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2019年1月31日 医療従事者の需給に関する検討会 看護職員需給分科会 第6回議事録

○日時

平成31年1月31日(木)10:00~12:00

 

○場所

厚生労働省
専用第15会議室
東京都千代田区霞が関1-2-2
 

○出席者

池西 静江 (日本看護学校協議会会長)
伊藤 彰久 (日本労働組合総連合会総合政策局生活福祉局長)
大崎 和子 (社会医療法人きつこう会多根総合病院看護部長)
太田 秀樹 (全国在宅療養支援診療所連絡会事務局長)
太田 圭洋 (日本医療法人協会副会長)
尾形 裕也 (九州大学名誉教授)
鎌田 久美子 (公益社団法人日本看護協会常任理事)
釜萢 敏 (公益社団法人日本医師会常任理事)
小林 美亜 (千葉大学医学部附属病院医療の質向上本部地域医療連携部医療安全管理部特命病院教授)
島崎 謙治 (政策研究大学院大学教授)
高砂 裕子 (全国訪問看護事業協会常務理事)
竹中 賢治 (全国自治体病院協議会副会長)
鶴田 憲一 (全国衛生部長会会長)
内藤 誠二 (医療法人社団温光会内藤病院理事長)
平川 博之 (全国老人保健施設協会副会長)

○議題

(1)看護職員の確保策について(ヒアリング)
(2)その他

○議事

○金子看護課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまより「医療従事者の需給に関する検討会第6回看護職員需給分科会」を開催いたします。
構成員の皆様におかれましては、本日は、御多忙のところ、御参集いただき、まことにありがとうございます。
本日は、平良構成員、春山構成員、伏見構成員、本田構成員、森本構成員及び山口構成員からは御欠席の連絡をいただいております。
内藤構成員がおくれての御出席ということになります。
また、医政局長につきましては、所用により途中からの出席となります。
また、迫井審議官につきましては、所用により欠席となりました。
それでは、ここでカメラは退室をお願いいたします。
(カメラ退室)
○金子看護課長補佐 以降の議事運営につきましては、座長にお願いいたします。
では、尾形座長、よろしくお願いいたします。
○尾形座長 おはようございます。
それでは、早速議事に入りたいと思います。
本日は看護職員確保策の取り組みに関して認識を深めていくために、ヒアリングを中心に進めていきたいと考えております。そのため、本日は参考人として、石川県健康福祉部医療対策課管理・看護グループの車陽子氏、公益社団法人石川県看護協会ナースセンターの高城厚子氏、訪問看護ステーション「みけ」の椎名美恵子氏の3名の方々にお越しをいただいております。
このほか、構成員の中から、大崎構成員にプレゼンテーションをお願いすることとし、御準備をいただいております。
参考人の方々、大崎構成員、お忙しいところ、どうもありがとうございます。
続きまして、事務局より資料の確認をお願いいたします。
○金子看護課長補佐 それでは、お手元の資料の確認をお願いいたします。お手元に議事次第、座席表のほか、
資料1 第5回のご意見の整理 看護職員の確保について(たたき台)
資料2-1 石川県の看護師確保対策の取組について
資料2-2 石川県ナースセンターにおける届出・復職支援について
資料2-3 第6回看護職員受給分科会 看護職員確保について
資料2-4 第6回看護職員受給分科会 訪問看護における看護職員の確保と課題
資料3 看護職員確保に係る課題について
参考資料 看護職員の確保策関係資料
また、石川県からの「石川ナースナビ」に関するパンフレットをお配りしております。
不足資料等がございましたら、事務局にお申しつけください。
○尾形座長 よろしいですか。
それでは、早速議題に入りたいと思います。
まず資料1「第5回ご意見の整理 看護職員の確保について(たたき台)」につきまして、事務局から説明をお願いします。
○乗越看護職員確保対策官 事務局でございます。
それでは、資料1をごらんください。こちらの資料につきましては、前回の分科会の議論において皆様からいただきました確保策に関する御意見につきまして、事務局において現行の施策との関係等について、論点、それから、検討の視点等について整理をさせていただいたものでございます。
今回、ヒアリング時間との関係上、簡潔な説明にとどめさせていただきたいと思いますけれども、本日のヒアリングでの御質疑も踏まえまして、引き続き論点、検討の視点等を整理させていただきまして、次回にお時間をとって御議論いただけるように引き続き準備したいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
資料2ページ、3ページをごらんいただければと思います。まず検討に当たっての基本的な考え方というところで、現行制度との関係等について整理したものでございます。現在の看護職員の確保策については、最初の○にありますように「看護師等の人材確保の促進に関する法律」、これに基づいて実施しておるところでございます。
2つ目の○にありますように、そういった確保策につきましては、3つの柱で実施をしてきているということで、「新規養成」「定着促進」「復職支援」、こちらの3つの柱で実施をしてきているところでございます。
3つ目のところにありますように、一方で急速に少子高齢化が進む中におきまして、いわゆる地域包括ケアの推進等をしていくことは喫緊の課題ということで、看護職員の確保におきましても前回の議論においてもさまざま御議論いただいている点でございます。医療と介護の連携ですとか、そういったことから訪問看護、介護サービスへのニーズの増大、地域・施設間、こういったところでの偏在の問題も前回御指摘をいただいているところでございます。
また、4つ目の○にありますように、現在進められております働き方改革、こうしたことによりまして、ライフサイクルやライフスタイルに合わせた柔軟な働き方というものが進められているという御指摘をいただいております。それによって夜勤が可能な人材の確保といったようなことも課題となっておりますし、また、業務の効率化の一層の推進のために看護補助者を活用していくといったことも課題となっておるというところでございます。こうしたことを視点として議論していく必要があるのではないかということでまとめさせていただいております。
3ページ、少しポンチ絵のような形で前回いただいた御意見を整理ということで、たたき台ということで出させていただいております。一番上が現状の確保策ということでございます。新規養成、看護師等養成所への補助、それから、復職支援ということになりますけれども、これは離職者等の届け出制度ですとか、ナースセンターの職業紹介、また、定着促進として勤務環境改善策の支援ですとか院内保育所への支援といったものを行ってきておるわけでございます。
前回いただいた御意見でございますが、こうした新規養成に関するところを強化していく観点からは、養成時のキャリアパスの教育とまとめさせていただいておりますけれども、ニーズが増大している訪問看護や介護サービス、こういったところの移行につながるような教育、研修等のあり方についての御意見をいただいたところでございます。
また、復職支援につきましては、届け出制度を強化していく必要があるのではないかといったような御意見、また、都道府県のナースセンターの機能の強化、ハローワークの連携の強化といったものを進めていくべきではないかという御意見もございました。
また、定着促進という関係では、昨年の過労死白書等でも指摘をされております看護師等へのハラスメントの対策を強化していくべきではないかといったこと。また、人材確保や定着促進に当たって、看護管理者のマネジメント、また、しっかりと院内での研修機会の受講の確保といったことについての御意見もいただいたところでございます。また、先ほども出ましたタスク・シフト等の観点から、看護補助者の活用といったこともしっかりと進めていくべきではないかということも御指摘いただいたところでございます。
また、これらの3つの施策の柱が複数またがったり、新たな視点ということで、論点として下にまとめさせていただいております。医療と介護の連携ですとか、高齢化社会といったことへの対応ということで訪問看護や介護分野、また、教員の人材確保といったところへの対応ですとか、地域の偏在についてどのような尺度で見ていくかといった御意見もございました。また、働き方改革等で夜勤従事者の確保について課題である、これをどうしていくかという御指摘。こうした人材確保の対策を実効あるものにしていくための仕組みということで、人材確保指針の見直しでありますとか、就業場所等の実態把握をしていく必要があるのではないかという御指摘をいただいたところでございます。
4ページ以降は、今、申し上げたような項目に従っていただいた御意見、それから、現状についてまとめさせていただいたものでございます。恐縮ですが説明は割愛をさせていただきますが、いただいた御意見をまとめさせていただいてございます。申し上げましたように、引き続き、きょうもヒアリングの御質疑をいただくということで、それを踏まえまして整理をして、また次回にお時間をとっていただけるように準備をさせていただきたいと考えております。
事務局からは以上でございます。
○尾形座長 ありがとうございました。
資料1につきましては、ただいま事務局から説明があったように、あくまで現段階でのたたき台ということですので、今回、特段の議論は行わず、次回以降に本日の御議論も踏まえて検討を行う時間をとりたいと思います。
それでは、早速ヒアリングに移りたいと思います。まず、都道府県及び都道府県ナースセンターにおける看護職員の確保の取り組みについて、御説明をいただければと思います。
石川県の車さん、石川県ナースセンターの高城さん、御説明をお願いいたします。
○車参考人 石川県健康福祉部医療対策課管理・看護グループで係主査をしております車と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
今から石川県の看護師確保対策の取り組みについて、御報告させていただきます。
資料2ページをごらんください。本日はお示ししておりますこの4点の項目に沿って御報告をさせていただきます。
3ページ、まず、本県の概況について説明させていただきます。
4ページをごらんください。石川県は本州のほぼ中央部、日本海側の北陸地方に位置します。地勢は南北に細長く、二次医療圏は能登北部、能登中部、石川中央、南加賀の4つに分類をされております。
5ページをごらんください。石川県の看護関連指標をお示ししております。人口は114万7447人で、高齢化率は28.9%でございます。そのほか、関連指標としまして、本県の病院数は平成29年10月時点で94、訪問看護ステーションの数は98でございます。
7ページをごらんください。本県の看護職員就業状況について御説明をさせていただきます。まず、本県の第6、第7次看護職員の需給見通しについて、簡単に御説明いたします。下の表のAは需要数の見込み、Bは供給数の見込み、Cは業務従事者届の実人員数をお示ししております。一番右列の平成27年度の需要数の見込みは1万8834人、供給数の見込みは1万9041人と試算しておりましたが、平成26年末の従事者数は1万7821人で、こちらに記載してはいないのですが、28年末は1万8305人でございまして、需要数の目標値までは達しておりませんでした。今後も引き続き看護師確保対策が必要な状況であると考えております。
8ページをごらんください。この表は本県の看護職員業務従事者数の年次推移をお示ししてございます。一番右列が総数となっております。この14年間で就業看護職員数は年々着実に増加しまして、平成28年度には1万8305人となっております。
9ページをごらんください。本県の平成28年度の医療圏別就業看護職員数をお示ししております。人口10万人当たりの看護職員数は、どの地域も全国比を超えております。一番看護職員の少ない能登北部医療圏でも、全国比にしますと102%となっております。
