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2016年6月29日 第31回レセプト情報等の提供に関する有識者会議 議事録

○日時

平成28年6月29日(水)14:00~15:00


○場所

全国都市会館3階 第2会議室
東京都千代田区平河町2-4-2


○議題

1.オンサイトリサーチセンター(東京)のパフォーマンステスト中間報告
2.「第1回NDBオープンデータ」の内容について
3.「レセプト情報・特定健診等情報の提供に関するガイドライン」の改正(案)について
4.その他

○議事

○山本座長 皆さんこんにちは。少し時間より前ですけれども、全員おそろいですので、ただいまから、第31回「レセプト情報等の提供に関する有識者会議」を開催いたします。

構成員の皆様には、御多忙の折、また、蒸し暑い中お集まりいただき、御礼を申し上げます。

会議に先立ちまして、本日の構成員の出欠状況について、事務局からお願いいたします。

○赤羽根室長 事務局でございます。

それでは、本日の構成員の出欠状況について御報告させていただきます。

本日は、猪口構成員、印南構成員、頭金構成員から欠席の御連絡をいただいております。

本会議の規定に基づいた開催要件は満たしておりますことを御報告させていただきます。

続きまして、事務局に人事異動がございましたので、この場をかりて御紹介させていただきます。

平成28年6月21日に着任した、医療介護連携政策課課長、黒田でございます。

それから、当日、6月21日に着任した、データヘルス医療費適正化対策推進室長、高木でございます。

また、本日は、参考人として出席していただく先生方がいらっしゃいますので、御紹介させていただきます。

東京大学大学院公共健康医学専攻臨床疫学・経済学分野の松居宏樹助教でございます。

東京大学医学部附属病院企画情報運営部の佐藤大介助教でございます。

松居参考人と佐藤参考人には議題1の中でレセプト情報等のオンサイトリサーチセンターの試行的利用に関する中間報告をしていただく予定でございます。

また、議事に関連し、政策統括官(統計・情報政策担当)社会統計室の衣笠室長も出席しております。

着任に当たりまして、黒田医療介護連携政策課長から御挨拶をさせていただきます。

○黒田課長 皆様、今日は本当にお忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。医療介護連携政策課長で参りました黒田でございます。

 一言だけ簡単に御挨拶申し上げます。本有識者会議は発足から6年を迎えまして、医療関係の情報化の先鞭をつける形で先生方の御意見をいただく場ということで、これまでの先生方の御尽力に厚く御礼申し上げます。

 その後、医療の情報に関する議論は非常に広がりを見せております。本会議で御議論いただいておりますレセプト情報・特定健診情報等の第三者提供、オンサイトリサーチセンター、NDBオープンデータ等々の話もございますし、今回はガイドラインの改正についても御審議を賜るということになってございます。

引き続きまして先生方の御指導を賜りたいと存じますので、どうぞ本日はよろしくお願いします。

○赤羽根室長 なお、黒田課長は所用にて退席させていただきます。

 それから、本日の会議は全て公開にて行いますが、カメラ撮影はここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 また、本日、早目に終了した場合には、後で予定させていただいています分科会を繰り上げて開催させていただく可能性もございますので、あらかじめ御了承いただければと思います。

 事務局からは以上でございます。

○山本座長 ありがとうございました。

それでは、会議開催要件を満たしているということですので、早速ですが、議事に入りたいと思います。

 最初の「オンサイトリサーチセンター(東京)について」ということで、事務局から説明をお願いいたします。

○赤羽根室長 事務局でございます。

 まず、資料1-1をごらんいただければと思います。こちらでまず、オンサイトリサーチセンターの視察について少しだけ御報告させていただきます。

 資料1-1の表紙をめくっていただきまして、視察の概要というページをごらんいただければと思います。去る6月13日に、有識者会議の構成員の方々にオンサイトリサーチセンター(東京)の視察をしていただいております。その際、東京大学、それからNDBに関して委託しております富士通から、利用時の手続や、そのシステムに関するデモンストレーション等をさせていただいております。

簡単ですが、視察の概要について御報告させていただきました。

 引き続きまして、松居参考人と佐藤参考人から、「レセプト情報等オンサイトリサーチセンターの試行的利用に関する中間報告」をお願いできればと考えております。

 それでは、松居参考人と佐藤参考人、お願いいたします。

○佐藤参考人 よろしくお願いいたします。まず、私、東京大学医学部附属病院の佐藤のほうから、今回、オンサイトリサーチセンターの試行的利用に関する中間報告のほうをさせていただきます。

 資料は、資料1-2「レセプト情報等オンサイトリサーチセンターの試行的利用に関する中間報告」をごらんください。まず、「本日お話しする内容」ですけれども、全部で4点お話をさせていただきます。

 まずは、今回の試行的利用に至った経緯と位置づけ、そして、その試行的利用における検討、その検討結果及び考察、最後に本格利用に向けてという構成としてございます。

 まず、この位置づけのところですけれども、オンサイトリサーチセンターは平成27年の1224日付で東京大学で試行的利用が開始されたところでございます。ですが、このオンサイトリサーチセンターでのレセプト情報等の利用自体はいまだ先行事例がなく、実際に研究が滞りなく実施できるか、あるいはそのシステムの性能は十分か、利用する研究者にはどういった技能や技術が必要か、またそれは利用普及の際の障壁となり得るかどうか、そういったことを踏まえてどのように今後改善すべきかというところが明らかではなかったことから、試行的利用を通じてさまざまなケースを考えた運用等々を検討しようという目的で許可され、運用に至ったというものになります。

 今回の御報告の中では、この有識者会議で模擬申出を行い承認を得たものの範囲の中で実際にそのシステムの機能や性能を検証して、利活用を促進するための方法や知見を集積するようなことを目的として進めてまいりました。今回は、現時点でわかった課題等々を含めて御報告させていただきたいと考えております。

 まず、資料3ページのほうにオンサイトリサーチセンターの設置場所ということで、東京大学のどこにあるのかということを地図で示してございます。こちらは東京大学医学部の教育研究棟の1階というところにございまして、その管理は、医学部における4つの教室のほうで合同管理をしてございます。施設の管理者は健康医療政策学分野教授であります小林廉毅先生でございます。

 また、実際の試行的利用に当たりましては、管理規程及び利用規程というものを試行的利用の中でも別途設けてございます。特に東京大学の教員が使うに当たりまして、罰則規程のところを、東京大学医学部の医学部長のもと、何かあった場合には東京大学の罰則規程をもって罰するというようなことを踏まえて、支障ないように運用してございます。

