ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医薬・生活衛生局が実施する検討会等> 「民泊サービス」のあり方に関する検討会> 第9回 「民泊サービス」のあり方に関する検討会 議事録(2016年4月12日)




2016年4月22日 第9回 「民泊サービス」のあり方に関する検討会 議事録

医薬・生活衛生局 生活衛生・食品安全部 生活衛生課

○日時

平成28年4月22日(金)15:00~17:00


○場所

全国町村会館 ホール


○議題

1.旅館業法遵守に関する通知に係るフォローアップ調査結果について(報告)
2.中期的に検討すべき課題について
3. その他

○議事

○渡邉(事務局) それでは、定刻になりましたので、ただいまから第9回「『民泊サービス』のあり方に関する検討会」を開催させていただきます。

 構成員の先生方におかれましては、大変お忙しいところ、当検討会にお集まりいただき、誠にありがとうございます。

 議事に入るまでの間は、厚生労働省生活衛生課の渡邉が進行を務めさせていただきます。

 それでは、お手元の資料の確認をさせていただきます。

 議事次第、座席表に続きまして、資料が1から4まで議事次第に記載のとおり配付させていただいております。不足等ございましたら事務局までお知らせください。よろしいでしょうか。

 また、本日の構成員、オブザーバー、関連する省庁からの御出席につきましては、配付の座席表のとおりでございます。

 本日は三浦座長代理、今井構成員、松村構成員は御欠席です。

 また、梅沢構成員は御欠席のため、相模原市保健福祉局保健所生活衛生課長の萩原尚志様に代理で御出席いただいております。川口構成員は御欠席のため、公益社団法人全国賃貸住宅経営者協会連合会事務局長の稲本昭二様に代理で御出席いただいております。末永構成員は御欠席のため、公益財団法人日本賃貸住宅管理協会副会長の土岐勝哉様に代理で御出席いただいております。

 なお、本日は御用意できるマイクの本数に限りがございます。構成員の皆様におかれましては、御発言いただく際はお近くのマイクをお使いいただきますようお願いいたします。

 それでは、以降の議事進行につきましては座長の浅見先生にお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○浅見座長 それでは、議事を進めたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 本日、第9回の検討会ですが、まず、一般住宅等における営業許可の相談件数や無許可営業の事例に関する平成27年度の各自治体の状況が取りまとまったということで、その御報告をお願いいたします。

○厚生労働省長田課長 それでは、資料1を御覧いただければと思います。

 「旅館業法遵守に関する通知に係るフォローアップ調査結果の概要」というタイトルの資料でございます。昨年11月に当検討会発足時におきまして、平成25年度及び平成26年度における無許可営業の実態に関する調査の結果につきまして、御報告をさせていただいたところでございますが、直近の平成27年度の状況はどうなっているのかといったことの把握と、さらに、民泊の実態をより把握するということで、前回の調査では無許可営業をどれぐらい把握し、それに対してどういう指導状況かというところまでの調査にとどまっておりましたが、その対象物件がどういったような類型なのかといったことにつきましても、併わせて調べた内容となっておりまして、検討の参考材料ということで用意をさせていただいたものでございます。

 表紙をおめくりいただきまして、1ページ目でございます。

 私どもが自治体に通知を出させていただきました「旅館業法の遵守の徹底について」の対応状況につきましては、「1対応した」が70%、「2対応予定」が30%になっておりますが、今回、4月に当面の対策を講じた関係も踏まえて、対応を検討された自治体もおありだということで、少し「2対応予定」という数が多いということかと受けとめております。

 その対応状況の具体的内容については、旅館業法に関する情報の周知が主でございますけれども「2無許可営業の実態把握のための調査を行った」、かなり積極的な対応を行っていただいた自治体も31あるというところが注目点の一つかと思っております。

 また、2でございますけれども、一般住宅等の小規模施設を使用した旅館業の営業許可に関する相談、いわゆる民泊的なものの営業許可の相談の状況につきましては、全部で6,269件でございます。そのうち許可を行ったのが707件(11%)、営業許可ができなかったのが777件(13%)等という結果になっているところでございます。

 2ページ以降がメインの部分でございます。旅館業法上の営業許可を受けていなかった事案についての把握状況でございます。なお、この実態調査の結果をより早く御報告させていただく必要があろうということで、この調査自体を2月にかけておりますので、平成27年度の数字は平成27年4月から平成28年1月末までの10カ月分の数字でございます。

 (1)でございますけれども、初回に御報告をさせていただいたとおり平成25年度の把握件数は62件、平成26年度の把握が131件に対しまして非常に大きく伸びております。平成27年度については10カ月間で994件でございます。違法民泊の実態が広がっているということも当然あろうかと思いますけれども、かなり自治体で御努力をいただいているという結果のあらわれというふうにも受けとめております。

 そして、その把握方法の内訳を平成25年度・平成26年度と平成27年度で比較いたしまして整理をしておりますけれども、1の保健所などが自ら把握をしたもの、近隣住民や宿泊者などからの通報によるものが大半を占めているところでございます。これまでなかった要素といたしまして4でございますが、管理会社や管理組合といったところからの連絡が相当件数で上がってきているところが、平成26年度以前とは少し違った特徴であろうかと思っております。

 おめくりをいただきまして、把握した無許可営業の状況に対して、その指導状況がどうなっているのかということでございます。営業許可を取得したものが35件(4%)、営業を取りやめたものが354件(36%)、指導継続中が325件(33%)となっておりますが、指導継続中のものにつきましては、下の注釈にもございますように、うち93件については許可取得に向けた指導を行っているものになっております。

 4でございますけれども、なかなか所在地が特定できないとか、所在地が特定できても営業者と連絡がとれないといったことも含めて、調査中が220件(22%)といったような状況になっているところでございます。

 最後に4ページでございますけれども、ここからが前回調査ではなかった分をもう少し詳細に調査をした部分でございます。まず、インターネットによる紹介サイトを利用した物件なのかどうなのかということでございますが、不明件数もそれ相応にありますけれども、不明を除けば圧倒的にインターネットの紹介サイトを利用しているものという結果になっております。

 さらに(2)でございますけれども、今回、わかる範囲で対象物件の類型、これまでの検討会でも戸建てか共同住宅なのか、自己所有なのか賃貸なのか、あるいは在住なのか不在なのかといった物件類型ごとに分けた議論をしていただいたわけでございますが、それを自治体の方で把握された実態としては、どういう結果だったかということをまとめたものになっております。

 横の円グラフのとおりでございますが、戸建てか共同住宅かということで言えば、共同住宅がやや多目という結果、自己所有か賃貸かという部分に関しましては不明物件を除きますと、大体2対1ぐらいの割合で自己所有ということでございます。逆に言うと、賃貸物件もそれ相応の割合を占めているということでございます。それから、家主在住か不在かということに関しましては、不明分を除けば大体在住物件が1に対して不在物件は3ぐらいの割合で、かなり家主不在物件の割合が占めております。こういった類型に関して対応をどうしていくかというところは、一つの大きな焦点として浮かび上がっているのかと受けとめているところでございます。

 以上でございます。

○浅見座長 どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまの報告につきまして、御質問はありますでしょうか。

 どうぞ。

○廣岡構成員 4ページの「(1)インターネットによる紹介サイトの利用の有無」というところがあるのですが、この利用していないという数は少ないのですけれども、これはどういう形で宿泊者を集めているか、あるいはどういう形態の民泊であるかというところがもしわかれば教えていただきたいのですが、いかがでしょうか。

○厚生労働省長田課長 申しわけございませんが、自治体の調査でそこまでのことは聞いておりませんので、現時点ではお答えができません。

○浅見座長 よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。

 どうぞ。

○稲本代理人 先ほどの4ページ目のことなのですが、これは、当然国内の民泊の現状でございますでしょうか。共同住宅で家主が不在というところが多いのですが、過去に観光庁から諸外国の民泊の事例を出していただきましたが、同じと見るのか、違うと見るのか、どうなのでしょうか。家主不在の共同住宅が多いということで出ているわけですけれども、諸外国と同じと見るのか、違うと見るのかどうなのでしょうか。

○厚生労働省長田課長 海外のデータを具体的に持ち合わせているわけではございませんので、そこは何とも言えない面はございますが、私の記憶するところで言えば、以前、 Airbnb 社がヒアリングに来られたときには家主在住物件が多いという御説明はされていたと記憶をしております。一方でフランスなどにおいて、家主在住とうたいながら、実態としては不在というケースのものもかなり報告をされているという話も聞いているところでございます。

○稲本代理人 ありがとうございます。

○浅見座長 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。

 どうぞ。

○北原構成員 家主在住と家主不在でございますけれども、先般の戦略特区の大田区でなされました条例によりますと、大阪もほぼ同じ内容ですが、大田区では家主在住はだめです、家主不在のところだけを旅館業法の枠外で一定の要件のもとに認めるとなっていたと私は記憶しているのです。ですから、大田区の戦略特区では家主が在住しているとできない、不在ならできるという形にされていると思うのですが、その点は間違っていますでしょうか。