10ページをごらんください。これは本圏の二次医療圏それぞれの看護師、准看護師数を年齢区分別にレーダーチャートでお示ししたものです。二次医療圏ごとに年齢構成が随分異なっておりまして、地域偏在があります。石川中央医療圏以外の3医療圏の看護職員の高齢化が、この年齢分布図を見ますと進んでおり、特に能登北部地域では50歳以上の方が全体の約4割を占める状況で、年齢の高い看護師が働き続けて何とか現状を維持している状況となっております。
それでは、ここから本県の看護師確保対策の概要について御報告させていただきます。
12ページをごらんください。先ほど御説明しました就業看護職員数は着実に増加はしているのですけれども、本県の看護職員の就業状況から、さらに重点的に取り組んでいきたいと考えております看護師確保対策の課題は、まず1つ目が地域偏在の解消です。そして、今回データとしてはお示ししておりませんが、地域完結型の医療への転換が進んでいく中で、病院から在宅へ人材が移動する仕組みづくりが必要であるということから、就業先偏在の解消も課題です。
また、少子化が進む中で、看護師の養成とともに、未就業看護師の掘り起こしも非常に重要であると考え、再就業支援、その中でも特にシニア世代への支援に目を向けていこうと考えております。
13ページをごらんください。石川県としましては、看護師確保対策として、人材の養成、離職の防止、資質の向上、再就業の促進という4本の柱を策定し、その柱に沿ってそれぞれの確保対策事業を実施しております。その中でも、先ほど現状の課題で挙げました3つの課題に即した事業の取り組みにつきまして、今から御報告させていただきます。
15ページをごらんください。まず、地域偏在の解消といたしまして、昭和37年より実施しておりました看護職員の就学資金貸与事業に追加し、平成19年度より能登特別地域枠に限定した就学資金貸与事業を実施しております。対象を能登北部地域の自治体病院に勤務しようとする看護学生としまして、貸与額は月額10万円としております。就業義務年限を貸与期間と同期間とし、それ以上、業務に従事した場合は、就学資金の返還免除となるため、毎年募集人数の20名を超える応募があります。
事業成果としましては、制度開始前と開始後の10年間で比較しますと、制度開始前と比べて、約3倍の新卒看護職員を確保できております。
16ページをごらんください。本県では、就業先の偏在という課題に対し、在宅分野の看護職員の質の向上といった面からの取り組みを平成29年度より県看護協会の補助事業として実施しております。在宅医療や介護にかかわる施設で働く看護職員は、職員数が限られているため、なかなか集合研修に参加しにくい状況にありますが、そういう方々を対象に、身近な場所で施設が課題としている分野の研修を実施することで、新しい知識や技術などを習得していただこうという趣旨の事業となっております。
事業の成果につきましては、17ページをごらんください。県内の特養、老健、訪問看護ステーションの約200施設を講師派遣対象施設とし、講師派遣の依頼があった施設から4つの二次医療圏で各2施設ずつ3分野、計6施設で施設を選定させていただき、講師承諾の意向を得られた各分野の6人の認定看護師さんを講師として各6施設に派遣し、1年間課題解決に向けて取り組んでいただきました。
2回目の講師派遣で集合研修を実施した結果なのですが、近隣施設からの参加も合わせて、59施設、275名が参加されました。講師派遣を受け入れた施設からは、他職種と知識を共有できたことにより、ケアの統一につながり、施設内の職員の連携につながったという意見が多く聞かれましたし、講師をしていただいた病院で働く認定看護師さんと施設側がこの後もつながりを持ち続けて、病院と介護施設の連携の強化につながっていると考えております。
18ページをごらんください。3つ目の課題であります再就業支援につきまして、本県では、県ナースセンターに事業を委託し、ナースセンター再就業支援事業と民間の人材派遣会社に委託をした看護職員再就業支援研修事業の2つを実施しております。ナースセンターの事業のほうは、後ほど担当から説明がありますので、私からは再就業支援研修事業につきまして御報告をさせていただきます。
この事業は平成23年度から取り組んでおりまして、民間の人材会社のコーディネーターが相談を受け、施設とのマッチングを行い、希望する施設で最短1日から14日間の職場研修を受けていただき、その後に再就業するかどうかを自己決定していただいております。
19ページをごらんください。再就業研修の内容なのですが、研修施設は、県内の看護職員を配置している施設全てを対象とし、研修受講者には1日当たり5,000円の給付金や交通費も支給されます。
20ページをごらんください。再就業研修から就業までの流れですが、対象者は離職期間が長い方や他県からの移住者、病院勤務から在宅分野へ再就業を考えている方、定年退職後に再就業を考えているといった方たちなので、再就業に伴う職場適応に対する不安がとても強い方が多いです。そのため、マッチングにとても時間をかけておりまして、研修に至るまでにどの方も施設見学を繰り返し行っております。施設見学時にもコーディネーターが同行してくれるため、とても安心だったという利用者の声もよく聞きます。
21ページをごらんください。研修後の就業実績ですが、研修終了者数は6年間で280名で、そのうち就業者数は248名、就業率は88.6%です。年代別の研修参加者の内訳を見ていただきますと、20~30代が大体半数を占めますが、60代以上の就労者の方も全体の7%に当たる18名いらっしゃいまして、そのうち15名が再就業をしております。
22ページをごらんください。研修事業の事業効果ですが、研修後の再就業者の施設別内訳を見ますと、病院が53%と半数以上ですが、近年の研修実施施設の推移では、特養、デイサービス、訪問看護といった地域医療にかかわる施設での研修を受講する方が増加してきております。在宅看護未経験者が多くこの研修事業を活用しておりますので、就業先偏在の解消の一助となっているのではないかと考えております。
23ページをごらんください。本県の再就業の促進におけるナースセンターやハローワーク等の連携についてですが、すぐに働きたい方はナースセンターの就業相談事業によるマッチングや県内9カ所のハローワークでのナースセンター職員の巡回相談を活用し、再就業に結びついておりますし、職場適応に不安があったり、技術面で不安があってすぐに働けない方には、ナースセンター事業の中で実施しております年10回開催の復職支援セミナーや再就業研修を紹介するといったように、再就業を考えている方々の事情に合わせて支援する仕組みが整っておりますので、それぞれの事業が情報交換を行い、連携しながら復職支援を行っております。
24ページをごらんください。課題である50~60代のシニア世代に向けました再就業を促進するため、今年度、シニア世代向け再就業支援を促進するためのパンフレットを作成し、関係機関に配付いたしました。また、シニア世代が再就業できる就業先を把握するという目的で、県内の看護職員が就業している約1,600施設にアンケート調査を実施させていただき、実施しましたところ、64施設、60代以上の看護師を受け入れる予定がある施設があることが把握できました。これをナースセンターにも情報共有し、シニア世代の再就業支援時にその情報を有効に活用していこうと考えております。
25ページをごらんください。本県では平成25年から県直営のポータルサイト「石川ナースナビ」を開設し、看護職のための総合情報サイトとして有益な情報を得るための充実したコンテンツを有しております。平成27年より復職支援へのコンテンツを充実させまして、利用者にサイト登録をしていただきますと、サイトに登録されている施設の資料請求ができるというサービスを実施しております。ナースナビの登録者数は年間80~90ぐらいで推移しておりますし、サイトへの施設側の登録数も徐々にふえ、現在207施設となっております。
26ページをごらんください。さらに、平成27年12月からはLINE株式会社が運営しておりますコミュニケーションツールの「LINE@」を活用し、県からのお知らせやナースセンターからの各種イベント情報をリアルタイムで発信しております。平成30年の12月末現在で、有効友達登録数は1,751名となっております。就職情報交換会でイベントを開催し、看護学生さんたちが半数を占めるような形ではありますが、研修会などがあったときに登録を呼びかけますと、登録数が少しずつふえていくといった感じで、今、累積で1,751名となっております。その1,751名の方に1週間に1回定期的に「LINE@」のタイムラインで石川県の看護にかかわる情報発信を行い、情報発信の有効なツールとして活用させていただいております。
最後に「石川ナースナビ」についての資料を掲載させていただきました。あと、添付資料といたしまして「石川ナースナビ」のチラシも配らせていただいておりますが、こういったものをいろいろな施設などに配付させていただき、利用してくださいという声がけを行っております。
これで御報告を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○高城参考人 次に、石川県ナースセンターにおける届け出・復職支援について御報告させていただきます。
石川県ナースセンターの高城と申します。よろしくお願いいたします。
就業相談員としては経験4年目で、届け出開始の年の1月に入りましたので、届け出制度とともに育ってきた状況です。
スライド2です。内容としましては、石川県の届け出の現状、取り組み状況、今後の課題を御報告いたします。
スライド3です。石川県の現状としては5つ、年度推移、年代別比較、登録手段、就業状況、届け出者のうちeナースセンター登録希望、就職状況について御報告いたします。
スライド4です。1)届け出者の年度推移ですが、届け出開始の平成27年10月から平成30年3月31日までの累積で1,749人の届け出がありました。27年度は半年で364人、28年度は720人、29年度は665人の届け出となっております。全国の届け出数は6万8580人で、石川県の1,749人は全国の2.6%です。ちなみに石川県の全国指標の値は大体100分の1と言われており、1%の指標から見ると多いと推測されます。
スライド5、2)届け出者の年代別比較をごらんください。20代、30代がそれぞれ400人と多くなっています。40代、50代はだんだん減少していますが、60代になり261人と増加傾向となっております。ちなみに石川県の20代、30代の方の就業希望は日勤のみ、土日祝休みが欲しい、パートの扶養内で働きたい、もしくは9時から16時までの希望が多く、就業がなかなか決まらない状況があります。また、60代でも定年後のパートもしくは日勤のみの希望が多くなっており、68歳とか65歳の定年後の方の就業先を探すということも出ております。
スライド6、3)届け出者の登録手段です。登録手段はパソコンによる登録とスマホによる登録と施設代行による登録と、この3種類で集計されております。パソコンによる登録というのが、ほとんどがナースセンターの代行登録になります。全国と石川県のパーセントを比較していただくと49.1%、5割近く、石川県は8割近くがナースセンターの代行届け出になっております。ちなみにこの中にパソコンによる登録、本人登録もありますが、6%ぐらいです。スマホによる本人登録や施設代行登録は全国のほうが多くなっておりますので、私たちがお世話して登録していることが多いということになります。大都市と違い、石川県はナースセンターが代理で登録できる規模、小規模であるということで、これがなされていると思います。
スライド7、4)届け出者の就業状況をごらんください。赤い点々で四角く囲んであります「就業していない」「就業していないが求職中」という合計が657人、37%となっていますが、この方々にナースセンターが支援をしている状況です。
スライド8、5)届け出者のうちeナースセンターに登録を希望されて、それから、そのうち就職された数です。届け出数は先ほど申しました。eナースセンター登録者数というものがそこにございますが、40.7、石川県は45ということで、40%台で余り変化はありませんが、そのうちの就職者数が8.5%が全国で、石川県は17.4%と2倍になっております。そのことから、石川県は全国に比べ届け出制度を活用した就業が進んでいるのではないかと推測されます。多くなっている理由としては、来所時に離職されている方は全て届け出連携になるように「とどけるん」から登録しています。また、紙ベースの求職者にも届けで登録番号を表示し、届け出登録の有無が就業相談員にわかるように工夫しています。
