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2016年5月10日 第171回労働政策審議会雇用均等分科会

雇用均等・児童家庭局職業家庭両立課

○日時

平成28年5月10日(火)13:00~15:00


○場所

中央労働委員会 講堂


○出席者

公益代表委員

田島分科会長、権丈委員、武石委員、中窪委員、山川委員

労働者代表委員

山中委員、井上委員、松岡委員、半沢委員

使用者代表委員

川崎委員、加藤委員、中西委員、布山委員

厚生労働省

吉本大臣官房審議官、小林雇用均等政策課長、蒔苗職業家庭両立課長、河野短時間・在宅労働課長、中條育児・介護休業推進室長、高橋均等業務指導室長

○議題

1 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律等の一部改正法の施行について

○配布資料

資料1 育児・介護休業法及び男女雇用機会均等法の改正を踏まえた主な省令事項(案)
資料2 育児・介護休業法及び男女雇用機会均等法の改正を踏まえた主な指針事項(案)
(別紙1) 妊娠・出産等に関するハラスメントの防止措置の対象行為の範囲について(案)
(別紙2) 妊娠・出産等に関するハラスメントの防止措置の内容について(案)
(別紙3) 育児休業等に関するハラスメントの防止措置の内容について(案)
参考資料1 セクシュアルハラスメント対策
参考資料2 事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針
参考資料3 妊娠等を理由とする不利益取扱いについて

○議事

 

○田島会長 定刻前ではありますが、ただいまから、第171回労働政策審議会雇用均等分科会を開催いたします。本日は奥宮委員、斗内委員、渡辺委員が御欠席です。

 それでは議事に入ります。本日の議題は、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律等の一部改正法の施行についてです。資料について、事務局から御説明をお願いします。

○蒔苗職業家庭両立課長 両立課の蒔苗でございます。本日は育介法の法令と指針について御説明を申し上げて御議論をお願いできればと思っております。まず、省令からですが、資料1育介法及び均等法の改正を踏まえた主な省令事項()として、1、育児休業の対象となる子の範囲についてです。今回の法改正において、特別養子縁組の監護期間にあるお子さんや、養子縁組里親の方に委託されているお子さんについて、法律上対象となったわけですけれども、省令でもう一つ決めるものとして、(1)児童相談所において、養子縁組を希望する里親に児童を委託しようとしたが、実親の同意が得られなかったため、養育里親として当該里親に委託されている児童とするというのを省令で決めたいと思っております。(2)はこれらの3つの新たな対象追加をされたことに伴い、規定の整備を行う予定です。※の1、育児休業の申出事項について、今ほど申し上げました特別養子縁組のお子さんとか養子縁組里親のお子さん、あるいは(1)に該当するお子さんを養育しているという場合は加えるというものです。2点目が、現行、育児休業の申出に際し、事業主がその事実を証明する書類の提出を求めることができるという規定がありますけれども、この対象に今回の3つの類型も追加ということで、1つ目が特別養子縁組の監護期間にある子を養育していることの事実。2つ目が、養子縁組里親として委託されている子を養育していることの事実。それと上記(1)に該当する子を養育していることの事実を加えるというものです。3番目が、育児休業の終了事由について、特別養子縁組の請求の棄却や養子縁組里親の委託解除などを加える。その他所要の整備です。

3ページの2は対象家族の範囲の見直しです。介護休業を取得できる対象家族について、世帯構造の変化等を踏まえ、現状、祖父母、兄弟姉妹、孫の方につきましては、同居・扶養要件がかかっていますけれども、こちらを削除して、取れるようにするという改正です。

4ページの3は、子の看護休暇及び介護休暇に関する事項です。今回の改正において、これまで1日単位の取得から半日単位の取得が可能となったわけですが、それに関する省令事項です。1つ目の丸で1日の所定労働時間が短い労働者として、子の看護休暇及び介護休暇の半日単位取得ができない労働者についてですが、1日の所定労働が4時間以下の労働者とするもの。2点目、子の看護休暇及び介護休暇の取得単位についてです。(1)として、厚生労働省令で定める1日未満のものは半日とする、ただし、労使協定により所定労働時間の2分の1以外の半日も可能とする。※として、半日の定義ですが、1日の所定労働時間の2分の1とする。括弧内の、日によって1日の労働時間が異なる場合には、1年間における1日の平均所定労働時間という扱いにしたいと考えています。2つ目の※として、所定労働時間に1時間に満たない端数がある場合は、1時間に切り上げて計算するというものです。例えば、1日の労働時間が7時間45分の方については、一旦8時間に切り上げた上で、その半分2分の14時間の取扱いにする。括弧内の、所定労働時間の2分の1以外を半日とする労使協定を締結した場合は、所定労働時間の1時間に満たない端数を切り上げず、半日を計算することを可能とするというものです。3つ目の※として、半日単位の休暇は始業の時刻又は終業の時刻と連続することとする。(2)半日単位の休暇を取得する際は、休暇の取得の開始及び終了の日時を申し出ることとする。(3)介護休暇の場合も同様とするというものです。

6ページは介護のための所定外労働の免除、いわゆる残業の免除です。現行、育児の場合は3歳までの残業免除が入っていますけれども、こちらに倣い省令の規定の整備です。(1)介護のための残業免除を請求できないこととすることについて、合理的な理由があると認められる労働者として省令で定める者は、1週間の所定労働日数が2日以下の労働者とする。(2)は、その請求の方法については次に掲げる事項を書面等により、事業主に通知することによって行う。()請求の年月日()請求する労働者の氏名()請求に係る対象家族の氏名及び労働者との続柄()請求に係る制限期間の初日及び末日。(3)所定外労働の免除が開始するまでに対象家族を介護しないこととなった事由として、省令で定める事由です。()対象家族の死亡()離婚等により親族関係が消滅した場合()請求した労働者が障害等により、対象家族を介護することができない状態になったこと。(4)は、残業免除が終了するまでに対象家族を介護しないこととなった事由として、省令で定める事由についても(3)を準用するというものです。

8ページは、介護のための所定労働時間の短縮措置、いわゆる選択的措置義務です。こちらについて今回、3年間の措置が決まったわけですが、メニューについては現行と同様に、(1)法第23条第3項の措置は次のとおりとするというもので、()所定労働時間の短縮の制度()フレックスタイム制度()時差出勤制度()介護サービス費用の助成制度その他これに準ずる制度。という措置で、現行と変わらないものです。(2)上記()から()の制度は少なくとも2回以上の申出が可能となる制度とするというものです。()の介護サービス費用の助成については、現行も通達で規定しておりますので、今内容は検討中ですが、今回も通達等で規定する予定です。

(9)(10)は後ほど、いわゆるマタハラの議論の際にまとめて御説明をしたいと思いますので、省令の説明は以上です。

 続きまして指針の御説明に移ります。資料の2、育介法均等法の改正を踏まえた主な指針事項()1、有期契約労働者の育休の取得要件に関する事項です。1点目は、育休取得要件の趣旨の明示について。(1)改正後の育介法第5条第1項第2号の「その養育する子が16か月に達する日までに、その労働契約が満了することが明らか」か否かについては、育児休業申出のあった時点において判明している事情に基づき、労働契約の更新がないことが確実であるか否かによって判断し、例えば育休申出のあった時点で次のいずれかに該当する労働者は、原則として、契約の更新がないことが確実であると判断される場合に該当すること。ただし、これらの方であっても雇用継続の見込みに関する事業主の言動や同様の地位にある他の労働者の状況及び当該労働者の過去の契約の更新状況等からこれに該当しないものと判断され、育児休業の取得要件を満たすものと判断される場合もあること。育児休業が取得できないケースとして、()()が例示されています。()書面又は口頭によって契約の更新回数の上限が明示されている場合。こちらについては、当該上限まで契約が更新された場合の期間の末日が16か月に達する日以前の日であるもの()契約の更新をしない旨が明示されている労働者の方で、育休申出があった時点で締結されている労働契約の期間の末日が16か月に達する以前の日であるものです。(2)介護休業の場合も同様です。

