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2019年6月27日 医療従事者の需給に関する検討会 看護職員需給分科会 第10回議事録

○日時

令和元年6月27日(木)10:00~12:00

 

○場所

TKP新橋カンファレンスセンター 新館 ホール11D
東京都千代田区内幸町1-3-1 幸ビルディング
 

○出席者

池西 静江 (日本看護学校協議会会長)
伊藤 彰久 (日本労働組合総連合会総合政策局生活福祉局長)
大崎 和子 (社会医療法人きつこう会多根総合病院看護部長)
太田 秀樹 (全国在宅療養支援診療所連絡会事務局長)
太田 圭洋 (日本医療法人協会副会長)
尾形 裕也 (九州大学名誉教授)
釜萢 敏 (公益社団法人日本医師会常任理事)
島崎 謙治 (政策研究大学院大学教授)
平良 孝美 (沖縄県立南部医療センター・子ども医療センター副院長)
高砂 裕子 (全国訪問看護事業協会常務理事)
鶴田 憲一 (全国衛生部長会会長)
内藤 誠二 (医療法人社団温光会内藤病院理事長)
平川 博之 (公益社団法人全国老人保健施設協会副会長)
森本 一美 (公益社団法人日本看護協会看護研修学校校長)

○議題

(1)看護職員の確保策について
(2)その他

○議事

○金子看護課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまより「医療従事者の需給に関する検討会第10回看護職員需給分科会」を開催いたします。構成員の皆様におかれましては、本日は、御多忙のところ御参集いただき、まことにありがとうございます。本日は、鎌田構成員、小林構成員、竹中構成員、春山構成員、伏見構成員、本田構成員、山口構成員からは御欠席の御連絡をいただいております。また、島崎構成員、内藤構成員におかれましては、遅れて参加されると御連絡をいただいております。それでは、ここでカメラは退室をお願いいたします。以降の議事運営につきましては座長にお願いいたします。では、尾形座長、よろしくお願いいたします。
○尾形座長 おはようございます。それでは、早速議題に入りたいと思います。これまで看護職員の確保対策ということについては、ヒアリングも含めまして5回にわたって議論をしてまいりました。今回はこれまでの議論をここで一旦整理するとともに、これまでのところ、議論の内容によっては濃淡等もございましたので、改めて各論点につきまして、今後の施策の方向性等の御議論をお願いしたいと思っております。なお、本日は御欠席の構成員の方もいらっしゃいますので、御欠席の構成員において御意見がある場合には別途事務局のほうにお寄せいただくこととしたいと思います。その点、事務局のほうでは適切に取り計らうようお願いいたします。それでは、早速議事に入ります。事務局から資料の説明をお願いいたします。
○金子看護課長補佐 先に資料の確認をさせていただきます。お手元の資料につきまして、議事次第、座席表のほか、資料「看護職員確保策に関するこれまでの議論のまとめ(たたき台)」をお配りしております。また、鎌田構成員、森本構成員から「看護職員確保策に関するこれまでの議論のまとめ(たたき台)に関する意見」という意見書を提出いただいておりますので、机上配付させていただいております。不足資料等ございましたら、事務局のほうにお申しつけください。
○乗越看護職員確保対策官 では、引き続きまして資料の説明をさせていただきます。資料のほうをごらんください。「看護職員確保策に関するこれまでの議論のまとめ(たたき台)」ということでございます。1ページ目に目次をつけさせていただいておりますが、現状と、検討課題と方策ということで、これまで御議論いただいてまいりました論点につきまして、御意見について整理をさせていただくとともに、それぞれの論点に関する施策の方向性といった形で、議論を踏まえて、事務局のほうで整理をさせていただいたものでございます。
2ページをごらんください。まずは看護職員確保策を取り巻く現状でございます。看護職員の確保につきましては、看護師の人材確保の促進に関する法律に基づきまして、国、地方公共団体、中央ナースセンター、都道府県ナースセンターと連携をして、新規養成、定着促進、復職支援を柱とした取り組みを進めているといった現状をまとめております。また、看護職員に求められる役割の多様化等、状況の変化といったこともあるということをまとめさせていただいております。ここの部分につきましては、まだ十分な記載ができていないところがありますので、引き続き追記を事務局のほうでさせていただきたい。それは最終取りまとめにおいてさせていただきたいと考えております。
3ページ、検討課題と方策のほうに参ります。1つ目の論点としては新規養成でございます。御意見といたしましては、看護職員について、生涯のキャリアパスを踏まえて設計する教育を今後強化していかなければならないといったことでありますとか、3つ目の○にあります看護基礎教育において、訪問看護等々で働く魅力、こういったものが伝わるようなカリキュラムが提供される必要があるのではないか。また、教員の質の維持等についても必要ではないかといった御意見を頂戴しております。それを踏まえまして、施策の方向性としてまとめております。1つは、「養成時から多様なキャリアパスを理解するための支援」ということでございます。囲みを中心に御説明をさせていただきます。学生の時代から地域の中でさまざまな施設において職場体験が可能となるようなインターンシップなどの支援を行ってはどうかということ。それから、地域での就職を希望する学生への支援のあり方についての検討。また、多様なキャリアパスについての理解を深めるため、現在運用しておりますナースストリート等の周知、活用の促進といったことを行ってはどうかということでございます。
看護教員への支援につきましては、現在、看護基礎教育検討会において議論も進められておるところでございますが、4ページに参りまして、看護教員の業務の負担軽減についての検討。また、教員の質の維持、担保、向上のための検討。こういうサポートを進めてはどうかということでございます。
復職支援についてでございます。1つ目は届出制度の改善についてでございます。届出制度について、届出数をふやすためのさまざまな取組が行われておるところですが、そうした好取組等につきまして、実行のある周知にしていくべきといったこと。それから、届出をした方のニーズを適切に把握して、対応が必要ではないかということ。代行届出について、協力を依頼する施設への適切な説明が必要ではないかといったこと。さらには、4つ目の○にありますように、届出制度というよりは、医師等の登録制度のような資格保有者全体の把握についてのあり方を検討すべきではないかという意見も頂戴しております。そうした意見を踏まえまして、施策の方向性、1つ目、届出数の増加に向けた強化ということで、周知徹底に関することでございます。認知度が十分ではないといった状況が明らかになっておりますので、これを踏まえて、政府広報、それから学生のときから理解が得られるようにということで、キャリア教育等における制度の周知の推進。また、都道府県等の好取組の情報収集、展開。また、代行届出を促進するためのシステムの見直し。こうしたことを進めてはどうかということで整理をさせていただいております。
5ページ、「届出者への支援」ということでございます。これにつきましては、届出者のニーズに合わせた情報、コンテンツを提供していくこと。届出者の方が活用するeナースセンター、インターネットで職業紹介、情報を得ることができるeナースセンターにつきまして、マッチング機能の充実などのシステムの改善を図っていく。こういったことによって届出者の支援を図っていってはどうかということ。3つ目が「資格保有者の全体を把握する仕組み」。こうしたことを検討していってはどうかということでございます。
5ページの2つ目、ナースセンターの機能強化についてでございます。1つ目の○にありますように、ナースセンターの事業実績を向上させていくために、課題やセンターの強み、そうしたものを分析していくことが必要ではないかといったこと。ナースセンターの相談員の質の向上に対する御意見についてもいただいてございます。5ページの一番下の○にありますような、ハローワークとの連携等を行うに当たりましても、人員体制や予算についての制約等もあるということで、6ページにかけましてナースセンターの体制の整備を図っていくことが必要ではないかという御意見を頂戴しております。また、ナースセンターとハローワークとの連携の推進ですとか、6ページの2つ目の○にありますような地域医療構想を実効あるものにしていくために、地域間・領域間における職員の円滑な労働移動を図ることも必要ということから、ナースセンターの強化、拡充についての検討が必要といった御意見をいただいております。
施策の方向性といたしまして、1つ目といたしましては、ハローワークとの連携を強化していくということで、これは都道府県によって取組実績に差があるということを踏まえまして、好事例の周知ということをしっかりやっていく。2つ目といたしまして、看護職員の多様なキャリアパスを支援していくために、ナースセンターの相談員のキャリア形成能力、資質向上を図っていくために、ナースセンターの相談員に対するキャリアコンサルティング、専門知識、技術を習得するための支援とか、また、相談対応について、相談員が必要なアドバイスを受けられる体制づくりの検討といったものを行ってはどうかということ。3番目、ナースセンターの体制整備という観点から、7ページのところにありますが、そのために土台となる医師会、病院団体、こうした関係団体との連携を進めていく必要があるということで、ナースセンターの事業運営協議会の活性化を図っていくべきではないかといったこと。また、都道府県ナースセンターの人員体制等の整備。医療勤務環境改善支援センターとの連携を推進していくといったことを進めてはどうかということで、まとめております。
