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2016年5月23日 第2回水道事業の維持・向上に関する専門委員会 議事録

医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部水道課

○日時

平成28年5月23日(月) 14:00~16:00


○場所

厚生労働省共用第6会議室(中央合同庁舎第5号館3階)


○出席者

委員(50音順)

浅見委員 石井委員 浦上委員 岡部委員 尾崎委員
小幡委員 滝沢委員長 永井委員 平井委員 望月委員
山口委員 湯谷委員 渡部委員 渡辺委員

都道府県

千葉県(戸田主幹) 大阪府(土屋補佐)

厚生労働省

福田部長 樽見審議官 赤澤課長 宮崎課長 松田室長
久保補佐 倉吉補佐 長平補佐

○議題

(1)平成28年熊本地震への対応について
(2)水道事業の維持・向上のための方策について
(3)広域連携の推進について(水道用水供給事業について)
(4)その他

○議事

○久保補佐 ただいまから第 2 回水道事業の維持・向上に関する専門委員会を開催いたします。委員の皆様におかれましては、御多用中にもかかわらずお集まりいただき、ありがとうございます。

 まず、前回御欠席だった委員の方につきまして、御紹介させていただきます。上智大学法科大学院教授の小幡純子委員です。

 また、委員の改選がありましたので、御報告いたします。築地原康志委員に代わり、北海道環境生活部環境局長の湯谷仁康委員です。

○湯谷委員 北海道の湯谷でございます。前任の築地原に続きまして、この委員会に参加させていただくことになりましたので、よろしくお願いいたします。

○久保補佐 なお、山口委員については遅れていらっしゃるとの御連絡を頂いております。また、本日は藤野委員が御都合により御欠席ということで、委員 15 名中 14 名の御出席となっております。定足数を満たしていることを御報告申し上げます。

 また、今回はヒアリングを行うということで、千葉県と大阪府の方々にも御出席いただいております。誠にありがとうございます。順に御紹介させていただきます。千葉県総合企画部水政課水道事業室の戸田様です。大阪府健康医療部環境衛生課水道・生活排水グループの土屋様です。よろしくお願いいたします。

 続いて、事務局に人事異動がありましたので、紹介させていただきます。厚生労働省水道課水道計画指導室長の松田です。水道課課長補佐の倉吉です。同じく水道課課長補佐の長平です。よろしくお願いいたします。

 それでは、会議に先立ち、配布資料の確認を行います。お手元にクリップ止めで 2 種類の束がありますが、議事次第から始まるほうの束を順におめくりください。最初に議事次第、委員名簿、以下資料となっており、資料 1-1 「平成 28 年熊本地震における主な対応 ( 水道関係 ) 」ということで断水からの復旧状況、資料 1-2 は日本水道協会提出資料で、「平成 28 年熊本地震における日本水道協会の対応について」、資料 1-3 「熊本地震における課題 ( 未定稿 ) 」、資料 2-1 「水道用水供給事業について」、資料 2-2 「千葉県水道の統合・広域化について」、資料 2-3 「大阪府の水道広域化」、資料 3 「水道事業の維持・向上に関する専門委員会検討スケジュール ( ) 」、参考資料 1 は審議会運営細則、参考資料 2 「水道事業の維持・向上に関する専門委員会の設置について」、参考資料 3 は前回の専門委員会の資料ですが、「水道事業の維持・向上に関する論点 ( ) 」、参考資料 4 は前回の議事録です。

 もう 1 つのクリップ止めです。頭のカラーの資料が松江市上下水道局からの参考資料です。以下、机上配布資料 1-1 「水道事業の基盤強化方策に盛り込むべき事項 ( 概要版 ) 」、机上配布資料 1-2 「水道事業の基盤強化方策に盛り込むべき事項」で本編、机上配布資料 2-1 「指定給水装置工事事業者制度に係る課題解決の方向性と対策案 ( 概略 ) のイメージ図」、机上配布資料 2-2 「指定給水装置工事事業者制度に係る課題解決の方向性と対策案 ( 概略 ) について ( 取りまとめ ) 資料」で本編です。机上配布資料 1-1 から 2-2 4 種類については前回も配布しているものであり、重いということであれば、置いておいていただければ、次回また机上に配布いたします。資料に過不足等がございましたら、事務局までお申し付けください。

 ここで傍聴の皆様にお願いです。カメラの撮影はここまでで、以降はお控えいただければと思います。ここから議事に入りたいと思いますが、熊本地震の影響もあり、議事は前回予告していた内容から変更しております。次回以降の議事についても、順次変更となっておりますが、その点については本日の最後に御説明させていただきます。

 では、以降の議事進行を滝沢委員長にお願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。

○滝沢委員長 委員長の滝沢です。よろしくお願いいたします。本日の議事は (1) 「平成 28 年熊本地震への対応について」、 (2) 「水道事業の維持・向上のための方策について」、 (3) 「広域連携の推進について」、 (4) 「その他」となっております。

 まず、事務局から、議事 1 「平成 28 年熊本地震への対応について」の御説明を頂き、その後に尾崎委員からも日本水道協会の対応等について、お話を伺いたいと思います。そして、その後の議論の時間でも参考にしていただくため、事務局から熊本地震における課題を御提示いただきたいと思います。

 また、議事の 2 つ目は「水道事業の維持・向上のための方策について」となっており、熊本地震に関する話題も交じえながら、前回に続きフリーディスカッションを行っていただきたいと考えております。

 また、 3 つ目の議事は「広域連携の推進について」ということで、本日は水道用水供給事業の在り方について御議論いただきたいと思います。また、事務局から御説明を頂いた後に、千葉県、大阪府からのお話を伺い、その後に皆さんの御意見を頂戴するという予定になっております。

 それでは、議事の 1 つ目、平成 28 年熊本地震への対応について、事務局から御説明をお願いします。なお、御質問については、この後の尾崎委員からの御説明とあわせて、まとめてお受けしたいと思います。

○樽見審議官 私から口火を切らせていただきます。まずは、今般の熊本県熊本地方を震源とする地震により被害を受けられた方々に対し、心からお見舞いを申し上げる次第です。今回の震災では合わせて 44 万戸以上の断水が発生するといった大きな被害があったわけです。厚生労働省としては、一刻も早い水道の復旧のため、水道事業者の皆様や関係団体の皆様などとも力を合わせて、全力で取り組んでまいったところですが、被災地の 1 日も早い復旧、復興を願っているところです。

 本日ですが、委員長とも相談させていただき、今回の震災対応についても議事に追加させていただき、厚生労働省から取組状況について御報告させていただくとともに、日水協の対応等についても尾崎委員からお話を頂くこととしたいと考えたものです。初期対応等について反省点などがあれば、御指摘を賜れればと考えております。

 また、今回の震災への対応については、水道事業者間の協力の重要性、耐震化の推進、あるいはアセットマネジメントによる計画的な更新など、水道を取り巻く様々な課題を浮き彫りにしたものと思っているわけです。そうした問題を解決し、水道の持続性確保に早急に取り組まなければならないということも、今回の震災で示されたものと感じております。

 そういう意味で、水道事業の維持・向上のための方策全般について、前回はフリーディスカッションをお願いしたところですが、震災対応について御議論いただく中で、今後の水道事業の在り方全般に関する御議論もあろうかと存じますし、また、それをしっかりと踏まえてこれからの議論を重ねていかなければならないと考えているところです。

 ということで、今回の議事にこれを追加していただきました趣旨は、このようなものです。詳細につきましては、担当から御説明いたします。

○久保補佐 資料 1-1 を御覧ください。上下 2 段組みのパワーポイントの資料ですが、まずは 1 枚目のスライドで、今回の地震の概要です。 4 14 日に最大震度 7 の地震が発生し、その 2 日後の 16 日にもう一度最大震度 7 の地震 ( 本震 ) が発生しました。

 私どもの対応としては、最初の地震が発生した 14 日に省内に対策本部を設置、次の日には現地対策本部を設置し、水道課職員も翌日には現地派遣しております。 15 日が金曜日であり、 16 日の土曜日の未明に本震があり、 17 日の日曜日に我々から日本水道協会に対し、被災地への応急給水あるいは技術職員の派遣を要請、更には全国管工事業協同組合連合会に対し、被災地への管工事業者の派遣も要請いたしました。

 地震発生から約 2 週間後の 4 30 日の時点で、大体、熊本市全域で水道水の供給は可能となりました。そういったことで、熊本市に派遣されていた技術職員あるいは管工事業者の方々に、熊本市以外の断水が終わっていない自治体に回っていただけるよう、要請をした次第です。

 このような感じで進めてまいり、応急給水車が最大で全国から約 100 台駆けつけました。応援派遣については、地元の職員や業者も含めて、最大 1,000 名体制で復旧工事に従事してまいった次第です。これが主な対応です。

 被災状況については、冒頭に審議官から話がありましたとおりで、全体で 44 6,000 戸ほどが断水に至りました。戸数ベースではほとんどが熊本県で、 43 万戸強 ( うち熊本市 32 7,000 ) です。

 大体このぐらいの規模の被害というのは、ほかの地震と比べてどうなのかを示したのが次のページです。断水戸数でいうと、阪神・淡路大震災の 130 万戸、新潟県中越地震の 13 万戸の中間ぐらいに位置するのが、今回の災害ということで、いずれも最大震度 7 ということで、それが相場観と考えられます。

 その下のグラフは、今回の地震からの復旧状況についてで、断水戸数がどのように減っていったかを示しております。 4 14 日に 1 回目の地震があり、 16 日に本震がきて、ここで一気に断水が増えております。その後、大体 1 週間ぐらいで一気に断水が減っていき、その後は少しずつ減っていくのが見て取れます。資料では 20 日現在で、断水戸数は残り 241 戸となっておりますが、最新情報ですと、昨日の夕方現在で 193 戸となっております。

 次のページは耐震化適合率です。管路がどこまで耐震化できたかと復旧の速度について、プレリミナリーなデータではありますがお示ししたものです。横軸が基幹管路の耐震化適合率を示しており、縦軸が本震から 1 週間で断水戸数がどこまで復旧したかのパーセンテージを示しています。これで見ますと、点が 5 つしかありませんので、なかなかはっきりしたことを申し上げるのは難しいのですが、大体右肩上がりという傾向が見て取れます。すなわち、例えば熊本市というのは、基幹管路の耐震化適合率が 7 割を超えるぐらいあり、全国的にも高い部類でした。残念ながら大きな断水は起こったのですが、 1 週間でほぼ 100 %復旧ということで、復旧の速度はやはり、よそより早かったというのが見て取れます。繰り返しになりますが、データ、点の数が少ないこと、地形の問題、職員数・マンパワーの問題といったものもありますので、耐震化適合率だけで全てを説明できるわけではないと思いますが、いずれにせよ耐震化が進んでいる所で復旧が早かったという傾向は、ここから見て取れます。

