ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 障害保健福祉部が実施する検討会等> これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会> 新たな地域精神保健医療体制のあり方分科会 第5回議事録(2016年7月15日)




2016年7月15日 新たな地域精神保健医療体制のあり方分科会 第5回議事録

社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課

○日時

平成28年7月15日(金)10:00~12:00


○場所

航空会館(701・702会議室)
東京都港区新橋1丁目18-1


○出席者

伊澤構成員、伊藤構成員、荻原構成員、籠本構成員、河崎構成員
神庭構成員、佐竹構成員、田川構成員代理(上ノ山氏)、樋口構成員
近森構成員、中板構成員、長野構成員、広田構成員、藤原構成員
松田構成員、松本構成員

○議事

○樋口座長 おはようございます。定刻になりましたので、ただいまより「これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会第5回新たな地域精神保健医療体制のあり方分科会」を開催させていただきます。

 構成員の皆様方におかれましては、ご多忙のところご参集いただきまして、まことにありがとうございます。

 では、早速資料の確認と本日の出席状況について、事務局のほうからお願いいたします。

○鶴田課長補佐 事務局です。お手元に配付しております資料の確認をさせていただきます。

 まず、資料1は今後議論すべき論点についてまとめた資料になります。

 参考資料1ですが、伊藤構成員からの提出資料になります。

 参考資料2ですが、日本看護協会からの提出資料になります。

 このほか、これまでの本検討会における皆様からのご意見の概要を整理した資料を机上配付させていただいております。

 以上について、足りない資料等ございましたら、事務局までお申しつけくださいませ。よろしいでしょうか。

 次に、本日の出席状況ですが、構成員の代理として1名の方にご出席いただいております。田川構成員の代理で、日本精神神経科診療所協会の上ノ山様です。

○田川構成員(代理 上ノ山氏) (一礼)

○鶴田課長補佐 次に事務局ですが、今回から老健局総務課認知症施策推進室も参加させていただいております。

 認知症施策推進室の宮腰室長です。

○宮腰認知症施策推進室長 宮腰です。よろしくお願いいたします。

○鶴田課長補佐 事務局からの説明は以上とさせていただきます。

○樋口座長 それでは、議事に入りたいと思います。

 まずは事務局のほうから今後議論すべき論点について説明をしていただきまして、それぞれの論点について、きょうは時間を3つに区切らせていただきまして、それぞれご議論していただきたいと思います。

 また、本日の分科会において一定の論点整理を行って、次、検討会の議論へとつなげていきたいと思っておりますので、活発な議論をよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、よろしくお願いいたします。

○鶴田課長補佐 事務局です。

 資料1についてご説明をさせていただきます。資料1ですが、論点としては、1つ目「精神障害者を地域で支える医療の在り方について」、2つ目「多様な精神疾患等に対応できる医療体制の在り方について」、3つ目「精神病床のさらなる機能分化について」と並べさせていただいております。

 議論がしやすいように前回と並べ方、順番入れ替えております。

 まず、ページをおめくりいただきまして、2ページ目「精神障害者を地域で支える医療の在り方について デイケア・訪問看護・アウトリーチ等の医療機能の在り方についてどのように考えるか」。

 「現状」については、前回第4回のときと同じ内容を書いております。

 3ページ目の「検討の視点」のところですが、1つ目の○の3行目からが新しく追記しているところになりますので、それ以降について説明させていただきます。

 検討するにあたって、以下の点についてどのように考えるか

 1)「精神障害者地域包括ケア」の構築についてどのように考えるか

   ・「精神障害者地域包括ケア」の目指すところ

   ・「精神障害者地域包括ケア」の概念を構成する要素

   ・圏域の捉え方

   ・地域における関係機関間の連携推進の在り方

   ・自治体の役割分担の在り方

とさせていただいております。

 2)効果的かつ効率的な精神保健医療としてのアウトリーチをどのように考えるか

   ・アウトリーチを必要とする対象者像をどう考えるか

   ・アウトリーチにおける各専門職の役割・強みをどう考えるか

   ・効果的かつ効率的なアウトリーチを提供できる体制をどのように考えるか

 3)効果的かつ効率的な精神保健医療としてのデイケアをどのように考えるか

   ・デイケアを必要とする対象者像をどう考えるか

   ・デイケアにおける各専門職の役割・強みをどう考えるか

   ・効果的かつ効率的なデイケアを提供できる体制をどう考えるか

としております。

 ページをおめくりいただきまして4ページ目「多様な精神疾患等に対応できる医療体制の在り方について」

 多様な精神疾患・患者像への医療の提供についてどのように考えるか

 「現状」は前回と同じことを書かせていただいております。

 「検討の視点」のところです。

 第7次医療計画の策定へ活かせるように、「良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針」に沿って、これまで実施してきた事業の成果や地域における取組を踏まえながら、効果的かつ効率的な地域精神保健医療提供体制の在り方についてどう考えるか。検討するにあたって、以下の点についてどのように考えるか。

 1)精神科医療と一般医療との連携をどのように考えるか

 2)精神科医療と地域資源との連携をどのように考えるか

 3)精神科医療と保健との連携をどのように考えるのか

としております。

 それぞれ同じ構成となっておりますけれども、それぞれ「対象となる精神疾患等」をどのように考えるか。「都道府県・政令市における行政関係機関の役割分担の在り方」をどのように考えるか。ここで言う「行政関係機関」とは、「都道府県、政令市本庁、精神保健福祉センター、保健所、自治体病院等」を列記させていただいております。

 また、「圏域の捉え方、圏域における関係機関間の連携の推進の在り方」をどのように考えるかとしております。

 ページをおめくりいただきまして、6ページ目になります。「精神病床のさらなる機能分化について」ということで、「マル1精神病床の将来推計及び目標値についてどのように考えるか」。

 「現状」は前回と同じです。

 「検討の視点」です。

 それぞれの地域の特性を踏まえた、あるべき地域精神保健医療福祉体制の構築を目指して、精神病床の将来推計の検討を進めることとしてはどうか。検討するにあたっては、これまでの検討経緯や地域医療構想における考え方を踏まえつつ、以下の点についてどのように考えるか」。

 ・対象圏域:都道府県単位としてはどうか

 ・病床機能:入院期間による区分としてはどうか

急性期(3ヶ月未満)、回復期(3~12ヶ月未満)、慢性期(12ヶ月以上)

 ・推計式の骨格:入院需要=性・年齢階級別入院受療率×性・年齢階級別推計人口

病床の必要量=入院需要÷病床稼働率 としてはどうか

 これらに関して、全体に係りますが、精神病床の将来推計の位置づけをどのように考えるか。

 次に、2つ目の○です。

 また、入院後3ヶ月時点の退院率などの目標値について今後どのように設定することが適切か。検討するにあたっては、早期退院の取組状況を評価する観点や、精神障害者地域包括ケアの進捗状況を評価する観点から、目標値や評価指標を設定することについてどのように考えるか。

 ・早期退院の取組状況を評価する観点

  例)3ヶ月時点退院率、6ヶ月時点退院率、1年時点退院率等

 ・精神障害者地域包括ケアの進捗状況を評価する観点

  例)地域資源の整備状況、1年以上長期入院患者の入院受療率等

とさせていただいております。

 もう一枚おめくりいただきまして、8ページ目「マル2「重度かつ慢性」に関する調査結果とその活用についてどのように考えるか」。

 「現状」は、前回と同じです。

 「検討の視点」になります。

 「厚生労働科学研究班の策定した基準案に該当しない長期入院患者(1年以上の入院患者の約4割)についてどのように考えるか。その際、身体合併症による入院治療を必要とする患者への対応をどのように考えるか。検討するにあたって、以下の点についてどのように考えるか」。

 1ポツ目としては「当該基準案を適用する精神疾患の範囲」。

 参考としまして、厚生労働科学研究班では、認知症を除外した精神疾患を対象に調査を実施しておりました。

 2ポツ目「当該基準案に該当する状態の概念」。

 平成24年の検討会では、地域で生活することが非常に困難な状態にあり、長期入院を必要とする状態というふうに概念整理が当時はされておりました。

 3つ目の点として「当該基準案の活用方法」。

 例示になりますが、「地域移行への活用、精神病床の機能分化への活用、定期報告における活用等」とさせていただいております。

 4点目として「1年未満の入院患者に対する当該基準案の活用をどのように考えるか」としております。

 2つ目の○です。

 厚生労働科学研究班の策定した基準案は、現時点における一般的な地域精神保健福祉体制の水準を前提としたものであることから、あるべき地域精神保健医療福祉体制を見据えた基準とするためにどのようなことが考えられるか。検討するにあたって、以下の点についてどのように考えるか。

 「研究を継続するにあたって、狙いをどのように考えるのか」。

 例示になりますが、「標準的な精神障害者地域包括ケアに関するガイドラインの策定、好事例の見える化など」とさせていただいております。

 以下、それぞれの論点について参考資料をつけさせていただいております。

 事務局からの説明は以上です。

○樋口座長 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの説明にございましたように、1、2、3と分かれておりまして、それぞれ議論をしていただこうと思っております。1つの課題当たりおよそ30分程度の時間でご議論いただきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 では、一番最初は、今、説明のありました一番最初の部分、2ページ目から3ページにかけて「精神障害者を地域で支える医療の在り方について」というふうにして論点のまとめのたたき台ができております。これについてご議論あるいはご追加のご意見等々をいただければと思います。どなたからでも結構でございます。広田構成員、どうぞ。

○広田構成員 質問です。「精神障害者地域包括ケア」参考資料、高齢者の、「老人クラブ・自治会・ボランティア・NPO」と書いてある、何度も言います、精神障害者だからといって特別な生活をするのではない、田原さんがある日、鬱病になったり、鶴田君が奥さん、子供に捨てられたりして、何かになる可能性が誰にもあります。障害者だと何でも生き方を分けない。例えば、中国が大変な勢いの南シナ海、アメリカが自由の航行作戦を、妥当な判決でフィリピンが勝ちました。日本の自衛隊も「シーレーン確保」航行やればと思った。社会情勢が変わっていく、精神障害者いつまでも塩漬けの生活ではない。共生社会ですよ。

 なぜ中国に注目か、企業が進出して、その関係。今は爆買いだけではなくて、多くの観光客が見えて買っていく、タックスフリーで、安い浴衣等も売っていますが、外国製。それを暇なオレオレ詐欺にひっかかっているおばさんとか、「山田花子さん元気に行っていますか」と電話かけているような人たちも和服を縫えば、メード・イン・ジャパンになる。生活保護、年金の私は髪の毛を自分で染めて、自分で切っています。彼と一緒に暮らせば美容院に行きますが。多くの人が手作業、器用で、社会資源のコンシューマーがつくったものを販売しています。最賃と騒がないで、コストを下げて、日本の障害者、高齢者が縫った浴衣等が全世界に飛んでいけば、いいじゃない。そういう発想も入れて。何でもサービスを使わせていただきます、税金投入ではない、タックスペイヤーにもなれます。