 今後、外部の方が利用するときには、東京大学の中では対応できない部分もございますが、それについては最後の中で改めて御報告させていただければと考えております。

 次に、実際に利用した内容について入りたいと思ってございます。資料、5ページのほうに飛びたいのですけれども、まず、今回使用したものとして、BIツールと呼ばれるものがございますので、そちらを先に御説明させていただきたいと思います。

 こちらは一般的に画面を通じまして必要なデータが抽出できるといったツールなのですけれども、どのような画面になっているかといいますと、ごらんのような形でなっておりまして、医科、DPC、歯科、調剤、特定健診の中でそれぞれ定型帳票が約40種類ございます。幾つか、その選択メニュー等々条件を組み合わせて検出ボタンを押しますと、図のような図表が出てくるというたぐいのものになってございます。

いろんな設定条件ができるようになってございますけれども、実際の使用感としまして、レスポンス、処理の反応がどうかというところに関しましては、基本的には問題なく抽出できるのですけれども、複数の条件を組み合わせた場合にはやや処理時間がかかる場合がございます。そういった場合には、画面にありますように、検索していますというアラートが出たりメッセージが出るような形で、利用者にとってはわかりやすいようなものになってございます。

おめくりいただきまして、BIツールの使いどころということですけれども、まず、BIツールですが、割と単純な集計をすることに関しましては非常に使いやすいというメリットがある反面、複数の条件を組み合わせたり複数の期間をつなぐような集計というのは難しい仕様になってございます。そのため、検索条件は極めて単純化したような集計で使うような形になっておりまして、研究で使うというよりは、政策向けで使うようなツールではないかと考えております。

例えば単純なレセプトの発生件数を調べるとか、そういったところはあるのですけれども、研究で使うような複雑な条件を組み合わせるときには、自由分析ツールという機能もあるのですが、そういったところを使い慣れれば調べることも可能ではないかというところです。

ただし、その使用方法を適切に理解しないと出てきた結果を読み間違えてしまって、十分な研究結果に至らない可能性もございますので、実際に利用するときには十分なマニュアル整備が必要ではないかと考えております。

特にちょっと注意しなくてはいけない点として報告させていただくのが9ページの部分ですけれども、複数のテーブルを結合したときに集計する場合でございまして、本来1件しかないレセプト、つまり、患者としては1人しかいないようなレセプトですけれども、その患者が複数の傷病名を持っていた場合に、n件というふうに結果を返す処理がなされておりまして、この問題を解決する方法としては、富士通及び厚労省のほうと実際に報告し、解決の目安は立っていますので大きな問題とは考えていないのですけれども、こういったところがあったということは実際に使用して初めてわかったところなので、今後改善して使用してまいりたいと思います。

したがいまして、実際に研究で利用するためには、Oracle Rと呼ばれるようなプログラムを使った形で抽出していくことがスキルとしても求められる、あるいはそのシステム要件としても求められるところでございますので、BIツールの報告はここまでにいたしまして、10ページ以降、松居のほうから、Oracle Rと呼ばれるものを使った報告をさせていただきたいと思います。

○松居参考人 続きまして、東京大学の松居のほうから、Oracle R Enterprise、もしくはSQL Plusと呼ばれるようなソフトウェアを利用してデータを抽出・解析するような流れが実際どのように行われているのかという話を御説明したいと思います。

まず、Oracle ROracle R Enterpriseというソフトウェアに関して御説明いたします。ページで言いますと11ページです。こちらは、Oracle社のほうが提供しているOracleのデータベースと、それに加えて、Rと呼ばれる統計プログラミング言語を同時に使えるようなパッケージソフトウェアでございます。これを使うことで大規模データのハンドリング、そして大規模データの解析ができるというのが売り込みでございます。

今回は、オンサイトセンター内でOracle R Enterpriseを使ってSQLのクエリ、これはデータの問い合わせプログラムですが、そちらを作成してデータを問い合わせる。そして、そのデータをオンサイトセンター内で解析することがどの程度できるかということを確認いたします。

処理の模式図はこちらの12ページの図でございますが、オンサイトセンター、左側のほうで、端末で作成したクエリを直接専用回線を通してNDBのデータセンターのほうに流す。で、データセンターのほうから結果を持ってくるという形の処理をしております。

13ページに実際の処理画面がございますけれども、SQL文を画面で実際作成していくわけですが、残念ながら、昔は、Oracle R Enterpriseの画面を使いますとシンタックスハイライトと呼ばれる、SQLを読みやすくするようなオプションが使えなかったのですが、そちらは厚労省様のほうにいろいろお願いしたりしまして、近年は大分改善されて、シンタックスハイライトをちゃんとした上でクエリを作成するようになってきました。

14ページですが、実際、Oracle R EnterpriseSQLのクエリ、データの問い合わせをサーバ側にそういった処理を促したのですが、Oracle R Enterpriseの仕様としまして、そのプログラムを流した結果、どういったエラーが発生したかという情報が出てこないというような仕様となっております。なので、これは実際に利用者がSQLとかそういったプログラミングをしていく上で問題となり得るという話を厚労省様のほうにお願いしまして、それではやはり無理ですよねという話で、後述のSQL Plusという、もう少しエラー等、そういったものがちゃんと出力されるようなものをシステム上にインストールしていただきまして、現状は大分これも改善しております。

実際にSQLのクエリを実行した結果が15ページです。SQLを流して、データセンター側で処理が進んで、その処理をオンサイトセンター側で見ることができるというシステムです。

実際に流した処理は16ページでございますけれども、表の右側のほうにC34$、I63$、I50$とございますが、これはICD10コードと呼ばれるような病気のコーディングをしたコードでございます。C34$が肺がん、I63$が、I63ほにゃららといういろんなコードが存在するのですが、脳梗塞全般を示し、I50ほにゃららは心不全を示すのですけれども、それをとりあえず選択いたしまして、1カ月に大体9万レセですとか5万レセぐらいあるようなデータを処理してみるというような感じの流れの処理を流していました。

結果を見たところ、1カ月単位で処理する分には十分利用できるような速度が担保されておりましたので、クエリに対するレスポンスは十分だったと我々のほうは判断いたしました。

