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2016年7月8日 第3回 介護休業制度における「常時介護を必要とする状態に関する判断基準」に関する研究会

雇用均等・児童家庭局職業家庭両立課

○日時

2016年7月8日(金)11:00~


○場所

厚生労働省 共用第6会議室(3階)


○出席者

委員

佐藤座長、中馬委員、新田委員

厚生労働省

吉田雇用均等・児童家庭局長、源河職業家庭両立課長、白髭職業家庭両立課育児・介護休業推進室長、中井職業家庭両立課長補佐、有川老健局老人保健課介護認定係長、石山老健局振興課介護支援専門官

○議題

1 報告書(案)について

○配布資料

配付資料 1 介護休業制度における「常時介護を必要とする状態に関する判断基準」に関する研究会報告書(案)
参考資料 1 介護休業制度における「常時介護を必要とする状態に関する判断基準」に関する研究会報告書(案)参考資料集

○議事

○佐藤座長 定刻になりましたので、ただいまから「第3回介護休業制度における『常時介護を必要とする状態に関する判断基準』に関する研究会」を始めさせていただきます。委員の皆様方にはお忙しい中御参集いただき、ありがとうございます。

 本日は、堀田委員が御欠席です。事務局に人事異動がありましたので、御報告をお願いできればと思います。

○吉田局長 おはようございます。去る621日の省内の人事異動によりまして、この度、雇用均等・児童家庭局長になりました吉田でございます。よろしくお願いいたします。

○源河職業家庭両立課長 職業家庭両立課長を拝命いたしました源河と申します。よろしくお願いいたします。

○白髭職業家庭両立課育児・介護休業推進室長 職業家庭両立課育児・介護休業推進室長の白髭と申します。よろしくお願いいたします。

○佐藤座長 交代があったということです。本日、本研究会は最終回となりますので、よろしくお願いいたします。本日は、議事次第にありますように、本研究会の報告書の案について御議論いただければと思います。前回までの資料はお手元のファイルにとじてありますので、適宜、御利用いただければと思います。カメラはここまでですが、よろしいですか。

 それでは、先ほど御説明しましたように報告書の案、これは前回の議論を踏まえて修正していただいていますので、事務局から御説明いただければと思います。

○中井職業家庭両立課長補佐 それでは、本日の資料について御説明いたします。まず、右肩に「資料1」としております研究会報告書()について御説明いたします。

 まず、1ページおめくりいただきまして、1として「現行制度及び見直しの経緯」について書かせていただいております。1つ目の○は現行制度の説明です。介護休業等の対象となる「要介護状態」については、「育児・介護休業法」及びその「省令」上で、「負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態」とされています。また、「常時介護を必要とする状態」については、「局長通達」においてその基準を示している。当該基準は、平成7年の介護休業創設時に規定されたものであるとしてございます。

 次の○で、局長通達によれば、介護休業等の対象となる「要介護状態」は、介護保険制度における「要介護状態」と必ずしも一致するものではなく、「負傷又は疾病による場合、負傷又は疾病にかかり治った後障害が残った場合及び先天的に障害を有する場合を含む」とされている、としてございます。

 次の○で見直しの経緯としまして、「常時介護を必要とする状態」の基準については、「仕事と家庭の両立支援対策の充実について」、労働政策審議会の建議において、『介護開始時点で8割以上が在宅介護を行っていることなど、現在の状況に合わせたものに緩和する方向で見直しを行うことが適当である』とされた。これを踏まえ、本研究会において見直しの検討を行った、としてございます。

 次に、2としまして「見直しに当たっての観点」を記載しております。1つ目の○として、現行の基準は、昭和62年当時の「特別養護老人ホームへの入所措置の基準」を参考に平成7年の介護休業創設時に局長通達において規定されたが、在宅介護が増えている中で、家族の介護への関わり方も変化していると考えられる。介護開始時点で8割以上が在宅介護を行っていることなどを踏まえると、現行の基準を緩和する方向で見直す必要がある、としてございます。