 次は2ページです。まず下の点線の囲みですが、今回、建議において御議論を頂きまして、育休の取得要件を見直しましたので、育児休業期間中に契約の終了がくる場合がありますので、その場合の扱いについて1つ目の三角で、育児休業の取得等を理由として契約を更新しないことは不利益取扱いに該当するため、禁止されること。2点目が、育児休業の取得等を理由とせず、経営上の理由等から契約を更新しないことは、不利益取扱いには該当せず、禁止されないことという整理とすることが適当であるとされています。これの2点目の部分です。(1)次に掲げる場合には、育児休業又は介護休業をしている労働者の雇止めは、指針第211(2)ロの「期間を定めて雇用される者について、契約の更新をしないこと」に該当しない可能性が高いと考えられること。これに該当しないということで、不利益取扱いに該当せずに、雇止めが禁止されない可能性が高いというものです。2点ありまして、()工場閉鎖等、比較的大規模な事業縮小のケースを想定しています。専ら事業の縮小や担当していた業務の終了・中止等により、育児休業又は介護休業をしている労働者を含め、契約内容や更新回数などに照らして、同様の地位にある労働者全員を雇止めすること。2点目が、()ほどではないにせよ、生産内容の縮小等に際し、労働者の一部の方を雇止めする場合のケースです。()事業縮小や担当していた業務の終了・中止等により、労働者の一部を雇止めする場合であって、能力不足や勤務不良等を理由に、育児休業又は介護休業をしている労働者を雇止めすること。ただし、能力不足や勤務不良等は育児休業又は介護休業取得以前から問題とされていたものであること。育児休業又は介護休業を取得したことのみをもって、育児休業又は介護休業を取得してない者よりも不利に評価したものではないことなどに留意すること、というものです。

3ページはいわゆるマタハラの部分ですので、後ほどまとめて御説明したいと思います。

 次に4ページは、子の看護休暇、介護休暇に関する事項について、指針のほうで半日単位の取得が難しい業務、困難な業務の例示を議論することになっています。下の点線は、建議の際にも業務の性質や業務の実施体制に照らして困難な業務の例示について、育児のための短縮措置における同業務の例示を参考に指針において示すことが適当であるとされているものです。ポツにありますが、業務の性質又は業務の実施体制に照らして、半日単位で子の看護休暇又は介護休暇を取得することが困難と認められる業務とは、例えば次に掲げるものが該当する場合があること。なおとしまして、次に掲げる業務は例示であって、これら以外は困難と認められる業務に該当しないものではなく、またこれらであれば困難と認められる業務に該当するものではないこと、としています。()業務の性質に照らして半日単位で子の看護休暇又は介護休暇を取得することが困難と認められる業務、としまして、これらの例は現在ある育児の短時間勤務の例を参考に規定しています。国際路線等に就航する航空機において従事する客室乗務員等の業務。()として、業務の実施体制に照らして、半日単位での子の看護休暇等を取得させることが困難と認められる業務。労働者数が少ない事業所において、当該業務に従事しうる労働者数が著しく少ない業務。()は、業務の性質及び実施体制に照らして、半日単位での子の看護休暇等を取得させることが困難と認められる業務として、1つ目が流れ作業方式による製造業務であって、半日単位で子の看護休暇又は介護休暇を取得する者を勤務体制に組み込むことが困難な業務。2として、交替制勤務による製造業務又は運輸業務であって、半日単位で子の看護休暇等を取得する者を勤務体制に組み込むことが困難な業務。この2番の交替制勤務につきまして、現状育児の短時間勤務、交替制勤務の製造業務となっているのですが、昨年秋に審議会で御議論をいただいた際に、経営側の委員の方から交替制勤務による運輸業務についても、ここの困難業務として入れるべきではないかという意見がありましたので、そこだけ追記したものです。最後に、個人ごとに担当する企業、地域等が厳密に分担されていて、他の労働者では代替が困難な営業業務です。こちらについては事務局としてもいろいろ検討はしたのですが、育児の場合の3歳までの短時間勤務であれば、日常的なニーズに即した業務であるのに対して、今回、御議論いただきます子の看護休暇あるいは介護休暇に関して、突発的にその日の朝、当日申出というのも可能ですので、全くこの()()()の同じような業務が当てはまるかどうかについては、少し皆さまからの御意見を頂いた上で、検討したいと思っております。

 次に5ページの介護のための所定労働時間の免除に関する事項についてです。こちらについては育児の残業免除に関する省令の規定がありますので、それと同じ規定を書いております。(1)として、あらかじめ制度が導入され、規則が定められるべきものであること。(2)として、制度の弾力的な利用が可能となるよう配慮すること。

5番目は、法第22条の規定により、育児休業又は介護休業をする労働者が雇用される事業所における労働者の配置その他の雇用管理に関して、必要な措置を講ずるに当たっての事項です。囲みの、前回も審議会で御紹介しましたけれども、今回の育介法の国会審議において、先生から質疑がありまして、ここの部分の表現が非常に分かりにくいという御指摘を受けまして、御議論いただくものです。現行は丸にありますように、育児休業、介護休業後においては原則として原職又は原職相当職に復帰させることが多く行われているものであることに配慮することについてです。こちらについて、黒ポツの育児休業及び介護休業後においては、原則として原職又は原職相当職に復帰させるよう配慮することとしてはどうかと考えております。

6ページは介護の制度に関する柔軟な配慮の部分の規定です。企業の雇用管理等に伴う負担との調和を勘案し、必要な措置が講じられることが望ましいものであることに配慮する際に留意する事項についてです。現在も(1)(5)の規定が指針の中に入っていますけれども、アンダーラインの部分について今回変更してはどうかと考えております。(1)の部分については、国会等の審議あるいは建議を議論する際のこの審議会の御議論がありましたけれども、施設に入るまでの期間で93条を超えてしまう場合がある場合に、少し事業主の法を上回る措置のような配慮が必要ではないかという御議論もありましたので、今回(1)の部分について若干追記しています。(1)当概労働者が介護する家族の発症からその症状が安定期になるまでの期間又は介護に係る施設・在宅サービスを利用することができるまでの期間が、としています。あとは現行、介護休業と選択的措置義務を併せて93日となっていますので、今回選択的措置義務は外出ししましたので、介護休業について、93日から育介法第11条第22号の介護休業日数を差し引いた日数の期間を超える場合があること、という改正です。(2)も同様の改正です。(5)は、制度の弾力的な利用についての規定ですが、こちらについては今回、法改正の中で介護休業、3回の分割ということが法定されましたので、それを上回る制度の弾力的な利用ということで、介護休業の更なる分割等というのを入れております。以上が6番です。

 続いて7番が介護休業制度・介護保険制度にかかる企業から、労働者に対する情報提供に関する事項についてです。この部分については、国会等の審議の中でも、今回、介護に関する見直しはかなり大幅な改正となったわけですけれども、せっかく改正した内容であってもそれが労働者に伝わらなければ利用が進まないという御指摘もありまして、情報提供に関する規定を指針に書きたいと思っております。括弧のように、法22条の規定の部分に関して、以下の事項を追加したいと考えております。介護休業の申出が円滑に行われ、家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするため、次の事項に留意すること。1点目が、介護休業等の育介法に定める両立支援制度の内容とか、当該内容その他の両立支援について事業主が定めた事項。3点目が、介護にかかるサービスに関する情報について、労働者が十分に情報を得ていることが重要であること。2点目として、事業主の方は育介法に定める両立支援制度の内容及び介護にかかるサービスに関する情報に関し、行政から提供される情報も活用しつつ、(1)の情報について、労働者に周知を行うことが望ましいこと。3点目として、事業主は労働者からの仕事と介護の両立に関する相談への対応のための窓口をあらかじめ定めることが望ましいこと、というものです。