また、データセンターのほうでデータの処理をするわけですが、そのデータの処理をオンサイトセンター側に持ってきましてデータの解析をするといった処理も行っていました。こちらに関しては、少々データを移動する際に専用線を通りますので、速度が制限されているとか、そういったことでダウンロードに時間がかかることがございました。なので、今後、データをオンサイトセンター側にダウンロードしてきて解析するとか、そういったことには制限がかかるのではないかということを考えておりますので、それをうまく回避するような解析方法ですとか、そういったものを今後検討していかなければいけないなと内部では考えております。

以上のことから、我々のほうで使ってみた結果、このOracle R Enterpriseはどういったところに使ったらよいのかというところをまとめたスライドが19ページでございます。どちらかといいますと、結論としましては、データをハンドリングするとかデータベースを用意するということよりも、サーバサイドで解析を実行ということをするために使うソフトウェアかなと我々のほうは判断しました。

先ほど申し上げましたように、Oracle R Enterpriseを使ってSQLを書くことはできるのですが、エラー等が見えないとか、データをローカルに引っ張ってくるには結構通信速度で制約因子になってしまうといった問題がございます。

ただ、ORE自体はサーバサイドで解析を行うといったこと、解析プログラムを走らせることはできますので、解析時にその部分で進化を発揮する可能性がありますので、今後さらなる検証を続けていくということで、現在、中間報告ですので、現状、さらなる検討を続けているところでございます。

続きまして、SQL Plusという、厚労省様のほうにお願いして新たに入れていただいたSQLのインタフェースに関して御報告いたします。こちらは、先ほどのOracle R Enterpriseのように、一回、SQLサーバに対してプログラムをかますわけではなく、SQLサーバに直接データの問い合わせを行うようなソフトウェアと思っていただければよいかと思います。

ですので、オンサイトセンター側でSQLクエリを作成して、直接データセンター側のデータを参照することができるという形ですね。もちろん、データの変更はできなくなっております。

実際の書いている画面が、ページで言いますと22ページでございます。各種エディタを利用することでわかりやすいシンタックスハイライトをしながらエディタをすることができますし、SQL Plusで実行することによって、その結果でどういったエラーがあったかですとか、そういったことを確認することができます。また、結果をコミットすることによってOracle R Enterprise側からでもこの結果を見ることができますので、データの準備に関しましてはSQL Plusで行う。その後、解析をOracle R Enterpriseで行うといった連携をとることで実質的な解析ができるかなという手応えを感じております。

続きまして、試行利用の間で実際NDBのデータの特性に関しましていろいろ調べたりいたしましたので、その内容も報告させていただきます。

まず最初に、NDBに入っているデータのサイズに関しまして御報告いたします。ページ2425ページに、一般的に研究者が参照するであろうテーブル、レセプトで言いますとレセプト共通テーブルですとか傷病名テーブルといったものの各医科レセとか調剤レセプトで何行ぐらいデータが存在するかを示したものでございます。少し色がなくて見づらいのですけれども、IYテーブル、これは医薬品のテーブルとSYテーブル、これは傷病名テーブルです。そして、SIテーブル、診療行為テーブルの医科レセ、そして調剤レセがおよそ100億行を超える大規模データとなっておりまして、これらのテーブルを参照するときにパフォーマンスに問題が出るかどうかをチェックする形で確認いたしました。

なので、外来データが含まれる医科レセに関しましてはやはりデータの規模が大きくなっていますので、そこでちゃんと解析とか抽出ができていればほかのところでもできるだろうという前提で、医科レセを対象にさまざまなパフォーマンスチェックを行っております。

実際やったテストは26ページにございますけれども、ランダムに例えば600人とか100人規模の人数から17万人という数十万人規模まで患者を抽出し、その患者の全て、関連するREテーブルとかSIテーブルの情報を全部引っ張ってくるというような処理を流してみました。実質的にこれをやるのに、例えば20万人規模、17万人ぐらいの患者様を対象にした解析でも、時間としては30分程度でデータを全部引っ張ってくることができておりますので、集計ですとかそういったものを含めて、有限時間内といいますか、研究者が研究する時間内にはデータがとれそうだというような感触をつかむことができました。

ただ問題点といいますか、課題としましては、当然のことでございますが、患者数がふえるとデータの規模が大きくなっています。600人でやった場合には12メガバイトで済んでいたデータが、17万人になりますと2.8ギガバイトというデータになっております。利用者が使える領域というのは決まっておりますので、これが今後、利用する上でデータをどの範囲まで使えるかという制約になってくるのかなということを感じております。

また、次に、レセプトデータベースにはID1、ID2と2つのIDが存在するわけですが、そのID1、ID2を使ってどの程度まで患者様を追跡できるのかということを検証いたしました。28ページでございます。NDBの個人追跡は、ID1、ID2。ID1は保険者単位の保険者番号を基本にしたIDでございます。ID2は生年月日と性別と名前の部分ですが、それをハッシュ化したハッシュ化IDになっております。この2つの情報でデータの追跡を行えるのですけれども、ID1とID2が同時に変わることは少ないことを前提に、いずれかがつながっていれば同じ人と考えることができますので、それを使って個人追跡できるようにしていこうというのがNDBの基本的なつくりでございます。なので、ID1、ID2を使うとどれぐらいの期間、患者様を追跡できるのかという話を検討してみました。

どういったIDをつくったかといいますと、ページ29にありますように、ID1もしくはID2がいずれかでも、一時期でも同じ人であればその人は同一人物であるという形の仮説を置きまして、ID1とID2が一時期でもかぶっていればその人をリンケージするという形でずっと患者様を追ってみることにしました。

処理の流れは、ちょっと細かいですので割愛いたします。

結果としましては、31ページのほうで個人追跡の結果でございますが、まず、ID1、ID2で、平成22年1月から平成2712月の間、患者様を全て突合する形に突合してみますと、独自IDの件数は1.7億件になりました。もしも全ての患者が追跡できていれば、この件数は国民のその期間の人口とほぼ一致するはずですので、件数が4,000万とか3,000万件ほどふえている計算になります。それは恐らく、何らかの形でIDの突合ができなかった患者さんであろうと考えております。

また、平成22年に絞って独自ID件数をカウントしますと1.2億件ということで、ほぼ人口に合致するという形でございました。また、初年度発生していた、平成22年度1月から22年度12月までの間に発生した患者様で、その患者が何年間追跡できるかというデータを検討しましたが、平均追跡期間は4.73年です。

下の右のグラフが追跡期間のヒストグラムになりますが、下はday、日付で見ますと、一番右側がフルレンジ、追跡できる平成22年1月から平成2712月までの間でずっと患者様が追えていたという情報が一番右のヒストグラムの右の場合になります。なので、結構な人数が追跡できていそうだということは感触としてつかむことができました。今後さらにIDの精緻化等を含めて検討していく予定にしてございます。

