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2016年4月27日 社会保障審議会児童部会保育専門委員会(第5回)
雇用均等・児童家庭局
○日時
平成28年4月27日
○場所
中央合同庁舎第5号館 12階 専用第14会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2)
○出席者
委員
汐見委員長 安達委員 阿部委員 大方委員 岡村委員 |
木戸委員 清水委員 鈴木委員 砂上委員 堤委員 |
寺田委員 橋本委員 三代川委員 村松委員 和田委員 |
厚生労働省
朝川保育課長 楠目企画官 小松課長補佐 |
加藤課長補佐 馬場保育指導専門官 鎭目保育指導専門官 |
○議題
(1)3歳以上児の保育について
(2)全体の構成、総則について
(3)その他
○議事
議事録
○ 加藤課長補佐
定刻より少し前ですけれども,皆様おそろいですので,ただ今から社会保障審議会児童部会保育専門委員会(第5回)を開催させていただきます。委員の皆様にはお忙しい中お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
まず,事務局に異動がございましたので御挨拶させていただきます。
保育課課長補佐の小松です。
○ 小松課長補佐
4月1日に保育課に参りました小松です。よろしくお願いいたします。
○ 加藤課長補佐
はい,あと保育指導専門官の鎮目です。
○ 鎮目保育指導専門官
4月1日より参りました鎮目です。よろしくお願いいたします。
○ 加藤課長補佐
はい,よろしくお願いいたします。
では,まず初めに,いつものことですけれども視覚・聴覚障害をお持ちの方などへの情報保障の観点から,発言される場合は挙手いただきまして,委員長から御指名いただき,発言者は氏名を名乗ってから御発言いただくというかたちで運営させていただければと思いますのでよろしくお願いいたします。
では次,資料の確認をさせていただきます。今回配布資料は,議事次第資料1~7と参考資料1,2となっております。資料の欠落等ございましたら事務局までお知らせください。
本日は秋田副委員長,松井委員,山縣委員は,所要により御欠席という形で伺っております。
それでは,以降の議事進行につきましては汐見委員長にお願いいたします。
○ 汐見委員長
皆様おはようございます。今日もよろしくお願いいたします。
議事に入らせていただきますが,まず初めに,前回と同じく関係委員の意見を踏まえまして事務局において論点整理を行っていただいております。それらを含めまして,今日配られているこの資料の説明をお願いいたします。
それでは議事の最初の一番。3歳以上の保育についてですが,お願いいたします。
○ 楠目企画官
失礼いたします,保育課企画官の楠目でございます。
それでは本日の議題の1番の3歳以上児の保育についてでございますが,3歳以上児の保育につきましては,皆様御案内の通り現在幼稚園教育要領の改訂に向けた検討が中央教育審議会の幼児教育部会において進められておりますので,若干資料の順番が後先になるのですが,まずはそちらの状況についての御説明をさせていただいた上で,論点の整理の方について御説明をさせていただきたいと思います。
それでは資料2を御覧いただければと思います。こちらの資料2でございますけれども,一昨日4月25日に開催されました幼児教育部会の資料でございます。こちらにつきましては,これまでの幼児教育部会での議論の取りまとめを行う際のたたき台として作成・配布されているものでございます。こちらの資料につきまして御説明させていただきたいと思います。
まず,おめくりいただきまして1ページ目を御覧いただければと思います。初めに,1といたしまして現行の幼稚園の教育要領の成果と課題ということで,平成20年改訂以降の状況等につきまして,子ども・子育て支援制度のことなども含めて記載がされているところでございます。
続きまして,2でございますが,幼児教育において,育みたい資質・能力と幼児期にふさわしい評価の在り方についてということで,(1)といたしまして,幼児期の特性に応じて育まれる見方や考え方について記載がされております。
こちらについては,二つ目の○,一番下の○のところにございますが,幼児期における見方や考え方は,幼児が身の回りの環境に主体的に関わり,心動かされる中で環境とのふさわしい関わり方に気づき,それらを身につけたり獲得しようとしたりして試行錯誤や思いをめぐらすことであり,換言すれば生活全体をどのように捉えるかということに他ならない,ということで,幼児期における特色でありますとか,これらが小学校教育の基礎をなすものであるということ等が,こちらの(1)で記載されているところでございます。
続きまして2ページの方になりますが,(2)におきましては,幼児教育において育みたい資質・能力の整理と小学校の各教科等との接続の在り方についてまとめられているところでございます。
なお,今回の学習指導要領の改訂の議論におきましては,幼稚園だけではなく,小・中学校等の学校種を通じまして,様々な資質・能力を個別の知識や技能,思考力・判断力・表現力等,学びに向かう力・人間性という三つの柱にそって整理をいたしまして,学習指導要領の構造化を図るという作業が行われております。こうしたことを踏まえまして,幼児教育部会においてもこちらの2ページの下の方にありますような1から3の柱が示されているところでございます。
一方で2ページの一番下の○にございますように,これらの資質・能力を育むため,幼稚園教育要領の5領域については,引き続き維持することとされているところでございます。
以上に関しましては,こちらの資料の9ページ,10ページに関係のポンチ絵が記載されているところでございまして,整理がされているところでございますが,一昨日の幼児教育部会におきまして,こちらのポンチ絵等につきましてもいろいろな御意見が出ておりましたので,今後変更がなされる可能性があるという前提で御参照いただければと思います。
それでは,3ページの方にまたお戻りいただければと思います。3ページの一番上の方の○にございますけれども,5領域のねらい及び内容を通じまして,5歳児修了時までに育ってほしい具体的な姿につきまして,今回10の項目で整理をされております。具体的には1から10までありますが,1健康な心と体,2自立心,3協同性,4道徳性・規範意識の芽生え,5社会生活との関わり,6思考力の芽生え,7自然との関わり・生命尊重,8数量・図形,文字等への関心・感覚,9言葉による伝え合い,10豊かな感性と表現といったことが示されているところでございます。こうした幼児期の終わりまでに育ってほしい姿の明確化によって,幼児教育と小学校教育との接続の一層の強化を図ることが目指されているところでございます。
なお,今御説明いたしました10の項目につきましては,平成22年に保育関係者も加わりまして取りまとめられた,「幼児期の教育と小学校教育の円滑な接続の在り方について」という報告書を踏襲したものとなっているところでございます。詳しくは11ページにポンチ絵がございますので,後ほど御議論の際に御参照いただければと思います。
少し飛ばしますけれども,5ページの方御覧いただければと思います。5ページの(4)におきましては,評価の在り方について記載がされております。こちらの(4)の三つ目の○のところを御覧いただきますと,具体的には他の幼児との比較や一定の基準に対する達成度についての評定という形ではなく,個人内評定という形でその子どもがどのように能力を伸ばしたかということを評価するということが基本とされているところでございます。
また,こちらの(4)の項目では,その下の二つの○にございますが,指導要録の見直しでありますとか,写真や映像を活用して子どもたちの発達の様子を保護者と共有する取組等についても記載がされているところでございます。
続きまして,3の資質・能力の育成に向けた教育内容の改善・充実の項目でございますが,こちらでは,具体的な幼稚園教育要領の見直しについて記載がされているところでございます。
まず(1)の一つ目の○で,カリキュラム・マネジメントや学習指導方法の改善など,各学校種共通で行われる予定の総則の部分の見直しについて記載されておりますほか,二つ目の○では,預かり保育の時間なども含めまして,登園から降園までの幼児の生活全体を捉えた全体的な計画の作成ということを教育要領に位置づけるということとされております。
また,三つ目の○では,先ほどの御説明とも重なりますが,5歳修了時までに育ってほしい10の項目を教育要領に新たに位置づけることが示されているところでございます。
続きまして6ページをお願いいたします。6ページでは(2)で資質・能力の三つの柱に沿った見直しを行うことでありますとか,(3)にありますような様々な課題に対応した教育内容の充実について見直しをする方向性が示されているところでございます。(3)では,具体的には二つ目以降の○のところに記載があるところでございますが,順次簡単に御紹介いたしますと,安全な生活や社会作りに必要な資質・能力を育くむ観点から,状況に応じて機敏に自分の体を動かすことができるようにすることや,安全についての理解を深めるようにすること。それから三つ目では,多様な運動経験の重要性の指摘を踏まえ,幼児が遊ぶ中での体の諸部位を使った様々な体験を重視することや,食の大切さに気付いたり,食に対する態度を身に付けたりすること。 以下順次申し上げますが,いわゆる非認知的能力を育くむこと,学習プロセス等の重要性を踏まえ,思考の芽生えを育くむこと,それから社会に開かれた教育課程の重要性ということを踏まえまして,地域の様々な生活や文化などに触れる機会を設けたり,異なった文化を持つ人たちに親しみを持ったりすること。それから,幼児期における言語活動の重要性を踏まえ,言葉の獲得の楽しさを感じたり友達や教師との言葉でやり取りをしながら自分の考えをまとめたりするようにすること。それから,自然や生活の中にある音や素材に触れる機会の充実を図ること,といったことが具体的には示されているところでございます。
また7ページ目以降では,特別支援教育の充実,いわゆるアクティブラーニングに対応するような学びの充実,更に8ページでは教材の在り方等について盛り込まれているところでございます。
以上,部会の取りまとめに向けて検討中の内容でございますため,御説明が不十分なところはお許しいただければと思いますが,改訂のおおむねの方向性につきましては,こちらの資料で示されているところと思いますので御参照いただければと思います。
以上のような幼稚園の教育要領改訂の状況と,関係の委員の先生方の御意見等もふまえまして,論点をまとめましたものが資料1でございます。資料1の方を御覧いただければと思います。今回御検討いただきます3歳以上児の保育に関する論点の例でございますが,大きく三つの柱で示させていただいておりますが,まず一つ目が保育所における教育の在り方についてということでございます。
一つ目としまして,現行の保育指針におきましては,3歳以上児の教育面につきましては,幼稚園教育要領との整合性を確保して定められているところでございます。ただ今御説明申し上げましたように,現在幼稚園教育要領の改訂に向けて,幼児教育において育くみたい資質・能力の整理や,幼児期にふさわしい評価の在り方等について中央教育審議会において議論がなされているところでございますが,これらの議論を踏まえましてどのように教育面の内容を改めていくべきかということが一つでございます。
次の点でございますが,保育所における保育の内容につきましては,養護と教育が一体的に行われるものとして,全ての時間を通じまして5領域が総合的に展開をされているところでございますが,3歳以上児につきましては,これらの保育実践をより自覚的に捉えまして,環境を通して行う集団的な教育的活動の時間を意識的に設けることなども考えられないかということでございます。