○厚生労働省長田課長 その点に関しましては、確か前回の検討会でも御指摘があったように記憶をしておりますけれども、法令上の要件として、明示的に家主居住か居住でないかということをうたっていることではございません。ただし、政令要件の中に部屋に鍵がかかるということがあって、その居室に風呂といったものが備えられているということが書かれておりますので、実態的にはよほどすごく広い家で、それぞれの部屋に鍵がかかって個室化されているようなケースであれば、家主居住の場合でもその物件要件には該当し得るケースがあり得るとは思います。家主さんが居住をされて、そういう物件状態にあるというケースは余り想定をされないのかと思っておりますので、実態としては、居住のタイプが要件にはなかなか馴染みにくいとは思っております。ただ、法令上は特に家主居住か不在かということを明確にうたっているということにはなっておりません。

○北原構成員 ただ、不動産業界に対する申請の際の説明のときに大田区さんが、家主在住ということは家主とゲストの方が同じ風呂に入ったり、あるいは同じ便所を使ったり、あるいは同じ調理台で食事を作ったりするということが保健衛生上の観点から言うと、感染症が伝播するという危険性も考えて、ゲストはゲストだけで泊まる、家主がいない形でしか認めないという説明を不動産屋さんにしたと聞き及んでおるのでございます。あくまで大田区の説明は保健衛生上の観点からという説明をしていたと思うのですが、いかがですか。

○厚生労働省長田課長 特区の場合、居室は宿泊者が占有できるということなので、事実上はそういうことになろうかと思います。各自治体がその運用に当たって個別に指導をされている内容については、各自治体の御判断が加わっている部分もあるかと思います。

○浅見座長 ほかにいかがでしょうか、大体よろしいでしょうか。

 それでは、次の議題「.中期的に検討すべき課題について」に移りたいと思います。

 「2.中期的に検討すべき課題について」は、前回の議論を踏まえ、議論のたたき台となる資料を事務局に御用意していただきましたので、まずは事務局から資料を説明していただき、その後、意見交換をしたいと思います。本日も活発な御議論をお願いします。

 それでは、資料の説明をお願いいたします。

○厚生労働省長田課長 引き続きまして、資料2「民泊サービスの制度設計について」を御覧いただければと思います。

 まず、表紙をおめくりいただきまして、少し復習的になりますけれども、「中期的に検討すべき課題」として、先の3月15日に中間整理において整理をいただいた内容のポイントを簡単に整理させていただいております。

 現行制度の枠組みにとらわれず、仲介事業者や管理事業者への規制を含めた制度体系を構築すべき。

 安全確保等を前提に、「一定の要件」を満たす「民泊サービス」については、例えば、許可ではなく、届出とすること等を検討。

 「一定の要件」について、これまでの議論を踏まえ、引き続き検討(家主居住の有無、日数上限、宿泊人数上限、管理者の介在等)。

 宿泊者名簿や最低限の衛生管理措置は求めるべき。

 報告徴収、立入調査等が可能な枠組みは必要。

 現行旅館業法の宿泊拒否制限規定の見直し。

 近隣住民とのトラブル防止のための措置を検討。

 無許可営業者への罰則等の見直し。

 用途地域規制等関係法令における取扱いについて検討。

 仲介事業者、管理事業者に対する実効性ある規制を検討。

その上で、必要な法整備に取り組む必要といったことであったかと整理をさせていただいております。

 こうした中間整理での整理の内容、そして、前回いろいろ御意見などをいただきましたことを踏まえて、少し制度設計のフレーム的なものをたたき台として用意させていただいたものが2ページ目以降でございます。

 まず、民泊サービスに対するニーズに対応して、どういったものを新たな民泊サービスの体系として位置付けるかについてでございますけれども、左の箱に3つポツがございます。これは実際に中間整理でおまとめをいただいた内容をそのまま記載したものでございますけれども、1つは今の宿泊需要に対応するための宿泊施設の供給対策という側面、2つ目に空き家の有効活用といった地域活性化の側面、3つ目といたしまして、多様な宿泊ニーズに対応した宿泊サービスの提供といった側面を挙げていただいているわけでございます。

 そういったことを踏まえますと、新たな民泊につきましては、既存の住宅を活用した宿泊サービスの提供と位置付けてはどうかということです。その上で、家主居住のみならず、家主不在の物件も対象のフレームとして考えてはどうかということでございます。

 先ほど説明しました、ニーズとの対応関係で言いますと、家主居住タイプは例えばおもてなしとか、主として多様な宿泊ニーズに対応するというイメージ。そして、家主不在タイプにつきましては、主として空き家の有効活用という観点でございますとか、宿泊需要への対応といったところに応えていくという部分として、大ざっぱには整理ができるのかなということでございます。

 その上で、2つ目の箱はこれまでも散々検討会でも議論いただいた、民泊の最大の懸案として指摘をされてまいりました、宿泊者の安全性の確保をどうしていくのか、近隣住民とのトラブル防止措置についてどう対応していくのかということでございますけれども、民泊サービスを提供する方については当然そういった適正な管理でございますとか、衛生水準を確保するための最低限の責務を果たしていただくということは大前提であろうかと思っております。

 そして先ほど、家主居住タイプ、不在タイプをあわせて射程に入れるということを申し上げましたけれども、家主不在の場合には誰が管理をするのかということがこれまでの一つの大きな課題であったわけでございます。先般、賃貸協会さんからも御提案などをいただいておりますけれども、そこにきちんとした管理者を置く。管理者に委託することによって、きちんとした適正な管理を確保するといったことによって、家主不在物件のタイプについての課題解決をしてはどうかということでございます。さらに仲介事業者についても、一定の責務をきちんと果たしていただくことによって、民泊サービスの適正な実施を確保する。今の民泊は一番何が課題かというと、誰がどこで何をやっているかということがよくわからないということで、行政がきちんと把握し切れていないという部分がございますので、行政が把握できる仕組みをきちんと確立し、匿名性も排除していくということを基本的に考えたらどうかということでございます。

 その上で既存の旅館、ホテルの皆様は許可営業者として当然のこととしてしっかりとした管理を行っていただいているわけでございますので、物件が適正に管理されているというだけでは、旅館、ホテルと何が違うのか、ということになります。したがって、旅館、ホテルと新たな体系のものと何か一線を画す合理的な要件が要るであろうということでございます。新たな規制の枠組みの対象となる民泊のサービスの範囲については、既存の旅館、ホテルと異なる取り扱いとすることについて、合理性のある一定の要件は設定する必要がある。これは中間整理でも指摘がされている部分でございます。そして、民泊なのか、旅館業の世界なのかということの線を引くという部分で、そこの線を越えれば旅館業法の世界に戻ってくる、旅館業法の許可対象になるのだろうと思っております。

 一方で、既存の旅館、ホテルとの競争条件の確保という観点から見た場合には、既に宿泊拒否制限規定については民泊だけではなくて、既存の旅館、ホテルについても共通して見直すべきという御提言を中間整理時点でおまとめをいただいておりますが、既存の旅館、ホテルも含めた規制の見直しもあわせて考えていく必要があるのではないか。そういったことでまとめさせていただいております。

 2ページの大きなフレームのうちの2つ目の箱で、実際に管理者あるいは仲介事業者にどういった責務を求めていくのかが適当かということで、もう少し詳しく案を整理したものが3ページでございます。

 3ページの内容につきましては、観光庁の西海課長から御説明をさせていただきます。

○観光庁西海課長 観光庁でございます。3ページについて御説明させていただきます。

 今のお話の続きでございますが、前回、共同賃貸住宅の空き家を念頭に置いたプレゼンテーションがございましたけれども、それも参考にしながら、今回まとめさせていただきました案をつくりましたので、共同住宅の空き部屋というか空き家を利用する家主不在型の民泊サービスについての制度設計の考え方と捉えていただければと思います。

 これにつきましては、家主が居住するホームステイ型の民泊サービスに比べまして、資料にございますように騒音とかごみ出しといった近隣トラブルのリスク、施設が悪用されるリスクなどが高まり、近隣の住民の方からの苦情の申し入れ先というのも明確ではないといった問題点がございます。

 前回のプレゼンテーションの中で、元々こういった住宅ではちゃんとした管理業者さんがいらっしゃるといったお話もございましたので、登録を受けた管理者の方にきちんと適正な管理、安全面、衛生面を確保していただこうというのが次の白丸でございます。登録を受けた、要するにきちんとした一定の要件をクリアした管理者の方が、1つ目は安全性の確保でございますが、利用される方の名簿の作成・備え付け、それから、利用者に対する注意事項の説明、これで具体的に想定されますのは、例えばごみの処理方法でありますとか、騒音で周囲に迷惑をかけないことといった注意事項が想定されますが、こういったことの説明をする。さらにこの管理者の方は、周囲からいろいろな問題があったという場合には苦情に対応できるよう苦情窓口の設置を行う。苦情の受付でございます。