 社会貢献できる絵も入れないと、75歳以上は後期高齢者というけど発想の転換を。大活躍の人たち、年齢知らず。

それから、この間国会に行きましたが、総合支援法も通ってしまった。いつからスタートするのか、「30年」、「ここでの発言も、」「社保審の障害者部会も」「間に合う」そうですから、このペーパーだけではなくて、これからこの国の精神障害者のありよう全てを発言すれば、厚生労働省、有能な人もいますから、皆さん、どんどん発言しましょう。

 伊澤さん、いつまでも地域と日精協、対立していないで、よろしくお願いします。

 『精神病院時代の終焉』という本が会報で紹介されてましたが、そういう本を載せる団体は一方の精神科病院を担っている側のも、バランスをとって載せていただけたらありがたいと思います。常にニュートラルで情報発信をコンシューマーにしていただきたい。今日は言いたいことを発言しましょう。国民の精神科医療のために。

○樋口座長 檄が飛びましたので、よろしくお願いいたします。どうぞ。

○荻原構成員 ありがとうございます。荻原でございます。

 今の広田構成員のお考えというのは、基本大切な考え方で、資料11ページですが、ここの要点というのは、「地域包括ケアシステムは、おおむね30分以内に必要なサービスが提供される」と。こちらのほうに重きを置いて、なおかつ私も前回の会議で「精神障害者地域包括ケア」という言葉が出たときに、初めの言葉としてはいいにしても、これをどう地域に落としていくのかといったときに、また精神障害だけが別物で、地域の中に居心地の悪い感じになるのは困るだろうと思っているところです。

 多様な精神疾患の医療体制の資料にも出てくるのですけれども、お子さんにしても、摂食障害の方にしても、自殺のことを考えてしまう方も、まちの中に住んでいらっしゃるので、そこを考えないでということになっていくとまずいだろう。地域包括ケアシステムという考え方は、高齢者だけではなくて、それぞれの地域が自分たちの問題としてどう動くかという形の中に、たまたま診断を受けた統合失調症の人がいるだけであって、その方々が必要があれば地域包括ケアシステムということに乗っかることで動いていけるようなことをここから発信しないと、相変わらず高齢者だけというのは困るだろうと思っております。

○樋口座長 ありがとうございました。

 それでは、長野構成員、中板構成員の順番に行きましょう。

○長野構成員 3点。

 1点は、「地域包括ケア」という言葉が正式にこのような形で論点に出てくることは、とてもいいかなと思っています。

 その中で、私たちは認知症の方も精神障害の方もほぼ同じ仕組みの中でやってきているので、違和感はないのですけれども、全体の地域包括ケアシステムの中に精神障害者のものがあるという位置づけをある程度はっきりさせていかなければいけないと思います。

 ただ、高齢者の地域包括ケアシステムが余暇であったり、ボランティアのところも確かに絵には描かれているのですが、慢性疾患のコントロールというところについ重きが置かれがちですので、精神障害の方々が同じような仕組みでいくときには、特に長い人生を支える就労であったりとか、余暇の活動であったりとか、仲間づくりの活動も一部専門的な支援が要る場合ももちろんあるので、そういう視点を落とさずに、充実させていくというような論点が必要なのだろうと思います。

 後の多様なところも含めて、自治体の役割、ほかのところが全部都道府県、政令市という役割になっていて、ここに統合していくのであれば、自治体の役割を全体的にしっかり盛り込んでいかなければいけないのかなと思います。

 2番目のアウトリーチのところですが、これは常々思っているのですが、そろそろ政策で使われるアウトリーチの定義をある程度はっきりさせていかなければいけないのではないかなと思います。治療契約があって、訪問看護とかでサポートできる方までアウトリーチというふうに拡大解釈していいのか。そもそも治療契約が成り立たなかったり、中断したりとか、重度の方とか、そういう方のアウトリーチと捉えていくのかということも含めて、アウトリーチの定義をある程度固めていかなければいけないのかなと思います。保健と医療、両側面、意外と別々の役割がありますし、ここはちゃんとしていかなければいけない。

 アウトリーチを議論するときに、早期支援の考え方を入れていかないと、もう間に合わないのかなと思っていて、早期介入というのがどうかとは思いますけれども、早期支援にアプローチできる仕組みも考えていかなければいけないと思います。

 最後のデイケアのところですが、今回デイケアの前段に「効率的な精神保健医療としてのデイケア」という文言が入っていて、不勉強かもしれないのですけれども、デイケアは医療だとずっと思ってきたところなのですが、ここで保健が入ってくると、予防の概念も含めてデイケアの機能はもう少し充実させられるのかなと考えて、ここの意図をちゃんと捉えていかなければいけないかなということ。

 あと、デイケア、今回対象者像というのが出てくるのですけれども、その前にそもそもデイケアの役割はどうなのだということを議論の論点に入れるべきではないかと思います。制度創設当時と地域の状況も支援の状況も、ありとあらゆること、世の中が求めることも全部変わってきております。実際総合支援法であったり、さまざまな支援ができて、ほかのほうがうまくいくような支援もできてきたのも確かですけれども、デイケアに制度創設当時にはなかったような機能が求められてきているものもたくさん出てきていると思っていて、デイケアの機能というのは、そもそもどういうことが求められるのかということを余り狭めずに考えていかないと、今の改革は進まないのではないかなと思っていて、デイケアの機能の議論をできれば論点に入れられたらと思います。

 以上です。

○樋口座長 ありがとうございました。

 中板構成員、どうぞ。

○中板構成員 日本看護協会の中板と申します。

 きょう、資料を出させていただいておりますので、1番の「地域で支える医療の在り方」というところにあわせてお話をさせていただこうと思います。事務局の方には大変感謝いたします。

 私どもは、病院中心の医療から地域中心の医療へと機能分化が全体的に進められていく中で、今回「精神障害者の地域包括ケア」ということが言葉として出てきたことについては大変うれしく思っております。

 地域包括ケアは、現在は65歳以上の方々を対象に介護保険上で整備が進められています。地域包括ケアは、いわゆる重症な方たちの療養支援だけではなく、重症化予防、そして全ての高齢者が一日でも長く元気に過ごしていくということまで含めての地域包括ケアと理解しております。そして、常に支えられる側ではなく、時には支える側にもなる、つまり誰かが誰かの支え手になる自治のような形を地域の中に作りあげることも、地域包括ケアだと思っております。これは精神医療においても地域移行が進められる中で大変重要な考え方で、基本となるものだと理解しています。

 その基盤に立った上で、特に短期の入院で退院移行をしていくということに関しましては、医療機能強化は重要です。それからスムーズな退院支援が必要になり、さらに受け皿が受け皿として、地域としてきちんと醸成されていくということが全て連動していることが重要でないかと思っています。

 特に短期入院後の退院では、医療ニーズが決して低いとは言えない状況の中では、福祉サービスだけでは十分ではない。服薬アドヒアランスを高めながら受療中断というものも防いでいかなければならない。その中では医療ニーズに対する支援と生活に対する支援というものが一体となったケアマネジメント体制が不可欠だろうと考えて、今回2点提案させていただきたいと思っております。

 まず1点ですけれども、精神障害者の入院から退院、そして地域移行に向けて連続したケアマネジメント体制を整備する必要がある。今、市町村における自立支援協議会がどこでも立ち上がっております。この中で、部会としていわゆる個別ケースの検討、介護保険法で言うならば地域ケア会議に相当しますが、そのような個別ケースをきちんと医療と保健、福祉で対応できるようなチーム、この中で精神障害者の地域移行のケースも、検討できるよう、あらためて強調してほしいと思います。

 それから、個別ケースの検討をする際に、医療ニーズが低いとは言えない状況ですので、訪問看護師の参画が促進されるよう、その要綱あるいはガイドライン、先ほど事務局から出していただいている地域包括ケアのガイドラインでもよろしいのですけれども、その中には個別ケースを検討してケアマネジメントを考えていくというのを位置づけていただいて、訪問看護も構成メンバーになるよう参加を明示していただきたいというのが1点です。

 2点目は、従来から申し上げていることでございますが、精神病床を一般病床同様の看護配置標準にしていただきたいということでございます。

 ちょっと説明させていただきたいと思います。次のページを見ていただきますと、これは日精看の吉川さんが前回出された出雲保健所の精神保健包括支援会議の取り組みの事例をちょっと見方を変えて記載させていただいております。

 出雲圏域、島根圏域全体がこのような形で会議を開催しているわけですけれども、その中でも出雲圏域というのは、出雲保健所と出雲市という1市1保健所体制でございまして、平成23年に国のアウトリーチ推進事業で、長期入院患者の地域移行という形で処分困難事例などを検討するということで会議を開いてまいりました。

 このときのメンバーが必要性を実感して、アウトリーチ推進事業自体は終了してしまったのですが、これが続行されております。保健所がバックアップをしながら、市町村の中で精神保健包括支援会議という形で、個別ケースのカンファレンスの有志で会議を開催しているという状況です。

 参加は保健所、医療機関、訪問看護ステーション、相談支援事業者、精神保健福祉センター等々、20名程度が集まって受療中断のおそれのある人、精神疾患が疑われる未受診の方、長期入院後入退院を繰り返している方たちをどのような形で支えていくかということを検討しているということです。

 この中で、事例としてAさんを出させていただきましたけれども、統合失調症で、お母様ががんで、お父様が脳梗塞ということで、療養が必要な状況にありました。40代の女性は25年以上ひきこもっておりましたが、ケアマネジメントの精神保健包括支援会議の中で、訪問看護と相談支援専門員の介入が必要であると判断をして、介入ができるようになってから病状がよくなり、ひきこもりは解消されていったということです。

 このときの訪問看護師のケアとしては、家族への疾患理解の促進ですとか、症状のモニタリング、服薬指導、こういったことを続けておられたということで、自宅で治療を継続しながらの生活を可能にしていったというのがチームアプローチで、地域の中でできているというのが一つの事例でございます。

 今後もこれを市町村の自立支援協議会の中に位置づけて、保健所がバックアップできるような体制をぜひつくっていただきたいと思っているところです。

 次のページです。障害者総合支援法の3年後の見直しということで、社会保障審議会の障害者部会の報告書の中には「7.精神障害者に対する支援について(市町村の役割)」ということが明記されておりました。ここは皆さん重々ご存じだと思いますけれども、その中に「市町村に精神障害者の地域移行や地域定着を推進するための協議の場の設置を促進する」ということで、これが今で言うならば自立支援協議会に該当できるのではないかというところです。こちらの自立支援協議会を強化していただきたいと思っております。

 一般市町村の現状について若干ヒアリングさせていただきました。この3自治体はそれぞれ精神のことについては非常に積極的に取り組んでいるところでございますが、精神障害者の個別ケア会議は非常に重要だと。しかしながら、庁内だけでの解決が難しく、また地域の理解も必要である。しかし、実際には自立支援協議会の中でそうした個別事案の検討まではできていないし、予算の仕組みもない。そのために、65歳以上の方がいる家族については、その家族の方への支援も含めてということで、介護保険法の地域ケア会議の場で対応させていただいているということも伺っております。家族に65歳以上の方がいない場合については、このルートに現段階では乗せることができなくて、課題だというふうに考えているということです。