 その次のスライドは応援派遣を行っていただいた水道事業体の一覧です。詳しい説明は省きますが、九州、西日本だけではなく、応急給水については中部地方からも、復旧は東北のほうからも駆けつけていただいております。ありがとうございました。

 次のページから、 4 枚ほど現地の写真を示しています。最後のページに「被害の特徴」ということで、文章で特徴的なことをまとめております。例えば写真の 1 枚目の熊本市の状況でいくと、漏水が起こった管路について、例えば外径 135cm 70cm 80cm と書いています。このとおり、基幹的な管路も今回は被害を受けており、それによって大規模な断水に至ったということが一つ言えるかと思います。

 それから、その次の益城あるいは南阿蘇村辺りの写真を御覧いただきますと、かなり大きな土砂崩れも発生し、土の中からポコッと丸い穴が空いているのが見えると思いますが、こういった形で水道管が外れて、土砂と共にどこかに流されてしまうという大きな被害も受けております。このように土砂崩れまで起こって水道管ごと流出という話になると、この後に仮設の管路を作ったりするのですが、どこをどう迂回させてつないだらいいのかということも難しいところで、復旧に時間が掛かったというものです。

 その他、最後のスライドになりますが、管路の被害については大規模な斜面崩壊、土砂流出、基幹管路の被害のほかにも、家屋に向かう給水管にも被害があって、それがまた断水を引き起こしてしまったというようなことがありました。

 写真ではお示ししていませんが、施設被害として、例えば地震直後から、この地方は阿蘇山の山麓ということで地下水が豊富な場所ですが、地震で揺られたために地下水に濁りが出て、普段ろ過設備を持っていなかったことで対応に苦慮したとか、そもそも井戸が枯れてしまったとかで代替水源を見付けるのに苦労しているというような被害も報告されています。以上です。

○滝沢委員長 続きまして同じく熊本地震への対応について、日本水道協会の対応を尾崎委員から御紹介いただきたいと思います。よろしくお願いします。

○尾崎委員 私から、日本水道協会の熊本地震に対する対応についてお話させていただきます。初めに、全国の水道関係者の皆様からは、被災した事業体に対する応急給水、応急復旧など支援を賜りまして、厚く御礼申し上げます。

 資料 1-2 を御覧ください。パワーポイントの 2 ページで熊本地震の概要について簡単に記述しています。今回の地震は、震度 7 2 回あったのが特徴です。なお、水道の被害状況については先ほど説明がありましたので、割愛いたします。

 パワーポイントの 4 ページは、日本水道協会における地震等緊急時の対応について記述しています。日本水道協会の会員である水道事業体による相互応援のルールについて、具体的には、『地震等緊急時対応の手引き』の中で整理し、これにのっとって対応しております。

 手引きの策定は、兵庫県南部地震における応援活動の教訓を活かす目的で平成 8 年に作成された「地震等緊急時対応に関する報告書」がベースになっています。その後の新潟県中越地震、中越沖地震、さらに東日本大震災の教訓を踏まえて、適宜改訂しております。

 パワーポイントの 5 ページは、手引きに基づく応援要請の流れです。協会には左上記述の本部、その下の少し紫がかった色で示している地方支部があります。本部と 7 つの地方支部があります。その下部組織に 51 都道府県支部があります。地方支部、都道府県支部とも、支部長都市を決めております。地震被害が起きると、この図の赤い枠中に災害発生と記述してありますが、被災事業体が県支部に応援要請を行います。県支部で対応できればそこで終わるのですが、そこで対応できなければ、その上の紫の所の被災地方支部に要請となります。被災地方支部で対応できなければ本部から他の地方支部へ要請を行います。このように段階を踏んで全国へ広がっていきます。

6 ページです。今回の地震では、 4 14 日に震度 7 の地震が発生し、規模が大きいということで、即、救援対策本部を立ち上げました。その日の夜には熊本県支部より先見調査隊が 2 名派遣され、同日に日本水道協会本部より熊本市現地対策本部へ職員を派遣しております。熊本県支部からは応急給水車の派遣要請がありました。このときは九州地方支部にて対応しております。

16 日に震度 7 の本震が発生しました。このときは日本水道協会本部より、九州地方支部 ( 福岡市 ) へ職員を派遣しました。九州地方支部より応急給水車の派遣要請がありましたので、中四国、関西、中部地方支部にて対応しました。

4 17 日には熊本市から技術者、設備職 22 名の要請がありました。これは井戸のポンプなどの修繕に設備職が必要だということからの応援要請でした。対応は九州、中国四国、関西、関東地方支部にて行いました。 18 日には、宇城市、益城町、西原村より、応急復旧隊の派遣要請がありました。九州地方支部、関西地方支部にて対応しております。 20 日には、熊本市より技術者、漏水調査ということで 50 名の派遣要請がありました。このときは、九州、中国四国、関西、中部、関東地方支部で対応しております。

7 ページです。 24 日には、熊本市から技術者等、漏水調査、管路の修理で 38 班の派遣要請がありました。このときの対応は、九州、中国四国、関西、中部、関東、さらに東北地方支部が加わりました。 27 日には、復旧が少し進んだことから、熊本市内の応急給水活動が少し縮小されました。熊本市からの技術者等の追加派遣要請として 20 班の要請ありました。このときから北海道地方支部が新たに加わりました。

5 2 日には、阿蘇市、御船町より応急復旧隊の派遣要請がありました。この件については、中国四国地方支部にて対応しております。 5 6 日になりましたら、熊本市内における応急給水活動がほぼ終了しました。熊本市内における応急復旧も縮小の方向に計画変更されました。 5 10 日には、南阿蘇村より、復旧計画に携わる技術者の派遣要請があり、九州地方支部にて対応しております。

5 14 日には、熊本市内における応急復旧隊作業は終了となり、熊本の応急復旧隊は、九州地方支部以外の地方支部による作業は終了いたしました。

 また、日本水道協会本部からの職員派遣は、九州地方支部への派遣が 4 16 日から 4 22 日で、延べ 11 名、熊本市現地対策本部への派遣が 4 15 日から 5 11 日までで、延べ 78 名、延べ 89 名です。

8 ページは、応急給水の実施状況です。 4 28 日の最大時の実績台数として 96 台を日本水道協会から派遣しました。このほかにも自衛隊や、民間事業者による応急給水などがありますが、その数については協会としては把握しておりません。 9 ページです。現在の応急給水の状況です。現在は日水協関係では 10 台を派遣しています。

10 ページは、応急復旧の実施状況です。これは、熊本市の 5 5 日の最大時をベースにしております。人数では合計で 555 名、班数では 70 班が最大の応援状況です。 11 ページは、 5 19 日現在の状況で、熊本市は応援活動が終了し、阿蘇市も終了し、宇城市も終了し、現在は益城町、西原村、南阿蘇村において活動しております。

12 ページのグラフは、熊本市内における他都市の応援事業体による漏水調査及び管路修理推移です。今回の地震では、漏水の発見がしにくい地域だということが感じられました。なかなか漏水が地盤表面に出てこないのです。要するに水を通しやすい地層で、漏水は下に行ってしまって上に上がってこないということで、漏水の発見には苦労したと聞いています。 13 ページは、そのときの写真等ですので後ほどご覧ください。

 熊本地震の教訓については、これらを整理し、今後の対策に生かしたいと思いますが、現時点で、感じたことをお話したいと思います。

 初めに、大西熊本市長とお会いした時の話をしますと、市長によると、どちらかというと熊本市は豪雨というか、台風などに対してはかなり気を遣っていたのですが、地震に対しては優先度が低くかった。今後はしっかりと耐震化も含めてやらねばということを言われていました。また、熊本市は地震の発生確率が低い所であったので、事前の準備、受入体制が進んでいなかったということもあり、そういう面では円滑な応援ということには少し問題を残したのではと思います。

 次に、福岡市の清森管理者と話をしましたが、福岡市では日常から地震に対して準備をされているそうです。今回も、 4 14 日の前震が発生したときにも、すぐに対応が可能だったということで、事前の準備が非常に大事であると話をしておられました。

 私が感じたことも含めもう少しお話ししますと、中小規模水道事業体における災害対応では、特に小規模の水道事業体は概して技術者が少ない、いないに等しいという感じがしたときもありました。その中で、水道施設が被害を受けてしまうと、どのように直していいのかも自ら判断・計画できないということもありますので、こういうことを考えますと、ある程度の技術者を確保できる事業規模というか、そういう体制が今後はより必要になってくると思いました。

 そういう状況の中では、やはり人材育成、技術継承が大事だと思います。また、これを言うと厚生労働省の水道課長が怒るかもしれないのですが、水道課にも経験者というか、ある程度その場を踏んでいる人が必要だと思いました。水道ビジョンの策定のときにも、職員の人事異動は少し長めにしようと、今後の対応をお話していたのですが、その後も人事異動が激しく、今回を見ても大変苦労しており、やはりある程度長めの人事異動によって、こういう災害時の技術継承もしっかりしたものとすることが大事だと思っています。

 また少し違った視点で支援活動をみてみると、民営化というか、民間の水道事業に対しての支援を今後どうするかという課題があると思います。日本水道協会は応急給水に対しては基本的に要請があれば支援しますが、応急復旧に対しては、費用負担の問題、財政支援などについては、公と民との公平性も含めて考えていく必要があると思います。

 最後に、『地震等緊急時対応の手引き』を策定し、水道課長からも全国配布にあたって活用してもらうよう指導していただいているのですが、事業体も人事異動が激しいためなのか、なかなかこれを読んでもらっていないという感じを受けました。訓練をするときは必ずこれを読みますから、ぜひ訓練を実施していただきたい。我々も PR 等頑張りますが、水道課も訓練に対して支援をよろしくお願いします。

 先ほども言いましたように、熊本地震の教訓を更に整理して次に生かしたいと思いますので、その旨何かありましたら、皆さんからも御意見を頂ければと思います。以上です。

○滝沢委員長 どうもありがとうございます。もう 1 つ資料 1-3 というのがありますので、これについても事務局から御説明ください。

○久保補佐 尾崎委員から最後に御発言があったことと、ほとんど重なるのではないかという気もしますが、我々厚労省のほうで感じたこととして、資料 1-3 について御説明いたします。まず資料のタイトルが、熊本地震における課題の未定稿となっております。言うまでもなく、今も我々の職員を現地に派遣し続けており、ちょうど復旧・復興の作業中ということで、現時点で課題の全貌が見えているわけではないと思います。しかしながら、我々もこの 1 か月対応をしてきて、その間にも痛感された課題が幾つかありましたので、本日御紹介したいと思います。

