ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(保育専門委員会)> 社会保障審議会児童部会保育専門委員会(第6回)(2016年5月10日)




2016年5月10日 社会保障審議会児童部会保育専門委員会(第6回)

雇用均等・児童家庭局

○日時

平成28年5月10日(火)14:30~16:30


○場所

中央合同庁舎第5号館 18階 専用第22会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○出席者

委員

汐見委員長  秋田副委員長  安達委員   阿部委員   岡村委員
木戸委員    清水委員    鈴木委員   砂上委員   堤委員
寺田委員    三代川委員   村松委員   山縣委員

厚生労働省

楠目企画官        小松課長補佐
馬場保育指導専門官  鎭目保育指導専門官

○議事

議事録

○鎭目保育指導専門官 定刻となりましたので,ただいまから「社会保障審議会児童部会保育専門委員会」第6回を開催いたします。

 委員の皆様には,お忙しい中,お集まりいただきまして,まことにありがとうございます。

 初めに,専門委員会の運営に当たり,委員の皆様へお願いがございます。視覚・聴覚障害をお持ちの方などへの情報保障の観点から,御発言などをされる場合には,挙手を頂きまして,委員長から御指名いただき,発言者は氏名を名乗ってから御発言いただくという形で運営させていただければと思いますので,よろしくお願いいたします。

 最初に,資料の確認をさせていただきます。

 配付資料は,議事次第,資料1-1から資料4までと,参考資料1,参考資料2となっております。資料の欠落などがございましたら,事務局までお申しつけください。

 なお,大方先生,橋本先生,松井先生,和田先生におかれましては,本日は所用により御欠席と伺っております。

 安達先生におかれましては,遅れていらっしゃる予定でございます。

 なお,カメラの撮影はここまでとさせていただきますので,報道関係の皆様におかれましては御了承のほどをよろしくお願いいたします。

 それでは,以降の議事進行につきましては,汐見委員長にお願いいたします。

○汐見委員長 皆さん,こんにちは。それでは,議事に入らせていただきます。済みません,風邪を引きまして,声がちょっとがらがら声で申し訳ありません。

 議事の1番目は「関係団体からのヒアリング」でありますが,まず,その関係団体等について事務局の方から説明をお願いいたします。

○鎭目保育指導専門官 本日は4つの関係団体の皆様にお越しいただき,保育所保育指針に関するヒアリングを行うこととしており,一団体当たり15分程度での御発表,その後,10分程度の質疑応答とする入れ替え制で行わせていただければと思います。

 まず,御対応いただく皆様の御紹介をさせていただきます。

 社会福祉法人全国社会福祉協議会全国保育協議会。

 続きまして,社会福祉法人日本保育協会。

 公益社団法人全国私立保育園連盟。

 東京大学大学院教育学研究科附属発達保育実践政策学センター。

 以上,4つの団体の皆様について進めさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。

 以上です。

○汐見委員長 では,きょうはよろしくお願いいたします。

 最初は,社会福祉法人全国社会福祉協議会全国保育協議会でございます。御説明のほどをお願いいたします。前の方へお願いします。

○小島先生 全国保育協議会副会長の小島でございます。

○上村先生 同じく副会長の上村でございます。

○小島先生 どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは,全国保育協議会の意見をまとめてお話しさせていただきます。

 まずは,本日,このような機会を設けていただき,ありがとうございます。

 私ども全国保育協議会は,全国の公私立の保育園,21000強の組織でございます。また,内部には18万の保育士を抱える保育士会を内部組織として持っております。公私立の保育園,そして保育士の代表ということできょうは意見を述べさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 意見のまとめでございますが,私どもは組織的に,ブロックごとに意見を集約いたしました。全国の保育園並びに保育士会の意見を集約し,まとめたものをきょうは発表させていただきます。

 全国保育協議会としましては,今回の保育指針の改定は大変重要なものとして受けとめております。そういった中で,私ども現場の意見を反映していただければ大変幸いに思いますし,また,現場の保育士一人一人がその指針に基づいて日々の保育活動に取り組めるように御配慮いただければ大変有り難いと思っておるところでございます。

 それでは,項目に沿ってお話しさせていただきます。

 「1 乳児保育について」でございます。

 今日,乳児期の保育は大変重要なものとして言われております。この乳児というものが本当に養護と言われるものだけではなくて,教育というものが大変重要な内容として今日問われているように思います。その点で養護と教育,表裏一体のものとしてこれまでも記載されておったわけでございますが,特に教育的な面を明確にしていただくということがとても大事だと思っておりますので,表現上も御配慮いただきたいと思っています。

 (2)でございます。乳児に関する現行の発達過程でございますが「だいたい6か月未満」「だいたい6か月から1歳3か月」とされておりますが,この時期の発達は大変著しい時期でございますので,そういった意味では,この期間をもう少し短くするとか,具体的に構成を変えていただくことも大事なのではないかと思っておるところでございます。ただ,大変個人差の大きい時期でございますので,そういったものが配慮されておることも併せて申し述べるところでございます。

 (3)で,乳児保育において,1対1とか安定的な関係の中で肯定的・応答的なかかわりがとても大事であると思っております。受容,共感等を通じて,子どもの主体性を育てていくことが具体的な保育の内容であると思います。子ども自身が主体性を育て,尊重することのできる受容性を明記するということでございまして,子ども自身がというのは余り適切ではございませんが,この大人と子どもとの関係がとても大事であるということを明記していただきたいと思っております。

 そういった中で(4)になりますが,子どもと保育士の愛着関係の構築。特に1歳までの愛着関係というものはとても大事な関係であると言われておりますので,それを基礎とした安心・安全な環境が生きる力を育む土台となり,そうした環境を構築することがこの乳児保育の重要な内容であると思っております。

 乳児保育については以上でございます。

 「2 3歳未満児の保育について」でございます。

 乳児保育とつながるわけでございますが,この3歳未満児期に自己肯定感を育てることの重要性,これを明記していただきたいと思います。母子の安定した関係があり,3歳までに子ども自身に自らを喜んで表現できる,安定して安心して表現できる,そして気持ちの上でも,この自己肯定感というものを育てることが子ども自身にもあり,周りの保育所としてもとても大事な内容として明記していただけることが大切ではないかと思っております。

 (2)でございます。3歳未満児の遊びを通して培われる健康・人間関係・環境・言語・表現の分野における配慮すべき事項を明記していただきたいと思います。3歳未満児といいますと,大きく養護,そして様々な配慮というふうになっておるわけでございますが,これはできるだけ養護と教育というものを0歳から具体化する点において,もう少し細分化して,配慮すべき事項を述べていただけると有り難いと思っておるところでございます。

 (3)でございます。保育所が保護者を支援し,共に子育てをする共通の指針として捉えたいと,まず第一に考えておりまして,保育指針が保護者にも御理解を頂きやすい内容とし,保護者と保育園が共に育てる指針になればと思っておるところでございます。保護者に理解していただきたいこととして,生命の保持とともに,生活リズム・生活習慣の確立の必要性といった,養護的な視点の記述を充実する。養護的な視点と教育的な視点,特にこの養護的な視点については引き続き重要な点として充実させていただきたいということでございます。

 次の2ページに参ります。「3 3歳以上児の保育について」でございます。

 3歳以上児が意欲を持って,子どもが自ら考え,主体的に行動できるようになることが主眼でございます。基礎的な生活習慣,基礎的な生きる力を培い身につけること。集団生活の中で,人間関係を築き,コミュニケーション能力を育むことなど,子どもの育ってほしい姿を明記するということでございます。集団生活の始まり,集団的に子ども同士が育ち合っていく関係の時期ですが,こういった点を明記していただくことがとても大事であると思っております。

 (2)でございます。現行の保育所保育指針では,3歳未満児及び障害のある子どもについて個別的な計画を作成することとされています。全保協,保育士会では,一人一人の子どもの発達の状況等に応じて,きめ細やかな保育を行っていくために,3歳以上児についてもこの個別的な計画を作成することを提唱しておるところでございます。個別的な計画というものは,一人一人の個別計画のみではなくて,集団的な計画とあわせて,個別的なものについてもしっかりとちりばめた,そしてその両方を配慮しているということがわかるようなものにしたいということでございます。

 (3)で,この個別的な計画を踏まえ「保育所児童保育要録」を作成し,それを小学校に引き継ぐことにより,一人一人の子どもの発達の連続性を確保すべきと考えております。

 (4)で,なお「保育所児童保育要録」については,それを受け取る小学校側にもその目的を御理解いただき,円滑な接続が行われるよう制度的な整備・理解が必要であると考えておるところでございます。

 「4 健康及び安全について」でございます。

 特に強調すべきこととして,食育のことにつきましては,保育の一つとして大変重要なものとして言われておるわけでございますが,保育士と調理員・栄養士等職員全体が連携・協働して行う保育であることを明記するということを特に強調してまいりたいと思います。

 また(4)でございますが,時代とともに移り変わる健康上の留意点。こういったものについても,その都度,明らかにしていただきたいと思っておるところでございます。

 「5 保護者支援について」でございます。

 今日,保護者支援については,ますます重要になってきております。子どもの貧困の広がり,児童虐待の増加など,今日,子育て家庭が抱えている課題は深刻化・多様化しておるわけでございます。保育所においては,各種専門機関と連携が必要な場合がふえているというふうに認識しておるわけでございますが,専門機関との連携の必要性を保育所保育指針に明記していただくとともに,その具体的な連携・協働の方策について,解説書にも明記していただければと思っております。

 この5については,ソーシャルワーク的な視点,保護者自身が直接子育てについていろいろ関われることの尊重といったことについて意見として述べてあるところでございます。

 「6 職員の資質向上について」でございます。

 この中で特に強調したいのは「全国保育士会倫理綱領」を解説書の中で一環として御紹介いただきたいということを強調しておるところでございます。

 また,子ども・子育て会議の中でも保育士の研修をする機会をふやすということで触れてきたわけでございますが,更に十分な質の向上のために研修の機会を確保することを明記願いたいと思っております。

 最後の4ページで「7 全体の構成,総則について」でございます。

 保育所保育指針につきましては,幼稚園教育要領の「教育課程」,そして幼保連携型認定こども園の教育・保育要領における「全体的な計画」と同類のものであると認識しておりますし,そういう扱いにお願いしたいと思っております。

 最後になりますが,施設長の役割でございます。

 施設長は,保育の現場のリーダーシップをとれる役割として,もっと今日的な研修をしていかなければいけません。そういった意味では,施設長の資質を向上できるように,研修の機会を確保するための役割といったものを明確にしていただきたいと思っておるところでございます。