大きく二つ目でございますが,こちらは卒園時の姿や卒園後の学びへの接続を踏まえた保育の在り方についてということでございます。5領域のねらい及び内容を通じまして,卒園時までに育ってほしい具体的な姿につきましては,平成22年に「幼児期の教育と小学校教育の円滑な接続の在り方について」ということが報告書で取りまとめられておりまして,こちらを踏まえた議論が,幼稚園教育要領の改訂に関しても進められているところでございます。このような卒園時の姿や卒園後の学びへの接続という観点につきまして,保育所保育指針についても位置づけるべきではないかということが一点でございます。
次の点でございますが,保育所児童保育要録につきましては,幼稚園幼児指導要録・幼保連携型認定こども園園児指導要録との整合性の確保ということが,これまでの専門委員会の御議論でも御意見も頂いておりますことや,また,子ども・子育て支援新制度の下で小規模保育等から保育所への受入れも新たに進められていることなども踏まえまして,どのように保育要録の方も改めていくことが必要かということが二点目でございます。
最後の点でございますが,保育課程の編成,指導計画の作成,自己評価による見直しの在り方についてございます。保育の内容に関しましては,保育課程の編成や指導計画の作成,自己評価による見直し等について定められているところでございますが,これまでの運用等も踏まえまして,どのようにこれらの充実を図っていくことが必要かということが最後の三点目でございます。
以上のような点を含めまして,様々な観点から御議論いただければと思いますのでどうかよろしくお願いいたします。御説明は以上でございます。
○ 汐見委員長
ありがとうございました。それでは,ただいまから今の事務局の御説明を受けて,一つ目の議題ですが,3歳以上児の保育について活発な御意見を頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。すみません。清水委員お願いいたします。
○ 清水委員
清水です。それではちょっと口火を切らせていただく形で発言させていただこうと思います。 11ページを御覧ください。3歳以上児の保育ですけれども,保育所を卒園した子どもも,幼稚園や認定こども園を卒園した子どもも同じ小学校に進学します。そうすると,小学校のスタートを揃えてあげること,すなわち,同じスタートを保障することが必要であり,それが子どもの最善の利益にもつながると思います。
○ 汐見委員長
今資料の11ページと言っておられたのは,そのあとについている各委員からの資料3ですね。 あ,5ですね。
○ 清水委員
すみません。ありがとうございます。この同じスタートを保障する,揃えるにはどうしたらいいのかということですけれども,幼稚園等は学校教育法のもとで学校教育をしていますので接続は簡単なのでしょうが,保育所の場合は,それでも何とか学校教育,少なくとも幼稚園教育に相当する教育をするというように指針の中で位置づける必要があると思います。そのためのアイデアとして私が考えましたのが,保育所において3歳以上の幼児を対象に行う幼稚園教育に相当する教育という表現です。ちょっと長いので最初と最後をとって保育所教育としてみました。表現にはこだわりませんけれども,今日の私の発言の中では,この保育所教育という表現で通させていただきます。私が考えます保育所教育は下の図のようなイメージです。ベースとなりますのは養護と教育の一体的提供,一体的に行う保育です。この中にも教育は含まれており,現行の保育指針のもとでは,この中で5領域に関する教育も行ってきました。
私は,この5領域の部分を主に3歳以上の幼児を対象に1日4時間程度を標準として39週以上にわたって行うというようなことを指針の中に明記できたらと思います。既にやってきていただいていることですのでそれほど無理はないと思います。指針に明記するということで,表現上のことですけれども,これが学校教育や幼稚園教育に相当するということにつながると思います。
表現上のことと言えばもう一つ,現行の指針では保育課程となっていますが,これは図でいうところの養護と教育を一体的に行う保育の課程です。保育所教育の課程というのを作る必要があると思います。これを教育課程とするか保育所教育課程とするか,これはいずれにせよ幼稚園教育に相当する教育を意識するのであれば,現行の保育課程という表現ではなく認定こども園に合わせて,先ほども出てきました表現ですけれども,全体的な計画という表現を使うことが望ましいと思います。
では,12ページの方を御覧ください。小学校との接続を踏まえた保育ですけれども,これも同じスタートを保障するという点で,要録を幼稚園,保育所,保育要録の方を幼稚園幼児指導要録と同じにする必要があると思います。今は最後の年の5歳のところだけですけれども,3歳以上については毎年書いて変化を小学校に伝える,そういうことが望ましいと思います。ICTが活用できるようになってきましたから,昔の手書きと比べるとかなり楽だと思います。
また,市町村の支援のもとでアプローチカリキュラムと言いますか,接続期のカリキュラムを構築することも必要と思います。指導計画と評価のところですけれども,保育所教育課程と長期の指導計画,長期の指導計画と短期の指導計画,短期の指導計画と日々の実践の関係が重要と思います。現在のところ監査では保育課程があることであるとか,指導計画があることが確認されていると思いますけれども,それらをつないで実践することが同じスタートを保障することになると思います。独立していたのでは同じスタートの保障にならないと考えています。つながりが重要であるということを指針の中で明記するとどうかという気もいたします。評価について,同じスタートの保障という観点から幼稚園教育の評価に合わせるとどうかと思います。幸い記録については,この検討委員会の松井委員もこのような冊子の作成に関わっておられますので,この委員会の中でいろいろ検討したという形になるという気がいたします。今日はたまたま出ておられませんけれども。保育課程の変遷とマネジメントの在り方のところですけれども,これも幼稚園における教育課程の編成に揃えると良いと思います。幼稚園において,教育課程は学校教育法の中でそういう表現が使われておりますのでいいのですが,保育課程という表現はちょっと今のところ見当たりません。指針の中以外に見当たりませんので。
あと,全体の構成,総則についてということで考えてきたことを話させていただこうと思います。小学校教育と同じ,小学校教育との連続性とか,同じスタートを保障するという点で,保育所教育が幼稚園教育と同じであることを強調するような構成や総則が望ましいと思います。関係法令には入っているという理由で幼稚園教育要領や認定こども園の教育・保育要領に入っていない内容,例えば研修の義務であるとか,権利であるとか,職員の役割そのようなものをすべて総則に含めて最初に入れるとどうかと思います。保育士の役割もキャリアパスに関連づけると良いかと思っています。
あと,第二章については,個人差に配慮するということで解説書にまわすというのが適当かと思っています。
あと,幼稚園教育要領に関しては,幼稚園教育の基本というものが今まで入っていました。保育所教育の基本のようなものが総則のどこかに入ったらどうかと思っています。
一つ飛ばしましたが,表現については児童福祉法とうまくリンクできたら指針の位置づけが更に高まると思います。
最後の段落のところ,これを機に事務職員が置けるというようなことが書けたらいいかなと思うのですが。幼稚園は学校教育法25条の2で置くことができるとなっていて多くの園で置いていると思います。保育所における幼児が就学の時点で幼稚園の子どもと同じスタートを切ることを保障するためには,職員についても保育士,嘱託医,調理員だけではなく更に充実させることが期待されると思います。これは指針よりももう一つ上の省令の方になると思いますけれども。以上です。
○ 汐見委員長
はい,ありがとうございました。
はい,じゃ安達委員お願いいたします。
○ 安達委員
資料5の1ページを御覧ください。3歳以上児の保育についての全体の構成,総則等についてですけれども。
まず基本的に3歳以上児の保育については,やはりこの時期の主体的・協働的な学びというのは非常に重要ということが明確になっておりますので,幼稚園教育要領や幼保連携型認定こども園教育・保育要領と同じく,やはり環境を通して行うこととか,遊びを通して行う教育であるということ。これは先ほど幼稚園教育要領のところでも出ていましたけれども,小学校入学のときの姿というのが到達目標的な捉え方をされると,非常に明確にする必要性と危険性を両方はらんだものでありますので,ここのところは非常に重要になってきますので,環境を通して行う遊びっていうことは,これは遊びという中に子ども自ら主体的に関わるということは強調していく必要性があるのではないかなと思っております。そのような3歳以上児の教育を考えるときに提案としましては,主体的・協同的な学びの保障をするためには,やはり研修の義務化。特に保育の質の向上には教材と言いますか遊び材と言いますか,そういうことの準備とか環境の構成を含めた研修が大変重要であります。いろいろな園を見せていただくと,やっぱり何もないところでゼロから始めろと言われても,それなりの環境の構成がないと,ゼロに幾らかけてもゼロであるように,そこのところはきちっと明示するべきではではないかと思います。
それと外部の研修も非常に重要なのですけれども,園内での具体的な保育場面を元に肯定的に子どもの個性ですとか,発達の段階ですとか,育とうとしているところということを理解するようなことを書き加えてはどうかなと思っています。何か研修というと外に出るようなイメージが強いですけれども,本当に子どもの主体性や協同性を育てようと思うと,保育の場面を言葉ではなく様々なメディアを使って話し合うということが必要になってくるかと思います。そのようなことをするには,施設長には園内研修を実施するための資質ですとか責任とか,研修を実施するための研修等を義務化しないといけないのではないかなと。いろいろな園で見せていただくと,面白いのは施設長と保育者との関係の,縦の関係がきついと,保育者と子どもの関係も縦の関係がきつくなるような感じがいたします。これはお世話になった臨床心理士の方もおっしゃっておりましたけれども,施設長自身が皆で協同的に何かを話し合うような風土を研修の中で作るということがことが,結局保育に還っていくのではないかなと思っています。
二番目に幼児教育・保育の質の向上と評価の在り方で,評価に関しては学校評価と同様に自己評価を中心として,各園の予算や課題を同僚とともに話し合うことを重視したものにしてはどうかと思います。各園のおかれた地域性ですとか,様々な状況が違いますので一律の評価というよりは,やはりそのへんが自分たちで良くしていく,自分たちで良くしていくために話し合うというようなことがことが基本にある必要があるかと思います。
それと,第三者評価のところで気になりますのは,医療とか老人介護とか,そういう福祉サービスの観点から出ているもので,利用者ということがことがどうしても保護者も子どもと同等に扱われているのがちょっと気になりまして。本来やはり子どもにとってどうかということがことが評価の中心になるべきであって,それを保護者の方と共有するというか社会と共有するということがことが必要になってくるのかなと思いますので,まずは自己評価の客観性を担保するものとしてそういうものが必要なのではないかと思います。
あと,先ほど言いましたけれども,実際の保育場面の観察とか公開を含めた,それと保育の計画との整合性等を見るような視点が必要になってきているのではないかと思います。
三番目ですけれども,卒園時の姿,卒園後の学びへの姿と保育の在り方ですが,幼児教育・保育の価値の共有というのが重要かと思います。学校教育法の1条に幼稚園というものは位置づけられて,ある意味では学校教育の一部だよということが良い面と先ほどと同じで,及び,というところに,本来は付け足しではなくて幼児教育というのは義務教育の学校とは違う独自のそういう文化やそういうものだということがことが含まれていたと思うのですね。だから,そういう小学校への接続ということが非常に重要ではあるのですけれども,小学校教育というのはゴールではなくて一番重要なのは30年後の社会で個々の子どもが人間らしさ自分らしさを生きていくことが重要であるということを共有する必要があるかと思います
