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2016年6月28日 第16回肝炎治療戦略会議 議事録
健康局がん・疾病対策課肝炎対策推進室
○日時
平成28年6月28日(火) 15:00~17:00
○場所
厚生労働省(中央合同庁舎5号館) 共用第9会議室(19階)
○出席者
泉 並木 (武蔵野赤十字病院副院長) |
考藤 達哉 (国立国際医療研究センター肝炎・免疫研究センター長) |
坪内 博仁 (鹿児島市立病院長) |
林 紀夫 (関西労災病院院長) |
八橋 弘 (国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター研究部長) |
○議題
(1)「肝炎研究10カ年戦略」の中間見直しについて
(2)その他
○議事
○横山肝炎対策推進室長補佐 定刻より少し早いですが、委員の先生方もお集まりでございますので、ただいまより第16回「肝炎治療戦略会議」を開催させていただきます。
委員の先生方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
本日は、5名の委員の先生に御参集いただいております。
なお、今回より委員として国立国際医療研究センター肝炎・免疫研究センター長の考藤先生に御参画をお願いしております。よろしくお願いします。
○考藤委員 よろしくお願いします。
○横山肝炎対策推進室長補佐 まず、6月21日付で事務局側の異動がありましたので、御紹介させていただきます。
健康局がん・疾病対策課長の渡辺でございます。
○渡辺がん・疾病対策課長 渡辺と申します。よろしくお願いいたします。
○横山肝炎対策推進室長補佐 それでは、会議に先立ちまして、健康局長の福島より御挨拶を申し上げます。
○福島健康局長 健康局長の福島でございます。
本日は、大変お忙しいところ、また、お足元の悪い中、第16回「肝炎治療戦略会議」に御参集いただきまして、まことにありがとうございます。
また、先生方には日ごろから肝炎対策のみならず、健康行政全般にわたりまして御指導、御支援を賜りまして、改めて御礼を申し上げたいと思います。
本日は、この議事にもございますように、「肝炎研究10カ年戦略」の中間見直しにつきまして御議論をいただきたいと考えておるわけでございます。
「肝炎研究10カ年戦略」は、最初は平成20年6月でございますが、「肝炎研究7カ年戦略」が平成20年6月に取りまとめられたわけでございますが、平成24年の中間見直しの際に新たに「10カ年戦略」という形で改定されたものでございます。
私どもでは、これを受けまして、肝炎治療実績の大幅な改善につながる成果の獲得を目標といたしまして、肝炎患者の方、あるいは国民の皆さんにその成果が還元されるように、肝炎、肝硬変、肝がんを初めとした肝疾患の研究の充実、強化に取り組んでまいったところでございます。
この5年間では、肝炎に関するいろんな研究で言いますと、特にC型肝炎の治療におきまして、平成26年9月からインターフェロンフリー治療が開始されまして治療成績が大きく向上いたしまして、このインターフェロンフリー治療につきましては私どもの医療費助成の対象として、患者の皆さんが治療を受けやすい環境を整備してきたところでございます。
ただ一方で、B型肝炎の治療に関しましては、そのウイルスの完全排除というのがまだ困難というところでございまして、また、肝硬変に対しても根治的な治療法が肝移植以外にはないという状況になっておるわけでございます。
昨年度から議論を行ってまいりました肝炎対策基本指針の改正案におきまして、B型肝炎や肝硬変の治療に係る医薬品の開発等に係る研究を推進するということも明記しておるわけでございまして、こういう方針を踏まえて肝炎研究に取り組んでまいりたいと考えております。
これまでの「10カ年戦略」の前半5年間では、先生方の御尽力によりましてさまざまな成果が得られてきたわけでございますけれども、これまでの研究の進捗状況を踏まえまして、きょうの会議では今後5年間の戦略をどういうふうに見直していくのか、こういう議論を始めていただければと考えておるわけでございます。
以上、会議の開催に当たりまして御挨拶とお願いということにさせていただきたいと思います。
本日はどうぞよろしくお願い申し上げます。
○横山肝炎対策推進室長補佐 それでは、議事に入ります前に配付資料の確認をさせていただきます。
まず、1枚目として議事次第、その裏側に配付資料一覧となっております。もう一枚、会議名簿という形になりまして、その裏に座席表がございます。
その下に1枚とめてありますけれども、資料1として「肝炎研究10カ年戦略の中間見直しに係る検討事項」、資料2としまして「肝炎研究10カ年戦略の中間見直しの論点」という形になっております。
さらに、もう一つのとじになりますけれども、参考資料集としまして挙げておりますが、参考資料1としまして現行の「肝炎研究10カ年戦略」があります。
参考資料2としまして「肝炎研究事業の変遷について」というポンチ絵がついております。
参考資料3としまして「肝炎関連の研究費の推移」という形でグラフを載せております。
参考資料4としまして「肝炎研究10カ年戦略の具体的な研究課題と実際の研究課題の対応表」があります。
参考資料5としまして「肝炎研究10カ年戦略の進捗状況について」があります。
参考資料6として「核酸アナログ製剤治療費助成の更新申請に係る診断書の簡素化について」。
参考資料7としまして「肝炎治療戦略会議開催要領」という形になっております。
配付資料は以上でございますけれども、不足等はございませんでしょうか。
何かございましたら、事務局のほうへお申し出いただけたらと思います。
カメラ撮りはここまでとさせていただきますので、御退室をお願いします。
なお、会議中に写真撮影、ビデオ撮影及び録音することはできませんので、御承知おきください。
また、局長の福島でございますが、他の公務のため、ここで退席させていただきます。
(健康局長退室)
○横山肝炎対策推進室長補佐 ここからの議事進行に関しましては、林座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○林座長 座長の林でございますが、本日もどうぞよろしくお願いいたします。本日、御検討いただく内容が少し多うございますけれども、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
本日の議事の1番目は「肝炎研究10カ年戦略の中間見直しについて」。それから「その他」でございますけれども、まず事務局のほうから資料1の御説明をよろしくお願いいたします。
○林肝炎対策推進室長 肝炎対策推進室長の林でございます。
資料1は簡単な1枚紙でございますけれども、きょうから「肝炎研究10カ年戦略」の中間見直しの議論をしていただくわけですが、きょう検討していただきたい事項を簡単に整理しております。
中ほどに「参考」とありますが、現行の「肝炎研究10カ年戦略」、本文自体は参考資料1についてございますが、全体の章立てといたしましては、「はじめに」の後、「研究の現状及び課題」「今後の研究における方向性」。これらを受けて「具体的な研究課題」、そして「全体の戦略目標」、さらに「基盤整備」と「評価と見直し」。こういう構成になっております。
このうち、きょうの議論におきましては「研究の現状及び課題」、そして「今後の研究における方向性」、1つ飛びまして「戦略目標」について議論していただきたいと思っております。
これらについて、「研究の現状・課題」は、現状の整理と論点を議論いただきたいと思います。「今後の研究における方向性」についても同じく論点を整理しましたので、これらも資料2で整理をしております。「戦略目標」についても現状の進捗状況、そして今後の目標設定のあり方について議論いただきたい。これらについて資料2で論点をまとめましたので、以後、順次ご議論いただければと思います。
なお、全体の章立てでありますと、3番目の「具体的な研究課題」につきましては、まさに個別・具体的な研究課題、テーマが載っているところでございます。きょう御議論をいただいた内容を踏まえまして、次回の戦略会議で議論させていただければと考えております。
資料1は以上でございます。
○林座長 どうもありがとうございました。
それでは、次のページに資料2というのがございますが、「肝炎研究10カ年戦略」の見直しをさせていただきたいと思います。後ろのほうに参考資料5として、今回の資料2を作成した、もとの、より詳しいものがございますので、御参考までにごらんいただければいいと思います。
先ほども御説明がございましたように、今回御議論いただくのは、「肝炎研究の現状及び課題」「今後の研究における方向性」「戦略目標」についてでございます。
資料2、2ページ目をごらんいただきますと、まず「研究の現状と課題」というのがございまして、1番目が臨床研究のB型肝炎となっておりますけれども、黒の枠で囲んでございますのが現行の記述内容でございまして、その下に「論点」と書いているものが4課題ございます。それを今から御議論いただくということになりますが、かなり量が多うございますので、事務局のほうでおつくりいただいた論点のところで特に問題がなければ少し飛ばさせていただいて、問題になるところが何カ所かございますので、そういうところを中心に議論をしていただければと思っております。
