ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(血液事業部会)> 薬事・食品衛生審議会 血液事業部会 議事録(2016年3月2日)




2016年3月2日 薬事・食品衛生審議会 血液事業部会 議事録

○日時

平成 28 年 3月 2日(水)17:00 ~


○場所

厚生労働省専用第22会議室


○出席者

出席委員(16名)五十音順

稲 田 英 一、 大 平 勝 美、 岡 田 義 昭、 小 幡 純 子、
倉 根 一 郎、 鈴 木 邦 彦、 田野崎 隆 二、 長 村 登紀子 、
花 井 十 伍、○濱 口  功、◎半 田  誠、 前 野 一 雄
益 子 邦 洋、 溝 上 雅 史、 三 村 優美子、 山 口 照 英
(注)◎部会長  ○部会長代理

欠席委員(6名)五十音順

衞 藤  隆、 大 戸  斉、 嶋  緑 倫、 千 堂 年 昭、
三 谷 絹 子、 室 井 一 男

日本赤十字社

佐竹 経営会議委員、 日野 総括副本部長、 千葉 副本部長 、瀧川 献血推進課長

行政機関出席者

森  和 彦 (大臣官房審議官)
武 井 貞 治 (血液対策課長)

○議事

○血液対策課長 ただいまから、「薬事・食品衛生審議会薬事分科会平成27年度第2回血液事業部会」を開催します。なお、会議は公開で行うこととなっていますので、よろしくお願いします。

 初めに、委員の出欠状況ですが、本日は衛藤委員、大戸委員、嶋委員、千堂委員、三谷委員、室井委員から、欠席との御連絡を頂いています。後ほどいらっしゃる方も含めてですが、現在、全委員22名中16名の御出席をいただき、定足数に達していることを御報告します。

 また、本日は、日本赤十字社血液事業本部から、佐竹経営会議委員、日野総括副本部長、千葉副本部長、瀧川献血推進課長に御出席いただいております。よろしくお願いします。

 議事に入る前に、本日の部会は、血液法に基づく審議・議決事項があることから、薬事分科会審議参加規程に基づいて、利益相反の確認を行いましたところ、稲田委員、岡田委員から、関連企業より一定額の寄附金・契約金等の受領の申告がなされていますので、議題1~議題4に関しては、意見を述べていただくことは可能ですが、議決には加わらないこととさせていただきます。

 カメラの頭撮りについては、ここまでとさせていただきます。この後の進行については、半田部会長からよろしくお願いします。

○半田部会長 皆様、こんにちは。早速ですが、資料の確認を事務局よりよろしくお願いします。

○血液対策課長 資料の確認をします。お手元の資料を御覧ください。まず、議事次第、座席表、委員名簿があります。資料1-1「平成28年度の献血の推進に関する計画()について」、資料1-2「平成28年度の献血の推進に関する計画()に対するパブリックコメントについて」、資料2「平成28年度の献血の受入れに関する計画()の認可について」、資料3「平成28年度の血液製剤の安定供給に関する計画(需給計画)()について」、資料4-1「シャーガス病に対する安全対策の変更について」、資4-2「HEV感染実態調査について」、資料4-3「ALT検査による製品除外の見直しについて」、この後ろには参考資料が4つほど付いています。資料5「ジカウイルスによることが疑われる小頭症等の増加に関するWHO緊急委員会宣言について(注意喚起)」です。

 なお、議題3関連の委員限りの会議後回収資料として「血液事業にかかる効率性の向上等の取組」、及び議題5関連の委員限りの配布資料として、WHOのガイダンスドキュメントと、国立感染症研究所から出されている「デング熱・チクングニア熱等蚊媒介感染症の対応・対策の手引」があります。資料は以上です。不足等があれば、事務局までお申し付けください。

○半田部会長 よろしいですか。本日は、議決が必要な議題が三つあります。早速、議題1に入ります。議題1「平成28年度の献血の推進に関する計画()について」です。これは、血液法の規定により、この計画の策定に当たっては、厚生労働大臣の諮問を受けて、当部会が審議をして答申することとされているものです。

 委員の皆様には、今年1月の部会において御議論いただきました。その後、パブリックコメントの募集が行われ、意見が提出されました。本日、改めてこの場で皆さんの御意見を伺って、部会としての意見をまとめ、答申案としたいと思います。事務局から、資料について説明をお願いします。

○事務局 議題1について、資料1-1、資料1-2に基づいて御説明します。資料1-1「平成28年度の献血の推進に関する計画()について」です。1ページですが、献血推進計画を定めるに当たっては、血液法第10条第3項の規定により、薬事・食品衛生審議会の意見を聴くこととされていますので、厚生労働大臣から同審議会会長への諮問書を添付しています。この推進計画()は、本日の部会で御了解いただくことができれば、続いて薬事分科会に報告し、その後、告示することになります。

 2ページ以降が、平成28年度の献血推進計画()です。本年1月21日に開催された前回の血液事業部会で御審議いただき、その後、後ほど御紹介しますパブリックコメントを実施しました。結果としては、1月に御審議いただいたものからの修正箇所はありませんが、本日、改めて全体の御審議をいただければと思います。この推進計画()については前回も説明しましたが、前回は欠席なさった先生方もいらっしゃいますので、平成27年度研究推進計画との主な変更箇所について改めて説明いたします。

 4ページの冒頭の第1節、平成28年度に献血により確保すべき血液の目標量についてですが、平成28年度に必要と見込まれる輸血用血液製剤の量と、原料血漿の必要量も含めた全体として確保する必要がある血液の量が記載されています。これは、各都道府県に調査を実施して、来年度の需要を予測したものです。その結果は、合計で201万Lの血液を献血により確保することが必要となりますが、平成27年度計画では199万Lでしたので、若干の増加となる目標となっています。

 6ページ、最後の行のウ、企業等における献血の推進対策ですが、7ページの2ポツ目に、「採血事業者は、企業等に対して「献血セミナー」を実施し、正しい普及啓発を図る」を追加しました。特に、企業等の代表者を含め献血の意義や知識の普及を図ることにより、企業全体を通して、社会貢献活動としての献血の更なる推進を促せればと考えています。現在、既に企業向けのセミナーを実施している血液センターもありますが、全国統一的な取組事項として意識付けるため明記しました。

 8ページの中段、第3節の1、献血の推進に際し、考慮すべき事項の丸1の1ポツ目ですが、文章の終わりの方の部分の「栄養士」の所に「栄養士等」として、「等」を追加しました。これは、栄養士と限定せず、看護師や保健師、あるいは医師など、健康相談を受け持つ職種を広げることにより、健康相談の実施の場が広がったり、実施回数を増やすことができればと考えています。さらに、8ページの丸2の1ポツ目、9ページの丸6の2ポツ目については、文脈の整理を少々行いましたが、内容自体に変更があるものではありません。献血推進計画()の変更部分は、以上です。

 資料1-2ですが、これは献血推進計画()に対するパブリックコメントの結果についてです。行政手続法によらないいわゆる任意の意見募集として、厚生労働省のホームページにて、本年2月5日~2月15日の間、献血推進計画()に関する御意見を募集しました。3名の方から三つの御意見を頂いています。2ページ以降の表の左側が頂いた御意見、右側が御意見に対する厚生労働省の考え方になっています。御意見を頂いた御本人に対し直接回答はしませんが、厚生労働省ホームページ上で公開する予定です。

 番号1の御意見についてです。輸血歴があると思われる方からのものです。長期間、健康に問題がないにもかかわらず、輸血歴があることだけをもって献血ができないことについて、新たな検査法でより正確かつ効率的な献血システムの構築を望むという御意見を頂きました。この御意見に対する考え方は、右側の回答欄にあるように、現在の検査方法では検出できない未知のウイルス等の感染を完全には否定できないことから、技術の限界を踏まえた予防的措置として献血を御遠慮いただいているとしています。

 番号2の御意見についてです。若年層以外については400mL献血を基本とするということは、200mL献血については献血してもらわないという意味でよいのかという御意見を頂きました。この御意見に対する考え方としては、輸血を受ける患者の安全性の面や、医療従事者の手術時等の作業効率の2点があって、医療機関の需要は400mL献血由来製剤が95%を超えていること、そして、200mL献血由来製剤の在り方については、この血液事業部会の下部の献血推進調査会において数年来議論していることや、厚生労働科学研究費においても安全性評価及び研究を行っていることを踏まえ、善意である貴重な献血血液を無駄にすることがないよう、引き続き検討していきたいとしています。

 最後に、番号3の御意見についてです。献血者確保対策として、献血時における健康管理サービスの血液検査の項目を追加されてはどうかという御意見を頂きました。こちらの御意見に対しては、今後の献血推進施策の検討を行うに当たっての参考とさせていただきたいとしています。なお、今回の御意見として例示されているのは、ある赤十字血液センターが、モデル事業として12~2月の平日限定で血液検査項目の追加を行ったキャンペーンですので、ここで申し添えいたします。資料の説明は以上です。

