて、自然体として人口が増加しているのか減少しているかという数値です。平成27年は28万4,772人の減少となっており、前年よりもその減少の幅が大きくなっています。
死産については、死産数が2万2,621胎ということで、前年よりも903胎の減少というのが平成27年度の実績です。
次に、婚姻です。婚姻件数63万5,096組となっており、前年の64万3,749組より8,653組の減少となっています。この組数は、戦後、最小です。
離婚については、平成27年、22万6,198組、前年の平成26年に比べて4,091組の増加です。
もう1つ、皆様の御関心があるものとして、合計特殊出生率があります。いわゆる、女性の方が一生の間に平均的に何人の子供を産むかという数値です。平成27年は1.46、前年の1.42に比べて0.04ポイントの上昇となっています。
それぞれの5つの事象について、もう少し細かく見たものが、以下、4ページ以降に続いています。図1、グラフで御覧いただくと、出生数が、近年というか、かなり長い期間ですが、トレンドとしては減少しています。ただ、合計特殊出生率という「率」でみると、平成17年、1.26という最低の数値を打った後、この後に上昇を続けております。
見開きの右側です。表3、第1子出生時の母の平均年齢は、平成27年は30.7歳、前年よりも0.1歳上昇しています。この辺は、この後、御説明申し上げる女性の平均初婚年齢というところと関係してくるところがあろうかと思います。
6、7ページ、これは出生率の中でも合計特殊出生率の部分です。全体の数値は先ほど申し上げたとおり1.46です。これを年齢階級別に分解すると、表4-1になります。15~19歳、20~24歳、この年齢階級が平成26年に比べて若干減少しています。一方、25歳以上のそれぞれの階級については、前年に比べて上昇となっています。単年の数値ですが、30~34歳、平成27年が0.5215と、ここが最も高い階級となっています。
併せて出生順位別で見たものが、表4-2です。平成27年は前年に比べると、第1子、第2子、第3子以上、どの子供の出生順位を見ても、平成26年より上昇しています。
また、都道府県別も御関心があるところですが、平成27年は平成26年に比べると、どの県も減少した所はありません。言ってみれば、ほぼ上昇しているところです。唯一、岡山県を小数第2位まで見ると1.49ということで、同じ数値を出していますが、どの都道府県も、基本的に上昇しているという具合に見て取れるところです。
次に、8ページ以降ですが、まずは死亡です。死亡数の年次推移については、図4のグラフを御覧いただくと分かるように、年々上昇しています。その結果、平成27年が129万余と出ています。また、それを年齢階級で見ると、75歳以上の年齢階級がほとんどを占めているのが見て取れます。おおむね7割を超えている数値が出ています。
次に、死因、10、11ページです。図5にあるように、主な死因別の死亡数の割合ですが、一番多いのが悪性新生物、いわゆるがんです。割合としては28.7%、言ってみれば3.5人に1人、7人に2人と言ってもいいのですが、その割合の方が、どの死因で亡くなっているかで言うと、悪性新成物である。続いて、心疾患は15.2%、肺炎は9.4%、脳血管疾患は8.7%となっています。
この死因順序ですが、以下10位まで掲示しているところが、右側11ページの表7です。死因順序は、平成26年と順位は変わっているところはありません。
12ページ、次は、それを年齢別にもう少し細かく見たものです。先ほど申し上げた悪性新生物が非常に高い割合を示したわけですが、それを年齢階級別に見ると、図7-1の中央に寄っているグレーの部分です。これは40歳代後半辺りから非常に高い割合を示しているところです。高齢にしたがって、悪性新生物の割合というものは減少していまして、その替わり心疾患や肺炎が上昇し、割合が多くなっています。
また、悪性新生物が一番多い割合を部位の所で見ると、男性では肺がん、肺の部位で87.2、これは10万対で87.2が肺の悪性新生物、非常に高い割合を示しています。また、女性については一番高い数値を示しているのが、大腸35.5、以下、肺の32.9と続いています。
14、15ページ、婚姻です。図9のグラフを御覧いただくと、年次推移ですが、段々婚姻に当たる年齢の人口のところが減少しているところもありますので、年々婚姻の件数が減少しています。また、それに従って、婚姻率のところもやや減少傾向を示しています。
右側の表10-1は、平均初婚年齢です。これについては、平成27年は夫が31.1歳、妻が29.4歳と、前年とともに同じ数値ですが、過去からのトレンドを見ると徐々に上がってきているのが見て取れます。ただ、その上がるスピードが少し鈍化しているということが見て取れると思います。
また、図10は初婚の妻の年齢の分布です。平成7年、平成17年、平成27年と10年置きに図示していますが、見て分かるとおり、最もピークの年齢ですが、年を追うごとに段々と高齢化しているのが見て取れます。また、そのピークというのが、少しずつ下がっているというところです。ですから、段々平たい、徐々に裾野が広がっている山という形に変化しています。
16、17ページ、離婚についてです。図11が離婚の年次推移ですが、平成14年の最高の離婚件数から徐々に減少しているというトレンドです。平成27年は平成26年より上昇しているところですが、トレンドとしては、件数、それから率ともに減少しています。
以下、19ページ以降は統計表ということで、更に長い年次推移の実数の数値であったり、また、もう少し細かい数値も載っていますが、御説明は割愛させていただきます。簡単ですが、説明は以上でございます。
○津谷部会長
ただ今御説明のありました人口動態統計の概況について、御質問、御意見等ありましたら、お願いいたします。
○鬼頭委員
では、質問いたします。1つ、最後のほうですが、15ページの平均初婚年齢の年次推移の御説明をいただきました。ヨーロッパの中には、フランス、スウェーデンなどのように、法律婚によらないカップルが子供をたくさん産んでいるという統計があるわけですが、日本の場合には、事実婚についての統計というのはあるのでしょうか。それから、出生については、多分、婚外子の統計があるのだと思いますが、何かそういうものが分かるようですと、これからの動向が推測できるような気がするのですが。
○廣瀬参事官
婚姻ですが、冒頭に申し上げましたように、人口動態統計というのは、いわゆる市町村役場のほうへの届出がスタートになります。したがって、当調査、当統計で出ている婚姻は全て「法定婚」です。事実婚については、本人が思っているもの等々でして、明確な届出というものがありませんので、それについては当調査、当統計でもって集計しているものはありません。申し訳ありませんが、そこまでは把握しておりません。
○鬼頭委員
ありがとうございます。
○津谷部会長
国勢調査では自己申告である配偶関係については、今回はどうか分かりませんけれども、国勢調査のほうで、それは含まれているということになるかと思います。ただ、わが国では、欧米ほど事実婚や同棲や内縁多くはないと思います。いずれにしましても、その議論についても、今後、この部会で話し合っていければと思います。ほかに御質問、御意見はありますでしょうか。
○大林委員
御説明ありがとうございました。せっかくの機会ですので、1点教えていただきたいと思います。人口動態統計については、基本的に死亡率などの集計は、日本における日本人の事件ということでずっと行われてきているというように理解しておりますが、日本に在留する外国人の数も増えているという中で、1つの考え方としては、外国人も含めた形で、それらの率も出していく方向も、あり得るのかという感じがしています。しかし、やはり日本人に限定したほうがいいという理由があるのか、あるいは、外国人も含めた形での率などいろいろ御検討なさっているとか、そういうことがあれば、お教えいただければということです。