 最後に8番目、派遣労働者についてです。今回新たに派遣先についても、法上の不利益取扱いを規定することになりましたので、1つ目の丸として、その例示を書いたものです。(1)解雇その他不利益な取扱いとなる行為には、例えば派遣労働者として就業する者について、派遣先が当該派遣労働者にかかる労働者派遣の役務の提供を拒むことが該当すること。(2)で、子の具体的な役務の提供を拒むことの例示を2つ書いています。()派遣労働者が派遣元事業主に育児休業の取得を申し出た場合に、育児休業に入るまでは派遣契約に定められた役務の提供ができると認められるにもかかわらず、派遣中の派遣労働者が、育休の取得を申し出たことを理由に、派遣先が派遣元に対して労働者の交替を求めることです。2点目が子の看護休暇の関係です。()として、派遣契約に定められた役務の提供ができると認められるにもかかわらず、派遣中の派遣労働者が子の看護休暇を取得したことを理由に、派遣先が派遣元に対して労働者の交替を求めることです。最後の丸ですが、派遣労働者が育児休業を取得されて、復帰後の就業機会の確保の努力を派遣元において行うべきことの明確化です。黒ポツですが、派遣元は派遣労働者が育児休業から復帰する際には、派遣労働者が就業継続できるよう、当該派遣労働者の派遣就業を行う派遣先に係る希望も勘案しつつ、就業機会の確保に努めるべきであることに留意すること、というものです。私からの説明は以上です。

○田島会長 ただいまの事務局からの御説明について、資料1の省令事項()と、資料2の指針事項()に分けて御議論いただきます。まず、資料1の省令事項()について御質問、御意見等がありましたらお願いいたします。御発言はございませんか。御発言がないようですので、資料2の指針事項()について御質問、御意見等がありましたらお願いいたします。山中委員どうぞ。

○山中委員 私からは、指針の1ページの有期契約労働者の育休及び介護休業の取得要件について、改正の趣旨の明確化と、それから国会でも附帯決議がなされた部分を引用して要望をさせていただきます。今回提示されている指針案に関連する箇所として、有期契約労働者の取得要件の改正について、労側も改正の趣旨は明確にすべきであるというように、この間繰り返して申し上げてきました。国会でも附帯決議がなされたところです。そもそも今回の改正は、労使紛争のもとになっている有期契約労働者の取得要件について、労使ともに分かりやすくするということで、三要件等についても議論がされてきたところであり、そこが大きな論点であったと認識しております。

 その趣旨は、もちろん附帯決議にも表れております。引用すると、「労使双方の取得要件の理解不足等により対象となる有期契約労働者の権利行使が妨げられることのないよう、取得要件の趣旨を指針によって分かりやすく周知徹底すること」としており、更に、「その際、本法施行後には、短期の有期労働契約を繰り返し更新している場合も含め、有期契約労働者は、期間内に確実に雇止めされることがあらかじめ明確である場合を除いて、育児休業等を取得できることを指針に明記すること」とあります。

 今回の指針案では、前回お配りいただいた現行指針の第21(2)に「育児休業の取得要件を満たすと判断され」と加えられるということです。分かりやすくするという趣旨と、附帯決議の後半部分、更に国会では有期契約労働者の反復更新による実質無期に関する議論が出ていたことを踏まえると、指針第21(1)すなわち無期契約と実質的に異ならない労働者に関する所にも、(2)に加えた文言と同様の文言を加えるとより分かりやすくなり、今回の改正の趣旨に合致すると考えております。特に規定の中身を変えるということではないと思いますので、分かりやすくするためにも、是非ともここは明記していただきたいということでお願いいたします。

○田島会長 布山委員どうぞ。

○布山委員 今の1ページの所の御意見に関してです。今ここで提示されている内容で、()の所が書面や口頭で、更新回数の上限が明示されている人で、その末日が16か月に達する以前の者。それから、更新をしない旨が明示されていても、その最後の日が16か月に達する日以前の者。今おっしゃっていた、繰り返し更新する、しないということにかかわらず、この2つで内容的には分かると思います。

○山中委員 最後のほうに申し上げた、規定内容を変えるということではありませんし、()()にも確かに書かれているとは思います。そもそも、今回の有期契約労働者の育休の取得要件の三要件に関する論議においては、この審議会でもかなり時間を割いていただきました。労使の紛争のもとになっているということが、国会でも論議になっているところです。労使ともに理解しやすい中身にするということで、先ほどの説明でお願いしたことを書き加えても、何ら法の趣旨、附帯決議に沿わないということではないと思います。そのほうが分かりやすいということで、是非とも御検討をお願いしたいと思います。

○田島会長 別の論点でも結構です。井上委員どうぞ。

○井上委員 資料2の指針の2ページで意見を申し上げます。経営上の理由等から契約を更新しないことは、不利益取扱いには該当せず、禁止されないことの内容についてです。建議取りまとめまでの議論では、事務局から、経営上の理由について、育児休業を取得した後の状況の変化で一番大きく考えられるのは、経営状況の悪化だと。分かりやすく言うとリーマンショック、あるいはそういう経営上の変化があった場合に、現状もそうだが、不利益取扱いには該当しないという扱いだとの説明がありました。

 今回の案の中で、()()が新たに加わってきました。特に()の部分の内容については、この間議論をしていない中で、この時点でこの内容で上がってくるということに関しては若干唐突感・違和感を覚えています。能力不足や勤務不良ということなのですけれども、評価制度が確立していなければ、何が能力不足で、何が勤務不良なのかを正確に判定できないのではないかと考えます。例えば、第2子の育児休業の取得時に、第1子の養育による休業制度、あるいは所定外労働免除とか短時間勤務の利用、あるいは法定外労働の拒否などが、能力不足や勤務不良とならないということも大変重要であると考えております。いずれにしても能力不足とか、勤務不良という文言が、脱法的な取扱いの抜け穴とならないものとする旨を、指針等に書き込むべきではないかと考えておりますので、御検討をお願いいたします。

○田島会長 中西委員どうぞ。

○中西委員 私からは、3の子の看護休暇及び介護休暇に関する事項について意見を述べさせていただきます。業務の性質や、業務の実施体制に照らして困難な業務の例示についての意見です。前文にもあるように、あくまで例示ではありますが、業務のイメージがより一層湧きやすくなるように、労使の話合いが円滑に進むように、表現ぶりの修正を2点お願いいたします。

 まず()2つ目についてです。交替制勤務の業種について、製造業と運輸業が挙げられております。その他にも、シフト制を敷くサービス業なども、時間管理が複雑になり、代替要員の確保が難しくなります。例示の中に加えていただくようお願いいたします。2点目は()3つ目についてです。「個人ごとに担当する企業、地域等が厳密に分担されていて、他の労働者では代替が困難な営業業務」とあります。営業業務以外にも、例えば商品のメンテナンスなど、サービス業の業務もあって、営業に限ったものではないと思います。

 いずれにしても半日単位での休暇制度を新たに導入するなど、業務体制が複雑になれば、特に中小企業においては負担が大きくなると考えられますので、十分な配慮をお願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。

○田島会長 半沢委員どうぞ。

○半沢委員 質問ですけれども、先ほどの説明では、資料23ページのハラスメントの部分の説明は後ほどまとめてというお話でしたので、そちらの議論はこの後に行われると思ったらよろしいですか。

○蒔苗職業家庭両立課長 はい、そうです。

○田島会長 ご説明いただいて、その上でお願いしたいと思います。

○半沢委員 はい。1点意見を申し上げます。今お話のありました3の子の看護休暇及び介護休暇に関する事項の、業務の性質や業務の実施体制に対して困難な業務の例示について意見を述べさせていただきます。例えば、子の看護休暇を取得する際の労使協定の除外については、育児のための所定労働時間の短縮措置における例示を参考にするということでした。今回の資料にもそれを参考にした例示が出されているのだと理解しています。ただ、これまでにも何度か申し上げてきましたように、常時短時間勤務をするということと、スポット的に入る休暇、またその回数も限られていることとは、制度の性質というのは非常に異なるということを、まず前提として考える必要があるのだろうと考えています。

 例えば、製造業の業務等で、どうしても本人が体調不良などで半日休むということはあり得るわけです。実際にそういう運用がされている現状にあると思います。ただ、子の看護休暇に関して考えるならば、子供が熱を出してどうしても離れられない、看護が必要だというのが、例えば半日起こってくることもあり得るわけです。これまでも、1日単位では取れてきたわけですけれども、これを半日で休めない、そういう運用を既にされている面もあるにもかかわらず、子の看護休暇について休むことができないというのは少し違和感を感じざるを得ないと思います。