まず最初、2ページのB型肝炎でございます。黒枠の中に現行の文章が書いてございます。論点としてインターフェロン治療と核酸アナログ製剤、治療法、B型肝炎創薬という4つの論点が記載されておりますけれども、先生方、ごらんいただきまして、この中で特に問題になる点がございましたら、まず御指摘をいただいたほうがいいかと思いますが、いかがでございましょうか。どうぞ。
○八橋委員 問題はないと思っています。
追加コメントしますと、インターフェロン治療例でのHBs抗原の陰性化率は、鈴木先生の論文からの引用かと思いますが、虎の門病院のデータしかないと思います。参考までに我々の施設の成績(Hepatology Research2016)、自然経過でのHBs抗原の陰性化率は10年で5.4%、15年が9.8%ですので、やはりインターフェロンを投与したほうがHBs抗原消失は高いという印象を持ちました。HBs抗原の消失を治療目標にする観点で、具体的な数字を入れられたほうがいいと思いました。
○林座長 わかりました。
DNAのほうについては、最初は早く陰性化しますが、経年的にはコントロールが落ちてくるというデータもございますけれども、s抗原のところについてはそのようなことでございます。
ほかお気づきの点ございませんでしょうか。どうぞ。
○八橋委員 核酸アナログの問題に関しては、耐性ウイルスのこともあるのですが、長期投与で腎障害と骨への障害も問題になるかと思います。問題点を挙げるなら、その2点も追加してはどうかと思います。
○林座長 わかりました。それは核酸アナログ製剤、記載していただいたほうがいいかもわかりませんね。
○八橋委員 はい。
○林座長 B型肝炎のところに少し追加で記載をお願いしたいと思います。
どうぞ。
○泉委員 確かに高齢者がふえてきていますし、それから長期に飲むので、やはり副作用のことは書いておかれたほうがいいと思います。
○林座長 その下の治療法というのはよろしゅうございますか。
B型肝炎の創薬は現在日本でも研究にかなり力を入れさせていただいて、私が個人的に思っていたよりもはるかに進歩しているなと思っておりますけれども、B型肝炎の創薬については新規治療薬の開発が求められているということで、恐らく今後もかなり力を入れていかなければならない領域ではないかなと思っております。
よろしゅうございますでしょうか。
それでは、次は3ページ、C型肝炎でございまして、論点で、B型肝炎に比べましてC型肝炎の記載というのは今回大幅に変えなければならないということで、B型肝炎よりも大きく変わっている領域でございます。
インターフェロン製剤については、現在日本では余り使われておりませんけれども、DAA製剤を併用すればウイルスの排除としてはかなり高いと。それから、IL-28は日本の研究の成果でございますし、インターフェロンフリー治療については、ウイルスの排除率が非常に高いレベルまで行えるようになってきております。
まず、そこの3点までいかがでございましょうか。どうぞ。
○八橋委員 インターフェロン治療が主流の治療だったこと、IL-28も日本で発見された成果ですので、歴史的な観点からも記述すべきと思います。
インターフェロンフリーに関しては、90~95%の治癒率ということですけれども、後で議論になると思うのですが、一部治癒できなかった方の対策、その問題点も明確にしたほうがいいと思います。
○林座長 それは4番目にお聞きしようかと思っているのですが、それなら先にお聞きしたほうがいいと思いますが、4番目がインターフェロンフリー治療については、薬剤耐性変異、治療後の長期予後、要するに、これは肝発がんの問題だと思うのですが、まだ明らかになっていない点もございますし、一部データが出かかっているところもございますけれども、特に4番目、先生方の御意見をぜひお聞きしたほうがいいと思いますので、いかがでございましょうか。どうぞ、泉先生。
○泉委員 必ずしもいいことばかりではなくて、最近、B型肝炎が再活性化する報告もあり、ウイルスが消えることはいいのですが、それに伴う不都合な面も検討すべきだろう。例えばウイルスの再活性化などということだと思いますが。
○林座長 皆さん、恐らく長期予後でデータの集積をしているところだと思いますが、一部欧米からも肝がん治療後のDAAの治療後の発がん率が思ったよりは高いという論文もインプレスで出てくると思いますけれども、日本でもそれに近いデータもございますので、どちらしても日本ではかなりデータの集積をしておりますので、結果の出ることだとは思っております。これも確実に何らかの記載をさせていただいたほうがいいかなとは思っております。
どうぞ、考藤先生。
○考藤委員 治療の長期予後というのはとても大事だと思うのですが、もう少し明確に「肝発がん」というふうな言葉の記載のほうがいいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○林座長 いかがですか。
○八橋委員 私も治療後の肝発がんの問題は今後大きな問題になると思います。
○林座長 とりあえずC型肝炎の長期予後と言っても、近々の問題でも圧倒的に重要な問題は肝発がんの問題だと。そこの記載、「肝発がん」と書かせていただいたほうがいいかもわかりませんね。
○八橋委員 インターフェロン使用時とはウイルス排除のメカニズムが違うので、治療後の肝発がんは、必ずしも同じことにはならない、免疫状態のことや治療後にコレステロールが上昇することが今後問題になってくるのでないかと思います。免疫状態では、既にHBVの再活性化など新たな問題が幾つか報告されていますので、インターフェロンフリー後の経過をしっかり見て、予測される問題点を今の時点で幾つか明確にしておくことが大事と思います。
○林座長 既に我々が予想しないようなことも起こってきておりますので、ここのところは今後の検討の最も重要な点ではないかと思っております。
坪内先生、どうぞ。
○坪内委員 日本では患者さんの高齢化があるので、肝発がんというのは、林座長の発言のように、最も大事な課題のうちの一つではないかと思います。そこはぜひ明確にしていただいたほうがいいと思います。
○林座長 では、それは事務局のほうで文章、また最後御検討いただきますので、書かせていただきたいと思います。
その次がインターフェロン治療で、現在日本でうまく治療ができていないのが非代償性の肝硬変でございまして、ここはいろんな問題を抱えておりますので、今後の大きな課題なのですけれども、ここのことで先生方の御意見、いかがでございましょうか。どうぞ。
○泉委員 患者さんにとっては非常に緊急の問題なので、ぜひ解決すべき課題だということで記載して、やはり我が国を挙げて取り組むべき課題と思いますが。
○林座長 どうぞ。
○八橋委員 私も同感で、一部の諸外国では実施可能な治療法が現時点の日本ではまだ許可されていません。かなり切実な問題ですので、これは問題点としてぜひ取り上げていただき、できるだけ早く実現可能となるように希望します。
これはよろしゅうございますでしょうか。
それでは、次のページ、肝硬変でございます。論点が書いてございます。肝硬変は、どうしても肝がんとの関連で記載をさせていただくことになるかもわかりません。そこに2点書いてございます。1番目は肝炎と絡めて記載してはどうかということです。2点目が先ほども少し議論になりましたが、肝硬変の治療薬ですけれども、抗ウイルス剤以外の肝硬変の治療方法の開発ということで、現在、肝移植以外に確立された治療方法がないということで、ここの点について、いかがでございましょうか。実際肝線維化の改善を促すお薬の開発もかなり進んできて、一部日本でも臨床試験が始まると思いますけれども、対象が肝硬変になるかどうか、少し微妙なところだと思いますが、単純に抗ウイルス剤以外の肝硬変の治療薬の開発等もあると思います。どうぞ。
○泉委員 これは「根治治療が求められている」ということで、根治というのはなかなか難しいので、「病態改善の治療」というふうに書いていただくと。
○林座長 おっしゃるとおりだと思います。
ほかよろしゅうございますでしょうか。
次は5ページ、肝がんでございます。肝がんもここ数年で大きく治療法が変わっているわけではございませんが、日本にとっても非常に重要な問題だと思っています。再発予後の問題、それから5年生存率を原文どおり「30~40%」の記載でよろしいでしょうか。
下に参考までに少し数字を書かせていただいておりますけれども、もとの文章は「肝がん全体では、5年生存率は約30~40%にとどまっている」となっております。
ばらつきがありますので、幅を持って書いております。これでよろしゅうございますか。
○泉委員 はい。
○林座長 ほかよろしゅうございますか。どうぞ。
○八橋委員 多分、先生方の病院ではもっと生存率は良いのではないかと思うのですけれども、先日のがんセンターからの報告では、確かにこの数字となっています。これらは10年前に治療を受けた患者さんのデータですが、現時点では、こういう報告だったということを押さえた上で、今後より高い生存率を目指すということを明確にすべきだと思います。