また、60歳近い相談者は、パソコンもスマホも使用していない方が多いため、相談時に求人一覧表をお渡しし、タブレットを利用しながら求人票の内容を参照しています。また、相談者には希望施設に優先順位をつけ、早期見学ができるように工夫し、次回のハローワークの就業相談日の来所の勧め、電話やメールで見学希望施設の連絡をいただくようにしています。顔の見える関係づくりと素早い対応を心がけています。
スライド9、石川県の取り組み状況を1)から7)まで御紹介させていただきます。
スライド10、1)届け出制度の先行実施ということで、石川県は届け出制度全国一斉開始より半年前倒しで独自の紙媒体提出による届け出制度を実施いたしました。前年度より準備を開始し、平成27年2月に看護師業務従事者届のあった約1,800の施設に、石川県と協会長の連名で、届け出制度の協力依頼を送付いたしました。この周知に関しましては、協会が企画する各種研修会や委員会、地区別代表者会議などで担当者や協会長が届け出制度について説明を繰り返しました。その結果、半年で478人の届け出がありました。ナースセンターの支援といたしましては、情報提供を希望する方に郵送やメールや電話などで情報提供をしております。
スライド11、2)県行政による支援ということで、財政支援が挙げられます。平成26年度までは就業相談員が1.5人、常勤1人とパート1人でしたが、27年度の届け出制度の開始や第5次NCCSの導入、また、県下全ハローワーク9カ所の就業相談の開始を見据え、人員増の根拠を作成しました。1.5人分の日々の業務量を洗い出し、時間換算し、同様に27年度の事業について細かく時間を計算したところ、3人が必要となったので、ナースセンター人員増員の要望書を県へ提出し、県の御理解により常勤3名となりました。
スライド12、2)行政支援の広報支援についてです。県の医療対策課長と看護協会会長連名で公文書というのはなかなか効果がありました。また、離職届の協力依頼ということで、毎年2月に継続して実施しております。また、ナースセンターの活動の成果を地方新聞に掲載し、届け出の成果をアピールしました。県内の包括協定締結企業の店舗、ショッピングモール20施設、コンビニ550店舗にチラシを設置していただき、さらに県直営の「LINE@」コンテンツでナースセンターの届け出制度の広報を実施していただきました。
スライド13、北國新聞、地方新聞に掲載されたスライドの内容です。御参照ください。
スライド14、全国届け出制度開始後の取り組み状況としまして、届け出者への支援として、来所された方には離職中であれば必ず「とどけるん」のサイトからeナースセンターの登録を「希望する」にしていただくよう説明しています。また、求人一覧表をお渡しし、求人の中の情報をごらんいただいています。そして、見学面接の早期調整を実施しています。また、モバイル端末により求人の中身をごらんいただくことによって、不安の解消を図っています。
知識、技術に不安のある方には、ナースセンターの再就業支援セミナー、これは県ではなくてナースセンターで実施していますが、平成30年度は11回、約170人の利用がありました。これを進めています。ブランクのある方には先ほどの県の体験研修を紹介しています。また、就業された場合は、必ず最後にナースセンターへ連絡いただくようお願いしています。これがなければ就業したことにならないのでございます。来所されていない方は、郵送で届け出登録のお知らせ、ナースセンターチラシ、ハローワークの就業相談日程、各種研修の日程のチラシを送付しております。
また、離職者の掘り起こしとしては、先ほどのようにチラシを図書館や市役所、ショッピングモールに設置いたしました。
スライド15、取り組み状況、施設への支援ということで、県の調査による94病院の前年度の退職者と届け出者の前年度の数との突合により、乖離のある病院の看護部長へ7~8月にかけて電話やメールなどで届け出制度の説明状況や退職人数など、現況をお聞きしています。特に大事なことだと思ったのは、看護部長もしくは採用担当者が交代した場合は、必ず説明が必要と感じています。2月の県と協会の連名の届け出制の協力依頼は毎年実施しています。
スライド16、4)ハローワークとの連携(1)ということで、ハローワークについて御説明いたします。平成25年8月から、1カ所のハローワークで就業相談が開始されましたが、27年8月より県下全ハローワーク9カ所で就業相談開始となりました。そのため、前年度12回から96回と増加いたしました。遠方は2カ月に1回ですが、ハローワークの就業相談のおかげで遠方の方も利用できるようになりました。
スライド17、これがハローワークとの連携で効果があった相談者数です。赤い新規数と内就職数と、左側は延べ相談件数になっております。水色の棒グラフが新規数で重複相談を除いた人数です。27年度の113人から29年度は198人と増加し、ピンクの棒グラフの内就職数も27年度66人から29年度101人と増加しています。就職率は5割台を推移しています。
スライド18、ナースセンター運営委員会や関係団体との連携協力ということでは、県の長寿社会課課長、医療対策課課長を初め、計6名の方にナースセンター運営委員会に参加していただいて、御協力、御理解を得ています。また、福祉の仕事マッチングサポートセータが主催する年間4回の就職フェアにも相談ブースを設けていただき、金沢地区で約2回、70施設、小松、七尾地区で各1回、約20施設参加されておりまして、そこの参加福祉施設に看護師の募集状況を伺い、eナースセンター及び届け出制度の広報を実施しています。また、労働局によるホームページへの掲載やハローワークにおけるチラシの設置協力、就業相談のブースの提供などで御協力いただいております。県の再就業支援研修、先ほどの人材情報センターの担当者とは、こちらが紹介した求職者の進捗状況などを毎月1回情報交換し、随時連絡をとっております。
スライド19、ナースセンターの広報というのがかなり力を入れてできました。それで、ナースセンターの情報誌というのも毎年3回発行しておりまして、配付先が看護職従事施設1,800と、eナースセンターの求職活動中の方150名ほど、届け出の求職中の方150名、看護協会個人会員の方に届け出制度を含む情報を提供しております。これで2,500ほどを各施設に郵送したり個人に郵送したりしております。ホームページも随時更新でき、28年からリニューアルされました。また、看護協会玄関にデジタルサイネージも導入していただきました。
スライド20、ホームページのリニューアルです。施設登録方法の説明画面がわかりにくかったので、施設代行登録の場合と用紙で提出する場合の流れがわかりやすいように画面を変更いたしております。
スライド21は、デジタルサイネージの40画面のサイズのものです。こちらが各種チラシ、研修の情報を流しています。
次に、成果につながった要因としてということで、スライド22をごらんください。ナースセンターの要望に合わせた県行政の人員増加のための予算獲得や広報支援と連携でかなり成果が出ました。また、労働局、各ハローワーク、その他の関連機関にナースセンターの活動に協力していただきまして、全ハローワーク相談者数も増加し、届け出連携となっています。2月の従事者届け出の協力依頼もかなり効果がありまして、4月、5月ぐらいにはかなりの数で一気に郵送されてきます。
最後に、今後の課題としましては、届け出制度の継続的なPRと周知の徹底、また、そのまま医療機関・関係機関との連携は強化していき、求職者の就職先開拓のための施設訪問、特に先ほど県の64施設というところも資料をいただいて、今後訪問していく予定にしております。
また、顔の見える関係づくりと調整力ということで、相談員の資質の向上も否めません。特に施設訪問で大事だと思われるところは、大病院は既に登録はきちんとされておりまして、80%、90%の割合になっておりますが、小規模病院と中規模病院では、まだまだ登録が少ない状況で、全く施設数がわからない場合もありますので、今後その施設に訪問していきたいと思っております。
以上、簡単ですが、報告を終了させていただきます。
○尾形座長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問や御意見をお願いしたいと思います。
竹中構成員、どうぞ。
○竹中構成員 全国自治体病院協議会の竹中でございます。
ナースセンターは非常によく活動なさっていて、しかも、県行政等の支援もきちんとなされていて、非常にすばらしい多角的な活動ができているのではないかと評価し、他の都道府県の参考になるのではなかろうかと評価いたしますが、御質問したいのは、資料2-1の15ページ、偏在対策の就学資金貸与事業でございますが、これは今のところ能登北部地域だけの話ということですね。
○車参考人 そうなのです。
○竹中構成員 それを今後広げられる予定があるのかどうかというのが一点と、現在115人の方が利用されたということで、この数というのは全体の枠の中で大体何%を占めているのか。十分に行き渡っている状況なのかどうかということをお聞きしたいのでございます。
○尾形座長 車参考人、お願いします。
○車参考人 御質問ありがとうございます。
この能登北部地域枠の看護師就学資金貸与事業なのですけれども、今、おっしゃいましたとおり、能登北部地域枠限定のものであるのですが、今後能登北部地域だけではなく、能登中部地域も高齢化は進んでおりますので、何かしら地域偏在に対する看護師確保対策事業はしなければいけないということで、喫緊の課題ではあるのですけれども、今のところ、能登北部地域枠限定でさせていただいておりまして、この就学資金事業の枠をふやすことは未定になっております。でも、本当に確保対策はしていかないといけないと思っております。
現在115名が利用しましたが、能登北部地域の就業者数が制度開始後130名までふえまして、そのうちの115名で全体の88%が本制度を利用しております。
○竹中構成員 どうもありがとうございました。
○尾形座長 よろしいですか。
鶴田構成員。
○鶴田構成員 看護職員需給見通しについてとナースセンターについてそれぞれ質問したいと思います。まず看護職員需給見通しについて教えていただきたい。5年間の看護職員需給見通しをつくるときに、例えば平成22年と23年みたいに、一応、平成22年には看護職員需給見通しが一致し、次の年には大幅なマイナスという従来の看護職員需給見通しが作られて来たのですが、このあたりをどう考えておられるかを教えていただきたいのが一点です。この7ページの表を見ると、第6次の需給見通しは少ないとなっていますけれども、従事者数の実人員数はオーバーしていたとなっています。次の第7次は従業者数は需給見通しよりも勤務されている人は少なくなっていますが、今まで感覚的には7対1看護で看護師が足りないと言われる中、当時(6次)よりも今(7次)のほうが看護師の需給は悪化しているという認識かどうかをお伺いしたいというのがまず看護師確保対策についてです。
次に、ナースセンター事業については、この事例は大変、好事例だと思って提示されていると思うのですが、これを全国への横展開を図るという点で少し質問したいと思います。まずは離職率に対するこの届け出者の状況というのは、大体100%把握されたものか、それとも、離職者の何%ぐらいがここに届け出されているかという点が一つです。
もう一点は、7ページでここに届け出された方の1749人中の819名が勤務しているということで、50%ぐらいが就職されている。17ページのハローワークも大体50~60%内で効果があるとなっています。その他のものについては、最も効果がある理由は何なのかがわかれば教えていただきたい。これは本省で後で調べてもらえばいいと思うのですが、他県との比較でここで見えているのはパソコンの利用率が高いということですが、どうした方法が最も効果的になるか。それを横展開したらどうかと思うところです。
質問のところだけ答えていただければと思います。
○尾形座長 それでは、車参考人、高城参考人、それぞれお願いいたします。