 例えば、要介護者の容体の急変等も、1日での休みというのはこれまでも取っていたわけです。それが半日は休めないというのも、少し不思議な状況、理屈かなと思っています。今回の改正の趣旨を考えると、より柔軟な取得を促進するということで、半日単位ということにしてきたと思います。例えば時間帯とか、そういう議論もあった中において、そういう煩雑になりすぎるものはというような話もあり、半日単位というようにしてきたはずです。そういう趣旨を考えれば、労使協定の除外を例示するとしても、極めて限定的な内容、範囲とすべきなのではないかと感じています。

 ここで言う製造業に関して私たちの組合員の職場を見ていますけれども、半日単位での休みを取れるという所も、それは規模感、様々な中においても、実際多いわけです。実際働いている感覚からして、どうしても不可能だというのはなかなか考えづらいと思います。また、交替勤務の場合に、例えば短時間勤務ということであれば、シフトにはまりづらいというのもあるのかもしれませんけれども、半日単位ということであれば、シフトにはめることも、よりやりやすくなってくるのではないかと感じています。

 さらに、地域割りの営業も例示として挙げられていますけれども、これまでも1日単位で休む制度はあったわけです。余人を以て代え難いということであれば、半日でも営業できるほうがいいという場合もあるのだろうと思います。半日であれば、マネジメントで調整をできる、ということも考えられるのではないかと思います。こういう例示について、改めて短時間勤務と、半日休暇という制度の違いを踏まえた例示を考えるべきであって、極めて限定的に書かれるべきだと考えていますので、意見として申し上げます。

○田島会長 松岡委員どうぞ。

○松岡委員 関連して半日単位の休暇制度についてです。先ほど半沢委員も少し触れていましたけれども、今回の半日単位の休暇制度については、終日の年次有給休暇とは違って、1年に5日、半日単位で取れば10日で、育児や介護を担う労働者が対象ということになります。そういう規模感が違うということも踏まえて検討する必要があるのではないかと考えています。

 この例示の中の()で、「国際線の客室乗務員の業務」と書いてあります。インフライトで、途中から休暇に入りますということは現実的にあり得ないです。海外に到着してから半日休む、ということも基本的にはあり得ないと思います。もともと実際の業務の働き方の点で考えれば、長い勤務時間の国際線乗務だけではなくて、国内線乗務だとか、地上勤務も組み合わせて勤務が構成されていることもあります。そういう意味では半日休暇というのは、これまでの短時間勤務の制度が、なかなか適用しづらいという事情とは異なる面もあるのではないかと感じています。

 例えば、フライト前に急遽子供の調子が悪くてということであれば、当然半日でこの休暇制度を取得することもできるわけです。そういう意味では一律でこのように記述をしてしまうと、あたかも客室乗務員という職種については、国際線に従事することがある客室乗務員については、全て一律で取れないということになりがちかと思います。もちろん前文の所に、これらであれば「困難と認められる業務に該当するものではないこと」という記述もあります。短時間勤務のときに例示されていたということも前例としてあるわけですから、そういうことに引っ張られてしまう可能性があることについては非常に懸念します。

 先ほどの半沢委員のお話の繰り返しになりますけれども、業種によって様々ですので、ある程度その場面だとか、こういう条件だとか、かなり限定的にその趣旨として書きたいことが伝わるように表現する必要があるのではないかと考えています。

○田島会長 井上委員どうぞ。

○井上委員 先ほど事務局から、運輸業の所が前回までの議論から新しく追加されたというお話がありました。私どもの傘下にも運輸業に働いている現場がありますので、実態の確認をさせていただきました。そもそも運輸業では、そのシフトは時間に切り分けて実施しているものなのだということで、シフト=ニーズに対応できるものだということです。個別の労使協定で定めているということでもありますが、個人の事情を考慮して、柔軟に対応していると聞いております。ですから、ここに一律に「運輸業」という記載をすれば、既に柔軟な対応をしている所にまで影響を及ぼすものでありますので、これは不適当だと思います。

 先ほどから半沢委員、松岡委員も申し上げているとおり、あくまでもこれはスポット的に、あるいは柔軟な対応という形で、今回新たに法改正が行われるものですので、育児の短時間と同様の例示ということにはならないと考えております。こちらについては内容を改めて御検討いただきたいと思います。

○田島会長 布山委員どうぞ。

○布山委員 今議論になっている半日の部分です。そもそも建議をまとめる議論の中で、業務の性質であるとか、実施体制などから、半日単位の取得を付与するのは難しい業種・業態があるということはこれまでも申し述べてきました。特に、中小企業においては対応が難しいという御意見もあったかと思います。そういう状況ではありましたが、育児・介護の両立をしやすくするための企業側の支援の1つとして、今回半日取得を可能とするということの改正ということでまとめたと使側の委員としては思っています。ただそういう中でも、半日取得の措置が難しい業種や実施体制はそれでもやはりあるということも御理解いただいて、それを労使協定で除外できるかどうかという議論を今させていただいているのではないかと思っております。

 具体的に意見を述べさせていただきます。今の()()()の分類のうち、先ほど他の使側の委員からも御意見がありましたけれども、()については「業務の性質及び実施体制に照らして」とありますが、よく読むと、「業務の性質又は実施体制に照らして」というようにすべきではないかと思います。内容を見ると、()()にも該当し得るのですが、同じものをそれぞれの分類の中に入れなくてもよいように()に移したのではないかと考えるからです。

 昨年の議論で意見を述べた運輸業務を今回盛り込んでいただいて感謝しております。ただ、これも私が運輸業務各社に伺ったところ、交替制勤務における業務だけではないということのようなので、交替制勤務のところではなくて、別途例示の1つとして運輸業務を入れていただきたいと思います。例えば、先ほど荷物の配送のことがありましたが、その荷物の運送の場合に、その日の道路事情もあって、半日単位での業務を認めるのは困難なこともあるそうです。例えば午前中は休んで、午後から出勤されても、その日に運んでもらう荷物があるとも限らないので、そういう業種・業態があるということを踏まえて、例示として入れていただきたいと思います。

 同じように、先ほど国際路線の事例が出ましたが、お昼から来ていただいて、ロンドン便には乗れなかったけれども、その後に乗れる便があるのかという用意をすることを考えると、やはりこれは1日単位で休んでいただくような業種・業態というのがあるのではないかと思っております。ここにある例示全てをどうするかということは別にして、基本的に難しい業務というのは例示として入れていただきたいというのが使側の意見です。

○田島会長 川崎委員どうぞ。

○川崎委員 私も同じような意見になります。4ページの3の子の看護休暇及び介護休暇に関しての半日の取得の、例示として半日取得が難しいというところの例示が挙がっているわけですけれども、何が難しいのかというところが、ある一定合理的にイメージしやすいものを例示することによって、今回の制度改正に伴って、より使いやすい制度を導入していくときの参考にもなると思いますので、分かりやすい例示の工夫を是非していただきたいと思います。大ぐくりの、基本的に業務の性質や、業務の実態に照らしてというような方針だけの考え方だと、実際にはなかなか分かりにくい部分もあるかと思いますので、例示の所での工夫はしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○田島会長 他に御意見はございませんか。半沢委員どうぞ。

○半沢委員 8番の派遣労働者として就業する者に関する事項に関して意見を申し上げます。派遣先の育児や介護に関する契約解除というのは、労働者派遣法の第27条に反するものであると考えておりますので、その内容を明示すべきではないかということです。また、育児休業の取得をしていても、労働者派遣契約、あるいは雇用契約が継続というように解釈されるべきであり、派遣元としても、例えば保育園の入園資格など、社会保障、社会福祉上不利益にならない取扱いが必要だと考えます。また、「原則、原職復帰」ということで記述がありましたけれども、そういうことであれば、派遣元が就業機会の確保に努める場合については、元の派遣先の就業の優先的な確保について配慮をする、といった旨を明記してはどうかと思います。

