ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 ワクチン評価に関する小委員会)> 第4回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会 議事録(2016年3月14日)
2016年6月22日 第4回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会 議事録
健康局健康課
○日時
平成28年6月22日(水)15:00~17:00
○場所
厚生労働省 共用第6会議室
○議事
○大林室長補佐 それでは、時間は早いですが、おそろいになられましたので始めたいと思います。第4回「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会」を開催します。
本日は、御多忙のところ御出席をいただき、まことにありがとうございます。
本日の議事は公開ですが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては御理解と御協力をお願いいたします。
また、傍聴の方は、傍聴に関しての留意事項の遵守をお願いいたします。
続きまして、委員の出欠状況について御報告いたします。
本日は、委員8名全員に御参加いただいており、定足数に達しておりますので、会議が成立しますことを御報告いたします。
なお、本日は参考人として、ファクトシート作成の関係で、国立感染症研究所感染症疫学センター長の大石和徳参考人、国立感染症研究所細菌第二部部長の柴山恵吾参考人、国立感染症研究所ウイルス第一部主任研究官の山田壮一参考人に御出席をいただいております。
続きまして、予防接種推進専門協議会からの御推薦で、福岡歯科大学総合医学講座小児科学分野教授の岡田賢司参考人に御出席をいただいております。
さらに、一般財団法人阪大微生物病研究会、青木秀訓参考人、同じく明地正晃参考人に御出席をいただいております。
申しわけございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
(報道関係者退室)
○大林室長補佐 それでは、議事に先立ちまして、配付資料の確認をさせていただきます。
議事次第、配付資料一覧、委員名簿、座席表、資料1-1~3-2、参考資料1~14と、各委員からの審議参加に関する遵守事項の申告書を御用意しております。配付資料一覧を御確認いただき、不足の資料等がございましたら事務局にお申し出ください。
それでは、ここからの進行は、倉根委員長にお願いいたします。
○倉根委員長 こんにちは。皆様、御出席、ありがとうございます。国立感染症研究所の倉根です。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
まず、事務局から審議参加に関する遵守事項等についての報告をお願いいたします。
○大林室長補佐 審議参加の取り扱いについて御報告いたします。
本日御出席いただきました委員及び参考人から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づき、ワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受け取り状況、申請資料への関与について御申告をいただきました。各委員、参考人からの申告内容については机上に配付しておりますので、御確認いただければと思います。
本日の審議事項は、ロタウイルスワクチンはグラクソ・スミスクライン株式会社、MSD株式会社、帯状疱疹ワクチンは一般財団法人阪大微生物病研究会、沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチンは一般財団法人阪大微生物病研究会を予定しております。
本日御出席の明地参考人が、帯状疱疹ワクチン及び沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチンの申請書類に関与されておりますので、帯状疱疹ワクチン及び沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチンの審議の際、「退室」に該当することから、この取り扱いについてお諮りいたします。
なお、このほか「退室」や「議決に参加しない」に該当される委員、参考人はいらっしゃいません。
事務局からの報告は以上でございます。
○倉根委員長 今、事務局から審議参加についての説明がありました。明地参考人が申請書類に関与しているということで、参加規程によれば「退室」ということになるのですが、メーカーの方ですので申請書類への関与もあり得ることかと思います。それらを承知した上で、本日、データや質問について回答いただきたいと考えておりますので、本日の出席を参考人としてお願いしたわけであります。
明地参考人については、議決には、当然参考人でありますし、参加できないのですが、退室せずにここで種々の御意見をいただく、あるいは御質問に対してのお答えもいただくということにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○倉根委員長 それでは、皆さんの了解を得ましたので、明地参考人については参加をいただくということでお願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。
議事に移りますけれども、審議事項1「ロタウイルスワクチンについて」をまず行いたいと思います。
国内におけるロタウイルスワクチンの経緯など、まず事務局から資料1-1に基づいて御説明をお願いします。
○芳川室長補佐 それでは、事務局より御説明させていただきます。資料1-1及び参考資料1~6をお手元に御準備ください。
ロタウイルスワクチンにつきましては、まず本日御検討いただく前に、経緯を整理して御説明させていただければと考えております。適宜参考資料を御参照いただきながら本体資料をごらんいただくと、背景が御理解いただけるものと考えております。
現在、ロタウイルスワクチンにつきましては、GSK社及びMSDの2社によりロタリックス及びロタテックが製造・販売されてございます。これらにつきましては、それぞれ平成23年7月、平成24年1月に承認を得ている製剤でございます。
予防接種部会において、ロタウイルスワクチンに関する作業チームの設置を検討されたのが平成24年1月でございます。
平成24年5月には、第22回予防接種部会での第二次提言において、ロタウイルスワクチンの評価の必要性について提言をされているところです。
平成24年9月には、その次の第23回予防接種部会において、国立感染症研究所から「ロタウイルスワクチンに関するファクトシート」を報告いただいているところです。
その後、平成25年1月の予防接種部会により、ロタウイルスワクチンに関する作業チームが設置され、下記3つの事項、対象疾患の基本的知見、予防接種の目的と導入により期待される効果、ワクチン製剤の現状と安全性につきまして、より深く検討される必要があるとされてございます。
平成25年3月の予防接種法改正の参議院の附帯決議において、「定期接種の対象とすること等について早期に結論を得るよう検討すること」とされている製剤でもございます。
その後、予防接種法改正以前に予防接種部会のもとに設置されてございました作業チームを、改正後にあっては基本方針部会のもとに作業班として位置づけ直し、同年11月に作業班中間報告書が報告されてございます。参考資料6につけてございます。
翌月、平成25年12月でございますけれども、予防接種ワクチン分科会において同報告書が報告され、以下の3つの課題、腸重積のベースラインデータの整理、リスクベネフィット分析、費用対効果の推計について、整理が必要と結論づけられたところでございます。
その後、多屋委員が中心となって「ロタウイルスワクチンに関する最近の知見」が取りまとめられていることから、その内容の報告をいただき、今後、ワクチン評価に関する小委員会で検討を行っていくこととしてはどうかと考えているところでございます。
事務局からは以上です。
○倉根委員長 ありがとうございます。
御意見あるいは御質問については、次の資料1-2、1-3の説明後にお受けしたいと思います。
まず、資料1-2、1-3として、多屋先生及び池田先生に御説明をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○多屋委員 それでは、最初に多屋のほうから説明させていただきます。
資料1-2というのは、先ほど御紹介いただきました参考資料(報告書)の後で出てきた追加ファクトをまとめたものです。それに対しまして、資料1-3「ロタウイルスワクチンに関する評価・分析」を行いましたので、こちらの資料を中心に御説明をさせていただきたいと考えております。
それでは、資料1-3をごらんいただきながら、適宜資料1-2に戻るような形で御説明をしたいと存じます。資料1-3ですけれども、項目に沿って1つずつ、かいつまんで要点のみ抜粋してお話しいたします。
まず、「1 対象疾病の影響について」。「臨床症状と診断法」ですけれども、ロタウイルス感染症の潜伏期は1~2日で、下痢、嘔吐、発熱、腹痛などの症状が数日続き、乳幼児期では約40人に1人で脱水が重症化して、5歳未満の胃腸炎による入院の半数程度がロタウイルスによるとされています。
脱水の重症度は、他のウイルス性胃腸炎よりも高いことが多く、通常は1~2週間で自然治癒するのですが、時に脳症や胃腸炎関連けいれんなどの合併症を引き起こして、死亡あるいは後遺症を残すこともある病気です。
このような臨床症状に加えまして、下記に述べたいずれかの方法で急性期の糞便検体中にロタウイルスを証明することで、ロタウイルス胃腸炎と診断しています。現在、日本の小児科の現場では、免疫クロマト法(IC法)が多く用いられております。
次に「(2)疫学状況」。1番、「わが国におけるまん延の状況」の「ア 患者数」の概要について御説明したいと思います。ロタウイルス胃腸炎は、4行目にありますように、3月から5月にピークを持つ流行期があります。下から2行目ですけれども、5歳までにロタウイルス胃腸炎で入院するリスクは15~43人に1人と考えられておりまして、この結果をもとに全国の入院患者を推計すると、年間2万6,500~7万8,000人が入院していると推計されます。
その次のパラグラフの3行目からですが、2007/08~2011/12シーズンに三重県下2市と千葉県1市で行われた調査によりますと、2.9~4.2(1,000人当たり)であった入院率が、その後1.9~3.0、3.5~4.3、0.2~0.8と低下傾向が観察されております。
また、その次のパラグラフの5行目ですけれども、週別の感染性胃腸炎患者のウイルス検出数におけるロタウイルスの割合というのがわかるのですけれども、病原体定点というのは小児科定点約3,000の中の1割の約300の小児科定点から検体が運ばれておりまして、そこでもロタウイルスの割合は低下しているという結果が見えています。
次に「イ 不顕性感染の感染者数」に移ります。ロタウイルスは何回も感染をしまして、感染を繰り返すと症状は軽症化すると言われています。一般的に新生児期は不顕性感染に終わることが多いのですが、これは母体由来の免疫によると考えられています。
次に、ロタウイルスに感染している小児と接触した成人のうち3割~5割が感染すると言われているのですが、ほとんどの場合、過去の感染で獲得した免疫の効果で不顕性感染に終わることが多いとされています。