もちろん試算してみますと、外国人を含めた総人口で算出したからといって、率がそう変わるわけではありませんけれども、概念上、外国人が増えている中で、そういう考え方もあり得るのかなということで御質問させていただきました。
○廣瀬参事官
まず、日本における日本人という形で諸数値を出しているところです。
これについては、いわゆる統計の継続性というところから、今、それぞれずっと行っているところです。ただ、今、御指摘があった外国人は一体どうなのでしょうか、というところはやはり問われるところです。実数については、実は細かい公表として、報告書の終わりのほうであったり、あるいはe-Statの中でも、外国人というところは、日本人ほど充実しているわけではありませんが、一定の数値については出しています。
ただ、率については、総人口で割るほうがいいと思いますが、ただ、率のほうまでは、細かく出しているかというと、なかなかそこまでは出ているものはなかったりということが若干あります。どうしても制限付きですが、一部、出しているのが現状です。
○津谷部会長
大林委員、よろしいでしょうか。
○大林委員
はい。
○津谷部会長
そのほか、御質問、御意見はありますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは続いて、「平成27年国勢調査抽出速報と今後の公表予定」について、総務省統計局の栗田課長より御説明をお願いします。
○栗田総務省国勢統計課長
総務省統計局国勢統計課の栗田と申します。どうぞよろしくお願いします。本日このような形で説明の機会を頂戴しましたこと、また日頃からの国勢調査、あるいは人口推計など、統計局の人口統計を御利用いただいていることにお礼を申し上げたいと思います。
本日、昨年実施をしました平成27年国勢調査の抽出速報集計の結果を去る6月29日に公表しましたので、そちらについて御説明したいと思います。資料としては、資料3-2という束になります。こちらを御覧ください。
1枚めくりまして、「平成27年国勢調査の概要」から御紹介します。国勢調査は、御案内のとおり大正9年以来5年ごとに行われていまして、今回の調査は20回目に当たります。調査の概要としては、5年ごとに10月1日現在に我が国日本に常住する全ての人ということで調査をしています。
今回の調査の特徴としては、世帯の方々により便利に御回答を頂くために、前回の平成22年の調査においては東京都限定で試行的に実施しました、このオンライン調査を、平成22年調査ではパソコンだけが対象だったのですが、パソコンだけでなくスマートフォンでも回答できるようにして、なおかつ地域的にも、東京都だけということではなく初めて全国で調査をスタートしたことが一番大きな特徴です。
オンラインの回答を促進するために、全ての世帯に対して、まずインターネット回答用のID等を封入した封筒を配布して、その後、オンライン回答のなかった世帯に紙の調査票を配布しました。回答する世帯側にオンライン回答をお勧めする一方で、希望する世帯については従来どおり紙の調査票でも回答できるようにして、調査員にそのまま提出する方法とか、それから調査票を封筒に入れて封をして調査員に提出する方法、また郵送提出ということも可能とするということで、御回答を頂く国民の皆様の生活様式、それから昨今高まってきているプライバシー意識にも対応した方法で調査を実施したところです。
その結果、こちらの資料には書いてありませんが、口頭で御報告します。オンライン回答の世帯が全体の36.9%、約3分の1です。また、この3分の1以上の方がスマートフォンでの回答となっています。それから、郵送回答の世帯が36.5%ありました。オンライン回答と郵送回答以外の方が調査員に提出した方々等になりますが、その世帯が26.6%となっています。オンラインで回答した方へのアンケート調査を併せて実施しましたが、そのアンケートでは、オンライン回答は大半の方が「操作は簡単だった」また、「次回もインターネットで回答したい」などと御回答を頂きまして、おおむね好評をいただいたのではないかと我々は認識しているところです。
続いて、平成27年国勢調査の抽出速報集計結果の概要を御説明します。6ページ目までに概要を更にかい摘んだ「要約」という資料を冒頭に付けましたが、本日は「結果の概要」を使って御説明したいと思います。
「結果の概要」です。この右隣のページに、抽出速報集計とは何かが書いてあります。本日御説明しますこの抽出速報集計というのは、調査対象となった全部の世帯のうち約100分の1の調査票を抽出して、国勢調査の全ての調査事項に関する主要な結果を早期に提供するという位置付けになるものです。こういう性格上、1%の調査票を抽出する際の標本誤差等がありますので、全ての調査票の審査集計を経て公表する確報集計結果、こちらは10月中に公表する予定ですが、この確報集計結果の内容とは必ずしも完全に一致するというわけではない、一致しない場合があることに御留意を頂ければと思います。
それでは内容の説明をします。「結果の解説」という所から見て、3ページ目を御覧ください。こちらで人口構造について触れています。我が国の人口、総人口は1億2,711万人となって、平成22年の前回調査から比べると94万7,000人の減少となりました。割合としては0.7%の減となっています。
総人口を男女別に見ますと、男性が6,182万9,000人で総人口の48.6%。女性は6,528万1,000人で、同じく51.4%となっています。女性のほうが若干、345万2,000人多くなっています。今回の国勢調査は、大正9年の調査開始以来平成22年までずっと人口の増加が続いてきましたが、増減率としては、戦後昭和24年をピークとする第1次ベビーブーム、図I-1-1の折れ線の所で御覧いただくと分かりやすいと思います。第1次ベビーブームのときに山になりまして、その子供世代である昭和48年をピークとする第2次ベビーブームの辺りに山が見られて、その後は、増減率としては一貫して低下傾向となっていましたが、今回初めて人口が減少したという結果が出たというのが、まず調査結果としては非常に大きいところかと思います。
4ページです。先ほど総人口1億2,711万人のうち、日本人人口は1億2,397万人となって、前回平成22年調査から比べると138万6,000人の減少、割合としては1.1%の減となっています。ここで御注意いただきたいのは、総人口と日本人人口の差には外国人も当然含まれるのですが、外国人のほか、日本人なのか外国人なのか現時点で分からない、国籍不詳の方が含まれています。したがって、今回の抽出速報集計では、平成22年調査の結果よりも外国人が増加したのかどうかはまだ分からないという状況です。ちなみに、外国人人口については、先ほど申し上げた10月中に公表する予定である確報集計結果、こちらで一つ一つの調査票を全部審査・集計して公表しますので、こちらのほうで初めて明らかになります。
5ページ、年齢区分別の人口を御説明します。総人口に占める15歳未満人口は、1,586万4,000人で総人口の12.7%。15~64歳人口、生産年齢人口とよく申しますが、こちらの年齢層については7,591万8,000人で、同じく60.6%。65歳以上人口が3,342万2,000人で、同じく26.7%となっています。総人口に占める65歳以上人口の割合は、調査開始以来最高となっています。また、同じく15歳未満人口の割合は過去最低という結果となっています。
7ページ、総人口に占める65歳以上人口の割合。これは諸外国と比較して見ますと、日本の今回の26.7%という数値は、図I-2-2で御覧いただくと、2番目がイタリアで22.4%、3番目がドイツで21.2%となっていますが、こちらよりも高くて、平成17年以降、世界で最も高い水準となっています。