○田島会長 山中委員どうぞ。

○山中委員 5ページの、介護のための所定外労働の免除に関する事項について意見を述べさせていただきます。この、介護のための所定外労働の免除については、今回の改正の非常に重要な位置を占める部分であると認識しております。ただ、残念ながら企業に規定が整備されていなければ、そもそも取得することが難しいという実情もあります。せっかく請求権ということで、このように規定をしていて、就業規則などに規定していなくても使える権利ですけれども、企業内の規定がないと、権利があることが労働者にとって非常に分かりづらい。もしかすると、使用者側にとっても分かりづらいということです。そのため、企業が整備を進めるように指針に示していくことが妥当ではないかと考えています。

 同様に育児では、1か月前に申請が必要となる規定についても、仕事と介護の両立に配慮し、「弾力的な運用を行うべきこと」というのを明記すべきではないかと考えております。その際は、そもそも所定外労働というものについては、例外的に行うものであるという基本の所に立ち帰れば、労使協定除外の対象の方もいますけれども、所定外労働に従事できない事情に配慮すること。そのことにより不利益になってはならないというようにすべき旨を明記していただきたいということで考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○田島会長 布山委員どうぞ。

○布山委員 先ほどの派遣の関係です。派遣元の配慮ということでの御意見だったと思うのでよろしいのかもしれないのですけれども、ある派遣先で働いていた派遣スタッフが、育児休業を取ると、その派遣先では別の方がその業務で働くことになると思うのですけれども、派遣元が、育児休業から復帰したときに配慮するのはいいのですけれども、派遣先で派遣スタッフの特定ができるわけではありませんし、そこで今働いている方もいるということを踏まえた上での配慮になるのかなと。考え方として、配慮するということ自体は分かるのですけれども、実際に派遣元と派遣先と育児休業から復帰する派遣スタッフの中で、そういう形の調整が本当にできるかどうかというのもあるのかと思って意見を述べさせていただきました。

○半沢委員 実際に育児休業だと1年であるとか、期間をある程度定めて行うわけですから、その代替要員を探すときには、その期間を考えて取るような場合もあるのではないかと思います。そういう場合についても、もちろん配慮可能だと思っておりますので、そういう点を明記していただければ有り難いということです。

○布山委員 そういうことが、結局のところ、派遣先の特定行為に当たることにならないようにしていただければと思います。

○半沢委員 申し上げているのは、派遣元としてそれを配慮するということですので、御理解いただければと思います。

○田島会長 井上委員どうぞ。

○井上委員 5ページの5の修正文案に対する意見です。今回これがややこしいということで、新たに文案が示されたわけです。この新たな文案を見ると、「原則として原職又は原職相当職に復帰させるよう配慮すること」ということで、「原則」と「配慮」というのが重なっているのではないかと思います。そうなると、この文章自体が分かりにくいのではないかと思います。そもそも努力義務となっている条文の指針なので、「配慮」は取ってもいいのではないかと思います。

 また、そもそも原職相当職の範囲について、処遇やキャリアの見通しの観点から、もう少し具体的に書くことはできないだろうか。既に通達に記載はされているかと思いますけれども、それも含めて指針への記載を検討すべきではないかと考えておりますので、こちらも御検討いただければと思います。

○田島会長 松岡委員どうぞ。

○松岡委員 6ページの6番の、「介護休業の制度又は選択的措置義務に準じて、その介護を必要とする期間、回数等に配慮した必要な措置を講ずるに当たって」について、1点確認と、1点意見ということで発言いたします。まず確認です。これまで労働側として、医療支援制度からも、介護サービスからも漏れてしまう労働者への配慮というのはしっかり対応すべきということで発言してきました。

 そういう意味では、指針に加筆されることは望ましいと考えています。今回、下線で「施設・在宅サービス」という記載が入っています。例示が入ることで、両方のサービスが意識されることはいいと思います。逆に、これ以外は対象にならないというか、その2つに限定されるという狭義の意味で解釈されることを懸念します。例えば、その間と言いますか、小規模多機能型の居宅介護だとか、そういう訪問・通い・宿泊を組み合わせるような場合というのが、この文言に出てきている2つには入らないという解釈で、対象とならないというような誤解を招かないようにしたほうがいいのではないかと思うのです。まず、この表現については、そういう意味ではないということでいいのかという確認をさせていただきます。

 そして、「配慮すべき事項」として少し広義に解釈して、仕事と介護の両立支援制度を使っていないけれども、介護のニーズのためにやむを得ず欠勤したことを理由として、解雇とか雇止めといった、法の趣旨に反するような不利益取扱いをしないようにということも明記すべきではないかと考えています。

○田島会長 御質問の点について、事務局からお願いします。

○蒔苗職業家庭両立課長 1点目の6ページの、今回は「目だし」という意味で、「施設・在宅サービス」と書いたのですけれども、御指摘のようにここで範囲を限定したという意味ではないです。そういう意味で、書き方がちょっと舌足らずなのかもしれませんが、意味としては今までと同じく、介護サービス全般という意味です。

○田島会長 川崎委員どうぞ。

○川崎委員 5ページの育児休業及び介護休業からの復帰のときの文言です。「原則として原職又は原職相当職に復帰させることを配慮すること」という文言に関してです。先ほども御意見がありましたが、介護休業は比較的取得する日数がデータとしても短い方が多かったと思います。一方、育児休業に関して言うと、複数年数にわたって取る方も多々いることを踏まえると、育児休業から復帰してきたときに、本人の就業に関しての体制も変わってくる、ないしは職場の環境も変わってくるということも十分あり得るのだと思っています。

 このような現状を踏まえて、わかりやすい記載をお願いしたいと思います。

 

○田島会長 他に御発言はございませんか。布山委員どうぞ。

○布山委員 先ほど松岡委員が、在宅サービスの後におっしゃっていた意見の中身は、6の所で書く「配慮する必要な措置」ではないのではないかと思います。事務局から示されている内容で議論ができたらと思っています。

○松岡委員 もともとこれまでの議論の中で、配慮すべき対象として、労側として発言していた経緯がありますので、できれば反映させていただきたいということで発言いたしました。

○田島会長 他に御発言はございませんか。ないようですので、引き続き事務局から残りの部分についての御説明をお願いします。

○小林雇用均等政策課長 資料23ページ、妊娠・出産・育児休業等を理由とするハラスメントの関係です。指針の中で決めなければならないのが、防止措置の対象となる行為の具体的な範囲と、防止措置の具体的な内容です。[参考]の所に建議が付いており、建議のときに整理になっていたものについては、まず防止措置の対象となる範囲ですが、男女雇用機会均等法や育児・介護休業法に規定される不利益取扱いにおける「理由となる事由」や「行為類型」を前提とするのが適当だと整理されております。また、防止措置の中身については、セクシュアルハラスメントの防止のために義務付けられている措置を参考に措置を義務付けることが適当だと整理されていますので、これが大前提ということです。

 対象行為について御説明いたします。別紙1のとおり、今回は対象行為も防止措置もいずれも骨子の形で提案させていただいており、本日の御議論を踏まえて、次回に指針の形でお出ししたいと考えています。

 対象行為ですが、別紙11ページが均等法関係、2ページが育児・介護休業法関係と整理しております。併せて参考資料3を御覧ください。これは昨年1112日に、雇用均等分科会に提出した資料です。先ほど、建議の中身で、防止措置の対象行為が不利益取扱いの行為を前提とすると申し上げておりますので、1ページ、2ページは不利益取扱いの範囲の整理をしたものです。3ページ以降は、今回の防止措置の対象になると考えられる行為事例を36ページに整理しており、別紙111月にお出しした事例を類型化したものです。

 別紙1の均等法関係です。防止措置の対象行為は大きく2つに分けて整理しています。1つは制度等の利用に関するもので、もう1つは妊娠・出産・つわりなど状態に対する嫌がらせということで、大きく2つに分けています。

 参考資料31ページの不利益取扱いの事由、2ページの行為類型を御覧ください。今回のハラスメントの事由については、制度利用に関するものですが、今回は防止措置という性格がありますので、事由の所で分類していますが、利用した場合だけではなくて、利用の請求等をしたい旨を相談したという、利用請求の前の段階も追加しました。これは、それぞれ上司についても同僚についても、利用の請求等をした段階より前のものを事由として追加しています。不利益取扱いよりも追加しているということです。

