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2016年5月24日 第11回社会保障審議会介護給付費分科会介護報酬改定検証・研究委員会議事録

老健局老人保健課

○日時

平成28年5月24日(火)10:00~12:00


○場所

ベルサール神保町 2階 RoomA+B+C
東京都千代田区西神田3-2-1


○出席者

粟田、井口、今村、川越、田中、福井、藤井、藤野、堀田、松田、森本(敬称略)

○議題

1.平成27年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(平成27年度調査)の結果について(最終報告)
2.平成27年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(平成28年度調査)の進め方について
3.平成27年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(平成28年度調査)の実施内容について
4.その他

○議事

○西嶋介護保険データ分析室長 それでは、定刻となりましたので、「第11回社会保障審議会介護給付費分科会 介護報酬改定検証・研究委員会」を開催させていただきます。
 初めに本日の委員の出席状況でございますけれども、椿原委員より御欠席との御連絡をいただいてございます。
 また、今村委員、藤井委員につきましては、おくれて御到着されると思います。
 次に、本日の会の開催に当たりまして、今回より、新たに1名の委員にお入りいただきましたので、ここで御紹介させていただければと思います。産業医科大学准教授の藤野善久委員でございます。
 それでは、以後の進行につきましては、松田委員長によろしくお願いいたします。

○松田委員長 それでは、議事に入りたいと思います。
 まず事務局より、本日の資料の確認をお願いいたします。

○西嶋介護保険データ分析室長 資料1といたしまして、平成27年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査の結果、最終版でございます。資料1-1から資料1-7まで、それぞれ昨年度行いました7つの項目についての結果、概要をつけてございます。
 資料2といたしまして、平成27年度の調査の評価シートでございます。
 資料3といたしまして、前回、第10回の「介護報酬改定検証・研究委員会」及び第128回の「介護給付費分科会」における主な議論と対応についてでございます。
 資料4といたしまして、平成27年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査の進め方について(案)でございます。
 資料5といたしまして、介護報酬改定検証・研究委員会について、全体像をお示しした資料でございます。
 資料6といたしまして、平成27年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査ということで、平成28年度の調査の実施内容についての案をお示ししてございます。
 そのほか、参考資料として1~6までございます。
 また、各委員の皆様方には、平成27年度調査の7本の報告書の冊子を報告書案として置かせていただいてございます。傍聴の方につきましては、その資料はお配りしてございませんので、後日、厚生労働省のホームページで御確認いただければと思います。
 資料の過不足等がございましたら、事務局までお申しつけいただければと思います。

○松田委員長 よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、議事次第に沿って、進めてまいりたいと思います。
 議題1、平成27年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査の結果につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

○西嶋介護保険データ分析室長 先ほどの資料1から資料1-7まで、横紙でございますけれども、昨年度行いました、7本のそれぞれのテーマについての概要でございます。
 これは前回の委員会におきまして、概要について御説明させていただき、各委員から御指摘もいただいたところでございますので、今回は、前回の委員会の委員の御指摘を踏まえまして、最終版として、概要について、御報告をさせていただくものでございます。大幅な修正については、特にないと思っております。
 資料1-1から資料1-7につきましては、以上でございます。
 引き続きまして、資料2でございます。資料2につきましては、各グループで評価をしていただきましたので、その評価シートでございます。
 1ページ目の看多機の調査、5ページ目のケアマネ、あと7ページまで、それぞれのシートにまとめてございますので、これもあわせてごらんをいただければと思います。これも前回の委員会でお示ししたものから、大きくは変わってございません。
 続きまして、資料3でございますけれども、この資料につきましては、前回の3月16日に行われました、当委員会における各委員からの御意見、及びその後3月30日に行われました、介護給付費分科会においていただいた意見を、それぞれのテーマごとにまとめさせていただいたものでございます。
 1ページ目を見ていただければと思いますけれども、基本的に7つの全ての調査につきましては、改定検証・研究委員会の委員に、調査の設計段階から一貫して関与していただいてございますので、その辺につきましては、基本的に異論はなかったと思っております。
 それぞれの委員から御意見をいただきましたので、事務局のほうで、ここに対応方針と書かせていただいておりますけれども、今回お配りをしている、分厚い最終報告書に反映できたものと、今後、指摘の内容につきましては、省として取り組む予定のもの、あるいは具体的に加算とか、そういったものについて御意見をいただいてございますが、そういうことについては、今後の議論の参考にするものということで、大きく3つに分けて、事務局でまとめさせていただいてございます。
 2ページには、看多機の調査ということで、上の3つは、委員においていただいた意見ということで、例えば上の2つの事項につきましては、ページ数を載せてございますけれども、報告書の中に記載をして、御報告をさせていただいているものでございます。
 そういう形で、2ページ目以降、それぞれのテーマにつきまして、整備をさせていただいた資料でございます。詳細につきましては、ここでの御説明は、省略をさせていただきたいと思います。
 27年度の調査につきまして、事務局からの説明は以上でございます。

○松田委員長 それでは、議題1、27年度調査の結果、ただいまの御説明につきまして、何か御意見、御質問等がありましたら、お願いいたします。
 特に分科会で、それぞれの先生が言われた意見に対して、どのような対応になっていたかというところをチェックしていただけたらと思います。何か御意見はございますでしょうか。よろしいですか。
 報告書に記載というものは、報告書に書いていただいて、今後対応というものは、28年度の調査の中でやっていただけるということで、よろしいでしょうか。

○西嶋介護保険データ分析室長 報告書につきましては、ページ数も書かせていただいてございますように、報告書の中に、その旨を書くことで対応させていただいたものでございます。
 「今後の調査や分析においての参考にする」と書かせていただいているもの等につきましては、例えば今年度の改定検証・研究であったり、あるいは今後の健康増進等の研究班であったり、さまざまなところで調査をする際に、御指摘を踏まえたような調査をさせていただきたい、そういう趣旨でございます。

○松田委員長 何か御意見はございますでしょうか。
 もしなければ、今年度また継続する調査につきましては、その内容を踏まえて、調査の内容を考えていただく。また、関連の研究等で反映させていただけたらと思います。
 それでは、平成27年度の調査の概要版につきましては、この資料を最終版として、後日開催されます、介護給付費分科会に最終報告をしたいと思います。よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)

○松田委員長 それでは、次に議題2及び3、平成27年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査、いわゆる平成28年度調査の進め方及び実施内容について、事務局から説明をお願いいたします。

