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2016年6月10日 第15回全国健康保険協会業績評価に関する検討会

保険局保険課全国健康保険協会管理室

○日時

平成28年6月10日(金)10時00分~12時00分


○場所

千代田区霞が関1-2-2(中央合同庁舎5号館共用第8会議室)


○議事

○友田全国健康保険協会管理室長 皆さん、おはようございます。若干早いわけでございますが、ただいまから「第15回全国健康保険協会業績評価に関する検討会」を開催いたします。

 私は事務局を務めます、協会管理室長の友田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 今回は、協会が平成27年に実施した事業の業績を評価するに当たっての、第1回目の検討会になります。

 まず初めに、本年度から新たに構成員となられた方を御紹介いたします。

 事業主の立場から構成員をお引き受けいただきました、モリシタ株式会社代表取締役社長の森下修至様でございます。

○森下構成員 どうも、森下でございます。

 きょうから参加させていただくことになりました。よろしくお願いいたします。

○友田全国健康保険協会管理室長 どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、構成員の皆様全員に御出席いただいております。

 全国健康保険協会からは、小林理事長以下、関係者の方々に御出席いただいております。

 また、事務局として、保険局から宮本保険課長と私、友田が出席しております。

 なお、大変申しわけございませんが、宮本保険課長は途中退席させていただく予定でございますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、会議を開催するに当たりまして、御出席いただいた構成員の方々の中から、座長の選出をしたいと思います。

 座長につきましては、昨年と同様、土田構成員にお願いしたいと考えておりますが、いかがでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○友田全国健康保険協会管理室長 それでは土田構成員、よろしくお願いいたします。

○土田座長 土田です。一言御挨拶申し上げます。

 協会けんぽはこの組織編成以来、小林理事長を初め皆様方の懸命な努力によりまして、現在では完全に日本の医療保険制度の柱として、その存在意義を高めていると言ってよろしいかと思います。ただ、現在、日本の医療保険制度が将来に向かって非常に大きな問題を抱えていることは御存じのとおりでございますが、それにともなって、協会けんぽも将来に向かってこれからさらに大きな課題を抱えていると申し上げてよろしいと思います。

 そうした中で、協会けんぽの保険者機能を中心として、また新たな取り組みが期待されておりますので、そういう点も含めまして、これから私たちも協会けんぽの業績につきまして注目してまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは早速、議事に入りたいと思いますが、検討会を始めるに当たりまして、最初に宮本保険課長から一言御挨拶をお願いいたします。

○宮本保険課長 保険課長の宮本でございます。

 本日は大変お忙しいところ、御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。

 昨年度に引き続き、御参画をいただきまして、感謝を申し上げたいと思います。また、森下構成員におかれましては、新たに今回、参画を快くお引き受けいただきまして、ありがとうございます。事業主代表として忌憚のない御意見をお願いできればと思います。

 本検討会におきましては、平成2010月に設立された全国健康保険協会の業績評価について、毎年度、構成員の皆様からの御意見をいただいて、それをもとに厚生労働大臣が業績評価を行うという仕組みでやってまいりました。

 おかげをもちまして、協会の事業運営は安定してきているのではないかと思われますが、今後は保険給付の適正な実施はもとより、データヘルス計画の着実な実施やジェネリック医薬品の使用促進などにより、保険者機能をさらに強化していくことが求められていると考えております。

 そのためには、構成員の皆様からいただく御意見、御指摘を事業運営に着実に反映していくことが大切だと考えております。

 最後に、構成員の皆様には、平成27年度に協会が実施した事業の評価を行っていただくに当たり、ぜひとも忌憚のない御意見、御指摘を賜れればありがたいと存じます。

 どうぞよろしくお願い申し上げます。

○土田座長 どうもありがとうございました。

 それでは続きまして、本日の議事内容及び資料につきまして、事務局より御説明をお願いいたします。

○友田全国健康保険協会管理室長 それでは、まず議事次第をご覧いただきたいと思います。

 本日の議事につきましては3点ございます。

 1点目及び2点目は、「(1)平成27年度全国健康保険協会業績評価に関する検討会の進め方について」、「(2)全国健康保険協会の平成27年度業務実績に関する評価の基準について」、以上2点につきまして、業績評価のスケジュールや評価の項目、評価の基準といった方針を決めていただくものでございます。

 また3点目として、「(3)平成28年度全国健康保険協会事業計画について」ということで、平成28年度に係る業績評価は次年度に行うことになりますが、本日は平成28年度の事業計画について、全国健康保険協会より説明をいただきます。

 次に、本日配付しております資料でございます。

 資料1   全国健康保険協会業績評価に関する検討会について

 資料2   平成27年度全国健康保険協会業績評価に関する検討会の進め方について(案)

 資料3   全国健康保険協会の平成27年度業務実績に関する評価の基準(案)

 資料4   平成27年度全国健康保険協会事業計画及び予算

 資料5-1 平成28年度全国健康保険協会事業計画及び予算

 資料5-2 平成28年度事業計画と平成27年度事業計画の新旧対照表

 資料5-3 平成26年度業績評価指摘事項の平成28年度事業計画における関連部分

 参考資料1 業績評価 評価項目新旧対照表(26年度→27年度)

 参考資料2 全国健康保険協会の健康保険事業及び船員保険事業の業績に関する評価結果(平成26年度)

 資料1は1枚物でございますが、確認の意味で配付させていただきました。この目的にございますように、健康保険法第7条の30に、厚生労働大臣は全国健康保険協会の事業年度ごとの業績について評価を行わなければならないと規定されております。この業績評価に当たり、第三者の視点を取り入れた適切な評価を行うことを目的として、この検討会を開催するものでございます。

 また、資料1の裏面でございますが、今回、構成員の名簿ということで新しく更新をさせていただいております。

 以上でございます。

○土田座長 ありがとうございました。

 欠けているものはございませんでしょうか。よろしいですか。

 それでは、議事に入りたいと思います。

 最初の議題は今後の業績評価決定に至るまでの進め方について、御意見を賜りたいと思います。

 最初に事務局より、案を提示していただきます。

○友田全国健康保険協会管理室長 それでは、資料2を御用意いただきたいと思います。

 資料2「平成27年度全国健康保険協会業績評価に関する検討会の進め方について(案)」で御説明をさせていただきます。

 本日、評価の基準に関しまして、評価基準、評価項目を確定いたしまして、これに基づいて評価シートを作成し、次回9月6日及び次々回9月28日におきまして、全国健康保険協会から評価シートに基づきまして事業報告及び自己評価について説明を受け、各構成員の皆様から質疑及び議論を行っていただきます。

 その議論を踏まえ、第3回9月28日の検討会終了後、各構成員の皆様に評価を記入いただき、後日、評価シートを提出していただきます。提出していただいた評価を踏まえまして、事務局において最終評価案を作成し、各構成員の皆様に御確認いただいた上で確定するということで考えております。以上です。

○土田座長 ありがとうございました。

 ただいまの、今後の進め方の事務局案につきまして、何か御意見等がございませんでしょうか。

 御意見がないようですので、次に移りたいと思います。

 次は評価項目及び評価基準の検討になります。何を評価するか、どのような視点で評価していくのかということについて御検討いただきたいと思います。

 最初に事務局から御説明をお願いいたします。

○友田全国健康保険協会管理室長 それでは、資料3を御用意いただきたいと思います。

 資料3「全国健康保険協会の平成27年度業務実績に関する評価の基準(案)」によりまして、評価の項目と評価の基準案について説明をさせていただきます。

 まず、1ページの2、「平成27年度業務実績に関する評価」にございますように、業務実績に関する評価につきましては、平成27年度事業計画に掲げた項目ごとに行う個別的な評価と業務実績全体の状況について行う総合的な評価の2つをあわせて行うものとしています。平成27年度の業務実績に関する個別的な評価については、昨年と同様、保険者としての事業活動そのものを評価するということで、平成27年度事業計画の項目に沿って評価を行うものとしております。

 評価の具体的な項目につきましては、1枚おめくりいただきまして、別紙になりますが3ページ目以降の項目が事業計画の項目と一致しております。事業計画につきましては資料4ということで御用意させていただいておりますが、この事業計画の6ページ目以降の項目と一致しておりますので、後ほどご覧いただければと思います。

 なお、この項目ごとに簡単なコメントを付しておりますが、これにつきましては事務局におきまして事業計画を参考にしながら視点として整理したものでございます。

 1ページ戻っていただきまして、個別的な評価に関する評価方法でございます。これは一番下にございますように、SからDまでの5段階評価として評価をいただきます。総合的な評価におきましては、個別的な評価の結果を踏まえてまとめの評価を行うこととしております。こちらに関しましても前回までと同様でございます。

 資料3の13ページまでが別紙ということで事項になっておりまして、13ページの後ろに横置きで「業績評価シート(平成27年度)(案)」というものをお示ししております。これにつきましては各評価項目ごとにシートを作成することになっておりまして、ここに添付させていただいたとおりでございます。

 続きまして参考資料1を用意していただきたいと思います。後ろから2つ目の組になります。「業績評価 評価項目新旧対照表(26年度→27年度)」に基づきまして、平成26年度と平成27年度の主な評価項目の相違点について説明をさせていただきます。

 平成26年度を右の欄に、平成27年度を左の欄に、業績評価項目ごとに並べております。新規に追加したものなどがございまして変更したところには下線を引いております。内容が変わらず表現を整理したものについては説明を省略させていただきます。

