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2016年5月27日 第57回がん対策推進協議会(議事録)
健康局がん・疾病対策課
○日時
平成28年5月27日(金)14:00~16:00
○場所
厚生労働省 共用第6会議室(3階)
○議題
(1)がん対策推進基本計画の見直しについて
(2)その他
○議事
○門田会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第57回「がん対策推進協議会」を始めたいと思います。年度変わって始めてでございます。どうぞ皆さん、よろしくお願いいたします。
それでは、委員の出席状況について、事務局より御報告をお願いします。
○事務局 本日の委員の出席状況について御報告いたします。本日は、川本委員、細川委員、宮園委員、湯沢委員、吉田委員より御欠席の連絡をいただいております。なお、委員総数15名の皆様に御出席いただいておりますので、定足数に達していることを御報告申し上げます。
また、本日は、国立がん研究センター中央病院骨軟部腫瘍リハビリテーション科外来医長、川井章参考人、国立がん研究センターがん対策情報センターがん臨床情報部長、東尚弘参考人に御出席いただいております。
以上をもちまして撮影を終了し、カメラをおさめていただきますよう御協力をお願いいたします。
また、傍聴される方におかれましては、携帯電話等、音の出る機器については、電源を切るかマナーモードに設定いただくなど、会議の妨げとならないように静粛にしていただきますようお願い申し上げます。
○門田会長 続きまして、事務局から本日の資料の確認をお願いいたします。
○事務局 それでは、お手元の資料の確認をさせていただきます。
資料1-1「がん対策推進協議会委員名簿」。
資料1-2「がん対策推進協議会令」。
資料2-1「各検討会の開催状況について」。
資料2-2「緩和ケア推進検討会報告書概要」。
資料3「がん教育について(文部科学省提出資料)」。
資料4-1「希少がん医療・支援のあり方に関する検討会報告書概要」。
資料4-2「希少がん対策ワーキンググループの目標と進捗(東参考人提出資料)」。
資料5-1「基本計画の見直しに向けた議論の進め方(案)」。
資料5-2「がん対策推進基本計画の全体像」。
資料5参考「今後のがん対策の方向性についての概要」。
また、委員のお手元には、文部科学省机上配付資料として「外部講師を用いたがん教育ガイドライン」「がん教育推進のための教材」の2つの資料と机上参考資料のファイルを御用意しております。
資料に不足、乱丁等ございましたら、事務局までお申し出ください。
○ 門田会長 ありがとうございました。
特に問題はございませんでしょうか。ないようでしたら進めたいと思います。
先ほども申しましたけれども、新年度、年度がかわって初めての会ということでございましたが、委員の皆さんも年度のかわりに合わせて異動がございました。新しい委員の方を事務局から紹介していただきたいと思います。
○事務局 それでは、資料1-1に従いまして、新たに御参画いただく委員を御紹介いたします。お名前をお呼びした委員におかれましては、一言御挨拶をいただけますようお願い申し上げます。
日本癌治療学会理事長の北川雄光委員です。
○北川委員 慶應の北川でございます。日本癌治療学会を担当させていただきます。よろしくお願いします。
○事務局 国立がん研究センター理事長の中釜斉委員です。
○中釜委員 中釜です。この4月1日より前理事長の堀田知光を引き継いで、センターの理事長を拝命しています。このがん対策推進協議会は、日本のがん対策の推進に非常に重要な位置づけにあるということを理解しています。特に先ほど紹介がありましたけれども、次期基本計画の見直し、まさにそういうタイミングでこの協議会のメンバーになったこと、非常に私自身もその重要性を認識しながらこの会での発言をしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○事務局 日本小児血液・がん学会理事長の檜山英三委員です。
○檜山委員 広島大学の檜山でございます。よろしくお願いします。第2期の見直しのときに小児がんのことをぜひ入れてくださいとお願いしたときに一度ここで委員を務めさせていただきました。前堀部のあとを引き継いで、もう一度委員を務めさせていただきます。どうぞ御指導のほどよろしくお願いします。
○事務局 なお、門田会長と吉田委員の御所属、御役職に異動がございましたので、資料1-1に反映しております。
資料1-2をごらんください。がん対策推進協議会令の第2条第3項には「会長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する」と定めております。会長代理の堀田委員が退任されましたので、門田会長より新たな会長代理の御指名をいただくこととなっております。門田会長、お願いいたします。
○門田会長 ということで、私、事故がありたくないのですが、ぜひ万が一のときのということで山口先生にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○山口委員 どうぞよろしくお願いいたします。
○門田会長 それでは、議事を進めたいと思いますが、各検討会の開催状況についてということで、これは事務局から御報告をお願いいたします。
○がん対策推進官 事務局、がん対策推進官でございます。
それでは、資料2-1、2-2で御説明を申し上げます。
資料2-1をごらんください。各検討会の開催状況について御報告を申し上げます。
まず、第17回「がん検診のあり方に関する検討会」が5月12日に開催をされました。内容につきましては、こちらにございますとおり、報告事項について、がん検診に関する実施状況等調査について、今後のがん検診に関する論点について、がん検診受診率等に関するワーキンググループでの論点についてといった議論が行われました。
ワーキンググループを設置して、さまざまな目標、指標について検討するということが決まりました。また、あり方そのものに関する検討項目についても検討が進められることとなりました。
続いて、2番、第5回「がん診療提供体制のあり方に関する検討会」が5月20日に開催をされました。こちらは3年ぶりの開催ということで、座長の選任に引き続きまして、がん診療提供体制のあり方について議論がなされました。内容としては、これまで均てん化を目指して整備を進めてきた、がん診療提供体制の今後のあり方についてということで議論を進めることになりました。また、がんゲノム医療、がん医療に関する情報提供、がん診療連携拠点病院等における安全医療、がんの放射線治療、それから検討会の論点と整理、こういった内容が議論をされました。
また、これは予定でございますが、第1回「がん等における緩和ケアの更なる推進に関する検討会」が5月30日に開催される予定でございます。
この「がん等における緩和ケアの更なる推進に関する検討会」につきまして、資料2-2をごらんいただけますでしょうか。この検討会が開催される前、19回にわたって緩和ケア推進検討会というものが開催されております。ここの議論を受けて新たに開催される検討会となりますけれども、資料2-2に、前回まで緩和ケア推進検討会が取りまとめた報告書の概要を取りまとめているものでございます。こちらについて、下の四角の赤い部分でございますが、今後検討すべき課題として、拠点病院における緩和ケア提供体制のあり方、拠点病院以外の医療機関における緩和ケア提供体制のあり方、全ての医療従事者が基本的な緩和ケアを身につけるための方策といったものが挙げられているところでございます。
説明は以上です。
○門田会長 ありがとうございました。
ただいま御報告いただきました検討会の報告ですが、どなたか御意見あるいはコメントはございますでしょうか。
若尾委員、どうぞ。
○若尾委員 山梨の若尾と申します。
私は、乳がんのサバイバーとしてこの協議会に参加させていただくきっかけになったのですが、今回、T細胞リンパ芽球性リンパ腫として希少・難治性のがんの当事者としての意見も言わせていただきたいと思うのです。
まず、今回各検討会の報告をいただいたということなのですけれども、私たちがここで今、議論しているがん対策推進協議会という法に基づいて行われている協議会と、今、御報告いただいた3つの検討会との位置づけと、大まかな俯瞰できるようなイメージがあったら教えていただきたいのです。
○門田会長 事務局、どうぞ。
○がん対策推進官 今、お手元の資料5-1をごらんいただけますでしょうか。こちらは前回、第56回「がん対策推進協議会」の資料を一部改変したものでございます。先ほど御説明申し上げました3つの検討会につきましては、こちらの協議会と意見を交換しながら、それぞれの検討会で議論していただき、次期基本計画に向けた取りまとめ、提言をいただくという位置づけでございます。今後、そこでの議論をこちらの協議会に御報告、御説明等をして、基本計画の議論を進めていく、そういったお話を考えているところでございます。
以上です。
○門田会長 よろしいですか。
どうぞ。
○若尾委員 ということは、この協議会は報告を受けるだけではなくて、報告いただいたことに対する意見とか議論、協議といったことも、第3次の計画をつくるまでにできるという理解でよろしいですか。
○がん対策推進官 御指摘のとおりでございます。
○門田会長 よろしいですか。
どうぞ。
○若尾委員 では、回数も含めたそういったものが俯瞰できるような資料も、なるべく早くつくっていただいて、私たちが何を、いつ、どう考えるべきかという概要がわかるようなものもお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○門田会長 事務局、よろしいですか。
○がん対策推進官 そういった点につきましても、後ほど議論させていただければと思っております。
○門田会長 そのほか何かございますか。
中川委員、どうぞ。
○中川委員 資料2-1の最初にあります「がん検診のあり方に関する検討会」ですけれども、概要の中にあります職域検診の実態調査の結果です。私どもも、がん対策推進企業アクションという同じ課の事業の一部に携わらせていただいておりますが、1,406の健保組合からのデータで、これを見せていただきましたが、高いのです。肺は72%、大腸61%、胃57%と、多くの男女に共通するがんでは国の50%という目標を超えているわけです。
ただ、注意しなければいけないのは、これは健保組合のデータということなのです。御承知のように、大企業になればなるほど受診率は上がります。やはり問題は、日本のほとんどの働く人が属している中小零細の企業の受診率の把握だと思っています。大企業の受診率が高いということに甘んずるわけにはいかないということを皆さんに共通認識として持っていただきたいと思いますし、一方で、乳がんは35%、子宮頸がんで32%という数字は、大企業においてもこれほど低いということなのです。ですので、データの理解をそのようにしていただきたいと思います。
以上です。
○門田会長 ありがとうございました。