○車参考人 石川県の看護職員需給見通しは、22年と23年で需要数、供給数のところが変わってはきているのですが、需要数は平成27年度は1万8834人で、供給数が1万9041人となっておりまして、実際の看護職員の業務従事者届け出数の実人員の従事者数が26年は1万7821人で、平成28年は1万8305人ということで、実際と需要数との差が出てきております。
○鶴田構成員 要は、どこの県も実態は点線のグリーンのところだろうと思うのです。看護職員需給見通しをつくるたびに、この22年、23年みたいな変化が起きていると思っています。今回の需給見通しを出すときに、実態とこれだけの乖離があるという認識でつくるかどうかということもあるので、何でこういうことが起こるかをお聞きしたというのが一つです。私が静岡県内の看護職員需給などを見ると、7対1が導入された時期のほうが、看護職員需給が逼迫するというか、看護師不足が言われて、今は少し緩んできているのではないかという観点からすると、このグラフをどう見るのかなという疑問があったので、聞いたところです。
○尾形座長 高城参考人、お願いします。
○高城参考人 届け出者の離職率の現状ですね。全部把握されているかどうかということでよろしかったですか。
○鶴田構成員 石川県で離職した人のどのぐらいがこれに登録されているか、把握率みたいなものがあれば教えていただきたい。登録した人は就職したいから登録しているのか、登録しなかった人は就職したくないから登録していないのか、それによってこの対策の効果が違うのではないかと。
○高城参考人 まず、県で病院だけで退職者を調べておりますので、毎年4月以降、6月になったら、病院の退職者をいただいているのです。それが大体平均1,000人前後なのですが、今の離職数を見ていただくと700人前後ですね。そうすると、病院だけの退職者であれども、まだまだ100%ではないということで、今、全く全数把握になっていないので、今後そこをなるべく全数把握にしていくにはどうしたらいいかが課題で、まず病院だけでも全数を出していけるように看護部長さんに働きかけていく、ここが大事だと思います。
その次の届け出で効果のある理由ですか。
○鶴田構成員 効果のある理由はさまざまな対策ですけれども、ハローワークでも50%ぐらいで全体でも50%ぐらいなのは、一番効果があるのはそのうちのどれなのかと思って聞いたのです。
○高城参考人 ハローワークですね。ハローワークの就業相談数というのが、私たちの相談の中の3分の2を占めております。なので、ハローワークが開始される前は少なくて、相談者も少なかったという現状がありまして、今、ハローワークさんを利用することによって就業相談者がふえて、離職から届け出につながっている状況になっておると考えております。
○鶴田構成員 ありがとうございました。
○尾形座長 よろしいですか。
ほかにいかがでしょうか。
伊藤構成員。
○伊藤構成員 今の需給見通しの供給数と実際の従事者数との乖離の部分に私も関心があるので、県にまずお聞きしたいのですけれども、端的なところ、Bの供給数の推計に当たっては、きょう御紹介いただいた非常に積極的な確保対策を織り込んで推計をされているのでしょうか。第6次と第7次で需給の見通しに大きな乖離があるというのも気になるのですけれども、とりあえず第7次で供給数の推計の仕方を教えていただきたいというのが一つです。
病院に対する支援としては、県の医療勤務改善支援センターがあると思うのですけれども、きょう御紹介がなかったかなと思うのですが、こちらについてはどういう取り組みをされているか、また、その効果といいましょうか、そういった点も御紹介いただきたいと思います。
ナースセンターのほうなのですけれども、7ページに届け出者の就業状況ということで「看護師以外で就業中」99人というのが少ないなと思ったのですが、これをどう見るか。もともと資格を持ちながら今は違う仕事に就かれていて、そちらのほうで安定してお勤めになっているということだろうとは思うのですが、別の見方をすると看護職の魅力が十分認識されていないというか、あるいは厳しい経験でもされたりして離れてしまったということかもしれませんが、せっかくの看護職、プロフェッショナルの資格をお持ちなのに離職した方の届け出につながっていないことについて、何か考えつく理由はおありでしょうか。
○尾形座長 それでは、車参考人、高城参考人、お願いします。
○車参考人 先に勤務環境から説明してもよろしいでしょうか。石川県の勤務環境改善事業は、医療勤務環境改善支援センターとともに検討会などを実施しておりまして、その検討会を年に3回、各病院や、看護協会から看護師さんも参加し実施しておりますし、管理・看護グループ独自で看護協会に委託し、看護師の勤務環境改善支援事業というものを10年間実施しております。今年度もワークショップを開催しております。ワークショップに手挙げしていただいた施設が1年間勤務環境の改善に取り組み、年3回集まり、2月に勤務環境をどう実施して、どのような成果かあったかを皆さんの前で報告するといった看護職独自の勤務環境改善支援事業というものを実施しております。
看護職員の第7次の需給見通しは、今回答できないので、またお知らせしてよろしいでしょうか。
○尾形座長 伊藤構成員、どうぞ。
○伊藤構成員 それはぜひまた御報告いただきたいと思うのですが、供給数の見積もりに当たって過大評価みたいなものがあるのだったら、この需給見通しを検討するに当たって、県から出てくる数字を全てうのみにするのはいかがなものかということにもなるものですから、そこの考え方を知りたいということです。
それから、最初に御紹介いただいた勤務環境改善支援センターのほうなのですけれども、どれぐらいの病院とか、あるいはどれぐらいの看護職員の方がこの事業にかかわったのか、大体のボリューム感をお示しいただけますか。
○車参考人 きょう手元に資料を持ってこなかったのでボリューム感の詳細まではお知らせできません。勤務環境改善の取り組みの中で病院の看護部長さんからのお話という1コマを設けて講義していただいたり、そういったことは実施しています。
○尾形座長 高城参考人、どうぞ。
○高城参考人 「看護師以外で就業中」の方になっていますが、この方々は精神面、メンタルで退職された方とか、もともとホテルで働いていましたけれども、看護師になりたいとかで希望される方とか、ここの状況はいろいろあるのですが、能力的に難しい方がここの「看護師以外で就業中」を選ばれている形ですね。就業してみたけれども、だめだったという方が結構いらっしゃるということです。
○尾形座長 伊藤構成員、よろしいでしょうか。
内藤構成員、どうぞ。
○内藤構成員 内藤病院の内藤です。
本日、石川県の事例を御紹介いただきましたけれども、本当にすばらしいというか、これだけの成果を出すのに物すごい努力が必要だなと私はまず第一に資料を見せていただいたときに感じました。
前回もお話ししましたけれども、私も5年前に東京都医師会で看護のほうの担当理事、それで復職支援であったりとか、ナースセンターの担当で、何とかして看護師の離職防止、復職支援をしようということで対応した経験がありますが、そのときもなるべく復職事業に多くの方に来ていただこうということで、それまで東京都では看護協会のある飯田橋、もう移ったのですかね。それから、立川でやっていたのを、各医師会の先生方、会長さんにお願いしまして、地区医師会館を借りて、そこで各部署をいろいろ回って、もちろんナースセンターとかと協力しまして、復職支援相談会をやったりもしました。
ただ、その中で非常に感じたのは、地元というか、離職されている方とか、場合によっては転職希望されている方にどれだけこの活動が伝わっているかということが一番の問題です。それから、インターネットを調べれば幾らでも今、復職の情報ですとか就職のあっせんの業者が出てきますけれども、その中でどうやってインターネットの上のほうに出てくるか、かつ簡単に登録できるかということが物すごく重要になってくるのですけれども、その重要な部分に関しては、皆さんがそれぞれ非常に細かな手当てをしながら情報を集めたりとか病院との連携をつくったり、非常にそこのところに物すごい力を入れてやっていらっしゃるなという意味では本当に感心いたしました。
そういう中で、聞き漏らしたかもしれませんけれども、看護協会、ナースセンターでこれだけの連携をしている中で、連携をしているスタッフは実際にどのくらいの数の方がかかわっていらっしゃるのかということと、場合によってはおわかりになればということですが、例えば新しく就職した、その年度就職した方の何割ぐらいがこのシステムの連携を使って就職されているのか。できれば紹介業者でどれぐらいの率が就職されているのか、その辺のデータがあれば教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○尾形座長 これはどちらでしょうか。
では、高城参考人。
○高城参考人 ナースセンターのスタッフですが、届け出担当の事務職員の週3日の人が1人、ナースセンターの就業相談員が4人、それから、再就業支援セミナーの担当の週2日の人が1人、その他、訪問看護に携わる方が2人、あと、会計等々を担当してくださる事務の方がいらっしゃいます。
○内藤構成員 かなり多いですね。
それで、民間の紹介業者との比率はおわかりになりますか。
○高城参考人 それはわからないのですけれども、普通の看護師さんはインターネットでぽんぽんと入ってしまうので、そうなってくると、ハローワークの情報もあり、ナースセンターの情報ももらいながら、横にその人材屋さんというか、そういうところも並べながら、どこへ行こうかという人もいらっしゃるので、それはもう一般的には普通はみんな紹介会社も利用していると思ったほうがよいと思うのです。ただ、お金がかかるのをわかっていないのです。
○内藤構成員 わかりました。ありがとうございます。
○尾形座長 よろしいですか。
ほかにいかがでしょうか。
小林構成員。
○小林構成員 先ほどの供給数の見込みと従事者数の乖離の件ですが、恐らく、現状の増加数を一定として積み上げたものと思われます。ただ、お話を伺っておりますと、再就業者を促進する取り組みを積極的に行い、また看護師の偏在対策として、奨学金の給付により県内外から新卒看護師を集めておられますし、さらに働き方改革等を通じて離職防止にも取り組んでおられます。このため、実際の共有数にはこの効果が反映され、推計値と乖離が生じているものと思われます。今後の需給推計においては、これまでのこのような取り組みによる効果を踏まえ、種々の施策の改善効果を見込み、推計することも必要だと思います。
○尾形座長 ありがとうございます。
鎌田構成員。
○鎌田構成員 どうもすばらしい報告をありがとうございました。
車参考人に一つお尋ねで。先ほども質問に出ておりましたが、看護師等修学資金貸与事業について、能登北部の自治体病院に就業する看護職に10万円とありますが、これは能登北部地区のその他の病院については、従来どおりの月3万6000円で返還免除が7年の修学資金などでしょうか。
○車参考人 そうです。3万円で。それで、返還期間は同じく就業年限で同程度働くと返還免除となるということです。
○鎌田構成員 そうすると、自治体病院のほうが看護師の確保が非常に困難だと言うことか。それ以外の病院との差をつけられた理由は何かありますか。
○車参考人 差をつけた理由といいますか、新卒の看護職員が能登北部の4病院に入る比率が大きく、それで4病院を優先するわけではないのですが、自治体4病院に限定させていただいております。
○鎌田構成員 これは全て県単事業で県の予算でされているのですね。基金ではないですね。
○車参考人 半分基金、10人基金なのです。
○鎌田構成員 地域枠は基金でということですね。
○車参考人 はい。
○鎌田構成員 ありがとうございます。
もう一つよろしいでしょうか。石川県のナースセンターのご発表にもありましたとおり、行政と地域の連携がすごくよくできているなと思いました。その中でやはりナースセンターの機能強化だけではなく、医療勤務環境改善支援センター等もありますが、そこに行政と看護協会、ナースセンターの連携強化、これについては今後も確保策のところで十分に議論して頂きたいと思います。