○林座長 ほかよろしいですか。どうぞ。
○泉委員 おっしゃるとおりで、確かに早期発見されれば非常によくなってきているのですけれども、ただ、我が国全体で見たら、なかなかそういう状態ではないということで、30~40という。
○林座長 トータルで見れば、これに近い数字になるのではないかなという感じはします。
よろしゅうございますでしょうか。
では、次の6ページは基礎研究の項目でございます。上から「C型肝炎」「B型肝炎」「肝線維化」「肝発がん」と書いてございますが、ここで御意見をお聞きしたほうがいいところが何点かございます。
一番上、C型肝炎でございますけれども、C型肝炎の基礎分野では、今回記載すべき課題は何が特に必要かということで、御意見がございましたら、ぜひお聞かせいただければと思いますが、いかがでございましょうか。
現在、日本ではいろんな基礎的研究がかなり進んでおります。動物モデルもいろいろ使われておりますし、かなり基礎研究は進んできていると思います。どうぞ。
○考藤委員 意見なのですけれども、今後のことを考えた場合に、DAAで治療が進んだとしても、再感染の問題がありますので、ハイリスクのポピュレーションを対象にした対策を考えるために、ワクチンの開発というのが非常に望まれる点ではないかと思います。やはりこれは基礎研究あってこその話だと思いますので、C型肝炎のワクチンの開発という文言を入れていただくというのはいかがでしょうか。
○林座長 いかがでしょうか。新規の患者さん、それほど高率ではないのですけれども、特定の集団ではあるかもわからないということですね。
○坪内委員 私も全く同感です。ぜひワクチンについては入れていただいたほうがいいと思います。
○林座長 ほかよろしゅうございますでしょうか。
では、もう一点C型肝炎の記載がございますが、これはこれでよろしゅうございますでしょうか。感染複製機構の解明が進んだことによって、DAAの開発につながりましたけれども、さらに臨床応用に向けて、感染複製機構に関する研究を今後も進めていく必要があるだろうという記載が書いてございます。少し幅広くつかまえていただければいいのではないかと思いますが、よろしゅうございましょうか。
次がB型肝炎でございます。最近の研究で感染培養系や感染動物モデルが作製されております。ただ、まだ安定した実験系とは言えない。実際にどこの施設でも使えるというわけではないという点等もございますけれども、この記載でよろしゅうございますでしょうか。
もう一個が感染複製メカニズムでございます。レセプターのNTCPが見つかりましたが、現在いろんな検討が日本でもなされております。選択的に肝炎ウイルスの取り込みを抑制する検討とか、いろんなことが行われておりますので、こういう記載でいかがかと思っております。
次の繊維化でございますが、原文には肝線維化の記載がないため追記し、肝線維化の機序については、肝臓の星細胞の活性化が原因であることが明らかになりましたけれども、肝硬変治療薬の開発に向けたさらなる基礎研究が必要であるということを書かせていただいたほうがいいのではないかなと思っています。実際臨床に出てくる薬剤もあるかもわかりませんが、これの記載はさせていただいたほうがいいのではないかと思います。
肝発がんについてということでございますけれども、特に肝発がん及び再発予防に関する治療法の開発に向けたさらなる基礎研究が必要であろうという記載ですが、いかがでございましょうか。どうぞ。
○考藤委員 少し細かい話になるかもしれませんが、線維化のところなのですが、線維化の機序というのはまだよくわからないところが大部分ですので、この表現だと、肝星細胞の活性化が原因であるというふうに明言していますので、由来に関しても星細胞以外の細胞も関与がありますので、ここはもう少しマイルドに表現されて、まだまだ線維化の全体の機序としては不明な点が多いので、さらなる基礎研究と臨床医薬の開発が必要だというふうな形のほうがよろしいかと思います。
○林座長 これは、肝臓の星細胞の活性化が関与していることが明らかになったら、さらに検討が必要であるとか、そういう。
○考藤委員 そうですね。ワン・オブ・ゼムという形の表現のほうがいいかと思います。
○林座長 わかりました。
○考藤委員 あともう一点、NTCPの話ですけれども、もちろんこれだけではないということはよくわかっていますので、HBVの場合には感染機構と複製機構を分けて考える必要があると思いますので、受容体の同定も含めた感染機構の解明が必要であるという形にすれば、そこのブロッカーの開発というのも視野に入ってきますので。
○林座長 後のところ「引き続き研究が必要」のターゲットのところを明確に書かせていただいたほうがいいかな。感染機構と複製機構というふうに書かせていただいたほうがいいということですね。
○考藤委員 はい。分けたほうがいいのかなと思います。
○林座長 AMEDの研究の成果を見ても、そこは分けて研究されておりますので、書かせていただいて問題ないかなと思います。
ほかよろしゅうございますでしょうか。どうぞ。
○泉委員 6番の肝がんの下から2行目「肝発がん及び再発の予知と予防に関する診断と治療法の開発」。いろんな。
○林座長 なるほど。少し幅広くしていただいたほうがいいと。
○泉委員 検査とか診断法も含めて。
○林座長 ほかよろしゅうございますか。
それでは、7ページの疫学研究でございます。論点が2つ書いてございますけれども、「患者数等の動向の全国規模の疫学研究は、現在では、継続的に行われるようになっている」。これはなかなか調べるのが難しいのですが、一応田中先生のほうで頑張っていただいているのです。これは日本として絶対必要なデータですので、継続は必要ではないかと思います。
それから、新規感染ですが、これも日本ではそれほど明らかになっていないこともありますし、予防対策が十分にまだ行われ。原因が明確にならないと予防対策も行えませんけれども、これも日本ではまだ不十分かと思いますので、それは記載させていただいてもいいのではないかと思います。先生、いかがですか。
○八橋委員 田中純子先生の報告書を拝見すると、非常に精力的にいろんな切り口で調査研究がおこなわれ、患者数などは具体的に把握されるようになったと思います。
新規感染例に関しては日赤のデータで、献血で見つかった新たな感染者という集団が対象になるかと思いますが、まだ漠然としていますので、新規感染症の調査も今後も必要で、疫学の研究に関しては明確に必要と書かれたほうがいいと思います。
新規感染に関しては日赤のデータで、献血で新たな感染者というふうな像がわかりつつありますが、ただ、ちょっと漠然としていますので、ここのあたり、新規感染者の調査も今後必要だろうということ。疫学の研究に関しては明確に必要というふうに書かれていったほうがいいと思います。
○林座長 これはいろんなことの対策を考えるときの基礎データ、基本的なデータですので、やはり正確なデータが必要ではないかと思います。
そこはよろしゅうございますでしょうか。
4番目が行政研究でございまして、前回の「肝炎研究10カ年戦略」の中には記載がされておりません。論点を2点書かせていただいておりますけれども、今回この項目「行政研究」の記載を追加させていただきたいと思っております。そこに5課題ほど書いてございますが、現在検討されているものもございますし、今後さらに検討が必要な課題もございますけれども、いかがでございましょうか。どうぞ。
○八橋委員 肝炎研究10カ年戦略の中に行政研究のことが今まで書かれていなかったことは今回初めて知りました。既に行政研究は継続して行われていますが、今後も必要と思います。
ただ、テーマに関しては、行政と医療従事者から提起されたものが多いような気がするのですが、患者さん御自身がどのように考えられ、どのように困っておられるか、その点に関しても行政研究として取り上げてはどうか。取り上げ方の具体的な方法論は別にして、その視点は大事だろうと思います。
○林座長 今、一部検討はされていますが、まだ十分ではないという記載をさせていただいてもいいかと思います。
どうぞ。
○考藤委員 1点、これは質問の意味もあるのですけれども、費用対効果の研究というのは、この5本の中にどこかに組み入れられているのかどうなのかという点が一つ。もしないならば、高齢者がふえている状況の中で、フォローアップも含めた費用対効果の解析というのが必要なのではないかと思います。
○林座長 厚労省、これはほかで検討している部署がございますね。そこでそれは検討されているのでしょうか。ここの記載、いかがいたしましょう。
○横山肝炎対策推進室長補佐 今、現行でも費用対効果に関しては肝炎研究のほうでさせていただいております。ここに挙げている中にそれが含まれているかということに関しましては、挙げている課題に関しては大まかな記載になっておりますので、例えば検査体制の中には検査体制による費用対効果だとか、そういったことも踏まえての大きな枠組みとして捉えていただけたらとは思っておりますが、その中で、先生方が費用対効果という側面からの課題を一本立ち上げたほうがよろしいのではないかという御意見がありましたら、明記するような形も考えたいというふうには思っていますが。
○林座長 恐らくこれは肝炎だけの問題ではないのではないかなとは思うのですが。
