ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(介護保険部会)> 第57回社会保障審議会介護保険部会 議事録(2016年3月25日)




2016年4月22日 第57回社会保障審議会介護保険部会 議事録

老健局総務課

○日時

平成28年4月22日(金)9:00~12:30


○場所

厚生労働省 講堂


○出席者

遠藤、阿部、伊藤、岩村、内田、大西、黒岩(代理:小島参考人)
小林、齋藤(訓)、齊藤(秀)、佐野、鈴木(邦)、鈴木(隆)、鷲見、陶山
武久、土居、栃本、馬袋、花俣、東、藤原、桝田の各委員
(井上、岡委員は欠席)

○議題

1 地域の実情に応じたサービスの推進(保険者機能の強化等)

○議事

○日原総務課長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第57回「社会保障審議会介護保険部会」を開催いたします。

 委員の皆様方におかれましては、大変お忙しいところをお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 議事に入ります前に、私どもの局長の三浦より一言御挨拶をさせていただきます。

○三浦老健局長 おはようございます。老健局長でございます。

 審議会の開催に先立ちまして、一言、このたびの熊本地方を震源とする地震の災害につきましてお話を申し上げたいと思います。

 まずは、この災害で亡くなられた方につきまして心から御冥福をお祈り申し上げたいと思います。また、被災者の皆様にお見舞い申し上げますとともに、私ども行政も全力を尽くして被災者の支援に力を注いでおりますし、また、これからもそのような方針で進めていきたいと思います。

 この被災者の支援に当たって、きょうおいでの関係者の団体からも大変な御尽力をいただいております。改めて御礼を申し上げますとともに、今後引き続き多様な御支援をお願いいたしたいと思っております。

 現地は、初期の段階を過ぎつつあると思っております。これからいよいよ息の長い支援が必要な段階に入るのではないかと思っております。そのような観点から申し上げますと、特に、いわゆる災害弱者と言われるような配慮を必要とされる方々に対する手厚い対応というのも重要な観点でございまして、私ども老健局も、要介護者のみならず多くの高齢者がおられますので、引き続きそのような方々を含めて幅広い支援をしていきたいと思っております。

 そういう意味で、私どもが関係する分野での役割というのはますます重くなってくると思います。関係の皆様方の御協力をお願い申し上げて、簡単ではございますが、御礼とこれからの御協力に関するお願いを申し上げた次第でございます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

○日原総務課長 報道関係の方に御連絡いたします。冒頭のカメラ撮影はここまででございますので、御退席をお願いいたします。

(報道関係者退室)

○日原総務課長 それでは、以降の議事進行は遠藤部会長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○遠藤部会長 皆様、おはようございます。

 それでは、議事に移る前に、本日の出欠状況について御報告をしたいと思います。

 本日は、井上委員、岡委員、黒岩委員から御欠席のお言葉をいただいております。

 黒岩委員の代理としましては、小島参考人が御出席でございますので、お認めいただければと思いますが、よろしゅうございますか。

(「異議なし」と声あり)

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、議事に移らせていただきます。

 本日の議題は「地域の実情に応じたサービスの推進(保険者機能の強化等)」ということで資料が出ております。

 資料1「保険者等による地域分析と対応」

 資料2「サービス供給への関与のあり方」

 資料3「ケアマネジメントのあり方」

 この3つの資料が出ておりますので、事務局より説明をいただいて、その後で御議論いただければと思います。

 まずは、資料1と資料2は多少関係もありますので、この2つを一くくりにして御説明をいただければと思います。

 事務局、お願いいたします。

○竹林介護保険計画課長 おはようございます。介護保険計画課長でございます。私からは、資料1に沿いまして「保険者等による地域分析と対応」について御説明させていただきたいと思います。

 お手元の資料1と、これに関係しますいろいろなデータを、後ろのほうにございます参考資料1にいろいろまとめておりますので、この参考資料1もお手元に置いていただいて御説明を聞いていただければと思います。

 それでは、まず資料1をおめくりいただきまして1ページ目でございます。

 皆様、御案内のとおり、介護保険制度は創設から16年がたちまして、サービス利用者は創設時の約3倍、500万人に達しております。今では、介護が必要な高齢者の生活の支えとしてなくてはならない制度となっておると思っております。

 2つ目の○です。一方、高齢化に伴いまして、費用総額も創設時から約3倍の10兆円、そして保険料は現状で全国平均5,514円、2025年度には全国平均8,165円といったことが見込まれております。

 3つ目の○です。引き続き高齢者の自立支援、あるいは要介護状態となることの予防・軽減・悪化の防止といったこの制度の理念をしっかり守って必要なサービスを提供していくことが必要ですが、そのためには、同時に制度の持続可能性を確保していくことが重要な課題になっていると承知しております。

 4つ目の○です。現在、各市町村が事業をしていただく中で、要介護認定率、1人当たりの介護費用、あるいは施設と在宅のバランスといったものにつきましては地域差が生じている状況にございます。御案内のとおり、介護保険制度の中には、保険者の差が余り生じないようにする仕組み、例えば全国一律の要介護認定の基準でありますとか区分支給限度額といった仕組みもございますし、地域差が必然的に生じる要素、例えば地域によって高齢化の状況が違う、都市部・山間部といった地理的条件、あるいは独居・三世代同居といった家族構成の違いといったものがありますので、地域差があるというだけで問題があるわけではございませんで、多角的な地域分析が必要と考えております。

 5つ目の○です。このため、現在、国では地域包括ケア「見える化」システムというものを順次拡充しており、保険者がみずからの状況を他の保険者と比較分析できるようなツールを提供しております。今年の7月からは、地域差の中で最も大きな影響があります高齢化の状況を調整して、高齢化の状況が一緒であればどうなるかといった要介護認定率、1人当たり給付費のデータなどを提供する予定でございます。

 次の2ページでございます。2つ目で、現行制度における市町村、都道府県の役割を整理しております。

 御案内のとおり、介護保険制度では、市町村が保険者、国と県が重層的に支えるという仕組みになっております。

 これは2つ目の○ですが、制度創設時にさまざまな議論があり、介護サービスの地域性とか、老人福祉事業等をされてきた実績、あるいは地方分権といったことを踏まえまして、国民に最も身近な行政単位として市町村が保険者とされたものであり、現在、事業計画を策定していただき、保険料を設定していただいております。

 市町村は、このような保険者として、地域の実情に照らしながら、限られた財源を最も効果的・効率的に活用していただく役割、いわゆる保険者機能を担っていらっしゃると思っております。

 一方、4つ目の○でございますけれども、都道府県におきましては、介護保険法で必要な助言、適切な援助を行うということが定められており、現在、事業支援計画を策定していただいております。

 このほか、財政安定化基金の設置、事業者の指定といった役割を担っていただいております。

 続きまして、3番目、計画の関係でございます。市町村の事業計画におきましては、サービスの種類ごとの量の見込み、あるいは地域支援事業の量の見込みということで、現在の計画ではそのようなサービスがどう伸びていくかという量的な見込みを書くことのみが必須の記載事項とされており、おめくりいただきまして3ページ目ですが、その他の事項につきましては任意記載事項という位置づけになっております。

 現在、この計画の点検・評価はそれぞれの自治体でしていただいておりますけれども、必ずしもPDCAサイクルが十分な状況とは言えないと考えております。

 参考資料の13ページをごらんいただければと思います。国のほうで各市町村にアンケートをとったところ、例えば1にございますように、前の計画の達成状況の点検・評価を行っていただいたところが約半分ございますが、今後とも行う予定はないというところも4分の1ほど占めておられます。

 4にございますように、計画の進捗管理を行う上での課題をお尋ねしたところ、例えば1の分析の事務量の問題でありますとか、3の進捗管理のノウハウが不足している、あるいは4の統計データの分析能力が不足しているといったお答えを半数以上の自治体からいただいているところでございます。

 資料1の3ページに戻ります。2つ目の○ですが、都道府県の計画におきましては、こちらは施設や居住系のサービスを中心としたサービスの種類ごとの量の見込みのみが必須記載事項となっておりまして、その他の事項は任意の記載事項でございます。

 この県の計画の点検・評価の状況は先ほどの参考資料1の14ページに整理しております。また、市町村のPDCAサイクルへの支援については、この参考資料1の15ページにまとめておりますけれども、こちらでも取り組み状況にはやはり濃淡があるという形になっております。

 参考資料1の15ページをごらんいただきますと、どのような保険者支援をしていただいたかということにつきまして整理をしております。3で、国の説明会の内容を伝達というのはほとんどの県がしていただいておりますが、それ以外の県独自のいろいろな支援となりますと、都道府県によって取り組み状況に差がございます。

 5で保険者支援に関する進捗管理を行う上での課題をお尋ねしておりますが、市町村と同様、分析の事務量の問題、あるいは3の進捗管理のノウハウの問題、4の統計データの分析能力の問題などについて、半分以上の都道府県からそういった課題が挙げられております。また、一部の都道府県からは、都道府県の権限が十分でないといったお答えもいただいているところでございます。

 資料1に戻ります。おめくりいただきまして、4ページになりますけれども、介護給付費の適正化事業の関係でございます。現状、介護保険制度の中で、保険者である市町村と都道府県が一体となって給付適正化事業を行っていただくことになっております。

 2つ目の○でございますが、平成20年度からは、国が指針を定め、これに基づき各都道府県が目標等を定めた介護給付適正化計画を策定していただくことになっております。

 3つ目の○ですが、市町村が行う適正化事業といたしまして、下に※で書いておりますけれども、要介護認定の適正化、あるいはケアプランの点検といった主要5事業を中心に、これをやっていただく場合には地域支援事業のうちの任意事業という位置づけがございます。市町村の御負担だけではなくて、県や国の公費、あるいは1号保険料なども活用して取り組んでいただけるようになっております。また、都道府県におきましては、国の補助事業を活用していただいているところでございます。

 4つ目の○ですが、現状では必ずしも全ての市町村でこれが実施されているわけではございません。代表的なケアプラン点検ですと約6割の自治体で実施されておりますが、4割の自治体では実施されておりません。実施しない理由をお聞きしましたら、主に担当職員の不足、平常業務が多忙であること、あるいは専門的な知識を有する職員が不足していることなどが挙げられているところでございます。

 資料1をおめくりいただきまして、5ページでございます。こうした状況の中で、先進的に取り組まれている自治体の状況もございます。

 1つ目の○の2行目でございますけれども、保険者のしっかりしたリーダーシップのもとで多職種連携等の先進的な取り組みを行う市町村もございます。また、都道府県の中では、好事例を県内に普及・展開していく取り組みをしっかり行っていただいているところも存在しておりまして、こうした自治体では、全国的に高齢化に伴って認定率などが上がっていく中で、取り組みを通じて低下をさせるといった成果を上げていらっしゃるところもございます。

 この具体的な例につきまして参考資料1のほうにかなりたくさん載せさせていただいております。まず、資料の22ページから幾つかの市町村の例を載せさせていただきました。これは北海道から始まる市町村コード順に並べてございます。

 最初に、22ページ、埼玉県の和光市さんの例でございます。和光市さんでは、全ての高齢者の方にアンケート調査を送って、圏域ごとにどういった高齢者がどういった課題を抱えているか、全数調査でニーズをしっかり把握し、計画に反映していただいております。また、右下にあります和光市コミュニティケア会議というものが大変有名でございますけれども、多職種の方が集まって、要支援の方のケアプランをどうやったら半年後、1年後に介護保険サービスを使いながら自立していただける状態に持っていけるかを皆さんでチェックをしていく仕組みをしっかりさせていただいていると承知しております。

 参考資料の24ページになります。これは和光市さんのつくられた資料ですが、上のほうに前の第5期の介護保険事業計画が載っております。高齢化の状況などに伴って自然体で要介護認定者等がどうふえていくかということにつきましては黄色いグラフとなっております。これに対して、取り組みを通じて黄緑のグラフのところまで認定者数を抑えることができるのではないかといった予測を立てておられ、かつ、実際は紫のところで、実績はそれをさらに下回るところで推移されております。

 第6期の今の計画でも介護予防の効果を見込んだ計画を立てておられます。その結果、和光市の保険料につきましては、第5期でも、一番下の行の右にありますが、全国平均が4,972円である中で4,150円ということで約800円安い水準でございましたけれども、今回の第6期に至っては全国平均よりも1,300円ぐらい下回る水準の保険料設定をされていらっしゃるところでございます。

 また、28ページからは武蔵野市さんの例を載せております。武蔵野市さんでは「ケアマネジャーガイドライン」をつくっておられたり、30ページでございますけれども、ケアプラン指導研修といったものをしっかりされておりまして、ケアマネジャーの質の向上、あるいはケアプラン作成のスキルアップを保険者主導でしっかりされていると承知をしております。

 また、34ページからは、藤原委員の御地元の川上村の取り組みを取り上げさせていただいております。川上村では、34ページの右下にございますけれども、健康老人率という川上村独自の数値目標を立てられていまして、これで進捗管理をされております。

 また、35ページからヘルシーパーク構想を載せさせていただいております。私も先日、視察に行かせていただきましたけれども、こちらは、保健・福祉・地域医療を1つの建物の中で一体的に提供されている総合健康基地でございまして、この中で多職種の連携をしっかりされる会議なども開かれているということでございます。介護保険ができる前、平成5年からこういう構想を順次実現されていると承知をしております。

 また、38ページからは岐阜県大垣市の取り組みを載せさせていただいております。

 参考資料1の39ページになりますけれども、大垣市の取り組みを整理しております。基幹型の地域包括支援センターを市がしっかり運営するとともに、行政と関係機関の協働の仕組みをしっかり構築し、また、住民の活動を活性化して行政が黒子に徹するといったような取り組みをされているところでございます。

 また、44ページからは、大西委員の御地元の高松市の取り組みについて御紹介をさせていただいております。45ページになりますけれども、高松市さんでは高齢者の見守り事業といった体制もしっかり組まれておられます。

 また、47ページでございますけれども、高齢者の居場所づくりというもの、介護予防や健康増進、ボランティアの活動拠点としての居場所づくりというものにしっかり取り組んでおられます。このような活動に参加された方の介護保険の認定率は、一番右下にございますけれども、平均的な高齢者に比べて10分の1になっています。このような成果を上げていらっしゃると承知しております。

 また、48ページからでございますが、都道府県レベルで大分県さんの取り組みを紹介させていただいております。大分県さんでは24年度から本格的に取り組みをされております。最初はまず、モデル3市ということで、まず豊後高田市等の3つの市でしっかり実績を上げた後、全県下に展開していくという手法をとっておられます。大分県さんでは和光市さんのやり方をかなり参考にされておられるようです。県のほうで音頭をとってそういったところからの講師の派遣をやったり。あるいは、和光市さんの取り組みは、地域ケア会議を回す際に、PTOTあるいは栄養士といった専門職種の方々に参加していただくことがキーになっているわけですけれども、市町村レベルですと、そういった専門職種との連携もなかなか難しい場合があるということで、県の単位で関係団体が組織されている場合が多いので、県が音頭をとって関係協会に協力を要請し、県内各市町村で開かれる地域ケア会議に、第1・第3水曜日はこの市、第2・第4木曜日はこの市に専門職派遣をしてくれといったようなコーディネートを県が主導でされていると承知しております。

 こういった取り組みを25年度、26年度、27年度と強化されてきて、その結果といたしまして、54ページに大分県全体の要介護認定率の推移がまとめてございます。大分県は全国でも高齢化率の非常に高い県でございます。従来は、全国平均の要介護認定率よりも2%以上高いような状況がございましたが、取り組みを開始した24年度以降、大分県の平均の認定率は低下傾向を見せておりまして、足元ではほぼ全国平均並みにそろってきているということでございます。

 また、55ページになりますけれども、これまでの取り組みの成果を幾つかまとめておられます。5つ目の➣、赤字で書いておりますけれども、第5期計画から第6期計画に至る保険料の上昇額あるいは伸び率を全国で最も低い水準に抑えることに成功されていらっしゃるところでございます。

 また本体資料に戻っていただきまして、5ページの6.になりますけれども、昨年の6月の「骨太の方針2015」あるいは昨年の12月の「経済・財政再生アクション・プログラム」といったところでもこのような取り組みについては言及がございます。6.の2つ目の○でございますけれども、「アクション・プログラム」の中では、先ほど申し上げましたような地域差の「見える化」とデータ分析を進めた上で、各保険者において給付適正化の取り組みを進める。さらにこれを進めるために、分析結果を活用した計画のPDCAサイクルの強化、保険者機能の強化、そして市町村による給付適正化に向けた取り組みへのインセンティブづけなどに係る制度的枠組みについて関係審議会等において検討し、ことしの年末までに結論を得て、法改正を要するものは来年の通常国会に法案提出をする。このようなスケジュール感が示されているところでございます。

 これらを踏まえまして6ページをごらんいただきたいと思います。今後御議論いただきたい論点を整理させていただいております。1つ目の○は総論的なものでございますけれども、今後、保険料の上昇が見込まれ、地域によって高齢化のスピードなどが違う中で、この計画のPDCAサイクルをしっかり回し、保険者機能、あるいは県による保険者支援機能をどのように強化していただくのかということでございます。

 2つ目の○でございます。先ほど御紹介したような高齢者の自立支援や介護予防に関する先進的な自治体の取り組みにつきまして、私どもが共通のポイントとして抽出いたしましたのは、保険者がしっかりとした目的意識・意思を持って、つまり、保険者がリーダーシップを持って取り組まれているということ、あるいは、地域の状況の実態把握・分析・課題抽出をしっかりされているということ、取り組みのノウハウを組織で共有され人材育成をされているということ、専門職能団体との連携をしっかりされているということ、あるいは介護予防等に関して住民の意識をしっかり切りかえていっていただいているということ、このような精巧なポイントがあるかと思いますけれども、こういったことを踏まえまして、点の取り組みを全国の取り組みに広げていくためにはどのような制度的対応が必要となるかという点でございます。