 当該住戸について、法令や規約違反がないということの確認はこれまでの検討会でも議論になって、例えば規約といいますのは区分所有マンションで言えば管理規約になりましょうし、共同賃貸住宅で言えば賃貸借契約となりますが、その中に無断転貸の禁止等がございますので、こういったものの違反がないということの確認をするといった業務を担当していただくということで、適正な管理、安全、衛生面の確保を図るといった考え方でございます。こういった考え方で管理者規制をやっていったらどうかということでございます。

 もう一つ申し上げると、ホームステイ型も当然仲介できるのでそれも両方入りますが、この仲介業者への規制でございますけれども、これにつきましても一定の要件を課して登録を受けて、問題があった場合には、例えば業務停止みたいな一定のサンクションをかけられるようにするという方向で考えたらどうかと考えてございます。

 まず、1つ目の白丸でございますけれども、この仲介業者については登録を受けることを必要とし、その上で、こういった仲介業法の中で大抵は書いてございます、いわゆる消費者の取引の安全を図るための取引条件の説明義務を基本的に業者に課す。さらに今回の場合、民泊サービスという新たに定義するものがございますが、新たに定義する民泊サービスであるということを例えばサイト上に表示する義務を課してはどうか。さらには行政への情報提供義務。典型的な例を申し上げると、治安のために必要な情報提供義務といった規制を課すことを検討してはどうかというのが1つ目の提案でございます。

 そして、2つ目ですが、民泊がこれまでのものとは違うという線引きをするための一定の要件ですが、この要件が今後具体的に決まった場合に、これに違反したり、あるいは例えばホームステイ型であっても、居ますと言って実は居なかったみたいな偽装していたような不適切な民泊サービスについては、広告等のサイトへの掲載削除命令をできるようにするとともに、不適切なサービスであることを知りながらサイトに掲載している場合には、さらに業務停止命令といった処分、要するにサンクションをできるようにすることを検討したらどうかというものでございます。

 また、この検討会でも度々議論になりました、例えば外国に本拠があるような仲介業者に対する取り締まりの実効性というのが論点になっておりましたが、これにつきましては、一度申し上げましたように、外国に本拠があったりいたしますと、必ずしも実効的な規制、取り締まりが難しいということを申し上げました。その一方、例えば既存の我が国の法律では、金商法のように法令違反行為を行った者の名前とか違反行為の内容を実名公表できるという仕組みがございます。前回もそういったことに近いプレゼンテーション、ヒアリングがございましたけれども、法令違反や違反行為を行った者とか内容を公表できることも検討してはどうか。つまり、公表されることによって、違反業者のところにやると自分も違反になってしまうので、そういった違反業者のところに違法な民泊サービスが提供されることを事実上抑制していくということを狙ったものでございますが、こういった規制を検討してはどうかということでございます。

 以上です。

○厚生労働省長田課長 引き続きでございますが、まず、今の3ページの内容に関して、一点だけ私から補足をさせていただきます。

 「1.管理者規制の方向性」というのは、あくまで不在ケースについて管理者に管理の責任を担っていただくという提案でございますので、家主居住のいわゆるホームステイ型の場合には、居住者自身が名簿の備え付けなどの義務、責務を担っていただくことをイメージしているということでございます。その場合に管理者については行政への登録という提案をさせていただいておりますけれども、個人のホームステイ型について登録といったレベルで考えるのか、もう少し簡易な仕組みで考えていくのかといったところにつきましても、もう少し詳細な検討が要るのかと考えております。

 最後でございますが、4ページでございます。

 2ページの大枠の関係で言えば、3つ目の箱に対応する部分でございますけれども、一定の要件として、既存の旅館、ホテル業とどういう尺度で線を引いていくかということに関しましては、これまでさまざまな御意見をいただいているところでございまして、これまでいただいた主な御意見、そして、海外の例を議論の素材として、整理、準備をさせていただいたものでございます。

 まず、一定の要件として、営業日数で線を引いてはどうかという御意見がございます。これにつきましては年間30日以内という御意見、他方で提供日数に制限を求めるべきではないという御意見がこれまでございました。海外の例としては、年間90泊以内とか年間60泊以内という事例がございます。

 宿泊人数で線を引いてはどうかという御意見もございます。1日当たりの宿泊人数が4人以内といったことで、海外につきましても4人とか8人といった例がございます。

 「その他」といたしまして、「『一定の要件』の設定に当たり、マンションの一棟貸しやその大半を民泊として使用するような形態の民泊は、既存のホテル・旅館営業と何ら変わることはないため排除するべきである」という御意見がございます。さすがにマンションの一棟貸しに関しては、事務局としてはなじまないのかと考えているところでございます。「また、複数物件を取り扱うことは認めるべきではない」という御意見、それから、面積といった切り口もあるのではないかという御意見、「マンションについては、管理組合や大家の承認を得ていることを要件とすべき」といった御意見をいただいております。

 海外の例といたしましては、「一度に4部屋以上の貸出禁止」でございますとか、住宅の所有者が何カ月以上住んでいるとか、あるいは住居空間の50%未満という面積要件的なものかと思いますが、そういった事例が幾つか見受けられるところでございます。

 資料2の説明としては以上でございます。

○浅見座長 どうもありがとうございました。

 国土交通省と消防庁からも資料を提出していただいておりますので、御説明をお願いいたします。

○国土交通省香山課長 国土交通省住宅局市街地建築課でございますが、資料3というものを準備してございます。

 補足的に御覧いただくものでお手元に紙ファイルがありまして、ちょっとペラをめくっていただきますと4番というところの裏側、用途規制の立地について御紹介しておりますので、そちらとあわせて御覧いただきたいと思います。これまで度々民泊、旅館、ホテルの立地規制が議論になってまいりましたので、改めて御説明をさせていただきます。

 紙ファイルの表にありますように、建築基準法では、都市計画で定められました12の用途地域ごとに立地可能な建築物の用途、立地を禁止される建築物の用途を定めてございます。この中で左側から順に第一種低層住居専用地域というところから一番右側の工業専用地域まであるわけですけれども、左側の7つがいわゆる住居系の用途地域になります。なおかつ、左側の4つの第一種低層、第二種低層、第一種中高層、第二種中高層の4つをいわゆる住居専用地域と呼んでおります。この住居専用地域における用途規制を御覧いただきますと、住宅は当然住居専用地域ですから立地可能ですけれども、ホテル、旅館については基本的に立地ができないという規制になってございます。ホテル、旅館が立地可能な用途地域は、第一種住居地域以下、第二種住居、準住居、近隣商業、商業といった一定の住居系地域と商業系の地域に限定されている。これが大前提であるということを御理解いただきたいと思います。

 その上で、建築規制の中では一般原則としてこういう形での立地規制をしておりますが、地域の判断によって立地規制を強化する、あるいは緩和をするということが可能なシステムをとっております。そちらが事例として資料3になります。すなわち市町村が都市計画で特別用途地区を定め、そこで必要な規制を行った場合には原則の立地規制を強化する、あるいは緩和するということが可能でございます。

 この資料では2種類ございまして、左側がA町ということで箱根町でございますけれども、第二種低層住居専用地域において一定の旅館やホテルの立地を認めて緩和をした事例、右側は逆にいわゆる文教地区、大学等が集中する地域の第二種中高層住居専用地域で、もともと1,500m2 以下かつ2階建て以下の物販店舗の立地が可能ですけれども、これを500m2 以下のものに限定して立地を許容している、用途制限を強化した事例でございます。

 こういった特別用途地区を指定して、一般ルールとして強化、緩和をするということに加えまして、特に資料はございませんけれども、個別に一件一件の施設の地域に与える影響等を判断して許可をするという制度もございます。その個別の許可はここ約10年間で大体計3,000件ぐらいの許可の実績があるということでございます。

 以上、建築基準法における用途規制について御紹介をさせていただきました。

○消防庁鈴木課長 続きまして、消防庁でございます。

 資料4を御覧いただければと思います。また、先ほどの国土交通省さんと同様に第1回目で配りました、紙ファイルの5番の資料もあわせて御覧いただければと思います。

 5で書いてあります資料は、第1回の説明資料でございますので、それの抜粋部分を資料4に再掲したということでございます。また、資料4の下の方は、第7回の検討会で御説明いたしましたリーフレットの概要について御説明しているところでございます。

 本件につきましては前回の検討会におきまして、事業所の方から民泊に自動火災報知設備は要らないのではないかという御意見もございましたので、自動火災報知設備の概要について、もう少し掘り下げて御説明をしたいという趣旨でございます。

 上の方を見ていただきますとおわかりいただけますように、建物全体の延べ面積が500m2 以上の場合ということで1に書いてございますが、この場合におきましては、共同住宅においても既に自動火災報知設備の設置義務はかかっているところでございます。したがって、新たに民泊を始めたいという方で新たに自動火災報知設備を設置しなければいけないケースというのは、延べ面積が500m2 未満の場合に限られるということが一つでございます。右側の2でございます。細かくは御説明いたしませんが、それぞれの民泊に使われている面積ですとか延べ面積に応じて、建物全体に必要な場合と民泊部分と管理人室、ないしは共用部につけていただくといういずれかのケースが出てくるということでございます。