検診については第1期のときからずっと言って、検診率を高めることによって死亡率を減少させるのだということでスタートしたわけですが、余り変わっていないということに対して、10年たってもこれでは、逆にこれから先のことを考えていく上で非常に重要な課題ではないか。同じやり方をしても仕方がないという感じさえもします。検討会のほうで、何々を検討するということで終わっているところが多いので、やはりせっかくこれを特化した検討会としてやっているのですから、もう少し具体的に進めていただけたらという感じがいたします。
そのほか。
桜井委員、どうぞ。
○桜井委員 ありがとうございます。桜井です。
私のほうからも、若尾委員の意見とちょっとかぶるところがあるのですが、協議会とこちらの検討会が連携するという御説明があって理解したのですけれども、具体的な連携の仕方とタイミングについては、どのような案とかというのは、現在、お持ちなのでしょうか。
○門田会長 事務局。
○がん対策推進官 適宜、検討会での議論の内容をこちらの協議会にも御報告して、また、協議会でいただいた意見も、先ほどのがん検診のあり方については特に早速、次の検診の検討会でも御報告しようと思っていますが、そういったやり方で進めようと思っています。また、これについても今日御議論いただければ、その進め方についても事務局として反映させていきたいと思っております。
○門田会長 そのほか、どなたか。
桜井委員。
○桜井委員 もう一つ、その内容について、このがん検診のあり方に関しては、加速化プランを出させていただいたときにもインセンティブの話があったりですとか、あるいは、例えば家族性腫瘍の人たちは学会ガイドラインがもうあるのが通常ですので。今あることを検討するだけではなくて、ほかの委員会なり協議会のほうで出たものも組み入れた形で少なくとも本日の5月12日会議は行われるべきだったのではないかと思っております。ぜひ、前向きに進むような検討会を進めていっていただきたいと思います。
以上です。
○門田会長 よろしいですか。そのほか何かございますか。
若尾委員、どうぞ。
○若尾委員 たびたび済みません。
このがん検診の受診率なのですが、私は山梨県に住んでいるのですけれども、その検診の責任者である基礎自治体が検診受診率を出す、その数字が統一ではなかったりするのです。一応こういった分母で、こういった分子でという形で受診率が出ていくわけですけれども、それぞれの自治体の理解が違っていて、基礎自治体の受診率に大きなばらつきが出ています。がん対策推進基本計画では、多分、都道府県ごとの受診率ということで計画が進んだりすると思うのですけれども、実際に責任を負うのは基礎自治体です。基礎自治体がしっかりと分母と分子はこういったものを遣うということ、職域も含めて明確なものを提示した上で、基礎自治体からそれぞれの受診率が同じ基準で出て、それを基礎自治体に住む人が情報提供されるというような仕組みづくりなどもワーキンググループの中で話していただきたいと思いますので、よろしく御検討ください。
○門田会長 よろしくお願いします。
そのほかにもあろうかと思いますが、検討会に対しての意見ですので、次に進みたいと思います。
それでは、その次が、がん教育についての御報告、これは文科省のほうからよろしくお願いします。
○文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課 文部科学省健康教育・食育課でございます。初等中等教育段階におけるがん教育の取り組みについて御説明させていただきます。
それでは、資料3をごらんください。がん教育につきましては、平成24年6月に決定されました、がん対策推進基本計画において、5年以内に学校での教育のあり方を含め、健康教育全体の中で「がん教育」をどのようにすべきか検討し、検討結果に基づく教育活動の実施を目標とするとされたところでございます。これを踏まえまして、文部科学省では、平成26年度から、がんの教育総合支援事業を実施してきております。
具体的には、この赤で囲まれている「「がん教育」の在り方に関する検討会」を設けるとともに、下にございます緑のモデル事業を実施しながら取り組んでいるところでございます。
図を見ていただけるとわかるとおりなのですが、モデル事業を実施する上では、1年目、教育委員会によるがんの教材を作成するとか、あとは、がん教育を推進する上では外部人材の活用が有効であると考えておりまして、そういった体制づくりを行うことを条件として取り組んでいただいております。
それとともに「「がん教育」の在り方に関する検討会」の1年目におきまして、がん教育の基本方針について検討したところでございます。その検討結果の概要が、下にあります27年3月の「学校におけるがん教育の在り方について」の概要でございます。ここについては、そもそも学校におけるがん教育の基本的な考え方として、初めてがん教育の定義づけを行いました。健康教育の一環として、がんについての正しい理解と、がんと向き合う人々に対する共感的な理解を深めることを通して、自他の健康と命の大切さについて学び、ともに生きる社会づくりに寄与する資質や能力の育成を図る。
この定義に基づいたがん教育の目標は、1として、がんについて正しく理解することができるようにする。2つ目として、健康と命の大切さについて主体的に考えることができるようにする。なお、この1つ目の目標につきましては、基本的に中学校、高等学校で実施することを検討に置いております。2つ目の健康と命の目標につきましては、主に小学校で取り組むということを念頭に考えているところでございます。
(3)がん教育の具体的な内容として、そもそもの「がんとは」ですとか、がんの状況、予防、早期発見・がん検診など、こういった中身について検討したところでございます。
一方で、今後の検討課題といたしましては、がんに関する教材ですとか指導参考資料の作成が必要である。外部講師の確保をどうするのかが今後の課題に残っているということが言われておりまして、ここら辺につきましても、現在、事業等を通じながら検討しているところでございます。
こちらの1年目のがん教育の方針に基づいて、平成27年度、昨年度、モデル事業で小中高等学校で取り組んでいただきました。それとともに、がん教育に必要な教材の作成、外部人材の活用法等についての検討ということでございまして、これについては本年4月22日に、本日机上配付させていただいております「外部講師を用いたがん教育ガイドライン」「がん教育推進のための教材」を作成し、各都道府県教育委員会、指定都市の教育委員会、あとは私立学校、国立学校に送付したところでございます。
それと同時に、同日、厚労省の衛生部局のほうにも周知いただくようにお願いいたしまして、厚労省からは、各都道府県、指定都市の衛生所管部局に対して、こちらのがん教材、あとはガイドラインの作成について周知いただくとともに、教育委員会からの要請に基づいて、がん教育の推進に御協力いただくように事務連絡を発出していただいたところでございます。
なお、このがん教育の教材につきましては、本年度実施予定の3年目のモデル事業で実際に活用していただき、その成果と課題をまとめた上で、本年度中に教材の必要な改訂を行い、来年、29年度の全国展開を目指して見直しを行い、各都道府県、学校に周知していきたいと考えているところでございます。
あと、今のがん教育の教材とガイドラインの御説明をさせていただいたのですが、こちらは文部科学省のホームページに「教育」という項目がございます。その「学校保健、安全教育、食育」という中に「学校保健の推進」という項目がございまして、この中に「学校におけるがん教育の在り方について」の報告書、あとは「がん教育推進のための教材」「外部講師を用いたがん教育ガイドライン」の3点を、新たに項目を設けて、誰からでも見られるようにしたところでございます。
以上でございます。
○門田会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御報告について何か御意見、御質問はございますでしょうか。
中川委員、どうぞ。
○中川委員 このがん教育については、本協議会でもたびたびその必要性をお話しさせてまいりましたし、また、文科省のあり方検討会の委員にもさせていただきました。教材の作成のワーキングにもかかわらせていただきましたが、私は、世界で類を見ないすばらしいがん教育の体制が整いつつあるのだろうと思っています。
一方、問題は大人なのです。これから子供たちはがんのこと、知ってほしいことを知って大人になっていく。これによって、がんを取り巻く環境は大きく変わってくるのだと思うのですが、一方、今の大人たちに対する教育をどうするのか。世代間の格差が生じますし、各自治体等は主に休日に市民公開講座のようなことをやられるわけで、私も各地に呼んでいただいたりします。ところが、そこに来る方々の喫煙率はほぼゼロです。検診受診率も極めて高いのです。同じところに呼ばれるもので、私も顔を覚えてしまうのです。それほどリピーターがそういうところには来られます。むしろ、たばこを吸い、検診は受けず、そして、自分だけはがんにならないと思っている大人たちにどうやって知ってもらうか。
そういう意味では、私はやはり企業の中で職域でのがん教育が非常に重要だと思っています。というのは、企業の中であれば、これは組織としてこういったセミナーに出席しろということが一定の強制力を持って言えるからなのです。そうしなければ恐らく大人たちの教育は難しいです。それをぜひ今後、子供たちの学校におけるがん教育に対応した職域におけるがん教育を進めるべきだと思います。
以上です。
○門田会長 ありがとうございました。
馬上委員、どうぞ。
○馬上委員 スケジュールについてお伺いしたいのですが、一番下のところに「学習指導要領改訂の必要性について検討」と書かれていますけれども、このいただいた教材で小児がんの子供たちのために御配慮いただいて本当にありがとうございます。こういった教材の内容が今後、教科書に反映される可能性があるのかどうかということをお伺いしたく思います。
○文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課 今、中教審で保健体育をどうするかという中身について議論しています。ただ、まだそもそもどういう取り決めをするかということで具体的な項目まで扱っていないので、今後、多分いろいろな、がんですとか感染症、医薬品とかをどうするのか、扱われるかとかを検討されるのだと思います。
他方で、今おっしゃっていた教科書につきましては、民間の教科書会社が学習指導要領と学習指導要領に基づく解説書を参考につくるものですから、我々が、この中身がそちらに反映されるのかどうかということについては関知していないところでございます。
以上です。
○門田会長 そのほか、どなたか。
先ほど中川委員が言われた大人の云々というのは、今の我々ががん教育でスタートするのは学校のほうの話にすりかわってしまって、これに対しては具体的にどうなのですか。