○半田部会長 今の説明について、御質問あるいは御意見等、よろしくお願いします。いかがですか。

○小幡委員 今のパブコメの二つ目についてですが、自分は400mLは駄目だけれども200mLならばやりたいという若い方ではない人がどうかというのは、多分、一般の方はそういう疑問を持たれるだろうと思いますので、確かにこれは丁寧に答えていく必要があるかと思います。結論としては、いろいろ効率とか、安全性との関係でやむを得ないと思いますが、素朴な疑問として提示されていると思いますので、こういう事情ですということを丁寧に説明していくことが大事かと思います。

 もう1点だけ。私は前回出られなかったのですが、企業に対しての協力を求めていくことを追加されていて、大変よいことだと思います。セミナーを実施すると、それはそれでよろしいと思いますが、セミナーと言うと、何となく来てくださいという受け身の体質になりますので、企業に対しては積極的に働き掛けていく姿勢が大事かと思います。別にここで追記という意味ではないですが、運用としてのコメントです。

○半田部会長 ありがとうございました。今の小幡委員の御意見に関して、事務局は特に何かありますか。

○血液対策課長 貴重な御意見をありがとうございました。特に、最初の段階のところは、昨年度、似たような質問があり、我々ももう少し丁寧かつ分かりやすい説明をと心掛けていて、ちょうど御指摘いただいた形で、今回は丁寧にきちっと答えるということで説明を増やしています。

2点目の、企業に対する積極的な献血の働き掛けも、お指摘のとおりかと思いますので、今後の活動にいかしていきたいと考えています。

○半田部会長 ちょっと私の方から。この御意見は、当該推進計画()の9ページの第3節の丸6の「200mL全血採血の在り方について」と、多分この文面がよく分かりにくいというパブリックコメントかと思うのですが、実際に現場では、成人で体重もあって、200mLを希望される献血者の方はいらっしゃるのですか。いかがですか。それをお聞きしたいと思いました。

○日本赤十字社瀧川献血推進課長 現在私ども受付の段階では、医療機関からの400mL献血由来赤血球製剤の需要が多いという説明をし、御理解いただいているところです。献血を希望される方はたくさんいらっしゃいますので、その中には200L献血をご希望される方がいらっしゃることは事実ですが、200mL献血を当日受け入れる数というものがありますので、その範囲であれば、献血時にお申出いただいて、協力いただいているところです。しかし、体重があってということになりますと、今のところは私どもの趣旨を御理解いただいて、400mL献血の協力をいただける方が大多数というところです。

○半田部会長 ほかにいかがですか。

○益子委員 パブコメの3番目の御意見ですが、供血者がなかなか増えないということで、いろいろキャンペーンを打って、それが十分効果を上げていないという現状を考えたときに、3番目の方の御意見は大変貴重だと考えます。これは日本赤十字社が熊本でパイロットスタディを行ったと理解しているわけですが、その結果を日赤としてどのように評価されて、今後こういったことを広めようとしておられるのか、それともこれは駄目だと評価されているのか、その辺の御意見をお聞かせください。

○半田部会長 日本赤十字社、いかがですか。

○日本赤十字社日野総括副本部長 日赤では、今までも献血していただける方々に対して、なるべく有意義な検査項目をしていただこうということで取り組んできています。例えば、その中でも糖尿病に関連したものですが、グリコアルブミンというものをやっていて、それを新たに導入したというのはあります。その後、脂質関係でいろいろとどういったものが有用かということについて議論したこともあるのですが、日本の学会の中でもまだまだ一定のコンセンサスが得られていないことを聞き及んでいるので、そういう意味ではなるべく皆さん方に有用なものをしていきたいと思います。

 もう一つは、検査センターのようにいろいろなものができるというものではありませんで、試験管も1本しか採らないというのがありますので、そういった抗凝固剤との相性の問題とか、もう一つは、空腹ではなくて、なるべく御飯を食べた後に献血してくださいということも周知しているわけですので、そういったものも含めて、何でもできるわけではないと思います。

○益子委員 少し分かりにくかったのですが、学会としていろいろな意見があるというのは、そのとおりだと思うのですが、日本赤十字社としてパイロットスタディした以上は、日本赤十字社としてのその評価と結論がないと、おかしいのではないかと思うのですが、これをポジティブに捉えておられるのか、それともネガティブに捉えておられるのか、そこを聞きたいのです。

○日本赤十字社佐竹経営会議委員 これは血液センターが行ったものではなくて、日赤熊本健康管理センターという別の赤十字施設が行ったものだと思います。我々の所でもこの評価については、現在のところ行っておりません。

○益子委員 そうすると、日赤本社の承認を得ずに勝手にこのようなことをやっているという理解でよろしいのですか。

○日本赤十字社日野総括副本部長 血液関連に関しては、47都道府県に一つあり、それは血液事業本部という所でマネジメントしていますが、それ以外のこういった医療に関しては、それぞれ独立採算でやっているというところがあるので、本社に問わないで勝手にやっているということではないと思いますが、血液の方まで情報が入っていなかったということだと思います。

○半田部会長 よろしいでしょうか。ほかに御意見は。

○稲田委員 パブコメの1に対するお答えですが、文の最初の所について、医学的な正しさのお話を頂きたいと思うのですが、この途中から読むと、「現在の検査法では、検出できない未知のウイルス等の感染を完全には否定できないことから」とあるのですが、これは例えば輸血歴とか臓器移植歴のある方とそうでない方の区別がはっきりしない。それは検査で完全に分からないことは、一般の方で全く同じことなので、こういった輸血歴あるいは臓器移植歴のある方が特別だというその理由の御説明が必要だと思います。

○日本赤十字社佐竹経営会議委員 それは、この文に対してのことですか。

○稲田委員 この文に対してのお答えになるのですが。

○日本赤十字社佐竹経営会議委員 移植歴、輸血歴があるかどうかは、献血される方には理解していただいているとは思います。ですので、大体、自分がそういったことが既往としてあるかどうかについては、献血者がきちんと判断して答えているとは思いますが。

○稲田委員 問題は、一般のこういった履歴がない方とある方で、検査法で別のウイルスが検出される可能性があるかどうかということに対して、本当に差があるのかということは、本当は示されないといけないのではないかというのが質問です。検査で全て分からないことは、一般の方も、それからこういった輸血歴のある方も、これは全く同じことだと思うのですが。

○日本赤十字社佐竹経営会議委員 なるほど、そういうことですか。

○稲田委員 そうなると、輸血は一切できないという話になるような文章なので、そこが非常に気になります。

○半田部会長 今の稲田委員のお話は、パブリックコメントに関する答えということですね。

○稲田委員 そうです。

○半田部会長 ですから、その答えに関しては、もう少し分かりやすく。ただ、その医学的なことは、これはリスクということになりますので、明確ではないということはあると思います。ですから、その辺をもう少しということですね。

○稲田委員 そうです。特別なリスクがあるのかどうかというふうに認識するか、非常に簡単な分け方ではあるのですが、これで本当に納得していただけるのかというところに少し疑問を感じたので、質問しました。

○半田部会長 ありがとうございます。それでは、この文面に関しては、私が事務局等々ともう一度話し合って決めさせていただくということでよろしいですか。

○稲田委員 はい。

○半田部会長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。大分時間もたちましたので、それでは議決に入ります。当該献血推進に関する平成28年度の計画()をお認めいただけますでしょうか。ありがとうございました。今後、当該計画の告示に当たりましては、厚生労働省で法令的な観点から形式的な修正が入る可能性がありますので、その場合は、部会長の私に御一任いただければと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございました。

 それでは、議題2「平成28年度の献血の受入れに関する計画()の認可について」です。血液法の規定により、血液事業者が作成する献血受入れ計画については、厚生労働大臣の認可を受けることとなっております。認可に当たりましては、審議会の意見を聴くこととなっており、本日、この計画()について審議して、答申したいと存じます。それでは、日本赤十字社から説明をお願いします。

○日本赤十字社瀧川献血推進課長 日本赤十字社血液事業本部の瀧川と申します。委員の皆様方には、日頃より、血液事業に対しまして御支援、御指導を賜り、この場をお借りしてお礼申し上げます。時間の関係もございますので、平成28年度献血受入計画()について、要点を中心に御説明させていただきますので、あらかじめ御了承いただきたいと思います。

 それでは資料2「平成28年度の献血の受入れに関する計画()の認可について」の3ページを御覧ください。1が「平成28年度に献血により受け入れる献血の目標量について」です。平成28年度に献血により受け入れる目標量については、各都道府県における過去3年の輸血用血液製剤の需要動向と原料血漿の必要量から、安定供給を確保するために全血献血で138万L、血漿成分献血で31万L、血小板成分献血で32万L、合計201万Lを受け入れる目標といたしました。これを献血数に換算すると、延べ約499万人を受け入れる計画となっております。

 2が「前項の目標量を確保するために必要な措置に関する事項」です。()「献血受入の基本方針」については、丸1「目標量の確保」として、平成28年度も各都道府県の需要に見合った血液を確保するため、400mL全血献血及び成分献血、特に血小板成分献血を中心とした献血者の受入れを積極的に行い、201万Lを確保する計画です。

 丸2「献血受入体制の整備」としては、献血者の利便性及び安全で安心な献血に配慮し、立地条件等を考慮した採血所の設置や、地域の実情に応じた移動採血車による計画的採血及び献血受入時間帯の設定等、受入体制の整備・充実を継続して行います。また、採血所における休憩スペースの十分な確保や、地域特性に合わせた環境づくりに努め、一層のイメージアップを図ってまいります。