 3つ目の○でございますけれども、保険者が、今、地域分析を進めるための地域包括ケア「見える化」システムを効果的に活用するためにはどのような改善や仕組みが必要かといった点でございます。

 4つ目の○でございますが、保険者の取り組み状況をどのような指標でその進捗を図ることができるかということでございます。それぞれの取り組みがどれぐらい進んだかというアウトプットの指標、あるいは取り組みの結果としてその成果をはかるアウトカムの指標、例えば要介護認定率がどれぐらい改善したかといったもの、あるいはその組み合わせ、どのようなことによってその取り組みをはかるのがよろしいかということでございます。

 5つ目の○でございます。先ほど見ていただきましたように、ノウハウの不足あるいは人員の不足といったことで取り組みがなかなか進まないとお答えになっている市町村もたくさんございました。そういった中で、保険者の機能を発揮していただくために、国としてどのような支援を行うべきか、あるいは県の助言や援助の機能をどのように強化、具体化していくべきか。また、保険者相互の連携としてどのような取り組みが考えられるかといった点でございます。

 最後に、6つ目の○になります。保険者がこのような取り組みをしっかり進めるためのインセンティブとしてどのような仕組みが考えられるかということでございます。

 私からの説明は以上でございます。

○辺見振興課長 続きまして、資料2について説明をさせていただきます振興課長でございます。

 資料2及び参考資料2をお手元でごらんいただければと思います。

 まず、資料2の表紙をおめくりいただきまして1ページ目でございます。介護保険のサービス提供につきましては、先ほど資料1の中で説明がありましたように、介護保険事業計画の中でそのサービス量の見込み等を規定することになっておりますけれども、個別のサービス事業者につきましては、人員基準、設備基準等の基準を満たした事業者からの申請を受けて指定する形、また申請をされた場合には、原則、指定基準に合う場合には指定を行うという仕組みとなっているところでございます。

 そうした中で、それぞれのサービスが介護保険事業計画の計画値を上回る場合に、介護保険の3施設(特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護療養型医療施設)につきましては、介護保険制度創設当初から、介護サービスの供給量をコントロールする手段として、一定の場合に指定の拒否を可能とする総量規制の仕組みが設けられております。この仕組みは、平成17年の改正によりまして特定施設入居者生活介護等の居住系のサービスに拡大されているところでございます。

 具体的には参考資料2をごらんいただければと思います。居住系サービスのうち、市町村の指定となっております地域密着型の特別養護老人ホーム等でございますけれども、市町村におけるサービス量の観点及び日常生活圏域におけるサービス量の観点から、申請のありました施設等の定員と事業計画の定員等を比べまして、これを上回る場合には指定を拒否することができるとなっているところでございます。

 また、一般の特別養護老人ホームですとか老人保健施設など、県の指定に係るものについては都道府県の計画と比べまして上回る場合には指定を拒否することができると規定されているところでございます。

 本体資料の資料2にお戻りいただきます。もう一つの仕組みとしまして、平成23年の介護保険法の改正によりまして在宅の高齢者向けの地域密着型サービスであります定期巡回・随時対応型のサービスなどの普及を図るという観点から、これらのサービスに関しまして公募制や市町村協議制の仕組みが設けられているところでございます。

 参考資料の3ページをごらんいただきたいと思います。日常圏域の図示をしているところでございますけれども、この日常生活圏域内における定期巡回・随時対応型サービスなどの新しいサービスの普及を図るという観点から、市町村の判断によりまして、この地域内におけるサービス提供者を公募を通じて選考することによりましてその普及を図るというものが公募制でございます。

 一方、この地域において公募制を図ることによって、参入する事業者にとってはサービス提供の見込みが一定程度立つわけですが、通所介護ですとか訪問介護等、ある種、競合するサービスがある場合には普及に支障がある場合がございますので、そうした場合に、市町村が都道府県に協議をした上で都道府県が通所介護や訪問介護の居宅サービスを指定しないことを可能とするというのが市町村協議制でございます。

 資料2の2ページにお戻りいただきたいと思います。そうした点を踏まえまして、論点といたしましては、保険者機能の強化等の観点から、計画が想定しているサービス量と比べて実際のサービス量が下回る場合、または実際のサービス量が上回る場合に、保険者等によりサービスの供給量を調整する仕組みのあり方についてどのように考えるかということを論点として提示させていただいております。

 以上、資料2の説明とさせていただきます。

○遠藤部会長 ありがとうございました。

 資料1、資料2、類似のところもございますので、一括して御意見をいただければと思います。

 ただいまの報告に対して御意見、御質問等あればいただきたいと思います。いかがでございましょうか。

 阿部委員、どうぞ。

○阿部委員 保険者でいきますと地域格差の問題は非常に重要なので、あえて紙で意見を出させていただいております。後ろのほうに私の意見ということで一枚紙を出させていただいております。これに基づいて申し述べます。

 資料1でございますが、介護保険事業を回していくためにはやはりPDCAサイクルをきちんと回していくということは必要不可欠かなと思っています。しかし、参考資料1の13ページにもありますとおり、計画の達成状況の点検・評価ができていない、行う予定もないという保険者が4分の1ほどになっています。そこで、少なくとも事業計画や支援計画の中で計画の達成状況の点検・評価を必須記載事項としてはいかがかと考えております。

 その上で、資料1の6ページ、論点の4つ目の○でございます。特にアウトカム指標が重要でございまして、年齢調整後の要介護認定率のみならず、1人当たりの給付費、受給率等についてきちんと把握することが必要と思っております。そうは言っても、地域の事情によりましては単独ではなかなかなし得ないところがありますので、やはり都道府県、さらには国のさまざまな支援が不可欠かなと思っています。特に地域差の要因の分析というのはやはり国の仕事かなと思っております。国がさらに御尽力いただきまして、それぞれの地域格差の要因分析を進めるとともに、その解消に向けて各保険者にとって使いやすい分析ツールの開発などに取り組んでいただくことも考えるべきと思います。

 以上であります。

○遠藤部会長 ありがとうございました。

 それでは、鈴木邦彦委員、どうぞ。

○鈴木(邦)委員 まず、資料1についてでございます。参考資料1の5ページを見ますと、年齢調整後の第1号被保険者1人当たりの介護費と認定率が、最少の栃木県や山梨県と最多の大阪府とでは大きく異なっていることがわかります。さらに見ますと、その差は、要介護2以下の軽度者、しかも在宅での差であることが示されております。この差の要因についての分析が必要であると思います。この部分の要因の十分な分析をせずに、これをもって全国一律な対応を行えば、もともと低位の県では必要以上にサービスが抑制されてしまうおそれがあると考えます。

 それから、同じく参考資料1の48ページ以降に大分県の例がありますが、これは前に紹介されているいわゆる和光モデルの応用と考えられます。和光モデルにつきましては、私もじかに見学させていただいたことがありますけれども、東内さんという非常に強力な個性のある方によって成り立っており、他の市区町村が取り入れることは難しいと思われたことや、医師会を排除して始めたこと、あるいは必要以上に行政の規制がかかる可能性があることなどから、そのまま全国展開することは無理があると考えておりました。

 今回の大分モデルは、その意味では、川越さんが指導されているとのことですが、より普遍的な形になっており、1つのモデルとなり得ると考えます。しかし、医師の関与がほとんどないなどの問題点があります。この点については、先日、日医に川越氏をお呼びして講演を聞く機会がございましたが、そのときの説明では、現在の地域ケア個別会議は平日の午前中に開催されており、医師の参加は困難な状況にあるとのことでした。これまでは、主に軽度者が対象であったので、それでもよかったわけですが、今後、中重度者を対象とする必要が増加するため、医師が参加できる時間帯にも開催するようにしたいというお話でございました。日本医師会では、4月から日医かかりつけ医機能研修制度を開始するとともに、郡市区医師会に対して在宅医療・介護連携推進事業に積極的に取り組むように働きかけておりますので、今後ともかかりつけ医がより地域包括ケアにかかわり、多職種連携のリーダーになれるように研修と働きかけを進めていきたいと考えております。

 続きまして、資料2についてでございますが、公的介護保険でのサービスである以上、自由市場ではないわけで、準市場であることにより、サービス供給に一定の制約は伴うものと考えるべきであると思います。例えば通所介護について言えば、特に増加が著しい小規模事業者が市区町村のコントロール下に置かれることになったことはやむを得ないと考えております。

 一方、通常規模や大規模事業所は数がそれほどふえておらず、新設と閉鎖が同時に起きていると考えられます。通所介護はもともと在宅3本柱の1つであるとともに、在宅介護には当初より営利企業の参入を認めているため、競争原理により質の向上を図ることも想定していたのではないかと考えられます。したがって、今後とも在宅介護を推進するためには一律に規制するのではなく、地域包括ケアの理念に照らして全国展開する大規模事業者がどこまで地域のニーズを把握しているかを評価することなどが必要であると考えます。

 それよりも、現在懸念されていることは、今回の補正予算により、今後、人口減少地域においても特養などが建設されることになれば、通所介護などの在宅サービスの利用者が大量に施設に入所してしまい、在宅ケアが後退することが懸念されます。せめて特養の新設は大都市部を中心とした人口増加地域に限定することが必要であると考えます。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございました。

 ほかに。

 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 当たり前ですけれども、いかに給付費の伸びを抑制するかというのが極めて重要なポイントだと思っています。そのために有効かどうかというのが判断ポイントになると思うのですが、今回つくっていただいた資料というのは、そういう意味では大変興味深い内容だなと思っております。

 2つの視点でコメントしたいと思うのですけれども、1点目は、適正化の主要5事業の部分です。実施の実績を見ますと、この資料の中でも。

○遠藤部会長 ちょっとよろしいでしょうか。皆さん、マイクからちょっと離れているのでちょっと近づけてお話しください。オーディエンスが聞こえないかもしれません。

○佐野委員 はい。

 この資料を見させていただきますと、18ページでしょうか、過去5年間の実施率が伸び悩んでいる状況であって、この事業の有効性を検証すべきではないかと思います。金額的なものはきょうの資料に入っていないのですけれども、たしか事前に伺ったら10億円程度という話もあって、これは金額的な評価として一体どうなのかというところもあわせて再度検証すべきではないかと思います。もちろん、この事業全体がなかなか定量評価しにくい部分もあるとは思いますけれども、金額評価というのは重要な指標だろうと思っています。

 もう一つは、今、鈴木先生もおっしゃいましたけれども、先行事例で紹介した大分県の取り組みのところは大変興味深いと思っていまして、この内容について金額的な評価ができないのでしょうかという部分です。

 参考資料の55ページでしょうか。これだけの数字の部分で改善率を示している、給付率の伸びも抑えられているということがあれば、この取り組みによる金額的評価が幾らなのかということが出せれば。もちろん、大分県の場合、もともと要介護認定率が高かったという部分ですとか、そういう要素はあると思いますけれども、この取り組みによる効果は幾らなのか。他の県で同じ取り組みをやった場合に金額として幾らぐらいの効果になるのかというようなところを試算していただきたいなと思います。そういう金額を試算することによって、先ほど申し上げた、例えば、今やっている適正化事業の妥当性みたいなものもあわせて参考になるのではないかと考えます。

 それから、この資料の中の大分とか和光とかの事例を見ても、キーワードはやはり自立支援ということではないかと思います。したがって、この自立支援のために、ケアプラン策定時に目標設定ですとか専門家の関与、さらにはチーム対応がどれだけできるのかということだろうと思います。そういう面で、大分県の取り組みを全国でやるためにどういうことが必要なのかというのはもっと深掘りしていく必要があるのではないかと思います。少なくともこの自立支援をどんどん促進することが給付費の伸びの抑制につながるのは絶対間違いないと思いますので、そういった点をやっていく必要があるのではないかと思っています。

 それから、都道府県と市町村の連携の部分です。この連携が重大なことはいまさら言うまでもないと思うのですけれども、都道府県というのは、支援と同時にチェック機能も果たすべきだろうと思います。

 先ほど阿部委員も資料で触れておられましたけれども、この資料の13ページの「3.計画値と実績値の比較検証を行う時期」というところで、第6期計画を立てて、それの比較検証を行う時期は、平成27年度が30%、3年目になってようやく九十何パーセントというのは、3年計画の途中検証をするに当たってはやはり低過ぎるし、遅過ぎるのではないかという気がいたします。そういう面で、ここの部分はより検証を促進するような仕組みを考えるべきだろうと思います。

 また、都道府県についても、次の14ページの下の2の表の4です。第5期計画の点検評価について、第6期計画の1年目にやったのが30%弱。要は、前期の計画の検証を翌期が始まった初年度にやったのが3割しかいないというのでは、第6期計画のスタートも順調にできるか非常に疑問だなという気がいたします。そういう面で、ここについては、市町村並びに都道府県両方に対して、国も関与して、どのような形でのチェック体制並びにフォローを組んでいくのか。やはりここは強化すべきポイントだと思いますので、支援とあわせてこのチェック機能というものをぜひお願いしたい。

 最後に1点だけ。今、サービス供給については、サービス量のほうの話になっていますけれども、やはり量だけではなくてサービスの質というものも評価できるような指標が必要なのではないかと考えます。

 以上でございます。

○遠藤部会長 ありがとうございました。

 お待たせしました。土居委員、どうぞ。

○土居委員 ありがとうございます。

 私も提出資料を紙で出させていただいておりますので、そちらに書いてあるものに沿いながら意見を述べさせていただきたいと思います。

 先ほど参考資料1で事務局から紹介があったように、保険者機能を向上させるような先駆的事例があったと思います。こういうもののいいところをうまく他の自治体でも取り組めるように横展開していくことが大事だと思います。中でも、ケーススタディー的に事例を学んで、倣って、展開するということも大事なのですけれども、もう一つ、前々回の第55回の会合で私が提出させていただいた資料で触れているので今回は触れていませんが、データに基づく地域差の分析も重要です。

 例えば先ほどの参考資料1の24ページの和光市の例は、もちろん現場での事例というのはありますけれども、それを具体的な数字で分析しておられるところがありますので、こういうところも単にケーススタディーだけ学ぶことにとどまらず、介護保険事業計画の策定にデータの面でつなげていくところを横展開していくことが1つ重要なポイントと思います。

 そのデータに基づく計画策定という点で私が1つ注目してよいのではないかと思っている表は、口頭ではなかなかお伝えできず、どうしても紙でなければお伝えできないので、私の提出資料の1ページ目の下に「要介護(要支援)状態区分別にみた年間継続受給者数の変化別割合」と言われる表を書いています。これは既に厚生労働省から介護給付費実態調査で毎年出されているものです。つまり、左側から前年の4月の要介護状態等を区分別に示していて、年間継続受給者、つまり1年間ずっと継続して受給者であった人が対象者になっているわけですけれども、その要介護者の方々が1年後どういう状態になったかという推移をあらわしています。この数字について云々するつもりはないわけですけれども、こういう分析を見ると、要支援2の方が要支援1になったということがあるとか、こういう形で要介護状態の維持・改善ができたということであれば、どうして要介護状態の改善ができたのかはこの表だけではわかりませんので、さらにいろいろなデータを突き合わせながら、ないしは現場の声を聞きながら、どういうサービスを提供することで要介護状態の維持・改善ができたのかを分析することも重要なことと思います。

 紙には書いていませんけれども、参考資料1にも触れられていましたように、都道府県が策定する介護給付適正化計画をうまく活用していくことが必要ではないかと思います。今、第3期の介護給付適正化計画ですけれども、第7期の介護保険事業計画が始まると同時に、第4期の介護給付適正化計画が始まることになると思います。もちろん、都道府県がつくるものは介護給付適正化計画だけでなくて介護保険事業支援計画があるわけですけれども、さらに医療計画も都道府県が策定するということでありますので、医療と介護の連携も視野に入れながら介護給付適正化計画を策定するという視点が次期の計画策定では求められるのではないか。

 さらには、都道府県が策定する支援計画と適正化計画をうまく融合させて都道府県につくっていただく。場合によっては、これを一体化するということもあり得るのではないかと思います。そういう形で介護給付の適正化に努めていただくことが大事だと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、齋藤委員、どうぞ。

○齋藤(訓)委員 事業計画の策定につきましては、保険者が地域のニーズを把握して、どんな課題があるかを理解した上で策定するのが前提だと思うのですけれども、その上で、本日の参考資料1の13ページ等を見てまいりますと、地域の実態把握や分析、課題の抽出が市町村ではなかなかできていないというのが実態としては出たと思うのです。

 今、地方自治の時代で、これまで国や県がやってきた事業を市町村にだんだんおろしているので、恐らく市町村としては、やりたくても人員がいなくて手が出せないという状況ではないのかと推察をしております。ですので、この調査結果につきましては、非常に重たい状況を示していると思っているのですが、介護保険事業の運営のノウハウあるいはマンパワーの面に関しましては、国や都道府県が市町村を支援していくことを、前回も出ておりましたけれども、法律上できちんと明記していくことが必要だと思っております。

 もう一点は、これは市町村には限らないのですけれども、行政の事務職員が数年サイクルで担当が変わっていきますので、地域分析や地域診断のノウハウがなかなか蓄積されにくいのではないかと感じております。ですので、市町村が専門職をもっと活用できるようにしていく仕組みが必要ではないかと思っております。

 介護保険の所管部門に保健師を配置したり、地域分析の能力を上げていく支援が非常に重要だと思いますし、小さな市町村でそういった体制がなかなか組めない場合は、複数市町村で専門職を共同で雇用したり、外部の有識者との契約なども共同でできるような仕組みも検討されてもいいのではないかと思っております。

 もう一点、サービス供給のほうにつきましては、参考資料1の保険事業計画や支援計画の進捗状況がなかなか十分ではない状況の中で、事業所が手挙げをしてきたときに、保険者としては現場の状況も評価できていないのに指定ができるということにちょっと矛盾を感じています。