○上村先生 失礼いたします。私は全国保育士会の会長の上村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 今,小島副会長から全体的な御説明をしていただいて,皆様方にも御理解いただけたのではないかなと思っておりますが,特に今,申し上げたところの中で補足として,私たち保育の現場の者が強く思っていることを少し述べさせていただきたいと思っております。重なる部分もあるかと思いますが,御容赦願いたいと思います。

 乳児保育については,今,小島が申しましたように,一人一人の子どもたちはやはり将来,社会人として生きていく上での生きる力をこの0歳のときから,おぎゃあと生まれたときから私たちは見守っていっています。人として,この1年間の育つ,その姿というものは本当にまちまちですが,しっかりとした支援が要るところではないかなと思っています。

 ここで申し上げております愛着形成とか,肯定的な関わりとか,応答的な関わり,また,「そうだね」という受容,共感といったことから子どもたちは徐々に成長していき,指さしが始まったら言葉が出てくるとか,はいはいをすることが次に生きる力にどうつながっていくのかとか,感性がどんなふうに豊かに育っていくのかとか,とても大事な時期であります。これらは,生きる力というものにつながっていく教育がしっかりとここにはあるのではないかと思っています。ここに,乳児保育にも教育があるということを,併せてでございますが,明確に表現していただきたいと思っています。

 それから,今,もうずっと申し上げておりましたのであれでございますが,3歳未満児におきましても,やはりここは教育があるのですということを,乳児・0歳児からのつながりで,ここに教育があるということも明記していただけたらと思っております。

 3歳以上児の保育につきまして,個別的な計画から小学校への円滑な接続という形になります。円滑な接続が行われることにとても大切な思いを持っております。個別的な計画は是非入れていただきたいと思います。

 4の食育のところは,今,子どもたちの食が壊れています。生きる力というところは食につながっていくことではないかなと思います。ここに書いてありますように私たちも連携して,協働して行うことを明記していただきたいと思います。

 次の保護者のところで,言いたいのは,私たち保育所は社会福祉施設です。こういった中でソーシャルワークの支援が必要ですし,長期的な支援の方策も必要ということ。それから,保護者自身の自己決定を促し,尊重する姿勢等に立つことが大事です。

 そして,次の職員の資質向上におきましては,先ほど申しましたけれども,今の指針でもコラムに「全国保育士会倫理綱領」,私たちの行動指標として一番に書いてございます。ここは大切に再度お願いしたい。記載していただくようにお願いしたいと思っております。

 それから(5)のところですが「研修機会が確保されなければならないことを明記する」と記しております。これは質の担保のために,園内での研修,園外での研修等が充実するように,そういった環境構築を是非お願いしたいなと思います。

 最後の4ページでございます。私たちはこの10年間,一生懸命,保育課程を策定し,それぞれの園が持っております。この保育課程は,地域性や保育時間の長さ,それから,家庭支援,全部を含めたものが,この保育課程として生きております。しかしながら,今回,この全体的な計画というお話が教育・保育要領の中にも出てまいりましたし,見直しが今後,幼稚園教育要領でも進められるというお話を伺っている中で,私たち,この保育課程は何ら違いのないものとして,全体的なものとして捉えてあるということを是非御理解いただいて,記述していただければと思っています。

 特に補足したいところを申し上げました。どうぞ御配慮をよろしくお願いいたします。

○汐見委員長 どうもありがとうございました。

 それでは,10分以内ですけれども,質疑を行いたいと思います。御自由に,今の御説明に対して御質問等をお願いいたします。

 ございませんでしょうか。

 それでは,順番に言ってください。それと,後で私の方から質問がありますので,寺田委員からお願いいたします。

○寺田委員 東京成徳短期大学の寺田清美でございます。全保協の皆様,保育士会の皆様,大変貴重な御提案をありがとうございます。

 1番の乳児保育のところでございますが,発達過程で「だいたい6か月未満」,それから「だいたい6か月から1歳3か月」とされている,ここの期間をより短い間隔で,より具体的な内容を記載するということで,何か何か月という具体的な御提案がもしあるようでしたら教えていただけたらと思いまして,質問させていただきます。

○上村先生 御質問ありがとうございます。

 具体的に,今,考えているということではございませんけれども,しかし,6か月から1歳3か月の間というものは本当に著しく子どもの発達は違ってまいります。はいはいができたり,離乳食のこともそうでございますし,このころからずっと始まりますので,そこの「だいたい」と書いているのは,皆さん御存じのように,発達はそれぞれ違うと思いますが,もう少し細やかに,保育の現場に入ってきた者たちがきっちりと生活や食についても,運動についても,少し現場でわかりやすいように細かくしていただく。間隔を具体的にしていただければいいなと思います。発達がすごく違いがあるというところでございます。

 よろしくお願いいたします。

○寺田委員 はい。わかりました。

○汐見委員長 今の形で,乳児とか幾つか分けられていますので,例えば阿部委員,乳児のところで何か御質問はございませんでしょうか。

○阿部委員 大妻女子大学の阿部と申します。

 発達過程について,多分,一長一短があるのではないかなと思います。細かく見ていくこともすごく重要かと思いますが,逆にそこが目標になって,年齢に縛られてしまうことになりますと,主体性の育ち,あるいは主体性は尊重することからすると,年齢と主体性を尊重することの間の,そこのところに多少矛盾が起きてきたりするのかなと思いまして,一人一人の発達過程と考えて,個人差も含めた発達過程と考えたときに,発達の姿は押さえるけれども,この姿にこういう細かく対応するところまでどうかなと,今,聞きながら考えていたのですが,どうなのでしょうか。

○汐見委員長 今の御意見に対して,いかがでしょうか。

○上村先生 御配慮ありがとうございます。

 私も保育の現場にいて,6か月から1歳3か月というのは本当に子どもの感情的なものも発達も随分違ってくるのです。そこに新しく入る若い保育の仲間たちがどういう戸惑いがあるか。だいたい,その道筋がきっちりあるというところ,発達の姿を書いていただくのは大切かなと思ってお願いしました。間隔は先生方で御検討いただきながら,随分違っておりますので,6か月と1歳3か月で,もうあんよする時期になっていきますので,どうぞよろしくお願いいたします。

○汐見委員長 ありがとうございました。

 では,堤委員,お願いします。

○堤委員 相模女子大学の堤です。

 ただいまの発言に関連してなのですけれども,やはり経験の浅い保育士の方とか,あるいは調理に携わる者は余り子どもの姿,育ちを知らないことが多いと思われますので,ここで割ときめ細やかに,この時期にはこういう育ちがありますという,一般的であっても尺度を示していただいて,それでその尺度に対して,この子どもは,あの子どもはどうなのだろうという尺度を持った見方をしないと,例えば調理の方が保育室に行って,「調理に関係するから子どもの姿を見てください」と言われても,例えばその月齢に対して,この子は遅れている,あるいは進んでいる。でも,それは個人差の範囲なのかという判断を下す場合にも,ある程度,自分の中で子どもの育ちの標準的な姿があってその子どもを見て,例えば専門機関につなげなければいけないのか,あるいはあと1か月,2か月見ていれば多分,この子は追いついていくだろうか,といった判断ができると考えています。

 先輩保育士などのアドバイスを頂きながら,そういうことをするためにも,やはりここでは細かく,あるべき姿といいますか,標準的な育ちの姿を書いていただいて,あわせて,個別な対応はもちろん必要ですという書きぶりにしていただけると,若い保育士であったり,あるいは調理担当の者には大変有り難い保育所保育指針になるのではないかと考えております。

 よろしくお願いいたします。

○汐見委員長 よろしいでしょうか。

 ほかにございませんでしょうか。

 では,岡村委員,お願いします。

○岡村委員 認定こども園ポプラの木の岡村です。

 3歳未満児にも5領域でということで副会長の小島先生にお伺いしたいのですが,保育指針の第3章「保育の内容」というところにねらいと内容が記されていく中で5つの領域が書かれていくわけですが,これは3~5歳だけではなくて,保育の内容ということですので,0歳から5領域は意識されてきたものであると私は思っていたのですが,これをもっとということなのですか。

 具体的には,例えば指導要録の中身が3~5歳だけが5領域で書くようになっているからということなのでしょうか。それとも内容的に,どうなのでしょうか。

○汐見委員長 では,お願いします。

○上村先生 0歳からということをきっちり意識し,3歳未満児で個々に挙げているのは,こういったことも遊びを通してということで挙げさせていただいていますが,気持ちの中では0歳児からずっとつながってきているところでございます。

 どうですか。何か補足があったら。

○小島先生  以上児のように細かく記載するよりは,遊びを通してという中で,子どもの活動の姿をそういった幾つかの特徴的な分野に分けて記載していただくことも,この3歳未満児の遊び,発達の姿を明らかにする意味では大変有効なのではないかと考えておるということでございます。

○汐見委員長 よろしいでしょうか。

 では,ここで切らせていただきますので,それでは1人だけ,もう一つつけ加えて。

○秋田副委員長 職員の資質向上のところに「全国保育士会倫理綱領」のことが書かれています。これは極めて重要なことであると思っております。解説書と同時に権利侵害等が発生しないようにすべきということが書かれている。ここでの「そうした」の「そう」は保育士への権利侵害等が発生しないということですか。どういうことを指しておられるのか。できれば子どもの権利侵害とか,やはり倫理ということをより強く指針の中でもきちんと,子どもの倫理とか,それから,保育士における倫理ということが書かれることは私はとても大事であると思っているものですから,ちょっと確認をしたくて質問させていただきました。

 名前を言うのを忘れました。東京大学の秋田です。

○上村先生 ここの「そうした」というのは,まず(1)を受けて,子どもの権利侵害を発生しないようにということで書いております。

 それと,今,秋田先生がおっしゃっていただいた,保育士の権利侵害というお言葉も頂きましたが,そこも職員の資質のところの施設長のところでしっかり書いていただければ有り難いなと思います。この倫理綱領は子どもへの権利侵害をしないようにという意味で書かせていただいているところです。

○汐見委員長 ありがとうございました。

 まだまだいろいろ御意見が,あるいは御質問があるとは思いますが,全体の時間がございますので,今のところで切らせていただきたいと思います。

 では,どうもありがとうございました。

 それでは,2番目に社会福祉法人日本保育協会から御説明のほどをお願いいたします。またこちらの方にお願いいたします。

○森田先生 日本保育協会から参りました,横浜のきらら保育園の園長の森田と申します。よろしくお願いいたします。

 きょうは,保育所保育指針改定についての意見を述べさせていただく機会を与えていただいてありがとうございます。このたびの保育所保育指針改定に対して,日本保育協会としての意見をこのように提出させていただきます。そして,それとともに,保育園の現状を知っていただいて指針の改定の参考にしていただければと思います。