1 つ目が、小規模事業者が災害対応を行うことは、なかなか難しいということです。尾崎委員からもありましたとおり、熊本市ですら今回、スムーズに対応ができたかというと、まだ課題があるのではないかという中で、小規模な町村ではかなりお手上げに近いような状態も見られました。 1 つ下のスライドを御覧いただきますと、主な被災市町村の水道担当職員数を書いております。熊本市は 300 人を超えておりますが、町や村という名の付く所では、もう本当に 1 桁という感じです。災害の後の断水の対応もありますし、給水車を走らせる対応もありますし、お客様からの対応も様々で、電話も鳴りっぱなしという状況になるわけです。そういった状況に対応するには、幾ら何でもこの人数は少ないのではないかということで、職員数不足という問題が 1 つあります。それから、職員数が少ないことと相関するとは思うのですが、災害対応ノウハウの不足している事業体も多かったのではないかということが見て取れました。

1 枚目のスライドに戻って、 2 つ目の課題として、このような大きな災害、大きな断水被害が出たときには、個々の事業者単独で断水に対応していくのは基本的に不可能です。やはり水道事業者間の連携・協力が大事であるということが、改めて浮き彫りになったのではないかと考えております。スライドの 3 ページにありますのは、これも尾崎委員からお話のあった日水協の手引き、あるいは 1 つ上に書いてあるのが、我々厚労省水道課から出している報告書です。報告書が平成 19 年に出て、例えば危機管理対策マニュアルを策定してほしいとか、一番下の丸数字2に書いてあるとおり、日水協の応援体制を基本としているが、災害時相互応援協定をいまだ作っていない場合は、協定を作ってくださいということを周知してきました。

 また、日水協の手引きでは地方支部長、あるいは都道府県支部長というのを決めて、管内ではそこが核となって災害対応をやっていく仕組みとか、一番下の 3 行に書いておりますように、万が一核となるべき支部長あるいは都道府県支部長が自ら被災してしまったときにどうするかということで、隣接する支部長に職務の代行をお願いできるような協定を、あらかじめ締結しておくことが望ましいという方向性が、昔から示されていました。今般も様々な協定自体はあったようですが、その協定に基づいて応援要請が来たら、どうやって動くのかというところについては、具体的な行動までは、余り検討が十分でなかったのではないかという面もあったかもしれませんので、引き続き考えていく必要があるのではないかと思います。

1 枚目のスライドに戻ります。 3 つ目、 4 つ目は言うまでもありませんが、耐震化を一層促進しなければいけないということ、あるいは耐震化が不十分である場合には、やはり急いで計画的により耐震性の高いものに置き換えていくことが大事だということが、今回明らかになったのではないかと思います。

 この 1 枚目のスライドでは、 4 つの課題を示しておりますが、 2 つ目の事業者間の連携・協力というのは、災害に特有の話ではないかと思います。もちろん今後の水道事業の維持・向上の中で、一体どういうことをやるのかということも考えていく必要があろうかと思います。しかし、その他、課題の 1 3 4 番目については、実はこれまでも議論してきた平素の水道事業の基盤強化の中で、こういった課題があると散々言われてきたことです。平素の事業基盤がしっかりして初めて、災害対応もしっかりできるのではないかということで、冒頭の樽見からの話にもありましたとおり、この専門委員会でも熊本地震の経験を踏まえながら、今後の水道事業の基盤強化について御議論いただければと思って、資料を用意した次第です。

○滝沢委員長 ありがとうございました。それでは、ただいまの熊本地震に関する御説明も踏まえながら、議題 2 ということで前回に引き続き、水道事業の維持・向上のための方策について、御出席の委員の皆様の御意見を伺えればと思います。前回の資料として参考資料 3 、「水道事業の維持・向上に関する論点 ( ) 」というのがあります。これも前回使用したものですが、この資料も参考にしながら、御自由に御意見を頂ければと思います。この資料のうち、広域連携の推進については、本日の後半のほうで千葉県と大阪府の御説明も踏まえながら、少し時間を取って議論をいたしますので、できればそれ以外の論点について、御意見を頂戴できればと思います。いかがでしょうか。地震に関してでも結構ですし、それ以外の前回配布資料の参考資料 3 、論点についてでも結構です。

○浦上委員 近畿大学の浦上です。地震に関して、非常に詳細な御報告をありがとうございました。私自身が熊本の出身で、高校も熊本市、今回被災のあった熊本市内のど真ん中に住んでおりましたので、震災後も知人や家族から、いろいろと情報をもらっています。今回の地震自体が非常に特殊なのは、震度 7 2 回きたということと、余震がずっと続いているということもありますけれども、熊本市自体が非常に特殊な水道事業だということなのです。 100 %地下水で浄水場を持たない。地下からくみ上げた水を配水池に入れて、ちょっと塩素を混ぜてそのまま供給できるのです。

 地下水 100 %で浄水場を持たない水道事業者では、日本で最大のものであることは私自身も調べて理解しているのですけれども、今回、震災後に復旧率が 100 %になったのが 1 週間後ぐらいです。最初の 1-1 のスライドに、熊本市では復旧率が 100 %となっているのですが、復旧率の定義を少しお伺いしたいのです。今回の熊本地震の特徴は、蛇口から出てくるけれど濁水であったと。飲める水は一体いつくるのかということを、現地に住んでいる私の知人はたくさんそう言っていたのです。水道に飲めない水を流しているけれども、結果的にトイレには流せると。お風呂に使えたのかどうか、私もその後詳しくは聞いておりませんので分からないのですが、少なくとも飲めなかったということです。復旧率は、確かに 1 週間後に 100 %に到達したというような情報を頂いたのですが、恐らく飲める水ではなかったのではないかという気がします。今回の地震の復旧の状況というのは、全国的に見て今後の地震の参考になるかというと、 1 週間後に復旧したというこの数字は、注釈がないと非常に難しいのではないかと思うのです。ですから復旧が一体何を指すのかというのを、もし御存じであればお聞かせいただきたいのです。

 これに関わって先ほどは、右肩上がりとザックリ言えるのではないかということだったのですが、資料 1-3 で、 1 番目の職員数の不足などで対応が非常に困難であったという部分と、何せ熊本市以外は非常に小規模なので、復旧ノウハウもないということが尾崎委員から御説明があったと思うのです。耐震化適合率とたまたま右肩上がりの相関として出ているのですけれども、もしかしたら規模の大きさとか震災後の対応にどれだけ従事できるのかというのが、事業者ごとにかなり大きく分かれてくるのではないでしょうか。もしかしたら耐震化適合率が横軸ではなくて、時間軸を取っても同じようなことが言えるのではないかと感じています。

 震災後にテレビで、熊本市の水道はといって情報はバンバン出るけれども、熊本市以外の所の水道の情報はほとんどなかった。それだけ熊本市は早くに情報が出て、水道を利用する側からすれば、いつ我々の水道に水がくるのかといった情報が来て、安心感を与えられたかと思うのです。しかし、それ以外の所は多分、そういった情報すら出ていなかったのではないかというぐらい、やはり規模の格差が震災後の対応に大きく差として出てきたのではないかと思います。

 震災も含めて 5 年に 1 回ぐらい、災害が頻繁に起こり得る状況になってきましたので、今後の地域連携の論点の 1 つとして、広域連携の中にも万が一震災が出てきた場合のものを。大都市は何とかなるのではないかというイメージは湧いたのですけれども、周辺都市とか非常に小規模な事業者は一体どうすればいいのかというところも、広域連携の中で何か解決できるのではないか、できる方法を検討していかないといけないのではないかと感じました。

○滝沢委員長  1 つ目は復旧率の定義の質問で、 2 つ目はやや広範ですけれども、災害復旧において規模の格差があるので、これからの広域連携はますます重要になるのではないかという御提言だったと思います。では、御説明いただけますか。

○久保補佐  1 つ目のお答えかと思いますが、おっしゃるとおり、これは飲める水が出てきたという意味での復旧ではなく、あくまでも断水していたものが、蛇口をひねれば何かしらの水が出るようになって、生活用水として使えるようになったという点をもって、復旧という形で示しております。かつ、水圧が足りなくてマンションの高い階では水が出ないことがあったとしても、エリアとして、とある配水池から配水区全体に水が出ていれば、そこは復旧という形でカウントしてやっております。現実の感覚からすると、こんなに早くないぞというのはあるかもしれませんが、いずれにせよ過去の地震やほかのケースでも同じような整理をしていますので、比較としてはこういう感じの整理の仕方でいいのではないかと考えて出しております。

 耐震化適合率と復旧の速度で右肩上がりだけれども、本当にそれだけの問題なのかという御指摘については、確かに現時点ではよく分からない部分があります。おっしゃるとおり、小さい市町村では特に初期の対応が遅かったということで、その後の復旧の速度にも響いている可能性は否定できないと思います。

○浦上委員 それで、もう 1 点御質問したいのです。今回は配水池から水をそのまま流したので、水が流れたから復旧ということですよね。もし、これが浄水場を持っていて、この水源の水だと水道管に水が流せないという判断があるとすれば、やはり復旧の時間はもっと遅れたとお考えですか。要するに浄水場があれば、浄水場から先は飲める水を流すという感覚というか、イメージというか、そういう認識があるかと思うのです。今回は飲めない水でも流したわけですよね。しかし、もし浄水場があってということであれば、復旧の時間はもっと後ろにずれ込むという理解でよろしいですか。

○宮崎課長 先ほど久保からも申しましたように、水道局が責任を持っている部分で水が通るようになれば、私たちは断水は解消したという判断を今回もしました。その結果、個別の家については実際に家の中の給水管が壊れていたり、マンションの貯水タンクが壊れていたりして、水が出ないという事例はあったようです。それも含めて断水は解消されたという判断をしました。

 あと、水の飲める飲めないに関しては、今年の 3 月に改めて事務連絡で通知の出し直しをしたのです。これはそれぞれの水道事業体の御判断になるのですけれども、こういう緊急時においては、飲める水でなければならないかというのは個別に判断いただいて、飲めない水であっても生活用に必要であるという判断であれば構わない、判断でやってもらって結構だという通知を出しております。実際に熊本市の場合は、病原性のものが入っていると困るのですが、そうでない場合はそういうケースもあり得ると私たちも思っています。熊本市の場合は「濁度が上がったということで、それで直ちに健康上の被害を生じるわけではない」という御判断だったと思います。その結果、水を供給するという御判断になったのではないかと感じているところです。