 なお、文中に出てございます参考資料につきましては、別添参考資料1としたものにまとめてございます。それから、現行の基準を緩和する方向で見直す必要があるということで、「現行の基準」という所で脚注1としてありますとおり、「現行の基準は介護保険制度の要介護23程度に相当すると考えられている」と書いております。

2ページ目の1つ目の○で、介護休業制度は平成9年の介護保険制度制定前に創設されたものであり、現行の判断基準は介護保険制度の要介護認定との関連性はない。また、当時の特別養護老人ホームへの入所措置の基準を参考にしたものであるため、専門的な判断が必要なものとなっている。現在、介護保険制度における要介護認定が広く認知されてきている状況を踏まえ、労働者・事業主双方にとって分かりやすいものとするという観点から、介護保険制度における要介護認定と整合的なものとすべきである、としてございます。

 一方で、介護を受ける家族が要介護認定を受ける前にも介護休業等の利用が必要な状況が考えられることや、介護休業等は要介護認定を受けられる年齢(40)に達しない人を介護する場合にも利用できるものであることから、介護保険制度における要介護認定を受けていない者にも対応できる基準とする必要がある。

 また、現行の基準には、一般の労働者による判断が難しい項目も含まれているが、当該基準は、一般の労働者が介護休業等の制度を利用できるか否かを判断する際に用いるものであることから、介護について必ずしも専門的な知識を持たない一般の人にも、ある程度分かりやすい項目とする必要がある、としてございます。

 次に、3として具体的な基準を説明する記述を加えてございます。1つ目の○、以上の考え方を踏まえ、別添1の判断基準とすべきである、としてございます。別添1については、後ほど御説明いたします。

 具体的な考え方ですが、次の○で、「(1)介護保険制度の要介護状態区分において要介護2以上であること」についてとして、ポツとしまして、介護保険制度との整合性、一般の労働者・事業主による判断の容易さという観点から、介護保険制度の要介護状態区分において要介護2以上であること、を基準とする。次のポツとして、現行の判断基準を緩和する方向で見直しを行うという方向性や、日常生活において一定程度の身体介護を含む介助が必要になっている場合の家族への両立支援制度の必要性を踏まえ、「要介護2以上」と設定する、としてございます。

 次の○として、「(2)状態(1)~(12)のうち、22つ以上又は31つ以上該当し、かつその状態が継続すると認められること」について、そして、3ページ目ですが、介護を受ける家族が要介護認定を受ける前に介護休業制度等の利用を申し出る場合や、要介護認定を受けられる年齢に達しない場合等(1)以外の場合については(2)の基準を用いて判断する、としてございます。

 ここで脚注2としまして、その各項目の考え方についての説明書きを加えてございます。こちらについても御説明します。

 まず脚注21ポツ目として、(2)の表については、介護保険の要介護認定調査票の認定調査項目から、仕事と介護を両立する観点から要介護者が日中一人になった場合に危険度が高いと思われる要素を考慮しつつ、代表的かつ労働者にとって比較的分かりやすいと考えられる項目を抽出し、かつ、労働者にも分かりやすい表現にしている。

 次のポツとして、日常生活について一定程度の身体介護が必要となっている場合に、家族が何らかの両立支援制度を利用する必要性が高いと考えられることを踏まえ、介護保険の要介護認定調査票の認定調査項目のうち第1群及び第2群を参考に設定。これが(1)~(6)の項目になります。

 次のポツとして、認知症等の場合には、日常生活について一定程度の身体介護が必ずしも必要ではない場合であっても、見守りや、介護サービスの手続などに手助けを行う必要性が高い場合もあると考えられることを踏まえ、介護保険の要介護認定調査票のうち第3群~第5群を参考に設定。こちらが(7)~(12)の項目になります。

 さらに、一番下のポツとして、要介護認定を受けられる年齢に達しない人であって介護の必要性がある人(障害がある人など)の状態について判断する場合にも、ある程度違和感のない基準とするため、障害支援区分認定調査票における調査項目も参考にしている。こちらが項目(4)(9)になります。