一つ例なのですけれども、福岡県のほうではこれを十分進めるために、県内を4つのブロックに分けて4カ所のサテライト、ナースセンター、そこで復職支援の研修もされています。他にももしかしたら好事例があるかと思いますので、そういったところの情報をまた厚労省のほうでもし集めることができたら、具体的なところで今後の確保策を考えていく上で参考になるのではないかと思いました。
以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
池西構成員。
○池西構成員 養成所の教員確保のことで悩んでいるものですから、ナースステーションの高城さんにお尋ねしたいのですが、今まで養成所の教員が充足した実感はほとんどないのですが、これからもっと地域に実習場所も広げていかなければいけないので、実習指導教員を含めて人材確保がとても重要になるのですが、ナースセンターから紹介いただく機会が本当に少なくて、今回の数値を見てもナースセンターのところからは見えないのと、県のほうの資料を見ても、その他に入っているのかもしれないのですが、なかなかそのルートに乗れないのです。
そこで、養成所が努力すべきことと、あるいは実態についてどのようにお考えでしょうか、教えていただきたいのですが。
○高城参考人 私たちナースセンターのほうで看護学校の教員を1人御紹介したりなどした実績はございますが、たまたまその方が教員希望されているというのでeナースセンターに登録があり、御希望があったのでマッチングできたところがあります。今、教員になりたい方も少なかったり、教員の条件がございますね。5年以上でしたか、それと学校に行っていないと、教員養成所でしたか、そこに行っていないといけないとか、そういう方々の登録というのが少ないのです。うちの県の総合看護学校のところも実習補助をずっと出していますけれども、埋まらない状況がここ1年ほどありますので、同じような状況が起こっているのだなというところがあります。
だけれども、やはりeナースセンターに登録されますと、その条件をきちんと明示されていると、そこにヒットする方が他県からいらっしゃることもできるので、eナースセンターは5県まで登録できるので、そこから検索がかけられるという便利な機能がありますから、ぜひ御利用をいただくのがいいかなと思っています。
○池西構成員 ありがとうございます。
実は専任教員の資格要件では、5年の臨床経験が必要なのですが、教員養成講習会については、採用してから、受講していただくようなシステムをとっていてもなかなか集まらなくて、特に実習指導教員ですと、その資格要件も現在はないので、そういう意味で本当に人が来ていただけるとありがたいことを御承知いただければと思います。よろしくお願いします。
○尾形座長 ありがとうございました。
平川構成員。
○平川構成員 老健施設協会の平川でございます。すばらしい取り組みに感心いたしました。
とりわけ私が興味を惹かれましたのは、資料2-1の18ページから始まります、看護職員の再就業支援研修であります。実績を見ますと8割近くの方が戻られている。これは我々も同様の取り組みを何度となく試みているのですが、ここまではうまくいきません。お聞きしたいのは、18ページをみると、研修先のマッチングを含めて、本事業のほとんどを民間人材派遣会社の方が担当されている。彼らはプロフェッショナルですから、先ほど内藤構成員が言われたように、こういった事業の大事なところは、相手にどう伝えて、うまくこちらに引き込むかということです。この辺はなかなか我々素人がやっても難しいところがあります。ホームページ上では似たような取り組みやイベントの紹介が多数出ていますから、いかにこの事業内容がすばらしいものであるということが伝わらないのですが、今回のこの取り組みを見てみると、がっつりとそれを捕まえて、しかもきちんとマッチングをして、適材適所の病院に研修に行かせています。あるいは応募者のニーズを丁寧に捉えて適格性も見ながら進めているように推察します。私たちとは異なり、専門家としての技を持っていてそれを生かしているのかなと思ったものですから、そういったことを石川県が把握して、この事業はその道のプロにやらせたほうが良いと判断されたのでしょうか。
○尾形座長 車参考人、お願いします。
○車参考人 この再就業支援研修事業は、民間の人材情報センターという派遣会社に委託はしているのですが、ナースセンターとかなり連携が深く、ナースセンターからの紹介が6割近くあるのです。そこからの紹介で来ているので、人材情報センターさんとナースセンターさんとでかなり連携をとり合いながら、その方の情報収集だったりとか情報提供だったりを密に行ってはいます。
○平川構成員 つまり、今の話を聞くと、センターから候補者を集めてくることが多いわけですね。
○車参考人 そうですね。
○平川構成員 それを人材派遣会社がつかんで、そこからどうやってうまく進めているのでしょうか。
○高城参考人 人材派遣会社さんの担当者は決まっていまして、それだけしかしていない方なので、私たちが例えばブランクのある方でとても不安があるとか、精神面があれでクリニックに通っている人で、少しずつ体験していかないと働けないというような状況の人をお願いして、どこで働けるかとか、そういう細かい状況を相談しながらしていまして、有料の方とはまた別途の動きをされているということです。
○尾形座長 よろしいですか。
○平川構成員 わかりました。
○尾形座長 太田秀樹構成員。
○太田(秀)構成員 太田です。
本当にすばらしいお取り組みで、ここまで本気でやられた背景を本当は知りたいのですけれども、それは置いておいて、復職先で当然老人保健施設や訪問看護の方はいらっしゃると思うのですが、病院に行く方とあるいは診療所に就職される方と、地域に出て訪問看護をやったり、高齢者施設で働く、ざっくりでいいので、比率はどれぐらいでしょうか。つまり、復職で訪問看護を始めるような人はどれくらいいるのかが関心事です。ざっくりで印象でもいいのですけれども。
○尾形座長 どうぞ。
○高城参考人 ナースセンターのほうは、今、病院のほうの需要としては、夜勤のできる看護師が欲しいという需要がありまして、求職者のほうは、先ほど申しましたように日勤だけとか短期だけというのがありますので、ミスマッチングが起こりやすいと。そうした方々は福祉系もしくは訪問看護に転換して探しているのですけれども、福祉に行った方でそこで満足できるかというと、またそこも難しいお話で、福祉系でアバウトで、病院に戻りたいという方がそこを退職されてまた求職活動をするとか、訪問看護に関しましては、オンコールがあるので訪問看護は嫌だといって断られる方などがありまして、どちらかといいますと。
○太田(秀)構成員 要するに、復職者は訪問看護をやっても福祉系の施設に入っても定着率は低いということですね。
○高城参考人 そうですね。復職者は意外とすぐやめることもあります。
○太田(秀)構成員 ありがとうございました。
○車参考人 再就業研修のほうは、再就業研修で再就業した施設別内訳を資料の22ページで提示させていただいております。病院が約半数、53%を占めていますが、訪問看護が8%、有料老人ホーム2%、デイサービス10%、老健4%、特養2%といった比率になっております。
○太田(秀)構成員 ありがとうございました。
○尾形座長 高砂構成員。
○高砂構成員 看護師等就学資金貸与事業、先ほど御質問がありましたが、貸与対象に今後訪問看護とか福祉施設などの対象もぜひ御検討いただきたいと思います。お願いです。
○尾形座長 よろしいでしょうか。
それでは、ほかにも御質問があるかもしれませんが、まだあと2件プレゼンがありますので、先に行きたいと思います。
車さん、高城さん、本当にどうもありがとうございました。
それでは、次に病院における看護職員確保の取り組みについて、御説明をいただきたいと思います。
大崎構成員、よろしくお願いいたします。
○大崎構成員 大崎です。
きょうはこのような機会をいただき、ありがとうございます。大阪における一民間病院としての現状をお伝えしたいと思います。
そこにあります写真は、合成ではなくて、京セラドームと3階で繋がっていまして、右手には大阪ガスのガスタンクがあり、非常にインスタ映えする立地条件になっております。
それでは、大阪市の現状のほうから御報告します。大阪市の人口は270万人、三次救急施設が6施設、二次救急施設が93施設となっております。当院は、大阪市西区の端に属していまして、入院患者さんの8割が西区、港区、大正区の患者さんということになっています。高齢化率は、西区は都心回帰で若者の流入が多く16.1%と非常に低いのですが、大正区におきましては30%を越している状況です。御存じのように、大阪は生活保護受給率が非常に高く、それにおきましても大正区は5.59%と、独居で生活保護の方も多い現状です。
次の資料です。うちの法人の現状です。急性期を担います多根総合病院と眼科単科の病院、そして、回復期、慢性期のところは介護療養と医療療養が一緒になっております。また、大型化した訪問看護ステーションと社会福祉法人、健診部を持っておりまして、大阪市の西部地域で包括的な医療・介護を提供している法人です。
法人のマークであります3つの亀甲のマークは、施設と職員によって地域社会を発展させるという意味を有しております。
次の資料です。私の所属します多根総合病院の特徴としては、5つあります。二次救急医療を断らずやっていこうということ、また昨年、看護師の特定行為研修機関の指定を受けまして、今、2期生を教育している状況です。診療科は31、稼働率が97.2、平均在院日数9日、DPCIIの病院で、ISO15189を取得しました。
急性期一般入院料Iをとっております。医師数が101名、看護師数305名、看護補助者がクラークを含む38名となっております。経験年数別に見ますと、1年目から3年目が約30%を占めている状況です。
次の資料をお願いします。救急車の台数ですが、救急車受け入れは大阪で3番目に多い台数を受け入れております。昨年初めて7,000件を越しました。1日平均しますと21台の救急車を受け入れ、救急外来とウオークインで来られる方もおられるのと、一般の予約外の緊急入院と合わせると20名ぐらいの方が予約外入院となっております。
入院患者さんの年齢を見てみますと、60%以上が65歳以上の高齢者ということになっています。認知症、日常生活自立度III以上の方がそのうち20%を占めております。
次の資料です。看護師の募集活動につきましては、業者のやっておられます就職説明会に年5回ほど参加しております。看護師も公務員志向が多くて、なかなか民間のうちのブースに最初に来られる方は少なくて、3週目ぐらいにやっと来られる状況です。他には、ホームページを充実したり、臨地実習については積極的に受けるようにしております。また、看護学校への講師派遣等も行っております。現在いる職員においては、CS研修をしたり、パパ、ママの職場を見に行くファミリーデーですとか、学術集会、大忘年会というようなイベントも積極的にやっております。
しかしながら、離職率は決して低いものではなく、今年度、予定を含めまして、15.7%になっております。新人につきましては7.3%、3名が退職をしておりまして、そのうち2名がメンタルヘルス、1名は結婚という理由です。
右のグラフに今年度の退職理由を書いております。「結婚」が8名、結構遠方が多いです。次が「違う病院を経験したい」ということです。大阪は民間を含め300床以下の病院が多く、それらの病院に移っていく看護師も多い現状があります。その7名の内訳を見ますと、8年目が1名、5年目、3年目が各3名となっております。4番目として「人間関係」「とにかく疲れた」「メンタルヘルス」というようなものが各4名おります。
このような病院の中で、どのように勤務環境改善を図っているかということをお伝えします。まず勤務体制については、全ての部署を2交代で時間も同じにしております。夜勤につきましては19時半から9時半の14時間拘束ですので、長日勤が発生します。その長日勤が8時半から20時半までです。下に線表を書いておりますが、ここで大事なのは、日勤帯がいる間の29分の休憩時間を確保できるかということで、以後の勤務に備え、これは必ずとるようみんなで協力しています。
勤務の基本形としまして、長い日勤をした次の日は夜勤入り、夜勤明けで、1つ1個以上の休みがつくようにしておりますので、正循環を確保し、14時間以上のインターバルを確保することができております。