○小幡委員 上智大学の小幡です。前回は欠席いたしまして申し訳ございませんでした。私の専門は行政法で、 PFI や官民連携に関わっていて、もう 1 つは地方分権等にも以前から関わっています。そういう見地から、今回は大変重要な論点が含まれていると思っております。

 今の熊本の話ですが、災害対策基本法というのが市町村を中心に制度設計されているもので、これだけの地震がありますと、小さい所と大きい所と当然差がありますが、災害時にどう連携して何とかそれなりにやっていくような体制を日頃から整えているかというのが、大変大事だと思います。今後もこういう災害がまたどこでも起こり得るということですので、非常時にどう連携していくかということを日頃から市町村間、県も含めて、きちんとしたマニュアルを作っていることが大事かと思っております。

 それから、前回の資料、参考資料の 3 にある検討事項についてですが、水道というのは基本的に市町村が原則としてやるように、今の水道法はなっております。歴史的にも水道は、住民の必須の大変重要な役割を担っているということから、市町村が住民のために、様々な自らの政策等とも関連付けながら、いろいろな形で運営してきたという経緯があります。人口が減少していく中で、これから維持管理も大変になっていくという状況下で、いかにどのように効率的にやっていくかという視点は、非常に大事になってくると思います。例えば、私も PFI 推進委員会に入っておりますが、官民連携の PFI を水道事業でもどうやって利用していくかといった観点から、そこで法制度上障害となっているものがあれば、これを除去していくことが必要となってくるかと思います。

 問題は、今は市町村が原則となっているところで、今回、都道府県をかなり活用できないかというお話がありますが、やはり地方分権という観点からは、なかなか難しいところがあります。市町村ができることはまず市町村がやり、できないところは都道府県がやるという補完性原理というのが原則としてあります。おそらく、これからいろいろなヒアリングでも御発表があると思いますが、都道府県が中心となってうまくやっている所もあろうかと思います。ただ、全部がそうなっているわけではなく、そもそもが市町村原則でやっておりますので、各市町村がそれなりに工夫をしてやっている状況にあります。

 また、料金も条例主義になっており、水道は住民がどのように考えるかということで決められることになっており、条例ですから、議会が決めるという問題もあります。そういうように、住民に一番密着したところから、水道が成り立っているという原則がありますので、これを直ちに逆転させるのは、なかなか無理ではないかと私は思っております。やはりそれぞれの地域にはそれぞれの特色があり、都道府県主導でうまくやれる所もあれば、市町村間がうまく連携して、広域化を自ら進めていくのが一番良いという所もあるでしょう。やはり水道というのは住民が自ら決めていくという、住民自治という側面が大きいので、そこを基本に据えながら考えていかざるを得ないのではないかと思っております。

 この論点の中では、アセットマネジメントも非常に大事だと思っています。自分たちの水道は今後どうなっていくのか、このままでは立ちいかなくなってしまうかもしれないので、計画を立ててきちんと資金を入れてやっていかなければいけないということを住民に公表し、住民の理解を得ながら進めていくことが、一番重要ではないかと思っております。維持管理というのは確かに地味ですので、住民も皆さん、関心を持ちにくいところがあろうかと思いますが、それを何とか住民の方たちにも意識を高めていただく。例えば、熊本の地震で断水があれば、やはり水はとても大事だということを、住民の皆さんも認識するわけですから、そこで住民の方々に、こんなに大事なものだから、計画的にきちんとマネジメントをしていかなければいけないということを、分かるような形で示していくことで住民の理解を得ていければよいと思います。ですから、公表の義務付けはとても大事だと思っています。そういう形で進めていくことが、一番基本ではないかと思っております。前回出ていなかったので、どの辺りまで議論したのかわかりませんが、参考資料 3 は全部議論したのですか。

○滝沢委員長 前回、御意見を頂きました。今回は不足で御意見があればということで進めております。

○小幡委員 そうですか。では、取りあえずは以上です。

○湯谷委員 第 2 回からの出席ということで、改めて第 1 回の資料を見ました。広域連携の推進については、後ほど別途議題としてまた御説明があるということなので、全体的な話をさせていただきたいと思います。

 前回委員会の資料 4 4 ページに、広域連携の推進ということで検討事項がいろいろ書かれており、想定される主な論点が整理されております。私も検討会のほうに参加させていただいておりましたが、広域連携の推進に当たっては、都道府県の役割が非常に重いというように認識しております。ただし、ここに書かれている論点の全ての主語が都道府県で、都道府県だけがこうすればいいというような論点にしかなっていないように見受けられるのです。検討会の中間取りまとめでは、国の責務、事業体の責務というものがありますから、その辺も含めてやっていかないと。都道府県の機能強化をするとか垂直統合の話だけで、本当に連携が進むかどうかというのは疑問に感じております。

○滝沢委員長 ほかに御意見はありますか。

○渡部委員 島根県松江市の渡部です。私のほうからは熊本地震からの教訓ということで。うちも益城町の南側、御船町にずっと行っていたわけです。この中で一番課題として感じたのは、受ける側の手引きというか、マニュアル的なものをということです。被災された所は役場ですし、当然人数も少ない。そして、どういう対応をしていくかということに対して、非常にパニック状態で頭が真っ白な状態でおられたことが非常に印象的でした。やはり支援をどういうように受け入れていくか、その後、どういうように災害復旧していくかという、きちんとした受入れる側のマニュアルを作っていくべきではないかと思っております。

 たまたまうちのほうでは要請があって、課長級を向こうへ送って指揮命令系統をきちんとする中で、給水活動から復旧活動へ移行していく作業をやらせていただいたわけです。支援する側ばかりが目立っているわけですが、基本的には受け入れる側がどういうように受け入れていくかを、きちんと作っていかないといけないということを私は非常に感じておりますし、そこを私たちもしっかりやっていかないといけないと思っております。

 それから、先ほどから出ておりますように、今、災害が起きたときには、規模の問題、技術者の数の問題、そして職員数の問題など、いろいろな問題が、こうしていろいろな形で余計クローズアップされるわけです。そういう中で広域連携というのが、 1 つの方策になるのではないかと。ただし、その持ち方の問題については地域の実情がありますので、その辺は都道府県と市町村がどういう役割をするのか、国がどういう形でそれを支援していくのかということを、やはりもう少しサンプルを集約すべきと考えます。一律的にこういうように広域化しましょうということではなく、少し柔軟な形でもっていくやり方を基本に、パターン化を少し考えながらやっていったらどうかと思っております。

 この広域化の問題については、官民連携ということで、地元の技術者や雇用も含めて、ここをいかに活性化していくか、これを同時並行で進めていくことが非常に大事ではないかと思っております。これが技術者の育成にもなりますし、災害時の相互の応援体制なり、支援体制の強化につながっていくと思っております。是非、この辺の方策も併せて具体的に、どういう形で地元の技術者の育成をしていくかという部分を含めて、論議をしていったらいいのではないかと思っております。よろしくお願いしたいと思います。

○滝沢委員長 ほかにありますか。

○望月委員 日本経済研究所の望月です。今の御報告いただきました熊本地震の件ですが、私もいろいろなニュースを見て、心配になって毎日見ていたのですが、水道も当然そうですけれども、社会インフラというか、生活インフラ、電気、ガス全部含めて見ていった中で、こういうものなのかなと思った記事がありました。これはガスエネルギー新聞社のですが、復旧体制に 4,100 人の人を出しますと。一方で水道は先ほど御報告がありましたように、トータルで 500 、復旧で 555 人でしたか、そのぐらいで、かなり人数の差があるのだなと思ったところです。これはどのようにカウントしているかとか、タイミングとかによっても違うのですが、明らかに規模感が違うと。どうしてそういうことがあるのかなと思ったときに、ガスというのは漏れて火災を引き起こすとなると非常に重大なトラブルになるという中で、恐らくガス業界の全体として、とにかく一斉に行って一斉にガス栓を閉めて、とにかく対応しなければというようなことをされるというのが、もともとあるのかと思ったのですが、それだけ職員がいるというのはどういうことなのかと。

 社会インフラのそもそもの人数が、職員数でいくとやはり水道事業のほうが多いようでして、私が少し見たのは新しいのかどうか分かりませんけれども、平成 26 年度の総務省の資料でいくと、水道事業に関しては職員数が 4 6,000 人、ガス事業についてはちょっと古いのですが平成 25 年で 3 2,000 人です。水道事業のほうが職員数は多くなっています。ただ、そうは言っても事業体数、ガス事業会社と水道事業者の数は当然違いますので、水道事業のほうが数が多いということで職員数も多くなっていると、このような違いがあるというのがまず 1 つ分かりました。

 一方、固定資産などを見ていきますと、水道事業は全国津々浦々整備されていますから、固定資産でいくと水道の場合は 32 兆円、ガスの場合は 4 兆円ぐらいの規模ということで、これも水道のほうが圧倒的に大きい。これだけの大きな固定資産、それから全国に広がっている水道管を考えたときに、職員数が減っているという課題は前々からあるにしても、では、職員数はこれで足りているのかとか、規模感的に通常時はいいにしても、こうした災害時においてはなかなか対応が難しいという規模になっているのではないかと思った次第です。

 そういった規模、職員数、事業体の規模もそうですし、あとガスの場合は恐らく先も申し上げたように、ガス漏れの事故などを防ぐためにも、職員は 1 日三班体制で交替でやるとか、そのようなところが昔から恐らくなされているのではないかということですが、水道もそういう感じで班体制でやられていると思います。あと協力する登録工事店システムのようなものもガスも水道もあるかと思いますが、こういう同じようなシステムを用いているということを考えると、災害時に水道の場合は非常に大きな課題が、冒頭にありましたように、出てきたというところを踏まえますと、まだまだ改善の余地というか、見直しをしていくような余地が出てくるのではないかと思います。職員の部分もそうですし、官民の連携体制といったようなものも、まだまだやる部分があるのかなというのは、今回の地震を踏まえてちょっと思いました。それはこの委員会でも引き続き議論していく点であると思った次第です。