9ページ、今度は65歳以上人口の割合を都道府県別に御覧いただきます。65歳以上人口の割合は、秋田県が33.5%と最も高くなっています。沖縄県が19.7%と最も低くなっています。図I-2-3には、図の左から高い割合、右に行くにしたがって低い割合ということで都道府県ごとに並べて図示しています。今回、沖縄県で、65歳以上人口の割合19.7%が15歳未満人口の割合17.2%を初めて上回ったということで、全国全ての都道府県で、65歳以上人口の割合が15歳未満人口の割合を上回ったということになります。65歳以上人口の割合が25%以上の都道府県は41県、都道府県の大半に及んで、また、65歳以上人口の割合が30%を超える都道府県が、今回の平成27年調査で初めて出現し12県に上っています。
12ページ、配偶関係について御説明します。国勢調査の配偶関係については、先ほども若干御質問がありましたが、法定婚かどうかという届出の有無にかかわらず、実際の状態により調べています。配偶関係の割合を年齢5歳階級別に見ますと、有配偶は、男性は70~74歳、女性は50~59歳が一番高い状況になっています。また、有配偶の割合が未婚の割合を上回るのは、男女ともに30~34歳以上の年齢階級となっています。
グラフを御覧いただいたほうが分かりやすいのかと思いますが、13ページに図I-3-1があります。こちらで今、御紹介した有配偶が一番高い年齢別と、それから有配偶が未婚の割合を上回るのが30~34歳以上の年齢階級となるのが、分かりやすく御覧いただけるかと思います。
また、こちらの概要の資料に入れていないので口頭で御報告します。この未婚の割合を男女別25~39歳の各年齢階級別に、前回平成22年と比べた状況を補足します。各年齢階級ごとに若干上昇したりまた低下したりということで、年齢階級ごとに異なった傾向とはなっていますが、急激に増えているとか、急激に減っているという大きな傾向の変化は見られないところではあります。ただ、長期的に見ると、未婚化晩婚化というのは進んでいると考えられるところです。
16ページ、就業者等の状況を御紹介します。15歳以上の労働力率は59.8%となっていまして、平成22年調査と比べると1.4%低下しています。これを男女別に見ますと、男性が70.8%、女性が49.8%となっています。平成22年の前回調査と比べると、男性が3ポイント低下している一方で、女性は0.2ポイント上昇していることになります。
17ページ、女性の25~29歳の労働力率です。こちらが80.9%となりまして、比較可能な昭和25年以降初めて8割を超える高い水準となっています。また、平成22年の前回調査で、いわゆるM字カーブの底となる35~39歳の労働力率、こちらが68.0%から72.4%となって、M字カーブの底が上昇しました。図III-1-1の右側が女性の図になっていまして、こちらでM字カーブの状況を御覧いただけるかと思います。昭和60年調査から比べると、徐々にM字カーブの凹みは浅くなって台形に近くなってきているところです。また、M字カーブの左の山の年齢層は20歳代の前半から20歳代の後半へ、それからM字カーブの底の年齢層が30歳代前半から徐々に30歳代後半へ移りつつあるという状況を御覧いただけるかと思います。
18ページ、就業者の従業上の地位について紹介しています。15歳以上就業者の従業上の地位別の割合を御覧いただくと、雇用者が87%を占めています。その内訳を見ると、正規の職員・従業員が53.2%、パート・アルバイト・その他が25.9%となっています。この雇用者の内訳を御覧いただくと、男女で大きく傾向が異なっています。男性は正規の職員・従業員の割合が最も大きくて64.6%、女性はパート・アルバイト・その他が大きく43%となっています。
19ページ、年齢階層別の状況を見ますと、男性は10歳代の後半と65歳以上を除くと、一貫して正規雇用・従業員の割合が高くなっているのに対して、女性は20歳代及び30歳代では正規の職員・従業員の割合は大きいのですが、40歳代以降、パート・アルバイト・その他の割合が大きくなっているのが分かると思います。
23ページ、15歳以上就業者について産業大分類別の割合を見ますと、卸売業・小売業が16.5%と最も高く、続いて製造業が15.7%、医療・福祉が12.2%となっています。前回の平成22年の調査と比べると、医療・福祉が2.0ポイント上昇となって、引き続き上昇を続けていることが分かるかと思います。
24ページ、15歳以上就業者について、今度は都道府県ごとに産業大分類別の割合を紹介しています。これで御覧いただくと、下の表III-4-2といった所を見ると分かりやすいので、字が小さくて恐縮ですが、2つ目の建設業は福島県で11.3%、製造業は滋賀県で25.7%、卸売業・小売業は大阪府で18.6%、医療・福祉は高知県が17.6%と、それぞれ全都道府県の中で最も高い割合になっています。建設業の福島県の割合については、平成27年の今回の調査結果は東日本大震災後、初めての調査になっていますが、震災後の復興需要の影響も考えられるところです。
26ページ、こちらで世帯の状況について御紹介しています。一般世帯数は、全ての世帯から施設等の世帯、学校の寮の学生など施設にいる方々の数を除いたものです。これは5,187万7,000世帯になりまして、一般世帯人員は1億2,410万5,000人となっています。一般世帯の一世帯当たり人員は2.39人で、平成22年に引き続き減少しています。
27ページ、一般世帯数を世帯人員別に見ますと、世帯人員が1人である単独世帯が1,684万5,000世帯と最も多くなっていまして、一般世帯の32.5%を占めています。
32ページ、こちらで高齢化の関連の所を少し御紹介しています。65歳人口のうち単独世帯の人員は562万6,000人、65歳以上人口に占める割合の16.8%となっていて、平成22年調査に引き続き上昇しています。男女別に見ると、65歳以上人口に占める割合は、男性が12.5%、女性が20.1%となっていて、65歳以上男性の8人に1人、65歳以上女性の5人に1人が単独世帯となっています。女性のほうが平均寿命が長くて、配偶者の方と死別されている方が多いということも影響しているのかと思われます。老人ホーム等に居住している「社会施設の入所者」の方も168万5,000人となっていて、平成22年と比べると約1.4倍となっています。
以上、雑駁ですが、平成27年国勢調査の抽出速報集計結果の概要の御説明をいたしました。今回の調査結果は、国勢調査としては大正9年の調査開始以来、ずっと人口の増加は続いてきましたが、初めて人口が減少したことですとか、65歳以上人口の割合の高まり等高齢化の進展が見られることが、テレビや新聞報道等でも各種報じられているところです。
最後に、今後の公表予定について御説明します。68ページ上から2段目にあります抽出速報集計結果について、本日御説明したところですが、この次は、本年10月中に確報集計である「人口等基本集計」を公表することを予定しています。この集計からは、人口の確定値を始め、外国人人口、母子・父子家庭数など、より詳細な世帯の状況が分かることになります。私からの説明は以上です。ありがとうございました。
○津谷部会長
栗田課長、ありがとうございました。それでは、ただいま御説明のありました国勢調査抽出速報について、御意見、御質問ありましたらお願いします。
○鬼頭委員
それでは、今年初めて全国的に展開されたインターネット回答について伺いたいのです。インターネット回答をやったことによって、何らかのバイアスが生じるような可能性があるのかないのかという、そういう想定があるかどうかということをお聞きしたいと思います。その理由は、私が東京で勤務していた頃に学生に尋ねてみると、独り暮らしをしているはずなのに国勢調査調査票を出していないというのが結構いたのです。多分、住民票も移していないのだろうと。それは多分、帰省地で出している可能性がある。そういうのが結構多いとなると、特に首都圏などでは、発表されている統計以上に若い人たちの集中がもしかしたら起きているのかもしれない。そういう人たちがインターネット回答をすることによって、もっと積極的に回答しているとすると、何らかのバイアスが出てくるのかな。その割合はもしかしたら小さいかもしれませんが、そのような検討はされたことはありますでしょうか。