また、それに加えまして、死亡アウトカムの取得がどの程度可能かということに関しましても、東大側で検討しております。死亡のアウトカムが実際どれぐらいの件数とれているかという情報に関しましては現在検討しておりまして、他の悉皆性の高い調査との比率を検討するとか、都道府県別で結果を検討するとか、そういったことを今後やる予定をしてございます。

最後に、その他の課題としまして、現状、学内のほうで課題として挙がっている内容に関しまして御報告します。34ページのほうで、現状、レセプトデータ、毎月毎月追加されていきますので、毎月わずかにデータが追加される関係で、抽出結果の再現性を確保するためには、抽出時期をこの日までのデータで抽出しましたということを決めなければいけないということがありますので、そこに関して、今後、ルール決めとか、このように使いますというマニュアル整備をしなければいけないと考えております。

また、これに関しましてはデータの更新が特定健診等で行われております。これは一部のデータに関してですが、新たに保険者様側からデータが提供されたので、そのデータを過去のデータと入れかえるといった処理が行われているそうです。これは結果が再現できないことにつながりますので、研究者としては難しいところなのですが、ただ、こういった大規模データベースの再現性に関しましては、他の分野でも結構問題になる部分がありますので、今後研究者側でちょっとコンセンサスというか、どのように考えればいいのかというところを検討する必要性があるのではないかと考えております。

また、現状、京大と東大側で限定した範囲でやっておりますが、今後さらに人数がふえるとかそういった場合に、アクセスがどれだけ過多になるか考えなければいけないということが課題として出てきております。

また、35ページのほうで、実際にどういったユーザー層が想定され、どういった技能が必要なのかというところに関しましてもまとめてございます。今回さわってみてわかったことですが、オンサイトセンターで全ての機能を使おうと思うとかなり高度な技術ですとか能力を持った方が集まらないとなかなかフルに使うことはできないかなということを感じております。

ですので、一般的なレセプトに関する理解がある利用者ですと集計データのみを使うぐらいのことができるのですが、さまざまな技能を持った人間が集まると大規模個票データを直で解析することができるといったことになっております。ですので、このようにスキルセットを定義して、どういった人たちにどういった研究テーマを許可するのかとか、そういったことに関しましては、今後有識者会議様のほうで検討していただくとか、そういったことが必要になるかなと考えております。

続きの本格利用に関して、現状出ている話で佐藤のほうからご説明いたします。

○佐藤参考人 最後の本格利用に向けての報告をさせていただきます。

36ページ、37ページですけれども、まず、今回、先ほどの報告のとおり、オンサイトリサーチセンターの試行的利用を通じまして、データベースの構造や抽出プロセスとして、結果としての追跡率や死亡率等々が実証的に評価できて、同時に課題も明らかとなったところでございます。

今後ですけれども、実際の本格利用に向けまして、今回の報告で明らかとなった課題を踏まえまして、第三者提供に向けた規程策定も必要ですけれども、今、模擬申出として第24回の有識者会議にて審議されました個別研究、こちらのほうを実際に進めてみて、研究に資する課題がさらにどういったことがあるのかということを進めてまいりたいと考えておりますし、そこに関する課題について引き続き、この有識者会議にて御検討をお願いできればと考えてございます。

 もう一つは、最後のスライド38ページですけれども、本格利用に向けた、特に第三者利用にかかわる管理規程及び利用規程の見直しが必要になってまいります。同時に、ガイドラインの策定もしていく必要もございます。データの持ち出しは現在は一切しないという前提で試行的利用をしておりますし、罰則規程につきましては東大の規程の中で規定しているというようなところです。実際にこの本格利用に際しまして、厚労省、利用者、オンサイトリサーチセンターの責任体制をどのように考えていくのかというところも含めて、引き続き有識者会議にて御検討をお願いできればと考えております。

 私どもの報告は以上になります。どうぞよろしくお願いいたします。

○山本座長 どうもありがとうございました。

オンサイトリサーチセンターの見学と、それから、今までのパフォーマンステストの中間報告について御説明をいただきましたけれども、これについて御質問、御意見等ございますでしょうか。

 これから、いわゆる模擬申出の本格利用の試行が始まりますが、現在は、要するにSQLでどれだけ早く探せるかという部分です。オンサイトセンターは随分前から有識者会議で、必要だと言うことでつくってきましたが、今のルールでは一切データは持ち出せない、記憶して帰られた場合どうするかという話もありますが、紳士協定のもとで持ち出せない持ち出す際には改めて申請をしていただくということになっています。

 そうすると、どこまでオンサイトセンターでやるのかは結構クリティカルな問題で、最後までオンサイトセンターでやると環境も余りよくないし、ツールもそろっていないので、結構大変だろうと思います。そうすると、要するに特別抽出のような厳しいセキュリティ要件ではなくて、比較的自由に扱える集計表中間データとして早く外へ持ち出して思う存分研究するというのが、オンサイトセンターを上手に使うための大事なテクニックと思います。中にいる間はかなり探索的に使えますから、そういう意味では、研究計画の段階で物すごく詳しい知識がなくてもやっていって、安全な集計表、中間集計表情報を作れたら、すぐに持ち出し申請をして、環境のいい研究室でどんどんやってもらうというのが、賢い使い方だろうと思います。

 それで、きょうの御報告を聞きますと、データ抽出に関しては、BIは少しプリミティブ過ぎるとしても、SQL Plus使えば普通のSQLとして出せると御判断いただいたということで、これからは是非そこを考慮の上で、とにかくできるだけオンサイトセンターから早く出るノウハウが研究する人にとってはすごく大事になるだろうと思います。その辺を少し重点的に検討いただくよう、よろしくお願いいたします。

ほか、いかがでしょうか。

 どうぞ、松田先生。

○松田構成員 多分、初学者の方とか、BIを使うことになると思うのですけれども、これはn件処理になってしまうということもあるのですけれども、実は平均とかがかなり悪さをすることが多いのですね。分母、分子はかなりずれてしまうので、京大の御発表もたしかそうだったと思いますけれども、その辺を一回確かめられたほうがいいのかなというのと、あと、この形でやっていくのがいいのか、それともキューブみたいなのをつくってやっていくほうがいいのか。多分、レスポンスの問題もあるのでそこはちょっと工夫、初学者が、ナショナルデータベースってこんなものだというイメージを持ってもらうというテンプレートが必要になってくると思うのですけれども、そうすると、僕なんか、Qlik Senseでやるのですけれども、Qlik Senseでさかさかやれるような、そういうレディメードのテンプレートって1つ準備しておいてあげると、初学者の人はそういうものだなあとわかると思いますので。