 下の方に参りますと、今、話題になりました、延べ面積500m2 未満の共同住宅の一部を民泊として活用する場合にどのような火災危険性が想定されるかということを整理したものでございます。常日頃使っていない火気使用設備、具体的にはコンロですとか暖房器具等々の火気使用設備を用いることによる出火のリスクでございます。特に外国人の方であれば文化の違いであったりとか、また、言葉の違い等々で誤った使い方をしてしまうという火災リスクが考えられるのではないか。

 また、消火設備の設置場所ですとか使用方法を把握できないことによる初期消火失敗のリスクでございます。具体的に火炎が立ち上がった場合は数分で炎は天井に届きますし、大きく火災が拡大してしまうということで、初期消火に使える時間というのは非常に限られているところでございます。この間に速やかに消火器を持ってきていただいて消すことが求められるところでございますが、初めてお使いになる場合に、どこにあるかということについて確認したりということで時間が経ってしまう。初期消火失敗という危険性があるのではないか。

119番通報を行わずに消防機関への通報が遅れてしまうということで、特に外国人の方でありますと119番を押すということを御存じなかったり、言葉の問題等々ございますので通報に課題があったり、また、4番にございますように、施設の不案内なことにより宿泊者の避難が遅れてしまうリスクが高い。特に民泊につきましては就寝施設でございます。これまで火災統計等を見ていきますと、寝ている間の死者の発生率というのは起きている時間帯の約倍の方々がお亡くなりになっているということでございまして、これは当然寝ているわけですから、どうしても避難の開始が遅れてしまうというところでございます。

 さらには、500m2 未満になりますと、建築基準法の関係にもなりますが、建物の構造といたしまして、3階以上でないと防火区画が形成されない。階段を煙から守るような区画が形成されなかったり、建物の耐火性能が劣るとか、内装の不燃化がなされていない。そういう火災リスクを踏まえまして、自動火災報知設備の設置の有無という議論になろうかと思います。

 裏面に参りますと、「自動火災報知設備」と「住宅火災による死者の発生原因」で整理したものがございます。

 右側が「住宅火災による死者の発生原因」でございますが、どういう要因でお亡くなりになっているかということでございます。逃げ遅れが半分を超えるような状況であり、それ以外に着衣着火で衣服に炎が移って亡くなってしまったり、一旦逃げたけれども、再度進入したりということでお亡くなりになっている方がいらっしゃいますが、多くの方々は逃げ遅れでございますので、火災の発生を早期に知っていただき、速やかに逃げていただくとか対応していただく必要がある。

 特に左側にございますように、「自動火災報知設備」は「火災時に火災を感知した感知器の信号を受けて、建物内の在館者が火災の発生を覚知できるよう、警報音を鳴動させる設備」ということでございます。

 なお、似たような設備として住宅用火災警報器がございますが、住宅用火災警報器は感知した感知器のみが作動するということでございまして、左の図で御覧いただくと火災発生室があった場合、ここの感知器は鳴動しますが、ほかの感知器は一切鳴動しないということでございます。隣室とか離れたお部屋にいらっしゃる方が火災の発生を初めて知るのが激しい煙が噴出していたりとか、音が聞こえてきたりということですと、逃げ遅れの懸念が高まるのではないかということから、自動火災報知設備の設置を求めているということでございます。

 以上でございます。

○浅見座長 どうもありがとうございました。

 それでは、意見交換に移らせていただきます。

 今回、具体的な制度のあり方につながる意見交換ができればと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

 どなたからでも結構なのですが、どうぞ。

○北原構成員 今、消防庁から御説明いただいたことへの質問なのですけれども、集合住宅の建物を最初に建てられているときはもちろん住宅という用途で建てられている。一定割合を超えていろいろな設備が要るというときに、不動産業界の方がよく100m2 の壁という言葉を使われて、100m2 を超えると確実に用途変更の申請をしなければならないからいろいろな規制がかかってくると聞いたのですが、これは300m2 以上で民泊部分が1割ということは100m2 以下でも規制がかかる。不動産業の方がよく言われる100m2 の壁というのは、どういう意味なのかが私もよくわからないのです。

○浅見座長 どうぞ。

○消防庁鈴木課長 消防庁でございますが、多分100m2 の関係は、建築基準法の用途変更の申請手続を100m2 以上の場合はしていただくということであろうかと思います。他方、消防法の場合におきましては、どういう用途に供されているかということでございますので、そこは100m2 に関係なく、どんな場合でも必要な設備はつけていただく。したがって、右側にございますように100m2 を下回る小さなお部屋であっても民泊に使うのであれば、それはちゃんとした安全対策をとっていただくという趣旨でございまして、消防法については、100m2 はとりあえず関係ないとお考えいただいた方がよろしいかと思います。

○北原構成員 100m2 を超える用途変更届というのはどこに出すのですか。

○国土交通省香山課長 用途変更の手続につきましては、建築基準法で規定されていますので、いわゆる指定確認検査機関になろうかと思います。

○北原構成員 ただ、100m2 を超えた用途変更をすると、非常にコストがかかると不動産業の方はよくおっしゃいますけれども、要するにいろいろな設備の基準が厳しくなるから、古い建物を民泊に利用しようとしたときにいろいろな設備を改善しなければ用途変更ができないということで、開業に当たってイニシャルコストがかかるという言い方をされたのですけれども、そういうことはあるのですか。

○国土交通省香山課長 正確に申し上げますと、用途の変更をしたときに用途の変更部分が100m2 を超える場合は、建築基準法上の用途変更のための建築確認の手続が必要だということでございます。一方で用途の変更部分が100m2 以下の場合は、手続としての用途変更の建築確認というのは必要ありませんけれども、技術基準、法令への適合性が免除されているわけではありませんので、正確に申し上げれば100m2 以下のものであっても、手続が不要だけれども適法な状態に改築していただく必要はあるということです。

○浅見座長 よろしいですか。

○北原構成員 はい。

○浅見座長 稲本代理人。

○稲本代理人 事例の中で先ほど確認をさせていただきました。日本の民泊の実態と諸外国の民泊の実態で、要するにホームステイ型は諸外国で多いけれども、日本では賃貸の家主不在型が多いという違いを示していただきました。

 資料2の4ページ目の「一定の要件について」で、「営業日数」の1つ目の質問が「30日」という「日」を使っているのと、海外の例で「泊」という字を使っている。この違いをまずお示ししていただきたいと思います。

 2つ目は制限をしていない国もあるかと思うのですが、世界中で日数制限をされていますか。その辺が2つ目です。

 3つ目が、基本的にホテルがたくさんあれば、この議論はないのかもしれませんけれども、ホテルの建設の計画とかはどうなっているのか、もし、おわかりであれば教えていただきたい。3つでございます。

○浅見座長 お願いします。

○厚生労働省長田課長 最初の2つにつきましては私からでございますが、これは要するに、いただいた御意見あるいは調査をした結果を客観的に書いているだけですので、事務局として意図を持って「30日」とか「90泊」という言葉遣いを変えているということではございませんので、私はお答えできる立場にはございません。

 2つ目の件ですけれども、これは単純に制限をしているか、していないかという議論ではないと理解をしております。すなわち民泊を認める要件として、日数という尺度で計っているものもあれば、そうでないものもあるだろうと思っております。そうでないものに関して言えば、その他の基準の中でやっているかと思います。そういうことでよろしいでしょうか。

○浅見座長 どうぞ。

○稲本代理人 多分ですが、「泊」というのと「日」というのが正確には違うような気がする。答えは私もわからないのですけれども、もしかしたら1泊2日となると、30日が15泊になれば、全然比較ができないものを併記するところが問題かと思います。

○厚生労働省長田課長 今の点につきましては、そもそも営業日数で線を引くのかどうか自体が論点ではございますが、仮にそういう尺度をとるとした場合に、そこの概念は当然のこととして明確に整理をしなければいけないと思っております。30日がどういう意味を持っているのかということは正確に捉える必要があろうかと思っておりますが、前回いただいた御意見のペーパーとして「30日」という表現がなされていましたので、それを逆に事務局として意図的に変えるということは適当ではないという判断で、このようにさせていただいているということでございます。その概念は、最終的にこれを基準化していくとすれば、整理をするのは当然のことと受けとめております。

○稲本代理人 わかりました。

○観光庁西海課長 3つ目について、観光庁から御説明させていただきます。

 以前、宿泊需給について御説明をさせていただいたときに、東京では約1万室近くのホテルの新設計画が2020年までにあるということを御披露しています。それから、大阪と周辺の県を含めた2府1県ないし2県の近畿で、約4,000室弱のホテルの新設計画があるということを以前の回で申し上げてございます。

 これはちょっとデータが古くなっていまして、実はもう少し増えているはずだと理解しておりまして、これを専門に取り扱っている専門誌と私どものヒアリングで定期的に更新をしてございますので、今日は持ち合わせておりませんが、後で皆様にお送りさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○浅見座長 ほかにいかがでしょうか。

