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2016年2月24日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録

○日時

平成28年2月24日(水)17:00~


○場所

厚生労働省専用第22会議室


○出席者

出席委員(14名)五十音順

奥 田 晴 宏、 加 藤 総 夫  神 田 敏 子、 佐 藤 雄一郎、
杉     薫、 鈴 木 邦 彦、 内 藤 幹 彦、 野 田 光 彦、 
林   邦 彦、 平 安 良 雄、 古 川   漸、◎松 井   陽、
○松 木 則 夫、 山 田 清 文
(注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(7名)

金 子 明 寛、 川 上 純 一、 木 村   剛、 武 田 正 之、
平 石 秀 幸、 増 井   徹、 村 田 美 穂 

行政機関出席者

中 垣 英 明 (医薬・生活衛生局長)
森   和 彦 (大臣官房審議官)
山 田 雅 信 (審査管理課長)
宇 津   忍 (安全対策課長)
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
俵 木 登美子 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)

○議事

○審査管理課長 それでは、定刻になりましたので、「薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会」を開催させていただきます。本日は遅い時間にもかかわらず、お忙しい中御参集いただきましてありがとうございます。

 本日の委員の出席についてですが、金子委員、川上委員、木村委員、武田委員、平石委員、増井委員、村田委員より御欠席との御連絡を頂いております。また、加藤委員、野田委員がまだお見えでないようですが、現在のところ当部会委員数21名のうち12名の委員の御出席を頂いておりますので、定足数に達しておりますことを御報告申し上げます。

 それでは松井部会長、以後の進行をよろしくお願いいたします。

○松井部会長 それでは、本日の審議に入ります。まず、事務局から配布資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告をしてください。

○事務局 それでは、資料の確認をさせていただきます。本日、席上に議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配布しております。議事次第に記載されている資料1~14をあらかじめ配布しております。このほか、当日配布資料として資料1-2「サインバルタカプセル20mg及び同カプセル30mgに係る部会後の対応について」、資料1-2参考資料「サインバルタカプセル20mg、同カプセル30mg(慢性腰痛症に伴う疼痛)参考資料」、資料15「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料16「専門委員リスト」、資料17「競合品目・競合企業リスト」を配布しております。

 続いて、本日の審議事項に係る「競合品目・競合企業リスト」、資料17について御報告します。各品目の競合品目選定理由については次のとおりです。

 まず、資料17の1ページ、サインバルタですが、本品目は慢性腰痛症を予定の効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 続いて2ページ、サブリルですが、本品目は点頭てんかんを予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 3ページ、シクレストですが、本品目は統合失調症を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 4ページ、フィコンパ錠ですが、本品目は他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作、強直間代発作に対する抗てんかん薬との併用療法を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 5ページ、カヌマ点滴静注液ですが、本品目はライソゾーム酸性リパーゼ欠損症を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。

 6ページ、マーデュオックス軟膏ですが、本品目は尋常性乾癬を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 7ページ、プロイメンド点滴静注用ですが、本品目は抗悪性腫瘍剤投与に伴う消化器症状を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤は有りませんでしたので、競合品目はなしとしております。

 8ページ、fampridineですが、本品目は多発性硬化症の歩行改善を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。

 9ページ、STM-279ですが、本品目はアデノシンデアミナーゼ(ADA)欠損症を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。

 最後に10ページ、インスリングラルギンBS注100単位ですが、本品目はインスリン療法が適応となる糖尿病を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。 以上です。

○松井部会長 ただいまの事務局の説明に特段の御意見はありませんか。それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、委員の皆さんからの了解を得たものとします。

 次に委員からの申出状況について報告してください。

○事務局 各委員からの申出状況については、次のとおりです。まず議題1のサインバルタですが、退席委員はなし、議決には参加しない委員は杉委員、野田委員、平安委員です。

 議題2のサブリルですが、退席委員はなし、議決には参加しない委員は杉委員、野田委員、平安委員、山田委員です。

 議題3のシクレストですが、退席委員はなし、議決には参加しない委員は杉委員、平安委員です。

 議題4のフィコンパ錠ですが、退席委員はなし、議決には参加しない委員は野田委員、平安委員、山田委員です。

 議題5のカヌマですが、退席委員はなし、議決には参加しない委員もなしです。

 議題6のマーデュオックス軟膏ですが、退席委員はなし、議決には参加しない委員は平安委員です。

 議題7のプロイメンドですが、退席委員、議決には参加しない委員、共になしです。

 議題8のfampridine、議題9のSTM-279も退席委員、議決には参加しない委員、共になしです。

 最後に議題10のインスリンですが、退席委員はなし、議決には参加しない委員は杉委員です。以上です。

○松井部会長 ありがとうございます。何か御質問、御意見はありますか。よろしいでしょうか。では、この点についても御了解を得たものとします。

 本日は審議事項が10議題、報告事項が4議題となっております。早速、審議事項の議題1に移ります。まず、議題1については若干、私から御説明しようと思います。これは御承知のように医薬品サインバルタカプセル20mg及び同カプセル30mgに関することですが、前回の部会で委員の先生方からの多数の御意見、御指摘を受け、一応、委員の皆さんの御意向を確かめる意味で、御意見を挙手によって伺ったわけですが、7対2ということで、2名の反対の委員の先生方がおられたわけです。この会は基本的には全会一致で分科会に送ることを旨としております。また新たに追加資料も出てきておりますので、改めて審議をすることにいたしました。

 それでは事務局から、概要を再度、説明してください。

○審査管理課長 審査管理課長です。ただいま、松井部会長から御説明がありましたように、前回の部会において多くの委員の先生方からの御懸念を受け、御意見を頂きまして、今回、新たに資料を作成しております。今の御説明のように本部会の議決については、全会一致を慣例としておりますので、今回新たに追加資料として提出させていただいたものを含め、改めて本議題について審議を頂きたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

○事務局 それでは、サインバルタカプセルについて、御説明します。資料が2つあります。当日配布と書かれた資料1-2と、資料1-2参考資料の2つを御準備ください。資料1-2にありますが、前回の部会での御指摘を踏まえ、慢性腰痛症に伴う疼痛に対する承認後の安全対策について、再度申請者と協議して、こちらの資料1-2として、整理しましたので、まずはこちらから御覧ください。

 前回の部会で頂いた御指摘ですが、資料1-2の2.にあるとおり、 丸1 丸5 について大別させていただきました。順に説明させていただきます。まず 丸1 の自殺及び敵意・攻撃性関連の有害事象に関する注意喚起ですが、3.の 丸1 を御覧ください。前回の部会で御指摘いただいたとおり、抗うつ薬は自殺等の有害事象について、潜在的なリスクを有することから、こちらの参考資料としてつづった4種類の資材を作成し、慢性腰痛症の承認後は、こちらに書かれてある対策を実施することによって、自殺等の有害事象に対する一層の注意喚起を行うこととしています。

 それでは、資料が飛んで恐縮ですが、こちらの参考資料のほうを御覧ください。タグが四つほどありますが、まずは一つ目のタグの添付文書を御覧ください。〈効能・効果に関連する使用上の注意〉の5.として、疼痛に対して本剤を投与する場合は自殺等のリスクをきちんと考慮していただいて、本剤の投与の適否を慎重に判断してくださいという旨を追記しました。なお、本剤のみならず、抗うつ薬全てに対し、過去に自殺等のリスクについて検討しており、効能関連の使用上の注意の1.や2.又は重要な基本的注意の()()を抗うつ薬共通の注意喚起の記載とするように、既に整理しているところです。

 二つ目のタグ、リーフレットを御覧ください。慢性腰痛症での使用に係る全ての医療従事者を対象に、使用に対して注意すべき精神症状の変化等を説明するための注意喚起文書を新たに用意しました。

 三つ目のタグ、市販直後調査の依頼状を御覧ください。こちらも慢性腰痛症の処方医全てを対象に、MRが訪問した上で、添付文書でも記載があった効能関連の使用上の注意の5.について説明しており、また、長期的な使用等の注意喚起を行うこととしております。

 MRが市販直後調査の依頼を処方医に対して行って、処方医がその内容についてきちんと理解することをもって、御署名を頂くことを考えております。

 最後に参考資料の4.医療従事者向けのパンフレットです。先ほどの添付文書の話や自殺等のリスクがある旨、精神症状のリスクがあるので、必要に応じて精神科の先生に御相談くださいという記載もさせていただいております。

 それでは再び、また資料1-2に戻って、2ページを御覧ください。いろいろな登場人物が出てきますので、どういった情報提供体制になるかというところを図でまとめました。()()までありますが、まずMRが慢性腰痛症の処方医に対して、先ほどのリーフレットやパンフレット等、また、市販直後調査の依頼状等を持って、きちんと御説明に行って、自殺等のリスクがある旨を御説明して、処方医がそれに対して理解したら、そこで署名を頂くという形を取っております。以上が()です。

 次は()として、その署名を行うことによって慢性腰痛症の処方医は、サインバルタの処方を開始するという流れになっています。また、こういった自殺等のリスクとして、精神症状等有害事象が出るということなので、MRは別途、心療内科医も含む精神科医に対して、先ほどのリーフレットやパンフレットを用いて、本剤が慢性腰痛症の治療薬として承認された旨、こういった自殺等の副作用のリスクがある旨、また、処方医から精神科医に対して相談がある旨を情報提供するということを考えております。そして、併せて薬剤師に対しても同じように情報提供することを考えております。慢性腰痛症の処方医は、こういった副作用等が認められた場合は、慢性腰痛症の処方医からも、精神科医の先生に御相談をしていただくとともに、()の下にMRから出ている矢印がありますが、慢性腰痛症の処方医と精神科医の連携を図るべく、メーカーからも合同セミナーの開催を支援するという旨も頂いております。そして()として医師や薬剤師から患者やその家族に対し御説明すべく、患者向けガイドを用いた説明を行うとともに、最後に()として、患者や処方医また薬剤師からの御相談に対してコールセンターやMR等で常時、相談を受ける体制を整えているところです。

 2ページ目の一番下にあるとおり、メーカーからももちろん、全ての医療従事者に情報提供する予定ですが、漏れがあっては困るので、我々のほうからも承認と同時に都道府県経由で通知を出して、薬局等も含め全ての医療機関に周知していただく流れになっています。