 4ページの丸3「献血者対応の充実」です。献血者が安心して献血できるように、これまでも行っているとおり丁寧な対応に心掛け、不快の念を持たれないよう、引き続き職員の教育訓練を強化し、更なる改善に努めてまいります。

 丸4「初回献血者等への対応」です。初めて献血される方の不安を払拭することはもとより、献血の都度、献血の手順や献血後に十分な休息を取る必要性、及び気分が悪くなった場合の対処方法などについて、事前に説明を行います。特に学校献血会場では、採血後の献血者をケアする者を配置し、採血副作用の防止に努めてまいります。

 丸5「検査サービス等の実施」です。今後も、献血者の健康管理に資するため、引き続き希望者に生化学検査成績、血球計数検査成績をお知らせします。また、ヘモグロビン濃度の低い方々に対して、栄養士や看護師、保健師、医師等による健康相談等について、有効性を検証しながら取り進めてまいります。

()「献血者の確保対策」です。将来にわたり安定供給を維持するため、需要に見合った献血者の確保は不可欠であり、30歳代以下の若年層、企業や団体及び複数回献血者の確保を重点的に行うとともに、健康な高齢者層にも献血の受入れを今後も推進してまいります。特に30歳代以下の若年層の献血確保対策については、Love in Actionプロジェクトを中心に広報啓発を実施し、取り分け10歳代の献血者については増加傾向がうかがえていることから、今後も積極的な推進を行ってまいります。

 5ページの丸1「若年層を対象とした対策」です。若年層全体に対する対策においては、積極的にSNS等の広報媒体を用いて、同世代からの働き掛けや輸血を受けた患者等の声を伝える手段で、効果的な広報に努めます。小中学生に対しては、学校に出向き、「献血セミナー」や体験学習などを積極的に行い、これらの献血可能群に働きかけていきます。また、献血可能年齢となる高校・大学生ですが、平成24年度より、厚生労働省を通じて文部科学省から、献血に触れ合う機会の受入れについての協力に関する通知が、本年も発出されており、更なる「献血セミナー」の実施に積極的に取り組んでまいります。大学生については、学生献血推進ボランティアの組織強化を側面から支援し、更なる連携を図ります。特に将来の医療の担い手となる医療・薬学系の学生に対し、輸血医療が多くの国民の献血に支えられている事実や、血液製剤の適正使用の重要性への理解を深めてもらうための取組を今後も行ってまいります。

 丸2「献血者の年齢層に応じた献血推進対策」です。20歳代後半から30歳代を対象とした対策として、出産・子育てに忙しいという理由から、献血する機会が減少しているものと考えられる中で、この対象の方々でも安心して献血していただけるよう、献血ルーム等において託児スペースの整備をするなど、受入体制の充実を図っていきたいと考えております。また、40歳代、50歳代を対象とした対策では、企業・団体で中心的な存在であるこの年代に対し、相互扶助の観点から啓発を行い、献血の推進を図りたいと考えております。

 6ページですが、更に60歳以上を対象とした対策においては、定年退職により献血の機会に触れることが減少することも一要因として考えられ、定年退職後も引き続き献血への協力を図れるよう、伝達方法を工夫しながら、献血者の増加を促進するよう努めてまいります。

 丸3「企業等における献血の推進対策」では、献血に協賛していただける献血サポーターの募集を引き続き積極的に行い、団体献血の推進に努めてまいります。さらに、企業等に対しては、社員研修や社内広報等の機会を利用し、「献血セミナー」や献血に関する情報提供等を実施し、正しい知識の普及啓発を図るとともに、特に20歳代、30歳代の労働者の献血促進について、協力を求めるよう努めてまいります。

 丸4「複数回献血協力者の確保」としては、将来、献血可能人口の減少が予測されている中、新規献血者確保の推進を進めてまいりますが、やはり今後、複数回献血者の推進は重要な確保対策とならざるを得ないと考えております。併せて、複数回献血者確保対策の基軸となる複数回献血クラブ会員においては、30歳代以下の若年層を中心とした拡大を推進してまいります。現在、会員数が80万人を超えておりますが、この会員管理を適切に行い、適切な依頼要請による複数回献血の推進に努めます。

 以上の献血確保対策の効果を更に向上させるため、丸5「献血推進キャンペーン等の実施」を行ってまいりたいと考えております。平成28年度においても、平成21年度より展開しているLove in Actionプロジェクトを基軸に、各種キャンペーンと連動させ、広報を展開してまいります。また、地域センターの主な取組については12ページに掲載しておりますので、後ほど御覧いただきたいと思います。

 続いて7ページの3が「その他献血の受入れに関する重要事項」です。()200mL全血献血の在り方について」ですが、献血を推進する上で、血液製剤の安全性、また医療機関から400mL献血由来の赤血球製剤の需要が、直近の調査においても95%を超えているという現状の観点から、400mL全血献血を基本にしていきます。ただし、併せて、将来の献血の基盤となる、若年層に対する献血推進が重要であることは言うまでもありません。このことから、特に高校生等の献血時に対しては、400mL献血に不安がある場合には、200mL献血を経験していただけるように努めます。さらに、国、都道府県及び学校と連携して「献血セミナー」を実施するなど、献血の知識や現状についての啓発をする取組を推進してまいります。

()「災害時等における危機管理」としては、平成23年3月の東日本大震災における全国の支援状況等を教訓として、今後も災害時において輸血用血液製剤の確保に支障を来さないよう、広域需給管理体制の下、国、都道府県、各市町村と協力し、継続的に献血の推進を図り、円滑な供給に努めてまいります。また、献血血液の製剤化についても、災害時等において支障を来さないよう、国と協議をさせていただきながら、必要な設備等の整備を進めてまいります。

 以上が、平成28年度献血受入計画の概要です。今後とも国、都道府県、各市町村、協力団体及びボランティアの方々の御理解と御協力を頂きながら、安定供給のために安定的な献血者確保に努めてまいりますので、今後とも御指導をよろしくお願いいたします。

○半田部会長 ただいまの説明について、御意見あるいは御質問などはありますか。

○倉根委員 質問です。201万Lというのは、表1の各都道府県の量があって、それを足していくと201万Lになるのですか。それとも、もともと国として201万L必要で、それを達成するために都道府県は、これだけを目標とするということですか。どちらが先に出てくるのですか。

○事務局 先ほど議題1で説明申し上げたとおり、いわゆる必要量から都道府県に割り振ったものです。

○倉根委員 理解するためにごめんなさい。今の答えだと、201万Lが最初にあって都道府県に割り振るわけですか。

○事務局 説明が不十分で申し訳ありません。まず使用量の実態調査を都道府県に行って、それの積上げと、あとはこの後の議題にもなるのですが、原料血漿として各血液製剤メーカーの方に譲り渡す分も含めると201万Lということです。

○半田部会長 当然、前年度の実績があるわけです。それを踏まえた上でのそれぞれの都道府県の使用量の実績に、原料血漿の必要量をプラスされたものが201万Lで、それをそれぞれに割り振るということですね。

○事務局 はい、そうです。

○半田部会長 ほかにいかがでしょうか。

○長村委員 その201万Lに関連して。もしかしたら後で出てくるのかもしれないのですが、この数字がずれると、議題1も2もおかしくなってしまうと思うのです。結局、これは原料血漿の需要が増えた、血漿分画製剤の需要が増えたという意味でしょうか。目標値が昨年度よりも増えていると、先ほどおっしゃったと思うのです。

○事務局 主な理由としては、国内の分画メーカーが必要とする原料血漿の量が増えたために、全体の血液の確保量が増えたということになっております。

○長村委員 了解しました。もう1点は、後ろの方の図を見ると、50歳以上の献血者が少し増えています。私も臨床で経験するのですが、50歳以上になると、女性の場合閉経して、今まで貧血だった人が、逆に血が非常に濃くなってヘモグロビンが上がって、献血にはちょうど向いている年代になってくるような気もするのです。男性と女性とか、その辺の分析はいかがでしょうか。そういう方々もターゲットにすると、少し献血者も増えていいのではないかと思うのです。

○半田部会長 50歳代が増えているのはどうしてかということですね。

○日本赤十字社瀧川献血推進課長 特に移動採血の場合、事業所等にお邪魔すると、やはり40代、50代を中心的に御協力いただいております。先生が御指摘の女性、特に主婦層については、全国の献血ルーム等での受入れでも積極的に御協力いただいているところです。ですからこのグラフを見ても、今の献血は40代、50代が中心になっています。ただ、先ほども御説明したとおり、将来のことを考えると、やはり30代以下もしっかりと普及啓発をして、御協力を頂いていかないといけないという考えです。現状は40代、50代の方々が今の献血の中心になっているということは間違いありません。

○長村委員 了解しました。

○稲田委員 いろいろな対策を述べられて、大変素晴らしいと思うのです。例えば参考資料の別紙1-2を見ますと、これは年齢別の献血率ですね。震災があったその後の平成24年をピークとして、実はほとんどの年代で献血率が下がっている。40代、50代が数としては増えているというのは、恐らく年齢構成の変化の影響も大きいかと思うのです。その中で、特に若年層の献血率の低下に対して、この3年間で根本的な、あるいは画期的な対策は立てられたのかどうかというところをお伺いしたいと思います。