次に「ウ 死亡者数(死亡率)」に行きます。世界では、5歳未満の小児が約45万例死亡していて、その8割以上が発展途上国で発生しているとされています。先進国では死亡者はまれです。ワクチン導入前の米国においては、年間死亡数は20~40例、入院が6~7万例、外来受診者は50万例に上ると推計されております。
次に「エ 重症者数(重症化率)、後遺症」に移りたいと思います。2行目から、ワクチンによる予防効果のアウトカムは、重度の下痢症・脱水症の罹患及びそれによる入院に対するもので、重症化予防のワクチンと考えられています。
下から2行目、ロタウイルス感染症には脳症もよく知られているのですが、ロタウイルス脳症は生命予後や後遺症に与える影響が大きくて、これらに対するワクチン予防効果は現時点では検証されていないわけですけれども、4ページ目に行きまして、ドイツでは2歳未満児に発症したロタウイルス胃腸炎の約2%に中枢神経症状が合併していたと報告されています。
そこからまた7~8行下がりまして、我が国の状況ですけれども、0~14歳の急性脳炎(脳症)の原因として届けられた病原体では、インフルエンザが最も多いのですが、次いで突発性発疹の原因であるHHV6,7、3番目がロタウイルスと日本の状況が報告されています。
下から6行目、吉川先生らの研究によりますと、小児科入院施設を対象に全国調査が行われたわけですけれども、2009/10シーズン~2010/11シーズンの2シーズンで脳症が51人、心肺停止が7人発生していることが報告されています。ロタウイルス胃腸炎に合併したロタウイルス脳症の特徴として、けいれんが難治性で、後遺症を残した症例が38%に上り、インフルエンザ脳症やHHV6,7脳症と同様に予後が余りよくないとされています。
2番目、「感染源・感染経路・感染力」に移ります。ヒト・ヒト間で起こる糞口感染です。ウイルス粒子10~100個で感染が成立するとされています。衛生状態が改善されている先進国でもロタウイルスの感染予防は極めて難しいとされています。
次に「(3)対象疾病の治療法」に移ります。「ロタウイルス胃腸炎への対応」ですが、特異的な治療法はなく、対症療法で行っていきます。
2番目、「ロタウイルスワクチン接種後の副反応として報告されている小児腸重積症への対応」に移りたいと思います。小児腸重積症への対応では、早期診断と早期治療が重要と考えられています。
5ページ目に行きます。一番上から、ワクチン接種後に、腸重積症の可能性を考えて早目に医療機関に相談することが非常に重要です。ロタウイルスワクチン接種時には保護者に対して、接種後にまれに腸重積症が起こることがあるということを必ず説明した上で、上に書いてあるのですけれども、腸重積を疑う症状が見られた場合にはすぐに医療機関に連絡、受診するよう話しておく必要があると考えております。腸重積症の診断には、超音波検査は非侵襲性で感度、特異度ともに高く有用な方法で、これが現場では多く用いられております。
次に、「イ 腸重積症の重症度判定」に移りたいと思います。腸重積症という病気は、循環障害を伴う絞扼性イレウスで、診断治療がおくれますと予後不良になる可能性がある病気です。「重症」「中等症」「軽症」の3つに分けます。まず、「重症」は、全身状態も悪く、腸管壊死が疑われる状態です。「中等症」は、全身状態は良好なのですけれども、腸管虚血が疑われる状態。「軽症」は全身状態が良好で、「重症」「中等症」ではないという状態で、このように重症度判定をします。
次に、「ウ 腸重積症の治療」に移りたいと思います。軽症と中等症の場合は、非観血的整復です。注腸で整復することが最も一般的に小児科の臨床の現場では行われています。これがうまくいかなかったときに、外科的対応が可能な医療機関で非観血的整復や外科的処置が行われる場合があります。重症の場合は、集中治療が可能な施設で外科的な処置が行われることがあります。
非観血的な整復で行われることがほとんどなのですけれども、超音波あるいはエックス線の透視下で、空気や生理食塩水などを肛門から挿入しまして整復を行います。バリウムは最近は用いられません。
次、「2 予防接種の効果・目的・安全性等について」に移っていきたいと思います。ロタウイルスワクチンです。ロタウイルスのAに対してのみ現在ワクチンが開発されておりまして、5行目、6行目にうつります。外殻を構成するVP4とVP7が感染防御抗原なのですけれども、VP4は赤血球凝集素として働くスパイクでP遺伝子型を規定いたします。VP7は、外殻カプシドを構成する糖タンパク質でG遺伝子型を規定いたします。
ここでは、単価ヒトロタウイルスワクチンのことを「RV1」と略しますが、これは2011年11月21日、RV5というのはウシロタウイルス5価ワクチンで今後「RV5」と略しますが、少しおくれて2012年7月20日に販売が開始されました。いずれも飲む弱毒生ワクチンです。ロタウイルスによる重症下痢症の予防が目的です。
次の「(2)ロタウイルスワクチンの効果について」に行きたいと思います。重症化防止効果がこのワクチンの目的ですけれども、ロタウイルス下痢症を発症する相対リスクは明確に低下します。発病防止効果につきましては、ロタウイルスに起因する重症下痢症に対して、高所得国においては約9割、低所得国では約5割、その中間に属する国では約7割とされています。
2番、「感染防止効果」ですけれども、感染防止効果をエンドポイントとした臨床試験は行われておりません。いわゆる重症化予防のワクチンです。ワクチンに感染予防効果は期待できません。
3番、「間接効果(集団免疫効果)」に移ります。ロタウイルス胃腸炎の入院患者数の減少、あるいはロタウイルス陽性割合の減少が未接種の年齢層にも及んでいることがわかってきましたので、ロタウイルスワクチンの間接効果(集団免疫効果)の可能性が考えられています。
7ページ目に行きます。ワクチンを受けた方が野生株に感染したときに、便中に排泄される感染性ウイルス量が低下して、感染伝播の連鎖が途切れるためと、この間接効果は考えられております。
4番、「予防接種の効果の持続期間」ですが、接種後3歳に達するまで十分なワクチンの重症下予防効果が持続することが確認されております。
5番、「多様な遺伝子型に対する予防効果」です。ヒトロタウイルスの主要な遺伝子型の95%以上を網羅するG1P[8]、G2P[4]、G3P[8]、G4P[8]、G9P[8]に起因する急性胃腸炎に対する有効性が実証されています。特にRV1については、G2P[4]型のヒトロタウイルスに起因する急性胃腸炎に対する有効性が懸念されたことがありましたが、RV1の定期接種導入後にG2P[4]の相対頻度が増加したブラジルにおける3つの症例対照研究によって、G2P[4]に対する十分な有効性が確立されたとされております。
次に、RV5については、G2P[4]に対する有効性が87%、G1P[8]に対する有効性は89%、RV5はこれらが全部入っていると報告されています。RV1とRV5はいずれも多様な遺伝子型のロタウイルスに起因する重症下痢症に対する発症予防効果を示すと考えられています。
次に6番。「接種を行った場合と行わなかった場合のまん延の状況変化」について述べております。まず、米国では、ワクチン導入以前は5歳になるまでに約80人に1人がロタウイルス胃腸炎により入院していたとされています。しかし、2009年には10分の1の約860例に1人、2010年にはさらにその10分の1の約9,000例に1人まで減少したという効果が既に見られています。
英国でも、接種率が87.5%に達したところ、ロタウイルス陽性患者数は67%の減少が見られています。
では、我が国においてですが、仮想的地域集団の5歳未満のロタウイルス下痢症入院患者数は、接種を全く行わなかった場合には1年間に平均67例とされているのに対して、接種率が80%になると1年間に平均18例にまで減少することが示されています。ロタウイルスワクチンの定期接種への導入によって、我が国でも米国や英国と同様の効果が出現するものと期待されています。
次に、「ロタウイルスワクチンの目的について」に移りたいと思います。8ページです。ロタウイルス感染症の特徴は、今、申し上げたような1番から7番までの特徴がございます。初めにかかったときに最も重症度が高く、入院が必要になることが多い。再感染はするのですが、だんだん軽くなる。多様な遺伝子型がある。交差免疫が成立するのですが、感染を重ねるごとにどんどん交差免疫が強くなる。院内感染の病原ウイルスとして重要である。保育園や幼稚園などの集団発生の原因となる。胃腸炎以外にもさまざまな合併症がある。こういう特徴があります。
疫学としては、地球レベルでほぼ全ての乳幼児が5歳までに感染し、途上国では特に死亡する方が多い。先進国では死亡は少ないですが、医療経済の観点からロタウイルス胃腸炎による大きな疾病負担があります。感染力はとても強いので、衛生状態が改善しただけでは感染防御は困難です。大量のウイルスが排泄されていますので、また環境中で安定ということから、感染力が強い病気です。
なので、このワクチンの接種の目的ですが、重症ロタウイルス胃腸炎を防いで軽くするということが目的のワクチンです。院内感染や集団発生のリスクの減少も期待されています。
3番、「ロタウイルスワクチン接種の世界的な実績」ですが、既に世界中で約4億ドーズが投与されています。WHOは全ての国の定期接種プログラムにロタウイルスワクチンが導入されるべきであると報告されていまして、既に世界130カ国以上で承認され、その有効性が示されています。
次に、「(4)ロタウイルスワクチンの安全性について」に移りたいと思います。1番、「RV1ならびにRV5治験段階での成績ですが、最初に第一世代のロタウイルスワクチンと言われるロタシールドは、被接種者1万1,000例に1例、腸重積症が合併するということが疑われまして、市場から1999年に撤退された歴史があります。現在、我が国でも使われているワクチンは第二世代のロタウイルスワクチンですけれども、最初に13万2,000例というかなり多数の治験が行われまして、治験の段階では両方のワクチンともに腸重積症の発生頻度の有意の上昇はプラセボ群と比較でなかったという論文が出て、使われるようになりました。
次に、9ページのマル2、「海外からの報告」です。特に、初回接種1週間以内の腸重積症の発症率がやはり自然発症率よりも増加する、相対リスクの増加が報告されています。1回目接種後2週間、2回目接種後の1週間にも腸重積症発症の相対リスクが統計学的に有意に増加することが報告されているのですが、3回目接種後は増加のエビデンスは示されていません。
WHOは2009年に各国の定期接種に導入することを推奨しているのですが、2015年4月にフランスの公衆衛生高等審議会が、ロタウイルスワクチンの接種を広く推奨することを差し控えるという方針を発表したわけですが、それに対してWHOは下記の声明を発表しています。
かいつまんで申し上げますと、ロタウイルスワクチン接種後に腸重積症を発症して亡くなられた方がいらっしゃったということから始まっているのですが、いずれも特に腸重積症のリスクはワクチン接種後の最初の7日以内に認められていて、初回接種、2回接種後にリスクの増加がこれまでも報告されてきたのですが、亡くなられたお一人というのは、初回接種後7日間医療を受けることなく自宅でお亡くなりになられた乳児さんであったということ、もう一人のお子さんについては3回目の接種後であったということから、3回目の接種は腸重積症のリスクを増加させたという研究はないので、3回目の接種は紛れ込みの可能性が高いとされました。
腸重積症は早期に治療すると一般的に予後良好で、私も何人も腸重積症の整復を小児科にいるときはしたことがございます。ワクチン接種の利益は大幅にリスクを上回るので、接種は受け入れ可能で、ロタウイルス感染症が低年齢小児の死亡の重要な原因である途上国では特に重要であるとWHOは述べています。