○林肝炎対策推進室長 各委員の先生がどこの局面を念頭に置いて費用対効果と言われているかにもよると思います。特に、今、話題になっているC型肝炎の高額な医療費の費用対効果の問題であれば、我が国の社会保障の仕組みの中では、当面国民皆保険の医療保険制度に与えるインパクトが大きいということもありますので、我々、仄聞しているところでは、保険局のほうの費用対効果の分科会で一つ課題として取り上げるようにも聞いておりますので、そちらはそちらの議論でされるのかなと思います。
肝炎対策全般についての費用対効果となりますと少し幅が広いので、どう取り上げるかはなかなか難しいところがありますが、今やっている研究は、どちらかというと事業主サイドに検査やフォローアップなどについての、あるいは従業員の方が患者さんになるということ、これを長年放置することによる労働経済上のデメリットというのですか、そういったデメリットに比べて早期受診に対するメリットというものが訴えられるような、そういった研究の方向性でお願いしているものが一つございます。
○林座長 では、これは事務局と相談させていただいて、どういう入れ方をするか検討させていただきます。
○考藤委員 はい。
○林座長 ほかよろしゅうございますでしょうか。
それでは、次は8ページ、今後の研究における方向性ということでございます。1番目が臨床研究でございまして、論点のところがB型、C型、肝硬変と分かれております。
B型の1番目、よろしゅうございましょうか。
2つ目の論点なのですが、「『具体的な研究課題』におけるB型肝炎の再活性化の研究課題については、ガイドラインも作成された現状をふまえて、今後どのような研究を進める必要があるか」ということです。最近、溝上先生のグループのデータもございますし、ここのところをどう対応をとらせていただくのが一番よろしゅうございますでしょうか。
一応、肝臓学会は肝臓学会で坪内先生らを中心にガイドラインをつくっていただいておりますが。
○泉委員 今のやり方が非常にコストがかかるので、もう少し簡便な検査法の開発をするとか、リスクに応じた対応をするとか、その辺のこともちょっと必要なのではないかと思います。
○林座長 坪内先生、いかがですか。
○坪内委員 全く同感で、もともとガイドラインは、死亡症例がたくさん出たということから、それを防ぐためのガイドラインで、その後、いろんな薬で起こるということがわかってきたので、今後エビデンスを集積して、ある程度こういう薬ではこんなふうということがわかる研究も必要ではないかと思います。
○林座長 どうぞ。
○考藤委員 溝上班のデータとかを見ていますと、疾患の種類によりましてリスクが全然異なっていますし、再活性化の率も非常に違いますので、泉先生がおっしゃったように、安価な検査でモニターをするという点が一つ。あともう一つは、疾患の種類、あるいは坪内先生がおっしゃったように薬の種類によって個別化していくという方向性が必要なのではないかと思います。
○坪内委員 そのためにはエビデンスが必要になってくると思うので、そういうことが明らかになるような研究をぜひ推進していただきたいと思います。
○林座長 最近、DAA製剤の注意事項が出ましたけれども、それほど頻度の高いものではないのですが、一定の確率でいろんな薬剤が出てくる可能性があるということでございます。わかりました。
次はC型肝炎ですけれども、1番目の論点でございます。インターフェロン、DAA製剤の治療薬登場によってウイルスの排除率が高まりましたが、今後どのような研究を進める必要があるか。先ほどもちょっと御議論いただいたのですけれども、治療後の耐性、それから治療後の特に肝発がんの問題というのは非常に重要で、それ以外に特に記載する必要があるものがございましたら、お教えいただければと思います。どうぞ。
○八橋委員 薬剤耐性の問題はとても重要であり、現在の治療法で、およその方は治癒しますが、残されたというか、治癒しなかった方は多重耐性の問題を抱えてしまっています。一方、かなりのスピードで新薬開発、耐性ウイルスに対する薬も今後出てくると思うのですが、日本からも薬剤耐性に対する基礎研究も含めて明確な研究成果とメッセージを出す必要があります。今、再治療を待っておられる患者さんもおられるでしょうから、肝炎研究10カ年戦略の中で、この問題点についてしっかり取り上げておくというのは大事なことだと思います。
○林座長 泉先生、どうぞ。
○泉委員 おっしゃるとおりで、我が国では薬剤耐性が非常に大きな問題になってしまったので、ここは我が国で解決すべき大きな問題なので、これは絶対書いておかなければいけないと思います。
それから、先ほど出てきた肝発がんのことと予備能を含めた予後のこと、その辺が今後研究課題ではないかと思います。
○林座長 よろしいですか。どうぞ。
○考藤委員 私も1つコメントですが、DAAの治療というのはメリットがかなり強調されていますけれども、発がんとか再発ということを考えた場合に、逆のデータも少し出てきたりしていますので、功罪という意味で、その辺の治療後のことを研究するというふうな方針を出されるほうがいいのかなと思います。
○林座長 これは避けて通れないと思っております。
よろしゅうございましょうか。
次がC型肝炎の非代償性肝硬変。これは先ほども少し議論させていただきましたが、これは絶対必要ですので、今後開発が必要だろうと思います。
それから、ワクチンも先ほども少し出ておりましたけれども、先ほどのところに書かせていただくか、こちらに書くかわかりませんが、ワクチンのことについても書かせていただくということになります。
それから、肝硬変は2点ございます。肝硬変も非常に緊急性の高い課題でございますので、肝線維化とも絡めて記載をさせていただければと思っています。
それから、根治治療だけでなくて、QOLの改善を目指す治療法の開発ということも追記をさせていただいてはどうかということになります。
どうぞ。
○泉委員 「根治治療」というのは、ちょっと抵抗があるので、「病態の改善のための治療」というふうに。
○林座長 難しいですね。わかりました。先ほどと同じ記載でございますので、よろしく。
よろしいですか。
9ページ目、肝がんでございます。発がん機序の解明に加えて、再発の予防薬、予防法の開発に関する研究ということも追記してはいかがかということでございます。
○泉委員 この中の予知のための検査をぜひ入れていただきたいと思います。
○林座長 ええ。先ほどのところか、こちらか、どちらかに書かせていただきたいと思います。
発がん、再発の予防薬、予防法というのは非常に重要ですけれども、これも書かせていただいたほうがいいと思います。
その他でございますが、E型肝炎のことでございまして、現在、E型肝炎に関する研究が日本でもされておりますけれども、治療薬の開発や慢性化の機序の解明は書かせていただいたほうがいいのではないかということになっています。
次は、肝炎に関係がございますが、NAFLD/NASHでございまして、NAFLDは有病率も高うございますし、日本で非B非C型の肝がんもふえておりますので、それの病態解明、それから治療薬に対する研究を積極的に進める必要があるだろうという記載は、当然のことながら記載をさせていただくほうがいいと思っておりますが、これについていかがでしょうか。
○八橋委員 経口感染するウイルス感染にはA型肝炎とE型肝炎があります。E型肝炎について対策を強化するというふうに解釈したのですが、相対的にA型肝炎が軽く扱われてはいけないと思います。A型肝炎の流行はこの数年はないのですが、アウトブレイクすると大きな社会問題となりますので、A型肝炎のワクチンも普及していない現状も踏まえて、今後も発生状況のモニタリングは必要であり、A型肝炎対策という言葉も必要と思います。
○林座長 記載を少し。
○八橋委員 E型肝炎だけでなくて。その点をお願いしたいと思います。
○林座長 わかりました。
ほかよろしゅうございますでしょうか。
2番が基礎研究でございますけれども、B型・C型の感染系や動物モデルは、日本でかなり研究が進んでおります。
それから、先ほども議論がありましたが、感染機構と複製機構、病態の発現、病態進展機序については今後も検討が必要だろうということになります。
それから、肝硬変の治療薬で、線維化の機序、先ほども少し議論がございましたけれども、さらに進めていく必要があるだろうと思います。
最後にお聞きしたいのが、原文に挙がっている新たな技術以外にも、肝炎研究に応用可能と考えられる新技術として記載するものがあれば、お教えいただければと思います。
現在、日本では新しい手法で研究がかなり進んでいるだろうと思います。上の原文の「新たな技術」のところに括弧で書かせていただいております。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、次の10ページ、疫学研究でございまして、論点で、感染者数だけではなくて、患者数の把握も追加したらどうかという点。
それから、現在日本でも行われておりますけれども、全国規模でデータの把握をする方法の研究を行うことを追記してはどうかということになります。
よろしゅうございましょうか。先ほどの議論とも重複いたします。