 C市のところでも、本来的には自立支援協議会の中で相談支援部会を活用して検討する必要があるのではないかということも出てきているのだけれども、なかなか十分にできていないということが言われています。今の段階、自立支援協議会の中では福祉的な側面が強くて、医療的ケアに関する協議がなかなかできにくい。医療的ケアのニーズが精神障害者の場合、高くなるので、きちんとここも入れられるような形で進めていただけるとありがたいというようなご意見も伺っておりました。

 2点目のところに挙げさせていただいた看護職員の配置標準についてですけれども、必要な3カ月以内あるいは1年以内の時期に質の高い医療提供がなされるようになり、それから短期間の入院と地域生活に見合った退院支援、安定した地域生活につなげていくためには、医療法上の精神科特例については全て廃止していただいて、人員配置基準、診療報酬で一般病床と同等にして、人員配置の充足を計画的に進めることをぜひぜひ要望したいと思っております。地域生活を送り続けるために、見合った退院支援を早期から開始できるように、さらにPSW、臨床心理士等の多職種連携がかなうように、配置も上乗せで進めていただきたいというのが要望でございます。

 以上です。ありがとうございます。

○樋口座長 ありがとうございました。

 それでは、2人手が挙がっておりますので、どうぞ。まず、松本構成員。

○松本構成員 時間が30分経過しましたので。

○樋口座長 いや、まだ大丈夫です。

○松本構成員 よろしいですか。

○樋口座長 はい。

○松本構成員  アウトリーチの件についてでございますけれども、アウトリーチに関して、前回河崎先生のほうから日本医師会精神保健委員会の答申書のお話をしていただいた中で、アウトリーチを統一見解といいますか、意味を統一したほうがいいのではないかと。私も確かにそうは思っているのですけれども、でも、実際に色々なケースを見ますと、そのケースケースで多職種が統一した、この患者さんにはこの意味を持ったアウトリーチをしていこうというふうにしていったほうがいいのではないか。アウトリーチというものはこういうものである、こういう訪問支援はこれに限るのだというふうにしてしまいますと、非常に窮屈になるので、やはり症例症例で変えていく。変えていくけれども、それにかかわる職種の方たちは、この症例にはこのアウトリーチ、この症例のアウトリーチはこういう意味合いであるというふうな考え方でいったほうがいいのではないか。そういうふうに思いますので、その辺を皆様方で検討していただければと思います。

○樋口座長 では、伊澤構成員、どうぞ。

○伊澤構成員 地域包括ケアの観点で申し上げますと、数年前ですけれども、地域生活支援拠点事業の整備というのが障害福祉計画の中にうたわれていて、29年度までに各市町村で最低1カ所はそういうものを立ち上げていく方向というのを確認している。これは社保審などでも議論をされた上で打ち出されているものでありますが、現状地域包括ケアの議論で出ているものを、その議論もあわせてしっかり医療支援とミックスして進めていく必要性がすごくあるのではないかなと思っております。

 地域生活支援拠点の中の重要な要素として5つ挙げられていて、一つは相談なのです。地域移行とか、あるいは親元からの自立を促進していくという観点。

 それから、体験の機会を保障していくということ。ひとり暮らしに向けてとか、あるいは地域移行の際の体験的なトライアルの宿泊みたいなものも想定しています。

 あと、緊急時の受け入れです。シェルター機能を含めて、何かあった場合には駆け込んでくるというような機能。

 さらに、人材を確保していくという、要するに、キャッチメントエリアの中でどういうふうな人材・対応体制を高めていくかというところの観点から人材の確保、育成も含めてだと思います。

 そして、体制づくり、ネットワーキングです。

 こういう5つの大事な要素をまさに包括ケアの中にもしっかり要素として入れていくということかなと思っています。施設整備でそれを行っていくのか、あるいは既存のネットワークで進めていくのか、二通りのやり方があるみたいなのですが、それは地域地域の特性でそこを鑑みながら進めていくということなのかなと思っております。

 あと、アウトリーチのお話ですけれども、先ほども松本構成員のほうから話がありましたが、個別性が非常に強いというか、個々の事例によって随分違いがあるのだろうなと思いますが、私は地域活動支援センターでアウトリーチ、概念はいろいろですけれども、その方の生活現場に行き、暮らしのお手伝いをするという観点で足を運んだりもしているのですが、だけど、長野構成員がおっしゃったように、支援関係とか治療契約とか、そういうのがない中で、ご本人が拒みがちな中でどういうふうにアプローチしていくか。この援助技法の開発というのは物すごく大きな課題だと思っていて、そこをきわめていくような視点が大事だなと思っております。

 もう一つ、デイケアに関しては、長野構成員がおっしゃっていましたように、機能・役割を再度しっかり鮮明にするということがとても大事だということと同時に、そこには評価も入れていくことをあわせて行っていく必要があるのかなと思います。某診療所の行っているクリニックでは、生活保護行政と協働しながら、過度な金銭管理を行ったり、あるいは利用率を上げるために送迎体制もばんばん行っているということも聞いたりしますと、それはどうなのだろうと疑問符がたくさん出たりもするのですが、そういう観点から機能の整理と評価というものもしっかり入れていくべきかなと思います。

 以上です。

○樋口座長 それでは、河崎構成員、どうぞ。

○河崎構成員 日精協の河崎です。

 今回事務局のほうから「検討の視点」として精神障害者地域包括ケアをこういう形で取り上げられているのは非常に評価をするところです。

 そこの視点として論点が幾つか示されているところですけれども、まず精神障害者地域包括ケアの概念を構成する要素というのがございます。「参考」として高齢者の対象とする地域包括ケアシステムのことが書かれていますが、これは、精神障害者の地域包括ケアという考え方でいくと、この中にもう一ついわゆる福祉サービスというものをしっかりと位置づけていくということは当然のことなのかなと思ったりしています。

 もう一点は、地域包括ケアというのは、精神障害者の人がその地域の中で生活をしっかりと組み立てて、そこで自立した生活を目指していく。さらには再入院等々についても、それをどういう形で予防していくのかということがきっと入ってくると思うのです。そうしますと、精神障害者地域包括ケアの概念の中には、精神科救急システムを一緒に考えていく必要があるのではないかなと思います。当然ながら精神科救急システムは今、体制事業として全国に展開はしているわけですけれども、逆の言い方をすると、その地域の中で支えていくための精神科救急システムということを、今回のこういう地域包括ケアという概念を出していくのだとすれば、医療の部分でそれが非常に重要なのだということをもっと前面に出していってもいいのではないかなと思います。

 圏域の考え方なのですけれども、これは非常に難しいなと思っているのです。高齢の方の地域包括ケアは中学校区となっていますけれども、そういうふうに考えていくと、今は全国にさまざまな社会資源の偏在が大き過ぎると思うのです。都市部とそうでないところを比べていった際に、一律にその圏域をがちがちに決めてしまうと、実際運用していくときには難しいのではないかなと。

 なので、まずはその地域地域の中でどういう社会資源があって、その中でこういうシステムがどう構築できるのかということを考えていけるような形にした方が実際的ではないかなと思ったりします。それが1点、地域包括ケアのところです。

 アウトリーチ及びデイケアについては、今まで各構成員が述べておられる方向性で議論をしていくということでいいのかなと思うのですが、ただ、アウトリーチはそれぞれ意味合いが違うものがいっぱい混在をしてしまっている。それを整理するということは一度した方がいいのではないかな。ただ、松本構成員がおっしゃっておられるように、個々の事例によってどういう意味合いを持ってくるのかというのは当然違うわけですから、それに対してどういうふうにかかわり、そしてどのような評価をしていくのかというのは、後できっちり構成をつくり上げていけばいいのかなと思いますので、概念的な整理というのは、この際一度やっておいた方がいいのではないかなと思います。

 最後に、先ほど中板委員のほうから看護基準について一般並みにというご指摘がございました。まさしくその方向性というのはそうなのだろうと思うのですが、資料を見させていただくと、まずは3カ月未満の急性期の部分で一般並みの看護配置にすべきだということでよろしいのでしょうか。もういきなり精神科領域全て一般並みにということをご提言なされているのか。そのあたりをお聞きかせいただければと思います。

 以上です。

○樋口座長 では、その点について、今、お答えいただきましょうか。

○中板構成員 ありがとうございます。

 短期入院で地域移行を目指すという観点から、短期のところについてはスキルミックスではなく、上乗せの形でPSWも入るのが望ましいと考えております。なので3カ月あるいは1年というところまでを要望したいと思います。

○樋口座長 それでは、あと何人発言を予定されているか、ちょっと。(挙手)

 お三方ですね。

 では、次の課題が2つありますので、およそあと7分間ぐらいでお三人の方の発言をお願いしたいと思います。

 では、神庭構成員。

○神庭構成員 僕は2分で終わります。

 地域包括ケアシステム、大変すばらしい案だと思いますが、この構図の中にぜひ「就労支援」という領域を加えていただきたいと思います。就労支援の活動とこのケアシステムとが連動していくことが、精神障害においての地域医療の中で大変重要だと思うからです。

 もう一つは、これだけ広範囲にわたってさまざまな地域資源を活用して、それを効率的に運用してくためには情報の一元化、ここに聞けば全てその地域のさまざまな地域資源がわかるとかいうような窓口の一元化と、そしてその地域をネットワークでつなぐ。情報のIT化。これは既に経産省で取り組みが始まって、厚労省のほうにおりているかどうかわかりませんけれども、少なくとも鬱病の連携では情報のIT化、産業医、企業、かかりつけ医、精神科医の中でその取り組みが始まっていますので、将来的にはITによる情報の共有ということも実現に向けて考えていただければと思います。

 以上です。

○樋口座長 では、上ノ山構成員、お願いします。

○田川構成員(代理 上ノ山氏) 上ノ山です。きょうは田川先生のかわりに代理で来させてもらいました。恐らく発言する機会がそうないと思いますので、あえて発言させていただきます。

 デイケア、訪問看護、アウトリーチ等の医療機能に関しての論点ですが、恐らくこれは外来機能の強化という意味合いでもあろうかと思います。入院治療中心から地域生活中心へということのスローガンの中に、地域で利用者を支えていく外来機能をどう強化するのかということが重要かと常々思っております。

 現在の診療報酬は、医師一人の働きによって維持されているシステムになっていますので、そのコワーカーと多職種と連携しながら地域生活を支援していくという形、それを支えていくような体制が必要かと思っています。そういう意味で、デイケア、訪問看護、アウトリーチが非常に重要であるということです。

 ところが、日精診で調べてみますと、PSWを雇っている診療所が25%ぐらい、心理技術者を雇っているところは12.5%ぐらい、デイケアをしているところが25%ぐらいということで、最近これは余り変わっていません。むしろふえていっているように思えないという傾向があります。

 このようなところには一応多職種が配置される仕組みにはなっているのですけれども、これらの制度は、診療所などで多職種を抱えて育てていくという機能も持っていますので、これを励ますような形の政策ができればいいなと思っています。