○西嶋介護保険データ分析室長 資料は、資料4から資料6を用いまして、御説明をさせていただければと思います。
 まず資料4をごらんいただければと思います。
 今年度、平成28年度の調査の進め方(案)ということで、事務局でまとめさせていただいてございます。
 本日、5月24日の改定検証・研究委員会におきまして、進め方、あるいは具体的な調査項目について御議論をいただき、取りまとめたいと思っております。
 その後、来週、6月1日の水曜日には、介護給付費分科会が開催されますので、その中で、当委員会で取りまとめたいただいた項目、内容等について御議論いただき、決定をしたいと思っております。
 その後、それを受けまして、6月、7月、8月の間で、厚生労働省で仕様書を作成し、受託機関を決定させていただくとともに、その後、調査票の原案を作成させていただきたいと思っています。
 その際には、委員からも御意見をいただくようにしたいと思います。
 また、その際には、調査組織、検討組織を構成させていただきまして、調査案の検討をしていただきたいと思っています。
 それを受けまして、9月に当委員会におきまして、調査票(最終案)について取りまとめていただき、その後、介護給付費分科会の中で御議論いただいた上で、決定をしていただくということを考えてございます。
 その後、10月の秋以降、調査をしていただきまして、3月以降に、委員会、分科会において、評価の報告あるいは決定をしていただきたいと考えてございます。
 進め方については、昨年度と大きくは変更していないものでございますので、御確認いただければと思います。
 引き続きまして、資料5でございますけれども、これまで当委員会でも御報告等をさせていただいている資料でございますが、1ページ目に、平成27年度7本、平成28年度7本ということで、ここを新たに追記させていただいたものでございます。平成30年度の介護報酬改定等に向けた調査という位置づけで、事務局としては、今年度、新たに7本を提案させていただくものでございます。
 資料6は、具体的な調査のテーマについて、事務局でまとめてございます。
 「2.調査項目」を見ていただければと思いますけれども(1)~(7)まで、28年度調査として、7本、実施してはどうかというものでございます。
 1つ目は、通所・訪問リハビリテーション等の中重度者等へのリハビリテーション内容等の実態把握調査事業でございます。
 2つ目は、病院・診療所が行う中重度者に対する医療・介護サービスに関する調査研究事業。
 3つ目は、介護老人保健施設における施設の目的を踏まえたサービスの適正な提携体制等に関する調査研究事業。
 4つ目は、介護老人福祉施設における医療的ケアの現状についての調査研究事業。
 5つ目は、居宅介護支援事業所及び介護支援専門員の業務等の実態に関する調査研究事業。
 6つ目は、認知症高齢者への介護保険サービス提供におけるケアマネジメント等に関する調査研究事業。
 7つ目は、介護保険制度におけるサービスの質の評価に関する調査研究事業でございます。
 2ページ目以降は、それぞれの調査事業につきまして、素案という形で、事務局のほうで、1枚でまとめたものでございますので、簡単に御説明させていただければと思います。
 2ページ目は、リハビリテーションについてでございますけれども、これにつきましては、通所リハビリテーションと訪問リハビリテーションにおける介護報酬改定後の効果の検証及び平成28年度の診療報酬改定で、維持期リハに関して、改定が行われましたので、そういったものも踏まえながら、主に中重度者等に対するリハビリテーション内容の実態把握に努めてまいりたいというものでございます。
 そのほか、PT、OT、STが提供するサービスもございますので、そういったものについての機能、あるいは役割がどういう状況にあるのかということを、あわせて検討したいというものでございます。
 調査客体を見ていただければ、通所リハビリ事業所、訪問リハビリ事業所、それぞれ1,500程度を想定してございますが、それに加えて、通所介護事業所、訪問看護ステーション、こういったものを悉皆調査という形で、させていただければと思っております。
 それぞれ主な調査項目のところには、事業所の調査と利用者調査ということで、大きく2つございますので、主に調査をする事業所の調査と、どういう方が利用されているのか、あるいはリハビリテーション計画がどういう状況になっているのかということを把握するための利用者調査と、大きく2つの調査で構成をさせていただければと思います。
 3ページ目でございますが、これにつきましては、調査の客体のところをごらんいただければと思いますが、大きく3つございます。
 1つは、悉皆調査でございますが、介護療養型医療施設。
 医療保険適用の病床を有する医療機関、無作為として、2,000カ所程度。
 それ以外に、都道府県等の自治体に対しての悉皆調査の3本でございます。
 特に主な調査項目のところにございますが、介護療養型医療施設及び医療保険適用病床を有する医療機関への実態調査というところでは、医療・介護等の提供の状況、あるいは入院患者さんの状態・状況について、幅広く調査をさせていただければと思います。
 それに加えて、3番のところにございますように、特に各自治体における療養病床等の整備の状況につきまして、今後の整備の予定も含めて、調査をしたいというものでございます。
 4ページ目でございます。介護老人保健施設でございますけれども、調査の目的というところで、ポツが3つございますが、特に医療的なニーズがどういう状況か、居宅サービスへの移行を踏まえると、どういう状況にあるのかということを調査で明らかにしたいということでございます。
 3つのポツにございますが、介護老人保健施設で提供される施設サービスから居宅サービスへの円滑なサービスの意向に向けた取り組み。
 介護老人保健施設の目的にふさわしい医療・介護サービスの適切な提供体制や取り組み。
 介護老人保健施設のサービスを活用することで、在宅での生活が円滑に行うことが可能な利用者の特徴等についての調査を想定しているものでございます。
 今度の30年度の同時改定に向けた議論のデータにするということで、これまでの調査も同様の目的ですけれども、そのようにしたいというものでございます。
 調査客体として、悉皆調査で、老健施設について調査をする。
 それに加えて、自治体の状況について、調査をしたいということを考えております。
 5ページ目、特養、介護老人福祉施設についてでございますけれども、これにつきましては、調査の目的のところにも書かせていただいてございますが、主に医療的なケアの状況について、どういう状況なのか。認知症の対応、摂食嚥下障害の対応、がん末期の対応、看取り期の医療行為等についての調査、そのほか、夜間の配置体制がどうなっているのか、施設ごとの医療提供状況がどうなっているのか、あるいは看取りを入所施設で完結するための連携体制がどうなっているのか、その課題として、どういうものがあるのか、そういったものについて、調査をしたいということでございます。これは介護老人福祉施設、2,000施設、無作為抽出という形で、それを明らかにしたいと考えてございます。
 主な調査項目のところには、具体例ということで、先ほど申し上げました、今の入所者の状況であるとか、基本的なデータに加えまして、下に2つのポツございますが、医療体制がどうなっているのか、あるいは看取りについて、実績、あるいは計画の策定状況等、病院の搬送の理由等についてどうなっているのか、そういうことについて、調査をしたいということでございます。
 6ページをごらんいただければと思います。6ページはケアマネでございますけれども、これについては、昨年度も調査をしてございますが、本年の4月、介護保険部会でも、ケアマネにつきましては、御議論をいただいたところではございますけれども、その中でも、例えば公正中立であるとか、そういったものについて、どの位置で確保していくのかということが、1つの論点として挙げられてございますので、そういったものを踏まえながら、調査項目を設計していきたいというものでございます。
 調査客体といたしましては、事業所、3,000カ所程度の調査。加えて、ケアマネジャーに対する調査、利用者の調査、包括支援センターへの調査、自治体への調査を考えてございます。3番の主な調査項目のところには、具体例、どういったものを調査するのかということを整理させていただいてございます。
 7ページ目でございます。認知症につきましてでございますが、大きく2つございます。
 1つは、認知症高齢者に対するケアマネジメント調査ということで、4,000カ所程度の居宅介護支援事業所に対して調査をするものでございますが、これは認知症高齢者がどういうADL/IADLの状況であるのか、あるいは鑑別診断が実際に行われているのか、容態に応じたサービスというのは、どういう状況にあるのかということについて、明らかにしたいというものでございます。
 2つ目が、認知症高齢者に対するサービス提供に関する調査ということで、1万カ所程度の事業所を無作為抽出させていただいて、介護保険施設、居宅サービス事業所等の13のサービスを対象に、アセスメントの実施であるとか、認知症の人に対するケアの方針、あるいは個別の計画の作成の方法、医療機関との連携の状況について、明らかにしたいというものでございます。
 最後のページ、8ページでございますけれども、サービスの質の評価でございます。
 主な調査項目のところを見ていただければと思いますけれども、大きく3つございます。
 1つは、昨年度、作成をしていただきました、データ項目、アセスメントの項目バージョン2につきましてのデータ収集を行うということで、昨年度は、老健、あるいは居宅介護支援事業所を対象に調査をしてございましたけれども、調査の対象を今年度は広げるということ。あるいはこういった質の評価に資するようなデータを収集するには、現場の負担がどうなのかということが、非常に重要だと思いますので、評価のためのデータ収集の負荷が大きくならないような、日常業務と連動したような収集体制として、どういう体制があるのかということについても、検討をしていただきたいというものでございます。
 2つ目の柱としては、プロセス評価の検討ということで、そのあり方について、事業所及びサービスの提供者における、PDCAサイクルの確立を念頭に置いた、評価のあり方についての検討でございます。
 3つ目は、活動・参加の指標の検討ということで、昨年度は、生活機能のうち、主に心身機能に着目した指標の検討をしていただきましたけれども、今年度は、活動・参加に着目した指標について、検討していただいてはどうかということを考えてございます。
 以上、大変簡単でございますけれども、7本の調査について、事務局から簡単に御説明させていただきました。

○松田委員長 ありがとうございました。
 それでは、議題2及び3、平成27年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査、平成28年度調査の進め方及び実施内容につきまして、議論いたしたいと思います。
 後ほど順番に議論していただきますけれども、まず最初に、ただいまの説明に対する全体を通しての御意見、御質問がありましたら、お願いいたします。
 今村委員、お願いします。

○今村委員 全体を通じての御質問と意見なのですけれども、今、地域医療構想が各都道府県で定められていうところなのですが、随分作業がおくれておりまして、今ごろは、大半が決まっているかと思っていたのですけれども、実際に決めていくのを先送りしていくというのが、現状だと思います。
 そうなると、在宅の医療か、慢性期医療かというのは、各都道府県の裁量に任されているような形になっておりますので、どのあたりまで、各都道府県が在宅で医療を提供するかというところが、非常に不透明な状況になっていて、今回、調査をしていくに当たっても、どのあたりまで、それぞれの地域で在宅について踏み込んで、各都道府県が判断しているかというバックグラウンドが、とても重要になるのではないかと思いますので、調査設計の際に、そういったことは、全体に通じて、御配慮いただく必要があるのではないかと思います。
 以上です。

○松田委員長 ありがとうございました。
 個々の項目のところでも、これにかかわるところが出てくると思いますけれども、地域医療構想の関係はすごく重要だと思いますので、その点につきまして、検討をお願いいたします。
 ほかにいかがでしょうか。藤井委員、お願いします。