 3ページ目を御覧ください。前回の部会でも御指摘いただいた、今、投与されている人数はどれぐらいなのかというところですが、こちらに表があるとおり、うつ病については年間約55万人程度で、それ以外の疼痛については年間約10万人弱という程度なので、合計65万人弱に処方されているところです。その下にポツがありますが、年間60万人程度、処方されているところで、この薬は2010年に承認されてから既に6年がたちますが、6年間の累計で自殺関連の副作用は64件、敵意・攻撃性関連の副作用は282件の報告がされているところです。慢性腰痛症に係る疼痛で承認されたら、どのように投与者数が増えていくかというところですが、その上にあります、あくまでもメーカーの試算ですが、2ページ目にあるようなスキームをきちんとやっていただいて、医師も添付文書をきちんと守って、慎重に投与を判断していただくことを行うことによって、2016年は約6万人、2017年は12万人と順々に増やしていくことを推計しております。

 次のポツは、コールセンター等がパンクしないかどうかというところですが、最初のうつ病の承認のときに、最大で1か月に約550件の問合せがあったということですが、それの仮に2倍規模の問合せがあっても対応可能な体制を準備しているところで、それを更に超えるようなことがあったとしても、増員等を行うことができると、メーカーから聞いております。 

 続いて、漫然と投与すべきではないという旨ですが、こちらについても新たに添付文書に記載させていただきました。参考資料の一つ目のタグをめくっていただき、添付文書の2ページ目を御覧ください。重要な基本的注意の(10)に新たに記載させていただき、漫然と投与しない旨を注意喚起する予定です。

 資料を往復して恐縮ですが、また資料1-2の3ページ目に戻ってください。 丸3 の処方医を限定する必要性ですが、この薬は既にうつ病等で承認されており、既に市場にある状態ですので、処方医を限定することはなかなか難しいのですが、 丸1 で申し上げた資材等を用いた注意喚起等を全ての処方医に対しても実施することによって、患者への投与数を爆発的に増やさないことを、目論んでいるところです。また、先ほどのスキームで申し上げましたが、市販直後調査の依頼状の署名を持って、処方を開始することを考えておりますので、爆発的に増やさないことに対して、十分な対策を行っていきたいと思っております。

 4ページ目の一番上ですが、これは審査の中で添付文書に効能関連の使用上の注意ということで、記載させていただいたものです。要するに、腰痛には急性と慢性と二つありますが、きちんと最新の診断基準を用いて、慢性腰痛症と診断された患者にのみ、本剤の投与を考慮するという旨も記載しております。

 続いて、NSAIDsとの併用についての御意見ですが、また資料が飛んで恐縮ですが、資料1-2の参考資料の四つ目のタグをめくっていただき、後ろから2枚目の資料の17ページと18ページを御覧ください。添付文書のほうには、NSAIDsとの併用により、出血のリスクが高まるという旨の記載は既にあったところですが、こちらのほうにNSAIDsの併用ありなしの長期投与試験の結果も併せて記載しております。また、出血傾向と併せて、神経系の有害事象についても、NSAIDsとの併用ありなしについて長期投与試験のデータを記載させていただいております。具体的な有害事象の表を18ページ目に記載しております。

 最後の丸5本剤の医療上の必要性です。これは既に慢性腰痛症の薬としては、NSAIDs、アセトアミノフェンやオピオイドといった薬が承認されております。ただ、それぞれで一長一短があり、NSAIDsについては先ほど申し上げた出血傾向や心血管系の副作用、アセトアミノフェンについては肝障害、オピオイドでは麻薬ですので乱用性等の問題があるので、これらの薬が必ずしも使われるとは限らない患者さんもいらっしゃるのではないかと考えております。次のポツの慢性腰痛症については、中枢性感作による神経障害性疼痛に移行することが明らかにされつつありますので、こういった中枢神経系に作用する薬も必要ではないかと考えております。

 以上の適正使用や安全対策がきちんと守られることが前提ですが、そうであれば、こういった薬はやはり市場として必要ではないかと考えております。長くなって恐縮ですが、説明は以上です。

○松井部会長 ありがとうございます。以上の点について、これから討論をしていただきますが、余り討論が散漫にならないように、まずは前回の部会での指摘のうち、一番重要なのは、自殺及び敵意・攻撃性関連の有害事象に対する注意喚起が十分であるか否かということではないかと思うので、この点について委員の先生方から御意見を頂戴したいと思いますが、いかがでしょうか。

○佐藤委員 注意喚起そのものではないのですが、今回の追加資料で全ての処方医に対して、市販直後調査に協力してもらうように署名をもらうことが載っていました。前回と同じ資料だと思いますが、お送りいただいた資料1-1では、市販直後調査は500例について行うという記載があったかと思うのですが、これは全例調査に変えると理解してよろしいのでしょうか。

○松井部会長 いかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えさせていただきます。審査報告書の33ページを御覧ください。下のほうに表29として特定使用成績調査の計画の骨子があり、こちらでは500例と書かせていただきましたが、これは市販直後調査ではなく、別に行う製造販売後調査であり、市販直後調査は効能追加後6か月間新しい効能に対して本剤を使用する全施設を訪問して、有害事象の発現を調査するというものです。こちらの特定使用成績調査は、52週間の長期投与時の安全性などを確認するもので、別々に行う調査となっております。

○佐藤委員 分かりました。ありがとうございました。

○松井部会長 よろしいですか。ほかに何か、この1番目の点についてありませんか。

○佐藤委員 この点については以上です。

○鈴木委員 前回かなり意見が出ましたので、それを受けて改めて資料を追加して、今回皆さんの同意を取って全員一致すれば承認するという、通常のやり方を採るということであれば、それでよろしいと思いますし、かなり対応が進んでいるので、内容的にもよろしいのではないかと思います。

○松井部会長 ありがとうございます。ほかの委員の先生方から何か1番目の点についてありませんか。

○内藤委員 先月の会議のときに私が一番気になったのは、適応拡大によって、処方される患者さんの数が急激に増えれば、いろいろな有害事象が目立って見えてくる危険性があるということで、いろいろなことを申し上げました。今回、実際に既に投与されている患者さんはうつ病が約55万人で、全体では既に60数万人であることを数字として出していただきました。それから、いろいろな対策を講じた上で慢性腰痛症に伴う疼痛に対して処方される患者さんの数は、数万人から年々増えていって、3年ぐらいすると30万人になると。でも、結局、既にうつ病で処方されている患者さんの数と比べて、特別多くの患者さんに急激に処方されるわけではないという見込みが数字によって明確に示されました。そういう意味では安全対策の効果がある程度、目に見えた形で期待できるのかなと判断いたします。

 この件に限った話ではないのですが、今回の薬のように、適応拡大が審議される場合には、臨床試験だけではなくて、既に実臨床で使われている実績がありますので、その使用状況について、今回のように参考資料として、そのデータを活用するようなことを積極的にしていけばいいのではないかと思います。もちろん臨床試験は数百例や千例ぐらいをきちんと審査されるわけですが、それに対して市販後にやっている調査などは、臨床試験とは目的も違いますし、それから精度や正確性などでも全然違うものだと思いますので、単純な比較はできないことはもちろん分かります。それでも数百例からせいぜい千例ぐらいの臨床試験に対して、実臨床では数十万人という使用実績がありますので、そういう多数の患者さんに対する実績というのは、やはり非常に大きな情報になると思います。こういう情報を積極的に活用していくことを、考えられてはいかがかと提案させていただきます。以上です。

○医薬品医療機器総合機構 御意見ありがとうございます。今後、審査する品目では、今、頂いた御意見を踏まえ、審査報告書などを作成したいと思います。

○松井部会長 戻りまして、第1の点について、ほかにありますか。

○平安委員 精神科医の立場から少し懸念を申し上げたいと思います。やはり、臨床試験の場合は比較的健康と言っては失礼ですが、腰痛はあるが、その他の合併症等々は、当然除外されている方が入ってこられると思います。それから、既に服用されている患者さんの9割近くがうつ状態の患者さんですので、精神科医が比較的評価をした上で、しかもこういった抗うつ薬に関しては、かなり精神科領域でも啓発が進んでいますので、副作用等々あるいは急激な変化に対して、十分にモニタリングをしながら、増量していくことが比較的なされているかと思うのですね。

 ですから、今回のように腰痛症という非常に一般的な疾患で、整形外科の専門医の先生方だけではなく、いわゆる地域で開業なさっているような、かかり付けの先生方も広く処方される可能性があるということで、副作用等々に関して、あるいは精神症状の急激な変化に対して、十分に事前の評価あるいは事後の評価ができるかということは、非常に心配しております。

 それから、もう1点、特にその点に関して言えば、急激な変化を起こしやすい、特に若年層の患者さんに関しては、より慎重に対応していただきたい。これは海外のエビデンスによるのですが、24歳とか25歳未満の、特に女性の患者さんには、一時期、禁忌といったような表現で使用を制限した国も幾つかありました。これは一斉に右へ倣えではなかったと思いますが、同種の薬剤だということで、これも慎重に投与となっておりますので、その辺りをしっかりと注意喚起をしていただきたいと思います。

 もう1点ですが、今の抗うつ薬の処方に関しては、精神疾患の場合はおそらく多剤併用療法を注意するということで、抗うつ薬は2剤までといった縛りがあります。3剤以上出す場合には、専門資格を持っていることやe-ラーニングを受けることなど、様々あります。ですので、腰痛症の方々に処方するときに、現在の服用状況や他院での服用状況などを、きちんと御本人から聞けるかどうかも分からないですが、その辺りのところを、より慎重にしていただかないと、濫用などに結び付かないとも限らないので。懸念している精神科領域の先生方の意見は、こういったことに集約されるのかなと思います。

○松井部会長 機構のほうから、ただいまの御意見に関して、いかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 今、貴重な御指摘を頂きましたので、そういう御意見があったことを改めて申請者に伝えて、先生の御懸念が解消されるような方向でやっていただきたいと思います。ありがとうございます。