 アウトリーチに関しては、生活を支援していくということでありますので、利用者のもとに行って支援していく以上は、利用者主体ということが大事になってきますし、そこでの生活を支援していくとなりますと、医療、保健、福祉、介護全てがかかわってきますので、それをケアマネジメントしていくような姿勢が必要になってくると思います。

 ですから、アウトリーチを非常に簡単なものというふうに考えるのではなく、かなり専門性を持った技術であると考えるべきだと思いますし、それの養成体制をつくっていかなければいけないと思っています。アウトリーチしていくためには、それなりの自覚と責任があるということだと思います。

 今、言ったようなことをまとめますと、医療機関の中で地域ケアに向かって力を発揮できる体制をつくってほしい。そのために医者の中で地域ケアに興味を持つ医者を育てるシステムがちょっと不足しているような気がするのです。最近、若い精神科医でデイケアをやっていこうという人が非常に少ないという印象を持っています。神庭先生の後で発言するということもありまして、ぜひ大学で地域ケアに興味を持つ医者をもっと育ててほしい。それが今後の地域ケアにとって大事であるということ。

 それから、ケースワーク等をやっていく地域のコワーカーに関しては、それぞれ自覚と責任を持った教育体制をつくっていっていただきたい。そうでないと、この地域ケアを担っていく人たちの力が育っていかないと思っていますので、よろしくお願いします。

○樋口座長 それでは、広田構成員、2分ぐらいでまとめてください。

○広田構成員 きのうの夜中に社保審障害者部会議事録を校正、座長が私に何度も「広田さん、」と言っている、多くの人たちから、「駒村座長は何で広田さんだけ制するのか」と聞かれます。記者たちは「議事録加筆して国民にわかるように」と。医者がここに5人いたとして、1分ずつの発言、私は当事者1人ですから、5分という考え。

 当事者不在の論議ですよ。アウトリーチで行くとか行かないとか、議事録校正中ですが、駆けつけている理由は何か。職員の不安、やめてほしい。

 「アウトリーチ」などという言葉ない昔から、「親が通院して薬をもらってくる。」「水液をお味噌汁に」「粉の場合はおにぎりに」「納豆に」。薬必要なら初期訪問診療で医者と患者さんの信頼関係作り。昨今日本人、不安な人が多い。不安なスタッフが駆けつけて、コンシューマーにとって損失、アウトリーチでもうけよう、金もうけ主義もやめて、何のための誰のためのアウトリーチかをきちんとして。

 先ほど長野先生が、デイケアのところを早期にと、私は精神科に行って、「薬を飲みません」と言ったら、医者が、「では、暇でしょうから、デイケアに来たらどうですか」と。1年ぐらい行って、楽しかった。入り口としてデイケア、場合によってある、「カルチャーの人だ」「ひとりカラオケ、行政の催し物等・・・」と思ったら、早期に卒業、「あなたは精神科医療でないカルチャー等・・・、でよろしいのでは」と。

 私が資料として皆さんにお渡しした「ファーストエイド」という南山堂さんの原稿、これからは医療機関に来た人に、「あなたのお話とか抱えている問題は、精神科の患者さんにならなくても、私もあなたのようにいろいろなことを抱えています」というぐらいの時代に、なんでも受け入れる時代ではないと実感しています。多くの診療所等の精神科医からも「診察室で話することではない」と伺っています。障害者110番に若い女性みえて「健常者の彼が・・・」「あながた患者で彼に愛されて、あなたも彼を」「はい」「だったらこんな所来ないで結婚したら」まぶしいくらいの結婚式の写真、今、幸せな一児の母です。

 神庭先生、情報共有、何度も言います、米軍から聞かれたら、「日米地位協定、現状では脇の甘い日本人無理」と。判断力をつけてからの情報共有、「山田花子さんは着きましたか」ではないけれど、あちこち電話かけまくる時代、私はどこも行かないようにしていますが、行かないと、「どうしたのですか」と。「○○さんのこと」という電話に応えていては。「山田花子さんというのは誰ですか」と。私は10代から言っています。脇の甘い時代の中で情報共有は患者に不利益。

 何度も言います、警察の現場に17年行って、様々な課題抱えた人に会った、広田和子の判断でした。 自分たちの自立度が、力量も足りない。

○神庭構成員 おっしゃるとおりです。情報管理を日本人はもっと学ばなければいけません。

○広田構成員 学ぶものではない。情報管理ができていないのに共有してはいけない。自分たちの安心のためでは。

○神庭構成員 そうです。できる段階になって共有するということ。将来のビジョンとしてお伝えしたのです。

○広田構成員 この間のフランスのお話、松田さんに「私の主治医もフランスに行った」と話したら、「フランスは本人の自立をもとに」と。患者自立以前にみなさんが自立できていない、きちんとしていただきたい。広田和子は定時制高校卒だけど、精神医療の被害者として、多くの人が抱えている課題と向き合ったりして発言している。自分たちの力量、自信を深めること、プライドを持って、連携と、もたれ合いの日本人にはなじまない。

○樋口座長 ありがとうございました。

 それでは、時間が大分過ぎましたので、2番目の「多様な精神疾患等に対応できる医療体制の在り方」に進みたいと思います。これも30分程度ということでございますので、ご発言を予定されている方、あらかじめ手を挙げてみていただけますでしょうか。(挙手)

 たくさんいらっしゃいますので。

○広田構成員 何ページまでですか。

○樋口座長 これは5ページまでです。

 そこについて、できるだけ多くの方々にご発言いただくのと、それからこれは先へ進んでから議論は重ねて行ってまいりますので、きょうは論点整理にどういうものを加えていくかという視点でできるだけご発言いただきたいと思います。

 それでは、伊澤さんから進んでまいります。

○伊澤構成員 5ページにあります「精神科医療と一般医療との連携をどのように」ということなのですが、少し観点がずれてしまうかもしれませんが、実は他科診療で要入院の方、例えば骨折をしたとか、あるいはがんの末期の方の対応もしたのですけれども、そういう方々が一般の病院の病室に入る際には、医療法の施行規則の十条三項が物すごく大きなハードルになっていて、そこをなかなか超えられないと。数年前、がん末期の方の対応で入院の促進をしようと思ったら、非常にもめまして、病院の事務長と医局とのかけ合いで何とか押し通したという経緯もあります。最近骨折の方が一般病院に入院するときに、割とすっと行ったのですね。現状、医療法の十条三項がどうなっているのかというあたり、論点がちょっとずれるかもしれませんけれども、教えていただきたいということが一つございます。

 3つ目の「精神科医療と保健」のところで、保健の分野がここにしっかり関与してくるというのはとても重要だと思いますし、特に保健所ですね。地域保健法の関係で平成9年、以来保健所の箇所数が減り、かつ精神保健についてはかなり後景化しているような、そういう印象が地域では強くて、しっかり関与していただきたいということで、おととし、2014年2月に「保健所の取り組みについて」という、全国保健所の方々の集まりによってまとめられた方向性というか、指針というものが手元にございまして、こういったものをしっかり反映させていただきたいなと思っております。

 指針の内容として、「精神科医療機能の変更に関しての保健所の対応」という項目があったりとか、その中には病床の機能変更の把握を保健所がしっかり行うとか、あるいは地域生活への移行に向けた各病院の体制の把握も保健所がしっかり行うとか、入退院につき、新たな医療指針が守られるための情報収集と指導を保健所が行うとか、ほかにもさまざま書かれておりますけれども、保健所がしっかりこの状況に関与していくというところがうたわれたということはとても大きなことですし、それで進めていくべきではないかと思っております。

 以上です。

○樋口座長 前半の質問に関して、事務局、今、簡単にお答えができるようでしたら、お願いしたいと思います。

○鶴田課長補佐 事実関係について、事務局から回答させていただきますと、今年の6月に、今、ご指摘された部分については省令改正が行われております。省令改正前も臨時応急のための入院であれば、精神病床以外に入院させることは妨げられていなかったわけですが、身体疾患を有する方を精神病床以外の病室で入院させることが必要な場合は、そのような対応を妨げないことが明確になる見直しが行われています。

○樋口座長 それでは、次、伊藤構成員ですね。

○伊藤構成員 よろしくお願いします。事務局がお示しになった最初の論点が福祉・介護系で、第2が医療・保健の論点と理解し、2つ合わせてお話をさせていただきます。なぜかというと、両方をバランスよく検討することが重要だと思うからです。

 最初に申し上げたいのは、保険を中心とした共助と税を中心とした公助、そのバランスというだけでは十分でなく、これからの政策・制度を考える上では。共助・公助に加えて、自助、互助をどう支援していくかも必要だという点です。

 第2に、予防や重症化予防という観点がこれから大事になってくるであろうというです。

 本日は配布資料を用意しました。まず最初のスライドです。医療の中で一番濃厚な治療が入院です。入院医療は、どの国もとても大事な領域でありますから、いかに効率的に考えていくか。考え方を変えると、医療が必要な方の1年間を考えると、どのように青い割合を多くするかが大事なのではないかと考えます。

 次のスライドで、ICFの話をします。以前は国際障害分類の考え方が一般的でした。病気になって機能障害が起きて、能力低下が起きて、社会的不利になるという流れでの分類です。しかし、その後この考え方の限界が指摘されてきました。主観的障害の位置づけが明確でなかったり、プラスの側面が重視されていなかったり、環境の重要性が含まれていないなどです。こういった課題を改善するために、WHOでは1992年から改定会議を開催して、この国際障害分類から、「ICF、国際生活機能分類へ移行することが、2001年に正式に決定されました。趣旨は、

 心身機能や身体構造、活動、参加を基本として、これらに障害が加わり制限、制約がある場合を「機能・構造障害」「活動制限」「参加制約」の状態と捉えるという考え方に変更するというものです。ですから、より健康状態を上げていくということを考える上でもICFという考え方はとても重要だと思います。ぜひ今回のまとめの考え方の中に盛り込んでいただけるとありがたいなと思います。

 次のスライドです。障害者の福祉支援法の今後の改正の見直しの検討会で昨年12月に公表された報告書によりますと、高齢の障害者の支援の部分で、介護保険優先原則を維持して、障害福祉制度と介護保険制度との連携を強化するとあります。また、地域の実情に応じた窓口の一元化をしていく。その拠点の候補として地域生活支援拠点サービス、これはグループホーム、障害者支援施設、または基幹相談支援センターなどを想定しているようで、こういった形で介護と障害福祉を連動させていこうという方向が出ています。とても大事だと思います。

 また、障害者の自立生活援助を支援していく事業も最近始まっているようでして、介護、障害の枠の中からはこういったところが拠点になっていく可能性が高いと思います。

 もう少し大枠として介護と医療の連携が、大変重要になってきています。その中で医療の観点からどう考えるかといいますと、4ページ目のスライドの内容が示すことは大切と考えます。これは前回松本構成員、河崎構成員、田川構成員からお話をいただいた日本医師会の精神保健委員会答申です。研究者として昔から医療計画にかかわっておりますが、この答申は、とても大事な内容がいろいろと含まれていると思います。関係者との調整が必要だと思いますが、例えばこのスライドに書かれた文章等を検討会の報告書に盛り込んでいただけないものかと思います。