7ページ、定着促進についてでございます。1つ目は勤務環境の改善ということで、主に夜勤ができる従事者の確保ということを論点として議論をしてまいりましたが、夜勤をする人をいかにふやすかという観点からの御議論だったかと思います。施策の方向性といたしまして、早朝帯、繁忙帯のみの勤務といったことで、柔軟かつ多様な働き方、こうしたものを組み合わせることによって働き方についての推進策を検討していくこと。また、勤務間インターバルにつきましても、これは推計の議論をしていたときにも御意見を頂戴しておりますけれども、勤務間インターバルについての検討を行ってはどうかということを目だしさせていただいております。2つ目のハラスメント対策についてでございます。御意見といたしましては、厳しく対応すべきといった御意見。8ページ目に参りまして、医療現場におけるハラスメントとは何かということを明確にした上で、対策を立てることが必要ではないかといったこと。訪問看護における対策といったことを進めていくことが必要ではないかといった御意見を頂戴しております。施策の方向性といたしましては、医療現場におけるハラスメントにつきまして、組織的に対応していく必要があるという観点から、医療施設における暴力・ハラスメントの実態調査の実施。これは今年度厚生労働省において調査の実施を予定しておりますけれども、この調査の実施。それによって課題を明確化すること。また、医療現場で活用可能な対応マニュアルといったものを作成するための指針の策定。これも調査、今回の研究事業の中で盛り込まれているものでございます。ハラスメント防止につきまして、ポスターの作成など、国民への普及啓発。また、ハラスメント対策を効果的に学習できるeラーニング等の取り組み支援といったことを行ってはどうかということでございます。3つ目が看護補助者の確保・活用についてでございます。看護補助者について多くの御意見を頂戴しておりますけれども、近年、看護補助者は減少傾向にあるということで、確保が難しくなっている状況について確認がされたところでございます。
9ページの意見でございます。看護補助者に関しまして、実態調査を行うことにいたしておりますが、そうした調査を踏まえまして、確保が困難な理由、定着しない理由、こうしたものを明らかにして対策を検討すべきといった御意見。名称のあり方についても検討してはどうかという御意見をいただいております。施策の方向性のところでございます。看護補助者の不足感というものがあるということを踏まえまして、看護補助者の人材確保を進めるという観点から、実態調査の結果を踏まえた組織における看護補助者の位置づけ、役割、業務分担、定着促進等の対応策、名称のあり方について検討してはどうかといったこと。看護補助者の確保のキャンペーンを実施してはどうかということ。看護補助者との協働を行います看護管理者、看護職員、こうした方への研修の内容についての検討、また研修を推進していくということを進めてはどうかということでございます。関連もいたしますが、看護管理者に対するマネジメントについてでございます。マネジメントにつきましては、多様な働き方の推進。また、今、出ていました看護補助者の活用といった観点からもマネジメントが重要であるということでございますが、管理者の支援も必要であるといった御意見を頂戴しております。
10ページでございます。「多様な働き方に対応できるマネジメント能力の向上」といった観点から、研修を実施したり、看護補助者の活用に関しましては、研修テキストを活用した看護管理者に関する研修を推進してはどうかということで、まとめさせていただいております。10ページ、4番目の訪問看護、介護分野等における看護職員の確保についてでございます。この点につきましては多くの御意見を頂戴してございます。新人の訪問看護師の育成に関することにつきまして、病院と訪問看護ステーションとの連携の必要性。また、計画的な確保の推進とか、都道府県に拠点を整備して、教育体制、定着支援、研修体制の構築、こういったことを支援していってはどうかといった御意見を頂戴しております。11ページに参ります。在宅領域の看護に従事してみたいと思っている職員も多くいるというデータもございましたが、そうしたみずからのキャリアパスの選択に生かせるような環境の整備といったことが求められるという御意見も頂戴してございます。
11ページ、施策の方向性でございます。1つ目は新卒の看護師の訪問看護への就業促進という観点から、そういった取組も既に行われておりますので、教育実施の状況の把握、好事例の情報共有、教育体制の整備への支援を行ってはどうかということでございます。訪問看護、介護分野、こうしたところに就業を選択する機会の確保という観点から、病院等で働く看護師の方に、多様なキャリアを選択できるような訪問看護ステーション等での研修の実施、看護管理者に対しましても多様な背景を持つ看護職員の活用に関する研修の推進をしていってはどうかといったこと。訪問看護・介護分野における定着促進について、さまざまな研修、教育体制の整備という観点から、12ページ、研修を行う人材の育成事業というのも今、実施しておりますけれども、それの促進といったことですとか、訪問看護ステーション、介護施設に従事いたします看護職員に対する継続教育の体制整備に向けた支援といったことを行ってはどうかということ。訪問看護ステーションの運営について、安定しづらいといったことを踏まえまして、地域における訪問看護提供体制に係る総合的・計画的な推進策についての検討といったことをしてはどうか。また、訪問看護の人材確保等を総合的に支援する拠点についての検討をしていってはどうかといったことを挙げております。
地域偏在等についても論点として御議論いただいてきたところでございます。これにつきましては、現在都道府県のナースセンターで行っております「地域に必要な看護職の確保推進事業」、こうしたものについて、国を含めて関係者がしっかり支えていく体制が必要ではないかといったこと。看護職員の確保が難しい僻地等での施設の職員の確保につきまして、地域の実情に応じた確保策を実施するために、その情報提供について、国としてどのような支援ができるのかといったことを検討すべきといった御意見を頂戴してございます。施策の方向性といたしまして、1つは12ページから13ページにかけてでございますが、「地域に必要な看護職の確保推進事業」について一定の成果も得られているということを踏まえまして、これを全国に展開するための事業実施支援、好事例の分析、共有といったことを促進してはどうかといったこと。看護職員の確保について、都道府県内の地域ごとの必要職員数などの分析に必要な情報提供の推進といったこと。僻地における看護職員の確保のための病院間、診療所等との連携、こういったことについて具体的な方策について検討していってはどうかということでございます。6番は確保対策、いわゆる確保の推進の仕組みについての御意見ということで、看護師等の人材確保の促進に関する法令ですとか指針といったことについて、改正を検討していくことは重要であるといった御意見を頂戴しておりますので、ここに記載をさせていただいております。後に「今後のとりまとめに向けて」と書いておりますが、これは現在需給推計について都道府県に作業していただいておりますけれども、これを踏まえまして、引き続き確保策についても御議論いただく必要があろうかと思いますので、その点を記載させていただいてございます。駆け足ですが、説明は以上でございます。
○尾形座長 ありがとうございました。それでは、議論に入りたいと思います。相互に関連する分もあろうかとは思いますが、議論の便宜上、幾つかの部分に分けて御議論いただければと思います。2ページの1、「看護職員確保を取り巻く現状」という部分につきまして、御意見等ございましたらお願いいたします。鶴田構成員。
○鶴田構成員 最初の1ポツ目のこの法律の中に「看護に対する国民の関心と理解を深めることに配慮しつつ図るための措置を講ずる」とあるのですが、書かれた当時の状況というか、何を目的にこれが書かれているかということを教えていただきたいというのが質問の1点目です。それは、7ページの「医療現場におけるハラスメント対策の推進」というところに書いてあるように、働き方改革の議論において、医療関係者の自己犠牲のもとに医療は成り立っているという危機的状況というのが、医師確保対策のところでも述べられてきたところです。平成4年ぐらいの医療をめぐる状況と今とは大分変わっていると思います。一つは、「医療はサービスである」という考え方をもとに、「お客様は神様です」ということで、医療サービスについて、どんな要求をしてもいいというような誤った風潮も出てきているのではないかという気がします。したがって、ここの表現が今後、報告書をまとめていくときにどういう位置づけになるか。看護師等の人材確保の促進に関する法律の中のこの文章も変える必要があるかどうか。基本的に私は、看護を取り巻く現状の中の3番目として、国民の意識についての変化とか、先ほど述べた働き方改革の議論において述べられた医療の危機的状況に関しての国民への働きかけをここでも書いてもいいのかなと思います。ハラスメント対策については、看護課が出している大きな柱である3つ、新規養成、定着促進、復職支援という範疇の中では定着促進のところに書いてあるのですが、その前に看護職員を取り巻く現状として、その意識改革の中で変わっていないかどうか、もしくはこういうふうに看護に対して国民の理解を求めるというのがあってもいいのではないかという気がします。
○尾形座長 後半は御意見ということですが、前半のところは人材確保法制定当時どういう経緯でこうなっているのかという御質問かと思うので、事務局、お願いいたします。
○乗越看護職員確保対策官 制定当時、どういった経緯でここに規定されたかというのは、この場で御説明するための資料等もございませんので、これについては少し調べさせていただきたいと存じます。
○尾形座長 鶴田構成員。
○鶴田構成員 ここにおられる看護協会の方とか教育を担当された方はある程度御存じではないかと思いますが、地位の向上とか、もしくはそういう部分があったのではないかと思いますけれども、構成員の中でそのあたりをわかっておられる方がいれば、少しコメントをいただけるといいのかなと思いますけれども。
○尾形座長 どなたか。30年近く前の話ですけれども。特に御意見がなければ、事務局のほうで少し調べて、また次回にでも御報告をいただければと思います。よろしいでしょうか。では、2ページをめぐって、ほかにいかがでしょう。伊藤構成員、どうぞ。