 どうぞ。

○高橋構成員 1点目が意見でございますけれども、制度設計についての2ページ目の真ん中、宿泊者の安全性の確保等のところの「一般的な衛生水準を確保」というところですけれども、例えば家主居住のホームステイ型の民泊については、果たしてどこまで一般的といったことを適用すべきなのかということについて意見を申し上げたいと思います。余り個人の家主に過大な負担にならないように、衛生上の責務だとか義務というのは、できるだけシンプルな内容に絞ることが望ましいのではないかと思います。

 これまでのヒアリングの中で、旅館業法の改正で簡易宿所の基準緩和を行っても、自治体の条例で男女別のトイレだとか風呂の設置等々を求められているということで、なかなか基準が実際には厳しいという意見もあったと記憶しております。したがいまして、これについても、ホームステイ型について分けて考えるということも考慮すべきではないかと申し上げたいのが1点です。

 2点目が消防の規制ですけれども、今、共同住宅のことについてお話がありましたが、一方で戸建ての住宅についても、ヒアリング等で結構消防の運用なりが厳しいという声があったかと思うのですけれども、戸建ての住宅の場合に誘導灯だとか専用の火災報知機への交換というのは結構コストが重くなると感じます。そこで、これは意見ではなくて質問なのですけれども、農家民宿の場合はどういう運用をされているのか。旅館ほどの厳しい規制ではないように伺ってはいるのですけれども、具体的にどんな運用になっているのかということをお聞きしたい。

 3点目は全く違うことですが、前回までの御議論の中でいわゆる本人確認のところなのですけれども、ITを活用した本人確認については結構難しいというお話があったように思います。ただ、今は入国管理については、例えばバイオ認証など高度なITを活用したチェックシステムも導入されています。もとより日本人については、マイナンバーカードがこれから普及していくことに伴っていろいろなことが可能になってくるわけで、問題は外国人だと承知していますけれども、ただ、外国人についてもそれなりのシステムを導入するとコストはかかりますけれども、不可能ではないという気もしますので、これからITの新たな活用、導入も視野に入れて、本人確認ができる仕組みを構築することができないのかどうかということについて、改めて柔軟に考える必要があるのではないかということを意見として申し上げたいと思います。

 最後に、これは確認ですが、先ほどの資料の3ページですけれども、「2.仲介事業者規制の方向性」のところで、外国法人の話が最後の2行にありました。ここでちょっと確認させていただきたいのは、外国法人についても日本で活動する場合には日本で登録する。すなわち日本法人といったらいいのか、私は法律の専門家ではないのでわかりませんが、日本で登録するという限りにおいて、日本の中の規制を受けるということは大前提と考えてよろしいのですねということの確認をお願いします。

 多岐にわたって申し訳ありません。

○浅見座長 2点ほど質問があったと思うのですが、1つは農家民宿の件です。

 お願いします。

○消防庁鈴木課長 消防庁でございます。

 御指摘の点でございますが、紙ファイルの5番を御覧いただければと思います。第1回目の検討会で配付をさせていただいた資料でございます。

 5番の上の段が戸建て住宅に係る消防法の規定についてでございます。御質問の部分ではないところもございますが、上に書いてございますが、民泊の用途に供される部分が50m2 以下でごく一部を民泊として活用される場合については、一般住宅として扱いますという整理でございまして、大半を民泊に使う場合については誘導灯とか自動火災報知設備などをつけてくださいとなっているところでございます。

 ただし、欄外というか枠の下に「注2」と書いてあろうかと思いますが、「農家民宿等については、一定の条件を満たす場合は設置不要」としてございまして、端的に言いますと、戸建て住宅ですので、扉、窓をあけるとすぐに外だといった場合についてまで誘導灯をつけろという必要はないでしょうということで、簡明な避難経路で誘導灯がなくても十分避難ができる場合については誘導灯が不要ですとしている。あとは、火災通報装置というのは延べ面積500m2 以上で、戸建て住宅ではほとんど該当するケースはないと思うのですが、そういう場合についても、部屋の数が10室以下とか一定の場合はそれも要らないですよとしているところでございます。ただし、自動火災報知設備はつけてくださいとしております。

 これも初回に御説明いたしましたが、こういった非常に小規模なものに対して、私どもは特定小規模施設用自動火災報知設備と呼んでおりますが、無線を使って全部連動でベルが鳴るものがございまして、そういうものをつけていただくのは非常に簡便な工事で、なおかつ安価に設置が可能なので、割と安全を確保するためには、そういう形でぜひ対応していただければよろしいのかと思っております。

 以上です。

○高橋構成員 そうしますと確認ですが、民泊についても物件の状況とか形態によって、農家民宿のような運営をすることは十分可能であるという理解でよろしいですか。

○消防庁鈴木課長 そうです。

○浅見座長 4つ目のコメントで、外国法人との関係なのですが。

○観光庁西海課長 私からお答えさせていただきます。

 まず、簡潔にお答えいたしますと、先生の御質問のとおりでございます。たとえ外国法人であっても、あるいはインターネットを使ったとしても、日本人相手にそういった経済取引を行う場合は当然こういったこともこういう規制の対象になる。今回、資料で一例を挙げてございますいわゆる金商法はどういう仕組みかと申しますと、インターネットを使っていわゆる金融商品を取り扱うわけですが、その場合であっても勧誘して金融商品を取り扱うと見なされていて、登録をするような仕組みになってございます。さらに、実効性を高めるために実名公表をしているという仕組みでございます。

○浅見座長 ほかにいかがでしょうか。

 どうぞ。

○廣岡構成員 今の最後の御質問に関連するのですけれども、1つ目の丸に仲介事業者の規制で登録を受けることが必要ということで、これは今の旅行業法の旅行業を前提としているのか、また、別のものがつくられたらいいというお考えなのか。その辺が1点目です。

 そして、最後の外国法人の件なのですが、日本に所在地を有しないような場合、旅行業法の旅行業登録をする場合はどうするのか。例えば単に宿泊の仲介をするやり方であると、現行法では第3種でいけると思うのですけれども、第3種の登録行政庁は都道府県知事になっておりますので、外国に所在するものに登録を求める場合はどうなるのか。私が見落としているかもしれませんけれども、JATAとか全旅協の名簿を見る限りでは、外国で登録されたものは現時点ではないように思いますので、そのあたりで実際はどう整合性を持たせるのかということがあれば、教えていただければと思います。

○浅見座長 1点目はわかりました。2点目はいかがでしょう。

○観光庁西海課長 私の方でお答えいたします。

 まず、仲介者規定につきましては、必ずしも旅行業法の登録を前提と考えない方向で考えております。理由は前回のヒアリングでもございましたけれども、今回の民泊というのは、ある種従来の宿泊形態とは違うもので、今回の一定の要件の下で、従来と違う性質のもので仲介できることになりますと、実際のプレーヤーを想像いたしますと旅行業者でもできますが、例えば宅建業者の方もできますし、ほかのプラットフォーマーの方が新たに参入してもできるだろう。したがって、新たな制度は必ずしも旅行業法の登録をとるということに限定しない方がいいのではないか。

 また、旅行業法を以前御説明したときに、旅行業務取扱管理者を置くとか、そういった国家試験を受けた方を置くというのがございます。それは、海外の仲介業者の方は簡単ではないので、むしろ、さまざまな方が参入しやすい形の新たな仲介規制を設けた方がいいだろうということで考えてございます。

 そういった観点から、日本に所在を有しない場合の登録をどうするかということでございますけれども、基本的にはここに書いてございますように、今回、こういった仲介をやる場合には登録をしていただく。金融商品取引法の改正前は外国に所在する業者の方が登録する例が実際にございまして、そういうもので登録をお願いしていこうと考えてございます。

○浅見座長 よろしいですか。

○廣岡構成員 旅行業法とは別で、外国に所在するものであっても登録できるようなシステムをつくる前提という理解でいいですか。

○観光庁西海課長 そのとおりです。

○浅見座長 どうぞ。

○土岐代理人 民泊サービスの制度設計の資料2でございますが、3ページの「1.管理者規制の方向性」にありますように、いろいろなトラブルに際して、一定の管理者を置くということについては賛成でございます。

 今回の民泊の話でございますが、実際の住宅地におきましても、アパートを建てる際に非常に周辺から反対が起きるケースがあります。そういうときにはきちんと周辺の方に御説明をして、自治会に入っていただくでありますとか、入居規約をちゃんと守る。入居者についての善管義務を求めるということをきちんとして、そして、周りの方にも受け入れやすい状況にして、入居者を募集するというのが普通でございます。

 したがいまして、今回も建物を民泊に使う場合には、もちろん使う方が安全、安心、快適に住んでいただくことは当然なのですが、周りの方がそういう形で受け入れていただかない限りは、使う方も周りからいろいろなけげんな目で見られてしまうということになりますと、せっかく日本に旅行に来たのに不快な思いをしてしまうことになると思いますので、そういう周辺のところのケアがとても大切かと考えております。

 その際に一番大切なのは、どんな人が泊まりに来てくれるのだろうかということで、一般的に賃貸の場合は入居審査をきちんとしまして、一般的な社会生活をきちんとされていらっしゃるとか、安心な保証人の方がいらっしゃるということをきちんとすることによって、周りの方に安心をしていただく。民泊の場合には、そこの部分がお金を払うだけで担保できるのかなということがございまして、こういう意味でも、賃貸の管理業者が持っているノウハウを使うことで解決が少しできるのかと考えております。