○滝沢委員長 御意見ありがとうございました。

○宮崎課長 ちょっと事実関係の御説明だけ補足させていただきたいと思います。先ほど、委員がおっしゃるように、ガス事業では 4,000 名以上の体制でやったというように報道もされています。この内訳を見ますと、実際の工事を担当していたグループと、メーターを見たり、それぞれのおうちに訪問したりしてガスはどうでしょうかというのを含めた人数で、ガスは集計していたようです。水道の 1,000 人体制というのは、 555 人という外から応援に行った部隊と、あと熊本市の水道局、それと熊本市内の管工事組合を合わせますと大体 1,000 人体制だったということなのですが、これは例えば漏水箇所の発見とかあるいは応急復旧の工事とか、応急給水の活動とか、実際に水道事業を何とかしようという、そこの人数だけをカウントしていますので、若干見ているところが違うのかなという気もしています。

 それと水道については、先ほど復旧はおおむね 1 週間から 10 日程度で、熊本市については復旧したというように御説明しましたけれども、そのときでもまだガスは、実は復旧率としてはガスのほうが遅れておりまして、水道は復旧したのに、ガスが使えないのでお風呂に入れないというようなことも実際に報道されておりまして、そこも若干事実認識としていろいろありますので、一概には言えないのですが、いろいろな場面があったと御理解いただけないかなと思っております。

 人材的には先ほど来申しておりますように、水道事業体は市町村経営が原則ですので、確かに小さな水道体が多いです。実際に日本水道協会に全国から応援に行っていただいたわけですけれども、行けた事業体というのも大きな水道に限られてしまいます。人数が昨今、随分減らされまして、日常の維持管理だけでももう手いっぱいということになっていますので、こういう危機管理に回せる人数とかあるいは計画的にアセットマネジメントを進めていこうではないかという人数が、なかなか小さな事業体では十分用意できないというのも実態としてあるというように思っております。ですので、ここは前回から御議論いただいていますような、もっと広域化をするなりして、経営基盤の強化を図っていく必要があるのではないかと、私どもも同じように認識しているところです。

○滝沢委員長 今後より正確なデータが出ましたらまた御紹介いただければと思います。ほかに御意見はありますか。

○渡辺委員 全管連の渡辺です。御意見も出ましてダブるところもあるかもしれませんけれども、熊本地震のことについて、少しお話をさせていただきたいと思います。資料として出されたこの写真等を見ましても、やはり応急給水は行政の皆さんの協力もあって、比較的早目にできると思うのですが、応急復旧、あるいは復旧工事、これらについては、建設業でもいろいろな業種がありますけれども、水道においては、水道に携わっている配管工、あるいは技術者といった人の力がなければ、なかなか復旧が進まないわけです。ですので、先ほどからもいろいろ他の委員から意見が出されておりましたけれども、技能者、技術者それらの人の技術の継承あるいは人材の育成、これに相当力を入れていただきませんと、こういった大震災のときにはなかなか速やかに復旧、給水等ができないと私は考えております。

 それでマンパワーが必要だということもありますけれども、事業者間の連携、協力の重要性は元よりなのですが、工事業者間の協力連携も真剣になって考えていって、実際、修復するのはその仕事に携わっている民間の力が大なるものであると思いますので、その点も御認識いただければと思っている次第です。

○滝沢委員長 ほかによろしいでしょうか。

○岡部委員 水団連の岡部です。この委員会の議論の中で、個別の事例とかいろいろなこともあると思うのですが、私の認識としては、従来、水道事業体の方々も日々頑張っておられて、耐震化なども進めておられますが、現状の流れ、今の延長では限界がある、これから水道も持続させなければいけないし、更に向上させるにはどうしたらいいかを議論する委員会と考えています。広域化についても、例えば都道府県とか用水供給が軸になるとかという具体策、いわゆる戦術的なところの模索もあると思いますが、官民連携にしても広域化にしても、大きな方向性、コンセンサスをきっちり決めて、そのためにこういう手段を活用していこう、その目的を達成するためのシナリオとか、その辺りをもう少しレベリングし、きっちり抑えたほうがいいのではないかなという気がします。いろいろたくさんの情報も頂いて、いろいろな勉強にもなるのですが、いろいろな情報が出ていろいろな意見が出ても、なかなかこの委員会に期待されている結論なり方向性というのが、まとまりにくいのではないかという気がしています。今はまだ 1 2 回目ということで、フリーディスカッションということですので、いろいろな自由な意見で構わないと思うのですが、やはりもう少し大きな視野というか、戦略というか、その辺りを少し決めるような、議論ができればと思います。市町村の原則についてもいろいろ壁があってできないのも多々分かりますけれども、それを越えていこうという形で議論をするのか、駄目だから駄目という話なのか、その辺りのところを皆さんと議論していけば、方向性が見えてくるのではないかなという気がします。

○平井委員 神奈川県です。私からも手短にお話させていただきたいと思います。前回の資料にありましたけれども、先ほど北海道が御提起されたのと同じ部分で、広域連携の推進ということで、私どももこの委員会にこうしたテーマの関連で呼んでいただいたのかなと思っております。この点につきましては、前回も申し上げたとおりで、本県には非常に大規模な事業者がそろっておりまして、直ちに統合ということはなくても、スケールメリットの点などで一定程度満たされている部分が多いという実情があります。一方で、私ども県が直接水道事業を行っている部分以外にも、小さな市町では独自の水道事業を行っていて、今はそのような小規模事業者については本県が旗振り役になって広域連携を進めているといった状況です。そのような中で、都道府県の役割は地域連携の推進役というように、もともとの議論のところでも、そういった役割を示していただいていまして、それは正に私どもそのとおり進めていかなければと思っております。

 そうした中でも、これから水道の広域化を進めていくに当たっても、やはり効率的にできる部分から進んでいくと。そうなると最終的には経営基盤の弱い小規模事業者が残っていくのではないかと思います。しかし、それも全国一律に進んでいくのではなくて、これも前回申し上げたとおりで、水源の有り様など地域それぞれ特性が異なりますので、そういった特性に合わせたやり方を柔軟にできるように、私どもの役割を果たせるような、そういう仕組みにしていただきたいと考えているところです。

 特にスケールメリットの点で、今、効率化あるいは広域の統合ということを基軸に据えて考えておられると思うのですが、それをちょっと一歩先に行きますと、段々スケールメリットが働かなくなってくる。非常に広い地域に少数の人数しか住んでいない事業者の統合もいずれは視野に入れていかなければいけない。そういった時期がくると思います。そういう点については、私ども都道府県でもできるところまでやりたいと思っておりますけれども、国のほうで費用面も含めて、いろいろ制度設計を考えていただけると有り難いなと思っているところです。

○滝沢委員長 いろいろな御意見を頂きましたので、また事務局でまとめて、次回以降の議論の参考にしていただければと思います。

 次の議題は 3 番目の、広域連携の推進についてです。順番に御説明を頂きたいと思います。最初に千葉県から、続いて大阪府から御発表いただきまして、最後にまとめて質疑がありましたら行いたいと思います。それでは、千葉県の発表をお願いいたします。

○倉吉補佐 すみません、先に事務局から資料 2-1 を御説明させていただいてもよろしいでしょうか。

○滝沢委員長 はい、どうぞ。

○倉吉補佐 資料 2-1 を御覧いただければと思います。本専門委員会の重要なテーマの 1 つである広域連携の推進のうち、水道用水供給事業を核に、広域連携を推進していただいています、千葉県と大阪府からお話を伺うことから、本日は水道用水供給事業にテーマを絞って御議論いただきたいと思っております。まずスライド 1 枚目、左上の表は水道用水供給事業の実施主体別の数を示したもので、 95 ある水道用水供給事業のうち、都道府県営が約 4 割、一部事務組合が約 5 割、市町村営が若干となっています。右の円グラフは水源別の事業数を表しており、約 9 割の所がダムにより水源を確保して水を供給する体系になっていることが分かります。下の棒グラフは給水開始年度別の事業体数になりますが、 70 年代、 80 年代がピークで、 90 年代からは数が減少し、 2010 年代は 7 となっています。

 下のスライドは過去の答申等における水道用水供給事業の記載をまとめております。 1 番目、昭和 48 年の水道の未来像とそのアプローチ方策に関する答申ですが、水道については水源から給水せんまで一貫して管理することが理想であり、水道供給事業はそうした形態ではないけれども、緊急かつ広域的に水供給を行う態勢を整えるためには、当面こうした形態も評価することが適当とされています。 2 番目、昭和 59 年の答申です。こちらは高普及時代を迎えた水道行政の今後の方策というもので、普及率が 90 %を超えた状況において、水道用水供給事業の形態による広域化が進んでいるものの、末端給水を行う水道事業を含めたものには至っていない面もあるとされています。 3 番目、平成 11 年の水道基本問題検討会の報告においては、経営基盤の一層の強化を図る観点から、水道の広域的整備はできるだけ末端給水までの水道事業の形態で推進することが適切とされています。

3 ページは、水道用水供給事業と受水水道事業の統合の推進です。一番上の水道事業基盤強化方策検討会で示された基本的な方向性として、今後広域連携を進めていくに当たり、水道用水供給事業と受水水道事業の統合はメリットが多いことから、積極的に推進するべきではないかということが言われました。これを受け、論点を 2 つ挙げております。 1 つ目、水道の普及率が 97.7 %に達している現在、かつて言われていた水の供給態勢を緊急かつ広域的に整えようという役割は終わりつつあるとも考えられますが、地域の実情を踏まえ、これからの水道用水供給事業の在り方をどう考えるかという点。 2 つ目として、できるだけ末端給水までの水道事業の形態で広域的整備をすることが適切と考えられるが、地域の実情を踏まえ、こうした垂直統合をどのように推進すべきか。これらについて御議論をいただければと思っております。

 対応案を 2 つ挙げております。 1 つ目は都道府県が効果的な垂直統合の組合せを示し、その統合を積極的に推進するというものです。メリットとしては、都道府県の先導により、広域的な観点も踏まえた統合が期待できると考えられる。他方、前回の議論、今回でも御指摘いただきましたけれども、上からの押し付けという形を取れば、やはりうまく進まないだろうと。各事業体の実情に応じた事業形態を排除することにならないか、という点を考慮する必要があります。対応案 2 は、事業者同士の自主的な統合が進むよう、都道府県が協議の場を設けるというものです。メリットとしては、地域の実情に応じた統合が期待できるというものですが、デメリットとしては、やはり当事者同士の自主的な統合に任せて、統合の推進が期待できるのか、という点があるかと思います。

 一番下の留意点として、水道事業の在り方は地方公共団体である水道事業者が議会の議決を経て決めていくものであること。また地方分権や都道府県の補完性の原則の観点がありますので、その観点から都道府県と市町村の役割を考えていく必要があるかと思っております。以上になります。