○伊藤構成員 ありがとうございます。今、鶴田構成員からありましたハラスメント対策というのは非常に重要だと思っています。2ページに書いてあることは、「現状」と言いながら、「求められる役割の多様化等」ということで将来的な課題も記述していますが、現下の課題はもっとあると思います。第3回であらためて、キックオフしてからの議論の最初の資料などは、かなり幅広に現状を踏まえた課題の把握というところからスタートしていると思います。そうやって振り返ってみると、離職者が一定水準でずっと発生し続けているとか、出産・育児とか結婚を理由に離職している人が非常に多いとか、ナースセンター事業で実施されている無料職業紹介の課題なども、有料職業紹介がかなり利用されているという実態はあるけれども、そちらも必ずしも適正なマッチングが行われていないのだとか、現状と言うと、いろいろ議論してきたことがあるのだと思います。先ほど事務局のほうから、これはまだ書き込んでいきますよというお話がありましたけれども、これまでの各委員、あるいは資料として事務局から出されてきたことなどはきちんとトレースしていただきたいと思います。ハラスメントのところもそうですが、私の認識では、患者のモンスター化というのでしょうか、患者によるハラスメントだけが顕在化してきているということではなくて、消費者一般としていわゆるモンスター化が起きているという指摘が世の中にはあると思っています。その点は離職や、人材確保にも関係があると思いますので、ぜひ書いていく必要があると思います。以上です。
○尾形座長 確かに事務局からお話があったように、この部分はまだちょっと薄い感じですので、報告書にするときには、もう少し内容を充実する必要があると思います。特に3ページ以降の本文と整合性のあるような形でこのイントロダクションのところは書くべきだろうと思います。ほかはいかがでしょう。よろしいですか。それでは、またお気づきの点があれば戻っていただいても結構ですが、とりあえず先に行きたいと思います。3ページから4ページにかけてですが、2の検討課題と方策のうち1の新規養成の部分につきまして、御意見、御質問等を承りたいと思います。森本構成員、どうぞ。
○森本構成員 3ページ、新規養成の1)養成時からの多様なキャリアパスを理解するための支援についてですが、施策の方向性に2点追加していただきたいと考えています。ひとつは在宅看護論の単位数の増加や病院以外での実習の充実について、看護基礎教育検討会で検討すること。
もうひとつは医療職が少ない場で働く機会がふえており、看護師がさらに役割発揮するためには自律的な判断能力を養うことが求められておりますので、そのために必要な教育内容及び単位数の追加を看護基礎教育検討会で検討することです。
また2)の看護教員への支援の施策の方向性の〇2つを修正していただきたいと思います。ひとつ目の〇は、看護教員の確保策を講じた上で、教員定数の増加や現在の事務員の配置に加えて新たな教務事務員を配置するなど、看護教員の勤務環境改善に向けた指定規則の改正等を看護基礎教育検討会で検討する。
2つ目の〇は、教員の質の維持、担保、向上のための具体的な方策の検討もあわせて看護基礎教育検討会で行う。以上です。
○尾形座長 きょうお配りいただいた意見ということですね。
○森本構成員 はい。それで、全体を通しての意見ですが、施策の方向性として、何々の検討や何々の支援と記載されていますが、この検討会で決められる部分は決めるべきで、その他の場で検討する事項については、検討の場を明確にすべきだと考えております。本日意見書を提出していますので、そちらも御参照いただきたいと思います。
○尾形座長 ありがとうございます。事務局の案の四角に入っているところは、確かに書き分けていますね。支援とか促進とはっきり書いているところと、検討というところです。検討というのは、今後、どういう場かわかりませんけれども、検討するということで、書き分けているのだろうと思いますが、御提案では看護基礎教育検討会で検討すべきであるということです。検討の場までここで指定するという御意見です。ほかはいかがでしょうか。池西構成員。
○池西構成員 今のお話ですが、看護基礎教育検討会が、同時に並行しています。そこには日本看護協会の方もお出になっているので、御意見は出されるのだろうと思います。そこでの検討で、今、御提案いただいたものについては、検討の中身になっています。私からは、新人看護師とは出るのですが、准看護師が約1万人、毎年のように出ているのですね。准看護師というのが、この文章の中で時々「看護師」だけの表現になっているところがあります。新規養成のことについて言えば、准看護師養成所のカリキュラムの中に在宅看護に関する内容がないのです。それも恐らく看護基礎教育検討会で検討していくことになるのだろうと思うのですが、現在存在1万近い卒業生たちの多くの方がほぼ在宅や地域でお仕事をしているという実情も含めたときに、その教育についても、検討する必要性について入れておいたほうがいいのではないかと思うのです。
○尾形座長 ありがとうございました。島田課長。
○島田看護課長 事務局でございます。今いただいた御意見に関しまして、看護基礎教育検討会もあわせて看護課で開催しておりますので、補足的に少し御説明させていただきます。まさに地域包括ケアが推進される中で、保健師、助産師、看護師、准看護師にどういう力を将来つけていただくかという観点で看護基礎教育検討会を昨年4月より開催させていただいております。新規養成の部分、どういった能力をつけていただくかという部分と、それから今後の看護職員をいかに確保していくかということは密接な課題でございますので、こちらの需給分科会の御議論も見ながら、看護基礎教育検討会のほうでも議論させていただいておりますので、今、御指摘いただいたような観点につきましては、既に先ほど池西構成員からもお話がありましたが、基礎教育検討会のほうでも議論させていただいております。その中で、今、少し御発言がございました、「看護師」とこのたたき台の中で記載している部分について、准看護師も同様の力がという御意見でございますが、このたたき台の中で「看護師」と書き切っているところも、すみません、必ずしも看護師のみを指しているものばかりではございませんで、基本的に国の立場としましては、准看護師も含めて地域医療をしっかり支えていただく重要な人材でございますので、そういった力をつけていただくということは、どの職種も同じように重要なところかと思っていますので、基本的には全て「看護職員」という意味で書かせていただいているものでございます。
○尾形座長 ありがとうございました。太田構成員、どうぞ。
○太田(秀)構成員 非常に広い立場からの意見になるのですが、超高齢社会となり、社会の変容が病気の概念を変えたわけです。そこに終末期医療の問題なども出てきて、したがって、看護の質、看護師の役割が変わったということは当たり前のことですね。看護の質が変わったという前提で話をすれば、インテンシブケアの現場でもロングタームケアの現場でも看護が変わったのです。看護が変わったのですが、実は何が看護で、何が介護かという議論がちゃんと整理されているかということに疑問があるのです。例えば老人保健施設では、ナーシングホームですけれども、大部分のケアを介護職が担っているのです。では、どこまでが看護で、どこからが介護なのかという明確な線引きがないところでタスクシフトを考えなければいけない。看護職がやらねばいけないことと介護職がやらねばいけないことを明確にしないと。ここでは看護の需給を議論するわけですけれども、何を看護師に委ねるのかということをはっきりさせておかなければいけないのではないか。この場はナースだけで議論しているけれども、介護とは何かという話も一緒に進めていかないと、タスクシフトというのが、言葉だけ上滑りしていくような気がすごくするのですね。ロングタームケアを仮定したときに、看護の役割は変わりました。インテンシブケアの現場ではナースエイドみたいな形で看護を補助するというような役割の仕事が生まれているけれども、結局、ロングタームケアの現場では、介護を主としたところをナースがエイドしているような部分もあるのではないか。私は自分自身でも老人保健施設を運営していて感じる次第でして、この場に介護の問題も一緒に話せる人がいないと、看護の問題だけで、ここからは介護だろうとかという話になってしまうのではないかという懸念を感じています。余りにも大きな話をしてしまいますけれども、看護は何で、介護は何かという整理はしなくてもいいのでしょうか。
○尾形座長 重要な問題提起ではあるのですが、この検討会でそこまでできるかどうかということかなと思いますが。平川構成員、どうぞ。
○平川構成員 私も今の太田先生のお話に非常に共感できます。私もこの意見をどこでどういうタイミングで言うかというのは考えていたのですが、私も老健施設の立場でおりますと、ロングタームケアの現場において求められるものというのが、必ずしも今の職分で合っているわけではないのではないかということがあります。どちらかというと私どものような施設におきましては、正看の方の数も大変ですが、主に准看の方々が多く勤めていらっしゃいます。しかしながら、准看護師の方々は、先ほどカリキュラムの話もありましたけれども、ポイントが今まで在宅方面に向いている視点とか、そういう知識を持たれていないということもあります。そういう点で、どちらかというと僕たちの中核に立たれている方々は弱点があるということと、もう一つは、介護職につきましては、これも十把一からげで、どれが専門的な介護だということもまだまだ明確化されておりません。介護福祉士という資格があって、名称独占はあっても、業務独占はないわけですから、当然ながら試験資格も難しくなってくれば、それを希望する方も減っています。まさに介護士の養成校は絶滅危惧種みたいになっているところがあります。そういった現状と准看護師の活用というものを考えると、以前からも何回か討論されておりますけれども、コアのカリキュラムを共通化して、クロスライセンス的なものが、これからの少子化の中で、これもつくりたい、これもつくりたいと言っても、人がいないわけですから、今あるものを活用したり、今後こちらの希望する、我々が今、本当に必要なニーズとして持っているところにはまるような方々の職種というものを、この場で言う話ではありませんが、検討するときに来ているのではないかなと思っています。済みません。これに直接関係しませんけれども、でも、長く言えばこれも看護師の数にも関わっている話なので、ちょっとつけ足しであります。意見でございます。