○中川委員 先ほどちょっと触れました、がん対策推進企業アクション、同じがん・疾病対策課の中でやらせていただいていますが、当初これは、がん検診企業アクションといいまして、職域でのがん検診受診率を上げようという取り組みだったのです。それが今、女性が働き、そしてまた定年が延長されると当然、職場の中での患者がふえるわけですから、とりわけかつては主婦の方、あるいは年金生活者の方の病気だったわけですけれども、働いてお金を稼ぐという立場の方ががんになるわけですから、やはり経済問題ということです。その就労の問題。
そして、今、企業の中でのがん教育ということも項目としては入れていますが、予算も限られていますし、これは企業アクションの中でやるには余りにも大きなテーマなのです。ですから、私は、職域におけるがん教育、子供の学校でのがん教育に対応したものについては別途推進していく必要があるのではないかと考えています。
○門田会長 わかりました。ありがとうございました。
そのほかどなたか。
若尾委員、どうぞ。
○若尾委員 今、中川委員がおっしゃった職域でのがん検診ということとかぶるかもしれないのですけれども、子供にはいろいろなことをこれから教育していくと思うのですが、一般の大人たちです。がん検診という言葉は知っていても、集団検診と個別検診の違いとかもわかっていなかったりするのです。各市町村も、集団検診の中で国が推奨している基準を守っているとは言えない状況なので、各市町村への教育ということも必要になってくるかと思います。その辺もこの教育の中に含めて議論するかどうかということは違う分野になってしまうかもしれませんけれども、大人に向けた教育の中には、そういった視点も必要なのかなということを発言させてください。
○門田会長 ありがとうございました。そのとおりですね。
これも時間に限りがありますので、次に進みたいと思います。よろしいですか。
それでは、その次に「希少がん対策ワーキンググループ四肢軟部肉腫分科会」についての御報告をお願いいたします。
○がん対策推進官 資料4-1をごらんください。こちらは平成27年8月に「希少がん医療・支援のあり方に関する検討会」で取りまとめられた報告書の概要でございます。こちらの中で、希少がんの現状と課題として、専門的な医師や医療機関の所在がわかりにくいですとか、希少がんホットラインは非常に有用だが周知されていない、こういった課題が挙げられました。こういった課題に対して取り組むべき主な施策として、病理診断であるとか人材育成、情報の集約・発信といったものが挙げられているところでございます。
こうした中、希少がん対策に関する検討の場を設置するということで、一番下の四角の中でございますが、国立がん研究センターを事務局として「希少がん対策ワーキンググループ」を設置する、そこで特定のがん腫に絞り、希少がんに関する最新情報の収集・提供、ガイドラインの推進や評価項目の検討などを行うとされているところでございます。
本日、がん研究センターの事務局から東先生が参考人として来ていただいておりますので、その内容につきまして、御説明をいただければと思います。お願いします。
○東参考人 よろしくお願いします。国立がん研究センターがん対策情報センターがん臨床情報部の東尚弘と申します。「希少がん対策ワーキンググループ」の事務局を務めておりまして、この場をおかりして、その目標、進捗等について御報告をさせていただきます。資料は4-2に私の作成しましたスライドがありますので、そちらに沿って御説明をさしあげます。
先ほど説明がございましたとおり「希少がん医療・支援のあり方に関する検討会」というものが昨年の3月から8月に行われまして、ここでは希少がんの定義を初めとして、医療提供体制から研究開発まで、さまざまな取り組むべき課題について検討が行われました。その中で、やはり継続的な検討が必要であろうということで、報告書にも、希少がん対策に関する検討の場を設置することが書き込まれております。
その内容というのが3枚目のスライドにまとめてありますけれども、この検討の場、今後、実務的な内容を検討するということで、国立がん研究センターを事務局とし、関連学会、研究者、患者団体などの希少がん対策関係者で構成される「希少がんワーキンググループ(仮称)」を設置するということが書かれております。この仮称であった「希少がんワーキンググループ」というものが、このたび正式に国立がん研究センターで設置するに当たって「希少がん対策ワーキンググループ」というように名称を決めております。ここでは特定のがん種に絞り、臓器別、疾患別などのネットワーク構築を進める。最新情報の収集や提供、ガイドラインの策定・普及を進めていく。また、希少がん対策の進捗状況を評価するための評価項目を検討するなどが求められております。
次のスライドですけれども、実際にはがん種ごとに検討するということで、それぞれ分科会を設置して検討することを予定しておりますが、分科会を設置するにしても、共通する目標というのは、やはり希少がん患者さんのアウトカムを向上させるということにあると考えております。そのために必要な要素としては、専門施設へのアクセスを確保すること、専門施設での診療経験を蓄積すること、今後の新しい治療開発のために臨床試験の環境を整備すること、また、社会全体として医療資源を効率的に活用するといったことが挙げられるかと思います。
そのために、次のスライドですけれども、分科会の作業目標といたしましては、まず、患者さんへ公開するべき専門施設のリストを作成する。また、専門施設における公表すべき項目の決定。そして、必要な集約化、ネットワーク構築といった専門施設を中心とした患者紹介の流れの整理を行うといったことを想定しております。
分科会ではがん種ごとに検討を行うということで、最初の対象は、四肢の軟部肉腫といたしました。これは、希少がんの記述が盛り込まれた第2期のがん対策推進基本計画で、希少がんの例として肉腫が挙がっていることや、軟部組織にできる肉腫は希少がんながら頻度が高く、患者さんが施設間で分散していると言われているといったことから選択いたしました。
四肢に特化した理由といたしましては、肉腫はさまざまな臓器に発生いたしますけれども、それらを同時に検討いたしますと、担当の診療科も広がってしまいます。そうすると議論が分散しがちになるおそれがありますので、それを防いで診療科を明確にして議論を行うということを考えるために、部位を絞るようにいたした次第であります。
次のスライドですが、「四肢軟部肉腫分科会」の進め方についてですけれども、年に大体3回から5回を予定しております。ここでは必要な集約化やネットワーク化の検討を含む診療提供体制や情報提供の内容や方法などについて、さまざまな点を検討する予定です。最終的には関係者への提言と、可能な部分については主体的に実行していくということまで想定をしております。
この「四肢軟部肉腫分科会」のメンバーですけれども、日本整形外科学会や臨床腫瘍学会を初めとして、関連学会や患者会等から推薦をいただき、総計15名で構成いたしております。8枚目のスライドにこのメンバーのリストを挙げさせていただいております。
ことしの3月16日には第1回の分科会を国立がん研究センターで行わせていただきました。その議論を9枚目のスライドにまとめておりますけれども、まず、診療提供体制の課題ということで、必要な集約化とは何か、どの程度かといったことが議題に上がっております。その「どの程度か」については、いろいろな議論がありましたけれども、住民人口で決まるのではないかというような指摘から、日本整形外科学会が設定している骨・軟部腫瘍診断治療相談コーナー、これはお手元の資料では骨軟部肉腫と書いてありますけれども、正しくは腫瘍相談コーナーですが、これらの施設が八十数施設ありますので、ここを中心に考えるのがよいのではないかといった指摘もなされております。
また、専門施設の条件でありますが、どの程度までを専門施設とするのがよいのか。段階をつけるのがよいかとか、区分を設けてはどうかといったことであるとか、集約化を進めたとしまして、この集約化をされた施設に果たして多数の患者さんを受け入れるだけの余裕があるのか。また、採算はとれるのかといったことから、逆に患者さんが減ってしまった施設では、そこで働く医師の教育をどうするのかといったことも問題点として提起されております。
これらを踏まえまして、次回までに現在の日本整形外科学会の相談コーナーの施設に関して現状を把握するための調査を行って、次の議論に続けていこうということを考えております。
今後の課題ですけれども、先ほどのスライドで議題に上がった事項それぞれについて、引き続き検討を行っていくことを考えております。あわせて、事務局のほうで議論の土台となる情報収集を、施設の調査等を含めて行っていく予定であります。
次回の分科会は8月3日を予定しております。
私からの報告は以上です。御清聴ありがとうございました。
○門田会長 ありがとうございました。
ただいまのお二方の御報告に対して、何か御質問、御意見はございますか。
桜井委員、どうぞ。
○桜井委員 ありがとうございます。桜井です。
3点ほどお聞きしたいのですけれども、まず1点目は、こちらの議論については時期としても基本計画の第3次にどういった形で上がってくるのか、どういう連携をとるのかというところが1つ目にお聞きしたいところです。
2つ目は、希少がんという言葉の定義なのですけれども、特定のがん種に絞りというようなことが書いてあったり、東先生からいただいた資料のスライドの3ページ目にも、臓器別、疾患別ということになっているのですが、これから先のゲノムですとかいろいろなことを考えていくと、臓器別、疾患別で分けるのか、それとも、例えば大衆がんであっても、その中に希少なものというのはいろいろあるわけなのです。そういうところはもう見ていかないのか。例えば、私は乳がんですけれども、乳がんの中でも炎症性乳がんとか、非常に難治で希少なものもあるわけで、そのあたりはこのワーキングでやられるのかどうなのかというのが2つ目にお聞きしたいこと。
3点目は、専門施設の公表項目の決定ということがありますけれども、これは質問というよりはぜひお願いなのですが、それぞれの中の症例数はぜひ挙げていただきたいと思っております。患者はやはり情報を探すときに、どの施設で何件やっているのかという実績は非常に気になります。私も父が口腔がんをやったときに、非常にそこを探したのです。ですので、どのような症例数があって、再建術まで含めて何ができるのかというところの症例の報告までぜひ入れていただきたいと思っております。
質問に関しては、最初と2つ目の部分になります。
以上です。
○門田会長 どうぞ。
○がん対策推進官 まず1点目の御質問について、事務局の考えを申し上げたいと思います。
3次計画への反映の仕方については、きょう、こちらで東参考人から御説明いただいた点、それから、きょう御議論していただく内容。そういったものを踏まえて、次回あるいはその次の回、そこはこれから検討させていただきますが、そういった場で引き続き議論を重ねていきたいと思っております。
また、2点目につきまして、具体的に何を希少がん、あるいは難治性がんと定義するか等も含めて、引き続き検討会の中で、また、こちらの協議会の中でも議論を進めていきたいと思っております。
○門田会長 佐々木課長、どうぞ。