○血液対策課長 やはり若年層ですと、一番初めに献血が始まるのが高校生ですので、高校生に対する積極的な働き掛けということで、文部科学省に働き掛けています。例えば、学習指導要領に載せていただくとか、積極的に学校等に出て行って、説明をするような機会を増やしております。また、別にある献血推進の調査会でも、若年層の献血推進をどうやったらいいかという議論をしております。その調査会の方からは、聞く側、いわゆる高校生も含めた若年者に訴え掛けるような取組を更に強化するということで、今「ホップ・ステップ・ジャンプ」という普及啓発資料を作って、それを有効活用したり、アンケートを取って、どういったアプローチが最も効果的かというところを、現在とりまとめております。そうした解析結果も今後、具体的な対策に役立てていきたいと考えております。

○稲田委員 今おっしゃったようないろいろな対策があって、解決策をされているけれども率は下がっている。アンケートとか、教育という点ではいろいろアピールするということですが、やはり今度は受け取る方がどういうように考えているかということ、あるいはどれぐらい理解されているかということを、こちらでもう一度受け取らないと、サイクルが回っていかないと思うのです。やはりやりっぱなしの対策ではなく、必ずアクティブに献血をする側からのお答えを求めていく。それが実際に献血となってくれば一番いいのですが、少なくともそういったフィードバックを経ていかないと、この減少傾向はなかなかとどまらない。今はほとんど震災前の平成21年度に戻っている、あるいは若年層はむしろ下がっているというところは、やはり強く認識すべきかと思います。

○半田部会長 大変貴重な御意見だと思います。結果的に、少なくとも今までの対策は、全く効果がないということになっています。ですから、それを踏まえてPDCAサイクルを回していくという御意見だと思います。ほかにいかがでしょうか。

○大平委員 6ページの「献血推進キャンペーン等の実施」という所です。いろいろなキャンペーンをやられていて、それぞれ効果的な実績を残されているというようには考えるのですけれども、そろそろ透明性を高めるために、実際に献血推進キャンペーンの財源や成果、評価の仕組みなどをクリアに出していただいて、それに対して、このキャンペーンは実績としてかなり有効だったとか、そういうものがいろいろ皆さんの目に留まるような形にすることが大事かと思うのです。今回はこの計画なので、これから今後の計画の中で、そういうものも少し考えていただけたらと思うのですが、いかがでしょうか。

○日本赤十字社佐竹経営会議委員 おっしゃるとおりで、実際のコストとか、実際にどのぐらい増えたかといったところは、我々の分析が足りない所もありましたので、これからはそういった所も数字として、なるべく挙げていきたいと思います。

○半田部会長 ほかにいかがでしょうか。それでは、当該献血の受入れに関する計画()について議決をしたいと思います。当該計画()をお認めいただけますか。

 ありがとうございました。それでは、事務局におかれましては、ただいまいただいた意見を踏まえて、本計画案認可の手続を進めていただきたいと思います。また、日本赤十字社におかれましては、受入計画に基づいて献血の受入れの円滑な実施に努めていただけますよう、よろしくお願いします。

 続いて議題3、「平成28年度の血液製剤の安定供給に関する計画(需給計画)()について」に行きたいと思います。これは血液法の規定により、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて作成されたものです。委員の皆様には本年1月の部会において、既に本計画案の議論を頂き、原料血漿の確保目標量と需給見込み、製造目標量等については、事務局案を了承していただいたと思うのですが、今回、原料血漿の配分価格も含めて、最終的に部会で審議をして答申したいと思います。それでは、事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 議題3「平成28年度の血液製剤の安定供給に関する計画()」、いわゆる需給計画案について御説明いたします。資料3です。平成28年度の需給計画案に関しては、血液法第25条第5項の規定により、本日の部会で御審議いただくものです。既に1月の血液事業部会において、原料血漿の確保目標量と、日本赤十字社から国内事業者への原料血漿の配分量について御審議いただき、暫定的に御了承いただいておりますが、今回はそれに原料血漿の標準価格を加えた案となっております。

 1ページが諮問書、2ページから7ページまでが需給計画案の本体です。3ページの真ん中辺りにあるように、第3「平成28年度に確保されるべき原料血漿の量の目標」については、1月の部会で御了承いただきました95万Lとしております。原料血漿の標準価格のほかに、1月の部会からの変更箇所として、4ページの下の方の2「血液製剤の安定供給の確保のために望ましい在庫」の1行目から3行目にかけて、「平成27年6月に一般財団法人化学及び血清療法研究所が製造販売する血液製剤の出荷差し止め」という文言を追加しております。

 平成28年度に配分される原料血漿の標準価格の考え方について9ページを御覧ください。標準価格の算定の基本的な考え方は、これまでの考え方と同様です。日本赤十字社では、輸血用血液の確保と、原料血漿の確保が並行して行われており、人員や装置等が兼用されているため、明確に切り分けることが困難である中で、原料血漿の確保のために必要と考えられる部分について、費用を積算し、価格を計算しております。

 血漿成分採血については、血液全般に共通する事項とサービスに係る経費は除いて、必要経費を積算しております。また、全血採血及び血小板成分採血については、輸血用血液製剤の製造が主たる目的であることから、原料血漿の確保に係る費用としては一部に限定して積算しております。ただし、平成19年度より赤血球製剤の白血球除去の導入に伴い、原料血漿の製造に生じた費用を僅かですが含めております。

 積算はこれまでの年度と同様に、まず凝固因子製剤用の原料血漿について経費の積算を行っております。確保目標量の合計を95万Lとして、原料血漿の確保から供給までに必要な経費を積み上げ、1L当たりの単価を算出しております。この積み上げに用いる経費については、日本赤十字社の直近2年間である平成25年度及び平成26年度実績の平均の数値を使用しております。

 費用の内訳については、10ページの表を御覧ください。費用は採血から原料血漿を製造・保管するまでに必要な材料費、人件費、原料血漿の凍結・一時保管費用等の経費及び原料血漿輸送・貯留保管経費の管理供給費で構成されております。採血種別ごとに積算する費用は、全血採血と血小板成分採血については、材料費は血液バッグ代と製品表示ラベル代。人件費は、原料血漿の凍結・一時保管に係る職員の人件費。経費は、原料血漿の凍結・一時保管に係る経費に加え、全血採血においては白血球除去の導入に伴い生じた経費を一部加算しております。また、管理供給費は、原料血漿輸送・貯留保管経費を積算しております。

 一方、右側の血漿成分採血については、材料費は全額、人件費は原料血漿の凍結・一時保管に係る製造職員費及び、健診や検査などに係る医師、看護師、検査職員、事務職員の必要経費。経費は、原料血漿の凍結・一時保管経費のほかに、成分献血登録者に対する依頼経費、処遇費、検査機器等の保守関連経費など。管理供給費は、原料血漿輸送・貯留保管経費を積算しております。採血方法別の原料血漿の配分量については、13ページを御覧いただくと、献血推進計画にのっとり日本赤十字社が策定した平成28年度の事業計画に基づいて設定しております。

 以上の内容を一覧表にしたものが11ページになります。今申し上げた方法により、1採血当たりに積算された単価を1L当たりの単価に換算した丸1にそれぞれ採血別に原料血漿確保見込量丸2を掛け、採血別の確保費用を算出し、その総額丸3を95万Lで割り、消費税を掛けて、1L当たりの凝固因子製剤用価格1万3,680円を算出しております。その他の分画用原料血漿については、従来と同様、凝固因子製剤用の価格改定率を用い、比例計算で算出した結果、1万2,520円となっております。以上が、従来どおりの基本的な考え方に基づいて算出した結果となります。

12ページを御覧ください。今申し上げました、従来の原価計算方式に基づく価格をIに示しております。括弧の中の平成27年度と比較して2,000円程度高くなっておりますが、この理由としては、1採血当たりの費用負担は減っておりますが、輸血用血液製剤の供給が減少傾向となっている状況の中、原料血漿の確保量が、今年度の91万Lから、来年度95万Lへ増加したことにより、コストの安い400mL全血採血からでなく、よりコスト高の血漿成分採血から多くの原料血漿を確保しなければならなくなったためです。その結果が、原料血漿価格の上昇に反映されております。

IIに移ります。原料血漿価格については、血液法の基本方針において、国内の献血由来の製剤の販売量を伸ばすためには、輸入製剤と価格競争ができるよう努力する必要がある、そのためには、原料血漿価格の低減などに取り組むことが重要であるという内容が盛り込まれました。

 このようなことを踏まえ、IIIの調整案として、括弧書きの中の平成27年度の標準価格に、基本方針及び海外の動向を勘案し、凝固因子製剤用は1万1,100円、これは平成27年度にプラス150円、その他の分画製剤用は1万160円、こちらは平成27年度にプラス140円とさせていただきました。

 海外の動向については、その下の※の米国の原料血漿価格が、2013年から2014年にかけて約1.3%上昇しておりますので、その上昇率を乗じて平成28年度の原料血漿価格とさせていただきました。