○藤井委員 今のことにあわせて、全般でございますが、この調査は、介護事業所を中心にしているわけでございますが、今回の改定の趣旨を考えますと、例えば医療療養病床は当然のことながら、精神科病院を対象にした調査であるとか、これは保険局や医政局との調整が必要になるかと思いますけれども、介護保険事業所だけを対象にしたものにするというよりは、もっと広げて考えたほうがいいのではないかということが1点でございます。
 もう一点は、資料4なのですけれども、これは、毎年、事務局も、委託先も、私たちも大変忙しい思いをすることでございますが、7月、8月、9月、10月のスケジュールなのですけれども、8月になりまして、委員会が組織されまして、そこから調査案のさらなる検討を行うという段階になっていて、フォーマルにはこうならざるを得ないと思うのですが、昨年度の居宅介護支援の調査も、最終段階といいますか、組織ができた上で、福井先生に看取りの項目を入れたらどうですかという御提案をいただいて、それまで誰も気づかなかったのが悪いような気もするのですけれども、改めてそこでそれは必要だということで、調査票を変えてもらったことがございます。
 何が言いたいかというと、厚労省と受託機関が協議の上とあるのですが、これはテーマによって、随意に対応していただきたいのですが、できれば、委員長となる人間、あるいは委員の候補となる人間の何人かからヒアリングをするなり、早いうちから意見をいただいて、枯れ木も山のにぎわいというよりは、三人寄れば文殊の知恵ということもございますので、早い段階から意見を入れさせていただく。でき上がった調査票から議論がスタートしますと、どうしてもそこに縛られてしまいまして、大局的な観点から、こういう項目が必要ではないかという頭にならないものですから、そこら辺の工夫を、全部統一的にやる必要はないと思うのですけれども、テーマごとにお考えいただければと思います。
 以上です。

○松田委員長 ありがとうございます。非常に大切な視点だと思います。
 ほかにいかがでしょうか。
 例えば項目の2、3、4というのは、それぞれ医療ケアを見ることになるのですけれども、そうすると、せっかくの調査ですので、施設ケア、医療ケアの違いみたいなものが見えてくるような形にするほうがいいと思います。そうすると、これまでも一緒ですけれども、調査項目の内容をそろえたほうがいいものもあると思いますので、そういうものの全般を見ていただいたら、いいのではないかと思いました。
 ほかにいかがでしょうか。
 これは田中先生にお聞きしたほうがいいと思うのですけれども、今回の地域包括ケアシステムの構築の推進ということで、1つ、大きな目的が立っているのですが、地域包括ケアシステムの構築の推進に、各研究、各調査がどのようにかかわって、何を明らかにしようとしているのかという、いわゆる仮説を少し出していったほうがいいのではないかと思います。
 あとは、全体の調査で、最終的に落としどころをどこにもっていくのかという、各調査の相互間の関連性を明確にするとか、そういうところも必要になってくるのではないかと、今、聞いていて、思ったところであります。
 先生、何か御意見はございますでしょうか。

○田中委員 ありがとうございました。言おうかと思ったことを御指摘いただきました。
 介護保険サービスは、全体として、地域包括ケアシステムの一員として、動かなくてはならないのです。したがって、それぞれの部品の中身がどう動いているかという研究だけではなくて、上位概念である地域包括ケアシステムに、それぞれのところがどうかかわっているかを示す共通した項目が入るのは、大変いい案だと思います。
 ありがとうございました。

○松田委員長 ほかにいかがでしょうか。
 あと、各調査は、全てそれぞれ質の評価にかかわってくると思うのですけれども、各調査の中でも、それぞれの視点で、質にかかわるような調査も入れていただけると、一番最後の調査7に関連させて、分析できると思いますので、そこら辺も御検討いただけたらと思います。
 よろしいでしょうか。
 恐らく個々の調査の中で、いろいろと議論が出てくると思いますので、時間がどんどん早く進んでおりますけれども、1つずつ議論をしていきたいと思います。
 資料6の別紙1の調査について、御意見があれば、お願いいたします。いかがでしょうか。
 川越委員、お願いします。

○川越委員 別紙1の「1.調査の目的」の2)に、維持期リハとの関係性が記載されています。これに関しては、維持期リハで対応すべき状態像の方と、訪問・通所リハという介護保険下のリハビリテーションで対応すべき状態像の方の違いを明らかにする必要があると思います。現在、通所・訪問リハ事業所を対象とする調査で、この違いを明らかにすることは難しいのではないかと思います。医療機関も対象とするか、あるいは通所リハの医師などに、医療リスクが高い方の状態像、通所リハで対応が困難な状態像とは何かを質問するなど、だれを対象に調査を実施するかという点も含めて、検討が必要と思います。

○松田委員長 非常に重要な視点だと思います。
 医療系をどうするかという問題は、どうしても出てきますので、それに関連していいますと、先ほど藤井委員から、精神病院に対する調査もあったのですけれども、特に認知症のデイケアに関しましては、精神でやられていることもありますので、そことの比較が必要になってくると思います。
 あと、いわゆるリハのほうで、医療機関の方からいろいろと指摘があるのは、脳血管障害とか、運動器のリハというのは、かなりわかりやすい部分があるのですけれども、呼吸器とか、心臓大血管系のリハの人たちも介護のほうに来ていて、そこのところの評価が適切ではないという御意見もありますので、傷病別のリハの状況なども見ていただいたほうが、いいのだろうと思います。
 ほかにいかがでしょうか。福井委員、お願いします。

○福井委員 調査客体の(4)、訪問看護ステーションということで、調査していただくとお示しいただいたのですが、こちらは、訪問看護の調査で、看護師が訪問していると、例えば要介護3、4、5の方が多くて、リハの訪問回数の多い方は、要支援から要介護1~2が多いというような、既存のデータもあるので、今、川越先生がおっしゃったように、医療での対応が必要な人と、介護での対応が必要な人を(4)だけではないのですが、(4)に関しても、その視点で調査をしていただけたらと思いました。

○松田委員長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。藤井委員、お願いします。

○藤井委員 1つは質問なのですけれども、数は少ないのですが、老健の訪問リハというのは、2に入ると考えていいのかという質問です。
 それから、横串だとあれなのですが、通いと訪問を組み合わせて、アウトリーチしながら、通所でも来ていただきながらというのは、通所介護と訪問介護でもできなくはないのですけれども、老健などですと、通所と訪問リハという組み合わせでやられて、効果があるという話を聞いたことがあるのですが、今の枠組み、制度上の通所リハと訪問リハが分かれているというものだけで、果たして見ていいのか。例えばケアマネジメントとリハビリマネジメントの関係等もあるので、事業所横断的だけではなくて、その人に対する維持期のリハから、介護保険のリハまでという見方の調査ができるようにされたほうがいいのではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。

○松田委員長 事務局、お願いいたします。

○西嶋介護保険データ分析室長 御質問の点、老健の訪問リハにつきましては、4ページ、別紙3になりますけれども、老健の調査研究の中で、短期入所療養介護事業所、通所リハビリテーション事業所、訪問介護事業所ということで、老健をやっているものについては、ここで調査をしたいと一義的には思っておりますが、今、御指摘のとおり、こういった施設単位で見る場合と、リハビリテーションという横組みで見る場合と、両方あると思いますので、これはそれぞれの調査組織同士で情報共有をしながら、進めていくことができればと思っております。

○松田委員長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。川越委員、お願いします。

○川越委員 調査内容に関してですが、医療機関からの訪問・通所リハでは3カ月ごとに計画書やアセスメント票を作成することになっています。帳票類の中には重要な項目が記載される仕組みになっているわけですから、例えばこうした帳票類を集めるとか、あるいは既存帳票の項目をベースにして調査項目を決めていくなどを考えてはどうかと思います。今後、訪問・通所リハのデータを蓄積するという事業も行われるわけですから、こうした将来的な動きとの整合性も含め、調査方法や内容を考える必要があると思います。こうした方法のほうが、記載側の負担も少なく、回収率も上げられる可能性があるかと思います。

○松田委員長 ありがとうございました。非常に重要な視点だと思います。
 既につくっている情報をうまく活用して集めるというのは、制度をいろいろと回していくためにも、非常に重要な視点だと思いますので、その工夫をお願いしたいと思います。
 ほかにいかがでしょうか。今村委員、お願いします。

○今村委員 調査のときには難しいかもしれないのですけれども、維持期リハで、少し心配していることがあって、診療報酬改定で、事実上、維持期リハは、介護のほうでという流れになってきて、介護のほうで受けることになってきているのですが、サービス量としては提供できるだろうと想像できても、介護保険の保険内でこれを受けることができるかどうかというのは、とても心配しているところです。
 特に、今回、移行期に当たっていくことを考えれば、医療保険で維持期リハを受けられなくなる方々が、介護保険の範囲内で、本当にそれを受けることができるのかという観点で、調査をしてもらえると、今の問題点の一番苦しい部分が見えると思います。難しい調査だと思うのですけれども、御検討いただければと思います。