○がん・疾病対策課長 がん・疾病対策課長でございます。
希少がんの定義に関しましては、先ほど御紹介した27年8月の「希少がん医療・支援のあり方に関する検討会」、委員のお手元のピンクのファイルの参考資料7に入っておりますが、こちらに定義がございまして、おおむね罹患率を人口10万人当たり6例未満となっており、数が少ないため、受療上の課題が他のがん種に比べて大きいということで議論をいただいているところでございます。しかし、これはあくまでもその当時の議論ということでございます。今、御意見が出ておりますように、さまざまな捉え方はあると思いますので、それをどのような形で計画等に反映させていくかということは、今後、議論いただくことになるのではないかと思っております。補足でございます。
○門田会長 東参考人、何かありますか。
○東参考人 もうほとんど回答は出尽くしたのではないかと思っておりますが、希少がんの定義に関しては、定義を決めるときから、やはり今のゲノムの診断がどんどん進んでいく中で、何をもって希少がん、どういう区分にするのかということを議論してまいりました。なかなかここは難しい議論かとは思いますけれども、今後も引き続き考えていくという中で、とりあえず今ある区分の中で何をやっていくかというのを一つ一つ決めていこうと考えている次第であります。
○門田会長 檜山委員、それから若尾委員。
○檜山委員 広島の檜山でございます。新参者でよくわからないこともあるのですが、今のお話、希少がんの定義は、我々が小児がんの専門委員会をやったときに1回ディスカッションしたはずです。そのときは5大がん以外は全部希少がんだというようなディスカッションもあったと思うので、その辺はやはりきちんと定義されたほうがいいかと思います。
今のお話はよくわかるのですが、このディスカッションは実は全て小児がんの専門委員会のときにされているディスカッションで、どうやって集約化するとか、どういうネットワークをつくるとか、そのために拠点病院をつくりましょうという話になって、最初は拠点病院は3つでいいのではないかという話をしていたのですが、15個つくってしまったということもあります。患者の頻度に関してどれぐらい拠点病院が必要なのかというのは、せっかく希少がんの代表として小児がんの対策をしていただいているということが背景にあるので、その辺のエビデンスというか、今の状況を把握していただいたほうが、こういうことを今推し進められているのだったら、ぜひその辺のノウハウを生かしていただいて、確かに軟部肉腫は私も取り残されていると思っていますし、小児がんに比べても頻度は高い疾患です。小児から成人、AYA世代も含めてきちんと対策をしないといけない疾患であることは確かなので、その辺のノウハウはやはり事務局のほうでもきちんと把握していただきながら進めていただいたほうが、同じディスカッションを繰り返しても意味がないので、それをもとにいい形でつくっていただくのがいいかと思っております。よろしくお願いします。
○門田会長 よろしいですか。次、いいですね。
若尾委員、どうぞ。
○若尾委員 今の先生方の御議論の中で、まず優先順位として軟部肉腫ということで、優先順位があって計画が進んでいくのは当然のことだと思います。その中で、東先生から説明いただいた4ページの「希少がん対策ワーキンググループ」全般の目標の中に、診療経験を蓄積するということがあるのですけれども、今後、私たちが今検討しようとしている第3次のがん対策推進基本計画の中で、情報の集約化としてがん登録とマイナンバー制をどのように絡めていくかということを期待しますし、まず最初に軟部肉腫のことについて検討するということはとても大切で何の異論もございませんけれども、これからゲノム化が進んでいくと、5大がんであっても、その中の一個一個は希少がんであったりするわけで、そういう診療経験を蓄積して、それが多くの人に共有されるための下準備というのもこの中で進めていっていただきたいです。
もう一点は、同じ4ページのスライドの中で一番下にある、医療資源を効率的に活用するというところです。私は山梨県に住んでいるのですけれども、山梨県にはPETを設置しているがん診療連携拠点病院が1件もありません。PETが必要だと違う施設に行かなければならないのです。でも、だからといって各病院にPETがあればいいと言っているわけではなくて、その中に、この医療資源を効率的に活用する、希少がんの場合は特にそうだと思うのですが、そこにある医療資源を有効に活用するためには、そこに患者が支払う医療費というものも同時に考えていかなければならない。これは制度に絡んでくるので、すごく微妙な問題だと思いますけれども、そういったことも一部視野に入れていただいて、当事者として私が感じた意見として、その辺も酌み取っていただいて、議論が進んでいくとありがたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○門田会長 ありがとうございました。
馬上委員。
○馬上委員 東先生、ありがとうございました。
希少がんのワーキンググループに私も伺っていたのですけれども、まだ最初のがん種の1回目しかワーキンググループが行われていないということで、大体年に5回行われるということで、5回で1つのがん種の展望と進捗がわかってくるとは思うのですが、まずそれを済ませてからの状態を私は聞きたいと思っております。
あと、5ページの作業目標については、全てのがん種についてこのような目標を立てて行われるかどうかをお伺いしたいです。今後の展望ですね。
○東参考人 馬上さん、どうもありがとうございます。
患者へ公開すべき専門施設のリストであるとか公表項目といったことに関しては、先ほど議論の紹介の中で申し上げたとおり、どこに線を引いて、どのぐらいの施設を専門施設とするのかといったことについては、なかなか難しい面がありまして、今、検討しているところです。ですので、これを全てのがん種でやっていかなければいけないということは理解できますし、いろいろな公表項目を決めて、専門施設以外も含めて公表でしたら、それより先行してもしかしたらできるかもしれませんので、項目をいろいろ考えつつ、できるだけ早く患者さんに必要な情報が届く体制をつくっていきたいと思っております。
○門田会長 どうぞ。
○馬上委員 あともう一点だけ。進捗状況を評価するための評価項目はいつごろできるかということをお伺いしたく思います。
○東参考人 ちょっと何とも言えないところがあるのはあるのですが、この5回の1年間やったときには何かしら進捗の評価をするというような項目を御提示できればということを目標にしております。
○門田会長 桜井委員、どうぞ。
○桜井委員 1点だけ忘れてしまったのですが、希少がんの主な施策のほうと、ワーキングのほうは実務的な内容を検討するためというのが位置づけなので、逆に学会の先生たち、特に小児がん学会とか癌学会の、宮園先生はきょうお休みなのですけれども、お聞きしたいところは、基礎研究の話が全然入っていないのです。基礎研究の部分と、あるいはそこからのトランスレーショナルリサーチの部分になってくると思うのですけれども、これはワーキングのほうでは目標に入っていないということで、AMEDなどどこかでこれは議論されていくのか、もしくはそれは基本計画のほうできちんと言っていけばいい話なのか、お聞かせいただけますか。
○東参考人 基礎研究については、この検討会の報告書の中で研究の中に入っております。そこではAMEDを中心として基礎研究を進めていくといった記述があります。「希少がん対策ワーキンググループ」のほうでも、やはり研究・開発は非常に重要なことだと思っておりますので、そこにつなげることも見据えた診療提供体制をどうあるかということと、そこから必要な集約化がどういったものなのかということを検討はしております。必要な集約化というのは研究を推進することにもつながると考えておりますし、実際に検討会報告書にも、必要な集約化を通じて研究を推進ということも書いてあります。
○門田会長 ほかにもあろうかと思うのですが、検討会の途中の報告ですので、ここぐらいでやめたいと思います。
ただ1点、先ほど檜山委員からの意見もそうですし、希少がんというのは種類を言ったら切りがなくなっていくので、これを個別にやるというワーキングを立ち上げても大変なことになる。そうすると、先ほど言われたように、やはり希少がんの研究にしろ、診療にしろ、基本的にどうするのだと、集約化ですね。集約化ということが小児がん拠点病院ももう一つうまくいかなくて、残念ながら15もつくらざるを得なかったということから考えれば、ではどうするのかという本質的な検討を、希少がんの扱い方の本質というのは、ワーキングに分かれるのではなくて、基本原則に立ち入って、そしてそれを当てはめていくという感じの検討を進めていただいたほうが、個別ばらばらにやっても大変かなという気がしますね。ぜひよろしくお願いしたいと思います。
ということで、報告事項を以上で終わりたいと思いますが、全体を通して報告について何かございますか。よろしいですか。
それでは、3番の議題(1)がん対策推進基本計画の見直しについてに移りたいと思います。事務局のほうから資料の説明をお願いします。
○がん対策推進官 資料5-1をごらんください。こちらが基本計画の見直しに向けた議論の進め方の案でございます。この資料5-1と5-2を並べてごらんいただければと思います。
まず、基本計画の枠組みについて、以下の議論を進めてはどうかということで、大項目の構成を見直す必要があるのか。また、各項目の内容を変更・追加する必要があるのかということでございます。
資料5-2ががん対策推進計画の全体像を示したものでございます。左側のカラムが第1期基本計画、右側が第2期基本計画でございます。それぞれ基本計画がどのような構成であったのかというものをごらんいただきながら、第3期基本計画がどのような枠組みになっていくのかということを御議論いただければと思います。また、その後、領域ごとに集中的な議論を順次開始してはどうかと考えております。
その下の図をごらんいただければと思いますが、本日、平成28年度5月、第57回協議会が開催され、今後、全体の枠組みに関する議論を進めつつ、次回以降、今度は領域ごとに集中的な議論を進めていき、来年1月に骨子案を提示、3月に基本計画を諮問・答申、来年度の6月には基本計画を閣議決定していきたい、こういうスケジュールを考えているところでございます。
以上です。
○門田会長 ありがとうございました。
今の御提案ですが、いかがでしょうか。資料の1、2の基本的な考え方として、まず大項目を一度検討していただいて、その内容を考えていくという形で進めていくことについて、いかがですか。
桜井委員、どうぞ。
○桜井委員 桜井です。
私、前回の3月の協議会のときに、もうこの資料5-1の1番にある2番目のところを提案しているのです。事務局のほうはこれをやりますということで回答いただいていたので、当然、私はもうきょうからスタートだと思っておりました。この1回分も非常にもったいないことをしたなというのが実感です。