 参考資料2の都道府県や政令指定市、中核市が指定・監督を行うサービスの中で、まだ市町村の協議制の対象になっていないサービスがいろいろあるわけですけれども、事業者が指定申請をしてきた場合に市町村の状況がどうなっているのかというのは当然確認もしなければいけないと思います。今、協議制の対象になっていないサービスの中でもゆくゆくは協議制に移していくべきものもあるのではないかと思います。指定申請が上がってきたときに、市町村の状況、特殊な課題等もいろいろあると思いますので、きちんと情報収集した上で、指定をするかしないかを判断する仕組みが必要なのではないかと思っております。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 先ほどこちらが先だったので、栃本委員、お願いいたします。

○栃本委員 2点は、事務局のほうに細かいデータをつくっていただきたいというものです。

 先ほど市町村の適正化事業を実施できなかった理由を挙げている表が参考資料にあったのですけれども、これと、実際に適正化事業をリファーする、関連付けて資料を作っていただきたい。要するに、ちゃんとやっていてできない理由というのを幾つか書いているところと、何もしないで、できない、できないと言っているところがあると思いますのでそれらを明らかにするために、いわゆる最近の言い方でいえばA層、B層、C層みたいな形で類別化する、層化する、そういうものをつくっていただくと市町村の自覚が大分進むのではないか。

 それともう一つ。今回、貴重な、参考になるいいデータが多いのですけれども、参考資料の中の「都道府県別の地域差指数」の「認定率の地域差指数」の下のところです。要支援1・2~要介護1・2の区分と要介護3~要介護5という従来から使われている2区分というのはよくわかるのですけれども、これからは要支援1と2の部分とが結構重要だと思いますので、要支援1・2と要介護1・2を分けてデータを出してもらうことが必要だと思います。

 御案内のように、要介護1の部分は、状態不安定と認知というのでちょっと紛れる部分が本当はあるのだけれども、それを言っていたら大変なので、形式上、要支援1・2と要介護1・2というのは区分けした形で出していただくということ。それと、でき得れば、それぞれの市町村でそれがあるということです。

 この2点を調査というか、遅くなってもいいですから、細かいものを後で出していただきたい。

 あとは、先ほど事務局からお話しいただいた部分で、そもそもこの保険者機能といっても、我が国の場合の市町村保険者というのは、1つは税金が入っているということ、あとは第2号被保険者が自動的に入ってくるということです。諸外国における保険者は保険料だけでやっているということがあって、その切迫度というか、保険者自治ということからいうと、そもそもが日本の場合、保険者機能の自覚ということでは非常に難しい。事務局のほうで従来から説明されていますように、重層的に支えるということは非常によくわかるのですけれども、かなりのインセンティブであるとか、そういうものをつけないと、これは2号被保険者の関係と調整交付金という形になるでしょうけれども、その他もろもろのいろいろな形で0.0%の係数を掛けるとか、0.0001%の係数を掛けるとか、それなりのインセンティブを何かしないと、保険者機能そのものの発揮というのは税金が入ってくると、2号被保険者の保険料も自動的にということなので、よほど工夫しないと難しいと思うのです。医療保険などではいろいろな形でやるわけですから、それらを参考にしながらそれとの対応関係でやっていただきたい。

 それと、市町村の介護保険事業計画と都道府県の適正化計画。都道府県では適正化計画というのがあるわけですけれども、市町村については、先ほどの御説明のように、任意の形でああいう形になっていますね。都道府県では、それをつくる以上、それの対応関係で、市町村で、たしか先ほど阿部委員から必須化というお話があったと思いますけれども、もちろん、先ほどこの任意事業のスキームという形でつくられたのはよくわかりますが、やはりPDCAサイクルを回すというのは市町村介護保険事業計画でも当然行わなければいけないことですから、適正化計画に相当するものを市町村で必須化するということは当然のことだと思います。

 なお、先ほど齋藤委員からお話がありましたけれども、地域のお役人さんも重要なのですが、地域のいろいろな人材がありますので、例えば、介護保険事業計画を策定する際に地域の有識者であるとかいろいろな人が入られていますね。その際に、先ほど5項目やっているということなのだけれども、形式的にやっている場合が多いです。例えばケアマネジメントのチェックであるとか、そういうのはある意味では形式になりがちな部分がないわけでもないということですので、介護保険事業計画の策定委員とかそういう方々にも協力していただいて、監査というと変だけれども、チェックを入れるというようなことをやはりやるべきだと思うのです。それでインセンティブというものを考えなければいけない。

 あともう一つ。最後に、区割り制みたいな形。区割り制というのは、先ほどの表にありましたように、定期巡回と小規模多機能とか看護・小規模多機能とか、区割りというか。促進するという形で区割り制というのはわからないでもないのです。あと、1つの地域でそれを営業ベースで切るというのは、やはり複合したらだめではないかというのはよくわかるのです。それはよくわかります。その上で、それ以外の事業については、都道府県であるとか、違う形での指定というか、ロックがかかると、事業所サイドから言うと、複数サービスや事業を行って総合的な力を発揮しようという場合、その展開がいい形でうまく展開することが難しくなることがありますので、区割り制について意図は分かりますが、介護サービス事業の地域展開ということでは何が一番効率的かということも考える必要があろうかと思います。

 最後のほうはちょっと舌足らずだったかもしれませんけれども、以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 では、小林委員、お待たせしました。

○小林委員 本日は先進的な自治体の取組についてご紹介いただきました。もう既に何人かの委員からご意見がありましたが、特に大分県の例で取組の結果が参考資料1の54ページ、55ページにあり、要介護認定率の低下に加えて、給付費、保険料等の上昇抑制につながったことが非常に示唆的であると思いました。このような県による保険者の支援が活発に行われるよう、制度的な対応以外でも、例えば厚生労働省が主体となって県に対するノウハウの提供やこういった取組による効果の対外的なアピールなどといったものをお進めいただくことも横展開推進の一歩ではないかと思います。いずれにしましても、先進的な取組が全国レベルで実施されるようお願いしたいと思います。

 次に、資料2の「サービス供給への関与のあり方」については、計画で定める供給量を上回るサービスが提供される場合に、在宅サービスの供給量を調整できるようになることで、保険財政がよりコントロールしやすくなるという点については、2号保険者としても賛成するところであります。

 一方で、サービスを受ける側から見ると、制度施行から15年以上が経過して、実際に既存の在宅サービスが提供されている中で供給量を調整する仕組みを入れた場合、適正な競争が制限されて、質の高くないと思われる事業者が淘汰されなくなる懸念があります。在宅サービスを受けるべき方に、質のよい適正な量のサービスが提供されることが重要だと考えますので、供給量の調整については、次の議題でありますケアマネジメントのあり方の議論も十分に踏まえながら検討していく必要があると思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございました。

 それでは、お待たせしました。伊藤委員、どうぞ。

○伊藤委員 資料を拝見すると非常に興味深いことが沢山読み取れました。参考資料1の17ページのアンケート調査の回答を見ますと、設問自体が「1.現状分析の取組内容」の3から10は全部、全国平均との比較や他の同規模の市町村との比較を実施しているかについて聞いているけれども、低調な感じがするのです。国は比較をしてほしいと思っているが、都道府県や市町村は他との比較をしようという動機がそれほど強くない。温度差を感じます。

そういう中で、好事例として今回出されているのを見ますと、結局アウトカムとして、認定率とか保険料が下がったということが出てきます。もちろん、保険者機能を効かせて適切なケアをすることで不必要な介護が抑制されることはいいですけれども、単に要介護認定率の結果が利用者本人にとって適切な給付が行われているのかということをそのままあらわしているとは言い切れないという懸念を感じました。

 言い方は悪いかもしれないですけれども、認定控えが保険者側でされることになれば、生活保護の水際作戦みたいな形で認定率を下げることが可能となりはしないか。そういうことがあると、利用者本人の幸せにもなりませんし、家族の幸せにもならないと思います。今、国が進めていらっしゃる「見える化」システムというのが資料の8ページにございますが、この中で、要介護者の状態や、和光市のほうでしたか、保険料率も下がったというようなことがアウトカムとして24ページに出ていますけれども、保険料率といった関係で「見える化」できているのかということをまずちょっとお聞きできればなと思います。

 資料1で論点を掲げられている中で見ますと、4つ目の○で「アウトカムに関する指標(例えば要介護認定率を用いたもの等)」ということがありますけれども、先ほど申し上げたように、それだけで適切に評価ができるかはもう少し十分な議論をしていく必要があると思っています。やはり本人にとって適切な介護が行われるという前提で考える必要があると思います。

 あと、この論点の2つ目に先進事例のことが書いてあります。先ほどからも先進事例の紹介についていろいろな意見がありますけれども、私も前に申し上げたところですが、先進事例ということがなかなか共有されにくいと感じております。特別な例ばかり出されてもなかなか共有しにくい。例えば、努力したけれどもうまくいかなかった、挫折したということについてもきちんと分析していくとか、可能であればそういうことを共有して乗り越えていく知恵を出し合う、そういうアプローチが重要なのではないかと私は思っています。

 あと、先ほどの「見える化」システムのことについて1つ質問ですけれども、資料の18ページのところに、この間の適正化事業の実績が出ておりますが、少しずつ実施率が上がってきている中で、25年度は認定調査状況チェック、ケアプランの点検、住宅改修等の点検、縦覧点検・医療情報との突合とか下がっているのですね。この辺、ちょっと下がったという要因をどのように分析されているか。現場が忙しいからとか、財源問題なのかとか、見解を教えていただきたい。

 もう一点の質問は、21ページの適正化事業で、今年度の新規事業の紹介がございます。この「専門家のアドバイスをうけつつ」云々かんぬんで、市町村に専門家を派遣して分析をやってもらうとかということかと思うのですが、この専門家というのはどういう人を想定されているのかということをお聞きしたいと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 合計3つの御質問ということですね。コメントできる範囲で結構でございますけれども、今、3つ質問が出ましたので、コメントをお願いしたいと思います。

○竹林介護保険計画課長 御質問いただきましてありがとうございます。

 3つの質問のうち1点目でございますけれども、私がお聞きした範囲だと、要介護者の状態だとか保険料率だとか、そういったものが「見える化」システムに登載されているのかという御質問だったと思います。後のほうですが、第1号の保険料月額についてはもう既に全国の市町村がどういう状況になっているかということはその「見える化」システムで提供しているところでございます。

 要介護者の状態というのがどういうところをイメージされているかにもよるのですけれども、要介護認定率については、今、生の数字が出ていますし、7月からは年齢調整をかけて高齢化の状況などを調整したものが提供されるようになります。伊藤委員がおっしゃっていたのは、恐らく、もう少し要介護認定率とかを超えたものではないかと思いますので、イメージにもよりますけれども、恐らく、そういったもっと詳しい状況というのはちょっと掲載し切れていないのではないかと思います。

 それから、2点目の適正化事業の実績が落ちている要因でございます。こちらのほうも、18ページの表をごらんいただくと、項目ごとに、25年度だけではなくて年度によって上がったり下がったりしているところもあり、個別に事情を聞いてもさまざまな事情があって一律には言えないのですけれども、私どもが聞いた一般的な理由といたしましては、各保険者で幾つかの項目、主要5事業とか言っておりますけれども、その中でも、ことしは優先度をつけて特定の事業を重点的にやろうといったことを言っておられるところもある。つまり、去年までは5事業を全部やっていたけれども、ことしは3つに絞って、そのかわりしっかりやろうと。これは実施の濃淡まで書けていないものですから、実施したかしていないかという率で言うと、そこは落ち込んだりする。ただ、それにしても、非常に詳しい分析はし切れていないというところが正直なところでございます。

 3点目でございます。説明の中では御紹介いたしませんでしたけれども、参考資料1の21ページにございます、赤枠でくくっておりますところの適正化事業の中の「28年度新規」と書いているこの事業の中身についての御質問ということでございますね。

 こちらのほうですが、正直、この専門家というものも国のほうでこれと決めてはおりません。実は28年度、100万円ずつ5つの県ぐらいの予算を確保しているのですが、きょうこれから部会で御議論いただくような都道府県による保険者支援のノウハウを、きょうは大分県の例だけ御紹介しましたけれども、いろいろな取り組みの仕方を開発していただいて、やがて全国で都道府県支援の動きを強化する際に、国のほうからこんなノウハウがありますよと提供できる材料にしようということで始めたモデル事業的なものであります。そのコンセプトとして、さまざまな専門家を市町村に派遣して応援するということにしておりますが、具体的にどのように運用していただくかも、手を挙げていただく5つぐらいの都道府県にそれぞれアイデアを出してもらって、やり方も県によって違ってもいいと思っているのですけれども、それぞれの県の工夫によってどのような効果が上がったかということも我々検証しながら固めていきたいと思っております。モデル事業的な性格ということなので、ここは強く縛ってはいないというところでございます。むしろ提案を受け付けながら一緒に考えていきたいというスタイルのものでございます。

 以上でございます。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 伊藤委員、今のレスポンスに関して。

○伊藤委員 最後の、21ページの新規の適正化事業のことですけれども、適正化事業をもっと進めていく必要がある、もっとやってもらわなくてはという国の意向があるから、予算もとってやっていこうということだと思ったものですから、分析したりする専門家というのが何か想定されているのかと思ってお聞きした次第です。

○遠藤部会長 大西委員、お願いいたします。

○大西委員 ありがとうございます。高松市長の大西でございます。保険者の機能強化ということで課題となっておりますけれども、保険者である自治体の立場から一言御意見等を申し上げたいと思います。

 給付費の適正化等に当たりまして、その要因分析なりPDCAサイクルが十分に働いていないのではないか。もう少し適正化をしっかりとやるべきではないかということでございますけれども、我々としても問題意識はずっと持っているところでございます。ただ、先ほど齋藤委員からもお話がございましたように、我々、市町村が保険者としてこの介護保険を運営していくに当たりまして、特にこれから地域包括ケアシステムの構築が必要だということで、市町村の中でも地域包括支援センターあたりを中心にしていろいろな個別の対応をやりながら、日々現実の課題に対処していくということでずっとやっておるところでございます。そういう中で、本庁あたりの全体の企画部門が全体の要因分析等をやりながら改善を図っていこうとするのですが、実際のところ、その体制が十分に組み切れない財政上の問題等々もございますというのが実情でございます。

 また、地域包括支援センターにつきましては、高松市の場合は直営でセンター1カ所、サブセンター7カ所、サテライト4カ所、民間事業者の支援センターが二十何カ所という形で運営させていただいて、市が中心となってやっておるところでございますけれども、ほかの市町村によりますと、民間に委託して外でやっておる場合があります。そうしますと、どうしても、市町村の公的な主体の内部で、ノウハウといいますか、そういうものがきちっと育たないというか蓄積されないといった問題がございます。その辺を、要因分析をもってどうのこうのやっても、結局、外部に委託してやっているところは、そちらのほうがどんどんやるだけで、保険者たる市町村そのものが改善意欲とかそういうものに結びつくことができないといった問題点はあるのかなと思うところでございます。したがいまして、その辺、これから2025年問題等々もございますので、この地域包括支援センターそのもののあり方、保険者たる市町村のあり方ですけれども、地域包括支援センターのあり方そのものをきちっとやっていかなければならないのではないかと思っております。

 もう一つは、先ほどからお話に出ていますけれども、都道府県との関係、役割分担です。これをいま一度、この時代の状況等にあわせてきちっと見直していく必要があるのではないか。今、それぞれの市町村が保険者となって介護保険を運用しているわけでございますけれども、どうしてもばらばらになってきます。今、地域差ということで、全国の話ですので、これは都道府県単位で問題視されていますけれども、同じ都道府県の中でも、市町村単位でも地域差といいますか、かなり差があるわけです。これはどうなるのか、どういう要因に基づくものなのか、そういう分析も必要ですし、その辺については都道府県あたりが中心となった調整・指導が必要になってくるのではないかと思っております。

 したがいまして、その辺の分析・指導等、適正化に当たりましては、都道府県の役割みたいなものをもう少し強くしていただくような方向で、もちろん保険者たる市町村もみずからいろいろ努力をする。そういうインセンティブが働くようなシステム、体制みたいなものをお考えいただければありがたいなと思っています。

 その上で、国のほうは、先ほどから出ていますけれども、「見える化」によりまして全国の状況等をきちっとお示ししていただく。それによって各都道府県、保険者たる市町村が適正な方向に動けるような指導をよろしくお願いいたしたいと存じます。

 それから、これから高齢化率もどんどん高くなって、2025年問題、団塊の世代が全て後期高齢者になるときをどう迎えるかという話が一番大きな課題になるわけでございますけれども、医療・介護の総合確保法もできました。片方で、医療費のほうにつきましても地域差が大きくあって、昔からの課題であるわけです。その医療の地域差、それから介護報酬、介護の給付費の地域差、これをどのように関連づけて考えていくのか。今後、医療と介護を地域包括ケアシステムの中で連携させて運用していこうということであれば、やはりばらばらにやっていてはしようがないと思うのです。医療と介護両方の形をきちっと連携させて議論することが必要なのではないか。

 ちょうど平成30年度が診療報酬と介護報酬の同時改定になりますので、総合確保法のもとで同時改定をどのように行い、今後の給付費適正化をどのように図っていくのか。それは、医療と介護双方で連携させながらやっていくべきではないかと思っておるところでございます。