○栗田総務省国勢統計課長
御質問ありがとうございます。オンライン回答は、今回平成27年調査で初めて全国規模で実施するということで、どのような影響があるかというのは、まだ結果論としては、確定値が公表される10月の公表の後にならないと正確なところは申し上げづらい、分析ができかねるという現段階の状況ですが、先生がお持ちの問題意識の関連について若干コメントをします。
国勢調査、調査時点に日本に常住している全ての方を対象として調査をします。例えば、都市部に住んでいる学生さんなど、住民票も移していなくて、調査票でも回答していただけないような方についても、従前から調査対象となっています。もし、直接御回答いただけない場合には、調査員の方が調査区を回って世帯の一覧をちゃんと作っています。例えば、マンションであればマンションの管理人の方等にも御協力を頂いて、どういう方が入っているのか。最低限、世帯と、それから世帯に住んでいる人数、男女の別、ここについては聞き取り調査をした上で、最終的に漏れがないようにということで把握をしている状況です。そういうことから、回収漏れ、回答漏れに関する回答率という概念はありませんので、我々としては、前回以前の調査も、それから今回の調査も、全ての方に御回答いただくべく努力をしています。
○鬼頭委員
なるほど。
○栗田総務省国勢統計課長
オンライン回答による調査結果への影響は基本的に生じないというのが望ましいと考えているところです。確かに若い方々がインターネットで直接、特に若い方はスマートフォンでの回答を頂いた方が結構多いと聞いています。オンライン回答ですと、分からない所を飛ばすということではなくて1問1問きちんと書いていただけるので、そういう方々の回答の精度とか、それから調査の実施に関わる者の審査事務の効率化にもつながるという利点もあると思います。
逆に、これは若い方だけにも限らないと思うのですが、今回の場合は先にインターネットの回答をして、回答がない方にその紙の調査票を配ることになっているのですが、例えば、紙の調査票と重複で出してしまうようなケースというのがないのかどうかというような。全国津々浦々でやっていますので、原則論として、国のほうで指導しているのと地域の実態が若干異なる部分がないかどうかというところも含めて、この後、審査の充実を図って、10月末の確報の集計結果の公表までにきちんとした調査結果を出し、また調査結果への影響があるのかないのか、基本的にはないように努力しているところですが、そういうところについても、必要に応じて分析をしていきたいと思っています。
○鬼頭委員
ありがとうございました。
○津谷部会長
よろしいでしょうか。先ほど鬼頭委員から若い年齢層のバイアスというお言葉が出ましたが、実は回答がない、つまり設問に答えないという回答不詳の問題というものが年次を追うごとに深刻になってきており、これは将来人口推計にも大きな影響を与えると思います。
一般的に若い年齢層のほう不詳が多い傾向があり、それをインターネットによる回答を可能にする、特にスマホのアプリをダウンロードして回答してもらうことによってある程度拾い上げたいということが、今回の国勢調査でオンライン回答を全国で実施した趣旨としてあったのではないかと思います。ですから若い年齢層のバイアスというより、むしろ若い年齢層を拾い上げる、特に都市部に居住する未婚の若者は大体どの調査でも一番回答率が低い傾向がありますので、オンライン調査の全国展開の実施により、そういう面でも期待が持てるのではないかなと思います。また、インターネットでは全部の設問に答えないと終われませんので、そういう意味でも不詳を減らすことができたのではないかと期待しております。
そこで、1つだけ私から確認をさせていただいてよろしいでしょうか。今、御説明いただきました統計データの実数にはきちんと不詳の数が全部書かれておりまして大変有り難いのですが、割合ですとか年齢別の率には不詳の数が示されていません。ここにお示しいただいた数値、統計データは割合や率は不詳を除いて集計をされているものと理解を私はいたしましたが、それでよろしいのでしょうか。
○栗田総務省国勢統計課長
例えば労働力のところで年齢ごとの割合というのは、必ず年齢が分かっていないと集計に入れられませんので、その調査項目ごとの中身が出るようにということでそれぞれ抜いております。
○津谷部会長
割合などでもそうなのですが、以前は不詳の数が非常に少なかったため、不詳を考慮に入れても入れなくてもほとんど差がなかったのですけれども、特に2000年以降非常に不詳が多くなってきています。そうすると、分母には不詳が入っているけれども、分子には不詳の数が反映されていない場合もあります。分子が不詳である場合には分母からも除かないといけないということもあり、不詳を考慮に入れるか入れないかで非常に大きく性・年齢別の率や割合が変わってまいります。ここに示されているのは、不詳を除いて算出された値と理解しておりますが、それでよろしいのでしょうか。
○栗田総務省国勢統計課長
若干補足させていただくと、今回の調査結果は抽出速報集計の結果ですので、全部の調査票の審査・集計はまだ続いております。確定の値については10月中に公表になる確報集計結果が出た後に御覧いただければと思います。部会長が御指摘の不詳が最近増えているという状況は、今回の状況はまだ分かりませんけれども、平成22年の国調も、その前の平成17年国調に比べるとやはり増えていたという実績がございますので、なるべく不詳にならないように、この後の審査事務の中でもきちんとした結果が出るように頑張ってまいりたいと思います。
○津谷部会長
その他御質問、御意見はございますでしょうか。では、確認ということで、まず早乙女委員どうぞ。
○早乙女委員
今のインターネット調査のことで、このインターネット回答用IDを配布して、実際にパソコン・スマホから回答が終了したのはどのくらいのパーセンテージか、もし分かれば教えていただきたいと思います。今後、例えばこういった方向にどんどん進んでいくのかどうかなど、この感触的なところがあればと思いまして。
○栗田総務省国勢統計課長
はい、うまく聞き取れていなかったら申し訳ありませんが、スマートフォンとパソコンで御回答いただいた方が全体の36.9%になります。
○早乙女委員
ありがとうございました。
○白波瀬委員
確認なのですが、今、鬼頭委員から「バイアス」という言葉があったので、意見を申し上げたく思います。それは正確にはバイアスとは言わなくて、正しい母集団を把握するための工夫として新たな方法を導入したと私は理解しております。そういう意味で10月の検証のときに、誰がどういう形でスマートフォンでの回答をし、回答者の年齢分布が分かると理解しているのですが、それでよろしいですね。要するに誰がどういうものを使って回答したかというのは基本的な情報になるので、恐らくそれは10月の検証時には重要な情報として分かると理解してよろしいですか。
○栗田総務省国勢統計課長
はい。
○白波瀬委員
了解です。以上です。
○津谷部会長
よろしいでしょうか。では、次の議事の4番目に移ります。「将来推計人口とは-その役割と仕組み-」について、国立社会保障・人口問題研究所の石井人口動向研究部長より御説明をお願いいたします。
○石井人口動向研究部長
国立社会保障・人口問題研究所の石井でございます。私どもの人口動向研究部では、全国の将来人口推計を担当しております。平成27年国勢調査の結果を踏まえた新しい将来人口推計の手法や仮定設定について、本部会を通じて御説明いたし
ます。本日は初回ということで、将来人口推計の基本的な役割と仕組みについて御説明いたします。
まず2ページです。こちらで将来推計人口の役割について御説明いたします。当研究所が行っている将来推計人口は、幅広い分野で御利用いただいており、そういった観点からの客観性、中立性が求められていると考えております。そのためには、正確なデータに基づいて客観的な手法により推計を行うことが重要だと考えております。しかし将来というのは不確定、不確実でして、科学的に将来の社会を定量的に正確に描く方法は残念ながら持ち合わせておりません。それは人間が行える測定と使える手法の不完全性、それからまた、将来の出来事全てを把握することができないという事実によるものだと思います。