その上で、これまでの協議会の開催回数と検討の内容等々、私はちょっと振り返らせていただいたのですが、前期の協議会です。これは39回から51回までです。平成25年6月19日から平成27年6月10日までで合計13回開催されています。それから、基本計画の改定期に当たったとき、これは20回から38回まで、平成23年5月25日から平成25年3月29日まで、合計19回開催されているのです。この基本計画改定期については、中身を読むと、各委員会からの報告・検討が2回、基本計画の先ほど言っていた領域ごとの集中的な議論で7回です。基本計画の骨子案、こちらの検討で6回されております。それから、次の協議会に向けての議論ということで3回ほどされているのですね。
では、今期はどうだったかと申しますと、52回に会長選任されてから今日を含めて6回開催です。これについて、私はやはり開催の回数も非常に少ない。それから、間隔があき過ぎ。それから、今後、各検討会のほうの議論とのタイミングを合わすということになりますと、最初に若尾委員から提案はありましたけれども、もう少し全体を俯瞰するもの、それと同時に、この検討の回数もしくは検討の時間をもう一度再検討していただきたいということを提案させていただきたいと思います。
以上です。
○門田会長 ありがとうございました。
佐々木課長、どうぞ。
○がん・疾病対策課長 今の御指摘に関してでございます。前回の会議以降、少し具体的なこともご議論いただきたいということで準備をしてまいったのでございますけれども、先ほど資料2-1で御説明したとおり、検討会の開催が5月中からということになっており、前回ご説明した予定よりは、後ろ倒しになっている状況でございます。
今日の意見交換をお聞きしていて、次回以降は、各検討会で、具体的にどういう資料で検討したのかということをもう少しわかりやすいような資料を準備させていただきたいと思っているところでございます。
また、前回の2期計画、それから中間取りまとめ以降の審議ということで申しますと、主にこの協議会で議論していただいておりましたのはがん対策加速化プランで、2期計画の達成のために何をなすべきかということについて議論をしていただきました。その点では2期計画策定に向けた検討とは少し違った手順になっております。先ほど希少がんの議論の中で、既に議論したものについても活用しながらという御指摘もまさにそのとおりだと思うのですが、加速化プランの議論の中でも、第3期の計画策定に向けて重要な御指摘を多々いただいております。ですので、次回以降は、既に御議論いただいたことを踏まえた資料を事務局で用意させていただき、御議論いただいたほうがいいのではないか考えております。いずれにしても、第2期計画に向けて間に合うように取り組みたいと思っているところでございます。
以上でございます。
○門田会長 ありがとうございました。
若尾委員、どうぞ。
○若尾委員 では、私たちが今つくろうとしている第3次の推進基本計画を3月に答申するわけですけれども、それまでの間に各検討会の取りまとめた報告が上がって、この協議会とも意見交換できるような環境がつくられると理解してよろしいわけですね。
○がん・疾病対策課長 従来の案は、夏ごろまでに各検討会で取りまとめをして、それを協議会に報告してということだったのですが、取りまとめを待っている間、協議会で全く議論ができないのかというご指摘もありました。そのため、各検討会の進捗状況を協議会に御報告し、協議会で出た御意見を検討会にフィードバックするような形で進めていきたいと思っているところでございます。
○門田会長 若尾委員。
○若尾委員 ここからはまた別の質問なのですが、がん対策推進基本計画の第1期、第2期とも、資料5-2の上から3番目にある第3の全体目標の中の(1)にがんによる死亡者の減少というところがあって、ここの根拠、20%というようなことが言われているわけですけれども、この数字を出すときに多分、1990年から15年間の死亡率のデータをもとにしたと思うのです。私たちが今、議論しようとしているのは、第1期、第2期を終え、第3期のがん対策推進基本計画をする上では、過去の死亡率ということよりももうちょっと新しい、1990年ではなく、せめて例えば2000年とか2005年からの10年間とか、そういった医学の進歩やがん医療環境の変化ということも見据えた上で、がんによる死亡者の減少というものの数値を検討し直す必要があるような気がするのですけれども、その点はいかがでしょうか。
○がん・疾病対策課長 前回の目標は当時の国立がんセンターから試算した案を御提案いただいて、それをもとに協議会で議論いただいております。次期計画で死亡率低減の目標を立てる場合には、その決定内容も、当然、協議会の議論の対象と思っております。もし協議会委員の先生方に追加で御発言いただけるのであれば、お願いいたします。
○門田会長 よろしいですか。
○若尾委員 今まで1995年からの15年間、その15年間という根拠もよくわからないのですが、そのデータをもとに死亡率の減少という数字をつくってきたのですけれども、それが果たして妥当かどうなのか。その辺も含めた上で専門家の先生の意見を聞きたいと思いますので、ぜひ次の計画に生かせるような検討をお願いします。
○門田会長 具体的な話は次回以降に順番にやっていきたいと思いますので、全体の大きな枠についての話をしたいと思います。
中釜委員。
○中釜委員 私も、今後の議論の進め方のこのタイムスケジュールから、頻度的に少ないなという印象を持ったのですけれども、それに関連して、今日は希少がんは一つのテーマにしかすぎないと思うのですけれども、これも今日いろいろな御意見をいただいているかと思うのです。私は関連する施設の参考人だったので、戻ってからと思ったのですが、実際にもうここで解決できることで意見が伺えるのであれば、このタイムスケジュールからすると、もう少し詰めたほうがいいかと思います。例えば定義の問題で御質問がありましたが、いわゆるコモンな疾患の中の小さなフラクションも希少性のがんに含まれるのではないかとか、小児がんをどうするのだということだと思いますが、コモンながんの希少なフラクションの場合の研究の進め方、あるいは医療提供のあり方、新しい情報のエビデンスの抽出の仕方というのは、恐らく今、議論している本当に希少な疾患とは違ってくるだろうと思います。
コモンな場合は、ハイボリュームのところからエビデンスを抽出し、それを普及化できるというアプローチの違いがある。その点、希少がんは、本当に希少な場合は、そもそもその症例が最初から散在している。それに対して具体的なエビデンスをどう構築していくのか。そのアプローチをこのワーキンググループで検討しているのだと思うのですけれども、その点から、まずはネットワークを作る。それは15、20という数が問題なのではなくて、十分にエビデンスを抽出できるようなネットワークを組んでいるのだと私は理解していたのですが、いかがでしょうか。加えて、臨床側と研究のネットワークは、これは恐らく今、川井先生が肉腫のほうで連携をとられているのだろう思うのです。臨床側のネットワーク、医療提供のあり方を議論するネットワーク、その基盤となるような研究的なネットワーク、これはAMEDの中の基盤研究の中でサポートされていますけれども、恐らくそれを今まで統合する動きがなかった。それを川井先生はされているのだと私は理解しているので、そのあたりはコメントしながら、さらにそのアプローチ、考え方に対する意見をこの場で聞いていかないと、この議論の回数からだと恐らく解決に向かうスピードは相当に遅くなると思います。そこにせめて一言いただければと思います。
○東参考人 今、中釜先生がおっしゃったとおり、希少がんにおける研究の問題は、先ほど出ましたけれども、希少がんは100種類を超えるがんの集合体ですから、その一つ一つということはなかなか難しいと思いますが、今、ワーキンググループが走り始めた四肢軟部肉腫、肉腫に関しては、全国のグループを幾つかつくって、ネットワークをつくって研究を進めているところであります。
先ほど檜山先生から御指摘いただきました希少がんの中の小児がん。希少がんの代表的なものの一つですけれども、そこの検討結果を十分に次の疾患に生かしていくということは当然考えたいと思いますし、今、検討している四肢軟部肉腫の検討結果が次のグループのたたき台になる。100個のワーキンググループをつくるつもりははなからなくて、幾つか代表的なものを抽出して、それを全て当てはめていくというような形で議論を進めていきたいと考えております。ありがとうございます。
○門田会長 よろしいですか。
難波委員、どうぞ。
○難波委員 ありがとうございます。難波でございます。
先ほどの桜井委員の意見とあわせてなのですが、議論をもう少し増やしていただきたいです。やはりこれから5年先、10年先のがん対策をどうしていくかというのは、これまで議論してきた内容、文脈ともまた違うものですので、もっと密にコミュニケーションというか、ディスカッションしていきたいと考えています。ありがとうございます。
○門田会長 ありがとうございました。
中川委員、どうぞ。
○中川委員 資料5-1の1番目にあります大項目の構成を見直す必要があるかという点なのですが、私は、2007年から第1回の協議会以来、今回に至るまで、門田先生もそうですが、ずっとこの協議会の議論に参加してまいりました。資料5-2に第1期、第2期の基本計画の構成が記載されているわけですけれども、これも門田先生から御発言がありましたが、検診の受診率の問題は当初からずっと議論してまいりました。しかし、残念ながら、上昇してきたとはいいながら、まだまだ十分とは言えない。
あるいは資料5-2の第2にある重点的に取り組むべき課題の第1期においても、第2期においてもそうですが、最初に出てきているのが放射線療法でございます。このことは前回の協議会でも私は指摘しましたが、実は放射線治療の患者件数が伸び悩んでおります。私も所属しております日本放射線腫瘍学会の公式データでも、残念ながら2011年が最も新しいデータなのですが、2010年よりも若干減少しております。また、これは5月20日の国会での審議でも話題になっておりましたが、診療報酬をもとにしたデータでは、2014年は2013年に比べて7.2%減少している。これはあくまでも診療報酬をベースにした推計ですので、本当のところは実はわかってございません。逆にそういったことを明らかにしていく枠組みが足りない、つくるべきだということだと思うのです。
いずれにしましても、検診にしても、放射線治療にしても、10年かかって果たしてどれだけの成果が出ているのか。その中で、この大項目の構成を見直すことには反対であります。できていればともかく、10年かけてやっている構造が、そしてまた、これは課長も実は当時のがん対策室の補佐であられましたが、実際にこういったことは課長が中心になって議論を進めたところでございますので、ぜひこの大項目の構成についてはこのままで、もちろん中身を数値目標を含めて変えていくのは結構なのですが、これを安易に変えることには反対でございます。
以上です。
○門田会長 勢井委員、どうぞ。
○勢井委員 徳島の勢井です。
先ほど中川委員がお話しされたこと、私もこの基本計画第1期、第2期を見ながら、そんなに大きくさわる必要性はないのではないかと思っています。