あの,私が小学校で担任した一年生や二年生が,もう今30,40になってきたのですけども,学校教育の場でいうとちょっと困ったよくしゃべってしゃべってしょうがないような子が,大きくなると海外に行っても友達と良い関係を作って仕事をしていたり,給食がクラスで一番遅かったような子幾ら急がせてもゆっくり食べていた子が,大きくなると情緒の安定した素敵なお母さんになっていたり,というようなその子らしさということがまずベースにあって。それと,接続といったときにスタートカリキュラム,アプローチカリキュラムの考え方両方重要かとは思うのですけれども,どちらかというと小学校に合わせるというよりは,今,日本全体で主体性ですとかアクティブラーニングを進めていこうと思うと,どちらかというと,3,4,5歳の教育や保育に合わせるようなスタートカリキュラムの方を変えていくべきであって,これは様々なところで幼・小の接続のことをやりましたけれども,結局は小学校の先生方の学びの方が多いというのが事例としていろいろなところ出ておりますので,そのあたりは社会にも発信していく必要があるかと思っています。
それと,身体面での発達というのは見やすい発達ではなく主体性の育ちですとかそういうことも共有が必要になりますので,個別的,継続的に保育を可視化するようなことというのは,これはもう文言として入れておくべきで。うちの園もポートフォリオ毎月一枚だけですけども,子どもの姿それに対して私たちの見方,この子が今育とうとしているところやその子の良さっていうのは言葉だけではなかなか伝わっていかないですね。ですから,行政の方々自身も例えば指導計画ですとか保育課程に写真が入っていることころを,まだ絵というような状況ですので,子どもの姿を共有するのにこういうようなものを可視化していくということを社会全体で共有していくことが必要じゃないかと思っています。
あと形式の共通のものとしてはどうかというようなことを考えております。以上です。
○ 汐見委員長
はい,ありがとうございました。
では寺田委員からよろしくお願いいたします。
○ 寺田委員
はい,それでは資料5の17ページを御覧いただきたいと思います。清水委員それから安達委員と類似するところもございますが,資料にそって少しお話をさせていただきたいと思います。
まず養護と教育の定義ですけれど,その中の養護ですけれど,養護を総則の中に保育の基盤として位置づくことを提案させていただきたいと思っています。養護という営みは保育という基盤となるものであり,5領域教育の活動の豊かな展開の土台であります。この養護は全ての年齢で意識することが必要でありまして,これはつまり0,1,2歳児だけではなく5歳児,年長でも土台となるものであります。情緒の安定のねらいとは,一人一人の子どもが安定感をもって過ごせたり,自分の気持ちを安心して表すことができたり,周囲から主体として認め受け止められ,主体として育ち,自己を肯定する気持ちが育まれていく,心身の疲れが癒やされる,これらのことでございます。認定こども園教育・保育要領では,第1章の総則に保育の基盤として養護が位置づけられています。そのためにも,保育所保育指針も養護を総則の中に保育の基盤として位置づくことがふさわしいのではないかなと感じます。
二番目に,保育所に教育があることを明らかにし強調するということでございますけれども,現在ややもすると幼稚園や幼保連携型認定こども園に比べ,保育所の教育機能が希薄であるように語られる傾向があることは否めないですね。それゆえ保育所に教育的機能を有することを明らかにし,強調することが必要であると考えます。そのために保育所における教育の位置づけを幼稚園教育要領との関係性において明確にする必要がありまして,御参考までに保育所と幼稚園の教育について枠の中に書かせていただきましたが,これらのことを踏まえて保育所における教育の存在を明確にするために,5領域に関しては幼稚園教育要領,それから幼保連携型認定こども園と構成を共通化する。各領域にねらい,内容,内容の取扱いを記載することが必要ではないかと思われます。
二つ目ですけれども,保育所保育指針の2章の子どもの発達について,現行の指針2章については子どもの発達を大臣告示で縛るのはそぐわないのではないかと感じます。そのため,幼保連携型認定こども園教育・保育要領に準じて解説書の方に移行する必要があるのではないかと思われます。
三番目に教材という表現なのですけれども,保育現場において,おもちゃであるとか遊具であるとか保育材料であるとか玩具であるとか,様々な表現が見受けられるため,実際学生が指導案を立てるときにどう書いたらいいでしょう,というような質問をたくさん受けることがございます。そのような混乱を避けるためにも,保育所においても教材という表現がそろそろ必要ではないかなと思われます。平成20年の保育課程以降,多くの保育現場の中でも教材という言い方をされているところが増えてまいりました。保育課程の中にも教材という言葉を使い様々計画されているところも増えてきております。
ただ,このときに乳児に関して誤解のないように,例えば知育であるとか勉強等に走ることのないような留意事項の表記も必要ではないかと考えます。
それから,保育課程から全体的な計画へというところは,清水委員,安達委員もお話しされていましたのでここは割愛させていただきます。
そして,小学校入学までに知識や技能を育てるわけではなく,特に意欲,やる気を引き出すことが大切であるというところは押さえておきたいところだと考えます。
それから,小学校への接続を円滑にするために接続カリキュラムを考える必要があると思われます。それは何をつなぐのか大きな枠組みとして御参考までに表に示させていただきました。アクティブラーニングであるとか,非認知的能力とか,社会情動的スキルだとかというところを意識しながら,自己肯定感を育てる,かつ有能感を育てるというようなことが共通することであると思いますので,子どもの経験したこと育ってきたことを生かしながら,伸び行く子どもたちを見守っていくということが必要ではないかと考えます。
続いて保育要録についてですが,要録の研究を本学の研究チームやその他日本保育協会の方でも3年ほど続けてこの要録に関する研究を進めて参りましたけれども,実際に保育要録を小学校へ送付するときに,それだけを目的にするのではなくて,この要録を媒体として保育者とそれから小学校教員の交流のきっかけになるような,そういうことが必要ではないかと考えます。それはどこの保育所でも恐らく考えていただいていると思うのですが,せっかく苦労して作った保育要録が小学校で本当に活用してくれるのだろうか,という疑問を抱いているというようなことも実際に数値として明らかになっております。その理由の中に,要録の様式が一本化されていないために小学校としてもそれは読み取りにくい,というような意見もたくさん寄せられました。そのため,現在統一されていない保育所,それから幼稚園,幼保連携型認定こども園の各要録の様式を一本化することを提案させていただきたいと思います。そのときに3,4,5歳児クラスの要録を改訂・移行するようにし,その前の段階のところは特記する内容がある場合に関して附則として各項目を設けるというようなことはいかがかと考えております。さらに,保育要録をきっかけとした保幼小連携の在り方ですけれども,接続カリキュラムを意識していただくことやことや保育所の子どもの遊びや生活を是非日頃からお互いに見ていただく。小学校の先生,幼稚園の先生にも来ていただいて一日保育者体験をしていただいたり,保育者も小学校の授業を参観することも,より理解が深まり連携が深まってきているというような数値も研究データの中で明らかになりました。
最後に保幼小連携とふれあい交流の提案でございますが,保育所保育指針の6章コラムの中にも紹介されていますけれども,命の大切さ,子ども,それから家庭の理解を推進するために小中学生と赤ちゃんとのふれあい交流を実施することは,児童・生徒が赤ちゃんや子育ての関心を高めたり,保護者の方との関わりを深めるといった効果が示されています。保育所・幼稚園においてもふれあい交流を通すことが,地域の様々な人との輪を広げる一助にもなっております。2012年から小学校の技術家庭科・家庭科分野で幼児とのふれあい学習が必修化されました。このことによって更に効果が広がることが期待されています。児童・生徒が親準備性を身に付ける機会を得たり,保護者が我が子への関心や愛情を示すことや,生徒とのふれあいを通して子育ての幸福感や充足感を高める重要な機会にもなっています。わたくし寺田は25年間の継続実践や研究により,このふれあい交流授業では女子と男子が平等に体験できること,それから特に男子生徒は女子生徒よりもふれあい体験の前後で子どもへの好意感情と自己効力感が大変上昇するというような結果が示されました。このような交流を保育所や幼保連携型認定こども園で普遍的に取り組むことにより,保幼小中連携の効果は高まると思われます。本日の3歳以上児の保育に関する主な論点の中にも卒園時の姿や卒園後の学びの接続をふまえた保育の在り方ということが掲げられていますが,まさに卒園した乳幼児がその後どのように学んでいるのか,先ほど安達先生の言葉にもありましたが,人間らしさ,自分らしさ,その子らしさがどのように表れているのかということが,このふれあい交流をするとその後の小学生の姿・中学生の姿が,ああこういうふうに成長しているのだ,ということを保育園としても見ることができ,また何年か経ったときにこのような姿になっていくのだということを地域全体で共有することができるという意味でも,このふれあい交流に関することを提案させていただきたいと思います。
それから,5番目。小規模保育等からの受入れ時の対応ですけれども,小学校への接続同様です,小規模保育等から大規模保育所への接続の配慮も必要だと思われます。受入れ保育所との日常的な交流ですね。例えばですけれども給食交流とか,体験遊び等を,移行する乳幼児と受け入れる乳幼児との交流,子ども同士の交流が子どもの最善の利益を考慮した内容であるということに言わずもがなですが必要だと思います。
もう一点だけ,保育を可視化するということは大変大事だと思いますが,記録する力であるとかコツというのは,これはちょっとした学び,研修の場によって大きく変化していくものだと思います。大切なことは,保育者の伝える力ですね,それを是非研修の中でも強く位置づけていく必要があるのではないかなと御提案させていただきます。以上です。
○ 汐見委員長
はい,ありがとうございました。
それでは村松委員お願いいたします。
○ 村松委員
村松です。よろしくお願いいたします。今の先生の資料のその後が,私が出させていただきました資料です。22ページになります。これに沿って御説明をさせていただきます。
今までも先生方がいろいろおっしゃっておられました子どもの育ってほしい姿というものは,どこのいわゆる教育施設であっても同じと考えます。いわゆる子どもの育ってほしい姿をそのまま将来の姿,どういう将来の姿を望んでいるのかということにつながっております。結局は意欲だとか,主体的にとか,基本的な生活習慣を身に付けるとか,基礎的な生きる力を培うとか,様々なコミュニケーションもそうですけれども,やはりこれは非認知能力がとても大事だよということを言っております。先生方もそれは同じように言っておられるのだと思います。先ほどの御説明にもありましたけれども,その姿をきちんと明記するということが必要かなと思います。それを目指して私たちは日々保育をしているというのは,私はすごく実感しているところでもあります。