特に東大の中ではSPHとかでいろいろとやられると思うのですけれども、SPHの学生さんなんか、こういうのを見て、ナショナルデータベースってこんなものだと、こういう分析ができるというアイデアをこうやって出せるような、そういうものがあるといいと思いますので、この前の一つの定型的なテンプレートみたいなものも考えていただけるといいのではないかなと思いました。

以上です。

○山本座長 ありがとうございます。ほか、御意見ございませんでしょうか。

 特に実際に見に行かれた構成員の方々で何か御意見ございませんでしょうか。やはり結構環境的には厳しいですかね。そうでしょうね。やや非人間的な。音楽ぐらいは鳴るようになったのですか。

○松居参考人 そういう家電に関連するものは基本的に予算的には買えないというお話ですので、現状は特段変わらずという。

○山本座長 ほか、よろしいでしょうか。

 それでは、大変御苦労かけて申しわけありませんけれども、引き続きよろしくお願いいたします。

 それでは次に、本日の議題の2つ目、「第1回NDBオープンデータ」について、事務局より説明をお願いいたします。

○赤羽根室長 事務局でございます。

 資料2「NDBオープンデータについて」をごらんいただければと思います。この資料をめくっていただいて、1ページ目でございます。本日は、NDBオープンデータの作成の進捗と、それから2つ目としまして、NDBオープンデータの公表基準について、従前、御議論いただいたのですけれども、リハビリテーションと薬剤について少し課題がありますので、こちらをちょっとまた重点的に御議論いただければと思っております。

 2ページ目から「NDBオープンデータ作成の進捗」について御報告させていただきます。めくっていただきまして3ページでございます。「第1回NDBオープンデータ」についてということで書かせていただいています。NDBオープンデータ、作成を進めておりまして、今後も定期的に出すということを念頭に置いて、今、1つ目については第1回ということで出すことを考えております。

このオープンデータの基本的な考え方なのですけれども、これまでNDBのデータについては研究者や行政機関が個別に提供を受けるという第三者提供の形で、それ以外の入手手段というのがなかなかなかったということです。それに対して、このNDBオープンデータという形をとって一般に入手可能にしていきたいというものです。ですので、オープンデータ自体は特定の施策とか研究といったところを目的としたものではなくて、まさにデータを入手可能にするところが目的になっていきます。

 こうしたことを前提にしていますので、NDBオープンデータについては、基本的に汎用性の高い基礎的な集計表とすることを念頭に置いていて、比較的網羅的で、集計作業の労力が少ない、また、集計についても意図が入らないという形を目指しています。従前から少し御報告はさせていただいているのですけれども、このオープンデータの集計対象は医科を考えているというものです。

 まずレセプトについてですけれども、平成26年度の医科の入院、入院外、それから歯科、調剤、DPCというものを考えています。それから、特定健診については25年度データを考えて、各項目について都道府県別、それから性年齢階級別で集計していくというものでございます。

状況としては、今、データのチェック、それから、編集作業を引き続き行っている状況ですので、できる限り早く公表にこぎつけていきたいと考えております。

 4ページ目、「NDBオープンデータ」の位置づけ。従前何回か出させていただいているものでございます。基本的には、定型表としてオープン化していくといったものを念頭に置いているということでございます。

それから、5ページ目、こちらについても従前から出させていただいておりますが、オープンデータについては、中身等は昨年度1度、この調査分析WGで検討したところでございます。

 6ページ目もこれまでの資料でございますので、次の7ページから御説明に進んでいければと思っております。

 次の8ページ目をごらんいただければと思います。こちらも過去の会議に出してきているものですけれども、NDBデータの第三者提供に当たっては、基本的に研究成果等を公表いただく際に最小集計単位原則というものを守っていただくことにしておりまして、基本的には患者受診者であるとか、それから、集計の件数が10未満となる場合には公表しないという形の運用をさせていただいております。

 ただ、今回、リハビリテーション、それから薬剤について集計を進めていく中で、この2つについて、10という最小集計単位の原則はそもそもなじむのかという課題に事務局としてもぶつかっておりますので、その辺を有識者会議の先生方に御議論いただければと思っております。

 めくっていただきまして9ページ目でございます。まずリハビリテーションに関する集計の課題ですけれども、リハビリテーションは、診療行為によりまして単位数と算定回数の2種の集計結果が表記されるということになっておりまして、単位数というのは、要は1単位(原則20分間)当たりという単位になっております。今回、NDBオープンデータではこの単位という基準で集計を行っていこうと思うのですけれども、この単位に対して単純に最小集計単位の原則を当てはめると、例えば2.のところに書いてあるように、「10単位未満は非公表」という形になってくるのですけれども、そもそもこの「10単位未満非公表」という考え方が何らか妥当性というか、匿名性を保つという意味で意味があるのかといったところがちょっと課題かなと考えております。

 具体的に、1日当たり、多い時に9単位をこなす可能性もあると。一方で、単位数は非常に患者さんによってもばらつきの多い数字なので、何単位という数字から単純に、この中に何人いるというのはなかなか難しいのではないかということもございます。その際に、事務局のほうで非常に大ざっぱに考えてみた考え方なのですけれども、例えば1日、どんなに頑張っても9単位というところがございますので、それに1を足して10単位と。それを例えば×10すると100になりますので、例えば100未満は非公表とか、そういう考え方ができるのかということでちょっと御議論いただけないかと考えております。

 続きまして、まとめて薬剤のほうも御説明させていただきます。10ページをごらんいただければと思います。薬剤については、内服、外用、注射があるのですけれども、それぞれについて、少し集計の単位数の考え方が変わっております。内服については、具体的には薬剤の錠数等という数え方になっております。それから、外用についても、座薬であれば錠数で、貼付薬であれば枚数といったことになります。注射であると、例えばアンプル数とかシリンジ数といった考え方になっております。この3つについても、恐らく相当、数の規模感というのが変わってくると思いますけれども、例えば2.で錠数というところで考えた場合を少し書いております。

 1回1錠、例えば1日3回内服して、しかも1カ月飲み続けるみたいな薬であった場合は、1カ月分だけでも90錠という話になったりするので、そのときに、ただ10錠といった、機械的に最小集計単位として当てはめて、これが意味あるのかという議論が1つございます。一方で、ただ単純に900錠とか1,000錠とかいう数字が出てきたときに、そこから、例えばこの錠数の中に何人含まれているのかということが果たしてわかるのかという別の課題もあるかと考えております。