ただ、各検討会の2の診療提供体制のあり方、この中でがん医療に関する情報提供、それから第1期、第2期の基本計画の中の基本方針、がん患者を含めた国民の視点に立ったがん対策の実施、そして第4のがんに関する相談支援と情報提供という文言があるのですけれども、これが本当に国民、それから患者さんにとって欲しい情報になっているのか。患者視点の情報を公開できるようになっているのか。そういうことを真剣に今後議論できないかと思っています。
以上です。
○門田会長 ありがとうございました。
大項目の話から項目の内容についての話が出て、もう一回整理したいと思いますが、とりあえずこの大項目の内容ではなくて、基本的な骨格が基本方針、重点的に取り組むべき課題、全体目標となっていますが、こういうまとめ方でいかがでしょうかということについての御意見はいかがですか。
馬上委員、どうぞ。
○馬上委員 私は不勉強でわからないので教えていただきたいのですけれども、今後、ゲノム医療で個別化医療ということがここ10年先、基本計画が自治体まで反映されるまでに進むにしたがって、ここの分野別施策というか、その全体像が変わるような可能性はあり得るのでしょうか。本当に不勉強でわからないので教えていただきたいのです。
○門田会長 中釜委員。
○中釜委員 中釜です。
ゲノム医療で疾患の見方、切り口は多少変わってくるだろうと思うのですけれども、私もまだ全容を把握し切れていないのですが、ここに挙げた大きな目標あるいは個別の項目が大きく変わるということはないのかなと思います。ただ、その際にやはりゲノムという視点から疾患を見ていく際に、ここには書かれていない新たな項目、あるいは着眼点が必要なのかどうかというのは今後、議論が必要かと思います。
○門田会長 佐々木課長。
○がん・疾病対策課長 本日は、大枠の議論をしていただいているわけでございますが、ゲノムに関して申しますと、診療提供体制の検討会でも議論することとなっております。その検討結果や協議会での審議の結果、項目を追加するとか、具体的な文案の中でどのように反映させていくということは、今後の検討の中で、十分あり得ると思っているところでございます。
○門田会長 よろしいですか。
では、山口委員、どうぞ。
○山口委員 全体の項目立ての話なのですけれども、私は静岡県のがん対策推進協議会の立場で、1期の基本計画、2期の基本計画に基づいて県の基本計画を書く立場にありました。また、静岡がんセンターの人間として、それをどう実臨床で生かしていくか。これは診療提供体制にかかわってくることなのですが、そういう観点から過去の基本計画をみてきた経験からは、第1期、第2期を含めて、専門家が読めばわかるけれども、本来読んでいただきたい県の行政、市町村の行政、拠点病院の人々、さらには患者会の皆さん、一般市民の皆さんにとって、少々、難しく、また、細分化され過ぎているのではないかと思うのです。
具体的に言いますと、基本方針は理念ですから、今度、がん対策基本法が改定されるに当たって少し変わることがあるかもしれないけれども、そう大きな変わりはないのだろうと。
その次に、重点的に取り組むべき課題が出てきて、その後、全体目標というのがちょっと気になるのです。この辺でいつもみんな迷うところがあります。だから、素直に、基本方針を実現するための戦略として全体目標を上に上げて、それが死亡率の減少、患者・家族支援を中心とするケア、社会のそれについての対応、これはこのとおりだと思うのです。今度はその一つ一つの目標を達成するに当たってどういう努力が必要なのかということを、分野別の施策なのか、それぞれの目標達成のための政策なのかという形で書き込んでいけば、より理解しやすいものになるだろうなと思いました。
それから、それをつくり上げていくに当たって、先ほどから議論になっている例えば希少がんの問題をそこにどう当てはめるのかと考えますと、やはりがん対策基本計画ができれば、それは一生懸命守ろうということで、静岡がんセンターでは日本に先駆けて、AYA世代病棟というものをつくったのです。実際に行われていることは、小児がん、整形外科領域の肉腫、脳腫瘍の関係、それが1つの病棟で、大人のがんと子供のがんを診る人々が世代を超えて診ていくという関係がうまくでき上がりつつありますので、先ほどの肉腫の検討の中で、やはり診療提供体制を最終的にしっかり意識していただくような検討が必要なのではないかと思うのです。
例えば肉腫センターを全国に拠点化するというのは非常に困難な話でしょうから、当然、今ある小児がんの拠点を小児がん・肉腫センターとか、そういう形で広げていくようなイメージを明確にしておかないと、ワーキンググループで一生懸命やっても、これを見ていると基本的には研究のワーキンググループですから、がん対策にどの程度役立ってくるのかちょっと疑問なところがあるのです。先ほど檜山委員がおっしゃったのも多分そういうことだし、門田先生がおっしゃったこともみんなその線に沿っている話だと思うのです。
それから、もう一つ細かいことですが、がん対策加速化プランを検討したときに、随分3期でこれを取り上げましょうという議論はしていますので、きょうはその前の議論が参考文書としてついていますけれども、直近にがん対策加速化プランを議論したときの意見、これはぜひ尊重するようにしていただければありがたいと思います。
ちょっとざっくり感想を申し上げます。
○門田会長 ありがとうございました。
今、冒頭におっしゃっていただきましたが、まずこの骨格です。大項目について、今、山口委員からは、重点的に取り組むべき課題と全体目標というのが入れ違っているような気がすると、実はこれは前のときもディスカッションをしたのです。流れからすると、やはり全体目標があって、それに向けての課題が出てくるのが普通ではないかということを言いながらこういう形になってしまったのです。私はそういう提案をしたほうだったのですけれども、このあたりについて何か皆さん、御意見があれば。
どうぞ。
○松村委員 途中で退席させていただくので、意見を言わせていただきたいと思います。
大項目の部分で言いますと、山口委員なり門田会長がおっしゃったように、全体目標そのものを先に持ってきていただくほうが、行政的には取り組みとして明確化しやすいかと思います。京都府でもこの基本計画を踏まえて基本条例とか、がん対策に対しての基本計画をつくり取り組んでいますので、何を目標にするのかを明確にする中でより具体的に実施できるかなと思っておりますので、まず第2章と第3章は入れかえていただいたほうがありがたいと思うのが1つ。
それから、特に第4章の分野別施策で、先ほど来ありましたように、第1期と第2期の基本計画の議論のところに、私は出ていないしわかりませんけれども、少なくとも昨年度、あれだけ加速化プランの中でいろいろ意見を言ってきたのです。第2期計画の中でどこまでできて、どこまでできていないとか、次にどうやりたいかというときには、当面やることについて加速化プランに入れ、当面やらないけれども、次のときにちゃんと基本計画に入れたい項目というのが意見として出ていたと思うのです。それからいくと、この分野別施策の中でより明確にする中できちんと書いていくというのが、昨年度、議論していたものが十分生かせる中身かと思いますので、その辺、次回のときにきちんと整理していただいて、議論ができたらなと思います。よろしくお願いします。
○門田会長 ありがとうございました。
桜井委員、どうぞ。
○桜井委員 進め方という部分に戻したいと思いますけれども、加速化プランをまず考えに入れていくということはもちろん大賛成なのですが、加速化プランを私たちが考えたときは、やはり短期間で1年以内にできることということを一応前提にして考えたものであります。基本計画というのは5年先、もしくは自治体レベルになってくると10年先の医療を考えていくものだと思いますので、ちょっとタイムスパンが違うと思っています。なので、今後この進め方をやっていくときに、大枠については今の先生方の御意見、前回もたしかこの目標の位置とかはあったと思います。私もすごく覚えております。それはあると思いますけれども、中身の分野別施策等々については、今を充実させていったほうがいいもの、それから新規で考えていったほうがいいもの、それから大きな目標として連携していかなくてはいけないもの、その3つぐらいのカテゴリーに分けて集中審議をされていったらいいかと思っています。
その際のやり方として、前回のがん対策基本計画の改定のときには、1回に対して3回ぐらいの議題テーマを用意して、ヒアリングをしています。その後、それを踏まえて質疑応答をした後で、各委員からメールで意見を出していると思っています。それを取りまとめたものを次の事務局の会議のときにかけて、みんなでまとめて、それをだんだん一つに束ねてと、そういう方向をやっていると思っています。先ほど若尾委員も、今後、治療に入っていったときに、それから、回数がもしふえていったとしたときにも参加できない委員の先生方が出てくるかもしれないのです。そのときに意見がこぼれないような拾い方を考える上でも、そのような効率的なやり方を一つ考えていただきたいと思っています。
以上です。
○門田会長 ありがとうございます。
山口委員、どうぞ。
○山口委員 桜井委員が誤解しておられるようなので念のため。私が加速化プランの議論が大切だと申し上げたのは、このテーマは1年ではちょっと間に合わないから次の基本計画に入れましょうという項目がたくさんあり、それはしっかり掘り起こしてくださいという主張です。委員がおっしゃった短期間のものは、すでに多くが加速化プランに書かれていますから、その問題よりはむしろ先送りにしたテーマをもう一度事務局のほうでしっかり掘り起こしてくださいという趣旨で申し上げました。
○門田会長 それはよろしいですね。
中川委員、どうぞ。
○中川委員 たびたび申しわけありません。
山口委員がおっしゃったように、基本計画の構造の第2と第3をかえるということについて、私は個人的には異議はないのです。ただ、これは門田会長もおっしゃったように、当初この問題は委員であった私も非常に違和感を覚えたのです。そういう議論がかなりあったのです。なぜこうなったかというのは、私ももう10年近く前のことですから正確には覚えておりませんが、1つは、がん対策基本法と基本計画の大きな目標というのは若干違うのです。そのことがあって、基本計画側の骨子を最初に立ててしまわないとという議論があったと思います。その意味では、先般から話題になっております基本法の改定です。実はこれとかなり関係するのではないかと思うのですが、これが今どうなっているのか。それが改定されて、基本計画のあり方と整合性がとれるのであれば、これは山口委員がおっしゃったような流れのほうが自然だと思いますし、それがないとすると、やはり基本法と第3次基本計画とのすり合わせ上、こういった構造をとらなければいけない可能性もあると思います。これは事務局、いかがでしょうか。
○門田会長 課長、どうぞ。
○がん・疾病対策課長 がん対策基本法の改正の動きに関しまして、状況をお知らせします。と、超党派の議連で、法成立10年の節目に向けて、がん対策基本法の見直しということで議論をされてきているところでございます。