 あと一つつけ加えますと、44ページ以下に高松市の取り組みを出させていただいています。そんな大した取り組みはやっていないのですけれども、私どもが一番重要視しているのは、介護の給付費とかの事業等をやるに当たっても、自助・共助・公助という世界で、その共助の部分を一番大事にしていくべきだろうということ。高松市の場合は、片方でコミュニティーの充実策・コミュニティーの再生をうたいながら、コミュニティー協議会というのを1つの地域のプラットフォームとして運営していただいています。そういう中で、高齢者の見守り事業でありますとか、居場所づくり事業みたいなものをコミュニティー主体で共助の世界で展開していただいて、そこによりまして結果的に介護予防とか給付費の適正化とか、そういうものに結びつくような活動を充実していきたいということで市が支援をしてやっているということでございます。

 資料44ページ以下についておりますので、参考にしていただければと思っております。

 以上でございます。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 先ほどの順番からいくと、馬袋委員、先にお願いいたします。

○馬袋委員 ありがとうございます。

 私からは、今回の保険者等の地域分析の対応を見て思うことですけれども、各保険者さんの取り組みについて広く公表すべきだと思います。これは、地域によって違いがあっていいと思いますし、違いがあること自体を明確に広く国民の場に提供することが大切であると思います。その違いがあって、全国でどの立ち位置にいるということが大切ではなくて、現状から方針を定めてどのように変化して推進していったかという、大分県のようなこういったことが評価されるべきで、事例として公表する、広く皆さんに伝えていくことが大切だろうと思います。

 それと、先ほどから出ておりますけれども、市町村の方々は本当にいろいろな事業を担当されていて大変だと思います。では、その最終的なところ、この分析の内容の目的が達成されればどういう状態になるのだろうかというゴールというか、目的・目標を定めて、それは誰が責任を持ってどのような資源、人とか物とかお金とか情報をどこに予算化などするのか明確にしないと、できている、できていないという比較をしたとしても何ら進まないと思います。すなわち、そこをしっかりと、各リーダーは誰なのか、責任者は誰なのかを定めて実行することが今求められている。すなわち、そのことについては、公表され、それが達成されているその推移そのものが評価であるとしていくべきだと思います。

 最後に、好事例の取り組みについてです。好事例のところは、リーダーが優秀だったからという一言で済まされるものではないのではないかと私は思います。なぜならば、その好事例に取り組んできた経過、それに伴っている人材、どう取り組んだかというプロセス、そしてどのような評価を指数として示したか。それに対しての方針・プロセス・内容・展開の要素と要因が整理できれば、今度は、みずからがやろうとしたときに足らない資源、そういったところに、先ほど大分県さんの市町村に対して専門性のメンバーを派遣するということにつながるのではないでしょうか。和光市さんの取り組みなども見てきたことがありますけれども、地域住民、市民を巻き込んで一緒にやっていくというところまで実施されていて、卒業というプログラム、そして予防が持続できる状態に対する施策というところまで打ち込んでこられていることについては好事例として評価すべきところだと思っています。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、花俣委員、桝田委員の順でお願いしたいと思います。

○花俣委員 ありがとうございます。

 先ほど来、看護協会の齋藤委員であるとか、高松市の大西委員からも御発言があったと思うのですけれども、資料1の5ページの「先進的な自治体の取組」の2つ目の○のところに「こうした先進的な取組事例の全国展開に当たっては、保険者のリーダーシップ」云々と書かれております。これについては、たまたま認知症の先駆的な取り組みをなさってこられた専門医の先生たちが懇談会を開かれて、その報告書の中にもこれにリンクしたものが書かれておりまして、施策の実施主体の一翼は行政が担うべきであると既に論じたが、行政職員の異動による継続性の課題を常に考えておかなくてはならない。施策実施は、いかなる人材が司令塔役を担うかによっても左右されるが、それ以上に、中長期的な実効性のある計画を策定することがより重要と言える。明確な目標とそれを達成する道筋をあらかじめ示し、異動による継続性の課題を最小限にしなければならない。そして、それらの目標は、地域において関係者と住民との間で共有されなければならないとされております。本当にこのとおりだと思いますし、こういった行政の担当職員が短期間で異動されることについては、次の適切なケアマネジメントを推進するための施策にも大きく関連してくるのではないかなと思っています。

 それから、参考資料のほうに好事例がたくさん出ていて、どれを読んでいても頼もしいなと思っておりましたが、54ページの大分県のところに要介護認定率の推移が書かれております。そもそも大分県は認定率が全国平均より高かったわけです。こんなに下がったということは、これは地域ケア会議の関与によって認定率が下がったと解釈してよろしいのでしょうか。大分県の地域ケア会議であるとか、和光市の好事例のコミュニティケア会議というものがもし給付適正化に効果があったというふうに報告されているとするならば、たしか、こういう会議には実は家族とか利用者の参加というのはないのですね。サービス担当者会議とは違って。そういったときに、そういう給付適正化についての調査とかヒアリングとかというのは利用者や家族さんにされているものなのでしょうか。そこがちょっと見えてこなかったので御質問させていただきます。

 あと、資料2の「サービス供給への関与のあり方」というところです。ここでも介護保険の創設時には、民間産業を促進して、市場競争によるサービスの質が向上するというような御説明があったかと思うのですけれども、介護サービスの供給量のコントロールというのは市場競争を阻むことになると思えます。特に特別養護老人ホームは、希望者が多いにもかかわらず待機者がふえている。それから、新規利用が要介護3以上に制限されました。一時的に待機者は減るかもしれないけれども、まだまだ20万人もいらっしゃる。あるいは、定期巡回型を普及しないからそういうものを普及させるために総量規制を行うとなっているのですが、もともと定期巡回が普及しないことには別の理由があったりすると思うのです。それでも普及させるために総量規制をやっていくというのはちょっと本末転倒かなと感じました。

 1と2に関しては以上です。ありがとうございました。

○遠藤部会長 御質問があったように思いますが、それは御意見でよろしいですか。

○花俣委員 はい。

○遠藤部会長 では、特段事務局には求めなくてよいということですね。

 ありがとうございます。

 それでは、桝田委員、それから、都道府県のお話が出ていますので小島参考人、それから陶山委員、藤原委員という順番にさせていただいてよろしゅうございますか。

 では、お願いします。

○桝田委員 給付の適正化の観点から言いますと、今回、参考資料1の5ページ、6ページで地域差の問題というのが示されています。こういうデータは、保険者、市町村レベルまで落としていただいて参考にするというのが非常に重要かと思います。ただ、全国平均値云々ではなくて、地域特性、例えば都市部であるか、山間部であるか、漁村部であるか、そのような分類をかけたような分の市町村レベルの比較データというのを見て、自分の地域がどうなっているのか、何が足りないのかというところもまだあると思います。また何が供給過剰なのか、足りないのか、そこらの部分をデータとして見ていく必要があるのかなと思います。それで自地域の調査だけでは見えない部分が少し出てくると思います。

 現在、サービス付の高齢者向け住宅がどんどん増えています。特徴は、大都市部に増えるのではなくて、大都市部の近くの市町村が増えている。地価の少し安いところに建つということから問題がやはり出てきています。

 もう一つは、今、多分見えていないのが、そこに入居している方と在宅で普通に生活している方の介護給付費がどの程度違うのか。サービス付高齢者向け住宅ですと、バリアフリーですし、食事も提供されますので、一般的に考えたら介護費は下がってもいいのですけれども、いろいろなことを聞きますと、かなりの介護給付費を使っている実態があるのではないかと思われます。そうすると、市町村レベルに落としたときに、サービス付高齢者向け住宅が介護給付費にどのように影響しているのかというのもやはり考えていく必要があるかと思います。そこらの調査があるのかないのか、それから、どのような手法がいいのか。適正化事業の中で考えますと、その部分は直接ありませんので、このケアプランの点検という部分でチェックをかけるというのも1つの手法かと思います。

 ただ、この第3期の介護給付適正化計画の部分で非常に残念な部分というのは、第2期もそうですけれども、全部の事業を実施していないところがかなりあります。実際問題として、例えば人口1万人未満のところというのは、いろいろな数値から見ても、適正化事業の実施率はかなり低いと思います。低い要因というのが、職員がいない云々とかあるのですけれども、そこらをちゃんとしていただくための支援という部分が必要です。今回のこの計画でも、1ページ目の最後に書いてあるのですけれども、地方自治法第245条4の第1項による技術的な助言に当たるものであると。あくまで国が出しても技術的助言という範囲では実施率もなかなか上がっていかないのかなという気がいたします。

 もう一つは、今回の部分で総量規制の問題というのが出ています。特別養護老人ホームはまだまだ足りないというお話が今もありました。実感として、事業者サイドから言いますと、すごい地域格差がある。大都市部では確かに全く足りません。でも、逆に地方では待機者の数、希望者の数というのはどんどん減っていっている。それと、例えばうちは100人の待機者がありますよと。順番をつけていますので、1人の方に、ベッドが空きましたから入所してくださいという連絡を差し上げていくと、すぐに1番の方が入所するかというと、そうでもない実態が非常に顕著になってきてきます。極端な事例からいうと、10人の方に入所の声かけをしないと入所者が決まらない。特養に入所したい、待っている方が非常に多いから早く申し込みをしておかないと間に合わない、だから前もってするけれども、現状からいうと、まだ入所しなくても在宅でやっていけます、とか、違う種類の施設に入っていますという状況もあります。ですから、特養の実態からいうと、数では表せない部分というのが、今、非常に顕著に出てきています。

 そういう地域は、大きな特養の整備計画というのがゼロに、小さな地域密着型特養を市町村レベルで少ないところだけに作っていくという形に変わっています。ですから、計画的に介護保険もコントロールしていく、準市場としての役割という部分を考えていかないと、供給過多になる地域と全く供給されない地域が出てしまう恐れが強いので、サービス付高齢者向け住宅についても何らかの対策が要るのかなと思います。今回、サ高住整備補助金も上がりまして、今までの1.5倍の補助金が出るから、介護に全く関係ない方がより事業参入してきます。でも、地域によっては入居者が全く集まらなくっていっぱい空いているところもございます。だから、建てやすいところに建てるのではなくて、必要なところに建てていくという政策にしないと、数は足りているけれども、ニーズがない地域に幾らあってもしようがないということが起こりますので、そこらも考えた政策的な部分は必要かと思います。

 以上でございます。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 小島参考人、お願いします。

○小島参考人 ありがとうございます。私からは都道府県の立場で発言をさせていただきたい。

 まず最初に質問です。先ほど「見える化」の中で年齢調整をしたものをこの7月から提供いただくということでございますが、これについては、地域格差、人口構成の違いによって要介護認定率も年齢によって大きな違いがあるということがありまして、単純に比較できないというのが都道府県や市町村の悩みの種だったと思うのです。したがって、こういう調整後で比較できるというのはすごく躍進するような感はあるのですが、この年齢調整の仕方についての概念を教えていただきたい。どのようにやるのかということをまず教えていただきたいのが1つでございます。

 質問は以上です。

 意見としては、計画の達成状況なり見直しということで、市町村の4分の1が評価を行う予定がないというアンケートがあるわけですが、これは私どもとしてはちょっと信じられない数字でございます。次期計画を立てる際には、厚生労働省のほうからワークシートが提供され、それぞれサービスごとに受給見通しを立てていくわけでございますので、その段階で全計画における計画値と実績の乖離というのは当然入れていって、その差についてはどういう状況なのかということをそれぞれの市町村で分析していると思うのです。ですから、この評価・点検をどのレベルまで求めているのか。自治体の中だけでやっている点検とか評価は当たらないのか。このアンケートのレベルがどうなのかなということが疑問としてありました。ですから、各市町村が次期計画に当たって細かな分析を行っているのは当然であります。それをなくして次期保険料は決められないという状況でありますので、これはちょっと不思議な感がありました。

 それと、今回の会議の冒頭に阿部委員から御指摘があったように、現在の計画値というのはほとんどがアウトプットの指標が多いということがあります。それに対して、政策の達成度を見るためにはアウトカムが必要ではないかという御指摘はもっともでありますので、そういった指標はどういうものが掲載できるのか。こういったところを厚労省のほうでもお考えいただいて提示をいただけるとありがたいなと思っております。

 また、都道府県の支援として適正化計画のお話がるる出てございます。この18ページの表は、各保険者が5事業をやっているかやっていないかをパーセンテージに示したものでありまして、極端な話を言えば、ケアプラン点検をたった1件でもやれば「やった」という実績に入ってくる、このような指標でありますので、これを見て、いいのか悪いのかということを論ずるのはどうかなと思います。

 特に保険者はノウハウがないという御指摘もあるのですが、1つには、これをやったことの効果がどの程度期待できるのかに疑問を持っているものがあります。例えば介護給付費の通知。施設の利用者に対して、あなたの利用料は前月幾らでした、これを示しても、毎月同じ金額を請求されるわけですから、その変化というのはないわけです。ですから、施設利用者に対して給付費通知をしても何の効果も期待できないわけです。むしろ在宅系のサービスを利用している、あるいは福祉用具の貸与等をやっている場合には、平均的な貸与の金額というのはこういう金額なのだけれども、それに対してあなたの金額はこういう請求がありますよという比較をしたものを出さないと、被保険者の方に、私のこの給付費はおかしいのではないかという疑問を持たれないか。また、そういう異常値は常に国保連のシステムから提供を受けていますので、そうした通知をしなくても、異常値が出ている場合には行政側でそれを点検チェックするすべがあるということもありますので、果たしてこの適正化事業の、今、国が定めている指針に基づいた計画というのがこの事業の実効性をどこまで担保しているのか、ちょっと疑問に思っております。むしろ、もっと踏み込んだ、例えば認定率は何歳代であったらどのくらいまでというようなものを出していただいたほうがいいのではないかと思います。

 もう一つは認定率の関係です。これも都道府県では認定の均てん化ということをやってございます。もちろん、厚生労働省でも認定においては第1次審査においてはほとんど機械的に出るようになっていて、第2次審査でその差が出てくるわけでございますけれども、そういった意味では、そこのプログラムがきちんと機能していればそんなに差が出ることはないのかなと。ただ、2次審査において、主治医等の意見書に基づいて判定審査会が判断したもので変わってくるということはありますので、そうした部分の違いというのは「見える化」をしていって、どこの市町村が認定が甘いのか、からいのかといったものを示していくことが大事なのかなと思っています。先ほどの「見える化」事業でこの後の第2次、第3次のリリース、これを私どもとしても本当に期待しているところでありますので、よろしくお願いをしたいなと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 最初、質問があったように思いますけれども、これは御意見ということでよろしいですか。

○小島参考人 質問です。お聞きしたいです。

○遠藤部会長 わかりました。

 では、お願いします。

○竹林介護保険計画課長 どうもありがとうございました。

 最初の御質問ですけれども、年齢調整というのはどのような手法でやっているのかということでよろしいですね。

 年齢調整はいろいろなやり方があると思いますけれども、「見える化」システムでやろうとしていることは、5歳階級ごとにそれぞれ65歳~70歳、70歳~75歳といって、一番上は90歳以上となりますけれども、まず、それぞれの市のその5歳階級での1人当たりの費用というものをもとに、普通であれば、その市の65歳~70歳の人の割合等を基に給付費が出てくるわけですが、この割合を、全国の65歳~70歳の方がどれぐらいいるのか、70歳~75歳の人がどれぐらいいるのか、つまり、費用については5歳階級でそれぞれの市町村のデータを使いながら、人数比のところは全国と同じ年齢構成になるように、全国の65歳~70歳の方、70歳~75歳の方の比率を使っていく。そのようにしますと、費用の影響だけが残って、年齢構成としては全国同じ年齢構成のその市の費用額というものが出てくるというようなやり方でございます。

 よろしいでしょうか。

○遠藤部会長 よろしいですか。

 それでは、お待たせしました。陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 ありがとうございます。

 今回の保険者ごとの地域分析と対応が「骨太方針」や「財政アクションプラン」に基づき結論を急ぎ、一律、一方的とは言わないまでも、要介護認定率や介護費に対して保険者を数字や時間で追い込んではいけないのではないかと感じています。

 特に5ページの表は目標値に見えてしまいまして、書いてはいませんが、数字を非常に意識させるという感じがあります。前回の在宅医療・介護連携でも明らかになりましたように、保険者の推進事業の8つの取り組みでさえ、御指摘のように、小規模な自治体ほどおくれ気味に推移しているとされています。これは今回のテーマである地域分析に係わる5事業にも当てはまることだと思います。できるだけ事情を考慮して、国や都道府県は保険者をしっかりと支えていただきたいと思います。

 また、「適正化」という語が必要以上に出てくるのですが、高齢者、とりわけ利用者については、介護費や認定率の低下を必要以上に意識され一層の不安感にさいなまれることもあると思いますので、ぜひ配慮いただきたいと思います。

 含めて、ぜひ余裕を持った施策を展開し、先ほど馬袋委員からもありましたが、公表するということを前提に、国民に理解される時間軸で対応を進めていただきたいと思います。

 以上でございます。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 大変お待たせしました。藤原委員、お願いいたします。

○藤原委員 大西委員と同じで、私たち町村保険者も住民や被保険者と最も近い位置にいるわけであります。その立場から意見を述べさせていただきたいと思います。

 論点の2つ目で、先進的な自治体の取り組みを全国的に展開するにはどうしたらよいかとありますが、町村においては、都市部の地域もあれば中山間地域もありますし、また離島等もあります。ですから、先進事例といっても、地域に合った施策にブレンドしていかなければいけないと思います。

 私の村も代表的な中山間地域でありまして、県庁まで2時間かかります。それから、最も近い総合病院まで75分かかります。民間事業者が全く参入しないという地域でありますし、また、人口も4,000人弱でありまして、大変小規模な自治体であります。そういう状況でありますので、村が社会福祉協議会等を充実させまして、保健・福祉・医療の事業展開をしておりまして、地理的不利益の地域が逆に介護の支援の内発力を高めております。そのため、かえって保健・福祉・医療の一元化が可能になっております。お互いに顔がわかるからこそ、住民一人ひとりがどのようなサービスを受けているか手にとるように把握できておりまして、保健師や看護師、介護支援専門員等が利用者一人ひとりの状況を伝達し、翌日の対応を共有する連絡会議を毎日行っております。そうした状況から、前回の部会で議論となっておりました入退院における医療・介護の連携等についても非常にスムーズに行うことができています。