○鈴木委員 今のお話にも関連するのですが、4月の診療報酬改定に向けて、薬の数をできるだけ減らしていこう、特に精神科の薬を減らそうということになっています。認知症の地域包括診療料・地域包括診療加算も新しくできたのですが、薬を減らすことが前提になっているので、うつ病の薬なのですが慢性腰痛症の適用で使った場合に、それは含まれるのか、含まれないのか、当然そういう質問が出てくると思います。例えば、サインバルタは慢性腰痛症として使っており、精神科の薬ではありませんと言い切っていいのかどうか。先々問題になるかもしれませんので、全体に薬を減らしていこうという中で、問題が生じる可能性があることだけは、お伝えしておきたいと思います。

○松井部会長 ありがとうございます。1番の点について、ほかにありませんか。

 それでは、ほかの点については何かありませんか。今、御提案があったわけですが、御意見のある委員はいらっしゃいますか。2番の漫然と投与すべきではない旨の注意喚起の必要性、それから処方医を限定する必要性という御意見も出ました。NSAIDsとの併用、本剤の医療上の必要性、どれも独立ではないわけですが、何か御意見があれば。よろしいでしょうか。

 それでは、前回も含めまして意見が出尽くしたということで、議決に入ってよろしいでしょうか。杉委員、野田委員、平安委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただきたいと思います。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。

 それでは、御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。なお、その報告に際しましては、このような問題点が出て、十分に議論したことも当然のことながら、書き加えていただきたいと思います。ありがとうございます。

 それでは、議題2に移ります。議題2について、機構から概要を御説明ください。

○医薬品医療機器総合機構 議題2、資料2、医薬品サブリル散分包500mgの製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。点頭てんかんは、スパズム、異常脳波及び精神運動発達遅滞を主徴とし、通常1歳未満の乳児で発症するてんかん症候群で、患者の死亡率が5~30%と推定され、3歳までに33%の患者が死亡するとの報告もある致死的な疾患であり、認められる精神運動発達遅滞も多くの患者で重度から最重度のものとされております。

 本剤は、GABA分解酵素阻害作用を有する抗てんかん薬であり、点頭てんかんの効能・効果では、欧州及び米国を含む36か国で承認されています。本邦では、1990年から成人の難治性てんかんに対する本剤の開発が開始されましたが、国内外の情報から約3分の1の患者で不可逆的な視野狭窄が認められることが分かり、開発が中止されました。しかしながら、海外ガイドラインにおいて点頭てんかんの第一選択薬として位置付けられていること等を踏まえ、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において、医療上の必要性が高いと評価され、2010年に申請者に対し開発要請が行われました。

 今般、点頭てんかんに対する有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認申請が行われました。本剤は、希少疾病用医薬品に指定されております。本申請の専門委員としては、資料16に記載されている9名の委員を指名しております。

 臨床成績を中心に、審査の内容を説明いたします。まず有効性ですが、審査報告書43ページの下から6行目、「主要評価項目である」で始まる段落を御覧ください。点頭てんかん患者を対象とした国内第 III 相試験において、主要評価項目である有効性解析対象集団での主要評価スパズム判定日のスパズム頻度が、ベースラインと比較して50%以上減少した被験者は61.5(13例中8例)、その95%信頼区間は31.686.1であり、95%信頼区間の下限値が、海外臨床試験を参考に事前に設定した閾値を上回ったことから、本剤の有効性は期待できると判断しております。

 次に安全性ですが、審査報告書58ページ、図2を御覧ください。本剤投与時には、不可逆的な視野狭窄が認められ、成人の難治性てんかん患者を対象とした臨床試験では、本剤の曝露期間の延長及び累積投与量の増加に伴い、視野狭窄の発現割合が高くなる傾向が認められました。したがって、本剤投与中は視野狭窄の早期発見を目的として、定期的に網膜電図などによる視野検査の実施が必要であり、添付文書の警告欄にその旨を記載し、注意喚起を行うことが適切と判断しました。さらに、視野検査が適切な頻度で実施されていることを医療チームで確認し、患者ごとに曝露期間、累積投与量を正確に把握した上で、本剤の投与継続の可否を慎重に判断いただけるよう、本剤の安全性などに関する教育を受けた処方医、眼科医及び薬剤師、並びに処方を受ける患者を登録制とする流通管理を行うこととしております。

 また、審査報告書61ページ、表27及び表28を御覧ください。海外製造販売後安全性情報を中心に、頭部MRI異常や脳症に関する報告が集積しております。MRI異常は、視床、基底核、脳幹及び小脳に限局するT2強調画像高信号と、拡散強調画像異常信号として特徴付けられるものであり、重篤な転帰をたどった患者も一定数報告されていることから、定期的に頭部MRIを測定するよう、添付文書で注意喚起する必要があると考えております。なお、本剤では視野狭窄、頭部MRI異常、脳症などの重大な有害事象が起きる可能性があることから、事前に本剤の安全性と有益性について、患者、又は保護者に十分に説明を行い、同意を得た上で投与することが適切と考えております。

 以上の審査を踏まえ、審査報告書75ページの下から9行目から記載した承認条件を付した上で、本剤の点頭てんかんに対する効能・効果を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。

 本剤は、新有効成分含有医薬品であり、希少疾病用医薬品であることから、再審査期間は10年、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○松井部会長 委員の先生方から、御質問、御意見をお願いいたします。

○山田委員 本剤では、不可逆的な視野狭窄と脳症が出るということで、基礎の所の評価を見ました。審査報告書の30ページの一番下の段落では、神経系に対する毒性は臨床最高用量の0.08倍で出ると記載があります。その隣の29ページを見ますと、網膜変性は臨床最高用量の0.4倍で出ると出ており、非常に毒性が強いことが分かりますし、むしろ神経系に対する影響のほうが、網膜変性に対する影響よりも強いことが、基礎の研究では分かっているのだろうと思います。添付文書案に警告が出ておりまして、御紹介いただきましたように、視野狭窄についてはかなり警告、その他の所で注意書が出ておりますが、脳の変性に関しては警告が出ていないと。むしろ脳に対する影響のほうが薬理的には強いかもしれないということで、これは警告等に書く必要がないという、どういう理由でそういう判断になったのかを教えていただければと思います。

○医薬品医療機器総合機構 脳症と頭部MRI異常のそれぞれについて説明いたします。審査報告書の60ページを御覧ください。こちらは、頭部MRI異常と脳症についての、臨床試験成績について記載をさせていただいている部分です。まず頭部MRI異常ですが、こちらは国内臨床試験では1例で認められましたが、ほとんど認められていない状況になっております。また、先ほど説明いたしました61ページの表27は、これまで海外の製造販売後において集積している頭部MRI異常の出現の状況になっております。眼科の視野狭窄については、約3分の1の患者で起きており、どんどん進行していくということで、そこに注意をしていただいて流通管理をしていただかないといけないというところで、警告欄に設定をさせていただいております。一方で、頭部MRI異常になりますと、そこまで発現頻度が現状高い状況ではありません。多くの患者では、回復や軽快といった、投与を続けた場合でもそのままMRIの症状としては消失しているような状況になっております。海外では、MRIの普及率が日本と比べて若干低いという状況もありますので、これをもって発現率がどうこうという話は難しいのですが、現状としては臨床上、頭部MRI異常が出たことに対して意義として余り明確ではない、かつ回復していく症例が一定数いるという状況になっております。

 続いて脳症ですが、表28にどういったものが出ているかを記載させていただいております。こちらも、脳症そのものとして出ている事象としてはかなり少なくなっております。これらの状況を踏まえ、発現頻度が眼科障害ほど高い状況ではありませんので、「重大な副作用」の項に脳症、頭部MRI異常についてしっかり記載をさせていただいております。それから、この薬は流通管理をやらせていただく上で、医療従事者の方には非常にしっかりとした教育を事前に施すということで、ウェブセミナーのような形でしっかり情報提供させていただくことにしております。その中でも、頭部MRI異常や脳症、どのようなことが起きているか、あるいは国内臨床試験で認められた症例についてはこのような転帰をたどっていますというようなことは、しっかり説明をさせていただき、事象としては起きるのだということを念頭に置いて使っていただけるように対応はさせていただいているところです。

○松井部会長 山田委員、いかがでしょうか。

○山田委員 よく分かりました。ただ、毒性試験では脳神経系に対する影響のほうがかなり強く、低用量から出ていますが、それはいわゆる動物実験の結果で、人ではむしろ網膜に対する影響が強いから、こういう結果になったという理解でよろしいでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘のとおりで結構です。

○山田委員 分かりました。

○松井部会長 司会としてではなくて、小児科医の委員として発言いたしますが、点頭というのはアラーのお祈りのように頭を下げるという発作を繰り返し起こす難治性の年齢依存性のてんかんで、4か月から6か月ぐらいに発症して、しかも大きな発作を起こす度に中枢神経系のダメージが大きくなっていく難治性のてんかんで、多くの者が今度は1歳過ぎから1歳6か月ぐらいにかけてだと思いますが、レノックス症候群というまた新たな難治性てんかんに移行していく、今でも難治性のてんかんです。確かに、MRIの異常であるとか視野狭窄であるといった副作用はかなり少なからず、非可逆的なものだと思いますが、それにもまして、現病によるデテリオレーションといいますか、悪化も非常に強いと。この薬を服用させるということに関しても、やはり今、機構からお話があったように、十分な説明と同意が必要な疾患であると思います。付け加えました。

 ほかに御意見はありませんか。

○松木部会長代理 本質的なところではないのですが、添付文書案のところで、これは本質的にラセミ体ですよね。ですが、S体のエナンチオマーの薬物動態とラセミ体を両方わざわざいつも載せているのは、何か意味があるのですか。例えば、添付文書の3ページの右下のラセミとエナンチオマーが書いてあっても、結局半分で予想どおりなので、特に動態が変わるということもないと思うのですが。

○医薬品医療機器総合機構 薬物動態の部分の評価なのですが、本剤の活性の本体はS体と考えられており、先ほど御説明いただきました視野障害等についても、S体が主に毒性の本体と考えられております。そういった観点もありましたので、今回ラセミ体に加え、活性本体、そして毒性の本体であるS体についても、このような推移になっているというようなところで、記載させていただきました。

○松井部会長 よろしいですか。

○松木部会長代理 ただ、これで何か特段に使う側が判断しなさいということではなくて、データとしてあるので載せているだけですか。

○医薬品医療機器総合機構 そのようになります。

○松井部会長 ほかにありますか。ないようですので、議決に入ります。なお、杉委員、野田委員、平安委員、山田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただきたいと思います。それでは、本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告いたします。