14ページ以降は、主に1月の本部会で添付いたしました資料のリバイスで、参考資料となりますので後ほど御覧いただければと思います。

 また関連資料として、当課が作成した「血液事業に係る効率性の向上等の取組」という資料を、委員限り、会議後回収の扱いで配布しております。今後、原料血漿価格が上昇しないよう、日本赤十字社には、効率的に原料血漿を確保する方法や、材料費、人件費等の経費の削減に努めていただく予定です。また、国内メーカーには、引き続き製造効率の向上や、事業規模の拡大、事業基盤の強化に努めていただく予定です。国としては、1月に立ち上げたワクチン・血液製剤産業タスクフォースでの検討を踏まえ、原料血漿価格を含めた血液事業全体の在り方について引き続き検討を進めます。以上が資料の説明です。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○半田部会長 当該自給計画案の説明に対し、御質問あるいは御意見などがありましたらお願いいたします。

○鈴木委員 教えていただきたいのですが、血液製剤というのは輸出できるのでしょうか。できるのかできないのか、できないとしたらその理由について教えてください。それから、血漿分画製剤は輸入できるのかできないのか。遺伝子組換製剤の輸入はできるのかできないのか、しているようですけれども。それは確認の意味も含めて教えてください。

○事務局 血漿分画製剤については、今、経済産業省の外為法で輸出の規制がかかっていて、原則は輸出できないことになっています。それは過去に、血液の関係の検討会などでも議論になったのですけれども、まずは国内自給を達成することが優先である、という考え方で輸出の方の規制がかかっております。

 また輸入に関しては、血漿分画製剤も、遺伝子組換え製剤も特に規制はかかっておりません。例えば、凝固因子製剤などについてはかなりの量が、遺伝子組換え製剤として輸入されております。

○鈴木委員 輸入の方は分かったのですけれども、輸出が外為法でできないというのがどういう意味なのかよく分からないので詳しく教えてください。

○事務局 外為法上では、経済産業大臣の承認が必要となっております。実際には経済産業省の通達で、原則輸出をしないという整理になっております。ただ、人道支援などで一部輸出するケースがあります。過去にも台湾にグロブリン製剤を緊急的に人道支援で輸出した経緯はあります。

○鈴木委員 それだけでは不十分で、輸出できないようにしている余り深い意味がないような気がするのです。もう少し本質的な理由を教えていただけますか。

○血液対策課長 恐らくこれは歴史的な経緯も踏まえて御説明したほうがいいかと思います。歴史を遡ると、ベトナム戦争当時まで遡ります。血液そのものが武器と同じように位置付けられていて、日本が当時そういう軍事物質を輸出するのかどうかという議論がありました。当時でも自給という概念がありましたので、まずは日本人による献血による血液は国内でしっかり医療用で使っていただくのが大前提であろうということで、この自給の原則については1975年のWHOが出した勧告にもあり、その後2010年にも同じようなことが言われております。

 先生も御存じのとおり、アルブミンは日本における消費量が非常に高いという背景もあって、国際的に見ると血液製剤、特に分画製剤については、自国内で供給していくという原則が国際的にも言われている状況です。そういう分画製剤を海外に輸出することについては、まず国内の供給を満たすことが優先になっていたわけです。その理由としては、国際的な状況とか、WHOから出されている勧告が非常に大きいと思います。

 それから国内的に考えると、やはり善意の献血で集められた血液ですので、その倫理的な観点とか、国際的な公平性の観点というのも、かつて十分議論されて、そこで国内の血液について、特に分画製剤については自給の原則が立てられて、その精神については血液法の概念にもしっかり盛り込まれているのが実情です。そういう歴史的経緯とか、国際動向を踏まえての対応になっています。

○鈴木委員 ベトナム戦争がなぜ出てきたのか分からないので、それとどういう関係があるのかを教えていただきたいのです。要するに価格が高止まりしているわけですが、輸血用の血液製剤は日赤の独占ですから、これは独占プラス日赤の高コスト体質による価格の高止まりだと思うのです。これには日赤の改革が必要で、病院部門の給料が非常に高いのです。我々医療法人と比べて、公的病院は、看護師の年俸で平均して100万円ぐらい高いのです。そのような高コスト体質があるのではないでしょうか。

 しかも、それに対して原価計算方式という、かかった経費をどんどん上乗せしていく値付けの仕方をしています。これだけ医療費抑制とか、DPCとかで、ジェネリックは先発品と変わらないので、薬はなるべく安くて良い物をと言っておきながら、血液製剤だけは高くても国産を使えということをいつまで続けていくことができるのか。それが今回の化血研の問題もそうですけれども、そういう国内企業が、国際競争力がいつまでたっても付かない理由の一つになっているのではないかという気がするのです。

 それが、会議後回収すると言われている「血液事業に係る効率性の向上等の取組」というこの一枚紙をさらっと見ても、余り本質的なことが書かれていないような気がするのです。いつまでも一つの枠を越えられないような議論がずっと続いているような気がするのですが、その辺は、もう少し根本的なところを考える必要があるのではないでしょうか。具体的に言えば、輸血法で国内自給を決めているということですが、それが時代に合ったものなのか、そういうものも含めた検討をしないと、この問題は解決しないのではないかという気がするのです。

 輸入しているということは、輸出している国があるわけでしょう。その国の倫理は駄目なのですか。そういうことはないでしょう。日本だけが全て安全だとはもう言えないと思うのです。以前にも私は話していますけれども、安全神話と言うのだったら、原発が代表的ですけれども、それは崩れたわけです。かつて、輸血で事故が起きてそういうことになったようですけれども、価格を低下させ、企業としての国際競争力を強化し、化血研のようなことを二度と起こさないということまで含めて考えるのであれば、そのネックになっているところを見直す必要があるのではないかと思うのですけれども、その点についてはいかがですか。血液法を見直して、国内自給に全面的に限るということを見直すということは考えられないのでしょうか。血液事業の在り方について見直すということをされるのであれば、そうしたことも含めた検討が必要ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

○血液対策課長 先生から非常に重要な御提言を頂きました。正に化血研の事案を契機として、厚生労働省内にタスクフォースが立ち上がっております。これは国内自給の問題とか、海外から実際には製剤を輸入している実態を捉えて、諸外国の状況もよくよく吟味した上で、これからの血液事業の在り方を抜本的に見直していく点も含め、ゼロベースで議論を進めているところです。そのため、本日先生から頂いた御意見も踏まえ、今後の議論につなげていければと思いますので、引き続きこの件については検討していきたいと考えております。ありがとうございます。

○長村委員 輸出、輸入に関してですけれども、献血に関しては輸出をしないということなのですが、輸入もしない。国内自給ということです。一方で今は再生医療等製品に関しては、海外からのものが入ってきています。今、再生医療等製品に関しては、国内で作ったものは輸出できるのかと聞くと、どんどんやってくださいと言われています。その辺との整合性を今後とっていく必要があるのではないかと思います。これは意見です。

○山口委員 私からも意見を言わせていただきます。鈴木先生がおっしゃるような点も、ものすごくあると思うのです。イギリスはBSEが発症したときも、輸血血液に関しては自国のものを使っていました。やはり、輸血用に関しては自給をするというのがWHOの基本原則ではないかという気がいたします。再生医療に関しては、例えば国際会議で話したときに、オーストラリアとかニュージーランドはトレードしないのが原則だと言っていました。それぞれ国によってその辺は整理するべきところもあります。我が国はiPSのこともあって、再生医療を推進する立場になっています。トレーディングする、しないというところは国によってかなりスタンスが異なるのではないか。それは議論すべきポイントではないかと思います。

○岡田委員 血漿分画製剤の輸出に関しては、例えばアルブミンとかグロブリンに関しては、日本では国内消費が賄いきれないギリギリの状態ですから、それを海外に出すのは問題かと思います。一方、国内市場で需要が少ないけれども、やはり海外には需要があるという製剤もあります。血漿分画製剤というのは連産品なので、分画を開始するといろいろな血液製剤の原分画が得られますので、それを製剤化すれば献血血液の有効利用もある。その場合、国内の需要以上に当然できてしまうので、そういう製品を海外に輸出するということ。それで得られた利益は、アルブミンとかグロブリンの製造コストがどうしても高くなってしまうので、割高になったそういうところの穴埋めに使うということで、薬価もある程度輸入製剤に対抗できるようなことが可能かと思います。

 そういうことで、国内で余剰が生ずるような製剤に関しては、どんどん輸出を、逆に言えば国際市場に対応できるような、高品質の製剤を作ることが求められると思うのですけれども、そういうことで献血血液由来の製剤を作るというのは、これから血漿分画製剤が生き残るためには必要ではないかと思います。

○田野崎委員 教えていただきたいのですが、臨床で、国内自給の献血のものは、アルブミンなどはある程度安全性が確認できているとは思っています。海外からのより安いものが、結構使われているところが多いわけです。海外から輸入されて、こちらで使われているものに関する安全性については、どの辺までチェックをされてそれを受け入れているのでしょうか。基準などはありますか。

○山口委員 それは、血液製剤の生物由来原料基準に関して、特に感染症に関しては、国内産のものであっても、海外産のものであっても、生物由来原料基準に適合することが求められております。その中で必要なウイルス検査、全てのことが書いてあるわけではないのですけれども、基本的なところ、例えばHIV、HCV、HBV等の検査をするとか、その辺は決められております。