 このような取り組みは、人口が多く、民間業者の参入も多い自治体には余り参考にはならないかもしれません。しかし、逆に言えば、大都市で有効な取り組みも小規模な町村にとっては有効ではない可能性もあると思いますので、その辺を理解していただきながら今回の制度改正の議論をしていただきたいと思っております。

 また、今回の資料で説明されているように、今後、介護費用の総額が増加の一途をたどるということでありまして、その影響は当然、第1号保険料にも波及してくるわけであります。厚労省の推計では、平成37年には8,165円という保険料の平均額が示されておりますが、毎月8,000円以上の金額を高齢者が払い続けるということは非常に困難でありまして、今後、将来にわたって制度が維持できるか非常に危惧しているところであります。したがって、それぞれの地域、自治体が相当工夫していかなければいけないと思っております。

 私の村のことを申し上げますが、今期においては介護保険料を下げることができました。利用者との対応の中で工夫やサービスのメニューが様々生まれまして、それらをうまく組み合わせることによって保険料を下げることができたわけであります。在宅介護や介護予防事業に取り組むことが非常に濃密的にできたからであり、初めから保険料を下げることや、給付費の適正化などを考えたということでは決してなく、自然に下がってきたわけであります。様々な事業やサービスの重層的な取り組みが保険料の引き下げにつながったわけでありますので、サービス提供のあり方については、相当努力の余地や考える余地がありますので、ぜひこうした取り組みを各地域でできるような指導を厚労省にはしっかりやっていただきたいと思います。おそらく、事業者としても、気づいていない部分があると思います。したがって、そういう地域の状況を都道府県等でしっかり分析をしていただいて、指導を多少してもらえば、まだサービスを向上する余地があると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

○遠藤部会長 先ほど内田委員もお手を挙げられていました。お待たせしました。どうぞ。

○内田委員 まず、資料1でモデルとなる好事例を紹介していただいておりますが、こういう場合には、何人もの委員から出ましたが、もう少し深掘りして、地域差があったとしても、どこでも取り組めるようなポイントが示してあると取り組みやすくなるのではないでしょうか。ただ、この保険者の取り組みが、仮に認定率を下げるといったことが目的になると、本来の自立や改善の視点からそれていって大変危険かなと感じました。

 あと、サービス供給のことです。やはり介護保険ですから規制は一定必要だと思いますが、参入できないようにしていくことがいいのかというと、ちょっと疑問があります。新規の事業者が参入してくることによって、サービス提供でも、効率的なものとか効果的なものというものが示される場合も当然あると思います。もしも規制がかかって新規の事業者が参入できないとなれば、サービス内容とか質に問題のあるところが残っていくだけで淘汰されないということが起こるのではないか。やはりサービスの質の評価というところも含めながら、淘汰されていって、新規のところも参入できるといった仕組みになればいいかと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございました。

 それでは、齊藤秀樹委員、お願いいたします。

○齊藤(秀)委員 ありがとうございます。

 何人かの委員からも懸念のお話が出ているわけですが、給付の適正化というのは、一歩間違うと給付の抑制につながるということが一番懸念されるところだと思います。ここを踏み外しては制度そのものの根幹にかかわるものでございますから、自立支援がこの適正化によって高まっていくという視点は共有させていただきたいと思っております。その上で、今回、大変多くの好事例が出ていることは心強く思います。

 参考資料の20ページで保険者の規模別適正化事業実施状況が出ているわけでありますが、全国約1,600の保険者のうち、人口10万人以上の保険者は約300、残ります1,300の圧倒的に多いところは10万人未満なのです。さらに、これにありますように、2万人以下のところは600ということで、規模によってこの適正化の実施率に大きな差があるということは、先ほど来から出ておりますように、都道府県の支援・関与というものがやはり不可欠だということをあらわしているのだろうと思います。

 その上で、従来、和光モデルは私どもたびたび勉強させていただいておりましたが、今回、大分モデルが出てきた。この大分モデルによって最終的には数字的に説得力のあるものが出されて、大変興味深いものでありますが、例えばこの20ページの資料に大分県の事例を当てはめていったときに、どのようなケアプランの点検でありますとか、要介護認定の適正化が数字として見られるのか。そういった資料もあると大分モデルの有効性がさらに証明できるのではないかなという感じがしております。

 大分モデルの特徴は、いろいろな適正化のやり方がある中で、地域ケア会議というものを1つのてこにして進めていったというのが特徴でございます。いろいろなバリエーションがそれぞれの自治体にあっていいと思いますけれども、都道府県が、市町村ではなかなかできない、例えば専門家の派遣のようなところに力を入れることによって、従来できなかったことができるようになる、それによって自己点検がされて適正化につながることになるということであれば、全国でこれを活用していけるいいモデルではないかなと私は思っております。

 むしろ、いろいろな形があっていいということは大変民主的なやり方ではありますけれども、こういうサポートが必要なところに対しては、一定、県と市町村が連携をとりながら、まず、こういう方式でやってみようという具体性がないと、自主性、自主性と余り言っていたのでは効果がなかなか上がりにくいのかなというのが、今回示された中で勉強させられた点ではないかなと思っております。

 私ども利用者の立場からしても、最終的に認定率の数字が下がったとかいろいろなことがあるのでありますが、それは結果でありまして、そのプロセスが非常に大事だと。このプロセス抜きにして結果は論じられないと思っておりますから、そのことが、例えば大分モデルで証明していただくことができるとすれば大変ありがたいので、何か機会があれば、有効性を説得できるような追加の資料をさらに出していただければありがたいと思っております。

 以上であります。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、武久委員、どうぞ。

○武久委員 まず、介護保険というのは要介護状態の改善と予防のために行われるということははっきりしているわけです。一方で、要介護状態をよくしたり、予防しながら費用を減らすというのは二律背反的なことでありまして、費用さえ減らせば要介護は悪くなって、結果的に最後のほうに重介護になって要医療度になる。

 そこで、非常に難しいのですが、現実問題として、平成30年の同時改定のときに、国民健康保険の保険者が市町村から都道府県になるのです。その経過を医療保険部会で拝聴いたしておりますと、この介護保険にもちょうど当てはまっていいのではないかというふうな移行の仕方を考えているようです。それは、県が保険者なのだけれども、末端の業務は市町村が行う。現実に、藤原さんがおっしゃったように、県庁所在地の市と地方の町村では余りにも状況が違い過ぎまして、市町村が保険者になり続けるということは不可能かと思います。たまたま医療・介護の連携政策ということで非常に重要な30年の視点でございますので、この都道府県が重層的に支援するという形よりも、むしろここは思い切って国民健康保険と連用するような政策を鋭意考えていただけたら非常にうまくいくのではないかと私は思っています。

 一方、この介護保険というのは利用者本位ということで、最初始まりました2000年のころは、間口を広げて、いい制度だ、いい制度だと言いました。15年たちました。場合によっては、利用者本位だから、私が好きなようにするのだということで、生活支援のヘルパーを支給限度額いっぱいとってみたり、いろいろなことが起こってきました。その結果として、目的である要介護状態の改善及び予防というのはきちっとできていない、こういう資料は多々出てきております。ある程度、利用者本位と言いながら、例えば1つのサービスは支給限度額の7割までしかだめだとか、そのようにしないとケアマネジャーの実力が発揮できないということで、全くの御用聞きケアマネジャーに成り下がって給付管理だけするということでは、本来のケアマネジメントとしての機能は違うということです。だから、介護保険収支をよくすることは、サービス量を減らして、要介護認定を厳しくすればできるとは思いますけれども、その結果というものがいいものでないといけない。

 医療保険でも、このたびの改定で費用対効果というのが非常に出てきました。リハビリテーションも、FIM利得といってリハビリの効果がある場合に評価するとか、薬剤を減らした場合に評価するとか、在宅復帰率とか、やはりこの介護保険には費用対効果ではなしにアウトカム評価、どれだけよくなったかという指標が、要介護認定だけだと最大2年ぐらいたたないとわからないという状況ですので、ここをもう少し簡単な指標、すなわち一番いいのは1次判定です。1次判定をコンピュータでするということによって、私、15年間ずっと介護認定審査会の委員長をしておりますけれども、2次判定で変わるのは1割以下となっておりますので、簡単に、事業所によって要介護改善率とかいろいろなものがよくなっているかどうかによって企業間の競争を見るとか、また、いい結果を出している市町村を評価するというふうにしたらいいのではないかと思います。項目ごとにもう少し点数化して、わかりやすくして、このケアプランどおりのサービスをしたら非常によくなったということがみんなにわかるような指標というのが必要で、今は要介護認定しかないということで、1年も2年もたって成果がわかるようでは現場としてもなかなかやりにくいと思いますので、30年同時改定を前にしていろいろなことをお考えいただいてこの場に出していただけると非常にありがたいと思っております。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 では、岩村部会長代理、お願いします。

○岩村部会長代理 もう時間も押していますので、かつ、皆様既に多くのことを御発言になっていますので、ごく簡単にしたいと思います。

 第1の論点であります保険者等による地域分析と対応のところですが、市町村の事業計画の進捗状況の管理であるとか、適正化事業等について、これをより充実させたり、場合によっては、今、任意事業のものを必須事業にするということになると、やはり幾つかの課題があるように思います。

 例えば、PDCAサイクルというのは、今、行政の手法としてもかなり取り入れられていることは確かですけれども、他方で、恐らく地方公共団体のレベルに行くと戸惑うところも多いのではないのかという想像をしております。きょうのデータによると、13ページに、なぜPDCAサイクルでうまく回っていかないかという原因は既に分析されているところでありますので、今後の課題としては、こういった分析結果をもとにして、より促進するためにはどういう方策をとりわけ市町村に対して提供するのかというところが課題になるだろうと思います。

 もちろん、重要なところは、このPDCAサイクルを回すのに必要な、とりわけ分析ができるような人材を育成するということが当然考えられるわけですけれども、他方で、例えば齋藤委員、そのほかの方も御指摘されたように、地方公共団体の人事異動の問題というのがどうしてもそこにかかわってきます。そうしますと、人材育成も当然のことながら、しかし、人事異動があっても動かせる、そういった分析のためのツール、例えばデジタルでどういうデータを入力すれば分析結果がわかるとか、そのようなことを開発していくというのも1つの方法なのかなと思います。

 また、同様のことは、これも既に何人かの方から御指摘されましたけれども、やはり人事異動の観点からしますと、ある特定の人に依存するというのではなくて、組織としてシステムを構築していくことが非常に重要だろうと思います。

 きょう、和光市に代表されるような先行事例も幾つか紹介されていましたけれども、恐らくポイントは、そういった幾つかの先行事例の中から、どういう方策が有効なのかという、いわばそのコアになるようなものを抽出する。あとは、地方公共団体がそれぞれの地域の実情に応じて何かを付加していけばうまくいきますよという、そういったモデルなりを国あるいは都道府県ごとにお示しいただくというのが1つの重要なところなのかなと思います。

PDCAというのは、もう一つ、他方の問題がありまして、実は管理組織全ての問題でありますけれども、PDCAを始めますと、PDCAをやること自体が自己目的化するという問題を抱えます。例えばアウトプットでもアウトカムでも、それを設定すると、それを達成すること自体が目的になってしまうという問題があります。ですから、そのときに指標をどういうものとして設定するかというのが非常に重要なものだと思います。何人かの方も指摘されていますけれども、例えば要介護認定率を設定したとすると、それを下げること自体が目的になると、どういう手法でどういうふうに下がっているというか、そういう質の問題とかも当然見なければいけないことになるので、それをどうやって組み込むかということが非常に重要なのかなと思いました。

 それからもう一つの論点でありましたサービスの供給体制の問題であります。総量規制というのが、今、幾つかのところでとられているものでありますが、もちろん利点としては、これによって財政面でのコントロールをしやすいということがありますけれども、他方で、総量規制というのは、これもまた何人かの方が御指摘になりましたけれども、問題も抱えていることは否定ができません。既にきょう御紹介のあった定期巡回・随時対応型サービスのときにもその議論をしたところでありますけれども、結局のところ、総量規制というものは既存の事業者の保護にどうしても働いてしまう。したがって、通常であれば働くマーケットの機能が働かない。非効率的な経営をやっている事業者であるとか、あるいはサービスの質の劣る事業者というものが市場から排出されないという問題を抱え込みます。クライアントを1回抱え込んでしまえば、あとは介護保険から安定的にお金が供給されるので、経営は非常に安定したものになってしまうとか、そういう問題を抱え込むことになります。

 これを避けようとしますと、定期巡回・随時対応型サービスの場合もそうでありますけれども、事業者の提供しているサービスの評価であるとか、それに基づく改善の指導であるとか、場合によってはマーケットから退出してもらうとか、そういうことを組み合わせるということにならざるを得ません。そういう意味で、もともと介護保険によって形成されている市場というのは非常に特異な市場なわけでありますが、その中でどうやって適正なサービス量を確保し、かつ質を確保するかというのは非常に難しい問題かなと思います。

 恐らく、1つ法律家的な視点からすると、総量規制というものを用いる以外に、ほかにベターな方法が本当にないのかというのも実は考えるべき論点かなという気もするところであります。これは、より深い検討も要するところでありますので、将来の検討課題だろうと思っております。

 最後1点だけでありますが、先ほど武久委員が国保と介護保険との関係にちょっと触れられましたので、それについてコメントをさせていただきたいと思います。

 国保の改革の際に、いろいろな考え方はあったと思いますが、一番大きな論点の1つだったのは、介護保険との整合性をどうするかという問題であったと私は理解しております。国保のほうは、あのときの議論では、むしろどちらかというと都道府県に上げるという議論があり、他方、こちらの介護保険のほうは地域包括でやっていこうということが言われていて、要するにその両者の乖離が問題だったと思っております。

 地域包括ケアということを軸に介護保険を考えていくということであれば、市町村レベルにウェートを置いた上で、あとは、きょうの議論にもありましたように、市町村ではその規模等によって必ずしも十分に対応できない部分があるので、それを県、場合によっては国がどういう形で支援するか、そういう方向で考えていくのだろうと私自身は考えていて、国保の場合とは方向性がちょっと違うのではないかと思っているところであります。

 以上がコメントでございます。ありがとうございました。

○遠藤部会長 どうもありがとうございました。

 先ほどお手を挙げられた鈴木隆雄委員、お願いいたします。

○鈴木(隆)委員 ありがとうございます。

 時間がないので、資料の13ページ、14ページで。

 私、先ほどからいろいろ御発言を伺っておりましたけれども、また、今、岩村委員がお述べになられたことにも少しかかわるのですが、13ページの4の市町村のほうで進捗管理を行う上での課題の「統計データの分析能力の問題」といったことが割合としてかなり大きく挙げられているかと思います。

14ページを見ますと、「現状分析の取組内容」の中で1から10まであるうちの3、4、5、6に「システムを活用し」という用語が出てくると、実行率が非常に落ち込んでいるということが分かります。昨今、この「見える化」システムというのがリリースされているということなのですけれども、この「見える化」システム自体を余りよく存じ上げていないので伺いたいのですが、これは、統計ソフトを各市町村に配付して、そして標準化された形で変数を入力するというような、簡単に言うと、そういう統計ソフトのようなものを言っているのでしょうか。もしそうだとすれば、例えばそのシステムを分析する実行率が非常に悪いということですが、何ゆえにそんなに実行率が悪いのか。

 例えば、その習熟に時間がかかっているのか、あるいは研修等のトレーニングということが進んでいるのかいないのか、その辺についてご教示お願いしたい。先ほどの13ページの「統計データの分析能力の問題」について見ていると、これは記述統計ですから、非常に特殊な研究で用いるようなモデルを用いた統計分析をやっているというわけではないと思うのです。何ゆえにこのような実行率に低い数字が出てくるのか教えていただきたいなと思いました。質問です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 事務局、何かコメントございますか。お願いします。

○竹林介護保険計画課長 どうもありがとうございました。

 「見える化」システムは、データとしては、既に給付関係のレセプトのデータであるとか、認定率のデータとか、国のほうでいろいろなルートで入っているものを1つぎゅっと集めて、ほかにも人口の状況とか、住基情報とかを入れているものとかもありますけれども、そういうものを統計処理して、見るときは実は誰でも見られるようになっています。私なども個人としても見られるようになっています。登録をしてIDをもらう必要がありますけれども、特段のソフトとかを用いることなく、誰でもそういう分析後のデータを見られるようになっております。

 今回のアンケート調査で非常に低調だった1つの理由は、時期の問題があると思っています。今、「見える化」システムは順次拡充をしている最中でして、この1年間でも大分多くの情報が追加で入りましたけれども、これは実施した時期が去年の状態を問うていますから。また、去年の時点では掲載されているデータも少ないですし、あと、年齢調整とかされていませんから、当然、高齢化率が高いところが給付も多いし、数字も高いという当たり前のことしか載っていないので見る価値も少なかったと思うのですけれども、これからそういう年齢調整などをかけた全国の状況が見られるようになると思いますので、活用が進むのではないかと期待しております。

 その使い方などについても、別途、わかりやすいマニュアルとかそういうものも必要かなとは思っておりますけれども、とにかく数字が低かったのは、またデータとしての利用の価値が低かったことが一番大きな原因だと思っております。

○遠藤部会長 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木(隆)委員 再度申しわけありません。例えば今、年齢調整の問題をお話しされましたけれども、例えば市町村の現場にいる人がそのデータを見て、自分のところで。例えば、先ほど65歳~70歳という5歳年齢階級で人口補正していると申しました。例えば市町村がそれを10歳階級で見てみたいといったときに、自分たちはそれをもう一回リコードしなくてはいけないわけです。そのデータは自分たちで統計処理的に取り扱うことのできるデータになっているのか。で、国は、そういったことで各市町村に統計データを分析して自分のところの課題を見つけなさいというような形で進めておられるのか。いかがでしょうか。