 それでは、議題3に移ります。機構から御説明をお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 議題3、資料3-1及び3-2、医薬品シクレスト舌下錠5mgほかの製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。本剤は、セロトニン受容体、ドパミン受容体等に対する阻害作用を有する非定型抗精神病薬であり、海外では2016年1月現在、59の国又は地域で承認されており、統合失調症については米国等17の国又は地域で承認されております。

 今般、統合失調症に対する有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認申請が行われました。本申請の専門委員としては、資料16に記載されている9名の委員を指名しております。

 臨床試験成績を中心に、審査の内容を説明いたします。まず有効性ですが、審査報告書55ページの表29を御覧ください。統合失調症患者を対象とした国際共同第 III 相試験が実施され、主要評価項目であるFASでのPositive and Negative Syndrome Scale、表ではPANSSと表記していますが、合計スコアの最終評価時点でのベースラインからの変化量について、本剤10mg群及び20mg群とプラセボ群との間に、それぞれ統計学的な有意差が認められました。

 次に安全性ですが、審査報告書70ページ、表40に、錐体外路症状関連の有害事象、審査報告書71ページ、表41に、傾眠、浮動性めまいなどの中枢神経系の有害事象、審査報告書74ページ、表44に体重増加、審査報告書75ページ、表46に、耐糖能異常関連の有害事象の発現割合を記載しております。いずれも、既存の非定型抗精神病薬を大きく上回るリスクは示唆されていないことから、既存薬と同様、添付文書で注意喚起することが適切と考えております。

 また、審査報告書80ページ、表51の下の「次に申請者は」で始まる段落を御覧ください。本剤に特徴的な有害事象として、海外製造販売後安全性情報において、舌腫脹、咽頭浮腫が集積しており、重篤な事象、呼吸困難や嚥下障害を伴った症例も認められたことから、添付文書で注意喚起する必要があると考えております。

 以上の審査を踏まえ、本剤の統合失調症に対する効能・効果を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。

 本剤は、新有効成分含有医薬品であり、再審査期間は8年、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当し、生物由来製品、特定生物由来製品に該当しないと判断しております。薬事分科会には報告を予定しております。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○松井部会長 それでは、委員の先生方から御質疑をお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 申し訳ございません。その前に内藤委員から、本日の議題3、シクレスト舌下錠及び議題4フィコンパ錠について御指摘を頂いております。これら両製剤について、幼児の誤飲事故を防ぐための工夫がされた包装となっているかについて御説明をお願いします、とコメントを頂いております。両製剤について、今回お手元にいずれも製剤見本を配布させていただいておりますが、議題3のシクレストについてはアルミの蓋を開けていただくような包装になっております。それから、議題4のフィコンパについては、通常のPTP包装となっており、どちらも幼児の誤飲事故を防ぐための工夫がされた包装とまでは言えないような、通常の包装と同様の形態となっております。これまで、機構から包装形態については、申請者にどういった形でなければならない、あるいは幼児の誤飲事故防止を防ぐための工夫を必須というような形で指導はさせていただいておりませんでしたので、両製剤についてはこういった形に現状ではなっております。本日、内藤委員から御指摘いただきましたので、そのような御指摘があったというようなことは申請者に伝えて、必要であればそういったことはやっていただいたほうがいいと思いますので、申請者のほうで御検討いただく形で対応させていただきたいと思います。

○松井部会長 内藤委員、いかがですか。

○内藤委員 それで結構です。

○安全管理監 追加の参考情報です。安全対策課長がいらっしゃいませんので、代わりに機構から情報提供させていただきます。この子供の医薬品の誤飲事故については、消費者庁の消費者安全調査委員会でも指摘されており、厚生労働省で対応は進められております。今年度も特別研究が行われており、その結果が出ればまた厚生労働省からどのように対応していくのか、その考え方が示されるとお聞きしております。

○松井部会長 今のような議論が出たことを分科会に報告することはできますか。

○審査管理課長 それは、もちろん可能です。

○松井部会長 是非、そのようにしていただきたいと思います。ほかに、本議題について何か質疑はありますか。よろしいですか。それでは特に御発言がないようですので、議決に入ります。なお、杉委員、平安委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮ください。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないと認めますので、承認を可として薬事分科会に報告いたします。

 それでは、議題4に移ります。

○医薬品医療機器総合機構 議題4、資料4、医薬品フィコンパ錠2mgほかの製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。本剤は、AMPA型グルタミン酸受容体を非競合的に阻害する抗てんかん薬で、海外では201510月現在、部分発作及び強直間代発作の併用療法のそれぞれについて、46及び29の国又は地域で承認されております。

 今般、12歳以上のてんかん患者に対する部分発作(二次性全般化発作を含む)及び強直間代発作の併用療法に係る有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認申請が行われました。本申請の専門委員としては、資料16に記載されている9名の委員を指名しております。

 臨床成績を中心に、審査の内容を説明いたします。まず、部分発作に対する有効性ですが、審査報告書56ページの表31を御覧ください。他の抗てんかん薬で十分な効果が認められない部分発作を有する12歳以上の患者に対し、他の抗てんかん薬に本剤を上乗せしたときの有効性及び安全性を検討するため、国際共同第 III 相試験が実施されました。主要評価項目であるITT集団での治療期の発作頻度の観察期からの変化率について、本剤8mg群及び12mg群とプラセボ群との間に、それぞれ統計学的有意差が認められました。

 強直間代発作に対する有効性は、審査報告書60ページの表33を御覧ください。他の抗てんかん薬で十分な効果が認められない強直間代発作を有する12歳以上の患者を対象に、他の抗てんかん薬に本剤8mgを上乗せしたときの有効性及び安全性を検討し、部分発作を有する患者と反応性が類似していることを確認するため、国際共同第 III 相試験が実施されました。主要評価項目であるFASでの治療期の発作頻度の観察期からの変化率について、本剤群とプラセボ群との間に統計学的有意差が認められました。

 次に安全性ですが、本剤の主な有害事象として審査報告書73ページの表48のように、浮動性めまい、傾眠、運動失調、平衡障害などの中枢神経系の有害事象のほか、審査報告書76ページの表51のように、易刺激性、攻撃性なども認められました。これらの事象は、用量依存的に増加する傾向が示唆されたことから、添付文書で注意喚起する必要があると考えております。

 また、審査報告書67ページの表41を御覧ください。本剤は、主にCYP3Aによって代謝され、CYP3Aを誘導するカルバマゼピン、又はフェニトイン(表ではInducerと記載しております)を併用しない場合には、本剤の血中濃度が高くなり、高度の有害事象、中止に至った有害事象などの発現割合が特に高用量投与時に高くなる傾向が認められたことから、本剤の維持用量はInducer併用の有無別に設定するとともに、Inducerを併用しない患者での増量については、添付文書で注意喚起することが適切と判断いたしました。

 以上の審査を踏まえ、本剤の他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)及び、強直間代発作に対する抗てんかん薬との併用療法に対する効能・効果を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。

 本剤は、新有効成分含有医薬品であり、再審査期間は8年、原体及び製剤は、毒薬、劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製品、特定生物由来製品に該当しないと判断しております。薬事分科会には報告を予定しております。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○松井部会長 それでは、委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。いかがでしょうか。

○松木部会長代理 これは、エラスチンに結合するみたいなのですが、結論的には余り大したことないということなのですが、それは血管の強度などは大丈夫だったということですか。エラスチンにずっと付いて残っていたとしても、血管の強度や肺機能には影響がないから大丈夫だと。原因はよく分からないという解釈ですか。

○医薬品医療機器総合機構 今、松木委員から御指摘いただいた箇所ですが、審査報告書の22ページから記載させていただいているところで、大動脈に関する部分については、23ページの一番下から24ページにかけて記載させていただいております。エラスチンに対する本剤の分布、結合ですが、非臨床試験、特にラットの試験等において、大動脈に対して非常に高濃度で蓄積をします。その原因として、大動脈の主な構成成分の一つであるエラスチンに対して共有結合をしているのではないかということが示唆されております。この結合ですが、ラットのがん原性試験や極めて長期間投与するような試験において、血管に対してどういった影響があったかを毒性試験の中で評価されております。その試験の中で、血管等において病理組織学的には何ら問題がないことが確認されておりますので、現段階で血管に対する影響、あるいは肺に対する影響等が臨床上極めて大きな問題になることは、可能性としては低いとは考えております。

 しかしながら、動物における検討結果ですし、ヒトにおいてなかなか短期間でこういった心血管系のリスクや肺への影響みたいなものは分かってこない部分があるとは考えておりますので、リスクマネジメントプランのほうにもしっかりとこういったリスクがありますということは記載をさせていただき、市販後、引き続き長期間ヒトに投与した場合の影響等についても検討させていただくということで、考えております。

○松木部会長代理 それでいいと思うのですが、大動脈と特定しているのは、多分ラットの動物実験結果であることからで、別に大動脈に限らず、エラスチンがいろいろな所にあるものですから、そのような観点で見ていただきたいと思います。

 それから、別の点で、これも本質的なところではないかもしれませんが、審査報告書の15ページでAMPA受容体に作用するということで、記憶・学習に影響するのではないかということを随分記載されているのですが、NMDA受容体が活性化された後にAMPA受容体が特定のシナプスにおいてアップレギュレーションやダウンレギュレーションされることで記憶・学習に影響するのであって、脳全体の神経伝達に全てAMPA受容体が普段働いているわけですよね。ですから、これだけ取り上げて書くのは非常に違和感を感じます。AMPA受容体を抑制すれば脳神経機能全般を抑える可能性があるが、使っている用量に関しては、そんなに強く作用しているわけではないので影響ないということだと思います。特に記憶・学習だけを取り上げてディスカッションする必要もないのかなと思います。記録としてずっと残るのならば、その辺りのところを意識して書いていただければと思います。今のは、意見というか、コメントです。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。私どもでも、今後の品目等を審査させていただく中で、今頂いた御指摘を踏まえて、どういったことを審査報告の中で議論していくのかについては、また検討させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