次に、ちょっと飛びまして、10ページ目に移りたいと思います。ここは日本の成績です。大石班で9道県市でワクチン導入前と導入後で腸重積症の発症率を調べました。2007年~2011年、1歳未満人口10万人当たりの腸重積症の発症率は10万人・年で92でした。一方、導入後の成績は1歳未満人口10万人当たり腸重積症の発生率は83/10万人・年であり、導入前5年間に対して導入後2年9カ月間の腸重積症発症の発生率比は0.91であり、有意の差を認めていません。これは2016年3月現在の報告です。
男の子に多いのですが、ワクチンは別に男の子と女の子と変わりなく受けていると思うのですけれども、導入前後で性比に差は認められていません。腸重積症は初回接種後、中央値が4日で報告されております。初回接種後1週間以内に腸重積症の集積を認めた海外からの市販後調査報告の結果と矛盾しない結果でした。
次に、マル4は「予防接種後副反応報告(有害事象報告)として届出された腸重積症」。副反応検討部会で全部報告されていますので、既に御存じのことと思うのですが、この報告書を書いたときよりももっと新しいものがホームページにはもう既に公開されていますが、RV1については198万3,222が出荷されて、ブライトン分類評価レベル1の腸重積症報告数は63であった。RV5については125万2,457が出荷され、ブライトン分類評価レベル1の腸重積症報告数は48であった。それぞれ初回接種後はどうだった、1週間以内はどうだったという数字が報告されています。外科手術になった例が、RV1が7例、RV5が6例報告されています。死亡例はゼロでした。
次に、医療経済評価は後で池田先生のほうにお任せするとして、3番の「予防接種の実施について」に移りたいと思います。11ページの真ん中です。患者の便中のウイルスが1010 ~1012/g便と非常に高濃度で、さらに10~100個で感染が成立するということから、感染力が非常に強い病気です。
ワクチンは重症化を阻止するワクチンで、ワクチン導入国ではもう既に顕著なロタウイルス流行期のピークの消失が報告されています。
予防接種の効果は、接種後3歳に達するまで十分なワクチンの重症化予防効果が持続することが確認されています。
以上のことから、感染力がとても強く、ワクチン以外に感染対策によって疾病の蔓延を防止することは難しい病気です。定期接種を先行導入した欧米の高所得国の例によれば、ロタウイルス胃腸炎による入院患者の少なくとも3分の2以上の減少を期待するには、地域差のない最低70~80%の接種率を達成する必要があると考えられています。
次に12ページ目に移ります。では、日本はワクチンは導入可能か。「供給状況」です。供給は潤沢に行われています。接種率ですけれども、グラフにありますように年々接種率が高まってきていまして、近年では、任意接種ではありますが、60%程度の接種率に至っていると言われています。
「エ ワクチン接種率の変化」、片山班の結果に行きますが、ロタウイルス下痢症入院例で調べたワクチン被接種者はほぼゼロであったということです。
13ページ目に行きます。入院症例数は激減したことが明らかになった。小児科の友人からは本当にロタウイルス胃腸炎の患者さんを診ることが少なくなったと、効果は高いことは既に日本でも確認されています。ロタウイルスワクチンは小児科医や保護者などにも既に認知されて、一部の自治体では公費助成を行っているところもあります。
では、具体的にどういうふうに接種するかですけれども、オに行きまして、日本小児科学会が推奨する接種スケジュールとしては、1回目を2カ月齢、2回目を3カ月齢でRV1、RV5は1回目を2カ月齢、2回目を3カ月齢、3回目を4カ月齢で接種することを推奨しています。
次の14ページ、「接種不適当者」。こういう方は受けられないのですが、ほかのワクチンに加えて、ちょっとこれに特徴的なものとしては(4)(5)(6)で、腸重積症の既往のある方や腸重積症の発症を高める可能性のあるメッケル憩室がある方、それから重症複合型免疫不全症などの方については接種不適当、いわゆる禁忌となっています。
次に留意点ですけれども、接種前に保護者に、腸重積症のリスクと腸重積症の臨床症状について十分説明した上で、特に接種後1週間は赤ちゃんの体調を観察していただいて、疑わせる症状があったときは速やかに医療機関を受診するように指導していただくのが大事かと思います。
「4 総合的な評価に向けた課題」ですが、既に国内の接種状況は約60%まで上がってきています。
「(2)ロタウイルス感染症の国内発生動向」ですけれども、ロタウイルス胃腸炎の患者サーベイランスが行われているのですが、残念ながらワクチン接種導入前というのがないので比較が難しいというのがあります。基幹定点の報告のみとなっております。小児科定点からも報告されているのですが、感染性胃腸炎としての報告なので、ロタかどうかがわかりません。
そこで、接種率が比較的高い三重県、千葉県の3市の調査によりますと、ロタウイルス感染症による入院が2.9~4.2(1,000人・年当たり)から0.2~0.8と、非常に低くなっているということが報告されています。
これは資料1-2のグラフを見ていただいたほうがわかりやすいと思います。19ページ、20ページに入院例の低下、外来症例の低下、21ページ、22ページのグラフをごらんいただくと一番わかりやすいのではないかと思います。接種率が高いところでは既にロタウイルス胃腸炎の患者さんの減少という効果が見られてきています。ワクチン接種率は地域によって異なりますが、入院症例はほぼゼロでした。
次に15ページに移ります。ほかの新潟県新発田市の結果でも、接種率30%の段階で77.1/1,000人・年が、15.7/1,000人・年まで有意に減少しています。東日本大震災のときに気仙地域では接種率9割を超える無料接種事業が行われたのですけれども、入院患者数は2009年92、2010年102、2011年129が、2012年は57、2013年は16と有意に減少しています。
次に「(3)腸重積症の国内発生動向」に移ります。秋田県でも、以前の中込先生らの研究では、年平均発生数は185、158となっていました。そして、現在、大石班でこの調査が行われていますが、1歳未満人口10万人当たりの腸重積症の年平均発生数は導入前が10万人当たり92であったのに対して、導入後は89だったと思うのですが、導入前と導入後で腸重積症の発生率比は0.91で、発生率に有意な差は認められていません。いわゆるワクチンを接種したからといって腸重積症がふえているという結果は、この調査では認められていません。定期接種化に当たっては、初回接種直後の相対リスクは明らかにすることが望まれています。
「ワクチン株が野生株に与える影響」について、現在までのところ、ワクチン株そのもの、あるいはワクチン株が野生株と遺伝子再集合を起こした株が拡散しているという兆候は認められていません。
「(5)啓発活動」ですけれども、とにかく生後14週6日までに1回目を接種してほしいと。というのは、乳児期後期になると腸重積症の好発年齢に重なってきますので、なるべく初回接種は生後15週未満にしてほしいということを啓発活動していく必要があるということと、被接種者に腸重積が発生した場合は迅速に医療が受けられるよう、腸重積症の症状とか治療の情報提供は必要であるということ、重症化予防のワクチンであって発症予防のワクチンではないことを保護者に伝える必要があります。
最後、16ページです。「リスクベネフィット分析」ですけれども、以上のようなリスク、ベネフィットを十分考えた上で、定期接種化することについての議論がこの委員会で行われるものと考えております。
かいつまんでというか、早足になりましたけれども、私からの説明は以上です。ありがとうございました。
○倉根委員長 どうもありがとうございました。
池田先生、引き続いてお願いいたします。
○池田委員 池田でございます。
それでは、医療経済的な側面につきまして、追加で御報告させていただきます。多屋先生のお持ちのとページ数が私のは違うのですが、私が持っているものでいいですか。今、配付されているものです。
9ページ、「ロタウイルスワクチンの医療経済評価について」をごらんください。下から二、三行目のところでございます。
ロタウイルスワクチン接種に関する医療経済評価は、国内外で多数報告されております。しかしながら、分析の立場、すなわち医療費に着目した分析であるのか、あるいは親の看病といった生産性損失まで含めた分析であるのかということで結果が変わってまいります。また、効果指標、子供の病気になったときのQOLの低下分をどういうふうに見積もるかなどによって結果が変わってくるというところがございます。
10ページでございます。しかしながら、この費用対効果の分析結果というのは、さまざまな意思決定に用いられてきておりまして、例えばワクチンの価格ですけれども、多くの分析ではワクチンの価格を動かすことによって費用対効果が良好な結果になるということなどが示されております。
特に、イギリスの場合では、先ほどから御説明があった、いわゆるベネフィットとリスクの点を勘案しますと、ベネフィットのほうが上回るだろうということで導入を検討していたわけですが、一方で費用を考えますと、費用対効果の点で受け入れられる水準ではないということでございました。そこで、イギリスでは入札により政府が企業と交渉してワクチン価格を下げるということによりまして、RV1に関して2013年7月から英国では定期接種化を達成したという経緯がございます。
医療費の側面、社会の立場からの分析、それぞれで結果は変わってくるわけでございますが、我が国の分析結果を見ますと、おおむね医療費だけを見たときには費用対効果は悪い。社会の立場から見たときには、ワクチンの価格をある程度下げればその費用対効果の点で十分な結果が得られるということでございます。
RV1とRV5を比べますと、諸外国の分析同様、RV1のほうが費用対効果の点ではすぐれるという結果が出ております。しかし、我が国で行った分析もそうなのですが、いわゆる間接効果、集団免疫効果が、実際にはそういうものがあるわけですけれども、定量化が難しいので、今回の我が国における一番新しい分析が平成26年度「庵原・神谷班」の報告書の分析結果でございますが、その中には含まれておりません。もしこの間接効果を入れれば、費用対効果の結果はよりすぐれたものになると考えられます。
一方で、副反応として発生する腸重積症の費用も含まれておりません。これが一定の頻度で起きるとなりますと、費用対効果は悪くなってくるというところがございます。したがいまして、今後、これらのデータが蓄積された際には再検討を行う必要があると考えられます。
最後に、15ページのまとめでございますが、今申し上げたことが基本的には書いてございます。やはりイギリスのような方式、使用するワクチンを入札により選定し、政府によるワクチンの購入価格が保険システムの立場からでも費用対効果が良好となるような価格でロタウイルスワクチンを調達し、定期接種化を達成した、こういったやり方というものは注目に値すると考えております。
以上でございます。
○倉根委員長 どうもありがとうございます。今、二人の委員から、主に評価・分析というところを中心に御説明をいただきました。
委員の方で御質問はありますでしょうか。ございませんか。
では、私から1つ、多屋委員に質問ですけれども、私ので言うと5ページ、先生のとはずれているかもしれないけれども、(2)のマル1、そこに高所得国と低と中間に属する国で効果のパーセントが少し違う。これはどういうふうに解釈すればいいのでしょう。