○尾形座長 ありがとうございました。ほかはいかがでしょう。釜萢構成員。
○釜萢構成員 今の御議論は非常に大事なところなのですが、介護保険が導入された2000年のときには、医療と介護を別のものとして扱って考えるというところから始まったわけです。現状においてはそれはとても無理だということで、医療と介護は一体的に考えなければならないという、国民的な合意が得られていると思います。では、実際にその業務をどのように行っていくかについて、介護と看護を同じ土俵で議論する場が厚労省の中にもなかなかつくれていないように思います。ですから、今後の大きな課題としてそのあたりを考えないと、確かにタスクシフトの問題が出てきても、実質的にはどういうふうに対応したらいいかわからないという話になってしまいます。今、平川構成員が指摘された准看護師と介護とのクロスライセンスということは、今後ぜひ考えなければならないのですが、余り考える時間がない、早く決めなければいけないという中で、どうしたらよいのか。そのことについては私自身もいろいろ調べたり、勉強したりはしているのですが、現状においてはほとんど共通した履修内容がないのです。ですから、そのあたりをどういうふうにしたらよいのかというところは、実際にはなかなか難しいかなと思っておりまして、しかし、時間がない中で何とか前に進めなければいけないという大変厳しい状況に来ています。したがって、これは事務局にお願いですが、介護と看護をどういうふうに共通して議論できるのかというところ。これは看護課だけの扱いではなくなるわけですけれども、どういうふうにしたらよいかということについて、ぜひ幅広く議論ができる場を設定しなければいけない。医師会としてもそれに役割を担わなければいけないと思うのですが、ぜひ御相談をしていきたいと思います。以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。太田構成員。
○太田(圭)構成員 この議論が起こっておりますので、ちょっとだけ発言させていただきます。本来ですと、今、座長先生がここまでで意見をという形なので、言うべきではないのですが、絡んでくるものですから発言させていただきます。この報告書で言うと、9ページの看護補助者のところの施策の方向性と実際に施策のところの文章をしっかりともう一回御検討いただければと思っています。今回提示していただいているたたき台の案としては、実態調査の結果を踏まえた組織における看護補助者の位置づけ、役割、業務分担、定着促進等の対応策、名称のあり方等の検討ということなのですが、組織におけるというよりも、今、いろいろと議論してきましたけれども、いわゆる病院医療全般の中における看護補助者の位置づけというもの検討いただければと思います。特にロングターム側のほうだと介護に非常にリンクしてきているということですので、この問題は看護師の需給・タスクシフトの議論に絡むということですから、ここの文言というのは、今後病院医療全般の中での看護補助者の位置づけについて議論が進んでいくような形の書きぶりにしていただければと思っております。以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。看護補助者につきましては、後ほど改めて御意見を賜りたいと思います。鶴田構成員。
○鶴田構成員 ポツの2つ目の「『地域に出たい』という学生の気持ちを大事にしていける教育体制が整備できれば」という文章は、委員の意見としていいのですが、報告書の段階になると、看護学生全てがある程度その地域に対する理解を深めるという観点からは、教員の問題と学生さんの問題とカリキュラムの問題があると思います。したがって、そういう書き分けをされた上での報告書にされてはどうかと思います。
○尾形座長 ありがとうございました。ほかはよろしいでしょうか。伊藤構成員。
○伊藤構成員 先ほどの大きな話については、ぜひ検討していかないといけないことだと思っていますので、医政局と老健局と社援局にまたがる話だと思いますが、そういう検討の場が必要かと思います。事務局がまとめていらっしゃったものに即して少し小さな話を申し上げます。新規養成というところで、いろんなキャリアパスを希望する可能性があることを踏まえた環境整備という観点から言うと、看護教育としては、どの場で働いてもちゃんと職務を全うできるような人を養成するということに尽きると思うのですけれども、キャリア選択という意味で訪問看護に従事する看護職とか、介護現場で働く看護職員とか、それぞれに求められる能力といったもの、能力といってもレベルという意味ではありませんが、こういったものを明確にしておくことが、職業選択に当たって役に立つということになるのではないかと思っております。
もう一つ、後に出てくる10ページ「4.訪問看護、介護分野等における看護職員の確保」ということとかなりかぶってしまっていると思うのですが、11ページの1)の部分と関連すると思うので申し上げます。3ページのほうに1)のところで、病院で数年働くというキャリアパスを念頭に置いた指導が定着していると書いてありますので、看護師養成機関における進路指導のあり方ということも考え直して、また、実習の機会の充実というのは1つ目の○に書いてありますが、そこにつなげていくということが必要ではないかと思います。以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。ほかはよろしいでしょうか。それでは、とりあえず先に行きたいと思います。次は4ページから7ページにかけてでございますが、2の復職支援の部分につきまして、御意見、御質問を承りたいと思います。伊藤構成員。
○伊藤構成員 連続で申しわけありません。特に復職支援については、(2)のナースセンターの機能強化というところについて非常に重要だと思っていますので、これに付加するというか、考え方としてこういうことが重要ではないかいう点を発言させていただきます。民間職業紹介事業者の話というのは、資料も出していただいて、検討して、それは必ずしも効率的だとは言い切れないということだったと思います。すごくフィーがかかるし、本人の希望と沿わないようなマッチングが行われたりという実態もあります。一方で、無料のナースセンターで行っている事業についても、ここで書かれているように、的確なマッチングをスムーズに行うためには、機能の強化というのが必要だと思います。だから、ここに書かれているように、ナースセンターの相談員に対する支援をするということが非常に重要だと思います。
あと、人材が欲しいと思う医療機関や施設のほうでも、看護師に選択されるようなアピールが必要だと思います。それぞれが能動的に取り組むことをマッチングさせるナースセンターの機能、役割を果たしてもらうという意味で、今ある都道府県単位のナースセンターが県を越えてもサービスを行えるように、いわば全国のナースセンターグループみたいな形で取り組めるような支援を国がしていく、そういう考え方が必要ではないかと思います。以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。内藤構成員。
○内藤構成員 私も前からお話しさせていただいていますように、東京都医師会の中でナースセンターの担当、復職支援の担当もさせていただいている中で、何となくナースセンターの活気がないというか、利用率がなかったり、職員のほうも何をしていいのかよくわからなかったりという場面が結構見られることがありました。もう一つは、病院協会としては非常に危惧している有料紹介業者が、病院のことも知らずに、本人のことも知らずに、単に会わせるだけの仕事でマッチングと称して、高額な、本来地域に医療として還元できるべきお金が、そこのところで業者に支払わなくてはいけないということでは、かなり病院の状態としては危機的状態にあります。ナースセンター自体は本当に強化をしていったほうがいいと思いますけれども、私としましては、ここに提言されていることを一刻も早く実現していただく、進めていっていただいて、特にネット関係に関しましては、今、我々が思っている以上に物凄いスピードで便利さであったり、AIの活用が進んでおりますので、そこのところの専門家もナースセンター、全国規模のほうに入れるなりして、実際にその利用を非常に便利にするとか、もっと全体に把握できるような情報収集をするといったことでの強化、それをぜひ早急にやっていただきたい。私としましては、提言の内容は重々よくわかりますので、先に進めていただきたいというのが私の個人的な意見です。大変申し訳ありませんが、よろしくお願いします。
○尾形座長 ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。太田構成員。
○太田(秀)構成員 ここも大きな話で恐縮なのですけれども、医師会とか看護協会に所属している人たちには情報がすぐ流れますね。職能団体の組織率は、大きな影響があるとは思うのですが、これは老健局の話だと思うのですけれども、介護系の事業者というのは、例えばサ高住にしても、高齢者住宅のようなものにしても、株式会社が運営していて、そこに看護師が勤務しているのです。そういうところで働いている看護師たちは、看護師免許を持っているからということで、どこかから連れてこられたような人が結構多くて、なかなか勉強する機会もないのです。医療系は医師会にしても、歯科医師会にしても、薬剤師会、看護協会にしても、何かあったときには、そういう団体を通じて会員たちにいろいろな情報が発信できるのですけれども、介護系事業者に対してというのは裾野が物すごく広くて、さらにそれを市区町村が管理監督するような状況になると、介護事業者の連絡協議会のようなものが存在するところと全くないところがあるわけです。そうすると、復職支援と言っても、本当に多様化して、ナースの業務の幅が広くなったところで、高齢者施設やグループホームといった医療系の団体以外のところが運営している介護系の施設に看護師を紹介するにしても、そういう人たちに情報を提供するにしてもチャンネルがないのです。それもあわせて整備していかないと、届出制度が仮にできたとしても、行き渡らないのではという懸念があるので、意見として申し上げます。