それから、行政研究でございます。先ほど5課題ほど書かせていただいておりましたが、2番目の論点のところに1から7番の記載がございます。これでよろしゅうございますでしょうか。どうぞ。
○八橋委員 基本指針に書かれてあることなので、基本的に実行しないといけないのではないかと思います。
ただ、11ページの上のほうの記載はかなり具体的なことまで言及していま、すが、ここまで具体的にここに明記したほうがいいのか、と思いました。
○林座長 ほかの文章の書き方とここだけトーンが少し違うかもわかりませんね。
○八橋委員 対象が明確ではあるのですが。
○林座長 いかがでしょうか。ここだけ今までの記載とトーンが少し違うかもわかりません。
事務局、どうぞ。
○林肝炎対策推進室長 ちょっとわかりにくいのですが、最後の○で、次のページにあるチェック印の事項は、場所としては「3.具体的な研究課題」のほうに並べる課題の中に書いたらどうかということで、今、議論していただいている研究の方向性の文章にここまで載せるという事務局の提案ではございません。
○林座長 課題のほう。
○林肝炎対策推進室長 現行の「肝炎研究10カ年戦略」は、参考資料集の1ページから始まっておりますが、今、議論していただいているのは、3ページ目から始まる「2.今後の研究における方向性」の文章に何を入れるかということなのですが、確かにこれを見ていただくと非常に簡素な文章です。その後の4ページから始まる「3.具体的な研究課題」については、それぞれのテーマごとに研究課題が並んでいまして、この中にどこまで詳しく書くかということで、それでもちょっと詳し過ぎるかもしれませんが、こちらの原稿で言うと、5ページ目の「(4)行政研究」の課題が7個ぐらい挙がっていますが、この課題は「具体的な研究課題」の中に書いてはどうかという事務局の提案になっています。ただし、それでも「10カ年戦略」の中に書くには細か過ぎるということかもしれません。
○林座長 大体書いている内容はよくわかるのですが、これはちょっとトーンが違うので、ここだけかなり感じが変わってしまう。そこのところだけ工夫をしていただいたほうがいいと思います。
○林肝炎対策推進室長 わかりました。御意見を踏まえて工夫したいと思います。
○林座長 よろしゅうございますでしょうか。
次が11ページ、B型肝炎の創薬実用化研究のところでございます。論点の1番目が、記載場所を先ほどの基礎研究の後ろに移してはどうかということです。これは歴史的なことがございまして、B型肝炎創薬は後から出てまいりましたので、こういう書き方になっていますが、B肝創薬の実用化研究、かなりのところ基礎研究の領域に近いこともやっておりますので、記載場所を少し移してはどうかということでございます。
2番目に「これまでの研究で、治療薬の候補となる化合物が複数見出されているが、創薬実現には今後どのような研究を重点化する必要があるか」ということで、この辺、御意見をお伺いできればということでございます。
B型肝炎の創薬はかなりいろんな方向から研究がされておりまして、一部実際に創薬につながるような成果も出ております。ただ、それが実際のドラッグになるかどうかはまた別問題なのですけれども、今後研究を進める上で、括弧の中に一応「遺伝子編集技術の応用や核酸医薬等」ということが書いてございますが、いかがでしょうか。
○考藤委員 B型肝炎研究の結果をある程度拝見していますと、恐らく2つの流れがあるようで、一つは全く新しい新規化合物を見つけていくという方向性と、もう一つは既存の薬剤のB型肝炎に関する有効性を検証しているということ。2つがあると思うのですが、後半の部分に関して言いますと、いわゆるドラッグ・リポジショニングということになりますと、それはより臨床に近いような研究というのが望まれるでしょうし、前半の部分を進めていくためには、恐らく適切な動物モデルということが次に挙がると思いますので、そのような形でこの先を見据えた進行、進むべき方向性というのを少し別々に示したほうがいいのかもしれないと思っています。
○林座長 おっしゃるとおりではないかと思います。実際両方の成果が出てきておりますので、既に人に使われている薬剤については医師主導の臨床試験でやろうとしているグループもございますし、そこの途中のやり方は変わってくるというのは、そのとおりだと思うのです。少し書き方を考えさせていただきたいと思います。
それ以外に、ぜひこういう言葉はつけ加えるほうがいいというのがございましたら。よろしゅうございますか。
3つ目が治療薬の候補をさらに見出すために、ウイルスの生活環及びそれに関連する宿主因子の解析に関する研究が引き続き必要であるということを記載させていただいたほうがいいかということで、これも現在AMEDで行われております。従来のウイルスを直接ターゲットにする治療薬以外に、少し幅広く考えるということになりますけれども、これは現在そういう方向で進めておりますので、そのような記載をさせていただいてもいいのではないかと思っております。
B型肝炎の創薬、いかがでございましょうか。よろしゅうございましょうか。
(首肯する委員あり)
○林座長 記載をさせていただいて、またお気づきの点がございましたら、おっしゃっていただければと思います。
次は12ページでございます。ここを少しお諮りさせていただきたいのでございますが、そこに「戦略の目標」というのが書いてございます。上の括弧のところは、実はいろんな経緯がございまして、前回これを作成した時点では具体的な数字を入れてほしいということがございまして、(1)から(4)に一応戦略目標を書いております。「インターフェロン製剤投与によるB型肝炎のVR率を現状の約20~30%から約40%まで改善」「C型肝炎のSVR率を現状の50%から約60%まで改善」「非代償性肝硬変における5年生存率を現状の約25%から、B型肝炎由来では約50%、C型肝炎由来では約35%まで改善」「進行肝がんの5年生存率を現状の約25%から約40%まで改善」と書いています。
これはもう既に達成できているものもございますし、前と余り変わっていない点もございますけれども、こういう記載をさせていただいているのですが、事務局からの御提案で、今回の戦略目標については「論点」のところに書かせていただいておりますけれども、それぞれの領域ごとの代表的な研究成果について、目標をこういう。実際の患者さんの治療効果の記載なのですが、もともと「肝炎研究10カ年戦略」ということがございますので、領域ごとの代表的な研究成果について例を一応書かせていただいておりますけれども、そのような目標設定を文章で書かせていただくのをつけ加えさせていただくほうがいいのではないか。そうすると、上の数字の記載を残すか、数字はもちろん変えなければなりませんし、必要がないかどうか。最後のところのまとめ方の御意見をお伺いできればいいと思います。
まず、事務局、数字は書かなくてもよろしいのですか。数字は絶対残しておく必要があるのですか。
○横山肝炎対策推進室長補佐 今までの案としては、正直こちらのほうは残すという形で考えていたところでございますが、先生方の御議論を踏まえて検討したいと思います。
○林座長 ということで、いかがでございましょうか。
今までの書き方とここだけ従来よりも変わっておりまして、これはいろんな経緯がございまして、前回これをつくったときに、こういう形で書かざるを得なかったので書かせていただいたのですけれども。
○考藤委員 1点質問をよろしいですか。
○林座長 どうぞ。
○考藤委員 数字を明確にするというのは非常に大事なことだと思うのですが、例えば目標の数値の根拠というのはどういったところから。
○林座長 これは私がお答えしましょう。これは実は根拠はありません。はっきり申し上げて、10年後にこの数字になるだろうというのは、全然根拠のない、感覚で書いているだけに近いものでございます。根拠を見つけられないのです。10年後に治療効果が幾らになるというのは、別にデータがあるわけではありませんので、予測だけなので、根拠を求められると非常に困ってしまうということでありますが、その当時の常識的な判断で、このぐらいのところまでは行くだろうという感じのものでございまして、余り根拠はないとお考えいただいたほうがいいと思います。
どうぞ。
○八橋委員 その当時、数字の根拠はなかったと思いますが、実はかなり的中していたのではないかと私も思っています。
ただ、当時はC型肝炎でのウイルス排除も難しかったですし、B型のインターフェロン治療成績も30%という、ある程度数値目標が必要だったと思うのです。ただ、この記載だとB型肝炎の治療目標はインターフェロン治療だけ十分なのか、C型もウイルス排除という意味では100%近くなっていますので、このような記載方法を踏襲することは合わなくなっていると思います。一番の目標とは、患者さんのQOLや生命予後の改善であり、発がん抑止とか肝予備能の改善などの記載についても盛り込まれるといいのだろうなと思います。この記載については4つの切り口がありますが、その当時からは今は変わってしまっていると思います。
○林座長 それはおっしゃるとおりだと思います。