○多屋委員 ありがとうございます。それでは、資料1-2の3ページ、「(3)予防接種の効果」の1番、「重症化防止効果」のところにグラフを書いているので、これを見ていただくといいかと思います。各国のGDP/capitaが横軸に、ワクチン効果が縦軸に書かれているわけですが、これが右に行って1人当たりの国内総生産が高い国ほどワクチンの効果が高い。このことをまとめて書いたものが先ほどの数字となります。
○倉根委員長 質問は、これはデータなのだけれども、なぜこういうことになるのだろう。
○多屋委員 恐らくGDP/capitaが低い国々というのは、いろいろな下痢症の患者さんもありますし、ワクチンの効果というのが先進国より見えにくい部分があるのではないかと考えております。
○倉根委員長 ひょっとすると、ワクチンを投与したとしても、ロタウイルスでない病原体による下痢症が同時期に起こる可能性があると。そうすると、ロタウイルスに対しては防御効果はあったとしても、それを効果がなかったというふうに数えてしまう可能性があるという解釈なのでしょうかね。
○多屋委員 そうですね。ほかの病原体による下痢症も多いので、そういう数をカウントしてしまうのと、あとは効果自体について後進国のほうでは見られにくいということではないのかなと考えております。
○倉根委員長 もう一つ伺っていいですか。ある国なり、あるスタディーによっては副反応としての腸重積症のリスクが有意に増加するという報告もある。スタディーによっては増加しないというスタディーもある。これは行われたスタディーのプロトコールによるのか、あるいは人種の問題もあるだろうし、あるいは、統計的に有意になる、ならないのぎりぎりのところなので、あるスタディーでは有意に出る、あるスタディーでは有意に出ないと、いろいろな解釈というか、想像できると思うのですけれども、これは実際どういうことなのでしょうか。人種の差もあるかもしれないということなのですか。
○多屋委員 ありがとうございます。
というより、むしろ数がまだ少ないときは、なかなか腸重積症がふえるというリスクが見えてこなかった。かなりの数で治験されたのですけれども、そこでは見えてこなかったのですが、最近は、初回接種の1週間以内はやはり少し腸重積のリスクはふえるのではないかと、そういう見解かと思います。ただ、3回目の接種後はふえないと。初回接種の1週間以内が特に腸重積は少しふえるというのは言われていると思います。
○倉根委員長 ほかに御意見、御質問はございますか。
そうしますと、今後の進め方ですけれども、資料1-1をごらんいただきまして、平成25年12月のところに3つの課題がございます。下のほうですが、矢印のちょっと上ですけれども、腸重積のベースラインデータの整理、あるいはリスクベネフィット分析、費用対効果の推計ということです。
本日、報告というか御説明をいただいたのですが、今御質問しましたように、まだ少し複雑な部分があるということなので、最近の治験もあり、評価・分析もありますので、一度事務局でこの3つの課題についてもう少し簡単な形でといいますか、わかりやすく整理していただいて、引き続いてこのワクチンを本ワクチンの評価小委員会で議論していく。本日はこの2つの厚い資料も御説明いただきまして、委員の方にはここの御説明を聞いていただきましたが、そのような形で次に事務局で整理していただいて、その上でさらに議論を進めていきたいという提案をしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。
金川委員、どうぞ。
○金川委員 この3つの課題はそのとおりだと思うのですが、1価と5価と、2回接種と3回接種と、これは2つを同等と扱って同じことをやっていくのでしょうか。
○倉根委員長 そこをどう扱うかというか、どういうふうにまとめていただくか、そこも含めてわかりやすいように一度まとめていただいて、そしてもう一度議論を深める資料としたい、議論を行いたいと思いますが、いかがでしょうか。先生から、こういうふうにまとめたらいいのではないかというのをサジェスチョンいただければ。
○金川委員 それぞれについてこの3つのことを出さなければいけないのか。ワクチンをどちらか、最初に副反応とかそういうことから評価した上で、こちらで評価しますというふうに決めるのか。ある程度軸を一本化しないと、2つ、3つ軸があると、何を討論しているのかが後でわかりにくくならないかと思います。
○倉根委員長 では、まず今の金川先生の御意見に対して、ほかの先生の意見は何かございますでしょうか。
多屋先生、どうぞ。
○多屋委員 今回、ファクトシートとか評価・分析をまとめるに当たりまして、RV1とRV5について思ったのですが、有効性と安全性についていずれも変わらないものなので、どちらかだけを選ぶという根拠が非常に難しいものですから、どちらでも使えるという形にしていただけたほうがありがたいと思います。
○倉根委員長 ほかに御意見はいかがでしょうか。
福島委員、どうぞ。
○福島委員 今後の検討に向けて議論すべき課題のうち、腸重積のベースラインデータの整理というのも極めて重要だと思いますし、大石先生の研究班でされているというふうに御報告いただいたのですけれども、現行の追加ファクト、あるいは評価・分析のところでまとめられているものは中間データを使われているということでいいのでしょうか。2016年3月に報告予定と書いていますが、既に報告された最終のものがあるということですか。
○倉根委員長 大石参考人、いかがですか。
○大石参考人 平成27年度のAMED大石班で報告書はいただいております。今後、ウエブにアップする形で報告予定です。
○倉根委員長 福島委員、どうぞ。
○福島委員 我が国のデータとして非常に貴重だと思いますので、ぜひ次回以降の議論のときに詳しく拝見したいと思います。
○倉根委員長 ほかに御意見はいかがでしょうか。
池田委員、どうぞ。
○池田委員 費用対効果の推計の点から申し上げますと、仮に1価と5価のワクチンの有効性、安全性が同等ということでありましても、価格が異なる、また接種回数が異なるということから費用対効果は変わってまいります。両方ともそれを適切の方向でという議論ももちろんあると思うのですが、分析そのものは費用対効果に関しては別に提示をしたほうがいいのではないかと考えています。
○倉根委員長 ほかに御意見は。
岡田参考人、どうぞ。
○岡田参考人 費用対効果のところです。この報告だと、今のワクチンの価格だと日本では費用対効果が出にくいということだったと理解しますが、今後、イギリスと同じように、どのくらいの価格だったら費用対効果が日本で出るのかということをもう一度再計算していただいて議論をするということは可能なのでしょうか。
○倉根委員長 ここは事務局、どうでしょうか。
○江浪予防接種室長 予防接種室長の江浪でございます。
ただいまいただいたような論点も含めまして、もともと以前このロタウイルスワクチンに関しまして議論いただきました3つの課題について、どういう課題があって、現状はどこに立っていて、これから何をする必要があるのかということを整理をさせていただきたいと考えてございます。
○倉根委員長 そうしますと、まずは現在わかっているものでのサマリーを作っていっていただく。次に、さらにそれに追加する何か解析が必要であるという御意見であれば、まずはそれが必要であるのかどうか、今あるデータだけで十分判断ができるのかどうかということも含めて、そのための資料を次までまとめていただくということかと思います。ですから、RV1、RV5についても、両方を含めた形で事務局に整理をしていただいて、もう一度今後の進め方も含めて御意見をいただくというのが提案でございます。
では、そういう形でまずは進めますので、次の小委員会のときにはまたそのデータをごらんいただくということになろうかと思います。
ありがとうございます。
次に議題の2に進みたいと思います。「帯状疱疹ワクチンについて」でございます。阪大微研が以前より水痘ワクチンとして製造しておりました乾燥弱毒生水痘ワクチンについて、帯状疱疹ワクチンの予防の効果・効能が追加承認されましたことから、阪大微研から、臨床試験のデータなどの概要について御説明をいただければと思います。
それでは、資料2-1に基づいて阪大微研からの御説明をお願いいたします。
○青木参考人 阪大微研、青木でございます。よろしくお願いいたします。
それでは、資料2-1に沿って御説明させていただきます。本資料は、「乾燥弱毒生水痘ワクチン『ビケン』50歳以上の者に対する帯状疱疹の予防に対する一変承認時評価資料等の概要」となっております。本日説明させていただくことはこちらのとおりになっております。
初めに、本剤の概要について説明いたします。乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」でございます。水痘予防用ワクチンである乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」に、本年3月18日、50歳以上の者に対する帯状疱疹の効能・効果が追加承認されました。
効能・効果は、水痘及び50歳以上の者に対する帯状疱疹の予防でございます。用法・用量は、従前からの水痘予防の場合と変わらず、本剤を添付の溶剤で溶解し、0.5mLを1回皮下に接種いただきます。有効成分は弱毒生水痘ウイルス(岡株)を1ドーズに1,000PFU以上含有いたします。
次に、申請の経緯及び審査の概略について御説明いたします。
公知申請の経緯でございます。今回の効能・効果の追加は、公知申請によって行われました。御承知かと存じますが、公知申請とは、医薬品の承認申請において、当該医薬品の有効性や安全性が医学的に公知であるとして、臨床試験の全部または一部を新たに実施することなく承認申請を行うことができる制度でございます。
本剤における公知申請に至る根拠については、次のとおりでございます。
1つ、疫学的状況として、帯状疱疹発症率が50歳未満は1,000人・年当たり2.06~2.85、50歳以上は1,000人・年当たり5.30~8.25と報告されていること、また毎年約60万人が帯状疱疹を発症し、80歳までに3人に1人が発症すると推定されていると報告されていること。
2つ、海外での使用状況として、本剤と同じく岡株ワクチンであるメルク社のZOSTAVAXが帯状疱疹の予防を効能・効果として、米国、欧州を含む60以上の国または地域で承認されていること。
3つ、国内での使用状況として、今回の承認まで帯状疱疹の予防は本剤の効能・効果に明記はされていなかったものの、2004年から水痘予防の一環として、水痘帯状疱疹ウイルスに対する免疫能が低下した高齢者に細胞性免疫の増強を目的として本剤を接種することが可能であったこと。
4つ、帯状疱疹の予防に係る適応の追加を求める要望書が日本皮膚科学会、日本ペインクリニック学会、日本感染症学会から提出されていること。
以上のことを踏まえ、国内外の教科書、公表文献等をもとに検討を行った結果、本剤の帯状疱疹の予防に対する接種は、医学薬学上公知と判断し、本剤の有効性に係る新たな臨床試験を実施することなく、効能追加に係る一部変更承認申請を行いました。
次のスライドをお願いします。審査の概略となっております。4つの項目にまとめさせていただいております。
1つ、本剤は水痘及び帯状疱疹の原因ウイルスの弱毒株である岡株を有効成分とする生ワクチンであり、ZOSTAVAXと本質的に同じ薬剤であること。
2つ、本剤に関する総説及び国際的に標準とされる教科書の記述から、本剤を含む岡株ワクチンの接種により、帯状疱疹に対する予防効果が期待されること。