○尾形座長 ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。釜萢構成員。
○釜萢構成員 既にこの案の中でも触れてはいただいているのですけれども、ナースセンターの改善については、地域で既に改善に取り組みが大分進んできたように感じます。もちろん、まだまだ足りないところもありますけれども。中央ナースセンターの協議会のようなものがあって、看護協会が事務局でやっていますが、大変建設的な意見が出ているし、7ページに書いてあるナースセンター事業運営協議会というところは、特に病院団体の方も積極的に協力していただいているところが多いので、この協議会で地域における状況をしっかり把握して、さらに離職者に対する対応とか復職支援というところを積み上げていくと、むしろ業者が無責任にマッチングをするよりも、非常に効果的な事例が積み上がってくると、さらによくなってくるのではないかなと期待をしています。まだまだ問題は多くて、努力が必要ですけれども、よい方向が出てきたなという感じがあるものですから、ちょっと申し述べました。
○尾形座長 ありがとうございました。ほかはよろしいでしょうか。それでは、とりあえず先に進みたいと思います。7ページから定着促進という部分ですが、ここはいろいろありますので、2つに分けたいと思います。7ページの1の勤務環境改善と(2)ハラスメント対策の部分、7ページから8ページにかけまして御意見、御質問を賜りたいと思います。太田構成員、どうぞ。
○太田(圭)構成員 特に定着促進の勤務環境改善のところですけれども、夜勤に従事していただける看護職員の方をいかに確保していくのか。これは非常に重要な視点だと思いますので、さまざまな施策をやっていかなければいけないわけですが、施策の2つ目の「交代制勤務の看護職員に適した勤務間インターバルの検討」。直接的に「勤務間インターバル」という言葉をここに書かれるというのは、ちょっと違和感があります。負担軽減のための効果的な施策というのは、さまざま検討していかなければいけないわけでありますけれども、医師の需給、働き方のほうでもありましたが、働き方をやるのと同時に、地域の医療を守らなければいけないという2つの視点でさまざまな解決、対応策をやっていかなければいけないと思います。今、二交代、三交代、さまざまな形で入院医療を行っている中で、拙速に勤務間インターバルというものが制度として入ってくるというのは、私としては非常に不安に思いますので、より適切な書き回しにしていただけると助かります。意見でございます。
○尾形座長 ありがとうございました。
森本構成員、どうぞ。
○森本構成員 定着促進のところの(2)医療現場におけるハラスメント対策の推進についてです。第8回分科会でも意見を述べましたが、訪問看護では1人で訪問する機会も多く、医療機関とは対策が異なると考えられるため、訪問看護における対策の検討の場を設置することを施策の方向性に特出しして明記すべきだと考えます。以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。伊藤構成員、どうぞ。
○伊藤構成員 まず、勤務環境改善のほうですけれども、これは夜間の業務が避けられない職場ですので、夜勤をできる人を確保していくことが必要だと思っています。そのために、地道な話になってしまいますが、日勤帯でこなせる業務をきちんと日勤帯でやって、夜勤業務のほうの負担を軽減するという取り組みをまずもって追求していって、なるべく夜勤をやってみようと思えるような状況をつくっていくというのが必要だと思います。あと、勤務間インターバルについて先ほど御指摘がありましたけれども、これについては、勤務環境改善ということにおいて一つの重要な手法として、この間ずっと議論されてきていて、法改正の中でも議論されてきているところですので、この検討というのはいいことではないかと思っております。
ハラスメント対策については、対患者、同僚間とも、ここに書いてあるとおり、組織的に対応していくということがないと、改善が期待できませんし、組織の危機管理の観点からもハラスメント対応というのは社会的な評価にもつながっている。こういうことを認識していく必要がありますので、定期的な教育の徹底といったことが重要だと思います。あと、そういう教育をやることによって、これまでハラスメントと認識されてこなかったことがきちんとハラスメントと認識されるようになって、また行動変容につながっていくということが期待できますので、そういうことがまず必要だと思います。それから、看護師等が職場を去らないように、ハラスメントへの組織的な対応を促すというために、国においても積極的にそういう取り組みを支援してもらいたいと思います。先ほど指摘がありました訪問看護については、密室でなかなか周りの監視がないということで、特徴的な職場になりますので、この点についての対策は特段に必要だと思います。以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。釜萢構成員。
○釜萢構成員 今の時間は(1)の勤務環境改善の部分をまず議論しているのだろうと理解をしておりますが、夜勤の従事者の確保に関して、できれば24時間対応の院内保育所ができると本当にいいのですけれども、これはなかなか難しい。地域において同等のものが確保できて、そして多くの医療機関が利用できるようになると非常にいいと思って、私は地元の医師会長のときに大分頑張ったのですが、大変難しく、ハードルが高いのです。
ただ、夜勤の従事者をしっかり安定して確保していくためには、その部分の改善がぜひ必要なので、いろいろな知恵と資金も必要ですが、夜間も対応できる保育所の確保ということを取り組まなければいけないだろうと思っておりますので、なかなか実現は難しいのですが、何らかの形でこの文書の中に盛り込まれるといいなと思います。
○尾形座長 ありがとうございました。今、ハラスメントも含めての御議論ということで結構ですので。それでは、高砂構成員。
○高砂構成員 訪問看護におけるハラスメントの防止の対策はぜひ進めていただきたいと思うのですが、同時に予防策というところで、施策の方向性の4つの○には、訪問看護、在宅、介護施設等も含めて御検討ということでよろしいでしょうか。
○尾形座長 これは質問ということですか。
○高砂構成員 はい。
○尾形座長 では、事務局、お願いします。
○乗越看護職員確保対策官 普及啓発ですとかeラーニングですとか、そうしたものにつきましては、訪問看護でも活用できるようなものをつくっていく必要があると思ってございます。
○尾形座長 よろしいですか。
○高砂構成員 お願いします。
○尾形座長 ほかはいかがでしょうか。鶴田構成員。
○鶴田構成員 先ほど述べた看護師等の人材確保の促進に関する法律が制定されたときに、「看護の日」もその後、制定されているわけですけれども、そのときの考え方というのは、病める人もそうでない人も看護の心を国民に周知させると。それでもって看護職の社会的地位の向上とか、看護の働きやすい労働環境をつくるというものがあったわけですが、現在の「看護の日」を見てみると、ナイチンゲールの生誕の5月12日前後1週間は、どちらかというと高校生とか中学生に看護現場を見せるという形になっていて、本来の看護師さんの地位向上とか勤務環境改善という形にはつながっていないのではないかと思います。こういうハラスメントがあると多くの人がやめるという観点からいけば、医師の確保対策の流れから見ると、平成18年ぐらいに小松さんが『医療崩壊』という本を書いて、医師確保対策、医療現場の危機感を出していったわけですが、最近の厚生労働省の懇談会の医療は今、危機的状況にあるというものからすると、ここの文章の書き方は少し弱いのではないかと思います。
例えば8ページの施策の方向性の一番下のところに「組織的に対応していく必要がある」と書いてありますけれども、これも当たり前と言えば当たり前の話ですね。平成18年か、その前後に日本医師会も医師が働きやすい環境、病院という中に「組織的対応」と医療事故とかいろんなものに対する組織的対応が書いてあります。それから、「医療施設における暴力・ハラスメントの実態調査の実施と課題の明確化」というのは、十数年前、多くの医療機関でやっている話だと思っています。国民への普及啓発も、単にポスターだけではなくて、今の医療をめぐる危機感を背景にしたポスター作成でないと、余り効果的ではないのではないかと思いますので、この部分については、看護の心を国民にという観点とは全くずれた話で今、国民が看護を見ているとすれば、そこは制定されたときの趣旨が再度国民に伝わるようなメッセージ性があったらいいかなと思います。
○尾形座長 ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。内藤構成員。
○内藤構成員 ありがとうございます。実際のところ、スタッフ一人一人がその現場に当たったときに、心の反射、反応がどういうことが起きるのかということは、ある程度準備しておくということが必要かなと思うのです。何を言いたいかといいますと、最近はeラーニング、ここにも書いてありますけれども、それについての学習できるeラーニングの取り組みというのもすごく重要なのですが、実際の看護教育の中でロールプレイでそういう場面を少し経験してみる。まさか先生が学生さんをいじめるわけにはいかないと思いますけれども、そういうものに近い場面、実技みたいなものを取り入れて、あ、こういうことがあるのだ、ああいうことがあるのだというものでも取り入れたほうが。実際に動くのは個人個人ですし、差がありますので、ちょっとつまらないことかもしれませんが、eラーニングということだけではなくて、それに対しての実技を含めていくということも実際には、特に今、そういうことが嫌で、避けたくなる若い人が多い中では、ちょっと効果的ではないかなと思って御提案させていただきました。
○尾形座長 ありがとうございます。ほかはよろしいでしょうか。それでは、先へ行きたいと思います。残りの部分、8ページの(3)看護補助者の確保・活用、9ページの(4)看護管理者によるマネジメント。10ページまででございますが、この後半部分につきまして御質問、御意見を承りたいと思います。太田構成員。