それから現行の保育所保育指針では,3歳未満児について個別的な計画を作成しております。3歳未満児たちは,その個別計画にのっとって日々保育を受けているわけで,その上に3歳以上の保育があります。どの園も多分やっていると思いますが,保育の経過記録はきちんと多分書いている,確かに書かなくちゃいけないとは書かれてはいないですが書いています。それをより所にしながら,次なる保育をどう展開しようかと考えているわけです。そして,それが最終的に保育所児童保育指導要録の方につながっていきます。ただ,私たちはもちろんその書き方が,今先生方おっしゃっておられましたけれども,非常にばらつきもありますし,最終的な姿しか書いてありませんので,その前の育ちのところでトピックス的なところは書いていますけれども,やはりそこはまだ弱いのかなと思います。ですので,その子どもの発達の連続性をどう確保した記載の仕方にしていくかということに考慮しなければいけないかなと思っていますが,もう一つよく思うのはそれを受け取っていただく小学校側にこの保育要録がどのように受け入れられているのかということに対しては,非常に疑問なところもあると。うまいこと活用されているところもあるようですけれども,それが円滑な接続が行われるためのひとつのツールであるということも,やはり制度的な整備は必要なのかなと思っております。
先ほどからおっしゃっておられます教育についてですけれども,保育所における教育も幼稚園における教育も,それから幼保連携型認定こども園における教育も,最終的には同じことを言っているのですよね。義務教育及びその後の教育の基礎を培うものだと言っておられます。保育所におきましても,0歳から5歳までの保育がそこにちゃんと包括されているということに,私たちも実感していますし,先生方もそれはそうだよねと思っておられるのだと思います。ですので,やはりここにも保育所における教育も,そのような性質を担っているというような書き方をしていく必要はあるのかなというように思います。何より専門性を有する保育士が教育的な意図を持って,先ほども言いました,将来の姿をどのように見越して保育をしていこうかということを考えて行っているものです。家庭における保育とは質的に異なっているということに明らかなので,非常に教育的な要素が強く入っているということも含めて,それぞれの教育課程と同質のものであるということは書いていただきたいと思っています。
それから,以前からも申し上げておりますが,施設長に求められる役割ですね。保育所が目指す保育の理念を職員に明確に示す。この役割につきましては,やはりその園の自己評価,第三者評価などをふまえたPDCAサイクルの中で,施設長自身が更に更にと高みを目指していくというリーダーシップがあってこその園の質の向上と職員の質の向上につながっていくと思っております。その裏のページになりますが,職員の資質向上につきましても今話させていただきましたけれども,そういうリーダーシップをとっていただける施設長や主任保育士。その人たちのもとにおいて,充実した研修を組み立てていかなければなりません。そのための機会はきちんと確保されなければ,これはやはり何の力も持たないのではないかなと思っています。私たち保育士たちは,保育をどのように社会に発信するかというところが非常にまだ弱いです。保育をどう文言化するか,可視化するか,そのところを今様々な研修で模索しながら,研究を重ねながら,自分たちが取り組んでいるところでもあります。各園それぞれが取り組んでいるところでもあります。そして,それが更なる先のそのキャリアパスの構築に向けたことにつながっていく。そのために組織を挙げての研修やら何やらということを取り組んでおりますので,そういうところも含めて研修の機会というものはきちんと確保されるべきだということを書いていただけると,非常に有り難いなと思っております。以上です。
○ 汐見委員長
ありがとうございました。既に今御発言いただいている委員の方々は,3歳児以上の保育についてという今の討論題目と,これから作る新しい保育指針の方向性をどうするかというかということを両方お話ししてくださっている方が大部分なのですが,後でもう一つの議題がそちらになりますので,もう一回御発言していただくチャンスがございますので,その点を念頭に置いて発言いただきたいと思います。それではお願いいたします。
では砂上委員お願いいたします。
○ 砂上委員
3歳以上児の保育というところで主にお話しさせていただきます。砂上の資料は資料5の14ページからとなります。
今まで他の先生方もお話しされた内容と重複するところもあろうかとは思うのですが,まず保育所における教育の在り方についてで,保育所保育における教育をより明確に位置づけることが今回の改定で重要ではないかと考えております。子ども・子育て支援新制度で質の高い幼児期の学校教育・保育の総合的提供ということがうたわれています。保育所,幼稚園,幼保連携型認定こども園のいずれを利用しても,質の高い幼児期の教育,幼稚園では学校教育となりますが,受けられるということを保障するということが重要かと思います。親のニーズ等によって子どもが通う園の種類は様々あるとしても,どの施設を利用しても質の高い幼児期の教育を受けられて,先ほど清水委員もおっしゃったように,小学校の就学に当たって同じスタートが保障されるということは非常に重要なことかと思います。従来幼稚園,認定こども園との比較,特に幼稚園との比較において,保育所の教育的機能が希薄であるように語られる風潮や傾向というものがあります。次期と書いてありますが,今回の改定においてその保育所に教育的機能があり,それが幼稚園教育等と同様のものであるということをより明確にするということに重要ではないかと考えています。このことを保育所保育指針の総則でも,現行の指針においても「養護及び教育を一体的に」と,教育という言葉がはっきりあるのですが,その位置づけをより明確にするということが今回の改定の一つのミッションではないかと思っています。保育所保育指針の総則の保育所の原理,保育所の目標というところで,保育所は子どもが生涯にわたる人間形成にとって極めて重要な時期にこうこうこうとあり,「現在を最も良く生き,望ましい未来を作り出す力の基礎を培うために」と,下線は引いていないですが,「現在を最も良く生き」,というのはとても良い重要な表現かと思うのですが,そのことによって望ましい未来を作りだす力の基礎というふうに書かれています。
一方,教育基本法で幼児期の教育というところでは,幼児期の教育は生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものでありと書かれています。すなわち幼児期の教育というのは生涯にわたる人間形成,人格形成にとって極めて重要で,そのための基礎を培う,その一番土台の部分を担っているということにおいて非常に尊いということは言えると思います。この幼児期の教育が目指すところ,生涯にわたる人間形成,人格形成の基礎というのは家庭教育,保育所保育,幼稚園教育また認定こども園の教育,いずれにおいても共通するかと思います。学校教育としての位置づけを持たなくても,幼児期の教育である以上,それが生涯にわたる人間形成の基礎を培うという意味では教育であることに変わりはないとも言えるかと思います。その生涯にわたる人間形成の基礎を培っている点で,それはすなわち教育であると言えるかと思うので,まず一つこれが保育所における教育の一つの,第一の側面になるかと思います。
続いて,また学校教育としてどのように位置づけるべきか。というところになると,先ほどの清水委員の御提案にも重複していくところもあるかとは思うのですが,3歳以上児の保育ということを考えた場合には,その人間形成の基礎を培うというところに加えて,その学校教育に相当する教育を含むものとして位置づけることができるのではないかと思っています。これは今までやっていなかったというのではなくて,従来やっていたというところをよりはっきりとさせていくということになります。学校教育法では,幼稚園は義務教育及びその後の教育の基礎を培うものとして幼児を保育し,とあります。幼稚園教育の目的は,義務教育及びその後の教育の基礎を培うことにあり,それが幼稚園教育要領の5領域のねらい・内容に反映されているわけですが,それとほぼ同様のねらい・内容を持つ保育所保育においても,この義務教育及びその後の教育の基礎は従来培われてきているかと思うのですが,これをよりはっきりと学校教育に相当する教育として保育所・保育士の中で位置づけることが必要ではないか,それが保育所における教育の第二の側面となるかと思います。
そこに資料15ページの真ん中に引用してあるのは,保育所保育指針の保育所の原理,保育の方法と幼稚園教育要領の総則の幼稚園教育の基本というところになります。保育所の保育は,子どもが自発的,意欲的に関われるような環境を構成し,主体的な活動や相互の関わりを大切にし,生活や遊びを通して総合的に保育するとあります。
一方,幼稚園教育要領の総則では,まず環境を通して行うというところを基本として重要な項目として,幼児期の幼児の自発的な活動としての遊びは,心身の調和のとれた発達の基礎を培う重要な学習であることを考慮して遊びを通しての指導を中心として5領域のねらいが総合的に達成されるようにすることとあります。この保育所保育のうち,学校教育に相当する教育,先ほどの清水委員がおっしゃった保育所教育と呼ぶかどうかと言うのは今後の議論かと思うのですが,それは子どもの主体性を重視した,幼稚園教育要領の総則にもあり,保育所保育指針の原理のところにも反映されている,「環境を通して行う」「遊びを通しての指導を中心として総合的に」ということを原則とするという,これらのことは非常にはっきりさせる必要があるかと思います。何をもって学校教育に相当するかというのは,5領域のねらい・内容をこの方法で担うということとセットになっているということになるかと思います。このことで,特定の知識・技能の獲得に偏った幼児期にふさわしくないと思われる保育方法が,一部で「教育的」ともてはやされる風潮といいますか,そのような実践の行き過ぎにも歯止めをかけることができるのではないかと考えます。このことに関連して,やはり遊びということに非常に従来指針でも重視してきています。これを幼稚園教育要領の総則に書いてあるのと同様に,遊びを幼児期にふさわしい重要な学習と明記するということが重要でないかと思います。どうしても遊びと学習を対立させるような学習観というのが一般的にはあるのですが,そうではなくて遊びを通して,遊びの中に重要な学習があるということをしっかり指針の中でも書くことが大ことにことではないかと思います。ただ,教育活動として行う遊びというのは子どもの自発性・自由度の高さ・楽しさというところが重視されつつも,やはりそこには保育者の教育的意図というものがあって,計画的に展開されるものだということも明記する必要があるかと思います。このことは解説等でより丁寧に書く必要があるかと思います。いわゆる本当に純粋な「フリープレイ」,「自由遊び」かというと,子どもにとってはそのような経験かもしれないけれど,教育保育者の側から見たらそこにはやはり教育者の意図があってある程度「ガイドされた遊び」なんだよというところをしっかり書いていく必要があるかと思います。遊びを通して総合的に保育するということを行う際に,これまで各委員の方がおっしゃったような具体的な指導計画があって環境構成・教材研究が行われて記録・反省を伴う,そして評価・改善をするという一連の課程があることが重要になります。この点に関して,カリキュラムマネージメントというような言葉を幼稚園教育要領等にも共通して用いることができるかいう検討も必要ではないかと思います。
また,認定こども園の3歳以上児における教育的な時間,1号認定の幼児と2号認定の幼児が同じクラスで活動する,いわゆるコアタイムのような時間というものを想定して,保育所にも学校教育に相当する時間を意識して一日の計画を立てるということをより促していくべきかどうかは,議論が必要であるかと思います。保育所における指針の構成に関わるところですが,保育所における教育ということの機能や存在を明確にするためには,5領域に関わるところは幼稚園教育要領,幼保連携型認定こども園教育・保育要領と構成を共通化していく。より具体的に言いますと,各領域でねらい・内容,内容の取扱いというところ,今指針では各領域で内容の取扱いというところが後ろにまとめられているので,各領域でしっかりと共通に記載していくということが求められるかと思います。