 5ページ目です。これは先ほど長野構成員がおっしゃられましたが、早期発見、支援・治療という考え方が大事になってきていますし、研究領域での進展もあります。身体疾患と同じように精神疾患の早期発見及び早期支援・治療の重要性が認識されていますので、普及啓発とともに、保健や医療と緊密に連携した取り組みが求められると思います。

 最後のスライドです。地域特性に関してです。全国で一律に圏域に関するビジョンを出すことは大事です。しかし、現実的にそれをすぐ具体的な事業に落とし込むというのは、少し慎重に進める必要があるのではないかなと思います。

 例えば地域包括ケアにおいても、大都市での地域包括ケアについて医療・介護連携の難しさが認識されています。都市部と非都市部、また、社会資源が偏在する地域と偏在のない地域完結的な地域では、地域での特性のばらつきが大きいわけですから、地域特性ごとの地域モデルが必要で、私は非都市部から学ぶことは大変多いのではないかなと思います。地域完結的な地域での取り組みを積み上げていく必要があると思います。

 そういう意味では、国の役割として、こういった取り組みを積み上げて共有をしていくことは重要だと思いますし、既に、地域移行に関する各自治体の取り組み等も厚労のホームページでアップされていますが、こういった役割はこれから求められると思います。

 お時間をいただき、少しまとめてお話しさせていただきました。

○樋口座長 それでは、こちらの列で手を挙げておられた。では、籠本構成員、お願いします。

○籠本構成員 5ページの1)、2)、3)ともに共通して書かれているのが「都道府県・政令市における行政関係機関に役割分担の在り方」ということで、その機関とは何かということで、一番下に「都道府県・政令市本庁、精神保健福祉センター、保健所、自治体病院等」。我々は自治体病院でございますので、これは一言言わせていただかなければいけない。

 先ほど保健所の話が出ましたが、まさにそのとおりで、この会でも言わせてもらいましたけれども、こういういろんな課題が出て、ある程度方向性が決まってきて、いい方向、ベクトルが出てきているのですが、それを結実させるために中心になる中核機関が要るのですね。それは何かといえば、ある程度行政権限を持っている、しかも地域に根づいているところ。保健所というのは、もちろん地域住民の生命、健康を守るという大義がありますし、そういうところが中心になって取りまとめて、その動きをつくっていく。

 どうしても今まで行政機関というのは、失敗すると何か言われるのではないか、へますると言われるのでないかということで、物すごく消極的なのですね。これはだめです、法的に無理ですと。だめ、無理というのを言うためにいるのと違うのだと。要するに、今、ニーズがあって、できないことをどうしたらできるかということを、行政的な視点とか法の問題とかを整理しながら、地域の意見・ニーズを聞きながら、新たな視点で展開していく。具体的な突破口を見つけていく先頭に立つのがその地域の行政機関、保健所の役割だと私は思います。そこらは余りビビらないで思い切ってやれる。地域の方々も、ちょっとぐらい失敗してもやいやい言わないで、いいことをやっていることに関してはどんどん応援して、一緒になってやれるという方向をつくらないと、余りかちかちのぴりぴりした感じではいいことは少しもできない。

 では、自治体病院は何かというと、隣に河崎先生がおられますけれども、自治体病院と民間の病院の違いは何かというと、税金を入れてもらっていることなのです。通常の診療もしていますが、税金をもらっている部分は何かというと、診療報酬に見合わないことをやれということなのです。ですから、その部分は税金でみますよと。だから、税金で人員の確保とか、いろんなトライアルについて担保してもらっているわけですけれども、そこも地域の保健所とか行政機関、精神福祉センターと一緒になって地域の人のニーズ、住民のニーズをつかまえながら、もちろん自治体病院でも人が足りないとか、地域偏在で大変なところもあるのですが、基本は税金を入れてもらっている医療機関として、地域で足りないもの、これからやらなければならないもの、ほうっておけないものに対して、医療機関としてどう関与できるか。積極的に切り込んでいって、広げていって、それをその地域に敷衍していくという役割をしっかり認識してやっていかなければならないということです。

 最後になりましたけれども、また興味があれば読んでほしいのですが、自治体病院協議会の雑誌があるのですけれども、そこの1ページ目に必ず載っている「自治体病院の倫理綱領」というのがあるのです。読みます。「自治体病院は、都市部からへき地に至るさまざまな地域において、行政機関、医療機関、介護施設等と連携し、地域に必要な医療を公平・公正に提供し、住民の生命と健康を守り、地域の健全な発展に貢献することを使命とする」。

 まさにこのとおりで、これをやるために税金を入れてもらっているので、自治体そのものが自治体病院をうまく使っていただいて、税金を入れているから、その辺をあめとむちでうまくコントロールしていただいて、もっと役割をしっかり果たせる。もちろん、自治体病院で働いている者もその使命、認識をしっかりして、先ほど申し上げましたけれども、こういうファジーでいろんなことが出ているのには、中心になって、先頭になってかぶってやっていく、そういう姿勢でやっていく中核的な機関。これは公的な機関がやらなければならないことだと思っています。

 以上です。

○樋口座長 では、河崎構成員、どうぞ。

○河崎構成員 河崎です。

 籠本先生と同じ大阪で、私が民間病院の立場、籠本先生が自治体病院の立場で、今、本当にすごく心強い話を聞きました。大阪のことを若干言いますと、今は自治体病院、大阪府立精神医療センターが、我々民間ができないことをしっかりとやってくれています。

 でも、これは余りこの平場ではいかないのかもしれませんが、そこの長である病院長がどういう考えを持つかということによって全て決まるのです。

 同じことは民間の精神科病院も一緒だというふうに言われるのだろうと思いますけれども、どれだけその組織の方向性、何が必要で、どういう役割を持っているのかということ、しっかりと職員を引っ張っていくということが、今、籠本先生がおっしゃったような役割を果たしているのかなと思いました。

 5ページの「検討の視点」のところなのですが、そこで1点だけ指摘をしたいのは、「1)精神科医療と一般医療との連携をどのように考えるか」というところです。先ほど伊澤構成員のほうからも言及があったのですけれども、身体合併症の問題は「精神科医療と一般医療との連携」というところで取り上げるべきではないかなと思うのです。身体合併症と言っても、精神科病院で入院中の精神障害者が身体合併症が起こったときにどう対応するのかということと、もう一方は、一般救急の場面で、精神科的な問題を抱えた人が一般救急に搬送されたときに、そこにどういう精神科的なかかわりをするのか。この両方の連携があるわけで、そこを整理しながら方向性を出していくというのが必要だと思っています。

 これまでこの指針の検討会とかそういうところのまとめを見てみると、身体合併症についてはまた検討しましょうみたいな形でずっと来ているのです。今回もこの後の「重度かつ慢性」のところで身体合併症をどう考えるのかという議論は出ていますけれども、これは長期の入院中の方の身体合併症を持った人を重度かつ慢性かどうかという議論で見た際にどうするかという視点なので、今、申し上げたような急性期とか慢性期とか関係なく、精神科病院に入院中あるいは精神科医療を受けている方の身体合併症の問題と、一般の救急等々で問題になる身体的な疾患を主に持っている方の中にメンタルな問題が起こったときにどう対応するのか。この2つのことでの精神科医療と一般医療との連携。これはどこかで議論をしておかなければいけないのではないかなと思います。

 以上です。

○樋口座長 ありがとうございました。

 では、佐竹構成員、上ノ山構成員、そしてこちらが3人。では、1人3分でお願いいたします。

○佐竹構成員 総合病院精神医学会の佐竹です。2点お話をさせていただきたいと思います。

 まず、1点は保健所の機能のことです。籠本構成員がおっしゃったように、やはり保健所の機能がしっかりしていかないといけない。保健所がその圏域の中でどういうふうなネットワークを構築していくかというときに、中心的な立場になることが必要であると私も常々思っていて、自然発生的にもう既にシステムが何となく地域でできてきているところはいいのですけれども、まだ地域の中でそういうものが見えてこないところは、やはり先導する力が必要ですし、あとは未治療、未受診であったり、治療中断であったり、そもそも医療にまだつながっていない方の部分をやるには、保健所、いわゆる行政の力ではないといけないかなと思っていて、先ほどの1の「地域で支える医療の在り方」のところとかぶるのですが、保健所の機能をしっかり出していくことが必要かなと思います。

 2点目は一般医療と精神科医療の連携の部分ですが、総合病院のほうは、救急という場所で身体疾患も精神疾患も同じところで救急の治療ができることが理想的だなと思っています。今年度診療報酬改正があって、精神科救急に関して、総合病院の中ではかなりいろんな形での優遇措置がなされて、それがあって、各地の総合病院の中で精神科の病棟を持とうというところが少しふえてきているのが実情です。病棟を持ってちゃんと救急に参画をするということで、病床をつくりたいという意見、意思がかなり出てきているので、そこの部分でいわゆる精神科の救急医療と一般の救急医療と同じ形のところでできていければいいのかな。そうすると、両方の問題を持ってきた人が入っても同じように対応ができるので、そういう意味では、総合病院のほうは、連携という形ではなくて、一元化という形で、自殺対策であったり、ほかの精神疾患も含めてやっていけるかなと思っております。

 あともう一点は、重度かつ慢性でいらっしゃる人たちは合併症なのか、身体管理なのか。急激に症状が悪くなった人に関しては一般医療の専門性の高いところでやっていかなければいけないと考えていて、管理としての身体合併症と、積極的、インテンシブな治療としての身体合併症治療というのは少し分けて考えたほうがいいかなと思っております。

 以上です。

○樋口座長 では、上ノ山構成員、お願いします。

○田川構成員(代理 上ノ山氏) 上ノ山です。

 ここに書かれているテーマは全てが連携に関することでありまして、つないでいく機能が非常に大事であるということを強調されているのだろうなと思います。そういう意味で、例えば我々の領域で言いますと、外来の精神科医療においては、医師の働きに応じて報酬が与えられるという体制になっていますので、多職種が連携して、そしてつないでいく形のところに評価をもう少し上げていただくということにあればいいなと思います。

 一般医療との関係で言いますと、例えば精神科救急で自殺未遂者対策などについて、これは今年度厚労省に自殺対策が移管になったということで、期待はしているのですけれども、これまでは精神科救急と自殺未遂者対策がばらばらに行われてきました。ほぼ同じようなことを並列的に行ってきたという形があります。

 精神科救急というのは夜間の体制でやるということで、例えば自殺未遂者とかひきこもり事例とか、いろいろ困難事例があるわけですが、それをわざわざ夜に診ないと救急とみなさないという変なことになっています。そういうことだと、せっかく診療所が窓口をあけて待機していても機能しにくいということがあります。ですから、精神科救急と自殺未遂者対策などが一体的に考えられていくということが必要かと思います。

 それから、今、佐竹先生もおっしゃったように、総合病院の機能強化ということが言われています。精神科を標榜していない総合病院に自殺未遂者が救急搬送された場合に、地域の精神科診療所医師がそこに応援に行ってコンサルテーションするということも、地域によっては行われています。このようなことをもう少し積極的に国としても推進していくような形があれば、もっと地域の精神科医を活用することが可能になってくるだろうと思います。