○松田委員長 質問項目を工夫していただいて、その部分も明らかにしていったほうがいいかもしれません。これは医療の現場からかなり指摘されていることです。
 ほかにいかがでしょうか。堀田委員、お願いします。

○堀田委員 事務局に確認なのですけれども、リハビリテーションに着目した調査というのは、昨年度も、その前もやってきていると思うのですが、資料5の2ページ目に、平成27年度介護報酬改定に関する審議報告で示された今後の課題(抄)の2つ目の●のところに、共通の機能とともに、それぞれのサービスの特徴的な機能の明確化等により、一体的・総合的な機能分類や評価体系となるよう、引き続き検討するとあって、検討必要分野の真ん中あたりを受け続けているのではないかと想像しているのですけれども、他方で、先ほどの座長と田中委員の御指摘にもありましたが、ほかにも、上から2つ目の●及び検討必要分野の真ん中の居宅系のところに関連して、もちろん検証・研究委員会だけではなくて、ほかにも老健事業なども組まれていると思うのですが、(1)で何を明らかにしたいのか、どこにいこうとして、検証・研究委員会が位置づけられているのでしょうかということです。昨年度、そして、今年度やろうとしていることで、資料5の2ページの上から2つ目の●と、居宅系の真ん中にいくということが、これだけで想定されているのだとしたら、どんどん足していく必要があるのだろうと思いますが、ほかにも老健事業なども組まれているということなのか、どこまでを(1)で、特に2ページの上から2つ目の●に関連して、明らかにするという目的でセットされたのかということをお聞きできますでしょうか。

○西嶋介護保険データ分析室長 きょう、御説明は省きましたけれども、リハビリテーションと機能訓練の違いについては、昨年度、1本、調査をさせていただきまして、非常に似ているところと、そうではないところがかなり明らかになったと思いますので、ここでそういった機能の分類、あるいは評価体系のあり方と書いてあるのは、一義的には昨年度対応させていただいたと思います。
 一方で、今回の(1)の提案でございますけれども、調査客体のところの(3)(4)あたりは、引き続きそこを受けて、深堀をしていきたいというものでございますし、今村委員からもお話がありますように、例えば診療報酬改定の状況が新しい情報として出てきているので、そういったものを踏まえた調査を、特にリハビリテーション事業所を対象に、深堀をしていくということで考えています。

○堀田委員 ありがとうございます。
 そうすると、医療機関におけるというのも、調査客体として、しっかりとやられたほうがいいのではないかと思います。
 ありがとうございます。

○松田委員長 ありがとうございました。
 目的のところで、介護報酬改定後の効果を検証するということも書いてありますので、そもそも何を目的としていたのかということを明確にしていただいて、それが明らかになるような調査になればいいのではないかと思います。
 後でまた戻りたいと思いますので、続きまして、資料6の別紙2の調査について、御意見等があれば、お願いいたします。いかがでしょうか。
 今村委員、お願いします。

○今村委員 幾つかあるのですけれども、先ほど医療ビジョンのお話をさせていただきましたけれども、やるとしたら(3)の自治体における状況調査がもろに当たるのだと思うのですが、実際にこの調査をする段階で決めていないところもたくさんあると思うので、そういう曖昧な状況で調査をすることは、留意しながらやらないといけないだろうということと、見込み数、考え方だけでも調べていかないと、全体の計画では間に合わなくなると思いますので、そこら辺はお願いしたいと思います。
 それと(2)の部分の医療保険適用病床の調査で、漠とした形で書いてあるのですけれども、これが非常に難しいのではないかと思います。介護療養の中の医療と比較するということであれば、対照群としての医療療養などは調べていくとしても、それ以外の医療機関というのは、どんなふうにくくるかで、結果が大きく変わってきまして、その調査のやり方というのは、診療報酬の調査でも難しかったと思います。ですので、ここのつくり方が難しいので、早い段階から調査設計をしていただきたいと思います。
 診療所をどこでするのかというのは、表題には書いてあるのですけれども、やるとすると、ここなのかとも思うのですが、先ほどの地域包括ケアの在宅の問題で、最も重要になるのは、在宅医療の提供で、特に地域包括への支援診療所の活躍をどれだけやっていただけるかということに、成否がかかわってくる面があるのではないかと思います。診療所の調査は、ここでそこに向かってやるのか、やるとしたら、看多機との連携なども大変重要になってくるので、どちらからそれをアプローチするのかということは、最初の段階で整理をして、調査設計していく必要があると思います。
 以上です。

○松田委員長 ありがとうございました。非常に重要な視点だと思います。
 特に地域医療構想との関連で、先ほど今村委員から御指摘がありましたけれども、いわゆる70%を在宅に出すということと、都道府県間の地域格差をなくすということで、かなり在宅のほうにふえるということになってくるのですが、見てみると、要介護2とか、3という方が中心になるのですけれども、その人たちを地域でどういうふうに見ていくかという議論が、地域医療構想の調整会議等では、まだほとんどされていないのです。
 福岡県などで少しやっているのですけれども、実際、そのくらいの数が出てくると、まず1つは、介護保険財政の影響もかなり出てきます。どういう形でやっていくかというのは、実際、自治体の介護の担当者に情報がいっていない状況なので、それとあわせて、3の(3)をどういうふうにやっていくのかということは、調査の工夫が必要だろうと思います。
 ほかにいかがでしょうか。田中委員、お願いします。

○田中委員 今村委員が地域医療構想との関係を御指摘なさいましたが、この話は、社保審にできる特別部会で議論される療養病床のあり方、介護療養病床、25対1医療療養病床、どちらもとても影響してきます。介護保険の改定検証とは直接は関係しませんが、まさに自治体にとっても、特別部会の議論で、療養病床がどうなるのか見えない中で、どう答えたらいいか、きっと迷われると思うので、それを頭に置く必要があります。
 具体的な調査の中身としては、入院患者の状態・状況というところに、実際に入ると思うのですけれども、今、どういう患者さんが入っているかだけではなくて、この人たちが病院以外で暮らせるかどうか。例えば在宅医療が地域で発達したらとか、地域に外づけ医療を使いやすい住まいができたら移れるとか、この病院でなければ暮らせないのか、それとも出ていくことが可能なのかは、調査しておいてもいいのではないかと感じます。

○松田委員長 ありがとうございました。非常に重要な御指摘であります。
 地域医療構想の策定に関しまして、かなりの都道府県が介護療養病床の対象者に対する調査をやっています。どのくらいが退院可能なのか、そのどのくらいが、どういうサービスが必要なのか、世帯の状況等を調査されていますので、そういう調査内容も踏まえて、調査票を組んでいただいたらいいのではないかと思います。
 特に3の(1)の介護療養型医療施設に関しましては、平成29年度をもってなくなることになっています。そうすると、今、介護のほうで議論になっています、新類型への移行動向とか、そういうことも踏まえてやっていかないと、分析結果、調査結果を実際の施策に反映させるときに、いろいろと問題が出てくると思いますので、その辺も踏まえて、非常に過渡期で難しい調査だとは思うのですけれども、そこも組んでいただけるといいのではないかと思います。
 ほかにいかがでしょうか。福井委員、お願いします。

○福井委員 今村委員から、診療所また看多機との連携、在宅で医療の必要な人をどう受けていくかという御指摘があったのですが、診療所の先生と、実質24時間支えているのは、訪問看護でもあるかと思いますので、客体に入れていただけるように、御検討いただく場合は、診療所と訪問看護も検討に入れていただければと思いました。

○松田委員長 ありがとうございます。非常に重要な視点だと思います。
 私たちがやった調査でも、基本的には、訪問診療、訪問看護、訪問薬剤指導は、大体3点セットで入ってきていますので、そういう総合的なものを見られるようにしたほうがいいのかもしれません。
 ほかにいかがでしょうか。
 この調査は、認知症の問題がかなり大きくなってくると思うのですけれども、認知症のある、なしで、在宅に戻れるかどうかは効いてきますので、その部分も含めて、調査票の設計をお願いできたらと思います。
 また後で戻りたいと思いますので、続きまして、資料6の別紙3の調査について、御意見があれば、お願いいたします。いかがでしょうか。
 藤井委員、お願いします。