 それでは、主な変更点としまして1ページ目でございますが、ローマ数字の1、健康保険の(1)、保険者機能の発揮による総合的な取り組みの推進。これの1つ目の四角でございますが、平成27年度は「保険者機能強化アクションプラン(第3期)」の策定年となっておりますので、この策定及び実施について追加をしております。

 2つ目の四角でございますが、平成26年度に作成しました「データヘルス計画」について、その確実な実施を図ること、また、法律上、医療保険者が地域医療構想の策定に参加するなど地域の医療提供体制に関与していくこととなりますので、地域の医療に関する意見発信といったものを追加しております。

 次に(2)、地域の実情に応じた医療費適正化の総合的対策。2つ目の四角でございますが、平成25年度に宮城支部及び広島支部におきましてパイロット事業として実施した、医療機関における資格確認事業を全国展開することになっておりますので、これを追加しております。

 それと4つ目の四角でございますが、協会けんぽ内のインセンティブ制度ということで、現行、予防健康づくりや医療費適正化に向けた保険者のインセンティブ対策として、後期高齢者支援金の加算・減算制度を実施しておりますが、平成27年度の医療保険制度改正におきまして、この後期高齢者支援金加算・減算制度を見直し、保険者種別ごとに、それぞれの特性に応じた新たなインセンティブ制度の創設について検討することとされております。

 協会けんぽにおきましても、各支部における特定健診、特定保健指導の実施状況、あるいは後発医薬品の使用状況等の取り組み等について、都道府県単位保険料率に反映することについて検討することとされておりますので、これを追加したものでございます。

 検証指標としまして、医療機関における資格確認事業の実施支部数を追加しております。

 次に(3)、ジェネリック医薬品のさらなる使用促進でございますが、この目標指標について、平成27年度から具体的な数値を掲げることとされておりましたので、65.1%と目標値を明記しております。

 次に(4)、地域医療への関与。これは新たに設けた項目でございますが、先ほど申しましたように医療保険者が地域医療構想策定に参画するなど地域の医療提供体制に関与していくことになりましたので、これについて明記をさせていただいております。

 検証指標といたしまして、地域医療構想調整会議への参画数というものを設けております。

 次に2ページをお開きいただきたいと思います。

 2ページの(6)、広報の推進でございます。1つ目の四角でございますが、いわゆるソーシャルネットワークサービスを活用しまして広報を推進することから、これを明記しております。

 次に目標指標のところでございますが、括弧書きにさせていただいております。この目標指標につきましては、平成25年度業績評価の指摘事項に基づき、事業計画上は新規登録件数に見直すこととしておりましたが、昨年の不審通信事案への対応のため、インターネット環境を切断していました。このことから、この指標を活用できないため、今回は削除することとしております。なお、検証指標につきましては、ホームページの利用目的達成度を追加しております。

 続きまして3ページ、健康保険給付等でございます。(1)サービス向上のための取り組み。これの右側の欄でございますが、1つ目の四角のところで現金給付支給申請書の様式につきましては見直しを終了しましたので、記載から落としております。

 次に(2)にございました高額療養費制度の関係でございますが、この評価事項を(1)のサービス向上のための取り組みに統合しております。

 また、検証指標につきましては、3つ目の「・」でございますが、括弧書きでございますようにインターネットによる医療費通知の利用割合。これにつきましても不審通信の関係でサービスを中断しておりますので、今回の検証指標から削除したいと考えております。

 次に4ページでございます。(5)傷病手当金・出産手当金の審査の強化についてでございますが、これは申請のうち標準報酬月額が83万円以上である申請等について審査を強化するとともに、立入検査につきましては必要に応じて積極的に実施することにより不正請求の防止を図るといったような内容に変更しております。

 次に、(7)効果的なレセプト点検の推進についてです。これは2番目の四角でございますが、レセプト点検の質を一層向上させるため、内容点検業務の外部委託につきましては全支部で実施することに変更しております。

 目標指標につきましては、平成27年度から具体的な数値を掲げるということにされておりますので、138円以上と目標値を明記しております。

 検証指標につきましては、右のほうの3つ目の「・」に内容点検効果額というのがございますが、これは目標指標と重複いたしますので、今回から削除しております。

 次に5ページをお願いいたします。保健事業でございますが、(1)保健事業の総合的かつ効果的な促進。これに1つ目と2つ目の四角でございますが、平成27年度は「データヘルス計画」の実行の初年度でありますので、PDCAを十分に意識し事業を進めること、また、特定健康診査及び特定保健指導の目標、実施等を本部支部で共有し、一体となって目標達成に向けて取り組む体制を強化するといったことを明記しております。

 次に(2)特定健康診査及び特定保健指導の推進でございます。1つ目と3つ目の四角でございますが、「データヘルス計画」による協働業務などを通じ、事業主への積極的な働きかけを行うこと、また、事業者健診データの取得については健診機関との協力関係を強化し、その促進を図る旨、明記しております。

 5つ目の四角でございますが、これにつきましては蓄積された健診データの分析結果等を有効に活用しまして、事業主、業種団体、市町村等と連携を進めて保健指導を推進すること、といったことを明記しております。

 目標指標につきましては、それぞれ見直しを行っております。

 次に各種業務の展開でございますが、1つ目の業務システムの刷新による新機能の活用、あるいは自治体との覚書・協定の締結に基づく具体的な事業連携の促進ということを明記しております。

 3つ目の四角でございますが、重複・頻回受診者等に関しましては、加入者の適切な受診行動を促すための取り組みの推進について追加しております。

 次に6ページをお願いいたします。6ページからは船員保険になります。健康保険の項目とほぼ同様でございますが、(1)で保険者機能の発揮による総合的な取り組みの推進ということで、平成26年度に作成しました「データヘルス計画」について、その着実な実施を図ることなどを明記しております。

 (2)の情報提供・広報の充実でございますが、4つ目の四角で、これは平成25年度業績評価検討会における構成員の御意見に基づきまして、アンケートはがき等を活用した効果測定について追加したものでございます。

 次に7ページをお願いいたします。船員保険の給付でございますが、(1)サービス向上のための取り組みにつきましては、申請の受け付けから給付金の支払いまでの期間の10営業日以内を守ることにつきまして、年間を通じて100%の達成を目標に実施するということを明記しております。

 続きまして(2)、高額療養費制度の周知でございますが、これは限度額適用認定証の利用促進に取り組む旨、明記をしております。

 8ページでございます。レセプト点検の効果的な推進でございます。これにつきましては視点を整理いたしまして、1つ目の四角に統合しております。また、目標指標につきましては、具体的な数値を掲げることとされましたので、効果額123円以上と目標値を明記しております。

 また、検証指標につきましては、健保と同様でございますが、内容点検効果額につきまして、目標値と重複いたしますので削除をしております。

 続きまして9ページでございます。平成26年度までは3ということで保健事業と福祉事業を1つの項目としておりましたが、これを分割しまして、「3.保健事業の推進、強化」、「4.福祉事業の着実な実施」としております。なお、3の「保健事業の推進、強化」につきましては、(1)~(3)という形で細分化をしておりますけれども、視点にかかわる大幅な変更はございませんで、平成26年度に作成しました「データヘルス計画」について、その着実な実施を図ることなどを明記しております。

 目標指標につきましては、それぞれ数値の見直しを行っているところでございます。

 次に、最後の10ページでございます。組織運営及び業務改革でございます。「1.新しい業務・システムの定着」。これは平成27年度に業務・システムの刷新が行われておりますので、その着実な実施を図るなど、内容の見直しを行っております。「2.組織や人事制度の適切な運営と改革」に関しましては、昨年の不審な通信事案に関しまして、個人情報の保護の徹底や情報セキュリティー対策の強化が図られているかなどにつきまして、視点として追加しております。

 最後になりますが、その他。「その他」としては昨年と同様、事業計画の項目としてはございませんが、事業主との連携・連携強化への取り組みについて本年も評価項目としております。

 以上でございます。

○土田座長 ありがとうございました。

 ただいま事務局のほうから説明がございましたけれども、この評価項目案につきまして、御意見、御質問等がございましたらお願いいたします。

○小島構成員 では、小島です。

 今、新年度の業績評価項目について御説明があった、参考資料1の新旧対照表ですが、前年度から更新した項目、あるいは新しく評価項目を追加したところもあり、基本的には今回の評価項目でよいのではないかと思います。

 その上で、2点ほど意見を述べさせていただきます。1点目は参考資料1の1ページの一番下、(4)の地域医療への関与についてです。これは新しく評価項目として加わったもので、これから都道府県ごとにつくられる地域医療構想、それに向けて各都道府県の「調整会議」等に参加し、そこで意見反映をするということであります。

 検証指標としては、調整会議への参画数とあります。どのくらい参加したかという数になついては、指標としてはわかりやすいけれども、そこでどういう意見反映をしたかという中身が重要ですので、その上の項目で指摘されているような内容で意見反映をしていただければと思います。

 それから、この地域医療構想の策定をするに当たっては、都道府県に既に設置されている保険者協議会の意見を聞くことになっておりますので、その保険者協議会を通じても意見反映をぜひお願いしたい。その両方をあわせて、どういう意見反映をするのか。まさに協会けんぽが保有しているさまざまなデータをもとに、その地域、都道府県ごとに必要な、重点的に取り組むべき課題などを積極的に発言し、地域医療構想に盛り込んでいただきたいと思います。そのことを念頭に置いて、これから事業を進めていただきたい。