○太田(圭)構成員 先ほど言ったことと少しかぶるのですが、看護補助者のところの問題です。看護師さんのかなりの部分が病院で雇用されている。かなりの大きな部分になります。入院患者さんでも高齢の方々が非常にふえてきている中で、食事の介助、身体介護を含めて行っているのが、病院の中での看護の実態であります。その中で看護補助者の方々の役割というのは非常に大きくなってきているのですけれども、今の看護補助者の位置づけは時代が変わって我々病院医療も変わっていかなければいけないという状況の中で、以前の位置づけのままで今後の社会保障の大きな改革は乗り切れるとは思えない。特にこの位置づけがさまざまな制度に絡んできておりまして、介護のほうだと、処遇改善加算にリンクしていっている中で、今、病院の中の看護補助者の方は非常に厳しい状況に置かれています。上のほうで、需給の数字も書いてありますけれども、37%が配置できない。また、募集をしても92%が、全く募集が追いつかない、となっています。今、病院だと、看護師さんよりも看護補助者のほうが需給がタイトという状況まで至っていると思います。これを改善していくことは、今後の地域医療構想ですとか地域包括ケアの推進など、さまざまなことを行っていく中で、これは非常に重要だと思っておりますので、1個目の文言としては、「組織における」というのがどうしても気になります。この表現では1病院の中で検討してくださいという形に読めますので、「実態調査の結果を踏まえ、看護補助者の位置づけ、役割云々の検討」という形で、病院の中でなくて、国として全体として検討していくというふうに読める文章に変えていただけたらと思います。以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。森本構成員。
○森本構成員 ただいま出ました看護補助者の実態把握を踏まえた確保・活用の取組の推進についてですが、○の1つ目に「名称の在り方の検討」とあります。各病院で現在もさまざまな呼称がされているため、国で検討する必要はないのではないかと考えています。また、資格ではないため、どこかで検討するのであれば、「呼称の検討」と変更したほうが誤解がないと考えております。
○尾形座長 ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。平良構成員。
○平良構成員 確かに医療の現場ではナースという有資格者よりも看護補助者のほうが今、確保がタイトになっているという御意見は、私も実際現場を見ている者として日々感じていることです。ただ、最初に出ました何が看護で、何が介護なのかという線引きをどうするかという話にもかかわりますけれども、そもそも看護の仕事は診療の補助と療養上の世話というところですので、療養上の世話に介護の人も看護の補助者も多くかかわってくるので、何が看護で、何が介護かというところは、はっきりさせるのが難しいことかなと思っています。チーム医療の中でそれぞれの役割をどうするかとか、あるいは十分いかないところはどう補完するかという問題なのかなと、現場にいる立場としては思っています。この検討会の中で補助者についてすごく言及していくのは、多分時間の問題とかもありまして、私も困難なことではないかなと思っています。意見です。以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。森本構成員、どうぞ。
○森本構成員 看護と介護の違いというお話が出ましたが、そもそも法律が違いますので、改めて違いを検討する必要があるということではないと。看護は療養上の世話という位置づけで、専門性を持っていますので、介護との違いを周知していくことは大切なことだと思っております。
○尾形座長 太田構成員、どうぞ。
○太田(圭)構成員 いろいろな御意見、理解はできるのですけれども、だとすると、看護補助という形で病院の中のいわゆるケアを位置づけるならば、そこの部分の需給をしっかりと対策を立てていただかないと困ります。介護保険の前に、病院の中でのそういうものを看護の仕事の一部という形で位置づけたならば、それはそれで私はいいと思いますが、だとするならば、どのような形で人材を確保して、育てて、実際それが動いていくような形の制度設計にするのかというところまで議論していただかないと。ここまで病院医療において高齢化が進んでいる中で、実際の運用は危機的な状況に陥っている中で、原則論を振りかざされましても。この検討会はこれから5年間の需給を決めていく場ですので、もしそうならば、今、計算している計算式から看護補助者の需給部分をちゃんと足さなければいけない。それをどうやって確保するだろうというところまで具体的に議論をしていただいて、対応策につなげていただく必要があります。今後タスクシフトを進めていくと同時に、看護師さんがほかの多くの仕事のところに移行していかなければ、この国の医療は支えられないというのであるならば、看護師から看護補助者へのタスクシフトがスムーズにいくような看護補助者の処遇とか位置づけとか、そういうものをしっかりと検討していただく必要があると私は思います。以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。太田構成員、どうぞ。
○太田(秀)構成員 私は先ほど何が看護で、何が介護かという意見を申し上げまして、それに対しての御意見を拝聴したのですけれども、とても重要なことだと思います。看護には専門性があるということですから、これでいいのだというわけではなくて、では、介護の専門性はいいのかという問題が大きいと思います。というのは、今後タスクシフトがすすむわけですから、以前は例えばたんの吸引とか経管栄養の管理は専門性が高いということで、看護の業務でしたが、現在それは介護の業務です。今、お隣の太田構成員もおっしゃいましたけれども、医療の現場というのは高齢者で埋め尽くされているわけです。救急医療の問題も高齢者医療と非常に密接にリンクしているわけです。この場において、特に高齢者医療に関して、介護の専門性というのは非常に重要な問題になっていくと認識しています。ですから、時間がないとか、それは難しい問題だというふうにして避けるのではなくて、介護とは何か、看護とは何かという枠組みを明確にしない限り、タスクシフトが進まないと思います。
○尾形座長 伊藤構成員、どうぞ。
○伊藤構成員 あと後半全部ということでいいのでしょうか。
○尾形座長 10ページの頭までです。今議論しているのは、もう一回確認しますと、3の定着促進の後半部分ということです。ですから、(3)の看護補助者の確保・活用と9ページの(4)看護管理者によるマネジメント。その2つをお願いしております。どうぞ。
○伊藤構成員 看護補助者のところにつきましては、「ご意見」というところにありますけれども、9ページの4つ目、誰のために仕事するのかというところをもう一度議論すべきではないかという御意見がありました。これは重要だと思っております。ナースのための仕事ということでなく、患者がいる医療機関ですので、患者のために仕事をするということが改めて位置づけられることによって、その仕事の意義ということが明確になるし、組織的にもその役割がガバナンス上もはっきりしてくる。それに基づいて業務に見合った処遇の確保が行われて、人材確保が可能になっていくということなのだと思いますので、位置づけということを明確にしていく議論が必要ではないかなと思います。
(4)マネジメントにつきましては、現場に聞きますと、管理者の考えとか個性とかがスタッフの働き方を左右するということが実情だということでして、組織のガバナンスの観点からも、看護管理者のマネジメントのあり方ということを共有、徹底するようなことが組織内できちんと行われる、重要性を認識される、そういう取り組みが重要だと思います。以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。平川構成員、どうぞ。
○平川構成員 今の看護補助者の件ですけれども、介護はどこまで、看護はどこまでという議論にもつながると思いますが、私自身も病院と老健施設、特養といったものをやっていますけれども、ちょっと違和感を持つのは、これまでの病院の看護補助者のやるべき業務とか求められるものと、いわゆる介護施設における看護職、言ってみれば、介護福祉士を中心としたような専門性の高い介護職を同じ土俵で議論するのは厳しいのかなという気がします。しかしながら、先ほどの伊藤構成員の話であれば、病院にいる入院患者さんと施設にいる療養者というのが以前はかなり違っていたわけですが、この高齢化の中で見ると、そんなに差がなくなっているということを考えると、看護補助者に求められる仕事というのも随分変わってきているのではないかなと思って、先ほど看護の仕事の療養上の世話といった範囲だけではくくれないものも専門性としてあるのかなという気がするので、ここはある意味でちゃんと議論しなければ。しかも、早急にしていかないと現場はますます混乱してしまうかなという危惧を持っております。以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。ほかはいかがでしょう。大崎構成員、どうぞ。
○大崎構成員 ちょっとずれていましたら申しわけありませんが病院の中においては、他のコメディカルとのタスクシフト、シェアリングも大事だと思っています。臨床現場で看護には、いろんな部門、たとえば検査科、栄養科、放射線科など多くの所、からいろんな要請や情報が来ます。それらが集中しすぎるのではないかと思っています。コメディカルとのタスクシフト、タスクシェアリングも考えていかなければならないと考えます。
○尾形座長 ありがとうございました。ほかはよろしいでしょうか。それでは、一通りやりたいので、とりあえず先に行きたいと思います。次は10ページ、4、訪問看護、介護分野等における看護職員の確保という部分につきまして、御意見、御質問等を承りたいと思います。森本構成員、どうぞ。