○田野崎委員 そういたしますと、最終産物のチェックという、その過程というのもあるとは思いますが、日本の製剤の基準とは少し違う基準でということでパスをするということですか。

○山口委員 基本的にそれは承認する場合には、機構で審査を行っております。その後に部会で承認するという形になっていると理解しております。

○田野崎委員 例えば、今は凝固因子などの製剤の輸入はあるのかもしれないのですけれども、原料血漿について安価であれば輸入をすることもあり得るということでしょうか。

○事務局 実際に特殊免疫グロブリンのような製剤だと、例えばB型肝炎の抗体価が高い血漿が国内ではなかなか得られないというのがあります。国内メーカーも、そういう特殊な血漿については一部を輸入して製剤を作っている実態はあります。

○花井委員 薬機法の2002年改正のときに特定生物由来という制度を作りました。山口委員がおっしゃったとおり安全対策と。それは何に備えたかというと、当時はHIVの問題があったので、未知のリスクがすごく想定されたわけです。今の血漿分画については生物学的製剤基準等で、いわゆる不活化技術です。既知のウイルスに関しては不活化技術が目覚しく発達しているので、そういう意味ではレギュレーション上輸入だろうが、日本のものであろうが変わらないと。ただ、未知の場合にルックバック、遡及調査という問題があったときに、それは確かにレギュレーション上は、日本に流通する製剤については、輸入品であっても、そのドナーリストまで遡ることが可能なものしか輸入できないという立て付けになっています。レギュレーション上はそうなのです。

 ただ、日本の場合はそれが実態として、つまりそのリストをもらっているわけではなく、また機構がきちんとそのリストを確認しているというところまでやっているかどうか。要するに、レギュレーション上はそうなっているから、当然メーカーは遡れるリストを持っているとは思うのです。日本の場合は、それをリアルに誰の、どこの血液というのが全部分かっていて、しかもその1ロットごとにシングルNATを掛けている。こういう部分について、未知のウイルスの対応についての速やかさというのは一定のアドバンテージはあるのかもしれない。ただ鈴木先生もおっしゃったように、先ほどCJDの話も出ましたけれども、局地的に日本で何かあれば、逆にそれはリスクヘッジとして輸入は必要だということもあります。一概には言えませんが、安全上、レギュレーション上は違わないけれども、そこの未知の対応というのを、どれぐらい遡れるかというところが2002年の議論、若しくは血液法ができるときの議論にもあったことを申し上げておきます。

 輸入してどうのというときに、もちろん国内自給のことをおっしゃっていると思うのです。それは一つの見識として私もそれはそうだと思います。重要なのは、献血か有償採血かなのです。有償採血を容認すれば、つまり輸入しているものは全て有償の採血なのです。日本は血液法で、国内での有償採血は禁じています。私は献血の方がいいと思いますけれども、国民の理解として、献血はどんどん減っているではないか、お金を払ってやればいいではないかということになれば、それは倫理的問題として、海外製品と日本製品には差がなくなる。日本もお金で買ったものですから、それは輸出してもいいではないかという議論になります。

 問題は、有償採血のものを、日本国内で禁止しているものを輸入しているというところで、献血による国内自給というのがWHOのレコメンデーションであるように、今のところは倫理的にそれが妥当ではないかということになっているわけです。根本的なことは輸出、輸入の話ではなくて、有償採血をどう考えるかということです。それは有償でもいいという考え方もあろうかと思いますし、私のように、やはりそれは献血で、共同体に対するリスペクトというもので、これは1億人のポピュレーションで、この献血システムがこれだけ供給しているというのは結構すごいことだとも言えますので、それはいろいろな先生方の議論を聞いて、また2002年からかなりの年月がたっていますから、現在的な議論というのはあってもいいと思います。

○半田部会長 過去から遡って現状を花井委員にサマライズしていただきましたけれども、いかがでしょうか。

○大平委員 ここの議論というのは、かなり経済コストの問題が言われていて、本来は一般医薬品と輸血用血液製剤の特殊性というものがきちっと議論されるというところから、国内自給の問題とかそういうのが出てくると思うのです。今は市場の中では血液製剤というのは余りボリュームを占めていないのかもしれませんけれども、血液というのは、何か事故があったり、また手術のときとか、いろいろな所で人間の一つの臓器の代用として使われているというところで、献血という思想がそこで伝わっていて、そして日本の献血推進というのが、この血液事業の一つの大きな旗印になっています。それをもとに血液事業部会とか、そういうものが開かれています。それで血液の安全性の問題とか、自給の問題とかがされていると思うのです。

 その中で、いろいろな血液にまつわる事件があり、そこの歴史の問題もあります。そして、その反省を基に、厚生労働省の玄関の脇に「薬害根絶誓いの碑」というのもできています。そこの経緯を踏まえて血液法というのが作られました。そして、血液法の中で、高い透明性とか、また倫理性というものを持って、この血液事業をいろいろな関係者がきちっと関与していくということがうたわれているわけです。

 ただ、先ほどの化血研の問題というのは、この血液事業の国内自給の問題というより、30年、40年のかなりの不正の問題として、そこを国がきちんと見抜けなかった。そして企業の体質としての問題というのがあるわけなので、そこはきちっと明確に分けて議論したほうがいいのではないかと思います。ただ、私個人としては、国内献血を進めていく中では、血液事業と血液法、それから日本の人たちが血液のリスク管理として国が、そこは守っていけるような体制を基盤としてきちっと保持していていただきたいと思います。

○三村委員 私が、前に血液分画製剤の議論に参加したときに、二つの異なるものが一緒に議論されなければいけないという難しさを非常に感じたところがあります。思いましたのは、もちろん献血でいくべきだという一つの原理原則があります。その前提に立ったときに、実は高コストという言葉が当然出てきます。それは経営的に一種の業務の改善で高コストにどう対応するかという要素と、それから先ほどの献血計画など検討をしていくと、どうしても社会的に高コストにならざるを得ない。そこのところにどうしても要求水準が上がってくるところがあります。

 やはり献血の体制とか、献血の振興、支援体制についても、もちろんそれは協力が前提だということも大事なのですけれども、やってくださいとお願いすればするほど、基本的に高コストになっていく。そして安全性を高めるということがあります。それはバランスの問題であるとともに、できるだけそこのところの社会的負荷をもう少し低くしていく、あるいは前提として一元化するとか、先ほどの話にしても全国統一のいろいろなプログラムを提供するという形の中でコストを下げていくという議論が必要なのだろうと思います。

 原料血漿については、国際競争力とか医療費の問題という全く別の議論が当然入ってきますので、それは基本的にやむを得ないところがあると思うのですが、血液事業全体においては、どうしても川上の所が相当に重い状況で今は作られているということだけは意識しながら、国民がどのようなことを求めているかということはあると思うのです。やはり、慎重に考えていくべきではないかと感じております。

○半田部会長 現在タスクフォースが立ち上がって、そのタスクフォースに非常に期待をさせていただくということです。非常にたくさんの貴重な御意見を伺いました。これは当然記録として残ります。事務局の方も、今の御意見等々を参考にしていただきたいと思います。時間が余りありませんので、当該需給計画案をお認めいただけますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは御了承いただけたということで、今後この計画案を告示するに当たり、厚生労働省の方で法令のチェックがあります。形式的な修正がある可能性はあります。その場合には部会長の私に一任していただければと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございました。

 それでは議題4に移ります。「平成27年度第2回安全技術調査会の審議結果について」です。これは、本年の2月24日に調査会が開かれ、その審議結果の報告です。本部会の委員の御意見も踏まえ、各項目の実施内容を検討していただきたいと思います。事務局から資料4-1の説明をお願いします。

○事務局 議題4ですが、平成27年度第2回安全技術調査会での審議結果を御報告いたします。まず、資料4-1を御覧ください。先週の第2回安全技術調査会にて、シャーガス病に対する安全対策の変更について審議されました。平成2410月より、献血時の問診で中南米で出生又は滞在歴があると申告された献血者の血液は、血漿分画製剤の原料血漿として利用する安全対策を行っております。さらに、平成25年1月からはT.cruziの抗体検査に御同意いただいた方の陽性率の疫学調査をしており、その結果を踏まえ、平成26年度第2回血液事業部会安全技術調査会にて、2009年WHO発表のガイドラインに沿った恒久的なシャーガス病に対する安全対策が示されました。その案のフロー図は別添1の資料を御覧ください。

 まず、該当地域を離れて6か月たっていることが採血の基本条件になりますが、この案では、抗体検査で陰性だった方で陰性履歴がある方は、その後、該当地域に連続4週間の滞在歴がなければそのまま普通に採血できるという形になります。

 しかし、精査したところ、こういう対策案のためにシステム改修に多くの費用と時間が掛かることが判明したということで、今回移行案が日本赤十字社から提案されました。それが裏のページの別添2のフロー図になります。この案におきましては、問診事項は一緒ですが、陰性履歴を付けないということで、採血ごとに抗体検査を全数検査するという案になります。先週の安全技術調査会で御審議いただいた結果、次の大規模システム改修で別添1のフロー図に合わせるまでの移行案として、別添2の案に関して、日本赤十字社の御提案どおり御了承いただきました。以上です。