 事業評価はそういうことを含めて評価していきたいと思います。

 それからもう1つ。10ページの一番上の「1.新しい業務・システムの定着」に向けてです。ここは新しい業務・システムを導入し、その定着を図るということになっております。新しいシステムを入れている目的、趣旨は、定型的な業務の効率化・集約化をして、結果的に加入者・事業主へのサービスの充実・向上をはかることですので、新システムの定着によってどれだけ業務が効率化できたのか、加入者へのサービス向上できたのかということが評価基準になると思います。

 ここは指標化は難しいですが、例えば、定型的な業務の集約・効率化ということであればレセプト点検等の業務、あるいは一番人手がとられている現金給付の不正受給等のチェックなどの業務がどのくらい効率化できたのか。それによって、そこに張りついていた人員が、ヘルス事業等にどれだけ振り向けられたか具体的な数字として出るかはわかりませんけれども、そういうことがある程度明示されればと思います。そうすれば、新業務システム刷新の効果が出てくるのではないかと思います。そういうことも十分配慮した取り組をしていただければと思います。

 以上の2点です。

○土田座長 ありがとうございました。

 重要な2点の御指摘だったと思います。1番目の地域医療につきましては、都道府県単位で進めている中で、協会けんぽが最もフィットしやすいといいますか一番前面に立つわけですので、その辺につきまして、私も御意見を聞きたいと思います。

 それからもう1つは、業務システムの改善という場合の具体的な指標というものがどうなってくるのかということだと思います。どなたかお答えを。

 伊奈川さん、どうぞ。

○伊奈川理事 私、伊奈川のほうから地域医療の関係のお話をしたいと思います。今、御指摘のとおりでございまして、私どもとしても地域医療の構想、あるいは今後の医療計画への関与・参画は非常に重視しております。

 といいますのは、やはり保険者機能という観点に立った場合、これまでの現金給付といったような保険者本来の給付業務がございますけれども、やはり我が国がとっている現物給付という考え方からしましても、いい医療を提供していくということも保険者の役割だろうと考えておりまして、今回の地域医療構想というのはまさに今後の2025年問題と言われるような状況の中で、我々にとっても大きな影響があるだろうということで、各支部レベルで積極的に参画をするということとしております。

 ただ、先ほど御指摘がございましたように、保険者協議会ということで、ほかの健保組合であるとか、あるいは国保などとも連携しながら、そして特に地域医療構想の場合、検討の単位がそれぞれ二次医療圏といったような単位になりますので、非常に検討の場が多うございまして、そういうところも手分けをしながら関与するといったような工夫をしたり、あるいは我々なりにデータ分析をして、そういうものも意見発信に反映していこうといったようなこともしております。

 また、支部によりましては、いろいろなセミナーのようなものを開いたり、アンケート調査をしたりといったような取り組みをしているところもございます。そういったことで、地域医療構想のほうもまだ県によって進みぐあいが違うものですから、引き続き積極的に関与していこうといったような状況でございます。

 とりあえず、私のほうからは以上でございます。

○小澤企画部長 業務・システム刷新について、企画部長の小澤よりお答え申し上げます。

 業務・システム刷新につきましては、先ほど小島構成員のほうから新しいシステムの定着において実際にサービス向上がどれくらい図られているか、それから、これが具体的にほかの業務にどれくらい振り向けられているかということについて示してほしいということがございました。

 ただ、状況として、正直に申し上げますと、この点につきましては、昨年度、サービス刷新をした状況でございまして、今後、今年度、具体的に各支部ごとの標準人員を算定した上で、それで具体的に人員を振り向けていくということを今後やっていきますので、今後の評価の中で問題になります昨年度の取り組みとしては、具体的に人を動かすというところまで至っていないのが現状であることは御報告申し上げます。

 ただし、まさに小島構成員から御指摘がありましたとおり、今後、この業務・システム刷新により、現金給付の効率化、それから、そこで効率化できた人材を今後、保健事業あるいは企画業務に振り向けていくという基本的な方向に変わりがないことについては、今年度の事業計画の中でもその方向性を出していることについては後ほど御報告させていただきたいと思います。

 以上でございます。

○土田座長 ありがとうございました。

 よろしいですね。どうもありがとうございます。

 ほかに御意見、御質問はございますか。

○小西構成員 小西でございます。この検討会の進め方にも関係することですが、よろしいでしょうか。

 私はこの評価基準と評価項目については、これでいいのではないかと考えております。

 一つ、資料3の1ページ目のところですけれども、1ページ目の下半分のところに判定基準がございます。5段階評価ということで、従来からこの方法をとっているところでありますけれども、一つお願いがあります。これはむしろ協会へのお願いですけれども、この次の検討会、またその次の機会に実績報告をしてくださいますときに、この判定基準にございますように、計画に照らして実績がどうであったかということで判断をしようとなっておりますので、ぜひ、今までの御説明は十分にしていただいておりますけれども、計画に比してどうなのかという視点も入れていただけると幸いでございます。

 よろしくお願いいたします。

○土田座長 いかがでしょうか。よろしいですか。

(伊奈川理事首肯)

○土田座長 では、そのように進めさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

○小西構成員 ありがとうございます。

○土田座長 今、小西さんがおっしゃったことは、実は内容的にはかなり厳しいことなので、こちら側もしっかりと注目しながら、評価を進めていきたいと思います。協会のほうもどうぞよろしくお願いいたします。

 ほかにございますか。

○古井構成員 ありがとうございました。

 参考資料1の新旧対照表を拝見して、非常に構造がわかりやすくなってきたかなと。これでよろしいのではないかと思っています。

 私から3点、気づいた点を申し上げます。まず1点目、参考資料1の1ページ目、真ん中の、医療費適正化の総合的対策の中で、当然、このインセンティブのあり方というのは今後入ってくると思うのですけれども、今まで医療費適正化に向けて保健事業というものが一つの重要な手段になり得るということでしたが、なかなか医療費にすぐにはつながらないということがあったわけです。同じ資料の5ページ目の3の保健事業の(1)のところですが、支部ごとに「データヘルス計画」のPDCAを回して、課題が支部ごとに見えてきたと思います。課題がわかると、その支部ごとに次にとるべき対策が見えてきつつあります。

 例えば糖尿病対策は、重症化予防あるいは保健指導をやられている中で、改善する層もあるのですけれども、なかなか糖尿病が改善しにくいというのがわかってきています。その構造は、糖尿病の前に肥満や高血圧があり、それに高血糖がくっつくと非常に改善しにくいというようなことがわかってきています。そうすると、事前に糖尿病になる前の40代の肥満とか、血圧がちょっと高くなり始めたときに介入したほうがいいのではないかとか、こういう次の一手が真摯に特定保健指導を進められている中で見えてきているということで、医療費適正化にすぐにつながらないとしても、医療費が高くなっていくのはこういう構造なのだというのがデータヘルスのPDCAの中で、まだ始めの段階なのですが見え始めていますので、このインセンティブ制度のあり方については今後、PDCAという視点が、特にデータヘルスの中では入ってくるとよろしいのではないかと思いました。

 それから2点目は、先ほど報告もあった2ページ目の(6)、広報の推進というところです。御紹介にあったように、我々も重々承知はしておりますけれども、やはりこの広報というのは非常に加入者の方の意識啓発とか、あるいは保健事業に参加してもらうという意味でも非常に大事なのかなと。構造的に保険料を上げざるを得ない状況の中で、やはり賛同を得ないと、なかなか制度設計は難しいと思います。

 健保連合会のほうの調査では、紙であってもITでもですけれども、頻度を高く広報をしている健保のほうが、医療費が低い傾向であるということがわかってきました。これは広報だけの要因ではもちろんなくて、ただ、構造として広報を密にやっている、あるいは加入者とのコンタクトポイントを持っている、今で言うと事業所の健康宣言を応援しているというのはあるのですけれども、そういうところほど医療費が安いのは、うなずけるのかなと。システムが難しい中で大変だとは思うのですが、やはり健康保険委員、あるいは事業主、自治体、あらゆるチャネルを活用されて、やはり加入者との接点を広げていくというのは今後も非常に大事なのではないかと思います。

 それから最後の3点目は、5ページ目の、保健事業の(2)のところです。今回、新たにこの3つ目の四角で、受診者と協会の間に位置する健診機関に注目され、この健診というところを起点にして、健康づくり、あるいは加入者との接点をつくるのはすばらしいと思います。健診の推進で、今後は健診を受けるだけではなくて、健診機関には翌年度の健診までしっかりフォローしていただく。何も協会だけで保健指導や周知をやる必要はなくて、むしろ事業主もそうですが、協会けんぽと契約をする健診機関はこういう健診機関であるべきだということで、健診機関をむしろ育てていく視点を持っていただけると、データヘルスも進みやすいのかなと思います。

 以上でございます。

○土田座長 ありがとうございました。

○小島構成員 一つ言い忘れたのですけれども、今の参考資料1の1ページの(3)です。ジェネリックの使用促進で、目標指標として今回は65.1%という具体的な数字が出ております。今までの実績を踏まえてということですので、これでいいと思います。しかし、前回も、ジェネリックの利用率が支部によって相当差があるのではないか、また、特定健診・保健指導も支部間格差があるのではないかと指摘しました。そして今後、支部間格差がなぜあるのかという分析と、それを改善するための対応が必要だと発言しました。