 行為者は上司と同僚に分けていますが、右側の行為類型を御覧ください。制度等の利用に関する上司のほうですが、123を通じて、解雇その他不利益な取扱いを示唆する行為を類型化しています。通常、権限を持っている上司にしか想定されないものとして整理していますので、同僚のほうには入っていないというものです。

 1の請求をしたい旨を相談した場合の上司の行動として、それプラス請求等をしないように言うというものがあり、利用の請求等をした場合は請求等を取り下げるように言うというのがありますし、利用した場合は解雇その他不利益な取扱いを示唆する以外は、繰り返し又は継続的に嫌がらせ等をするということを整理しています。

 同僚のほうです。同僚も同様に3段階に分けています。1つ目の段階としては、利用の請求等をしたい旨を同僚に伝えた場合、同僚から繰り返し又は継続的に請求等をしないように言うというものを整理しています。利用等の請求等をした段階では、繰り返し又は継続的に請求等を取り下げるように言うとしています。この2つは上司とは行為類型の要件が違っていますが、同僚は上司と比較すると、制度を利用しようとする段階での労働者に与えるプレッシャーが小さいことがあると思いますので、就業環境を害する状態を表す要件としては、上司よりも厳しくしているということで、繰り返し又は継続的にという要件をかけています。この繰り返し又は継続的にという要件は、環境型セクハラの要件並びということで、これも去年の1112日の資料でも同様の形で事例を整理しております。ただし、3の利用できている段階については、利用を阻害するプレッシャーということではないので、上司と同僚とも同じ要件にしており、繰り返し又は継続的に嫌がらせ等をするということで繰り返し継続要件を共にかけているということです。

 これが制度等の利用に関するものですが、その下に妊娠・出産・つわりなど状態型に対するものがあります。これは妊娠、出産、坑内業務、危険有害業務、産後休業、妊娠、出産に起因する症状ということで、請求や申出が要件となっていないものです。妊娠した、出産した、つわり等による労働能率の低下、就業制限により就業できないというようなことです。

 これに対する行為類型ですが、上の制度利用を利用した段階のものと同じものと整理しています。上司であれば、不利益取扱いを示唆又は繰り返し継続的に嫌がらせ等をするということ、同僚については繰り返し又は継続的に嫌がらせ等をするということで整理しております。

 法律上のハラスメントの要件ですが、均等法も育介法もいずれもそうなのですが、就業環境を害することがないように、雇用管理上の措置を講ずるという義務を事業主にかけております。この就業環境を害するという概念を、※1の部分ですが、請求等を取り下げるように言うなどがかかっています。これは客観的に見て、利用の請求をしたい段階、実際に請求した段階の要件については、※1で制度利用が阻害されるものが該当すると要件をかけています。※2は状態型と制度を利用した段階の場合ですが、客観的に見て女性労働者が就業する上で看過できない支障が生じるようなものは該当と整理しています。この女性労働者が就業する上で看過できない支障が生じるようなものというのは、環境型セクハラ並びの考え方だと考えています。ここの部分も、1112日の資料で同様の事例の整理をさせていただいているところです。

 この全体に係る話として、表の上の※ですが、業務上の必要性のある言動について防止措置の対象とはならないと整理しています。これは昨年秋の審議会でハラスメントの御議論を頂いたときに、使用者側委員から「妊娠・出産に配慮したことがハラスメントとならないように整理が必要」という御意見を受けたもので、11月のときの資料でもそのように整理していたものです。

2ページの育児・介護休業法の防止措置の対象行為の範囲です。これは先ほどの均等法の制度利用に関するものと全く同じ整理です。制度の関係で育児・介護休業法でいきますと、育児休業、介護休業、子の看護休暇、介護休暇、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限、所定労働時間の短縮等ということで、それの123の段階ごとに行為類型を整理しています。

 これが指針の中の対象行為の範囲についての考え方なのですが、省令にお戻りください。省令事項の中にもハラスメントの関係がありまして、資料19ページです。妊娠・出産等や育児休業等に関する事業主に起因する不利益取扱いの事由について、省令で規定していたところです。今回もハラスメントの事由については、省令で規定する部分があるということです。

 省令で規定するものは、育児・介護休業法関係と男女雇用機会均等法関係はそれぞれ別に措置を規定するのですが、法律の中で厚生労働省令で定めることというのは、育児・介護休業法は育児休業、介護休業、その他の子の養育又は家族の介護に関する制度又は措置の部分となっています。制度又は措置を定めるということなので、育介法に書いている制度関係を全部抜き出しており、育児休業、介護休業、子の看護休暇、介護休暇、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限、所定外労働の短縮措置、育児短時間勤務制度の代替措置、介護のための所定外労働の短縮等の措置ということで制度を書いています。3段階に分けるという話は指針の中で書いていきたいと考えています。

 男女雇用機会均等法関係です。これは法律の規定で、省令で定める妊娠又は出産に関する事由ということになっています。妊娠又は出産に関する事由を省令で定めることになっていますので、その中身としては、これは書きぶりが違うのですが書き下しており、全体的に事由が全部書いてあるのですが、妊娠したこと、出産したこと、母性健康管理措置で、措置を求めようとし措置を求め措置を受けたこと、ということで書いています。これは事業主に起因する不利益取扱いの事由の部分に、「求めようとし」という部分が追加されているためです。先ほど御説明したように、請求等の段階より前の段階を入れているということで、措置を「求めようとし」というところが不利益取扱いに加わった部分です。求めようとし、措置を求め、これらの規定による措置を受けたことということです。同じように、請求というのがかかっているものは、「請求しようとし」というような文言がいずれも入っています。4号は坑内業務、危険有害業務の制限関係ですし、5号は産前休業、産後休業の関係ですし、6号は軽易業務転換です。例えば6号ですと、請求しようとし、請求をし、軽易な業務に転換したことと書いております。7号は、時間外・休日・深夜業の制限関係、8号は育児時短関係、9号は妊娠又は出産に起因する症状関係ということで整理をしております。ですので、省令については、法律の規定に基づいて事由の部分の書くべきところを書いて、規定すべきところを規定しているということです。

 防止措置の中身については、別紙2、別紙3に整理しています。これは全て指針の中で書いていく話だと考えていますが、別紙2が均等法についての指針の骨子で、別紙3は育児・介護休業法に関するハラスメントの骨子です。骨子としては中身は一緒で、パラレルに記載しているところですので、別紙2に基づいて説明いたします。

 セクハラに関するものを参考資料1に骨子を付けていますので、こちらも御覧になりながら別紙2を御覧ください。別紙2の下線を引いている所が、セクハラ指針に追加になった所です。1の事業主の方針の明確化及びその周知・啓発です。ハラスメントの内容や、ハラスメントがあってはならない旨の方針で、13はもともとセクハラにもありますが、2の妊娠・出産等に関する否定的な言動がハラスメントの背景となり得ることというのを追加しているとともに、4番に制度等の利用ができることの明確化と周知・啓発を入れています。これは、今回のハラスメントはセクシュアルハラスメントと違って制度利用を阻害するようなものが類型として考えられるので、制度の利用ができる旨を明確化し、周知・啓発することが非常に重要だということで追加しているところです。(2)はハラスメント行為者に対して厳正に対処する旨の方針の明確化と周知・啓発で、これはセクシュアルハラスメントの指針と一緒です。

2番の相談体制の整備の所です。(3)の相談窓口をあらかじめ定めることはセクハラと一緒です。(4)は、相談窓口担当者が内容や状況に応じて適切に対応できるようにする体制が要るということはセクハラと一緒です。「また」以下の所で、ここはハラスメントが現実に生じている場合だけではなくて発生の恐れがある場合、またハラスメントに該当するか否かが微妙な場合等であっても、広く相談に対応することを入れています。これは、先ほど防止措置の対象行為の御説明をいたしましたが、相談に対応するときには、そこにきっちりと当てはまる場合や、現実に生じている場合だけではなくて、発生の恐れがある場合やハラスメントに該当するか否かが微妙な場合であっても、相談に広く対応することということを入れていて、これは前回の審議会で労働者側委員から、「防止措置の対象行為でない場合でも広めに対応するのが望ましい」というような御発言もありましたので、こういう形で入れております。