時間外勤務は、1分単位で手当を付与しています。何よりも大事なことは、与えられた仕事の自己完結型ではなくて、残っている仕事を次の勤務者に託せる職場環境が重要ではと思っています。
右にグラフでお示ししておりますように、1人当たりの1カ月の時間外勤務の時間数は大体2時間前後、多いときで3時間なのですけれども、そのような状況になっています。
次の資料です。休日です。休日につきましては、看護部目標に「捨てない「有給休暇」」を掲げまして、昨年度は85.5%の者が捨てない有給に該当しました。また、1年間のどこかに9日間の有給休暇、プラチナウイークと呼んでいますが、それをどこかにとれるようにして、オンとオフのすみ分けをきちんとするようにしています。
また、定着のためには教育も非常に重要であると考えます。今まで経年別で行っていた教育を日看協が示されたクリニカルラダーに変更しました。集合研修もその中で行っております。それは全て時間内にしています。認定看護師、専門看護師、特定看護師もふえてきましたが、それらの授業料は全て法人負担とし、処遇の継続、つまり、お給料をいただいて就学できるシステムをつくっています。
次の教育研修費は、1人年間7万円というものですが、これはドクターも私たちも看護助手もみんな一緒です。このようなシステムがあって、学会参加や院外研修に参加しています。
法人の中で研修もしていまして、2週間の訪問看護ステーション研修、訪問看護師になりたいという看護師は意外と多いのです。でも、いつなるのと聞いたらいつかはなりたいですと言いますので、2週間訪問看護ステーションに出します。最初の1週間はずっと同行訪問しますが、次の2週目は1人で回ることができるようになります。それはちゃんと厚生局に届けておりますので、診療報酬もいただけます。そういった研修によって毎年1名の者をステーションに異動しています。
ただし、ここで問題になるのが、夜勤手当がなくなるということなのです。そこで、月に2回だけ前部署、つまり、うちの病院で夜勤をしております。これによって、夜勤手当によって給与が下がることを防いでいます。
次に、新人看護師ですが、急性期に行きたい者がかなり多い状況です。けれども、メンタルヘルスに障害を来したり、明らかに急性期は厳しい新人もいますので、3カ月ごとのローテーションをして、10月に配属場所を決定するという工夫もしています。
次のページです。認定看護師、専門看護師がふえました。それによって、彼らの専門性を発揮するために、近隣の介護施設等に出張研修に行ったり、看護専門外来ということもやっております。
看護補助者・コメディカルとのタスク・シェアリング、シフトですが、慢性期のところで介護療養と医療療養がまじっているということをお伝えしましたが、介護保険施設については処遇改善がつきました。そこで、配属されている病棟によって違いがあってはいけないということで、そこには全部署処遇改善加算をつけると決定しましたので、そこに病院も乗りまして、急性期病院でも処遇改善加算を半額ですが、月に2万円、看護補助者につけてもらうようにしました。しかし、それは条件がありまして、おむつ交換、夜勤をしている、変則勤務があるということにしています。というのは、日勤だけだったら、割と看護補助者は集まります。けれども、夜勤であるとか変則勤務、おむつ交換については、そこがあったらなかなか集まらないという状況があります。
夜間のフリーエイドというのは、夜間100対1急性期看護補助加算をいただいていますので、3名の看護補助者が夜勤者として必要ですが、そこにもう一人ふやして、例えば認知症の患者さん、せん妄の患者さんが徘徊して看護師が本来業務ができないときに見守りを行ってくれる等の助手を1人夜勤で多くつけました。しかし、看護補助者の減少により、秋から配置できていない状況です。
チーム医療推進会としまして、院長もまじえてコメディカルとのタスク・シェアリングのシフトを話し合っています。これによって放射線技師のMRI、CTの抜針でありますとか、検査技師さんのインフルエンザの検体採取、PTの吸引、ができています。
次のページです。ハード面ですが、看護業務というのは非常に間接業務がいっぱいありますので、そこを何とか減らしていかないといけないと思いまして、ベッドネームをデジタル化したり、あるいは吸引瓶とか温タオルをディスポ化したり、体位変換の自動機能つきの体圧分散マット等を購入し、実際に使っています。高齢者の入院は、附属物が多いのです。というのは、眼鏡、入れ歯、補聴器、つえ、車椅子、いろいろなものを持ってこられます。まず勤務交代したときに、その「物」があるかどうかの確認から入らないといけないという状況がありますので、小さなことなのですが、入れ歯ケースを統一して置く位置も定位置としています。
8)マネジメントです。前回にも出ましたように、7対1の施設基準をいただこうと思ったら、それがちゃんと制度に合っているかということとか、勤務割り振り表に関しても、横の線であるスタッフの生活の質を確保しようと思うと非常にマネジメントに費やす時間がふえているのも事実です。そこで、電子カルテが変更になりましたことを機会にシステムを活用したデータ管理を依頼したり、1人の看護管理者の持つ病床数を減らしたりしました。具体的には、一般病棟におきまして、8階とそこに8床のHCUがあって、1人の看護師長が見ていたのですが、そこを別の看護単位として、HCUは1人の看護管理者を置くというふうに変えております。
次に、多様な働き方の取り組み状況です。福利厚生につきましては、国公立には勝てません。なので、見せ方なのかもしれませんが、育児復帰は、子の誕生日のときに復帰日になりますので、そこはもれなく有給休暇を与えております。保育所も完備しています。夜間保育も完備していますが、今は対象者がおりません。保育所も自分の近くの保育所に預けたいということで育児延長を申し出るスタッフが多い現状です。ただ、保育所があって助かるのは、登録制にしておりますので、一時預かりをしてくれます。ゴールデンウイークとか年末年始、一般の保育所では嫌がられるのです。お父さん、お母さんが見られないのですかということを言われるので、そういうときは遠慮なくうちの院内保育所に預けることができます。
育児休業時間、育児時間ですが、それについては6時間から7時間38分の間でフレキシブルにとれるようにしております。長日勤があるのですけが、そこの部分については育児時間として労働を免除しております。しかし、今、育児時間取得者18名おりますが、夜勤をしているのは2名のみです。
深夜労働免除については、当法人は小学校の入学の始期に達するまでということになっておりますので、先ほど言ったように、2名の者しか夜勤はしておりません。調整手当としまして、夜勤を月2回以上する人は2万円で、それ以外は1万円と差別化を図っています。けれども、できませんということで、しないという状況です。月1回夜勤をしてもらったら夜勤時間の割る人数に入れられること、御主人が休みのとき等で曜日指定してでもいいからということを相談しますが、できないということで、まだまだ男性の育児参加が少ない現状があるかなと思っております。
次です。定年後のベテラン看護師の活用ということで、パソコンはできませんが、今までの経験値をいっぱい持っておられますので、外来の問診コーナーで活躍していただいてます。70歳以上の補助者さんについても、お昼どきの忙しいときに3時間だけ、週3回来てくださっているのも、現場としては非常に助かっている状況です。
今後の課題として、3点挙げさせていただきます。
間接業務をとにかく整理して改善していかないといけないということと、コメディカルとのタスク・シフト、シェアリングをもっと推奨していくこと。
2番目として、夜勤看護師をどう確保するか。あと、訪問看護師と看護補助者の確保ということ。
中堅どころで他施設を経験したいという理由で退職する者が毎年おります。その中で、退職ではなくて研修制度で他施設経験ができないかという3点を今後課題として挙げさせていただきたいと思います。
御清聴ありがとうございました。
○尾形座長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問や御意見を承りたいと思います。
島崎構成員。
○島崎構成員 働き方改革をはじめ、非常にきめ細かな対策を講じられていると思いますが、その結果、2016年度までの傾向が一挙に改善されたということになっているかと思いきや、10ページの資料を見ると、例えば18年度ではむしろ離職率が高まっていますね。右側に退職理由が書いてあるわけですけれども、2018年度のこの数字は一過性のものだと考えるべきなのでしょうか。あるいは違う観点から申し上げると、きょうのプレゼンテーションを拝聴した印象とも関係しますが、これだけきめ細かな対策をいろいろ講じても、離職率がこういう数字になるというのは、どのように考えればよろしいのでしょうか。現場感覚がわからないものですから、率直に教えていただきたいと思います。
○尾形座長 大崎構成員、お願いします。
○大崎構成員 ありがとうございます。
うちは超急性期のICUを6床と、HCUが2カ所の8床、8床の16床あるのですけれども、超急性期においては人員配置が決まっておりますので、休憩時間を含め、その人数からは減らないのですけれども、一般病棟に緊急入院される患者さんも多々おられまして、私のメンテナンスができていなかったのもあるのですが、夜間の緊急入院の病棟に入られたときの忙しさ、そういうのもかかわっているのではないかと。とにかく疲れた、看護師をやめたいという者もおりますので、そこをもうちょっと何とかしないといけなかったのかなと反省しております。
○尾形座長 ほか、いかがでしょうか。
小林構成員。
○小林構成員 2018年の離職理由に「違う病院を経験したい」があがっていますが、この違う病院というのは自法人とは異なる系列の病院ということでしょうか。ワーク・ライフ・バランスも教育もかなり充実しておられますので、それでも違う病院に行きたいという背景には、例えば、近隣に最も魅力的な病院があるとか、何か理由があるのでしょうか。もし分かれば教えていただければと思います。
○尾形座長 大崎構成員、お願いします。
○大崎構成員 御質問ありがとうございます。
最初に説明しましたように、うちの法人はいろいろな機能分化した施設を持っておりますので、異動は可能なのですが、違う急性期を経験したいというので離職をしていく者がいるのが現状です。
次に、他施設のワーク・ライフ・バランスという御質問をいただいたのですけれども、私、看護部長同士でいろいろなつながりがありまして、そこでいろいろな情報交換をするのですが、県の病院とかは行事休暇、つまり、子供の授業参観、運動会、そういう特別休暇も設けているということなのです。そういったところまではうちは無理なのかなということも思っております。
○尾形座長 ありがとうございました。
ほか、よろしいでしょうか。
竹中構成員。
○竹中構成員 先ほど島崎構成員もおっしゃったのですが、10ページなのですね。ここにこだわって済みません。18年はかなり離職者がふえているということで、前の8ページを見ますと、救外からの入院数が17年で格段にふえているのですね。だから、かなり病棟の回転が速くなって、目まぐるしい状況の急性期病院が現出しているのではないかと推測いたします。そのような業務がかかったときに、看護の職員のケアですね。何か考えていらっしゃるかどうかお聞きしたいのです。
○大崎構成員 ありがとうございます。
看護補助者については本当に集まらない状況なので、今は、看護師に余裕がないのですが、4月以降は夜間フリーに動ける看護師を中堅どころで1人置いたほうがいいのかなとは考えております。緊急入院があった場合、すごく忙しくなったときに、ある程度のベテランナースがそこに助っ人に行くというような方法を考えております。
○尾形座長 よろしいですか。
太田構成員、どうぞ。
○太田(圭)構成員 私も民間の急性期病院をやっておりますので、ここまですごく頑張って対応されても、先ほどから議論になっています離職率の状況になるのかというのが、本当に厳しいなと実感させていただきました。ここまで実際にやっていらっしゃって、なおかつ急性期の病院としてもかなりの実績のあるところの病院で、入りのほうを確認させていただきたいですが、今、年間何人ぐらいの看護師さんを採用されていて、新卒と業者さんですとか、ナースセンターさんとか、大体どんな感じの比率で看護師さんが入ってきているのかというのだけ御確認させていただいてよろしいでしょうか。