 こちらも少し事務局のほうで便宜的に考えてみまして、例えば1日3回内服する薬剤を30日分処方した。そうすると90錠だと。それが例えば10人分として、90×10900錠と。切りがいいところで、例えば100を足して1,000という数字を置いて、例えば1,000未満非公表という考え方ではどうかということでちょっと御提案させていただいております。

 事務局からは以上でございます。

○山本座長 ありがとうございます。随分苦しい考慮をされていると思うのですけれども、いかがでしょうか。御意見ございませんでしょうか。

 どうぞ。

○棟重構成員 非常に興味深いデータがいよいよ出てくるかということで楽しみではありますし、こういったデータを早く世の中に公表して、分析して、世の中に活用していくということが大事かと思います。そういう意味では、早く出すために今回10未満という原則の例外ということで2つケースを出していただいたので、それはそれとしてやっていただいて構わないと思うのですけれども、原則に立ち返ったときに、8ページにありますように、患者・受診者の集計単位が10未満であり、これはあくまでも人数がベースになっていると思います。一旦今の形で出すにしても、半年とか1年ぐらいをめどに、例えば「人数で出すようにする」とか、あるいは例えば「レセプト件数で足切りをして、そこから先は出す」とか、いろんな工夫の仕方があるかと思います。そこは事務局で、もとの原則の人数として10未満となるというところを踏まえて検討をお願いしたいと思います。

○山本座長 ありがとうございます。ほか、いかがでしょうか。

 どうぞ。

○宮島構成員 どうもありがとうございます。先ほどの御挨拶で、6年前からこの議論をさせていただいているというお話で、ああ、6年もたったのだなあと思ったのですけれども、6年前と比べるとデータを活用することに関しての世の中の空気感がすごい変わったなと思っております。保護することも大事なのだけれども、活用することは大事で、しかも、行政の効率だけでなくて、いろいろな連携でいろんなことを進めていく上でデータの活用というのがすごく大事だということになっている、世の中がそう思うようになったと思っています。

 だからこそ、逆にスタートに当たっては保護をしっかりする、信頼性を崩さない、そういうシステムをきっちりつくることがすごく大事だということを改めて感じるわけですけれども、それに当たって、できるだけ早く、こうして最小単位の原則をつくるというのはいいと思います。

 ただ、私自身は医療関係者ではないので、そもそものスタートに立った段階での情報を保護する、誰のものであるかわからないようにするために、この100単位未満とか1,000未満というのがそれに適切であるかがちょっとわからないです。例えば薬によって、今、1日3錠とかいうのはイメージできるのですけれども、例えばもっとすごく長かったりもっとすごく狭かったり、いろんな投薬方法の薬があるのではないかということは思ってしまうので、やりながらでもいいのかもしれませんけれども、つまり、一番極端な場合は、これは何人ぐらいのもので、この単位で本当に個人がかなりの、人口が少ない地方であってもその単位で個人が特定されることがないのかとかそういったところを、徐々にでいいと思うのですけれども、具体的な例を見せていただけるとより安心かなと思います。

○山本座長 ありがとうございます。ほか、いかがでしょうか。

 田尻先生。

○田尻構成員 今おっしゃられたとおりで、例えば1日3錠の30日で、はい、900ですという考えで実際いいのか、30日でいいのか。普通、急性疾患であれば2日3日、基本的にはたしか3日、健康保険かなんかで昔は書いてあったような気がするのですけれども、そうしたら9錠でしょう。そこのところをどうするのか。それとあと、座薬の数だとか貼付剤の枚数だとかいうのが同じことで、実際どうなるのか。それからあとアンプル数が1,000でいいのと。1,000だったら何も見えなくなってしまうのではないかという気がしたとき、ただそれを余り細かく分けてもなかなか難しい部分があって、実はこれを見て私も今ちょっと頭抱えている最中なのですけれども、それこそNDBで統計とって、そこら辺、反対にはじき出さざるを得ないのかなと。冗談ですよ、今言ったのは。

 ですから、本当にちょっと短絡過ぎるような気もいたします。特に薬剤については。リハビリの部分についてはちょっと様子がわからないので、これを見たら、そんなものなのですかねえという感じですけれども、薬剤についてはこんなことでいいのかなとちょっと不安に、疑問に思っています。

○山本座長 ありがとうございます。今、田尻先生がおっしゃったのは、900が1回1錠、1日3回で、アンプル数や貼付剤だとこれよりは減りますね。だから、要するに1,000にしてしまうと大多数が「—」に変わって、隠れてしまうということですね。それを隠さないためにはもう少し、相手別に、お薬の種類別に考えるか、あるいは何らかの方法で患者数が同時に出てくるような帳票をつくってそれで制限をかけて、総量のほうは制限しないで、患者数さえ10を上回れば出してくるという方法をとるかですね。

後者のほうは多分今回は間に合わないと思いますが、そうは言うもののやはり期待されたオープンデータですので、できれば早目にオープンにしたいことを考えると、今回は間違っても特定されないように、安全な側へ振っておくけれども、永遠にこれを続けるのではなくて、第2回に向けて合理的な方法を検討する形でいくしかないという気がします。1,000で一応「—」は減りますけれども、安全面という意味ではこれで大丈夫でしょうか

○田尻構成員 そちらのほうの心配は余りなさそうに思います。マスクされてしまって使いものにならないというおそれはありますけれども。

○山本座長 それは、初回ということで少し、次回は改善しますということで御勘弁願うとすると、危険性を避けるという意味では大体これでオーケーということですかね。

○田尻構成員 そうですね。

○山本座長 リハビリのほうは、1日せいぜい9単位までということを考えると、この単位で一応安全だなという気はしますが、いかがでしょうか。

 藤田先生。

○藤田構成員 この結論としてとりあえず今回公表するのは、安全側に倒すということでいいと思うのですが、そもそもの個人の特定可能性を低めるということで、米国のCMSにおいても単位が10になっているということだと思うので、理想的には、緻密にはしっかりと、それぞれのリハビリの内容だったり薬剤の内容に合わせて10人までというのが多分一番厳密なやり方だと思いつつ、一方で、こういったデータの国際比較をしようと考えた場合に、例えば米国ではどのようにしているのかとか、そういうのを見ながら、同じルールという考え方ももしかしたらあるのかなと思います。