次に,卒園時の姿や卒園後の学びへの接続を踏まえたというところで,今日この会議の冒頭で,資料2で御説明いただいたように,幼稚園教育要領の改訂の議論が進んでいく中で,今日お配りいただいた資料2の9ページ,10ページのような図に一つまとめつつ,ただこれはたたき台ですので今後更に変更・修正が加えられていくことになるかとは思うのですが,ここを踏まえて保育所保育指針でも共通化していくことに必要になっていくかと思います。ただ,資料2の11ページに今出てきています幼児期の終わりまでに育ってほしい姿の再整理というところで,5歳児,特に5歳児後半というところが今度の幼稚園教育要領の改訂でもより少し輪郭がはっきりして強調されていくことにはなるかと思うのですが,このあたりの捉え方というのも,到達目標ではなくて,あくまで保育者が5歳児の指導を考えていく際に一つ子どもを評価していく視点になる。ただ,到達目標ではないし,到達度評価ではないというところを丁寧に言っていく必要があるかと思いますし,幼稚園教育でも同様ですが,より幼い時期の積み重ねがあって,この5歳児の姿が見えてくるというような,積み上げてくるものだという意識も非常に重要ではないかと思います。そうしないと,5歳児になった途端に何か保育が変わったりとか,今までとやり方が違ってきたりするみたいなことになってくると,少しそれはまた保育所保育指針が目指すものとは違ってくると捉えています。保育所の教育が人間形成の基礎を培うというところを考えると,先ほど安達委員もおっしゃったように,単に小学校にいかにスムーズにつなげるかということだけでなくて,この10の育ってほしい姿というのは人間形成の基礎として非常に重要で,単に小学校との接続だけで強調されるものではないというようなところも,とても重要になっていくのではないかと考えています。幼稚園教育要領の会議で出てきている,三つの資質・能力の柱というようなところに関しても,今後更にまた議論が深まっていくことになるかと思うので,指針にどのように反映していくか,その教育要領と表現を共通化しつつも,指針において配慮すべきことは何かという議論も必要になってくるかと思います。ただ,重要なところは,この資質・能力の三つの柱というのが,幼児教育においては一体となって指導されるものであるし,また遊びを通して総合的に指導しないとこの三つの柱というのは育たないというところを,今出てきている図ですと,「何を育てるか」,「何が育つかと」いうところが強調されているのですが,やはり「どのように」というところを合わせてより丁寧に言っていく必要があるので,この三つをバランス良く育てるには遊びを通しての指導,環境を通しての教育でないと,これは育ちませんよというところをしっかり言っていくっていうことも大事かと思います。で,保育所児童保育要録に関しては他の委員もおっしゃっているように幼稚園の要録,認定こども園の要録等と形式等を揃えていくことが必要かと思います。以上です。
○ 汐見委員長
ありがとうございました。今,砂上委員のそのお話の中の最後の方で,今幼稚園教育要領がこういう形で変わろうとしている,その議論をしているということを先ほど御説明がございましたけれども,それについての御質問などまだ議論していませんので後で少し時間をとりたいと思います。ではあと,木戸委員からお願いします。
○ 木戸委員
倉敷市立短期大学の木戸と申します。資料5の10ページを御覧ください。私からは3歳以上児の保育についてお話をさせていただきたいと思っています。特に発達障害者の就学準備については,保育所保育指針でも保護者や子どもの主治医,地域の専門機関など子どもに関わる様々な人や機関と連携を図ることが重要だということ,それから,こども園教育・保育要領解説でも小学校との連携に当たっては学校教育における個別の教育支援計画の作成が留意することが必要であるということが書かれております。特にこの移行支援計画については必要性が高い領域であり,発達障害児の小学校との接続については特に専門的な理解が必要だと考えています。文科省の通知によりますと,幼稚園,小学校,中学校,高等学校,中等教育学校及び特別支援学校において行う特別支援教育については,特別支援教育のコーディネーター的な役割を担う教員を,特別支援教育コーディネーターに指名し公務分掌に明確に位置づけることと示されておりますので,このことを保育所においても同様の推進が必要であると思われます。
ただし,こうしますと保育士の職務が多岐にわたるということもありますので,近隣の療育機関との特別支援教育コーディネーターとの連携などを考えて,そういった機関との連携をもってすすめられるような仕組み作りというものが必要ではないかと思っています。
もう一つ,3歳児の保育についても,これは周知のことではございますけれども,3歳児クラスの集団の捉えかたとして,まずはそれまでの巣立ちを踏まえた3歳児であることを再認識して保育をする,つまり3歳児クラスといっても年度当初は2歳児クラスの巣立ちの延長であるということを意識した保育ということがより重要になるのではないかと思っています。以上です。
○ 汐見委員長
ありがとうございました。次,大方委員お願いいたします。
○ 大方委員
皆様がおっしゃっていることは同じ気持ちなのですが,まず保育所というところは児童福祉施設であるということを前提に考えたときに,けれども同じ子どもとして障害を持った子どもであったとしても,虐待を受けた子どもであったとしても,子どもが貧困であったとしても,保育所で育った子どもであったとしても,幼稚園教育要領に準ずる学校教育施設ではないけれども,幼稚園教育要領に準ずる教育をきちんと受けたということの明記がどこかに必要ではないかと思います。そのために幼稚園教育要領というものは,特に3歳以上の保育の整合性をつけるという視点が非常に重要になってくるのかなと。ただし,入園当初の状況は乳児から来る場合,又は小規模型から来る場合,又は家庭養育における福祉的な問題も抱えてくる子どもたちが入園当初はいらっしゃるわけですから,そのへんのところのアセスメントをきちんと子ども理解をした上で指導計画にどう反映するのか。
更に今回の9ページ,10ページの幼稚園教育要領の図にもありますが,いかにより良い生活を営む力をつけるかということや,生活全体への見方・考え方ということが今回の幼稚園教育要領の焦点になっていますので,単なる知識を詰め込むとか,学力優先という視点ではないと思いますし,より情報社会であるが故の保育の場における対話力,大人の役割が求められていると思いますので,そのへんのところをきちんと明記していく。より生活全体が長い保育所であるが故に,在籍年月が長い保育所であるが故に,指導計画の中で3歳以上は特にその保育の内容や活動の選択というものが非常により明記されていくということや,意識した大人の役割と子どもの主体性ということのバランスを考えていくということが非常に重要ではないかと。そのことが結果,語彙数であったりとか,身体性の育ちや精神性の育ちということにつながっていき,今回の幼稚園教育要領改訂の中で目指しているところに結びついていくことになるのではないかなと思います。これは分離したものではなくて,福祉施設としての生活を前提としつつ,その中でどうつなげていくのかということを忘れないようにしないと,何かポコンと幼稚園教育要領だからそこに入ってきて,この時間だけはいきなり教育時間ですよということではなく,むしろその生活全体の中における活動や遊びの選択の重要性ということが位置づけられたらいいのかなと思っています。
それから,特にプロセスということで資料に出されている,24ページの中の遊びのプロセス例とアクティブラーニングの三つの視点を踏まえたということがあるのですが。遊びを深めていく,活動を深めていく,子どもが自分たちで考えていく活動を選択するということ。これは,保育所はどうしてもシフト制という仕組みがありますので,なかなか一人の担任の先生がクラスを運営するという環境構成を作る難しさもあるのですが,この改定を契機として,特に3歳以上のクラス運営は昨日,今日,明日と,子ども自身が活動を深めていけるような人の配置,在り方,又は長時間であるが故にコアな時間と,それからリラックスする時間。そして,そのリラックスする時間というのは単なる時間の長さの休憩ということではなく,むしろ今まで保育所が大事にしてきたこの養護的な時間ということはその中にたくさんの体験が実は含まれているという着目の,一日の緊張と弛緩の中の体験の質の違い,そのことでまたこの子たちが遊びに反映できるような,遊びの喪失や没頭や振り返りということをどう指導計画で反映させるか。これは単に書類をたくさん作るという意味ではなく,そういう意識を持った大人がいるという保育者の専門性にもつながるのではないかなと思いますので,そのへんのところが反映されたらいいかなと思っています。以上でございます。
○ 汐見委員長
はい,ありがとうございます。それでは阿部委員お願いします。
○ 阿部委員
阿部と申します。今までの委員の提案内容を伺っておりまして,ちょっと私の理解不足もあるのですが,その内容を理解する上で言葉を少し,定義ですか,それを少し教えていただきたいなと思いまして。教育という言葉を使っているときにどういう立ち位置で使われているのかとか,例えば清水委員がおっしゃっている学校教育と幼稚園教育という言葉を使われているのですが,それはどういうふうに考えたらいいのかなということが,ちょっと先ほどから引っかかっているのですが。長くなるようでしたらまた後で教えていただきたいのですが,簡単に答えられるようでしたら今教えていただけると。
○ 汐見委員長
それでは清水委員お願いします。
○ 清水委員
すみません,失礼します。私が使っています学校教育や幼稚園教育という言葉は,学校教育法という法令の中からおろしてきた形で使っているつもりです。その意味で,これは次の議論にも恐らく関わるという部分だと思うのですけれど,家庭における保育という表現が児童福祉法の中に既に入っていますので,そこに養護と教育というのが出てきています。そうすると,じゃあ保育者の専門性って何ということが問われるもとだと思うのです。それは養護と教育と一体的な部分だけが専門性かということになってくるような気もしますので,あくまで法律に基づいた表現をうまく絡めていくことで,自分たちのやっている保育がしっかり位置づくのではないかなと。そのために私は,学校教育法の中の言葉をうまく盛りこめられたら良いかなとは思っています。
○ 阿部委員
すみません,学校教育というのは学校で行われる教育という意味でしか捉えていなかったのですが。
○ 清水委員
学校教育というのは,学校教育法の中の教育という意味で私は使っています。人によってイメージが違う部分がありますので,まさにイメージが違いますから,これはここから出てきていますよというのを明記しておく,そんなのが必要かなと思います。
○ 阿部委員
あともう一つよろしいですか。例えば三つ,保育指針,要領,それから教育・保育要領とあって,整合性を図るというのは当然のことだと思うのですが,そちらが先行しているのでしょうか。そちらに合わせるという視点がかなり強い感じがするのですが。ちょっとあまのじゃくですけど,保育所保育指針のこの整理の中に,幼稚園教育要領だとか幼保連携型のそれが合わせるということはできないだろうかと。つまり,養護の視点というのは保育所だけではなくて,小学校低学年ぐらいまで,あるいはもっと上までも必要なのかなと思うのですけれど。そこを考えると,もう少し保育所保育指針の中の個々を考えて,幼稚園教育要領なり認定こども園のそちらの方に提案していくというのもできるのかなと思いました。失礼します。
○ 汐見委員長