○滝沢委員長 失礼しました。資料 2-2 にしたがって、千葉県から御説明をお願いします。

○千葉県 千葉県総合企画部水政課の戸田と申します。私からは千葉県水道の統合・広域化について御説明いたします。資料 2-2 1 ページを御覧ください。まず、千葉県の水道の概要を簡単に説明させていただきます。右の図を御覧いただきながらお聞きいただきたいのですが、千葉県には中央のピンク色の部分になりますが、給水人口 300 万人弱の県営水道、このほかに市町村等が企業団方式で経営する 6 つの用水供給事業体があります。県営水道は、昭和初期に東京湾沿いから千葉市にかけて、河川や地下水の水質が非常に悪いということで、この地域で水道の必要性を検討する中で、広域的視点からこの東京湾沿いの当時の 1 12 町村を対象に当面、県でやりましょうということで、昭和 9 年に水道事業を立ち上げ、順次拡大してきたところです。なお、現在は 11 市を給水区域としているところです。そして県営水道以外の地域におきましては、昭和 41 年に国の審議会で広域化方針が示され、それを踏まえ、広域水道の必要性を詰めていく中で、県営でという要望もありましたが、市町村等で組織する一部事務組合方式で設置し、その地域の末端給水事業体に供給するという状況になったところです。

 右下にこの 6 つの用水供給事業体が卸売りする水の給水原価及び供給単価を示しております。千葉県は水源が乏しく、その約 7 割を利根川に頼っていることから、利根川に近い北西部、左上に北千葉とありますけれども、そこと利根川から 100km 以上の導水で水を引き込んで利用している南房総では、用水供給料金に 3 倍以上の差が出ているという状況です。

 次に 2 ページを御覧ください。左側参考 1-2 が今説明いたしました県内水道のイメージです。中段に事業体数を示しています。用水供給事業体は 6 、末端給水事業体は 41 あります。右側の参考 1-3 が房総導水路の概要図です。本県は地理的に水資源に恵まれておらず、九十九里地域水道企業団、南房総広域水道企業団という用水供給事業体は大変、水の確保に苦労してきたということで、この房総導水路で水を引いてきています。この導水施設に多額の費用がかかるので、南に行くほど用水供給の料金が高くなっているという状況にあります。用水供給料金が高くなれば、そこから受水している末端給水事業体が供給する各家庭の水道料金も当然高くなるところです。

 次に 3 ページを御覧ください。このための対応としまして、県では県営水道と比較して高い水道料金を下げる、水道事業体間の料金格差の是正を目的としまして、全県の末端給水事業体を対象として、昭和 52 年度から市町村水道事業に対する補助制度を設けております。なお、この補助を行っても県内の家庭用の水道料金は、約 3 倍もの格差が出ているという状況です。以上が県内の水道の概要です。

 続いて 4 ページを御覧ください。千葉県が行っている県内水道の統合・広域化に向けた取組です。まず検討経緯についてですが、本県は水道料金の地域格差という課題を抱えてきたところです。そのような中で、丸数字1のように、平成 13 年に県の行政改革推進委員会で、県内の水道事業のあり方、市町村との役割分担、さらに県水道局の役割を考えるべきなどという意見を頂きました。これらを踏まえ、県庁内また有識者による会議等で検討を進め、提言も頂きながら、丸数字 2 のように、平成 22 3 月に「県内水道の統合・広域化の当面の考え方」を取りまとめております。この当面の考え方が次の 5 ページの参考 2 になります。

 この当面の考え方の 1 基本的な考え方の○の 1 つ目ですが、「県は広域自治体として、広域的な水源の確保及び水道用水供給事業を担い、市町村は基礎自治体として、住民生活に密接なサービスである末端給水事業を行うことを基本とする」というように位置付けました。さらに 2 つ目の○の後半部分ですが、水道事業体がそれぞれ抱える問題に対処するためにも、いろいろ検討した中で、広域化が最も有力な選択肢と位置付けたところです。

4 ページに戻りまして、丸数字 3 、リーディングケースとして、料金の高い九十九里、南房総地域の用水供給事業体と県営水道との統合を進めるとしたものです。その後、丸数字 4 9 のような経緯を踏まえ、丸数字 10 、県ではリーディングケースの統合に係る検討を更に進めていくため、昨年 7 月に「県内水道の統合・広域化の進め方 ( 取組方針 ) 【修正案】」について、各市町村等の意向確認を実施した結果、全ての関係市町村等から賛成の回答が得られましたので、丸数字 11 、現在は「実務担当者による検討会議」を立ち上げ、統合基本計画案の策定に向けた協議を始めたところです。

 続いて 7 ページを御覧ください。これが進め方 ( 取組方針 ) の全文になります。統合・広域化の目的につきましては、 (1) 、水道事業体の運営基盤の強化、水質事故・震災などの災害等の緊急時対応、技術の確保・継承、合理的な施設の整備・更新、用水供給料金の格差縮小など、 1 つの事業体では解決し得ない様々な課題に広域的に対処し、安全で良質な水を将来にわたり、安定的に供給していくことにあります。

 続いて 6 ページを御覧ください。右側の図がリーディングケースの進め方になります。一度に料金統一まで行うのは難しいことから、末端統合との整合も含め、現状から 2 つのステップを踏んで進めることとしております。中段の、第 1 ステップとしては、まず会計料金などは従前のままで、経営主体を県営水道とする経営統合を行います。そして、管理費等のコスト縮減を進めつつ、体制が整ったところで会計を 1 つにして、用水供給料金を平準化し、事業統合へ進めるものです。なお、統合の効果を地域全体で享受するため、リーディングケースの協議と併行して、末端給水事業体の統合についても検討を進めることとしております。この末端給水事業体の統合について、関係市町村等が合意することを前提に、第 1 ステップの経営統合に進み、末端給水事業体の統合後に第 2 ステップである事業統合に進めるとしております。これが現在千葉県が進めている統合・広域化へ向けた取組です。

 なお、先ほど述べましたように、千葉県におきましては県が用水供給事業を担い、市町村が末端給水事業を担うことを基本とし、リーディングケースとして、県営水道と九十九里、南房総地域の用水供給事業体との水平統合を目指しており、リーディングケース以外の地域におきましては、それぞれの地域の実情に配慮しつつ、市町村等と十分な対話を行い、合意形成を図りながら進めていくこととしているところです。よって、用水供給事業体と受水事業体との統合へ向けた取組は、千葉県では現状では行っていないというところです。現在千葉県が進めています用水供給事業の水平統合につきましては、県内水道料金の格差是正という観点からも進めているもので、地域ごとの垂直統合となると、料金格差是正の問題が解決されなくなるという点からも、長年取り組んでまいりました用水供給事業の水平統合に向けた現在の取組を、急に方向転換するというのはなかなか難しいのかなと考えております。

 ただし、 8 ページですが、利根川の水を使っていない君津地域におきましては、 4 市の末端給水事業を水平統合し、用水供給事業と受水水道事業との経営統合へ向けた検討を進めているところで、垂直統合に向けた動きも県内にはあるという状況です。私からは以上です。

○滝沢委員長 どうもありがとうございます。続きまして、大阪府の水道広域化について御説明をお願いします。

○大阪府 大阪府健康医療部環境衛生課の土屋と申します、よろしくお願いします。私から、大阪府における水道広域化企業団を核とした事業統合の状況について、説明をさせていただきます。資料は 2-3 になります。まずスライドの 2 ページ目ですが、こちらは大阪府の水道の概況となります。府域の人口は約 884 1,000 人ということで、 43 の市町村があります。水道の普及率は、ほぼ 100 %という状況になります。用水供給事業については、琵琶湖を端に発する淀川を水源に、 3 か所の浄水場で浄水処理を行っている大阪広域水道企業団、こちらが大阪市を除く全市町村、 42 市町村に水道用水を供給しています。日最大の給水量は 171 m3 ということになっています。また、泉北水道企業団という、もう一方の用水供給事業がありますが、こちらは泉北地域、大阪府の南部地域になりますが、泉北 3 市について給水をしているもので、日最大の給水量も 2 5,000 トンという小規模なものとなっています。

 また、上水道については、中心部の大阪市につきましては、淀川を水源に自己で浄水処理を行い、給水まで一括で行っている上水道事業としての大阪市です。また、それ以外の 42 市町村についても、各市町村が上水道事業を持っているので、こちらは全て大阪広域水道企業団、水道用水供給事業からの受水を受けている状況となります。

 スライドの 3 ページ目は、大阪広域水道企業団からの受水の状況を示しています。企業団から受水している全 42 市町村の全水源における受水割合としては、 71.1 %という非常に高い割合となっています。ただ、市町村ごとで見てまいりますと、自己で地下水を持っている所、河川から取水し独自に浄水処理をしている所もあるので、自己水源の状況が市町村ごとに異なります。そのため、自己水源を主に、企業団水を補完的に受水している所から、全量を企業団水の受水によって賄っている所まで、様々となっています。したがいまして、各市町村の企業団への水源としての依存度は、異なっております。

 スライドの 4 ページになりますが、こちらでは用水供給事業であります大阪広域水道企業団の設立の経緯を示しています。昭和 26 年度、当初は大阪府水道部ということですが、こちらは先ほども図でありましたように、もともと大阪府域の大きな水源は淀川のみということで、他の大きな水源がありませんでしたので、府内のほとんどの市町村では、水道水の水源が十分確保できなかったということがあります。これらの経緯がありますので、大阪府に対して水源の不足に悩んでいる各市町村から、水源確保の要望がありました。それに伴いまして、大阪府が淀川を水源にした用水供給事業を創設しています。こちらが昭和 26 年度のことになります。

 その後、数度の拡張事業を行い、急増する水需要に対応するため拡張を行いまして、平成 18 年度には大阪府の一番北部になりますが、能勢町、豊能町への送水も可能となり、これにより大阪市を除く府内全域への用水供給が完成したところです。

 その後、大阪府営水道と大阪市との間におきまして、水道事業統合等の検討協議が行われましたが、検討の結果、受水市町村のガバナンスの問題もあり、府営水道から大阪広域水道企業団へということで、受水の 42 市町村による企業団が設立され、平成 23 年度、府営水道の事業を承継し、大阪広域水道企業団が設立されています。企業団の設立時の理念については、四角囲みで書いているとおり、広域化の推進を含め、事業運営の効率化が企業団理念に示されているところになります。