○遠藤部会長 事務局、お願いします。

○竹林介護保険計画課長 自分のところのデータを10歳階級にするということはいかようにでもできると思いますけれども、ほかの自治体との比較をできるように、全国の状況を提供しているものは、先ほどの5歳階級で一律のあり方で提供させていただいているということです。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 御意見は大体承ったと思います。予定を大分オーバーしておりますので、このアジェンダにつきましてはこのぐらいにさせていただきます。

 もう一つ資料が出ておりますので、そちらについて事務局から説明をいただきたいと思います。

 資料3「ケアマネジメントのあり方」でございますけれども、事務局、よろしくお願いします。

○辺見振興課長 振興課長でございます。資料3とあわせまして、参考資料3もお手元に置いてごらんいただければと思います。

 表紙をおめくりいただきまして、1ページ目「現状・課題」でございます。「適切なケアマネジメントの推進について」ということでございますが、介護保険法の目的及び理念には、高齢者が要介護状態等となっても尊厳を保持し、その有する能力に応じ、自立した日常生活を営むことができるよう必要な支援を行うことが定められております。また、保険給付は、要介護状態の維持・改善に資するように行われ、利用者本位による保健・医療・福祉サービスが総合的かつ効率的に提供されなければならないものとされております。

 これを担いますケアマネジャーにつきましては、要介護者等からの相談に応じ、心身の状況、その置かれている環境等を踏まえて、適切なサービスが利用できるように、市町村やサービス事業者との連絡調整を行う者であって、要介護者等が自立した日常生活を営むのに必要な援助に関する専門的知識・技術を有する者とされているところでございます。

 参考資料の3ページをごらんいただきますと、ケアマネジメントの流れをお示ししております。アセスメントをし、ケアプランを作成し、これをサービス担当者会議を通じて確定し、サービス提供を行った上で、モニタリングをして、またケアプランの見直しに戻るという意味で、ケアプランの作成を「P」とすれば、P・D・C・Aで回転をしているといったことが全体におけるケアマネジメントの流れで、全体のプロセスの中で適切なケアマネジメントを行うということが求められていると理解しております。

 資料3に戻りまして、3つ目の○のところに適切なケアマネジメントを推進するための施策として、これまで幾つか施策を講じてきているということを述べさせていただいております。

 もう少し年代別に整理したものを参考資料3の4ページのほうに載せておりますので、ごらんいただければと思います。

 まず、試験・研修制度等に関しましては、介護支援専門員の更新制度の導入を平成18年に行っております。さらに、平成27年度からは、試験の受験資格を国家資格保有者に限定するという見直しも行われております。あわせて、主任介護支援専門員の研修を18年に創設しているところでございますけれども、こちらにつきましても28年度から更新制を導入し、そのための研修を導入しているところでございます。そのほか、保険者機能の強化との関係、また、給付適正化事業への位置づけやそのための点検マニュアルの策定といったような事業をさまざま行ってきたところでございます。

 資料3に戻りまして、2ページ目に移らせていただきます。1つ目の○でございますけれども、ケアマネジャーは、担当する要介護者等の人格を尊重し、常にその立場に立って、要介護者等に提供される各サービスが特定の種類、特定の事業者に不当に偏ることがないように、公正かつ誠実に業務を行わなければならないと定められております。ケアマネジャーは公正・中立に業務を行うことが求められている一方で、一部調査によりますと、利用者本位のサービスが貫けないといった悩みを抱えているといった調査結果も見られます。

 また、参考資料の16ページをごらんいただきたいと思います。直接的には、介護報酬で定められております特定事業所集中減算という、ケアマネジメントにおいて特定の事業所等に集中していた場合の減算の仕組みに関するものでございますので、いわゆる報酬のものではありますけれども、ケアマネジメントの公正・中立にかかわるものとして、会計検査院から今般3月に指摘が行われておりますので、御紹介をさせていただきます。

 資料3に戻りまして「2.ケアマネジメント業務の遂行について」でございます。まず、1つ目の○ですが、重度者や医療の必要性が高い方がふえていくことへの対応については、前回の部会においても御議論いただいたところでございますけれども、ケアマネジャーの役割という観点からも、ケアマネジメントを行う際の医療との連携ですとか、ケアプランへの適切な医療サービスの位置づけなど、適切な連携という観点が求められるところでございます。

 また、ケアマネジャーの勤務上の悩みということ。これは参考資料の最後の19ページでございますけれども、給付費分科会において提出させていただいている報酬の改定検証委員会の報告の一部でございます。ケアマネジャーの悩みに関する調査として挙げられていること、賃金等に関することもございますが、能力や資質に不安があること、相談できる相手がいない、また困難ケース対応に手間が取られる、記録する書式が多く手間がかかる、こういったところが多くなっているといった状況が見られるところでございます。

 資料3に戻りまして、3ページ目でございます。「適切なケアマネジメントを推進するための保険者等の関わりについて」でございます。こちらは、ケアプラン点検ですとか、地域ケア会議における個別ケースの検討等、資料1と若干重複するところはございますが、実施保険者6割というのは、先ほどの資料でもございましたが、個別ケースを取り扱った地域会議の開催の有無です。細かく見ますと、市町村が主催した場合は3割、地域包括支援センターが主催している場合でも7割といった状況が見られるところでございます。そちらの点検をしていない理由については、先ほどの保険者機能のところと重複するところがございますけれども、人員の不足ですとか、知識・スキルを持った人材がいないといったところが指摘されております。

 3ページ目、最後の○ですけれども、平成30年度に居宅介護支援事業所の指定権限が市町村に移譲されるというのは平成26年の介護保険法で決まっているところでございます。これは、保険者とケアマネ事業所の指定というのが同じ市町村となりますので、保険者としての立場からケアマネジメントに適切にかかわることが求められるところでございます。

 こうした流れと少し関係することですが、参考資料の15ページをごらんいただきたいと思います。地方分権の関係で指摘を受けていることでございます。「都道府県から市町村への事務・権限の移譲等」という大きな枠の中で、介護保険法につきまして、介護支援専門員に対する報告の求め等につきまして地方公共団体から意見の徴収を行った上で、介護支援専門員が業務を行う地の市町村へのこうした報告徴収等の権限の付与を検討して結論を得るようにということでございます。

 要望のもとは一部の指定都市からの要望でございます。現在、介護支援専門員の登録及び不適正な行いがあった場合の登録の消除、また、その間に行われます指導等は都道府県により行われているところでございますけれども、政令市等においては、ケアマネ事業所の指定が既に市の権限になっております。市としてケアマネ事業所の指導を行う場合に、ケアマネ自身に対しての指導を行いたい、もしくは研修受講命令等に該当するのではないかということを指導の途中で考えたときに、権限がどうしても県にありますので、逐一県に対応を求めなければいけないという問題意識から、県の権限は県の権限として残したまま、指定権限を持つ市町村側にも並行して権限を認めるべきではないか、このような問題意識でございます。いずれにしましても、検討課題ということで指摘をされておりますので、ここで御紹介をさせていただきます。

 資料3に戻りまして、4ページ目、最後「論点」ですが、4点ほど挙げさせていただいております。自立支援、公正中立、総合的かつ効率的なサービス提供の視点に基づく適切なケアマネジメントを確保するためにはどのような方策が考えられるか。さらに、市町村は保険者として地域の中で適切なケアマネジメントの確保を一層進めるためにどのような方策を行うことが考えられるか。また、医療介護等の連携のために、ケアマネジメントにおいて専門職種や専門機関を有機的に結びつけるためにはどのような方策が考えられるか。給付管理や書類作成等の業務負担も踏まえて、ケアマネジャーの業務のあり方をどのように考えるか。以上4点を挙げさせていただいております。

 私からの説明は以上でございます。

○遠藤部会長 ありがとうございました。

 それでは、早速、ただいまの報告につきまして御意見、御質問があればと思います。

 それでは、花俣委員、どうぞ。

○花俣委員 済みません。お先に失礼します。

 今の資料3の1ページ「現状・課題」の○の3つ目、上から6行目になります。「主要介護給付費等費用適正化事業の一つにケアプラン点検の取組を位置づけて実施」とあります。それから、2ページ目の下から3行目に「ケアマネジャーの勤務上の悩みとして・・『記載する書式が多く手間がかかる』、『困難ケースへの対応に手間がとられる』といった実態も一部に見られる」と書かれていますが、先ほども御紹介があった参考資料の最後の19ページの図表を見ますと、上位1・2位の回答になっております。勤務上の悩みでは「自分の能力や資質に不安がある」が最も多い回答となっています。能力の大変高いケアマネジャーも当然おられるわけで、手間暇を惜しむことなく、利用者家族それぞれのために実に適時適切な支援と介護計画を提案されているケアマネジャーのおかげで、我々利用者は大変安心して介護生活を送ることができている。

 一方で、ケアマネジャーさんの力量の差というのはとても大きくあるようにも感じています。さきのアンケート結果にあるように、書類作成の負担増については、繰り返される改正のたびに、加算に伴う要件を満たすための関係書類がふえ続けています。改正のあり方そのものにも問題があるのではないかなと思います。それから、困難事例の手間は、ケアマネジメントにおいて対面サービスに手間がかかるというのは当たり前のことですけれども、利用者や家族にとってもそこを丁寧にやっていただくことは大変重要なポイントだと思います。困難ケースの対応に手間がかかることについてのケアマネジャーさんの支援策というのはあってしかるべきだと思います。

 このような実態を見ていきますと、本来の適切なケアマネジメント業務を遂行するということはなかなか厳しい状況にあるのではないかなと思います。さきに出てきたような課題を改善して、あわせてケアマネジャーさんの質がさらに向上するように、例えば参考資料の5ページの研修制度であるとか、点検の取り組み事例、あるいは総括表の活用とか、9ページぐらいまでに書かれているもの、そういったものの取り組みに大いに期待したいと思います。

 あと、3ページのところになります。ケアプラン点検の実施保険者は全体の6割。その先、2つ目の○のケアプラン点検を実施していない理由に至っては、対応人数の不足とか、知識やスキルを持つ人材がいないとなっていますけれども、保険者機能を十分に発揮するためにも必要な人員や専門性を持つ人材を配置する、あるいは、繰り返しになりますけれども、在任期間について検討する必要というのは絶対あるのではないかと思います。短期間の入れかわりで専門性や有効な人材が育つとはとても考えられません。

 また、現時点では多くのケアマネジャーさんが社会福祉法人などに属しておられます。ケアマネ作成に係る中立性の維持というのは、これもまたなかなか困難な状況にあるのではないかと思います。全ての根本的な課題が見える中で、優先すべきものというのは、ケアプランの点検がきちんとなされる体制づくりではないかなと思います。適切なケアプランというのは、利用者の信頼を得る一歩で、介護給付費の削減にもきちんとつながっていくと思います。それなくして給付の抑制・削減というのは、私たちはとても納得できるものではないと考えます。

 また、先ほどから、大分県は地域ケア会議が充実していたり、認定率が下がったりとか、好事例として出ていて、最初の参考資料1の52ページにたまたま具体的なケアプランの事例が出ています。これも、目標が曖昧で、デイサービスで2回お風呂に入るだけだと、お世話型のケアマネジメントだと左側に書かれている。大事なのは、下肢筋力の低下を防ぐように筋肉トレーニングをするとか、住宅改修をするとか、入浴補助用具の購入を検討するとか、まさに多職種協働の地域ケア会議の中で、この方の自立支援型のケアマネジメントをやったと書かれているのです。

 私、利用者サイドから見ていくと、別にこの方はお風呂に入りにだけデイサービスに行っているわけではないのではないかと。デイサービスでお風呂に入っている時間というのはわずかです。こちらのほうの多職種協働でいろいろなサービスの人がいろいろ検討されている。こんなにいろいろなサービスを使ったら、自立型で給付削減しようと思ってうまくいきましたよという事例に本当になっているのかなと。この方は下肢筋力の低下が問題なのではなくて、生活の不活発があるから下肢筋力が低下してきたはずなのに、こちらの部分には余り触れられていない。何となく問題解決型、対症療法型、いわゆる認知症ケアでは余り好ましくないプランの立て方と似ているなと感じてしまいました。

 そのようなことから言って、ケアプランの点検であるとか、適正なケアマネジメントというのは物すごく大きなポイントを占めることではないかなと、今回の資料を読ませていただきました。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 では、鈴木委員、お願いいたします。

○鈴木(邦)委員 まず、特定集中減算についてですが、公正中立のためとのことですけれども、そもそも介護保険法には「公正かつ誠実に」としか書いてありません。基準省令の基本方針の一つに「公正中立」という文言がありますが、その前に特定の種類、または特定の居宅サービス事業者に不当に偏することのないようにとあり、「不当に」という言葉が入っています。さらに、他の基本方針である利用者の立場に立った居宅支援、自己選択、サービスの総合的、効率的な提供、利用者本位のいずれを見ても、特定集中減算を正当化するものはなく、逆にそれらの基本方針に反する結果を招いています。

 前回の介護報酬改定を見ても、大幅なマイナス改定以外に利用者も含めて最も現場の不満が大きいものは、特定集中減算です。サービスの質が高い事業者に利用者が集中するのは当然のことであり、利用者にとってはケアプランの質、サービスの提供、事業者の質が最も重要な指標になるはずです。現場では、特定集中減算を避けるために居宅介護支援事業者同士でケアプランを交換する、あるいはみずからの事業所の併設のサービスを希望する利用者に対して、他の事業者のサービスを紹介する、さらに減算を避けるためにケアプランの作成を断るなどの事例が見られている一方で、ケアプランが赤字でも介護サービスでもうければいいとして、特定集中減算になっても全て自社サービスを導入するように指示している悪質な事業者もあり、特定集中減算は悪質な事業者の抑制としてはほとんど機能していません。

 福岡県では、県と医師会が協議した上で、医師が適当と認めれば、全て正当な理由として、事実上、医療系サービスを特定集中減算の対象から外しています。また、直近の問題点としては、小規模な通所介護が地域密着型に変わったことによって、地域の事業所の数に変化が起こり、この影響で新たに特定集中減算の対象となる可能性がある事業所が出てくることに対して、行政の方針が示されておらず、現場の不安を招いています。事業者にとっては、非常に不合理な悩みだと思いますが、これについて、厚労省のお考えを聞かせていただきたいと思います。ここは質問です。

 このように、特定集中減算で悪質業者を排除することは困難であるばかりか、良質な業者が打撃を受けることになっていますので、直ちに廃止することが必要であると考えます。悪質な事業所の洗い出しについては、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所のケアマネジャーたちは、適切な事業者を選定、紹介するために悪質な事業者を把握しておりますので、制度で洗い出すのではなく、行政と地域のサービス事業者が協力して、悪質な事業者を排除するための取り組みを行うことが重要であると考えます。

 ケアプランの点検についてですが、未実施の市町村に対して強制しても、形だけの点検になってしまうと思われます。また、行政のみが実施すると点検を逸脱したような事例も生じることがあります。

 実行可能で有効な対策としては、都道府県や市町村の行政と、鷲見会長もいらっしゃいますけれども、介護支援専門員協会が協力して、専門的な視点でケアプラン点検を行うことが考えられます。ただし、そのためには介護支援専門員協会も医師会と同じような三層構造とする必要があります。また、医師のアドバイスが必要な方については、医師会との連携をとる体制の構築も必要となります。

 地域ケア会議についてですが、個別ケース会議以外の参加は任意となっておりますので、ケアマネジャーの資質の向上のために、ある程度参加を義務づけることも必要であると考えます。さらにケアプランの自己負担については、ケアプランは介護保険の制度の根幹であり、公的サービスに準ずるものとして、原則無料でやるべきだと考える方が多く、また、日本介護支援専門員協会も反対しております。一方、自己負担の発生により、ケアマネジャーがプロとしての実力、自覚を持つようになるという意見もあります。ただし、自己負担があることでサービスの利用控えや今まで使っていたサービスを減らすような状況は避けなければなりません。いずれにしても、ケアプランの財源に税金が投入されていることも事実であり、前回が大幅なマイナス改定であった中で、次の介護報酬改定においてどれだけの財源が確保できるかによる柔軟な対応が必要であると考えます。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 一つ質問がありました。事務局、質問に対する回答をお願いします。

 振興課長、どうぞ。

○辺見振興課長 特定事業所集中減算に関しましては、平成27年の改定の中でも、一部改正を加えているところでございますけれども、鈴木委員が御指摘のとおりさまざまな御意見が寄せられることも事実であり、報酬改定のプロセスの中で、給付費分科会等でしっかりと御議論をいただきながら検討していく必要があろうかと思っております。

 一方で、ケアマネジャーの公正中立の確保という観点から言えば、委員がお読みいただいたような運営基準の規定も含めて、現行でもさまざまな方策がございますけれども、そういった方策も含めて、適切なケアマネジメントの観点から公正中立をどう考えていくのかということは重要な検討課題だと考えております。

○遠藤部会長 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木(邦)委員 それはいいのですけれども、直近の問題として4月以降、小規模な通所介護が地域密着型になることによって、地域の事業者の数が見かけ上ふえて、特定集中減算の対象になるという問題が起きており、これは非常に不合理な話だと思うのですけれども、これについて行政の対応が示されていないことで不安が広がっておりますので、それについての見解をお示しいただきたいと思います。

○遠藤部会長 お願いします。

○辺見振興課長 小規模のデイサービスが4月から地域密着型サービスに変わっていくということは制度上行われていることでございますけれども、実際のサービス事業者が地域密着型に変わっていくのか、定員を変更するのか、さまざまな選択肢がある中でどういう影響があるのかについて、特定集中減算との関係でどのような課題があるのか、今の段階では詳細を把握しておりませんけれども、よく現状を把握していきたいと思っております。