はい,ありがとうございます。時間の関係でですね,少し議論したいと思っているのですが,ちょっと私の方で勝手に整理させていただきますと,いま何人かの委員から積極的な提案をいろいろ頂きましたが,一つ共通していたのは,保育所保育が幼稚園とあるいはこども園と何ら変わらない教育的な機能をきちんと果たしているということについて,指針の中ですごく明記すべきじゃないかという御意見がございました。それと反対に見えるかもしれませんけれども,もともと保育所というのは福祉施設であって,その養護的な機能を大ことにしているというところが,そのことによって曖昧になるのは逆にまずいんじゃないかということで,例えば総則の中に養護というものを大事にしなきゃいけないということを,むしろ積極的に書く形でその二つを矛盾のないものにしたいというような御意見もございました。
それから,学校教育という言葉に対してのある種の違和感みたいなものが,という御意見ございましたが,一応その最初に清水委員がおっしゃったことに,法的には幼稚園は学校ですし,その学校で行われている教育だから学校教育と言っているわけですね。ところが学校教育法の中には二つの言葉が使われて,保育という言葉が使われているわけですね。それで,その幼稚園における教育はという条項がありまして,そこに五つの目標が書かれているわけですね。これはもともと幼稚園教育要領にあった文言をそのまま法律の中に移したわけですけれども,そこは実は,実際には幼児教育の中身が書かれているわけで,それを法律で,幼稚園で行う教育というふうに定義しているわけですね。そこが保育所にはない。つまり保育所でやっていることに,子どもたちに対するきちんとした教育であるということが法的にはきちんと規定されていないと,そこに差があってしまうのですね。そこで今出てきたのが,実質的に学校教育法で書かれているような教育というのを保育所もやっているということをスッとこう,入れこむような形で保育所保育,保育所教育なんていう言葉を使ってはどうかなんていうのもありましたけれども,要するにそこで特別に何か,いわゆる小学校における学校教育のようなことをイメージしているわけではないというのは,そういう問題が出されてこれはどう扱うかということなのですね。多分これから論点なるのだと思います。
それから,もう一つ先ほど安達委員からも出ていましたが,最初に今幼稚園の教育要領の改訂の議論の中で,いろいろ御苦労されているなということによく伝わってきたのですけれども。今回の幼稚園教育要領の改訂の前提がございまして,幼児教育から高等学校まで基本的な同じカテゴリーで作っていくということがあるわけですね。それでアクティブラーニングという言葉はここには出てこなかったのですが,なぜかと言ったら多分幼稚園は全てアクティブラーニングなんですよね。でないとできっこないわけですから。それを改めて強調することもなかったのだと思いますが。ただ,社会文化が大きく変容する中で,子どもの発達への懸念がすごく出てきている中で,今回の改訂ではその卒園までにここまでの力をつけておこうということで,5領域のねらいを内容に付け加えるかたちで,卒園までにはこういう力をいうことを10個の目標として新たに提案しているわけですよね,つまり目標像が二段構えになってきているわけですよね。
だけど,その10個の目標を機械的に変にとってしまいますと,例えば非常に腕白で落ち着かなかった子どもが,でもやる気だけはいっぱいあった子どもが,大人になったら非常にいい仕事をしているとか。逆に大人しくて心配だと思った子どもがしっかりした人間になっているとか,というのはそのあたりを何というか十分見られないで,幼稚園版,幼児教育版の良い子にしてしまうことでかえって子どもが見えなくなってしまうということになりかねないからこの扱いについてはやはり非常に丁寧でなければいけないのではないかという問題がありました。
それから,私勝手に,ちょっと後で意見を頂きたいのですが,さっきの説明の中にもあって非常に御苦労されているということがわかったのですが,この説明の中の例えば10ページを見ていただくとわかりますが,その5領域プラス10個の目標プラス更に三つの柱というのがあるわけです。三層構造になっているわけです。この三層構造をどうやって記述するのかということが,そもそも三つの個別の知識や技能や判断力だとか,学びに向かう力だとか,これは実は幼稚園が考えたのではなくて,上からおりてきたものを幼稚園版にしようという形になっているわけですよね。非常に苦労されているなと思うのですが,どこまで書くのかということと,現場が評価するときにどれを基準に評価するのかということで大変悩ましい問題も多々出てくるなというような感じもあるのですがね。ということと,ちょっと勝手に質問していて申し訳ないのですが,もしお分かりだったら教えていただきたいのですが,先ほどの御説明を聞いていて私もまとめる責任があるものですから。幼稚園の今,中間まとめ的なものが出たのですが,その本当に始めの方の2ページのところに見方や考え方というものがまた出てきたのですね。それで,この見方や考え方というカテゴリーは幼稚園が作ったものではなくて,やはり今の学習指導要領改訂の中で共通のワードとして出てきたと思うのですが,その説明の上の2ページの2行目にこのような見方や考え方,遊びや生活の中で幼児理解をもとにしたと書いてあって,遊びや生活と言っても遊びと対になって生活があるわけですね。それで,遊びを通じた総合的な指導というのを大ことにするとはあるのですが,生活というのは,これは一体何なのか。つまり幼稚園の教育要領で言っている生活というカテゴリーは一体何を指しているのか,ということが実は相当大事なテーマになのではないかと思うんですね。それで,生活が変容しているので子どもの育ちに懸念が出てきていると。だから幼稚園は改めて生活ということを大事にしないといけないのだということは多分あるのだと思うのですね。だけど,その生活の中にはいろいろなものがあって,遊ぶという生活もあれば,皆で何かを整えるとか,準備するだとか生活もあれば,それから行事を皆で作っていくという生活もあれば,もう一つ大事なことは,物を育てるとか作るとかっていうそういう生活というのは人類の歴史でずっと子どもやってきたことですよね。親の仕事を手伝いながら,例えば食育がそうです。育てて自分たちで料理する。作るというのは遊びとかと違って真剣勝負ですから。そこで育つものがたくさんあって。だけど,こう見ていると,作るという生活が今度の幼稚園の教育要領の中でどう位置付けられているのかというのはほとんどないのですね。そのあたり幼稚園教育要領,幼稚園の場合は長い生活をずっとやるわけですから,例えば子どもたちが園の中で手作りを大事にしながら何かを身に付けていくということ。遊びの中で出てくるならいいのですが,私はそこが一つの大事なポイントになるのではないかと思うのですが,そのあたりがちょっと良く見えなかったということもあって。
それで阿部委員が最初おっしゃっておられましたが,1963年から幼稚園教育要領と保育所保育指針という,その中身は基本的に同一にするという通達がございまして,それをずっと踏襲しているわけですよね。ですから,どちらかが変わればそれに合わせて,中身が幼稚園と保育園と違うことをやっているということに絶対にならないようにしていくということにことで。ですから,今そのすり合わせをしているわけですね。ただ,5領域については,基本的な積極的な議論は大体幼稚園の教育要領を作るグループでやってきて,それを受けた上でこれは保育所でも使えるということにことで今までやってきたという歴史があったものですから,今回もそれを踏襲しているのだと思うんですね。それに対して,保育所保育指針の側で幼稚園の教育要領とちょっと違うやり方で,提案していくというのが積極的にあるのでしたら,そのことにまた新たに問題にしなければいけないのですが。現在のところ,そのやり方を今踏襲しようとしてやっているのだということに御了解いただきたいと思うのですね。というようなことで,勝手にちょっと整理と私の意見も言いました。
それから,大方委員が最後におっしゃったことに,保育所というのは幼稚園やこども園,特に幼稚園とは違って長時間の生活をするという,そのために職員が1日1人で全部を見ていられないこともあるというね。それに対してさっき砂上委員が御提案されたのは,保育所もコアの時間とそれ以外の後の時間という,これは今のこども園みたいなものですね,そのコアな時間では教育的な意識をしっかり持ってやっていって,午睡の後の時間なんかについては預かり保育や,今度は幼稚園も預かり保育を単に預かりではなくて一貫したカリキュラム,全体的な計画も含めてやれと出ていますけども,そこで差をつけるというような形にしてはどうかという提案も今でていたのですがね。ですから,そういうことも含めて保育所保育指針をどう書くのかというのが論点としては出ていたということですが。幾つもちょっと出ていたのですね,御自由にしばらくの時間しかとれませんけども,今出された意見に基づいて御意見いただきたいと思います。
はい,では橋本委員お願いしたします。
○ 橋本委員
関西学院大学の橋本でございます。今,汐見委員長がまとめてくださったことに関連するかわからないのですが,私なりに3歳以上の保育に関する意見をお話しさせていただきたいと思います。私は3歳以上の教育面については幼稚園の教育要領と整合性を確保していくという,これまでのやり方というのを踏襲してくべきではないかという考え方です。
意見としては二点ございます。一点目はこれまでの検討委員会でも発言をさせていただいていたのですが,3歳以上の保育をしっかりと保育所保育指針に明記することのためにも,まず保育所保育指針の対象年齢というものを明示するということが必要ではないかと思います。現行の保育所保育指針は,児童の表記をほとんど子どもという表記を用います。そのために保育所保育指針の対象が不明確になっております。対象年齢を明確にするために,0歳から小学校就学前までの一貫した保育を行うということを,まず総則に明記するということです。対象年齢明確にすることで,発達の連続性を考慮した保育の重要性が読み取りやすくなります。また,幼稚園の教育要領の方で検討されている,幼児期の終わりまでに育ってほしい姿を保育所保育指針でも採用するということになりますと,保育所では0歳から発達の連続性を踏まえながら取り組んでいくということになります。対象年齢を明記することでそのことが明確になるのではないかと考えました。幼保連携型認定こども園教育・保育要領には,0歳から小学校就学前までの一貫した教育,及び保育を園児の発達の連続性を考慮して展開するということが明記されています。
二点目は砂上委員が既に御発言いただいた内容ですが,幼稚園教育要領,教育・保育要領には乳幼児期における自発的な活動としての遊びは学習であるということが明記されています。保育所保育指針にも同様に遊びは学習であるということを明示し,遊びの教育的意義を明確にする必要があるのではないかと考えています。先ほど砂上委員からも御発言がございましたが,保育所の協会では学習という用語に抵抗感があることも予想されますが,心理学における学習というのは経験によって生じる比較的永続的な行動の変化ということにことです。一般に使用されている学習の意味をより広く捉えられていますので,このような学習の意味を解説書に明確に記してはどうかと考えます。また,子どもにとっての遊びの意味と,それを保障する保育における保育者の働きというものも解説書の方でより明確に解説していくと良いのではと考えました。 以上です。
○ 汐見委員長
ありがとうございました。保育所保育指針には0歳から就学前という定義は必ずしも入っていない,あるいは保育というカテゴリーが18歳までになってしまうのでそのへんがちょっと曖昧になって,保育所保育というのは,というふうに定義した方が良いということにことですね。
はい,どうぞ御自由に。
じゃあ,三代川委員お願いします。
○ 三代川委員