3つ、ZOSTAVAXは、申請者がメルク社に提供した本剤のマスターシードを起源とする岡株ワクチンであり、帯状疱疹の予防を効能・効果として、米国で2006年に承認されて以来、米国、欧州を含む60以上の国また地域で承認されていること。また、60歳以上及び50歳~59歳を対象としたプラセボ対照比較試験が実施され、帯状疱疹発症予防効果が示されていること。
4つ、本剤を含む岡株ワクチンを50歳以上の者に接種した旨の記載のある公表文献等から、本邦において本剤を含む岡株ワクチンの帯状疱疹予防効果を期待した臨床研究が複数行われていること。本剤について、帯状疱疹の予防を目的として、年間相当数が接種されていると推測されていること。
以上の理由により、本剤の帯状疱疹の予防に対する有効性は期待でき、医学薬学上公知であるとする申請者の説明を受け入れ可能と判断されました。
次に有効性試験の概要についてお示しいたします。
まずはZOSTAVAXに関する公表文献の概略でございます。ZOSTAVAXにおきましては、SPS試験によって60歳以上の者への適応が承認され、その後、ZEST試験によって50歳代の者への適応拡大が行われています。これら2つの試験が今回の承認の根拠の一つとされました。
次のスライドをお願いします。SPS試験における帯状疱疹ワクチン接種による帯状疱疹の発症予防効果のグラフでございます。帯状疱疹ワクチン接種後、5年の観察期間でワクチン接種群はプラセボ群に比較して帯状疱疹発症率を51.3%減少させました。
次のスライドをお願いします。SPS試験、ZEST試験、2つの試験それぞれの結果でございます。60歳以上を対象としたSPS試験の結果、ワクチン接種群の帯状疱疹発症率及びPHN発症率はプラセボ群より有意に低い結果となりました。また、50歳代を対象としたZEST試験の結果、ワクチン接種による発症予防効果は69.8%でございました。
次のスライドをお願いします。その他、有効性を期待でき、公知であるとされた根拠として、少数ではございますが、これら国内の臨床研究及び使用報告に係る公表文献がございます。
次のスライドをお願いします。安全性試験の概要をお示しいたします。
国内第3相臨床試験の概要でございます。50歳以上の健康成人を対象に、本剤接種後の免疫原性及び安全性を検討することを目的として、国内第3相臨床試験を実施しております。
次のスライドをお願いします。こちらが安全性に関する結果でございます。259例中50.6%に副反応が認められましたが、その副反応の多くは注射部位の局所症状でございました。
なお、この試験期間において死亡例や治験中止に至った有害事象はありませんでした。
用法及び用量、接種上の注意についてお示しいたします。
今回の承認におきまして、50歳以上を対象とした本剤の国内臨床試験において、既承認の用法・用量における忍容性が確認されていること。
本剤は、海外で使用されている帯状疱疹ワクチンと、1回接種当たりのウイルス量が同等と考えられること。
ZOSTAVAXの接種回数及び投与経路は本剤の承認内容と同じであること。
以上の点から、用法・用量は変更する必要がないと判断されました。
資料画面には、本剤、ZOSTAVAXそれぞれの承認内容をお示ししております。
次のスライドをお願いします。本剤の接種不適当者についてでございます。本剤におきましては6項目が設定されております。
帯状疱疹予防におきましては、帯状疱疹は水痘と異なり、致死的な疾患ではないこと。
本剤が生ワクチンであること、及びZOSTAVAXでは免疫不全及び免疫抑制状態の者に対する接種は禁忌とされていること。
以上の理由から、本剤を帯状疱疹の予防を目的として使用する場合には、他の生ワクチンの場合と同様に、免疫不全及び免疫抑制状態の者に対する接種を禁忌とすることが適切と判断され、接種不適当者の4項目目として、明らかに免疫機能に異常のある疾患を有する者及び免疫抑制を来す治療を受けている者が追記されることとなりました。
また、帯状疱疹予防の場合については、薬剤の作用による免疫機能抑制下で、生ワクチンである本剤を使用することによる安全性は不明であることから、併用禁忌につきましても他の生ワクチンと同様に薬剤名を記載することとなりました。
次のスライドです。まとめでございます。帯状疱疹の予防に対する本剤接種の公知性については、本剤は海外の帯状疱疹ワクチンZOSTAVAXと本質的に同じ薬剤であること等から、本剤の帯状疱疹の予防に対する有効性は期待でき、医学薬学上公知である。
安全性については、本剤は水痘ワクチンとして小児で多くの使用実績があることに加え、50歳以上の健康成人を対象とした国内臨床試験の結果等から、新たに注意すべき安全性上の懸念は認められず、忍容可能である。
用法・用量、接種上の注意については、既承認の用法・用量から変更なし。「明らかに免疫機能に異常のある疾患を有する者及び免疫抑制を来す治療を受けている者」を接種不適当者とするとされました。
以上、「水痘ワクチン『ビケン』50歳以上の者に対する帯状疱疹の予防に対する一変承認時評価資料等の概要」について御説明させていただきました。
なお、承認審査の対象ではございませんが、参考資料を別添1~5として掲載させていただいております。よろしくお願いいたします。
○倉根委員長 どうもありがとうございます。
今の御発表に関する御質問、御意見は、資料2-2の説明の後にいただきますので、まずは事務局から資料2-2につきまして前半部分、1ページ目を御説明いただけますでしょうか。
○芳川室長補佐 それでは、事務局からまず資料2-2の前半の部分について御説明させていただきます。適宜参考資料を参照いただければと思います。
まず、帯状疱疹ワクチンの背景ですけれども、平成25年10月の研究開発及び生産流通部会において、開発優先度の高いワクチンの一つとして帯状疱疹ワクチンを盛り込むこととされてございます。
国は別添の通知、参考資料7ですけれども、ワクチンメーカーに対して帯状疱疹ワクチンの開発要請を行ってございます。
平成26年3月には、基本計画の中で開発優先度の高いワクチンの一つに帯状疱疹ワクチンが位置づけられたところでございます。
それを受け、平成28年3月、阪大微研により、今回阪大微研から御説明をいただきました「乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」について、「50歳以上の者に対する帯状疱疹の予防」という「効能・効果」が追加で承認を受けているところでございます。
資料の効能・効果に追加については、お示しをしているとおりでございます。
なお、最後の四角のところでございますけれども、ワクチンの用法・用量の変更がなされた場合の検討についてですけれども、これは基本計画の中に示されてございます「新規のワクチンについては、薬事法上の手続を経て製造販売承認が行われた際には、国は、速やかに、当該ワクチンの法上の位置付けについて分科会等の意見を聴いた上で検討し、必要な措置を講じるよう務める。」とされてございますことから、今回、乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」を帯状疱疹を対象疾病として定期の予防接種に使用することの是非に関する検討を行うこととしてはどうかと考えているところでございます。
資料2-2の前半部分に関する御説明は以上となります。
○倉根委員長 ありがとうございました。
まず、この段階では委員の皆様に御了解いただきたいのは、一番下に、この小委員会において、帯状疱疹を対象疾患としてこの乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」について定期の予防接種に使用することの是非に関する検討を行うこととしてはいかがかということの御承認をいただきたいということであります。
行うということで話を進めてよろしいかということでございますが、特に反対はないということでありますので、それでは行うということをここで了承し、次に進めるということであります。
それでは、事務局から、その裏になりますが、資料2-2の2ページにありますけれども、今後の進め方についての御提案をいただければと思います。よろしくお願いします。
○芳川室長補佐 資料2-2の後半について御説明させていただきます。
今後の検討の進め方についてですけれども、帯状疱疹ワクチンの有効性、安全性及び費用対効果等に関するデータについて可能な限り収集行い、客観的で信頼の高い最新の科学的知見に基づき検討する必要があるということがございまして、以下の事項等について収集する必要があると考えてございます。
具体的には、「1.帯状疱疹の基本的知見」として、疾患の特性、マル1から6に書かせていただいてございます臨床症状、鑑別を要する他の疾患、検査法、治療法、予防法、その他。国内の疫学状況として、患者数、重症者数、死亡者数等。
「2.予防接種の目的と導入により期待される効果、安全性等」ということで、接種の目的、使用できる製剤、有効性の観点、安全性の観点、医療経済学的な観点、諸外国の導入状況といった事項が挙げられます。
ここでは、乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」を帯状疱疹を対象疾病として定期の予防接種に使用することの是非に関する検討に先立ちまして、上記の事項等について国立感染症研究所にファクトシートを作成していただくこととしてはどうかと考えてございます。
事務局からは以上となります。
○倉根委員長 ありがとうございます。
まず、議論の進め方ですが、こういう御提案をいただいたということですが、最初に2-1で微研からこのワクチンの御説明をいただきました。これに関して、まずは御質問はございますでしょうか。
原委員、どうぞ。
○原委員 よろしくお願いします。
6枚目のスライドのところで疫学的状況についてお示しいただきましたけれども、帯状疱疹の発症率は50歳以上で5.3~8.25とありますが、今後、定期接種ということを考えるに当たって、もう少し年齢階級別というか、細やかにしたデータがないのかということです。
あとは、免疫抑制を来す治療をされている患者さんというのは禁忌になりますので、そういう方が恐らくここの報告の数の中には挙がっているのではないかという気がしますので、そのあたりも分けたようなデータがもしあれば、そういったものも収集してはどうかと思いました。
○倉根委員長 青木参考人、いかがでしょうか。
○青木参考人 御指摘のとおりかと思います。特に禁忌に当たる方等を分けたものはないかと思いますので、我々でできるかどうかは別として、今後の課題かと考えております。
○倉根委員長 ほかに御質問はございますか。よろしいですか。
福島委員、どうぞ。
○福島委員 スライドナンバー25枚目のデータについて、もし情報があれば教えていただきたいのですけれども、「帯状疱疹ワクチン接種後の発症予防効果の持続期間」、ここでは7年目まで見ていらっしゃいまして、ただ、2012年に公表されたデータということで、この発症予防効果の持続期間を見ている研究は今も続いているのでしょうか。それとも、ここで打ち切りになっているのでしょうか。
○青木参考人 今も継続されております。それで、ここで言えるところは、4年から5年までは十分な効果が持続しているのではないかということでお示しさせていただいております。
○倉根委員長 ほかに御質問はいかがでしょうか。よろしいですか。
そうしましたら、まず、先ほど帯状疱疹を対象疾患として弱毒生水痘ワクチンの検討を行うということを承認いただきました。さらに次の2-2の2ページ目で提案いたしております、これはほかのワクチンでもお願いしていたのですが、国立感染症研究所にファクトシートをまずは作成していただく。本日微研からお示しいただいたペーパーとともに、今、2ページ目にあるような項目について詳細なファクトシートを作成してもらうということで、この委員会としてはいかがかという提案でありますが、まずファクトシートをつくっていただくということを了解していただくということを提案しておりますが、いかがでございましょうか。