○半田部会長 シャーガス病に対する安全対策移行案ということです。いかがですか。ただいまの説明について、御意見、御質問等々ございますか。

○倉根委員 移行案は分かりました。別添1の陰性履歴というのは、この場合は献血者の申請になるのですか。記憶等ですか、それとも記録として残っているかどうかという話でしょうか。

○日本赤十社佐竹経営会議委員 これは前の献血のときの抗体の陰性の履歴です。

○倉根委員 そうすると、記録として残っているということですか。

○日本赤十社佐竹経営会議委員 そうです。

○半田部会長 よろしいですか。ほかにいかがですか。特にありませんか。ありがとうございました。それでは、シャーガス病の安全対策を、是非、事務局の方は進めていただきたいと思います。それでは、続きまして、資料4-2「HEV感染実態調査について」お願いします。

○事務局 資料4-2「HEV感染実態調査について」を御覧ください。平成17年に献血血液を使用した全国の抗体検査が行われ、東京地域で陽性率が8.6%と最も高かったため、当時、HEV-NAT検査が行われました。ALT正常で、ほかの血清学的検査陰性の献血検体4万4,332本を20本プール検体によるHEV-NAT検査を行ったところ、3本が陽性で、全てジェノタイプ3でした。その陽性頻度は1万4,777本中に1本という結果でした。その結果に関しては、平成18年の安全技術調査会で報告されました。

 一方、北海道では陽性頻度が7,717分の1ということと、ジェノタイプ4が散見されたことから、その後も試行的にHEV-NAT検査を継続しておりました。平成26年8月には個別NATが導入され、約130倍に感度が上昇したことで、陽性率が3,310分の1と上昇していることが、運営委員会等で報告されてきました。今回、前回調査から10年たっていること、慢性化例の報告もあることから、安全対策について再検討するために東京地域での感染実態調査を再度実施する案が提出され、審議されました。

 2ページを御覧ください。調査の詳しい内容についてですが、1万5,000検体を約4か月かけて今月末から実施する計画となっております。対象とするのは200mL400mLの全血献血と血漿成分献血で、(HBV,HCV,HIV)NATが「陰性」の検体です。今回の陽性検体数は3,0005,000本に1本と試算されております。

 4番の「検査陽性例への対応」についてですが、陽性結果の通知、採血日から6か月間の献血自粛、喫食歴の調査も行われます。陽性となった検体については研究等に使われることになります。遡及調査に関しては、「血液製剤等に係る遡及調査ガイドライン」に基づき、遡及期間を6か月として実施されます。なお、追加検査ですが、遺伝子型検査、ウイルス濃度検査、あとはウイルス抗体価検査としてIgG,IgM・IgAの抗体価検査が行われます。調査会では、以上の内容で委員の御了承を得られております。

○半田部会長 資料4-2「HEV感染実態調査について」御報告いだきましたが、当該調査について、御意見あるいは御質問はいかがですか。

○花井委員 今まで北海道だけだったのが、今、いわゆる生肉を、野生動物を食べるというブームもあって、本州の方は大丈夫なのかというところです。東京都でやるとすれば、どういうグループをするか。つまり、北海道のデータと比較できる形でデータを取っていただけるのだと思いますが、そういう理解でいいのですね。例えば、住所地を区切るのかどうか。このぐらいのサンプル数だと幾つかのサブグループに分けて比較するとか、そういうことはどのような形で考えておられるのですか。

○日本赤十社佐竹経営会議委員 これは取るサンプルは東京都内の献血ルームでのドナーが対象になります。ですから、そのほとんどは東京都内に在住の方と、あとは神奈川県、埼玉県の辺りの在住の方も一部含まれます。ただ、これはその検査に2倍の時間が掛かることから、血小板の出荷に非常に大きな影響が出てきますので、血小板のドナーは外さざるを得ません。そういった幾つかの制約があります。

 あともう一つの大きな制約は、献血の現場であらかじめ年齢や性別等を区別して、目的とする献血、検査する献血を選ぶことは、現場に非常に大きな混乱をもたらすので、それはできませんので、集まってきた検体の属性を後で調べて、それを北海道に当てはめて、北海道のデータをそれと比較するという形をとることを考えています。

○半田部会長 ほかにいかがですか。

○田野崎委員 HEV感染の実態に関して、例えば、私ども骨髄移植などをしている所では、抗体では分からない状況があるのではないかと思います。実際には輸血をたくさんしていて、その後に、数箇月たって、結局、非常に重篤な肝障害で亡くなる方はたくさんおられるのですが、どのタイミングでこの検査をしていいのかとか、どういう検査をしていいのかというのが実際分からない。そういうようなものを、もし可能であれば、輸血歴、あるいは輸血をいっぱいやっているような患者について、日赤にそういう検査の窓口を作っていただいて、輸血の実際のタイミングとは少しずれて肝障害が起こったような患者に関して、数も限られていると思いますので、日赤で是非とも検査をしていたくようなことができれば、移植を受けた方でのHEV感染の現状が明らかになるのではないかと思うのですが、そういうことは可能でしょうか。

○日本赤十字社佐竹経営会議委員 それはスタディとしてでしょうか。

○田野崎委員 いろいろな議論の中で、ドナーでの陽性率とか何かが今はまずベースにあって、それについていろいろな議論がされていると思うのです。この比率が非常に少ないということも分かっていますし、重症化する例が少ないことも大体分かっていますが、ただ、実際に今言った免疫不全の患者の実態は分かっていないので、このまま費用対効果みたいな形で、それほど問題がないという議論でそのまま終わってしまうと、実態が分からないということにもなると思うので、半分はスタディですが、地域を決めての実態調査的なことが可能かどうかということです。

○日本赤十字社佐竹経営会議委員 ありがとうございます。なかなか困難な問題ですが、おっしゃることはよく分かります。これまで大体16年間に、今おっしゃったHEVの重症例は実は2例しかありません。2人とも血液、内科系の患者です。あと3人がバイレミア(ウイルス血漿)が長期続いたという患者ですので、その3人も含めて重症例は16年間に5例です。

 ですので、なかなか大変ではあるのですが、ただ、実態という意味では、実際にどのぐらい免疫抑制された方の中で長期のバイレミア(ウイルス血漿)が続くかということを見ることは、プロスペクティブスタディをしないと全く分からないことです。私が先ほど申しました5例は全部レトロで、しかもpassiveHemovigilanceで上がってきたデータです。それはあくまでもこちらから前向きにやった調査ではないので、全く実態を反映していないというのは先生のおっしゃるとおりです。ですから、そういったスタディを組んで前向きの調査をするというのは、大変大事かと思います。実際にイギリスでそれをやったわけです。やったというか、やらざるを得なかったところがありますので、そういうことも考えてみたいとは思います。

○半田部会長 よろしいですか。ほかにいかがですか。

○岡田委員 免疫不全症で抗体も作らないという方は難しいのですが、HEVのIgAの抗体というのは保険で認められておりますので、まずそれを測って、それで陽性だったら感染していると分かるし、陰性の場合に抗体を作らないほどの免疫抑制ということも考えられますので、そういうときに核酸増幅検査などということになると思いますので、最初は抗HEVのIgAを保険で測るのが簡単かと思います。

○田野崎委員 その辺は理解しているつもりですが、実際の陽性率はかなり低かったり、持続感染ということが免疫不全ではあり得るのではないかということも指摘されていると思いますので、肝障害だけ進んでいくケースなどの場合には、PCRまでNATしないと分からないのではないかというケースは結構あると思います。

○半田部会長 よろしいですか。ほかにありますか。それでは、ただいまの御意見等々は参考にしていただいて、対応を進めていただければと思います。

 それでは、資料4-3「ALTの検査について」です。事務局より御説明をお願いします。

○事務局 資料4-3「ALT検査による製品除外の見直しについて」を御覧ください。non-A non-B型肝炎の代替マーカーとして、1981年にALT検査が導入されたのですが、その後、1989年にHCV抗体検査とHBc抗体検査、1999年にはプール検体によるHBV、HCV、HIVの核酸増幅検査、いわゆるNAT検査が世界に先駆けて導入されております。

 平成24年8月にはHBc抗体の1.0以上、かつHBs抗体価200mIU/mL未満のHBV感染既往を示す献血血液についても「不適」として厳格化を行い、更に平成26年8月に個別NATシステムを導入して、安全性の向上が図られてきたところです。

 現在までALT61IU/L以上の血液を「不適」として、年間12万~15万本の献血血液が製剤として使用されてこなかったのですが、血液の安全性が飛躍的に高まったことから、non-A non-B型肝炎等の病原因子の代替マーカーとして30年以上前に導入された、このALT検査による製品化除外の自主基準を見直すことが、日本赤十字社より提案されました。一方、献血者への生化学検査サービスとしてのALT検査は継続されます。

 昨年9月4日開催の平成27年度第1回血液事業部会安全技術調査会においては、なお一層のデータや資料の集積、段階的な廃止が可能かどうかの検討を求められたことから、2月24日の第2回安全技術調査会では、関連する過去の研究論文や資料を整理して、ALT検査に対する考え方をまとめて発表していただきました。研究の論文に関しては2~7ページを御覧ください。