○遠藤部会長 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木(邦)委員 ぜひ現場が混乱しないような対応をお願いしたいと思います。

○遠藤部会長 お待たせしました。

 鷲見委員、どうぞ。

○鷲見委員 ありがとうございます。

 論点の丸に沿って、お話をさせていただきたいと思います。

 我が国の介護保険制度はケアマネジメント、自立支援の理念のもとに必要不可欠なものとして位置づけました。制度を活用する前提として、ケアマネジメントを通して入り口から利用者と一緒に考え、質を高め、理念をしっかり実現することに意味があると思います。ケアマネジメントはサービスにアクセスするために必要最小限のものです。ですから、公正中立とは、地域をよく知っている上でアセスメントした結果、何事にも影響されずに、要介護状態にある方に最善のケアマネジメントをすることだと思います。

 ニーズに対して、多様な組み合わせで総合的な支援が提供されて、活用された結果が効率的であったと考えるので、財政的な理由で軽度者のサービスのあり方など制度自体を縮小することが国民にとって本当によいことなのか、極端な言い方をすれば中重度だけの保険になっていいのか、高齢者の医療、介護をどう考えるのか、長期的な支援に立って考える必要があると思います。

 セルフマネジメントを上げていくためには、みずから取り組む姿勢が大変重要です。それには、安心感と健康の維持を一定程度持つこと、つまり、利用者自身が支えられているという実感が非常に大事です。見守っているからこそ発見につながることや初動の支援と安定してからの支援とは異なり、一見、過剰に感じられることもありますが、長期的に見ると効率的なこともあるわけです。見守る機能が少なくなったことで状態の変化が発見できなくなることや安価で機能さえあればよいということではないと思います。現在の制度を健全な形にしていくことが重要であり、守るべきだと思います。

 この議論は、介護保険の根本的な議論であり、軽度者の支援、居宅介護支援費の定額導入については自立支援の視点に立ってどういうことが起きるのか、長期的にしっかり考えるべきだと思います。地域住民の自発的な動きにつながるまでは、地域包括支援センターとケアマネジャーとさらなる連携を図り、軽度者から中重度まで一貫とした流れの中で制度としてのバックアップが必要だと考えます。

 2つ目です。

 現在、介護保険サービスは24種類、52サービスあります。さらに、これに地域のサービスがあるわけです。頻回に制度が変わり、当事者が理解していくことも困難でコーディネートすることは容易ではありません。保険者機能を強化することによって自己選択ができなくなり、利用制限ができてくることがあってはならないと思います。13年間、サービスに過剰な点があったということも否めませんが、走りながら動かしてきて、見えてきた部分が事業者にも、利用者にもあると思います。わかりやすい制度設計を目指す必要があると考えます。

 今回の資料における地域ケア会議において、参考資料3の11ページの調査はケアマネジャーの地域会議への参加が少ないように見えますが、そもそも平成25年時点の地域ケア会議の普及率がどの程度だったかということを前提として考えないといけないと思います。現任者が13万人で例えば1人1ケース個別のプランを地域ケア会議で検討したとすると、全国で13万回の地域ケア会議が開催され、そのうち5万2,000回の出席で4割となるわけです。ですから、単に回答数の比率だけで判断できるものではないと思います。ケアプラン点検に対する人材不足やスキルを持つ人間がいないことなどまだ不十分であり、現在も地域ケア会議というツールが5つの機能を十分に果たしているとは言いがたい状態でもありますので、地域ケア会議だけで育成することには限界があると思っています。

 居宅介護支援事業所の指定権限の移譲については、平成30年時点で最低限、ケアマネジメントについて保険者が理解していることが前提です。今でも都道府県によって指導内容や解釈や考え方が異なることによって混乱を招いています。実際に保険者をまたがって支援提供する居宅支援では、かなりの混乱を来すということは目に見えております。しっかりと地域のケアマネジャー、団体と連携し、国、県、市町村、保険者が統一した見解を示し、適切な実施をされることが利用者に不利益が出ないことにつながると考えます。

 3つ目です。

 今後のニーズに対応いたしまして、平成28年度からスタートする介護支援専門員の研修カリキュラムは、疾病や状態像に対して、演習とネットワークづくりを中心とした構成でガイドラインも作成されています。研修全体でPDCAサイクルも機能するようになりました。現場も今後は変化していくように思います。実際にはカンファレンスレベルではなくて、入院中から退院後の顔が見えるように相互に連携していくことが非常に大事だと思います。例えば在宅スタッフがラウンドに参加したり、NSTに参加するなど相互に現場で関与するようなことも重要である。在宅医療推進に当たっては、かかりつけ医との連携が必須であると考えますので、書式変更による負担軽減やICT化による簡素化などを図る必要もあると考えます。

 参考資料3の19ページに示されている介護支援専門員のスキルに自信がないという回答は主観的な回答で、むしろ、今後高めたいという真摯な態度でもあると思います。客観的にはスキルがないということを示しているわけでもありません。また、医療に関する研修や指導に対しては医師会と専門職と連携し、既に取り組まれている事業や質の向上と、ケアマネジメントの評価に対する指標づくりにも国と一緒に作成し、成果を出す必要があると思います。そのためにも、主任介護支援専門員を中心としたリーダー的な人材育成を図り、地域で在宅医療を推進する体制をつくることが重要だと思います。

 最後です。

 給付の書類の作成等の負担でございますが、調査結果からも主任介護支援専門員を配置する特定事業所加算をとっている事業所は、OJT機能を持ちながら丁寧なケアマネジメントが行われています。一定程度事業所の規模がありますと、事務管理を個々で行うより事業所として行うことが可能であり、効率化が図れると思います。郵送やファックス作業の手間を省いて、提供票などをメールで配信するなり、メールのやりとり等を担当者会議とみなすことも視野に入れながら検討していっていただければと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 どうもありがとうございました。

 齋藤訓子委員、お願いいたします。

○齋藤(訓)委員 適切なケアマネジメントが、今後も求められていくわけですが、これまでさまざまな施策を展開されて、柱としては3つだと思います。1つはケアマネジャーの資質向上、業務の効率化・簡素化、そして、他職種との連携あるいは第三者評価といった柱で進んできているかと思います。

 特に他職種連携、第三者評価のところにつきましては、地域ケア会議が必須化となって、参考資料1で大分モデルが示されていますが、本来こういった他職種の目をアセスメントの段階で入れていくほうが、適切なケアプランにつながるのではないかと思っています。大分のモデルはさまざまな職種の観点から利用者さんを見て、お互いに情報共有しながらプランニングを検討したことで、認定率の改善につながった状況なのかと私は見ていたので、参考資料3の3ページにあるケアマネジメントの流れの最初のアセスメントのところで、多職種協働の視点が非常に重要なのではないかと感じました。

 その上で、資料3の論点の3つ目で、今後重度の要介護者や医療依存度の高い方が地域に帰ってくる状況になっていくので、こういった論点が上がっているとは思うのですが、なかなかアセスメントのところでいきなり多職種協働は難しいと思いますので、ケアマネジャーがケアプランの策定に当たって、医師やナース、あるいはリハビリ職からいろいろな助言や支援を適時受けられる仕組みを制度上で保障していけば、非常に有効に機能していくのではないかと思っています。

 実際に訪問看護の立場からしますと、ケアプランの策定や変更にかかわる際にケアマネジャーから相談をかなり受けている実態が以前の資料でも出されていたように思います。ケアマネジャーが困ったときに医療の専門職からサポートが受けられる仕組みを報酬上に載せていくことを検討していただくことで、これからの重度化に対応できる適切なケアマネジメントの質の担保が保障できるのではないかと思っています。

○遠藤部会長 ありがとうございました。

 東委員、土居委員、栃本委員、阿部委員ということでこちらに行きます。

○東委員 ありがとうございます。論点の順番に沿って、御意見を申し上げたいと思います。

 まず、ケアマネジメントの自立支援、公正中立、それに基づく適切なケアマネジメントのあり方につきましては、御存知のとおり、平成24年3月から7回にわたりまして、「介護支援専門員(ケアマネジャー)の資質向上と今後のあり方に関する検討会」が開かれております。そこで、平成25年1月7日に中間報告として取りまとめられて、いわゆる地域ケア会議が創設された歴史がございます。私もこの検討会の委員をしており、検討会の席上、資質向上、公正中立、自立支援というものに対し、地域ケア会議で本当に実効性があるのですかという発言をした記憶がございます。

 参考資料3の11ページに地域ケア会議に参加したことのあるケアマネジャーが40%とあります。これは一見すると、ケアマネジャーがあまり参加していないように見えますが、それは間違った見方だと思います。鷲見委員もご発言されたとおり、地域ケア会議自体の開催頻度がまだ非常に少ないですし、地域ケア会議も各地で様々な開かれ方をしております。ましてや、ケアプランのあり方を検討するような地域ケア会議にケアマネジャーが一体何人呼ばれているのか、呼ばれていない地域ケア会議にケアマネジャーが出るわけにはいかないので、この表の出し方は少し誤解を生むと思っております。

 参考資料1に掲載されている保険者の取り組みの好事例では、26ページの和光市の例をみますと、和光市は「地域ケア会議」という言葉は使っておりません。「和光市コミュニティケア会議」とわざとこういう言葉を使っているのかもしれませんが、これはこれで意味があると思っています。そこには、多職種が入り、かつ、アセスメントを統一し、きちんとしたケアマネジメントの専門性の向上、ケアマネジャーの育成に和光市は取り組んでいるわけでございます。大分県のモデルでも52ページに自立支援に資するような指導をしているわけです。このように地域ケア会議が実効性を示している例もあることはあるのですが、全国的に見ますと地域ケア会議がケアマネジャーの公正中立、自立支援の資質の向上に役立っているとは思えません。先ほど、参加を義務づけたらどうかというようなご発言もありましたが、地域ケア会議の開催頻度等、その在り方を今後検討していくべきだと考えます。

 2点目でございます。いわゆる市町村のチェック機能ですが、これは先ほどから何回もご意見が出ておりますので多くは申しませんが、これがなかなかできていない。この一番の原因は担当者がいない、専門職がいない、わかる方がいないというものです。しかし、担当が3年、5年ごとにかわる行政の方にチェックを任せるのは無理だと思います。ですから、保険者がケアプランのチェックをする専任の方を別に雇用して当たるということをしない限り、このチェック機能も働かないと思います。

 以上、2点につきましてご意見を申し上げました。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、土居委員、お願いいたします。

○土居委員 ありがとうございます。

 私は、提出資料の2ページ目のところでケアプランに関して申し述べております。

 もちろんケアマネジャーの資質向上は引き続き重要だと思いますけれども、ケアプランの点検が必ずしも十分にまだ行われていないところも、やはり問題だと思います。

 そのときに、紙媒体で点検をせざるを得ないような市町村もあると聞いておりますので、全面デジタル化をできるだけ早期に、第7期に間に合うかどうかはよくわかりませんが、検討されることを私は求めたいと思います。

 特にレセプトは既にデジタル化されているわけですから、そこをうまく連動させるような形でやることも一つ考えられると思います。

 もちろん、今あるケアプランの書式で文字情報が入るところはあると思いますから、それはそれとして文字情報を入れられるようにすることはあっていいとは思いますけれども、必ずしも文字情報ではなくて数値が入るところはデジタル化することで点検しやすくできる、さらにはケアプランの作成も省力化できるだろうと思います。

 点検のときには労力が要ると思いますけれども、異常値のような初歩的な差異は、まずコンピューターで簡単に選別できるようにするくらいは組み込めると思いますし、それがまず初歩的な労力は点検の際に省力化できると思います。もし可能であるならば、点検における先駆的な取り組みをプログラム化して、それを組み込むことで点検をより省力化することもゆくゆくは可能であると思います。さらには、ケアプランの作成の労力を省力化することにもなるのだろうと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 実は、ちょうど予定していた時間なのですけれども、大変重要な課題でございますので、もしよろしければ30分ほど延長させていただきたいと思います。

 特に足の関係で早めに退席をという方もいらっしゃるかと思います。その場合は優先的にさせていただきます。

 それから、御発言はできるだけ簡潔にお願いしたいと思います。

 お待たせいたしました。栃本委員、どうぞ。

○栃本委員 このケアマネジメントのあり方についての一番最初のページのところに、総合的かつ効率的ということが書かれています。

 また、適切なサービスを利用できるようにということがもともとうたわれているわけですけれども、この意味をもう少し真剣に考えると、現在のケアマネジメントやケアマネジャーの実態を考えると、全ての利用者やサービスについて、現在のようなやり方でケアマネジメントをする必要があるのかどうか根本論として疑問に思います。

 予後がわからないケアマネジャーでは、利用者の役に立たない、家族からすると意味がないということがあろうかと思います。単に給付管理するとか、利用者本位でこれとこれを組み合わせるということだけで、もともとケースマネジメントですから、限られた資源制約の中で、一番いい形を考えることが重要ですので、これについてもう少し考えなければいけないと思います。マネージドケアという視点です。我が国の膨大な介護サービス費総額は今後さらに増えていくわけですから、今のケアマネジャーありきということでいつまでも議論してよいのか疑問です。

 あと、例えば定期巡回などを含めて二度手間になることがあります。この辺をもう少しちゃんとやらないと、逆にケアマネジャーがバリアになってしまってやりにくくなるということがあるのが実態としてあります。そういう意味で、その辺を考えていかなければならないと思います。

 次は前回も申し上げたことですけれども、地域包括ケアシステムを地域で完成させるということからすると、ケアマネジャーとともにMSWというのは非常に重要ですね。中小の病院が地域で地域包括を支えるわけですから、そこにおける退院とか別のところに行くとか、在宅の人が入院したといった場合、非常にMSWはよくわかっていますので、地域を越えていろいろな転院や施設等の紹介先もわかっておりますので、ぜひ病院MSWとの連携やケア会議における病院MSWなどの出席というものが必要なのかと思います。

 次に認定審査会です。これも前に述べましたけれども、先ほど他職種連携という話がありましたが、認定審査会では医師の合議体の会長のもとで、看護、介護、薬剤師等、その地域に住んでいる専門家が一堂に会して、訪問調査員の特記事項や主治医意見書、また、前回の一次判定のデータなどを見ながら、12カ月とか24カ月、6カ月後の経緯を見ながら、ちゃんと審査判定しているのです。

 また、実際にサービスがどういう使われ方をしているかもわかります。前もお話ししましたけれども、そういう意味では認定審査会は従来行いませんでしたけれども、積極的に意見を付すべきであって、ケアプランの作成にそれが生かされることのほうが、ケアマネジャーがより仕事の説得力を持つと思います。

 最後に、先ほどの給付管理であるとか書類作成等の業務負担というものがありました。データの標準化などありましたけれども、既に土居先生のほうから全部解決策を話されてしまったので、これは土居先生の提案に賛同します。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 では、阿部委員、お待たせいたしました。

○阿部委員 ケアマネジャーのスキルアップは非常に大事なのですけれども、資料3の3ページ「ケアプラン点検の実施保険者は」ということで数字が出ているのですが、実際にケアプランの中で点検を受けたものの比率は分かるのでしょうか。1点質問です。

 2点目に「個別ケースを取り扱った地域ケア会議」も主催者については比率が出ているのですけれども、実際に全国でどれくらいの頻度で行われているのかがわかるのでしょうか。

 ケアプランの点検を受けたり、あるいは個別のケースの検討会を実施することに関して、何かインセンティブがあるのでしょうか。

 以上、質問です。

○遠藤部会長 いかがでしょうか。

 振興課長、どうぞ。

○辺見振興課長 2つ目の御質問は。

○阿部委員 要は、地域ケア会議の開催の有無は、開催の主催者は書いてあるのですけれども、実際の開催数ですとか、保険者ごとの頻度とか、都道府県ごとで何かわかるデータがあるのでしょうか。

○辺見振興課長 1つ目の御質問は点検されたケアプラン数ということで、2つ目の御質問は自治体ごとの開催頻度等ですけれども、現段階では少し粗目の大くくりの調査になっておりますので、細かいところの調査はございません。

 インセンティブ等につきましては、今まで御紹介した仕組みのほか、どういった形なのかということは一つの検討事項かと思っております。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 よろしゅうございますか。

 続きまして、伊藤委員、どうぞ。

○伊藤委員 先ほどの、地域分析との対応のところでも、認定率そのものをアウトカム指標にすることの弊害を指摘させていただきました。利用者の自立という観点でケアマネジメントをきっちり行っていく、その結果、給付費の削減になることはとてもいいことだと思っていますので、ケアマネジメントの充実が重要だと思っています。

 そういうことを考えますと、基準省令にありますように、特定のサービス事業者に不当に偏することがないように、公正中立に行わなければならない、これがきちんと担保される必要があると思っております。そういう意味で、提供する他のサービス事業者からの自立、独立性ということが重要です。

 よくケアマネジャーの専門性が低いなどと指摘されるところですけれども、それを言うのであれば、専門性を高めるための研修がきっちり行える、そして、受けられる勤務体制の確保ということをぜひお願いしたいと思っています。

 今回、参考資料3の最後のページに、介護支援専門員の業務の実態調査とあるのですが、研修を受けられないという設問自体がないので出てこないのですけれども、我々の現場で聞く話では、研修を受ける時間がないという話があります。

 それから、先ほどの結果として給付費が下がることを期待するところでありますので、地域ケア会議の参加も、求めがあれば協力するよう努めるとなっていますけれども、これもより参加できるようにするには一定の規模も重要なのだと思っています。

 保険者の機能として、ケアプランの点検は重要だと思っています。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございました。