だから、研究課題のところについては文章で書かせていただくのは、実際厚労省からかなり多額の研究費が出て、現在研究は進行しておりまして、それなりの成果が出てきておりますので、それを考えながら目標の設定を書く。それは私もいいのではないかなと思っておりますけれども、そこの点はよろしゅうございますか。下の、それの課題ごとに現在、研究課題の研究は進んでおりますので、それから先を見てこのぐらいのところまで行けるだろうという研究目標の設定を書かせていただくということでよろしゅうございますでしょうか。
○泉委員 例えばB型肝炎ですと創薬だけになってしまうので、現状の目の前の。
○林座長 それを補足する意味で、上の数値のところについては大幅に文章を変えさせて。今、先生がおっしゃったように、それぞれの。この当時は同じトーンで書いているのですけれども、これは領域ごとに大幅に違いますね。進行度合いが。だから、これは領域ごとに大幅に書き方を変えさせて。数値を残すにしても、到達目標を何にするかから議論させていただいて、書かせていただいたほうがいいのではないかなという気がしています。それでよろしゅうございますか。
○泉委員 臨床目標と両方だったらいい。
○林座長 事務局で文章を書かせていただく上で、特に上の1番から4番、どういう記載がいいか、先生方の御意見をお聞きすると、恐らく事務局もそこをまとめられるときに非常に楽だと思うのです。
最初、B型です。B型は従来VR率だけで書いておりますが、現状ですと、これは明らかにおかしいですね。ここの記載で先生方、何か御意見ございましたら。
○八橋委員 おそらくB型肝炎の患者さんが希望されていることとは、感染症という視点では、HBs抗原を早く消してほしいということだと思います。HBs抗原消失率という具体的な数字を記載するのかという議論は必要ですが、HBs抗原を早く消すという治療の方向性は大事ではないかなと思います。
C型肝炎に関しては、ウイルス駆除率は劇的に良くなっています。今後は、BもCもある程度ウイルス排除とか肝炎の制御という点は実現可能となっている中で、肝予備能が改善する人、しない人、肝発がんが制御できた人と、肝がんができた人というふうに分かれるようになると思います。肝硬変、肝がんの生命予後ということが、今後の指標となり、残された問題点となる。目標とするならば、そこら辺の具体的な記載が必要ではないかと思います。
○考藤委員 私も全く同感なのですが、ウイルスのコントロールがBもCも曲がりなりにもかなりできますので、あとは病気の進展という意味で、肝硬変あるいは肝がんの進展率を抑えるという形の数字のほうがいいのかなと感じます。
○林座長 ただ、進展率というのは物すごく難しくて、実際に数字を出すのはかなり厳しいですね。だから、進展率を抑制するということについては記載ができるのですが、どの程度というのは、書くほうはちょっと書きにくいかもわかりません。
○泉委員 そうですね。進展を数値化するのはなかなか難しいと思うので、やはりHBs抗原の消失率だと、パーセントで割と目標を書けるかなとは思うのです。それでプラス創薬ということを加えて書いておくと。
○林座長 はい。
それで、ここは現在「インターフェロン製剤」になっています。これはもちろん変えないとだめですが、核酸アナログ製剤とインターフェロン製剤を核酸アナログ製剤だけでいいかどうか。インターフェロン。両方記載ですね。
○八橋委員 両方の薬を使いながら早くHBs抗原を消す。臨床的にはそれが直近の課題と思います。
○林座長 核酸アナログ製剤及びインターフェロン製剤を使って、VR率はもう省いていいですか。
○八橋委員 VR率は省いていいのではないか。むしろHBs抗原を消すことを明確化する。
○林座長 HBs抗原の減少を目指すと。
○八橋委員 はい。
○林座長 なおかつ肝硬変の進展を阻止するという記載にさせて。
○八橋委員 たとえば、自然経過でのHBs抗原の年間消失率は大体1%ぐらいですので、それを年率2~3%にアップさせる。核酸アナログ製剤とインターフェロン製剤を併用すると8%という数字も海外で報告されています。HBs抗原消失率をある設定で「何年以内に」というのは、いろんな文献からは推定はできるのではないかなと思います。
○林座長 なおかつ、新しい薬剤が出てくる可能性もありますから、それをつけ加えるとさらにその数字が上がる可能性はあるだろうということになりますので、そこはそういうニュアンスで。
HBs抗原消失率、これは10年目の目標を書けばいいですか。あと5年後の目標を書けばいいですね。5年後ですと、8%という。
○八橋委員 当院の自然経過でのHBs抗原の年間消失率は0.7%ですけれども、それより高い数字を目指すということを記載する。HBs抗原消失率をある期間を設定して「5年以内に10%とか15%を目指すなど」、いろんな薬を工夫しながらHBs抗原を早く消すという方向性は打ち出せるのではないかと思うのです。
○林座長 これは、わからなかったら、もう一遍数字だけお聞きするかもわかりませんけれども、そういうニュアンスの。
Cのほうは、SVR率は何をやろうが95%以上100%に近い数字になるので、それ以外の目標に設定しないとだめですね。逆に言うと、5年後ですと。
○八橋委員 私は、C型肝炎治療でのウイルス排除率は100%を目指さないといけない。1%でも残るということは問題と考えます。
○林座長 ウイルスの排除率については100%で、なおかつ発がん率が予後の改善まで書かせていただかないといけないだろうという気はいたしますが。
○八橋委員 いけないと思います。
○泉委員 合併症を持った患者さんでのウイルスが排除できないとか、そういう難治例があるということが一つ問題だろうと思う。非代償性と腎障害とかの合併症を持った患者さんに対しては、まだ十分に100%いけていない。
○林座長 なりませんよね。
○泉委員 はい。
○坪内委員 慢性肝炎については、現状ほぼ100%ということになっているわけですけれども、肝硬変については100%ではないので、特に非代償性の場合には現状では治療もできていない状況なので、そういったところの目標設定をどのあたりにするかというのも非常に大事だと思います。
下の論点のほうの「薬剤耐性ウイルスに効果のある治療法を開発する」というのは、100%になれば、その中に入ってしまうことになると思います。
○林座長 C型肝炎の下のところ、薬剤耐性ウイルス、先ほどから議論になっている発がん率を下げる工夫を入れておかないとだめですね。下のところは「薬剤耐性と発がん抑制の治療法を開発する」ということを書いていただくと。
上は、C型肝炎だけにするか、慢性肝炎とか肝硬変とかに分けて書くとか。これはC型肝炎で、最終的にSVR率100%を目指すと記載するということでよろしいですか。分けて書いたほうがいいですか。
○八橋委員 「目指す」というか「目標数値」として100%は高すぎると言われると、ご指摘のとおりですが、基本は目指すべきではないかなと思います。
○林座長 泉先生、いかがですか。
○泉委員 100%と書かれてしまうと、既に難しくなっている難治例が結構ある中で、100%は達成できない可能性が十分あるのではないかと思うので、余りできない目標を書いてしまうと。
○林座長 95から100。
○八橋委員 95から100にする。
○林座長 それで、肝発がんへの進展を予防すると。
どうぞ。
○林肝炎対策推進室長 今、議論されているイメージの母数は何でしょうか。C型肝炎の慢性肝炎を想定されていますでしょうか。
○林座長 これはC型肝炎ですと、慢性肝炎と肝硬変。
○林肝炎対策推進室長 肝硬変の代償性ぐらいまでを念頭に置いていると理解すればよいでしょうか。
○林座長 それと、肝がんが起こって、肝がん治療後ですが、それは肝硬変に含めてもいいと思いますので、非代償性肝硬変はまだ適用が通っていないのですけれども、ただ、先ほどからそれを含める議論をしているので、そこの書き方を「肝硬変」と書くか、「代償性」と書くかというところだと思います。5年後ですね。
○林肝炎対策推進室長 5年後ですね。
○泉委員 やはりこれは分けて書いておいたほうがいい。慢性肝炎から代償性肝硬変は95~100%ウイルス駆除を目指して、肝発がんの抑止を目指す。非代償性については、今後新たな治療法開発を目指すと。
○林肝炎対策推進室長 そうですね。
○林座長 分けて書く。実際に保険適用が通っていませんので、それを書く。
3番目に非代償性肝硬変における5年生存率を書いているのですが、これはどうしましょう。このときは慢性肝炎の上の2つで、それとは別立てで肝硬変を書いています。ただ、今回C型は代償性の肝硬変まで抗ウイルス剤で治療されているので、先ほどの2の書き方だと、3のところをどうするかというのはいかがですか。
○八橋委員 実は肝がんのデータはたくさんあるのですけれども、肝硬変の生存率のデータがないのですね。
○林座長 出ていないです。
○八橋委員 私、身体障害者手帳の基準の検討会の時に既存のデータがなくて苦労しました。当院でデータを取り直したのですが、それによるとChild Aの3年生存率は90~95%、ChildBが70%、ChildCが30%でした。その数字を持って身体障害者手帳の基準の改定に臨んだのですけれども、日本で肝硬変患者の生命予後のデータを把握しておかないと、今後、肝硬変患者のいろいろな施策をする上で困ると思います。