 それについては新しい事業年度でそういう事業について取り組むと記載されておりますので、そういう意味では、このジェネリックの利用促進の目標について、今回は全国平均でいいのですけれども、今後は支部間格差をどう縮めるかということで、支部間格差の是正というところも評価指標として検討してみてはどうかと思います。これはジェネリックも、それから5ページにあります特定健診あるいは特定保健指導の実施率についても支部間格差がありますので、その辺をどう是正するかといったようなことも、今後、指標として検討してはどうかと思います。

 以上です。

○土田座長 どうもありがとうございました。

 ただいま、古井さんから3点、小島さんから1点、お話が出ました。これについて協会のほうでお答えをお願いします。

○伊奈川理事 古井先生からの御指摘は、いずれもそのとおりだと思っております。データヘルスを始めていろいろよかった点がありますけれども、先生が御指摘のように、やはり見える化ということが図られてきて、そういう中で、我々が今まで気がついていなかったような点も浮かび上がってきているということですので、そういうものをPDCAの中でまた反映していこうというのは、我々もそう思っているところでございます。

 また、広報のほうも、我々も非常に積極的に取り組んでいるつもりではございますけれども、苦労しておりますのは、やはり事業所が中小・小規模であるということで、数が多い。そして、情報が到達するまでの距離感をいかに縮めていくかということで、支部のほうでもいろいろな取り組みをしておりますけれども、そのあたりはさらに、いろいろなことを考えていきたいと思っております。

 また、健診機関。これも先生が御指摘のように、我が国の一つの社会的な資源といいますか財産だと思っておりますので、そういうところもまた連携を密にしていきたいと考えているところでございます。

 それから、小島構成員からございました、ジェネリックの関係。これも今までに御指摘のように、支部によって格差がございますので、今後、国がロードマップで示している数値に到達していくためには、一つはやはり底上げをして、それで全体をならしていく必要があると思っています。私どもでも分析をいろいろと試みておりますし、また支部のほうで特に数値の低いところはいろいろな取り組みをしていこうといったことも、今、考えているところでございます。

 以上でございます。

○土田座長 ありがとうございました。

 よろしいですね。

(小島構成員首肯)

○土田座長 どうもありがとうございます。

 森下構成員、何かございますか。

○森下構成員 きょう初めて参加させていただきまして、構成員の方々が、いろいろと見識をもってお話をされているのを伺っていました。

 私も小規模事業者の代表ということで、この協会けんぽそのものの構成が、75%くらいが小規模事業者で成り立っているというお話も聞いているのですが、我々としても今、実は非常に厳しい経済環境の中で、保険料の納付にきゅうきゅうとしているというところも実際はあるところでございます。ただ、せっかく納めた保険料を有効に使っていただくというのが一番いいことだと思っております。

 きょう、今ちょっと気がついたところで質問があります。3の(1)のところ、パイロット事業の展開ということで事例を挙げて今、やられていると伺っています。これについては各支部からいろいろなヒアリングをしたりされているかとは思うのですが、新しいパイロット事業というものは、これから幾つか事例をまたお示しいただけたらいいかなと。非常に効果があるように伺っておりますので、それをお願いしたい。

 それから2の(1)のところ、現在、サービス向上のための取り組みの中で、インターネットによる医療費の通知が今、ストップしていると伺っています。利用する側からしますと、この辺につきましては、年金機構さんのいろいろな情報のセキュリティー問題等にもかかわると思うのですが、いつごろから再開されるのかというのも興味があるところでございます。

 そういうことで、こういう医療費の通知は今、1年に1回、我々はいただくような仕組みのようですけれども、速やかに情報提供していただけることで、自分の会社の従業員の方々が、自分がどこでどのくらいの医療費を実際に使ったのかという明確なものが見えてきます。時間がたってしまいますと、ここの医療機関で実際に受診したのかとか、どの程度の治療を受けたのかもわからないような形でそれを何となく見てしまう。それだとせっかく通知をいただいても、効果のほどがいかがかなというようなことも考えています。

 それとやはり、このインターネットによるこういうサービスがあることで、いろいろな窓口との電話応対よりも、正確な文書によりまして、地域によってはいろいろな不正請求ですとか、そのような情報提供も受けられると思いますし、今後いろいろと御検討いただければと思っています。

 ちょっと気づいたところだけ申し上げました。

○土田座長 ありがとうございました。

 いかがでしょうか。

○小澤企画部長 まず、パイロット事業についてでございます。パイロット事業につきましては、今年度の事業計画の中でも全国展開という観点で申し上げますと、1つは医療機関における被保険者資格の確認ができる事業を、今年度、全国展開を進めていくこととしております。これは、もともとは広島支部、宮城支部のほうでパイロット事業として地元の医療機関の端末あるいはパソコンで資格を確認できるような仕組みをつくりましたところ、実際に債権の発生の低減に効果があったということで、全国展開を進めるということで考えています。

 また、全国展開を現在検討しているものとして、もう1つはGIS Geographical Information System ということで、いわゆる地理情報を用いて、例えば健診機関をどこに置いたらいいのか、あるいは健診車をどこに配置したらいいのか。こういったことを、こちらは兵庫支部が実際にパイロット事業をやっていまして、これについても効果があるということで、既に全国展開のための調達に入っているところでございます。

 もう1つは広島支部で行いましたヘルスケア通信簿。これは医療費の情報から各事業所ごとにどういう項目が特に医療費が高いか、そういったものを具体的に事業主にお示しして、そして事業主と協働して保健活動あるいは健診の促進を進めている。

 こういった事業について、現在、全国展開を進めているところでございます。

 それから2点目の、インターネットの医療費通知についてでございます。これにつきましては、昨年度、不審通信が発生しまして、インターネットの通信は遮断いたしました。現在の状況といたしましては、まず、不審通信の状況は確認しまして、その上で、いわゆる不審通信を発生させない仕組みということで、まずは内部のネットワークを完全にインターネットから遮断して、外部に別途ネットワークを設ける。この段階で医療費通知を行うことになります。状況としては、現在、ホームページにアクセスできるようなインターネット通信はまず再開しまして、今後、メール、あるいは、ただいま御指摘のありました、いわゆる情報提供も進めていくこととなります。ただ、医療費通知をいつ再開できるかについてはまだ現時点では明確なめどが立っていないので、今後、なるべく早い時期に再開できるように進めていきたいと考えております。

 以上でございます。

○森下構成員 ありがとうございます。

○土田座長 どうもありがとうございました。

 ほかによろしいでしょうか。

 どうもありがとうございます。

 それでは、いろいろ御意見が出ましたけれども、先ほど事務局のほうから提示していただきました調査項目案につきましては、特に訂正は必要ないものと受けとめておりますけれども、よろしいですか。

(「はい」と声あり)

○土田座長 それでは、基本的にこの調査項目に従って進めていくこととしたいと思います。どうもありがとうございました。

 次の議題に移りたいと思います。

 最後の議題です。平成28年度の事業計画につきまして、全国健康保険協会より御説明をいただきますが、その前に一言、小林理事長のほうからお願いいたします。

○小林理事長 全国健康保険協会理事長の小林です。

 構成員の皆様には、御多忙の中、これまでも協会の運営に関して貴重な御意見をいただいており、まことにありがとうございます。

 私からは、最近の状況を含め、平成28年度の協会運営について一言申し上げたいと思います。

 平成28年度は、昨年度にサービスインしました業務・システム刷新や、第3期保険者機能強化アクションプランに基づき、満年度で業務を実施していく最初の年度であり、協会が保険者機能の強化・発揮を一層進めていく、非常に大事な、重要な年度であると考えております。

 こうしたことを踏まえて、平成28年度は4つの基本方針に基づいて協会を運営してまいります。

 1つ目は、戦略的保険者機能を本格的に発揮するということであります。第3期保険者機能強化アクションプランを本格的に実施していくとともに、2年目を迎えるデータヘルス計画に基づいた保健事業を進めてまいります。現在、各支部において健康経営や自治体などとの協定の締結を進め、協会から事業主・加入者の皆様に直接的に働きかけていくことに加えて、地方自治体のみならず、さらには他の保険者、医師会等の医療関係者と連携・協働して業務を行い、最大限の効果を発揮できるようにしてまいります。

 2つ目の基本方針は、平成30年度に向けた意見発信を関係各方面に働きかけていきます。御承知のとおり、医療計画などの協会に関係する計画や、国民健康保険の都道府県化や、医療・介護報酬の同時改定などが平成30年度にスタートいたします。厚生労働省や都道府県では平成28年度にそれらの基本的な方針が議論、決定され、平成29年度には具体的な中身の議論が行われ、決定される見込みです。協会としては、平成28年度にそれぞれの基本的な方針に関与するための働きかけを行うとともに、平成29年度に行われる具体的な議論における意見発信に向けた準備が必要であると考えております。医療計画策定の検討への参画など、医療保険制度のみならず、医療制度全般において、保険者機能という点で協会に求められる役割は非常に重くなってきております。協会が十分にこれらの役割を果たすためにも、一方で業務の見直し、職員の意識改革を進める必要があります。