○森本構成員 訪問看護、介護分野における看護職員の確保に、量的確保策に関する項目の追加が必要と考え。第5回分科会の資料でごく粗い計算として2025年の訪問看護における看護職員数は約12万人という数字が示されています。2025年までに訪問看護分野で現在の倍以上の人数を確保する必要があるため、全体として量的確保策を示した項目を立てるべきです。量的確保のためには安定的な訪問看護提供体制が不可欠であり、訪問看護事業所の大規模化も重要です。最初にお出ししました意見書の裏面をごらんいただきたいと思います。そこに記載した4つの内容は、ほかの項目で記載されているものもありますが、この項目に入れることが妥当であると考えております。以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。島崎構成員。
○島崎構成員 今の御発言と重なる部分もありますが、11ページの訪問看護・介護分野等における看護職員の定着の支援のところに「訪問看護をはじめ地域においては、事業所の規模が小さい等の理由により、病院と比べて教育研修体制が不十分であるという指摘がある」。このこと自体はそのとおりだと思いますが、問題はそれだけではなくて、事業の規模が小さいと、さまざまなニーズに柔軟に対応できないということが大きな問題だと思います。もちろん、いたずらに事業規模を拡大することがよいかということについては、いろんな議論があることは私も承知しております。ただ、訪問看護ステーションを開設するに当たって、ちょっと失礼な言い方になるかもしれませんが、自分の看護に対する思いを強調し過ぎるという面もあるように思います。何を申し上げたいかというと、そういう思いだけではなくて、労務管理の知識であるとか、医療保険とか介護保険に関する知識であるとか、多様なニーズに組織的にいかに応えるのが適切なのかとか、そういう視点を持っていくことが必要だと思います。大規模化のことについては、直接書いていないのですけれども、それはぜひ検討の俎上にのせるなりということが必要だと思います。
○尾形座長 ありがとうございました。太田構成員、どうぞ。
○太田(秀)構成員 前回の会議でも申し上げたのですが、訪問看護ステーションの休廃業の問題が大きいと認識しています。廃業しないようにどういうふうに支援するかというのは、例えば事業協会とか訪問看護財団とかありますので、そういった団体も恐らく対策を一生懸命やっているのだとは思うのですけれども、2.5人のステーションが新しくできては、また廃業されています。貴重な地域のリソースなので、制度的に、あるいは行政が支援することをぜひお願いしたいと思う。具体的にどういう支援かというと、例えば2.5人のステーションで、1人病気で休んでしまったから、もうそれでおしまいだと。そんな冷たい話ではなくて、例えばそれをサテライト化するためのマッチングを支援するとか、あるいは5人勤務しているステーションと一緒に活動してもらうとかすれば、運営を継続できるはずなのです。横のつながりを強化していただくということを制度的にもバックアップしてほしいし、2.5人を割ったから、それでもう終わりだよという冷たい今の制度の中ではいけないのではないか。700カ所廃業というのはインターネットの情報であり、実態はどうか知りませんけれども、数千カ所しかないステーションの1割ぐらいが休廃業しているという現実を何とかしていただきたいと思います。
○尾形座長 ありがとうございました。高砂構成員。
○高砂構成員 今の大規模化のことですけれども、4)訪問看護事業所の運営面の支援というところで、大規模化とか多機能化というのは、今の地域のニーズに応えるためにはとても大事なことだなと思っています。大規模化と言うと、全ての事業所がと考えがちなのですが、そうではなくて、その地域の中で核となるステーションが大規模化となり、人員のサポートをするということができるようになるといいなと思っています。多機能化に関しては、対象者が今までどちらかというとお年寄りのお話がずっとなされてきましたけれども、今、医療的ケア児という子どもに対する在宅での支援というのもとても重要になってきていて、多機能化という部分に関しては、例えば保育園とか放課後等デイサービス
、特別支援学校とか普通学校にも今、訪問看護で伺っているということもあるので、それも全てのステーションが対応するというのではなくて、その地域の中で大規模化とか多機能化するステーションというものを位置づけて、それを支援していただけるといいなと思います。また、それを実現するためには、訪問看護管理者の育成というのも位置づけていただかないと、実現できないのではないかなと思います。3)に戻りますと、特定行為研修の修了者も、訪問看護は少ないのですが、何名かいるのですが、私どもでも昨年度研修を受講いたしまして、今年度から実践しようと思っていろいろ準備を始めているのですけれども、物品とか先生の御理解とか、まだまだ体制整備を充実し御支援いただかないと、せっかく特定行為研修が修了しても、それが地域の中で活動できないという現状があるので、そこも上げていただけるといいなと思っています。
○尾形座長 ありがとうございました。平川構成員、どうぞ。
○平川構成員 今の大規模化、組織化というある意味大きな話なのですけれども、個別のケースになって、どういうふうにつながるかわかりませんが、例えば私は八王子で仕事をしています。八王子では24時間体制の訪問看護ステーションが約20カ所ぐらいあるのですね。実は今週2つのところが閉所になってしまって、今、非常に困っているのですね。ただ、八王子はちょうどいい規模のまちなのかもしれませんけれども、例えばある在宅の先生がおおむね全部を使っていて、おおむねどの看護師さんがどのタイプかというのを把握しているのです。先ほども出たように、やめて、また独立というと、職人肌の看護師さんが結構多くて、あれとこれは合わないなと大体わかるのですね。3年ぐらいもつけれども、またぶつかるなと。何が言いたいかというと、地域包括ケアというのは、地域を一つの医療機関と見立てているわけで、その先生は各訪問看護ステーションは病棟ぐらいに思っているのです。ですから、全部を見ていて、あれとあれはぶつかるから、こちらに移ってもらって、こうやればまたうまくいくのではないかと。大きくある管理室もつくってもいいですけれども、横串をちゃんと刺して、ネットワークでいつもお互いを見ていれば、完全にこの業界から姿を消してしまうということでなくて、こちらからこちらに行けるという、そういう姿勢を持った。コミュニケーションをよくしていて、その個性を知ってやっていくということを丁寧にやっていけば、大げさなものをつくらなくてもうまくやっていくと。かなりアナログ的な話なのですけれども、そういったものも地域においては重要なのかなと。それは老健でも病院でも特養もそうですが、できれば全体を横串を刺して、貴重な人材をほかに逃さないというような、小さな手づくり型のそういう視点というのも大事かなと思っています。以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。伊藤構成員、どうぞ。
○伊藤構成員 11ページの1)新卒のところは、先ほど進路指導のことを申し上げたので、割愛します。2)の点につきましては、転職、復職先として訪問看護とか介護事業所を選択するということに当たっては、○で書いていただいているところに研修の推進とありますが、もちろんこれは重要なのですけれども、その研修が受けられるように、病院の看護管理者に対して、自院の看護師等が研修を受講することに対する理解の促進が必要になってくると思います。わかりやすい言い方をすると、病院をやめて在宅のほうに移っていくとか、介護事業所のほうに転職していくというのが透けて見える人に対して研修機会を提供するということに対して、モチベーションが下がらないような配慮が必要になってくると思います。それは後の偏在対策にもつながってくると思うのですけれども、自分のところから出ていってしまう人に対する研修の提供に対してネガティブにならないよう理解を普及しないといけないのだと思うのです。
3)の定着支援につきましては、11ページの一番上の○に書いてありますように、働いている側からすると、どういうところで働いていても適切に情報が得られる必要があるということを前回言いました。先ほど太田秀樹構成員が的確な、わかりやすい形でおっしゃられましたが、メンバーシップによる情報提供というところで、必ずしもすべての看護職員に届かないということが起きないようにしないといけないと思っています。定着の支援というところに関しては、地域ごとの研修体制のようなものの構築ということで、最初のほうにあったのですけれども、県単位でそういうものをつくるとか、中核となるようなものをつくるとか、研修体制とか、あるいは中核となる医療機関を設定する場合の支援体制ということが重要だと思います。訪問看護ステーションの規模については、私どものほうでも適正な規模があると思っていて、今は小さ過ぎると思っています。今、医療現場を含む職場では雇用管理の改善の課題を抱えているところが多いわけですが、小さ過ぎると、雇用管理というのは大変やりにくい。あと、サービス提供上の安定性ということにもかかわりますし、規模の拡大が必要だと思っておりますので、そういうこともこの中に表現すべきだと思います。以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。ほかはよろしいでしょうか。それでは、もう既に話に入っておりますが、次の12ページからの5、地域間、領域間における偏在への対応という部分につきまして、御質問、御意見を承りたいと思います。森本構成員、どうぞ。
○森本構成員 地域に必要な看護職員確保策の推進についてです。3つ目の〇に「山間や離島などの僻地における看護職員確保のための病院間や診療所等との連携等の具体的方策について検討」とあります。具体的方策としては、第7回分科会で平良構成員から御報告があった、都道府県が看護師を雇用し、僻地の病院や診療所等に出向させるような仕組みを推進していくことを記載するべきだと考えております。
○尾形座長 ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。島崎構成員。