今は明確に書けないと思いますが、肝硬変患者の生命予後の問題は、肝がんの有無を区別した上で、またB型肝炎、C型肝炎、non-B/non-Cでも予後が異なりますので、原因別の検討、病態ごとの肝硬変患者の生存率のデータを日本で明確に把握しておくことが大切と思います。
ただ、ここに具体的な目標数値を書けるかどうかというのは別問題で、問題提起としてその数字を押さえておく必要があると思います。
○林座長 どうぞ。
○林肝炎対策推進室長 今ので、10ページの疫学研究の論点の2つ目の○に、内容としては、ここのところに「肝硬変の罹患者数や重症度別の予後等(非代償性肝硬変の5年生存率等)の全国規模でのデータを把握する方法の研究を行うことを追記してはどうか」という提案をさせていただいていますので、そういう研究を進めたいという認識は持っております。
なぜかといいますと、今の「10カ年戦略」の目標値になっているわけですが、御指摘のとおり数字がなくて苦慮しておりますので、一方で、政策的にもこういったものを目標として掲げておりますので。
○林座長 だから、それらの研究をやっていただいてここを書くのですが、ただ、前の文章では「5年生存率」と書かせていただいているのですが、これもそのとき少し議論があって、何らかの目標数値を示せということなので、5年生存率を書いた記憶があるのですけれども、これは書くにしても5年生存率でいいですかね。
○八橋委員 Child Cでは5年以内に多くの方が亡くなってしまうので、5年生存率は計算できない。
○泉委員 できないですね。
○八橋委員 せいぜい3年生存率までです。
もちろん、B型肝炎では、核酸アナログ治療で、Child B、CからAまで改善する人はいますが、改善すると予後が良くなります。
○林座長 Bはちょっと違いますね。
○八橋委員 C型肝炎では、ChildBとCの肝硬変患者ではDAAが承認されていませんので、現時点ではDAA導入前のデータはあると思うのです。
ただ、今後DAAが非代償性肝硬変患者に導入された場合に、全般的には肝予備能が改善することが期待されますが、改善しない例もいることが海外では確認されています。全ての方がウイルスを排除されても肝予備能がよくならないということがわかっていますので、この点も今後しっかり前向き研究として押さえておくことはすごく大事ではないかなと思います。
○林座長 ただ、書くときに、5年生存率にかわる数値目標、何か目標を書かないとここの文章が成立しなくなるので、生存率ではいいかもわかりません。
○八橋委員 数字だったら、3年までしか出せないのではないかと思うのですね。ただ、現時点で参考となる数字は、山梨大学と当院のデータぐらいしかないのではないかと思います。
○林座長 ちょっとこれは置いて、次は4番目、肝がんのほうの記載はどうしましょう。これもこのときわからなくて、「5年生存率」と書いたのですけれども。これは3、4両方ともリンクをしておりますので、1、2と3、4、ちょっと記載を。やり方が文章上、大きく変わりますけれども。
○泉委員 肝がんについてのほうが5年生存率は出しやすいですね。がんセンターのデータなどもありますので。ただ、これから高齢化してくるので、生存率になってしまうと、ほかの病気でもそれが。目標に「生存率」と書いてしまっていいかなと思いますけれども。
○林座長 これは簡単な。もちろん、肝疾患に由来する生存率なのですけれども。
○泉委員 がんセンターの統計でも何で亡くなったかという分類はできないですね。
○林座長 できないですね。
もう思い切って「生存率」の記載はやめますか。という手もあると思うのですけれども。
○林肝炎対策推進室長 参考までに、肝炎基本指針の改正のときには、肝炎政策全体の目標は、ウイルス性の肝硬変、肝がんに移行する方を減らすということを目標にさせていただいて、数字的には、全国データとしては、肝がんになられる方の率はデータとして把握できるので、肝がん罹患率を下げるということを数値目標にさせていただきました。それが一つの参考になると思います。
○林座長 もともとこれは「肝炎研究10カ年戦略」とうたっていながら、実はここの目標のところは治療目標になって、はっきり言ってそこも矛盾があることはあります。
肝がんについて、先ほどの肝炎から肝がんへの移行を減らすことを目標にするというような書き方に変えるならば、それは逆に言うとデータがとれるかもわかりませんね。
○八橋委員 発がん率を。
○林座長 発がん率を。肝炎をベースにしてやりますので、一応この文章、横へ行ったら全然違う話になるので、それは肝炎から肝がんへの発がん率を減らすという書き方にさせていただくと、我々も具体的な数字を出しやすいし、やることも非常に明確になってきますね。それでよろしいですか。
(首肯する委員あり)
○林座長 問題は肝硬変のほうですね。肝硬変のほうは、ウイルスの排除を目指しますし、肝がんへの移行も阻止しなければならないので。ここは生命予後ですね。「生命予後」という書き方にしましょうか。「生命予後の改善を目指していく」と。
○八橋委員 生命予後とQOLの改善。
○林座長 QOLかな。
そのほうが、数字の目標の設定を書けといっても、ある程度書けるかもわからない。
○泉委員 そうですね。
○林座長 事務局、よろしいですか。
ただ、数値目標を本当に。
○八橋委員 方向性は出せる。
○林座長 前回でも論文とか実際の数値があって、この目標の設定を書いたわけではないので、現在想定されている数字からどのぐらい上乗せ効果が出てくるかというのを5年後に勘案して、その数字を書くならばその数字を書かせていただくというぐらいのことしかできないかもわからないのですけれども。それも仕方がないと思いますので、それはそれでお許しをいただくということにさせていただくということで、書き方のところはそういうふうに変えさせていただいてもよろしゅうございますか。よろしいでございましょうか。
それで、ちょっと文章を書いていただいたら、次回直しますので。
事務局、よろしいですか。事務局に難題を振るみたいですけれども。
○横山肝炎対策推進室長補佐 事務局ですけれども、当初、一番最初に戦略目標の議論に入るときに林座長のほうから、事務局案としては、まず研究の成果として何か目標設定をしてはどうかということを一つ議論してはどうかということと、もう一つとしては、今、現行の戦略目標が4つありますけれども、その辺の数値とどういうものを指標にするのか、また、その数値はどうなのかというところを御検討いただきたいなという形で提案させていただいていたのですが、先ほどの御議論をお伺いしますと、研究成果に関する目標設定というのが少し見えてこなかったものでございますので、そちらのほうの議論としてはいかがかなと。
○林座長 下は今からやらせていただきます。
上のところを残すと仮定して、今、上の議論をさせていただいたのですが、そこはそれでよろしゅうございますか。
下は今からやらせていただきます。
○横山肝炎対策推進室長補佐 あ、今からですか。失礼しました。
○林座長 上は、そういうニュアンスでちょっと振らせていただきつつ、数字等の根拠がちょっと難しいかもわからないのですけれども。
今、お話の3なのですけれども、下に4つのタイトルごとに、こちらは研究のほうの話だとお考えいただいたらいいと思うのですが、B型肝炎のほうは「創薬研究の推進により新規治療薬を開発し、臨床試験に導入する」となっています。
Cのほうは「薬剤耐性ウイルスに対する効果のある治療法を開発する」。これはちょっと変えないとだめだと思います。
肝硬変は「新規の根治」。先ほどもあったように、根治は難しいので、「新規の治療法を開発し、臨床を目指す」。
「肝がんの発症、再発を予防する治療法を開発する」ということを書いていただいています。ここはいかがでしょうか。
B型肝炎は、これ以外に何かつけ加えること。先ほど言ったもう少し具体的なことをつけ加えたら。
○泉委員 HBs抗原の消失率ということを入れて、創薬研究だけだと、all or noneになってしまうので、ある程度達成できることも一つ入れておいたほうが。
○林座長 先ほどのs抗原のこともあるのですが、ここの目標を新薬以外に、B型の肝がんの死亡率を減らせますか。全然びくともしないやつを。
○八橋委員 B型の肝がんの発生数は、この10年間変化していません。
○考藤委員 B型とC型と肝がんの場合、大分違いますので、B型肝炎のほうも、この書き方だと、抗ウイルス治療ということが前面に出ていますので、発がんを視野に入れたような記載が必要なのではないかと思うのですが。そこに研究をするという意味を込めて。
○林座長 事務局のほうが苦心されているのは私もよくわかりまして、これをもとに研究費のいろんな交渉事も当然出てくるので、目標の設定を明確にしておくということも非常に重要だというのは私も十分によく理解できるので、事務局のほうがこういう原案をつくられているのは私もよく理解できるのですけれども。
前のところに、先ほど先生方の御意見をお聞きして、文章をずっと入れていきますので、ここのところの目標は、余りいろんな項目を入れてもだめだとは思うのですが、創薬以外にもう一言入れたほうがいいというのは、私もそのような気がするので、その一言、何の項目を入れるかというところだと思うのです。
「新規治療法の開発」以外にもう一つ何か。それは上のほうでB型肝炎のところに書くから、もういいとするかどうか。上のほうの文章は書きかえますので、上の括弧の中のB型の項目は文章が変わりますので、下の研究のところを。