 今回の(5)は追加です。その他のハラスメントの相談窓口と一体的に窓口を設置して一体的に受け付ける体制の整備が望ましいことということです。これは昨年秋の審議会の御議論や前回の議論でも、労働者側委員から御意見が出たところですし、附帯決議にもこれが望ましいということで入っておりますので、それに対応したものということです。ただ、前回の議論で使用者側委員から、「企業の工夫の余地を残してほしい」という旨の御発言もありましたので、「望ましいこと」という語尾にしております。

3番は、ハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応ということで、事実関係の確認、被害者に対する配慮の措置、行為者の措置、再発防止ということです。これはセクハラ指針と同じです。

4は完全に新しく設けたものです。(10)が業務体制の整備です。要は職場の実情に応じて必要な措置を講ずることではありますが、業務体制の整備を新しく入れております。これは昨年に審議会で御議論いただいたときに数字をお出ししましたが、業務上の応援がある場合には、ハラスメントの経験率が下がる傾向にあることがありますので、それを踏まえて入れています。それと、国会でも、「周囲の従業員の業務上の応援が必要ではないか」という御質問があり、私どもの局長から、「実効のある取扱いが各企業の取組として進むように審議会で御議論いただく」という旨答弁させていただいているところで、そういう国会のやり取りも踏まえて(10)を入れております。

 これと併せて、労働者本人に対する話として、重ねて制度利用の周知ということと、労働者の業務遂行の心構えの周知を望ましいこととして盛り込んでいるところです。14までの措置と併せて講ずべきということで、プライバシー保護、不利益取扱いはしてはいけないというところは、セクハラ指針と同様のものとして記載しているところです。

 指針の形ですが、均等法に基づく指針と、育児・介護休業法に基づく指針は、それぞれ出すという予定です。別紙1、別紙2、別紙3とありますが、均等法の指針については別紙11ページと別紙2が合体したようなものです。育介法の指針については別紙12ページと別紙3が合体したようなものです。これをそれぞれの形にして出していくことを想定しています。私からは以上です。

○田島会長 ただいまの事務局の省令と指針に関する御説明について、御意見や御質問がありましたらお願いいたします。半沢委員どうぞ。

○半沢委員 先ほどの御説明の中で、制度利用を前提としないハラスメントに関して相談の中では広く応じるというようなお考えも頂きまして、その点は御礼を申し上げたいと思います。前回、「一体それはどういう場合なのか」というような御質問もありましたので、例として発言させていただきます。

 例えば短時間勤務などを使っていないけれども、子供が病気になり、しばしば年休を使わなくてはならない。ただ、年休で対処することが可能だという場合です。それから、制限で常時というまでには当たらないものの、仕事を定時でしばしば切り上げるといった社員に対して、戦力にならないから辞めたらいいのではないかとか、子供がいるのに働く必要があるのかといった心ない言葉を投げ掛けられるということが、調査の中からも分かっているところです。

 こういった育児休業等にかからないハラスメントに関しても、私たち労働者からすれば育児・介護に関するハラスメントということができるものであり、これはつながっているものなのだろうと感じます。

 例えば年休、定時に上がれないといった職場では、育児休業や介護休業、その他の制度なども大変取りづらい職場になってしまうのではないかと感じますので、制度を利用していなくても今回の防止措置の対象に含めるべきだと思っています。先ほど相談については対応していただけるわけですが、このように制度利用を前提としないハラスメントをなくすということが、育児休業や介護休業の取得に関するハラスメントの防止に対して重要な取組なのだということを指針に書いていただきたいと思います。

 その際にということですが、別紙3を御覧ください。(1)の所に12とありますが、2の所です。「育児休業等に関する否定的な言動が育児休業等に関するハラスメントの背景等となり得ること」とあります。この「育児休業等」というのが何を指すのかということを伺いたいと思いますし、そもそも育児・介護休業法の第1条の目的を見ますと、制度を設ける、事業主が講ずべき措置を定める、このほかに「子の養育又は家族の介護を行う労働者等に対する支援措置を講ずること等により」というような記載もあります。この中には、実際に育児・介護を担うという、それ自体に関して支援をするということも含まれるのではないか、法の対象の範囲となるのではないかと思っています。

 そういった観点で、先ほどの別紙3(1)2を見ていただきますと、「育児休業等」が、仮に育児・介護休業法の先ほど示した制度のみを指すのだとすれば、ここはもう少し「背景となり得る」という意味で広く取って、「育児」「育児や介護」という書きぶりで、「育児や介護に関する否定的な言動が育児休業等に関するハラスメントの背景となり得る」というような形で、修正したほうがいいのではないかと思っておりますので、申し上げたいと思います。

○田島会長 山中委員どうぞ。

○山中委員 私からは、今回セクハラとハラスメントの性質が異なるということから、原因や背景となる要因を解消するための措置というのが、新たに要素として加わっているところについて、御意見をしたいと思います。

1点だけ、別紙1にあったところで、事務局からの御説明でどういうことなのかということを質問したい部分があります。注釈2に、「客観的に見て、女性労働者の能力の発揮や継続就業に重大な悪影響が生じるなど」とあります。この「重大な悪影響」というのは、かなりのことと読み取れるのですが、これはどういうことを想定しているのでしょうか。その後に「就業する上で看過できない支障が生じるようなものが該当」とあるのですが、ここに事務局の考えなり、思いなり、背景があれば、御説明いただけたらというのが1つ目の質問です。

 先ほどの別紙2と別紙3にある4の「育休に関するハラスメントの原因や背景となる要因を解消するための措置」の所について、今回、均等法、育介法ともに、この件について位置付けられており、現場では非常に課題となっている代替要員の確保など、業務体制の整備などについて措置を講ずるということとしている点が、非常に妥当であると考えております。ただ、対象となる労働者に対して、4(11)の「心構えが必要である」という所ですが、別紙2、別紙311のここについては、妊娠した労働者などだけではなくて、制度の利用の対象となる労働者以外にも「管理職や周囲の同僚である労働者の方に対して、周知・啓発することが望ましいこと」と記載したほうがいいのではないかと考えております。

 当然、そういう事態が発生する前の労働者に対しては、1の所で十分に周知・啓発することとあるのですが、そういう事態になった場合の、特に別紙24(11)の「妊娠した労働者などに対し心構えなどを周知・啓発する」というのに違和感があるので、ここは是非全ての事業主だけではなくて、管理者や同僚などに対してもということで、書きぶりを変えていただきたいと考えておりますので、御検討いただけたらと思っております。

○田島会長 事務局から、ただいまの御質問の点についてお願いいたします。

○小林雇用均等政策課長 ※2の所ですが、まず、この要件はセクハラ並びの要件ということですので、セクハラのときの防止措置の対象となるセクハラが何かといったときに、例えば、触り方にもよるのですが、単に1回触っただけだと、通常であれば必ずしも防止措置の対象にならない場合もあるかもしれませんが、どれが対象になるかといったときのメルクマールとして、継続就業に重大な悪影響が生じる等、就業する上で看過できない支障が生じるようなものが該当するということで整理しています。これは本当にケース・バイ・ケースなのだと思っておりまして、働く上で重大な悪影響が生じているような場合であれば対象になるということです。

 ちなみに、セクハラの場合ですと、参考資料321ページに、環境型セクハラの定義が指針の中にあります。これもセクハラの指針の中に定義として入っておりますが、環境型セクハラの中身で、典型的な例としてイ、ロ、ハというものが書いてあります。例えばイでは、度々触られたので、苦痛に感じて就業意欲が低下するとか、性的な内容の情報を流布されたので苦痛に感じて仕事が手に付かないとか、事務所内にヌードポスターを掲示しているので苦痛に感じて業務に専念できないとか、これが環境型セクハラの中身だと規定しているところです。要は、セクシュアルハラスメントのほうも今回のハラスメントのほうも、就業環境を害することがないようにというところが同じ定義ということですので、程度の書きぶりも、ここを参考にしているところです。