はい,三代川です。よろしくお願いします。私も先ほどから議論されています教育というものを保育所保育指針の中にも入れる,明記するというところはしていった方が良いかなと思っております。先ほど御意見ございましたが,やはり保育課程というものは全体をふまえて見通した,今の学びがどのように育っていくのかを見通した教育課程の編成が重要ということを,幼児期の教育と小学校教育の円滑な接続の在り方についての報告書の中にも盛り込まれておりましたので,保育所保育指針ですと保育課程というくくりにはなっているので,ちょっと単純になのですが,保育教育課程とするような教育というものも入っていった方が良いのではないかと思いました。
あと,保育所保育指針の教育に関するねらい及び内容の中では,幼稚園教育要領と同様,ねらい・内容,内容の取扱いというふうに一度に見られるとすごく実践に生かしていけるのではないかと思います。どうしても内容だけで,後ほど後ろを見ると取り扱い載っているのですが,どうしてもその内容の読みとりだけというところだと保育の力量に差が出るとか,あと文章の読解力とか読み取り方に差が出てしまうのではないかと思いました。
あと小規模保育等から,こちら保育園の方に入ってくるというところをふまえますと,やはり各保育所同士とか保育ママと保育所とか連携をして交流を深めるなどしていくことも必要かと思います。保育要録も幼稚園と認定こども園と同等になっていくと,小学校にも円滑な接続になっていくのではないかと思います。
また,小規模保育から保育園の方に転園というか,移動してくる際にもそういった書式があって,そこで円滑な接続ができるというところもあるのかなとも考えました。
あと,保育所保育指針における子どもということの表記なんですけれども,子どもという定義が児童福祉法に入っていないということと,子ども・子育て支援法では子どもの定義が18歳に達する以後,3月31日までの期間となっていることから,あと幼保連携型認定こども園教育・保育要領の中に乳児,幼児,乳幼児,園児というような表記があることから,保育所保育指針についても子どもの表記ではなく法律に基づいた記述の方が良いのではないかと思いました。以上です。
○ 汐見委員長
はい,ありがとうございました。それでは鈴木委員お願いいたします。
○ 鈴木委員
はい,鈴木です。失礼します。今まで先生方の御意見うかがっていて,そうだなというふうに幾つも幾つも共感を致しました。
まず,一つはやはり保育所保育指針であるという,そこをきちっとおさえないといけないということにことです。その中で大方先生がおっしゃったように非常に長時間にわたる生活の連続性,それから発達の連続性,そういうことをふまえて,やはり保育所とその保育所保育指針と幼稚園の教育要領と幼保連携型認定こども園の教育・保育要領は整合性を図るべきだと思っていて,そこでの教育の扱いということをちゃんと明記するためにも,清水委員のおっしゃったに全体的な計画という言い方が,私はベストではないかと考えています。そうすると,カリキュラムマネージメントであったりとか,それから評価であったり,改善であったりというような様々な視点を盛り込めるのではないかと思います。なので,保育所でちゃんと教育が行われているということをきちんと示すためにも,全体的な計画ということをおく。逆にじゃあ幼稚園に養護はないかっていうと,幼稚園教育要領ではちゃんと安定した情緒の下でというような言い方をしているので,やはり相互に理解し,相互にきちんと共通しというところを大切にしていったらいいのではないかなとは思っています。以上です。
○ 汐見委員長
はい,ありがとうございました。先ほどから保育課程という用語を前回の保育指針で使ったわけですよね,それに対してもともとの多分英語に戻すとそれはカリキュラムなんですが,幼稚園教育要領ではそれは教育課程と訳していると。そして,こども園の教育・保育要領では全体的な計画と使っているという3つの言葉が,実は英語にしたらみんなカリキュラムなんですが,それでなるべく整合性を図っていくという意味では保育課程という言葉を聞いてもなかなかぴんと来ないということもあって,保育の全体的な計画と言った方が実はわかりやすいだろうということが,これもこれまで議論したことなんですが,それを今回採用したらどうかという意見が何人かの方から出ていました。 それに対しての賛意でありました。
それでは,時間の都合もありますのでまた今続き議論したいのですが,既に出ていますので議題の2番目に全体の構成とか総則の中に何を書くのかということについて少し議論しなければいけませんので,事務局の方から少しその点で御提案の御説明をお願いいたします。
○ 楠目企画官
では資料の4を御覧いただければと思います。構成に関しましては3歳以上児の保育の内容と関連させて既に御議論いただいておりますけれども,今回は事務局の方で資料4の方で保育所保育指針,それから幼保連携型認定こども園教育・保育要領,幼稚園教育要領,それぞれにつきまして目次の構成について並べて記載した資料を御参考までに準備しておりますので御参照いただければと思います。
また,裏面を御覧いただければと思うのですが,こちらの資料の裏面には,これまでの議論の中で直接的ではないものも含まれておりますが,構成に関すると思われる御意見を頂いたものにつきまして御参考まで抜粋をして示させていただいておりますので御参照いただければと思います。おおむねの御意見といたしましては,大綱化というこれまでの方向性については,より進めた方がよいということでありますとか,幼稚園や認定こども園との整合性の確保ということが課題でございまして,特に昨年作成された幼保連携型認定こども園教育・保育要領については最近の知見をもとに議論をされた成果でございますので,可能な限り整合性を確保した方が良いということでありますとか,また一方で保育所として重要なことについては引き続ききちんと位置付けることが必要である,といったような内容の御意見をこれまでも頂いていると思いますが,本日までの御議論を踏まえまして,また改めまして御議論をいただければと思いますので,よろしくお願いいたします。以上でございます。
○ 汐見委員長
はい,ありがとうございました。ちょっと付け加えて補足的な御説明させていただきますと,資料4のところで,もう一回確認していただきたいのですが。保育所保育指針と両端にある幼稚園教育要領というのは,かなり前回の改定で保育所保育指針は縮小されて13章から7章になったのですが,それでも幼稚園の教育要領にはない章が幾つかございまして,特に5,6,7章がそうなのですね。それで,幼保連携型認定こども園教育・保育要領作るときに,その形式をどうするかということの議論になったわけですけれども,基本的に幼稚園教育要領の形式を採用するという形,なるべく大綱化して,これは幼稚園と保育園の両方の機能を持っていますから,指針と要領を両方いわば合体させるわけですね。そのときに合体させた中身をどこに入れ込むかということで,形式は幼稚園教育要領の形式を採用し,特に総則の中にたくさん保育所保育指針の中身を,いわば入れ込んであるわけです。既にこの委員会でも意見が出ておりましたけれども,例えば同じ5領域の記述でも,幼稚園の教育要領の方はこの健康,人間関係うんぬんの後に,つまりねらい及び内容プラスその内容の取扱いという項目があって3個だけなっているわけです。それでそれぞれがこういうふうに取り扱わなきゃまずいということをそこに書いてあるからわかりやすいのですね。ところが,保育所保育指針はそれをとってまとめてこう書いてあって,それから0,1,2のところと3,4が分けて書いてあったりすることにことでちょっとわかりづらいことがあって,そこは幼稚園の教育要領に従った方が良いのではないかという意見が何人かの方から出ました。
それから,既に何回も前から出ていましたが,養護というのが入っちゃうと5領域が6領域みたいに感じるということがありまして,養護は一貫して大事なのだからこれはもう総則の方に入れた方が良いということに前から出ていましてですね,この意見もどう反映するかということがあります。
それから,5章,6章,7章をどうするかということが論点になると思いますが,4章というのがあるのですね。4章は幼稚園の教育要領では,実は第1章の第2節になっているわけです。
つまり総則の中に入っているのを,どういう議論されたのかよくわからないのですけども,保育所保育指針の章だけにしちゃったわけですよね。これはずっとこの形で残すのかどうかという,実際に幼稚園はどういうカリキュラム作るかというのは,まず全体的な計画があってそれでどう作っていくというのは順番に議論していった方が良いので,それだけで取り扱うことはないだろうということになっているのですが。保育所の方はねらい及び内容というものがあった上で,やった方が良いだろうということになっているんですね,これをどう扱うか。
それから現在の第2章,子どもの発達についての記述については,現在のこども園の教育・保育要領では解説書に移していますよね。そこには一切書かれていません。ですから,それは同じ形式でやった方がいいのではないかという,国定で子どもの発達はこう見た方がいいですよというのはちょっとおかしいのではないかということがありまして。と,いうような意見も既に出ていますね。そのことを前提としてもう少し御意見いただければと思います。
○ 岡村委員
認定こども園ポプラの木の岡村です。20年くらい,25年くらい前からと言って良いのでしょうか,幼稚園の教育要領と保育所保育指針の整合化を図りましょうということで動き始めた,その背景にあることというのは私自身が持っているその問題意識と同じなのだろうと思うのですね。同じ国の中の子どもたちが違う指針の中で育ちが描かれているというのはおかしいのではないか,同じ育ちが保障されるべきなのではないか,ということがベースにあるのだろうと思っています。そういう中で社会の様々な変化の中で,いろいろなことを受け止めながらも整合性を図っていきましょうということが取り組まれてきている,そして認定こども園,新しい制度があってというところの中ではそれぞれの園がそれぞれの立場で使命を果たしていく,役割を果たしていくのではなくて,地域全体が包みこむようにしましょうというところになっていったときに,やはり改めて整合性をもっと推し進めていくことが必要なんだろうなと思うんですね。私が,その保育士の検討が始まったときにある前回の検討委員会の方から言われたのは,もう教育要領も保育指針も教育・保育要領もみんな一つにするのではなかったのか,というように問われたことがあってですね,私もそう思っていました,という話をしたことがあるのですが。ある場所では,それは省庁再編があって家庭こども省とかそういうものができたときに一つになるのだろうという話もあったりします。
でも私としては,省庁再編は先にあったとしても子どもの育ちはもっと早く一つに描けるはずだという思いを持っているのです。そうするとこの幼稚園教育要領の3章立てというものを生かす形で教育・保育要領の認定こども園のものが作られていって,これは流れとしてはそういう形に保育指針も動いていくことが必要なのだろうなということを私は感じていますし,そうなると様々な場所で仕事をしている人たちが同じものを使ってみて共通性のあるものを見て仕事がしていけるということにはなるのだろうと思うのですね。
ただ一方で,個別性は違いがあるということも理解しておかなければならないのですが。例えば今日も3,4,5歳,3歳以上の保育のことが語られましたけれども,2歳まで家庭で過ごして3歳から集団に入ってくる子どもたちの育ちが危ないというのは,幼稚園の先生方からよく聞くお話です。家庭で子どもが,育ちがうまく動いていない。その上に幼稚園の教育というものが動いていく,そして認定こども園はその両方が,集団を経験した子どもと両方が入ってくるというようなこともありますし。保育所の方で生活だとか,家庭の支援だとかというところでは,もっと家庭の生活,地域の支援に踏み込んだところを保育所は機能として持っている,ということはじゃあどう描くのかていうことがでてくるんだろうというふうには思うんですね。そうすると,私はその今回の幼児教育部会の資料を見ていて,こういう議論を積み重ねながら3,4,5歳の教育の部分をどういうふうにするべきか。ということを積み重ねながら検討がなされていくのは本当に素敵だなと思いますし,そういう議論をしたいなと思いもするんですけれども。 保育所保育指針がカバーしている部分というのはもっと広範な部分があってですね,この三章立てではなかなか言い表せない部分があるんだろうなと。そこをどういうふうにしていくのか,第4章に様々な項目だけをまとめて別記をしておいて,そして解説書の方で細かくやっていくのか,そのへんの工夫は必要なんだろうなと思います。以上です。