 地域資源との連携に関しては、障害福祉サービスとの関係だと思いますが、1点、自立支援協議会に精神科医への期待が少ないといいますか、関与が少ないということがあります。あるいは総合支援法の審査においても精神科医の参加というものが必ずしも必要ではありません。やはり精神科医との共通の評価の回路をきちんと組み込んでいく必要があると思います。

 保健との関係で言えば、いろいろありますが、学校保健とか地域保健など、これもやり始めたら、必ずつなぐ機能として医者だけではできない役割が出てきます。これは診療所で言えば学校コーディネーターとか、あるいは産業現場でいけば産業コーディネーターとか、そういう役割をケースワーカーを中心にして診療所では配置しているところもあるわけですけれども、こういうものがもう少し積極的に展開できるような支えがあればいいなと思います。特に学校との関係などと言えば、非常に関係をとりにくいので、例えばこういう問題を議論するときは、文科省を一緒に巻き込んで議論していくような形が必要かと思います。学校の先生とつながることはできても、学校とはつながりにくいです。

 それから、発達障害者支援法で生涯にわたる支援が必要とか言いながら、学校を卒業した時点で、これまでつくられてきた個別支援計画が全て次に生かされていかない仕組みになっています。個人情報の問題もあるかもしれませんが、連続して支援していく体制というものを教育の現場と一緒になって考えていくような体制が必要であろうと思っています。そういう意味で、医療と保健の領域のもう少し活発な交流と情報交換と新しい仕組みというのが必要になってくると思います。

 以上です。

○樋口座長 では、こちらへ行きまして、長野構成員、お願いします。

○長野構成員 2点。

 精神科医療と一般医療との連携が必要なことは間違いないと思うのですが、私たちも一生懸命地域の中の総合病院には全て入れるように、ステーションにも入って、看護師さんもほぼみんな顔見知りというところまでは来たのですが、実際となると、報酬上のことはほとんどとれない。ふらふら行って先生と相談して、そちらの主治医に出していただいているというのが現状で、報酬の問題もあるのですけれども、実際処方の責任制という点でも非常に難しいことになっています。

 私たちのところでも、総合病院に非常勤として精神科医を雇っていただいてリエゾンしたり、工夫を重ねているのですが、ここのところが報酬体制としてやりやすい、責任体制がとれるようなことを考えなければいけないなと思います。特養のような、例えば精神科のリエゾン体制をとっている総合病院の診療報酬は少し加算がつくとか、そういうことができれば随分進むのではないかなと思います。

 先ほどの圏域の問題なのですけれども、県、政令市本庁、センター、保健所、自治体病院となったときに、私たちがこの3年間で連携をしたのは保健所だけだなと。実際は生活圏から離れると全く連携が成り立たないのです。

 医療法の関係で医療計画との整合性もあるので、ここしか書けないのもわからなくはないのですが、早急に自治体の役割としてしていかないと、皆さんの生活とかけ離れたところで政策が進んでいってしまうし、もう間に合わないのではないかなと思います。保健所の統廃合もかなりきいておりまして、私たちの町から保健所が十数年前になくなっておりまして、車で1時間以上かかるところの保健所ではクライシス以外はほとんど連携ができないという現状があります。

 以上です。

○樋口座長 広田構成員、どうぞ。

○広田構成員 籠本さんの話を聞いて、大阪というのはすごい。院長の権限が。河崎先生が隣にいて、証人なのでしょうけれど、私は神奈川県の公立病院、芹香病院の被害者、「96%ぐらい共産党系」でした。「医者も組合に入らなければ仕事が・・・」と聞いていました。「精神科救急の話を30分してください」と言われて、終えたら、何と共産党の県知事候補が話をして驚きました。自治体病院の共産党系が悪いとは言わない、ご本人たちの権利を主張する団体としてはすばらしいのだろうけれど、患者としては利用され迷惑だった。入院患者さんからの依頼で面会に行っても、「精神医療人権センターで行っても会わせない」、「友人としても会わせない」。自治労系の人が「○○で孤立しています。内情に詳しい広田さんに聞いてほしい」と来られましたが、看護師さんでした。

 それから、「芹香病院のような患者を選ぶ病院があるから、必要悪として県内の○○病院がある」「宇都宮病院もある」と。民間病院の看護師さんに言われました。全国都道府県、籠ちゃんのような人柄と大阪という文化。組合があるかないか、関心はないけど、それぞれ土地柄が違うと感じてきました。

 対馬から手紙が、彼と一緒に暮らしたら海外、日本国内、横須賀にも月2回行きます。対馬の総合病院、精神科にも何回か泊まりました。長野先生は上乗せしてと、基本精神科医療費が問われている。社会問題ですよ、自殺対策基本法ができながら、精神科医療が安いために総合病院の精神科撤退。

 きょう、日看協の話を聞いて、診療報酬のところ、皆さんで共闘でも何でも厚労省を巻き込んで、私は早く日精協のアドバイザリーボードも引きたい。16の役職を引けて、名前だけ有名になっているだけ、「広田和子さん、行っていますか」と。どこでも、「元気だったの」とこの間も県関係者に、横断歩道歩いていたら、広田和子を探しに歩いてきたみたいに。「もちろん元気よ。落ち着いてら保護室に入って研修した同窓会やるわよ・・・」

 対馬に行くと、「包括支援センターに市の職員」、場所も市役所の中ですよ。横浜、東京、大阪、名古屋とか、大都市をモデルに厚労省は使ってしまうけどナンセンス、対馬の総合病院、きれいになりましたから、田原さんも泊まってみたらいかがですか。私は10万円以内でJTBに組んでもらってあちこち行ってきました。

 そういうところの視点を入れないと。対馬の人、「条例は日本国民にしか売れないけど、誰でもいいから土地を売りたい」。「広田さんのうちに行きたい」と言った男性も、2年目に再会したら。尖閣諸島について騒ぐけど、対馬、沖縄もそうですが、日本国、特に大都会というのは、そういうところの対極に成り立っていたりすると自覚して考えたり感謝しなければ。

 私、2000年に韓国に行ってきたとき、「防衛庁の人が会いたい」と、市ヶ谷で、「防大出の32歳」の人、当時、「日本国民に国防を担う自衛隊として認知されてないので・・・」と伺いました。北に南にスクランブル発進している自衛隊、レーダー等米軍が支援したり、米軍放送のエアフォースニュース。日本のマスコミは、「災害救助のような自衛隊」。それは自衛隊に失礼です。私、子供のころ近くに駐屯地があって隊員さんにかわいがられていました。1981年、米軍基地のフレンドシップデーに行ってから、日本の自衛隊が米軍さんに比べてとても閉鎖的だと感じていました。そして、自衛隊に鬱が多い。国防に命をかけている自衛隊を認知しない日本国民とマスコミが隊員たちを潰している。24時間、365日命をかけて国防を担って、それを支援してくれている米軍さんという感謝の気持ちを私は毎日持っている。神奈川県警は、人手少なくたたかれて鬱です。元部長の岡田さんに警察の保護室で研修してもらった時、署の玄関出るや、その後局長になっても「何でも警察だ」と言っていた。10年以上前、救急隊が「行き先がないから」と言って患者をあずけに警察へ連れて来たり、神奈川県警、横浜市救急関係者、議員、マスコミ、多くの関係者、「広田和子さんがいたからここまでできた」とかつて言った。力なんかないけれど、警察の現場17年張りついて事実を訴え続けた、今も課題は山積みだけど。警察には警察官通報という精神保健福祉法23条、1964年のライシャワー事件でできた法律もある。2000年新潟少女監禁事件でたたかれ、困りごと相談作り、現在「住民相談」として存在しているが、何から何までガラクタ市のごとく警察の仕事ではないことだらけ。

○樋口座長 少しまとめていただけますか。

○広田構成員 言っても変わらないこともある、それでも、みんなが何のために鬱になっているのか。マスコミも何人か見えているけど、たたく報道が朝日から神奈川新聞まで、全国都道府県警も人手少なく、たたかれて、うつが課題、自衛隊、命をかけて国防担っていることを認めないから。認めるだけで、たたかなくなるだけで鬱は減る。

 オバマ大統領、「アメリカの傘の下にいる国が困るのでは、不安になるのでは」と気配りつつ、広島に行ったから、「核の先制使用しない」と画期的なメッセージが日本の新聞に出ていました。唯一の被爆国日本国民として大賛成。世界の反核、軍縮、平和に。プラハのスピーチの実現をライフワークに、大統領退職後も、「毎年、広島、長崎に来て」という声が。私も彼と個人として応援したい。

 そういう時代に入って、精神科医療も方向転換、日看協も診療報酬が安いと、安いものをきちんと、当たり前にしようという時代、何で患者がこんなにふえてしまったの、電車の中で、「人身事故」とテロップ流したり、テレビも報道しますが、テロップと報道をやめるだけで自死減りますよ。各種相談員時代「死にたい」という電話を受けて、「人は簡単に死ねないのよ」と言っても、「今、テレビで死ねた」と言われてました。厚生労働省は自殺の所管になったのだったら、言論の自由を超える、人命です。「そういうテロップ報道を控えると自殺は減らせる」と。たたく報道は、報道機関の方がいらっしゃったら、みずから首を絞めて、新聞の部数も落として、マスコミがジャーナリズムになれば、うつも自殺者も少なくなると思います。

○樋口座長 それでは、松田構成員、どうぞ。

○松田構成員 今までの論点でかなり出ていますのであれなのですが、精神科医療と一般医療との連携のところでは、やはり総合病院精神科の役割をしっかり位置づけることが大事だろうと思っています。

 いろいろデータを見てみますと、かなりの人たちが例えば骨折とか誤嚥性肺炎とかで一般病院に入院してきます。その人たちの2割ぐらいが実は認知症とかいろんな精神疾患を持たれていて、でも、そういう人たちに実は精神医療が余り入っていないのです。

 精神科医療が入っている人たちというのは、かなりADLはよくなります。退院先も精神科医療が入っている人と入っていない人では全然違うのです。精神科医療が入っていない人は、かなりの人たちが介護施設に行ってしまいます。精神科医療が入っている人たちはちゃんと外来に戻ります。そういう意味で、入り口のところですので、総合病院の精神科の機能をきちんとしていただくことが大事だろうと思います。

 それから、がんの患者さんも鬱になる方が多いのですけれども、例えば治療効果を見ていても、精神科専門療法が入っている人たちというのは、例えばシスプラチンなどですと、ターゲットドーズまで行く人の割合が非常に高くなります。そういう意味で、総合病院における精神科医の役割というのをやっていただけるといいのではないかなと思います。

 精神科医療と保健のところでは、これはまさに地域包括にも関係してきますけれども、就労支援のところが非常に大事になってくると思っています。そのためには教育と就業支援のところがないといけないのですが、学校保健のところが精神科とのつながりが弱いのです。学校の先生というのは多分いろいろ気づかれていると思うのですけれども、そこから精神科医につながっていかない。それがその後の就業につながっていかない。この辺のところを少し改善していただく必要があるのかなと思います。