○田島会長 松岡委員どうぞ。

○松岡委員 これまでもこの場で触れてきていますが、男性の育児休業取得促進について、建議の中でも触れられてきているところですし、発言をしたいと思います。

 建議の中では男性の育児休業の取得促進について、この文脈の中で、制度の周知と制度の取得促進、働き掛けについて言及されているわけですし、そもそも政府全体で第4次男女共同参画基本計画、若しくは昨年の女性活躍の加速のための重点方針の中でも触れられてきているというところがありますので、今回の別紙3の指針案概要の4番に、「育児休業等に関するハラスメントの原因や背景となる要因を解消するための措置として」ということで、「制度利用の対象となる労働者に対し制度利用ができる旨を周知・啓発することが望ましい」ということで記述するのであれば、現在、男性の制度利用対象者の取得状況が著しく低迷しているという実態に即して、(11)の所に、「その際は性別、役割分担意識に留意し、男女両方の労働者に周知・啓発を行うことが望ましい」という趣旨の記述を加えるべきではないかと考えています。

 残念ながら現場では、育休=女性という固定観念もありますし、若しくは産休からの一連の流れで女性のみに周知するということも懸念されるところがありますので、是非先ほど触れたような形で明記を頂けないかと考えています。

○布山委員 今回の育児・介護休業法に関するほうのハラスメントの指針なのですが、対象は当然のことながら男女労働者ということでよろしいのですよね。

○小林雇用均等政策課長 育児・介護休業法に関するハラスメントにつきましては、当然男女労働者が対象ということです。

○布山委員 そうであれば、松岡委員がおっしゃったことはもともとこの全体の所で網羅されているのではないかと思います。

 それから、「制度利用ではなく」ということで先ほど半沢委員から御意見があったところについてですが、今回議論しているのが育児・介護休業法の省令指針ですので、別紙12ページに示されているように、育介法上の制度を対象にした議論を行うというもので私どもとしては認識しております。

 もう1つです。先ほど別紙34(11)の所で、制度利用だとか心構えの所で、制度利用の対象者だけでなくという話がありました。私も、先に(1)の所で制度利用についてはきちんと明記、周知するようになっているので、逆に重複感があると思っていました。

 逆に、4(11)に改めて制度の利用ということを書くのか、むしろ心構えだけを御本人の所で、どのような書きぶりになるか分からないのですが、そのほうが御本人に対する利用を行うに当たっての心構えだけを書くという形もあるのではないかと思います。

 今、この概要を見るだけでも、かなり複雑になっているような気がするので、これが文章化されたときに事業主がきちんと労務管理できるような形に書き下していただきたいと思います。

 それから、別紙1で示された内容についてです。全体的に※の所で「業務上の必要性がある言動については防止措置の対象とならない」ということは、これまでの議論を踏まえて書いていただいていると思いますが、くれぐれもこの中身が本当にこういう内容のときには、そうではないということが分かるような書きぶりにしていただきたいと思います。同じ文言を取っても、言い方などで随分印象は変わってくると思うのですが、言い方ではなく、その中身で判断するのだと思うのです。そのときに、状況に応じて質問なり相談に乗る中身で、聞くことが本人の意に沿わなくてハラスメントだとならないように、そこはセクシュアルハラスメントの指針を参考に議論するにしても、大きな議題ではないかと思っておりますので、改めて付け加えさせていただきます。

○田島会長 井上委員どうぞ。

○井上委員 指針の内容の整理については、今、布山委員からも御発言がありましたが、分かりやすくと。松岡委員からもありましたが、この指針の中で男性の育児休業の取得というのが分かりづらいところもあるのではないかと思いますので、そういう意味では指針の建て付けについて、分かりやすく書くというのは必要だと思いますので、それをお願いいたします。

 その上で、ハラスメントの一元的対応について先ほど事務局から御説明いただきました。相談窓口の一元化については附帯決議でも挙がっているところですし、できれば全ての企業で行っていただきたいと思っているのですが、少なくとも指針にこのような方向性で明記することに関しては妥当であると考えております。

 一方で、ハラスメントを受けた被害者の復帰の支援について意見を述べさせていただきます。附帯決議では、「職場におけるハラスメントを受けた労働者の継続就業が困難にならないよう、環境を整備するとともに、労働者が休業を余儀なくされた場合等に当該労働者が希望するときは原職又は原職相当職への復帰ができるよう、積極的な支援を行うことを事業主に促すこと」という記載があるかと思います。

 この記載については、今回議論になっているいわゆるマタハラ等に限る課題だけではなく、セクハラでも同様の課題があると認識しておりますが、ハラスメントによって欠勤を余儀なくされた場合に職場復帰の支援を行うことが重要であると思います。それはこの間、私どもは審議会の中でも再三にわたって発言してきたところですし、その旨を記載すべきではないかと考えております。

 ハラスメントで復帰困難な際に、欠勤したことによって解雇ないし雇止めはしないように配慮することとか、就労の継続あるいは職場への円滑な復帰への支援について、それぞれ指針に記載すべきではないかと考えておりますので、こちらも御検討をよろしくお願いしたいと思います。

○田島会長 山川委員どうぞ。

○山川委員 別紙1について「両方ともよく分かりやすくしてほしい」というのは、労使共通の御意見であったかと思いますが、その点について補足的に申し上げます。

 これは恐らく審議会の資料で、特に現行法との関係を整理するためのものなので、ある意味で非常に整理できているのですが、これをそのまま実務に向けてという趣旨ではないと思われます。例えば「繰り返し又は継続的に嫌がらせ等をする」というのは、おっしゃられたように就業環境を害するということの定義の話で、現実の会社のセクハラの防止規則に、「繰り返し又は継続的に嫌がらせをしてはならない」などということを書いてある企業は、多分ないと思うのです。ですから、あくまでここは防止対象としてのターゲットの話で、そのために企業が取るべき行為規範とはまた別だということになると思われますので、この資料はそういうものとして受け取るということであろうかと思われます。

 そこで、前も申し上げましたが、禁止の対象と防止の対象というのは少しずれがあるというか、第93項は禁止規範ですが、今回は措置義務ということで、こういう仕組を作りなさいということですので、そのための防止と禁止の対象がここでは整理されているので、こういう形になると思いますが、実質的にはかなり違うものであることは周知の際に御留意いただければと思います。

○布山委員 今の山川先生の御意見を踏まえてです。今日示された参考資料3ですが、この11月の段階では「妊娠等を理由とする不利益取扱いについて」という標題でよかったのだと思うのですが、現在は不利益取扱いの禁止と防止措置というのが両方あるので、これを御参考に出していただいたのはいいのですが、12ページと3ページ以降は、議論の中で別のものになっているので、その辺も整理していただいて、指針の案を考えていただければと思います。

 それから、先ほどのハラスメントを受けて休業を余儀なくされた方の復帰について、支援ということは必要だと思いますが、これもどのような書きぶりになってくるかにもよるのですが、「実際に事が起こったときの事後の迅速かつ適切な対応」の所で、ある程度読み込めるような内容。セクハラのときにも被害者と行為者とを別々に書き分けて書いていらしたかと思うので、その被害者の所である程度読めるような対応が考えられるのかなと思います。

 ただ、先ほどから申し上げているように、職場であってはいけない、性的なことがあること自体がおかしいというセクシュアルハラスメントと、場合によっては考慮をしなければいけない所で言わなければいけない内容、それが本人の意に反するかどうかというのは別にしてですが、そういう妊娠・出産にまつわる部分を全てハラスメントだとなってしまうと、本当に企業のほうで対応が難しくなってくると思いますので、その辺は重々、参考にしても同じものではないということで整理をしていただきたいと思います。

○井上委員 実際に私どもの調査において、ハラスメントにおけるメンタルヘルスであるとか、就業困難な状況というのは上がってきているところがあります。そういう意味では、今回の国会審議あるいは附帯決議を踏まえた指針の内容というのは十分に御検討いただきたいと思いますので、改めて申し上げておきたいと思います。

○田島会長 ほかに御発言はございませんか。御発言がないようですので、本日の分科会はこれで終了といたします。本日の議事録の署名委員は、労働者代表は半沢委員、使用者代表は川崎委員にお願いいたします。

 皆様、本日は御多忙の中お集まりいただきまして、ありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省雇用均等・児童家庭局職業家庭両立課
〒100-8916 東京都千代田区霞が関1-2-2

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