 次、内田委員、お願いいたします。

○内田委員 まず、ケアプラン点検ですけれども、保険者によって点検内容にかなり違いがあり、ケアプラン内容の適正さまでに踏み込んで点検できていないところもあると聞いております。

 点検マニュアルというものをお示しいただいているので、そういうものの普及もありますけれども、専門家を雇用するといったやり方もしないと、なかなか進まないのかなと思います。

 今のケアマネジャーは、ある意味アセスメントやケアプランの作成、事業所の調整といったところを一人で抱えており、かなり過重な仕事になっていると聞いております。そこで、かかわっている事業所がもっと一緒に考えるなどといったコミュニケーションがもっと図れないかなというのがある気がします。

 今の事業所は、ケアマネからこのようにプランを提示されているからそれに沿ってやっておけば大丈夫といった風潮があるので、そうではなくてケアプラン自体までにもかかわれるようになっていかないと、サービスの質も上がっていかないのではないでしょうか。集まるのはなかなか難しいにしても、ITの活用などができるのではないかと思います。

 今回の論点にはないのですが、ケアマネジャーの更新研修などが時間数も相当ふえるわけですが、効果が上がっているのか上がらないのかみたいなことは重要で、時間だけはすごく研修したけれども、効果が上がらないというのでは困りますので、一定時間がたったところで研修効果等の検証みたいなことをしていただきたいなと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございました。

 それでは、桝田委員、どうぞ。

○桝田委員 ケアマネジメントの問題で、ケアマネジャー自体の問題点として少し克服しなければいけない課題があるのではないかと思います。資料3の2番で出ています「病院等職員からケアマネジャーへの連絡」云々というところで、4割は連絡がないということが出ています。それ以外に実態調査(居宅介護支援事業所及び介護支援専門員業務の実態に関する調査)の詳細部分で見てみますと、主治医との連携の問題、ここで「主治医とコミュニケーションをとることに苦手意識を感じる」が約6割、58.4%、これは病院のドクターです。それから「主治医側から協力的な姿勢や対応が得にくい」云々というのが53.8%、「主治医と話し合う機会が少ない」が68%、診療所のドクターのほうはこの半数くらいになるのですけれども、全体を通じて見ていくと、医師が協力してくれないのではなくて、自分がドクターのほうに行くのが苦手だから避けているのではないかという部分が見えてきます。

 「医療に関する表現や用語の難解な部分についてわかりやすい説明が得られない」が25%ぐらい、4人に1人はあると。やはり医療に関して自分の知識が足りない部分が出てくると、どうしても行くのがおっくうになっていってドクターを避けている、ドクターが怖い存在に思えているのではないかと考えられます。

 このあたりの部分、福祉系のケアマネは特に言われていることなのですけれども、医学的知識をもう少し勉強しなければいけない。それを克服することによって、別に医師が怖い存在でも何でもないという風になると思います。医療との連携が最重要課題だと思いますので、その部分を少し医師会の先生にも協力していただいて、医師は怖い存在ではないのだなというのをケアマネジャーさんに示していただける部分が要るのかなと思います。

 もう一つケアマネジメントの部分で、利用者本位のサービスが貫けないという問題が2割あるというのは、少し意味深な表現で本意がわかりませんけれども、やはり自分の母体の事業について遠慮をしなければいけないというのは、非常にゆゆしき問題になるのではないかと思います。このあたりの部分はケアプランチェック等でないと見えない部分になってくると思いますので、そのあたりの、どう中立公正な立場を守れるのかという部分についても少し検討が要るのかなと思います。

 よろしくお願いいたします。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 先ほどの順番と少し変えまして、医師会の先生もという具体的な名前も出ましたので、鈴木先生、コメントがあれば、どうぞ。

○鈴木(邦)委員 ありがとうございます。

 おっしゃるとおりで、これから高齢者医療と介護は一体化していきますので、医療的な知識がより必要になります。

 これについては鷲見先生の協会に医師会が協力して、ケアマネジャーの皆様に医学的知識を習得していただくような取り組みをしていく計画もございますことをお話しさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

○桝田委員 ちょっと追加で、よろしいですか。

 医療側のほうで、介護支援連携指導料という加算がございますね。今回4月から上がっています。そのあたりを積極的に活用していただいて、ケアマネさんいらっしゃいという姿勢にしていただくと、そこから連携が生まれてくるのではないかと思いますので、よろしくお願いいたします。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木(邦)委員 診療報酬にまで及ぶアドバイスありがとうございます。

○遠藤部会長 では、もとの流れに戻しましょう。

 それでは、小島参考人、どうぞ。

○小島参考人 ケアマネジャーの公正中立ということなのですが、私から申し上げたいのは、まずもって独立性が担保されるような基本報酬のアップではないのかなと思っています。そうした中で、先ほど鈴木委員からもお話がありましたケアプランの自己負担化にはいろいろな賛否両論あるわけでございますが、利用者から見れば、ケアプランをつくったときだけでも、まず自己負担化を導入するというのもあっていいのではないか。

 それ以外のケアマネジャーがケア会議に参加するであるとか、サービス担当者会議に参加する、いろいろな場面の会議にも参加しますし、研修参加というものもあります。そういった部分は別に自己負担を求めない報酬というありようもあっていいのではないかなという思いがありまして、基本的には公正中立、独立性が担保されるように、特に集中減算について鈴木委員から御指摘いただいたとおりだと思います。

 私も都道府県が実際に運用する際には、5事業所くらいを紹介して、なおかつ本人たっての希望があればそれで集中してもやむを得ないということで、減算する適用はほとんどしていないのが実態でありますので、この集中減算の効果というのはどうなのかなと。

 雇用されているケアマネジャーが独立した法人を設立したらという考えもあるかと思いますが、そうすればいいともならないと思います。何か制度を変えた場合には、それを逃れていくというすべが常にあるのかなと思いますので、ここは慎重に検討していただければと思っております。

 あとはケアプラン点検です。確かに市町村はノウハウがない、人員がいない等々ありまして、東委員や内田委員から専門家の雇用など、いろいろ御意見が出ました。ただ、属人でやるとその人がいなくなったらということもありますので、ここは厚労省にも検討していただきたいのは、市町村受託法人の制度があります。

 今は認定調査に関する事務であるとか、いろいろな保険業務の紹介業務等を法人に委託することができるとなっておりますので、そうした事務の範疇に、例えばケアプラン点検であるとか、事業所の指導であるとか、指定審査とか、そういったものをもう少し広げていただくことで、小さな市町村の対応が、例えば同じ法人に複数の市町村が共同で受託するなど、そういうことができるのではなかろうかと思います。

 その場合には皆様からるる言われているように、職員は大体3年で異動しますけれども、法人組織であればそこに担保ができる人材が生まれるのではなかろうかと思いますので、これを一つ提案させていただきたいと思います。

 先先ほど、政令市の意向があって都道府県から登録消除の権限を市町村にというお話がありました。私もそれは賛同いたします。もちろん居宅介護支援事業所の事務が移る以上、そこも一緒に移していただければと思います。

 ただ、登録の消除につきましては、消除した後5年間は登録をできない。ただ、実は資格の剝奪という行為ではありませんので、その後試験を受けてから再度登録するということではなくて、研修さえ受ければ5年後には登録できる制度になっていますので、その消除のありようというのももう少し考えていただければと思っております。

 以上でございます。

○遠藤部会長 ありがとうございました。

 では、齊藤秀樹委員、どうぞ。

○齊藤(秀)委員 ありがとうございます。

 先ほど、東委員から地域ケア会議の充実に向けた御発言があって、同感でございますが、参考資料3の12ページに地域ケア会議に参加した結果が出ておりまして、7割の方々は有効だと、非常に効果があったということは、現状の地域ケア会議の課題がある中でも評価すべきことではないかと思っております。

 とりわけケース支援に役立った、他職種とのネットワークが構築できた、さらに御懸念されております能力向上にも役立ったという結果は、極めて有効なことであろうと思います。

 しかし、何も地域ケア会議だけが好結果をもたらすということではなくて、先ほど御説明がありました資料の中で、ケアマネジメントの流れ、齊藤訓子委員から、アセスメントの段階から連携のあり方を考えるべきではないかというお話もあったわけであります。現状でもサービス担当者会議の充実ということも、それに付するものであろうと思いますので、私は条件がないわけではなくて、今、機会とするといろいろな場面がある、これを生かしきれてないということではないかと思いますので、ぜひもう一度そういう場面場面を大事にしていくということがなければいけないと思います。

 とりわけこういう問題があって、資質向上というと研修ということが当然でありますけれども、研修を生かすというのは現場でありますから、現場の中で研修したことを生かし切れるようなフィールドワークがないと、なかなか頭だけではうまく機能しないという問題をはらんでいるのではないかと思いますので、ぜひ多職種連携協働という場面を多々生かす活用のあり方というものを考えていただきたいと思います。

 さらに、きょうの論点になっているのかどうかわかりませんけれども、自己負担導入の話が何人かの委員から出ているわけであります。私は適切なケアマネジメントをするということは、自立支援に必要な最小限のサービスの提供で効果を上げることができると思いますので、そういう意味では利用者からすると一見給付抑制ではないかという一面もあるわけではありますが、自立支援のためのケアプランだと自信を持って言えるためには、ケアマネジャーが利用者と対等、公平な立場である必要があると思います。したがって、お世話型や言いなりプランにならないためにも、自己負担がないということの意味は、私は非常に大きなものがあると思っております。

 さらに、当初からケアマネジメントに自己負担を入れなかったというのは、負担を気にせずに相談をしてくれという意味合いが非常に強かったと承知しておりますので、これは自立支援という理念の上からも、慎重であるべき検討課題ではないかと思っております。

 以上でございます。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。

 では、陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 ありがとうございます。

 先ほどからの御説明のように、介護保険制度のかなめとなっていますケアマネですが、その中で求められる役割とスキルは年々増加の一途をたどっています。

 しかし、先ほども報酬の話は出ておりましたが、報酬上は扱う利用者の要介護度や特定事業所加算などによって差はありますが、全体的には決して高いものではありません。

 そのような中で、18ページに主任ケアマネの受講者数が年々減少してきているという資料がございますが、そうなるとケアマネの資格取得者と就業者の数の推移がどうなっているかというのが知りたいところでございますので、調べていただきたいと思います。もしケアマネの必要数が足りているのだとしたら、主任ケアマネの受講者数が減っているのはなぜかという視点も大切だと思いますので、この見解もお願いしたいと思います。

19ページの参考資料によると、ケアマネジャーは大変悩みを抱えているということでございます。私どもの立場としては、ケアマネの処遇改善も論点を支える前提になる大切なポイントだと考えています。

 御紹介しますと、私どもで2015年の処遇改善調査でケアマネの処遇を調査したところ、月給者の平均報酬が255,191円でした。これは前年と比べて3,196円のプラスとなっています。しかし、処遇改善加算がありました介護職員と比べても増加額は低く、全産業の平均と比較しても7万円以上の差となっています。

 同時に処遇満足度調査をやっていますが、「少し不満」「大いに不満」をプラスして、73.6%の方が不満に感じておりました。理由は「社会的な平均賃金より低い」が42%、「業務量に見合ってない」が38%と、仕事と報酬がマッチしていないという回答が多くなりました。

 この調査は希望する賃金も聞いていますが、月額で271,642円。これは現状より1万6,400円のプラスということで、非常につつましい額でございました。決して法外な報酬を期待しているわけではありませんでした。

 この部会で処遇改善の話をするのは適当かどうかわかりませんが、超高齢社会を乗り切るためには介護職全体の魅力を上げて、みずから進んで参入してくる専門職をふやし、その切磋琢磨の中から優秀な人材を輩出する必要があるかと思います。そのためには、処遇の改善は絶対に必要であると強く主張するのであります。ぜひこの部会としても、介護給付費分科会とも連携して、介護職員だけでなく介護従事者の処遇改善に尽力いただきたいと願うものであります。

 最後に論点4でございますが、給付管理、書類作成業務は、19ページの業務遂行に係る悩みでも圧倒的な負担となっています。第55回でその他の課題の中に、保険者の業務の簡素化がテーマとして提示されていましたが、現場こそ簡素化が本当に必要でございます。この部分は制度の改正を待たずにできるところからぜひ進めていただきたいと思います。

 以上です。ありがとうございました。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 では、馬袋委員、武久委員の順でお願いしたいと存じます。

○馬袋委員 ありがとうございます。

 きょうはケアマネジメントのあり方ということで、ケアマネジャーが中心に議論されていますけれども、広くしっかり考えないとケアマネジャーだけの問題ではなくて、ケアマネジメントのあり方が大切で、要介護認定の方々に対するケアマネジャーの対応もありますが、これから推進していきます地域の総合支援事業、介護予防のところについてのケアマネジメントのあり方も重要な部分であると思います。これに対してどのような形で取り組むのかということについては、やはりしっかり議論しておく必要があると思います。かつ、それは、地域包括ケアセンターには介護予防、これからの総合支援事業のところを担われているのですが、その方から委託を受けてケアマネジャーがプランをつくっておりますけれども、実際そのあり方と今後の予防の内容も含めたケアマネジメントということをしっかり整理をしておく必要があろうかと思います。

 それから、現場におけるサービスの質に対応するところで、ケアマネジャーのプランだけではなくて、ケアマネジャーのプランと実際にサービスを提供しているサービス提供事業者の介護計画、サービス計画の評価というものが非常に重要であると思います。ぜひそのことも含めた一連の内容を、ケアマネジメントとして取り扱い、検討する必要があると思います。

 先ほど、土居委員からお話しがありましたデジタル化でありますが、これはぜひ国として統一して進めていただきたい。現場でペーパーの問題もありますけれども、これだけ十何年も歴史があり、そして多くのメンバーたちが関わっている、知識が集まった内容をデジタル化して、効率化を目指すべきだと思います。そういったことによってできる知識や情報はかなりケアマネジャーを助けるのではないかと思います。AIなど人工知能の技術などが進んでおります現在の中で、ぜひこういったものを取り込んでいただきたいと思います。

 最後に、公正中立という議論がありますが、誰にとって公正中立なのかというのは、いま一度整理をしておきたいと思います。

 集中減算とサービスの質については、事業者として質を高めて選ばれていく、そして努力をして評価をされサービスの質向上に対する加算をとったとしても、集中減算の対象となったら、そのサービスの質評価の加算などを排除されてしまう。こういったことでは、サービスの質と集中減算の目的は全く意味のないことになってきます。ぜひこれは一度、給付部会などの関係会議で、集中減算と質の担保の評価というところについては議論をしていただきたいと思います。

 最後に、事業の適正化の実施について、どの事業に対してサービスが入り過ぎているのではないかということは、ぜひそれはサービスの適正化の事業の中でしっかり保険者の方に見ていただいて指導していただければいい問題と、集中減算や事業者へ偏っているという問題とは区分けして整理をしていただきたいと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 武久委員、お待たせいたしました。

○武久委員 論点の1番、自立支援、公正中立、総合的かつ効率的サービス、これが目標なのに、これができなかった場合のペナルティーが何もない。非常に大まかな、こうしてほしいという願望でしかない。

 また、馬袋委員もおっしゃったように、公正中立というのは誰に対して公平中立なのか。公平中立を阻害しているのは利用者本人、家族、事業者、ケアマネなどいろいろあるとは思うのですけれど、幾ら点検をしても残念ながらサービスが1つか2つのケアプランが一番多い。しかも、軽度者の生活支援のヘルパーが圧倒的に多い。これを点検して、こういうことがあったら是正するのか、それとも指導するのかというのもはっきりしない。ただただ点検しても、それは統計にすぎない。これについて、どうにかしないといけないのではないか。ぼつぼつ言われましたけれども、どうにかするのであれば軽度者の生活支援のヘルパーは自己負担を3割にするとか、1つか2つのケアプランはどうのこうのということがあると思います。

 例えば地域包括ケア会議で、この人にはこうしたほうがいいと言っても、家族の一言によってどんでん返しでチャラになってしまう。これだけたくさんの人がかかわりながら、家族という利用者でもない人の一言で全てチャラになる制度はありですかと。利用者が嫌と言うのなら、まだいいです。こういうところを、家族教育を十分にしなければ、今まで言ったような統計は、ずっと継続してきているわけです。そろそろここら辺で考え方を変えて、厚労省のほうもいい方向にいっていただきたいと思っております。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 大体よろしゅうございますか。

 それでは、簡潔にお願いいたします。

 藤原委員、どうぞ。

○藤原委員 介護支援専門業務に係る指導監査事務の市町村への付与についてですが、平成30年度には居宅介護支援事業事務所の指定権限が市町村に移ってきます。そういうことを考慮すれば、指導監査事務はしっかり市町村が取り組まなければならないことだと思います。小規模町村であっても、複数の市町村による共同実施や都道府県の適切な指導があれば、十分市町村でも可能ではないかと考えますので、検討をよろしくお願いしたいと思います。

○遠藤部会長 ありがとうございました。

 大体予定していた時間になりましたけれども、よろしゅうございますか。

 ありがとうございます。司会の不手際で30分時間オーバーということになってしまいまして、3時間半ぶっ通しという中医協並みの議事運営でしたけれども、ありがとうございました。

 非常に多様で貴重な御指摘あるいは御提案が出されましたので、今後の議論に可能な限り反映されていければと思っております。事務局におかれましても、そのような対応をよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、これで本日の会議を終了したいと思いますけれども、次回の日程につきまして、事務局何かございますか。

○矢田貝企画官 次回の日程につきましては、追って御連絡を差し上げます。

 なお、この場をおかりして、私昨日まで熊本の現地本部に行っておりました。関係の皆様の御支援を引き続きお願いしたいと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。御苦労さまでした。

 それでは、本日の部会はこれにて終了させていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(介護保険部会)> 第57回社会保障審議会介護保険部会 議事録(2016年3月25日)

ページの先頭へ戻る