 「1 子育て支援制度の施行等に伴う,保育をめぐる環境の変化を踏まえ,全般的にどのような見直しを行うか」ということで,10年前の指針の改定のときにはなかったようないろいろな保育形態の保育園が出てきました。また,社会福祉法人立,公立だけではなく,株式会社等の,今までは利益を追求しているようなところの保育園ということを行ったり,それから,小規模なところでは施設,それから,資格の取得を持っているかどうかという保育士の配置なども違うところでの保育になりますので,全てを保育所保育指針だけで補うことは難しいのかなと思います。そういう点につきましては,解説書の方で細かく,それぞれの事情に合った対応を記載していただければと思います。

 それから,今回の保育所保育指針には児童の最善の利益のほか,全ての子どもたちへの良質な保育・教育が提供されるという新制度の理念を織り込むべきであるということですが,日々,私たちは保育園で児童の最善の利益,そして,子どもたちへの良質な保育・教育が提供されるように努力をしています。しかし,非常に難しい状態であるのは皆さんも御存じのとおりであると思います。保育時間は非常に長くなっています。標準時間が11時間になったということは,働いている人たちが8時間の労働をするのに,それのために預ける保育園では,やはり11時間必要なのかなと思います。しかし,私たち大人は労働基準法により週40時間という労働時間で勤務をしております。その中で,子どもたちが何時間でも保育園で集団生活をすることに関しての配慮ということは非常に私たちも配慮をしているところであります。

17年前に横浜で保育園をするときに,7時から20時までの13時間の保育を受けたときに元理事長が,誰よりも長い労働時間の子どもたちになるのねというふうに言いました。そのために,少しでも家庭に近い部分で延長保育を行うなどという配慮をしてきましたけれども,例えば0歳児,今,育児休業が随分行われていますが,やはり量より質だと言われますが,その質をつくるためには子どもとの関わる時間というものはとても必要になって,親を育てていくという仕事も大事なことであると思います。その中で,やはり親になるための時間を保育園が奪わないで,育児休業なども使っていただいた上で,ただ,保育園に来るということは非常に親子にとってプラスになることが多いです。0歳児で来て,離乳食から関わり,どんなふうに子どもたちと関わったらいいかというのは,お母さんたちは一緒に勉強していかれます。

 その次に,せめて0歳児・1歳児ぐらいになりましては,短時間の8時間というものが保障できるような就業体系になればうれしいのにと思っています。また,この長時間延長の保育が長いために,今は急速に保育園の需要が増えていった中で人材不足ということがとても深刻な問題です。その人材不足の中でも,人材育成ということも非常に厳しい状態です。例えば今,なかなか大学からの学生さん,それから,ハローワークなどから来ていただいて,きちんと働く人よりも派遣で来る方の方が多いようなのが現状なのです。その中の資質向上と申しましても,なかなか,この保育園で自分たちがやることは,記録は書けませんとか,そういう契約の方も多いですので,その中で私たちが質を高めていくというところには非常に若い常勤の保育士たちに課するところが多くなってきているのが現状です。

 それから,保育所保育においても幼稚園と同じような教育を実施していることから養護だけではなく子どもの成長・発達を保障する教育的視点を導入していることを強調してほしいということです。これについては次のところでもう少しお話をしたいと思います。

 保育所保育では「養護と教育を一体的に行っている」と記載されていますけれども,意味がわかりにくいので,もう少し解説書に具体的に説明していただければと思います。

 そして,乳幼児の成長には家庭での子育ても大切であり,保育所だけが子育てをするのではなく,家庭と協働して子育てをすることが大切であることを強調すべきである。保育は決してサービスではないということを再認識していただきたいと思います。保護者を子育てのお客様にするのではなく,当事者にする仕掛けを保育所が行うことが必要であると思われます。子育てに関する第一義的な責任は保護者にあって,保育所は子育てのパートナーという位置づけで連携し,同じ土俵の上で育てる。そのために保護者と交流し,共感していく。保護者に子どもを理解してもらうような機会が多くあるとよいと思います。

 「2 乳児保育,3歳未満児保育に関して,この時期の発達の特性を踏まえつつ,どのような内容を充実するか」ということで,3歳未満児の教育は幼稚園の学校教育と同意語ではないけれども,保育所における3歳未満児においても教育,先ほどからも出ていますが,子どもの学びが必要であることがもう少し保育所保育指針に記載してもよいのではないかと思います。

 そして,乳児においても養護だけではなく教育が必要であることを明記してほしいと思います。また,幼保連携型認定こども園教育・保育要領では乳幼児の教育について3歳以上児は学校教育,3歳未満児は保育と規定されていますが,保育所保育指針における教育面については,0歳児から就学前までを連続的に捉えた記載としていただければと思います。

 乳児に対して,大人は無言で援助してしまうことが多いと思うのですが,今,自分が何をされようとしているのか。さあ,おむつをかえに行きましょうねとか,それから,気持ちよくなったねと,たくさんの声かけをしている保育士さんは多いと思いますが,お母様方にもそういうことが伝えられればと思います。そして,子どもの気持ちに共感して,いろいろな事情があります。その中で子どもも,自分が一番にはやってもらえないこともあったり,集団の中でだったりするのですが,それをきちんと伝えることによって理解をしていく。ちょっと待っていれば次には自分の番が来るというのは乳児からでもきちんと理解をしてくれますので,そういうところも伝えていければと思います。そして,子どものプランというものがあるのだと思うのです。発達のプランというものに大人が気がついて,それを読み取っていくような謙虚な姿勢も必要なのではないかと思います。

 「3 幼児期の終わりまでに育ってほしい姿を踏まえた保育の在り方の検討と,目標に向けた保育課程,指導評価,自己評価をどのように確立するか」ということで,幼児期の終わりまでに育ってほしい姿について,現在の保育所保育指針第3章の「保育の内容」に示されていますが,5領域については幼稚園教育要領・幼保連携型認定こども園教育・保育要領の教育内容と同じであることを強調すべきであると思います。

 学校教育法にない保育園であるということで,教育をしていないような表現をされることがありますが,小学校に行くに当たって6歳になった子どもはそのような差がないように育てるべきであると思いますので,保育園でもそのような教育というところを行っています。教育内容は幼稚園と同じで,決しておろそかになっているということはありませんので,そこも指針の中でわかるように,理解してもらえるようにしてほしいと思います。

 「4 養護・健康及び安全に関してどのように記載を整理し,内容を充実するか」。健康や安全については,情報が氾濫しているために,看護師や栄養士などの資格取得者の配置状況を踏まえて記載すべきであるということです。

 しかし,看護師・栄養士が私の園では今,いますので,連携をとって,非常にうまく機能していると思いますが,看護師は必置ではありません。横浜市では今まで補助金が出ていたのですが,ここのところ出なくなってしまい,ここまで看護師と一緒にやってきた仕事をなしでやっていくことには非常に難しさを感じます。それなので,そういうところも配置していただけるようになると有り難いと思います。アレルギーなどを知りつつ,それから,小さなけがでもお母様たちに伝えるということで難しいところが多くなっています。それから,先ほども出ましたが,食育という面でも栄養士などの配置というものが大変貢献していると思いますので,それが制度にのっとっていただけるといいなと思います。

 説明責任で対応できることや保護者に任せてよいものがあると考えられるため,そのことについては保育所保育指針か解説書に記載すべきであります。

 安全は危険の中で養われると思います。危険だと思われるものを全部なくしてしまった公園が一時ふえましたけれども,決して何もない公園で子どもたちが遊ぶことで子どもたちの力を伸ばすことはできません。ちょっと危険だと思われるようなことでも,小さいときからここに挑戦していると,大きくなってからは決してその上に登ることが大変だということがわかっているので,落ちるようなことがありません。段階を踏むことが大事だと思います。

 「5 虐待防止に関する内容を含め,保護者支援に関する内容をどのように充実するのか」ということですけれども,虐待などのことに関しては保育園で最初に見つけることも多いですし,それから,通報の義務もありますので,そういうことも多いのですが,保育園自体の中にはソーシャルワーカーを中心的に担う専門機関・専門職ではないということに留意して,やはり連携をうまくしていくことが,配置していただくのは難しいと思いますので,必要になってくることと,やはり園長などがその勉強もしていく必要はあると思います。

 今,大変,対応の難しい保護者に対する支援をどうしていくかということは保育園で悩むところであり,保育士の中にはメンタルヘルスがうまくできない者もふえてくることもあると思います。理不尽としか思えないような要求に関してはきちんと保育園でも言えるという姿勢をとっていくのだということが保障されてくれるといいなと思います。また,将来の保護者支援として,例えば中学生などのボランティアなどの形態がとても多くなって,保育園に来ることも多いのですが,私が今までやってきた中で,例えば親子でいるところに一緒に参加してお母さんの気持ちを聞いていくことが大変,中学生などには必要になっているのかなという状況を見ていますので,そんなこともできるような,ただ安全,安全ということで中学生を一緒にすることはと校長会では言われるのですけれども,そんなところもできたらいいなと思います。

 その他,今,一番大きく私たちが苦労しているところが発達障害や気になる子どもの対応のことでございます。専門機関との連携を強調すべきであると思います。

 いろいろと,小学校ではスクールカウンセラーのような人が配置されたり,それから,保育園でも加配の職員がついてくれたりすることができるようになったのですが,先ほども申しましたように,人材不足ということもありますので,誰かがつけばいいということではないのが大変難しいところであります。

 あと,現状の保育所保育指針の「義務」「努力義務」「望まれる」ということは,もう少しわかりやすいようにしていただけると有り難いと思います。

 それから,先ほども子どもの発達,2章のところに書かれているということについてのお話がありましたが,これが告示で,法律的なものであるという性格ですと,もしかしたら解説書の方でそれに細かく触れていただくのがよいのかなと思われます。

 それから,現在の保育所保育指針に対する意見ですけれども,これをするためには,やはり保育士の社会的評価の向上,保育士の処遇の改善など制度面での改善もついてきた上での保育所保育指針の改定を望んでおりますので,よろしくお願いいたします。