(「異議なし」と声あり)
○倉根委員長 そうしましたら、まずファクトシートは作成していただく。
もう一つ、ここに幾つか項目が挙がっていると思いますが、さらに何かこれもつけ加えるべきではないかという御提案なり、あるいは御意見が委員あるいは参考人からありましたら、ここにつけ加えていきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
金川委員、どうぞ。
○金川委員 非常に難しいかもしれないのですけれども、ここは患者数ということですが、よくワクチンをやっているときに、患者さんたちがかつてかかったことがあるのかどうかという記憶があるのかどうかということと、ワクチンを接種しているかどうか、子供は今2回打っていることになるので、今度3回目を5、60歳を超えたら打つのかということもかかわってくると思いますので、かつてワクチンを打っていて帯状疱疹になったのかどうか、そういう事実がわかるのかどうかというところを知りたいところですが、どうなのでしょうか。
○倉根委員長 そういうデータがあるかどうかということも含めて、データがあった場合にはどういうデータがあるか。あるかないかはわかりませんが、山田参考人、専門家としてどうでしょうね、そういうデータはありますか。調べてみたいとわからないか。
○山田参考人 そこまでのはないのではないかなと思います。
○金川委員 そうすると、過去のことは無条件で50歳になったら条件的に打ちましょうというものになるのかどうかですね。
○倉根委員長 ただ、もう少し調べてもらいまして、仮にそういうデータがあるようでしたら、そこも含めていただければと思います。
ほかに、こういうことも入れるべきではないかという項目がありましたら、いかがでしょうか。
そうしますと、もしも委員会が終わってから、これはというのがありましたら、また事務局にも御提案いただければと思いますが、本日の段階ではこれについてファクトシートを作成するということを了承いただくということでありますので、そういうことで進めていただければと、事務局、お願いいたします。
次に3番目になりますが、「沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチンについて」であります。
まず、阪大微研が製造するこのワクチン、トリビックにつきまして、11~13歳のDT2期における接種が可能となる用量・用法の変更が承認されたことを受けて、その臨床試験データなどの概要につきまして御説明をいただきたいと思います。資料3-1を用いまして、阪大微研より御説明をお願いいたします。よろしくお願いします。
○明地参考人 阪大微研会の明地でございます。本日は、沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチン、販売名はトリビックですけれども、こちらの臨床試験データについて御紹介いたします。
下段に移ります。本日の説明内容です。最初に開発の経緯について説明し、続いて国内第3相臨床試験の成績について紹介いたします。その後、用法・用量及びまとめといたします。
2ページ目をお願いいたします。本ワクチンの開発の経緯について説明いたします。DPTワクチンは百日せき菌から防御抗原を精製し、ジフテリア及び破傷風トキソイドを混合したものとして1981年に開発し、導入されました。
導入以降、乳幼児における百日せき患者は減少し、ジフテリア及び破傷風の発症もまれとなっております。そして、保存剤を含まない本剤が2006年、販売名トリビックとして承認を取得しました。
現在、本邦では、第1期予防接種として、生後3カ月以上90カ月未満の者に対してDPTまたは不活化ポリオを加えたDPT-IPVの4回接種が行われており、第2期として11歳以上13歳未満の者に対しては沈降ジフテリア破傷風混合ワクチンが1回追加接種されております。
一方、青年・成人において百日せきの散発的な流行、百日せき患者数の増加が報告されていることを踏まえ、2008年に第2期予防接種において、百日せきの抗原を含むワクチンの接種を求める要望書が日本小児科学会より厚生労働省に提出されております。
3ページ目、スライドナンバー5と書いているところでございます。このような状況の中、厚生労働科学研究班において、第2期予防接種の対象年齢である11歳以上13歳未満の健康小児に対し、DTのかわりにDPTを追加接種した際の安全性及び免疫原性を検討する臨床研究が実施されました。
臨床研究の結果、本剤の忍容性並びにブースター反応が期待されることから、阪大微研会は2014年4月から2014年8月にかけて、国内第3相臨床試験を実施し、2015年4月に承認事項一部変更承認を行い、2016年2月、承認を取得しました。
引き続いて、第3相臨床試験の概要について御紹介いたします。4ページ目、スライドナンバー6番でございます。
続いて7枚目をお願いいたします。本試験の目的は、本剤の安全性並びに百日せき抗原、ジフテリアトキソイド及び破傷風トキソイドに対する免疫原性を既承認の沈降ジフテリア破傷風混合トキソイドと比較検討することです。
下段に移ります。試験デザインは、多施設共同、無作為化、評価者盲検並行群間比較試験でした。基礎免疫を完了した11歳~13歳未満の健康小児を対象に、本剤群223例には0.5mLを1回皮下に、DT群222例には0.1mLを1回皮下に接種しました。
次のページをお願いいたします。主要評価項目は、基礎免疫を有する者への追加免疫であることから、ブースター反応率とし、ジフテリア及び破傷風については、ジフテリアトキソイド及び破傷風トキソイドに対するブースター反応率について、DTに対する本剤の非劣性を検証することとしました。また、PT及びFHAについては、Tdapとして海外で用いられているBoostrixの米国臨床試験の設定をもとに、PT及びFHAに対するブースター反応率の95%信頼区間の下限値が80%を超えることを検証することとしました。
下段に移ります。主要評価項目の設定根拠につきましては、Boostrixの米国、オーストリアにおける臨床研究において、Tdap接種による百日せきに対するワクチン効果が報告されていること、ジフテリアトキソイド及び破傷風トキソイドの発症防御レベルは、それぞれ0.1IU/mL以上、0.01IU/mLとされていることから、ブースター反応の定義として0.1の設定はより保守的であり、さらに有意な抗体上昇と考えるレベルとして4倍を設定いたしました。
安全性の評価としては、治験期間中の有害事象を収集しました。
6ページ目をお願いいたします。免疫原性について説明いたします。下段に移ります。百日せき抗原であるPT及びFHAに対するブースター反応率はいずれも90%を超えており、95%信頼区間の下限値は80%を上回っていました。
7ページ目をお願いいたします。ジフテリアトキソイド及び破傷風トキソイドに対するブースター反応率は100及び98.7%であり、いずれも事前に規定した基準において、DTに対する非劣性が検証されました。
続いて、安全性の成績について説明いたします。8ページ目をお願いいたします。
接種部位及び接種部位以外の全有害事象、副反応について、本剤群とDT群に大きな差は認められず、また、死亡及び重篤な有害事象の発現はありませんでした。
下段に移ります。副反応の発現頻度の高かった接種部位及び全身性の副反応、頭痛、発熱についてDT群と比較しました。
なお、この検定はあらかじめ本試験の統計解析計画書には設定していなかった追加解析に基づく結果でございます。
本剤の注射部位の疼痛、熱感、発熱の発現頻度は、DTと比較すると有意に高い結果となりました。
9ページ目をお願いいたします。先ほどのスライドに示した症状に対する重症度別の比較です。接種部位の有害事象のほとんどは5cm以下、あるいは治療を要さない日常生活に支障のない程度であり、多くは7日以内に回復しました。5cmを超える高度な有害事象のうち、注射部位の紅斑、腫脹、硬結の発現頻度はDT群に比べ本剤群で有意に高かったものの、いずれも回復が確認されております。
本試験のまとめです。10ページ目をお願いいたします。
本剤の追加接種により、本剤は海外のTdapと同等のPT及びFHAに対するブースター反応が期待でき、また、ジフテリアトキソイド及び破傷風トキソイドに対する免疫原性は、DTに劣らないことが示されたことから、百日せき、ジフテリア及び破傷風に対する有効性は期待できるとの結論に至りました。
安全性のまとめです。重篤な有害事象の発現はなく、本剤群とDT群の全副反応の発現頻度に大きな違いはなかったものの、接種部位の副反応発現頻度は、本剤群で高い傾向であり、特に注射部位の疼痛、熱感の発現頻度は有意に高い結果となりました。また、高度の注射部位の紅斑、腫脹、硬結の発現頻度も、本剤群で有意に高かったものの、いずれも回復しておりました。
本剤の追加接種における対象者は主に11歳以上13歳未満となることから、臨床試験では見られていないものの、血管迷走神経反射による失神等の注意喚起を行い、適切に接種した場合、本剤の安全性は忍容可能との結論に至りました。
11ページ目をお願いいたします。乳幼児期のワクチンの効果が減弱した成人に対しても追加接種が行われる可能性もあることから、成人に対する安全性を考察するために実施した臨床試験の成績について御紹介いたします。
20歳以上65歳未満の健康成人20例に本剤を0.5mLを接種した結果、重篤な有害事象、特有な事象や新たに注意を要するような事象は認められておらず、また、各抗原に対する抗体価の上昇も認められました。このことから、本剤は成人も含め、追加接種としての位置づけを持つワクチンであると考えられました。
用法・用量について御紹介いたします。12ページ目をお願いいたします。
臨床試験の成績から、本剤0.5mLの追加接種における忍容性、並びに百日せきジフテリア及び破傷風に対する有効性が示されたことから、2期対象者を含めて、以後の追加免疫には通常1回0.5mLを皮下に注射すると設定されました。
最後にまとめとなります。13ページ目をお願いいたします。
トリビックは、追加接種時における百日せき、ジフテリア及び破傷風に対する有効性が期待でき、また認められたベネフィットを踏まえると、安全性は許容可能と判断されました。
以上でございます。ありがとうございました。
○倉根委員長 どうもありがとうございます。
今の御説明に対する質問あるいは御意見はまた後ほど伺いたいと思います。まず、資料3-2の1ページ目を事務局から御説明をお願いいたします。
○芳川室長補佐 それでは、資料3-2の前半について御説明いたします。
「沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチンについて」ということですけれども、平成22年7月に第11回予防接種部会において、「百日せきワクチンに関するファクトシート」が国立感染症研究所により作成後、報告されてございます。
その後、23年3月の第6回感染症分科会予防接種部会ワクチン評価に関する小委員会において、「百日せきワクチン作業チーム報告書」及び「ワクチン評価に関する小委員会報告書」が報告され、その中で、青少年以降の百日せきの割合が増加している当時の現状を踏まえまして、現行の11~13歳に対するDTの2期接種において、百日せきの抗原を含むワクチンの安全性・有効性を確認した上で、追加接種の必要性について検討が必要との評価を受けてございました。