 また、これが本当に2,000万人等を受け入れた場合に、何分の1かでトラブルが起きてしまうケースがございます。一般の管理物件でもそういうことがあるわけなのですが、そういうときも管理者の立場としましては、ルールとか消防、建築法規、民法、広告の表示規約という基本的な法律の認識ももちろん必要でございますが、一番大切なのは近隣の方にきちんと御迷惑をかけたということで謝ったり、調整に入ったりということがとても大切なわけでございます。実は管理業者といいますのは日頃からこういうことが仕事でございますので、近隣の方もこういう管理業者の方が入ってくれることによって、安心していただけるのではないかということでございまして、そういう意味では「1.管理者規制の方向性」ということでいきますと、今の一般の賃貸経営を管理している会社が一番適当かなと。国土交通省で定めていただいています管理業者の登録制度に登録しているところであれば、さらに安心かなということが意見でございます。

 もう一つは質問でございますが、ここの管理担当をする管理業者の法的な立場というのはどういうふうに考えていらっしゃるのか。例えば具体的な権限としては何ができて、何ができないのかということで、もし考えがありましたら教えていただきたいと思います。

○観光庁西海課長 管理者の方は何ができてということでございますが、基本的には、物件を持っている方から管理依頼もしくは管理を委託されて、ここに書いてございます利用者名簿の作成備え付けでございますとか、あるいは実際に利用される方に対して、その際に注意事項をきちんと漏らさず説明する。苦情に対して受け付けて、問題があれば苦情の処理を行うということと、ここに書いてあるとおりですが、法令・契約違反のあるなしをきちんと確認する。書いてあることは、基本的にはやっていただく業務、責務としてやっていただこうかと考えてございます。

○土岐代理人 例えば賃貸の物件で、普通の借家法ですと、問題が起きても鍵をあけて業者が入るということは現状ですとできないのです。そういう具体的に現場で起こり得るような話のときに、法律で入れないから我々の権限はここまでなのですというと、周りの近所の方が心配されるので、そういうところまで踏み込んで、現場レベルで非常に解決しやすいような権限をぜひ作っていただければと思います。

○観光庁西海課長 わかりました。順次、検討いたします。

○浅見座長 1、2の順番でお願いします。

○小林構成員 資料2の2ページに、今後の制度設計で「宿泊者の安全性の確保」というものがございますが、構造的な制限をするのかどうかについて御質問したいのです。日本に2階建ての木造アパートというのは大変なストックがありまして、これが民泊をするとなると、防火レベルも非常に低いです。これを一緒に考えると、防火レベルを上げる議論もしなければいけない。それがないのであれば、通常のマンションを念頭に置いて防火対策を考えればいいので、それはそんなに大したことをしなくてもかなりの安全性があるとは思っているのですけれども、そこが木造アパートみたいなものがそこに名乗りを上げるかどうかわかりませんが、値段が安くなると結構なニーズがある可能性がありますので、これはどうすればいいというのではなくて、それを入れるかどうか、入れるとすればどうするかということで考えていただけたらいいと思います。

○浅見座長 ありがとうございます。

 北原構成員、お願いします。

○北原構成員 先ほど、西海課長に御質問されました件で、管理者が登録をして、そういったいろいろな苦情の受付や実際に使用される方と近隣住民等の方との橋渡しをしない管理者に対して、できているかどうかを一体どこがチェックするのでしょうか。例えば当該保健所が立ち入って、こういうことがきちんとされているかどうか、その管理者にそういうことはちゃんとやっていますかという報告がされないときに指導したりする場合に現場を確認するとか、いろいろなことが出てくると思うのですが、立入権限はあるのかということです。

 もう一点は、先ほどのプラットフォーマーへの規制の方向性の中でおっしゃっていました広告削除命令でありますとか、あるいは業務停止命令といったような処分を一体どこが出すのですか。課長がおっしゃっている金商法に基づいて金融庁が出すのですか、それとも観光庁が出されるのですか。

○浅見座長 2つですね。1つは管理者に関するチェックです。

○観光庁西海課長 1つずつお答えさせていただきます。

 おっしゃるように、管理者が責務を果たさない場合というのは当然あり得るわけです。管理する者は利用された方が帰ったらば、元々の大家さんとか持ち主に対して、こうやってやりましたと報告を一定ごとにきちんとしていただいくというのが一つあります。大家さんがチェックする。さらに、そこに虚偽があったり、周りから見て問題があれば、通常最初は管理者に行くわけですが、管理者が実はそこについてちゃんとやっていなかった場合には、当然行政が立ち入りできるようにしたいと思っています。

 今日の資料にはございませんけれども、一つ前のページにございますように、今回は民泊施設の提供者を行政が把握できる仕組み、匿名性の排除については何らかの仕組みを講じていきたいと思いますので、一応、この仕組みは管理者だったら登録して、ちゃんとした業者でお願いするのでできるという前提に立っていますが、仮にできなくなった場合には当然行政に通知していただいて、どの違反をしたかによりますけれども、それぞれの違反についての法令を持っている行政庁が立ち入りできるようにする。そういう仕組みで担保したいと思っています。これはまだ制度設計がこれからなので、また次回以降で御説明させていただきたいと思います。

 私の説明の例示があれだったのですけれども、金商法はあくまで例示でございまして、恐らく仲介業者はどこに登録をしていただくかというのは、事務局で議論、検討しているところでございますが、まだ観光庁で決まったわけではなくて、これは必ずしも旅行業者でなくてもできることを考えてございますので、例えば宅建業者とか、仲介業者が幾つかいますので、どこに登録するかは次回以降で御説明させていただきますが、その登録先の行政庁は問題があればサイトからの掲載の削除命令を出したり、業務停止命令を出すということで考えていきたいと思っております。

○浅見座長 よろしいですか。

○北原構成員 はい。

○浅見座長 どうぞ。

○厚生労働省長田課長 関連でございますが民泊を適正に実施するための管理者であるとか、仲介事業者であるとか、そもそも物件を提供する家主御本人であるとか、そういったいろいろなプレーヤーがそれぞれの一定の責務、役割を果たして、全体としての適正性を確保するというのが当然大前提だろうと思うのです。法令上、これらのプレーヤーに義務がかかっているとしても、その義務がきちんと履行されているかということをチェックし、最終的に何らかの形で問題があった場合には対応していくのは、当然行政の責任になるのだろうと思います。

 そういった意味で、この案では管理者とか仲介事業者については、登録という一つの提案をさせていただいているわけでございますが、まずは行政が把握できる仕組みをつくっていく。その前提の中で、今の旅館、ホテルの皆様に関しても、旅館業法もあれば、建築基準法、消防法などいろいろな法令の観点があって、それぞれの制度目的に従ってどういう部署が動いていくかというのはございますので、どういう責務をかけていくか、そのかけていく責務について行政庁の中ではどこが主に見ていくのかということは、いずれはもう少し細かく整理していかないといけないのだろうと思います。

 保健所との関係で言えば、例えば感染症であるとか公衆衛生上のリスクが発生するといった場合には、保健所行政がかかわっていくのは当然だろうと思いますし、仲介の登録みたいなものに保健所がかかわるのが適当かどうかといったら、また違った議論があるのだろうと思いますので、なかなか答えが一義的ではないのかと思っております。

○浅見座長 よろしいですか、どうぞ。

○中島構成員 地方自治体の立場として、神奈川県の中島でございますけれども、今、北原構成員から御質問として出てきたことで半ば安心をした部分がございます。基本的には、健全な民泊のサービスをどう提供するかということと、住民の方々のトラブルをいかに防止するかの2点をどうかみ合わせるかということですので、私たちで一番気になっていましたのは、何かトラブルがあったときにどう行政が関わっていくか、その権限をどうするかというところの担保についてはしっかりとやっていただかなければいけない。具体的にそこを盛り込んでいただきたいというのが1点ございました。

 もう一方で、先ほど来、構成員の方からお話をいただきました、結局は条例で規制を逆にそのまま残すような形で民泊サービスがうまくいかないという状況については、自治体の側としてはしっかりとその御指摘は受けとめていかなければいけないと思いますので、ぜひ今申し上げた万が一のところについては、具体的な制度設計をお願いしたいという意見を申し上げておきたいと思います。

 以上です。

○浅見座長 どうぞ。

○国土交通省香山課長 先ほど、小林構成員から御指摘があった点で補足してお答えをしたいと思います。

 以前にお配りした、紙ファイルの4というところを御覧いただくとおわかりになります。先ほどは用途の立地規制のお話をいたしましたが、建築基準法では、用途の立地規制と同時に火災時や地震時、あるいは日常時の安全性を確保するためにさまざまな安全基準を設けてございます。この中には、実は建築物そのものを耐火建築物にする、あるいは準耐火建築物にする。いわゆる構造制限も含まれています。