○汐見委員長 ありがとうございました。

 それでは,今の御説明に対して御質問・御意見をお願いいたします。

 では,山縣委員,お願いいたします。

○山縣委員 関西大学の山縣と申します。貴重な御意見をありがとうございました。

 最後の部分に,第2章については解説書でいいのではないかというものがあります。この委員会でも何人かの方々がそういう意見を言っておられます。

 もう一つ,1ページの方に「養護と教育を一体的に行っている」ことについて,もっと詳しく,わかりやすく解説してほしいという意見が書いてありますが,これの点に関して,この委員会では,養護は総則に動かしてもいいのではないか。すなわち,養護と教育を別の章で書いてもいいのではないか。そういう意見が,私は前回欠席したのですけれども,前回で,その数回前にも出ています。私は分離すべきでないというグループなのです。でも実際,この委員会の流れでいいますと,今,少数派になっています。

 そのことについて,養護と教育を別々の章で書くという考え方,そこで更に丁寧に説明するという考え方について,どのようにお考えでしょうか。

○汐見委員長 では,お願いいたします。

○椛沢先生 日本保育協会の,中居林こども園の椛沢と申します。よろしくお願いいたします。

 養護と教育を別々にというのは,なかなか難しいのではないかなと思います。例えば安全と健康という形でここを分離するのであればいいと思いますけれども,やはり現場では養護も教育も一緒にあるわけですね。よく言われますように,おしめを取りかえるときにきれいにして,清潔にしながら,言葉かけとか体験を文言にして子どもたちに語りかけることは,そこで体験と言葉を一致させて,いろいろなものを自分で得ていく。そういうものがあるので,やはり小さいうちは特にそこら辺は一体になっているという,その言葉がとても合っていると思うのですが,養護と教育はいろいろな面で絡み合って一体になっているので,分けるとすれば,要するに今,危機管理ということがとても大きく言われているように,命ということの確保であったり,安全の確保であったりという部分ではいいと思いますが,養護ということであれば一緒にしていいのではないかなと思っています。

○汐見委員長 ありがとうございました。

 ほかにどうでしょうか。

 では,砂上委員,お願いします。

○砂上委員 千葉大学の砂上です。現場の実態に即した,大変詳しいお話を頂きましてありがとうございました。

 1つ,少し詳しく御説明をお願いしたいところで,2ページの「4 養護・健康及び安全に関してどのように記載を整理し,内容を充実するか」の2です。「説明責任で対応できることや保護者に任せてよいもの」とあるのですけれども,この具体例等がございましたら,もう少し詳しく教えていただけると有り難いです。お願いします。

○汐見委員長 それでは,お願いします。

○竹内先生 日本保育協会の,秋和保育園の竹内と申します。よろしくお願いいたします。

 お尋ねのことに十分お答えできるかわからないのですけれども,ここでこの検討の資料,意見を作成するに当たって,まず大前提として,保育現場の保育士,もちろん,施設側もなのですが,保育のしやすさ,働きやすさというものを前提に考えていく必要があるのではないかというところから議論を始めています。そういう意味で,現在,保育所にはいろいろな役割が保育ニーズとして求められて,その内容が保育の中に全て含まれてきているのだと思います。

 実際のところ,そういう幾つかの個別のところ,具体的なものというお話がありましたけれども,一人の保育士が保護者の方,地域の方に,子育てだけでなく,その他様々な分野についても,対応しなければならないような場面が多く見られています。このように,保育所や保育士に全ての責任が形として乗っかってしまうことというものではなくて,やはり現場の人間が子どもとともに育っていく中で保育をしっかりと提供していくことができる環境が重要なのではないかと思っています。

 そういう意味合いで,説明責任や保育所が親としての子育ての第一義的な責任を含めて対応していることを配慮して,保育所保育指針に記載していただけることが大切なのではないかと考えております。

○汐見委員長 ありがとうございました。

 ほかにどうでしょうか。ございませんでしょうか。

 ないようでしたら,日本保育協会からの御説明は以上で終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

 それでは,次に公益社団法人全国私立保育園連盟からの御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○藤森先生 皆さん,こんにちは。毎回の御審議,どうもお疲れさまです。こういうものを決めていくのは大変だろうなと,つくづく委員でなくてよかったなと思います。つくっていくのは大変だなと。

 しかし,この間,私の園の職員なのですけれども,今年3年目に入る用務員さんがこう言ったのです。男性なのですが,最近,保育指針を読むのが面白くて仕方がないのですと言ったのです。何でと言いましたら,用務の仕事をやるたびに,指針のここに当たると言って見つけるのがすごく楽しみなのですと。用務の仕事でも指針にこんなに関係するのですねと言ったのです。

 私は是非,職員・現場がこうやって日々,指針を見たり,指針を参考にしたりする保育ができるような内容にしてほしいなと思います。解説がありながらも,何かまどろっこしく,余計わからなくなるような解説も多くてなかなか,本当に解説しているのかなという,文章だけでわからないものを,解説書を見るとわかるかと思ったら,意外ともっと迷宮入りしてしまうことがあるので,是非現場が日々,手元に置いて,それを参考にしながら保育ができる内容にしてもらえたらなと思っています。

 それでは,要望の趣旨をお話しします。

 まず,最初の提出した10か条については,再三,皆さんに御提示していることなのですけれども,それの細かいことについて1つずつお話しします。

 まず1つ目で,これは前の団体もお話ししたのですが,乳児についてがどうかという話なのです。これはこの指針の改定の会議の最初に,今回の指針には乳児保育についての重要性とか,乳児保育を特別に考えるということが書かれてあったので,私としてはそこがどちらに転ぶのかなと思って,ちょっと心配と期待があったのです。

 それはどういうことかといいますと,乳児から教育であるということはもちろんなのですけれども,私たちが提案したものには「生まれながらにして教育される権利がある」とあります。この教育についての議論がありまして,私どもからしますと,いわゆるエデュケーションという意味の教育なのですけれども,これの細かい説明の中には,最近の研究にはっきり,こういうふうに書かれているのです。新生児は能力のある乳児として,この世に生まれてくるとか,それから,子どもは誕生の瞬間から自分の発達について積極的に働きかけている。全ての子どもは,その個性とその子らしさにおいて,他の子とは違っている。だから,子どもは権利を持っているというふうにきちんと,ただ乳児から教育ですということではなくて,こういう文言で示されているのです。そういうことも,今,世界的な流れですので,是非そういう観点でどこかに書いてほしいなと思っています。

 それについての内容なのですけれども,こちらの会議で,第2回の会議が乳児保育について議論されていますが,そのときにちょうど,きょう見えている東大の発達センターから示された資料,遠藤先生などがまとめられている海外の研究の資料が,私からすると,現場からすると非常に納得のいく研究でした。彼らが示されているものがまさにそうなのだと。

 まず1つが,これは前から言われていますけれども,脳のニューロン,シナプスの発達が,生まれてからすぐ発達し,その後,刈り込みといって,順に削っていく作業である。つけていく作業ではなくて,削っていく作業であるということで,示された資料の中にはそれのことをこういうふうに書いてあるのです。幼少期から様々な脳機能を発達させる環境を充実させる。そして,それによって量を拡大し受入れ体制を整備することを前提として,子どもに高い質のECECの機会を提供すること。量を拡大し受入れ体制を整備することを前提として,質の高い環境が必要であるという言い方でグラフが示されています。

 特に最初に示されている,早く発達する中には,この提案の中にもありますけれども,いわゆる自制心とか自己抑制力とかは,1歳ぐらいから2歳にかけて拡大する時期だといいます。この時期に,次の子どもが生まれるから,そういう力もつけていったのだろうなと思うのですけれども,現状は,次の子どもは次の年になかなか生まれていないです。そうすると,どういうところでこの自己抑制力が拡大しているのだろうかと見たときに,ほかの子どもがいる保育園の役割はとても大きいだろうと思います。

 それから,その後のコミュニケーション能力とか,いわゆる社会性とか,言語能力。これらの脳の発達も,ほかの子どもがいるということの環境は非常に重要である。そういう意味において,今までは脳の研究を含めて,対大人,対子どもという研究が多いのですけれども,乳児から子ども同士がどう過ごすか,子ども同士がどういう影響をし合うかということをもう少し研究をしてほしいなと現場で思っています。

 そういう中で,今回はブログからいろいろと話題になっている待機児解消からの議論で,最近は質の向上ということが議論され始めています。この質の向上に合っているものは,私はある意味では保育指針であると思っているのです。どう質を向上させるか。普通に質の向上といいますと,どうしても最低基準の重視とか,そういうことを言われがちですけれども,私は質の向上に保育指針が大きく寄与するべきであると思っているのです。そうすると,やはり第2回に出されている,質の高い保育とはどういうことかということの海外の研究が私はとても具体的に書かれていると思います。

 しかも,それらは全て乳児においてなのです。2歳児クラスまで,いわゆる3歳児までにどういう保育が必要かという観点から研究されています。0歳,1歳,2歳児クラスの重要性というものは質の高さに非常に影響しているということが,この海外の研究から見えてきます。その研究の中で保育者との関係,温かく応答的であること。それから,言葉がけに非常に重要な根拠が見られるということもとても重要であると思います。

 この応答的というものも,最近の研究で,子どもに言葉がけしなさい,子どもに笑いかけなさいというものから,実は子どもの方が笑いかけていた。赤ちゃんの方が先に笑っていたという研究が最近出ているように,大人は子どもに何かをするのではなくて,子どもに応えるという大きな発想の転換が私は必要な気がするのです。それが多分,応答的という言い方を出したのですし,その中にある,共に考えるということだと思います。ここにかなり質の高さについて書かれているので,是非それを,そこの言葉は反映してほしいなと。

 この研究によると質の高い保育については5つの領域について,その特徴が見られたということなのです。この5つの特徴を私はきちんと5つ出すべきであると思っているのです。

 その中でちょっと意表をついたのが,子どものトラブルに対して支援の在り方というものが5つの一つに挙げられているのです。これはドイツのミュンヘンのバイエルンという陶冶プログラムの中に子どもの衝突マネジメントといいまして,きちんと一つの章立てになっているのです。子どもの衝突マネジメントというものはかなり質の高さに影響しているということがどうも世界では出されているような気がします。ですから,そういうことは具体的に書いてもいいのかなという気が少ししています。

 そういうことを思うのが1つです。

 もう一つ,第4回の会議とか第5回の会議の中で3歳以上の保育について議論されているときに,私はとても違和感を覚えたのが,3歳以上の保育についての議論のたたき台のもとが幼児教育部会の取りまとめについてを参考にされていることです。この部会に私は違和感を覚えるのは,この部会は3歳以上からしか見ていないのです。ここに至るまでの0~2歳がどうあったかということの議論がないのです。