現時点で、各党の手続は終了をしていて、あとは国会で、どのような形で取り扱うかというのを、検討されているという状況と理解してございます。ですので、今後、国会での審議等の状況を踏まえて、改正内容については、事務局から資料を出させていただいて、御説明したいと思っております。
○門田会長 ありがとうございました。
それでは、その動きで2と3をどうこうするというのは少し事務的にも検討してもらうということで、きょう結論を出すのは置いておきたいと思います。
それで、この内容の項目を今、具体的にディスカッションするというのは、その準備ができているとは到底思いませんので、今、委員の皆様が、今回第3期の基本計画についてのいろいろな御意見をお持ちだと思いますので、皆さんにお聞きさせていただきたいと思います。時間も限りがありますので、せいぜい二、三分以内に皆さん順番にお話ししていただけたらと思います。順番にというのもあれですから、もし手を挙げていただければ、そこからいきたいと思いますが、まずどなたか。
では、若尾委員から。
○若尾委員 たびたび済みません。私は、先ほども申しましたとおり、乳がん患者としてこの委員に参加させていただいたのですが、ことしの2月に末梢性T細胞リンパ腫だという病理診断の結果を受けてCHOP療法を行いました。でも、その治療中に私の主治医がCHOPの効き方が少し一般的な末梢性T細胞リンパ腫とは違うかなということで、病理のセカンドオピニオンを出してくださったのです。そうしましたところ、T細胞リンパ芽球性のリンパ腫だということで、急性のリンパ性白血病、しかも、一般的には若い世代がかかる病気なので、医者としても最初からそれが念頭になかった。だから、最初からちょっとわからなかったのだということを教えてくれたのです。
今回、第1期、第2期の推進基本計画の中に病理の充実ということがこぼれているような気がするのです。今後、希少がんにしても、難治性がんにしても、小児がんにしても、病理の先生たちがどのようにこの人の治療方法を決めていくかということは、すごく大きな出発点になっていくと思いますので、各項目といような分類に入ってしまうかもしれませんけれども、病理というものの充実と、病理のセカンドオピニオンというものに対する計画が入るような検討をいただきたいと思いますので、病理診断の充実を提言させていただきます。
○門田会長 ありがとうございました。
次にどなたか。
桜井委員、どうぞ。
○桜井委員 今とも少し絡むかと思うのですけれども、今回改めて第2期の基本計画、第1期と拝見して、今の希少がん、病理診断は、その他というところにまとめて入ってあるのですね。加速化プランでも難治性がんというのは大きな研究の柱、真ん中の一つになっているのです。にもかかわらず、その他扱いはちょっとありえないのではないかと思っています。ですので、分野別施策をはじめとした三次計画の中には、ぜひ大きな柱の一つとして希少がん、難治性がんの対策というのを入れていっていただきたいと思っている次第です。
○門田会長 ありがとうございました。
とにかくどんどん出していただいて、それを材料にディスカッションに進みたいと思います。
順番に、馬上委員、どうぞ。
○馬上委員 希少がんと病理診断、本当にぜひ入れていただきたいと思っております。
もう一つ、小児がんは障害や合併症があり長期フォローアップが非常に必要だということで、20年後に2次がんになる方とかがいらっしゃいますので、診療情報のデータを集めて引き出せるような仕組みが必要だということが小児がん拠点病院の協議会などでも話し合われています。今後のがん対策の方向性の中では、レセプトデータやがん登録など多様なデータを統合して、データベースを構築して、がん対策を検討していくことがうたわれていますので、そういったデータ活用についての項目も入れていただきたいと思っております。
○門田会長 ありがとうございました。
中釜委員、どうぞ。
○中釜委員 先ほどゲノム医療の話が出てきたのですが、やはりゲノム医療の視点というのは非常に重要な視点かと思います。というのは、希少がん、小児がん、あるいはゲノムに基づいた医療提供というのは従来型の診療提供体制と少し異なった切り口での診療提供体制ということを考えていく必要があるだろうと思われるからです。今日お話のあった肉腫をモデルにした基本的なコンセプトの考え方というのは、恐らく広く一般的に希少がん、あるいはゲノムに基づいた診療提供体制のあり方の議論へと繋がり、あるいは適用できるシステムだと思うので、そういう視点をきちんと議論して、基本計画の中に入れ込む必要がある。恐らくこれは診療提供体制の中でのゲノムに関する診療連携のところで十分に議論されると思うのですけれども、今日上がった幾つかの問題点を集約して、ある程度の方向性を示してくれるのではないかと思いますので、よろしくお願いいたします。
○門田会長 ありがとうございました。
北川委員、どうぞ。
○北川委員 今の中釜委員の御発言とも関連しますけれども、今、院内がん登録、全国がん登録、臓器別がん登録、あるいは外科系が構築しておりますナショナルクリニカルデータベース等が非常に整備されてきてはいるのですけれども、それが統合されて、それにさらにバイオバンク等の情報が入って、そこからゲノム医療というところに結びついていくと考えています。本当に効率的な医療情報に基づく診療提供体制ということでは、これらをぜひ統合する取り組みが必要かと思います。それにはかなりの資金も必要ではあると思いますが、そこに一つ重点を置いていただきたいと思っております。
また、私も今回から初めて参加させていただいて、第1期、第2期の基本計画を拝見いたしますと、多くの骨格としては踏襲されているわけで、先ほど中川委員が非常に鋭い御指摘をされたのですけれども、どの項目が10年たってどれだけの進捗があって、どこが全然動いていないかというのを明らかにしていただけると、第3期の基本計画における一つの大きな参考になるのではないかと思います。
以上です。
○門田会長 ありがとうございました。
大江委員、どうぞ。
○大江委員 次の中で、ゲノム医療が中心というか、非常に大事な役割を担ってくるということは、もう皆さん言われているとおりなので、そこはあえて詳しくコメントしませんが、今までの国の方針として、まず均てん化ということで、全ての医療は2次医療圏で完結するようにというような方針でずっと来られています。少し変わってきたのは、例えば小児だとか希少がんに関しては、やはり集約化が必要だということなのですけれども、外科の先生がおられる前に私が言うのもなんですが、もう少し集約化していいところもあると思うのです。例えば外科の手術も全ての5大がんの手術を2次医療圏で完結する必要があるか、もう少し集約化してもいいのではないか。特に多くの症例を外科の先生が手術するということが手術のクオリティーを保つためには非常に大事だと思いますので、すごい集約化というのはなかなか難しいかもしれませんけれども、もう少し集約化という方向も考えていただいたほうがいいかなというのが1つです。
それから、情報提供のあり方も非常に大事だと思います。前にも申し上げましたが、ちまたにあふれている非常に問題のある情報をどうやって一般の方が選別できるかという方策が必要なのと、先ほどがん教育の話がありましたけれども、ぜひその中に正しい情報をどうやってとっていくかとか、誤った情報の見分け方とか、小学生、中学生は難しいかもしれませんけれども、高校生とか社会人の方にはそういうことも含めていただければ良いかと思っています。
○門田会長 ありがとうございました。
秋山委員、どうぞ。
○秋山委員 秋山です。
資料5参考の「今後のがん対策の方向性についての概要」の1、2、3の特に2番のところなのですが、がん対策加速化プラン、このピンクのファイルの参考資料5の1のところに、1ががんの予防、2ががんの治療研究、3ががんとの共生という言葉を使って表現されている、ここと2番のところをもう少し具体的な形でこちらの分野別施策の中に盛り込めないか?今のままだと、何となく薄くばらまかれている感じに見えます。この「がんとの共生」のところをこれからはとても大きな要素として皆さん抱える問題でもあるし、また、サバイバーの方たちが医療機関と切れた後、でもやはり不安を抱えて「がんを経験した人」として生きる、その道にも相談支援の場が開かれていかないととても難しいという時代になってきていると思うので、そこのところをどういう形で盛り込んでいただけるのかというのが私の願いです。
以上です。
○門田会長 ありがとうございました。
道永委員、どうぞ。
○道永委員 大体先生方がおっしゃったことと同じなのですが、まず、加速化プランで今後この基本計画にのせるべきものをリストアップしていただいて、それの議論をしたいと思います。
今の資料5参考ですが、1番のところで将来にわたって持続可能ながん対策の実現、これはとても大事なことだと思っています。特に2つ目のポツで各施策の「費用対効果」の検証。これだけがん治療、いろいろ高額な医薬品も出ておりますので、費用対効果という検証は避けて通れない問題だと思っていますので、こういうものも少しやっていただきたいということと、先ほど中川先生がおっしゃっていた成人へのがん教育です。それを入れ込んでしまうと自治体が動きやすいのではないかと思っています。
あとは、がん登録の推進というか、もうがん登録は法制化されたので少し表現が変わるかと思っています。その進捗状況もお知らせいただければと思っています。
○門田会長 ありがとうございました。
そのほか、まだ御発言のない方。
山口委員、どうぞ。
○山口委員 最初に大江先生の御発言にコメントをさせていただくと、私は、拠点病院のあり方のまだでき上がる前です。その委員をずっと務めて、そのときに割と大きな選択をしているのです。2次医療圏に1カ所なのか、それとも都道府県に1カ所なのか。医療関係者は多くが都道府県1カ所の拠点ということを言ったのだけれども、そこは施策として2次医療圏1カ所が選択されて、それで現在に至っているのです。ただ、その後いろいろ改定がなされて、4階建て、今は5階建てぐらいになっていると思うのです。都道府県拠点、地域拠点、診療病院、小児がん拠点とか。ですから、先生が今おっしゃったことを実現しようとすると、これは大きな枠組みの変更になると思いますので、拠点病院を担当している者としては、そこまでの覚悟でやるかどうかというところが1つ大きな問題かなと思います。
次に、分野別施策のところの書き方なのですが、やはりここは総花的な印象を一番強く与えていますので、みんなの流れに沿った形で、予防、検診、医療機関、それから今の共生、そういったことの書きぶりを少し工夫することで、随分その印象は和らげられるのではないかと思います。今だと、がんの早期発見の次にがん研究が来て、次に小児がんが来てというような、かなりばらばらな印象を与えますので、ここは書きぶりの工夫かなと思います。