 本文に戻っていただきまして、引き続き、3ページ目の「なお」以下です。なお、要介護認定を既に受けているが、要介護1以下の場合についても、(2)の基準に照らし該当すれば、基準に該当すると判断する。例えば、要介護1の認定を受けているが、認知症であって「外出すると戻れない」ということが「ほとんど毎回ある」場合には「常時介護を必要とする状態」と判断され、当該状態が2週間以上の期間にわたる場合に介護休業の対象となることとなる、と少し具体的に書いてあります。

4ページ目に移っていただきまして、4「今後の課題」として○3つを記載させていただいてございます。

 まず1つ目として、労働者が、当該基準に基づき、その家族について「常時介護を必要とする状態」に該当するか否かを判断し、介護休業等の利用を事業主に申し出ることとされている。一方で、労働者は必ずしも家族の介護に関する状態を判断することに精通しているわけではなく、当該基準について、より分かりやすく周知することが求められる、とさせていただいてございます。こちらは、前回の研究会で委員の皆様より御指摘いただいたことを踏まえた部分です。さらに、「なお」といたしまして、当該基準は最低基準であり、各事業主においてこれより緩やかな内容の制度とすることは望ましいことについても併せて周知を行うことが求められる、という内容を記載させていただいてございます。こちらは事務局から、このように追記したらどうかという提案部分になってございます。

2つ目の○ですが、「また」としまして、今般の育児・介護休業法の改正では、介護休業について3回の分割取得が可能とされるとともに、介護のための短時間勤務などを内容とする選択的措置義務の3年間への拡充、介護のための所定外労働の免除制度の新設、介護休暇の半日単位取得化などが行われた。介護休業制度が創設された当時と比べ、仕事と介護の両立支援制度が大幅に拡充され、かつ労働者の継続就業のためにどのような場面でその制度を使うべきか等、制度の趣旨も変化してきていることから、育児・介護休業法上の全ての制度について同一の「要介護状態」の基準とすべきかについて、今回の法改正の施行状況も踏まえ、将来的に検討することが求められる、とさせていただいてございます。こちらも、前回、委員より御指摘いただいたことを踏まえたものです。

3つ目の○として、「さらに」として、家族の介護への関わりの必要性の度合いを判断するに当たっては、要介護者の心身の状態のみならず、他の要因を考慮することも必要と考えられる。介護保険制度においては、申請者それぞれの住環境の中で必要とされる適切な介助を選択することを前提に調査を実施しているほか、介護認定審査会が行う二次判定においても、住環境等が原因で発生する具体的な介護の手間を考慮している。介護休業制度においても、労働者が仕事と介護を両立し就業継続できるようにするという観点から、例えば要介護者の住環境や遠距離介護における労働者の負担などを考慮することについて、今回の見直しの施行状況も踏まえ、将来的に検討することが求められる、とさせていただいてございます。

 それから、別添1で具体的な判断基準を付けてございます。同じ束ですが、別添1としている部分です。こちら、前回の研究会でお示しした叩き台から、前回の御議論などを踏まえまして少し修正した部分がありますので、そちらについて御説明いたします。

 まず柱書部分の(1)について、文言的な修正になりますが、「介護保険制度の要介護状態区分において」という形で正確な表現に直させていただきました。

 それから、この表の中ですが、まず項目(1)の状態の2の箱の中で、(3)ということで注書きを新しく追加しております。こちらですが、(1)の座位保持に関して、背もたれにもたれて座っている場合がどの状態に当てはまるのかが分かりづらいような表現になっておりましたので、(3)を追加して、「支えてもらえればできる」には背もたれがあれば一人で座っていることができる場合も含む、ということで補足説明をさせていただいた部分です。

 それから、表に戻っていただきまして、項目(2)の歩行について、前回お示ししたものでは「5m程度」とだけ書いてあったものを、「立ち止まらず、座り込まずに5m程度歩くことができる」としております。こちら、介護保険の認定調査の表では、歩行の項目について「立ち止まらず、座り込まずに歩く」。つまり、連続して歩くことができる場合を「できる」と判断することとされてございますため、それに合わせて、こちらの内容も分かりやすく追記してございます。