○山本座長 ありがとうございます。米国の事情はまた一回調べないといけませんね。CMSの状況しか知らないのですが、CMSは今かなり思い切った検索ができるようになっていますね。ほか、いかがでしょうか。

 どうぞ。

○武藤構成員 私も原則の御提案どおりでいいと思うのですけれども、先ほど御発言ありましたように、どこかで見直しするということを意識していただいて、そのときに、リハに関して、今まで模擬申出とかいろんなところでも経験がないということだったと思うので、リハビリのこの単位を使って集計されるという、試しにやってみましょうという先生がいらっしゃったりする計画があればそれはぜひ御報告いただいて、次の参考にしたらいかがかと思います。

○山本座長 ありがとうございます。これはオープンデータからアンケートでもとらないとしようがないですよね。申し出るわけではなくて、静かにダウンロードされると、何に使われているのかは分かりませんしもちろん、これは基本的には民間利用の促進にも応えるためにオープンデータの形にして、2回以降は利用する方々の要望をできるだけ取り入れてこれを改善していくというような方針になっていますので、それなりに御意見をいただけるのではないかと思います。

 それでは、今回に関しては、リハビリと薬剤に関してはこういう方針で、かなり慎重なところがありますけれども、これで進めさせてもらってよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○山本座長 それでは、事務局のほうでそのようにお取り計らいくださいますようお願いいたします。

 それでは、議事の3番目「レセプト情報・特定健診等情報の提供に関するガイドライン」の改正(案)について、説明をお願いいたします。

○赤羽根室長 事務局でございます。

 資料3の「レセプト情報・特定健診等情報の提供に関するガイドライン」の改正(案)について」をごらんいただければと思います。資料3をめくっていただきまして、裏面、「『ガイドライン』の主な改正内容」についてまとめさせていただいております。

 今回のガイドラインは、前々回、前回御議論いただいていた社会医療診療行為別統計の取扱いのほかに、これまで有識者会議で改正について御承認いただいていた事項についてもあわせて改正させていただいています。

1.については、これはそもそも時点修正みたいな話で、疫学研究に関する倫理指針というのがもう臨床研究に関する倫理指針と一本化されてなくなっておりますので、大分おくれてしまいましたが、この倫理指針のところの名前を修正させていただくというものです。

 それから2.が提供依頼申出者に関しては27回有識者会議で議論されて、市区町村を申出者の範囲に追加するというものがありましたので、これを追加するという改正を入れております。

 それから、それと関連しまして最小集計単位ですね。集計単位が市区町村の場合の公表基準についても改正するという方向で御承認いただきましたので、これを入れています。具体的には、人口が2,000人未満の市区町村については患者等の数を表示しない。それから、人口が2,000人以上から2万5,000人未満の市区町村では、患者等の数が20未満になる集計単位が含まれない。それから、人口2万5,000人以上の市区町村では、患者等の数が10未満になる集計単位は含まれない。これは二次医療圏、都道府県の場合と同様という取扱いです。

 それから、4.目としまして、これまで御議論いただいていた社会医療診療行為別統計の取扱いについて改正に含ませていただいております。

 めくっていただきまして、3枚目から新旧対照表をつけさせていただいております。3枚目のおもて面は先ほどの倫理指針の改定、それから、提供依頼申出者の市区町村追加の改正を入れております。

 めくっていただきまして、裏面のほうは見出しをつける等々の改正になっています。

それから、次の紙が具体的にその市区町村の最小集計単位の追加になります。それから、その下のほう、第18ということで社会医療診療行為別統計の取扱いというものを1つ加えさせていただいて書き込んでおります。具体的には、社会医療診療行為別統計の定義をまず置かせていただいて、その先で社会医療診療行為別統計の利用に関する適用の考え方というのを書かせていただいております。具体的には、1つは利用機関の特例ということで、社会医療診療行為別統計については、基本的にレセプト情報とか中間生成物というものを保持することができるようにしているのですけれども、ただ、保険局・有識者会議に定期的に報告を行うということにさせていただいております。

 それから、定期的に出す統計については最小集計単位の原則を適用しないということになっておりますので、その適用除外というのを(3)で盛り込ませていただいております。それから、年齢区分の設定についても、上の年齢区分についても5歳ごとのグルーピングを可能としておりますので、これもつけ加えているというものです。

それから、(4)が特別集計に関する考え方でございます。社会医療診療行為別統計における特別集計を可能とするための条項ということでつけ加えさせていただいております。

 事務局からは以上でございます。

○山本座長 どうもありがとうございます。一応これまで御議論いただいた項目ばかりだと思いますけれども、何か御意見ございますでしょうか。

 どうぞ。

○布施構成員 ガイドラインの関係に直接ではないかもしれないのですけれども、利用提供の対象ということで市区町村を加えていただいたわけですけれども、まさしく私のほうの千葉県の特定の市でレセプト情報が欲しいというのがありまして、それの医療計画をつくるという予定だったようでして、それで、こういうデータがあるよと紹介したのですけれども、審査期間がたしか2カ月以上かかるのですね。

○赤羽根室長 そうですね。通常、審査までに2カ月程度はかかります。

○布施構成員 その審査に2カ月ぐらいかかるという話をしたらとても間に合わないという話がありまして、たまたまそういう計画の予定がせっぱ詰まっていたというのもあったかもしれませんけれども、その辺の審査期間の日数というか、期間をもう少し短くできないかというのをちょっとお伺いしたいのです。

○赤羽根室長 御指摘ありがとうございます。審査期間については、何とか短くできないかということで、実は審査の分科会もこれまでは年2回だったものを年4回に増やしたり、それから、都道府県が医療計画にデータを利用したいという場合には、審査省略の特例というのもガイドラインに入れさせていただいております。今回、市区町村というのはそもそも余り例がない事例なので、ガイドラインにも盛り込んではいないのですけれども、今後もいろいろ活用が進む中で、どういうやり方があるのかということで考えていきながら、審査期間とか提供期間というのは、できる範囲で短くできるようにということは考えていきたいと思っています。

○布施構成員 わかりました。医療計画を策定する際に、都道府県の審査は免除という形になっているということですけれども、今後、市区町村のほうにはそういう取扱いができないものなのかどうかというのはいかがでしょうかね。