○松井部会長 ほかにありますか。

○平安委員 要するに、グルタミン酸系の薬というのは最近の薬なので、長期連用されたときの副作用等に関しては、ほとんどデータがないのが現状だと思います。ですから、その辺りは市販後の一定期間だけでは分からないことが結構多いのではないかと思いますので、是非長期的な視点でやっていただきたいと思います。それから、今のLTP(神経細胞における長期増強(long-term potentiation))に関しては、おそらくてんかんの研究の中でかなりLTPがてんかんの形成に関して関係しているということが議論になっていたので、おそらくそのことでこのLTPが持ち出されたのかなと思うのですが。てんかんの薬理をやるときに、LTPがかなりモデルとして使われているので、その一部という形で出されたのかなとは思います。

○松井部会長 ほかにありますか。

○神田委員 初歩的な質問で申し訳ないのですが、本剤の臨床的位置付けについてですが、位置付けの1つとして、患者数が挙げられております。厚労省の調査では、216,000人と推計されております。もう一つが、地域疫学調査に基づけば、潜在患者数となっておりますが100万人ということで、かなりの数字の違いがあるので、潜在患者数というものをどのように受け止めたらいいのか、この数字の違いをどのように受け止めたらいいのかを教えていただきたいと思います。

○医薬品医療機器総合機構 今、神田委員から御指摘いただいたところは、審査報告書の92ページになっております。厚生労働省の患者調査としては、基本的に病院にかかっていただいた患者となっている状態の患者を対象として、どういった数が全国にいらっしゃるかを調査させていただいているものです。一方で、この潜在患者数と記載させていただいている部分については、特定の一部の地域における潜在患者数を調査させていただき、それに全国の人口を掛けると、このような形になってきますというようなものになっております。どちらの精度が高いかという話はなかなか難しいのですが、片や患者として病院にかかっているポピュレーション、もう一方は特定の地域だけでこのような状況でしたと。それが、日本全国に拡大できるのかというのは、人口の年齢分布等も多少違っていると思いますので、その辺りもどちらという話はなかなか難しいかと思います。ただ、後者のほうは病院にかかっていらっしゃらない方も含まれておりますので、これらの要素から患者の数としては乖離が生じているのかなとは考えております。

○神田委員 ありがとうございました。病院にかかっていなくてもカウントできるという環境があるということなのですね。100万のほうがいまいち、分からなかったのですが、そういう形で推定すると、患者がいるので、こういった薬を開発する一つの意味があると受け止めるということですね。

○医薬品医療機器総合機構 患者数の部分というよりは、抗てんかん薬はこれまでも幾つも本部会で御審議いただいて御了承いただいているかと思いますし、今回もまた新たに新しい作用機序の薬剤という形で審議させていただいております。

 てんかんの領域ですが、1剤目で完全に発作が抑えられる患者が一定数いらっしゃるのですが、その一方で2剤、3剤と使っていったときにも、なかなかてんかんを完全にコントロールできないような患者も、一定数いらっしゃるというような状況になっております。このような新しい作用機序の剤が出てきますと、またそれによって今までコントロールできていなかった患者に対して、そこでまたてんかんをきちんと抑えられて、日常生活をより送りやすくなっていただけるチャンスになります。そのような観点でも、この新しい作用機序の抗てんかん薬はいまだにどんどん開発がされておりますし、そのような既存の治療薬ではなかなか効果が認められない疾患だということで、そこに対する新しい選択肢というような形で、今回の剤も位置付けられていると考えております。

○松井部会長 ほかにいかがでしょうか。

○加藤委員 先ほど、松木委員から御指摘があったように、これは今までの抗てんかん薬と全く違うメカニズムで、興奮性のシナプス伝達そのものを抑えるということで、中枢神経系も大脳から脊髄、運動ニューロンに至るまでに関わってくるメカニズムであると考えられます。したがって、やはり、中枢神経系の影響は一番気になるところで、例えば報告書の73ページに中枢神経系の有害事象の発現状況ということで、例えば浮動性めまい、あるいは協調運動障害、あるいは筋弛緩、運動ニューロンもAMPA受容体で興奮を起こしますので、筋弛緩も起こってくるはずです。それから、次のページにもあるように、運動失調、平衡障害、構語障害などの特徴的な中枢神経系有害事象が認められております。特に、ハイドーズのグループでそれが比較的重症化リスクが高い、発現リスクが高いことが書いてあるわけです。添付文書において、十分に注意喚起を行うことが必要と考えるということなのですが、添付文書を見てみますと、それに関係した記述がどこにあるかというと、「重要な基本的注意」に、確かに「運動失調(ふらつき)などが高頻度で認められる、転倒が起こる」とあるのですが、この中枢神経系症状というのは、転倒やふらつきや運動失調だけではなくて、例えば構語障害であるとか、筋弛緩であるとか、かなりワイドスペクトルな有害事象が起こってくると思うのです。そういうことについても注意喚起をしておく必要があるのではないかなと思うのですが、余りそのようなことに関しての詳細な記述が添付文書にないように思われるのですが、いかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。今、加藤委員からいただきましたとおり、添付文書の記載としては、「重要な基本的注意」の()()が該当しております。()の部分については、運動失調、筋弛緩等も含めてということにはなりますが、転倒等を伴うおそれがありますという形での注意喚起になっております。また、()の部分で、精神症状と運動失調等が多く認められるというような形で注意喚起をさせていただいているところです。構語障害といったものについては、現状、添付文書の中では具体的な注意喚起はさせていただいていないところではあるのですが、今回医療従事者向けに情報提供資材等も作成させていただき、そういったものの中で今回のこの構語障害、あるいは協調運動障害みたいなものは、これまでは抗てんかん薬で余り通常認められていないもので、かつ高用量に上げたときに非常に目立って出てくるような状況になっておりますので、こういったものがありますということは、しっかり現場には届けさせていただいて、注意喚起、情報提供はさせていただくと。そのようなことを念頭に置いて、気を付けて使っていただきたいと考えておりますので、そのような形で情報提供はさせていただいております。

○松井部会長 ほかにありますか。それでは、議決に入ります。なお、野田委員、平安委員、山田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただきたいと思います。本議題について、承認を可としてよろしいですか。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告いたします。

 それでは、議題5に移ります。議題5について、機構から説明をしてください。

○医薬品医療機器総合機構 議題5、資料5-1、医薬品カヌマ点滴静注液20mgの製造の販売承認の可否等について機構より御説明申し上げます。

 本剤は、ライソゾーム酸性リパーゼ欠損症に対する酵素補充療法に用いる薬剤です。本剤の適応対象であるライソゾーム酸性リパーゼ欠損症は、ライソゾーム酸性リパーゼ遺伝子の変異により、ライソゾーム酸性リパーゼの活性が低下し、コレステロールエステルやトリグリセリド等が全身の様々な組織や細胞に蓄積する常染色体劣性遺伝疾患です。

 本疾患は、急速進行性の症状を有する乳児期発症の場合は「ウォルマン病」、それ以外は、「コレステロールエステル蓄積症」とも呼ばれます。

 ウォルマン病は、進行性の肝障害を伴う成長障害、急激な肝線維化を合併し、通常は生後6か月以内に死亡するとされています。

 コレステロールエステル蓄積症も、多くの場合、20歳未満で診断され、若年での肝線維症及び肝硬変等の肝疾患や顕著な脂質代謝障害による、脂質異常症を合併します。

 本邦におけるライソゾーム酸性リパーゼ欠損症の正確な有病率は算出されていませんが、公表文献等では、17例のライソゾーム酸性リパーゼ欠損症の症例報告が認められており、本剤は、希少疾病用医薬品に指定されています。現在、本邦において、ライソゾーム酸性リパーゼ欠損症に有効な治療薬は承認されておりません。

 本剤は、2015年8月に欧州、同年12月に米国で承認され、201512月現在、世界30か国以上で承認されております。

 本品目の専門協議では、資料16に示す先生方を専門委員として指名しております。

 以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。

 有効性について、審査報告書30ページの表9を御覧ください。コレステロールエステル蓄積症を対象とした、国際共同第 III 相試験であるLAL-CL02試験において、主要評価項目とされた二重盲検期終了時に、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)が正常化した被験者の割合について、プラセボ群に対する本剤群の優越性が示されました。

 日本人症例は、2例と少数でしたが、審査報告書41ページの表21に示すように、個別症例ごとに検討した結果、本剤群で肝酵素の改善傾向が認められています。

 ウォルマン病についても、審査報告書42ページの図2に示しますように、海外LAL-CL03試験の本剤投与において、ヒストリカル対照であるLAL--NH01試験と比べて、生存率の改善傾向が認められています。

 国内外の臨床試験成績を総合し、本剤の有効性は示されたと解釈して差し支えないと考えました。

 安全性については、4352ページの「()安全性について」の項に記載しましたように、国内外の臨床試験における有害事象及び副作用の発現状況、並びに過敏症、Infusion associated reaction、抗体産生による影響等の個別の事象について検討した結果、適切な注意喚起等がなされることを前提に、本剤の安全性は許容可能と判断しました。

 なお、国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、再審査期間中の全投与症例を対象に使用成績調査を実施して、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講ずる旨の承認条件を付すことが適当と判断しております。

 以上の機構での審査の結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で審議されることが適当と判断いたしました。本剤は希少疾病用医薬品であることから、再審査期間は10年、原体及び製剤は、いずれも劇薬に該当し、特定生物由来製品に該当すると判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。

 なお、事前に、奥田委員より御質問を頂いております。内容は、「□□□□□□として位置付けられているが、GMP工程になっていないトランスジェニックニワトリの□□から、□□□□の工程でどのような管理がなされるのか、また、本剤のような遺伝子改変動物を用いた場合の医薬品生産の品質保証に関する考え方・管理戦略について確認したい」というものです。

 まず本剤は、本邦において、遺伝子改変動物を用いて製造される初めての医薬品となります。本剤のような遺伝子改変動物を用いた場合の医薬品生産の品質保証の考え方・管理戦略についてですが、トランスジェニックニワトリの鶏卵を用いて製造される本剤では、□□□□□□□□□が確認されたトランスジェニックニワトリの系統の維持・管理方法、感染性因子に対する管理方法が確認できていれば、ニワトリの□□そのものをGMP下で管理することは現実的ではなく、必ずしもその必要性は高くないことから、□□を含む□□で品質管理が可能と考えております。したがって、本剤の□□□□は、□□□と判断いたしました。