 そこで3つ目の基本方針は、業務・システム刷新後の業務の標準化、事務の効率化や簡素化、医療費等の適正化の推進です。これらは協会が直面する諸課題に取り組む上での基盤となるものであり、これらの取り組みなくして協会の前進はないと考えております。

 最後に4つ目は、協会の組織運営の改革です。協会が新たなステージにステップアップするためには、何よりも人材の育成が必要不可欠であります。そのために、協会の理念を担う職員の育成と、職員のモチベーションの維持・向上のために、新たな人事制度の運用を開始いたします。現行の支部別定員を見直し、新たに標準人員の設定を行い、また、支部の業績を適正に評価し、協会全体の業績の向上を図るほか、支部職員の士気を高めることを目的として、支部の業績評価を実施いたします。

 これまで申し上げました4つの取り組みに沿った運営を行い、協会設立の本来の目的であります保険者機能の強化・発揮を一層進めてまいる所存ですので、構成員の皆様におかれましても引き続き御指導御鞭撻をいただきますようお願い申し上げます。

 今年度もどうぞよろしくお願いいたします。

○小澤企画部長 引き続きまして、私、全国健康保険協会企画部長の小澤より、今年度の事業計画につきまして、平成26年度業績評価でいただきました指摘事項の反映状況も踏まえながら説明させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 平成28年度事業計画に関する資料としては、お手元の資料5-1「平成28年度全国健康保険協会事業計画及び予算」、資料5-2「平成28年度事業計画と平成27年度事業計画の新旧対照表」、資料5-3「平成26年度業績評価指摘事項の平成28年度事業計画における関連部分」となります。

 本日は、平成26年度業績評価指摘事項の反映状況もあわせて説明させていただきます。お手数ではございますが資料5-2と資料5-3を両方お手元に御用意いただいた上で説明させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず、資料5-2を1枚おめくりいただきますようお願いいたします。

 平成28年度事業計画の変更点を中心に説明させていただきます。こちらの表の見方としては、平成28年度の計画が新としての表の一番左側。現行とあります平成27年度が昨年度の計画となります。この新の部分を中心に説明させていただきます。

 まず、1ページ目につきましては、協会の事業計画の基本方針ということで、幾つかの点を説明しています。まず、先ほど理事長からも御説明がありましたとおり、今年度は保険者機能強化アクションプランを昨年10月に策定しましたが、これのいわゆる満年度実施ということで、協会から直接的に働きかける業務をさらに推進するということを掲げております。その上で、1ページ目の下の部分には、加入者・事業主を代表する立場で関与して、各審議会等で意見発信を行うということを記載しています。

 資料5-2の2ページ目をお願いいたします。「第二に」というところでございますが、ただいま理事長からございましたとおり、本年度はデータヘルス計画2年目となります。これを踏まえましてPDCAサイクルを適切に回していくということを、ここに掲げております。

 それから2ページ目の「第三に」というところでは、医療費適正化について今年度の取り組みを書いています。特にこの中では都道府県支部間の格差の縮小といったことにも取り組んでいくことを記載しております。

 3ページ目をお願いいたします。ただいま申し上げました保険者機能強化アクションプランの目標を達成するために、人材育成による組織力の強化などの基盤強化を行うことをここに記載しております。それから、あわせて3ページの一番下の部分ですが、新たな人事制度や組織の見直しを着実に施行するということを記載しております。

 4ページ目、5ページ目はただいま申し上げました協会の組織面の見直しということで、まず4ページのところでは、先ほどの御質問にもございましたが、業務・システム刷新を踏まえまして企画・調査分析、あるいは保健事業などへの人的資源の配分を充実させるということを記載しています。

 また、4ページ目の下のところで見直している事項としては、中長期的には楽観視できない保険財政を加入者・事業者に伝えていくということを中心に、財政運営についても記載しています。

 それから5ページ目でございます。ここでの主な見直し事項としては、協会けんぽの機能の重要性。これまでは加入者に理解をお願いするということで記載していましたが、事業主につきましても協会けんぽの機能の重要性の理解をお願いしていくということで記載の見直しをしております。

 資料5-2の6ページをお願いいたします。この部分におきましては、いわゆるコラボヘルスについて、データヘルスの2年目に入りますので、その結果に基づいて計画の修正を図るなどの取り組みをしていくこととしています。また、厚生労働省及び日本年金機構との連携を進めていくということを、この部分に記載しています。

 7ページ目をお願いいたします。この部分から、平成26年度業績評価の指摘事項との関連をあわせて説明させていただきます。まず、資料5-3の1の(1)のところで、今後も引き続き、保険者機能の発揮による総合的な取り組みを推進されたいという御指摘をいただきました。この点につきましては、7ページ目の1の(1)の部分に、アクションプランに基づき協会から直接的に働きかけを行う業務をさらに強化するということで、保険者機能のさらなる発揮を記載しているところでございます。それから、その下の部分では、パイロット事業の展開ということを記載しています。

 資料5-2の8ページ目をお願いいたします。平成26年度の業績評価の指摘におきまして、市町村との協働、あるいは市町村レベルでの協定の締結を進めることを御指摘いただいています。この点につきましては資料5-2の8ページ目から9ページ目にかけまして、市町村における協定の締結、あるいは協働した事業の推進といったことを、この場に記載しているところでございます。

 資料5-2の9ページをお願いします。(2)地域の実情に応じた医療費の適正化ということで、先ほども言及しましたが、パイロット事業で実施しました医療機関における資格確認事業の実施支部数の拡大を図るということでの記載をしているところでございます。

10ページ目をお願いいたします。ジェネリック医薬品の使用のさらなる促進の部分でございます。平成26年度業績評価におきましては、支部間格差の解消が重要という御指摘をいただきました。まさにこの点につきましては、資料5-2の11ページの一番上の部分ですが、「加えて」として、ジェネリック医薬品の使用割合の都道府県格差の是正とさらなる使用促進に向け、新たな施策を実施するということで記載しているところでございます。

11ページの(4)は地域医療への関与でございます。平成29年度は複数の都道府県におきまして地域医療構想が策定された状況となります。このことを踏まえまして、各支部において策定された地域医療構想やその実施に向けて意見発信を進めていき、地域医療に貢献するということを記載しているところでございます。また、本部におきましても、その動きを支援していくということをここに記載しているところでございます。

12ページをお願いします。調査研究の推進等でございます。あわせて資料5-3の2ページ目をごらんください。資料5-3、調査研究の推進でございますが、平成26年度業績評価での指摘事項としては、意見発信の素材となるような調査研究、あるいは保険運営に生かす調査研究をしていくということを御指摘いただいています。その点につきまして、資料5-2の12ページの(5)の部分、2つ目の下線のところでございます。まさに施策に反映できる調査研究を行うということで、調査研究を単に研究自体の目的ではなく、具体的な成果の反映を意識した調査研究を行うということでの計画の見直しを行っているところでございます。

 次に資料5-3の(5)広報の推進。資料5-2では13ページでございます。平成26年度業績評価の指摘事項としては、特定健診、特定保健指導を受診することの必要性と、保健事業の意義等についても意識啓発を進められたいという御指摘をいただいています。この点につきましては13ページの(6)の冒頭に「保健事業」ということで掲げて、保健事業や医療費適正化など保険者機能を発揮した協会の取り組みをタイムリーに加入者・事業主にお伝えする広報ツールとしてホームページやメールマガジンを充実するといったことを記載しているところでございます。

 それから13ページの次の段落のところですが、後ほど健康保険給付等の指摘事項の中で、高額療養費の現物給付化の取り組みの推進ということで御指摘いただいていますが、この、まさに現物給付化の取り組みの推進のための、限度額適用認定証などメリットのある制度の認知率アップといったことも広報の推進の重点事項として加えているところでございます。

 資料5-2の14ページをお願いいたします。的確な財政運営ということでございます。平成26年度の指摘として、PDCAサイクルによる財政管理の明確化に努められたいということで御指摘をいただいています。計画のほうでは、昨年度の記載を踏襲して、(7)的確な財政運営のところでございますが、この冒頭部分、財政運営状況を日次・月次で適切に把握・検証するとともに、直近の経済情勢や医療費の動向を踏まえ、財政運営を図るということで、まさに御指摘いただいたPDCAサイクルに基づく財政運営を進めていくこととしております。

 それから次に、資料5-2の15ページをお願いいたします。健康保険給付等でございます。まず、(1)サービス向上のための取り組みです。サービス向上の取り組みにつきましては、資料5-3において昨年度の指摘事項として、お客様満足度が前年度を下回った項目についての要因分析、あるいは今後の改善策について検討されたいということで御指摘いただいております。

 この点につきましては、(1)のサービス向上のための取り組みの冒頭のところで、さらなるサービス改善を図るために加入者等の御意見や苦情等について各支部に適切かつ正確にフィードバックするとともに、創意工夫を生かしたサービスの改善に取り組むということで、このサービス改善に引き続き取り組むこととしています。

 また、サービス向上のための取り組みとして、任意継続被保険者保険料の口座振替の比率向上に向けたさらなる取り組みの強化ということでございます。これについても引き続き口座振替率の向上に向けた取り組みを進めていくことを計画上でも利用促進という形で記載しているところでございます。