○藤井委員 目的のところに書いておられますように、施設から居宅サービスへの円滑なサービスに向けた取り組み等とありますし、タイトルが大変刺激的で、施設の目的を踏まえたと書いておられるのが、象徴的だと思うのですが、改めて中間施設という名前で出てきた老健のあり方を考えますと、どこから来て、どこに行くのかという、利用者のセグメントに応じて、どういった機能が提供されているかということになると思います。どこから来たというだけでは、十分なセグメントにならないと思いまして、例えば回復期リハビリ病棟から来たといったケースでも、急性期リハ、回復期リハが非常に短い期間で完了して、そのまま在宅になぜか行かないで、老健に来られているようなケースと、だらだらと回復期リハもやられて来たケースでは、かなり違いますので、来た先といった、さらにもう一つ、セグメントする視点が必要と思います。
 1つは、何のリハビリの疾病というのが、大きくくくれる方であれば、呼吸器であるとか、整形であるとか、あるいは脳血管疾患であるとか、くくれる方はくくれるのだろうと思いますし、また、それが曖昧になっている方もいらっしゃると思いますし、その中で、先ほどちらっと申し上げた中でいうと、精神科病院で、たまたま用があって、患者調査を見ていましたら、精神科のコードと神経科のアルツハイマーを足すと、65歳以上で18万人ぐらい、2014年の患者調査で入っておられまして、統合失調症と認知症が7万ずつで、残りが4万ということになります。精神科病院でやった調査を見たことがありまして、1割ぐらいが認知症という中で、典型例を調査されると、要介護認定をすると、7割が該当になる。3割が非該当ということです。
 何を言いたいかというと、今回、医療と介護の一体でございますから、精神科病院の中で、例えば長期入院をなさっていて、閉鎖的な環境の中で、廃用性の症候群になっておられる、介護度がつくタイプの高齢者、統合失調症をベースにもっておられる方もいらっしゃるでしょうし、あるいは現場で現に問題になっていらっしゃるような方でいうと、認知症が主なのだけれども、統合失調症もベースにあるような方であるとか、精神科疾患というものへのかかわりに関しては、老健はもともとそういう機関ではなかったと思いますが、実際には、精神科出身の方が老健をやっていたりということで、力を入れていたりすることもあります。
 いろんなことを申し上げましたけれども、老健施設というのは、どんな方でも受け入れて、いろんなことをやっているという老健もあれば、ある程度セグメンテーションを明確にして、ターゲットを明確にして、自分たちのやることをしっかりやっておられるようなところもあるのだろうと思いますので、そこら辺がわかるような調査にしていただきたいことが1点です。
 それから、在宅への退所率が高いところというのは、必ず在宅と施設との行き来をされている。半年老健で、半年在宅、あるいは3カ月老健で、半年在宅とか、いわゆる計画的利用をされている結果として、在宅復帰が高いといったケースが、今のものと別のケースではございますが、そういうものをどう考えて、どう捉えるかという視点も必要であろうかと思います。そういった計画的な利用というのは、今まで、どこでもいいとも悪いとも言ってきてなかったのですけれども、現に加算をとられているところでいうと、そういった方の比率が高いというのは、よく知られていることでありますので、そのあたりの考え方も必要だと思います。
 以上です。

○松田委員長 ありがとうございました。
 ほかに御意見はいかがでしょうか。お願いします。

○森本委員 施設の目的を踏まえたと、先ほど藤井委員もおっしゃいましたけれども、主な調査項目のところで、開設主体とか、開設時期と同時に、その法人なり、その施設の理念といいますか、そもそもなぜそういう事業を始めようと思ったのかとか、そのときの周辺の状況はどういうものだったかとか、それがどういうふうに変わってきているかということも、聞いていただけるといいと思います。

○松田委員長 今の森本委員の意見は、非常に大事だと思います。各施設が何をやろうとしているのかということと、受け入れている利用者さんの需給がちゃんと合っているかどうかということの視点からの分析は必要だと思っています。
 老健施設の片方で在宅復帰をやって、片方で看取りをやるという形で、うまく施設、在宅が回れば理想的だと思うのですけれども、多くの場合、両方を見ていくのはなかなか難しいことだと思いますので、その辺のところが明らかになるようにしたほうがいいと思います。
 ほかにいかがでしょうか。堀田委員、お願いします。

○堀田委員 今、藤井委員と森本委員がおっしゃったことにつなげてという感じですが、入所後のインテークの方針みたいなことを聞くと、ある程度お二人がおっしゃったことが、現実的には聞きやすいのではないかと思いました。
 それから、主な調査項目の(1)のところ、施設サービスから居宅サービスへの円滑なサービスの移行に向けた取り組みなどと書かれているところに関連して、地域の病院や診療所、居宅のサービスの関係者との連携、併設している場合ももちろんあると思いますけれども、連携がどうなっているかといったことも、5ページには、外部連携がかなり書かれているのですが、含めていただけるといいと思いました。
 あとは、先ほど藤井委員がおっしゃったことと、恐らく関連してくると思うのですが、今、入所なさっている方を指していると思うのですが、入院患者の状態・状況となっていますが、今までの検証・研究委員会の調査ですと、利用している方、入居、入所者の状況を一時点でとるものが多かったわけで、調査票上の工夫も必要ですし、負担も大きくなるのですけれども、一定程度プロセスというか、経緯を見る視点が、特に老健については、今の調査段階の状況ではなくて、経緯を見るという視点を重視していただければと思いました。
 以上です。

○松田委員長 ありがとうございました。
 福井委員、お願いします。

○福井委員 もし可能であれば、調査客体に利用者や御家族も入れられればと考えております。一昨年のこの調査の枠での結果だったと思うのですけれども、利用者さんはよくなっておうちに帰りたいけれども、御家族はいつまでも施設にいてほしいという、利用者と家族間の思いの違いも明らかにされていたりします。
 あと、目的の1ポツ目の施設から居宅への円滑なサービス移行で、うまくいかない理由の一つは、このような受け手側の認識だと思いますので、そのあたりも、可能であれば、検討いただければと思います。

○松田委員長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 先ほどの堀田委員の指摘も非常に重要でありまして、プロセスなのですけれども、介護保険課でお持ちになっている介護データベースを使うことで、例えば幾つかの地域ごとにプロセスを把握することは可能です。グループとして、老健施設にいた人がどういうふうな形で、動いていっているのかということを把握することで、定点観測というか、クロスセクショナルにやるものと、プロセスの評価を組み合わせることで、分析もできると思いますので、そんなこともやっていただけたらいいのではないかと思います。
 あと、介護老人保健施設につきましては、2つのことがありまして、1つは、地域包括ケア病床が医療のほうで出てきて、介護老人保健施設と機能がかなりバッティングしてしまっているという現状があります。この視点をこの中で入れられるのかどうかということも、御検討いただけたらと思います。
 あと、福岡などでお話を聞いていると、認知症を持ったがんの患者さんみたいな患者さんが、老健施設に入りにくいという状況があると聞いています。そういうことも、調べていただいたほうがいいのではないかと思います。
 ほかにいかがでしょうか。
 また後ほど戻りますということで、続きまして、資料6の別紙4の調査につきまして、御意見があれば、お願いいたします。よろしいでしょうか。
 今村委員、お願いします。

○今村委員 この特養の調査は、去年の調査でいろいろわかって、その追跡調査をしてもらっているのだと思いますけれども、特養から退所される方の大半が死亡退所で、その方々が入院されて亡くなっている。特養で退所される前に亡くなるので、特養の退所が死亡退所になるという現状で、亡くなる、看取りの状況が特養以外のところで起こっているので、そこにアウトリーチな調査をかけていかなければ、わかりにくいという現状があって、そこに焦点を当ててやってもらいたいと思います。
 それぞれの施設が、どれぐらいまで入院していたら対象になるのかとか、戻ってこられない可能性が高ければ、ずっと待ち続けるのかとか、そういうところが、最後の特養での看取りと大きく関与すると考えています。特養自身も、看取るという特養がふえてきて、100%施設内死亡という特養もかなりございましたので、そこと医療施設に行って、亡くなられる方が大半の特養との差というところがあって、どれだけ医療が提供できる特養かどうかということが、その差を生んでいるのだと思うのですけれども、それを明らかにできるように、もっていければと思います。

○松田委員長 ありがとうございます。
 藤井委員、お願いします。

○藤井委員 今の今村委員に関連してなのですが、今の看取り加算は、30日以内に病院に入院した場合にも、入院しないものも含めて、つくようになっている関係上、さまざまな看取り加算がつく看取りというものがあるように思えます。
 これはどうかというか、けしからぬと思ったのが、もともと関連といいますか、嘱託医から、例えば看取りはここまでやって、ここまでやったらうちの病院に入れろ、そうすると、収入が上がるとか、そういった話も聞いたことがございます。
 各特養の看取りと言っておりますが、今、今村委員がおっしゃったように、最期まで本当に看取った比率と、医療機関入院の期間の比率みたいなものを見なければいけないだろうと思うのですけれども、入院する場合は、今、申し上げたような、ある程度予定しているような入院もあれば、短期間の予定で入院したはずが、そのままお亡くなりになっているケースもあれば、あるいは看取りの流れで、想定したものと全く違うことが起こって、これは入院してもらわなければ、しようがないということで、病院で看取るというケースもあるのだと思います。
 それ以外に、家族も御本人も納得されていたのだけれども、家族が最期の場面に来て、やはりといった形で、病院に入る形もございます。病院に最期を委ねるという部分について、少し詳しく見たほうが、あるべき看取りみたいなものが見えてくるのではないかと思います。
 以上です。