 トランスジェニックニワトリの□□から□□□□工程までの管理について、GMP工程とはしておりませんが、GMPの規定に基づき、「□□□□□□□□製造所」において、原材料の□□の品質管理が求められるため、トランスジェニックニワトリの□□□□で実施されている□□及び□□□の防止に係る管理は、「□□□□□□□□製造所」において行われます。したがって、「□□□□□□□□製造所」のGMP調査において、トランスジェニックニワトリの□□□□における管理が適切になされているかについても併せて確認されます。

 なお、懸念が認められた場合には、トランスジェニックニワトリの□□□□についても、必要に応じて、当局が立ち入ることは可能です。

 今回の判断は、本剤について検討したものであり、遺伝子改変動物を用いた医薬品の製造方法や、管理方法により、様々なケースが考えられますので、製品は個々に判断する必要があると考えております。

 奥田委員には、以上について事前に説明し、御了解いただいております。以上です。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。

○松井部会長 最初に、奥田委員、よろしいでしょうか。

○奥田委員 今の回答で結構でございます。非常に新しい技術を用いて生産された医薬品ですので、機構から少しコメントを頂きました。

○松井部会長 ありがとうございます。ほかの委員の先生方から御質疑はありますでしょうか。特に御質疑がなければ議決に入りますが、よろしいでしょうか。それでは、本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告いたします。

 それでは、議題6に移ります。

○医薬品医療機器総合機構 議題6、資料6-1、資料6-2、医薬品マーデュオックス軟膏の製造販売承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。

 本剤の配合成分であるマキサカルシトール及びベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステルは、それぞれ2001年6月及び199310月に、尋常性乾癬に対する外用剤として承認され、現在、単独又は併用療法で広く使用されています。

 今般、尋常性乾癬の患者を対象とした国内第III相試験において、本剤の有効性及び安全性は確認されたとして、医薬品製造販売承認申請がなされました。なお、201511月時点で、海外で承認を取得している国はありません。

 本品目の専門協議では、本日の配布資料16に示す専門委員を指名しております。

 以下、本剤の有効性及び安全性については、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。

有効性に関して、報告書13ページの表10を御覧ください。国内第 III 相試験の主要評価項目である「投与開始4週後のPSI合計スコア」について、マキサカルシトール単剤群及びベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル単剤群に対する本剤群の優越性が検証されました。

 以上より機構は、本剤の有効性は示されたと判断いたしました。

 安全性に関して、報告書13ページの下から2段落目及び18ページの表15を御覧ください。第 III 相試験の本剤群と各単剤群とで、有害事象及びその発現割合に大きな違いは認められませんでした。

 以上より機構は、本剤の安全性は各単剤と同様の安全対策を講じることで許容可能と判断しました。ただし、臨床試験における使用経験は4週間までであることから、本剤が長期にわたり繰返し使用された際の安全性及び有効性について、製造販売後調査等で情報収集する必要があると考えました。

 以上の審査の結果、尋常性乾癬患者に対する本剤の有効性は示され、安全性は許容可能と考えられたことから、医薬品リスク管理計画に係る承認条件を付した上で、本剤を承認して差し支えないと判断し、本部会で審議されることが適当と判断いたしました。

 本剤は新医療用配合剤であり、再審査期間は6年、製剤は劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しました。薬事分科会では報告を予定しております。機構からの説明は、以上です。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。

○松井部会長 委員の先生方から、議題6について御発言を求めます。御質疑をお願いいたします。

○内藤委員 尋常性乾癬というのは、体のどこの部分にできやすい疾患でしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明申し上げます。病変は全身に広くまたがっている疾患となります。

○内藤委員 そうすると、顔にもできたりするのですか。

○医薬品医療機器総合機構 はい。顔にもできます。

○内藤委員 こういう軟膏の場合、眼の近くに疾患部位があった場合に、その軟膏が眼に入ったときなどに副作用というか、問題が起こるということを懸念するのですが、そういうことは大丈夫なのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明申し上げます。まず、本剤については、眼の付近には使用しないことと注意喚起しております。

 また、第III相試験においては、顔面については除外対象としておりましたので、安全性は検討されておりませんが、そういった顔面等の薬剤吸収性が高いところについては、慎重に投与するよう、添付文書の「重要な基本的注意」において注意喚起しております。そのように適切に使用されることを期待しております。

○松井部会長 ほかにありますでしょうか。

 私から伺いますが、添付文書2、3ページの「用法・用量」の所に、「適量を患部に塗布する」と書いてありますが、適量というのは、患者さんにとって分かるのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明申し上げます。用法・用量の適量を塗布するという記載は、類薬と同様の記載となっています。日本皮膚科学会のホームページ等で、軟膏剤の塗布の仕方について情報提供されています。本剤についてもそれに準じた塗布の仕方が医師から患者へ指導されるものと思います。

○松井部会長 医師の指導による。

○医薬品医療機器総合機構 はい。

○松井部会長 はい。ほかにありませんでしょうか。

○神田委員 この湿疹はいろいろな程度によって、一つか併用するかという形で使い分けていくということですね。これは、それを一緒にしたというもので、これだけで間に合うということで、手間が省けるというものですが、程度とかによって使い分けるということであると、逆に分かれていたほうが、使い勝手がいいのではないかというようにも思ったりします。

 これは確か4週間を超えて続けてやってはいけなくて、できれば4週間続けて、その後はビタミンD3だけにすることを推奨するとなっていますので、そういったことも症状に応じて、2剤にしたり、1剤にしたりということで、別々のほうが、本当は使い勝手がいいのではないかと思って資料を見ていました。

 ただ、必要性については、2剤をやる場合には、何かよく分かりませんが、「力価が低下する」とか、あるいは「コンプライアンスが低下する」と書かれているので、その面から必要なのだとおっしゃっていると思いますが、それがどの程度、力価が低下するという内容と、それから、コンプライアンスが低下するという調査なり何なりがあるのかどうかというところをお聞きしたいことと、本当に一緒のほうが便利なのか、本当に必要性があるのかというところが、いまいちちょっとよく分からなかったのでお聞きしました。

 もう一つは、用法のところですが、確か1回10g以上は駄目で、限度ですね。ということで、今、これを見せていただいて、中が分からないのですが、この箱より小さいですよね。この湿疹、インターネットで見てみたら、背中にたくさんパァッと出ていたりとか、かなり広範囲ですけれども、大体、間に合う量なのでしょうか。やってはいけないことと、間に合う量なのかという辺りがよく分からないのです。

○松井部会長 いかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 まず、チューブの量は十分なのかというところから御説明させていただきます。本剤については、治験中に使用された量としては、大体1日平均、約2gが使用されていたところです。この1本のチューブの中には1日最大量に相当する10gが入っていますので、1回量としては、これ1本で十分足りると考えております。

 次に、各単剤を併用したほうが利便性があるのではないかという点についてですが、まず、なぜ併用しているかと言いますと、単剤では治療に苦慮する皮疹というものが存在するため、併用療法が行われているところです。しかしながら、

 先ほど、先生からも御説明いただいたように、配合比の割合によっては、力価が低下するといったことや、混合する際に雑菌等が含まれてしまい、安全性や品質の面から懸念が生じるということがあります。したがって本剤のような、あらかじめ配合した製剤を出すことに意義があると考えております。

○松井部会長 よろしいですか。

○神田委員 分かりました。ただ、力価が低下するとかコンプライアンスが低下するというのは、調査とか、いろいろなことに基づいておっしゃっているのかどうか。何か、感覚的には分かりますが、こういったことを提案する場合に、やはりそういったものがあるか、ないのか。ではないと、理屈的に考えにくいと思ったものですからお聞きしました。

○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明申し上げます。その力価が低下することについての文献があります。報告書14ページの脚注に、その文献について御紹介しております。感覚的ではなくて、きちんと調査した結果に基づいて、そのような説明をさせていただいております。

○神田委員 分かりました。それは承知していますが、ですから、そこの報告書で指摘しているのが、低下して、どういう問題点があるのか。やはり別々に両方塗っていると、こういう問題点があるということが報告書の中で分かっていれば教えていただきたいという質問だったのです。報告書があるのは分かっています。

○医薬品医療機器総合機構 文献の中身については、追って御説明申し上げることでよろしいでしょうか。

○神田委員 はい。

○松井部会長 ほかにありますでしょうか。松木委員、よろしいですか。それでは、議決に入ります。平安委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮ください。

 本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議なしと認めますので、承認を可として、薬事分科会に報告いたします。

 次の議題7に移ります。

○医薬品医療機器総合機構 議題7、資料7、医薬品プロイメンド点滴静注用150mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について機構より御説明いたします。

 本薬は、選択的NK1受容体拮抗作用に基づく抗悪性腫瘍剤使用時の制吐薬であり、静脈内投与後、速やかに活性本体であるアプレピタントに代謝されます。2011年9月に、抗悪性腫瘍剤投与に伴う、悪心、嘔吐を効能・効果として、成人に対する用法・用量が承認されました。

 また、海外では、2015年3月現在、欧州及び米国を含む、世界75か国で同様の適応で成人について承認されています。

 アプレピタントのカプセル剤が2012年6月に、12歳以上の小児に対して承認されましたが、カプセル剤の服用が困難な小児に対する製剤はなく、医療現場からの開発要望に基づき、本剤の小児開発が行われ、今般の申請に至りました。

 本品目の専門協議では、本日の配布資料16に示す専門委員を指名いたしました。

 審査の概要です。有効性に関しては、国内の臨床試験は小児悪性腫瘍患者が対象であることから、実施可能性を考慮し、非盲検非対照試験として実施されました。また、標準治療群との有効性の比較は、海外の小児臨床試験における標準治療群の成績を参考とすることとされました。

 国内試験における有効性は、報告書8ページの表5に掲載しています。

 生後6か月以上、12歳未満の小児の有効性について、報告書8ページの下から2行目から、9ページの1段落目を御覧ください。国内試験における有効率は53.3%、海外試験2試験の標準治療群における有効率は、10.5%及び25.5%でした。外部対照のために比較に限界はあるものの、海外試験の標準治療群に比べて、国内試験の有効率は高い傾向が認められました。また、12歳以上の小児の有効性について、報告書10ページの表6を御覧ください。国内試験における有効率は25.0%でした。この値は、12歳以上の小児に対して既に承認されているアプレピタントよりも低い成績でしたが、併用されていた抗がん剤の種類が原因と考えられました。一方、報告書11ページの2段落目にあるように、海外試験2試験の標準治療群の有効率は8.3%及び5.6%であり、国内試験の有効率のほうが高い傾向が認められました。