最後に項目としては、今、幾つか出てきているのですが、私はやはり、診療提供体制の中でしっかり書き込むこと。それから、加速化プランを見ると出てくるのですが、高齢者のがん治療です。これは多分大きな問題になると思います。それから、今お話があった高額薬剤について。さらには看取りについて、緩和ケアの技術ではなくて、どういう看取りをがん患者に対してはやっていくのかという、これは物すごく大きな問題なのです。そのあたりは大事な問題だけれども、多分計画には書き込めないだろうなと思うのですが、やはり今の日本のがん対策上、これから極めて大きな問題になっていくところだろうと思いますので、項目だけは意識しておいたほうがいいだろうと思って発言させていただきました。
○門田会長 ありがとうございました。
中川委員、どうぞ。
○中川委員 委員の皆さんがおっしゃったこととかなり共通するのですが、高額治療薬をどうするか。やはり皆保険制度の維持という点では非常に重要な議論だと思います。また、道永委員がおっしゃっていただいた職域でのがん教育というのも、とりわけ文科側で学校でのがん教育が始まることに対応する必要があると思います。
私どもの専門である放射線治療の問題に関しては、粒子線治療を含めた放射線治療症例の全例登録。先ほど北川委員から出ている、外科側ではナショナルクリニカルデータベース、全例登録をしております。放射線治療も本来そうあるべきなのですが、何分やはり費用もかかるものなので、ここの手当てを少し考えていく必要があるだろうと思います。
それから、マイナンバー制が始まり、ただ、このマイナンバーでなくて構わないのですが、IDの活用が非常に抜けているところで、議論はあったのですが、検診に関してもIDがないことによる障害というのは非常に大きいと思いますので、これも議論していくべきかと思います。
以上です。
○門田会長 ありがとうございました。
そのほか。
難波委員、どうぞ。
○難波委員 ありがとうございます。難波でございます。
私のほうからは3点ございまして、まず1点目が、各項目の内容について議論を進める上で、関連学会の先生方で議論され尽くしてきた内容もあると思うので、各項目を担当ないし関連する学会はどういうところがあるのかですとか、関連するステークホルダーは誰なのかということ、各課題が解決するまでのタイムスケジュールはどんなものなのか、その辺の情報もぜひ共有していただけたらなと思います。
2つ目ですが、先ほど大江委員からも御指摘のあったとおり、やはり情報不利益、患者が不利益をこうむるような情報というのは再三お話ししているように、放置されている状況ですので、これを何とかしてほしいと考えています。患者にとってみれば、情報を選択するというのは生きるための選択になりますので、そこは何らか対策をぜひ講じていただきたいと考えています。
3点目は、資料5の将来にわたって持続可能ながん対策の実現について、少子高齢化社会の中で、特に小児であるとかAYA世代、あとは女性のがんもそうなのですが、生殖に関する選択をどう守っていくかというところも今後大きな課題になってくると思いますので、ぜひそこも議論のテーマに挙げていったらいいかと思います。
以上です。
○門田会長 ありがとうございました。
勢井委員は先ほど述べられて、よろしいですか。
○勢井委員 それでは、もう一度、済みません。ありがとうございます。勢井です。
がんに関する情報提供ということで、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、基本方針として、がん患者を含めた国民の視点に立った情報になっているのか。本当にそれはそうなのかということをいつも思っています。医療提供者側が考えた患者、国民の視点に立ったがん情報ではなく、実際に国民、そして患者さんが欲している、求めているがん情報をぜひとも進めていただきたいと思います。
○門田会長 ありがとうございました。
山口委員、どうぞ。
○山口委員 今の御意見はもっともなのですが、静岡がんセンターで毎年、患者会の方十数団体に集まっていただいて、ずっと十数年間意見交換してきたのです。あるときに、私が情報のことをやっていましたので、患者さんの求める情報をしっかり出していくように研究をしていきますと言ったところ、患者会のほうからアゲインストが来まして、患者にはわからないけれども医療上極めて重要な情報はいっぱいあるはずで、先生方がやるべきことは、そういう情報も含めて、患者の求めは当然なのだけれども、それに加えて、患者は気がつかないけれども必要な情報をしっかり流してもらうことのほうが大切なのだぐらいのことを言われて、それを肝に銘じて今やっているのです。
今、情報処方という言葉があるのです。それはやや上意下達的に、しかし、この情報をあなたは知っていないと病気が治るものも治りませんよという形の情報提供で、医療の特性なのです。ですので、求める情報とともに必須の情報をしっかりと提供していくというコンセプトは必要だと思いますので、ちょっと念のために。
○門田会長 よろしいですか。
そのほか。
若尾委員、どうぞ。
○若尾委員 ありがとうございます。
がんになっても安心して暮らせる社会の構築という項目があるのですけれども、これはとても耳ざわりがいいのです。でも、このがんになっても安心して暮らせる社会の構築には、患者が負担しなければならない医療費というのは避けて通れないのです。そこと就労の問題、仕事を失ってからがんの治療と向き合わなければならなくなったというときに、果たして自分はどういった制度が使えるのか、この制度は自分に使えるのかどうかというところに直面して初めて、全く使えないというようなこともあるのです。例えば高額療養費制度などは、入院と外来が違っていたりとか、同じ病気であっても、施設が違えば、例えば医療機器の有無の問題等ですが、この検査はこちらの病院ではできないけれども、あちらの病院でしましょうというと別立てになってしまったりということが入ってきます。
お金がないと安心した医療が受けられないというのは現実にどんどん起こりつつあって、その格差はどんどん大きくなっていくので、がんになっても安心して暮らせる社会の構築というところ、今すごく短い文章の中できれいな言葉で書いてあるのですが、これは一体どういうことなのだろうといようなところも3期の中では、制度と絡んで難しいのは重々承知の上なのですけれども、検討していく一つの課題にしていってほしいなということを提言したいと思います。
○門田会長 ありがとうございました。
檜山委員、どうぞ。
○檜山委員 皆さんが言われるとおりだと思います。私も、やはりゲノム医療も進んでいきますし、小児を扱っていると遺伝性の腫瘍というものが出てくるのです。いろいろがん登録されていて、マイナンバーで登録されるようになったのですが、先ほどNCDの話もありましたが、いろいろな人にいろいろなデータがくっついてくる。自分の知らないところで、先ほど山口委員が言われましたけれども、がんになりやすい体質であるという情報もどんどん出てくるわけです。それをどのように扱っていくかというのは非常に大きな問題で、そういうがん登録だけではなくて、データの保守、秘密保持もしないといけないのですが、うまく活用して、いい医療を提供できるようなことを提言できたらいいなと。
特に小児をやっていると、がんになりやすい体質の家計であるということがおのずとわかってくることがあるのですが、それをどのように扱うか。学問的に大きな問題なのですが、そういうデータがどんどんビッグデータとして出てきているので、それをどのように扱ってがん医療に結びつけるかというのは大きな問題かと思うので、がん登録ではなくて、そういうデータ活用のところを項目立てしていただければいいかと思います。
○門田会長 ありがとうございました。
一通り皆さんに発言していただいたと思うのですが、まだ10分ほど時間が残っておりますので、勢井委員、どうぞ。
○勢井委員 山口委員、ありがとうございました。
先ほど、がん登録のお話が出たので、そのがん登録の活用の仕方、それも患者、国民に対しての適切な情報提供という形をぜひとも考えていただきたいと思っております。よろしくお願いします。
○門田会長 ありがとうございました。
そのほか、どなたか、よろしいですか。
これから、きょう挙げていただいたものと、それから加速化プラン、もう一つ前の協議会の提言として持続可能というような表現、AYA世代、そういうものを一度まとめていただいて、本格的な審議に入っていくテーマを絞って、そのものにつきましては、またテーマごとの御意見あるいはデータそのほかもあれば前もって出していただいて、短い間にでも詳しいデータまで示していただけるような形で進めたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。そのようなことで事務局に挙げていただいたものを私が見せていただくという今の進め方でよろしゅうございますか。
では、そのような形で進めさせていただきたいと思います。
それから、事務局、最初にちょっと検討する時間が短いのではないかということがあったと思うので、やはり今から、ぎりぎりになって日程調整するとなかなか大変になってきますので、できれば最後までというか、いよいよ本当に基本計画の原案を書き上げるところまでは、どこか調べて、できるだけ十分ディスカッションができるような時間帯を選んでいただきたいと思いますので、早目に調整を始めていただきたいと思います。
それでは、よろしゅうございますか。
はい。
○道永委員 ちょっと確認したいのですが、がん登録に関してもマイナンバーは使っていないはずなので、多分保険局だと思いますが、今、医療等IDというもので議論をしているはずです。そちらのほうの情報をいただければと思います。マイナンバーは使わないです。
○門田会長 課長、どうぞ。
○がん・疾病対策課長 医療分野は、がん登録もですが、マイナンバーを使うということになっておりません。医療等IDということで、マイナンバーとは別のものを関係部局を中心に検討をしており、それをがん登録とどう結びつけていくかということも、まだ議論もしていないところです。
がん登録は、本年1月に施行し、平成30年度以降にデータ活用できるようになるという状況でございます。また、がん登録の議論をしていただく機会もあると思うので、その際に状況をまとめてお示ししたいと思っております。
○門田会長 今、発言されたことで、30年に何が。
○がん・疾病対策課長 がん登録情報が平成30年度以降に、研究者の方からの申請に応じて使えるようになるということで、少し検討の時間がございますということでございます。
○門田会長 わかりました。
よろしいでしょうか。
それでは、連絡事項が何かありましたら、事務局からお願いします。
○事務局 次回の協議会の日程につきましては、7月6日水曜日14時からを予定しております。会場は未定ですので、後日御連絡いたします。議題につきましては、門田会長との調整の上、委員の皆様に御連絡させていただきたいと存じます。
また、机上の参考資料のファイルは事務局にて回収いたしますので、お持ちにならないようお願いいたします。
以上です。
○門田会長 このファイルですね。
それでは、本日の協議会をこれで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
健康局がん・疾病対策課
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