○松田委員長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。福井委員、お願いします。

○福井委員 特養の看護師が、主には看取りをかなり中心的に支えているのだと思う一方で、ほとんど孤独というか、相談相手もいない中で、非常勤のドクターには、もちろん御相談はしていると思うのですけれども、ここの項目にも、認定のための研修実施状況とは書いていただいているのですが、職員が看取りを自信持ってできる取り組みをされているのかというあたりも、少し深目に捉えていただければと思いました。

○松田委員長 ありがとうございます。
 医師に関しても、いろいろと問題が出ているということですので、そこにかかわっているドクターに対する調査なども、必要になってくるのかと思います。今、彼らは何を問題で、どうして医療が提供しにくいと思っているかというところを、少し明らかにしていかないと、先ほど今村委員が指摘された事項に、対応できるような答えは出せないと思いますので、特養における医師のかかわり方に関して、現状、何が問題なのかということが少し明らかになると、いいのではないかと思います。
 ほかにいかがでしょうか。
 先ほどの3に戻るのですが、1つ、言い忘れていたのが、いわゆる評価を目的としたショートステイというのが、老健などでかなりやられているようなのですけれども、そういうものをどういうふうに考えるかということも、少し調査の中に入れていただけたらいいのではないかと思いました。
 なければ、次、資料6の別紙5の調査につきまして、御意見がありましたら、お願いいたします。藤井委員、お願いいたします。

○藤井委員 自立支援、公正中立、総合的かつ効率的なサービス提供の視点ということで、ケアマネジメントを居宅介護支援事業所及び介護支援専門員の業務の実態を見るということなのですが、自立支援、公正中立というのが、わかったようでわからないような面があるのだと思います。
 例えば公正中立ということで、何を見るかは、今は、特定集中減算みたいな、特定の法人に集中しないということを、制度では見ているわけですけれども、これが誘発していない、インディスディマンドがないのだという観点から仮に見るとすれば、特定の法人のみではなくて、量的にはりつけている量が多いであるとか、あるいは単一のケアプランが多いであるとか、そういった視点になってくると思います。仮に公正中立というものを1つブレークダウンして、インディスディマンドに落とした場合にということでございますけれども、それ以外にも公正中立は落とせると思うのです。
 それから、自立支援に関していうと、よくケアプランのチェックなどで見ておられるのが、平たく言うと、機能を維持、改善するためのプランになっているかみたいなことが言われまして、もちろんこれも自立支援に入ると思うのですが、自立という言葉が多様であるがゆえに、例えば自己決定支援というのは、本来、自立支援に入るのだと思うのですが、自己決定支援という意味でいいますと、地域包括ケアの中で重要なのは、看取りの支援なのだろうと思います。
 そういうふうに、少し自立支援、公正中立というのを、今まで当てはめた枠ではなくて、そもそも自立支援とは、公正中立とはというのを、今度の30年改定にあわせて、少し掘り下げた上で、項目設定というものをお考えいただいたほうがいいのではないかと思います。
 以上です。

○松田委員長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。田中委員、お願いします。

○田中委員 ケアマネジメント及びケアマネジャーを巡る議論は、介護保険始まって以来続いて、今でも重要なテーマです。前回の振興課がなさった検討会でも、明らかになった点は1つ、アセスメントからモニタリングまでに至る、一連のケアマネジメントプロセスの中で、ケアマネジャーが主体的にかかわるところ、多職種協働の一員としてかかわるところ、いわば観察者として加わるところといったように、濃い、薄いがあるはずです。
 主な調査項目の(2)ケアマネジャー調査(業務プロセスの実施状況)と書いてありますが、これをケアマネジャー1人が単独で責任を持つ行為の固まりと捉えてはいけなくて、あくまで一連のケアマネジメントプロセスが、業務プロセスであります。その中で、ケアマネジャーがどういうふうにかかわれているかが見えずに、ケアマネジャーのところに集中してしまうと、より上位の概念であるケアマネジメント業務を果たせているかどうかが見えなくなりますので、そこは調査票の設計で、これにかかわる方に工夫していただきたい。

○松田委員長 ありがとうございました。
 これは以前、前の調査のときにも、田中委員から指摘されていた事項だと思うのですけれども、今回の昨年度の調査でも、この部分が少し見えていないところがありますので、ケアマネジメントプロセスの中で、ケアマネジャーが果たす役割という形で、調査票をつくり、調査を組みかえていただく必要があるのではないかと思います。
 ほかにいかがでしょうか。では、粟田委員、川越委員でお願いいたします。

○粟田委員 先ほど藤井委員が、自立支援とは何かというところから考えていかないといけないということで、特に終末期のことが1つ関係するだろうという話で、私もそのとおりだと思うのですけれども、ただもう一つは、実際に私のところと関係がありますが、介護保険を利用している方の多くの方が、認知症の方だということがあって、実際に個々のプランを考える段階で、もう既に認知症の方たちが、その本人の意思が反映されて、プランニングされているのかということが、非常に気になり、問題になっているところではないかと私は思っています。
 典型的なのは、本人の意思に反して、施設入所が決まるという、これは非常に多く起こっていることでありまして、これは難しいことだとは思うのですけれども、終末期だけではなくて、全てのケアプランニングにおいて、特に認知症の方についてということだと思うのですが、どのようにして、本人の意思を反映させるように工夫させているのかということを、ぜひ調査していただければと考えております。

○松田委員長 今の粟田委員の御指摘も非常に重要でございまして、これも例えばKDBを使えば、どの地域で認知症を持ちながら、在宅でやられている方が多いかは、ある程度地域統制が見えてくると思いますので、そういうものを踏まえて、それと、ケアマネジメントとの関連性などを分析していくと、より問題が見えてくるのではないかと思います。
 川越委員、お願いします。

○川越委員 自立支援というのは介護保険の基本理念ですが、自立という言葉をどう捉えるかは人によって全く違ってくるかと思います。利用者が抱える生活課題をいかに解決していくかというところが重要であって、生活課題解決の結果として、自立支援につながるという理解が必要かと思います。
 以前、田中委員が座長をされていた委員会で、ケアマネジメントに関する一連の問題点が整理されていたかと思います。特に、協調されていたのは、一連のマネジメントプロセスの思考過程の強化であったかと思います。ケアマネジャーが他職種からどのように情報収集・統合しているのか、目標を関係者間で共有するためのサービス担当者会議をどのように展開しているのか、利用者の生活機能の変化の可能性をどのようにイメージし、何をどのようにモニタリングしているのかなど、一連の考え方がきちっとできているのかどうかがポイントだと思います。この点は7番目の調査の「ケアマネジメントの質」にも関係する話かと思います。したがって、今回の調査では、公正中立という仕組みの話と、自立支援という機能の話をきちっと分けた上で、ケアマネジメントの問題点の所在を整理する必要があるのではないかと思います。

○松田委員長 ありがとうございました。
 藤野委員、お願いします。

○藤野委員 2点、申し上げさせていただきます。
 1点目は、客体数なのですけれども、ケアマネ1万5,000人というのは、ケアマネの業務調査としては、かなり不必要に多いのではないかという印象を持ちました。目的に応じて、適切なサンプルサイズで、もしまれな業務を知りたいところでは、バリエーションを出したほうがいいのでしょうけれども、ちょっと多いのかと思います。
 もう一点は、ケアマネが今後、こういう業務にかかわってほしいみたいな論点もあろうかと思いますので、そういう意味でいうと、ケアマネより、むしろ周辺の多職種の方への調査をして、ケアマネにかかわってほしい業務が何かという観点も必要かと思います。そういう意味では、ケアマネ1万5,000人のところは、少し減らしてでも、多職種に人数を振ってもいいのかと思いました。
 ちょっとテクニカルな話ですけれども、以上です。

○松田委員長 ありがとうございました。
 今村委員、お願いします。

○今村委員 ケアマネジャーの調査で、ケアプランをつくるときに、医療関係のサービスを提供するときのことを、ぜひ聞いてもらいたいと思います。実際にケアプランを立てたときに、訪問看護などを組み込むかどうかというのは、ケアマネさんのバックグラウンドが医療系かどうかというのが、一番大きく影響していると思いますし、実際に訪問看護が入っていれば、もう少し違う展開があったのではないかというケースも、多々あると思います。
 すると、ここまでは現状として、わかっていると思うのですけれども、ケアマネさんが訪問看護を入れる考え方というのを調べてもらうというのが、一番現状をよく把握できるのではないかと思いますので、どういうふうに訪問看護を使おうと思っているのかということを、ケアマネさんの調査の中で、やってもらうと、今後、訪問看護をどんなふうに入れていくべきかということを決められるのではないか。
 実際にケアマネジャーさんが訪問看護を入れようと思うと、普通の家事支援だと、訪問看護1回で、2回か3回、家事支援ができるので、その天秤にかけて、訪問看護を入れるという、大きなポリシーがないと、入らないということがあると思いますので、そこら辺を聞いてもらえればと考えます。
 以上です。