 それから、項目(8)「外出すると戻れない」の状態3の部分について、前回お示ししたものだと「ほとんど毎日ある」というようにしていたのですが、こちらは、少し分かりづらいというか、状態をなかなか表していないということで、外出すると、「ほとんど毎回ある」と表現を直してございます。

 項目(12)の「日常の意思決定」について、状態2の箱の表現ですが、前回お示ししたものでは「特別な場合を除いてできる」と書いていたものを、もう少し分かりやすくするという観点から「特別な場合はできない」というような表現に修正しております。私からの説明は以上です。

○佐藤座長 これまでの委員の皆様の議論を踏まえて、まとめていただきました。前半では、今回の介護休業を取得できる判断条件をなぜ見直す必要があるのかについて整理していただいています。介護休業が創設された当時、まだ介護保険制度がない時代、そういう意味では、介護休業の利用の趣旨も、要介護者の家族自身が休業を取って介護をするという趣旨で作られたと思います。その後、介護保険制度もできて、実際上、在宅介護から始まるような人たちも増えてきています。それと、今回の両立支援制度について、かなり見直しもあるというようなことを書かせていただいています。その上で、やはり専門家が判断するのではなくて、労働者、あるいは事業主が判断できるようなものにする必要があることなどを書いていただいて、基準についてまとめていただいています。

 基準は、別添を見ていただくとお分かりのように、介護保険制度の要介護認定の対象になる人であれば、2以上、あるいは、そうではなくても、(2)の基準に当てはまればということで、ここは介護保険制度の対象になる層でも、認定1であっても(2)に当てはまれば。もう1つは、介護保険制度対象外の人がいますから、その人の場合は(2)を使うという、いずれかの形で整理させていただいています。

 最後に、今後の課題ということで、幾つか検討課題を整理させていただいています。今の御説明について、御質問、御意見があれば伺えればと思いますが、いかがでしょうか。

○新田委員 今、座長の説明もありましたが、別添の中の判断基準で、(1)(2)のいずれかという表現ですが、この状況で大体普通の方が見ると、まず(1)を必要条件として、(2)は次の条件というように読み取れなくもないわけですね。ですから、まずは要介護2以上を条件とするということをこの中で読み取りながら、前の文章の中で、例えば3ページの、「要介護認定を既に受けているが、要介護1以下の場合についても」と書いてあります。その辺りを、もう少し見やすくしたほうが、文字をどうするのか。例えば、「2以上を基準とする」とか。いかがでしょうか。普通に見たら、まず2であることが条件としてとなりませんか。

○佐藤座長 ただ、上の文章は、「以下の(1)又は(2)のいずれかに該当する」と書かれていますので。「又は(2)のいずれか」ですから、(1)を満たし、かつ(2)ではないと。最初の文章はです。

○新田委員 それでよろしいですか。

○佐藤座長 分かりやすいかどうかは別として、文章の趣旨としては間違いではないかなと。

○新田委員 了解しました。

○佐藤座長 確かに、ここはかなり丁寧に説明する必要があると思いますので、これだけを提供するということではなくて、分かりやすいパンフレットを作っていただくことになるかと思いますので、その点は御指摘のように、誤解のないようにしていただければと思います。

○新田委員 その中で、3の基準について、「要介護2以上と設定する」という文章がありますよね。それと、全体的に見ると、2以上を設定として、最後のほうに実は違うという話はしているのだけれども、その辺りも少し誤解があるのかなという感じです。

○佐藤座長 今の点で言いますと、本文の2ページに「別添1の判断基準とすべきである」ということで、3の最初の○と次の○の間に同じことを書いておいたほうがいいかもしれません。後ろにあることですので、「(1)あるいは(2)」ということをここで一度書いて、それは御指摘のとおりだと思いますので、そこは修正させていただければと思います。ですから、「別添1の判断基準とすべきである」ということで、「即ち」などとして、後ろにある文章をそのまま持ってくる形でよろしいでしょうか。