○島崎構成員 確かに都道府県が直接雇用するという形態もあるかもしれませんし、あるいは例えば基幹的な県立病院のところに、なかなかプールというのは難しいかもしれませんけれども、そこを基幹として人事交流をしていくとか、看護師を派遣していくとか、具体的にそういうことをやっておられるところもあります。固有名詞を出すのがいいかどうか、ちょっと憚られますので申し上げませんが、そういう事例も参考にしながら、それぞれの病院ごとに考えていくのではなくて、地域という面的にどうやって人材を確保していくかということを考える必要があります。そういう役割をきちっと果たしているところに関しては、例えば医療介護総合確保基金の対象事業にするとか、あるいは県立病院であれば地方交付税措置の対象にするとか、今、現実に医師の派遣機能を担っている自治体立病院については、地方交付税上もそういう措置がされておりますので、具体的な推進方策を考えていくことが必要なのではないかと思います。以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。平良構成員、どうぞ。
○平良構成員 地域の偏在とか、特に山間僻地、離島について、前回の会でも申し上げましたけれども、看護師の確保はかなり厳しい状況でして、1人とか配置できたとしても、その人の休みの確保もかなり難しい。代替、かわりを務める人の確保も難しいということですので、今、御意見がありましたように、県が中心になって計画的に進めていくというのは、私も賛成です。経営もかかってきますので、補助をしていただけるとかバックアップの体制が整えられれば、もっといいことかなと思っています。それから、看護職の確保ですので、推計の中にいつも保健師は入っておりませんけれども、保健師さんについても市町村では多分に確保困難をきわめていると思います。沖縄県の例で言いますと、地域保健法が改正になる前までは、県が保健師を採用して、各市町村に駐在制で配置をしていましたので、離島、僻地においても保健師はきちっと配置がされていたということもありますので、看護師も県の責任で離島、山間僻地に配置していただければと思います。以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。それでは、最後のところですが、13ページ、6、看護職員の確保策推進の仕組みという部分につきまして、御質問、御意見を承りたいと思います。森本構成員、どうぞ。
○森本構成員 看護職員の確保策推進の取り組みについてです。人確法が成立して30年たち、社会の変化に伴い新たな課題が出てきています。中間取りまとめに記載されている各方策を実効性のあるものにするためには、人材確保法の改正及び指針の見直しが必要と考えます。そのため、人材確保法の改正及び指針の改正に関する検討の場を設けるべきだと考えております。
○尾形座長 ありがとうございました。この点につきまして。では、鶴田構成員、どうぞ。
○鶴田構成員 6なのか、最後の3.今後のとりまとめに向けてなのか、一緒のところがあるかもしれませんけれども、先ほどの発言で少し訂正しておきたいことが1つあります。それは、「看護の日」と人材確保の成立時期がちょっと違っていたという点を訂正したいと思います。平成3年に横浜市が初めて「看護の日」の行事をしたときに、市長さんの顔も知らない人が担当した時の話を聞いていたので、「看護の日」に対する印象があったのですが、「看護の日」は1990年に制定されて、1992年に人材確保法が成立しました。訂正です。私も看護協会の総会で来賓挨拶をするときに、例えば忘れない看護エピソードの中から引用して看護師さんの激励をしているのですが、多くの人は病院等で看護を受けると感謝するという状況があると理解しています。そこで、再度、中島みちさんが「看護の日」の制定の要望書の趣旨を見てみましたら、先ほど述べたように看護の心を国民にということがあって、日本人は経済発展したけれども、ブータンよりも心の豊かさがないというようなことを言われています。そうしたことも考えると、この需給検討会では、当時の看護の理念と今の理念がどう違うのか、もしくは同じなのか、そのことを踏まえて、1の看護職員確保を取り巻く現状の認識をもう少し変えた上で、今後の対策を需給検討会として報告書にまとめるということがあってもいいのかなと思いました。
○尾形座長 ありがとうございました。では、高砂構成員、どうぞ。
○高砂構成員 先ほど指針の見直しという話が少しありましたが、改めまして2ページの(1)の看護職員に求められる役割の多様化等というところですが、一番最初に申し上げたほうがいいのか、訪問看護のところでと思ったのですが、対象者はお年寄りが中心でずっと話がなされているので、今、地域包括ケアシステムと、もう一点の視点というのは共生社会というところで、子供の訪問看護、ケア児に対する生活の支援の場における医療とか看護とか、そういうものもこの多様化の中に含めていただき、指針の見直しをしていただけるといいのかなと思います。医療機関の施設だけではなくて、障害児の通所、児童発達支援とか、放課後デイサービスや保育園、学校、特別支援学校とか普通学校にまで看護の必要性というのは広がっていますので、ぜひその中を含めて御検討いただけるとありがたいなと思います。
○尾形座長 ありがとうございました。ほかはどうでしょう。島崎構成員。
○島崎構成員 先ほどの森本構成員の御発言に関して、あえてお伺いしたいのですけれども、私自身は、人材確保法の指針の改正について反対するつもりは全くありません。ただ、検討するとしたときに、検討の中身はこれまで議論してきたこととかなり重なり合うような気がするのですが、あえてそれとは別に人材確保法の指針の改正に関する検討の場を設ける必要性は何なのでしょうか。つまり、例えばこれまでのこういう枠組みだと狭過ぎるから、根っこからもうちょっと考えなければいけないということで、別途違う検討の場を設けるという御趣旨であれば、その当否は別にして、そうかなという気はしないではないのですけれども、先ほどからの御発言をお伺いしていますと、これまでの看護施策の範囲内で物事を考えておられる。もし私の受けとめ方が違えば訂正いたしますが、そういうことだとすると、人材確保法の指針の改正に関する検討の場を設けることの意義として、具体的にこういうことを議論してほしいというお考えがあるのでしょうか。それを言っていただいたほうがイメージはつかみやすいと思いますが。
○尾形座長 では、森本構成員、お願いします。
○森本構成員 現状として時代が非常に変化してきているという中で、急速な少子高齢化、それから先ほどもお話が出ていましたような地域包括ケアの推進、働き方改革の推進など新たな課題が出てきていると思います。現状の課題解決に向けて施策を進めるために人確法および指針の改正を検討してはどうかと考えております。
○尾形座長 島崎構成員、よろしいですか。
○島崎構成員 抽象的にはそのとおりなのですけれども、そういう背景事情が大きく変わったということは、これまでこの検討会でも当然前提としてきているわけです。私がお伺いしたいのは、例えばそもそも看護と介護というのはどう違うのかとか、あるいは看護補助者の問題について、そこまで議論を広げないとまずいのではないかという御発言が他の構成委員からあって、それに対して、御発言を聞いていると、必ずしもその点について土俵を広げた議論をすべきだということをおっしゃっていたようには受けとめられないのですが、だとすると、人材確保法の指針の改正に関して具体的にどういうことを議論したいとお考えなのかということをお伺いしている次第なのですけれども。
○尾形座長 森本構成員。
○森本構成員 この場での議論が指針の改正等に反映されるのであれば、別の場でなくても大丈夫かと思います。
○尾形座長 よろしいでしょうか。ほかはいかがですか。伊藤構成員、どうぞ。
○伊藤構成員 6のところに「ご意見」ということだけとりあえず書いてあるのですが、私としても施策の実効性が重要だと考えております。需給のほうは推計だけで、それを措置する方法としては予算だけ。しかし予算がどれだけとれるかはわからない。法改正とか指針改正によって実効性が高まると期待しています。どこの場で検討するかとか、これ以上あるのかというのは、さらに皆さんの議論が必要だと思いますけれども、実効性という点について、現状では課題が残ると思っております。以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。平良構成員。
○平良構成員 今、人確法のお話が出ておりますので、お話しさせていただきたいと思います。私もこの検討会の場で出たさまざまな意見というのは、人確法ができた当時と今では随分違っているところもありますので、そこに盛り込まれるということについては、そうあってほしいと思います。その中で、先ほどからハラスメントのこととか、さまざま出ましたけれども、患者側からの暴言・暴力と考えたときに、人確法の中で国民の責務、第7条に書かれているところがありまして、そこの中では、国民として看護を理解する、看護に親しむ活動に積極的に参加するという表現でとまっているのですね。ですけど、国民が医療に一緒に参画をするという視点もかなり大切になってくるかなと思われますので、内容の検討が必要と思います。意見です。以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。それでは、一通り御意見を賜りましたが、最後に今後のとりまとめに向けてというところも含めて、全体を通じて何か御意見があれば承りたいと思います。よろしいですか。ありがとうございました。
それでは、ちょうど予定の時間が参りましたので、本日の議論はこの辺までにしたいと思います。本日、構成員の皆様からさまざまな御意見を頂戴いたしました。これらの御意見につきましては、事務局は引き続き確保策の議論を深めることができるよう、その整理をお願いいたします。なお、次回は需給推計について、都道府県からの報告を踏まえて議論をしたいと思いますので、事務局はそのために必要な資料の用意をお願いしたいと思います。最後に、次回の日程等につきまして、事務局から連絡をお願いします。
○金子看護課長補佐 次回の開催日時及び場所等につきましては、改めて御案内申し上げます。以上でございます。
○尾形座長 ありがとうございました。それでは、以上をもちまして「第10回看護職員需給分科会」を終了いたします。長時間にわたりまして熱心な御議論、どうもありがとうございました。
 
(了)

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