 例えば,先ほど言いましたように,粘り強さ,自制心といったことが議論されていますけれども,これがいかに0~2歳のときが影響しているかということがなくて,3歳以上にそういう力をつけようということから始まっているのです。これはマシュマロテストについての研究も,4歳の時点の研究で将来どうなるかなのですけれども,あれですぐ子どもを我慢させればいいという議論になるのですが,実は4歳の時点でどうして我慢できる子とそうでない子に分かれているのかということが問題なのです。そこが保育なのです。分かれたことが将来,どう影響するかということではなくて,4歳の時点でどうして我慢できた子とできない子が分かれるのであろうかということがあのテストの趣旨なのです。いわゆる自制心で,そうすると,あの人の本を読みますと,1歳から2歳にかけての発達の育ちが,それから,大人との関係が非常に影響しているということがそこの研究の中であらわされています。

 もう一つ,同じように,非認知能力ということが幼児期ということですけれども,言語能力にしても,言語能力の発達に影響するのは保育園の時期ですから,まだ言葉が話せない時期での言葉のやりとりがその後の言語能力に関係するとか,それから,もうちょっと最近の研究では,この中に特に終わりの方に出ているのですけれども,協同性とか道徳性,規範意識の芽生えというところが提案されていますが,最近『ヒトはなぜ協力するのか』という本などを読みますと,これらは生まれながら人類が遺伝子として持って生まれる。協力する遺伝子を持って生まれ,それから,道徳規範を守ろうとする力を赤ちゃんは持って生まれるだろうということの研究が最近は多いのです。そして,それによって1歳で指さしをし,人に物を教えたがったり,物を分け合ったり,それから,道徳的な,社会規範を守ろうとする力が1歳ぐらいに出ているのです。

 こういうものが,現場にいますと,非常に1歳児というものは正義感が強いことを感じます。こういうことを思ったときに,この3歳以上の保育の議論の中にも0~2歳,3歳までの育ちがどういうふうに影響するかという議論の上での3歳以上ということでないと,3歳以上だけですとどうしても,道徳をつけるとか,そういうことになってしまいがちな気がします。

 最後ですけれども,このまとめの中でも小学校への円滑な移行ということを議論されて,これもとても評価されることではあるのですけれども,例えば今回の,次の課題というところでこれが書かれているのですが,そのときに,幼児期の終わりまでに育ってほしい姿というものが幼児教育の特徴なのですけれども,その次に,小学校への円滑な移行についての保育の在り方の検討,円滑な移行ということも挙げた方がいいと思うのです。

 ただし,これも誤解を受けているのですけれども,乳幼児期の教育と児童期の教育を円滑な移行の中ではきちんと議論をして,発達を踏まえて,それらをきちんと押さえるようにということが言われているのです。そしてその中に,例えば私たちが提案しているのは「だいたい8歳まで」と書かれているのはどういうことかといいますと,小学校の学習指導要領においても,1年生,2年生の算数の学習指導要領には具体物を通してという言葉が入っているように,まだ幼児期の教育の経験カリキュラムがかなりダブって入っているのです。ですから,小学校の先生に保育指針を読んでほしいと思っているのです。

 私たちが小学校学習指導要領を読んでほしいと言われることが多いのですけれども,私からすると,逆に低学年の先生たちには保育指針を読んでもらって,幼児期の育ちからどうつなげていくか,1~2年生がそれをどうダブらせていくかという観点で小学校以降の教育もしてほしいという思いを込めて,8歳ぐらいまでこういう幼児教育というものを捉えてほしいということです。これは厚労省の方から,幼児の定義は8歳ではありませんと言われたのですけれども,そういう意味の幼児の定義を書いたわけではなくて,幼児教育という観点を是非小学校低学年の先生も踏まえてほしいという願いでこういうことを書きました。

 そういうことで,ざっと重要なところだけをお話ししました。あとは質問があればよろしくお願いします。

○汐見委員長 ありがとうございました。

 それでは,今の御説明,それから,メモがございますので,それについての御質問・御意見をお願いいたします。

 それでは,山縣委員,お願いいたします。

○山縣委員 関西大学の山縣です。

 質問は1点だけなのですが,時間の関係でお話をされなかったという理解の前提なのですけれども,養護について言及がなかったのですが,それについてはどのようにお考えでしょうか。

○藤森先生 養護と教育というものがどういうものかという議論がされていたときに,いわゆるアンドではない。養護をもとにして教育がされるということをはっきりと私は書くべきであると思います。そういうことで,並列して書くのではなくて,きちんと養護がされた上で教育がされていくのであるという,それは幼稚園教育要領の中にも,情緒の安定をもとに教育がされると書かれているようなことなので,私はそのもとにあるものという「と」ということがそうではなくて,それをもとに教育されるということなので,教育で大丈夫な気がするのです。

 それで,そこのもとには養護がきちんと押さえられていないと教育がされていかないのであるという書き方をすべきではないかと思っています。そして,その養護には,今まであるような生命の保持と情緒の安定ということが教育をされる上では必要であるという書き方であろうなと思っています。

○山縣委員 ありがとうございます。

○汐見委員長 ほかにどうでしょうか。

 追加はございますか。

○藤森先生 済みません。質問が出ないので,ちょっと追加なのですけれども,これは全国を回って聞く話ですが,こども園になったときに,どうしても教育委員会が管轄すると,学校教育に入っているということを勘違いしていて,児童期の教育としての集団教育や一斉保育を,例えばコアタイムの時間をしなさいという指導をされるということことを割と聞くのです。

 円滑な移行の報告書の中には児童期の教育と幼児期の教育をはっきり分けていて,いわゆる教科カリキュラムを,集団を基本として,時間割に沿ってやるのが児童期の教育であり,幼児教育は遊びを通して経験をする中から学んでいくものであるということが,書かれているにもかかわらず教育委員会ではそういう指導をしていることがどうも見受けられるので,そのあたりはもう少しきちんと指針の中にも,こちらは関係ないかもしれないのですけれども,こども園の方にもきちんとそれは書いてほしいなと思っています。

 はっきり,児童期の教育と幼児期の教育というものを,発達を踏まえて,違うものである。それで,同じ教育という言葉を使っても,同じ学校教育であっても違うのだということをきちんと書いてほしいなと思っています。

○汐見委員長 ありがとうございます。

 ほかにないでしょうか。

 ないようでしたら,私の方から1つよろしいでしょうか。

 今の御説明の中に,前回だったと思いますけれども,3歳以上児の教育・保育のところなのですが,今,幼稚園教育要領の方の議論が行われていて,幼稚園は当然,3歳以上ですから,そこで保育内容を,ねらいを考えざるを得ない。それで,全体としてはこども園もございますが,なるべくそのところについては整合性を図るといいますか,内容上,余り違いがないようにしていきたいというのが前提なのです。

 ただ,そういうふうにすると,0~2歳からやっている保育所保育と3~4歳からやっている幼稚園との間に,0~2歳でせっかくやっているところが,そのままではうまく生かされないのではないか。そういう御意見であるというふうにお伺いしたのですけれども,その場合に,何か書き方に工夫というのでしょうか,配慮というのですか。そういうものがこういう形で必要ではないかという御意見があったら,ちょっと頂きたいのです。

○藤森先生 私は,海外の調査の中に保育者(教師)と書かれてあるのです。その保育者は,私は保護者も含めてだと思っているのです。ですから,幼稚園であっても乳児において保護者はそういう観点で,指針に書いてあるような観点で子どもと接してほしいという願いを込めて,指針は保護者も読めるようにしてもらえたらと。

 別に保育園だけがいいとは思っていませんので,家庭で見る場合も応答的なということはとても重要で,最近の虐待とか尊属殺人はここができていないのです。応答的ではなくて,大人が主導して,大人が子どもをコントロールすることが多過ぎること。それから,親がスマートフォンとかをいじって,子どもの表情とか子どもの言いたいことに反応しない親が多くなっていると言われているのです。そういう点では,温かくとかが共通するのです。

 ただ,私からすれば子ども集団というものが今,家には欠けてきているので,なるべく子育て支援を行うとか,これはここで言っていいかわかりませんけれども,私の理想は,今後はこども園の1号認定を0歳から認めるべきと思っているぐらいなのです。そういうことですけれども,とりあえずは保護者も含めて保育者である,子どもを育てる人であるということも含んでいますという書き方をするといいような気がしています。

○汐見委員長 ありがとうございました。

 ほかにございませんでしょうか。

 ちょっと時間が来てしまいましたので,全国私立保育園連盟からの説明はこれで終わりたいと思います。ありがとうございました。

 この後は東京大学大学院教育学研究科附属発達保育実践政策学センターからの御説明ですが,そのセンター長は実は秋田副委員長ですので,説明者席に移っていただきました。

 それでは,よろしくお願いいたします。

○秋田先生 このような機会を頂きまして,まことにありがとうございます。

 お手元に配付させていただきましたけれども,私どもの東京大学大学院教育学研究科附属発達保育実践政策学センターは昨年の7月にできたものでございますが,国立大学ですので,公費を頂戴しまして,乳児期からの乳幼児の発達・保育に関わる研究を行っております。まず,こういう会に学術関係の諸機関がこういうヒアリングでお話をさせていただく機会を頂戴しますことを大変有り難く思っております。

 本日は一つ,全体の構成について私の方からお話をさせていただきました後は,私どもでは昨年度の2~3月,各団体の御協力を得まして,認可保育所,それから,今回初めてでございまして,きょうはお出しできませんが,全国の無認可の保育所,全国の幼稚園・認定こども園,その全てに同じような質問肢で御回答いただくという調査を実施いたしました。私どものセンターは省庁ではありませんので,所管というのはないので,全ての子どもが通う園に対して調査をさせていただきました。その結果を踏まえて,特に本日は認可保育所のデータを踏まえて,保育所保育指針の改定に関する意見を述べさせていただきたいと思います。