○松田委員長 ありがとうございます。
 堀田委員、お願いします。

○堀田委員 先ほどの粟田委員の御指摘と、藤野委員の御指摘に、一部関連するのではないかと思うのですが、そのように組まれていればいいのですけれども、調査客体で、このケアマネジャーと利用者調査というのが、必ずしも結びつきがあるのかどうかわからないように書かれているのですが、特に先ほどの公正中立というところで、ケアマネジメントという機能の位置づけ、ストラクチャーという観点から議論することも必要なのですけれども、ケアマネジメントのプロセスが、本人中心でしっかり行われているかということを考えていく上では、先の見通しが本人を中心に共有されて、その目標と役割分担が合意されて進んでいるかということが、とても重要だと思うので、ケアマネジャーの調査と利用者の調査を、ケアマネさんから利用者を何人か選んでいただいて、ケアマネが見ている利用者の先の見通しと、本人が思っている先の見通しや希望や役割といったことが、合致しているのかという形で、数は減らしても、工夫をしていただける必要があるのではないかと思います。そういうのが1点です。
 もう一点は、田中委員の御指摘のところにも関連するかもしれないのですけれども、業務プロセスの実施状況と、3ポツの(2)のところにありますが、ケアマネジメントプロセスの中での居宅介護支援専門員の役割ということを考えるときに、もしかすると、既存の既に行われた調査の分析でやられていたらあれなのですけれども、看多機とかのように、事業所の中に、多職種、多機能があって、ケアマネジメントも内包されているパターンと、そうではないパターンのような形で、ちょっと比較をして、この業務プロセスの担われ方についての分析の見通しを立てるというような考え方もあるのではないかと思いました。
 以上です。

○松田委員長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。川越委員、お願いします。

○川越委員 訪問看護、訪問リハといった医療系サービスをケアプランに導入しようと考えたか、実際に導入できたかという結果の評価も重要ですが、利用者の意向によりデイサービスを導入せざるを得ないということは現実には生じてくる。ただ、デイサービスには看護師は配置されているわけで、要は、看護の視点が必要かという意識をケアマネジャーが持っていたかが重要かと思います。利用者の健康状態等の何をチェックしなければいけないかという意識があって、デイの看護師にそうした点の観察を依頼したなど、何のサービスを導入したかではなく、医療専門職の見立てや観察の必要性を考えたかどうかという点が重要だと思います。
 また、ケアマネジメントの質の現状と課題を検証しようということであれば、量的な調査だけでなく、事例ベースで、ケアマネジメントプロセスのあるべき姿と現状を評価し、どこに問題があるかということを把握するなどといった調査の方が、問題点の所在が見えやすいのではないかと思います。

○松田委員長 非常に重要な指摘だと思います。
 既に地域包括ケア研究会でも、いわゆるケアプロセス、ケアマネジメントの質項目みたいなものを挙げて、いろいろと検討をしていると思うのですけれども、田中委員が御指摘されたことにつながりますが、ケアマネジメントとして、何をやらなければいけないかという項目を明らかにして、それをどのくらいやられているかということを、まず踏まえて、あと、コミッショニングですので、そうすると、今回の調査客体1~5というところで、相互につながるような分析の設計を組んでいただくことが重要なのかと思います。
 ほかにいかがでしょうか。藤井委員、お願いします。

○藤井委員 ケアマネジメントプロセスということでいいますと、田中委員のおっしゃった事業所としてとか、あるいは連携先の中とあわせたケアマネジメントプロセスという中で、1つは、堀田委員のお話にも関係するのですが、一般の居宅介護支援事業所と小規模多機能みたいなうちで入っているものとの違いの1つが、実際にサービスを提供している機関とのやりとりのあり方が事実上、結構違っているケースが多いと思います。
 つまり一般の居宅介護支援事業所では、ケアマネがプランをつくり、それを各事業所に張りつけると、相互の情報交換とか、情報共有はあったとしても、その間は、ケアマネジャーがつくったプランと、そして、そのプランが、往々にして、本人や家族の希望に裏づけられたプランになっているがゆえに、そこから変わっていかない、変わっていきにくいというケースが多いのだと思うのです。
 それに対して、小規模多機能のようなところは、今、サービスを提供しているところに、まさにケアマネもいたりしますし、常に情報が入ってきますので、刻々と変えていく。ケアマネジメントプロセスといったときに、同じところをぐるぐる回るイメージではなくて、らせん状に推移していく。あるいはある程度らせん状に推移していくものを、先ほど粟田委員から、御家族の意向で施設に入るということのお話がありましたが、そういったケースは非常に多いわけで、では、ケアマネは無力化というと、御家族の意思であるとか、行動変容に働きかけるといったことができる力量が求められているのだと思いますし、そうであれば、ケアマネジメントプロセスというのは、らせん状に進むものであるといったような視点で、どう捉えるかという、これがデータでどう捉えるのか難しいとなると、先ほど川越委員がおっしゃったように、事例で捉えるという方法になるかもしれません。ケアマネジメントプロセスというものが何なのかという話が、各委員から出てきた話で、改めて例えば症例で書いてあるようなプロセスだけではないということだろうと思います。
 もう一点は、どこでもほとんど言われていないことなのですけれども、当然のことながら、ケアマネジャーというのは、成長していくはずなのですが、始めた当初は、事務能力もなければ、小規模な事業所であれば、それを教えてくれる人もいないといったようなところで、全く使い物にならないという状態から、熟練していく状態があると思うのですけれども、全部平たく捉えて、ケアマネジャーの実態とこれまで捉えてきているわけなのですが、ケアマネジャー1年目、2年目であっても、これまでの働き方によっては、新任とは言えないような能力をお持ちの方がいらっしゃるのかもしれないのですけれども、ケアマネジャーが熟練していないがゆえに、あるいは熟練していけば、業務が改善していくにもかかわらず、その部分で困っておられる。ここでいう、まさに業務遂行上の課題という部分とか、悩みを切り分けて考えないと、特に昨年度の調査では、1人ケアマネというのが、いろんな面で十分ではないと出ていたりしますので、何をどのような支援を1人ケアマネジャーにしていけばいいのかということを見るためにも、平均的なケアマネジャーの業務遂行上の課題や悩みということを見るのではなくて、どういった部分から、ケアマネジャーの熟練度具合を見て、熟練していると、こういう問題は解決しているといった見方をしたほうがいいのではないか。
 特に業務プロセスにおいては、人と人との間をつなげるような、ヒューマンスキルみたいなものを求められると思いますので、単に慣れているというだけでは、だめだと思いますので、そういったあたりも見据えて、業務プロセスを捉え直す。これはシステムとしてもそうですし、ケアマネジャーの成長としてもそうですし、そういった視点で調査をしていただければと思います。
 以上です。

○松田委員長 ありがとうございました。
 福井委員、お願いします。

○福井委員 医療のサービスを組み込むプロセスについて、御議論があったかと思うのですが、その中でも、中長期的なかかわりの必要な疾患を持っていて、リハビリなどの支援により悪化はある程度予防できる方と、どうしても最後に向かわざるを得ない、終末期や看取りの方というのは、またケアマネジメントプロセスも変わってくるので、医療の中でも、この2つの異なる方向性も、可能であれば、また深めていただければと思います。

○松田委員長 ありがとうございました。
 次に移りたいと思うのですけれども、その前に1つだけお願いあります。このケアマネジメントに関しては、総合的なマネジメント、例えばICTを使ってやっている先進事例というのがあります。例えば石川県のけいじゅヘルスケアシステムなどは、すごいシステムだと思うのですけれども、ICTを使った総合的な先進事例というのがありますので、そういう先進的な事例調査もやっていただくといいのではないかと思いました。
 続きまして、6番目ですけれども、認知症高齢者への介護保険サービス提供におけるケアマネジメント等に関する調査研究事業につきまして、御意見がありましたら、お願いします。
 粟田委員、お願いします。