○大崎構成員 新人看護師につきましては、大体40~50の間で毎年採用しています。既卒につきましては急性期病院は余りとっていなくて、リハビリ病院であるとか、慢性期の病院は既卒なのですけれども、そこは20名前後。どうしても慢性期が集まらずに業者さんを使っている状況です。
○太田(圭)構成員 急性期病院側は、もうほぼ新卒で業者さんを介さずに集まる状況ということでしょうか。
○大崎構成員 ここ数年実感しておりますのは、急性期についてはおかげさまで集まるようになってきたのかなとは思っております。
○尾形座長 ありがとうございました。
ほかにも御質問があるかもしれませんが、時間が押しておりますので、大崎構成員は引き続き分科会のメンバーでもいらっしゃいますので、また御意見、御質問をいただければと思います。ありがとうございました。
次に、訪問看護ステーションにおける看護職員確保の取り組みについて御説明をいただきたいと思います。
訪問看護ステーションみけ所長の椎名さん、よろしくお願いいたします。
○椎名参考人 御紹介ありがとうございます。椎名です。よろしくお願いします。
私のステーションは、墨田区のスカイツリーのすぐ近くの人口27万程度の割と小さな地域で訪問看護ステーションをしております。看護師とPT、OT、事務員等を合わせて30人ぐらいで稼働しているようなステーションです。
訪問看護師の確保と人材育成の取り組みのきっかけになったというところは、私が訪問看護を始めたころから、今はそんなことはないのですけれども、全然訪問看護ステーションの数が伸びなかったのと、これは今も同様だと思うのですが、訪問看護ステーションの休止と廃止の理由は、利用者さんがいなくなってしまったから訪問看護できないというわけではなくて、看護師がいないから、2.5を切ってしまったから、廃止・休止をしなくてはいけないというところで、訪問看護という仕事自体が看護の本質をつくようなすばらしい仕事だと私は思っているのに、こういうところで訪問看護師がふえていかないのは非常に残念だと思っておりました。
そのころ、ちょうど看護大学がどんどんできていくというような時代でしたので、若い人たちにどんどん訪問看護師になってもらえばいいのではないかと思って、都内の各看護大学にお声かけをさせていただいていたのですけれども、10年ぐらい全然大学の先生方にははなから、最初から訪問看護は無理だからみたいに言われて御紹介をいただけなかったのですが、2011年に初めて都内の看護大学から御紹介を受けて、本当にさらの新卒の方を採用することができました。
そこで、看護協会等が出している新卒看護師の教育プログラム等を見たのですけれども、なかなか在宅だとそれが参考にならない部分も多かったので、独自で訪問看護の教育プログラムを開発していこうというところで、いろいろと切磋琢磨しながらキャリアラダーのようなものをつくって、2011年に新人看護職員の研修事業補助金申請をさせていただいて、訪問看護ステーションでこの補助金を申請したのが日本で初めてだったというところで、この年に少し新卒でも訪問看護師になれるみたいなところが、訪問看護のサミットだったりとか訪問看護系の雑誌等で扱われたというところで、少しずつ新しい方々にも訪問看護に入っていただけるようになったかなと思っています。
うちのステーションはほとんどやめる人がいないのですけれども、うちの理念としては本当にすごく単純な感じで、コミュニティーは自分たちが主体でつくろうというプライマリーヘルスケアの原点みたいな感じのところと、自分たちの職場でもそのようにやっていきましょうというところで、職員で5つぐらい委員会をつくっていろいろな業務を行っていて、月に1回運営会議を開いて、そこの運営会議の中でいろいろな業務内容であったりとか、携帯当番の持ち方であったりとか、災害時についての訓練だったりとか、そういったことを全部職員たちが決めるといったことを行っています。
職員たちが行うというのはすごくいいことで、自分たちが決めたことなので、自分たちでやらなければいけないし、自分たちが決めたことでうまくいかなかったら、もっといい方法を考えようと積極的に思ってもらえるところがとてもいいかなと思っているのと、おのおのがコミュニティーは自分たちが主体でつくるという基盤の精神を持っているところで、スタッフ同士が人として尊重し合って、ワーク・ライフ・バランスを重視できることで定着率もアップしていって、正の循環ができているのではないかと思っています。
次のページです。このほかに、私は会社のほうで訪問看護ステーションをやっておりますけれども、地域貢献活動としてNPO法人を持って地域住民の保健室のようなものをやっています。スタッフたちもこのNPOの活動には参加をしてもらっているのですけれども、訪問看護は日々すごく忙しいのに、こんなNPO活動までするなんてすごく大変なんじゃないとよく言われたりしますが、看護職の人たちはとても向上心が高いので、こういうことを行うことで自分たちの社会的責任とか訪問看護に対する付加価値みたいなものがついたり、コミュニティーに対しての帰属意識を高めることなどにもつながったりしていて、このNPO活動をすることで自分たちが誇りを持って地域の中で働けるというところで、いい効果をあらわしているのではないかと思います。
新人の教育プログラムのほうですけれども、うちの場合は8年前に新卒をとってからは、ほとんど新卒さんに来てもらっているのですが、その前から中には18年ブランクがあった方とか、結構長期のブランクがあった方なども採用をしていて、割と同行訪問の時間を2カ月から2カ月半ぐらいばっちりととっている感じです。その間、訪問としてはカウントできないので、お給料だけを払わなくてはいけないという経済的にはすごく厳しいところがあるのですけれども、ここの同行訪問をきちんとやることで不安感なくひとり立ちにつなげられるかなと。また、うちの場合、すごくいいところは、地域の第2種社会福祉施設に週に2回行っているのですけれども、そのうちの1回は先輩の看護師と同行して、その施設に訪問するということを新人さんは3年間続ける。週に1回は先輩と同じ施設内でお仕事をすることができるというところで、そこの中でいろいろな不安だったりなどを解消していけるのかなと思っています。
外部研修のほうですけれども、うちの場合は完全に単独型の訪問看護ステーションなので、附属の病院があるわけでもないし、施設もあるわけでもないし、でも、私にとってはそれがかえって功を奏したみたいな感じで、いろいろな病院やいろいろな施設とか、うちのほうだとドヤと言われる簡易宿泊所とかシェルターとかも結構あったりするのですけれども、そういうNPOの関連などでいろいろな方々にお願いをして研修に行かせていただいたり、相互研修をさせていただくということで、外部研修も結構いろいろなところでできているところがいいところかなと思っています。
ただ、それをやればいいというだけではなくて、きちんとこの研修等を意図的、計画的、継続的に行うということと、やったことをきちんと学会発表などの形式知で残していくことをステーションとして毎年必ずやっています。
新卒さんを8年前からとっているのですが、最近は親御さんが入社式に来られるような時代ですので、大学病院に行かせるはずで大学に上げたのに小規模の訪問看護ステーションなんかに就職するのかということで、本人は訪問看護をやりたいと言っていても親御さんに反対されるケースなどは結構あります。そういうとき用にと言ったらあれなのですけれども、厚労省とかのいろいろなものに応募して、ホームページなどに出して、親御さんたちにもこういったしっかりしたところだから大丈夫ですよと納得していただけるようなこともやっております。
うちのステーションの場合は採用に当たっての条件は、うちのほうは車で全然移動できるような広い地域ではないので、逆に車を置く場所などは全然なくて、自転車で全部回っています。雨の日も、きょうなどはちょっと怖い感じですけれども、雪がふっても自転車で訪問をしています。自転車に乗れることだけが条件で、特に採用についての条件がないので、18年ブランクがあった方とか、10年ぐらいブランクがある方とか、最近はもういないのですけれども、幼稚園に子供を預けているので幼稚園に預けている期間と幼稚園がお休みのときは自分も全部休みたいという人などもいらしたりしましたが、そういう方も全部採用しました。でも、子供は必ず大きくなるので、大きくなったら必ず常勤になってくれるので、その方も今は常勤となってばんばんと働いてくれているので、結果的にはよかったなと思っています。
あと、うちの場合は同行訪問とか勉強会に参加していただいて、できればほかのステーションも2~3カ所は面接か同行訪問などに行っていただいて、それでも訪問看護ステーションみけで働きたいと思うのだったら、うちで働いてくださいということを必ず言っています。
それと、一度働くことになったとしても、女性の場合は妊娠、出産とかは絶対に女性しかできないことですし、子供が病気になったりとか親御さんが病気になったりした場合には、自分が介護をすることが多いと思うのです。私自身も父をみとったりとか、子供が長く入院したりとか、いろいろな時期がありましたけれども、そこでやめるということを選択してしまうのは簡単なのですが、そこでやめずに働ける方法をまず考えようということを面接のときにきちんと話をして、それを理解していただいた上でみけで働きたいと思った人を採用する方法をとっています。
これからの訪問看護師の人材確保の課題について私が思っているところは、まずは訪問看護のことをまだまだ教育現場の方であったりとか、実際に病院で働く方などによく知られていないのではないかということは思います。あと、新卒を先生方が紹介してくださっても、ステーション側と管理者が採用しないというところもあるようですので、こういうところはもっとみんなで考えていかなくてはいけない、現場の者も含めて考えていなくてはいけないなと思っています。
教育のシステムの確立と有効活用については、本当に少ない人数で、うちの場合はある程度人数がいますけれども、平均4.7人とかそれぐらいの人数で、1人1日研修に出すというのがすごく大変なところだと思いますので、そういったところでは、東京都だと研修に出すときに代替職員を採用した場合の費用の半分を出してくれるとかということをやっていますけれども、そういった公的な援助があるといいのかなと思っています。
訪問看護師が誇りを持って働き続けるためのキャリアアップ支援等につきましては、これも認定の訪問看護師の教育施設が少ないということと、緩和ケアとかWOCとか、受けに行きたいという人はたくさんいるのですけれども、6カ月休むというのがなかなかできなくて認定をとりに行けないということもありますので、そういったところを少し考えていただければいいかなと思っています。
「スタイリッシュな広報」と書いたのですけれども、子供のころから看護師さんになりたいと思ってもらえるようなスタイリッシュな広報はないかなと常々考えていて、東京都などの場合は訪問看護フェスティバルを人材確保事業でやっておりますけれども、その中でもDVDなどを若者向けにつくったりとか、いろいろなことをやっているのですが、広報の仕方も考えていかなくてはいけないのかなと思っています。
最後に、一番大事なところというのは、これは双方の問題だと思うのですけれども、よきパートナー探しは慎重にということで、うちも採用することは、その人は多分3カ月か4カ月はほとんどお給料を払うだけの人になるということなので、それだけの労力を使うのに6カ月後とかにやめられてしまったら、残っている職員たちもみんなががっくりしてしまうというところで、採用するところから自分たちの訪問看護ステーションが持つ理念や活動をきちんと理解していただいた人を雇うべきだと思います。