このような中で科学的に推計を行うためには、現状で求め得る最良のデータと、最良の手法を用いて客観的な推計を行うことが最善であると考えられます。そのためには何が最良かを見極める専門性と、それを分かりやすくお伝えをする説明責任が重要になると考えております。私どもはこれまでの推計でも、この人口部会において将来人口推計の御説明を行いながら推計作業を行ってまいりましたけれども、この人口部会はこういった説明責任を果たす重要な機会の1つであると考えております。
次ページ、将来人口推計の目的に関しての御説明です。将来推計人口は、ある意味で科学的な予測と考えることが可能であると思います。通常私どもは、将来推計人口予測とは呼んでおりませんことから、ここではあえて鍵括弧を付け、いわゆる「予測」と書かせていただいておりますけれども、ここで科学的に予測を行う目的について少し詳しく記述しております。
まず一番上の箱ですが、未来は統計的な推定の対象なのかということを考えると、未来は単に分からないのではなくて、現在まだ存在していないと考える立場からは、統計的な推定の対象とはなり得ないということであろうかと思います。それでは科学的な予測とは何かと申しますと、それはある科学的な因果モデルに対して、観測をした初期値を代入して得られるシミュレーションの結果であると理解することができようかと思います。
それは自然科学でも社会科学でも同じわけですけれども、両者の違いとしては、自然を対象とした予測は対象を人間が操作できないのに対して、社会を対象とした予測は操作が可能である点が違うところであろうかと思います。3番目の箱に書いてあるところです。例えば天気予報では雨が降るという予報に対して、雨を降らせないようにするような操作というのは通常はできませんので、それを予見として、傘を持つかどうかなどの対処を考える材料とするのが予測の目的かと思います。一方で予測対象が社会である場合には、その対象に対して働きかけることが可能になるので、仮に望ましくない予測が得られた場合、それを変えるような行動をするというのが目的になろうかと思います。
従いまして4番目の箱ですけれども、社会科学における予測の目的は、将来実現する状況を言い当てることよりも、現在の状況と趨勢が続いた場合に帰結する状況を示して、我々が現在行うべき行動についての指針を提供するということにある、ということが言えるかと思います。このような現状の傾向や趨勢が続いた場合に、導かれる状況を示すことを投影と呼んでおりますが、この将来人口推計も投影といった考え方に基づいて行われるべきものであるということができようかと思います。
次のページです。この将来人口推計ですけれども、これは英語でPopulation Projectionと呼ばれておりまして、これは直訳すれば「人口投影」となるものです。この人口投影には、この次のスライドで説明するような幾つかの方法が考えられるわけですけれども、国などの機関が実施する公的な将来人口推計で用いられているコーホート要因法では多くの場合、前提となる人口変動要因、すなわち出生・死亡・移動などの仮定についても、過去の趨勢や傾向を将来に投影するという方法に基づいております。
さて、その人口投影の方法ですが、こちらに代表的な方法を3つ示しております。一番上の「関数あてはめ法」と申しますのは、例えば総人口の趨勢に数学的な関数を当てはめて補外をするというようなものですが、実際の人口というのは、総人口の挙動だけで決まるものではありませんので、従って特定の状況を除いて一般的な人口の動きを必ずしもうまく表現できないということになります。
2番目の「コーホート変化率法」は、同一のコーホートの2時点間における年齢別人口の変化率を用いて、投影を行う方法になります。しかしながら、この変化率に人口変動要因というのが混在することになりますので、やはり表現に制約が発生することになります。
そもそも人口というのは出生・死亡・移動という人口変動要因によって動いていくというものですので、詳細な人口統計が得られる場合には、このそれぞれの要因を考慮して行う3番目の「コーホート要因法」が最も信頼できる方法になるということができます。従いまして国や国際機関などが行う人口投影では、このコーホート要因法が標準的な方法として用いられているということになります。
次のページです。こちらは今申し上げたコーホート要因法に基づく人口推計の計算の手順を示したものです。まず右の上に箱がありますが、この箱はX歳の人口が加齢によってXプラス1歳になるときの変動を示しております。この変化の際には、1つは死亡、もう1つは全国推計の場合には出入国といった国際人口移動によってその人口が変動して、Xプラス1歳の人口になることになります。これを全ての年齢に関して行うと、翌年の1歳以上の人口が計算できることになるわけです。
一方、ゼロ歳については下のほうの箱を御覧いただくと、ゼロ歳については15~49歳の再生産年齢にある女性の延べ人口に、年齢別出生率を掛けて出生率を求め、さらに1歳以上と同様に死亡と国際人口移動を考慮してゼロ歳人口を得るという手順です。
このようにすると翌年の全ての年齢別人口が計算できますので、これを逐次的に繰り返して将来の人口を投影していくのがコーホート要因法ということになるわけでございます。
次のページです。従いましてこのコーホート要因法による人口投影に必要なものは、出発時点となる基準人口のほかに、将来の出生・死亡・国際人口移動の動向の仮定が必要になるということです。先ほども御説明いたしましたが、我が国の将来人口推計ではこれらの人口変動要因の仮定設定に当たり、いわゆる基準時点までに得られる人口学的データの趨勢や傾向、こういったものを将来に投影する、右の箱にあるグラフのようなイメージで仮定設定を行っているところです。
次のページです。こちらは人口投影に関して、平成24年に行った推計の出生中位仮定における投影の例を示したものです。出生の仮定は女性の出生コーホート、出生年別に行われるわけですけれども、こちらのグラフでは横軸にその出生コーホートを取り、縦軸に年齢別の累積の出生率を示しております。こちらの中でマーカーが付いております所が実績値でして、これを将来に向けて投影したのが折れ線で示したグラフになるということでございます。
次のページです。今申し上げたように、出生仮定に関しては、いわゆるコーホート別で設定を行っているわけですけれども、なぜこれをコーホートで行うかをスウェーデンの例を取って示しております。こちらはスウェーデンの期間とコーホート合計特殊出生率の推移を見たものです。合計特殊出生率には、いわゆるある年の女性の15歳~49歳の出生率を合計した期間、合計特殊出生率と、それからある世代の、ある生まれ年の女性の出生率を合計したコーホートの合計特殊出生率といったものが2つございますが、スウェーデンではこちらのグラフ、黒いグラフで示したものが期間の合計特殊出生率でして、この期間合計特殊出生率が非常に上下に変動している様子が御覧いただけると思います。
一方で青色のグラフで示したのが、コーホートの合計特殊出生率です。こちらは大きな上下変動は見られず、安定的に推移をしている形が見られることがお分かりいただけるかと思います。
一般に出産のタイミングが変化をしているときに、コーホート合計特殊出生率が仮に一定であったといたしましても、期間合計特殊出生率というのは、見かけ上低くなったり高くなったりするという影響を受ける構造がございます。これは人口学ではテンポ効果と呼ばれるものですが、期間合計特殊出生率はこういったテンポ効果を強く受ける指標であることから、出生仮定というのは、実際の生涯を通じた指標を測定するようなコーホート観察に基づくことが必要であるということが言えると思います。