その後、本年2月に、今御説明いただきましたように、阪大微研が製造する沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチン(トリビック)について、11~13歳のDT2期における接種が可能となる用法・用量の変更が承認されたところでございます。
次に、「効能・効果の追加ついて」と書いてございますが、これは用法・用量の変更でございまして、今、阪大微研の方から御説明があったとおり、第1回の追加免疫については、通常、初回免疫後6カ月以上の間隔を置いて0.5mLを1回皮下に注射する。以後の追加免疫には、通常1回0.5mLを皮下に注射するという記載が変更となったところでございます。
「ワクチンの用法・用量の変更がなされた場合の検討」ですけれども、先ほど御議論いただきました帯状疱疹ワクチンと同様ですが、基本計画における記載に基づき、このトリビックという本製剤を1期とは別に定期の予防接種に使用することの是非に関する検討を行うこととしてはどうかと考えているところでございます。
事務局からは以上となります。
○倉根委員長 どうもありがとうございます。
まず、先ほどの議論と同様の議論になりますけれども、トリビック、沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチンを1期とは別に定期の予防接種に使用することの是非に関する検討を行うこととしてはいかがか。まずは検討を行うということを委員の皆様に御承認いただくということでありますが、よろしゅうございましょうか。
(「異議なし」と声あり)
○倉根委員長 それでは、検討を行うということについて承認をいただきましたので、今後の進め方について、裏面になりますけれども、ここについてまた事務局からの説明をお願いいたします。
○芳川室長補佐 今後の検討の進め方についてでございますけれども、先ほど御説明いたしましたように、既に平成22年7月に感染研でファクトシートを作成いただいているということでございまして、以下の基本的な事項が記載されてございます。それから約6年という年月を経ているということを踏まえまして、情報の更新であるとか追加といったことが必要であると考えられます。
現状、どのような内容で記載をいただいているかと言いますと、「百日せきの基本的知見」として、疾患の特性と国内の疫学状況、2ポツ目として「予防接種の目的と導入により期待される効果」として、感染症対策の観点、医療経済学的な観点、諸外国等の状況、3つ目のポツとして「ワクチン製剤の現状と安全性」ということで、ワクチンの種類とワクチンの特性といった項目が記載をされてございます。
また、以下に挙げる2つの事項につきましては、検討に当たって特に重要となる論点と事務局が考えているものとして、諸外国における思春期での百日せきに対する予防接種の現状とその評価、また、国内での疾病・サーベイランスの現状、乳幼児の重症例や成人百日せきの疾病負荷等。
沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチン(トリビック)を1期とは別に定期の予防接種に使用することの是非に関する検討に先立ちまして、百日せきワクチンに関するファクトシートについて、国立感染症研究所において、上記事項等の情報を追加・更新していただくこととしてはどうかと考えてございます。
○倉根委員長 ありがとうございます。
今、事務局からそういう御説明がありましたけれども、まずは阪大微研から説明をいただきました資料の3-1に関して、委員の皆様から御質問あるいは御意見はありますでしょうか。よろしいですか。
柴山参考人、どうぞ。
○柴山参考人 臨床試験データの中の試験デザインのことで確認させていただきたいのですけれども、スライドでいいますと8枚目、4ページ目になりますが、「試験デザイン」というところで、用法・用量は本製剤は0.5mL、DT群は0.1mLということなのですけれども、これは結局、ボリュームは違うのですが、抗原量としても本製剤ですと5倍ということになるのでしょうか。
○明地参考人 対照薬として使いましたDT群のほうにつきましては、市販されているものをそのまま使っております。
○柴山参考人 ですので、DとTの接種された抗原の量としては、DT群は0.1mL、この製剤が0.5mLを接種されているということで、5倍ということになるということですか。
○明地参考人 はい。接種量としては5倍。
○倉根委員長 抗原量としてはいかがでしょうか。
○明地参考人 抗原量としましては、破傷風に関しましては大体同じぐらいの抗原量になるかと思うのですけれども、ジフテリアに関しましてはDTに比べると若干多い抗原量となります。
○柴山参考人 そうしますと、DとTの抗原の濃度がちょっと異なっているということになるのですか。
○明地参考人 そうです。
○柴山参考人 と申しますのは、副反応が若干この製剤のほうが多いというデータがあったと思うのですけれども、その辺が抗原量との関連があるのかなと思いましたので質問させていただきました。
○倉根委員長 岡田参考人、どうぞ。
○岡田参考人 抗原量は違いますよね。破傷風も0.5mLと0.1mLでは違います。以前、0.1mLと0.2mLの試験を行う前に検討しました。DTP0.2mLでも破傷風の抗原量は、DT0.1mLよりは多いし、破傷風の抗原量はDTP0.5mLだと相当多いはずです。
○明地参考人 ジフテリアに関してはかなり多目にはなるのですけれども、理論値からしますと、破傷風に関しましては若干多い。かなりというところまではないですけれども、多いということに関しましては多い値になっております。
○倉根委員長 具体的な量というのはお示しすることは可能なのですか。今、やや多いとか、若干多いということなのだけれども。
○明地参考人 添付文書上に表記されているところで見ると、DPTに関しては、0.5mL接種あたり、ジフテリアは15Lf以下、破傷風に関しましては2.5Lf以下で、DTについては、0.1mL接種あたり5以下と、破傷風に関しては1という表記になってございます。
○倉根委員長 岡田参考人、どうぞ。
○岡田参考人 しかし、それはミリリットル計算ですよね。
○明地参考人 おっしゃるとおりです。
○岡田参考人 だから、実際DT0.1mL接種したときとDTP0.5mLやったときでは、入る抗原量は随分変わってくるのではというのが柴山先生の質問だと思います。
○明地参考人 そのとおりでございます。
○倉根委員長 確認ですが、有害事象あるいは副反応のところで、16及び17のスライドで示したその差というのは、ひょっとするとその抗原量の差を反映している可能性もあるということですか。
○明地参考人 はい。そのように考えております。
○岡田参考人 抗原量だけではなくて、接種する量も局所反応には関係すると思います。
○倉根委員長 接種量及び抗原量の差を反映している可能性もあるということですね。実際にはわからないわけでしょうけれども、ファクターとしてそういう可能性もあると。
金川委員、どうぞ。
○金川委員 今のことに関連するかもしれませんけれども、Tdapとの比較もされていると思うのですけれども、「Tdap」は「T」だけが大文字で「d」も「p」も小文字になっているのは、抗原量を下げているという意味なんですよね。DPTになっていると量が違っているので、できればその両方を表示していただければわかりやすいのですけれども、アメリカではTdapを成人の追加のために使っているという形にしているので、日本であえて子供と同じDPTを使うという意味合いが、しっかりと抗原性があって効果はあるけれども、副作用がちょっと強く出るかもしれない、そこが論点になるかもしれない。
○倉根委員長 何かございますか。よろしいですか。
○明地参考人 検討いたします。
○倉根委員長 ほかに委員の方。岡田参考人、どうぞ。
○岡田参考人 今の金川先生の御質問ですけれども、日本でも同じようにTdapを日本人に向けて同じ試験が行われています。その試験では、今回の指標となったブースター反応率が十分に認められませんでした。、他のメーカーの三種混合ワクチンの中で、今回のトリビックだけがブースター反応率の項目をクリアできたと聞いております。
○金川委員 一応百日せきの抗原性が弱いということを言われているようですので、その辺も含めて示していただければ。
○倉根委員長 ほかに御質問は。福島委員、どうぞ。
○福島委員 細かいことで申しわけないのですが、スライドナンバー10番の安全性の評価ですけれども、これは治験期間中(接種28~42日後)と書かれていますが、これは28日まで、あるいは42日までの発現ですか。
○明地参考人 アローワンスを含めた期間になってございます。接種して、その後、観察期間を28日~42日までとったという形です。
○福島委員 そうですね。接種後から換算してですね。わかりました。
お示しされているデータはどちらでしょうか。28日で見ているのでしょうか。それとも、42日まで延長して。
○明地参考人 事後観察期間まで安全性のデータを収集する形になってございますので、データにつきましては28日~42日まで含まれるという形になります。
○福島委員 わかりました。
○倉根委員長 ほかに御質問、御意見はございますか。よろしいですか。
まず御質問いただきました。そこで、次に資料3-2の2ページ目の提案になりますけれども、百日せきワクチンに関してのファクトシートについて、国立感染症研究所において、上記の事項の情報を追加あるいは更新していくと。つまり、以前つくったものに新たなものを追加して、さらに更新していただくということでよろしいかということでありますが、委員会としていかがでしょうか。よろしいですか。
(「異議なし」と声あり)
○倉根委員長 それでは、追加・更新していただくということなのですが、ここに幾つか項目を挙げてありますけれども、さらにここについても入れたらどうかということがありましたら、ここで伺えればと思います。
岡田参考人、どうぞ。
○岡田参考人 御存じのように、今DPTワクチンは国内各社では製造されていません。不活化ポリオワクチンを含んだ4種混合ワクチンとしてしか接種できません。阪大微研さんにおたずねです。今後、このトリビックが10歳台への接種が定期接種として接種できるようになったとき、もう一度製造していただけるのでしょうか。また、安定供給というスタンスからすると、今は2期の接種率が6割から7割としても60万とか70万ドーズが必要になってきます。それをDPTとしてまず微研さんだけが作れるのかどうかは確認しておいたほうがいいのかなと思いました。
○倉根委員長 まず、ファクトシートとしてこれをつくっていくということについては、何か御意見はございますか。
○岡田参考人 もちろんそうです。ただ、もう作る予定のない三種混合ワクチンをファクトシートの内容を更新いただくのは、感染研の皆さんの御苦労を考えると大変だと思います。まずDPTとして今からつくっていただけるのかどうかというところです。
○倉根委員長 そこはいかがでしょうか。微研サイド、参考人がお二人お見えになっておりますが。
○青木参考人 DPTの2期についての供給面に関してですけれども、まず、本日申し上げられますことは、我々も現在前向きに検討はさせていただいております。なるべく早い時期に供給体制が整う方向で検討はさせていただいているのですけれども、何分、私どもの場合、昨年からのワクチン全体の供給が少し厳しくなっているあたりへの対応も含めて、かなり製造能力に負荷がかかってきているところもございまして、いつから供給できるのかという御質問に関しましては、改めて状況を見ながら御報告させていただけたらと考えております。答えになっていないかもしれないですが。