 あと、職域保健で言うと、職域で発生した精神疾患に対しては、産業医がしっかりしているところはかなり対応できます。そこに入ってこない人たちに対して何もできないというのが今の状況ですので、そういう意味で、職域保健と精神保健のところのつながりをどういうふうにするかということも就労支援という意味では非常に重要なのだろうと思います。

 そういう意味では、きょうの話に余り出ていないのですけれども、また繰り返して言いますが、やはり企業の役割も重要ではないかなと思っております。

 以上です。

○樋口座長 ありがとうございました。

 それでは、時間が大分過ぎておりますので、次の「3.精神病床のさらなる機能分化について」ということで、皆様のお手元の資料の6ページから9ページまででございます。これにつきまして、残りの時間でディスカッションをしていただきたいと思いますが、これもご発言の予定の方は手を挙げていただいて。(挙手)

 6人。

 では、残りの時間が25分でございますので、それを割り算で計算してみてください。

 では、こちらから行きましょう。近森構成員。

○近森構成員 近森です。

 「精神病床の将来推計及び目標値についてどのように考えるか」ということについて、時代が変わって、今までの推計値とか目標値というのはもう変えていかないといけない時代を迎えたのではないかなと思っています。

 一般医療におきましても、ことし4月の診療報酬改定で急性期のほうはA、B、Cの25%ルール。回復期のほうはFIMによる改善率。慢性期のほうは医療区分の2・3が8割以上という、診療報酬の各ステージごとに算定要件が決まりました。これによって、例えば高知県では全国平均の2倍の病床数がありますし、3.5倍の療養病床があります。それがあるべき病床に急速に収れんしています。急性期のほうは、医療機能の乏しいところは空床化が進んでいますし、慢性期のほうは空洞化が起こっています。医療区分の高いところは医療機能の高い慢性期に移っていますし、医療区分の低い患者さんは介護施設とかその他の施設へ移っています。そういうように非常にリーズナブルに病床数は削減されています。

 そういう意味で、精神科医療におきましても、精神病床の将来推計とか、入院後の3カ月時点の退院率などの目標値についても、今回重度かつ慢性の基準案が詳細な調査結果に基づいてつくられましたので、これらを利用して、精神科におきましても急性期、回復期、慢性期の病床の算定要件を決めることができれば、必要な病床に必要な患者さんが入院して治療を受けるという、一般医療と同じく精神科医療においても真っ当な医療が行なわれるようになり、これによって、あるべき病床数に自然に収れんしてくると思います。

 だから、地域によって医療施設はさまざまで、ベッドが非常に多いところで患者数が少ないところは病床数が減っていくだろうし、患者数が多くてベッドが少ない都市部などでは、どうしてもベッドをふやさないといけないし、そういう形になってくるのではないかなと思います。

 そういう意味で、入院の算定要件、急性期、回復期、慢性期の算定要件をきちっと決めていくのが一番精神病床のあるべき姿に変わっていくのではないかなと思っています。

○樋口座長 ありがとうございました。

 では、次は長野構成員ですか。

○長野構成員 病床の将来推計のところは非常に重要なところだと思うのですけれども、対象圏域から病床機能、推計式というところは議論を深めるにしても、まずここからスタートするということは、私自身はとても大事なことだと思っています。

 その前に、「これまでの検討経緯や地域医療構想における考え方を踏まえつつ」という文言が非常に大切だと思うのですけれども、圏域も県でずっといけるわけでもないでしょうし、今の稼働率をベースとしたものは、暫定的にスタートラインとして使うということはあっても、将来的には見直すということが必須になってくると思うのですが、検討経緯や地域医療構想における考え方というところをこの論点の中にしっかり書き込めないだろうかと思います。今の検討経緯というのはどういうことを要点としていて、地域医療構想の考え方というのはどういうことなのだということが、この「検討の視点」の前段に書けると、後の議論がしっかりと深まっていくのかなと思います。

 地域包括ケアの進捗状況を評価する観点の指標は非常に大切だと思いますので、もう少しここを深められたらというふうに。今後の議論に期待をしながらということだと思います。

 研究のところなのですけれども、「ガイドラインの策定」ということが出ているのですが、これは非常に大切だと思うのですが、包括ケアのガイドラインのみではなくて、病床のこととか、選択と集中、これからの研究費をどこにするかというところもある程度議論が深まるといいと思いますので、後々の議論で深められたらと思います。

 以上です。

○樋口座長 ありがとうございました。

 それでは、藤原構成員、どうぞ。

○藤原構成員 佐賀県の藤原でございます。

 この全体、1、2、3を通して都道府県、市町村の役割分担ということがいろいろ出てきたところでございますけれども、介護保険制度における地域包括ケアの取り組みを見ていても、県内の市町村で問題の捉え方、認識の違いもあれば、対応についてもかなり温度差があるのかなと思っております。

 そういった意味で、今回7ページ目で書いていただいております目標値や評価する指標、その方向性、中身は今後の議論かと思いますけれども、目安を示していただけるということは、自治体、現場においてもやりやすくなるのではないかなと思っているところであります。そういった意味では、今後の議論の深まりを期待したいと思っております。

 9ページの一番最後のところで、ガイドラインの策定、優良事例、好事例の見える化ということを書いていただいております。このあたりも市町村の現場、高齢者の介護のほうでもどこから手をつけていいかわからないという話を聞くところでもあります。今回、精神のほうの地域包括ケアのようなものができた場合、従来のものとどう違うのか、先ほど議論があったように、確かに就労支援というところの要素が非常に重要かと私も思いますけれども、そういったところをどう関連づけてやればいいのかとか、そのあたりをぜひガイドライン、優良事例の見える化、横展開という中で示していただければなと思っております。

 一方で、ガイドラインを示していただく際、地域の実情は、さまざまだと思います。また、地域でそれぞれ自主的に取り組んでいる内容もあるかと思いますので、そこら辺の自主性を損なわないような形でのガイドラインですとか、そういったものができていけばいいのかなと思ったところでございます。

 最後に、やや一般論かもしれませんけれども、県ですとか市町村の役割分担を議論する場合、何を期待しているかということと、そのとき県なり市町村がきちっとそういった対応をとれるような財政措置の検討ということもあわせてお願いしたいと思うところでございます。

 以上です。

○樋口座長 ありがとうございました。

 こちらの列はそれでよろしいですか。

 では、こちらに移りますが、もう一度手を挙げていただけますか。(挙手)

 では、伊澤構成員から行きましょう。

○伊澤構成員 資料9ページの「重度かつ慢性」に関することで気になっているというか、何度か発言をさせていただいておりますけれども、「重度かつ慢性」という言葉の響きが非常に絶望的かつ強力なレッテル張りにつながっていく、そういう懸念を強く抱いております。

 9ページにございますが、「当該基準案に該当する状態の概念」の中に「地域で生活することが非常に困難な状態にあり、長期に入院を必要とする状態等」という書きぶりになっておりますので、そこからのイメージで発想をしていくべきではないか。「重度かつ慢性」というのは表現としてふさわしくないということを強く申し上げておきたいと思っております。

 それと、今、申し上げたところにも関連するのですけれども、「地域で生活することが非常に困難な状態にあり」とありますが、きょうお休みの田川構成員が数回前のこの分科会において地域、町なかで外来診療でこれに該当する人たちは結構いますよという発言、すごく気になっていて、では、そういう方々が何で暮らしができているのか、地域での生活が可能なのか、そこをまさに追求していく、研究を継続していくという視点がとても大事ではないかなと思っております。

 こういうカテゴリーに入った方々が地域生活の可能性がないというふうに絶対ならないような、そういう視点からの継続した研究がぜひとも必要ということ、これも重ねて申し上げたいと思います。

 以上です。

○樋口座長 その次は河崎構成員ですか。

○河崎構成員 日精協の河崎です。

 まず、精神病床の将来推計のところなのですが、これは事務局に確認をしたいのですけれども、ここで言う「将来推計」というものと、いわゆる医療計画の中で基準病床数というのがございますね。これとの関係というのはどういうことなのかというのが、説明を少ししておいていただいたほうがいいのかなと思うのが1点あります。

 目標値のところなのですが、今回例として3カ月、6カ月、1年時点の退院率を挙げていただいているわけですけれども、3カ月と1年については現在の障害福祉計画の目標値ですね。そうしますと、この段階で3カ月あるいは1年という数値をこの検討会あるいは分科会で取り上げるというのは、障害福祉計画の数値をこちらのほうも利用しながら違う意味合いで考えていくのかどうか。つまり、障害福祉計画で既に挙がっている目標値をこの分科会あるいは検討会で再度見直すような議論をするのかどうかとか、そのあたりがよくわからないところがありますので、そこも説明をしていただきたいと思います。

 「重度かつ慢性」についてなのですが、「検討の視点」のところで「当該基準案を適用する精神疾患の範囲」というのがあります。ここにも書いていますように、今回の厚生労働科学研究班では認知症を除外してこの基準案をつくり上げてきたという経緯がありますので、当然ながら現在の基準案を用いてその対象となる疾患ということになると、やはり認知症は除外すべきなのだろうなと。

 認知症についても「重度かつ慢性」という概念をどう考えるのかという議論を今後するのであれば、再度そのあたりのところは研究事業が必要ではないかなと思います。といいますのは、今回の基準案で精神症状についてはBPRSを使っているはずなのですが、認知症の人にその精神症状の尺度が適切なのかどうかというのは、認知症の専門の方に議論をしていただかないと。多分もっとほかのいい尺度があるのだろうと思いますので、そういう意味でもここは認知症を除外すべきなのかなと思います。

 先ほど伊澤構成員のほうから、田川先生が何度かおっしゃっておられた外来で現在対応可能の、いわゆる今回の基準案に相当するような「重度かつ慢性」の方は、どういうサポート体制があればこの基準案に該当する人でも地域の中で生活が可能なのか。これは今後きっちりと分析をすることがすごく有意義だろうと思います。

 最後に、伊澤構成員が何度も「重度かつ慢性」という表現に違和感を覚えるとおっしゃっています。ただ、「重度」とか「慢性」という言葉は、さまざまな疾患に対して、通常よく用いられる。ただ、そのことがレッテル張りになったらいけないのだという意味ですごく違和感を覚えるということだろうと思うのですが、逆に言うと、この構成員も含めて我々全部そうなのですが、ここで言う「重度かつ慢性」という基準案に該当する方は、今後どういう形で対応しても地域の生活が無理なのだということを意味していないということを、特に伊澤構成員のお立場でご発言をしていっていただくと、すごく意味があるのではないかなと思っています。

○樋口座長 それでは、今、河崎構成員から2つ質問がありました。それについて、今、答えられるようでしたら、簡単にお答えください。

○鶴田課長補佐 事務局です。

 本検討会では、あるべき精神保健医療福祉体制をどうすべきなのかというところに議論のポイントがあり、あるべき体制を考える中で、将来推計であるとか、目標値であるとか、そういったものをどう設定すべきかということを議論していただいていると思っております。