 スライドの 5 ページ目は水道事業の抱える課題ということで、府域の水道事業がどのような課題を抱えているかというのを整理させていただいたものになりますが、内容については全国的な課題と同様な課題となっています。給水人口、給水量の減少に伴う給水収益の減少、水道施設、管路の老朽化、耐震化に対応する財源確保の問題。特に大阪府域におきましては、管路の老朽度が非常に高くなっています。また、危機管理対策の強化ですとか水質管理の徹底、さらに各水道事業では、既に単独においても組織や人員の削減など、経営のスリム化というのもかなり進んでいます。そのため、職員数が少ない中で、今後の人材確保・育成等も大きな問題になっています。とりわけ、小規模な事業体におきましては、職員 1 人当たりの業務範囲というのも非常に多岐にわたっている、 1 人の方がたくさんの業務をこなされているという現状があります。また、料金格差の面で言いますと、 20m3 当たりの料金で見ると、 1,992 円から 4,682 円までということで、 2.35 倍の格差がありますので、こちらの縮小ということも今後望まれるところになります。

 このような課題を踏まえて大阪府においては、スライド 6 になりますが、大阪府水道整備基本構想、おおさか水道ビジョンを平成 24 3 月に策定しています。こちらは、このような課題を克服し、大阪の水道を持続・発展させていくために、府域水道の将来像と水道整備の方向性を示すものとして、策定をしたものとなっています。ビジョンは概ね 20 年後を視野に入れていまして、大阪広域水道企業団、用水供給であります企業団を核とした、更なる広域化の推進、府域一水道を目指すこととしています。

 広域化の進め方としては、それぞれの市町村において状況が異なることから、まずは取組のしやすい「業務の共同化」などから進め、段階的に事業統合等を進めていくという形をロードマップとして示しているところになりますが、ただ、それぞれの市町村の状況に応じて、いきなり事業統合に進む場合など、道筋としては多岐にわたるものがあるのかなと考えているところです。

 次のスライド 7 は府域一水道に向けた第一歩ということで、昨今の状況を説明させていただきます。大阪広域水道企業団の運営協議会の中で、企業団と受水団体において統合の条件ですとか、統合を推進するための取組方策について、検討協議が進められまして、その結果、平成 26 4 月には企業団と四條畷市・太子町・千早赤阪村、こちらの地図の中で丸数字 123 と示している所になりますが、こちらでの企業団との事業統合について、具体的な検討協議が開始されました。この検討の結果を受けて平成 28 1 月には、平成 29 4 月、来年度からの統合の開始に向け、基本協定が締結されています。

 この 3 市町村、右のほうに給水人口と日最大給水量を示しているとおり、規模としては比較的小規模なものとなっており、また、 3 市町村とも地理的には接しておらず、企業団とのそれぞれの統合という形になります。また、 3 団体の課題についても、先ほどの府域全体の水道事業体の課題と同様ではありますが、いずれも規模が小さいということから、 3 市町村での 40 年後の人口予測は、それぞれ低い所でも 25 %、多い所では 60 %の人口減少が予測されていて、そのため、これらの課題についての対応というのは、他の事業体に比べ急務となっている状況です。

 次のスライド 8 ページでは統合案における統合メリットということで、大阪広域水道企業団の運営協議会において検討されました統合案について、メリットの部分を抜粋させていただいております。統合に向けた検討においては、企業団とこちらの 3 団体において、 8 つの作業部会ですとか、部会を取りまとめる統合調整のチームが設けられ、施設の整備計画でありますとか経営シミュレーション、統合後の事業運営体制、それらに基づく統合効果についてまとめられています。

 統合メリットについて、こちらに記載しているとおり、現状での各市町村での「お客様サービスの維持・向上」をすること。また、基幹管路の耐震化を進めつつ、水道料金の値上げを抑制、値上げ幅の縮小、値上げ時期の延期をしながらも、将来の水道施設の安定性の向上を図れること。また、運営基盤強化としては、定量・定性的、いずれもメリットが確認されています。定量的メリットとしては、一部ですが施設の統廃合ですとか、施設規模のダウンサイジングによる事業費の低減、広域化に向けた国交付金の活用による料金値上げの抑制。また、定性的メリットについては、業務の一元化による効率化ですとか、企業団が持つ大規模事業体としての技術力や組織力 ( 人的資源 ) の活用による、非常時の対応の充実ですとか、技術力の向上ということが見込まれることが確認されているところです。

 最後のスライド 9 では、企業団と受水市町村の統合への動きについて示しています。大阪広域水道企業団との事業統合については、今、説明させていただいた平成 29 年度統合予定の 3 市町村に加え、本年 4 月には 7 市町が、企業団との統合に向けた検討協議を開始する旨、覚書の締結が行われています。したがいまして、企業団の受水をしている 42 市町村のうち、 4 分の 1 に当たる 10 市町村で、統合に向けた動きが具体化しています。右側のグラフでは、この 10 市町村を給水人口別に分けています。いずれも規模で言いますと 10 万人以下ということで、より課題に直面した、逼迫した状況である市町村から、まず統合に動き出したということがあります。

 大阪府においては大阪水道整備基本構想、おおさか水道ビジョンによりまして、府域一水道を推進しています。今後、府域一水道に向け、企業団との事業統合など、広域化の動きを更に規模の大きな市町村にまで広げていくためには、まずまさにスタートする 3 市町村と企業団の統合を成功させ、広域化のメリット、効果なりを具体的に明らかにしていくことが重要であると考えています。大阪府におきましては、このように用水供給事業であります大阪広域水道企業団を核とした、事業運営面での垂直統合というのを、今、進めているところになります。これらの検討におきましては、国交付金の活用も大きなメリットとなっていますので、今後の広域化推進において、交付金の拡充等についても御検討いただければ幸いと考えています。

 また、最後に大阪府としての、広域化を進めるに当たっての課題ということになりますが、大阪府におきましては、水道行政が都道府県としては独自にしており、要するに都道府県として用水供給事業を行っておりません。そのため、事業者ではない水道行政が広域化の旗振り役として、先般の水道事業の認可権限の委譲等も受けながら進めているところではありますが、さらに、制度面で更に拡充なり強化をしていただくことで、今後、水道行政としての都道府県域での広域化を推進させていただきたいと考えているので、よろしくお願いします。説明は以上となります。

○滝沢委員長 どうもありがとうございました。それでは、残り時間は限られていますが、あと 15 分程度で、ただいま御説明いただいた 2 つの事例も踏まえて、御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。

○石井委員 御説明ありがとうございました、東洋大学の石井と申します。 3 点ほど私の考え方と意見を述べさせていただきたいと思います。前回の第 1 回目でも述べさせていただき、議事録にも書いてあるのですが、今回の熊本地震、そして今日の千葉県と大阪府の報告も踏まえて、私なりに少しでも解決策を生み出したいということで、検討してまいりました。

1 つは前回申し上げました「水道法」そのものの意味付けです。水道法は事業法であると思っている方もたくさんおられるのですが、似て非なるものと私自身は思っていまして、水道法が本来の意味での水道事業法になるためには、社会的規制はしっかりしています。ただ、御存じのように経済的規制が非常に不足しているという観点から、経済的規制を増やしていくということが第 1 点目です。

 第 2 点目は、その経済的規制の中身ですが、やはり事業の内容です。私もかつて国鉄改革に若干関わった者の 1 人として、昭和 62 年、 1987 年の国鉄改革の際に、 2 つありました鉄道国有法と地方鉄道法という法律を 1 つにしたわけです。そのときに今後、厳しい経営が予想される地方鉄道の経営を何とか維持したいという思いの中で、上下分離も含めた方策を考えました。その時、既に電気通信事業法は、 2 年前に NTT が民営化されて、タイプ 1 、タイプ 2 という区分があったのですが、それを鉄道事業の場合には、第一種、第二種、第三種の3区分としました。第一種は、鉄道事業法を水道事業にも参考にしていただいて、所有プラス運営ということで第一種事業者を位置づけるということです。第二種事業者は運営のみを行う事業者です。そして、第三種事業者は施設のみを所有する事業者です。こうした区分概念を水道法の第 6 条にあります「水道事業の認可及び経営」という所の中に落とし込んでいくとよいと思います。

 それはどういう意味付けをなすのかということですが、今回も災害対応の面で、非常に供給パターンもたくさんあって、先ほど望月委員からも御指摘がありましたように、末端給水事業者は、 1,400 以上あります。都市ガス事業者は 207 社しかありませんので、その中で民間でやっているのは 170 社ぐらいしかないのです。特に大手4社が、全体的なマーケット(市場規模)から見れば半分以上を得ているという状況の中で、災害時にも動員しやすくなっているということが事質です。

 そういう中で、実際に鉄道事業の場合でも、第三種鉄道というのは施設を所有しているということで、県が多いわけです。さらに、地方鉄道が維持できない所は、県が主体となって第三セクターの支援を行っており、厳しい所は運営だけを民間にやってもらうようになりつつあります。これは今日の問題である水道用水供給事業と末端給水事業の統合の推進に関わってくるわけです。

 第 3 点目ですが、水道は市町村経営を原則としているわけですが、今回、「都道府県及び市町村経営を原則とする」というように変えていただき、そういう中身にもっていけば、現状にあった方向になるのではないかと思います。これを第 6 条の修正です。そして先ほどのところの中で、自治法上でも事務委託などが認められていますので、特に都道府県も広域化を推進していただけるような所は、小規模水道事業体の支援を進められるようになるのではないかと思っています。

 ただ、最後まで小規模事業体に、施設所有者として事業を継続してもらわなければ、広域化による運営面での事業統合ができなくなるのです。それさえできればコンセッションとか、 20 年、 30 年とか、そういう長期の民間事業者に入っていただいて、小規模事業体を広域で集めた中で、県が主体となって水道事業の支援を進められるのではないかと思っています。このままいけば施設改築・更新の取組に差があり、時期も異なってきますので、小規模事業体を経営統合あるいは事業統合していくというのは、なかなか難しい状況にあります。

 それから、先ほど御説明いただいた千葉県の場合にも、県が末端給水をやっている所もあるし、 6 つの企業団も、それもまた温度差があって、北千葉と南房総では料金格差が 3 倍もあるのです。こういったことが、いつまで許されるのかということも、私は非常に懸念しています。

 ですから、都道府県と市町村は、お互いにそれぞれの立場を尊重しながらもっと積極的に今の厳しい状況の中で、小規模事業体の経営面、その中で内々料金格差が厳しい状況の中で問われているのです。そのような状況にあって、何とか格差を縮めるためにも、運営形態にまで踏み込んだ施設整備をできるような、持続可能な運営方法を採用できる方向にもっていくことが必要ではないかと、私は個人的に思い意見を述べさせていただきました。ありがとうございました。