○山本座長 ガイドラインには申出が類型化されて、同じようなものが何度も出る場合は省略できるという規定が一応あります。市区町村に拡張はしたのですが、ただ、疾患によってはかなり地域集積性が高いものがありますので、そういう意味では対象範囲が狭い申請に関しては有識者会議で慎重に審議すべきという附帯決議がありますので、それも含めて非常に公益性が高くて安全性が高くて、しかも類型化された申請があればかなり短縮できる可能性はありますが、都道府県のようにというのは現状少し難しいところがあるかと思います。

ですから、まずは時間的余裕を持って出していただいて、その実績を積み上げて、このような目的だったら特例にしてもいいのではないかをこの会議で議論させていただければと思いますし、現状そういう状況だと思います。

○布施構成員 わかりました。県も市区町村も基本的には計画としては同じようなことをやっていますので、ただ、当然その人口規模は違って、特定性が市区町村の場合はあってしまうというのはよく理解できます。その辺、今回、私のほうで生データを実は挙げたということになりまして、それよりはこっちのほうのデータを活用していただいたほうがよろしいのかなと思いまして、その辺もちょっと今後御検討いただければと思います。よろしくお願いします。

○飯山構成員 私ももともと自治体にいた者として、市区町村にまで広げていただいたというのは非常にありがたいことだと思っているのですけれども、ただ、今、座長の御指摘されたのは全くそのとおりだと思うのですよ。もう一つ、逆に、市区町村がこういうことをよく知らないということがまずあるのではないかと思うのですね。現状では。それと、よく知らないというのは、まずNDB自体がそのように活用できるようになったということで、また申出についてはこのようないろんな、関所と言うとおかしいのですけれども、条件を満たしていかなくてはいけないということ。そういったことで、使い勝手ということは多分よくわからないので、相当丁寧に広報していただくというか、教えていただかないとだめだと思うのですけれども、ちょっとそういうことを前提に、NDBがこのように活用できるようになったということを積極的に市町村のほうに広報されていく予定がおありになるかどうかというのをまずお伺いしたいのですけれども。

○山本座長 どうぞ。

○赤羽根室長 御指摘ありがとうございます。基本的にこのNDBが使えるようになったというあたりの広報というのは、例えばガイドライン改正なんかですと、自治体等へ通知を出し、さらには例えばNDBの使い方を説明した動画が厚労省のホームページにリンクが貼られています。基本的に申出いただく方というのはそれをごらんいただくということにはなっているのですけれども、ただ、それ自体に広報の効果があるのかというと、そこは確かによくわからないところもあります。

 それ以外の広報ということになると、本当に我々事務局が個別に情報提供を行うという形をとっております。何らかそういう自治体の方にアピールできるような機会があれば積極的に捉えていければなとは考えております。

○飯山構成員 通常の行政ルートでいきますと、市町村に対しては都道府県を通じてという形になってしまうので、国から直接市町村に働きかけるというのはなかなか難しいと思うのですけれども、少なくとも都道府県に対する説明会とか、場合によっては市町村の担当向けの説明会もたまにありますので、そういったところでぜひ、こういうことができるということを教えていただければと思いますし、また、我々国保連合会のほうでも、もし可能でしたら、各県の47の国保連を通じて、構成員である市町村国保を通じて自治体のほうに話が行くようにするぐらいの御協力はできると思いますので、もしよろしければ御活用いただければと思います。

○山本座長 ありがとうございます。

どうぞ。

○松田構成員 幾つか市町村のデータ分析をお手伝いしたことがあるのですけれども、結構倫理審査が大変なのですね。自治体によってはそういうデータを分析するときに議会のいわゆる個人情報の委員会をちゃんと通して、大学の倫理審査も通すという形でやっていくのですけれども、多分、市町村がそういうデータ分析されるときには第三者機関に委託する形がほとんどになってしまうのだろうと思います。そうすると、そこのところの手続に関してきちんとルールをつくっておかないと、データが変なところで漏れてしまうとこの制度そのものがだめになってしまう可能性がありますので、そこのところは市町村がやる場合は、委託することがほとんどだと思いますけれども、その委託するときのルールとか、これも人を対象にする医学研究のところの倫理検討シートにいろいろ書いてありますけれども、そこの遵守みたいなものを少しきちんとしておかないといけないだろうと思いますので、利用に当たるガイドラインといいますか、そこのところにはそういうことの記載の充実も必要なのかなと思います。

 以上です。

○山本座長 ありがとうございます。そういう面で、やはり幾つか出していただいて、我々としても市町村に提供するときの一番いい方法を検討しないといけないと思いますね。ただ、出てこないと検討できないので、ぜひ出していただきたいところですね。

ほか、ガイドラインに関しましていかがでしょうか。

 どうぞ。

○武藤構成員 今回の改正内容については全く問題ないと思うのですけれども、次の改正のときにかかわってくるのかなと思うのが、個人情報保護の法律の関係で、このガイドラインだと行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律が結構大事な扱いだと思いますけれども、済みません、あれは今、改正とかされていらっしゃるのですか。

○赤羽根室長 行個法については前の通常国会で改正が成立しておりますので、それについては今後、行個法、改正されたものも見ながら、それから、改正行個法の整理とかも見ながらちょっと考える必要があると考えております。

○武藤構成員 それはだから、次というか、法が施行された後ぐらい。

○赤羽根室長 施行された後というよりは、施行に向けていろんな整理がまたなされていくと思いますので、そういったものもちょっと見ながらということにはなると思います。

○武藤構成員 ありがとうございます。結構込み入っていて、考えるだけで憂うつなのですけれども、よろしくお願いします。

○山本座長 ありがとうございます。非識別加工情報が、どういう解釈になるのか決まらないとどうにもならないですね。ほか、いかがでしょうか。

 よろしゅうございますか。

それでは、今回の改正案については特段御意見をいただきませんでしたので、ではこのように改正していただくようにお願いいたします。

 それで、今回御審議いただく、事務局のほうで用意された議題は以上ですけれども、その他、何かございますでしょうか。

 それでは、とりあえず事務局のほうにお返しいたします。お願いします。

○赤羽根室長 ありがとうございます。事務局から、2点、連絡でございます。

 1点目が、次回の本会議の日程でございますが、こちらについては、調整の上、追って御連絡させていただきます。

それから、次の分科会に御出席される構成員の方々になのですけれども、本会議、早目に終わりますので、少し繰り上げで分科会を実施させていただければと思います。具体的には、分科会については15時半からの開始とさせていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 事務局からは以上でございます。

○山本座長 どうもありがとうございました。

それでは、今回はこれにて閉会をさせていただきます。分科会は15時半からですので、20分ほど休憩ということでよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。


(了)

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