 木造のアパートなどを転用して民泊とするときに、新たな構造制限を加えるかどうかという議論でございますけれども、実は旅館、ホテルは、今は2階建て木造が許容されていますので、それをさらに強化するということは非常に難しいのだろうと思っています。ただ一方で、新たに規定される民泊が性格上住宅に非常に近いものなのか、旅館、ホテルに近い安全性を求めていくべきものなのかということは今後の議論かと思いますけれども、新たに規定される民泊の性格に応じて、必要な技術基準の当てはめ、あるいは適用ということを今後考えていきたいと思っております。

○浅見座長 どうぞ。

○小林構成員 そういうことだろうと思うのですけれども、今までここの中で議論されていたマンションというと、大体鉄筋コンクリートのようなものをみんな頭に置いて考えているような感じがするものですから、ところが、木造アパートのような低質なものもなり得るのだとすれば、防火のレベルをここまで緩和してもいいではないかということになれば、非常にしにくくなってくるしということを言いたかったのです。中に入れない方が考えやすいとは思うのです。

○浅見座長 順番でお願いします。

○萩原代理人 保健所の立場として述べさせていただきます。

 資料2の1ページの2番目にあります「『一定の要件』を満たす『民泊サービス』については、例えば、許可ではなく、届出とすること等を検討」ということになっておりますが、旅館業法等を所管している自治体としましては届出制とした場合でありましても、適正な管理や衛生的なものを確保するために、法令において許可と同様の立入権限を与えていただきたいということを望みます。

 また、民泊の許可取得を促進するに当たりまして、現に営業している無許可施設への対応が重要だと思いますが、自治体におきましては施設数の把握が困難でありまして、かつ、事務量が膨大であります。実効性のある許認可、監視指導を実施するために、また、各自治体の事務負担を軽減するために仲介業者への規制を含んだ措置が必要と考えておりますので、ぜひ御検討をお願いしたいと思います。

○浅見座長 相澤構成員。

○相澤構成員 ありがとうございます。

 安全あるいは衛生、あるいは近所への迷惑といったことを考えますと、資料2の4ページの一定の要件は非常に大事なことではないかと思います。特に「宿泊人数」という欄がございますけれども、室数で制限をつくる、あるいは絶対数、人数でやるか、あるいはパーセントでやるという考え方もあるのではないかと思うのですけれども、いずれにしろ1日当たりの宿泊の制限というのは必要ではないかと思います。

 この人数について、科学的な根拠は全くございませんけれども、1日に泊まる方が増えれば増えるほど、熊本の避難所の現状もありますようにリスクが増えてくるわけだと思います。これは諸外国のデータからある程度適用する数を決めざるを得ないとは思います。

 もう一つは、食事のことが先ほど北原構成員からございましたけれども、家主がいる場合はむしろ食事を一緒にしてもいいのではないかと思いますけれども、家主がいない場合は、食事の提供というのは食中毒あるいは伝染病といったリスクもありますので、原則的に食事は提供しない方が安全ではないかと思います。

 以上です。

○浅見座長 どうぞ。

○熊谷構成員 3点ほど意見を申し上げたいと思います。

 まず第1点目なのですけれども、これは民泊サービスのイメージといいますか、定義の問題なのですけれども、宿泊サービスを提供するという意味では、既存の旅館、ホテルと民泊は広い意味では同じようなサービスを提供することになるのだろうと思います。そういった中で、今回は民泊を取り出して、旅館業法に位置付けるのか、新しい法律なのかはよくわかりませんけれども、いずれにしても別の制度として運用するということになりますと、外から見て明らかにこの両者が違うのだということがわかる必要はあるのだろうと思います。

 そういった意味で、資料2の2ページの制度設計(案)の冒頭のところに民泊サービスについて、「既存の住宅を活用した宿泊サービスの提供と位置付け」という御提案があるのですけれども、基本的に私は賛成であります。宿泊サービスの提供という広い意味での共通性がある中で、既存の住宅を活用するのだというものをここでは民泊として位置付けて制度化しようということなのだろうと思いますので、そういったことで全体のイメージといいますか、法律の骨格を作っていくということについて賛成をしたいと思います。

 「住宅を活用した」というところが出てくるので、例えば家主居住タイプについて言いますと、従来であれば家主が一緒にいて、知り合いに宿泊サービスを提供する。ことに無料であれば、そこは別にそもそも旅館業法の適用外であったわけですけれども、それが家主居住であっても有償で不特定多数の人を扱うようになるのだとすれば、住宅を活用するとしても何らかの制度を設けていいのではないかということで、家主居住タイプというのは考えていくべきだろうと思います。

 家主不在タイプについて言いますと、家主不在タイプで宿泊サービスを有償で提供するとなれば、本来であればといいますか、現在であればこれは旅館業法上の許可をとらなければいけないのですけれども、住宅を活用していて、居住と同じような実態を持っているのだというようなことが外からわかる形で区別ができるのであれば、これは新たな制度で位置付けていいのではないかと思います。

 その意味で言いますと、同じ2ページの下のところに「合理性のある『一定の要件』を設定」というものが問題提起されていて、4ページのところで一定の要件について、今までの議論がまとめられているところなのだろうと思います。とりわけ家主不在タイプについて言いますと、家主不在タイプで既存のホテル、旅館と違うのだというところを一つ出すのだとすると、いろいろあるのですけれども、複合的に設けてもいいのだろうと思いますが、私は基本的には営業日数のところを何らかの形で区切るべきなのだろうと思います。つまり、基本的には賃貸も含めて、居住のために使うような物件なのだけれども、一定の要件のもとで宿泊サービスを提供するというのであれば、これについてはあえて旅館やホテルと同じ位置付けまでしなくてもいいだろう。

 基本的な性格づけとしては賃貸の住宅である。ただ、一定の日数に関しては宿泊サービスの提供もしてもいいのだという形での仕切り方がいいのではないか。そうであるからこそ、住宅という位置付けを持ち続けながら宿泊サービスを提供するというところが、従来の旅館やホテルと違うというところで出てくるのかと思います。その宿泊日数が60なのか、90なのか、120なのかというのは議論しなければいけないと思いますので、そこは議論すればいいと思うのですけれども、基本的な考え方としては従来の旅館、ホテルとの違いという意味でそこを明確にする必要があるのだろうと思います。

 その観点から言いますと、多分、家主不在型の究極的な形がマンションの一棟貸しのようなものになるのだろうと思いますけれども、家主不在型を一定の要件で許すという場合に、どの程度のものであれば、量的なもの、割合的なものを含めてですけれども、旅館、ホテルと違うものなのかという意味での要件といいますか、一棟の中でもどういったことを満たせば、家主不在型を認めていくのかというところも議論をできればいいのかと思います。

 以上です。

○浅見座長 ありがとうございます。

 どうぞ、北原構成員。

○北原構成員 今、熊谷さんにおっしゃっていただいた、制度設計の中の2ページのところの既存の住宅を活用するということは大前提だと思います。そもそも民泊の問題が議論されているのは、日本が諸外国と違って非常に空き家が多い。全国でもう既に820万戸も空き家があるというのが背景にあるのであって、これが欧米との大きな違いですから、既存住宅を活用するということであって、はっきりと誤解のないように考えるのは、最初から民泊をやるつもりで新たに60室のワンルームマンションを建てて、これを民泊に全部転用してしまうということが許されると、これは話が全然変わってきますので、新規のマンションをそういう形で民泊に使ってしまうということですから、我々業界としても、あくまで新規の住宅はだめです、既存の住宅を活用するというふうに限定していただきたいと思います。

 もう一点、ここには書いていないのですけれども、諸外国でも問題になっているのは家主、いわゆる事業者が一人で、パリで150室とか何かものすごい数をやっているという、複数物件を一人の家主がやるということはいかがなものかと思うのです。それを管理者に任せてやっているにしても、同じ家主が管理者に複数の物件を一挙に150室とか、考えたら幾らでも増えていくわけですけれども、そういうやり方で展開されると、もう完全に投資物件になりますので、これは民泊とは違うということもどこかに書き込んでいただければありがたいと思います。

 以上でございます。

○浅見座長 ほかにいかがでしょうか。

 どうぞ。

○熊谷構成員 今の北原構成員の関係なのですけれども、複数物件が当然だめなのかどうかというのは、なかなか制度設計の問題としてはそれでいいのかどうかというと、余りそこにこだわるべきではないのかと私は思います。もちろん150戸やるのがいいかどうかという問題はあるのですけれども、ただ、それは物件を中心に見ていったときに家主不在の民泊の形をきちんと満たしているものなのかどうかというところが重要なのであって、150戸運営してはいけないとか、経営してはいけないということだと、規制の方向が違うのかなという気はします。あくまでも宿泊サービスの提供という意味での衛生上の問題をきちんと把握しながら、住居を活用していくことができればいいのかと私は思います。

○北原構成員 この複数物件の問題がどこにあるかというのは、要するに、現在横行している不法民泊は家主の匿名性というのが一番問題になっているわけです。不法民泊を無許可、無届けでおやりになっている方々というのはどこの誰かもどこにも書いていないわけです。名前もわからない。通称何とかちゃんという程度のもので、京都市の調査でもほとんどがそれだったのです。ですから、匿名性が排除されて、どこに住んでいる、この人が何軒持っているということがきちんと担保されれば、それはそれで行政も把握できているのなら一定認めてもいいということになろうかと思います。ただ、民泊という基本的に個人がやる性格上、100200物件も管理するというのは何か違うのかなというので言いました。そこを整理していただければと思います。