○粟田委員 今回(6)では、認知症高齢者に対するケアマネジメントの調査と、認知症高齢者に対するサービス提供に関する調査の2本立てということになっているのですけれども、前者のケアマネジメント調査については、私の理解では、先ほどの5の調査では、ケアマネジメントプロセスにフォーカスを当ててということだと思うのですが、こちらの6では、認知症に対する実際のケアマネジメントの内容というか、ケアプランの内容がどの程度認知症の方の暮らしを可能にしているかということに向かって、調査をしていこうということなのではないかと思っているのですが、それをやるに当たって、ぜひ利用者を対象に、実際のケアマネジメントの内容についての調査をしていただきたいと思っております。
 具体的には、認知症の方の状態像、特に私は世帯類型が非常に重要だと思っているのですけれども、その背景情報と状態像にあわせて、どのようなケアプランが行われているのかという調査をしていただければと思います。今回はできないですけれども、今後、こういったケアプランによって、認知症の方が実際にどの程度暮らせているのかという、そういうアウトカム評価に向かった調査ができるようなことを考えていただければと思っております。
 2番目のサービス提供に関する調査ですけれども、これは昨年度、実際に13サービスについての実態調査をやらせていただいたので、大まかにはどういうことが行われているかわかっているのですが、今回、もう一度やろうということで、また同じことをやろうということではもちろんないと思うのですが、前回の委員会の中で出た議論の中では、仮説が必要なのではないかということがございまして、こういうサービスでは、こういう認知症ケアが行われる必要があるのではないかということを、よくよく考えながら、調査していくということが必要なのではないかという議論がございました.これは大変な難しいことではあるのですけれども、とにかく去年は、全くそういうことを考える時間がなかったということがございましたので、今年度は、昨年度の調査の結果を踏まえて、1つ、何か仮説的なことも踏まえながら、調査の設計をしていただければと考えております。

○松田委員長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。今村委員、お願いします。

○今村委員 実務的なことでお願いなのですけれども、各調査の中で、例えば医療施設関係もしやとしても、認知症のことについては、調べることになるのです。すると、こちらからの調査と各施設からの調査は、両方とも認知症のことを調べることになるので、認知症の高齢者サービスの調査でやるべきことと、各調査で認知症のやるべきことと、ぜひ最初に仕分けをしてもらいたいというのがお願いです。
 昨年、今までの調査の中で思ったのは、どの医療施設も認知症の保有される方のリスクが非常に高くて、施設によっては9割ということになるので、どうしてももう少し深く聞かない限り、認知症の影響というのが調べられない。もう一段深くなると、かなり重なってくるという現状があって、昨年の調査票を見せてもらった段階で、こういう調査のやり方もあったのだと思ったのですけれども、逆にそれは次の調査で、それを各調査で採用してやるのか、いやそれは認知症の調査でやるのかということを、しっかり区分けしないと、同じことを調べることになると感じたので、ぜひ最初の段階で仕分けをお願いしたいと思います。

○松田委員長 重要な視点だと思います。
 まず調査項目で、共通化できるものは共通化するということでやっていただけたらいいのではないかと思います。
 ほかにいかがでしょうか。
 あと、これも事業者調査、あるいは利用者さんの調査が中心になるのですけれども、例えば認知症高齢者に対するサービス提供に関する調査というのは、もし可能であればですけれども、中央会がおつくりになっているKDBをどこかの自治体単位で使えば、あれは医療と介護両方レセプトで入っていますので、そうすると、医療、介護をまたいで、認知症を持った高齢者の方がどういうサービスを受けているかということを、時系列で分析できると思いますので、もしそういうことを協力していただけるような自治体があれば、そういうところとあわせてやるということもできる。できなければ、厚労科研でやる形になるだろうと思いますけれども、そういうことの可能性も一応検討していただけたらと思います。
 後で全体に戻りますので、最後のものですけれども、資料6の別紙7の調査について、御意見があれば、お願いいたします。質の調査になります。今村委員、お願いします。

○今村委員 かなり質の調査について、項目も完成度が高まってきたと思うので、医療の質のほうでも、各団体がそれぞれ公表の指標のようなものをつくって、それぞれの事業所というか、病院単位で公表してもらうように、奨励をしていっていると思うのですけれども、その中で、初めてこういう質の評価というものを、ブラッシュアップされていくのだというのが、実感として、感じるところがあって、今、大分この調査が進んできているので、それとあわせて、各事業所単位で、質に関して公表できるものがあったら、公表していく。それを団体単位でまとめていただいて、こういう考え方があるということを示していただくということが、今後、この事業を完成させていく意味でも、必要なのではないかと思います。
 以上です。

○松田委員長 ありがとうございました。
 今の御質問に関連して、私のほうで知っていることでいいますと、済生会が既に福祉に関連して、老人保健施設、特別老人ホームにつきましてのサービスの質の評価に関する事業をやっていますので、そういうものも参考にしていただいて、この中に、今、老人福祉施設は入っておりませんけれども、そういうところも対象にしていただけたらいいのではないかと思います。
 ほかにいかがでしょうか。川越委員、お願いします。

○川越委員 これまで検討を進めてきた質の評価は、どちらかというと、リスクをどのようにマネジメントするかの視点が強かったかと思います。今回の調査では、別紙7の一番下の活動・参加の指標の検討という部分が重要になるかと思います。
 この点は、平成27年の生活期リハや介護予防の見直しと関係する話です。したがって、こうした見直しの方向性と今回の調査研究の方向性をそろえていくとい考え方を基本として持っておくべきではないかと思います。
 ここで大事になってくるのは、本人が何をどこまでしたいのかといった意向、本人の生活機能の予後、達成可能性を踏まえながら、どのような介入や連携を行いながら、設定した短期目標を達成していくのかというところが重要になってくるかと思います。この話はケアマネジメントとも絡んでくることだと思います。

○松田委員長 そういう意味で、確かに去年までの調査は、どちらかというと、中等度以上の重症度の方に対して、起こり得るメディカルなイベントを、どう予防するかという形でのリスクマネジメント的な要素が強かったのですけれども、今回は、少し軽いところまで見ていきますので、いわゆるIADLに着目したりとか、ADLに着目したという形で、少し軽いところになってきますので、そうすると、今、言われたみたいに、プロセスの評価だったりとか、あるいはICF的な観点から、本人の希望に対して、どのくらいマッチしたものができているのか、多分そういう形の調査設計になるのだろうと思います。
 藤野委員、何か御意見はありますか。

○藤野委員 この方針で結構だと思いますが、3.(2)のプロセス評価の部分も、個人的には、非常に重要になってこようかと思っています。これは恐らくマネジメントシステム等を意識した手法というのが、検討課題として、挙げられるのではないかと思っております。

○松田委員長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 一応全体が終わりましたので、続きまして、最後になりますけれども、7本の調査について、全体的に何かございますでしょうか。今の御指摘では、相互に重なる部分がありますので、各調査間の仕分けの話と、それから、項目を共通化できるものについて、共通化するということと、地域包括ケアの推進という観点から見て、それらの調査は、何を目的としているのかというところの目的の明確化と全体の体系化、そういうところが指摘されたのではないかと思います。
 ほかにいかがでしょうか。川越委員、お願いします。

○川越委員 資料5には28年度、29年度調査という記載がありますが、最終的には30年度の同時改定を意識しておく必要があるかと思います。こうした点で考えると、平成29年度調査を制度改正につなげられるかというと、時間的な軸で見ると多分難しい。したがって、28年度調査というのが報酬改定につながる重要なエビデンスとなるかと思います。このように考えると、今までの改定で各サービスに何を期待したいかという期待値と、実際にどこまでできているのかという現状のギャップを評価していきながら、同時改定につなげていくということを意識した調査にする必要があるのではないかと思います。

○松田委員長 あとは、地域医療構想、地域医療計画と介護系事業計画の連結をどうするかというところも出てくると思いますので、それを踏まえた調査にしていかないといけないのだろうと思います。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
 もしありませんでしたら、今日、いただきました、御意見の反映等につきましては、具体的な調査設計を行う際に、各調査検討組織における委員長の指導のもと、検討をいただくとさせていただきたいと思います。
 ほかにございませんでしたら、皆さんに御議論いただいた御意見等を踏まえまして、また6月1日水曜日ですけれども、ここで開催される、介護給付費分科会においても、議論いただいて、その後、スケジュールに沿って、調査票の作成を進めていきたいと思います。
 適宜、委員の先生方に御相談を伺うことになると思いますけれども、よろしくお願いいたします。
 それでは、ほかに御質問等がなければ、本日の議題はこれで終了といたします。
 最後に事務局から御連絡をお願いします。

○西嶋介護保険データ分析室長 冒頭の紹介のとおり、各委員の席に、本日の資料として、冊子の報告書案を置いてございますけれども、後日、正式なものは、郵送させていただきますので、その場に置いて、お帰りいただければと思います。
 ありがとうございます。

○松田委員長 よろしいでしょうか。
 それでは、本日はこれで閉会いたします。お忙しいところ、どうもありがとうございました。


(了)

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