○倉根委員長 では、多屋委員、どうぞ。
○多屋委員 ありがとうございます。とても重要なポイントかと思います。
このファクトシートなのですけれども、タイトルが「百日せきワクチンに関するファクトシート」となってございます。今のお話を踏まえますと、百日せきが含まれているワクチンは3種混合以外にも4種混合もあるわけですから、ファクトがあるかどうかはこれから調べないとわかりませんけれども、ファクトの中に3種混合ワクチンと4種混合ワクチンという2つのパターンで加筆したほうがほかの候補が加わるのではないかと思いますけれども、そういう形でもよろしいでしょうか。
○倉根委員長 そこは柴山参考人、何か御意見はありますか。
○柴山参考人 特に私は異論はありません。
○倉根委員長 岡田参考人、どうぞ。
○岡田参考人 それに追加です。百日せき対策を長くやってきた私にとってみると、今回のようなことで議論していただくのはとてもありがたいことです。ありがとうございます。ただ、本日の帯状疱疹ワクチンでもそうですが、今まで新しいワクチンが用法・用量が追加になったときに、この小委員会で議論をする、あるいはファクトシートをつくっていただくというようになっていたと理解しています。この視点からすると、単抗原の不活化ポリオワクチンのイモバックスポリオに関しては、新しい用法・用量が追加されていますので、イモバックスポリオのことも今からファクトシート作成も含めて議論していただかないといけないのではないかと思います。そうすると、不活化ポリオワクチンとして今後単抗原のイモバックポリオだけでなく、4種混合も含めてポリオの2期接種の議論を行っていただけるといいのかなと思います。参考人としての立場で申しわけございませんが、事務局へのお願いとして、イモバックスポリオと4種混合ワクチンでポリオの2期接種に関してファクトシートも含めて御検討いただければありがたい思います。
○倉根委員長 事務局、どうでしょうか。今、岡田参考人からの、これは御意見として伺うということにはなりますけれども。
○芳川室長補佐 岡田参考人、貴重な御意見、ありがとうございます。事務局内でまず一旦検討させていただきたいと思います。
○倉根委員長 それでは、このファクトシートについてほかに何か御意見はございますか。そうすると、先ほどの柴山参考人からのお返事だと、DPTも含めて4価のものも含むことはできるということですね。
事務局から何か御意見はありますか。よろしいですか。
多屋委員、どうぞ。
○多屋委員 もしファクトシートの中に3種混合と4種混合の両方を入れなければいけないということになりました場合は、ポリオの部分がどうしても入ってくるものですから、できればポリオの担当されている先生方にもファクトの作成に入っていただけると、先ほどのDPTとIPVとDPT-IPVと3つのワクチンについてファクトシートの追加ができるのかなと思いますけれども、そういうことは可能でしょうか。
○倉根委員長 柴山参考人、どうですか。
○柴山参考人 やはりポリオのほうはポリオの先生方に入っていただいたほうが、私もいいと思います。
○倉根委員長 今回は百日に関してのファクトシートになるわけですね。先生がおっしゃるのはポリオのコンポーネントも少し入ってくるので、ポリオに対するファクトシートではないのですよね。
○多屋委員 はい。今まで、混合ワクチンになってきてなかなか難しくなってきているのですけれども、そういうことが可能であれば、百日せき並びにポリオも含むワクチンに関するファクトシートですとか、そういう形にしていただけると、3種混合なのか、4種混合なのか、IPVなのか、DPTなのか、一緒に議論ができるのだろうかと今考えたわけで、4種混合を入れるとすると、どうしてもポリオの部分が入って。
○倉根委員長 事務局からコメントをください。
○芳川室長補佐 多屋委員がおっしゃっている御意見というのは、DPT-IPVを現状4回使っていただいているところで、5回目の接種という形でDPT-IPVを検討するという御意見ということで、現状、適応の部分で、いわゆる今回のような以降の追加接種というような適応上の承認がないと認識をしているのですが。
○多屋委員 それで、先ほどファクトがあるかどうかわからないというふうには申し上げたのですけれども、3種混合のワクチンで全部定期の第2期の予防接種を変えてしまえるかどうかが少し微妙な御発言だったので、それでどちらかを選べるということでファクトを調べることができればと思ったのですけれども、そもそもそれは無理だということであれば、3種混合だけになると思います。ただ、3種混合だけだと安定供給が難しいということであれば、もう少し4種混合ワクチンも含めたことができてからファクトをつくるという選択に。というのは、3種混合だけで半年間でつくって、またさらに4種混合となると、つくるのも倍かかるものですから、一緒にできれば効率がいいかと思いましたけれども、できるかどうかは事務局の御判断だと思います。
○倉根委員長 では、事務局、どうぞ。
○江浪予防接種室長 今、芳川のほうから説明させていただいたことの繰り返しになろうかと思いますけれども、DPTに関して課題となっていくのは、百日せき対策として2期のDTをDPTにするかどうかというのが恐らく皆さん念頭にあるものではないかと思いますが、DPT-IPVの我が国における薬事承認上は、2期の時期には適応がないので、もちろんそういうのがいずれDPT-IPVがちゃんと薬事適応をとれた上であっては、それを活用することは考えられるということなのだろうと思いますけれども、今目の前にあって現に使えるのはDPTですので、今回の我々の基本的な考え方としては、今、薬事承認の関係でDPTが使えるということになったことを受けて、百日せき対策としてDPTについてどう考えるかということをまずは御議論いただきたいと思っております。ただ、そのときにDPT-IPVという選択肢もあるのだということを百日せきのファクトシートの補足といいますか、部分として整理していただくときに、例えば薬事承認上の課題があるということを整理していただくということかなと考えておりました。
○倉根委員長 岡田参考人、どうぞ。
○岡田参考人 本当におっしゃるとおりなのですけれども、先ほど申し上げたのは、イモバックス単抗原の場合は追加接種が今回できるようになりましたから、ポリオのファクトシートは、生ワクチンの時代でしかつくられていませんから、不活化ポリオワクチンが使えるようになった時点で、ポリオのファクトも考えていただかないといけないと思います。そうすると、4混として、百日咳のファクトシートとポリオのファクトシートで、現実的にはそれは話はつながってくるのかなと思いますから、ポリオのファクトシートもお考えいただければというのが私の提案でございます。
○倉根委員長 事務局からどうぞ。
○芳川室長補佐 岡田先生の御意見、ありがとうございます。事務局では、ポリオに対する対策ということについて一旦事務局で検討させていただこうと思いますが、まず今回、百日せきに対する新たな使える製剤が承認を受けたということで、まさに百日せきワクチンに関するファクトシートをつくっていただくということでの御議論だと認識していますので、ポリオ対策という観点での御意見という形で事務局で一旦引き取らせていただければと考えているところです。
○倉根委員長 どうぞ。
○山岸室長補佐 ポリオの対策のほうですけれども、DPT-IPVの4混が導入されて、まだ時期がたっておりませんので、現在のDPT-IPVで長期の免疫原性というところはまだ評価中と聞いております。研究班等で今されております。
現在の日本のIPVで追加接種が必要かどうかというところも含めて、まだ評価のところはできる状態にはなっていないと理解しておりますので、ポリオ対策全体のほうである程度議論ができる段階になったところで、そちらのほうは検討するという形にさせていただいたほうがいいかなと思います。現時点でIPVの追加の必要性というところを評価する段階ではまだないのかなと、一応ポリオ対策のほうでは考えております。
○倉根委員長 そうしますと、こういうまとめでしょうか。ポリオについては、またポリオとしてどうするかを考えるということ。それから、今回は百日せきについてファクトシートをつくるけれども、そこに4混についてももしデータとして挙げられるものがあれば、つけ加えていただくと。そういう形のまとめになろうかと思いますけれども、いかがでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○倉根委員長 そうしましたら、そういうことでこれについてのファクトシートの追加・更新を行うということにお願いしたいと思います。
ここまでが審議事項でありますけれども、次の議題4は報告事項になりますが、PCV10の報告に入りたいと思います。参考資料13、14について事務局からの御説明をお願いします。
○芳川室長補佐 それでは、参考資料13、14に基づいて御説明させていただきます。PCV10に関してでございます。
参考資料の14を1枚おめくりいただきまして、第15回、平成28年5月11日開催の予防接種基本方針部会の開催状況でございますけれども、「沈降10価肺炎球菌結合型ワクチンの定期接種での使用の是非について」ということでございまして、前回の平成28年3月14日に開催されました第3回のワクチン評価に関する本委員会における審議の結果を、倉根委員長のほうから、参考資料の13にございます報告書という形で、基本方針部会に報告をいただいてございます。
その内容でございますけれども、3点にまとめさせていただきますと、「沈降10価肺炎球菌結合型ワクチンは、安全性に関して問題となる有害事象は観察されていない。しかし、沈降13価肺炎球菌結合型ワクチンと比較した場合、含有される血清型が少ないことなどにより、有効性が若干劣る可能性が否定できないことから、現時点での詳細な費用対効果の評価結果は判断のために必須とは言えない。接種を促進していくことについては、慎重な判断が必要であると考えられる。」という報告書を基本方針部会に報告をいただきました。
それを踏まえ、基本方針部会においても、沈降10価肺炎球菌結合型ワクチンの定期接種での使用の是非に関する審議が行われまして、ワクチンの有効性、安定供給、ワクチンの価格、実際の現場での問題等を総合的に考慮し、同ワクチンを定期接種で使用しないことについて、部会として取りまとめられたところでございます。
事務局からの報告は以上です。
○倉根委員長 ありがとうございます。
資料13については、ここで委員の方々に御了解いただいて出したものであります。今、事務局からありましたように、それを基本方針部会に報告いたしまして、ただいまのような結論に基本方針部会としてなったということであります。これは報告でございます。
それでは、きょう議題として上げてあるものは全て終了いたしましたが、委員の方から何かございますか。よろしいですか。
それでは、事務局から何かございますでしょうか。
○大林室長補佐 次回の開催につきましては、追って御連絡させていただきます。
事務局からは以上でございます。
○倉根委員長 ありがとうございます。
それで、本日の第4回のワクチン評価に関する小委員会はこれで終了といたしたいと思います。大変活発な御議論をいただきましてありがとうございます。
ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 ワクチン評価に関する小委員会)> 第4回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会 議事録(2016年3月14日)