 それから、2ページの3の基準の2つ目の○にポツが2つありますが、ここは同じことなのでしょうか。

○中井職業家庭両立課長補佐 2つポツを書いた意図としては、上のポツはまずは介護保険制度の要介護状態の区分を分かりやすいという観点から設定します。では、どれぐらいの要介護度に設定するのかということについて、次のポツで「要介護2以上」と書いたつもりではあります。確かに、1点目にも「要介護2以上であること」と書きつつ、次のポツでも「要介護2以上」と書いてありますので、御指摘のとおり読みづらいかもしれません。

○佐藤座長 どうしましょうか。上のポツだけで言いますと、実際は緩和する方向は下の○のほうですよね。ですから、32つ目のポツはなくてもいいかなと思ったのですが。実際上、認定を受けてみたら要介護1でも、(2)に当てはまれば取れるという趣旨ですよね。そこが緩和する方向だとすれば、(2)があればいいかなとも思ったりもしたのですが。この2つ目のポツがなくなってしまうと、問題ですか。

○源河職業家庭両立課長 最初のポツは、要介護状態区分を利用することとか、何かこの区分を使いますよというのを最初に示して、その後、少し整理が必要なのですが、最初の所で要介護状態区分を利用することというのを示して、次のポツで、ではどの程度かという。書きぶりを整理させていただければと思います。

○佐藤座長 分かりました。ですから、「要介護2以上」を最初のポツから取ってしまえばいいかもしれませんね。

○源河職業家庭両立課長 すみません、ここが余計なことかもしれません。

○佐藤座長 最初のポツは、「基準を参考にする」などとして。

○源河職業家庭両立課長 もし、それでよろしければ。

○佐藤座長 そういう趣旨であれば、二度出てくるので。よろしいですか。では、前半のほうは、「要介護状態区分を利用する」ということで、それで2にするのですよね。

○源河職業家庭両立課長 言葉の整理が必要かと思います。

○佐藤座長 ちょっとそこは一応趣旨で、一応見ていただくことにいたしますが、ここはそのようにしていただいて。

○源河職業家庭両立課長 はい。

○新田委員 今の点ですが、2回出てくるから気になってしまうのです。例えば、上では「要介護状態区分を基準とする」ぐらいにしておけば、それならそれでなるほどなと思います。

○源河職業家庭両立課長 はい、その方向にさせていただきます。

○佐藤座長 取りあえず「基準にする」として、実際条件として「要介護2以上」として、後半はそれだけではなくて、実際上、1つは介護休業は別に高齢者介護だけではないです。もう1つは、介護認定を受ける前から使ったりということもありますので、その場合は(2)の基準に当てはまれば。ですから、認定を受けたら要介護1でも、(2)のほうでは当てはまれば取れると。そこは、具体的な緩和になるのかなと思いますが、そういう趣旨で。ほかにはいかがですか。

5ページの別添1の(12)の、「特別な場合はできない」はいいのですが、「ほとんどできない」は、特別な場合についてほとんどできないのですか、どちらですか。「日常的な意思決定は全てほとんどできない」なのですね。そういう意味ですね。ですから、2は特別な場合以外はできるという趣旨でいいということでしたね。そうすると、3は全てできないのですね。分かりますか。

○新田委員 それには大きな矛盾がありまして、日常の意思決定支援の中で特別な場合とは何なのという話になるわけです。日常の意思決定支援というのは、特別な場合ではないのですね。もう少し、本人の意思決定、例えばここに書いてありますが、ケアプランの作成や治療方針というのは、非常に高度な意思決定判断を必要とするわけです。それは、日常の意思決定支援とは違うのですね。ですから、そこが少し言葉として整理が必要かなと思いますが。

○佐藤座長 日常の意思決定と言ってしまうと、特別なものは入っていないということですね。どうしましょうか。「日常生活などの意思決定」と広げておくと。それは、実際上中身ですよね。「日常生活などの意思決定」にしておいて、1は「できる」、特別な場合以外はできるということだけれども、「ほとんどできない」はそうですよね。そのようにしたらどうですか。「日常生活などの意思決定」と広げさせていただいて。注を見れば分かると思いますが、パンフレットには趣旨はかなり広めに、特別な場合も入っているのですよね。