次のページです。これはスウェーデンで御覧いただいたものを、日本についても同じように示したものです。日本に関してはこの黒いグラフの左、1つ大きく凹んでいるこの丙午の所が非常に大きなテンポ効果ということですが、それ以外に関してもコーホートの水準と期間の合計水準の乖離というのが、テンポ効果として表れていることが御覧いただけると思います。
次に、今度は死亡仮定に関しての例です。死亡ではリー・カーターモデルという、こちらも国際機関等で標準的に用いられているモデルをベースにして、それを修正したようなモデルを使っておるところです。リー・カーターモデルに関しては、ここで表されている式の中のこのktというパラメータがありますが、このktというパラメータが全体の死亡の水準を表すようなパラメータになっております。左側のグラフの赤い点がありますが、こちらがktの実績値を示したもので、これに対してこれをモデル化することによって将来に向けて投影をする。これに基づいてktも投影を行いまして、それが決まるとそのモデルを使って右側のように年齢別の死亡率が推計される、こうういう形で推計を行っおります。
次のページです。こちらは、国際人口移動の外国人の入国超過数について示したものです。こちらについても黒のマーカーがあるものが実績値、それに対してモデル化を行って将来に投影しているという形での推計を行っているのが御覧いただけるかと思います。
以上の仮定設定の詳細については、次回以降の部会で更に詳しく御説明したいと考えております。
さて、次のページです。「将来人口推計と社会経済要因や政策効果との関係」について、御説明いたします。将来人口推計は投影手法により人口学的データに基づいて行うと申し上げましたが、なぜ社会経済指標を人口推計に取り入れないのか、というようなお話を頂戴することがございます。これに対する考え方についてお示したのが、こちらの図になっております。
将来人口推計というのは、先ほど申し上げたように、左側の箱の中にある人口学的データに基づいて仮定設定を行って行うとになっておりますが、一方で人口というのは様々な社会経済要因と相互に影響し合って変化をしていますので、何か社会経済状況に関する変動がありましたら、これが人口学的データに反映され、それを通じて将来人口推計にも反映されていくということで、いわゆるこういった構造を通じて将来人口推計に関しても、そういう社会経済の変化が織り込まれていると考えられるわけです。
次のページです。それをもう少し具体的に出生仮定の例で示したのがこちらです。次回以降もう少し詳しく御説明させていただく機会があるかと思いますが、出生仮定においては先ほど申し上げた、いわゆる生涯の合計水準である合計特殊出生率を、このような3つの要素に分解して仮定設定を行っております。それは1マイナス50歳時未婚率、いわゆる結婚する女性の割合。それから夫婦完結出生児数、夫婦の子供数。それと離死別再婚効果係数といいまして、離別・死別の効果を示すものとなります。こういった人口学的なデータへの分解を行うわけですけれども、更に最初の2つの要素には結婚のタイミングという、平均初婚年齢という人口学的なデータが影響を与えている構造になっております。
これらの人口学的なデータは、下の箱を御覧いただくと、一例ではありますが、右に掲げたような社会経済要因によって動いていくということになるわけです。従いまして、こういった社会経済要因の変化が人口学的データに反映され、それを通じて将来人口推計にも反映がなされるという構造になっております。
次のページです。ただ、それでも社会経済指標や政策効果を、もっと明示的に将来人口推計に取り組むべきではというような御議論もあろうかと思いますが、それについては大きく2つの理由から難しいものと考えております。
第1に人口変動要因と社会経済要因との関係は多岐にわたっておりまして、個々の定量的関係の特定や、更にそれらの相互作用を含めたようなモデルというのは極めて複雑なものとなってしまいまして、取扱いが難しいというのが1つ目の理由です。
2番目が、社会経済要因を将来人口推計に取り入れるためには、人口推計が対象としております数十年という長期の期間にわたって社会経済要因の将来を見通すということが、その前提として必要となるということでございますけれども、そういったことというのは人口学的データの投影以上に難しいということで、かえって不確実性を増すことにもなりかねないということでございます。こういったことから諸外国における将来人口推計でも、社会経済状況の見通しや政策効果等を明示的に推計に取り入れている例はございません。ということが2つ目の理由ということでございます。
次の16ページは、これまでの説明をまとめたものです。17ページは参考資料として各国と国連の将来人口推計の枠組みをお付けしたものですので、こちらに関しては説明は省略させていただきます。後ほど御覧いただければと思います。私からの説明は以上とさせていただきます。
○津谷部会長
石井部長、ありがとうございました。将来人口推計は大変テクニカルなもので、初めて説明をお聞きになると、少し違和感があって難しいかと思いますが、これにつきましては、今後の当部会の会合でさらに詳しく具体的な御説明があるかと思います。専門用語では人口の静態と呼びますが、人口の規模や年齢構造を出生年次別に、それも既に生まれているコホートだけではなく、これから生まれるであろうコーホートについても出生コホート別に人口規模や性・年齢構造に直接影響を与える人口動態要因、つまり出生、死亡、移動について将来推計、将来投影していくことによって、将来推計人口の静態を推計していくという作業になるかと思います。
詳しい人口動態要因のパラメータその他の推計につきましては、これからの部会で御説明いただき、それに対して御質問、御意見を頂くことといたしますが、ここでは時間が限られた中で将来人口推計について全体的な御説明を頂きましたので、クラリフィケーションを含めて御質問、御意見がありましたらどうぞお願いいたします。
○駒村委員
御説明ありがとうございます。完全に理解しきれていない部分もあるかもしれませんけれども、過去の傾向を見ながら死亡率や出生率のパラメータを決めていく。その議論をこの会合でやるという理解をしました。本当はもう少し御説明いただきたいと思ったのは、離死別再婚効果係数とは一体どういうものか、少しお聞きしたかったのです。これは次回でもいいのですけれども。
ちょっと気になることは、人口部会の今後の予定とか守備範囲にもなるのかもしれませんが、常設の審議会だと思いますけれども、次回以降、人口推計という事業を皆さんでプランを立てると思います。実際に国立社会保障・人口問題研究所がその推計を行ってくれる。プランを立てて実行までする。問題は、そのチェックと改善というのがどうなっているのかがよく分からないのです。
社人研では過去の例えば1975年から人口推計を全部見直して、そのパラメータが現実とどのぐらい乖離があるのか、どういうふうにそれを修正したのかという評価、チェックですね。そのチェックに基づいて何らかの手法の改善をやっているのか、それはこの部会の守備範囲なのかどうかというのを1回お聞きしたいと思います。
プランを作ってドウまでやって、後はまた次の5年後に別のメンバーでやって、また同じことを言うのもどうかと思います。お願いしたいのは、75年以降の主要パラメータ、生存率とか死亡率とかです。あるいは出生率等々のその時その時に設定したパラメータが、どういうふうにその後修正されたのか、というのを見せていただきたいと思います。
それからもう1点質問があるのです。これは集計方法に関することではないので、後で部会長に今日の資料について質問したいことがあるので、後で別に1回質問をする時間をください。後でもう1問尋ねますので。
○津谷部会長
ただいま御説明のあった資料についての御質問ということでしょうか。
○駒村委員
一連の資料で、例えば資料3-1とか参考資料1に関する質問なので、今は人口推計の話に入っていますのでちょっと流れが違います。これを最後のほうで1回聞きたいと思います。