 以上の試験成績に加え、本剤は成人に対して承認されていること、本剤を用いた制吐療法は、国内外のガイドラインでも推奨されていることなども踏まえ、本剤の小児への有効性は期待できると考えました。

 安全性について、報告書1314ページに記載しています。13ページの表9にお示ししたアプレピタントの小児における安全性や、次ページの表10における年齢別の比較、更に成人における安全性との比較などを行った結果、成人と同様の注意喚起のもと、本剤を小児に使用することは可能と考えました。

 以上のような審査の結果、抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)(遅発期を含む)を効能・効果とした、本薬の小児に対する有効性は期待でき、安全性は許容可能と考えられたことから、承認して差し支えないと判断して、本部会で審議されることが適当と判断いたしました。

 なお、本薬は、小児に対する用法・用量を追加する新用量医薬品に該当し、再審査期間は4年とすることが適当と判断しています。薬事分科会への報告を予定しています。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○松井部会長 それでは、委員の先生方から御質疑をお願いいたします。

○佐藤委員 1点だけ教えてください。先ほど御説明はありましたが、報告書8ページ目の6か月以上、12歳未満の小児に対する有効性の検討で、本件では、「標準治療対照試験とした場合に同意取得が困難な可能性が考えられた」という記述がありますが、これは、具体的にどういうことなのかを教えていただけますでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 私どもの想像の範囲にはなりますが、悪性腫瘍患者さんで、厳しい状態にあるということと、さらに、本剤は抗がん剤ではなくて、補助の治療、制吐ということで、どちらかというと、メインというよりはサブの治療になるので、そういう部分の治験に入っていただくのは厳しいのでは。さらに小児ということもありますし、そういう厳しい状況があるのかという想像をしています。

○佐藤委員 この治験薬を使うということについての同意は、もちろん得られているわけですよね。

○医薬品医療機器総合機構 はい。治験に入るという部分がちょっと難しいのかと想像をしていたのですけれども。

○佐藤委員 例えば、標準治療がものすごく制吐作用が劣るので、本件を使ってほしいというような、特に親から希望があるということがあるのでしたら少しは分かりますが、海外では、標準治療対照でやっているので、これがどういうことなのかなと思ってお伺いしました。別に、この研究デザインでいけないというつもりは全くありません。

○新薬審査第一部長 ありがとうございます。補足いたしますと、海外で、成人には既にこの3種類の併用が承認されており、2剤で抑えるよりは、3剤のほうがいいだろうという予測もありますので、できれば効果が高いと期待されるものを御希望されるところもあって、なかなか比較をするというのが国内では難しかったのではないかというように考えております。

○佐藤委員 ありがとうございます。

○松井部会長 なかなか対照を依頼するのは難しいと。

○佐藤委員 難しいでしょうね。分かります。

○松井部会長 ほかにありますでしょうか。

○松木部会長代理 アプレピタントではなくて、ホスアプレピタントにしたというのは、こちらのほうが何かメリットがあったということですか。小児に対しては。

○医薬品医療機器総合機構 小児患者の小さなお子さんが、経口のカプセル剤だと飲めないということで静注剤の開発を、という要望が医療現場からありまして、ホスアプレピタントの開発をいたしました。

○松木部会長代理 アプレピタントを静注すると、すぐ代謝されてしまうということですか。

○医薬品医療機器総合機構 ホスアプレピタントは、静注剤用として水溶性を向上させた製剤で、それを体内に静注すると、アプレピタントに代謝されるという形です。

○松木部会長代理 なるほど、分かりました。では、静注用の剤形としては、こちらのほうがというわけですね。

○医薬品医療機器総合機構 はい。

○松木部会長代理 それと、添付文書の1ページ目の左のほうの、効能・効果の四角で囲ってある〈効能・効果に関連する使用上の注意〉で、シスプラチン等に限るということはいいのですが、その後に括弧して、「「臨床成績」の項参照」と書いてあります。それで、臨床成績のほうを見ても、確かにシスプラチンのデータはありますが、この注意書と何かちょっと一致しないような。どちらにしても、これしかやっていないから当然ですが、こういう書き方ではないほうが分かりやすいのではないかと思います。

○医薬品医療機器総合機構 先生がシスプラチンしか書いていないとおっしゃられているのは、添付文書5ページの右上のことですか。

○松木部会長代理 ではなくて、最初のほうの1ページの注意書です。〈効能・効果に関連する使用上の注意〉で、左のほうのちょっと下から3分の1ぐらいの所で、四角で囲ってある所です。「「臨床成績」の項参照」と書いてあって。

○医薬品医療機器総合機構 はい。

○松木部会長代理 この臨床成績は、どちらにしてもシスプラチンのことでしかないのですが、だから、この「注意」ということと、「「臨床成績」の項参照」ということが、一致しないのです。こういうデータしかないということが、ここから読み取れないので、ちょっと書き方は不親切かなと思って。

○医薬品医療機器総合機構 一応、御説明いたしますと、添付文書5ページの臨床試験成績の項の右下に、小児の国内臨床試験成績の項があります。こちらの表の下の注1、注で申し訳ありませんがそこに、小児の試験では、シスプラチンとカルボプラチンとシクロホスファミドのいずれかということで複数の種類の検討がされています。

○新薬審査第一部長 補足いたします。先生の御指摘のとおり、臨床試験としては、かなり制吐作用の強い、抗がん剤とともに使っているということで、試験としてもそういうようなものしかなく、少々分かりにくいところがあるかもしれません。ただ、抗がん剤を取り扱う先生は制吐剤の使い方について、よく御存知かと思いますので、必要があれば資材等により補足させていただければ。

○松木部会長代理 そんなに重要な点ではないので検討いただければと思います。もう1点よろしいですか。

○松井部会長 どうぞ。

○松木部会長代理 NK1受容体拮抗薬というのは、非常に嘔吐をよく抑えるのですが、効果を見るときに、悪心・嘔吐といつも一くくりされてしまいます。しかし、悪心と嘔吐は必ずしも一致しないわけです、気持ちが悪くなって吐いてしまうというもので。患者のQOLから考えたら、吐いてしまうというのはそんなに悪いことではなくて、周りを掃除したりするのは大変かもしれませんが、吐くことで少しすっきりする面もあります。

 このNK1受容体拮抗薬の困るところは、どうも悪心を抑えないらしいということです。だから患者にとっては最悪で、気持ちが悪いのに吐けないという状態になってしまう。それで、ステロイドを併用するわけです。もしこれから臨床試験を指導するようなときは、「悪心」と「嘔吐」を区別して、できたら悪心のほうをよく抑えるというような薬の開発を促すような方向で、是非してもらいたいと思います。

○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。今後、審査する際に考慮させていただきます。

○松井部会長 ほかにありますでしょうか。

○加藤委員 すみません、ちょっとよく理解していないのかもしれませんが、この薬剤は、シスプラチン等の抗悪性腫瘍剤を静注投与するときに、一緒にVラインに入れて投与するという投与の仕方で構わないのですか。その投与の具体的なイメージが分からなかったのです。

○医薬品医療機器総合機構 抗がん剤を投与する日の1時間前に投与するという形です。

○加藤委員 一緒に静注ラインに混ぜるということですね。

○医薬品医療機器総合機構 はい。

○加藤委員 では、そのことによって今までの製剤だとカプセルで投与せざるを得なかったものが、回避できるということですか。

○医薬品医療機器総合機構 はい。

○加藤委員 分かりました。添付文書などを見ていると、「予防的」という言葉があるので、シスプラチンを投与する前に、静注ラインを別途確保して入れるように読めてしまったので、分かりにくいかなと思います。

○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。

○加藤委員 それは、きちんと資材とかで説明されるということですね。

○医薬品医療機器総合機構 そうですね、成人のほうでも皆さんお使いになっている剤だと思いますので、資材のほうで対応させていただきます。

○松井部会長 ほかにありますでしょうか。それでは、議決に入ってよろしいでしょうか。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないものと認め、承認を可として薬事分科会に報告いたします。

 それでは、議題8及び議題9について説明をお願いします。

○事務局 まず、議題8のfampridineについて御説明申し上げます。資料8を御覧ください。希少疾病用医薬品ですが、三つの要件がありまして、一つ目が、対象患者数が5万人未満であること、又は指定難病であること、二つ目として、医療上の必要性が高いこと、三つ目として、開発の可能性が高いこと、この3要件があります。この三つの要件に照らして説明します。それでは、資料8の「事前評価報告書」というタグをめくってください。報告書1ページ目の中ほどにあるとおり、予定される効能・効果は、多発性硬化症の歩行改善、申請者はバイオジェン・ジャパンです。

 まず、一つ目の「対象患者数」ですが、こちらは指定難病ですので、一つ目の要件は満たしていると考えております。二つ目、「医療上の必要性」です。まず、多発性硬化症は炎症や脱髄、ニューロンの消失を特徴とする中枢神経系の自己免疫疾患でして、再発と寛解を繰り返します。再発の症状は、回復は次第に不可逆的となる傾向がありまして、身体的障害又は認知機能の低下に至ります。

 最終的に、多発性硬化症患者の約20%が、初回診断から15年以内に介助なしでの歩行が不可能となったことも報告されております。本邦においては、多発性硬化症に対する治療薬として、疾患修飾薬として、インターフェロン β 製剤やフィンゴリモド塩酸塩等があります。また、対症療法としては、けいれんや排尿障害等に対する治療薬は存在しますが、同じ段落の最後の文章を御覧いただくと、歩行障害を対象とする治療薬は存在しておりません。

 本剤はこれらの治療薬とは異なりまして、再分極に関与するカリウムチャネルを阻害することによって、多発性硬化症に特徴的な病態である、脱髄による神経伝達障害を軽減すると考えられております。海外で実施されたプラセボ対照試験において、本剤群はプラセボ群と比較して歩行機能の改善が示唆されております。したがって、医療上の必要性も高いと考えられております。

 最後に、三つ目の「開発の可能性」ですが、本剤は、平成22年にアメリカ、平成23年に欧州において、既に歩行機能の改善に関する薬として承認されていて、平成26年9月、58か国で承認されております。平成25年から日本人患者を対象とした国内第 III 相試験が進行中ですので、本剤の開発の可能性も高いと考えております。以上、三つの要件を満たしますので、オーファンとして指定することが適切であると考えております。