○新田委員 それを「特別」と言わないで、特別とは何なのかという議論をしなければいけなくなってしまうではないですか。

○佐藤座長 なるほど。

○新田委員 何か別の表現のほうが、例えばテレビを見たいとか、その日の献立というのは、特別ではないけれども少し高度な判断なわけですよね。ですから、もう少し言い方があるかなと。それを、我々も生活で特別としないですよね。当たり前の生活、人間の判断じゃないですか。その中でも、認知症でこういう状態になったときに、ちょっと判断が難しいよねということを言いたいわけです。

○佐藤座長 分かりました。そうすると、「日常の意思決定」はよろしいですか。

○新田委員 そんな感じでいいのですね。

○佐藤座長 そうすると、「特別な」の表現を工夫して、日常生活の中でできないことは何かが分かるような言い方にすればいいということですね。どうしましょうか。

○新田委員 本来それができないときは、例えば感染症を併発したとか、痛みがあるとか、何か特殊な状況のときに、その判断がなかなか自分でできなくなりますよね。そういう状態像の変化でできなくなることを意味するのか、認知症の程度の問題なのかが、恐らくこれから吟味するのは大変なので、そこも踏まえた上でということです。

○佐藤座長 では、こうさせてください。まず、注7の「『特別な場合はできない』とは」を取ってしまい、「慣れ親しんだ日常生活事項はできるが、本人に関する重要な決定はできない」を注にする。それで、選択肢を、やはり「重要な意思決定はできない」とするしかないかなと。ですから、「特別重要な意思決定はできない」という形にしておいて、後ろを見れば分かるような。それでよろしいですか。もう一度見ていただきますが、そういう形に。特別というと日常と違うようなイメージになってしまうので、日常生活の中でもかなり重要なという意味です。では、そういたします。ほかには、いかがですか。

 そうすると、今、委員の先生方に御指摘いただいた点で、まず2ページの31つ目の○、「別添1の判断基準とすべきである」の後に、別添1の「『常時介護を必要とする状態』とは、以下の(1)又は(2)のいずれかに該当する場合であること」を入れていただきます。次の○の最初のポツを「介護保険制度の要介護状態区分を基準とする」として、「その上で検討して要介護2以上とする」といたします。それから、別添1の(12)の日常の意思決定の2、「特別な場合はできない」のところは、「本人に関する重要な決定ができない」などにして、注7の「特別な場合はできない」は落として、注を見ていただければ分かるような形になると思います。一応、そういう形で直して、もう一度見ていただきます。ほかにはいかがでしょうか。

○中馬委員 今の2ページですが、私が分かりにくいだけかもしれないのですが、3番の○の(1)2つ目のポツのこの文章がこのまま残るとして、「家族への両立支援制度」というのが、どこにも「介護と仕事と」とか、「育児と仕事と」とか、その前のものがないまま突然「両立」になっているので、少し違和感を覚えたのですが。

○佐藤座長 どうしますか。「就業する要介護者の家族」などにしますか。これは、家族一般ではないのですよね。これは、いわゆる雇用者として働いている人でないと取れないので。ここですと、「労働者も」とかいうのですかね、もしあるのなら。

○中井職業家庭両立課長補佐 確かに、ここに「家族」と書いてしまうと、介護をされている御家族の方なのか、介護をしている御家族の方なのかが分かりづらいように思いますので、要介護者の方を介護している労働者にすると。

○佐藤座長 「の」とか、「労働者の両立支援制度」などにしたほうがいいかもしれませんね。少しその辺りも、家族一般ではないので、あくまでもこれは雇用されている人しか対象にならないので。ほかにはいかがですか。