○津谷部会長
分かりました。では石井部長そして金子副所長、何かありましたら御説明をお願いします。
○石井人口動向研究部長
ありがとうございます。過去の推計と推計を行った後の実績の乖離に関しましては、これまでの人口部会でも御説明してきていますので、次回以降の人口部会の中で、おっしゃっていたような過去の推計の乖離に関する資料に関してはお出ししたいと思います。
○津谷部会長
よろしいでしょうか。金子副所長、何か付け加えることはありませんでしょうか。
○金子副所長
ありがとうございます。今、石井部長が申し上げましたとおり、過去の推計のパラメータについて御説明申し上げるのですが、それと並行しまして、実を言うと将来推計の手法自体もだんだんと昔から発達してきていまして、開発を進めてきている部分があります。それがパラメータの推移、設定の変化と並行して行われておりますので、その辺りも是非お聞きいただきたいと思っております。
○津谷部会長
すみません、一言私からも付け加えさせていただきたいと思います。私はたしか2000年の国勢調査のデータを用いた将来人口推計のときから議論しておりまして、私の理解に間違いがなければ、推計に用いられるモデルも大きく変化しております。さきほど、1975年以降のモデルの全パラメータを示すようにとのご指示だったのですが、推計モデルは大きく言って「コーホート要因法」というくくりになることはそのとおりなのですけれども、具体的なモデルは精緻化されかつ複雑になってきています。なぜなら日本人のライフコース、つまりこの人口動態に関わる行動様式が非常に複雑かつ多様になっているからで、1975年以降の推計に用いられた全てのモデルをここで詳細に御説明頂くことは適切ではないのではないかと思います。モデル自身が大きく変わってきていますので。ただ、直近の推計数回については、どういうふうな改善、精緻化をなさったのかについての説明は必要だと思います。特に、前回の将来推計結果の最初の5年分については実績値がある程度出ていますので、それらについては詳しく検討をすることは必要かつ重要な作業ですので、この部会で御説明いただけると思います。
ただ、それ以前の推計モデルに遡って説明するということは、モデル自体が大きく変わっているため、あまり意味がないのではないでしょうか、例えば、先程ご説明にあったように、死亡率の推計にはリー・カーター・モデルを使っていますけれど、以前は死因別に死亡確率を推計していました。しかし、国際死因分類が大幅に改訂されてしまったため、連続性が失われてしまって、新しく別の方法でやらなくてはならなくなったという事情もあります。ですので、連続性がある部分については、駒村委員の御希望と御指摘通りにここで御説明いただけるのではないかと思っています。それでよろしいでしょうか。
その他ただいまの将来人口推計についての御意見、御質問はございませんか。
○白波瀬委員
ありがとうございました。説明が大変分かりやすくて、天気予報との対比も分かりやすくてありがとうございます。ここでのポイントだと思われる政策効果との区別について、方向性として私自身も賛同するものです。というのは、言い換えれば1つの推計というのが、ある意味で公的な立場での作業の1つでもあるということもあるかと思うのですけれども、政策効果ということになると、データ自体が、非常に単純に言うと、クロスセクショナルなものの積上げでは基本的には見えないということにもなります。
どういうパラメータを設定するかということが、結局はそれぞれの背景となる諸政策を反映したものだということを含んでいるという形での議論になって、それぞれ違うパラメータを幾つかやってみるということ自体が、間接的にはある意味で効果の検討に通じるのですけれども、同時決定的な関係でもあります。1つの研究レベルでは様々な研究者が責任を持って政策効果を出すことの意味は非常に高いと思いますけれども、やはりこの人口推計という作業の中で、そこまで踏み込むことリスクのほうが高いのではないかと私自身も考えますので、ご説明がありました方向性としては賛同したいと思います。
○津谷部会長
白波瀬委員、ありがとうございました。私もそのお考えに賛成です。私の理解としましては、当部会は政策提言を行うことがミッションではないと考えています。先ほどいろいろな御説明がありましたけれども、政策立案のための客観的かつ科学的なエビデンス、データをできる限り分かりやすく皆様にお示しする、提供するということがミッションであると私は理解しています。これにつきましても、今後、実際の作業を通じていろいろな御意見を頂ければと思います。ありがとうございます。
何かそのほか、御意見ありますでしょうか。では、先ほど駒村委員から、この将来人口推計以外のことで御質問、御意見があるということでしたので、お願いします。
○駒村委員
今、白波瀬委員がお話されたように政策問題と推計問題は分けなくてはいけないので、政策問題をさっき混ぜて聞くと変な話になるので、政策の問題は別枠で聞いたらいいなと思って……。
先ほど統括室の参事官から、参考資料1の3ページですか、これは期間合計特殊出生率だと思うのですけれども、2.07に回復する場合、50年後には1億人の人口にできるという話なのです。それを見ながら、期間合計特殊出生率が上がったからといって、直ちに人口に与える影響というのは間接的ではないかと思っています。資料3-1の50ページに分かりやすい分解が出ているので、資料3-1の50ページを少し解説してもらいたいのです。
50ページの式というのは、左から右を読むという感じになるのでしょうか。要素の15歳~49歳女性人口、年齢構成の違いというのは、これ自身は計算結果になるという理解ですか。それともこれ自体が数字を作れる、計算できるということなのでしょうか。ここは確認したいと思っています。
これが0.962とか0.952とかになっていて、要するに言いたいことは期間合計特殊出生率が変化したからといって、別に出生実数が増えるわけではないということですね。その女性人口の数と女性人口の年齢構成によっては、出生数自体は下がるかもしれないということですから、先ほどの2.08と人口の間には、多分何らかの数字的な組合せがあって、ちゃんと人口が1億人維持できるようにはなっていると思うのです。
少しお聞きしたかったのは、51ページの絵をみると、この上の図ですね。山が転換しているものですけれども、これがどういう構造になっているか教えてもらいたいと思ったのですが。今後女性の数、総数は減少傾向に入っていくのはもう間違いない。問題は年齢構成のほうなのですけれども、最初の山と2つ目の山があって、最初の山が昭和50年から平成2年に下がっていくのに、大体15年ぐらいかかっているのですかね。1回15年ぐらいかかって下がって、そしてまた再び13年ぐらいかけて上がっていくという構造になっています。
この山から山へ転換していく。山はどういう構造で起きているのか、将来考え方としては、この山がまた何年後には上がってくるということが考えられるのか。ここのところの動きを解説してもらいたいと思ってお聞きしました。
○津谷部会長
廣瀬参事官、何か御説明がありましたらお願い致します。また、金子副所長、石井部長も何か付け加えることがありましたらお願いできますか。
○廣瀬参事官
まずこの50、51ページなのですけれども、もともと、随分昔と言うと変な言い方ですけれども、このページはなかったのです。今、委員が御指摘のとおり、出生数が減っているのになぜ出生率が増えているのですかという、よく分からないよという御意見が当時ありましたので、そこを御説明できるものはないかということで作り出したページです。
ですので、御指摘がありましたように、出生数、女性人口、そしてこの期間合計特殊出生率を35で割っているというのは、基本的にフラットであるという仮定を置きまして演算しているもので、その余剰項が一番右である年齢構成の違いになっています。ですから、この年齢構成の違いというのは、どこか別のものを計算して与えられているものではなく、最後に余った部分ということで出来上がっております。ということですので、そのように見ていただければと。その年齢構成の違いというところに、余剰を集めるという仮定のために、その前のところが35割、いわゆるフラットで仮定をするということでこの式を構成しています。