看護職も、先ほど大崎さんが発表してくださったように、あれだけのことをやってくださっても看護師は結構すぐやめてしまうのです。それは、やめてもすぐにまた就職するところがあるからなのですね。今、女性が60、70になって常勤で働けるところなどをやめてから探そうと思っても無理なのだけれども、看護師だけはそれができる世界なのです。なので、簡単にやめることを考えてしまう。自分が何とかしてこの職場で頑張っていこうという選択をしないですぐにやめてしまう選択をするという物の考え方も、看護師のほうも変えていかないとこの状況はよくならないかなと思っています。
以上です。ありがとうございました。
○尾形座長 ありがとうございました。
申しわけありません。大変きょうは盛りだくさんな内容で、既に予定した時間になってしまいました。御提案ですけれども、この後15分程度延長して議論を続けたいと思いますが、よろしいでしょうか。
それでは、そうさせていただきたいと思います。
では、ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見をどうぞ。
島崎構成員。
○島崎構成員 間もなく退出しなければいけないので、先に質問させていただきたいのですが、非常に先駆的な取り組みをされていると思いながら拝聴しておりました。聞きたいことは、新卒の訪問看護師を採用すると最初は不採算になりますね。先ほど3カ月ないしは4カ月とおっしゃいました。それはある程度規模が大きく、ほかの看護師さんの人数がいないとだめで、小規模の訪問看護ステーションだとまず無理だと思うのです。
もう一つは、補助金があることが非常に重要なのかなという気がするのですけれども、ざっくりした感じでお伺いしたいのですが、どちらのほうが効きますか。漠然とした質問かもしれませんが、補助金がないとなかなか難しい感じですか。それとも、ある程度、例えば15人ぐらい訪問看護師がおり、やりくりすれば、介護報酬なりあるいは診療報酬なりが現状程度ついていれば何とかやっていけるでしょうか。その辺の感じを教えていただきたいと思います。
○椎名参考人 東京都では、昨年度から新任の訪問看護師を雇った場合には、2カ月間給料の半分を補助するということをやっていまして、これで多少はそんなに規模が大きくないところでも新人を雇ってみようかなという気持ちにはなったのではないかと思います。
経営的なことを考えると、やはりお金が入ってこない、3カ月間か4カ月間ぐらいというのはとても厳しいことかと思うのですけれども、それは事業所の考え方次第だと思うのですが。
○島崎構成員 わかりました。ありがとうございました。
○尾形座長 よろしいですか。
ほかにいかがでしょうか。
内藤構成員、どうぞ。
○内藤構成員 きょうはまたすばらしい発表、報告をありがとうございました。
先ほどの多根総合病院さんもそうですし、うちの病院でもそうなのですけれども、それから、こちらの訪問看護ステーションのみけさんでもそうですが、看護師は向上する気持ちがありますので、研修であったりとか、そういうものにどんどん参加したいという気持ちもあります。うちでもなるべくそういうものには東京都看護協会さんのものを中心に行かせているのですが、実際には現場が忙しいとなかなかそのプログラムに行かせること自体が非常に厳しくて、どうしても不公平感が出てきてしまうのです。
例えばこれも大ざっぱな話ですけれども、訪問看護ステーションさんはどうしても非常に忙しいと思うのですが、そういう中でプログラムにほかの研修に行かせるとか教育をすること自体は、今の椎名さんところの話でもいいのですけれども、実際にはかなりきつい中、行かせる感じなのですか。それともプログラムをつくらないと集まってくれないので、そこの分も含めて最初から全部予定してやっていらっしゃるのか、その辺の心構えというか、姿勢を教えていただければと思うのです。
○椎名参考人 内藤先生、ありがとうございます。
うちの場合はもう外部の研修担当とか教育担当とかという係があって、一人一人の看護師に対して1年のプログラムの中で外部の研修にはどういうのに行くというのを全部つくるのです。自分たちがラダーに沿って管理者・プリセプターと教育を受ける人と見ているので、例えば平日だったら、平日にもちゃんとその人がいなくてもほかの人がかわりに訪問に行けるようにとか、そういうところは結構パートさんに手伝ってもらったりとか、そういうときはパートさんに多く働いてもらうとか、訪問に回ってもらうということもします。土日などに研修に行った場合には代休をとってもらったりということで、訪問に行くのと同じように学ぶのも自分たちの仕事だと最初から思っているので、そんなに困ったりはしていないです。
○尾形座長 内藤構成員、よろしいですか。
○内藤構成員 ありがとうございます。
○尾形座長 ほかにいかがでしょうか。
太田圭洋構成員、どうぞ。
○太田(圭)構成員 お伺いさせていただきたいのは、私は今後の看護師の需給を考えるときに、特に病院部門だとすると夜勤従事できる看護師さんの数の問題を気にしますし、訪問看護に関しても当然夜間のコールなどの対応が大きな問題になってくると思っているので質問させていただくのですが、みけさんでは、夜のコールをほぼ全員が持つ形でやるのか、それはやりたくないのでほかの人でやってくださいという形になるのか。その辺の看護師さんの夜間のコールに対する対応でいろいろと差があるのか、ないのか。また、もしそれが問題になってくるとすると、どういう形の対応をしていらっしゃるのか教えていただけたらと思います。
○椎名参考人 ありがとうございます。
うちの場合は、常勤の看護師10名が全員、常勤は必ず携帯当番をやることになっています。そのうちの運営会議に出る上級スタッフ5人はサブの携帯当番をやるという形で、必ず1人で携帯当番をやるのではなくて、1人で判断しないというのは日中の看護から当たり前のことなのですけれども、夜間などもオンコールを受けて1人で判断をしないということを徹底しているので、そういったダブル制度というところで、1人の負担感がすごく少ない。
すごくこれは誤解されがちなのですけれども、訪問看護ステーションは夜間のオンコールがあって大変だろうと思われがちなのですが、昼間の看護をきちんとやっていれば、夜間のコールなどはほとんどないのです。なので、私は家で寝ていても答えられるぐらいのオンコールが時々来るぐらいで、昼間のお仕事をきちんとやっておけばそんなにオンコールの負担はないので、ぜひ皆さん、訪問看護はオンコールが大変だといううわさを消していただけるとありがたいと思っています。
○太田(圭)構成員 ありがとうございました。
○尾形座長 ありがとうございました。
太田秀樹構成員。
○太田(秀)構成員 時間がなくて恐縮ですけれども、訪問看護というのは基本的には医師の指示書で動きます。今回、課題の中に一切医者の問題は触れていないのですけれども、あえて触れなかったのか、それともそこは超越されているのか。
○椎名参考人 ありがとうございます。
全然、何もお医者さんのことは問題なかったですけれども、例えばどんなことですか。
○太田(秀)構成員 わかりました。
○尾形座長 よろしいですか。
ほか、いかがでしょうか。
伊藤構成員。
○伊藤構成員 きょうは本当に大変感銘を受けました。こうやって理念まで共有した職員を確保していった後、ほとんどやめる方はいないと先ほどおっしゃっていましたけれども、逆に言えば、企業で言うスピンアウトみたいな感じで、もう一人前になったから別のステーションをつくるなり、別のことをやってとどんどん育てていくみたいな考えをお持ちなのか。それとも別にそういうことは余り考えていなくて、みけさんを運営していくことを通じて、地域づくりを含めて活動されていると理解したらいいでしょうか。
○椎名参考人 ありがとうございます。
私個人としては、もう10年以上の訪問看護師の職員などがすごくたくさんいるので、10個ぐらいサテライトをつくれるのではないかと思うのです。もし独立したいのだったらどうぞという感じなのですけれども、みんな、やめてくれないのですね。みけの仲間たちと働きたいみたいなところがあります。
余談なのですけれども、毎月、今、3年生ですとか4年生ですとかという学生さんから電話があるのですが、そんなにたくさん新卒さんは雇えなくて、1年に1人雇って、その1人を十何人で大事に大事に育てていく方法をとっているのです。でも、そういう箇所が10カ所あれば10人の人を雇えるわけなので、もっともっと新しい人たちを私は雇いたいとは思うのですけれども、余力というか、教育にかかる労力はすごくあるので、今、1人ずつぐらいしかとれないと。
あと、新卒さんをとったときの一番の弱点は、地元だと新卒だと訪問看護ステーションに雇ってもらえなかったらみけで働くけれども、何年かしたら地元に帰りたいという人が多いのですね。何年かするとやめてしまうのだなという感じのところもあって、なので、全国でそういう新人さんを雇っていただけるようになればそういうこともなくなるのかなと思っています。ありがとうございます。
○尾形座長 よろしいですか。
鎌田構成員。
○鎌田構成員 時間がない中、恐縮です。
本会も訪問看護師の倍増計画ということを重点事業で進めておりますので、病院から訪問看護ステーションへの就労の場の移行や、新人訪問看護師の採用を勧めること等を考えておりますので、またぜひ一緒にできればと思っております。
1つだけ、そういったところでは、先ほどから看護師の確保のところでナースセンターの話も出ておりますけれども、先ほども言いましたが、ナースセンターの機能強化ではなくて都道府県、行政がしっかりその確保策、計画に基づく連携をやっていかなければ進んでいかないのかなと思いました。
恐縮ですが、過去、私も都道府県で看護行政を担当しておりました。そのときに補助金で訪問看護師の教育ができる訪問看護ステーションを3カ所ほど指定しまして、そこに復職を希望されて、訪問看護を希望される方が就職した際に、半年間県が補助金を出して、その方の給与を補填致しました。そうすると、その方は6カ月後、継続して就職が続いたという経験もありますので、そういった意味では行政のかかわり方は重要かと思いました。
参考程度ですけれども、以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
どうぞ。
○池西構成員 感想のようなことなのですが、養成所の教育はこれからは地域の中で、地域の健康を守る人たちを育てたいと思っているのです。そういう意味で今回、みけの理念を聞かせてもらって、コミュニティーは自分たちが主体で守るという、こういう活動をぜひ学生たちにも学んでほしい。そういう目を持った学生たちが地域に出てくれるのが何よりと思いますので、実習指導を引き続き、よろしくお願いいたします。
○椎名参考人 こちらこそ、ありがとうございます。
○尾形座長 ありがとうございました。
それでは、本日の議論はここまでとしたいと思います。
○鎌田構成員 最後にもう一点だけよろしいでしょうか。簡単に終わります。
本日、資料1を説明いただいて、これについては議論がないということでしたけれども、今後、きょうのヒアリングを含めてさらに論点整理を進めていかれると思います。
その際、今日の資料1の3ページの下に「新たな視点による対応が必要な論点」と書いてありますので、そこを重点的に、さらにまた次の確保策のところで資料を提供して頂きたい。前回も言いましたけれども、人確法についてもぜひ見直しを。人確法は平成4年に制定されてから20年以上変わっておりませんし、この間、働き方に関する考え方とか施策は変化しております。看護職の確保、定着のポイントといったところでは適切な働き方の整備が重要となりますので、ぜひ人確法の見直しについての検討をすべきと考えておりますので、論点として引き続き挙げていただきたいと思っております。
○尾形座長 本日は大変充実した内容のヒアリングだったと思います。本日のヒアリングでの御説明あるいは構成員からいただいた確保策に関する御意見については、事務局で検討していただき、次回の分科会に向けた準備をしていただければと思います。
最後に、次回の日程等について、事務局から連絡をお願いします。
○金子看護課長補佐 次回の開催日及び場所等につきましては、また改めて御案内を申し上げます。
○尾形座長 それでは、これで第6回「看護職員需給分科会」を終了いたします。
大変長時間にわたる御議論、どうもありがとうございました。
 
 
(了)

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