○新田委員 これは些細なことかどうかよく分かりませんが、1ページ目の見直しに当たっての観点ということで、一番下から2番目ですが、以前局長が少し言われていたので気になったのですが、介護開始時点で8割以上の人が在宅介護を行っているという表現があります。実は、認知症の人でも45になっても、昨年の中医協等の中でも4割の人たちが在宅介護を行っているのは事実ですので、開始時点とは限らないのです。ですから、今回の給付に関して、ここにどうのこうのという話ではありませんが、文章としては少し気になる点です。

 言わば、こういった介護休暇を取るときに、両立するために非常に長い介護期間において、労働者がどう取っていくかということも踏まえなければいけないわけです。そうすると、この文章で言いますと、介護開始時点は大変ですから、そこを支援することのみにするのではないですね、という意味で発言させていただいたのですが。

○佐藤座長 ですから、この文章だけを読むと、例えば長い介護をする期間の初めだけ介護休業をすると読まれてしまうということですね。どうしましょうか。

○中井職業家庭両立課長補佐 ここで、「介護開始時点で8割以上が」とさせていただいたのは。

○新田委員 これは事実ですよね。

○中井職業家庭両立課長補佐 そうです。建議の中でそのようにさせていただいているのもあって、そこを持ってきたものになります。参考資料1として、6ページ目にこのデータを付けております。確かにそれを見ますと、介護開始時点で8割以上ですし、全体を通して見ても、例えば介護終了までのおおむね3か月程度の期間でも、やはり在宅介護の方のほうが多いというデータがあります。例えばですが、「介護開始時点で8割以上の方、又、全体の期間を通して見ても5割以上の方が」というような言葉を加えるというイメージかなと思います。

○佐藤座長 では、そういう形でよろしいですか。では、そのように直させていただきます。ほかにありますか。

 それでは、先ほどの修正点に加えて、今の1ページの下から2行目の文章を修文していただくということで、一応大きな御意見は今のようなことでよろしいですか。大体、修文はこういう形でと御提案させていただき、おおむね御了解いただいたかなということですので、そういう形で修正したものを、今日出た意見をベースに確定版とさせていただければと思います。一応、見ていただく機会を設けますが、文章案まで議論できたかと思いますので、その後の細かい修正は事務局と私にお任せいただければ有り難いですが、よろしいでしょうか。

 それでは、短い3回の委員会でしたが、我々がやるべき課題はクリアできたかと思います。最後に、吉田局長から一言御挨拶をよろしくお願いいたします。

○吉田局長 御審議ありがとうございました。改めまして、雇用均等・児童家庭局長の吉田です。今、座長からもお話がありましたように、この研究会は昨年の均等分科会の建議を出発点に、非常にお忙しい先生方にやりくりをしていただいて、3回という非常に集中的な御審議を頂き、本日までの御議論を頂けたと承知をしております。また、今日もいろいろ御指摘を頂きましたし、先ほどの座長の仕切りのように、事務方として本日の御意見も反映させた素案を座長に御確認を頂き、またその後の運びについては、座長の御指示に従いながら準備をさせていただきたいと思います。

 医療介護、そして人事労務管理の専門家の方々にこういう形でお時間を頂き、本日まで至ることができましたことを、まず御礼を申し上げます。その上で、最終的には報告書の公表という形にさせていただくことになろうかと思います。

 御議論でもありましたように、この介護休業を根拠付けています育児・介護休業法(育介法)については、先の国会で幾つかの改正をさせていただき、その改正育介法の施行を来年の11日と。これはこれで、非常に通常に比べて限られた時間の中で、私どもも労使の方々にも準備をしていただいていると思っております。本日、こういう形でまとめていただきました方向に沿った判断基準の見直しについても、来年の11日に改正法と一緒に動かせるように、私どもとしても準備を進めさせていただきたいと。そのためには、まずは周知も必要ですし、関係者の方々の御理解を頂くような努力もさせていただければと思っております。いずれにしても、お忙しい中、お時間を頂きました委員の方々、引き続き雇用均等行政、あるいは介護という意味では、地域包括ケアという流れもありますので、厚生労働行政全般について御指導いただきますようにお願いを申し上げまして、一言御挨拶といたします。どうもありがとうございました。

○佐藤座長 それでは、これで研究会を終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)

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