今回の場合、出生数が少ないのですけれども上昇し、率も上昇しているので、通常疑問は湧かないところですので、このページはもしかしたら要らなかったのではないかというところはあるかとは思います。ただ、それでも微増にもかかわらず、随分上がっているのではないかというところがありますので、そういうことで多少の説明意義はあったかもしれないと思います。右側のグラフは……、そういうところに出てきていて、このようにグラフができていますので、少し将来的にどうなるかということについては、この調査のところではそこまでは説明しているものではないと御理解いただければと感じます。
○津谷部会長
よろしいでしょうか。この女性の15~49歳の年齢層は人口再生産年齢となっておりますが、その年代構造の違いが残余として式の左右が等しくなるように置いているという御説明であったかと思うのですが、よろしいでしょうか。
御存じかと思いますが、TFRは15~49歳の女性の年齢別出生率を足し上げたものです。これを計算する最大のメリットというか意味は、15~49歳の女子人口の規模及び年齢構造の変化や差異の影響を取り去ることができるということです。出生率をまず年齢別に計算して、それを足し上げてることにより我が国のように急速に高齢化する人口再生産年齢の女子人口の影響を制御することができます。ただ、ここではTFRを35で割っているかと思いますが、これはちょっとわかりにくい。出生率は15~49歳でフラットではありませんので。そういう意味では、少し混乱したというか、分かりにくかったかなとも思います。駒村委員、よろしいでしょうか。
○駒村委員
左から右に読んで。残差項ですねと。ただ、残差項であっても何かその構成によって説明できるのかなと思っていますが、まあ残差項ですからしょうがないと。
○津谷部会長
ありがとうございます。では、金子副所長、どうぞ。
○金子副所長
補足を少しさせていただきます。残差ということですが、その意味についてです。15~49歳の年齢幅の中でも人口が多い世代、少ない世代があります。例えば、同じ資料の15ページに、こちらは結婚ですけれども、図10に、その発生の事象頻度が山型で示してあります。この一番のピーク年齢の所を、たくさんの人口を擁する年齢層が通過するときには多くの出生数が生じます。この図は結婚ですけれども、出生でも同じ構造をもっていて、親人口が大きければたくさんの出生数が同じ率でも出くる。そういうことで、この年齢構成の違いという係数は、再生産年齢の人口が出生の起きやすい年齢構造か、そうでないかを数値で表したものということになります。
そして、51ページの方の図での上下動ですけれども、これは最初の山は団塊の世代という非常に大きなコーホート、世代が出生のピークにさしかかった、非常に出生に有利な時代を示しています。そして2番目の山ですが、これは団塊ジュニア、2番目に大きな世代が出生最盛期に、先ほどの山ですね、一番のピークにかかった時期が、このような形で非常に有利な年齢構造を持っているということです。そして、その先どうなるかということなのですが、残念ながら第3次ベビーブームというのはありませんでしたので、今後の山というのは余り期待できないのではないかと、そう考えるのが自然ではないかと思っています。
○津谷部会長
よろしいでしょうか、駒村委員、ご意見ございますでしょうか。
○駒村委員
これ以上言うと、政策の話になってきますね。
○津谷部会長
第3次ベビーブームは、恐らく確実にないかと思います。また、実数と率の関係性、違いということについても、今後この部会で御説明いただいて話し合っていただければと思います。先ほど、白波瀬委員からお手が挙がっておりました。どうぞ。
○白波瀬委員
簡単な話です。多分、変化を見たときに、実際に子供数が増えた結果についての議論が一番足元のところではあるので、そういう意味での要因分解を試みられるとよいのではないでしょうか。私はこれはこれで非常に貴重なデータだと思いますので、そこはいいかなと思ったんです。以上です。
○津谷部会長
御意見ありがとうございます。
○鈴木委員
よろしいですか。高齢者としてのデータで御紹介いただくときに、ただいまご紹介いただいた65歳以上全体のデータというのはよく分かりましたけれども、今後、政策的にも、あるいはいろいろな社会問題を論ずる場合に、65歳以上全体だけでなく、75歳以上の後期高齢の方の動向というのを是非入れていただきたいと思います。65歳以上を一括してしまいますと、前期の高齢者と後期の高齢者では健康水準や生活機能、あるいは医療・介護にかかる費用など様々なことが全く違うにもかかわらず、両者の差異がわからなくなる可能性があります。後期高齢者医療制度にしても何にしても、今後はそこの集団が非常に大きな、ボリュームになり問題となっていきますので、是非そのことを御考慮いただければありがたいと思っております。
○津谷部会長
ありがとうございます。老人人口をひとくくりにしないで、後期高齢者は一番急激に恐らく今後増えるかと思いますので、それをきちんとくくり出してデータを示してほしいとの御意見、御要望かと思います。よろしいでしょうか。そのほか何か御意見ありますでしょうか。
○大林委員
意見ではないのですけれども、単純な確認のための質問をさせていただきます。資料4の17ページですが、少し教えていただきたいのです。これは「仮定の種類と設定方法」ということで、例えばフランスで言えば4仮定、4仮定、4仮定ということになっています。アメリカですと1仮定、1仮定、4仮定ですから、積を取るとパリエーションが4ということになるわけですけれども、フランスですと、単純に掛け算をすると64通りというような感じもするのですが。これは、組合せとして余りあり得そうもないものは外しているということなのかどうかを確認したいのです。
それからこれも確認までなのですけれども、日本の場合この組み合わせが前回の推定の場合はどうなっているのかということを教えていただければと思います。
○津谷部会長
石井部長、お願いします。
○石井人口動向研究部長
今おっしゃるとおりで、3つ掛け算したものを全て出している国というのもあるのですけれども、その内の一部のものを出している国もあって、ケース数のほうが少ないのは、そういう国ということになります。
前回の24年推計ですけれども、本推計においては出生に関して高中低、死亡に関して高中低で、3掛ける3で9通りの推計というのを基本としています。ただ、私どものほうではその本推計を出した後に、参考推計というか、条件付推計という形で、例えばその出生率や国際人口移動に関する仮定を変えた感応度分析というのも行っておりますので、そういうものはこの9通りには含まれておりません。本推計で出したときには9通りになっています。
○津谷部会長
よろしいでしょうか。そのほか御意見、御質問ありますか。よろしいでしょうか。それでは今回頂いた御意見や御質問を参考にして次回以降の議論に有意義に反映させていただきたいと思います。
それでは予定の時間が近づいておりますので、本日の審議は一応これで終了とさせていただきたいと思います。次回の部会開催について、事務局より御連絡をお願いいたします。
○野崎政策企画官
次回の開催については、改めてまた各委員に日程調整をお願いしたいと思いますので、また後日、御連絡をさせていただきたいと思います。本日はどうもありがとうございました。
○津谷部会長
どうもありがとうございました。大変有意義な御質問、ディスカッションをいただき、本当に有り難く思っております。それでは本日の審議は終了といたします。御多忙の折お集りいただきまして、ありがとうございました。
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