 資料5-2の16ページをお願いいたします。ここはまず、高額療養費制度の周知の部分です。平成26年度の指摘事項としては、高額療養費の現物給付化の取り組みを一層進められたいということでの御指摘がございました。この(2)の部分ですが、ここについては限度額適用認定証の利用促進を図るということを記載しています。さらに高額療養費の未申請者に対しては、あらかじめ申請内容を印字した支給申請書を送付して支給申請手続を勧奨することを計画に記載しているところでございます。

 (3)窓口サービスの展開でございます。窓口の縮小・廃止に際しては、利用者の利便性が損なわれていないか検証することが必要であるという御指摘をいただいておりました。この点につきまして、資料5-2の16ページですが、「なお」として、年金事務所の窓口の見直しに当たっては、サービスの低下とならないように配慮するということで、御指摘を踏まえた計画を進めていきたいと考えております。

 資料5-2の17ページをお願いします。被扶養者資格の再確認です。これについても引き続き取り組みを推進されたいということで御指摘をいただいています。事業計画においてもまさに日本年金機構との連携のもと、事業主の協力を得つつ、的確に行っていくということで、この再確認を引き続き進めていくこととしております。

 それから柔道整復施術療養費の照会業務の強化につきましても、一層の適正受診の推進ということで、まさに計画上でも適正受診の促進を図るということで計画を立てているところでございます。

 (6)傷病手当金・出産手当金の審査の強化でございます。この点については昨年度は業績評価Cをいただきまして、指摘事項のほうでは立入検査実施件数の目標未達について、原因分析と対策を検討すべきと。それからまた、立入検査のさらなる実施を通じた不正請求の防止にも取り組むべきであり、そのためにも一層の検査体制の強化が必要であるとの御指摘をいただいております。なお、この点につきましては、昨年度、健康保険法の改正によりまして、傷病手当金・出産手当金につきましては、その仕組みが直近の標準報酬日額をもとに算定するものとされていたのが、直近12カ月の標準報酬月額を平均した額に改められることになりましたので、今までのような形で不正請求を行うことについては非常に難しくなってございます。ただし、引き続きこの点につきましては、18ページの計画のところにございますように、適正化プロジェクトチーム会議において支給の適否を判断する、あるいは必要に応じて事業主への立入検査を実施するといった形で不正請求の防止に引き続き努めていくということを計画上でも明記するとともに、標準報酬月額が83万円以上の申請に対して申請のデータを支部に提供するということで、不正請求の防止に引き続き取り組んでいきたいと考えております。

 (7)海外療養費支給申請における重点審査の部分です。今後引き続き不正請求の防止に向けた重点的審査に取り組む必要があると御指摘をいただいています。この点につきましては、今年度は外部委託の活用、それから翻訳内容の再確認といったことを進めて、医療機関への文書照会を実施するということで審査を強化していきたいと考えております。

 (8)効果的なレセプト点検の推進でございます。平成26年度の指摘におきましては、協会における審査を一層強化すべき。それから点検の外注化に当たっては、協会の点検員に点検技術のノウハウが蓄積されるように留意されたいということで御指摘をいただいておりました。

 この点につきましては19ページの中ほど、「あわせて」というところで点検員が点検業者のノウハウを取得し活用すること、及び競争意識の促進を図ることにより、点検員の質をより一層向上させ、さらなる効果額の引き上げを行うということを進めることとしております。

 (9)資格喪失後受診等による債権の発生防止のための保険証の回収強化でございます。この点につきましても回収率向上に向けて取り組まれたいということで御指摘をいただいております。今回の事業計画におきましては、日本年金機構の役割と、それから協会で行う役割についての記載が20ページにかけてございますが、これを分けて記載して、それぞれ役割分担を明確にして回収強化を進めていくということで考えております。

 資料5-2、20ページをお願いします。(10)積極的な債権管理・回収業務の推進でございます。この点につきましては、債権管理・回収業務に係る取り組みを一層推進することが必要ということで御指摘をいただいていました。この点につきまして、今年度の計画では、(10)の「なお」のところでございますが、資格喪失後受診による返納金債権については、国保保険者との保険者間調整のスキームを積極的に活用するといったことを進めていきたいと考えています。

 それから、その下の「また」のところでございますが、担当者研修会、あるいは債権統括責任者会議を開催して、債権管理・回収業務を進めるための体制の確立を進めていきたいと考えています。

 (11)健康保険委員の活動強化と委嘱者数拡大です。この点につきましては、健康保険委員による活動を引き続き強化する、それから理解促進活動に努められたいということで御指摘をいただいています。この点について今年度の計画におきましては、健康保険委員委嘱者数のさらなる拡大、あるいは健康保険事業に対する理解を深めるための研修の実施、あるいは広報活動等を進めていくということで計画上に記載しているところでございます。

 次に21ページの下の部分、保健事業になります。保健事業につきましては、今年度、データヘルス計画の2年目ということになりまして、PDCAサイクルに基づき事業を実施していくということになっています。まず(1)保健事業の総合的かつ効果的な推進の部分でございます。計画の記載としては、データヘルス計画2年目を踏まえた記載の見直しをしているところでございます。この部分につきまして、昨年度の指摘としては、事業者からのデータ取得の促進、それから特定健診実施率の支部間格差の解消。それから2点目としては、全国共通で実施すべき基盤となる事業と支部の特性に応じて組み立てる事業との組み合わせが鍵となることの周知と、これらの事業のノウハウを共有すること。それから、特定健診及び特定保健指導を実施するための意識啓発の推進ということを御指摘いただいています。

 この点につきましては、資料5-3、6ページの表にございますように、それぞれ対応する項目がございますので、その部分を説明しながら御説明させていただきたいと思います。まず、(1)の部分でございます。ノウハウの共有については22ページの一番下のところにございますように、パイロット事業の成果を広めていく、あるいは好事例を迅速に展開・共有し、支部間格差の解消に努めるということを今年度の計画で進めていくこととしています。

 それから(2)特定健康診査及び特定保健指導の推進でございます。資料5-2の23ページです。保健事業に係る意識啓発という点につきまして、まず一つ考えているのは、健診の結果をいかにわかりやすく伝えていくか。それから、事業所・加入者との距離をいかに縮めていくか。こういったことを進めていくことが必要と考えております。それから、今年度の計画におきましては、この下の「また」以下の部分ですが、「健康宣言」などを通じた事業主への積極的な働きかけ、あるいは事業主の主体的な取り組みを促すといった活動も進めていきたいと考えております。

 それから、事業所健診データの取得につきましては、健診率向上の重要な取り組みであり、これは取り組みを強化することとしております。具体的には、これまでの通知・架電中心の勧奨に加えまして、外部委託も活用して勧奨を強化し、事業主の理解を進め、まさに御指摘いただきました事業所からのデータ取得の促進を進めていきたいと考えております。

 こうした健診、保健指導の実施におきましては、平成26年度業績評価指摘におきましては、事業が拡大した際の効率的な運営を可能とする仕組みを構築する必要があるとの御指摘をいただいています。その点につきましては資料5-2の24ページをお願いいたします。具体的には、一つは特定保健指導につきまして、健診当日または事業所訪問により特定保健指導を行うことが可能な外部機関への委託を積極的に進めるといったことも行っていきたいと考えております。

 それから、パイロット事業の推進。あるいは支部間格差の是正といったことで要因分析を行って、保健指導者の育成方法についても見直しを進めるといったことで事業を進めたいと考えております。

 (3)各種業務の展開です。この部分につきまして、昨年度、平成26年度の指摘におきましては、地方自治体と連携して保健事業を展開する、あるいは協定締結からさらに市町村あるいは下部との連携も広まっており、一層の展開に努めるということで御指摘をいただいています。

 資料5-2の25ページの真ん中あたりでございます。「そのため」とありますが、自治体との覚書・協定の締結等に基づく、具体的な事業の連携・協働を促進するということで、今年度も引き続き自治体との連携を拡大したいと考えております。

 引き続きまして、25ページの4、組織運営及び業務改革の部分です。具体的な記述としては26ページからになります。資料5-3につきましては資料が若干飛びまして、14ページをお願いします。資料5-2、26ページの部分です。まず(1)で組織や人事制度の適切な運営と改革ということでございます。平成26年度の指摘におきましては、現場との共通理解が不可欠、あるいは連携を密に持って進めていくことが必要という御指摘をいただきました。この26ページ、(1)の?の部分ですが、組織運営体制の強化ということで、本部と支部の適切な支援・協力関係、あるいは内部統制、それから部門間連携の強化といったことで、組織全体が一体感を持って組織運営を進めていくということをここに記載しているところでございます。

 それから計画のほうでございますが、?のところでは、実績や能力本位の人事の推進ということで、今年度は新人事評価制度の運用を進めていきたいと考えています。また、?の部分では、新たな人事制度への改定の実施といったことも進めていきたいと考えています。

 ?の、コンプライアンス・個人情報保護等の徹底の部分でございます。昨年度の指摘事項としては、今後は不審通信事案も踏まえまして、コンプライアンス、個人情報保護の徹底を検討するとともに、情報セキュリティー対策の大幅な強化が必要ということで御指摘をいただいておりました。この不審通信につきましては、昨年度、御質問がございましたが、その事実確認結果をこの場で御報告させていただきますと、昨年度、4台の協会の端末が外部との不審な通信を行ったことが判明しまして、事実確認を行い、12月にその結果を報告しました。結果としては個人情報の漏洩は確認されませんでした。ただ、4台の端末に約70.7万人分の個人情報が暗号化あるいはパスワードなしに保存されており、協会の内規上、不適切な状態だったということで、今後再発防止策を講じていくこととしております。