○浅見座長 どうぞ。

○高橋構成員 今、御議論があった点について、私も一人の家主が複数物件を管理するということについて、複数というところで何百はだめなのだろうという話はありますけれども、全く複数はだめなのかどうかということについて、そこはまだまだ検討の余地があるのかと思います。

 それから、直接そのことと関係はないのですけれども、今までいろいろヒアリングしてきた中で、いわゆる賃貸住宅を管理される方等々から民泊としての管理は十分にできるというお話はありましたけれども、いろいろな形態のものを検討しなくてはいけないと思います。例えば、大手のディベロッパー系の管理業者の方達はどう考えておられるのか。その辺もヒアリングをさせていただくなり、あるいはヒアリングをしていただいた結果を知らせていただくなり、何か工夫していただけないかという提言でございます。

 もう一つは意見ですが、先ほどの宿泊日数のところで30日なのか、無制限なのかがありましたけれども、ここについてももう御意見が出たことですが、30日と切ることの根拠もないと思いますので、そこは先ほどおっしゃったように、どこまでが線引きする基準とするのかということについては、改めて検討すべきではないかと思います。

 以上でございます。

○浅見座長 どうぞ。

○稲本代理人 利用日数のことなのですが、多分、事務方の方も具体的な事例をお持ちでないと思います。要するに闇民泊の事例です。紙で出せないのですが、実は闇民泊のときに3カ月やった方がいらっしゃいまして収支状況を伺いました。仕入れの敷金、礼金、備品、ベッドから全部購入した初期費用が93万円、月額のランニングコストが39万円、これに消毒費とか全部入っています。浅草近くの2LDKの賃貸マンションを借りました。そして、最高に入った月が21日稼働で、1カ月単位で13万円浮きました。最低が14日でマイナス4万円、ちょうど分岐点が15日で2万円浮いた。ところが、1カ月2万円でずっと浮いているだけなのです。それだったら普通に賃貸で貸した方がいいのではないかということで、年間半数稼働というと、多分ビジネスでは成立しないのでやりませんということで、この方はもう間もなくやめるそうです。ですから、1カ月となると自分が所有しているホームステイ型の一部しか多分できないので、受け入れとしては「おもてなし」の「お」も始まらないということが見えると思います。

○浅見座長 具体例、ありがとうございます。

 どうぞ。

○北原構成員 宿泊に営業日数の制限というのは、我々旅館業界は民泊も宿泊行為、宿泊業だという前提のもとで議論を立てていますので、今回一つの考え方として、宿泊業ではなしに住宅の一時利用という形で民泊を賃貸業と定義をされようとする考え方もあると思うのですが、その際に賃貸業だから年間を通じてやるというのではなしに、それだったら本来の借地借家法に基づいて家賃を1カ月単位でとられたらいいので、住宅の一時利用という考え方で言うのなら年間30日でしょう。

 年間30日というのは、先ほど御質問がありましたけれども、30泊と考えていただいたらいいです。日数で言ったら60日です。30泊という考え方でもいいと思うのです。約1カ月そういった営業をされるなら一時利用という賃貸業でもいいのかな。宿泊を年間を通じてやりたいのだったら、現行法に基づいて簡易宿所の営業許可をとっておやりになったらいいわけでございますから、あくまで賃貸業と称されるのなら一時利用として、30泊という制限を設けるのは極めて合理的な考え方だと我々は思います。そうでないなら我々と同じイコールフッティングの立場で、同じ規制のもとで宿泊業を営まれたらいいと思います。

○浅見座長 ほかにいかがでしょうか。

 どうぞ。

○土岐代理人 一定の要件のところの「宿泊人数」のところなのですが、今日は初めて参加なので、4人以内という制限の案が出ていますが、これが何でかなというのがあります。

 私、実はアメリカで親戚が結婚式を挙げるときに、日本のばらばらになっている3家族ぐらいでアメリカのサンディエゴに行って、一軒家を7人で借りたことがあるのですが、せっかくなので2週間ぐらい居て、向こうの親戚にいろいろ案内をしてもらった。非常に楽しかったし、2週間居るということは御近所付き合いもあるので、我々もちゃんとルールを守らないといけないという気持ちもありますし、それぐらいだと地域のいろいろなスーパーに行ってお金を落としたりということも多分あると思うのです。ニーズがちゃんとあるかどうかとか、利用者の立場から考えたときのことも考えていただいてこの辺はされないと、もし、私がアメリカに行ったときに、4人ぐらいだったら普通のホテルでツインを2つ借りておけばよかったみたいなことになってしまうので、せっかくなのでこれだったら一軒家みたいな話になりますので、できたらもうちょっと増やしていただいた方がいいのではないかと思います。

 以上です。

○浅見座長 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。

 どうぞ。

○稲本代理人 先ほど、新しく民泊に使えるマンションを作って、一棟丸ごとみたいなことを誰かにお話しいただきました。それは、大家としては全く想定しておりませんし、それこそ北原構成員がお怒りになるように、そんなものはホテルをやりなさいということで、家主の団体もそう思っておりますので、そこだけはお間違いのないようにお願いします。

○浅見座長 ほかにいかがでしょうか。

 大体よろしいでしょうか、どうぞ。

○観光庁西海課長 先ほど、北原構成員からお話があった件で、皆さんにわかりやすく解説いたします。

 先ほどの質問は、私はこう理解しておりまして、フランスでたしか150を超えていたというのは、一人の女性の留学生の方がホームステイみたいな形ですと言って、パリの場合では確か百五十何件を扱っていた。まさにホームステイだと言ってやっていたので、今回の資料にもございますように、匿名性の排除というのを今回は考えていこうと思っていますので、例えばホームステイですと言って、それが本当に居住してホームステイなのかどうかというものを確認する制度をこれから考えていけば、そこで問題があれば、それはだめですよということになりますので、そういった形でそれを防いでいけば、必ずしも複数物件はだめですよというのは、熊谷先生から難しいという話がございましたけれども、そういったことにも悩まずに済むのかと思っております。

○浅見座長 どうぞ。

○厚生労働省長田課長 今までいただいた御意見の関連で2点ほどございます。

 まず、高橋構成員から御指摘をいただいた衛生確保の部分でございますけれども、これは自ずと本格的なホテル、旅館と、ここで想定、議論をされている民泊では分けて考える必要があるのだろうと思っております。ただ一方で、例えば宿泊者ごとにシーツぐらいは当然替えてもらいますとか、あるいは何か有事のときにはきちんと保健所に連絡をしてもらうといった最低限のことも知識としては持っていただくとか、ガイドライン的なもので示せばいいのかどうかはよく詰めないといけませんけれども、常識的なところで求めていくというイメージで考えております。それと同時に、やはり何か有事があったときには、先ほどの御指摘もありましたけれども、権限のある機関がきちんと立ち入りなり指導ができるという枠組みは重要だろうと考えております。

 それと、萩原代理からも御指摘をいただいた、違法なものにどう対応していくかというところに関しては、冒頭の資料1で違法民泊への対応状況を御報告させていただいて、本当に自治体の皆さんに御苦労していただいていると思っております。現状は施設対象の特定でいろいろと汗をかいていただき、さらに特定されたものに対して個別的な指導のアプローチをしていただいているということで、その辺の対象の特定という部分をきちんとできる枠組みが大変重要だろうと思っております。

 いずれにしても、民泊をされる方の状況がどういう形式かはともかくとして、きちんと行政に情報が登録なり届出をされるということがまず必要だろうと思いますし、そこが適正に行われているかどうかということを、一から行政が確認をするというのは相当ハードルの高いことでもございますので、今回の提案の中でも仲介事業者規制の中で「行政への情報提供義務」ということが書かれております。こういったことは非常に重要なポイントになるのではないかと思っております。

○浅見座長 ありがとうございます。

 ほかは特によろしいでしょうか。

 それでは、ちょっと早いのですけれども、本日の議論はここまでにしたいと思います。貴重な御意見をいただきまして、どうもありがとうございます。

 次回は、本日の議論を踏まえて、論点を深掘りした内容を事務局に整理していただき、さらに議論を深めていきたいと思います。

 次回以降の日程等につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。

○渡邉(事務局) 本日は2時間弱にわたり、熱心な御議論を賜り、ありがとうございました。

 次回の検討会につきましては、5月13日金曜日、13時~15時、場所は全日通霞が関ビルを予定しております。また、今後の具体的な日程等につきましては、事務局から改めて御連絡させていただきます。

 これをもちまして、第9回「『民泊サービス』のあり方に関する検討会」を終了いたします。次回以降もよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医薬・生活衛生局が実施する検討会等> 「民泊サービス」のあり方に関する検討会> 第9回 「民泊サービス」のあり方に関する検討会 議事録(2016年4月12日)

ページの先頭へ戻る