 1.だけを私が,あとの2.以降のものにつきましてはセンターの専属の教員である淀川裕美特任講師と,高橋翠特任助教の方から御報告させていただきます。

 まず保育所保育指針の章の構成に関してでございますけれども,先ほどから出ております第2章の「子どもの発達」,特に発達過程のところの記載でございます。これに関しましては,私は前回の保育所保育指針の改定の委員でありまして,そのときに大幅に削減をするという方向をとりました。しかし,いろいろな方からの御意見で,だいたい何歳という記述が,実際にはどのような保育行為が行われることによって,その時期の子どもの育ちが保障されているのかというところの,いわゆる子どもの発達過程と保育課程,保育実践との関係というものが現行保育指針や解説書では十分に書かれていないのでわかりにくいのではないかといった声を養成校などに関わる先生方からは伺っております。そこで発達過程と,例えば現在,第3章の「保育の内容 2 保育の実施上の配慮事項」をあわせた形で,例えば保育課程や保育士の行為と発達過程の関係を,乳児・幼児に関して記載する章構成とする方がわかりやすくなるのではないかと思ったりいたしております。また,乳児に関しては,ニーズもふえておりますので,解説書を含め,より詳しい内容が記述されることが必要であろうと思います。

 また,先ほど御意見が出ておりましたように,認定こども園教育・保育要領では,入園から卒園までにおける個人の保育経験の違いが意識された記述となっております。保育所におきましても,今後,地域型保育事業などで,小規模保育や家庭的保育から保育園に移行してくる子どもたちも今後ふえてくるであろうと思われます。それを考えますと,乳児期から幼児期への移行というところも重要ですし,あわせて,施設間の移行における発達の連続性の保障というものに関わる連携などに関する記述が入るとよいのではないかというのが1点でございます。

 もう一点は,第3章「ねらい及び内容」に関してですけれども,先ほども御意見がございましたが,いわゆる社会情動的資質や市民的資質・態度の育成というものが,国際的にも重視されております。現行の保育所保育指針,それから,幼稚園教育要領を調べますと,自発性とか意欲ということは書かれているのですけれども,柔軟性や忍耐強さとか,失敗を乗り越えるなどの態度や資質に関わる記述が必ずしも詳しいものではありません。配慮事項や特定の領域の内容の部分にそうした内容が更に書き込まれることが,良質の保育というものを考えていく上では,今後を見通すと必要ではないかと感じられます。保育所保育指針は主に乳児の方を厚く書き,幼稚園教育要領の部会の方が幼児というのではなく,やはり全体を通してこういう社会情動的資質に関して指針に重要性を書き込む必要があるのではないかと考えております。

 次からは,センターの方では食,睡眠,運動,遊びということに関する調査をしておりますので,淀川さん,高橋さんの方から御報告させていただきます。

○淀川先生 淀川と申します。よろしくお願いいたします。

 センターでの調査結果及び学術知見等に基づきまして,私どもの方から御提言させていただきます。

 (ア)の養護,特にアタッチメントやケア,(イ)の食について,そして(ウ)の睡眠については私から,また(エ)の園長先生の資格要件や研修受講につきましては高橋から御説明させていただきます。

 では,まず(ア)の養護について御説明いたします。資料の5ページ目と6ページ目も併せてごらんください。(ウェブサイト掲載の資料は,当日配布資料のうち一部を抜粋したものとなっております。本議事録とページ数が対応しておりませんので,御了承ください。)

 改めて申し上げることではないと思いますけれども,生涯発達においてアタッチメントの形成が重要であるということが言われております。

 資料の5ページ目の下側なのですが「安全感の輪」という図を載せております。これは当センターの遠藤先生のまとめの中から使わせていただいておりますが,アタッチメントの形成において,子どもが不安や恐怖を経験した際に,自分の欲求や思いを表現し,特定他者,保育所であれば保育士の先生方と思いますけれども,特定他者が敏感に適切に応答することで子どもが安全感を得られるという見通しを得て,自律的に探索できるようになるということを言っている概念でございます。

 このアタッチメントの形成というものが,次の6ページ目の下の方に載せさせていただきましたけれども,自尊心や自律性,他者への基本的信頼感,そして,心の理解能力などの発達を支え促すとともに,身体の発達にも影響しているということが研究で明らかとなっております。

 この点に着目しまして,当センターで行いました全国認可保育所の先生方への質問紙調査で項目として設けました。こちらの内容を,資料の11ページと12ページで示しております。

 アタッチメントの設問項目が12ページに上と下で載せておりますけれども,この中で先生方の子どもたちに対する敏感な応答ということと,もう一つ,下の方では子ども自らが考えや欲求を表現しやすい雰囲気であるかどうかというところの配慮について伺いました。

 ここで「とてもそう思う」というところ以外を選んだ先生方の割合を出してみますと,いずれも大体7割程度。1歳児さんの敏感に応じているというところと雰囲気への配慮というところはもう少し少ないのですけれども,3歳児さんや5歳児さんのところでは8割近く「とてもそう思う」以外を選択されています。

 ここで「とてもそう思う」以外を一つのくくりとしている理由としましては,子どもの最善の利益を保障するという観点では「ややそう思う」ではなくて,やはり自信を持って「とてもそう思う」ということを答えていただければということを考えまして,このようにくくりを設けました。これらの結果から,現状としてアタッチメントの形成という観点からは,必ずしも十分な関わりが保障されていない場合があるのではないかということが示唆されます。

 以上を踏まえまして,現行の保育所保育指針についてですけれども,アタッチメントの観点からは,保育士から子どもへの敏感な応答ということに加えて,そもそも子ども自らが自分の欲求や考えを表現しやすい雰囲気とか,あるいはそうした関係の構築についても言及を加えていただくとよりよいのではないかということを御提言させていただきます。こちらの内容は,先ほどの先生からも御発言があったことかと思います。

 次に「(イ)食について」を御説明いたします。こちらは資料の1314ページをごらんください。

 食についての設問項目としましては,子ども一人一人の発達や生活時間等に応じた,食事時間の個別の配慮に関する項目。そして,食に関する保護者との連携に関する結果を示しております。

 いずれも,1歳児さんは「とてもそう思う」以外の割合はほかの年齢よりも低いということはわかると思うのですけれども,全体で7~8割が「とてもそう思う」以外を選択されています。特に3歳児さん,5歳児さんの場合に「とてもそう思う」以外が多いという結果となっております。つまり,食に関する個の発達とか,あるいは生活時間ということが食にはかなり影響していると思いますので,そのあたりへの配慮が必ずしも十分ではないということが示唆されます。

 以上を踏まえまして,乳児さんだけではなくて幼児さんにおいても,やはり食に関してもある程度個別の関わりができるような体制づくりということについて言及を加えていただく必要があるのではないかと思います。

 続きまして「(ウ)睡眠について」を御説明いたします。こちらは先行研究の知見について,資料の7ページ目から8ページ目をごらんください。

 まず,乳幼児の総睡眠時間に関する研究がございます。7ページ目の上の方のスライドなのですけれども,こちらは,乳幼児期の総睡眠時間の減少というものは,昼間の睡眠時間の減少なのだということが明らかにされているデータです。夜間には10時間睡眠をとるというのはどの年齢も変わりがなく,昼間の睡眠時間が減少していくということが睡眠生理の研究からわかっております。

 7ページの下のところなのですけれども,こちらは睡眠-覚醒のリズムをあらわしているグラフです。日本の縦断的比較研究のデータをベースにしているものですが,こちらからも年齢によって睡眠-覚醒のリズムが変化していくことが明らかになっております。

 ページをめくっていただきまして,8ページ目の上のスライドでございます。こちらが,特に昼間の睡眠時間が減少するというところで,保育所におきましては午睡に当たると思いますけれども,そもそも昼寝というものをする子どもあるいはしない子どもが何割いるかというところで,こちらは日本のデータがございませんでしたので,アメリカのデータからの引用となります。

 こちらをごらんいただきますと,2歳児さんで19%,3歳児さんで43%,更に4歳,5歳と年齢を重ねていくにつれて,お昼寝をしない子どもがふえているというデータとなっております。ただ,こちらは保育所に通っている子かどうかというところの条件は入っておりませんので,御了承いただければと思います。

 このように,年齢によって,あるいはそもそも月齢等によって睡眠というものが発達していくということがありまして,午睡の時間も変化していくことが大規模なデータで明らかとなっております。こちらに加えて,更に睡眠-覚醒のリズムというものは母親の睡眠のリズムとも同期していることが明らかになっておりますので,そのような個人差というところへの配慮が必要であるということが示唆されます。

 さらに,睡眠に関して当センターで調査を行いました。こちらの結果を資料の14ページから16ページに載せさせていただきました。

15ページ,16ページのセンター調査結果ですけれども,子どもの発達や睡眠-覚醒リズムの年齢による違いや個人差への配慮に関する項目と,睡眠に関する保護者との連携に関する項目の結果を示しております。やはり全年齢を見ますと「とてもそう思う」以外の選択がとても多いことがわかると思います。すなわち,午睡に関しては既にそれぞれの園で様々な配慮や工夫はなされていることと思いますけれども,一方で個の発達というところへの配慮の取り組みが十分なのかどうかというところが課題として出てくるかと思います。

 以上を踏まえまして,現行の保育所保育指針について述べさせていただきます。現在,この保育所保育指針で睡眠という言葉で検索をかけますと,2か所のみ出てきます。解説書の方では14か所出ていまして,睡眠についての段落もございますけれども,保育所保育指針ではとても言及が少ないということです。さらに,3歳児さん以上の幼児の午睡に関しては,各園での判断に任されている現状があるかと思います。これまで申し上げましたように,睡眠生理の発達という観点からは,乳児期だけでなく幼児期においても,睡眠に関する個別の配慮が必要であるということを,言及を加えていただく必要があるのではないかと思います。

 私からは以上です。

○高橋先生 Cedepの高橋と申します。私からは「(エ)施設長の資格要件や研修受講について」で御提案させていただきます。まず,先行研究からの知見といたしましては,資料の8ページの下の資料をごらんください。

 保育の質において,施設長の能力や知識,リーダーシップが重要であることが指摘され,世界的にも研究が盛んであります。我が国においても,施設長にどのような資格や研修が必要か。また,そのような研修をいかに効率的に実施できるかといったことに関する研究の必要性が指摘されております。

 この点に関して,Cedep,私どものセンターが前年度に実施した,認可保育所を対象とした全国調査の結果を御紹介させていただきます。調査の結果は,資料の17ページから20ページに具体的なデータがございますので,ごらんください。

 さて,調査の結果を端的に申し上げますと,保育士資格を保有しておられる施設長は,そうではない施設長に比べて,平均としてリーダーシップの具体的な内容として,園の運営や保育の質向上に向けた取り組みをより熱心に行っておられました。その中でも,特に自園の保育実践への関与で最も顕著な差が認められました。この点に関しては17ページの資料をごらんください。