B型の発がん予防ができますか。
○泉委員 これまでは難しかったわけですけれども、だけど、今、発がんする年齢がかなり上がってきているので、少し発がん率が減る可能性はあると思うのです。
○林座長 どうぞ。
○八橋委員 下の臨床研究で4つありますが、基本創薬のことと、あと最後に治療法についての記述ですけれども、臨床試験とか治療法、臨床応用と微妙に表現が異なるようになっています。今後の進捗状況を反映させて、治療法の開発、ここまで行けそうかと目途を持って書かれてあると理解したのですが。
○林座長 そうです。
○八橋委員 臨床試験を行うと臨床研究と言えますが、ここまでは基礎研究、ここからが臨床研究というよりも、各領域の創薬主体の研究という表現であれば理解できるのですが、これ全てを全部臨床研究と言われると、ちょっとどうかな。
○林座長 もちろん、そういうことではないです。
○八橋委員 ではないですね。
○林座長 前のところは文章を書かせていただきますので、これはあくまでも最後の簡潔な目標の設定をするところを書くだけのことなので、B型肝炎全体の今、進んでいる研究の進捗状況を見ながら、創薬になりそうな薬剤もありますので、臨床試験まで導入するという目標の設定を書いたというのはよくわかります。
○泉委員 でも、最終的にはB型肝炎からの発がん患者数を減らすということなのではないかと思うのです。できるかどうかというのはかなり厳しいのですけれども。
○林座長 先ほどは上のところにそれを書かせていただいて、ここのところはこれだけにとどめておく。
○泉委員 そうですね。
○林座長 恐らくC型の薬剤耐性ウイルスの治療法を開発するだけではだめですね。先ほどの発がん予防法も開発すると。開発でいいですか。
○泉委員 発がんの予知、そして予防の開発をすると。
○林座長 発がん予防。
○泉委員 再発を含めた発がんの予知、予防を開発すると。
○林座長 それをつけ加えさせていただくということにさせて。
○坪内委員 それは肝がんのところに全くダブってしまうのではないかと思うのです。
○林座長 そうか。
だから、先ほどのB型もC型も発がん予防のところは、肝がんのところの発がんも含めさせていただくということで、上のところはそのまま残させていただくと。
○八橋委員 そこは臨床研究というより創薬研究ということであれば理解できます。
○坪内委員 ただ、タイトルとしては臨床研究になっていますね。
○林座長 それなら、肝硬変でもよろしいですか。「根治」は抜きますが、新規の治療法を開発し、臨床を目指す。
○泉委員 可能な範囲。
○林座長 これはあり得ることだと思いますけれども。
基礎研究は「各領域での臨床応用に資する成果の獲得を目指す」。少し一般論ですが。
疫学研究のところは「肝炎総合対策に係る施策の企画、立案に資する成果の獲得を目指す」ということになります。
行政研究は「肝炎ウイルス検査体制、陽性者フォローアップ体制」。これだけ少し具体的なのですけれども。
ここのまとめ、一般論で書いていただいたほうがいいかもわからないですね。これはトーンがまたがらっと変わってしまうので。こういうことを目指してやるのですが、ここはむしろ変えていただいたほうがいいのではないかと思います。
ということで、一応事務局で御検討いただく。
全体を通じて何かお気づきの点がございましたら。
臨床研究、基礎研究、疫学研究、行政研究。
2番目が今後の研究における方向性。4番目が戦略の目標ということで、前回の文章で4年以上過ぎましたが、大きく変わってきておりますので、そこを大幅に変えさせていただくということになります。これでよろしゅうございますでしょうか。
それで文章を事務局のほうで作成いただきますので、また御指摘を賜れればと思います。
事務局、この件についてはこれでよろしゅうございますか。ちょっといろいろ難題を振っておりますけれども。
○林肝炎対策推進室長 難しい課題が幾つかありますが、また先生方に御意見を伺いながら事務局案をつくって、次回の会議に提示したいと思いますので、よろしくお願いします。
○林座長 どうぞ。
○坪内委員 先ほどから議論のあるところなのですけれども、臨床研究と基礎研究に大きく分かれているわけですが、橋渡し研究、トランスレーショナルリサーチみたいなものもあったり、そこのあたりの整理がついていないです。純然たる基礎研究、純然たる臨床研究に加えて、肝炎の「10カ年戦略」では、その間に創薬研究、トランスレーショナルリサーチを入れて、そういった項目をくくると、整理がすっきりするような気がします。大幅に新しいものを追加するということでなくて。
最終的な戦略の目標なども、治療法の確立とかになっていて、それは現在の臨床研究だけではなかなか到達できないレベルで、基礎研究を生かしたトランスレーショナルリサーチ、その中の一部には、5年でそこまで行けるかどうかわかりませんけれども、臨床試験が実施できるという目標に到達できれば非常にいいと思います。コメントです。
○林座長 先生おっしゃるように、臨床研究目標と実際の研究は非常にリンクしていますので、明確に分けられないところはかなり多くございますが、薬の創薬については、おっしゃるとおりいっぱいございますので、そこの記載がどちらに入るかということで、複雑なことになっています。
ほかよろしゅうございましょうか。
それでは、2番目、事務局のほうから何か御報告がございますでしょうか。
○林肝炎対策推進室長 どうもありがとうございました。
「(2)その他」の議題として1点御報告をさせていただきたいと思います。核酸アナログ製剤の治療費助成の手続の関係でございます。参考資料6につけております。参考資料集の39ページ以下をお開きいただければと思います。概要資料を42ページにつけておりますので、こちらをごらんいただきながらと思います。前回、昨年の8月でしたか、開かせていただきました第15回の治療戦略会議の際に、核酸アナログ製剤の治療費助成を受けておられる患者さんの更新の手続について、毎年度継続して受けられる方も毎年度更新の手続が必要になってまいりますが、更新の手続の際の診断書を簡素化する方向で検討したいということを事務局のほうから御説明いたしまして、御了承いただいていたところでございます。
具体的に手続を検討しまして、今年度の4月から、この資料に書いてございますように簡素化を実現しております。診断書の場合は、左下にありますように、ちょっと小さい字で見えませんが、要は、この様式例にあるような診断書を記載していただいたわけですけれども、右側の「新設」というところに書いてありますように、診断書の代わりに直近の検査内容、血液検査等の内容がわかる資料と、あとは受けている治療内容がわかる資料ということで、お薬手帳の写しなど、このセットで更新ができるような手続を認めておりますので、御報告をしたいと思います。
その関連の取り扱いの通知の新旧対照表をつけていますのがその前の39ページ、40ページ、41ページですので、御参照いただければと思います。
以上、事務局からの御報告でございます。
○林座長 ありがとうございました。
よろしゅうございますでしょうか。これは以前から御要望のあったことでございますので、お認めいただいてよかったのではないかと思います。よろしゅうございますか。どうぞ。
○八橋委員 今まで診断書を作成するためには患者さんが病院に行かないといけないということで、この負担を軽減する点では、そこプロセスが省略されますので、そこはメリットだと思うのです。しかし、審査する立場からすると、申請資料が断片化していること、必要な血液検査所見が必ずしも網羅されていない場合もあるので、申請資料を出されても、その内容をチェックして、必須項目が書かれてあるかどうかというところまで審査するかしないか今、長崎県でも議論しているところです。ですので、今回手続きが簡便化されたところもあるのですが、審査する上で、現場では少し混乱があるというのも御理解いただきたいと思います。
ただ、私は現状に合わせて簡便化のほうに持っていきたいと思っています。
○林肝炎対策推進室長 ありがとうございました。そういった声なども踏まえながら、また運用していきたいと思います。
ありがとうございます。
○林座長 それ以外、よろしゅうございますでしょうか。
それでは、本日は長時間にわたり御討議いただきまして、ありがとうございました。次回、これをまたまとめたものを御審議いただきますが、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
どうもありがとうございました。
○林肝炎対策推進室長 先生、言い忘れました。
次回の日時は8月22日の月曜日を予定しておりますので、よろしくお願いしたいと思います。今、御紹介いただきましたように、今日ただいた議論を踏まえて、「10カ年戦略」の事務局案を提示できればと考えておりますので、御協力いただければと思います。
○横山肝炎対策推進室長補佐 それでは、ありがとうございました。
<本件に関するお問い合わせ先>
健康局がん・疾病対策課肝炎対策推進室
高橋 代表電話:03-5253-1111(内線:2948) |
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