 続きまして、議題9について説明します。

○事務局 議題9、資料9、STM-279を希少疾病用医薬品として指定することの可否について説明します。資料の評価報告書のタグをお開きください。本ページ中段を御覧ください。申請者は帝人ファーマ株式会社、予定される効能・効果はアデノシンデアミナーゼ欠損症となります。まず、対象患者数について説明します。アデノシンデアミナーゼ、ADA欠損症は、指定難病である原発性免疫不全症候群に分類され、原発性免疫不全症候群の発症頻度は10万人に2.3人と推定されており、2008年に行われた調査における原発性免疫不全症候群患者1,240人のうち、ADA欠損症患者は9人であったと報告されており、患者数が5万人未満という基準を満たしているものと考えております。

 次に、2ページ目の上段の「医療上の必要性について」です。ADA欠損症の治療法として、造血幹細胞移植が第一選択となっておりますが、HLA一致ドナーが見つかる確率は30%であり、HLA不完全一致の造血幹細胞移植の成功率は5085%となっています。治療の第二選択は酵素補充療法となりますが、現在、本邦では承認された医薬品はありません。米国では、ウシ腸から抽出したADAをポリエチレングリコール修飾した製剤であるADAGENが承認されております。

 本剤は、ポリエチレングリコールで修飾した大腸菌由来遺伝子組換えウシADAであり、ADAGENと同様、枯渇したADA活性を補うことにより、基質等を減少させる酵素補充療法として有用な薬剤になることが期待されております。以上により、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。

 最後に、3ページ目の上段の「開発の可能性について」です。本剤は昨年3月に米国でオーファンドラッグの指定を受けており、2014年から、重症の免疫不全を示すADA欠損症患者を対象に、本剤の有効性、薬物動態、及び安全性を検討する第 III 相試験を実施中です。また、本邦において、本年よりADA欠損症患者を対象に、本剤の有効性及び安全性を検討するため、第 III 相試験が実施される予定であることから、開発の可能性は高いと考えております。以上により、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。御審議のほどをお願いします。

○松井部会長 ありがとうございました。議題8及び議題9につきまして、御質疑をお願いします。よろしいでしょうか。もしなければ議決に入ろうと思います。両議題につきまして、希少疾病用医薬品として、指定を可としてよろしいでしょうか。

 御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告します。それでは、議題10及び報告事項、議題1についてお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 審議事項の議題10と報告事項の議題1について、機構より説明します。資料1011-1の、2つの番号が振られている資料、及び、資料11-2を御覧ください。審議事項と報告事項の説明の順番が逆になりますが、まず報告事項の議題1、医薬品インスリングラルギンBS注キット「FFP」他の製造販売承認について報告します。本剤は、インスリングラルギン(遺伝子組換え)〔インスリングラルギン後続2〕を有効成分とする製剤であり、持効型インスリンアナログ製剤であるランタスを先行バイオ医薬品とするバイオ後続品として、富士フイルムファーマ株式会社より製造販売承認申請がなされました。

 機構における審査の結果、本剤とランタスの同等性/同質性が認められたことから、バイオ後続品の指針に基づき、本剤はランタスのバイオ後続品に該当すると判断しました。したがいまして、ランタスが有する効能・効果である、インスリン療法が適応となる糖尿病の効能・効果で本剤を承認して差し支えないと判断しました。

 続きまして、審議事項、議題10、医薬品インスリングラルギンBS注キット「FFP」他の毒薬又は劇薬の指定の要否について説明します。資料の最後に添付されている、「毒薬・劇薬等の指定審査資料のまとめ」と記載された資料を御覧ください。先行バイオ医薬品のランタスは、原体・製剤、共に劇薬に指定されていることから、ランタスと同等/同質である本剤についても、原体・製剤、共に劇薬とすることが適当と考えました。本剤の毒薬又は劇薬の指定の要否について、御審議のほどをよろしくお願いします。

○松井部会長 以上ですか。

○医薬品医療機器総合機構 以上でございます。

○松井部会長 ありがとうございました。まず、審議事項、議題10について何か特段の御意見はありますか。ありませんか。野田委員、よろしいでしょうか。

○野田委員 はい。結構です。

○松井部会長 失礼しました。杉委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づいて、議決への参加を御遠慮いただきたいと思います。議題10につきまして、劇薬の指定を可としてよろしいでしょうか。よろしいですか。御異議がないようですので、指定を可として、薬事分科会に報告させていただきます。それから、報告事項、議題1について何か御質疑はありませんか。よろしいでしょうか。

 あと、報告事項がありましたね。よろしくお願いします。

○事務局 それでは、残りの報告事項について説明したいと思います。まず、報告事項の2です。医薬品ルテウムの製造販売承認についてですが、資料12を御覧ください。本剤はプロゲステロンを有効成分とする膣用坐剤です。不妊治療の過程で調節卵巣刺激を施行される患者では黄体機能が低下するため、黄体補充が必要となります。プロゲステロンの経腟製剤は、生殖補助医療を受ける患者において、黄体補充、並びに妊娠の成立及び維持を目的に投与されます。今般、体外受精-胚移植を施行予定の日本人女性を対象とした本剤の臨床成績等を基に、あすか製薬株式会社により製造販売承認申請がなされました。機構における審査の結果、生殖補助医療における黄体補充の効能・効果で本剤を承認して差し支えないと判断しました。

 続きまして、議題3です。医療用医薬品の再審査結果についてです。資料は13-1から13-4までありまして、こちらはいずれも医薬品再審査確認等結果通知書です。まず、資料13-1ですが、一般名はロキサチジン酢酸エステル塩酸塩、販売名はアルタットカプセル37.5mg75mg、細粒20%です。資料13-2ですが、一般的名称はl-メントール、販売名はミンクリア内用散布液0.8%です。資料13-3ですが、一般的名称はロピニロール塩酸塩、販売名はレキップ錠0.25mg、1mg、2mgです。最後に、資料13-4ですが、一般的名称コハク酸ソルフェナシン、販売名はベシケア錠2.5mg、5mg、又はベシケアOD錠2.5mg、5mgです。これらの品目につきましては、製造販売後の使用成績調査、特定使用成績調査、製造販売後臨床試験等に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、医薬品医療機器法第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち、効能・効果、用法・用量等の承認事項について、変更の必要はない、カテゴリー1と判断しました。

○事務局 続きまして、議題4、医療用医薬品ホスリボン配合顆粒の承認条件について説明します。資料14の2ページ目を御覧ください。リン酸二水素ナトリウム一水和物及び無水リン酸水素二ナトリウムを有効成分とする本剤は、平成2412月に低リン血症の効能・効果で承認されており、その際、本ページ中ほどに示している、全例調査に係る承認条件が付されております。この度、ゼリア新薬工業株式会社から、全例調査に係る報告書が提出され、機構において評価されましたので、報告します。

 3ページ、()「製造販売後調査の結果」を御覧ください。報告された調査は、本剤を使用した全症例を対象に、調査予定症例数150例以上、観察期間12か月又は本剤投与中止時までとして実施され、1,697例が登録されました。安全性につきましては、本ページ下段の2)「安全性」を御覧ください。安全性解析対象症例596例のうち、副作用は22(3.7)に認められました。また、重篤な副作用は、突然死、敗血症、高リン血症、及び腎機能障害の4例で、全て未知の副作用でした。疾患別の副作用は、未熟児くる病4/291(1.4)、原発性低リン血症性くる病・骨軟化症9/146(6.2)Fanconi症候群で4/47(8.5)、その他の疾患5/91(5.5)で認められました。また、長期間投与の副作用発現につきましては、本剤の薬理作用から懸念される二次性副甲状腺機能亢進症、腎石灰沈着症は本調査で認められなかったことから、本剤を1年間投与した場合でも、現時点では、投与期間の長さが副作用の増加につながるような傾向はないと考えております。

 有効性につきましては、4ページの3)「有効性」に記載しております。医師による、全般的有効性の判定による有効率は、全疾患で84.6(498/589)であり、未熟児くる病91.4(266/291)、原発性低リン血症性くる病・骨軟化症で76.7(112/146)Fanconi症候群で87.2(41/47)、腫瘍性骨軟化症で71.4(10/14)、その他の疾患で75.8(69/91)でした。本剤の投与前と投与後の血清リン濃度、又は血清アルカリホスファターゼ値を測定した結果は5ページの表2、表3のとおりです。いずれの疾患におきましても、投与前と比較して、投与後は血清リン濃度が増加しており、正常範囲内でした。血清アルカリホスファターゼ値におきましても、投与前に高値であった状態が投与後は低下し、改善傾向が認められております。これらを基に、機構におきまして、本調査で収集された、安全性及び有効性に関する情報を確認した結果、現段階におきまして、未熟児くる病については更なる製造販売後調査等の実施は必要ないと判断されております。しかしながら、未熟児くる病以外の低リン血症に関しては長期投与が想定されるものの、現時点で長期使用時の集積的症例が少ないことから、引き続き、長期使用における安全性及び有効性の把握を目的とした調査を実施する必要があると考え、承認取得者に調査計画を求めたところ、5ページの表4の「特定使用成績調査計画書骨子()」が提出されております。

 以上を踏まえ、未熟児くる病に対する安全性及び有効性にかかる情報が収集されたことから、全例調査に関する承認条件については対応されたものと判断しております。未熟児くる病以外の低リン血症に対する安全性及び有効性につきましては、引き続き、長期使用に関する調査で検討が必要と考えております。以上になります。

○松井部会長 ありがとうございました。先ほどの報告事項、議題1と併せて、議題2~4につきまして、何か御質疑があればどうぞ御発言ください。よろしいでしょうか。それでは、これらの報告事項、議題については委員の先生方の御確認を得たものとします。

 本日の議題は以上ですが、今後のことについて事務局から何か御報告はありますか。

○事務局 次回の部会の日程につきましては、4月20()午後2時から開催する予定ですので、よろしくお願いします。

○松井部会長 それでは、本日はこれにて終了といたします。どうも御苦労さまでございます。

 


(了)

備  考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬・生活衛生局 医薬品審査管理課 課長補佐 清原(内線2746)

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