 8ページの日本赤十字社からの最終提案ですが、献血に御協力いただいている献血者の善意にできるだけ応えるため、最終的にはALT値による製品化除外の全廃を目指すものの、まず除外基準を、現在医療機関への受診勧奨を行っている101IU/Lに設定し、その安全性に対する影響を見ながら、段階的に廃止に移行していくという内容です。この基準では、年間約10万の血液、全血液の2%に当たりますが、これが新たに製品化されることとなります。ALTによるスクリーニング検査は、米国FDAは1995年に中止しており、WHOも2009年のリコメンデーションの中でも推奨しておりません。現在ALTを検査項目に入れていることが確認されているのは欧州46か国中ではロシアとルーマニア、アジアでは台湾と韓国であり、また米国赤十字においては、ALT検査を中止しても、高感度検査法の導入後はHCVのすり抜け感染事例や予期せぬ肝炎の伝播は1例も起きていないという報告もあります。

 先週の安全技術調査会で御議論していただいた結果、委員の先生方からは、血漿分画製剤メーカーへの情報提供及びその後の影響についてのフォローを続けることを条件に、製品除外基準を101IU/Lとすることで御了承を頂きました。以上です。

○半田部会長 ALTの製品除外基準の見直しということで説明いただきましたが、いかがでしょうか。御意見、御質問等々はございますか。

○大平委員 ALTの検査についての除外というのは、安全技術調査会の方でいろいろ議論されていて、報告という形で来ているわけですが、それを良しとすれば、逆にここには2%ぐらいの血液は有効利用ができると書かれていますが、これは関係ない項目かもしれませんが、無駄と言ったら語弊があるかもしれませんが、もう少し有効的に、ほかの方法でも、ほかのいろいろな献血者の排除の中で、それを利用できる範囲が何かあるのでしたら、献血者が少なくなっていく現状としては、そういうものも日赤としていろいろな方法を見付けていただきたいと思います。

 この献血排除の中からどのような救えるものがあるのかどうか。また、先ほどタスクフォースの方の資料の関連で委員限りの資料として出てきたわけですが、そこにコストの問題として、それにどういう方法があって、原料血漿としてコストが削減できるかどうかについても、何か御提案があったら、今回でなくても結構ですので、今後の血液事業のコスト高にならないような方法を、是非考えていただけたらと思います。

○日本赤十字社日野総括副本部長 どうもありがとうございました。すぐにできる方法ではないのですが、例えば置換血小板というものを検討しております。それは主に10単位の血小板であれば容量は200mL程度ですが、そのうちの60%程度は外に別のバッグに出すことができると思いますので、容量的には120mL100mLになるかもしれませんが、その血漿を分画用に転用することは可能だと思います。

 もう一つ、PPP採血の方は600mLまで体重別で採血できるのですが、PCプラスPPPという、血小板と血漿を採血しているのですが、PPPの部分についても、もう少し容量が多く採血できないかという検討をしているところですので、大平先生がおっしゃるように、なるべくコストが掛からない形で検討をしております。ただし、日赤の方もいろいろとそういった削減の努力はしておりますが、それはそれである程度限界もあると思いますので、そういったところでまた御相談させていただければと思います。 

○半田部会長 大平委員の御質問は、例えばALTを削除してしまう、それがコストに関わってくる、コスト減になるのではないかと。でも、ALTというのは、むしろ研究者の方の現行の指標としてやはり使っていくということですね。ですから、その辺のところも御資問されたのではないかと思います。

○大平委員 単純に献血者の増加が見込まれるというところと、それのコストの問題とを、ではどのように整合性を合わせていくのかを考えていただくところだと思います。そのほかの問題として、何かいろいろな形として削れる所があるのか、それとも献血者の割合を増やすことができるのかどうかを、日赤の方で考えていただけたらということです。

○日本赤十字社佐竹経営会議委員 よく分かりました。ALTに限らず、例えばマーカーについて、無駄な所というか、もう少し詰められる所があればそこをつかんでというところですね。

 それから、マーカーだけではなくて、採血の基準、あるいはドナーの適格性のところでの余計な制限といったものがないかどうか、その辺は詳しく見ていき、そのようなことをしていきたいと思います。その中ではALTが、製品化できなかった圧倒的に大きなところだったものですから、これを認めていただければ献血者にも大変大きなことではなかったかと思います。

○半田部会長 確認ですが、ALTは将来的には項目として廃止することも考えておられるのですか。

○日本赤十字社佐竹経営会議委員 項目というのは。

○半田部会長 いわゆる健診のマーカーとしてのサービスです。

○日本赤十字社佐竹経営会議委員 サービスとしてはずっと続ける予定です。

○半田部会長 ほかにいかがですか。ALTの基準ですね。よろしいでしょうか。それでは、ただいまの御意見を踏まえまして、御対応をよろしくお願いいたします。

 続きまして議題5のジカウイルスについてです。御説明をよろしくお願いします。

○事務局 お配りした最後に資料5があります。ジカウイルスに対する対応について御報告をさせていただきます。2月1日にジカウイルス流行地域における小頭症と神経障害に関するWHO緊急委員会が開催され、小頭症及び神経障害の集団発生に関する「国際的に懸念される公衆の保健上の緊急事態」が宣言されました。ジカウイルス感染症については、輸血などによる感染の可能性が指摘されていることから、日本赤十字社に対して、海外渡航歴を有する者等からの採血に当たっては、献血受付時の問診等、感染被害の防止に万全を期すよう、2月3日に血液センター等への周知徹底をお願いしたところです。

 具体的には、平成16年7月の「ウエストナイルウイルス等の輸入感染症対策に係る採血禁止期間の変更について」の通知に基づいて、現在も海外からの全ての帰国者に対して、帰国後4週間の献血延期をお願いしてきたところです。また、ジカウイルス感染症が、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律、いわゆる「感染症法」の4類感染症に規定されたことを受け、国立感染症研究所から地方公共団体に対して、平常時の蚊対策や、デング熱やジカウイルス病等の国内感染事例が発生した場合についての手引が配布されております。委員の先生方のお手元には、WHOから2月18日に出された「ジカウイルス流行に伴う安全な血液の安定供給に関しての推奨案」と、国立感染症研究所より2月12日に発行された「デング熱・チクングニア熱等蚊媒介感染症の対応・対策の手引き(地方公共団体向け)」を配布しておりますので、適宜御参照いただければと存じます。以上です。

○半田部会長 トピックスになっているわけですが、御質問、御意見はいかがですか。WHOからのそのような推奨があるということです。これは日本赤十字社では、現場で具体的な対応というのは、特別なことはやってないということですね。

○日本赤十字社佐竹経営会議委員 はい、これまでと変わることはありません。4週間の献血禁止期間は以前からずっと続いております。

○山口委員 多分、ウエストナイル熱のときもやっておられたと思いますが、輸入された直後のものは、多分、今の献血制限でいいのだと思いますが、一昨年のように、アウトブレイクが起こってしまったときに、少量であれば蚊がそれほど飛ぶことはないので、地域の限定で行くと思うのですが、アウトブレイクが広がったときのために、試験法の開発というか、検査法の開発はもう進んでいるのでしょうか。

○日本赤十字社佐竹経営会議委員 それはスクリーニングとしての検査法ですか。それは世界のどこでも今はまだやっていないと思います。スクリーニングではなくて、ラボレベルでのものについては、もちろん感染研には既にありますが、我々の方でもできておりますので、検査はできる状況にあります。

○倉根委員 感染研の倉根です。感染した方をコンファームする、診断するという意味では、現在の方法があると思います。ただ、大量の血液の中にあるのかないのかというのは、患者あるいは感染した方をコンファームするというのとは、またちょっと違うことが求められると思います。そういう意味では、我々の方も今後開発しようとは思っております。テクニックは同じだとしても、そこに更なる技術の積み上げというかコンファームが必要になると思いますので、そういうことは申し述べたいと思います。

○半田部会長 よろしいですか。それでは、事務局におかれましては、これからまた世界的な状況が変わると思います。そういうところも考案していただいて、対応していただければと思います。ありがとうございました。

 本日こちらで用意した議題は以上ですが、そのほかに何かありますか。

○日本赤十字社佐竹経営会議委員 最後に、ジカのことに関してですが、取りあえずこちらでの対応は、先ほどの報告にあったとおりです。一番大きな特徴は、ジカの広がり方、それから、いろいろな最近出てくる知見等が、極めて速いスピードで変化しております。そういう意味では、ここで決まったものが最後までということではなくて、そのときのどこまでエンデミックになったかとか、どういった病気が発生するかといったことによって、そこを非常に注意しながら対応策を考えていかなければならないということがありますので、ここではこうであっても随時変わっていくことがあり得ますし、そうでなければならないかと思っています。

○半田部会長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。それでは次回の日程等々については、後日事務局から御連絡をお願いしたいと思います。本日いただいた御意見に関しては、一部に関しては私と事務局で相談させていただいて、最終答申案を作りたいと思います。本日はありがとうございました。


(了)

備考
本部会は、公開で催された。

連絡先:医薬・生活衛生局 血液対策課 課長補佐 近藤(2905)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(血液事業部会)> 薬事・食品衛生審議会 血液事業部会 議事録(2016年3月2日)

ページの先頭へ戻る