○ 汐見委員長
ありがとうございました。と言うことは,なるべく大綱化して近づけていくけれども保育所保育指針でしか書けないというか,保育所としてはどうしても書かなければいけないことはまとめて書くような工夫が必要ではないかっていうことでしょうか。
もっと御意見ください,できたらちょっと名前が違う施設で育っているけれども,やっていることは基本的に同じであるべきだと,これは子どもの権利としてですね,ですから,指針だとか要領は内容は基本的に同じであるべきだというのは理念ですよね。その際,保育所の固有性となると0,1,2が非常に大事だというところですね。そうすると,この保育指針の中に0,1,2のところをどういうふうにこう描くのかというあたりは,こども園なんかのモデルにもなりますのでね,そのことが一つあるということと,今日は3,4,5の議論をしていますけれども,それ以外に,5章,6章,7章で書かれていることをどう扱うかということにことですね。御自由に御意見いただければと思います。
はい,阿部委員お願いします。
○ 阿部委員
6章ですが,現行の保育所保育指針では保育の目標のところに子どもと,それから保護者と二つ書いてありますね。ですから,ちょっとすごく抵抗があるかもわからないんですけど,その流れでいくとその内容のところにここがこう入っていく,そして保護者支援のねらいだとか,保護者支援の内容だとか,そういう形で内容のところに整理できるかなというふうにちょっと思ったのですが。あのすごく抵抗がありますね,大人なのに保育って。しかし現在そうなっていますので,そこのところそのままにするんだったらその形が構造としてはいいのかなという感じがしました。
○ 汐見委員長
はい,ありがとうございます。そうですね。まだ御発言されていない堤委員はどうですか? いいですか,はい。
○ 堤委員
今まで先生方がお話しくださった御意見にも賛同しておりますが,教育と言った中で,先ほど委員長の先生もお話しされていましたように,生活が保育園では教育の一部を成す,ということ,それはわりと大きい部分です。そうなったときに今までもそうですが,食育では,保育所保育指針の大きな流れの中ではなくて,食育だけがどうも独立して見られていることが大変多く感じています。しかし,そうではなくて,生活全体,そして5領域の中において,食の部分というものも根底をなすというか,そこは全部カバーされると考えています。食育を推進することで,健康にしても,人間関係にしても,環境にしても,言葉表現にしても,全てカバーされるものが,現状では何か一部,独立して食育だけとってつけた分野のようになっているのがすごく気になっています。そこで今回,その教育を前面に出しましょうという方針の中で,生活全体に根差した教育,その中で食の部分をもっと丁寧に描いていただけたらと思います。以上です。
○ 汐見委員長
はい,ありがとうございます。では岡村委員お願いします。
○ 岡村委員
ちょっとさっき言葉が足りなかったので。それぞれの個別性,独立性がありますよね,ということだったのですが。一方では保育所保育指針が生活の細かいこところであり,保育所の運営のことであるとか,家庭のことまで踏み込んでいるものについては,実は幼稚園教育要領,それから認定こども園教育・保育要領の方はもっと手厚く書かなきゃいけないのだろうと思うのですね。子どもの0から就学前の子どもの育ちをどう支えるかという部分をしっかり書くことと,今の地域社会の中でどういう役割を果たすのかということをちゃんと書くこと。これは外せないことなんだろうと。これは,保育所保育指針はもうそのことをあつく語ってきている訳ですけれども,そこも整合性を図ってほしいなという思いがあります。
○ 汐見委員長
はい,逆にいま特に認定こども園の教育・保育要領が,そのあたりを念頭において新たに作り直していただきたいという面もあるのかもしれませんね。
では,大方委員お願いします。
○ 大方委員
ありがとうございます。保育指針にしかないものとして,やっぱり早い段階の議論があったのですが,乳児保育の章をどこかで作っておかないと,これからの時代その部分が子育て支援であったり,連携型のこども園に対するメッセージにもなってくる部分になるのかなと思う部分と。
それから,指導計画は先ほども言いましたけど,在籍年月が様々で時間の長さも様々な子どもたちがいることを考えるときに,指導計画作成上の留意点という部分はこの中に入らなければ,今までのように乳児から全員来ている子ばかりでもありませんし,朝早くから11時間保育を受けている子と,短時間の子と,小規模から来た子と,みんな違いますから,そのような配慮する章が必要ではないかと。できるだけ大綱化できるものは大綱していただいた方が,より保育士の保育所保育士の専門性というのが,何でもやらなきゃいけないということにならないように。 特に前回の議論でもありました子育て支援という部分は関係機関とつながるという部分なのか,それか担任がやらなきゃいけないのか,子育て支援員をどこに活用するのかという部分を明記しておく方が,より保育士の専門性が際立つのではないかなと思いました。以上です。
○ 汐見委員長
はい,ありがとうございました。
では橋本委員お願いいたします。
○ 橋本委員
関西学院大学の橋本でございます。保育所保育指針は,前回山縣委員からもお話がございましたが,保育の内容と運営に関する事項を定めるということですので,幼稚園教育要領,幼保連携型認定こども園教育・保育要領と少し性格も違う部分もあるということを前提に検討していく必要があるのかと思います。
一つ,先ほど保護者に対する支援のところを保育内容にということを,御発言いただいていたのですけれども,私は,大綱化して整理するとする必要があるならば,教育・保育要領と同じように総則のところに保護者支援をいれてはどうかと考えます。理由は保育内容は教育の具体的な内容を示す箇所になりますので,教育の対象に保護者を入れるのかどうかということも議論が必要となります。
また,前回発言をさせていただきましたように,保護者と保育者というのはお互いにそれぞれの役割を果たしながら,連携しながら子どもを育てるということが大前提となっております。その連携対象を教育の対象というふうに位置づけてしまうということに,やはり実践としては抵抗があるのではないかと考えます。以上です。
○ 汐見委員長
はい,なるほど。余り時間がなくなって参りました。
では鈴木委員。
○ 鈴木委員
はい,鈴木です。よろしくお願いします。私も先ほど大方委員がおっしゃったように,乳児の保育の意義と,それから子どもの姿,裏にも書いてありますけれども,やはり独立してきちんと意義を語ることと,発達の連続性があるので3歳以上だけに教育があるわけではなく0歳からのやはり長いスパンの中で,非常に保育士との関わりは重要なので,そこはきちんと明記していかなくてはいけないのではないかと考えています。以上です。
○ 汐見委員長
はい,ありがとうございました。
では大方委員お願いします。
○ 大方委員
幼児期の終わりまでに育つべき姿というのは,単なる到達目標ということではなくて,在籍年月が長いが故にその子ども像を明確に持った中で無理強いするという,決してそういう意味でなく,書きぶりは難しいんですけれども,それがあっての3歳であったり4歳であったり,又は家庭養育に困難を抱えた子どもさんへの保育の内容の選択や,活動の選択が行われてきますので,目標がなく日々の生活を送るということではいけないので,そのへんもカリキュラム上,幼稚園教育要領とのすり合わせも含めて考える必要があると思います。
○ 汐見委員長
はい,阿部委員お願いします。
○ 阿部委員
乳児保育に関してどこにきちんと位置づけるかって言いましたら,やはりねらいと内容のところで,私は乳児の内容と,それから幼児の内容と分けてそこに書いた方がいいかなと思っています。理由は子どもの発達を考えたときに,3歳までは自己が獲得される時期ということにことで中身が多少上とはちょっと違った内容,つながってはいるんですが,違ったような配慮というのは必要ですし。それと3歳以上の自己が獲得された後,その中身を豊かにしていくっていう意味においては分けて内容を書いた方が良いかなと思っています。そこのところが,法律だから発達の姿を書き込んではいけないと言われたら,また考え直さなければいけないのですが。発達の姿と合わせて理解していくというのが出る時点では,現場には受け入れやすいかなという感じがします。研修とかで,子どもの発達がよくわからないとおっしゃり方をよくするので,それは解説書の方って言われればそれはそうかなと思うのですが,要としては,二つ分けて書く。
それからもうちょっと細かく,接続期っていうんですか,移行期もちょっと考えていまして,5歳ってありましたけど,ちょっと私はもう少し年齢だけにこだわってはいけないかなというふうに思いまして。多少幅を持たせて6,7,8くらいの育ちまでを見通した形で接続期の,移行期の保育ということも,もう一つ内容を書いた方が良いのかなという考え方です。1,2,3,三つですか。
○ 汐見委員長
はい,わかりました。すみません,余り時間がなくなってきましたが。
和田委員,御発言ないですか,何かございませんか?
○ 和田委員
皆様がおっしゃった通りで,僕も同感なんですけれども。特に指針の中で乳児保育の在り方というところを,もう少し強調したい。特に虐待とか,保護者の疾病,貧困などの多くの問題を抱える保育環境を考えますと,乳児保育の在り方はやはり重要だと思うのです。そこらへんをしっかりと考えていかないとと思います。
○ 汐見委員長
はい,ありがとうございました。まだ,多分たくさん御発言されたいことがあると思うのですが,またメール等でも御意見いただきたいと思います。最後の方で,今日は十分議論できなかったのですけれども,この委員会では前からあった乳児保育をどういうふうに記述するかというあたりで,そこで子どもたちに獲得してほしい内容が,幼児と必ずしも全面重なるというわけでもない。つまりアタッチメントだとか,ベーシックトラストだとか,そういう心の一番基本の部分を丁寧に育てていくということと,それを武器にいろいろな世界にでかけていって,世界を広げていくというのとのつながりと違いみたいなものを明記するという点では,乳児保育は別に記述してもいんじゃないかという御意見も出てきました。どこまで事実的に可能かということ含めて,これからやっていきたいことだと思っています。
それから,中教審の方で幼稚園教育要領の素案みたいなものが出ていますけれども,まだ多分議論がされていって,整理されていくのだと思うんです。そして幼稚園教育要領でどういうふうに記述するのかということが出てきて,それを受けた上で整合性をなるべく図っていくという作業がもうひと段落必要になってきますので。私たちいろいろ意見は出しますけれども,それとすり合わせながら形を整えていく作業が必要だということに御了解いただきたいと思います。
どうも今日はありがとうございました。引き続き御意見を頂きたいと思います。
では事務局お願いいたします。
○ 楠目企画官
次回のスケジュールでございますが,資料7に記載をしております。次回,第6回は,5月10日 火曜日の午後を予定しておりまして,保育関係団体等のヒアリングを予定しているところでございます。場所,時間等の詳細につきましては,また追って御連絡差し上げます。よろしくお願いいたします。以上でございます。
○ 汐見委員長
それでは,今日はどうもありがとうございました。
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