 そうしたことも踏まえまして、この内容としては、情報セキュリティーに関しては個人情報保護あるいは情報セキュリティーについては各種規程の遵守、あるいはアクセス権限、パスワードの適切な管理等を常時点検し徹底することで、個人情報保護の強化を進めていきたいと考えております。

 それから、リスク管理につきましては、一つは自然災害への対応の強化。それと不審通信を踏まえまして、自然災害のリスクを含めたリスクの洗い出しといったことも進めていきたいと考えております。

 資料5-2の28ページをお願いします。人材育成の推進のところでございます。平成26年度の指摘におきましては、多様な研修機会の確保ということで御指摘をいただいております。人材育成の推進につきましては、人事評価制度、それから人事制度とあわせて人材育成制度についても新たなものに改めることとしております。また、多様な研修機会の確保ということでは、これまでは通信教育講座のあっせんということもしておりましたが、さらにオンライン研修の実施といったことも進めて、多様な研修機会の確保を進めていきたいと考えております。

 業務改革・改善の推進についてでございます。定型的事務の集約化、あるいは外部委託によるさらなる効率化については、結果として業務やサービスの質の低下につながることのないよう留意する必要があるとの御指摘を業績評価でいただきました。資料5-2の28ページの業務改革・改善の推進のところでは、まず、一つはよいサービスの標準化を目指したいと考えています。また、計画の内容としては昨年度と記載は同じでございますが、各支部の創意工夫を提案・検討できる機会をつくり、サービスの改革・改善をしていくということで進めていきたいと考えています。

 それから、まさにサービスの低下につながらないよう留意という点については、29ページの(3)の下から2行目のところですが、不断の点検といったことを進めていきたいと考えております。

 (4)経費の節減等の推進につきましては、今後ともこの取り組みを進めていくということで御指摘いただきまして、まさに経費の節減ということを計画上引き続き記載しているところでございます。

30ページ、31ページの部分は協会の運営に関する健康保険部分の各種指標ということになります。

 引き続きまして船員保険の部分を御説明させていただきます。資料5-2の38ページからが船員保険関係の計画の内容となります。資料5-3ではページを戻っていただき恐縮でございますが、8ページをお願いいたします。船員保険につきましても、資料5-2の38ページの部分ですが、同じくデータヘルス計画の2年目に突入するということで、その取り組みを着実かつ効果的に実施することを記載しています。それから平成28年度におきましては、サービススタンダードを年間を通じ達成するといったことでサービスの向上を図ることとしております。

 昨年度の指摘としては、保険者機能の発揮による総合的な取り組みの推進ということで、関係団体や船舶所有者等との間での取り組みの成果や課題の共有といったことを御指摘いただいておりました。この点につきまして、例えば、まず39ページの3の(2)の部分ですが、船員保険協議会における十分な議論などを通じて、船員関係者の御意見を適切に反映するといったことでの取り組みを進めていくこととしております。

 それから41ページ、重点事項の部分になります。「1.保険運営の企画・実施」ということでは、保険者機能の発揮による総合的な取り組みの推進の冒頭の部分におきまして、まさに船員保険の特性を踏まえた事業の実施ということで、加入者や船舶所有者に対する情報提供や意見収集、あるいは保健・福祉事業の効果的な推進というように、この事業の特性に応じた事業を実施するということで事業を進めていくこととしております。

 また、(2)情報提供・広報の充実ということでございます。加入者の立場からわかりやすい、積極的な情報提供を推進されたいということで御指摘をいただいていました。こちらの41ページの計画の部分におきましては、わかりやすい情報提供ということを記載しています。

 それからまた、後ほどのところにございますが、例えば船員保険の一人一人の個人状況に応じたオーダーメードの情報提供といったことで、保健事業におきましてもこうしたわかりやすい情報提供の推進ということを進めていくこととしております。

 資料5-2の43ページ、(3)ジェネリック医薬品の使用促進の部分です。船員保険においては、被扶養者の使用促進に向けた取り組みも進めていきたいと考えております。

 (4)健全かつ安定的な財政運営の確保ということでは、平成26年度の指摘におきましては、今後ともヘルス事業を含めた総合的な取り組みを進める必要があるとの御指摘をいただいています。この点につきましては、先ほどの事業計画の2の1、41ページの部分でございますが、まさにヘルス事業の推進ということで、福祉事業の効果的な推進、あるいは医療費適正化という面でいきますとジェネリック医薬品の使用のさらなる促進といった事業を進めていくこととしております。

 資料5-2の44ページをお願いします。船員保険給付等の円滑な実施という部分でございます。まず、(1)サービス向上のための取り組みということで、年間を通じたサービススタンダードの達成、それからお客様満足度調査での御意見等について、サービス向上委員会において改善等に向けた検討を行うといったことで、船員の意見を吸い上げてサービス改善を進めていきたいと考えています。

 (2)高額療養費制度の周知についてです。これも現物給付が利便性が高いことを周知して、まさに御指摘いただきました現物給付化や支給申請の勧奨といったことを進めていきたいと考えております。

45ページをお願いします。まず、(3)制度改正の周知としては、傷病手当金、あるいは出産手当金、あるいは入院時食事療養費の改正内容について、ホームページや関係団体の広報誌等を通じて周知を図っていきたいと考えております。

 (5)保険給付等の業務の適正な実施ということで、御指摘としては資料5-3の10ページの部分ですが、今後も引き続き、保険給付等の業務の適正な実施に向けて取り組まれたいとの御指摘をいただいていました。この点につきましては、船員の独自の給付としては、例えば45ページ(4)の休業手当金等の上乗せ給付、あるいは特別支給金、さらには(5)にあります休業手当金の上乗せ給付や経過措置として協会が支給することとされた職務上の事由による年金、こういったことの給付の適正化を進めていきたいと考えています。それから、下船後の療養補償についても適切な申請がなされるよう周知を図っていきたいと考えております。

46ページをお願いします。レセプト点検でございます。ここにつきましては、今後も自動点検システムの活用により、目標達成に向けて取り組むことが必要であるとの御指摘をいただきました。まさにこの点につきましては、この自動点検システムの活用ということを計画の中に盛り込んでいるところでございます。

 被扶養者資格の再確認についても、引き続き的確に行っていきたいと考えております。

46ページの(8)無資格受診等の事由による債権の発生抑制及び早期回収ということにつきましても、今年度も引き続き取り組みを推進していくこととしております。

 次に保健事業の部分をお願いします。資料5-2でいきますと「3.保健事業の推進、強化」の部分です。ここで、まず、(1)保健事業の効果的な推進の部分につきましては、船員手帳データ取込率の向上、それから加入者の利用が多い健診機関を活用した事業を展開することの有用性についても検討されたいということで御指摘をいただいておりました。

 計画のほうでございますが、まず、47ページの(1)の部分です。見直しの部分としては、アンケート調査結果を踏まえ、効果的な保健事業の推進ということを進めていきたいと考えております。

 それから47ページの下のところでは、特定健康診査及び特定保健指導の実施体制等の強化ということで、次の48ページのところになりますが、生活習慣病予防健診の実施機関数の増加に努め、まさに健診機関を活用した事業の展開ということを進めていきたいと考えております。

 それから、その下の部分、48ページの下の部分でございます。特定保健指導の実施に当たりまして、健診とあわせて委託しているこれまでの外部機関に加えまして、健診機関とは異なりますが、全国的に特定保健指導を実施している事業者を活用して、特定保健指導利用者のさらなる拡大にも努めていきたいと考えています。

 それから、船員手帳健康証明書データの取得につきましては、これの強化。まさに指摘でこのデータ取込率の向上を御指摘いただいていますが、これを進めていきたいと考えております。

 (3)加入者の健康増進等を図るための取り組みの推進ということで、この点につきましては、オーダーメードの情報提供冊子の送付を進めていきたいと考えております。

 それから50ページをお願いします。船員保険におきましても、船舶所有者と連携したコラボヘルスの推進といったことを進めていきたいと考えております。

 関係団体等との連携強化に向けた取り組みの推進ということで御指摘をいただいておりました。50ページの下から51ページにかけてですが、地方自治体・関係団体等が開催するイベント等にも参加して、直接加入者等と接する機会の拡大を進めていきたいと考えております。

 それから51ページの「4.福祉事業の着実な実施」の部分でございますが、この点については引き続き福祉事業の着実な実施に取り組まれたいとの御指摘をいただいておりました。今年度は保養事業の利用者数の増加に向けた広報、それから平成27年7月にリニューアルオープンした船員保険総合福祉センター、兵庫のほうにある福祉センターですが、これのさらなる周知、活用を進めていきたいと考えております。

52ページの組織運営及び業務改革につきましては、先ほどの健康保険の部分と重なりますので割愛させていただきます。

55ページからが船員保険についての、協会の運営に関する各種指標です。55ページがサービス関係指標、56ページが保健事業関係指標と医療費適正化関係指標、57ページが検証指標となります。

 説明は以上でございます。

○土田座長 ありがとうございました。

 ただいまの説明につきまして、御意見、御質問がございましたら、どうぞお願いします。

○小島構成員 ありがとうございました。

 今、御説明がありましたように、昨年度指摘した事項の多くが平成28年度の事業計画に盛り込まれておりますので、ぜひ、そういう観点で事業を進めていただければと思います。