 そして,日々の実践の中で負担感をより強く感じておられました。この点に関しては,労働環境に関わる負担で著しい差が認められました。このデータは18ページをごらんください。

 さらに,自園の保育環境の適切性を,保育士資格を保有している施設長は,そうではない施設長に比べて,より低く評価しておられました。これは保育環境に関して課題をより強く認識しているということをあらわしていると考えられますが,このデータは資料の19ページをごらんください。

 そして,保育士資格を保有している施設長は,そうではない施設長に比べ,安全管理に向けた組織としての取り組みをより積極的に行っておられると回答しておられました。これに関しては20ページをごらんください。

 以上から,保育の実践に関する質の向上,労働環境の改善,保育環境の改善,施設単位での安全管理体制の整備という観点から,保育士資格を保有しておられる施設長の方が,そうではない施設長よりも細やかに取り組んでおられることが示唆されます。

 以上に基づき,指針の改定に関して申し上げますと「施設長の責務」の章には,保育士資格の保有に関する言及はなく「専門性の向上に努めること」という記載のみとなっております。ただ,諸外国の動向,先行研究,そしてセンター実施の調査を踏まえますと,保育の質の保障・向上に向けて,施設長自らが保育に関する資格取得や専門的知識を有し質の向上に努めることや,そのための研修受講の必要性などを努力義務として言及する必要があるのではないかと考えられます。

○秋田先生 以上が私どもからの意見になります。

 御清聴ありがとうございます。

○汐見委員長 ありがとうございました。

 それでは,今の発達保育実践政策学センターからの御意見・御提言に対して,御質問・御意見をお願いいたします。

 では,砂上委員から。

○砂上委員 千葉大学の砂上です。非常にしっかりとしたエビデンス,調査結果,新しい結果を出していただきまして,それに基づいて御意見を頂きまして,ありがとうございました。

 私からは1点,養護に関わるところで,調査結果の子ども自らが保育士に対して欲求や考えを表現しやすい雰囲気の配慮が重要というについて,私自身もこれはとても重要であると思います。また,指針並びに解説書に盛り込んでいくときに,それをより現場の先生にわかりやすく伝えていくときに,やはり「雰囲気をつくっていく」「雰囲気に配慮する」ことの具体性をある程度示していくことも必要かと思います。

 それで,雰囲気というものは非常に扱いづらい,微妙なところがあって,個人にも帰属しますし,職場風土もありますし,また,物理的な環境構成ということもあります。ですので,もしここで言う「子ども自らが保育士に対して欲求や考えを表現しやすい雰囲気」ということの配慮の具体例といいますか,具体的にこういうことがより配慮されるべきではないかということが少し保育現場の絵としてお考えがありましたらお聞かせください。

○汐見委員長 お願いします。

○淀川先生 御質問ありがとうございます。

 雰囲気という言葉に関しては,先週末の保育学会でも,どちらの発表だったか忘れてしまったのですけれども,「雰囲気の重視」と保育の質の高さは必ずしも関連していないという調査結果が発表されていました。雰囲気という言葉だけでは十分ではないということがそちらで私自身は考えたことでした。やはり具体的な行動レベルで,その行動を縛るということではないですけれども,目安となる応答的な関わりの仕方としてどういう配慮が必要かということを入れていく必要はあるかと思います。

 具体的なところでは,私自身は実践者ではありませんので,もしかするとほかの団体の方に御意見を伺う方がよいかなと思いますけれども,やはり養護,アタッチメントというところで,乳児がもちろん一番大事ではあるのですが,幼児においても,その子ども自身が発言をするとか,あるいは何か思いを抱いたときに,言葉にできなくても,それを待ってあげるような,積極的に言葉をかけたりということだけではない,意図的に待つといった消極的だけれども意図を持った関わりをするというところの記載がされるとよいのではないかと思います。

○秋田先生 若干補足させていただきますと,恐らく具体的には,子どもが自らの欲求や考えを表現しやすいというのは,例えば落ちきのない,うるさいところであれば表現や,本当に乳児の微細な表現は読み取れません。表情を読み取るには,やはり落ちついた,騒音がないとか,一定の落ちついた照明であるとか,それから,日ごろから子どもを丁寧に保育者が見ているという関係性があることが微妙な表情の違いや表現,考えを読み取っていくために必要です。このような行為によって,更に表現しやすいような雰囲気をつくっていくこと,多分,応答性と子どもの表現がセットにはなるのだと思うのですが,従来は,保育者の応答性ということだけが愛着で言われてきたわけですけれども,むしろ子ども自身がいっぱい自由に表現しているし,表現できる環境や関係にある。そこを読み取っていくことを実際には保育士さんたちはやっておられることなので,そこがもう少し表現の中に加わるとよろしいのではないかという提案だと思います。

○汐見委員長 よろしいでしょうか。

○砂上委員 ありがとうございました。

○汐見委員長 それでは,清水委員,お願いします。

○清水委員 帝塚山大学の清水です。

 秋田先生が説明していただいた資料の1ページの(イ)のあたりに書かれている「社会情動的資質(非認知的側面)」。これは割と出てきているのですけれども,この後半の部分の「市民的資質・態度(異質なものの包摂や公正性)」のあたりですが,もう少しやわらかい表現が何かあるでしょうか。

○秋田先生 いろいろな背景を持った子どもたちが関わっていけるということが非常に大切です。私は,外国籍のお子さんであったり,障害やハンデを持っている子どもも,それから,様々な背景の子どもたちも皆が一緒に育ち合うというイメージが大事であろうと思っています。それをどのような文言にするのがいいかは,まだわからないのですけれども,そうしたいろいろな異質性のものを受け入れ合うような資質と育成ということが重要であろうと思います。

 また一方で,正義感とか命を大切にすることを子どもが実感していくということを保育士が指導するのではなく,子どもが自ら気づいていくような場を設けるようなことが重要なことになるのではないか。いわゆるシチズンシップの育成と言ってしまえば抽象的なのですが,では,それが乳児・幼児の段階において,どのような形の言葉で表せばいいのかというのが,私も的確な表現が見つかっていないので,このように書いておりますが,やはりそういう包摂的な関係の部分をもう少し,これからの指針では入れていくことが大事なのではないか。特に幼児期の部分ですけれども,思っている次第です。

○清水委員 ありがとうございました。

 今の指針の,人間関係の領域の内容の14ですか。「外国人など,自分とは異なる文化を持った人に親しみを持つ」という記述がありますが,これについては幼稚園教育要領の方は入っていなかったと思いますので,むしろ既に入っている指針の方から幼稚園教育要領の方に入れてほしいという形で持っていったり,場合によっては,例えば子どもが遊ぶ人形に関して,いわゆる日本でつくられている人形だけではなくて,肌の色が異なる人形も園の中に置いて用意して,それでも遊べるようにするなど,様々な文化に触れる機会といいますか,そのあたりは解説書のあたりで書くと割と広がっていくかなという気もします。

 ありがとうございます。

○秋田先生 ありがとうございます。

 私自身も,そこの異質な文化といいますか,いろいろな文化背景という,異質な文化に親しみを持つだけではなくて,時には葛藤もありながらも,それを理解していくような姿が幼児期にもあるとよいのではないかと思っております。ですので,これは保育所保育指針が大事にしてきていることですので,むしろ幼稚園教育要領と両方に出てくださっている委員の先生方の方で何らかの形でつながっていけるとよろしいのかと思います。

○汐見委員長 ありがとうございました。

 それでは,山縣委員,お願いします。

○山縣委員 非常に貴重な研究報告をありがとうございました。

 最後の高橋さんのところで,是非お願いなのですが,これはいずれ発表されると思うのですけれども,これは私,実感として「とてもそう思う」というものが非常に少ないと思うのです。それがなぜなのかというところを丁寧に解説を頂かないと,いわゆる制度上の問題で,職員配置が少ないからできていないという事実なのか,もともと,その必要性は認識していないからこうなっているということなのか,あるいは個人の資質とか養成の在り方に課題があるからこうなっているのか。そこを明らかにしてもらわないと,これは数字だけが走ってしまいますと,えらくできていないなという感じがするので,その辺に対して,調査してみられて,現段階での解釈はどんな感じなのでしょうか。

○高橋先生 御指摘ありがとうございます。

 まず,リーダーシップに関する項目なのですけれども,項目の平均値を細かく見ておりますと,大体「ややそう思う」と「とてもそう思う」の間ぐらいに落ちているというのがありますが,それでも比較して,保育士資格を持っておられる先生は「とてもそう思う」を選択される先生の方が多く,資格を持っておられない先生はそうではなく「ややそう思う」が割合として多いということで,自信を持って答えられるかどうかが違っていたというのが本調査の結果となっております。

 ただ,どの先生も「ややそう思う」以上の回答はされているということなので,やはり組織としてどういう役割を担っているのかという実態を含め,結果の解釈の際には慎重になっていかなければならないのではないかと考えております。

○山縣委員 アタッチメントについても同様に,そういう丁寧な解釈をお願いしたいと思います。

○汐見委員長 ありがとうございました。

 時間も余りないのですが,もう1~2人。

 では,堤委員,お願いいたします。

○堤委員 相模女子大学の堤です。大変貴重な御研究の御発表,ありがとうございました。

 2ページの「(イ)食について」の波線が引いてあるところで「より個別の関わりができるような体制づくりが重要である」ということで,それに対して私も賛同するのですけれども,例えば13ページを見ていただきますと,下の食事結果のところなのですが,これで1歳児さんは確かに「とてもそう思う」が多くて,3歳児さんとか5歳児さんは「とてもそう思う」がちょっと少なくなっています。

 でも,この中で例えば3歳児さんや5歳児さんになりますと,集団保育の中で,集団の中で共に食べる。今,個食が非常に家庭で問題になっているときに,共に食べる喜びや,そこでいろいろ会話をすることで感情の共有をすることによる心の育ちがあったり,また,そのときに例えば1人だけ遅くなってしまった子ども,食べるのが遅い子どもに,「ほら,みんなもう食べ終わっているから,もうちょっと早くしようね」という言葉がけで,他人への思いやりの気持ちが育まれるとか,そういうことがあったり,また,例えば共に食べることで,先生からも箸の使い方を教えていただくかもしれませんが,友達同士が,「そうやって持つのではなくて,こうやった方が持ちやすいよ」というような,共に学び合うこともできるかと思うので,個別の関わりができるような体制づくりも大事なのですけれども,やはり年齢によっては集団の中での学びもあるということを付記していただけるとよりいいのかなと思います。