○滝沢委員長 ありがとうございます。特にまだ本日御発言いただいていない皆さん、どうぞ。

○浅見委員 今日は千葉県と大阪府のお話を頂きまして、特に千葉県におかれましては、ずっと前からいろいろな検討をされているということで、個人的にもいろいろな関係を伺わせていただいたりしているのですが、今回のお話で、主に水平統合を最初に基軸として進められているという、具体的に進んでいるという状況をお伺いして、少し先が見えてきたかなというのは有り難く思っています。

 ただ、千葉県に関しては、非常に南北が長くて、利根川から取って南までというのは非常に長い時間を要するということもありますし、やはり都市部の所と、少し離れた所という事情もある。ですので、なかなか難しいかもしれないのですが、やはり水源から蛇口までというのを、しっかりと水質も管理するし、水質だけではなくて事業運営といった面でも、これからもっと大変になっていく事業体をたくさん含まれていらっしゃると思いますので、是非一体となって、県として何が一番いいかというのを、皆さんで将来像を考えていけるような機会を、今まで以上に持っていただけると有り難いと思っています。

○滝沢委員長 ありがとうございます。ほかにも御意見をどうぞ。

○湯谷委員 先ほどの発言の続きになるかと思うのですが、広域連携の推進について、前回の資料で論点が提示されています。今回は具体的に用水供給事業と受水水道事業の統合ということですが、前段で、前回の資料にありますように、水道行政における都道府県の位置付けですとか、広域連携を推進するための都道府県の機能、この辺の論点について、整理を是非していただきたいと思っています。

 特に都道府県の機能、推進役としての機能については、先ほどお話があった大阪府、千葉県では、広域連携の取組が進められていますが、全国的にどうかというと、なかなかうまく進んでいないのではないかと思います。その推進役を担うには、やはり水道事業体の情報が必要になると思いますが、今は手挙げ方式で、厚生労働大臣の権限移譲が制度化されましたが、そういう権限を持っていない所は、普段から水道事業体との付き合いもないということで、なかなか情報がないのではないかと。ですから、単に推進役ということをうたっても実効性が上がらないということで、その辺の担保なり仕組みが必要ではないかと思います。

 それと、今回の資料2-1の 3 ページ目の関係でいきますと、対応案が示されてはいるのですが、そうするための仕組み、制度的なものがどうかというのを一緒に考えていかないと、ただこの対応案がどうのこうのという話はなかなか難しいのかなと。

 それと、対応案 1 については先ほども言いましたように、例えば効果的な統合の組合せを示すといっても、効果的な統合とは何なのか。そこは当然、水道事業体の細かい経営状況などが分からなかったら、なかなかそういうのはできません。そういう意味では、その辺の情報的なもの。また、対応案 2 にしても協議の場を設けるということですが、どの程度の強制力などがあるのかということで、この辺も制度・仕組みと一緒に議論していかなければならないのではないかと考えています。以上です。

○滝沢委員長 ありがとうございます。ほかに御意見はありますか。

○小幡委員 今のお話にもありましたが、やはり地域には、それぞれに様々な地域の特性とか、従来の市町村の水道のやり方もあると思うので、より効率的にというのがうまくいく所は、この形でやっていただいてよいと思います。しかし、余り無理して、ただ都道府県が示してこれをやれというわけにはいかないと思うので、その辺りは地域それぞれの独自性を加味した形で考えていかなければいけないということは、やむを得ないと思っています。大阪府は、大阪市は別ですか。

○大阪府 ビジョンにおきましては、大阪市も含めた府域一水道ということで目指していますが、現在の状況としては、大阪市については民営化の検討がなされていて、一方、企業団においては市町村との事業統合を進めるということで、今、 2 本立ての並行で進んでいる状況ではあります。将来的には 1 つに向けて動いているという状況になります。

○小幡委員 分かりました、結構です。

○滝沢委員長 ほかに御意見はありますか。

○浦上委員 近畿大学の浦上です。千葉県さんにお伺いしたいのですが、今回の千葉県営水道と、 2 つの広域水道企業団との統合のお話で、それを受水する末端の水道事業者が、将来的にはまた幾つか統合というところで、ページで言うと 6 ページになりますが、 1 つお伺いしたいのは、受水団体というのは 100 %、この用水供給を受水されている状況ですか。それとも、自己水源を少しでもお持ちで、併用されているのか。

 といいますのは、やはり統合といったときに、水平的に上を大きく統合、下を大きく統合というときに、下の受水団体のほうが、自己水源と用水供給の受水と、将来的にどうするかという議論をするときに、やはり自己水源をなくすわけにはいかないというところで、そこに追加的なコスト負担というのがどうしても掛かってくる。もし受水が 100 %であれば、そういった問題なく、下の末端給水の事業者さんを統合してということになるのかなと思うのですが、もし受水団体が自己水源を残したままでの統合となると、余りコストメリットが出てこないのではないかなというのを少し心配しています。

 また、末端の水道が今 3 か所、多分、仮置きで 3 つ、今よりは大きな末端の水道事業者が出来るということで、お書きになっていると思うのですが、ここは特に 3 つとか、 2 つとか、 1 つというところまでは全然何も決まっていないという状況ですか。それとも複数ということが、少しはお話として上がってきているのかということを、お伺いできればと思います。よろしくお願いします。

○千葉県 まず 1 点目の、自己水源を持っているのかということですが、それぞれ全て受水しているわけではなくて、自己水源はあります。 2 点目の末端の統合ですが、 8 ページのオレンジで書かれている所が九十九里地域水道企業団で、この中には現在、末端で八匝水道企業団、山武郡市広域水道企業団、長生郡市広域市町村圏組合という 3 つの企業団があるのですが、今、勉強会が立ち上がっていまして、この 3 つが統合に向けて検討を進めています。

 また、南房総広域水道企業団管内については、下の水色と黄色の部分で、夷隅地域と安房地域という 2 つの末端給水事業体へ向けての研究会が立ち上がっている状況です。

○浦上委員 それで県営水道は今、上下一体として運営されている中で、用水供給に大きく進出されるということですが、用水供給の料金が統一された場合に、県営水道の今やっていらっしゃる所の浄水単価と合わせるとか、そういうお話もされているのですか。

○千葉県 まず、経営統合のときは当然、料金は変わらないのですが、事業統合に当たっては、県営水道と九十九里地域水道企業団、南房総広域水道企業団、この料金は平準化するということで、基本的には南房総と九十九里の値段というのは県水道並みにしていければと思うのですが、そこはまだ分からないところです。

○浦上委員 ありがとうございます。

○滝沢委員長 よろしいでしょうか、御発言はありますか。

○山口委員 今、千葉県と大阪府の取組例を御紹介いただきましたが、大阪府の資料 8 ページにもあるように、事業の運営方法を見直していくときに、効率化したけれども質が下がったとか、そういうことがないように、やはり利用者サービスの維持・向上という観点を取り入れた取組の方向を、各地域で是非お考えいただきたいと思います。

1 点質問ですが、料金格差という現状があるときに、大阪府は 1,992 円と最高が 4,682 円で、千葉県のほうは同じように見ると、もっと開き方が大きく、金額も低く、高くに出ると思うのですが、その料金格差が出てくる要因というのは、ある程度共通の事情があるのか。それとも、地域ごとに料金格差の背景が違ってくるのか、お伺いできればと思います。よろしくお願いします。

○滝沢委員長 たくさんの理由があると思いますが、手短に料金格差の主な理由について、御説明をお願いします。

○大阪府 大阪府の状況ですが、最低の料金の所については、やはり平野部の都市部ということで、また、水道整備が古くから行われている、自己水源を持っているということで、その辺りで作る水の費用が低くなっています。

 また、最高の料金の所については、先ほどの用水供給事業の中で、最終的に北部地域が供給されたということを御説明させていただきましたが、その地域ということで、やはり施設整備にお金が掛かっている。また、人口も非常に少ない、効率性の悪い地域ということになっています。そのような背景で料金格差が出ているというのが大阪の状況になります。

○滝沢委員長 千葉県もお願いします。

○千葉県 千葉県におきましては、一番高い所については用水供給南房総広域水道企業団から受水しているのですが、ここの供給単価が非常に高いということと、水源が表流水に多く依存しているということで、コストが掛かっているところです。

 一番低い所については、水源がコストの掛からない地下水に多く依存していることと、北千葉広域水道企業団といって、千葉県内で一番、用水供給料金が低い所から受水していることが理由です。

○滝沢委員長 よろしいでしょうか、ありがとうございます。それでは、本日予定した時間が参りました。もし、まだ御意見がありましたら、今日はこれで取りまとめて、また次回ということでよろしいですか。

 それでは、次回以降の議論の課題に変更があったということですので、事務局から簡単に御説明いただきたいと思います。

○倉吉補佐 資料 3 を御覧ください。今後の進め方ですが、本日、熊本地震への対応を踏まえての御議論を追加させていただいたことから、次回以降の検討スケジュールを再整理し、開催回数を増やして、事務局案として作成しています。

 第 3 回は 6 29 日ですが、広域連携の推進、今日はさわりを御議論いただきましたので、広域連携の 2 回目と官民連携の推進、第 4 回が 7 月の中下旬頃で、広域連携の 3 回目と指定給水装置工事事業者制度、第 5 回は 8 月上旬にアセットマネジメントの推進と水道料金の適正化。その後はそこまでの議論を踏まえて進めていくことにさせていただいて、第 6 回に全般的・総合的な議論をして、第 7 回に取りまとめに向けた議論、第 8 回は 11 月頃で取りまとめという案を出させていただいております。進捗状況によっては、今後、変更もあり得るかと思っています。以上になります。

○滝沢委員長 ありがとうございます。今後のことについて、何か御質問はありますか。よろしいですか。それでは、本日予定していた議事は全て終了しました。進行を事務局にお返ししたいと思います。

○久保補佐 本日はこの暑い中で活発に御議論いただきまして、どうもありがとうございました。次回の専門委員会ですが、資料 3 に第 3 回として書いてあるとおりでして、 6 29 日の午前中の開催を予定しています。次回は広域連携の推進について、本日の続きという形で引き続き議論をお願いしたいのと、それから官民連携の推進についても御議論いただきたいと考えています。どうぞよろしくお願いします。

 本日の議事録については、前回と同様ですが、案が出来次第、委員の皆様に御確認をいただきまして、ホームページで公開とさせていただきたいと思います。それでは、第 2 回の専門委員会はこれで閉会としたいと思います。本日はお忙しいところ、どうもありがとうございました。


(了)

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