 それを前提にして、2点ほど意見、質問をしたいと思います。指摘事項と平成28年度に盛り込まれた事項の対比表、資料5-3の6ページになります。保健事業のところの(2)特定健康診査及び特定保健指導について、支部間格差の解消に努めてくださいと昨年指摘しましたが、それについては、事業計画で「支部間格差の解消、保健指導効果の支部間格差に関する要因分析の結果を活用し、保健指導者の育成方法について見直しを進める」とあります。保健指導の効果を上げるためにも保健師等の人材確保あるいは育成が必要だと思いますので、そこは引き続き努めていただきたい。質問は、ここで指摘されております「保健指導者の育成方法について見直しを進める」というのは、どのような見直しを検討されているのかです。

 それから2つ目の意見は、同じくこの対比表の中で言うと14ページになります。組織運営及び業務改革のところで、一番上の1にあります「組織や人事制度の適切な運営と改革」についてです。ここの指摘事項は、現場との共通理解が不可欠であり、一方通行ではなく現場の意見もしっかり聞きながら、現場と本部との連携を密にすべきだということです。これについて事業計画では、内部統制(ガバナンス)等の強化、支部間の部門連携を強化する、あわせて組織体制の見直しということで、先ほど触れましたように、事業計画のほうには新しい人事評価制度を入れるということが指摘されております。現場との連携強化、あるいは内部統制(ガバナンス)を強化していくことは必要ですけれども、これも事業計画には書いてありますけれども、自由闊達な意見が言えるような企業文化、職場環境を整備するとありますので、そのことにぜひ努めていただきたい。内部統制の強化については、最近、コーポレートガバナンスの強化ということも指摘されていますが、その割には企業不祥事が多発しているということがありますので、その辺を十分念頭に置いた取り組みをお願いしたいということです。

 それと、新しい人事評価制度を導入するということですが、人事評価制度がうまく機能するためには、当該職員の皆さん、あるいは当該組合の理解と合意が前提だと思いますので、労使関での十分な合意のもとで新しい人事評価制度なども運営していただければと思います。そういうことが結果として内部統制の強化につながっていくと思います。

 以上、1点目は質問で、2点目は意見です。

○伊奈川理事 1点目の、保健師の関係でございますけれども、ここにありますように、どういう要因かといったようなことは、各支部でいいところ、悪いところがありますので、ちょうど今、そのあたりについて分析を進めている状況でございます。ということで、今、現在進行形ということでございます。

○土田座長 ほかに御意見、御質問はございますか。

○小西構成員 小西でございます。資料5-2の4ページのところですけれども、4ページの中ほど、2つ目の丸の3行目から4行目にかけてですが、中長期的には楽観視できない保険財政という言葉が目についたというか、関心を持ちました。ここ数年、外部への意見発信なども含めて、毎年の取り組みを重ねていらっしゃって、改善の成果もあり、今は、少し落ちついているということではないかと思うのですけれども、そのときそのときの身近な目標があり、そこを対策していくことが大事であったということの積み重ねをしてきたのではないかと思っております。さらにこの先、中長期的に見ていく、そういうところへ目を向けていくということに関心を持ちましたので、あるいは言わずもがなということかもしれないのですけれども、どうぞよろしくお願いいたします。

○土田座長 ただいまの点について、どうぞ。

○伊奈川理事 ありがとうございます。

 御指摘のように、この表現というのは今回の一つの特徴だろうと思っております。構成員も御承知のように、いっときのような財政状況は脱して、そして国庫補助率のほうも当分の間とはなっておりますけれども、法改正がない限り16.4%というところまで何とかこぎつけたという状況でございます。

 ただ、昨年来のこと、また、今後のことを考えました場合に、言うまでもなく高齢者の増加、拠出金の増大圧力というのは今後とも続くと思います。また、昨年から医療費の動向を見ていて気になりますのは、やはり少し、去年の夏以降、医療費が増大する傾向が見られるということでございます。

 そういった中で、中長期的ということからしますと、やはり現在は加入者がふえるなどしている状況でございますけれども、構造問題から言いますと、1人当たりの医療費といいますか保険給付費と、それから賃金、1人当たりの標準報酬月額との乖離の状況はずっと続いてきておりますので、そういう点から言えば、いわゆる構造問題は残っているということですので、先ほど言いましたような中長期的ないろいろな増大圧力がある中で構造問題が引き続き続いているということからすれば、やはり楽観視できないだろうということでございます。

○小西構成員 ありがとうございました。

○土田座長 どうぞ。

○古井構成員 資料5-2の13ページ目、広報の推進の下段のほうに「医療保険制度の中でも高額療養費制度や限度額適用認定証」云々とあります。我々、日本にいると余り気がつかないのですけれども、患者さんや家族が感謝をしてくれる制度でありまして、これをきちんとお伝えいただくのは非常にいいのではないかと思います。

 協会けんぽの施策優位性でもある協会けんぽの仕組みをきちんと伝えることが加入者にとっては非常にありがたいというのは現場でも感じます。まず加入者に伝えていただくということと、それから中小企業の事業主のほうにも伝えていただくことも重要です。大企業に比べると資源が少ない中で、協会けんぽの生活習慣病健診や保健指導などの周知広報が、事業主の社員への健康投資につながると思います。

 海外と比べて思うのは、やはり健保や協会けんぽのよさを知って活用することが、自分の健康力アップにもつながる。国保に比べて恵まれていることを知っていただくだけでも、運営に賛同を得られるのではないかと思います。

 もう一つは18ページ目のところで、(6)の傷病手当金、出産手当金の審査の強化はいい改正がされており、こういうことをきちんと明記する、何かあったときにはしっかり見ているというメッセージの発信も大切だと思います。こういうことが、公平中立な制度を保っていく上では重要です。

 以上です。

○土田座長 ありがとうございました。

 森下構成員、何かございますか。

○森下構成員 議論を伺っていまして、今、古井先生のおっしゃったように、日本の社会保障制度といいますか、非常に恵まれていると思っています。そのありがたさを、意外と我々の事業所の従業員の方もよく御存じでない部分があると思います。いざ何か病気になられたり、けがをされたときに、これだけの、例えば高額医療の保障など、大きなメリットがあるということについて意外と気がついていなくて、何か当たり前のことのように、我々は国民として恩恵を受けているのだというようなところがあるように感じていますので、やはり事業主もこの辺について、協会けんぽさんとともに広報をしていかなければいけないと思います。

 先ほどちょっとお話に出たように、事業の予算等で問題は出てくるかと思いますが、やはり高齢化社会の中で、これから高齢になればなるほど医療費にお金がかかるという時代がすぐ目前まで迫っています。やはり経費の負担という部分で、今、国の財政も厳しいと思いますので、今の負担率がずっと変わらないとは限りませんし、できれば我々も、もっともっと、医療費については効果的に使えるような、節約といいますか、ジェネリックに関しても、そのようなことをいろいろと実際に考えていかなければいけないので、ぜひ、こういう施策を実現していっていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

○土田座長 ありがとうございました。

 ほかにございますか。

○小島構成員 1つだけ簡単に。今の協会けんぽの財政の状況についても小西構成員から指摘されましたし、古井構成員からは協会けんぽ(被用者保険)に入っているメリットについて、加入者に対してもっとアピールするべきではないかと指摘されました。

 今、社会保険の適用拡大ということで、短時間労働者等に対する社会保険適用拡大が、これから一層進むと思います。適用拡大自体についての業務としては年金機構の仕事になりますけれども、今後、短時間労働者等が被用者保険、特に協会けんぽの加入者として増えていくと思います。その際、財政的な状況がどうなるかということもありますが、やはり、今まで協会けんぽに入らずに国保等に入っていた、あるいは被扶養者扱いだった人が、被保険者本人になることのメリットについの説明なども、意識しながら事業運営に努めていただければと思います。傷病手当金などは被用者保険の最大のメリットですので、それらをぜひ念頭に置きながら、今後の事業運営を進めていただければと思います。

 以上です。

○土田座長 ありがとうございました。

 いろいろ意見が出ましたけれども、いずれも非常に納得のできるお話だったと思います。先ほど理事長のほうからお話がございましたが、これから数年間は医療供給体制とあわせながら、医療保険制度は大きく変わっていくことになります。その中で財政問題も大きな課題の1つです。財政問題そのものについては、協会けんぽがどこまで関与できるかということにはかなり限界があると認識しておりますけれども、ただ、医療保険の改革とあわせながら考えていくと、ますます協会けんぽの行動する範囲は大きくかつ重要になってくると思っておりますので、ぜひとも、特に中小企業の医療を支える保険者として活動を活発にしていっていただきたいと思います。

 ということで、きょうの議題は全て終わりました。ほかにないようでしたら、次回のスケジュールについてお願いいたします。

○友田全国健康保険協会管理室長 本検討会における今後の進め方につきましては、次回、第16回を9月6日(火)14時から、第17回を9月28日(水)14時から、開催を予定しております。なお、議事の内容につきましては、先ほど御説明させていただきましたとおり、協会から事業報告及び自己評価の説明を受けた後、各構成員の皆様から協会の業績について質疑を行っていただきますので、よろしくお願いいたします。

 以上です。

○土田座長 ありがとうございました。

 それでは以上をもちまして、きょうの会議を終わります。どうもありがとうございました。


(了)

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