 また,先ほどの「とてもそう思う」と「ややそう思う」の解釈ともつながるかと思うのですけれども,13ページの食事結果の3歳児さんと5歳児さんのところを見ますと「ややそう思う」とか,例えば「どちらともいえない」というものが結構,3歳児さんと5歳児さんで多くて,それを入れると8割以上が「どちらともいえない」「ややそう思う」「とてもそう思う」になっていて,この中には,今,私が申し上げたような個別の配慮とともに,集団の中での学びもあるので,あまり一人一人個別にということにはならなくて,「とてもそう思う」というところに丸がついていない方もかなりおられるのではないかなと思ったので,この解釈の仕方を工夫していただけると有り難いのではないかなと思いました。

 どうもありがとうございます。以上でございます。

○汐見委員長 どうぞ。

○淀川先生 御指摘ありがとうございました。まさに堤先生がおっしゃるとおりと思います。

 私自身も園で食事場面を見させていただくことが多いのですけれども,やはり4歳児さん,5歳児さんになりますと,先生が1人に対して30人近いということで,そもそも個別の関わりがしにくいという制約の中で,それでも早く登園してきた子どもたちと少し遅く来た子どもたちで2つのグループに分けて,補助の方に入っていただきながら,なるべく1対30ではなく1対12というように,集団の中の,かつ個別の配慮の両方をされておられる先生方もいらっしゃると思います。恐らく,そういう取り組みをされている先生が「とてもそう思う」に丸をつけられたのかなというふうには想像するのですけれども,御指摘のとおり,その両方のところを考えていきたいと思います。

 ありがとうございます。

○汐見委員長 よろしいでしょうか。

 では,鈴木委員で,ここで一回切らせていただきます。

○鈴木委員 済みません。では,早口でしゃべります。

 和洋女子大学の鈴木です。ありがとうございました。

 睡眠に関してなのですけれども,睡眠は確かに量的な問題もあるのですが,質的な問題もすごく重要で,サーカディアンリズムの発達の中で,やはり一人一人の午睡うんぬんの記述に関しては私もそのとおりだと思います。ただ,恐らくこれは度数分布できょうは頂いていますけれども,一人一人に応じていると思っているところは,食に関しても恐らくそうなのではないか。ですから,食とか睡眠とか,そういう生活の中の場面に応じてのクロス検定といいますか,相関とかは出されていますか。

○淀川先生 はい。これから行ってまいります。

○鈴木委員 もう一つは,済みません,午睡中眠らない子どもの別な遊びなのですけれども,幾つか園を回ってみますと,外で元気に遊んでいる年長さんがいる園もあれば,しーっ,みんな寝ているんだからみたいな感じで,声を出したら怒られるみたいな園もあるので,別の遊びの内容がやはり重要なのではないのかなとは思います。

 以上です。どうもありがとうございました。

○淀川先生 貴重な御指摘,ありがとうございました。

○汐見委員長 ありがとうございました。

 時間があればもっといろいろ議論が出てくるところでしたが,申し訳ございません,ここで切らせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

 今,こういう今日のような聞き取りで研究センターから報告いただくことは今までにない試みであったと思うので,大変私たちにとっては参考になったと思いますが,これを受けてどうするか。

 例えば,先ほど清水委員がおっしゃっていましたけれども,社会情動的資質というものは,非認知的能力というものは最近大分言われるようになったのですが,乳幼児からの市民的な資質の養成ということについては,まだ我が国では十分議論し切れていないところですね。

 ただ,OECDの田熊さんにちょっと個人的に聞いたときには,次のテーマは何ですかと言ったら,それは0歳からの市民教育ですとはっきりおっしゃっておりました。ですから,国際的にはシチズンシップの教育というものが一つの柱になって進めていくという流れになっていくのだろうと思いますから,私たちの国がそのあたりを全く意識していないわけにはいかないということも出てくると思いますが,この辺はまた議論をさせていただきたいなと思います。

 ありがとうございました。きょうのところを受けて,またこれを具体的な新構成の中に丁寧に反映させていきたいと思います。

 きょうは,もう一つ議題がございまして,これを受けた上で中間まとめをつくっていかなければいけないのですが,その中間の議論をする時間はないのですが,こういう柱立てといいますか,構成でやったらどうかということについての御説明だけ,事務局からお願いできますか。

○馬場保育指導専門官 失礼いたします。事務局です。

 お手元の資料2をごらんください。「中間まとめの構成(案)」でございます。

 序章の部分のほか,3章で構成することを考えております。具体的には「1 保育所保育指針の改定の方向性」「2 改定の方向性を踏まえた構成の見直し」「3 その他の課題」ということで案とさせていただいております。

 それぞれの内容についてですが「1 保育所保育指針の改定の方向性」については,大きく5つの柱でまとめさせていただきたいと考えておりまして,最初の2つの項目については,現行の保育所保育指針の2章,3章,4章の改定の在り方について,これまで御議論いただいた内容について「乳児・3歳未満児の保育に関する記載の充実」「保育所における幼児教育の積極的な位置づけ」という2つの項目のもとで整理させていただきたいと考えております。

 続きまして「子どもの育ちをめぐる環境の変化を踏まえた健康及び安全の記載の見直し」「保護者・家庭及び地域と連携した子育て支援の必要性」を踏まえた記載の充実,「職員の資質・専門性の向上」の観点からの記載の充実ということで,現行の保育所保育指針の5章,6章,7章の改定に向けた御議論について,それぞれ整理させていただきたいと考えております。

 続きまして,中間まとめの「2 改定の方向性を踏まえた構成の見直し」ということで,主に前回の保育専門委員会での御議論も踏まえまして,構成の見直しの方向性と具体的な章立ての案についてまとめさせていただきたいと考えております。

 最後に「3 その他の課題」として,指針の改定に伴う課題についてもまとめさせていただきたいと考えておりまして,まずは「子ども・子育て支援新制度の下での小規模保育等への対応」ということで,今回の保育所保育指針の改定の趣旨を踏まえて,小規模保育等でも実践していただくことが重要という御議論を頂いておりますので,こうした内容をここで盛り込ませていただきたいと考えております。

 2つ目としては「周知に向けた取組」ということで,解説書やガイドラインの活用に関して多くの委員の先生方から御意見を頂いていることについて,ここで記載させていただきたいと考えております。

 最後に「保育の質の向上に向けて」ということで,結びのところで関係の記載をさせていただきたいと考えております。

 御説明については以上でございます。

○汐見委員長 ありがとうございました。

 今,ぱっと見て,いろいろ思い浮かばれたことがあるかもしれませんが,これを議論している時間はちょっとないものですから,これを改めて丁寧にお読みいただいた上で,ここにはこういうことをやはり書いた方がいいのではないかとか,このあたりについての記述はこういうことを入れていただきたいということがございましたら,メールでも結構ですので,事務局の方に意見を必ずお寄せいただきたいと思っております。

 一応,この案については,事務局から頂いて,私もちょっと目を通しながら,こういう内容の柱で何とかつくれればと思って御提案させていただいているところなのですが,それから,最後の「子ども・子育て支援新制度の下での小規模保育等への対応」というものはまだ十分議論されていないのです。ただし,この指針については全ての保育所で活用させていただきたいということですので,解説書等も含めて,これをどういうふうに対応するかというあたりを考えておかなければなりません。ですから,ここも少し御意見をいただければと思っております。

 それで,未満児・乳児の充実,教育機能の積極的な位置づけ,それから,先ほど山縣委員から出ましたけれども,養護と教育の一体的展開というあたりを新たにどういうふうに記述するかという点で幾つか意見がございました。そういうあたりをしっかりと書くということと,あと,第1章の3つは,この間,議論していただいたことをこういう形で整理できるのではないかというふうにしていただいたのですが,中身について,ともかく御意見がございましたら,意見を寄せていただいた上で,次回,もう少しそれに添った中身を提案させていただきたいと思っておりますので,よろしくお願いいたします。

 このことについて,もし御質問だけあったら。

 では,山縣委員,お願いします。

○山縣委員 1点だけ,中身については一切言いませんが,構成について,1の2つ目の○で「保育所における」という表現がいいのか,「保育における幼児教育」なのか。私は後者の方であると思っているのですが,そこも含めて構成を考えていただけたらと思います。

○汐見委員長 よろしいでしょうか。

 では,安達委員,お願いします。

○安達委員 第1章の「乳児・3歳未満児の保育に関する記載の充実」というところが,詳しくという意味と,いわゆるこれを誰が読むかという対象の問題で,きょう,藤森先生から園の職員の方が読まれたらとありましたけれども,例えば小学校の先生もそうですし,あるいは幼稚園で0~2歳の子育て支援をしているような方々も,私の園が今,認定こども園幼保連携型になって初めて,何年かたって,0~2歳を対象とした保育をして,今,すごく反省していることは,例えば2歳児などを3歳児の押し下げてやっていたようなところが本当にある。

 それで,やはり2歳児が2歳児として育つことが本来,特にこういう主体性とか市民性といったときには,今まで押さえようとしていたことが本来押さえてはならない,とても大切なことなのだということは保育所の中だけでやっていては到底,実際,うちの園から卒園した子たちも,話を聞かない子と言う先生と,すごくよく育っていると言う先生が小学校にもいらっしゃいます。ですから,そのあたりのことはやはり合意するために,ある部分では,これは国民みんなが知っているということにしないといけないところで,このあたりの充実ということは詳しくだけではなくて,どう広げるかということはちょっと意識したものにしてはどうかなと思っております。

 以上です。

○汐見委員長 貴重な御意見,ありがとうございました。

 そうですね。国民の文書にしていかなければいけないということですね。

 そういうことも含めて,是非こういう記述にとか,こういうことを必ず書いてほしい等々がありましたら,御意見を頂きたいと思います。きょうのところは,こういう形でやりたいという,その案を提案していただきました。ありがとうございました。

 それでは,あとは「その他」なのですが,何かございますでしょうか。

○馬場保育指導専門官 では,今後のスケジュールについて,資料4をごらんください。

 第7回の保育専門委員会につきましては,平成28年5月31日火曜日,1430分から予定しております。議題といたしまして「中間まとめ(案)について」などを予定しておりますので,どうぞよろしくお願いいたします。

 なお,第8回目につきましては,6月下旬で現在調整中でございます。

 以上です。

○汐見委員長 ありがとうございました。

 それでは,きょうの委員会はこれで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(保育専門委員会)> 社会保障審議会児童部会保育専門委員会(第6回)(2016年5月10日)

ページの先頭へ戻る