 そういった議論を深めていく中で、目標値であれば、それを障害福祉計画に位置づけるのであれば、障害福祉計画の中の基本指針を議論する場が障害者部会で置かれますので、そこでも議論する。検討会でまとまった内容に応じて、しかるべき検討の場での議論に接続していく必要があると思っております。

 将来推計に関しましても、ここでは将来推計の計算式と、これに対する位置づけをどう考えるかということを論点として出させていただいているわけですが、位置づけをどういうふうに捉えるのがいいのかという検討会における一定の合意形成に基づき、それが基準病床との関係性でどうするのかということについても整理をしていきたいと思っているところです。

 以上です。

○樋口座長 河崎構成員、よろしいですか。

○河崎構成員 はい。

○樋口座長 それでは、上ノ山構成員に行ってから、最後に広田構成員。

 どうぞ。

○田川構成員(代理 上ノ山氏) 上ノ山です。

 病床の将来推計に関しては、精神科病院の努力だけではどうしようもないという気がします。ここでせっかく精神障害者地域包括ケアという言葉を取り上げていただいていますし、地域での受入体制がどのようにあるのかということにかかわってきますので、これとの関連で言っていく必要があると思います。そうしますと、例えば入院患者さんでは、遠くの病院に入院しておられる方が結構いるのですね。その方に対して地域移行サービスを利用しにくいという状況があります。自分の生活している場所でこのような患者さんが遠くで入院しているというときにも支援できるような形が必要かと思います。

 それだけに関連するわけではないですけれども、地域での包括ケアシステムをつくっていくということになれば、地域での責任体制というものについて明確にしていく必要があるのではないかと思います。

 地域で生活していくべき人がどのぐらいいるのかということを把握して、それに対して具体的に支援していく体制をつくっていく。その地域責任制の考え方ということが重要になってくると思います。

 「重度かつ慢性」に関しては、先ほど来田川先生がおっしゃったということで触れていただいていますが、我々外来でやっている者の実感としては、この基準に該当する人がたくさんおられるわけで、このような方がいかにして地域で生活が可能なのか、どのようなサポートを受けていることによって成り立っているのかということをしっかり分析する必要があると思います。

 それに関連してですけれども、1年以上たって、この基準に該当しない人の退院支援をどうするかということが、ここの手前に書かれていますが、それと同時に、1年以内にこの基準に該当する人の退院支援をどうするかということも重要なテーマになるかと思います。

 そのようなことで、地域と病院の好循環がつくられていく。病院の退院促進を推進し、地域で支えていくという好循環がつくられていくという体制ができればいいなと思っています。

 以上です。

○樋口座長 ありがとうございました。

 では、広田構成員、どうぞ。

○広田構成員  「重度かつ慢性」というのは、本当に絶望的な響きがする。「社会的入院」という言葉をなくしてしまった、そして、この言葉を出してきた。

2000年に初めて韓国に行ったとき、1992年から厚生労働省に来ていますから、国際課を通して向こうの厚生省のような人たちにも会ってきましたが、「精神保健法は日本の丸写しです。」「しかし、日本の精神医療はおくれているから、医療はアメリカを」と言われました、行く先々の医療機関でも。

 私は、「ああ、韓国から見ても日本の精神医療というのはおくれているのだ」と。社会資源では、「日本人を嫌いだったけど、会っているうちに好きになった」「夕食どうぞ御一緒に」と言われ、反日教育というのは、いかに国民間を不信感にして、平和の壁に、反○○とかやめて、平和になればと感じました。

 クリニックと病院がいらっしゃいますが、2002年には世界精神医学会が横浜でありました。そのとき流した映画は「ビューティフル・マインド」。ご存知ですよね。私は精神医療の被害者。デイケアはよかったけれど、その後、「眠れなくなった」と言ったら、区役所が、では、「精神病院へ行ったら」ということで、行ってしまったら、医療過誤。被害者になって、セルフヘルプ活動に参加して、駆け抜けるようにいろんなところへ出かけて「世界精神医学会こそ日本の精神科医療を変えてもらえるのかな」ところが、これまた違って、横浜市の課長に「医者に無料パスをただに」「横浜の知名度が上がるから」と。私は反対しました。ある医者が、「そういう発想をしている人が上のほうにいるからこの大会が不成功だったのですよ」と、なるほど。先ほど籠ちゃんがいいという話が出ました、田原さん、気をしっかりね。上に立つ人が大事だから。課長としてということで。

 クリニックの女医さん、重度かつ慢性かどうかわかりませんけど、「あなたは精神病院に行って」と。「紹介した」。ところが、本人は医者から「鬱病」と言われているから、精神病院に行って、突然「精神分裂病」とか「統合失調症」と言われても受け入れられない。

 親が障害者110番の相談、私の当番日にご夫婦で来られた。「今、息子さんは医療関係者だったら誰を信頼できますか」、「クリニックの女性の先生です」、「あの先生、すてきだし、いい先生だから、頼んだら現在の病名、先生に言ってもらえれば、信頼している先生のことは受け入れられる」ということで、親が頼みに行ったら、門前払いでした。

 私が先生に電話しました。「先生、何々君のご両親が見えて」と話し始めたら、「あんなのは治らない、一生精神病院に入れておけばいいのよ、広田さん」。日精協が悪だと聞いてきたけど、「一生精神病院に入れておけばいいのよ」と私より美人の先生が言ったときに、あ、これが実態だと。地域医療善、地域福祉善、精神病院悪ということ、今もそういう論調ですが、そうではない、是々非々、そういうふうに自分たちの手に負えない患者をエスカレーターやエレベーターに乗せるごとく、「あんなのは」と。今も忘れられない。そんなことをよく医者として言えたと思って、そういうことがないようにしていただきたい。

 自分の目の前の患者さんを自分が診られないのだったら、せめて病名を言っていただいて、「私は、あなたに対してできないから、今、行っている先生を信頼して。実はあなたの病名が○○だと紹介したのよ。申しわけありませんでした」と言ってくれれば、患者は少しは救われるのですよ。

 言ってもらえないで、ご両親がみえた。それで、「どうしますか」。「広田さん、医療が見放した患者、私たちの大事な息子だから、私たちの愛で」と。そういう親の愛が患者をいっぱい救いましたよ。医療ではない。福祉ではない。地域ではない。行政でもない。親の愛よ。愛が大事なのよ。愛の欠乏症時代だけれど。

 だから、医者が連携とか、福祉だとか、患者を引きずり回さないで。だめならだめと言ってもらったほうがいい。私の力量の範囲を超えていると言ってもらって、きちんとした医者を紹介してくれたほうがいい。私がそうでした。「○○先生は自分の不倫で悩み広田さんのことでも悩み・・・、多くの医師に相談して、精神分裂病、躁鬱病、非定型精神病、それから思秋期症候群、30代後半でディスコを踊っているのだから。そして、病気ではない、広田さんにとって今が人生の危機と言った医者がいた」等と、芹香病院の他職種複数から内部告発を受けています。幸運なことに。精神医療ユーザーからサバイバーまで自己検証できました。

 ひとりで受け止められず、「関係者集まって、」「スキゾフレニアのSだと言って○○している人が」と、「行政で」「保健所」「何処だろう」と。自分たちが、この国の社会のありよう、マスコミ報道で病気にされられている人たちを真摯に受けとめ、あすは我が身だと思って、できないことをできないと言う勇気を持ったほうがいいと思いますよ。

 「広田さんは、なんでも相談員」と言われても、できないことはできない。私はあなたの大変なところは理解するけど、想像妊娠したことはあっても、子供を産んだことがないから、そこはわからないみたいに、はっきり相手に伝え、だけど、あなたの苦しみは理解できましたと真摯にやらないと、何でもかんでも連携、もたれ合いで、きちんと受け止める人いなくて、本人不在の情報は氾濫してという社会です。ぜひ原点に返って、人間の素晴らしさは。判断力ですよ。コミュニケーションですよ。患者の可能性を信じて。

 患者に一人の人間として尊厳を持って接して、何度も言います。保護室に入って医者を交えて面会したこともありますよ。「広田和子さんなら是非に」と。それだって1人もわからない人はいませんでした。たった1人、100%妄想に支配されていたって、ああ、彼は現代医療でおさえられないけど、この世界で生きているから、もしかしたら幸せかもしれないと思った。そういう意味で、原点に返って、精神科医療とは何なのか。

 韓国で聞いた。「精神保健法は丸写しです。日本の精神医療はおくれているから、アメリカを見ています。」1例アメリカのクリニック、1997年、サンフランシスコ、あなたは治療を受ける権利がある。あなたは治療の説明を受ける権利がある。あなたは治療を拒否する権利がある。もちろん、強制入院もあるけれど。インフォームドチョイスの文面みて感動しました。

 そして、先ほどお帰りになってしまったけれど、松田先生が学校のことを言っておられた、今の日本の子供はとてもやわです。中国の子供も公園で遊んだりしますが、元気ですよ。大人が「静かに」、「静かに」と電車の中で、飛行機で、スーパーの売り場で子供をおさえて、病気予備群にさせている日本列島。私が「子供は泣くのが商売」、「大きな声で騒ぐのが商売」と言うと、親の顔がふっと和むと子供もふっと和めるのですよ。

 社会のありようが問われている。みんな病気にしている。そして、世界一の消費量、薬漬けで生活も重くして、さらに自分たちがいじくり回し、「重度かつ慢性」なんてとんでもない。

 クリニックは力量をはっきり示したほうがいい。夜診ていないのだから、お任せして投げ入れているのだから。精神科救急のニーズもクリニックが多い。全国的に原点に返って、次回には出てきていただきたい。

 女輝くという言葉に惑わされ、日本女性母性愛という愛も忘れてしまった。

 天皇陛下「疲れた」。どうぞ、もう愛する美智子様とお気持ちのままになさったら。女性の愛子ちゃんもいいのでは。ヨーロッパにはエレガントな女王様たちが、その次に男性だって。日本国民統合の象徴天皇。男だ女だと騒がず、尊敬されて、ナチュラルに生きでいただけば。厚労省のみなさんも。日本国中ナチュラルに。

○樋口座長 ありがとうございました。

 それでは、時間が過ぎましたので、本日の議論はここまでにしたいと思いますが、大変活発にいろいろとご意見を頂戴いたしました。本日の皆様からのご意見を踏まえて、事務局のほうで論点を整理して、「これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会」、全体の検討会に向けての資料というものを作成していくことになると思いますが、その点につきましては。

事務局と座長のほうに預かりとさせていただきますけれども、よろしゅうございますでしょうか。

(「はい」と声あり)

○樋口座長 それでは、本日は大変お忙しい中、長時間にわたってご議論いただきまして、ありがとうございました。これをもって第5回の「新たな地域精神保健医療体制のあり方分科会」を閉会とさせていただきます。

 お疲れさまでございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 障害保健福祉部が実施する検討会等> これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会> 新たな地域精神保健医療体制のあり方分科会 第5回議事録(2016年7月15日)

ページの先頭へ戻る